(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】少なくとも1つの物体を照射するためのプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521106
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020077915
(87)【国際公開番号】W WO2021069400
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シック,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ヒプスト,ライムント
(72)【発明者】
【氏名】ルース,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ダニエル
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065BB28
2F065DD03
2F065FF09
2F065FF41
2F065GG06
2F065GG15
2F065GG18
2F065GG21
2F065JJ18
2F065LL50
2F065MM16
2F065UU09
(57)【要約】
少なくとも1つの照射パターン(114)を用いて少なくとも1つの物体(112)を照射するためのプロジェクタ(110)が提案される。前記プロジェクタ(110)は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)(120)の少なくとも1つのアレイ(118)を有する。前記VCSEL(120)のそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成される。前記プロジェクタ(110)は、前記アレイ(118)の前記VCSEL(120)によって生成される光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システム(122)を備える。前記アレイ(118)の隣接するVCSEL(120)の前記ビームプロファイルは、前記アレイ(118)の前記VCSEL(120)の光ビームが3次元空間において対応するVCSEL(120)に割り当てられるように、横方向及び/又は軸方向において異なっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの照射パターン(114)を用いて少なくとも1つの物体(112)を照射するためのプロジェクタ(110)であって、前記プロジェクタ(110)は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)(120)の少なくとも1つのアレイ(118)を備え、前記VCSEL(120)のそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成され、前記プロジェクタ(110)は、前記アレイ(118)の前記VCSEL(120)によって生成される光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システム(122)を備え、前記アレイ(118)の隣接するVCSEL(120)の前記ビームプロファイルは、前記アレイ(118)の前記VCSEL(120)の光ビームが3次元空間において対応するVCSEL(120)に割り当てられるように、横方向及び/又は軸方向において異なっている、プロジェクタ(110)。
【請求項2】
前記光学システム(122)は、光学要素(124)の少なくとも1つのアレイを含み、前記光学要素(124)のそれぞれは、構造化表面(128)を有する、請求項1に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項3】
前記光学要素(124)の構造化表面(128)は、異なっている、請求項2に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項4】
前記光学要素(124)は、屈折光学要素、好ましくは屈折回折ハイブリッド要素である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項5】
前記アレイ(118)の隣接するVCSEL(120)のビームプロファイルは、形状、配向、断面のうちの1つ以上によって異なっている、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項6】
前記光学システム(122)は、横方向において異なる特徴を生成するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項7】
前記光学システム(122)は、軸方向において複数の異なる照射パターン(114)を生成するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項8】
前記光学システム(122)は、各VCSELの前記異なる照射パターンを異なる被写界深さに集束するように構成されている、請求項7に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項9】
前記VCSEL(120)は、800~1000nmの波長範囲、好ましくは、940nmで光を放出するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロジェクタ(110)。
【請求項10】
少なくとも1つの物体(112)の位置を決定するための検出器(134)であって:
- 請求項1~9のいずれか1項による、少なくとも1つの照射パターン(114)によって前記物体(112)を照射するための少なくとも1つのプロジェクタ(110)と;
- 光センサ(138)のマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素(136)であって、前記光センサ(138)はそれぞれ感光領域を有し、前記光センサ(138)のそれぞれは、前記物体(112)から前記検出器(134)に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計され、前記センサ要素(136)は、少なくとも1つの反射画像を決定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ要素(136)と;
- 少なくとも1つの評価装置(140)であって、前記評価装置(140)は、前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射特徴をアレイ(118)のVCSEL(120)の1つに割り当てるように構成されている、少なくとも1つの評価装置(140)と、
を備える、検出器(134)。
【請求項11】
前記評価装置(140)は、前記センサ要素(136)の前記センサ信号からの結合信号Qを評価することにより、前記反射画像の前記選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標z
DPRを決定するように構成され、前記評価装置(140)は、前記センサ信号を除算すること、前記センサ信号の倍数を除算すること、又は前記センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、前記結合信号Qを導出するように構成され、前記評価装置(140)は、前記縦方向座標を決定するために、前記結合信号Qと前記縦方向座標z
DPRの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されている、請求項10に記載の検出器(134)。
【請求項12】
前記評価装置(140)は、前記反射画像の少なくとも1つの前記反射特徴を選択し、前記反射特徴を対応するVCSEL(120)に割り当てるように構成され、前記評価装置(140)は、少なくとも1つの三角測量法を用いて少なくとも1つの縦方向座標z
triangを決定するように構成されている、検出器(134)を参照する請求項10又は11による検出器(134)。
【請求項13】
検出器を参照する請求項10~12のいずれか1項による検出器(134)を使用することによって少なくとも1つの物体(112)の位置を決定する方法であって、
以下の方法ステップ:
- 前記検出器(134)の少なくとも1つのプロジェクタ(110)によって生成された少なくとも1つの照射パターン(114)によって前記物体(112)を照射するステップと;
- 光センサ(138)のマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素(136)を用いることによって少なくとも1つの反射画像を決定するステップであって、前記光センサ(138)はそれぞれ感光領域を有し、各光センサ(138)は、前記物体(112)から前記検出器(134)に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、ステップと;
- 前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射画像の前記反射特徴をアレイ(118)のVCSEL(120)の1つに割り当てるステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
使用目的が、交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;監視用途;安全用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;物流用途;追跡用途;屋外用途;モバイル用途;通信用途;写真撮影用途;マシンビジョン用途;ロボット用途;品質管理用途;製造用途;歩行監視用途;人体監視用途;在宅ケア;スマートリビング、からなる群から選択される、検出器を参照する請求項10~12のいずれか1項による検出器(134)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、検出器、及び少なくとも1つの物体の位置を決定するための方法に関する。本発明による装置、方法及び使用は、具体的には、例えば、日常生活、ゲーム、交通技術、生産技術、セキュリティ技術、芸術のためのデジタル写真又はビデオ写真などの写真、文書化又は技術目的、医療技術、ホームケア、スマートリビング又は科学の様々な分野で採用され得る。さらに、本発明は、具体的には、例えば、建築、計測、考古学、芸術、医学、工学、又は製造の分野において、物体又は場景の奥行きプロファイルを生成するためなど、1つ以上の物体をスキャンするため、及び/又は場景をスキャンするために使用されることができる。しかし、他の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
多くの光学装置及び方法が、3D測定のために構造化光法を用いた従来技術から知られている。典型的には、これらの装置及び方法では、点パターンが投影され、反射パターンが記録及び評価される。パターンは、例えば、発光ダイオード(LED)及び回折光学要素(DOE)を組み合わせることによって生成される。しかし、複雑な物体に対しては、いわゆる対応問題、すなわち物体のどの点がどの光ビームによって生成されたかを解決する必要がある。対応問題を解決する方法はいくつか知られているが、複雑で時間がかかる。
【0003】
US2016/178915は、光電子装置を記載しており、この装置は、半導体基板、2次元パターンで基板上に配置された光エミッタのアレイ、投影レンズ及び回折光学要素(DOE)を含む。投影レンズは、半導体基板上に取り付けられ、光エミッタの2次元パターンに対応する光パターンを含む光ビームを投影するように、光エミッタによって放出された光を収集して集束するように構成されている。DOEは、基板上に取り付けられ、パターンの複数の重複するレプリカを生成及び投影するように構成されている。
【0004】
WO2016/154218A1は、局所領域に構造化光パターンを生成する追跡システムトを記載している。該システムは、光を生成するレーザのアレイを含む。レーザのアレイは、複数のレーザ及び光学要素を含む。複数のレーザは、レーザの少なくとも2つのサブセットにグループ化され、レーザの少なくとも2つのサブセットのそれぞれは、独立して切り替え可能である。光学要素は、それぞれがレーザのアレイのそれぞれのサブセットと整列している複数のセルを含む。各セルは、レーザのアレイの対応するレーザから光を受信し、各セルは、セルを透過する受信光に個別に変調を適用して、局所領域に投影される構造化光パターンの対応する部分を形成する。
【0005】
WO2009/153446A2は、レーザ源を用いてフリン又は他のパターンの形態で構造化光を投影するための装置を記載しており、この装置は、基板上に取り付けられた3つの連続した要素、すなわちVCSELを含むレーザ光源、コリメーション回折光学要素及び光構造化回折光学要素を含む光ヘッドを含んでいる。レーザ光源は、(M×N)個のVCSELを得るために、N個のVCSELのM個のバーを組み合わせることによって得られる少なくとも1つのVCSELマトリックスを含む。回折光学要素は、レーザ光源から放出された光を構造化光パターンに変換する位相回折光学要素である。それらは各VCSELの前面に取り付けられた(M×N)個の回折光学サブ要素のマトリックスからなり、集積型光ヘッドを定義するためにレーザ光源に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2016/178915
【特許文献2】WO2016/154218A1
【特許文献3】WO2009/153446A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、既知の装置及び方法の上述の技術的課題に対する装置及び方法を提供することである。具体的には、本発明の目的は、好ましくは低い技術的努力によって、かつ技術的資源及びコストの観点から低い要求によって、空間内の物体の位置を確実に決定することができる装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立特許請求項の特徴を有する本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現することができる本発明の有利な発展形態は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態によって提示される。
【0009】
本明細書で使用されるとき、「有する」、「含む」、又は「含有する」という表現ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴の他に、この関係において説明されている対象においてさらなる特徴が存在していないという状況、及び、1つ又は複数のさらなる特徴が存在しているという状況の両方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外に他の要素がA中に存在しないという状況(すなわち、Aは単独でかつ排他的にBからなるという状況)、及び、B以外に、要素C、要素C及びD、又は、別の要素さえもなど、1つ又は複数のさらなる要素が、実体Aにおいて存在するという状況の両方を指し得る。
【0010】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つ又は複数(1つ以上)」、又は特徴又は要素が1回又は複数回存在し得ることを示す同様の表現は、通常それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するときに、表現「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数(1つ以上)」は、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在してもよいという事実にかかわらず、繰り返されないことになる。
【0011】
さらに、以下において使用されているように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「さらに詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」という用語、又は、同様の用語は、代替的な可能性を制限することなく、任意の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、決して特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。当業者が認識するように、本発明は代替的な特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関していかなる制限を課すものではなく、本発明の範囲に関していかなる制限を課すものではなく、また、そのようにして導入される特徴と本発明の他の任意の特徴又は非任意の特徴を組み合わせることの可能性に関していかなる制限を課すものではない。
【0012】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの照射パターンで少なくとも1つの物体を照射するプロジェクタが開示されている。
【0013】
本明細書で使用される場合、「物体」という用語は、任意の物体、特に表面又は領域を指し得、該表面又は領域は、物体に入射する少なくとも1つの光ビームを少なくとも部分的に反射するように構成されている。光ビームは、物体を照射するプロジェクタから発生してよく、該光ビームは物体によって反射又は散乱される。本明細書で使用される場合、光プロジェクタとも呼ばれる「プロジェクタ」という用語は、少なくとも1つの照射パターンを物体に、具体的には物体の表面に投影するように構成された光学装置を指し得る。
【0014】
プロジェクタは、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)の少なくとも1つのアレイを備える。VCSELのそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成されている。プロジェクタは、アレイのVCSELによって生成される光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システムを備える。パターン内のビームプロファイルの周期的又はランダムな繰り返しが可能であってよい。アレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、アレイのVCSELの光ビームが3次元空間において対応するVCSELに割り当てられるように、横方向及び/又は軸方向において異なっている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「パターン」という用語は、シンボルなどの複数の任意の形状特徴を含む任意の既知の又は事前に決定された配置を指し得る。パターンは、複数の特徴を含み得る。パターンは、周期的又は非周期的な特徴の配置を含み得る。本明細書で使用される場合、「照射パターン」という用語は、物体を照射するパターンを指す。特に、照射パターンは、VCSELの1つによって生成される単一のビーム及びそのパターンを指し、一方、VCSELのアレイによって生成される全ての照射パターンの集合的又は全体は、集合照射パターンと表され得る。照射パターンは、以下:少なくとも1つの点パターン又は擬似ランダム点パターン;少なくとも1つのソボル(Sobol)パターン;少なくとも1つの準周期的パターン;少なくとも1つの既知の特徴を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの規則的なパターン;少なくとも1つの三角形パターン;少なくとも1つの六角形パターン;少なくとも1つの長方形パターン;凸状の均一なタイル状体(tiling)を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの線を含む少なくとも1つの線パターン;平行線又は交差線などの少なくとも2つの線を含む少なくとも1つの線パターン、からなる群から選択される少なくとも1つのパターンを含むことができる。例えば、プロジェクタは、点群又は非点状特徴を生成及び/又は投影するように構成され得る。例えば、プロジェクタは、照射パターンが複数の点特徴又は非点状特徴を含み得るように、点群又は非点状特徴を生成するように構成され得る。要素照射パターンは、三角形パターン、長方形パターン、六角形パターン、又は凸状タイル状体をさらに含むパターンなどの、規則的及び/又は一定及び/又は周期的なパターンを含むことができる。照射パターンは、六角形パターンが好ましいように、面積当たり可能な限り多くの特徴を含むことができる。それぞれの照射パターンの2つの特徴間の距離、及び/又は少なくとも1つの照射特徴の面積は、後述するように、少なくとも1つの検出器によって決定される画像の錯乱円に依存し得る。
【0016】
プロジェクタは、少なくとも1つの垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)のアレイを含む。本明細書で使用される場合、「垂直空洞面発光レーザ」という用語は、上面に対して垂直なレーザビームを放出するように構成された半導体レーザダイオードを指す。VCSELの例は、例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Vertical-cavity_surface-emitting_laser に見出すことができる。VCSELは、WO2017/222618Aからなど、当業者に一般的に知られている。
【0017】
VCSELのそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成されている。本明細書で使用される場合、「光線」という用語は、一般に、エネルギーの流れの方向を指し示す光の波面に垂直な線を指す。本明細書で使用される場合、「ビーム」という用語は、一般に、光線の集まりを指す。以下では、「光線」及び「ビーム」という用語は同義語として使用される。本明細書でさらに使用される場合、「光ビーム」という用語は、光ビームが拡張角又は広がり角を有する可能性を含めて、一般に光の量、具体的には、本質的に同じ方向に進む光の量を指す。
【0018】
VCSELは、800~1000nmの波長範囲における光ビームを放出するように構成されることができる。例えば、VCSELは、808nm、850nm、940nm、又は980nmで光ビームを放出するように構成されてよい。好ましくは、VCSELは940nmで光を放出し、これは、例えばCIE 085-1989「太陽スペクトル放射照度」に記載されているように、地上の太陽放射がこの波長で放射照度の局所的最小値を有しているためである。
【0019】
VCSELのアレイは、2次元又は1次元のアレイであってよい。VCSELのアレイは、マトリックスに配置された複数のVCSELを含んでよい。本明細書でさらに使用される場合、「マトリックス」という用語は、一般に、複数要素の所定の幾何学的順序での配置を指す。マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。VCSELは、共通の基板上又は異なる基板上に配置されてよい。アレイは、2500個までのVCSELを含むことができる。例えばアレイは、3.5Wの高出力アレイなどのように38×25個のVCSELを含むことができる。例えばアレイは、2.5Wの10×27個のVCSELを含むことができる。例えばアレイは、0.9Wの96個のVCSELを含むことができる。例えば2500要素のアレイのサイズは、最大2mm×2mmであり得る。
【0020】
VCSELのアレイは、発光ダイオード(LED)と比較して、高い放射出力を有する可能性がある。さらに、VCSELは、LEDと比較して、より高い空間的及び時間的コヒーレンスを有する可能性がある。これにより、光学システムによるビームプロファイルの成形及び/又は修正が改善され、スペクトル出力密度が増加する可能性がある。
【0021】
プロジェクタは、アレイのVCSELによって生成された光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システムを含んでいる。本明細書で使用される場合、「光学システム」という用語は、一般に、少なくとも2つの構成要素を含む少なくとも1つの光学装置を指す。光学システムは、光学要素の少なくとも1つのアレイを含んでいてよい。光学要素のアレイは、マトリックスに配置された複数の光学要素を含んでいてよい。光学要素のマトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行及び列は、具体的には、長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ビームプロファイル」という用語は、特に光ビームの伝播に垂直な少なくとも1つの平面における、光ビームの強度の空間分布に関する。ビームプロファイルは、光ビームの横方向の強度プロファイルであってよい。ビームプロファイルは、光ビームの断面であってよい。ビームプロファイルは、台形ビームプロファイル;三角形ビームプロファイル;円錐形ビームプロファイル及びガウスビームプロファイルの線形結合からなる群から選択されてよい。しかしながら、他の実施形態も可能である。本明細書で使用される場合、「特徴的なビームプロファイル」という用語は、アレイのVCSELのビームプロファイル、特に隣接するVCSELのビームプロファイルが異なるという事実に関するものである。アレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、横方向及び/又は軸方向で異なっている。本明細書で使用される場合、「軸方向」という用語は、光学システムの光軸に沿った方向、特に縦方向を指す。本明細書で使用される場合、「光軸」という用語は、一般に、光学システムの鏡面対称又は回転対称の軸を指す。光軸は、光学システムの光学構成の対称線であってもよい。本明細書で使用される場合、「横方向」という用語は、軸方向に対して垂直な方向、特に横方向を指す。アレイのVCSELのビームプロファイル、特にアレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、形状、配向、断面のうちの1つ以上によって異なってよい。横方向及び軸方向は、3次元空間を構成する。本明細書で使用される場合、「形状」という用語は、一般に、特に光ビームの伝播に垂直な少なくとも1つの平面における、延長及び/又は輪郭などの光ビームの強度の空間分布を指す。本明細書で使用される場合、「配向」という用語は、一般に、光学システムの光軸に対する光ビームの伝播方向、特に光ビームの伝播方向と光軸との間の角度を指す。本明細書で使用される場合、「断面」という用語は、一般に、光ビームの伝播に垂直な少なくとも1つの平面における光ビームのエリアを指す。異なるビームプロファイルは、アレイのVCSELによって生成された光ビームを対応するVCSELに割り当てることを可能にする。特に、隣接する光ビームの形状が異なる場合、光ビームの形状から、アレイのどのVCSELから光ビームが生成されたかを決定することが可能である。例えば、光ビームは形状及び配向が異なっていてよい。好ましくは、ビームプロファイルの相違は、簡単な割り当てを可能にするために可能な限り大きい。アレイの全てのVCSELのビームプロファイルが形状、配向及び断面において異なる場合、割り当ては最も簡単であり得る。しかし、隣接する光ビームのビームプロファイルが少なくとも1つのパラメータで異なっていれば十分であり得る。
【0023】
個々のVCSELによって生成された光は、他のVCSELの光と重複又は融合して共通のパターンになることはできない。逆に、各VCSELのビームプロファイルは、それ自体で認識可能なままであり得る。これにより、隣接するVCSELのビームプロファイルは、それらが区別でき、それぞれの生成された光ビームのビームプロファイルが光ビームの伝播方向で変化して距離決定が改善されるように、異なる。本発明は、特に、各VCSELが個別の光学要素を有することを提案する。これは、公知の装置とは対照的である。例えば、WO2016/154218A1は、構造化光を用いた3D測定を記載しており、そこでは、異なるパターンを有する複数の画像を順次実行することが必要である。この手順のために、WO2016/154218A1で提案されたアレイのレーザは、独立して切り替え可能な少なくとも2つのサブグループに分割されている。各サブグループのレーザは、共通の光学システムを共有する。このように、WO2016/154218A1で提案された装置とは対照的に、本発明は、単一の画像のみを必要とする。レーザ又はパターンの時間的変調は必要ない。
【0024】
光学要素のそれぞれは、構造化表面を有してよい。光学要素の構造化表面は、異なっていてよい。特に、アレイの2つの隣接する光学要素の構造化表面は、異なっていてよい。本明細書で使用される場合、「構造化表面」という用語は、一般に、事前定義された任意の構造を有する光学要素の表面を指し得る。構造化表面は、個々の印刷及び/又はエンボス加工された構造であってよい。しかしながら、成形又は射出成形のような他の製造技術も可能である。光学要素は、J.Gavin in Optics Letters,36巻(2011),Nr.13,2495~2497に記載されているような3次元ホログラフィックリソグラフィを用いて製造又は生産され得る。
【0025】
光学要素は、それぞれ、構造化表面を有する少なくとも1つのレンズであってよく、又はそれを含んでいてよい。構造化表面は、個々の印刷及び/又はエンボス加工された構造を有する表面であってよい。しかしながら、成形又は射出成形などの他の製造技術も可能である。構造化表面は、光学要素に衝突する光ビームが非点状又は非斑状ビームプロファイルを有するように調整されることを生じ得る。光学要素は、屈折光学要素であってよい。好ましくは、光学要素は、屈折回折ハイブリッド要素であってよい。本明細書で使用される場合、「屈折光学要素」という用語は、少なくとも1つの屈折構造を有する構造化表面を指す。本明細書で使用される場合、「屈折回折ハイブリッド要素」という用語は、少なくとも1つの屈折構造及び少なくとも1つの回折構造を有する構造化表面、又は屈折及び回折の両方の特性を有する構造を指す。屈折要素及び/又は屈折構造は、隣接するVCSEL間の距離に応じて、半径、特に例えばマイクロレンズの直径を有していてもよい。例えば、距離は、40μm~70μmの範囲であってよい。直径は、40μmのような類似したものであってよい。しかしながら、直径は、光学特性及び屈折率にさらに強く依存し得る。回折要素及び/又は回折構造は、非常に平坦に製造されることができるため、有利であり得る。回折要素はそれぞれ、基板とも呼ばれる、少なくとも1つのベースプレートを有してよい。ベースプレートは、ガラスベースプレートであってよい。ベースプレートは、1mmの厚さを有することができる。屈折要素及び/又は屈折構造は、
【数1】
による2πの位相差に対応する厚さD
diffを有することができる。回折要素及び屈折要素及び/又は屈折構造の直径は、アレイの2つのVCSEL間の距離より小さくてよく、例えば、直径は70μmより小さくてよい。回折要素及び/又は回折構造は、円対称であってもよく、平面であってもよい。しかしながら、非対称の実施形態も可能である。例えば、回折構造は、屈折レンズの凹面又は凸面などの曲面上に配置されてよい。
【0026】
光学要素は、少なくとも1つのポリマーを含む少なくとも1つの材料を含むことができる。材料は、Nanoscribe IP-Dip,OrmoComp.、Nanoscribe IP-G、Nanoscribe IP-L、Nanoscribe IP-Sなどの2光子刺激重合に使用され得るポリマー材料であり得る。射出成形又はホットエンボシングなどの成形プロセスには、Zeonixから入手可能(https://www.zeonex.com/optics.aspx.html)、又はEvonikから入手可能である、Trogamid myCX(https://www.campusplastics.com/campus/de/datasheet/TROGAMID%C2%AE+myCX+nc+(nf)/Evonik+Industries+AG/66/bf801790)のようなプラスチックを使用することができる。ガラス成形には、https://refractiveindex.info/?shelf=glass&book=BK7&page=SCHOTTに記載されているガラス材料など、いくつかのガラス材料を使用することができる。
【0027】
光学要素は、VCSELのアレイの前面で光ビームの伝播方向に可能な限り接近して配置されてよい。例えば、光学要素は、高屈折率を有するロッドレンズとして設計されてよい。ロッドレンズは、VCSELのアレイの前面において光ビームの伝播方向に可能な限り接近して配置されてよい。レンズ材料のより高い屈折率のために、収束角を小さくすることができ、光路長を、局所的なコヒーレンスが増加して光ビームの成形が改善され得るように長くすることができる。
【0028】
構造化表面は、ビームプロファイルの断面がプロジェクタと物体の間の距離に応じて異なるように、構成されてよい。これは、特定の事前定義された及び/又は所定の幾何学形状を有する光学要素を使用することによって確保されてもよい。必要な幾何学形状は、反復波動光学計算を用いて決定されてよい。特に、光学要素に対する異なる距離における所望の強度分布が、反復設計の基礎として使用されてよい。異なる面の間、例えばVCSEL、光学要素の、形状1を有する投影面、及び形状2を有する投影面の間で、フレネル伝播、又はレイリーゾンマーフェルト回折積分などの少なくとも1つの波動光学伝播アルゴリズムが使用されてよい。前記伝播は、平面から平面へ、そしてVCSELに戻るように実行されてよい。VCSELは部分的コヒーレント放射を発することがあるので、互いに非コヒーレントな点光源をシミュレーションに使用することが可能である。前記点光源は、その強度分布に関して重み付けされてよい。
【0029】
本発明は、従来のストライプ投影と区別する。照射パターンは、互いに接触又は重なり合わない、異なる分離した特徴を含むことができる。具体的には、照射パターンは、隣接する垂直空洞面発光レーザの放射の重複又は上重ねによって生成された閉じた特徴を含んでいなくてよい。
【0030】
各VCSELは、閉じた個別の特徴を生成することができる。したがって、生成される特徴の数は、VCSELの数に対応し得る。光学システムが、アレイのVCSELによって生成された光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成されることを要求することによって、VCSELのそれぞれによって放出された光を識別及び/又は局在化することが可能であり得る。隣接する個々のVCSELの生成されたビームプロファイルは異なり、特に、アレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、横方向及び/又は軸方向において異なる。横方向及び/又は軸方向の異なる特徴の投影を用いた3D空間の研究のために、VCSELの光ビームは、3次元空間において対応するVCSELに割り当て可能である。VCSELのそれぞれのマイクロ光学要素は、1つのパターンだけでなく、例えば、軸方向及び/又は横方向に変位した複数のパターンを生成することができる。
【0031】
光学システムは、横方向に複数の照射パターンを生成するように構成されてよい。本明細書で使用される場合、「横方向」という用語は、軸方向に対して垂直な次元、特に横断する方向を意味する。例えば、光学システムは、アレイのVCSELのそれぞれについて、光軸に対して異なる角度を有する少なくとも2つの照射特徴を生成するように構成されてよい。例えば、これは、Zemax(登録商標)からの商用ソフトウェアパッケージによって可能にされたレイトレーシングルーチンを使用して実現することができる。追加的又は代替的に、レイリーゾンマーフェルト、フレネル伝播及び/又はフラウンホーファー伝播などの少なくとも1つの波動光学伝播法に基づく反復アプローチを使用することが可能であり得る。そして、反復プロセスは、光学システムから異なる横方向に投影された照射パターンへ、そして、光学システムへの戻る伝播の間で交互に行われることができる。光学システムの更新プロセスの間、異なる横方向照射パターンの数を考慮することができ、その結果、一定の割合で各照射パターンが更新された光学システムに寄与することがもたらされ、例えば、2つの照射パターンが同じ重みで生成される場合、各反復ステップにおける対応する検索された波光学解は、光学システムの波光学記述に50%寄与するであろう。このプロセスは、誤差測定が全ての投影された照射パターンに対して最小化され得るまで繰り返され得る。誤差測定は、所望の照射パターンとシミュレートされた照射パターンとの間の差から得られることができる。少なくとも2つの照射パターン間の投影方向は、大きすぎてはならない。2つのパターンは、同じ平面に投影され得る。したがって、反復プロセスは、光学システムと所望の少なくとも2つの照射パターンの平面の間でのみ行われることになる。
【0032】
光学システムは、軸方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されてよい。本明細書で使用する場合、「軸方向」という用語は、光学システムの光軸に沿った次元、特に縦方向を指す。光学システムは、各VCSELの異なる照射パターンを異なる被写界深さに集束するように構成されてよい。具体的には、光学システムは、異なる焦点面、特に物体面に照射パターンを集束させるように構成されてもよく、そこでは、焦点面は、光軸に沿って異なる座標を有する光学システムの光軸に垂直な面である。光学システムは、焦点面のそれぞれにおいて、照射パターンのうちの1つの照射パターンのみが集束され、他の照射パターンは非集束であるように構成されてよい。光学システムは、焦点面のそれぞれにおいて、異なる照射パターンが集束されるように構成されてよい。光学システムは、照射パターンの中間投影のための少なくとも1つの装置を含むことができる。例えば、VCSELのアレイと物体との間の距離が数メートルのアプリケーションの場合、中間投影のための装置は、画像化されたパターンの特徴のサイズが全ての軸方向物体位置に対して不変であるように、テレセントリック画像化として設計されてよい。追加的に又は代替的に、画像化スケールは、設計データから又は較正によって決定されてよい。軸方向における複数の異なる照射パターンは、三角測量法、及び/又は検出器及びプロジェクタが特に共通軸上で整合される方法を使用することを可能にし得る。この目的のために、検出器は、測定範囲を横断するための少なくとも1つのズーム光学システム及び/又は少なくとも1つの電気光学チューナブルシステムを含むことができる。アレイのVCSELの異なる深さに対して異なる照射パターンを調整することによって、検出器の被写界深さ範囲にわたって識別可能な深さステップの数を、アレイのVCSELの数まで増加させることが可能であり得る。
【0033】
例えば、光学システムは、軸方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されてよい。前記異なる照射パターンのそれぞれは、多数のスポットを含むことができる。
【0034】
例えば、光学システムは、軸方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されてよい。前記異なる照射パターンのそれぞれは、非対称であり得、多数のスポットを含むことができる。
【0035】
例えば、光学システムは、横方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されてよい。前記異なる照射パターンのそれぞれは、多数のスポットを含むことができる。
【0036】
例えば、光学システムは、横方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されてよい。前記異なる照射パターンのそれぞれは、非対称であり得、多数のスポットを含むことができる。
【0037】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器が開示されている。検出器は、上に開示された実施形態の1つ以上、又は、以下でさらに詳細に開示される1つ以上の実施形態などによる本発明による実施形態による少なくとも1つのプロジェクタを有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「位置」という用語は、空間での物体及び/又は物体の少なくとも一部の位置及び/又は方向に関する少なくとも1つの情報項目を指す。したがって、該少なくとも1つの情報項目は、物体の少なくとも1つの点と少なくとも1つの検出器との間の少なくとも1つの距離を指すことができる。情報項目は、特に、空間におけるその物体の点のx、y及びz座標を指すことがある。距離は、縦方向座標であってもよく、又は物体の点の縦方向座標を決定するのに寄与するものであってよい。追加的に又は代替的に、物体及び/又は物体の少なくとも一部の位置及び/又は方向に関する1つ以上の他の情報項目が決定されることができる。一例として、さらに、物体及び/又は物体の少なくとも一部の、少なくとも1つの横方向座標が決定されることができる。したがって、物体の位置は、物体及び/又は物体の少なくとも一部の縦方向座標を指すことができる。追加的に又は代替的に、物体の位置は、物体及び/又は物体の少なくとも一部の少なくとも1つの横方向座標を指すことができる。追加的に又は代替的に、物体の位置は、空間における物体の方向付けを示す、物体の少なくとも1つの方向付け情報を指すことができる。
【0039】
検出器は:
- 本発明による少なくとも1つの照射パターンで物体を照射するための少なくとも1つのプロジェクタと;
- 光センサのマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素であって、各光センサはそれぞれ感光領域を有し、各光センサは、物体から検出器に伝播する反射光ビームによってそのそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計され、前記センサ要素は、少なくとも1つの反射画像を決定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ要素と;
- 少なくとも1つの評価装置であって、前記評価装置は、前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射特徴をアレイのVCSELの1つに割り当てるように構成されている、少なくとも1つの評価装置と、
を備える。
【0040】
本明細書で使用される場合、「センサ要素」という用語は、一般に、少なくとも1つのパラメータを感知するように構成された装置又は複数の装置の組み合わせを指す。この場合、パラメータは、具体的には光パラメータであってよく、センサ要素は、具体的には光センサ要素であってよい。センサ要素は、一体の単一装置として、又はいくつかの装置の組み合わせとして形成され得る。本明細書でさらに使用される場合、「マトリックス」という用語は、一般に、複数要素の所定の幾何学的順序での配置を指す。以下でさらに詳細に概説されるように、マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「光センサ」は、一般に、光ビームの検知のための、例えば少なくとも1つの光ビームによって生成される照射及び/又は光スポットの検知のための感光装置を指す。本明細書で使用される場合、「感光エリア」は、一般的に、少なくとも1つの光ビームによって外部から照射され、該照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成する、光センサのエリアを指す。感光エリアは、具体的には、それぞれの光センサの表面に位置することができる。しかしながら、他の実施形態も可能である。マトリックスの光センサは、具体的には、サイズ、感度、及び他の光学的、電気的、機械的特性のうちの1つ以上で等しくてよい。マトリックスの全ての光センサの感光エリアは、具体的には、共通の平面内に配置されてよく、該共通平面は、好ましくは、物体から検出器に伝播する光ビームが該共通平面上に光スポットを生成するように、物体に面している。
【0042】
本明細書で使用される場合、「それぞれが少なくとも1つの感光エリアを有する光センサ」という用語は、それぞれが1つの感光エリアを有する複数の単一の光センサを備える構成と、複数の感光エリアを有する1つの結合された光センサを備える構成とを指す。したがって、「光センサ」という用語は、さらに、1つの出力信号を生成するように構成された感光装置を指すが、本明細書では、2つ以上の出力信号を生成するように構成された感光装置、例えば少なくとも1つのCCD及び/又はCMOS装置を、2つ以上の光センサと呼ぶ。各光センサは、正確に1つの感光エリアがそれぞれの光センサ内に存在するように、例えば、照射され得る正確に1つの感光エリアを提供し、該感光エリアの照射に応答して光センサ全体について正確に1つの均一なセンサ信号を生成するようにすることによって具現化されてよい。したがって、各光センサは、単一エリア光センサであってよい。単一エリア光センサの使用は、しかしながら、検出器の構成を特に簡単かつ効率的にする。したがって、一例として、それぞれが正確に1つの感光エリアを有する市販の光センサ、例えば、市販のシリコンフォトダイオードなどが、構成において使用されてよい。しかしながら、他の実施形態も可能である。したがって、一例として、本発明の文脈において2つ、3つ、4つ、又は4つ以上の光センサとみなされる、2つ、3つ、4つ、又は4つ以上の感光エリアを含む光学装置が使用されてよい。上で概説したように、センサ要素は、光センサのマトリックスを含む。したがって、一例として、光センサは、ピクセル化光学装置の一部であってもよく、又はそれを構成していてもよい。一例として、光センサは、ピクセルのマトリックスを有し、各ピクセルが感光エリアを形成する少なくとも1つのCCD及び/又はCMOS装置の一部であってもよく、又はそれを構成してもよい。
【0043】
光センサは、具体的には、光検出器、好ましくは無機光検出器、より好ましくは無機半導体光検出器、最も好ましくはシリコン光検出器であってもよいし、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサは、赤外スペクトル範囲において感度を有してよい。マトリックスの光センサの全て、又はマトリックスの光センサの少なくとも一群は、具体的には同一であってよい。マトリックスの同一の光センサの群は、具体的には、異なるスペクトル範囲について提供されてもよく、又は全ての光センサは、スペクトル感度に関して同一であってよい。さらに、光センサは、サイズ及び/又はそれらの電子的又は光電子的特性に関して同一であってよい。
【0044】
具体的には、光センサは、赤外スペクトル範囲、好ましくは780nmから3.0マイクロメートルの範囲に感度を有する無機フォトダイオードであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサは、シリコンフォトダイオードが適用可能な特に700nm~1000nmの範囲の近赤外領域の部分で感度を有してよい。光センサに使用され得る赤外光センサは、例えば、ドイツ,D-67056 Ludwigshafen am RheinのtrinamiX GmbHのHertzstueck(登録商標)というブランド名で市販されている赤外光センサなど、市販の赤外光センサであってよい。したがって、一例として、光センサは、固有の光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくは、Geフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、拡張InGaAsフォトダイオード、InAsフォトダイオード、InSbフォトダイオード、HgCdTeフォトダイオード、からなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサは、外因性光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくはGe:Auフォトダイオード、Ge:Hgフォトダイオード、Ge:Cuフォトダイオード、Ge:Znフォトダイオード、Si:Gaフォトダイオード、Si:Asフォトダイオードからなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサは、少なくとも1つのボロメータ、好ましくはVOボロメータ及びアモルファスSiボロメータからなる群から選択されるボロメータを含み得る。
【0045】
マトリックスは、独立した光センサで構成されてよい。したがって、マトリックスは、無機フォトダイオードから構成されていてもよい。しかしながら、代替的に、市販のマトリックス、例えば、CCD検出器チップなどの1つ以上のCCD検出器、及び/又はCMOS検出器チップなどのCMOS検出器が使用されてもよい。
【0046】
したがって、一般に、検出器の光センサは、センサアレイを形成してもよく、又は上述のマトリックスなどのセンサアレイの一部であってよい。したがって、一例として、検出器は、例えばm行及びn列を有する長方形アレイなどの光センサアレイを有することができ、ここでm、nは独立して正の整数である。好ましくは、1を超える列及び1を超える行が与えられ、すなわち、n>1、m>1である。したがって、一例として、nは2~16以上であり得、mは2~16以上であり得る。好ましくは、行数と列数の比は1に近い。一例として、n及びmは、m/n=1:1、4:3、16:9又は類似のものを選択することなどにより、0.3≦m/n≦3となるように選択され得る。一例として、アレイは、m=2、n=2又はm=3、n=3などを選択することなどにより、等しい数の行及び列を有する正方形アレイであってよい。
【0047】
マトリックスは、具体的には、少なくとも1行、好ましくは複数行及び複数列を有する長方形のマトリックスであってよい。一例として、行及び列は、実質的に垂直な方向に方向付けられてよく、「実質的に垂直」という用語に関しては、上記の定義を参照することができる。したがって、一例として、20°より小さい、具体的には10°より小さい、又は5°より小さい許容誤差さえ許容され得る。広い視野を提供するために、マトリックスは、具体的には、少なくとも10行、好ましくは少なくとも50行、より好ましくは少なくとも100行を有することができる。同様に、マトリックスは、少なくとも10列、好ましくは少なくとも50列、より好ましくは少なくとも100列を有することができる。マトリックスは、少なくとも50個の光センサ、好ましくは少なくとも100個の光センサ、より好ましくは少なくとも500個の光センサを含むことができる。マトリックスは、数メガピクセルの範囲の数のピクセルを含むことができる。しかしながら、他の実施形態も可能である。したがって、軸回転対称性が期待される構成では、ピクセルとも呼ばれ得るマトリックスの光センサの円形配置又は同心配置が好ましいことがある。
【0048】
好ましくは、センサ要素は、検出器の光軸に対して実質的に垂直に方向付けされ得る。ここでも、「実質的に垂直」という用語に関して、上述の定義及びの許容誤差を参照することができる。光軸は、直線の光軸であってもよいし、又は、1つ以上の偏向要素を使用することによって、及び/又は1つ以上のビーム分割器を使用することによってなど、屈折又は分割さえされてよく、後者の場合、実質的に垂直な方向付けは、光学構成のそれぞれの分岐又はビーム経路の局所的な光軸を指し得る。
【0049】
反射光ビームは、物体から検出器に向かって伝播することができる。反射光ビームは、物体から発することができる。プロジェクタは、少なくとも1つの照射パターンで物体を照射することができ、光は物体によって反射又は散乱され、これにより、少なくとも部分的に反射光ビームとして検出器に向けられる。
【0050】
反射光ビームは、具体的には、センサ要素が光ビーム内に完全に位置されるように、光マトリックスよりも大きいビームの幅によってセンサ要素を完全に照射してよい。反対に、好ましくは、反射光ビームは、光スポットがマトリックス内に完全に位置するように、マトリックスよりも小さい光スポットをマトリックス全体の上に生成してもよい。この状況は、光学の当業者によって、以下でさらに詳細に概説するように適切な転送装置を使用するなど、光ビームに集束又はデフォーカス効果を有する1つ以上の適切なレンズ又は要素を選択することによって、容易に調整されることができる。
【0051】
本明細書でさらに使用される場合、「センサ信号」は、一般に、光ビームによる照射に応答して光センサによって生成される信号を指す。具体的には、センサ信号は、少なくとも1つのアナログ電子信号及び/又は少なくとも1つのデジタル電子信号などの少なくとも1つの電子信号であり得るか、又はそれらを含み得る。より具体的には、センサ信号は、少なくとも1つの電圧信号及び/又は少なくとも1つの電流信号であり得るか、又はそれらを含み得る。より具体的には、センサ信号は、少なくとも1つの光電流を含み得る。さらに、生のセンサ信号が使用されるか、又は、検出器、光センサ、もしくはその他の要素が、フィルタリングなどによる前処理など、センサ信号を処理又は前処理するように構成されることができ、それにより、センサ信号としても使用され得る二次センサ信号を生成する。
【0052】
感光エリアは、具体的には、物体に向かって配向されてよい。本明細書で使用される場合、「物体に向かって配向される」という用語は、一般に、感光エリアのそれぞれの表面が物体から完全に又は部分的に見える状態を指す。具体的には、物体の少なくとも1つの点とそれぞれの感光エリアの少なくとも1つの点との間の少なくとも1つの相互接続線は、感光エリアの表面要素と、0°と異なる角度、例えば、20°から90°の範囲の角度、好ましくは80°から90°の範囲の角度、例えば90°を形成することができる。したがって、物体が光軸上又は光軸の近くにある場合、物体から検出器に向かって伝播する光ビームは、実質的に光軸に平行であり得る。本明細書で使用される場合、「実質的に垂直」という用語は、例えば±20°以下の許容誤差、好ましくは±10°以下の許容誤差、より好ましくは±5°以下の許容誤差を有する垂直配向の状態を指す。同様に、「実質的に平行」という用語は、例えば±20°以下、好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下の許容誤差を有する平行配向の状態を指す。
【0053】
光センサは、紫外、可視、又は赤外スペクトル範囲の1つ以上で感度を有してよい。具体的には、光センサは、500nm~780nm、最も好ましくは650nm~750nm、又は690nm~700nmの可視スペクトル範囲で感度を有してよい。具体的には、光センサは近赤外領域で感度を有してよい。具体的には、光センサは、シリコンフォトダイオードが適用可能な特に700nm~1000nmの範囲の近赤外領域の部分で感度を有してよい。光センサは、具体的には、赤外スペクトル範囲、具体的には780nm~3.0マイクロメートルの範囲で感度を有してよい。例えば、光センサは、それぞれ独立に、フォトダイオード、フォトセル、光導電体、フォトトランジスタ又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素であってもよく、又はそれらを含んでもよい。例えば、光センサは、CCDセンサ要素、CMOSセンサ要素、フォトダイオード、フォトセル、光導電体、フォトトランジスタ又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素であってもよく、又はそれを含んでもよい。他の任意のタイプの感光要素を使用してもよい。以下でさらに詳細に概説されるように、感光要素は、一般に、完全に又は部分的に無機材料で作製されることができ、及び/又は、完全に又は部分的に有機材料で作製されることができる。最も一般的には、市販のフォトダイオード、例えば、無機半導体フォトダイオードなどの1つ以上のフォトダイオードが使用され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「反射画像」という用語は、複数の反射特徴を含む光センサによって決定される画像を指す。本明細書で使用される場合、「反射特徴」という用語は、少なくとも1つの照射特徴による照射に応答して物体によって生成される画像平面内の特徴を指す。反射画像は、反射特徴を含む少なくとも1つの反射パターンを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「少なくとも1つの反射画像を決定する」という用語は、反射画像の画像化、記録、及び生成のうちの1つ以上を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つの反射特徴を選択する」という用語は、反射画像の少なくとも1つの反射特徴を識別、決定、及び選択の1つ以上を指す。評価装置は、反射特徴を識別するために、少なくとも1つの画像解析及び/又は画像処理を実行するように構成されてよい。画像解析及び/又は画像処理は、少なくとも1つの特徴検出アルゴリズムを使用してよい。画像解析及び/又は画像処理は:フィルタリング;少なくとも1つの関心領域の選択;センサ信号によって生成された画像と少なくとも1つのオフセットとの間の差分画像の形成;センサ信号によって生成された画像を反転することによるセンサ信号の反転;異なる時間のセンサ信号によって生成された画像間の差分画像の形成;背景補正;カラーチャネルへの分解;色相への分解;飽和;そして輝度チャネル;周波数分解;特異値分解;キャニーエッジ検出器の適用;ガウスフィルタのラプラシアンの適用;ガウスフィルタの差分の適用;ソーベル演算子の適用;ラプラス演算子の適用;Scharr演算子の適用;プレウィット演算子の適用;ロバーツ演算子の適用;Kirsch演算子の適用;ハイパスフィルタの適用;ローパスフィルタの適用;フーリエ変換の適用;ラドン変換の適用;ハフ変換の適用;ウェーブレット変換の適用;閾値処理;バイナリイメージの作成、のうち1つ以上を含み得る。関心領域は、ユーザにより手動によって決定されるか、あるいは、光センサによって生成された画像内で物体を認識することによってなど、自動で決定され得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「前記反射特徴をアレイのVCSELの1つに割り当てる」という用語は、選択された反射特徴を引き起こした照射特徴を放出したアレイの1つのVCSELを、特に明確に決定することを指す。三角測量又は構造化光技術を使用する装置などの既知の3D感知装置では、この対応関係の問題を解決することは、複雑であり、時間がかかる。本発明は、選択された反射特徴を引き起こした照射特徴を放出したアレイの1つのVCSELを直ちに、容易に、かつ明確に識別することが可能なように、照射特徴、したがって反射特徴に対して、特徴的な、特に区別可能なビームプロファイルを用いることを提案するものである。
【0057】
検出器は、三角測量技術及び/又は光子比からの深さ技術及び/又は焦点からの深さ及び/又はデフォーカスからの深さを用いて、物体の少なくとも1つの距離情報を決定するように構成されてよい。
【0058】
評価装置は、センサ要素のセンサ信号からの結合信号Qを評価することにより、反射画像の選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定するように構成されてよい。本明細書で使用されるとき「結合信号Q」という用語は、センサ信号を結合することによって、特に、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、又はセンサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、生成される信号を指す。評価装置は、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、結合信号Qを導出するように構成されてよい。評価装置は、縦方向座標を決定するために、結合信号Qと縦方向座標zDPRとの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されてもよい。例えば、評価装置は、次のように結合信号Qを導出するように構成される。
【0059】
【0060】
式中、x及びyは横方向座標、A1及びA2はセンサの位置における反射光ビームの少なくとも1つのビームプロファイルの異なるエリア、E(x、y、zo)は物体距離zoで与えられるビームプロファイルを表す。エリアA1とエリアA2は異なっていてよい。特に、A1とA2は合同ではない。したがって、A1及びA2は、形状又は内容のうちの1つ以上が異なっていてよい。一般に、ビームプロファイルは、輝度L(zo)及びビーム形状S(x,y;zo)に依存し、E(x,y;zo)=L・Sである。このように、結合信号を導出することで、輝度から独立した縦方向座標を決定することができる。さらに、結合信号を使用することにより、物体の大きさとは無関係に距離z0を決定することができる。このように、結合信号は、物体の材料特性及び/又は反射特性及び/又は散乱特性とは無関係に、及び、例えば製造精度、熱、水分、汚れ、レンズの損傷などによる光源の変化とは無関係に、距離z0を決定することを可能にする。
【0061】
センサ信号のそれぞれは、光ビームのビームプロファイルの少なくとも1つのエリアの少なくとも1つの情報を含むことができる。本明細書で使用するとき「ビームプロファイルのエリア」という用語は、一般に、結合信号Qを決定するために使用されるセンサ位置におけるビームプロファイルの任意の領域を指す。感光エリアは、第1センサ信号がビームプロファイルの第1エリアの情報を含み、及び第2センサ信号がビームプロファイルの第2エリアの情報を含むように配置されてもよい。ビームプロファイルの第1エリア及びビームプロファイルの第2エリアは、隣接又は重複する領域の一方又は両方であってよい。ビームプロファイルの第1エリアとビームプロファイルの第2エリアは、面積において正確に合致しない場合がある。
【0062】
評価装置は、ビームプロファイルの第1エリア及びビームプロファイルの第2エリアを決定及び/又は選択するように構成されてよい。ビームプロファイルの第1エリアは、ビームプロファイルの実質的にエッジ情報を含んでよく、ビームプロファイルの第2エリアは、ビームプロファイルの実質的に中心情報を含んでよい。ビームプロファイルは、中心、すなわちビームプロファイルの最大値及び/又はビームプロファイルのプラトーの中心点及び/又は光スポットの幾何学的中心と、中心から延びる立下りエッジとを有してよい。第2領域は、断面の内側領域を含んでよく、第1領域は、断面の外側領域を含んでよい。本明細書で使用される場合、「実質的に中心情報」という用語は、一般に、中心情報の割合、すなわち中心に対応する強度分布の割合と比較して、エッジ情報の割合が低いこと、すなわちエッジに対応する強度分布の割合が低いことを指す。好ましくは、中心情報は、10%未満、より好ましくは5%未満、のエッジ情報の割合を有し、最も好ましくは、中心情報はエッジ内容を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的にエッジ情報」という用語は、一般に、エッジ情報の割合と比較して、中心情報の割合が低いことを指す。エッジ情報は、ビームプロファイル全体の情報、特に中心領域及びエッジ領域からの情報を含み得る。エッジ情報は、10%未満、好ましくは5%未満の中心情報の割合を有し、より好ましくは、エッジ情報は中心情報を含まない。ビームプロファイルが中心に近いか又はその周囲にあり、実質的に中心情報を含む場合は、ビームプロファイルの少なくとも1つのエリアは、ビームプロファイルの第2エリアとして決定及び/又は選択されてよい。ビームプロファイルが断面の立下りエッジの少なくとも部分を含む場合は、ビームプロファイルの少なくとも1つのエリアは、ビームプロファイルの第1エリアとして決定及び/又は選択されてよい。例えば、断面の全エリアが第1領域として決定されてよい。ビームプロファイルの第1エリアをエリアA2、ビームプロファイルの第2エリアをエリアA1としてよい。
【0063】
第1エリアA1及び第2エリアA2の他の選択が可能であり得る。例えば、第1エリアはビームプロファイルの外側の領域を実質的に含み、第2エリアはビームプロファイルの内側の領域を実質的に含んでよい。例えば、2次元ビームプロファイルの場合、ビームプロファイルは左部分と右部分に分けられることができ、第1エリアはビームプロファイルの左部分のエリアを実質的に含むことができ、第2エリアはビームプロファイルの右部分のエリアを実質的に含むことができる。
【0064】
エッジ情報は、ビームプロファイルの第1エリアの光子数に関する情報を含むことができ、中心情報は、ビームプロファイルの第2エリアの光子数に関する情報を含むことができる。評価装置は、ビームプロファイルの面積分を決定するように構成されてよい。評価装置は、第1エリアの積分及び/又は加算によってエッジ情報を決定するように構成されてよい。評価装置は、第2エリアの積分及び/又は加算によって中心情報を決定するように構成されてよい。例えば、ビームプロファイルは台形ビームプロファイルであってよく、評価装置は、台形の積分値を決定するように構成されてよい。さらに、台形ビームプロファイルが想定される場合、エッジ信号と中心信号の決定は、エッジの勾配と位置、ならびに中心プラトーの高さの決定などの台形ビームプロファイルの特性を利用し、幾何学的考察によってエッジと中心信号を導出する等価評価によって置き換えられることができる。
【0065】
追加的又は代替的に、評価装置は、光スポットの少なくとも1つのスライス又はカットから中心情報又はエッジ情報の一方又は両方を決定するように構成されてよい。これは、例えば、結合信号Qの面積分をスライス又はカットに沿った線積分に置き換えることによって実現できる。精度を向上させるために、光スポットを通る複数のスライス又はカットを使用して平均化してもよい。楕円スポットプロファイルの場合には、複数のスライス又はカットにわたって平均化することにより、改善された距離情報が得られる場合がある。
【0066】
評価装置は、エッジ情報と中心情報の除算、エッジ情報と中心情報の倍数の除算、エッジ情報と中心情報の線形結合の除算、のうち1つ以上によって結合信号Qを導出するように構成されてよい。このように、実質的には、光子比が本方法の物理的基礎として使用されることができる。
【0067】
例えば、評価装置は、
a) 最高のセンサ信号を有する少なくとも1つの光センサを決定し、少なくとも1つの中心信号を形成すること;
b) マトリックスの光センサのセンサ信号を評価し、少なくとも1つの和信号を形成すること;
c) 中心信号と和信号を組み合わせることにより、少なくとも1つの結合信号を決定すること;及び
d) 結合信号を評価することにより、選択された特徴の少なくとも1つの縦方向座標zを決定すること、
によって、センサ信号を評価するように構成されてよい。
【0068】
例えばWO2012/110924A1又はWO2014/097181A1において説明されているように、典型的には、光スポットの直径、ビームウェスト又は同等の直径などの光スポットのサイズと、光ビームが検出器に向かって伝播する物体の縦方向座標との間には、予め決定された又は決定可能な関係が存在する。この理論に拘束されることを望まないが、光スポットは2つの測定変数:中心信号とも呼ばれる光スポットの中心又は中心に近い小さな測定パッチで測定される測定信号と、中心信号の有無にかかわらず光スポット上で積分された積分信号又は和信号によって特徴付けられる。ビームが拡大又は集束しても変化しない特定の総出力を有する光ビームの場合、和信号は光スポットのスポットサイズから独立しているべきであり、したがって、少なくとも線形光センサがそれぞれの測定範囲内で使用される場合、和信号は物体と検出器との間の距離から独立しているべきである。ただし、中心信号はスポットサイズに依存する。したがって、中心信号は、通常、光ビームが集束されると増加し、光ビームがデフォーカスすると減少する。したがって、中心信号と和信号を比較することにより、光ビームによって生成される光スポットのサイズに関する情報項目、したがって、物体の縦方向座標関する情報項目を生成することができる。中心信号と和信号の比較は、一例として、中心信号と和信号から結合信号Qを形成することによって、及び、縦方向座標と商信号の間の予め決定された又は決定可能な関係を縦方向座標を導出するために使用することによって、行うことができる。
【0069】
光センサのマトリックスの使用は、複数の優位及び利益を提供する。このように、センサ要素のマトリックスの光センサの感光エリアの共通平面などの、センサ要素上における光ビームによって生成される光スポットの中心は、物体の横方向の位置によって変化し得る。光センサのマトリックスを使用することにより、本発明による検出器は、これらの条件の変化に適応することができ、したがって、センサ信号を比較するだけで光スポットの中心を決定することができる。その結果、本発明による検出器は、それ自体で中心信号を選択し、和信号を決定し、及びこれらの2つの信号から、物体の縦方向座標に関する情報を含む結合信号を導出することができる。結合信号を評価することにより、物体の縦方向座標がこのように決定され得る。光センサのマトリックスの使用は、したがって、物体の位置、特に物体の横方向の位置に関して著しい柔軟性を提供する。
【0070】
センサ信号を生成する少なくとも1つの光センサの横方向位置などの、光センサのマトリックス上の光スポットの横方向位置は、例えばWO2014/198629A1に開示されているように、それから物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目が導出される追加的な情報項目として使用されてよい。追加的又は代替的に、以下でさらに詳細に概説するように、本発明による検出器は、少なくとも1つの縦方向座標に加えて、物体の少なくとも1つの横方向座標を検出するための少なくとも1つの追加の横方向検出器を含んでもよい。
【0071】
したがって、本発明によれば、「中心信号」という用語は、一般に、ビームプロファイルの実質的に中心情報を含む少なくとも1つのセンサ信号を指す。例えば、中心信号は、マトリックス全体又はマトリックス内の関心領域の光センサによって生成される複数のセンサ信号のうち、最高のセンサ信号を有する少なくとも1つの光センサの信号であり得、該関心領域は、マトリックスの光センサによって生成される画像内で予め決定され又は決定可能であり得る。本明細書で使用される場合、「最高のセンサ信号」という用語は、関心領域の局所最大値又は最大値の一方又は両方を指す。中心信号は、単一の光センサから、又は以下でさらに詳細に概説されるように、一群の光センサから生じてもよく、後者の場合、一例として、一群の光センサのセンサ信号は、中心信号を決定するために、加算、積分、又は平均化され得る。中心信号がそれから生じる光センサの一群は、最高のセンサ信号を有する実際の光センサから所定距離より短く離れた光センサなどの隣接する光センサの一群であり得るか、又は、最高のセンサ信号から所定範囲内にあるセンサ信号を生成する光センサの一群であり得る。中心信号がそこから生じる光センサの一群は、最大のダイナミックレンジを可能にするように、できるだけ大きく選択され得る。評価装置は、複数のセンサ信号、例えば最高のセンサ信号を有する光センサの周りの複数の光センサのセンサ信号を積分することによって中心信号を決定するように構成されてもよい。例えば、ビームプロファイルは台形ビームプロファイルであり得、評価装置は、台形、特に台形のプラトーの積分を決定するように構成されてよい。
【0072】
上述したように、中心信号は、一般に、光スポットの中心にある光センサからのセンサ信号などの単一のセンサ信号であってもよく、又は、光スポットの中心にある光センサから生じるセンサ信号の組み合せなど、複数のセンサ信号の組み合せであってもよく、又は、前述の可能性の1つ以上から導出されるセンサ信号を処理することによって導出される二次センサ信号であってよい。中心信号の決定は、センサ信号の比較が従来の電子機器によってかなり簡単に実施されるため、電子的に実行されてもよく、又は、ソフトウェアによって完全に又は部分的に実行されてもよい。具体的には、中心信号は、最高センサ信号;最高センサ信号からの所定の許容範囲内にあるセンサ信号の一群の平均;最高センサ信号を有する光センサを含む光センサの一群及び隣接する光センサの所定の一群からのセンサ信号の平均;最高センサ信号を有する光センサを含む光センサの一群及び隣接する光センサの所定の一群からのセンサ信号の和;最高センサ信号から所定の許容範囲内にあるセンサ信号の一群の和;所定の閾値を超えるセンサ信号の一群の平均;所定の閾値を超えるセンサ信号の一群の和;最高センサ信号を有する光センサの一群及び隣接する光センサの所定の一群からのセンサ信号の積分;最高センサ信号から所定の許容範囲内にあるセンサ信号の一群の積分;所定の閾値を超えるセンサ信号の一群の積分、からなる群から選択され得る。
【0073】
同様に、「和信号」という用語は、一般に、ビームプロファイルの実質的にエッジ情報を含む信号を指す。例えば、和信号は、センサ信号を加算すること、センサ信号を積分すること、又はマトリックス全体もしくはマトリックス内の関心領域のセンサ信号を平均することによって導出することができ、該関心領域は、マトリックスの光センサによって生成される画像内で予め決定され又は決定可能である。センサ信号を加算、積分、又は平均化する場合、センサ信号が生成される実際の光センサは、加算、積分、又は平均化から除外されてもよく、あるいは、加算、積分、又は平均化に含まれてもよい。評価装置は、マトリックス全体の信号、又はマトリックス内の関心領域の信号を積分することにより、和信号を決定するように構成され得る。例えば、ビームプロファイルは台形ビームプロファイルであり得、評価装置は、台形全体の積分を決定するように構成され得る。さらに、台形ビームプロファイルが想定される場合、エッジ信号と中心信号の決定は、エッジの勾配と位置の決定、及び中央プラトーの高さの決定など、台形ビームプロファイルの特性を利用し、そして幾何学的考察によってエッジ信号と中心信号を導出する等価評価に置き換えることができる。
【0074】
同様に、中心信号及びエッジ信号も、ビームプロファイルの円形セグメントなどのビームプロファイルのセグメント(切片)を使用することによって決定することができる。例えば、ビームプロファイルは、ビームプロファイルの中心を通過しない割線又は弦によって2つのセグメントに分割され得る。したがって、一方のセグメントには実質的にエッジ情報が含まれ、もう一方のセグメントには実質的に中心情報が含まれる。例えば、中心信号のエッジ情報の量をさらに減らすために、中心信号からエッジ信号をさらに差し引くことができる。
【0075】
追加的に又は代替的に、評価装置は、光スポットの少なくとも1つのスライス又はカットから中心情報又はエッジ情報の一方又は両方を決定するように構成され得る。これは、例えば、結合信号Qの面積分を、スライス又はカットに沿った線積分で置き換えることによって実現することができる。精度を向上させるために、光スポットを通るいくつかのスライス又はカットを使用して平均化することができる。楕円形のスポットプロファイルの場合、いくつかのスライス又はカットを平均することによって距離情報を向上させることがある。
【0076】
結合信号は、中心信号と和信号を結合することによって生成される信号であり得る。具体的には、結合は:中心信号と和信号の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;中心信号の倍数と和信号の倍数の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;中心信号の線形結合と和信号の線形結合の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること、の1つ以上を含むことができる。追加的に又は代替的に、結合信号は、中心信号と和信号との間の比較に関する少なくとも1つの情報を含む任意の信号又は信号の組み合わせを含むことができる。
【0077】
評価装置は、センサ信号間の少なくとも1つの既知の、決定可能な、又は予め決定された関係を使用して、物体の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定するように構成されてよい。特に、評価装置は、センサ信号から導出される商信号と縦方向座標との間の少なくとも1つの既知の、決定可能な、又は予め決定された関係を用いて、物体の少なくとも1つの座標zDPRを決定するように構成される。
【0078】
光センサの生のセンサ信号は、評価又はその導出される二次センサ信号に使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「二次センサ信号」という用語は、一般に、フィルタリング、平均化、又は復調など、1つ以上の生信号を処理することによって得られる電子信号、より好ましくはアナログ及び/又はデジタル信号などの信号を指す。したがって、画像処理アルゴリズムが、マトリックスのセンサ信号の全体から、又はマトリックス内の関心領域から、二次センサ信号の生成に使用され得る。具体的には、評価装置などの検出器は、光センサのセンサ信号を変換し、それによって二次光センサ信号を生成するように構成され得、該評価装置は、二次光センサ信号を使用してステップa)~d)を実行するように構成される。センサ信号の変換は、具体的には、以下:フィルタリング;少なくとも1つの関心領域の選択;センサ信号によって生成された画像と少なくとも1つのオフセットとの間の差分画像の形成;センサ信号によって生成された画像を反転することによるセンサ信号の反転;異なる時間のセンサ信号によって生成された画像間の差分画像の形成;背景補正;カラーチャネルへの分解;色相への分解;飽和;そして輝度チャネル;周波数分解;特異値分解;キャニーエッジ検出器の適用;ガウスフィルタのラプラシアンの適用;ガウスフィルタの差分の適用;ソーベル演算子の適用;ラプラス演算子の適用;Scharr演算子の適用;プレウィット演算子の適用;ロバーツ演算子の適用;Kirsch演算子の適用;ハイパスフィルタの適用;ローパスフィルタの適用;フーリエ変換の適用;ラドン変換の適用;ハフ変換の適用;ウェーブレット変換の適用;閾値処理;バイナリイメージの作成、からなる群から選択される少なくとも1つの変換を含み得る。関心領域は、ユーザにより手動によって決定されるか、又は、光センサによって生成された画像内で物体を認識することによってなど、自動で決定され得る。一例として、車両、人、又は別のタイプの予め決定された物体は、画像内で、すなわち、光センサによって生成されたセンサ信号全体内で自動画像認識によって決定され得、関心領域は、物体が該関心領域内に位置するように選択され得る。この場合、縦方向座標の決定などの評価は、関心領域に対してのみ実行されるようにすることができる。ただし、他の実施も可能である。
【0079】
上記で概説したように、光スポットの中心の検出、すなわち、中心信号及び/又は中心信号が生じる少なくとも1つの光センサの検出は、完全に又は部分的に電子的に実行され得、又は1つ以上のソフトウェアアルゴリズムを使用して完全に又は部分的に実行され得る。具体的には、評価装置は、少なくとも1つの最高のセンサ信号を検出するため、及び/又は中心信号を形成するための少なくとも1つの中心検出器を備えることができる。中心検出器は、具体的には、完全に又は部分的にソフトウェアで具体化されてもよく、及び/又は完全又は部分的にハードウェアで具体化されてもよい。中心検出器は、少なくとも1つのセンサ要素に完全に又は部分的に一体化されていてもよく、及び/又はセンサ要素から独立して完全に又は部分的に具体化されていてもよい。
【0080】
上記で概説したように、和信号は、中心信号に寄与する光センサを用いて、マトリックスの全てのセンサ信号から、関心領域内のセンサ信号から、又はこれらの可能性の1つから導出できる。全ての場合において、縦方向座標を決定するために、中心信号と確実に比較することができる信頼できる和信号が生成され得る。一般に、和信号は、マトリックスの全てのセンサ信号の平均;マトリックスの全てのセンサ信号の和;マトリックスの全てのセンサ信号の積分;中心信号に寄与する光センサからのセンサ信号を除く、マトリックスの全てのセンサ信号の平均;中心信号に寄与する光センサからのセンサ信号を除く、マトリックスの全てのセンサ信号の和;中心信号に寄与する光センサからのセンサ信号を除く、マトリックスの全てのセンサ信号の積分;最高のセンサ信号を有する光センサから所定の範囲内の光センサのセンサ信号の和;最高のセンサ信号を有する光センサから所定の範囲内の光センサのセンサ信号の積分;最高のセンサ信号を有する光センサから所定の範囲内に位置する光センサの所定の閾値を超えるセンサ信号の和;最高のセンサ信号を有する光センサから所定の範囲内にある光センサの所定の閾値を超えるセンサ信号の積分、からなる群から選択され得る。しかしながら、他の選択肢が存在する。
【0081】
加算は、ソフトウェアで完全に又は部分的に実行され、及び/又はハードウェアで完全に又は部分的に実行され得る。加算は、通常検出器に容易に実装される純粋に電子的な手段によって可能である。したがって、電子工学の分野では、加算装置は一般に、アナログ信号とデジタル信号の両方の2つ以上の電子信号を加算するものが知られている。したがって、評価装置は、和信号を形成するための少なくとも1つの加算装置を備えることができる。加算装置は、完全に又は部分的にセンサ要素に一体化されてもよく、又は完全に又は部分的にセンサ要素とは独立して具体化されてもよい。加算装置は、完全に又は部分的に、ハードウェア又はソフトウェアの一方又は両方で具体化されてもよい。
【0082】
上で概説したように、中心信号と和信号との間の比較は、具体的には、1つ以上の商信号を形成することによって実行されてもよい。したがって、一般的に、結合信号は、中心信号と和信号の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;中心信号の倍数と和信号の倍数の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;中心信号の線形結合と和信号の線形結合の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;中心信号と、和信号と中心信号の線形結合の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること;和信号と和信号と中心信号の線形結合の商を形成すること、又はその逆を形成すること;中心信号のべき乗と和信号のべき乗の商を形成すること、又はその逆の商を形成すること、のうちの1つ以上によって導出される商信号Qであってよい。しかし、他の選択肢も存在する。評価装置は、1つ以上の商信号を形成するように構成されていてもよい。評価装置は、少なくとも1つの商信号を評価することにより、少なくとも1つの縦方向座標を決定するようにさらに構成されてよい。
【0083】
評価装置は、具体的には、少なくとも1つの縦方向座標を決定するために、結合信号Qと縦方向座標zDPRの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されてよい。このように、上記に開示された理由により、及び光スポットの特性の縦方向座標への依存性により、結合信号Qは、典型的には、縦方向座標の単調関数であり、及び/又は、光スポットの直径又は等価直径のような光スポットのサイズの単調関数である。したがって、一例として、具体的に線形光センサが使用される場合、センサ信号scenterと和信号ssumの簡単な商Q=scenter/ssumは、距離の単調減少関数であり得る。理論に拘束されることを望まないが、これは、上記の好ましい構成では、検出器に到達する光の量が減少するため、光源までの距離の増加に伴って、中心信号scenterと和信号ssumの両方が、二乗関数として減少するという事実が原因であると考えられる。しかしながら、そこでは、中心信号scenterは、実験で使用される光学構成では、画像平面内の光スポットが増大し、したがってより広いエリアに広がるため、和信号ssumよりも急速に減少する。中心信号と和信号の商は、したがって、マトリックスの光センサの感光エリア上の光ビーム又は光スポットの直径の増加に伴って連続的に減少する。さらに、商は、光ビームの総出力が中心信号と和センサ信号の両方の係数を形成するため、通常、光ビームの総出力から独立している。その結果、結合信号Qは、中心信号と和信号との間、及び光ビームのサイズ又は直径との間の一意的かつ明確な関係を提供する二次信号を形成し得る。一方、光ビームのサイズ又は直径は、光ビームが検出器に向かって伝播する物体と検出器自体の間の距離に依存するため、つまり、物体の縦方向座標に依存するため、一方では中心信号と和信号の間で、他方では中心信号と縦方向座標の間に、一意的かつ明確な関係が存在し得る。後者については、例えばWO2014/097181A1のような、上記の先行技術文献の1つ以上を参照することができる。所定の関係は、例えばガウス光ビームの線形結合を仮定することによる分析的考察により、また例えば結合信号及び/又は中心信号及び和信号又はそこから導出される二次信号を、物体の縦方向座標の関数として計測する測定などの経験的測定により、又はその両方により、決定することができる。
【0084】
したがって、一般に、評価装置は、結合信号Qを評価することによって縦方向座標を決定するように構成されることができる。この決定は、例えば中心信号と和信号を直接結合してその縦方向座標を導出することによってなど、1ステップの過程であってもよいし、例えば第1に中心信号と和信号から結合信号を導出し、第2に結合信号から縦方向座標を導出するような複数ステップの過程であってよい。両方の選択肢、すなわちステップc)とd)が別個の独立したステップである選択肢と、ステップc)とd)が完全に又は部分的に組み合わされる選択肢である、両方の選択肢が本発明に含まれるものとする。
【0085】
評価装置は、結合信号と縦方向座標との間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されてよい。所定の関係は、経験的関係、半経験的関係、及び分析的に導出された関係のうちの1つ以上であってよい。評価装置は、例えばルックアップリスト又はルックアップテーブルなどの、所定の関係を保存するための少なくとも1つのデータ保存装置を備えてよい。
【0086】
結合信号Qは、様々な手段を用いて決定されてよい。一例として、商信号を導出するためのソフトウェア手段、商信号を導出するためのハードウェア手段、又はその両方が用いられてよく、評価装置に実装されてもよい。したがって、評価装置は、一例として、少なくとも1つのデバイダを含んでもよく、ここで、デバイダは、商信号を導出するように構成される。デバイダは、完全に又は部分的に、ソフトウェアデバイダ又はハードウェアデバイダの一方又は両方として具現化されてよい。デバイダは、完全に又は部分的にセンサ要素の応答に一体化されていてもよいし、完全又は部分的にセンサ要素から独立して具現化されていてもよい。
【0087】
検出器は、少なくとも1つのレンズ及び/又は少なくとも1つのレンズシステムなどの転送装置、少なくとも1つの回折光学要素の群から選択された少なくとも1つのさらなる光学要素を含むことができる。「転送システム」とも呼ばれる「転送装置」という用語は、一般に、光ビームのビームパラメータ、光ビームの幅、又は光ビームの方向の1つ以上を変更することによってなど、光ビームを変更するように構成された1つ以上の光学要素を指し得る。転送装置は、光ビームを光センサに導くように構成されてよい。転送装置は、具体的には:少なくとも1つのレンズ、例えば、少なくとも1つの焦点調節可能レンズ、少なくとも1つの非球面レンズ、少なくとも1つの球面レンズ、少なくとも1つのフレネルレンズからなる群から選択される少なくとも1つのレンズ;少なくとも1つの回折光学要素;少なくとも1つの凹面鏡;少なくとも1つのビーム偏向要素、好ましくは少なくとも1つのミラー;少なくとも1つのビーム分割要素、好ましくはビーム分割キューブ又はビーム分割ミラーのうちの少なくとも1つ;少なくとも1つのマルチレンズシステム、のうちの1つ以上を含み得る。本明細書で使用される場合、転送装置の「焦点距離」という用語は、転送装置に衝突する可能性がある入射平行光線が「フォーカルポイント(focal point)」とも呼ばれる「焦点(focus)」に集束される距離を指す。したがって、焦点距離は入射光ビームを収束させる転送装置の能力の指標を構成する。したがって、転送装置は、集束レンズの効果を有し得る1つ以上の画像化要素を含むことができる。例として、転送装置は、1つ以上のレンズ、特に1つ以上の屈折レンズ、及び/又は1つ以上の凸面ミラーを有することができる。この例では、焦点距離は、薄い屈折レンズの中心から薄いレンズの主焦点までの距離として定義することができる。凸型又は両凸型の薄レンズなどの、集束する薄い屈折レンズの場合、焦点距離は、正であると考えられ、転送装置としての薄レンズに衝突する平行光が単一のスポットに集束され得る距離を与えることができる。さらに、転送装置は、少なくとも1つの波長選択要素、例えば少なくとも1つの光フィルタを含むことができる。さらに、転送装置は、例えばセンサ領域の位置で、具体的にはセンサエリアで、電磁放射に所定のビームプロファイルを印加するように設計され得る。転送装置の上記の任意の実施形態は、原則として、個別に、又は任意の所望の組み合わせで実現することができる。
【0088】
転送装置は、光軸を有していてよい。具体的には、検出器と転送装置は、共通の光軸を有する。本明細書で使用される場合、「転送装置の光軸」という用語は、一般に、レンズ又はレンズシステムの鏡面対称又は回転対称の軸を指す。検出器の光軸は、検出器の光学構成の対称の線であってよい。検出器は、少なくとも1つの転送装置、好ましくは、少なくとも1つのレンズを有する少なくとも1つの転送システムを有する。転送システムは、一例として、少なくとも1つのビーム経路であって、該ビーム経路内の転送システムの要素が光軸に関して回転対称に配置されているビーム経路を含んでよい。さらに、ビーム経路内に配置された1つ以上の光学要素は、光軸に対して中心ズレされているか、又は傾斜していてもよい。しかし、この場合、光軸は、ビーム経路内の光学要素の中心を相互接続することによって、例えば、レンズの中心を相互接続することなどによって、順次定義されてよく、この文脈では、光センサは光学要素として考慮されない。光軸は、一般にビーム経路を示してよい。そこでは、検出器は、光ビームがそれに沿って物体から光センサに進む単一のビーム経路を有してもよいし、複数のビーム経路を有してもよい。一例として、単一のビーム経路が与えられてもよいし、又はビーム経路が2つ以上の部分ビーム経路に分割されてもよい。後者の場合、各部分ビーム経路は、それ自身の光軸を有することができる。光センサは、1つかつ同一のビーム経路又は部分ビーム経路に配置されてよい。代替的に、しかし、光センサはまた、異なる部分ビーム経路に配置されてよい。
【0089】
転送装置は、縦方向座標lが光軸に沿った座標であり、dが光軸からの空間的オフセットである座標系を構成してよい。座標系は、転送装置の光軸がz軸を形成し、z軸からの距離及び極角が追加の座標として使用され得る極座標系であり得る。z軸に平行又は反平行な方向は、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標は縦方向座標zとみなすことができる。z軸に垂直な任意な方向は、横方向とみなすことができ、極座標及び/又は極角度は横方向座標とみなすことができる。
【0090】
本明細書でさらに使用される場合、「評価装置」という用語は、一般に、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することにより、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することにより、挙げられた操作を実行するように構成された任意の装置を指す。したがって、一例として、少なくとも1つの評価装置は、多数のコンピュータコマンドを含むそこに保存されたソフトウェアコードを有する少なくとも1つのデータ処理装置を含むことができる。評価装置は、1つ以上の挙げられた操作を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供してもよいし、及び/又は、1つ以上の挙げられた操作を実行するための、そこで実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを提供してもよい。
【0091】
物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定することを含む上述の操作は、少なくとも1つの評価装置によって実行される。したがって、一例として、上述の関係の1つ以上は、例えば1つ以上のルックアップテーブルを実装することにより、ソフトウェア及び/又はハードウェアに実装されてよい。したがって、一例として、評価装置は、物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定するために、上述の評価を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラム可能な装置を備えることができる。しかしながら追加的に又は代替的に、評価装置はまた、完全に又は部分的にハードウェアによって具体化されてよい。
【0092】
上述したように、中心信号及び和信号を評価することにより、検出器は、物体全体又は物体の1つ以上の部分の縦方向座標を決定する選択肢を含めて、物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定することを可能にし得る。しかしさらに、1つ以上の横方向座標及び/又は回転座標を含む物体の他の座標が、検出器、特に評価装置によって決定され得る。したがって、一例として、1つ以上の横方向センサが、物体の少なくとも1つの横方向座標を決定するために使用されてよい。上述したように、中心信号が生じる少なくとも1つの光センサの位置は、物体の少なくとも1つの横方向座標に関する情報を提供することができ、ここで、一例として、単純なレンズ方程式が、光学的変換、及び横方向座標の導出のために使用されてよい。追加的又は代替的に、1つ以上の追加の横方向センサが使用されてよく、検出器によって含まれてよい。種々の横方向センサ、例えばWO2014/097181A1に開示されている横方向センサ及び/又は例えば象限ダイオード、CCD又はCMOSチップなどの他の位置感知装置(PSD)が、当技術分野で一般に知られている。追加的又は代替的に、一例として、本発明による検出器は、R.A.Street(編):アモルファスシリコンの技術と応用,Springer-Verlag Heidelberg、2010、346~349頁に開示されている1つ以上のPSDを含むことができる。他の実施形態も可能である。これらの装置は、一般に、本発明による検出器に実装されてもよい。一例として、光ビームの一部は、少なくとも1つのビーム分割要素によって、検出器内で分割されてもよい。分割部分は、一例として、CCD又はCMOSチップ又はカメラセンサのような横方向センサに向かって案内されてよく、横方向センサ上の分割部分によって生成される光スポットの横方向位置が決定され、それによって物体の少なくとも1つの横方向座標が決定されてよい。したがって、本発明による検出器は、簡単な距離測定装置のような1次元検出器であってもよいし、2次元の検出器として、又は3次元の検出器としてさえ具現化されてもよい。また、上述したように、あるいは以下にさらに詳細に説明するように、情景や環境を1次元的に走査することにより、3次元画像を生成することもできる。したがって、本発明による検出器は、具体的には、1次元検出器、2次元検出器、又は3次元検出器のうちの1つであり得る。評価装置は、さらに、物体の少なくとも1つの横方向座標x,yを決定するように構成されてよい。評価装置は、縦方向座標と横方向座標の情報を組み合わせて、空間における物体の位置を決定するように構成されてよい。
【0093】
追加的又は代替的に、光子比からの深さ技術を用いて縦方向座標zDPRを決定するために、評価装置は、反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射特徴を対応するVCSELに割り当てるように構成されてよい。評価装置は、少なくとも1つの三角測量法を用いて少なくとも1つの縦方向座標ztriangを決定するように構成されてよい。さらに、焦点からの深度又はデフォーカス法も同様に適用されることができる。Subbaro,M.及びGopal,S.,Depth from Defocus:A Spatial Domain Approach,International Journal of Computer Vision,13,3,271~294,1994に記載されているように、焦点測定、一般的にはある種のハイパスフィルタ又は高コントラスト探索アルゴリズムが、焦点最大値を決定するために使用される。
【0094】
検出器は、1つ以上の追加の光学要素などの、1つ以上の追加の要素をさらに含み得る。さらに、検出器は、完全に又は部分的に、少なくとも1つのハウジングに一体化されてよい。
【0095】
さらなる態様において、本発明は、例えば上記に開示されたような、又は以下にさらに詳細に開示されるような検出器を参照する1つ以上の実施形態などによる本発明による検出器のような検出器を用いることによって、少なくとも1つの物体の位置を決定するための方法を開示している。それでも、他のタイプの検出器を使用することができる。本方法は、以下の方法ステップを含み、ここで、方法ステップは、所定の順序で実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、方法ステップの1つ、1つより多く、又は、全てさえも、繰り返し実行されてよい。
【0096】
本方法は、以下の方法ステップ:
- 検出器の少なくとも1つのプロジェクタによって生成された少なくとも1つの照射パターンで物体を照射するステップと;
- 光センサのマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素を用いて少なくとも1つの反射画像を決定するステップであって、前記光センサはそれぞれ感光領域を有し、各光センサは、前記物体から前記検出器に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、ステップと;
- 前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射画像の前記反射特徴をアレイのVCSELの1つに割り当てるステップと、
を含む。
【0097】
詳細、選択肢、及び定義については、上述した検出器を参照することができる。したがって、具体的には、上記で説明されたように、本方法は、上記で与えられ又は以下でさらに詳細に与えられる1つ以上の実施形態によるなどの、本発明による検出器を使用することを含む。
【0098】
本方法は、センサ要素のセンサ信号からの結合信号Qを評価することによって、反射画像の選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定することをさらに含んでよい。結合信号Qは、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって導出される。縦方向座標zDPRは、結合信号Qと縦方向座標zDPR間の少なくとも1つの所定の関係を使用して決定される。
【0099】
本方法は、反射画像の選択された反射特徴の縦方向座標ztriangを決定することをさらに含んでよい。選択された反射特徴は、対応するVCSELに割り当てられてよい。縦方向座標ztriangは、少なくとも1つの三角測量法を用いて決定されてよい。さらに、焦点からの深度又はデフォーカス法も同様に適用されることができる。Subbaro,M.及びGopal,S.,Depth from Defocus:A Spatial Domain Approach,International Journal of Computer Vision,13,3,271~294,1994に記載されているように、焦点測定、一般的にはある種のハイパスフィルタ又は高コントラスト探索アルゴリズムが、焦点最大値を決定するために使用される。
【0100】
本発明のさらなる態様において、上記で与えられ又は以下でさらに詳細に与えられる1つ以上の実施形態などによる、本発明による検出器の使用が、交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;監視用途;安全用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;写真撮影用途;画像化用途又はカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両用のホーミング又は追跡ビーコン検出器;屋外用途;モバイル用途;通信用途;マシンビジョン用途;ロボット用途;品質管理用途;製造用途;歩行監視用途;人体監視用途;在宅ケア;スマートリビング、からなる群から選択される使用目的のために、提案される。
【0101】
本発明の検出器及び装置のさらなる使用に関しては、WO2018/091649A1、WO2018/091638A1及びWO2018/091640A1が参照され、その内容は参照によって含まれる。
【0102】
全体として、本発明の文脈では、以下の実施形態が好ましいと考えられる。
【0103】
実施形態1:少なくとも1つの照射パターンを用いて少なくとも1つの物体を照射するためのプロジェクタであって、前記プロジェクタは、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)の少なくとも1つのアレイを備え、前記VCSELのそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成され、前記プロジェクタは、前記アレイの前記VCSELによって生成される光ビームのそれぞれについて特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システムを備え、前記アレイの隣接するVCSELの前記ビームプロファイルは、前記アレイの前記VCSELの光ビームが3次元空間において対応するVCSELに割り当てられるように、横方向及び/又は軸方向において異なっている、プロジェクタ。
【0104】
実施形態2:前記光学システムは、光学要素の少なくとも1つのアレイを含み、前記光学要素のそれぞれは、構造化表面を有する、先行する実施形態によるプロジェクタ。
【0105】
実施形態3:前記光学要素の構造化表面は、異なっている、先行する実施形態によるプロジェクタ。
【0106】
実施形態4:前記光学要素は、屈折光学要素、好ましくは屈折回折ハイブリッド要素である、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0107】
実施形態5:前記アレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、形状、配向、断面のうちの1つ以上によって異なっている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0108】
実施形態6:前記光学システムは、横方向において異なる特徴を生成するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0109】
実施形態7:前記光学システムは、軸方向において複数の異なる照射パターンを生成するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0110】
実施形態8:前記光学システムは、各VCSELの前記異なる照射パターンを異なる被写界深さに集束するように構成されている、先行する実施形態によるプロジェクタ。
【0111】
実施形態9:前記VCSELは、800~1000nmの波長範囲、好ましくは、940nmで光を放出するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0112】
実施形態10:前記VCSELの前記アレイは、2次元又は1次元のアレイであり、前記アレイは、2500個までのVCSELを含む、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ。
【0113】
実施形態11:少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器であって:
- 先行する実施形態のいずれか1つによる、少なくとも1つの照射パターンによって前記物体を照射するための少なくとも1つのプロジェクタと;
- 光センサのマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素であって、前記光センサはそれぞれ感光領域を有し、前記光センサのそれぞれは、前記物体から前記検出器に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計され、前記センサ要素は、少なくとも1つの反射画像を決定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ要素と;
- 少なくとも1つの評価装置であって、前記評価装置は、前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射特徴を前記アレイのVCSELの1つに割り当てるように構成されている、少なくとも1つの評価装置と、
を備える、検出器。
【0114】
実施形態12:前記評価装置は、前記センサ要素の前記センサ信号からの結合信号Qを評価することにより、前記反射画像の前記選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定するように構成され、前記評価装置は、前記センサ信号を除算すること、前記センサ信号の倍数を除算すること、又は前記センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、前記結合信号Qを導出するように構成され、前記評価装置は、前記縦方向座標を決定するために、前記結合信号Qと前記縦方向座標zDPRの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されている、先行する実施形態による検出器。
【0115】
実施形態13:前記評価装置は、前記反射画像の少なくとも1つの前記反射特徴を選択し、前記反射特徴を対応するVCSELに割り当てるように構成され、前記評価装置は、少なくとも1つの三角測量法を用いて少なくとも1つの縦方向座標ztriangを決定するように構成されている、検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0116】
実施形態14:検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの検出器を使用することによって少なくとも1つの物体の位置を決定する方法であって、
以下の方法ステップ:
- 前記検出器の少なくとも1つのプロジェクタによって生成された少なくとも1つの照射パターンによって前記物体を照射するステップと;
- 光センサのマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素を用いることによって少なくとも1つの反射画像を決定するステップであって、前記光センサはそれぞれ感光領域を有し、各光センサは、前記物体から前記検出器に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、ステップと;
- 前記反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、前記反射画像の前記反射特徴をアレイのVCSELの1つに割り当てるステップと、
を含む、方法。
【0117】
実施形態15:前記方法は、前記センサ要素の前記センサ信号からの結合信号Qを評価することによって、前記反射画像の前記選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定することをさらに含み、前記結合信号Qは、前記センサ信号を除算すること、前記センサ信号の倍数を除算すること、前記センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって導出され、前記縦方向座標zDPRは、前記結合信号Qと前記縦方向座標zDPRの間の少なくとも1つの所定の関係を使用することによって決定される、先行する実施形態による方法。
【0118】
実施形態16:前記方法は、前記選択された反射特徴を対応するVCSELに割り当てることと、少なくとも1つの三角測量法を用いて少なくとも1つの縦方向座標ztriangを決定することとをさらに備える、前記2つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態17:検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器の使用であって、使用目的が、交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;監視用途;安全用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;物流用途;追跡用途;屋外用途;モバイル用途;通信用途;写真撮影用途;マシンビジョン用途;ロボット用途;品質管理用途;製造用途;歩行監視用途;人体監視用途;在宅ケア;スマートリビング、からなる群から選択される、使用。
【図面の簡単な説明】
【0120】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、個別に実施されても、又は他の特徴と組み合わせて実施されてもよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0121】
具体的には、以下の図の中で:
【
図1】本発明によるプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による検出器の実施形態を示す図である。
【
図3】プロジェクタのさらなる実施形態を示す図である。
【
図5】プロジェクタのさらなる実施形態を示す図である。
【
図6】プロジェクタのさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】プロジェクタのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1は、少なくとも1つの物体112を少なくとも1つの照射パターン114で照射するためのプロジェクタ110の第1の実施形態を非常に概略的に示している。照射パターン114は、複数の特徴116を含み得る。照射パターン114は、周期的又は非周期的な特徴の配置を含み得る。照射パターン114は、以下の:少なくとも1つの点パターン、特に擬似ランダム点パターン;ランダム点パターン又は準ランダムパターン;少なくとも1つのソボル(Sobol)パターン;少なくとも1つの準周期的パターン;少なくとも1つの既知の特徴を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの規則的なパターン;少なくとも1つの三角形パターン;少なくとも1つの六角形パターン;少なくとも1つの長方形パターン;凸状の均一なタイル状体(tiling)を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの線を含む少なくとも1つの線パターン;平行線又は交差線などの少なくとも2つの線を含む少なくとも1つの線パターン、からなる群から選択される少なくとも1つのパターンを含むことができる。例えば、プロジェクタ110は、点群又は非点状特徴を生成及び/又は投影するように構成され得る。例えば、プロジェクタ110は、照射パターン114が複数の点特徴又は非点状特徴を含み得るように、点群又は非点状特徴を生成するように構成され得る。照射パターン114は、三角形パターン、長方形パターン、六角形パターン、又はさらなる凸状タイル状体を含むパターンなどの、規則的な及び/又は一定の及び/又は周期的なパターンを含むことができる。照射パターンは、六角形パターンが好ましいように、面積当たり可能な限り多くの特徴を含むことができる。それぞれの照射パターン114の2つの特徴間の距離、及び/又は少なくとも1つの照射特徴の面積は、後述するように、少なくとも1つの検出器によって決定される画像の錯乱円に依存し得る。
【0123】
プロジェクタ110は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)120の少なくとも1つのアレイ118を含む。VCSEL120のそれぞれは、少なくとも1つの光ビームを発生するように構成されている。VCSEL120は、800~1000nmの波長範囲における光ビームを放出するように構成されることができる。例えば、VCSEL120は、808nm、850nm、940nm、又は980nmで光ビームを放出するように構成されてよい。好ましくは、VCSEL120は940nmで光を放出し、これは、例えばCIE 085-1989「太陽スペクトル放射照度」に記載されているように、地上の太陽放射がこの波長で放射照度の局所的最小値を有しているためである。
【0124】
VCSEL120のアレイ118は、2次元又は1次元のアレイであってよい。VCSEL120のアレイ118は、マトリックスに配置された複数のVCSEL120を含んでよい。マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。VCSEL120は、共通の基板上又は異なる基板上に配置されてよい。アレイ118は、2500個までのVCSELを含むことができる。例えばアレイ118は、3.5Wの高出力アレイなどの、38×25個のVCSEL120を含むことができる。例えばアレイ118は、2.5Wの10×27個のVCSEL120を含むことができる。例えばアレイ118は、0.9Wの96個のVCSEL120を含むことができる。例えば2500要素のアレイ118のサイズは、2mm×2mmまでであり得る。
【0125】
VCSEL120のアレイ118は、発光ダイオード(LED)と比較して、高い放射出力を有することができる。さらに、VCSEL120は、LEDと比較して、より高い空間的及び時間的コヒーレンスを有することができる。これにより、光学システムによるビームプロファイルの成形及び/又は修正が改善され、スペクトル出力密度が増加することを可能にすることができる。
【0126】
プロジェクタ110は、アレイ118のVCSEL120によって生成された光ビームのそれぞれについて、特徴的なビームプロファイルを生成するように構成された少なくとも1つの光学システム122を含んでいる。光学システム122は、光学要素124の少なくとも1つのアレイを含んでいてよい。光学要素124のアレイは、マトリックスに配置された複数の光学要素124を含んでいてよい。光学要素のマトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行及び列は、具体的には、長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0127】
ビームプロファイルは、光ビームの横方向の強度プロファイルであってよい。ビームプロファイルは、光ビームの断面であってよい。ビームプロファイルは、台形ビームプロファイル;三角形ビームプロファイル;円錐形ビームプロファイル及びガウスビームプロファイルの線形結合からなる群から選択されてよい。しかしながら、他の実施形態も可能である。アレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、横方向及び/又は軸方向で異なっている。軸方向は、光学システム122の光軸126に沿った方向、特に縦方向であってよい。光軸126は、光学システム122の光学構成の対称線であってもよい。横方向は、軸方向に対して垂直な方向、特に横方向であってよい。アレイ118のVCSEL120のビームプロファイル、特にアレイの隣接するVCSELのビームプロファイルは、形状、配向、断面のうちの1つ以上で異なっていてよい。異なるビームプロファイルは、アレイ118のVCSEL120によって生成された光ビームを対応するVCSELに割り当てることを可能にする。特に、隣接する光ビームの形状が異なる場合、光ビームの形状から、アレイ118のどのVCSEL120から光ビームが生成されたかを決定することが可能である。例えば、光ビームは形状及び配向きが異なっていてよい。好ましくは、ビームプロファイルの相違は、簡単な割り当てを可能にするために可能な限り大きい。アレイ118の全てのVCSEL120のビームプロファイルが形状、配向及び断面において異なる場合、割り当てが最も簡単であり得る。しかし、隣接する光ビームのビームプロファイルが少なくとも1つのパラメータで異なっていれば十分であり得る。
【0128】
光学要素124のそれぞれは、構造化表面128を有してよい。光学要素124の構造化表面128は、異なっていてよい。特に、アレイの2つの隣接する光学要素の構造化表面128は、異なっていてよい。光学要素124は、J.Gavin in Optics Letters,36巻(2011),Nr.13,2495~2497に記載されているような3次元ホログラフィックリソグラフィを用いて製造又は生産され得る。
【0129】
光学要素124は、それぞれ、構造化表面128、特に個々の印刷及び/又はエンボス加工された構造を有する少なくとも1つのレンズであってよく、又はそれを含んでいてよい。しかしながら、成形又は射出成形などの他の製造技術も可能である。構造化表面128は、光学要素に衝突する光ビームが非点状又は非斑状ビームプロファイルを有するように調整されることを生じ得る。光学要素124は、屈折光学要素であってよい。好ましくは、光学要素124は、屈折回折ハイブリッド要素であってよい。屈折要素及び/又は屈折構造は、隣接するVCSEL120の間の距離に依存して、半径、特に例えばマイクロレンズの直径を有していてもよい。例えば、距離は、40μm~70μmの範囲であってよい。直径は、40μmのような類似したものであってよい。しかしながら、直径は、光学特性及び屈折率にさらに強く依存し得る。回折要素及び/又は回折構造は、それらが非常に平坦に製造されることができるため、有利であり得る。回折要素はそれぞれ、基板とも呼ばれる、少なくとも1つのベースプレートを有してよい。ベースプレートは、ガラスベースプレートであってよい。ベースプレートは、1mmの厚さを有することができる。屈折要素及び/又は屈折構造は、
【数3】
による2πの位相差に対応する厚さD
diffを有することができる。回折要素及び屈折要素及び/又は屈折構造の直径は、アレイ118の2つのVCSEL120の間の距離より小さくてよく、例えば、直径は70μmより小さくてよい。回折要素及び/又は回折構造は、円対称で、平面であってよい。しかしながら、非対称の実施形態も可能である。例えば、回折構造は、屈折レンズの凹面又は凸面などの曲面上に配置されてよい。
【0130】
光学要素124は、少なくとも1つのポリマーを含む少なくとも1つの材料を含むことができる。材料は、Nanoscribe IP-Dip,OrmoComp.、Nanoscribe IP-G、Nanoscribe IP-L、Nanoscribe IP-Sなどの2光子刺激重合に使用され得るポリマー材料であり得る。射出成形又はホットエンボシングなどの成形プロセスには、Zeonixから入手可能なプラスチック(https://www.zeonex.com/optics.aspx.html)、又はEvonikからのTrogamid myCX(https://www.campusplastics.com/campus/de/datasheet/TROGAMID%C2%AE+myCX+nc+(nf)/Evonik+Industries+AG/66/bf801790)を使用することができる。ガラス成形には、https://refractiveindex.info/?shelf=glass&book=BK7&page=SCHOTTに記載されているガラス材料など、いくつかのガラス材料を使用することができる。
【0131】
光学要素124は、VCSEL120のアレイ118の前面で光ビームの伝播方向に可能な限り接近して配置されてよい。例えば、光学要素124は、高屈折率を有するロッドレンズとして設計されてよい。ロッドレンズは、VCSEL120のアレイの前面において光ビームの伝播方向に可能な限り接近して配置されてよい。レンズ材料のより高い屈折率により、収束角を小さくすることができ、光路長を、局所的なコヒーレンスが増加して光ビームの成形が改善され得るように、長くすることができる。
【0132】
構造化表面128は、
図3に示されるように、ビームプロファイルの断面がプロジェクタ110と物体112の間の距離に応じて異なるように構成されてよい。
図3では、例示的に2つの異なる記号が、光学要素124からの距離に依存して異なる形状の特徴を示すように、示されている。ビームプロファイル形状の伝播及び変化も、高度に概略的に示されている。これは、特定の事前定義された及び/又は所定の幾何学的形状を有する光学要素124を使用することによって確保されることができる。必要な幾何学形状は、
図3において矢印で示される、反復波動光学計算を用いて決定されることができる。特に、光学要素124に関する異なる距離における所望の強度分布は、反復設計の基礎として使用されることができる。異なる面、例えばVCSEL120、光学要素124、参照番号130で示される形状1を有する投影面、及び、形状2を有する投影面、参照番号132で示される形状1を有する投影面の間で、フレネル伝播、又はレイリーゾンマーフェルト回折積分などの少なくとも1つの波動光学伝播アルゴリズムが使用されてよい。前記伝播は、平面から平面へ、そしてVCSEL120に戻るように実行されてよい。VCSEL120は部分的コヒーレント放射を発することがあるため、互いに非コヒーレントな点光源をシミュレーションに使用することが可能である。前記点光源は、その強度分布に関して重み付けされてよい。
【0133】
光学システム122は、横方向に複数の照射パターン114を生成するように構成されてよい。例えば、光学システム122は、アレイ118のVCSEL120のそれぞれについて、光軸126に対して異なる角度を有する少なくとも2つの照射特徴116を生成するように構成されてよい。例えば、これは、Zemax(登録商標)からの商用ソフトウェアパッケージによって可能にされたレイトレーシングルーチンを使用して実現することができる。追加的又は代替的に、レイリーゾンマーフェルト、フレネル伝播及び/又はフラウンホーファー伝播などの少なくとも1つの波動光学伝播法に基づく反復アプローチを使用することが可能であり得る。そして、反復プロセスは、光学システムから異なる横方向に投影された照射パターンへ、そして光学システムへの戻る伝播の間で交互に行われることができる。光学システムの更新プロセスの間、異なる横方向照射パターンの数を考慮することができ、その結果、一定の割合で各照射パターンが更新された光学システムに寄与することがもたらされ、例えば、2つの照射パターンが同じ重みで生成される場合、各反復ステップにおける対応する検索された波光学解は、光学システムの波光学記述に50%寄与するであろう。このプロセスは、誤差測定が全ての投影された照射パターンに対して最小化され得るまで繰り返され得る。誤差測定は、所望の照射パターンとシミュレートされた照射パターンとの間の差から得られることができる。少なくとも2つの照射パターン間の投影方向は、大きすぎてはならない。2つのパターンは、同じ平面に投影され得る。したがって、反復プロセスは、光学システムと所望の少なくとも2つの照射パターンの平面の間でのみ行われることになる。
図6及び
図7は、プロジェクタ110のさらなる実施形態を示している。
図6では、2つの横方向に間隔を置いたパターン114の横方向パターン投影が示されている。具体的には、
図6は、異なる形状のパターンを有する投影平面を示している。
図7は、3つの異なる横方向平面の横方向パターン投影を有する実施形態を示している。
【0134】
図2は、少なくとも1つの物体112の位置を決定するための検出器134を高度に概略的に示している。検出器134は、
図1及び
図3に関して説明したような、本発明による少なくとも1つのプロジェクタ110を含む。
【0135】
検出器134は、光センサ138のマトリックスを有する少なくとも1つのセンサ要素136を備える。光センサ138は、それぞれ感光領域を有する。各光学センサ138は、物体112から検出器134に伝播する反射光ビームによるそれぞれの感光領域の照射に応答して、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。センサ要素136は、少なくとも1つの反射画像を決定するように構成されている。センサ要素136は、一体の単一装置として、又はいくつかの装置の組み合わせとして形成され得る。以下でさらに詳細に概説されるように、マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることが説明される。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。感光エリアは、具体的には、それぞれの光センサの表面に位置することができる。しかしながら、他の実施形態も可能である。マトリックスの光センサ138は、具体的には、サイズ、感度、及び他の光学的、電気的、機械的特性のうちの1つ以上で等しくてよい。マトリックスの全ての光センサ138の感光エリアは、具体的には、共通の平面内に配置されてよく、該共通平面は、好ましくは、物体から検出器に伝播する光ビームが該共通平面上に光スポットを生成するように、物体に面している。
【0136】
光センサ138は、具体的には、光検出器、好ましくは無機光検出器、より好ましくは無機半導体光検出器、最も好ましくはシリコン光検出器であってもよいし、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサ138は、赤外スペクトル範囲において感度を有してよい。マトリックスの光センサ138の全て、又はマトリックスの光センサの少なくとも一群は、具体的には同一であってよい。マトリックスの同一の光センサの群は、具体的には、異なるスペクトル範囲について提供されてもよく、又は全ての光センサは、スペクトル感度に関して同一であってよい。さらに、光センサ138は、サイズ及び/又はそれらの電子的又は光電子的特性に関して同一であってよい。
【0137】
具体的には、光センサ138は、赤外スペクトル範囲、好ましくは780nmから3.0マイクロメートルの範囲に感度を有する無機フォトダイオードであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサ138は、シリコンフォトダイオードが適用可能な特に700nm~1000nmの範囲の近赤外領域の部分で感度を有してよい。光センサに使用され得る赤外光センサは、例えば、ドイツ,D-67056 Ludwigshafen am RheinのtrinamiX GmbHのHertzstueck(登録商標)というブランド名で市販されている赤外光センサなど、市販の赤外光センサであってよい。したがって、一例として、光センサ138は、固有の光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくは、Geフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、拡張InGaAsフォトダイオード、InAsフォトダイオード、InSbフォトダイオード、HgCdTeフォトダイオード、からなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサ138は、外因性光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくはGe:Auフォトダイオード、Ge:Hgフォトダイオード、Ge:Cuフォトダイオード、Ge:Znフォトダイオード、Si:Gaフォトダイオード、Si:Asフォトダイオードからなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサ138は、少なくとも1つのボロメータ、好ましくはVOボロメータ及びアモルファスSiボロメータからなる群から選択されるボロメータを含み得る。
【0138】
マトリックスは、独立した光センサ138で構成されてよい。したがって、マトリックスは、無機フォトダイオードから構成されていてもよい。しかしながら、代替的に、市販のマトリックス、例えば、CCD検出器チップなどの1つ以上のCCD検出器、及び/又はCMOS検出器チップなどのCMOS検出器が使用されてもよい。
【0139】
検出器134は、少なくとも1つの評価装置140を含む。評価装置140は、反射画像の少なくとも1つの反射特徴を選択し、反射特徴をアレイ118のVCSEL120の1つに割り当てるように構成されている。反射画像は、反射特徴を含む少なくとも1つの反射パターンを含んでいてよい。評価装置140は、反射特徴を識別するために、少なくとも1つの画像解析及び/又は画像処理を実行するように構成されてよい。画像解析及び/又は画像処理は、少なくとも1つの特徴検出アルゴリズムを使用してよい。画像解析及び/又は画像処理は:フィルタリング;少なくとも1つの関心領域の選択;センサ信号によって生成された画像と少なくとも1つのオフセットとの間の差分画像の形成;センサ信号によって生成された画像を反転することによるセンサ信号の反転;異なる時間のセンサ信号によって生成された画像間の差分画像の形成;背景補正;カラーチャネルへの分解;色相への分解;飽和;そして輝度チャネル;周波数分解;特異値分解;キャニーエッジ検出器の適用;ガウスフィルタのラプラシアンの適用;ガウスフィルタの差分の適用;ソーベル演算子の適用;ラプラス演算子の適用;Scharr演算子の適用;プレウィット演算子の適用;ロバーツ演算子の適用;Kirsch演算子の適用;ハイパスフィルタの適用;ローパスフィルタの適用;フーリエ変換の適用;ラドン変換の適用;ハフ変換の適用;ウェーブレット変換の適用;閾値処理;バイナリイメージの作成、のうち1つ以上を含み得る。関心領域は、ユーザにより手動によって決定されるか、あるいは、光センサによって生成された画像内で物体を認識することによってなど、自動で決定され得る。
【0140】
評価装置140は、選択された反射特徴を引き起こした照射特徴116を放出したアレイ118の1つのVCSEL120を、特に明確に決定するように構成されてよい。三角測量又は構造化光技術を使用する装置などの既知の3D感知装置では、この対応関係の問題を解決することは、複雑であり、時間がかかる。本発明は、選択された反射特徴を引き起こした照射特徴を放出したアレイ118の1つのVCSEL120を直ちに、容易に、かつ明確に識別することが可能なように、照射特徴、したがって反射特徴に対して、特徴的な、特に区別可能なビームプロファイルを用いることを提案するものである。
【0141】
検出器134は、三角測量及び/又は光子比からの深さ技術及び/又は焦点からの深さ及び/又はデフォーカスからの深さを用いて、物体の少なくとも1つの距離情報を決定するように構成されてよい。例えば、評価装置140は、センサ要素136のセンサ信号からの結合信号Qを評価することにより、反射画像の選択された反射特徴の少なくとも1つの縦方向座標zDPRを決定するように構成されてよい。評価装置140は、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、結合信号Qを導出するように構成されてよい。評価装置140は、縦方向座標を決定するために、結合信号Qと縦方向座標zDPRとの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されてもよい。
【0142】
検出器134は、少なくとも1つのレンズ及び/又は少なくとも1つのレンズシステムなどの転送装置、少なくとも1つの回折光学要素の群から選択された少なくとも1つのさらなる光学要素142を含むことができる。転送装置は、光ビームを光センサ138に導くように構成されてよい。転送装置は、具体的には:少なくとも1つのレンズ、例えば、少なくとも1つの焦点調節可能レンズ、少なくとも1つの非球面レンズ、少なくとも1つの球面レンズ、少なくとも1つのフレネルレンズからなる群から選択される少なくとも1つのレンズ;少なくとも1つの回折光学要素;少なくとも1つの凹面鏡;少なくとも1つのビーム偏向要素、好ましくは少なくとも1つのミラー;少なくとも1つのビーム分割要素、好ましくはビーム分割キューブ又はビーム分割ミラーのうちの少なくとも1つ;少なくとも1つのマルチレンズシステム、のうちの1つ以上を含み得る。転送装置は、集束レンズの効果を有し得る1つ以上の画像化要素を含むことができる。例として、転送装置は、1つ以上のレンズ、特に1つ以上の屈折レンズ、及び/又は1つ以上の凸面ミラーを有することができる。この例では、焦点距離は、薄い屈折レンズの中心から薄いレンズの主焦点までの距離として定義することができる。凸型又は両凸型の薄レンズなどの、集束する薄い屈折レンズの場合、焦点距離は、正であると考えられ、転送装置としての薄レンズに衝突する平行光が単一のスポットに集束され得る距離を与えることができる。さらに、転送装置は、少なくとも1つの波長選択要素、例えば少なくとも1つの光フィルタを含むことができる。さらに、転送装置は、例えばセンサ領域の位置で、具体的にはセンサエリアで、電磁放射に所定のビームプロファイルを印加するように設計され得る。転送装置の上記の任意の実施形態は、原則として、個別に、又は任意の所望の組み合わせで実現することができる。
【0143】
転送装置は、光軸を有していてよい。具体的には、検出器134と転送装置は、共通の光軸を有する。検出器の光軸は、検出器134の光学構成の対称の線であってよい。検出器134は、少なくとも1つの転送装置、好ましくは、少なくとも1つのレンズを有する少なくとも1つの転送システムを有する。転送システムは、一例として、少なくとも1つのビーム経路であって、該ビーム経路内の転送システムの要素が光軸に関して回転対称に配置されているビーム経路を含んでよい。さらに、ビーム経路内に配置された1つ以上の光学要素は、光軸に対して中心ズレされているか、又は傾斜していてもよい。しかし、この場合、光軸は、ビーム経路内の光学要素の中心を相互接続することによって、例えば、レンズの中心を相互接続することなどによって、順次定義されてよく、この文脈では、光センサは光学要素として考慮されない。光軸は、一般にビーム経路を示してよい。そこでは、検出器134は、光ビームがそれに沿って物体から光センサに進む単一のビーム経路を有してもよいし、複数のビーム経路を有してもよい。一例として、単一のビーム経路が与えられてもよいし、又はビーム経路が2つ以上の部分ビーム経路に分割されてもよい。後者の場合、各部分ビーム経路は、それ自身の光軸を有することができる。光センサ138は、1つかつ同一のビーム経路又は部分ビーム経路に配置されてよい。代替的に、しかし、光センサはまた、異なる部分ビーム経路に配置されてよい。
【0144】
転送装置は、縦方向座標lが光軸に沿った座標であり、dが光軸からの空間的オフセットである座標系を構成してよい。座標系は、転送装置の光軸がz軸を形成し、z軸からの距離及び極角が追加の座標として使用され得る極座標系であり得る。z軸に平行又は反平行な方向は、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標は縦方向座標zとみなすことができる。z軸に垂直な任意な方向は、横方向とみなすことができ、極座標及び/又は極角度は横方向座標とみなすことができる。
【0145】
図2及び
図4は、光学システム122が軸方向において複数の異なる照射パターン114を生成するように構成されたプロジェクタ110の実施形態を示している。
図2及び
図4では、例示的に2つの物体平面が示されている。検出器134に近い物体平面の場合、照射パターンの異なる特徴116を示す3つの異なる記号が示されている。検出器134からより遠い距離にある物体平面については、例示的に1つの特徴116が示されており、特徴116は、検出器134に近い物体平面から、より遠い距離にある物体平面へ変化している。光学システム122は、各VCSELの異なる照射パターンを異なる被写界深さに集束させるように構成されてよい。具体的には、光学システム122は、異なる焦点面、特に物体面に照射パターン114を集束させるように構成されてもよく、焦点面は、光軸に沿って異なる座標を有する光学システム122の光軸126に垂直な面である。光学システム122は、焦点面のそれぞれにおいて、照射パターン114のうちの1つの照射パターン114のみが集束され、他の照射パターン114は非集束であるように構成されてよい。
図4では、さらに、ビーム分割装置144を用いた実施形態が示されている。
【0146】
図5に示されるように、光学システム122は、焦点面のそれぞれにおいて、異なる照射パターン114が集束されるように構成されてよい。光学システム122は、照射パターンの中間投影のための少なくとも1つの装置を含むことができる。例えば、VCSEL120のアレイ118と物体112との間の距離が数メートルのアプリケーションの場合、中間投影のための装置は、画像化されたパターンの特徴のサイズが全ての軸方向物体位置に対して不変であるように、テレセントリック画像化として設計されてもよい。追加的に又は代替的に、画像化スケールは、設計データから又は較正によって決定されてよい。軸方向における複数の異なる照射パターン114は、三角測量法及び/又は検出器134及びプロジェクタ110が特に共通軸上で整合される方法を使用することを可能にし得る。この目的のために、検出器134は、測定範囲を横断するための少なくとも1つのズーム光学システム及び/又は少なくとも1つの電気光学チューナブルシステムを含むことができる。アレイ118のVCSEL120の異なる深さに対して異なる照射パターンを調整することによって、検出器134の被写界深さ範囲にわたって識別可能な深さステップの数を、アレイ118のVCSEL120の数まで増加させることが可能であり得る。
【符号の説明】
【0147】
110 プロジェクタ
112 物体
114 照射パターン
116 照射特徴
118 アレイ
120 VCSEL
122 光学システム
124 光学要素
126 光軸
128 構造化表面
130 投影面
132 投影面
134 検出器
136 センサ要素
138 光センサ
140 評価装置
142 さらなる光学要素
144 ビーム分割装置
【国際調査報告】