(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】等速継手
(51)【国際特許分類】
F16D 3/16 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
F16D3/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521236
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 GB2020052492
(87)【国際公開番号】W WO2021069898
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522140600
【氏名又は名称】パンク カップリングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,サイモン
(57)【要約】
2つの同心状の継手(1、2)を備え、第1の継手(1)は内側部材(211)、中間環状部材(221)及び外側環状部材(231)を備え、各部材は同心状である等速ジョイント。第2の継手(2)の内側部材(231)は第1の継手(1)の外側部材(231)と共通である。継手の部材は互いに回転するように拘束され、第2の継手の外側部材は、共通部材に対する内側部材の回転の鏡像である態様で共通部材に対して角度的に回転するように拘束される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の継手を備える等速ジョイントであって、前記第2の継手は前記第1の継手の周囲に同心状に配置され、各継手は内側部材と、外側環状部材と、前記内側及び外側部材間の中間環状部材とを備え、両継手の前記各部材は共通の第1の軸の周りに配置され、前記共通軸上に共通の中心を有し、前記第1の継手の前記外側環状部材は前記第2の継手の前記内側部材でもあり、それにより前記第1及び第2の継手の両方の共通環状部材であり;前記第1の継手の前記内側部材は球形外周を有し、前記第1の継手の前記中間部材は前記第1の継手の前記内側部材の前記外周を受け入れる内周を有し;前記第1の継手の前記中間部材は球形外周を有し、前記共通環状部材は前記中間第2部材の前記外周を受け入れる内周を有し;前記共通環状部材は球形外周を有し、前記第2の継手の前記中間環状部材は前記共通環状部材の前記外周を受け入れる内周を有し;前記第2の継手の前記中間環状部材は球形外周を有し、前記第2の継手の前記外側環状部材は、前記第2の継手の前記中間環状部材の前記外周を受け入れる内周を有し;前記外周及び前記内周は、前記共通の中心の周囲で同心であり且つ互いに相補的であり;各継手の前記中間環状部材は、前記共通軸に垂直な第1の軸上で前記継手の前記内側環状部材(前記第2の継手の場合は前記共通環状部材)に対して回転するように第1対の対向アクスルによって拘束され、また、前記共通軸及び前記第1の軸の両方に垂直な第2の軸上で前記継手の前記外側部材(前記第1の継手の場合は前記共通環状部材)に対して回転するように第2対の対向アクスルによって拘束される等速ジョイントにおいて、前記外側継手の前記第1の軸が前記内側継手の前記第2の軸と同じであり、前記第2の継手の前記外側部材が、前記共通部材に対する前記第1の継手の前記内側部材の回転の鏡像である態様で前記共通部材に対して角度的に回転するように拘束されることを特徴とする、等速ジョイント。
【請求項2】
各外周と各内周との間に隙間を有し、各アクスルが前記部材の一方に固定され、前記部材の他方で軸受に支持され、各軸受は前記軸受に支持される前記アクスルの端部に作用する内側端面を有することを特徴とする、請求項1に記載の等速ジョイント。
【請求項3】
前記隙間が、継手の全径が100mm以下の場合、その継手の全径の0.5%であり、継手の全径が100mmを超える場合、その継手の全径の1%である、請求項2に記載の等速ジョイント。
【請求項4】
前記内側及び中間部材の前記外周が凸状球形周囲であり、前記外側及び中間部材の前記内周が凹状球形周囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項5】
前記周囲が円筒形である、又は前記外周が凸状である若しくはその縁部に向かって面取りされる、及び/又は、前記内周がその縁部に向かって面取りされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項6】
中心アクスルが、第1の支持手段、第2の中間支持手段及び第3の支持手段に取り付けられ、前記第2の中間支持手段は前記第1の支持手段と前記第3の支持手段の間にあり、前記第1の継手の前記内側環状部材は前記第1の支持手段の周りに配置されたハウジングに接続され;前記第2の継手の前記外側環状部材は、前記第3の支持手段の周囲に配置されたハウジングに接続され、前記共通部材は、前記第2の中間支持手段の周囲に配置されたハウジングに接続され、各ハウジングは、前記支持手段が取り付けられる対応する支持手段の周囲に開口部を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項7】
前記支持手段が球面軸受であり、ころ軸受が前記ハウジング内で前記球面軸受を支持していることを特徴とする、請求項6に記載の等速ジョイント。
【請求項8】
各支持手段が、前記中心アクスルの周囲に取り付けられた隆起を備え、前記隆起は球面軸受に取り付けられ、ころ軸受は対応するハウジング内で球面軸受の周囲に配置され、球面軸受を支持することを特徴とする、請求項7に記載の等速ジョイント。
【請求項9】
各支持手段が、前記中心アクスルの周囲にころ軸受を備え、隆起が前記ころ軸受の周囲に配置され、球面軸受に取り付けられ、前記球面軸受が、対応するハウジングに取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の等速ジョイント。
【請求項10】
前記第2の継手の前記外側環状部材が、軸が前記中心アクスルと一致するベル型部材によって、前記第3の支持手段が取り付けられている前記ハウジングに接続されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項11】
前記共通環状部材が、軸が前記中心アクスルと一致するさらなるベル型部材によって、前記第2の支持手段が取り付けられている前記ハウジングに接続されることを特徴とする、請求項10に記載の等速ジョイント。
【請求項12】
前記第1の継手の前記内側部材、前記共通環状部材、及び前記第2の継手の前記外側環状がそれぞれ、前記継手の片側に、前記第1の軸から半径方向に延びる複数の列に整列された複数のピボットマウントと、3つのリンクのチェーンに配置された複数のリンクとを有し、各チェーンの第1のリンクは、前記第2の継手の前記外側環状部材上のピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、各チェーンの第3のリンクは、前記第1の継手の前記内側部材上の同じピボットマウント列の前記ピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、前記チェーンの第2のリンクは、前記共通環状部材上の同じピボットマウント列の前記ピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、前記第2のリンクは、前記リンクの両端部の方に、前記第1及び第3のリンクとのピボットジョイントを有し、前記共通環状部材上の前記第2のリンクの前記ピボットマウントは、前記第1及び第3のリンクとの前記ピボットジョイントの間で等距離であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項13】
前記内側継手の前記中間部材及び前記外側継手の前記中間部材が同じ慣性質量を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項14】
前記第2のアクスルの直径が前記第1のアクスルの直径未満であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の等速ジョイント。
【請求項15】
前記第2の継手に関連付けられたアクスルが、前記第1の継手の対応するアクスルよりも小さいことを特徴とする、請求項11又は12に記載の等速ジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等速継手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、等速継手は、しばしば、しかし非排他的に、トランスミッション及びステアリングシステムにおいて、2つのシャフトを結合するために使用される。
【0003】
ダブルカルダンジョイントは、センターヨークで背中合わせに取り付けられた2つのユニバーサルジョイントから構成されている。入力シャフトとセンターヨークの間の角度が、センターヨークと出力シャフトの間の角度と等しいことを条件として、第2のカルダンジョイントは、第1のカルダンジョイントによってもたらされた角速度誤差を打ち消し、整列したダブルカルダンジョイントは等速として作用する。動作がわずかにより滑らかなジョイントはトムソンジョイントであるが、これははるかにより複雑である。海上輸送船では、オフセットされたドライブシャフトを連結するために、セルフセンタリング機構を備えたダブルカルダンジョイント配列を持つ継手が使用されている。この配列は、両方のカルダンジョイントが互いに同じミスアラインメント角度を経験するようにし、したがって等速出力を強制するものである。しかしながら、このようなジョイントは非常に重く、慣性力が大きく、また摩擦による損失も大きい。さらに、このようなジョイントは、制御不能な方法で破損することが知られており、これはこのようなジョイントが経験する高い慣性力の下では大規模な損傷及び生命の危険につながる可能性がある。
【0004】
代替案として、ダブルヨークジョイントが開発されたが、これは動作がより滑らかであるが、信頼性がないことが判明している。摩耗や遠心力による負荷によって、ジョイントが制御不能な方法で分解されることがある。
【0005】
本発明は、海洋推進システム、ブルドーザ及び浚渫船などの高荷重用途に使用でき、ダブルヨークジョイントと同様に滑らかであるが、その設計に伴う信頼性の欠如を回避する等速ジョイントを提供しようとするものであり、それはまた、既知の等速ジョイントよりも小型で軽量な他の実施形態も可能にする。いずれの場合も、本発明は、既知のカルダンジョイントと比較して、慣性力を低減し、摩擦損失を低減した等速ジョイントを提供し、これによりこれまでのジョイントの故障モードが回避される。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、等速ジョイントは第1及び第2の継手を備え、第2の継手は第1の継手の周囲に同心状に配置され、各継手は内側部材と、外側環状部材と、内側及び外側部材間の中間環状部材とを備え、両継手の部材は共通の第1の軸の周りに配置され、共通軸上に共通の中心を有し、第1の継手の外側環状部材は第2の継手の内側部材でもあり、それにより第1及び第2の継手の両方の共通環状部材であり;第1の継手の内側部材は外周を有し、第1の継手の中間部材は第1の継手の内側部材の外周を受け入れる内周を有し;第1の継手の中間部材は外周を有し、共通環状部材は中間第2部材の外周を受け入れる内周を有し;共通環状部材は外周を有し、第2の継手の中間環状部材は共通環状部材の外周を受け入れる内周を有し;第2の継手の中間環状部材は外周を有し、第2の継手の外側環状部材は、第2の継手の中間環状部材の外周を受け入れる内周を有し;外周及び内周は、共通の中心の周囲で同心であり且つ互いに相補的であり;各継手の中間環状部材は、共通軸に垂直な第1の軸上で継手の内側環状部材(第2の継手の場合は共通環状部材)に対して回転するように第1又は第1対の対向アクスルによって拘束され、また、共通軸及び第1の軸の両方に垂直な第2の軸上で継手の外側部材(第1の継手の場合は共通環状部材)に対して回転するように第2又は第2対の対向アクスルによって拘束され、等速ジョイントは、第2の継手の外側部材が、共通部材に対する第1の継手の内側部材の回転の鏡像である態様で共通部材に対して角度的に回転するように拘束されることを特徴とする。
【0007】
通常、外周は凸状球形周囲であり、内周は凹状球形周囲である。しかしながら、アクスルによって部材間の隙間が維持されることによって部材間の接触を回避できる場合、及びその隙間が十分に大きい場合、表面は円筒形であることができる、又は外周はその縁部に向かって凸状であるか又は面取りされ、及び/又は内周はその縁部に向かって面取りされる。
【0008】
アクスルによって隙間を維持することは摩擦及び摩耗を低減し、この配置が一対の環状部材の同心性の維持を保証するので、さらなる利点が生じる。
【0009】
本発明のジョイントの構造は、動力を伝達する環状部材のいかなる故障もジョイント内に含められるようなものである。
【0010】
理想的であるが不可欠ではなく、環状部材の寸法は、各外周と各内周との間に小さな隙間を提供するように選択される。
【0011】
第1の継手の内側部材、共通環状部材、及び第1と第2の継手の中間部材は、通常、球形のセグメントを備える。
【0012】
この発明では、ジョイントの第2の継手の外側環状部材は、内側の第1の環状部材の正確な鏡像である態様で動くように拘束される。第2の継手の外側環状部材の側にシャフトが接続されると、共通環状部材と比較した場合、第1の内側部材に接続されたシャフトと等しいが反対のオフセットを取り、第1の内側部材に接続されたシャフトと全く同じ角速度で駆動されることになる。
【0013】
本発明の第1の実施形態では、中心アクスルは、中心軸の整列を変更できるように第1の支持手段、第2の中間支持手段及び第3の支持手段に取り付けられ、第2の中間支持手段は第1の支持手段と第3の支持手段の間にあり、第1の継手の内側環状部材は第1の支持手段の周りに配置されたハウジングに接続され;第2の継手の外側環状部材は、第3の支持手段の周囲に配置されたハウジングに接続され、共通部材は、第2の中間支持手段の周囲に配置されたハウジングに接続され、各ハウジングは、支持手段が取り付けられる対応する支持手段の周囲に開口部を有している。
【0014】
この実施形態の1つの実践において、支持手段は、それらとハウジングとの間にころ軸受を有する球面軸受である。
【0015】
好ましくは、内側継手の中間部材と外側継手の中間部材は、実質的に同じ慣性質量を有する。
【0016】
これは、外側継手の中間部材の材料が、内側継手の中間部材の材料よりも軽い材料であることによって、最も容易に達成される。
【0017】
内側及び外側継手の中間部材の慣性質量は質量及び中心軸からの半径に関係するので、内側継手の中間部材のより小さい直径に比較して外側継手のより大きい直径の中間環状部材により軽い材料を使用することによって、それらの慣性を一致/均衡させることが可能である。
【0018】
本発明の第2の実施形態では、第1の継手の内側部材、共通環状部材、及び第2の継手の外側環状部材がそれぞれ、継手の片側に、第1の軸から半径方向に延びる複数の列に整列した複数のピボットマウントと、3つのリンクのチェーンに配置された複数のリンクとを有し、各チェーンの第1のリンクは、第2の継手の外側環状部材上のピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、各チェーンの第3のリンクは、第1の継手の内側部材上の同じピボットマウント列のピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、チェーンの第2のリンクは、共通環状部材上の同じピボットマウント列のピボットマウントに枢動自在に取り付けられ、第2のリンクは、リンクの両端部の方に、第1及び第3のリンクとのピボットジョイントを有し、共通環状部材上の第2のリンクのピボットマウントは、第1及び第3のリンクとのピボットジョイントの間で等距離である。
【0019】
さらに、トルクは力と回転軸からの距離の関数であるので、内側継手の中間部材は直径がより小さいので、それが経験するトルク負荷はより高く、したがってより強い材料を必要とするが、外側継手の中間部材はむしろ直径がより大きいので、同じトルク性能に対してより弱い材料を使用することが可能である。
【0020】
材料の適切な組み合わせの例は、内側継手の中間部材には鋼EN19、外側継手の中間部材には7000系アルミニウム合金である。他の材料も可能である。しかしながら、慣性を一致させる場合、焦点は質量であり、それは重要である。これは、重さを加えることで、部材に穴を開けることによって、及び/又は製造工程のばらつきによって生じる不均衡を補正するために達成又は微調整することができる。組み合わされたときの2つの要素間の相対的な回転関係を予測することは不可能である。したがって、バランス調整プロセスを組み立て時に完了させる必要がある。
【0021】
2つの中間部材は、それらの動作において動的に鏡像化されるので、2次慣性モーメントのマッチングは、誘発される関連振動を相殺するはずである。
【0022】
内側継手の内側部材及び外側継手の外側部材の場合、これらの部材は等速であるので、質量を一致させる必要はないが、本発明の全体的な二重同心継手は、最小のエネルギー入力で加速/減速され得るので、最小全体質量という点で有利であろう。トルクは距離に対する力の関数であるため、内側継手の内側部材は鋼、外側継手の外側部材はアルミニウム又はその合金であることが最良の組み合わせであろう。この選択は、内側継手の内側部材が、スプライン/キー溝とアクスルハウジングにかかる軸受圧力で最も高いトルクを経験していることに注目することで裏付けることができる。最も弾力性のある材料が望ましく、ここでもアルミニウムに優先して鋼が挙げられる。鋼はまた、その弾力性を向上させるために、熱処理してその局所的な硬度を改善できるという利点がある。
【0023】
共通部材、すなわち内側継手の外側部材及び外側継手の内側部材の場合、これは同心継手の非等速要素であるので、質量及び中心軸からの半径を可能な絶対最小値に低減することは、この要素の2次慣性モーメントも絶対最小値に低減して、最小誘導振動を達成することになる。共通部材の最適な材料は、7000系アルミニウム合金である。
【0024】
慣性力を低減するさらなるステップとして、第1のアクスルの直径を第2のアクスルの直径よりも大きくすることができる。加えて、第2の継手に関連するアクスルは、第1の継手の対応するアクスルよりも小さい。
【0025】
さらに慣性質量を低減するために、第1の実施形態では、共通部材と第2の支持手段用ハウジングとの間の接続は、外側部材と第3の支持手段用ハウジングとの間の接続と同様に、ベル形状である。
【0026】
以下、本発明の例を添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】整列位置にある本発明の第1の実施形態による等速ジョイントの一例の断面図である。
【
図2】
図1の断面と直交するが不整列状態にある
図1に示されたジョイントの断面である。
【
図3】本発明による等速ジョイントの第1及び第2の同心継手に向かって見た図の例の端面図である。
【
図4】
図3の第1及び第2の継手であるが垂直断面図である。
【
図5】
図1~4の等速ジョイントの中心アクスル用の支持手段の代替配置を示す。
【
図6】本発明による等速ジョイントの第2の例の端面図であり、不整列状態であり、リンクのチェーン鎖を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~4は、本発明の一実施形態の一例を示す。入力Iと出力Oの間を接続するためのほぼ等速ジョイントは、継手1の周りに継手2が配置された同心の継手1及び2と、第1の球面軸受11及びころ軸受要素14の形態の中心軸のアラインメントを変更できる第1の支持手段10と、第2の中間球面軸受21ところ軸受24の形態の中心軸のアラインメントを変更できる第2の中間支持手段20と、第3の球面軸受31とシャフト40を支持するころ軸受34の形態の中心軸のアラインメントを変更できる第3の支持手段30とを備え、第2の中間支持手段20は、第1と第3の軸受の間にある。第1及び第2の継手1、2と第1、第2及び第3の支持手段10、20、30は、整列したとき、中心軸Hの周りに配置される。継手1、2は第1の中心軸Hを有し、球面軸受11、21、31ところ軸受14、24、34は中心軸Xを有する。支持手段10、20、30はそれぞれハウジング16、26、36に取り付けられている。球面軸受11、21、31で支持するために、シャフト40に円筒形の隆起13、23、33が形成されている。シャフトには、運転中にシャフト40が継手から脱落するのを阻止するための、段差41が形成されている。
【0029】
内側継手1は、内側の第1の環状部材211と中間環状部材221と外側の環状部材231とを備える。環状部材231は、第2の外側継手2の内側部材でもあり、以下、共通環状部材231として記載する。
【0030】
したがって、継手2は、共通環状部材231と、中間部材241と、外側部材251とを備える。
【0031】
継手1の内側部材211は中央ボア200を有し、ボアの周囲にはスプライン付き入力出力シャフト(図示せず)を受け入れるためにスプライン201がある。
【0032】
内側部材211、中間環状部材221及び241、並びに共通環状部材231はそれぞれ、球形セグメントを備える。各環状部材(211、221、231、241、251)は、共通の第1の軸Hの周りに配置され、前記第1の軸H上に共通の中心CCを有する。共通環状部材231は、第2の継手2の内側部材に実質的に堅固に取り付けられる第1の継手1の外側環状部材として機能する。
【0033】
内側第1環状部材211は凸球形外周212を有し、第2中間環状部材は、内側第1環状部材211の凸球形外周212を受け入れる凹球形内周223を有する。
【0034】
第1の継手1の中間環状部材221は凸球形外周222を有し、共通環状部材231は、中間環状部材の凸状外周222を受け入れる凹球形内周233を有する。
【0035】
共通環状部材231は凸球形外周232を有し、第2の継手2の中間環状部材241は、共通環状部材231の凸状外周232を受け入れる凹球形内周243を有する。
【0036】
第2の継手の中間環状部材241は凸球形外周242を有し、第2の継手2の外側環状部材251は、中間環状部材241の凸状外周面242を受け入れる凹球形内周253を有する。
【0037】
一対の直径方向に対向するアクスル214は、内側部材211の対向するボア215から、中間環状部材221のボア224に固定された軸受225内に延びている。アクスル214の軸は、共通中心軸Hに対して垂直である。継手21の中間環状部材221は、共通軸Hに垂直な第2の軸を中心として内側部材211の周囲を回転するように拘束される。
【0038】
共通軸が共通中心軸Hと第2の軸の両方に垂直である一対の直径方向に対向するアクスル234は、共通環状部材231の対向するボア236に固定され、継手21の中間環状部材221のボア226と継手22の中間環状部材241のボア246に固定された軸受227及び247に取り付けられている。したがって、共通環状部材231は、共通軸Hと第2の軸の両方に垂直な第3の軸上で、中間環状部材221の周囲で回転するように拘束され、中間環状部材241は共通環状部材231の周囲で回転するように拘束される。
【0039】
一対の直径方向に対向するアクスル254は、外側環状部材251の対向するボア255から、中間の第4の環状部材241のボア244に固定された軸受245内に延びている。アクスル254の軸は、共通中心軸Hに垂直な第2の軸と整列している。したがって、外側環状部材251は、第2の軸を中心に、共通軸Hに垂直な中間環状部材241の周囲で回転するように拘束される。
【0040】
第2の継手2の中間部材241の慣性質量は、第1の継手1の中間部材221の慣性質量と同じである。これは、第2の継手2の中間部材241がアルミニウム7075などのアルミニウム合金製であり、第1の継手1の中間部材221が鋼EN19などの鋼製であることによって都合よく達成することができる。これらの部材221、241の慣性質量の微調整は、必要に応じて部材221又は241の一方又は他方に穴を開けたり、重さを追加したりすることによって行うことができる。
【0041】
継手1及び2の環状部材の間には、隙間203が設けられている。隙間203の適切な幅は、継手の使用目的、回転速度、負荷プロファイル、及び環状部材に使用される材料によって変化する。しかしながら、原則として、隙間203は、当該継手の全径が100mm未満の場合には全径の0.5%、当該継手の全径が100mm以上の場合には全径の1%であろう。
【0042】
スプライン付き入力シャフト(図示せず)は、継手の内側部材211の中央開口部200のスプライン201と係合し得る。共通部材231を介して、入力からのトルクは、第2の継手2の外側環状部材251に伝達される。
【0043】
継手1の内側部材211は、第1のころ軸受14の円筒形ハウジング16に接続されている。
【0044】
共通環状部材231は、第2のころ軸受24のハウジング26に円筒形部材27によって接続されている。
【0045】
外側環状部材251は、円筒形部材37によって第3のころ軸受34のハウジング36に接続されている。円筒形部材37は、ハウジング36の周囲に、出力シャフト(図示せず)を接続可能なフランジ38を有する。
【0046】
中心軸Xを有するアクスル40は、球面軸受11、21、31の中心開口部12、22、32に支持されているが、それらに接続されていないので、それらの軸受内で独立してその軸Xを中心に自由に回転し、ゆえにトルクはアクスル40にもかかわらず伝達されない。アクスル40の効果は、球面軸受の軸が常にアクスル40の軸Xと整列し、軸受の中心CB(1)、CB(2)、CB(3)が軸X上にあることを保証することである。
【0047】
球面軸受11、21、31の周囲にそれぞれころ軸受14、24、34を設けないと、球面軸受の内側部分と外側部分の間で過度の摩耗が発生することが判明した。
【0048】
図1~4に記載のジョイントは、第2の継手2の外側環状部材251と支持手段30とを互いに固定した関係で保持し、入力の回転が出力に伝達されるものである。
【0049】
入力と出力にミスアラインメントが生じた場合のジョイントへの影響を
図2に示す。フランジ38に接続する出力シャフトは、内側部材211に接続するシャフトと全く同じ角速度で駆動される。
【0050】
部材27、37はベル形状である。円筒27の広い方の部分は共通部材231と接合し、また球面軸受10の周りのハウジング16及びころ軸受14の動きとの衝突を回避し、円筒の断面はハウジング26に向かって狭まっている。同様に、円筒37の広い方の部分は、外側部材251と接合し、また球面軸受11の周りのハウジング26及びころ軸受14の動きとの衝突を回避し、円筒の断面はハウジング36に向かって狭められている。記載するようなベル形状の採用により、軸外慣性力及び2次慣性モーメントが大幅に低減され、したがって振動が低減される。
【0051】
記載されるように、部材211、221、231、241の外周は凸状球形周囲であり、部材221、231、241、251の内周は凹状球形周囲である。隙間203が部材間のアクスルによって維持されることによって部材間の接触を回避できるとき、及びその隙間が十分に大きい場合、周囲面は円柱状とすることが可能である。或いは、周囲は、それらの縁部に向かって面取りされていてもよい。隙間を維持するアクスル214、234、及び254はまた、継手1、2の部材の同心性を維持する。
【0052】
図1~4に示す実施形態では、第1の継手1及び第2の継手2は、第2の支持手段20の中心CB(2)と一致する中心Cを中心に枢動する。継手にミスアラインメントがない場合、第1及び第2の継手1及び2の中心軸Hは、軸Xと整列する。継手1の中心と支持手段10、20、30との間の距離は、支持手段20周りの継手1及び2の枢動中心が、内側部材211に加えられる入力とフランジ38から取り出される出力との間の設計上の好ましい動作上のミスアラインメントに対してC-球面軸受21の中心CB(2)に常にあることを確実にするために、単純な幾何学的形状によって選択される。この構成では、共通部材231に対する出力の角度は、共通環状部材231における入力の角度と等しいが反対である。
【0053】
等速継手がオフセットされた入力シャフトと出力シャフトを結合するとき、アクスル40は、当該オフセットされた入力と出力に対して空間的に一定の位置を占める。その結果、既知の等速ジョイントとは対照的に、円錐運動は発生せず、多くの場合に最終的な故障につながる既知の先行技術の等速ジョイントにおいて接触面に発生する摩耗を回避する。さらに、アクスル40の支持配置は、アクスル40を介してねじり荷重が伝達されないことを意味し、アクスルの故障のリスクを回避することができる。
【0054】
ジョイントは通常、入力と出力との間の好ましいミスアラインメントに対して設計され、一定の角度の入力に対応する一定の角度の出力を提供するが、設計されたミスアラインメントに関する角度のミスアラインメントの幅に対処でき、この際、等速出力Oにおいてごくわずかな逸脱を有するだけである。
【0055】
図1~4に記載した種類の大型等速継手では、ころ軸受14、24、34の位置を対応する球面軸受10、20、30と交換し、ころ軸受14、24、34がシャフト40の周りにあり、球面軸受11、21、31がハウジング16、26、36内でシャフトところ軸受を支持するようにすることが望ましい場合があることが分かっている。この中間支持手段20の配置は、
図5に示されている。円筒形の隆起13、13、33は、それぞれころ軸受14、24、34の外面の周囲にあり、シャフト40の周囲にはない。
【0056】
本発明を実施する代替的な実施形態が
図5に示されている。
【0057】
このジョイントは、
図3及び4に示すように、2つの同心継手1及び2を有する。しかしながら、中心軸Hに関する以外の共通部材の回転が
図1及び2を参照して記載したように拘束されるのではなく、継手1の内側部材211、共通環状部材231及び継手2の外側環状部材251はそれぞれ、ラグの形態の複数のピボットマウント(219、239、259)を有している。ピボットマウント219、239、259は、第1の軸Hから半径方向に延びる3つの列260に整列している。3つのリンクのチェーン262(各チェーンは3つの剛性リンク270、280、290を備える)が設けられている。ピボットマウント219、239、259の軸は、ジョイントの整列状態及び不整列状態の両方において、常に中心点CCを通過する。
【0058】
第1のリンク270はチェーンであり、一端272の方で、第2の継手の外側環状部材251上のピボットマウント259に枢動自在に取り付けられ、リンク270の他端274の方で、第1のリンク270と第3のリンク280との間の中間リンクである第2のリンク290の一端の方のピボットマウント292に枢動自在に取り付けられる。第3のリンク280は、リンク280の一端282の方で第1の継手1の内側部材211に設けられたピボットマウント219に枢動自在に取り付けられ、リンク280のピボットマウント292と反対側の端部284の方でピボットマウント294に枢動自在に取り付けられている。第2のリンク290は、その端部間の中間296で、共通環状部材上のピボットマウント239に取り付けられている。
【0059】
リンク270、280、290は、環状部材に向かって内側に湾曲しており、各リンクの湾曲は、中空球の一部である。リンク270の曲率半径は中間環状部材241と同じであり、リンク280の曲率半径は中間環状部材221と同じであり、第2のリンク290のそれは共通環状部材231のそれと同じである。
【0060】
共通環状部材231及び外側環状部材251から延びるラグ239及び259は、半径がそれぞれ共通環状部材231又は外側環状部材251の半径に一致する球のセグメントである。内側部材211から延びるラグ219に関連するピボットマウントは、第1の軸Hに対して約45°の角度をなしている。この構造は、湾曲したリンクとピボットマウントとの間の使用中に起こり得る衝突を回避する。
【0061】
継手2の外側環状部材251は、共通部材231内の内側部材211の正確な鏡像である位置に拘束される。継手2の外側環状部材251の側に接続されたシャフトは、共通環状部材231から見て内側部材継手1に接続されたシャフトと等しいが反対のオフセットをとり、内側部材211に接続されたシャフトと全く同じ角速度で駆動される。
【国際調査報告】