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特表2022-552261変化したアルカロイドレベルを有するタバコ植物およびタバコ製品を作製するためのQPT操作に基づく組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】変化したアルカロイドレベルを有するタバコ植物およびタバコ製品を作製するためのQPT操作に基づく組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/29 20060101AFI20221208BHJP
   A01H 6/82 20180101ALI20221208BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20221208BHJP
   A01H 5/12 20180101ALI20221208BHJP
   A24B 13/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C12N15/29
A01H6/82 ZNA
A01H5/00 A
A01H5/12
A24B13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521240
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020055105
(87)【国際公開番号】W WO2021072288
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/913,357
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チー ドン
(72)【発明者】
【氏名】クディシプディ チェンガルラヤン
(72)【発明者】
【氏名】シェン ヤンシン
【テーマコード(参考)】
2B030
4B043
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB02
2B030AD08
2B030CA14
2B030CB02
2B030CD12
4B043BB01
4B043BB28
(57)【要約】
本開示は、変化した総アルカロイドおよびニコチンレベルと、商業的に許容される葉グレードとを有するタバコ植物、育種またはトランスジェニックアプローチを介した該タバコ植物の開発、ならびに該タバコ植物からのタバコ製品の作製に関する、組成物および方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも1つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、タバコ植物またはその部分であって、該タバコ植物が、同等の条件下で生育および加工された場合の、該1つまたは複数の変異アレルを有しない対照タバコ植物由来の葉のニコチンレベル未満のニコチンレベルを含む葉を生成する、該タバコ植物またはその部分。
【請求項2】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子がQPT1aである、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項3】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子がQPT1bである、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項4】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子がQPT2aである、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項5】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子がQPT2bである、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項6】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子が、SEQ ID NO:5~8からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%同一の核酸配列を含む、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項7】
前記少なくとも1つのQPT遺伝子が、SEQ ID NO:9~12からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一または類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項8】
前記タバコ植物および対照タバコ植物が、同じタバコ品種のものである、請求項1~7のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項9】
前記葉が乾燥葉である、請求項1~8のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項10】
前記タバコ植物が、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも2つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項11】
前記タバコ植物が、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも3つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項12】
前記タバコ植物が、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも4つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、請求項1に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項13】
前記タバコ植物が、同等の条件下で生育および加工された場合の、前記1つまたは複数の変異アレルを有しない対照タバコ植物由来の葉のニコチンレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.25%未満のニコチンレベルを含む葉を生成することができる、請求項1~12のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項14】
前記タバコ植物が、同等の条件下で生育および加工された場合の、前記対照タバコ植物由来の葉の総アルカロイドレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.25%未満の総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる、請求項1~13のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項15】
前記タバコ植物が、同等の条件下で生育および加工された場合の、前記対照タバコ植物由来の葉の総アルカロイドレベルの40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満の総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる、請求項14に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項16】
前記1つまたは複数の変異アレルが、プロモーター、5’UTR、第1のエクソン、第1のイントロン、第2のエクソン、第2のイントロン、第3のエクソン、3’UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列領域中に変異を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項17】
前記1つまたは複数の変異アレルが、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の変異タイプを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項18】
前記1つまたは複数の変異アレルが、以下:QPTタンパク質切断、翻訳不可能なQPT遺伝子転写物、非機能的なQPTタンパク質、QPT遺伝子中の未成熟終止コドン、およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を結果としてもたらす、請求項1~17のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項19】
前記1つまたは複数の変異アレルが、野生型QPT遺伝子と比べて1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群から選択される変異を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項20】
前記1つまたは複数の変異アレルが、ホモ接合、ヘテロ接合、およびヘテロアレルからなる群から選択される接合状態を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項21】
前記1つまたは複数の変異アレルが、前記QPT遺伝子の少なくとも1つにおいてホモ接合またはヘテロアレルである、請求項1~20のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項22】
前記1つまたは複数の変異アレルが、前記QPT遺伝子の少なくとも3つにおいてホモ接合またはヘテロアレルである、請求項1~20のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項23】
前記1つまたは複数の変異アレルが、前記QPT遺伝子の4つ全てにおいてホモ接合またはヘテロアレルである、請求項1~20のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項24】
前記少なくとも2つのQPT遺伝子が、QPT2aおよびQPT2bである、請求項10に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項25】
前記タバコ植物が、乾燥重量で0.15%未満、0.125%未満、0.1%未満、0.08%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、および0.01%未満からなる群から選択されるニコチンレベルを含む葉を生成することができる、請求項1~24のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項26】
前記タバコ植物が、乾燥重量で1%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、および0.2%未満からなる群から選択される総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる、請求項1~25のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項27】
前記タバコ植物が、2~0.05、1.9~0.05、1.8~0.05、1.7~0.05、1.6~0.05、1.5~0.05、1.4~0.05、1.3~0.05、1.2~0.05、1.1~0.05、1.0~0.05、0.9~0.05、0.8~0.05、0.7~0.05、0.6~0.05、0.5~0.05、0.4~0.05、0.3~0.05、0.2~0.05、0.15~0.05、または0.1~0.05 ppmの総TSNAレベルを含む乾燥葉を生成することができる、請求項1~26のいずれか一項に記載のタバコ植物またはその部分。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載のタバコ植物の集団。
【請求項29】
請求項1~8または10~28のいずれか一項に記載のタバコ植物に由来する、乾燥タバコ材料。
【請求項30】
熱風乾燥、空気乾燥、火力乾燥、および太陽乾燥からなる群から選択される乾燥プロセスによって作製される、請求項29に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項31】
請求項29に記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコブレンド物。
【請求項32】
前記乾燥タバコ材料が、重量で前記タバコブレンド物中の乾燥タバコのおおよそ少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する、請求項31に記載のタバコブレンド物。
【請求項33】
前記乾燥タバコ材料が、体積で前記タバコブレンド物中の乾燥タバコのおおよそ少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する、請求項31に記載のタバコブレンド物。
【請求項34】
請求項29に記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
【請求項35】
シガレット、シガリロ、非通気式リセスフィルターシガレット、通気式リセスフィルターシガレット、シガー、嗅ぎタバコ、パイプタバコ、シガータバコ、シガレットタバコ、噛みタバコ、葉タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群から選択される、請求項34に記載のタバコ製品。
【請求項36】
無煙タバコ製品である、請求項34に記載のタバコ製品。
【請求項37】
前記無煙タバコ製品が、ルーズリーフ噛みタバコ、プラグ噛みタバコ、湿潤嗅ぎタバコ、および鼻嗅ぎタバコからなる群から選択される、請求項36に記載のタバコ製品。
【請求項38】
請求項29に記載の乾燥タバコ材料を含む、再構成タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および配列表の組込み
本出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年10月10日に出願された米国特許仮出願第62/913,357号の優先権を主張する。49,949バイト(MS-Windows(登録商標)において測定)であり、2020年10月9日に作成された「P34736WO00_SL.txt」という名称のファイルに含有される配列表は、本明細書と共に電子的に提出され、参照することによりその全体が組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、アルカロイドおよびニコチンレベルをモジュレートするためのタバコ遺伝子操作を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
ニコチンは、商用タバコ栽培品種において総アルカロイドの90~95%より多くを通常占める、主なアルカロイドである。残りのアルカロイド画分は、主として、3つの追加のアルカロイド:ノルニコチン、アナバシン、およびアナタビンで構成されている。低減したニコチンレベルを有するタバコ植物は、様々なニコチン生合成遺伝子および転写調節因子をモジュレートすることによって、変化しかつ一貫しない結果を伴って達成されている。タバコ葉においてニコチンレベルを低減させる新たな技術について、必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、変化した総アルカロイドおよびニコチンレベルと、商業的に許容される葉グレードとを有するタバコ植物、育種またはトランスジェニックアプローチを介した該タバコ植物の開発、ならびに、該タバコ植物からのタバコ製品の作製を提供する。
【0005】
一局面では、本開示は、QPT1a(g98654)、QPT1b(g82210)、QPT2a(g82211)、およびQPT2b(g98655)からなる群から選択される少なくとも1つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、タバコ植物またはその部分を提供し、該タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、該1つまたは複数の変異アレルを有しない対照タバコ植物由来の葉のニコチンレベル未満のニコチンレベルを含む葉を生成することができる。
【0006】
別の局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも2つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。
【0007】
さらなる局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも3つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。
【0008】
別の局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも4つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。
【0009】
一局面では、本開示は、単一qpt変異体、二重qpt変異体、三重qpt変異体、および四重qpt変異体からなる群から選択されるタバコ植物を提供する。
【0010】
一局面では、本開示は、表11Aおよび11Bに列記されるようなタバコ植物を提供する。別の局面では、本開示は、自殖または表11Aおよび11Bにおける別の植物との交雑のいずれかからの、表11Aおよび11Bにおけるタバコ植物の子孫植物を提供する。
【0011】
別の局面では、本開示は、単一qpt変異体または二重qpt変異体を生じるように表11Aおよび11Bに列記されるqpt変異アレルの様々な組み合わせを含む、タバコ植物を提供する。
【0012】
本開示は、開示されるタバコ植物、株、品種、またはハイブリッドからの植物材料を含む、乾燥タバコ、タバコブレンド物、タバコ製品をさらに提供する。
【0013】
配列の簡単な説明
SEQ ID NO:1~4は、TN90参照ゲノム由来の、それぞれ、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bの例示的なゲノム配列を示す。
【0014】
SEQ ID NO:5~8は、TN90由来の、それぞれ、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bの例示的なcDNA配列を示す。
【0015】
SEQ ID NO:9~12は、TN90由来の、それぞれ、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bの例示的なポリペプチド配列を示す。
【0016】
SEQ ID NO:13は、例となるガイドRNA配列を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】タバコゲノムにおけるQPT遺伝子の遺伝子マップ。
図2】TN90の根における4つのQPT遺伝子のRNA発現。RPKM=100万個のマップされた読み取り当たりの、1キロベースの転写物当たりの読み取り。
図3】断片分析によって同定されるような、ノックアウトインデルを含む候補タバコカルスの図示。上のパネルは、TN90候補カルス#44からのQPT2aおよびQPT2b両方の断片分析結果を示す。下のパネルは、K326候補カルス#139からのQPT2bの断片分析結果を示す。非改変のQPT遺伝子断片は、影付きであり、編集されたQPT遺伝子断片は、影付きで、かつ黒い星で印をつけている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
他に定義されなければ、本明細書において使用される科学技術用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。当業者は、多くの方法を本開示の実施において使用できることを認識する。実際、本開示は、記載される方法および材料に何ら限定されない。本開示の目的で、以下の用語を下記で定義する。
【0019】
例えば、全ての特許および刊行物を含む本明細書において引用されるいずれの参考文献も、参照することによりその全体が組み込まれる。
【0020】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを規定しなければ、複数への言及を含む。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、その混合物を含めて、複数の化合物を含んでもよい。
【0021】
「約」という用語が数値範囲と組み合わせて使用される場合、それは、示される数値より10%上および下に境界を広げることによって、その範囲を加減する。
【0022】
本明細書において使用される場合、「未満」、「より多い」、「少なくとも」、「最大で」、「およそ」、「より下」、「より上」、および「約」などの句は、一連の数値と組み合わせて使用される場合、一連の中のどの数値も修飾する。例えば、「1%、2%、または3%未満」という表現は、「1%未満、2%未満、または3%未満」と等価である。
【0023】
本明細書において使用される場合、タバコ植物は、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)種からの植物を指す。
【0024】
タバコにおけるニコチン生合成は、酵素アスパラギン酸オキシダーゼ1(AO1)および(AO2)によるアスパラギン酸からα-イミノコハク酸への変換を含む。そこから、α-イミノコハク酸は、キノリン酸合成酵素(QS)によってキノリン酸に変換される。次いで、キノリン酸は、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ1(QPT1)およびQPT2によってニコチン酸モノヌクレオチドに変換される。次いで、ニコチン酸モノヌクレオチドは、ニコチンの直接の前駆体としてタバコによって使用され得る。
【0025】
QPT酵素は、酵素分類システム下でEC2.4.2.19として分類される。ニコチアナ・タバカムにおいて、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bと呼ばれる4つの遺伝子が、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼをコードしている。表8Aは、TN90植物におけるこれら4つのQPT遺伝子のゲノムDNA配列、cDNA配列、およびタンパク質配列を列記する。本開示は、QPT遺伝子を編集して、葉の品質を維持しながら低減したニコチンレベルを有するqpt変異体植物を作製するために使用される、組成物および方法を記載する。
【0026】
本明細書において使用される場合、「QPT1a」または「QPT1a遺伝子」は、SEQ ID NO:9に示されるような、TN90における例示的なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするタバコ中の遺伝子座を指す。
【0027】
本明細書において使用される場合、「QPT1b」または「QPT1b遺伝子」は、SEQ ID NO:10に示されるような、TN90における例示的なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするタバコ中の遺伝子座を指す。
【0028】
本明細書において使用される場合、「QPT2a」または「QPT2a遺伝子」は、SEQ ID NO:11に示されるような、TN90における例示的なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするタバコ中の遺伝子座を指す。
【0029】
本明細書において使用される場合、「QPT2b」または「QPT2b遺伝子」は、SEQ ID NO:12に示されるような、TN90における例示的なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするタバコ中の遺伝子座を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、変異は、遺伝子によりコードされる産物の発現または活性を低減する、阻害する、または排除するために遺伝子に導入される、遺伝性の遺伝子改変を指す。そのような改変は、遺伝子の任意の配列領域中、例えば、プロモーター、5’UTR、エクソン、イントロン、3’UTR、またはターミネーター領域中にあり得る。一局面では、変異は、特定のタバコ品種または栽培品種中に存在する天然の多型ではない。本明細書において使用される場合、「変異アレル」は、変異を含む、遺伝子座からのアレルを指す。
【0031】
本明細書において使用される場合、「qpt変異体」は、1つまたは複数のQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異を含むタバコ植物を指す。qpt変異体は、単一変異体、二重変異体、三重変異体、または四重変異体であり得る。本明細書において使用される場合、単一、二重、三重、または四重のqpt変異体は、それぞれ、1つ、2つ、3つ、または4つのQPT遺伝子中に改変を有する変異体を指す。qpt変異体はまた、1つまたは複数のQPT遺伝子におけるホモ接合変異体、ヘテロ接合変異体、またはヘテロアレル変異体の組み合わせであり得る。
【0032】
本明細書において使用される場合、遺伝子名または遺伝子座名は、大文字で表記され、かつイタリック体で示され、例えば、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bである。タンパク質またはポリペプチドの名称は、イタリック体にされずに大文字で表記され、例えば、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bである。変異体名(遺伝子もしくは遺伝子の群中の一般的な変異を参照するか、または特定の変異アレルを参照するかのいずれかについて)は、小文字およびイタリック体で示され、例えば、qpt、qpt1a、qpt1b、qpt2a、およびqpt2bである。
【0033】
一局面では、本開示は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも1つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む、タバコ植物またはその部分を提供し、該タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、該1つまたは複数の変異アレルを有しない対照タバコ植物由来の葉のニコチンレベル未満のニコチンレベルを含む葉を生成することができる。一局面では、単一qpt変異体タバコ植物が提供される。別の局面では、単一qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、単一qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%より少ない、2%より少ない、5%より少ない、8%より少ない、10%より少ない、12%より少ない、15%より少ない、20%より少ない、25%より少ない、30%より少ない、40%より少ない、50%より少ない、60%より少ない、70%より少ない、80%より少ない、90%より少ない、または95%より少ないレベルのニコチンを含む。さらなる局面では、単一qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、単一qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%のレベルのニコチンを含む。
【0034】
別の局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも2つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。一局面では、二重qpt変異体タバコ植物が提供される。別の局面では、二重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、二重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%より少ない、2%より少ない、5%より少ない、8%より少ない、10%より少ない、12%より少ない、15%より少ない、20%より少ない、25%より少ない、30%より少ない、40%より少ない、50%より少ない、60%より少ない、70%より少ない、80%より少ない、90%より少ない、または95%より少ないレベルのニコチンを含む。さらなる局面では、二重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、二重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%のレベルのニコチンを含む。
【0035】
さらなる局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも3つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。一局面では、三重qpt変異体タバコ植物が提供される。別の局面では、三重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、三重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%より少ない、2%より少ない、5%より少ない、8%より少ない、10%より少ない、12%より少ない、15%より少ない、20%より少ない、25%より少ない、30%より少ない、40%より少ない、50%より少ない、60%より少ない、70%より少ない、80%より少ない、90%より少ない、または95%より少ないレベルのニコチンを含む。さらなる局面では、三重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、三重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%のレベルのニコチンを含む。
【0036】
別の局面では、タバコ植物は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2bからなる群から選択される少なくとも4つのQPT遺伝子中に1つまたは複数の変異アレルを含む。一局面では、四重qpt変異体タバコ植物が提供される。別の局面では、四重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、四重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%より少ない、2%より少ない、5%より少ない、8%より少ない、10%より少ない、12%より少ない、15%より少ない、20%より少ない、25%より少ない、30%より少ない、40%より少ない、50%より少ない、60%より少ない、70%より少ない、80%より少ない、90%より少ない、または95%より少ないレベルのニコチンを含む。さらなる局面では、四重qpt変異体タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の、四重qpt変異を有しない対照植物のニコチンレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%のレベルのニコチンを含む。
【0037】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物は、単一qpt変異体、二重qpt変異体、三重qpt変異体、または四重qpt変異体である。別の局面では、タバコ植物は、表11Aおよび11Bに列記される1つまたは複数のqpt変異アレルを含む。表11Aおよび11Bに列記されるqpt変異アレルのどの組み合わせもまた、単一qpt変異体、二重qpt変異体、三重qpt変異体、または四重qpt変異体を生じるために提供される。変異した遺伝子座の各々は、ホモ接合もしくはヘテロ接合のいずれかであり得るか、またはヘテロアレルの組み合わせを含む。別の局面では、タバコ植物は、表11Aおよび11Bに列記される各個々の株について示されるようなqpt変異体遺伝子型の組み合わせを含む。
【0038】
一局面では、タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、対照タバコ植物由来の葉のニコチンレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.25%未満のニコチンレベルを含む葉を生成することができる。別の局面では、タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、対照タバコ植物のニコチンレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%のニコチンレベルを含む葉を生成することができる。
【0039】
別の局面では、タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、対照タバコ植物由来の葉の総アルカロイドレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.25%未満の総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる。別の局面では、タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、対照タバコ植物の総アルカロイドレベルの1%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~95%の総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる。
【0040】
さらなる局面では、タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、対照タバコ植物由来の葉の総アルカロイドレベルの40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満の総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる。
【0041】
一局面では、変異体qptアレルは、プロモーター、5’UTR、第1のエクソン、第1のイントロン、第2のエクソン、第2のイントロン、第3のエクソン、第3のイントロン、第4のエクソン、第4のイントロン、第5のエクソン、第5のイントロン、第6のエクソン、第6のイントロン、第7のエクソン、第7のイントロン、第8のエクソン、3’UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるQPT配列領域中に変異を含む。別の局面では、変異体qptアレルは、表8D、8E、8F、および8Gに列記されるQPTゲノム配列領域中に変異を含む。
【0042】
別の局面では、変異体qptアレルは、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の変異タイプを含む。一局面では、変異体qptアレルは、ヌルアレルまたはノックアウトアレルである。
【0043】
一局面では、変異体qptアレルは、以下:QPTタンパク質切断、翻訳不可能なQPT遺伝子転写物、非機能的なQPTタンパク質、QPT遺伝子中の未成熟終止コドン、およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を結果としてもたらす。
【0044】
別の局面では、変異体qptアレルは、野生型QPT遺伝子と比べて1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群から選択される変異を含む。
【0045】
一局面では、qpt変異体は、ホモ接合、ヘテロ接合、およびヘテロアレルからなる群から選択される接合状態を含む。別の局面では、qpt変異体は、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのQPT遺伝子においてホモ接合またはヘテロアレルである。一局面では、qpt変異体は、少なくとも1つのQPT遺伝子においてホモ接合またはヘテロアレルである。一局面では、qpt変異体は、少なくとも2つのQPT遺伝子においてホモ接合またはヘテロアレルである。一局面では、qpt変異体は、少なくとも3つのQPT遺伝子においてホモ接合またはヘテロアレルである。一局面では、qpt変異体は、少なくとも4つのQPT遺伝子においてホモ接合またはヘテロアレルである。
【0046】
一局面では、qpt変異体は、QPT1a中に少なくとも1つの変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1b中に少なくとも1つの変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT2a中に少なくとも1つの変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT2b中に少なくとも1つの変異を含む。
【0047】
一局面では、qpt変異体は、QPT2aおよびQPT2b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1aおよびQPT1b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1aおよびQPT2a中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1aおよびQPT2b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT2aおよびQPT1b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1bおよびQPT2b中に変異を含む。
【0048】
一局面では、qpt変異体は、QPT1a、QPT1b、およびQPT2a中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1a、QPT1b、およびQPT2b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1a、QPT2a、およびQPT2b中に変異を含む。別の局面では、qpt変異体は、QPT1b、QPT2a、およびQPT2b中に変異を含む。
【0049】
別の局面では、qpt変異体は、QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2b中に変異を含む。
【0050】
一局面では、タバコ植物は、乾燥重量で0.15%未満、0.125%未満、0.1%未満、0.08%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、および0.01%未満からなる群から選択されるニコチンレベルを含む葉を生成することができる。
【0051】
別の局面では、タバコ植物は、乾燥重量で1%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、および0.2%未満からなる群から選択される総アルカロイドレベルを含む葉を生成することができる。
【0052】
さらなる局面では、タバコ植物は、2~0.05、1.9~0.05、1.8~0.05、1.7~0.05、1.6~0.05、1.5~0.05、1.4~0.05、1.3~0.05、1.2~0.05、1.1~0.05、1.0~0.05、0.9~0.05、0.8~0.05、0.7~0.05、0.6~0.05、0.5~0.05、0.4~0.05、0.3~0.05、0.2~0.05、0.15~0.05、または0.1~0.05百万分率(ppm)の総TSNAレベルを含む乾燥葉を生成することができる。
【0053】
一局面では、タバコ植物は、乾燥させた場合に、50またはそれ以上、55またはそれ以上、60またはそれ以上、65またはそれ以上、70またはそれ以上、75またはそれ以上、80またはそれ以上、85またはそれ以上、90またはそれ以上、および95またはそれ以上からなる群から選択されるUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。別の局面では、タバコ植物は、乾燥させた場合に、類似の条件において生育および乾燥させた場合の対照植物のUSDAグレード指数値と同等のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができ、対照植物は、改変を除いて該タバコ植物と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。さらなる局面では、タバコ植物は、乾燥させた場合に、類似の条件において生育させた場合の対照植物のUSDAグレード指数値の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができ、対照植物は、改変を除いて該タバコ植物と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。さらなる局面では、タバコ植物は、乾燥させた場合に、対照植物のUSDAグレード指数値の65%~130%、70%~130%、75%~130%、80%~130%、85%~130%、90%~130%、95%~130%、100%~130%、105%~130%、110%~130%、115%~130%、または120%~130%のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。さらなる局面では、タバコ植物は、乾燥させた場合に、対照植物のUSDAグレード指数値の70%~125%、75%~120%、80%~115%、85%~110%、または90%~100%のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。
【0054】
一局面では、タバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の対照植物のニコチンレベルの1%より少ない、2%より少ない、5%より少ない、8%より少ない、10%より少ない、12%より少ない、15%より少ない、20%より少ない、25%より少ない、30%より少ない、40%より少ない、50%より少ない、60%より少ない、70%より少ない、または80%より少ないレベルのニコチンを含み、対照植物は、改変を除いて該タバコ植物と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
【0055】
さらなる局面では、タバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異アレルを含み、N-メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、ベルベリンブリッジ酵素様(BBL)、A622、アスパラギン酸オキシダーゼ(AO)、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ(DAO)、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、アルギニンデカルボキシラーゼ、ニコチン取り込みパーミアーゼ(NUP)、およびMATE輸送体からなる群から選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を直接抑制する、トランスジーンまたは変異をさらに含む。
【0056】
一局面では、タバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異アレルを含み、Nic2遺伝子座のERF遺伝子中に変異をさらに含む。一局面では、タバコ植物は、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群から選択される、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、または7つ全ての遺伝子中に1つまたはそれ以上の変異をさらに含む。Shoji et al.,Plant Cell,(10):3390-409(2010);およびKajikawa et al.,,Plant physiol.2017,174:999-1011を参照されたい。一局面では、タバコ植物は、ERF189、ERF115、またはその両方中に1つまたは複数の変異をさらに含む。
【0057】
一局面では、タバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異アレルを含み、Nic1遺伝子座(または、WO/2019/140297として公開されている、2019年1月11日に出願されたPCT/US2019/013345におけるようなNic1b遺伝子座)のERF遺伝子中に変異をさらに含む。WO/2018/237107もまた参照されたい。一局面では、タバコ植物は、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群から選択される、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、または7つもしくはそれ以上の遺伝子中に1つまたは複数の変異をさらに含む。Kajikawa et al.,Plant physiol.2017,174:999-1011を参照されたい。一局面では、タバコ植物は、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群から選択される、1つもしくはそれ以上、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、または6つ全ての遺伝子中に1つまたは複数の変異をさらに含む。
【0058】
遺伝子型、環境、受精、および耕種学的実施を含む様々な要因が、タバコアルカロイドレベルに影響を及ぼす(例えば、ニコチン産生は、摘心、傷、および草食動物による損傷によって刺激される)。キューバシガータバコ品種の系統において最初に見出された低アルカロイド形質が、一連の戻し交雑を通じてシガレット品種に導入された。その後、低アルカロイドのタバコ生殖質は、栽培品種Burley21の遺伝的背景に登録された(Legg et al.,Crop Science,10:212(1970))。低アルカロイドBurley21(LA BU21)株を用いた遺伝学的研究により、2つの非連鎖の遺伝子座が、タバコ葉におけるニコチンレベルに寄与することが示された。これらの2つの遺伝子座は、Nic1およびNic2と称される。LA BU21におけるnic1およびnic2(それぞれ、ニコチン1およびニコチン2と同じ)変異は、半優性である。それらは、ニコチンレベルに対して用量依存的な効果を示し、nic1の効果は、nic2の効果よりも約2.4倍強い。Nic2遺伝子座の分子的特徴が、報告されている。nic2変異は、エチレン応答因子(ERF)ファミリー由来の転写因子遺伝子のクラスター、例えば、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168の欠失を含有することが示された(Shoji et al.,Plant Cell,(10):3390-409(2010))。
【0059】
タバコにおいて総アルカロイド含有量を低減することは、多くの利益を有し得る。それは、バイオマス資源としてのタバコの価値を増加させ得る。タバコ植物におけるニコチンアルカロイドの増加は、昆虫および草食動物から植物を保護する上で重要な役割を果たす可能性がある。
【0060】
昆虫防御におけるアルカロイドの役割と一貫して、LA BU21は、昆虫損傷に対して極めて感受性であると報告された(Legg et al.,Crop Science,10:212(1970))。低い総アルカロイドパーセンテージ(およそ0.20%)を有する熱風乾燥タバコの同質遺伝子株をその「正常な」反復親(総アルカロイドは1.85~2.70%)と比較したさらなる研究は、低アルカロイド株における収率、グレード指数、総N、および還元糖含有量が、正常な熱風乾燥栽培品種におけるよりも低かったことを報告した(Chaplin and Weeks,Crop Science,16(3):416-18(1976))。
【0061】
本明細書において使用される場合、タバコの「低アルカロイド品種」は、総アルカロイド(乾燥重量で測定)を、1つまたは複数の遺伝子改変を除いて実質的に類似の遺伝的背景の対照タバコ品種における総アルカロイドレベルの25%未満のレベルまで低減する、1つまたは複数の遺伝子改変を含むタバコ品種を指す。非限定的な例として、KY171が、低アルカロイド品種LA KY171に対する対照として働き得る。
【0062】
一局面では、本開示は、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.025%未満、0.01%未満、および0.005%未満からなる群から選択されるニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む、qpt変異体タバコ植物またはその部分を提供し、該タバコ植物は、乾燥させた場合に、50またはそれ以上、55またはそれ以上、60またはそれ以上、65またはそれ以上、70またはそれ以上、75またはそれ以上、80またはそれ以上、85またはそれ以上、90またはそれ以上、および95またはそれ以上のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。別の局面では、そのようなqpt変異体タバコ植物は、0.02%未満のニコチンレベルを含み、かつ、乾燥させた場合に、70またはそれ以上のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。さらなる局面では、そのようなタバコ植物は、0.01%未満のニコチンレベルを含み、かつ、乾燥させた場合に、70またはそれ以上のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができる。
【0063】
一局面では、本開示はまた、非トランスジェニック変異を含むタバコ植物またはその部分を提供し、該非トランスジェニック変異は、タバコ植物のニコチンまたは総アルカロイドレベルを、類似の生育条件において生育させた場合の対照植物のニコチンレベルの1%より下、2%より下、5%より下、8%より下、10%より下、12%より下、15%より下、20%より下、25%より下、30%より下、40%より下、50%より下、60%より下、70%より下、または80%より下まで低減し、該タバコ植物は、乾燥させた場合に、対照植物のUSDAグレード指数値と同等のUSDAグレード指数値を有する葉を生成することができ、かつ、該対照植物は、非トランスジェニック変異を除いて該タバコ植物と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
【0064】
一局面では、タバコ植物は、ランダム変異誘発および標的指向性変異誘発からなる群から選択されるアプローチにより導入される、qpt変異を含む。別の局面では、qpt変異は、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、およびCRISPRからなる群から選択される標的指向性変異誘発アプローチにより導入される。
【0065】
特に定めない限り、タバコ植物、品種、栽培品種、または株についての本明細書において言及されるアルカロイドもしくはニコチンレベル(もしくは別の葉の化学もしくは特性の特徴)の測定値または葉グレード指数値は、例えば、単一の植物の複数の葉の平均、または単一の品種、栽培品種、もしくは株由来のタバコ植物の集団からの平均測定値を含む、平均測定値を指す。
【0066】
特に定めない限り、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、摘心後に葉番号3、4、および5から収集されたプールされた葉試料において摘心後に測定される。本明細書において使用される場合、2つの植物(例えば、変異体植物 対 対照植物)からの葉の間の比較が言及される時はいつでも、比較が、他の要因からではなく、遺伝子型の違いによる効果を示すことができるように、同じかまたは同等の茎上の位置および発達ステージからの葉が意図される。実例として、野生型対照植物の葉3は、qpt変異体植物の葉3と比較するための参照点として意図される。一局面では、少なくとも1つのqpt変異を含むタバコ植物は、同じタバコ品種の対照タバコ植物と比較される。
【0067】
タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、代替的な方法で測定することもできる。一局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、ニコチンまたはアルカロイド(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)の最も高いレベルを有する葉において摘心後に測定される。一局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベルは、葉番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30において摘心後に測定される。別の局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、葉番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30からなる群から選択される連続する葉番号を有する2つまたはそれ以上の葉のプールにおいて摘心後に測定される。別の局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、1~5、6~10、11~15、16~20、21~25、および26~30からなる群から選択される葉番号を有する葉において摘心後に測定される。別の局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、1~5、6~10、11~15、16~20、21~25、および26~30からなる群から選択される葉番号を有する2つまたはそれ以上の葉のプールにおいて摘心後に測定される。別の局面では、タバコ植物のニコチンまたはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、1~5、6~10、11~15、16~20、21~25、および26~30からなる群から選択される葉番号を有する3つまたはそれ以上の葉のプールにおいて摘心後に測定される。
【0068】
本明細書において使用される場合、葉の番号付けは、タバコの茎上の葉の位置に基づき、葉番号1は、摘心後の最も若い葉(上部)であり、最も高い葉番号は、最も古い葉(下部)に割り当てられる。
【0069】
平均測定値(例えば、アルカロイドもしくはニコチンレベルまたは葉のグレード付け)を決定するためのタバコ植物の集団またはタバコ葉の集合物は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、または50といった任意のサイズであり得る。産業上承認される標準的なプロトコールに従って平均測定値またはグレード指数値が決定される。
【0070】
本明細書において使用される場合、「摘心」は、タバコ植物が栄養成熟に近くかつ生殖生長の開始時期にある時の、茎頂分裂組織、花、および数枚までの隣接する葉を含む、茎の頂部の除去を指す。典型的には、タバコ植物は、つぼみステージ(花が現れ始めた直後)において摘心される。例えば、温室または野外生育のタバコ植物は、50%の植物が少なくとも1つの開いた花を有する時に摘心され得る。タバコ植物の摘心は、頂芽優勢の喪失を結果としてもたらし、かつアルカロイド産生の増大も誘導する。
【0071】
そうではないと示さない限り、タバコ植物のニコチンもしくはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、摘心してから2週間後に測定される。代替として、他の時点を使用することもできる。一局面では、タバコ植物のニコチンもしくはアルカロイドレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、摘心してから約1、約2、約3、約4、または約5週間後に測定される。別の局面では、タバコ植物のニコチン、アルカロイド、もしくはポリアミンレベル(または別の葉の化学もしくは特性の特徴)は、摘心してから約3、約5、約7、約10、約12、約14、約17、約19、または約21日後に測定される。
【0072】
本明細書において使用される場合、「類似の生育条件」または「同等の生育条件」は、生育のためおよび2つまたはそれ以上の植物遺伝子型の間の意味のある比較を行うための類似の環境条件および/または耕種学的実施であって、環境条件および耕種学的実施のいずれも、2つまたはそれ以上の植物遺伝子型の間に観察される任意の差異に寄与せず、かつ該差異の説明とならないような、類似の環境条件および/または耕種学的実施を指す。環境条件としては、例えば、光、温度、水(湿度)、ならびに栄養物(例えば、窒素およびリン)が挙げられる。耕種学的実施としては、例えば、種まき、切取り(clipping)、切落し(undercutting)、移植、摘心、および吸枝が挙げられる。Tobacco,Production,Chemistry and Technology、Davis & Nielsen編、Blackwell Publishing、Oxford(1999)、pp 70-103のChapter 4Bおよび4Cを参照。
【0073】
「アルカロイド」は、植物中に天然に存在する複雑な窒素含有化合物であり、ヒトおよび動物において薬理学的効果を有する。「ニコチン」は、市販のシガレットタバコ中の主要な天然アルカロイドであり、ニコチアナ・タバカム中のアルカロイド含有量の約90パーセントを占める。タバコ中の他の主要なアルカロイドとしては、コチニン、ノルニコチン、ミオスミン、ニコチリン、アナバシン、およびアナタビンが挙げられる。微量のタバコアルカロイドとしては、ニコチン-n-オキシド、N-メチルアナタビン、N-メチルアナバシン、シュードオキシニコチン、2,3ジピリジル、およびその他が挙げられる。
【0074】
アルカロイドレベルは、当技術分野において公知の方法により、例えば、気体-液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ラジオイムノアッセイ、および酵素結合免疫吸着アッセイに基づく定量化により、アッセイされ得る。例えば、ニコチンアルカロイドレベルは、キャピラリーカラムおよびFID検出器を備えた気体-液体クロマトグラフィーを使用する方法のためのCORESTA Recommended Method No.7、1987およびISO規格(ISO TC 126N 394 E.;Hibi et al.、Plant Physiology 100:826-35(1992)も参照)に基づくGC-FID法により測定され得る。
【0075】
特にそうではないと示さない限り、アルカロイドおよびニコチンレベルは、CORESTA Method No 62、Determination of Nicotine in Tobacco and Tobacco Products by Gas Chromatographic Analysis、February 2005による方法、ならびにFederal Register Vol.64、No.55 March 23、1999において刊行(およびVol.74、No.4、January 7、2009において補正)されたCenters for Disease Control and Prevention’s Protocol for Analysis of Nicotine,Total Moisture and pH in Smokeless Tobacco Productsにおいて定義される方法を使用して測定される。代替的に、タバコの総アルカロイドは、Skalar Instrument Co(West Chester、PA)により採用されるようなタバコ試料の分析のために開発され、Collins et al.、Tobacco Science 13:79-81(1969)により記載されているセグメントフロー比色法を使用して測定され得る。簡潔に述べれば、タバコの試料を乾燥させ、粉砕し、抽出した後に、総アルカロイドおよび還元糖の分析を行うことができる。方法では次に、脱色のために酢酸/メタノール/水抽出および木炭が用いられる。総アルカロイドの決定は、有色複合体を形成するための芳香族アミンの存在下でのニコチンアルカロイドとの塩化シアノゲンの反応に基づき、該複合体は460nmにおいて測定される。特に定めない限り、本明細書に示される総アルカロイドレベルまたはニコチンレベルは、乾燥重量(例えば、総アルカロイドのパーセントまたはニコチンのパーセント)に基づく。
【0076】
一局面では、タバコ植物は、乾燥重量に基づいて約0.01%、0.02%、0.05%、0.75%、0.1%、0.15%、0.2%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4%、5%、6%、7%、8%、および9%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。別の局面では、タバコ植物は、乾燥重量に基づいて約0.01%~0.02%、0.02%~0.05%、0.05%~0.75%、0.75%~0.1%、0.1%~0.15%、0.15%~0.2%、0.2%~0.3%、0.3%~0.35%、0.35%~0.4%、0.4%~0.5%、0.5%~0.6%、0.6%~0.7%、0.7%~0.8%、0.8%~0.9%、0.9%~1%、1%~1.1%、1.1%~1.2%、1.2%~1.3%、1.3%~1.4%、1.4%~1.5%、1.5%~1.6%、1.6%~1.7%、1.7%~1.8%、1.8%~1.9%、1.9%~2%、2%~2.1%、2.1%~2.2%、2.2%~2.3%、2.3%~2.4%、2.4%~2.5%、2.5%~2.6%、2.6%~2.7%、2.7%~2.8%、2.8%~2.9%、2.9%~3%、3%~3.1%、3.1%~3.2%、3.2%~3.3%、3.3%~3.4%、3.4%~3.5%、および3.5%~3.6%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。さらなる局面では、タバコ植物は、乾燥重量に基づいて約0.01%~0.1%、0.02%~0.2%、0.03%~0.3%、0.04%~0.4%、0.05%~0.5%、0.75%~1%、0.1%~1.5%、0.15%~2%、0.2%~3%、および0.3%~3.5%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。
【0077】
本開示はまた、他のタバコ形質、例えば、葉グレード指数値に対して負の影響を有さずに変化したニコチンレベルを有するタバコ植物を提供する。一局面では、低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ品種は、商業的に許容されるグレードの乾燥タバコを提供する。タバコグレードは、葉の茎上の位置、葉のサイズ、葉の色、葉の均一性および完全性、熟度、感触、弾性、光沢(葉の呈色の強度および深さ、ならびに輝きに関する)、吸湿性(周囲の水分を吸収および保持するタバコ葉の能力)、ならびに緑色の特徴または色合いが挙げられるがそれに限定されない要因に基づいて評価される。葉グレードは、例えば、Agricultural Marketing Service of the US Department of Agricultureにより刊行されたOfficial Standard Grade(7 U.S.C.§511)を使用して決定され得る。例えば、1990年11月5日(55 F.R.40645)に発効されたOfficial Standard Grades for Burley Tobacco(U.S.Type 31 and Foreign Type 93);1989年3月27日(54 F.R.7925)に発効されたOfficial Standard Grades for Flue-Cured Tobacco(U.S.Types 11,12,13,14 and Foreign Type 92);1965年1月8日(29 F.R.16854)に発効されたOfficial Standard Grades for Pennsylvania Seedleaf Tobacco(U.S.Type 41);1963年12月8日(28 F.R.11719および28 F.R.11926)に発効されたOfficial Standard Grades for Ohio Cigar-Leaf Tobacco(U.S.Types 42,43,and 44);1969年11月20日(34 F.R.17061)に発効されたOfficial Standard Grades for Wisconsin Cigar-Binder Tobacco(U.S.Types 54 and 55);1969年11月20日(34 F.R.17061)に発効されたOfficial Standard Grades for Wisconsin Cigar-Binder Tobacco(U.S.Types 54 and 55);1971年4月に発効されたOfficial Standard Grades for Georgia and Florida Shade-Grown Cigar-Wrapper Tobacco(U.S.Type 62)を参照。USDAグレード指数値は、産業上承認されたグレード指数にしたがって決定され得る。例えば、Bowman et al、Tobacco Science、32:39-40(1988);Legacy Tobacco Document Library(Bates Document #523267826-523267833、July 1、1988、Memorandum on the Proposed Burley Tobacco Grade Index);およびMiller et al.、1990、Tobacco Intern.、192:55-57(全ての以上の参考文献は参照することにより全体が組み込まれる)を参照。一局面では、USDAグレード指数は、受領された連邦政府のグレードの0~100の数値表現であり、全ての茎上の位置の加重平均である。より高いグレード指数はより高い品質を指し示す。代替的に、葉グレードは、ハイパースペクトルイメージングを介して決定され得る。例えば、WO2011/027315(公開日2011年3月10日;参照することにより全体が組み込まれる)を参照。
【0078】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の対照タバコ植物と比較して、類似のレベルの1つまたは複数のタバコ芳香化合物を含む。別の局面では、本明細書において提供されるタバコ植物は、類似の生育条件において生育させた場合の対照タバコ植物と比較して、類似のレベルの、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラブダノイド、センブラノイド、糖エステル、および還元糖からなる群から選択される1つまたは複数のタバコ芳香化合物を含む。
【0079】
本明細書において使用される場合、タバコ芳香化合物は、タバコの煙の風味および芳香と関連付けられる化合物である。これらの化合物としては、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、センブラノイドおよびラブダノイドジテルペン、ならびに糖エステルが挙げられるがそれに限定されない。タバコ芳香化合物の濃度は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、核磁気共鳴分光法、液体クロマトグラフィー連結質量分析が挙げられるがそれに限定されない当技術分野における任意の公知の代謝物プロファイリング方法により測定され得る。The Handbook of Plant Metabolomics、WeckwerthおよびKahl編、(Wiley-Blackwell)(May 28、2013)を参照。
【0080】
本明細書において使用される場合、「還元糖」は、遊離のまたは潜在的に遊離のアルデヒドまたはケトン基を有する任意の糖(単糖または多糖)である。グルコースおよびフルクトースは、煙のpHを低減することおよび「遊離」の非プロトン化ニコチンの量を効果的に低減することにより、シガレットの煙中のニコチン緩衝剤として作用する。還元糖は、例えば、ニコチンおよび他のタバコアルカロイドの知覚的影響を改変することにより、煙の風味の均衡を取る。糖含有量とアルカロイド含有量との逆の関係性が、タバコ品種にわたり、同じ品種内において、および栽培条件により引き起こされる同じ植物株内において報告されている。還元糖レベルは、Skalar Instrument Co(West Chester、PA)により採用されるようなタバコ試料の分析のために開発され、Davis、Tobacco Science 20:139-144(1976)により記載されているセグメントフロー比色法を使用して測定され得る。例えば、試料は、炭酸ナトリウム溶液に対して透析される。銅ネオクプロインが試料に添加され、溶液が加熱される。銅ネオクプロインキレートは糖の存在下で還元されて有色複合体を結果としてもたらし、該複合体は460nmにおいて測定される。
【0081】
一局面では、タバコ植物は、1つまたは複数のQPT遺伝子座からQPT酵素活性を低減または除去する1つまたは複数のQPT遺伝子座における1つまたは複数の天然に存在しない変異アレルを含む。一局面では、これらの変異アレルは、より低いニコチンレベルを結果としてもたらす。変異体qptアレルは、ランダムまたは標的指向性変異誘発アプローチを含む当技術分野において公知の任意の方法により導入され得る。
【0082】
そのような変異誘発方法としては、エチルメチルスルフェート(EMS)(HilderingおよびVerkerk、The use of induced mutations in plant breeding.Pergamon press、pp 317-320、1965)またはUV照射、X線、および高速中性子照射(例えば、Verkerk、Neth.J.Agric.Sci.19:197-203、1971;およびPoehlman、Breeding Field Crops、Van Nostrand Reinhold、New York(3.sup.rd ed)、1987を参照)、トランスポゾンタグ付加(Fedoroff et al.、1984;米国特許第4,732,856号および米国特許第5,013,658号)を用いる種子の処理の他に、T-DNA挿入方法論(Hoekema et al.、1983;米国特許第5,149,645号)が挙げられるがそれに限定されない。EMS誘導変異誘発は、ゲノムの長さにわたりランダムな点変異を化学的に誘導することからなる。高速中性子変異誘発は、種子を中性子衝撃に曝露することからなり、中性子衝撃は二本鎖DNA切断を通じて大きな欠失を引き起こす。トランスポゾンタグ付加は、内因性遺伝子内にトランスポゾンを挿入して遺伝子の発現を低減または除去することを含む。タバコ遺伝子中に存在し得る変異の種類としては、例えば、点変異、欠失、挿入、重複、および逆位が挙げられる。そのような変異は、望ましくは、タバコ遺伝子のコーディング領域中に存在するが、タバコ遺伝子のプロモーター領域、およびイントロン、または非翻訳領域中の変異もまた望ましいことがある。
【0083】
加えて、変性HPLCまたは選択されるPCR産物の選択的なエンドヌクレアーゼ消化を使用する、化学的に誘導される変異のためのスクリーニングの迅速かつ自動化可能な方法、TILLING(Targeting Induced Local Lesions In Genomes)もまた本開示に応用可能である。McCallum et al.(2000)Nat.Biotechnol.18:455-457を参照。遺伝子発現に影響するまたは遺伝子の機能に干渉する変異は、当技術分野において周知の方法を使用して決定され得る。遺伝子エクソン中の挿入変異は、通常、ヌル変異体を結果としてもたらす。保存された残基中の変異は、タンパク質の機能の阻害において特に効果的であり得る。一局面では、タバコ植物は、本明細書に記載の1つまたは複数のQPT遺伝子中のナンセンス(例えば、終止コドン)変異を含む。
【0084】
変異を同定する時、内因性参照DNA配列は、同じ品種のタバコに由来するべきであることが理解されるであろう。例えば、変異を含む改変タバコ植物が品種TN90からである場合には、内因性参照配列は、異なるタバコ品種(例えば、K326)からの相同配列ではなく、内因性TN90配列でなければならない。同様に、変異を含む改変タバコ細胞がTN90細胞である場合には、内因性参照配列は、異なるタバコ品種(例えば、K326)由来のタバコ細胞からの相同配列ではなく、内因性TN90配列でなければならない。
【0085】
一局面では、本開示はまた、商業的に許容される葉品質を維持しながら変化したニコチンレベルを有するタバコ株を提供する。この株は、精密なゲノム操作技術、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、およびclustered regularly-interspaced short palindromic repeats(CRISPR)/Cas9システム、CRISPR/Cpf1システム、CRISPR/Csm1システム、およびそれらの組み合わせを介して1つまたは複数のQPT遺伝子中に変異を導入することにより産生され得る(例えば、米国特許出願公開第2017/0233756号を参照)。例えば、Gaj et al.、Trends in Biotechnology、31(7):397-405(2013)を参照。
【0086】
変異誘発されたタバコ植物のスクリーニングおよび選択は、当業者に公知の任意の方法論を介してもよい。スクリーニングおよび選択の方法論の例としては、サザン解析、ポリヌクレオチドの検出のためのPCR増幅、ノーザンブロット、RNase保護、プライマー伸長、RNA転写物の検出のためのRT-PCR増幅、サンガーシークエンシング、次世代シークエンシング技術(例えば、Illumina、PacBio、Ion Torrent、454)、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの酵素またはリボザイム活性の検出のための酵素アッセイ、ならびにポリペプチドを検出するためのタンパク質ゲル電気泳動、ウエスタンブロット、免疫沈降、および酵素結合イムノアッセイが挙げられるがそれに限定されない。インサイチューハイブリダイゼーション、酵素染色、および免疫染色などの他の技術もまた、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの存在または発現を検出するために使用され得る。参照される全ての技術を行うための方法は公知である。
【0087】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物または植物ゲノムは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、CRISPR/Cpf1ヌクレアーゼ、またはCRISPR/Csm1ヌクレアーゼからなる群から選択されるヌクレアーゼにより変異誘発または編集される。
【0088】
本明細書において使用される場合、「編集」または「ゲノム編集」は、内因性の植物ゲノム核酸配列の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、もしくは少なくとも10ヌクレオチドの標的指向性変異誘発、または内因性の植物ゲノム核酸配列の除去もしくは置換を指す。一局面では、提供される編集された核酸配列は、内因性核酸配列と少なくとも99.9%、少なくとも99.5%、少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、または少なくとも75%の配列同一性を有する。一局面では、提供される編集された核酸配列は、SEQ ID NO:1~8およびその断片からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも99.9%、少なくとも99.5%、少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、または少なくとも75%の配列同一性を有する。別の局面では、提供される編集された核酸配列は、SEQ ID NO:9~12からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも99.9%、少なくとも99.5%、少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、または少なくとも75%の配列同一性を有する。
【0089】
メガヌクレアーゼ、ZFN、TALEN、CRISPR/Cas9、CRISPR/Csm1およびCRISPR/Cpf1は、ゲノム配列の標的部位において二本鎖DNA切断を誘導し、それは次に、相同組換え(HR)または非相同末端結合(NHEJ)の天然のプロセスにより修復される。次に、切断された部位において配列改変が行われ、それは、NHEJの場合に遺伝子破壊を結果としてもたらす欠失もしくは挿入、またはHRによるドナー核酸配列の組込みを含み得る。一局面では、提供される方法は、提供されるヌクレアーゼを用いて植物ゲノムを編集して、ドナーポリヌクレオチドを用いるHRを介して植物ゲノム中の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10ヌクレオチド、または10ヌクレオチド超を変異させる工程を含む。一局面では、提供される変異は、ヌクレアーゼを使用するゲノム編集により引き起こされる。別の局面では、提供される変異は、非相同末端結合または相同組換えにより引き起こされる。
【0090】
一般的に微生物において同定されるメガヌクレアーゼは、標的DNAの部位特異的な消化を結果としてもたらす高い活性および長い認識配列(>14bp)を有する特有の酵素である。天然に存在するメガヌクレアーゼの操作型は、典型的には、伸長されたDNA認識配列(例えば、14~40bp)を有する。メガヌクレアーゼの操作は、ZFNおよびTALENの操作より困難であり得、その理由は、メガヌクレアーゼのDNA認識と切断機能が単一ドメインにおいて絡み合っているからである。特有の配列を認識しかつ向上したヌクレアーゼ活性を有する新規のメガヌクレアーゼバリアントを作製するために変異誘発およびハイスループットスクリーニングの特別の方法が使用されている。
【0091】
ZFNは、FokI制限エンドヌクレアーゼの切断ドメインに融合した操作されたジンクフィンガーDNA結合ドメインからなる合成タンパク質である。ZFNは、ジンクフィンガーDNA結合ドメインの改変のために二本鎖DNAの任意の長さと言ってよい長さのストレッチを切断するように設計され得る。ZFNは、標的DNA配列に結合するように操作されたジンクフィンガーアレイに融合したFokIエンドヌクレアーゼの非特異的なDNA切断ドメインから構成される単量体から二量体を形成する。
【0092】
ZFNのDNA結合ドメインは、典型的には、3~4個のジンクフィンガーアレイから構成される。標的DNAへの部位特異的な結合に寄与するジンクフィンガ∞-ヘリックスの開始に対して-1、+2、+3、および+6の位置のアミノ酸を変更およびカスタマイズして、特定の標的配列に適合させることができる。他のアミノ酸はコンセンサス骨格を形成して、異なる配列特異性を有するZFNを生成する。ZFN用の標的配列を選択するための規則は当技術分野において公知である。
【0093】
FokIヌクレアーゼドメインは、DNAを切断するために二量体化を必要とし、したがって、C末端領域を有する2つのZFNは、切断部位の対向するDNA鎖(5~7bpだけ分離されている)に結合することが必要とされる。2-ZF-結合部位がパリンドロームの場合、ZFN単量体は標的部位を切断することができる。ZFNという用語は、本明細書において使用される場合、広義のものであり、別のZFNからの補助なしで二本鎖DNAを切断できる単量体ZFNを含む。ZFNという用語はまた、同じ部位においてDNAを切断するために一緒に働くように操作された一対のZFNの1つまたは両方のメンバーを指すために使用される。
【0094】
いかなる科学理論によっても限定されないが、ジンクフィンガードメインのDNA結合特異性は様々な方法の1つを使用して原理的に再操作され得るので、カスタマイズされたZFNは理論的に、ほぼすべての遺伝子配列を標的指向するように構築され得る。ジンクフィンガードメインを操作するための公開されている方法としては、Context-dependent Assembly(CoDA)、Oligomerized Pool Engineering(OPEN)、およびModular Assemblyが挙げられる。
【0095】
TALENは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)DNA結合ドメインをFokIヌクレアーゼドメインに融合させることにより生成される人工的な制限酵素である。TALENペアの各メンバーが標的部位に隣接するDNA部位に結合する場合、FokI単量体は二量体化して標的部位において二本鎖DNA切断を引き起こす。TALENという用語は、本明細書において使用される場合、広義のものであり、別のTALENの補助なしで二本鎖DNAを切断できる単量体TALENを含む。TALENという用語はまた、同じ部位においてDNAを切断するために一緒に働く一対のTALENの1つまたは両方のメンバーを指すために使用される。
【0096】
転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、実際的に任意のDNA配列に結合するように操作され得る。TALEタンパク質は、キサントモナス(Xanthomonas)属の様々な植物細菌性病原体に由来するDNA結合ドメインである。キサントモナス病原体は、感染の間に宿主植物細胞中にTALEを分泌する。TALEは核に移動し、そこで宿主ゲノム中の特定の遺伝子のプロモーター領域中の特定のDNA配列のプロモーター領域中の特定のDNA配列を認識してそれに結合する。TALEは、33~34アミノ酸の13~28個のリピートモノマーから構成される中心のDNA結合ドメインを有する。各単量体のアミノ酸は、位置12および13における超可変アミノ酸残基を除いて高度に保存されている。2つの可変アミノ酸は反復可変二残基(RVD)と呼ばれる。RVDのアミノ酸ペアNI、NG、HD、およびNNはそれぞれ、アデニン、チミン、シトシン、およびグアニン/アデニンを優先的に認識し、RVDのモジュレーションは、連続するDNA塩基を認識することができる。アミノ酸配列とDNA認識とのこの単純な関係性は、適切なRVDを含有するリピートセグメントの組み合わせを選択することによる特定のDNA結合ドメインの操作を可能とした。
【0097】
野生型FokI切断ドメインの他に、変異を有するFokI切断ドメインのバリアントが、切断特異性および切断活性を向上させるために設計されている。FokIドメインは二量体として機能し、適切な配向および空間的配置を有する標的ゲノム中の部位のための特有のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALEN DNA結合ドメインとFokI切断ドメインとの間のアミノ酸残基の数および2つの個々のTALEN結合部位の間の塩基数の両方は、高レベルの活性を達成するためのパラメータである。
【0098】
TALE結合ドメインのアミノ酸配列とDNA認識との関係性は、設計可能なタンパク質を可能とする。DNA Worksなどのソフトウェアプログラムを使用してTALE構築物を設計することができる。TALE構築物を設計する他の方法は当業者に公知である。Doyle et al,、Nucleic Acids Research(2012)40:W117-122.;Cermak et al.、Nucleic Acids Research(2011).39:e82;およびtale-nt.cac.cornell.edu/aboutを参照。
【0099】
CRISPR/Cas9システム、CRISPR/Csm1、またはCRISPR/Cpf1システムは、FokIベースの方法のZFNおよびTALENの代替である。CRISPRシステムは、標的部位におけるDNA配列を認識するために相補的塩基対形成を使用するRNAガイド操作型ヌクレアーゼに基づく。
【0100】
CRISPR/Cas9、CRISPR/Csm1、およびCRISPR/Cpf1システムは、細菌および古細菌の適応免疫系の部分であり、配列依存的な方式で外来DNAを切断することによりウイルスなどの侵入性核酸からそれらを保護する。免疫は、CRISPR遺伝子座の近位末端における2つの隣接リピートの間のスペーサーとして公知の侵入性DNAの短い断片の組込みにより獲得される。スペーサーを含むCRISPRアレイは、侵入性DNAとのその後の遭遇の間に転写され、約40ntの長さの低分子干渉CRISPR RNA(crRNA)にプロセシングされ、crRNAはトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)と合わさってCas9ヌクレアーゼを活性化およびガイドする。これは侵入性DNA中のプロトスペーサーとして公知の相同的二本鎖DNA配列を切断する。切断のための必要条件は、標的DNAの下流の保存されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の存在であり、これは通常、配列5-NGG-3、より低い頻度でNAGを有する。特異性は、PAMの約12塩基上流のいわゆる「シード配列」により提供され、これはRNAと標的DNAとの間でマッチしなければならない。Cpf1およびCsm1はCas9と類似の方式で作用するが、Cpf1およびCsm1はtracrRNAを必要とする。
【0101】
さらに別の局面では、本明細書に提供されるタバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異を含み、かつニコチンデメチラーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子座中の1つまたは複数の変異を欠いた対照植物と比較して、低減した量のノルニコチンを付与するニコチンデメチラーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子座中の1つまたは複数の変異(例えば、CYP82E4、CYP82E5、CYP82E10)をさらに含む(米国特許第8,319,011号、同第8,124,851号、同第9,187,759号、同第9,228,194号、同第9,228,195号、同第9,247,706号を参照)。一局面では、記載されるタバコ植物は、同等の条件下で生育および乾燥させた場合の対照植物と比較して低減したニコチンデメチラーゼ活性をさらに含む。
【0102】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、野生型対照タバコ植物由来の葉のアナバシンレベル未満のアナバシンレベルを含む葉を生成することができる、変異をさらに含む。別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、野生型対照タバコ植物由来の葉のアナバシンレベルの5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%未満のアナバシンレベルを含む葉を生成することができる、変異をさらに含む。
【0103】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の対照タバコ植物からの葉と比較して、2倍より大きいアナタビンレベルの低減を含む葉を生成することができる、さらなる変異を含む。別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の野生型対照タバコ植物からの葉と比較して、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、または13倍より大きいアナタビンレベルの低減を含む葉を生成することができる、さらなる変異を含む。一局面では、より低いレベルのアナタビンを提供する変異は、米国特許出願公開第2014/0283165号および米国特許出願公開第2016/0010103号に記載されている変異である。別の局面では、qpt変異体は、PMT遺伝子中に変異をさらに含む。さらなる局面では、qpt変異体植物は、PMT遺伝子の発現または活性を抑制するトランスジーンまたは変異をさらに含む。
【0104】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、同等の条件下で生育および加工された場合の、野生型対照タバコ植物由来の葉のノルニコチンレベルの80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、または35%未満のノルニコチンレベルを提供することができる、変異をさらに含む。
【0105】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.0未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、0.15未満、0.1未満、または0.05未満のppmの総N-ニトロソノルニコチン(NNN)レベルを含む、乾燥葉を生成することができる。
【0106】
別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、2~0.05、1.9~0.05、1.8~0.05、1.7~0.05、1.6~0.05、1.5~0.05、1.4~0.05、1.3~0.05、1.2~0.05、1.1~0.05、1.0~0.05、0.9~0.05、0.8~0.05、0.7~0.05、0.6~0.05、0.5~0.05、0.4~0.05、0.3~0.05、0.2~0.05、0.15~0.05、または0.1~0.05 ppmの総NNNレベルを含む、乾燥葉を生成することができる。
【0107】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.0未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、0.15未満、0.1未満、または0.05未満のppmの総ニコチン由来ニトロソアミンケトン(NNK)レベルを含む、乾燥葉を生成することができる。
【0108】
別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、2~0.05、1.9~0.05、1.8~0.05、1.7~0.05、1.6~0.05、1.5~0.05、1.4~0.05、1.3~0.05、1.2~0.05、1.1~0.05、1.0~0.05、0.9~0.05、0.8~0.05、0.7~0.05、0.6~0.05、0.5~0.05、0.4~0.05、0.3~0.05、0.2~0.05、0.15~0.05、または0.1~0.05 ppmの総NNKレベルを含む、乾燥葉を生成することができる。
【0109】
一局面では、qpt変異体タバコ植物は、増加したレベルの1つまたは複数の酸化防止剤を提供する、変異またはトランスジーンをさらに含む。別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、内因性遺伝子中に遺伝子改変をさらに含み、かつ、該遺伝子改変を欠いた対照乾燥タバコ葉と比較して、乾燥葉において増加したレベルの1つまたは複数の酸化防止剤をさらに含み、該内因性遺伝子は、酸化防止剤生合成酵素、酸化防止剤の調節性転写因子、酸化防止剤輸送体、酸化防止剤代謝酵素、またはそれらの組み合わせをコードする。さらなる局面では、qpt変異体タバコ植物は、トランスジーンをさらに含み、かつ、該トランスジーンを欠いた対照乾燥タバコ葉と比較して、乾燥葉において増加したレベルの1つまたは複数の酸化防止剤をさらに含み、該トランスジーンは、酸化防止剤生合成酵素、酸化防止剤の調節性転写因子、酸化防止剤輸送体、酸化防止剤代謝酵素、またはそれらの組み合わせをコードするか、または直接モジュレートする。一局面では、qpt変異体タバコ植物は、AtPAP1、NtAN2、NtAN1、NtJAF13、NtMyb3、コリスミ酸ムターゼ、およびアロゲン酸デヒドラターゼ(ADT)からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子を発現する、トランスジーンまたはシスジェニック構築物をさらに含む。別の局面では、qpt変異体タバコ植物は、WIPO公開第2018/067985号または米国特許出願公開第2018/0119163号に記載されているように、酸化防止剤を増加させるか、または1つもしくは複数のTSNAを減少させるための、1つまたは複数のトランスジーンまたは遺伝子改変をさらに含む。
【0110】
一局面では、記載されるタバコ植物は、改変されたタバコ植物である。本明細書において使用される場合、植物の文脈における「改変された」は、ある特定の目的で導入される、かつ天然の多型を超えた遺伝学的変更を含む植物を指す。
【0111】
一局面では、記載されるタバコ植物はシスジェニック植物である。本明細書において使用される場合、「シスジェネシス」または「シスジェニック」は、全ての成分(例えば、プロモーター、ドナー核酸、選択遺伝子)が植物のみを起源とする(すなわち、非植物起源の成分は使用されない)植物、植物細胞、または植物ゲノムの遺伝子改変を指す。一局面では、提供される植物、植物細胞、または植物ゲノムはシスジェニックである。提供されるシスジェニック植物、植物細胞、および植物ゲノムは、使用準備済みのタバコ株に繋がり得る。別の局面では、提供されるタバコ植物は、非タバコの遺伝材料および配列のいずれも含まない。
【0112】
本明細書において使用される場合、「遺伝子発現」または遺伝子の発現は、遺伝子産物の転写および/または翻訳を含む、遺伝子産物の生合成または産生を指す。
【0113】
一局面では、提供されるタバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異を含み、かつニコチン生合成または輸送に関与する1つまたは複数の遺伝子の発現または活性の低減をさらに含む。ニコチン生合成に関与する遺伝子としては、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニル酸イソメラーゼ(PRAI)、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、およびS-アデノシル-メチオニンシンセターゼ(SAMS)が挙げられるがそれに限定されない。ニコチン酸誘導体とメチルピロリニウム陽イオンとの縮合段階を触媒するニコチンシンターゼは解明されていないが、2つの候補遺伝子(A622およびNBB1)が提唱されている。US2007/0240728A1およびUS2008/0120737A1を参照。A622はイソフラボンレダクターゼ様タンパク質をコードする。加えて、いくつかの輸送体がニコチンの移行に関与し得る。MATEと命名された輸送体遺伝子がクローニングおよび特徴決定されている(Morita et al.、PNAS 106:2447-52(2009))。
【0114】
一局面では、提供されるタバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異を含み、かつ対照タバコ植物と比較して、MPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、およびNBB1からなる群から選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の低減したレベルのmRNA、タンパク質、または両方をさらに含む。別の局面では、提供されるタバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異を含み、かつMPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、およびNBB1からなる群から選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現を直接的に抑制するトランスジーンをさらに含む。別の局面では、提供されるタバコ植物は、1つまたは複数のqpt変異を含み、かつMPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、およびNBB1からなる群から選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を抑制するトランスジーンまたは変異をさらに含む。
【0115】
一局面では、提供されるタバコ植物は、熱風乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、暗色空気乾燥タバコ、暗色火力乾燥タバコ、Galpaoタバコ、およびOrientalタバコからなる群から選択されるタバコ種からのものである。別の局面では、提供されるタバコ植物は、Burleyタバコ、Marylandタバコ、およびダークタバコからなる群から選択されるタバコ種からのものである。
【0116】
熱風乾燥タバコ(Virginiaまたは「ブライト」タバコとも呼ばれる)は、世界のタバコ生産のおよそ40%を占める。熱風乾燥タバコは、乾燥の間に達するゴールデンイエローからディープオレンジの色のため、多くの場合に「ブライトタバコ」とも称される。熱風乾燥タバコは、軽い、鮮烈な芳香および味を有する。熱風乾燥タバコは、概して、糖分が高くかつ油分が低い。主要な熱風乾燥タバコ生育国は、アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、タンザニア、および米国である。一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表1に列記される品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択される、熱風乾燥タバコ品種のものである。WO 2004/041006 A1を参照されたい。さらなる局面では、本明細書において提供される改変タバコ植物または種子は、K326、K346、およびNC196からなる群から選択される熱風乾燥タバコ品種におけるものである。
【0117】
(表1)熱風乾燥タバコ品種
【0118】
空気乾燥タバコとしては、「Burley」、「Maryland」、および「ダーク」タバコが挙げられる。空気乾燥タバコを結びつける共通の因子は、乾燥が主として、熱および湿度の人工的な供給源なしで行われることである。Burleyタバコは、ライトブラウンからダークブラウンの色であり、油分が高く、かつ糖分が低い。Burleyタバコは、典型的には、納屋の中で空気乾燥される。主要なBurley生育国としては、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、マラウイ、および米国が挙げられる。
【0119】
Marylandタバコは、極めてふっくらしており、良好な燃焼特性、低いニコチン、および中立的な芳香を有する。主要なMaryland生育国としては、米国およびイタリアが挙げられる。
【0120】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表2に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択される、Burleyタバコ品種のものである。さらなる局面では、本明細書において提供される改変タバコ植物または種子は、TN 90、KT 209、KT 206、KT212、およびHB 4488からなる群から選択されるBurley品種におけるものである。
【0121】
(表2)Burleyタバコ品種
【0122】
別の局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表3に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択される、Marylandタバコ品種のものである。
【0123】
(表3)Marylandタバコ品種
【0124】
暗色空気乾燥タバコは、主として、暗色空気乾燥タバコにミディアムブラウンからダークブラウンの色および独特の芳香を与えるその乾燥プロセスにより、他のタバコタイプから区別される。暗色空気乾燥タバコは主に、噛みタバコおよび嗅ぎタバコの産生において使用される。一局面では、本明細書において提供される改変タバコ植物または種子は、Sumatra、Jatim、Dominican Cubano、Besuki、One sucker、Green River、Virginia太陽乾燥種、およびParaguan Passado、ならびに前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択される、暗色空気乾燥タバコ品種のものである。
【0125】
暗色火力乾燥タバコは、概して、閉鎖乾燥納屋の床上で低燃木の火を用いて乾燥される。暗色火力乾燥タバコは、典型的には、パイプブレンド物、シガレット、噛みタバコ、嗅ぎタバコ、および強い味のシガーを作製するために使用される。暗色火力乾燥タバコの主要な生育地域は、米国におけるテネシー、ケンタッキー、およびバージニアである。一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表4に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択される暗色火力乾燥タバコ品種のものである。
【0126】
(表4)暗色火力乾燥タバコ品種
【0127】
Orientalタバコは、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、マケドニア、シリア、レバノン、イタリア、およびルーマニアなどの東地中海地域において典型的に生育されるという事実に起因して、ギリシャ、アロマ、およびトルコタバコとも称される。Orientalタバコ品種の小さい植物サイズ、小さい葉サイズ、および特有の芳香特性は、それらが発達してきた乏しい土壌およびストレスが多い気候の条件へのそれらの適合の結果である。一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表5に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択されるOrientalタバコ品種のものである。
【0128】
(表5)Orientalタバコ品種
【0129】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表6に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択されるシガータバコ品種のものである。
【0130】
(表6)シガータバコ品種
【0131】
一局面では、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変タバコ植物もしくは種子は、表7に列記されるタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群から選択されるタバコ品種のものである。
【0132】
(表7)他のタバコ品種
【0133】
一局面では、タバコ植物、種子、または細胞は、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に列記されるタバコ品種からなる群から選択される品種に由来する。
【0134】
一局面では、低アルカロイドまたは低ニコチンのタバコ植物、種子、ハイブリッド、品種、または株は、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に列記されるタバコ品種からなる群から選択される品種に本質的に由来するか、またはその遺伝的背景である。
【0135】
熱風乾燥、暗色空気乾燥、Burley、Maryland、暗色火力乾燥、シガー、またはOriental種の全ての上記の特定の品種は、例示的な目的のためにのみ列記されている。任意の追加の熱風乾燥、暗色空気乾燥、Burley、Maryland、暗色火力乾燥、シガー、またはOriental品種もまた本出願において想定される。
【0136】
記載されるタバコ植物の集団もまた提供される。一局面では、タバコ植物の集団は、1エーカー当たり約5,000~約8000、約5,000~約7,600、約5,000~約7,200、約5,000~約6,800、約5,000~約6,400、約5,000~約6,000、約5,000~約5,600、約5,000~約5,200、約5,200~約8,000、約5,600~約8,000、約6,000~約8,000、約6,400~約8,000、約6,800~約8,000、約7,200~約8,000、または約7,600~約8,000個の植物の栽植密度を有する。別の局面では、タバコ植物の集団は、低い~中程度の肥沃度を有する土壌型において存在する。
【0137】
記載されるタバコ植物からの種子の容器もまた提供される。本開示のタバコ種子の容器は、任意の数、重量、または体積の種子を含有してもよい。例えば、容器は、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1500、少なくとも約2000、少なくとも約2500、少なくとも約3000、少なくとも約3500、少なくとも約4000、もしくはそれ以上、または約100より多い、約200より多い、約300より多い、約400より多い、約500より多い、約600より多い、約700より多い、約800より多い、約900より多い、約1000より多い、約1500より多い、約2000より多い、約2500より多い、約3000より多い、約3500より多い、約4000個より多い、もしくはそれ以上の種子を含有し得る。代替的に、容器は、少なくとも約1オンス、少なくとも約5オンス、少なくとも約10オンス、少なくとも約1ポンド、少なくとも約2ポンド、少なくとも約3ポンド、少なくとも約4ポンド、少なくとも約5ポンド、もしくはそれ以上、または約1オンスより多い、約5オンスより多い、約10オンスより多い、約1ポンドより多い、約2ポンドより多い、約3ポンドより多い、約4ポンドより多い、約5ポンドより多い、もしくはそれ以上の種子を含有し得る。タバコ種子の容器は、当技術分野において利用可能な任意の容器であってもよい。非限定的な例として、容器は、箱、バッグ、小包、ポーチ、テープロール、チューブ、またはボトルであってもよい。
【0138】
記載される低アルカロイドまたは低ニコチンのタバコ植物から作製された乾燥タバコ材料もまた提供される。より高いレベルの総アルカロイドまたはニコチンを有する記載されるタバコ植物から作製された乾燥タバコ材料がさらに提供される。
【0139】
「乾燥」は、水分を低減し、かつ、タバコ葉に黄金色を与えかつそれによりデンプンが糖に変換されるクロロフィルの分解をもたらす熟成プロセスである。乾燥タバコは、したがって、収穫された緑色の葉と比較してより高い還元糖含有量およびより低いデンプン含有量を有する。一局面では、提供される緑色の葉のタバコは、従来の手段、例えば、熱風乾燥、納屋乾燥、火力乾燥、空気乾燥、または太陽乾燥を使用して乾燥され得る。例えば、異なる種類の乾燥方法の説明のために、Tso(1999、Chapter 1、Tobacco,Production,Chemistry and Technology、Davis & Nielsen編、Blackwell Publishing、Oxford)を参照。乾燥タバコは、通常、10%~約25%の範囲内の水分含有量において数年(例えば、2~5年)にわたり圧縮条件において木製ドラム(例えば、大だる)または段ボール箱中で熟成される。米国特許第4,516,590号および同第5,372,149号を参照。乾燥および熟成されたタバコは次にさらに加工され得る。さらなる加工としては、様々な温度での蒸気の導入ありまたはなしでの真空下でのタバコのコンディショニング、低温殺菌、および発酵が挙げられる。発酵は、典型的には、高い初期水分含有量、熱生成、および乾燥重量の10~20%の損失により特徴付けられる。例えば、米国特許第4,528,993号、同第4,660,577号、同第4,848,373号、同第5,372,149号;米国特許出願公開第2005/0178398号;およびTso(1999、Chapter 1、Tobacco,Production,Chemistry and Technology、Davis & Nielsen編、Blackwell Publishing、Oxford)を参照。乾燥、熟成、および発酵されたタバコはさらに加工(例えば、切断、細断、膨化、またはブレンド)され得る。例えば、米国特許第4,528,993号、同第4,660,577号、および同第4,987,907号を参照。一局面では、本開示の乾燥タバコ材料は太陽乾燥されている。別の局面では、本開示の乾燥タバコ材料は、熱風乾燥、空気乾燥、または火力乾燥されている。
【0140】
本開示のタバコ株、品種またはハイブリッドから得られるタバコ材料は、タバコ製品を作製するために使用され得る。本明細書において使用される場合、「タバコ製品」は、ヒトでの使用または消費が意図されるタバコから作製または派生された任意の製品として定義される。
【0141】
提供されるタバコ製品としては、シガレット製品(例えば、シガレットおよびビディシガレット)、シガー製品(例えば、葉巻タバコ(cigar wrapping tobacco)およびシガリロ)、パイプタバコ製品、タバコに由来する製品、タバコ由来ニコチン製品、無煙タバコ製品(例えば、湿潤嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、および噛みタバコ)、フィルム、チュワブル、タブ、成形部分、ゲル、消費可能単位、不溶性マトリックス、中空形状、再構成タバコ、ならびに膨化タバコなどが挙げられるがそれに限定されない。例えば、米国特許出願公開第US2006/0191548号を参照。
【0142】
本明細書において使用される場合、「シガレット」は、「ロッド」および「フィラー」を有するタバコ製品を指す。シガレット「ロッド」は、シガレットペーパー、フィルター、プラグラップ(フィルター材料を含有するために使用される)、シガレットペーパー(フィラーを含む)をフィルターに保持するチップペーパー、およびこれらの成分を一緒に保持する全ての接着剤を含む。「フィラー」としては、(1)再構成タバコおよび膨化タバコが挙げられるがそれに限定されない全てのタバコ、(2)非タバコ代用品(シガレットペーパー内に巻かれたタバコを伴ってもよいハーブ、非タバコ植物材料および他のスパイスが挙げられるがそれに限定されない)、(3)ケーシング、(4)風味物質、ならびに(5)全ての他の添加物(タバコおよび代用品に混合され、シガレット中に巻かれる)が挙げられる。
【0143】
本明細書において使用される場合、「再構成タバコ」は、シート形態に加工され、かつタバコに似せるように細片に切断された、タバコ塵および他のタバコ屑材料から作製されたタバコフィラーの部分を指す。コストの節約に加えて、再構成タバコは、アンモニアと糖との反応を使用する風味発生の加工からシガレットの味に対するその寄与のために非常に重要である。
【0144】
本明細書において使用される場合、「膨化タバコ」は、タバコが「膨らむ」ように好適な気体の膨張を通じて加工されて、低減された密度およびより大きい充填能力を結果としてもたらすタバコフィラーの部分を指す。それは、シガレットにおいて使用されるタバコの重量を低減する。
【0145】
本開示の植物に由来するタバコ製品としてはまた、シガレットと、特にフィルター要素を含む、他の喫煙物品とが挙げられ、喫煙可能材料のロッドがタバコブレンド物内に乾燥タバコを含む。一局面では、本開示のタバコ製品は、シガリロ、非通気式リセスフィルターシガレット、通気式リセスフィルターシガレット、シガー、嗅ぎタバコ、パイプタバコ、シガータバコ、シガレットタバコ、噛みタバコ、葉タバコ、水タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群から選択される。別の局面では、本開示のタバコ製品は無煙タバコ製品である。無煙タバコ製品は燃焼されず、噛みタバコ、湿潤無煙タバコ、スヌース、および乾燥嗅ぎタバコが挙げられるがそれに限定されない。噛みタバコは、典型的には大きいパウチ様パッケージ中に包装されてプラグまたはツイストにおいて使用される粗く分割されたタバコ葉である。湿潤無煙タバコは、ルース(loose)形態またはパウチ形態において提供される湿潤の、より微細に分割されたタバコであり、典型的には、丸缶中に包装され、成人タバコ消費者の頬と歯肉との間に置かれるピンチとしてまたはパウチ中で使用される。スヌースは、熱処理される無煙タバコである。乾燥嗅ぎタバコは、口の中に置かれるかまたは経鼻的に使用される微細に粉砕されたタバコである。さらなる局面では、本開示のタバコ製品は、ルーズリーフ噛みタバコ、プラグ噛みタバコ、湿潤嗅ぎタバコ、および鼻嗅ぎタバコからなる群から選択される。さらに別の局面では、本開示のタバコ製品は、電子加熱シガレット、e-シガレット、電子的気化デバイスからなる群から選択される。
【0146】
一局面では、本開示のタバコ製品は、ブレンドされたタバコ製品であり得る。別の局面では、本開示のタバコ製品は低ニコチンタバコ製品であり得る。さらなる局面では、本開示のタバコ製品は、約3mg/g未満のレベルのノルニコチンを含んでもよい。例えば、そのような製品中のノルニコチン含有量は、3.0mg/g、2.5mg/g、2.0mg/g、1.5mg/g、1.0mg/g、750μg/g、500pg/g、250pg/g、100pg/g、75pg/g、50pg/g、25pg/g、10pg/g、7.0pg/g、5.0pg/g、4.0pg/g、2.0pg/g、1.0pg/g、0.5pg/g、0.4pg/g、0.2pg/g、0.1pg/g、0.05pg/g、0.01pg/g、または検出不可能であり得る。
【0147】
一局面では、提供される乾燥タバコ材料またはタバコ製品は、乾燥重量に基づいて約0.01%、0.02%、0.05%、0.75%、0.1%、0.15%、0.2%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4%、5%、6%、7%、8%、および9%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。別の局面では、提供される乾燥タバコ材料またはタバコ製品は、乾燥重量に基づいて約0.01%~0.02%、0.02%~0.05%、0.05%~0.75%、0.75%~0.1%、0.1%~0.15%、0.15%~0.2%、0.2%~0.3%、0.3%~0.35%、0.35%~0.4%、0.4%~0.5%、0.5%~0.6%、0.6%~0.7%、0.7%~0.8%、0.8%~0.9%、0.9%~1%、1%~1.1%、1.1%~1.2%、1.2%~1.3%、1.3%~1.4%、1.4%~1.5%、1.5%~1.6%、1.6%~1.7%、1.7%~1.8%、1.8%~1.9%、1.9%~2%、2%~2.1%、2.1%~2.2%、2.2%~2.3%、2.3%~2.4%、2.4%~2.5%、2.5%~2.6%、2.6%~2.7%、2.7%~2.8%、2.8%~2.9%、2.9%~3%、3%~3.1%、3.1%~3.2%、3.2%~3.3%、3.3%~3.4%、3.4%~3.5%、および3.5%~3.6%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。さらなる局面では、提供される乾燥タバコ材料またはタバコ製品は、乾燥重量に基づいて約0.01%~0.1%、0.02%~0.2%、0.03%~0.3%、0.04%~0.4%、0.05%~0.5%、0.75%~1%、0.1%~1.5%、0.15%~2%、0.2%~3%、および0.3%~3.5%からなる群から選択される平均ニコチンまたは総アルカロイドレベルを含む。
【0148】
本開示はまた、望ましいレベルの総アルカロイドまたはニコチン、例えば、低ニコチンまたはニコチン非含有を含むタバコ株、栽培品種、または品種を育種するための方法を提供する。育種は、任意の公知の手法を介して実行され得る。DNAフィンガープリンティング、SNPマッピング、ハプロタイプマッピング、または類似の技術は、望ましい形質またはアレルをタバコ植物に移入または育種するためにマーカー補助選択(MAS)育種プログラムにおいて使用されてもよい。例えば、育種家は、F1ハイブリッド植物を使用してまたはF1ハイブリッド植物を耕種学的に望ましい遺伝子型を有する他のドナー植物とさらに交雑してFまたは戻し交雑世代において分離集団を作製することができる。Fまたは戻し交雑世代における植物は、当技術分野において公知のまたは本明細書において列記される技術の1つを使用して、所望の耕種学的形質または望ましい化学的プロファイルについてスクリーニングされ得る。期待される遺伝パターンまたは使用されるMAS技術に依存して、所望の個々の植物の同定を補助するために戻し交雑の各サイクルの前に選択された植物の自家受粉が行われ得る。戻し交雑または他の育種手法は、反復親(recurrent parent)の所望の表現型が回収されるまで反復され得る。本開示における反復親は、熱風乾燥品種、Burley品種、暗色空気乾燥品種、暗色火力乾燥品種、またはOriental品種であり得る。他の育種技術は、例えば、Wernsman,E.A.およびRufty,R.C.1987.Chapter Seventeen.Tobacco.Pages 669-698 In:Cultivar Development.Crop Species.W.H.Fehr(編)、MacMillan Publishing Go.,Inc.、New York、N.Y.(参照することにより全体が本明細書に組み込まれる)において見出され得る。
【0149】
記載されるタバコ植物を使用する植物育種プログラムの結果としては、本開示の有用な株、栽培品種、品種、子孫、近交系、およびハイブリッドが挙げられる。本明細書において使用される場合、「品種」という用語は、同じ種の他の植物からそれらを分離する一定の特徴を共有する植物の集団を指す。品種は、常にではないが多くの場合に、商業的に販売される。1つまたは複数の特徴的な形質を有するが、品種は、その品種内の個体間の非常に小さい全体的なバリエーションによりさらに特徴付けられる。「純粋株」品種は、組織または細胞培養技術を使用して単一の親からの自家受粉および選択、または栄養繁殖のいくつかの世代により作製されてもよい。品種は、別の株または品種に本質的に由来し得る。International Convention for the Protection of New Varieties of Plants(1961年12月2日;1972年11月10日、1978年10月23日、および1991年3月19日にGenevaにおいて改訂)により定義されるように、品種は、(a)主に初期品種、または初期品種の遺伝子型もしくは遺伝子型の組み合わせの結果としてもたらされる本質的な特徴の発現を保持しながら、主に初期品種に由来する品種に由来し、(b)初期品種から明確に区別可能であり、かつ(c)誘導という行為の結果としてもたらされる差異を除いて、初期品種の遺伝子型または遺伝子型の組み合わせの結果としてもたらされる本質的な特徴の発現において初期品種と合致する場合に、初期品種に「本質的に由来する」。本質的に由来する品種は、例えば、天然のもしくは誘導された変異体、体細胞繁殖系バリアント、初期品種の植物からのバリアント個体の選択、戻し交雑、または形質転換により得られ得る。第1のタバコ品種および第1の品種が本質的に由来する第2のタバコ品種は、本質的に同一の遺伝的背景を有すると考えられる。品種から区別されるような「株」は、最も多くの場合に、非商業的に、例えば植物研究において使用される植物の群を表す。株は、典型的には、1つまたは複数の関心対象の形質について個体間の全体的なバリエーションをほとんど示さないが、他の形質について個体間で何らかのバリエーションがあってもよい。
【0150】
一局面では、本開示は、表10A、10B、11A、および11Bのいずれか1つにおいて提供される1つまたは複数のqpt変異を含むタバコ植物、品種、株、または細胞を提供する。
【0151】
別の局面では、本開示は、表11Aおよび11Bのいずれか1つにおいて提供される任意のタバコ植物、品種、または株に由来するタバコ植物、品種、株、または細胞を提供する。
【0152】
一局面では、本開示は、タバコ株19GH655、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH756、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH752、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH753、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH754、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH755、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH749、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH971、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH757、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH972、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH973、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH750、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH796、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH975、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH661、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH662、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH663、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH974、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH352、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH353、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH354、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH797、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH759、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH798、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH1025、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH355、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH351、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH744、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH746、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH744、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。一局面では、本開示は、タバコ株19GH760、およびそれに由来するFもしくはFタバコ植物、または雄性不稔性タバコ植物を提供する。
【0153】
一局面では、本開示は、低ニコチン形質をタバコ品種に移入する方法を提供し、方法は
、(a)低ニコチン形質を含む第1のタバコ品種を、低ニコチン形質を有しない第2のタバコ品種と交雑して、1つまたは複数の子孫タバコ植物を産生する工程;(b)表11Aおよび11Bに列記されるものから選択されるqpt変異アレルについて、1つまたは複数の子孫タバコ植物を遺伝型判定する工程;ならびに(c)qpt変異アレルを含む子孫タバコ植物を選択する工程を含む。別の局面では、これらの方法は、選択された子孫タバコ植物を第2のタバコ品種と戻し交雑する工程をさらに含む。さらなる局面では、これらの方法は、(d)選択された子孫植物をそれ自体または第2のタバコ品種と交雑して、1つまたは複数のさらなる子孫タバコ植物を産生する工程;および(e)低ニコチン形質を含むさらなる子孫タバコ植物を選択する工程をさらに含む。一局面では、選択する工程(e)は、マーカー補助選択を含む。一局面では、これらの方法は、低ニコチン形質を含む単一遺伝子変換を産生する。一局面では、これらの方法は、qpt変異アレルを含む単一遺伝子変換を産生する。一局面では、第2のタバコ品種はエリート品種である。別の局面では、これらの方法の遺伝子型判定工程は、1つまたは複数の分子マーカーアッセイを含む。別の局面では、遺伝子型判定は、一塩基多型(SNP)、DNA配列における挿入または欠失(インデル)、DNA配列の単純配列反復(SSR)、制限断片長多型(RFLP)、およびタグSNPからなる群から選択される多型を含む多型マーカーを含み得る。
【0154】
本明細書において使用される場合、「遺伝子座」は、多型核酸、形質決定因子、遺伝子、またはマーカーが位置する染色体遺伝子座または領域である。「遺伝子座」は、対応する遺伝子座または領域に言及するように、2つの相同染色体によって共有され得る。本明細書において使用される場合、「アレル」は、遺伝子のまたは特定の遺伝子座における代替的な核酸配列(例えば、同じ遺伝子または遺伝子座の他方のアレルとは異なる遺伝子または遺伝子座の核酸配列)を指す。そのようなアレルは、(i)野生型、または(ii)野生型アレルと比べて1つもしくは複数の変異もしくは編集が変異アレルの核酸配列中に存在する場合には、変異体、とみなすことができる。遺伝子の変異アレルは、野生型アレルと比べて、低減または除去された遺伝子の活性または発現レベルを有し得る。タバコなどの二倍体生物については、第1のアレルが1つの染色体上に存在することができ、第2のアレルが2つ目の相同染色体上の同じ遺伝子座に存在することができる。植物の1つの染色体上の遺伝子座における1つのアレルが変異アレルであり、植物の相同染色体上のもう1つの対応するアレルが野生型である場合には、植物は、変異アレルについてヘテロ接合であると説明される。しかし、遺伝子座の両方のアレルが変異アレルである場合には、植物は、変異アレルについてホモ接合であると説明される。遺伝子座の変異アレルについてホモ接合の植物は、ヘテロアレルまたはバイアレルの場合には、同じ変異アレルまたは異なる変異アレルを含み得る。
【0155】
本明細書において使用される場合、「移入」または「移入する」は、1つの遺伝的背景から別の遺伝的背景への遺伝子座の所望のアレルの伝達を指す。
【0156】
本明細書において使用される場合、「交雑される」または「交雑」は、受精(例えば、細胞、種子、または植物)を介して子孫を産生することを意味し、植物の間の交雑(有性)および自家受精(自殖)を含む。
【0157】
本明細書において使用される場合、「戻し交雑」および「戻し交雑する」は、子孫植物がその親の1つに戻して繰り返して交雑される方法を指す。戻し交雑スキームにおいて、「ドナー」親は、移入される所望の遺伝子または遺伝子座を有する親植物を指す。「レシピエント」親(1回もしくは複数回使用される)または「反復」親(2回もしくはそれ以上の回数使用される)は、遺伝子または遺伝子座が移入されている親植物を指す。初期交雑はF1世代を生じさせる。「BC1」という用語は反復親の2回目の使用を指し、「BC2」は反復親の3回目の使用を指す、などである。一局面では、戻し交雑は繰り返して行われ、連続する戻し交雑世代それぞれの子孫個体は、それ自体が同じ親遺伝子型に対して戻し交雑される。
【0158】
本明細書において使用される場合、「単一遺伝子変換される」または「単一遺伝子変換」は、戻し交雑として公知の植物育種技術を使用して、または遺伝子操作を介して開発される植物を指し、ここで、戻し交雑技術を介してまたは遺伝子操作を介して品種に移入される単一遺伝子に加えて、品種の所望の形態学的および生理学的特徴の本質的に全てが元通りとされる。
【0159】
本明細書において使用される場合、「エリート品種」は、優れた耕種学的性能のための育種および選択の結果としてもたらされた任意の品種を意味する。
【0160】
本明細書において使用される場合、マーカー補助選択または育種の文脈における「選択する」または「選択」は、ある特定の予め決定された基準に基づく、通常は集団からの所望の個体の採集または選出の行為を指す。
【0161】
本明細書において使用される場合、「形質」という用語は、遺伝子型により影響され得る細胞または生物の1つまたは複数の検出可能な特徴を指す。表現型は、肉眼で、または当技術分野において公知の評価の任意の他の手段により観察可能であり得、該手段は、例えば、顕微鏡法、生化学的分析、ゲノム解析、特定の耐病性についてのアッセイなどである。一部の場合には、表現型は、単一の遺伝子または遺伝子座、例えば、「単一の遺伝子形質」により直接的に制御される。他の場合には、表現型はいくつかの遺伝子の結果である。
【0162】
本明細書において使用される場合、「マーカーアッセイ」は、特定の方法を用いて特定の遺伝子座における多型を検出するための方法、例えば、少なくとも1つの表現型(種子の色、花の色、または他の視覚的に検出可能な形質など)の測定、制限断片長多型(RFLP)、一塩基伸長、電気泳動、配列アラインメント、アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、マイクロアレイベースの技術、および核酸シークエンシング技術などを意味する。
【0163】
本明細書において使用される場合、「マーカー補助選択」(MAS)は、表現型がマーカー遺伝子型に基づいて選択されるプロセスである。「マーカー補助選択育種」は、植物から1つまたは複数の核酸(該核酸は、所望の形質に結びつけられている)を検出すること、および次いで、それらの1つまたは複数の核酸を保有する植物または生殖質を選択することによって、1つまたは複数の植物における所望の1つまたは複数の形質を選択するプロセスを指す。
【0164】
本明細書において使用される場合、「多型」は、集団における1つまたは複数のバリエーションの存在を意味する。多型は、核酸のヌクレオチド配列におけるバリエーションとして、またはタンパク質のアミノ酸配列におけるバリエーションとして現れ得る。多型は、1つまたは複数の個体の集団中の1つまたは複数の遺伝子座における核酸配列または核酸特徴の1つまたは複数のバリエーションの存在を含む。バリエーションは、1つもしくは複数のヌクレオチド塩基の変化、1つもしくは複数のヌクレオチドの挿入、または1つもしくは複数のヌクレオチドの欠失を含み得るが、それに限定されない。多型は、核酸複製におけるランダムなプロセスから、変異誘発を通して、可動ゲノム要素の結果として、コピー数のバリエーションから、ならびに不均等な乗換え、ゲノム重複、および染色体切断など減数分裂のプロセス中、ならびに融合中に生じ得る。バリエーションは、一般的に見出すことができるか、または集団内に低頻度で存在する可能性があり、前者は、一般的な植物育種においてより大きな有用性を有し、後者は、まれであるが重要な表現型バリエーションに関連している可能性がある。有用な多型には、一塩基多型(SNP)、DNA配列における挿入または欠失(インデル)、DNA配列の単純配列反復(SSR)、制限断片長多型(RFLP)、およびタグSNPが含まれ得る。遺伝子マーカー、遺伝子、DNA由来配列、RNA由来配列、プロモーター、遺伝子の5’非翻訳領域、遺伝子の3’非翻訳領域、マイクロRNA、siRNA、耐性遺伝子座、サテライトマーカー、トランスジーン、mRNA、ds mRNA、転写プロファイル、およびメチル化パターンもまた、多型を含み得る。加えて、前記のコピー数の存在、不在、またはバリエーションは、多型を含み得る。
【0165】
本明細書において使用される場合、「SNP」または「一塩基多型」は、ゲノム配列中の単一ヌクレオチド(A、T、C、またはG)が変更されているかまたは可変である時に生じる、配列バリエーションを意味する。「SNPマーカー」は、SNPがゲノム上の部位にマッピングされる時に存在する。
【0166】
本明細書において使用される場合、「マーカー」または「分子マーカー」または「マーカー遺伝子座」は、ゲノム上の特定の遺伝子座を特徴付けるのに十分に特有である核酸またはアミノ酸配列を表すために使用される用語である。任意の検出可能な多型形質を、それが差次的に遺伝し、かつ関心対象の表現型形質との連鎖不平衡を示す限り、マーカーとして使用することができる。したがって、各マーカーは、特有のヌクレオチド配列を有するDNAの特定のセグメントの指標である。マップの位置は、特定のマーカーの互いの相対位置の測定値を提供する。形質が所与のマーカーに結びつけられると述べられる場合、その配列が形質に影響を及ぼす実際のDNAセグメントは、概してマーカーと同時分離することが理解される。形質の両側でマーカーが同定される場合には、形質のより正確なかつ明確な位置確認を得ることができる。交雑の子孫におけるマーカーの出現を測定することによって、比較的単純な分子試験により、形質の存在を検出することができ、形質の出現自体は実際に評価することはなく、これは困難であり、かつ時間がかかる場合があるものであり、なぜなら形質の実際の評価は、形質が発現され得るステージまでおよび/または環境条件下で、植物を生育させることを必要とするためである。
【0167】
本開示の任意のタバコ植物は、例えば、当技術分野において公知の技術を使用する遺伝子構築物またはトランスジーンを用いる形質転換により、追加の耕種学的に望ましい形質をさらに含み得ることが理解される。非限定的に、所望の形質の例は、除草剤抵抗性、有害生物抵抗性、耐病性;高い収率;高いグレード指数値;治癒可能性;乾燥品質;機械的収穫可能性;保持能力;葉品質;高さ、植物成熟度(例えば、早期成熟、早期成熟から中程度成熟、中程度成熟、中程度成熟から後期成熟、もしくは後期成熟);茎サイズ(例えば、小さい、中程度、もしくは大きい茎);または植物1つ当たりの葉数(例えば、少ない(例えば、5~10枚の葉)、中程度(例えば、11~15枚の葉)、または多数(例えば、16~21枚)の葉)、または任意の組み合わせである。一局面では、開示される低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ植物または種子は、1つまたは複数の殺虫タンパク質、例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の結晶タンパク質またはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)からの栄養殺虫タンパク質、例えば、VIP3などを発現する1つまたは複数のトランスジーンを含む(例えば、Estruch et al.(1997)Nat.Biotechnol.15:137を参照)。別の局面では、タバコ植物は、落葉病への抵抗性(米国特許第5,689,035号)またはシスト線虫への抵抗性(米国特許第5,491,081号)を付与する移入された形質をさらに含む。
【0168】
本開示はまた、変化したニコチンまたは総アルカロイドレベルを含むがそのようなニコチンレベルの変化を有しない対応する初期タバコ植物の収率と同等の収率を有するqpt変異タバコ植物を提供する。一局面では、qpt変異タバコ品種は、約1200~3500、1300~3400、1400~3300、1500~3200、1600~3100、1700~3000、1800~2900、1900~2800、2000~2700、2100~2600、2200~2500、および2300~2400lb/エーカーからなる群から選択される収率を提供する。別の局面では、qpt変異タバコ品種は、約1200~3500、1300~3500、1400~3500、1500~3500、1600~3500、1700~3500、1800~3500、1900~3500、2000~3500、2100~3500、2200~3500、2300~3500、2400~3500、2500~3500、2600~3500、2700~3500、2800~3500、2900~3500、3000~3500、および3100~3500lb/エーカーからなる群から選択される収率を提供する。さらなる局面では、qpt変異タバコ植物は、qpt変異を除いて本質的に同一の遺伝的背景を有する対照植物の収率の65%~130%、70%~130%、75%~130%、80%~130%、85%~130%、90%~130%、95%~130%、100%~130%、105%~130%、110%~130%、115%~130%、または120%~130%の収率を提供する。さらなる局面では、qpt変異タバコ植物は、qpt変異を除いて本質的に同一の遺伝的背景を有する対照植物の収率の70%~125%、75%~120%、80%~115%、85%~110%、または90%~100%の収率を提供する。
【0169】
一局面では、開示されるタバコ植物(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイドのタバコ品種)は、収率、成熟および老化、昆虫の草食に対する感受性、摘心後のポリアミン含有量、クロロフィルレベル、単位葉面積当たりの葉肉細胞数、ならびに乾燥後の最終製品の品質からなる群から選択される形質に実質的に影響することなく所望の形質(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイド)を付与する改変を含む。
【0170】
一局面では、開示されるタバコ植物は、所望の形質(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイド)を付与する改変を含み、かつ非改変の対照植物と実質的に同等の形質をさらに含み、該形質は、収率、成熟および老化、昆虫の草食に対する感受性、摘心後のポリアミン含有量、クロロフィルレベル、単位葉面積当たりの葉肉細胞数、ならびに乾燥後の最終製品の品質からなる群から選択される。
【0171】
一局面では、開示されるタバコ植物は、所望の形質(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイド)を付与する改変を含み、かつ非改変の対照植物の収率と比べて80%より高い、85%より高い、90%より高い、95%より高い、100%より高い、105%より高い、110%より高い、115%より高い、120%より高い、125%より高い、130%より高い、135%より高い、または140%より高い収率をさらに含む。一局面では、開示されるタバコ植物は、所望の形質(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイド)を付与する改変を含み、かつ非改変の対照植物の収率と比べて70%~140%、75%~135%、80%~130%、85%~125%、90%~120%、95%~115%、または100%~110%の収率をさらに含む。一局面では、開示されるタバコ植物は、所望の形質(例えば、低ニコチン、ニコチン非含有、または低アルカロイド)を付与する改変を含み、かつ非改変の対照植物の収率と比べて70%~80%、75%~85%、80%~90%、85%~95%、90%~100%、95%~105%、105%~115%、110%~120%、115%~125%、120%~130%、125~135%、または130%~140%の収率をさらに含む。
【0172】
一局面では、開示される低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ品種は、機械収穫のために適合されている。別の局面では、開示される低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ品種は、機械で収穫される。
【0173】
一局面では、qpt遺伝子中に少なくとも1つの変異アレルを含むタバコ植物は、低ニコチン形質を含む。別の局面では、qpt遺伝子中に少なくとも1つの変異アレルを含むタバコ植物は、ニコチン非含有形質を含む。別の局面では、qpt遺伝子中に少なくとも1つの変異アレルを含むタバコ植物は、低アルカロイド形質を含む。
【0174】
一局面では、提供されるタバコ植物はハイブリッド植物である。ハイブリッドは、第1の品種の雌性親植物(例えば、種子親)の自家受粉を予防して、第2の品種の雄性親植物からの花粉が雌性親植物に授精することを可能とし、F1ハイブリッド種子が雌性植物において形成されることを可能とすることにより産生され得る。雌性植物の自家受粉は、早期の花発達ステージにおいて花を除雄することにより予防され得る。代替的に、花粉形成は、雄性不稔性の形態を使用して雌性親植物において予防され得る。例えば、雄性不稔性は、トランスジーンが小胞子形成および/もしくは花粉形成を阻害する雄性不稔性(MS)、もしくはトランスジェニック雄性不稔性、または自家不和合性により生じ得る。MSを含有する雌性親植物は特に有用である。雌性親植物がMSである局面では、花粉が雄性稔性植物から収穫され、MS雌性親植物の柱頭に手動で適用されてもよく、結果として生じたF1種子が収穫される。
【0175】
植物は、単交雑タバコF1ハイブリッドを形成するために使用され得る。雄性親植物からの花粉は、F1種子を形成するために、除雄された雌性親植物または雄性不稔性の雌性親植物に手動で移動される。代替的に、単交雑F1ハイブリッドが雌性親として使用されて異なる雄性親と交雑される三系交雑が実行され得る。別の代替として、2つの異なる単交雑のF1子孫がそれら自体で交雑される二重交雑ハイブリッドが作製され得る。二重交雑ハイブリッドを形成する場合の雌性親の自家受粉を予防するための特定の利点のために自家不和合性が使用され得る。
【0176】
一局面では、低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ品種は雄性不稔性である。別の局面では、低ニコチンまたはニコチン非含有のタバコ品種は細胞質雄性不稔性である。雄性不稔性のタバコ植物は、当技術分野において公知の任意の方法により産生されてもよい。雄性不稔性のタバコを産生する方法は、Wernsman,E.A.およびRufty,R.C.1987.Chapter Seventeen.Tobacco.Pages 669-698 In:Cultivar Development.Crop Species.W.H.Fehr(編)、MacMillan Publishing Go.,Inc.、New York、N.Y.761 ppに記載されている。
【0177】
一局面では、本開示は、表11Aおよび11Bのいずれか1つにおいて提供される1つまたは複数のqpt変異を含む、雄性不稔性のタバコ植物、品種、または株を提供する。
【0178】
別の局面では、本開示は、10A、10B、11A、および11Bのいずれか1つにおいて提供される任意のタバコ植物、品種、または株に由来する、雄性不稔性のタバコ植物、品種、または株を提供する。
【0179】
さらなる局面では、提供されるタバコ部分としては、葉、茎、根、種子、花、花粉、葯、胚珠、小花柄、果実、分裂組織、子葉、胚軸、さや、胚、内乳、外植片、カルス、組織培養物、シュート、細胞、およびプロトプラストが挙げられるがそれに限定されない。一局面では、提供されるタバコ部分は種子を含まない。一局面では、本開示は、生殖材料ではなく、かつ植物の天然の生殖を媒介しないタバコ植物の細胞、組織、および器官を提供する。別の局面では、本開示はまた、生殖材料であり、かつ植物の天然の生殖を媒介するタバコ植物の細胞、組織、および器官を提供する。別の局面では、本開示は、光合成を介して維持され得ないタバコ植物の細胞、組織、および器官を提供する。別の局面では、本開示は、体細胞性タバコ植物細胞を提供する。体細胞は、生殖細胞系列細胞とは異なり、植物生殖を媒介しない。
【0180】
細胞、組織、および器官は、種子、果実、葉、子葉、胚軸、分裂組織、胚、内乳、根、シュート、茎、さや、花、花序、茎、小花柄、花柱、柱頭、花托、花弁、がく、花粉、葯、花糸、子房、胚珠、果皮、師部、管束組織からのものであり得る。別の局面では、本開示は、タバコ植物葉緑体を提供する。さらなる局面では、本開示は、表皮細胞、気孔細胞、葉毛もしくは根毛、貯蔵根、または塊茎を提供する。別の局面では、本開示は、タバコプロトプラストを提供する。
【0181】
タバコ植物は、無性生殖または栄養繁殖を介してではなく、種子を介して天然に生殖することを当業者は理解する。一局面では、本開示は、タバコ内乳を提供する。別の局面では、本開示は、タバコ内乳細胞を提供する。さらなる局面では、本開示は、ヒトの介入なしでは生殖できない雄性または雌性不稔性タバコ植物を提供する。
【0182】
一局面では、本開示は、SEQ ID NO:1~8およびその断片からなる群から選択される配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む核酸分子を提供する。一局面では、本開示は、SEQ ID NO:9~12からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含むポリペプチドまたはタンパク質を提供する。
【0183】
本明細書において使用される場合、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」という用語は、指定される比較ウインドウにわたる最大の一致のためにアライメントされた場合に同じである2つの配列中の残基を参照する。配列同一性のパーセンテージがタンパク質に関して使用される場合、同一でない残基位置は多くの場合に保存的アミノ酸置換により異なり、その場合、アミノ酸残基は類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されており、したがって分子の機能的特性を変化させないことが認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質について補正するために上方に調整されてもよい。
【0184】
本開示は、開示されるタバコ植物からのタバコ材料を含むタバコ製品を産生する方法をさらに提供する。一局面では、方法は、タバコ植物から作製された熟成されたタバコ材料をコンディショニングして、約12.5%~約13.5%から約21%までその水分含有量を増加させ、コンディショニングされたタバコ材料をブレンドして、望ましいブレンド物を産生する工程を含む。一局面では、タバコ製品を産生する方法は、ブレンド物をケーシングまたは風味付けする工程をさらに含む。概して、ケーシングプロセスの間に、ケーシングまたはソース材料をブレンド物に加えて、化学組成の均衡を取ることによりそれらの品質を増強し、かつある特定の所望の風味の特徴を発生させる。ケーシング加工についてのさらなる詳細は、Tobacco Production,Chemistry and Technology、L.DavisおよびM.Nielsen編、Blackwell Science、1999において見出され得る。
【0185】
提供されるタバコ材料はまた、熱処理(例えば、クッキング、トースティング)、風味付け、酵素処理、膨張、および/または乾燥が挙げられるがそれに限定されない方法を使用して加工され得る。発酵タバコおよび非発酵タバコの両方が、これらの技術を使用して加工され得る。好適な加工タバコの例としては、暗色空気乾燥、暗色火力乾燥、Burley、熱風乾燥、およびシガーフィラーまたはラッパーの他に、葉全体から茎を取り除く操作(whole leaf stemming operation)からの製品が挙げられる。一局面では、タバコ繊維は、新鮮重を基準にして最大70%のダークタバコを含む。例えば、タバコは、米国特許出願公開第2004/0118422号または同第2005/0178398号に記載されるような加熱、蒸し、および/または低温殺菌段階によりコンディショニングされ得る。
【0186】
提供されるタバコ材料は、発酵に供され得る。発酵は、典型的には、高い初期水分含有量、熱生成、および乾燥重量の10~20%の損失により特徴付けられる。例えば、米国特許第4,528,993号、同第4,660,577号、同第4,848,373号、および同第5,372,149号を参照。葉の芳香の改良に加えて、発酵は、葉の色および感触のいずれかまたは両方を変化させ得る。また、発酵プロセスの間に、発生ガスが産生され得、酸素が取り込まれ得、pHが変更され得、かつ保持される水の量が変更され得る。例えば、米国特許出願公開第2005/0178398号およびTso(1999、Chapter 1、Tobacco,Production,Chemistry and Technology、Davis & Nielsen編、Blackwell Publishing、Oxford)を参照。乾燥タバコ、または乾燥および発酵タバコは、口腔製品への組込みの前にさらに加工(例えば、切断、膨化、ブレンド、ミーリング加工、または粉砕)され得る。タバコは、一部の場合には、コポリマーとの混合ならびに任意で香料および他の添加物の前に、48~50重量パーセントのオーブン揮発分含有量(oven volatiles content)を有するロングカットの発酵乾燥湿潤タバコである。
【0187】
一局面では、提供されるタバコ材料は、所望のサイズに加工され得る。一局面では、タバコ繊維は、200マイクロメートル未満の平均繊維サイズを有するように加工され得る。一局面では、タバコ繊維は75~125マイクロメートルである。別の局面では、タバコ繊維は、75マイクロメートルまたはそれ未満のサイズを有するように加工される。一局面では、タバコ繊維は、ロングカットのタバコを含み、該タバコは、約10カット/インチから約110カット/インチまでの幅および約0.1インチから約1インチまでの長さにカットまたは細断され得る。ダブルカットタバコ繊維は、ダブルカットタバコ繊維の約70%が、-20メッシュ~80メッシュの間のメッシュサイズを落ちるような粒子サイズの範囲を有し得る。
【0188】
提供されるタバコ材料は、約10重量%もしくはそれ以上、約20重量%もしくはそれ以上、約40重量%もしくはそれ以上、約15重量%~約25重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約50重量%、約45重量%~約65重量%、または約50重量%~約60重量%の総オーブン揮発分含有量を有するように加工され得る。「湿潤」タバコは、典型的には、約40重量%~約60重量%(例えば、約45重量%~約55重量%、または約50重量%)のオーブン揮発分含有量を有するタバコを指すことを当業者は理解する。本明細書において使用される場合、「オーブン揮発分」は、110℃に予め温めた強制送風オーブン中で3.25時間にわたり試料を乾燥した後の試料の重量損失のパーセンテージを算出することにより決定される。口腔製品は、口腔製品を作製するために使用されるタバコ繊維のオーブン揮発分含有量とは異なる全体的なオーブン揮発分含有量を有し得る。記載される加工段階は、オーブン揮発分含有量を低減または増加させ得る。
【0189】
本開示が大まかに説明されたが、定めのない限り、例示として提供され、本開示を限定することを目的としない以下の実施例を参照することによって同じことがもっと容易に理解される。
【実施例
【0190】
実施例1:4つのQPT遺伝子の発現プロファイリング
ニコチン生合成は、ニコチン酸モノヌクレオチドの形成を含み、これは後に、ニコチンのピリジン環に変換される。ニコチン酸モノヌクレオチドの形成は、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)によって触媒される。品種に応じて、QPTをコードする最大で4つの遺伝子(QPT1a、QPT1b、QPT2a、およびQPT2b)が、タバコ(ニコチアナ・タバカム)ゲノム中に存在する(図1)。表8Aは、4つのQPT遺伝子のゲノムDNA配列、cDNA配列、およびタンパク質配列を列記する。表8Bおよび8Cは、4つのQPT遺伝子の間のcDNAおよびタンパク質の配列同一性を提供する。TN90の根における4つのQPT遺伝子のRNA発現レベルは、いかなる特定の理論によっても限定されないが、QPT2aおよびQPT2bが2つの主要なQPT遺伝子に相当することを支持する(図2)。
【0191】
(表8A)4つのタバコQPT遺伝子の配列
【0192】
(表8B)Clustal2.1によって決定された4つのタバコQPT遺伝子の間のcDNA配列同一性
【0193】
(表8C)Clustal2.1によって決定された4つのタバコQPT遺伝子の間のタンパク質配列同一性
【0194】
(表8D)QPT1aゲノム配列(SEQ ID NO:1)の注釈
【0195】
(表8E)QPT1bゲノム配列(SEQ ID NO:2)の注釈
【0196】
(表8F)QPT2aゲノム配列(SEQ ID NO:3)の注釈
【0197】
(表8G)QPT2bゲノム配列(SEQ ID NO:4)の注釈
【0198】
実施例2:QPTゲノム編集
QPTノックアウト変異体を、様々なQPT遺伝子を編集することによって作製する。タバコプロトプラストに、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて、ゲノム編集技術(GET)タンパク質、および所望の位置でQPT遺伝子を標的指向する特異的ガイドRNA(gRNA)をコードするプラスミドをトランスフェクトする。表9は、QPT編集に用いられるgRNA配列を列記する。
【0199】
トランスフェクトされたプロトプラストを、1%アガロースビーズに固定化し、組織培養に供する。カルスが、直径約1mmに生育したら、TOM2プレート上に広げる。断片分析を用いて、標的位置における挿入または欠失(インデル)についてカルスをスクリーニングする(図3)。野生型対照と比較してサイズシフトを示す候補を、さらなる培養のために選択する。結果としてのシュートおよび根付いたシュートを、鉢植えにし、標的位置についての次世代シークエンシング(NGS)に供して、正確な欠失した配列を決定する。
【0200】
(表9)ゲノム編集技術において用いられるgRNA配列およびそのQPT標的遺伝子。「Y」は、gRNAがそのQPT遺伝子を標的指向することを表し、「-」は、gRNAがそのQPT遺伝子を標的指向しないことを表す。
【0201】
(表10A)GETを用いたゲノム編集によって作製されたK326における変異体qptアレル。各々の編集された部位(例えば、インデル)の位置は、各QPT遺伝子の対応するcDNA配列上のヌクレオチド番号を基準にしている。例えば、株19GH744は、QPT2b中にトリアレル変異を有する。3つのアレルのうちの1つは、QPT2b cDNA配列のヌクレオチド位置269~276に対応する8ヌクレオチドの欠失を有する。2番目のアレルは、QPT2b cDNA配列のヌクレオチド位置270~276に対応する7ヌクレオチドの欠失を有する。3番目のアレルは、QPT2b cDNA配列のヌクレオチド位置266~276に対応する11ヌクレオチドの欠失を有する。SEQ ID番号は、10個またはそれ以上のヌクレオチドの配列について割り当てられ、示される。
【0202】
(表10B)GETを用いたゲノム編集によって作製されたTN90における変異体qptアレル。各々の編集された部位(例えば、インデル)の位置は、各QPT遺伝子の対応するcDNA配列上のヌクレオチド番号を基準にしている。例えば、株19GH752は、QPT2b中にバイアレル変異を有する。2つのアレルのうちの1つは、QPT2b cDNA配列のヌクレオチド位置266~275に対応する10ヌクレオチドの欠失を有する。もう1つのアレルは、QPT2b cDNA配列のヌクレオチド位置268~275に対応する8ヌクレオチドの欠失を有する。SEQ ID番号は、10個またはそれ以上のヌクレオチドの配列について割り当てられ、示される。
【0203】
(表11A)QPT2a遺伝子中の得られた例示的な変異アレル
【0204】
(表11B)QPT2b遺伝子中の得られた例示的な変異アレル
【0205】
実施例3:QPT編集株のアルカロイド分析
ゲノム編集されたタバコ植物を、対照と共に、75PPM肥料を含む温室中の10インチの植木鉢において生育させる。開花ステージに、植物を摘心し、摘心してから2週間後に、植物の上部より3番目、4番目、5番目の葉から葉身試料を収集して、CORESTA Method No 62,Determination of Nicotine in Tobacco and Tobacco Products by Gas Chromatographic Analysis,February 2005による方法、およびFederal Register Vol.64,No.55 March 23,1999において刊行された(かつVol.74,No.4,January 7,2009において修正された)、Centers for Disease Control and Prevention’s Protocol for Analysis of Nicotine,Total Moisture and pH in Smokeless Tobacco Productsにおいて定義される方法を用いて測定する。
【0206】
簡潔に述べると、およそ0.5gのタバコを、液体/液体抽出を用いて、内部標準を含有する有機溶媒中に抽出し、水素炎イオン化検出(FID)を伴うガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。結果は、そのまままたは乾燥重量ベースのいずれかの重量パーセント(Wt%)として報告することができる。乾燥重量ベースでデータを報告するには、オーブン揮発性物質(OV)の決定を必要とする。特に定めない限り、本明細書に示される総アルカロイドレベルもしくは個々のアルカロイドレベルまたはニコチンレベルは、乾燥重量ベースである(例えば、総アルカロイドパーセントまたはニコチンパーセント)。
【0207】
植物をまた、野外に植え、収穫して、乾燥タバコにおけるアルカロイドおよびTSNAレベルについて試験する。葉収率および葉グレードの両方もまた、QPT編集植物について評価する。さらに、個々のQPT遺伝子の様々な変異体の組み合わせを生成し、試験する(例えば、単一、二重、三重、または四重)。
【0208】
実施例4:1つまたは複数のQPT遺伝子中に編集された変異アレルを有するタバコ株の取得
個々のQPT遺伝子またはQPT遺伝子の選択された組み合わせ中に変異を有するタバコ株を、表10Aおよび10Bに列記されるタバコ株から取得する。単一、二重、三重、または四重変異体(それぞれ、1つ、2つ、3つ、または4つのQPT遺伝子中に変異を有する)を、変異していない対照株と交雑し、特定のQPT変異の組み合わせについて分離子孫植物を選択する。各々の変異した遺伝子は、変異についてホモ接合またはヘテロ接合のいずれかであり得る。例示的な個々のqpt変異アレルを、表11Aおよび11Bに列記する。
【0209】
実施例5:qpt変異を他の遺伝子中の変異と組み合わせることによる総アルカロイドのさらなる低減
総アルカロイドおよび/または選択された個々のアルカロイドをさらに低減するために、qpt変異体を、五重pmt変異体またはキノリン酸合成酵素(QS)などの、タバコにおけるアルカロイド生合成に関連した追加の遺伝子中の変異と組み合わせる。簡潔に述べると、遺伝子編集を用いて、選択したpmtまたはQS遺伝子を、所望の変異体背景において変異させる。結果として生じた組み合わされたpmt/pmtまたはqs/pmt変異体において、乾燥タバコにおけるアルカロイドおよびTSNAレベルを試験する。葉収率および葉グレードの両方もまた、評価する。
図1
図2
図3
図3-1】
図3-2】
【配列表】
2022552261000001.app
【国際調査報告】