(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】流量調整可能な緑内障用シャントならびに関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521302
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 US2020055144
(87)【国際公開番号】W WO2021072317
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アルジェント, クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】サポジニコフ, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】リリー, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルマン, クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オース, ジーン
(57)【要約】
本技術は、流量を調整可能な緑内障用のシャント、システム、及びそれらのようなデバイスの作製及び使用方法を対象とする。本明細書に記載の多くの実施形態では、シャントは、眼の前房、及び結膜下ブレブ空間などの標的流出位置を流体結合するように構成されるドレナージ要素を含む。さらに、シャントは、流量制御アセンブリを含むことができ、この流量制御アセンブリは、ドレナージ要素に結合され、そこを通して流体(例えば、房水)の流量を制御するように構成されることができる。さらに、シャントは、流量制御アセンブリを包む外側メンブランまたはブラダーを含むことができる。外側メンブランは、複数のアパーチャを含むことができ、これら複数のアパーチャは、外側メンブランの内部を外側メンブランの外部の環境と流体結合する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一開口部、第二開口部、及びそこを通して延在するルーメンを含むドレナージ要素であって、患者内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に動作可能に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブランの内部を前記外側メンブランの外部の環境と流体結合する複数のアパーチャを含む、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【請求項2】
前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、請求項1に記載の流量可変式シャント。
【請求項3】
前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、請求項2に記載の流量可変式シャント。
【請求項4】
前記ブラダー部分は、概してドーム形状である、請求項2に記載の流量可変式シャント。
【請求項5】
前記ブラダー部分は、概して曲面、及び概して平面を含む、請求項2に記載の流量可変式シャント。
【請求項6】
前記概して平面はテクスチャ加工される、請求項5に記載の流量可変式シャント。
【請求項7】
前記ブラダー部分は高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、請求項2に記載の流量可変式シャント。
【請求項8】
前記チューブ部分はリングを含み、前記リングは、前記シャントが前記患者内に植え込まれるとき、前記シャントの軸方向の並進を減少させる、及び/または防止するように構成される、請求項2のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【請求項10】
前記リングは、前記前眼房の外部の領域内に位置決め可能である、請求項8に記載の流量可変式シャント。
【請求項11】
前記外側メンブランは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、請求項1に記載の流量可変式シャント。
【請求項12】
前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、請求項11に記載の流量可変式シャント。
【請求項13】
前記外側メンブランは、前記ドレナージ要素を通して逆流圧を少なくとも部分的に低減させるように構成される、請求項1に記載の流量可変式シャント。
【請求項14】
前記ドレナージ要素はフローチューブを含む、請求項1に記載の流量可変式シャント。
【請求項15】
第一開口部、第二開口部、及び前記第一開口部と前記第二開口部との間に延在するルーメンを含むドレナージ要素であって、患者内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブラン内に含まれる流体を排出するために複数のアパーチャを含み、前記外側メンブランは前記ドレナージ要素を通して逆流圧を低減させるように構成される、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【請求項16】
前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、請求項15に記載の流量可変式シャント。
【請求項17】
前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、請求項16に記載の流量可変式シャント。
【請求項18】
患者の病状を治療するシステムであって、
前記患者の第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記第一身体領域内で位置決め可能な流入部分、及び前記第二身体位置内に位置決め可能な流出部分を含む、シャントと、
前記シャントの前記流出部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは前記シャントを通して逆流圧を低減させ、前記第一身体領域から、前記シャントを通して、前記第二身体領域内への流体のドレナージを促進するように構成される、ブラダーと、
を含む、システム。
【請求項19】
前記ブラダーは複数のアパーチャを含み、前記複数のアパーチャは前記ブラダーの内部を前記ブラダーの外部の環境と流体結合する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記シャントに結合され、前記流入部分または前記流出部分のうちの少なくとも1つを通して前記流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記流量制御アセンブリは、前記ブラダー内に位置決めされ、前記流出部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ブラダーは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ブラダーは、概してドーム形状である、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記ブラダーは、概して曲面、及び概して平面を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記概して平面はテクスチャ加工される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ブラダーは高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記シャントは、前記患者の眼の内に植え込まれるように構成され、前記第一身体領域は前眼房であり、前記第二身体領域は前記患者の眼の内の標的流出位置である、請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
患者の病状を治療するシステムであって、
前記患者の第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記第一身体領域内に位置決め可能な流入部分、及び前記第二身体領域内に位置決め可能な流出部分を有する、シャントと、
前記シャントに結合され、前記シャントの前記流入部分を通して流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記シャントの前記流入部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは複数の開口部を含み、前記システムが前記眼の内に植え込まれるとき、前記複数の開口部は前記第一身体領域内の前記ブラダーの外部の環境から、前記ブラダーの内部に流体が流入することを可能にする、ブラダーと、
を含む、システム。
【請求項30】
前記流量制御アセンブリは、1つ以上の形状記憶作動要素を含み、前記1つ以上の形状記憶作動要素は前記シャントの前記流入部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記シャントは、前記患者の眼の内に植え込まれるように構成され、前記第一身体領域は前眼房であり、前記第二身体領域は前記患者の眼の内の標的流出位置である、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
植え込み型医療デバイスであって、
前記植え込み型医療デバイスの1つ以上の動作を制御するように構成される作動アセンブリであって、前記作動アセンブリは好ましいジオメトリを有する少なくとも1つの形状記憶作動要素を含み、前記少なくとも1つの形状記憶作動要素はその好ましいジオメトリに対して変形されるとき、前記形状記憶作動要素を転移温度より高く加熱することにより、前記作動要素はその好ましいジオメトリに向けて移動し、前記植え込み型医療デバイスの動作を調整する、作動アセンブリと、
前記作動アセンブリを包むブラダーであって、前記ブラダーは外部エネルギー源からのエネルギーを前記ブラダーに貫入させ、前記作動要素を加熱することを可能にするように構成される、ブラダーと、
を含む、植え込み型医療デバイス。
【請求項33】
前記ブラダーは複数のアパーチャを含む、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記ブラダーは、前記植え込み型医療デバイスが患者内に植え込まれるとき、前記デバイスの少なくとも一部分をアンカーで固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、請求項32に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(複数可)の相互参照
本出願は、以下の係属中の出願、
2019年10月10日に出願された米国仮特許出願第62/913,694号、
2019年10月10日に出願された米国仮特許出願第62/913,700号、
2019年11月19日に出願された米国仮特許出願第62/937,676号、及び
2019年11月19日に出願された米国仮特許出願第62/937,680号、
の優先権を主張する。
【0002】
前述の出願のすべては、それらの全体が本明細書に参照により援用されている。さらに、参照により援用されている本出願に開示される実施形態の構成要素及び特徴は、本出願に開示され、請求されるさまざまな構成要素及び特徴と組み合わされることができる。
【0003】
本技術は、流量調整可能な緑内障用シャント、及びそれらのようなデバイスの作製及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
緑内障は、進行性かつ不可逆性の視力喪失を引き起こす可能性のある視神経への損傷を伴う眼の変性状態である。緑内障は、高眼圧症、眼圧の上昇に関連することが多く、眼房水(「房水」)の産生の増加、及び/または眼内から血流中への房水の流出量の減少に起因する可能性がある。房水は、後眼房及び前眼房の境界の毛様体内に産生される。それは、前房に流入し、最終的には、眼の静脈血管に流入する。緑内障は、通常、眼から出る房水を血流中に輸送する機構における不全によって引き起こされる。
【0005】
本技術の多くの態様を、以下の図面を参照して、よりよく理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。その代わりに、本技術の原理を明確に例示することに重点が置かれている。さらに、構成要素は、説明を明確にするために、ある特定の図面では透明であるように示されることができるが、構成要素が必ずしも透明であることを示すものではない。また、構成要素は概略的に示されることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、流量を調整可能な緑内障用のシャント、システム、及びそれらのようなデバイスの作製及び使用方法を対象とする。本明細書に記載の多くの実施形態では、シャントは、ドレナージ要素(例えば、フローチューブ)を含み、このドレナージ要素は、第一開口部、第二開口部、及び第一開口部と第二開口部との間に延在するルーメンを含む。第一開口部は前房内に位置決めされることができ、第二開口部は結膜下ブレブ空間などの標的流出位置内に位置決めされることができる。さらに、シャントは、流量制御アセンブリを含むことができ、この流量制御アセンブリは、ドレナージ要素に結合され、第一開口部または第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体(例えば、房水)の流量を制御するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリは、第二開口部に近接したドレナージ要素に結合され、流体がドレナージチューブを出るときにその流体の流量を制御する。他の実施形態では、流量制御アセンブリは、第一開口部に近接したドレナージ要素に結合され、流体がドレナージチューブに入るときにその流体の流量を制御する。その向きに関係なく、シャントは、流量制御アセンブリを包む外側メンブランまたはブラダーをさらに含むことができる。外側メンブランは、複数のアパーチャを含むことができ、これら複数のアパーチャは、外側メンブランの内部を外側メンブランの外部の環境と流体結合する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本技術の一実施形態に従って構成される、シャントが植え込まれている眼Eの簡略化された正面図である。
【
図1B】
図1Aの眼及び植え込まれたシャントのアイソメトリック図である。
【
図2A】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2B】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2C】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2D】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2E】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2F】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図2G】本技術の一実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図3A】本技術の別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図3B】本技術の別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図3C】本技術の別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図3D】本技術の別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図4】A~Cは、本技術のさらなる別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図5】A~Cは、本技術のさらなる別の実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図6】A及びBは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントを示す。
【
図7】A及びBは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントの外側メンブランを示す。
【
図8】A及びBは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントの外側メンブランの追加の態様を示す。
【
図9】本技術の選択された実施形態に従って構成される、流量調整可能な緑内障用シャントの外側メンブランの追加の態様を示す。
【
図10A】本技術の実施形態に従って構成される、作動アセンブリを示す。
【
図10B】本技術の実施形態に従って構成される、作動アセンブリを示す。
【
図10C】本技術の実施形態に従って構成される、作動アセンブリを示す。
【
図10D】本技術の実施形態に従って構成される、作動アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術のさまざまな実施形態の具体的な詳細は、
図1A~
図10Dを参照して以下に記載される。多くの実施形態が流量調整可能な緑内障用シャント及び関連方法に関して以下に記載されているが、他の実施形態は本技術の範囲内にある。さらに、本技術の他の実施形態は、本明細書に記載したものとは異なる構成、構成要素、及び/または手順を有することができる。例えば、本技術に従って構成されるシャントは、本明細書に記載のものを越える追加の要素及び特徴を含んでもよい、または他の実施形態は、本明細書に示され、記載される要素及び特徴のいくつかを含まなくてもよい。さらに、「シャント」という用語の使用は、一般に、本明細書に記載のデバイス全体を指すが、いくつかの態様では、「シャント」及び「チューブ」という用語は、互換的に使用される。
【0009】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたるさまざまな箇所に見られる「一実施形態では」または「実施形態では」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0010】
本明細書全体を通して、例えば、「概して」、「おおよそ」、及び「約」などの相対的な用語への言及は、本明細書では、記載された値のプラスまたはマイナス10%を意味するものとして使用される。
【0011】
本明細書のある特定の実施形態が眼の前房から流体を短絡するという観点から説明されているが、当業者は、本技術が眼の他の部分から、及び/またはそれらの間で、またはより一般的には、第一身体領域と第二身体領域とから、及び/またはそれらの間で流体を短絡するように容易に適合されることができることを理解するであろう。さらに、本明細書のある特定の実施形態は、緑内障治療という観点から説明されているが、それにもかかわらず、「緑内障用シャント」または「緑内障用デバイス」と称されるものを含む、本明細書の実施形態のいずれかは、眼または他の身体領域の他の疾患または状態を含む、他の疾患または状態を治療するために使用される、及び/または変更されることができる。例えば、本明細書に記載のシステムを使用して、心不全(例えば、駆出率が保たれた心不全、駆出率が低下した心不全など)、肺不全、腎不全、水頭症などを含むがこれらに限定されない、圧力上昇及び/または流体蓄積によって特徴付けられる疾患を治療することができる。さらに、概して房水を短絡する観点から説明されているが、本明細書に記載されているシステムは、第一身体領域と第二身体領域との間で、血液または脳脊髄液などの他の流体を短絡するために等しく適用されてもよい。
【0012】
本明細書で提供される表題は、便宜のためだけのものであり、本願により特許請求される本技術の範囲または意味を解釈するものではない。
【0013】
A.緑内障治療用の植え込み型シャント
緑内障は、視神経の損傷に関連する眼疾患群を指し、最終的には視力喪失及び失明を引き起こす。上記のように、緑内障は、眼内の房水の産生における増加、及び/または眼内から血流中への房水の流出量における減少に起因する、眼内の圧力の上昇によって特徴付けられる、眼の変性状態である。圧力が上昇すると、経時的に視神経が損傷する。残念ながら、患者には、緑内障の発症まで、眼圧の上昇という症状が現れないことが多い。そのため、通常、患者には症状がなくても、圧力の上昇が明らかになると、患者を注視しなければならない。この疾患の経過中、モニタリングを続けるため、臨床医は、疾患の進行を止めるために早期に介入することができる。圧力のモニタリングには、患者が定期的に診療所を訪れる必要があるため、費用、時間がかかり、不便である。緑内障の早期の段階は、通常、薬物(例えば、点眼薬)及び/またはレーザー療法を用いて治療される。ただし、薬物/レーザー療法が十分ではなくなる場合、手術アプローチが使用されることができる。手術または最小侵襲アプローチは、最初に、房水流出用の代替流路の作製か、自然路の拡張かいずれかにより、前房から血流への房水の流出を増加させようとする。
【0014】
図1A及び1Bは、本技術の実施形態による、ヒトの眼E、及びシャントが眼E内に植え込まれることができる適切な位置(複数可)を示す。より具体的には、
図1Aは、シャント100が植え込まれている眼Eの簡略化された正面図であり、
図1Bは、
図1Aの眼E及びシャント100のアイソメトリック図である。最初に
図1Aを参照すると、眼Eは、その運動を制御する複数の筋肉を含み、これら複数の筋肉は、上直筋SR、下直筋IR、外直筋LR、内直筋MR、上斜筋SO、及び下斜筋IOを含む。また、眼Eは、虹彩、瞳孔、及び輪部を含む。
【0015】
図1A及び1Bを併せて参照すると、シャント100は、ドレナージ要素105(例えば、ドレナージチューブ)を含むことができ、このドレナージ要素は、流入部分101を眼Eの前房内に位置決めし、流出部分102をブレブ空間などの眼E内の異なる位置に位置決めするように位置決めされることができる。シャント100は、さまざまな向きに植え込まれることができる。例えば、植え込まれたとき、ドレナージ要素105は、前房から上方向、下方向、内方向、及び/または外方向に延在してもよい。シャント100の設計及び向きに応じて、流出部分102は、いくつかの異なる適切な流出位置(例えば、脈絡膜と強膜との間、結膜と強膜との間など)に配置されることができる。
【0016】
流出抵抗は、さまざまな理由、例えば、シャント(例えば、シャント100)の植え込み手術の後、または前房から、小柱網、シュレム管、コレクタチャネルを介して、そして最終的には静脈及び身体の循環器系内へのドレナージネットワークにおけるさらなる遮断後、流出位置がその治癒過程を経るにつれて、経時的に変化することができる。その結果、臨床医は、それらのような変化に応じて、または他の臨床的理由から、流出抵抗を増加させるか、減少させるかいずれかのために、植え込み後にシャントを変更することを望む場合がある。例えば、多くの手技では、シャントは、その流出抵抗を一時的に増加させるように植え込み時に変更される。組織の治癒及び流出抵抗の安定化を可能にするのに十分であると考えられる一定期間後、シャントへの変更が元に戻されることにより、流出抵抗が減少する。別の例では、臨床医は、シャントを植え込んだ後、眼圧を監視してから、シャントを通る排出量の変更が望ましいと決定することがある。それらのような変更は、患者にとって侵襲的である、時間がかかる、及び/または費用がかかる場合がある。ただし、そのような手技が続かない場合、低眼圧を引き起こす(眼圧が過度に低くなる)尤度が高くなるため、さらに、視神経への損傷を含む合併症になることがある。対照的に、本技術の実施形態に従って構成される眼内シャントシステムにより、臨床医は、植え込み後、追加の侵襲的な手術手技なしに、シャントを通る流体の流量を選択的に調整することができる。
【0017】
本明細書に記載のシャントは、第一排出量を有するように植え込まれた後、第二排出量に達するように遠隔から調整されることができる。この調整は、個々の患者のニーズに基づくことができる。例えば、シャントは、より低い第一流量で植え込まれた後、臨床的に必要な場合、より高い第二流量に調整されることができる。本明細書に記載のシャントは、眼内法(ab interno)か眼外法(ab externo)かいずれかの植え込み技術を使用して送達されることができ、ニードルを介して送達されることができる。ニードルは、本明細書に記載のシャントのさまざまな形状を収容するようにさまざまな形状及び構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ニードルは、強膜を通した植え込みを容易にするために蝶着されることができる。植え込み手技、植え込みデバイス、及びブレブ形成の詳細は、2020年7月8日に出願された国際特許出願番号PCT/US20/41152により詳細に記載されており、その開示は、本明細書にあらゆる目的のために参照により援用されている。
【0018】
本明細書に記載の多くの実施形態では、流量制御アセンブリは、動作中にシャントを通る流体の流量を選択的に妨げる、または減衰させる特徴を導入するように構成される。このようにして、流量制御アセンブリは、圧力及び/または流量を選択的に調節するように、シャントを通して流れの抵抗を徐々に、または連続して変化させることができる。したがって、本技術に従って構成される流量制御アセンブリは、いくつかの異なる位置の間での干渉または圧縮のレベルを調整し、多数の変数(例えば、IOP、房水産生量、自然房水流出抵抗、及び/または自然房水流出量)に適応させ、シャントを通して流量を的確に調節することができる。
【0019】
開示されたアクチュエータ及び流体抵抗器は、すべて、外部から送達される(例えば、非侵襲的に)エネルギーを用いて動作することができる。この特徴により、それらのようなデバイスは、患者内に植え込まれてから、患者にさらなる侵襲的な手術または手技がなくても、経時的に変更される/調整されることができる。さらに、本明細書に開示されるデバイスは、エネルギーによって作動することができるため、それらのようなデバイスは、所望の向きまたは位置を維持するためにいかなる追加の動力も必要としない。むしろ、本明細書に開示されるアクチュエータ/流体抵抗器は、動力なく、所望の位置/向きを維持することができる。これにより、それらのようなデバイスの使用可能な寿命が大幅に延びることができ、それらのようなデバイスが最初の植え込み手技後に長く有効であり得る。
【0020】
B.流量調整可能な緑内障用シャントの選択された実施形態
図2A~
図9は、流量調整可能な緑内障用シャントデバイスの実施形態を、それらのようなデバイスに関連する特定の構成要素及び特徴と共に示す。
図2Aは、例えば、本技術の一実施形態に従って構成される、流量可変式の緑内障用シャント200(「シャント200」)を示す。シャント200は、流出チューブ220に流体連結される流入チューブ210(これらは「ドレナージ要素」と総称されることができる)を含む。流入チューブ210の少なくとも一部分は、眼の光学視野の外側の領域中の前房内での配置のために構成される。流出チューブ220の少なくとも一部分は、結膜下ブレブ空間などの所望の流出位置内での配置のために構成される。さらに、シャント200は、流量制御アセンブリ230(本明細書では「作動アセンブリ」とも称される)を含む。以下でより詳細に記載されるように、流量制御アセンブリ230は、可変抵抗器として機能し、前房と所望の流出位置との間の流量に影響するように構成される。いくつかの実施形態では、シャントは、流出チューブ220の一部分を囲む外側メンブラン240をさらに含む。
【0021】
図2Bは、流入チューブ210を単独で示し、シャント200(
図2A)のその他の部分は説明のために示されていない。
図2Bで最もよく見えるように、流入チューブ210は、近位端部212及び遠位端部214を含む、概して細長いチューブ形状を有する。ルーメン216は、流入チューブ210を通して近位端部212と遠位端部214との間に延在する。遠位端部214は、眼の前房内での配置のために構成される。例えば、いくつかの実施形態では、遠位端部214は、虹彩の上方の空間中の前房内での配置のために構成される。
図2Cに関してより詳細に説明される、ルーメン216が流出チューブ220に流体連結されるように、近位端部212は、流出チューブ220に連結可能である。シャント200が眼内に植え込まれるとき、房水は、遠位端部214でシャント200に入り、ルーメン216を介して近位端部212に向けて流れる。
【0022】
いくつかの実施形態では、流入チューブ210は、卵形断面形状を有する。卵形断面形状は、流入チューブ210の高さを最小にすることができるため、シャント200が眼内に植え込まれるとき、流入チューブ210と角膜内皮との相互作用を減少させることができる。ただし、他の実施形態では、流入チューブ210は、実質的に円形断面形状を有する。さらに他の実施形態では、流入チューブ210は、矩形、五角形などのさらに別の断面形状を有する。流入チューブ210は、ヒトの眼内での配置に適した任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、流入チューブ210は、シリコーン、ウレタンなどの可撓性材料である。いくつかの実施形態では、流入チューブ210は、炎症反応をほとんど、または全く誘起しない、当該技術で既知の材料を含む。
【0023】
図2Cは、流出チューブ220を単独で示し、シャント200(
図2A)のその他の部分は説明のために示されていない。流出チューブ220は、近位端部222及び遠位端部224を含む、概して細長いチューブ形状を有する。ルーメン226は、流出チューブ220を通して近位端部222と遠位端部224との間に延在する。流出チューブ220の遠位端部224は、流入チューブ210の近位端部212(
図2A及び
図2B)に連結可能である。この連結を容易にするために、流出チューブ220の遠位端部224は、流出チューブ220を流入チューブ210に固定する1つ以上の保定特徴225を含むことができる。保定特徴225は、例えば、リング、バーブ、カット、及び/またはチューブ要素を合わせて固定するために当該技術で知られている他の要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、流出チューブ220の一部分は、流入チューブ210の一部分と、合わせて固定されるとき、重複する。流入チューブ210及び流出チューブ220が合わせて固定されるとき、流入チューブ210のルーメン216は、流出チューブ220のルーメン226に流体連結されることにより、房水がルーメン216からルーメン226に流れることができる。いくつかの実施形態では、流出チューブ220は、剛性材料を含むことにより、以下でより詳細に説明されるように、その外面沿いに、流量制御アセンブリ230が摺動することができる。流出チューブ220に適した材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル、ポリカーボネート、金属、セラミック、石英、サファイア、それらの複合材料、及び/または当該技術で知られている他の剛性または半剛性材料を含む。いくつかの実施形態では、流出チューブ220は、1つ以上の所望の機械的特性(例えば、剛性)も与えるコーティング(例えば、生体適合性コーティング)を含む。
【0024】
流出チューブ220は、近位端部222と遠位端部224との間に流出穴部またはアパーチャ228をさらに含む。アパーチャ228は、ルーメン226と流体連通する。したがって、房水がルーメン226を通して流れると、房水の少なくとも一部分は、
図2D及び
図2Fに関して以下で説明されるように、アパーチャ228が流量制御アセンブリ230によって覆われない限り、アパーチャ228を介してルーメン226を出る。当業者が本明細書の本開示から理解するように、流出チューブ220は、その長さ沿いに、及び/または近位端部222に、複数のアパーチャ228を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、流出チューブ220は、流入チューブ210と一体にされることにより、ユニタリチューブ要素が形成される。それらのような実施形態では、チューブは、保定特徴225を含まない。
【0025】
図2Dは、流量制御アセンブリ230の拡大図であり、シャント200(
図2A)のその他の部分が説明のために示されていない。流量制御アセンブリ230は、制御要素234、第一アンカー要素232a、及び第二アンカー要素232b(本明細書では「アンカー要素232」と総称される)を含む。第一アンカー要素232aは、第一固定穴部233aを含むことができ、第二アンカー要素は、第二固定穴部233bを含むことができる(本明細書では「固定穴部233」と総称される)。制御要素234は、第一作動要素236aを介して第一アンカー要素232aに連結され、第二作動要素236bを介して第二アンカー要素232bに連結される。
【0026】
流量制御アセンブリ230の少なくとも一部分は、光及び/または熱などのエネルギーを介して活性化できる形状記憶材料(例えば、ニチノールまたは別の適切な形状記憶材料)から構成されることができる。例えば、第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、形状記憶合金(例えば、ニチノール)などの形状記憶材料から構成されることができる。したがって、第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、少なくとも、第一材料の位相または状態(例えば、マルテンサイト状態、R相、マルテンサイトとR相との間の複合状態など)と第二材料の位相または状態(例えば、オーステナイト状態、R相状態、オーステナイトとR相との間の複合状態など)との間で転移可能であることができる。第一材料状態では、第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、変形性(例えば、可塑性、可鍛性、圧縮性、膨張性など)であってもよい。第二材料状態では、第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、特異的な好ましいジオメトリ(例えば、元のジオメトリ、製造ジオメトリ、温度設定されたジオメトリなど)に対して選好性を有してもよい。第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、エネルギー(例えば、熱)を作動要素に与えて作動要素を転移温度より高く加熱することによって、第一材料状態と第二材料状態との間で転移することができる。身体の外部に位置決めされるエネルギー源(例えば、レーザー)、RF加熱、抵抗加熱などを介して、エネルギーが作動要素に与えられることができる。いくつかの実施形態では、第一作動要素236a及び第二作動要素236bの両方の転移温度は、平均体温(例えば、眼内の平均温度)よりも高い。したがって、第一作動要素236a及び第二作動要素236bの両方は、それらが作動するまで、シャント200が身体内に植え込まれるときに概して変形可能な第一状態にある。作動要素(例えば、第一作動要素236a)が第一状態にある間にその好ましいジオメトリに対して変形される場合、作動要素(例えば、第一作動要素236a)をその転移温度より高く加熱すると、作動要素は、第二状態に転移することで、変形した形状からその好ましいジオメトリに、及び/またはその好ましいジオメトリに向けて移動する。いくつかの実施形態では、第一作動要素236aは、第二作動要素236bから独立して選択的に加熱されることができ、第二作動要素236bは、第一作動要素236aから独立して選択的に加熱されることができる。
【0027】
第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、一般に、反対に作用する。例えば、第二作動要素236bがその好ましいジオメトリに対して変形する場合、第二作動要素236bの作動(例えば、第二作動要素236bをその転移温度より高く加熱すること)により、第二作動要素236bは、その好ましいジオメトリに向けて移動する。これにより、第一作動要素236aでの対応する変形が引き起こされるが、第一作動要素は、第一材料状態のままであるため、概して可鍛性である。例えば、図示された実施形態では、第二作動要素236bは、その好ましいジオメトリに対して圧縮される(例えば、短くされる)。第二作動要素236bがその転移温度より高く加熱されると、第二作動要素236bは、真っ直ぐになり(例えば、長くなり、膨張しなど)、その好ましいジオメトリに向けて移動する。第二作動要素236bが形状を変化させるときに第二アンカー要素232bが移動しないため、第一作動要素236a(これは加熱されないので、概して可鍛性の第一状態にある)が圧縮されると、第二作動要素236bの形状変化の原因となる。これにより、制御要素234が第一アンカー要素232aに向けて移動する。この動作は、第一作動要素236aをその転移温度より高く加熱することによって逆にされることができると、第一作動要素は、その好ましいジオメトリに向けて移動する(例えば、膨張する)ことにより、制御要素234が移動して第二アンカー要素232bに向けて戻る。したがって、第一作動要素236a及び第二作動要素236bは、制御要素234を前後にトグルするように選択的かつ独立して作動することができることにより、以下に説明されるように、アパーチャ228が選択的に遮断される、及び/または遮断解除されることができる。流量制御アセンブリ220と概して同様の流量制御アセンブリの動作に関する追加の詳細は、以下のセクションCで、
図10A~10Dを参照して説明される。
【0028】
いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ230は、シートまたはストリップ材料から切断される。それらのような実施形態では、流量制御アセンブリの各構成要素は、ニチノールなどの同じ材料を含む。それらのようなニチノール系流量制御アセンブリを製造するために、流量制御アセンブリの所望の形状は、ニチノールのシートまたはストリップ(例えば、単一のシートまたは単一のストリップ)から切断されることができる。例えば、実質的に平らな流量制御アセンブリは、ニチノール材料の単一のシートまたはストリップからレーザー切断されることができる。平らではない(例えば、球形、円筒形、円錐形など)流量制御アセンブリ(例えば、流量制御アセンブリ230)は、ニチノール材料の単一のシートからレーザー切断され、所望の平らではない構成に、溶融される、またはその他の方法で形成されることができる。ただし、当業者が本明細書での本開示から理解するように、流量制御アセンブリは、他の適切な方法を使用して形成されることができる。例えば、流量制御アセンブリがニチノールから構成される実施形態では、流量制御アセンブリは、ニチノールを所望の構成に操作するのに適した任意の技術を使用して形成されることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第一作動要素及び/または第二作動要素(例えば、第一作動要素236a及び/または第二作動要素236b)は、流量制御アセンブリを形成した後に任意選択でバイアスをかけられる。例えば、第一作動要素は、シャント/フローチューブへの取り付け時に、第二作動要素とは異なる長さを有するように操作される(例えば、エネルギーを使用して)ことができる。シャントの展開前に作動要素のうちの少なくとも1つにバイアスをかけると、シャントは、植え込み手技のために「開位置」(例えば、流れることができる)、「部分的な開位置」、または「閉位置」(例えば、流れることができない)に置かれる。バイアスステップは、流量制御アセンブリをフローチューブに取り付ける前または後に行われることができる。流量制御アセンブリは、アンカー技術を使用してシャントに固定されることができ、このアンカー技術は、流量制御アセンブリを所望の位置に保持し、シャントの動作を実質的に妨げない。例えば、流量制御アセンブリ(例えば、流量制御アセンブリ230)は、1つ以上のアンカー要素(例えば、第一アンカー要素232a及び/または第二アンカー要素232b)を介してフローチューブ(例えば、フローチューブ220)に固定されることができる。流量制御アセンブリがフローチューブにアンカーで固定されると、フローチューブ220は、外側メンブラン(例えば、外側メンブラン240)内に位置決めされ、任意の適切な手段を使用して適所に固定されることができる。
【0030】
図2E及び
図2Fを参照すると、流量制御アセンブリ230は、流出チューブ220の外周部の周りに位置決め可能である。アンカー要素232は、流量制御アセンブリ230を流出チューブ220に固定する。いくつかの実施形態では、例えば、固定穴部233を使用して、流量制御アセンブリ230を流出チューブ220に連結することができる。他の実施形態では、固定穴部233は省略されることができ、流量制御アセンブリ230は、例えば、溶接、エポキシ、グルーなどの他の適切な手段によって流出チューブに固定されることができる。
【0031】
上記のように、作動要素236は、アンカー要素232の間の流出チューブ220の長さ沿いに制御要素234を前後に摺動自在に移動させる(例えば、軸方向に並進させる)ように構成される。例えば、作動要素236のうちの少なくとも1つの活性化時に、(a)アパーチャ228が第一流体流量断面(例えば、完全に開いてアクセス可能な)を有する、または(b)アパーチャ228が制御要素236によって少なくとも部分的に覆われ、第一流体流量断面よりも小さい第二流体流量断面を有する(例えば、部分的に開いている/アクセス可能である)ように、制御要素234は、流出チューブ220の外面に沿って、それぞれ第一方向または第二方向に摺動自在に移動する。さらに、場合によっては、制御要素236は、アパーチャ228が完全に覆われ、アクセスできないように、摺動自在に調整されてもよい。流量制御アセンブリ230は、眼内に配置された後、アパーチャ228に対して制御要素236を漸次に調整することによって、さまざまな異なる流出抵抗レベルを与えるように、選択的に調整されることができる(例えば、眼の外部に位置決めされるエネルギー源を介して)。
【0032】
いくつかの実施形態では、流出チューブ220は、複数のアパーチャ228を含む。それらのような実施形態では、流量制御アセンブリ230は、少なくとも第一アパーチャを少なくとも部分的に覆う第一位置と、第一アパーチャを覆わない第二位置との間を移動するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ230の移動は、第一アパーチャだけでなくそれ以上のものを、少なくとも部分的に覆う、または覆わないように構成されることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアパーチャ228は、常に少なくとも部分的に覆われていないままであることができる。ただし、他の実施形態では、すべてのアパーチャ228は、流量制御アセンブリ230の位置決めによっては、同時に流量制御アセンブリ230によって覆われることができる。アパーチャ228の数は、所望の房水排出量に少なくとも部分的に基づくことができる。複数のアパーチャ228を有することにより、アパーチャ228のうちの1つが組織の内殖または凝固によって遮断されるようになる場合でも、房水の排出が継続されることができる。
【0033】
図2Gは、外側メンブラン240を単独で示し、シャント200(
図2A)のその他の部分は説明のために示されていない。外側メンブラン240は、流量制御アセンブリ230を封入するブラダー部分242と、流出チューブ220及び/または流入チューブ210の一部分を受容するように構成されるチューブ部分244とを含むことができる。ブラダー部分242は、房水がメンブラン240を出ることを可能にする、複数の穴部、スロット、またはチャネル246を含むことができる。ブラダー部分242は、円形、卵形、円錐形などのさまざまな形状を有することができる。外側メンブラン240は、流量制御アセンブリ230を保護することができることにより、流量制御アセンブリは、組織から妨げられることなく、自由に移動することができる。また、外側メンブラン240は、組織の内殖を最小にすることによって、ドレナージブレブを開いたままにすることができる。いくつかの実施形態では、外側メンブラン240は、シャント200が眼内に植え込まれるとき、シャント200を標的位置にアンカーで固定するように構成されることができる。
【0034】
図3A~3Cは、本技術の別の実施形態に従って構成される、流量可変式緑内障用シャント300(「シャント300」)を示す。シャント300は、流出チューブ320であって、それを通して延在するルーメン326を有する、流出チューブと、流量制御アセンブリ330と、外側メンブラン340とを含むことができる。流出チューブ320は、
図2A~2Gに関して上記で説明されるように、流入チューブに連結されることができる、または眼内に植え込まれるときに前房とドレナージ部位との間に延在するように構成される単一のチューブ要素を含むことができる。
図2A~2Gに関して上述されるように、流出チューブ320は、眼内への植え込みに適した任意の材料を含むことができる。流出チューブ320は、概して円形断面を有することができる、または卵形状もしくは他の断面形状を有することができる。眼内に植え込まれたとき、流出チューブ320は、房水がルーメン326を通して流れることを可能にする。
【0035】
流量制御アセンブリ330は、
図2A~2Fに関して説明される、流量制御アセンブリ230と実質的に同様であることができる。例えば、流量制御アセンブリ330及び流出チューブ320の断面図である、
図3Cに示されるように、流量制御アセンブリ330は、第一アンカー332a、第二アンカー332b、第一作動要素336a、第二作動要素336b、及び第一作動要素336aと第二作動要素336bとの間で摺動自在な制御要素334を含むことができる。上記のように、第一作動要素336a及び第二作動要素336bは、ニチノールなどの形状記憶材料から構成されることができる。したがって、第一作動要素336aが作動する(例えば、加熱される)と、摺動自在な制御要素334が第一方向に移動する(例えば、軸方向に並進する)ことができ、第二作動要素336bが作動する(例えば、加熱される)と、制御要素334が第一方向に概して対向する第二方向に移動することができる。例えば、流量制御アセンブリ230に関して上記で詳細に説明されるように、第一作動要素336aにエネルギーが与えられると、第一作動要素336aは、膨張し、摺動自在な制御要素334を第二アンカー332bに向けて押し出すことができる。第二作動要素336bにエネルギーが与えられると、第二作動要素336bは、膨張し、摺動自在な制御要素334を第一アンカー332aに向けて押し出す。制御要素334は、流出チューブの長さ沿いに摺動すると、アパーチャ328を覆う、または覆わないことができることにより、アパーチャ328を介して流出チューブ320から流出することができる房水量を減少させる、または増加させることができる。
【0036】
図3A~3Cに示されるように、外側メンブラン340は、概して円形または卵形の断面形状を有する、概して管状の容積を有することができる。外側メンブラン340は、1つ以上の流出穴部(図示せず)を含むことができ、これら1つ以上の流出穴部により、房水は、外側メンブラン340から流出し、外側メンブラン340が位置決めされるブレブ空間内に流入することができる。外側メンブラン340は、流量制御アセンブリ330を保護することができることにより、流量制御アセンブリは、組織から妨げられることなく、自由に移動することができる。また、外側メンブラン340は、組織の内殖を最小にすることによって、ドレナージブレブを開いたままにすることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、外側メンブラン340は、ドーム形状である。例えば、
図3Dは、ドーム形状の外側メンブラン340の断面図を示す。図示されるように、外側メンブラン340は、概して平面345、及び概して半円形面347を有する。いくつかの実施形態では、外側メンブラン340の高さ(例えば、概して平面345と概して半円形面347との間の距離)は、外側メンブラン340の幅よりも小さい。概して平面345は、シャント300が眼内に植え込まれるときに安定するのを援助することができる。さらに、概して半円形面347は、シャント300が眼内に植え込まれるときに、外側メンブラン340と結膜下との間の表面間の接触を減少させることができる。理論に制限されることなく、これは、結膜下のびらん、及び/または外側メンブラン340の侵食を減少させることができる、及び/または防止することができる。さらに、外側メンブラン340の少なくとも一部分は、外側メンブラン340が濡れたままであることを確保するために、親水性材料または他のウィーピングメンブランを含むことができる。当業者が本明細書の本開示から理解するように、外側メンブラン340は、丸くない形状(例えば、「T」形状)を含む、他の形状を有することができる。それらのような実施形態は、本明細書で明示的に説明されていなくても、本技術の範囲内にある。丸くない外側メンブランを含むシャントは、丸くない断面を有するニードルによって送達されることができる。
【0038】
図4A~4Cは、本技術の一実施形態に従って構成される、さらに別の流量可変式緑内障用シャントを示す。図示されるように、流量可変式緑内障用シャント400(「シャント400」)は、フローチューブ410、流量制御アセンブリ430、及び外側メンブラン440を含む。フローチューブ410は、そこを通して延在するルーメン426(
図4B及び4C)を含み、前眼房と結膜下ブレブ空間との間に位置決め可能である。植え込まれたとき、フローチューブ410は、房水がルーメン426を通して流れることを可能にし、前房内の圧力を低下させることができる。チューブは、軟質のポリマー系材料、より硬質の金属系材料、またはハイブリッドのものであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、フローチューブ410は、
図2A~2Gに関して上述されるように、流出チューブに結合される流入チューブを含む。それらのような実施形態では、流入チューブは軟質のポリマー系材料を含むことができ、流出チューブはより硬質の金属系材料を含むことができる。フローチューブ410は、フローチューブ410の第一端部領域422沿いに位置決めされる1つ以上のアパーチャ428(例えば、
図4Cでは、第一アパーチャ428a及び第二アパーチャ428bとして示される)を含むことができる。フローチューブの第一端部領域422は、結膜下ブレブ空間などの所望の流出位置内に位置決め可能である。
【0039】
図4Cを参照すると、流量制御アセンブリ430は、第一アンカー部分432a、第二アンカー部分432b、及び第三アンカー部分432cを含むことができる(本明細書では、「アンカー部分432」と総称される)。アンカー部分432は、ルーメンを通る房水の流れを遮断することなく、流量制御アセンブリ430を流出チューブ410に固定することができる。さらに、流量制御アセンブリ430は、第一アパーチャ428aと境界で接する(例えば、遮断する)ように構成される第一制御要素434aと、第二アパーチャ428bと境界で接するように構成される第二制御要素434bとを含む。流量制御アセンブリ420は、第一アンカー部分432aと第一制御要素434aとの間に延在する第一作動要素436a、第三アンカー部分432cと第一制御要素434aとの間に延在する第二作動要素436b、第三アンカー部分432cと第二制御要素434bとの間に延在する第三作動要素436b、及び第二アンカー部分432bと第二制御要素434bとの間に延在する第四作動要素436dを含む。作動要素434a~dは、形状記憶材料から構成されることができ、シャント200の流量制御アセンブリ230(
図2A~2E)に関して上述されるものとほぼ同様の方法で動作することができる。例えば、第一作動要素436aが作動すると、第一制御要素434aが第一方向に移動することができ、第二作動要素436bが作動すると、第一制御要素434bが第一方向に概して対向する第二方向に移動することができる。したがって、第一作動要素436a及び第二作動要素436bは、第一制御要素434aを前後に移動させる(例えば、軸方向に摺動させる)ように選択的に作動することができることにより、第一制御要素434aが第一アパーチャ428aを遮断する程度、及び第一アパーチャ428aを通した抵抗は、変化することができる。同様に、第三作動要素436cが作動すると、第二制御要素434bが第一方向に移動する(例えば、軸方向に摺動する)ことができ、第四作動要素436dが作動すると、第二制御要素434bが第一方向に概して対向する第二方向に移動することができる。したがって、第三作動要素436c及び第四作動要素436dは、第二制御要素436bを前後に移動させるように選択的に作動することができることにより、第二制御要素434bが第二アパーチャ428bを遮断する程度、及び第二アパーチャ428bを通した抵抗は、変化することができる。第一制御要素434a及び第二制御要素434bは、互いから独立して前後に移動することができる。したがって、流量制御アセンブリ430は、患者の状態に応じて、房水の所望の流量を達成するように選択的に操作されることができる。
【0040】
図4A~4Cに示される配置が2つのアパーチャ428、2つの制御要素434、及び4つの作動要素436a~dを示すが、他の実施形態では、シャント400が、より多い、またはより少ないアパーチャ、制御要素、及び/または作動要素を含んでもよいことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、シャント400は、3つのアパーチャ、3つの制御要素、及び6つの作動要素を含む。さらに、アパーチャ、制御要素、及び作動要素の数は等しい必要がない。例えば、いくつかの実施形態では、シャント400は、4つ以上のアパーチャ、2つの制御要素、及び2つの作動要素を含んでもよい。
【0041】
シャント400は、流量制御アセンブリ430、及びフローチューブ410のうちの少なくとも一部分を囲む外側メンブラン440を含む。外側メンブラン440は、流量制御アセンブリ430を保護するように構成される拡大したブラダー部分442と、フローチューブ410の少なくとも一部分を包むように構成されるチューブ部分444とを含むことができる。ブラダー部分442は、房水がメンブラン440を出ることを可能にする、複数の穴部、スロット、またはチャネル(図示せず)を含むことができる。外側メンブラン440は、流量制御アセンブリ430を保護することができることにより、流量制御アセンブリは、組織から妨げられることなく、自由に移動することができる。また、外側メンブラン440は、ドレナージブレブを開いたままにすることができる。図示されるように、外側メンブラン440は、シャント400の植え込み中、及び植え込み後、眼への損傷を最小にするために実質的に平らであることができる。また、外側メンブラン440は、シャント400を標的位置にアンカーで固定するのを助けることができる。
【0042】
図5A~5Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、さらに別の流量可変式緑内障用シャントを示す。
図5Aは流量可変式緑内障用シャント(「シャント500」)のアイソメトリック図であり、
図5Bはシャント500の断面図であり、
図5Cはシャントフレーム540の断面図であり、説明のために他の特徴は省略されている。
【0043】
フレーム540は、近位部分542及び遠位部分544を含む。近位部分542は、ドレナージ空間(例えば、ブレブ空間)内に位置するように構成され、遠位部分544は、強膜を貫通して前房に貫入するように構成される。フレーム540の形状は、シャント500を適所にアンカーで固定する。いくつかの実施形態では、フレーム540は、シャント500の植え込み中、及び植え込み後の眼への損傷を最小にするように実質的に平らである(例えば、約100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、及び/または50μm以下の厚さを有する実質的に平らな輪郭を有する)ことができるにもかかわらず、流量制御アセンブリ530を保護してシャント500を標的位置にアンカーで固定するような形状に作られることができる。シャント500をアンカーで固定し、流量制御アセンブリ530を保護することに加えて、フレーム540は、1つ以上のフローチャネルをも画定することができ、これら1つ以上のフローチャネルは、房水が前房から流量制御アセンブリ530に向けて流れることを可能にする。例えば、図示された実施形態は、第一フローチャネル520a及び第二フローチャネル520bを含む(本明細書では「フローチャネル520」と総称される)。いくつかの実施形態では、
図5Aに示されるように、フローチャネル520が房水排出を容易にするので、シャント500は追加のフローチューブを必要としない。ただし、いくつかの実施形態では、フローチューブ(図示せず)はフローチャネル520内に挿入されることができる。また、フレーム540は、以下でより詳細に説明される、流量制御アセンブリ530のアンカー要素532を受容するように構成される第三チャネル546を含むことができる。
【0044】
上記に定められるように、シャント500は、フレーム540によって搬送される流量制御アセンブリ530をさらに含む。より具体的には、流量制御アセンブリ530は、フレームの近位部分542内に位置決めされることができ、フローチャネル520を通して流体の流量を選択的に制御するように構成されることができる。例えば、流量制御アセンブリ530は、第一フローチャネル520aと境界で接する(例えば、遮断する)ように構成される第一制御またはゲート要素538aと、第二フローチャネル520bと境界で接するように構成される第二制御またはゲート要素538bとを含む。第一制御要素538a及び第二制御要素538bは、概してエルボ形状または「L」形状を有することができる。流量制御アセンブリ530は、第一作動要素536a及び第二作動要素536bをさらに含む。第一作動要素536aは、アンカー要素532と、第一制御要素538aの一部分に係合するように構成される、第一制御要素が境界で接する構成要素534aとの間に延在することができる。第二作動要素は、アンカー要素532と、第二制御要素538bの一部分に係合するように構成される、第二制御要素が境界で接する構成要素534bとの間に延在することができる。いくつかの実施形態では、制御ゲート538a、538b及び作動要素536a、536bは、ニチノール製シートからレーザー切断される単一の構成要素に統合されることができる。
【0045】
図示された実施形態では、第一制御要素538a及び第二制御要素538bは、アンカー要素532に係合するが、以下に説明されるように、第一及び第二制御要素538a、538bは、それぞれ第一及び第二フローチャネル520a、520bを部分的に、または完全に遮断解除するように、それぞれ第一及び第二作動要素536a、536bの作動によってアンカー要素532から離れて選択的に移動することができる。例えば、第一作動要素536aは第一フローチャネル520aを選択的に開く、または遮断解除することができ、第二作動要素536bは第二フローチャネル520bを選択的に開く、または遮断解除することができる。いくつかの実施形態では、第一作動要素536a及び第二作動要素536bは、形状記憶材料から構成されることができ、前述の作動要素と実質的に同様に動作するように構成されることができる。例えば、第一作動要素536aは、その好ましいジオメトリに対して圧縮されることができるため、それをその転移温度より高く加熱すると、第一作動要素536aが膨張する(例えば、長くなる)ことにより、第一制御要素538aがアンカー要素532から離れて押し出され(第一制御要素が境界で接する構成要素534aを介して)、第一フローチャネル520aが遮断解除される(または少なくとも部分的に遮断解除される)。同様に、第二作動要素536bは、その好ましいジオメトリに対して圧縮されることができるため、それをその転移温度より高く加熱すると、第二作動要素536bが膨張する(例えば、長くなる)ことにより、第二制御要素538bがアンカー要素532から離れて押し出され(第二制御要素が境界で接する構成要素534bを介して)、第二フローチャネル520bが遮断解除される(または少なくとも部分的に遮断解除される)。したがって、第一及び第二作動要素536a、536bは、フローチャネル520を通して流量を変更するように選択的に作動することができる。
【0046】
シャント500は、外側メンブランまたはカバー550をさらに含むことができ、この外側メンブランまたはカバーは、流量制御アセンブリ530及びフレーム540を包み、シャント300、400、及び500に関して上記で議論される外側メンブランと同様に機能する。いくつかの実施形態では、カバー550は、シャント500の植え込み中、及び植え込み後の眼への損傷を最小にするように実質的に平らであることができるにもかかわらず、流量制御アセンブリ530を保護してシャント500を標的位置にアンカーで固定するような形状に作られることができる。カバー550は、組織の過剰な刺激を回避するために、薄く柔軟な材料を含むことができる。
【0047】
図6Aは、本技術の追加の実施形態に従って構成される、調整可能なシャント600(「シャント600」)の部分的に透明なアイソメトリック図である。シャント600は、外側メンブラン605、フローチューブ640、及び流量制御アセンブリ650を含む。シャント600は、前眼房と結膜下ブレブ空間などの所望の房水流出位置とを流体連結するように、ヒトの眼内に植え込まれることができる。したがって、シャント600は、緑内障を患う患者に植え込まれることができると、前眼房からの房水の排出が選択的に増加することができる。
【0048】
図6Bは、フローチューブ640を単独で示し、シャント600(
図6A)のその他の部分は説明のために示されていない。フローチューブ640は、近位(例えば、上流)端部641及び遠位(例えば、下流)端部642を含む、概して細長いチューブ形状を有する。ルーメン644は、フローチューブ640を通して近位端部641と遠位端部642との間に延在する。ルーメン644は、シャント600が眼内に植え込まれるときに前房から房水を排出するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、フローチューブ640は、前房から標的流出位置(例えば、ブレブ空間)まで延在する。それらのような実施形態では、近位端部は前房内に位置決め可能であり、遠位端部はドレナージブレブ内に位置決め可能である。他の実施形態では、フローチューブ640の近位端部641は、前房内に位置決めされていないが、代わりに、流入チューブ(図示せず)に連結可能である。流入チューブは、前房との流体連通のために構成されることができる。前述のように、2つの別個のチューブを有することにより、フローチューブ及び流入チューブが異なる材料から作製されることができると、ルーメン経路の異なる部分が異なる特性(例えば、剛性、可撓性など)を有することができる。流入チューブ及びフローチューブ640が合わせて固定されるとき、フローチューブ640のルーメン644は、流入チューブのルーメンに流体連結されることにより、それを通して房水が流れることができる。いくつかの実施形態では、フローチューブ640は、以下でより詳細に説明されるように、剛性材料を含むことにより、その外面沿いに、流量制御アセンブリ650が摺動することができる。フローチューブ640に適した材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル、ポリカーボネート、金属、セラミック、石英、サファイア、及び/または当該技術で知られている他の剛性または半剛性材料を含む。いくつかの実施形態では、フローチューブ640は、1つ以上の所望の機械的特性(例えば、剛性)も与えるコーティング(例えば、生体適合性コーティング)を含む。さらに他の実施形態では、シャント600はフローチューブを含まない。それらのような実施形態では、外側メンブラン605は、前房と流体連通するように構成されるルーメンを画定することができる。
【0049】
フローチューブ640は、近位端部641と遠位端部642との間に流出穴部またはアパーチャ643をさらに含む。アパーチャ643は、ルーメン644と流体連通する。したがって、房水がルーメン644を通して流れると、房水の少なくとも一部分は、以下で説明されるように、アパーチャ643が流量制御アセンブリ650によって覆われていない(部分的に、または完全に)限り、アパーチャ643を介してルーメン644を出る。当業者が本明細書の本開示から理解するように、フローチューブ640は、その長さ沿いに、及び/または遠位端部642に、複数のアパーチャ643を含むことができる。
【0050】
流量制御アセンブリ650は、
図2A~2Gに関して詳細に説明される、流量制御アセンブリ230と概して同様または同じであることができる。例えば、流量制御アセンブリ650は、複数の作動要素652を含むことができ、これら複数の作動要素は、フローチューブ640の一部分に沿って制御要素654を摺動自在に移動させて、アパーチャ643を選択的に遮断する、及び/または遮断解除する(または部分的に遮断する、及び/または部分的に遮断解除する)ように構成されることができる。
【0051】
図6Aで最もよく見えるように、フローチューブ640及び流量制御アセンブリ650は、外側メンブラン605内に包まれることができる。したがって、外側メンブラン605は、細長い(例えば、チューブ)部分610及びブラダー部分620を含むことができる。細長い部分610は、第一部分または上流部分612、第二部分または下流部分614、及びそれを通して延在するルーメン611を含む。ルーメン611は、フローチューブ640の少なくとも一部分を収容するように構成されることができる。細長い部分610の上流部分612は、植え込まれたときに前眼房内に存在するように構成されることができる。細長い部分610は、フローチューブ640の断面形状に一致する断面形状を有することができる。例えば、フローチューブ640が卵形状の断面を有する場合、細長い部分610は、卵形状の断面を有することができる。これにより、細長い部分640の全体的な輪郭が最小になるにもかかわらず、フローチューブ640に保護が提供される、及び/またはフローチューブが包まれることが期待される。
【0052】
ブラダー部分620は、流量制御アセンブリ650、及びフローチューブ640の遠位端部を包むことができる。ブラダー部分620は、複数のアパーチャ621を含むことができ、これら複数のアパーチャは、ブラダー部分620によって画定される内部チャンバ、及びブラダー部分620の外部の環境を流体連結するように構成されることができる。したがって、眼内に植え込まれたとき、ブラダー部分620は、結膜下ブレブ空間などの標的流出位置内に存在するように構成されることができる。アパーチャ621により、房水は、フローチューブ640のアパーチャ643を通して排出され、ブラダー部分620の内部チャンバを出て、ブレブ空間に流入することができる。いくつかの実施形態では、アパーチャ621は、ブラダー部分620の遠位端部に位置決めされる。細長い部分612に隣接するブラダー620の近位端部622は、概してアパーチャがなくてもよい。理論に制限されることなく、ブラダー部分620に沿った前述のアパーチャ配置は、
図8A及び
図8Bに関して以下で詳細に説明されるように、シャント600のドレナージ特性を改善することが期待される。また、ブラダー部分620は、シャント600を所望の位置に固定するように構成される、1つ以上のアタッチメント機構を含むことができる。図示された実施形態では、ブラダー部分620は、複数の縫合穴部625を含む。縫合穴部により、ブラダー部分が隣接する組織に固定されることができることで、シャント600を所望の位置に固定することが助けられる。
【0053】
ブラダー部分620は、いくつかの機能を果たすことができる。第一に、ブラダー部分620は、流量制御アセンブリ650を保護することができることにより、流量制御アセンブリ650は、組織から妨げられることなく、自由に移動することができる。第二に、ブラダー部分620の形状は、シャント600が眼内に植え込まれるときにシャント600を標的位置にアンカーで固定するのを助けることができる、及び/またはブラダー部分620は、追加のアンカー特徴(例えば、縫合穴部、リブ、ウィングなど)を含むことができる。これは、シャント600内への組織の内殖が起こる前の植え込み後の最初の数日または数週間で特に有益であることができる。第三に、ブラダー部分620は、フローチューブ640の流出端部を囲むドレナージ空間内への組織の内殖を最小にすることによって、ドレナージブレブを開いたままにするのを助けることができる。第四に、ブラダー部分620は、フローチューブ640を通して逆流圧を低下させることができる。フローチューブを通して逆流圧を低下させることにより、流量制御アセンブリ650がない実施形態でさえ、フローチューブを通した房水の排出を維持することが助けられることができる。
【0054】
シャント600がシャントの流出端部に、またはそれに隣接して位置決め可能な流量制御アセンブリ650を含むように説明されているが、本明細書に記載の流量制御アセンブリは、シャントの長さに沿った他の位置にも位置決めされることができる。例えば、流量制御アセンブリ650は、シャントの近位(例えば、流入)端部の近く、及び/または前房内に位置決めされることができる。したがって、シャント600は、所望の配置に応じて、複数の方向に向けられることができる(例えば、シャント600には、前房に近接した流量制御アセンブリ、または所望の流出位置に近接した流量制御アセンブリが植え込まれることができる)。いくつかの実施形態では、前房内に流量制御アセンブリ650を配置することにより、流量制御アセンブリを選択的に調整するために使用される非侵襲的エネルギーと組織の干渉量を減少させることが期待される。流量制御アセンブリ650が前房内に位置決めされる実施形態では、外側メンブラン605のブラダー部分620もまた、前房内に位置決めされることができる。前房内に配置されたとき、ブラダー部分620は、上記のものと同様のいくつかの機能を果たすことができる。例えば、ブラダー部分620は、流量制御アセンブリを保護することができる、及び/またはシャントをアンカーで固定することができる。ブラダー部分620が前房内の流量制御アセンブリ650の周りに位置決めされる場合、シャント620は、シャントの流出端部を囲む第二ブラダー(図示せず)を任意選択で含むことができる。第二ブラダーは、シャントを通して逆流圧を低下させることができる、及び/またはブレブまたは他の所望の流出位置での組織の内殖を防ぐのを助けることができる。
【0055】
外側メンブラン605など、調整可能なシャントのための外側メンブラン/カバーの追加の態様は、
図7A~
図9に関して以下に説明される。ただし、当業者が理解するように、以下の実施形態は、シャント600での使用に限定されず、むしろ、
図2A~
図6Bを参照して上述されるさまざまな他の調整可能な緑内障用シャント、及びその他の適切なシャントでの使用に容易に適合されることができる。さらに、ある特定の特徴の議論は、ある特定の他の特徴を曖昧にしないように、以下の説明から省略される。ただし、本明細書に記載の特徴のいずれかが任意の方法で組み合わされることにより、本技術による、調整可能なシャント、及び/または調整可能なシャントの外側メンブランが形成されることができる。
【0056】
図7Aは、例えば、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能な緑内障用シャントでの使用のための外側メンブラン705を示す。
図6Aでの外側メンブラン605に関して上述されるように、外側メンブラン705は、フローチューブの少なくとも一部分を包むように構成される細長いチューブ部分710と、流量制御アセンブリ、及びフローチューブの下流部分を包むように構成されるブラダー部分720とを含むことができる。したがって、細長い部分710は、フローチューブの一部分を収容するように構成されるルーメン711を画定することができ、ブラダー部分720は、流量制御アセンブリ、及びフローチューブの下流部分を収容する内部チャンバを画定することができる。ブラダー部分720は、上流部分722、下流部分724、及び上流部分722と下流部分724との間に延在する第一表面727を含むことができる。また、ブラダー部分720は、シャント(例えば、シャント600)を所望の位置に固定するように構成される、縫合穴部725などの1つ以上のアタッチメント機構を含むことができる。
【0057】
図7Bは、ブラダー部分720の遠位端部724の正面図である。図示されるように、ブラダー部分720は、概して曲がった第一表面727及び概して平らな第二表面728を有する、概してドーム形状及び/またはD形状の構成を有することができる。いくつかの実施形態では、ブラダー部分720の高さ(例えば、概して曲がった第一表面727と概して平らな第二表面728との間の距離)は、ブラダー部分720の幅よりも小さい。いくつかの実施形態では、幅は高さよりも概して大きいことにより、植え込まれたシャントの安定化が最大になりながら、眼への損傷が最小になる。例えば、ブラダー部分720の幅と高さとの間の比率は、約2.5:1から1.2:1の間にあることができるが、他の比率も可能である。概して平らな第二表面728は、シャントが眼内に植え込まれるときに安定するのを援助することができる。いくつかの実施形態では、概して平らな第二表面728は、テクスチャ加工され、シャントの側方向または軸方向の迷入を減少させることを助けることができる。さらに、概して曲がった第一表面727は、眼内に植え込まれたときに、外側メンブラン705と結膜下との間の表面間の接触を減少させることができる。これにより、結膜下のびらんが減少する、及び/または予防されることができる。さらに、外側メンブラン705の少なくとも一部分は、外側メンブラン705が濡れたままであることを確保するために、親水性材料または他のウィーピングメンブランを含むことができる。当業者が本明細書の本開示から理解するように、外側メンブラン705は、丸い形状、及び丸くない形状(例えば、「T」形状)を含む、他の形状を有することができる。それらのような実施形態は、本明細書で明示的に説明されていなくても、本技術の範囲内にある。丸くない外側メンブランを有するシャントは、丸くない断面を有するニードルによって送達されることができる。他の実施形態では、丸くない外側メンブランを有するシャントは、それらを丸い断面を有するニードルによって送達することができるように、概して丸い断面を有するように圧延されることができる。それらのような実施形態では、丸くない外側メンブランは、それらの膨張構成に、眼内でのシャントの展開時に広げるように構成される。
【0058】
図8A及び8Bは、本明細書に開示され、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能なシャントでの使用のための外側メンブラン805の追加の態様を示す。より具体的には、
図8Aは、外側メンブラン805のアイソメトリック図であり、
図8Bは、例示の目的で外側メンブラン805の上部が除去されている、この外側メンブランのアイソメトリック図である。外側メンブラン805は、以下の追加の特徴を備えて、外側メンブラン605及び705と概して同様であることができる。特に、外側メンブラン805は、その細長いチューブ部分810上にリング830を含む。リング830は、細長いチューブ部分810の近位端部812と遠位端部814との間に位置決めされる。リング830は、植え込み中に眼内のシャントを位置付けるのを助けることができる。例えば、シャントは、シャントが強膜を突き抜けて前房に入る点に対してリング830が押し上げられるまで進行することができる。これは、眼内のシャントの位置を規定する。植え込まれると、リング830は、シャントが軸方向に並進することを防止すること、シャントがさらに前房内に迷入することを防止することを助ける。
【0059】
また、外側メンブラン805は、ブラダー部分820上に複数のアパーチャ821を含む。上記のように、アパーチャ821は、ブラダー部分によって画定される内部チャンバから周囲の環境(例えば、ブレブ空間)内に房水が排出されることを可能にする。図示されるように、複数のアパーチャ821は、ブラダー部分820の内側及び遠位部分824上に位置決めされる。近位部分822上にはアパーチャがない。そのような構成は、アパーチャ821を通して房水を排出して眼球から遠ざけ、ドレナージブレブ内のあらゆる成長もまた眼球から離れることを確実にする。
【0060】
図9は、本明細書に開示され、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能なシャントでの使用のための外側メンブラン905の追加の態様の概略図である。外側メンブラン905は、以下の追加の特徴を備えて、外側メンブラン605、705、及び805と概して同様であることができる。単一のリングを含む代わりに、外側メンブラン905は、チューブ部分910上に第一リング930及び第二リング932を含む。第一リング930及び第二リング932は、チューブ部分910の近位端部912と遠位端部914との間に位置決めされる。第一リング930は、
図8A及び
図8Bに関して上記のリング830と同様に機能する。第二リング932は、前房内に位置決め可能であることができる。これにより、シャントが所望の標的位置にさらに固定され、シャントの軸方向の迷入がさらに減少する。送達を容易にするために、第二リング932は、デバイスの展開中にチューブ部分910と同一平面にあることができる(例えば、第二リング932はチューブ部分910と同じ直径を有する)。第二リング932は、前房内に位置決めされた後、図示された構成に膨張することができる。第二リング932は、機械的及び/または遠隔作動(例えば、エネルギー)を介して膨張することができる。
【0061】
当業者が理解するように、本技術に従って構成される調整可能なシャントは、上記の特徴の任意の組み合わせを含むことができ、本明細書に示される特定の実施形態に限定されない。さらに、上記で議論されるシャントがシャントの流出端部に、またはそれに隣接して位置決めされる流量制御アセンブリを有するように主に説明されているが、本明細書に記載の流量制御アセンブリは、シャントの長さに沿った他の位置にも位置決めされることができる。例えば、流量制御アセンブリは、シャントの近位(例えば、流入)端部の近くに、及び/または前房内に位置決めされることができる。したがって、
図2A~
図9での上記のシャントは、所望の配置に応じて、複数の方向に向けられることができる(例えば、シャントには、前房に近接した流量制御アセンブリ、または所望の流出位置に近接した流量制御アセンブリが植え込まれることができる)。いくつかの実施形態では、前房内に流量制御アセンブリを配置することにより、流量制御アセンブリを選択的に調整するために使用される非侵襲的エネルギーと組織の干渉量を減少させることが期待される。流量制御アセンブリが前房内に位置決めされる実施形態では、外側メンブランのブラダー部分もまた、前房内に位置決めされることができる。前房内に配置されたとき、ブラダー部分は、上記のものと同様のいくつかの機能を果たすことができる。例えば、ブラダー部分は、流量制御アセンブリを保護することができる、及び/またはシャントをアンカーで固定することができる。ブラダー部分が前房内の流量制御アセンブリの周りに位置決めされる場合、本明細書に記載のシャントは、シャントの流出端部を囲む第二ブラダーを任意選択で有することができる。第二ブラダーは、シャントを通して逆流圧を低下させることができる、及び/またはブレブまたは他の所望の流出位置での組織の内殖を防ぐのを助けることができる。
【0062】
本明細書に記載の多くの実施形態では、流量制御アセンブリは、動作中にシャントを通る流体の流量を選択的に妨げる、または減衰させる特徴を導入するように構成される。このようにして、流量制御アセンブリは、圧力及び/または流量を選択的に調節するように、シャントを通して流れの抵抗を徐々に、または連続して変化させることができる。したがって、本技術に従って構成される流量制御アセンブリは、いくつかの異なる位置の間での干渉または圧縮のレベルを調整し、多数の変数(例えば、IOP、房水産生量、自然房水流出抵抗、及び/または自然房水流出量)に適応させ、シャントを通して流量を的確に調節することができる。
【0063】
開示された流量制御アセンブリは、エネルギーを使用して操作されることができる。この特徴により、それらのようなデバイスは、患者内に植え込まれてから、患者にさらなる侵襲的な手術または手技がなくても、経時的に変更される/調整されることができる。さらに、本明細書に開示されるデバイスは、エネルギーによって作動することができるため、それらのようなデバイスは、所望の向きまたは位置を維持するためにいかなる追加の動力も必要としない。むしろ、本明細書に開示されるアクチュエータ/流体抵抗器は、動力なく、所望の位置/向きを維持することができる。これにより、それらのようなデバイスの使用可能な寿命が大幅に延びることができ、それらのようなデバイスが最初の植え込み手技後に長く有効であり得る。
【0064】
本明細書に記載のシャントは、第一排出量を有するように植え込まれた後、第二排出量に達するように遠隔で調整されることができる。この調整は、個々の患者のニーズに基づくことができる。例えば、シャントは、より低い第一流量で植え込まれた後、炎症が減少すると、より高い第二流量に調整されることができる。本明細書に記載のシャントは、眼内法か眼外法かいずれかの植え込み技術を使用して送達されることができ、ニードルを介して送達されることができる。ニードルは、本明細書に記載のシャントのさまざまな形状を収容するようにさまざまな形状及び構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ニードルは、強膜を通した植え込みを容易にするために蝶着されることができる。植え込み手技、植え込みデバイス、及びブレブ形成の詳細は、「MINIMALLY INVASIVE BLEB FORMATION DEVICES AND METHODS FOR USING SUCH DEVICES」と題され、2020年7月8日に出願されたPCT特許出願番号PCT/US20/41152により詳細に記載されており、その開示は、本明細書にあらゆる目的のために参照により援用されている。
【0065】
さらに、本技術の態様は、本明細書に記載のシャントを製造する方法を対象とする。本明細書に記載されるように、例えば、本技術の選択された実施形態は、ニチノールから少なくとも部分的に構成される流量制御アセンブリを含む。それらのようなニチノール系流量制御アセンブリを製造するために、流量制御アセンブリの所望の形状は、ニチノールのシートまたはストリップから切断されることができる。例えば、実質的に平らな流量制御アセンブリ(例えば、シャント400及び500の流量制御アセンブリ430及び530)は、ニチノール材料の単一のシートまたはストリップからレーザー切断されることができる。平らではない(例えば、球形、円筒形、円錐形など)流量制御アセンブリ(例えば、シャント200及び300の流量制御アセンブリ230及び330)は、ニチノール材料の単一のシートまたはストリップからレーザー切断され、所望の平らではない構成に、溶融される、またはその他の方法で形成されることができる。ただし、当業者が本明細書での本開示から理解するように、流量制御アセンブリは、他の適切な方法を使用して形成されることができる。例えば、流量制御アセンブリがニチノールを含む実施形態では、流量制御アセンブリは、ニチノールを所望の構成に操作するのに適した任意の技術を使用して形成されることができる。当業者が本明細書での本開示から理解するように、本技術は、本明細書に明示的に記載されている製造方法に限定されない。むしろ、本明細書に記載されているシャントは、本明細書に明示的に記載されていない他の適切な方法を使用して製造されることができる。
【0066】
C.形状記憶作動要素の動作
上記で議論されるように、本技術は、一般に、第一身体領域と第二身体領域との間の流体の流量を促進するために、植え込み可能なシステム及びデバイスを対象とする。デバイスは、ルーメンを有する排出及び/または短絡要素を概して含み、それを通してルーメンが延在することで、第一身体領域と第二身体領域との間で流体が排出される、またはその他の方法で短絡される。さらに、本技術に従って構成されるデバイスは、第一身体領域と第二身体領域との間の流体の流量を制御するように選択的に調整可能であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、デバイスは、作動アセンブリを含み、この作動アセンブリは、流量制御要素の移動を駆動してルーメンを通して流れの抵抗を調節することによって、第一身体領域と第二身体領域との間の流体の相対的排出量を増加させる、または減少させる。
【0067】
本技術のいくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ(例えば、作動アセンブリ、流量制御機構、流体抵抗器など)は、可動要素(例えば、制御要素、ゲート要素、アームなど)に結合される少なくとも2つの作動要素を含む。可動要素は、ルーメンオリフィスなどの対応するポートと境界で接する(例えば、少なくとも部分的に遮断する)ように形成されることができる。ポートは、流入ポートまたは流出ポートであることができる。他の実施形態では、可動要素は、作動要素と、シャントルーメンまたはオリフィスと境界で接する、またはその他の方法で係合する流量制御要素との間の中間要素であることができる。それらのような実施形態では、可動要素の移動により、流量制御要素のジオメトリが調整されることができると、今度は、シャントルーメンまたはオリフィスのサイズ、形状、または他の寸法が調整される。作動要素の移動により、可動要素の移動(例えば、並進及び/または回転)が生じる。
【0068】
作動要素(複数可)は、形状記憶材料(例えば、形状記憶合金、または形状記憶ポリマー)を含むことができる。作動要素(複数可)の移動は、加えられた応力によって、及び/または形状記憶効果(例えば、温度の変化によって駆動される)の使用によって生じることができる。形状記憶効果により、要素をその好ましいジオメトリ構成(例えば、元の構成、形状設定された構成、温度設定された構成など)から変えた変形は、流量制御アセンブリの動作中に大部分または完全に元に戻されることができる。例えば、熱作動(加熱)により、アクチュエータ材料内の状態における変化(例えば、相変化)を誘起し、一時的に上昇した内部応力を誘起し、この内部応力が好ましいジオメトリ構成に向けて形状変化を促進することによって、変形(複数可)が元に戻されることができる。形状記憶合金の場合、状態における変化は、マルテンサイト相(その代替に、R相)からオーステナイト相への変化であることができる。形状記憶ポリマーの場合、状態における変化は、ガラス転移点または溶融温度による変化であることができる。状態における変化により、作動要素にいかなる応力も(例えば、外部から)加えることなく、材料の変形(複数可)(例えば、その好ましいジオメトリ構成に対する変形)が元に戻されることができる。すなわち、第一温度(例えば、体温)で材料に存在する変形は、材料を第二(例えば、より高い)温度まで上昇させることによって、回復する(例えば、熱で)、及び/または変わることができる。冷却すると(そして状態を変化させると、例えば、マルテンサイト相に戻ると)、作動要素はその好ましいジオメトリ構成を保定する。材料がこの比較的低温の状態にあるので、材料を熱弾性変形させるために必要な力または応力が低くなることができ、その後にいかなる外部応力が加えられても、作動要素が元のジオメトリ構成から離れて再び変形することができる。
【0069】
作動要素(複数可)は、状態における変化が起こる転移温度(例えば、オーステナイト開始温度、オーステナイト最終温度など)が閾値温度(例えば、体温)より高いように処理されることができる。例えば、転移温度は約45℃、約50℃、約55℃、または約60℃であるように設定されることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ材料は、体温からオーステナイト開始温度より高い温度(または代替に、R相開始温度より高い温度)に加熱された結果、第一状態(例えば、体温での熱弾性マルテンサイト相または熱弾性R相)での材料の上部プラトー応力(例えば、「UPS_体温」)は、加熱状態(例えば、超弾性状態)での材料の上部プラトー応力(例えば、「UPS_作動温度」)より低くなることにより、部分的または完全な自由回復が達成される。例えば、アクチュエータ材料は、UPS_作動温度>UPS_体温、のように加熱されることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ材料は、体温からオーステナイト開始温度より高い温度(または代替に、R相開始温度より高い温度)に加熱された結果、第一状態(例えば、体温での熱弾性マルテンサイトまたは熱弾性R相)での材料の上部プラトー応力は、加熱状態(例えば、超弾性状態)での材料の下部プラトー応力(例えば、「LPS」)より低くなることにより、部分的または完全な自由回復が達成される。例えば、アクチュエータ材料は、LPS_活性化温度>UPS_体温、のように時効処理されることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ材料は、体温からオーステナイト開始温度より高い温度(または代替に、R相開始温度より高い温度)に加熱された結果、第一状態(例えば、熱弾性マルテンサイトまたは熱弾性R相)での材料の上部プラトー応力は、加熱状態での材料の下部プラトー応力より高くなることにより、部分的な自由回復が達成される。例えば、アクチュエータ材料は、LPS_活性化温度<UPS_体温、のように時効処理されることができる。
【0070】
流量制御アセンブリは、作動要素が実質的に同じ好ましいジオメトリ構成(例えば、メモリ形状、または長さ、L0)を有するように形成されることができる。流量制御アセンブリは、患者内への導入(例えば、植え込み)時に、少なくとも1つの(例えば、第一)作動要素/形状記憶要素がその好ましいジオメトリ構成(例えば、L1≠L0を有する)に対して変形されているが、第一作動要素に隣接して位置決めされる少なくとも1つの他の対向する(例えば、第二)作動要素/形状記憶要素が実質的にその好ましいジオメトリ構成(例えば、L0)にあるように組み立てられることができる。ただし、他の実施形態では、第一及び第二作動要素の両方は、患者内への導入時に、それらの対応する好ましいジオメトリ構成に対して変形されてもよい(例えば、第一作動要素はその好ましいジオメトリ構成に対して収縮し、第二作動要素はその好ましいジオメトリ構成に対して膨張する)。
【0071】
本技術のいくつかの実施形態では、L1>L0であり、例えば、変形された第一作動要素はその好ましい「形状記憶」長さに対して長くなる。いくつかの実施形態では、L1<L0であり、例えば、変形された第一作動要素はその好ましい形状記憶長さに対して圧縮される。流量制御アセンブリは、動作中、その全体の寸法(例えば、全長)が実質的に固定される(例えば、L0+L1=定数)ように形成されることができる。例えば、作動要素の端部(例えば、最外側)は、作動要素の移動が固定点の間で起こるように固定されることができる。これらの長さに加えて、作動要素の全体的なジオメトリは、動作中、作動要素内の変形が約10%、約9%、約8%、約7%、または約6%未満に留まるように選択されることができる。
【0072】
作動要素(例えば、第一及び第二作動要素)は、第一作動要素/第一形状記憶要素の移動(例えば、たわみまたは変形)が第二作動要素/第二形状記憶要素の対向する移動を伴う(例えば、引き起こす)ように配置される。この移動は、たわみまたは変形であることができる。動作中、流量制御アセンブリの第一作動要素を選択的に加熱すると、第一作動要素は、その好ましいジオメトリ構成に、及び/またはそれに向けて移動する(例えば、L1からL0に戻る)ことにより、結合された可動要素が移動する。同時に、第一作動要素の伸長は、第二作動要素の圧縮(例えば、L0からL1へ)を伴う(例えば、引き起こす)。第二作動要素は加熱されていないため(例えば、体温のままであるため)、第二作動要素は変形する(例えば、マルテンサイトのままであり、圧縮する)。第一作動要素は、加熱の後に冷却され、塑性変形されることができる状態に戻る。流量制御アセンブリの構成(例えば、可動要素の位置)を元に戻すために、第二作動要素は、加熱されると、その好ましいジオメトリ構成に、及び/またはそれに向けて(例えば、L1からL0に)移動する。第二作動要素がその好ましいジオメトリ構成に戻ると、可動要素は、その前の位置に戻り、第一作動要素が圧縮される(例えば、L0からL1に)。流量制御アセンブリの可動要素の位置は、前述の操作を繰り返すことにより、繰り返しトグルされることができる(例えば、開と閉との間で)。作動要素の加熱は、入射エネルギーを与えることによって(例えば、レーザーまたは誘導結合によって)達成されることができる。さらに、上記のように、入射エネルギーの供給源は、患者の外部にある(例えば、非侵襲的である)ことができる。
【0073】
図10A~10Dは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、流量制御アセンブリ1000の一実施形態を示す。流量制御アセンブリ1000は、流体を第一身体領域またはチャンバから第二身体領域またはチャンバに短絡させる、排出させる、またはその他の方法で移動させるためのシステムまたはデバイスでの使用のために構成される。流量制御アセンブリ100が概略的に示されているが、当業者は、流量制御アセンブリ100に関して議論される動作の原理及びモードが本明細書に開示される流量制御アセンブリのいずれにも適用することができることを理解するであろう。したがって、流量制御アセンブリ100は、前述の流量制御アセンブリと概して同様及び/または同じであることができる。
【0074】
図10A~10Dを併せて参照すると、流量制御アセンブリ1000は、第一作動要素1001及び第二作動要素1002を含むことができる。第一作動要素1001は、制御要素1003と第一アンカー要素1004との間に延在することができる。第二作動要素1002は、制御要素1003と第二アンカー要素1005との間に延在することができる。第一アンカー要素1004及び第二アンカー要素1005は、流体を短絡するためのシステムまたはデバイス(図示せず)の概して静止した構成要素に固定されることができる。他の実施形態では、第一アンカー要素1004及び/または第二アンカー要素1005は省略されることができ、第一作動要素1001及び/または第二作動要素1002は、流体を短絡するためのデバイスまたはシステムの一部(図示せず)に直接固定されることができる。上記に定められるように、制御要素1003は、システムまたはデバイス上の対応するポート(図示せず)と境界で接するように(例えば、少なくとも部分的に遮断するように)形成されることができる。他の実施形態では、制御要素1003は、流体を短絡するためのデバイスまたはシステムのルーメンまたはオリフィス(図示せず)との境界で接する、またはその他の方法でそれに係合する、流量制御要素(図示せず)を駆動する中間要素であることができる。
【0075】
第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、形状記憶合金(例えば、ニチノール)などの形状記憶材料から構成されることができる。したがって、第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、少なくとも第一材料の位相または状態(例えば、マルテンサイト材料状態、R相材料状態など)と第二材料の位相または状態(例えば、オーステナイト材料状態、R相材料状態など)との間で転移可能であることができる。第一状態では、第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、変形性(例えば、可塑性、可鍛性、圧縮性、膨張性など)であってもよい。第二状態では、第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、特異的な好ましいジオメトリ(例えば、元のジオメトリ、製造ジオメトリ、温度設定されたジオメトリなど)に対して選好性を有してもよい。第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、エネルギー(例えば、熱)を作動要素に与えて作動要素を転移温度より高く加熱することによって、第一状態と第二状態との間で転移することができる。いくつかの実施形態では、第一作動要素1001及び第二作動要素1002の両方の転移温度は、平均体温(例えば、眼内の平均体温)よりも高い。したがって、第一作動要素1001及び第二作動要素1002の両方は、通常、それらが加熱される(例えば、作動する)まで、流量制御アセンブリ1000が身体内に植え込まれるときに変形可能な第一状態にある。
【0076】
作動要素(例えば、第一作動要素1001)が第一状態にある間にその好ましいジオメトリに対して変形される場合、作動要素(例えば、第一作動要素1001)をその転移温度より高く加熱すると、作動要素は、第二状態に転移することで、変形した形状からその好ましいジオメトリに、及び/またはそれに向けて転移する。身体の外部に位置決めされるエネルギー源(例えば、レーザー)、RF加熱、抵抗加熱などを介して、熱が作動要素に加えられることができる。いくつかの実施形態では、第一作動要素1001は、第二作動要素1002から独立して選択的に加熱されることができ、第二作動要素1002は、第一作動要素1001から独立して選択的に加熱されることができる。
【0077】
図10Aを参照すると、第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、第一及び第二アンカー要素に固定される前の状態で示されている。特に、第一作動要素1001及び第二作動要素1002は、それらのバイアスをかけられていない好ましいジオメトリにある。図示された実施形態では、第一作動要素1001は、長さLx1を有する元の形状を有し、第二作動要素1002は、長さLy1を有する元の形状を有する。いくつかの実施形態では、Lx1は、Ly1に等しい。他の実施形態では、Lx1は、Ly1よりも小さい、またはそれよりも大きい(すなわち、それに等しくない)。
【0078】
図10Bは、第一作動要素1001が第一アンカー要素1004に固定され、第二作動要素1002が第二アンカー要素1005に固定された後の第一(例えば、複合)構成での流量制御アセンブリ1000を示す。第一構成では、第一作動要素1001及び第二作動要素1002の両方は、それらの好ましいジオメトリに対して少なくとも部分的に変形されている。例えば、第一作動要素1001は、その好ましいジオメトリ(
図10A)に対して圧縮される(例えば、短くされる)ため、第二長さLx2が第一長さLx1よりも短いことが想定される。同様に、第二作動要素1002もまた、その好ましいジオメトリ(
図10A)に対して圧縮される(例えば、短くされる)ため、第二長さLy2が第一長さLy1よりも短いことが想定される。図示された実施形態では、Lx1はLy1に等しいが、他の実施形態では、Lx1は、Ly1よりも小さい、またはそれよりも大きい(すなわち、それに等しくない)ことがある。他の実施形態では、第一作動要素1001及び/または第二作動要素1002は、アンカー要素に固定される前に、それらの好ましいジオメトリに対して伸ばされる(例えば、長くされる)。例えば、いくつかの実施形態では、第一作動要素1001及び第二作動要素1002の両方は、それらの好ましいジオメトリに対して伸ばされる。他の実施形態では、第一作動要素1001は、その好ましいジオメトリに対して圧縮され(例えば、短くされ)、第二作動要素1002は、その好ましいジオメトリに対して伸ばされる(例えば、長くされる)。いくつかの実施形態では、作動要素の1つ(例えば、第一作動要素1001)のみが、その好ましいジオメトリに対して変形され、その他の作動要素(例えば、第二作動要素1002)は、その好ましいジオメトリを保定する。
【0079】
図10Cは、第一構成とは異なる第二構成での流量制御アセンブリ1000を示す。特に、第二構成では、流量制御アセンブリ1000は、
図10Bに示される第一構成に対して、第一作動要素1001を第一(例えば、マルテンサイト)状態から第二(例えば、オーステナイト)状態に転移させるように作動した。第一作動要素1001は、第一構成にある間、その好ましいジオメトリに対して変形(例えば、圧縮)されたので、第一作動要素1001をその転移温度より高く加熱すると、第一作動要素1001は、長さLx1を有する、その好ましいジオメトリに、及び/またはそれに向けて移動する(
図10A)。上記のように、第一アンカー要素1004及び第二アンカー要素1005は、概して静止した構造に固着される(例えば、第一アンカー要素1004と第二アンカー要素1005との間の距離が第一作動要素1001の作動中に変化しないように)。したがって、第一作動要素1001がその好ましいジオメトリに向けて長さが拡大するにつれて、第二作動要素1002は、加熱されていないので、概して変形可能な(例えば、マルテンサイト)状態のままであるため、Ly1及びLy2より短い長さLy3までさらに圧縮される。図示された実施形態では、これは、制御要素を第一アンカー要素1004から離れて、そして第二アンカー要素1005に向けて移動させる。
【0080】
図10Dは、第一構成及び第二構成とは異なる第三構成での流量制御アセンブリ1000を示す。特に、第三構成では、流量制御アセンブリ1000は、
図10Cに示される第二構成に対して、第二作動要素1002を第一(例えば、マルテンサイト)状態から第二(例えば、オーステナイト)状態に転移させるように作動した。第二作動要素1002は、第二構成にある間、その好ましいジオメトリに対して変形(例えば、圧縮)されたので、第二作動要素1002をその転移温度より高く加熱すると、第二作動要素1002は、長さLy1を有する、その好ましいジオメトリに、及び/またはそれに向けて移動する(
図10A)。上記のように、第一アンカー要素1004及び第二アンカー要素1005は、概して静止した構造に固着される(例えば、第一アンカー要素1004と第二アンカー要素1005との間の距離が第二作動要素1002の作動中に変化しないように)。したがって、第二作動要素1002がその好ましいジオメトリに向けて長さが拡大するにつれて、第一作動要素1001は、加熱されていないので、概して変形可能な(例えば、マルテンサイト)状態のままであるため、Lx1及びLx2より短い長さLx3まで、その好ましいジオメトリに対してさらに変形される(例えば、圧縮される)。図示された実施形態では、これは、制御要素1003を第二アンカー要素1005から離れて、そして第一アンカー要素1004に向けて移動させる(例えば、第一作動要素1001が作動するときに制御要素1003が移動する方向に概して対向して移動させる)。
【0081】
流量制御アセンブリ1000は、第二構成と第三構成との間で繰り返し転移することができる。例えば、流量制御アセンブリ1000は、第二作動要素1002を変形可能な第一状態に戻すと(例えば、第二作動要素1002を転移温度より低く冷却することを可能にすることによって)、第一作動要素1001をその転移温度より高く加熱することによって、第三構成から第二構成に戻すことができる。第一作動要素1001をその転移温度より高く加熱すると、第一作動要素1001がその好ましいジオメトリに、及び/またはそれに向けて移動することで、今度は、制御要素1003が第二アンカー要素1005に向けて押し戻され、流量制御アセンブリ1000が第二構成に転移する(
図10C)。したがって、流量制御アセンブリ1000は、第一作動要素1001か第二作動要素1002かいずれかを選択的に作動させることによって、さまざまな構成の間で選択的に転移することができる。作動後、流量制御アセンブリ1000は、対向する作動要素がさらに作動するまで、所与の構成を実質的に保定するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ1000は、第一作動要素1001または第二作動要素1002の一部を加熱することによって、第二構成と第三構成との間の中間構成(例えば、第一構成)に転移することができる。
【0082】
上記に定められるように、身体の外部に位置決めされるエネルギー源(例えば、レーザー)、RF加熱、抵抗加熱などを介して、熱が作動要素に加えられることができる。いくつかの実施形態では、第一作動要素1001は、第二作動要素1002から独立して選択的に加熱されることができ、第二作動要素1002は、第一作動要素1001から独立して選択的に加熱されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第一作動要素1001は、第一作動要素1001を選択的かつ抵抗的に加熱するための、第一電気回路上にあり、及び/または第一周波数範囲に応答し、第二作動要素1002は、第二作動要素1002を選択的かつ抵抗的に加熱するための、第二電気回路上にある、及び/または第二周波数範囲に応答する。上記で詳細に説明されるように、第一作動要素1001を選択的に加熱すると、制御要素1003が第一方向に移動し、第二作動要素1002を選択的に加熱すると、制御要素1003が第一方向に概して対向する第二方向に移動する。
【0083】
D.実施例
本技術のいくつかの態様は、以下の実施例に記載される。
【0084】
実施例1.ヒトの患者内の緑内障の治療のための流量可変式シャントであって、
第一開口部、第二開口部、及びそこを通して延在するルーメンを含むドレナージ要素であって、眼内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は前眼房及び標的流出位置を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に動作可能に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブランの内部を前記外側メンブランの外部の環境と流体結合する複数のアパーチャを含む、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【0085】
実施例2.前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、実施例1に記載の流量可変式シャント。
【0086】
実施例3.前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、実施例2に記載の流量可変式シャント。
【0087】
実施例4.前記ブラダー部分は、概してドーム形状である、実施例2に記載の流量可変式シャント。
【0088】
実施例5.前記ブラダー部分は、概して曲面、及び概して平面を含む、実施例2に記載の流量可変式シャント。
【0089】
実施例6.前記概して平面はテクスチャ加工される、実施例5に記載の流量可変式シャント。
【0090】
実施例7.前記ブラダー部分は高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、実施例2に記載の流量可変式シャント。
【0091】
実施例8.前記チューブ部分はリングを含み、前記リングは、前記シャントが前記患者内に植え込まれるとき、前記シャントの軸方向の並進を減少させる、及び/または防止するように構成される、実施例2に記載の流量可変式シャント。
【0092】
実施例10.前記リングは、前記前眼房の外部の領域内に位置決め可能である、実施例8に記載の流量可変式シャント。
【0093】
実施例11.前記外側メンブランは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、実施例1に記載の流量可変式シャント。
【0094】
実施例12.前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、実施例11に記載の流量可変式シャント。
【0095】
実施例13.前記外側メンブランは、前記ドレナージ要素を通して逆流圧を少なくとも部分的に低減させるように構成される、実施例1に記載の流量可変式シャント。
【0096】
実施例14.前記ドレナージ要素はフローチューブを含む、実施例1に記載の流量可変式シャント。
【0097】
実施例15.ヒトの患者内の緑内障の治療のための流量可変式シャントであって、
第一開口部、第二開口部、及び前記第一開口部と前記第二開口部との間に延在するルーメンを含むドレナージ要素であって、眼内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は前眼房及び標的流出位置を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブラン内に含まれる流体を排出するために複数のアパーチャを含み、前記外側メンブランは前記ドレナージ要素を通して逆流圧を低減させるように構成される、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【0098】
実施例16.前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、実施例15に記載の流量可変式シャント。
【0099】
実施例17.前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、実施例16に記載の流量可変式シャント。
【0100】
実施例18.ヒトの患者内の緑内障を治療するシステムであって、
眼の前房及び標的ドレナージ位置を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記前房内に位置決め可能な流入部分、及び前記標的ドレナージ位置内に位置決め可能な流出部分を含む、シャントと、
前記シャントの前記流出部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは前記シャントを通して逆流圧を低減させ、前記シャントを通した房水のドレナージを促進するように構成される、ブラダーと、
を含む、システム。
【0101】
実施例19.前記ブラダーは複数のアパーチャを含み、前記複数のアパーチャは前記ブラダーの内部を前記ブラダーの外部の環境と流体結合する、実施例18に記載のシステム。
【0102】
実施例20.前記シャントに結合され、前記流入部分または前記流出部分のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリをさらに含む、実施例18に記載のシステム。
【0103】
実施例21.前記流量制御アセンブリは、前記ブラダー内に位置決めされ、前記流出部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、実施例20に記載のシステム。
【0104】
実施例22.前記ブラダーは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、実施例20に記載のシステム。
【0105】
実施例23.前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、実施例22に記載のシステム。
【0106】
実施例24.前記ブラダーは、概してドーム形状である、実施例18に記載のシステム。
【0107】
実施例25.前記ブラダーは、概して曲面、及び概して平面を含む、実施例18に記載のシステム。
【0108】
実施例26.前記概して平面はテクスチャ加工される、実施例25に記載のシステム。
【0109】
実施例27.前記ブラダーは高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、実施例18に記載のシステム。
【0110】
実施例28.ヒトの患者内の緑内障を治療するシステムであって、
眼の前房及び標的ドレナージ位置を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記前房内に位置決め可能な流入部分、及び前記標的ドレナージ位置内に位置決め可能な流出部分を含む、シャントと、
前記シャントに結合され、前記シャントの前記流入部分を通して流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記シャントの前記流入部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは複数の開口部を含み、前記システムが前記眼の内に植え込まれるとき、前記複数の開口部は前記ブラダーの外部の環境から、前記ブラダーの内部に房水が流入することを可能にする、ブラダーと、
を含む、システム。
【0111】
実施例29.前記流量制御アセンブリは、1つ以上の形状記憶作動要素を含み、前記1つ以上の形状記憶作動要素は前記シャントの前記流入部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、実施例28に記載のシステム。
【0112】
実施例30.ヒトの患者内の緑内障の治療のための流量可変式シャントであって、
ルーメンを有する細長いフローチューブであって、前記ルーメンはそこを通して、(a)前記患者の眼の光学視野の外側の領域内の前房内への配置のために構成される流入部分と、(b)前記眼の異なる位置にある流出部分と、の間に延在し、前記流出部分は前記ルーメンと流体連通するアパーチャを有する、細長いフローチューブと、
前記遠位のフロー部分に隣接する前記フローチューブ沿いに位置決めされる流量制御アセンブリであって、前記流量制御アセンブリはエネルギーに応答して複数の位置を通して可動な制御要素を含む、流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリを包み、前記流量可変式シャントが前記眼内に植え込まれるとき、標的位置内に前記流量可変式シャントを少なくとも部分的にアンカーで固定するように構成される外側メンブランであって、前記外側メンブランは複数の穿孔部を含み、前記複数の穿孔部は流体が前記流出チューブから出て前記アパーチャを介して流れると、前記外側メンブランから出て前記複数の穿孔部を介して流れるように構成される、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【0113】
実施例31.前記制御要素は、前記アパーチャを少なくとも部分的に遮断する第一位置から、(a)前記アパーチャを遮断しない、及び/または(b)前記第一位置よりも前記アパーチャの遮断が少ない、第二位置に可動である、実施例30に記載の流量可変式シャント。
【0114】
実施例32.前記制御要素は、前記アパーチャを通して第一流体流量レベルの低下を提供する第一位置、及び前記アパーチャを通して流体流量レベルの上昇を提供する複数の第二位置から可動である、実施例30または31に記載の流量可変式シャント。
【0115】
実施例33.前記制御要素は、前記アパーチャを通して第一流体流量レベルの低下を提供する第一位置と、前記アパーチャを通して流体流量レベルの低下の上昇を提供する複数の第二位置との間で可動である、実施例30~32のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0116】
実施例34.前記流量制御アセンブリは、前記制御要素に結合されるばね要素を含み、前記ばね要素は、前記複数の位置の少なくとも1サブセットを通して前記制御要素を移動させるように構成される、実施例30~33のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0117】
実施例35.エネルギーを前記ばね要素に与えると、前記ばね要素は、第一形状から第二形状に転移するように構成される、実施例34に記載の流量可変式シャント。
【0118】
実施例36.エネルギーを前記ばね要素に与えると、前記ばね要素は、前記制御要素を第一位置から第二位置に移動させる、実施例34または実施例35に記載の流量可変式シャント。
【0119】
実施例37.前記流量制御アセンブリは、
第一端部では第一アンカー、及び第二端部では前記流量制御要素に結合される第一ばね要素であって、エネルギーを前記第一ばね要素に与えると、前記流量制御要素は第一方向内で前記フローチューブ沿いに摺動自在に移動する、第一ばね要素と、
第一端部では第二アンカー、及び第二端部では前記流量制御要素に結合される第二ばね要素であって、エネルギーを前記第二ばね要素に与えると、前記流量制御要素は第二方向内で前記フローチューブ沿いに摺動自在に移動する、第二ばね要素と、
を含む、実施例30に記載の流量可変式シャント。
【0120】
実施例38.前記第一方向は前記第一アンカーから離れ、前記第二方向は前記第二アンカーから離れる、実施例37に記載の流量可変式シャント。
【0121】
実施例39.前記ばね要素は形状記憶材料から構成される、実施例35~38のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0122】
実施例40.前記ばね要素はニチノールである、実施例35~39のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0123】
実施例41.前記エネルギーは光または熱である、実施例35~40のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0124】
実施例42.前記流量制御アセンブリは平らなニチノール製シートから形成される、実施例30~41のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0125】
実施例43.前記外側メンブランは、前記フローチューブの長さ沿いに延在し、概して円形の断面形状を有する、実施例30~42のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0126】
実施例44.前記外側メンブランは、概してドーム形状の断面形状を有する、実施例30~43のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0127】
実施例45.前記細長いフローチューブは、
前記前房内への配置のために構成される前記流入部分を含む流入チューブであって、前記流入チューブは第一剛性を有する第一材料から構成される、流入チューブと、
前記流入チューブに結合され、前記流出部分を含む流出チューブであって、前記流出チューブは前記第一剛性より高い第二剛性を有する第二材料から構成される、流出チューブと、
を含む、実施例30~44のいずれか1つに記載の流量可変式シャント。
【0128】
実施例46.ヒトの患者内の緑内障を治療するための流量調整可能なシャントであって、
流入領域及び流出領域を含む細長いドレナージチューブであって、前記流出領域は流体が前記細長いドレナージチューブを出ることを可能にする1つ以上のアパーチャを含む、細長いドレナージチューブと、
前記流出領域で前記細長いドレナージチューブに結合される流量制御アセンブリであって、前記流量制御アセンブリは前記1つ以上のアパーチャを通して流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリを少なくとも部分的に囲む保護メンブランであって、前記保護メンブランは前記保護メンブラン内の流体が前記保護メンブランから流出することを可能にする1つ以上の穿孔部を含む、保護メンブランと、
を含む、流量調整可能なシャント。
【0129】
実施例47.前記保護メンブランは、前記流量制御アセンブリを囲むブラダー部分、及び前記細長いドレナージチューブの少なくとも一部分を囲むチューブ部分を含む、実施例46に記載の流量調整可能なシャント。
【0130】
実施例48.前記保護メンブランは、円形または卵形の断面形状を有する、実施例46または実施例47に記載の流量調整可能なシャント。
【0131】
実施例49.前記保護メンブランは、概してドーム形状の断面形状を有する、実施例46または実施例47に記載の流量調整可能なシャント。
【0132】
実施例50.前記細長いドレナージチューブは卵形の断面形状を有する、実施例46~49のいずれか1つに記載の流量調整可能なシャント。
【0133】
実施例51.前記保護メンブランは高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、実施例46~50のいずれか1つに記載の流量調整可能なシャント。
【0134】
実施例52.前記保護メンブランは実質的に平らである、実施例46~51のいずれか1つに記載の流量調整可能なシャント。
【0135】
実施例53.前記保護メンブランは、前記流量調整可能なシャントが眼内に植え込まれるとき、標的位置内に前記流量調整可能なシャントを少なくとも部分的にアンカーで固定するように構成される、実施例46~52のいずれか1つに記載の流量調整可能なシャント。
【0136】
実施例54.緑内障を治療する方法であって、
シャントを眼内に植え込むことであって、植え込まれたとき、前記シャントは前記眼の前房から流体を受容する、ことと、
前記シャントを囲む組織が少なくとも部分的に治ることを可能にした後、前記シャントを通して流体の流量を非侵襲的に調整することと、
を含む、方法。
【0137】
実施例55.前記シャントを通して前記流体の流量を非侵襲的に調整することは、エネルギーを前記シャントに与えることを含む、実施例54に記載の方法。
【0138】
実施例56.前記エネルギーは光または熱である、実施例55に記載の方法。
【0139】
実施例57.前記シャントは、形状記憶材料から少なくとも部分的に構成される流量制御要素を含み、前記シャントを通して流体の流量を非侵襲的に調整することは、前記流量制御要素を第一位置から第二位置に転移させることを含む、実施例54に記載の方法。
【0140】
実施例58.緑内障を有する患者を治療する方法であって、
流量制御機構を有する流量調整可能なシャントを前記患者の眼内に植え込むことであって、植え込み後、前記流量調整可能なシャントは前記眼の前房及び適切なドレナージ部位を流体連結する、ことと、
前記流量調整可能なシャントを通した房水のドレナージを変えるように前記流量制御機構を選択的に調整することと、
を含む、方法。
【0141】
実施例59.前記流量制御機構を選択的に調整することは、前記流量制御機構を非侵襲的に調整することを含む、実施例58に記載の方法。
【0142】
実施例60.前記流量制御機構を選択的に調整することは、エネルギーを前記患者の外部の供給源から前記流量制御機構の少なくとも一部分に与えることを含む、実施例58または実施例59に記載の方法。
【0143】
実施例61.前記エネルギーを与えると、前記流量制御機構が第一位置から第二位置に転移する、実施例60に記載の方法。
【0144】
実施例62.前記第一位置は前記シャントを通して流体の第一流量を可能にし、前記第二位置は前記シャントを通して前記第一流量より多い流体の第二流量を可能にする、実施例61に記載の方法。
【0145】
実施例63.前記第一位置は前記シャントを通して流体の第一流量を可能にし、前記第二位置は前記シャントを通して前記第一流量より少ない流体の第二流量を可能にする、実施例61に記載の方法。
【0146】
実施例64.前記エネルギーは熱または光である、実施例60~63のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施例65.緑内障を有する患者を治療する方法であって、
流量調整可能なシャントを前記患者の眼内に植え込むことであって、前記流量調整可能なシャントはチューブ要素及び流量制御機構を含み、植え込み後、前記流量調整可能なシャントは前記眼の前房から流体を受容する、ことと、
前記チューブ要素に対して前記流量制御機構の少なくとも一部分を軸方向に並進させることによって、前記シャントを通して流体の流量を非侵襲的に調整することと、
を含む、方法。
【0148】
実施例66.前記流量制御機構の少なくとも一部分を軸方向に並進させることは、エネルギーを前記シャントに与えることを含む、実施例65に記載の方法。
【0149】
実施例67.前記エネルギーは光または熱である、実施例66に記載の方法。
【0150】
実施例68.前記チューブ要素は、流出アパーチャを含み、前記流量制御機構の前記少なくとも一部分を軸方向に並進させることは、前記流出アパーチャを通して前記流体の流量を変化させる、実施例65~67のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施例69.シャント及び流量制御アセンブリを含む流量調整可能なシャントを製造する方法であって、
ニチノールのシートから流量制御アセンブリを形成することであって、前記流量制御アセンブリは流量制御要素及びばね要素を含む、ことと、
前記流量制御アセンブリが前記シャントを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成されるように、前記形成された流量制御アセンブリを前記シャントに取り付けることと、
を含む、方法。
【0152】
実施例70.前記流量制御アセンブリを形成することは、前記流量制御アセンブリを前記ニチノールのシートからレーザー切断することを含む、実施例69に記載の方法。
【0153】
実施例71.前記形成された流量制御アセンブリを前記シャントに取り付ける前に、前記ばね要素にバイアスをかけることをさらに含む、実施例69または実施例70に記載の方法。
【0154】
実施例72.第一開口部、第二開口部、及びそこを通して延在するルーメンを有するドレナージ要素であって、患者内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に動作可能に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブランの内部を前記外側メンブランの外部の環境と流体結合する複数のアパーチャを含む、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【0155】
実施例73.前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、実施例1に記載の流量可変式シャント。
【0156】
実施例74.前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、実施例73に記載の流量可変式シャント。
【0157】
実施例75.前記ブラダー部分は、概してドーム形状である、実施例73または74に記載の流量可変式シャント。
【0158】
実施例76.前記ブラダー部分は、概して曲面、及び概して平面を含む、実施例73~75のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0159】
実施例77.前記概して平面はテクスチャ加工される、実施例76に記載の流量可変式シャント。
【0160】
実施例78.前記ブラダー部分は高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、実施例73~77のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0161】
実施例79.前記チューブ部分はリングを含み、前記リングは、前記シャントが前記患者内に植え込まれるとき、前記シャントの軸方向の並進を減少させる、及び/または防止するように構成される、実施例72~77のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0162】
実施例80.前記リングは、前記前房の外部の領域内に位置決め可能である、実施例79に記載の流量可変式シャント。
【0163】
実施例81.前記外側メンブランは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、実施例72~80のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0164】
実施例82.前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、実施例81に記載の流量可変式シャント。
【0165】
実施例83.前記外側メンブランは、前記ドレナージ要素を通して逆流圧を少なくとも部分的に低減させるように構成される、実施例72~82のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0166】
実施例84.前記ドレナージ要素はフローチューブを含む、実施例72~83のいずれかに記載の流量可変式シャント。
【0167】
実施例85.第一開口部、第二開口部、及び前記第一開口部と前記第二開口部との間に延在するルーメンを有するドレナージ要素であって、患者内に植え込まれたとき、前記ドレナージ要素は第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成される、ドレナージ要素と、
前記ドレナージ要素に結合され、前記第一開口部または前記第二開口部のうちの少なくとも1つを通して流体の流量を少なくとも部分的に制御するように構成される流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記第一開口部または前記第二開口部の少なくとも1つを包む外側メンブランであって、前記外側メンブランは前記外側メンブラン内に含まれる流体を排出するために複数のアパーチャを含み、前記外側メンブランは前記ドレナージ要素を通して逆流圧を低減させるように構成される、外側メンブランと、
を含む、流量可変式シャント。
【0168】
実施例86.前記外側メンブランは、前記流量制御アセンブリを包むブラダー部分、及び前記ドレナージ要素を少なくとも部分的に包む細長い部分を含む、実施例85に記載の流量可変式シャント。
【0169】
実施例87.前記ブラダー部分は、前記細長い部分に隣接する近位部分、及び前記細長い部分から離隔される遠位部分を含み、前記遠位部分は前記複数のアパーチャを含み、前記近位部分はいかなる前記複数のアパーチャも含まない、実施例86に記載の流量可変式シャント。
【0170】
実施例88.患者の病状を治療するシステムであって、
前記患者の第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記第一身体領域内で位置決め可能な流入部分、及び前記第二身体位置内に位置決め可能な流出部分を有する、シャントと、
前記シャントの前記流出部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは前記シャントを通して逆流圧を低減させ、前記第一身体領域から、前記シャントを通して、前記第二身体領域内への流体のドレナージを促進するように構成される、ブラダーと、
を含む、システム。
【0171】
実施例89.前記ブラダーは複数のアパーチャを含み、前記複数のアパーチャは前記ブラダーの内部を前記ブラダーの外部の環境と流体結合する、実施例88に記載のシステム。
【0172】
実施例90.前記シャントに結合され、前記流入部分または前記流出部分のうちの少なくとも1つを通して前記流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリをさらに含む、実施例88または89に記載のシステム。
【0173】
実施例91.前記流量制御アセンブリは、前記ブラダー内に位置決めされ、前記流出部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、実施例90に記載のシステム。
【0174】
実施例92.前記ブラダーは、前記シャントを自己組織に固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、実施例88~91のいずれかに記載のシステム。
【0175】
実施例93.前記1つ以上のアタッチメント特徴は1つ以上の縫合穴部を含む、実施例92に記載のシステム。
【0176】
実施例94.前記ブラダーは、概してドーム形状である、実施例88~93のいずれかに記載のシステム。
【0177】
実施例95.前記ブラダーは、概して曲面、及び概して平面を含む、実施例88~94のいずれかに記載のシステム。
【0178】
実施例96.前記概して平面はテクスチャ加工される、実施例95に記載のシステム。
【0179】
実施例97.前記ブラダーは高さ及び幅を有し、前記幅は前記高さより大きい、実施例88~96のいずれかに記載のシステム。
【0180】
実施例98.前記シャントは、前記患者の眼の内に植え込まれるように構成され、前記第一身体領域は前眼房であり、前記第二身体領域は前記患者の眼の内の標的流出位置である、実施例88~97のいずれかに記載のシステム。
【0181】
実施例99.患者の病状を治療するシステムであって、
前記患者の第一身体領域及び第二身体領域を流体連結するように構成されるシャントであって、前記シャントは前記第一身体領域内に位置決め可能な流入部分、及び前記第二身体領域内に位置決め可能な流出部分を有する、シャントと、
前記シャントに結合され、前記シャントの前記流入部分を通して流体の流量を制御するように構成される、流量制御アセンブリと、
前記流量制御アセンブリ、及び前記シャントの前記流入部分を包むブラダーであって、前記ブラダーは複数の開口部を含み、前記システムが前記眼の内に植え込まれるとき、前記複数の開口部は前記第一身体領域内の前記ブラダーの外部の環境から、前記ブラダーの内部に流体が流入することを可能にする、ブラダーと、
を含む、システム。
【0182】
実施例100.前記流量制御アセンブリは、1つ以上の形状記憶作動要素を含み、前記1つ以上の形状記憶作動要素は前記シャントの前記流入部分を通して前記流体の流量を制御するように構成される、実施例99に記載のシステム。
【0183】
実施例101.前記シャントは、前記患者の眼の内に植え込まれるように構成され、前記第一身体領域は前眼房であり、前記第二身体領域は前記患者の眼の内の標的流出位置である、実施例100に記載のシステム。
【0184】
実施例102.植え込み型医療デバイスの1つ以上の動作を制御するように構成される作動アセンブリであって、前記作動アセンブリは好ましいジオメトリを有する少なくとも1つの形状記憶作動要素を含み、前記少なくとも1つの形状記憶作動要素はその好ましいジオメトリに対して変形されると、前記形状記憶作動要素を転移温度より高く加熱することにより、前記作動要素はその好ましいジオメトリに向けて移動し、前記植え込み型医療デバイスの動作を調整する、作動アセンブリと、
前記作動アセンブリを包むブラダーであって、前記ブラダーは外部エネルギー源からのエネルギーを前記ブラダーに貫入させ、前記作動要素を加熱することを可能にするように構成される、ブラダーと、
を含む、植え込み型医療デバイス。
【0185】
実施例103.前記ブラダーは複数のアパーチャを含む、実施例102に記載のデバイス。
【0186】
実施例104.前記ブラダーは、前記植え込み型医療デバイスが患者内に植え込まれるとき、前記デバイスの少なくとも一部をアンカーで固定するために1つ以上のアタッチメント特徴を含む、実施例102または103に記載のデバイス。
【0187】
結論
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本技術を上記に開示された精密な形態に限定することを意図するものではない。本技術の特定の実施形態、及び本技術のための実施例は、説明のために上で述べたが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の変更が可能である。例えば、本明細書に記載されている流量調整可能なシャントの特徴のいずれかは、本明細書に記載されているその他の流量調整可能なシャントの特徴のいずれかと組み合わされることができ、逆もまた同様である。さらに、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。また、本明細書に記載のさまざまな実施形態は、さらなる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。
【0188】
前述のことから、本技術の特定の実施形態は、説明の目的で本明細書に記載されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、流量調整可能なシャントに関連する周知の構造及び機能は詳細に示されていないかまたは説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数または複数の用語はまた、それぞれ、複数または単数の用語を含み得る。
【0189】
さらに、「または」という単語が、2つ以上の項目のリストを参照して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されていない限り、そのようなリストでの「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内のすべての項目、または(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むものとして解釈されるべきである。さらに、「含む」という用語は、任意のより多数の同じ特徴及び/または追加の種類の他の特徴が排除されないように、少なくとも列挙された特徴(複数可)を含むことを意味するために、全体を通して使用される。また、具体的な実施形態が本明細書で例証の目的で記載されているが、本技術から逸脱することなく種々の修正が行われてもよいことが理解されよう。さらに、本技術の一部の実施形態と関連付けられた利点は、それらの実施形態に照らして記載されたが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、すべての実施形態が、その技術の範囲内に入るように必ずしもそのような利点を呈することを要するとは限らない。したがって、本開示及び関連付けられた技術は、本明細書に明示的に示されないまたは記載されない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】