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特表2022-552287二重ウイルスおよび二重腫瘍溶解性ウイルスならびに治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】二重ウイルスおよび二重腫瘍溶解性ウイルスならびに治療方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/33 20060101AFI20221208BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20221208BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20221208BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221208BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20221208BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221208BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C12N15/33 ZNA
C12N7/01
C12N15/86 Z
C12N15/113 Z
C12N5/09
A61K35/76
A61K31/7088
A61K48/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521308
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020055133
(87)【国際公開番号】W WO2021072310
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/913,514
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518267757
【氏名又は名称】オンコラス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ, エドワード エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラーナー, ロレーナ
(72)【発明者】
【氏名】クエバ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ストラスディー, クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジェニファー エス.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
(57)【要約】
本開示は、一次ウイルスおよび二次ウイルスを産生することができる二重ウイルス、ならびに一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスを産生することができる二重腫瘍溶解性ウイルスを提供する。本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項2】
二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次ウイルス。
【請求項3】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有する、請求項1に記載のウイルス。
【請求項4】
前記一次ウイルスおよび前記二次ウイルスが、複製能力を有する、請求項2に記載のウイルス。
【請求項5】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有しない、請求項1に記載のウイルス。
【請求項6】
前記一次ウイルスおよび/または前記二次ウイルスが、複製能力を有しない、請求項2に記載のウイルス。
【請求項7】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、請求項1、3、および5のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項8】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、請求項2、4、および6のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項9】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、前記二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、請求項1、3、5、および7のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項10】
前記一次ウイルスが、前記二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、請求項2、4、6、および8のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項11】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、請求項1、3、5、7、および9のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項12】
前記一次ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、請求項2、4、6、8、および10のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項13】
前記dsDNAウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)またはアデノウイルスである、請求項11または12に記載のウイルス。
【請求項14】
前記dsDNAウイルスが、Poxviridaeファミリーのウイルスである、請求項11または12に記載のウイルス。
【請求項15】
前記dsDNAウイルスが、伝染性軟属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナ(vaccina)ウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである、請求項14に記載のウイルス。
【請求項16】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、RNAウイルスである、請求項1、3、5、7、および9のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項17】
前記一次ウイルスが、RNAウイルスである、請求項2、4、6、8、および10のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項18】
前記RNAウイルスが、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである、請求項16または17に記載のウイルス。
【請求項19】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンス(ambi-sense)ssRNAウイルスである、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、および18のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項20】
前記二次ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、請求項2、4、6、8、10、12~15、および17~18のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項21】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのネガティブセンスssRNAウイルスである、請求項19または20に記載のウイルス。
【請求項22】
前記Rhabdoviridaeファミリーのウイルスが、水胞性口内炎ウイルス(VSV)またはマラバウイルスである、請求項21に記載のウイルス。
【請求項23】
前記Paramyxoviridaeファミリーのウイルスが、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、または麻疹ウイルスである、請求項21に記載のウイルス。
【請求項24】
前記Orthomyxoviridaeファミリーのウイルスが、インフルエンザウイルスである、請求項21に記載のウイルス。
【請求項25】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、エンテロウイルスである、請求項19または20に記載のウイルス。
【請求項26】
前記エンテロウイルスが、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスである、請求項25に記載のウイルス。
【請求項27】
前記コクサキウイルスが、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)である、請求項26に記載のウイルス、
【請求項28】
前記コクサキウイルスが、CVA9、CVA21、またはCVB3である、請求項27に記載のウイルス。
【請求項29】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、脳心筋炎ウイルス(EMCV)である、請求項19または20に記載のウイルス。
【請求項30】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、メンゴウイルスである、請求項19または20に記載のウイルス。
【請求項31】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、Togaviridaeファミリーのウイルスである、請求項19または20に記載のウイルス。
【請求項32】
前記Togaviridaeファミリーのウイルスが、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスである、請求項31に記載のウイルス。
【請求項33】
前記新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスが、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである、請求項32に記載のウイルス。
【請求項34】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、キメラウイルスである、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、および21~33のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項35】
前記一次ウイルスおよび/または前記二次ウイルスが、キメラウイルスである、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、および20~33のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項36】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスである、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、および21~34のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項37】
前記一次ウイルスおよび/または前記二次ウイルスが、シュードタイプウイルスである、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、および35のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項38】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスであり、前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、前記二次腫瘍溶解性ウイルスのコード領域の外側にある前記二次腫瘍溶解性ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む、請求項36に記載のウイルス。
【請求項39】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、アルファウイルス、パラミクソウイルス、またはラブドウイルスである、請求項38に記載のウイルス。
【請求項40】
前記二次ウイルスが、シュードタイプウイルスであり、前記一次ウイルスが、前記二次ウイルスのコード領域の外側にある前記二次ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む、請求項37に記載のウイルス。
【請求項41】
前記二次ウイルスが、アルファウイルス、パラミクソウイルス、またはラブドウイルスである、請求項40に記載のウイルス。
【請求項42】
前記調節可能なプロモーターが、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン誘導性プロモーターから選択される、請求項7~41のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項43】
前記調節可能なプロモーターが、リコンビナーゼ認識部位に隣接した構成的プロモーターを含む、請求項7~41のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項44】
前記調節可能なプロモーターに結合することができるペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1~43のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項45】
前記第2のポリヌクレオチドが、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターに作動可能に連結されている、請求項44に記載のウイルス。
【請求項46】
前記構成的プロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される、請求項45に記載のウイルス。
【請求項47】
前記調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、前記ペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、請求項44~46のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項48】
前記調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、前記ペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、請求項44~46のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項49】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記一次ウイルスが、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1~48のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項50】
前記1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドが、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、請求項49に記載のウイルス。
【請求項51】
前記1つ以上のRNAi分子が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスのゲノムの標的配列に結合し、かつ前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスの複製を阻害する、請求項49または50に記載のウイルス。
【請求項52】
前記RNAi分子が、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである、請求項49~51のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項53】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、および42~52のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項54】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、および40~52のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項55】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、前記リコンビナーゼ応答性カセットが、前記1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、および42~53のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項56】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、前記リコンビナーゼ応答性カセットが、前記1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、および54のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項57】
前記1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットが、リコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)を含む、請求項55または56に記載のウイルス。
【請求項58】
前記RRECが、転写/翻訳終結(STOP)要素を含む、請求項57に記載のウイルス。
【請求項59】
前記転写/翻訳終結(STOP)要素が、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を含む、請求項58に記載のウイルス。
【請求項60】
前記1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットが、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を含む、請求項55~59のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項61】
前記RRICが、中心要素の両側に2つ以上の直交リコンビナーゼ認識部位を含む、請求項60に記載のウイルス。
【請求項62】
前記RRICが、プロモーターまたは前記プロモーターの一部を含む、請求項60または61に記載のウイルス。
【請求項63】
前記RRICが、コード領域または前記コード領域の一部を含み、前記コード領域が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスのウイルスゲノムをコードする、請求項60または61に記載のウイルス。
【請求項64】
前記RRICが、1つ以上の制御要素を含む、請求項60~63のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項65】
前記制御要素が、転写/翻訳終結(STOP)要素である、請求項64に記載のウイルス。
【請求項66】
前記制御要素が、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を有する、請求項65に記載のウイルス。
【請求項67】
前記リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)が、イントロンの一部をさらに含む、請求項60~66のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項68】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、mRNAスプライシングを介して前記イントロンを除去した後、前記リコンビナーゼ認識部位を有しない前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスの成熟ウイルスゲノム転写物をもたらす、請求項67に記載のウイルス。
【請求項69】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記一次ウイルスが、前記リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1~68のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項70】
前記リコンビナーゼが、フリッパーゼ(Flp)またはCreリコンビナーゼ(Cre)である、請求項69に記載のウイルス。
【請求項71】
前記リコンビナーゼの前記コード領域が、イントロンを含む、請求項69または70に記載のウイルス。
【請求項72】
前記リコンビナーゼリコンビナーゼの発現カセットが、1つ以上のmRNA不安定化要素を含む、請求項69~71のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項73】
前記リコンビナーゼが、追加のポリペプチドを含む融合タンパク質の一部であり、前記追加のポリペプチドが、前記リコンビナーゼの活性および/または細胞局在を調節する、請求項69~72のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項74】
前記リコンビナーゼの活性および/または細胞局在が、リガンドおよび/または小分子の存在によって調節される、請求項73に記載のウイルス。
【請求項75】
前記追加のポリペプチドが、エストロゲン受容体タンパク質のリガンド結合ドメインを含む、請求項73または74に記載のウイルス。
【請求項76】
前記1つ以上のリコンビナーゼ認識部位が、フリッパーゼ認識標的(FRT)部位である、請求項53~75のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項77】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、前記調節ポリペプチドが、1つ以上のプロモーターの活性を調節する、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、および57~76のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項78】
前記一次ウイルスが、調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、前記調節ポリペプチドが、1つ以上のプロモーターの活性を調節する、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、および56~76のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項79】
二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、
1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルス。
【請求項80】
二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、
1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む、組換え一次ウイルス。
【請求項81】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有する、請求項79に記載のウイルス。
【請求項82】
前記一次ウイルスおよび前記二次ウイルスが、複製能力を有する、請求項80に記載のウイルス。
【請求項83】
前記第1のポリヌクレオチドが、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に連結され、前記第2のポリヌクレオチドが、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、請求項79~82のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項84】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、前記二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、請求項79、81、および83のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項85】
前記一次ウイルスが、前記二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、請求項80、82、および83のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項86】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、請求項79、81、83、および84のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項87】
前記一次ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、請求項80、82、83、および85のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項88】
前記dsDNAウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス、またはPoxviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に前記Poxviridaeファミリーのウイルスのウイルスが、伝染性軟体属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである、請求項86または87に記載のウイルス。
【請求項89】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスが、RNAウイルスである、請求項79、81、83、および84のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項90】
前記一次ウイルスが、RNAウイルスである、請求項80、82、83、および85のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項91】
前記RNAウイルスが、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである、請求項89または90に記載のウイルス。
【請求項92】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、請求項79、81、83、84、86、88、89、および91のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項93】
前記二次ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、請求項80、82、83、85、87、88、および90~91のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項94】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ネガティブセンスssRNAウイルスであり、前記ネガティブセンスssRNAウイルスが、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、
前記Rhabdoviridaeファミリーのウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)もしくはマラバウイルスであり、
前記Paramyxoviridaeファミリーのウイルスが、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、もしくは麻疹ウイルスであり、または
前記Orthomyxoviridaeファミリーのウイルスが、インフルエンザウイルスである、請求項92または93に記載のウイルス。
【請求項95】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、エンテロウイルスであり、任意選択的に、前記エンテロウイルスが、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスであり、任意選択的に、前記コクサキウイルスが、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)であり、任意選択的に、前記コクサキウイルスが、CVA9、CVA21、またはCVB3である、請求項92または93に記載のウイルス。
【請求項96】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、脳心筋炎ウイルス(EMCV)またはメンゴウイルスである、請求項92または93に記載のウイルス。
【請求項97】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次ウイルスが、前記ポジティブセンスssRNAウイルスであり、前記ポジティブセンスssRNAウイルスが、Togaviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、前記Togaviridaeファミリーのウイルスが、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスであり、任意選択的に、前記新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスが、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである、請求項92または93に記載のウイルス。
【請求項98】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、キメラウイルスである、請求項79、81、83、84、86、88、89、91~92、および94~97のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項99】
前記一次ウイルスおよび/または前記二次ウイルスが、キメラウイルスである、請求項80、82、83、85、87、88、90~91、および93~97のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項100】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスである、請求項79、81、83、84、86、88、89、91~92、および94~98のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項101】
前記一次ウイルスおよび/または前記二次ウイルスが、シュードタイプウイルスである、請求項80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、および99のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項102】
前記第1および第2の調節可能なプロモーターが、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン依存性プロモーターから選択される、請求項79~101のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項103】
前記第1の調節可能なプロモーターに結合することができる第1のペプチドおよび前記第2の調節可能なプロモーターに結合することができる第2のペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項79~102のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項104】
前記第3のポリヌクレオチドが、構成的プロモーターに作動可能に連結されている、請求項103に記載のウイルス。
【請求項105】
前記構成的プロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される、請求項104に記載のウイルス。
【請求項106】
前記第1の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、前記第1のペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、請求項103~105のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項107】
前記第2の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、前記第2のペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、請求項103~106のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項108】
前記第1の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、前記第1のペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、請求項103~106のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項109】
前記第2の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、前記第2のペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、請求項103~108のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項110】
前記1つ以上のRNAi分子が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ前記二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する、請求項79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、および102~109のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項111】
前記1つ以上のRNAi分子が、前記二次ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ前記二次ウイルスの複製を阻害する、請求項80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、および101~109のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項112】
前記RNAi分子が、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである、請求項110または111に記載のウイルス。
【請求項113】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイム配列を含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、および112のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項114】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドが、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイムコード配列を含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、および111~112のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項115】
前記第1および第2のリボザイムコード配列が、ハンマーヘッド型リボザイムまたは肝炎デルタウイルスリボザイムをコードする、請求項113または114に記載のウイルス。
【請求項116】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、および115のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項117】
前記一次ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114、および115のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項118】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、および115~116のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項119】
前記二次ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、および117のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項120】
前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび前記二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、115~116、および118のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項121】
前記一次ウイルスおよび前記二次ウイルスが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、117、および119のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項122】
細胞内の前記1つ以上のmiRNAの発現が、前記一次および/または二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する、請求項116、118、および120のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項123】
細胞内の前記1つ以上のmiRNAの発現が、前記一次および/または二次ウイルスの複製を阻害する、請求項117、119、および121のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項124】
少なくとも1つの外因性ペイロードタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~123のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項125】
前記外因性ペイロードタンパク質が、蛍光タンパク質、酵素、サイトカイン、ケモカイン、または抗原結合分子である、請求項124に記載のウイルス。
【請求項126】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスの発現が、外因性薬剤によって調節される、請求項1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、115~116、118、120、122、および124~125のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項127】
前記二次ウイルスの発現が、外因性薬剤によって調節される、請求項2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、117、119、121、および123~125のいずれか一項に記載のウイルス。
【請求項128】
前記外因性薬剤が、ペプチド、ホルモン、または小分子である、請求項126または127に記載のウイルス。
【請求項129】
請求項1~128のいずれか一項に記載のウイルスを含む、組成物。
【請求項130】
腫瘍細胞の集団を殺滅する方法であって、請求項1~128のいずれか一項に記載のウイルスまたは請求項129に記載の組成物を、前記腫瘍細胞の集団に投与することを含む、方法。
【請求項131】
前記腫瘍細胞の第1の亜集団が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記腫瘍細胞の第2の亜集団が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される、請求項130または131に記載の方法。
【請求項133】
前記腫瘍細胞の亜集団が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスおよび前記二次腫瘍溶解性ウイルスの両方によって感染および殺滅される、請求項130~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、前記集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、前記一次および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される、請求項130~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、前記1つ以上の外因性薬剤が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する、請求項130~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記外因性薬剤の投与前に二次腫瘍溶解性ウイルスが不検出である、請求項135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記腫瘍細胞の第1の亜集団が、前記一次ウイルスによって感染および殺滅される、請求項130に記載の方法。
【請求項141】
前記腫瘍細胞の第2の亜集団が、前記二次ウイルスによって感染および殺滅される、請求項130または140に記載の方法。
【請求項142】
前記腫瘍細胞の亜集団が、前記一次ウイルスおよび前記二次ウイルスの両方によって感染および殺滅される、請求項130、140、および141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは前記二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、前記集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、前記一次および二次ウイルスによって殺滅される、請求項130および140~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、前記1つ以上の外因性薬剤が、前記二次ウイルスの産生を調節する、請求項130および140~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次ウイルスと同時に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次ウイルスの産生を阻害する、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次ウイルスの後に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次ウイルスの産生を誘導する、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記外因性薬剤の投与前に二次ウイルスが不検出である、請求項144~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
腫瘍の治療を必要とする対象における腫瘍を治療する方法であって、請求項1~128のいずれか一項に記載のウイルスまたは請求項129に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項150】
前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、前記集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、前記一次および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスの投与または前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみの投与と比較して、前記対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる、請求項149または150に記載の方法。
【請求項152】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答を誘導する、請求項149~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、前記対象における前記一次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、請求項149~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における前記二次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、請求項149~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における腫瘍細胞の優先的な/より特異的な殺滅をもたらす、請求項149~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、前記対象における前記一次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす、請求項149~155に記載の方法。
【請求項157】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における前記二次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす、請求項149~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす、請求項149~157に記載の方法。
【請求項159】
前記方法が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは前記二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする、請求項149~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、前記1つ以上の外因性薬剤が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する、請求項149~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する、請求項160に記載の方法。
【請求項163】
前記外因性薬剤が、前記一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記外因性薬剤の投与前に二次腫瘍溶解性ウイルスが不検出である、請求項160~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは前記二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、前記集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、前記一次および前記二次ウイルスによって殺滅される、請求項149に記載の方法。
【請求項166】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスの投与または前記二次ウイルスのみの投与と比較して、前記対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる、請求項149または165に記載の方法。
【請求項167】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答を誘導する、請求項149、165、および166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、前記対象における前記一次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、請求項149、および165~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記方法が、前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における前記二次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、請求項149、および165~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における腫瘍細胞の優先的な/より特異的な殺滅をもたらす、請求項149、および165~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、前記対象における前記一次ウイルスのより持続的な産生をもたらす、請求項149、および165~170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記方法が、前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における前記二次ウイルスのより持続的な産生をもたらす、請求項149、および165~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、前記対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす、請求項149、および165~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記方法が、前記二次ウイルスをコードする前記ポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは前記二次ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする、請求項149、および165~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、前記1つ以上の外因性薬剤が、前記二次ウイルスの産生を調節する、請求項149、および165~174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次ウイルスと同時に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次ウイルスの産生を阻害する、請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記1つ以上の外因性薬剤が、前記一次ウイルスの後に投与され、前記外因性薬剤の存在が、前記二次ウイルスの産生を誘導する、請求項175に記載の方法。
【請求項178】
前記外因性薬剤が、前記一次ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記外因性薬剤の投与前に二次ウイルスが不検出である、請求項175~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
請求項1~128に記載のウイルスをコードするポリヌクレオチド。
【請求項181】
請求項180に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項182】
請求項181に記載のベクターを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月10日に出願された米国仮特許出願第62/913,514号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する記述
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【背景技術】
【0003】
腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞に優先的に感染し、破壊するように設計されており(MacLean et al.,J.Gen.Virol.72:630-639(1991)、Robertson et al.,J.Gen.Virol.73:967-970(1992)、Brown et al.,J.Gen.Virol.75:3767-3686(1994)、Chou et al.,Science 250:1262-1265(1990))、がん治療のための複数の前臨床および臨床研究で使用されてきた。直接的な腫瘍細胞溶解は、細胞死だけでなく、局所抗原提示細胞によって取り込まれて提示される腫瘍抗原に対する適応免疫応答の発生ももたらす。しかしながら、強力な抗腫瘍免疫応答は、ウイルス株の効力が低いこと、ならびにウイルス自体を標的とする免疫応答のリダイレクトの可能性によって制限される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】MacLean et al.,J.Gen.Virol.72:630-639(1991)
【非特許文献2】Robertson et al.,J.Gen.Virol.73:967-970(1992)
【非特許文献3】Brown et al.,J.Gen.Virol.75:3767-3686(1994)
【非特許文献4】Chou et al.,Science 250:1262-1265(1990)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる。
本開示は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む組換え一次ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび二次ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスは、複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる。
【0006】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、dsDNAウイルスは単純ヘルペスウイルス(HSV)またはアデノウイルスである。いくつかの実施形態では、dsDNAウイルスは、Poxviridaeファミリーのウイルスである。いくつかの実施形態では、dsDNAウイルスは、伝染性軟属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナ(vaccina)ウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、RNAウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0007】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンス(ambi-sense)ssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ネガティブセンスssRNAウイルスは、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスである。いくつかの実施形態では、Rhabdoviridaeファミリーのウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)またはマラバウイルスである。いくつかの実施形態では、Paramyxoviridaeファミリーのウイルスは、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、または麻疹ウイルスである。いくつかの実施形態では、Orthomyxoviridaeファミリーのウイルスは、インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、エンテロウイルスである。いくつかの実施形態では、エンテロウイルスは、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスである。いくつかの実施形態では、コクサキウイルスは、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)であり、いくつかの実施形態では、コクサキウイルスは、CVA9、CVA21、またはCVB3である。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)である。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、メンゴウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、Togaviridaeファミリーのウイルスである。いくつかの実施形態では、Togaviridaeファミリーのウイルスは、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスである。いくつかの実施形態では、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスは、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである。
【0008】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、キメラウイルスである。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、シュードタイプウイルスである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスは、シュードタイプウイルスであり、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスのコード領域の外側にある二次腫瘍溶解性ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスは、アルファウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0009】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスは、キメラウイルスである。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスは、シュードタイプウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、シュードタイプウイルスであり、一次ウイルスは、二次ウイルスのコード領域の外側にある二次ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、アルファウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0010】
いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターが、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン誘導性プロモーターから選択される。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、リコンビナーゼ認識部位に隣接した構成的プロモーターを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスは、調節可能なプロモーターに結合することができるペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、本開示の一次ウイルスは、制御可能なプロモーターに結合することができるペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のポリヌクレオチドが、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、構成的プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、ペプチドは、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、ペプチドは、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである。
【0013】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドは、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNAi分子は、二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する。いくつかの実施形態では、RNAi分子は、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである。
【0014】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドは、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNAi分子は、二次ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次ウイルスの複製を阻害する。いくつかの実施形態では、RNAi分子は、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである。
【0015】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、リコンビナーゼ応答性カセットは、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、リコンビナーゼ応答性カセットは、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットは、リコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)を含む。いくつかの実施形態では、RRECは転写/翻訳終結(STOP)要素を含む。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結(STOP)要素は、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットは、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を含む。いくつかの実施形態では、RRICは、中心要素の両側に2つ以上の直交リコンビナーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、RRICは、プロモーターまたはプロモーターの一部を含む。いくつかの実施形態では、RRICは、コード領域またはコード領域の一部を含み、コード領域は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムをコードする。いくつかの実施形態では、RRICは、1つ以上の制御要素を含む。いくつかの実施形態では、制御要素は、転写/翻訳終結(STOP)要素である。いくつかの実施形態では、制御要素は、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)は、イントロンの一部をさらに含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、mRNAスプライシングを介してイントロンを除去した後、リコンビナーゼ認識部位を有しない二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの成熟ウイルスゲノム転写物をもたらす。
【0018】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、フリッパーゼ(Flp)またはCreリコンビナーゼ(Cre)である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼのコード領域は、イントロンを含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼリコンビナーゼの発現カセットは、1つ以上のmRNA不安定化要素を含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、追加のポリペプチドを含む融合タンパク質の一部であり、当該追加のポリペプチドは、リコンビナーゼの活性および/または細胞局在を調節する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼの活性および/または細胞局在は、リガンドおよび/または小分子の存在によって調節される。いくつかの実施形態では、追加のポリペプチドは、エストロゲン受容体タンパク質のリガンド結合ドメインを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位は、フリッパーゼ認識標的(FRT)部位である。
【0020】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、調節ポリペプチドは、1つ以上のプロモーターの活性を調節する。
【0021】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、調節ポリペプチドは1つ以上のプロモーターの活性を調節する。
【0022】
本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドとを含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に連結され、第2のポリヌクレオチドは、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる。
【0023】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、dsDNAウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス、またはPoxviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Poxviridaeファミリーのウイルスのウイルスは、伝染性軟体属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、RNAウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0024】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ネガティブセンスssRNAウイルスは、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Rhabdoviridaeファミリーのウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)もしくはマラバウイルスであり、任意選択的に、Paramyxoviridaeファミリーのウイルスは、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、もしくは麻疹ウイルスであり、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスは、インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、エンテロウイルスであり、任意選択的に、エンテロウイルスは、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスであり、任意選択的に、コクサキウイルスは、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)であり、任意選択的に、コクサキウイルスは、CVA9、CVA21またはCVB3である。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)またはメンゴウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、Togaviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Togaviridaeファミリーのウイルスは、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスであり、任意選択的に、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスは、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである。
【0025】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、キメラウイルスである。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、シュードタイプウイルスである。
【0026】
本開示は、二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドとを含む、組換え一次ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび二次ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に連結され、第2のポリヌクレオチドは、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、dsDNAウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス、またはPoxviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Poxviridaeファミリーのウイルスのウイルスは、伝染性軟体属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、RNAウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0028】
いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ネガティブセンスssRNAウイルスは、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Rhabdoviridaeファミリーのウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)もしくはマラバウイルスであり、任意選択的に、Paramyxoviridaeファミリーのウイルスは、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、もしくは麻疹ウイルスであり、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスは、インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、エンテロウイルスであり、任意選択的に、エンテロウイルスは、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスであり、任意選択的に、コクサキウイルスは、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)であり、任意選択的に、コクサキウイルスは、CVA9、CVA21またはCVB3である。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)またはメンゴウイルスである。いくつかの実施形態では、ポジティブセンスssRNAウイルスは、Togaviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Togaviridaeファミリーのウイルスは、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスであり、任意選択的に、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスは、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである。
【0029】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスは、キメラウイルスである。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスは、シュードタイプウイルスである。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1および第2の調節可能なプロモーターは、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン依存性プロモーターから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、第1の調節可能なプロモーターに結合することができる第1のペプチドおよび第2の調節可能なプロモーターに結合することができる第2のペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3のポリヌクレオチドは、構成的プロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、構成的プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、第1のペプチドは、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである。いくつかの実施形態では、第2の調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、第2のペプチドは、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、第1のペプチドは、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである。いくつかの実施形態では、第2の調節可能なプロモーターは、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、第2のペプチドは、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRNAi分子は、二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNAi分子は、二次ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次ウイルスの複製を阻害する。いくつかの実施形態では、RNAi分子は、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである。
【0034】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイムコード配列を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のリボザイムコード配列は、ハンマーヘッド型リボザイムまたは肝炎デルタウイルスリボザイムをコードする。
【0035】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、細胞内の1つ以上のmiRNAの発現は、一次および/または二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する。
【0036】
いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイムコード配列を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のリボザイムコード配列は、ハンマーヘッド型リボザイムまたは肝炎デルタウイルスリボザイムをコードする。
【0037】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスのゲノムは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスのゲノムは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび二次ウイルスは、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、細胞内の1つ以上のmiRNAの発現は、一次ウイルスおよび/または二次ウイルスの複製を阻害する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも1つの外因性ペイロードタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、外因性ペイロードタンパク質は、蛍光タンパク質、酵素、サイトカイン、ケモカイン、または抗原結合分子である。
【0039】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスの発現は、外因性薬剤によって調節される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、ペプチド、ホルモン、または小分子である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示の一次ウイルスは、少なくとも1つの外因性ペイロードタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、外因性ペイロードタンパク質は、蛍光タンパク質、酵素、サイトカイン、ケモカイン、または抗原結合分子である。
【0041】
いくつかの実施形態では、二次ウイルスの発現は、外因性薬剤によって調節される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、ペプチド、ホルモン、または小分子である。
【0042】
本開示は、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物を提供する。本開示は、本開示の一次ウイルスを含む組成物を提供する。
【0043】
本開示は、腫瘍細胞の集団に本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスまたはその組成物を投与することを含む、腫瘍細胞の集団を殺滅する方法を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の第1の亜集団は、一次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の第2の亜集団は、二次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の亜集団は、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスの両方によって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次性および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、当該外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の投与前に、二次腫瘍溶解性ウイルスは不検出である。
【0045】
本開示は、腫瘍の治療を必要とする対象における腫瘍を治療する方法であって、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスまたはその組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスの投与または二次腫瘍溶解性ウイルスのみの投与と比較して、対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における腫瘍細胞の優先的な/より特異的な殺滅をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照の一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする。いくつかの実施形態では、本方法は、腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤は、一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の投与前に、二次腫瘍溶解性ウイルスは不検出である。
【0046】
本開示は、腫瘍細胞の集団に本開示の一次ウイルスまたはその組成物を投与することを含む、腫瘍細胞の集団を殺滅する方法を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の第1の亜集団は、一次ウイルスによって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の第2の亜集団は、二次ウイルスによって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の亜集団は、一次ウイルスおよび二次ウイルスの両方によって感染および殺滅される。いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次ウイルスおよび二次ウイルスによって殺滅される。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤は、二次ウイルスの産生を調節する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤は、一次ウイルスと同時に投与され、当該外因性薬剤の存在は二次ウイルスの産生を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤は、一次ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在は二次ウイルスの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、一次ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の投与前に、二次ウイルスは不検出である。
【0048】
本開示は、腫瘍の治療を必要とする対象における腫瘍を治療する方法であって、本開示の一次ウイルスまたはその組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次ウイルスおよび二次ウイルスによって殺滅される。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスの投与または二次ウイルスのみの投与と比較して、対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における1つ以上の腫瘍抗原に対してより強力な免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、対象における一次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルス単独を投与することと比較して、対象における腫瘍細胞の優先的/より特異的な殺滅をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、対象における一次ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす。いくつかの実施形態では、本方法は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照の一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする。いくつかの実施形態では、方法は、腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤は二次ウイルスの産生を調節する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤は、一次ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在は、二次ウイルスの産生を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性薬剤は、一次ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在は二次ウイルスの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、一次ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の投与前に、二次ウイルスは不検出である。
【0049】
本開示は、本開示の一次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを提供する。本開示は、本開示の一次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを提供する。本開示は、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。本開示は、本開示のベクターを含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】入れ子状の腫瘍溶解性ウイルスの概略図および経時的な免疫反応を示す。図1Aは、2つの異なるウイルス(oV1およびoV2)が同じ構築物から産生されるように、一次腫瘍溶解性ウイルス(oV1ゲノム、灰色の棒)のゲノムが二次腫瘍溶解性ウイルス(oV2ポリヌクレオチド、白色の棒)のゲノムをコードするポリヌクレオチドを含む、入れ子状の腫瘍溶解性ウイルスを図示する。図1Bは、oV2の産生は誘導刺激によってトリガーされる、経時的なoV1およびoV2の相対レベルを図示する。経時的な腫瘍特異的CD8+T細胞の対応する増殖は、灰色の破線によって示される。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実施されてもよい。
図1B】入れ子状の腫瘍溶解性ウイルスの概略図および経時的な免疫反応を示す。図1Aは、2つの異なるウイルス(oV1およびoV2)が同じ構築物から産生されるように、一次腫瘍溶解性ウイルス(oV1ゲノム、灰色の棒)のゲノムが二次腫瘍溶解性ウイルス(oV2ポリヌクレオチド、白色の棒)のゲノムをコードするポリヌクレオチドを含む、入れ子状の腫瘍溶解性ウイルスを図示する。図1Bは、oV2の産生は誘導刺激によってトリガーされる、経時的なoV1およびoV2の相対レベルを図示する。経時的な腫瘍特異的CD8+T細胞の対応する増殖は、灰色の破線によって示される。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実施されてもよい。
図2】一次ウイルスが組換えHSVであり、二次ウイルスがポジティブセンス一本鎖RNAウイルス(左下)またはネガティブセンス一本鎖RNAウイルス(右下)である、入れ子状の腫瘍溶解性ウイルス構築物を示す。二次ウイルスゲノムの発現は、テトラサイクリン応答性Pol IIプロモーター(黒い矢印)およびRNAポリメラーゼIプロモーター(灰色の矢印)によって調節される。組換えHSVは、その糖タンパク質BにおけるD285NおよびA549T変異(gB:N/T)、ICP27におけるT128、T219a、およびT122 miR標的配列、ジョイント領域の欠失、US12変異、ICP4におけるT124、T1およびT143 miR標的配列、ならびにICP34.5におけるT128、T204およびT219 miR標的配列を含む。
図3】ウイルス活性化T7 RNAポリメラーゼまたはリコンビナーゼの発現および/または機能を調節するための制御要素を示す概略図である。転写制御は、腫瘍特異的プロモーターまたはリガンド誘導性プロモーターを用いて達成することができる。転写後制御要素は、mRNAまたはmRNAコード化タンパク質半減期の調節、miRNA標的部位、Tet-ON miR-T要素、Tet-OFFリボザイム/アプタザイム、およびリガンド依存性または構成的な様式での転写物存在量を制御するそれらの任意の組み合わせが含まれる。追加の制御要素は、その半減期、細胞内局在性および/または活性を制御するために、コードされたポリペプチド(例えば、リコンビナーゼ)内で操作することができる。
図4A】二次腫瘍溶解性ウイルスの発現を制御する部位特異的組換えシステムの使用を示す。図4Aは、FLPまたは別のリコンビナーゼによって切除され得る二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドのフレームシフト/終止コドンを挿入するスキームを示す。図4Bは、正しい向きに反転して活性にすることができる、不活性逆位プロモーターを示す。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実行されてもよい。
図4B】二次腫瘍溶解性ウイルスの発現を制御する部位特異的組換えシステムの使用を示す。図4Aは、FLPまたは別のリコンビナーゼによって切除され得る二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドのフレームシフト/終止コドンを挿入するスキームを示す。図4Bは、正しい向きに反転して活性にすることができる、不活性逆位プロモーターを示す。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実行されてもよい。
図5】例示的な入れ子になった腫瘍溶解性ウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノム内に挿入され得る構成要素の例示的な概略図を示す。rtTAペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にあり、二次ウイルスゲノムの発現は、テトラサイクリン応答性(TetOn)Pol IIプロモーターの制御下にあり、その結果、ウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルス転写物の発現は、内部TetOff-リボザイム(TetOff-R)によってさらに制御され、その結果、転写物はTetの非存在下で分解される。さらに、二次ウイルス転写物は、5’および3’TetOn-リボザイム(TetOn-R)によって活性化され、その結果、mRNA転写物は、Tetの存在下で5’および3’末端で処理される。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実行されてもよい。
図6】例示的な入れ子になった腫瘍溶解性ウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノム内に挿入され得る構成要素の例示的な概略図を示す。rtTAおよびテトラサイクリントランス活性化因子(tTA)ペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にある。二次ウイルスゲノムの発現は、TetOn Pol IIプロモーターの制御下にあり、その結果、ウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルス転写物の発現は、二次ウイルスのmRNA転写物中の標的配列に特異的なshRNAによってさらに調節される。shRNAの発現は、TetOffプロモーターの制御下にあるため、shRNAの転写は、Tetの非存在下およびtTAペプチドの存在下で起こる。さらに、二次ウイルス転写物は、5’および3’TetOn-Rによって活性化され、その結果、mRNA転写物は、Tetの存在下で5’および3’末端で処理される。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実行されてもよい。
図7】例示的な入れ子になったウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノム内に挿入される構成要素の例示的な概略図を示す。rtTAおよびtTAペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にある。二次ウイルスゲノムの発現は、TetOn Pol IIプロモーターの制御下にあり、そのためウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルス転写物の発現は、二次ウイルスのmRNA転写物中の標的配列に特異的なshRNAによってさらに調節される。shRNAの発現は、TetOffプロモーターの制御下にあるため、shRNAの転写は、Tetの非存在下およびtTAペプチドの存在下で起こる。さらに、二次ウイルス転写物は、AmiRNA標的部位および3’TetOn-Rによる5’末端での切断によって活性化され、その結果、mRNA転写物がTetの存在下で5’末端で処理される。これらの手順は、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスを用いて実行されてもよい。
図8】リコンビナーゼシステムの複数のレベルの制御を示す表である。Flpは、ここでは非限定的な例示的なリコンビナーゼとして使用される。
図9】STOP要素を含む例示的なリコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)を示す概略図である。
図10A】STOP要素を含む例示的なリコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を示す概略図である。図10Aは、プロモーター領域およびSTOP要素が、反転したテキストによって示されるように、最初の構築物において逆方向にあるプロモーター逆位設計を示す。図10Bは、ペイロード分子をコードするcDNAが、反転したテキストによって示されるように、最初の構築物において逆方向にある、ペイロード逆位設計を示す。
図10B】STOP要素を含む例示的なリコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を示す概略図である。図10Aは、プロモーター領域およびSTOP要素が、反転したテキストによって示されるように、最初の構築物において逆方向にあるプロモーター逆位設計を示す。図10Bは、ペイロード分子をコードするcDNAが、反転したテキストによって示されるように、最初の構築物において逆方向にある、ペイロード逆位設計を示す。
図11】スプリットイントロン逆位設計と呼ばれる、イントロンを有するリコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)の例示的な設計を示す概略図である。逆位要素は、反転したテキストによって示される。
図12】MND-TetR構築物およびTet依存性プロモーターに作動可能に連結されたmCherry-NLucレポーター遺伝子の構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図13】様々な構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図14】示されるような3つの異なる構築物の組み合わせでトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図15A】任意選択のイントロン領域を有するFlp-ERT2融合タンパク質構築物、および任意選択のSTOPカセットを有するmCherry-NLucレポーター構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図15B】イントロン領域および任意選択のmRNA不安定化要素を有するFlp-ERT2融合タンパク質構築物、ならびに示されるようなその他の構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図16】指示された発現構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるベースラインレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。逆位要素は、反転したテキストによって示される。
図17】ドキシサイクリンおよび/または4OHTに応答して示された発現構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞におけるレポーター遺伝子レベルを示す棒グラフである。
図18】複数の制御要素を使用してレポーター遺伝子発現を調節するためのpDEST14ベースの発現構築物の設計を示す概略図である。挿入は、左から右に、attB1、SV40 pA、MND-TetR(逆方向)、HBP1-TO-FEXPi2、ACTBポリA、attB5、GAPDHポリA、CMV-NLucP(逆方向)、HBP2-TO-STOP3-mCherry-Fluc、bGHポリA、attB2を含む。
図19】ONCR222bベクターベースの二重(dual)腫瘍溶解性ウイルスベクターの設計を示す概略図である。14.1kbの挿入は、左から右に、attB1、SV40 pA、MND-TetR(逆方向)、HBP1-TO-FEXPi2、ACTBポリA、attB5、GAPDHポリA、CMV(逆方向)、HBP2-TO-STOP3-SVV-mCherry、bGHポリA、attB2を含む。組換えHSVは、その糖タンパク質BにおけるD285NおよびA549T変異(gB:N/T)、ICP27におけるT128、T219a、およびT122 miR標的配列、ジョイント領域の欠失、US12変異、ICP4におけるT124、T1およびT143 miR標的配列、ならびにICP34.5におけるT128、T204およびT219 miR標的配列を含む。
図20A】指示された二重腫瘍溶解性ウイルスベクターでNCI-H1299細胞を感染させた後の、経時的なHSVのウイルス力価を示すグラフである。
図20B】示された二重腫瘍溶解性ウイルスベクターでNCI-H1299細胞を感染させた後の、経時的なSVVのウイルス力価を示すグラフである。
図21】HSV-1ウイルスゲノムに挿入されたSVVウイルスゲノムを有する二重腫瘍溶解性ウイルスベクターの設計を示す概略図である。組換えHSVは、その糖タンパク質BにおけるD285NおよびA549T変異(gB:N/T)、UL37変異、ジョイント領域の欠失、US12変異、ならびにICP4におけるT124、T1およびT143 miR標的配列を含む。
図22】Vero細胞またはH1299細胞におけるONCR-189ウイルスまたはONCR-190ウイルスによるウイルス感染の10倍段階希釈を示す一連の画像化図である。
図23】H1299細胞におけるONCR-189ウイルスおよびONCR-190ウイルスによるウイルス感染の10倍段階希釈を示す一連の画像化図である。
図24A】H446細胞のONCR-189およびONCR-190ウイルス感染のIC50力価アッセイを示す一連のグラフである。
図24B図24Aに示す実験に従って計算されたIC50値を示す表である。
図25】トランスフェクトまたは感染したH1299細胞におけるSVV RNAコピー数を測定するqPCRアッセイを示す棒グラフである。
図26A】腫瘍溶解性ウイルスで処理されたNCI-H1299異種移植マウスの経時的な腫瘍体積の変化を示すグラフである。
図26B】同じ実験での体重の変化を示すグラフである。
図27】HEK293細胞における対照TetOffアプタザイムの制御下でのmCherryの発現レベルを評価するアレイスキャンニングサイトメトリーアッセイを示す棒グラフである。
図28】二重ウイルスの様々な構成要素の設計を示す概略図である。いくつかの実施形態では、二重ウイルスは、二重腫瘍溶解性ウイルスである。斜体文字および/または破線はすべて、任意選択の構成要素を示す。例えば、任意選択のRNAi標的配列を、図に示されるポリヌクレオチドのコード領域および/または非コード領域に挿入して、RNAiを介した対応するRNA転写物の発現レベルおよび/または安定性を制御してもよく、任意選択のリコンビナーゼ応答性カセットを、図に示されるポリヌクレオチドに挿入して、リコンビナーゼの存在に応答して標的RNA発現の制御を可能にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書で使用されるセクション見出しは、組織的な目的のみを目的としており、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、および論文を含むがこれらに限定されない、本明細書に引用されるすべての文書または文書の一部は、任意の目的のために参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。組み込まれた文書または文書の一部の1つ以上が、本出願におけるその用語の定義と矛盾する用語を定義している場合、本願に記載された定義が優先される。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、記事、刊行物、特許、特許公開、および特許出願についての言及は、有効な先行技術を構成する、または世界の任意の国で共通の一般知識の一部を形成するという認識または任意の形態の提案とはみなされず、またはみなされるべきものではない。
【0052】
定義
本出願で使用される場合、用語「約」および「およそ」は、等価物として使用される。約/およその有無に関わらず、本出願で使用される任意の数字は、当業者によって認識される任意の通常の変動をカバーすることを意味する。特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、記載される参照値のいずれかの方向(より高いまたは低い)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下の範囲内に値の範囲を指す(このような値が100%を超える可能性がある場合を除く)。
【0053】
「投与」とは、本明細書では、薬剤または組成物を対象に導入することを指す。
【0054】
「相補的」は、塩基のスタッキングおよび特定の水素結合を介して、天然または非天然の塩基またはその類似体を含む2つの配列間の対合能力を指す。例えば、核酸のある位置の塩基が、標的の対応する位置の塩基と水素結合することができる場合、塩基は、その位置で互いに相補的であるとみなされる。核酸は、ユニバーサル塩基、または水素結合に対するプラスのまたはマイナスの寄与をもたらさない不活性な非塩基性スペーサーを含み得る。塩基対は、標準的なワトソン・クリック塩基対および非ワトソン・クリック塩基対(例えば、ゆらぎ塩基対およびフーグスティーン塩基対)の両方を含み得る。相補的塩基対については、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に対して相補的であり、シトシン型塩基(C)はグアノシン型塩基(G)に対して相補的であり、ならびに3-ニトロピロールや5-ニトロインドールなどのユニバーサル塩基は、任意のA、C、U、またはTにハイブリダイズでき、相補的であるとみなされることが理解される。Nichols et al.,Nature,1994;369:492-493およびLoakes et al.,Nucleic Acids Res.,1994;22:4039-4043。イノシン(I)はまた、当技術分野では、ユニバーサル塩基であるとみなされており、任意のA、C、U、またはTに対し相補的であるとみなされている。Watkins and SantaLucia,Nucl.Acids Research,2005;33(19):6258-6267を参照されたい。
【0055】
用語「有効量」は、特定の生理学的効果をもたらす薬剤または組成物の量(例えば、特定の生理学的効果を増加、活性化、および/または増強することができる量)を指す。特定の薬剤の有効量は、薬剤の性質に基づいて様々な方法で表すことができ、例えば、質量/体積、細胞数/体積、粒子/体積、(薬剤の質量)/(対象の質量)、細胞数/(対象の質量)、または粒子/(対象の質量)などである。特定の薬剤の有効量はまた、参照レベルと最大応答レベルの中間である特定の生理学的応答の大きさをもたらす薬剤の濃度を指す、50%最大有効濃度(EC50)として表されてもよい。
【0056】
用語「腫瘍溶解性ウイルス」は、がん細胞に優先的に感染するように改変された、または自然に優先的に感染するウイルスを指す。
【0057】
用語「薬学的に許容される」は、対象に投与されたときに、アレルギー性反応または類似の有害な反応を生じない分子実体および組成物を指す。
【0058】
用語「複製能力を有するウイルス」は、宿主細胞中で複製し、感染性ウイルス粒子を産生することができるウイルスを指す。
【0059】
用語「配列同一性」は、同じであり、かつ同じ相対位置にある2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の間の塩基またはアミノ酸のパーセンテージを指す。このように、あるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列と比較して、特定のパーセンテージの配列同一性を有する。配列比較については、通常、1つの配列が参照配列として作用し、それに対して試験配列が比較される。用語「参照配列」は、試験配列が比較される分子を指す。
【0060】
用語「対象」は、例えば霊長類およびヒトを含む哺乳動物などの動物を含む。この用語は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなどの家畜、イヌおよびネコなどの飼育動物、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、または近交系ブタなどのブタなどの研究動物を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「治療する」とは、生理学的転帰に影響を及ぼすために、薬剤または組成物を対象に送達することを指す。
【0062】
用語「ベクター」は、本明細書において、別の核酸分子を移動または輸送することができる核酸分子を指すために使用される。
【0063】
分子および細胞生化学の一般的な方法は、以下のような標準的な教科書から見出すことができ、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley & Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors (Kaplift & Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual (I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997)、およびCell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths,John Wiley & Sons 1998)、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
用語「作動可能に連結された」は、目的遺伝子のコード配列またはウイルスゲノムなどの第2の転写可能ポリヌクレオチド分子と接続されたプロモーターなどの第1のポリヌクレオチド分子で、第1のポリヌクレオチド分子が第2のポリヌクレオチド分子の機能に影響を及ぼすようにポリヌクレオチド分子が配置されていることを指す。2つのポリヌクレオチド分子は、単一の連続するポリヌクレオチド分子の一部であってもよく、隣接していてもよい。しかしながら、ポリヌクレオチド分子は、作動可能に連結するために連続的である必要はない。いくつかの実施形態では、用語「作動可能に連結された」はまた、組換え(例えば、リコンビナーゼによって媒介される)後に作動可能に連結されたが、初期配列では作動可能に連結されていない2つのポリヌクレオチド分子を指す。
【0065】
二重ウイルス
本開示全体を通して、すべての小見出しおよびすべてのセクションを含め、腫瘍溶解性ウイルス(例えば、二重腫瘍溶解性ウイルス)について提供される本開示および実施形態は、腫瘍溶解性ウイルス以外のウイルスに適用され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスではないウイルスは、非腫瘍溶解性ウイルスであってもよい。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む。こうした実施形態は、ウイルス構築物が、宿主細胞に導入されたときに、同じ構築物から2つの異なる腫瘍溶解性ウイルスを産生することができるため、本明細書では、「二重ウイルス」または「二重ウイルス構築物」と称される。
【0067】
悪性腫瘍のウイルス治療との関連において、全体的な目的は、腫瘍細胞溶解による腫瘍特異的免疫応答の促進である。効果的なウイルス療法には、宿主における抗腫瘍免疫応答を刺激するのに十分な免疫原性および、腫瘍細胞の溶解を媒介するのに十分な毒性を有するウイルスが必要である。同時に、ウイルスの免疫原性および毒性は、ウイルス自体に対する宿主免疫応答をリダイレクトし、それによって抗腫瘍免疫応答および腫瘍細胞溶解の発生を制限し、代わりにウイルスクリアランスをもたらし得る。そのため、抗腫瘍免疫を促進し、抗ウイルス免疫を抑制することができるウイルスに対する当技術分野での認識されたニーズがある。いくつかの実施形態では、本開示は、悪性がんの治療のための二重ウイルスを提供する。
【0068】
同様の免疫原性および/または毒性の問題が、ワクチンまたは遺伝子治療などの他の用途におけるウイルスに対しても存在し得る。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の二重ウイルスを含むワクチン組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子療法ベクターとして本開示の二重ウイルスを提供する。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態において、一次ウイルスは、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む(すなわち、二重ウイルス)。本明細書に記載される二重ウイルスは、1つのウイルスベクターから2つの異なるウイルス、すなわち一次ウイルスおよび二次ウイルスの産生を可能にする。いくつかの実施形態では、一次および/または二次ウイルスの発現は誘導性であり、一次および/または二次ウイルスの発現を時間的制御することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される二重ウイルスは、宿主におけるウイルスの持続性を促進し、腫瘍細胞のウイルス溶解の増加、および腫瘍抗原特異的T細胞集団の発達の増強を可能にする。
【0070】
二重腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスを提供する。こうした実施形態は、ウイルス構築物が、宿主細胞に導入されたときに、同じ構築物から2つの異なる腫瘍溶解性ウイルスを産生することができるため、本明細書では、「二重腫瘍溶解性ウイルス」または「二重腫瘍溶解性ウイルス構築物」と称される。
【0071】
悪性腫瘍のウイルス治療との関連において、全体的な目的は、腫瘍細胞溶解による腫瘍特異的免疫応答の促進である。効果的な腫瘍溶解性ウイルス療法には、宿主における抗腫瘍免疫応答を刺激するのに十分な免疫原性および、腫瘍細胞の溶解を媒介するのに十分な毒性を有するウイルスが必要である。同時に、ウイルスの免疫原性および毒性は、ウイルス自体に対する宿主免疫応答をリダイレクトし、それによって抗腫瘍免疫応答および腫瘍細胞溶解の発生を制限し、代わりにウイルスクリアランスをもたらし得る(Ikeda et al.,Nature Medicine(1999)5:8;881-887)。そのため、抗腫瘍免疫を促進し、抗ウイルス免疫を抑制することができる腫瘍溶解性ウイルスに対する当技術分野での認識されたニーズがある(例えば、Aurelian,Onco Targets Ther(2016)9;2627-2637を参照されたい)。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、一次腫瘍溶解性ウイルス(すなわち、二重性腫瘍溶解性ウイルス)を提供する。本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスは、1つのウイルスベクターから2つの異なる腫瘍溶解性ウイルス、すなわち一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を可能にする。いくつかの実施形態では、一次および/または二次ウイルスの発現は誘導性であり、一次および/または二次ウイルスの発現を時間的制御することができる。このプロセスの例示的な図を図1に示す。簡潔に述べると、図1Aに示される二重腫瘍溶解性ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルス(oV1)の初期発現および腫瘍細胞のウイルス溶解をもたらす(図1B、黒線)。oV1によって媒介される腫瘍細胞溶解は、腫瘍ネオ抗原の放出および腫瘍抗原特異的CD8+T細胞の発達をもたらし、腫瘍細胞のさらなる免疫細胞介在性溶解をもたらす(図1B、灰色の破線)。oV1(図1A)のゲノムに挿入されたポリヌクレオチドからの二次腫瘍溶解性ウイルス(oV2)の転写は、oV2の発現をもたらし、oV2によって媒介される腫瘍細胞溶解は、腫瘍抗原の第2の放出をもたらし、抗腫瘍CD8+T細胞の既存の集団に抗原ブーストをもたらす。oV2の転写および発現は、任意選択的に、誘導剤の投与または阻害剤の除去によって誘導され得る。oV1とoV2はウイルスが異なるため、一方に対して生成された抗ウイルス免疫応答は他方に対して効果的ではなく、それによってウイルス抗原に対する免疫応答のリダイレクトを軽減する。したがって、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスは、宿主におけるウイルスの持続性を促進し、腫瘍細胞のウイルス溶解の増加、および腫瘍抗原特異的T細胞集団の発達の増強を可能にする。
【0073】
投与
いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、腫瘍細胞または腫瘍抗原に対する特異的免疫反応を促進する。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみを投与するか、または二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみを投与する場合と比較して、対象における腫瘍細胞のより特異的な殺滅をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍に対する一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの感染は、感染の結果として放出される共通の腫瘍抗原への免疫反応を集中させることにつながる。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルス、および二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの感染は、腫瘍細胞または腫瘍抗原に対する優先的または特異的な宿主免疫につながる。
【0074】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみまたは二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみの投与によって殺滅される腫瘍細胞の数と比較して、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与によってより多くの数の腫瘍細胞が殺滅される。いくつかの実施形態では、同じ量/用量の一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみまたは二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみの投与によって殺滅される腫瘍細胞の数と比較して、少なくとも10%多い、少なくとも20%多い、少なくとも30%多い、少なくとも50%多い、少なくとも100%多い、少なくとも200%多い、または少なくとも500%多い腫瘍細胞が、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与によって殺滅される。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、いずれかのウイルスのみの投与と比較して、腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる(またはどちらのウイルスのみでも腫瘍サイズを縮小することができない状況で、腫瘍サイズを縮小させる)。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、いずれかのウイルスのみの投与と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%のさらなる腫瘍サイズの縮小につながる。
【0075】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみを投与するか、または二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫応答は、1つ以上の腫瘍関連抗原に特異的な免疫細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)の数によって測定される。いくつかの実施形態では、対象における二重腫瘍溶解性ウイルスまたは本開示の二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルス単独のみを投与することと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、または少なくとも500%多い、1つ以上の腫瘍関連抗原に特異的な免疫細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD8+T細胞である。
【0076】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスに対する免疫応答の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫応答は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスの1つ以上の抗原に特異的な免疫細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)の数によって測定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスの1つ以上の抗原に特異的な抗体のレベルによって測定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみを投与することと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下する。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスに対する免疫応答の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫応答は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの1つ以上の抗原に特異的な免疫細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞)の数によって測定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの1つ以上の抗原に特異的な抗体のレベルによって測定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみを投与ことと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%低下する。いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスに対する免疫反応を誘導しない。
【0078】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスの持続的な産生は、血液循環中または腫瘍部位における一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのレベルによって測定される。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみを投与することと比較して、血液循環または腫瘍部位において、例えば、少なくとも10%長く、少なくとも20%長く、少なくとも30%長く、少なくとも50%長く、少なくとも100%長く、少なくとも200%長く、または少なくとも500%長く、検出可能なレベルの一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスをもたらす。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのより持続的な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの持続的な産生は、血液循環中または腫瘍部位における二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのレベルによって測定される。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、血液循環または腫瘍部位において、例えば、少なくとも10%長く、少なくとも20%長く、少なくとも30%長く、少なくとも50%長く、少なくとも100%長く、少なくとも200%長く、または少なくとも500%長く、検出可能なレベルの二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをもたらす。
【0080】
いくつかの実施形態では、対象における本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍阻止の期間は、無増悪期間である。いくつかの実施形態では、腫瘍阻止の期間は、腫瘍のない期間である。いくつかの実施形態では、腫瘍阻止の期間は、ウイルス投与の開始からがん寛解までの時間である。いくつかの実施形態では、腫瘍阻止の期間は、無転移期間である。いくつかの実施形態では、腫瘍阻止の期間は、腫瘍が腫瘍溶解性ウイルスまたはウイルスの投与直前(腫瘍溶解性ウイルス治療またはウイルス治療による腫瘍縮小期間の後)にその初期サイズに成長するまでの時間である。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみまたは二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみを投与することと比較して、少なくとも10%長い、少なくとも20%長い、少なくとも30%長い、少なくとも50%長い、少なくとも100%長い、少なくとも200%長い、少なくとも500%長い、または少なくとも1000%長い腫瘍阻止期間をもたらす。
【0081】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生は、外因性薬剤によって調節される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤による調節は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生の空間的および/または時間的制御を提供する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、ペプチド、ホルモン、または小分子である。いくつかの実施形態では、外因性薬剤はリガンドである。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、プロモーター、リボザイム、またはRNAiの活性を調節することによって、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生を調節する。例えば、テトラサイクリン/ドキシサイクリンは、Tet-OnもしくはTet-OFFプロモーターおよび/またはリボザイムのための例示的な外因性薬剤である。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、リコンビナーゼの活性を調節することによって、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生を調節する。例えば、4-ヒドロキシタモキシフェンは、リコンビナーゼに融合されたエストロゲン受容体(ER)の改変リガンド結合ドメインを介してリコンビナーゼの活性/細胞内局在を調節できる例示的な外因性である。
【0082】
いくつかの実施形態では、外因性薬剤は全身的に投与される。いくつかの実施形態では、外因性剤は、局所的に、例えば腫瘍内投与される。いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生を調節するために外因性薬剤を投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生を阻害する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の存在は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの産生を誘導する。いくつかの実施形態では、外因性薬剤の投与前に、対象において二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、不検出である。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与とほぼ同時に、またはそれ以前に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与後に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与の少なくとも1時間後、少なくとも3時間後、少なくとも6時間後、少なくとも12時間後、または少なくとも24時間後に投与される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与の少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも1週間後、少なくとも2週間後、少なくとも1か月後、少なくとも2か月後、少なくとも3か月後、または少なくとも6か月後に投与される。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスと二次ウイルスの感染は、時間的に分離される。いくつかの実施形態では、一次および二次腫瘍溶解性ウイルス、または一次および二次ウイルスの時間的に分離された感染は、腫瘍細胞および/または腫瘍抗原への免疫反応の集中をもたらす。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの投与は、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみを投与する場合と比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスに感染した少なくとも1つの細胞タイプは、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみに対して耐性がある。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスに感染した少なくとも1つの細胞タイプは、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみに対して耐性がある。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスもしくは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスのみに耐性のある細胞タイプは、骨髄細胞、マクロファージ、または線維芽細胞である。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみに耐性のある細胞タイプは、免疫阻害に寄与する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスのみ、または二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのみに耐性の細胞タイプは、腫瘍阻止に寄与する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の「一次腫瘍溶解性ウイルスのみ」は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含まない(すなわち、二重腫瘍溶解性ウイルスではない)参照一次腫瘍溶解性ウイルスを指す。いくつかの実施形態では、本開示の「一次ウイルスのみ」は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含まない(すなわち、二重ウイルスではない)参照一次ウイルスを指す。
【0085】
改変二重ウイルスおよび改変二重腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの実施形態では、本開示は、シュードタイプであるか、または別の方法で操作されたウイルス(例えば、一次ウイルスおよび/または二次ウイルス)を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルスは、シュードタイプであるか、または別の方法で操作された、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスである。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態では、「シュードタイプウイルス」は、1つ以上のウイルスコートタンパク質(例えば、エンベロープタンパク質)が置換または改変されたウイルスを指す。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスは、対応する非シュードタイプウイルスが感染することができない細胞または組織型に感染することができる。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスは、非シュードタイプウイルスと比較して、細胞または組織型に優先的に感染することができる。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスのウイルス粒子(例えば、エンベロープまたはキャプシド)の一部分は、異種ウイルスに由来するウイルスタンパク質または非ウイルスタンパク質などの異種タンパク質を含む。非ウイルスタンパク質には、抗体およびその抗原結合断片が含まれ得る。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスは、i)非シュードタイプウイルスと比較して指向性を変化させる能力、および/またはii)非有益な効果の低減または除去能力を有する。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスは、非シュードタイプウイルスと比較して、非腫瘍細胞または非腫瘍組織の毒性の低下または感染の低下を示す。
【0087】
一般的に、ウイルスは、最も効率的に感染する天然の宿主細胞集団を有する。例えば、レトロウイルスは、天然の宿主細胞の範囲が限定されている一方、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスは、比較的より広範な宿主細胞に効率的に感染することができるが、一部の細胞型は、これらのウイルスによる感染に対して抵抗性がある。ウイルスの表面上のタンパク質(例えば、エンベロープタンパク質またはキャプシドタンパク質)は、感受性宿主細胞への付着および侵入を瞑想し、それによってウイルスの指向性、すなわち、特定の細胞または組織型に感染する特定のウイルスの能力を決定する。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスは、ウイルスの表面上に単一のタイプのタンパク質を含む。例えば、レトロウイルスおよびアデノ関連ウイルスは、その膜をコーティングする単一のタンパク質を有する。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスは、ウイルスの表面上に複数のタイプのタンパク質を含む。例えば、アデノウイルスは、エンベロープタンパク質と、ウイルスの表面から離れて延びる線維の両方とで被覆される。
【0088】
いくつかの実施形態では、ウイルスの表面上のタンパク質は、ヘパリン硫酸などの細胞表面分子に結合し、それによってウイルスを潜在的な宿主細胞の表面へ局在化させることができる。ウイルスの表面上のタンパク質はまた、ウイルスの侵入を媒介するために、ウイルスタンパク質の構造変化を誘導する宿主細胞上に発現された特定のタンパク質受容体とウイルスとの間の相互作用を媒介することができる。いくつかの実施形態では、ウイルス表面上のタンパク質と細胞受容体との間の相互作用は、エンドソームへのウイルス内部移行を促進し得、エンドソーム内腔の酸性化は、ウイルス被膜のリフォールディングを誘導する。いくつかの実施形態では、潜在的な宿主細胞へのウイルスの侵入は、ウイルスの表面上の少なくとも1つの分子と細胞の表面上の少なくとも1つの分子との間の好ましい相互作用を必要とする。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示のウイルスは、ウイルスコート(例えば、ウイルスエンベロープまたはウイルスキャプシド)を含み、ウイルスコートの表面上に存在するタンパク質(例えば、ウイルスエンベロープタンパク質またはウイルスキャプシドタンパク質)は、ウイルス侵入のための潜在的標的細胞の認識を調節する。いくつかの実施形態では、ウイルスによる侵入の可能性のある標的細胞を決定するこのプロセスは、宿主指向性と呼ばれる。いくつかの実施形態では、宿主指向性は、受容体のウイルス認識が細胞レベルで発生する、細胞指向性であり、または細胞受容体のウイルス認識が組織レベルで発生する組織指向性である。いくつかの実施形態では、ウイルスのウイルスコートは、単一のタイプの細胞上に存在する受容体を認識する。いくつかの実施形態では、ウイルスのウイルスコートは、複数の細胞型(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上の異なる細胞型)上に存在する受容体を認識する。いくつかの実施形態では、ウイルスのウイルスコートは、単一のタイプの組織上に存在する受容体を認識する。いくつかの実施形態では、ウイルスのウイルスコートは、複数の組織型(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上の異なる組織型)上に存在する細胞受容体を認識する。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示のシュードタイプウイルスは、特定の細胞または組織型へのウイルスの侵入を促進するために、異なるウイルスからの表面タンパク質を組み込むように改変されたウイルスコートを含む。いくつかの実施形態では、シュードタイプウイルスは、第1のウイルスのウイルスコートが第2のウイルスコートと交換されるウイルスコートを含み、二次ウイルスのウイルスコートがシュードタイプウイルスが特定の細胞または組織型に感染することを可能にする。いくつかの実施形態では、ウイルスコートは、ウイルスエンベロープを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスエンベロープは、リン脂質二重層と、宿主膜から得られたタンパク質などのタンパク質とで構成されている。いくつかの実施形態では、ウイルスエンベロープは、宿主細胞によって発現される受容体の認識および付着のための糖タンパク質をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウイルスコートはキャプシドを含む。場合によっては、カプシドは、プロトマーと呼ばれるオリゴマータンパク質サブユニットから組み立てられる。いくつかの実施形態では、キャプシドは、1種類のプロトマーまたはタンパク質から組み立てられるか、または2、3、4、もしくはそれ以上の種類のプロトマーまたはタンパク質から組み立てられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、療法(例えば、がん療法)の目的のために、本開示のウイルスによる形質導入に感受性のある細胞の範囲を制限または拡大することが有利である。この目的のために、内在性ウイルスコートタンパク質(例えば、ウイルスエンベロープタンパク質またはキャプシドタンパク質)が、他のウイルス由来のウイルスコートタンパク質またはキメラタンパク質によって置換された、多くのウイルスが開発されてきた。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、ビリオンへの組み込みに必要なウイルスタンパク質の一部、ならびに標的化部分などの特定の宿主細胞タンパク質と相互作用するよう設計されたタンパク質または核酸からなる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示のシュードタイプウイルスは、ウイルス指向性を制限または制御するために(すなわち、シュードタイプウイルスが感染することができる細胞または組織型の数を減少させるために)シュードタイプ化されている。指向性を制限するために採用されたほとんどの戦略は、抗体断片に連結したキメラウイルスコートタンパク質(例えば、エンベロープタンパク質)を使用している。これらのウイルスは、治療法(例えば、がん療法)の開発に大いに期待できる。いくつかの実施形態では、本開示のシュードタイプウイルスは、ウイルス指向性を拡大するために(すなわち、シュードタイプウイルスが感染することができる細胞または組織型の数を増やすために)シュードタイプ化されている。ウイルス(例えば、エンベロープウイルス)の細胞指向性を拡大する一つの機構は、表現型混合粒子またはシュードタイプの形成によって、2つ以上のウイルスに感染した細胞において、ウイルスの組み立て中に通常に生じるプロセスである。例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)である。HIV1は、適切な補助受容体とともにCCR4を発現する細胞に感染する。しかしながら、HIV1は、表現型混合を介して異種糖タンパク質(GP)を組み込むことによってシュードタイプを形成し、その結果、CD4受容体および/または適切な補助受容体を発現しない細胞にウイルスが感染し、それによってウイルスの指向性が拡大する。いくつかの研究により、異種指向性マウス白血病ウイルス(MLV)、両種指向性MLV、または単純ヘルペスウイルスに感染した細胞で産生された野生型HIV-1は、宿主範囲が拡大した表現型混合ビリオンを生じさせ、シュードタイプビリオンが産生されたことを示すことが示されている。ウイルスGPの表現型混合は、同時感染細胞培養においてHIV-1とVSVの間でも起こることが示されている。これらの初期の観察は、異種GPを有するHIV-1ベースのレンチウイルスベクターのその後の設計の鍵であった。
【0093】
レンチウイルスをシュードタイプ化する代替的GPのリストは増え続けており、それぞれに特定の長所と短所がある。シュードタイプレンチウイルスに対するVSV Gタンパク質(VSV-G)の広範な使用により、このGPは、事実上シュードタイプを形成するための他のウイルスGPの有用性を比較するための標準となった。レンチウイルスシュードタイプの追加の非限定的な例としては、リッサウイルス由来GPを有するシュードタイプ、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスGPを有するシュードタイプレンチウイルス、アルファウイルスGPを有するレンチウイルスシュードタイプ(例えば、RRVおよびSFV GPでシュードタイプ化されたレンチウイルスベクター、シンドビスウイルスGPでシュードタイプ化されたレンチウイルスベクター)、フィロウイルスGPを有するシュードタイプ、およびバキュロウイルスGP64を含むレンチウイルスベクターシュードタイプが挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、操作された(例えば、シュードタイプ化)ウイルスは、典型的には腫瘍細胞上に発現されるタンパク質、脂質、または炭水化物に結合することによって、腫瘍および/または腫瘍細胞に結合することができる。こうした実施形態では、本明細書に記載の操作されたウイルスは、ウイルスを特定の宿主細胞に向ける標的化部分を含んでもよい。場合によっては、特定の細胞もしくは組織型(例えば、腫瘍もしくは腫瘍細胞、または腫瘍関連間質もしくは間質細胞)上に差次的に発現されるか、またはそうでなければ存在する、当技術分野で公知であるか、またはまだ特定されていない任意の細胞表面生物学的物質を、本開示のウイルスの潜在的な標的として使用してもよい。いくつかの実施形態では、細胞表面物質はタンパク質である。いくつかの実施形態では、上記標的化部分は、例えば、がん(例えば、乳房、肺、卵巣、前立腺、結腸、リンパ腫、白血病、黒色腫など)、自己免疫疾患(例えば、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、糖尿病など)、HIV、HCV、HBV、CMV、およびHPVによる感染を含む感染症;ならびに、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症、テイ・サックス病、J3-サラセミア、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、血友病などを含む遺伝性疾患、などの疾患を示す細胞表面抗原に結合する、特定の実施形態では、標的化部分は、特定の細胞または組織タイプに特異的な細胞表面抗原、例えば、神経、肺、腎臓、筋肉、血管、甲状腺、眼、乳房、卵巣、精巣、または前立腺組織に存在する細胞表面抗原を標的とする。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示のウイルス(一次ウイルスおよび/または二次ウイルス)は、キメラウイルス(例えば、第1のウイルスに由来するキャプシドタンパク質またはIRESなどの一部分を含むウイルス、および第2のウイルスに由来するプロテアーゼまたはポリメラーゼなどの非構造遺伝子などの別の部分を含むウイルスをコードする)である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスである。
【0096】
二重腫瘍溶解性ウイルス、二重ウイルス、および制御要素の設計
本開示は、図28に示すように、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチド、任意選択的にリコンビナーゼをコードするポリヌクレオチド、および任意選択的に調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、一次腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、調節可能なプロモーターに結合することができる。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、図28に示される1つ以上の調節可能なプロモーターの機能を調節する。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、rtTAタンパク質である。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、tTAタンパク質である。
【0097】
本開示は、図28に示すように、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチド、任意選択的にリコンビナーゼをコードするポリヌクレオチド、および任意選択的に調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、一次ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、調節可能なプロモーターに結合することができる。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、図28に示される1つ以上の制御可能なプロモーターの機能を調節する。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、rtTAタンパク質である。いくつかの実施形態では、調節ポリペプチドは、tTAタンパク質である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスを提供し、二次腫瘍溶解性ウイルスの発現は、調節可能なプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、ホルモン応答性プロモーター(例えば、ポナステロンA誘導性プロモーター)、およびテトラサイクリン(Tet)調節性プロモーターから選択される。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、リコンビナーゼ認識部位(RRS)に隣接したプロモーターである。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示は、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次ウイルスを提供し、二次ウイルスの発現は、調節可能なプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、ホルモン応答性プロモーター(例えば、ポナステロンA誘導性プロモーター)、およびテトラサイクリン(Tet)調節性プロモーターから選択される。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、リコンビナーゼ認識部位(RRS)に隣接したプロモーターである。
【0100】
いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、Tet調節性プロモーターである。Tet調節性プロモーターは、最小プロモーターの上流にTet応答要素(TRE)を配置することによって開発される。TREは、19ヌクレオチドのテトラサイクリンオペレーター(tetO)配列の7つの繰り返しであり、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)によって認識される。内因性細菌系において、テトラサイクリン、またはドキシサイクリンのような類似体が存在する場合、tetRは、TREではなくテトラサイクリンに結合し、それによって転写を可能にする。Tetを遺伝子発現の調節因子として使用するために、tetRをビリオンタンパク質16(VP16)の転写活性化ドメインと融合させることによって、テトラサイクリン制御トランス活性化因子(tTA)を作製した(Gossen and Bujard,PNAS(1992)15:89(12):5547-5551)。テトラサイクリンの非存在下で、tTAのtetR部分は、TRE中のtetO配列を結合し、VP16活性化ドメインは下流遺伝子の転写を促進する。テトラサイクリンの存在下では、テトラサイクリンは、tTAのtetRドメインに結合し、これによりtetO配列へのtTAの結合とVP16媒介性の下流遺伝子発現の活性化を遮断する。したがって、いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、Tet調節性プロモーターであり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写が、tTAタンパク質の存在下、およびTet(またはそのドキシサイクリン誘導体)の非存在下で活性である。このようなプロモーターは、テトラサイクリンの非存在下で活性であるため、本明細書ではTet-OFFプロモーターと呼ばれる。いくつかの実施形態では、tTAポリペプチドは、配列番号853によってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0101】
いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、Tet調節性プロモーターであり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写が、Tet(またはそのドキシサイクリン誘導体)およびリバーステトラサイクリン制御トランス活性化因子(rtTA)の存在下で活性である。rtTAは、VP16転写活性化ドメインと、tetRドメインが、プロモーター内のtetO配列への結合についてTetの存在に依存するように変異されたtetRドメインとを含む融合タンパク質である。したがって、下流遺伝子の転写は、テトラサイクリンの非存在で活性ではない。しかしながら、テトラサイクリンの存在下では、rtTAタンパク質の変異型tetR部分は、tetO配列に結合し、VP16媒介性の転写活性化および下流遺伝子の発現を可能にする。このようなプロモーターは、テトラサイクリンの存在下で活性であるため、本明細書ではTet-ONプロモーターと呼ばれる。いくつかの実施形態では、rtTaタンパク質は、配列番号852によってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0102】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチド、および調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、Tet-ONプロモーターであり、調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質は、rtTAタンパク質である。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーターであり、調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質は、tTAタンパク質である。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、構成的プロモーターに作動可能に連結される。構成的プロモーターは、当技術分野で公知であり、限定されるものではないが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターは、リコンビナーゼ認識部位(RRS)に隣接したプロモーターである。RRSに隣接したプロモーターは、構成的プロモーターをリコンビナーゼ認識部位に隣接させることによって生成される。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、RRSに隣接したプロモーターに作動可能に連結された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチド、およびリコンビナーゼ認識部位間で組換えを媒介することができるリコンビナーゼタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼタンパク質の発現により、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写が可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、RRSに隣接したプロモーターは、逆位プロモーター配列を含む(例えば、図4Bを参照)。リコンビナーゼ発現がない場合、プロモーター配列は逆位のままであり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写は起こらない。リコンビナーゼが発現されると、逆位プロモーター配列が反転され、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写が可能となる。
【0104】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチド配列、および調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、同じポリヌクレオチド中に含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチド配列、および調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、両方向性プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチド配列、および調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、一次ウイルスのゲノムの異なる位置に挿入された異なるポリヌクレオチド中に含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスを提供し、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現は、1つ以上の転写後制御要素によって調節される。本明細書では、「転写後制御要素」は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスmRNA転写物の存在量を調節することができるプロモーター以外の任意の要素を指す。転写後制御要素は、様々な転写後機構を介してmRNA転写物の存在量を制御する、構成的または誘導的要素であり得る。転写後制御要素の例としては、リボザイム、アプタザイム、RNAi分子の標的部位(例えば、shRNA標的部位、マイクロRNA標的部位、人工マイクロRNA(AmiRNA)標的部位)、およびRSSに隣接したフレームシフトまたは終止コドン挿入が挙げられる。
【0106】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、mRNA転写物の自己切断を媒介するリボザイムコード配列である。例示的なリボザイムとしては、ハンマーヘッド型リボザイム、バークドサテライト(Varkud satellite)(VS)リボザイム、ヘアピンリボザイム、GIR1分岐リボザイム、glmSリボザイム、ツイスターリボザイム、ツイスターシスター(twister sister)リボザイム、ピストルリボザイム、ハチェット(hatchet)リボザイム、および肝炎デルタウイルスリボザイムが挙げられる。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのゲノムは、1つ以上の内部リボザイム配列を含み、ウイルス転写物が内部で切断され、それによって二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を防止する。
【0107】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、アプタザイムコード配列である。「アプタザイム」は、リガンドに特異的な統合されたアプタマードメインを含有し、リガンド誘導性自己切断型リボザイムを生成するリボザイム配列である。アパトマードメインへのリガンド結合は、リボザイムの酵素活性の活性化を引き起こし、それによってRNA転写物の切断をもたらす。例示的なアプタザイムとしては、テオフィリン依存性アプタザイム(例えば、Auslander et al.,Mol BioSyst.(2010)6,807-814に記載されているテオフィリン依存性アプタマーに連結されたハンマーヘッド型リボザイム)、テトラサイクリン依存性アプタザイム(例えば、Zhong et al.,eLife 2016;5:e18858 DOI:10.7554/eLife.18858、Win and Smolke,PNAS(2007)104;14283-14288、Whittmann and Suess,Mol Biosyt(2011)7;2419-2427、Xiao et al.,Chem & Biol(2008)15;125-1137、およびBeilstein et al.,ACS Syn Biol(2015)4;526-534に記載されているTet依存性アプタマーに連結されたハンマーヘッド型リボザイム)、グアニン依存性アプタザイム(例えば、Nomura et al.,Chem Commun.,(2012)48(57);7215-7217に記載されているグアニン依存性アプタマーに連結されたハンマーヘッド型リボザイム)が含まれる。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのゲノムは、1つ以上の内部アプタザイム配列を含み、ウイルス転写物が内部で切断され、それによって二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を防止する。いくつかの実施形態では、本開示のリボザイム/アプタザイムは、TetOffリボザイム/アプタザイムである。いくつかの実施形態では、TetOffアプタザイムは、配列番号913に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、TetOffアプタザイムは、配列番号914に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、リボザイム/アプタザイムは、3’UTR領域に位置する。
【0108】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、RNAi標的配列である。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、1つ以上のRNAi標的部位を含む。本明細書で使用される場合、「RNA干渉分子」または「RNAi分子」は、内因性遺伝子サイレンシング経路(例えば、ダイサー(Dicer)およびRNA誘導サイレンシング複合体(RISC))を介して標的mRNA配列の分解を媒介するRNAポリヌクレオチドを指す。例示的なRNA干渉物質としては、マイクロRNA(miRNA)、人工マイクロRNA(AmiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、および低分子干渉RNA(siRNA)が挙げられる。
【0109】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、miRNA標的配列である。miRNAとは、標的mRNA配列に対して少なくとも部分的に相補的な、長さ約18~25ヌクレオチドの天然由来の小さな非コードRNA分子を指す。動物では、miRNAの遺伝子は、二本鎖であり、ステムループ構造を形成する一次miRNA(pri-miRNA)に転写される。次いで、pri-miRNAは、クラス2 RNase IIIであるドローシャ(Drosha)、およびマイクロプロセッササブユニットであるDCGR8を含むマイクロプロセッサ複合体によって核内で切断され、70~100ヌクレオチドの前駆体miRNA(pre-miRNA)を形成する。pre-miRNAはヘアピン構造を形成し、細胞質に輸送され、そこでRNase III酵素であるダイサーによって処理されて約18~25ヌクレオチドのmiRNA二本鎖になる。二本鎖のいずれかが機能的miRNAとして作用する可能性もあるが、通常、miRNAの1つの鎖が分解され、1つの鎖のみがアルゴノート(AGO)ヌクレアーゼにロードされて、miRNAおよびそのmRNA標的が相互作用するエフェクターRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)が産生される(Wahid et al.,1803:11,2010,1231-1243)。
【0110】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、siRNA標的配列である。siRNAは、通常、約21~23ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を指す。二本鎖siRNA分子は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるマルチタンパク質複合体と会合して細胞質内で処理され、その間に、「パッセンジャー」センス鎖は二本鎖から酵素的に切断される。次いで、活性化RISCに含まれるアンチセンス「ガイド」鎖は、配列相補性により、RISCを対応するmRNAに誘導し、AGOヌクレアーゼは標的mRNAを切断し、特定の遺伝子サイレンシングをもたらす。いくつかの実施形態では、siRNA分子は、shRNA分子に由来する。shRNAは、ステムループ構造を形成する、約50~70ヌクレオチド長の一本鎖人工RNA分子である。いくつかの実施形態では、shRNAは、pre-miRNAを模倣し、ドローシャ処理をバイパスして、ダイサーによる処理のために直接エクスポートすることができる。いくつかの実施形態では、shRNAは、miRNAベースのshRNAである。細胞内のmiRNAベースのshRNAの発現は、プラスミドまたはウイルスベクターによってmiRNAベースのshRNAをコードするDNAポリヌクレオチドを導入することによって達成される。次に、miRNAベースのshRNAは、pri-miRNAのステムループ構造を模倣する産物に転写され、ドローシャによって核内で同様に処理されて、ヘアピンループ構造を有する一本鎖RNAを形成する。ヘアピンRNAの細胞質へのエクスポート後、ヘアピンはダイサーによって処理され、二本鎖siRNA分子を形成し、その後、RISCによってさらに処理されて標的遺伝子のサイレンシングを媒介する。
【0111】
いくつかの実施形態では、転写後制御要素は、人工マイクロRNA(AmiRNA)である。
【0112】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、1つ以上のRNAi標的部位、およびRNAi標的部位に結合する1つ以上のRNAi分子をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。こうした実施形態では、1つ以上のRNAi分子は、二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、1つ以上のRNAi分子の発現が、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスmRNA転写物の分解をもたらし、それによって二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を防止する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNAi分子をコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。こうした実施形態では、1つ以上のRNAi分子の調節された発現を使用して、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの異常な発現を防止できる。
【0113】
例えば、いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドは、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に連結され、1つ以上のRNAi分子をコードする第2のポリヌクレオチドは、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、Tet-ONプロモーター(例えば、配列番号844)であり、第2の調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーター(例えば、配列番号845)である。こうした実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現は、Tetの存在下で活性化され、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を所望されるときに誘発することを可能にする。Tetの投与前に(すなわち、Tetの非存在下で)、RNAi分子が発現される。したがって、Tetの非存在下で産生される二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの任意のRNA転写物は、RNAi分子によって標的化され、それによって二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの異常な発現が防止される。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーターであり、第2の調節可能なプロモーターは、Tet-ONプロモーターである。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、Tetと組み合わせて投与することができ、その結果、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現がTetが分解によって除去された後に誘発される。Tetは存在している間、RNAi分子が発現し、Tetの存在下で産生された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのRNA転写物を標的にして分解し、それによって二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの異常な発現が防止される。
【0114】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に結合された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に結合された1つ以上のRNAi分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、第1の調節可能なプロモーターに結合することができる第1のタンパク質および/または第2の調節可能なプロモーターに結合することができる第2のタンパク質をコードする第3のポリヌクレオチドと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、Tet-Onプロモーターであり、第1のタンパク質は、rtTAである。いくつかの実施形態では、第2の調節可能なプロモーターは、Tet-Onプロモーターであり、第2のタンパク質は、rtTAである。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーターであり、第1のタンパク質は、tTAである。いくつかの実施形態では、第2の調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーターであり、第2のタンパク質は、tTAである。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターは、Tet-Onプロモーターであり、第1のタンパク質は、rtTAであり、第2の調節可能なプロモーターは、Tet-OFFプロモーターであり、第2のタンパク質は、tTAである。いくつかの実施形態では、第1の調節可能なプロモーターはTet-OFFプロモーターであり、第1のタンパク質はtTAであり、第2の調節可能なプロモーターはTet-ONプロモーターであり、第2のタンパク質はrtTAである。
【0115】
二重腫瘍溶解性ウイルス構築物の非限定的な例を図2に示す。ここでは、一次ウイルスは組換えHSVであり、二次ウイルスはポジティブセンス一本鎖RNAウイルスまたはネガティブセンス一本鎖RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、SVVおよびCVA21から選択されるポジティブセンス一本鎖RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、VSV(ネガティブセンスRNAウイルス)である。二次ウイルスのウイルスゲノムは、一次HSVウイルスをコードするポリヌクレオチドに挿入される。いくつかの実施形態では、挿入部位は、HSVのUL37とUL38との間の遺伝子間領域である。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムの発現は、テトラサイクリン応答性Pol IIプロモーター(黒い矢印)およびRNAポリメラーゼIプロモーター(灰色の矢印)によって調節される。
【0116】
図5~7は、転写制御要素(調節可能なプロモーターなど)および転写後制御要素(リボザイムおよび/またはRNAi機構など)の組み合わせを使用して、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムの発現、活性化および分解を制御する非限定的な例を提供する。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは二次ウイルスゲノムをコードするmRNAの転写は、調節可能なプロモーター(例えば、TetOnプロモーター)に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは二次ウイルスゲノムをコードするポリヌクレオチドは、ウイルスゲノム転写物から非ウイルスRNAを除去し得るTetOn-リボザイム(TetOn-R)および/またはRNAi標的配列(例えば、AmiRNA)に隣接している。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノム転写物の分解は、同じく調節制御下にある追加の調節機構(例えば、内部TetOffリボザイム、RNAi分子)によって制御され、任意選択的に、調節可能なプロモーターを制御するのと同じ調節機構によって制御される。
【0117】
図5は、例示的な入れ子になった腫瘍溶解性ウイルス構築物または入れ子になったウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは一次ウイルスゲノムに挿入され得る構成要素の例示的な概略図を示す。この非限定的な例では、rtTAペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にあり、二次ウイルスゲノムの発現は、テトラサイクリン応答性(TetOn)Pol IIプロモーターの制御下にあり、その結果、ウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルス転写物の発現は、内部TetOff-リボザイム(TetOff-R)によってさらに制御され、その結果、転写物はTetの非存在下で分解される。さらに、二次ウイルス転写物は、5’および3’TetOn-リボザイム(TetOn-R)によって活性化され、その結果、mRNA転写物は、Tetの存在下で5’および3’末端で処理され、これは余分なヌクレオチドに隣接することなくウイルスゲノムのRNA転写物を生成する。したがって、この実施例では、Tetの存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは二次ウイルスゲノムの転写および活性化をオンにし、同時にその分解を防止する。
【0118】
図6は、例示的な入れ子になった腫瘍溶解性ウイルス構築物または入れ子になったウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは一次ウイルスゲノムに挿入され得る構成要素の例示的な概略図を示す。rtTAおよびテトラサイクリントランス活性化因子(tTA)ペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にある。二次ウイルスゲノムの発現は、TetOn Pol IIプロモーターの制御下にあり、その結果、ウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルス転写物の発現は、二次ウイルスのmRNA転写物中の標的配列に特異的なshRNAによってさらに調節される。shRNAの発現は、TetOffプロモーターの制御下にあるため、shRNAの転写は、Tetの非存在下およびtTAペプチドの存在下で起こる。さらに、二次ウイルス転写物は、5’および3’のTetOn-Rによって活性化され、その結果、mRNA転写物は、Tetの存在下で5’および3’末端で処理され、これは余分なヌクレオチドを隣接することなくウイルスゲノムのRNA転写物を生成する。したがって、この実施例では、Tetの存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは二次ウイルスゲノムの転写および活性化をオンにし、同時にその分解を防止する。
【0119】
図7は、例示的な入れ子になった腫瘍溶解性ウイルス構築物を生成するために、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは一次ウイルスゲノムに挿入され得る構成要素の例示的な概略図を示す。rtTAおよびtTAペプチドの発現は、構成的活性型プロモーターの制御下にある。二次ウイルスゲノムの発現は、TetOn Pol IIプロモーターの制御下にあり、その結果、ウイルスゲノムの転写は、TetおよびrtTAペプチドの存在下で起こる。二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルス転写物の発現は、二次ウイルスのmRNA転写物中の標的配列に特異的なshRNAによってさらに調節される。shRNAの発現は、TetOffプロモーターの制御下にあるため、shRNAの転写は、Tetの非存在下およびtTAペプチドの存在下で起こる。さらに、二次ウイルス転写物は、AmiRNA標的部位および3’TetOn-Rによる5’末端での切断によって活性化され、その結果、mRNA転写物がTetの存在下で5’末端で処理される。
【0120】
いくつかの実施形態では、部位特異的組換えシステムを使用して、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を制御する。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、リコンビナーゼ認識部位を含む二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチド、および対応するリコンビナーゼタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。リコンビナーゼタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドは、リコンビナーゼタンパク質の発現が時間的に制御され得るように、誘導性プロモーターまたは別手段で制御可能なプロモーターの制御下であってもよい。本開示での使用に適した部位特異的組換えシステムは、当技術分野で公知であり、当該システムは、フリッパーゼ(FLP)リコンビナーゼによって認識される部位フリッパーゼ認識標的(FRT)部位を含むFRT/FLPシステムおよび、Creリコンビナーゼによって認識されるloxP部位を含むCre/Loxシステムを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Flpリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT部位(例えば、FRT-1部位、FRT-14部位)である。いくつかの実施形態では、FRT-1部位は、配列番号850またはその補体に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT-14部位である。いくつかの実施形態では、FRT-14部位は、配列番号851またはその補体に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0122】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Dreリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、ΦC31(ファイC31)リコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、λインテグラーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、以下の表1から選択される:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0123】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼの発現は、機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスの発現をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、リコンビナーゼ認識部位に隣接した1つ以上のフレームシフトまたは終止コドン挿入を含む(例えば、図4Aを参照されたい)。リコンビナーゼ発現が存在しない場合、転写された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、フレームシフトまたは終止コドン挿入を含み、これは機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスの発現を防止する。リコンビナーゼタンパク質の発現が活性化または誘導されると、フレームシフトまたは終止コドン挿入が第2のポリヌクレオチドから切除され、機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスの発現が可能となる(例えば、図4Aを参照されたい)。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスもしくは二次ウイルスまたはその一部をコードするポリヌクレオチドは、反転し、リコンビナーゼ認識部位に隣接している。リコンビナーゼ発現が存在しない場合、転写された二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、逆位部分を含み、これは機能的二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的二次ウイルスの発現を防止する。リコンビナーゼタンパク質の発現が活性化または誘導されると、逆位部分が正しい方向に反転され、機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスの発現が可能となる(例えば、図4Bを参照されたい)。
【0124】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼの発現は、機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスの発現を防止する。例えば、いくつかの実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、リコンビナーゼ認識部位に隣接している。リコンビナーゼ発現が存在しない場合、ポリヌクレオチドは転写され、機能的な二次腫瘍溶解性ウイルスまたは機能的な二次ウイルスを産生する。リコンビナーゼタンパク質の発現が活性化または誘導される場合、リコンビナーゼ認識部位間の組換えは、ポリヌクレオチドの逆位をもたらし、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を防止し得る。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写を制御するプロモーターは、リコンビナーゼ認識部位に隣接している。リコンビナーゼ発現が存在しない場合、プロモーターは機能性を維持し、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの転写を可能にする。リコンビナーゼタンパク質の発現が活性化または誘導される場合、リコンビナーゼ認識部位間の組換えは、プロモーターの逆位をもたらし、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を防止し得る。
【0125】
図8の非限定的な実施例に示すように、少なくとも3つのレベルの制御をリコンビナーゼシステムで操作することができ、これは二次腫瘍溶解性ウイルス(OV2)または二次ウイルスの発現の厳密な時間的調節を提供することができる。
【0126】
第1のレベルは、リコンビナーゼの転写制御である。いくつかの実施形態では、調節可能なプロモーターが、リコンビナーゼのコード領域に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、調節可能プロモーターは、TetOnプロモーターである。いくつかの実施形態では、調節可能プロモーターは、細菌TetRリプレッサーによる転写抑制を可能にする。いくつかの実施形態では、プロモーター活性は、ドキシサイクリンの添加により抑制解除され、リコンビナーゼの発現をもたらす。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Flpリコンビナーゼまたはその融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼまたはその融合タンパク質である。
【0127】
図3は、リコンビナーゼをコードするmRNAの転写を調節するために使用できる例示的な制御要素を示す。この非限定的な例は、ウイルス活性化T7 RNAポリメラーゼまたはリコンビナーゼの発現および/または機能を調節するための制御要素を示している。いくつかの実施形態では、転写制御は、腫瘍特異的プロモーターまたは調節可能なプロモーターを用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上の転写後制御要素を含む。転写後制御要素は、mRNAまたはmRNAコード化タンパク質半減期の調節、miRNA標的部位、Tet-ON miR-T要素、Tet-OFFリボザイム/アプタザイム、およびリガンド依存性、腫瘍細胞特異的または構成的な様式での転写物存在量を制御するそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、追加の制御要素は、その半減期、細胞内局在性および/または活性を制御するために、コードされたポリペプチド(例えば、リコンビナーゼ)内で操作することができる。例示的なTet-On miR-T要素は、Mou et al,Mol Ther.2018 May 2;26(5):1277-1286に記載されている。例示的なTet-Onリボザイム/アプタザイムは、Zhong et al.,Elife.2016 Nov 2;5:e18858に記載されている。
【0128】
いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA不安定化要素が、リコンビナーゼ発現カセットに挿入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA不安定化要素は、リコンビナーゼをコードするmRNA転写物を不安定化させ、および/またはmRNA代謝回転を増加させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA不安定化要素の存在は、非誘導状態でのリコンビナーゼmRNAの漏出性発現を低減または最小化することができ、それにより、システムが誘導された時(例えば、外因性薬剤によって)に、意図される組換え反応を媒介するために利用可能な十分なリコンビナーゼのみがあるようになる。いくつかの実施形態では、mRNA不安定化要素は、c-fosコード要素を含む。いくつかの実施形態では、c-fosコード要素は、配列番号894に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、mRNA不安定化要素は、c-fos遺伝子の3’UTR由来のAUリッチ要素を含む。いくつかの実施形態では、c-fos遺伝子の3’UTR由来のAUリッチ要素は、配列番号895に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、mRNA不安定化要素は、FCEおよびAREの両方の組み合わせを、任意選択的にタンデムで含む。いくつかの実施形態では、FCEおよびAREの両方の組み合わせは、配列番号896に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のイントロンが、リコンビナーゼコード領域に挿入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のイントロンの存在は、原核生物発現系におけるリコンビナーゼの望ましくない漏出発現を防止または最小限にすることができる(例えば、原核細胞がリコンビナーゼをコードするベクターを生成するために使用される場合)。
【0129】
第2のレベルは、リコンビナーゼ活性の翻訳後制御である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼの活性および/または細胞局在は、調節可能である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼの活性および/または細胞局在は、外因性薬剤(例えば、リガンドまたは小分子)によって調節される。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、1つ以上の活性制御ドメインに融合される。いくつかの実施形態では、外因性薬剤(例えば、リガンドまたは小分子)は、1つ以上の活性制御ドメインを介してリコンビナーゼの細胞活性および/または細胞局在を調節する。いくつかの実施形態では、活性制御ドメインは、エストロゲン受容体(ER)の改変リガンド結合ドメインである。リガンドの非存在下では、融合タンパク質(リコンビナーゼ-ER)は細胞質内に保持され、そこでは組換えを触媒することができないが、対応する小分子(例えば、4-ヒドロキシタモキシフェン)の添加により、融合タンパク質が核に転位して組換えを行うことが可能になる。いくつかの実施形態では、活性制御ドメインは、プロゲステロン受容体(PR)またはその一部分である。いくつかの実施形態では、対応する融合タンパク質(リコンビナーゼ-PR)の活性は、プロゲステロン類似体RU-486で誘導される。いくつかの実施形態では、活性制御ドメインは、改変されたE.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)タンパク質である。いくつかの実施形態では、対応する融合タンパク質(リコンビナーゼ-DHFR)は、不安定であり、誘導剤の非存在下でプロテアソーム内で急速に分解される。いくつかの実施形態では、対応する誘導剤は、抗生物質トリメトプリム(TMP)であり、融合タンパク質は安定化され、核に転位し、TMPの存在下で組換えを行う。
【0130】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼはFlpであり、活性制御ドメインは、エストロゲン受容体(ER)の改変リガンド結合ドメインである。いくつかの実施形態では、Flp-ER融合タンパク質は、配列番号846によってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Flp-ER融合タンパク質は、配列番号847によってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、RGSリンカーを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、XTENリンカーを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、任意選択的に融合タンパク質のN末端に、NLSおよび/またはPEST配列を含む。いくつかの実施形態では、NLS配列は、配列番号848に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、PEST配列は、配列番号849に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FLP-RGS-ER融合ポリペプチドは、配列番号846に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FLP-XTEN-ERT2ポリペプチドは、配列番号847に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0131】
第3のレベルは、OV2発現の転写制御であり、このレベルでは、リコンビナーゼは、OV2のプロモーターおよびコード領域を含むポリヌクレオチドの一部の切除および/または反転を媒介し、OV2ウイルスゲノム転写発現の活性化または不活性化をもたらす。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、ポリヌクレオチドの一部の切除を媒介する(例えば、転写終結シグナルを除去するため)。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、ポリヌクレオチドの一部の反転を媒介する(例えば、プロモーターの制御下にOV2のコード領域を配置するため)。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、切除および反転の両方を媒介する。いくつかの実施形態では、1つ以上のイントロン領域がポリヌクレオチドに導入される。いくつかの実施形態では、イントロン領域は、成熟OV2ウイルスゲノム転写物からリコンビナーゼ認識部位を除去する。
【0132】
図4A図4Bは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現を制御するための部位特異的組換えシステムの例示的な使用を示す。図4Aは、FLPまたは別のリコンビナーゼによって切除され得る二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドのフレームシフト/終止コドンの挿入するスキームを示す。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムは、組換え部位(例えば、FRT部位)に隣接するコード領域のフレームシフトを引き起こす終止コドンまたはポリヌクレオチドの挿入によって不活性化される。対応するリコンビナーゼ(FLPタンパク質)の存在下で、コード領域のフレームシフトを引き起こす終止コドンまたはポリヌクレオチドを除去し、機能的なウイルスゲノムを生成することができる。同様に、図4Bは、組換え部位に隣接する不活性逆位プロモーターを示しており、これは、対応するリコンビナーゼの存在下で正しい配向に反転されると、活性化され得る。
【0133】
図9~11は、標的ポリヌクレオチドの発現を制御するために使用できる、例示的なリコンビナーゼ応答性カセットを紹介する。
【0134】
リコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)を使用して、標的ポリヌクレオチド(例えば、cDNA)の発現を制御することができる。いくつかの実施形態では、RRECは、中央に制御要素および制御要素の両側に隣接するリコンビナーゼ認識部位を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)は、以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A1-制御要素-リコンビナーゼ認識部位A2-3’、
ここで、リコンビナーゼ認識部位は、対応するリコンビナーゼの存在下で、制御要素の切除を媒介する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、同じ方向にある。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、同じヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Flpリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT部位である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT-1部位である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、Lox部位である。
【0136】
いくつかの実施形態では、制御要素は、転写/翻訳終結要素(STOP)を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結要素(STOP)は、任意選択的に各リーディングフレームにおいて、1つ以上の翻訳終止コドンを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結要素(STOP)は、1つ以上の転写終結シグナルを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結要素(STOP)は、各リーディングフレーム中に複数の翻訳終止コドンをコードするDNA配列と、それに続く転写終結シグナル(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、制御要素は、下流のオープンリーディングフレームのフレームシフトを引き起こすDNA配列からなるフレームシフト要素を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、制御要素と、一方または両方の側のリコンビナーゼ認識部位のうちの1つ以上との間に、追加のヌクレオチドが存在する。いくつかの実施形態では、RRECはプロモーターとコード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)との間に配置される。いくつかの実施形態では、RRECは、転写物の5’-UTR内に配置される。いくつかの実施形態では、RRECは、プロモーター領域内に配置される。いくつかの実施形態では、RRECは、コード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)内に配置される。いくつかの実施形態では、STOP要素は、配列番号854に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、STOP要素は、配列番号855に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、STOP要素は、配列番号856に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0137】
RRECの非限定的な例であるSTOPカセットが、図9に図示されており、ここでリコンビナーゼはFlpであり、両方のリコンビナーゼ認識部位は、同じ方向のFRT-1部位であり、制御要素は、転写/翻訳終結要素(STOP)である。いくつかの実施形態では、STOPカセットは、最小FRT要素のタンデムダイレクトリピートに隣接した(STOP)要素を含むか、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結要素は、各リーディングフレーム中に複数の翻訳終止コドンをコードするDNA配列と、それに続くポリアデニル化シグナルを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、STOPカセットは、プロモーターと、対応する転写物の5’-UTRに位置するように制御される対象のcDNAとの間に挿入される。Flpリコンビナーゼが存在しない場合、STOPカセットは安定的に組み込まれ、転写を終結し、それにより対象のcDNAの発現を防止するよう機能する。Flpリコンビナーゼが存在する場合、それはタンデムFRT要素間の組換えを媒介し、STOP要素を不可逆的に切除し、それにより対象のcDNAの発現を活性化する。いくつかの実施形態では、STOP要素は、単一の合成ポリアデニル化シグナルを含有する(例えば、STOP1、配列番号854にあるように)。いくつかの実施形態では、STOP要素は、STOP2(配列番号855)およびSTOP3(配列番号856)にあるように、複数のポリアデニル化シグナルを含む。いくつかの実施形態では、複数のポリアデニル化シグナルを有すると、転写終結の効率が増加する。いくつかの実施形態では、STOPカセットは、配列番号857に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、STOPカセットは、配列番号858に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、STOPカセットは、配列番号859に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0138】
発現制御の追加の層は、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を介して達成することができる。いくつかの実施形態では、RRICは、中央に中心要素および制御要素の両側に隣接するリコンビナーゼ認識部位を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)は、以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A1-中心要素-リコンビナーゼ認識部位A2-3’、
ここで、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2が、対応するリコンビナーゼの存在下で、中心要素の方向の反転を媒介する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、反対方向にある。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、同じヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Flpリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT部位である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT-1部位である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、Lox部位である。
【0140】
いくつかの実施形態では、RRICの中心要素は、プロモーターまたはプロモーターの一部を含むか、またはそれからなり、こうしたRRICは、任意選択的にコード領域の上流に配置することができる。いくつかの実施形態では、RRICの中心的要素は、コード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)またはコード領域の一部を含むかまたはそれからなり、こうしたRRICは、任意選択的にプロモーター領域の下流に配置することができる。いくつかの実施形態では、コード領域は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムをコードする。いくつかの実施形態では、中心要素と、一方または両方の側の1つ以上のリコンビナーゼ認識部位との間に、追加ヌクレオチドが存在する。
【0141】
いくつかの実施形態では、RRICは、中心要素の両側に2つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、RRICは以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A1-リコンビナーゼ認識部位B1-中心要素-リコンビナーゼ認識部位A2-リコンビナーゼ認識部位B2-3’、
ここで、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2の対、および/またはリコンビナーゼ認識部位B1およびB2の対が、対応するリコンビナーゼの存在下で中心要素の方向の反転を媒介することができる。いくつかの実施形態では、これら2つの対は、互いに直交する(すなわち、リコンビナーゼ認識部位Aのうちの1つおよびリコンビナーゼ認識部位Bのうちの1つによって媒介される反転はない)。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、反対方向にある。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位A1およびA2は、同じヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位B1およびB2は、反対方向にある。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位B1およびB2は、同じヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Flpリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、FRT部位である。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位の一方の対(対Aまたは対Bのいずれか)は、FRT-1部位を含み、他方の対は、FRT-14部位を含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位は、Lox部位である。上記の構成では、これらの要素の間に追加のポリヌクレオチドが存在し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼ認識部位の一方の対(対Aまたは対Bのいずれか)によって媒介される反転は、他方の対を同じ方向にし、その結果、リコンビナーゼ認識部位の他方の対は、RRICの一部の切除を媒介できるようになり、以下の新しいポリヌクレオチド構成をもたらすことができる。
5’-リコンビナーゼ認識部位A-中心要素(逆位)-リコンビナーゼ認識部位B-3’。
いくつかの実施形態では、切除が行われると、反応は不可逆的である。したがって、このような構成で2対のリコンビナーゼ認識部位を有する利点の1つは、一度リコンビナーゼによって実施される中心要素の反転が、不可逆的であり得ることである。
【0143】
追加の要素を、RRICに組み込むことができる。非限定的な例として、1つ以上の制御要素を、RRICに組み込むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の制御要素は、リコンビナーゼ認識部位間の1つ以上の領域内に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、制御要素は、本開示のSTOP要素または他の転写/翻訳終結シグナルであってもよい。いくつかの実施形態では、転写/翻訳終結シグナルの導入は、コード領域近くの潜在的なプロモーター領域および/または転写開始シグナルによる機能的なペイロードタンパク質またはウイルスゲノムの偶発的または漏出的な発現を防止する。
【0144】
したがって、いくつかの実施形態では、RRICは、以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A1-制御要素1(任意選択)-リコンビナーゼ認識部位B1-中心要素-リコンビナーゼ認識部位A2-制御要素2(任意選択)-リコンビナーゼ認識部位B2-3’、
ここで、制御要素の一方または両方が、RRICに存在し得る。いくつかの実施形態では、制御要素は同じである。いくつかの実施形態では、制御要素は異なる。いくつかの実施形態では、制御要素のうちの1つ以上は、STOP要素である。
【0145】
上述のRRICの非限定的な例を図10Aに図示し、ここで、リコンビナーゼはFlpであり、リコンビナーゼ認識部位はFRT-1およびFRT-14であり、制御要素はSTOP3要素であり、中心要素はプロモーターである。プロモーターは、反転が起こる前に対象のcDNAに対して逆位に配向され、したがって、Flpリコンビナーゼの非存在下ではcDNA発現を駆動することができない。Flpリコンビナーゼが存在しない場合、STOPカセットも安定的に組み込まれ、転写を終結し、それにより逆位のプロモーター要素の配向を維持するよう機能する。Flpリコンビナーゼが存在する場合、それは逆位のFRT要素の1対(FRT-1またはFRT-14のいずれか)の間で組換えを媒介し、それらの間に位置付けられたすべての要素を反転させる。図10Aでは、この反転事象がFRT-1要素に対して示されているが、FRT-14要素に対して同様の反応が起こり得る。反転事象は、それがcDNA発現を潜在的に駆動できるようにプロモーターを配向し、他方のFRT対の反対向きのFRT要素も逆位リピートからダイレクトリピート方向へ変換することに留意されたい。十分なFLPが依然として利用可能である場合、図10AのFRT-14に示されるように、第1の反応を逆転させ、元の構成を再生成するか、またはダイレクトリピートFRT要素のセットを組み換えるかのいずれかで、第2の組換え反応を媒介することができる。この第2の反応は、不可逆的にSTOP要素を切除し、対象のcDNAの発現を活性化する。図10Aの設計は、本開示では、時には「プロモーター逆位設計」と呼ばれることもある。例示的なプロモーター逆位設計が、配列番号860として本明細書に提供される。同様に、図10Bは、プロモーター逆位要素に類似しているが、プロモーターの代わりにcDNAペイロードの反転を伴うプロセスである、Flpリコンビナーゼの存在下で反転される中心要素としてのペイロードコード領域を有するRRICの非限定的な例を示す。図10Bの設計は、本開示では、「ペイロード逆位設計」と呼ばれることもある。例示的なペイロード逆位設計が、配列番号861として本明細書に提供される。
【0146】
いくつかの実施形態では、1つ以上のイントロンおよび/またはスプライシング要素が本開示のカセットに挿入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のイントロンは、RRICに挿入され、および/またはRRICに隣接している。いくつかの実施形態では、発現カセットは以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A1-制御要素1(任意選択)-リコンビナーゼ認識部位B1-イントロンC1を有する中心要素-リコンビナーゼ認識部位A2-制御要素2(任意選択)-リコンビナーゼ認識部位B2-イントロンC2-3’コード領域-3’、
ここで、イントロンC1を有する中心要素が、以下の構成を含む:
5’-プロモーター-5’コード領域-イントロンC1-3’(カセット内逆方向)、
いくつかの実施形態では、カセット内の5’コード領域の最初の方向は、3’コード領域の方向とは反対である。いくつかの実施形態では、追加のヌクレオチドは、これらの要素のいずれかまたはすべての間に存在する。RRICの場合と同様に、リコンビナーゼは、リコンビナーゼ認識部位を介して逆位/切除事象を媒介することができ、最終的な不可逆的組換え産物は以下の構成を採用する:
5’-リコンビナーゼ認識部位A-プロモーター-5’コード領域-イントロンC1-リコンビナーゼ認識部位B-イントロンC2-3’コード領域-3’、
ここで、mRNA転写後のイントロンからイントロン領域の除去(イントロンC1およびイントロンC2要素によって介在される)が、コード領域内に余分なヌクレオチドを含まない完全なコード領域を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のイントロン領域を導入することによって、コード領域の近くに潜在的なプロモーター領域および/または転写開始シグナルが存在することによる、機能的ペイロードタンパク質またはウイルスゲノムの偶発的または漏出的な発現を防止する。
【0147】
非限定的な例を図11に図示する(本開示では、「分割イントロン逆位設計」と呼ばれることもある)。例示的な分割イントロン逆位設計が、配列番号862として本明細書に提供される。分割イントロン逆位設計は、プロモーター逆位設計と同様に機能する。しかしながら、主な違いは、cDNAが、ACTB遺伝子のイントロン3(配列番号863)に基づいて、一対のスプリットイントロンを含有するように操作されており、これはコード領域を破壊する。イントロンは、5’-スプライスドナーおよび3’-スプライスアクセプター断片に分割され、BamHIおよびEcoRV制限部位が分割の位置を示している。ここでの中心要素は、プロモーター、5’cDNA要素、イントロンうちの1つ、および3’cDNA要素に対して反対方向にある5’-スプライスドナー部位を含む。中心要素は、プロモーター逆位設計と同様に、STOP3要素およびFRT部位が隣接している。Flpリコンビナーゼの非存在下では、cDNAの2つの部分が分割され、反対方向に配置されているため、完全なcDNAの発現を駆動することができず、STOP要素は安定的に組み込まれ、転写を終結し、それにより逆位プロモーターおよび5’cDNA要素の配向を維持するよう機能する。Flpリコンビナーゼが存在する場合、それは1つのセットの反転タンデムFRT部位の間の組換えを媒介し、それらの間に位置付けられたすべての要素を反転させる。図11では、この反転事象がFRT-1部位に対して示されているが、FRT-14部位に対して同様の反応が起こり得る。反転事象は、プロモーターおよび部分cDNA要素を方向付けて、それがcDNA発現を潜在的に駆動できるようにし、またFRT部位の他の対も逆位リピートからダイレクトリピート方向へ変換することに留意されたい。十分なFLPが依然として利用可能である場合、図11のFRT-14に示されるように、第1の反応を逆転させ、元の構成を再生成するか、または他にダイレクトリピートFRT要素のセットを組み換えるかのいずれかで、第2の組換え反応を媒介することができる。第2の事例では、得られた発現カセットは、内部イントロンを有する完全cDNAをコードするポリヌクレオチドを含み、転写されると、RNAスプライシング後にイントロンまたはFRT部位のない完全cDNAを形成する。したがって、この第2の反応は、対象のcDNAの発現を不可逆的に活性化し得る。
【0148】
ペイロード分子
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチド、およびペイロード分子をコードするポリヌクレオチドを含む。「ペイロード分子」は、一次および/または二次の腫瘍溶解性ウイルス、または一次および/または二次ウイルスの治療有効性をさらに強化することができる任意の分子を指し、これには、サイトカイン、ケモカイン、酵素、抗体、またはその抗原結合断片、可溶性受容体、細胞表面受容体のリガンド、二部分(bi-partite)ペプチド、三部分(tri-partite)ペプチド、および細胞傷害性ペプチドが含まれる。
【0149】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、細胞傷害性ペプチドである。「細胞傷害性ペプチド」は、宿主細胞で発現されたときに細胞死を誘導することができ、および/または宿主細胞によって分泌されたときに隣接細胞の細胞死を誘導することができるタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、細胞障害性ペプチドは、カスパーゼ、p53、ジフテリア毒素(DT)、シュードモナス外毒素A(PEA)、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)I型(例えば、サポリンおよびジェロニン)、RIP II型(例えば、リシン)、志賀様毒素1型(Slt1)、光感受性活性酸素種(例えばキラーレッド)である。いくつかの実施形態では、細胞障害性ペプチドは、例えばカスパーゼ遺伝子などのアポトーシスを介した細胞死をもたらす自殺遺伝子によってコードされる。
【0150】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞表面受容体、例えば、免疫チェックポイント受容体(例えば、PD1、PDL1、およびCTLA4)、または細胞増殖および活性化に関与する追加の細胞表面受容体(例えば、OX40、CD200R、SIRPα、CSF1R、4-1BB、CD40、およびNKG2D)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、細胞表面受容体のリガンドである。ペイロードとしての使用に適した例示的なリガンドとしては、以下に限定されないが、NKG2Dリガンド、ニューロピリンリガンド、Flt3リガンド、4-1BBL、CD40L、GITRL、LIGHT、およびCD47が挙げられる。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、可溶性受容体である。ペイロードとしての使用に適した例示的な可溶性受容体としては、限定されるものではないが、IL-13R、TGFβR1、TGFβRr2、SIRPα、PD-1、IL-35R、IL-15R、IL-2R、IL-12R、およびインターフェロン受容体などの可溶性受容体が挙げられる。
【0151】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、サイトカインである。ペイロードとしての使用に適した例示的なサイトカインには、IL-1、IL-12、IL-15、IL-18、IL-36、TNFα、IFNα、IFNβ、およびIFNγが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、ケモカインである。ペイロードとしての使用に適した例示的なケモカインとしては、限定されないが、CXCL10、CXCL9、CCL21、CCL4、およびCCL5が挙げられる。
【0152】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、酵素である。ペイロードとしての使用に適した例示的な酵素としては、限定されるものではないが、アデノシンデアミナーゼ、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP9)、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、ゼラチナーゼ、およびエラスターゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、酵素は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、またはチトクロムP450などの遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法(GDEPT)システムの一部である。いくつかの実施形態では、酵素は、標的細胞における細胞死経路を誘導または活性化することができる(例えば、カスパーゼ)。
【0153】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子は、非がんエフェクター細胞上に発現される細胞表面抗原を結合することができる第1のドメインと、標的細胞(例えば、がん細胞、腫瘍細胞、または異なるタイプのエフェクター細胞)によって発現される細胞表面抗原を結合することができる第2のドメインとを含む、二部分ペプチドである。いくつかの実施形態では、二部分ポリペプチドの個々のポリペプチドドメインは、抗体またはその結合断片(例えば、単鎖可変領域断片(scFv)またはF(ab))サソリポリペプチド、二重特異性抗体、フレキシボディ(flexibody)、DOCK-AND-LOCK(商標)抗体、またはモノクローナル抗イディオタイプ抗体(mAb2)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、二部分ポリペプチドの構造は、二重可変ドメイン抗体(DVD-IG(商標))、TANDAB(登録商標)、二重特異性T細胞エンゲイジャー(BITE(商標))、DUOBODY(登録商標)、または二重親和性再標的化(dual affinity retargeting)(DART)ポリペプチドであってもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞上に発現される細胞表面抗原は、腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、CD19、EpCAM、CEA、PSMA、CD33、EGFR、Her2、EphA2、MCSP、ADAM17、PSCA、17-A1、NKGD2リガンド、CSF1R、FAP、GD2、DLL3、またはニューロピリンから選択される。
【0154】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドと、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチドとを含み、RNAi分子の標的配列が、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチドの1つ以上の位置に挿入される。
【0155】
いくつかの実施形態では、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチドは、細胞または対象におけるペイロード分子の発現を防止するために、1つ以上の内部RNAi標的配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、内部RNAi標的配列は、siRNA分子、AmiRNA分子、またはmiRNA分子の標的配列である。いくつかの実施形態では、内部RNAi配列は、ウイルス構築物を細胞に導入した後、または対象に投与した後に、ペイロード分子の発現のさらなる時間的制御を可能にする。こうした実施形態では、内部RNAi標的配列は、細胞によって内因的に発現されるmiRNAのmiRNA標的配列である。例えば、いくつかの実施形態では、ペイロード分子をコードするポリヌクレオチドは、非がん細胞によって内因性に発現されるmiRNAに対する1つ以上の内部標的配列を含み、その結果、ペイロード分子は、その細胞において発現されない。
【0156】
いくつかの実施形態では、内部RNAi配列は、二重ウイルスベクターの産生中のペイロード分子の発現の制御を可能にする。いくつかの実施形態では、内部RNAi標的配列は、siRNA分子、AmiRNA分子、あるいは産生細胞株によってまたは試料もしくは対象の細胞によって内因性に発現されない人工miRNA分子、の標的配列である。
【0157】
プロモーター
いくつかの実施形態では、プロモーターはテトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターである。いくつかの実施形態では、Tet依存性プロモーターは、プロモーター要素の下流にTet-On要素を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、CMVプロモーター(配列番号897)、HSV gBプロモーター(配列番号900)、HSV gCプロモーター(配列番号901)、HSV ICP8プロモーター(配列番号899)、HSV TKプロモーター(配列番号898)、HBP1プロモーター(HSV-ICP8および-TKプロモーターのハイブリッド)、またはHBP2プロモーター(HSV-TKおよび-ICP8プロモーターのハイブリッド)である。いくつかの実施形態では、プロモーターはCMVプロモーターである。例示的なHBP1-TetOnプロモーターは、配列番号865として提供される。例示的なHBP2-TetOnプロモーターは、配列番号866として提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号865~866および897~901による配列のいずれか一つに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性を有する核酸配列を含む。
【0158】
一次ウイルス
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである。例示的なdsDNAウイルスとしては、Myoviridaeファミリー、Podoviridaeファミリー、Siphoviridaeファミリー、Alloherpesviridaeファミリー、Herpesviridaeファミリー(例えば、HSV-1、HSV-1、ウマヘルペスウイルス)、Poxviridaeファミリー(例えば、伝染性軟属腫ウイルス、ワクシーナウイルス、粘液腫ウイルス)、およびAdenoviridaeファミリー(例えば、アデノウイルス)のメンバーが含まれる。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、HSV-1またはHSV-2である。
【0159】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである。
【0160】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの挿入を除いて、野生型ウイルスと比較して改変を含まない。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、HSVである。HSVウイルスベクターおよびその構築方法は、例えば、米国特許第7,078,029号、第6,261,552号、第5,998,174号、第5,879,934号、第5,849,572号、第5,849,571号、第5,837,532号、第5,804,413号、および第5,658,724号、ならびに国際特許出願第91/02788号、第96/04394号、第98/15637号、および第99/06583号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。HSVの配列は公開されており(NCBIアクセッション番号NC_001806号、McGoech et al.,J.Gen.Virol,69(PT 7),1531-1574(1988)を参照されたい)、追加のHSVウイルスベクターの設計に使用できる。
【0161】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドと、野生型ウイルスと比較して1つ以上の追加の改変とを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、野生型HSVのバリアントである。バリアントHSVベクターおよびその構築方法は、米国特許第9,593,347号、米国特許出願公開第2016-0250267号、第2017-0036819号、第2017-0274025号、第2017-0189514号、および第2017-0107537号、ならびに国際PCT公開 第2011/0130749号および第2015/066042号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、一次ウイルスはバリアントHSVであり、内部反復(ジョイント)領域の欠失を含み、この領域は、ICP0、ICP34.5、LAT、およびICP4のそれぞれの1つのコピーと、ICP47遺伝子のプロモーターとを含む(例えば、米国特許第10,210,575号、第10,172,893号、および第10,188,686号を参照されたい)。
【0162】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドと、一次ウイルスの細胞への侵入を強化する1つ以上の改変とを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、非標準の受容体を介した細胞へのウイルス侵入を促進する、および/またはウイルス横方向の広がりに通常耐性のある細胞での横方向の広がりを強化する、1つ以上の表面糖タンパク質における変異を含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、標的細胞の表面受容体に結合するscFvまたは他の抗原結合分子などのウイルスの表面上に非天然リガンドを含む。いくつかの実施形態では、標的細胞上の表面受容体は、EGF-Rである。
【0163】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、バリアントHSVであり、細胞への増強された侵入を示す。いくつかの実施形態では、一次HSVは、HSV感染の典型的なメディエーター以外の細胞タンパク質(例えば、ネクチン1、HVEM、またはヘパラン硫酸/コンドロイチン硫酸プロテオグリカン以外)との相互作用を介して、直接細胞に感染し得る。いくつかの実施形態では、一次ウイルスはバリアントHSVであり、非標準の受容体を介したウイルス侵入を促進するgBまたはgH遺伝子の変異を含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスはバリアントHSVであり、例えばgD受容体を欠く細胞など、HSVの横方向の広がりに通常耐性のある細胞での横方向の広がりを示す変異型gH糖タンパク質を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスは、バリアントHSVであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,593,347号に記載される変異型gBまたはgHタンパク質のうちの1つ以上を含む。HSV gBまたはgH糖タンパク質の非限定的な変異には、以下の残基のうちの1つ以上における変異が含まれる、gB:D285、gB:A549、gB:S668、gH:N753、およびgH:A778。いくつかの実施形態では、一次HSVは、gB:D285およびgB:A549の両方で、gH:N753およびgH:A778の両方で、ならびに/またはgB:S668、gH:N753、およびgH:A778の各々で、変異を含む。いくつかの実施形態では、一次HSVは、gB:285、gB:549、gH:753、およびgH:778での変異を含む。いくつかの実施形態では、一次HSVは、以下の変異のうちの1つ以上を含む:gB:D285N、gB:A549T、gB:S668N、gH:N753K、またはgH:A778V。いくつかの実施形態では、一次HSVは、gB:D285N/gB:A549T二重変異、gH:N753K/gH:A778V二重変異、またはgB:S668N/gH:N753K/gH:A778V三重変異を含む。いくつかの実施形態では、一次HSVは、gB:D285N/gB:A549T/gH:N753K/gH:A778Vの変異を含む。本明細書では、変異は、HSV-1株KOS誘導体K26GFPのgD、gB、およびgH遺伝子のコドン(アミノ酸)ナンバリングと比較して言及される。
【0165】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスはバリアントHSVであり、PCT国際公開第2016/141320号およびRichard et al.,Plos Pathogens,2017,13(12),e1006741に記載されるものなど、神経細胞のHSV感染を低減させるUL37遺伝子に1つ以上の変異を含む。
【0166】
二次ウイルス
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、コードされた二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、複製能力を有し、宿主細胞に感染して殺滅させることができる。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスの両方は、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび二次ウイルスの両方は、複製能力を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、複製能力を有しない一次腫瘍溶解性ウイルスは、HSVである。
【0168】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、エンベロープタンパク質コード領域における欠失または変異により複製能力を有しない。いくつかの実施形態では、複製能力を有しない二次ウイルスをコードする一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのエンベロープタンパク質のコード領域を、任意選択的に二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのコード領域の外側に、含む。いくつかの実施形態では、複製能力を有しない二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、アルファウイルスである。
【0169】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、ssRNAウイルスは、ポジティブセンスssRNA(+センスssRNA)ウイルスまたはネガティブセンスssRNA(-センスssRNA)ウイルスである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、DNAウイルスである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、二本鎖RNA(dsRNA)ウイルスまたは一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスである。
【0170】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、+センスssRNAウイルスである。例示的な+センスssRNAウイルスとしては、Picornaviridaeファミリー(例えば、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、およびSVV-Aを含むセネカバレーウイルス(SVV)、Coronaviridaeファミリー(例えば、HCoV-229EおよびHCoV-NL63などのアルファコロナウイルス、HCoV-HKU1、HCoV-OC3およびMERS-CoVなどのベータコロナウイルス)、Retroviridaeファミリー(例えば、マウス白血病ウイルス)、およびTogaviridaeファミリー(シンドビスウイルス)のメンバーが含まれる。ポジティブセンスssRNAウイルスの追加の例示的な属および種を、以下の表Aに示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0171】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、セネカバレーウイルス(SVV)である。いくつかの実施形態では、SVVのウイルスゲノムは、配列番号842に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、配列番号842によるヌクレオチド3505~7310に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の配列同一性を有するSVVウイルスゲノムの一部を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、コクサッキーウイルスである。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルスは、CVB3、CVA21、およびCVA9から選択される。例示的なコクサッキーウイルスの核酸配列は、GenBank参照番号M33854.1(CVB3)、GenBank参照番号KT161266.1(CVA21)、およびGenBank参照番号D00627.1(CVA9)が提供される。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルスのウイルスゲノムは、配列番号843に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、配列番号843よるヌクレオチド3797~7435に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%の配列同一性を有するコクサッキーウイルスウイルスウイルスゲノムの一部を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、キメラウイルスである(例えば、第1のウイルスに由来する、キャプシドタンパク質またはIRESなどの一部と、第2のウイルス由来のプロテアーゼまたはポリメラーゼなどの非構造遺伝子などの別の部分を含むウイルスをコードする)。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、キメラピコルナウイルスである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、キメラSVVである。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、キメラコクサッキーウイルスである。
【0174】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムは、マイクロRNA(miRNA)標的配列(miR-TS)カセットを含み、miR-TSカセットは、1つ以上のmiRNA標的配列を含み、細胞内の1つ以上の対応するmiRNAの発現は、細胞内のコードされた腫瘍溶解性ウイルスまたはコードされたウイルスの複製を阻害する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNAは、miR-124、miR-1、miR-143、miR-128、miR-219、miR-219a、miR-122、miR-204、miR-217、miR-137、およびmiR-126から選択される。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-124標的配列の1つ以上のコピー、miR-1標的配列の1つ以上のコピー、およびmiR-143標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-128標的配列の1つ以上のコピー、miR-219a標的配列の1つ以上のコピー、およびmiR-122標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-128標的配列の1つ以上のコピー、miR-204標的配列の1つ以上のコピー、およびmiR-219標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、miR-217標的配列の1つ以上のコピー、miR-137標的配列の1つ以上のコピー、およびmiR-126標的配列の1つ以上のコピーを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムは、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)または3’UTRに組み込まれた1つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムは、1つ以上の非必須遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)または3’UTRに組み込まれた1つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムは、1つ以上の必須のウイルス遺伝子の5’または3’に組み込まれた1つ以上のmiR-TSカセットを含む。
【0176】
+センスssRNAウイルスのゲノムは、5’→3’方向にssRNA分子を含み、これは、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは一次ウイルスゲノムに挿入されたポリヌクレオチドから直接転写され、宿主細胞によって直接翻訳されてウイルスタンパク質を産生することができる。したがって、+センスssRNAウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、挿入されたポリヌクレオチドから直接二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのゲノムを産生することができ、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスを産生するために追加のウイルス複製タンパク質の存在を必要としない。
【0177】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ネガティブセンスの一本鎖RNA(-センスssRNA)ウイルスゲノムをコードする。例示的な-センスssRNAウイルスには、Paramyxoviridaeファミリー(例えば、麻疹ウイルスおよびニューカッスル病ウイルス)、Rhabdoviridaeファミリー(例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)およびマラバウイルス)、Arenaviridaeファミリー(例えば、ラッサウイルス)、およびOrthomyxoviridaeファミリー(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB、インフルエンザC、およびインフルエンザDなどのインフルエンザウイルス)のメンバーが含まれる。ポジティブセンスssRNAウイルスの追加の例示的な属および種を、以下の表Bに示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0178】
-センスssRNAウイルスのゲノムは、3’→5’方向にssRNA分子を含み、これは、一次腫瘍溶解性ウイルスゲノムまたは一次ウイルスゲノムに挿入されたポリヌクレオチドから直接転写することができない。むしろ、-センスssRNA二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、最初に+センスmRNAに転写され、その後、1つ以上のウイルスRNAポリメラーゼによって複製されて-センスssRNAゲノムが産生される。このように、いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスに挿入された-センスssRNAウイルスをコードするポリヌクレオチドは、複製に必要なウイルスタンパク質をコードする第1の核酸配列と、-センスssRNAウイルスゲノムのアンチゲノム配列を含む第2の核酸配列とを含む。こうした実施形態では、第1の核酸配列は、宿主細胞によって-センスssRNAゲノムの複製に必要なウイルスタンパク質に直接翻訳され得る5’→3’mRNA転写物をコードし、第2の核酸配列は、-センスssRNAゲノムのアンチゲノム配列の5’→3’mRNA転写物をコードしている。次いで、5’の→3’アンチゲノム転写物は、第1の核酸配列によってコードされるウイルスタンパク質によって複製され、-センスssRNAゲノムが産生される。いくつかの実施形態では、第1および第2の核酸配列は、真核細胞で発現することができるプロモーター、例えば哺乳類プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1および第2の核酸配列は、両方向性Pol IIプロモーターなどの両方向性プロモーターに作動可能に連結されている。
【0179】
いくつかの実施形態では、二次+センスおよび/または-センスssRNA腫瘍溶解性ウイルスのゲノムは、ウイルスに固有の別個の5’末端および3’末端を必要とする。いくつかの実施形態では、二次+センスおよび/または-センスssRNAウイルスのゲノムは、ウイルスに固有の別個の5’末端および3’末端を必要とする。哺乳類RNA Pol IIによって産生されるmRNA転写物は、哺乳類5’および3’UTRを含有し、したがって、感染性ssRNAウイルスの産生に必要な別個の固有の末端を含有しない。したがって、いくつかの実施形態では、+センスおよび/または-センスssRNAウイルスの産生は、ウイルスssRNAと哺乳類のmRNAの接合部でPol IIでコードされたウイルスゲノム転写物の切断を可能にする追加の5’および3’配列を必要とし、その結果、ウイルスゲノムの内因性5’および3’の別個の末端を維持するために、非ウイルスRNAが転写物から除去される。このような配列は、本明細書では接合部切断配列と呼称される。例えば、いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、以下の構造を含む:
(a)5’-Pol II-接合部切断-ウイルスゲノム-接合部切断-3’、
(b)5’-Pol II-接合部切断-ウイルスアンチゲノム-接合部切断-3’。
【0180】
接合部切断配列は、様々な方法によって、ウイルスゲノム転写物から非ウイルスRNAを除去することができる。例えば、いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、RNAi分子の標的である。例示的なRNA干渉物質としては、miRNA、AmiRNA、shRNA、およびsiRNAが挙げられる。さらに、現在当技術分野で既知であるか、または将来定義される特定の部位でRNA転写物を切断するための任意のシステムを使用して、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスに固有の別個の末端を生成することができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、RNAi分子はmiRNAであり、5’および/または3’接合部切断配列はmiRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、RNAi分子はsiRNA分子であり、5’および/または3’接合部切断配列はsiRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、RNAi分子は、AmiRNAであり、5’および/または3’接合部切断配列は、AmiRNA標的配列である。
【0182】
いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、ガイドRNA(gRNA)標的配列である。こうした実施形態では、gRNAは、RNase活性を有するCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas13)を用いて設計および導入されて、正確な接合部位でウイルスゲノム転写物の切断を媒介することができる。いくつかの実施形態では、5’および/または3’接合部切断配列は、gRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、pri-miRNAコード配列である。二次ウイルスゲノムをコードするポリヌクレオチドが転写されると、これらの配列は、pri-miRNAステムループ構造を形成し、次いでドローシャによって核内で切断されて、正確な接合部で転写物を切断する。いくつかの実施形態では、5’および/または3’接合部切断配列は、pri-mRNA標的配列である。
【0183】
いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、リボザイムコード配列であり、ウイルス転写物の自己切断を媒介して、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの固有の別個の末端を生成する。いくつかの実施形態では、5’および/または3’接合部切断配列は、リボザイムコード配列である。いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、配列アプタザイムコード配列である。いくつかの実施形態では、5’および/または3’接合部切断配列は、アプタザイムコード配列である。
【0184】
いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、siRNA分子、miRNA分子、AmiRNA分子、またはgRNA分子の標的配列である。こうした実施形態では、標的RNA分子は、RNAi分子またはgRNA分子のガイド配列に対し少なくとも部分的に相補的である。配列同一性パーセントおよび相補性パーセントの比較および決定のための配列アラインメントの方法は、当該技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Needleman and Wunsch,(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ制御された実施(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、手動でのアラインメントおよび目視検査(例えば、Brent et al.,(2003)Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)によって、Altschul et al.,(1977) Nuc.Acids Res.25:3389-3402、およびAltschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-410にそれぞれ記載されるBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムを含む当該技術分野で既知のアルゴリズムの使用によって、行うことができる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公開されている。
【0185】
いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列および3’接合部切断配列は、同じグループ由来である(例えば、両方がRNAi標的配列、両方がリボザイムコード配列など)。例えば、いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)であり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に組み込まれる。こうした実施形態では、5’および3’のRNAi標的配列は、同一であってもよく(すなわち、同じsiRNA、AmiRNA、またはmiRNAの標的)、または異なっていてもよい(すなわち、5’配列は、あるsiRNA、AmiRNA、またはmiRNAの標的であり、3’配列は、別のsiRNA、AmiRNA、またはmiRNAの標的である)。いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、ガイドRNA標的配列であり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に組み込まれる。こうした実施形態では、5’および3’のgRNA標的配列は、同一であってもよく(すなわち、同じgRNAの標的)、または異なっていてもよい(すなわち、5’配列は、あるgRNAの標的であり、3’配列は、別のgRNAの標的である)。いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、pri-mRNAコード配列であり、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に組み込まれる。いくつかの実施形態では、接合部切断配列は、リボザイムコード配列であり、ウイルスゲノムをコードするポリヌクレオチド配列の直ぐ5’および3’で二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに組み込まれる。
【0186】
いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列および3’接合部切断配列は、同じグループに由来するが、バリアントまたはタイプが異なる。例えば、いくつかの実施形態では、5’および3’接合部切断配列は、RNAi分子の標的配列であって、5’接合部切断配列が、siRNA標的配列であり、3’接合部切断配列が、miRNA標的配列(またはその逆)である、RNAi分子の標的配列であってもよい。いくつかの実施形態では、5’および3’接合部切断配列は、リボザイムコード配列であって、5’接合部切断配列は、ハンマーヘッド型リボザイムコード配列であり、3’接合部切断配列は、肝炎デルタウイルスリボザイムコード配列である、リボザイムコード配列であってもよい。
【0187】
いくつかの実施形態において、5’接合部切断配列と3’接合部切断配列は、異なるタイプである。例えば、いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)であり、3’接合部切断配列は、リボザイム配列、アプタザイム配列、プリmiRNA配列、またはgRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列は、リボザイム配列であり、3’接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)、アプタザイム配列、pri-miRNAコード配列、またはgRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列は、アプタザイム配列であり、3’接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)、リボザイム配列、pri-miRNA配列、またはgRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列は、pri-miRNA配列であり、3’接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)、リボザイム配列、アプタザイム配列、またはgRNA標的配列である。いくつかの実施形態では、5’接合部切断配列は、gRNA標的配列であり、3’接合部切断配列は、RNAi標的配列(例えば、siRNA、AmiRNA、またはmiRNA標的配列)、リボザイム配列、pri-miRNA配列、またはアプタザイム配列である。
【0188】
ssRNA二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに対する接合部切断配列の例示的な配置を表C1およびC2に示す。
【表4】
【表5-1】
【表5-2】
【0189】
いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、細胞または対象における二次ウイルスゲノムの発現を防止するために、1つ以上の内部RNAi標的配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、内部RNAi標的配列は、siRNA分子、AmiRNA分子、またはmiRNA分子の標的配列である。いくつかの実施形態では、内部RNAi配列は、細胞にウイルス構築物を導入した後、または対象に投与した後に、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現に対するさらなる時間的制御を可能にする。こうした実施形態では、内部RNAi標的配列は、細胞によって内因的に発現されるmiRNAのmiRNA標的配列である。こうした実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスは、miRNAで弱毒化される。
【0190】
いくつかの実施形態では、内部RNAi配列は、二重ウイルスベクターの産生中の二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの発現の制御を可能にする。いくつかの実施形態では、内部RNAi標的配列は、siRNA分子、AmiRNA分子、あるいは産生細胞株によってまたは試料もしくは対象の細胞によって内因性に発現されない人工miRNA分子、の標的配列である。
【0191】
miRNA弱毒化
いくつかの実施形態では、一次および/または二次ウイルスは、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入されたmiRNA標的配列のコピーのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、一次および/または二次腫瘍溶解性ウイルスは、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入されたmiRNA標的配列のコピーのうちの1つ以上を含む。miRは、複数のタイプのがんを含む広範な病態で差次的に発現される。重要なことに、miRNAは、正常な組織と比較してがん組織で差次的に発現し、それらが幅広く様々ながんにおける標的化機構としての役割を果たすことを可能にする。(ポジティブまたはネガティブのいずれかで)発がん、悪性形質転換、または転移と関連するmiRNAは、「oncomiR」として知られている。oncomiRの例、および異なるがんに対するそれらの関係は、当技術分野で公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際PCT公開第2017/132552号を参照されたい)。
【0192】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび/または二次ウイルス、または一次および/もしくは二次腫瘍溶解性ウイルスは、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、少なくとも8つの、少なくとも9つの、または少なくとも10個の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座に挿入されたmiRNA標的配列を含み得る。正常(非がん性)細胞で発現されたmiRNAは、そのような標的配列に結合し、miRNA標的配列を含有するウイルス遺伝子の発現を抑制することができる。ウイルス複製に必要な重要な遺伝子にmiRNA標的配列を組み込むことにより、miRNAを発現する正常な二倍体細胞ではウイルス複製を条件付きで抑制することができ、miRNAを発現しない細胞では正常に進行することができる。こうした実施形態では、健康な非がん性細胞は、組換えウイルスベクターによる感染の溶解効果から正常細胞から保護される。そのような組換えウイルスまたは腫瘍溶解性ウイルスは、miRNAを発現しない、または発現が低下した細胞と比較して、組み込まれたmiRNA標的配列に結合できる1つ以上のmiRNAを発現する細胞において、ウイルス複製が減少または減弱していることを示すため、本明細書では「miR弱毒化」と称される。
【0193】
いくつかの態様では、特定のoncomiRの発現レベルは、特定のがんの発生または維持と正の関連を示す。そのようなmiRは、本明細書では「発がん性miR」と呼称される。いくつかの実施形態では、発がん性miRの発現は、非がん性対照細胞(すなわち、正常または健康な対照)で観察される発現レベルと比較してがん細胞もしくは組織で増加するか、または異なるがんタイプに由来するがん細胞で観察される発現レベルと比較して増加する。
【0194】
いくつかの実施形態では、特定のoncomiRの発現は、特定のがんおよび/または転移の発生または維持と負の関連を示す。そのようなoncomiRは、それらの発現が、がんの発症を阻害または抑制するため、本明細書では「腫瘍抑制因子miR」または「腫瘍抑制miR」と称する。いくつかの実施形態では、腫瘍抑制因子miRNAの発現は、非がん対照細胞(すなわち、正常または健康な対照)で観察される発現レベルと比較して、がん細胞もしくは組織で減少するか、または異なるがんタイプに由来するがん細胞で観察される腫瘍抑制因子miRNAの発現レベルと比較して減少する。
【0195】
いくつかの実施形態では、一次および/もしくは二次ウイルス、または一次および/もしくは二次腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号1~803から選択される配列の逆相補体に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、一次および/もしくは二次ウイルス、または一次および/もしくは二次腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号1~803から選択される配列の逆相補体を含むか、またはそれからなる1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、miRNA標的配列は、「miR標的配列カセット」または「miR-TSカセット」の形態で、1つ以上の必須ウイルス遺伝子の遺伝子座内に挿入される。miR-TSカセットは、1つ以上のmiRNA標的配列を含み、ウイルス遺伝子の特定の遺伝子座内に挿入することができるポリヌクレオチド配列を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、少なくとも1つのmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるmiR-TSカセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み、複数の各miRNA標的配列は、同じmiRNAの標的配列である。例えば、miR-TSカセットは、同じmiRNA標的配列の2、3、4、5、6、7、8、9、10コピーまたはそれ以上のコピーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiRNA標的配列の2~6コピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiRNA標的配列の3コピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、同じmiRNA標的配列の4コピーを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のmiR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み、当該複数は、少なくとも2つの異なるmiRNAに特異的である標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の1つ以上のコピーおよび第2のmiRNA標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー、第2のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー、および第3のmiRNA標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10コピーまたはそれ以上のコピー、第2のmiRNA標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10コピーまたはそれ以上のコピー、および第3のmiRNA標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10コピーまたはそれ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の3コピーまたは4コピー、第2のmiRNA標的配列の3コピーまたは4コピー、および第3のmiRNA標的配列の3コピーまたは4コピーを含む。いくつかの実施形態では、複数のmiRNA標的配列は、少なくとも4つの異なるmiRNA標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー、第2のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー、第3のmiRNA標的配列の1つ以上のコピー、および第4のmiRNA標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiRNA標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のコピー、第2のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のコピー、第3のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のコピー、および第4のmiR標的配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、第1のmiR標的配列の3コピーまたは4コピー、第2のmiR標的配列の3コピーまたは4コピー、第3のmiR標的配列の3コピーまたは4コピー、および第4のmiR標的配列の3コピーまたは4コピーを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内の複数のmiRNA標的配列は、互いにタンデムではなく、インターリーブされている。いくつかの実施形態では、miR-TSカセット内の複数のmiRNA標的配列は、短い(例えば、4~15ntの長さ)スペーサーによって分離されており、よりコンパクトなカセットになる。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列の活性を阻害するRNA二次構造を含まない(または低減されている)。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、発がん、悪性形質転換、または転移に関連するmiRNAのシード配列を含まない(または低減されている)。いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、ポリアデニル化部位を含まない(または低減されている)。
【0200】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、一次および/または二次ウイルスゲノムの遺伝子座内にカセットを挿入することを可能にする1つ以上の追加のポリヌクレオチド配列を含む。例えば、miR-TSカセットは、ウイルスゲノム中の所望の位置で核酸配列に相補的な、5’末端および3’末端の短いポリヌクレオチド配列をさらに含み得る。こうした配列は本明細書では「相同アーム」と呼ばれ、miR-TSカセットを一次および/または二次ウイルスゲノムの特定の位置に挿入することを容易にする。
【0201】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、2つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、3つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、4つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムは、2つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムは、3つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムは、4つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、二次ウイルスゲノムは、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のmiR-TSカセットを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、2つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、3つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、4つ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、2つ以上のmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、3つ以上のmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、4つ以上のmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも1つのmiR-TSカセットを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも2つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも2つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも3つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも2つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、少なくとも4つのmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも2つのmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、一次ウイルスゲノムは、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のmiR-TSカセットを含み、二次ウイルスゲノムは、少なくとも2つのmiR-TSカセットを含む。
【0204】
以下の表Dは、一次および/または二次ウイルス、または一次および/または二次腫瘍溶解ウイルスのmiRNA標的配列に結合することができる例示的なmiRNAの配列を提示する。追加のmiRNA配列は、配列番号33~803で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるmiR-TSカセットは、配列番号1~803から選択される配列の逆相補体に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のmiRNA標的配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるmiR-TSカセットは、配列番号1~803から選択される配列の逆相補体を含むか、またはそれらからなる1つ以上のmiRNA標的配列を含む。
【表6】
【0205】
いくつかの実施形態では、miR-TSカセットは、複数のmiRNA標的配列を含み、当該複数の標的配列は、少なくとも2つの異なるmiRNAに特異的であり、ウイルス媒介細胞死から多様な細胞型または器官を保護するために選択される、標的配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、様々なタイプの正常な非がん細胞で高度に発現され、かつがん細胞で発現されないかまたは低レベルで発現されるmiRNAの標的配列は、miR-TSカセット(ならびに一次および/または二次ウイルスゲノム)内に組み込まれ、がん細胞でウイルス複製を可能にしながら、正常細胞でのウイルス複製を防止する。
【0206】
いくつかの実施形態では、一次および/または二次ウイルスは、各々が複数のmiRNA標的配列を含む、第1および第2のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のmiR-TSカセットは、miR-124-3p、miR-1-3pおよび/またはmiR-143-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-1-3p、miR-145-5p、miR-199-5pおよび/またはmiR-559の標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-219a-5p、miR-122-5pおよび/またはmiR-128-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-122-5pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-137-3p、miR-208b-3pおよび/またはmiR-126-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、一次および/または二次ウイルスは、各々が複数のmiRNA標的配列を含む、第1、第2、および第3のmiR-TSカセットを含む。いくつかの実施形態では、第1のmiR-TSカセットは、miR-124-3p、miR-1-3pおよび/またはmiR-143-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-122-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第2のmiR-TSカセットは、miR-219a-5p、miR-122-5pおよび/またはmiR-128-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第3のmiR-TSカセットは、miR-125-5pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、第3のmiR-TSカセットは、miR-137-3p、miR-208b-3pおよび/またはmiR-126-3pの標的配列の1つ以上のコピーを含む。
【0208】
例示的なmiR-TSカセットを、以下の表Eに提示する。*NまたはN1-20は、長さが1ヌクレオチドから20ヌクレオチドの間で変化し得るリンカー配列を示し、ここで、「N」は任意の核酸であり得る。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、1~20個の核酸である。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、1~8個の核酸である。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、1、2、3、4、5、6、7、または8個の核酸である。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、4個の核酸である、miR-TSカセットは、表Eに示される1つ以上の配列との同一性の間に、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、100%または任意のパーセンテージを有するmiRNA TS配列を含み得る。miR-TSカセットは、表Eに示される1つ以上の配列との同一性の間に、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、100%または任意のパーセンテージを有するmiRNA TS配列を含み得、ここで、シード領域内の同一性パーセンテージは100%である。いくつかの実施形態では、シード領域は、miRNA TS配列またはその相補体もしくは逆相補体の1~8位にヌクレオチドを含んでもよい。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【0209】
例示的なmiRNAおよび関連配列を以下の表Fに提示する。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【0210】
例示的な二重腫瘍溶解性ウイルス構築物または二重ウイルス構築物
いくつかの実施形態では、本開示は、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、一次ウイルスおよび二次ウイルスまたは腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を有する。いくつかの実施形態では、本開示は、(i)調節可能なプロモーターに作動可能に連結されており、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、(ii)調節可能なプロモーターに結合することができるタンパク質をコードし、構成的プロモーターに作動可能に連結されている第2のポリヌクレオチドとを含む、一次的腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスを提供する。
【0211】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、(i)Tet-OFFプロモーターに作動可能に連結されており、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、(ii)構成的プロモーターに作動可能に連結されており、Tet-OFFプロモーターに結合して二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるtTAタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下または非存在下で細胞内で発現され、一方で二次ウイルスは、テトラサイクリンの非存在下でのみ発現される。こうした実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに隣接する5’および3’接合部切断配列は、リボザイム、非テトラサイクリン活性化アプタザイム、pre-miRNA配列、miRNA標的配列、gRNA標的配列、またはAmiRNA標的配列のいずれかであってもよい。一次ウイルスおよび二次ウイルスは、上述のようにさらにmiR弱毒化することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、(i)Tet-OFFプロモーターに作動可能に連結されており、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、(ii)Tet-ONプロモーターに作動可能に結合されており、二次ウイルスゲノム中の配列を標的とするRNAi分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、(ii)構成的プロモーターに作動可能に連結されており、Tet-OFFプロモーターに結合して二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるtTAタンパク質、およびTet-ONプロモーターに結合してRNAi分子をコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるrtTAタンパク質をコードする、第3のポリヌクレオチドと、を含む。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下または非存在下で細胞内で発現され、一方で二次ウイルスは、テトラサイクリンの非存在下でのみ発現される。テトラサイクリンの存在下での二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの異常な発現は、テトラサイクリンの存在下での安全RNAi分子の発現によって防止され、これは二次ウイルスゲノム中の標的配列を認識して二次ウイルス転写物の分解を媒介する。こうした実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに隣接する5’および3’接合部切断配列は、リボザイム、非テトラサイクリン活性化アプタザイム、pre-miRNA配列、miRNA標的配列、gRNA標的配列、またはAmiRNA標的配列のいずれかであってもよい。一次ウイルスおよび二次ウイルスは、上述のようにさらにmiR弱毒化することができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、(i)Tet-ONプロモーターに作動可能に連結されており、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、(ii)構成的プロモーターに作動可能に連結されており、Tet-ONプロモーターに結合して二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるrtTAタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下または非存在下で細胞内で発現され、一方で二次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下でのみ発現される。こうした実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに隣接する5’および3’接合部切断配列は、リボザイム、アプタザイム(テトラサイクリン活性化アプタザイムを含む)、pre-miRNA配列、miRNA標的配列、gRNA標的配列、またはAmiRNA標的配列のいずれかであってもよい。一次ウイルスおよび二次ウイルスは、上述のようにさらにmiR弱毒化することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、(i)Tet-ONプロモーターに作動可能に連結されており、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、(ii)Tet-OFFプロモーターに作動可能に結合されており、二次ウイルスゲノム中の配列を標的とするRNAi分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、(ii)構成的プロモーターに作動可能に連結されており、Tet-ONプロモーターに結合して二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるrtTAタンパク質、およびTet-OFFプロモーターに結合してRNAi分子をコードするポリヌクレオチドの転写を調節することができるtTAタンパク質をコードする、第3のポリヌクレオチドと、を含む。こうした実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下または非存在下で細胞内で発現され、一方で二次ウイルスは、テトラサイクリンの存在下でのみ発現される。テトラサイクリンの非存在下での二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの異常な発現は、テトラサイクリンの非存在下での安全RNAi分子の発現によって防止され、これは二次ウイルスゲノム中の標的配列を認識して二次ウイルス転写物の分解を媒介する。こうした実施形態では、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドに隣接する5’および3’接合部切断配列は、リボザイム、アプタザイム(テトラサイクリン活性化アプタザイムを含む)、pre-miRNA配列、miRNA標的配列、gRNA標的配列、またはAmiRNA標的配列のいずれかであってもよい。一次ウイルスおよび二次ウイルスは、上述のようにさらにmiR弱毒化することができる。
【0215】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含む。例示的なリコンビナーゼ応答性カセットには、本開示のRRECおよびRRIC(任意選択的にイントロンの一部を含む)が含まれる。いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスは、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドは、イントロン(またはその一部)を含む。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドは、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている。
【0216】
いくつかの実施形態では、一次腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含み、一次腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、二次腫瘍溶解性ウイルスはピコルナウイルスである。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次腫瘍溶解性ウイルスを含み、一次腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、二次腫瘍溶解性ウイルスはSVVである。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスは、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次的腫瘍溶解性ウイルスを含み、一次的腫瘍溶解性ウイルスはHSVであり、二次腫瘍溶解性ウイルスはCVAである。いくつかの実施形態では、一次ウイルスは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含み、一次ウイルスはHSVであり、二次ウイルスはピコルナウイルスである。いくつかの実施形態では、二重ウイルスは、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次ウイルスを含み、一次ウイルスはHSVであり、二次ウイルスはSVVである。いくつかの実施形態では、二重ウイルスは、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む一次ウイルスを含み、一次ウイルスはHSVであり、二次ウイルスはCVAである。
【0217】
二重腫瘍溶解性ウイルス構築物または二重ウイルス構築物の産生
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスを産生する方法を提供する。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスのウイルスストックを提供する。いくつかの実施形態では、ウイルスストックは均質ストックである。ウイルスストックの調製および分析は、当該技術分野で周知である。例えば、ウイルスストックは、ウイルスベクターで形質導入された細胞を含有するローラーボトルで製造することができる。次いで、ウイルスストックを、連続的なナイコデンツ(nycodenze)勾配で精製し、必要になるまでアリコートして保存することができる。ウイルスストックは、ウイルス遺伝子型、ならびにそれらを調製するために使用されるプロトコルおよび細胞株に大きく依存して、力価がかなり異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に企図されるウイルスストックの力価は、少なくとも約10プラーク形成単位(pfu)、例えば少なくとも約10pfuまたは少なくとも約10pfuである。特定の実施形態では、力価は、少なくとも約10pfu、または少なくとも約10pfu、少なくとも約1010pfu、または少なくとも約1011pfuであり得る。
【0219】
治療用組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、対象および/または細胞に投与または送達することができる、本明細書に記述された1つ以上の二重腫瘍溶解性ウイルスまたは二重ウイルスの製剤を指す。典型的には、製剤は、任意の生理学的に許容可能な担体、希釈剤、および/または賦形剤を有する、それらの誘導体および/またはプロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ体、または互変異性体を含む、すべての生理学的に許容可能な組成物を含む。「治療用組成物」は、特定の疾患または障害の治療のために、患者および/または対象および/または細胞に投与または送達することができる1つ以上の薬剤の組成物である。
【0220】
本明細書で使用される場合、「担体」は、生理学的に適合性のある、あらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどが含まれ、ヒトおよび/または家畜での使用に許容可能なものとして米国食品医薬品局によって承認されている、薬学的に許容可能な細胞培養培地および/または乳化剤を含む。医薬活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来的な媒体または薬剤が有効成分と適合しない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。サプリメント
【0221】
一実施形態では、担体を含む組成物は、非経口投与、例えば、血管内(静脈内または動脈内)、腹腔内または筋肉内投与に適している。薬学的に許容可能な担体には、滅菌注射可能な溶液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来的な培地または薬剤がウイルスベクターまたは核酸分子と適合しない場合を除いて、本開示の医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0222】
本開示の組成物は、単独で、または1つ以上の他の療法様式と組み合わせて、細胞もしくは動物に投与するための薬学的に許容可能なまたは生理学的に許容可能な溶液中に製剤化された、本明細書に記載されるような、1つ以上のポリペプチド、ポリヌクレオチド、それを含むベクター、感染細胞などを含み得る。必要に応じて、本開示の組成物は、例えば、サイトカイン、成長因子、ホルモン、小分子、または様々な医薬活性剤などの他の薬剤と組み合わせて投与されてもよいことも理解されよう。追加の薬剤が意図される療法を送達する組成物の能力に悪影響を及ぼさないことを条件に、組成物に含まれ得る他の成分にも実質的に制限はない。
【0223】
本開示の医薬組成物では、薬学的に許容可能な賦形剤および担体溶液での製剤化は、当業者に周知であり、様々な治療レジメンにおいて本明細書に記載される特定の組成物を使用するための適切な投与および治療レジメンの開発も同様である。製剤化に伴い、溶液が、投与製剤と適合性のある方式で、かつ症状の改善または修復をもたらすために治療的に有効な量で投与される。製剤は、摂取可能な溶液、薬物放出カプセルなどの様々な剤形で容易に投与される。投与量のいくらかの変動は、治療される対象の状態に応じて発生し得る。投与の責任者は、いずれにしても、個々の対象に対する適切な用量を決定することができる。さらに、ヒトへの投与については、製剤は、FDA生物学的製剤評価研究センターの基準で要求される無菌性、一般安全性および純度基準を満たす。投与経路は、治療される疾患の位置および性質によって、当然のことながら異なり、例えば、皮内、経皮(transdermal)、真皮下、非経口、経鼻、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、経皮的(percutaneous)、気管内、腹腔内、腫瘍内、灌流、洗浄、直接注射、および経口投与を含み得る。
【0224】
特定の状況では、例えば、米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号、および米国特許第5,399,363号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる)に記載されるように、本明細書に開示される組成物、組換えウイルスベクター、および核酸分子を非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または腹腔内に送達することが望ましい。遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水で調製され得る。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物、ならびに油中で調製されてもよい。通常の保存および使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための防腐剤を含有する。
【0225】
注射可能な使用に適した医薬品形態には、滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液、および滅菌粉末が含まれる(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる、米国特許第5,466,468号)。すべての場合において、形態は、滅菌される必要があり、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度まで流動的である必要がある。製造および保管の条件下で安定である必要があり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および/または植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合に必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって促進され得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。有効成分としてタンパク質を含有する水性組成物の調製は、当技術分野ではよく理解されている。典型的には、こうした組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射剤として調製され、注射前の液体への溶解または液体への懸濁に適した固体形態も調製することができる。調製物はまた、乳化することができる。
【0226】
水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液は、必要に応じて適切に緩衝され、液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張にする必要がある。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、用いることができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1mlの等張性NaCl溶液に1回の投与量を溶解し、1000mlの皮下点滴液に添加するか、または提案された注入部位に注射してもよい(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition.Baltimore,MD:Lippincott Williams & Wilkins,2000を参照されたい)。投与量のいくらかの変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に発生し得る。投与の責任者は、いずれにしても、個々の対象に対する適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与については、製剤は、無菌性、発熱性、およびFDA生物学的製剤局基準で要求される一般安全性および純度基準を満たす必要がある。
【0227】
滅菌注射可能な溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上記で列挙された様々な他の成分とともに適切な溶媒中に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散液は、様々な滅菌有効成分を、基本的な分散媒および上記で列挙したものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、その事前に滅菌濾過した溶液から有効成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0228】
特定の実施形態では、組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達されてもよい。鼻腔エアロゾルスプレーを介して、ポリヌクレオチドおよびペプチド組成物を直接肺に送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号(それぞれ、参照によりその全体が具体的に本明細書に組み込まれる)に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenaga et al.,1998)およびリゾホスファチジル-グリセロール化合物(参照によりその全体が具体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第5,725,871号)を使用する薬剤の送達も、医薬技術分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態の経粘膜的薬物送達が、米国特許第5,780,045号(その全体で参照により具体的に本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0229】
使用方法
いくつかの実施形態では、本開示は、がん細胞を、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスまたは組成物に曝露することを含む、がん細胞を殺滅する方法を提供する。いくつかの実施形態では、二重腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞内で複製し、二次腫瘍溶解性ウイルスを産生する。いくつかの実施形態では、二次腫瘍溶解性ウイルスは、別のがん細胞内に感染して複製する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の二重腫瘍溶解性ウイルスは、複数のがん細胞を殺滅することができる。こうした実施形態では、複数のがん細胞の第1のサブセットは、第1の腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅させてもよく、複数のがん細胞の第2のサブセットは、二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅させてもよい。いくつかの実施形態では、がん細胞はインビボにある。特定の実施形態では、がん細胞は腫瘍内にある。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される二重ウイルスまたは組成物にがん細胞を曝露することを含む、がん細胞を殺滅する方法を提供する。いくつかの実施形態では、二重ウイルスは、がん細胞内で複製し、二次ウイルスを産生する。いくつかの実施形態では、二次ウイルスは、別のがん細胞内に感染して複製する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の二重ウイルスは、複数のがん細胞を殺滅することができる。こうした実施形態では、複数のがん細胞の第1のサブセットは、第1のウイルスによって殺滅させてもよく、複数のがん細胞の第2のサブセットは、二次ウイルスによって殺滅させてもよい。いくつかの実施形態では、がん細胞はインビボにある。特定の実施形態では、がん性細胞は腫瘍内にある。
【0231】
二重腫瘍溶解性ウイルスベクターからの一次および二次腫瘍溶解性ウイルスの産生、または二重ウイルスベクターからの一次および二次ウイルスの産生は、ウイルスRNAおよび/またはDNA配列に対するRT-PCRを含む当分野に公知の手段によって測定することができる。例えば、図25は、二次腫瘍溶解性SVVの産生のaPCRアッセイを示す。H1299細胞は、インビトロで転写されたSVV-negもしくはSVV-野生型(WT)ポジティブ鎖RNAでトランスフェクトさせるか、または複製能力を有するSVV(ONCR-189)もしくは複製能力を有しない(ONCR-190)SVVウイルスゲノムのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む腫瘍溶解性HSV-1ウイルスに感染させた。RNAを抽出し、ポジティブセンスおよびネガティブセンスの両方のSVV RNA鎖についてqRT-PCRを行った。示されるように、ONCR-189およびSVV野生型RNA(SVV WT)による対照トランスフェクションの両方で、同等のレベルのポジティブセンスRNAおよびネガティブセンスRNAが検出され、ここで、SVV RNAレベルはONCR-190対照でははるかに低いため、複製能力を有するSVVをコードするポリヌクレオチドを含むHSV-1の感染から、SVVウイルス複製が開始されることを示している。高レベルの両方の鎖は、腫瘍溶解性HSVによって誘導または発現される活性SVV感染を示しており、これは、oHSV感染からのポジティブセンスRNAウイルスの感染の開始を例示している。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはその組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。本明細書で使用される場合、「対象」は、本明細書に開示される組換えウイルスベクター、組成物、および方法で治療され得る疾患、障害、または状態の症状を呈する任意の動物を含む。好適な対象(例えば、患者)には、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、家畜(ウマまたはウシなど)、および飼育動物またはペット(ネコまたはイヌなど)が含まれる。非ヒト霊長類、および好ましくはヒト患者が含まれる。
【0233】
「投与」とは、本明細書に記載された二重腫瘍溶解性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはその組成物を対象に導入すること、または本明細書に記載された二重腫瘍溶解性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはその組成物を細胞および/または組織と接触させることを指す。投与は、注射、灌注、吸入、消費、電気浸透、血液透析、イオンフォレーシス、および当分野に公知の他の方法によって発生し得る。投与経路は、当然のことながら治療される疾患の場所と性質によって異なり、例えば耳、頬側、結膜、皮膚、歯、子宮頸管内、洞内、気管内、経腸内、硬膜外、間質性、関節内、動脈内、腹腔内(intra-abdominal)、心房内(intraauricular)、胆管内、気管支内、嚢内、海綿体内、脳内、槽内、角膜内、歯冠内、冠動脈内、頭蓋内、皮内、脊髄内、腺管内、十二指腸内、十二指腸内、硬膜内、心外膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、肝内、回腸内、病巣内、舌内、管腔内、リンパ腺内、乳腺内、骨髄内、髄膜内、筋肉内、鼻腔内、節内、眼内、網内、卵巣内、腹腔内(intraperitoneal)、心内膜、胸膜内、前立腺内、肺内、反芻胃内、副鼻腔内、髄腔内、滑膜内、腱内、精巣内、気管内、くも膜下腔内、胸腔内、小管内、腫瘍内、鼓室内、子宮内、腹腔内、血管内、脳室内、膀胱内、前庭内、静脈内、硝子体内、咽頭部、経鼻、経鼻胃、経口、眼、口腔咽頭、非経口、経皮的(percutaneous)、関節周囲、硬膜周囲、神経周囲、歯周、呼吸器、尿細管後(retrotubular)、直腸、脊髄、くも膜下、結膜下、皮下、真皮下、歯肉下、舌下、粘膜下、網膜下、局所的、経皮(transdermal)、経心内膜、経粘膜、経胎盤、経気管、経鼓膜、尿管、尿道、および/または膣灌流、洗浄、直接注射、および経口投与を含み得る。
【0234】
本明細書で使用される場合、「治療する」および「治療」という用語は、対象が疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の症状の改善を有するように、治療有効量の本明細書に記載される二重腫瘍性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはその組成物を対象に投与することを指す。改善は、疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の症状の任意の改善または修復である。改善は、観察可能または測定可能な改善であるか、または対象の全身の健康感の改善であり得る。したがって、当業者は、治療が疾患状態を改善し得るが、疾患の完全な治癒ではない場合があることを認識している。「予防的有効量」は、所望の予防的結果を達成するために有効な、本明細書に記載される二重腫瘍溶解性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはそれらの組成物の量を指す。本明細書で使用される場合、「予防」は、疾患の症状の完全な予防、疾患の症状の発症の遅延、またはその後に発症する疾患の症状の重症度の軽減を意味することができる。必ずしもそうではないが、典型的には、予防用量は、疾患の前または初期段階の対象において使用されるため、予防的有効量は、治療有効量よりも少ない。
【0235】
本明細書の「がん」は、典型的には制御不能な細胞増殖を特徴とする哺乳類の生理学的状態を指すか、または説明するものである。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(脂肪肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、平滑筋肉腫、脊索腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、軟骨肉腫)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、滑膜腫、シュワン腫、髄膜腫、腺がん、黒色腫、および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるがこれらに限定されない。こうしたがんのより具体的な例には、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がんおよび肺扁平上皮がん、小細胞肺がん腫を含む肺がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がんを含む胃(gastricまたはstomach)がん、膵がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、直腸がん、大腸がん、子宮内膜がんまたは子宮がん、唾液腺がん、腎臓(kidneyまたはrenal)がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝がん、肛門がん、陰茎がん、精巣がん、食道がん、胆道腫瘍、ユーイング腫瘍、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭状がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、ヘパトーマ、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胚性がん腫、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、肺がん腫、膀胱がん腫、上皮がん腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマクログロブリン血症、骨髄異形成疾患、重鎖疾患、神経内分泌腫瘍、シュワン腫および他のがん腫、ならびに頭頸部がんが挙げられる。
【0236】
特定の実施形態では、本明細書に記載の二重腫瘍溶解性ウイルスもしくは二重ウイルスまたはそれらの組成物は、肺がん(例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん)、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、前立腺がん、精巣がん、大腸がん、結腸がん、膵がん、肝がん(例えば、肝細胞がん(HCC))、胃がん、頭頸部がん、甲状腺がん、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、B細胞性慢性リンパ性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、および辺縁帯リンパ腫(MZL)から選択されるがんを治療するために使用される。
【実施例
【0237】
実施例1:ドキシサイクリン応答性プロモーターの特性評価
我々は、様々なテトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターのレポート遺伝子の発現を誘導する能力を試験した。プロモーターの下流にあるTet-On要素を含む各Tet依存性プロモーターは、レポート構築物中のmCherry-NLucレポーター遺伝子に作動可能に連結されていた(図12、右パネル)。HEK293T細胞を、標準的な方法に従って、LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を使用して、MND-TetR構築物およびレポート構築物の1つでトランスフェクトした。一晩増殖させた後、ドキシサイクリン200nMを、複製ウェルの1セットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ナノルシフェラーゼ活性(NanoGlo、Promega)の均一アッセイを使用して相対的なレポーター遺伝子活性を決定した(図12の棒グラフ、各棒上の数値は、ドキシサイクリンの添加後のRLUの倍率変化を示す)。結果は、ドキシサイクリンの添加がレポーター遺伝子の発現を有意に増加させたことを示した。試験されたTet依存性プロモーターの中で、CMVプロモーターは、ドキシサイクリンの添加時に最大の倍率変化を示した。
【0238】
実施例2:Flp応答性STOPカセットの特性評価
HEK293T細胞を、
a)MND-TetR構築物(NLS-TetR-NLSポリペプチドは配列番号864によってコードされる)、
b)任意選択的に、CMV-TetOn(TO)-Flpリコンビナーゼ構築物(+Flp)(陰性対照は(-Flp)として示される)、および
c)CMV-TO-mCherry-NLuc、STOPカセットなし(NLuc)、またはFlp応答性STOPカセット(FSF-NLuc)を伴うCMV-TO-mCherry-NLuc構築物、のいずれか、を用いて、
LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、コトランスフェクトした。一晩増殖させた後、ドキシサイクリン200nMを、複製ウェルの1セットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ナノルシフェラーゼ活性(NanoGlo、Promega)の均一アッセイを使用して相対的なレポーター遺伝子活性を決定した。
【0239】
結果(図13)は、Flp応答性STOPカセット(FSF-NLuc)の組み込みが、ドキシサイクリンによるレポーター遺伝子発現のより大きな制御をもたらしたことを示す。ドキシサイクリンの非存在下では、レポーター遺伝子のベースライン発現は、FSF-NLuc群において減少する(棒グラフの図13の右側)。Tet-On要素によっても制御されるFlpリコンビナーゼ発現構築物の追加は、Flpリコンビナーゼを有しないFSF-NLuc群と比較して、FSF-NLuc構築物の全体的な報告遺伝子発現を増加させる。それどころか、Flp応答性STOPカセットを有しないレポーター遺伝子構築物(NLuc、図13の棒グラフの左側)では、ドキシサイクリンの非存在下でレポーター遺伝子のより高いベースライン発現があり、発現レベルは、Flpリコンビナーゼ発現構築物の存在または非存在による影響を受けなかった。
【0240】
実施例3:Flp活性の翻訳後制御のためのFlp-ERT2融合タンパク質の設計
タモキシフェンを使用して、多くのFlp-ERT2融合タンパク質のFlp活性を制御する能力について試験した(図14)。
【0241】
各Flp-ERT2融合タンパク質は、リンカー領域を介して変異エストロゲン受容体(ERT2)に融合されたFlpを含有する。ERT2は、活性タモキシフェン代謝物4-ヒドロキシタモキシフェン(4OHT)の結合時にのみ、活性化され、次いで核内に移動する。したがって、核における融合タンパク質のFlp活性は、4OHTによって制御され得る。
【0242】
多くのFlp-ERT2融合タンパク質を構築した。RGSリンカー領域を含有する融合タンパク質は、「FER」と表示され、一方、XTENリンカー領域を含有する融合タンパク質は、「FEX」と表示される。FERおよびFEX構築物のN、P、およびNPバリアントは、示されたNLS(N)およびPEST(P)ドメインが各組換えタンパク質のN末端に設計されているバリアントを指す。Flp-ERT2融合タンパク質の各発現構築物は、Flp-ERT2融合タンパク質のコード領域に作動可能に連結された「HBP1プロモーター-TetOn」領域を含む。
【0243】
図14に示される例示的なFLP-RGS-ERT2ポリペプチドは、配列番号846によってコードされるアミノ酸配列を有する。図14に示される例示的なFLP-XTEN-ERT2ポリペプチドは、配列番号847によってコードされるアミノ酸配列を有する。例示的なNLS配列は、配列番号848によってコードされるアミノ酸配列を有する。例示的なPEST配列は、配列番号849によってコードされるアミノ酸配列を有する。
【0244】
我々は、遺伝子発現を制御する各融合タンパク質構築物の能力を試験した。HEK293T細胞を
a)MND-TetR構築物、
b)CMV-TO-mCherry-NLucまたはCMV-TO-FSF-mCherry-NLuc構築物のいずれか、および
c)HBP1-TO-FERまたはHBP1-TO-FEX発現構築物のいずれか、を用いて
LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、コトランスフェクトした。一晩増殖させた後、200nMドキシサイクリンおよび/または1uMの4-ヒドロキシタモキシフェンを複製ウェルのセットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ナノルシフェラーゼ活性(NanoGlo、Promega)の均一アッセイを使用して相対的なレポーター遺伝子活性を決定した。
【0245】
結果(図14)によると、FERP、FERNPA、FEXP、およびFEXNPを含む、いくつかのFlp-ERT2融合タンパク質構築物は、4OHT依存性Flp活性を示した。
【0246】
実施例4:STOPカセット、Flpコード領域におけるイントロン、およびmRNA不安定化要素の発現制御に及ぼす影響
Flp活性をさらに制御するために、イントロン要素を挿入したFlp発現構築物の追加の設計を試験した(図15A)。
【0247】
前述の例のFEXP構築物(配列番号867)をテンプレートとして使用し、イントロン領域(ACTB遺伝子のイントロン2、必要なスプライスドナー/アクセプター要素)をFlpコード領域に挿入した。得られた構築物は、「FEXPi2」(配列番号868)と示される。したがって、FEXPとFEXPi2構築物は、ACTB遺伝子のイントロン2がFLPコード領域に挿入されている点で異なっている。
【0248】
HEK293T細胞を、
a)MND-TetR構築物、
b)HBP2-TO-mCherry-NLucまたはHBP2-TO-FSF-mCherry-NLuc構築物のいずれか、および
c)HBP1-TO-FEXPまたはHBP1-TO-FEXPi2(配列番号869)構築物のいずれか、を用いて、
LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、トランスフェクトした。HBP2-TO-FSF-mCherry-NLucの3つのバージョンが使用され、それぞれFlp応答性STOPカセットのSTOP1(配列番号854)、STOP2(配列番号855)、またはSTOP3(配列番号856)バリアントを含有する。STOP1、STOP2、およびSTOP3のバリアントは、カセット内のタンデムポリアデニル化シグナルの数によって異なる。一晩増殖させた後、200nMドキシサイクリンおよび/または1uMの4-ヒドロキシタモキシフェンを複製ウェルのセットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ナノルシフェラーゼ活性(NanoGlo、Promega)の均一アッセイを使用して相対的なレポーター遺伝子活性を決定した。
【0249】
結果(図15A)によると、Flp応答性STOPカセットの中で、より長いタンデムポリアデニル化シグナルを有するSTOP3カセットが、ベースライン発現を抑制するのに効果的であったが、一方でFlpコード領域におけるイントロンの存在は、STOP3カセットを含む発現構築物と組み合わせた場合、ドキシサイクリンおよび4OHTの両方の存在下でのFlpの最大活性およびレポーター遺伝子の発現レベルを維持するのに役立った。
【0250】
我々はまた、mRNA不安定化要素の挿入を伴うFlp発現構築物の追加設計も試験した(図15B)。異なるmRNA不安定化要素をFEXPi2構築物に挿入した。使用したmRNA不安定化要素は、c-fosコード要素(FCE、配列番号894)、c-fos遺伝子の3’UTR由来のAUリッチ要素(ARE、配列番号895)、およびタンデムでのFCEとAREの両方の組み合わせ(配列番号896)であった。FCEが挿入されたFEXPi2構築物は、FEXPi2-Fと表記され、AREが挿入されたFEXPi2構築物は、FEXPi2-Aと表記され、FCEおよびAREの両方が挿入されたFEXPi2構築物は、FEXPi2-FAと表記されている。
【0251】
LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、HEK293T細胞を、MND-TetRおよびHBP2-TO-FSF-mCherry-NLuc構築物とHBP1-TO-FEXPi2発現構築物のバリアントを用いてトランスフェクトした。一晩増殖させた後、200nMドキシサイクリンおよび/または1uMの4-ヒドロキシタモキシフェンを複製ウェルのセットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ナノルシフェラーゼ活性(NanoGlo、Promega)の均一アッセイを使用して相対的なレポーター遺伝子活性を決定した。結果(図15B)は、mRNA不安定化要素の組み込みが、Flpリコンビナーゼの発現に影響を与える可能性があることを示した。
【0252】
実施例5:様々な発現構築物設計による標的遺伝子発現の制御
様々な発現構築物設計を、遺伝子発現の制御に対するそれらの影響について試験した。
【0253】
図16に示すように、設計は以下を含む。
1)STOPカセット:プロモーター-TetOn領域とレポーター遺伝子コード領域の間に挿入されたSTOPカセットを含む構築物、
2)ペイロード逆位:2つのSTOPカセットを含む構築物であり、レポーター遺伝子コード領域が反転され、直交するFlp認識部位(配列番号861)の制御下に置かれる、
3)プロモーター逆位:2つのSTOPカセットを含む構築物であり、プロモーター領域が反転され、直交するFlp認識部位(配列番号860)の制御下に置かれる、
4)分割イントロン逆位:2つのSTOPカセットを含む構築物であり、プロモーター領域およびレポーター遺伝子コード領域の一部が反転され、直交Flp認識部位の制御下に置かれ、イントロン領域はレポーター遺伝子コード領域(配列番号862)に作動可能に連結されている。
【0254】
HEK293T細胞を、LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、指示された発現構築物を用いてトランスフェクトした。細胞を2日間インキュベートし、ホタルルシフェラーゼ活性(ONE-Glo、Promega)の均一アッセイを使用して、相対的レポーター遺伝子活性を決定した。結果(図16)は、これらの設計がレポーター遺伝子のベースライン発現の減少をもたらし、その中で分割イントロン逆位設計が最低のベースライン(漏出性)発現を達成したことを示した。
【0255】
これらすべての設計は、ドキシサイクリンおよび4OHTに対する応答性についても試験された。HEK293T細胞を、LipofectAMINE 2000(ThermoFisher Scientific)を標準的な方法に従って使用して、指示された発現構築物を用いてトランスフェクトした。一晩増殖させた後、200nMドキシサイクリンおよび/または1uMの4-ヒドロキシタモキシフェンを複製ウェルのセットに添加することによって、遺伝子発現を誘導した。細胞を一晩インキュベートし、ホタルルシフェラーゼ活性(ONE-Glo、Promega)の均一アッセイを使用して、相対的レポーター遺伝子活性を決定した。結果(図17)は、これらすべての設計がドキシサイクリンおよび4OHに対する応答性を示し、最大発現には両方の薬剤が必要であることを示した。
【0256】
実施例6:単一の構築物における転写制御、翻訳制御、およびペイロード構成要素の操作
転写制御、翻訳制御、およびペイロード構成要素を組み込むベクターを構築するために、MultiSite Gatewayシステム(ThermoFisher Scientific)を使用して、Gateway attL部位を様々な構築物に設計し、各構成要素のpDEST14ベクターへのLRクロナーゼ介在アセンブリを容易にした。図18に示す構築物は、前述の実施例(HBP2-TO-STOP3-mCherry-fLuc、配列番号870)で示されるように、STOP3カセットを利用する。前述の実施例によるペイロード逆位設計、プロモーター逆位設計、および分割イントロン逆位設計を利用する追加の構築物も生成した。
【0257】
実施例7:転写制御、翻訳制御、およびOV2ペイロード成分のHSVベクターへの操作
我々は、転写制御、翻訳制御、および二次腫瘍溶解ウイルスゲノム構成要素を、単一のHSVベースの腫瘍溶解ウイルスベクターに組み込む、様々な二重腫瘍溶解ウイルスベクターを構築する。MultiSite Gatewayシステム(ThermoFisher Scientific)を使用して、ゲートウェイattL部位を様々な構築物に設計し、ONCR222bベクターへの各構成要素のLRクロナーゼ介在アセンブリを容易にした。1つの例示的な構築物を図19に示し、それは、Flpリコンビナーゼ発現のためのHBP1_プロモーター-TetOn-FEXPi2カセット(配列番号869)と、一旦STOP3要素がFlpリコンビナーゼによって切除されると、SVVウイルスゲノムおよびmCherryレポーター遺伝子の転写および翻訳を可能にするHBP2_プロモーター-TetOn-STOP3-SVV-mCherry(配列番号871)カセットを組み込む。完全な14.1kbの挿入配列は、配列番号872に提示される。リコンビナーゼ応答性STOP3カセットは、図19の二次腫瘍溶解性ウイルスを制御するために使用されるが、我々はまた、二次腫瘍溶解性ウイルスを制御するために、ペイロード逆位設計、プロモーター逆位設計、および分割イントロン逆位設計をそれぞれ使用する、同様の二重性腫瘍溶解性ウイルスベクターを構築した。HSVベースの二重腫瘍溶解性ウイルスベクターの各々を、Fugene HD(Promega)を使用したVero-SF細胞へのトランスフェクションにより再構成し、ウイルスストックを標準的な方法に従って増殖させ、力価測定した。
【0258】
NCI-H1299細胞は、0.1pfu/細胞の感染多重度で、指示されたONCR-222ベースの二重腫瘍溶解性ウイルスベクターで感染され、SVV-mCherry複製は、200nMのドキシサイクリンおよび1uMの4-ヒドロキシタモキシフェンを複製ウェルに添加することによって誘導された。ウイルス複製を、自動化倒立蛍光顕微鏡(IncuCyte S3)を使用して3日間、2時間ごとにアッセイし、HSVからのGFP発現およびSVVからのmCherry発現についてスクリーニングした。データは、HSV(図20A)またはSVV(図20B)に対するウイルス力価の指標として、GFPおよびmCherry細胞/顕微鏡視野の総数としてプロットされた。結果は、試験されたすべての二重の腫瘍溶解性ウイルスベクターについて、HSVのウイルス力価が、ドキシサイクリンおよび4-ヒドロキシタモキシフェンの存在によって有意な影響を受けないことが示された(図20A)。一方で、STOP3切除カセット設計またはプロモーター逆位設計を有する二重腫瘍溶解性ベクターについては、SVVのウイルス力価は、ドキシサイクリンおよび4-ヒドロキシタモキシフェンの存在下で有意に増加した(図20B)。特に、SVV二次腫瘍溶解性ウイルス(SVV)発現カセットでプロモーター逆位デザインを使用した二重性腫瘍溶解性ウイルスベクターについては、ドキシサイクリンおよび4-ヒドロキシタモキシフェンの非存在下でのSVVの基底産生は最小限であったが、これらの小分子で誘導された後のSVV産生は高かった。
【0259】
実施例8:二重腫瘍溶解性ウイルスは、インビボにおいてより強力な抗腫瘍効果を示す
我々は、SVVウイルスゲノムを腫瘍溶解性HSV骨格ベクターONCR-142に挿入することによって、二重腫瘍溶解性ウイルスベクターを構築した(図21)。SVV+ssRNAの発現は、ゲートウェイカセット内のCMVプロモーターによって制御される。ONCR-189(配列番号873)では、SVVウイルスゲノムをコードするRNAの転写後、SVVウイルスゲノムに隣接する自己切断リボザイムが接合部切断配列として機能し、非ウイルスRNAが転写物から除去され、その結果、SVV RNAが解放されて感染性SVVウイルスの産生が可能になる。対照ベクターONCR-190(配列番号874)では、このようなリボザイムは存在せず、したがって感染性SVVウイルスRNAは産生されない。したがって、ONCR-189はSVV複製能力を有し、一方、ONCR-190はSVV複製能力を有しない。
【0260】
ONCR-189およびONCR-190からのウイルスストックを産生し、Vero細胞で力価測定した。ONCR-189またはONCR-190ウイルスストックの溶解活性を、VeroまたはH1299細胞に感染させることによって試験した(図22)。各ウイルスストックの10倍段階希釈を使用して、VeroまたはH1299細胞を感染させ、細胞をクリスタルバイオレットで染色して、溶解性細胞死および単層クリアランスを視覚化した。ONCR-189およびONCR-190は、HSVに感受性であるがSVV感染に耐性であるVero細胞において同等の細胞殺滅を示した。一方、H1299細胞はHSVおよびSVV感染の両方に感受性であり、ONCR-189はONCR-190よりも高い希釈率でH1299細胞の単層を消去した。さらに、ヒト血清はHSVを中和するが、SVVは中和せず、また、2%ヒト血清の存在下でウイルス感染を行った場合、細胞溶解は、ONCR-190対照では阻害されるが、ONCR-189感染では阻害されない。これらの実験は、ONCR-189が機能的SVV二次腫瘍溶解性ウイルスを効果的に産生できることを示した。
【0261】
次に、1%のトリトンが、ONCR-189またはONCR-190ウイルスストックのH1299細胞に感染する能力に影響を及ぼすかどうかを試験した(図23)。各ウイルスストックの10倍段階希釈を使用してH1299細胞を感染させ、細胞をクリスタルバイオレットで染色して、溶解性細胞死および単層クリアランスを視覚化した。H1299細胞は、細胞溶解誘導のHSVおよびSVVの両方に感受性である。ONCR-189は、同じHSV-1 MOIで感染した場合(ストック中にHSVおよびSVVビリオンが存在するため)、ONCR-190と比較して高い希釈率で単層を除去する。1%トリトンは、HSVのエンベロープを破壊し感染性HSVビリオンを不活化するが、エンベロープを持たないSVVには影響しない。したがって、細胞溶解は、ONCR-190では、1%トリトンの存在下で阻害されるが、ONCR-189ストックでは阻害されない(HSV感染のみが不活化されたが、ONCR-189ウイルスストックにはHSVおよびSVVビリオンが含有されていたため、SVVは1%トリトンによって不活性化されないので、SVVビリオンはH1299細胞を溶解した)。
【0262】
H446細胞のONCR-189およびONCR-190ウイルス感染について、IC50力価アッセイを実施した(図24A)。H446細胞は、HSV感染とSVV感染の両方に感受性がある。結果は、ONCR-189のIC50力価が、ONCR-190と比較して低いことを示した。すなわち、ONCR-189は、H446細胞を殺滅するのにより強力である。1%トリトンの存在下での感染は、HSVのエンベロープを破壊し、感染性HSVビリオンを不活化するが、SVVには影響せず、したがって、1%トリトンを添加した場合、ONCR-190では細胞溶解は阻害されたがONCR-189感染では阻害されなかった。IC50値を図24Bに要約する。
【0263】
別の実験セットでは、H1299細胞を、インビトロで転写されたSVV-negまたはSVV-wtポジティブ鎖RNAでトランスフェクトするか、またはONCR-189およびONCR-190oHSVで感染させた。各試験群からのRNA試料を抽出し、RT qPCRアッセイに供した(図25)。結果は、SVV-WTポジティブ鎖RNAのトランスフェクションが、ウイルス複製を示すポジティブ鎖RNAとネガティブ鎖RNAの両方の高コピーをもたらすことを示した。ONCR-189感染細胞におけるSVVポジティブおよびネガティブ鎖RNAのレベルは、SVV-WTトランスフェクト細胞と同様であり、ONCR-190感染細胞におけるSVV RNAレベルよりもはるかに高く、ONCR-189oHSV感染細胞におけるSVVウイルス複製が成功したことを示す。
【0264】
実施例9:二重腫瘍溶解性ウイルスは、インビボで抗腫瘍効果を示す
二重腫瘍溶解性ウイルスのインビボ有効性の評価は、皮下異種移植片腫瘍(NCI-H1299)を有するヌードマウスにおいて実施された。各oHSVは、1×10PFUのIV用量で静脈内(IV)に投与され、SVVは、1×10PFUのIV用量で投与された。NCI-H1299を有するマウスは、腫瘍が150mm(1群当たりn=7)に達したときにコホート化され、1、4、および7日目に静脈内投与を受けた。腫瘍増殖(図26A)および体重(図26B)を週に2回測定した。
【0265】
図26Aに示すように、oHSV骨格ベクター(ONCR-142)およびリボザイムなしでSVVをコードするoHSV(ONCR-190)は、この腫瘍モデルでは抗腫瘍効果を有しなかった。一方で、SVVビリオンまたはSVVビリオンと組み合わせたONCR-190で処置したマウスは、有意な腫瘍増殖阻害を示した。ONCR-189をIV投与したマウスでも同様の腫瘍増殖阻害が観察され、ONCR-189は、それがインビボで送達されると、腫瘍増殖を阻害することができる機能的なSVVビリオンを効果的に産生できることを示唆する。本試験で試験したいずれの処置においても、動物体重に対する有害作用は観察されなかった(図26B)。群統計比較については、二元配置分散分析(ボンフェローニの多重比較検定)を使用した。P値はPBS対照に対するものであり、*はP<0.05を示す。
【0266】
実施例10:TetOFFリボザイムを使用した遺伝子発現の制御
HEK293細胞を、3’UTR中のK4アプタザイム(配列番号913)またはK7アプタザイム(配列番号914)を含有する転写物を発現するmCherryレポーターベクタープラスミドで一過性にトランスフェクトした。mCherryの発現レベルは、示された濃度を添加したテトラサイクリンのトランスフェクション48時間後に、Spectramax Minimaxでアレイスキャンニングサイトメトリーによって評価された。結果(図27)は、テトラサイクリンが転写物のアプタザイム切断を抑制して遺伝子発現を誘導することを示した。
【0267】
実施例11:二重腫瘍溶解性ウイルスは、インビボで持続的な抗腫瘍効果を示す
二重腫瘍溶解性ウイルスのインビボ有効性の評価は、一次腫瘍溶解性ウイルスに部分的に感受性のある皮下異種移植片腫瘍を有するヌードマウスにおいて実施される。ウイルスは、IVで静脈内(IV)投与される。腫瘍を有するマウスは、腫瘍が150mm(1群当たりn=7~10)に達したときにコホート化され、静脈内に3回投与を受けた。腫瘍増殖は、週に2回測定される。
【0268】
複製能力を有しない二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする一次腫瘍溶解性ウイルスは、この腫瘍モデルにおいて部分的な抗腫瘍効果を有し、腫瘍は一定時間後に再発する。他方、機能的な二次ビリオンを効果的に産生できる複製能力を有する二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする一次腫瘍溶解性ウイルスを処置したマウスは、腫瘍増殖をより大幅に、より長期間阻害する。
【0269】
さらなる番号付けされた実施形態
本開示のさらなる実施形態は、以下の番号付けされた実施形態で提供される。
【0270】
実施形態1.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルス。
【0271】
実施形態2.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを含む、組換え一次ウイルス。
【0272】
実施形態3.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有する、実施形態1に記載のウイルス。
【0273】
実施形態4.一次ウイルスおよび二次ウイルスが、複製能力を有する、実施形態2に記載のウイルス。
【0274】
実施形態5.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有しない、実施形態1に記載のウイルス。
【0275】
実施形態6.一次ウイルスおよび/または二次ウイルスが、複製能力を有しない、実施形態2に記載のウイルス。
【0276】
実施形態7.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態1、3、および5のいずれか1つに記載のウイルス。
【0277】
実施形態8.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態2、4、および6のいずれか1つに記載のウイルス。
【0278】
実施形態9.一次腫瘍溶解性ウイルスが、二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、実施形態1、3、5、および7のいずれか1つに記載のウイルス。
【0279】
実施形態10.一次ウイルスが、二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、実施形態2、4、6、および8のいずれか1つに記載のウイルス。
【0280】
実施形態11.一次腫瘍溶解性ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、実施形態1、3、5、7、および9のいずれか1つに記載のウイルス。
【0281】
実施形態12.一次ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、実施形態2、4、6、8、および10のいずれか1つに記載のウイルス。
【0282】
実施形態13.dsDNAウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)またはアデノウイルスである、実施形態11または12に記載のウイルス。
【0283】
実施形態14.dsDNAウイルスが、Poxviridaeファミリーのウイルスである、実施形態11または12に記載のウイルス。
【0284】
実施形態15.dsDNAウイルスが、伝染性軟属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナ(vaccina)ウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである、実施形態14に記載のウイルス。
【0285】
実施形態16.一次腫瘍溶解性ウイルスが、RNAウイルスである、実施形態1、3、5、7、および9のいずれか1つに記載のウイルス。
【0286】
実施形態17.一次ウイルスが、RNAウイルスである、実施形態2、4、6、8、および10のいずれか1つに記載のウイルス。
【0287】
実施形態18.RNAウイルスが、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである、実施形態16または17に記載のウイルス。
【0288】
実施形態19.二次腫瘍溶解性ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、および18のいずれか1つに記載のウイルス。
【0289】
実施形態20.二次ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、実施形態2、4、6、8、10、12~15、および17~18のいずれか1つに記載のウイルス。
【0290】
実施形態21.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのネガティブセンスssRNAウイルスである、実施形態19または20に記載のウイルス。
【0291】
実施形態22.Rhabdoviridaeファミリーのウイルスが、水胞性口内炎ウイルス(VSV)またはマラバウイルスである、実施形態21に記載のウイルス。
【0292】
実施形態23.Paramyxoviridaeファミリーのウイルスが、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、または麻疹ウイルスである、実施形態21に記載のウイルス。
【0293】
実施形態24.Orthomyxoviridaeファミリーのウイルスが、インフルエンザウイルスである、実施形態21に記載のウイルス。
【0294】
実施形態25.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、エンテロウイルスである、実施形態19または20に記載のウイルス。
【0295】
実施形態26.エンテロウイルスが、ポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスである、実施形態25に記載のウイルス。
【0296】
実施形態27.コクサキウイルスが、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)である、実施形態26に記載のウイルス、
【0297】
実施形態28.コクサキウイルスが、CVA9、CVA21、またはCVB3である、実施形態27に記載のウイルス。
【0298】
実施形態29.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、脳心筋炎ウイルス(EMCV)である、実施形態19または20に記載のウイルス。
【0299】
実施形態30.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、メンゴウイルスである、実施形態19または20に記載のウイルス。
【0300】
実施形態31.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、Togaviridaeファミリーのウイルスである、実施形態19または20に記載のウイルス。
【0301】
実施形態32.Togaviridaeファミリーのウイルスが、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスである、実施形態31に記載のウイルス。
【0302】
実施形態33.新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスが、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである、実施形態32に記載のウイルス。
【0303】
実施形態34.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスが、キメラウイルスである、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、および21~33のいずれか1つに記載のウイルス。
【0304】
実施形態35.一次ウイルスおよび/または二次ウイルスが、キメラウイルスである、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、および20~33のいずれか1つに記載のウイルス。
【0305】
実施形態36.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスである、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、および21~34のいずれか1つに記載のウイルス。
【0306】
実施形態37.一次ウイルスおよび/または二次ウイルスが、シュードタイプウイルスである、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、および35のいずれか1つに記載のウイルス。
【0307】
実施形態38.二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスであり、一次腫瘍溶解性ウイルスが、二次腫瘍溶解性ウイルスのコード領域の外側にある二次腫瘍溶解性ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む、実施形態36に記載のウイルス。
【0308】
実施形態39.二次腫瘍溶解性ウイルスが、アルファウイルス、パラミクソウイルス、またはラブドウイルスである、実施形態38に記載のウイルス。
【0309】
実施形態40.二次ウイルスが、シュードタイプウイルスであり、一次ウイルスが、二次ウイルスのコード領域の外側にある二次ウイルスのキャプシドタンパク質またはエンベロープタンパク質のコード領域を含む、実施形態37に記載のウイルス。
【0310】
実施形態41.二次ウイルスが、アルファウイルス、パラミクソウイルス、またはラブドウイルスである、実施形態40に記載のウイルス。
【0311】
実施形態42.調節可能なプロモーターが、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン誘導性プロモーターから選択される、実施形態7~41のいずれか1つに記載のウイルス。
【0312】
実施形態43.調節可能なプロモーターが、リコンビナーゼ認識部位に隣接した構成的プロモーターを含む、実施形態7~41のいずれか1つに記載のウイルス。
【0313】
実施形態44.調節可能なプロモーターに結合することができるペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載のウイルス。
【0314】
実施形態45.第2のポリヌクレオチドが、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態44に記載のウイルス。
【0315】
実施形態46.構成的プロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される、実施形態45に記載のウイルス。
【0316】
実施形態47.調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、ペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、実施形態44~46のいずれか1つに記載のウイルス。
【0317】
実施形態48.調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)依存性プロモーターであり、ペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、実施形態44~46のいずれか1つに記載のウイルス。
【0318】
実施形態49.一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスが、1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載のウイルス。
【0319】
実施形態50.1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードするポリヌクレオチドが、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態49に記載のウイルス。
【0320】
実施形態51.1つ以上のRNAi分子が、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのゲノムの標的配列に結合し、かつ二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの複製を阻害する、実施形態49または50に記載のウイルス。
【0321】
実施形態52.RNAi分子が、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである、実施形態49~51のいずれか1つに記載のウイルス。
【0322】
実施形態53.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、および42~52のいずれか1つに記載のウイルス。
【0323】
実施形態54.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、および40~52のいずれか1つに記載のウイルス。
【0324】
実施形態55.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、リコンビナーゼ応答性カセットが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、および42~53のいずれか1つに記載のウイルス。
【0325】
実施形態56.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットを含み、リコンビナーゼ応答性カセットが、1つ以上のリコンビナーゼ認識部位を含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、および54のいずれか1つに記載のウイルス。
【0326】
実施形態57.1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットが、リコンビナーゼ応答性切除カセット(RREC)を含む、実施形態55または56に記載のウイルス。
【0327】
実施形態58.RRECが、転写/翻訳終結(STOP)要素を含む、実施形態57に記載のウイルス。
【0328】
実施形態59.転写/翻訳終結(STOP)要素が、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を含む、実施形態58に記載のウイルス。
【0329】
実施形態60.1つ以上のリコンビナーゼ応答性カセットが、リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)を含む、実施形態55~59のいずれか1つに記載のウイルス。
【0330】
実施形態61.RRICが、中心要素の両側に2つ以上の直交リコンビナーゼ認識部位を含む、実施形態60に記載のウイルス。
【0331】
実施形態62.RRICが、プロモーターまたはプロモーターの一部を含む、実施形態60または61に記載のウイルス。
【0332】
実施形態63.RRICが、コード領域またはコード領域の一部を含み、コード領域が、二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスのウイルスゲノムをコードする、実施形態60または61に記載のウイルス。
【0333】
実施形態64.RRICが、1つ以上の制御要素を含む、実施形態60~63のいずれか1つに記載のウイルス。
【0334】
実施形態65.制御要素が、転写/翻訳終結(STOP)要素である、実施形態64に記載のウイルス。
【0335】
実施形態66.制御要素が、配列番号854~856のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を有する、実施形態65に記載のウイルス。
【0336】
実施形態67.リコンビナーゼ応答性逆位カセット(RRIC)が、イントロンの一部をさらに含む、実施形態60~66のいずれか1つに記載のウイルス。
【0337】
実施形態68.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、mRNAスプライシングを介してイントロンを除去した後、リコンビナーゼ認識部位を有しない二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスの成熟ウイルスゲノム転写物をもたらす、実施形態67に記載のウイルス。
【0338】
実施形態69.一次腫瘍溶解性ウイルスまたは一次ウイルスが、リコンビナーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態1~68のいずれか1つに記載のウイルス。
【0339】
実施形態70.リコンビナーゼが、フリッパーゼ(Flp)またはCreリコンビナーゼ(Cre)である、実施形態69に記載のウイルス。
【0340】
実施形態71.リコンビナーゼのコード領域が、イントロンを含む、実施形態69または70に記載のウイルス。
【0341】
実施形態72.リコンビナーゼリコンビナーゼの発現カセットが、1つ以上のmRNA不安定化要素を含む、実施形態69~71のいずれか1つに記載のウイルス。
【0342】
実施形態73.リコンビナーゼが、追加のポリペプチドを含む融合タンパク質の一部であり、追加のポリペプチドが、リコンビナーゼの活性および/または細胞局在を調節する、実施形態69~72のいずれか1つに記載のウイルス。
【0343】
実施形態74.リコンビナーゼの活性および/または細胞局在が、リガンドおよび/または小分子の存在によって調節される、実施形態73に記載のウイルス。
【0344】
実施形態75.追加のポリペプチドが、エストロゲン受容体タンパク質のリガンド結合ドメインを含む、実施形態73または74に記載のウイルス。
【0345】
実施形態76.1つ以上のリコンビナーゼ認識部位が、フリッパーゼ認識標的(FRT)部位である、実施形態53~75のいずれか1つに記載のウイルス。
【0346】
実施形態77.一次腫瘍溶解性ウイルスが、調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、調節ポリペプチドが、1つ以上のプロモーターの活性を調節する、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、および57~76のいずれか1つに記載のウイルス。
【0347】
実施形態78.一次ウイルスが、調節ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、調節ポリペプチドが、1つ以上のプロモーターの活性を調節する、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、および56~76のいずれか1つに記載のウイルス。
【0348】
実施形態79.
二次腫瘍溶解性ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、
1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む、組換え一次腫瘍溶解性ウイルス。
【0349】
実施形態80.
二次ウイルスをコードする第1のポリヌクレオチドと、
1つ以上のRNA干渉(RNAi)分子をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む、組換え一次ウイルス。
【0350】
実施形態81.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製能力を有する、実施形態79に記載のウイルス。
【0351】
実施形態82.一次ウイルスおよび二次ウイルスが、複製能力を有する、実施形態80に記載のウイルス。
【0352】
実施形態83.第1のポリヌクレオチドが、第1の調節可能なプロモーターに作動可能に連結され、第2のポリヌクレオチドが、第2の調節可能なプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態79~82のいずれか1つに記載のウイルス。
【0353】
実施形態84.一次腫瘍溶解性ウイルスが、二次腫瘍溶解性ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、実施形態79、81、aおよび83のいずれか1つに記載のウイルス。
【0354】
実施形態85.一次ウイルスが、二次ウイルスに対する抗原特異的免疫を媒介しない抗原特異的免疫応答を発生させる、実施形態80、82、および83のいずれか1つに記載のウイルス。
【0355】
実施形態86.一次腫瘍溶解性ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、実施形態79、81、83、および84のいずれか1つに記載のウイルス。
【0356】
実施形態87.一次ウイルスが、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスである、実施形態80、82、83、および85のいずれか1つに記載のウイルス。
【0357】
実施形態88.dsDNAウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス、またはPoxviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的にPoxviridaeファミリーのウイルスのウイルスが、伝染性軟体属腫ウイルス、粘液腫ウイルス、ワクシーナウイルス、サル痘ウイルス、またはヤタポックスウイルスである、実施形態86または87に記載のウイルス。
【0358】
実施形態89.一次腫瘍溶解性ウイルスが、RNAウイルスである、実施形態79、81、83、および84のいずれか1つに記載のウイルス。
【0359】
実施形態90.一次ウイルスが、RNAウイルスである、実施形態80、82、83、および85のいずれか1つに記載のウイルス。
【0360】
実施形態91.RNAウイルスが、パラミクソウイルスまたはラブドウイルスである、実施形態89または90に記載のウイルス。
【0361】
実施形態92.二次腫瘍溶解性ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、実施形態79、81、83、84、86、88、89、および91のいずれか1つに記載のウイルス。
【0362】
実施形態93.二次ウイルスが、ポジティブセンス一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス、ネガティブセンスssRNAウイルス、またはアンビセンスssRNAウイルスである、実施形態80、82、83、85、87、88、および90~91のいずれか1つに記載のウイルス。
【0363】
実施形態94.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ネガティブセンスssRNAウイルスであり、ネガティブセンスssRNAウイルスが、Rrhabdoviridaeファミリー、Paramyxoviridaeファミリー、またはOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、
Rhabdoviridaeファミリーのウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)もしくはマラバウイルスであり、
Paramyxoviridaeファミリーのウイルスが、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、もしくは麻疹ウイルスであり、または
Orthomyxoviridaeファミリーのウイルスが、インフルエンザウイルスである、実施形態92または93に記載のウイルス。
【0364】
実施形態95.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスがポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスがエンテロウイルスであり、任意選択的にエンテロウイルスがポリオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)、コクサッキーウイルス、またはエコーウイルスであり、任意選択的に、コクサキウイルスが、コクサッキーウイルスA(CVA)またはコクサッキーウイルスB(CVB)であり、任意選択的に、コクサキウイルスが、CVA9、CVA21、またはCVB3である、実施形態92または93に記載のウイルス。
【0365】
実施形態96.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、脳心筋炎ウイルス(EMCV)またはメンゴウイルスである、実施形態92または93に記載のウイルス。
【0366】
実施形態97.二次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次ウイルスが、ポジティブセンスssRNAウイルスであり、ポジティブセンスssRNAウイルスが、Togaviridaeファミリーのウイルスであり、任意選択的に、Togaviridaeファミリーのウイルスが、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスであり、任意選択的に、新世界アルファウイルスまたは旧世界アルファウイルスが、VEEV、WEEV、EEV、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、またはマヤロウイルスである、実施形態92または93に記載のウイルス。
【0367】
実施形態98.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスが、キメラウイルスである、実施形態79、81、83、84、86、88、89、91~92、および94~97のいずれか1つに記載のウイルス。
【0368】
実施形態99.一次ウイルスおよび/または二次ウイルスが、キメラウイルスである、実施形態80、82、83、85、87、88、90~91、および93~97のいずれか1つに記載のウイルス。
【0369】
実施形態100.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび/または二次腫瘍溶解性ウイルスが、シュードタイプウイルスである、実施形態79、81、83、84、86、88、89、91~92、および94~98のいずれか1つに記載のウイルス。
【0370】
実施形態101.一次ウイルスおよび/または二次ウイルスが、シュードタイプウイルスである、実施形態80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、および99のいずれか1つに記載のウイルス。
【0371】
実施形態102.第1および第2の調節可能なプロモーターが、ステロイド誘導性プロモーター、メタロチオニンプロモーター、MX-1プロモーター、GENESWITCH(商標)ハイブリッドプロモーター、クメート応答性プロモーター、およびテトラサイクリン依存性プロモーターから選択される、実施形態79~101のいずれか1つに記載のウイルス。
【0372】
実施形態103.第1の調節可能なプロモーターに結合することができる第1のペプチドおよび第2の調節可能なプロモーターに結合することができる第2のペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態79~102のいずれか1つに記載のウイルス。
【0373】
実施形態104.第3のポリヌクレオチドが、構成的プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態103に記載のウイルス。
【0374】
実施形態105.構成的プロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、伸長因子1α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ユビキチンCプロモーター(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、およびサイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーターから選択される、実施形態104に記載のウイルス。
【0375】
実施形態106.第1の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、第1のペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、実施形態103~105のいずれか1つに記載のウイルス。
【0376】
実施形態107.第2の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、第2のペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、実施形態103~106のいずれか1つに記載のウイルス。
【0377】
実施形態108.第1の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)抑制性プロモーターであり、第1のペプチドが、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)ペプチドである、実施形態103~106のいずれか1つに記載のウイルス。
【0378】
実施形態109.第2の調節可能なプロモーターが、テトラサイクリン(Tet)誘導性プロモーターであり、第2のペプチドが、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)ペプチドである、実施形態103~108のいずれか1つに記載のウイルス。
【0379】
実施形態110.1つ以上のRNAi分子が、二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する、実施形態79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、および102~109のいずれか1つに記載のウイルス。
【0380】
実施形態111.1つ以上のRNAi分子が、二次ウイルスのゲノム中の標的配列に結合し、かつ二次ウイルスの複製を阻害する、実施形態80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、および101~109のいずれか1つに記載のウイルス。
【0381】
実施形態112.RNAi分子が、siRNA、miRNA、shRNA、またはAmiRNAである、実施形態110または111に記載のウイルス。
【0382】
実施形態113.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイム配列を含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、および112のいずれか1つに記載のウイルス。
【0383】
実施形態114.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドが、第1の3’リボザイムコード配列および第2の5’リボザイムコード配列を含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、および111~112のいずれか1つに記載のウイルス。
【0384】
実施形態115.第1および第2のリボザイムコード配列が、ハンマーヘッド型リボザイムまたは肝炎デルタウイルスリボザイムをコードする、実施形態113または114に記載のウイルス。
【0385】
実施形態116.一次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、および115のいずれか1つに記載のウイルス。
【0386】
実施形態117.一次ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114、および115のいずれか1つに記載のウイルス。
【0387】
実施形態118.二次腫瘍溶解性ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、および115~116のいずれか1つに記載のウイルス。
【0388】
実施形態119.二次ウイルスのゲノムが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットを含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、および117のいずれか1つに記載のウイルス。
【0389】
実施形態120.一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、115~116、および118のいずれか1つに記載のウイルス。
【0390】
実施形態121.一次ウイルスおよび二次ウイルスが、複製に必要な1つ以上のウイルス遺伝子に挿入された、またはウイルスゲノムの3’もしくは5’UTRに挿入された1つ以上のmiRNA標的配列を含むmiRNA標的配列(miR-TS)カセットをそれぞれ含む、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、117、および119のいずれか1つに記載のウイルス。
【0391】
実施形態122.細胞内の1つ以上のmiRNAの発現が、一次および/または二次腫瘍溶解性ウイルスの複製を阻害する、実施形態116、118、および120のいずれか1つに記載のウイルス。
【0392】
実施形態123.細胞内の1つ以上のmiRNAの発現が、一次および/または二次ウイルスの複製を阻害する、実施形態117、119、および121のいずれか1つに記載のウイルス。
【0393】
実施形態124.少なくとも1つの外因性ペイロードタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1~123のいずれか1つに記載のウイルス。
【0394】
実施形態125.外因性ペイロードタンパク質が、蛍光タンパク質、酵素、サイトカイン、ケモカイン、または抗原結合分子である、実施形態124に記載のウイルス。
【0395】
実施形態126.二次腫瘍溶解性ウイルスの発現が、外因性薬剤によって調節される、実施形態1、3、5、7、9、11、13~16、18~19、21~34、36、38~39、42~53、55、57~77、79、81、83、84、86、88、89、91~92、94~98、100、102~109、110、112~113、115~116、118、120、122、および124~125のいずれか1つに記載のウイルス。
【0396】
実施形態127.二次ウイルスの発現が、外因性薬剤によって調節される、実施形態2、4、6、8、10、12~15、17~18、20~33、35、37、40~52、54、56~76、78、80、82、83、85、87、88、90~91、93~97、99、101~109、111~112、114~115、117、119、121、および123~125のいずれか1つに記載のウイルス。
【0397】
実施形態128.外因性薬剤が、ペプチド、ホルモン、または小分子である、実施形態126または127に記載のウイルス。
【0398】
実施形態129.実施形態1~128のいずれか1つに記載のウイルスを含む、組成物。
【0399】
実施形態130.腫瘍細胞の集団を殺滅する方法であって、実施形態1~128のいずれか1つに記載のウイルスまたは実施形態129に記載の組成物を、腫瘍細胞の集団に投与することを含む、方法。
【0400】
実施形態131.腫瘍細胞の第1の亜集団が、一次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される、実施形態130に記載の方法。
【0401】
実施形態132.腫瘍細胞の第2の亜集団が、二次腫瘍溶解性ウイルスによって感染および殺滅される、実施形態130または131に記載の方法。
【0402】
実施形態133.腫瘍細胞の亜集団が、一次腫瘍溶解性ウイルスおよび二次腫瘍溶解性ウイルスの両方によって感染および殺滅される、実施形態130~132のいずれか1つに記載の方法。
【0403】
実施形態134.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される、実施形態130~133のいずれか1つに記載の方法。
【0404】
実施形態135.腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する、実施形態130~134のいずれか1つに記載の方法。
【0405】
実施形態136.1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する、実施形態135に記載の方法。
【0406】
実施形態137.1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する、実施形態135に記載の方法。
【0407】
実施形態138.外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、実施形態137に記載の方法。
【0408】
実施形態139.外因性薬剤の投与前に二次腫瘍溶解性ウイルスが不検出である、実施形態135~138のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
実施形態140.腫瘍細胞の第1の亜集団が、一次ウイルスによって感染および殺滅される、実施形態130に記載の方法。
【0410】
実施形態141.腫瘍細胞の第2の亜集団が、二次ウイルスによって感染および殺滅される、実施形態130または140に記載の方法。
【0411】
実施形態142.腫瘍細胞の亜集団が、一次ウイルスおよび二次ウイルスの両方によって感染および殺滅される、実施形態130、140、および141のいずれか1つに記載の方法。
【0412】
実施形態143.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次および二次ウイルスによって殺滅される、実施形態130および140~142のいずれか1つに記載の方法。
【0413】
実施形態144.腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤が、二次ウイルスの産生を調節する、実施形態130および140~143のいずれか1つに記載の方法。
【0414】
実施形態145.1つ以上の外因性薬剤が、一次ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在が、二次ウイルスの産生を阻害する、実施形態144に記載の方法。
【0415】
実施形態146.1つ以上の外因性薬剤が、一次ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在が、二次ウイルスの産生を誘導する、実施形態145に記載の方法。
【0416】
実施形態147.外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、実施形態146に記載の方法。
【0417】
実施形態148.外因性薬剤の投与前に二次ウイルスが不検出である、実施形態144~147のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
実施形態149.腫瘍の治療を必要とする対象における腫瘍を治療する方法であって、実施形態1~128のいずれか1つに記載のウイルスまたは実施形態129に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0419】
実施形態150.二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次および二次腫瘍溶解性ウイルスによって殺滅される、実施形態149に記載の方法。
【0420】
実施形態151.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスの投与または二次腫瘍溶解性ウイルスのみの投与と比較して、対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる、実施形態149または150に記載の方法。
【0421】
実施形態152.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答を誘導する、実施形態149~151のいずれか1つに記載の方法。
【0422】
実施形態153.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、実施形態149~152のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
実施形態154.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、実施形態149~153のいずれか1つに記載の方法。
【0424】
実施形態155.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における腫瘍細胞の優先的な/より特異的な殺滅をもたらす、実施形態149~154のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
実施形態156.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与することと比較して、対象における一次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす、実施形態149~155に記載の方法。
【0426】
実施形態157.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次腫瘍溶解性ウイルスのより持続的な産生をもたらす、実施形態149~156のいずれか1つに記載の方法。
【0427】
実施形態158.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす、実施形態149~157のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
実施形態159.方法が、二次腫瘍溶解性ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次腫瘍溶解性ウイルスを投与するかまたは二次腫瘍溶解性ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする、実施形態149~158のいずれか1つに記載の方法。
【0429】
実施形態160.腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を調節する、実施形態149~159のいずれか1つに記載の方法。
【0430】
実施形態161.1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を阻害する、実施形態160に記載の方法。
【0431】
実施形態162.1つ以上の外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在が、二次腫瘍溶解性ウイルスの産生を誘導する、実施形態160に記載の方法。
【0432】
実施形態163.外因性薬剤が、一次腫瘍溶解性ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、実施形態162に記載の方法。
【0433】
実施形態164.外因性薬剤の投与前に二次腫瘍溶解性ウイルスが不検出である、実施形態160~163のいずれか1つに記載の方法。
【0434】
実施形態165.二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスまたは二次ウイルスのみによって殺滅された腫瘍細胞の数と比較して、集団内のより多くの数の腫瘍細胞が、一次および二次ウイルスによって殺滅される、実施形態149に記載の方法。
【0435】
実施形態166.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスの投与または二次ウイルスのみの投与と比較して、対象における腫瘍サイズのより大幅な縮小につながる、実施形態149または165に記載の方法。
【0436】
実施形態167.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における1つ以上の腫瘍抗原に対するより強力な免疫応答を誘導する、実施形態149、165、および166のいずれか1つに記載の方法。
【0437】
実施形態168.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、対象における一次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、実施形態149、および165~167のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
実施形態169.方法が、二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次ウイルスに対する免疫応答の減少をもたらす、実施形態149、および165~168のいずれか1つに記載の方法。
【0439】
実施形態170.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における腫瘍細胞の優先的な/より特異的な殺滅をもたらす、実施形態149、および165~169のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
実施形態171.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与することと比較して、対象における一次ウイルスのより持続的な産生をもたらす、実施形態149、および165~170のいずれか1つの方法。
【0441】
実施形態172.方法が、二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における二次ウイルスのより持続的な産生をもたらす、実施形態149、および165~171のいずれか1つに記載の方法。
【0442】
実施形態173.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、対象における長期間の腫瘍阻止をもたらす、実施形態149、および165~172のいずれか1つの方法。
【0443】
実施形態174.方法が、二次ウイルスをコードするポリヌクレオチドを有しない参照一次ウイルスを投与するかまたは二次ウイルスのみを投与することと比較して、より多くの細胞タイプのウイルス感染を可能にする、実施形態149、および165~173のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
実施形態175.腫瘍細胞の集団に1つ以上の外因性薬剤を投与することをさらに含み、1つ以上の外因性薬剤が、二次ウイルスの産生を調節する、実施形態149、および165~174のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
実施形態176.1つ以上の外因性薬剤が、一次ウイルスと同時に投与され、外因性薬剤の存在が、二次ウイルスの産生を阻害する、実施形態175に記載の方法。
【0446】
実施形態177.1つ以上の外因性薬剤が、一次ウイルスの後に投与され、外因性薬剤の存在が、二次ウイルスの産生を誘導する、実施形態175に記載の方法。
【0447】
実施形態178.外因性薬剤が、一次ウイルスの投与の少なくとも1日後に、少なくとも1週間後に、または少なくとも1か月後に投与される、実施形態177に記載の方法。
【0448】
実施形態179.外因性薬剤の投与前に二次ウイルスが不検出である、実施形態175~178のいずれか1つに記載の方法。
【0449】
実施形態180.実施形態1~128に記載のウイルスをコードするポリヌクレオチド。
【0450】
実施形態181.実施形態180に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【0451】
実施形態182.実施形態181に記載のベクターを含む医薬組成物。
【0452】
参照による組み込み
本明細書に引用されるすべての参考文献、記事、刊行物、特許、特許公開、および特許出願は、すべての目的に対してその全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、記事、刊行物、特許、特許公開、および特許出願についての言及は、それらが有効な先行技術を構成するか、または世界のどの国においても共通の一般知識の一部を形成していると認めるものではなく、またはいかなる形式の示唆を与えるものでもない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図27
図28
【配列表】
2022552287000001.app
【国際調査報告】