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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ウォータクラフト
(51)【国際特許分類】
   B63B 34/10 20200101AFI20221208BHJP
【FI】
B63B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521318
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020074383
(87)【国際公開番号】W WO2021069148
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019127224.6
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519261493
【氏名又は名称】カヤゴ テック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CAYAGO TEC GMBH
【住所又は居所原語表記】Benzstrasse 10, 32108 Bad Salzuflen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ペーター ヴァルプルギス
(57)【要約】
本発明は、ウォータクラフト(10)であって、胴部を有しており、胴部は、上側面(13)の領域に、ユーザがその上体を部分的に載置することができる載置部を有しており、ユーザは好適には船首領域(11)に配置された保持グリップ(20)を掴むことができ、胴部には流路(40)が対応して配置されている、または胴部は流路(40)を有しており、流路(40)にはウォータスクリュ(41)が配置されており、流路(40)は、吸込開口(33)と、リヤ領域(12)における、流れ方向で見てウォータスクリュ(41)の後方の噴流出口(43)と、を有しており、リヤ領域(12)には支持体(50)が、支持体(50)の載置面(51)によって載置部が延長されるように、配置されている、ウォータクラフト(10)に関する。このようなウォータクラフトでは、支持体(50)がその下面に少なくとも1つのスライド面(56)を有しており、支持体(50)が胴部に固定されるように接続されているならば、走行速度の著しい向上が達成可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォータクラフト(10)であって、胴部を有しており、前記胴部は、上側面(13)の領域に、ユーザがその上体を部分的に載置することができる載置部を有しており、前記ユーザは好適には船首領域(11)に配置された保持グリップ(20)を掴むことができ、前記胴部には流路(40)が対応して配置されている、または前記胴部は流路(40)を有しており、前記流路(40)にはウォータスクリュ(41)が配置されており、前記流路(40)は、吸込開口(33)と、リヤ領域(12)における、流れ方向で見て前記ウォータスクリュ(41)の後方の噴流出口(43)と、を有しており、前記リヤ領域(12)には支持体(50)が、前記支持体(50)の載置面(51)によって前記載置部が延長されるように、配置されている、ウォータクラフト(10)において、
前記支持体(50)はその下面に少なくとも1つのスライド面(56)を有しており、前記支持体(50)は前記胴部に固定されるように接続されていることを特徴とする、ウォータクラフト(10)。
【請求項2】
前記支持体(50)は、交換可能に前記胴部に接続可能である、または前記胴部に固定的に接続されていて、特に前記胴部に一体的に連結されている、請求項1記載のウォータクラフト。
【請求項3】
前記胴部と前記支持体(50)との間では、交換可能な連結器が有効であり、前記交換可能な連結器によって、前記支持体(50)は交換可能に前記胴部に接続されている、請求項1または2記載のウォータクラフト。
【請求項4】
前記交換可能な連結器は、他方の接続相手(胴部または支持体(50))の1つまたは複数の保持収容部内に装着されている1つまたは複数の突出部を有している、請求項2または3記載のウォータクラフト。
【請求項5】
前記支持体(50)にはまたは前記胴部には、互いに間隔を置いて配置された2つの外形部分が突出しており、前記外形部分は、前記胴部または前記支持体(50)の差込み受け部内に装着されている、請求項2から4までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項6】
前記外形部分は前記支持体(50)に突出しており、前記支持体に固定的に結合されている、請求項5記載のウォータクラフト。
【請求項7】
前記胴部と前記支持体(50)との間の固定接続は、前記胴部と前記支持体(50)との間に、製造条件的な許容誤差を無視すると、回転運動および/または並進運動が生じないように設計されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項8】
前記流路(40)の前記噴流出口(43)は、前記ウォータスクリュ(41)によって発生させられた水の噴流が、前記支持体(50)の下面に沿って進むように、特に前記支持体(50)の前記下面に沿ってガイドされるように、配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項9】
前記支持体(50)はその下面に凹部(57)を有しており、前記凹部は、走行運転中、前記水の噴流を部分的に受容し、ガイドするように形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項10】
前記凹部(57)は、前記胴部の前記リヤ領域への前記支持体(50)の接続領域(52)を起点として、前記船首領域(11)とは反対側の端部の方向に延在していて、好適には前記支持体(50)の前記下面の領域で先細りして終端している、請求項9記載のウォータクラフト。
【請求項11】
前記支持体(50)の長手方向中心軸線(ML)の両側にスライド面(56)が配置されていて、前記スライド面は好適には互いに傾けられていて、特に好適には少なくとも所定の領域で、凹状の面として、または少なくとも所定の領域で平坦な面として形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項12】
前記胴部は下側面(30)の領域に、水ガイド面(35)を有しており、前記水ガイド面は、前記船首領域(11)から前記リヤ領域(12)の方向に延在する前記長手方向中心軸線(ML)に沿って延在しており、前記水ガイド面(35)は前記リヤ領域(12)で、前記支持体(50)の前記スライド面に移行する移行領域(36)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項13】
前記胴部は両側に、前記リヤ領域(12)に配置されている突出部(35.1)を有しており、前記支持体は、前記長手方向中心軸線の方向で側縁(53)によって画定されており、前記突出部(35.1)は、前記胴部の前記長手方向中心軸線(ML)に対して横方向で、少なくとも前記接続領域(52)において前記側縁(53)を越えて突出している、請求項10記載のウォータクラフト。
【請求項14】
前記突出部(35.1)は少なくとも部分的に前記水ガイド面(35)を形成している、請求項13記載のウォータクラフト。
【請求項15】
前記胴部には、前記流路(40)に加えて、浸水室が配置されており、前記浸水室には、水を走行中、水流入開口(17.2,31)を介して、周囲の水によって水を充填することができる、請求項1から14までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項16】
前記浸水室は、前記水流入開口(17.2,31)に加えて、水流出開口(14)を介しても周囲に接続されており、水を走行中、水が前記浸水室を通るようにガイドされ、前記浸水室内に保持された電気的な構成ユニットが冷却される、請求項15記載のウォータクラフト。
【請求項17】
前記長手方向中心軸線(ML)の両側に、前記保持グリップ(20)が配置されていて、前記保持グリップ(20)には操作エレメント(21)が対応して配置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項18】
前記下側面(30)には、前記流路(40)を形成するまたは前記流路を覆う湾曲部(32)が設けられており、前記水ガイド面(35)は、前記湾曲部(32)の両側に配置されていて、かつ/または前記湾曲部(32)の領域に、1つ以上の安定化フィン(38)が配置されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【請求項19】
前記支持体は、コアが発泡プラスチック材料から成っている成形体から形成されていて、前記コアは、硬質のプラスチック層で被覆されている、請求項1から18までのいずれか1項記載のウォータクラフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータクラフトであって、胴部を有しており、胴部は、上側面の領域に、ユーザがその上体を部分的に載置することができる載置部を有しており、ユーザは好適にはフロント領域に配置された保持グリップを掴むことができ、胴部には流路が対応して配置されている、または胴部は流路を有しており、流路にはウォータスクリュが配置されており、流路は、吸込開口と、リヤ領域における、流れ方向で見てウォータスクリュの後方の噴流出口と、を有しており、リヤ領域には支持体が、支持体の載置面によって載置部が延長されるように、配置されている、ウォータクラフトに関する。
【0002】
このような形式のウォータクラフトは、独国特許出願公開第102018104431号明細書により公知である。このウォータクラフトは、リヤ領域でスイムボードがジョイント接続部を介して接続されている牽引式スクーターを形成している。スイムボードは、ウォータクラフトの載置面を延長している。したがってユーザは、その上体を部分的にウォータクラフトに載置し、それ以外の身体領域をスイムボードに載置する。このようにして、ユーザの身体によって流れる水に加えられる流れ抵抗は少なくとも部分的に解消される。
【0003】
本発明の課題は、走行速度を著しく向上させることができる、冒頭で述べた形式のウォータクラフトを提供することである。
【0004】
この課題は、支持体がその下面に少なくとも1つのスライド面を有しており、支持体が胴部に固定されるように接続されていることにより解決される。
【0005】
固定接続を介して、ウォータクラフトに対する支持体の相対運動が阻止されており、これにより支持体がウォータクラフトへの接続領域でもはや屈曲し得ないようになっている。このような固定接続を介して、特に動的な水中走行の際の流れ抵抗を著しく減じることができることが示された。このようにして、支持体の下面に設けられたスライド面を利用して、流れを最適にしてウォータクラフトを押しのけ走行からスライド走行へと移行させることができる。これにより、走行速度を著しく向上させることができる。
【0006】
好ましくは、支持体は、ウォータクラフトに取り付けられた状態で、その延びが、走行方向に向けられた、ウォータクラフトの長手方向中心軸線の方向で、ウォータクラフトの長さの少なくとも30%~50%であるように、好ましくは少なくとも50%~70%であるように、特に好ましくは少なくとも70%であるように設計されている。少なくとも30%~50%では、ウォータクラフトの良好な操縦性が維持される。少なくとも50%~70%で既に、かなりの速度向上が可能である。70%を超えると、著しい速度向上が可能である。発明者らによる実験によれば、この場合、走行速度は、支持体を有していないウォータクラフトの基本速度に対して、部分的には、2倍以上に上げることができることが明らかとなった。
【0007】
本発明の好適な実施態様によれば、支持体は、交換可能に胴部に接続可能である。このようにして、ウォータクラフトを2つの使用形式で運転することができる。組み付けられた支持体を有していない第1の使用形式では、減じられた走行速度は、良好な動的操縦性を伴っている。組み付けられた支持体を有している第2の使用形式では、特に高速の水上走行を実現することができる。したがってユーザは、使用目的に応じて、ウォータクラフトを準備することができる。このような措置により、搬送目的で支持体を省スペースに分解することができるので、より良好な搬送も可能である。
【0008】
本発明の態様によれば、支持体がウォータクラフトに固定的に接続されていることも、特に胴部に一体的に連結されていることも想定されてよい。
【0009】
ウォータクラフトと支持体との間に解除可能な接続が設けられている場合、胴部と支持体との間で交換可能な連結器が有効であると特に有利であることが示された。交換可能な連結器によって、支持体を胴部に交換可能に接続することができる。このカップリング接続を介して、個々の運転形式を変更するために、ユーザは支持体を簡単に取付けもしくは取外しすることができる。
【0010】
この場合、交換可能な連結器は、他方の接続相手(胴部または支持体)の1つまたは複数の保持収容部内に装着される1つまたは複数の突出部を有しているならば、有利であることが示されている。このようにして、ウォータクラフトと支持体との間で、特に剛性的かつ固定接続が可能である。保持収容部内に係合する突出部によって、接続領域では、生じる曲げ負荷の確実な吸収が可能である。
【0011】
支持体または胴部には、互いに間隔を置いて配置された2つの外形部分が突出しており、これらの外形部分は、胴部または支持体の差込み受け部内に装着されていることが想定されているならば、支持体を簡単にウォータクラフトに差し込むことができる。中空外形部分が間隔を置いて配置されていることにより、横方向の力を確実に吸収することができる。勿論、突出している外形部分を支持体にではなく、代替的にウォータクラフトに配置することも可能であり、これにより外形部分は、支持体に設けられた保持収容部内に、特に差込み受け部内に係合する。しかしながら中空外形部分が支持体に設けられていれば、支持体が取り外されている場合に、中空外形部分がウォータクラフトの使用を妨害することはない。付加的にまたは代替的に、外形部分を取り外すことができること、または、ウォータクラフトもしくは支持体と外形部分との間に旋回結合またはスライド結合が設けられていて、これにより外形部分を省スペースに装備できること、も想定することができる。しかしながらこれにより、ウォータクラフトと支持体との間の固定接続が損なわれるべきではない。
【0012】
しかしながら好適には、外形部分は支持体に突出しており、支持体に固定的に結合されていることが想定されている。これにより、支持体が取り外されている場合に、外形部分はウォータクラフトを妨害しない。支持体に固定的に結合されている外形部分によって、ウォータクラフトへの特に固定連結が可能である。
【0013】
本発明の範囲では、特に、胴部と支持体との間の固定接続は、胴部と支持体との間に、製造条件的な許容誤差を無視すると、回転運動および/または並進運動が生じないように設計されていることも可能であることが望ましい。特に、固定接続は、接続領域において、ウォータクラフトと支持体との間にいかなる自由度も許容されないようなものであることが望ましい。
【0014】
好適な本発明の態様によれば、流路の噴流出口は、ウォータスクリュによって発生させられた水の噴流が、支持体の下面に沿って進むように、特に支持体の下面に沿ってガイドされるように、配置されていることが想定されてもよい。これにより、走行速度をさらに高めることができる、特に流れが最適化された構造が可能である。
【0015】
想定可能な本発明の選択的な態様では、支持体はその下面に凹部を有しており、凹部は、走行運転中、水の噴流を部分的に受容し、ガイドするように形成されている。このようにして、支持体の低い構成高さを実現することができる。凹部における水の噴流のガイドはさらなる出力向上につながり得ることも示された。この場合さらに、凹部は、胴部のリヤ領域への支持体の接続領域を起点として、船首領域とは反対側の端部の方向に延在していて、支持体の下面の領域で先細りして終端しているならば好適であることがわかっている。
【0016】
支持体の長手方向中心軸線の両側にスライド面が配置されていて、スライド面は好適には互いに傾けられていて、特に好適には少なくとも所定の領域で、凹状の面として、または少なくとも所定の領域で平坦な面として形成されているならば、押しのけ走行からスライド走行へのより迅速な切換が実現され得る。スライド面は、この場合、支持体の長手方向中心軸線の方向で延在している。好ましくは、スライド面は、ウォータクラフトの流れ面に間接的にまたは直接的に移行するように配置されている。この場合、スライド面が段部なくウォータクラフトの流れ面へと移行するように、または走行方向で下降する段部が生じるように、設計が行われるのが望ましい。これにより、水流は、障害となる流れ抵抗を受けない。スライド面が互いに傾けられていることにより、走行運転の安定化が可能である。
【0017】
本発明によれば、胴部は下側面の領域に、水ガイド面を有しており、水ガイド面は、船首領域からリヤ領域の方向に延在する長手方向中心軸線に沿って延在しており、水ガイド面はリヤ領域で、支持体のスライド面に移行する移行領域を有していることも想定され得る。好ましくは、移行領域は、流れが良好であるように、例えば凸状の丸み付け部として形成されている。
【0018】
胴部は両側に、リヤ領域に配置されている突出部を有しており、支持体は、長手方向中心軸線の方向で側縁によって画定されており、突出部は、胴部の長手方向中心軸線に対して横方向で、少なくとも接続領域において側縁を越えて突出していることが想定されているならば、ウォータクラフトへの支持体の側方の接続領域は、流れが最適になるように形成されて、この場合、この領域で、特に飛沫水を発生させるおそれのあるような障害となる流れ抵抗が阻止される。
【0019】
この場合、特に好適には、突出部は少なくとも部分的に水ガイド面を形成していることが想定されてもよい。このようにして、水ガイド面を突出部によって拡張することができ、これによりスライド特性は支援される。
【0020】
想定可能な本発明の変化態様は、胴部には、流路に加えて、浸水室が配置されており、浸水室には、水を走行中、水流入開口を介して、周囲の水によって水を充填することができるというものである。ウォータクラフトが水中に置かれると、浸水室は水で満たされる。さらに、ウォータクラフトの浮揚力に影響を与えることができる。ウォータクラフトが水から出されると、水は再び水流入開口を通って浸水室から流れ出る。これにより、ウォータクラフトの搬送重量が減じられる。これにより、ウォータクラフトの浮揚力を簡単に調節することができる簡単なシステムが得られる。
【0021】
さらに、浸水室は、水流入開口に加えて、水流出開口を介しても周囲に接続されており、水を走行中、水が浸水室を通るようにガイドされ、浸水室内に保持された電気的な構成ユニットが冷却されるようになっていることが想定されるならば、電気的な構成ユニットの効率的な冷却のために浸水室を利用することができる。冷却のために流水は無限に提供される。
【0022】
本発明の範囲では特に、ウォータクラフトは、ウォータスクリュを間接的にまたは直接的に駆動する電気モータを有していると理解されることが望ましい。電気モータは、1つ以上のバッテリを介して駆動される。さらに、制御ユニットが設けられている。制御ユニットは、ウォータクラフトの機能を制御する。
【0023】
上記構成要素(電気モータ、バッテリ、制御ユニット)の1つ以上は、少なくとも所定の領域で浸水室内に、冷却目的で取り付けられていてもよい。
【0024】
本発明の可能な構成は、下側面には、流路を形成するまたは流路を覆う湾曲部が設けられており、水ガイド面は、この湾曲部の両側に配置されているというものである。これにより、省スペースな構造および特に好ましい水ガイド面への流れ込みが得られる。
【0025】
付加的にまたは選択的に、湾曲部の領域に1つ以上の安定化フィンが配置されていることが想定されてもよい。この安定化フィンは、走行運転を安定化させるために役立つ。安定化フィンは、湾曲部に、ウォータクラフトの長手方向中心軸線から大きく間隔を置いて配置されている。これにより、安定化フィンの安定化特性は良好に発揮され得る。
【0026】
本発明によれば、支持体は、コアが発泡プラスチック材料から成っている成形体から形成されていて、このコアは、硬質のプラスチック層によって被覆されていることが想定されてもよい。例えば、コアはPUフォームから成っていてもよい。被覆するプラスチック層は、例えば、PURから形成されていてもよい。
【0027】
次に、本発明を、図示した実施例につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】支持体を含むウォータクラフトを後方から見た斜視図である。
図2図1の組み付けられた支持体を含むウォータクラフトを下方から見た斜視図である。
図3図1および図2の構成ユニットを上方から見た図である。
図4図1および図2の構成ユニットを下方から見た図である。
図5図1および図2の構成ユニットを側方から見た図である。
図6図1図5の構成ユニットを後方から見た図である。
【0029】
図1にはウォータクラフト10が示されており、このウォータクラフトは、本発明の範囲では、潜水走行用および水上走行用の両方で使用することができる。
【0030】
ウォータクラフト10は、フロント(Bugbereich)領域11およびリヤ領域12を有した胴部(Rumpf)を有している。ウォータクラフト10の胴部には、電気モータおよび1つ以上のバッテリが取り付けられている。バッテリは、電気モータに電力を供給する。
【0031】
図1からわかるように、ウォータクラフト10は、上側面13を有している。上側面13は載置面を形成している。載置面の上に、ユーザは上体の領域を載置することができる。上側面13の領域には側方に、保持グリップ20が設けられている。この保持グリップ20に、ユーザは掴まることができる。
【0032】
保持グリップ20には、操作エレメント21が対応して配置されていてよい。この操作エレメント21によって、ウォータクラフト10の機能性を制御することができる。例えば、操作エレメント21は、電気モータの出力設定を調整することができるように形成されている。操作エレメント21に別の機能性が割り当てられていてもよい。例えば、ウォータクラフト10のコントローラのプログラミングを実施するために操作エレメントを使用することができる。ウォータクラフト10の他の機能を操作エレメント21によって制御することも考えられる。
【0033】
保持グリップ20に続いて、アームレスト15が設けられている。ユーザは、このアームレストの上に前腕を快適に載せることができる。アームレスト15の領域には、ウォータクラフト10の両側にキャリーハンドル15.1が設けられていてもよい。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。むしろ、このようなキャリーハンドル15.1を使用しないことも考えられ、その場合は、ウォータクラフト10の下側面30の領域で、アームレスト15の下側の領域に、水ガイド面を配置するまたは延長することができる。
【0034】
図1に示したように、保持グリップ20を、ウォータクラフト10のノーズ17の後方のグリップ凹部16の領域に、流れが良好であるように配置することができる。
【0035】
ノーズ17は、ウォータクラフトの船首領域11に配置されていて、グリップ凹部16とは独立的に形成することができる。ノーズ17は、ウォータクラフトの前側に向かう方向で流線形に先細りしている。図面からわかるように、前側のノーズ17の領域では、ヘッドライト17.1がウォータクラフトの胴部に組み込まれていることが考えられる。付加的にまたは代替的に、ノーズ17にカメラを設けることもできる。カメラによって動画撮影が可能であり、これは特に水中走行の場合、利点である。
【0036】
ウォータクラフト10の胴部には、浸水室が組み込まれている。この浸水室は、水流入開口17.2と、下側面の領域に配置されていて、図2図4、および図5で良好に見ることができる別の水流入開口31とを介して、周囲に接続されている。
【0037】
浸水室には、上述した電気的な構成ユニットの1つ以上を、冷却目的で組み付けることができる。さらに、水流出開口14によって浸水室を周囲に接続することもできる。
【0038】
ウォータクラフト10が水中に置かれると、周囲からの水が、水流入開口17.2,31から、最初は水流出開口14からも、浸水室内に流入する。ウォータクラフト10が走行運転にされると、水流入開口17.2,31を介して水が浸水室内に流入する。次いで、水は浸水室を貫流し、水流出開口14を通って浸水室から出ていく。
【0039】
このようにして、走行運転の間、浸水室には水流が生成される。内部に保持された1つもしくは複数の電気的な構成ユニットを継続的に冷却するために、この水流を利用することができる。
【0040】
上側面13の領域に水流入開口17.2が設けられているならば、この水流入開口は、水が別の水流入開口17.2,31から流入した場合に、浸水室内の空気をそこから押し出すために使用することができる。
【0041】
水流入開口31が、下側面30の領域に設けられているならば、走行運転の間に継続的な水供給が保証される。
【0042】
図1によりさらに、上側面13の領域に凹部18が設けられていることがわかる。この凹部18は、保持グリップ20の間に配置されている。この凹部18にはディスプレイ18.1が収容されている。このディスプレイ18.1では、水を走行中にユーザが運転パラメータをコントロールすることができる。上述した操作エレメント21は、ディスプレイ18.1の異なる表示状態を切り替えるために使用されてもよい。
【0043】
付加的にまたは代替的に、上側面13に、好ましくは凹部18の領域に、別の操作エレメント18.2が設けられていてもよい。この操作エレメント18.2は、ウォータクラフト10の機能性を制御するためにも使用することができる。好ましくは、このような操作エレメント18.2によって、ディスプレイの機能およびディスプレイの表示状態を制御することもできる。
【0044】
上側面13の領域には、充電プラグが設けられている。カバーエレメント18.3によってこの充電プラグを水密に閉鎖することができる。充電プラグによって、充電のためにバッテリを給電部に接続することができる。
【0045】
図2および図4には、下側面30の構造が示されている。これらの図では、ウォータクラフト10の下面に設けられた水流入開口31が明瞭に示されている。
【0046】
ウォータクラフト10の胴部の内側には、流路40が配置されている。この流路40には、ウォータスクリュ41が配置されている。ウォータスクリュ41は、同様に胴部に取り付けられている電気モータによって駆動される。
【0047】
流路40は、吸込開口33を有している。図5に示したように、この吸込開口33は、ウォータクラフト10の下面の領域に、好ましくは胴部中間の領域に配置されている。この場合、吸込開口33は大まかに寸法設定されている。この場合、この吸込開口を機械的に安定化させるために、安定化エレメント34が使用されていて、安定化エレメントは、剣の形状で、流路40の、半径方向外側に位置する領域を、胴部に対して支持している。図2に示したように、この場合、安定化エレメント34の側方に、吸込開口33の流入領域が形成される。
【0048】
ウォータクラフト10は、下側面30の領域に、図面に明瞭に示されている湾曲部32を有している。この湾曲部32が流路40を収容している。
【0049】
図2により、ウォータクラフト10が、湾曲部32の側方に水ガイド面35を有していることがわかる。したがって、水ガイド面は、流路40の両側に延在している。
【0050】
水ガイド面35は、図面に示したように、吸込開口33の手前に延在する、下側面30のガイド面で連続的にさらにガイドされていてよい。好適には、このガイド面は、水ガイド面35に徐々に移行している。
【0051】
水ガイド面35をできるだけ大面積に寸法設定することができるように、胴部には、側方の突出部35.1が設けられている。水ガイド面35は、この側方の突出部35.1にわたって延在している。
【0052】
背面に向かって、水ガイド面35は、移行領域36に移行している。この移行領域36は、例えば、凸状の湾曲の形状で形成されていてよい。
【0053】
図面からわかるように、ウォータクラフト10には、支持体50を取り付けることができる。支持体50は、この場合、ウォータクラフト10に固定されるように接続されていてよい。これは、支持体50がウォータクラフトに対して、図5の図平面の方向に屈曲できないことを意味している。特に好適には、支持体50はウォータクラフト10に、この支持体が、ウォータクラフト10への結合領域において、並進方向および回転方向の両方で、(製造技術的な誤差の範囲では)ウォータクラフト10に対して変位できないように接続されている。
【0054】
支持体50は、ウォータクラフト10に交換可能にまたは固定的に接続されていてよい。
【0055】
支持体50の上面には載置面51が形成されている。この載置面51は、ウォータクラフト10の上側面13に直接接続されている。このようにして、ユーザがその上に乗ることができる、ウォータクラフト10の載置面は、延長されて、上側面13の載置面と、支持体50の載置面51との全体から形成される。
【0056】
図6により、載置面51の形状がより明瞭に示されている。この図面からわかるように、載置面51は上方に向かって湾曲されて形成されている。この目的で、例えば、載置面51は、隆起した中央領域51.1を有していることが想定され得る。この中央領域51.1には、移行領域51.2を介して側方区分51.3が続いている。移行領域51.2は、例えば凸状の湾曲部として形成されていてよく、これにより快適な載置が可能である。側方区分51.3は、支持体50の、長手方向中心軸線MLに対して横方向に延在する側方領域に向かって、支持体50の断面を減少させている。
【0057】
ウォータクラフト10の胴部は、リヤ領域12に取付け区分19を有している。この取付け区分19は、例えば差込み受け部19.1を有している。取付け区分19には支持体50を取り付けることができる。
【0058】
支持体は、例えば接続領域52を有していてよく、この接続領域で支持体はウォータクラフト10に連結されている。支持体50をウォータクラフトに接続するために、接続領域52で、例えば支持体50から2つの外形部分、例えば2つの管部材が突出していてよい。この場合、これらの外形部分の長手方向軸線は、ウォータクラフト10の長手方向中心軸線MLの方向で延在している。この外形部分をウォータクラフト10の差込み受け部に挿入することができる。この場合、差込み受け部も、ウォータクラフト10の長手方向中心軸線MLの方向で延在している。
【0059】
例えば、差込み受け部は、側方の突出部35.1の領域で延在していてよい。これにより、長手方向中心軸線MLに対して横方向で、大きな支持間隔が提供される。
【0060】
支持体50を組み付けるために、支持体の外形部分が差込み受け部内に挿入される。解除可能な適切なロックによって、支持体50が意図に反してウォータクラフト10から再び引き離されることを阻止することができる。
【0061】
図4には、支持体50が、長手方向中心軸線MLの方向で延在する側方領域において、側縁53によって画定されていることが明瞭に示されている。側縁53はこの場合、ウォータクラフト10との接続領域を起点として、支持体50の幅が減少するように、長手方向中心軸線MLの方向で延在している。好適には、支持体50の幅はこれにより連続的に減少することが想定されている。支持体50の幅が、連続的にかつ/または所定の領域でのみ減少することも想定可能である。
【0062】
側縁53は、丸み付けされた区分54を介して、支持体50の後縁部55に移行している。
【0063】
接続領域52には例えば、支持体50の幅を船首領域11の方向に向かって減じている引込み部52.1が設けられていてよい。
【0064】
特に好適には、胴部への接続領域における支持体50の配置は、側方の突出部35.1が、長手方向中心軸線MLに対して横方向で、ひいてはウォータクラフト10の走行方向に対して横方向で、支持体50の接続領域52に被さるように、適合されている。
【0065】
図2図4および図6には、支持体50の下面に1つ以上のスライド面56を設けることができることが示されている。この実施例では特に、互いに角度をつけられて傾けられている2つのスライド面56が設けられている。このことは特に図6に明瞭に示されている。図6は、スライド面56の面領域56.1がV字型に傾けられていることを示している。面領域56.1は、平坦な面として、または凹状の面として形成されていてもよい。
【0066】
接続領域52を起点として、支持体50の下面には、凹部57が凹設されている。この凹部57は、接続領域52から、支持体50の自由端部の方向に延在している。凹部57は、流路40の噴流出口43に続いて配置されている。したがって、ウォータスクリュ41によって生じた水の噴流は、支持体50の下面に沿ってガイドされる。図面にオプションとして示された凹部57が使用される場合は、このような水の噴流が、凹部57の領域で流れが良好になるようにガイドされる。
【0067】
図2により、流れ方向でウォータスクリュ41の後方に、流路40内にフロースタビライザ42が設けられていることがわかる。このフロースタビライザ42は、ウォータスクリュ41(特にプロペラ)によって発生させられた水の噴流の回転流を少なくとも大部分、整流するために用いられる。これにより、著しい出力の向上が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】