(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】マスカラアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A45D34/04 515A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521326
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 FR2020051788
(87)【国際公開番号】W WO2021069850
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カステクス,ニコラ
(57)【要約】
本発明は、主軸線(A)に沿って延在する楕円形の一般的形状を有するマスカラ用アプリケータに関し、アプリケータ(1)は、主軸線(A)の周りに分配される少なくとも3つのブランチ(4)を備え、アプリケータ(1)の内側でブランチ間にキャビティ(5)を画定する。ブランチ(4)は、それらが接続される基部(2)と、基部(2)から離れたアプリケータ(1)の自由端(3)との間で延在するとともに、キャビティ(5)が主軸線(A)の周りで回転面の形態を有するように成形され、前記キャビティ(5)が前記ブランチ(4)間に形成される空間によって開口している。ブランチ(4)は、主軸線の周りで螺旋状に延在する。このようにして開発された本発明は、内部キャビティによって高い自律性をもたらすマスカラ用アプリケータを得ることができるようにし、その一般的な三次元形態は、良好なレベルの可撓性をもたらすとともに、まつげへの容易な塗布を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楕円形の一般的形状を有するとともに主軸線(A)に沿って延在するマスカラ用アプリケータであって、
アプリケータ(1)は、主軸線(A)の周りに分配される少なくとも3つのブランチ(4)を備え、ブランチ(4)は、アプリケータ(1)の内側でブランチ間にキャビティ(5)を画定する、マスカラ用アプリケータにおいて、
ブランチ(4)は、それらが接続される基部(2)と、基部(2)から離れたアプリケータ(1)の自由端(3)との間で延在するとともに、キャビティ(5)は主軸線(A)の周りの回転面の形状を有するように成形され、前記キャビティ(5)は前記ブランチ(4)間に形成される空間によって開口し、前記ブランチ(4)は主軸線の周りで螺旋状に延在する、
ことを特徴とするマスカラ用アプリケータ。
【請求項2】
ブランチ(4)は、それらが互いに接続される自由端(3)の近傍で合流する、請求項1に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項3】
ブランチの数が5である(41...45)、請求項1又は2に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項4】
ブランチ(4)は、それぞれ、外表面(7)上に、主軸線(A)に対して垂直且つ径方向に延在する突起(8)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項5】
突起(8)は、主軸線(8)に沿って変化する長さを有し、突起(8)の長さは、基部(2)と、前記基部(2)とアプリケータ(1)の自由端(3)との間に位置される主軸線(A)のポイントとの間で連続的に増大するとともに、主軸線(A)の前記ポイントとアプリケータ(1)の自由端(3)との間で連続的に減少する、請求項4に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項6】
アプリケータの各突起は0.2mm~2.5mmに含まれる長さを有する、請求項4又は5に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項7】
各ブランチ(4)において、突起(8)は、基部(2)と自由端(3)との間で2列又は3列を成して整列される、請求項4~6のいずれか一項に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項8】
2つの隣り合う列の突起(8)は、千鳥状の配列を成して配置される、請求項7に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項9】
各ブランチは、基部(2)からアプリケータの自由端(3)まで、主軸線(A)の周りを、45°~90°に含まれる、好ましくは55°~75°に含まれる角度で旋回する、請求項1~8のいずれか一項に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項10】
-ポリアミド、
-ポリアクリルアミド、及び、
-ポリエーテルケトンケトン、
から選択される熱可塑性ポリマーから形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のマスカラ用アプリケータ。
【請求項11】
熱可塑性ポリマー粉末床溶融結合による付加製造によって形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のマスカラ用アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品アプリケータ、特にマスカラアプリケータの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラのアイテム又は「マスカラ」は、従来、ケース、マスカラリザーバ、及び、アプリケータブラシを備える。アプリケータブラシは、把持するための部分と、一般にブラシの形態をとるのに適したアプリケータとを備える。アプリケータブラシは、既知の態様で、マスカラを塗布していないときにリザーバを閉じるように構成されるとともに、アプリケータブラシの把持領域を形成することができるキャップ又は蓋を備えてもよい。
【0003】
従来、幾つかのタイプのアプリケータ、「ボトルブラシ」タイプのアプリケータ、射出成形されるアプリケータ、及び,付加製造(「additive manufacture」と呼ばれることもある)によって製造されるアプリケータが存在する。付加製造は、材料の付加又は凝集による製造プロセスを示す。
【0004】
ボトルブラシタイプのアプリケータはブラシを備え、ブラシは、アプリケータのコアを形成する、ねじれた金属ワイヤに捕捉された繊維によって形成される剛毛を有する。
【0005】
射出成形アプリケータは、一般に、一体で形成され、例えば、一般に突起と呼ばれるプラスチック材料の剛毛又は歯を備える。
【0006】
付加製造によって製造されるアプリケータも、一般に一体であり、例えばレーザによる粉末溶融を実施するプロセスを介して、例えば熱可塑性ポリマーの粉末から形成されてもよい。
【0007】
既知のマスカラアプリケータの形態及び実施形態にかかわらず、マスカラの塗布原理は、リザーバに収容される製品(マスカラ)をアプリケータに装填するステップと、アプリケータを前記リザーバから抜き出すステップであって、アプリケータの突起に製品が装填されているステップと、ユーザのまつげ及び眉毛に対する塗布を実行するステップとから成る。
【0008】
簡単にするために、本文書の以下ではまつげのみについて言及するが、ユーザの眉毛への製品及びアプリケータの使用を排除しない。
【0009】
マスカラアプリケータの既知の欠点の1つは、それがその突起内に担持できる製品装填が比較的僅かであり、それにより、同じ塗布の過程でユーザに数回再装填を強いる可能性がある。更に、あまりにも多くのアプリケータ装填は、マスカラの精密で規則的な塗布には適していないため、回避されなければならない。したがって、マスカラ物品のリザーバは、アプリケータがリザーバからの除去後にアプリケータの表面上及び/又はアプリケータの突起内に均等に分配される十分であるが過度ではない所望の製品装填をその突起内に担持するように、アプリケータがリザーバから出るときにアプリケータが通過する拭き取り装置又は「ワイパー」をその口の近傍に備える。アプリケータを補充するために、ユーザは、アプリケータをリザーバに再挿入して、アプリケータを再び取り出す必要がある。この操作はあまり実用的ではなく、それ自体で、マスカラの塗布が幾つかの段階で実行される場合に更に複雑になる。
【0010】
欧州特許第1623650号明細書は、化粧品の貯蔵部を形成することができる内側キャビティを備える塗布部材を提案することによって、この問題に対する解決策を提供する化粧品用のアプリケータを開示する。それにもかかわらず、その文献で提案されるアプリケータの構成は、不完全である、又は、場合によってはマスカラの塗布に不適切でさえあることが判明している。より具体的には、提案されたアプリケータ、特に、例えば布地であってもよい、集積された、又はコーティングを支持する、2つのブランチ間に形成される塗布部材は、主に製品を皮膚又は唇に塗布するように構成される。マスカラを塗布するために使用される場合、アプリケータは、例えばユーザのまつげを分離して伸ばす能力に関し、及び、製品の均一な塗布さえも可能にする能力に関し、製品の塗布品質に関して最適ではない。このアプリケータの一般的な形態は更に最適ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ユーザのまつげへの高品質な塗布を確保しつつ、より容易な使用、特に塗布中に良好なレベルの自律性をもたらす、マスカラ用アプリケータ装置を提供することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、楕円形の一般的形状を有するとともに、主軸線に沿って延在するマスカラ用アプリケータに関し、アプリケータは、アプリケータの内側でブランチ間にキャビティを画定するように、主軸線の周りに分配される少なくとも3つのブランチを備える。アプリケータのブランチは、それらが接続される基部と、基部から離れたアプリケータの自由端との間で延在するとともに、キャビティが主軸線の周りで回転面の形態を有するように成形され、キャビティがブランチ間に形成される空間によって開口している。
【0014】
アプリケータの3つ以上のブランチは、マスカラがユーザのまつげに塗布されるときにアプリケータの外表面を再装填できる一定量の製品を保持できるようにする回転キャビティを画定することを可能にする。ブランチが中心軸線の周りで延在し、また、アプリケータの楕円形態は、アプリケータが比較的剛性の材料により構成される場合であっても、ある程度の可撓性をアプリケータに与える。この可撓性は、好適には、アプリケータの取り出し及びアプリケータの拭き取りの最適化を容易にし、特に突起上への製品の不規則な蓄積を回避できるようにする。
【0015】
ブランチは、アプリケータの自由端の近傍で合流することができ、そこでブランチが互いに接続される。
【0016】
アプリケータは、特に5つのブランチを備えることができる。
【0017】
5つのブランチは、製品の通過のための空間又は隙間をブランチ間にもたらしつつ、内部回転キャビティを適切に画定できるようにする。更に、5つのブランチを伴う幾何学的形状は、比較的単純なままである。
【0018】
ブランチはそれぞれ、外表面上に、主軸線に対して垂直且つ径方向に延在する突起を備えることができる。
【0019】
突起が主軸線に沿って変化する長さを有してもよく、突起の長さは、基部と、前記基部とアプリケータの自由端との間に位置される主軸線のポイントとの間で連続的に増大するとともに、主軸線の前記ポイントとアプリケータの自由端との間で連続的に減少する。
【0020】
アプリケータの各突起は、特に、0.2mm~2.5mmに含まれる長さを有することができる。
【0021】
各ブランチにおいて、突起は、基部と自由端との間で2列又は3列を成して整列されてもよい。
【0022】
設けられるアプリケータの突起の配置は、アプリケータが製品の十分な装填を支えることができるようにするが、まつげの効果的なブラッシング及び分離を与えることもできるようにする。
【0023】
2つの隣り合う列の突起は、千鳥状の配列を成して配置されてもよい。ブランチは、好適には、主軸線の周りで螺旋状に延在されてもよい。螺旋形態のそのような配列において、各ブランチは、アプリケータの基部から自由端まで、主軸線の周りを、45°~90°に含まれる、好ましくは55°~75°に含まれる角度で旋回することができる。
【0024】
螺旋状に延在するブランチは、マスカラの塗布時にユーザの自然な動きに追従できるようにし、まつげの分離を改善する。
【0025】
マスカラアプリケータは、
-ポリアミド、
-ポリアクリルアミド、及び、
-ポリエーテルケトンケトン
から選択される熱可塑性ポリマーから形成されてもよい。
【0026】
アプリケータは、熱可塑性ポリマー粉末床溶融結合による付加製造によって形成されてもよい。
【0027】
付加製造方法は、アプリケータの三次元形状を得ることができるようにする。アプリケータの幾何学的形状が所望の可撓性をアプリケータに付与できるようにするため、付加製造方法との関連で実施が容易であるとともに、高レベルの製造技巧を可能にする比較的剛性の材料を使用することができる。
【0028】
本発明の更に他の特徴及び利点は、以下の説明において明らかである。
【0029】
非限定的な例として与えられる添付図面において。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスカラアプリケータを三次元図で示す。
【
図2】
図1のアプリケータを上方から見た三次元図である。
【
図3】
図1及び
図2のアプリケータを側面から見た三次元図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に係るアプリケータの
図3と同様の側面からの三次元図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るアプリケータを備えるマスカラ物品の部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係るマスカラアプリケータを三次元図で示す。アプリケータ1は、楕円形の一般的形状を有し、主軸線Aに沿って延在する。特に、アプリケータは、その端部の一方に基部2を備え、軸線Aに沿って延在して自由端3に達する。
【0032】
本発明に係るアプリケータは、基部2と自由端3との間に延在する複数のブランチ4を備える。特に、アプリケータは、少なくとも3つのブランチを備える。アプリケータは、特に、3つ、4つ、5つ又は6つのブランチを備えることができる。各ブランチは、基部2と自由端3との間に、不変又は実質的に不変の断面、又は、より好適には、その寸法がブランチから主軸線までの距離に応じて変化する断面を有することができる。
【0033】
各ブランチ4は基部2に接続される。特に、アプリケータ1の一体形成との関連では、各ブランチ4が基部2から出てくる。
【0034】
ブランチ4は、それらの間に、アプリケータ1の内部にあるキャビティ5を形成する。キャビティ5は、主軸線A周りの回転面の形状を有する。言い換えると、基部2と自由端3との間の主軸線Aの全てのポイントにおいて、各ブランチ4は、前記主軸線Aから等しい距離にある。
【0035】
ここに示される例において、基部2から出て自由端3に向かって進む各ブランチ4は、キャビティ5の長さを最大にするために、自由端3の近傍に次第に近づく前に、好ましくは自由端3に直接に近接して近づく前に、主軸線Aから徐々に分岐する。特に、キャビティ5がアプリケータの長さの大部分にわたって延在すればするほど、アプリケータは、製品の塗布時に、その長さの大部分にわたって製品をより多く再装填することができる。キャビティ5の存在及びブランチ4の形状は、更に、ブランチ4を構成する断面、長さ、形状及び材料に応じて、アプリケータ1にある程度の横方向の可撓性を与える。
【0036】
本実施形態に示されて
図2に見えるように、アプリケータは、例えば、5つのブランチ4、すなわち、第1のブランチ41、第2のブランチ42、第3のブランチ43、第4のブランチ44、及び、第5のブランチ45を備えることができる。5つのブランチの実装は、アプリケータにとって望ましい外形状及びキャビティ5にとって望ましい形状を適切に画定できるようにする一方で、キャビティに製品を充填できるようにするとともにキャビティがアプリケータの外表面に製品を適切且つ均一に再装填できるようにする空間をブランチ4の間に残す、特に有利な妥協点であると思われる。少なくとも3つのブランチ、特に5つ以上のブランチを備えるアプリケータは、前記アプリケータによる製品の塗布の容易さを改善できるようにもする。そのような形態は、実際には、ユーザがアプリケータの回転移動をまつげの縁との接触時に行なうか否かにかかわらず、アプリケータの向き及びユーザの手の動きがどのようなものであっても、少なくとも1つのブランチをまつげの前記縁と接触させることができるようにする。
【0037】
したがって、キャビティ5は、ブランチ4の内表面6内に画定される。各ブランチの内面6は、円弧の形態を成す凹形状を有してもよい。したがって、各ブランチ4の内表面6は、前記ブランチ4が共同で画定する回転キャビティ5の表面の内側面の一部と完全に一致する。
【0038】
各ブランチ4の断面は、
図2に示されるように、主軸線Aを中心とする同心円弧の形態を成して内表面6と外表面7との間に画定されてもよく、前記断面の直線状の側縁8は主軸線Aから径方向に延在する。
【0039】
各ブランチ4は、主軸線を含む平面内に延在してもよいが、本発明の好ましい実施形態によれば、ブランチは主軸線Aの周りで螺旋状に延在する。したがって、各ブランチ4は主軸線1の周りで渦巻き状に延在する。主軸線Aの周りにブランチ4によって形成される螺旋のピッチは、一定であってもよく、又は、基部2とブランチ4が自由端3の近傍で結合するポイントとの間で可変であってもよい。各ブランチのピッチは同一であり、それにより、アプリケータ1の各ブランチ4は、その両側に位置される2つのブランチと平行に延在する。
【0040】
アプリケータの長さにわたって、基部2と自由端3との間で、各ブランチによって形成される螺旋は、主軸線Aの周りでブランチが成す角度(基部2でのブランチの端部と自由端3でのブランチの端部との間の角度、又は、ブランチが合流するポイントから自由端3へと向かう角度)によって定められてもよい。例えば、各ブランチは、0°(直線状のブランチを構成する)~360°(基部2と自由端3との間に完全な1回転を形成するブランチ)に含まれる角度又はそれ以上の角度を成してもよい。特に、各ブランチは、アプリケータの長さにわたって、45°~90°に含まれる角度を成してもよい。
【0041】
図1~
図3は、特に、本発明に係るアプリケータの実施形態を示し、この実施形態において、各ブランチは、基部2と自由端3との間で65°回転する螺旋を形成する。そのような実施形態は、螺旋形態のブランチの配列のおかげにより、ユーザの塗布手の動きに追従するとともに製品(例えばマスカラ)が装填された突起とまつげとの間の接触の発生を増大させるのに特に有利である。
【0042】
各ブランチ4は、その外表面7上に1つ以上の一連の突起を有する。突起とは、それ自体に、又はそれ自体と1つ以上の隣り合う突起との間に、製品、特にマスカラの装填物を支えるように構成される小さな断面のための任意の細長い部材を意味する。したがって、突起は、本発明の範囲から逸脱することなく、特にその可撓性、その粗さなどに関して、様々な構成、形状、及び、特性を有してもよい。
【0043】
本発明のアプリケータは、特に、プラスチック材料から、例えば特に付加製造プロセスによって一体成形するように構成されるため、各突起8は、特にアプリケータの残りの部分と同じプラスチック材料から形成されてもよい。
【0044】
各突起8は、円筒形状又は角柱形状(実質的に正方形、長方形、又は、任意の他の規則的又は不規則な多角形の基部を伴う)を有してもよい。そのような円筒又はプリズムの基部の寸法は、好適には、考慮される突起の長さに対応する円筒又はプリズムの高さと比較して小さい。例えば、1辺が0.2mmの正方形断面の、実質的にプリズム状の突起をうまく採用することができる。当然ながら、突起8を形成するために使用される断面及び材料は、その剛性に直接影響を及ぼす。1辺が0.2mmの正方形断面は、特に、ポリアミド11から形成される又は機械的特性が近い材料から形成されるブラシのために使用することができる。
【0045】
アプリケータ1の突起8は、2つの主な機能、すなわち、ユーザのまつげに塗布されるべき一定量の製品を保持する機能と、まつげをブラッシングする機能とを有する。まつげをブラッシングすることによって、まつげ間の分離、伸長、又は、更には、まつげを湾曲させる効果が求められる。
【0046】
好ましくは、アプリケータ1の突起8は、主軸線Aに対して垂直に延在する。実際のところ、マスカラを塗布する際に、ユーザは、アプリケータを自身のまつげに対して略垂直に位置させるとともに、アプリケータを主軸線Aに対して垂直に並進させること及び/又はアプリケータを主軸線Aの周りで回転移動させることによってブラッシング動作を実行する。アプリケータ1の突起8は、主軸線Aに対して垂直に延在し、したがって、ユーザのまつげを、ブラッシングして効率的に分離できるようにする。
【0047】
主軸線Aに対する突起の径方向の延在方向は、アプリケータのブラッシング機能にとって特に好ましい。更に、各ブランチが螺旋状に延在するという事実も、このブラッシング機能を促進する。これは、塗布時に、所定のブランチによって担持される突起が徐々にユーザのまつげと及びまつげ間と接触するからである。言い換えると、螺旋形態のブランチは、ユーザの通常の手の動きに追従するとともに、製品が装填された突起とユーザのまつげとの間の接触の発生を増大させる。
【0048】
突起8は、各ブランチ4に沿って規則的に分配される。各ブランチ4は、特に、例えば、1列、2列、又は、3列の突起を有してもよい。突起8の列は、基部2から自由端3まで、ブランチの外表面7上に突起8のラインを構成する。ライン(直線ブランチ4における直線、螺旋形態のブランチ4について示される例のような螺旋形態の線)は、ブランチの一般的形態に従う。
【0049】
ここに示される例では、各ブランチが3列の突起を有する。突起の列は、例えば、平均して0.3mm離間されてもよい。更に、1つの列の各突起8は、同じ列の隣り合う突起から等距離にある。同じ列の突起は、例えば、0.2mmの距離を隔ててもよい。同じブランチの2つの隣り合うラインの突起(2つ以上のラインが存在する場合)は、更に好適には、主軸線Aによって規定される方向で千鳥配列を成して配置される。これは、アプリケータの表面での突起のより良好な分配を確保するとともに、製品の保持及びまつげのブラッシングの両方を改善する。
【0050】
突起の長さは、主軸線Aに沿って可変であってもよい。特に、短い突起は主に製品保持の役割を果たし、一方、長い突起は主にまつげの分離及び/又は梳毛の役割を果たす。特に、突起の長さは、基部2を発端として自由端3に向かうにつれて、基部と、前記基部とアプリケータの端部との間に位置される主軸線のポイントとの間で増大し、その後、主軸線の前記ポイントとアプリケータの端部との間で減少してもよい。
【0051】
したがって、使用される突起8の長さは、例として、0.2mm~2.5mmの間で変化してもよい。
【0052】
この長さの変化は、好適には、アプリケータの楕円形の規則的な全体形状を画定できるようにする。例えば、アプリケータは、断面が実質的に楕円形の外形を有してもよい。
【0053】
図示の実施形態では、突起の約1/3である、基部2及び自由端3の近傍に位置される短い方の突起が、主に製品保持に役立ち、一方、アプリケータ1の中心に向かって位置される2/3が、製品保持及びまつげの効果的な分離の両方に役立つ。
【0054】
ブランチは、
図4に示されるように、自由端3で互いに接続され、先端部9を形成してもよい。
図4の例において、ブランチはまた、前記ブランチ4間に位置される一体的に形成された部材10によって、基部2を僅かに越えて接続される。これらの特徴のうちの1つ又は他の特徴は、本発明の実施形態によれば互いに独立して又は
図4の実施形態のように組み合わせて存在してもよい。
【0055】
ブランチ4が自由端3の近傍で合流して単一の先端部9を形成するようにその自由端で互いに接続され、一体的に形成された部材10が存在することを除き、
図4の実施形態は、
図1~
図3に示されるものと同一である。したがって、
図1~
図3に関連してなされた説明は、一般的な用語で
図4の実施形態に適用される。
【0056】
図4に示される実施形態の例において、一体的に形成された部材10及び先端部9は、キャビティ5がアプリケータの長さの約80%にわたって延在するように、(主軸線Aに沿って、基部2と自由端3との間で)アプリケータの長さの約20%にわたって延在する。
【0057】
図5は、例として、本発明の一実施形態に係るアプリケータを実装するマスカラアイテムを示す。
【0058】
マスカラアイテムは、まつげに塗布されるように構成される化粧品12を収容するリザーバ11を備える。リザーバは、蓋14によって閉じられることができる口部13を備える。例えば、口部13は、それ自体が対応するねじ山を備える蓋14が螺合されることができるねじ付き首部15によって形成されてもよい。
図5では、見易くするために、リザーバ11が断面図で示され、一方、アプリケータ1及び蓋14が側面図で示される。
【0059】
ここに示される例において、蓋14は、アプリケータを操作できるようにする把持領域をも形成する。特に、剛性シャンク16が、アプリケータ1の主軸線Aと同軸に蓋14をアプリケータ1に接続する。シャンクは、その端部の一方でアプリケータの基部2に突合せ接合され、その他端で蓋14に強固に締結されてもよい。或いは、シャンク16は、アプリケータと一体に形成されてもよい。
【0060】
マスカラアイテムのリザーバ11は、その口部の近傍(例えば、ねじ付き首部15の全体又は一部)に、拭き取り装置17又は「ワイパー」を備える。
【0061】
拭き取り装置17は、マスカラアイテムの口部に制限部を形成し、この制限部は、アプリケータが前記拭き取り装置17内を通過する際にアプリケータ1を横方向で(主軸線Aに対して垂直に)拘束する。
【0062】
拭き取り装置は可撓性部材から形成され、これにより、アプリケータ1に装填される化粧品に均一性をもたらすことができるようにする。ワイパーを通過する際、ワイパーのブランチ4が主軸線Aに向かって変形され、これにより、アプリケータのキャビティ5に収容される化粧品の量が設定される。ある程度の横方向の可撓性をアプリケータに付与するアプリケータの形態は、従来技術で知られているマスカラアイテムの場合よりも小さいワイパー17の使用も可能にする。したがって、アプリケータ1は、ワイパーを通過する際、主軸線1に向かって拘束され、屈曲し、その突起が拭き取られて、キャビティ5内に過剰に存在する量の製品を吐き出す。アプリケータ1は、リザーバ11から取り出されて拭き取り装置17から取り外された時点で、その初期形態、特にその全直径を回復する。キャビティ5内の残留製品は、アプリケータの自律性を高めて塗布中にアプリケータを再装填する動作を制限又は更には排除できるようにする。
【0063】
本発明に係るアプリケータ1は、その幾何学的形状に起因して、付加製造プロセスによって有利に製造してもよい。
【0064】
欧州特許第2120631号明細書は、付加製造によって化粧品アプリケータを得るための方法を一般的に開示する。そのような方法は、本発明の一実施形態に係るアプリケータを得るために実施されてもよい。粉末床溶融結合の方法が特に使用されてもよい。
【0065】
特に、熱可塑性材料の粉末が使用されてもよい。特に、ポリアミド(特にポリアミド11又はポリアミド12)、ポリエーテルケトンケトン又はポリアクリルアミドの粉末が使用されてもよい。
【0066】
付加製造は、特に内部キャビティを備える、その複雑な三次元形状に起因して、アプリケータ1を得るのに特に適していることが分かっている。ポリアミド11又は同様の熱可塑性材料は、付加製造方法、特に焼結法に非常によく適している。しかしながら、この材料は剛性であり、したがって、マスカラブラシを形成するのにあまり適していないと考えられる。しかしながら、内部キャビティを有する提供されたアプリケータ形態は、特定の横方向可撓性を得ることができるようにする。したがって、想定されるプラスチック材料と、アプリケータの中央部に一定の可撓性を与える形状との間の相乗効果は、マスカラアプリケータのために最適な機械的特性を得ることができるようにする。本発明で提供される形態は、特に、アプリケータに可撓性を与え、その拭き取りを最適化し、アプリケータをその容器から取り出し、まつげへの塗布をより穏やかにするという利点をもたらす。
【0067】
このように開発された本発明は、内部キャビティによって高い自律性を与えるマスカラ用アプリケータを得ることを可能にする。提供されるアプリケータは、まつげへの容易な塗布を可能にする回転面の一般的な三次元形態を有する。様々な実施形態によれば、ブラッシング及びまつげの分離の品質が更に最適化される。
【0068】
本発明で提供されるアプリケータは、付加製造によって、特にポリマー粉末のレーザ融合のプロセス又は選択的レーザ焼結の頭字語であるSLSによって得られるように特に構成され、使用される材料とアプリケータの幾何学的形状との間の相乗効果により、アプリケータに対して最適な機械的特性を得ることができる。
【国際調査報告】