(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を効率的に生産するためのプラント及びプロセス
(51)【国際特許分類】
B01J 19/32 20060101AFI20221208BHJP
F28F 25/08 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B01J19/32
F28F25/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522380
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020077155
(87)【国際公開番号】W WO2021073861
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515169326
【氏名又は名称】ズルツァー マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アオスナー、イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウェールリ、マルク
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】トルグラー、イブ
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA45
4G075AA56
4G075BB03
4G075BB04
4G075BB07
4G075BD13
4G075BD24
4G075DA02
4G075EA01
4G075EB09
4G075EE12
4G075FA02
4G075FA03
4G075FA06
4G075FB02
(57)【要約】
本発明は、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を生産するためのプラントに関し、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素が、開口部を各々有するエキスパンド金属シートで作られた少なくとも2つの隣接する層を有し、開口部が分離要素によって囲まれてこれらの分離要素によって互いに分離され、エキスパンド金属シートが周期的な変形部分を有し、少なくとも2つの層のうちの少なくとも2つの層がパッキング要素の長手方向において互いに平行に且つ互いに接触するように配置され、その結果、少なくとも2つの層の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペースがこれらの少なくとも2つの層の間に設けられ、その結果、重相及び軽い流体相のうちの少なくとも1つの相がそこを通って流れることができるようになり、プラントが:a)金属シートを切断及び延伸してエキスパンド金属シートにするための延伸機械と、b)任意選択で、延伸機械(a)内で生産されたエキスパンド金属シートを圧延して所望の厚さにするための任意選択の較正機械と、c)シート保管ユニットと、d)延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートにするように形成するためのフォーミング機械と、e)周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを積み重ねて、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするための積み重ね機械とを有し、シート保管ユニットが、延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを直接受け取ってエキスパンド金属シートをフォーミング機械へ直接解放するように具現化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラム(26)のための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)を生産するためのプラント(10)であって、前記構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)が、開口部(58)を各々有するエキスパンド金属シートで作られた少なくとも2つの隣接する層(50、50’)を有し、前記開口部(58)が分離要素(60)によって囲まれて前記分離要素(60)によって互いに分離され、前記エキスパンド金属シートが周期的な変形部分(42、42’、44)を有し、前記少なくとも2つの層(50、50’)のうちの少なくとも2つの層が前記パッキング要素(28)の長手方向(V)において互いに平行に且つ互いに接触するように配置され、その結果、前記少なくとも2つの層(50、50’)の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペース(46)が前記少なくとも2つの層(50、50’)の間に設けられ、その結果、前記重相及び前記軽い流体相のうちの少なくとも1つの相がそこを通って流れることができるようになり、前記プラントが:
a)金属シートを切断及び延伸してエキスパンド金属シートにするための延伸機械(14)と、
b)任意選択で、前記延伸機械(14)内で生産された前記エキスパンド金属シートを圧延して所望の厚さにするための較正機械(16)と、
c)シート保管ユニット(18)と、
d)前記延伸機械内で生産されて任意選択の前記較正機械(16)内で任意選択で圧延された前記エキスパンド金属シートを形成して、周期的な変形部分(42、42’、44)を有するエキスパンド金属シートにするためのフォーミング機械(20)と、
e)周期的な変形部分(42、42’、44)を有するエキスパンド金属シートを積み重ねて、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)にするための積み重ね機械(22)と
を有し、
前記シート保管ユニット(18)が、前記延伸機械内で生産されて任意選択の前記較正機械(16)内で任意選択で圧延された前記エキスパンド金属シートを直接受け取って前記エキスパンド金属シートを前記フォーミング機械(20)へ直接解放するように具現化される、
プラント(10)。
【請求項2】
前記延伸機械(14)が、第1のストローク頻度でストローク式に稼働するように動作可能であり、前記フォーミング機械(16)が、第2のストローク頻度でストローク式に稼働するように動作可能であり、前記第1のストローク頻度が前記第2のストローク頻度より高い、請求項1に記載のプラント(10)。
【請求項3】
前記延伸機械(14)が、各々のストローク中に第1の長さのエキスパンド金属シートを解放するように動作可能であり、前記フォーミング機械(20)が、各々のストローク中に周期的な変形部分(42、42’、44)を有する第2の長さのエキスパンド金属シートを解放するように動作可能であり、前記第1の長さが前記第2の長さより短い、請求項1又は2に記載のプラント(10)。
【請求項4】
前記シート保管ユニット(18)が少なくとも2つの向き変更手段(24、24’、24’’、24’’’、25、25’)を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のプラント(10)。
【請求項5】
前記シート保管ユニット(18)が、向き変更手段(24、24’、24’’、24’’’、25、25’)として、移動可能ではない少なくとも2個、好適には少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の湾曲した向き変更プレート(25、25’)を有する、請求項4に記載のプラント(10)。
【請求項6】
前記シート保管ユニット(18)が、向き変更手段(24、24’、24’’、24’’’、25、25’)として、少なくとも2個、好適には少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の湾曲した向き変更プレート(25、25’)を有し、前記湾曲した向き変更プレート(25、25’)からの少なくとも1つの、また好適にはすべての向き変更プレートが、前記向き変更手段(25、25’)のうちの少なくとも2つの向き変更手段の間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である、請求項4に記載のプラント(10)。
【請求項7】
前記シート保管ユニット(18)が、向き変更手段(24、24’、24’’、24’’’、25、25’)として、少なくとも2個、好適には少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更ローラ(24、24’、24’’、24’’)を有し、前記向き変更ローラ(24、24’、24’’、24’’)からの少なくとも1つの、また好適にはすべての向き変更ローラが、少なくとも2つの向き変更手段(24、24’、24’’、24’’、25、25’’)の間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である、請求項4から6までのいずれか一項に記載のプラント(10)。
【請求項8】
前記延伸機械(14)が、前記延伸機械(14)を通るように前記金属シートが送られる場合に前記延伸機械の同じストロークにおいて前記金属シートを切断及び延伸するための少なくとも1つのナイフを有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載のプラント(10)。
【請求項9】
前記フォーミング機械(20)が、前記エキスパンド金属シートをプリーツ加工するための1つ又は複数の第1の成形ユニットと、前記エキスパンド金属シートを前記1つ又は複数の第1の成形ユニットまで継続的に前進させるためのデバイスと、前記プリーツ加工したエキスパンド金属シートを取り出すための少なくとも1つのデバイスとを有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプラント(10)。
【請求項10】
重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラム(26)のための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)を生産するためのプロセスであって、前記構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)が、開口部(58)を各々有するエキスパンド金属シートで作られた少なくとも2つの隣接する層(50、50’)を有し、前記開口部(58)が分離要素(60)によって囲まれて前記分離要素(60)によって互いに分離され、前記エキスパンド金属シートが周期的な変形部分(42、42’、44)を有し、前記少なくとも2つの層(50、50’)のうちの少なくとも2つの層が前記パッキング要素(28)の長手方向(V)において互いに平行に且つ互いに接触するように配置され、その結果、前記少なくとも2つの層(50、50’)の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペース(46)が前記少なくとも2つの層(50、50’)の間に設けられ、その結果、前記重相及び前記軽い流体相のうちの少なくとも1つの相がそこを通って流れることができるようになり、前記プロセスが以下のステップ:
a)エキスパンド金属シートにするために金属シートを切断及び延伸するステップ、
b)所望の厚さにするために、ステップ(a)で生産された前記エキスパンド金属シートを任意選択で圧延するステップ、
c)ステップa)で生産された、又は任意選択で任意選択のステップ(b)で生産された前記エキスパンド金属シートをシート保管ユニット(18)に直接送るステップ、
d)前記エキスパンド金属シートを直接前記シート保管ユニット(18)からフォーミング機械(20)に移送するステップ、
e)周期的な変形部分(42、42’、44)を有するエキスパンド金属シートにするために前記フォーミング機械(20)内で前記エキスパンド金属シートを形成するステップ、並びに
f)構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素(28)にするために、ステップ(e)で形成された周期的な変形部分(42、42’、44)を有する前記エキスパンド金属シートを積み重ねるステップ、
を含む、
プロセス。
【請求項11】
前記プロセスが請求項1から9までのいずれか一項に記載のプラント内で実施される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップ(a)で、1.0から1.5を超える、好適には1.1から1.5の間、より好適には1.2から1.35の間の延伸係数により、前記金属シートが延伸される、請求項10又は11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ステップ(b)が実施され、前記エキスパンド金属シートがステップ(b)で圧延され、1.0mmから1.4mm、好適には1.1mmから1.3mm、より好適には1.15mmから1.25mmのグリッド厚さにされる、請求項10から12までのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記延伸機械(14)のストローク中、前記シート保管ユニット(18)の前記ローラ(24、24’、24’’、24’’’)が、前記ローラ(24、24’、24’’、24’’’)の間の距離を増大させるように移動させられ、対して、前記フォーミング機械(20)のストローク中、前記シート保管ユニット(18)の前記ローラが、前記ローラ(24、24’、24’’、24’’’)の間の距離を減少させるように移動させられる、請求項10から13までのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記エキスパンド金属シートが、周期的な変形部分(42、42’、44)として、交互の向きの複数の山(42、42’)及び谷(44)を有する波形を有するエキスパンド金属シートにされるためにステップ(e)で形成され、前記長手方向(V)に対しての各々の前記山(42、42’)及び各々の前記谷(44)の角度(α)が、10°から60°、より好適には20°から50°、より好適には25°から47°である、請求項10から14までのいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を効率的に生産するためのプラント及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
構造化されたパッキング要素は、例えば、分留カラム、蒸留カラム、吸収カラム、抽出カラム、又は煙道ガス・スクラバ内などにある、物質移動カラムで使用される。構造化されたパッキング要素は、異なる密度の少なくとも2つの流体相の間での物質移動及び/又は熱伝達を改善するように機能し、構造化されたパッキング要素は、通常、対向流内で動作させられる。蒸留用途及び吸収用途では軽相がガス又は蒸気であり、重相が凝縮物又は液体であるのに対して、抽出プロセスでは両方の相が異なる密度を有する液体である。構造化されたパッキング要素は複数の異なる層を有し、複数の異なる層の各々がより重い相のための表面積を提供する。より重い相は層の表面に沿って下方にゆっくりと流れて拡散する。加えて、構造化されたパッキング要素の異なる層の間に空いているスペースが設けられ、空いているスペースに軽相(例えば、蒸留においては、蒸気又はガス)が充填され、空いているスペースが上行する軽相のための経路を提供し、この間、軽相が圧力勾配によって移動させられる。圧力勾配は流れ抵抗に打ち勝つのに必要である。対向流の物質移動の一般的な事例では、軽相の平均流れ方向が構造化されたパッキング要素の底部から頂部に、したがって、重い相の平均流れ方向の反対に向かう。構造化されたパッキング要素の表面上で1つの重相が拡散するのを可能にすることにより、少なくとも2つの相の間に界面が作り出され、その結果、相の間での効率的な熱伝達及び物質移動が界面で確立される。2つ以上の重相を用いる用途も存在する可能性がある。1つの例が抽出蒸留である。
【0003】
物質移動カラムは、通常、構造化されたパッキング要素の複数のベッドを有する。通常、そこを通って軽相が上行するのに十分なスペースを残しながら、ベッドの断面にわたって重相を一様に分散させるために、分散装置が各ベッドの頂部に配置される。さらに、多くの場合、グリッド状の保持デバイス及び収集装置が各ベッドの下方に配置され、グリッド状の構造がベッドをその定位置で維持し、収集装置がベッドから下方にゆっくりと流れる重相を収集し、この間、軽相を上行させるための十分な空いているスペースが収集装置内に残される。
【0004】
一般的な種類の構造化されたパッキング要素はいわゆるクロス・チャンネルの波形シート・パッキングであり、この波形シート・パッキングは例えば複数の波形シートから組み立てられ、複数の波形シートが互いに平行であり互いに接触している。通常、波形金属シートは、波形シートの長手方向セクションに対して垂直に波形シートを貫通する複数の棒により互いに対して固定され、棒は、ワッシャ及びナットにより、又は棒を曲げることにより、最初の及び最後の波形シートに対して固定される。各波形シートは、交互の向きの山及び谷などの、複数の周期的な変形部分を有し、隣接する波形シートは、これらの隣接する波形シートの波形を、垂直方向又は長手方向に対して斜めに延在する波形シートの波形と十字交差で交差させるように、方向付けられ、それにより、互いを連続的に横断する傾斜チャンネルを形成する。これらのチャンネルがパッキング内のガス相及び液相の流れに良い影響を与え、相の間での物質移動を促進する。つまり、ガス相及び液相が構造化されたパッキング要素のチャンネル内で接触させられ、したがって、相の間での物質移動さらには熱伝達が促進される。より具体的には、上行するガスは、シートの表面上に存在する液体に接触し、物質移動カラムを通って下方に流れるときにチャンネルを形成する。この接触中、ガス中に豊富に含まれる成分が液体の中へ及びその逆で移送される。これは効率的な物質移動が行われていることを意味する。これらのパッキングは、例えば、DE1253673、CA1270751、及び米国特許第6,206,349(B1)号で開示されている。
【0005】
単位時間当たりの物質移動の量はガスと液体との間の界面の面積に比例し、界面の面積は、パッキング要素の層の表面のうちの液体によって湿っている部分が増すにつれて、大きくなる。金網で作られたクロス・チャンネルの波形シート・パッキングは、金網の毛管力による波形シートの表面での重相の良好な拡散のおかげで良好な湿潤性を有し、したがって(この良好な湿潤性のおかげで)高い物質移動効率を有することが知られている。しかし、金属ワイヤの網は高価な材料である。層の表面上での重相の拡散を促進するための代替の提案(構造化されたパッキング要素のための材料として金網又は波形の非常に精密なエキスパンド金属シートを使用することの代わり)は、米国特許第4,296,050号、GB1,569,828、米国特許第4,981,621号、及びEP3003550A1などで開示されているように、有孔性を有する層及び別の表面テクスチャを提供することである。加えて、CN88200252Uで、エキスパンド金属シートつまり高い空隙率、つまり、層内の開口部の全面積を層のシート面積によって割ったときの大きい商を有する有孔性層で作られたクロス・チャンネルの波形シート・パッキングを提供することが提案されている。エキスパンド金属シートで作られたこのようなクロス・チャンネルの波形シート・パッキングの特有の別の利点は、これらのシート・パッキングが比較的高効率であることである。
【0006】
通常、エキスパンド金属シートで作られたクロス・チャンネルの波形シート・パッキングは、供給業者から得られたエキスパンド金属シートを波形シートに形成して、これらの波形シートを所望のサイズに切断して、これらの波形シートを積み重ねて構造化されたパッキング要素にすることにより、生産される。エキスパンド金属シート自体は、通常、金属シートを切断してほぼ同時に延伸することにより、提供業者によって生産される。しかし、供給業者から得られたエキスパンド金属シートを用いてクロス・チャンネルの波形シート・パッキングを生産することは、移送費用を必要とする。さらに、移送及びさらなる加工のために、エキスパンド金属シートは、例えばボール紙で作られたスリーブの上に張力下で巻き付けられる必要がある。しかし、エキスパンド金属シートの各々が構造化された表面を有することを理由として、エキスパンド金属シートは正確に「エッジ・オン・エッジ(edge-on-edge)」には巻き付けられ得ない。むしろ、互いの上に配置された単一のエキスパンド金属シートが互い対してずれてコイル内に張力を発生させ、この張力がさらなる加工に悪影響を及ぼす。さらに、単一のシートがずれることにより、単一のシートの少なくとも一部分がスリーブから突出し、それにより移送中に突出部分が容易に変形してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE1253673
【特許文献2】CA1270751
【特許文献3】米国特許第6,206,349(B1)号
【特許文献4】米国特許第4,296,050号
【特許文献5】GB1,569,828
【特許文献6】米国特許第4,981,621号
【特許文献7】EP3003550A1
【特許文献8】CN88200252U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を鑑みて、本発明の根底にある目的は、上で言及した欠点を克服する、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を迅速且つ高コスト効率に生産するためのプラント及びプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この目的は、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を生産するためのプラントを提供することによって達成され、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素が、開口部を各々有するエキスパンド金属シートで作られた少なくとも2つの隣接する層を有し、開口部が分離要素によって囲まれてこれらの分離要素によって互いに分離され、エキスパンド金属シートが周期的な変形部分を有し、少なくとも2つの層のうちの少なくとも2つの層がパッキング要素の長手方向において互いに平行に且つ互いに接触するように配置され、その結果、少なくとも2つの層の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペースがこれらの少なくとも2つの層の間に設けられ、その結果、重相及び軽い流体相のうちの少なくとも1つの相がそこを通って流れることができるようになり、プラントが:
a)金属シートを切断及び延伸してエキスパンド金属シートにするための延伸機械と、
b)延伸機械(a)内で生産されたエキスパンド金属シートを圧延して所望の厚さにするための任意選択の較正機械と、
c)シート保管ユニットと、
d)延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートにするように、形成するためのフォーミング機械と、
e)周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを積み重ねて、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするための積み重ね機械と
を有し、
シート保管ユニットが、延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを直接受け取ってエキスパンド金属シートをフォーミング機械へ直接解放するように、具現化される。
【0010】
延伸機械とフォーミング機械との間にシート保管ユニットを提供することにより、延伸機械及びフォーミング機械の異なる速度がそれぞれ補償又は緩和され得、その結果、それにもかかわらず、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素が半連続的なプロセスで生産され得る。より具体的には、延伸機械さらにはフォーミング機械がそれぞれストローク式又はハブ式に稼働し、延伸機械の1回のストローク中に移送されるシートの長さが、分離要素の幅と延伸係数との積であり、金属シートが延伸機械内でこの延伸係数で延伸され、対して、フォーミング機械の1回のストローク中に移送されるシートの長さが、シートの2つの隣接する周期的な変形部分の間の距離を角度αの余弦で割ったときの商であり、それにより波形が長手方向に対して角度αで傾斜している。例えば、2つの隣接する周期的な変形部分の間の20mmである距離、45°である角度α、及び1.25である延伸係数を有するエキスパンド金属シートの場合、延伸機械の1回のストローク中に移送されるシートの長さが2.5mmであり、対して、フォーミング機械による1回のストローク中に移送されるシートの長さが28.3mmである。したがって、延伸機械内で用意されて任意選択で任意選択の較正機械内で圧延されたエキスパンド金属シートがフォーミング機械の中へ直接移送され得ない。
【0011】
本発明の別の特有の利点は、本発明が、エキスパンド金属シートがフォーミング機械の中へ送られる前に、エキスパンド金属シートが延伸機械内で生産されて延伸機械から解放されるときの方向を維持するのを可能にすることである。言い換えると、本発明のプラントは、エキスパンド金属シートをフォーミング機械の中へ延伸方向に移送するのを可能にする。これは以下の理由により特に有利である:生産後、つまり金属プレートの切断及び延伸後、得られたエキスパンド金属シートがもはや平坦ではなく、構造化された表面を有する。これは、個別の分離要素の変形、歪み、曲げ、又は跳ね上がり、並びに他の部分に対しての分離要素の相対的変形、例えば、傾斜の結果である。エキスパンド金属シートは、
図7に示されるように、延伸方向側に平坦なフランクを有し、反対方向側に急勾配のフランクを有する。したがって、エキスパンド金属シートをフォーミング機械の中へ延伸方向に移送することにより、エキスパンド金属シートがその平坦なフランク側をフォーミング機械の中へ入れるように移送される。しかし、従来技術では、エキスパンド金属シートが最初にスリーブ上に巻き付けられ、次いで、エキスパンド金属シートがスリーブからほどかれ、それによりエキスパンド金属シートの搬送方向が強制的に反転させられる。したがって、従来技術では、エキスパンド金属シートは、その急勾配のフランク側をフォーミング機械の中へ入れるように移送され、これがエキスパンド金属シートの搬送を妨害する。さらに、これは、エキスパンド金属シートが動かなくなる可能性があり、それにより形成のエラーつまり望ましくない変形を発生させる可能性がある欠点、及び急勾配のフランクが平坦なフランクより強く且つ迅速にフォーミング・ツールを摩耗させる欠点を有する。
【0012】
延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを直接受け取ってエキスパンド金属シートをフォーミング機械へ直接解放するように、シート保管ユニットが具現化されるという特徴は、プラントが較正機械を有さない場合、シート保管ユニットが、延伸機械内で生産されたエキスパンド金属シートを延伸機械から直接受け取るように具現化され、プラントが較正機械を有する場合、シート保管ユニットが、延伸機械内で生産されて較正機械からの較正で圧延された圧延済みのエキスパンド金属シートを直接受け取るように具現化されることを意味する。
【0013】
構造化されたパッキング要素の長手方向は、精留カラムなどの、物質移動及び/又は熱交換のためのカラム内でのその動作などの、その動作中に、軽相が上行して重相が降下するときの構造化されたパッキング要素の平均方向である。構造化されたパッキング要素の形状との相互作用により、軽相は全体として異なる向きを有する複数のストリームとなるように分割される可能性があるが、軽相の平均方向は長手方向に一致し、これは通常は垂直方向に近い。
【0014】
通常、延伸機械が、第1のストローク頻度でストローク式に稼働し、つまりそのように稼働するように動作可能であり、フォーミング機械が、第2のストローク頻度でストローク式に稼働し、つまりそのように稼働するように動作可能であり、第1のストローク頻度が第2のストローク頻度より高い。
【0015】
上述したように、延伸機械は、各々のストローク中に第1の長さのエキスパンド金属シートを解放するように動作可能であり、フォーミング機械は、各々のストローク中に周期的な変形部分を有する第2の長さのエキスパンド金属シートを解放するように動作可能であり、通常、第1の長さが第2の長さより短い。
【0016】
より具体的には、延伸機械は、通常、フォーミング機械より高いストローク頻度を有するが、1回のストローク中にフォーミング機械より短い長さのエキスパンド金属シートを移送する。したがって、フォーミング機械のストロークが開始されるとき、フォーミング機械は、所与の時間間隔当たりで、延伸機械によって移送されるよりも長いシート長さを必要とし、対して、フォーミング機械のストロークの終了後、フォーミング機械の次のストロークが開始されるまで、延伸機械が依然として、この時間においてフォーミング機械によって必要とされないシート長さを解放する。本発明によると、延伸機械及びフォーミング機械の両方の機械の異なるストローク・サイクルにおける延伸機械及びフォーミング機械の異なる材料必要量は、それぞれ、シート保管ユニットによって補償又は緩和される。
【0017】
例えばボール紙で作られたスリーブの上にエキスパンド金属シートを巻き付ける間に発生するような張力及び/又は圧力をエキスパンド金属シートに作用させることなく、したがってエキスパンド金属シートを変形させることなく、シート保管ユニットは、延伸機械内で生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートを短い時間で、つまり1分未満の時間で保管することができる限りにおいて、本発明はシート保管ユニットの種類に関して特には制限されない。言い換えると、シート保管ユニットは、本発明によると、延伸機械及び任意選択の較正機械内で生産されたエキスパンド金属シートをフォーミング機械の中へ移送する前に一時的に保管するのを可能にする任意の機械を意味し、これは、延伸機械及びフォーミング機械のいずれか又は両方を停止させるのを必要とすることなく、延伸機械及びフォーミング機械の解放速度又は送り速度のそれぞれの差を釣り合わせるのを可能にするように延伸機械及びフォーミング機械を切り離すことを目的としている。
【0018】
好適には、シート保管ユニットが、シート保存ユニット内で一時的に保管するために、延伸機械内で生産されたエキスパンド金属シートの向きを変更するように設計された少なくとも2つの向き変更手段を有する。
【0019】
この実施例の一変形形態によると、少なくとも2つの向き変更手段のうちの少なくとも1つ、また好適にはすべてが、少なくとも2つの向き変更手段の間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である。これにより、この時点においてフォーミング機械によって必要とされないそれぞれ延伸機械又は較正機械から受け取られた余剰分のシート長さに比例して少なくとも2つの向き変更手段の間の距離を単純に増大させることにより、フォーミング機械の2つのストロークの間の時間間隔中、延伸機械によって生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートをシート保管ユニットに装填することが可能となる。さらに、これにより、この時点でそれぞれ延伸機械又は較正機械から受け取られたシート長さを超える、フォーミング機械によって必要とされる余剰分のシート長さに比例して少なくとも2つの向き変更手段の間の距離を単純に減少させることにより、フォーミング機械の1回のストロークの時間間隔中に中に保管されているエキスパンド金属シートからシート保管ユニットを取り外すことが可能となる。
【0020】
好適には、シート保管ユニットが少なくとも2つの向き変更ローラを有し、これらの少なくとも2つの向き変更ローラからの少なくとも1つの、又は好適にはすべての向き変更ローラが、少なくとも2つの向き変更ローラの間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である。やはり、これにより、この時点においてフォーミング機械によって必要とされないそれぞれ延伸機械又は較正機械から受け取られた余剰分のシート長さに比例してローラの間の距離を単純に増大させることにより、フォーミング機械の2つのストロークの間の時間間隔中、延伸機械によって生産されて任意選択の較正機械内で任意選択で圧延されたエキスパンド金属シートをシート保管ユニットに装填することが可能となる。さらに、これにより、この時点でそれぞれ延伸機械又は較正機械から受け取られたシート長さを超える、フォーミング機械によって必要とされる余剰分のシート長さに比例してローラの間の距離を単純に減少させることにより、フォーミング機械の1回のストロークの時間間隔中に中に保管されているエキスパンド金属シートからシート保管ユニットを取り外すことが可能となる。
【0021】
具体的には、シート保管ユニットが、少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更ローラを有する場合、良好な結果が得られる。向き変更ローラの数とは無関係に、向き変更ローラのうちの1つ又は複数の、また好適にはすべての向き変更ローラは、好適には垂直方向に、水平方向に、及び/又は任意の他の方向に移動可能であり、その結果、ローラのうちの少なくとも2つのローラの間の、また好適にはローラのうちの各々の2つのローラの間の距離は、垂直方向において、水平方向において、及び/又は任意の他の方向において、変化することができるようになる。これにより、エキスパンド金属シートの非常に高い容量を有するそれぞれのシート保管ユニットが得られるが、これは、比較的小さい面積しか必要としない。
【0022】
本発明のこの実施例の別の変形形態によると、向き変更ローラのうちのすべての向き変更ローラが移動可能というわけではなく、1つのみの向き変更ローラ、又は2つ以上であるがすべてではない向き変更ローラが移動可能である。
【0023】
本発明のこの実施例のさらに別の変形形態によると、シート保管ユニットが、少なくとも2つの向き変更手段として、少なくとも1つの向き変更ローラ、及び少なくとも1つの向き変更プレートを有し、少なくとも1つの向き変更ローラが移動可能であり、好適には少なくとも1つの向き変更プレートが湾曲している。保管ユニットが2つ以上の向き変更ローラを有する場合、1つの向き変更ローラのみ、向き変更ローラのうちのいくつかの向き変更ローラ、又は向き変更ローラのうちのすべての向き変更ローラが移動可能であってよい。さらに、少なくとも1つの向き変更プレートのうちの、いずれも移動可能でなくてよいか、1つ又は複数の向き変更プレートが移動可能であってよいか、或いはすべての向き変更プレートが移動可能であってよい。この実施例のシート保管ユニットが、少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも6個の向き変更ローラ、及び少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも6個の向き変更プレートを有することができる。向き変更プレートが、上流側の向き変更手段から下流側の向き変更手段まで、又は最も下流側の向き変更手段の場合は上流側の向き変更手段からフォーミング機械まで、或いは最も上流側の向き変更手段の場合は上流側の延伸機械又は任意選択の較正機械から下流側の向き変更手段まで、エキスパンド金属シートの向きを変更するように具現化される。これが、好適には、向き変更プレートのそれぞれの湾曲部分によって達成される。次いで、存在する場合、少なくとも1つの移動可能な向き変更ローラ、及び/又は少なくとも1つの向き変更手段により、シート保管ユニット内でのエキスパンド金属シートの総距離が調整される。
【0024】
本発明のこの実施例のさらに別の変形形態によると、シート保管ユニットが、少なくとも2つの向き変更手段として、向き変更ローラを有さないが、少なくとも2個、また好適には少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更プレートを有する。向き変更プレートのうちの少なくとも1つの又は2つ以上の或いはすべての向き変更プレートが、少なくとも2つの向き変更プレートの間の距離を変化させるのを可能にするように、移動可能であってよい。好適には、少なくとも1つの向き変更プレートが湾曲している。作動原理は、移動可能な向き変更ローラを有する実施例の場合の作動原理と同じである。
【0025】
本発明のこの実施例のさらに別の変形形態によると、シート保管ユニットが、少なくとも2つの向き変更手段として、向き変更ローラを有さないが、少なくとも2個、また好適には少なくとも4個、より好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更プレートを有し、少なくとも2つの向き変更手段のうちのいずれの向き変更手段も移動可能ではなく、つまり、向き変更手段のうちのすべての向き変更手段が固定される。好適には、少なくとも1つの向き変更プレートが湾曲している。この事例では、保管ユニット内でエキスパンド金属シートのより長い長さが存在するように下流側の向き変更プレートの上でエキスパンド金属シートを引くよりも迅速に上流側の向き変更プレートの上でエキスパンド金属シートを押すことにより、シート保管ユニット内での保管のために向き変更手段の間のスペースの中へエキスパンド金属シートが押されるように、エキスパンド金属シートの保管が実施される。保管ユニットを取り外す場合、エキスパンド金属シートが、上流側の向き変更プレートの上で押されるよりも迅速に下流側の向き変更プレートの上で引かれ、その結果、エキスパンド金属シートのより短い長さが保管ユニット内に存在するようになる。
【0026】
金属シートからエキスパンド金属シートを生産するのに適する限りにおいて、任意の従来の延伸機械が本発明で使用され得る。通常、延伸機械が、圧力によるスリッティング及び延伸のプロセスを利用して金属シートが延伸機械を通るように送られる場合に延伸機械の同じストロークにおいて金属シートを切断及び延伸するための少なくとも1つのナイフを有する。より具体的には、ナイフによって作り出されたスリットが、金属を延伸してそれにより一様な開口部を作るのを可能にする。一貫したパターンを保証するために、金属を通過させて送るときのプログラミングに基づいて、引き伸ばし機械が手動で又は自動でプログラムされて動作させられる。
【0027】
上述したように、較正機械がプラントに含まれてよいか又は含まれなくてもよい。しかし、好適には、プラントが較正機械を有する。エキスパンド金属シートを圧延して所望の厚さにするのに適する限りにおいて、任意の従来の較正機械が本発明で使用され得る。存在する場合、較正機械が延伸機械とシート保管ユニットとの間に配置される。好適には、較正機械が少なくとも2つのローラを有し、これらの2つのローラを通ってエキスパンド金属シートが送られて圧力を提供され、それによりエキスパンド金属シートが圧延されて所望に厚さにされる。
【0028】
また、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを形成するのに適する限りにおいて、任意の従来のフォーミング機械が本発明で使用され得る。好適には、フォーミング機械が、エキスパンド金属シートをプリーツ加工するための1つ又は複数の第1の成形ユニットと、エキスパンド金属シートを1つ又は複数の第1の成形ユニットまで継続的に前進させるためのデバイスと、プリーツ加工したエキスパンド金属シートを取り出すための少なくとも1つのデバイスとを有する。
【0029】
本発明の着想のさらなる発展形態では、フォーミング機械が、中間ゾーンには再成形のための外形を有さず終端ゾーンにおいて再成形のための外形を有する一対のローラにより、プリーツ加工したエキスパンド金属シートを再成形するための1つ又は複数の第2の成形ユニットをさらに有することが提案される。これにより、終端部分の間に配置された中央部分の周期的な変形部分に対して、構造化されたパッキング要素のエキスパンド金属シートの終端部分内で周期的な変形部分を曲げることが可能となる。したがって、この実施例のエキスパンド金属シートの山及び谷は線形には延在しない。好適には、周期的な変形部分が、少なくとも実質的に垂直に延在するようにエキスパンド金属シートの終端部分内で曲げられる。実質的に垂直とは、エキスパンド金属シートの下側縁部及び上側縁部において、垂直方向に対して、10°を超えて、好適には5°を超えて、より好適には2°を超えて、山及び谷が傾斜しないことを意味する。それにより、構造化されたパッキング要素の終端ゾーン内の流れ抵抗が、終端ゾーンの間に配置されたゾーンの流れ抵抗に対して低減され、構造化されたパッキング要素の圧力損失が低減される。
【0030】
別法として、フォーミング機械が下側ツール要素及び上側ツール要素を有することができ、上側ツール要素及び下側ツール要素の各々が前方側及び後方側を有する。下側ツール要素が第1のベース要素及び第1のベース要素から突き出ている第1のフィンガー要素を有し、第1のフィンガー要素がシート内に波形の山を形成するための第1の隆起部を形成し、上側ツール要素が第2のベース要素及び第2のベース要素から突き出ている第2のフィンガー要素を有し、第2のフィンガー要素がシート内に波形の谷部分を形成するための第2の隆起部を形成する。第1の隆起部が第2の隆起部に対向して配置され、第1の隆起部が第2の隆起部から斜めに配置され、それにより、係合位置において第1のフィンガー要素及び第2のフィンガー要素を係合させるのを可能にする。第1の隆起部及び第2の隆起部の各々が主部分及び端部分を有し、主部分内の第1及び第2の隆起部の各々と対応する前方側との間の角度が、少なくとも部分的に、端部分内の第1の隆起部及び第2の隆起部の各々と対応する前方側との間の角度とは異なる。さらに、係合位置において第1のフィンガー要素と近傍にある第2のフィンガー要素との間にスペースが設けられ得る。このスペースが、シートが形状形成ツールに入る平面内に画定される。したがって、このスペースは空いているスペースである。上側ツール要素及び下側ツール要素がそれらの係合位置にある場合、この空いているスペースが主部分と端部分との間に存在する。したがって、シートが、その頂部分を形成しているフィンガー要素の隆起部、したがって、山部分でのみ上側及び下側ツール要素に接触している。第1のフィンガー要素の隆起部と第2のフィンガー要素の隆起部との間では、シートがいずれのフィンガー要素にも接触しておらず、2つの隣接する頂部分の間のスペース内で自由に形成されることが可能である。
【0031】
また、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを互いの上に積み重ねて構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするのに適する限りにおいて、任意の従来の積み重ね機械が本発明で使用され得る。好適には、積み重ね機械が、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを切断して所望のサイズにするための1つ又は複数の回転切断ホイールと、周期的な変形部分を有する切断済みのエキスパンド金属シートを積み重ねて構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするための積み重ねユニットとを有する。
【0032】
本発明の別の態様が、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を生産するためのプロセスであり、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素が、開口部を各々有するエキスパンド金属シートで作られた少なくとも2つの隣接する層を有し、開口部が分離要素によって囲まれてこれらの分離要素によって互いに分離され、エキスパンド金属シートが周期的な変形部分を有し、少なくとも2つの層のうちの少なくとも2つの層がパッキング要素の長手方向において互いに平行に且つ互いに接触するように配置され、その結果、少なくとも2つの層の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペースがこれらの少なくとも2つの層の間に設けられ、その結果、重相及び軽い流体相のうちの少なくとも1つの相がそこを通って流れることができるようになり、プロセスが、以下のステップ:
a)エキスパンド金属シートにするために金属シートを切断及び延伸するステップ、
b)所望の厚さにするために、ステップ(a)で生産されたエキスパンド金属シートを任意選択で圧延するステップ、
c)ステップ(a)で生産された、又は任意選択で任意選択のステップ(b)で生産されたエキスパンド金属シートをシート保管ユニットに直接送るステップ、
d)エキスパンド金属シートを直接シート保管ユニットからフォーミング機械に移送するステップ、
e)周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートにするためにフォーミング機械内でエキスパンド金属シートを形成するステップ、並びに
f)構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするために、ステップ(e)で形成された、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを積み重ねるステップ、
を含む。
【0033】
本発明の特に好適な実施例によると、プロセスが上で言及したプラント内で実施される。
【0034】
具体的には、ステップ(a)で、1.0から1.5を超える、好適には1.1から1.5の間、より好適には1.2から1.35の間の延伸係数により、金属シートが延伸される場合、良好な結果が得られる。
【0035】
好適には、ステップ(a)で、0.05mmから0.50mm、好適には0.08mmから0.2mm、最も好適には0.09mmから0.15mmのシート材料厚さを有する金属シートが使用される。シート材料厚さは、それぞれ、層を構成又は形成する材料の厚さを意味する。本発明によると層がエキスパンド金属シートによって作られることから、シート材料厚さはシート厚さである。シート材料厚さはシート厚さである。シート厚さが層のエリアにわたって変化する場合、シート材料厚さは、例えばマイクロメータねじにより、シート材料厚さの外側縁部のうちの1つの外側縁部で測定される厚さである。
【0036】
本発明は、構造化されたパッキング要素のエキスパンド金属シートの材料に関して特には限定されない。例えば、エキスパンド金属シートが、ステンレス鋼、或いは、アルミニウム、銅、チタン、ジルコニウム、及び合金からなる群から選択される合成物で作られ得る。
【0037】
上述したように、生産後、つまり金属プレートの切断及び延伸後、得られたエキスパンド金属シートがもはや平坦ではない。これは、個別の分離要素の変形、歪み、曲げ、又は跳ね上がり、並びに他の部分に対しての分離要素の相対的変形、例えば、傾斜の結果である。ばりなどの他の特徴的部分が穿孔プロセスから発生する可能性があり、したがって厚さに寄与する可能性がある。エキスパンド金属シートの得られる寸法はグリッド厚さと呼ばれ、層材料厚さより数倍大きくなり得る。好適には、任意選択のステップ(b)が実施され、エキスパンド金属シートがステップ(b)で圧延され、1.0mmから1.4mm、好適には1.1mmから1.3mm、より好適には1.15mmから1.25mmのグリッド厚さにされる。
【0038】
上述したように、シート保管ユニットのタスクは、延伸機械及びフォーミング機械の異なるストローク・サイクルを補償するエキスパンド金属シートを一時的に保管することである。より具体的には、フォーミング機械の2つのストロークの間の時間間隔中、シート保管ユニットに、延伸機械及び任意選択の較正機械によって生産されたエキスパンド金属シートが装填されることになり、対して、フォーミング機械のストロークの時間間隔中、シート保管ユニットが、中に保管されているエキスパンド金属シートから取り外されることになる。実際には、短い時間で、つまり1分未満の時間で、シート保管ユニットがエキスパンド金属シートを保管することで十分である。したがって、好適には、シート保管ユニットが、少なくとも2個、より好適には少なくとも4個、さらに好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更ローラを有し、向き変更ローラのすべてが、少なくとも2つの向き変更ローラの間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である。特に好適には、向き変更ローラがすべて、ローラのうちの各々の2つのローラの間の距離を垂直方向において変化させるのを可能にするように、垂直方向に移動可能である。例えば、シート保管ユニットが、特定の高さで固定された上側ローラと、下側ローラとを有し、上側ローラ及び下側ローラが、上側ローラ及び下側ローラによって交互に案内されているエキスパンド金属シートを密な状態で維持するための重量を有する。したがって、好適には、延伸機械のストローク中、シート保管ユニットのローラが、ローラの間の距離を増大させるように移動させられ、対して、フォーミング機械のストローク中、シート保管ユニットのローラが、ローラの間の距離を減少させるように移動させられる。
【0039】
本発明は、複数のシートを互いに上に積み重ねることにより、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を形成するのを可能にする限りにおいて、エキスパンド金属シートの周期的な変形部分の種類に関して特には限定されない。本発明によると、最終的な構造化されたパッキング要素が、長手方向において互いに平行に配置された、エキスパンド金属シートの少なくとも2つの層を有する。2つの層の平行な配置構成は、本発明によると、層のうちの一方の層が、もう一方の層に対して、最大+/-20°、好適には最大+/-10°、より好適には最大+/-5°、さらに好適には最大+/-2°の角度で傾斜し、最も好適には、もう一方の層に対して一切傾斜していないことを意味する。
【0040】
本発明の特に好適な実施例によると、エキスパンド金属シートが、周期的な変形部分として、交互の向きの複数の山及び谷を有する波形を有するエキスパンド金属シートにされるためにステップ(e)で形成され、長手方向に対しての各々の山及び各々の谷の角度が、10°から60°、より好適には20°から50°、より好適には25°から47°である。
【0041】
好適には、山及び谷が、エキスパンド金属シートの終端部分において、終端部分の間に配置された中央部分の山及び谷に対して曲げられ、その結果、構造化されたパッキング要素の終端ゾーン内での流れ抵抗が、終端ゾーンの間に配置されたゾーンの流れ抵抗に対して低減される。両方の終端部分においてこのような曲げ部分及び異なる高さを提供することの代わりに、これらの終端ゾーンのうちの一方の終端ゾーンのみにこれらが存在してもよい。上述したように、これにより、それぞれの層から形成された重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の圧力損失を低減することが可能となる。
【0042】
本発明の別の特に好適な実施例によると、エキスパンド金属シートが、周期的な変形部分として、山及び谷を有する、正方形断面、三角形断面、又は正弦曲線断面を有する波を有するエキスパンド金属シートとなるようにステップ(e)中に形成され、長手方向に対しての各々の山及び各々の谷の角度が、10°から60°、好適には20°から50°、最も好適には25°から47°である。
【0043】
周期的な変形部分の形態とは無関係に、エキスパンド金属シートの2つの隣接する周期的な変形部分の間の距離が、約20mmなどといったように、好適には5mmから30mm、より好適には10mmから30mm、さらに好適には15mmから25mm、最も好適には28mmから22mmである。1つのエキスパンド金属シートの2つの隣接する周期的な変形部分の最も上側のポイントの間の距離が、表面積に応じて、好適には5mmから12.5mmの間、より好適には6.5mmから11.5mmの間である。
【0044】
本発明のさらなる発展形態では、ステップ(e)で形成された、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートが、切断されてステップ(f)で積み重ねられて構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素になり、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層が、これらの隣接する層の周期的な変形部分を、長手方向に対して斜めに延在する層の周期的な変形部分と十字交差で交差させるように方向付けられ、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、最も好適にはすべての層が、層の周期的な変形部分と隣接する層の周期的な変形部分との間の交差ポイントにおいて、隣接する層の各々に接触しており、少なくとも2つの層の間の空いているスペースが周期的な変形部分によって画定される。構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の長手方向が、物質移動及び/又は熱交換のカラムに組み込まれた場合の構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の頂部エリアから底部エリアまでの方向であり、つまり、長手方向が、物質移動及び/又は熱交換のカラムの頂部から底部までの方向である。言い換えると、これは、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素並びに物質移動及び/又は熱交換のカラムのそれぞれの動作中のより重い相の重力駆動の意図される流れ方向である。より具体的には、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の長手方向が以下のように決定され得る:構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素が水平方向エリア上に配置され、その結果、互いに平行に配置されて互いに接触している構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層が垂直方向に延在し、さらにその結果、層の一方の端部から反対側の端部まで延在する空いているスペース(又は、層の周期的な変形部分によってそれぞれ囲まれ、したがって画定されるチャンネル)が、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の頂部から底部まで延在する。したがって、長手方向が、このように配置された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の頂部から底部までの方向であり、つまり、言い換えると:このように配置された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の頂部の上に落下する、例えば水などの重相が空いているスペースに沿って重力駆動で下方に流れ、長手方向が重相の平均流れ方向である。
【0045】
好適には、長手方向に対しての各々の周期的な変形部分の角度が、10°から60°、好適には20°から50°、より好適には25°から47°であり、隣接するエキスパンド金属シートの周期的な変形部分が好適には反対方向に方向付けられる。
【0046】
具体的には、長手方向に対して垂直である平面で測定される、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての、少なくとも2つの層の間の最大距離が、8mmから80mm、好適には12mmから51mm、最も好適には16mmから30mmである場合、良好な結果が得られる。
【0047】
これに従って、層幅が、4mmから40mm、より好適には6mmから25.5mm、最も好適には8mmから15mmであることが好適である。
【0048】
さらに、ステップ(f)で生産されたパッキング要素が、100mmから300mm、好適には150mmから250mmの高さを有することが好適である。
【0049】
具体的には、ステップ(f)で生産された構造化されたパッキング要素の比表面積が、60m2/m3から750m2/m3、好適には120m2/m3から500m2/m3、最も好適には200m2/m3から450m2/m3である場合、良好な結果が得られる。
【0050】
上述したように、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を形成するエキスパンド金属シートが、各々、分離要素によって囲まれてこれらの分離要素によって互いに分離された開口部を有する。言い換えると、エキスパンド金属シートがグリッドである。好適には、ステップ(a)で延伸することが、最終的な構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素のエキスパンド金属シートの層が以下の特性を有するように、実施される:好適には、隣接する開口部の間の少なくとも1つの分離要素の平均幅とシート材料厚さとの間の比が少なくとも15であり、より好適には少なくとも18である。開口部が、好適には、レンズ状又は台形の形状を有し、したがって、より短い固有長さ及びより長い固有長さを有し、開口部のより短い固有長さがエキスパンド金属シートの延伸方向における開口部の最大寸法であり、開口部のより長い固有長さがエキスパンド金属シートの延伸方向に対して垂直である方向における開口部の最大寸法である。エキスパンド金属シートの延伸方向は、エキスパンド金属シートの生産中にシート金属を延伸するときに沿う方向である。好適には、開口部の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべてが、1.0mmから4.0mm、好適には2.0mmから3.0mmのより短い固有長さと、2.0mmから8.0mm、好適には2.5mmから7.0mm、最も好適には3.0mmから6.0mmのより長い固有長さとを有する。
【0051】
エキスパンド金属シートの延伸方向において隣接する開口部の間の距離が、エキスパンド金属シートの延伸方向に対して垂直である方向において隣接する開口部の間の距離とは異なる。以降、エキスパンド金属シートの延伸方向において互いに隣接する第1の開口部と第2の開口部との間の距離はu2とも称され、つまりu2と略される。対して、第1の開口部と、エキスパンド金属シートの延伸方向に対して垂直である方向において第1の開口部に隣接する第3の開口部との間の距離はu1とも称され、つまりu1と略される。好適には、距離u2と距離u1との間の比が、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての開口部において、0.4から0.7、より好適には0.45から0.70、最も好適には0.49から0.55である。加えて、好適には、距離u2が、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての開口部において、2mmから8mmであり、より好適には3mmから7mmであり、最も好適には4mmから6mmであり、対して、距離u1が、好適には少なくとも50%、より好適には少なくとも75%、さらに好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての開口部において、7.5mmから15mmであり、最も好適には9mmから11mmである。
【0052】
本発明の別の特定の実施例によると、隣接する開口部の間の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての分離要素の平均幅が、隣接する開口部の平均水力直径の70%から125%の間である。より好適には、隣接する開口部の間の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての分離要素の平均幅が、隣接する開口部の平均水力直径dの75%から100%の間である。より好適には、隣接する開口部の間の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての分離要素の平均幅が、1.5mmから4.0mm、さらに好適には1.6mmから3.5mm、最も好適には1.8mmから3.0mmである。加えて、好適には、各々の少なくとも2つの層の開口部の、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、さらに好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての水力直径が、1.25mmから5.0mm、より好適には2.0mmから4.0mm、最も好適には2.2mmから3.5mmである。
【0053】
さらに、好適には、長手方向に対して垂直である平面で測定される、少なくとも50%、好適には少なくとも75%、より好適には少なくとも80%、さらに好適には少なくとも90%、さらに好適には少なくとも95%、最も好適にはすべての、少なくとも2つの層の間の最大距離Dと、分離要素の平均幅bとの間の比が、少なくとも5、より好適には少なくとも8である。
【0054】
パラメータu2(エキスパンド金属シートの延伸方向において互いに隣接する第1の開口部と第2の開口部との間の距離)及びb(分離要素の平均幅)が、エキスパンド金属シートの延伸係数を計算するのに使用され得る。より具体的には、エキスパンド金属シートの延伸係数がu2/2bとして定義される。この延伸の逆数が、中実の金属シートと比較して実現され得る材料節約を良好に示す。
【0055】
本発明の特に好適な実施例によると、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素のすべての層の空隙率、つまり、層内の開口部の全面積を層のシート面積によって割ったときの商が、20%から38%の間である。
【0056】
次いで、添付図面を参照して、例として、本発明による具体的な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の一実施例によるプラントを示す概略図である。
【
図2a】本発明の一実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図2a】本発明の一実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図2b】本発明の別の実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図2c】本発明の別の実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図2d】2つの異なる段階における、本発明の別の実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図2e】2つの異なる段階における、本発明の別の実施例によるプラントのシート保管ユニットを示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施例によるプロセスを用いて生産された複数の構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を有する物質移動カラムを示す概略側面図である。
【
図4a】本発明の一実施例によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素のシートの一部分を示す分解図である。
【
図4b】
図4aに示される構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を示す概略側面図である。
【
図4c】
図4aに示される構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の2つの層を示す図である。
【
図5】本発明の別の実施の形態によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の波形シートを示す部分図である。
【
図6a】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図6b】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図6c】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図6d】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図6e】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図6f】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の多様な実施例を示す概略図である。
【
図7a】本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の別の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、本発明の一実施例による、重い流体相と軽い流体相との間での物質移動及び/又は熱交換のためのカラムのための構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を生産するためのプラント10を概略的に示す。プラント10は、その上流側の端部からその下流側の端部まで、デコイラ12と、エキスパンド金属シートにするために金属シートを切断及び延伸するための延伸機械14と、所望の厚さにするために、延伸機械内で生産されたエキスパンド金属シートを圧延するための較正機械16と、シート保管ユニット18と、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートにするために、較正機械内で生産された圧延済みのエキスパンド金属シートを形成するためのフォーミング機械20と、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするために、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを積み重ねるための積み重ね機械22と、を有する。デコイラ12がスリーブであり、このスリーブの上に金属シートが巻き付けられる。プラント10の動作中、金属シートがデコイラ12から外され、延伸機械14の中へ送られ、延伸機械14は、エキスパンド金属シートを生産することを目的として、圧力によるスリッティング及び延伸のプロセスを利用して金属シートが延伸機械を通るように送られる場合に延伸機械の同じストロークにおいて金属シートを切断(又は、それぞれスリッティング)及び延伸をするための少なくとも1つのナイフを有する。より具体的には、ナイフによって作り出されたスリットは、金属を延伸してそれにより一様な開口部を作るのを可能にする。一貫したパターンを保証するために、金属を通過させて送るときに、引き伸ばし機械14が手動でプログラムされるか又は動作させられる。延伸機械14はストローク式に稼働し、延伸機械14の1回のストローク中に移送されるエキスパンド金属シートの長さは、分離要素の幅と延伸係数との積である。延伸機械14内で生産されたエキスパンド金属シートは、少なくとも2つのローラを有する較正機械16の中まで案内され、これらの2つのローラを通ってエキスパンド金属シートが送られて圧力を提供され、それによりエキスパンド金属シートが圧延されてそれぞれ所望の厚さ又はグリッド厚さにされる。
【0059】
生産された圧延済みのエキスパンド金属シートが較正機械16からシート保管ユニット18の中まで案内され、エキスパンド金属シートがシート保管ユニット18からフォーミング機械20の中へ直接移送される。好適には、シート保管ユニット18は、少なくとも2個、より好適には少なくとも4個、さらに好適には少なくとも6個、最も好適には少なくとも8個の向き変更ローラを有し、向き変更ローラは、すべて、これらの向き変更ローラの間の距離を変化させるのを可能にするように移動可能である。このようなシート保管ユニット18の具体的な実施例が
図2に示される。
【0060】
フォーミング機械20は、好適には、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートを生産することを目的として、圧延済みのエキスパンド金属シートをプリーツ加工するための1つ又は複数の第1の成形ユニットまで圧延済みのエキスパンド金属シートを継続的に前進させるためのデバイスと、プリーツ加工したエキスパンド金属シートを取り出すための少なくとも1つのデバイスとを有する。次いで、周期的な変形部分を有するエキスパンド金属シートが積み重ね機械22の中まで案内され、積み重ね機械22は、好適には、所望のサイズにするために、周期的な変形部分を有する圧延済みのエキスパンド金属シートを切断するための1つ又は複数の回転切断ホイールと、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素にするために、周期的な変形部分を有する切断された圧延済みのエキスパンド金属シートを積み重ねるための積み重ねユニットとを有する。切断及び積み重ねを理由として、積み重ね機械22は不連続的に稼働する。切断及び積み重ね機械22内での積み重ね中、フォーミング機械20が停止される必要がある。したがって、フォーミング機械20もストローク式に稼働し、フォーミング機械の1回のストローク中に移送されるエキスパンド金属シートの長さは、シートの2つの隣接する周期的な変形部分の間の距離を角度αの余弦で割ったときの商であり、波形が長手方向に対して角度αで傾斜している。例えば、2つの隣接する周期的な変形部分の間の20mmである距離、45°である角度α、及び1.25である延伸係数を有するエキスパンド金属シートの場合、延伸機械の1回のストローク中に移送されるシートの長さが2.5mmであり、対して、フォーミング機械による1回のストローク中に移送されるシートの長さが28.3mmである。したがって、延伸機械内で用意されて較正機械内で圧延されたエキスパンド金属シートがフォーミング機械の中へ直接移送され得ない。
【0061】
より具体的には、延伸機械14は、通常、フォーミング機械20より高いストローク頻度を有するが、1回のストローク中にフォーミング機械20より短い長さのエキスパンド金属シートを移送する。したがって、フォーミング機械20のストロークが開始されるとき、フォーミング機械20は、所与の時間間隔当たりで、この時間間隔中に延伸機械14によって移送されるよりも長いシート長さを必要とし、対して、フォーミング機械20のストロークの終了後、フォーミング機械20の次のストロークが開始されるまで、延伸機械14が依然として、フォーミング機械20によって必要とされないシート長さを移送する。本発明によると、延伸機械14及びフォーミング機械20の両方の機械の異なるストローク・サイクルにおける延伸機械14及びフォーミング機械20の異なる材料必要量は、それぞれ、シート保管ユニット18によって補償又は緩和される。シート保管ユニット18の移動可能なローラは、この時点においてフォーミング機械20によって必要とされない較正機械16から受け取られた余剰分のシート長さに比例してローラの間の距離を単純に増大させることにより、フォーミング機械20の2つのストロークの間の時間間隔中、延伸機械14及び較正機械16によって生産された圧延済みのエキスパンド金属シートをシート保管ユニット18に装填するのを可能にする。さらに、移動可能なローラは、この時点で較正機械16から受け取られたシート長さを超える、フォーミング機械20によって必要とされる余剰分のシート長さに比例してローラの間の距離を単純に減少させることにより、フォーミング機械20の1回のストロークの時間間隔中に中に保管されている圧延済みのエキスパンド金属シートからシート保管ユニット18を取り外すのを可能にする。
【0062】
図1に示されるように、シート保管ユニット18は、較正機械16内で生産された圧延済みのエキスパンド金属シートを直接受け取って圧延済みのエキスパンド金属シートをフォーミング機械20へ直接解放するように、具現化される。
【0063】
図2aは、本発明の一実施例によるプラント10のシート保管ユニット18の概略図である。シート保管ユニット18は、6個の移動不可能なローラ23、23’、23’’、23’’’、及び垂直方向に移動可能である14個の移動可能なローラ24、24’、24’’、24’’’を有する。それにより、単一の移動可能なローラ24、24’、24’’、24’’’の間の距離が必要に応じて調整され得、それにより、最も上流側の移動可能なローラ24と最も下流側の移動可能なローラ24’’’との間の総距離が必要に応じて調整され得る。最も上流側の移動可能なローラ24と最も下流側の移動可能なローラ24’’’との間の総距離は、特定の時点で保管ユニット18内で保管される圧延済みのエキスパンド金属シートの長さを画定する。より圧延されたエキスパンド金属シートを保存することが必要である場合、最も上流側の移動可能なローラ24と最も下流側の移動可能なローラ24’’’との間の総距離が増大され、対して、フォーミング機械20がストロークを実施する場合、最も上流側の移動可能なローラ24と最も下流側の移動可能なローラ24’’’との間の総距離が減少する。
【0064】
図2bは、本発明の別の実施例によるプラント10のシート保管ユニット18の概略図である。シート保管ユニット18は、6個の移動不可能なローラ23、23’、23’’、23’’’、及び水平方向に移動可能である2個の移動可能なローラ24、24’を有する。それにより、単一の移動可能なローラ24、24’の間の距離が必要に応じて調整され得、それにより、最も上側の移動可能なローラ24と最も下流側の移動可能なローラ24’との間の総距離及びひいては保管ユニット18内のエキスパンド金属シートの全体の長さが必要に応じて調整され得る。
【0065】
図2cは、本発明の別の実施例によるプラント10のシート保管ユニット18の概略図である。シート保管ユニット18は、4個の移動不可能なローラ23、23’、23’’、23’’’、2個の移動不可能な湾曲した向き変更プレート25、25’、及び垂直方向に移動可能である1つの移動可能なローラ24を有する。それにより、第1の向き変更プレート25から移動可能なローラ24を介して第2の向き変更プレート25までの総距離及びひいては保管ユニット18内のエキスパンド金属シートの全体の長さが必要に応じて調整され得る。
【0066】
図2b及び2eは、2つの異なる段階における、本発明による別の実施例によるプラント10のシート保管ユニット18の概略図である。シート保管ユニット18は、4個の移動不可能なローラ23、23’、23’’、23’’’、及び2つの移動不可能な湾曲した向き変更プレート25、25’を有する。それにより、2つの向き変更プレート25、25’の間のエキスパンド金属シートの全体の長さが変化され得る。より具体的には、エキスパンド金属シートのより長い長さを保管ユニット18内に存在させて
図2dに示されるようにフロア27上に配置するように下流側の向き変更プレート25’上でエキスパンド金属シートを引くよりも迅速に上流側の向き変更プレート25上でエキスパンド金属シートを押すことにより、シート保管ユニット18内での保管のためにエキスパンド金属シート18が向き変更手段25、25’の間のスペースの中に押されることになるように、エキスパンド金属シートの保管が実施される。保管ユニット18を取り外す場合、エキスパンド金属シートは、上流側の向き変更プレート52の上で押されるよりも迅速に下流側の向き変更プレート52’の上で引かれ、その結果、
図2eに示されるように、エキスパンド金属シートのより短い長さが保管ユニット18内に存在するようになる。
【0067】
図3は、物質移動カラム26の、またより具体的には、本発明のプロセスに従って生産された構造化されたパッキング要素を有する蒸留カラム26の概略図である(図の透明の内部は単に例示を目的とする)。また例示を目的として、層のグリッド構造が
図3には示されないが
図6及び7のみに示される。蒸留カラム26は、2つのベッド30、30’の形態で配置される複数の構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28を有する。2つのベッド30、30’の各々の上方で、分散装置32、32’は、そこを通って蒸気が上行するのに十分なスペースを残しながら、ベッドの断面にわたって液体を一様に分散させるように配置される。各ベッド30、30’の下方に、グリッド状の保持デバイス34及び収集装置36が配置され、グリッド状の保持デバイス34がベッド30をその定位置で維持し、収集装置36がベッド30から下方にゆっくりと流れる液体を収集し、この間、蒸気を上行させるための十分な空いているスペースが収集装置内に残される。
【0068】
蒸留カラム26の動作中、ガスが軽相として底部から頂部まで上行し、対して重相としての液体が対向流中で蒸留カラム26の頂部から底部まで降下する。より具体的には、液体が分散装置32によりベッド30の断面にわたって実質的に均質的に分散され、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28の層の表面に沿って下方にゆっくりと流れる。構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28の異なる層の間に空いているスペースが設けられ、これらの空いているスペースにガスが充填され、これらの空いているスペースが上行するガスのための経路を提供し、この間、ガスが圧力勾配によって移動させられる。構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28の層の表面上で液体が拡散するのを可能にすることにより、界面で液体とガスとの間での効率的な熱伝達及び物質移動を確立するように、2つの相の間に大きい界面が作り出される。ベッド30の底部において、液体が収集装置36内に収集され、パイプ38を介して第2のベッド30’の上方の分散装置32’まで下方に案内される。
【0069】
図4aから4cは、いわゆるクロス・チャンネルの波形シート・パッキングのタイプの構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28を示す。例示のために、層のグリッド構造が
図4には示されないが、
図6及び7のみに示される。構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28が複数の波形シート40、40’から組み立てられ、複数の波形シート40、40’が互いに平行であり互いに接触している。波形シート40、40’の各々は、上述したように、及び
図7により後でさらに詳細に説明するように、グリッドである。
図4cの右下に、波形シート40の一部であるグリッド構造が概略的に示される。上記の明細書から理解されるように、波形シート40、40’のすべてが実際にこのようなグリッドから構成される。これは単に例示することを理由として、
図4aから4cには示されない。本実施例では、波形シート40、40’がエキスパンド・シート材料から作られ、つまり、波形シート40、40’は、薄い金属プレートを切断及び延伸して次いでエキスパンド・シート金属を波形シート40、40’へと変形させることにより用意される。
【0070】
波形金属シート40、40’は、波形シート40、40’の長手方向セクションに対して垂直に波形シート40、40’を貫通する複数の棒(図示せず)により互いに対して固定され、棒は、ワッシャ及びナットにより、又は棒を曲げることにより、或いは任意の他の手段(図示せず)により、最初の及び最後の波形シートに対して固定される。各波形シート40、40’は、交互の向きの複数の山42及び谷44を有し、隣接する波形シート40、40’は、隣接する波形シート40、40’の波形42、44を、長手方向に対して斜めに延在する波形シート40、40’の波形42、44と十字交差で交差させるように方向付けられ、それにより、互いを連続的に横断する傾斜チャンネル46を形成する。より具体的には、長手方向に対しての各々の山42及び各々の谷44の角度αは、10°から60°、好適には20°から50°、最も好適には25°から47°であり、隣接する層40、40’の山42及び谷44が反対方向に方向付けられる。チャンネル46は、例えば20mmなどである、隣接する波形シート40、40’の間の最大距離Dを画定する。これらのチャンネル46は、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28内のガス相及び液相の流れに良い影響を与え、相の間での物質移動を促進する。つまり、ガス相及び液相が構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28のチャンネル46内で接触させられ、したがって、相の間での物質移動さらには熱伝達が促進される。より具体的には、上行するガスは、波形シート40、40’の表面上に存在する液体に接触し、物質移動カラムを通って下方に流れるときにチャンネル46を画定する。全体として見ると、軽相がそれぞれ空いているスペース又はチャンネル46を通って流れ、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素28の波形シート40、40’のグリッドの開口部を通るバイパス流が存在しない。これは、軽相と重相との間での特に効率的な物質移動及びエネルギー伝達に繋がる。さらに、チェンネル46の十字交差の方式は、左から右への相の最適な分散に繋がる。
【0071】
図5は、代替的実施例による、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の波形シート40の部分図を示す。
図5の構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の波形シート40は、
図4aから4cに示される波形シート40、40’に類似する。しかし、
図5の構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の波形シート40は線形に延在する山及び谷を有さないが、波形シート40、40’の山42、42’及び谷が終端部分48、48’内で曲げられており、したがって、波形シート40、40’の終端部分48、48’内で実質的に垂直方向に延在する。
図5では、実線が見る人の方に提示される波形シート40の面の中の波形の山26を描いており、対して破線42’は、この面のすぐ後方にある波形シート40’の対応する面の中の波形の谷の見た目を描いている。波形シート40、40’の終端部分48、48’の中で実質的に垂直方向に延在させるように終端部分48、48’を曲げることにより、波形シート40、40’の終端部分48、48’の間に位置する部分の流れ抵抗と比較して、波形シート40,40’の終端部分48、48’の流れ抵抗が低減される。これは、構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の圧力損失の低減に繋がる。
【0072】
図6aから6fは、例えば、
図4aから4c及び5のいずれかに示されるような構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素内で使用されるのに適する、本発明に従って生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層50を形成するグリッド56の多様な実施例の概略図である。
図6aに示される構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層50のグリッド56は、四辺形断面を有する開口部58を有し、開口部58が分離要素60によって囲まれて分離要素42により互いに分離される。分離要素60は例えば2mmである平均幅bを有する細いストリップであり、分離要素60が開口部58を完全に囲んでいる。開口部58の2つの辺長a
1、a
2は、例えば3mmである適切な水力直径dを有する開口部58を得るように選択される。本分野で知られているように、水力直径dは公式4A/Pに従って計算され得、式中、Aが開口部40の断面積であり、Pが開口部58の周長である。多様なジオメトリの開口部58及び多様なジオメトリの分離要素60を有するグリッド56が
図6bから6fに示される。
図6b及び6cのグリッド56の開口部58が四辺形であり、対して
図6dのグリッド56の開口部58が不規則であり、
図6e及び6fのグリッド56の開口部58が楕円である。
【0073】
図7aは、本発明によるプロセスを用いて生産された構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素の層のエキスパンド金属シートのグリッド構造の別の実施例の概略図を示す。エキスパンド金属シートは、分離要素60により互いに分離されている、実質的に台形の形態を有する開口部58を有するグリッド56である。したがって、開口部がより短い固有長さ及びより長い固有長さを有し、開口部58のより短い固有長さがエキスパンド金属シートの延伸方向SDにおける開口部58の最大寸法であり、開口部58のより長い固有長さがエキスパンド金属シートの延伸方向SDに対して垂直な方向における開口部58の最大寸法である。
図7aの線A-Aに沿う切欠図である
図7bに示されるように、エキスパンド金属シートがもはや平坦ではなく、構造化された表面を有する。これは、個別の分離要素の変形、歪み、曲げ、又は跳ね上がり、並びに他の部分に対しての分離要素の相対的変形、例えば、傾斜の結果である。より具体的には、エキスパンド金属シートは、延伸方向SD側に平坦なフランクを有し、反対方向側に比較的急勾配であるフランクを有する。本発明は、エキスパンド金属シートを延伸方向SDに移送するのを可能にし、つまり、その平坦なフランク側をフォーミング機械20に入れるようにエキスパンド金属シートを移送するのを可能にする。
【符号の説明】
【0074】
10 構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素を生産するためのプラント
12 デコイラ
14 延伸機械
16 較正機械
18 シート保管ユニット
20 フォーミング機械
22 積み重ね機械
23、23’、23’’、23’’’ シート保管ユニットの移動不可能なローラ
24、24’、24’’、24’’’ シート保管ユニットの向き変更手段/移動可能なローラ
25、25’ シート保管ユニットの向き変更手段/向き変更プレート
26 物質移動カラム/蒸留カラム
27 フロア
28 構造化されたクロス・チャンネルのパッキング要素
30、30’ 構造化されたパッキング要素のベッド
32、32’ 分散装置
34 保持デバイス
36 収集装置
38 パイプ
40、40’ 波形シート
42 層の山
42’ 隣接する層の山
44 谷
46 チャンネル/空いているスペース
48、48’ 波形シートの終端部分
50、50’ 層
56 グリッド
58 グリッドの開口部
60 グリッドの分離要素
A 開口部の断面積
a1 開口部の辺長
a2 開口部の第2の辺長
b 分離要素の平均幅
d 開口部の平均水力直径
D 少なくとも2つの層/波形シートのうちの少なくとも隣接する層/波形シートの間の最大距離
P 開口部の周長
SD エキスパンド金属シートの延伸方向
V 通常は垂直方向である長手方向
α 長手方向に対しての各々の山及び各々の谷の角度
【国際調査報告】