(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】鉄道交通のためのレールの音響振動を能動的に減衰させるためのシステム、方法、及び、キャリア要素
(51)【国際特許分類】
E01B 19/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E01B19/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522593
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020078066
(87)【国際公開番号】W WO2021073963
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019127824.4
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503219640
【氏名又は名称】シュタビルス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】STABILUS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】バレル、ヨシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッシュ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ボッヘン、マリアン
(72)【発明者】
【氏名】デ ジェズス、ルイス
【テーマコード(参考)】
2D056
【Fターム(参考)】
2D056AD05
2D056CA01
(57)【要約】
本発明は、鉄道交通のためのレール(310)の音響振動を能動的に減衰させるためのシステム(100)に関し、該システムは、レール(310)の少なくとも垂直音響振動を検出するための少なくとも1つのセンサ(110)と、レール(310)の少なくとも垂直逆振動を励起するための少なくとも1つのアクチュエータ(120)と、センサ(110)によって検出される振動に応じて少なくとも1つのアクチュエータ(120)を制御するために少なくとも1つのセンサ(110)及び少なくとも1つのアクチュエータ(120)に通信可能に接続される少なくとも1つの制御ユニット(130)とを備え、逆振動は、検出された振動と破壊的に干渉するように適合され、少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、レール(310)とレール(310)を支持するキャリア要素(200)とに対して機械的に結合される。更に、本発明は、システム(100)のためのキャリア要素(200)、及び、鉄道交通のためのレール(310)の音響振動を能動的に減衰させるための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道交通のためのレール(310)と、前記レール(310)の下部構造に対して固定されたカウンターウェイトと、前記レール(310)の音響振動を能動的に減衰させるためのシステム(100)とを備え、前記システム(100)は、
a)前記レール(310)の少なくとも垂直音響振動を検出するための少なくとも1つのセンサ(110)と、
b)前記レール(310)の少なくとも垂直逆振動を励起するための少なくとも1つのアクチュエータ(120)と、
c)前記センサ(110)によって検出される前記振動に応じて前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)を制御するために前記少なくとも1つのセンサ(110)及び前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)に通信可能に接続される少なくとも1つの制御ユニット(130)と、
を備え、
d)前記逆振動は、前記検出された振動と破壊的に干渉するように適合され、
e)前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記レール(310)及び前記カウンターウェイトに機械的に結合される、
鉄道交通路(300)であって、
f)前記少なくとも1つのセンサ(110)は、前記レール(310)の長手方向軸を横断する前記レール(310)の水平振動を検出するように設計され、
g)前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記レール(310)の長手方向軸を横断する前記レール(310)の水平逆振動を励起するように設計される、
ことを特徴とする鉄道交通路(300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、少なくとも1つの圧電アクチュエータ、好ましくは少なくとも1つの積層圧電アクチュエータを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項3】
前記カウンターウェイトが前記レール(310)を支持するキャリア要素(200)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記レール(310)の下側を前記キャリア要素(200)に機械的に接続する、ことを特徴とする請求項3に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項5】
前記レール(310)を静的に支持するために前記レール(310)と前記キャリア要素(200)との間の力の伝達に関して前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)と平行に配置される少なくとも1つの支持要素(150)によって特徴付けられる、請求項4に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)と前記キャリア要素(200)との間の力伝達に関して、前記アクチュエータ(120)によって前記キャリア要素(200)に加えられる圧力を減少させるための減圧要素(160)が設けられる、ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項7】
前記レール(310)は、少なくとも1つの固定要素(220)によって前記キャリア要素(200)に固定され、前記レール(310)と前記キャリア要素(200)との間の力の伝達に関して、前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記固定要素(220)と直列に配置される、ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、第1の移動軸を有する少なくとも1つの第1のアクチュエータと、第2の移動軸を有する第2のアクチュエータとを備え、前記第1の移動軸と前記第2の移動軸とが、互いに平行に方向付けられず、好ましくは互いに直交している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)と前記レール(310)との間の力伝達のための少なくとも1つの伝達要素によって特徴付けられ、前記伝達要素は、前記伝達された力の有効方向を変向するための変向要素、前記伝達された力を変換するための変換要素、及び/又は、前記伝達された力を制限するための過負荷保護を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項10】
前記システム(100)の前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記レール(310)を支持する前記キャリア要素(200)に少なくとも部分的に組み込まれる、ことを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項11】
前記キャリア要素(200)は、前記レール(310)を支持する前記キャリア要素(200)の設置状態で前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)の保守及び/又は交換のための少なくとも1つのサービスアクセス(210)を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項12】
前記システム(100)は、前記レール(310)に沿って離間される多数の、好ましくは複数のセンサ(110)と、前記レール(310)に沿って離間される多数のアクチュエータ(120)とを備え、前記センサ(110)の数が好ましくは前記多数のアクチュエータ(120)の数よりも少ない、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか一項に記載の鉄道交通路(300)の鉄道交通のための前記レール(310)の音響振動を能動的に減衰させるための方法であって、前記鉄道交通路(300)の前記レール(310)の音響振動を能動的に減衰させるために前記システム(100)の前記少なくとも1つの制御ユニット(130)によって実行される少なくとも以下のステップ、すなわち、
a)前記システム(100)の前記少なくとも1つのセンサ(110)によって前記レール(310)の少なくとも垂直振動を自動的に検出するステップと、
b)前記システム(100)の前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)によって前記レール(310)の少なくとも垂直逆振動を自動的に励起するステップと、
を含み、
c)前記垂直逆振動は、前記検出された垂直振動と破壊的に干渉するように適合され、
d)前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)は、前記レール(310)と、前記レール(310)の下部構造に対して固定されたカウンターウェイトとに対して機械的に結合される、
方法において、
前記少なくとも1つの制御ユニット(130)によって少なくとも以下のステップ、すなわち、
e)前記少なくとも1つのセンサ(110)によって前記レール(310)の長手方向軸を横断する前記レール(310)の少なくとも水平振動を自動的に検出するステップと、
f)前記少なくとも1つのアクチュエータ(120)によって前記レール(310)の長手方向軸を横断する前記レール(310)の少なくとも水平逆振動を自動的に励起するステップと、
が実行され、
g)前記水平逆振動は、前記検出された水平振動と破壊的に干渉するように適合される、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道交通のためのレールの音響振動を能動的に減衰させるためのシステム及び方法、並びに、システムによってレールの音響振動を能動的に減衰させるための鉄道交通のためのレール用のキャリア要素に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの鉄道線路は、例えば都市などのノイズに敏感な領域を通過する。特に、多くの貨物列車が走行している夜間には、そこに居住する人々はかなりの音響汚染に晒される。鉄道交通ノイズが医学的状態を引き起こすことさえ見出された。
【0003】
殆どのレール走行に関連する約40km/h~約280km/hの速度範囲では、レール走行のノイズ放射は、主に、車輪とレールとの接触時に発生する転がりノイズによって決定される。転がりノイズは、車輪がレールトラック上を転がる際に発生する。転がると、材料構造、摩耗、及び、腐食によって決定されるレール及び車輪走行面の表面及び構造的凹凸が、主に車輪セット及びレールの垂直励振を引き起こし、これがそれらに振動を誘発し、この振動は、空中伝播ノイズとして周囲の空気に放出され、構造伝播ノイズとしてレールの下部構造に放出される。
【0004】
レールジョイント、交差アセンブリ、平坦スポット、並びに、レールのプロットは、車輪-レールシステムに割り当て可能な更なるインパルス状ノイズをもたらす。
【0005】
例えば、空中伝播ノイズの伝達を低減するためのレール自体におけるカバー又はレールの下部構造への構造伝播ノイズの伝達を低減するためにこれらの構成要素を地面から切り離すためのレール又は枕木の下方の減衰下地など、幾つかの受動的な解決策の手法が既に市場に存在する。更に、車輪自体にノイズを発生させる振動を低減するために鉄道キャリッジの各車輪に組み込まれるシステムもある。
【0006】
しかしながら、前述の受動システムは、解放音圧レベルを最大3dB(A)だけ下げることしかできないが、列車速度に応じて60dB(A)をはるかに超える音圧レベルが処理されるようになっている。
【0007】
欧州特許第1 497 164号明細書は、鉄道車両の音の伝達を低減する方法を記載している。このプロセスでは、少なくとも1つの振動センサが、車輪セットによって発生及び/又は伝達される厄介な振動を検出する。少なくとも1つの振動センサからの信号の周波数分析のための装置は、最も強い高調波励振を伴う周波数を特定する。キャリッジ本体に伝達される残留振動は、エラーセンサによって測定される。その後、少なくとも1つのアクチュエータのための制御信号が、少なくとも1つのエラーセンサからの信号を考慮して生成される。少なくとも1つのアクチュエータは、キャリッジ本体に伝達される残留振動を最小限に抑える。
【0008】
独国特許出願公開第198 24 125号明細書は、鉄道車両の客室内のキャリッジ下関連振動励振、特に空中伝播ノイズ励振を能動的に抑制する方法を開示する。ここで、中間フレーム又は一次ばねの上方のキャリッジ本体の振動を検出する振動センサが設けられる。更に、ディスクホイールにそれぞれ割り当てられる主ばねに平行に補償力を加えることができるアクチュエータが設けられる。このプロセスにおいて、制御装置は、振動に応じたアクチュエータにおけるディスクホイールの回転周波数の整数倍以上の周波数成分からなる制御信号を生成する。このプロセスにおいて、制御装置は、振動がそれぞれ最小化されるように、それぞれの周波数成分の位相及び振幅を決定する。
【0009】
独国特許出願公開第198 42 345号明細書は、車両上部構造を備える鉄道車両を開示し、車両上部構造上には、車両上部構造の振動のエネルギー効率の良い減衰のための少なくとも1つの振動吸収装置が設けられ、振動吸収装置の振動周波数は、車両上部構造に割り当てられた少なくとも1つの振動センサからの制御信号に応じて制御される。振動吸収装置は、ばねと、好ましくは液空圧アクチュエータとして実装される減衰要素とを備える。受動振動吸収マスがアクチュエータを介して車両上部構造に結合される。
【0010】
引用文献には、鉄道キャリッジのノイズ放射の低減をもたらす、鉄道キャリッジの車両上部構造の振動、特に音響振動を減衰させるためのシステムについて記載する。システムの全ては、ノイズに敏感な領域を通過する全ての鉄道キャリッジが上記のシステムを備えるときにのみ効果的なノイズ低減が達成されるように鉄道キャリッジに完全に組み込まれる。上記のシステムを列車の全車両に装備することは、かなりのコストを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1 497 164号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第198 24 125号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第198 42 345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、鉄道交通におけるノイズ放射を効果的に低減するための費用効率の高いシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の主題は、技術的目的を解決する請求項1に記載のシステムを提供する。同様に、この目的は、請求項11に記載のキャリア要素及び請求項14に記載の方法によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項から明らかになる。
実施形態の説明
【0014】
本発明は、レールの少なくとも垂直音響振動を検出するための少なくとも1つのセンサと、レールの少なくとも垂直逆振動を励起するための少なくとも1つのアクチュエータと、センサによって検出される振動に応じて少なくとも1つのアクチュエータを制御するために少なくとも1つのセンサ及び少なくとも1つのアクチュエータに通信可能に接続される少なくとも1つの制御ユニットとを備える、鉄道交通のためのレールの音響振動を能動的に減衰させるためのシステムに関する。
【0015】
本発明の意味の範囲内で、「音響振動」という用語は、20Hz~20kHzの人間に聞こえる周波数範囲、特に0.5kHz~10kHzの最高聴覚感度の周波数範囲の周波数を有する振動を指す。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの振動及び少なくとも1つの逆振動はそれぞれ、互いに異なる複数の周波数及び振幅をそれぞれ有する、特に時間依存性の振動スペクトル又は逆振動スペクトルを含む。
【0017】
レールの少なくとも1つの振動は、例えば、レール上の鉄道車両の車輪の転がりによって引き起こされ、したがって、車輪の振動と共に鉄道車両の車輪-レールノイズの発生源を構成する。
【0018】
少なくとも1つのセンサは、例えば、レールに取り付けられた圧電センサ、磁気誘導センサ、及び/又は、微小電気機械センサを含むことができる。システムは、振動が逆振動によって重畳される間にキャリア要素及び/又はレールの下部構造に伝達される残留振動を測定するためのエラーセンサとして実装されるセンサを含むことができる。エラーセンサを用いて、制御ユニットは、好適には、閉じた制御ループで逆振動を制御することができる。
【0019】
少なくとも1つのセンサ及び少なくとも1つのアクチュエータは、車輪-レールノイズが一般に車輪-レールシステムの垂直振動によって主に引き起こされるため、少なくとも垂直振動を検出する又は垂直逆振動を励起するように設計される。
【0020】
少なくとも1つの制御ユニットは、好ましくは、コンピュータデバイス、例えば、ワンチップシステム、組み込みコンピュータシステム、メモリプログラマブルコントローラ、ネットワーククライアント及び/又はネットワークサーバを含む。少なくとも1つの制御ユニットは、無線及び/又は有線方式で少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つのアクチュエータに通信可能に接続されてもよい。
【0021】
逆振動は、検出された振動と破壊的に干渉するように適合される。したがって、逆振動を重ね合わせることによって、能動的なノイズ補償の原理に従ってレールの振動が減衰され、レールのノイズ放射が低減される。
【0022】
少なくとも1つのアクチュエータは、レールと、レールの下部構造に固定されたカウンターウェイトとに対して機械的に結合される。本発明の意味の範囲内で、「下部構造」という用語は、特にレールベッドを介して間接的にレールを静的に支持する構造の全体を指す。地球本体の空間的形態(例えば、地形、土手、切断及び横切り)とは別に、これらは幾つかの工学構造(例えば、支持壁、戻り壁及び保持壁、ブリッジ、クロスオーバー構造及び通路)も含む。カウンターウェイトは、下部構造に機械的に接続されてもよく、及び/又は、カウンターウェイトの慣性によって適所に固定されてもよい。カウンターウェイトへの機械的接続により、アクチュエータは、下部構造に対してレールの逆振動を生成することができる。
【0023】
少なくとも1つのアクチュエータがレールに結合されてレールの振動を減衰させるという事実により、特に、レールから下部構造及びその周囲、例えば近くの建物への構造伝播ノイズの伝達が低減される。更に、特に下部構造がレールによって放射される構造伝播ノイズによって振動するようにそれ自体が励振され得る橋梁構造を含む場合には、レールによる空中伝播ノイズの放射も低減される。
【0024】
鉄道車両に完全に組み込まれるシステムと比較して、レール上の少なくとも1つのアクチュエータの配置は、特に影響を受ける領域における効果的なノイズ低減が本発明に係るシステムをレール部分に備えるだけで十分であるという点で有利である。このようにして、領域を通過する全ての鉄道車両がノイズ低減のためのシステムを装備しなければならない場合と比較して、コストの負担がより低くなる。
【0025】
更に、鉄道車両が異なる事業者によって運営される場合、全ての鉄道車両にノイズ低減のためのシステムを装備するために、関与する全ての当事者の協調行動が必要とされる。対照的に、レール部分の責任は、一般に、本発明に係るシステムをレール部分に装備することが全ての鉄道車両にノイズ低減のためのシステムを装備することと比較して容易に実施され得るように、単一の鉄道網オペレータにある。
【0026】
少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、少なくとも1つの圧電アクチュエータを含む。圧電アクチュエータは、鉄道車両と比較して長いレールのメンテナンス間隔を短くしないためにレール上の配置にとって特に有利であるメンテナンス性及び耐久性が特に低いという点で有利である。
【0027】
少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、鉄道車両の車輪とレールとの接触によって生成される典型的な振動を補償するために、適切な周波数範囲、振幅範囲、及び、出力範囲でレールの逆振動を励起するように設計される。
【0028】
少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、少なくとも1つの積層圧電アクチュエータを含む。同じ又は異なるタイプの複数の圧電アクチュエータを積層圧電アクチュエータに組み合わせることによって、逆振動を励起するためのアクチュエータの周波数範囲、振幅範囲及び/又は出力範囲を特に適切な態様で構成することができる。
【0029】
特に、積層アクチュエータの周波数範囲、振幅範囲及び/又は出力範囲は、システムの動作中に積層アクチュエータの個々のアクチュエータを可変制御することによって検出された振動に動的に適合され得る。
【0030】
カウンターウェイトは、レールを支持するキャリア要素を含むことが好ましい。このようにして、別個のカウンターウェイトを省くことができ、それにより、システムを特に費用効果が高く簡単な方法で設置することができる。例えば、キャリア要素は、枕木、いわゆる中実トラックの要素、特にベース、及び/又は、レールが敷設されるレールの下部構造の要素を含む。
【0031】
好ましくは、少なくとも1つのアクチュエータは、レールの下側をキャリア要素に機械的に接続する。レールの下側では、垂直逆振動を生成するための特に効率的な結合が可能である。最も単純な場合には、レールが少なくとも1つのアクチュエータ上に直接に載置される。
【0032】
システムは、好ましくは、レールを静的に支持するためにレールとキャリア要素との間の力伝達に関して少なくとも1つのアクチュエータと平行に配置される少なくとも1つの支持要素を備える。支持要素は、少なくとも1つのアクチュエータが、レール及び必要に応じてレール上の鉄道車両の重量力によって過負荷になることを防止する。
【0033】
支持要素は、例えば、減衰層、特に、例えば、枕木のソール又は減衰下地として使用される繊維強化エラストマーの減衰層を含むことができる。減衰層は、アクチュエータによって励起されるレールの移動を可能にするとともに、アクチュエータを過負荷から保護するために有限の圧縮性によってレールとキャリア要素との間の最小距離を確保する。
【0034】
更に、減衰層は、逆振動によって相殺されないレールの振動の部分のキャリア要素への伝達を低減する。更に、減衰層は、固定要素を用いて少なくとも1つのアクチュエータ上のレールを付勢できるようにする。付勢は、圧電アクチュエータにおいて特に有利である。これは、圧電アクチュエータが、一般に、引張方向におけるよりも圧力方向で実質的に高い、例えば10倍高い力を加えることができるからである。付勢は、アクチュエータの引張方向でレールの動きを支持し、アクチュエータの圧力方向でレールの動きを打ち消す。
【0035】
少なくとも1つのアクチュエータとキャリア要素との間の力伝達に関して、好ましくは、アクチュエータによってキャリア要素に加えられる圧力を低減するための減圧要素が設けられる。例えば、減圧要素は、キャリア要素上のアクチュエータの支持面を増大させ、それによって圧力を低減する。減圧要素は、例えば、キャリア要素内の局所的な応力集中によってキャリア要素に作用する機械的負荷を低減し、それによってキャリア要素の耐久性を高める。
【0036】
減圧要素は、例えば、スリーブ、例えば金属シートを備え、この場合、少なくとも1つのアクチュエータがキャリア要素内に少なくとも部分的に配置される。
【0037】
レールは、好ましくは、少なくとも1つの固定要素によってキャリア要素に固定される。少なくとも1つの固定要素は、例えば、レールをキャリア要素及び/又は上部構造W、上部構造K又はトラック構造から知られている上部構造KSに押し付けるための固定クランプを備える。
【0038】
好ましくは、少なくとも1つのアクチュエータは、レールとキャリア要素との間の力伝達に関して、固定要素と直列に配置され、及び/又は、アクチュエータが固定要素に取って代わる。固定要素上の又は固定要素の代わりの少なくとも1つのアクチュエータの配置は、レールの下側の配置の場合よりも容易にアクセスできるという利点を有し、それにより、アクチュエータの設置及び保守、特に既存のレールにアクチュエータを後付けすることが容易になる。
【0039】
好ましくは、レールとキャリア要素との間の力の伝達に関してレールからキャリア要素への振動の伝達を減衰させるための少なくとも1つの減衰要素は、固定要素と直列に配置され、及び/又は、固定要素自体は、例えば適切な形態及び/又は材料の選択によって、レールからキャリア要素への振動の伝達を減衰させるように設計される。
【0040】
減衰要素は、例えば、減衰層、特に、例えば、枕木のソール又は減衰下地として使用される繊維強化エラストマーの減衰層を含むことができる。減衰層は、逆振動によって相殺されないレールの振動の部分のキャリア要素への伝達を低減する。
【0041】
少なくとも1つのアクチュエータが固定要素と直列に配置される場合には、減衰要素が同じ固定要素と直列に配置されないことが好ましく、また、固定要素自体は振動減衰するように設計されず、それにより、逆振動に対するレールの励振がアクチュエータによって減衰されない。
【0042】
少なくとも1つのセンサは、好ましくは、レールの長手方向軸を横断するレールの水平振動を検出するように設計され、また、少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、レールの長手方向軸を横断するレールの水平逆振動を励起するように設計される。このようにして、好適には、垂直振動に加えて、レールの長手方向軸を横断するレールの水平振動も能動的に減衰して、特にレールの曲線における包括的なノイズ低減を達成することができる。
【0043】
少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、第1の移動軸を有する少なくとも1つの第1のアクチュエータと、第2の移動軸を有する第2のアクチュエータとを含み、第1の移動軸及び第2の移動軸は、互いに平行に方向付けられず、好ましくは互いに直交している。2つのアクチュエータ及び潜在的な更なるアクチュエータの動きを重ね合わせることによって、異なる方向、特にレールを横断する水平方向及び垂直方向のレールの逆振動を励起することができる。2つ以上のアクチュエータは、積層アクチュエータに組み合わされてもよい。
【0044】
少なくとも1つのセンサは、好ましくは、第1の測定軸を有する少なくとも1つの第1のセンサと、第2の測定軸を有する第2のセンサとを備え、第1の測定軸及び第2の測定軸は、互いに平行に方向付けられず、好ましくは互いに直交している。2つのセンサ及び潜在的な更なるセンサにより、異なる方向、特にレールを横断する水平方向及び垂直方向のレールの振動を検出することができる。
【0045】
システムは、好ましくは、システムにエネルギーを供給するための少なくとも1つのエネルギー供給ユニットを備え、エネルギー供給ユニットは、好ましくは光起電力素子及び/又は圧電素子を含む局所発電用の少なくとも1つの発電素子と、少なくとも1つのエネルギー貯蔵部、例えば発電素子によって生成されたエネルギーを貯蔵するためのアキュムレータとを備える。
【0046】
エネルギー供給ユニットにより、外部電源、例えば都市電力網又は鉄道電力網へのシステムの高価な接続を省くことができる。
【0047】
光起電力素子は、例えば、ノイズ保護壁上に配置されてもよい。圧電素子は、例えば、鉄道車両によって引き起こされるレールの振動を電力に変換するためにレールに結合されてもよい。
【0048】
システムは、好ましくは、少なくとも1つのアクチュエータとレールとの間の力伝達のための少なくとも1つの伝達要素を備え、伝達要素は、伝達された力の有効方向を変向するための変向要素、伝達された力を変換するための変換要素、及び/又は、伝達された力を制限するための過負荷保護を備える。
【0049】
変向要素、例えばレバーシステム及び/又はウェッジ偏向を用いて、少なくとも1つのアクチュエータは、例えば、レールの真下に配置される必要なくレールの下側に作用することができる。このようにして、アクチュエータは、例えばレール及びその上を走行する鉄道車両の重量力による過負荷から保護され、例えば設置、メンテナンス及び/又は後付けのためにより容易にアクセス可能である。
【0050】
過負荷保護、例えば摺動クラッチもまた、例えばレール及びその上を走行する鉄道車両の重量力による過負荷からアクチュエータを保護する。
【0051】
伝達要素は、特に、例えば異なる移動軸を有する複数のアクチュエータをレールに機械的に結合するように設計されてもよい。
【0052】
システムの特定の利点は、例えば少なくとも1つのアクチュエータ及び少なくとも1つのセンサをレールの下に配置することによって、レールに対する一般的な保守作業、例えばレールの上側の研削又はレールの交換を損なわないように設計できるという点である。このように、当該システムは、例えば、ノイズ吸収体がレールに直接に取り付けられる公知のノイズ低減システムとは異なる。
【0053】
本発明は、本発明に係るシステムを含むレールの音響振動を能動的に減衰させるための鉄道交通におけるレール用のキャリア要素、及び、そのようなキャリア要素を含む本発明に係るシステムに関する。
【0054】
例えば、キャリア要素は、砂利床上にレールを敷設するための枕木、又は、レールを敷設するためのいわゆる中実トラックの要素、特にベースを含む。キャリア要素は、特に、例えばレールにおける形状、寸法、材料組成及び/又は固定要素に関して、最新技術にしたがって慣習的な枕木又は固体トラックの要素の特徴を有することができる。これは、最新技術にしたがって慣習的な装置及び方法を使用して、特に自動化されたレール構造列車を使用して、迅速かつ高い費用効率でキャリア要素を設置及び設置解除することができるという利点をもたらす。
【0055】
システムの少なくとも1つのアクチュエータは、好ましくは、キャリア要素に少なくとも部分的に組み込まれ、例えば、キャリア要素の凹部内のレールの下方に配置される。更に、システムの他の構成要素、例えば、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つの制御ユニット、供給ユニット及び/又は伝達要素も、キャリア要素に少なくとも部分的に組み込まれてもよい。キャリア要素へのシステムの組み込み又は少なくとも部分的な組み込みにより、システムをキャリア要素と共に特に簡単且つ迅速に設置できる。
【0056】
キャリア要素は、レールを支持するキャリア要素の設置状態で少なくとも1つのアクチュエータの保守及び/又は交換のための少なくとも1つのサービスアクセスを含むことが好ましい。例えば、サービスアクセスは、レールに隣接するキャリア要素の上側の閉鎖可能な開口を含む。
【0057】
サービスアクセスにより、少なくとも1つのアクチュエータ、及び、適用可能な場合には、キャリア要素に組み込まれたシステムの他の構成要素は、この目的のためにキャリア要素又はレールを取り外すことなく、保守、交換、又は、後付けすることができる。
【0058】
キャリア要素は、特に、著しい追加コストを伴うことなく最新技術にしたがって慣習的なキャリア要素の機能を果たすために本発明に係るシステムの構成要素を伴うことなく鉄道交通路に最初に取り付けられてもよい。必要に応じて、本発明に係るシステムは、僅かな労力で後付けすることができる。
【0059】
キャリア要素は、例えば、垂直逆振動を励起するためのアクチュエータのみが最初に取り付けられ、その後、水平逆振動を励起するための更なるアクチュエータが後付けされてもよい。
【0060】
本発明は、少なくとも1つのレール、特に少なくとも2つのレールを伴う鉄道交通路に関し、この鉄道交通路は、少なくとも1つのレールの音響振動を能動的に減衰させるための本発明に係る少なくとも1つのシステムを備える。
【0061】
システムは、レールに沿って離間される多数の、特に複数のセンサと、レールに沿って離間された多数のアクチュエータとを備え、センサの数は、多数のアクチュエータの数よりも少ないことが好ましい。
【0062】
レールに沿った良好な音伝導のために、レールの振動を検出するためのセンサの数は、検出品質を実質的に損なうことなく逆振動を生成するための多数のアクチュエータの数よりも少なくなるように選択され得る。センサによって検出される振動は、単一の制御ユニットによって又はアクチュエータを制御するための複数の制御ユニットによっても分析することができる。
【0063】
本発明は、特に本発明に係るシステムを含む、鉄道交通のためのレールの音響振動を能動的に減衰させるための方法であって、少なくとも1つの制御ユニットによって実行される少なくとも以下のステップ、すなわち、
a)少なくとも1つのセンサによって前記レールの少なくとも垂直振動を自動的に検出するステップと、
b)少なくとも1つのアクチュエータによってレールの少なくとも垂直逆振動を自動的に励起するステップと、
を含み、
c)逆振動は、前記検出された振動と破壊的に干渉するように適合され、
d)少なくとも1つのアクチュエータは、レール及びレールを支持するキャリア要素に機械的に結合される。
【0064】
本方法の設計オプション及び利点は、本発明に係るシステムと同様に浮かび上がる。
【0065】
逆振動は、能動ノイズ補償の分野から知られている方法を使用して、検出された振動に基づいて制御ユニットによって計算することができる。或いは、検出された振動は、列車の到着、好ましくは到着する列車の列車種別を検出するために制御ユニットによって使用され得る。
【0066】
列車の到着が検出されると直ぐに、制御ユニットは、例えば一般的な逆振動を励起するために少なくとも1つのアクチュエータを制御することができ、一般的な逆振動は、関連するレール上を走行する列車によって通常発生されるレールの振動と破壊的に干渉するように適合される。一般的な逆振動の使用は、制御ユニットがより高性能でなく且つより費用効果が高いように構成され得るように、到着する列車ごとに逆振動を再計算する必要がないという利点を有する。一般的な逆振動は、例えば既に検出された振動に基づいて、自己学習アルゴリズムによって決定することができる。
【0067】
好ましくは、制御ユニットは、特定の列車種別の列車の到着が検出されると直ぐに、列車種別固有の逆振動を励起するように少なくとも1つのアクチュエータを制御する。ここで、列車種別は、検出された振動から及び/又は到着時間及び列車スケジュールとの比較に基づいて決定することができる。列車種別固有の逆振動の使用は、検出された振動に基づく逆振動の計算よりも計算コストが低く、一般的に一般の逆振動よりも強い減衰を可能にする。列車種別固有の逆振動は、例えば、関連する列車種別に関連して既に検出された振動に基づいて自己学習アルゴリズムによって決定することができる。
【0068】
制御ユニットは、逆振動の励振中にキャリア要素及び/又はレールの下部構造に伝達される残留振動を測定するために、システムの少なくとも1つのセンサをエラーセンサとして使用することができる。好ましくは、制御ユニットは、残留振動が最小化されるように閉じた制御ループで逆振動を制御する。
【0069】
本方法は、好ましくは、少なくとも1つの制御ユニットによって実行される少なくとも以下のステップ、すなわち、
a)少なくとも1つのセンサによってレールの少なくとも水平振動を自動的に検出するステップと、
b)少なくとも1つのアクチュエータによってレールの少なくとも水平逆振動を自動的に励起するステップと、
を含み、
c)逆振動は、検出された振動と破壊的に干渉するように適合される。
【0070】
本発明の特定の利点は、発生する鉄道交通ノイズに対抗することである。このようにして、特に、大きなノイズ保護壁が陳腐化するので、鉄道交通トラックの構築に必要なスペースが少なくなる。
【0071】
レールにおける振動の低減は、更に、車輪及びレールの摩耗を低減することができる。車輪の摩耗が低減されるため、本発明に係るシステムを含まない経路区間でも車輪-レールノイズを低減することができる。
【0072】
夜間の列車の交通禁止は、理想的には、より多くの列車がノイズに敏感な領域を走行することができるようにノイズ放射の低減によって省くことができる。鉄道交通トラック近くに居住することは、ノイズ放射が低減されるため、はるかに魅力的である。これにより、効率的で環境に優しいロジスティクスシステムとして鉄道交通の受け入れが増大する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明に係る典型的な主題が示される以下の説明及び添付図面を用いて、本発明の更なる利点、目的及び特徴について説明する。機能に関して少なくとも実質的に同一である図の特徴が同じ参照番号によって示される場合があり、これらの特徴は、必ずしも全ての図で番号付けされて説明されるわけではない。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
図1
図1は、鉄道交通のための少なくとも1つのレール310の音響振動を能動的に減衰させるための本発明に係るシステム100の概略図を示す。
図1では、鉄道車両の2つの車輪Rが載置されたレールトラックの2つの平行に延在するレール310が例として示される。
【0080】
例えば、システム100は、各レール310の垂直音響振動を検出するためのそれぞれ1つのセンサ110、例えば圧電センサと、レール310の垂直逆振動を励起するためのそれぞれ1つのアクチュエータ120、例えば圧電アクチュエータと、センサ110及びアクチュエータ120(接続部は図示せず)に通信可能に接続される制御ユニット130、例えばセンサ110によって検出される振動に応じてアクチュエータ120を制御するための組み込みコンピュータシステムとを備える。
【0081】
アクチュエータ120は、それぞれのレール310及びレール310を支持するキャリア要素200、例えば枕木に機械的に結合され、それぞれのレール310の例えば下側をキャリア要素200に機械的に接続する。
【0082】
図示のシステム100は、レール310をそれぞれ静的に支持するためにレール310とキャリア要素200との間の力の伝達に関してアクチュエータ120と平行に配置される支持要素150を備える。
【0083】
支持要素150は、例えば、それぞれのアクチュエータ120を組み込むことができるエラストマーの減衰下地を備える。
【0084】
図2
図2は、本発明に係るシステム100の他の概略図を示す。
【0085】
図1とは対照的に、
図2には、センサ110及びアクチュエータ120がそれぞれ配置された1つのレール310のみが示される。
【0086】
更に、固定要素220、例えばレール310をキャリア要素200に押し付ける固定クランプも示される。固定要素220は、特に、支持要素150内で、例えばエラストマーの減衰下地内でレール310の下方に配置されたアクチュエータ120に対して圧縮付勢をもたらすことができる。
【0087】
図示のシステム100は、アクチュエータ120とキャリア要素200との間の力伝達に関してアクチュエータ120によってキャリア要素200に加えられる圧力を制限するように配置される、減圧要素160、例えば金属スリーブを備える。
【0088】
図示のシステム100は、キャリア要素200に伝達される残留振動を測定するためのエラーセンサ111を備える。
【0089】
図3
図3は、鉄道交通のための少なくとも1つのレール310の音響振動を能動的に減衰させるための本発明に係るシステム100の他の概略図を示す。
【0090】
システム100は、例えば、レール310の垂直音響振動を検出するためのセンサ110、例えば圧電センサと、レール310の垂直逆振動を励起するためのアクチュエータ120、例えば圧電アクチュエータと、センサ110及びアクチュエータ120に通信可能に接続される制御ユニット130、例えばセンサ110によって検出される振動に応じてアクチュエータ120を制御するための組み込みコンピュータシステムとを備える。通信接続が点線で示される。
【0091】
アクチュエータ120は、レール310と、レール310を支持するキャリア要素200、例えば枕木とに対して機械的に結合され、レール310の例えば下側をキャリア要素200に機械的に接続する。これら及び後述する機械的接続が実線で示される。
【0092】
図示のシステム100は、レール310を静的に支持するために、レール310とキャリア要素200との間の力伝達に関してアクチュエータ120と平行に配置される支持要素150を備える。
【0093】
支持要素150は、例えば、アクチュエータ120を組み込むことができるエラストマーの減衰下地を備える。
【0094】
レール310は、好ましくは、少なくとも1つの固定要素220によってキャリア要素200に固定される。少なくとも1つの固定要素220は、例えば、トラック構造から知られている上部構造W、上部構造K、又は、上部構造KSを含む。
【0095】
レール310とキャリア要素200との間の力伝達に関して、好ましくは、レール310からキャリア要素200への振動の伝達を減衰させるための少なくとも1つの減衰要素155が、固定要素220と直列に配置される。
【0096】
減衰要素155は、例えば、特に繊維強化エラストマーの減衰層を含むことができる。
【0097】
図4
図4は、本発明に係るシステム100の他の概略図を示す。
【0098】
図4に示されるシステム100は、アクチュエータ110が、レール310の下側をキャリア要素200に機械的に接続せず、レール310とキャリア要素200との間の力伝達に関して固定要素220と直列に配置されるという点で、
図3に示されるシステム100とは異なる。
【0099】
本発明によれば、
図3に従って配置された少なくとも1つのアクチュエータ110と、図示されていない
図4に従って配置された少なくとも1つのアクチュエータ110との組み合わせも可能である。
【0100】
アクチュエータ110が固定要素220と直列に配置される場合、好ましくは、減衰要素155は同じ固定要素220と直列に配置されない。
【0101】
図5
図5は、少なくとも1つのレール310と、少なくとも1つのレール310の音響振動を能動的に減衰させるための本発明に係る少なくとも1つのシステム100とを含む、本発明に係る鉄道交通トラック300の概略図を示す。システム100は、レール310に沿って離間される複数のセンサ110(例として、2つのセンサ110が示される)と、レール310に沿って離間される多数のアクチュエータ120(例として、3つのアクチュエータ120が示される)とを備え、複数のセンサ110は多数のアクチュエータ120よりも少ない。
【0102】
システム100は、センサ110及びアクチュエータ120に通信可能に接続される制御ユニット130を備える。通信接続が点線で示される。
【0103】
明確にするために、システム100の他の構成要素は示されない。
【符号の説明】
【0104】
100 システム
110 センサ
111 エラーセンサ
120 アクチュエータ
130 制御ユニット
150 支持要素
155 減衰要素
160 減圧要素
200 キャリア要素
220 固定手段
300 鉄道交通路
310 レール
R 車輪
【国際調査報告】