IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特表2022-552379パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法
<>
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図1
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図2
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図3
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図4
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図5
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図6
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図7
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図8
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図9
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図10
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図11
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図12
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図13
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図14
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図15
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図16
  • 特表-パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】パッケージングおよび分配デバイスを化粧品組成物で充填するための方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20221208BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20221208BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
A45D40/26 Z
B65B3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522684
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020085329
(87)【国際公開番号】W WO2021116196
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】1914030
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・ルブラン
(72)【発明者】
【氏名】クェンティン・ブルレ
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA02
3E118AB18
3E118BB30
3E118CA20
3E118EA03
(57)【要約】
流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物(C)で、該組成物をパッケージングし分配するためのデバイス(1)を充填するための方法であって、該デバイス(1)は、カップ(2)と、該カップ内に含有されている組成物(C)が通って取り出されるスクリーン(5)とを有し、デバイス(1)は、スクリーン(5)とカップ(2)の底部(3)との間に延在する多孔質構造物を有さず、本方法は、
- スクリーン(5)がカップ(2)上の所定の位置に置かれる前、カップ(2)の底部(3)内に所定の用量の組成物(C)を堆積させるステップと、
- 組成物(C)を、カップ(2)に取り付けられているスクリーン(5)と接触させるステップと
を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物(C)で、前記組成物をパッケージングし分配するためのデバイス(1)を充填するための方法であって、前記デバイス(1)は、カップ(2)と、前記カップ内に含有されている前記組成物(C)が通って取り出されるスクリーン(5)とを有し、前記デバイス(1)は、前記スクリーン(5)と前記カップ(2)の底部(3)との間に延在する多孔質構造物を有さず、前記方法は、
- 前記スクリーン(5)が前記カップ(2)上の所定の位置に置かれる前、前記カップ(2)の前記底部(3)内に所定の用量の組成物(C)を堆積させるステップと、
- 前記組成物(C)を、前記カップ(2)に取り付けられている前記スクリーン(5)と接触させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記スクリーン(5)が前記カップ(2)に取り付けられている時に前記スクリーンが前記組成物(C)と接触するように、前記組成物は前記カップ内に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用量の組成物(C)は、前記用量の組成物(C)のいくらかが前記スクリーン(5)が取り付けられる高さを越えて延出するように堆積される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スクリーン(5)は、前記組成物(C)が前記スクリーン(5)と接触することなく、前記カップ(2)に取り付けられ、次いで、前記組成物(C)は、前記スクリーン(5)および前記カップ(2)の少なくとも1つにかけられる機械的作用、詳細には振動作用もしくは遠心作用または前記スクリーン(5)にかけられる圧力、による前記スクリーンの取付け後、前記スクリーン(5)と接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スクリーン(5)と前記組成物(C)とは、前記組成物(C)が前記スクリーンを通過しないように接触させられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スクリーン(5)が前記カップ(2)に取り付けられている時に前記スクリーン(5)に張力をかけるステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物(C)は、単一のノズル(B)を使用して、前記カップ(2)内に堆積させられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物(C)は、複数のノズル(B)、詳細には4つのノズルを使用して、前記カップ(2)内に堆積させられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スクリーン(5)は、詳細には織物、不織布、またはニットの織物、および穿孔膜もしくは細胞膜から成る群から選択される、ネットあるいは布地の少なくとも1つを有し、前記スクリーンは吸収性の支持体を形成することが好ましい、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記スクリーン(5)の厚さは0.2mmと10mmとの間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スクリーン(5)を前記カップ(2)の前記底部(3)から分離する距離は、少なくとも最初の使用前、1mmと40mmとの間である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物の粘度は、2500センチポアズと4000センチポアズとの間、好ましくは3000センチポアズと3500センチポアズとの間である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイス(1)は、前記スクリーン(5)を前記カップ(2)に取り付けるためのフレーム(20)を有し、前記スクリーン(5)を取り付けるステップは、前記フレーム(20)を前記カップ(2)に取り付けるステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記カップ(2)をパッケージングするステップを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
詳細には請求項1から14のいずれか一項に記載の前記充填方法を用いて得られる、流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物(C)をパッケージングし分配するためのデバイス(1)であって、前記組成物(C)を含有するカップ(2)と、前記カップ(2)に取り付けられかつ前記組成物(C)が通って取り出されるスクリーン(5)とを有し、前記組成物(C)は最初の使用前に前記スクリーン(5)と接触しており、前記デバイス(1)は前記スクリーン(5)と前記カップ(2)の前記底部(3)との間に延在する多孔質構造物を有さない、デバイス(1)。
【請求項16】
前記取出しのために使用される前記スクリーン(5)の外面(7)は、前記最初の使用前、前記組成物(C)がまったくない、請求項15に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
前記カップ(2)は透明な底部(3)を有する、請求項15または16に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細にはクリームまたはファンデーションのタイプの化粧品組成物をパッケージングし分配するためのデバイスの製造、および詳細には該化粧品組成物で該デバイスを充填することに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧製品をパッケージングするためのデバイスまたはアセンブリを製造するための様々な方法が知られている。
【0003】
たとえば、FR3039378が、化粧製品を含浸させることができる吸収性の支持体を有するタイプの、化粧製品をパッケージングするためのアセンブリについて説明している。また、本文献は、該吸収性の支持体が、製品を含浸させていない第1の上面域と、化粧製品を含浸させた第2の下面域とを有するように充填されるそのようなパッケージングアセンブリを可能にする方法および機械について説明しており、該第1の域と該第2の域とは互いに接触している。
【0004】
吸収性の支持体を圧縮し、次いで該支持体を減圧しながらそれに化粧製品を含浸させるステップを含む、該製品を含浸させることができる吸収性の支持体を有する、化粧製品をパッケージングするためのアセンブリを充填するための方法も、国際公開第2016/166332号から知られている。
【0005】
これら2つの文献では、化粧品組成物のリザーバは、少なくとも部分的に化粧製品を含浸された吸収性の支持体を有する。
【0006】
しかし、本発明の場合には、「緩衝物」としても知られているそのような吸収性の支持体を伴わないパッケージングおよび分配デバイスに関心を集中する。この場合、パッケージングデバイスは、リザーバの上方に配設されておりかつ組成物が通って取り出されるかまたは分配されるスクリーンを有し得る。保管中、デバイスの充填後かつ最初の使用前、一般に油性相を有する組成物は、わずかに上澄みの油性相を有し得る。詳細には輸送中の振動の場合、または落下した場合、この油性相はスクリーン内へ広がって油汚れになり得、その出現は、最初にデバイスを開く時、ユーザにとって不愉快である可能性がある。
【0007】
国際公開第2016/148371号が、中に保存されている内容物を有する容器と、該容器内に収容されている該内容物上に設けられているメッシュリングと、該メッシュリングに結合しておりかつ容器内に収容されている内容物の表面にくっついているメッシュネットとを含む化粧品容器を開示している。
【0008】
国際公開第2016/144046号が、容器本体と、該容器本体を開く/閉じるための容器蓋部とを含む化粧品容器に関し、該化粧品容器は、化粧品内容物を保存するための内側容器であり、容器本体の内側に連結されている、内側容器と、該内側容器の内側円周面上に配置されておりかつ垂直弾性の圧縮および伸展が可能である弾性体と、該弾性体上に配置されておりかつ内容物が通って放出される複数の穴部を有する多孔性ネットと、該多孔性ネットを内側容器に固定するための固定リングとを含む。該多孔性ネットには、柔らかい材料で作製されている上方ソフトネットと、硬い材料で作製されている下方ハードネットとが互いに連結されている二重ネットが含まれる。弾性体の内部に充填されている内容物は、内容物が該弾性体内に染み込まないように製造されているスポンジなどの弾性体を使用することによって、かつその上に多孔性ネットを使用することによって、弾性体の弾性力による圧縮および伸展の原理によって多孔性ネットへ放出される。したがって、適切な量の内容物が使用されることが可能であり、内容物の水分蒸発および汚染は防止され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】FR3039378
【特許文献2】国際公開第2016/166332号
【特許文献3】国際公開第2016/148371号
【特許文献4】国際公開第2016/144046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸収性の支持体を有さずかつスクリーン上に出現する汚れのリスクを低減する、化粧品組成物をパッケージングし分配するためのデバイスを有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
充填方法
したがって、その態様のうちの1つによる本発明の主題は、流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物で、該組成物をパッケージングし分配するためのデバイスを充填するための方法であって、該デバイスは、カップと、該カップ内に含有されている組成物が通って取り出されるスクリーンとを有し、デバイスは、スクリーンとカップの底部との間に延在する多孔質構造物を有さず、本方法は、
- スクリーンがカップ上の所定の位置に置かれる前、カップの底部内に所定の用量の組成物を堆積させるステップと、
- 組成物を、カップに取り付けられているスクリーンと接触させるステップと
を含む、方法。
【0012】
本発明により、組成物とスクリーンとは接触させられ、これにより、スクリーンに組成物を部分的に含浸させることが可能になり、最初の使用の前にスクリーン上に出現する美しくない油汚れのリスクを低減する。具体的には、スクリーンに調合物を少なくとも部分的に含浸させるので、該スクリーンは満たされ、これにより、逆エマルションによるオイルの吸収を防止することが可能になる。
【0013】
一実施形態では、組成物は、スクリーンがカップに取り付けられている時にスクリーンが組成物と接触するように、カップ内に堆積される。
【0014】
この場合、用量の組成物は、該用量の組成物のいくらかがスクリーンが取り付けられる高さを越えて延出するように堆積され得る。詳細には、該堆積は、ドーム形状またはクレーター形状を有していてもよく、該ドームまたは該クレーターの上部は、スクリーンが取り付けられている時に組成物がスクリーンと接触することを確実にするために、スクリーンが取り付けられる高さを越えて延出する。
【0015】
別の実施形態では、スクリーンは、組成物が該スクリーンと接触することなく、カップに取り付けられ、次いで、該成物は、スクリーンおよびカップの少なくとも1つにかけられる機械的作用、詳細にはたとえばプッシャを使用する、スクリーンにかけられる振動作用もしくは遠心作用または圧力、によるスクリーンの取付け後、スクリーンと接触させられる。
【0016】
スクリーンは、スクリーンの内面、すなわち組成物がスクリーンを通して取り出されている時にユーザに可視の外面の反対側の面を介して、組成物と接触させられる。
【0017】
この接触させることが、組成物がスクリーンを通過しないように実現されることが好ましい。これにより、最初の使用前、スクリーンが汚れのないままであることが可能になる。
【0018】
本方法は、スクリーンがカップに取り付けられている時、スクリーンに張力をかけるステップを含み得る。この場合、スクリーンが取り付けられる前、スクリーンは弛緩しているか、またはわずかに張力をかけられている可能性がある。
【0019】
スクリーンが取り付けられる前、スクリーンは、上方に向けられた凹面を形成している可能性がある。そのような構造により、スクリーンがカップに取り付けられる前にスクリーンが組成物と接触することが可能になる可能性があり、それによりスクリーンに張力がかかることが好ましい。
【0020】
組成物は、カップ上に中心に置かれることが好ましい単一のノズルを使用して、カップ内に堆積され得る。単一のノズルを備えた充填機の使用は、組成物の表面にクレーターまたはドームを作り出すことを可能にする。
【0021】
変形形態では、組成物は、好ましくはカップの周縁部よりもカップの中心により接近して、かつ詳細にはカップの中心に置かれた四角形を形成して、複数のノズル、詳細には4つのノズルを使用してカップ内に堆積させられる。複数のノズルの使用により、均一の充填を得ることがより容易になる可能性がある。
【0022】
カップが組成物で満たされるにつれて、充填機は上方へ移動させられてもよい。たとえば、充填の開始時、1つまたは複数のノズルはカップの底部の近傍に配置され、次いで上方へ上昇してもよい。そのような移動は均一の充填の獲得を促進し得る。
【0023】
デバイスは、スクリーンをカップに取り付けるためのフレームを有していてもよく、スクリーンを取り付けるステップは、次いで、フレームをカップに取り付けるステップを含む。
【0024】
本方法は、詳細にはレフィルの形のカップを、パッケージングおよび分配デバイスのケース内へ挿入するステップを含み得る。
【0025】
パッケージングおよび分配装置
本発明のさらなる目的が、上記から独立してまたはそれと組み合わせて、上に定義されている充填方法を用いて充填されることが好ましい、流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物をパッケージングし分配するためのデバイスであって、組成物を含有するカップと、カップに取り付けられかつ組成物が通って取り出されるスクリーンとを有し、組成物は最初の使用前にスクリーンと接触しており、デバイスはスクリーンとカップの底部との間に延在する多孔質構造物を有さない、デバイスである。
【0026】
ユーザによる取出しのために使用されるスクリーンの外面は、最初の使用前、組成物がまったくないことが有利である。したがって、この場合、カップが充填されている時、接触させるステップは、スクリーンが組成物によって通過されることを可能にすることを目的としていないが、スクリーンが部分的に含浸されるだけのためである。
【0027】
スクリーンは、詳細には織物、不織布、またはニットの織物、穿孔膜もしくは細胞膜から成る群から選択される、ネットまたは布地の少なくとも1つを有し得る。スクリーンは吸収性の支持体を形成し得る。
【0028】
スクリーンは組成物に透過性であり、デバイスが使用されている時、組成物が該スクリーンを通して取り出されることを可能にする構造物である。
【0029】
「透過性構造物」が、詳細には組成物が取り出されている時、組成物が該スクリーンを通過することを可能にする連通孔または連通開口部を、スクリーンの少なくとも一部が有することを意味すると理解される。
【0030】
スクリーンの厚さは0.2mmと10mmとの間であってもよい。
【0031】
スクリーンをカップの底部から分離する距離は、少なくとも最初の使用前、1mmと40mmとの間であってもよい。
【0032】
ペースト状の化粧製品はファンデーションであることが好ましい。該ファンデーションは顔料または染料を有することが有利である。組成物の粘度は、2500センチポアズと4000センチポアズとの間、好ましくは3000センチポアズと3500センチポアズとの間であってもよく、好ましくはおよそ3300センチポアズに等しくてもよい。
【0033】
カップは透明な底面を有し得る。これにより、デバイスが閉じられている時にも、組成物の色が観察されることが可能になり、それは、購入中に、またはユーザがデバイスのいくつかを有する場合に使用されるデバイスを確認するために、有利である可能性がある。
【0034】
デバイスは、カップを受容するための陥凹部を画定しているベースと、たとえばベース上に連接されているカバーとを有するケースを有し得る。また、デバイスは、スクリーンを通して組成物を取り出しかつ該組成物をたとえば顔に塗布するためのアプリケータを有し得る。
【0035】
デバイスは、スクリーンとカップの底部との間に延在する多孔質構造物を有さず、組成物はカップ内の多孔質構造物に染み込まないことを意味する。スクリーンは、本発明によるデバイス内で組成物の上方に配置される。
【0036】
本発明は、その非制限的実施例の次の詳細な説明を読むことによって、添付図面を検討することによって、よりよく理解される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による、パッケージングおよび分配デバイスの例を概略的に示す部分横断面図である。
図2図1のデバイスの底面図である。
図3】本発明による充填方法の様々なステップを示すブロック図である。
図4】本発明による方法の実施例による、充填の開始を概略的に示す横断面図である。
図5】充填の終了を示す、図4に類似した図である。
図6】スクリーンのカップへの取付け後の、図1のデバイスを概略的に示す横断面図である。
図7】本発明による方法を用いたカップの充填後の、本発明によるデバイスを概略的に示す横断面図である。
図8】その充填後の、図7のカップの概略的な上方からの図である。
図9】本発明による充填方法の実施変形形態における、本発明によるデバイスを概略的に示す図である。
図10】その充填前の、本発明によるデバイスの例を部分的かつ概略的に示す横断面斜視分解図である。
図11】その充填前の、デバイスの部分的アセンブリを示す、図10に類似した図である。
図12】充填後のかつスクリーンの取付け前の、図10のデバイスの概略部分横断面図である。
図13】スクリーンの取付け後の、図10のデバイスの概略部分横断面図である。
図14】充填およびスクリーンの取付け後の、本発明による別の例を概略的に示す横断面図である。
図15】プッシャの使用を示す、図14のデバイスの横断面概略図である。
図16】スクリーンの例の部分概略横断面図である。
図17】本発明によるデバイスの別の例の横断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
説明の残部では、同一のまたは同一機能を有する要素が同一参照符号を有する。本明細書を簡潔にするために、該要素を図の各々で説明せず、説明されている実施形態間の差異のみを説明する。図では、わかりやすくするために、実際の比率は必ずしも尊重されていない。
【0039】
図1は、本発明による、化粧品組成物Cをパッケージングし分配するためのデバイス1の例を示す。該デバイス1は、底部3と、本例では円筒形であり、該底部3から延在している壁4とを備えたカップ2を有する。図示の例では、図2に示されているように、少なくとも底部3は、しかし場合により壁4も、透明ポリマー材料から作製されており、組成物Cが底部3を通して見られることを可能にする。
【0040】
図1では、デバイス1は、最初の使用前、組成物Cで満たされたカップ2で示されている。該化粧品組成物Cは、たとえば約3300cpsの粘度を有する、ペースト状の形態であり、本例ではファンデーションを構成している。
【0041】
デバイス1は、デバイス1が使用されている時、カップ内に含有されている組成物Cが通って取り出されるスクリーン5を有する。デバイス1は、スクリーン5とカップ2の底部3との間に延在している多孔質構造物を有さないということが知られている。
【0042】
スクリーン5は組成物Cの上方に取り付けられる。該スクリーンは、該組成物に向けられている下面6と、ユーザが上でスクリーン5を通して組成物Cを取り出す上面7とを有する。
【0043】
スクリーン5の厚さはたとえば約0.5mmである。スクリーン5とカップ2の底部3との間の初期距離eはたとえば10mmに等しい。
【0044】
本発明によれば、組成物Cが、最初の使用前にカップ2に取り付けられるスクリーン5と接触するように、カップ2は組成物Cで満たされている。図1において可視であるように、スクリーン5と組成物Cとの間に自由空間がない。スクリーン5の下面6は、組成物Cがスクリーン5を完全に通過することなく、組成物Cを含浸される。したがって、面7は、最初の使用前、汚れのないままである。この組成物をスクリーンと接触させるステップのおかげで、特に、カップ内での組成物Cの沈殿に起因する可能性があると考えられる、スクリーン5上に生じる油汚れのリスクがない。スクリーン5は、最初の使用前、スクリーン5の厚さよりも薄い厚さに亘ってこのように含浸される。この含浸はスクリーンの下面6全体に亘って、またはその一部のみに亘って、均一であり得る。同様に、この含浸はスクリーン5内で均一の厚さに亘って実現される可能性があるか、または実現されない可能性がある。
【0045】
図3は、本発明による充填方法の例の様々なステップを示す。
【0046】
ステップ10では、スクリーン5がカップ2上の所定の位置に置かれる前、所定の用量の組成物がカップ2の底部に堆積される。
【0047】
ステップ11では、スクリーン5はカップ2に取り付けられる。
【0048】
ステップ12の間に、組成物Cはスクリーン5と接触させられる。
【0049】
ステップ11およびステップ12は同時であってもよく、すなわちスクリーン5をカップ2に取り付けることによって、組成物Cがスクリーン5と接触させられることが可能になる。
【0050】
変形形態として、ステップ12はステップ11の前に起こってもよい。この場合、スクリーン5は、組成物Cとスクリーン5とが接触させられた後に取り付けられる。
【0051】
別の変形形態では、ステップ12はステップ11の前に起こる。本実施形態によれば、スクリーン5は取り付けられ、次いで、組成物Cはスクリーン5と接触させられる。
【0052】
たとえばカップ2上に連接される可能性があるかまたは可能性がないカバーで、またはフィルムで、カップ2を閉じるステップを含む、本方法の追加ステップが設けられ得る。
【0053】
充填するステップ10は図4および図5に示されている。図4は、たとえば3mmと16mmとの間の内径を有するノズルBを使用して、カップ2の底部3に堆積される組成物Cでカップ2を満たすステップの開始を示す。この図において可視であるように、ノズルBは、すでに堆積されている組成物Cの塊から短い距離であり、この距離dはたとえば5mmと10mmとの間である可能性がある。
【0054】
図4に示されているように、カップ2が充填されるにつれて、ノズルBを支持する充填機Mは、距離dを実質的に一定に保ちながら、図5に示されているように、組成物CのドームDが形成されるまで、矢印の方向、上方、に上昇させられることが好ましい。本例のこのドームDは、本例ではカップ2の上縁部15の高さに相当する、スクリーン5が取り付けられる高さを越えて延出し、この延出はたとえば5mmの高さhである。カップ2内に堆積される組成物の体積はたとえば18mlに等しく、その厚さはおよそ1cmとすることができる。充填継続時間は1秒とすることができる。
【0055】
図6は、スクリーン5がカップ2に取り付けられた時点の、デバイス1を示す。組成物CのドームDがカップ2の上縁部15を越えて延出するので、スクリーン5を取り付けるステップが組成物Cをスクリーン5と接触させ、それにより組成物CのドームDが平らになる。スクリーン5は、たとえば、図示のように、溶接または接着によってカップ2の上縁部15に取り付けられ得るリングを形成しているフレーム16上に取り付けられる。
【0056】
図7から図8までの例では、カップ2は、堆積されている組成物Cの塊の上部にクレーターOを形成するように充填されている。スクリーン5がカップ2に取り付けられている時に該スクリーンが組成物Cと接触するように、組成物の頂上がクレーターの中心でカップの上縁部15の高さを越えて延出している。
【0057】
これらの図は、カップが様々な形状、詳細には上方に広がる形状を有する可能性を示す。
【0058】
図7または図8の例では、充填するステップは、カップ2上の中心に置かれている単一のノズルBを使用して実施される。
【0059】
図9の例では、組成物Cの塊の4分の1の4つの同時堆積を実施するために、本例では四角形の角部として配設されている4つのノズルを有する充填機が使用されている。
【0060】
得られる堆積は、図示の通り、十字形の中心点と、4つのノズルから生じる堆積間の接合箇所に4つの畝部とを有する。
【0061】
カバーまたはシールフィルムが、カップを閉じるためにカップに付加され、該カップがレフィルとして使用されることを随意に可能にする。カップは(「コンパクト」とも呼ばれる)適切なケース内に配設され得る。
【0062】
図10から図13までが、別の実施形態による、化粧品組成物をパッケージングし分配するためのデバイス1の例を示す。該デバイスは軸Xに沿って組み立てられる。カップ2は、図10および図11において組成物Cが空で示されている。スクリーン5は本例では織物で作製されており、本例では円筒形リングを形成しているフレーム20上に取り付けられる。スクリーン5は、たとえば、フレーム20の下縁部の下に溶接されるかまたは接着される。また、本例では、カップ2の壁4は、外側で、より大きい直径を有する円筒形スカート25によって取り囲まれており、壁4とともに環状溝部26を形成している。
【0063】
デバイス1は、図において不可視の、52において連接されたカバーに接続されているベース50を有するケース30を有する。該ベース50は、スクリーン5を設けられているカップ2を受容するための円筒形貫通開口部51を有する。
【0064】
フレーム20上に取り付けられているスクリーン5は、図12および図13において可視であるように、フレーム20によって形成されているリングを、幅wの環状溝部26内へ挿入することによって、カップ2に取り付けられる。壁4の上縁部15は、このように、図13において可視であるように、スクリーン5が取り付けられている時にスクリーンの下面6と接触し、それに張力をかける。ケース30に属する環状リップ60は、使用中に組成物Cを取り出すために使用されるスクリーン5の中心部の周囲でフレーム20を覆う。図12および図13は、スクリーン5に接合する前に組成物Cで満たされたカップ2を示す。スクリーン5がカップに取り付けられると、その下面6は組成物Cと接触する。
【0065】
図14および図15に示されている実施形態では、カップ2を充填している用量の組成物Cはその上縁部15の高さに到達しない図14において可視であるように、組成物Cがスクリーン5と接触することなく、スクリーン5はカップ2に取り付けられる。この場合、組成物Cをスクリーン5と接触させるために、機械的作用がスクリーン5またはカップ2のいずれかにかけられる。
【0066】
本例では、該作用は、図15に示されているように、プッシャPを取出し面7に当接させるステップ、およびスクリーン5に張力をかけかつそれを組成物Cと接触させるために、該プッシャを図15に矢印で示されている方向に下方に移動させるステップを含む。変形形態として、振動作用または遠心作用がもたらされて、この接触させるステップを確実にしてもよい。
【0067】
スクリーンは、それが組成物と接触する時、必ずしも平面形状を有するとは限らない。図16は、スクリーンがカップ2に取り付けられる前の、上方に凹形の弛緩した形状を有するスクリーン5を示す。カップ内の組成物Cの高さが、該カップの上縁部15よりも高くない場合、この湾曲形状は、スクリーンに張力をかける前、組成物Cと接触させることを容易にする。
【0068】
図17は、スクリーン5をその下面6の側で組成物で部分的に含浸させるために、組成物Cをスクリーン5と一時的に接触させる可能性、次いで最初の使用まで、自由空間40が組成物Cとスクリーン5の下面6との間に設けられている状態に戻す可能性を示す。
【0069】
本発明は、ここで説明した例に限定されない。
【0070】
たとえば、カップは、たとえば回転柱面でない外側壁を備えた別の形状を有し得る。
【符号の説明】
【0071】
1 デバイス
2 カップ
3 底部
4 (カップ2の)壁
5 スクリーン
6 (スクリーンの)下面
7 面、取出し面
10、11、12 ステップ
15 (カップ2の)上縁部
16、20 フレーム
25 円筒形スカート
26 環状溝部
30 ケース
40 自由空間
50 ベース
51 円筒形貫通開口部
60 環状リップ
B ノズル
C 化粧品組成物
D ドーム
d 距離
e 初期距離
h 高さ
M 充填機
O クレーター
P プッシャ
w (環状溝部の)幅
X 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物(C)で、前記組成物をパッケージングし分配するためのデバイス(1)を充填するための方法であって、前記デバイス(1)は、カップ(2)と、前記カップ内に含有されている前記組成物(C)が通って取り出されるスクリーン(5)とを有し、前記デバイス(1)は、前記スクリーン(5)と前記カップ(2)の底部(3)との間に延在する多孔質構造物を有さず、前記方法は、
- 前記スクリーン(5)が前記カップ(2)上の所定の位置に置かれる前、前記カップ(2)の前記底部(3)内に所定の用量の組成物(C)を堆積させるステップと、
- 前記組成物(C)を、前記カップ(2)に取り付けられている前記スクリーン(5)と接触させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記スクリーン(5)が前記カップ(2)に取り付けられている時に前記スクリーンが前記組成物(C)と接触するように、前記組成物は前記カップ内に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用量の組成物(C)は、前記用量の組成物(C)のいくらかが前記スクリーン(5)が取り付けられる高さを越えて延出するように堆積される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スクリーン(5)は、前記組成物(C)が前記スクリーン(5)と接触することなく、前記カップ(2)に取り付けられ、次いで、前記組成物(C)は、前記スクリーン(5)および前記カップ(2)の少なくとも1つにかけられる機械的作用、詳細には振動作用もしくは遠心作用または前記スクリーン(5)にかけられる圧力、による前記スクリーンの取付け後、前記スクリーン(5)と接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スクリーン(5)と前記組成物(C)とは、前記組成物(C)が前記スクリーンを通過しないように接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スクリーン(5)が前記カップ(2)に取り付けられている時に前記スクリーン(5)に張力をかけるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物(C)は、単一のノズル(B)を使用して、前記カップ(2)内に堆積させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物(C)は、複数のノズル(B)、詳細には4つのノズルを使用して、前記カップ(2)内に堆積させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スクリーン(5)は、詳細には織物、不織布、またはニットの織物、および穿孔膜もしくは細胞膜から成る群から選択される、ネットあるいは布地の少なくとも1つを有し、前記スクリーンは吸収性の支持体を形成することが好ましい、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スクリーン(5)の厚さは0.2mmと10mmとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スクリーン(5)を前記カップ(2)の前記底部(3)から分離する距離は、少なくとも最初の使用前、1mmと40mmとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物の粘度は、2500センチポアズと4000センチポアズとの間、好ましくは3000センチポアズと3500センチポアズとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイス(1)は、前記スクリーン(5)を前記カップ(2)に取り付けるためのフレーム(20)を有し、前記スクリーン(5)を取り付けるステップは、前記フレーム(20)を前記カップ(2)に取り付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記カップ(2)をパッケージングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
詳細には請求項1から14のいずれか一項に記載の前記充填方法を用いて得られる、流体の、詳細にはペースト状の化粧品組成物(C)をパッケージングし分配するためのデバイス(1)であって、前記組成物(C)を含有するカップ(2)と、前記カップ(2)に取り付けられかつ前記組成物(C)が通って取り出されるスクリーン(5)とを有し、前記組成物(C)は最初の使用前に前記スクリーン(5)と接触しており、前記デバイス(1)は前記スクリーン(5)と前記カップ(2)の前記底部(3)との間に延在する多孔質構造物を有さない、デバイス(1)。
【請求項16】
前記取出しのために使用される前記スクリーン(5)の外面(7)は、前記最初の使用前、前記組成物(C)がまったくない、請求項15に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
前記カップ(2)は透明な底部(3)を有する、請求項15に記載のデバイス(1)。
【国際調査報告】