(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】降圧コンバータ電流再使用のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522769
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020054215
(87)【国際公開番号】W WO2021076350
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ディートリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ハーダー
(72)【発明者】
【氏名】エミル シオラン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG22
5H730XX35
5H730XX41
(57)【要約】
降圧電圧コンバータが、ハイサイドスイッチ(412)、ローサイドスイッチ(414)、コンデンサ(418)、インダクタ(416)、ハイサイドスイッチのゲート端子及びローサイドスイッチのゲート端子に結合された出力を有するゲートドライバ回路(342)、及び降圧電圧コンバータ(430)内の回路要素に電力供給する個別の電圧レギュレータ回路を含む。電圧レギュレータ回路は、入力電圧源(390)に結合された第1のマルチプレクサ入力、降圧電圧コンバータ(392)の降圧出力に結合された第2のマルチプレクサ入力、及び2つのマルチプレクサ入力のいずれがマルチプレクサ出力に結合されるかを選択する1つ又は複数のマルチプレクサ制御入力を有するマルチプレクサ(440)と、マルチプレクサ出力に結合された第1の端子と電圧レギュレータのレギュレータ出力(480)に結合された第2の端子を有するパストランジスタ(446)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降圧電圧コンバータであって、
入力電圧源に結合された第1の端子を有し、第2の端子を有するハイサイドスイッチと、
接地に結合された第1の端子を有し、前記ハイサイドスイッチの前記第2の端子に結合された第2の端子を有するローサイドスイッチと、
前記ハイサイドスイッチの前記第2の端子と前記ローサイドスイッチの前記第2の端子に結合された第1の端子を有し、前記降圧電圧コンバータの降圧出力に結合された第2の端子を有するインダクタと、
前記降圧電圧コンバータの前記降圧出力及び前記インダクタの前記第2の端子に結合された第1の端子を有し、接地に結合された第2の端子を有する、コンデンサと、
前記ハイサイドスイッチのゲート端子に結合された第1の出力と、前記ローサイドスイッチのゲート端子に結合された第2の出力とを有する、ゲートドライバ回路と、
前記降圧電圧コンバータ内の回路要素に電力供給する電圧レギュレータ回路と、
を含み、
前記電圧レギュレータ回路が、
前記入力電圧源に結合された第1のマルチプレクサ入力と、前記降圧電圧コンバータの前記降圧出力に結合された第2のマルチプレクサ入力と、前記2つのマルチプレクサ入力のうちのどちらがマルチプレクサ出力に結合されるかを選択するための1つ又は複数のマルチプレクサ制御入力とを有するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサ出力に結合される第1の端子を有し、前記電圧レギュレータのレギュレータ出力に結合された第2の端子を有するパストランジスタと、
を含む、
降圧電圧コンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載の降圧電圧コンバータであって、前記電圧レギュレータの前記レギュレータ出力のみが、前記降圧電圧コンバータの状態機械及び内部論理回路のため前記回路要素に電力供給する、降圧電圧コンバータ。
【請求項3】
請求項2に記載の降圧電圧コンバータであって、前記レギュレータ出力が接地に容量結合される、降圧電圧コンバータ。
【請求項4】
請求項2に記載の降圧電圧コンバータであって、前記1つ又はそれ以上のマルチプレクサ制御入力が、前記降圧出力を前記入力電圧源と比較することから導出される、降圧電圧コンバータ。
【請求項5】
請求項2に記載の降圧電圧コンバータであって、前記マルチプレクサが2つのトランジスタを含む、降圧電圧コンバータ。
【請求項6】
請求項5に記載の降圧電圧コンバータであって、前記トランジスタが、pチャネル電界効果トランジスタ及びnチャネル電界効果トランジスタを含む、降圧電圧コンバータ。
【請求項7】
請求項2に記載の降圧電圧コンバータであって、前記電圧レギュレータ回路が増幅器を含み、前記増幅器が、
電圧基準に結合された第1の入力と、
第1の抵抗器を介して前記電圧レギュレータ回路の前記レギュレータ出力に、及び第2の抵抗器を介して接地に結合された第2の入力と、
前記パストランジスタのゲート端子に結合された出力と、
を有する、
降圧電圧コンバータ。
【請求項8】
状態機械であって、
降圧電圧コンバータの降圧出力のスケールされたバージョンを基準電圧から減算し、その減算の出力を入力供給電圧と前記降圧出力との間の差を表す信号と比較することによって導出される、スキップ入力信号と、
入力がローサイドスイッチの第1の端子及び第2の端子である比較器の出力であるZero_Comp入力信号と、
連続導通モード(CCM)のみとCCM又は不連続導通モード(DCM)動作との間で選択する設定であるFPWM入力信号と、
入力電圧源から引き出される電流の量を表す第1の入力と、前記降圧出力と前記基準電圧との間の差を表す第2の入力とを有する比較器の出力であるPeak_Comp入力信号と、
前記降圧電圧コンバータをイネーブルするEN入力信号と、
ハイサイドスイッチを制御するゲートドライバ回路に結合されたHS出力と、
前記ローサイドスイッチを制御する前記ゲートドライバ回路に結合されたLS出力と、
を含む、状態機械。
【請求項9】
請求項8に記載の状態機械であって、前記状態機械が、
スキップされ得る連続パルスの最大数を決定することと、
前記EN入力信号とクロックエッジを有する前記降圧電圧コンバータをイネーブルすることと、
前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオンに切り替え、前記入力電圧源からインダクタを介して負荷に電力を供給し、インダクタ電流を継続的に監視し、
前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオフに切り替え、前記インダクタ電流でピーク電流リファレンスレベルに達した後に前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオンに切り替えることで、前記インダクタを放電し、
前記インダクタ電流がゼロに達したかどうかを判定し、
前記インダクタ電流がゼロに達した場合、前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオフに切り替え、前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオンに切り替え、又は、インダクタ電流がゼロに達していない場合、Skip入力信号を用いて第1のパルスをスキップし、
次のクロックサイクルで、前記インダクタ電流がゼロに達したかどうか及びスキップされ得る連続パルスの最大数に達したかどうかを判定し、
前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオフに切り替え、前記インダクタ電流がゼロに達した場合、又はスキップされ得る最大連続パルス数に達した場合、前記HS出力スイッチを用いて前記ハイサイドスイッチをオフに切り替え、又は、前記インダクタ電流がゼロに達しておらず、スキップされ得る最大連続パルス数に達していない場合は、Skip入力信号を用いて第2のパルスをスキップする、
状態機械。
【請求項10】
請求項9に記載の状態機械であって、スキップされ得る連続パルスの前記最大数が、発振器周波数を最小スイッチング周波数で除算することによって決定される、状態機械。
【請求項11】
請求項9に記載の状態機械であって、スキップされ得る連続パルスの前記最大数が2である、状態機械。
【請求項12】
降圧電圧コンバータであって、
入力電圧源に結合される第1の端子を有し、第2の端子を有するハイサイドスイッチと、
接地に結合された第1の端子を有し、前記ハイサイドスイッチの前記第2の端子に結合された第2の端子を有するローサイドスイッチと、
前記ハイサイドスイッチの前記第2の端子と前記ローサイドスイッチの第2の端子に結合された第1の端子を有し、前記降圧電圧コンバータの降圧出力に結合された第2の端子を有するインダクタと、
前記降圧出力と前記インダクタの前記第2の端子とに結合された第1の端子を有し、接地に結合された第2の端子を有する、コンデンサと、
状態機械から入力を受け取り、前記ハイサイドスイッチのゲート端子と前記ローサイドスイッチのゲート端子とに結合された出力を有するゲートドライバ回路と、
前記降圧電圧コンバータ内の回路要素に電力を供給する電圧レギュレータ回路と、
を含み、
前記降圧電圧コンバータが、
前記入力電圧源に結合された第1のマルチプレクサ入力と、前記降圧出力に結合された第2のマルチプレクサ入力と、前記2つのマルチプレクサ入力のうちのどちらがマルチプレクサ出力に結合されるかを選択するための1つ又は複数のマルチプレクサ制御入力とを有するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサ出力に結合された第1の端子を有し、前記電圧レギュレータのレギュレータ出力に結合された第2の端子を有するパストランジスタと、
を含む、
降圧電圧コンバータ。
【請求項13】
請求項12に記載の降圧電圧コンバータであって、前記電圧レギュレータの前記レギュレータ出力のみが、前記降圧電圧コンバータの前記状態機械及び内部論理回路のため前記回路要素に電力供給する、降圧電圧コンバータ。
【請求項14】
請求項12に記載の降圧電圧コンバータであって、前記状態機械が、
基準電圧から前記降圧出力のスケーリングされたバージョンを減算し、その減算の出力を、入力供給電圧と前記降圧出力との間の差を表す信号と比較することによって導出されるSkip入力信号と、
入力が前記ローサイドスイッチの前記第1の端子及び第2の端子であるコンパレータの出力であるZero_Comp入力信号と、
連続導通モード(CCM)のみとCCM又は不連続導通モード(DCM)動作との間で選択する設定を提供するFPWM入力信号と、
前記入力電圧源から引き出される電流の量を表す第1の入力と、前記降圧出力と前記基準電圧との間の差を表す第2の入力とを有する比較器の出力であるPeak_Comp入力信号と、
前記降圧電圧コンバータをイネーブルするEN入力信号と、
前記ハイサイドスイッチを制御する前記ゲートドライバ回路に結合されたHS出力と、
前記ローサイドスイッチを制御する前記ゲートドライバ回路に結合されたLS出力と、
を含む、降圧電圧コンバータ。
【請求項15】
請求項14に記載の降圧電圧コンバータであって、前記状態機械が、
スキップされ得る連続パルスの最大数を決定し、
前記EN入力信号とクロックエッジを有する前記降圧電圧コンバータをイネーブルし、
前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオンに切り替え、前記入力電圧源から前記インダクタを介して負荷に電力を供給し、インダクタ電流を継続的に監視し、
前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオフに切り替え、前記インダクタ電流でピーク電流基準レベルに達した後に前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオンに切り替えることで、前記インダクタを放電し、
前記インダクタ電流がゼロに達したかどうかを判定し、
前記インダクタ電流がゼロに達した場合、前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオフに切り替え、前記HS出力を用いて前記ハイサイドスイッチをオンに切り替え、又は、前記インダクタ電流がゼロに達していない場合、前記Skip入力を用いて第1のパルスをスキップし、
次のクロックサイクルで、前記インダクタ電流がゼロに達したかどうか、及びスキップされ得る連続パルスの最大数に達したかどうかを判定し、
前記インダクタ電流がゼロに達した場合、前記LS出力を用いて前記ローサイドスイッチをオフに切り替え、又は、スキップされ得る前記最大連続パルス数に達した場合は前記HS出力スイッチを用いて前記ハイサイドスイッチをオフに切り替え、或いは、前記インダクタ電流がゼロに達しておらず、スキップされ得る前記最大連続パルス数に達していない場合は、前記Skip入力を用いて第2のパルスをスキップする、
降圧電圧コンバータ。
【請求項16】
請求項14に記載の降圧電圧コンバータであって、スキップされ得る連続パルスの前記最大数が、発振器周波数を最小スイッチング周波数で除算することによって決定される、降圧電圧コンバータ。
【請求項17】
請求項14に記載の降圧電圧コンバータであって、スキップされ得る連続パルスの前記最大数が2つである、降圧電圧コンバータ。
【請求項18】
請求項12に記載の降圧電圧コンバータであって、前記1つ又はそれ以上のマルチプレクサ制御入力が、前記降圧出力を前記入力電圧源と比較することから導出される、降圧電圧コンバータ。
【請求項19】
請求項12に記載の降圧電圧コンバータであって、前記マルチプレクサが、pチャネル電界効果トランジスタ及びnチャネル電界効果トランジスタを含む、降圧電圧コンバータ。
【請求項20】
請求項12に記載の降圧電圧コンバータであって、
前記電圧レギュレータ回路が増幅器を含み、
前記増幅器が、前記基準電圧に結合された第1の入力と、第1の抵抗器を介して前記レギュレータ出力に第2の抵抗器を介して接地に結合された第2の入力と、前記パストランジスタのゲート端子に結合された出力とを有する、
降圧電圧コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
降圧コンバータは、主電源からの入力とその出力との間の電圧を降圧又は下げる一方で電流を高めるDC-DC電力コンバータである。それは、DC入力電圧よりもDC出力電圧を低くする必要がある回路で用いられる。それは、少なくとも2つの半導体で典型的に構成されるスイッチモード電源であり、それは供給電圧に結合されるハイサイドスイッチと、接地に結合されるローサイドスイッチとを構成する、2つのトランジスタであり得る。それはまた、少なくとも1つのエネルギー蓄積要素で構成され、これは、ハイサイド導通時にエネルギーを蓄積し、ローサイド導通時に放電する、コンデンサ又はインダクタであってもよく、又はこれら2つの組み合わせであってもよい。
【背景技術】
【0002】
ハイサイドトランジスタがオンの間、電流は、インダクタを介して負荷に流れる。インダクタの反応は、電流フローの変化に対向し、また、エネルギーを蓄えるためである。降圧コンバータの入力ノードと出力ノードの間のスイッチングトランジスタは、供給電圧と接地の供給の間で交互に高周波数で連続的にオン/オフを切り替える。連続出力を維持するために、回路は、ハイサイドスイッチのオン期間の間インダクタに蓄積されたエネルギーを使用し、それをフィルタしてリップルを滑らかにする。
【0003】
スイッチング動作では、降圧コンバータには不連続導通モード(DCM)と連続導通モード(CCM)の2つのモードがある。DCMでは、インダクタが完全に放電されて電流が遮断される期間があるが、CCMはインダクタ電流がゼロになる期間がないという特徴がある。CCMは、電流フローの不連続性から生じる出力リップル電圧と高調波を減少させるので、DC-DCコンバータでより一般的に用いられている。
【0004】
CCMの場合、ハイサイドスイッチがオフであり、ローサイドスイッチがオンであるとき、インダクタに蓄積されたエネルギーから逆回復時間の間、逆電流が流れる。CCMでは2つのスイッチのうちの1つが常にオンになっているので、インダクタ電流がゼロになる期間はない。
【0005】
降圧コンバータの設計上の考慮事項には、許容可能な許容範囲内で正確な出力電圧を維持すること、出力上のリップル電圧を最小限に抑えること、搬送される出力電力を、供給された入力電力と比較してコンバータの電力効率を最大化すること、隣接する回路要素との干渉を避けるために最小のスイッチング周波数を維持すること、及び出力電圧の暴走を回避することが含まれる。最後の2つの要件は、非常に軽い負荷では時には互いに矛盾する可能性がある。というのも、最小スイッチング周波数は、スイッチの最小オン時間に起因して、電力を回路に連続的に戻さなければならないことを意味するからである。これは、負荷からの放散なしにエネルギーが蓄積され続け、出力電圧が暴走状態まで上昇し続ける状況につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、提供される図面を含む詳細な説明において以下でさらに記載される、記載された概念を簡略化された形態で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の範囲を限定することは意図していない。
【0007】
記載される実施例は、パルススキップモードの間、保証された最小スイッチング周波数を有するDC-DC降圧コンバータと、降圧コンバータの等価ダミー負荷として内部低降圧レギュレータ(LDO)に供給するために無駄になるエネルギーを再利用する手段によって、ゼロ負荷電流での出力電圧暴走を防止するための方法とを含む。
【0008】
本発明の一例は、入力電圧源に結合された第1の端子を備えるハイサイドスイッチと、ハイサイドスイッチの第2の端子に結合された第1の端子と降圧電圧コンバータの出力に結合された第2の端子とを有するインダクタとを含む、パルススキップモードで動作する降圧電圧コンバータである。降圧電圧コンバータはさらに、接地に結合された第1の端子と、インダクタの第1の端子に及びハイサイドスイッチの第2の端子に結合された第2の端子とを備えるローサイドスイッチ、降圧電圧コンバータの出力に結合された第1の端子と接地に結合された第2の端子とを備えるキャパシタ、状態機械からの入力を受信し、ハイサイドスイッチのゲート端子及びローサイドスイッチのゲート端子に結合された出力を備えるゲートドライバ回路、及び、降圧電圧コンバータに内部にある回路要素に電力供給する電圧レギュレータ回路を含む。
【0009】
内部電圧レギュレータは、マルチプレクサ出力を備えるマルチプレクサと、供給電圧源からの第1の入力と、降圧電圧コンバータ出力からの第2の入力と、降圧電圧コンバータの出力とどの入力が出力に結合されるべきかの選択を制御する入力電圧源との間の差を比較することから導出される1つ又は複数の制御出力と、マルチプレクサの出力に結合された第1の端子と内部電圧レギュレータの出力に結合された第2の端子とを備えるパストランジスタとを含み、内部電圧レギュレータ回路の出力は、降圧電圧コンバータの状態機械回路要素及び内部論理回路要素のための唯一の電源である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】CCMのみで動作する電流モード制御DC‐DC降圧コンバータの例のためのブロック図を示す。
【0011】
【
図2A】無負荷のバーストモードにおけるPSM方式について時間の関数としてプロットされた電圧及び電流波形を示す。
【0012】
【
図2B】無負荷のPSM方式について時間の関数としてプロットされた電圧波形及び電流波形を示す。
【0013】
【
図2C】ダミー負荷を有するPSM方式について時間の関数としてプロットされた電圧波形及び電流波形を示す。
【0014】
【
図3】内部で給電される論理LDOを備える特許請求されている降圧コンバータの例のためのブロック図を示す。
【0015】
【
図4】内部で給電される論理LDOを備える特許請求されている降圧コンバータの例のための簡略化された表現を示す。
【0016】
【
図5】内部で給電されるLDOを備える特許請求されている降圧コンバータの論理LDOブロックのための概略図を示す。
【0017】
【
図6】内部で給電されるLDOを備える降圧コンバータの論理LDOブロックのための非同期コンバータ状態機械の例のための簡略化された状態図を示す。
【0018】
様々の図面において、同様の符号は同様の要素を示す。本開示の1つ又は複数の実装の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。図は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本開示を例示するために提供されるに過ぎない。特定の詳細、関係、及び方法は、本開示の理解を提供するために記載される。他の特徴及び利点は、本記載及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、例示のDC‐DC降圧コンバータを図示する。降圧コンバータは、バッテリ又は何らかの他のタイプのDC電源であり得る入力電圧源110を含む。一実施例における入力電圧源の典型的な電圧範囲は、2.2V~4.9Vであり得る。入力電圧源110は、ハイサイドスイッチであるPMOSトランジスタ112のソースに結合される。トランジスタ112のドレインは、インダクタ116の一方の端子と、ローサイドスイッチNMOSトランジスタ114のドレインに結合され、そのソースは接地に電気的に接続される。112及び114のゲートは、それぞれ、ゲートドライバ回路142の出力信号132及び134によって制御される。インダクタ116の他方の端子はコンデンサ118の一方の端子に結合され、コンデンサ118の他方の端子は接地に電気的に接続される。
【0020】
降圧コンバータの負荷は、負荷抵抗120によって表される。降圧コンバータは、或る負荷120の下で入力電圧源VIN110からノード140における出力電圧VOUTを調整するため、電圧制御、電流制御、又は両方の組み合わせ下にある。
【0021】
降圧コンバータは、信号132を用いてハイサイドスイッチ112のゲートを駆動し、信号134を用いてローサイドスイッチ114を駆動するゲートドライバ回路142を制御するための制御論理ブロック144をさらに含む。制御論理ブロック144への入力は、コンパレータ152を用いて、出力電圧VOUT140を表すフィードバック電圧130を内部基準電圧VREF136と比較し、V/Iコンバータ154を用いてそれを電流に変換し、電流コンパレータ156を用いて、それを入力電流サンプル158と比較することによって導出される。制御論理ブロック144は、固定周波数で動作する発振器148によってクロックされる。いくつかの実施例では、電圧基準の代わりに電流基準を用いることができる。
【0022】
降圧コンバータの基本的な動作は、インダクタの電流と電圧の関係から見て最もよく理解できる。初期状態では、ハイサイドスイッチ112及びローサイドスイッチ114は共にオフであり、回路を流れる電流及びインダクタ116を介する電圧はゼロである。ハイサイドゲート制御信号132がハイサイドスイッチ112をオンにすると、インダクタの両端の電圧は、入力電圧源110から降圧レギュレータ出力電圧140を差し引くことによって導出され、電流を増加させる。この間、エネルギーは、磁界の形態でインダクタ116に蓄積され、インダクタ電流は、負荷抵抗120を流れる電流と出力コンデンサを充電する別の電流に分割される。したがって、入力からのエネルギーは、インダクタ116及び出力コンデンサ118に蓄積され、負荷抵抗120内で消散されるので、3つの要素に転送される。
【0023】
インダクタ電流は、入力電圧源110における電圧が降圧レギュレータ出力電圧140よりも高い場合にのみ増加する。したがって、降圧レギュレータ出力電圧140が入力電圧源110よりも小さい場合にのみ、電力を入力から出力に連続的に転送することができる。
【0024】
ハイサイドゲート制御信号132がハイサイドスイッチ112をオフにすると、入力電圧源110はもはや、回路にエネルギーを供給しなくなる。ローサイドスイッチ114はオンにされ、インダクタ116と接地との間に低インピーダンス経路を提供する。インダクタ116の両端の電圧が直ちに負の降圧レギュレータ出力電圧に逆転するので、その電流は減少し、磁場に事前に蓄積されていたエネルギーがコンデンサ318から磁場に戻される。その後、次のスイッチングサイクルの始めに、エネルギーが、インダクタ116及びコンデンサ118から入力電圧源110に転送される。これは、負荷抵抗を流れる電流がインダクタ116のリップル電流の半分未満である場合には通常の動作である。
【0025】
降圧コンバータが動作できるモードはいくつかある。降圧コンバータは、インダクタ116を流れる電流がゼロである時間期間が決して存在しない場合、連続導通モード(CCM)で動作し、これは、ハイサイドスイッチ112又はローサイドスイッチ114のいずれかが常にオンであることを意味する。CCMでハイサイドスイッチ112とローサイドスイッチ114の両方が同時にオフになる時間はない。CCMとDCMとの間の境界は、境界又は臨界伝導モードと呼ばれる。
【0026】
DCM動作では、スイッチング周波数は、典型的に、スイッチング動作に関連する損失、例えば容量性損失、が一定のままであるように、CCM動作と同一である。DCMの出力電力は非常に低い可能性があるが、スイッチング損失は低下しないため、典型的に、効率はCCMよりも低くなる。これは典型的に、低電力ではスイッチング損失が、スイッチ及びインダクタの抵抗に関連する導通損失よりも支配的であるためである。パルス周波数変調(PFM)を用いると、スイッチング損失を最小限に抑えることができる。PFMにより、軽負荷時にスイッチング周波数を低減し得るため、インダクタ電流がゼロ未満に低下するのを防ぐことができる。
【0027】
ほとんどのスイッチモード電源は、出力を調整するためにパルス幅変調を用いて、固定周波数で動作する。FETに対する最小オン時間、すなわち、FETが再びオフにされるまでFETがオンにされていなければならない時間がある。高いスイッチング周波数及び低いデューティサイクルでは、これは動作のパルススキップモード(PSM)につながる可能性がある。PSMは、パルス幅変調又はDCM動作よりも、より小さい高調波、より速い応答速度、及びより高い軽負荷効率を達成することができる。
【0028】
固定周波数制御では、PSMはゼロ負荷時の出力電圧の暴走を防止するために、スキップされるパルス数を調整する必要がある。必要とされる最小スイッチング周波数(例えば、60KHzを超える可聴ノイズ)を達成するために、スキップされるパルスの最大数は、制限されなければならず、次式によって所与の発振器スイッチング周波数を用いて計算することができる。
スキップ周波数=発振器周波数/パルス数
【0029】
一例として、発振器クロック周波数1.5MHzで、60KHz可聴ノイズ閾値周波数を用いると、スキップされ得る最大パルス数は25である。
60KHz=1.5MHz/パルス数
⇒スキップするパルスの最大数=1.5MHz/60KHz=25
【0030】
発振器からの降圧コンバータ閉ループ周波数は、可聴ノイズ閾値周波数60KHzよりもはるかに高く、この場合、多数のスキップされたパルスが可能になる。しかし、コンバータの最小周波数を可聴ノイズよりも高くし、隣接する電気回路の擾乱を避けるためにコンバータの閉ループ周波数よりもさらに高くしなければならない応用例がある。例えば、ハンドヘルドデバイスでは、静電容量式タッチスクリーンは、感知周波数帯域内の不要なノイズを回避するために、400KHzを超えるサンプリング周波数を必要とする。これらの応用例及び降圧コンバータのゼロ負荷電流では、最小パルス数が厳密に制限され、出力電圧の暴走を回避するために、降圧コンバータに付加的なダミー負荷を追加する必要がある。
【0031】
隣接回路の要件に加えて、PSMにおける高い最小スイッチング周波数は、電力段の繰り返し強制スイッチングによるバーストモード挙動を回避する。PSMの付加的な利点は出力電圧に対するより低いリップルであり、これは、ディスプレイに供給する電圧コンバータのための要件である。
【0032】
図2Aは、無負荷のバーストモードにおけるPSM方式について、電圧波形及び電流波形を時間の関数としてプロットしたものである。電圧プロットでは、点線は所望の調整されたDC電圧を示す。これは、バーストモードの欠点を図示している。これにより、出力電圧リップルが高くなり、応用例によっては許容できない場合がある。
図2Bは、無負荷のPSM方式について、電圧波形及び電流波形を時間の関数としてプロットしたものである。電圧リップルは、バーストモードの例よりもはるかに改善されるが、無負荷であり、最小スイッチング周波数を維持するための厳しい要件がある場合、出力電圧は暴走し、最小スイッチング周波数を下回ることなく出力電圧レベルを下げるメカニズムがないため、所望のDC電圧範囲内に保持することはできない。
【0033】
この問題に対する従来技術の解決策は、出力電圧の暴走を回避するために付加的なダミー負荷を追加することである。
図2Cは、ダミー負荷を用いるPSM方式について、電圧波形及び電流波形を時間の関数としてプロットしたものである。ダミー負荷技術は、正しい出力電圧精度を達成し、低い出力電圧リップルを提供するが、ダミー負荷を通過する電流が無駄になるので、低いシステム電力効率をもたらす。バッテリ駆動システムでは、待機電力消費が少ないことはバッテリ寿命を節約するために重要である。負荷電流がゼロの場合、降圧コンバータから供給されている回路はスタンバイモードで動作していると想定される。降圧コンバータがPSM方式において最小スイッチング周波数要件を満たすために、従来技術のコンバータは、ダミー負荷を用いて、最小インダクタオン時間制御下で出力電圧を制御する。しかしながら、これはダミー負荷を流れる無駄な電流がバッテリ寿命を減少させるため、大きな欠点を有し、これはハンドヘルド電子応用例において望ましくない。
【0034】
図3は、内部電力供給される論理LDOを備える特許請求される降圧コンバータの一例のブロック図を示す。これは、内部バイアス低ドロップアウトレギュレータ(LDO)に供給するためにダミー負荷を介して無駄に消費される電荷を再利用することによって、ゼロ負荷電流での出力の電圧暴走を防止する手段を提供する。降圧コンバータの代替ダミー負荷として内部論理LDOを用いると、降圧コンバータの出力電圧暴走が防止され、全体的に電源効率が高くなり、スタンバイ動作又は低電力動作で動作するために引き出されるバッテリ電流が少なくなる。これは、降圧コンバータ出力から他に電流が引き出されていない場合に、バッテリではなく降圧コンバータ出力から論理LDOに電力供給することによって行われる。ただし、降圧コンバータの出力にさらに高い負荷がある場合に論理LDOに電力を供給するために引き続きバッテリを用いることもできる。
【0035】
図3は、パルススキップモードで用いられる最小スイッチング周波数が保証されている降圧コンバータの一例の概略図である。降圧コンバータ300は、バッテリ又は何らかの他のタイプのDC電源であり得る入力電圧源310を含む。一実施例では、入力電圧源のための典型的な電圧範囲が2.2V~4.9Vであり得る。入力電圧源310は、ハイサイドスイッチであるPMOSトランジスタ312のソースと、トランジスタ312を流れる電流をサンプリングするサンプリング電圧‐電流コンバータ368の1つの入力とに結合される。トランジスタ312のドレインは、インダクタ316の一方の側と、ソースが接地に電気的に接続されているローサイドスイッチNMOSトランジスタ314のドレインとに結合される。また、トランジスタ312のドレインは、サンプリング電圧‐電流コンバータ368の第2の入力にも結合される。トランジスタ312及び314のゲートは、それぞれ、ゲートドライバ回路342の出力信号332及び334によって制御される。インダクタ316の他方の側は、V
OUTノード340であり、コンデンサ318の一方の側に結合され、他方の側は接地に電気的に接続される。
【0036】
降圧コンバータの負荷は、負荷抵抗器320によって表される。他の実施例では、降圧コンバータが電圧制御、電流制御、又は両方の組み合わせを用いて、所与の降圧コンバータ負荷320の下で、入力電圧源310からのVOUT340における出力電圧を調整することができる。
【0037】
降圧コンバータは更に、ゲート制御信号332を用いてハイサイドスイッチ312のゲートを駆動し、ゲート制御信号334を用いてローサイドスイッチ314を駆動するゲートドライバ回路342に結合された出力HSON382及びLSON384を有する状態機械344を含む。状態機械344には5つの入力がある。第1の入力は、SKIP入力386であり、コンパレータ364において、コンパレータ360を用いて、出力電圧340のスケーリングされたバージョンであるフィードバック電圧330を内部基準電圧336と比較し、電圧‐電流コンバータ362を通して出力を配置し、次いで、その出力を、入力電圧源310における電圧及びノード340における出力電圧の関数を表す論理ブロック394からの信号302と比較することから導出される。
【0038】
状態機械344への第2の入力は、固定周波数で動作する発振器348によって生成されるクロック信号である。状態機械344への第3の入力はZERO_COMP378であり、それは、その入力がトランジスタ314のソース及びドレインであるコンパレータ388の出力である。
【0039】
状態機械344への第4の入力は、傾斜補償器374と電圧‐電流コンバータ362とを合計したサンプリング電圧‐電流コンバータ368を入力とするコンパレータ376の出力であるPEAK_COMP372である。状態機械344への第5の入力は、プログラマブルレジスタ370の出力であるFPWM380であり、CCMのみとCCM又はDCM動作との間で選択するためのユーザ固有設定(FPWM)380である。
【0040】
図4は、
図3の内部電力供給される論理LDO備える特許請求されている降圧コンバータの一例について、簡略化された表現を示している。入力供給電圧源410はハイサイドスイッチ412のソース端子に供給し、供給マルチプレクサ440の1つの入力に結合される。供給マルチプレクサ440は、理想的なスイッチとして
図4に示されているが、2つのトランジスタ又は任意のタイプのマルチプレクサ集積回路であってもよい。供給マルチプレクサ440は、入力供給電圧源410と降圧コンバータの出力との間で、降圧コンバータのデジタル回路要素430、入出力回路452、及び他の回路要素454のための供給電圧として用いられる内部供給電圧AV
DDを生成するための供給源としてV
OUT450を選択する。
【0041】
ハイサイドスイッチ412のドレインは、インダクタ416の一方の側とローサイドスイッチ414のドレインとに結合され、そのソースは接地に電気的に接続される。インダクタ416の他方の側は、コンデンサ418の一方の側に結合され、他方の側は接地に電気的に接続される。インダクタ416とコンデンサ418が共に結合されるノードは、降圧コンバータ出力電圧VOUT450も提供する。降圧コンバータ出力電圧VOUT450は、供給マルチプレクサ440の第2の入力にも結合される。
【0042】
図4の概略図は、
図1からの降圧コンバータから構成され、降圧コンバータのデジタル回路要素430、入出力回路452、及び他の回路要素454に電力供給するための内部供給電圧を生成するための付加的なLDO回路を備える。LDO回路は、入力供給電圧源410又は降圧コンバータの出力電圧V
OUT450のいずれかによって供給され、これは、2つの入力のうちのいずれが供給マルチプレクサ440において選択されるかに従う。2つの入力間を選択する供給マルチプレクサ440のための制御信号390及び392は、
図3における論理ブロック394からのものである。
【0043】
供給マルチプレクサ440のための制御信号390及び392は、降圧コンバータの出力電圧VOUT450が内部論理供給電圧AVDDの生成をサポートするには低すぎる場合を除き、内部論理供給電圧AVDDを生成するための供給源として、常に降圧コンバータの出力電圧VOUT450を選択する。供給マルチプレクサ440を制御するこの論理信号は、コンパレータ360の出力、又はそれから導出される別の信号とすることができる。降圧コンバータの出力電圧VOUT450が低すぎて内部論理供給電圧AVDDの生成をサポートできない場合、供給マルチプレクサ440を制御する論理信号は、入力供給電圧源410を選択して内部論理供給電圧AVDDの生成を供給する。
【0044】
内部論理供給電圧AVDD480は、降圧コンバータのデジタル回路要素430、入力/出力回路要素452、及び設計者がこのソースから電力を供給するように選択することができる降圧コンバータデバイス内部の任意の他の回路要素454に結合され、供給電圧を提供する。それは、ゲートドライバ342にフィードする状態機械344に電力を供給する。通常、このような回路要素で降圧コンバータに負荷をかけると、スイッチング周波数を上げることによってコンバータの効率が低下するため、望ましくない。しかしながら、この場合、余分な負荷はコンバータがスイッチングを必要とするときにのみ追加されるので、供給のためのエネルギーは事実上制限を受けず、従って、コンバータの全体的な効率を増大させる。
【0045】
論理LDOブロックのより詳細な概略を
図5に示す。LDOは、パストランジスタ446、出力コンデンサ438、抵抗器460及び462を備えるフィードバック経路分圧器、及び電圧基準436からの入力と抵抗器460及び462からの分圧器フィードバックを備える増幅器470から構成される。LDO出力電圧ノードはAV
DD480であり、LDOへの負荷は抵抗器482で表される。PMOSトランジスタ456及び458は、入力供給電圧源410と降圧コンバータの出力V
OUT450との間を選択する供給マルチプレクサ440を表す。トランジスタ456のゲートは、
図3の論理ブロック394からのEN_IN信号390に結合される。EN_IN390及びEN_OUT392は、降圧コンバータの出力V
OUT450と入力電圧V
IN410との間の差を比較することによって導出される。トランジスタ458のゲートは、論理ブロック394からのEN_OUT信号392に結合される。EN_IN390及びEN_OUT392は、PMOSトランジスタ456をイネーブルすることによって入力供給電圧源410をパストランジスタ446のドレインに接続するか、又はPMOSトランジスタ458をイネーブルすることによって降圧コンバータ出力電圧450をパストランジスタ446のドレインに接続するかのいずれかに接続するように組み合わさる。PMOSトランジスタ458をイネーブルする選択信号EN_OUT392は、降圧コンバータ出力電圧450がLDO出力電圧AV
DD480とパストランジスタ446の両端間の電圧降下との和を超えると直ちにトリガする。
【0046】
このようにして、負荷要件が最小閾値未満に低下したときに、降圧コンバータは、ダミー負荷を介して接地にエネルギーを放出し、そのためそのエネルギーを浪費するのではなく、その出力VOUT450からのエネルギーを再使用して、それ自体に供給する。このようにして、降圧コンバータ出力は、低い出力電圧リップルを達成しながら、降圧コンバータが常に所定の最小スイッチング周波数以上でスイッチングするという仕様を満たすために内部論理LDOと組み合わせて論理電源として用いられる。
【0047】
上記からの計算を繰り返して、容量性タッチスクリーンを備えるシステムによって課される要件を満たすために400KHzの最小サンプリング周波数仕様を満たし、また、発振器クロック周波数を1.5MHzに保ちながら、スキップされ得る最大パルス数を決定する。スキップされ得る最大パルス数は3である。
400KHz=1.5MHz/パルス数
⇒スキップするパルスの最大数=1.5MHz/400KHz=3.75→3
【0048】
2つ以下の連続パルスをスキップすることを可能にするPSMモードを実現するための非同期コンバータ状態機械600のための状態図が
図6で示される。この実施例における状態機械は、スキップされる最大2つの連続パルスに対して設計されているが、状態機械は、用いられる発振器の周波数と必要とされる最小スイッチング周波数とに基づいて、任意の所望の数の必要最大スキップパルス数について改変することができる。1.5MHzの発振器クロックを有する例示の降圧コンバータでは、最小スイッチング周波数は500KHzである。これは、容量性タッチスクリーンの混乱を避けるために、必要最小スイッチング周波数400KHzよりも高く、また、低い出力電圧リップルを実現する。したがって、状態機械は、ディスプレイに供給する降圧コンバータでの使用によく適している。
【0049】
非同期コンバータ状態機械600は、
図3において状態機械ブロック344として示される回路要素で実現される。
図6のステップ610で開始して、コンバータは、レジスタ370からのグローバルイネーブル(EN)信号396と、発振器348からの立ち上がりクロック398とでイネーブルされる。ピーク電流制御システムにおける各スイッチングサイクルは、状態3(HS ON)によって示されるステップ640であるハイサイドスイッチ312オン時間で開始する。
【0050】
インダクタ316を通る感知電流によってピーク電流基準がトリガされると直ちに、電流コンパレータ信号(PEAK_COMP)372はトリガされ、ハイサイド導通状態3からローサイド導通状態1(ステップ620)に切り替わり、インダクタ316を放電する。これは、ハイサイドスイッチ312をオフに切り替え、ローサイドスイッチ314をオンに切り替えることによって行われる。任意の過渡状況における固定周波数を保証するために、最大オン時間は、CLK398の立ち下がりエッジでのトリガによっても達成される。
【0051】
CCM動作は、状態1(ステップ620)、及び状態3(ステップ640)においてのみ発生する。状態1(ステップ620)から、状態機械は、状態2(ステップ630)に入るか、又は状態3(ステップ640)に戻ることができる。次のゼロ電流検出(ZERO_COMP)378、及びCCMのみとCCM又はDCM動作との間で選択するためのユーザ固有設定(FPWM)380を用いて、CLKがトリガする前に、インダクタ電流がゼロと交差するとすぐに状態2(ステップ630)に入る。
【0052】
状態機械は、次のCLKサイクルで状態2(ステップ630)を離れる。その後、別のインダクタ充電期間が状態3(ステップ640)で始まるか、あるいは次のパルスが状態4(ステップ650)に入ることによってスキップされる。この判定は、パルススキップモード信号(SKIP)386の値によって決定され、これはDCMモード中の出力電圧放電から導出され、VINをコンパレータ364内のVOUTと比較する。状態4、ステップ650の間の次のCLKサイクルは再び、第2のアイドルパルスの間、別のパルスをスキップして状態5(ステップ660)に移行するか、又はその他の場合、状態3(ステップ640)においてインダクタ充電期間に戻るかを決定する。第2のパルスが状態5(ステップ660)においてスキップされた後、次のCLKサイクルは、最小スイッチング周波数を維持するために、コンバータに再びスイッチングを強いる。
【0053】
状態2(620)から状態4(650)への状態5(660)への遷移は、第1及び第2のスキップされたパルスを生成する。状態5(660)から状態3(640)への遷移は、降圧コンバータにスイッチングを強いる。このようにして、状態機械は、2つ以下の連続するクロックサイクルがスキップされることを保証する。状態機械は、出力負荷320から引き出される電流が非常に低い場合にのみ、状態4(650)又は状態5(660)に入る。そうでなければ、要求される負荷電流がより高く、パルスがスキップされないとき、状態機械は、状態1(620)、状態2(630)、及び状態3(640)の通常動作状態のままである。
【0054】
用語「実質的に同じ」、「実質的に等しい」、及び「ほぼ同じ」は、2つのオブジェクト間の定量的な関係を記述することを意図する。この定量的な関係は、これら2つのオブジェクトが設計によって等しいことが所望されるかもしれないが、製造プロセスによって一定量の変形が導入され得ることを予想している。
【0055】
動作は特定の順序で図に示されているが、このような順序が1つ又は複数の特許請求の範囲に記載されていない限り、所望の結果を達成するために、すべての例示された動作が行われることを必要とするものとして理解されるべきではない。幾つかの状況において、マルチタスク及び並列処理が有利であり得る。また、上述の実施例における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施例においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではない。
【国際調査報告】