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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】感知用発光イメージング
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20221208BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523172
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 US2020056091
(87)【国際公開番号】W WO2021076972
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】63/085,929
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/069,544
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/054,176
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/916,331
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517015742
【氏名又は名称】シー2センス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】スワガー, ティモシー マニング
(72)【発明者】
【氏名】ディーンズ, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コックス, ジェイソン アール.
(72)【発明者】
【氏名】タックル, ジェフリー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス, ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー, スティーブン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-, ジェングオ
(72)【発明者】
【氏名】フラット, ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA03
2G043DA01
2G043EA01
2G043EA06
2G043FA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA03
2G043NA01
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB12
2G059CC16
2G059DD01
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE07
2G059FF01
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059KK04
2G059MM01
(57)【要約】
本明細書に記載されている実施形態は、概して、発光イメージングを使用する感知および/または認証;診断アッセイ、システムおよび関連方法;時間的熱感知および関連方法;ならびに/または白色光により励起可能な放射種などの放射種、ならびに関連システムおよび方法に関する。一態様では、組成物が提供される。一部の実施形態では、本組成物は、物品と関連付けるように構成されている放射種を含み、放射種の励起は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生じ、検出可能な信号は、物品の経時的熱履歴に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射して、放射種の放射期間中に、前記放射種における非定常状態の放射を励起するように構成されている電磁線の発生源であって、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、電磁線の発生源、
行および列のアレイで配置されている複数の光検出器を備える電磁線センサーであって、前記放射期間中に、前記放射種からの前記非定常状態の放射を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびに
前記アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、
前記複数の時間符号化信号のうちの少なくとも2つの比較に基づいて、前記放射種の特徴を識別する
ように構成されている、処理回路
を備える、イメージングデバイス。
【請求項2】
前記放射期間が、少なくとも100ナノ秒である、請求項1に記載のイメージングデバイス。
【請求項3】
前記放射期間が、少なくとも1マイクロ秒である、請求項1に記載のイメージングデバイス。
【請求項4】
放射線を放射して、放射種の放射期間中に、前記放射種における非定常状態の放射を励起するように構成されている電磁線の発生源であって、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、電磁線の発生源、
前記放射期間中に、前記放射種からの前記非定常状態の放射を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびに
前記電磁線センサーからのデータをグローバルに公表する、および/またはこのデータを読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、
前記複数の時間符号化信号のうちの2つまたはそれより多くのものの比較に基づいて、前記放射種の特徴を識別する
ように構成されている、処理回路
を備える、イメージングデバイス。
【請求項5】
前記電磁線の発生源が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項6】
第2の電磁線の発生源が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項7】
前記第2の放射種が前記放射種と同じである、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項8】
前記第2の放射種が前記放射種とは異なる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項9】
前記電磁線センサーが、検出可能な定常状態の放射を感知するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項10】
前記処理回路が、
前記複数の時間符号化信号に基づいて、1つまたは複数の画像を生成する
ようにさらに構成されており、
前記放射種の前記特徴を識別することが、前記1つまたは複数の画像に基づく、
先行のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項11】
前記処理回路が、
前記アレイの1つもしくは複数の第1の行または1つもしくは複数の第1の列に対する時間符号化信号に基づいて画像の第1の部分を生成し、
前記アレイの1つもしくは複数の第2の行または1つもしくは複数の第2の列に対する時間符号化信号に基づいて前記画像の第2の部分を生成する
ようにさらに構成されており、
前記放射種の前記特徴を識別することが、前記画像の前記第1の部分と前記画像の前記第2の部分との比較に基づく、
先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイス。
【請求項12】
化学タグの特徴を識別するように構成されているシステムであって、
物品に関連付けられた化学タグであり、前記化学タグが放射種を含み、前記放射種が、条件のセット下で前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成し、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、化学タグ、
画像取り込み期間にわたって変化する前記検出可能な非定常状態の放射が生成するように、前記条件のセット下で前記放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、
前記検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成されている画像センサー、および
前記検出された非定常状態の放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素
を備え、
前記単一の画像が、前記放射種の前記放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および前記放射種の前記放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分の特性との差が、前記化学タグの特徴に関連付けられる、
システム。
【請求項13】
前記放射種が検出可能な定常状態の放射を生成する、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項14】
前記放射種とは異なる第2の放射種を含み、前記第2の放射種が、条件のセット下で検出可能な定常状態の放射を生成する、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項15】
前記画像センサーが、前記検出可能な定常状態の放射を検出するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項16】
前記検出可能な非定常状態の放射の少なくとも1つの特徴が、前記画像センサーによる前記検出可能な非定常状態の放射の検出中に変化する、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項17】
前記放射種が化学種および/または生物種である、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項18】
前記化学タグが複数の放射種を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項19】
前記励起構成要素が複数の放射種を励起させるように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項20】
前記複数の放射種のうちの少なくとも2種の放射種が化学種および/または生物種である、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項21】
前記励起構成要素が電磁線の発生源を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項22】
前記電磁線の発生源が、実質的に白色の光を放射するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項23】
前記電磁線の発生源が、LED、OLED、蛍光灯および/または白熱電球を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項24】
前記電磁線の発生源がフラッシュランプを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項25】
前記励起構成要素が、光学シャッター、光弁、光学変調器、動的屈折材料、前記電磁線を周期的に遮蔽する回転要素、および/または可動ミラーを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項26】
前記励起構成要素が、電気的刺激、機械的刺激、化学的刺激、粒子刺激または熱的刺激によって前記放射種を励起させるように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項27】
前記励起構成要素および前記画像センサーが、単一構成要素に一体化されている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項28】
前記励起構成要素および前記画像センサーが別々である、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項29】
前記画像センサーが、CMOSセンサー、電荷結合素子または光ダイオードを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項30】
前記画像センサーが、ローリングシャッター機構に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項31】
前記画像センサーが、スマートフォンに組み込まれている、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項32】
前記放射種が、1つまたは複数の熱活性化遅延蛍光(TADF)分子または分子複合体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項33】
前記放射種が無機蛍光体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項34】
前記放射種が、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン、テルル化物、リン、スズ、鉛、水銀および/またはカドミウムを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項35】
前記放射種が、ビスマス、レニウム、イリジウム、白金、金または銅を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項36】
前記放射種がランタニドまたはアクチニドを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項37】
前記放射種が、丸剤、カプセル、または製品の包装に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項38】
前記物品がコーティングを含み、前記コーティングが前記放射種を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項39】
前記物品および/または化学タグの前記特徴が、化学剤、生物剤、爆発物、毒性化学物質、重金属、麻薬、生体異物および/または放射線源の存在に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項40】
前記物品の前記特徴が、前記物品の真正性である、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項41】
第2の化学タグをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項42】
前記システムが第2の識別可能な構成要素を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項43】
前記第2の識別可能な構成要素が、光学バーコード、ホログラム、透かし、RFID、不可視インク、色素、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸、またはこれらの組合せを含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項44】
前記放射種が、ポイントオブケア、現場、ポイントオブニード、または在宅診断キットもしくは方法に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項45】
1つまたは複数の構成要素が、前記放射種の励起および/または検出可能な放射の検出のための指示を提供する構成要素と無線通信状態にある、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項46】
比色信号の発生源をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項47】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項46に記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項48】
2種またはそれより多くの放射種を含む、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項49】
前記画像の第1の部分が、定常状態の放射に対応し、前記画像の第2の部分が、非定常状態の放射に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項50】
前記画像センサーがグローバルシャッターに関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のイメージングデバイスまたはシステム。
【請求項51】
一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法であって、
前記種が、前記放射種の放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように前記種を励起させるステップであり、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒であるステップ、
画像センサーを使用して、前記検出可能な非定常状態の放射に関連付けられるデータを取得するステップ、
前記画像センサーを使用して得られた前記データの少なくとも一部に基づいて、単一の画像を生成するステップであり、前記単一の画像の第1の部分を生成するために使用した第1の組のデータが、前記放射期間の第1の部分に対応し、前記単一の画像の第2の部分を生成するために使用した第2の組のデータが、前記放射期間の第2の部分に対応する、ステップ、および
前記単一の画像の前記第1の部分と前記第2の部分との差に基づいて、前記放射種の前記変化を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項52】
一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法であって、
前記種に、前記放射種の放射期間中に非定常状態の電磁線を放射させるステップ、
画像センサーを使用して、前記放射種によって放射された前記電磁線の少なくとも一部の単一の画像を取得するステップ、
少なくとも第1の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別するステップ、
少なくとも第2の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに
少なくとも前記第1の画像部分からの前記情報および前記第2の画像部分からの前記情報から、前記放射種の前記変化を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項53】
2つより多くの時点での、前記放射種による電磁線の放射に対応する前記単一の画像の2つより多くの画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに/または複数の画像であって、各画像が前記放射種によって放射される前記電磁線の少なくとも一部である前記複数の画像を取得し、かつ各画像について、少なくとも第1の時点での前記放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別し、少なくとも第2の時点での前記放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに前記2つより多くの画像部分から識別された情報から、および/または前記複数の画像からの情報から、前記放射種の変化を決定するステップ
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記放射種が検出可能な定常状態の放射を生成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記放射種とは異なる第2の放射種を含み、前記第2の放射種が、条件のセット下で検出可能な定常状態の放射を生成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記画像センサーが、前記検出可能な定常状態の放射を検出するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記種を励起させるステップが、前記種を電磁線に曝露するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
励起電磁線が、単一のパルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度のパルス、またはこれらの任意の組合せとして提供される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記電磁線が、電気信号、シャッター、屈折材料、光学変調器、可動ミラー、機械的デバイスまたは光弁によって変調される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記電磁線が可視光を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記電磁線が実質的に白色の光を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記電磁線が離散的な波長範囲を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記種を励起させるステップが、LED、OLED、蛍光灯および/または白熱電球からのパルス化光および/または変調光に前記種を曝露することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記種を励起させるステップが、前記種をフラッシュランプに曝露することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記種を励起させるステップが、電圧、電離線、物理的な力、または化学反応を適用することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記種が包装構成要素に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記種が、励起時に化学的および/または生物学的反応を経る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
分析物への曝露により、放射された光の強度、放射された光の偏光、放射された光の空間プロファイルのうちの1つもしくは複数の変化、または前記放射種の放射寿命の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
物品を活性化する第2のステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
物品を活性化する前記第2のステップにより、放射寿命、空間プロファイル、偏光、化学物質感受性、強度の変化および/または前記種を励起させる第1のステップの遮蔽が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記種を励起させる前記第2のステップにより、色の発生ならびに/または吸収および/もしくは放射の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記種を励起させる異なる第1、第2およびさらなるステップの組合せにより、100ナノ秒~100ミリ秒にわたって獲得される画像の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
比色信号の発生源をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、前記放射種が、前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源であって、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、放射線源、
前記放射期間の第1の部分中に、前記放射種からの第1の放射を検出し、
前記放射期間の第2の部分中に、前記放射種からの第2の放射を検出する
ように構成されているセンサー、および
前記放射期間の前記第1の部分中に検出された前記第1の放射の特性と、前記放射期間の前記第2の部分中に検出された前記第2の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路
を備える、システム。
【請求項77】
前記放射線源または第2の放射線源が、前記放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記放射種が検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、請求項76に記載のシステム。
【請求項78】
前記放射線源または第2の放射線源が、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記第2の放射種が検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、請求項76に記載のシステム。
【請求項79】
前記放射線源が、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記第2の放射種が第2の放射期間中に第2の検出可能な非定常状態の放射を生成し、前記第2の放射期間が少なくとも10ナノ秒となるように構成されている、請求項76に記載のシステム。
【請求項80】
前記センサーが、前記第2の放射期間の第1の部分中に、前記第2の放射種からの第1の放射を検出し、前記第2の放射期間の第2の部分中に、前記第2の放射種からの第2の放射を検出するように構成されている、請求項78に記載のシステム。
【請求項81】
各放射種が同じ放射体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項82】
各放射種が複数の放射体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項83】
前記放射期間が100ミリ秒未満である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項84】
前記放射期間が10マイクロ秒未満である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項85】
前記放射期間が0.1マイクロ秒未満である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項86】
放射種に関連付けられる物品をさらに含み、前記放射種の前記特徴が前記物品の特徴に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項87】
前記放射種の前記特徴が、分析物の存在または非存在に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項88】
前記特徴が、温度、熱履歴、pH、UV放射線、湿度、殺菌技法(複数可)、化学物質(複数可)、病原体(複数可)、生物種および/機械的応力への前記放射種の曝露に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項89】
比色信号の発生源をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項90】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、前記放射種が、前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、
単回曝露中に:
前記放射期間の第1の部分中の前記放射種からの第1の放射、および
前記放射期間の第2の部分中の前記放射種からの第2の放射
を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびに
前記放射期間の前記第1の部分中に検出された前記第1の放射の特性と、前記放射期間の前記第2の部分中に検出された前記第2の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路
を備えるシステム。
【請求項92】
前記第2の放射が、前記放射種の定常状態の放射である、請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記放射線源または第2の放射線源が、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記第2の放射種が、前記第2の放射種の放射期間中に検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、請求項91に記載のシステム。
【請求項94】
前記処理回路が、前記非定常状態の放射の特性と前記定常状態の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項95】
放射種の特徴を識別するための方法であって、
電磁線を発生するステップ、
放射種が、前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように、前記電磁線を使用して前記放射種を励起させるステップ、
前記放射期間の第1の部分中に、前記放射種からの第1の放射を検出するステップ、および
前記放射期間の第2の部分中に、前記放射種からの第2の放射を検出するステップ、および
前記放射期間の前記第1の部分中に検出された前記第1の放射の特性と、前記放射期間の前記第2の部分中に検出された前記第2の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の前記特徴を識別するステップ
を含む、方法。
【請求項96】
前記第2の放射が、前記放射種の定常状態の放射である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記放射線源または第2の放射線源が、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記第2の放射種が、前記第2の放射種の放射期間中に検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記処理回路が、前記非定常状態の放射の特性と前記定常状態の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項99】
前記第1の放射を検出するステップが、電磁線センサーを前記検出可能な非定常状態の放射に曝露させるステップを含み、前記電磁線センサーが、行および列のアレイで配置されている複数の光検出器を備える、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供するステップを含み、第1の時間符号化信号が前記第1の放射に対応し、第2の時間符号化信号が前記第2の放射に対応する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記電磁線センサーからのデータをグローバルに公表する、および/またはこのデータを読み取って、複数の時間符号化信号を提供するステップ、ならびに前記複数の時間符号化信号の2つまたはそれより多くのものの比較に基づいて、前記放射種の特徴を識別するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記放射種の特徴を識別する前記ステップが、前記第1と第2の時間符号化信号を比較するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
放射種の特徴を識別するための方法であって、
前記種が、前記放射種の放射期間中に検出可能な放射を生成するように、前記種を励起させるステップであり、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、ステップ、
画像センサーを使用して、前記検出可能な放射の第1の画像を取得するステップであり、前記第1の画像の第1の部分が、前記放射期間の第1の部分に対応し、前記第1の画像の第2の部分が、前記放射期間の第2の部分に対応する、ステップ、および
前記第1の画像の前記第1の部分と前記第2の部分との差に基づいて、前記種の前記特徴を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項104】
前記種を励起させるステップが、前記種を電磁線に曝露するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
励起電磁線が、単一のパルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度のパルス、またはこれらの任意の組合せとして提供される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記電磁線が、電気信号、シャッター、屈折材料、光学変調器、可動ミラー、機械的デバイスまたは光弁によって変調される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記電磁線が可視光を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
前記電磁線が実質的に白色の光を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
前記電磁線が離散的な波長範囲を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
前記種を励起させるステップが、LED、OLED、蛍光灯および/または白熱電球からのパルス化光および/または変調光に前記種を曝露することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
前記種を励起させるステップが、前記種をフラッシュランプに曝露することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
前記種を励起させるステップが、電圧、電離線、物理的な力または化学反応を適用することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
前記種が包装構成要素に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記種が、励起時に化学的および/または生物学的反応を経る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
分析物への曝露により、放射された光の強度、偏光、空間プロファイルの変化、および/または前記放射種の前記放射寿命の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
物品を活性化する第2のステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
物品を活性化する前記第2のステップにより、放射寿命、空間プロファイル、偏光、化学物質感受性、強度の変化および/または前記種を励起させる第1のステップの遮蔽が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
前記種を励起させる前記第2のステップにより、色の発生ならびに/または吸収および/もしくは放射の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
前記種を励起させる異なる第1、第2およびさらなるステップの組合せにより、100ナノ秒~100ミリ秒にわたって獲得される画像の変化が生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項120】
物品の特徴を識別するための方法であって、
放射タグを含有すると思われる物品に近接して画像センサーを位置付けるステップ、
存在する場合、前記放射タグが検出可能な非定常状態の放射を生成するように前記物品を刺激するステップ、
前記画像センサーを使用して、前記検出可能な非定常状態の放射の単一の画像を取得するステップであり、前記単一の画像の第1の部分が、前記分析物の刺激後の第1の期間に対応し、前記単一の画像の第2の部分が、前記第1の期間とは異なる前記分析物の刺激後の第2の期間に対応する、ステップ、および
前記単一の画像の前記第1の部分と前記第2の部分との差に基づき、前記物品の前記特徴を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項121】
前記物品の部分が検出可能な定常状態の放射を生成するよう、前記物品を刺激するステップをさらに含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記単一の画像の前記第1の部分が、前記検出可能な非定常状態の放射に対応し、前記単一の画像の前記第2の部分が、前記検出可能な定常状態の放射に対応する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、前記放射種が、前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、
前記放射期間中に前記非定常状態の放射を検出するように構成されている複数の光検出器を含む電磁線センサー、
パルス化または周波数変調強度の電磁線が、前記1つまたは複数の画像の取り込み中に生成されるよう、前記放射線源による前記電磁線の発生のタイミングを制御するように構成されている制御装置、および
a)前記複数の光検出器の出力に基づいて、1つまたは複数の画像を生成するように構成されている処理回路であって、前記放射期間が前記1つまたは複数の画像のうちの単一の画像を取り込むための時間より短く、かつ前記1つまたは複数の画像の各々に関して、前記画像の第1の部分の第1の特性および前記画像の第2の部分の第2の特性を決定し、前記第1の特性および前記第2の特性に少なくとも一部、基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている、処理回路、または
b)前記電磁線センサーからのデータをグローバルに公表する、および/またはこのデータを読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、前記複数の時間符号化信号の2つまたはそれより多くのものの比較に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路
を備える、システム。
【請求項124】
前記電磁線の発生源が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
第2の電磁線の発生源が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項126】
前記第2の放射種が前記放射種と同じである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項127】
前記画像の前記第2の部分が前記放射種の前記定常状態の放射に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項128】
前記放射線源が、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、前記第2の放射種が第2の放射期間中に第2の検出可能な非定常状態の放射を生成し、前記第2の放射期間が少なくとも10ナノ秒となるように構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項129】
前記センサーが、前記第2の放射期間の第1の部分中に、前記第2の放射種からの第1の放射を検出し、前記第2の放射期間の第2の部分中に、前記第2の放射種からの第2の放射を検出するように構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項130】
各放射種が同じ放射体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項131】
各放射種が複数の放射体を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項132】
前記電磁線センサーが、複数の画像を取り込むように構成されており、前記処理回路が、
前記複数の画像全体の前記第1の特性の平均を決定し、
前記複数の画像全体の前記第2の特性の平均を決定し、
前記第1の特性の前記平均と前記第2の特性の前記平均に、少なくとも一部基づいて、前記放射種の特徴を識別する
ようにさらに構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項133】
遅延放射が、通常の反射光/散乱光を用いて同じ画像中で検出され得る、請求項132に記載のシステム。
【請求項134】
励起が、パルス化光および/または周波数変調光の強度によって行われる、請求項132に記載のシステム。
【請求項135】
前記電磁線センサーが、複数の画像を取り込むように構成されており、前記制御装置が、前記複数の画像のそれぞれを取り込む前に、前記放射線源を制御して、電磁線の様々な周波数で変調されたパルスまたは強度を生成するようさらに構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項136】
前記複数の光検出器が、行および列のアレイで配列されており、前記処理回路が、
前記アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、
前記複数の時間符号化信号に基づいて、前記1つまたは複数の画像を生成する
ようにさらに構成されている、請求項123に記載のシステム。
【請求項137】
前記複数の光検出器が、単一の一体化された電子チップ内に入れられている、請求項123に記載のシステム。
【請求項138】
前記複数の光検出器が、複数の一体化された電子チップ内に入れられている、請求項123に記載のシステム。
【請求項139】
比色信号の発生源をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項140】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項139に記載のシステム。
【請求項141】
放射種が、前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように、前記放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、
前記検出可能な非定常状態の放射の少なくとも一部を検出するように構成されている画像センサー、ならびに
前記放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および前記放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む、単一の画像を生成するように構成されている、電子ハードウェア構成要素
を備える、システム。
【請求項142】
前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、請求項141に記載のシステム。
【請求項143】
前記励起構成要素が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、請求項141に記載のシステム。
【請求項144】
第2の励起構成要素が、放射線を放射して、第2の放射種において定常状態の放射を励起するように構成されている、請求項141に記載のシステム。
【請求項145】
前記第2の放射種が前記放射種と同じである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項146】
前記単一の画像が、前記放射期間の第3の部分に対応する第3の部分をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項147】
前記単一の画像が、前記放射期間の複数の他の部分に対応する後続の部分をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項148】
前記放射期間の前記第1の部分が、前記放射期間の前記第2の部分とは異なる、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項149】
前記放射期間の前記第1の部分が、前記放射期間の前記第2の部分と少なくとも部分的に重なる、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項150】
放射種を非定常状態の電磁線に曝露するように構成されている励起構成要素、
前記放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部を検出するように構成されている画像センサー、および
少なくとも第1の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む単一の画像を生成するように構成されている電子ハードウェア構成要素
を備える、システム。
【請求項151】
前記電子ハードウェア構成要素が、
a. 2つより多い個々の時点において、前記放射種による電磁線の放射に対応する2つより多くの画像部分を含む、前記単一の画像を生成する、および/または
b. 複数の画像であって、それぞれが少なくとも第1の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点における前記放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む、前記複数の画像を生成する
ように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項152】
物品の特徴を識別するように構成されているシステムであって、
前記物品に関連付けられた化学タグであり、前記化学タグが放射種を含み、前記放射種が、条件のセット下で前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成し、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、化学タグ、
画像取り込み期間にわたって変化する前記検出可能な非定常状態の放射が生成するように、前記条件のセット下で前記放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、
前記検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成されている画像センサー、および
前記検出可能な放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素
を備え、
前記単一の画像が、前記放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および前記放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分の特性との差が、前記物品の特徴と関連付けられる、
システム。
【請求項153】
前記単一の画像が、前記放射期間の複数の他の部分に対応する後続の部分をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項154】
刺激の存在を検出する方法であって、
化学タグを含む物品を、前記刺激を含む条件のセットに曝露するステップであり、前記化学タグが、前記タグにおける1種もしくは複数の放射種の寿命、波長および/または強度を変化させる前記刺激の存在下で化学的および/または生物学的反応を経るステップ、
画像センサーを前記物品に近接して位置付けるステップ、
前記画像センサーを使用して、前記化学タグを含む前記物品の部分の単一の画像を取得するステップであり、前記単一の画像の第1の部分が、前記物品の曝露後の第1の期間に対応し、前記単一の画像の第2の部分が、前記第1の期間とは異なる、前記物品の曝露後の第2の期間に対応するステップ、および
前記単一の画像の前記第1の部分と前記第2の部分との差に基づき、前記物品の前記特徴を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項155】
前記第1の部分が、非定常状態の放射に対応し、前記第2の部分が、前記1種または複数の放射種の定常状態の放射に対応する、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記検出可能な放射の少なくとも一部の第2の画像を取得するステップをさらに含み、前記第2の画像が、前記第1の画像とは異なる励起方法、位置、角度、距離および/または配向で取得される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項157】
前記第1の画像と前記第2の画像との差に基づき、前記種の前記特徴を決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項158】
前記化学タグが、前記物品の刺激時に化学的および/または生物学的反応を経る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項159】
前記物品を刺激するステップが、前記化学タグにおける化学的および/または生物学的反応を生じるステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項160】
前記化学タグが、10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する少なくとも1種の放射色素を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項161】
前記画像センサーがローリングシャッター機構に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項162】
前記化学タグが、前記刺激の存在下で10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する検出可能な放射を生成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項163】
前記物品の第2の刺激により、前記励起の部分的な遮蔽、1種もしくは複数の放射種の消光、マトリックスの物理的特性の変化、新たな放射種の活性化、および/または1種もしくは複数の放射種の前記放射の特徴の変化が生じることによって、前記化学タグの前記特徴を変化させるプロセスが生じる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項164】
物品が以前に画像センサーに供されたことを検出するために、前記第2の刺激が使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項165】
前記第2の刺激が、後の画像センサーで読み取られる光学画像を変化させる前記タグの変化を生じさせるために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項166】
前記画像センサーがグローバルシャッターに関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項167】
物品に関連付けられるように構成されている放射種であって、前記放射種の励起が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成し、前記検出可能な信号が、前記物品の経時的熱履歴に対応する、放射種
を含む組成物。
【請求項168】
第1の放射種の第1の経時的熱履歴に対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の第1の検出可能な遅延放射を必要に応じて有する前記第1の放射種、および
必要に応じて、前記第1の経時的熱履歴とは異なる、第2の放射種の第2の経時的熱履歴に対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の第2の検出可能な遅延放射を有する前記第2の放射種
を含む標識であって、
前記第1の検出可能な遅延放射は、前記第1の放射種の励起時に存在する場合、第1の放射種の識別が前記第1の経時的熱履歴に曝露していることに対応し、前記第2の検出可能な遅延放射は、検出可能な場合、第2の放射種の識別が、前記第2の経時的熱履歴に曝露していることに対応する、
標識。
【請求項169】
前記標識が物品に事前に追加され、それにより、前記標識が前記物品の経時的熱プロファイルをもたらすように構成されている、請求項168に記載の標識。
【請求項170】
物品に関連付けられる1種または複数の放射種を励起させるステップ、および
検出器を使用して、前記放射種の検出可能な遅延放射を検出するステップ
を含む方法であって、
前記検出可能な遅延放射が、存在する場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい遅延放射を有し、
前記検出可能な遅延放射が、存在する場合、経時的熱履歴への前記物品の曝露に対応する、
方法。
【請求項171】
1種または複数の第1の放射種を励起させるステップ、
必要に応じて、1種または複数の第2の放射種を励起させるステップ、
検出器を使用して、前記第1の放射種によって生じる第1の検出可能な遅延放射(複数可)および/または前記第2の放射種によって生じる第2の検出可能な遅延放射(複数可)を検出するステップであり、前記第1の検出可能な遅延放射が、存在する場合、前記第1の放射種の第1の温度への曝露に対応し、前記第2の検出可能な遅延放射が、存在する場合、前記第2の放射種の、前記第1の温度とは異なる第2の温度への曝露に対応し、少なくとも1つの検出可能な遅延放射が存在する、ステップ
を含む方法。
【請求項172】
単一もしくは複数の放射種またはそれらの前駆体が経時的熱履歴に曝露された場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい検出可能な遅延放射を生成するように、電磁線を使用して放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、および
前記検出可能な遅延放射の少なくとも一部を検出するように構成されている検出器
を備える、システム。
【請求項173】
前記検出器を使用し、前記1種または複数の放射種の検出可能な定常状態の放射を検出するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項174】
前記検出するステップが、ローリングシャッター機構を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項175】
前記検出可能な遅延放射が、ピーク強度、放射寿命、吸収波長および/または放射波長を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項176】
応答が、前記遅延放射に関係する、吸収または放射の波長の変化を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項177】
応答が、検出可能な信号の強度の変化を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項178】
応答が、前記遅延放射の寿命の変化を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項179】
応答が、新しい遅延放射の生成を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項180】
応答が、遅延放射の除去を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項181】
応答が、2つの構成要素を組み合わせて遅延放射を生成または除去することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項182】
経時的熱履歴を示すことが可能なシステムを生成させるため、前記標識が、遅延放射材料の表面に第2の材料を堆積することによって生成される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項183】
応答が、その物理的特性を変化させて、遅延放射信号の変化を生み出すマトリックスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項184】
応答が、遅延放射信号の変化を生み出す1つまたは複数の材料の拡散を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項185】
応答が、遅延放射信号を発生する位相変化を受けるマトリックスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項186】
応答が、遅延放射信号を発生する化学反応を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項187】
応答が、遅延放射信号を発生する凝集の変化を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項188】
応答が、アンテナ分子またはポリマーから遅延放射構成要素へのエネルギー移動を増強することによって生じる、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項189】
応答が、遅延放射信号からのパターンを生じる、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項190】
前記組成物が、互いに近い構成要素を用いて製造される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項191】
前記構成要素の1つが、ガラス表面またはその内部に融合される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項192】
互いに物理的に分離されている構成要素を用いて製造される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項193】
噴霧堆積法、インクジェット印刷、印刷または積層によって製造される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項194】
前記遅延放射が、10ナノ秒より長い寿命を有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項195】
前記遅延放射が、100ナノ秒より長い寿命を有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項196】
前記遅延放射が、1マイクロ秒より長い寿命を有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項197】
前記遅延放射が、100マイクロ秒より長い寿命を有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項198】
前記遅延放射が、1ミリ秒より長い寿命を有する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項199】
前記遅延放射種が金属イオンを含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項200】
前記遅延放射種が有機分子である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項201】
前記遅延放射種がナノ粒子である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項202】
前記遅延放射種が重原子を含有する有機分子である、先行する請求項のいずれかに記載の組成物、標識、システムまたは方法。
【請求項203】
前記検出器がスマートフォン構成要素である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項204】
前記放射種の励起が、様々な周波数において変調された強度を有する光源によって行われる、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項205】
前記放射種の励起が、光フラッシュまたはレーザーパルスによって行われる、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項206】
読み取り装置がストリークカメラである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項207】
読み取り装置が、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項208】
読み取り装置が、存在する非遅延放射、周囲光および反射光/散乱光を含む複雑な環境において、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項209】
読み取り装置が、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスであり、蛍光、周囲光および反射光/散乱光を検出することも可能な、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項210】
読み取り装置が、遅延放射のパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能な、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項211】
読み取り装置が、遅延放射のパターン、および反射放射/散乱放射、周囲放射または非遅延放射からのパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能な、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項212】
読み取り装置が、熱的曝露または寒冷曝露の情報と、製品上に光学的に符号化された他の情報とを統合することが可能な、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項213】
読み取り装置がCMOSイメージングチップを含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項214】
読み取り装置が、ローリングシャッター効果を使用して、遅延放射データを収集する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項215】
比色信号の発生源をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の標識、システムまたは方法。
【請求項216】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項215に記載の標識、システムまたは方法。
【請求項217】
GRAS物質を含む、先行する請求項のいずれかに記載の標識、システムまたは方法。
【請求項218】
前記検出するステップが、ローリングシャッター機構を含む、先行する請求項のいずれかに記載の標識、システムまたは方法。
【請求項219】
読み取り装置が、グローバルシャッターを使用して、遅延放射データを収集する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項220】
少なくとも定常状態の光子放射事象を含む第1の電磁線信号、および少なくとも非定常状態の光子放射事象を含む第2の電磁線信号
を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップ
を含む方法。
【請求項221】
第1の電磁線信号および第2の電磁線信号であり、
前記第1の電磁信号が、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒以内に起こる少なくとも前記第1の光子放射事象を含み、
第2の電磁信号が、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒後に起こる少なくとも前記第2の光子放射事象を含む、
第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップ
を含む方法。
【請求項222】
前記第1の光子放射事象が、10ナノ秒未満またはそれに等しい励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項223】
前記第2の光子放射事象が、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項224】
イメージングデバイスが、アッセイからの読み取り値をもたらす、生物学的診断アッセイを読み取る方法であって、
前記アッセイから発生される2つまたはそれより多い信号を検出するステップであり、前記2つまたはそれより多い信号の各々が、減色、反射色/散乱色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光放射から選択される、ステップ
を含む、方法。
【請求項225】
各信号が、スマートフォンまたはデジタルカメラを使用して読み取られる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項226】
第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、前記第1の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素であって、
第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、前記第2の放射種を励起させるように構成されている、前記励起構成要素、および
前記検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサー
を備える、システム。
【請求項227】
前記検出可能な定常状態の放射および前記検出可能な非定常状態の放射を組み合わせて決定可能な信号にするように構成されている電子ハードウェア構成要素をさらに備える、請求項226に記載のシステム。
【請求項228】
前記検出可能な定常状態の放射および/または前記検出可能な非定常状態の放射が、前記第1の放射種および/または前記第2の放射種の特徴に対応する、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項229】
前記信号が、標的生物種の量に対応する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項230】
少なくとも1つの放射が、減色、反射色/散乱色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項231】
前記第1の電磁線信号が比色信号であり、前記第2の電磁線信号が即発蛍光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項232】
前記第1の電磁線信号が比色信号であり、前記第2の電磁線信号が遅延蛍光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項233】
前記第1の電磁線信号が比色信号であり、前記第2の電磁線信号が即発燐光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項234】
前記第1の電磁線信号が比色信号であり、前記第2の電磁線信号が遅延燐光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項235】
前記第1の電磁線信号が比色信号であり、前記第2の電磁線信号が化学発光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項236】
前記第1の電磁線信号が即発蛍光信号であり、前記第2の電磁線信号が遅延燐光信号である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項237】
少なくとも1つの信号が、定常状態モードにおいて収集され、少なくとも1つの他の信号が、時間同期された光源を使用して収集される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項238】
時間同期電磁線源がオフのときに少なくとも1つの信号を収集し、時間同期電磁線源がオンのときに少なくとも別の信号を収集する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項239】
前記アッセイが、1つまたは複数のLED光源によって照明されている間に、少なくとも1つの信号が収集される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項240】
前記励起事象が電磁線の発生源である、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項241】
前記電磁線の発生源が、スマートフォンまたはデジタルカメラからのフラッシュを含む、請求項240に記載の方法またはシステム。
【請求項242】
前記第1の電磁線信号および/または第2の電磁線信号に関連付けられる生物学的診断アッセイをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項243】
前記生物学的診断アッセイが、ラテラルフローアッセイまたはバーティカルフローアッセイである、請求項242に記載の方法またはシステム。
【請求項244】
前記生物学的診断アッセイが、核酸検出のためのループ介在等温増幅法(LAMP)である、請求項242に記載の方法またはシステム。
【請求項245】
前記遅延燐光が、ユーロピウムまたはテルビウムの錯体に関連付けられる、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項246】
ナノ粒子を使用して比色信号を提供する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項247】
ナノ粒子を使用して放射信号を提供する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項248】
局所環境の変化および/または生体分子認識事象が、少なくとも1つの信号を変化させる、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項249】
前記方法またはシステムに関連付けられる、ローリングシャッター機構をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項250】
比色信号の発生源を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項251】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項250に記載の方法またはシステム。
【請求項252】
前記方法またはシステムに関連付けられる、グローバルシャッターをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項253】
電磁線スペクトル内の1つまたは複数の波長を有する放射線を放射するように構成されている、放射線源、および
放射種
を備える、システムであって、
前記電磁線スペクトルの第1の部分が、425nm~475nmの間の波長を有する放射線を含み、前記電磁線スペクトルの第2の部分が、525nm~725nmの間の波長を有する放射線含み、前記放射線源が、前記放射種と相互作用する波長の電磁線を生じ、それにより、前記放射種が10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成するように構成されている、
システム。
【請求項254】
複数の波長を有する電磁線の発生源、および
放射種
を備える、システムであって、
前記放射種が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成するように構成されており、前記複数の波長が、50nmより長いまたはこれに等しい波長範囲に及ぶ、
システム。
【請求項255】
前記放射種が検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項256】
第2の放射種をさらに含み、前記第2の放射種が、定常状態の放射を生成するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項257】
前記発生源によって生成する前記電磁線が、前記放射種への曝露前には純粋である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項258】
前記発生源と前記放射種との間に位置付けられる光フィルターを備えていない、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項259】
前記発生源が消費者用電子機器の構成要素である、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項260】
前記消費者用電子機器が、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、デジタルカメラなどである、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項261】
複数の波長の電磁線を生成するように構成されている、励起構成要素であって、
第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、前記第1の放射種を励起させるように構成されており、かつ第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、前記第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および
前記検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサー
を備える、システム。
【請求項262】
放射種を励起させるための複数の波長の電磁線を発生し、それにより、前記放射種が前記放射種の放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源であって、前記放射期間が少なくとも10ナノ秒である、放射線源、
前記放射期間の第1の部分中に、前記放射種からの第1の放射を検出し、前記放射期間の第2の部分中に、前記放射種からの第2の放射を検出するように構成されているセンサー、ならびに
前記放射期間の前記第1の部分中に検出された前記第1の放射の特性と、前記放射期間の前記第2の部分中に検出された前記第2の放射の特性との差に基づいて、前記放射種の特徴を識別することが可能な処理回路
を備える、システム。
【請求項263】
放射種を、電磁線の発生源によって生成する、50nmより長いまたはこれに等しい範囲を有する電磁線スペクトルに曝露させることであって、前記放射種が、化学種/生物種に関連付けられること、および
前記放射種によって生成する、存在する場合は前記化学種/生物種の識別または特徴に対応する、検出可能な放射を検出すること
によって、前記化学種/生物種の前記識別または特徴を決定するステップ
を含む方法。
【請求項264】
第1の電磁線信号および第2の電磁線信号であり、
前記第1の電磁信号が、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒以内に起こる少なくとも前記第1の光子放射事象を含み、
第2の電磁信号が、第2の光子放射事象を引き起こした前記励起事象の10ナノ秒後に起こる少なくとも前記第2の光子放射事象を含む、
第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップ
を含む方法であって、
前記励起事象が電磁線スペクトルを含み、前記電磁線スペクトルの第1の部分が、425nm~475nmの間の波長を含み、前記電磁線スペクトルの第2の部分が、525nm~725nmの間の波長を含む、方法。
【請求項265】
前記放射種が検出可能な定常状態の放射を生成するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項266】
第2の放射種をさらに含み、前記第2の放射種が、定常状態の放射を生成するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項267】
少なくとも1つの放射が、減色、反射色/散乱色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項268】
前記電磁線の発生源がLED構成要素を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項269】
前記方法またはシステムに関連付けられるローリングシャッター機構をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項270】
発光材料が励起されて、スマートフォンが、定常状態の光子放射事象および非定常状態の放射事象、または必要に応じて非定常状態の光子放射事象を検出する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項271】
前記放射材料が、スマートフォンから放射された光を吸収する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項272】
前記放射材料が、440nmのまたはこれより長い波長の光を吸収する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項273】
前記検出可能な信号が、減色、反射色/散乱色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項274】
前記放射材料がTADF放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項275】
前記放射材料が有機金属化合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項276】
前記放射材料が金属有機材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項277】
前記放射材料がユーロピウム錯体を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項278】
前記放射材料が、ヨウ素原子または臭素原子を含有する有機分子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項279】
前記放射材料が、重原子に電子的に結合しているか、または連結している、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項280】
前記放射材料が金属ポルフィリンを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項281】
前記放射材料が白色光源によって励起される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項282】
440~700nmの間を放射するLEDによって前記放射材料が励起される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項283】
前記放射材料がラテラルフローアッセイにおいて使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項284】
前記放射材料が製品の認証に使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項285】
前記放射材料が、気体、化学物質、抗体、抗原、ウイルス、細菌、アレルゲン、かび、胞子および/または病原体を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項286】
前記放射材料が電離線を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項287】
前記放射材料が熱的曝露を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項288】
前記放射材料が紫外光曝露を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項289】
前記放射材料が水分および/または酸素への曝露を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項290】
比色信号の発生源を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項291】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項290に記載の方法システム。
【請求項292】
前記方法またはシステムに関連付けられる、グローバルシャッターをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項293】
消費者用電子機器に関連付けられる電磁線の発生源、
前記消費者用電子機器に関連付けられるセンサー、および
前記センサーによって検出可能な信号を生成することが可能な放射種であって、前記検出可能な信号が、1つまたは複数の検出可能な遅延放射を有する、放射種
を備える、システム。
【請求項294】
消費者用電子機器を使用して、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、前記消費者用電子機器が電磁線のスペクトルの発生源を備える、ステップ、および
放射種を電磁線の前記スペクトルに曝露させ、それにより、前記放射種が、前記化学種/生物種の前記識別または特徴に対応し、かつ前記消費者用電子機器によって検出可能な、検出可能な放射を生成するステップ
を含む方法。
【請求項295】
1種または複数の放射種が励起されて、スマートフォンが、定常状態の光子放射事象および非定常状態の放射事象、または必要に応じて非定常状態の光子放射事象を検出する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項296】
前記電磁線スペクトルの第1の部分が、425nm~475nmの間の波長を含み、前記電磁線スペクトルの第2の部分が、525nm~725nmの間の波長を含む、請求項295に記載の方法。
【請求項297】
前記検出可能な信号が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい、1つまたは複数の遅延放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項298】
少なくとも1つの放射が、減色、反射色/散乱色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項299】
前記電磁線の発生源がLED構成要素を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項300】
前記方法に関連付けられる、ローリングシャッター機構をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項301】
前記放射材料が、スマートフォンから放射された光を吸収する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項302】
前記放射材料が、440nmまたはこれより長い波長の光を吸収する、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項303】
前記検出可能な信号が、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項304】
前記放射材料がTADF放射を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項305】
前記放射材料が有機金属化合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項306】
前記放射材料が金属有機材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項307】
前記放射材料がユーロピウム錯体を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項308】
前記放射材料が、ヨウ素原子または臭素原子を含有する有機分子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項309】
前記放射材料が、重原子に電子的に結合しているか、または連結している、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項310】
前記放射材料が金属ポルフィリンを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項311】
前記放射材料が白色光源によって励起される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項312】
440~700nmの間を放射するLEDによって、前記放射材料が励起される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項313】
前記放射材料がラテラルフローアッセイにおいて使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項314】
前記放射材料が製品の認証に使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項315】
前記放射材料が、気体、化学物質、抗体、抗原、ウイルス、細菌、アレルゲン、かび、胞子および/または病原体を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項316】
前記放射材料が電離線を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項317】
前記放射材料が熱的曝露を検出するために使用される、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項318】
比色信号の発生源を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項319】
前記比色信号が、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードおよび/またはQRコード(登録商標)を含めることに関連付けられる、請求項26に記載の方法またはシステム。
【請求項320】
前記方法またはシステムに関連付けられる、グローバルシャッターをさらに含む、前の請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項321】
前記消費者用電子機器を収容するように構成されている包囲体をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項322】
前記包囲体が、放射種に対して前記消費者用電子機器を位置付けるように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項323】
外部光が前記センサーと相互作用するのを阻止するように、前記包囲体が構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項324】
前記包囲体が、前記放射種を励起させることが可能な電磁線の発生源を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法またはシステム。
【請求項325】
センサーを含む消費者用電子機器を収容するように構成されている包囲体、ならびに
前記包囲体および/または消費者用電子機器に関連付けられた電磁線の発生源
を含むキットであって、
前記包囲体が、存在する場合、放射種に対して前記消費者用電子機器を位置付け、それにより、前記センサーが前記放射種からの検出可能な放射を検出することができるように構成されており、外部光が前記センサーと相互作用するのを阻止するように、前記包囲体が構成されている、
キット。
【請求項326】
一体化カセット
試料採集構成要素
先行する請求項のいずれかに記載のシステム、および
必要に応じて、前記消費者用電子機器の少なくとも一部を収容するように構成されているアダプター
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条第(e)項の下、すべての目的のため、それらの各々の全内容が参照により本明細書に組み込まれている、発明の名称「WHITE LIGHT EMISSIVE SPECIES AND RELATED METHODS」の2020年9月30日出願の米国仮特許出願第63/085,929号、発明の名称「DIAGNOSTIC ASSAYS AND RELATED METHODS」の2020年8月24日出願の米国仮特許出願第63/069,544号、発明の名称「TEMPORAL THERMAL SENSING AND RELATED METHODS」の2020年7月20日出願の米国仮特許出願第63/054,176号、および発明の名称「LUMINESCENCE IMAGING FOR SENSING AND/OR AUTHENTICATION」の2019年10月17日出願の米国仮特許出願第62/916,331号への優先権を主張する。
【0002】
分野
本明細書に記載されている実施形態は、概して、発光イメージングを使用する感知および/または認証;診断アッセイ、システムおよび関連方法;時間的熱感知および関連方法;ならびに/または白色光により励起可能な放射種などの放射種、ならびに関連システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
感知技術は、安全性、セキュリティ、プロセス監視、および空気品質管理などの多種多様な用途で使用されている。しかし、多くのセンサーは、複雑な製造プロセス、低い感度、および/または検出の誤表示によって制限される。したがって、そのようなセンサーの応用は、多くの場合限定的である。
【0004】
多数の製品は、一定期間、閾値レベルよりも高い温度または低い温度に曝露されると、損傷を受ける恐れがある。劣化するリスクのある製品には、生体物質、組織、医薬、食物、飲料、エレクトロニクス、生細胞、臓器、家畜などが挙げられる。最も重要なものは単にピーク温度ではなく、所与の温度で費やされた時間も含み得る場合が多い。例えば、より高い温度で短時間の場合、閾値を超えるより低い温度での長時間の場合と同様の劣化を製品に引き起こし得る。単純な意味では、温度および時間の積が、重要な指標となる。このような情報をもたらすことが可能な物質および方法は、包装に適用する場合、時間温度指標(TTI)および/または線量測定標識を含むことができる。例えば、線量測定標識における熱的に活性化された色の変化は、このような変化を監視する方法の1つとなる。しかし、これらの方法は利用が限定されるので、読み取り装置によって容易に捕捉され得るより多くの情報を一層高い精度でもたらす新規方法が必要とされている。
【0005】
抗原、抗体およびヌクレオチドなどの生体学的構成要素に基づくラテラルフローアッセイ、ならびにバーティカルフローアッセイおよび遺伝的アッセイという低コスト性質および普遍性を一般に活用する分子および生物診断検査は、公衆衛生および安全性の確保に重要である。これらのアッセイは使用が容易であるが、これらのアッセイは、通常、程度の高いばらつきおよび/またはデータ解釈への主観を差し挟むヒトの肉眼を使用する目視により分析される。この欠点に対処するため、ラテラルフローアッセイの感度および精度を改善する、自動化および機械観察を使用する新規手法が必要とされている。スマートフォンは、高解像度画像の取得および分析を得るために最近使用されているが、これらの方法は依然として制限されている。
【0006】
したがって、改善された方法およびシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
感知および/または認証のための発光イメージングのための物品、システムおよび方法が一般に開示される。
【0008】
一部の態様では、イメージングデバイスが提供される。一部の実施形態では、本イメージングデバイスは、放射種の放射期間(例えば、放射寿命)中に、放射種における非定常状態の放射を励起するために放射線を放射するように構成されている電磁線の発生源を備える。一部の実施形態では、放射期間は、少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、複数の光検出器を備える電磁線センサーが、行と列のアレイで配列されており、この電磁線センサーは、放射期間中に、放射種からの非定常状態の放射を感知するように構成されており、処理回路は、前記アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、前記複数の時間符号化信号のうちの少なくとも2つの比較に基づいて、前記放射種の特徴を識別するように構成されている。
【0009】
一部の実施形態では、本イメージングデバイスは、放射線を放射して、放射種の放射期間中に、放射種における非定常状態の放射を励起するように構成されている電磁線の発生源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、電磁線の発生源、行および列のアレイで配置されている複数の光検出器を備える電磁線センサーであって、放射期間中に、放射種からの非定常状態の放射を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびに電磁線センサーからのデータをグローバルに公表する、および/またはこのデータを読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、複数の時間符号化信号のうちの2つまたはそれより多くのものの比較に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0010】
一部の実施形態では、処理回路は、複数の時間符号化信号に基づいて、1つまたは複数の画像を生成するようにさらに構成され、放射種の特徴を識別することは、その1つまたは複数の画像に基づく。
【0011】
一部の態様では、システムが提供される。一部の実施形態では、システムは、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように、放射種を励起させるように構成された励起構成要素を含む。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、システムは、検出可能な非定常状態の放射の少なくとも一部を検出するように構成された画像センサーを含む。一部の実施形態では、システムは、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む単一の画像を生成するように構成された電子ハードウェア構成要素を含む。
【0012】
一部の実施形態によると、システムが提供される。一部の実施形態では、システムは、放射種を非定常状態の電磁線に曝露するように構成された励起構成要素を含む。一部の実施形態では、システムは、放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部を検出するように構成された画像センサーを含む。一部の実施形態では、システムは、少なくとも第1の時点での放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点での放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む単一の画像を生成するように構成された電子ハードウェア構成要素を含む。
【0013】
一部の実施形態では、物品の特徴を識別するように構成されたシステムが提供される。一部の実施形態では、システムは、物品に関連付けられた化学タグを含む。一部の実施形態では、化学タグは放射種を含む。一部の実施形態では、放射種は、条件のセット下で放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成する。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、システムは、画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成されるように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成された励起構成要素を含む。一部の実施形態では、システムは、検出可能な放射を検出するように構成された画像センサーを含む。一部の実施形態では、システムは、検出可能な放射を単一の画像に変換するように構成された電子ハードウェア構成要素を含む。一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む。一部の実施形態では、第1の部分と第2の部分の特性との差は、物品の特徴に関連付けられる。
【0014】
一部の実施形態では、物品の特徴を識別するように構成されたシステムが提供される。一部の実施形態では、システムは、物品に関連付けられた化学タグを含む。一部の実施形態では、化学タグは放射種を含む。一部の実施形態では、化学タグは、条件のセット下で放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成する。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、システムは、データ/画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成されるように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成された励起構成要素を含む。一部の実施形態では、システムは、検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成された画像センサーを含む。一部の実施形態では、システムは、検出された放射を単一の画像に変換するように構成された電子ハードウェア構成要素を含む。一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む。一部の実施形態では、第1の部分と第2の部分の特性との差は、物品の特徴に関連付けられる。
【0015】
一部の実施形態では、化学タグの特徴を識別するように構成されたシステムが提供される。一部の実施形態では、システムは化学タグを含む。一部の実施形態では、化学タグは、条件のセット下で放射期間中に検出可能な放射を生成する。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、システムは、検出可能な放射が生成されるように、条件のセット下で化学タグを励起させるように構成された励起構成要素を含む。一部の実施形態では、システムは、検出可能な光子放射を検出するように構成された画像センサーを含む。一部の実施形態では、システムは、検出された放射を単一の画像に変換するように構成された電子ハードウェア構成要素を含む。一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む。一部の実施形態では、第1の部分と第2の部分の特性との差は、化学タグの特徴に関連付けられる。
【0016】
一部の実施形態では、システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である放射線源、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出し、放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するように構成されているセンサー、ならびに放射期間の前記第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0017】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、単回曝露中に、放射期間の第1の部分中の放射種からの第1の放射を、および放射期間の第2の部分中の放射種からの第2の放射を感知するように構成されている電磁線センサーであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒であり、かつ単回曝露の期間よりも短い、電磁線センサー、ならびに放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0018】
一部の態様では、一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、種が、放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するよう、種を励起させるステップを含む。一部の実施形態では、1種または複数の放射種の励起状態の放射寿命(例えば、放射期間)は、少なくとも10nsである。一部の実施形態では、本方法は、光子放射データを収集することが可能な画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の光子放射の少なくとも一部を有する光子放射データの単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、放射期間の第1の部分に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、放射期間の第2の部分に対応する。一部の実施形態では、本方法は、単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、種の変化を決定するステップを含む。
【0019】
一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、定常状態の放射に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、非定常状態の放射に対応する。一部の実施形態では、本方法は、定常状態および非定常状態の放射との差に基づいて、種の特徴および/または変化を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の非定常状態の放射との差を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の定常状態と非定常状態の放射との差を決定するステップを含む。
【0020】
一部の実施形態では、一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、非定常状態の光子放射が放射期間中に検出可能となるよう、種に放射させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部の単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の画像部分からの情報および第2の画像部分からの情報から、放射種の変化を決定するステップを含む。
【0021】
一部の実施形態では、放射種の特徴を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように、種を励起させるステップを含む。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、方法は、画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の放射の第1の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、第1の画像の第1の部分は、放射期間の第1の部分に対応する。一部の実施形態では、第1の画像の第2の部分は、放射期間の第2の部分に対応する。一部の実施形態では、方法は、第1の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づき、種の特徴を決定するステップを含む。
【0022】
一部の実施形態では、物品の特徴を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、放射タグを含有すると思われる物品に近接して画像センサーを位置付けるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、存在する場合、放射タグが検出可能な非定常状態の放射を生成するように物品を刺激するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の放射の単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、分析される物品の試料を第2の物品に添加し、第2の物品を画像センサーで分析するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、分析物の刺激後の第1の期間に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、第1の期間とは異なる、分析物の刺激後の第2の期間に対応する。一部の実施形態では、方法は、単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づき、物品の特徴を決定するステップを含む。
【0023】
一部の実施形態では、本方法は、電磁線を発生させるステップ、放射種が、放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するように、電磁線を使用して放射種を励起させるステップであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、ステップ、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出するステップ、および放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するステップ、および放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するステップを含む。
【0024】
一部の実施形態では、刺激の存在を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、化学タグを含む物品を、刺激を含む条件のセットに曝露させるステップを含む。一部の実施形態では、化学タグは、タグ中の1種または複数の放射種の寿命、波長および/または強度を変化させる刺激の存在下で、化学反応および/または生物学的反応および/または会合を受ける。一部の実施形態では、本方法は、物品の近位に画像センサーを位置付けるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、化学タグを含む物品の部分の単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、物品を曝露させた後の第1の期間に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、第1の期間とは異なる、物品を曝露させた後の第2の期間に対応する。一部の実施形態では、本方法は、単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、定常状態と非定常状態との間の光子放射の差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、異なる非定常状態間の光子放射の差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像は、定常状態と非定常状態の両方の光子放射から放射された光から構成され得る。一部の実施形態では、本方法は、複数の時間の点における、画像の追加部分からの情報を取得および使用するよう展開されてもよい。一部の実施形態では、上記の部分は、面偏光または円偏光、光の様々な波長、または他の非定常状態の電磁線を用いて分析される。
【0025】
経時的熱感知のための構成要素、システムおよび方法もまた、概して開示される。
【0026】
一態様では、組成物が提供される。一部の実施形態では、本組成物は、物品と関連付けるように構成されている放射種を含み、放射種の励起は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生じ、検出可能な信号は、物品の経時的熱履歴に対応する。
【0027】
別の態様では、標識が提供される。一部の実施形態では、本標識は、第1の放射種の第1の経時的熱履歴に対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの1つまたは複数の第1の検出可能な遅延放射を必要に応じて有する、第1の放射種、および必要に応じて、第1の経時的熱履歴とは異なる、第2の放射種の第2の経時的熱履歴に対応するに対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの1つまたは複数の第2の検出可能な遅延放射を有する第2の放射種を含む。第1の検出可能な遅延放射は、第1の放射種が励起する際に存在する場合、第1の経時的熱履歴に曝露されている第1の放射種の識別に対応し、第2の検出可能な遅延放射は、検出可能な場合、第2の経時的熱履歴に曝露されている第2の放射種の識別に対応する。第1の放射種は、一部の実施形態では、特定の経時的熱履歴の結果として、第2の放射種に転換する。一部の実施形態では、複数の放射種は変化して、物品の経時的熱履歴に関する追加情報を提供することができる。一部の実施形態では、1種または複数の放射種は、(例えば、物品の、放射種の)経時的熱履歴に関する情報を提供することができる。
【0028】
別の態様では、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、物品に関連付けられる1種または複数の放射種を励起させるステップ、および検出器を使用して、放射種の検出可能な遅延放射を検出するステップを含み、検出可能な遅延放射は、存在する場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する遅延放射を有し、検出可能な遅延放射は、存在する場合、経時的熱履歴への物品の曝露に対応する。
【0029】
一部の実施形態では、本方法は、1種または複数の第1の放射種を励起させるステップ、必要に応じて、1種または複数の第2の放射種を励起させるステップ、検出器を使用して、第1の放射種によって生成される第1の検出可能な遅延放射(複数可)および/または第2の放射種によって生成される第2の検出可能な遅延放射(複数可)を検出するステップであって、第1の検出可能な遅延放射は、存在する場合、第1の放射種の第1の温度への曝露に対応し、第2の検出可能な遅延放射は、存在する場合、第2の放射種の第1の温度とは異なる第2の温度への曝露に対応し、少なくとも1つの検出可能な遅延放射が存在する、ステップを含む。
【0030】
一部の実施形態では、本システムは、単一もしくは複数の放射種またはそれらの前駆体が経時的熱履歴に曝露された場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する検出可能な遅延放射を生成するように、電磁線を使用して放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、および検出可能な遅延放射の少なくとも一部を検出するように構成されている検出器を備える。
【0031】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、放射期間中に、非定常状態の放射を検出するように構成されている複数の光検出器を含む電磁線センサー、1つまたは複数の画像を取り込んでいる間に、パルス化されたまたは周波数の変調された強度の電磁線が発生するよう、放射線源による電磁線の発生のタイミングを制御するように構成されている制御装置、および
【0032】
複数の光検出器の出力に基づいて、1つまたは複数の画像を生成するように構成されている処理回路であって、放射期間が1つまたは複数の画像のうちの単一の画像を取り込む時間より短く、かつ1つまたは複数の画像の各々に関して、画像の第1の部分の第1の特性と画像の第2の部分の第2の特性とを決定し、第1の特性および第2の特性に少なくとも一部、基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている、処理回路を備える。
【0033】
診断アッセイおよび関連方法もまた、概して開示される。
【0034】
一態様では、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも定常状態の光子放射事象を含む第1の電磁線信号、および少なくとも非定常状態の光子放射事象を含む第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、第1の電磁信号が、10ナノ秒未満の励起状態の寿命を有する放射種からの少なくとも第1の光子放射事象を含む、ステップを含む。一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、定常状態の条件下で検出される。一部の実施形態では、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種からの少なくとも第2の光子放射事象を含む、第2の電磁信号が、非定常状態の条件下で検出される。一部の実施形態では、データ(例えば、画像の生成に有用なデータ)および/または画像は、非定常状態のパルス状放射および非定常状態の光子放射だけを検出した後に収集される。一部の実施形態では、画像の1つまたは複数の部分が定常状態の励起により取得されて定常状態の光子放射が検出されている期間に画像を生成し、非定常状態の光子放射の検出を可能にするために励起を除去した後に画像の1つまたは複数の部分を取得する。
【0035】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、10ナノ秒未満またはそれに等しい励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。
【0036】
一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。
【0037】
一部の実施形態では、本方法は、アッセイから発生される2つまたはそれより多い信号を検出するステップであって、2つまたはそれより多い信号の各々が、減色、反射色、散乱、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光放射から選択される、ステップを含む。
【0038】
一部の実施形態では、各信号は、スマートフォンまたはデジタルカメラを使用して読み取られる。
【0039】
別の態様では、システムが提供される。一部の実施形態では、本システムは、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されている励起構成要素であって、第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0040】
一部の実施形態では、本システムは、検出可能な定常状態の放射および検出可能な非定常状態の放射を組み合わせて決定可能な信号にするように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。
【0041】
一部の実施形態では、検出可能な定常状態の放射および/または検出可能な非定常状態の放射は、それぞれ、第1の放射種および/または第2の放射種の特徴に対応する。
【0042】
白色光、ならびに関連システムおよび方法によって励起可能なものなどの、放射種もまた、概して開示されている。
【0043】
一態様では、システムが提供される。一部の実施形態では、本システムは、電磁線スペクトルの発生源および放射種を備え、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの間の波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの間の波長を含み、この発生源は、放射種と相互作用する波長の電磁線を発生し、それにより、放射種が10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成する。
【0044】
一部の実施形態では、本システムは、複数の波長の電磁線の発生源および放射種を備え、放射種は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を発生し、上記の発生源によって生成する複数の波長の電磁線は、50nmより長いまたはこれに等しい。
【0045】
一部の実施形態では、本システムは、消費者用電子機器に関連付ける電磁線の発生源、消費者用電子機器に関連付けるセンサー、およびセンサーにより検出可能な信号を生成することが可能な放射種を備え、検出可能な信号は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの1つまたは複数の遅延放射を有する。
【0046】
一部の実施形態では、発生源によって生じる電磁線は、放射種への曝露前には、純粋である。一部の実施形態では、本システムは、発生源と放射種との間に位置付けられる光フィルターを備えていない。
【0047】
一部の実施形態では、発生源は、消費者用電子機器の構成要素である。一部の実施形態では、消費者用電子機器は、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、デジタルカメラなどである。
一部の実施形態では、本システムは、複数の波長の電磁線を生成するように構成されている励起構成要素であって、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されており、かつ第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0048】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるための複数の波長の電磁線を発生させて、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている、放射種の励起状態の寿命が最小で10ナノ秒である、放射線源、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出し、放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するように構成されているセンサー、ならびに放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別することが可能な処理回路を備える。
【0049】
別の態様では、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、消費者用電子機器を使用して、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、消費者用電子機器が電磁線のスペクトルの発生源を備える、ステップ、および放射種を電磁線のスペクトルに曝露させ、それにより、放射種が、化学種/生物種の識別または特徴に対応し、かつ消費者用電子機器によって検出可能な、検出可能な放射を生成するステップを含む。
【0050】
一部の実施形態では、本方法は、化学種/生物種に関連付けられる放射種を、電磁線の発生源によって生成する、50nmより長いまたはこれに等しい範囲を有する電磁線スペクトルに曝露させること、および放射種によって生成する、存在する場合は化学種/生物種の識別または特徴に対応する、検出可能な放射を検出することによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。
【0051】
一部の実施形態では、本方法は、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号であり、第1の電磁信号が、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒以内に起こる少なくとも第1の光子放射事象を含み、第2の電磁信号が、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒後に起こる少なくとも第2の光子放射事象を含む、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含み、励起事象は電磁線スペクトルを含み、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの間の波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの間の波長を含む。
【0052】
別の態様では、キットが提供される。一部の実施形態では、本キットは、消費者用電子機器を収容するように構成されている包囲体であって、消費者用電子機器が、包囲体および/または消費者用電子機器に関連付けられるセンサーおよび電磁線の発生源を備え、包囲体は、存在する場合、放射種に対して消費者用電子機器を位置付け、それにより、センサーは放射種からの検出可能な放射を検出することができるように構成されており、包囲体は、外部光がセンサーと相互作用するのを防止するように構成されている。
【0053】
本発明の他の利点および新規の特色は、添付の図面と併せて考慮した場合に、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。本明細書および参照により組み込まれる文献が矛盾するおよび/または相反する開示を含む場合、本明細書が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1A図1Aは、1組の実施形態による、物品および物品に関連付けられた化学タグの概略図である。
【0055】
図1B図1Bは、1組の実施形態による、物品、標識、および標識に関連付けられた化学タグの概略図である。
【0056】
図2図2は、一部の実施形態による、励起構成要素、画像センサーおよび電子ハードウェア構成要素を含む例示的なシステムを示す。
【0057】
図3A図3Aは、一部の実施形態による例示的なローリングシャッター機構の概略プロットを示す。
【0058】
図3B図3Bは、一部の実施形態による例示的なグローバルシャッター機構の概略プロットを示す。
【0059】
図4図4は、一部の実施形態による、ローリングシャッター方法を使用してスマートフォンによって取り込まれたパルス状LEDの単一の画像、およびLEDがオンであったかオフであったかを表示する上部のキャプションを示す。
【0060】
図5図5は、一部の実施形態による、高速放射種(左)および遅延放射種(右)を励起させるパルス状UV-LEDの画像を示す。
【0061】
図6図6は、一部の実施形態による、7℃、冷蔵下(左)、室温(中)および54℃、加熱下(右)の、2種の放射種を含む薄膜の光学顕微鏡画像を示す。
【0062】
図7図7は、一部の実施形態による、定常照射下の複数の放射種を含有するバイアルの光学顕微鏡画像(左)、ローリングシャッターを使用してイメージングされた、パルス化照射下の同じバイアルの光学顕微鏡画像(中央)、および中央の光学顕微鏡画像の拡大図(右)を示す。
【0063】
図8図8は、1組の実施形態による、例示的なシステムのクロマトグラフィー画像を示す。
【0064】
図9図9は、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明に従って検出された、対照ラインによる例示的な陰性アッセイの結果を示す。
【0065】
図10図10は、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明に従って、対照ラインに加えてIgGラインが検出された、例示的な陽性アッセイの結果を示す。
【0066】
図11図11は、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明に従って検出された、例示的な陰性アッセイの結果を示す。
【0067】
図12図12は、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明に従って検出された、例示的な陽性アッセイの結果を示す。
【0068】
図13図13は、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明に従い特別仕様のシステムを使用してイメージングされた、ユーロピウムに基づくラテラルフローアッセイの代表的な写真を示す。
【0069】
図14A図14Aは、1組の実施形態による、UV LED源を含むスマートフォンと統合するように構成され、スマートフォンのカメラが露出することを可能にするケースを示す。
【0070】
図14B図14Bは、1組の実施形態による、スマートフォンを収容するように構成された部分、および試料を収容するように構成された試料ポート(例えば、イムノアッセイカセット)を含む例示的なホルダーを示す。
【0071】
図14C図14Cは、1組の実施形態による、例えば試料の画像および対応する強度のプロットを示す、特別仕様のスマートフォンソフトウェアからの例示的な出力を示す。
【0072】
図14D図14Dは、1組の実施形態による、本明細書に記載される1つまたは複数の発明による例示的なキットを示す。
【0073】
図14E図14Eは、一部の実施形態による、迅速なポイントオブニード診断の設計レンダリングの概略図を示す。
【0074】
図14F図14Fは、一部の実施形態による、診断の構成要素:使用説明書を伴うセットアップトレイ(上左)、一体化カセットおよび試料採集スワブ(上中)、スマートフォンアダプター(上右)、および全体的なワークフロー(下)の設計レンダリングの概略図を示す。
【0075】
図15A図15Aは、1組の実施形態による、例示的なシステムが、アッセイの主要な境界の領域ならびに対照および試験信号の場所を識別した画像を示す。
【0076】
図15B図15Bは、1組の実施形態による、図15の画像に対応する統合ラインデータを示す。
【0077】
図16図16は、1組の実施形態による、ユーロピウムに基づくアッセイの代表的な写真を示す。
【0078】
図17-1】図17A~17Iは、一部の実施形態による、種々の消費者用電子機器に関連付けられた例示的な電磁線源からのスペクトル出力を示す。
図17-2】図17A~17Iは、一部の実施形態による、種々の消費者用電子機器に関連付けられた例示的な電磁線源からのスペクトル出力を示す。
図17-3】図17A~17Iは、一部の実施形態による、種々の消費者用電子機器に関連付けられた例示的な電磁線源からのスペクトル出力を示す。
図17-4】図17A~17Iは、一部の実施形態による、種々の消費者用電子機器に関連付けられた例示的な電磁線源からのスペクトル出力を示す。
図17-5】図17A~17Iは、一部の実施形態による、種々の消費者用電子機器に関連付けられた例示的な電磁線源からのスペクトル出力を示す。
【0079】
図18図18A~18Dは、一部の実施形態による、iPhone(登録商標)11および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して収集された、図18A)Eu(fod)-MK;図18B)Eu(tta)(dpbt);図18C)Eu(tta)(bpt);および図18D)Eu(pfppd)(tpy)のドロップキャストされた試料の画像を示す。
【0080】
図19図19は、一部の実施形態による、簡素な標識またはマトリックス(2D)バーコードが事前に印刷された標識にドロップキャストまたはスピンコートされた、PMMAを含むまたは含まないEu(fod)-MKの試料を示すものであり、画像は、室内灯の存在を伴ってまたは伴わずに、iPhone(登録商標)11および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して収集された。
【0081】
図20A図20A~20Bは、1組の実施形態による、室内灯の存在を伴ってまたは伴わずに、図20A)蛍光光度計;図20B)iPhone(登録商標)11と外部の(パルス化)白色光LEDを使用して分析された、PMMA中Eu(tta)(dpbt)の試料を示す。
図20B図20A~20Bは、1組の実施形態による、室内灯の存在を伴ってまたは伴わずに、図20A)蛍光光度計;図20B)iPhone(登録商標)11と外部の(パルス化)白色光LEDを使用して分析された、PMMA中Eu(tta)(dpbt)の試料を示す。
【0082】
図21図21は、1組の実施形態による、蛍光光度計において種々の励起波長で励起された、Eu(pfppd)(tpy)のドロップキャストされた試料についての蛍光強度対励起波長のプロットである。
【0083】
図22図22A~22Bは、図22A)0.6mg/mL;および図22B)1mg/mLのF8BT/PMMA混合物中Eu(tta)(bpt)のドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、一部の実施形態に従い、iPhone(登録商標)11の白色光LEDをストローブする市販の懐中電灯appを使用して取得された。
【0084】
図23図23A~23Bは、1組の実施形態による、室内灯の存在を伴って(図23A)または伴わずに(図23B)分析された、F8BT/PMMA中Eu(tta)(bpt)のエアブラシ処理された試料の画像を示すものであり、画像は、iPhone(登録商標)11の白色光LEDをストロボ発光する市販の懐中電灯appを使用して取得された。
【0085】
図24図24A~24Bは、ポリビニルアルコール(PVA)マトリックスに組み込まれた、市販の食品着色料であるエリスロシンBの試料の画像を示す。試料は、iPhone(登録商標)11を使用して周囲(室内)灯で(図24A)、および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して暗所で(図24B)イメージングされた。
【0086】
図25図25A~25Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、黄褐色の革の試料の画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図25A)およびオン(図25B)であった。
【0087】
図26図26A~26Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、青色の革の試料の画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図26A)およびオン(図26B)であった。
【0088】
図27図27A~27Bは、エアブラシ処理された認証タグを1つの面に有する、アルコールが充填された透明なガラス製の香料瓶の画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図27A)およびオン(図27B)であった。
【0089】
図28図28A~28Bは、エアブラシ処理された認証タグ(スマートロゴ)を1つの面に有する、白色の段ボール箱の画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図28A)およびオン(図28B)であった。
【0090】
図29図29A~29Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、白色標識上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図29A)およびオン(図29B)であった。
【0091】
図30図30A~30Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、白色箱上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図30A)およびオン(図30B)であった。
【0092】
図31図31A~31Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、黒色手帳上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、一部の実施形態に従い、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図31A)およびオン(図31B)であった。
【0093】
図32A図32Aは、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラス製カバースリップ上のEu(fod)3-MKのドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、シャッター速度が異なることを除き同じISO設定を使用して収集された。一部の実施形態に従い、カバースリップの上半分はジエチルアミンに2分間曝露され、下半分は曝露されなかった。
【0094】
図32B図32Bは、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラス製カバースリップ上のEu(fod)3-MKのドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、シャッター速度が異なることを除き同じISO設定を使用して収集された。一部の実施形態に従い、カバースリップの上半分は水に15分間曝露され、下半分は曝露されなかった。
【0095】
図33図33A~33Bは、一部の実施形態による、空気/酸素に曝露される前(図33A)および後(図33B)にiPhone(登録商標)11およびパルス化白色光LED励起源でイメージングされた、真空チャンバ内の空気を含まない環境における、ガラス製カバースリップ上のPdOEPのドロップキャストされた試料の画像を示す。
【0096】
図34図34A~34Bは、一部の実施形態による、空気/酸素に曝露される前(図34A)および後(図34B)に、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化白色光LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラスバイアル内のPdOEPのキャストフィルムの画像を示す。
【0097】
図35-1】図35Aは、一部の実施形態による、例示的なオリゴマー/ポリマーの、白色光で励起可能なEuに基づく遅延放射体(PCBH)Eu(Phen)、(PCBH)(PCH)Eu(Phen)、および(PCBH)(PCH)Eu(bpt)の化学構造を示す。
【0098】
図35-2】図35B~35Cは、特別仕様のアプリケーション(app)およびiPhone(登録商標)のフラッシュLEDを使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラスバイアル中(図35B)および白紙にドロップキャストされた(図35C)(PCBH)(PCH)Eu(bpt)の固体試料の画像を示す。
【0099】
本発明の他の態様、実施形態および特色は、添付の図面と併せて考慮した場合に、以下の詳細な説明から明らかになる。添付の図面は概略的であり、縮尺通りに描かれるものではない。明瞭にするために、すべての構成要素がすべての図面で標識されるわけでもなく、当業者に本発明を理解させるために図が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されるわけでもない。参照により本明細書に組み込まれるすべての特許出願および特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。
【発明を実施するための形態】
【0100】
詳細な説明
一態様では、感知するための組成物、物品、システムおよび方法、ならびに/またはイメージングを使用する認証が、一部の実施形態では、概して提供される。これらと関連して、1種または複数の放射種の画像(または、一連の画像)を取得することができ、画像形成または操作の時間依存性は、画像形成/取得の時間枠に基づいて、種に関する情報を決定および識別するよう活用され得る。
【0101】
別の態様では、本明細書に記載されている一部の実施形態は、概して、診断アッセイおよび関連方法に関する。これらと関連して、第1の光子放射事象(例えば、定常状態の放射)および第2の光放射事象(例えば、非定常状態の放射)は、化学種および/または生物種(例えば、反応、その存在など)に関する情報を決定および識別するために検出および活用することができる。
【0102】
別の態様では、本明細書に記載されている一部の実施形態は、概して、経時的熱感知および関連方法に関する。
【0103】
別の態様では、本明細書に記載されている一部の実施形態は、概して、化学種/生物種の特徴および/または識別を識別するためのシステムおよび方法に関する。
【0104】
さらに別の態様では、本明細書に記載されている一部の実施形態は、概して、物品が本物であるかどうか、または物品が改変されているかどうかを判定する能力に関する。
【0105】
一部の場合、本明細書に記載されているシステムおよび方法により、有利には、物品の特徴を評価するため(例えば、ある製品が本物であるかどうか、食物が新鮮であるかどうか、汚染物質または他の危険物質が存在するかどうか)のイメージング能(例えば、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット、ラップトップ、ホームオートメーションデバイス、スマートウォッチ、デスクトップコンピュータ)を有する消費者レベルの電子機器を消費者が使用することが可能となる。従来の光学的感知用途に消費者レベルの電子機器を使用することが制限される要因の1つは、比較的狭い範囲のピーク波長を有する電磁線(例えば、1種または複数のフルオロフォアを励起させるように構成されている電磁線)を選択的に発するための、および比較的狭い範囲のピーク波長を有する電磁線(例えば、1種または複数のフルオロフォアによって放射される電磁線)を検出するための、光学フィルター(例えば、バンドパスフィルター)を使用する必要があることである。例えば、標準的なフルオロフォア(例えば、検出可能な定常状態の光子放射事象を生じる)が、カメラおよび/またはスマートフォンのフラッシュによって発せられた実質的に白色の光を使用して励起された場合、これらのフルオロフォアからの放射は、白色光に存在する反射波長/散乱波長の重なりによって打ち消される恐れがある。この問題に対する解決策の1つは、フルオロフォアに由来する波長がレンズに入ることを選択的に可能にするよう、カメラおよび/またはスマートフォンのレンズの上へのバンドパスフィルターの設置を含むことができる。別の解決策は、フルオロフォアを励起させる波長を選択的に発する電磁線の発生源の組み込みを含むことができる。しかし、1種より多いフルオロフォアを使用した場合、各フルオロフォアは、追加のフィルターおよび/または電磁線の発生源を必要とすることがあるので、これらの解決策は著しく高価になる、かつ/または不都合となる恐れがある。有利には、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、励起構成要素または画像センサーを、様々なタイプの放射種に対する様々な光学フィルター(例えば、バンドパスフィルター)と関連付けることを必要としなくてよい。
【0106】
有利には、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、携帯電話(例えば、スマートフォン、iPhone(登録商標)、Android(登録商標)電話)、デジタルカメラ、タブレット(例えば、iPad(登録商標))、ラップトップコンピュータ、ホームオートメーションデバイス、腕時計(例えば、スマートウォッチ)および/またはデスクトップコンピュータなどの消費者レベルの電子機器に実装され得る。これらの消費者用電子機器は、フィルターまたは他の補助具と共に使用されてもよいが、一部の場合、本明細書に使用されている方法の場合、このようなフィルターを必要としないであろう。しかし、本システムおよび方法は、消費者レベルの電子機器に制限されず、他のシステムおよびデバイスにも同様に実装されてもよい。
【0107】
一部の実施形態では、システムは、画像センサーを備える。画像センサーは、電磁線(例えば、放射種からの検出可能な放射)を検出し、画像を生成するために使用することができる信号(例えば、電気信号)を出力するように一般に構成されている。任意の好適なタイプの画像センサーを使用して、特定の条件のセット下で、放射種からの放射(または、放射がないこと)を検出することができる。好適な画像センサーの非限定例には、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、電荷結合素子(CCD)センサーおよび光ダイオードが含まれる。当業者は、本明細書の教示に基づいて、好適な画像センサーを選択することが可能と思われる。画像センサーは、一部の実施形態では、付随する励起源構成要素と共に、定常状態の光子放射事象および/または非定常状態の光子放射事象から発せられた光を検出するように構成されていてもよい。
【0108】
これより図に目を向けると、図1Aに例示されている通り、一部の実施形態では、システム100は、物品110、および物品110に関連付けられている化学タグ120を備える。一部の実施形態では、化学タグ120は、1種または複数の放射種を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている通り、1種または複数の放射種は、物品110の特徴を識別することができる。一部の実施形態では、センサー140は、化学タグ120の存在(または非存在)および/または化学タグ120が含む1種もしくは複数の放射種を検出するために使用することができる。一部の実施形態では、化学タグ120は、物品110の近位に、隣接して、または直接隣接して位置付けられてもよい。
【0109】
一部の実施形態では、化学タグは、物品に取り付けられ、標識に隣接し(例えば、直接、隣接して)、標識は物品に関連付けられている。例えば、図1Bに例示されている通り、システム102は、物品110、および物品110に関連付けられた化学タグ120を備える。一部の実施形態では、標識130は、物品110に関連付けられている。一部の実施形態では、化学タグ120は、物品130に関連付けられている。一部の実施形態では、標識130は、化学タグ120を形成する、1種または複数の化合物を含む。一部の実施形態では、標識は物品に隣接している。一部の実施形態では、標識は、物品に直接、隣接している(例えば、物品に貼り付けられている)。一部の実施形態では、標識は、物品の近位に存在するが、必ずしも、物品に隣接している必要はない。例えば、一部の実施形態では、標識は、物品の少なくとも一部の入った容器中に存在していてもよい。
【0110】
図2は、例示的なシステムを例示する。図2において、システム200は、励起構成要素210を備える。一部の場合、励起構成要素210は、電磁線の発生源を含む。非限定例の1つとして、励起構成要素210は、実質的な白色の光の発生源を含むことができる。一部の例では、励起構成要素210は、様々な波長の電磁線の1つもしくは複数の狭帯域および/または偏光電磁線の発生源である。一部の例では、励起構成要素210は、電子シャッターおよび/または機械的なシャッターに関連付けられている。電子シャッターおよび/または機械的なシャッターは、励起構成要素210によって放射された電磁線を変調するように構成されていてもよい。他の場合、励起構成要素210は、フラッシュを引き起こす、および/または出力強度を変調させる周期的なまたはパルス状の電気エネルギーによって駆動される。一部の場合、励起構成要素210は、蛍光またはLED光源などの「室内光」とすることができる。一部の実施形態では、システム200は、画像センサー220(例えば、CMOSセンサー、CCDセンサー、光ダイオードアレイ、または電磁線を検出することが可能な他の検出器)をさらに備える。一部の場合、システム200は、電子ハードウェア構成要素230(例えば、回路、1つまたは複数のプロセッサ)をさらに備える。ある例では、電子ハードウェア構成要素230は、画像センサー220と一体化されている。ある他の例では、電子ハードウェア構成要素230は、画像センサー220と個別である。一部の実施形態では、システム200は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、デジタルカメラ、タブレット、ラップトップ、ホームオートメーションデバイス、腕時計(例えば、スマートウォッチ)またはデスクトップコンピュータなどの、消費者レベルの電子機器である。
【0111】
操作では、システム200は、1種または複数の放射種に関連し得る物品240に近接して位置付けられ得る。近接とは、数センチメートルから数メートルの範囲とすることができ、物品240のサイズ、画像センサー220の解像度、および必要な情報によって決定することができる。物品240および画像センサー220の配向はまた、様々な配向(例えば、角度、前/後、傾斜)を伴って様々であってもよく、異なる情報を抽出することが可能となる。一部の場合、物品240からのデバイスによって光る、または外部源によってもたらされる他の情報は、必要な配向および近さの情報を提供する。励起構成要素210は、パルス化および/または変調された電磁線250を放射することができ、この電磁線は、物品240の1種または複数の放射種によって吸収され得る。この放射線は、個別の狭帯域の波長にあってもよく、または広帯域(白色光など)にあってもよい。励起構成要素210は、その時間変調、強度、偏光、および励起構成要素が物品240に影響を及ぼす際の物理的位置が変化する様々な波長の電磁線の様々な複数のパターンを同時に生成することができる。一部の場合、電磁線は、物品240の第2の放射種にエネルギーを転送する第1の種によって吸収される。一部の場合、電磁線250の少なくとも一部は、物品240の1種または複数の放射種を励起させる、この放射種によって反射される、または散乱されることができる。反射されたまたは散乱された放射線は、励起構成要素210によって発生されてもよく、または周囲光の結果であってもよい。次いで、1種または複数の放射種は、放射期間(例えば、放射寿命)にわたり、検出可能な放射260を生成することができる。画像センサー220は、検出可能な放射260の少なくとも一部を検出することができる。画像センサー220はまた、反射したまたは散乱した電磁線の少なくとも一部を検出することができる。一部の場合、検出可能な放射260の検出は、励起構成要素210が電磁線250を放射するのを停止した後に始めてもよい。**定常状態下では、慎重になる必要があり、本発明者らはすべての放射種を有し、非定常状態では、本発明者らは、パルス状プロファイルを有する遅延放射しか有し得ない。変調された励起に関すると、本発明者らは、同位相(定常状態)の放射および位相の遅延した(非定常状態)放射を有する。本発明者らは、物に適格性を与え、不一致が生じないように注意を払う必要がある。**ある例では、これは、励起構成要素210として、実質的に白色の光源(例えば、カメラのフラッシュ)の使用を可能にすることができる。ある例では、電磁線260は、物品240の放射種の寿命および励起構成要素210により変調された励起の結果として、時間と共に常に変化する。**これは、問題となる文言となり得る。上記を参照されたい**。一部の場合、電子ハードウェア構成要素230は、定常状態および非定常状態の光子放射に対応する第1の部分を含む、単一の画像(または、一連の画像)を生成する。**本発明者らは、それは一貫性がないので、今回の文言を使用することはできない。**一部の場合、画像は、多数の様々な放射期間を測定することによって、および/または多数の異なる励起方法を使用して、および/または様々な距離で、および/または様々な配向を用いて、および/または様々なフィルターもしくは偏光板を用いて生成される。一部の場合、電子ハードウェア構成要素230は、物品240、ならびに/または励起および画像取り込みの総合的な方法を変更する別の発生源からの指示を受ける。一部の例では、放射種の特徴および/または放射種の変化は、単一の画像(または一連の画像)の第1の部分と単一の画像(または一連の画像)の第2の部分との差に基づいて決定される。多くの様々な期間が、この方法を使用して取り込まれ得る。ある非限定的な例では、放射種の放射寿命、または放射種の放射寿命の相対変化は、単一の画像または一連の画像から決定される(例えば、単一の画像または一連の画像の第1の部分と単一の画像または一連の画像の第2の部分との差に基づく)。一部の場合、物品の特徴は、単一の画像または一連の画像から決定される(例えば、単一の画像または一連の画像の第1の部分と単一の画像または一連の画像の第2の部分との差に基づく)。ある例では、一連の単一の画像は、例えば、経時的な各画像の様々な部分を比較することによって、各単一の画像から様々な一連のデータ(例えば、特徴)を生成するために使用されてもよい。
【0112】
一部の実施形態では、以下により詳細に記述されるように、画像センサーは画像取り込みのローリングシャッター法を使用する。画像センサーは、多くの場合、光検出器(例えば、1個または複数のピクセルに対応する)のアレイを含み、ローリングシャッター法では、個々の行または列が逐次、読み取られる。したがって、ローリングシャッター法を使用して取り込んだ単一フレームでは、各行または列(特定のローリングシャッター法に依存する)は、時間のスライスを表す。例示するために、図3Aは、個々の行が逐次、読み取られる、例示的なローリングシャッター機構のプロットを示す。ローリングシャッター法は、機械的または電子的に実装されてもよい。
【0113】
対照的に、グローバルシャッター法では、画像センサーのピクセルのすべてが、光子放射に同時に曝露され、次に、読み取られる。例示するために、図3Bは、すべての行が同時に励起される、例示的なグローバルシャッター機構のプロットを示す。これは、例えば、グローバルシャッターが使用され、フィルム上のすべての点が同時に曝露される、写真フィルムの場合である。一部の実施形態では、画像センサーは、以下に一層詳細に記載されている通り、画像取り込みのグローバルシャッター法を使用する。
【0114】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。理論によって拘泥されることを望むものではないが、一部の光学放射は、一般には、有効性が一瞬であり、電磁線の反射または散乱を含むことがある。一部の実施形態では、このような放射は、波長依存的なことがある、および/またはある特定の波長の吸収(例えば、減色)によって影響を受けることがある。反射光または散乱光の場合、理論によって拘泥されることを望むものではないが、光子は、物質中で電子を高エネルギー状態に促進することができないことがある。そのようなプロセスは、一般に、非常に速い。散乱および反射に関する一部の場合、例として、光子は、ピコ秒より短い励起状態の寿命を有し得る、非常に短い時間スケールで物質と相互作用する。蛍光および燐光などの他の放射事象は、一般に、光子の吸収を伴う高エネルギー状態に電子を促進することを含む。例えば、比較的速い放射は放射体が10ナノ秒(ns)未満の励起状態の寿命を有する、即発蛍光を示す物質から起こることができる。一部の実施形態では、これらの比較的速い放射(および、一部の実施形態では、すべての放射)は、放射が一定の励起源が目的の物品に適用されている間に検出される、定常状態の条件下で検出/イメージングされる。一部のこのような実施形態では、検出可能な信号は、定常状態の光子放射から生じる。一部の実施形態では、放射材料の励起状態の寿命は、長寿命であり(例えば、10nsまたはこれより長い励起状態の寿命を有する)、追加情報は、放射が測定の経過中に変化する、非定常状態の条件下で取り込まれ得る。一部の実施形態では、このような追加情報の取り込みは、1つまたは複数の画像を生成することが可能なデータを含むことができる。一部の実施形態では、非定常状態の測定は、パルス化する、フラッシュ照射するおよび/または変調される、非定常状態の励起源を使用することによって行われる。例として、10nsより長い励起状態の寿命を有する長寿命の放射体は、一部の実施形態では、励起が除去された後、または励起強度が変化した後も光を放射し続けることができる。一部の場合、これによって、長寿命の放射は、10ns未満の寿命を有する放射種の存在下で選択的に検出されるようになり得る。一部の実施形態では、変調は、時間内の光の波長の一部またはすべての強度変化によって、または時間の関数としての光の偏光の変化によって行われ得る。一部の場合、変調は、正弦波の形態で連続していてもよく、または三角波もしくは方形波とすることができる。一部の実施形態では、変調は、完全なオフ状態(励起なし)と完全なオン状態(最大強度励起)との間の切り替えを含む、および/または特定の基底強度に基づいた変調を含むことを含む。一部の実施形態では、変調は、基底強度に基づいた特定の波長の変調を含む。例として、およびこのように限定されることを望むものではないが、自然光、例えば白色光を模倣する広帯域の光は、一定の基底信号であってもよく、紫外光信号が変調した信号として使用されてもよい。このように、散乱/反射/即発蛍光光子放射の検出は、非定常状態の光子放射検出と同時に収集されてもよい。一部の実施形態では、励起の変調により、放射強度の変調がもたらされることがあり、放射材料が10ns未満の寿命を有する場合、ある特定の条件下での放射は、励起光と同位相の変調された強度を有するであろう。しかし、一部の実施形態では、10nsより長い寿命を有する長寿命放射体が存在する場合、ある条件下では、位相シフトが放射強度をもたらすことがある。
【0115】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。理論によって拘泥されることを望むものではないが、一部の光学放射は、一般には、有効性が一瞬であり、電磁線の反射または散乱を含むことがある。一部の実施形態では、このような放射は、波長依存的なことがある、および/またはある特定の波長の吸収(例えば、減色)によって影響を受けることがある。反射光または散乱光の場合、理論によって拘泥されることを望むものではないが、光子は、物質中で電子を高エネルギー状態に促進することができないことがある。そのようなプロセスは、一般に、非常に速い。散乱および反射に関する一部の場合、例として、光子は、ピコ秒より短い励起状態の寿命を有し得る、非常に短い時間スケールで物質と相互作用する。蛍光および燐光などの他の放射事象は、一般に、光子の吸収を伴う高エネルギー状態に電子を促進することを含む。例えば、比較的速い放射は、放射体が10ナノ秒(ns)未満の励起状態の寿命を有する、即発蛍光を示す物質から起こることができる。一部の実施形態では、これらの比較的速い放射(および、一部の実施形態では、すべての放射)は、放射が一定の励起源が目的の物品に適用されている間に検出される、定常状態の条件下で検出/イメージングされる。一部のこのような実施形態では、検出可能な信号は、定常状態の光子放射から生じる。一部の実施形態では、放射材料の励起状態の寿命は、長寿命であり(例えば、10nsまたはこれより長い励起状態の寿命を有する)、それにより、追加情報は、放射が測定の経過中に変化する、非定常状態の条件下で取り込まれ得る。一部の実施形態では、このような追加情報の取り込みは、1つまたは複数の画像を生成することが可能なデータを含むことができる。一部の実施形態では、非定常状態の測定は、パルス化する、フラッシュ照射するおよび/または変調される、非定常状態の励起源を使用することによって行われる。例として、10nsより長い励起状態の寿命を有する長寿命の放射体は、一部の実施形態では、励起が除去された後、または励起強度が変化した後も光を放射し続けることができる。一部の場合、これによって、長寿命の放射は、10ns未満の寿命を有する放射種の存在下で選択的に検出されるようになり得る。一部の実施形態では、変調は、時間内の光の波長の一部またはすべての強度変化によって、または時間の関数としての光の偏光の変化によって行われ得る。一部の場合、変調は、正弦波の形態で連続していてもよく、または三角波もしくは方形波とすることができる。一部の実施形態では、変調は、完全なオフ状態(励起なし)と完全なオン状態(最大強度励起)との間の切り替えを含む、および/または特定の基底強度に基づいた変調を含むことを含む。一部の実施形態では、変調は、基底強度に基づいた特定の波長の変調を含む。例として、およびこのように限定されることを望むものではないが、自然光、例えば白色光を模倣する広帯域の光は、一定の基底信号として使用されてもよく、および/または紫外光信号は、変調された信号として使用されてもよい。このように、一部の実施形態では、散乱/反射/即発蛍光光子放射の検出は、非定常状態の光子放射検出と同時に収集されてもよい。一部の実施形態では、励起の変調により、放射強度の変調がもたらされることがあり、放射材料が10ns未満の寿命を有する場合、ある特定の条件下での放射は、励起光と同位相内の変調された強度を有することができる。しかし、一部の実施形態では、10nsより長い寿命を有する長寿命放射体が存在し、ある条件下では、位相シフトが、放射強度をもたらすことがある。
【0116】
一部の実施形態では、本システムは、例えば、非定常状態の光子放射の検出を可能にする方法で、放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。パルス励起を含む実施形態では、定常状態の放射は、定常状態の励起が適用されている間、およびパルス励起後に検出され得、励起がない場合、非定常状態の放射が検出され得る。一部の実施形態では、非定常状態(例えば、時間での変化)の励起は、定常状態の光子放射および非定常状態の光子放射の両方の検出を可能にする。同様に、変調された非定常状態の励起が使用される実施形態、例えば、定常状態の放射が、変調された励起と同位相にある変調された強度を有する実施形態では、非定常状態の放射は、放射種と変調のサイクル時間(周波数)の適切な対形成を伴う位相遅れを有する。一部の実施形態では、本システムは、放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、データを収集するよう、ならびに/または少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む単一の画像を生成するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、電子ハードウェア構成要素は、データを収集するよう、ならびに/または定常状態の光子放射および非定常状態の光子放射を含む単一の画像を生成するように構成されている。一部の実施形態では、本システムは、定常状態の光子放射および非定常状態の光子放射を個別に検出する。
【0117】
一部の実施形態では、本システムは、物品に関連付けられた化学タグを含む。一部の実施形態では、本化学タグは放射種を含む。一部の実施形態では、放射種は、条件のセット下での放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成する。一部の実施形態では、放射期間は、少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、放射種は、条件のセット下での放射期間中に検出可能な定常状態および非定常状態の放射を生成する。一部の実施形態では、本システムは、画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成するように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な放射を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。例えば、光子放射事象または様々な波長および強度(定常状態および非定常状態)から作成されたデータを使用して、画像を作成することができる。一部の実施形態では、画像を取り込むデバイス(例えば、スマートフォン、消費者用電子機器)を使用して、強度の空間的な関係および励起状態の寿命に関する情報を含めた、光子放射データを生成する。一部の実施形態では、光子放射データは、信号および/または検出を含む。一部の実施形態では、光放射から収集したデータを使用して、1つまたは複数の画像を生成する。一部の実施形態は、光子放射(複数可)に関係する、画像、データ、信号、測定および検出のうちの1つまたは複数の組合せ物を含む。
【0118】
一部の実施形態では、画像(または関連データ)を使用して、物品の特徴を識別するための検出にとって最も関連性のある光子放射信号(複数可)を決定する。一部の実施形態では、本システムは、光子放射および/または画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の光子放射が生成するように、条件のセット下で光子放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な光子放射を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な光子放射データを1つまたは複数の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、複数の画像を使用して、1つまたは複数の定常状態または非定常状態の光子放射測定値から決定することができる物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、非定常状態の条件下で収集した、非定常状態の光放射信号および/または画像だけが、物品の特徴を識別するために使用される。一部の実施形態では、複数の(様々な)非定常状態の光子放射信号を使用して、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、物品の複数の位置からの光子放射データまたは画像を使用して、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、単一の画像は、物品の特徴を識別するため、定常状態および非定常状態の光子放射事象の両方によって作成される。一部の実施形態では、定常状態の放射は、物品の特徴を識別するため、非定常状態の放射と連携して使用される。一部の実施形態では、定常状態の放射は、1つまたは複数の非定常状態の光子放射測定が行われる条件を決定するために使用される。一部の実施形態では、複数の画像は、異なる励起条件下で撮影される。一部の実施形態では、励起条件は、以下の励起条件:パルス、フラッシュ、連続強度、単一周波数での変調、および複数の周波数での変調のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、励起は、白色光源によって提供される。一部の実施形態では、狭帯域の光を使用して、放射種を励起させる。一部の実施形態では、1つの帯域だけの光が、各画像に使用される。一部の実施形態では、複数の帯域の波長の電磁線を使用して、放射種を励起させる。一部の実施形態では、物品の特徴を識別するため、複数の励起を使用して、複数の定常状態および/または非定常状態の光子放射事象を作り出す。
【0119】
一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む。一部の実施形態では、第1の部分と第2の部分の特性との差は、物品の特徴と関連する。
【0120】
一部の実施形態では、本システムは、物品に関連付けられた化学タグを含む。一部の実施形態では、本化学タグは放射種を含む。一部の実施形態では、本化学タグは、条件のセット下での放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成する。一部の実施形態では、放射期間は、少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、本システムは、データ/画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成するように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成されている励起構成要素を備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出された放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な非定常状態の光子放射を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な定常状態の放射と検出可能な非定常状態の光子放射の両方を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出された放射データを単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射から作成された画像は、使用者による目視検査によって認識可能であり、物品の特徴に関する情報を提供することができる。一部の実施形態では、画像は、定常状態の放射と非定常状態の光子放射プロセスの両方によって作成される。一部の実施形態では、一連の画像は、本明細書に記載されている1つまたは複数の様々な定常状態および非定常状態の条件下、および1つまたは複数の画像センサー条件下で収集したデータから生成されて、物品の特徴に関する情報を提供する。一部の実施形態では、画像は、複数の非定常状態の光子放射事象の検出からのデータによって生成し、物品の特徴に関する情報を提供する。一部の実施形態では、画像は、物品の特徴に関する情報を提供する、1つまたは複数の様々な定常状態の光子放射および非定常状態の光子放射事象を検出することによって作成される。一部の実施形態では、複数の非定常状態の光子放射事象は、物品の特徴に関する情報を供給する。
【0121】
一部の実施形態では、化学タグの特徴を識別するように構成されているシステムが提供される。一部の実施形態では、本システムは化学タグを含む。一部の実施形態では、本化学タグは、非定常状態の条件下で、検出可能な光子放射を生じる。一部の実施形態では、1種または複数の放射種が、最小の10ナノ秒の励起状態の寿命を有する、非定常状態の放射に寄与する。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な放射が生成するように、条件のセット下で化学タグを励起するように構成されている励起構成要素を備える。一部の実施形態では、本システムは、検出可能な光子放射を検出するように構成されている画像センサーを備える。一部の実施形態では、本システムは、検出された放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、単一の画像は、定常状態および非定常状態の光子放射事象を含む。一部の実施形態では、定常状態と非定常状態の特性との差は、化学タグの特徴と関連付けられる。
【0122】
一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む。一部の実施形態では、第1の部分と第2の部分の特性との差は、化学タグの特徴と関連する。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、種が、放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成するよう、種を励起させるステップを含む。一部の実施形態では、1種または複数の放射種の励起状態の放射寿命は、少なくとも10nsである。一部の実施形態では、本方法は、光子放射データを収集することが可能な画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の光子放射の少なくとも一部を有する単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、定常状態の放射に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、非定常状態の放射に対応する。一部の実施形態では、本方法は、定常状態と非定常状態の間の放射の差に基づいて決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の非定常状態の放射間の差を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の定常状態と非定常状態の放射との差を決定するステップを含む。
【0124】
一部の実施形態では、一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、非定常状態の光子放射が放射期間中に検出可能となるよう、種に放射させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、非定常状態の放射によって放射された電磁線の少なくとも一部の単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の画像部分からの情報および第2の画像部分からの情報から、放射種の変化を決定するステップを含む。
【0125】
一部の実施形態では、放射種の特徴を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するよう、種を励起させるステップを含む。一部の実施形態では、放射は、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種によって生成される。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の放射の第1の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、第1の画像の第1の部分は、放射期間の第1の部分に対応する。一部の実施形態では、第1の画像の第2の部分は、放射期間の第2の部分に対応する。一部の実施形態では、本方法は、第1の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、種の特徴を決定するステップを含む。
【0126】
一部の実施形態では、物品の特徴を識別するための方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、放射タグを含有すると思われる物品に近接して画像センサーを位置付けるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、存在する場合、放射タグが検出可能な非定常状態の放射を生成するように物品を刺激するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、その少なくとも一部は検出可能な非定常状態の光子放射である、単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射を検出するための条件は、定常状態の画像によって情報が提供される。一部の実施形態では、本方法は、分析される物品の試料を第2の物品に添加し、次に、画像センサーを用いて第2の物品を分析するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、分析物を刺激した後の第1の期間に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、第1の期間とは異なる、分析物を刺激した後の第2の期間に対応する。一部の実施形態では、本方法は、単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む。
【0127】
一部の実施形態では、刺激の存在を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、化学タグを含む物品を、刺激を含む条件のセットに曝露させるステップを含む。一部の実施形態では、化学タグは、タグ中の1種または複数の放射種の寿命、波長および/または強度を変化させる刺激の存在下で、化学反応および/もしくは生物学的反応または会合を受ける。一部の実施形態では、本方法は、物品に近接して画像センサーを位置付けるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、画像センサーを使用して、化学タグを含む物品の部分の単一の画像を取得するステップを含む。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、物品を(例えば、電磁線、刺激に)曝露させた後の第1の期間に対応する。一部の実施形態では、単一の画像の第2の部分は、物品を(例えば、電磁線、刺激に)曝露させた後の、第1の期間とは異なる第2の期間に対応する。一部の実施形態では、本方法は、単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の時間点における、画像の追加部分からの情報を取得および使用するよう展開されてもよい。一部の実施形態では、部分は、面偏光または円偏光、様々な波長の光、または他の非定常状態の電磁線を用いて分析される。一部の実施形態では、本方法は、物品に関連付けられる1種または複数の放射種を励起させるステップ、および検出器を使用して、放射種の検出可能な遅延放射を検出するステップを含み、検出可能な遅延放射は、存在する場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する遅延放射を有しており、検出可能な遅延放射は、存在する場合、経時的熱履歴への物品の曝露に対応する。
【0128】
一部の実施形態では、本方法は、1種または複数の第1の放射種を励起させるステップ、必要に応じて、1種または複数の第2の放射種を励起させるステップ、検出器を使用して、第1の放射種によって生成する第1の検出可能な遅延放射(複数可)および/または第2の放射種によって生成する第2の検出可能な遅延放射(複数可)を検出するステップを含み、第1の検出可能な遅延放射は、存在する場合、第1の放射種の第1の温度への曝露に対応し、第2の検出可能な遅延放射は、存在する場合、第2の放射種の第1の温度とは異なる第2の温度への曝露に対応し、少なくとも1つの検出可能な遅延放射が存在する。
【0129】
一部の実施形態では、放射種を含む組成物は、物品に関連付けられるように構成されており、放射種の励起は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する1種または複数の放射種を有する検出可能な信号を生じ、検出可能な信号は、物品の経時的熱履歴に対応する。
【0130】
一部の実施形態では、本システムは、単一もしくは複数の放射種またはそれらの前駆体が経時的熱履歴に曝露された場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する検出可能な遅延放射を生成するように、電磁線を使用して放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、および検出可能な遅延放射の少なくとも一部を検出するように構成されている検出器を備える。
【0131】
一部の実施形態では、本システムは、診断アッセイの1つまたは複数の構成要素を含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも定常状態の光子放射事象を含む第1の電磁線信号と、少なくとも非定常状態の光子放射事象を含む第2の電磁線信号とを組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の電磁線信号と第2の電磁線信号とを組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、第1の電磁信号が、10ナノ秒未満の励起状態の寿命を有する放射種からの少なくとも第1の光子放射事象を含む、ステップを含む。この放射は、定常状態条件下で検出される。少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種からの少なくとも第2の光子放射事象を含む、第2の電磁信号が、非定常状態の条件下で検出される。一部の実施形態では、画像は、非定常状態のパルス化放射および非定常状態の光子放射だけが検出された後に収集される。一部の実施形態では、画像は、画像の1つまたは複数の部分が、定常状態の励起により得られて、定常状態の光子放射を検出する期間にわたり収集され、非定常状態の光子放射の検出が可能になるよう励起が除かれた後に画像の1つまたは複数の部分が得られる。
【0132】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、10ナノ秒未満またはそれに等しい励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。
【0133】
一部の実施形態では、本方法は、アッセイから発生される2つまたはそれより多い信号を検出するステップであって、2つまたはそれより多い信号の各々が、減色、反射色、散乱、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光放射から選択される、ステップを含む。
【0134】
一部の実施形態では、本システムは、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されている励起構成要素であって、第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0135】
一部の実施形態では、本システムは、検出可能な定常状態の放射および検出可能な非定常状態の放射を組み合わせて決定可能な信号にするように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。一部の実施形態では、検出可能な定常状態の放射および/または検出可能な非定常状態の放射は、本明細書に記載されている通り、それぞれ、第1の放射種および/または第2の放射種の特徴に対応する。
【0136】
例示的な一連の実施形態では、本システムは、電磁線スペクトルの発生源および放射種を備えており、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの間の波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの間の波長を含み、発生源は、放射種と相互作用する波長の電磁線を生成し、それにより、放射種が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種から1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成する。
【0137】
一部の実施形態では、本システムは、複数の波長の電磁線の発生源および放射種を備えており、放射種は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成し、発生源によって生成する複数の波長の電磁線は、50nmより長いまたはこれに等しい。
【0138】
一部の実施形態では、検出可能な信号は、スマートフォンまたはデジタルカメラを使用して読み取られる。
【0139】
一部の実施形態では、本システムは、消費者用電子機器に関連付けられた電磁線の発生源、消費者用電子機器に関連付けられたセンサー、およびセンサーにより検出可能な信号を生成することが可能な放射種を備え、検出可能な信号は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの1つまたは複数の遅延放射を有する。一部の実施形態では、発生源は、消費者用電子機器の構成要素である。一部の実施形態では、消費者用電子機器とは、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、デジタルカメラなどである。
【0140】
一部の実施形態では、発生源によって生成する電磁線は、放射種への曝露前には、純粋である。一部の実施形態では、本システムは、発生源と放射種との間に位置付けられた光フィルターを備えていない。
【0141】
一部の実施形態では、本システムは、複数の波長の電磁線を生成するように構成されている励起構成要素であって、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されており、かつ第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0142】
一部の実施形態では、本システムは、放射種を励起させるための複数の波長の電磁線を発生させて、それにより、放射種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源を備えており、放射種の励起状態の寿命は、最低10ナノ秒である。
【0143】
一部の実施形態では、本システムは、所与の画像において、定常状態と非定常状態の両方の光子放射を検出するように構成されているセンサーおよび処理回路を備えており、定常状態の光子放射は、放射種が励起を受けている最中に検出され、非定常状態の光子放射は、励起が終了した後に収集される。一部のこのような実施形態では、パルス励起が使用され、パルス速度は、画像取り込み速度とほぼ同じとなるよう、またはこれより速くなるよう選択される。有利には、一部のこのような実施形態では、定常状態と非定常状態の両方の光子放射からの情報を含有する複数の画像が組み合わされてもよい。有利には、一部の実施形態では、励起および放射取り込みは、必ずしも同期されている必要はなく、計算法を使用して、画像からのデータを抽出することができる。
【0144】
一部の実施形態では、本方法は、消費者用電子機器を使用して、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、消費者用電子機器が電磁線のスペクトルの発生源を備える、ステップ、および放射種を電磁線のスペクトルに曝露させて、それにより、放射種が、化学種/生物種の識別または特徴に対応し、かつ消費者用電子機器によって検出可能な、検出可能な放射を生成するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、化学種/生物種に関連付けられる放射種を電磁線の発生源によって生成する、50nmより長いまたはこれに等しい範囲を有する電磁線スペクトルに曝露させること、および放射種によって生成する、存在する場合は化学種/生物種の識別または特徴に対応する、検出可能な放射を検出することによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、第1の電磁信号が、10ns未満の励起状態の寿命を有する放射種に由来する少なくとも第1の光子放射を含み、第2の電磁信号が、10nsまたはそれより長い励起状態の寿命を有する放射種に由来する少なくとも第2の光子放射事象を含み、励起事象が電磁線スペクトルを含み、電磁線スペクトルの第1の部分が、425nm~475nmの間の波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分が、525nm~725nmの間の波長を含む、ステップを含む。
【0145】
画像が取得される(1つの例は、携帯電話で写真を撮影すること)多くの場合では、単一の画像は、単純に時間の1つの瞬間で取得されるわけではなく、異なる時間で(しかし、非常に短い時間間隔で)単一の画像の部分が撮影され、単一の画像が構築される。例えば、画像の一部分(例えば、上部)は、画像の別の部分(例えば、下部)と非常にわずかに異なる時間で取得される。携帯電話のカメラでは、「シャッター」(例えば、電子シャッター)により、画像の部分が画像の箇所に応じて異なる時間で形成されるのを防ぐことができ、それにより画像全体は露出オーバーにならず、さらに任意の特定の時間で画像全体ではなく一部が記録されるが、経時的(非常に短時間)には画像全体が構築される。画像の特定の部分がいつ取得されるかを把握することにより、これら2つ(もしくはそれよりも多く)の異なる時間および/または画像形成の全期間(もしくはその期間の一部)で、その画像の被写体に何が起こったかについての情報を識別することができる。例えば、放射種(化学または生物種、放射タグなど)の特性が画像形成の時間尺度で変化する場合、形成された単一の画像を使用し、その変化(複数可)に関する何らかを決定することができる。
【0146】
一部の実施形態では、シャッターは、特定の光センサーによって光が取り込まれた期間を決定するように構成されている。一部の実施形態では、シャッターは、機械シャッター、電子(例えば、デジタル)シャッターまたはそれらの組合せである。一部の実施形態では、シャッターは、すべての波長の光、またはある特定の波長の光だけ、または特定の偏光だけに影響を及ぼす(例えば、光の通過を阻害する)ことができる。
【0147】
一部の例では、単一の画像を生成するように構成されている電子ハードウェア構成要素は、必ずしも、画像を生成しなくてもよく、異なる出力(例えば、電子信号)を代わりに提供してもよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態は、画像を生成することが可能なデータを収集する、電子ハードウェア構成要素を含んでもよい(および、例えば、画像を形成するために使用されてもよく、または使用されなくてもよい)。
【0148】
本開示の全体にわたる記載から明白な通り、本発明は、上記の多数の変形形態を含み、データおよび/または信号の特定のタイプ、画像の特定のタイプ、画像数、画像を取得するために使用される装置のタイプのいかなるものにも限定されない。
【0149】
一部の実施形態では、物品(または物品の包装材料)は、放射種(例えば、発光種)を含む放射材料に関連付けられる。一部の場合では、放射種は、少なくとも10ナノ秒(ns)の放射寿命を有する。当業者であれば、好適な放射タイムラインは、画像センサーの時間分解に基づいて選択されてもよいことを理解する。一部の画像センサーでは、好適な寿命はミリ秒程度であってもよく、一方で他の画像センサーでは、好適な寿命はマイクロ秒程度であってもよい。より高速の時間応答を有する画像センサーは、一般に、より短い寿命を有する放射種を使用して寿命に基づく画像が取得されることを可能にする。一部の場合では、物品の特徴(例えば、同一性、真正性、年齢、品質、純度)は、放射種に関連する時間依存性情報を含む画像(または一連の画像)を取得することによって決定されてもよい。ある特定の場合では、例えば、放射種の放射寿命は、画像(または一連の画像)から決定されてもよい。放射種の放射寿命は、以下に限定されないが、他の分子(例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化炭素)への結合または接近、熱履歴、機械的操作、温度、pHおよび放射線曝露を含めた、いくつかの要因によって改変されることがあるので、放射寿命の測定長さ(例えば、観察される放射寿命、放射期間)は、関連付けられる物品の特徴に関する情報をもたらすことがある。一部の例では、1種または複数の放射種を含む放射材料は、関連付けられる物品を識別するため、および/または認証するために使用されてもよい。
【0150】
一部の実施形態によると、物品(または物品の包装材料)は、放射種を含む放射材料に関連付けられる。ある特定の実施形態では、放射種は、化学および/または生物種である。一部の場合では、励起構成要素は、その少なくとも一部が放射種によって吸収される非定常状態のパルス化および/または変調電磁線を放射する。一部の場合では、パルス化および/または変調励起構成要素は、偏光または波長の1つもしくは複数の帯域を有してもよい。一部の場合では、複数の励起構成要素は、連続的に使用されてもよく、および/またはそれらが物品に適用される時間が重複してもよい。ある特定の実施形態では、吸収される電磁線は、放射種の1つまたは複数の電子をより高いエネルギー状態に励起する。1つまたは複数の励起された電子は準安定性であり、かつ一部の場合では、電磁線の放射、熱散逸(例えば、振動エネルギー移動による)、および/または化学反応を通してより低いエネルギー状態(例えば、基底状態)に緩和してもよい。励起した電子が、電磁線を放射することによって緩和されると、この電子は、一定期間にわたり、検出可能な放射を生成することができる(測定条件下では、「放射期間」、または放射種を言う場合、「放射寿命」とも称される)。一部の場合、画像センサーは、検出可能な放射の少なくとも一部を検出することができる。
【0151】
ある特定の場合では、電子ハードウェア構成要素(例えば、回路、1つまたは複数のプロセッサ)が、それに続いて放射期間の第1の部分に対応する第1の部分および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む画像(または一連の画像)を発生してもよい。一部の実施形態では、画像は、定常状態条件下で検出される光子放射に対応する第1の部分、および非定常状態条件下で検出される光子放射に対応する第2の部分を含む。
【0152】
ある特定の場合では、電子ハードウェア構成要素は、多数の異なる寿命の放射の異なる部分からの電磁線(例えば、可視光または他の光)を捕捉することにより、画像を発生してもよい。画像が取り込まれる順序および期間は可変であってもよく、原則的に、電子ハードウェアをプログラムするまたは改変することによって変化させることができる。このようにして、画像(または一連の画像)は、放射種および/または物品の特徴に関する時間依存性情報を取得するために使用されてもよい。例えば、非定常状態の構成要素内では、光子放射信号は変わり得る。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射が変わる量は、放射種の励起状態の寿命、および画像が収集される期間に依存し得る。理論によって拘泥されることを望むものではなく、例として、励起状態の寿命が、ローリングシャッター条件下で画像が収集される期間に等しいか、またはこれより短い場合、信号強度は変わることがある。励起構成要素に関して、様々な期間における画像の様々な部分を収集することによって、独特の画像を生成することができる。これらの画像を使用して、物品に関する情報を伝達し、認証コードとして働くことができる。非限定例の1つとして、画像(または、一連の画像)を使用して、放射種の放射寿命を決定することができる。一部の場合、放射種の放射寿命は、他の分子(例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素)への結合および/もしくは接近、熱履歴、機械的操作、温度、pH、放射線曝露および/または他の環境因子によって改変されることがある。したがって、一部の例では、特定の放射寿命の値は、関連付けられる物品の特徴に関する情報(例えば、標識の存在または非存在、環境の特徴、以前の化学的曝露、物理的曝露または他の曝露に関する情報)を提供することができる。別の非限定例として、画像の第1の部分の特性と画像の第2の部分の特性との差は、物品の特徴に関する情報(例えば、標識の存在または非存在、環境の特徴、以前の化学的曝露、物理的曝露または他の曝露に関する情報)を提供することができる。
【0153】
当業者であれば、ローリングシャッター方法は、揺動、スキュー、空間エイリアシングおよび/または時間エイリアシングなどの所望されないアーチファクトを生成するとしてしばしば批判されることを理解する。結果として、これらのアーチファクトを最小限にするために、より迅速なフレーム取り込みレートを有するデバイスを持つことに関心が持たれる。フレームレートがより高速になると、信号を記録する(各行または列を読み取る)間の時間が短くなる。しかし、本明細書に記載されるシステムおよび方法では、ローリングシャッター方法を利用して、放射種を含む放射材料に関する時間依存性情報を含有する画像を発生することができる。例えば、ローリングシャッター方法は、消費者レベルの電子機器を使用して、種を励起させるために広帯域の電磁線源(例えば、実質的に白色の光の発生源)を使用する場合でも、1つまたは複数の放射種の放射寿命に基づく情報を取得することを可能にしうる。この情報を取得するために、励起電磁線は、放射種から非定常状態の時間依存性信号を作成するためにパルス化および/または変調されてもよい。一部の場合では、放射種によって放射および/または反射/散乱される検出可能な非定常状態の放射の少なくとも1つの特徴は、画像取り込み期間にわたって変化する。
【0154】
一部の実施形態では、画像センサーは、画像を生成するように構成された電子ハードウェア構成要素(例えば、回路、1つまたは複数のプロセッサ)に関連付けられてもよい。一部の実施形態では、電子ハードウェア構成要素は、放射種の放射期間の第1の部分に対応する第1の部分および放射種の放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む単一の画像を生成するように構成される。
【0155】
一部の実施形態では、電子ハードウェア構成要素は、定常状態の放射、および放射種の非定常状態の放射に対応する第2の部分を含む単一の画像を生成するように構成されている。一部の実施形態では、放射期間の第1の部分は、放射期間の第2の部分と完全に異なる。ある特定の他の実施形態では、放射期間の第1の部分は、放射期間の第2の部分と少なくとも部分的に重複する。
【0156】
一部の実施形態では、単一の画像は、複数の他の放射期間に対応する後続の部分を含む(例えば、非定常状態の放射信号が検出され得る放射期間にわたる)。一部の実施形態によれば、単一の画像は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10または少なくとも20の部分を含んでもよく、それぞれが、放射期間の様々な部分または異なる放射期間に対応する。一部の実施形態では、単一の画像は、2~5の部分、2~10の部分、2~20の部分、5~10の部分、5~20の部分または10~20の部分を含む。一部の例では、単一の画像を生成するように構成されている電子ハードウェア構成要素は、必ずしも、画像を生成しなくてもよく、異なる出力(例えば、電子信号)を代わりに提供してもよい。
【0157】
一部の実施形態では、画像センサーおよび/または電子ハードウェア構成要素は、カメラ(例えば、デジタルカメラ)および/または電話(例えば、スマートフォン)に組み込まれる。一部の実施形態では、カメラおよび/または電話は、電磁線(例えば、放射されたおよび/または反射された電磁線)を検出するように構成された複数の画像センサーを含む。ある特定の場合では、カメラおよび/または電話は、1つまたは複数のさらなるセンサー(例えば、個体の位置および/または挙動を感知するように構成されたセンサー、光、音響および/または磁場を感知するように構成されたセンサー)を含む。一部の場合では、カメラおよび/または電話は、モバイル分光法用途に使用されてもよい。
【0158】
例示的な実施形態では、化学種または生物種によって生成する放射が検出可能な信号を生成するように、化学種または生物種を励起させるように構成されている励起構成要素、検出可能な信号を感知するように構成されている画像センサーであって、検出可能な信号が、時間依存的放射信号を含む、画像センサー、および収集した放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素であって、単一の画像が時間依存的放射信号を含む、電子ハードウェア構成要素を備える、システムが提供される。
【0159】
別の例示的な実施形態では、一定期間にわたり化学種または生物種の変化を識別するための方法であって、これらの種を刺激し、それにより10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する検出可能な放射を生成する、ステップ、画像センサーを使用して検出可能な放射の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、種を刺激した後の第1の期間に対応し(例えば、定常状態の光子放射を含む、非定常状態の光子放射を含む)、単一の画像の第2の部分が、種を刺激した後の第1の期間とは異なる第2の期間に対応する(例えば、非定常状態の光子放射を含む)、ステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、化学種または生物種の変化を決定するステップを含む、方法が提供される。
【0160】
別の例示的な実施形態では、化学種または生物種の特徴を識別するための方法であって、これらの種を刺激して、それにより、これらの種が10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する検出可能な放射を生成するステップ、画像センサーを使用して検出可能な放射の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、種を刺激した後の第1の期間に対応し、単一の画像の第2の部分が、種を刺激した後の第1の期間とは異なる第2の期間に対応する、ステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、これらの種の特徴を決定するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、定常状態の光子放射に対応し、単一の画像の第2の部分は、第1の定常状態の光子放射と異なる、非定常状態の光子放射に対応する。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射からのデータは、単一の画像の複数の他の部分を生成して、単一の画像の異なる部分間の差に基づいて、種の特徴を決定することができる。
【0161】
さらに別の例示的な実施形態では、物品の特徴を識別するための方法であって、化学タグを含有すると思われる物品に近接して画像センサーを位置付けるステップ、物品を刺激し、それにより、化学タグは、存在する場合、検出可能な放射を生成するステップ、画像センサーを使用して検出可能な放射の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、分析物を刺激した後の第1の期間に対応し、単一の画像の第2の部分が、分析物を刺激した後の第1の期間とは異なる第2の期間に対応する、ステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む、方法が提供される。
【0162】
例示的な実施形態では、刺激の存在を検出するための方法であって、化学タグを含む物品を、刺激を含む条件のセットに曝露させるステップであって、化学タグが刺激の存在下で、化学反応および/または生物学的反応および/または会合を受ける、ステップ、物品に近接して画像センサーを位置付けるステップ、画像センサーを使用して化学タグを含む物品の部分の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、物品を曝露させた後の第1の期間に対応し、単一の画像の第2の部分が、物品を曝露させた後の、第1の期間とは異なる、第2の期間に対応する、ステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、物品の特徴を決定するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、単一の画像の第1の部分は、定常状態の光子放射に対応し、単一の画像の第2の部分は、第1の定常状態の光子放射と異なる、非定常状態の光子放射に対応する。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射からのデータは、単一の画像の複数の他の部分を生成して、単一の画像の異なる部分間の差に基づいて、種の特徴を決定することができる。他の実施形態では、複数の画像が、類似の様々な条件下で収集されて、物品の特徴を決定する追加の非定常状態の光子放射データを検出することができる。
【0163】
別の例示的な実施形態では、物品の特徴を識別するように構成されているシステムであって、条件のセット下で10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する検出可能な放射を生成することが可能な、物品に関連付けられた化学タグ、化学タグによって生成する放射を収集するように構成されている画像センサー、収集した放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素、および条件のセット下で、化学タグを刺激するように構成されている発生源を備え、単一の画像が、第1の部分および第2の部分を含み、第2の部分が、発生源による化学タグの刺激によって得られた第1の部分とは異なる時間(および/または、これらとは異なる非定常状態の条件下)に得られ、第1の部分と第2の部分の特性の差が、物品の特徴と関連付けられる、システムが提供される。
【0164】
さらに別の例示的な実施形態では、化学タグの特徴を識別するように構成されているシステムであって、条件のセット下で10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する検出可能な放射を生成することが可能な化学タグ、化学タグによって生成する放射を収集するように構成されている画像センサー、収集した放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素、および化学タグを刺激するように構成されている発生源を備え、単一の画像が、第1の部分および第2の部分を含み、第2の部分が、第1の部分とは異なる条件下、および/または発生源による化学タグの刺激後の異なる時間に得られ、第1の部分と第2の部分の特性の差が、化学タグの特徴と関連付けられる、システムが提供される。他の場合、画像は、第3、第4、第5および第6の部分を第1および第2の部分と組み合わせることによって生成することができる。部分の数は、さらに多くてもよく、手近な適用に必要な所望のレベルの複雑さに関係するであろう。さらに、物品の所与の読み取りでは、潜在的な放射種の選択的励起、物理的な位置、配向、環境、配向、寿命などの結果として、これらの潜在的な放射種のサブセットしか読み取られないことがある。物品の複数の読み取りを使用して、連続する個々を読み取るために様々な方法が使用されてもよい。
【0165】
一部の例示的な実施形態では、刺激は、単一パルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度またはそれらの組合せとして提供される電磁線を含む。一部の実施形態では、単一パルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度またはそれらの組合せは、電磁線の一定刺激に加えて供給される。例示的なパルス期間およびパルス速度は、以下に一層詳細に記載されている。
【0166】
一部の例示的な実施形態では、刺激は、選択した放射種を励起させる、離散的な波長範囲の電磁線を含む。
【0167】
一部の例示的な実施形態では、刺激は、スマートフォンまたはカメラからのフラッシュによって行われ、シャッター、電子信号、屈折材料、光学モジュレータ、鏡または光弁によって変調され、および/または蛍光もしくはLED光によって行われる。
【0168】
ある例示的な実施形態では、特徴は、様々な励起を用いて撮影したいくつかの画像の分析から抽出され、および/または様々な角度、距離もしくは配向における1つまたは複数の画像を収集することから抽出される。
【0169】
一部の例示的な実施形態では、種は、包装構成要素に関連付けられる。
【0170】
一部の例示的な実施形態では、種は、種を刺激すると、化学的および/または生物学的反応を経る。
【0171】
一部の例示的な実施形態では、分析物への曝露により、放射種の強度の変化、および/または10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する種の寿命の変化を引き起こす。
【0172】
一部の例示的な実施形態では、第2の刺激は、放射の損失、または物体内部にある1種もしくは複数の放射種の第1の刺激の遮蔽を引き起こす。
【0173】
一部の例示的な実施形態では、第2のシミュレーションは、色の生成、または吸収および/もしくは放射の変化を含む。
【0174】
一部の例示的な実施形態では、異なる第1、第2および追加の刺激を組み合わせると、100ナノ秒~100ミリ秒の経過にわたり取得される画像の変化を引き起こすことができる。
【0175】
一部の例示的な実施形態では、化学タグは、物品を刺激すると、化学的および/もしくは生物学的反応を経る、ならびに/または物品の刺激は、化学タグにおける化学的および/もしくは生物学的反応を生じさせることを含む。
【0176】
一部の例示的な実施形態では、化学タグは、10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する少なくとも1種の放射色素を含む。
【0177】
一部の例示的な実施形態では、ローリングシャッター構成要素は、画像センサーに関連付けられる。
【0178】
一部の例示的な実施形態では、化学タグは、刺激の存在下で、10ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する、検出可能な放射を発生する。
【0179】
一部の実施形態では、様々な放射材料に関連付けられる寿命、およびそれらの他の特徴を使用して、情報を生成する。例えば、一定の静的照明下で撮影した画像(または信号)、および/または白色光のフラッシュ後の一定期間に撮影したもの、または一連の迅速なフラッシュ中に撮影したもの、または1つまたは複数の周波数で光強度が連続的に変化する間に取得したものを組み合わせると、複雑なまたは乱れたバックグラウンドの存在下で、特定の信号を区別することができる。一部の実施形態では、放射材料が一定の強度の光源によって励起されている間に取得された光は、定常状態の光子放射と称される。理論によって拘泥されることを望むものではないが、一部の実施形態では、放射材料は、定常状態の光子放射プロセスで活性化されるであろう。電磁線の励起源が除かれた後に、または励起がパルス化によって、もしくはローリングシャッターによって画像が取得される速度に類似した周波数における強度の連続的変調によって励起が変わる間に検出可能な信号が取得される実施形態では、非定常状態の光子放射事象と称される。例えば、非定常状態の光子放射事象に関連付けられる物質は、10ナノ秒より長い励起状態の寿命を一般に有する。
【0180】
一部の実施形態では、励起光が、非定常状態の光子放射事象において変わる時間領域は、一部の場合、画像が収集される経過時間の10倍(長いまたは短い)以内にある。しかし、一部の実施形態では、この時間は、画像が収集される経過時間の10倍(長いまたは短い)以内にある。一部の実施形態では、この時間は、画像が収集される経過時間の100倍(長いまたは短い)以内にある。一部の実施形態では、この時間は、画像が収集される経過時間の1,000倍(長いまたは短い)以内にある。
【0181】
有利には、一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステム、組成物および方法を、化学種/生物種(または、化学種/生物種が関連付けられる物品)の検出、識別、認証および/または特徴付けのためにさらに改変することなく、消費者用電子機器と連携して使用され得る。例えば、例えばスマートフォンを含めた消費者用電子機器に組み込まれものなどの、デジタルカメラは、物体を照明する(例えば、自然の日光に近い、色調のバランスのとられた光を用いる)よう設計されている発光ダイオード(LED)源(複数可)に、一般に依存する。このような光は、一般に白色光と称される。有利には、消費者用電子機器に白色光を使用することにより、一般に、自然光の照明から予期されるものと実質的に同じ色のバランスを有する画像の記録が可能となる。しかし、本明細書における記載は、一般に、消費者用電子機器に関連付けられる電磁線の発生源を指すが、当業者は、本明細書の教示に基づくと、他のタイプの白色光源が可能であることを理解すると思われる。例えば、建築物の内部空間は、一部の場合、白色光源を用いて照明される。一部の実施形態では、白色光源は、ヒトの眼によって一般に検出可能ではない周波数で変調され、および/または点滅されている。一部のこのような実施形態では、物品への非定常状態の励起をもたらすことができる。有利には、一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステム、組成物および方法は、このようなどこにでもある白色光源を利用する(例えば、一部の実施形態では、追加のフィルターまたは構成要素を必要としないで)ように構成されていてもよい。一部の実施形態では、電磁線のこのような発生源が、放射材料(複数可)を励起させるために使用されてもよい。
【0182】
本明細書に記載されている実施形態は、一般に、例えば、化学的感知、生物学的感知、環境的感知、熱的曝露評価、光曝露、湿度曝露、放射線曝露、物理的変化および/または製品認証に有用である(例えば、放射性素子として白色光により励起可能な物質を使用する)。例示的な一連の実施形態では、1種または複数の放射種の応答は、消費者用電子機器によって捕捉されてもよい。一部の実施形態では、消費者用電子機器は、デジタルカメラ(例えば、読み取り装置および/またはセンサーとして機能する)を備えるスマートフォンである。一部の実施形態では、消費者用電子機器は、1種または複数の放射種(例えば、白色光により励起可能な放射種)からの放射のための電磁線の発生源およびそれらを検出することが可能なセンサーの両方を備える。
【0183】
スマートフォンは、一般に、例示的な消費者用電子機器として本明細書に記載されているが、当業者は、本明細書の教示に基づいて、他の消費者用電子機器もまた可能であること、および/またはスマートフォンの画像取り込み用電子機器および/または関連する光源などの消費者用電子機器を一般に構成する個々の構成要素を消費者用電子機器なしに使用することができることを理解している。例えば、電磁線の発生源(例えば、白色光を生成するように構成されている)は、一部の場合、消費者用電子機器に物理的に一体化されていない、白色光の励起源(例えば、発光ダイオード(LED))であってもよい。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、消費者用電子機器に一体化されている構成要素である。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、消費者用電子機器の外部構成要素である。電磁線の好適な発生源の非限定例には、フラッシュ、懐中電灯、トーチ、LED、光ファイバ、レーザー、紫外線-可視光ランプ(例えば、重水素、タングステンハロゲン)、白熱電球などが含まれる。上記および本明細書に記載の通り、有利には、および一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステムの使用は、アプリケーションプログラム(app)が装備されている場合、放射種(放射体)を励起させるために使用され、かつ任意の生じた光子放射事象(例えば、波長および/または時間の変化する事象)から導かれる情報を読み取るためにやはり使用することができる、スマートフォン(またはタブレット、コンピュータ、デジタルカメラなど)などの、非改造消費者用電子機器の使用を含んでもよい。一部の実施形態では、このような放射事象(例えば、光子放射)は、目的の化学物質の存在または非存在、生物学的診断アッセイの結果、それらの累積的な熱的または光学的曝露を検出することによる物体の品質、物理的操作の証拠、目的分子の存在、および/または製品の真正性などの重要な情報を伝達することができる。本発明の一部の実施形態では、この情報は、複雑なバックグラウンド環境(例えば、電磁線の発生源に加えて、1つまたは複数の迷光源を含む)の存在下で読み取ることができる。一部の場合、他のすべての迷光源を排除するように、光子放射を読み取るのが有利となり得る。
【0184】
本開示の全体にわたる記載から明白な通り、本発明は、上記の多数の変形形態を含み、いかなる特定のタイプの消費者用電子機器、電磁線の発生源、センサー(例えば、CMOSセンサー)などにも限定されない。
【0185】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている電子ハードウェア構成要素の1つまたは複数が、制御装置および/または(マイクロ)プロセッサを備える。一部の実施形態では、制御装置は、構成要素および/またはスマートフォン(または、他の消費者用電子機器)のうちの1つまたは複数の構成要素を出入りするデータコマンドを受信および送信するように構成されている(例えば、プログラムされている)。一部の実施形態では、データは、1つまたは複数のセンサーに由来する1つまたは複数の信号を含む。一部の実施形態では、制御装置は、外部測定基準に基づいて、様々なパラメータを調節するように構成され得る。例えば、一部の実施形態では、制御装置は、制御装置と電気通信しているセンサーからの信号に応答して、電磁線の波長、パルス、周波数、電磁線の発生源の操作などを調節するように構成されている。一部の実施形態では、制御装置は、使用者からの入力および/またはセンサーからの信号に応答して、電磁線の波長、パルス、周波数、電磁線の発生源の操作などを調節する。
【0186】
本明細書に記載されている実施形態は、多数の方法のうちのいずれかで実施されてもよい。例えば、実施形態は、任意の好適なタイプのアナログおよび/またはデジタル回路によって実施されてもよい。一部の実施形態では、実施形態は、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せ物を使用して実施されてもよい。ソフトウェアを使用して実施される場合、好適なソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、または複数のコンピュータ(または他の消費者用電子機器)間に割り当てられるかにかわらず、任意の好適なプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)またはプロセッサの集合体を含む処理回路で実行することができる。上記の機能を実行する任意の構成要素または構成要素の集合体は、一般に、上で議論した機能を制御する1つまたは複数の制御装置と見なすことができることを理解すべきである。1つまたは複数の制御装置は、上で列挙した機能を行うための、専用ハードウェアによる、またはマイクロコードもしくはソフトウェアを使用してプログラムされた1つまたは複数のプロセッサによるなどの、様々な方法で実施され得る。1つまたは複数の実施形態は、上で列挙した機能を実行するための、専用ハードウェア、またはマイクロコードもしくはソフトウェアを使用してプログラムされた汎用ハードウェア(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)を用いるなどの、多くの方法で実施され得る。
【0187】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態は、他のデバイス/システムとの好適な通信を可能にするための無線性能を含む(例えば、電子構成要素(複数可)の態様を制御するため、電磁線の発生源を制御するため、センサーまたは他の構成要素を制御するため)。無線デバイスは、一般に当分野で公知であり、一部の場合、LTE、WiFiおよび/またはブルートゥース(登録商標)システムを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステムおよび/またはデバイスは、このような無線デバイスを備える。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態は、外部測定基準に基づいて、様々なパラメータを調節するように構成されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、本システムは、電磁線の発生源からの電磁線の速度、波長、パルス、変調、強度などを調節するよう構成されている(例えば、システムと電気通信または無線通信している、および/またはシステムに関連付けられるセンサーおよび/または消費者用電子機器からの信号に応答して)。一部の実施形態では、本システムは、使用者からの入力、ならびに/またはセンサーおよび/もしくは消費者用電子機器からの信号に応答して、電磁線の発生源からの電磁線の速度、波長、パルス、変調、強度などを調節する。
【0189】
一部の実施形態では、本システムは、電源と関連付けられる、および/またはこれを備える。電源は、1つまたは複数の電池、光起電力セルなどの任意の適切な物質(複数可)を含むことができる。好適な電池の非限定例は、Liポリマー(例えば、100~1000mAhの間の電池寿命を有する)、Liイオン、ニッケルカドミウム、ニッケル金属ヒドリド、酸化銀などを含む。一部の場合、電池は、生理学的および/または外部の測定基準および/または信号(例えば、使用者による)に応答して、電圧を(例えば、本明細書に記載されている分解性物質に)印加することができる。例えば、電圧は、例えば、本明細書に記載されている熱感受性分解性構成要素に電圧を印加することによって、常駐構造体の出口をトリガするために使用することができる。例えば、分解性構成要素(複数可)に印加される電圧の平均の大きさは、0.001~0.01Vの間、0.01~0.1Vの間、0.1V~10.0Vの間、1.0V~8.0Vの間、2.0V~5.0Vの間、0.1V~5.0Vの間、0.1V~1.5Vの間、0.1V~1.0Vの間、1.0V~3.0Vの間、3.0V~8.0Vの間、または任意の他の適切な範囲にあることができる。
【0190】
任意の電子部品回路は、任意の好適なタイプのアナログおよび/またはデジタル回路によって実装され得る。例えば、電子部品回路は、ハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組合せを使用して実装され得る。ソフトウェアを使用して実施される場合、好適なソフトウェアコードは、任意の好適なプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)またはプロセッサの集合体で実行することができる。1つまたは複数の電子部品は、上記の機能を実行するための専用ハードウェアにより、またはマイクロコードもしくはソフトウェアを使用してプログラムされた汎用ハードウェア(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)によるなど、多くの方法で実施することができる。
【0191】
この点で、本明細書に記載されている実施形態の1つの実装は、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数の実施形態の上で議論した機能を実施するコンピュータプログラム(すなわち、複数の実行可能な命令)で符号化された、少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、または他の有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体)を含むことを理解すべきである。さらに、実行されると、上で議論した機能のいずれかを実施するコンピュータプログラムを言う場合、ホストコンピュータ上で実行されるアプリケーションプログラムに限定されないことを理解すべきである。むしろ、コンピュータプログラムおよびソフトウェアという用語は、本明細書において、一般的な意味で、本明細書において議論されている技法の態様を実施するよう、1つまたは複数のプロセッサをプログラムするために使用することができる任意のタイプのコンピュータコード(例えば、アプリケーションソフトウェア、ファームウェア、マイクロコードまたは任意の他の形態のコンピュータ命令)を参照するために使用される。
【0192】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステムおよびデバイスは、光検出器(「光センサー」または「光検出素子」とも呼ばれる)などの1つまたは複数の光学検出器を備え、光または他の電磁線を電気信号(例えば、電流、電圧)に変換する任意の構成要素を含むことができる。好適な光検出器の非限定的な例には、光トランジスタおよび光ダイオードが含まれる。画像センサーアレイ(光検出器を含む)の非限定的な例には、電荷結合素子(CCD)アレイおよび相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイが含まれる。
【0193】
例として、スマートフォンは、現在、一般にCMOSベースの光学検出器(イメージングチップ)を活用して光を検出する。これらのチップの感度(ISO)とそれらが光を収集する期間(露光時間)は異なる場合があり、これらの機能は、通常、写真を撮る際にスマートフォン(または他の消費者用電子機器)によって自動的に実行される。光学検出システムが画像を取得する速度は、一般に、シャッター速度と呼ばれる。以前のフィルムベースのカメラでは、シャッターは物理的なデバイスであったが、スマートフォンでは、カメラのシャッターは、通常、本質的に電子による。電子シャッター事象を生じさせる1つの例示的な方法は、画像収集が、直列の光検出素子の様々な行または列の出力値を読み取ることによって達成されるので、一般にローリングシャッターと呼ばれる。これらの信号が蓄積される方法の結果として、一部の場合、画像の取得中に連続する行(または列)を読み取る間のわずかな時間遅延が生じることがある。一部の実施形態では、この時間符号化信号は、放射種(または放射種に関連付けられる物品)の特徴を識別するための情報を提供することができる。
【0194】
電子シャッターを生成する別の例示的な方法は、一般に、グローバルシャッターと呼ばれる。この方法はまた、例えば、画像収集方法のサイクル時間が放射寿命の様々な時間点でデータを取り込むように構成されている場合、非定常状態の光子放射情報を取り込むために使用することもできる。
【0195】
有利には、本明細書に記載されている実施形態は、時間遅延および特徴的な速度で光を発する放射性素子を使用することによって複合情報を生成する能力を活用し、ローリングシャッター機構を使用する画像取得に関連付けられる時間遅延によって取り込まれ得る情報を生成する。
【0196】
画像は、検出システムからの1個または複数のピクセルの集合体であり、ピクセルの集合体を通してパターンを見る能力、または複数のピクセル出力を使用することによって平均値を信号で送信する能力が、本開示の一部の実施形態で使用される。これらの方法では、光が放射種を励起させると同時に画像を取得し、照明が除去された後、または強度が変化した後に取得された画像と組み合わせることができる。反射光または散乱光から生じる一部の光子は、同時照明で観察可能であり、光源は事実上周囲のものとすることができる。画像が取得される多くの場合(一例は、スマートフォンで写真を撮ること)、単一の画像が単に一時的に取得されるだけでなく、単一の画像の一部が様々な時間に撮影されて(非常に短い時間間隔にわたるが)、単一の画像を構築する。例えば、画像の一部(例えば、上部)は、画像の別の部分(例えば、下部)とは非常にわずかに異なる時間に取得される。スマートフォン(または他の消費者用電子機器)のカメラの場合、「シャッター」(例えば、電子シャッター)は、画像における場所に応じて様々な時間に画像の一部が形成されるのを遮蔽し、その結果、画像全体が過剰曝露されず、任意の特定の時間において、画像全体ではなくある部分が記録されるが、経時的に(非常に短い)、画像全体が構築される。画像の特定の部分がいつ入手されたかを知ることにより、それらの2つ(またはそれより多く)の様々な時間および/または画像形成の全期間(または、その期間の一部)において、そのような画像の対象に何が起こったかに関する情報を識別することができる。例えば、放射種の特色(化学種または生物種、放射タグなど)が画像形成の時間スケールで変化する場合、形成された単一の画像を使用して、その変化(複数可)に関する何かを判定することができる。一部の実施形態では、画像全体(または複数の画像)は、目的の信号に関係しないかなりの量のデータを含み、その分析は、選択されたピクセル数に依存し得る。一部のこのような実施形態では、ピクセルの選択された特色または数は、画像、および/または測定からの情報を構築することができる。一部の実施形態では、ピクセルは、信号の空間分布を表すデータを生成するために組み合わされる。例えば、画像は、水平方向に関して信号の垂直線を明らかにすることができる。一部の実施形態では、垂直および水平は、相対的な方向であり、一般に、絶対的な方向ではない。様々な放射種の空間パターンは、収集された情報を計算により分析する方法に関してデバイスに通知することができる。一部の実施形態では、信号の分析は、垂直方向に沿ったピクセルの強度の合計を含むことができる。一部の実施形態では、水平次元におけるこれらの合計された強度のプロットは、バックグラウンドに対する線の総強度を分析するための方法を提供する。一部の場合、較正信号と連携したこのような分析を使用して、定量的な測定値を生成することができる。
【0197】
有利なことに、散乱光および反射光からの光子は、白色光源を用いて照明されると、増強することができる。迷(バックグラウンドまたは周囲)光がない場合、励起光をオフにすると、純粋に反射または散乱する物質からの画像は検出されない。ローリングシャッターによって実行される、光学検出器の個々の行または列の連続読み取りによって画像が取得される速度と同様の大きさの励起状態の寿命を有する白色光により励起可能な放射体の場合、得られた画像から情報を抽出することが可能である(例えば、ただし、励起が定常状態モードにないことを条件とする)。これらのより長寿命の信号は、励起光が除去された後も持続し、光子放射が起こる時間スケールは、その物質の励起状態の寿命に関連する。変調された非定常状態の励起の場合、より長寿命の信号は、一部の場合、より長寿命の種に関連付けられる光子放射の位相において位相シフトをもたらすことがある。
【0198】
本開示の全体にわたる記載から明白な通り、本発明は、上記の多数の変形形態を含み、いかなる画像の特定のタイプ、画像数、画像を取得するために使用される装置のタイプなどにも限定されない。
【0199】
本発明における方法は、物品の特徴である放射された光を検出する。例えば、放射された光の第1の部分は、一部の実施形態では、物品によって吸収されない反射光または散乱光となることがあり、吸収された放射された光の第2の部分は、熱として放散されることがあるか、または特徴的な速度で光子を放射することができる励起状態を生成することがある。放射された光は、一部の場合、一定強度の励起が適用されるのと同時に測定され得る(例えば、それにより、定常信号が定常状態の光子放射事象となる)。一部の実施形態では、時間成分が放射された光の収集に対する励起に存在する場合、非定常状態の放射が生じる。時間成分は、例えば、すべてもしくは様々な波長での励起強度の時間変調、偏光の時間依存的変化、または励起光が除去された後の遅延とすることができる。一部の実施形態では、物品は、放射種を含む放射材料に関連付けられる。一部の場合、放射種は、本明細書に記載されている放射寿命を有する。当業者は、例えば、画像センサーの時間分解能に基づいて、好適な放射タイムラインが選択され得ることを理解すると思われる。一部の画像センサーの場合、好適な寿命はミリ秒の程度となることがある一方、他の画像センサーの場合、好適な寿命はマイクロ秒の程度となることがある。例えば、時間応答が速い画像センサーにより、一般に、励起状態の寿命が短い放射種を使用して、寿命ベースの画像を取得することが可能となる。一部の場合、放射種の特徴(例えば、識別、真正性、年齢、品質、純度、存在)は、放射種に関連する時間依存的情報を含む画像(または一連の画像)を取得することによって決定されてもよい。ある例では、例えば、放射種の放射寿命は、画像(または一連の画像)から決定することができる。放射種の放射寿命は、これらに限定されないが、他の分子(例えば、水、酸素、一酸化炭素)への結合または接近、物理的変化、温度、pHおよび放射線曝露を含むいくつかの要因によって改変されることがあるので、放射寿命の測定長さ(例えば、観察される放射寿命、放射期間)は、関連付けられる物品の特徴に関する情報を提供することができる。一部の例では、1種または複数の放射種を含む放射材料は、関連付けられる物品を識別するため、および/または認証するために使用されてもよい。しかし、一部の実施形態では、本システムは画像を生成する必要はない。例えば、センサーから収集したデータは、本明細書に記載されている通り、放射種の特徴/識別に対応する情報を提供するために使用されてもよい。
【0200】
一部の実施形態では、多数のスマートフォンおよびデジタルカメラに使用されるローリングシャッターと呼ばれるものを使用して時間分解能を提供することができるシャッター機構が使用される。この非定常状態の光子放射データ/画像は、一部の実施形態では、定常状態の光子放射データ/画像と組み合わせて、物品に関する特徴を提供することができる。ローリングシャッターは、一般に、電子機構であり、イメージングチップの電子読み取りに関係する。より古いカメラにおいて使用されている従来のシャッターと同様に、チップが読み取られる速度は様々となり得る。スマートフォンまたはデジタルカメラでは、チップが光検出素子の行または列を立て続けに連続して読み取ることにより、チップに投影された光を検出する。この読み取りによる時間遅延により、デバイスは、放射種の寿命の関数としての情報を抽出することができるよう、挙動することが可能となる。この情報は、様々な行もしくは列を読み取ることによって単一の画像から抽出することができる、または様々なタイプの励起およびローリングシャッターの読み取り条件で収集した多数の画像の重ね合わせから抽出することができる。例えば、強度が時間と共に変化する励起をローリングシャッターと連携して使用し、寿命データを取得することができることが可能である。一部の実施形態では、励起が変調される速度は、広い範囲にわたって変化することがあり、理想的には、時間内に様々な放射種の励起状態の寿命と時間が同様のサイクル期間に近づく。画像収集(ローリングシャッター)速度および励起条件を変えることにより、一部の実施形態では、様々な放射種を選択的に検出し、バックグラウンド信号を最小化することが可能である。この方法により、生物学的アッセイ内で異なる励起状態の寿命を有する複数の様々な種の選択的検出が可能になることも注目に値する。一部の実施形態では、画像および/またはデータは、定常状態の光子放射事象および非定常状態の光子放射事象の両方の分析によって情報が生成されるよう収集される。この特色は、放射種の色度(波長)および光の偏光を使用して光学的ノイズを低減する方法と組み合わせることができる。一部の実施形態では、読み取り装置は、ローリングシャッターを使用する従来のスマートフォンである。スマートフォンの特徴は、励起とローリングシャッターの速度の間のタイミングである。励起がパルス化され、単一のパルスの後に画像全体が収集され得る。代替的に、励起は、単一の画像の収集中に複数回パルス化され得る。さらに、励起は、ローリングシャッター機構を使用して、画像の収集全体を通して1つまたは複数の変化する周波数で連続的に変調され得る。異なる励起周波数とローリングシャッター速度の組合せを有する一連の画像を決定することも可能である。一部の場合、読み取り装置は、最初に多数の異なる励起条件およびローリングシャッター条件においてデータを収集する。計算法を使用して、これらの試行励起およびローリングシャッター条件のどの組合せが優れた信号を生成するかを決定することができる。最適な条件下でこの信号を抽出、または読み取り装置が追加の測定を行うことができる。この概念を例示する例として、1回の分析(または試行測定)に10ミリ秒かかる場合、1秒間に100回の個別の測定を行うことができる。これらの方法で、スマートフォン、デジタルカメラまたは検出用デバイス(読み取り装置)を有利に使用して、複雑なバックグラウンドで特定の寿命を有する信号を選択的に検出することができる。例えば、一部の条件下では、デバイスを使用して、遅延燐光を検出し、遅延蛍光、即発燐光および比色信号を大幅に除外することができる。代替的に、他の条件下で、デバイスを使用して、遅延燐光および比色信号よりも遅延蛍光および即発燐光を優先的に検出することができる。しかし、これらの選択的検出事象は、それ自体は有用であるが、追加情報を含む他の画像と連携して使用すると、有利なことに大幅に強化されることが明白である。例えば、本明細書に記載されている画像解析技術のいずれかの一対の組合せを使用することができる。信号のいずれかを検出するために収集された複数の画像(例えば、定常状態および非定常状態の光子放射事象から)を融合することができる。いくつかの状況では、複数の画像(および/またはデータセット)の使用を信号の平均化と見なすことができ、これによって、一般に、平均化された信号数の平方根に等しい速度で信号対ノイズ比が向上する。
【0201】
一部の実施形態では、波長および寿命が変化する光学的画像を組み合わせることにより、情報を抽出および/または符号化することができる。物品が光学的に励起されていると、一部の実施形態では、反射光子、および光学的励起によって生じる励起状態(複数可)の緩和から生じるものからなる放射(複数可)が検出され得る。例えば、励起光が一定の強度である場合、励起光がオン状態にある間、放射は不変となり得る。このような静的状況は、本明細書に記載されている通り、一般に定常状態の光子放射事象となる。一般的に、定常状態モードにおける光の色は、一般に減色と呼ばれるものによって生成される色と、放射材料の励起状態の緩和によって放射される色の組合せになろう。理論によって拘泥されることを望むものではないが、減色は、一般に、ある特定の波長が材料によって吸収され、励起状態の一部またはすべてが熱機構によって基底状態に緩和する結果である。一部の実施形態では、光の熱への変換は、電磁スペクトルの赤外領域における放射の増加をもたらすが、CMOSイメージングシステムによって検出される波長ではもたらさない。
【0202】
一部の場合、励起光をオフにすると、反射光しか周囲の迷光によって引き起こされることがない。一部の実施形態では、迷光が存在する。例示的な一連の実施形態では、迷光を防止し、実質的にすべての形態の反射光を排除することが有利である。
【0203】
一部の実施形態では、変化する励起で、または励起光源が除去された(オフにされた)後に収集された画像(または等価のもの)は、時間の関数として強度が変化することがあり、一般に非定常状態の光子放射事象となる。一般に、励起状態の寿命が<10ナノ秒(ns)である励起された放射材料もまた、例えば励起光源をオフにした後では、CMOSイメージング法では効率的に検出されない。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これは、ローリングシャッター機構が、光源がオフになって10ns以内に光を効率的に取り込むことができない結果である。一部の実施形態では、寿命が<10nsである放射種は、即発蛍光を示すと言われており、定常状態の光子放射事象として検出され得る。しかし、一部の場合、より長寿命の放射種が、光源がオフになった後にCMOSイメージングシステムによって検出されることがあり、一般に非定常状態の光子放射事象となる。本明細書に記載されている実施形態によれば、非定常状態の光子放射事象として検出することができる、より長寿命の放射を示す複数のタイプの好適な物質が存在する。例として、およびそのように限定されることを望むものではないが、連続的に変調された励起源を用いた場合、散乱/反射/即発蛍光および非定常状態の光子放射が測定全体に存在し得るが、散乱/反射/即発蛍光の光子放射は、変調した励起と同じ変調波形を有することがあり、非定常状態は、励起に対して光子が放射される際の遅延を反映するその変調された放射の波形に差を有し得る。変調された放射からの波形は、必ずしも直接検出される必要はないが、例えば、ローリングシャッター機構によってある期間にわたり収集された画像において、フィーチャーを生成することができる。
【0204】
例えば、遅延放射を示す物質には、一般に熱活性化遅延蛍光(TADF)と呼ばれるものを受ける系が含まれる。これらの物質は、エネルギーが非常に近い一重項(電子スピンが逆平行に整列)および三重項(電子スピンが平行に整列)励起状態を一般に有する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これらの状態を分離するエネルギーが十分に小さい場合、それらの状態は熱平衡にあり、この平衡では、電子スピンはスピン軌道結合機構によって反転する可能性がある。励起状態の三重項から基底状態の一重項への効率的な放射緩和に必要な大きなスピン軌道結合を実現することが可能な重原子が存在しない場合、三重項状態は非常に弱い放射となるか、または実質的に暗状態にあると言われることがある。三重項状態は、一般に、一重項状態よりもエネルギーが低く、したがってこの状態の平衡集団は一重項状態よりも高いであろう。しかし、励起状態が一重項電子配置にある場合、基底状態への放射緩和は効率的である。結果として、放射の遅延は、励起状態が暗い三重項状態で時間の一部を消費した結果である。
【0205】
遅延蛍光を生成するための他の方法には、放射材料における、ねじれた電荷移動励起状態、および再結合して励起一重項電子状態を生成することができる他の準安定電荷分離状態が生成される系の使用が含まれる。
【0206】
一部の実施形態では、TADFプロセスは、単一分子内で起こり得る。一部のこのような実施形態では、π共役有機分子は、一般に、電子供与基および電子受容基の置換パターンを有する。分子のある種のパターンにより、最高被占軌道(HOMO)が、最低空軌道(LUMO)との重なりが少ない分子全体に特別な分布を有することが可能となる。分子は光で励起されることができ、最も低いエネルギーで励起された一重項状態に急速に熱的に平衡化する。一部の場合、元のHOMOに似た軌道を占有する1個の電子と、元のLUMOに似た軌道を占有する1個の電子が存在する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これらの2個の電子間の軌道の重なりが小さいと、三重項状態のエネルギーが一重項に非常に近くなる。このエネルギーの近接により、一般に、一重項状態と三重項状態との間で熱相互変換が可能になり得、これが、TADF効果の一因となる。
【0207】
一部の実施形態では、TADF系を生成するための代替手法は、2つの別個の分子を一緒にすることである。一部のこのような実施形態では、分子の1つは電子供与体として挙動し、もう一方の分子は電子受容体として挙動する。それらの分子のπ軌道が相互作用することができるよう、これらの分子が相互に対して配置された場合、ドナー分子はその電子密度の少量をアクセプター分子に供与することができる。このような相互作用は、一般に、基底状態の電荷移動錯体と言われる。一部の実施形態では、HOMOはドナー分子上にあり、LUMOはアクセプター分子上にある。光子を吸収すると、電荷移動が大幅に増強されることがあり、一部の場合、ドナーからの電子がアクセプターに移動すると近似されることが多い。このような光子吸収によって形成される励起状態の錯体は、一般に、エキシプレックスと称される。理論によって拘泥されることを望むものではないが、励起状態は2つの半分が充填された軌道を有し、一方の軌道はドナー分子の元のHOMOに類似しており、もう一方の軌道はアクセプター分子の元のLUMOに類似している。この状況により、一般に、2つの半分が充填された軌道間の重なりが小さくなり、一重項励起状態と三重項励起状態の間に小さなエネルギー差が生じる。例えば、エキシプレックスの一重項状態と三重項状態の小さなエネルギー分離により、それらの平衡化が可能になり、一般にTADF効果の一因となる。
【0208】
一部の実施形態では、効率の高いTADF放射体の寿命は、10nsより長く、50マイクロ秒未満(例えば、10ns~20ns、10ns~50ns、10ns~100ns、10ns~500ns、10ns~1μs、10ns~5μs、10ns~10μs、10ns~50μs、10ns~100μs、10ns~500μs、10ns~1ms、10ns~5ms、10ns~10ms、10ns~50ms、10ns~100ms、10ns~500ms、10ns~1s、10ns~5s、10ns~10s、50ns~100ns、50ns~500ns、50ns~1μs、50ns~5μs、50ns~10μs、50ns~50μs)であるが、一層長い寿命が可能である。一般に、および理論によって拘泥されることを望むものではないが、寿命がより短いことが、放射量子収率がより高くなることに対応する。例えば、競合する非放射緩和プロセスにより、光学光子を放射することなく、励起状態が基底状態に変換され得る。一般に、量子収率と呼ばれる放射効率は、すべての放射および非放射緩和速度に対する放射速度の比に関連する。例えば、放射寿命がより短い場合、これにより、放射速度が主要な失活プロセスになり得る。結果として、10ns~50マイクロ秒(またはそれより長い)の時間領域は、より効率的な放射を有する物質が観察される、寿命の概数となる。より寿命がより長いことは、この物質が非放射三重項状態においてより多くの時間を消費し、非放射プロセスが支配的となり得ることを示す。一部の実施形態では、一重項状態と三重項状態の間の平衡は、環境ならびにTADF材料の固有の特性に依存し得る。
【0209】
有利なことに、遅延蛍光信号により、一般に、励起光源の除去後に、非定常状態の光子放射事象において、または励起光の波形と変調された光子放射に関連付けられる波形との間に差が存在する変調された光の下で放射を検出することが可能となる。このプロセスの1つの例示的な利点は、反射または散乱からのバックグラウンド放射(複数可)および即発蛍光が、より長い寿命では存在しないことである。例示的な一連の実施形態では、遅延蛍光信号は、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)によって読み取ることができる。例えば、ローリングシャッター機構により、放射の寿命にわたり画像取り込みを行うことが可能になり得る。一部の実施形態では、ローリングシャッターは、光が除去された時から減衰する信号を捕捉し、それによって、励起光の非存在下での放射を検出する。光が除去された後に減衰している信号を検出する能力は、一般に非定常状態の測定であり、放射は非定常状態の放射であると言われている。一部の場合、パルス光または連続変調光を使用して、非定常状態の光子放射事象に由来する信号と定常状態の光子放射事象に由来する信号を区別することができる。一部の実施形態では、シャッター速度(露光時間)の較正および/またはマッチング、光子検出素子(ISO)の感度、および励起光源の特徴(特定の遅延を伴うフラッシュ、フラッシュ速度、または強度が変調される周波数)が行われ得る。有利なことに、一部の実施形態では、光源およびCMOSイメージングチップの読み取りの絶対的なタイミングは必要ではない。例えば、相対速度をデータに反映させて、計算により分析することができる。この後者の特色により、有利には、CMOSローリングシャッター画像取得に電子的に接続されていない独立した光源を使用することが可能となる。
【0210】
一部の実施形態では、10ns~50マイクロ秒の期間にわたる寿命を有する燐光性材料が使用される。一部のこのような実施形態では、これらの材料は、一般に、即発燐光性材料と呼ばれる。一部の実施形態では、燐光性材料またはその近接環境に存在する重原子は、スピン遷移プロセスを容易にする。一部の実施形態では、重原子は、2つの異なる電子スピン相互変換プロセスを促進する。第一に、それらは、最初に生成した一重項励起状態をスピン軌道結合機構によって三重項励起状態に変換することによって、いわゆる項間交差を促進することができる。一部の場合、三重項のエネルギーが十分に低く、一重項との熱平衡が存在しない。励起された三重項状態から基底一重項状態への放射緩和を一般に伴う即発燐光を達成するために、一部の場合、重原子が、スピンの反転を可能にする機構を生じ得る。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これは、多くの場合、重原子(複数可)への電子結合によって達成されるスピン軌道結合によって達成される。重原子の非限定例は、例えばネオンより重い元素であり、典型族の重原子の例には、以下に限定されないが、Al、Si、P、S、Cl、Ga、Ge、Sb、Se、Br、In、Sn、Sb、TeおよびIが含まれる。より重い原子は、一般に、より強いスピン軌道結合をもたらし、一部の実施形態では、複数の重原子が有機塩基発色団に結合することによって、燐光の効率を高めることができる。
【0211】
多数の有機金属(金属-炭素結合を有する分子)および金属有機物(金属が炭素以外の元素を介して有機配位子に結合している分子)は、一部の実施形態では、即発燐光を示し得る。例えば、結合は、有機配位子上のリン、硫黄、酸素または窒素基を介することができる。即発燐光の挙動を有する好適な材料の非限定的な例には、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Re、Os、Ir、Pt、AuおよびHgである金属中心を有するものが含まれる。PbおよびBiを含むポスト遷移金属元素(post transition metal element)は、即発燐光を示す系にも使用することができる。これらの材料は、本明細書に記載されている実施形態によれば、スマートフォンおよびローリングシャッターを使用して検出することもできる。例えば、一部の実施形態では、ローリングシャッター機構により、非定常状態の光子放射事象と考えられる励起光の除去後に、即発燐光放射を記録することが可能になる。
【0212】
別のクラスの物質は、多くの秒数(例えば、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9sまたは少なくとも10s)まで拡張可能な、50マイクロ秒よりも長い放射寿命を示すものであり、これらの物質は、一般に、遅延燐光放射体と称される。これらの時間にわたり有意な放射を有するよう、物質は、非放射プロセスを減衰させ、および/または放射に関与する軌道が収縮し、したがって配位子の動力学によって最小限にしか影響され得ないfブロックの元素を有する非常に剛性な構造を一般に含む。剛性物質の非限定例は、Cr+3をドープしたAl2O3(非常に高い融点および3.4ミリ秒の励起状態の寿命を有するセラミック物質)を含むルビー構造である。他の例には、以下に限定されないが、適切なマトリックス材料中の剛性有機分子が含まれる。例えば、好適なfブロック元素をベースとする物質の例は、Eu、Tb、ErおよびGdを含む無機物質および金属有機物質である。一部の実施形態では、ローリングシャッター機構により、一般に、遅延燐光放射が記録されて、励起光を除去した後に非定常状態の光子放射事象から画像を作成することが可能となる。
【0213】
一部の実施形態では、スマートフォンまたはスマートフォンと同様の構成要素を有するシステムを使用して、本明細書に記載されている放射種からの定常状態および非定常状態の両方の光子放射事象を読み取る。例えば、分子または生体分子の存在を示すため、物質の熱履歴を決定するため、物質が物理的に改変されたかどうか、材料の正真性、物質が電離線に曝露されたかどうか、物質が化学的もしくは生物学的分析物に曝露されたかどうか、および/または物質が紫外線照射に曝露されたかどうかを決定するために放射信号を使用することができる、いくつかの用途が存在する。上記および本明細書の通り、励起源は、スマートフォンの一部である必要はなく、定常状態および非定常状態の放射信号を生成するように制御されている外部発生源であってもよい。
【0214】
しかし、例示的な一連の実施形態では、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)は、増強を必要とせず、独立型システムとして定常状態および/または非定常状態の信号を取得するために必要な励起を行う(例えば、適切なソフトウェアを使用する)。スマートフォンのカメラ機能は画像を取り込むよう設計されており、画像は一部の用途では非常に有用であるが、デバイスが画像を生成する必要はない。具体的には、個々のピクセルまたはピクセルの集合体を使用して、目的の情報を取得するために必要な信号を収集することができる。代替的に、センサー(例えば、画像センサー)によって生成された信号は、ピクセルおよび/または画像を生成することなく直接、読み取ることができる。
【0215】
スマートフォンによって励起されて読み取ることができる反射、散乱、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光および/または遅延燐光の結果として放射を生成する材料の組合せ物の対にするため、スマートフォンに使用される光源(フラッシュ)の特徴が考慮されることがある。一般に、大部分のスマートフォン光源(LED)は、450nm付近で最高強度の出力を有し、まさに型およびモデルに応じて、このピーク強度は一層高い波長または一層低い波長になり得る。例えば、Apple CorporationのiPhone(登録商標)11は、450nmに非常に近いピーク強度を有しているが、そのiPhone(登録商標)XおよびiPhone(登録商標)6Sモデルは、440nmにより近いピーク光出力を有する。一方、GoogleのPixel 2 Android(登録商標)スマートフォンは、460nmにより近いピーク光出力を有する。これらの光源の光出力は有限であるが、400nmで最小である。それらはまた、650nmを超え、一部の場合、700nmを超えるより低い強度の出力を示す。例えば、図17A~17Iを参照されたい。スマートフォンの光源の合計出力は、ヒトの眼には太陽光に似ていると認識される光を生成し、一般に白色光と呼ばれる。
【0216】
光子吸収によって化合物の励起状態を達成するための例示的な条件は、物質の基底電子状態とその第一励起電子状態とが分離されるエネルギーに等しい、またはこれより高いエネルギーを有する励起光子を含むことができる。理論によって拘泥されることを望むものではないが、このエネルギーの近似値は、物質のHOMOとLUMOの間のエネルギーの差である。当業者は、本明細書の教示に基づいて、HOMOおよびLUMOレベルの計算を使用して、物質の選択に関する貴重な洞察を得ることができると思われる。当業者は、物質の光学吸収スペクトルを測定して、本明細書の教示に基づいて物質の選択について貴重な洞察を得ることができると思われる。所与の光源による物質の励起効率は、例えば、吸収性放射材料の光吸収特徴および同じ波長における励起光源からの光の強度に依存し得る。励起される物質の量は、一般に、これらの値の積に関係する。物質の吸収の特徴を理解するために広く使用されている別の近似値は、一般にボルン-オッペンハイマー近似と呼ばれる。この近似のテナントの1つは、一般に、光子の吸収により、電子が事実上、瞬時に高エネルギー状態に移り、系内のすべての核がこのプロセス中に定位置に固定されているかのごとく見えることである。この結果は、一部の場合、励起事象が放射材料内のいくつかの独特の構造的立体構造からなる複合物になることである。結果として、放射材料の吸収はまた、一部の実施形態では、材料が経験する異なる環境および構造的な立体構造の結果であるエネルギーの範囲を有することができる。物質が光を吸収して所与の励起状態にさせるエネルギー範囲の説明に反映されるこの用語は、吸収帯として説明される。例えば、溶液中では、放射材料の周りに溶媒分子の多数の立体構造が存在し得る。固体形態では、放射材料を支持するマトリックスの様々な組織の分布が存在し得る。放射材料の内部動力学もまた、ある役割を果たすことができ、様々な熱振動が、光子の吸収によって瞬時に励起される放射材料の多数の様々な幾何形状をもたらすことができる。
【0217】
材料の光学吸収帯は、一般に、吸収極大によって特徴付けられる。これは、波長の関数としての光子吸収率のプロットにおいてピークの波長(エネルギー)を指す。物質の吸収極大が450nmに近い場合、スマートフォンの光源で照射すると非常に効率的な励起を期待することができる。光学吸収帯の幅は、その半値全幅(FWHM)によって記載されることが多く、ナノメートルで報告され得る。理論によって拘泥されることを望むものではないが、吸収が波長の範囲にわたって起こることの結果として、450nmより高いエネルギーである吸収極大を有する物質が、スマートフォン(または他の消費者用電気機器)の光源によって励起され得ることが可能である。物質のFWHMは、一部の場合、20nmを超えることができ、他の場合、40nmを超えることができ、他では、60nmを超えることができ、他では、100nmを超えることができる。その結果、吸収極大値はスマートフォンの光源出力と正確に同じ波長である必要はないが、吸収の構成要素がスマートフォンの光源のスペクトル出力と重複することがある。例えば、一部の実施形態では、放射材料の有限吸収がある領域での光源の有限強度が好適である。スマートフォンの光出力と重複する光学吸収を示す物質は、一部の実施形態では、スマートフォンで励起可能であると言われている。理論によって拘泥されることを望むものではないが、物質によって吸収される光子が多いほど、励起された物質からの放射は明るくなる。一部の実施形態では、スマートフォンの光源を使用して可能な限り最も明るい放射を作り出すことが有利となり得る。しかし、スマートフォンを使用して非定常状態の放射を検出する場合、バックグラウンドの光学的信号を除去または区別する方法能力の結果として、非常に弱い放射強度からでさえも信号が検出されることがある。異なる放射材料はまた、吸収された光子を蛍光および燐光の信号に変換するため異なる放射効率を有することがある。この効率は、例えば、材料と環境の一方または両方に依存し得る。
【0218】
一部の実施形態では、放出効率の変動を使用して、放射材料の近接環境またはその以前の履歴に関する情報を生成することができる。蛍光および燐光の効率は、量子収率と呼ばれる。量子収率1.0は、吸収された光子の100%が蛍光および燐光として放射される光子に変換されることを意味する。量子収率0.1は、吸収された光子の10%が蛍光および燐光として放射される光子に変換されることを意味する。通常、損失があるが、単純プロセスの場合の理論上の限界値である量子収率1.0に近い物質が存在する。このように、一般に、一重項分裂と呼ばれるものを受けることができる物質を有することが一般的に可能であり、この場合、第一励起は、分離して2つの三重項状態をもたらすことができる一重項状態を生成する。したがって、理論的には、単一の光子から放射された複数の光子を吸収させることが可能である。1個の光子が複数の光子の放出を引き起こすことができるある反応を引き起こすことも可能である。一部の実施形態では、光子の吸収と共に放出される、物質に蓄積された化学ポテンシャルまたは電位が存在し得る。例えば、光子によって引き起こされる化学発光反応は、一部の実施形態では、単一の吸収事象から多数の放射された光子を生成することがある。
【0219】
放射材料の吸収帯とスマートフォンの光源との重複の他に、用途に特有の他の望ましい特性には、以下に限定されないが、毒性のないこと、低コスト、励起状態の寿命、化学安定性、特定の化学的信号との相互作用、光異方性、変換効率、電荷移動特性、光学的励起による分解に対する耐性または感受性、熱感度または非感受性、その周囲の性質に対する感度または非感受性、熱的安定性または不安定性、既存の製造プロセスにおいて容易に実施することができるプロセスにおいて物体を製造する能力、および第三者が放射材料の真の識別を推測することができないことが含まれる。
【0220】
一部の実施形態では、定常状態および非定常状態の放射を組み合わせた条件下で、または代替的に非定常状態下で取得された信号の使用が、プログラム(app)によって操作される従来のスマートフォンと組み合わされる。この方法で市販のスマートフォンを使用して読み取ることおよび分析することが可能な物品、センサーおよびアッセイが、幅広く利用される(例えば、世界中の大部分の成人および10代の若者が現在、個人用スマートフォンを所有しているという事実を考慮する)。本明細書に記載されている実施形態の発明者は、情報を提供する信号をもたらす適切な放射材料の選択が、記載された用途における読み取り装置としてのスマートフォンの可能性の実現に有利であることを認識している。
【0221】
例えば、効率的な即発蛍光が可能な好適な有機色素が豊富に存在し、これらの物質の多数が市販されている。即発蛍光色素は、物品においてより明るい色を与えるように使用されることが多い。例えば、明るい布地は放射色素を有することができる。食品に適用することさえも可能で、したがって安全に食すことができ、可視範囲において即発蛍光を示す、色素が存在する。これらの物質を物品に一体化するための市販製品および関連方法に即発蛍光色素を使用することは、十分に確立されており、当業者は、本明細書の教示に基づいて、他の候補物質および製造方法を選択することが可能である。このような物質および方法を、以下に詳細に記載する。
【0222】
本明細書に記載されている実施形態によれば、熱活性化遅延蛍光(TADF)機構による遅延蛍光を含むいくつかの物質が好適となり得る。TADF材料を以下に一層詳細に記載する。一部の実施形態では、TADF材料は、有機的な性質があることがあり、および/または、所望の吸収および放射特性を有する組成物を生成するよう体系的に設計/改変および製造され得る。光学的励起の条件下では、TADF材料は、一般に、第一励起状態が一重項状態であることの結果として、最初は即発蛍光を示す。しかし、理論によって拘泥されることを望むものではないが、三重項状態への変換が、直接的な即発蛍光と競合し、遅延蛍光によって追加の緩和チャネルを生じる。一部の場合、TADF材料の遅延蛍光が、励起状態が基底状態まで放射的に緩和する主な方法である。他の場合、即発蛍光は、分子が光子を放射する主な方法である。しかし、後者の場合では、測定可能な、したがって情報を提供する遅延蛍光信号が依然として存在し得る。TADF材料において観察されるデュアルプロセスが重要となることがあり、追加情報をもたらすことができる。特に、TADF分子の特性は、溶媒、ならびにホストマトリックス材料の剛性、分極率および双極子に基づいて変化し得ることが見出されている。具体的には、HOMOおよびLUMOが、一般に、TADFを受ける分子の様々な部分に局在していることにより、励起状態で電荷移動特性が生じる。結果として、一部の実施形態では、TADF材料は、定常状態の光子放射事象および非定常状態の光子放射事象を生じ得る。
【0223】
TADF材料を含めた即発蛍光物質および遅延蛍光物質が、以下に一層詳細に記載されている。
【0224】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている物品および方法は、様々なタイミングを有する、取り込み放射事象を使用する。有利なことに、一部の実施形態は、情報の融合が、以下に限定されないが、例えばバイオマーカーが存在するかどうかを判定するために使用されるラテラルフローアッセイ(LFA)および他のアッセイを含めた、生物学的診断の感度および信頼性の向上をどのように生み出すかを実証する。本明細書に記載されている実施形態は、他の方法、例えば、核酸検出のためのループ介在等温増幅法(LAMP)および/またはバーティカルフローアッセイで働くよう適合させることができる。画像、画像の一部(例えば、1個または複数のピクセル)、および1つまたは複数の感光性素子によって捕捉される他の任意の信号の形態にあることができる様々な光学的特色が、一部の実施形態では、相補的な情報をもたらすように捕捉され得る。例えば、一部の実施形態では、診断アッセイに関連付けて検出された光子は、外部励起の有無にかかわらず即座に収集されたものから、例えば光励起に対して時間遅延(例えば、10ナノ秒から秒もしくはそれより長い範囲に及ぶ)後に収集されるものに及ぶ範囲の様々な時間領域内で収集され得る。有利なことに、これらの異なる条件下で撮影されたデータおよび/または画像の組合せは、いくつかの従来の診断アッセイと比較すると、優れた方法を提供する。このような実施形態において異なる時限プロセスを可能にする様々なクラスの物質およびプロセスもまた、本明細書に記載されている。
【0225】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態は、医療対象(例えば、医薬剤を服用している対象、臨床試験に参加している対象)のコンプライアンスを監視するために有利に使用することができる。例えば、一部の実施形態では、物品および/または放射種は、すべての目的のために、これらのそれぞれの全体が、参照により本明細書に組み込まれている、FDAの"Generally Recognized as Safe" Substances (GRAS)データベースからの化合物、および/または21C.F.R. § 182に列挙される化合物を含んでもよく、またはこれらに関係していてもよい。一部の実施形態では、単なる例として、およびこのように限定されることなく、GRASはリボフラビンである。このようなGRAS分子は、分子が対象によって生成される流体(例えば、唾液、尿など)において検出され得るよう、例えば、カプセル(例えば、医薬剤を含む)に配合されてもよい。
【0226】
用語「対象」は、本明細書で使用する場合、ヒトまたは動物などの個々の生物を指す。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類または非ヒト哺乳動物)、脊椎動物、実験動物、家畜動物、農業動物またはコンパニオンアニマルである。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、げっ歯類、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタである。
【0227】
例示的な一連の実施形態では、化学種および/もしくは生物種の識別または特徴(例えば、反応、存在など)は、第1および第2の電磁線信号を組み合わせることによって決定される。一部の実施形態では、第1の信号は、少なくとも第1の光子放射事象を含む。一部の実施形態では、第2の信号は、少なくとも第2の光子放射事象を含む。一部の実施形態では、第1の光子放射事象および第2の光子放射事象は、異なる時間スケールにわたり起こり得る。例えば、一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒未満またはそれに等しい間に起こり得る。一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の少なくとも10ナノ秒後に起こり得る。
【0228】
一部の実施形態では、定常状態の光子放射は、放射材料が、安定および/または静的(例えば、光子放射が収集される速度に対して静的)な光源によって連続的に励起されている間に起こる。一部の実施形態では、光源は、非常に高い周波数で揺れる可能性があり、これは、平均すると、光子放射が収集される期間にわたって比較的静的な励起を生じる。一部のこのような実施形態では、放射材料は、比較的一定の強度の放射を生成する。一部の実施形態では、放射の定常状態の性質は、放射を引き起こした励起を除去した後に、10ナノ秒未満またはそれに等しい(例えば、10ナノ秒未満またはそれに等しい、8ナノ秒未満またはそれに等しい、6ナノ秒未満またはそれに等しい、4ナノ秒未満またはそれに等しい、2ナノ秒未満またはそれに等しい、1ナノ秒未満またはこれに等しい、0.5ナノ秒未満またはそれに等しい)範囲内に実質的に失われる。一部の実施形態では、非定常状態の光子放射は、放射材料からの光子の連続放射を含み、連続放射は、放射を引き起こした励起が除去されて、少なくとも10ナノ秒(少なくとも10ns、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9sまたは少なくとも10s)後に起こる。例えば、一部の場合、放射を引き起こした励起の除去後、放射の強度が変化することがある(例えば、低下する、向上する)、および/または非定常状態にある。
【0229】
放射は、本明細書に記載される場合、放射を規定する光子が本発明のシステム/プロセスにおいて測定される任意の方法で生成される光子(例えば、蛍光、燐光、化学発光、散乱および/または反射の生成を含む)を一般に指す。一部の実施形態では、第1の放射事象は、単離され得る、または混合物中の微量構成要素を含めた混合物中に存在し得る種によって(例えば、部分的に、全体として)生成され、この場合、これらの種は、10ナノ秒未満の励起状態の寿命を有する。例えば、一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、10ナノ秒未満またはそれに等しい、8ナノ秒未満またはそれに等しい、6ナノ秒未満またはそれに等しい、4ナノ秒未満またはそれに等しい、2ナノ秒未満またはそれに等しい、1ナノ秒未満またはこれに等しい、0.5ナノ秒未満またはそれに等しい励起状態の寿命を有する放射種からの放射を含む。一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、0.1ナノ秒より長い、0.5ナノ秒より長い、1ナノ秒より長い、2ナノ秒より長い、4ナノ秒より長い、6ナノ秒より長い、または8ナノ秒より長い励起状態の寿命を有する放射種からの放射を含む。上で参照した範囲の組合せもまた、可能である(例えば、10ナノ秒未満またはそれに等しく、0.1ナノ秒より長い)。他の範囲も可能である。
【0230】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、定常状態の放射(例えば、定常状態の光子放射事象)を含む。当業者は、本明細書の教示に基づいて、第1の光子放射事象が反射の結果となるよう、第1の信号が反射(例えば、反射された電磁線、散乱した電磁線)を含んでもよいことを理解するであろう。反射を含む信号が以下に一層詳細に記載されている。
【0231】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象および第2の光子放射事象は、同じ励起事象によって引き起こされる。一部の実施形態では、第1の光子放射は、第1の励起事象によって引き起こされ、第2の光子放射は、第1の励起事象とは異なる(例えば、波長が異なる、強度が異なる、様々な時間に開始および/または発生する、様々な時間長さの間に発生する、時間の関数として強度が揺れる)、第2の励起事象によって引き起こされる。
【0232】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、定常状態の放射(例えば、励起事象によって引き起こされる)に対応する。
【0233】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象の少なくとも一部が実質的に瞬時に起こる(例えば、第1の光子放射事象を引き起こす励起事象に応答して)。一部の実施形態では、第1の光子放射事象の少なくとも一部は、第1の光子放射を引き起こす励起事象の10ナノ秒未満またはそれに等しい、8ナノ秒未満またはそれに等しい、6ナノ秒未満またはそれに等しい、4ナノ秒未満またはそれに等しい、2ナノ秒未満またはそれに等しい、1ナノ秒未満またはこれに等しい、0.5ナノ秒未満またはそれに等しい範囲内で起こる。一部の実施形態では、第1の光子放射事象の少なくとも一部は、第1の光子放射を引き起こす励起事象の0.1ナノ秒より長い、0.5ナノ秒より長い、1ナノ秒より長い、2ナノ秒より長い、4ナノ秒より長い、6ナノ秒より長い、または8ナノ秒より長い範囲内で起こる。上で参照した範囲の組合せもまた、可能である(例えば、10ナノ秒未満またはそれに等しい、かつ0.1ナノ秒より長い)。他の範囲も可能である。
【0234】
一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、少なくとも10ns、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9sまたは少なくとも10である励起状態の寿命(例えば、放射期間)を有する放射種からの放射を含む。一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、10sもしくはそれ未満、5sもしくはそれ未満、2sもしくはそれ未満、1sもしくはそれ未満、500msもしくはそれ未満、100msもしくはそれ未満、50msもしくはそれ未満、10msもしくはそれ未満、5msもしくはそれ未満、1msもしくはそれ未満、500μsもしくはそれ未満、100μsもしくはそれ未満、50μsもしくはそれ未満、10μsもしくはそれ未満、1μsもしくはそれ未満、500nsもしくはそれ未満、200nsもしくはそれ未満、100nsもしくはそれ未満、50nsもしくはそれ未満、10nsもしくはそれ未満、5nsもしくはそれ未満、または1nsもしくはそれ未満である、励起状態の寿命を有する放射種からの放射を含む。上記の参照範囲の組合せもまた可能である(例えば、少なくとも10nsかつ10sまたはそれ未満)。他の範囲も可能である。
【0235】
一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、非定常状態の放射(例えば、非定常状態の光子放射事象)を含む。
【0236】
一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象が除去されて、少なくとも10ns、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9sまたは少なくとも10s後に起こる。一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の除去後、10sもしくはそれ未満、5sもしくはそれ未満、2sもしくはそれ未満、1sもしくはそれ未満、500msもしくはそれ未満、100msもしくはそれ未満、50msもしくはそれ未満、10msもしくはそれ未満、5msもしくはそれ未満、1msもしくはそれ未満、500μsもしくはそれ未満、100μsもしくはそれ未満、50μsもしくはそれ未満、10μsもしくはそれ未満、1μsもしくはそれ未満、500nsもしくはそれ未満、200nsもしくはそれ未満、100nsもしくはそれ未満、50nsもしくはそれ未満、10nsもしくはそれ未満、5nsもしくはそれ未満、または1nsもしくはそれ未満に起こる。一部の実施形態では、第2の光子放射事象が起こる。上記の参照範囲の組合せもまた可能である(例えば、少なくとも10nsかつ10sまたはそれ未満)。他の範囲も可能である。
【0237】
一部の実施形態では、励起事象の除去は、励起事象を生成する電磁線源の強度の低下および/または波長の変化を指す。一部の実施形態では、励起事象の除去は、励起源の完全な除去(例えば、オフにする)を含む。
【0238】
一般に、スマートフォンは、画像解析のための高解像度カメラおよび強力な計算リソースの両方への利用をもたらす。この目的のため、スマートフォンの読み取り装置は、比色アッセイの精度を改善するために開発されてきた。しかし、これらの手法は、経時的な静的データを活用する。画像は反射光/散乱光からしか収集されない。例えば、および理論によって拘泥されることを望むものではないが、反射光/散乱光は、一般に、静的光源の場合、不変であり、定常状態と言われる。一部の実施形態では、好適な励起および潜在的にフィルターを用いて、定常状態の蛍光信号もまた得ることができる。本明細書に記載されている通り、本発明者らは、例えば、時系列(定常状態および非定常状態)プロセスにおける反射光/散乱光および放射された光を組み合わせると、アッセイの感度および精度を有意に改善するために使用することができる、より豊富な情報の利用をもたらすことを発見および認識した。例えば、一部の実施形態によれば、定常状態および非定常状態の放射情報を融合することにより、現在のスマートフォンおよび携帯型読み取り装置の方法を用いて可能なものよりもアッセイ信頼度が劇的に高まり、生物学的診断の改善をもたらす。
【0239】
本明細書に記載されている通り、一部の実施形態では、1つまたは複数の放射の光学的検出は、必要に応じて、別個の励起源または単一の励起源と組み合わせて、スマートフォンを使用して行われる。
【0240】
一部の実施形態では、励起源(複数可)は、消費者用電子機器の構成要素である(例えば、消費者用電子機器と一体化されている)。
【0241】
有利には、本明細書に記載されているこのようなシステムは、視覚的分析を必要とするアッセイまたは単一タイプの信号だけを分析するよう構成されている単純な読み取り装置を利用するアッセイと比較して、感度が高いよりロバストなアッセイをもたらす。用語「信号」とは、本明細書で使用する場合、読み取り装置に衝突した光の強度の測定値、またこのような測定値の処理後の型(例えば、画像)を指す。一部の実施形態では、光の波長、その偏光、および/またはその空間分布は、重要な情報(例えば、放射種の特徴または識別)をもたらす。本明細書に記載されている実施形態は、一般に、スマートフォンでの使用に限定されず、本明細書に記載されている技術に従ってアッセイからの放射を捕捉および処理するために使用される電子機器および光学機器を含めた任意の好適な読み取り装置を代わりに使用することができる。一部の実施形態では、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)は、既存のハードウェアを活用し、データ融合のためのオンボードセンサーのアレイを含み、容易な位置追跡および通信を実現し、かつスマートフォンが普及しているので、その使用が有利である。
【0242】
当業者は、本明細書の教示に基づいて、スマートフォンまたは関連装置が必ずしも画像を取り込むとは限らないこと、および/または画像作成能さえ有していないことがあることを理解している。一部の実施形態では、1つまたは複数の種からの定常状態および非定常状態の放射の存在は、少なくとも非定常状態の放射信号から、ならびに必要に応じて定常状態(光子)の放射信号および非定常状態(光子)の放射信号の両方から(例えば、信号の融合)のデータを提供し、これは、所望のデータ(例えば、所望の種の特徴および/または識別に対応する)に対応する。
【0243】
例示的な一連の実施形態では、ラテラルフローアッセイ(LFA)におけるスマートフォンの読み取り装置のモダリティは比色検出である。この方法は、光源を用いて使用することができるが、画像は、一般に、減色の結果として作成され、スマートフォンは、反射(または散乱)光を検出するように構成されている。一部の場合、反射光が、比較的ノイズの多い信号を含むことがある。理論によって拘泥されることを望むものではないが、このようなノイズの多い信号は、診断の基礎となる関連信号を超えた要素からの反射光の存在に起因する可能性がある。一部の場合、これらの外れた非特異的信号は、例えば、入射光の方向および入射光の強度の動力的変化の結果として変化し得る。それにもかかわらず、比色信号は、アッセイカートリッジの画像、位置合わせに使用することができるマーカー、テキスト、数字、写真、ロゴ、バーコードまたはQRコード(登録商標)を含めた他の有用な情報を提供することができる。一部の実施形態では、画像は減色の結果であり、電磁スペクトルの一部が吸収される。比色分析は、一部の場合、実質的に反射性であり、および/または特定の波長の反射によって色を生成する物質を用いて使用することができる。比色反射光の場合、一般に、アッセイにおいて色素、ナノ粒子または反射体と相互作用する光と読み取り装置(スマートフォン)における光の到達との間に検出可能な遅延は存在しない。純粋な比色読み取り装置に対する例示的な好適な代替は、発光信号を利用するものである。例えば、発光状態を作り出すため、光子を材料によって吸収させて、有限の寿命を有する励起状態を作り出すことができる。信号を作成するために使用される、様々なタイプの発光材料および励起状態の寿命が存在する。
【0244】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、一般に、様々なタイプの信号およびその時系列を融合して、既存の方法よりも優れた感度および精度を実現する方法で生物学的アッセイを読み取る方法を生成する方法に関する。一部の実施形態によれば、システムの構成要素(例えば、画像センサー、感光性構成要素)は、放射性種が照射(励起)されている期間にわたって放射種によって生成される検出可能な放射の少なくとも一部を検出する。一部の場合、構成要素は、照明が放射期間にわたり除かれた後に光を検出し、放射期間の長さは、組成物中の放射種の放射寿命に関連する。当業者は、放射種が、例えば、燐光または蛍光を介して検出可能な放射を生成し得ることを理解している。放射種はまた、励起されている電磁スペクトルの領域に吸収がある場合、反射光/散乱光によっても検出され得る。多数の放射種が色を有する場合があり、したがって、この方法で検出することができる。当業者はまた、放射期間または放射寿命は、いずれの励起放射線も除かれた後(例えば、電磁線のパルスが、励起構成要素によって放射された後)、放射種が電磁線を放射する速度を特徴付けることをやはり理解している。
【0245】
一部の実施形態では、即発蛍光信号は、10ナノ秒未満またはそれに等しい(例えば、10ns未満またはこれに等しい、5ns未満またはこれに等しい、2ns未満またはこれに等しい、1ns未満またはこれに等しい)励起状態の寿命を有する放射材料によって発生される。即発蛍光物質は、最も一般的なタイプの放射材料であり、即発蛍光を示す色素分子は、幅広く入手可能である。これらの物質の励起状態は、測定可能な寿命を有するが、時間が十分に短く、それによりスマートフォンの安価なハードウェアでは寿命に基づく信号の解像は容易には行われない。スマートフォンを用いて即発蛍光を収集するために、物質は一般に光源によって同時に励起される一方、画像はデジタルカメラまたはスマートフォンに一般的に見られる標準的な光学検出器(例えば、CMOSイメージングチップ)によって収集される。励起が除去されると、一部の実施形態では、物質は、数ナノ秒以内に緩和し、これらのデバイスによるタイムゲート検出がかなりの量の放射された光を捕捉することができる前に、照明後信号が消える。結果として、デジタルカメラのスマートフォンを用いて即発蛍光信号を正確に記録するために、測定の期間の間、励起が持続され得る。この効果は、一般に、一定(定常状態)の放射をもたらし、ただし、励起源は安定であること、および放射性分子は、測定の時間スケールにわたり、光学的/化学的に分解(不可逆的に漂白)しないことを条件とする。
【0246】
本発明の文脈において、持続時間が10ナノ秒未満またはこれに等しい寿命を有する発生源に由来する放射信号の測定は、放射材料を同時に励起しながら検出され、定常状態の測定であると言われる。
【0247】
本発明の文脈において、10ナノ秒より長く最大50マイクロ秒の励起状態の寿命を示す例示的な蛍光物質は、遅延蛍光信号であると言われている。即発蛍光と同様に、放射の主構成要素は、一般に、一重項(対になった電子スピン)励起状態の緩和に由来し、放射プロセス中のスピン相互変換を一般に必要としない。周期表の3行目またはそれより下からの重原子を一般的に欠いた有機材料は、遅延の機構がある場合、遅延蛍光が可能である。遅延機構は、一部の場合、励起された物質において発生する平衡プロセスの結果となり得る。機構の1つは、熱活性化遅延蛍光(TADF)として知られている。TADF材料を、以下に一層詳細に記載する。このプロセスでは、理論によって拘泥されることを望むものではないが、物質は、周囲条件下で熱平衡にあるほどエネルギーが十分に近い一重項(スピンが逆平行に配列)および三重項(スピンが平行に配列)で励起された電子状態を有する。大多数の物質では、三重項状態のエネルギーが低いことがあり、したがって、時間の大部分にわたり、物質の励起状態は三重項状態にある。重原子を欠く物質では、一般に、三重項状態からの効率的な直接放射を促進するにはスピン軌道結合が不十分であり、したがって、三重項状態は長寿命の低放射(暗)状態となる。しかし、および理論によって拘泥されることを望むものではないが、TADF材料では、励起状態が一重項に戻ることができ、次に、光子を放射することによって基底状態に急速に緩和することができる平衡状態が一般に存在する。三重項で消費した時間は遅延を生じ、したがって、10ナノ秒より長く最大で50マイクロ秒までの励起状態の寿命を有する遅延蛍光を生じる。遅延蛍光を生成する他の方法も可能であり、例えば、電荷分離状態が電子移動、または代替的にねじれた電荷分離励起状態などの立体構造変化によって生成されるプロセスを含む。一部の実施形態では、電荷の再結合は、遅延蛍光を生じる遅延の後に一重項状態を作り出すことができる。遅延蛍光の時間スケールの上限値は、確固たる数ではないが、実際には、競合する非放射性熱緩和プロセスが存在することが多い。これらのプロセスは、周囲条件下で励起状態の数を減らし、それによって、より長い時間スケールで比較的非常に弱い信号が発生する。なぜなら、そのような時間の間、競合する緩和プロセスでは、励起状態の少量しか生き残らないからである。競合する緩和法は、温度を下げるか、または放射種を剛性マトリックスに配置することによって弱めることができる。
【0248】
本明細書に記載されている遅延蛍光は、一部の実施形態では、スマートフォン、デジタルカメラまたは等価な画像取り込みデバイスによって読み取る(検出する)ことができ、ただし、画像取り込みに使用される検出器は、検出を可能にするのに十分な放射強度でその期間にわたりデータを収集することができることを条件とする。例えば、このプロセスでは、10ナノ秒より長い寿命を有する励起状態を作り出すために使用される光学的入力(励起)は、パルス化した光フラッシュ、高速フラッシュまたは励起源の周波数変調を使用して、画像取り込みハードウェアと時間同期される。本発明の文脈における画像取り込みと励起との間の時間同期は、必ずしも絶対的ではなく、相対的であってもよいことに留意することが重要である。言い換えると、一部の場合、パルスの正確な絶対的なタイミング、または変調された励起の周波数の位相、および画像取り込みデバイスの画像取り込み速度は必要ではないことがある。例えば、パルス化光源または変調した光源の周波数は、画像取り込みデバイスと釣り合う必要はない。信号は、一部の場合、画像取り込みと励起の両方の期間によって影響を受け得る。一部の実施形態では、相対時間および/または周波数は、計算により推定され得る。有利には、このような特色は、これらの事象の絶対的なタイミングにおいて、正確さが必要であることを否定する。これらのプロセスの混合を含む、複雑な励起プロファイルを適用することができる。本発明の文脈において、入力励起光の時間同期とは、一般に、時間の関数として変化する光強度を指す。一部の実施形態では、本検出システムは、これらの非定常状態のプロセスを検出して、時間領域に関する情報を抽出することが可能であり、そのように構成されている。これらの方法は、一部の場合、放射された光の時系列(遅延)捕捉を可能にすることができ、それにより、遅延放射を選択的に検出することができ、バックグラウンド信号がなくなり得る。一部の実施形態では、放射された光は、励起光がオフにされた後に検出され、周囲光(迷光)から遮蔽されると、遅延信号が実質的または完全に暗いバックグラウンドに捕捉される。代替的に、励起光の時間分散を使用して、迷光および散乱光を含む複雑なバックグラウンドにおける目的の放射状態に由来する信号を選択することができる。
【0249】
いくつかの好適な物質は、放射性の高い励起三重項状態を有し、これは、本発明の文脈において、10ナノ秒~50マイクロ秒(例えば、10ns~20ns、10ns~50ns、10ns~100ns、10ns~500ns、10ns~1μs、10ns~5μs、10ns~10μs、10ns~50μs、10ns~100μs、10ns~500μs、10ns~1ms、10ns~5ms、10ns~10ms、10ns~50ms、10ns~100ms、10ns~500ms、10ns~1s、10ns~5s、10ns~10s、50ns~100ns、50ns~500ns、50ns~1μs、50ns~5μs、50ns~10μs、50ns~50μs)の励起状態の寿命を有する即発燐光を示す。この文脈では、物質は、励起状態と相互作用する重原子を含む。本明細書に記載されている重原子効果とは、一般に、これらの元素が、放射プロセス中に励起状態が容易なスピン相互変換を受けるのを可能にするのに十分なスピン軌道結合をもたらす能力を指す。この方法では、三重項励起状態は、光子の放射を伴って、一重項基底状態へと直接、緩和する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、光吸収によって占められる第一励起状態は、一重項から一重項への電子遷移が光の吸収においてはるかに一層効率的であるため、一般に本質的に一重項となろう。物質の第一励起一重項状態が一旦、作りだされると、一部の実施形態では、重原子効果により、高速の項間交差が生じ、より低いエネルギーの三重項状態を作り出す。理論によって拘泥されることを望むものではないが、三重項状態が光を直接、放射するためには、電子スピンの1つが、放射緩和中に一重項基底状態に反転することができ、重原子によってもたらされるスピン軌道結合により、このプロセスが非常に効率的になり得る。重原子は、一般的に、ネオンよりも大きな核コア構造を有する元素として定義される。例えば、リン、硫黄および塩素はすべて、一部の状況では、ある程度のレベルの重原子効果を生じることがある。しかし、アルゴンよりも大きな核コアを有するもっと重い元素は、一般に、より大きな重原子効果をもたらすことがある。重原子効果はまた、一部の場合、さらなる重原子を分子に結合させることによって強化されることがある。例えば、スピン相互変換プロセスを強化するより多くのハロゲンの追加により、Cl、BrまたはIなどのハロゲンを芳香族分子に結合させると、この効果が生じ得る。いくつかの遷移金属含有物質は、即発燐光を示し、それらの物質を電子的に非局在化されている有機分子サブユニットに連結し、かつ本明細書に記載されている実施形態での使用に好適な、金属-炭素結合(有機金属)を含む物質、および金属-窒素、金属-硫黄、金属-リンまたは金属-酸素結合(金属-有機物)を含む物質の多数の例が存在する。重原子はまた、物質に共有結合している必要はなく、重原子の電子雲と放射性物質との間の物理的接触もまた、即発燐光をもたらすことがある。遅延蛍光と同様に、放射信号は、時系列の励起と組み合わせると、スマートフォン、デジタルカメラまたは等価な画像取り込みデバイスによって読み取ることができる。
【0250】
本開示に関連する別のクラスの分子は、即発燐光を示す分子である。スピン相互変換プロセスを一般に必要とする、三重項励起状態を一重項基底状態に変換するために十分な放射速度を有するために、大部分の物質は、重元素との電子的な結合によって得られるスピン軌道結合構成要素を必要とする。重原子を有する有機化合物では、効率的な即発燐光を得ることが可能である。このような例示的な物質の1つは、以下に示すエリスロシンBであり、これは、燐光を促進する発色団に結合した4個のヨウ素原子を有する。有利なことに、この物質は、食用色素として使用され、無毒であると考えられているので、特に魅力的である。しかし、本明細書に記載されている実施形態は、そのように限定されることを意図するものではなく、他の物質も可能である。エリスロシンBは、一般に、2つの異なる形態を示し、その脱プロトン化された陰イオン状態では、放射性であり、スマートフォンに関連付けられる光源によって励起可能である。その中性状態にプロトン化されると、最も好都合な異性体は、拡張された共役を欠き、非放射性の異性体となる。エオシンとして知られているエリスロシンBの臭化物誘導体などの、類似挙動を示す、他の関連するハロゲン化色素が存在する。さらに、ローズベンガル(4,5,6,7-テトラクロロ-2’,4’,5’,7’-テトラヨードフルオレセイン)は、ペンダントフェニルに4個の塩素原子が付加した、密接に関連する構造を有する。これらの系の酸塩基反応性を使用して、スマートフォンで励起可能な放射性の放射材料とスマートフォンによって励起され得ない非放射材料との間で切り替えることができる。この特性は、例えば、分子シグネチャー、熱履歴、電離線、物理的変化、機械的応力、破壊、酸素、水分および/またはUV照射を検出するための用途に使用することができる。
【化1】
【0251】
重いヨウ素原子は、エリスロシンB中の発色団に共有結合しているが、非共有結合性相互作用もまた、有意な燐光を与えることができる。例えば、一部の実施形態では、有機ヨウ化物物質とスマートフォンの光源によって励起され得る目的の別の発色団との物理的混合物は、燐光を示すことができる。これらの相互作用は、ファンデルワールス型の相互作用または一層強力な相互作用(例えば、一般にハロゲン結合と呼ばれるものを使用する)を介して起こり得る。この後者のスキームでは、理論によって拘泥されることを望むものではないが、ハロゲン化物(通常、ヨウ素)は、一般に、ルイス酸として挙動し、選択された発色団のルイス塩基性基と弱い錯体を形成する。非共有結合性会合は、固体および薄膜で促進され得、それによって、より高い燐光強度を生じ、これもやはり、それらの周囲または様々な刺激との相互作用によって変調され得る。
【0252】
一部の実施形態では、臭素およびヨウ素などのハロゲン化物を有機発色団に組み込むと、異なる有機蛍光体を生成するための有利な手法となり得る。寿命が非常に長い場合、例えば、一部の場合、必要に応じて、放射材料の微結晶であり得る、剛性マトリックス内に材料を配置することが有利となることがある。代替的に、このような材料は、他の分子ポリマーまたは無機ホストに埋め込まれ得る。スマートフォンの光源によって励起され得るハロゲン含有蛍光体の例を以下に示す。硫黄基もまた、重原子効果を生み、それによって燐光を促進することができることに留意すべきである。
【化2】
【0253】
カーボンドットは、本明細書に記載されている実施形態での使用に好適となり得る、別のクラスの放射材料である。これらの材料は複雑であり、それらの化学構造は不均一であり、結果として、正確には知られていない。それらは、一部の場合、様々なタイプの熱分解によって生成され、多くの場合、窒素および酸素ヘテロ原子を含有する。その組成は、出発物質、および熱分解または燃焼方法によって決定することができる。カーボンナノドットは、例えば、炭素材料のレーザーアブレーション、炭素材料の電気分解、有機材料の高温加熱、ナノ複合材料または有機物質とケイ酸塩を含む他の物質との熱分解、有機物質の熱水/溶媒熱処理、および有機物質のマイクロ波加熱によって生成することができる。カーボンドットが高温下で生成されることが多いということは、一部の場合、一般に、これらの物質に高い熱安定性を付与することができる。したがって、カーボンドットは、比較的高温の製造プロセス、または高温に遭遇するエンジンオイルなどの物質において好適となることが多い。一部の場合、このような物質は、励起状態の寿命が10ナノ秒より長い一重項放射(蛍光)と一般に考えられているものを示す。これらのより長い一重項放射は、一般に、遅延蛍光と呼ばれる。物質内の異なる対称電子状態が、即発燐光を可能にするのに十分なスピン軌道結合を生じることが可能である。他の場合、寿命は、通常、即発燐光に関連付けられる寿命を超えることがある。これらの系では、スピン軌道結合は一般に強くなく、三重項状態の放射緩和は遅い。しかし、理論によって拘泥されることを望むものではないが、それらの剛性な性質の結果として、他の非放射プロセスは減衰し、それにより、遅延燐光時間レジメにおいて有意な放射が観察される。代替的に、このような物質は間隔が近接した一重項状態と三重項状態の間の熱平衡の結果として、TADFタイプのプロセスを受け得る。カーボンドットにおけるエネルギーレベルは、一般に、かなり分散しており、一部の変形形態はスマートフォンの光源によって効果的に励起されて、定常状態の光子放射事象と非定常状態の光子放射事象を生じることができる。
【0254】
一般的なクラスの即発燐光性材料には、例えば、オルト金属化環構造として知られているものを有する有機金属化合物が含まれる。このような材料は、一般に、有機配位子を含み、かつ少なくとも1つの炭素-金属結合を有する環式環構造を含む。このような組合せは、一部の場合、好都合な電子状態および遷移金属からの強力な重原子効果を引き起こすことができる。スマートフォンの光源によって容易に励起可能となり得る物質がいくつか存在する。Os、IrおよびPtに基づく非限定例が、本明細書に記載されている。このような化合物は、所望の特性および適合性を生じるよう必要に応じて置換され得る。同様の配位子を使用して、これらの金属およびその他の金属を使用して他の即発燐光性化合物を生成することができる。一部の場合、オルト金属化化合物は、周囲条件下で安定となるように選択される。例えば、より重い遷移金属元素、ならびにPbおよびBiなどのポスト遷移金属元素は、安定な炭素-金属結合を実現することができる。
【化3】
【0255】
スマートフォンの光源によって励起されることが可能な吸光度を有するよう設計することができる他のクラスの有機金属放射体も存在する。C-M結合が強力な炭素化合物が、非限定例である。例えば、「M-CC-Ar」連結基を含有する安定なAuおよびPt化合物は、一般に、非常に安定であり、多数が放射性である。適切なアルキンおよびAr基を選択することにより、スマートフォンの光源によって励起可能な様々な物質を生成することができる。
【0256】
金属が、非炭素をベースとする基を介して有機配位子に結合している金属-有機化合物もまた、効率的な即発燐光を示すことができる。非限定的な好適な例は、RuおよびOsに基づいており、以下に記載されている化合物は、スマートフォンの光源によって励起されて非定常状態の光子放射を生じ得る即発燐光化合物の非限定例である。即発燐光を示し、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)の光源によって励起可能な、遷移金属への窒素結合配位子を含有する化合物の、多数の他の潜在的な変形形態が存在する。一部の実施形態では、示されている化合物の荷電性質により、静電アセンブリプロセスおよび/または特定の用途を可能にすることができる機能的対イオンの使用が可能となる。
【化4】
【0257】
金属-ポルフィリンは、即発燐光を示し、スマートフォンの光源によって励起されて非定常状態の光子放射事象を生じることができる、別の好適なクラスの金属-有機物質である。ポルフィリンは、豊富な配位化学性質を有しており、多くの異なる遷移金属によって錯体形成され得る。ポルフィリンは、陰イオン性となるよう設計することができ、これらの化合物は、静電集合体を生成することができる。例えば、PdおよびPtポルフィリンは、酸素消光に対して高い感度を示し、それによって、放射性センサーの製造が可能となる。
【化5】
【0258】
他のポルフィリンもまた可能で、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)の光源を用いて励起され得る。基本構造は、環炭素中心のすべてにおいて幅広い官能基により置換されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、ピロール環はハロゲン化されていてもよく、酸素化されていてもよい。酸素化により、以下に示されている非限定例などのケトンを有する系を引き起こすことがあり、これは、即発燐光を示すことができ、一般に、非定常状態の光子放射事象を生じることが可能である。PtおよびPdポルフィリン化合物が本明細書に記載されているが、他のいくつかの金属、ならびに一部の場合、金属不含ポルフィリンおよびそれらの誘導体でさえ、スマートフォンで励起可能な放射性素子として使用することができる。他のすべての発色団と同様に、これらの物質は、一部の実施形態では、定常状態の光子放射事象を生じさせるために使用することができる。
【化6】
【0259】
他の好適なクラスの即発燐光性金属-有機化合物および金属は、窒素以外の基によって有機配位子に結合することができる。例えば、それらは、一部の場合、酸素、ホスフィンまたは硫黄を介して結合することができる。当業者は、本明細書の教示に基づいて、金属と有機配位子との間のいくつかの潜在的な結合様式を使用して、効果的な燐光を可能にするのに十分な結合を有する電子遷移を生じることができることを理解している。一部の実施形態では、炭素親和性金属は、有機発色団のパイ系に直接結合し、燐光を促すことも可能である。例えば、銀イオンは、炭素親和性陽イオンとして、および燐光性組成物を生成するために有用となり得る。
【0260】
本明細書に記載されている実施形態と共に使用するのに好適な、別の好適なタイプの放射材料は、本発明の文脈において遅延燐光と一般に称されるものを示し、それは50マイクロ秒より長い(例えば、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9sまたは少なくとも10s)励起状態の寿命を有する放射材料として定義される。この場合、および本発明の文脈において議論されているすべての放射材料について、明記されている励起状態の寿命の範囲は、排他的ではない。例えば、即発燐光と遅延燐光に対して定義されている励起状態の寿命の範囲の物質が存在する。このような長い寿命を達成するために、遅延燐光性材料の励起状態は、急速な非放射緩和を引き起こす他のプロセスを有してはならない。多くの放射材料の場合、非放射プロセスの速度は、かなりの割合の光子を放射する前に励起状態を使い果たす。したがって、一部の遅延燐光性材料では、放射部位が固相の無機マトリックスなどの非常に剛性の高い環境に埋め込まれており、いくつかの無機蛍光体が遅延燐光を示す。遅延燐光を示す他の構築物には、ランタニドおよびアクチニド系列からの元素などの、そのフロンティア軌道としてf軌道を有する重元素に基づく放射部位が含まれる。これらの物質では、放射に関与する電子雲(それらの軌道によって規定される)が収縮し、電子が原子核に十分に接近して保持されるため、配位子の電子と強く相互作用しない。この特色により、励起状態は、励起状態の非放射緩和に寄与する周囲の動力学および振動から隔離される傾向がある。しかし、これらの物質は、その環境から完全に免除されているわけではなく、生物学的診断検査の状況では、明るい放射を生成する放射種を設計するには注意を払わなければならない。例えば、多くの場合、水(HO)の金属イオンへの配位は、急速な緩和を引き起こす恐れがある。一部の実施形態では、これらの組成物中のHOをDO(重水)に置き換えると、非放射速度が低下し、遅延燐光の強度が増大する。遅延燐光を示す典型的な元素には、以下に限定されないが、ユーロピウム、テルビウム、ガドリニウムおよびエルビウムが含まれる。遅延蛍光および即発燐光と同様に、遅延燐光は、物質の時間同期励起と組み合わせて放射状態を作り出すと、スマートフォン、デジタルカメラまたは等価な画像取り込みデバイスによって選択的に検出することができる。
【0261】
一部の実施形態では、これらの方法において使用され得る光信号は、化学発光の信号である。このプロセスでは、化学反応は一般に、試薬の添加または反応経路のインサイチュでの活性化のどちらか一方によって引き起こされ、励起状態をもたらす。この場合、そのタイミングは、試薬を放出する、または化学発光の経路を活性化するトリガによって引き起こされる。トリガは、生物学的アッセイの一部であってもよく、またはこのアッセイの最後に行われてもよい。トリガは、物理的、光化学的にまたは電気的インパルスによって行われ得る。一部の実施形態では、この場合、光学的励起を必要とせず、化学発光のトリガ後に発生する信号は、スマートフォン、デジタルカメラまたは等価な画像取り込みデバイスによって定常状態モードで収集される。
【0262】
上記および本明細書において記載されている異なる光学的信号は、ラテラルフローアッセイ、バーティカルフローアッセイおよびLAMPアッセイを含めた、生物学的診断アッセイの感度および信頼性を高めるために、いくつかを組み合わせて使用されてもよい。有利には、本明細書に記載されている方法および信号は、小さな動き(ジッター)の効果を最小限にすること、ならびに/または例えば、非特異的信号および迷光によって引き起こされる光学的ノイズを低減することに役立つ。一部の実施形態では、画像を組み合わせる能力は、光学的(基準)マーカー、参照信号、画像解析、アッセイに関する情報および計算方法によって提供され得る、画像の位置合わせの精度を必要とすることがある。代替照明の下で収集された、または様々な時間領域にわたって収集された、様々な光学素子から収集された画像の組合せを使用して、光学ノイズを決定し、軽減する。
【0263】
一部の実施形態では、色をベースとする(比色)信号は、減色または光の選択的反射のいずれか一方によって生成され、周囲条件下または追加の照明を用いて収集することができる。この定常状態の信号は、理論によって拘泥されることを望むものではないが、例えば、入射光が一定のままである場合、時間に不変である。一部の実施形態では、入射光と検出された信号との間の時系列化を使用しない。一部の場合、アッセイ中の着色物質の反応または局在化の結果として、色の変化が生物学的診断に付随する。比色信号は、例えば、スマートフォン、デジタルカメラ、または他の画像取り込みデバイスもしくは構成要素によって、すべてが収集される発光信号と連携して使用することができる。代替的に、一部の実施形態では、画像は、アッセイの性質、アッセイを最適に読み取るために使用されるべき方法、および/または目的の信号が予期されるデバイス上の物理的位置に関する指示を含む、アッセイに関する情報を符号化することができる。例えば、画像は基準マーカーを含むことができる。一部の実施形態では、較正を行うための重要な情報を提供し、例えば、アッセイにおいて不変である参照信号からの強度および/または寿命データを含むことができる画像も収集することができる。一部の実施形態では、これらの参照信号に対するアッセイ信号の相対強度または寿命を使用して、アッセイの精度を制限する恐れのある他の差異を考慮することができる。例えば、1つのアッセイで使用される光源が別のアッセイの光源よりも明るくなり得る。一部の場合、内部参照を使用して、このようなばらつきを考慮し、信号の一層高い精度および定量化を実現することができる。参照は、目的の信号の検出に関連付けられる信号の測定値を測定する前もしくは後に、個別に読み取ることができるか、または代替的に、同じ画像から同時に収集することができる。一部のこのような実施形態では、参照信号は、異なる放射波長、画像(アッセイ)内の異なる位置および/または異なる励起状態の寿命を持たせることによって、検出事象に関連付けられる信号から分離される。
【0264】
一部の実施形態では、複数の画像ならびに空間、波長および時間領域からの情報を収集および組み合わせることにより、有利には、バックグラウンドノイズからの信号を識別し、信号を定量する一層大きな能力が可能になる。例えば、生物学的診断アッセイは、迷光を有する環境において実施することができる。一部のこのような場合、バックグラウンドからの信号を区別するためのこれらの方法の能力は、アッセイの感度および信頼性を高める計算方法を適用することが有利なことに可能となろう。一部の場合、(外部)照明に応答して比色信号を収集する。一部の実施形態では、このような照明は、アッセイを読み取る同じスマートフォンのフラッシュによって発生されてもよい。他の場合、照明は、追加の光源によって提供される。一部の場合、信号を増強するために、光源の方向を使用して、反射/散乱またはアッセイの光学特性の差を最小化またはこれらを利用する信号を提供することができる。一部の場合、読み取られる信号は、入射光および/または検出された光の偏光によって変化することがある。一部の実施形態では、色およびその色度からの情報を収集することができ、これは、例えば、スマートフォンで収集される様々な色のピクセルの図での位置、相対強度、または波長の関数としての強度を含む様々な方法で測定することができる。
【0265】
一部の実施形態では、比色信号は、1つまたは複数の異なる発光信号と連携して使用することができる。例えば、即発蛍光と組み合わせると、両方の信号を定常状態モードで取得することができる。一部の実施形態では、比色信号は、白色光照明下で収集することができ、即発蛍光は、発光材料が励起される異なる光学的刺激下でこの信号を収集することによって区別することができる。このタイプのプロセスは、補足情報を提供するために使用することができる。例えば、一部の場合、特定の波長の光源を適用することによって、即発蛍光物質を選択的に励起することが可能である。
【0266】
一部の実施形態では(例えば、高コントラストの蛍光信号を生成するために)、即発蛍光物質を励起するために使用される光は、スマートフォン、デジタルカメラまたは他の検出器によって検出されないように選択される。一部の場合、暗いバックグラウンドで蛍光信号が検出される場合、検出利点があり得る。例えば、励起は、一部の場合、追加のフィルター、吸収性支持体によって、または検出システム内の光学素子(レンズ)の固有の吸収によって、検出用デバイスから排除され得る光を使用して行うことができる。一部の実施形態では、この特色を遂行するための例示的な方法の1つは、より高いエネルギーの紫外(UV)光を使用して蛍光物質を励起させることである。一部の場合、診断アッセイは、周囲光下または白色光照明下のいずれかで比色信号を使用して読み取られ、次に、即発蛍光信号と組み合わせることができる。有利なことに、比色信号は、生体分子の検出事象の直接的な結果である必要はないが、(追加的にまたは代替的に)蛍光信号が期待される場所に関する情報を提供し、かつ/または分析されることになる領域を特定するために使用することができる基準マーカーを提供することができるであろう。このような画像(複数可)は、照明の助けを借りてもしくは借りないで収集することができ、かつ/または立て続けに、即発蛍光物質が励起されて信号が収集される。一部の実施形態では、組み合わされた信号を使用して、すべての信号の正確な位置合わせを確実にし(いずれのジッターも軽減し、較正をもたらす)、かつ他の光学的ノイズを補償し、それによって改善された信号を生成することができる。一部の場合、周囲からの迷光がアッセイに影響を及ぼすのを阻止するように、箱または他のデバイスを使用して測定を行う。一部の場合、比色画像および蛍光画像の両方が照明下で収集され、前者は白色光を使用し、後者は即発蛍光物質を励起する光を使用するが、スマートフォン、デジタルカメラまたは他の光学的検出システムを含む検出用デバイスからフィルターがかけられる。一部の場合、即発蛍光信号はまた、白色光源を用いて励起することによって生成することができ、検出器の前に位置付けられた光学フィルターを使用して白色光のバックグラウンドを拒否することができる。即発蛍光信号は、生物学的事象に直接、関連している必要はやはりないが、基準となる空間情報または較正情報を提供するために使用することもできるであろう。一部の実施形態では、比色信号を化学発光信号と連携して使用することができる。このような実施形態では、化学発光信号は照明を必要としないことがあり、有利には、迷光を排除するバックグラウンドで検出することができる。
【0267】
一部の実施形態では、比色、即発蛍光または化学発光信号はまた、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光と連携して使用することもできる。例えば、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光信号は、スマートフォンカメラ、デジタルカメラまたは他の検出システムと連携した時間同期光励起を使用して選択的に検出することができる。一部の場合、これらのデバイスにおける光の検出により、以下に一層詳細に記載されている通り、光の時間ゲート検出を可能にする、シャッター機構が利用される。放射種の寿命に応じて、単一の画像が、放射種の寿命に関する情報を含有することができるように、スマートフォンまたは等価なデバイスに関するパラメータを選択することができる。この方法では、例えば、信号は、画像取り込み全体を通じて発展し得る。遅延燐光の場合、励起と画像収集の間の単純な遅延を用いて、画像全体を取り込むことができるスマートフォンまたはデジタルカメラを使用することもできる。一部の場合、画像は、これらのデバイスに一般的なビデオ(フレーム)取り込みオプションの使用によって取り込むことができる。一部の実施形態では、これらの画像は、他の画像を組み合わされて、アッセイに関する情報、基準空間情報、較正または相補信号を提供し、ロバストなアッセイを生じる。
【0268】
画像が取得される多くの場合(一例は、携帯電話で写真を撮ること)、単一の画像が短時間に単に取得されるだけでなく、単一の画像の部分が様々な時間に撮影されて(非常に短い時間間隔にわたるが)、単一の画像が構築される。例えば、画像の一部(例えば、上部)は、画像の別の部分(例えば、下部)とは非常にわずかに異なる時間に取得される。携帯電話のカメラの場合、「シャッター」(例えば、電子シャッター)が、画像内の場所に応じて様々な時間に画像の部分が形成されるのを遮蔽し、その結果、画像全体が過剰曝露されず、任意の特定の時間において、画像全体ではなく、ある部分が記録されるが、経時的に(非常に短い)、画像全体が構築される。画像の特定の部分がいつ取得されたかを知ることにより、それらの2つ(またはそれより多く)の様々な時間および/または画像形成の全期間(または、その期間の一部)において、その画像の対象に何が起こったかに関する情報を特定することができる。例えば、放射種の特色(化学種または生物種、放射タグなど)が画像形成の時間スケールで変化する場合、形成された単一の画像を使用して、その変化(複数可)に関する何かを判定することができる。一部の実施形態では、画像全体(または複数の画像)は、目的の信号に関連しないかなりの量のデータを含んでおり、その分析は、選択されたピクセル数に依存し得る。一部のこのような実施形態では、選択された特色またはピクセル数は、測定からの画像および/または情報を構成し得る。一部の実施形態では、ピクセルは、信号の空間分布を表すデータを生成するために組み合わされる。例えば、画像は、水平方向に関して信号の垂直線を明らかにすることができる。この場合、垂直および水平は、相対的な方向であり、一般に、絶対的なものではない。一部の実施形態では、信号の分析は、垂直方向に沿ったピクセルの強度の合計を含むことができる。一部の実施形態では、水平次元におけるこれらの合計された強度のプロットは、バックグラウンドに対する線の総強度を分析するための方法を提供する。一部の場合、較正信号と協調したこのような分析を使用して、アッセイにおける定量的な測定値を生成することができる。
【0269】
本開示の全体にわたる記載から明白な通り、本発明は、上記の多数の変形形態を含み、いかなる画像の特定のタイプ、画像数、画像を得るために使用される装置のタイプなどにも限定されない。
【0270】
一部の実施形態では、物品(診断アッセイなど)は、放射種を含む放射材料に関連付けられる。一部の場合、放射種は、上記および本明細書に記載されている放射寿命を有する。当業者は、例えば、画像センサーの時間分解能に基づいて、好適な放射タイムラインが選択され得ることを理解すると思われる。一部の画像センサーの場合、好適な寿命はミリ秒の程度となることがある一方、他の画像センサーの場合、好適な寿命はマイクロ秒の程度となることがある。時間応答が速い画像センサーにより、一般に、寿命がより短い放射種を使用して、寿命ベースの画像を取得することが可能となる。一部の場合、放射種の特徴(例えば、識別、真正性、年齢、品質、純度、存在)は、放射種に関連する時間依存的情報を含む画像(または一連の画像)を取得することによって決定することができる。ある例では、例えば、放射種の放射寿命は、画像(または一連の画像)から決定することができる。放射種の放射寿命は、以下に限定されないが、他の分子(例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素)への結合または接近、温度、pHおよび放射線曝露を含むいくつかの要因によって改変されることがあるので、放射寿命の測定長さ(例えば、観察される放射寿命、放射期間)は、関連付けられる物品の特徴に関する情報を提供することがある。一部の例では、1種または複数の放射種を含む放射材料を使用して、関連付けられる物品を識別および/または認証することができる。
【0271】
一部の実施形態によれば、物品(例えば、診断アッセイ)は、放射種を含む放射材料に関連付けられる。一部の実施形態では、放射種は、化学種および/または生物種である。一部の例では、励起構成要素は、非定常状態のパルス化電磁線および/または変調した電磁線を放射し、これらの少なくとも一部は、放射種によって吸収される。一部の場合、パルス化および/または変調された励起構成要素は、偏光、または1つもしくは複数の帯域の波長を有することができる。一部の場合、複数の励起構成要素が、順番に使用されてもよく、および/またはそれらが物品に適用される時間と重複してもよい。ある場合、吸収された電磁線は、放射種の1個または複数の電子を高エネルギー状態へと励起させる。1つまたは複数の励起状態は、一般に、準安定であり、一部の場合、電磁線の放射、熱放散(例えば、振動エネルギー移動による)および/または化学反応により、より低いエネルギー状態(例えば、基底状態)へと緩和することができる。一部の場合、1つまたは複数の励起状態はまた、異なる放射波長、偏光および/または寿命を有する放射種とすることができる、隣の種にエネルギーを移動することもできる。励起状態が、電磁線を放射することによって緩和すると、この状態は、一定期間にわたり、検出可能な放射を生成することができる(「放射期間」または「放射寿命」とも称される)。一部の場合、画像センサーは、検出可能な放射の少なくとも一部を検出することができる。ある場合、電子ハードウェア構成要素(例えば、回路、1つまたは複数のプロセッサ)は、続いて、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む画像(または一連の画像)を生成することができる。
【0272】
ある場合、電子ハードウェア構成要素は、いくつかの様々な寿命において、放射の様々な部分から電磁線(例えば、可視光または他の光)を取り込むことによって画像を生成することができる。画像が取り込まれる順序および期間は様々となり得、電子ハードウェアのプログラミングまたは改変によって制御され得る。このように、画像(または一連の画像)を使用して、放射種および/または物品の特徴に関する時間依存的情報を得ることができる。励起構成要素に関して、様々な期間における画像の様々な部分を収集することによって、独特の画像を生成することができる。これらの画像を使用して、物品に関する情報を伝達し、認証コードとして働くことができる。非限定例の1つとして、画像(または、一連の画像)を使用して、放射種の放射寿命を決定することができる。一部の場合、放射種の放射寿命は、他の分子(例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素)への結合および/または接近、温度、物理的変化、pH、放射線曝露および/または他の環境因子によって改変することができる。したがって、一部の例では、特定の放射寿命の値は、関連付けられる物品の特徴に関する情報(例えば、標識の存在または非存在、環境の特徴、以前の化学的曝露、物理的曝露または他の曝露に関する情報)を提供することができる。別の非限定例として、画像の第1の部分の特性と画像の第2の部分の特性との差は、物品の特徴(例えば、標識の存在または非存在、環境の特徴、以前の化学的曝露、物理的曝露または他の曝露に関する情報)に関する情報(例えば、標識の存在または非存在、環境の特徴、以前の化学的曝露、物理的曝露または他の曝露に関する情報)を提供することができる。
【0273】
一部の実施形態では、標的分析物が存在する場合、放射種が存在する(または、放射を生成する)よう放射種が選択される。
【0274】
一部の実施形態では、多数のスマートフォンおよびデジタルカメラに使用されるローリングシャッターとして知られているものを使用して、時間分解能を提供することができるシャッター機構が使用される。ローリングシャッターは、一般に、電子機構であり、イメージングチップの電子読み取りに関係する。より古いカメラにおいて使用されている従来のシャッターと同様に、チップが読み取られる速度は様々となり得る。スマートフォンまたはデジタルカメラでは、チップが光検出素子の行または列を立て続けに読み取ることにより、逐次、チップに投影された光を検出する。この読み取りによる時間遅延により、デバイスは、放射種の寿命の関数としての情報を抽出することができるよう、挙動することが可能となる。この情報は、様々な行もしくは列を読み取ることによって単一の画像から抽出することができる、または様々なタイプの励起およびローリングシャッターの読み取り条件で収集した多数の画像の重ね合わせから抽出することができる。例えば、強度が時間と共に変化する励起をローリングシャッターと連携して使用し、寿命データを取得することができることが考えられる。この場合、励起が変調される速度は、広い範囲にわたって変化することがあり、理想的には、様々な放射種の励起状態の寿命と時間が同様のサイクル期間に近づく。画像収集の速度(ローリングシャッター)および励起条件を変化させることにより、一部の実施形態では、様々な放射種を選択的に検出し、バックグラウンド信号を最小化することが可能である。この方法により、生物学的アッセイ内で異なる励起状態の寿命を有する複数の様々な種の選択的検出が可能になることがやはり留意される。この特色は、放射種の色度(波長)および光の偏光を使用して光学的ノイズを低減する方法と組み合わせることができる。一部の実施形態では、読み取り装置は、ローリングシャッターを使用する従来のスマートフォンである。スマートフォンの重要な特徴は、励起とローリングシャッターの速度の間のタイミングである。励起がパルス化され、単一のパルスの後に画像全体が収集され得る。代替的に、励起は、単一の画像の収集中に複数回パルス化され得る。さらに、励起は、ローリングシャッター機構を使用して、画像の収集全体を通して1つまたは複数の変化する周波数で連続的に変調され得る。異なる励起周波数とローリングシャッター速度の組合せを有する一連の画像を決定することができることもやはり考えられる。一部の場合、読み取り装置は、最初に多数の異なる励起条件およびローリングシャッター条件においてデータを収集する。計算法を使用して、これらの試行励起およびローリングシャッター条件のどの組合せが優れた信号を生成するかを決定することができる。最適な条件下でこの信号を抽出するか、または読み取り装置が追加の測定を行うことができる。この概念を例示する例として、1回の分析(または試行測定)に10ミリ秒かかる場合、1秒間に100回の個別の測定を行うことが可能である。これらの方法で、スマートフォン、デジタルカメラまたは検出用デバイス(読み取り装置)を有利に使用して、複雑なバックグラウンドで特定の寿命を有する信号を選択的に検出することができる。例えば、一部の条件下では、デバイスを使用して、遅延燐光を検出し、遅延蛍光、即発燐光および比色信号を大幅に除外することができる。代替的に、他の条件下で、デバイスを使用して、遅延燐光および比色信号よりも遅延蛍光および即発燐光を優先的に検出することができる。しかし、これらの選択的検出事象は、それ自体は有用であるが、追加情報を含む他の画像と連携して使用すると、有利なことに大幅に強化されることが明白である。例えば、本明細書に記載されている画像解析技術のいずれかの一対の組合せを使用することができる。信号のいずれかを検出するために収集された複数の画像を融合することができる。一部の状況では、このプロセスを信号の平均化と見なすことができ、これによって、一般に、平均化された信号数の平方根に等しい速度で信号対ノイズ比が向上する。
【0275】
一部の実施形態では、当業者はまた、本明細書の教示に基づいて、電子グローバルシャッターを使用して、時間独立放射データ(非定常状態の光子放射データ)を生成することができることを認識している。一部のこのような実施形態では、サイクル時間(各画像の曝露および読み取りが行われる時間)は、非定常状態の放射の差を取り込む程、十分に速い。本明細書に記載されている一部の実施形態によれば、グローバルシャッターで作動する光子検出用デバイスを用いる、放射種の適切な励起状態の寿命の選択は、非定常状態の光子放射信号を生成するのに有用となり得る。一部の実施形態では、グローバルシャッターをベースとするデバイスは、個別に読み取られる複数の画像を介する非定常状態の光子放射検出の時間分解を達成することができる。一部の実施形態では、パルス励起のオフとグローバルシャッター条件下での画像の収集との間の好適な遅延は、時間情報を生成するために使用される。一部の実施形態では、単一の遅延しか使用されない。一部の実施形態では、複数の画像は、1つまたは複数の異なる遅延で収集される。一部の実施形態では、電子グローバルシャッターはまた、変調された励起によって生成する非定常状態の放射を検出するために使用することもできる。一部のこのような実施形態では、グローバルシャッターデバイスは、変調された放射に関連する様々な時間点における放射を検出する。遅延放射は、例えば、励起波形に起因する位相内の差、または即発蛍光、反射および/もしくは散乱に起因する波長の差の結果として検出され得る。
【0276】
スマートフォンのデジタルカメラを使用して読み取ることができる追加情報を提供する光学的信号はまた、生物学的診断アッセイに追加することもできる。例えば、アッセイが行われた温度を表示するため、および/またはアッセイが有害な加温条件または冷却条件に曝露されていないことを表示するために、温感性放射材料が加えられてもよい。この情報は、アッセイの予測される精度に関する重要な情報を提供することができる。一部の場合、アッセイの正真性を追跡または検証し、不正行為または誤用を防止するのに有用となり得る。この場合、認証用の複雑な情報を符号化する光学的コードが含まれ得る。一部の場合、アッセイの簡単な較正または基準位置合わせのための内部対照が含まれてもよい。例えば、既知の性能の放射材料が、結果を較正するための内部標準として、アッセイに組み込まれてもよい。
【0277】
生物学的アッセイ結果解釈の処理能を向上させるため、複数のアッセイを同時にイメージングして分析することができる。例えば、4つのLFAを同時にイメージングおよび分析すると、処理能が4倍になり、特に、時間に敏感かつ/または資源が制限される環境では、多大な時間、労力、装置および費用の削減がもたらされ得る。
【0278】
本明細書に記載されている様々な画像の融合により、生物学的診断アッセイにおける、感度および信頼性の改善を有利なことにもたらすことができる。一部の場合、このようなデータを立て続けに収集し、例えば、測定の経過中に発生する、物理的移動または照明条件の影響を最小限にすることができる。異なる光学素子、または複数回測定される同じ光学素子に由来する信号を融合して生じる複合データにより、一部の従来の技法に比べて、信号対ノイズ比の改善がもたらされる。一部の場合、スマートフォンまたはデジタルカメラは、いかなる追加的な光源または光学フィルターもなしに、アッセイを読み取るように構成されている。一部の実施形態では、画像は、周囲光を使用して、および/またはスマートフォンもしくはデジタルカメラのフラッシュ(オンボード白色光LED)による照明により収集される。一般に白色光をもたらすよう設計されているフラッシュは、白色光を励起可能な発色団および既に明記したクラスの物質のうちの1つまたは複数を有する放射材料を励起させるために使用することができる。フラッシュによる励起は、画像が連続照明の条件下で撮影される定常状態で行うことができ、この方法は、生物学的診断アッセイからの比色信号および即発蛍光信号の収集の場合に好ましい。時間内でのフラッシュの強度をパルス化または変調する、およびスマートフォン、デジタルカメラまたは他の光学イメージングデバイスのローリングシャッターまたはビデオによる取り込み能を適用することによって、遅延蛍光、即発燐光または遅延燐光が検出され得る。
【0279】
例えば、一部の場合、発光ダイオード(LED)などの外部光源を使用して放射種を励起させるのが有利なことがある。このような光源は、定常状態モードにおいて、またはパルス化/変調モードでの時系列検出をもたらすために使用することができる。スマートフォンまたはデジタルカメラのフラッシュからの光出力よりも高いエネルギーである紫外光を生成するLEDを選択することができる。紫外光は、光のこのような波長に対して光学素子の透明性に欠けるので、検出から本来、排除されてもよい。即発蛍光を励起するために使用される励起光は、フィルターの使用による検出器への衝突から除去され得る。様々な放射体を選択的に励起するために複数のLEDが使用されてもよく、これらの光源は、定常状態で、パルス化様式でまたは変調様式で独立して、操作されてもよいことが考えられる。
【0280】
一部の実施形態では、フィルターに加えて、偏光板を使用して特定の信号を生成することができる。偏光板を励起と連携して使用し、偏光励起を得てもよく、様々な偏光板の選択的検出を行うため、アッセイと検出器との間に追加の偏光板を置いてもよい。励起素子と検出素子の両方に対する偏光板の組合せ使用が使用されてもよく、偏光板の相対配置を使用して、信号のコントラストの改善をもたらして、迷光(光学的ノイズ)をなくしてもよい。結果として、偏光板を使用して、信号対ノイズを向上することができ、それにより、生物学的診断アッセイにおいて感度が改善する。偏光板は、迷光をなくすために使用されてもよく、周囲光下で行われるアッセイでは、性能の改善が可能となる。生物学的診断アッセイに、放射種のある程度の偏光解消も使用されてもよい。この場合、偏光励起が適用され、放射された光が同じ偏光を有する程度が、関連情報をもたらす。偏光解消は、放射前の放射材料の動きの結果として、または複数の放射種間のエネルギー移動の結果として起こり得る。偏光解消の程度は、放射材料の寿命にも関係し得る。
【0281】
本発明で使用される放射材料の励起状態の寿命は、それらの環境の関数として変わり得る。ローリングシャッター法は、異なる時間同期された光学的励起と組み合わせた場合、放射材料の絶対または相対励起状態の寿命に関する情報を明らかにするために使用することができる。励起状態の寿命が、この物質の局所環境の関数であることを考慮すると、近位の生体分子認識プロセスの結果として、この値が変化することがある。一部の場合、生体分子認識事象は、新しい複合体の形成を引き起こすことができる。このような事象は、波長の関数としての強度と寿命の両方で異なる新しい放射を生成することができる。生物学的アッセイに関連付けられる放射材料の溶媒和の変化が、寿命の変化をもたらすこともやはり一般的である。例えば、多数の放射材料が、非極性環境に比べて、極性水性環境において変化する励起状態の寿命を有する。
【0282】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアの変更により、定常状態と時間ゲート(非定常状態)測定の両方に同じハードウェアを必要に応じて使用することができる。
【0283】
一部の場合、遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光では、生物学的診断アッセイを読み取るために最適なパラメータが存在し得る。これらの場合の最適化には、信号を最大化し、および/またはバックグラウンド(例えば、迷光を含む)信号を最小化(抑制)する、一連のパラメータを生成することを含むことができる。これらのパラメータは、一般に、読み取りが行われる特定のアッセイおよび条件に依存する。スマートフォンに展開した場合、比色信号を使用し、特定の方法でスマートフォンをアッセイの方向に向けて、所望の信号を生成するよう使用者に指示する情報を提供することができる。一部の場合、アッセイに対するロゴ、QRコード(登録商標)またはバーコードに含まれ得るこのような情報は、シャッター速度(露光時間)および/または感度(ISO)設定などの最適カメラ設定、ならびに励起プロファイルに関してスマートフォンに通知する。一部の場合、電話は、使用されるシャッター速度/ISOおよび励起のタイプ/期間に関する値の範囲を迅速に探索する測定を行うことができる。計算により、スマートフォンを使用して、所望の信号を生成するイメージング条件を決定することができる(例えば、高解像度/コントラストを提供し、アーチファクトと迷光を拒否し、明るい放射信号を生成することによる)。この調査中に収集されたデータは、適切であり、多数の画像から最適な信号を抽出することができる可能性がある。一部の実施形態では、画像の一部だけを使用して測定値を生成するよう、すべての画像が一緒に融合されてもよい。迅速な調査方法によって導かれる場合もあり、計算方法は、最適な測定値を生成するための特定の一連のパラメータを使用して後続の測定を行うようにスマートフォンを構成するイメージングパラメータを生成する。例えば、これを使用して、アッセイを明るい干渉光源から遠ざけるかどうか、または各画像が検出チップによって収集される時間(シャッター速度または露光時間)を変更するかどうか、または励起を構成するための最適な方法を決定することができる。後者は、パルス化光フラッシュまたは周波数変調法とすることができる。一部の場合、スマートフォンが、使用者に周囲光を制限する条件を探すように指示することがある。これは、例えば、暗室もしくはクローゼットに入るか、またはカメラおよびアッセイの上に黒いカバーを使用して光を排除することによって行うことができる。後者は、黒い布、黒色のプラスチック片、または迷光が測定を妨害するのを阻止しながらアッセイに対してカメラを位置付けることが可能な箱を含むことができる。後者は、製品包装の一部として設けられた使い捨て要素を含んでもよい。
【0284】
一部の場合、診断読み取り装置構成要素の一部もしくはすべて、または設計特色を製品包装に組み込むことが有利となることがある。これらの構成要素は、以下に限定されないが、診断アッセイ励起のための、UV、青色光もしくは白色のLED(複数可)、または出力もしくは診断読み取りタイムアラートなどの状態表示機能、光学フィルター、偏光板もしくはレンズ、電池、およびサポート電子機器/PCBを含むことができる。好ましい実施形態では、診断アッセイ用の製品包装を使用して、箱の上部にスマートフォンを単に置くだけによって、結果を得る間、迷光を遮断して診断アッセイに対してスマートフォンのカメラを位置付けることができる。1つの特に好ましい実施形態では、製品包装の内部は、必要に応じて、励起用のLED、励起および放射された光を最適化するための光学フィルター(複数可)、レンズ(複数可)または偏光板(複数可)、軽量の使い捨て電池、サポート電子機器を組み込んだPCB、較正、認証または基準マーキング、およびイメージング光学系に診断アッセイを確実に向けるためのガードレールなどの物理的機構を含む。この好ましい実施形態では、製品包装の外部は、必要に応じて、印刷された製品情報、認証または改ざん防止機構、様々なスマートフォンの型およびモデルの印刷された輪郭などの配置機構、ならびにスマートフォンの型およびモデルに基づいて除去されて、製品包装の内部に位置する診断アッセイをスマートフォンカメラがイメージングすることを可能にする穴の空いた領域を含む。製品包装は、使い捨てであるか、または再利用可能とすることができる。必要に応じて、太陽電池を製品包装の外部に置いて、電力を供給し、電池の必要性をなくしてもよい。
【0285】
一部の実施形態では、包囲体は、消費者用電子機器(例えば、スマートフォン)を収容するように構成されている。例えば、包囲体は、消費者用電子機器の形状、サイズおよび/または立体構造に対応する1つまたは複数の特色を含むことができる。一部の実施形態では、この特色は、調整可能である(例えば、それにより、様々な消費者用電子機器が、包囲体と一体化されることができ、それにより、消費者用電子機器の位置決めを調節することができる)。包囲体が、消費者用電子機器の全体を収容することができるか、または消費者用電子機器の一部しか収容することができない。例えば、包囲体は、消費者用電子機器の画像センサーおよび/または電磁線の発生源を包囲するように適合、配置されてもよい。
【0286】
一部の実施形態では、包囲体は、電磁線の発生源を含む。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、包囲体の構成要素である。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、消費者用電子機器の構成要素である。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、消費者用電子機器と通信する(例えば、回路、電気的通信、プロセッサ(複数可)のうちの1つまたは複数を介するなど)。例えば、電磁線の発生源は、電磁線が生成するよう、消費者用電子機器からの信号を受信することができる。一部の実施形態では、使用者は、包囲体と相互作用し、それにより電磁線の発生源は電磁線を生成する。
【0287】
一部の実施形態では、包囲体は、物品(例えば、診断アッセイ、放射種に関連付けられる物品)に対して、消費者用電子機器を位置付けるように構成されている。一部の実施形態では、消費者用電子機器の位置付けは、消費者用電子機器が、物品(または放射種)からの検出可能な放射を検出することができるよう、消費者用電子機器のセンサーを位置付けることを含む。
【0288】
一部の実施形態では、消費者用電子機器が一旦、位置付けられると、包囲体の少なくとも一部が閉じられる。例えば、一部の実施形態では、消費者用電子機器を収容する際には、包囲体の外部光が、物品の部分、放射種および/またはセンサーと相互作用するのが防止されるよう包囲体が構成される。一部の実施形態では、外部光がセンサーと相互作用するのを防止することとは、センサーが、一般に、電磁線の発生源によって生成し、および/または放射種によって放射された電磁線を受けることだけであることを意味する。有利には、密閉された包囲体は、バックグラウンド信号および/もしくはノイズを低減するまたはなくすことができ、かつ/あるいは放射種が望ましくない電磁線に曝露するのを阻止することができる。
【0289】
一部の実施形態では、包囲体は、アッセイ構成要素(例えば、ラテラルフローアッセイ、バーティカルフローアッセイ、チップ、カセット、カートリッジ、試料を含む物品)を収容するように構成されている。例示的な包囲体および例示的なその構成要素が、図14A~14Fに示されている。一部の実施形態では、包囲体は、使用者がアッセイの実施中、消費者用電子機器と相互作用し得るよう設計される。包囲体および/またはアッセイは、以下に限定されないが、診断、認証、検出、識別、純度および品質管理を含めた、本明細書に記載されている様々な用途と連携させて有用となり得る。
【0290】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態は、一体化したサンプリング用カセットおよび/または分析用カセットと連携して使用される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法およびシステムを使用して、サンプリング用カセットおよび/または分析用カセットに供給される試料を分析することができる。一部の実施形態では、サンプリングおよび分析に必要な構成要素のすべてが、キット中で供給される。例えば、図14Fに示されている通り、本キットは、一部の場合、一体化カセット、試料収集構成要素(例えば、スワブ、収集用リザーバー、バイアル)、消費者用電子機器(例えば、スマートフォン)用の必要に応じたアダプター、および必要に応じたトレイ(例えば、試料調製用)を含むことができる。一部の場合、キットの使用説明書が供給されてもよい(例えば、トレイなどのキットの1つまたは複数の構成要素の表面に)。
【0291】
異なる画像の組合せにより、一般に、アッセイの結果と共に追加情報を保存することが可能となる。これは、個々のアッセイ、アッセイのタイプ、アッセイが実施された場所、およびアッセイの時間を含むことができる。
【0292】
例示的な実施形態では、ユーロピウムキレートに基づく遅延蛍光体は、このようなアッセイを読み取る独立型読み取り装置を用いて、LFAに使用されてもよい。本明細書に記載されている方法を使用するスマートフォンの読み取り装置は、これらのアッセイを読み取るように構成されてもよい。スマートフォンのカメラの白色光フラッシュ(オンボードLED)を使用して、ユーロピウムを最適に励起することができない場合、より短い波長の励起周波数(UVまたは青色光)を有する補助光源をスマートフォンと連携して使用する。
【0293】
一部の実施形態では、既製のスマートフォンと青色LEDの組合せは、専用読み取り装置に比べて有用な代用品となる。スマートフォンは、かなりの計算能力を有しており、追加の計算資源および/または結果報告目的のためにクラウドに接続することができ、時空間データを供給してもよく、および/または他の画像(QRコード(登録商標)、テキスト、バーコード)を取り込んで読み取るように構成されてもよい。スマートフォンシステムはまた、より広範かつ迅速に展開することもできる。スマートフォンをラテラルフロー読み取り装置に変換するアプリケーション(app)は、電話で容易にダウンロードして、アップグレードすることができる。外部LEDと組み合わせる場合、デバイスは、パルス化したまたは周波数が変調されたLED励起と同期したスマートフォンと容易に対にすることができる。時間同期励起を伴うローリングシャッターを使用して、ベースライン補正による測定で相殺することができる迷光に由来するノイズをなくすまたは識別することができる。一部の実施形態では、スマートフォンは、青色LED励起に依存する必要はなく、そのオンボード白色光フラッシュを使用してアッセイを読み取ることができる。有利には、パルス化したまたは周波数が変調されたLED励起と同期したスマートフォンは、一部の場合、データ取得および励起を同期させる必要はないが、相対時間を推定することができ、したがって、取得されたデータ/画像から計算により同期させることができる。
【0294】
スマートフォン読み取り装置により、生物学的診断アッセイはカスタムハードウェアよりも広く読み取ることができるようになり、上記の装置は、一部の実施形態では、結果の簡単な相互参照を伴うポイントオブケア、ニアホームおよびアットホーム検査を含めたシナリオ展開が可能となるよう働くことができる。
【0295】
一部の実施形態では、製品の熱分解を監視するために使用することができる光学的方法が記載されている。一部の実施形態では、スマートフォンを使用して、累積時間および温度曝露の関数となる熱分解の程度を決定することができる。一部の実施形態では、光学的方法を使用して、ピーク温度を決定することができる。一部の実施形態では、測定は、製品が推奨される熱的曝露を超えたかどうかを判定するために使用される。これらの判定は、一部の場合、製品の認証、その製造日または光への曝露などの他の情報と組み合わせて使用することができる。
【0296】
有利には、本明細書に記載されている一部の実施形態は、例えば、従来の時間温度指標および/または線量測定標識と比較して、より高い精度を実現することができ、および/または製品の光学的調査による情報もしくは感知と容易に統合される。例えば、物質における分解プロセスの性質および分解プロセスを制御する熱活性化の統計的性質を考慮すると、従来の方法を用いた場合の、温度と時間との積と、製品が分解する程度との間に明確な線形関係がないことがある。本明細書に記載されている一部の実施形態では、有利には、熱的曝露を定量化するための「統合デバイス」として挙動し得る他の熱活性化プロセスの監視を使用することができる。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これらのプロセスは、製品の分解をもたらすプロセスと同じタイプのプロセスである必要はないが、熱分解の程度と相関することがあり、その尺度を提示することができる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されている構成要素および方法は、製品の品質(および/または認証)に対応する経時的熱プロファイルを提供する。
【0297】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている構成要素および方法は、物質の遅延放射の熱活性化変化を使用して、製品の熱分解を監視するための温度曝露を決定する。10ナノ秒後に励起された物質から放射された光として定義される遅延放射は、有利には、任意の検出器システムによって読み取ることができる非常に信頼性の高い信号の収集をもたらす(例えば、10ナノ秒後に放射される光を、10ナノ秒未満に放射された光と区別可能である、非定常状態の放射を検出可能である)。一部の実施形態では、放射材料が励起され、一部の場合、励起光が除去されて、少なくとも1マイクロ秒後に光が収集される。一部の実施形態では、スマートフォン(および/またはスマートフォンに関連付けられる構成要素)を遅延放射の検出器として使用することができ、以下に一層詳細に記載する。設計された放射材料系に由来する遅延放射は、一部の場合、製品の熱履歴について報告することができる(および、一部の実施形態では、複数の方法で)。熱的曝露に対する応答は、例えば、光吸収および放射波長の変化、光学的吸収および/もしくは放射の新しい物理的パターン、放射寿命の変化、強度の変化ならびに/またはそれらの組合せを含むことができる。放射信号は、一部の実施形態では、連続追跡、認証、有効期限の記録、総光曝露量の決定などを可能にする方法を含めた、他の光学的コードと連携して使用することができる。
【0298】
一部の実施形態では、組成物は、物品に関連付けられるように構成された放射種を含む。一部の実施形態では、放射種の励起は、検出可能な信号を生成する(例えば、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する)。本明細書に記載されている通り、一部の実施形態では、検出可能な信号は、物品の経時的熱履歴に対応する。
【0299】
一部の実施形態では、標識は、1種または複数の放射種を含む。一部の実施形態では、標識は、物品に関連付けられる。例えば、本明細書に記載されている標識は、物品の経時的熱履歴を決定する際に有用となり得る。一部の実施形態では、標識は、放射種の第1の経時的熱履歴に対応する期間における、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の第1の検出可能な遅延放射を必要に応じて有する、放射種を含む。一部の実施形態では、標識は、1つもしくは複数の、2つもしくはそれより多くの、3つもしくはそれより多くの、4つもしくはそれより多くの、5つもしくはそれより多くの、6つもしくはそれより多くの、8つもしくはそれより多くの、10もしくはそれより多くの、20もしくはそれより多くの、または50もしくはそれより多くの放射種(例えば、それぞれが、経時的熱履歴に対応する)を含む。
【0300】
一部の実施形態では、検出可能な遅延放射は、第1の放射種の励起時に存在する場合、放射種が経時的熱履歴に曝露されていることを識別することに対応する。
【0301】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている通り、標識は、標識が物品の経時的熱プロファイルを提示するよう、物品に事前に付加されるように構成されている。
【0302】
一部の実施形態では、励起構成要素は、単一もしくは複数の放射種またはそれらの前駆体が経時的熱履歴に曝露された場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい検出可能な遅延放射(例えば、非定常状態の放射)を生じるように、電磁線を使用して放射種を励起させるように構成されている。一部の実施形態では、検出器は、検出可能な遅延(例えば、非定常状態)放射の少なくとも一部を検出するように構成されている。検出器は、一部の場合、励起構成要素に関連付けられ得る。
【0303】
以下に一層詳細に記述される通り、一部の実施形態では、検出器は、ローリングシャッター機構を含む。
【0304】
一部の実施形態では、検出可能な遅延放射は、ピーク強度、放射寿命、吸収波長および/または放射波長を含む。
【0305】
一部の実施形態では、励起に対する応答は、遅延放射に関連する吸収または放射の波長の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、検出可能な信号の強度の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射寿命の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、新しい遅延放射の生成を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射の除去を含む。一部の実施形態では、応答は、2つの構成要素を組み合わせて遅延放射を生成または除去することを含む。
【0306】
一部の実施形態では、応答は、その物理的特性を変化させて、遅延放射信号の変化を生み出すマトリックスを含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号の変化を生み出す、1つまたは複数の物質の拡散を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を生成または変化させる位相変化を受けるマトリックスを含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を生成する化学反応を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を生成または変化させる凝集の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、アンテナ分子またはポリマーから遅延放射構成要素へのエネルギー移動を増強することによって生成される。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号からのパターンを生成する。一部の実施形態では、応答は、ヒトの消費に安全な物質から生成される。
【0307】
一部の実施形態では、標識は、経時的熱履歴を示すことが可能なシステムを生成させるため、遅延放射材料の表面に第2の材料を堆積することによって生成される。
【0308】
一部の実施形態では、組成物は、互いに近い構成要素を用いて生成される。一部の実施形態では、組成物、標識および/またはシステムの構成要素の1つは、ガラス表面またはその内部に融合される。一部の実施形態では、構成要素は、互いに物理的に分離されている。
【0309】
一部の実施形態では、組成物、標識および/またはシステムは、噴霧堆積法、インクジェット印刷、印刷または積層によって生成される。
【0310】
一部の実施形態では、遅延放射は、10ナノ秒より長い、100ナノ秒より長い、1マイクロ秒より長い、100マイクロ秒より長い、または1ミリ秒より長い寿命を有する。一部の実施形態では、遅延放射は、10ミリ秒未満、1ミリ秒未満、100マイクロ秒未満、1マイクロ秒未満、または100ナノ秒未満の寿命を有する。上で参照した範囲の組合せもまた可能である(例えば、10ナノ秒より長く、10ミリ秒未満)。他の範囲も可能である。
【0311】
一部の実施形態では、遅延放射種は、金属イオンを含む。一部の実施形態では、遅延放射種は、有機分子である。一部の実施形態では、遅延放射種は、ナノ粒子である。一部の実施形態では、遅延放射種は、結晶である。一部の実施形態では、遅延放射種は、マイクロ粒子である。一部の実施形態では、遅延放射種は、重原子を含有する有機分子である。一部の実施形態では、放射種の励起は、様々な周波数において変調された強度を有する光源によって行われる。一部の実施形態では、放射種の励起は、光フラッシュまたはレーザーパルスによって行われる。
【0312】
一部の実施形態では、検出器(例えば、読み取り装置)は、スマートフォン構成要素である。一部の実施形態では、検出器は、ストリークカメラの構成要素である。一部の実施形態では、検出器は、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスの構成要素である。一部の実施形態では、検出器は、非遅延放射、周囲光および反射光が存在する複雑な環境において、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスの構成要素である。一部の実施形態では、検出器は、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスの構成要素であり、即発蛍光、周囲光および反射光/散乱光を検出することも可能である。一部の実施形態では、検出器は、遅延放射のパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能である。一部の実施形態では、検出器は、遅延放射のパターン、および反射放射/散乱放射、周囲放射または非遅延放射からのパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能である。一部の実施形態では、検出器は、熱的曝露または寒冷曝露の情報と、製品上に光学的に符号化された他の情報とを統合することが可能である。
【0313】
一部の実施形態では、検出器は、CMOSイメージングチップを含む。
【0314】
一部の実施形態では、検出器は、ローリングシャッター効果を使用して遅延放射データを収集するように構成されている。
【0315】
一部の実施形態では、検出器は、グローバルシャッターを使用して、様々な時点において時系列化することができる画像を収集するよう構成されている(例えば、非定常状態の励起に関して)。
【0316】
一部の実施形態では、経時的熱履歴とは、物品(および/または標識および/または組成物)が特定の温度または温度範囲を経験する累積時間の量のことであり、より高い(またはより低い)温度でのより短い時間は、それほど高くない(またはそれほど低くない)温度でより長いことと等価となり得る。
【0317】
本発明において、熱的曝露を遅延放射の検出可能な変化に置き換えるいくつかの方法が存在する。多くの放射体(放射材料)の場合、放射強度は、一般に、温度の向上に伴って低下する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、これは、一般に、回転、振動、揺れ、凝集、衝突および/またはこれらのプロセスの組合せにより、光学光子を放出することなく、物質が励起状態から基底状態により早く緩和する分子運動を含めた、内部動力学の結果である。これらの熱的緩和プロセスは、まとめて、非放射プロセスと呼ばれ、励起された物質のその基底状態(非励起形態)への緩和をもたらす。非放射プロセスでは、エネルギーは、多くの場合、局所環境によって吸収される局所的な熱として放散される。物質が非放射プロセスを受ける速度は、一部の場合、環境に依存し得る。例えば、内部動力学(運動)が、非放射速度を向上させる場合、物質の物理的動力学を制限する環境が、非放射プロセスの速度に影響を及ぼす。特定の熱履歴の結果として非放射緩和の速度が向上すると、放射信号の強度の低下が生じ得るが、時間温度指標(TTI)を作成するために使用して、放射材料の放射寿命の変化を検出することができる。これは、放射の強度が最初に励起される物質の量に依存し、少なくとも参照信号を必要とするからである。TTI応答に無関係な他の二次プロセスにより、放射材料が分解して非放射材料が得られ、それによって放射強度が低下することも考えられる。放射寿命の監視は、一部の場合、活性放射材料の量およびそれが励起される程度とは無関係となることがある。放射寿命は、一般に、分子が励起状態に留まる時間に関連する。一部の実施形態では、放射寿命は、すべての非放射および放射プロセスの追加速度に反比例する。色素の非放射速度または放射速度のいずれかが向上すると、一部の場合、色素の放射寿命が低下し得る。反対に、非放射速度または放射速度が低下すると、一部の場合、物質の放射寿命が増大することがある。しかし、放射強度および寿命は、同じ情報をもたらさないことがある。例えば、放射速度が速いと、一部の場合、より明るい放射が可能になり、依然として、物質の寿命の低下を引き起こす。代替的に、より速い非放射速度は、一部の場合、放射の輝度と物質の寿命の両方を低下させることがある。その結果、放射強度および放射寿命は、一部の場合、独立して変化し、他の情報は、一部の場合、製品またはその包装の異なる放射体または位置からの複数の遅延放射を有することによって、一部の場合、付与され得る有用なTTIを生成する必要があり得る。
【0318】
寿命感知の追加の利点は、一部の場合、物質が電子的に励起された状態に置かれた時点から10ナノ秒未満の寿命を通常、示す製品およびその包装中に見られる物質から、干渉する蛍光信号を除去するために使用することができることである。一部の場合、励起時間から100ナノ秒未満の寿命を有する放射を除外することが有利なことがあり、さらに他の場合、励起時間から1マイクロ秒未満の放射信号を除外することが有利なことがある。しかし、本明細書に記載されている一部の実施形態は、このように限定されることを意図するものではない。
【0319】
より長寿命の放射信号を検出することにより、固有のバックグラウンド放射を除去することが可能であり、測定および製品の状況に応じて、異なる期間での放射を測定することが望ましいことがある。多数の製品は、固有の蛍光を有しており、製品を魅力的にするために放射色素を製品に付加するのが一般的である。しかし、遅延放射を検出することによって、選択された放射材料だけが記録される。一部の場合、異なる放射色および寿命またはそれらの変化を伴う複数の放射信号を有することによってより多くの情報が生成され得ることも明確である。例えば、いくつかのTTI用途では、一部の場合、10ナノ秒よりわずかだけ長い非常に短命の信号を使用することができる、高性能読み取り装置を有することが望ましいものとなり得る。消費者が関与する他の用途では、一部の場合、TTI用のスマートフォンによって読み取ることができる信号を使用するのが最良である。一部の実施形態では、目的の放射信号は、一部の場合、追加のTTI情報を生成するようパターン化されていてもよく、さらに他の場合では、放射信号は、一部の場合、商標ロゴ、QRコード(登録商標)、バーコードおよび写真、または製品包装に関するパターンを含めた、他の光学的パターンと協調して使用され得る。
【0320】
スマートフォンは、一部の場合、遅延放射に基づいてTTIデバイスを読み取るために使用することができる。一部の実施形態では、パルス化または変調された励起光は、スマートフォンのカメラユニットにおけるローリングシャッター効果を使用する検出と連携して使用される。一部の場合、遅延(例えば、非定常状態の光子)放射に由来する光だけを検出するのは十分であろう。他の場合、遅延放射の画像の取り込みが有用であり、一部の場合、ローリングシャッター機構を使用して、空間位置と放射寿命の両方を解像することができる。
【0321】
放射種は、任意の好適な構造を有することができる。放射材料は、一部の場合、ポリマー、ワックス、顔料、金属錯体、典型族の錯体、ランタニド錯体、無機酸化物、無機スルフィド、無機塩、金属有機分子、有機金属分子、有機分子、有機半導体、無機半導体、ハロゲン化有機分子、複数の分子の超分子複合体、分子凝集体、ナノ粒子またはナノ構造化物質を含めた、任意の好適な放射材料とすることができる。当業者は、本明細書の教示に基づいて、これらの一般的な分類に該当する多くの放射材料、ならびに本発明において使用されるために必要な光学特性を有する他の材料が存在することを認識するであろう。物質の励起は、一部の場合、以下に一層詳細に記載する通り、光によって、電気的方法によって、または化学的方法によって実行され得る。励起は、一部の場合、放射材料の寿命を決定するために使用され得る方法で行われ得る。例えば、一部の場合、フラッシュの光励起が使用されて、これ以降の1つまたは複数の期間にわたり、放射が収集され得る。代替的に、励起が、一部の場合、使用されてもよく、ただし、強度が変調されることを条件とする。一般に、光強度が変調される周波数(ヘルツ=サイクル/秒)は、放射信号の寿命と類似するか、またはそれより短いサイクル時間に相当し得る。TTI測定に複数の異なる周波数を使用することが有利となり得る。
【0322】
一部の実施形態では、放射種は、化学種および/または生物種である。一部の場合、放射種は、フルオロフォア、蛍光体、または熱活性化遅延蛍光(TADF)分子、または分子複合体である。一部の実施形態では、放射種は、化学種および/または生物種に結合するように構成されている。
【0323】
このTTI発明または等価な熱的曝露測定デバイスの構築方法は、1種または複数の放射材料、または一部の場合、活性であってもよく、または活性でなくてもよい放射材料および支持組成物に変換することができる物質を必要とする。一部の場合、支持組成物は補因子を含み、これは、一部の場合、やはり放射性であってもよい、TTIに由来する光を変調する物質である。補因子は、一部の場合、物質の放射寿命、光吸収特徴、放射強度、またはTTIに由来する放射の空間パターンを変化させることがある。一部の場合、反応または会合によって放射材料を作製するために補因子が必要である。一部の場合、TTI指標をもたらす製造物質の構造化が重要である。例えば、最初に補因子から物理的に分離された放射材料を有することが可能となり得る。一部の場合、放射材料および様々な補因子の相対濃度が重要となろう。他の場合、物質組成および物理的分離の変形形態を使用して、TTI情報をもたらす、独特のパターンを生成する。他の場合、物質の融点/凝固点またはガラス転移温度(T)などの、物質の物理的特徴が重要である。これらの特色を実現するための製造方法には、積層、スクリーン印刷、噴霧コーティング、インクジェット印刷、ロールツーロール法、または一部の場合、分散液の溶媒を表面に塗布することができるいずれかが含まれる。
【0324】
放射材料または放射材料前駆体が、TTI組成物にどのように位置付けられるか、および熱的曝露がマトリックスの機械特性、化学反応、濃度および空間的な拡散により特性を変化させる程度は、一部の場合、熱的曝露を判定するため、独立して、または組み合わせて使用されてもよい。一部の実施形態では、遅延放射に検出可能な変化が存在する。一部の場合、組成物への熱的曝露により、新たな遅延放射が生成し、他の場合、遅延放射は、熱的曝露によって低減または除去される。他の場合、放射種が光を吸収または放射する波長は、熱的曝露に応じて変化し、TTIを生成する。他の場合、放射種の寿命の変化は、一部の場合、TTIを生成するために使用することができる。他の場合、TTIを生成するために放射種が変化する特別な場所が選択される。さらに他の場合、これらのそれぞれの効果のいずれかまたはすべての組合せが、一部の場合、TTIを生成するために使用され得る。製品の要件を満たす熱的曝露への応答を生じさせるために、組成物中の放射材料および他の補因子の組織化が重要である。目的の温度は、-80℃未満から100℃を超える範囲であり、多数の予期される用途は、-20℃~60℃の範囲である。マトリックスは、一部の場合、単一物質であってもよく、または複数の構成要素を含有していてもよい。例えば、マトリックスは、一部の場合、ワックス、ポリマー、無機酸化物、シリカ、ゲル、流体、天然繊維、脂肪酸もしくはエステル、またはそれらの組合せからなることができる。異なる活性要素(放射体、補因子、およびそれらの前駆体)は、一部の場合、マトリックス内に均一に分布され得るか、または表面に対して横方向または垂直方向のいずれかへの組成変化を示し得る。多くの場合、異なる物質が同時製造されて層状組成物を形成する。物質が、一部の場合、熱的曝露により拡散され得る場合、マトリックス材料内の様々な要素の物理的分離により、一部の場合、応答の発生が可能になり得る。一部の実施形態では、マトリックスは、その機械特性の変化を示し、この変化は、熱的曝露に応答した位相変化、軟化、または組成物中の他の物質との相互拡散(混合)を含むことができる。他の場合、マトリックスは、化学反応および拡散を含む他のプロセスが熱的曝露下で発生する単なる媒体である。一部の場合、TTIを生成するために一緒にされる様々な構成要素は、一部の場合、製品表面に1つまたは複数の層を積層することによって生成され得る。他の場合、TTIを生成する組成物は、一部の場合、印刷されて、互いに近接して位置付けられ得る。組成物の様々な要素の物理的寸法および空間的パターン化は、一部の場合、特定のTTIを与えるために使用され得る。例えば、熱的曝露によって、放射種、放射性前駆体、および/または補因子が所与の距離にわたり拡散することが可能な場合、標的TTIに関連する読み取り可能な応答を生成するために様々な要素をパターン化する必要がある。拡散が発生する距離は、熱的曝露に大きく依存する。ほとんどの場合、拡散距離は、温度が高くなり、期間が長くなるにつれて増加する。熱的曝露の結果として発生される新しい放射特徴(寿命、波長、強度変化)の物理的間隔確保とパターンは、一部の場合、TTIを生成するために使用されてもよい。一部の場合、放射種のパターンを、一部の場合、使用して、製品を認証することもできる。この方法では、放射種の特徴を測定することにより、簡単に再現できない識別コードが得られる。
【0325】
物質の動力学および可動性は、一部の場合、その局所環境によって、したがってマトリックスの特性によって影響を受け得る。一部の場合、剛性が向上すると、化学結合を中心とする回転、曲げ運動、揺れ運動、および他の分子との衝突などの物質の自由度が低下することがある。一部の場合、これらのプロセスにおける低下の結果として、分子はより剛性の環境において、低下した非放射速度を有する。非放射速度のこのような低下は、一層動的な状態と比べると放射寿命の増大をもたらすであろう。一部の他の場合、物質は、一部の場合、剛性環境において特定の立体構造に捕捉され、制約の少ない剛性の低い環境において有することになるものとは異なる、寿命、波長または輝度を有する放射挙動を有する。一部の場合、熱的プロセスによって、放射寿命の変化をもたらす、物質の拡散が起こる。一部の場合、物質が、非平衡の高エネルギー状態またはマトリックス内の立体構造に捕捉され得ることもやはり考えられ、それにより、この物質は、異なる波長の光を放射し、遅延放射を欠き、非放射性となり、非常に異なる励起状態の寿命またはそれらの組合せを有する。一部の場合、熱的曝露により、物質はより低いエネルギー状態に緩和し、その放射効率、励起状態の寿命、放射と吸収の波長またはそれらの組合せの変化をもたらす。
【0326】
物質またはマトリックス材料は、熱的曝露により、1つの微小環境/相から別のものへと拡散する(移動する)ことがあるか、または一部の場合、2つの個別の相が1つになり得る。他の場合、昇温は、一部の場合、相分離をもたらし得る。他の場合、昇温により、一部の場合、固相の液体への溶融を引き起こすことがある。他の場合、ポリマーまたは溶質は、一部の場合、溶液に溶解されることがあり、これは熱的曝露により沈殿する。このようなポリマーまたは溶質は、上部完溶温度として知られているものを有しており、水中でいくつかの例が存在する。例えば、フェノールおよび水は、上部完溶温度を有しており、N-イソプロピルアクリルアミドのコポリマーの多くは、ある範囲の上部完溶温度を有することが知られている。微小環境を生み出すマトリックスは、一部の場合、組成勾配、または異なる物質の別個の領域を有することがあり、ワックス、脂肪酸またはエステル、ポリマー、ゲル、紙、流体または他の固体であり得る。例えば、放射材料は、一部の場合、より高い剛性マトリックスに位置付けることができ、熱活性化により、軟化性物質は、一部の場合、剛性マトリックス内に拡散することができ、この物質はそれほど高い剛性にはならない。物質の立体構造の変化、マトリックス内の内部応力の低下、物理的相互作用の破壊、またはさらには結合の熱的開裂などの熱的プロセスの結果として軟化する潜在的なマトリックス材料が数多く存在する。マトリックス材料の変化により、放射材料の内部動力学の増強が可能になる場合、一部の場合、放射寿命の低下が検出され得る。
【0327】
一部の場合、熱的曝露により、放射材料の周囲の局所環境の有効剛性の向上をもたらすことができ、それによって非放射プロセスの速度が低下し得ることがやはり考えられる。このような状況では、一部の場合、放射寿命は向上することがある。例えば、マトリックス材料は、準安定相中に捕捉され、熱的曝露により、一層安定した剛性がより高い相に移行し得る。放射材料は、溶液またはマトリックス材料の溶融物に溶解することができ、一部の場合、溶媒の急速な除去または急速な冷却を使用して、マトリックスと放射材料のより高いエネルギー複合体を生成することができる。この相は、一部の場合、固溶体として知られているものとすることができ、この相では、固体は、溶液に期待されるような、組成の相対的均一性を含む。一部の場合、固溶体は、無期限に安定なことがあり、多くの場合、熱力学的に不安定である。一部の場合、固溶体を加熱することにより構成要素の拡散が可能となり、相分離、反応および/または凝集を引き起こし得る。このようにして、放射材料の周囲の局所環境は、一部の場合、劇的に変化することがある。2つの構成要素が結晶化すると、一部の場合、それは、局所環境の変化をもたらして、動力学、したがって、放射材料の非放射速度を変化させることができる。沈殿、冷却または蒸発プロセスによって、アモルファスガラス状態を有することを特徴とするマトリックスが生成する可能性もあり、この場合、このマトリックスには、いくらかの小さな局所動力学が存在する。一部の場合、ガラス状態は、長期間、安定となり得、多数の物質の場合、応力または熱処理のどちらか一方により、一部の場合、結晶化が開始する。一部の場合、まさに議論しているプロセスのすべてを、一部の場合、製品の熱履歴を決定するために使用することができる放射寿命の測定可能な変化を一部の場合、発生させることができる放射材料周辺に様々な動力学的環境を生み出すために使用することができる。
【0328】
その内部動力学の関数として、寿命の変化を示す物質の例は豊富に存在する。1つのクラスの分子は、熱活性化遅延蛍光として知られているものを示すものである。示されている分子は、このプロセスを示し、非放射プロセスが減少し、これによって、一層剛性の凝集環境中にある場合、寿命が長くなる(すべての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Tsujimoto, H.; Ha, D.-G., Markopoulos, G.; Chae, H. S.; Baldo, M. A.; Swager, T. M. "Thermally Activated Delayed Fluorescence and Aggregation Induced Emission with Through-Space Charge Transfer" J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 4894-1900を参照されたい)。
【化7】
【0329】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、いくつかの分子は、凝集すると非放射速度が低下し(より長い寿命)、この一般的なプロセスは、凝集誘起発光として知られている。本発明の重要点は、放射材料および凝集放射性分子が10マイクロ秒より長い寿命を有することである。より長い寿命は、熱活性化遅延蛍光、三重項励起状態からの放射、または放射材料内部の他の動力学的平衡の結果として生じる。温度に依存性放射を示す多数の物質が存在する(すべての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Wang, X-Dong; Wolfbeis, O. S.; Meier, R. "Luminescent Probes and Sensors for Temperature" Chem. Soc. Rev., 2013, 42, 7834を参照されたい)。これらの物質は、特定の時間において温度を測定するために利用されてきたが、本発明の主題である通り、遅延放射材料は、TTIとして単回測定により熱的曝露の分析を得るために使用されてこなかった。熱的曝露を監視するため、温度に敏感な放射材料の継続的な監視、または少なくとも経時的ないくつかの測定が必要である。このような方法は、製品の熱的曝露(またはその熱履歴)が単回測定によって決定される、本発明の期待される用途には適切ではないと思われる。例えば、薬物を投与する前に、一部の場合、放射寿命(複数可)を選択的に検出する単回測定を使用して、製品が熱分解を受けていないことを確認することができる。熱応答性であることが知られており、かつ遅延放射を有する物質および分子は、本発明に関連性があり、一部の場合、製品の熱履歴を決定することが可能なTTIデバイスを作製するために使用することができる。この場合、放射材料を取り巻くマトリックス材料の構造および特性の変化により、一部の場合、放射寿命、色または強度の変化が生じることがある。
【0330】
様々な高エネルギー状態にある物質を捕捉することによって引き起こされるエネルギー障害は、一部の場合、物質が一定の距離を超えてエネルギーを輸送する能力に大きな影響を及ぼし得る。半導体/共役ポリマーは、一定の距離を超えてエネルギーを伝達するアンテナとして挙動することがよく知られている。これらの物質は、一層規則的な状態にある場合、または凝集状態になると、エネルギーの伝達に一層効率的であることが見出されている。TTIは、一部の場合、熱的曝露を使用して、より大きな非局在化を伴う一層平坦な構造を有するような共役ポリマーの組織変化、またはマトリックスからの共役ポリマーの熱誘起相分離のどちらかを促進することによって、作製され得る。大部分の純粋に放射性の共役ポリマーは、10ナノ秒未満の励起状態の寿命を有しており、ペンダントとしての直接的な結合または物理混合物のどちらかによってポリマー混合物への少量の遅延放射構成要素の組み込みを、一部の場合、使用して、応答を発生させることができる。遅延放射性構成要素を有する共役ポリマーの無秩序状態から秩序状態への遷移、もしくはマトリックス材料からの共役ポリマーの遅延放射性構成要素の相分離のいずれか、またはそれらの組合せを使用して、一部の場合、TTIを作製することができる。共役ポリマーと放射性構成要素の無秩序状態は、一部の場合、加熱された試料の急速なクエンチによって、沈殿により引き起こされる迅速溶解によって、機械的作用によって、溶媒の急速蒸発によって、またはそれらの組合せによって生成することができる。さらに、遅延放射を引き起こすことができる遅延放射構成要素または種は、一部の場合、熱的曝露の結果として共役ポリマーの薄膜に拡散することができ、これも、新しい遅延放射信号を生成して、TTIを構成することもできることが考えられる。
【0331】
一部の場合、熱プロセスを使用して、物質に無秩序を生じさせることができる。例えば、ポリマーは、その鎖がより高いエネルギーの立体構造にあるよう、延伸されてもよい。ポリマーが、一部の場合、緩和することができる温度よりも低い場合、このポリマーは、一部の場合、ポリマー鎖に関連する整列を長期間、保持することができる。鎖整列は、一部の場合、延伸ポリマーホスト材料内に存在する遅延放射を伴う色素または異方性ナノ粒子を配向させるために使用することができる。この効果の結果として、この物質は、偏光された放射を有し、その結果、反射および吸収などの角度特異的な光学特性を有することになる。単純なスキームでは、放射は、一部の場合、遅延放射を伴う整列した物質の偏光の光を制限する偏光構成要素の使用によって減衰され得る。理論によって拘泥されることを望むものではないが、熱的活性化により、ホストポリマーのエントロピーにより推進される緩和は、一部の実施形態では、放射材料のよりランダムな配向を促進し、ポリマーが、無秩序状態において非放射速度の低下を有する場合、光強度が向上し得る。ホスト材料は、一部の場合、ポリオレフィン、アクリレート、ビニルポリマー、ポリアリールエーテル、ポリスルホンなどを含む多数のものであることができ、一部の場合、選択された温度で延伸されて、ゲストである遅延放射材料を整列させることができる。エラストマーポリマー物質を延伸してこれを冷却し、ポリマー鎖の配向を維持することも可能である。ここでもやはり、一部の場合、熱的曝露を使用して、鎖の整列およびゲストである遅延放射種の整列を損なうことがある。一部の場合、固体表面への結合を使用して、ホストポリマーを整列構造に「保持」することも可能である。表面への結合は、一部の場合、波形および粗表面、静電気、または接着剤の塗布などの物理的連結によることができる。これらの場合、機械的応力下にある間に、延伸された物質が物品に適用される。一部の実施形態では、熱的曝露は、表面への固定を弱めることができるか、または応力がかかったポリマーの実現を可能にし、ポリマー鎖がランダム化され、遅延放射を示すゲスト材料の整列を再び低減することを可能にする。延伸したポリマーにおいて整列しない、または代替的な整列を有する遅延放射材料が、一部の場合、使用されて、TTIを作製することができることも可能である。
【0332】
能動的な光分解によって、様々なホスト材料中に遅延放射を有する整列した物質を作製するための代替方法。例えば、放射材料は、光分解によって活性化(作製)または脱活性化(破壊)され得る。この場合、一層高いエネルギー(より低い波長)の光源が使用され、偏光した光分解は、それらが偏光と効率的に相互作用するよう整列された放射材料の集団を活性化または脱活性化する。大部分の場合、遅延放射材料を活性化/脱活性化するために使用される光源は、電磁スペクトルのUV部分に存在する。次に、この光分解処理により、遅延放射種が生成されるが、熱的曝露により、放射材料はランダム化してその偏光を失い得る。いずれかのスキームと同様に、ホスト材料および放射材料の選択は、物品にとって望ましい性能を有するTTIを作製するための重要点となろう。
【0333】
一部の場合、熱的プロセスを使用して、放射材料、および放射寿命に影響を及ぼす他の補因子の局所濃度を変えることもできる。固溶体からの熱的に開始される結晶化および/または相分離プロセスは、一部の場合、組成の不均一性を生み出すことがある。これらは、一部の場合、放射材料および他の補因子が1つの相、結晶粒界、界面および/または表面に集中することになり得る。一部の場合、これらの事象を、一部の場合、使用して、寿命の長い放射種を生成することができる。例えば、固溶体の構成要素である2つの分子は、一部の場合、結晶化または相分離によって濃縮されて、凝集体を形成し得る。分子は、一部の場合、同じであってもよく、または異なっていてもよく、分子のうちの1つは放射材料とすることができ、もう一方は、一部の場合、補因子とすることができる。一部の場合、これらのプロセスを使用して、照明時に、新しい励起状態の錯体が、一部の場合、形成され得る、エキシプレックスとして知られている組成物を生成することができる。異なる特徴を有する分子によって形成される場合、一部の場合、エキシプレックスが、電荷移動性質として知られているものを有することができる。これは、一般に、ドナー分子からアクセプター分子への電子の部分的移動をもたらす。ドナー分子およびアクセプター分子のそれぞれの軌道の重なりが小さい結果として、これらのタイプの物質は、一部の場合、熱活性化遅延蛍光を示すことがある。これらの種の遅延放射は、本発明の文脈では、TTIとしての使用を可能にする。他の場合、放射材料および消光剤は、一部の場合、熱的曝露によって近接することがある。消光剤は、放射材料の寿命を変調する補因子である。消光事象は、一部の場合、金属中心に結合する配位子、酸塩基反応、水素結合、励起状態のプロトン移動、金属キレート化、電子移動および/またはエネルギー移動などの結合事象の結果として起こり得る。記載した様々な機構によって、励起状態の寿命、放射強度、吸収および放射波長またはそれらの組合せの変化を有する放射材料が、一部の場合、生成することがある。これらの遅延放射特色、または消光の場合のその欠如は、一部の場合、熱的曝露の程度を決定するよう設計されているパターンで使用することができる。
【0334】
様々な物質の相互拡散は、一部の場合、多数の他の方法で、分子周辺の局所環境に影響を及ぼし得る。放射性分子が近接した自由空間を有する環境に置かれ、別の物質と共堆積されて、相分離した混合物が得られる。この環境は、一部の場合、加熱によって変化することがあり、この場合、物質は、自由空間を充填するよう移動する。例えば、この混合物の低密度部分が、放射色素/物質を含有する場合、この物質は、一部の場合、別の物質の拡散によって密度が高くなり、色素/物質に近接する空の空間を充填し、それによって、放射材料の内部移動が制限される。動きの一層の制限は、一部の場合、非放射プロセスの速度を低下させて、放射寿命の向上をもたらすことができる。代替的に、高密度化によって、消光剤分子が放射材料に近接する場合、非放射プロセスの速度は、一部の場合、向上することができ、寿命が、一部の場合、短くなり得る。放射材料は、一部の場合、それ自体、または他の分子と錯体を形成することができ、一部の場合、その内部動力学を低下させて、非放射速度の低下をもたらし得る。分子放射体の文脈において、第2の色素または同じ色素が、一部の場合、自由体積を有する物質内に拡散して、ゲスト色素と錯体を形成することも可能である。これらのプロセスは、一部の場合、異なる寿命を有する種を生成することができる。これらの状況のすべてにおける自由体積は、一部の場合、ポリマー内で、またはホストゲスト相互作用によって生成され得る。例えば、二環式環系を含有するポリマーは、自由体積を促進することが知られている。代替的に、放射性分子は、一部の場合、カリックスアレーン、シクロデキストリン、ククルビット[n]ウリルまたはピララン(pillarane)などの大環状空洞形成性分子内で超分子ホスト-ゲスト錯体を形成することができる。大環状の空洞が放射性ゲストよりも大きい場合、他の分子が、一部の場合、熱活性化下で拡散し、近接して放射寿命を変えることがある。放射性ゲストが、熱活性化下で侵入する分子によって置き換えられ、ゲストが一旦、放出されると、このゲストは異なる放射寿命を有するであろうことも考えられる。
【0335】
一部の場合、熱的に活性化された化学反応を使用して、物質の放射寿命に変化を生じさせる、または遅延放射を有する新規物質を生成することができる。既に議論したことと同様に、物質は、一部の場合、熱活性化拡散の際に増強される複数の構成要素を含有することができ、様々な構成要素が、互いに近位に導かれる。非共有結合性会合を超えて、補因子の近接は、一部の場合、化学反応を促進し得る。これらの反応は、一部の場合、補因子が酸または塩基である場合に、単純であり得、触媒されることがある。代替的に、それ自体で放射性である必要がない2つの要素が、一部の場合、一緒になって、検出に10ナノ秒より長い放射寿命を有する放射材料を形成または破壊することができる。例えば、反応は、一部の場合、有機分子の金属中心または金属ナノ粒子への配位をもたらすことがある。配位事象は、一部の場合、有機分子の放射寿命に劇的な変化をもたらすことがあるか、または代替的に、有機分子は、一部の場合、エネルギーを金属イオンの局所状態に移動させて、実質的にアンテナとして機能することができる。例えば、Eu+3金属中心は、一部の場合、ピリジンなどの窒素原子を含む配位子、またはやはり光を捕捉することが可能な発色団であるホスフィンオキシド配位子に配位することができる。この場合、アンテナ配位子は、一部の場合、エネルギーをEu+3コア状態に移動させて、寿命が10nsより長い新しい放射を生成することができる。当業者は、多数の金属配位子組合せ、および一部の場合、様々な寿命をやはり促進することができる、ヨウ化物、ビスマス、テルル化物、鉛などを含めた、典型族からの他の重原子との相互作用が、存在することを認識していよう。多数の用途について、放射材料および金属イオン/重原子含有物質が、非毒性であることが重要である。留意すべき非毒性物質には、食品添加物として使用されている色素が含まれる。これらの物質は、一部の場合、固有の放射特性を有することがあり、例には、アルラレッド、リボフラベン、フィセチン、キニーネ、クルクミン、バニレン、サンセットイエロー、4,4’-ビス(2-ベンゾオキサゾリル)スチルベンおよびエリスロシンBが含まれる。エリスロシンBは、一部の場合、示されるように、より長い波長の放射性形態と、塩基を有する無色形態との間で変換され得るので、この分子の場合は、非常に関連性が高い。
【化8】
【0336】
例えば、エリスロシンBは、その中性状態にある場合、非局在化が制限され、これは、効果的な発色団ではない。しかし、脱プロトン化により、スピロラクトンが開き、非常に有効な発色団が生成する。構造内に重原子であるヨウ素が追加で存在すると、励起状態での項間交差が促進され、この分子は、生じた三重項状態の結果として長寿命の励起状態を有する。この系の場合、塩基は、一部の場合に検出され得る寿命の延長した放射を生成し、酸はこの発色団を非活性化して長寿命の励起状態を解除する。エリスロシンBは、一部の場合、例えば、その閉じた非放射性形態でマトリックス材料に堆積されることができ、これを放射状態に変換することができ、塩基は、この物質の上部の同じまたは異なるマトリックスのパターンで堆積されることができる。マトリックス材料は、一部の場合、所定の熱活性化時に塩基の拡散を可能にするように選択することができる。分子への塩基の拡散の結果により、一部の場合、検出されることがある10nsより長い寿命を有する新しい放射が生成される。熱的曝露の期間および温度は、一部の場合、塩基の拡散の程度によって決定されることがあり、この特徴は、一部の場合、横方向または垂直方向寸法のいずれかで、拡散の長さにアクセスすることによって決定され得る。色素と塩基の両方に関するマトリックス材料の厚さは、同じである必要はなく、一部の場合、厚さの勾配を有してもよい。拡散は、色素マトリックスと塩基との間に挿入される物質の追加の層によって決定されることも可能である。一部の実施形態では、横方向にずれた形状で色素および塩基を印刷することも可能である。エリスロシンBの有色の負の荷電形態から始めて、一部の場合、これを拡散することができる酸と反応させることによって放射を消光することも可能である。エリスロシンBまたはその塩基形態は、一部の場合、熱活性化時に能動的に拡散することができることも可能である。塩基および酸は、一部の場合、マトリックスの一部となり得るか、またはマトリックスに共有結合し得る。例えば、マトリックス材料の1つは、一部の場合、ポリマー酸またはポリマー塩基とすることができる。エリスロシンBと酸または塩基は、一部の場合、製品表面に共堆積することもあり、ただし、それぞれがマトリックス内でマイクロ粒子の形であることを条件とする。このように、小型のミセルまたはコロイドに基づく、潜在的に水の連続相にある分散液が、一部の場合、堆積され得、この場合、物質が拡散して熱的曝露時に寿命の変化をもたらす。一部の場合、遅延放射を有する種を生成するために使用することができる、π電子共役の拡張を生じる脱離反応を含めた、他の塩基触媒反応がある。ここで示唆されている様々な機構のすべてが、一部の場合、多数の他の色素に適用されてもよいこと、ならびに酸および塩基に限定される必要もないことにやはり留意すべきである。これらの機構は、一部の場合、本発明に記載されている一般的な物質セットの多くに適用することができる。
【0337】
一部の場合、純粋な熱反応を使用して、遅延放射を有する新規物質を生成することもできる。これらのプロセスは、一部の場合、脱水のように単純なことがある。例えば、Eu+3の種は、水の存在下で寿命が短くなる。水和金属錯体は、脱水を伴って縮合し、新規な放射錯体またはナノ粒子をもたらすことができる。アルデヒド水和物などの有機分子の水和物が、一部の場合、水を失って、遅延放射種を生成または消光することができる。一部の場合、延びた共役を生成するために熱的に進行し得、遅延放射種の光学吸収および放射波長の変化を引き起こすことができる、様々な脱離反応が存在する。例えば、分子は、一部の場合、HBr、HI、HClなどのハロゲン化酸を脱離することがある。さらに、Cope脱離などの反応を、一部の場合、使用して、新しい二重結合を生成することができる。シクロブテンが熱開環して共役ジエンを生成することを含めた、様々なペリ環状反応が可能であり、このジエンは、遅延放射を生成することができる他の何らかの物質の重原子と一体化されると、一部の場合、本発明によりTTIとして機能することが可能な組成物を生成するために使用することができる。同様に、一部の場合、ディールスアルダー反応またはレトロディールスアルダー反応を使用して、新しい放射を生成することができる。ディールスアルダー反応は、化学において最も一般的に使用されている反応の1つであり、一部の場合、この反応を使用して、遅延放射を示す分子を生成または破壊する方法が豊富に存在する。
【0338】
一部の場合では、放射材料は、純粋に無機であってもよく、水または他の溶媒に分散することによって製品に適用されてもよい。一部の場合では、純粋に無機の材料は、セラミックスとみなされてもよく、高温に耐用可能である。例えば、一部の場合では、前駆体材料をパターンの正確な印刷を可能にするための界面活性剤などの他の材料とともに表面に適用し、次いで有機材料が除去される高温(>300℃)に加熱することができ、かつガラスなどの表面で十分に加熱することにより、これらの材料は、一部の場合ではガラスに融合されてもよいことが可能である。一部の場合では、無機放射材料が溶融しないことにより、ガラス支持体の表面に結合(融合)したナノ粒子または単離された要素を得ることができる。このプロセスは、一部の場合では、バーコードまたはQRコード(登録商標)などのパターンを形成する他の粒子とともに行われてもよい。TTIは、一部の場合では、高温で処理された無機材料を使用して、物品の冷却後にTTIを生成するように設計された要素を積層体に添加した場合に形成されてもよい。また、無機発色団の一部の適用は、高温プロセスを必要とするが、本明細書に記載される方法は、高温の処理ステップを有する必要がないことが留意されるべきである。本明細書に詳述されるTTIを作成するためのプロセスは包括的であり、一部の場合では、無機材料は、加熱することなくプラスチック、木材、紙、セラミックスまたはガラスの上に堆積されてもよい。一部の場合では、無機放射材料の一部は、一部の場合で必要に応じて不働態化され、化学曝露時に変化しない寿命を有する参照信号を提供してもよい。不動態化は、一部の場合では、粒子が保護無機シェルを有する構造化された無機放射材料を生成すること、および他の方法によって行われてもよい。これらの高熱条件下で製作された材料からTTIデバイスを生成するには、補助因子をオーバーコートする最終ステップが必要であり、これは、一部の場合では後の段階で行われてもよい。一部の場合では、補助因子は、粒子に結合する消光剤または集光アンテナもしくは材料、またはそれらの組合せであってもよい。一部の場合では、無機放射材料を消光する補助因子が一部の場合で適用されてもよく、かつ一部の場合では、補助因子は、熱揮発またはオーバーコート材料への拡散によって損失されてもよい。この場合、熱事象によって無機放射体の強度および/またはその放射寿命が増加する。消光剤は、無機放射体を含有する領域全体に均等に適用される必要はない。一部の場合では、無機放射体の一部が消光剤で処理されればよく、この方法では、参照放射材料が熱応答性放射材料とともに生成される。また、様々な量の消光剤を既知のパターンで適用することができ、消光剤が適用される製品上の場所は、熱的曝露の程度の低下によってより控えめに活性化される(放射強度および/または寿命の増加を示す)。消光剤がより大量に適用される製品上の場所は、より高い温度時間線量で活性化する。一部の場合では、これらの効果を比較することにより、所与の製品のための目的のTTI情報をもたらすことができる。
【0339】
高温で表面に融合された無機放射体とともにアンテナとして挙動する補助因子を使用することもできる。例えば、有機配位子が配位されていない単離されたEu+3イオンは、特に電磁スペクトルの可視領域で非常に限定的な吸収を有する。一部の場合では、ユーロピウムイオンは、ナノ粒子を加熱するまたはEuClの分散から適用された材料を加熱することにより、ガラスまたは同様の基材に包埋されてもよい。一部の場合では、光を吸収し、Eu+3イオンに結合できる補助因子の適用を使用して、適切な放射寿命を有する放射状態を生成してもよい。アンテナ発色団は配位子として挙動し、かつEu+3により強力に結合する、またはより多く存在する他の添加される配位子が、一部の場合でTTIを生成するために使用されてもよい。例えば、ピリジンを含有する発色団は、一部の場合でEu+3種に結合してもよく、かつ一部の場合では、より強力に結合する配位子の存在下で熱処理によって置き換えられてもよい。一部の場合では、ホスフィンオキシド、4,4’-ビピリジル、ターピリジルまたは1,10-フェナントロリンを含む場合がある置き換え配位子が、励起の波長で吸収するEu+3錯体を生成しない場合、ユーロピウムに基づく放射種は消失する。一部の場合では、置き換え配位子の量は変化してもよく、かつ一部の場合では、過剰量の出発アンテナ配位子が存在してもよい。他の方法と同様に、マトリックス、濃度および環境の他の態様の変化が、一部の場合で所望のTTIを生成する熱活性化応答を生成するために使用されてもよい。
【0340】
さらに、Eu+3部位の一部またはすべてが、適用される波長での励起を可能にしない配位子に結合した初期状態を有することが可能である。一部の場合で、所望の熱的曝露条件下でこれらの配位子を置き換えることができるアンテナ発色団を適用することにより、一部の場合では、TTIを生成するための手段をもたらすことができる。一部の場合では、配位子の濃度、マトリックス材料、空間的な位置付けなどの組合せを使用して、所与の製品に対する適正な応答プロファイルを有するTTIを生成することができる。
【0341】
一部の場合では、テルビウム(Tb+3)、エルビウム(Er+3)、イットリウム(Yb+3)、ならびに金、銀、パラジウム、白金、マンガン、チタンおよびルテニウムを含む種々の他の金属を含む他の金属イオンに同様のスキームが予想されてもよい。一部の場合では、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、インジウムおよび他の重元素を含む典型族元素を使用して、熱的曝露に応答して放射挙動を生じ、TTIを作成することができる応答性材料を作成してもよい。一部の場合では、典型族または遷移金属イオンを含有するナノ粒子系が、フッ化物、酸素、硫黄、セレンおよびテルル化物とともに使用されてもよい。
【0342】
一部の製品は、一部の場合では過剰な低温によって損傷されることがあり、試料の凍結は、一部の場合では製品に不可逆的な損傷を生じる可能性がある。製品は、凍結時に不安定であり、それらの初期状態に戻らない場合がある。多くの場合、これらは水溶液または水性ゲルを含む製品であるが、一部の場合では、製品は多くの形態を有してもよい。例えば、小売店で販売される前に魚が凍結されたかどうかを決定することに関心が持たれる場合がある。同様に、凍結は多くの飲料を損なう。ゲルの溶液の凍結は、成分のうちの1種が結晶化する際に相分離を生じることが多い。そのようなプロセスは、一部の場合、遅延放射を示す材料の集合または崩壊を生じうる。一部の場合では、放射強度、吸収および放射波長、ならびに励起状態寿命の変化の検出を使用して、製品の寒冷曝露を反映するTTIを生成することができる。一部の場合では、これらの寒冷曝露を生じる成分をホストするためにゲル材料が使用されてもよい。TTIおよびこれらの材料は、一部の場合、より多くの情報を作成するようにパターン化することができるという利点を有する。
【0343】
一部の場合では、遅延放射を示す材料の空間パターンの分析を使用して熱的曝露を定量化することができる。相分離した材料から製作された組成物は、一部の場合では、単純な閾値曝露より多くの情報を提供するTTIコードを生成することができる方法でパターン化されてもよい。例えば、信号を生成するために一緒に拡散しなければならない複数の活性要素間の様々な間隔を有するTTIを生成するために必要とされる成分のパターンを作成することにより、一部の場合では、熱的曝露の段階を決定することができ、より多くの粒状データがもたらされる。パターンに短距離拡散のみが必要とされる材料が最初に応答し、熱的曝露が長引くことによって初めて、より間隔が広い材料が要求される拡散を達成する。一部の場合では、光学バーコードおよびQRコード(登録商標)と同様に、熱的曝露または寒冷曝露によって作成される遅延放射シグネチャーを使用して情報を提供することができる。一部の場合では、この同じ情報を製品認証で使用することもでき、多くの場合、遅延放射から収集されるパターンは、一部の場合では製品に関する情報(ロット番号、製造日、出荷地など)を提供する他の光学コードと併用することができ、この情報は、一部の場合ではTTIからの情報と統合されてもよい。一部の場合では、パターンは複雑であってもよく、TTIのように単一の遅延放射種に限定される必要はないが、一部の場合では複数の遅延放射種およびTTI応答のための異なる機構を含有してもよい。また、参照放射が、一部の場合で空間的な位置付け、励起状態寿命、および強度情報を提供する材料に統合されてもよい。一部の場合では、TTIからの情報を取り込む遅延放射読み取り装置も変化してもよい。一部の場合では、読み取り装置は、時間分解寿命を有する高速レーザーパルスから、シャッターを使用して励起と放射収集の両方をゲートするデバイスに及んでもよい。一部の場合では、寿命および波長を分解する読み取り装置が使用されてもよく、この場合、読み取り装置は、一部の場合ではストリークカメラであってもよい。一部の場合では、スマートフォンおよびデジタルカメラなどのCMOSイメージングチップを組み込む他のデバイスを使用して、ローリングシャッター効果を介してTTIを読み取ることもできる。
【0344】
上述のように、一部の実施形態では、システムは励起構成要素を含む。一部の場合では、励起構成要素は電磁線の発生源を含む。電磁線の発生源は、任意の種類の電磁線(すなわち、任意の波長の電磁線)の発生源であってよい。電磁線の発生源によって放射されてもよい電磁線の好適な種類は、これらに限定されないが、紫外線(例えば、約10nm~約380nmの範囲の波長を有する)、可視光(例えば、約380nm~約740nmの範囲の波長を有する)、近赤外線(例えば、約700nm~約800nmの範囲の波長を有する)、および赤外線(例えば、約740nm~約3μmの範囲の波長を有する)を含む。
【0345】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、広帯域の放射線を放射するように構成される。ある特定の場合では、電磁線の発生源は、少なくとも350nm、少なくとも360nm、少なくとも370nm、少なくとも380nm、少なくとも390nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、または少なくとも3μmに及ぶ波長範囲の電磁線を放射するように構成される。ある特定の場合では、電磁線の発生源は、350nm~400nm、350nm~500nm、350nm~1μm、350nm~2μm、350nm~3μm、400nm~500nm、400nm~1μm、400nm~2μm、400nm~3μm、500nm~1μm、500nm~2μm、500nm~3μm、1μm~2μm、または1μm~3μmに及ぶ波長範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、実質的に白色の光を放射するように構成される。
【0346】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、少なくとも350nm、少なくとも360nm、少なくとも370nm、少なくとも380nm、少なくとも390nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、または少なくとも800nmに及ぶ波長範囲の電磁線を放射するように構成される。ある特定の場合では、電磁線の発生源は、350nmより長いもしくはこれに等しい、400nmより長いもしくはこれに等しい、450nmより長いもしくはこれに等しい、500nmより長いもしくはこれに等しい、550nmより長いもしくはこれに等しい、600nmより長いもしくはこれに等しい、650nmより長いもしくはこれに等しい、700nmより長いもしくはこれに等しい、または750nmより長いもしくはこれに等しい、かつ800nmより短いもしくはこれに等しい、750nmより短いもしくはこれに等しい、700nmより短いもしくはこれに等しい、650nmより短いもしくはこれに等しい、600nmより短いもしくはこれに等しい、550nmより短いもしくはこれに等しい、500nmより短いもしくはこれに等しい、450nmより短いもしくはこれに等しい、または400nmより短いもしくはこれに等しい波長範囲の電磁線を放射するように構成される。上記で言及された範囲の組合せも可能である(例えば、350nmより長いもしくはこれに等しいかつ800nmより短いもしくはこれに等しい)。他の範囲も可能である。
【0347】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、比較的狭い範囲の波長の電磁線を放射するように構成される。ある特定の場合では、例えば、電磁線の発生源は、特定の放射種を選択的に励起する離散的な波長範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、350nmもしくはそれ未満、300nmもしくはそれ未満、200nmもしくはそれ未満、100nmもしくはそれ未満、90nmもしくはそれ未満、80nmもしくはそれ未満、70nmもしくはそれ未満、60nmもしくはそれ未満、50nmもしくはそれ未満、40nmもしくはそれ未満、30nmもしくはそれ未満、20nmもしくはそれ未満、または10nmもしくはそれ未満に及ぶ離散的な波長範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、10nm~20nm、10nm~40nm、10nm~50nm、10nm~60nm、10nm~80nm、10nm~100nm、10nm~200nm、10nm~300nm、10nm~350nm、20nm~40nm、20nm~50nm、20nm~60nm、20nm~80nm、20nm~100nm、20nm~200nm、20nm~300nm、20nm~350nm、40nm~60nm、40nm~80nm、40nm~100nm、40nm~200nm、40nm~300nm、40nm~350nm、50nm~100nm、50nm~200nm、50nm~300nm、50nm~350nm、100nm~200nm、100nm~300nm、または100nm~350nmに及ぶ離散的な波長範囲の電磁線を放射するように構成される。
【0348】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、500nmもしくはそれ未満、400nmもしくはそれ未満、350nmもしくはそれ未満、300nmもしくはそれ未満、200nmもしくはそれ未満、100nmもしくはそれ未満、90nmもしくはそれ未満、80nmもしくはそれ未満、70nmもしくはそれ未満、60nmもしくはそれ未満、50nmもしくはそれ未満、40nmもしくはそれ未満、30nmもしくはそれ未満、20nmもしくはそれ未満、または200nmもしくはそれ未満に及ぶ離散的な波長範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、200nm~20nm、200nm~40nm、200nm~50nm、200nm~60nm、200nm~80nm、200nm~100nm、200nm~200nm、200nm~300nm、200nm~350nm、20nm~40nm、20nm~50nm、20nm~60nm、20nm~80nm、20nm~100nm、20nm~200nm、20nm~300nm、20nm~350nm、40nm~60nm、40nm~80nm、40nm~100nm、40nm~200nm、40nm~300nm、40nm~350nm、50nm~100nm、50nm~200nm、50nm~300nm、50nm~350nm、100nm~200nm、100nm~300nm、または100nm~500nmに及ぶ離散的な波長範囲の電磁線を放射するように構成される。
【0349】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、実質的に紫色の光(例えば、400nm~450nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に青色の光(例えば、450nm~490nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的にシアン色の光(例えば、490nm~520nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に緑色の光(例えば、520nm~560nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に黄色の光(例えば、560nm~590nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に橙色の光(例えば、590nm~635nmの範囲のピーク波長を有する光)、および/または実質的に赤色の光(例えば、635nm~700nmの範囲のピーク波長を有する光)を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、波長の複数の比較的狭い範囲の電磁線を放射するように構成される。ある特定の場合では、電磁線の発生源は、少なくとも2つの離散的な範囲、少なくとも3つの離散的な範囲、少なくとも4つの離散的な範囲、または少なくとも5つの離散的な範囲の電磁線を放射するように構成される。
【0350】
一部の実施形態では、電磁線の発生源は、425nmより長いもしくはこれに等しい~475nmより短いもしくはこれに等しい(例えば、425nmより長いもしくはこれに等しいかつ450nmより短いもしくはこれに等しい)波長を含む電磁線スペクトルの少なくとも第1の部分を有する。一部の実施形態では、電磁線の発生源によって生成される電磁線スペクトルの第2の部分は、525nmより長いもしくはこれに等しいかつ725nmより短いもしくはこれに等しい(例えば、600nmより長いもしくはこれに等しいかつ725nmより短いもしくはこれに等しい、600nmより長いもしくはこれに等しいかつ700nmより短いもしくはこれに等しい)波長を含む。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、425nmより長いもしくはこれに等しい~525nmより短いもしくはこれに等しい(例えば、425nmより長いもしくはこれに等しいかつ525nmより短いもしくはこれに等しい)波長を含む電磁線スペクトルの少なくとも第1の部分を有する。一部の実施形態では、電磁線の発生源によって生成される電磁線スペクトルの第2の部分は、525nmより長いもしくはこれに等しいかつ725nmより短いもしくはこれに等しい波長を含む。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、白色光を生成する。
【0351】
例示的な組の実施形態では、電磁線の発生源は、実質的に白色の光を放射するように構成される。例えば、電磁線の発生源は、少なくとも350nm~800nmより短いもしくはこれに等しい範囲を有する光を放射し、少なくとも350nm、少なくとも360nm、少なくとも370nm、少なくとも380nm、少なくとも390nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、または少なくとも800nmに及ぶ範囲にピークを有する。ある特定の場合では、電磁線の発生源は、350nmより長いもしくはこれに等しい、400nmより長いもしくはこれに等しい、450nmより長いもしくはこれに等しい、500nmより長いもしくはこれに等しい、550nmより長いもしくはこれに等しい、600nmより長いもしくはこれに等しい、650nmより長いもしくはこれに等しい、700nmより長いもしくはこれに等しい、または750nmより長いもしくはこれに等しいかつ800nmより短いもしくはこれに等しい、750nmより短いもしくはこれに等しい、700nmより短いもしくはこれに等しい、650nmより短いもしくはこれに等しい、600nmより短いもしくはこれに等しい、550nmより短いもしくはこれに等しい、500nmより短いもしくはこれに等しい、450nmより短いもしくはこれに等しい、または400nmより短いもしくはこれに等しい波長範囲の電磁線を放射するように構成される。
【0352】
一部の実施形態では、発生源は、本明細書に記載される通り、放射種が10ナノ秒より長いもしくはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成するように、放射種と相互作用する電磁線の波長を生成する。
【0353】
励起構成要素は、1つまたは複数の電磁線の発生源を含んでもよく、1つまたは複数の電磁線の発生源は、任意の好適な電磁線の発生源を含んでもよい。好適な電磁線の発生源の例は、これらに限定されないが、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、フラッシュバルブ、放射種(例えば、蛍光色素、無機蛍光体)、室内光、電源を含む。一部の実施形態では、励起構成要素は、複数の電磁線の発生源(例えば、複数のLED、OLED、フラッシュバルブ、放射種、および/または放電源)を含む。一部の実施形態では、2種またはそれよりも多くの電磁線の発生源が、波長の同じ範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、複数の電磁線源の各電磁線源が、波長の同じ範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の場合では、2種またはそれよりも多くの電磁線の発生源が、波長の異なる範囲の電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、複数の電磁線源の各電磁線源が、波長の異なる範囲の電磁線を放射するように構成される。
【0354】
一部の実施形態では、励起構成要素によって放射される電磁線は、パルス化および/または変調されている。時変励起は、一般的に非定常状態の励起と言われる。一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の少なくとも1つの特徴(例えば、強度、波長、偏光)が経時的に変調されるように、電磁線を放射するように構成される。一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の1つまたは複数のパルスを放射するように構成される。一部の実施形態では、励起構成要素は、複雑なパターンのパルス、ならびに連続した、または時間、偏光、物品上の空間位置および/もしくは波長が重複する場合がある変調電磁線を放射する。励起構成要素は、任意の継続期間の1つまたは複数のパルスを任意のパルスレートで放射してもよい。一部の実施形態では、励起構成要素は、10ミリ秒(ms)もしくはそれ未満、1msもしくはそれ未満、100マイクロ秒(μm)もしくはそれ未満、10μmもしくはそれ未満、1μmもしくはそれ未満、100ナノ秒(ns)もしくはそれ未満、10nsもしくはそれ未満、5nsもしくはそれ未満、2nsもしくはそれ未満、1nsもしくはそれ未満、500ピコ秒(ps)もしくはそれ未満、200psもしくはそれ未満、100psもしくはそれ未満、50psもしくはそれ未満、20psもしくはそれ未満、10psもしくはそれ未満、または1psもしくはそれ未満の継続期間を有する電磁線の1つまたは複数のパルスを放射するように構成される。一部の実施形態では、励起構成要素は、1ps~10ps、1ps~20ps、1ps~50ps、1ps~100ps、1ps~200ps、1ps~500ps、1ps~1ns、1ps~2ns、1ps~5ns、1ps~10ns、10ps~50ps、10ps~100ps、10ps~200ps、10ps~500ps、10ps~1ns、10ps~2ns、10ps~5ns、10ps~10ns、100ps~500ps、100ps~1ns、100ps~2ns、100ps~5ns、100ps~10ns、1ns~5ns、または1ns~10nsの範囲の継続期間を有する電磁線の1つまたは複数のパルスを放射するように構成される。
【0355】
一部の実施形態では、励起構成要素は、比較的高いパルスレート(例えば、画像センサーの画像取り込みレートと同様またはそれより高い)で、電磁線の1つまたは複数のパルスを放射するように構成される。一部の場合では、励起構成要素は、画像センサーによる画像取り込みの単一のサイクル内(または、一部の場合では、複数の画像取り込みサイクル内)で電磁線の1つまたは複数のパルスを放射するように構成される。一部の場合では、励起構成要素は、画像センサーによる画像取り込みの単一のサイクルにわたって(または一部の場合では、複数の画像取り込みサイクル内で)変化する電磁線の変調強度を生成するように構成される。一部の場合では、励起構成要素は、励起パルスまたは変調に関して異なる遅延時間で光子放射から作成される画像が生成されるように、画像取り込みとタイミングが調整される。
【0356】
電磁線の1つまたは複数のパルスの放射後、放射種によって放射される任意の電磁線は、画像センサーによって時間の関数として監視されてもよい。
【0357】
一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の1つまたは複数のパルスを、少なくとも1パルス/s、少なくとも2パルス/s、少なくとも5パルス/s、少なくとも10パルス/s、少なくとも15パルス/s、少なくとも20パルス/s、少なくとも50パルス/s、または少なくとも100パルス/sのパルスレートで放射するように構成される。一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の1つまたは複数のパルスを、1~5パルス/s、1~10パルス/s、1~15パルス/s、1~20パルス/s、1~50パルス/s、1~100パルス/s、5~10パルス/s、5~15パルス/s、5~20パルス/s、5~50パルス/s、5~100パルス/s、10~20パルス/s、10~50パルス/s、10~100パルス/s、20~50パルス/s、20~100パルス/s、または50~100パルス/sの範囲のパルスレートで放射するように構成される。
【0358】
一部の実施形態では、励起構成要素は、パルス化および/または変調電磁線を放射するように構成された電磁線の発生源を含む。一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の実質的に連続的なストリームを放射するように構成された電磁線の発生源を含む。
【0359】
一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の発生源によって放射された電磁線のパルス化および/または変調を促進するように構成された構成要素を含む。構成要素は、機械的および/または電子的であってもよい。好適な機械的および/または電子的構成要素の非限定的な例は、光学シャッター、回転要素(例えば、チョッパ)、レーザー、可動ミラー、動的屈折材料、および他の光学変調器を含む。好適な光学シャッターの例は、機械的シャッター、光弁(例えば、液晶光変調器)、ならびに機械的および/または熱的応力および/もしくは電場に応答する分子結晶を含むが、当業者は、他の種類のシャッターが使用可能であることを理解する。変調電磁線の周波数または期間は、一部の場合では、イメージングデバイスの応答時間(フレームレート)と対になってもよい。変調期間は、一部の実施形態では、全体的なフレームレートより速いことが多いが、ローリングシャッター機構による画像ピクセルの行または列の読み取りの間の時間に近くてもよい。一部の場合では、行または列の読み取りの間の遅延に時間的に近い変調期間を有することにより、同様の期間を有する時間依存性放射と対になったときに情報が作成される。
【0360】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、励起構成要素によって放射される電磁線のパルスプロファイル(例えば、レート、形状)を、放射種の寿命および画像センサーの画像取り込みレートと結び付ける。有利には、これらの構成要素を結び付けることにより、一部の実施形態では、特定の放射種の特徴(例えば、放射寿命)を決定することができ、これがさらに、関連付けられる物品の特徴に関する情報を提供してもよい。例として、特定の放射種の測定放射寿命は、放射種が位置する環境に関する情報(例えば、ある特定の分子の存在、温度、pH)を提供してもよい。
【0361】
例示的な実施形態として、図4は、ローリングシャッター方法を使用してスマートフォンによって取り込まれたパルス状LEDの単一の画像、およびLEDがオンであったかオフであったかを表示する上部のキャプションを示す。図4では、LEDのパルスレートは、スマートフォンの全体的な画像取り込みレートより速く、かつバンディング構造が視認可能である。特に、画像のいくつかの行は、LEDをその「オン」の状態で取り込み、一方で後続の行は、LEDをその「オフ」の状態で取り込む。
【0362】
さらに例示すると、図5は、ローリングシャッター方法を使用してスマートフォンによって取り込まれた、高速放射種を励起させるパルス状UV-LEDの画像(左)を示す。高速放射種の画像は、ピクセル強度のプロットを伴う。図5はさらに、ローリングシャッター方法を使用してスマートフォンによって取り込まれた、遅延放射種を励起させるパルス状UV-LEDの画像(右)を示す。遅延放射種の画像も、ピクセル強度のプロットを伴う。図5から、遅延放射種の画像は、「ぼけて」見えるバンドを含有することがわかる。この「ぼけ」は、少なくとも部分的に、UV-LEDがオフになった後に生じる遅延放射に起因しうる。
【0363】
一部の実施形態によると、システムの構成要素(例えば、画像センサー)は、放射期間(放射寿命とも称される)中に放射種によって生成される検出可能な放射(例えば、検出可能な非定常状態の放射)の少なくとも一部を検出する。当業者は、放射種が、燐光、蛍光、および/または反射/散乱(例えば、周囲電磁線および/または励起構成要素によって放射される電磁線の反射)によって検出可能な放射を生成する場合があることを理解する。当業者はまた、放射期間または放射寿命が、任意の励起放射線が除去された後(例えば、電磁線のパルスが励起構成要素によって放射された後)に、放射種が電磁線を放射する間の時間を一般に指すことを理解する。
【0364】
放射種は、一般に、以下の式:
放射性+k非放射性=1/固有放射寿命
によって表されるように、固有の放射性および非放射性減衰速度によって決定できる、励起状態寿命とも称される固有放射寿命を有する。
【0365】
しかし、放射寿命は、一般的に文脈に依存し、異なる溶媒または固体形態によって値が変化する場合がある。例えば、種の観察される放射寿命は、固有放射寿命と異なってもよい。例えば、他の消光プロセスが存在する場合、観察される放射寿命は、以下の式:
放射性+k非放射性+k消光=1/観察される放射寿命
に従って計算されてもよい。
【0366】
したがって、観察される放射寿命は、固有放射寿命より短い。以下で考察されるように、多数の要因(例えば、他の分子の存在、温度、放射線曝露)により、観察される放射寿命が放射種の固有放射寿命と異なる(例えば、より長い、より短い)ように、放射種の放射寿命に影響が及ぶ場合がある。放射性速度(k放射性)は、異なる放射プロセスのすべてを含有し、異なる放射の速度を有するプロセスの加重平均として測定されてもよい。一部の場合では、測定される放射速度は、種の測定の範囲内で変化してもよい。例えば、励起によるTADF遅延蛍光では、即発蛍光に続き、励起状態が一重項-三重項平衡を示すTADFプロセスへの遷移が存在してもよい。
【0367】
本明細書に記載されるシステムおよび方法では、放射種は、任意の好適な長さの固有放射寿命を有する。ある特定の場合では、放射種は、比較的長い固有放射寿命を有する。一部の実施形態では、放射種は、少なくとも1ナノ秒(ns)、少なくとも5ns、少なくとも10ns、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも3s、少なくとも4s、少なくとも5s、少なくとも6s、少なくとも7s、少なくとも8s、少なくとも9s、または少なくとも10sの固有放射寿命を有する。一部の実施形態では、放射種は、1ns~10ns、1ns~20ns、1ns~50ns、1ns~100ns、1ns~500ns、1ns~1μs、1ns~5μs、1ns~10μs、1ns~50μs、1ns~100μs、1ns~500μs、1ns~1ms、1ns~5ms、1ns~10ms、1ns~50ms、1ns~100ms、1ns~500ms、1ns~1s、1ns~5s、1ns~10s、10ns~20ns、10ns~50ns、10ns~100ns、10ns~500ns、10ns~1μs、10ns~5μs、10ns~10μs、10ns~50μs、10ns~100μs、10ns~500μs、10ns~1ms、10ns~5ms、10ns~10ms、10ns~50ms、10ns~100ms、10ns~500ms、10ns~1s、10ns~5s、10ns~10s、50ns~100ns、50ns~500ns、50ns~1μs、50ns~5μs、50ns~10μs、50ns~50μs、50ns~100μs、50ns~500μs、50ns~1ms、50ns~5ms、50ns~10ms、50ns~50ms、50ns~100ms、50ns~500ms、50ns~1s、50ns~5s、50ns~10s、100ns~500ns、100ns~1μs、100ns~5μs、100ns~10μs、100ns~50μs、100ns~100μs、100ns~500μs、100ns~1ms、100ns~5ms、100ns~10ms、100ns~50ms、100ns~100ms、100ns~500ms、100ns~1s、100ns~5s、または100ns~10sの範囲の固有放射寿命を有する。他の範囲も可能である。
【0368】
一部の実施形態では、放射種は、任意の好適な長さの観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。ある特定の場合では、放射種は、多くの物品または天然の系に存在する典型的な蛍光色素と比べて比較的長い観察される放射寿命(例えば、少なくとも10ns)を有する。一部の場合では、観察される放射寿命が比較的長いことにより、単一の画像が、励起源がオフになった際の放射種からの放射を示すことが可能になる。これを行う際、より遅い放射は、より高速の放射が存在しなくなった時点で観察することができる。ある特定の場合では、放射種は、消費者レベルの電子機器(例えば、スマートフォン、デジタルカメラ)を使用して測定することができる観察される放射寿命を有する。一部の実施形態では、放射種は、少なくとも1ナノ秒(ns)、少なくとも5ns、少なくとも10ns、少なくとも20ns、少なくとも50ns、少なくとも100ns、少なくとも200ns、少なくとも500ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、少なくとも1ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも50ms、少なくとも100ms、少なくとも500ms、少なくとも1s、少なくとも2s、少なくとも5s、または少なくとも10sの観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。
【0369】
一部の実施形態では、放射種は、10sもしくはそれ未満、5sもしくはそれ未満、2sもしくはそれ未満、1sもしくはそれ未満、500msもしくはそれ未満、100msもしくはそれ未満、50msもしくはそれ未満、10msもしくはそれ未満、5msもしくはそれ未満、1msもしくはそれ未満、500μsもしくはそれ未満、100μsもしくはそれ未満、50μsもしくはそれ未満、10μsもしくはそれ未満、1μsもしくはそれ未満、500nsもしくはそれ未満、200nsもしくはそれ未満、100nsもしくはそれ未満、50nsもしくはそれ未満、10nsもしくはそれ未満、5nsもしくはそれ未満、または1nsもしくはそれ未満の観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。ある特定の場合では、より短い観察される放射寿命(例えば、0.1秒またはそれ未満)を有する放射種は、より長い観察される放射寿命を有する放射種より高い平均信号を提供してもよく、これは、電磁線の放射がより短い期間で広がるためである。さらに、より短い観察される放射寿命(例えば、0.1秒またはそれ未満)を有する放射種により、有利には、より長い観察される放射寿命を有する放射種より速いレートで寿命画像の収集を行うことが可能になりうる。
【0370】
一部の実施形態では、放射種は、1ns~10ns、1ns~20ns、1ns~50ns、1ns~100ns、1ns~500ns、1ns~1μs、1ns~5μs、1ns~10μs、1ns~50μs、1ns~100μs、1ns~500μs、1ns~1ms、1ns~5ms、1ns~10ms、1ns~50ms、1ns~100ms、1ns~500ms、1ns~1s、1ns~5s、1ns~10s、10ns~20ns、10ns~50ns、10ns~100ns、10ns~500ns、10ns~1μs、10ns~5μs、10ns~10μs、10ns~50μs、10ns~100μs、10ns~500μs、10ns~1ms、10ns~5ms、10ns~10ms、10ns~50ms、10ns~100ms、10ns~500ms、10ns~1s、10ns~5s、10ns~10s、50ns~100ns、50ns~500ns、50ns~1μs、50ns~5μs、50ns~10μs、50ns~50μs、50ns~100μs、50ns~500μs、50ns~1ms、50ns~5ms、50ns~10ms、50ns~50ms、50ns~100ms、50ns~500ms、50ns~1s、50ns~5s、50ns~10s、100ns~500ns、100ns~1μs、100ns~5μs、100ns~10μs、100ns~50μs、100ns~100μs、100ns~500μs、100ns~1ms、100ns~5ms、100ns~10ms、100ns~50ms、100ns~100ms、100ns~500ms、100ns~1s、100ns~5s、100ns~10s、1μs~5μs、1μs~10μs、1μs~50μs、1μs~100μs、1μs~500μs、1μs~1ms、1μs~5ms、1μs~10ms、1μs~50ms、1μs~100ms、1μs~500ms、1μs~1s、1μs~5s、1μs~10s、10μs~50μs、10μs~100μs、10μs~500μs、10μs~1ms、10μs~5ms、10μs~10ms、10μs~50ms、10μs~100ms、10μs~500ms、10μs~1s、10μs~5s、10μs~10s、100μs~500μs、100μs~1ms、100μs~5ms、100μs~10ms、100μs~50ms、100μs~100ms、100μs~500ms、100μs~1s、100μs~5s、100μs~10s、1ms~5ms、1ms~10ms、1ms~50ms、1ms~100ms、1ms~500ms、1ms~1s、1ms~5s、1ms~10s、10ms~50ms、10ms~100ms、10ms~500ms、10ms~1s、10ms~5s、10ms~10s、100ms~500ms、100ms~1s、100ms~5s、100ms~10s、1s~5s、または1s~10sの範囲の観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。
【0371】
放射種は、任意の好適な種類の電磁線(すなわち、任意の波長の電磁線)を放射するように選択されてよい。放射種によって放射されてもよい電磁線の好適な種類は、これらに限定されないが、紫外線(例えば、約10nm~約380nmの範囲の波長を有する)、可視光(例えば、約380nm~約740nmの範囲の波長を有する)、近赤外線(例えば、約700nm~約800nmの範囲の波長を有する)、および赤外線(例えば、約740nm~約3μmの範囲の波長を有する)を含む。一部の実施形態では、放射種は、200nm~380nm、200nm~400nm、200nm~600nm、200nm~740nm、200nm~800nm、200nm~1μm、200nm~2μm、200nm~3μm、380nm~600nm、380nm~740nm、380nm~800nm、380nm~1μm、380nm~2μm、380nm~3μm、400nm~600nm、400nm~740nm、400nm~800nm、400nm~1μm、400nm~2μm、400nm~3μm、600nm~740nm、600nm~800nm、600nm~1μm、600nm~2μm、600nm~3μm、700nm~800nm、740nm~1μm、740nm~2μm、740nm~3μm、800nm~1μm、800nm~2μm、800nm~3μm、1μm~2μm、または1μm~3μmの範囲の波長を有する電磁線を放射するように構成される。
【0372】
一部の実施形態では、放射種は、可視光を放射するように構成される。ある特定の場合では、放射種は、実質的に紫色の光(例えば、400nm~450nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に青色の光(例えば、450nm~490nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的にシアン色の光(例えば、490nm~520nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に緑色の光(例えば、520nm~560nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に黄色の光(例えば、560nm~590nmの範囲のピーク波長を有する光)、実質的に橙色の光(例えば、590nm~635nmの範囲のピーク波長を有する光)、および/または実質的に赤色の光(例えば、635nm~700nmの範囲のピーク波長を有する光)を放射するように構成される。ある特定の場合では、放射種は、消費者レベルの電子機器(例えば、スマートフォン、デジタルカメラ)によって検出可能な電磁線を放射するように構成される。
【0373】
一部の場合では、放射種の放射プロファイル(すなわち、時間の関数としての放射種によって放射される電磁線の強度のプロット)は、1つまたは複数の関数(例えば、指数関数)に当てはめられてもよい。複数の寿命が、放射種周辺の異なる環境から生じてもよく、そして/または複数の放射速度を有してもよい。これらの環境は、化学物質、熱、機械的応力、水分、冷却、気体、光および電離線への曝露によって変化してもよい。ある特定の場合では、励起構成要素が、一定のまたは変化する周波数で振動強度の電磁線を放射する場合、その電磁線を吸収する放射種からの放射は、複雑な励起プロファイルから生じる変動を示してもよい。例示的な非限定的な例では、励起構成要素によって放射される電磁線が、放射種の放射寿命に近い周波数の正弦プロファイルを有する場合、放射種(すなわち、励起放射線によって励起される種)によって放射される、結果として得られる電磁線は、一般的に同じ周波数の、しかし励起放射線から位相シフトされた振動強度を有する。すなわち、一部の場合では、放射種によって放射される光子の振動強度は、励起構成要素によって放射される光子の振動強度から遅延してもよい。一部の場合では、励起放射線の純粋な正弦波形からの放射された放射線の強度の歪みが存在する場合がある。
【0374】
一部の場合では、放射プロファイルからの波形および遅延情報を使用して、放射種の放射寿命を計算または推測してもよい。一部の実施形態によると、放射種は、多数の異なる励起周波数に曝露されてもよく、異なる放射応答が検出されてもよい。一部の場合では、既知かつ不変の放射寿命を有する標準的な放射体を使用して、放射種の絶対的または相対的な寿命が決定または推測される。一部の場合では、励起構成要素は、複雑な波形を有する電磁線を放射してもよく、電磁線を吸収する放射種は、強度において複雑な変調を有する放射を生成してもよい。
【0375】
一部の実施形態では、放射種の放射期間(例えば、観察される放射寿命)は、これらに限定されないが、他の分子(例えば、酸素、水、二酸化炭素、一酸化炭素、消光分子)への結合または近接、物理的変化、温度、pHおよび放射線曝露を含む環境条件に基づいて変化してもよい。例示的な例として、図6は、ローリングシャッターを使用した画像獲得中に、異なる温度に曝露された2種の放射種を含む薄膜の光学顕微鏡画像を示す。特に、図6は、7℃、冷蔵下(左)、室温(中)および54℃、加熱下(右)における薄膜の画像を示す。温度が上昇するにつれ、LEDの「オフ」状態中の放射種に起因する放射の量は減少する。特定の理論に束縛されることを望むことなく、これは、失活経路の増加の結果として放射種の寿命が減少することに起因する可能性がある。
【0376】
一部の実施形態では、消光分子または材料が放射種の環境に添加される。消光剤分子または材料は、動的および/または静的消光剤として作用してもよい。ある特定の場合では、消光分子または材料は、放射種に結合すること、または放射種に持続的に近接することによって放射種と静的複合体を形成する。一部の場合では、消光分子もしくは材料の放射種への結合または持続的な近接により、放射種によって放射される電磁線の少なくとも1つの特徴(例えば、波長、強度、放射寿命)が変化する。一部の場合では、消光分子もしくは材料の放射種への結合または持続的な近接により、放射種からの放射が消光され、その結果、放射種からの放射が検出されない。
【0377】
一部の実施形態では、消光分子または材料は、放射種と動的に相互作用する。一部のそのような実施形態では、消光分子または材料と放射種との間の動的相互作用は、拡散または他の運動によって制御されてもよい。この余分な失活の消光速度(k)により、放射種の観察される放射寿命が低減してもよい。一部の場合では、消光分子もしくは材料と放射種との間の動的相互作用により、放射種によって放射される電磁線の少なくとも1つの特徴(例えば、波長、強度、放射寿命、または偏光)が変化する。一部の場合では、消光分子もしくは材料と放射種との間の動的相互作用により、放射種からの放射が消光され、その結果、放射種からの放射が検出されない。これは、消光相互作用のすべてが放射種の寿命より速い時間に生じる必要があるため、飽和動的消光と称されてもよい。例示的な非限定的な例では、酸素は放射種周辺の環境に存在するが、放射種には結合していない。拡散により、酸素分子は、放射種の放射を消光するのに十分に放射種に近接することができる(例えば、酸素分子と放射種との間の距離は、電子またはエネルギー移動が生じうるのに十分小さくてもよい)。酸素分子が、拡散によって放射種の放射を消光するのに十分に放射種に近接する可能性は、環境中の酸素濃度および温度などの要因に依存する場合がある。例えば、より高い酸素濃度および/またはより高い温度は、酸素分子が放射種を消光する可能性を増大させる場合がある。したがって、一部の場合では、放射種の観察される放射寿命は、酸素濃度および/または温度に関する情報を提供してもよい。例えば、ある特定の場合では、包装の内部に曝露された放射種を使用して、包装を開放することなく包装内の酸素含有量を決定することができる。他の場合では、包装またはカプセルは、放射分子を消光するまたは消光を予防する気体または分子を含有してもよい。包装もしくはカプセルの開放、またはそれらの封入の損失は、放射種の寿命および強度の変化によって検出されてもよい。
【0378】
好適な消失分子の非限定的な例は、アミンを含む分子である。アミンは、動的または静的消光剤として作用してもよい。一部の場合では、アミンは、ルイスまたはブレンステッド塩基として反応し、放射種の色および/または強度を変化させる静的複合体を作成してもよい。一部の場合では、アミンは、放射寿命を低減しうる動的消光プロセスを生じる電子移動プロセスに関与する。ある特定の場合では、アミンは、他の種と反応して新たな動的消光剤を作成してもよい。一例として、アミンは、分子を脱プロトンして、この分子をさらに電子リッチにし、拡散および電子移動プロセスによる放射種の動的消光を可能にさせてもよい。アミンは、食品腐敗の指標であり、包装を開放することなく食品の品質の検出を可能にすることができる。一部の場合では、アミンは、二酸化炭素と結合することによって修飾されてカルバミン酸を作製し、それによりその消光特性を変化させることができる主要な拡散消光剤であってもよい。一部の実施形態では、二酸化炭素に結合することによって修飾することができる動的消光剤を含むシステムを使用して、二酸化炭素を測定してもよい。そのようなシステムまたは方法は、多くの生物学的および包装の文脈で有用でありうる。
【0379】
一部の場合では、放射種は、放射量子収率によって特徴付けられてもよい。当業者であれば、放射量子収率は、放射種によって吸収された光子の数の放射種によって放射された光子の数に対する比を指すことを理解する。この比は、一般的に種々の失活プロセスの相対的速度に依存する。一例として、放射種の放射プロセスが非放射プロセスに比べて速い場合、放射量子収率は比較的高い。一部の場合では、放射量子収率は、放射種の1つまたは複数の固有の特性によって影響されてもよい。一部の場合では、放射量子収率は、1つまたは複数の外因的特性(例えば、マトリックス、溶媒および/または反応性分子に関連する特性)によって影響されてもよい。ある特定の場合では、消光分子または材料が放射種を完全に消光することができ、これは、一般的に放射種の放射量子収率が検出限界未満であることを意味する。
【0380】
一部の実施形態では、放射種の少なくとも1つの特徴(例えば、放射量子収率、放射寿命、強度、波長、偏光)は、その環境の関数として変化する。例示的な非限定的な例として、放射種は、疎水性環境において水性環境より高い放射量子収率を有してもよい。特定の理論によって束縛されることを望むことなく、この効果は、基底状態と異なる電荷分布を有する場合がある、放射種の励起状態の溶媒和の変化に関連する可能性がある。他の場合では、発光金属イオンまたは遠赤放射色素に結合する水は、振動状態を介してエネルギーを吸収し、発光を消光することができる。一部の場合では、重水(DO)を使用してこれらのプロセスを予防することができる。別の例として、ある特定の放射種の凝集により、放射強度が増加するおよび/または観察される放射寿命が変化する場合がある。さらに別の例として、ある特定の分子の放射種への結合により、放射種の観察される放射寿命に影響が及ぶ場合がある。例えば、ガンマシクロデキストリン分子複合体は、その空洞に単一の発色団が結合する場合、特定の観察される放射寿命を示してもよいが、第2の分子がその空洞に結合する場合に異なる観察される放射寿命を示してもよい。
【0381】
放射種は、任意の好適な構造を有してもよい。一部の実施形態では、放射種は、化学種および/または生物種である。一部の場合では、放射種は、フルオロフォア、蛍光体、無機固体、塩、または熱活性化遅延蛍光(TADF)分子もしくは分子複合体である。
【0382】
一部の実施形態では、放射種は、TADF分子または分子複合体である。TADF分子または分子複合体は、一般的に低スピン(すなわち、一重項)および高スピン(すなわち、三重項)状態を有し、これらのスピン状態はエネルギーが十分に近いため、室温で動的平衡を経るように構成された、1つまたは複数の分子を指す。一部の場合では、この動的平衡プロセスは、スピン軌道カップリングを含む。一部の場合では、この動的平衡プロセスにより、一重項状態について予想されるよりはるかに低速の放射がもたらされ、これは少なくとも部分的に、三重項状態が励起された電子の保持リザーバとして作用するためである。一部の場合では、光子がTADF分子または分子複合体によって吸収されてもよく、最初に放射速度が高い一重項状態をもたらしてもよい。一重項状態は、放射速度が遅い低エネルギーの三重項状態と迅速に平衡状態になってもよい。分子が熱的に一重項状態に戻るとき、分子が光子を放出し、その後低エネルギーの三重項状態に変換されて戻る可能性がある。結果として、少数の一重項状態から蛍光を通して電磁線が漏出する場合があるが、放射の速度は一重項状態について予想されるものよりはるかに遅い。
【0383】
一部の実施形態では、TADF分子は、電子リッチ領域および電子不足領域を含む構造を有する。好適な電子リッチ領域の例は、これらに限定されないがアミン基を含む。好適な電子不足領域の例は、これらに限定されないがイミン基およびニトリル基を含む。基底状態で、最高被占軌道(HOMO)は電子リッチ領域に局在してもよく、最低空軌道(LUMO)は電子不足領域に局在してもよい。効率的な放射をもたらすために、励起状態における半占有状態の軌道は、有限の重なりを有する。一部の実施形態では、TADF分子は、ねじれた非平面状態にある。一部の実施形態では、TADF分子は、電子リッチ領域および電子不足領域がコフェイシャル配置にある(すなわち、電子リッチ領域および電子不足領域のπ電子系が対面型配置で相互作用する)ように配置される。TADF分子の非限定的な例は、以下の構造に例示される。
【化9】
【0384】
スマートフォンの光源による励起を可能とする好適な吸収帯域を有する、TADF挙動を示す材料の非限定的な例が以下に記載される。そのような材料の吸収帯域は、スマートフォンの光源によって生成される光強度プロファイルを用いるそれらの吸収帯域の最適な重なりのために、異なる置換基を付加することによってシフトされてもよい。構造の全体的な変化により、HOMOエネルギーを上げること、LUMOエネルギーを下げることのいずれか、または両方によって吸収をより長い波長にシフトすることができる。
【化10】
【0385】
TADF材料はまた、異種材料の会合によって生成されてもよい。例えば、高エネルギーのHOMOを有する電子供与材料は、低エネルギーのLUMOを有する電子受容材料と錯体形成されてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの種類の材料では、ドナーおよびアクセプター分子は、それらのπ軌道が混合し、基底状態の電荷移動相互作用が観察されるように相互作用する。材料間の相互作用は、エキシプレックスの励起状態が生じる際に励起状態で大きく増強される場合がある。HOMOおよびLUMO軌道が、それぞれ主にドナー材料およびアクセプター材料上に存在することにより、TADF挙動を示すいくつかのエキシプレックス材料がもたらされてもよい。これらのエキシプレックスの生成に2種の別個の材料が関与することにより、多様なエキシプレックス構造を作成するための多数の対の組合せを作成することが可能である。一部の場合では、エキシプレックス構造は、分子が互いに拡散することによって形成されてもよく、上述のTTIを作成するのに有用でありうる。励起状態のエキシプレックス構造の放射効率および寿命は、環境および材料の対によって変化する。さらに、基底状態の電荷移動錯体およびエキシプレックスを生成するための能力は、環境に基づいて変化する。TADF活性エキシプレックスを作成するために励起可能な組合せを作成することは、ドナーとアクセプターの対を選択することを含む。
【0386】
好適なドナー分子と組成物を生成し、TADF挙動を生じるために使用できるアクセプター分子の好適な非限定的な例が以下に記載される。選択されるドナー材料と対をなすことが可能なX置換基を選択し、LUMO状態を生じることができる。さらに、X置換基を使用して、マトリックスとの相互作用を通してドナーと相互作用するための形状を制限することにより、エキシプレックスの構造を制御することができる。X置換基は独立して異なってもよく、Ar基は、所望の特性を支援する官能基を有する芳香族フラグメントを示す。芳香族基は、複素環または置換炭化水素であってもよい。
【化11】
【0387】
好適なアクセプター分子とのエキシプレックスでTADF挙動を生じるために使用することができる、好適なドナー分子の非限定的な例が以下に記載される。一部の実施形態では、Ar(芳香族)基は、複素環を含んでもよい。一部の実施形態では、Ar基は、HOMOのエネルギーを変化させるおよび/または特定の構造配置を促進する/誘導することによってTADF挙動を促進する基で置換されてもよい。
【化12】
【0388】
本明細書に記載される構造は、単に代表的であることを意図するものであり、特定の文脈/環境で対をなしてTADFを生成することができる多くの他の可能なアクセプター分子およびドナー分子が存在する。本出願の発明者らは、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)の光源によって励起できる特定のドナーとアクセプターの組合せの選択は、π電子系が軌道の重なりを持つことができるという事実を考慮することによって到達可能であることを認識した。例えば、これらの相互作用を可能にする形状が置換基の立体的嵩高さによって妨げられると、エキシプレックスを生成する能力が損なわれる場合がある。さらに、ドナーおよびアクセプター分子の相対的なエネルギーレベルは、スマートフォンの光源の出力と重なる吸収特性をもたらすのに適切なレベルを有する必要がある。第1近似では、好適な対は、ドナーのHOMOおよびアクセプターのLOMOのエネルギーの差がおよそ2.75eVまたはそれ未満であるものを含んでもよい。多くのスマートフォンの光源のピーク光子出力に近い450nmにおける光子は、一般的に約2.75eVのエネルギーを有する(しかし、他のエネルギーも可能である)。一部の実施形態では、例えば、吸収の固有の帯域についてHOMOとLUMOが2.75eVよりわずかに大きく離れていても、450nmでの有限の吸収が依然として可能であることが考えられる。また、それぞれの基底状態分子のHOMOおよびLUMO状態は、一般的に近似にすぎないことが留意されるべきである。基底状態の電荷移動錯体は、典型的に、構成成分の電子レベルの変化を伴う吸収によってエネルギーレベルがシフトする。また、環境の複雑さが、吸収のエネルギーレベルおよび放射のエネルギーレベルを変化させる場合がある。さらに、個々のドナーおよびアクセプター材料は、独立して放射性であってもよく、非定常状態の光子放射事象を生じる場合がある即発蛍光を示してもよい。
【0389】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるTADF材料の非限定的な例は、低分子量分子である。しかし、TADFの作用は小分子に限定されない。TADFの活性成分は、例えばポリマー上のペンダント基であってもよく、またはポリマー骨格に直接組み入れられてもよい。これらは、組織化されたまたは非晶質の固体の一部であってもよい。これらは、多孔性を有しても有さなくてもよい共有結合結晶性または非晶質骨格材料の構成成分であってもよい。これらは、受容体のゲストであってもよい。例えば、シクロデキストリン分子は、ドナー発色団とアクセプター発色団の両方をその空洞にホストし、TADFエキシプレックスを促進してもよい。代替的に、受容体またはマトリックスとの相互作用を使用して、コンフォメーションを促進する、双極子ポテンシャルを与える、励起状態を消光することができる材料を近接配置する、または分子をその周囲から有効に隔離することによって消光を予防することにより、材料のTADF挙動を増強または低減することができる。また、TADF材料は、本質的に純粋に有機である必要はなく、これらに限定されないが、ホウ素、ケイ素、リン、セレンおよび他の典型族原子を含む多くの他の元素を有してもよい。有機金属、金属有機、または純粋に無機の材料も、活性または構造成分としてTADF組成物に存在してもよい。
【0390】
一部の実施形態では、放射種は、2つまたはそれより多くの分子から形成されるTADF分子複合体を含む。一部の場合では、TADF分子複合体は、エキシプレックスを含む。エキシプレックスは、2つまたはそれより多くの分子によって形成されてもよく、ここで分子のπ電子系は、ある程度のコフェイシャル配置を有する。有利には、分子の組合せ(例えば、分子の対の組合せ)によってTADFエキシプレックスを形成することにより、多種多様な放射寿命、放射波長および環境要因に対する応答性が得られる。エキシプレックスでは、放射の効率は、成分分子の互いに対する動力学に依存することが多い。少なくともこの理由で、媒体の剛性および/または他の分子の存在が、放射速度および/または量子収率に実質的に影響を及ぼす可能性がある。
【0391】
一部の場合では、TADF材料は、生物種に付着する、または粒子に固定される、および/または表面に結合され、アッセイにおいて所望される信号を生成してもよい。
【0392】
一部の場合では、TADFエキシプレックスは、成分分子より実質的に長い波長および/または実質的に長い放射寿命を有してもよい。ある特定の場合では、例えば、各成分分子は本質的に蛍光性であり、比較的短い放射寿命(例えば、ナノ秒程度)を有してもよい。TADFエキシプレックスが形成されると、TADFエキシプレックスは、より長い放射寿命(例えば、マイクロ秒程度)を有してもよい。一部の場合では、TADFエキシプレックスを形成することにより、有利には放射寿命が数百~数千倍増大する。
【0393】
一部の場合では、TADFエキシプレックスが少なくとも2つの別個の分子によって形成されることにより、分子がまずある特定の距離で隔てられることが可能になり、その後拡散によって相互作用し、TADFエキシプレックスを形成することが可能になりうる。したがって、材料をそれらの放射の寿命および波長に基づいてイメージングする熱線量計が開発されてもよい。一部の場合では、TADFエキシプレックスの形成は、物理的プロセス(例えば、カプセルを破壊すること)および/または粘度もしくは他の物理的特徴の変化によって誘導されてもよい。
【0394】
一部の実施形態では、分子間TADFエキシプレックスは、生体分子もしくは分子会合、または特定の場所での成分の局在化に応答して生成される。一部のそのような実施形態では、エキシプレックスは、2種の成分の共局在化によって促進され、これはアッセイに設計されてもよい。
【0395】
TADF挙動を示す分子の対の追加の非限定的な例が以下に示される。これらの例示的な例では、アミンを有する分子が電子リッチ要素であり、イミンを有する分子が電子不足要素である。
【化13】
【0396】
当業者は、TADF分子または分子複合体の置換基および足場を修飾することにより、任意の放射の寿命および波長が変化しうることを理解する。一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、少なくとも100ns、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、または少なくとも1msの固有放射寿命を有する。一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、1μs~5μs、1μs~10μs、1μs~50μs、1μs~100μs、1μs~500μs、1μs~1ms、10μs~50μs、10μs~100μs、10μs~500μs、10μs~1ms、100μs~500μs、100μs~1ms、または500μs~1msの範囲の固有放射寿命を有する。
【0397】
一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、少なくとも1μs、少なくとも10μs、少なくとも50μs、少なくとも100μs、少なくとも500μs、または少なくとも1msの観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、1μs~5μs、1μs~10μs、1μs~50μs、1μs~100μs、1μs~500μs、1μs~1ms、10μs~50μs、10μs~100μs、10μs~500μs、10μs~1ms、100μs~500μs、100μs~1ms、または500μs~1msの範囲の観察される放射寿命(例えば、測定される放射期間)を有する。
【0398】
一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、比較的高い放射量子収率を有する。一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくとも0.9、または約0.95の放射量子収率を有する。一部の実施形態では、TADF分子または分子複合体は、0.8~0.9、0.8~0.95、0.8~0.95、0.8~0.95、0.9~0.95の範囲の放射量子収率を有する。
【0399】
一部の実施形態では、放射種は、実質的に燐光性である。一部の実施形態では、燐光放射種は、重原子を含む。一部の実施形態では、燐光放射種は、有機金属化合物を含む。
【0400】
一部の実施形態では、放射種は重原子を含む。好適な典型族重原子の例は、これらに限定されないが、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン、テルル、リン、ケイ素およびスズを含む。特定の理論に束縛されることを望むことなく、重原子は、光子の吸収によって生成される最初の一重項状態を三重項状態に変換する、および/または放射寿命が最適に検出可能な範囲になるように放射速度を増加させることができる。一部の実施形態では、重原子は、有機足場を伴ってもよい。
【0401】
一部の実施形態では、放射種は有機金属または金属有機化合物を含む。有機金属化合物は、一般的に1つまたは複数の配位子に共有結合した金属イオンを有する。一部の場合では、有機金属化合物は、1つまたは複数の金属-炭素結合を含む。好適な金属の非限定的な例は、金、銀、白金、イリジウム、レニウム、ルテニウムおよびオスミウムを含む。好適な配位子の非限定的な例は、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボニル、ピリジル、ビピリジル、ターピリジル、ポルフィリン、チオール、およびフタロシアニン基を含む。好適な有機金属化合物の例は、これらに限定されないが、レニウムカルボニルビピリジル化合物、白金アセチリド化合物、ルテニウムビピリジル化合物、ルテニウムテルピリジル化合物、白金ポルフィリン化合物、および白金フタロシアニン化合物を含む。一部の場合では、有機金属化合物は、酸素の感知に使用されてもよい。一部の実施形態では、例えば、白金ポルフィリンおよび/または白金フタロシアニン化合物が酸素の感知に使用されてもよい。
【0402】
一部の実施形態では、放射種はビスマスを含む。当業者は、ビスマスを、ポスト遷移金属元素(post-transition-metal-element)とみなされる非毒性の重金属と認識する。一部の実施形態では、ビスマスは、1つまたは複数の配位子(例えば、ピリジル配位子)と燐光性化合物を形成する。他の場合では、ビスマスは、純粋に無機性の燐光性材料を形成する。ある特定の場合では、ビスマスは、生体に優しい塩を形成する。一部の場合では、生体に優しい塩は、色素と配合されてもよい。
【0403】
一部の実施形態では、放射種は、ランタニドおよび/またはアクチニドを含む。ランタニドおよび/またはアクチニドは、一般に高度に収縮した電子状態を有し、狭い輝線を有する原子様放射プロファイルをもたらすことが多い。一部の実施形態では、ランタニドおよび/またはアクチニドは、配位子(例えば、有機配位子)と錯体を形成する。一部の場合では、配位子は、異なる電磁線吸収および/または放射プロファイルをもたらすために使用されてもよい。ある特定の場合では、ランタニドおよび/またはアクチニドに結合する1つまたは複数の配位子は、電磁線を収穫するアンテナとして作用する。一部の場合では、ランタニドを含む放射種の放射特性は、水が結合した際に変化してもよい。ある特定の場合では、水の効果は、HOを重水(すなわち、DO)で置換することによって軽減されてもよい。ある特定の場合では、放射種は、重水をランタニドおよび/またはアクチニドに結合させることによって調製されてもよく、放射寿命は、水との交換によって異なる程度に低減してもよい。一部の場合では、そのようなプロセスを使用して、材料が水蒸気を含有する雰囲気に曝露されたかどうかを決定してもよい。
【0404】
純粋に無機の蛍光体はまた、スマートフォンの光源によって励起されてもよい。一部の場合では、重量基準の吸収効率は、有機材料の一部より低い場合があるが、有利には、これらの材料は高い熱的および化学的安定性を示してもよい。純粋に無機の蛍光体は、高い融点を有し、セラミックスと分類される場合がある異なる酸化物材料(アルミン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩)を含有することが多い。これらはまた、フッ化物または硫酸塩を含む他の塩に分散されてもよい。一部の場合では、発光特性は、活性金属イオンを無機材料に組み入れることによって生じてもよい。そのような構造は、単結晶として組織化されてもよく、または固溶体とみなされてもよい。例えば、Cr+3をAlのマトリックスに組み込むことができ、これらの組成物は一般的にルビーと称され、燐光を示し、スマートフォンの光源によって励起することができる。無機材料に配置されてもよい多くの他の活性要素が存在し、一部は異なる酸化状態にあってもよい。無機蛍光体を作成するために使用できる好適な金属イオンの非限定的な例は、Eu、Bi、Ce、Cr、Nd、Yb、Pb、Gd、Dy、Er、L、U、Ta、Sr、およびYを含む。
【0405】
一部の実施形態では、無機蛍光体を作成するために複数の金属イオンが組成物に組み込まれる。これらの材料の励起状態寿命は、材料に応じて即発燐光または遅延燐光と特徴付けられてもよく、それによって非定常状態の光子放射事象を生じるために有用である場合がある。異なる元素の置換が寿命に影響を及ぼす場合があり、非限定的な例として、Mn+2の異なる組成物への置換を使用して、励起状態寿命の延長をもたらすことができる。
【0406】
多数の無機蛍光体が、ペロブスカイトと呼ばれる化合物の構造クラスに属し、また本明細書に記載される実施形態に従って好適でありうる。これらの種類の化合物では、金属酸化物またはハロゲン化物から構成されることが多い、異なる多面体群間のカチオンとみなされる原子がしばしば存在する。ペロブスカイトの副領域は、カチオンが有機アンモニウムイオンである材料である。低温で容易に合成されるこれらの有機/無機ハイブリッド塩複合体の一部は、スマートフォンによって励起可能であってもよい。スマートフォンで励起可能な結晶の非限定的な例は、(n-ブチルアンモニウム)PbIおよび(N-メチルプロパン-1,3-ジアンモニウム)PbBrを含む。これらの有機/無機ハイブリッドペロブスカイトの励起寿命は、即発蛍光および即発燐光に対応するものとは異なってもよく、一般的に非定常状態の光子放射事象を生じることができる。異なる組成物によって(例えば、鉛より環境に優しい元素によって)、より長い励起状態寿命も可能である。
【0407】
純粋に無機の放射種の別のクラスは、ナノ構造化半導体から作成されるものであり、同様に本明細書に記載される実施形態に従って好適であってもよい。これらの材料の多くの異なる種類が存在し、また理論によって束縛されることを望まないが、それらの非局在化した電子状態の結果として、ナノ粒子のサイズは、それらの吸収特性と相関する場合がある。したがって、一部の実施形態では、選択されたサイズのこれらの材料を使用して、スマートフォンで励起可能な材料を作成することができる。半導電性ナノ材料の非限定的なリストは、以下のCdS、CdSe、CdTe、ZnSe、InP、Ge、PbSおよびPbSeのうちの1種または複数を含むナノ粒子を含む。これらの材料の励起状態寿命は、サイズおよび組成によって異なってもよく、即発蛍光および即発燐光のものに対応する励起状態寿命を示す材料が観察されている。
【0408】
一部の場合では、Eu+3、Tb+3の金属有機類似体、および他のランタニドまたはアクチニド元素が遅延燐光を示してもよい。一部の実施形態では、金属中心と相互作用する有機配位子は、光子を捕捉するためのアンテナとして挙動する。理論に束縛されることを望まないが、ひとたび一重項励起状態に励起された配位子は、一般に三重項状態への迅速な項間交差を経て、三重項エネルギーを金属中心に移動させる。三重項状態の相対的エネルギーおよび金属中心に対する相対的エネルギーは、エネルギー移動の効率に影響を及ぼす場合がある。結果として、スマートフォンによって励起可能であり、かつ金属中心への三重項エネルギーの移動に効率的に関与しうる配位子を選択するよう注意が払われるべきである。金属中心の軌道は収縮しており、一部の場合では、電子状態は金属中心に過度に局在化しているとみなされてもよい。結果として、放射スペクトルは、非常に異なるアンテナ配位子および配位環境の場合でも、特定の金属の異なる錯体に極めて類似してもよい。配位子は、異なる化学的、熱的、光学的、環境および/または光学的刺激への感受性を含む他の望ましい特性を有するように選択されてもよい。
【0409】
ユーロピウム(Eu+3)に基づく放射体は、一般的に赤色光放射を示すため、本明細書に記載される実施形態によって特に留意される。スマートフォンの光源からの光を吸収できるアンテナ配位子が使用されてもよい。非限定的な例は、以下に記載されるケトン錯体である。ケトンは、一般に非イオン性配位子であり、一般に他の3つのアニオン性1,3-ジケトネート配位子より弱く結合する。一部の場合では、Eu+3周辺の配位圏は動的であってもよく、Lと示されるさらなる配位子も金属中心に配位してもよい。理論に束縛されることを望むことなく、配位度は、一般に金属中心周辺の立体的拘束、および配位子によって課せられる立体的拘束に従う。一部の場合では、マトリックス材料の立体的影響も役割を果たす場合がある。例えば、一部の実施形態では、2つのケトンがEu+3中心と相互作用してもよく、またはLが配位しなくてもよい。L基はアニオン性であってもよく、例えばカルボン酸イオン、硫酸イオンまたはハロゲン化物イオンであってもよい。ケトンの弱く結合する性質のために、ケトンは一般的に置換されやすい。より強固な会合が必要とされる場合、マトリックス材料を使用して形状を制限すること、および/または材料を高度に厳格な環境に配置することにより、強力な会合を強制してもよい。一部の適用では、ケトンと金属の相互作用を、化学的、光学的、熱的、環境、電離線および/または機械的刺激による調節に供することが有用でありうる。これらの適用は、例えば、ケトンのEu金属中心への弱い結合を利用することができる。そのような変更は、適用に応じて不可逆的または可逆的であってもよい。示されるもの以外の他のケトンおよび他のイオン性配位子も、スマートフォンで励起可能な錯体を作成するのに使用されてもよい。
【化14】
【0410】
一部の場合では、金属中心に会合するアニオン性配位子を使用して、遅延燐光を有する多様な材料を作成してもよい。イオン性1,3-ジケトネート配位子に組み入れられたカルバゾールを有する、スマートフォンで励起可能なEu+3錯体の非限定的な例が以下に示される。一部の実施形態では、理論に束縛されることを望むことなく、カルバゾールによるπ電子系の伸長によって、この化合物がスマートフォンによって励起されることが可能になる。中性の1,10-フェナントロリン配位子は、一般に、示されるようにEu+3の2つの配位部位を占有する。さらなる配位子がEuの部位に結合することもできる。一部の実施形態では、多数の他の配位子が、示されるカルバゾール1,3-ジケトネート配位子と対をなしてもよい(例えば、スマートフォンからの光の吸収を増強し、および/または代替的な波長で錯体を励起する機会をもたらす)。
【化15】
【0411】
可視光によって励起できる、縮合芳香環(フェナントレンおよびトリフェニレンなど)を含有するアニオン性配位子を有するユーロピウム錯体の非限定的な例が以下に示される。理論に束縛されることを望むことなく、アニオン性配位子に可視光吸収部分を組み込むと、イオン性配位子が中性配位子より堅固にEu+3に結合するため、一般に白色光活性化蛍光体の改善がもたらされる。
【化16】
【化17】
【0412】
三配位アンテナ配位子を有するEu+3錯体の非限定的な例が以下に示される。これは、考えられる多数の潜在的な類似体のうちの1つにすぎず、当業者は、本明細書の教示に基づき、スマートフォン(または他の消費者用電子機器)からの光の吸収、マトリックス材料との適合性、錯体の安定性を増強し、所望されない消光を予防し、および/または遅延燐光の量子収率を増強させるために、異なる置換基が使用されてもよいことを理解する。
【化18】
【0413】
ユーロピウムに基づく放射体のさらなる好適な非限定的な例が、以下の実施例8~21で本明細書に提供され、かつ一部の例示的な構造が図35Aに示される。
【0414】
遅延燐光を示すことができるスマートフォンで励起可能な他の材料は、以下に示されるホウ素およびアルミニウム錯体を含む。これらの材料は、一般的に、それらの励起電子状態から基底状態への非放射性緩和を制限する非常に強固な構造を有する。理論に束縛されることを望むことなく、重原子を欠くと、重原子が組み込まれた場合に予測されるより遅い放射速度が一般的にもたらされる。それにもかかわらず、そのような材料は、適切なマトリックスに組み込まれると強い発光を示すことができる。これらの化合物の寿命が長いことによって酸素消光が生じるため、これらの材料は、例えば酸素センサーとして使用されてもよい。
【化19】
【0415】
多くの適用で、スマートフォンで励起可能な発光材料(例えば、放射種)は、別の材料(例えば、マトリックス)に懸濁されてもよい。発光材料は、それらが分子レベルで無作為に溶解される流体または固溶体中にあってもよい。発光材料の結晶または粒子は、固体、薄膜、液晶、油または溶液に分散されてもよい。発光材料は、別の材料と共結晶化されてもよい。発光材料は、熱的に促進される拡散、物理的圧力および/または材料への溶媒補助輸送により、ポリマーまたはプラスチックに吸着されてもよい。材料は、材料を分散液に封入するモノマーを重合することによって、またはバルク材料/膜として調製されてもよい。発光材料は、感圧接着剤、エポキシ樹脂、ポリウレタン、または熱可塑性樹脂を含む接着剤によって材料に付着されてもよい。ポリマーカプセル材を発光材料の分散液に適用し、コーティングされた粒子を作成してもよい。発光材料は、有機または無機の性質のいずれかでありうるマトリックス材料中で合成されてもよい。
【0416】
一部の実施形態では、発光材料は水性環境で使用されてもよく、タンパク質、抗体、DNAおよびRNAなどの生物学的認識要素を含む他の種に接続(コンジュゲート)されてもよい。これらはまた、真菌、細菌、組織または細胞に直接接続されてもよい。材料は、溶液または粉末形態中に分散されてもよく、またそれらの周囲でポリマーを組み立て、コーティングされたポリマーを作成してもよい。例えば、発光材料が比較的非極性である場合、ポリマー、分子または重合可能界面活性剤を使用して水中に分散されてもよい。材料を分散させるために、構造Z(OCHCH(OCH(CH)CH(OCHCHOZのポリマーが使用されてもよい。このブロックコポリマーは、疎水性発光材料と相互作用する場合がある疎水性基を中心に有し、一方(OCHCH基は、一般に親水性であり、水分散性を可能にする。1種より多い官能基でありうるZ基は、材料を架橋して頑強なコーティングを形成する、および/またはそれらを抗体、タンパク質もしくはDNA/RNAなどの別の材料にコンジュゲートするために使用されてもよい。多くの種類の好適なポリマー界面活性剤、および非限定的な例の代表であるポリ(エチレンオキシド)のアクリレートを含む、ポリスチレンと他の極性材料とのジブロックコポリマーが存在する。発光材料を重合可能モノマーに分散させ、ポリマーカプセル化材料を作成することもできる。例えば、界面活性剤とスチレンを使用して発光材料を水に分散させ、粒子を作成してもよい。発光材料は、固溶体としてポリマー粒子に均一に分散されてもよく、または小結晶もしくは凝集物へと分離されてもよい。一部の場合では、発光材料をホストする材料を重合することによって材料が分離し、包埋された結晶または凝集物が生じる場合がある。ポリマーを架橋するため、またはバイオコンジュゲーション反応に関与しうる官能基を粒子の表面に作成するために、コモノマーが使用されてもよい。官能基は、必要に応じて重合後に付加することもできる。発光材料を組み込む粒子の表面に配置されてもよい好ましい非限定的な官能基は、カルボン酸基、アミン、チオール、エステル、アルケン、歪んだ環式アルケン、歪んだ環式アルキン、求電子性アルケン、マレイミド、テトラジン、イソチオシアネート、ブロックイソシアネート、オキサゾリン、カルボジイミド、またはアジドを含む。異なる生体分子種への連結をもたらすために、これらの基を使用する多様な方法(反応シーケンス)が利用可能である。
【0417】
一部の実施形態では、既存のポリマー粒子を発光材料によって官能化してもよい。例示的な、しかし非限定的な例は、表面にカルボキシレート基を有するポリスチレン粒子の場合である。塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンまたは1,2-ジクロロベンゼンなどの、ポリマーを膨潤させるだけでなく発光材料も含有する溶媒へのこれらの粒子の分散を使用して、発光粒子を作製することができる。一部の実施形態では、発光材料を含有する有機溶液で粒子が膨潤すると、材料は乾燥する。材料がいずれも水溶性でない場合、粒子を水に溶解することができ、異なる生体分子認識要素へコンジュゲートするための方法が適用されてもよい。コンジュゲーション方法は、アミンと反応性エステルの反応、アルケンアクセプター分子へのチオールの付加(チオ-マイケル反応)、テトラジンと反応性アルケンの間のクリック反応、イソチオシアネートへのアミンの付加、有機アジドと末端アルキンの銅触媒クリック反応、ならびに/または有機アジドと歪んだ環式アルケンおよびアルキンのクリック反応を含む。
【0418】
材料または材料を含有する粒子に、材料を目的の物体に共有結合させることができる官能基が付加されてもよい。発光材料は、テープに結合され、積層によって物品に付加されてもよい。ガラス、セラミックスもしくはポリマーとの反応または融合を可能にする高温プロセスが、純粋に無機の材料に適用されてもよい。一部の材料は、ガラスに熱的に吸着されてもよいように十分高い温度に耐用可能である。一部の適用では、複数の発光材料の混合物が所望される。他の場合では、1種または複数の発光材料が、物品上に空間的にパターン化されてもよい。空間的パターン化は、3つすべての次元で行われてもよく、例えば積層、スプレーコーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、エンボス加工、スタンピング、または3D印刷によって達成されてもよい。
【0419】
製作後、材料は、加熱、重合、光分解、積層、またはオーバーコーティングにより、最終的な安定形態で潜在的に固定されてもよい。材料はまた、カプセル化によって不働態化されてもよい。
【0420】
一部の場合では、電子移動プロセスを使用して、物品中またはその上の情報を符号化するために使用可能な放射寿命を有する材料を作成してもよい。一部の場合では、これらのプロセスは、電子移動プロセスを使用して励起状態をもたらすことを含む。
【0421】
一部の実施形態では、放射種は、結晶、セラミックス、粒子として使用されてもよく、ポリマー複合物中で使用されてもよく、および/またはガラスに収容されてもよい。一部の実施形態では、放射種は、連続的な組成、勾配またはパターンで物体に堆積する。ある特定の場合では、パターンは、レーザースキャナーまたは画像分析によって読み取り可能なリニアバーコードまたはマトリックスコードと同様であってもよい。一部の実施形態では、1種または複数の放射種は、印刷された画像に直接統合される、または他の色素と混合される。一部の実施形態では、1種または複数の放射種は、固体、表面または溶液に均質に堆積する。当業者は、放射種が組成物に添加される、または他の放射もしくは着色材料とともにパターン状に堆積され、独特かつ複雑な情報コンテンツを作成できることを認識する。
【0422】
検出される放射は、励起方法、周波数、遅延、波長および存在する放射種の強度に依存してもよい。パルス後の遅延は、画像を変化させる場合があり、この変化は、複数の放射種が空間的にパターン化される場合に特に明白でありうる。一部の場合では、すべての放射種が同時に励起されてもよい。一部の場合では、ある特定の放射種が、使用される電磁線の波長の選択によって選択的に励起されてもよい。一部の場合では、物品は、固有の放射を有してもよい。例えば、印刷された物体は、紙または布が黄色に見えるのを防ぐために青色色素を使用してもよい。これらの漂白剤からの放射は、その上に材料を印刷するまたは堆積させることによって遮蔽されてもよい。例えば、カーボンベースのインクが白紙上に堆積されてもよい。同様に、寿命がより長い放射種が用紙に堆積され、次いでカーボンインクをその上に印刷することによってパターン化されてもよい。
【0423】
一部の実施形態では、放射を消光する第2のプロセスが行われてもよい。一部の実施形態では、放射材料は、1回だけまたは複数回読み取ることができる放射種を含有してもよい。例えば、第2のプロセスは、放射種を含有する物品に不可逆的な変化を生じる読み取りプロセスによって開始されてもよい。この変化は、即座に展開してもよく、または展開するのにある程度の時間がかかってもよい。そのような変化は、フォトクロミック分子、および/または酸、塩基、ラジカルもしくは消光剤の光発生によって活性化されてもよい。一部の場合では、放射種は、検出可能な放射を生成するように構成されてもよいが、第2のプロセスは、繰り返される読み取りに検出可能な放射が存在しないように材料を変化させてもよい。一部の場合では、第2のプロセスは、反応性分子、着色色素、ラジカル、酸、塩基、還元もしくは酸化種の光化学的発生、ならびに/または化学的カスケードを生じることによって誘発されてもよい。第2のプロセスは、機械的応力、空気曝露、水分曝露、またはガンマ線もしくはx線などの電離線によって開始されてもよい。
【0424】
異なる放射種が豊富に存在することにより、材料の固有の同一性だけでなく、その化学的状態も決定するための多くの異なる応答機構をもたらすことができる。本明細書に記載される放射種の多くは、光、温度、放射線、目的の分子、酵素、核酸、タンパク質、細胞、細菌、ウイルス、胞子または他の生体分子、物理的修飾、圧力、気体、酸素、水分、二酸化炭素、花粉、環境汚染物質、粒子状物質、薬物、pH、アレルゲンなどに対して可逆的または不可逆的な応答を生じるように修飾可能な結合、会合および/または連結を伴う多成分である。
【0425】
一部の実施形態では、1種もしくは複数、2種もしくはそれよりも多く、3種もしくはそれよりも多く、4種もしくはそれよりも多く、5種もしくはそれよりも多く、6種もしくはそれよりも多く、7種もしくはそれよりも多く、8種もしくはそれよりも多く、9種もしくはそれよりも多く、10種もしくはそれよりも多く、15種もしくはそれよりも多く、または20種もしくはそれよりも多くの(異なる)放射種が存在してもよく(例えば、物品に、システム中に、化学タグ上に、標識上に関連付けられる)および/または励起構成要素によって励起されてもよい。一部の実施形態では、物品に関連付けられる異なる放射種の数は、1~2、1~5、1~7、1~10、1~15、1~20、2~5、2~7、2~10、2~15、2~20、5~7、5~10、5~15、5~20、10~15、または10~20の範囲である。一部の実施形態では、各放射種は、異なる刺激(例えば、特定の温度、pH、溶媒、化学試薬、雰囲気の種類(例えば、窒素、アルゴン、酸素など)、電磁線に対する変化)に応答性であってもよい(例えば、放射された光の強度、放射された光の偏光、放射された光の空間プロファイル、または放射種の放射寿命の変化のうちの1つまたは複数が変化してもよい)。一部のそのような実施形態では、刺激および/または物品の特徴(例えば、存在、同一性など)は、いずれの1種または複数の放射種が検出可能な信号を生成するかに基づいて決定されてもよい。
【0426】
例示的な例として、かつそのように制限されることを望むことなく、一部の実施形態では、システムは第1の放射種および第2の放射種を含む。一部の実施形態では、第1の放射種(しかし第2の放射種ではない)の決定可能な変化は、特定の特徴(例えば、放射種に関連付けられる物品の)に対応する。一部の実施形態では、第2の放射種(しかし第1の放射種ではない)の決定可能な変化は、特定の特徴に対応する。一部の実施形態では、第1の放射種と第2の放射種の両方の決定可能な変化は、特定の特徴に対応する。一部の実施形態では、第1の放射種または第2の放射種のいずれの決定可能な変化も、特定の特徴に対応しない。一部の実施形態では、第3の放射種が存在する。一部の実施形態では、3種の放射種のうちの1種の変化は、特定の特徴に対応する。一部の実施形態では、3種の放射種のうちの2種の変化は、特定の特徴に対応する。一部の実施形態では、3種の放射種のうちの3種の変化は、特定の特徴に対応する。一部の実施形態では、3種の放射種のうちの3種の変化は、特定の特徴に対応しない。当業者は、本明細書の教示に基づき、放射種のより高次の組合せ(4種またはそれより多く、5種またはそれより多くなど)が使用されてもよく、かつ選択された放射種の選択された変化は、特定の特徴(例えば、放射種に関連付けられる物品の)に対応してもよいことを理解する。
【0427】
さらなる例示的な例として、かつそのように制限されることを望むことなく、一部の実施形態では、システムは、各放射種が特定の刺激に応答するように選択されるように複数の放射種(例えば、少なくとも第1の放射種、第2の放射種、および第3の放射種)を含む。例えば、刺激は、分析物の濃度、pH、および/または温度であってもよい。例示的な組の実施形態では、各放射種は、異なる温度に応答性であってもよい(例えば、放射種は、波長および/または強度などの特性の変化を経る)。一部のそのような実施形態では、1種または複数の放射種の変化は、特定の温度(または温度のセット)への曝露を示す。例えば、第1の放射種の変化は、少なくとも第1の温度への曝露を示し、第2の放射種の変化は、第1の温度とは異なる少なくとも第2の温度への曝露を示す。本明細書に記載されるように、他の刺激も可能である。
【0428】
一部の場合では、複雑な励起方法、偏光、空間パターン化、時間遅延、および/または二次的曝露を使用することにより、異なる放射種のサブセットから情報が抽出されてもよい。
【0429】
図7は、2種の放射種を含む例示的なシステムを示す。図7に示される例示的なシステムでは、1種の放射種が10nsより長い放射寿命を有し、1種の放射種が10ns未満の放射寿命を有する。図7に示されるように、ローリングシャッター効果をパルス化電磁線源と組み合わせて、個々の成分を分解することができる。図7(左)は、2種の放射種を含有するバイアルの光学顕微鏡画像を示す。図7(中央)は、ローリングシャッターを使用してイメージングされた、パルス化照射下の同じバイアルの光学顕微鏡画像を示す。図7(中央)に示されるように、「オン」状態の間は両方の種からの放射が観察され、「オフ」状態の間は、10nsより長い放射寿命を有する種からの放射のみが観察される。図7(右)に示される拡大画像から見ることができるように、ローリングシャッター方法は、時間領域を空間領域に重ね合わせる。
【0430】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、多数の用途に有用でありうる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、製品の識別、製品の認証などに使用されてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、物品の特徴を決定するために使用されてもよい。一部の場合では、物品の特徴は、物品の同一性、物品の出荷地、物品の位置、物品の真正性(または偽造性)、物品の品質、物品の年齢、物品が新品であるか使用品であるか、物品の劣化、物品の誤操作、物品の不正操作、物品の汚染などを含んでもよい。そのような特徴は、例えば、窃盗の検出、不正流通の検出、違法販売の識別、偽造製品の識別、粗悪品の識別、品質管理、品質保証、物品の不正操作および追跡に有用でありうる。
【0431】
一部の実施形態では、最適化は、信号を最大化する、および/またはバックグラウンド(例えば、迷光を含む)信号を最小化する(抑制する)パラメーターのセットを作成することを含んでもよい。これらのパラメーターは、一般的に、特定のアッセイおよび読み取りが行われる条件に依存する。スマートフォンに配備された場合、比色信号が使用され、アッセイに対して特定の様態でスマートフォンを配向させるように使用者を導き、所望の信号を発生させる情報が提供されてもよい。一部の場合では、アッセイ上の写真、ロゴ、QRコード(登録商標)、またはバーコードに含有されてもよいこの情報は、シャッター速度(曝露時間)および/または感度(ISO)設定などの最適なカメラ設定、ならびに励起プロファイルに関してスマートフォンに通知する。一部の場合では、スマートフォンは、使用されるシャッター速度/ISOおよび励起の種類/継続期間の値の範囲を迅速に探索する測定を行ってもよい。計算的に、スマートフォンを使用して、所望の信号を生成するイメージング条件を決定してもよい(例えば、高精細/コントラストを提供する、アーチファクトおよび迷光を排除する、ならびに明るい放射信号を生成することによって)。この調査中に収集されたデータは適切であってもよく、また多くの画像から最適な信号が抽出されてもよい。一部の実施形態では、測定値を作成するために画像の一部分のみが使用されるように、すべての画像がまとめて融合されてもよい。さらに、計算方法は、簡潔な調査方法によってガイドされ、特定のパラメーターのセットを使用して後続の測定を行い、最適な測定値を作成するようにスマートフォンを構成するイメージングパラメーターを生じる場合もある。例えば、これを使用して、アッセイが明るい干渉光源から移動したかどうかが決定されてもよく、または検出チップによって各画像が収集される時間(シャッター速度もしくは曝露時間)が変更されてもよく、または励起を構成する最良の方法が変更されてもよい。後者は、パルス化光のフラッシュまたは周波数変調方法であってもよい。一部の場合では、スマートフォンは、周囲光を制限する条件を探求するように使用者に指示してもよい。これは、例えば暗い部屋もしくはクローゼットに行くこと、またはカメラおよびアッセイに暗いカバーを使用し、光を排除することによって達成されてもよい。後者は、暗い布、黒いプラスチック片、またはカメラをアッセイに対して位置付けながら、迷光が測定に干渉するのを防ぐことができる箱を含んでもよい。後者は、製品包装の一部として提供される使い捨て要素を含んでもよい。
【0432】
一部の実施形態では、放射種(例えば、蛍光体)は、重金属(例えば、鉛、水銀)の存在を検出するために使用されてもよい。例示的な例として、放射種(例えば、発光体(lumophore))を紙片にコーティングし、コーティングされた紙を水試料に挿入してもよい。重金属が存在する場合、それらはコーティングされた紙に結合してもよく、放射種の放射寿命を改変してもよい。それぞれの種の放射寿命は、上述の寿命イメージングを使用して測定されてもよい。
【0433】
一部の場合では、試験片(例えば、紙片にコーティングされた放射種)を使用して、製品の分子シグネチャーが検出されてもよい。1つの非限定的な例として、香料を試験片に噴霧し、放射種の寿命についてイメージングされた場合にその同一性を検証するために使用できる、新規の物体が生成されてもよい。分子シグネチャーは、放射種の選択的増強もしくは消光および/または放射種の寿命の変化によって生じてもよい。
【0434】
一部の場合では、標識または情報符号化のために放射タグ(例えば、化学タグ)が使用されてもよい。一部の場合では、そのような放射タグ(例えば、化学タグ)は、パターン化および異なる色に依存してもよい。放射画像は、多数の可能な複雑かつ可変的な励起および測定方法によって調製され、読み取られてもよい。一部の場合では、単一の放射タグによって多くの異なる画像パターンが発生されてもよい。測定される寿命画像は、アプリケーションに基づいて、または中心源から読み取りデバイスに伝達される指示から動的に変化してもよい。画像が獲得される所与の場所または時刻に複雑なアルゴリズムが割り当てられてもよい。一部の場合では、二次情報(例えば、物体上の一次元または二次元バーコード)が、複雑な放射寿命画像の読み取り方に関する指示を含有してもよい。
【0435】
一部の場合では、選択された放射種を消光し、特定の寿命を生じることができる動的消光剤が放射材料に付加されてもよい。放射種および/または動的消光剤は、膜、塊状ポリマー、ペースト、ゲル、または流体(例えば、液体、気体)に組み込まれてもよい。例えば、1つまたは複数の放射種が表面に印刷され、1つまたは複数の動的消光剤が気体相に配置されてもよい。一部の場合では、消光剤の拡散速度は、二次刺激によって改変されてもよく、さらに二次刺激の存在を検出するために寿命画像が使用されてもよい。刺激は、化学的、熱的、光化学的、放射性(例えば、電離線への曝露を含む)、または機械的であってもよい。二次刺激の作用は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。可逆的の場合、センサーは、二次刺激に対するリアルタイムセンサーとして挙動してもよい。好適な二次刺激の非限定的な例は、水および熱の存在を含む。熱は、材料中の拡散プロセスを改変することが周知であり、動的消光剤の拡散速度を変化させることによって放射種の寿命を改変することができる。フォトクロミック素子の選択的励起も含まれてもよい。材料の特性およびそれらの拡散を変化させるために、電磁線が使用されてもよい。また、二次刺激を使用して動的消光剤の濃度が増加されてもよく、それにより動的消光剤が放射種に接近する可能性を高めることができる。一部の場合では、動的消光剤と放射種の両方が拡散してもよい。一部の場合では、放射種のみが拡散してもよい。2つの種の遭遇は、一般に拡散速度および濃度によって制御される。
【0436】
一部の場合では、物品は、リバースエンジニアリングまたは複写するのが困難な放射タグ(例えば、化学タグ)に関連付けられてもよい。放射タグでは、組成物がアセンブルされる方法により、複数の異なる放射種が異なる環境、位置、または配向で配置されてもよい。一部の実施形態では、放射タグがアセンブルされるプロセスは複雑であってもよく、独特の信号を生じてもよい。高度に多次元の処理空間で新規の独特の信号を作成することは、この信号を複製するよりはるかに簡単である。したがって、新規の独特の信号を作成することが効率的であり、これらの組成物の複写を偽造する試みは実質的に無益である。一部の実施形態では、放射種は、放射種の分解をもたらす強力な物理的、熱的および/または化学的プロセスによってのみ解体することができる材料に共有結合するおよび/または収容されてもよい。これにより、一部の場合では、放射種の容易な識別が妨げられてもよい。さらに、作成されるパターンは、パターンをリバースエンジニアリングまたは複写するのに相当な労力が要求されるように十分に複雑でありうる。さらに、放射タグがリバースエンジニアリングまたは複写できる場合でも、コードは容易に変更可能であり、リニアバーコードおよび/またはマトリックスコードなどの他の製品情報への一致を要求することができる。
【0437】
物品を認証する1つの方法は、特別に設計された放射種を物品の中に直接配置することである。放射種は、プラスチック、セラミック、ガラス、金属、塗料、ゲル、ワックス、液体またはオイルに包埋されてもよい。一部の場合では、放射種は、均質に分配されてもよい。一部の場合では、放射種は、パターンに従って印刷されてもよい。複雑なパターンが存在しない場合でも、放射種の色および放射寿命が変化する可能性を考慮すると、相当な情報が依然として入手可能である。
【0438】
さらに、製品(例えば、物品)が入っている容器上の二次標識を使用して、読み取り装置(例えば、スマートフォン)に、読み取りがどのように行われるべきかに関するさらなる指示を提供してもよい。例えば、その容器または包装上の光学リニアバーコードまたは二次元マトリックスコードをまずスキャンし、次いで流体をスキャンすることによって流体が分析されてもよい。このようにして、製品のための種々のコードを最低限の費用で作成することができる。別の代表的な例では、タガント(taggant)を含有する液体、ゲル、ペースト、または固体が、リニアバーコード、2次元マトリックスコード、画像を生成するための非定常状態の光子放射をもたらすことができる試験片、またはタガントの存在を認識できる容器または包装の任意の他の領域に噴霧または堆積されてもよい。このようにして、内容物とその関連付けられる包装の両方の真正性を容易に検証することができる。
【0439】
非毒性の有機および/または不活性無機材料から多種多様な放射種が生成されてもよい。同様に、不溶性のカーボンドット材料は、非毒性、熱安定性かつ不活性であるとみなされてもよい。一部の実施形態では、これらの材料は微量濃度で存在すればよく、香料および化粧品の場合は皮膚に塗布されてもよい。代替的に、放射種は、製品のコーティングの一部であってもよい。コーティングされた丸剤、錠剤、またはカプセルの場合、放射種の組合せにより、丸剤、錠剤、またはカプセルを消費に安全なまま固有に符号化することができる。一部の場合では、ヒトの消費または皮膚への塗布のために承認される1種または複数の安全な材料が組み合わされてもよい。例えば、消化の問題の処置にビスマス化合物が使用される。ビスマスを使用して食用色素とともに組成物を作成し、長寿命の放射錯体を作成することができる。他の好適な非限定的な例は、長寿命の放射を有することができる食品色素を含む。有利には、長寿命の放射は、一部の場合で非定常状態の方法による選択的な検出を可能にしうる。
【0440】
放射種は、潤滑油などの他の消費可能材料に含まれてもよい。
【0441】
放射タグは、包装上に組み込まれてもよく、包装材料それ自体に組み込まれてもよく、リニアバーコードもしくはマトリックスコードの一部として統合されてもよく、または画像もしくは商標に含まれてもよい。リニアバーコードまたはマトリックスコードは、放射種を励起させる方法およびコードを読み取る場所に関する指示を読み取り装置に提供することができる。例えば、所与の包装において、使用者は、読み取り装置(例えば、画像センサー)を特定の記号または文言の上に配置するよう指示されてもよい。複数のコードが単一の包装に配置されることが可能であり、読み取り装置が、偽造行為の可能性を示唆するデータが存在する場合にのみ再指向されることが可能である。これは、製品が特定の地域で流通していないが、複数の製品がその区域で読み取られていることを光学バーコードが示唆する結果でありうる。偽造の可能性がある他の疑わしいコードが検出されている可能性がある。したがって、放射種を使用することにより、有利には認証情報を製品の包装に組み込む低コストの方法が提供されてもよく、認証情報は、偽造品の発生源を追跡するための情報を取得するために使用することもできる。
【0442】
包装は、製品を環境から保護するためにしばしば使用され、放射タグは、製品の状況を決定するために使用されてもよい。一部の場合では、放射タグは、特定の種類の刺激に応答するように設計されてもよい。例えば、放射タグが食品包装の内部に配置される場合、食品の品質を決定するために使用されてもよい。微生物活性によって生成される生体アミンは、放射種の応答(例えば、寿命、強度、放射の波長、色)の変化を引き起こす場合があり、これらのアミンの濃度は、取り込まれる画像によって決定される。一部の場合では、この測定は、包装がタグの励起および読み取り波長で透明であることを条件として、一度も包装を開封することなく決定されてもよい。同様に、生産のために使用される調整雰囲気包装では、酸素、二酸化炭素、および/または他の微生物マーカーのレベルを検出するタグが開発されてもよい。製品のシールが破損されたかを決定するために、酸素の侵入が使用されてもよい。
【0443】
一部の実施形態では、放射タグは、気体および/または液体の状態を感知するために使用されてもよい。製品が液体である場合の一部の実施形態では、放射タグは液体と接触されてもよく、液体の構成成分と放射タグの間の特定の相互作用を使用して、放射波長および寿命によって読み取られる独特の画像が発生されてもよい。ブリスター包装などでは、分析物は、包装内に含有される品物の内容物に組み込まれ、後に放出されてもよく、または製造のある時点において包装のヘッドスペースに能動的に添加され、それにより得られるヘッドスペースの分析物が包装内部に位置する放射タグと相互作用し、放射の波長およびタグの寿命に影響を及ぼしてもよい。一実施形態では、この分析物とタグの相互作用は可逆的であってもよく、それにより包装の開封時にタグは元の状態に戻り、その後分析物が蒸発または除去される。
【0444】
一部の場合では、包装中または上に配置された放射認証コードによって製品の熱履歴が決定されてもよい。これは、生物製剤、インスリンおよびワクチンなどの熱に敏感な医薬に非常に有用でありうる。放射タグは、製品の真正性を決定し、それらの品質を保存するために必要とされるコールドチェーンが観察されたことを保証するために使用されてもよい。一実施形態では、インスリンのバイアルに位置する放射タグは、累積室温曝露可能時間を監視するために使用されてもよい。熱履歴タグは、肉および魚ならびにワインの品質を監視するためにも有用でありうる。
【0445】
放射符号化タグ、光学リニアバーコードもしくはマトリックスコード、ホログラム、エンボスコード、導波コード、およびスマートフォン読み取り装置または同様の相互接続されたデバイスの組合せを使用して、時間、場所および認証データが取得されてもよい。このデータは、デバイスアプリケーションを使用して局所的に取り込まれ、中心位置に周期的に伝達されてもよく、または許容帯域を使用して継続的に伝達されてもよい。一部の場合では、製造業者および/または小売業者は、この情報を使用して、それらの製品がどこに位置するか、およびより重要には、偽造製品がどこで供給または流通チェーンに侵入しているかを監視することができてもよい。
【0446】
一部の実施形態では、放射タグは光学異方性である。一部の実施形態では、放射タグの1つまたは複数の放射種は、1つの方向において第1のセットの波長および放射寿命で、および第2の方向において第2のセットの波長および放射寿命で電磁線を放射してもよい。一部の場合では、この異方性は、放射種がポリマーであるまたはポリマーに包埋される場合に、機械的方法(例えば、ブロー成型、溶融流動、押出、ゴム、エンボス加工、溶媒流動、延伸)によってもたらされてもよい。一部の実施形態では、放射種は液晶の一部であってもよく、液晶に溶解されてもよい。液晶内の放射種のアライメントは、機械的方法、光学的方法、光化学反応、ならびに/または電場および/もしくは磁場の適用によって達成されてもよい。ある特定の場合では、円偏光電磁線が発生されてもよい。一部の場合では、これらのアライメントは、無期限に、またはアライメントの損失を引き起こす他の条件が適用されるまで放射タグ中に保持され、持続してもよい。ある特定の場合では、異方性光学材料は、放射種の周りおよび/または上に配置されてもよく、それにより偏光画像を発生させてもよい。一部の場合では、偏光および光学異方性の特徴を放射タグに付加することにより、有利にはさらなる複雑度が生じ、情報を符号化するためのより多くの選択肢が提供されてもよい。一部の場合では、温度の上昇によって材料中の光学アライメントが減少する可能性がある。一部のそのような場合では、材料のアライメントの変化から生じる放射寿命画像の変化を使用して、物体の熱履歴に関する情報を取得することができる。
【0447】
一部の実施形態では、丸剤、錠剤およびカプセルは、ブリスター包装に配置されてもよい。典型的に、この包装の片側は、半球状かつ製品が見えるように透明であり、また多くの場合箔である台紙は平坦であり、台紙を破ることによって製品が取り出される。これらの包装は、放射タグの特定の寿命をもたらす雰囲気を含有してもよい。雰囲気は、二酸化炭素などの気体を含有してもよく、気体はアミンまたは放射材料中の他の種と相互作用し、独特の寿命を生じてもよい。これにより、製品の独特の光学シグネチャーがもたらされてもよい。一部の場合では、シールを破ることによって製品が損傷した場合、これも検出される可能性がある。一部の実施形態では、雰囲気は窒素またはアルゴンであってもよく、かつ放射タグは、シールが破られた場合に包装に浸出しうる酸素の存在下でその寿命を変化させるものであってもよい。一部の場合では、雰囲気は、シールが破られた場合に水で置き換え可能な重水を含有してもよい。
【0448】
一部の実施形態では、放射種および/または放射タグは、RNA、DNA、PNA、キメラ核酸、分子ビーコン、抗体、アプタマー、レクチン、タンパク質、操作されたタンパク質、酵素、挿入剤などの認識実体と組み合わされ、アッセイ(例えば、診断アッセイ、イムノアッセイ)をもたらしてもよい。一部の場合では、アッセイは、ポイントオブケア、現場、ポイントオブニード、および/または在宅の診断使用に使用されてもよい。一部の実施形態では、アッセイは、ハイスループットスクリーニング(HTS)、時間分解FRET、および/または時間分解蛍光消光技術に基づいてもよい。ある特定の場合では、アッセイは、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、等温増幅、遺伝子編集技術などを含む他の診断、感知、および/または信号/分析物増幅技術と組み合わされてもよい。ある特定の場合では、アッセイは、これらに限定されないが、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、生体機能チップデバイスなどを含むハイスループットアレイ技術と組み合わされてもよい。一部の場合では、アッセイは、環境試料(例えば、水、土壌、かび、塗料)および/または生物学的試料(例えば、血液、汗、粘液、尿、糞便)を試験するために使用されてもよい。一部の場合では、これらのアッセイは、pH、発汗量/損失、分析物(例えば、グルコース、ラクテート、塩化物、電解質、代謝産物、小分子)の濃度を監視するために設計されたウェアラブルセンサーに組み込まれてもよい。一部の場合では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、細菌、ウイルス、もしくは真菌感染、腎不全、またはがんなどの疾患状態の兆候となる分析物を監視するためのアッセイ(例えば、診断アッセイ)へと製作されてもよい。当業者は、他のアッセイが可能であることを認識する。
【0449】
一部の実施形態では、食品および飲料試料におけるアレルゲンの有無を検証するために、放射スプレー、エアロゾル、液体、粒子などが使用されてもよい。
【0450】
一部の実施形態では、放射固体、液体、粒子、エアロゾル、ゲル、ペーストなどが広範に分配され、爆発物、化学剤、生物剤、毒性化学物質、重金属、麻薬、放射線などの分析物の有無を検証するために遠隔監視されてもよい。さらに、前述のローリングシャッター効果により、測距用途のための距離情報がもたらされてもよい。
【0451】
別の実施形態では、爆発物、化学剤、生物剤、毒性化学物質、重金属、麻薬、放射線などの分析物を検出できる放射タグは、遠隔監視のために自治権のある空、陸および海上自動車に配備されてもよい。
【0452】
別の実施形態では、放射タグは、敵味方識別装置に使用されてもよい。
【0453】
別の実施形態では、放射タグは、セキュリティバッジまたは身分証明書に使用されてもよい。
【0454】
別の実施形態では、放射タグは、貨幣に使用されてもよい。
【0455】
一部の実施形態では、本明細書に記載される放射種(例えば、化学および/または生物種)は、ポイントオブケア、現場、ポイントオブニード、もしくは在宅の診断キット、または関連する方法に関連付けられてもよい。
【0456】
一部の実施形態では、1つまたは複数の放射種は、種々の基材にドロップキャスト、スピンコート、または噴霧される溶液に組み込まれてもよい。一部の実施形態では、放射種は、薄膜に組み込まれてもよい。
【0457】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、例えば、極端な温度への曝露、水分および/または湿度の変化、光および/または化学反応物質への曝露による物品の分解(例えば、特徴)を検出するために使用されてもよい。例えば、一部のそのような実施形態では、1つもしくは複数の化学および/または生物種は、異なる温度、水分、湿度、光への曝露および/または特定の化学物質との反応によって変化する時間依存性放射および/または反射挙動を有してもよい。他の場合では、化学および/または生物種は、材料の品質を保証するためのタイマーとして使用されてもよい。例えば、滅菌プロセスの一部としてガンマ線、エチレンオキシド、酸素、または他の滅菌剤への曝露によって種の特徴の変化が誘発される場合、放射種を使用して、曝露および/またはこのプロセス後にどれだけ時間が経過したかを示すことができる。同様に、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して、物品周囲の包装の物理的な開封および周囲雰囲気への曝露が識別されてもよい(例えば、特徴)。
【0458】
一部の実施形態では、本明細書に記載される場合、特定のセット(複数可)の条件下での放射種の放射プロファイル(例えば、量、速度)の変化(例えば、単一の画像で識別される)は、物品または種それ自体の1つまたは複数の特徴に対応する。すなわち、一部の実施形態では、物品の1つまたは複数の特徴は、1種もしくは複数の化学種および/または生物種(例えば、物品に事前に付加された化学種および/または生物種)の発光および/または反射/散乱プロファイルに基づいて識別されてもよい。
【0459】
一部の実施形態では、種が物品に適用され、その種に関連付けられる物品の特徴の記録が作製されてもよい。例えば、一部の実施形態では、物品の同一性は、画像システムによって特定の放射パターンが検出される場合に確認されてもよい。
【0460】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、1つまたは複数のさらなる識別構成要素と組み合わされてもよい。例えば、一部の実施形態では、化学および/または生物種とは異なる第2の識別構成要素が存在してもよい。例えば一部の実施形態では、種は、一次元または多次元光学バーコードにさらに関連付けられてもよい。当業者は、本明細書の教示に基づき、本明細書に記載される方法およびシステムと使用するためのさらなる識別構成要素を選択する方法を理解する。一部の実施形態では、物品は、種、ならびに光学バーコード、ホログラム、RFID、ならびに/またはさらなる化学的マーカーおよび/もしくは生物学的マーカーなどの第2の識別構成要素に関連付けられる。本明細書に記載されるシステムと併用されてもよいさらなる化学的マーカーおよび/または生物学的マーカーの非限定的な例は、これらに限定されないが、比色色素、蛍光色素、IR色素、透かし、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸、およびこれらの組合せを含む。
【0461】
本明細書で使用される場合、用語「に関連付けられる」は、一般に近接して保たれることを意味し、例えば物品に関連付けられた化学タグは、物品の表面に隣接してもよい。本明細書で使用される場合、放射種が表面に「隣接」していると称されるとき、放射種は表面に直接隣接(例えば、接触)してもよく、または1つもしくは複数の介在構成要素(例えば、標識)も存在してもよい。表面に「直接隣接」した化学タグは、介在構成要素(複数可)が存在しないことを意味する。一部の実施形態では、化学および/または生物種は、物品の表面に隣接する。一部の実施形態では、放射種は、物品の表面に直接隣接する。一部の実施形態では、放射種は、物品に組み込まれる(例えば、物品の少なくとも一部の塊内に存在するが、化学および/または生物種が物品に付加されない場合、物品それ自体に本質的に存在しないか、または本明細書に記載されるシステムおよび/または方法の実装に望ましい量で存在しない)。
【0462】
一部の実施形態では、放射種は、受動的に電磁線を放射する。一部の実施形態では、放射種は電磁線を放射せず、検出される場合がある(例えば、生成される単一の画像で、例えばローリングシャッターなどを使用して)電磁線を放射および/または発光するように刺激(例えば、誘発)されてもよい。
【0463】
一部の実施形態では、種を刺激(例えば、誘発)することによって放射が生成されるおよび/または放射の寿命が変化する。一部の実施形態では、放射の寿命によって種および/または物品の特徴が識別される。
【0464】
一部の実施形態では、物品の特徴は、第1のセットの条件下での1種または複数の種による第1の(時間非依存性)定常状態の光子放射を検出し、第1のセットの条件と異なる第2のセットの条件下での1種または複数の種による第2の(時間依存性)非定常状態の光子放射を検出することによって決定されてもよく、ここで第1の放射と第2の放射との間の変化によって物品の特徴が識別される。
【0465】
上記および本明細書に記載される通り、画像の第1の部分が定常状態の光子放射に対応し、画像の第2の部分が同じ放射開始後の第2の期間に対応するように、ローリングシャッター機構および画像センサーを使用して放射の単一の画像を取得することにより、1種または複数の種の放射の特徴(例えば、放射の寿命)が識別されてもよい。
【0466】
一部の実施形態では、種を刺激するために電磁線の単一のパルスが使用されてもよい。
【0467】
放射の特徴はまた、上述のように、変調励起によって放射種を励起させることによって識別されてもよい。一部の実施形態では、有利には変調サイクル時間(複数可)より実質的に速い寿命を有する放射種を使用して、検出可能な信号の第1の成分を提供してもよく、変調サイクル時間と同様の長寿命を有するものを使用して、検出可能な信号の第2の成分を提供してもよい。
【0468】
一部の実施形態では、種を刺激するために電磁線の複数のパルスが使用されてもよい。ある特定の場合では、電磁線の複数のパルスは、物品の繰り返しの認証に有用でありうる。一部の実施形態では、放射種は、放射に応答して画像センサーによって生成される信号の強度、寿命および/または色が経時的に監視されうるように、特定の期間にわたって刺激されてもよい。一部のそのような実施形態では、種の放射プロファイルは、物品の特徴(例えば、真正性、新鮮さ、品物が使用されたかどうかなど)を決定するために使用されてもよい。一部の実施形態では、1つもしくは複数の化学および/または生物種の電磁線の複数のパルスが使用され、例えば識別可能な信号の時間領域が物品の特徴(例えば、同一性、真正性など)に対応するように、複雑な識別可能な信号が発生されてもよい。
【0469】
一般的に、化学および/または生物種からの電磁線の検出可能な放射(および/または反射)を生成する任意の刺激が、本明細書に記載されるシステムおよび方法とともに使用されてもよい。
【0470】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法およびシステムは、物品の1つまたは複数の特徴を識別するために、2種またはそれより多くの放射プロファイルの連続的放出を利用してもよい。
【0471】
一部の場合では、数カ月またはさらには数年間励起可能な種を有することが望ましい場合がある。一部の実施形態では、加えられる反応物、光、放射線または機械化学的刺激に応答して生じる電磁放射が使用されてもよい。
【0472】
スマートフォンで励起可能な発光材料が利用可能であれば、消費者は追加のハードウェアを必要とすることなく測定を行うことができる。例えば、有利には、抗原および抗体について試験することにより、消費者はウイルスに感染しているか、または疾患に対する免疫が生じたかを試験することができる。定常状態の光子放射および非定常状態の光子放射事象を収集することによってイメージングされる発光材料の一部の適用は、バーコード、QRコード(登録商標)、写真、識別番号、会社ロゴ、または他の印などの従来の画像から読み取られる情報を利用する。スマートフォンで励起可能な可読発光材料は、この従来の情報を補強し、かつ一部の実施形態では、物品の真正性、品質または状況に関する価値ある情報を作成するため、ならびに生物または化学材料の存在および量を決定するために組み合わせることができる。
【0473】
一部の実施形態では、画像センサーは、化学および/または生物種を含有すると思われる物品に近接して位置付けられる。一部の実施形態では、化学および/または生物種が励起されて放射を生成すると、画像センサーは、放射の単一の画像を生成するように構成されてもよい。一部のそのような実施形態では、単一の画像は、物品の1つまたは複数の特徴に対応する場合がある。
【0474】
一部の実施形態では、化学種および/または生物種(例えば、放射種)は、分析物の存在下での反応(例えば、本明細書に記載されるシステムおよび方法を使用して検出されうる)を経てもよい。例えば、種(例えば、放射種ならびに/または化学種および/もしくは生物種)と分析物の間の相互作用は、共有結合(例えば、炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン-窒素、炭素-窒素、金属-酸素、または他の共有結合)、イオン結合、水素結合(例えば、例えばヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオールおよび/または同様の官能基の間)、配位結合(例えば、金属イオンと単座または多座配位子との間の錯体形成またはキレート化)などの結合の形成を含んでもよい。相互作用はまた、ファンデルワールス相互作用を含んでもよい。一実施形態では、相互作用は、分析物と共有結合を形成することを含む。一部の場合では、種と分析物との間の相互作用は、電荷移動反応などの反応を含んでもよい。一部の他の実施形態では、種は、周囲環境の変化(例えば、温度の変化)に応じて化学的または物理的変換を経て、画像センサーから決定可能な放射プロファイル(例えば、パターン)を生成してもよい。決定可能な信号は、一部の場合では、経時的に持続または減少してもよい。
【0475】
放射種はまた、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモンなどを含む生物学的分子の対の間の結合事象を介して分析物と相互作用してもよい。特定の例は、抗体/ペプチド対、抗体/抗原対、抗体断片/抗原対、抗体/抗原断片対、抗体断片/抗原断片対、抗体/ハプテン対、酵素/基質対、酵素/阻害剤対、酵素/補因子対、タンパク質/基質対、核酸/核酸対、タンパク質/核酸対、ペプチド/ペプチド対、タンパク質/タンパク質対、小分子/タンパク質対、グルタチオン/GST対、抗GFP/GFP融合タンパク質対、Myc/Max対、マルトース/マルトース結合タンパク質対、炭水化物/タンパク質対、炭水化物誘導体/タンパク質対、金属結合タグ/金属/キレート、ペプチドタグ/金属イオン-金属キレート対、ペプチド/NTA対、レクチン/炭水化物対、受容体/ホルモン対、受容体/エフェクター対、相補的核酸/核酸対、リガンド/細胞表面受容体対、ウイルス/リガンド対、プロテインA/抗体対、プロテインG/抗体対、プロテインL/抗体対、Fc受容体/抗体対、ビオチン/アビジン対、ビオチン/ストレプトアビジン対、薬物/標的対、ジンクフィンガー/核酸対、小分子/ペプチド対、小分子/タンパク質対、小分子/標的対、炭水化物/タンパク質対、例えばマルトース/MBP(マルトース結合タンパク質)、小分子/標的対、または金属イオン/キレート剤対を含む。種の特定の非限定的な例は、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、PNAを含む。
【0476】
本明細書で使用される場合、「分析物」または「化学化合物」は、分析される任意の化学的、生化学的または生物学的実体(例えば、分子)であってもよい。分析物は、気相にあっても、液相にあっても、固相にあってもよい。一部の実施形態では、分析物は気相分析物である。一部の場合では、分析物は電磁線の形態であってもよい。一部の場合では、分析物は空中粒子であってもよい。一部の場合では、デバイスは、分析物に高い特異性を有するように選択されてもよく、例えば化学的、生物学的、または爆発物センサーであってもよい。一部の実施形態では、分析物は、デバイスの少なくとも一部(例えば、種)と相互作用できる官能基を含む。一部の場合では、デバイスは、周囲媒体のpH、水分、温度などの変化を決定してもよい。分析物は、爆発物(例えば、TNT)、毒素、または化学兵器剤などの化学種であってもよい。特定の例では、分析物は、化学兵器剤(例えば、サリンガス)または化学兵器剤の類似体(例えば、メチルホスホン酸ジメチル、DMMP)である。
【0477】
本明細書で使用される場合、用語「反応する」または「反応」は、2種またはそれより多くの成分の間で結合が形成され、安定で単離可能な化合物が生じることを指す。例えば、第1の成分および第2の成分は、反応して共有結合によって接合された第1の成分および第2の成分を含む1つの反応生成物を形成してもよい。用語「反応」は、溶媒、触媒、塩基、配位子、または成分間の反応の発生を促進するのに役立つ場合がある他の材料の使用も含んでもよい。「安定で単離可能な化合物」は、単離された反応生成物を指し、不安定な中間体または遷移状態を指すものではない。
【0478】
一部の実施形態では、化学化合物(すなわち、分析物)は、必要に応じて置換されたアリール種および/または必要に応じて置換されたヘテロアリール種、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、または多環式芳香族炭化水素、例えばベンゾ[a]ピレンを含む芳香族種であってもよい。一部の実施形態では、分析物は、アンモニアなどのアミン含有種であってもよい。一部の実施形態では、分析物は、アセトニトリルなどのニトリル含有種であってもよい。一部の実施形態では、分析物は、アルコール、ケトン、エステル、カルボキシレート、アルデヒド、他のカルボニル基、エーテルなどを含む種などの酸素含有種であってもよい。一部の実施形態では、分析物は、シクロヘキサノン、酢酸エチル、THF、またはヘキサナールなどのケトン、エステル、エーテル、またはアルデヒドを含む種であってもよい。一部の実施形態では、分析物は、DMMPなどのリン含有分析物である。一部の実施形態では、分析物は、ニトロメタンまたはTNTなどのニトロ含有種であってもよい。分析物の他の例は、アルコール、オレフィン、一酸化窒素、チオール、チオエステルなどを含む。
【0479】
一部の場合では、センサーは、周囲媒体の条件、または条件のセットの変化を決定することができる。本明細書で使用される場合、「条件」または「条件のセット」の変化は、例えば特定の温度、pH、溶媒、化学剤、雰囲気の種類(例えば、窒素、アルゴン、酸素など)、電磁線などに対する変化を含んでもよい。一部の場合では、条件のセットは、センサーが配置される環境の温度の変化を含んでもよい。例えば、センサーは、温度の変化に応じて化学的または物理的変化を経て、センサーから決定可能な信号を生成する構成要素(例えば、結合部位)を含んでもよい。
【0480】
ウイルスまたは抗体の有無のための家庭用試験は、試験が適正に実施および読み取りされることを保証するための管理を一般に使用する。そのような試験は、接触者追跡を含む感染病の流行を監視およびモデリングするために使用される重要なデータを提供してもよい。非限定的な例では、遅延燐光材料が抗体にコンジュゲートされ、ラテラルフローアッセイで使用される。遅延燐光は、例えばバックグラウンド信号を除去して忠実度の高いデータを作成するために使用されてもよい。特に、定常状態と非定常状態の両方のモードで、または非定常状態モードのみでの発光の検出を使用して、バックグラウンド信号を除去/減算する、または遅延蛍光、即発燐光、および/もしくは遅延燐光放射材料からの信号を単離することができる。アッセイは、迷光を遮蔽する物品/構造を利用して評価される場合があるが、非定常状態の光子放射事象の検出は、周囲光で遅延蛍光、即発燐光、および/または遅延燐光放射材料を選択的に検出するためにも使用できる。これらの方法は、他の定常状態信号を利用して、画像アライメントおよび較正に使用される情報を含む方法を補強することもできる。
【0481】
製品の認証は、例えば物品に適用されるスマートフォン可読タグを使用して達成されてもよい。一部の実施形態では、タグは、光学的に読み取られるコードおよびクラウドコンピューティングリソースからの指示と対をなす場合がある、異なる発光材料がパターン状に堆積される高度に複雑な情報を符号化するように設計されてもよい。タグに複雑度をもたらす能力は、励起状態寿命、波長(散乱、反射、および発光光)、パターン化、ならびにスマートフォンがタグにインタロゲーションする指示の組合せを使用する能力に由来する。後者は、他の製品情報(バーコードまたはQRコード(登録商標))、ならびに場所および時間データによって決定されてもよい。これらの指示は、分析される物品上の位置、信号検出に使用される感度および曝露時間、ならびに光源の特徴(パルスレート、遅延、または強度変調の周波数)を含んでもよい。認証用途の非限定的な例は、医薬、嗜好品、および製造業者からの交換パーツの検証を含む。
【0482】
スマートフォンで励起可能な可読発光材料は、気体または他の分子種の有無を感知するためにも使用できる。遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光材料は、酸素感受性を有することが多く、分子酸素によってそれらの放射が消光される。消光は、寿命と放射強度の両方を低減させ、スマートフォンにおけるパラメーターの組合せ(光源およびローリングシャッター)は、酸素レベルを検出および定量化するために使用される情報を抽出するように構成されてもよい。調整雰囲気包装は、製品の酸素曝露を制限するためにしばしば使用され、小売店での食品の貯蔵寿命を最大化するために広く使用される。消費者および小売業者は、本明細書に提示される方法および材料を使用して、包装の完全性が維持されていることを検証してもよい。また、スマートフォンで励起可能な可読発光材料は、他の分子シグネチャーを検出するために使用されてもよい。ユーロピウム遅延燐光発光材料の多くが水に感受性を有するため、水分子にエネルギー移動することによってそれらの放射が消光される。したがって、包装中の含水量をこの方法で監視することができる。さらに、腐敗および/もしくは微生物活性を示す生体アミンの検出、または硫黄化合物および二酸化炭素の検出のための、スマートフォンで励起可能な可読発光体(lumiphore)の設計に使用することができる他の方法が存在する。これらの方法はすべて、包装用途および腐りやすい物品の監視に関連する。スマートフォンによる認証の間にこれらの異なる分子シグネチャーの1種または複数を同時に決定するために、複数の発光体が使用されてもよい。シールを破損することなく包装内部の状況を決定できることは、消費者と小売業者の両方にとって魅力的である。
【0483】
スマートフォンで励起可能な可読発光材料を使用して、物品が変化したかどうかを決定することもできる。シールがいつ破損されたかを示す不正操作防止方法が開発されてもよい。シールを破損することにより、発光体の挙動を改変する分子シグネチャーが放出されてもよい。また、発光材料は、機械的活動、切断、再封止、加熱、延伸または任意の種類の変形に感受性であるように設計されてもよい。これらを使用して、包装が開封されたまたは何らかの方法で操作されたかどうかを検出してもよい。
【0484】
スマートフォンで励起可能な可読発光材料はまた、材料の熱履歴を監視するために使用されてもよい。特定の温度での時間経過の結果として生じる変化は累積的である場合があり、材料が特定の長さの時間にわたって熱すぎるまたは冷たすぎる範囲を超えたかどうかを明らかにするように設計されてもよい。スマートフォンによる紫外光または電離線曝露の決定を可能にするさらなる累積的な放射の指標が設計されてもよい。これらは、例えば滅菌プロトコールの一部として、損傷を示すまたは処理を確証することができる。
【0485】
本明細書に記載される実施形態の文脈で使用するのに好適な他の実施形態は、国際特許出願第PCT/US2009/001396号、2009年3月4日出願、表題「Devices and Methods for Determination of Species Including Chemical Warfare Agents」;国際特許出願第PCT/US2009/006512号、2009年12月11日出願、表題「High Charge Density Structures,Including Carbon-Based Nanostructures and Applications Thereof」;米国特許出願第12/474,415号、2009年5月29日出願、表題「Field Emission Devices Including Nanotubes or Other Nanoscale Articles」;国際特許出願第PCT/US2011/051610号、2010年10月6日出願、表題「Method and Apparatus for Determining Radiation」;国際特許出願第PCT/US2010/055395号、2010年11月4日出願、表題「Nanostructured Devices including Analyte Detectors, and Related Methods」;国際特許出願第PCT/US2011/053899号、2011年9月29日出願、表題「COMPOSITIONS、 METHODS, AND SYSTEMS COMPRISING POLY(THIOPHENES);国際特許出願第PCT/US2011/025863号、2011年2月23日出願、表題「Charged Polymers and Their Uses in Electronic Devices」;および国際特許出願第PCT/US2015/039971号、2015年7月10日、表題「FORMULATIONS FOR ENHANCED CHEMIRESISTIVE SENSING」に記載され、これらの各々は、その全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0486】
一部の実施形態では、放射種(複数可)は、物品に事前に付加されている。つまり、一部の実施形態では、放射種は物品に固有に関連付けられるわけではなく、例えば物品の特徴を識別するために付加される。一部の実施形態では、標識が物品に関連付けられてもよい。一部の実施形態では、放射種は、物品に固有に関連付けられるが、本発明の実施に所望される量で存在しないため、この目的のためにさらに付加される。一部の実施形態では、放射種は、標識上の化学タグの有無によって関連付けられる物品の特徴が識別されるように、標識に関連付けられる。
【0487】
単なる例示的な例として、かつそのように制限されるものではないが、一部の実施形態では、1種または複数の放射種が、そのような放射種を本質的に含まない(または上述のように、そのような化合物を含んでもよいが、さらなる付加によって本明細書に記載される本発明が容易になる)物品に事前に付加されてもよい。一部の実施形態では、センサーによる1種または複数の放射種のうちの少なくとも1つの検出により、物品の特徴が識別されてもよい。例えば、2種の放射種が物品に事前に付加されてもよい。センサーによる2種の放射種の両方の検出により、物品の真正性が示されてもよい。対照的に、2種の放射種のうちのゼロまたは1種を検出するセンサーは、物品が真正でないことを示す場合がある。当業者は、本明細書の教示に基づき、物品に関連付けられる1種もしくは複数の放射種の存在(または非存在)により、本明細書でより詳細に記載される物品の1つまたは複数の特徴(例えば、年齢、品質、原産地、同一性など)が識別されてもよいことを理解する。
【0488】
一部の実施形態では、化学タグは、本明細書に記載される1種または複数の放射種を含む。一部の実施形態では、化学タグは、1種もしくは複数、2種もしくはそれより多く、3種もしくはそれより多く、4種もしくはそれより多く、5種もしくはそれより多く、6種もしくはそれより多く、7種もしくはそれより多く、8種もしくはそれより多く、9種もしくはそれより多く、または10種もしくはそれより多くの放射種を含む。一部の実施形態では、化学タグにおける1種もしくは複数(または2種もしくはそれより多くなど)の放射種のうちの少なくとも1つの存在(または非存在)の検出により、物品の特徴が識別される。例えば、一部の実施形態では、化学タグに存在する放射種のすべての検出によって物品の特徴が識別される。一部の実施形態では、化学タグに存在する放射種の少なくとも一部の検出によって物品の特徴が識別される。一部の実施形態では、化学タグに存在する放射種がいずれも検出されないことによって物品の特徴が識別される。
【0489】
一部の実施形態では、化学タグは、複数の識別可能な(例えば、1つまたは複数のセンサーによって)放射種を含む。本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、化学タグ(および/またはそれが含む1種もしくは複数の放射種)は、物品に本質的に関連付けられない。一部の実施形態では、化学タグは、物品に本質的に関連付けられるが、本明細書に記載されるシステムおよび方法の実施に所望される量で存在しないため、この目的のためにさらに付加される1種または複数の放射種を含んでもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載される化学タグは、さらなる用途に有用であってもよい。例えば一部の実施形態では、化学タグは、物品(または標識)に関連付けられるインク、保存剤、香味剤、香料、着色剤(例えば、色素)および/または構造要素(例えば、糊、テープ、ストラップ、包装)に関連付けられてもよい。
【0490】
本明細書に記載される化学タグは、任意の好適な様態で実装されてもよい。例えば、化学タグは標識に関連付けられてもよい。一部の実施形態では、化学タグおよび/または標識は、単回使用であってもよく、または複数回(例えば、反復)使用のために設計されてもよい。
【0491】
一部の実施形態では、本明細書に記載される化学タグは、1種または複数のさらなる識別構成要素と組み合わされてもよい。例えば一部の実施形態では、標識は、化学タグ(例えば、1種または複数の放射種を含む)および化学タグとは異なる第2の識別構成要素を含んでもよい。一部の実施形態では、化学タグを含む第1の標識および識別構成要素を含む第2の標識は、それぞれ物品に関連付けられてもよい。例えば一部の実施形態では、化学タグ(または標識)は、一次元または多次元光学バーコードに関連付けられてもよい。当業者は、本明細書の教示に基づき、本明細書に記載される化学タグおよびシステムと使用するためのさらなる識別構成要素を選択する方法を理解する。一部の実施形態では、物品は、化学タグ(または化学タグを含む標識)、ならびに光学バーコード、ホログラム、RFIDなどの第2の識別構成要素、ならびに/またはさらなる化学的マーカーおよび/もしくは生物学的マーカーに関連付けられる。本明細書に記載されるシステムと併用されてもよいさらなる化学的マーカーおよび/または生物学的マーカーの非限定的な例は、これらに限定されないが、比色色素、蛍光色素、IR色素、透かし、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸、およびこれらの組合せを含む。
【0492】
用語「標識」は、本明細書で使用される場合、当技術分野におけるその通常の意味が与えられ、一般に物品に関連付けられ、前記物品に関する情報を与える構成要素(例えば、紙、布、プラスチック、インク、電子デバイス、または他の材料を含む)を指す。例示的な実施形態では、標識は、機能を含有するステッカーである。別の例示的な実施形態では、標識はマーカーである。さらに別の例示的な実施形態では、標識はスタンプである。他の実施形態では、標識は物品に印刷または噴霧される。他の標識も可能であり、標識を物品に関連付けるための手段が以下でより詳細に記載される。
【0493】
本明細書に記載される化学タグおよび標識は、任意の好適な様態で物品に適用されてもよい。例えば一部の実施形態では、化学タグおよび/または標識は、1つもしくは複数(例えば、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く)または複数の空間的に異なる場所に適用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、物品は、1つもしくは複数(または2つもしくはそれより多くなど)の化学タグを含み、各化学タグは同じであるかまたは異なる。一部の実施形態では、各化学タグは、物品の同じまたは異なる特徴を識別してもよい。
【0494】
一部の実施形態では、化学タグは、1種または複数の異なる材料と組み合わされてもよい。例えば、一部の場合では、重合またはポリマー堆積を使用してポリマーとの相分離を形成し、それによって化学タグまたは化学タグ前駆体(複数可)とポリマーの領域を自発的に形成させてもよい。ポリマーは不活性であってもよく、一部の場合では、化学タグ/化学タグ前駆体は、材料の機械的破裂によって放出されてもよい。代替的に、ポリマーは、活性要素および化学タグの誘発された放出、発生または活性化の一部であってもよい。ポリマーおよび化学タグ/化学タグ前駆体および関連要素は、一部の場合では溶液からタグに堆積されてもよく、または別個にされ、積層ステップで適用されてもよい。一部の実施形態では、ポリマーはインサイチュで生成され、化学タグを含む膜を作製してもよい。当業者は、本明細書の教示に基づき、化学タグ相のサイズおよび密度が、例えば処理条件、界面活性剤などによって制御可能であることを理解する。一部の場合では、コロイド生成で使用されるポリマーホスト材料またはポリマーカプセル材の架橋を使用して、これらの材料中の拡散を調節してもよい。そのような架橋は、化学的、光化学的、酵素的、機械的、電気化学的または熱的プロセスへの曝露時に除去されるように設計されてもよい。
【0495】
一部の実施形態では、ポリマーは、ポリマーの変形(例えば、延伸、屈曲)によって化学タグの化学化合物(複数可)が放出されるように変形可能である。
【0496】
任意の好適なポリマーを使用することができる。例えば、一部の実施形態では、ポリマーは、結合の破裂によって一般に自発的に脱重合するように、動態学的に安定(かつ熱力学的に不安定)であってもよい。そのようなクラスのポリマーの例は、ポリ(ビニルスルホン)であり、理論に束縛されることを望むことなく、これは室温で断片化された場合に自発的に脱重合する。そのような材料は広範な組成範囲を有し、一般に放射線、塩基、電子移動(レドックス)および熱的プロセスに感受性であることが示されている。そのようなポリマーは、本明細書に記載される化学タグを含むポリマーカプセルの製作に有用であってもよい。他のポリマーも可能であり、当業者は、本明細書の教示に基づいてそのようなポリマーを選択することができる。
【0497】
1種または複数の化学化合物は、任意の好適な手段を使用して物品および/または標識に適用されてもよい。堆積方法の非限定的な例は、スプレーコーティング、ディップコーティング、蒸着、インクジェット印刷、吸着、スクリーン印刷、パッド印刷、グラビア印刷または積層を含む。一部の実施形態では、1種または複数の化学化合物は、イオン結合、共有結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用などの結合の形成によって標識または物品に結合されてもよい。共有結合は、例えば炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン、窒素、炭素-窒素、金属-酸素、または他の共有結合であってもよい。水素結合は、例えばヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオールおよび/または同様の官能基の間であってもよい。
【0498】
一部の実施形態では、化学タグおよび/または標識は食用である。つまり、一部の実施形態では、化学タグおよび/または標識は、対象(例えば、ヒト、動物)によって安全に消費されてもよい。化学タグ(または標識)に使用されてもよい化学化合物の非限定的な例は、それぞれその全体があらゆる目的で参照によって組み込まれる、the Sigma-Aldrich Ingredients Catalog: Flavors & Fragrances (2014)およびSigma-Aldrich and the Sigma-Aldrich Flavor & Fragrance Ingredients Supplement (2018)に列挙される化合物を含む。
【0499】
一部の実施形態では、化学タグは、多孔質発光シリコン(例えば、一部の場合では、これは経時的に二酸化ケイ素に変換されてもよく、したがって一般的に一部の環境下で無害とみなされてもよい)を含む。
【0500】
本明細書に記載される標識は、化学タグを含有する、または別様に化学タグを物品に関連付けるための任意の好適な基材を含んでもよい。例えば一部の実施形態では、標識は、基材および基材に関連付けられた化学タグ(例えば、1種または複数の化学化合物を含む)を含んでもよい。好適な基材の非限定的な例は、シリコーン、シリカ、ガラス、金属、微多孔質材料、ナノ多孔質材料、ポリマー、ゲルおよび天然の材料(例えば、紙、木材、岩石、組織、毛髪、毛皮、革)を含む。
【0501】
一部の実施形態では、標識は、標識を物品に付着させるための手段を含む。標識を付着させるための好適な手段の非限定的な例は、接着剤、積層、融着、スプレーコーティング、スピンコーティング、印刷、ストラップおよびこれらの組合せを含む。
【0502】
任意の好適な種類のセンサーを使用して、化学タグ(または化学タグが含む1種もしくは複数の放射種)の存在(または非存在)が検出されてもよい。センサーは、波長、強度、色、蛍光、光散乱、または他の特色などの光学特性の変化を検出できる1種または複数の構成要素を含んでもよい。当業者は、本明細書の教示に基づいて好適なセンサーを選択することができる。
【0503】
一部の実施形態では、センサーは、化学タグを含有すると思われる物品に近接して位置付けられる。一部の実施形態では、センサーは、化合物(複数可)の検出時に信号を送信するように構成されてもよい。一部のそのような実施形態では、信号は、物品の1つまたは複数の特徴(例えば、時間的な熱履歴)に対応してもよい。本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、化学タグ(または化学タグが含む1種もしくは複数の化学化合物)は、物品に本質的ではない。例えば一部の実施形態では、センサーは、感知前に化学化合物が物品に事前に関連付けられない限り、物品に隣接した化学化合物の存在(例えば、量、濃度、放出のゼロではない速度)を検出しない。
【0504】
例示的な組の実施形態では、イメージングデバイスは、放射線を放射して、放射種の放射期間中に、放射種における非定常状態の放射を励起するように構成されている、電磁線の発生源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、電磁線の発生源、行および列のアレイで配置されている複数の光検出器を備える電磁線センサーであって、放射期間中に、放射種からの非定常状態の放射を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびにアレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、複数の時間符号化信号のうちの少なくとも2つの比較に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている、処理回路を備える。
【0505】
一部の実施形態では、放射期間は少なくとも100ナノ秒である。一部の実施形態では、放射期間は少なくとも1マイクロ秒である。
【0506】
例示的な組の実施形態では、イメージングデバイスは、放射線を放射して、放射種の放射期間中に、放射種における非定常状態の放射を励起するように構成されている、電磁線の発生源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、電磁線の発生源、放射期間中に、放射種からの非定常状態の放射を感知するように構成されている、電磁線センサー、ならびに電磁線センサーからのデータをグローバルに公表する、および/またはこのデータを読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、複数の時間符号化信号のうちの2つまたはそれより多くのものの比較に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている、処理回路を備える。
【0507】
一部の実施形態では、処理回路は、複数の時間符号化信号に基づいて1つまたは複数の画像を生成するようにさらに構成され、ここで放射種の特徴を識別することは、1つまたは複数の画像に基づく。
【0508】
一部の実施形態では、処理回路は、アレイの1つもしくは複数の第1の行または1つもしくは複数の第1の列に対する時間符号化信号に基づいて画像の第1の部分を生成し、アレイの1つもしくは複数の第2の行または1つもしくは複数の第2の列に対する時間符号化信号に基づいて画像の第2の部分を生成するようさらに構成され、ここで放射種の特徴を識別することは、画像の第1の部分および画像の第2の部分の比較に基づく。
【0509】
例示的な組の実施形態では、化学タグの特徴を識別するように構成されているシステムは、物品に関連付けられた化学タグであって、化学タグが放射種を含み、放射種が、条件のセット下で放射期間中に、検出可能な非定常状態の放射を生成し、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、化学タグ、画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成するように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成されている画像センサー、および検出された非定常状態の放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備え、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含み、第1の部分と第2の部分の特性との差は、化学タグの特徴に関連付けられる。
【0510】
一部の実施形態では、検出可能な非定常状態の放射の少なくとも1つの特徴は、画像センサーによる検出可能な非定常状態の放射の検出中に変化する。一部の実施形態では、放射種は、化学種および/または生物種である。一部の実施形態では、化学タグは複数の放射種を含む。一部の実施形態では、励起構成要素は、複数の放射種を励起させるように構成される。一部の実施形態では、複数の放射種のうちの少なくとも2種の放射種は、化学種および/または生物種である。一部の実施形態では、励起構成要素は、電磁線の発生源を含む。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、実質的に白色の光を放射するように構成される。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、LED、OLED、蛍光灯、および/または白熱電球を含む。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、フラッシュランプを含む。
【0511】
一部の実施形態では、励起構成要素は、光学シャッター、光弁、光学変調器、動的屈折材料、電磁線を周期的に遮蔽する回転要素、および/または可動ミラーを含む。一部の実施形態では、励起構成要素は、電気的刺激、機械的刺激、化学的刺激、粒子刺激または熱的刺激によって放射種を励起させるように構成される。一部の実施形態では、励起構成要素および画像センサーは、単一の構成要素に一体化される。一部の実施形態では、励起構成要素および画像センサーは別々である。一部の実施形態では、画像センサーは、CMOSセンサー、電荷結合素子または光ダイオードを含む。一部の実施形態では、画像センサーは、ローリングシャッター機構に関連付けられる。一部の実施形態では、画像センサーは、グローバルシャッターに関連付けられる。一部の実施形態では、画像センサーはスマートフォンに組み込まれる。一部の実施形態では、放射種は、1つまたは複数の熱活性化遅延蛍光(TADF)分子または分子複合体を含む。一部の実施形態では、放射種は無機蛍光体を含む。一部の実施形態では、放射種は、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン、テルル化物、リン、スズ、鉛、水銀および/またはカドミウムを含む。一部の実施形態では、放射種は、ビスマス、レニウム、イリジウム、白金、金または銅を含む。一部の実施形態では、放射種は、ランタニドまたはアクチニドを含む。一部の実施形態では、放射種は、丸剤、カプセル、または製品の包装に関連付けられる。一部の実施形態では、物品はコーティングを含み、コーティングは放射種を含む。一部の実施形態では、物品および/または化学タグの特徴は、化学剤、生物剤、爆発物、毒性化学物質、重金属、麻薬、生体異物および/または放射線源の存在に関連付けられる。一部の実施形態では、物品の特徴は、物品の真正性である。
【0512】
一部の実施形態では、システムは、第2の化学タグを含む。一部の実施形態では、システムは、第2の識別可能な構成要素を含む。一部の実施形態では、第2の識別可能な構成要素は、光学バーコード、ホログラム、透かし、RFID、不可視インク、色素、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、放射種は、ポイントオブケア、現場または在宅診断キットもしくは方法に関連付けられる。一部の実施形態では、1種または複数の構成要素は、放射種の励起および/または検出可能な放射の検出のための指示を提供する構成要素と無線通信状態にある。
【0513】
例示的な組の実施形態では、一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法は、種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように種を励起させるステップであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒であるステップ、画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の放射に関連付けられるデータを取得するステップ、必要に応じて、画像センサーを使用して得られたデータの少なくとも一部に基づいて、単一の画像を生成するステップであって、単一の画像の第1の部分を生成するために使用した第1の組のデータが、放射期間の第1の部分に対応し、単一の画像の第2の部分を生成するために使用した第2の組のデータが、放射期間の第2の部分に対応する、ステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、放射種の変化を決定するステップを含む。
【0514】
例示的な組の実施形態では、一定期間にわたる放射種の変化を識別するための方法は、種に、放射期間中に非定常状態の電磁線を放射させるステップ、画像センサーを使用して、放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部の単一の画像を取得するステップ、少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別するステップ、少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに少なくとも第1の画像部分からの情報および第2の画像部分からの情報から、放射種の変化を決定するステップを含む。
【0515】
一部の実施形態では、方法は、2つより多くの時点での、放射種による電磁線の放射に対応する単一の画像の2つより多くの画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに/または複数の画像であって、各画像が放射種によって放射される電磁線の少なくとも一部である複数の画像を取得し、そして各画像について、少なくとも第1の時点での放射種による電磁線の放射に対応する第1の画像部分からの情報を識別し、少なくとも第2の時点での放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分からの情報を識別するステップ、ならびに2つより多くの画像部分から識別された情報から、および/または複数の画像からの情報から、放射種の変化を決定するステップを含む。
【0516】
一部の実施形態では、放射期間は少なくとも10ナノ秒である。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、種を電磁線に曝露するステップを含む。一部の実施形態では、励起電磁線は、単一のパルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度のパルス、またはこれらの任意の組合せとして提供される。一部の実施形態では、電磁線は、電気信号、シャッター、屈折材料、光学変調器、可動ミラー、機械的デバイス、または光弁によって変調される。一部の実施形態では、電磁線は可視光を含む。一部の実施形態では、電磁線は実質的に白色の光を含む。一部の実施形態では、電磁線は離散的な波長範囲を含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、LED、OLED、蛍光灯および/または白熱電球からのパルス化および/または変調光に種を曝露することを含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、種をフラッシュランプに曝露することを含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、電圧、電離線、物理的な力、または化学反応を適用することを含む。一部の実施形態では、種は、包装構成要素に関連付けられる。
【0517】
一部の実施形態では、種は、励起時に化学的および/または生物学的反応を経る。一部の実施形態では、分析物への曝露により、放射された光の強度、放射された光の偏光、放射された光の空間プロファイルのうちの1つもしくは複数の変化、または放射種の放射寿命の変化が生じる。
【0518】
一部の実施形態では、方法は、物品を活性化する第2のステップをさらに含む。一部の実施形態では、物品を活性化する第2のステップにより、放射寿命、空間プロファイル、偏光、化学物質感受性、強度の変化および/または種を励起させる第1のステップの遮蔽が生じる。一部の実施形態では、種を励起させる第2のステップにより、色の発生ならびに/または吸収および/もしくは放射の変化が生じる。一部の実施形態では、種を励起させる異なる第1、第2およびさらなるステップの組合せにより、100ナノ秒~100ミリ秒にわたって獲得される画像の変化が生じる。
【0519】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、放射線源、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出し、放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するように構成されているセンサー、ならびに放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0520】
一部の実施形態では、放射線源は、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、第2の放射種が第2の放射期間中に第2の検出可能な非定常状態の放射を生成し、第2の放射期間は少なくとも10ナノ秒となるように構成されている。一部の実施形態では、センサーは、第2の放射期間の第1の部分中に、第2の放射種からの第1の放射を検出し、第2の放射期間の第2の部分中に、第2の放射種からの第2の放射を検出するように構成される。一部の実施形態では、各放射種は同じ放射体を含む。一部の実施形態では、各放射種は複数の放射体を含む。一部の実施形態では、放射期間は、100ミリ秒未満、50ミリ秒未満、5マイクロ秒未満、1マイクロ秒未満、または0.1マイクロ秒未満である。
【0521】
一部の実施形態では、システムは、放射種の特徴が物品の特徴に対応する、放射種に関連付けられる物品をさらに含む。一部の実施形態では、放射種の特徴は、分析物の存在または非存在に対応する。一部の実施形態では、特徴は、温度、熱履歴、pH、UV放射線、湿度、殺菌技法(複数可)、化学物質(複数可)、病原体(複数可)、生物種および/または機械的応力への放射種の曝露に対応する。
【0522】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、単回曝露中に、以下:放射期間の第1の部分中の放射種からの第1の放射、および放射期間の第2の部分中の放射種からの第2の放射を感知するように構成されている電磁線センサーであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒でありかつ単回曝露よりも短い、電磁線センサー、ならびに放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0523】
例示的な組の実施形態では、放射種の特徴を識別するための方法は、電磁線を発生するステップ、放射種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように、電磁線を使用して放射種を励起させるステップであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒であるステップ、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出するステップ、および放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するステップ、および放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別するステップを含む。
【0524】
一部の実施形態では、第1の放射を検出するステップは、電磁線センサーを検出可能な非定常状態の放射に曝露させるステップを含み、電磁線センサーは、行および列のアレイで配置されている複数の光検出器を備える。一部の実施形態では、方法は、アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供するステップを含み、第1の時間符号化信号は第1の放射に対応し、第2の時間符号化信号は第2の放射に対応する。一部の実施形態では、放射種の特徴を識別するステップは、第1および第2の時間符号化信号を比較することを含む。
【0525】
例示的な組の実施形態では、放射種の特徴を識別するための方法は、種が、放射期間中に検出可能な放射を生成するように、種を励起させるステップであって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、ステップ、画像センサーを使用して、検出可能な放射の第1の画像を取得するステップであって、第1の画像の第1の部分が、放射期間の第1の部分に対応し、第1の画像の第2の部分が、放射期間の第2の部分に対応する、ステップ、および第1の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づいて、種の特徴を決定するステップを含む。
【0526】
一部の実施形態では、種を励起させるステップは、種を電磁線に曝露するステップを含む。一部の実施形態では、励起電磁線は、単一のパルス、周期パルス、パルスの系列、連続的に変化する強度のパルス、またはこれらの任意の組合せとして提供される。一部の実施形態では、電磁線は、電気信号、シャッター、屈折材料、光学変調器、可動ミラー、機械的デバイス、または光弁によって変調される。一部の実施形態では、電磁線は可視光を含む。一部の実施形態では、電磁線は実質的に白色の光を含む。一部の実施形態では、電磁線は離散的な波長範囲を含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、LED、OLED、蛍光灯および/または白熱電球からのパルス化および/または変調光に種を曝露することを含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、種をフラッシュランプに曝露することを含む。一部の実施形態では、種を励起させるステップは、電圧、電離線、物理的な力、または化学反応を適用することを含む。
【0527】
一部の実施形態では、種は、包装構成要素に関連付けられる。一部の実施形態では、種は、励起時に化学的および/または生物学的反応を経る。一部の実施形態では、分析物への曝露により、放射された光の強度、偏光、空間プロファイルの変化、および/または放射種の放射寿命の変化が生じる。一部の実施形態では、方法は、物品を活性化する第2のステップをさらに含む。一部の実施形態では、物品を活性化する第2のステップにより、放射寿命、空間プロファイル、偏光、化学物質感受性、強度の変化および/または種を励起させる第1のステップの遮蔽が生じる。一部の実施形態では、種を励起させる第2のステップにより、色の発生ならびに/または吸収および/もしくは放射の変化が生じる。一部の実施形態では、種を励起させる異なる第1、第2およびさらなるステップの組合せにより、100ナノ秒~100ミリ秒にわたって獲得される画像の変化が生じる。
【0528】
例示的な組の実施形態では、物品の特徴を識別するための方法は、放射タグを含有すると思われる物品に近接して画像センサーを位置付けるステップ、存在する場合、放射タグが検出可能な非定常状態の放射を生成するように物品を刺激するステップ、画像センサーを使用して、検出可能な非定常状態の放射の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、分析物の刺激後の第1の期間に対応し、単一の画像の第2の部分が、第1の期間とは異なる分析物の刺激後の第2の期間に対応するステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づき、物品の特徴を決定するステップを含む。
【0529】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種を励起させるための電磁線を発生させて、それにより、放射種が、放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源、放射期間中に非定常状態の放射を検出するように構成されている複数の光検出器を含む電磁線センサー、パルス化または周波数変調強度の電磁線が、1つまたは複数の画像の取り込み中に生成されるよう、放射線源による電磁線の発生のタイミングを制御するように構成されている制御装置、および複数の光検出器の出力に基づいて、1つまたは複数の画像を生成するように構成されている処理回路であって、放射期間が1つまたは複数の画像のうちの単一の画像を取り込むための時間より短く、かつ1つまたは複数の画像の各々に関して、画像の第1の部分の第1の特性および画像の第2の部分の第2の特性を決定し、第1の特性および第2の特性に少なくとも一部、基づいて、放射種の特徴を識別するように構成されている処理回路を備える。
【0530】
一部の実施形態では、放射線源は、第2の放射種を励起させるための電磁線を生成し、それにより、第2の放射種が第2の放射期間中に第2の検出可能な非定常状態の放射を生成し、第2の放射期間が少なくとも10ナノ秒となるように構成されている。一部の実施形態では、センサーは、第2の放射期間の第1の部分中に、第2の放射種からの第1の放射を検出し、第2の放射期間の第2の部分中に、第2の放射種からの第2の放射を検出するように構成されている。一部の実施形態では、各放射種は同じ放射体を含む。一部の実施形態では、各放射種は複数の放射体を含む。
【0531】
一部の実施形態では、電磁線センサーは、複数の画像を取り込むように構成されており、処理回路は、複数の画像全体の第1の特性の平均を決定し、複数の画像全体の第2の特性の平均を決定し、第1の特性の平均と第2の特性の平均に、少なくとも一部基づいて、放射種の特徴を識別するようにさらに構成されている。一部の実施形態では、遅延放射は、通常の反射光によって同じ画像中で検出されてもよい。一部の実施形態では、励起は、パルス化光および/または周波数変調光の強度によって行われる。一部の実施形態では、電磁線センサーは、複数の画像を取り込むように構成されており、制御装置は、複数の画像のそれぞれを取り込む前に、放射線源を制御して、電磁線の様々な周波数で変調されたパルスまたは強度を生成するようさらに構成されている。
【0532】
一部の実施形態では、複数の光検出器は、行および列のアレイで配列されており、処理回路は、アレイの行または列を逐次、読み取って、複数の時間符号化信号を提供し、複数の時間符号化信号に基づいて、1つまたは複数の画像を生成するように、さらに構成されている。一部の実施形態では、複数の光検出器は、単一の一体化された電子チップ内に入れられている。一部の実施形態では、複数の光検出器は、複数の一体化された電子チップ内に入れられている。
【0533】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように、放射種を励起させるように構成されている励起構成要素であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である励起構成要素、検出可能な非定常状態の放射の少なくとも一部を検出するように構成されている画像センサー、ならびに放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含む、単一の画像を生成するように構成されている、電子ハードウェア構成要素を備える。
【0534】
一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の第3の部分に対応する第3の部分をさらに含む。一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の複数の他の部分に対応する後続の部分をさらに含む。一部の実施形態では、放射期間の第1の部分は、放射期間の第2の部分とは異なる。一部の実施形態では、放射期間の第1の部分は、放射期間の第2の部分と少なくとも部分的に重なる。
【0535】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種を非定常状態の電磁線に曝露するように構成されている励起構成要素、放射種によって放射された電磁線の少なくとも一部を検出するように構成されている画像センサー、ならびに少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む単一の画像を生成するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備える。
【0536】
一部の実施形態では、電子ハードウェア構成要素は、2つより多い個々の時点において、放射種による電磁線の放射に対応する2つより多くの画像部分を含む、単一の画像を生成するように、および/または複数の画像であって、それぞれが少なくとも第1の時点における放射種による電磁線の放射に対応する少なくとも第1の画像部分、および少なくとも第2の時点における放射種による電磁線の放射に対応する第2の画像部分を含む、複数の画像を生成するように構成されている。
【0537】
例示的な組の実施形態では、物品の特徴を識別するように構成されているシステムは、物品に関連付けられた化学タグであって、化学タグが放射種を含み、放射種が、条件のセット下で放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成し、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、化学タグ、画像取り込み期間にわたって変化する検出可能な非定常状態の放射が生成するように、条件のセット下で放射種を励起させるように構成されている励起構成要素、検出可能な非定常状態の放射を検出するように構成されている画像センサー、および検出可能な放射を単一の画像に変換するように構成されている電子ハードウェア構成要素を備え、単一の画像は、放射期間の第1の部分に対応する第1の部分、および放射期間の第2の部分に対応する第2の部分を含み、第1の部分と第2の部分の特性との差は、物品の特徴と関連付けられる。一部の実施形態では、単一の画像は、放射期間の複数の他の部分に対応する後続の部分をさらに含む。
【0538】
例示的な組の実施形態では、刺激の存在を検出する方法は、化学タグを含む物品を、刺激を含む条件のセットに曝露するステップであって、化学タグが、タグにおける1種もしくは複数の放射種の寿命、波長および/または強度を変化させる刺激の存在下で化学的および/または生物学的反応を経るステップ、画像センサーを物品に近接して位置付けるステップ、画像センサーを使用して、化学タグを含む物品の部分の単一の画像を取得するステップであって、単一の画像の第1の部分が、物品の曝露後の第1の期間に対応し、単一の画像の第2の部分が、第1の期間とは異なる、物品の曝露後の第2の期間に対応するステップ、および単一の画像の第1の部分と第2の部分との差に基づき、物品の特徴を決定するステップを含む。
【0539】
一部の実施形態では、方法は、検出可能な放射の少なくとも一部の第2の画像を取得するステップをさらに含み、第2の画像は、第1の画像とは異なる励起方法、位置、角度、距離、および/または配向で取得される。一部の実施形態では、方法は、第1の画像と第2の画像との差に基づき、種の特徴を決定するステップをさらに含む。
【0540】
一部の実施形態では、化学タグは、物品の刺激時に化学的および/または生物学的反応を経る。一部の実施形態では、物品を刺激するステップは、化学タグにおける化学的および/または生物学的反応を生じるステップを含む。一部の実施形態では、化学タグは、10ナノ秒より長い励起状態寿命を有する少なくとも1種の放射色素を含む。一部の実施形態では、画像センサーは、ローリングシャッター機構に関連付けられる。一部の実施形態では、画像センサーは、グローバルシャッターに関連付けられる。一部の実施形態では、化学タグは、刺激の存在下で10ナノ秒より長い励起状態寿命を有する検出可能な放射を生成する。一部の実施形態では、物品の第2の刺激により、励起の部分的な遮蔽、1種もしくは複数の放射種の消光、マトリックスの物理的特性の変化、新たな放射種の活性化、および/または1種もしくは複数の放射種の放射の特徴の変化を生じることによって、化学タグの特徴を変化させるプロセスが生じる。一部の実施形態では、第2の刺激は、物品が以前に画像センサーに供されたことを検出するために使用される。一部の実施形態では、第2の刺激は、後の画像センサーで読み取られる光学画像を変化させるタグにおける変化を生じるために使用される。
【0541】
例示的な組の実施形態では、組成物は、物品に関連付けられるように構成されている放射種であって、放射種の励起が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成し、検出可能な信号が、物品の経時的熱履歴に対応する、放射種を含む。
【0542】
例示的な組の実施形態では、標識は、第1の放射種の第1の経時的熱履歴に対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の第1の検出可能な遅延放射を必要に応じて有する第1の放射種、および必要に応じて、第1の経時的熱履歴とは異なる、第2の放射種の第2の経時的熱履歴に対応する、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の第2の検出可能な遅延放射を有する第2の放射種を含み、第1の検出可能な遅延放射は、第1の放射種の励起時に存在する場合、第1の放射種の識別が第1の経時的熱履歴に曝露していることに対応し、第2の検出可能な遅延放射は、検出可能な場合、第2の放射種の識別が、第2の経時的熱履歴に曝露していることに対応する。
【0543】
一部の実施形態では、標識は、物品に事前に追加され、それにより、標識が物品の経時的熱プロファイルをもたらすように構成されている。
【0544】
例示的な組の実施形態では、方法は、物品に関連付けられる1種または複数の放射種を励起させるステップ、および検出器を使用して、放射種の検出可能な遅延放射を検出するステップを含み、検出可能な遅延放射は、存在する場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい遅延放射を有し、検出可能な遅延放射は、存在する場合、経時的熱履歴への物品の曝露に対応する。
【0545】
例示的な組の実施形態では、方法は、1種または複数の第1の放射種を励起させるステップ、必要に応じて、1種または複数の第2の放射種を励起させるステップ、検出器を使用して、第1の放射種によって生じた第1の検出可能な遅延放射(複数可)および/または第2の放射種によって生じた第2の検出可能な遅延放射(複数可)を検出するステップであって、第1の検出可能な遅延放射が、存在する場合、第1の放射種の第1の温度への曝露に対応し、第2の検出可能な遅延放射が、存在する場合、第2の放射種の、第1の温度とは異なる第2の温度への曝露に対応し、少なくとも1つの検出可能な遅延放射が存在する、ステップを含む。
【0546】
例示的な組の実施形態では、システムは、電磁線を使用して放射種を励起し、それにより、単一もしくは複数の放射種またはそれらの前駆体が経時的熱履歴に曝露された場合、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい検出可能な遅延放射を生成するように構成されている励起構成要素、および検出可能な遅延放射の少なくとも一部を検出するように構成されている検出器を備える。
【0547】
一部の実施形態では、検出するステップはローリングシャッター機構を含む。一部の実施形態では、検出はグローバルシャッターを含む。一部の実施形態では、検出可能な遅延放射は、ピーク強度、放射寿命、吸収波長および/または放射波長を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射に関係する吸収または放射の波長の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、検出可能な信号の強度の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射の寿命の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、新しい遅延放射の生成を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射の除去を含む。一部の実施形態では、応答は、2つの構成要素を組み合わせて遅延放射を生成または除去することを含む。
【0548】
一部の実施形態では、経時的熱履歴を示すことが可能なシステムを生成させるため、標識は、遅延放射材料の表面に第2の材料を堆積することによって生成される。一部の実施形態では、応答は、その物理的特性を変化させて、遅延放射信号の変化を生み出すマトリックスを含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号の変化を生み出す1つまたは複数の材料の拡散を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を発生する位相変化を受けるマトリックスを含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を発生する化学反応を含む。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号を発生する凝集の変化を含む。一部の実施形態では、応答は、アンテナ分子またはポリマーから遅延放射構成要素へのエネルギー移動を増強することによって生じる。一部の実施形態では、応答は、遅延放射信号からのパターンを生じる。一部の実施形態では、応答は、ヒトの消費に安全な材料から生成される。一部の実施形態では、組成物は、互いに近い構成要素を用いて製造される。一部の実施形態では、構成要素の1つは、ガラス表面またはその内部に融合される。一部の実施形態では、互いに物理的に分離されている構成要素を用いて製造される。一部の実施形態では、噴霧堆積法、インクジェット印刷、印刷または積層によって製造される。
【0549】
一部の実施形態では、遅延放射は、10ナノ秒より長い、100ナノ秒より長い、1マイクロ秒より長い、100マイクロ秒より長い、または1ミリ秒より長い寿命を有する。
【0550】
一部の実施形態では、遅延放射種は、金属イオンを含む、有機分子である、ナノ粒子である、または重原子を含有する有機分子である。
【0551】
一部の実施形態では、検出器はスマートフォン構成要素である。
【0552】
一部の実施形態では、放射種の励起は、様々な周波数において変調された強度を有する光源によって達成される。一部の実施形態では、放射種の励起は、光フラッシュまたはレーザーパルスによって行われる。一部の実施形態では、読み取り装置はストリークカメラである。一部の実施形態では、読み取り装置は、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスである。一部の実施形態では、読み取り装置は、存在する非遅延放射、周囲光および反射光を含む複雑な環境において、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスである。一部の実施形態では、読み取り装置は、遅延放射を選択的に検出することが可能なデバイスであり、蛍光、周囲光および反射光を検出することも可能である。一部の実施形態では、読み取り装置は、遅延放射のパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能である。一部の実施形態では、読み取り装置は、遅延放射のパターン、および反射、周囲または非遅延放射からのパターンを検出して、熱的曝露または寒冷曝露に関する情報を生成することが可能である。一部の実施形態では、読み取り装置は、熱的曝露または寒冷曝露の情報と、製品上に光学的に符号化された他の情報とを統合することが可能である。一部の実施形態では、読み取り装置は、CMOSイメージングチップを含む。一部の実施形態では、読み取り装置は、ローリングシャッター効果を使用して遅延放射データを収集する。
【0553】
例示的な組の実施形態では、方法は、少なくとも定常状態の光子放射事象を含む第1の電磁線信号および少なくとも非定常状態の光子放射事象を含む第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。
【0554】
例示的な組の実施形態では、方法は、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号であり、第1の電磁信号が、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒以内に起こる少なくとも第1の光子放射事象を含み、第2の電磁信号が、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒後に起こる少なくとも第2の光子放射事象を含む、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。
【0555】
一部の実施形態では、第1の光子放射事象は、10ナノ秒未満またはそれに等しい励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。一部の実施形態では、第2の光子放射事象は、少なくとも10ナノ秒の励起状態の寿命を有する放射種によって生成する放射を含む。
【0556】
例示的な組の実施形態では、イメージングデバイスが、アッセイからの読み取り値をもたらす、生物学的診断アッセイを読み取る方法は、アッセイから発生される2つまたはそれより多い信号を検出するステップであって、2つまたはそれより多い信号の各々が、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光および遅延燐光放射から選択される、ステップを含む。
【0557】
一部の実施形態では、各信号は、スマートフォンまたはデジタルカメラを使用して読み取られる。
【0558】
例示的な組の実施形態では、システムは、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されている励起構成要素であって、第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0559】
一部の実施形態では、システムは、検出可能な定常状態の放射および検出可能な非定常状態の放射を組み合わせて決定可能な信号にするように構成されている電子ハードウェア構成要素をさらに備える。一部の実施形態では、検出可能な定常状態の放射および/または検出可能な非定常状態の放射は、第1の放射種および/または第2の放射種の特徴に対応する。
【0560】
一部の実施形態では、信号は、標的生物種の量に対応する。一部の実施形態では、少なくとも1つの放射は、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光からなる群から選択される。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は比色信号であり、第2の電磁線信号は即発蛍光信号である。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は比色信号であり、第2の電磁線信号は遅延蛍光信号である。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は比色信号であり、第2の電磁線信号は即発燐光信号である。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は比色信号であり、第2の電磁線信号は遅延燐光信号である。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は比色信号であり、第2の電磁線信号は化学発光信号である。一部の実施形態では、第1の電磁線信号は即発蛍光信号であり、第2の電磁線信号は遅延燐光信号である。一部の実施形態では、少なくとも1つの信号は定常状態モードにおいて収集され、少なくとも1つの他の信号は、時間同期された光源を使用して収集される。一部の実施形態では、少なくとも1つの信号は、時間同期電磁線源がオフのときに収集され、少なくとも別の信号は、時間同期電磁線源がオンのときに収集される。一部の実施形態では、少なくとも1つの信号は、アッセイが1つまたは複数のLED光源によって照明されている間に収集される。一部の実施形態では、励起事象は、電磁線の発生源である。一部の実施形態では、電磁線の発生源は、スマートフォンまたはデジタルカメラのフラッシュを含む。
【0561】
一部の実施形態では、システムまたは方法は、第1の電磁線信号および/または第2の電磁線信号に関連付けられる生物学的診断アッセイをさらに含む。一部の実施形態では、生物学的診断アッセイは、ラテラルフローアッセイである。一部の実施形態では、生物学的診断アッセイは、核酸検出のためのループ介在等温増幅法(LAMP)である。一部の実施形態では、遅延燐光は、ユーロピウムまたはテルビウムの錯体に関連付けられる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、比色信号を提供するために使用される。一部の実施形態では、ナノ粒子は、放射信号を提供するために使用される。一部の実施形態では、局所環境の変化および/または生体分子認識事象は、少なくとも1つの信号を変化させる。
【0562】
一部の実施形態では、ローリングシャッター機構は、方法またはシステムに関連付けられる。
【0563】
例示的な組の実施形態では、システムは、電磁線スペクトル内の1つまたは複数の波長を有する放射線を放射するように構成されている、放射線源、および放射種を備え、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの間の波長を有する放射線を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの間の波長を有する放射線を含み、放射線源は、放射種と相互作用する波長の電磁線を生じ、それにより、放射種は10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成するように構成されている。
【0564】
例示的な組の実施形態では、システムは、複数の波長を有する電磁線の発生源、および放射種を備え、放射種は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する検出可能な信号を生成するように構成されており、複数の波長は、50nmより長いまたはこれに等しい波長範囲に及ぶ。
【0565】
一部の実施形態では、発生源によって生成した電磁線は、放射種への曝露前には純粋である。一部の実施形態では、システムは、発生源と放射種の間に位置付けられる光フィルターを備えていない。一部の実施形態では、発生源は、消費者用電子機器の構成要素である。一部の実施形態では、消費者用電子機器は、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、デジタルカメラなどである。
【0566】
例示的な組の実施形態では、システムは、複数の波長の電磁線を生成するように構成されている励起構成要素であって、第1の放射種が検出可能な定常状態の光子放射信号を生成するように、第1の放射種を励起させるように構成されており、かつ第2の放射種が検出可能な非定常状態の光子放射信号を生成するように、第2の放射種を励起させるように構成されている、励起構成要素、および検出可能な定常状態の光子放射信号の少なくとも一部および検出可能な非定常状態の放射信号の少なくとも一部を検出するように構成されているセンサーを備える。
【0567】
例示的な組の実施形態では、システムは、放射種を励起させるための複数の波長の電磁線を発生し、それにより、放射種が放射期間中に検出可能な非定常状態の放射を生成するように構成されている放射線源であって、放射期間が少なくとも10ナノ秒である、放射線源、放射期間の第1の部分中に、放射種からの第1の放射を検出し、放射期間の第2の部分中に、放射種からの第2の放射を検出するように構成されているセンサー、ならびに放射期間の第1の部分中に検出された第1の放射の特性と、放射期間の第2の部分中に検出された第2の放射の特性との差に基づいて、放射種の特徴を識別することが可能な処理回路を備える。
【0568】
例示的な組の実施形態では、方法は、化学種/生物種に関連付けられる放射種を、電磁線の発生源によって生成する、50nmより長いまたはこれに等しい範囲を有する電磁線スペクトルに曝露させること、および放射種によって生成する、存在する場合は化学種/生物種の識別または特徴に対応する、検出可能な放射を検出することによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含む。
【0569】
例示的な組の実施形態では、方法は、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号であり、第1の電磁信号が、第1の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒以内に起こる少なくとも第1の光子放射事象を含み、第2の電磁信号が、第2の光子放射事象を引き起こした励起事象の10ナノ秒後に起こる少なくとも第2の光子放射事象を含む、第1の電磁線信号および第2の電磁線信号を組み合わせることによって、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップを含み、励起事象は電磁線スペクトルを含み、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの間の波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの間の波長を含む。
【0570】
一部の実施形態では、少なくとも1つの放射は、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光からなる群から選択される。一部の実施形態では、電磁線の発生源はLED構成要素を含む。
【0571】
一部の実施形態では、発光材料が励起されて、スマートフォンが、定常状態の光子放射事象および非定常状態の放射事象、または必要に応じて非定常状態の光子放射事象を検出する。一部の実施形態では、放射材料は、スマートフォンから放射された光を吸収する。一部の実施形態では、放射材料は、440nmのまたはこれより長い波長の光を吸収する。一部の実施形態では、検出可能な信号は、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光放射を含む。一部の実施形態では、放射材料は、TADF放射、有機金属化合物、金属有機材料、ユーロピウム錯体、および/またはヨウ素原子もしくは臭素原子を含有する有機分子を含む。
【0572】
一部の実施形態では、放射材料は、重原子に電気的に結合しているか、または連結している。一部の実施形態では、放射材料は、金属ポルフィリンを含む。一部の実施形態では、放射材料は、白色光源によって励起される。一部の実施形態では、放射材料は、440~700nmの間を放射するLEDによって励起される。一部の実施形態では、放射材料は、ラテラルフローアッセイまたはバーティカルフローアッセイにおいて使用される。一部の実施形態では、放射材料は、製品の認証に使用される。
【0573】
一部の実施形態では、放射材料は、気体、化学物質、抗体、抗原、ウイルス、細菌、アレルゲン、かび、胞子および/または病原体を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、電離線を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、熱的曝露を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、紫外光曝露を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、水分および/または酸素への曝露を検出するために使用される。
【0574】
例示的な組の実施形態では、システムは、消費者用電子機器に関連付けられる電磁線の発生源、消費者用電子機器に関連付けられるセンサー、およびセンサーによって検出可能な信号を生成することが可能な放射種であって、検出可能な信号が、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を有する、放射種を備える。
【0575】
例示的な組の実施形態では、方法は、消費者用電子機器を使用して、化学種/生物種の識別または特徴を決定するステップであって、消費者用電子機器が電磁線のスペクトルの発生源を備える、ステップ、および放射種を電磁線のスペクトルに曝露させ、それにより、放射種が、化学種/生物種の識別または特徴に対応し、かつ消費者用電子機器によって検出可能な、検出可能な放射を生成する、ステップを含む。
【0576】
一部の実施形態では、電磁線スペクトルの第1の部分は、425nm~475nmの波長を含み、電磁線スペクトルの第2の部分は、525nm~725nmの波長を含む。一部の実施形態では、検出可能な信号は、10ナノ秒より長いまたはこれに等しい1つまたは複数の遅延放射を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの放射は、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光からなる群から選択される。一部の実施形態では、電磁線の発生源はLED構成要素を含む。一部の実施形態では、ローリングシャッター機構は、システムまたは方法に関連付けられる。
【0577】
一部の実施形態では、発光材料が励起され、スマートフォンが、定常状態の光子放射事象および非定常状態の放射事象、または必要に応じて非定常状態の光子放射事象を検出する。一部の実施形態では、放射材料は、スマートフォンから放射された光を吸収する。一部の実施形態では、放射材料は、440nmまたはこれより長い波長の光を吸収する。一部の実施形態では、検出可能な信号は、減色、反射色、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光放射を含む。一部の実施形態では、放射材料はTADF放射を含む。一部の実施形態では、放射材料は有機金属化合物を含む。一部の実施形態では、放射材料は金属有機材料を含む。一部の実施形態では、放射材料はユーロピウム錯体を含む。一部の実施形態では、放射材料は、ヨウ素原子または臭素原子を含有する有機分子を含む。一部の実施形態では、放射材料は、重原子に電子的に結合しているか、または連結している。一部の実施形態では、放射材料は、金属ポルフィリンを含む。一部の実施形態では、放射材料は、白色光源によって励起される。一部の実施形態では、放射材料は、440~700nmの間を放射するLEDによって励起される。一部の実施形態では、放射材料は、ラテラルフローアッセイにおいて使用される。一部の実施形態では、放射材料は、製品の認証に使用される。一部の実施形態では、放射材料は、気体、化学物質、抗体、抗原、ウイルス、細菌、アレルゲン、かび、胞子および/または病原体を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、電離線を検出するために使用される。一部の実施形態では、放射材料は、熱的曝露を検出するために使用される。
【0578】
一部の実施形態では、グローバルシャッターは、方法またはシステムに関連付けられる。
【0579】
一部の実施形態では、包囲体が提供され、消費者用電子機器を収容するように構成される。一部の実施形態では、包囲体は、放射種に対して消費者用電子機器を位置付けるように構成される。一部の実施形態では、包囲体は、外部光がセンサーと相互作用するのを阻止するように構成される。一部の実施形態では、包囲体は、放射種を励起させることが可能な電磁線の発生源を含む。
【0580】
例示的な組の実施形態では、キットは、センサーを含む消費者用電子機器を収容するように構成されている包囲体、ならびに包囲体および/または消費者用電子機器に関連付けられた電磁線の発生源を含み、包囲体は、存在する場合、放射種に対して消費者用電子機器を位置付け、それにより、センサーが放射種からの検出可能な放射を検出することができるように構成されており、外部光がセンサーと相互作用するのを阻止するように、包囲体が構成されている。
さらなる例示的な実施形態
【0581】
以下の実施形態は、例示目的で提供され、限定的であることを意図しない。本明細書に記載される他の実施形態も可能である。
【0582】
1.物体を励起し、発光および/または反射/散乱電磁線によって発生されたパターンを読み取ることができるデバイスであって、少なくとも1種の放射種がパターンの読み取りの間に変化する信号を発生する、デバイス。
【0583】
a.励起が、放射種のすべてを励起させる電磁線の1または複数のバーストによって生成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0584】
b.パターンの読み取りが、単一の画像を獲得することによって達成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0585】
c.パターンの読み取りが、複数の画像を獲得することによって達成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0586】
d.励起がパルス化および/または変調電磁線によって達成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0587】
e.励起が、フラッシュランプ、LED、レーザー、および/または蛍光灯によって達成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0588】
f.励起方法が光学シャッター、光弁、光学変調器、屈折材料またはミラーによって制御される、実施形態1に記載のデバイス。
【0589】
g.励起が、異なる放射種を独立的に励起できる異なる波長で行われる、実施形態1に記載のデバイス。
【0590】
h.1つまたは複数の画像が、電磁線のバーストからの異なる遅延または1つもしくは複数の波長での電磁線の変調を用いて収集される、実施形態1に記載のデバイス。
【0591】
i.励起がパターンの読み取りを通して変化する、実施形態1に記載のデバイス。
【0592】
j.統合された励起および画像取り込み構成要素を有する、実施形態1に記載のデバイス。
【0593】
k.励起および画像取り込み構成要素が別個である、実施形態1に記載のデバイス。
【0594】
l.デバイスがCMOSイメージング装置を組み込む、実施形態1に記載のデバイス。
【0595】
m.デバイスがスマートフォンである、実施形態1に記載のデバイス。
【0596】
n.デバイスが測定を行う間に励起および物体の読み取りの方法を動的に変更することができる、実施形態1に記載のデバイス。
【0597】
o.励起および画像の読み取りのための指示が、別の光学画像、ソフトウェア、外部源から無線通信によって提供される、実施形態1に記載のデバイス。
【0598】
p.デバイスが電気的、機械的、粒子または化学的刺激による少なくとも1つの放射構成要素の非光学的励起を誘発することができる、実施形態1に記載のデバイス。
【0599】
2.10ナノ秒より長い励起状態寿命を有する1つまたは複数の放射種(例えば、色素、材料)を含む、物品。
【0600】
a.物品のコーティングが、物品に関連付けられる製品の同一性および/または状況を明示する情報を有する、実施形態2に記載の物品。
【0601】
b.丸剤、カプセルのコーティングまたは製品の物理的包装である、実施形態2に記載の物品。
【0602】
c.物品の一部がバーコードまたはマトリックスコードを含む、実施形態2に記載の物品。
【0603】
d.物品が読み取られる方法に関する情報が符号化される、実施形態2に記載の物品。
【0604】
e.10ナノ秒より長い寿命を有する放射色素が、それらの環境に応答して製品の状況に関する情報を明示する、実施形態2に記載の物品。
【0605】
f.10ナノ秒より長い寿命を有する放射信号が、その環境または曝露歴に応答して作成される、変更されるまたは増強される、実施形態2に記載の物品。
【0606】
g.放射信号が無機蛍光体によって作成される、実施形態2に記載の物品。
【0607】
h.放射信号が無機/有機組成物によって作成される、実施形態2に記載の物品。
【0608】
i.ビスマスを含有する放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0609】
j.イリジウム、白金、レニウム、金または銅を含有する放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0610】
k.ランタニドまたはアクチニド金属を含有する放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0611】
m.臭化物、ヨウ化物、硫黄、セレン、テルル化物、亜リン酸、アンチモン、スズ、鉛、水銀またはカドミウムを含有する放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0612】
n.熱活性化遅延放射を示す放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0613】
o.拡散して、物品におけるその位置を変えることができる放射材料を含む、実施形態2に記載の物品。
【0614】
p.液体である、実施形態2に記載の物品。
【0615】
q.ゲルである、実施形態2に記載の物品。
【0616】
r.固体、液体および/またはゲルの複合物である、実施形態2に記載の物品。
【0617】
s.光を集中させるまたは導波する光学的構造を有する、実施形態2に記載の物品。
【0618】
u.ホログラムを含有する、実施形態2に記載の物品。
【0619】
v.バーコードまたはマトリックスコードを含有する、実施形態2に記載の物品。
【0620】
w.目的の材料の試験片への適用後に放射応答をもたらす開始試験片の組合せによって生成される、実施形態2に記載の物品。
【0621】
x.指向性放射または放射される光の偏光を生じる光学的構造を有する、実施形態2に記載の物品。
【0622】
3.必要に応じて減色、反射色、散乱、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光から発生される2つまたはそれより多くの信号を検出することにより、イメージングデバイスがアッセイからの読み取り値を提供する、生物学的診断アッセイを読み取る方法。
【0623】
4.信号が、スマートフォン、デジタルカメラまたは同等のものによって取り込まれる画像である、実施形態3に記載の方法。
【0624】
5.信号がデジタル強度プロファイルを作成するために使用される、実施形態3に記載の方法。
【0625】
6.信号が、生物種の量および/または存在に関する情報を与えるために使用可能である、実施形態3に記載の方法。
【0626】
7.2つまたはそれより多くの信号が、以下のプロセス:減色、反射色、散乱、化学発光、即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光のうちの1つより多くから生じる、実施形態3に記載の方法。
【0627】
8.比色信号が即発蛍光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0628】
9.比色信号が遅延蛍光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0629】
10.比色信号が即発燐光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0630】
11.比色信号が遅延燐光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0631】
12.比色信号が化学発光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0632】
13.即発蛍光信号が遅延燐光信号とともに使用される、実施形態3に記載の方法。
【0633】
14.少なくとも1つの信号が定常状態モードにおいて収集され、少なくとも1つの他の信号が時間同期された光源を使用して収集される、実施形態3に記載の方法。
【0634】
15.少なくとも1つの信号が、時間同期された光源がオフのときに収集され、少なくとも1つの別の信号が、時間同期された光源がオンのときに収集される、実施形態3に記載の方法。
【0635】
16.少なくとも1つの信号が、アッセイが1つまたは複数のLED光源によって照明されている間に収集される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0636】
17.少なくとも1つの信号が、変調光励起のサイクル時間の特徴である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0637】
18.光源の少なくとも1種が、スマートフォンまたはデジタルカメラのフラッシュである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0638】
19.生物学的診断がラテラルフローまたはバーティカルフローアッセイである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
20.生物学的診断が核酸検出のためのループ介在等温増幅法(LAMP)である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0639】
21.遅延燐光が、ユーロピウムまたはテルビウムの錯体に関連付けられる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0640】
22.ナノ粒子を使用して比色信号を提供する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0641】
23.ナノ粒子を使用して放射信号を提供する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0642】
24.励起状態寿命情報が信号の一部である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0643】
25.偏光が使用される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0644】
26.局所環境の変化が信号に影響を及ぼす、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0645】
27.生体分子認識事象が信号に影響を及ぼす、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0646】
28.1つより多くの生物学的診断アッセイが同時に分析可能である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0647】
29.ファームウェアまたはソフトウェアを変更することにより、ハードウェアを定常状態測定と時間ゲート測定の両方に使用することができる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0648】
30.非定常状態の照射およびスマートフォンまたはデジタルカメラを使用して生物学的診断アッセイを読み取る方法。
【0649】
31.ローリングシャッター機構が信号の検出に使用される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0650】
32.即発蛍光、遅延蛍光、即発燐光、または遅延燐光信号を読み取るために非定常状態照射が使用される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0651】
33.生物学的診断アッセイがラテラルフローアッセイである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0652】
34.結合事象の結果として検出される放射信号の寿命、波長、強度または偏光の変化が、特異的結合事象と非特異的結合事象の間の区別を可能とする、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0653】
35.1つまたは複数の画像が、異なる順序で必要に応じて1または複数回収集され、画像の配向、周囲光補正、目的の生物学的事象に関連付けられる1つまたは複数の信号、生物学的事象の較正または定量化のための信号、アッセイが行われる温度、アッセイの認証または追跡、アッセイの熱履歴、および画像アライメントのための基準信号を提供する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0654】
36.信号の収集が、個人健康監視システムの一部として行うことができ、個体が、医療専門家に送信される試験を行うことができる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【実施例
【0655】
(実施例1)
直接取り込みシステム
ヒトIgGを200nmのユーロピウム(Eu)ビーズにコンジュゲートし、ヤギ抗ヒトIgG/IgMをニトロセルロースに固定した。次に、前処理されたガラス繊維試料パッドおよびカバーテープを含むラテラルフローデバイスを組み立てた。緩衝液中のEu標識ヒトIgGの希釈液を、ラテラルフローデバイスの試料/コンジュゲートパッドに堆積させ、結果物を緩衝液に浸漬することによって展開した。設定時間の経過後、特別仕様のスマートフォンデバイス、ホルダーおよびアルゴリズム/appを使用し、クロマトグラフィーの結果をイメージング/分析した(図8)。
【0656】
(実施例2)
血清学的アッセイシステム-抗体検出
ニワトリIgY(対照ライン)、ヤギ抗ヒトIgA(試験ライン1)、ロバ抗ヒトIgM(試験ライン2)、およびロバ抗ヒトIgG(試験ライン3)をニトロセルロースに固定し、ラテラルフローデバイスを組み立てた。次に、Eu標識ロバ抗ニワトリおよびEu標識マウス抗HISを試料/コンジュゲートパッドに堆積させ、その後HISタグ付き核タンパク質(NP)抗原などの特定のCOVID-19抗原(複数可)に堆積させた。次に、結果として得られたデバイスを、臨床的に導出されたヒトCOVID-19抗体陽性および陰性唾液、または血液/血清試料を使用して試験し、特別仕様のスマートフォンデバイス、ホルダーおよびアルゴリズム/appを使用してイメージング/分析した。図9は、対照ラインのみが検出された陰性アッセイの例を示す。図10は、対照ラインに加え、IgGラインが検出された陽性アッセイの例を示す。
【0657】
(実施例3)
サンドイッチアッセイシステム-抗原検出
コロナウイルスNP捕捉抗体をニトロセルロースに固定し、ラテラルフローデバイスを組み立てた。200nmのEuビーズにコンジュゲートされたコロナウイルスCOVID-19 SARS NP検出抗体を、緩衝液またはヒト唾液中のコロナウイルスCOVID-19 NP抗原と混合し、アッセイを展開した。次に、特別仕様のスマートフォンデバイス、ホルダーおよびアルゴリズム/appを使用して結果をイメージング/分析した。図11は、ラインが検出されなかった陰性アッセイの例を示す。図12は、ラインが検出された陽性アッセイの例を示す。
【0658】
(実施例4)
ユーロピウムに基づくラテラルフローアッセイ
図13は、特別仕様のスマートフォンデバイス、ホルダーおよびアルゴリズム/appを使用して異なるカメラ設定下でイメージングされた、ユーロピウムに基づくラテラルフローアッセイの代表的な写真を示す。より高速のシャッター速度(より短い曝露)では、ニトロセルロース、カバーテープなどに由来するバックグラウンド信号(即発蛍光)を除去して、ローリングシャッター効果を明確に観察することができる。この場合、UV-LEDオフ信号(画像部分)は、定常状態信号を表し、光のオフは、時間同期信号(画像部分)を表す。
【0659】
(実施例5)
例示的なシステム
図14A~14Cは、本明細書に記載される一部の実施形態による、アッセイからのデータを取り込むための例示的なシステムを示す。例えば、図14Aは、UV LED源を含むスマートフォンと統合するように構成され、スマートフォンのカメラが露出することを可能にするケースを示す。図14Bは、スマートフォンを収容するように構成された部分、および試料(例えば、イムノアッセイカセット)を収容するように構成された試料ポートを含む例示的なホルダーを示す。図14Cは、例えば試料の画像および強度の対応するプロットを示す特別仕様のスマートフォンソフトウェアからの例示的な出力を示す。
【0660】
迷光がイムノアッセイの測定に干渉するのを防ぐ例示的なデバイス(図14D)は、イムノアッセイカセットを受け入れ、インタロゲーションのためにスマートフォンのカメラをアッセイに対して位置付け、かつ発光ダイオード(LED)、光学フィルター、偏光子、レンズ、電池、ダイオード(インジケータライト)およびPCBなどの構成要素の組合せを含む。デバイスの設計は、1)異なるスマートフォンの型および異なるアッセイカートリッジに対処する構成要素の相互交換、2)製造の効率、および3)廃棄物および環境への影響の低減を可能にするモジュール式である。デバイスの設計はまた、反射または透過モードのいずれかでアッセイを読み取るように構成されてもよい。
【0661】
別の例示的なデバイス(図14E~14F)は、迅速なポイントオブニード診断を提供する。例えば、図14Fは、診断の構成要素:使用説明書を伴うセットアップトレイ(上左)、一体化カセットおよび試料採集スワブ(上中)、スマートフォンアダプター(上右)、および全体的なワークフロー(下)の設計レンダリングの概略図を示す。他の構成要素も可能である。
【0662】
(実施例6)
例示的な計算分析
所与のアッセイに結合する試験片を検出するための例示的な計算手順は、以下の通りである:(1)物体検出、エッジ検出および形状推定などのマシンビジョン方法を利用してワークピースのデータの場所を突き止め、参照座標フレームを確立する。(2)アッセイの局在化した結合領域内で放射強度を測定する。(3)曲線/表面フィッティングおよび平滑化の方法を適用し、測定された信号の曖昧さを除去する。(4)増強された信号でピークを検出し、名目上の試験片の場所と相関付け、有意な試験片結合事象の有無を報告する。図15Aは、マシンビジョンによってアッセイの主要な境界の領域、ならびに対照および試験信号の場所が識別された画像を示す。図15Bは、図15Aの画像から取得された統合ラインデータを示し、画像に投影された垂直ラインの場所に対応するピークの頂部が円で示される。
【0663】
(実施例7)
複数のLFAの同時イメージング
図16は、特別仕様のスマートフォンデバイス、ホルダーおよびアルゴリズム/appを使用して異なるカメラ設定下で同時にイメージングされた、5つのユーロピウムに基づくラダーアッセイの代表的な写真を示す。ローリングシャッター効果は、より高速のシャッター速度(より短い曝露)で明確に観察することができる。さらに高いスループットも実行可能である。
【0664】
(実施例8)
ユーロピウムトリス(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチルオクタン-3,5-ジオン)[Eu(fod)]およびミヒラーケトン(MK)錯体、Eu(fod)-MKの合成
【化20】
ユーロピウムトリス(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチルオクタン-3,5-ジオン)[Eu(fod)](0.050g)およびミヒラーケトン(0.013g)を、オーブン乾燥したシュレンクフラスコに入れた。反応容器を30分間真空下に置き、アルゴンで再び充填した。トルエン(10mL)をシリンジで添加した。すべての出発材料が溶解するまで、反応物を室温で5分間撹拌した。Eu(fod)-MKの薄黄色溶液を得た。試料を青色LEDで照射すると、強い赤色の放射が観察された。
【0665】
(実施例9)
2-アセチル-9-エチルカルバゾールの調製
【化21】
9-エチルカルバゾール(2.0g、0.010mol)および塩化アセチル(0.884g)を乾燥ジクロロメタン(100mL)に溶解し、溶液をアルゴン下で0℃に冷却した。この溶液に、塩化アルミニウム(1.5g)を30分間かけて少量ずつ添加した。反応物を室温に温め、5時間撹拌した。濃塩酸(5mL)、次いで1Mの塩酸(30mL)を反応混合物にゆっくり添加した。有機層を分離し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(2:1ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、2-アセチル-9-エチルカルバゾール(1.43g)を得た。
【0666】
(実施例10)
1-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンの調製
【化22】
アルゴンでパージされた100mLフラスコに、THF中カリウムtert-ブトキシド溶液(1M、10.1mL)を添加し、反応容器を0℃に冷却した。乾燥THF(10mL)中2-アセチル-9-エチルカルバゾール(1.2g)およびトリフルオロ酢酸エチル(0.72g)溶液をゆっくり添加した。次に、反応物を室温に温めて8時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、1Mの塩酸(12mL)、次いで水(30mL)およびジクロロメタン(50mL)をゆっくり添加した。有機層を分離して水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、β-ジケト配位子(1.25g)を得た。
【0667】
(実施例11)
イオン性配位子としての4,4,4-トリフルオロ-1-(エチルカルバゾール)-1,3-ブタンジオンとのユーロピウム(III)錯体の調製
【化23】
4,4,4-トリフルオロ-1-(エチルカルバゾール)-1,3-ブタンジオン(200mg)および1,10-フェナントロリン一水和物(39.6mg)をアルゴン下でエタノール(30mL)に溶解した。次に、水酸化ナトリウム(24mg)を添加した。反応物を60℃で30分間撹拌した後、エタノール(10mL)中の塩化ユーロピウム(III)六水和物(73.3mg)溶液をゆっくり添加した。反応物をアルゴン下で60℃で8時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、固形物を濾過によって収集し、エタノールで洗浄した。次に、粗錯体を少量のジクロロメタン(約5mL)に溶解し、不溶物を除去した。エタノールをジクロロメタン溶液に添加し、ユーロピウム錯体を沈殿させた。固形物を濾過によって再び収集し、真空下で乾燥して純粋な形態の錯体を得た。収量:188mg。
【0668】
(実施例12)
2-アセチル-9-フェニルカルバゾールの調製
【化24】
9-フェニルカルバゾール(1.0g、0.00373mol)および塩化アセチル(0.322g、0.00410mol)を乾燥ジクロロメタン(100mL)に溶解し、溶液をアルゴン下で0℃に冷却した。この溶液に、塩化アルミニウム(0.547g)を少量ずつ添加した。反応物を室温に温め、5時間撹拌した。濃塩酸(5mL)、次いで1Mの塩酸(30mL)を反応混合物にゆっくり添加した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、溶媒を除去して残渣をフラッシュクロマトグラフィー(2:1ジクロロメタン/ヘキサン)で精製してケトン(0.562g、収率62%)を得た。
【0669】
(実施例13)
4,4,4-トリフルオロ-1-(フェニルカルバゾール)-1,3-ブタンジオンの調製
【化25】
アルゴンでパージされた100mLフラスコに、THF中カリウムtert-ブトキシド溶液(1M、7.0mL)を添加した。次いで、溶液を0℃に冷却した。乾燥THF(10mL)中の2-アセチル-9-エチルカルバゾール(1.0g)およびトリフルオロ酢酸エチル(0.50g)溶液をゆっくり添加した。反応物を室温に温めて8時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、1Mの塩酸(7mL)、次いで水(30mL)およびジクロロメタン(50mL)をゆっくり添加した。有機層を分離して水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、ジクロロメタン/ヘキサン(1:1)で溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製し、β-ジケト配位子(0.92g、収率69%)を得た。
【0670】
(実施例14)
イオン性配位子としての4,4,4-トリフルオロ-1-(フェニルカルバゾール)-1,3-ブタンジオンとのユーロピウム(III)錯体の調製
【化26】
4,4,4-トリフルオロ-1-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ブタン-1,3-ジオン(200mg、0.524mmol)および1,10-フェナントロリン一水和物(34.7mg、0.175mmol)をアルゴン下でエタノール(30mL)に溶解した。次に、水酸化ナトリウム(21mg)を添加した。反応物を60℃で30分間撹拌した後、エタノール(10mL)中の塩化ユーロピウム(III)六水和物(64.1mg、0.175mmol)溶液をゆっくり添加した。反応物をアルゴン下で60℃で8時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、固形物を濾過によって収集し、エタノールで洗浄した。次に、粗錯体を少量のジクロロメタン(約5mL)に溶解し、不溶物を除去した。次いでヘキサンをジクロロメタン溶液に添加し、ユーロピウム錯体を沈殿させた。固形物を濾過によって再び収集し、真空下で乾燥して純粋な形態の錯体を得た。(188mg、収率73%)。
【0671】
(実施例15)
4-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N,N-ジエチルアニリンの調製
【化27】
N,N-ジエチルアニリン(10.0g,0.067mol)および塩化シアヌル(12.4g、0.067mol)を、アルゴン下で乾燥ジクロロメタン(200mL)に溶解した。塩化アルミニウム(8.93g、0.067mol)を30分間かけて少量ずつ添加した。反応物を0℃で4時間撹拌し、室温に温めて16時間撹拌した。濃塩酸(50mL)、次いで水(150mL)をゆっくり添加した。有機層を分離し、水で洗浄して無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、溶離液としてジクロロメタン/ヘキサン(1:1)を用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。純粋な生成物をジクロロメタンおよびヘキサンから結晶化した(8.16g、収率41%)。
【0672】
(実施例16)
2-(N,N-ジエチルアニリン-4-イル)-4,6-ビス(3,5-ジメチル-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(dpbt)の調製
【化28】
3,5-ジメチルピラゾール(1.0g、0.0104mol)を、アルゴン下で乾燥THF(20mL)に溶解した。カリウムtert-ブトキシド溶液(テトラヒドロフラン中12%、約1M、10.4mL)を添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、0℃に冷却した。乾燥THF(15mL)中の4-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N,N-ジエチルアニリン(1.47g、0.00495mol)溶液をゆっくり添加し、反応物を室温に温めて8時間撹拌し、アルゴン下で16時間80℃に加熱した。次に、反応物を室温に冷却し、真空下で溶媒を除去した。溶離液としてジクロロメタン/酢酸エチル(3:2)を用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。純粋な生成物をジクロロメタンおよびヘキサンから結晶化した(1.17g、収率55%)。
【0673】
(実施例17)
2-(N,N-ジ-エチルアニリン-4-イル)-4,6-ビス(ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(bpt)の調製
【化29】
ピラゾール(0.434g、0.00639mol)を、アルゴン下で乾燥THF(30mL)に溶解した。カリウムtert-ブトキシド溶液(テトラヒドロフラン中12%、約1M、6.10mL)を添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、0℃に冷却した。乾燥THF(15mL)中4-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N,N-ジエチルアニリン(1.00g、0.00304mol)溶液をゆっくり添加し、反応物を室温に温めて8時間撹拌し、アルゴン下で16時間80℃に加熱した。次に、反応物を室温に冷却し、真空下で溶媒を除去した。溶離液としてジクロロメタン/酢酸エチル(1:1)を用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。純粋な生成物をジクロロメタンおよびヘキサンから結晶化した(0.23g、収率21%)。
【0674】
(実施例18)
ユーロピウムトリス-テノイルトリフルオロアセトナト-2-(N,N-ジエチルアニリン-4-イル)-4,6-ビス(3,5-ジメチル-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン錯体[Eu(tta)(dpbt)]の調製
【化30】
THF(10mL)中Eu(tta)・3HO(100mg、0.115mmol)溶液をTHF(10mL)中bpt(49.3mg、0.115mmol)溶液に添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を少量のジクロロメタンに溶解した。ヘキサンを添加し、黄色の沈殿物を濾過によって収集し、Eu(tta)(dpbt)を得た(126mg、88%)。
【0675】
(実施例19)
ユーロピウムトリス-テノイルトリフルオロアセトナト-2-(N,N-ジエチルアニリン-4-イル)-4,6-ビス(ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン錯体[Eu(tta)(bpt)]の調製
【化31】
THF(10mL)中Eu(tta)・3HO(100mg、0.115mmol)溶液をTHF(10mL)中bpt(41.5mg、0.115mmol)溶液に添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を少量のジクロロメタンに溶解した。ヘキサンを添加し、黄色の沈殿物を濾過によって収集し、Eu(tta)(bpt)を得た(108mg、80%)。
【0676】
(実施例20)
以下の実施例は、例示的な放射種の使用を示す。
【0677】
図18A~18Dは、上述の通り調製されたa)Eu(fod)-MK;b)Eu(tta)(dpbt);c)Eu(tta)(bpt);およびd)Eu(pfppd)(tpy)のドロップキャストされた試料の、iPhone(登録商標)11および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して収集された画像を示す。
【0678】
図19は、簡素な標識またはマトリックス(2D)バーコードが事前に印刷された標識にドロップキャストまたはスピンコートされた、PMMAを含むまたは含まないEu(fod)-MKの試料を示す。画像は、室内灯の存在を伴ってまたは伴わずに、iPhone(登録商標)11および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して収集された。
【0679】
図20は、室内灯の存在を伴ってまたは伴わずに、a)蛍光光度計またはb)iPhone(登録商標)11と外部の(パルス化)白色光LEDを使用して分析された、PMMA中Eu(tta)(dpbt)の試料を示す。
【0680】
図21は、蛍光光度計において種々の励起波長で励起された、Eu(pfppd)(tpy)のドロップキャストされた試料の蛍光強度対励起波長のプロットである。
【0681】
図22A~22Bは、図22A)0.6mg/mL;および図22B)1mg/mLのF8BT/PMMA混合物中Eu(tta)(bpt)のドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、iPhone(登録商標)11の白色光LEDをストロボ発光する市販の懐中電灯appを使用して取得された。
【0682】
図23A~23Bは、室内灯の存在を伴って(図23A)または伴わずに(図23B)分析された、F8BT/PMMA中Eu(tta)(bpt)のエアブラシ処理された試料の画像を示し、画像は、iPhone(登録商標)11の白色光LEDをストローブする市販の懐中電灯appを使用して取得された。
【0683】
図24A~24Bは、ポリビニルアルコール(PVA)マトリックスに組み込まれた、市販の食品着色料であるエリスロシンBの試料の画像を示す。試料は、iPhone(登録商標)11を使用して周囲(室内)灯で(図24A)、および外部の(パルス化)白色光LEDを使用して暗所で(図24B)イメージングされた。
【0684】
(実施例21)
以下の実施例は、例えば、試料の認証のための本明細書に記載される実施形態によるスマートフォン(または他の消費者用電子機器)の使用を示す。
【0685】
図25A~25Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、黄褐色の革の試料の画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図25A)およびオン(図25B)であった。
【0686】
図26A~26Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、青色の革の試料の画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図26A)およびオン(図26B)であった。
【0687】
図27A~27Bは、エアブラシ処理された認証タグを1つの面に有する、アルコールが充填された透明なガラス製の香料瓶の画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図27A)およびオン(図27B)であった。
【0688】
図28A~28Bは、エアブラシ処理された認証タグ(スマートロゴ)を1つの面に有する、白色の段ボール箱の画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図28A)およびオン(図28B)であった。
【0689】
図29A~29Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、白色標識上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図29A)およびオン(図29B)であった。
【0690】
図30A~30Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、白色箱上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図30A)およびオン(図30B)であった。
【0691】
図31A~31Bは、エアブラシ処理された認証タグを上部に有する、黒色手帳上の印刷された2D(マトリックス)バーコードの画像を示す。試料は、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化UV LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングし、パルス化UV光源は、照明された室内でオフ(図31A)およびオン(図31B)であった。
【0692】
図32Aは、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラス製カバースリップ上のEu(fod)3-MKのドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、シャッター速度が異なることを除き同じISO設定を使用して収集された。カバースリップの上半分は、ジエチルアミンに2分間曝露され、下半分は曝露されなかった。
【0693】
図32Bは、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラス製カバースリップ上のEu(fod)3-MKのドロップキャストされた試料の画像を示す。画像は、シャッター速度が異なることを除き同じISO設定を使用して収集された。カバースリップの上半分は、水に15分間曝露され、下半分は曝露されなかった。
【0694】
図33A~33Bは、空気/酸素に曝露される前(図33A)および後(図33B)にiPhone(登録商標)11およびパルス化白色光LED励起源でイメージングされた、真空チャンバ内の空気を含まない環境中の、ガラス製カバースリップ上のPdOEPのドロップキャストされた試料の画像を示す。
【0695】
図34A~34Bは、空気/酸素に曝露される前(図34A)および後(図34B)に、特別仕様のアプリケーション(app)およびパルス化白色光LED励起源を使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラスバイアル内のPdOEPのキャストフィルムの画像を示す。
【0696】
図35Aは、例示的なオリゴマー/ポリマーの、白色光で励起可能なEuに基づく遅延放射体(PCBH)Eu(Phen)、(PCBH)(PCH)Eu(bpt)、および(PCBH)(PCH)Eu(Phen)の化学構造を示す。
【0697】
図35B~35Cは、特別仕様のアプリケーション(app)およびiPhone(登録商標)のフラッシュLEDを使用してiPhone(登録商標)11でイメージングされた、ガラスバイアル中(図35B)および白紙にドロップキャストされた(図35C)(PCBH)(PCH)Eu(bpt)の固体試料の画像を示す。
【0698】
本発明の複数の実施形態が本明細書で記載および例示されたが、当業者は、機能を実行するため、ならびに/または結果および/もしくは本明細書に記載される利点の1つもしくは複数を得るために、種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、またそのような変形および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料および構成は例示的であることを意図し、実際のパラメータ、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示が使用される特定の1つもしくは複数の用途に依存することを容易に理解する。当業者は、単なる慣用的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するまたは突き止めることができる。したがって、前述の実施形態は単なる例として提示され、さらに添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は、詳細に記載され特許請求されるものとは別様に実施されてもよいことが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載される各個々の特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。さらに、2つもしくはそれより多くのそのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、そのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、それとは反対のことが明確に指示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0699】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という語句は、そのように等位結合された要素、すなわち、一部の場合は接続法的に存在し、他の場合は離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味することを理解すべきである。「および/または」の節で具体的に特定された要素以外の他の要素も、具体的に特定されている要素に関連するか関連しないかにかかわらず、それとは反対のことが明確に指示されない限り、必要に応じて存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの非限定的言語とともに使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態ではBを伴わないA(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態ではAを伴わないB(必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態ではAとBの両方(必要に応じて他の要素を含む)などを指すことができる。
【0700】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記定義の「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおいて項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、多数の要素または要素のリスト、および必要に応じてリストに挙げられていない追加の項目のうちの少なくとも1つを含むだけでなく、1つより多くも含むと解釈されるべきである。「のうちの1つだけ」もしくは「のうちの正確に1つ」などの反対のことが明確に指示されている用語のみ、または特許請求の範囲で使用される場合の「からなる」は、多数の要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」または「のうちの正確に1つ」などの排他性の用語によって先行される場合、本明細書で使用される「または」という用語は、単に排他的な代替物(すなわち、「一方または他方であって両方ではない」)を示すと解釈される。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有する。
【0701】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つまたは複数の要素のリストに関連した「少なくとも1つ」という語句は、要素のリストの中の要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリストの中に具体的に挙げられるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素のリスト中の要素の任意の組合せを排除するものではないことを理解すべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリストの中で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定される要素に関連するか関連しないかにかかわらず、必要に応じて存在しうることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または等価的に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」または等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、必要に応じて1つより多くを含む少なくとも1つのA(および必要に応じてB以外の要素を含む)を指し;別の実施形態では、Aが存在しない、必要に応じて1つより多くを含む少なくとも1つのB(および必要に応じてA以外の要素を含む)を指し;さらに別の実施形態では、必要に応じて1つより多くを含む少なくとも1つのA、および必要に応じて1つより多くを含む少なくとも1つのB(および必要に応じて他の要素を含む)などを指すことができる。
【0702】
特許請求の範囲および上記の本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」などのすべての移行句は、非限定的である、すなわち、それを含むがそれに限定されないことを意味すると理解すべきである。「からなる」および「から本質的になる」という移行句だけは、米国特許局の特許審査手続便覧(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)、セクション2111.03に示されるように、それぞれ閉鎖型または半閉鎖型移行句であるものとする。
【0703】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを指す。アルキル基は、以下でより詳細に記載されるように、必要に応じて置換されてもよい。アルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。「ヘテロアルキル」基は、少なくとも1個の原子がヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、リンなど)であり、原子の残りが炭素原子であるアルキル基である。ヘテロアルキル基の例は、これらに限定されないが、アルコキシ、ポリ(エチレングリコール)、アルキル置換アミノ、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、モルホリニルなどを含む。
【0704】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上述のアルキル基に類似するが、少なくとも1つの二重結合または三重結合をそれぞれ含有する不飽和脂肪族基を指す。「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、1つまたは複数の原子がヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄など)である、本明細書に記載のアルケニルおよびアルキニル基を指す。
【0705】
用語「アリール」は、単環(例えば、フェニル)、複数環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である複数縮合環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)を有する芳香族炭素環式基を指し、すべて必要に応じて置換される。「ヘテロアリール」基は、芳香環中の少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子であるアリール基である。ヘテロアリール基の例は、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N低級アルキルピロリル、ピリジルNオキシド、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、インドリルなどを含み、すべて必要に応じて置換される。
【0706】
用語「アミン」および「アミノ」は、非置換アミンと置換アミンの両方、例えば一般式:N(R’)(R’’)(R’’’)によって表すことができる部分を指し、式中R’、R’’、R’’’は、それぞれ独立して原子価規則によって許容される基を表す。
【0707】
用語「アシル」、「カルボキシル基」、または「カルボニル基」は、当技術分野で認識されており、一般式:
【化32】
(式中、WはH、OH、O-アルキル、O-アルケニル、またはこれらの塩である)
によって表すことができる部分を含んでもよい。WがO-アルキルである場合、式は「エステル」を表す。WがOHである場合、式は「カルボン酸」を表す。一般に、上記式の酸素原子が硫黄によって置き換えられる場合、式は「チオールカルボニル」基を表す。WがS-アルキルである場合、式は「チオールエステル」を表す。WがSHである場合、式は「チオールカルボン酸」を表す。他方では、Wがアルキルである場合、上記式は「ケトン」基を表す。Wが水素である場合、上記式は「アルデヒド」基を表す。
【0708】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」は、炭素原子環員および1つまたは複数のヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素など)を含む単環式または多環式ヘテロ芳香環(またはそのラジカル)を意味する。通常、ヘテロ芳香環は5~約14個の環員を有し、その中の少なくとも1つの環員は、酸素、硫黄、および窒素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、ヘテロ芳香環は5または6員環であり、1~約4個のヘテロ原子を含有してもよい。別の実施形態では、ヘテロ芳香環系は7~14個の環員を有し、1~約7個のヘテロ原子を含有してもよい。代表的なヘテロアリールは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、カルバゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル(qunizaolinyl)、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、ベンゾ(b)チエニルなどを含む。これらのヘテロアリール基は、1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されてもよい。
【0709】
用語「置換された」は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことを企図し、「許容可能な」は、当業者に公知の原子価の化学的規則の文脈にある。一部の場合、「置換された」は一般的に、本明細書に記載の置換基による水素の置き換えを指してもよい。しかし、本明細書で使用される場合、「置換された」は、例えば「置換された」官能基が置換によって異なる官能基になるような、分子がそれによって特定される重要な官能基の置き換えおよび/または変更を包含しない。例えば、「置換フェニル」は、依然としてフェニル部分を含む必要があり、この定義では、例えばピリジンなどのヘテロアリール基となるように、置換によって修飾されることはできない。広義の態様では、許容可能な置換基は、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基を含む。例示的な置換基は、例えば本明細書に記載されるものを含む。許容可能な置換基は、適切な有機化合物に対して1つまたは複数であってもよく、同じまたは異なってもよい。本開示の目的では、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす水素置換基および/または本明細書に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を有してもよい。本開示は、有機化合物の許容可能な置換基によって任意の様態で制限されることを意図しない。
【0710】
置換基の例は、これらに限定されないが、アルキル、アリール、アラルキル、環式アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン、アルキルチオ、オキソ、アシル、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキルなどを含む。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図15A
図15B
図16
図17-1】
図17-2】
図17-3】
図17-4】
図17-5】
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図35C
【手続補正書】
【提出日】2022-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
操作では、システム200は、1種または複数の放射種に関連し得る物品240に近接して位置付けられ得る。近接とは、数センチメートルから数メートルの範囲とすることができ、物品240のサイズ、画像センサー220の解像度、および必要な情報によって決定することができる。物品240および画像センサー220の配向はまた、様々な配向(例えば、角度、前/後、傾斜)を伴って様々であってもよく、異なる情報を抽出することが可能となる。一部の場合、物品240からのデバイスによって光る、または外部源によってもたらされる他の情報は、必要な配向および近さの情報を提供する。励起構成要素210は、パルス化および/または変調された電磁線250を放射することができ、この電磁線は、物品240の1種または複数の放射種によって吸収され得る。この放射線は、個別の狭帯域の波長にあってもよく、または広帯域(白色光など)にあってもよい。励起構成要素210は、その時間変調、強度、偏光、および励起構成要素が物品240に影響を及ぼす際の物理的位置が変化する様々な波長の電磁線の様々な複数のパターンを同時に生成することができる。一部の場合、電磁線は、物品240の第2の放射種にエネルギーを転送する第1の種によって吸収される。一部の場合、電磁線250の少なくとも一部は、物品240の1種または複数の放射種を励起させる、この放射種によって反射される、または散乱されることができる。反射されたまたは散乱された放射線は、励起構成要素210によって発生されてもよく、または周囲光の結果であってもよい。次いで、1種または複数の放射種は、放射期間(例えば、放射寿命)にわたり、検出可能な放射260を生成することができる。画像センサー220は、検出可能な放射260の少なくとも一部を検出することができる。画像センサー220はまた、反射したまたは散乱した電磁線の少なくとも一部を検出することができる。一部の場合、検出可能な放射260の検出は、励起構成要素210が電磁線250を放射するのを停止した後に始めてもよい。ある例では、これは、励起構成要素210として、実質的に白色の光源(例えば、カメラのフラッシュ)の使用を可能にすることができる。ある例では、電磁線260は、物品240の放射種の寿命および励起構成要素210により変調された励起の結果として、時間と共に常に変化する。一部の場合、電子ハードウェア構成要素230は、定常状態および非定常状態の光子放射に対応する第1の部分を含む、単一の画像(または、一連の画像)を生成する。一部の場合、画像は、多数の様々な放射期間を測定することによって、および/または多数の異なる励起方法を使用して、および/または様々な距離で、および/または様々な配向を用いて、および/または様々なフィルターもしくは偏光板を用いて生成される。一部の場合、電子ハードウェア構成要素230は、物品240、ならびに/または励起および画像取り込みの総合的な方法を変更する別の発生源からの指示を受ける。一部の例では、放射種の特徴および/または放射種の変化は、単一の画像(または一連の画像)の第1の部分と単一の画像(または一連の画像)の第2の部分との差に基づいて決定される。多くの様々な期間が、この方法を使用して取り込まれ得る。ある非限定的な例では、放射種の放射寿命、または放射種の放射寿命の相対変化は、単一の画像または一連の画像から決定される(例えば、単一の画像または一連の画像の第1の部分と単一の画像または一連の画像の第2の部分との差に基づく)。一部の場合、物品の特徴は、単一の画像または一連の画像から決定される(例えば、単一の画像または一連の画像の第1の部分と単一の画像または一連の画像の第2の部分との差に基づく)。ある例では、一連の単一の画像は、例えば、経時的な各画像の様々な部分を比較することによって、各単一の画像から様々な一連のデータ(例えば、特徴)を生成するために使用されてもよい。

【国際調査報告】