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特表2022-552424故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらのデバイスおよび記憶媒体
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  • 特表-故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらのデバイスおよび記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらのデバイスおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20221208BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20221208BHJP
【FI】
F03D17/00
G01M99/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022530171
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 SG2020050674
(87)【国際公開番号】W WO2021107866
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911163284.5
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522178636
【氏名又は名称】エンヴィジョン デジタル インターナショナル ピーティーイー.エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】ENVISION DIGITAL INTERNATIONAL PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1 Harbourfront Avenue,#17-01 Keppel Bay Tower,Singapore 098632(SG)
(71)【出願人】
【識別番号】522178647
【氏名又は名称】シャンハイ エンヴィジョン デジタル シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ENVISION DIGITAL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.15,Lane 55,Chuanhe Road China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone Shanghai(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】ドン,アオ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,チンシェン
(72)【発明者】
【氏名】イン,ゾンジ
(72)【発明者】
【氏名】アイ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】クイ,ウェイユ
【テーマコード(参考)】
2G024
3H178
【Fターム(参考)】
2G024AD05
2G024AD23
2G024BA27
2G024CA17
2G024DA09
2G024FA06
2G024FA14
2G024FA15
3H178AA20
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB56
3H178CC01
3H178DD51X
3H178DD70X
(57)【要約】
故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらのデバイスおよび記憶媒体が開示される。この方法には:n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得すること、ここで、第1の風力タービンの特性データは、第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり;n個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得すること;第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出すること、が含まれる。スタッフの作業経験に依存する関連技術と比較して、本開示の実施形態による技術的解決策は、風力タービンに故障が発生したかどうかをより正確に検出し、適時に早期警告を提供して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの故障を検出するための方法であって、
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得すること、ここで、前記第1の風力タービンの特性データは、前記第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり、
前記n個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得すること、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記n個の風力タービンは、同じモデルの隣接する風力タービンである、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、
前記n個の風力タービンの各々は、m個のコンポーネントを含み、前記風力タービンの各々に対応する温度予測モデルには、前記風力タービンのm個のコンポーネントの各々に対応するコンポーネント温度予測モデルが含まれ、ここで、mは正の整数であり、
前記第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得することは、
前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々のコンポーネント特性データ、および前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々の実際の温度を取得することを含み、
前記n個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得することは、
前記n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにi番目のコンポーネントのコンポーネント特性データを入力することによって、前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントのうちのi番目のコンポーネントの予測温度セットを取得することを含み、ここで、iは、m以下の正の整数であり、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットにおける各予測温度と前記i番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値をそれぞれ計算することによって、前記i番目のコンポーネントの残差値セットを取得すること、
前記i番目のコンポーネントの残差値セットのうちの閾値より大きい残差値の数を取得すること、
前記数がプリセット数よりも大きいかどうかを検出すること、
前記数がプリセット数よりも大きい場合に、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにおけるターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット残差値が閾値よりも大きいかどうかを検出すること、ここで、前記ターゲット残差値は、前記ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応する予測温度と前記i番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値を指し、
前記ターゲット残差値が前記閾値より大きい場合に、前記ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット風力タービンが前記i番目のコンポーネントに異常があることを検出したと判定すること、
プリセット時間枠内に前記ターゲット風力タービンが前記i番目のコンポーネントに異常があることを検出した回数がプリセット回数よりも多いかどうかを判定すること、
前記回数がプリセット回数よりも多い場合に、前記ターゲット風力タービンを早期警告風力タービンとして決定し、
前記n個の風力タービンのうちの前記早期警告風力タービンの割合がプリセット割合よりも大きい場合に、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
温度予測モデルをトレーニングするための方法であって、
前記温度予測モデルのトレーニングデータを取得すること、ここで、前記トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、前記トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と前記履歴温度に対応する特性データとが含まれ、前記履歴温度に対応する特性データは、前記ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、
前記トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得すること、ここで、前記データクリーニング後のトレーニングデータは、前記温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており、
前記温度予測モデルによって前記特性データに対応する予測温度を計算すること、
前記予測温度および前記履歴温度に基づいて前記温度予測モデルをトレーニングすること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
風力タービンの故障を検出するための装置であって、
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得するように構成された、データ取得モジュールと、ここで、前記第1の風力タービンの特性データは、前記第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり、
前記n個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得するように構成された、温度取得モジュールと、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するように構成された、故障検出モジュールと、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項8】
温度予測モデルをトレーニングするための装置であって、
前記温度予測モデルのトレーニングデータを取得するように構成された、データ取得モジュールと、ここで、前記トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、前記トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と前記履歴温度に対応する特性データとが含まれ、前記履歴温度に対応する特性データは、前記ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、
前記トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得するように構成された、データ前処理モジュールと、ここで、前記データクリーニング後のトレーニングデータは、前記温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており、
前記温度予測モデルによって前記特性データに対応する予測温度を計算するように構成された、温度計算モジュールと、
前記予測温度および前記履歴温度に基づいて前記温度予測モデルをトレーニングするように構成された、モデルトレーニングモジュールと、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
プロセッサと、コンピュータプログラムを記憶したメモリとを備えたコンピュータデバイスであって、
前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによってロードおよび実行されると、請求項1~請求項5のいずれかに定義された風力タービンの故障を検出するための方法、または請求項6に定義された温度予測モデルをトレーニングするための方法を前記プロセッサに実施させる、
ことを特徴とするコンピュータデバイス。
【請求項10】
コンピュータプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによってロードおよび実行されると、請求項1~請求項5のいずれかに定義された風力タービンの故障を検出するための方法、または請求項6に定義された温度予測モデルをトレーニングするための方法を前記プロセッサに実施させる、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、インターネット技術の分野、特に、故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらのデバイスおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電所は、複数の風力タービンから構成される発電所である。
【0003】
関連技術において、風力タービンに故障が発生したかどうかが、スタッフによって蓄積された作業経験に基づいて判定およびチェックされ、風力タービンに故障が発生したときに早期警告が発せられる。
【0004】
しかしながら、関連技術はスタッフの作業経験に依存しており、風力タービンの高い故障率を容易に引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、故障を検出するための方法および装置、モデルをトレーニングするための方法および装置、並びにそれらの装置および記憶媒体を提供する。
【0006】
本開示の実施形態の第1の態様によれば、風力タービンの故障を検出するための方法が提供される。この方法には、以下が含まれる:
【0007】
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得すること、ここで、第1の風力タービンの特性データは、第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり;
【0008】
n個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得すること;
【0009】
第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出すること。
【0010】
本開示の実施形態の第2の態様によれば、温度予測モデルをトレーニングするための方法が提供される。この方法には、以下が含まれる:
【0011】
温度予測モデルのトレーニングデータを取得すること、ここで、トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と履歴温度に対応する特性データとが含まれ、履歴温度に対応する特性データは、ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており;
【0012】
トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得すること、ここで、データクリーニング後のトレーニングデータは、温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており;
【0013】
温度予測モデルによって特性データに対応する予測温度を計算すること;
【0014】
予測温度および履歴温度に基づいて温度予測モデルをトレーニングすること。
【0015】
本開示の実施形態の第3の態様によれば、風力タービンの故障を検出するための装置が提供される。この装置には、以下が含まれる:
【0016】
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得するように構成された、データ取得モジュール、ここで、第1の風力タービンの特性データは、第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり;
【0017】
第1の風力タービンの特性データをn個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに入力することによって予測温度セットを取得するように構成された、温度取得モジュール;
【0018】
第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するように構成された、故障検出モジュール。
【0019】
本開示の実施形態の第4の態様によれば、温度予測モデルをトレーニングするための装置が提供される。この方法には、装置が含まれる:
【0020】
温度予測モデルのトレーニングデータを取得するように構成された、データ取得モジュール、ここで、トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と履歴温度に対応する特性データとが含まれ、履歴温度に対応する特性データは、ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており;
【0021】
トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得するように構成された、データ前処理モジュール、ここで、データクリーニング後のトレーニングデータは、温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており;
【0022】
温度予測モデルによって特性データに対応する予測温度を計算するように構成された、温度計算モジュール;
【0023】
予測温度および履歴温度に基づいて温度予測モデルをトレーニングするように構成された、モデルトレーニングモジュール。
【0024】
本開示の実施形態の第5の態様によれば、プロセッサと、コンピュータプログラムを記憶したメモリとを含むコンピュータデバイスが提供される。コンピュータプログラムは、プロセッサによってロードおよび実行されると、プロセッサに、第1の態様で説明した風力タービンの故障を検出するための方法、または第2の態様で説明した温度予測モデルをトレーニングするための方法を実行させる。
【0025】
本開示の実施形態の第6の態様によれば、コンピュータプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムは、プロセッサによってロードおよび実行されると、プロセッサに、第1の態様で説明した風力タービンの故障を検出するための方法、または第2の態様で説明した温度予測モデルをトレーニングするための方法を実行させる。
【0026】
本開示の実施形態による技術的解決策は、以下の有益な効果を達成することができる:
【0027】
温度予測モデルによって予測温度が取得され、予測温度および実際の温度に基づいて、風力タービンに故障が発生したかどうかが検出される。スタッフの作業経験に依存する関連技術と比較して、本開示の実施形態による技術的解決策は、風力タービンに故障が発生したかどうかをより正確に検出し、適時に早期警告を提供して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態で使用される図面の簡単な紹介が本明細書で提供される。明らかに、以下に説明する図面は、本開示の単なる幾つかの実施形態であり、当業者は、創造的な作業なしに、これらの図面に従って他の図面を取得することもできる。
【0029】
図1】本開示の一実施形態に関する風力タービンの故障を検出するための方法のフローチャートである。
【0030】
図2】本開示の一実施形態に関する故障を検出するための方法の構成図である。
【0031】
図3】本開示の一実施形態に関する温度予測モデルをトレーニングするための方法のフローチャートである。
【0032】
図4】アプリケーションにトレーニングされた後の本開示の実施形態に関する温度予測モデルの構成図である。
【0033】
図5】本開示の一実施形態に関する風力タービンの故障を検出するための装置のブロック図である。
【0034】
図6】本開示の一実施形態に関する温度予測モデルをトレーニングするための装置のブロック図である。
【0035】
図7】本開示の一実施形態に関するコンピュータデバイスの概略構造図である。
【0036】
本開示の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下は、添付の図面を参照して、本開示の実施形態を更に詳細に説明する。
【0037】
図1は、本開示の一実施形態に関する風力タービンの故障を検出するための方法のフローチャートを示す。本開示の実施形態の実行対象は、計算能力および処理能力を備えた電子デバイスを指すコンピュータデバイスであり得る。例えば、コンピュータデバイスはサーバーであり得る。この方法には、以下のステップが含まれる。
【0038】
ステップ101において、n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度が取得される。
【0039】
風力タービンは、風力エネルギーを機械的エネルギーに変換し、ローターを回転させ、最終的に交流を出力する電気機器である。第1の風力タービンは、n個の風力タービンのうちの任意の風力タービンであり得る。第1の風力タービンの特性データは、第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図している。例えば、第1の風力タービンの特性データには、以下のうちの少なくとも1つが含まれ得る:風速、風車速度、ブレード角、ヨー角、有効電力、タービン速度、およびギアボックス油温。本開示の実施形態は、特性データのタイプおよび数を制限するものではない。可能な実装において、第1の風力タービンの特性データには、有効電力およびタービン速度を含める必要がある。
【0040】
ステップ102においてn個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットが取得される。
【0041】
温度予測モデルは、特性データに基づいて予測温度を取得するために使用される。予測温度は、現在の運転条件下での第1の風力タービンの健全な温度(標準温度)を表し得る。本開示の実施形態において、n個の温度予測モデルには、第1の風力タービンに対応する温度予測モデル、およびn-1個の第2の風力タービンにそれぞれ対応する温度予測モデルが含まれる。例として、n個の風力タービンは、同じモデルの隣接する風力タービンである。つまり、第2の風力タービンは、第1の風力タービンと同じ風力発電所にある、同じモデルの隣接する風力タービンを指す。
【0042】
ステップ103において、第1の風力タービンに故障が発生したかどうかが、第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて検出される。
【0043】
予測温度セットには、n個の予測温度が含まれる。第1の風力タービンに故障が発生すると、第1の風力タービンの実際の温度は予測温度よりも高くなる。例えば、実際の温度が複数の予測温度よりも高い場合、第1の風力タービンに故障が発生しており、この時点で早期警告が発せられ得る。
【0044】
新設の風力発電所における風力タービンのトレーニングデータが少なく、温度予測モデルをトレーニングできない状況を考慮すると、本開示の実施形態は、他の風力発電所の第1の風力タービンと同じモデルの第2の風力タービンの温度予測モデルを第1の風力タービンの通常運転データに適用して、モデルの予測効果を評価できることに留意されたい。温度予測モデルの回帰効果が使用要件を満たしている場合は、第2の風力タービンの温度予測モデルを使用してアラームが発せられる。温度予測モデルの回帰効果が使用要件を満たしていない場合は、風力発電所の同じモデルの全世代の温度データを水平方向に比較する警告戦略が採用される。全世代の温度の比較方式は、不十分な履歴データによって引き起こされる不正確な機械学習予測の問題を効果的に克服し、ゼロ履歴データで故障警告を実現することができる。
【0045】
要約すると、本開示の実施形態による技術的解決策では、予測温度が温度予測モデルによって取得され、予測温度および実際の温度に基づいて、風力タービンに故障に発生したかどうかが検出される。スタッフの作業経験に依存する関連技術と比較して、本開示の実施形態による技術的解決策は、風力タービンに故障が発生したかどうかをより正確に検出し、適時に早期警告を提供して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【0046】
更に、関連技術が第1の風力タービンの通常の履歴データに大きく依存しているという問題を考慮して、本開示の実施形態は、水平比較および交差検証方法を提供する。第1の風力タービンに故障が発生した場合、その履歴データも影響を受けるが、第2の風力タービンはその故障の影響を受けない。第2の風力タービンのデータは、高い確率で正常である。複数の第2の風力タービンに対応する温度予測モデルによって得られる予測温度に基づいて第1の風力タービンを検出することは、第1の風力タービンに対応する温度予測モデルによって得られる予測温度のみに基づいて第1の風力タービンを検出することによって引き起こされる誤アラームの問題を回避し、早期警告のリコール率を改善する。
【0047】
本開示の実施形態において、n個の風力タービンの各々は、m個のコンポーネントを含む。各風力タービンに対応する温度予測モデルには、各風力タービンのm個のコンポーネントのそれぞれに対応するコンポーネント温度予測モデルが含まれ、ここで、mは正の整数である。オプションとして、第1の風力タービンに含まれるコンポーネントに故障が発生したかどうかは、以下の方法で検出される。
【0048】
1.第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々のコンポーネント特性データおよび第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々の実際の温度が取得される。
【0049】
2.第1の風力タービンのm個のコンポーネントのi番目のコンポーネントについて、i番目のコンポーネントtのコンポーネント特性データを、n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルに入力することによって、i番目のコンポーネントの予測温度セットを取得し、ここで、iは、m以下の正の整数である。
【0050】
例示的に、風力タービンには、以下のコンポーネントのうちの少なくとも1つが含まれる:タービンドライブエンドベアリング、タービン非ドライブエンドベアリング、ギアボックス高速シャフトドライブエンドベアリング、ギアボックス高速シャフト非ドライブエンドベアリング、ギアボックス中間シャフトドライブエンドベアリング、ギアボックス中間シャフト非ドライブエンドベアリング、スピンドルフロントベアリング、およびスピンドルリアベアリング。もちろん、他の可能な実施において、風力タービンは、他のコンポーネントを更に含み、本開示の実施形態は、コンポーネントのタイプを限定しない。オプションとして、各コンポーネントには、対応するコンポーネント温度予測モデルがある。
【0051】
本開示の実施形態において、各風力タービンのi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルは、予測温度を出力する。つまり、予測温度セットには、n個の予測温度が含まれる。
【0052】
3.i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかが、i番目のコンポーネントの予測温度セットおよびi番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて検出される。
【0053】
一例では、図2に示すように、i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかが、以下の方法で検出される。
【0054】
3.1.i番目のコンポーネントの予測温度セットの各予測温度とi番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値をそれぞれ計算することによって、i番目のコンポーネントの残差値セットが取得される。
【0055】
3つの風力タービンがあると仮定すると、i番目のコンポーネントのコンポーネント特性データが、上記の3つの風力タービンのそれぞれのi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルに入力され、それぞれ30℃、31℃、32℃の3つの予測温度が取得され、i番目のコンポーネントの実際の温度は38℃であり、3つの予測温度と実際の温度との間の残差値が計算され、それぞれ8、7、6の3つの残差値が取得される。
【0056】
3.2.i番目のコンポーネントの残差値セットのうちの閾値より大きい残差値の数が取得される。
【0057】
閾値は、履歴経験に従って設定され得る。閾値が5であると仮定すると、上記の例を引き続き例として使用し、5より大きい残差値の数は3である。
【0058】
3.3.その数値がプリセット数より大きいかどうかが検出される。
【0059】
プリセット数は、nに比例し得る。例えば、プリセット数は、nの1/2であり得る。
【0060】
3.4. 数値がプリセット値より大きい場合、i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定される。プリセット値は2であり得る。
【0061】
3は2より大きいので、i番目のコンポーネントが故障に発生したと判定され得る。
【0062】
別の例では、i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかが、以下の方法で検出される。
【0063】
第1に、n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにおけるターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット残差値が閾値よりも大きいかどうかが検出される。
【0064】
本開示の実施形態において、ターゲット残差値は、ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応する予測温度とi番目のコンポーネントの実際の温度との間の残余値を指す。
【0065】
第2に、ターゲット残差値が閾値より大きい場合、ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに異常があることを検出したと判定される。
【0066】
第3に、ターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに異常があることを検出した回数が、プリセット時間枠内のプリセット回数よりも多いかどうかが判定される。
【0067】
プリセット時間枠は、1週間または3日であってもよく、プリセット時間枠は、技術者によって設定されてもよい。
【0068】
第4に、その回数がプリセット回数よりも多い場合、ターゲット風力タービンは、早期警告風力タービンとして決定される。
【0069】
ターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに1つの異常があることを検出したときに、i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定された場合、誤判定である可能性がある。ターゲット風力タービンがプリセット時間枠内にi番目のコンポーネントに異常があることを検出した回数がプリセット回数よりも多い場合、ターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに故障が発生したと判定した、と判定される可能性がある。
【0070】
第5に、n個の風力タービンのうちの早期警告風力タービンの割合がプリセット割合よりも大きい場合、i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定される。
【0071】
n個の風力タービンのうちの一定の割合を超える風力タービンがi番目のコンポーネントに故障が発生したと判定された場合、i番目のコンポーネントに故障があると判定することができる。
【0072】
要約すると、本開示の実施形態による技術的解決策では、コンポーネントに故障が発生したかどうかが、予測温度および実際の温度に従って検出される。そのコンポーネントは風力タービンのコアコンポーネントであり、コンポーネントの故障による運用・保守費は全運用・保守費の40%にも上る。したがって、風力タービンにコンポーネントの故障があるかどうかを特定して、適時に早期警告を発することによって、ターゲット風力タービンの運用・保守を事前に実行し、コンポーネントの保守費用を節約し、コンポーネントの故障による計画外のシャットダウンによる発電損失を減らすことができる。
【0073】
また、n個の残差値のうちの閾値を超える残差値の数がプリセット数を超えると、コンポーネントに故障が発生したと判定され、コンポーネントの故障検出は短時間で済む。
【0074】
ターゲット風力タービンがコンポーネントに異常があることを検出した回数がプリセット回数よりも多い場合、ターゲット風力タービンは早期警告風力タービンとして決定される。早期警告風力タービンの比率がプリセット比率よりも大きい場合、コンポーネントに故障が発生したと判定されるため、コンポーネントの故障検出がより正確になる。
【0075】
図3は、本開示の実施形態に関する温度予測モデルをトレーニングするための方法のフローチャートを示す。上記の方法の実行対象は、計算能力および処理能力を備えた電子デバイスを指すコンピュータデバイスであり得る。例えば、コンピュータデバイスは、サーバーであり得る。この方法には、以下のステップが含まれる。
【0076】
ステップ301において、温度予測モデルのトレーニングデータが取得される。
【0077】
本開示の実施形態において、トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれる。例示として、トレーニングデータには、少なくとも3000のトレーニングサンプルが含まれる。トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と履歴温度に対応する特性データとが含まれる。履歴温度に対応する特性データは、ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図している。
【0078】
ステップ302において、トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによって、データクリーニング後のトレーニングデータが取得される。
【0079】
本開示の実施形態では、データクリーニング後のトレーニングデータを使用して、温度予測モデルをトレーニングする。温度予測モデルをトレーニングする前に、トレーニングデータが最初にクリーニングされ、温度予測モデルの精度を向上させることができる。
【0080】
ステップ303において、温度予測モデルによって特性データに対応する予測温度が計算される。
【0081】
特性データに対応する予測温度は、特性データを温度予測モデルに入力することによって取得される。
【0082】
ステップ304において、予測温度および履歴温度に基づいて温度予測モデルがトレーニングされる。
【0083】
予測温度と履歴温度との差分がプリセット差分よりも小さい場合、温度予測モデルのトレーニングは停止される。もちろん、他の可能な実装では、トレーニング回数がプリセット回数よりも多い場合、温度予測モデルのトレーニングは停止される。
【0084】
温度予測モデルは、特徴工学的方法を使用してトレーニングされ、数時間の履歴内の特性データ、例えば、数時間の履歴内のローター速度を追加して、温度予測モデルの精度を向上させることができる。オプションとして、温度予測モデルは、LightGBMモデル、ランダムフォレストモデル、またはサポートベクター回帰(SVR)モデルであり得る。
【0085】
本開示は、同じ風力発電所内の全ての風力タービンに対して温度予測モデルを設定する必要があることに留意されたい。温度予測モデルは、プリセット期間毎に更新され得る。例えば、温度予測モデルは3ヶ月毎に更新される。
【0086】
要約すると、本開示の実施形態による技術的解決策では、特性データに対応する予測温度および特性データに対応する履歴温度によって温度予測モデルがトレーニングされ、最終的にトレーニングされた温度予測モデルを風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するために使用して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【0087】
一例では、データクリーニングには、以下のうちの少なくとも1つが含まれ得る:デッドナンバーのクリーニング(デッドナンバーは連続的かつ一定の値を指す)、限界外データのクリーニング(限界外データはプリセット範囲を超えるデータを指す)、履歴環境条件に対応していないデータのクリーニング(例えば、履歴環境温度に対応していない履歴温度データ、履歴風力に対応していない履歴電力データ)。
【0088】
別の例では、トレーニングデータを密度に基づいて前処理してもよく;履歴温度および履歴温度に対応する特性データをデータポイントとし;データポイントの分布密度に基づいて、質量分布に属さないデータポイントを削除する。
【0089】
更に別の例では、トレーニングデータを風力発電所内の同じモデルの風力タービンの履歴データに基づいて前処理してもよく:風力発電所内のターゲット風力タービンと同じモデルの風力タービンの履歴温度と、特性データに対応する履歴温度とを取得し;同じサイズの特性データに基づいて、バケットによる履歴温度のクリーニングによって、バケットによるクリーニング後の履歴温度が取得される。
【0090】
温度予測モデルのトレーニングデータは、通常のデータを使用する必要がある。温度予測モデルに異常高温のトレーニングデータが大量に含まれていると、予測温度が非常に高くなり、報告に失敗する。限界外のデータを単純にクリーニングする関連技術と比較すると、トレーニングデータに一定の異常な高温データが含まれ、風力タービンの温度がトレーニングされた温度予測モデルによって検出された場合には、予測温度が高くなる可能性があり、したがって、残差値が小さく、過少報告の発生率が高いと、本開示の実施形態は、異常データがより深いデータクリーニングによって確実にクリーニングされ、それによって過少報告の発生を減らすことができる。
【0091】
図4は、アプリケーションのためにトレーニングされた後の本開示の実施形態による温度予測モデルの構成図を示す。n個の風力タービンについて、対応する温度予測モデルがトレーニングされ、n個の温度予測モデルが取得される。各風力タービンは、独自のトレーニングデータを使用して、温度予測モデルをトレーニングする。第1の風力タービンのリアルタイム特性データがn個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに入力され、予測温度セットが取得される。第1の風力タービンに故障が発生したかどうかは、予測温度セットおよび実際の温度に基づいて検出される。早期警告風力タービンの割合がプリセット割合よりも大きい場合、第1の風力タービンに故障が発生したと判定され、早期警告が発せられる。
【0092】
以下の説明は、本開示の装置の実施形態であり、本開示の方法の実施形態を実施するために使用することができる。本開示の装置の実施形態に開示されていない詳細については、本開示の方法の実施形態を参照することができる。
【0093】
図5は、本開示の一実施形態に関する風力タービンの故障を検出するための装置のブロック図を示す。この装置は、上記の方法の実施例を実装する機能を有する。この機能は、ハードウェアによって、または対応するソフトウェアを実行するハードウェアによって実現され得る。装置500は、データ取得モジュール510と、温度取得モジュール520と、故障検出モジュール530とを含み得る。
【0094】
データ取得モジュール510は、n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得するように構成され、ここで、第1の風力タービンの特性データは、第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数である。
【0095】
温度取得モジュール520は、第1の風力タービンの特性データをn個の風力タービンの各々に対応する温度予測モデルに入力することによって予測温度セットを取得するように構成される。
【0096】
故障検出モジュール530は、第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するように構成される。
【0097】
要約すると、本開示の実施形態による技術的解決策では、予測温度が温度予測モデルによって取得され、予測温度および実際の温度に基づいて、風力タービンに故障に発生したかどうかが検出される。スタッフの作業経験に依存する関連技術と比較して、本開示の実施形態による技術的解決策は、風力タービンに故障が発生したかどうかをより正確に検出し、適時に早期警告を提供して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【0098】
オプションとして、n個の風力タービンは、同じモデルの隣接する風力タービンである。
【0099】
オプションとして、n個の風力タービンの各々は、m個のコンポーネントを含み、風力タービンの各々にそれぞれ対応する温度予測モデルには、風力タービンのm個のコンポーネントの各々に対応するコンポーネント温度予測モデルが含まれ、ここで、mは正の整数である。
【0100】
データ取得モジュール510は、第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々のコンポーネント特性データと、第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々の実際の温度とを取得するように構成される。
【0101】
温度取得モジュール520は、n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにi番目のコンポーネントのコンポーネント特性データを入力することによって、第1の風力タービンのm個のコンポーネントのうちのi番目のコンポーネントの予測温度セットを取得するように構成され、ここで、iは、m以下の正の整数である。
【0102】
故障検出モジュール530は、i番目のコンポーネントの予測温度セットおよびi番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出するように構成される。
【0103】
オプションとして、故障検出モジュール530は、以下のように構成される:
【0104】
i番目のコンポーネントの予測温度セットにおける各予測温度とi番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値をそれぞれ計算することによって、i番目のコンポーネントの残差値セットを取得し;
【0105】
i番目のコンポーネントの残差値セットのうちの閾値より大きい残差値の数を取得し;
【0106】
その数がプリセット数よりも大きいかどうかを検出し;
【0107】
その数がプリセット数よりも大きい場合に、i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定する。
【0108】
オプションとして、故障検出モジュール530は、以下のように構成される:
【0109】
n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにおけるターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット残差値が閾値よりも大きいかどうかを検出し、ここで、ターゲット残差値は、ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応する予測温度とi番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値を指し;
【0110】
ターゲット残差値が閾値より大きい場合に、ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに異常があることを検出したと判定し;
【0111】
プリセット時間枠内にターゲット風力タービンがi番目のコンポーネントに異常があることを検出した回数がプリセット回数よりも多いかどうかを判定し;
【0112】
その回数がプリセット回数よりも多い場合に、ターゲット風力タービンを早期警告風力タービンとして決定し;
【0113】
n個の風力タービンのうちの早期警告風力タービンの割合がプリセット割合よりも大きい場合に、i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定する。
【0114】
図6は、本開示の一実施形態に関する温度予測モデルをトレーニングするための装置のブロック図を示す。この装置は、上記の方法の実施例を実装する機能を有する。この機能は、ハードウェアによって、または対応するソフトウェアを実行するハードウェアによって実現され得る。装置600は、データ取得モジュール610と、データ前処理モジュール620と、温度計算モジュール630と、モデルトレーニングモジュール640とを含み得る。
【0115】
データ取得モジュール610は、温度予測モデルのトレーニングデータを取得するように構成され、トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と履歴温度に対応する特性データとが含まれ、履歴温度に対応する特性データは、ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図している。
【0116】
データ前処理モジュール620は、トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得するように構成され、ここで、データクリーニング後のトレーニングデータは、温度予測モデルをトレーニングすることを意図している。
【0117】
温度計算モジュール630は、温度予測モデルによって特性データに対応する予測温度を計算するように構成される。
【0118】
モデルトレーニングモジュール640は、予測温度および履歴温度に基づいて温度予測モデルをトレーニングするように構成される。
【0119】
要約すると、本開示の実施形態による技術的解決策では、特性データに対応する予測温度および特性データに対応する履歴温度によって温度予測モデルがトレーニングされ、最終的にトレーニングされた温度予測モデルを風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するために使用して、風力タービンの故障率を減らすことができる。
【0120】
上記の実施形態に係る装置がその機能を実現する場合には、上記の機能モジュールの分割のみが説明に使用されていることに留意されたい。実際のアプリケーションでは、上記の機能は、実際のニーズに応じて異なる機能モジュールに割り当てられる場合がある。つまり、デバイスのコンテンツ構造は、上記の機能の全部または一部を完了するために、様々な機能モジュールに分割される。
【0121】
前述の実施形態における装置に関して、各モジュールが動作を実行する特定の方法は、方法の実施形態において詳細に説明されており、ここでは詳細な説明を行わない。
【0122】
図7は、本開示の一実施形態に関するコンピュータデバイスの概略構造図を示す。コンピュータデバイスは、前述の実施形態による方法を実装するために使用される。
【0123】
コンピュータデバイス700は、中央処理装置(CPU)701と、ランダムアクセスメモリ(RAM)702および読み取り専用メモリ(ROM)703を含むシステムメモリ704と、システムメモリ704と中央処理装置701を接続するシステムバス705とを含む。コンピュータデバイス700は更に、コンピュータ内の様々なデバイス間で情報を伝送するのを助ける基本入出力システム(I/Oシステム)706と、オペレーティングシステム713、アプリケーション714および他のプログラムモジュール715を記憶する大容量記憶装置707とを含む。
【0124】
基本入出力システム706は、情報を表示するためのディスプレイ708と、ユーザが情報を入力するためのマウスおよびキーボードなどの入力デバイス709とを含む。ディスプレイ708および入力デバイス709は両方とも、システムバス705に接続された入出力コントローラ710によって中央処理装置701に接続される。基本入出力システム706はまた、キーボード、マウス、または電子スタイラスなどの他の複数のデバイスからの入力を受信および処理する入出力コントローラ710を含み得る。同様に、入力および出力コントローラ710はまた、ディスプレイ画面、プリンタ、または他のタイプの出力デバイスへの出力を提供する。
【0125】
大容量記憶装置707は、システムバス705に接続され大容量記憶装置コントローラ(図示せず)によって中央処理装置701に接続される。大容量記憶装置707およびその関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータデバイス700に不揮発性ストレージを提供する。すなわち、大容量記憶装置707は、ハードディスクまたはCD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)ドライブなどのコンピュータ可読媒体(図示せず)を含み得る。
【0126】
一般性を失うことなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含み得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、並びに取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、またはその他のソリッドステートストレージ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、またはその他の光ストレージ、テープカセット、磁気テープ、ディスクストレージ、またはその他の磁気ストレージデバイスが含まれる。当然、当業者は、コンピュータ記憶媒体が前述のものに限定されないことを知っているであろう。前述のシステムメモリ704および大容量記憶装置707は、まとめてメモリと呼ばれることがある。
【0127】
本開示の様々な実施形態によれば、コンピュータデバイス700はまた、インターネットなどのネットワークによってネットワーク上のリモートコンピュータに接続して動作し得る。すなわち、コンピュータデバイス700は、システムバス705に接続されたネットワークインターフェースユニット711によってネットワーク712に接続されてもよく、または、言い換えれば、ネットワークインターフェースユニット711はまた、他のタイプのネットワークまたはリモートコンピュータシステム(図示せず)に接続するために使用されてもよい。
【0128】
例示的な実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータデバイス700のプロセッサによって実行されると、記憶媒体内の命令(またはコンピュータプログラム)は、コンピュータデバイス800が上記の方法を実行することを可能にする。
【0129】
オプションとして、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などであり得る。
【0130】
上記に記載したものは、本開示の単なる例示的な実施形態であり、本開示を限定することを意図するものではない。本開示の意図および原則の範囲内で行われた任意の変更、同等物の置換、および改善は、全て本開示の保護範囲に含まれるものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの故障を検出するための方法であって、
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得すること、ここで、前記第1の風力タービンの特性データは、前記第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり、
複数の温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって複数の予測温度を含む予測温度セットを取得すること、ここで、各温度予測モデルは、前記n個の風力タービンの1つに対応し、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記n個の風力タービンは、同じモデルの隣接する風力タービンである、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、
前記n個の風力タービンの各々は、m個のコンポーネントを含み、前記風力タービンの1つに対応する温度予測モデルには、複数のコンポーネント温度予測モデルが含まれ、ここで、各コンポーネント温度予測モデルは、前記風力タービンのm個のコンポーネントの1つに対応し、mは正の整数であり、
前記第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得することは、
前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々のコンポーネント特性データ、および前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントの各々の実際の温度を取得することを含み、
前記複数の温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって予測温度セットを取得することは、
前記n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにi番目のコンポーネントのコンポーネント特性データを入力することによって、前記第1の風力タービンのm個のコンポーネントのうちのi番目のコンポーネントの予測温度セットを取得することを含み、ここで、iは、m以下の正の整数であり、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットにおける各予測温度と前記i番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値をそれぞれ計算することによって、前記i番目のコンポーネントの残差値セットを取得すること、
前記i番目のコンポーネントの残差値セットのうちの閾値より大きい残差値の数を取得すること、
前記数がプリセット数よりも大きいかどうかを検出すること、
前記数がプリセット数よりも大きい場合に、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
前記i番目のコンポーネントの予測温度セットおよび前記i番目のコンポーネントの実際の温度に基づいて、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したかどうかを検出することは、
前記n個の風力タービンの各々のi番目のコンポーネントのコンポーネント温度予測モデルにおけるターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット残差値が閾値よりも大きいかどうかを検出すること、ここで、前記ターゲット残差値は、前記ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応する予測温度と前記i番目のコンポーネントの実際の温度との間の残差値を指し、
前記ターゲット残差値が前記閾値より大きい場合に、前記ターゲットコンポーネント温度予測モデルに対応するターゲット風力タービンが前記i番目のコンポーネントに異常があることを検出したと判定すること、
プリセット時間枠内に前記ターゲット風力タービンが前記i番目のコンポーネントに異常があることを検出した回数がプリセット回数よりも多いかどうかを判定すること、
前記回数がプリセット回数よりも多い場合に、前記ターゲット風力タービンを早期警告風力タービンとして決定し、
前記n個の風力タービンのうちの前記早期警告風力タービンの割合がプリセット割合よりも大きい場合に、前記i番目のコンポーネントに故障が発生したと判定すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
温度予測モデルをトレーニングするための方法であって、
前記温度予測モデルのトレーニングデータを取得すること、ここで、前記トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、前記トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と前記履歴温度に対応する有効電力およびタービン速度とが含まれ、前記履歴温度に対応する有効電力およびタービン速度は、前記ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、
前記トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得すること、ここで、前記データクリーニング後のトレーニングデータは、前記温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており、
前記温度予測モデルによって前記有効電力およびタービン速度に対応する予測温度を計算すること、
前記予測温度および前記履歴温度に基づいて前記温度予測モデルをトレーニングすること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
風力タービンの故障を検出するための装置であって、
n個の風力タービンのうちの第1の風力タービンの特性データおよび実際の温度を取得するように構成された、データ取得モジュールと、ここで、前記第1の風力タービンの特性データは、前記第1の風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、nは、1より大きい整数であり、
複数の温度予測モデルに前記第1の風力タービンの特性データを入力することによって複数の予測温度を含む予測温度セットを取得するように構成された、温度取得モジュールと、ここで、各温度予測モデルは、前記n個の風力タービンの1つに対応し、
前記第1の風力タービンの予測温度セットおよび実際の温度に基づいて、前記第1の風力タービンに故障が発生したかどうかを検出するように構成された、故障検出モジュールと、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項8】
温度予測モデルをトレーニングするための装置であって、
前記温度予測モデルのトレーニングデータを取得するように構成された、データ取得モジュールと、ここで、前記トレーニングデータには、トレーニングサンプルが含まれ、前記トレーニングサンプルには、ターゲット風力タービンの履歴温度と前記履歴温度に対応する有効電力およびタービン速度とが含まれ、前記履歴温度に対応する有効電力およびタービン速度は、前記ターゲット風力タービンの動作状態を特徴付けることを意図しており、
前記トレーニングデータに対してデータクリーニングを実行することによってデータクリーニング後のトレーニングデータを取得するように構成された、データ前処理モジュールと、ここで、前記データクリーニング後のトレーニングデータは、前記温度予測モデルをトレーニングすることを意図しており、
前記温度予測モデルによって前記有効電力およびタービン速度に対応する予測温度を計算するように構成された、温度計算モジュールと、
前記予測温度および前記履歴温度に基づいて前記温度予測モデルをトレーニングするように構成された、モデルトレーニングモジュールと、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
プロセッサと、コンピュータプログラムを記憶したメモリとを備えたコンピュータデバイスであって、
前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによってロードおよび実行されると、請求項1~請求項5のいずれかに定義された風力タービンの故障を検出するための方法、または請求項6に定義された温度予測モデルをトレーニングするための方法を前記プロセッサに実施させる、
ことを特徴とするコンピュータデバイス。
【請求項10】
コンピュータプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによってロードおよび実行されると、請求項1~請求項5のいずれかに定義された風力タービンの故障を検出するための方法、または請求項6に定義された温度予測モデルをトレーニングするための方法を前記プロセッサに実施させる、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】