(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221208BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221208BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221208BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20221208BHJP
B60L 58/15 20190101ALI20221208BHJP
B60L 58/24 20190101ALI20221208BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20221208BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20221208BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
B60L53/66
B60L58/15
B60L58/24
B60L53/62
B60L58/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532592
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2020132901
(87)【国際公開番号】W WO2021212837
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202010328925.4
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】杜明▲樹▼
(72)【発明者】
【氏名】李世超
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲維▼清
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲偉▼
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC09
5H125BC14
5H125BC19
5H125BE02
5H125CC06
5H125DD02
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE29
5H125EE51
(57)【要約】
本願の実施例は、電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体を提供する。この方法は、受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの初期値と、電池の実際の容量値及び電池が所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される充電パラメータの閾値とを取得することと、充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池を充電するように、電池の充電を行う制御コマンドを送信することと、電池の充電中に、電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得することと、取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上である場合、充電を停止するように電池の充電を停止する制御コマンドを送信することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの初期値と、前記電池の実際の容量値及び前記電池が所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される前記充電パラメータの閾値とを取得することと、
前記充電パラメータの初期値が前記充電パラメータの閾値よりも小さい場合、前記電池を充電するように、前記電池の充電を行う制御コマンドを送信することと、
前記電池の充電中に、前記電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得することと、
取得した前記電池の充電パラメータの値が前記充電パラメータの閾値以上である場合、充電を停止するように、前記電池の充電を停止する制御コマンドを送信することと、
を含む、
電池の充電制御方法。
【請求項2】
前記受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの閾値及び初期値を取得する前に、さらに、
前記電池の実際の容量値と前記累積走行距離に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することと、
前記実際の容量値と前記充電可能な容量の上限値に基づいて、前記充電パラメータの閾値を決定することと、を含む、
請求項1に記載の電池の充電制御方法。
【請求項3】
前記充電パラメータは充電電荷状態SOCであり、前記充電パラメータの閾値は充電SOC閾値を含み、
前記実際の容量値と前記充電可能な容量の上限値に基づいて、前記電池の充電パラメータの閾値を決定することは、前記実際の容量値に対する前記充電可能な容量の上限値の比を前記電池の充電SOC閾値とすることを含む、
請求項2に記載の電池の充電制御方法。
【請求項4】
前記充電パラメータは充電電圧であり、それに対応して、前記充電パラメータの閾値は充電電圧閾値を含み、
前記実際の容量値と前記充電可能な容量の上限値に基づいて、前記充電パラメータの閾値を決定することは、
前記実際の容量値に対する前記充電可能な容量の上限値の比を前記電池の充電SOC閾値とすることと、
前記充電SOC閾値と、取得した前記電池の現在の温度と、予め設定された第1の対応関係に基づいて、前記電池の充電電圧閾値を決定することと、を含み、
第1の対応関係は、電圧と第1のパラメータとの対応関係であり、前記第1のパラメータは、温度及びSOCを含む、
請求項2に記載の電池の充電制御方法。
【請求項5】
前記充電パラメータは充電電圧及び充電SOCを含み、前記充電パラメータの閾値は充電SOC閾値及び充電電圧閾値を含み、
前記実際の容量値と前記充電可能な容量の上限値に基づいて、前記充電パラメータの閾値を決定することは、
前記実際の容量値に対する前記充電可能な容量の上限値の比を前記電池の充電SOC閾値とすることと、
前記充電SOC閾値と、取得した前記電池の現在の温度と、予め設定された第1の対応関係に基づいて、前記電池の充電電圧閾値を決定することと、を含み、
第1の対応関係は、電圧と第1のパラメータとの対応関係であり、前記第1のパラメータは、温度及びSOCを含む、
請求項2に記載の電池の充電制御方法。
【請求項6】
前記実際の容量値は、前記電池の累積充電・放電容量値に基づいて決定され、
前記電池の累積充電・放電容量値は、累積された前記電池の換算された充電容量値と、累積された前記電池の換算された放電容量値と、前記充電容量値と前記放電容量値との加算値とのいずれかであり、
前記電池の換算された充電容量値は、前記電池の充電容量値と前記電池の充電温度に対応する換算係数との積であり、前記電池の充電温度に対応する換算係数は、前記電池の充電温度及び予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定され、
前記電池の換算された放電容量値は、前記電池の放電容量値と前記電池の放電温度に対応する換算係数との積であり、前記電池の放電温度に対応する換算係数は、前記電池の放電温度及び前記予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定される、
請求項1に記載の電池の充電制御方法。
【請求項7】
前記実際の容量値は、前記累積走行距離と予め設定された第2の対応関係に基づいて決定され、
前記第2の対応関係は、走行距離と容量との対応関係である、
請求項1に記載の電池の充電制御方法。
【請求項8】
前記電池の実際の容量値と前記累積走行距離に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することは、
前記電池の実際の容量値と、前記累積走行距離と、予め設定された第3の対応関係に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することを含み、
前記第3の対応関係は、第1の容量と第2のパラメータとの対応関係であり、前記第2のパラメータは、第2の容量及び走行距離を含む、
請求項2に記載の電池の充電制御方法。
【請求項9】
前記電池の実際の容量値と前記累積走行距離に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することは、
前記電池の実際の容量値に基づいて、前記電池の実際の健全度SOHを決定することと、
前記実際のSOH及び前記累積走行距離に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することと、を含む、
請求項2に記載の電池の充電制御方法。
【請求項10】
前記実際のSOH及び前記累積走行距離に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することは、
前記実際のSOHと、前記累積走行距離と、予め設定された第4の対応関係に基づいて、前記電池の充電可能な容量の上限値を決定することを含み、
前記第4の対応関係は、容量と第3のパラメータとの対応関係であり、前記第3のパラメータは、走行距離及びSOHを含む、
請求項9に記載の電池の充電制御方法。
【請求項11】
受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの初期値と、前記電池の実際の容量値及び前記電池が所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される前記充電パラメータの閾値とを取得する第1の取得モジュールと、
前記充電パラメータの初期値が前記充電パラメータの閾値よりも小さい場合、前記電池を充電するように、前記電池の充電を行う制御コマンドを送信する第1の制御コマンド送信モジュールと、
前記電池の充電中に、前記電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得する第2の取得モジュールと、
取得した前記電池の充電パラメータの値が前記充電パラメータの閾値以上である場合、充電を停止するように、前記電池の充電を停止する制御コマンドを送信する第2の制御コマンド送信モジュールと、
を備える電池の充電制御装置。
【請求項12】
プロセッサと、
コンピュータプログラムコマンドが記憶されているストレージと、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムコマンドを実行する際に、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池の充電制御方法を実現する、
電池管理システム。
【請求項13】
プロセッサにより実行される際に、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池の充電制御方法を実現するコンピュータプログラムコマンドが記憶されているコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新エネルギーの分野に関し、特に電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体に関する。
【0002】
本願は、2020年4月23日に提出された名称が「電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体」である中国特許出願202010328925.4の優先権を主張し、この出願の全ての内容は、引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池は、その高エネルギー密度やサイクル性能などの利点を有するので、電気自動車などの分野に広く応用されている。しかしながら、リチウムイオン電池は、異なる充電又は放電の動作状況で異なるエージングレートを有する。
【0004】
充電中リチウムイオン電池の負極電位は低下する。負極の局所電位が低すぎると、リチウムイオンが負極の表面で電子を取得した後にすぐに拡散せず負極に埋め込まれ、負極のリチウムデンドライトを引き起こし、さらにセパレータを突き刺して内部短絡を引き起こし、電池のエージングが進み、安全上の問題も生じる。
【0005】
電池の長期使用が品質保証や設計の寿命に達すると、電池パラメータは深刻なエージング後に、例えばインピーダンスの増加やリチウムイオンの損失などの変異を生じ、電池のリチウム析出や熱暴走などの安全リスクを招く。したがって、電池の使用安全性を向上させる充電方法の提供が急務となっている。
【発明の概要】
【0006】
本願の実施例は、電池の使用安全性を向上させる電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体を提供する。
【0007】
第1の態様において、本願の実施例は、電池の充電制御方法であって、
受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの初期値と、電池の実際の容量値及び電池が所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される充電パラメータの閾値とを取得することと、
充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池を充電するように、電池の充電を行う制御コマンドを送信することと、
電池の充電中に、電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得することと、
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上である場合、充電を停止するように、電池の充電を停止する制御コマンドを送信することと、
を含む電池の充電制御方法を提供する。
【0008】
第2の態様において、本願の実施例は、電池の充電制御装置であって、
受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの初期値と、電池の実際の容量値及び電池が所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される充電パラメータの閾値とを取得する第1の取得モジュールと、
充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池を充電するように、電池の充電を行う制御コマンドを送信する第1の制御コマンド送信モジュールと、
電池の充電中に、電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得する第2の取得モジュールと、
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上である場合、充電を停止するように、電池の充電を停止する制御コマンドを送信する第2の制御コマンド送信モジュールと、
を備える電池の充電制御装置を提供する。
【0009】
第3の態様において、本願の実施例は、
プロセッサと、コンピュータプログラムコマンドが記憶されているストレージと、を備え、
プロセッサは、コンピュータプログラムコマンドを実行する際に、本願の実施例で提供する電池の充電制御方法を実現する、
電池管理システムを提供する。
【0010】
第4の態様において、本願の実施例は、プロセッサにより実行される際に、本願の実施例で提供する電池の充電制御方法を実現するコンピュータプログラムコマンドが記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0011】
本願の実施例に係る電池の充電制御方法、装置、電池管理システム及び媒体は、電池の実際の容量値と電池の所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて電池の充電パラメータの閾値を動的に決定することにより、電池のエージング状態に応じて充電パラメータの閾値を動的に算出することを実現する。電池の充電中に、取得した電池の充電パラメータの値が最新に算出された充電パラメータの閾値よりも大きい場合、電池の充電を停止する。電池のエージング状態を考慮して電池の充電パラメータの閾値を決定することにより、電池のエージング状態時に過充電や熱暴走などの状況の発生を防止することができ、電池の使用安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介する。以下に説明された図面は本願のいくつかの実施例のみでああることは明確である。当業者であれば、創造的労働をしない前提であっても、図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
【
図1】本願に係る電池の充電制御方法の一つの実施例を示す模式的なフローチャートである。
【
図2】本願に係る電池の充電制御装置の一つの実施例を示す概略構成図である。
【
図3】本願に係る電池管理システムの一つの実施例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。本願の目的及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照して本願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明する具体的な実施例は本願を説明するためのみに設けられたものであり、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願がこれらの具体的な細部のいくつかの細部を必要とせずに実施されることができる。以下の実施例の説明は、本願の例示を示すことにより本願をよりよく理解するためである。
【0014】
なお、本明細書において、第1の及び第2のなどのような関係用語は一つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するために用いられ、必ずしもこれらの実体又は操作の間にいかなるこのような関係又は順序が存在することを要求又は暗示するものではない。また、用語「含む」、「有する」又は任意の他の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図する。それにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は設備は、それらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されない他の要素又はこのような過程、方法、物品又は設備に固有の要素を含む。より多くの制限がない場合に、語句「…を含む」で限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、物品又は設備において他の同じ要素が存在することを排除しない。
【0015】
現在、電池の充電中に、充電パラメータが予め設定された固定上限に達したか否かによって、電池の充電を停止するか否かを判断することが多い。電気自動車が過度なサービスの状況にあっても、依然として充電パラメータの固定上限を利用して電池の充電を停止するか否かを判断すると、電池の過充電や熱暴走などの安全リスクを招いてしまう。
【0016】
これに基づいて、本願の実施例は、電池の充電制御方法を提供し、電池の実際の容量値及び電池の所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて電池の充電パラメータの閾値を動的に決定することにより、電池のエージング状態に応じて充電パラメータの閾値を動的に算出することを実現する。電池の充電中に、取得した電池の充電パラメータの値が最新に算出された充電パラメータの閾値よりも大きい場合、電池の充電を停止する。電池のエージング状態を考慮して電池の充電パラメータの閾値を決定することにより、電池のエージング状態時に過充電や熱暴走などの状況の発生を防止することができ、電池の使用安全性を向上させる。
【0017】
図1は、本願の実施例に係る電池の充電制御方法100を示す模式的なフローチャートである。
図1に示すように、電池の充電制御方法100は、
受信した充電要求に基づいて、電池の充電パラメータの閾値及び初期値を取得するS110を含む。充電パラメータの閾値は、電池の実際の容量値及び所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される。
【0018】
本願のいくつかの実施例では、電池の実際の容量値は、電池のエージング状態を表すための一つのパラメータである。いくつかの実施例では、電池の実際の容量値は、電池の累積充電・放電容量値に基づいて決定することができる。
【0019】
一例として、電池の累積充電・放電容量値は、累積された電池の充電毎の充電容量値と電池の逆充電容量との加算値と、累積された電池の放電毎の放電容量値と、累積された電池の充電毎の充電容量値と累積された電池の放電毎の放電容量値の加算値のいずれかであってもよい。電池の充電容量とは、所定の条件で測定された電池が充電された容量値であり、電池の放電容量とは、所定の条件で測定された電池が出力した容量値である。
【0020】
本願のいくつかの実施例では、電池に対する累積充電・放電容量値の累積の正確性を向上させるために、電池の累積充電・放電容量値は、累積されたセルの換算された充電容量値と、累積されたセルの換算された放電容量値と、充電容量値と放電容量値の加算値のいずれかであってもよい。電池の充電温度に対応する換算係数は、電池の充電温度及び予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定され、電池の放電温度に対応する換算係数は、電池の放電温度及び予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定される。
【0021】
即ち、電池の充電ごとに、電池の充電温度を取得する。また、電池の充電温度は、予め設定された温度と換算係数との対応関係における温度がマッチングし、この対応関係における電池の充電温度とマッチングする温度に対応する換算係数を電池の充電温度に対応する換算係数とする。
【0022】
同様に、電池の放電ごとに、電池の放電温度を取得する。また、電池の放電温度は、予め設定された温度と換算係数との対応関係における温度がマッチングし、この対応関係における電池の放電温度とマッチングする温度に対応する換算係数を電池の放電温度に対応する換算係数とする。
【0023】
電池の放電温度が電池の放電容量に影響を与え、電池の充電温度が電池の充電容量に影響を与えるため、電池に対する累積充電・放電容量値の累積の正確性を向上させるために、電池の温度換算された充電容量及び/又は放電容量を利用して電池の累積充電容量値及び/又は放電容量値を算出することができる。
【0024】
具体的な例として、電池管理システムは、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係、及び取得された電池の累積充電・放電容量値に基づいて、電池の実際の容量値を決定することができる。
【0025】
なお、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係における充電・放電容量の統計方式は、電池の累積充電・放電容量値の統計方式と同じである。
【0026】
一例として、電池の累積充電・放電容量値が、累積された電池の充電毎の充電容量と逆充電容量との加算値であれば、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係は、充電容量と実際の容量との対応関係である。
【0027】
電池の累積充電・放電容量値が累積された電池の放電毎の放電容量であれば、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係は、放電容量と実際の容量との対応関係である。
【0028】
電池の累積充電・放電容量値が、累積された電池の充電毎の充電容量値及び累積された電池の放電毎の放電容量値の加算値であれば、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係は、充放電容量と実際の容量との対応関係である。
【0029】
表1は、本願の実施例に係る予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係の概略図を示す。
【0030】
【0031】
ここで、Aiは異なる充電・放電容量値であり、Diは異なる実際の容量値であり、iは1以上4以下の整数である。なお、表1における充電・放電容量の個数については模式的なものであり、第1の対応関係における充電・放電容量の個数について、必要に応じて調整することができる。
【0032】
予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係において、充電・放電容量の増加、即ち電池の充放電回数の増加に伴い、実際の容量は漸減の傾向を示す。表1における対応関係は、履歴の充電・放電容量データ及び実際の容量値に基づいて予めオフライン標定を行うことができる。
【0033】
本願の実施例では、電池管理システムが電池の累積充電・放電容量値を取得した後、電池の累積充電・放電容量値、及び予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係における各充電・放電容量がマッチングし、この対応関係における電池の累積充電・放電容量値とマッチングする充電・放電容量を取得し、この充電・放電容量に対応する実際の容量を電池の実際の容量値とする。
【0034】
予め設定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係を利用することにより、電池の実際の容量値を迅速に得ることができ、充電パラメータの閾値に対する算出効率を向上させる。
【0035】
なお、電池の累積充電・放電容量値が温度換算された充電容量及び/又は放電容量を利用して算出する場合、予め標定された充電・放電容量と実際の容量との対応関係における充電・放電容量も、温度換算された容量である。
【0036】
本願のいくつかの実施例では、電池の実際の容量値は、電気自動車の累積走行距離、及び予め設定された走行距離と容量との第2の対応関係に基づいて決定されてもよい。例えば、電池管理システムは、先に、電気自動車の累積走行距離と予め設定された第2の対応関係における各走行距離とがマッチングし、この第2の対応関係における、電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離を取得する。そして、電池管理システムは、予め設定された第2の対応関係における電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離に対応する容量を電池の実際の容量値とする。電池の実際の容量の具体的な取得方法について、ここでは限定しない。
【0037】
本願の実施例では、電池の充電制御方法を電池管理システムに適用することができる。電気自動車に充電が必要な場合、まず電気自動車を充電スタンドに接続する必要がある。充電スタンドが電気自動車に接続した後、充電スタンドは、電気自動車における電池パックの充電を要求する充電要求を電池管理システムに送信する。
【0038】
電池管理システムは、充電要求を受信すると、電池の充電パラメータの閾値及び初期値を取得する。
【0039】
本願の実施例では、電池の充電パラメータの初期値とは、電池管理システムが充電要求を受信した後に初めて取得した電池の充電パラメータの値を意味する。
【0040】
本願の実施例では、充電パラメータは、充電電荷状態(State of Charge、SOC)及び充電電圧のうちの少なくとも一つであってもよい。なお、電池の充電電圧とは、収集した電池の両端の電圧差を指す。電池の充電SOCは、電池管理システムにおけるSOC算出モジュールによりリアルタイムに算出されるものであり、具体的な算出方法はここでは限定しない。
【0041】
本願の実施例では、電気自動車の利用時間の増加に伴い、電池のエージング状態が変化していることを考慮し、充電パラメータの閾値は電池管理システムによりリアルタイムに算出される。一例として、電池管理システムは、予め設定された時間間隔毎に一回の充電パラメータの閾値を算出する。電池管理システムは、充電要求を受信すると、最新に算出された充電パラメータの閾値を取得する。
【0042】
電池の充電制御方法100は、
充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池を充電するように電池の充電を行う制御コマンドを送信することであるS120、をさらに含む。
【0043】
本願の実施例では、充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値以上であれば、電池管理システムは、充電しない制御コマンドを充電スタンドに送信することにより、電池の使用安全性を向上させ、過充電や熱暴走などの問題の発生を防止する。
【0044】
充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池を充電できることを示し、電池管理システムは、電池の充電を行う制御コマンドを充電スタンドに送信する。充電スタンドは、電池の充電を行う制御コマンドを受信すると、電池の充電を開始する。
【0045】
電池の充電制御方法100は、
電池の充電中に、電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得するS130と、
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上であれば、充電を停止するように電池の充電を停止する制御コマンドを送信するS140と、をさらに含む。
【0046】
電池の充電中に、電池管理システムは、充電パラメータの値をリアルタイムに取得し、電池の充電パラメータの値を取得するたびに、取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上であるか否かを判断する。
【0047】
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池管理システムは動作せず、充電スタンドは電池の充電を継続できる。
【0048】
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上である場合、電池管理システムは電池の充電を停止する制御コマンドを充電スタンドに送信する。充電スタンドは、電池管理システムから送信した、電池の充電を停止する制御コマンドを受信すると、電池の充電を停止する。
【0049】
本願の実施例では、電池のエージング状態、即ち電池の実際の容量値と電池の所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて、充電パラメータの上限を固定せず電池の充電パラメータの閾値を動的に決定することにより、電池の現在のエージング状態を十分に考慮して電池の使用安全性を向上させることができる。
【0050】
なお、いくつかの実施例では、電池のエージング状態の深刻程度の増加に伴い、充電パラメータの閾値を減少させることにより、電池の充電容量を減少させ、電池の安全寿命を延長し、電池の使用安全性を向上させることを実現する。つまり、電池の実際の容量値と電気自動車の走行距離の増加に伴い、充電パラメータの閾値は徐々に低下する。
【0051】
本願の実施例では、電池管理システムは、S110の前に、充電パラメータの閾値をリアルタイムに算出する。以下、電池の充電パラメータの閾値の具体的な算出方法について詳細に説明する。
【0052】
本願の実施例では、電池の充電制御方法100は、S110の前に、
電池の実際の容量値及び累積走行距離に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定するS101、をさらに含むことができる。
【0053】
本願のいくつかの実施例では、S101は、
電池の実際の容量値、累積走行距離、及び予め設定された第3の対応関係に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定し、第3の対応関係が第1の容量と第2のパラメータとの対応関係であり、第2のパラメータが第2の容量及び走行距離を含むA1、を含むことができる。
【0054】
本願の実施例では、電池管理システムは、電池の実際の容量値と予め設定された第3の対応関係における各第2の容量とがマッチングし、この対応関係における電池の実際の容量値とマッチングする第2の容量を取得する。
【0055】
電池管理システムは、電気自動車の累積走行距離と予め設定された第3の対応関係における各走行距離とがマッチングし、この対応関係における電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離を取得する。
【0056】
最後に、電池管理システムは、第3の対応関係における電池の実際の容量値とマッチングする第2の容量及び電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離に共に対応する第1の容量を、電池の充電可能な容量の上限値とする。
【0057】
予め設定された第3の対応関係において、第2の容量が一定である場合、走行距離が高いほど、対応する第1の容量が小さくなる。第3の対応関係において、走行距離が一定である場合、第2の容量が低いほど、対応する第1の容量が小さくなる。即ち、電池のエージング状態が深刻になるにつれて、電池の充電可能な容量の上限値を低下させることができ、それにより電池の過充電を回避し、電池の使用安全性を向上させる。
【0058】
本願のいくつかの実施例では、電池の仕様が異なる可能性があることを考慮し、本願の実施例に係る電池の充電制御方法の適用性を向上させるために、S101は、
電池の実際の容量値に基づいて、電池の実際の健全度(State Of Health、SOH)を決定するA2、を含むことができる。
【0059】
本願の実施例では、電池の実際の容量値と電池の公称容量に基づいて、電池の実際のSOHを取得することができる。電池の公称容量に対する電池の実際の容量値の比は、電池の実際のSOHである。
【0060】
S101は、A2の後、
実際のSOH及び累積走行距離に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定するA3、をさらに含むことができる。
【0061】
本願のいくつかの実施例では、電池の実際のSOH、電気自動車の走行距離、及び予め設定された第4の対応関係に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定することができる。ここで、第4の対応関係は、容量と第3のパラメータとの対応関係であり、第3のパラメータは、走行距離及びSOHを含む。表2は、本願の実施例が提供する予め設定された第4の対応関係を示し、即ち容量と走行距離cやSOHとの対応関係の模式図である。
【0062】
【0063】
ここで、容量と走行距離cやSOHとの対応関係は、オフライン標定試験により取得することができる。表2に示すように、表2における第1行の各値又は値範囲は異なる走行距離を表し、表2における第1列のBtは異なるSOHを表す。tは1以上4以下の整数である。Ejkは一つの容量値を表し、jは0以上の整数であり、kは1以上の整数である。即ち、いずれかのSOH及びいずれかのcに対して、両者は一つの容量値に対応する。なお、表2におけるSOHに関する個数及び走行距離の個数は説明のみを目的とし、、第4の対応関係におけるSOHの個数及び走行距離の個数は、必要に応じて調整することができる。
【0064】
予め設定された第4の対応関係において、SOHが一定である場合、走行距離が高いほど、対応する容量値が小さくなる。予め設定された第4の対応関係において、走行距離が一定である場合、SOHが低いほど、対応する容量値が小さくなる。つまり、電池のエージング状態が深刻になるにつれて、電池の充電可能な容量の上限値を低下させることができるため、電池への過充電を回避し、電池の使用安全性を向上させる。
【0065】
他のいくつかの実施例では、予め設定された第4の対応関係において、走行距離cは、一つの走行距離区間に対応することができる。
【0066】
本願の実施例では、取得した実際のSOHと表2における第4の対応関係の各SOHがマッチングし、この対応関係における電池の実際のSOHとマッチングするSOHを見つけることができる。一例として、電池の実際のSOHと対応関係におけるあるSOHとの間の差の絶対値が予め設定されたSOHの差の閾値以下である場合、電池の実際のSOHが対応関係におけるこのSOHと一致すると見なすことができる。
【0067】
次に、取得した電気自動車の累積走行距離と表2における第4の対応関係における各走行距離をマッチングする。
【0068】
一例において、表2における第4の対応関係における各走行距離が一つの走行距離区間であれば、電気自動車の累積走行距離に当てはまる走行距離区間をそれとマッチングする走行距離とする。表2に示すように、S1が10000kmであれば、電気自動車の累積走行距離が5000kmである場合、表2における電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離は、S1よりも小さい走行距離区間である。
【0069】
別の例において、表2における第4の対応関係における各走行距離が具体的な走行距離値であれば、この対応関係における電気自動車の累積走行距離との差の絶対値が予め設定された距離の差の閾値よりも小さい走行距離を、電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離とする。
【0070】
別の例において、表2における第4の対応関係における各走行距離が具体的な走行距離値であれば、この対応関係における電気自動車の累積走行距離に最も近い前後2つの走行距離値を、電気自動車の累積とマッチングする走行距離とする。例えば、S2が20000km、S3が30000kmであれば、電気自動車の累積走行距離が25000kmである場合、S2及びS3が電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離である。
【0071】
最後に、表2における第4の対応関係における電池の実際のSOHとマッチングするSOH及び電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離に共に対応する容量値に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を取得する。
【0072】
本願のいくつかの実施例では、電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離が一つの走行距離値又は一つの走行距離区間であれば、電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離及び電池の実際のSOHとマッチングするSOHと共に対応する容量値を電池の充電可能な容量の上限値とすることができる。
【0073】
本願のいくつかの実施例では、電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離がこの走行距離値に最も近い前後2つの走行距離値であれば、該2つの走行距離値、及びこれらの2つの走行距離値がそれぞれ電池の実際のSOHとマッチングするSOHと共に対応する2つの容量値に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を算出することができる。
【0074】
一例として、電気自動車の累積走行距離S0がS2より大きく且つS3より小さいと、電気自動車の累積走行距離S0とマッチングする走行距離はS2及びS3である。表2において電池の実際のSOHとマッチングするSOHが90%であれば、表2におけるS2及び90%が共に対応する容量値はE23であり、表2におけるS3及び90%が共に対応する容量値はE33である。下記式に基づいて電池の充電可能な容量の上限値C0を算出することができる。
【0075】
【0076】
なお、予め設定された第1の容量及び第2の容量と走行距離との対応関係において、走行距離はの値であってもよく、一つの走行距離区間であってもよい。電気自動車の累積走行距離とマッチングする走行距離がこの走行距離値に最も近い前後の二つの走行距離値であれば、これらの二つの走行距離値、及びこれらの二つの走行距離値がそれぞれ電池の実際の容量値とマッチングする第2の容量に共に対応する二つの第1の容量値に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を算出する。具体的な算出方法は、式(1)を参照することができ、ここで説明しない。
【0077】
電池の充電制御方法100は、S101の後に、
電池の実際の容量値と電池の充電可能な容量の上限値に基づいて、電池の充電パラメータの閾値を決定するS103、をさらに含むことができる。
【0078】
本願のいくつかの実施例では、充電パラメータは充電SOCであり、それに応じて、充電パラメータの閾値は充電SOC閾値を含む。
【0079】
ここで、S103は、
実際の容量値に対する充電可能な容量の上限値の比を、電池の充電SOC閾値とするS1301、を含むことができる。
【0080】
取得した電池の充電SOCが充電SOC閾値以上である場合、電池の充電を停止する制御コマンドを送信することにより、電池の充電を停止し、電池の安全性を向上させる。
【0081】
本願のいくつかの実施例では、充電SOCの閾値の範囲は[30%、100%]である。
【0082】
本願の他のいくつかの実施例では、充電パラメータは充電電圧であり、それに応じて、充電パラメータの閾値は充電電圧閾値を含む。
【0083】
この場合、S103は、S1301を含むだけでなく、
充電SOC閾値、取得した電池の現在の温度及び第1の対応関係に基づいて、電池の充電電圧閾値を決定し、第1の対応関係が電圧と第1のパラメータとの対応関係であり、第1のパラメータが温度及びSOCを含むことであるS1303、をさらに含むことができる。
【0084】
第1の対応関係は、正常な電池の充電時にオフライン標定試験により取得することができる。
【0085】
一例として、表3は、本願の実施例が提供する予め設定された第1の対応関係の概略図を示す。
【0086】
【0087】
表3に示すように、表3における第1行のCqは異なるSOCであり、qは1以上4以下の整数である。表3における第1列のTpは異なる温度を表し、pは1以上5以下の整数である。表3のAhは異なる電圧値を表し、hは1以上の整数である。いずれかのSOC及びいずれかの温度に対して、両者は一つの電圧値に対応する。なお、表3におけるSOCの個数及び温度の個数は説明のみを目的とし、第1の対応関係におけるSOCの個数及び温度の個数は必要に応じて調整することができる。
【0088】
第1の対応関係において、温度が一定であれば、SOCの低下に伴い、電圧は徐々に低下する傾向を示し、それにより、エージング程度の深刻化に伴い、電池の充電カットオフ電圧を低下させ、電池の使用安全性を向上させる。
【0089】
一例として、電池が高ニッケル三元リチウムイオン電池正極材料(NCM)電池であれば、表3における各電圧値の範囲はいずれも[3.6V、4.3V]にある。
【0090】
電池の充電SOC閾値を取得した後、この充電SOC閾値と表3の対応関係にある各SOCをマッチングし、表3の対応関係にある充電SOC閾値とマッチングするSOCを検索する。一例として、予め設定された第1の対応関係において、充電SOC閾値との差の絶対値が予め設定されたSOC閾値以下であるSOCは、充電SOC閾値とマッチングするSOCであってもよい。
【0091】
電池の現在の温度を取得した後、電池の現在の温度と表3における対応関係の各温度をマッチングし、表3の対応関係における電池の現在の温度とマッチングする温度を検索する。一例として、予め設定された第1の対応関係において、電池の現在の温度との差が予め設定された温度閾値以下である場合は、温度電池の現在の温度とマッチングする温度であってもよい。
【0092】
次に、表3における電池の現在の温度とマッチングする温度及び充電SOC閾値とマッチングするSOCに共に対応する電圧値を電池の充電カットオフ電圧とする。
【0093】
取得した電池の充電電圧が充電電圧閾値以上である場合、電池の充電を停止する制御コマンドを送信することにより、電池の使用安全性を向上させ、電池の使用寿命を向上させる。
【0094】
本願のさらにいくつかの実施例では、充電パラメータは、充電電圧及び充電SOCを含み、それに応じて、充電パラメータの閾値は、充電SOC閾値及び充電電圧閾値を含む。
【0095】
この場合、S103は、S1031~S1303を含んでもよく、具体的な実現形態について、上記の記述を参照することができるので、ここでは説明しない。
【0096】
このような応用場面において、取得した電池の充電電圧が充電電圧閾値以上であり、且つ取得した充電SOCが充電SOC閾値以上である場合、電池の充電を停止する制御コマンドを送信することにより、電池の使用安全性を向上させ、電池の使用寿命を向上させる。
【0097】
以下、公称容量が100Ah、品質保証が3年30万kmの運転車両品質保証の電池を例として、本願の実施例に係る電池の充電制御方法の具体的な実現過程を説明する。
【0098】
電池の出荷から現在までの累積充電容量が150000Ahであれば、予め設定された充電容量と実際の容量との対応関係に基づいて、電池の実際の容量値が70Ahであると決定することができる。電池の実際の容量値及び電池の公称容量に基づいて、電池の実際のSOHは70%であると得られる。
【0099】
電気自動車の累積走行距離が35万kmであれば、予め設定された容量値と走行距離及びSOHとの対応関係に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値は55Ahであると決定できる。
【0100】
電池の実際のSOHと電池の充電可能な容量の上限値に基づいて、電池の充電SOC閾値=55Ah/70Ah=78.6%と算出できる。
【0101】
いくつかの例示的実施例では、電池の充電SOC閾値、電池の現在の温度、及び予め設定された第1の対応関係に基づいて、電池の充電電圧閾値は3.9Vであると決定できる。
【0102】
電池の充電中に、SOCモジュールにより算出されたSOCが充電SOC閾値78.6%に達し、及び/又は電池の電圧が3.9ボルトに達すると、電池の充電を停止する。
【0103】
本願の実施例では、電池の出荷から電池の最終的な寿命までの間に、電池のエージング状態が深刻になるに伴い、電池の使用安全性を向上させるために、電池の充電SOC閾値は徐々に低下する傾向を示し、電池の充電カットオフ電圧も徐々に低下する傾向を示す。
【0104】
図2は、本願の一実施例に係る電池の充電制御装置を示す概略構成図である。
図2に示すように、電池の充電制御装置200は、
受信した充電要求に基づいて、電池の実際の容量値及び所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて決定される電池の充電パラメータの閾値及び初期値を取得するための第1の取得モジュール210と、
充電パラメータの初期値が充電パラメータの閾値よりも小さい場合、電池の充電を行う制御コマンドを送信することにより電池を充電するための第1の制御コマンド送信モジュール220と、
電池の充電中に、電池の充電パラメータの値をリアルタイムに取得するための第2の取得モジュール230と、
取得した電池の充電パラメータの値が充電パラメータの閾値以上であれば、電池の充電を停止する制御コマンドを送信することにより充電を停止するための第2の制御コマンド送信モジュール240と、を備える。
【0105】
本願の実施例では、電池の充電制御装置200は、
電池の実際の容量値及び累積走行距離に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定するための充電可能な容量の上限値の決定モジュールと、
実際の容量値及び充電可能な容量の上限値に基づいて、充電パラメータの閾値を決定するための充電パラメータ閾値の決定モジュールと、をさらに含むことができる。
【0106】
本願の実施例では、充電パラメータは、充電電荷状態SOCであってもよく、それに応じて、充電パラメータの閾値は充電SOC閾値を含む。充電パラメータ閾値の決定モジュールは、実際の容量値に対する充電可能な容量の上限値の比を電池の充電SOC閾値に用いられる。
【0107】
本願の実施例では、充電パラメータは充電電圧であってもよく、それに応じて、充電パラメータの閾値は充電電圧閾値を含む。充電パラメータ閾値の決定モジュールは、
実際の容量値に対する充電可能な容量の上限値の比を電池の充電SOC閾値とすること、且つ、
充電SOC閾値、取得した電池の現在の温度及び予め設定された第1の対応関係に基づいて、電池の充電電圧閾値を決定し、第1の対応関係が電圧と第1のパラメータとの対応関係であり、第1のパラメータが温度及びSOCを含むこと、に用いられる。
【0108】
本願の実施例では、充電パラメータは充電電圧及び充電SOCを含み、それに応じて、充電パラメータの閾値は充電SOC閾値及び充電電圧閾値を含むことができ、充電パラメータ閾値の決定モジュールは、
実際の容量値に対する充電可能な容量の上限値の比を電池の充電SOC閾値とすること、且つ、
充電SOC閾値、取得した電池の現在の温度及び予め設定された第1の対応関係に基づいて、電池の充電電圧閾値を決定し、第1の対応関係が電圧と第1のパラメータとの対応関係であり、第1のパラメータが温度及びSOCを含むこと、に用いられる。
【0109】
本願の実施例では、実際の容量値は電池の累積充電・放電容量値に基づいて決定されることができ、電池の累積充電・放電容量値は、累積された電池の換算された充電容量値と、累積された電池の換算された放電容量値と、充電容量値と放電容量値との加算値とのいずれかであってもよい。
【0110】
ここで、電池の換算された充電容量値は、電池の充電容量値と電池の充電温度に対応する換算係数との積であり、電池の換算された放電容量値は、電池の放電容量値と電池の放電温度に対応する換算係数との積である。
【0111】
ここで、電池の充電温度に対応する換算係数は、電池の充電温度及び予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定され、電池の放電温度に対応する換算係数は、電池の放電温度及び予め設定された温度と換算係数との対応関係に基づいて決定される。
【0112】
本願の実施例では、実際の容量値は、累積走行距離と予め設定された第2の対応関係に基づいて決定され、第2の対応関係は走行距離と容量との対応関係である。
【0113】
本願の実施例では、充電可能な容量の上限値の決定モジュールは、
電池の実際の容量値、累積走行距離及び予め設定された第3の対応関係に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定し、第3の対応関係が第1の容量と第2のパラメータとの対応関係であり、第2のパラメータが第2の容量及び走行距離を含むこと、に用いられる。
【0114】
本願の実施例では、充電可能な容量の上限値の決定モジュールは、
電池の実際の容量値に基づいて、電池の実際の健全度SOHの決定するに用いられる実際のSOHの決定ユニットと、
実際のSOH及び累積走行距離に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値の決定に用いられる充電可能な容量の上限値の決定ユニットと、を含むことができる。
【0115】
本願の実施例では、充電可能な容量の上限値の決定ユニットは、
実際のSOH、累積走行距離及び予め設定された第4の対応関係に基づいて、電池の充電可能な容量の上限値を決定し、第4の対応関係が容量と第3のパラメータとの対応関係であり、第3のパラメータが走行距離及びSOHを含むこと、に用いられる。
【0116】
本願の実施例では、電池の実際の容量値と電池の所在する電気自動車の累積走行距離に基づいて電池の充電パラメータの閾値を動的に決定することにより、電池のエージング状態に応じて充電パラメータの閾値を動的に算出することを実現する。電池の充電中に、取得した電池の充電パラメータの値が最新に算出された充電パラメータに基づく閾値よりも大きい場合、電池の充電を停止する。電池のエージング状態を考慮して電池の充電パラメータの閾値を決定することにより、電池の使用安全性を向上させる。
【0117】
本願の実施例に係る電池の充電制御装置のその他の細部は、以上の
図1を参照して説明した本願の実施例に係る方法と類似するので、ここでは説明しない。
【0118】
図1~
図2を参照して説明した本願の実施例に係る電池の充電制御方法及び装置は、電池の電池管理システムによって実現することができる。
図3は、本願の実施例に係る電池電池システムのハードウェア構成300を示す模式図である。
【0119】
図3に示すように、本実施例における電池管理システム300は、プロセッサ301、ストレージ302、通信インタフェース303及びバス310を含む。プロセッサ301、ストレージ302、通信インタフェース303は、バス310を介して接続され、相互間の通信を実現する。
【0120】
具体的に、上記したプロセッサ301は、中央プロセッサ(CPU)又は特定集積回路(ASIC)を含んでもよく、或いは本願の実施例の一つ又は複数の集積回路を実施するように構成されてもよい。
【0121】
ストレージ302は、データやコマンドのための大容量のストレージを含むことができる。例えば、ストレージ302は、HDD、フレキシブルディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ又はユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。適切な場合、ストレージ302は、消去可能又は消去不可能(又は固定)の媒体を含むことができる。適切な場合、ストレージ302は、電池管理システム300の内部又は外部にあってもよい。特定の実施例において、ストレージ302は不揮発性固体ストレージである。特定の実施例では、ストレージ302は読み出し専用メモリ(ROM)を含む。適切な場合、このROMは、マスク型ROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、電気的消去再書込可能ROM(EAROM)若しくはフラッシュメモリ、又はこれらの2つ以上の組み合わせとし得る。
【0122】
通信インタフェース303は、主に本願の実施例における各モジュール、装置、ユニット及び/又は設備の間の通信の実現に用いられる。
【0123】
バス310は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれら双方を含み、電池管理システム300の部品を互いに結合する。例えば、バスは、アクセラレーテッド・グラフィクス・ポート(AGP)又はその他のグラフィック専用バス、EISA(Enhanced Industry Standard Architecture)バス、FSB(Front Side Bus)、HT(UltraTransporting)インターコネクト、ISA(IndustryStandardArchitecture)バス、インフィニバンド・インターコネクト、低ピン数(LPC)バス、メモリバス、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA)バス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス、PCI-Express(PCI-X)バス、SATA(SerialAdvancedTechnologyAttachment)バス、VLB(Video Electronics Standards Association local)バス、若しくはその他の適切なバス、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。適切な場合、バス310は、一つ又は複数のバスを含むことができる。本願の実施例は特定のバスを説明し、示すが、本願は任意の適切なバス又は相互接続を考慮する。
【0124】
即ち、
図3に示す電池管理システム300は、プロセッサ301、ストレージ302、通信インタフェース303及びバス310を含んで実現されることができる。プロセッサ301、ストレージ302及び通信インタフェース303は、バス310に介して接続され、相互間の通信を実現する。ストレージ302は、プログラムコードを記憶し、プロセッサ301は、ストレージ302に記憶された実行可能プログラムコードを読み出して実行可能プログラムコードに対応するプログラムを実行し、本願のいずれかの実施例における電池の充電制御方法を実行することにより、
図1~
図2を参照して説明した電池の充電制御方法及び装置を実現する。
【0125】
本願の実施例は、さらにコンピュータ記憶媒体を提供する。このコンピュータ記憶媒体に、プロセッサにより実行されるとき本願が提供する任意の実施例の電池の充電制御方法を実現するコンピュータプログラムコマンドが記憶される。コンピュータ記憶媒体の例として、例えば電子回路、半導体メモリ装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能なROM(EROM)、フレキシブルディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスクなどの非一時的なコンピュータ記憶媒体を含む。
【0126】
本願は、上記で説明され、図に示された特定の構成及び処理に限定されないことを明確にする必要がある。容易であるため既知の方法の詳細な説明についてはここでは省略する。上記実施例では、いくつかの具体的な工程を例として説明し、示している。しかし、本願の方法の過程は、記述され且つ示された具体的な工程に限定されない。当業者であれば、本願の主旨を理解した上で、様々な変更、修正及び追加を行い、又は工程の間の順序を変更することができる。
【0127】
以上の構成ブロック図に示された機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせとして実現されてもよい。ハードウェア方式で実現する場合、例えば電子回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、適切なファームウェア、プラグイン、機能カードなどであってもよい。ソフトウェア方式で実現する場合、本願の要素は、必要なタスクを実行するためのプログラム又はコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、機械可読媒体に記憶されてもよく、又は搬送波に搬送されたデータ信号により伝送媒体又は通信リンクに伝送されてもよい。「機器可読媒体」は、情報の記憶又は送信可能な任意の媒体を含むことができる。機械可読媒体の例として、電子回路、半導体メモリ装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能なROM(EROM)、フレキシブルディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、光ファイバ媒体、無線周波数(RF)リンクなどを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのコンピュータネットワークによりダウンロードされることができる。これらのプログラム又はコードセグメントは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて機器を生成することにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにより実行されたコマンドによりフローチャート及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックに指定された機能/動作を実現することができる。このようなプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特殊アプリケーションプロセッサ又はフィールドプログラマブル論理回路であってもよいが、これらに限定されない。
【0128】
なお、本願で言及した例示的な実施例は、一連の工程又は装置に基づいていくつかの方法又はシステムを説明した。しかし、本願は、上記工程の順序に限定されない。即ち、実施例に言及された順序に応じて工程は実行されてもよいし、実施形態と異なる順序で実行されてもよいし、いくつかの工程が同時に実行されてもよい。
【0129】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態のみである。上記説明したシステム、モジュール及びユニットの具体的な動作過程は、前述の方法の実施例における対応するプロセスを参照することが当業者ならば理解できるので、説明の便宜上また簡潔させるために、ここでは説明しない。理解すべきことは、本願の保護範囲はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願が開示した技術的範囲内に、様々な均等な修正又は置換を容易に想到でき、これらの修正又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0130】
以上は、本願の具体的な実施形態のみである。上記説明したシステム、モジュール及びユニットの具体的な動作過程は、前述の方法の実施例における対応するプロセスを参照することが当業者ならば理解できるので、説明の便宜上また簡潔させるために、ここでは説明しない。理解すべきことは、本願の保護範囲はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願が開示した技術的範囲内に、様々な均等な修正又は置換を容易に想到でき、これらの修正又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】