IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーアイパス,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-552467ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること
<>
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図1
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図2
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図3
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図4
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図5
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図6
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図7
  • 特表-ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】ロボティックプロセスオートメーションおよびスーパーバイザーシステムのために決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入すること
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20221209BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520186
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020046951
(87)【国際公開番号】W WO2021076228
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/915,434
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/708,083
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520262319
【氏名又は名称】ユーアイパス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UiPath,Inc.
【住所又は居所原語表記】1 Vanderbilt Avenue, 60th Floor, New York, NY 10017, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】シング,プラブディープ
(72)【発明者】
【氏名】マクゴネル,アントン
(57)【要約】
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の決定論的なワークフローにおいて、確率論的モデルが使用され得る。機械学習(ML)は、結果が決定論的ではないため、ステップが決定論的ではない、確率論的フレームワークを導入する。より動的なワークフローを作成するために、決定論的ワークフローと確率論的ワークフローとを混在させ得、または決定論的ワークフローに確率論的アクティビティが挿入され得る。スーパーバイザーシステムは、MLモデルを監視し、データドリフト検出器、コンセプトドリフト検出器、またはその両方によってエラーが検出された場合、アラームを発生させる、RPAロボットを無効にする、RPAロボットをバイパスする、またはMLモデルの以前のバージョンにロールバックするために使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)のための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのコンピュータ実装方法であって、
RPAロボットのための決定論的RPAワークフローを生成することと、
前記決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、
前記複数のRPAロボットを展開することと、
前記RPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるために確率論的アクティビティに関連する機械学習(ML)モデルを訓練させることと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記決定論的RPAワークフローを遂行する展開された前記複数のRPAロボットからデータを収集すること、前記RPAロボットが実行しているコンピューティングシステムからデータを収集すること、またはその両方を行うことをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
収集された前記データを使用して前記MLモデルを定期的に再訓練することをさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記MLモデルが信頼性閾値を達成したとき、前記方法は、
前記RPAワークフローの前記決定論的アクティビティを前記確率論的アクティビティに置き換えることをさらに含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記確率論的アクティビティを含む前記RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、
前記確率論的アクティビティを含む前記RPAワークフローを遂行するように構成された前記複数のRPAロボットを展開することと、をさらに含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記MLモデルが正しく動作していることを確認するために、データドリフト検出器を介した入力側およびコンセプトドリフト検出器を介した出力側の測定基準(metric)を用いて、前記MLモデルを監視することをさらに含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記コンセプトドリフト検出器は、前記出力が所定の範囲内に収まっているかどうかを判断する、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、アラームを発生させること、をさらに含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、前記方法は、
前記複数のRPAロボットのうちの1つのRPAロボットを無効にすることまたはバイパスすること、をさらに含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、前記方法は、
前記MLモデルの以前のバージョンにロールバックすること、をさらに含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)のための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのコンピュータ実装方法であって、
決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、
前記決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された前記複数のRPAロボットを展開することと、
前記RPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるために確率論的アクティビティに関連する機械学習(ML)モデルを訓練させることと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記決定論的RPAワークフローを遂行する展開された前記複数のRPAロボットからデータを収集すること、前記RPAロボットが実行しているコンピューティングシステムからデータを収集すること、またはその両方を行うことをさらに含む、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
収集された前記データを使用して前記MLモデルを定期的に再訓練することと、
前記MLモデルが信頼性閾値を達成したとき、前記RPAワークフローの前記決定論的アクティビティを前記確率論的アクティビティに置き換えることと、をさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記確率論的アクティビティを含む前記RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、
前記確率論的アクティビティを含む前記RPAワークフローを遂行するように構成された前記複数のRPAロボットを展開することと、をさらに含む、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記MLモデルが正しく動作していることを確認するために、データドリフト検出器を介した入力側およびコンセプトドリフト検出器を介した出力側の測定基準(metric)を用いて、前記MLモデルを監視することをさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、前記方法は、
前記複数のRPAロボットのうちの1つのRPAロボットを無効にすること、前記複数のRPAロボットのうちの前記RPAロボットをバイパスすること、または前記MLモデルの以前のバージョンにロールバックすること、をさらに含む、請求項15に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
確率論的アクティビティを含むRPAワークフローを遂行するように構成されたロボティックプロセスオートメーション(RPA)ロボットを生成することと、
前記RPAロボットを展開することと、
前記RPAワークフローにおいて前記確率論的アクティビティによって呼び出された機械学習(ML)モデルを、スーパーバイザーシステムによって監視し、前記MLモデルが正しく動作していることを、データドリフト検出器を介した入力側の測定基準(metric)とコンセプトドリフト検出器を介した出力側の測定基準とを用いて確認することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記コンセプトドリフト検出器は、前記出力が所定の範囲内に収まっているかどうかを判断する、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、前記スーパーバイザーシステムによってアラームを発生させること、をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記データドリフト検出器、前記コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すとき、前記方法は、
前記スーパーバイザーシステムによって、前記複数のRPAロボットのうちの1つのRPAロボットを無効にすること、前記複数のRPAロボットのうちの前記RPAロボットをバイパスすること、または前記MLモデルの以前のバージョンにロールバックすること、をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年12月9日に出願された米国非仮特許出願第16/708,083号および2019年10月15日に出願された米国仮特許出願第62/915,434号の利益を主張する。これらの先に出願された出願の主題は、その全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)に関し、より具体的には、RPAおよびスーパーバイザーシステムのための決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入することに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在のRPAシステムは、逐次的なワークフローで決定点を設けてロジスティックに動作する。しかし、このようなワークフローは、設定されたロジックに基づいており、動的なものではない。したがって、改良されたアプローチが有益であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の特定の実施形態は、現在のRPA技術によってまだ十分に特定されていない、評価されていない、または解決されていない本分野における問題およびニーズのソリューションを提供し得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、RPAおよびスーパーバイザーシステムのための決定論的ワークフローに確率論的モデルを挿入することに関する。
【0005】
実施形態では、ロボティックプロセスオートメーションRPAのための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのコンピュータ実装方法は、RPAロボットのための決定論的RPAワークフローを生成することと、決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、複数のRPAロボットを展開することと、を含む。コンピュータ実装方法はまた、PPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるために確率論的アクティビティに関連する機械学習(ML)モデルを訓練させること、を含む。
【0006】
別の実施形態では、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)のための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのコンピュータ実装方法は、決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを生成することと、決定論的RPAワークフローを遂行するように構成された複数のRPAロボットを展開することと、を含む。コンピュータ実装方法はまた、RPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるために確率論的アクティビティに関連するMLモデルを訓練させること、を含む。
【0007】
さらに別の実施形態では、コンピュータ実装方法は、確率論的アクティビティを含むRPAワークフローを遂行するように構成されたロボティックプロセスオートメーション(RPA)ロボットを生成することと、RPAロボットを展開することと、を含む。コンピュータ実装方法はまた、RPAワークフローにおいて確率論的アクティビティによって呼び出されたMLモデルを、スーパーバイザーシステムによって監視し、MLモデルが正しく動作していることを、データドリフト検出器を介した入力側の測定基準(metric)とコンセプトドリフト検出器を介した出力側の測定基準とを用いて確認することと、を含む。
【0008】
(実施形態の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態の利点が容易に理解されるように、上記で簡単に説明した本発明のより特定の説明は、添付の図面に図示されている特定の実施形態を参照して描写される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描いており、したがって、その範囲を限定するものとは考えられないことが理解されるべきであるが、本発明は、以下の添付の図面を使用することにより、さらなる特定および詳細をもって描写され、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による、RPAシステムを示すアーキテクチャ図である。
【0010】
図2】本発明の実施形態による、展開したRPAシステムを示すアーキテクチャ図である。
【0011】
図3】本発明の実施形態による、デザイナ、アクティビティ、およびドライバの間の関係を示すアーキテクチャ図である。
【0012】
図4】本発明の実施形態による、RPAシステムを示すアーキテクチャ図である。
【0013】
図5】本発明の実施形態による、RPAのための決定論的ワークフローにおいて確率論的モデルを使用するように構成されたコンピューティングシステムを示すアーキテクチャ図である。
【0014】
図6】本発明の実施形態による、RPAのための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのプロセスを示すフローチャートである。
【0015】
図7】本発明の実施形態による、スーパーバイザーシステムのプロセスを示すフローチャートである。
【0016】
図8】本発明の実施形態による、スーパーバイザーシステムを示すアーキテクチャ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の詳細な説明)
いくつかの実施形態は、RPAのための決定論的ワークフローにおいて確率論的モデルを使用することに関する。そのような実施形態は、例えば、初期の展開をより速くし得る。機械学習は、結果が決定論的ではないため、ステップが決定論的ではない、確率論的フレームワークを導入する。より動的なワークフローを作成するために、決定論的ワークフローと確率論的ワークフローとを混在させ得、または決定論的ワークフローに確率論的アクティビティが挿入され得る。RPAのワークフローは通常、アクティビティの数が固定されている非常に決定論的なロジスティックフローの形式である。しかし、いくつかの実施形態では、ワークフロー内の1つ以上の決定論的アクティビティの代わりに確率論的アクティビティが挿入され得る。確率論的アクティビティを挿入するために、確率論的アクティビティの信頼度など、特定の要因が考慮され得る。確率論的アクティビティに関連する機械学習(ML)モデルが、使用するのに十分な精度になるように訓練される場合、確率論的アクティビティは、決定論的アクティビティの代わりにワークフローで使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、ワークフローは、本質的に決定論的なものとして始まり、その後、確率論的なものになるように後で修正され得る。
【0018】
スーパーバイザーシステム
【0019】
しかし、確率論的システムを試験することは困難である。したがって、いくつかの実施形態では、スーパーバイザーシステムは、確率論的ワークフローを遂行するRPAロボットを監視して、正しい動作を判断するために使用される。例えば、航空機にRPAを実装する場合を考えてみよう。ロボットは、失速が起こるかもしれないとロボットが判断した場合、航空機に速度のために高度を犠牲にさせるなど、特定の制御を実行するように訓練され得る。しかし、飛行状況によっては、これが必ずしも望ましいアクションとは限らない。例えば、離陸直後にこのアクションを行うと、墜落し得る。
【0020】
スーパーバイザーシステムは、ロボットによるアクションを監視し、またシステムからの他のデータも監視し得る。上記の例では、監視されるデータは、パイロットのアクションを含んでもよい。ロボットが航空機を急降下させた直後に、スーパーバイザーシステムが判断した場合、パイロットは車輪を引いて戻して急降下を止める。次いで、スーパーバイザーシステムは、ロボットまたはロボットのワークフローの一部を無効にし、ロボットを再訓練できるように、収集したデータを送信してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、MLモデルは、それが入力側および出力側の測定基準(metric)で正しく動作していることを確認するために監視され得る。例えば、MLモデルが16のデータフィードを必要とするが、1つが壊れている場合、MLモデルは使用するのに適していない場合がある。これは「データドリフト」の監視である。入力側にデータドリフト検出器が含まれ得る。
【0022】
出力側では、どのような範囲を想定しているかが分かり得る。例えば、ある病院の再来院率が10%を超えないことが分かっているのに、290%の患者が再来院していると判断されたら、何かがおかしい。これはコンセプトドリフトと呼ばれ、これはコンセプトドリフト検出器によって監視され得る。このように、スーパーバイザーシステムは、MLモデルに対して、ある特定の方法を実行し、ある特定のパラメータを遵守することを期待し得る。データドリフト検出器がエラーを示すとき、コンセプトドリフト検出器がエラーを示すとき、またはその両方が起こるとき、スーパーバイザーシステムはアラームを発生させ得る。
【0023】
航空機に実装されたMLモデルをスーパーバイザーシステムが監視する事例を考えてみよう。操縦翼面に影響を与える特定のMLモデルが実行され、自動操縦が作動しているときに機首が積極的に降下するかまたは降下が速い場合、これはスーパーバイザーシステムによってフラグが立てられ得、MLモデルを呼び出すロボットは手動制御によって遮断またはバイパスされ得る。ロボットがミッションクリティカルではない場合、または以前のバージョンのMLモデルがミッションクリティカルなシステムで高い信頼性で動作することがわかっている場合、スーパーバイザーシステムはMLモデルを以前のバージョンにロールバックし得る。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による、RPAシステム100を示すアーキテクチャ図である。RPAシステム100は、開発者がワークフローを設計して実装することを可能にするデザイナ110を含む。デザイナ110は、アプリケーション統合のためのソリューションを提供するとともに、サードパーティアプリケーション、管理情報技術(IT)タスク、およびビジネスITプロセスを自動化する。デザイナ110は、ビジネスプロセスのグラフィック表現である自動化プロジェクトの開発を容易にし得る。簡単に言えば、デザイナ110は、ワークフローおよびロボットの開発および展開を容易にする。
【0025】
自動化プロジェクトは、本明細書で「アクティビティ」と定義されるワークフローで開発されたカスタムセットのステップ間の遂行順序および関係の制御を開発者に与えることにより、ルールベースのプロセスの自動化を可能にする。デザイナ110の実施形態の商業的な一例は、UiPath Studio(商標)である。各アクティビティは、ボタンをクリックする、ファイルを読む、ログパネルに書き込むなどのアクションを含み得る。いくつかの実施形態では、ワークフローは入れ子になっているか、または埋め込まれ得る。
【0026】
ワークフローのいくつかのタイプには、シーケンス、フローチャート、有限状態機械(FSM)、および/またはグローバル例外ハンドラなどを含み得るが、これらに限定されない。シーケンスは、ワークフローを乱雑にすることなく、あるアクティビティから別のアクティビティへのフローを可能にする、線形プロセスに特に適し得る。フローチャートは、特により複雑なビジネスロジックに適し得、複数の分岐ロジックオペレータを介して、より多様な方法で意思決定の統合およびアクティビティの接続を可能にする。FSMは、大規模なワークフローに特に適し得る。FSMは、条件(すなわち、遷移)またはアクティビティによりトリガされる有限の数の状態をそれらの遂行中に使用し得る。グローバル例外ハンドラは、遂行エラーに遭遇したときのワークフローの挙動を決定したり、プロセスをデバッグしたりするのに特に適し得る。
【0027】
ワークフローがデザイナ110内で開発されると、ビジネスプロセスの遂行は、コンダクタ120によって調整され、デザイナ110内で開発されたワークフローを遂行する1または複数のロボット130を調整する。コンダクタ120の実施形態の商業的な一例は、UiPath Orchestrator(商標)である。コンダクタ120は、環境におけるリソースの生成、監視、および展開の管理を容易にする。コンダクタ120は、サードパーティのソリューションおよびアプリケーションとの統合ポイントとして動作し得る。
【0028】
コンダクタ120は、全てのロボット130を管理し得、ロボット130を集中ポイントから接続して遂行する。管理され得るロボット130のタイプには、アテンディッドロボット132、アンアテンディッドロボット134、開発ロボット(アンアテンディッドロボット134と同様であるが、開発およびテストの目的で使用される)、および非生産ロボット(アテンディッドロボット132と同様であるが、開発およびテストの目的で使用される)が含まれるが、これらに限定されない。アテンディッドロボット132は、ユーザーイベントによってトリガされ、同じコンピューティングシステム上で人と並んで動作する。アテンディッドロボット132は、集中プロセスデプロイメントおよびロギング媒体のためのコンダクタ120とともに使用され得る。アテンディッドロボット132は、人のユーザーが様々なタスクを達成するのを支援してもよく、ユーザーイベントによってトリガされてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、このタイプのロボット上でコンダクタ120から開始することができず、および/またはそれらはロックされた画面の下で実行することができない。特定の実施形態では、アテンディッドロボット132は、ロボットトレイからまたはコマンドプロンプトからのみ起動され得る。アテンディッドロボット132は、いくつかの実施形態では、人の監督下で動作することが好ましい。
【0029】
アンアテンディッドロボット134は、仮想環境で無人で動作し、多くのプロセスを自動化し得る。アンアテンディッドロボット134は、リモート遂行、監視、スケジューリング、および作業キューのサポートの提供を担当し得る。全てのロボットタイプのためのデバッグは、いくつかの実施形態では、デザイナ110で実行され得る。アテンディッドロボットおよびアンアテンディッドロボットの両方は、メインフレーム、ウェブアプリケーション、VM、エンタープライズアプリケーション(例えば、SAP(登録商標)、SalesForce(登録商標)、Oracle(登録商標)などにより生成されたもの)、およびコンピューティングシステムアプリケーション(例えば、デスクトップおよびラップトップアプリケーション、モバイル装置アプリケーション、ウェアラブルコンピュータアプリケーションなど)を含むが、これらに限定されない様々なシステムおよびアプリケーションを自動化し得る。
【0030】
コンダクタ120は、プロビジョニング、展開、構成、キューイング、監視、ロギング、および/または相互接続性の提供を含むがこれらに限定されない様々な能力を有し得る。プロビジョニングは、ロボット130とコンダクタ120(例えば、ウェブアプリケーション)との間の接続を作成し、維持することを含み得る。展開は、遂行のために割り当てられたロボット130へのパッケージバージョンの正しい配信を保証することを含み得る。構成は、ロボット環境およびプロセス構成の維持および配信を含み得る。キューイングは、キューおよびキュー項目の管理を提供することを含み得る。監視は、ロボットの特定データを追跡し、ユーザーの権限を維持することを含み得る。ロギングは、データベース(例えば、SQLデータベース)および/または別のストレージメカニズム(例えば、大規模なデータセットを格納し、迅速にクエリを実行する能力を提供するElasticSearch(登録商標))へのログの保存およびインデックス作成を含み得る。コンダクタ120は、サードパーティのソリューションおよび/またはアプリケーションのための通信の集中点として動作することにより、相互接続性を提供し得る。
【0031】
ロボット130は、デザイナ110で構築されたワークフローを実行する遂行エージェントである。ロボット(複数可)130のいくつかの実施形態の1つの商業的な例は、UiPath Robots(商標)である。いくつかの実施形態では、ロボット130は、デフォルトで、Microsoft Windows(登録商標)Service Control Manager(SCM)管理サービスをインストールする。その結果、このようなロボット130は、ローカルシステムアカウントの下でインタラクティブなWindows(登録商標)セッションを開くことができ、Windows(登録商標)サービスの権利を有し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ロボット130は、ユーザーモードで設置され得る。このようなロボット130については、所定のロボット130が設置されているユーザーと同じ権利を有することを意味する。この特色はまた、各マシンを最大限に全活用することを保証する高密度(HD)ロボットにも利用可能であり得る。いくつかの実施形態では、いずれかのタイプのロボット130は、HD環境で構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態におけるロボット130は、複数のコンポーネントに分割され、それぞれが特定の自動化タスクに特化されている。いくつかの実施形態におけるロボットコンポーネントは、SCM管理ロボットサービス、ユーザーモードロボットサービス、エグゼキュータ、エージェント、およびコマンドラインを含むが、これらに限定されない。SCM管理ロボットサービスは、Windows(登録商標)セッションを管理および監視し、コンダクタ120と遂行ホスト(すなわち、ロボット130が遂行されるコンピューティングシステム)との間のプロキシとして動作する。これらのサービスは、ロボット130の資格情報を任されて管理する。コンソールアプリケーションは、ローカルシステム下のSCMにより起動される。
【0034】
いくつかの実施形態におけるユーザーモードロボットサービスは、Windows(登録商標)セッションを管理および監視し、コンダクタ120と遂行ホストとの間のプロキシとして動作する。ユーザーモードロボットサービスは、ロボット130の資格情報を任されて管理し得る。SCM管理ロボットサービスがインストールされていない場合、Windows(登録商標)アプリケーションが自動的に起動され得る。
【0035】
エグゼキュータは、Windows(登録商標)セッションの下で与えられたジョブを遂行し得る(つまり、ワークフローを遂行し得る。エグゼキュータは、モニタ毎のドットパーインチ(DPI)設定を意識し得る。エージェントは、システムトレイウィンドウに利用可能なジョブを表示するWindows(登録商標) Presentation Foundation(WPF)アプリケーションであり得る。エージェントはサービスのクライアントとなり得る。エージェントは、ジョブの開始または停止、設定の変更を依頼し得る。コマンドラインはサービスのクライアントである。コマンドラインは、ジョブの開始を要求し、その出力を待つことができるコンソールアプリケーションである。
【0036】
上で説明したように、ロボット130のコンポーネントが分割されていることは、開発者、サポートユーザー、およびコンピューティングシステムが、各コンポーネントが何を遂行しているかをより容易に実行し、特定し、および追跡するのに役立つ。この方法では、エグゼキュータとサービスに異なるファイアウォールルールを設定するなど、コンポーネントごとに特別な挙動を構成し得る。エグゼキュータは常に、いくつかの実施形態では、モニタごとのDPI設定を認識し得る。その結果、ワークフローは、ワークフローが作成されたコンピューティングシステムの構成に関係なく、いずれかのDPIで遂行し得る。また、いくつかの実施形態では、デザイナ110からのプロジェクトは、ブラウザのズームレベルに依存しないようにし得る。DPIを認識していないまたは意図的に認識していないとマークされているアプリケーションの場合、いくつかの実施形態ではDPIを無効にし得る。
【0037】
図2は、本発明の実施形態による、展開したRPAシステム200を示すアーキテクチャ図である。いくつかの実施形態では、RPAシステム200は、図1のRPAシステム100であってもよく、またはその一部であってもよい。クライアント側、サーバー側、またはその両方が、本発明の範囲から逸脱することなく、いずれかの所望の数のコンピューティングシステムを含むことができることに留意すべきである。クライアント側では、ロボットアプリケーション210は、エグゼキュータ212、エージェント214、およびデザイナ216を含む。しかし、いくつかの実施形態では、デザイナ216は、コンピューティングシステム210上で実行されていなくてもよい。エグゼキュータ212はプロセスを実行する。図2に示すように、複数のビジネスプロジェクトが同時に実行され得る。エージェント214(例えば、Windows(登録商標)サービス)は、本実施形態では、全てのエグゼキュータ212のための単一の接続ポイントである。この実施形態における全てのメッセージは、コンダクタ230に記録され、コンダクタ230は、データベースサーバー240、インデクササーバー250、またはその両方を介して、それらをさらに処理する。図1に関して上述したように、エグゼキュータ212は、ロボットコンポーネントであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ロボットは、マシン名とユーザー名との間の関連付けを表す。ロボットは、複数のエグゼキュータを同時に管理し得る。同時に実行される複数の対話型セッションをサポートするコンピューティングシステム(Windows(登録商標)Server 2012など)では、複数のロボットが同時に実行され得、それぞれが一意のユーザー名を使用して別々のWindows(登録商標)セッションで実行され得る。これは、上記のHDロボットと呼ばれる。
【0039】
エージェント214はまた、ロボットの状態を送信し(例えば、ロボットがまだ機能していることを示す「ハートビート」メッセージを定期的に送信する)、遂行されるパッケージの要求されるバージョンをダウンロードすることにも責任を負う。エージェント214とコンダクタ230との間の通信は、いくつかの実施形態では、常にエージェント214によって開始される。通知シナリオでは、エージェント214は、後にコンダクタ230によってロボットにコマンド(例えば、開始、停止など)を送信するために使用されるWebSocketチャネルを開いてもよい。
【0040】
サーバー側には、プレゼンテーション層(ウェブアプリケーション232、オープンデータプロトコル(OData)代表状態転送(REST)アプリケーションプログラミングインターフェース(API)エンドポイント234、通知および監視236)、サービス層(API実装/ビジネスロジック238)、永続層(データベースサーバー240、インデクササーバー250)が含まれる。コンダクタ230は、ウェブアプリケーション232、OData REST APIエンドポイント234、通知および監視236、ならびにAPI実装/ビジネスロジック238を含む。いくつかの実施形態では、ユーザーがコンダクタ220のインターフェース(例えば、ブラウザ220を介して)で実行するほとんどのアクションは、様々なAPIを呼び出すことによって実行される。このような動作は、本発明の範囲を逸脱することなく、ロボット上でのジョブの起動、キュー内のデータの追加/削除、無人で実行するジョブのスケジューリングなどを含み得るが、これらに限定されない。ウェブアプリケーション232は、サーバープラットフォームのビジュアル層である。この実施形態では、ウェブアプリケーション232は、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)およびジャバスクリプト(JS)を使用する。しかし、本発明の範囲を逸脱することなく、いずれかの所望のマークアップ言語、スクリプト言語、または他のいずれかのフォーマットを使用し得る。ユーザーは、コンダクタ230を制御するための様々な動作を実行するために、本実施形態ではブラウザ220を介してウェブアプリケーション232からのウェブページと対話する。例えば、ユーザーは、ロボットグループを作成し、ロボットへのパッケージの割り当てを行い、ロボット毎および/またはプロセス毎のログを解析し、ロボットを起動しおよび停止などし得る。
【0041】
ウェブアプリケーション232に加えて、コンダクタ230は、OData REST APIエンドポイント234を公開するサービス層も含む。しかし、本発明の範囲を逸脱することなく、他のエンドポイントが含まれていてもよい。REST APIは、ウェブアプリケーション232とエージェント214の両方により消費される。エージェント214は、本実施形態では、クライアントコンピュータ上の1または複数のロボットのスーパーバイザーである。
【0042】
本実施形態のREST APIは、構成、ロギング、監視、およびキューイング機能をカバーする。構成エンドポイントは、いくつかの実施形態では、アプリケーションのユーザー、権限、ロボット、アセット、リリース、および環境を定義し、構成するために使用されてもよい。ロギングRESTエンドポイントは、例えば、エラー、ロボットによって送信された明示的なメッセージ、およびその他の環境固有の情報など、様々な情報をログに記録するために使用され得る。展開RESTエンドポイントは、コンダクタ230においてジョブ開始コマンドが使用された場合に遂行されるべきパッケージのバージョンを問い合わせるためにロボットにより使用されてもよい。キューイングRESTエンドポイントは、キューへのデータの追加、キューからのトランザクションの取得、トランザクションのステータスの設定など、キューおよびキューアイテムの管理を担ってもよい。
【0043】
RESTエンドポイントの監視は、ウェブアプリケーション232およびエージェント214を監視してもよい。通知および監視API236は、エージェント214の登録、エージェント214への構成設定の配信、ならびにサーバーおよびエージェント214からの通知の送受信に使用されるRESTエンドポイントであってもよい。通知および監視API236は、いくつかの実施形態では、WebSocket通信を使用してもよい。
【0044】
永続層は、本実施形態では、一対のサーバー-データベースサーバー240(例えば、SQLサーバー)およびインデクササーバー250を含む。本実施形態におけるデータベースサーバー240は、ロボット、ロボットグループ、関連するプロセス、ユーザー、役割、スケジュールなどの構成を格納する。この情報は、いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーション232を介して管理される。データベースサーバー240は、キューおよびキューアイテムを管理してもよい。いくつかの実施形態では、データベースサーバー240は、ロボットにより記録されたメッセージを(インデクササーバー250に加えて、またはインデクササーバー250に代えて)格納してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では任意であるが、インデクササーバー250は、ロボットにより記録された情報を保存し、インデックスを作成する。特定の実施形態では、インデクササーバー250は、構成設定を介して無効化されてもよい。いくつかの実施形態では、インデクササーバー250は、オープンソースプロジェクトの全文検索エンジンであるElasticSearch(登録商標)を使用する。ロボットにより記録されたメッセージ(例えば、ログメッセージまたはライン書き込みのようなアクティビティを使用して)は、ロギングRESTエンドポイント(複数可)を介してインデクササーバー250に送信されてもよく、そこで将来の利用のためにそれらはインデックス化される。
【0046】
図3は、本発明の実施形態による、デザイナ310、アクティビティ320、330、およびドライバ340の間の関係300を示すアーキテクチャ図である。以上のように、開発者は、デザイナ310を用いて、ロボットによって遂行されるワークフローを開発する。ワークフローは、ユーザー定義のアクティビティ320およびUIオートメーションアクティビティ330を含んでもよい。いくつかの実施形態では、画像中の非テキストの視覚的コンポーネントを特定することができ、これは、本明細書ではコンピュータビジョン(CV)と呼ばれる。このようなコンポーネントに関連するいくつかのCVアクティビティは、クリック、タイプ、テキストを取得、ホバー、要素の有無を検出、スコープの更新、ハイライトなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、クリックは、例えば、CV、光学的文字認識(OCR)、ファジーテキストマッチング、およびマルチアンカーを使用して要素を特定し、それをクリックする。タイプは、上記および要素内のタイプを用いて要素を特定してもよい。テキストの取得は、特定のテキストの場所を特定し、OCRを使用してそれをスキャンし得る。ホバーは、要素を特定し、その上にホバーし得る。要素の有無の検出は、上述した技術を用いて、画面上に要素の有無を検出するかどうかを確認し得る。いくつかの実施形態では、デザイナ310に実装され得る数百または数千でさえのアクティビティが存在してもよい。しかし、本発明の範囲を逸脱することなく、いずれかの数および/またはアクティビティのタイプを利用することができる。
【0047】
UIオートメーションアクティビティ330は、低レベルのコード(例えば、CVアクティビティ)で記述され、画面との対話を促進する特別な低レベルのアクティビティのサブセットである。UIオートメーションアクティビティ330は、ロボットが所望のソフトウェアと対話することを可能にするドライバ340を介して、これらの対話を促進する。例えば、ドライバ340は、OSドライバ342、ブラウザドライバ344、VMドライバ346、エンタープライズアプリケーションドライバ348などを含んでもよい。
【0048】
ドライバ340は、フックを探したり、キーを監視したりするなど、低レベルでOSと対話してもよい。それらは、Chrome(登録商標)、IE(登録商標)、Citrix(登録商標)、SAP(登録商標)などとの統合を促進してもよい。例えば、「クリック」アクティビティは、ドライバ340を介して、これらの異なるアプリケーションにおいて同じ役割を果たす。
【0049】
図4は、本発明の実施形態による、RPAシステム400を示すアーキテクチャ図である。いくつかの実施形態では、RPAシステム400は、図1および/または図2のRPAシステム100および/または200であってもよいし、それを含んでもよい。RPAシステム400は、ロボットを実行する複数のクライアントコンピューティングシステム410を含む。コンピューティングシステム410は、その上で実行されるウェブアプリケーションを介してコンダクタコンピューティングシステム420と通信することができる。コンダクタコンピューティングシステム420は、順番に、データベースサーバー430および任意のインデクササーバー440と通信することができる。
【0050】
図1および図3に関して、これらの実施形態ではウェブアプリケーションが使用されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切なクライアント/サーバーソフトウェアを使用することができることに留意すべきである。例えば、コンダクタは、クライアントコンピューティングシステム上で、非ウェブベースのクライアントソフトウェアアプリケーションと通信するサーバーサイドアプリケーションを実行してもよい。
【0051】
図5は、本発明の実施形態による、RPAのための決定論的ワークフローにおいて確率論的モデルを使用するように構成されたコンピューティングシステム500を示すアーキテクチャ図である。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム500は、本明細書に描かれたおよび/または記載された1または複数のコンピューティングシステムであってもよい。コンピューティングシステム500は、情報を通信するためのバス505または他の通信機構と、情報を処理するためのバス505に結合されたプロセッサ(複数可)510とを含む。プロセッサ(複数可)510は、中央処理ユニット(CPU)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、それらの複数のインスタンス、および/またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、いずれかのタイプの一般的または特定用途向けプロセッサであり得る。プロセッサ(複数可)510はまた、複数の処理コアを有してもよく、コアの少なくとも一部は、特定の機能を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数並列処理が使用されてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ(複数可)510は、生物学的ニューロンを模倣する処理要素を含むニューロモーフィック回路であり得る。いくつかの実施形態では、ニューロモーフィック回路は、フォンノイマンコンピューティングアーキテクチャの典型的なコンポーネントを必要としない場合がある。
【0052】
コンピューティングシステム500は、プロセッサ(複数可)510によって遂行される情報および命令を格納するためのメモリ515をさらに含む。メモリ515は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、キャッシュ、磁気ディスクもしくは光ディスクなどの静的記憶装置、または他のタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体、あるいはそれらのいずれかの組み合わせで構成され得る。非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体は、プロセッサ(複数可)510によりアクセス可能ないずれかの利用可能な媒体であってもよく、揮発性媒体、不揮発性媒体または両方などを含み得る。また、媒体は、取り外し可能なもの、取り外し不可能なもの、または両方であってもよい。
【0053】
さらに、コンピューティングシステム500は、無線および/または有線接続を介して通信ネットワークへのアクセスを提供するために、トランシーバなどの通信装置520を含む。いくつかの実施形態では、通信装置520は、周波数分割多元接続(FDMA)、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、直交周波数分割多重方式(OFDM)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、移動体用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile)通信、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、cdma2000、広帯域CDMA(W-CDMA:Wideband CDMA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High-Speed Downlink Packet Access)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High-Speed Uplink Packet Access)、高速パケットアクセス(HSPA:High-Speed Packet Access)、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)、LTEアドバンスト(LTE-A:LTE Advanced)、802.11x、Wi-Fi、Zigbee、超広帯域無線(UWB:Ultra-WideBand)、802.16x、802.15、Home Node-B(HnB)、Bluetooth、無線IDタグ(RFID:Radio Frequency Identification)、IrDA(Infrared Data Association)、近距離無線通信(NFC:Near-Field Communications)、第5世代(5G)、New Radio(NR)、それらのいずれかの組み合わせ、および/または本発明の範囲から逸脱することなく、いずれかの他の現在存在するまたは将来実装される通信標準および/またはプロトコルを使用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信装置520は、本発明の範囲から逸脱することなく、単数のアンテナ、アレイ状のアンテナ、フェーズドアンテナ、スイッチドアンテナ、ビームフォーミングアンテナ、ビームステアリングアンテナ、それらの組み合わせ、および/またはいずれかの他のアンテナ構成である1または複数のアンテナを含み得る。
【0054】
プロセッサ(複数可)510は、バス505を介して、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、フレキシブルOLEDディスプレイ、フレキシブル基板ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、4Kディスプレイ、高精細ディスプレイ、Retina(登録商標)ディスプレイ、IPS(In-Plane Switching)ディスプレイ、またはユーザーに情報を表示するためのいずれかの他の適切なディスプレイなどのディスプレイ525にさらに結合されている。ディスプレイ525は、抵抗方式、静電容量方式、表面弾性波(SAW)静電容量方式、赤外線方式、光学イメージング方式、分散信号方式、音響パルス認識方式、フラストレート全内部反射方式などを用いて、タッチ(ハプティック)ディスプレイ、3次元(3D)タッチディスプレイ、マルチ入力タッチディスプレイ、マルチタッチディスプレイなどとして構成されていてもよい。本発明の範囲を逸脱することなく、いずれかの好適な表示装置およびハプティックI/Oを使用することができる。
【0055】
コンピュータマウス、タッチパッドなどのようなキーボード530およびカーソル制御装置535は、ユーザーがコンピューティングシステムとインターフェースすることを可能にするために、バス505にさらに結合されている。しかしながら、特定の実施形態では、物理的なキーボードおよびマウスが存在しない場合があり、ユーザーは、ディスプレイ525および/またはタッチパッド(図示せず)のみを介してデバイスと対話することができる。任意の入力デバイスの種類および組み合わせは、設計の選択の問題として使用され得る。特定の実施形態では、物理的な入力装置および/またはディスプレイは存在しない。例えば、ユーザーは、コンピューティングシステム500と通信している別のコンピューティングシステムを介してリモートでコンピューティングシステム500と対話してもよいし、コンピューティングシステム1000は自律的に動作してもよい。
【0056】
メモリ515は、プロセッサ(複数可)510により遂行されたときに機能を提供するソフトウェアモジュールを格納する。モジュールは、コンピューティングシステム500のためのオペレーティングシステム540を含む。モジュールはさらに、本明細書に記載されたプロセスの全部もしくは一部またはその派生物を実行するように構成された確率論的モデル545を含む。コンピューティングシステム500は、付加的な機能を含む1または複数の付加的な機能モジュール550を含み得る。
【0057】
当業者であれば、「システム」は、本発明の範囲から逸脱することなく、サーバー、組み込みコンピューティングシステム、パーソナルコンピュータ、コンソール、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、タブレットコンピューティングデバイス、量子コンピューティングシステム、または他のいずれかの適切なコンピューティングデバイス、またはデバイスの組み合わせとして具現化され得ることを理解するであろう。上述した機能を「システム」により実行されるものとして提示することは、何ら本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の多くの実施形態の一例を提供することを意図するものである。実際、本明細書に開示された方法、システム、および装置は、クラウドコンピューティングシステムを含むコンピューティング技術と整合性のあるローカライズされた形態および分配された形態で実装されてもよい。
【0058】
本明細書で説明するシステム特色のいくつかは、実装の独立性をより強調するために、モジュールとして提示されていることに留意すべきである。例えば、モジュールは、カスタムの非常に大規模な集積(VLSI)回路またはゲートアレイ、ロジックチップ、トランジスタ、または他の個別部品のような既製の半導体を含むハードウェア回路として実装され得る。また、モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジック装置、グラフィックス処理ユニットなどのプログラマブルハードウェア装置に実装され得る。
【0059】
モジュールはまた、様々なタイプのプロセッサにより遂行されるためのソフトウェアに少なくとも部分的に実装され得る。例えば、遂行可能コードの特定された単位は、例えば、オブジェクト、プロシージャ、または関数として編成されていてもよいコンピュータ命令の1または複数の物理的または論理的なブロックを含み得る。それにもかかわらず、遂行可能な特定されたモジュールは、物理的に一緒に配置されている必要はなく、論理的に結合されたときにモジュールを含み、モジュールのために述べられた目的を達成するために、異なる場所に格納された別々の命令を含んでいてもよい。さらに、モジュールは、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュ装置、RAM、テープのようなコンピュータ読み取り可能な媒体、および/または本発明の範囲から逸脱することなくデータを格納するために使用される他のいずれかの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されていてもよい。
【0060】
実際、遂行可能コードのモジュールは、単一の命令であってもよいし、多数の命令であってもよいし、さらには、複数の異なるコードセグメント、異なるプログラム間、および複数のメモリ装置間に分散されていてもよい。同様に、動作データは、モジュール内で特定され、ここで示されてもよく、いずれかの適切なタイプのデータ構造体内でいずれかの適切な形態で具現化され、組織化され得る。動作データは、単一のデータセットとして収集されてもよいし、または異なる記憶装置にわたり異なる場所に分散されていてもよく、少なくとも部分的には、単にシステムまたはネットワーク上の電子信号として存在していてもよい。
【0061】
図6は、本発明の実施形態による、RPAのための決定論的ワークフローに確率論的モデルを実装するためのプロセス600を示すフローチャートである。プロセスは、610において、RPAロボットのための決定論的RPAワークフローを生成することから始まる。決定論的RPAワークフローを遂行するように構成されたRPAロボットが、620で生成される。その後、RPAロボットは、630で展開される。
【0062】
決定論的RPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるための確率論的アクティビティに関連するMLモデルが、640で訓練される。データは、650において、決定論的ワークフローを実装するRPAロボット、それらの関連するコンピューティングシステム、またはその両方から収集される。例えば、データは、ロボットによって行われる動作、コンピューティングシステムとのユーザーインタラクション(例えば、押されたボタン、マウスの動き、使用されるアプリケーションなど)、コンピューティングシステムによって実行されるプロセス、ユーザーによって行われる修正などを含み得るが、これらに限定されない。次に、このデータは、660において所望の信頼性閾値が達成されるまで、MLモデルを定期的に再訓練するために使用される。次に、決定論的アクティビティを置き換える確率論的アクティビティを含む確率論的ワークフローが670で生成され、ワークフローを実装するRPAロボットが680で生成され、展開される。
【0063】
図7は、本発明の実施形態による、スーパーバイザーシステムのプロセス700を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、プロセス700は、図8のスーパーバイザーシステム810を介して実装され得る。プロセスは、スーパーバイザーシステムが、710においてRPAワークフロー内の確率論的アクティビティによって呼び出されたMLモデルを監視し、データドリフト検出器を介した入力側およびコンセプトドリフト検出器を介した出力側の測定基準(metric)を用いてMLモデルが正しく動作していることを確認することから始まる(または図6から継続される)。いくつかの実施形態では、スーパーバイザーシステムは、複数のMLモデルを監視し得る。特定の実施形態では、コンセプトドリフト検出器は、出力が所定の範囲内に収まっているかどうかを判断する。
【0064】
720でエラーが検出されない場合、710で監視を継続する。しかし、データドリフト検出器、コンセプトドリフト検出器、またはその両方がエラーを示すと、730でアラームが発生する(例えば、エラーが検出されたことをコンピューティングシステムまたはロボットにメッセージを送信する)。その後、スーパーバイザーシステムは、740において是正措置を講じる。是正措置は、RPAロボットを無効にすること、RPAロボットをバイパスすること、MLモデルの以前のバージョンにロールバックすることなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0065】
図8は、本発明の実施形態による、スーパーバイザーシステム810の動作を示すアーキテクチャ図800である。スーパーバイザーシステムは、MLモデル820への入力を監視するデータドリフト検出器と、MLモデル820からの出力を監視するコンセプトドリフト検出器814とを含む。RPAロボット830は、MLモデル820を呼び出す。スーパーバイザーシステム810が、データドリフト検出器812および/またはコンセプトドリフト検出器814からエラーを受信すると、スーパーバイザーシステム810は、RPAロボット830を無効にするまたはバイパスし、アラームを発生させるなどし得る。
【0066】
図6および7で実行されるプロセスステップは、本発明の実施形態に従って、図6および7で説明したプロセス(複数可)の少なくとも一部を実行するようにプロセッサ(複数可)への命令をエンコードするコンピュータプログラムによって実行されてもよい。コンピュータプログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ハードディスクドライブ、フラッシュ装置、RAM、テープ、および/またはデータを格納するために使用される他のそのような媒体または媒体の組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。コンピュータプログラムは、図6および7に記載されたプロセスステップの全部または一部を実装するために、コンピューティングシステム(例えば、図5のコンピューティングシステム500のプロセッサ(複数可)510)のプロセッサ(複数可)を制御するためのコード化された命令を含んでもよく、これはまた、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。
【0067】
コンピュータプログラムは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハイブリッド実装で実装され得る。コンピュータプログラムは、互いに動作可能な通信を行うモジュールで構成され得、情報または指示をディスプレイに送るように設計されている。コンピュータプログラムは、汎用コンピュータ、ASIC、またはいずれかの他の好適な装置で動作するように構成され得る。
【0068】
本発明の様々な実施形態のコンポーネントは、本明細書に一般的に記載され、図示されているように、様々な異なる構成で配置され、設計されてもよいことが、容易に理解されるであろう。したがって、添付の図に表されるような本発明の実施形態の詳細な説明は、特許請求されるような本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の選択された実施形態を代表するものにすぎない。
【0069】
本明細書を通して記載された本発明の特色、構造、または特徴は、1または複数の実施形態では、いずれかの好適な方法で組み合わせられ得る。例えば、本明細書全体を通して「特定の実施形態」、「いくつかの実施形態」、または類似の言語を参照することは、実施形態に関連して記載された特定の特色、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体を通して「特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「他の実施形態では」、または類似の言語の出現は、必ずしも全ての実施形態の同じグループを指すものではなく、記載された特色、構造、または特徴は、1または複数の実施形態ではいずれかの好適な方法で組み合わせられ得る。
【0070】
本明細書全体を通して特色、利点、または類似の言語への参照は、本発明で実現され得る特色および利点の全てが、本発明のいずれかの単一の実施形態にあるべきであること、または本発明のいずれかの実施形態にあることを意味するものではないことに留意すべきである。むしろ、特色および利点に言及する言語は、実施形態に関連して記載された特定の特色、利点、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。したがって、本明細書全体での特色および利点の議論、ならびに類似の言語は、同じ実施形態を参照することができるが、必ずしもその必要性はない。
【0071】
さらに、本発明の記載された特色、利点、および特徴は、1または複数の実施形態では、いずれかの好適な方法で組み合わせることができる。関連する技術の当業者は、本発明が、1または複数の特定の実施形態の特定の特徴または利点なしに実施され得ることを認識するであろう。他の例では、追加の特徴および利点は、本発明の全ての実施形態には存在しないかもしれない特定の実施形態では認識され得る。
【0072】
本分野における通常の技術を有する者は、上述したような本発明を、異なる順序でのステップを用いて、および/または開示されているものとは異なる構成のハードウェア要素を用いて実施することができることを容易に理解するであろう。したがって、本発明は、これらの好ましい実施形態に基づいて説明されてきたが、本発明の精神および範囲内にとどまりながら、特定の変更、変形、および代替的な構成が明らかになることは、当業者には明らかであろう。
【0073】
一実施形態において、コンピュータ実装方法は、決定論的RPAワークフローを生成することと、決定論的RPAワークフローにおける決定論的アクティビティを置き換えるために確率論的アクティビティに関連するMLモデルを訓練することと、を含む。コンピュータ実装方法はまた、決定論的ワークフローを実装するRPAロボットおよびそれらの関連するコンピューティングシステムからデータを収集し、信頼性閾値が達成されるまでMLモデルを定期的に再訓練するために、収集したデータを使用することを含む。次に、コンピュータ実装方法は、確率論的アクティビティを含む確率論的ワークフローを生成することと、決定論的アクティビティを置き換えることと、を含む。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】