(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】圧力センサを備えた膣内リング
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221209BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A61B5/00 101M
A61M5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521496
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020078474
(87)【国際公開番号】W WO2021069699
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515245343
【氏名又は名称】リ・ガリ・ベスローテン・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】LI GALLI B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ・ラート,ウィルヘルムス・ニコラース・ジェラルドゥス
【テーマコード(参考)】
4C066
4C117
【Fターム(参考)】
4C066AA04
4C117XA02
4C117XB04
4C117XC21
4C117XD26
4C117XD40
4C117XE27
4C117XH02
4C117XH12
4C117XJ13
4C117XJ45
4C117XJ48
4C117XN05
4C117XP12
4C117XR02
(57)【要約】
本発明は、被験者の腹腔内圧を求めるための装置に関し、この装置は、膣内リングを備え、膣内リングは、圧力センサと、圧力センサによって測定された腹腔内圧の値を登録するための手段と、腹腔内圧が基準値を超えた場合に警告信号を生成するための手段とを備える。本発明はまた、被験者の腹腔内圧を求める方法に関し、この方法は、a)膣内の腹腔内圧を、本発明の装置によって測定するステップと、b)測定された腹腔内圧の値を基準値と比較するステップと、c)腹腔内圧の値が基準値を超えた場合、上記装置内の振動要素を刺激する警告信号を、装置に、またはスマートフォンもしくはスマートウォッチ等の外部装置に、送信することにより、警告を与えて、腹腔内圧を下げるために被験者の行動を変えさせるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の腹腔内圧を求めるための装置であって、前記装置は膣内リングを備え、前記膣内リングは、圧力センサと、前記圧力センサによって測定された腹腔内圧の値を登録するための手段と、前記腹腔内圧が基準値を超えた場合に警告信号を生成するための手段とを備える、装置。
【請求項2】
測定された前記腹腔内圧の値を、外部装置に、特に被験者の体外のコンピュータに送信するための手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンピュータから命令を受信するための手段をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項4】
前記警告信号を生成するための手段は、前記リングに組み込まれた振動要素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記警告信号を生成するための手段は、警告信号を外部装置に無線送信するための手段を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記外部装置はスマートフォンまたはスマートウォッチである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記警告信号を生成するための手段は、前記被験者の体外のコンピュータから命令を受信するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記警告信号を生成するための手段は、前記圧力センサから命令を受信するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
薬剤送達手段をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記薬剤送達手段は、前記腹腔内圧が基準値を超えた場合の警告信号の生成に応じて薬剤を送達するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記薬剤送達手段は要求に応じて薬剤を送達するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
電気刺激を生成するための手段をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記膣内リングは、
第1の端部および第2の端部を有する第1の剛性部材と、
第3の端部および第4の端部を有する第2の剛性部材と、
前記第1の端部と前記第3の端部との間に結合された第1の可撓性部材と、
前記第2の端部と前記第4の端部との間に結合された可撓性部分と、
任意で、送達する薬剤を保持する容器、開口部、および、前記薬剤を前記開口部からポンピングするためのポンプとを備え、
前記第1の可撓性部材および/または可撓性部分は、前記第2の端部と前記第4の端部とを一緒にすることによって前記装置が押し潰されるようにすることにより、前記リングの形状を拡張形状から圧潰形状に変形させて、前記装置を、被験者の、後膣円蓋またはその近傍で、膣の中へ挿入することができるように、構成され、前記拡張形状は、実質的に楕円形または環状のリング形状に対応し、
前記第1の可撓性部材および前記可撓性部分のうちの少なくとも一方は、前記装置が、外力が加えられていないときに前記拡張形状を呈すべく、予め付勢されるように、少なくとも部分的に弾性を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
被験者の腹腔内圧を求める方法であって、前記方法は、
a)膣内の腹腔内圧を、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置によって測定するステップと、
b)測定された前記腹腔内圧の値を基準値と比較するステップと、
c)前記腹腔内圧の値が前記基準値を超えた場合、前記装置内の振動要素を刺激する警告信号を、前記装置に、またはスマートフォンもしくはスマートウォッチ等の外部装置に、送信することにより、警告を与えて、前記腹腔内圧の値を下げるために被験者の行動を変えさせるステップとを含む、方法。
【請求項15】
膣内への薬剤の放出を開始させるために命令が前記薬剤送達手段に送信される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、腹腔内圧を測定するための装置に関する。本発明はさらに、そのような測定の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腹腔内圧(IAPと略される)の測定は、50年以上にわたって行われてきた。IAPの測定、骨盤底の病態および尿失禁(すなわち緊張性尿失禁)との(因果)関係、膣壁脱の手術、および再発の理由に関する、数多くの刊行物がある。
【0003】
現在、測定は通常、尿力学検査によって行われ、これは、膀胱、尿道、および直腸の内部の圧力を、いずれもこれらの臓器内のカテーテルを用い、診察室、病院、または研究室内で発生する状況において、検査する方法であり、この場合、膀胱は、異なる溶液の充填および異なる温度を媒介として、収縮するように刺激される。
【0004】
この方法の長年にわたる経験および改良にもかかわらず、尿力学検査は、表示および結果についても再現性についても、未だに議論の余地がある。脚を高くした患者の仰臥位、挿入されたカテーテル、ならびに検査における医師および/または看護師の存在は、生理学的状況を代表するものではないと考えられる。
【0005】
膣もIAPを確実に測定するのに適した場所として確認されている。Coleman他(Development of a wireless intra-vaginal transducer for monitoring intra-abdominal pressure in women. Biomed Microdevices 2012; 14 (2): 347-355)は、IAPを膣内で測定するための円筒形のエラストマーカプセルを説明している。Colemanの装置は、他のさまざまなグループによってテストされた。これらの研究で使用された装置は、センサおよび電子機器を備えたカプセルの設計を有し、タンポンに倣ってモデル化された。これは、いくつかの異なる日常活動の実行中に、有線でテストされ、その後無線でテストされた。臨床評価は当初、トランスデューサを快適で保持し易いものとして認めた。
【0006】
しかしながら、圧力の記録のばらつきは、異なるセッションにおける同一の患者間、同様の運動における異なる患者間、および、異なる活動間で、明らかに異なっているように見えた(Shaw et al.; Intra-abdominal pressures during activity in women using an intra-vaginal pressure transducer. J Sports Sci: 2014; 32 (12) 1176-1185)。これらの結果は、カプセル装置で確実な無線登録および送信を確立することはできないことも示した。信号の強度および膣内におけるトランスデューサの不安定な配置が理由として発表された(Niederauer et al.; Development of a novel intra-abdominal pressure transducer for large scale clinical studies. Biomed Microdevices: 19(4) 80)。
【0007】
これらの研究は、IAPの増加が、発現、手術結果または術後の再発に影響すると言われている、骨盤底の問題を扱っている。
【0008】
骨盤手術後の活動の制限は、おそらく回復の支援に役立つが、今までのところ立証されていない。これは、とりわけ、IAPを継続的にかつ通常の日常的状況の下で監視できないことに原因がある。活動を制限すると、有害な結果が生まれる可能性もあるが、そのことも立証されていない。発明者らは、より多くの生理学的な日常的状況の下での無線検査は、患者に複数のセンサが装着されその場に研究者が付き添っている診察室または研究室という環境での検査よりも、関連性の高いデータをもたらすはずであると考えた。
【0009】
そのため、本発明の目的は、より多くの生理学的状況の下で腹腔内圧を検査するための手段を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
したがって、本発明は、被験者の腹腔内圧を求めるための装置に関し、この装置は膣内リングを備え、膣内リングは、圧力センサと、圧力センサによって測定された腹腔内圧の値を登録するための手段と、腹腔内圧が基準値を超えた場合に警告信号を生成するための手段とを備える。
【0011】
他の実施形態において、この装置は、測定された腹腔内圧の値を、外部装置に、特に被験者の体外のコンピュータに送信するための手段をさらに備える。
【0012】
この装置は、コンピュータから命令を受信するための手段をさらに備える。
警告信号を生成するための手段は、リングに組み込まれた振動要素、または、警告信号を外部装置に無線送信するための手段、またはこれらの組み合わせを含む。この文脈において、外部装置はたとえばスマートフォンまたはスマートウォッチである。
【0013】
警告信号を生成するための手段は、被験者の体外のコンピュータからおよび/または圧力センサから命令を受信するように適切に構成されている。
【0014】
さらに他の実施形態において、この装置は薬剤送達手段をさらに備える。
薬剤送達手段は、腹腔内圧が基準値を超えた場合の警告信号の生成に応じて薬剤を送達するように適切に構成されている。
【0015】
別の実施形態において、薬剤送達手段は要求に応じて薬剤を送達するように構成されている。
【0016】
この装置は、電気刺激を生成するための手段をさらに備えていてもよい。
本発明の装置は、WO2017060299に記載されている膣内リングの形態を適切に呈することができる。よって、膣内リングは、
第1の端部および第2の端部を有する第1の剛性部材と、
第3の端部および第4の端部を有する第2の剛性部材と、
第1の端部と第3の端部との間に結合された第1の可撓性部材と、
第2の端部と第4の端部との間に結合された可撓性部分と、
任意で、送達する薬剤を保持する容器、開口部、および、薬剤を開口部からポンピングするためのポンプとを備え、
第1の可撓性部材および/または可撓性部分は、第2の端部と第4の端部とを一緒にすることによって装置が押し潰されるようにすることにより、リングの形状を拡張形状から圧潰形状に変形させて、装置を、被験者の、後膣円蓋またはその近傍で、膣の中へ挿入することができるように、構成され、拡張形状は、実質的に楕円形または環状のリング形状に対応し、
第1の可撓性部材および可撓性部分のうちの少なくとも一方は、この装置が、外力が加えられていないときに拡張形状を呈すべく、予め付勢されるように、少なくとも部分的に弾性を有する。
【0017】
本発明はさらに、被験者の腹腔内圧を求める方法に関し、この方法は、
a)膣内の腹腔内圧を、本明細書に記載の装置によって測定するステップと、
b)測定された腹腔内圧の値を基準値と比較するステップと、
c)腹腔内圧の値が基準値を超えた場合、装置内の振動要素を刺激する警告信号を、装置に、またはスマートフォンもしくはスマートウォッチ等の外部装置に、送信することにより、警告を与えて、腹腔内圧の値を下げるために被験者の行動を変えさせるステップとを含む。
【0018】
さらに他の実施形態において、膣内への薬剤の放出を開始させるために命令が薬剤送達手段に送信される。
【0019】
詳細な説明
この装置の機能は、上昇したIAPを登録することである。このような上昇したIAPが測定された場合、被験者は、その行動を変えてIAPを再び下げるよう警告される。これはある種の警告信号によって適切に行われる。警告信号は、単純にコンピュータのような外部装置上の通知であってもよい。この装置が診断に用いられる場合、コンピュータは、診察室、病院または研究室にあってもよい。
【0020】
好ましい実施形態において、警告信号は、被験者自身に直接送信される。このようにして、被験者は直ちにその行動を変えることによって対応することができる。
【0021】
一実施形態において、警告信号は、リング自体によって生成される。そのために、たとえば振動要素がリングに組み込まれてもよい。上昇したIAPを登録すると、リングは振動を開始し被験者はこれによって直ちに警告される。
【0022】
別の実施形態において、警告信号は、コンピュータ、またはタブレット、またはスマートフォンもしくはスマートウォッチ等のモバイルデバイスのような、外部装置上に表示される。この装置は、警告信号を無線通信によって直接外部装置に適切に送信する。
【0023】
別の実施形態において、センサによって測定されたIAP値は、コンピュータ等の外部装置に送信され、この外部装置において、IAPが基準値を超過しているか否かが判断される。その場合、コンピュータは、警告信号を、リングの振動要素に、またはユーザが携帯しているモバイルデバイスに送信する。
【0024】
これに代えて、この装置は、基準値を超えるIAP値を認識し、振動要素を起動するまたは警告をモバイルデバイスに送信することにより、警告信号を直接生成するようにプログラムされてもよい。
【0025】
本発明の装置において、圧力センサは、膣内リング上に、具体的には弾性を有するリング上に搭載されているので、安定してかつ安全に膣壁と接触する。この可撓性のリングは、挿入後に膣壁まで拡大し、安定した位置に達することで、膀胱またはリングのその他任意の位置に最も近い膣壁とセンサとが継続的に接触することを保証する。これにより、一貫した圧力センサの登録が可能になる。これに対し、先行技術のカプセル装置は、膣壁と安定して接触しておらず固定的にも接触していない。ユーザの膣と直腸との間の筋肉組織が弱くなると、タンポン形状の装置は、圧力の上昇時に直腸の方向に移動する。この移動中、装置には抵抗が生じないので、結果として、測定されたIAP値は不正確になる可能性がある。この装置においてWO2017060299に記載のリングが使用された場合、これは起こり得ない。なぜなら、仙骨子宮靱帯の反力の結果生じる移動が、後円蓋内の剛性部品(ヒンジ)の配置によって妨げられるからである。
【0026】
この装置のリング形状は、十分に長いアンテナの使用も可能にする。この特徴により、登録データをデータ分析および警告送信のためにセンサから外部装置に無線送信することが可能になる。このことは、通常の日常の生理学的状況下における患者に対する外来測定の機会をもたらして、より信頼性の高い結果を提供する。
【0027】
この装置は、臓器脱手術の患者を指導する方法に使用することもできる。術後に、これらの患者は、手術の最適な結果を保証するためにはどのように行動すべきかについて多数の異なる方法でアドバイスを受ける。現在、このアドバイスは大きく異なっている(リフト、ホイスト、くしゃみなどを避ける)が、決して客観的な定量的信号に基づいている訳ではない。
【0028】
一実施形態において、腹腔内圧が、骨盤または腹部手術後の組織、特に骨盤底筋肉および膣組織の治癒に有害であると考えられる値に達したときに、警告が発せられる。
【0029】
このリングは、追加のパラメータを1つ以上の他のセンサで測定するために使用することができる。たとえば、IAPと膀胱内圧とを、どちらも測定する1つのセンサのみで、または2つ以上のセンサで、同時に測定することが可能である。
【0030】
この装置は、診断を膣リングでの治療と統合するための薬剤送達手段をさらに含み得る。
【0031】
薬剤送達手段は、IAP、腹部手術および関連する症状の治療においてある役割を有する何らかの薬剤の送達に使用することができる。この装置は、たとえば、閉経後の女性にエストロゲンを投与して手術後の膣壁の治癒の過程を改善するために使用することができる。
【0032】
この装置は、過活動膀胱(OAB)を膣圧の検知を用いる信号分析によって診断する、いわゆる尿力学的調査(UDI)の一部として使用することができる。
【0033】
この装置が薬剤送達手段を備えている場合、抗コリン薬およびβアドレナリン薬、特にオキシブチニン等の薬剤の送達は、要求に応じて圧力センサ信号により引き起こすことができる、または、診断センサ信号と薬剤送達手段との間の閉ループで自動化することができる。外来設定における膣内圧の変化とOABの発現との関係は、今までにないものである。無線膣内圧センサは、通常の日常外来状況下でIAPを記録し尿失禁との関係を評価するためにはまだ使用されていない。
【0034】
本発明のもう1つの局面は、筋肉、たとえば骨盤底筋肉に対する電気刺激の生成に関する。電気刺激は、要求に応じて圧力センサ信号により引き起こすことができる、または、診断センサ信号と電気刺激生成手段との間の閉ループで自動化することができる。これにより、骨盤底または他の腹部筋肉に対する、個人専用のプログラム可能な電気刺激を生成することができる。
【0035】
本発明の装置は、IAPの上昇を伴う症状の、任意で治療と組み合わされる、さまざまな他の診断方法において、使用することができる。これは、たとえば、腸疾患の特定のパターン(たとえば過敏性腸疾患、クローン病、慢性便秘)を診断し、治療による改善を評価する、またはCOPDの治療におけるIAPの変化を評価するために使用することができる。IAPは、肺の閉塞によって上昇することが知られている。長期にわたる個々の変化を評価するために数週間IAPを継続的に登録することも可能である。このリングは、従来の尿力学検査で使用される直腸内圧カテーテルの代わりに使用することもできる。
【0036】
このように、本発明は、通常の日常の状況および活動の下での腹腔内圧変化の、外来/病院外での検査を可能にする。なぜなら、測定結果は、遠隔のコンピュータ/ハンドヘルドデバイスに無線で伝えられるからである。したがって、このリングは、従来の尿力学検査(臨床設定)に代わるものとして機能することができる。
【0037】
本発明は、臓器脱および腹部ヘルニアの手術後の術後回復を、ハンドヘルドデバイスによる警告信号を介して高すぎる腹部内圧を制限し回避することにより、容易にする。
【0038】
この装置は、体位との関連でIAPを測定するジャイロスコープセンサをさらに含み得る。
【0039】
本発明の装置で使用するのに特に適したある膣内リングがWO2017060299に記載されている。
【0040】
本発明の装置は、被験者の腹腔内圧を求める方法に使用することができ、腹腔内圧は、膣内で、本明細書に記載の装置によって測定され、測定された腹腔内圧は、基準値と比較され、腹腔内圧が基準値を超えた場合、装置内の振動要素を刺激する警告信号が、装置に、またはスマートフォンもしくはスマートウォッチ等の外部装置に送信される。このようにして、直ちに警告を与えて、腹腔内圧の値を下げるために被験者の行動を変えさせる。
【0041】
圧力センサおよびその他のセンサは、リング上に装着されてもよいが、好適にはリング構造に組み込まれる。
【0042】
IAPを測定すること、および、IAP値が基準値を超えた場合に警告信号を生成することに加えて、命令を薬剤送達手段に送信して薬剤の膣内への放出を開始することができる。
【0043】
以下の実施例において本発明をさらに説明するが、この実施例は、例示のみを目的として提供され、本発明を限定することは全く意図していない。
【0044】
実施例では以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】センサが装着された膣内リングの写真の図である。
【
図4】Sentron社のフルブリッジ圧力センサP4.3の仕様書(E7500349.01)の図であり、P4.3圧力センサは、フルホイートストンブリッジを備えた最新の微小ピエゾ圧力センサであり、フルホイートストンブリッジは、優れた線形性および温度特性を保証し、Sentron社の最新処理技術は、センサの寸法(長さ×幅×高さ:1770×970×300m)を非常に小さくしておくことを可能にし、センサの長さが短いので、曲げ半径を小さくすることができ、カテーテル屈曲中のセンサに対する応力が減じられる。
【
図5】本発明の装置により膣内で測定されたIAPおよび従来の膀胱内測定によるIAPの登録の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施例
試験的に、従来のUDIを、(通常の直腸センサの代わりに)本発明の膣内装置および膀胱内センサを用いて実行した。UDIは30分間実行された。患者に2~3回咳をするよう頼んで腹腔内圧を引き起こした。膀胱を水でゆっくりと充填した。
【0047】
IAPを、膣リングに装着された膣内圧センサで記録した。
使用された圧力センサは、添付の仕様(
図4)に従う、オランダのレーク(Leek)にあるウェリンク(Wellinq)社から提供されたものである(
図1、
図2および
図3参照)。
【0048】
使用された記録装置は、Uromic Jive(Medkonsult)であった。
図5は、膣内圧センサ(「膣」が示された中央の線)が、従来の膀胱内圧測定(「膀胱」が示された上の線)との比較において、腹腔内圧を明確に登録したことを示す。膣圧の記録は、膀胱内圧記録に非常に似ている信号を示した。
【0049】
圧力センサが搭載された膣リングは、腹腔内圧の相違を明確に登録する。本発明の装置は、送信手段を適切に備えているので、結果をオンラインでコンピュータに送信することができる。このことは、各種カテーテルおよび膀胱刺激を用いる診察室内よりも多くの生理学的状況下におけるモバイルUDIのより長期にわたる登録の可能性をもたらす。
【0050】
これはまた、通常の日常活動において治癒の過程を危険に晒す過剰な腹腔内圧が加えられたときに装置が(たとえばアプリを介して)患者に信号で知らせる場合、難しい術後期間を通して患者を導く可能性をもたらす。
【国際調査報告】