(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】指向性自己組織化リソグラフィ方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20221209BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20221209BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/40 521
C08F20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522016
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 FR2020051847
(87)【国際公開番号】W WO2021074540
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】516065504
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュバリエ, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】セレジュ, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス コレイア, シンディ
(72)【発明者】
【氏名】ツェルスマン, マルク
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー, ギヨーム
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
4J100
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196LA31
2H197AA50
2H197HA03
4J100AL03T
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100AL09P
4J100AL10Q
4J100BA02S
4J100BB10R
4J100BC28S
4J100FA03
4J100FA18
4J100JA37
4J100JA43
(57)【要約】
本発明は、方向性自己組織化リソグラフィの方法に関し、前記方法は、ブロックコポリマーに対して中性の層(20)上にブロックコポリマー膜を堆積させるステップを含み、前記ブロックコポリマー膜はリソグラフィマスクとして使用するためのものであり、前記方法は、
基板(10)の表面上に前記中性層(20)を堆積させるステップであって、前記中性層(20)は、ブロックコポリマー膜(40)の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積された炭素またはフルオロ炭素タイプのものである、ステップと、
前記中性層を架橋するステップと、
少なくとも1つのシリル化ブロックを含む前記ブロックコポリマー膜を前記架橋された中性層(30)上に堆積させるステップと、
前記ブロックコポリマーをナノ構造化するために、スタックをアセンブリ温度にさらすステップと、
エッチング(G2,G3,G4)によって基板(10)の厚さに転写されることを意図したパターンを作成するために、ナノ構造化ブロックコポリマー膜(40)からナノドメイン(41,42)の少なくとも1つを除去するステップ(G1)と、
を含むことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性自己組織化リソグラフィ方法であって、前記方法は、ブロックコポリマー膜を前記ブロックコポリマーの前記ブロックの各々に対して中性の層(20)上に堆積させるステップを含み、前記ブロックコポリマー膜はリソグラフィマスクとして使用するためのものであり、前記リソグラフィ方法は、
基板(10)の表面上に前記中性層(20)を直接堆積させるステップであって、前記中性層(20)は、前記ブロックコポリマー膜(40)の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積された炭素またはフルオロ炭素タイプ(n-SOC)のものである、ステップと、
前記炭素またはフルオロ炭素中性層の全部または一部を架橋するステップと、
架橋された前記炭素またはフルオロ炭素中性層(30)上に前記ブロックコポリマー膜を堆積させるステップであって、前記ブロックコポリマーは少なくとも1つのシリル化ブロックを含む、ステップと、
前記ブロックコポリマーをナノ構造化するために、このようにして生成された層のスタックをアセンブリ温度にさらすステップと、
エッチング(G2)によって前記炭素またはフルオロ炭素中性層に転写され、次いで(G3、G4)下にある前記基板(10)の厚さに転写されることを意図したパターンを作成するために、前記ナノ構造化ブロックコポリマー膜(40)からナノドメイン(41,42)のうちの少なくとも1つを除去するステップ(G1)と、
を含むことを特徴とするリソグラフィ方法。
【請求項2】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、ポリマー鎖自体の本体に直接、またはその中のペンダント基として、前記ポリマー鎖にエポキシ型の反応性基および/または不飽和を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリソグラフィ方法。
【請求項3】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層の前記ポリマー鎖中の前記エポキシ型の反応性基および/または不飽和の最小割合が、重量で5%~90%、好ましくは10%~70%、より好ましくは20%~35%であることを特徴とする、請求項2に記載のリソグラフィ方法。
【請求項4】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、有機過酸化物型の誘導体、またはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ型の化学的機能を有する誘導体、またはハロゲン化アルキル型の誘導体、またはトリフラートアンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム、リン酸もしくは硫酸もしくはスルホン酸などのピリジニウム塩、またはヨードニウムもしくはホスホニウム塩などのオニウム塩、もしくはイミダゾリウム塩、または光発生酸もしくは光発生塩基などの熱活性化酸プロトンを発生させるための化学誘導体から選択される潜在架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項5】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、(メタ)アクリルモノマー、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フッ素化メタクリレート、例えば、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレートまたはメタクリレートから選択されるコモノマーに基づく前記アクリレートまたはメタクリレートタイプの化学構造を、単独で、または前記コモノマーの少なくとも2つの混合物として、全体的または部分的に有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項6】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、以下の溶媒または溶媒混合物、すなわち、MIBK、メタノール、イソプロパノール、PGME、エタノール、PGMEA、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、酢酸アルキル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミルのうちの少なくとも1つから選択される極性溶媒への溶解性を促進するヒドロキシ基を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項7】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、グリシジル(メタ)アクリレートタイプ(G)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(H)タイプ、およびフルオロアルキル(メタ)アクリレート(F)タイプの少なくとも3つのコモノマーを含み、各モノマーG、H、Fの割合が重量で10~90%であり、前記3つのモノマーの合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項8】
前記方法は、前記ブロックコポリマーの表面上に第3の層(TC)を堆積させるステップを含んでもよく、前記ブロックコポリマー膜をナノ構造化するステップの前に、この第3の層が全体的または部分的に架橋されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項9】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)は、前記第3の層の化学構造と同一の化学構造を有してもよいことを特徴とする、請求項8に記載のリソグラフィ方法。
【請求項10】
前記第3の層は、熱的に活性化された酸プロトンを発生させるための化学誘導体、例えば、アンモニウム塩、例えば、アンモニウムトリフラート、トリフルオロ酢酸アンモニウム、またはアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、またはオニウム塩、例えば、ヨードニウムまたはスルホニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフラート、またはホスホニウムまたはイミダゾリウム塩、または光発生酸(PAG)または光発生塩基(PBG)から選択される潜在的架橋剤を含むことを特徴とする、請求項8または9に記載のリソグラフィ方法。
【請求項11】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(n-SOC)および/または前記第3の層(TC)を架橋する前記ステップは、光照射、自己熱化への曝露、電気化学プロセス、プラズマ、イオンボンバード、電子ビーム、機械的応力、化学種への曝露、または前述の技術の任意の組み合わせによって実行されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項12】
前記炭素またはフルオロ炭素中性層(20)を架橋する前記ステップは、0℃~450℃、好ましくは100℃~300℃、より好ましくは200℃~250℃の温度で、15分以下、好ましくは2分以下の期間、熱化に曝露することによって行われることを特徴とする、請求項11に記載のリソグラフィ方法。
【請求項13】
光照射または電子ビームへの曝露によって前記中性層(20)にパターンが描画され得ることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項14】
光照射または電子ビームへの曝露によって前記第3の層(TC)にパターンが描画され得ることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項15】
前記パターンが光照射への曝露によって描画される場合、少なくとも前記炭素またはフルオロ炭素中性および前記ブロックコポリマーが反射防止特性を有することを特徴とする、請求項13または14に記載のリソグラフィ方法。
【請求項16】
前記パターンが光照射への曝露によって描画される場合、前記炭素またはフルオロ炭素の中性下地層の前記堆積の前に、底部反射防止コーティング(BARC)が前記基板上に分配されることを特徴とする、請求項13または14に記載のリソグラフィ方法。
【請求項17】
前記中性層(20)を前記基板(10)の前記表面上に直接堆積させる前記ステップは、前記中性層と前記基板との間の直接接触を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項18】
前記架橋炭素またはフルオロ炭素中性層(30)上に前記ブロックコポリマー膜を堆積させる前記ステップは、前記架橋された炭素またはフルオロ炭素中性層と前記ブロックコポリマー膜との間の直接接触を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項19】
前記リソグラフィ方法は、Si-ARC/SOG、SOC、および中性層などの中間層の使用を含まないことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のリソグラフィ方法。
【請求項20】
指向性自己組織化リソグラフィ法によって得られたリソグラフィスタックであって、前記スタックは、その表面に中性層が堆積された基板(10)を含み、前記中性層はブロックコポリマー膜(40)によって覆われ、前記ブロックコポリマー膜はリソグラフィマスクとして使用するためのものであり、前記中性層は前記ブロックコポリマーの前記ブロックの各々に対して中性であり、前記スタックは、
前記中性層が、下にある前記基板(10)と直接接触しており、前記中性層が、全体的または部分的に架橋され、前記ブロックコポリマー膜(40)の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積された炭素またはフルオロ炭素タイプ(n-SOC)のものであり、
前記ブロックコポリマー膜(40)が、少なくとも1つのシリル化ブロックを含み、架橋された前記炭素またはフルオロ炭素中性層(30)と直接接触しており、
前記炭素またはフルオロ炭素中性層に、次いで前記下にある基板(10)の厚さにエッチングによって転写され得るパターンを生成するために、前記ブロックコポリマー膜が、例えばアセンブリ温度での処理によってナノ構造化されており、不連続膜であることを特徴とするリソグラフィスタック。
【請求項21】
10nm~400nmの深さのパターンのエッチングを可能にすることを意図したリソグラフィマスクの製造における、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクスおよび有機エレクトロニクスの分野に関し、より詳細には、DSA(英語の頭字語「Directed Self-Assembly」から)としても知られる指向性自己組織化ナノリソグラフィ用途に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には指向性自己組織化リソグラフィ方法に関し、前記方法は、いくつかのパターンを作成するためのリソグラフィマスクとしてブロックコポリマー膜を含む。
【背景技術】
【0003】
1960年以来、ブロックコポリマーは、新しい材料の開発のための非常に広い研究分野であった。ブロックの化学的性質および意図される用途のためのそれらの構造によってそれらの特性を調整および制御することが可能である。特定の高分子パラメータ(Mn、Ip、f、χ、N)に対して、ブロックコポリマーは構造体を自己組織化および形成することができ、その特徴的な寸法(10~100nm)は、マイクロエレクトロニクスおよび微小電気機械システム(MEMS)の分野における今日の主要な課題を構成する。
【0004】
典型的には、例えばマイクロエレクトロニクスでは、リソグラフィマスクを介して基板をエッチングし、電子回路を作製するための凹状パターンを作成することができるように、リソグラフィ方法が実施される。そのようなリソグラフィを実行することができるためには、通常は別個のガス化学を用いたプラズマエッチングによって、異なる層を介してパターンを非常に選択的に転写し、典型的には1以上の高さ/幅H/W比を有する重要な最終フォームファクタを有する基板内のパターンを得るために、所定の特性を有する材料の層のスタックが必要である。
【0005】
一般に、リソグラフィでは、標準スタックは、
図1に示すように、リソグラフィ樹脂1と、シリコンで充填され、所与の波長(例えば、リソグラフィ樹脂が193nmで露光される場合、193nmの波長で)の光学反射防止特性を有するシリル化樹脂層2、特にSiARC(「Silicon Anti-Reflective Coating」の英語の頭字語)またはSOG(「Spin-on-Glass」の英語の頭字語)層と、より厚いSOC(「Spin On Carbon」の英語の頭字語)炭素層3と、基板4と、を含む。
【0006】
非常に古典的な方法では、リソグラフィ樹脂は、最初に、UVフォトリソグラフィなどの任意の方法によって関心のあるパターンをその上に描くことによって構造化され(A)(解像度が向上した共通光源では193nmでの照射)、次いで、このパターンは、フッ素化プラズマ化学(例えば、CF4、SF6など)により下地のSiARC/SOG層に転写される(B)。次いで、このシリル化パターン自体が、酸素ベースの(またはフッ素化以外の)化学により炭素樹脂SOCの厚い層に転写され(C)、次いで、この後者のパターンが、フッ素化ガス化学を用いたプラズマエッチングによって基板に転写される(D)。
【0007】
したがって、特定の原子構成を有する材料の連続スタックは、非常に異なるガス化学を有するプラズマエッチングによって異なる層にパターンを非常に選択的に転写することを可能にし、基板を深くエッチングすることを可能にする。
【0008】
指向性自己組織化ナノリソグラフィ、すなわちDSA(「Directed Self-Assembly」の英語頭字語)の分野における用途の特定の状況では、アセンブリ温度でナノ構造化することができるブロックコポリマーがナノリソグラフィマスクとして使用される。ブロックコポリマーは、ナノ構造化されると、従来のリソグラフィ技術では達成することが困難である20nm未満の周期性を有するナノリソグラフィマスクを作製するためのパターンを得ることを可能にする。さらに、10nm未満の周期性を有する自己組織化ブロックコポリマーの製造は、ブロックが高い非相溶性、すなわち高いFlory-Huggins相互作用パラメータχを有するブロックコポリマーの使用によって可能になる。この高いパラメータは、ブロック間の物理化学的特性、特に表面エネルギーの差をもたらす。特にラメラ相の場合、表面エネルギーのこの大きな差は、基板表面に平行なドメインの配向に有利である。しかしながら、ナノリソグラフィマスクとして機能するために、そのようなブロックコポリマーは、ブロックコポリマーのナノドメインの1つを選択的に除去し、残留ナノドメインを有する多孔質膜を形成し、エッチングによって、このようにして形成されたパターンを下にある基板に転写することができるように、ブロックコポリマーの下側界面および上側界面に対して垂直に配向されたナノドメインを有しなければならない。しかしながら、パターンの垂直性のこの条件は、下側界面(基板/ブロックコポリマー)および上側界面(ブロックコポリマー/周囲雰囲気)の各々が、後にBCPと示される前記ブロックコポリマーのブロックの各々に対して「中性」である場合にのみ満たされる、すなわち、ブロックコポリマーBCPを構成するブロックの少なくとも1つについて考慮される界面の優勢な親和性がない。
【0009】
これらの条件では、DSAリソグラフィの文脈で、有意な深さまでパターンを作成するための標準的なスタックであって、前記パターンは、基板の厚さにおいて典型的には20nmを超える深さを有し、基板の前記厚さは、典型的には百マイクロメートルのオーダー、さらには数百マイクロメートルであり、重要なフォームファクタは、典型的には1を超えるが、崩壊させることはなく、標準的なスタックは、少なくとも、ブロックコポリマー、ブロックコポリマーのブロックの各々に対して中性の下地層、SiARCもしくはSOG層、SOC層、および基板を含む。Si-ARC/SOG層は、大きなフォームファクタおよび他の方法ではアクセスできない深さでパターンを基板に転写することを可能にするので、マイクロ電子リソグラフィ法において重要である。SiARCは、ケイ素に富む酸化物に近い組成を有する材料である。この場合、これは、BCPとの界面での光ビームの多重反射を制限する反射防止光学特性を与え、したがって、特に最終パターンの粗さに影響を与える残像の出現を最小限に抑える。
【0010】
これらのスタックされた層(BCP、中性層、Si-ARC/SOG、SOC)はすべて、基板を深くエッチングするために使用されるが、リソースの消費が多い。実際、工程の数は重要であり、使用される材料は多数であり、これは製造コストおよび製造時間に影響を及ぼし、これらはすべて高い製造コストをもたらす。
【0011】
さらに、ブロックコポリマーの使用は、パターンを基板に転写するために、パターンが界面に対して垂直に配向されることを可能にするために界面の完全な制御を必要とする。このようなスタックは、特に歩留まりが大量(1時間当たり150から200枚のウェハ)を必要とする場合、チップ製造業者にとってリソースおよび時間の大きなコストとなる。その結果、収率を最適化するためには、これらの層および関連する工程(スピンコーティングによる分配、熱アニーリング、リンスなど)のボリュームの減少が必要であると思われる。
【0012】
したがって、最適なフォームファクタを支持しながら、スタックの最終特性に影響を与えることなく、生産収率を最大化するために、DSAで使用できるスタックを最適化することが必要であると思われる。
【0013】
したがって、特定の用途では、典型的には20nm以上の大きな深さで数百マイクロメートル程度の厚い基板をエッチングすることができることは興味深い。したがって、コストおよび製造時間を制限するために、使用されるスタック内の層の数ならびにDSAリソグラフィ方法の工程の数を制限する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、従来技術の欠点を克服することを目的とする。特に、本発明は、指向性自己組織化リソグラフィ方法を提案することを目的としており、前記方法は、少ない工程数で迅速かつ簡単に実施することができ、製造コストを制御することができる。本方法はまた、これらのパターンが崩壊して使用できなくなることなく、パターンを基板内に深い深さで転写することを可能にしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明は、指向性自己組織化リソグラフィ方法に関し、前記方法は、ブロックコポリマー膜をブロックコポリマーのブロックの各々に対して中性の層上に堆積させるステップを含み、前記ブロックコポリマー膜はリソグラフィマスクとして使用するためのものであり、前記リソグラフィ方法は、
基板の表面上に前記中性層を直接堆積させるステップであって、前記中性層は、ブロックコポリマー膜の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積された炭素またはフルオロ炭素タイプ(n-SOC)のものである、ステップと、
前記炭素またはフルオロ炭素中性層の全部または一部を架橋するステップと、
前記架橋された炭素またはフルオロ炭素中性層上に前記ブロックコポリマー膜を堆積させるステップであって、前記ブロックコポリマーは少なくとも1つのシリル化ブロックを含む、ステップと、
前記ブロックコポリマーをナノ構造化するために、このようにして生成された層のスタックをアセンブリ温度にさらすステップと、
エッチングによって炭素またはフルオロ炭素中性層に転写され、次いで下にある基板の厚さに転写されることを意図したパターンを作成するために、前記ナノ構造化ブロックコポリマー膜からナノドメインのうちの少なくとも1つを除去するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0016】
本方法の他の任意選択の特徴によれば、
炭素またはフルオロ炭素中性層は、ポリマー鎖自体の本体に直接、またはその中のペンダント基として、ポリマー鎖にエポキシ型の反応性基および/または不飽和を含み、
炭素またはフルオロ炭素中性層のポリマー鎖中のエポキシ型の反応性基および/または不飽和の最小割合は、重量で5%~90%、好ましくは10%~70%、より好ましくは20%~35%であり、
炭素またはフルオロ炭素中性層は、有機過酸化物型の誘導体、またはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ型の化学的機能を有する誘導体、またはハロゲン化アルキル型の誘導体、またはトリフラートアンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム、リン酸もしくは硫酸もしくはスルホン酸などのピリジニウム塩、またはヨードニウムもしくはホスホニウム塩などのオニウム塩、もしくはイミダゾリウム塩、または光発生酸もしくは光発生塩基などの熱活性化酸プロトンを発生させるための化学誘導体から選択される潜在架橋剤をさらに含み、
炭素またはフルオロ炭素中性層は、(メタ)アクリルモノマー、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フッ素化メタクリレート、例えば、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレートまたはメタクリレートから選択されるコモノマーに基づくアクリレートまたはメタクリレートタイプの化学構造を、単独で、またはコモノマーの少なくとも2つの混合物として、全体的または部分的に有し、
炭素またはフルオロ炭素中性層は、単独でまたは混合物として、以下の溶媒、すなわち、MIBK、メタノール、イソプロパノール、PGME、エタノール、PGMEA、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、酢酸アルキル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミルのうちの少なくとも1つから選択される極性溶媒への溶解性を促進するヒドロキシ基を含み、
炭素またはフルオロ炭素中性層は、グリシジル(メタ)アクリレートタイプ(G)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(H)タイプ、およびフルオロアルキル(メタ)アクリレート(F)タイプの少なくとも3つのコモノマーを含み、各モノマーG、H、Fの割合が重量で10~90%であり、3つのモノマーの合計が100%に等しく、
ブロックコポリマーの表面上に第3の層を堆積させるステップを含んでもよく、ブロックコポリマーをナノ構造化するステップの前に、この第3の層は全体的または部分的に架橋され、
炭素またはフルオロ炭素中性層および/または第3の層を架橋するステップは、光照射、自己熱化への曝露、電気化学プロセス、プラズマ、イオンボンバード、電子ビーム、機械的応力、化学種への曝露、または前述の技術の任意の組み合わせによって実行され、
炭素またはフルオロ炭素中性層を架橋するステップは、0℃~450℃、好ましくは100℃~300℃、より好ましくは200℃~250℃の温度で、15分以下、好ましくは2分以下の期間、熱化に曝露することによって行われ、
光放射または電子ビームへの曝露によって、または当業者に公知の任意の方法によって、パターンが第3の層および/または下地層に描画され得、
パターンが光放射への曝露によって描画される場合、少なくとも炭素またはフルオロ炭素中性下地層およびブロックコポリマーは反射防止特性を有し、
パターンが光照射への曝露によって描画される場合、前記炭素またはフルオロ炭素の中性下地層の堆積の前に、底部反射防止コーティング(BARC)が基板上に分配され、
炭素またはフルオロ炭素中性下地層は、前記第3の層の化学構造と同一の化学構造を有してもよく、
第3の層は、熱的に活性化された酸プロトンを発生させるための化学誘導体、例えば、アンモニウム塩、例えば、アンモニウムトリフラート、トリフルオロ酢酸アンモニウム、またはアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、またはオニウム塩、例えば、ヨードニウムまたはスルホニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフラート、またはホスホニウムまたはイミダゾリウム塩、または光発生酸(PAG)または光発生塩基(PBG)から選択される潜在的架橋剤を含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、指向性自己組織化リソグラフィ法によって得られるリソグラフィスタックに関し、前記スタックは、その表面に中性層が堆積された基板を含み、前記中性層はブロックコポリマー膜によって覆われ、前記ブロックコポリマー膜はリソグラフィマスクとして使用するためのものであり、前記中性層はブロックコポリマーのブロックの各々に対して中性であり、
中性層が、下にある基板と直接接触しており、中性層が、全体的または部分的に網状であり、前記ブロックコポリマー膜の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積された炭素またはフルオロ炭素タイプ(n-SOC)のものであり、
ブロックコポリマー膜が、少なくとも1つのシリル化ブロックを含み、前記網状の中性層と直接接触しており、
炭素またはフルオロ炭素中性層に、次いで下にある基板の厚さにエッチングによって転写され得るパターンを生成するために、前記ブロックコポリマー膜が、例えばアセンブリ温度での処理によってナノ構造化されており、不連続膜である。
【0018】
本発明の他の利点および特徴は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3A】本発明による方法で使用される層のスタックの上面写真を表す図である。
【
図3B】本発明による方法で使用される層のスタックの断面写真を表す図である。
【
図3C】本発明による方法で使用される層のスタックの断面写真を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、「ポリマー」とは、コポリマー(統計的、勾配、ブロック、交互型の)またはホモポリマーのいずれかを意味する。
【0021】
使用される「モノマー」という用語は、重合を受けることができる分子を指す。
【0022】
使用される「重合」という用語は、モノマーまたはモノマーの混合物を所定のアーキテクチャ(ブロック、勾配、統計的など)のポリマーに変換する方法を指す。
【0023】
「コポリマー」とは、いくつかの異なるモノマー単位を含むポリマーを意味する。
【0024】
「統計的コポリマー」とは、鎖に沿ったモノマー単位の分布が、例えばベルヌーイ(0次マルコフ)または1次もしくは2次マルコフ型の統計的法則に従うコポリマーを意味する。繰り返し単位が鎖に沿ってランダムに分布している場合、ポリマーはベルヌーイ法によって形成され、ランダムコポリマーと呼ばれる。ランダムコポリマーという用語は、コポリマーの合成中に優勢であった統計的プロセスが知られていない場合でさえ、しばしば使用される。
【0025】
「勾配コポリマー」とは、モノマー単位の分布が鎖に沿って徐々に変化するコポリマーを意味する。
【0026】
「交互コポリマー」とは、鎖に沿って交互に分布する少なくとも2つのモノマー実体を含むコポリマーを意味する。
【0027】
「ブロックコポリマー」とは、異なるポリマー種のそれぞれの1つまたは複数の中断されていない配列を含むポリマーを意味し、ポリマー配列は互いに化学的に異なり、化学結合(共有結合、イオン結合、水素結合、または配位結合)によって互いに連結されている。これらのポリマー配列は、ポリマーブロックとも呼ばれる。これらのブロックは、相分離パラメータ(Flory-Huggins相互作用パラメータ)を有し、それにより、各ブロックの重合度が臨界値よりも大きい場合、それらは互いに混和性でなく、ナノドメインに分離しない。
【0028】
上記の「混和性」という用語は、2つ以上の化合物が完全に混合して均一または「擬似均一」相を形成する能力、すなわち、短距離または長距離にわたって明らかな結晶対称性または結晶に近い対称性を有しない能力を指す。混合物のガラス転移温度(Tg)の合計が、単独で採取された個々の化合物のTgの合計より厳密に小さい場合、混合物の混和性を決定することができる。
【0029】
本明細書では、「自己集合」、「自己組織化」または「ナノ構造化」は、アニーリング温度とも呼ばれる集合温度でのブロックコポリマーの周知の相分離現象を説明するために等しく使用される。
【0030】
「多孔質膜」という用語は、1つまたは複数のナノドメインが除去され、除去されたナノドメインの形状に対応する形状の穴を残したブロックコポリマー膜を指し、球形、円筒形、層状、またはらせん形であってもよい。
【0031】
「中性」または「擬似中性」表面とは、全体として、ブロックコポリマーのブロックのいずれとも優先的な親和性を有さない表面を意味する。したがって、表面上のブロックコポリマーのブロックの均一なまたは「擬似的に均一な」分布を可能にする。基板の表面の中和は、そのような「中性」または「擬似中性」表面を得ることを可能にする。
【0032】
「非中性」表面とは、全体として、ブロックコポリマーのブロックの1つと優先的な親和性を有する表面を意味する。これにより、ブロックコポリマーのナノドメインを平行または非垂直に配向させることができる。
【0033】
所与の材料「x」の表面エネルギー(γxで示す)は、バルク材料の表面エネルギーと比較した材料の表面の過剰エネルギーとして定義される。材料が液体形態である場合、その表面エネルギーはその表面張力に等しい。
【0034】
材料および所与のブロックコポリマーのブロックの表面エネルギーまたはより正確には界面張力について言及する場合、これらは所与の温度で、より正確にはブロックコポリマーの自己組織化を可能にする温度で比較される。
【0035】
ブロックコポリマーの「下側界面」とは、前記ブロックコポリマーが堆積される下層または基板と接触する界面を意味する。この下側界面は、従来の技術によって中和される、すなわち、全体として、ブロックコポリマーのブロックの1つと優先的な親和性を有さないことに留意されたい。
【0036】
ブロックコポリマーの「上側界面」または「上側表面」とは、前記ブロックコポリマーの表面に塗布されたトップコートと呼ばれTCで示される上層と接触する界面を意味する。トップコートTCの最上層は、下にある層と同様に、好ましくは、ブロックコポリマーのナノドメインがアセンブリアニーリング中に界面に対して垂直に配向することができるように、ブロックコポリマーのブロックのいずれに対しても優先的親和性を有さないことに留意されたい。
【0037】
「(コ)ポリマーに直交する溶媒」とは、前記(コ)ポリマーを攻撃または溶解する可能性が低い溶媒を意味する。
【0038】
「液体ポリマー」または「粘性ポリマー」とは、ガラス転移温度より高い温度で、そのゴム状状態に起因して、その分子鎖が自由に動く可能性の結果として変形する能力が増加したポリマーを意味する。材料が固体状態にない限り、すなわち分子鎖の移動度が無視できることに起因して変形できない限り、デウェッティングの起点における流体力学的現象が現れる。
【0039】
「不連続膜」とは、1つまたは複数の領域の収縮により厚さが一定ではなく、穴が残っている膜を意味する。
【0040】
ナノリソグラフィマスクにおける「パターン」とは、一連の交互の陥凹形状および突出形状を含む膜の領域を意味し、前記領域は所望の幾何学的形状を有し、陥凹形状および突出形状は薄層、円柱、球、またはジャイロイドであってもよい。
【0041】
ポリマー鎖中の「不飽和」とは、少なくとも1つの「sp」または「sp2」混成炭素を意味する。
【0042】
リソグラフィ方法、特にDSAリソグラフィでは、パターンを崩壊させることなく基板に深い深さでエッチングすることは、特に十分に習得されていないか、または実施されていない。また、DSAにおいて適用されるリソグラフィ法には、多大なリソース消費(層数、スタック、時間、工程数)が含まれる。
【0043】
本出願人は、
図2に示すようなDSAリソグラフィ方法を開発した。
【0044】
本発明の自己組織化型リソグラフィ法は、リソグラフィマスクとしてブロックコポリマー膜を用いる。
【0045】
本発明による方法は、前記中性層上に後に堆積されるブロックコポリマーブロックの各々に対して中性の層20である基板10の表面上に直接堆積することからなる。中性層は、カーボンまたはフルオロカーボンタイプの層(以下、n-SOCと呼ぶ)である。炭素またはフルオロ炭素中性層は、ブロックコポリマー膜の厚さの1.5倍を超える厚さに堆積される。
【0046】
炭素またはフルオロ炭素中性層は、基板上に堆積されると、全体的または部分的に架橋される。次いで、膜の可能性のある望ましくない領域を除去するために、例えば、中性層を堆積させるための溶媒と同じ溶媒で、スタックを任意選択的にリンスすることができる。次いで、ブロックコポリマー膜を炭素またはフルオロ炭素中性層上に堆積させ、架橋する。有利には、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのシリル化ブロックを含む。本発明の必須ではないが好ましい実施形態によれば、次いで、トップコートをBCP層上に堆積させて、BCP膜の上側界面を中和し、全体的または部分的に架橋することができる。続いて、得られた層のスタックは、前記ブロックコポリマーをナノ構造化するためにアセンブリ温度まで加熱される。その後の工程は、エッチングによって下にある基板の厚さに転写されるように意図されたパターンを作成するために、ナノ構造化ブロックコポリマー膜からナノドメインの少なくとも1つを除去することである。
【0047】
したがって、本発明による方法の最初の工程は、基板10の表面上に中性層20を直接堆積させることからなる。
【0048】
基板10は、本質的に固体、鉱物、有機、または金属であり得る。有利には、ただし網羅的ではなく、基板を構成する材料は、ケイ素または酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタンニトロキシド、酸化ハフニウム、または例えばポリメチルシロキサンPDMS、ポリカーボネート、もしくは高密度ポリエチレン、もしくはポリイミドなどのポリマー材料から選択することができる。特定の例では、基板を構成する材料は、シリコンまたはシリカを含んでもよい。
【0049】
中性層20は、基板10上に直接堆積され、シリル化ブロックコポリマーによってそれ自体覆われる。したがって、基板、SOC層、およびSi-ARC/SOG層を含み、その上に中性層、次いでブロックコポリマー層が堆積される従来のスタックは必要ではない。言い換えると、中性層と基板とは接触している。
【0050】
中性層20は、その表面に堆積されるブロックコポリマーBCPの各ブロックに対して中性の表面エネルギーを有する、すなわち、BCPブロックのいずれに対しても優先的親和性を有さない。これにより、ブロックコポリマーBCPのドメインは、BCPをナノ構造化する後続の工程において、BCP層の下側界面に対して垂直に配向することが可能になる。
【0051】
さらに、中性層20は、ブロックコポリマーの各ブロックに対して中性を達成するために層の表面エネルギーを調整するために、フッ素化基を含んでもよい。
【0052】
有利には、本発明による中性層20は、SOC(英語の頭字語「Spin-on-Carbon」から)炭素またはフルオロ炭素型層である。
【0053】
炭素またはフルオロ炭素中性層20(以降、n-SOCと示す)は、有利には、ヒドロキシアルキルアクリレート、例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フッ素化メタクリレート、例えば2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレートまたはメタクリレートから選択されるコモノマーに基づくアクリレートまたはメタクリレートタイプの化学構造を単独で、または前述のコモノマーの少なくとも2つの混合物として全体的または部分的に有する。
【0054】
n-SOC層は、グリシジル(メタ)アクリレート(Gで示す)タイプ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(Hで示す)タイプ、およびフルオロアルキル(メタ)アクリレート(Fで示す)タイプの少なくとも3つのコモノマーを含んでもよく、各モノマーG、H、Fの割合は重量で10~90%であり、3つのモノマーの合計は100%に等しい。
【0055】
n-SOC炭素またはフルオロ炭素中性層は、続いてその表面に堆積されるブロックコポリマー膜の厚さの1.5倍を超える厚さまで堆積される。有利には、中性層上に堆積されるBCPは、少なくとも1つのシリル化ブロックを含む。
【0056】
n-SOC層20は、当分野で公知の任意の技術によって堆積させることができる。好ましくは、n-SOC層は、例えばPGME-エタノール(プロピレングリコールメチルエーテルエタノール)、またはPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、またはMIBK(メチルイソブチルケトン)の溶液からスピンコーティングによって基板上に堆積される。この目的のために、n-SOC層は、好ましくはヒドロキシ基を含み、以下の溶媒または溶媒混合物、すなわち、MIBK、メタノール、イソプロパノール、PGME、エタノール、PGMEA、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、酢酸アルキル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミルの少なくとも1つから選択される極性溶媒への溶解性を促進し、基板上のコポリマー膜の湿潤を促進する。これらのヒドロキシ基は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートコモノマーに由来し得る。
【0057】
n-SOC層が基板上に堆積されると、それは全体的または部分的に架橋される。架橋されたn-SOC層30は、その炭素マトリックスがその鎖を架橋することによって硬化するポリマー材料である。その目的の1つは、剛性の三次元ネットワークを得ることを可能にし、層の機械的強度を促進することである。ブロックコポリマーの堆積前に中性n-SOC層を架橋することはまた、その堆積中にn-SOC層がブロックコポリマーBCPの溶媒に再溶解するのを防ぐ。
【0058】
架橋は、好ましくは、0℃~450℃、好ましくは100℃~300℃、より好ましくは200℃~250℃の温度で、15分以下、好ましくは2分以下の期間、熱化に曝露することによって行われる。
【0059】
好ましくは、n-SOC層20は、例えばポリマー鎖自体の本体に直接、またはその中のペンダント基として、そのポリマー鎖にエポキシ型の反応性基および/または不飽和を含み、密な三次元ネットワークを形成するために反応性基および/または不飽和を開くことによってその架橋を可能にする。ヤング率は、ポリマー鎖内の反応性基および/または不飽和の速度を調節することによって最大化される。実際、システムが網目状であるほど、重要なフォームファクタが望まれるときに移動して崩壊する傾向が少なくなる。この目的のために、エポキシ型の反応性基および/または不飽和の割合は、n-SOC層を構成するコポリマーの総重量に対して重量で、好ましくは5%~90%、好ましくは10%~70%、より好ましくは20%~35%である。
【0060】
エポキシ基は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートタイプのコモノマーから誘導され得る。
【0061】
また、この架橋工程の際に、n-SOC中性層のヒドロキシ基は、基板10上でのn-SOC中性層30のグラフト反応に関与する。実際、架橋時に、架橋n-SOC層は、そのヒドロキシ-OH基のおかげで基板上にグラフト化することができ、次いで基板と共有結合を形成する。ヒドロキシ-OH基は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートタイプのコモノマーから誘導することができる。
【0062】
基板との共有結合の形成のおかげで、基板10上の架橋n-SOC層30のこの相補的グラフト化は、有利には、濡れ現象を回避または遅延させる。
【0063】
中性層は、任意選択で、有機過酸化物型の誘導体、またはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ型の化学的機能を有する誘導体、またはハロゲン化アルキル型の誘導体、または熱活性化酸プロトンを生成するための化学的誘導体、例えばトリフラートアンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、またはトリフルオロメタンスルホン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、ピリジニウムパラトルエンスルホネート、リン酸もしくは硫酸もしくはスルホン酸などのピリジニウム塩、またはヨードニウムもしくはホスホニウム塩などのオニウム塩、またはイミダゾリウム塩から選択される潜在性架橋剤を含んでもよい。そのような架橋剤は、特定の操作条件下(温度、放射、機械的応力など)で架橋反応を触媒することを可能にし、一方、前記条件以外での反応の非存在、したがって非架橋系の安定性および/または寿命を保証する。
【0064】
典型的には、潜在性架橋剤は、単独で、n-SOC層を構成する共重合体の架橋温度より少なくとも20℃低い、好ましくは30℃低い温度で、典型的には15分以下、好ましくは2分以下の時間にわたって架橋反応を開始することができる。
【0065】
あるいは、架橋は、光照射、電気化学プロセス、プラズマ、イオンボンバード、電子ビーム、機械的応力、化学種への曝露、または前述の技術の任意の組み合わせによって行われてもよい。
【0066】
光照射によって架橋を行う場合、潜在的架橋剤は、例えば、光発生酸(PAG)もしくは光発生塩基(PBG)、または光開始剤によって支援されるPAGであり得る。
【0067】
本発明の代替形態によれば、炭素またはフルオロ炭素中性層20を架橋する工程は、n-SOC層の関心領域を画定するために、例えばUVリソグラフィまたは電子ビームなどによって局所的な架橋を開始することからなることができる。また、この場合、潜在的な架橋剤は、リソグラフィによってパターンを作成するために選択された波長に敏感なPAGまたはPBGから選択することができる。
【0068】
光照射の文脈では、例えば底部反射防止コーティング(BARC)(英語の頭字語「Bottom Anti-Reflecting Coating」から)などのn-SOC炭素またはフルオロ炭素中性層の下に反射防止剤/材料を提供すること、または反射防止特性を与える反射防止剤をn-SOC炭素またはフルオロ炭素層を構成する材料に組み込むことが望ましい場合がある。実際、層に不均一性を生じさせないために、すべての光が跳ね返るのを防ぐことが好ましい。例えば、n-SOC層は、光が照射されたときにn-SOC層が光を反射するのを防止するための反射防止剤および/または材料を含んでもよい。有利には、反射防止剤は、特定の波長の入射放射を吸収する。そのような薬剤は、例えば、スルホン、オリゴポリストリレン、芳香環を有する化合物、または酸化チタンなどの無機ナノ粒子から選択することができる。
【0069】
この反射防止特性は、n-SOC層をBCP層の厚さの1.5倍以上の厚さに堆積し、すべての光が跳ね返るのを防ぐために、所与の波長で入射放射の吸収を可能にするように賢明に選択することによっても得ることができる。したがって、n-SOC層の慎重に選択された厚さも反射防止特性を提供する。
【0070】
その後のリンス工程は、ブロックコポリマー膜が堆積される前に非架橋鎖を除去することを可能にする。
【0071】
リンスは、好ましくは、以下の溶媒、すなわち、PGME-エタノール(プロピレングリコールメチルエーテルエタノール)、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、またはMIBK(メチルイソブチルケトン)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、乳酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール、酢酸アルキル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミルの少なくとも1つから選択される極性溶媒または溶媒混合物を使用して行われる。
【0072】
リンスは、純粋なMIBKまたはPGMEAを使用して行うことが好ましい。
【0073】
n-SOC層30が架橋された後、ブロックコポリマー40の膜が、架橋された炭素またはフルオロ炭素中性層の表面に堆積される。ブロックコポリマーは、少なくとも1つのシリル化ブロックを含み、その結果、リソグラフィ専用の従来のスタックのSi-ARC/SOG層を有利に置き換える。
【0074】
有利には、BCP層40は、架橋された炭素n-SOC中性下地層30上に直接堆積される。実際、n-SOC層はBCP層に対して直接中性である。
【0075】
ナノ構造化されるブロックコポリマーBCPに関して、それは「n」個のブロックを含み、nは2以上の任意の整数である。ブロックコポリマーBCPは、より具体的には、以下の化学式で定義される。
ここで、A、B、C、D、...、Zは、純粋な化学的実体を表す同じ数のブロック「i」...「j」であり、すなわち、各ブロックは、一緒に重合された同一の化学的性質のモノマーのセット、またはブロックもしくは統計的もしくはランダムもしくは勾配もしくは交互コポリマーの形態で全体的もしくは部分的に一緒に共重合されたコモノマーのセットである。
【0076】
したがって、ナノ構造化されるブロックコポリマーBCPのブロック「i」...「j」の各々は、全体的または部分的に、潜在的にi=ai-co-bi-co-...-co-ziと書くことができ、i≠...≠jである。
【0077】
各実体ai...ziの体積分率は、ブロックコポリマーBCPのブロックi...jの各々において、モノマー単位で1~99%の範囲であり得る。
【0078】
各ブロックi...jの体積分率は、ブロックコポリマーBCPの5~95%の範囲であり得る。
【0079】
体積分率は、ブロックの体積に対する実体の体積、またはブロックコポリマーの体積に対するブロックの体積として定義される。
【0080】
コポリマーのブロックの各実体またはブロックコポリマーの各ブロックの体積分率は、以下に記載されるように測定される。少なくとも1つの実体、またはブロックコポリマーである場合はブロックの1つがいくつかのコモノマーを含むブロックコポリマーでは、プロトンNMRによって、コポリマー全体における各モノマーのモル分率を測定し、次いで各モノマー単位のモル質量を使用して質量分率に戻すことが可能である。ブロックの各実体またはコポリマーの各ブロックの質量分率を得るためには、実体またはブロックの構成コモノマーの質量分率を加えれば十分である。次いで、各実体またはブロックの体積分率を、各実体またはブロックの質量分率および実体またはブロックを形成するポリマーの密度から決定することができる。しかしながら、モノマーが共重合されたポリマーの密度を得ることは必ずしも可能ではない。この場合、実体またはブロックの体積分率は、その質量分率および実体またはブロックの質量大部分を表す化合物の密度から決定される。
【0081】
ブロックコポリマーBCPの分子量は、1000~500,000g.mol-1の範囲であり得る。
【0082】
ブロックコポリマーBCPは、直鎖、星型(3アームまたはマルチアーム)、グラフト、樹枝状、櫛形などの任意の種類のアーキテクチャを有することができる。
【0083】
ブロックコポリマーのブロックi、...jの各々は、γi...γjで示される表面エネルギーを有し、これはそれに特異的であり、その化学成分、すなわちそれを構成するモノマーまたはコモノマーの化学的性質の関数である。同様に、基板を構成する材料は、それぞれ独自の表面エネルギー値を有する。
【0084】
ブロックコポリマーのブロックI、...jの各々はまた、所与の材料「x」(これは、例えば、気体、液体、固体表面、または別のポリマー相であってもよい)および「γix」で示される界面エネルギーと相互作用するとき、χixで示される、Flory-Huggins型の相互作用パラメータを有し、γix=γi-(γxcosθix)であり、ここで、θixは、材料iとxとの間の非ゼロ接触角であり、材料xは材料i上に液滴を形成する。したがって、ブロックコポリマーの2つのブロックiおよびj間の相互作用パラメータは、χijで示される。
【0085】
文献Jia et al.,Journal of Macromolecular Science,B,2011,50,1042に記載されているように、γiと所与の材料iのHildebrandの溶解度パラメータδiとの間には関係がある。実際、2つの所与の材料iとxとの間のFlory-Huggins相互作用パラメータは、材料に固有の表面エネルギーγiおよびγxに間接的に関連するため、表面エネルギーに関して、または材料の界面に現れる物理現象を記述するための相互作用パラメータに関して話すことができる。
【0086】
材料の表面エネルギーおよび所与のブロックコポリマーBCPの表面エネルギーに言及する場合、表面エネルギーは所与の温度で比較され、この温度はBCPが自己組織化することができる温度(または温度範囲の少なくとも一部)であることを意味する。
【0087】
ブロックコポリマーBCPは、極性溶媒中の溶液中で、スピンコーティングまたは「スピンコーティング」などの従来の技術によって堆積される。ブロックコポリマー膜は、架橋された下地のn-SOC中性下地層の厚さの1.5倍以下の厚さを有する。
【0088】
BCPは、架橋されたn-SOC中性層30上に直接堆積される。
【0089】
ブロックコポリマーは、その後のアニーリング工程において、アセンブリ温度でナノ構造化することができるように、必然的に液体/粘性状態で堆積される。
【0090】
好ましくは、本発明を限定するものではないが、使用されるブロックコポリマーは「高χ」(高いFlory-Hugginsパラメータを有する)であると言われ、すなわち、Y.Zhao,E.Sivaniah,and T.Hashimoto,Macromolecules,2008,41(24)、pages 9948-9951(スチレン(「S」)とMMA(「M」)との間のFlory-Hugginsパラメータの決定:χSM=0.0282+(4.46/T))によって定義されるように、考慮されるアセンブリ温度でいわゆる「PS-b-PMMA」システムのパラメータよりも高いパラメータを有さなければならない。好ましくは、BCPは、10.49以上のχN積を有し得る。
【0091】
ブロックコポリマーが堆積されると、ブロックコポリマーをナノ構造化するために、このようにして作られた層のスタックは、アセンブリ温度で、10分以下、好ましくは5分以下の期間、熱アニーリングを受ける。ブロックコポリマーは、ナノドメイン41、42に自己組織化し、次いで、ブロックコポリマーBCPの中和された下側界面に対して垂直に配向する。
【0092】
さらに、アセンブリ温度でのブロックコポリマーのアセンブリアニーリングは、有利には、基板10上の中性下地層30のグラフト化を強化することを可能にする。
【0093】
BCP層40が組み立てられ、構造化ナノドメイン41、42を有する場合、後続の工程は、エッチングによって下にある基板の厚さに転写されるように意図されたパターンを作成するために、ブロックコポリマー膜からナノドメイン41、42の少なくとも一方を除去することである。例えば、
図2に示すように、ナノドメイン42は、コポリマー膜から除去される。
【0094】
エッチングの1つの方法は、例えば適切なガス化学を用いたプラズマエッチングなどのドライエッチングを使用することである。プラズマ構成ガスの化学的性質は、除去される材料に応じて調整することができる。
【0095】
いくつかの層のエッチングは、除去される各層の成分に応じてガス化学を調整することによって、プラズマエッチングによって、同じエッチングフレームまたはいくつかのエッチングフレームで連続的または同時に行うことができる。例えば、エッチングフレームは、誘導結合リアクタICP(「Inductively Coupled Plasmas」)または容量結合リアクタCCP(「Capacitively Coupled Plasmas」)とすることができる。
【0096】
第1のエッチングG1は、ブロックコポリマー膜から少なくとも1つのナノドメイン42を除去することからなる。除去されるナノドメインに応じて、ガス化学は異なり得る。例えば、本発明によるシリル化ブロックコポリマーの場合、エッチング工程のためのプラズマガス化学は、O2/N2/HBr/Ar/CO/CO2の単独またはHeもしくはArなどの希釈ガスを添加した組み合わせに基づいてもよい。好ましくは、本発明を限定するものではないが、ナノドメインの1つを除去する工程のガス化学またはガス混合物は、下にある層を著しく損傷してはならない。
【0097】
さらに、いくつかの層を含むスタックシステムでは、パターンの作成のための各層のエッチング抵抗は克服しなければならない困難である。例えば、架橋n-SOC層のエッチングが速すぎると、パターンの最終寸法の制御が不十分になる可能性がある。したがって、この層のエッチング速度を制御するための妥協点が見出されなければならない。有利には、フルオロアルキル(メタ)アクリレートタイプのコモノマーに由来するn-SOC層のフッ素基のために、架橋されたn-SOC層は、酸素下のプラズマによるエッチングG2に対して適切に耐性である。したがって、架橋されたn-SOC層はO2下であまりにも速くエッチングされず、フッ素基はO2エッチングを遅くすることを可能にする。これにより、最適化されたフォームファクタを有する均一なパターンが得られる。
【0098】
架橋されたn-SOC層のエッチングG2は、O2系プラズマ化学により数秒~1分程度行うことが好ましい。
【0099】
最後に、基板、例えばシリコンを、ハロゲン化学を用いてプラズマエッチングG3する(SF6、CH3F、CH2F2、CHF3、CF4、HBr、Cl2)。次いで、パターンを基板に転写し、これを10nm~400nmの深さまでエッチングする。
【0100】
最終エッチングG4(いわゆる「ストリッピング」工程)は、エッチングされた基板のみを保持するためにn-SOCおよびブロックコポリマーBCPの残留層を除去することからなる。このエッチングG4は、ドライエッチングであってもよく、適切なガス化学を用いて同じエッチングフレームまたはいくつかのエッチングフレームで行うことができる。
【0101】
この方法は、興味深い最適化されたフォームファクタを得るためにDSAに適用される。
【0102】
また、Si-ARC/SOG、SOC、中性層などの中間層を多数用いる必要がなくなる。
【0103】
したがって、本発明による方法は、1以上の大きなフォームファクタで典型的には15nm以上の厚さまで基板を深くエッチングすることを可能にしながら、工程数およびリソースを最小限に抑えることを可能にする。
【0104】
あるいは、ブロックコポリマーBCPのナノ構造化工程の前に、本方法は、ブロックコポリマーの上面に第3のトップコート(TCと命名)型層を堆積させる工程を含んでもよい。ブロックコポリマーの各ブロックに対して中性であるこの第3の層は、次いで、ブロックコポリマーをナノ構造化する工程の前に、ブロックコポリマーのアセンブリ温度より低い温度で全体的または部分的にアニーリングすることによって、全体的または部分的に架橋および/または露光後ベーク(PEB)に供される。このアニーリングは、対応する膜から残留溶媒を蒸発させるためにポリマー層が堆積された直後に実行される、PAB(英語の頭字語「Post Apply Bake」から)で示される、いわゆる「適用後」ベーキング、および/または、露光中に放出された酸/塩基の拡散を感受性材料の前記層内で伝播させるために、感受性材料(例えば、感光性または電気感受性材料)を含む層の露光直後に実行される、いわゆる「露光後」ベーキングまたはPEB(英語の頭字語「Post-Exposure bake」から)であり得る。典型的には、トップコート層の架橋および/またはPEBは、約90℃の温度で約3分間行われる。この層は、任意選択で、熱潜在性架橋剤、例えば、アンモニウムトリフレート型、PAG型、例えば、オニウム、スルホニウム、ヨードニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフレートを含んでもよい。次いで、ブロックコポリマーをそのアセンブリ温度でナノ構造化し、次いで、Ar/O2型のガス化学を用いたプラズマエッチングによってトップコートTC層を完全に除去した後に、ブロックコポリマーからナノドメインの1つを除去する。ブロックコポリマーの上面に堆積されたこのようなトップコートTC層は、有利には、ブロックコポリマーの各ブロックに対して中性であり、ブロックコポリマーのナノドメインが、ブロックコポリマーのナノ構造化工程時に、2つの下側界面および上側界面に対して完全に垂直に配向されることを確実にする。
【0105】
パターンは、例えば、特定の波長の光照射または局所的な電子ビームへの暴露などの標準的なリソグラフィ工程によって直接、トップコート層および/または下地層に描くことができる。または、硬化後のトップコート層上に標準的なリソグラフィ樹脂の追加の層を堆積させ、次いで、標準的なリソグラフィによって前記樹脂層内にパターンを作成することによって形成される。どちらの場合も、対応する材料スタック(少なくとも下地層およびBCP)が、光リソグラフィ工程の場合に選択された波長に対して反射防止特性を有することを確実にする必要がある。必要に応じて、BARC(英語の頭字語「Bottom Anti-Reflecting Coating」から)底部反射防止コーティングは、以下の材料の層を積層する前にこの目的のために分配されてもよい。
【0106】
例示的な実施形態:
本発明の例示的であるが限定的ではない例によれば、使用されるブロックコポリマーBCPは、PDMSB-b-PS(ポリ(ジメチルシラシクロブタン)-ブロック-ポリスチレン)タイプのものである。
【0107】
ここに示す特定の場合では、トップコートが使用される。さらに、単純化の理由から、TCおよびn-SOCは同じ化学構造を有し、コモノマーの割合は変化し得る。しかしながら、これは必須ではない。実際、化学的に非等価なコポリマーを使用することが可能である。
【0108】
この例示的な例では、n-SOC層は、ポリ(グリシジルメタクリレート-コ-ヒドロキシエチルメタクリレート-コ-トリフルオロエチルメタクリレート)(以下、PGFHと略す)コポリマーの層である。
【0109】
n-SOC層は、n-SOC層を構成するコポリマーの総重量に基づいて20~25%の最小割合でエポキシ基を含む。
【0110】
PGME-エタノール、またはPGMEA、またはMIBK中の溶液中のn-SOC/潜在剤混合物は、シリコン基板上に60nm程度の厚さまでスピンコーティングによって分注される。例示的な熱潜在性架橋剤は、最終n-SOC固体質量の30%未満、好ましくは最終n-SOC固体質量の11%未満で導入されるアンモニウムトリフラートである。
【0111】
このようにして堆積したn-SOC層を240℃で2分間架橋させた後に、純粋なMIBKの単純なスピンコーティングによってリンスする。ブロックコポリマーBCPを、重量で1%のMIBKに溶解した状態で、スピンコーティングによって架橋n-SOC層上に約30nmの厚さに分配する。
【0112】
この例では、例えばアンモニウムトリフラートなどの潜在的な架橋剤を含む無水エタノール溶液中のトップコート材料が、BCP層上に60nm程度の厚さに分配される。トップコートを90℃で3分間架橋する。
【0113】
次いで、BCP層を240℃で5分間ナノ構造化する。
【0114】
次いで、Ar/O2ガス化学によるプラズマエッチングによってトップコートを除去して、走査型電子顕微鏡によってBCP膜を画像化することができる。
【0115】
【0116】
図3Aは、BCPアセンブリの上面走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0117】
切片化された試料の分析には、FIB-STEM(高速イオン衝撃-走査透過型電子顕微鏡)調製を介して、以下の手順が使用され、試料の薄いスライドの調製およびそのSTEM分析は、Helios 450S装置で実行される。ポリマー損傷を防ぐために、最初に100nmの白金層を蒸着によって試料上に堆積させる。さらなる1μmの層が、高エネルギーイオンビームによってSTEMエンクロージャ内の試料上に堆積される。試料に対して垂直に慎重に位置合わせした後(断面図)、その薄いスライドをFIBによって抽出し、次いで約100nmの幅が得られるまで徐々に精製する。次いで、STEMを用いてその場観察を行う。分析の結果を
図3Bに示す。
図3Bは、自己組織化したラメラブロックコポリマーであるTC/BCP/n-SOCスタックのFIB-STEM調製による断面図である。顕微鏡法は、BCPラメラが、膜の厚さ全体にわたって、n-SOC層およびSi基板に対して垂直であることを示す(暗灰色はPDMSBラメラ、薄い灰色はPSラメラ)。
【0118】
図3Cは、BCPからPS相を除去した後のBCP/n-SOCスタックの断面走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0119】
これらの写真は、そのナノドメインが、基板の表面に直接堆積した厚い架橋炭素層上の界面に対して垂直に配向しているブロックコポリマーを得ることが可能であることを実証している。
【国際調査報告】