(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体で潰瘍性大腸炎を治療する安全かつ有効な方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221209BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221209BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20221209BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221209BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20221209BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20221209BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20221209BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20221209BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20221209BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221209BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20221209BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
A61P1/04
A61K47/22
A61K47/20
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522793
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2020059784
(87)【国際公開番号】W WO2021074897
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】アデドクン,オモニイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョハンズ,ジュエル
(72)【発明者】
【氏名】リ,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】マラーノ,コリーン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】シールズ‐タトル,キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウス,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ホンギャン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC16
4C076DD49
4C076DD55
4C076DD60
4C076DD67
4C076EE23
4C085AA14
4C085BB17
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗IL-12/IL-23p40抗体の静脈内及び/又は皮下投与による従来又は既存の療法に対して不十分な応答を有したことがあるか又はこれらに不忍容である患者における潰瘍性大腸炎、特に中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎の、本明細書に記載の製品ラベルに従った臨床的に証明された安全かつ有効な治療のための方法及び組成物が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗IL-12/IL-23p40抗体の医薬組成物であって、
A.(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体と、
B.中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装と
を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
抗IL-12/IL-23p40抗体の医薬組成物であって、
(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体を含み、該抗体が、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装内で提供される、
前記医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が静脈内投与用であり、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物が皮下投与用であり、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効量の請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記抗体による治療後、前記対象が治療に対するレスポンダーである、前記方法。
【請求項6】
前記抗体が、前記対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの投与量で前記治療の0週目に前記対象に静脈内投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、投与あたり約90mgの投与量で前記治療の8週目に前記対象に更に皮下投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に以前に失敗したことがあるか若しくはこれらに不忍容であったか、又は前記対象が、コルチコステロイド依存性を示したことがある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、8週目における前記治療後に維持用量で8週間毎に投与されるか、又は8週目における前記治療後に維持用量で12週間毎に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、世界定義及び米国定義のうちの少なくとも1つに基づく臨床的寛解を、前記治療の16週目までに、好ましくは8週目までに有するものとして特定され、前記臨床的寛解が、0週目以降少なくとも44週間継続する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間、コルチコステロイド非投与の臨床的寛解にある、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する内視鏡的治癒を有するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayo内視鏡サブスコアに基づく臨床応答を達成するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアにおけるベースラインからの変化を有するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する粘膜治癒を有するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少を有するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、C反応性タンパク質、糞便ラクトフェリン及び糞便カルプロテクチンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常化を有するものとして特定される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayoスコアにおけるベースラインから≧30%かつ≧3点の減少及び直腸出血サブスコアにおけるベースラインから≧1点の減少、又は0若しくは1の直腸出血サブスコアによって決定される臨床応答を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
A.前記治療の0週目に、前記対象に、前記対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの投与量で医薬組成物を静脈内投与すること(ここで、前記医薬組成物が、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体の医薬組成物であり、該医薬組成物が、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装内で提供される。)と、
B.前記対象に、前記治療の8週目に投与あたり90mgの投与量で前記医薬組成物を皮下投与することと
を含み、
前記対象が治療に対するレスポンダーであり、かつ、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に過去に失敗したことがあるか若しくはこれらに不忍容であったか、又は前記対象が、コルチコステロイド依存性を示したことがある、
前記方法。
【請求項20】
静脈内投与のための前記医薬組成物が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
皮下投与のための前記医薬組成物が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、世界定義及び米国定義のうちの少なくとも1つに基づく臨床的寛解を、前記治療の16週目までに有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、前記治療の16週目までに内視鏡的治癒を有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、前記治療の16週目までにMayo内視鏡サブスコアに基づく臨床応答を達成するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、前記治療の16週目までに炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアにおけるベースラインからの変化を有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、前記治療の16週目までに粘膜治癒を有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、前記治療の16週目までにMayoスコアにおけるベースラインからの減少を有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、前記治療の16週目までにC反応性タンパク質、糞便ラクトフェリン及び糞便カルプロテクチンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常化を有するものとして特定される、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、前記治療の16週目までにMayoスコアにおけるベースラインから≧30%かつ≧3点の減少及び直腸出血サブスコアにおけるベースラインから≧1点の減少、又は0若しくは1の直腸出血サブスコアによって決定される臨床応答を示す、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、前記治療の8週目までに前記抗体による前記治療に対するレスポンダーではなく、前記治療の16週目までに前記治療に対するレスポンダーである、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
A.前記治療の0週目に、前記対象に、前記対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの投与量で医薬組成物を静脈内投与することであって、前記医薬組成物が、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体の医薬組成物であり、前記医薬組成物が、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装内で提供される、前記静脈内投与することと、
B.前記対象に、前記治療の8週目、8週目の投与後、8週間毎に1回、又は12週間毎に1回、投与あたり90mgの投与量で前記医薬組成物の維持療法を皮下投与することと
を含み、前記維持療法が44週間にわたって与えられ、前記対象が治療に対するレスポンダーである、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2020年10月15日付で作成された、ファイル名「JBI6165WOPCT1SequenceListing.txt」のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された、15kbのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体の静脈内及び/又は皮下投与による従来又は既存の療法に対して不十分な応答を有したことがあるか又はこれらに不忍容である患者における潰瘍性大腸炎、特に中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎の、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な治療を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、UC)を含む炎症性腸疾患(Inflammatory bowel diseases、IBD)は、胃腸(gastrointestinal、GI)管の破壊的炎症及び上皮損傷によって特徴付けられる慢性再発性疾患である(Baumgart and Sandborn,J Clin Invest.98:1010-1020 (1996);Danese and Fiocchi,N Engl J Med.365:1715-1725 (2011))。米国におけるUCの発生率は、100,000人当たり205~240人の有病率で、100,000人当たり9~12人であると推定される(Tally et al.,Am J Gastroenterol.106 Suppl 1:S2-S25(2011)。欧州におけるUCの有病数の推定は、約1,000,000人である(Loftus,Gastroenterology.126(6):1504-1517 (2004);Loftus,Gastoenterol Clin N Am.31:1-20(2002))。UCの病因は不明である。しかしながら、腸内細菌を含む腸内の内容物に対する異常な免疫応答は、遺伝的に罹患しやすい個体において疾患を引き起こすと考えられている(Geremia et al.,Autoimmun Rev.13:3-10(2014))。調節不全の先天性及び適応性免疫経路は、IBDにおける異常腸炎症に寄与し、インターロイキン(IL)-12、インターフェロンγ(IFNγ)、及びIL-23を含むサイトカインは、UCの病因に関与している(Geremia et al.,Autoimmune Rev.2014;13:3-10;Neurath,Nat Rev Immunol.14(5):329-42(2014))。
【0004】
IBDの病因におけるIL-12/23経路の関与は十分に確立されており、腸炎症におけるIL-12/IL-23経路の重要な役割が大腸炎において解明されている(Ahern et al.,Immunity.33(2):279-288(2010);Investigator’s Brochure:STELARA(登録商標)(ustekinumab),edition 18.Janssen Research & Development,LLC(2017)、Uhlig et al.,Immunity.25:309 318(2006)、Yen et al.,J Clin Invest.116(5):1310-1316(2006))。初期の研究は、抗IFNγによる治療(Berg et al.,J Clin Invest.98:1010-1020 (1996);Davidson et al.,J Immunol.161:3143-3149(1998))又は抗IL-12p40モノクローナル抗体(mAb)による治療が、大腸炎の実験モデルにおける疾患を予防することを示しており、腸炎症を促進する1型ヘルパーT(Th-1)細胞に対する重要な役割を示唆している(Neurath et al.,J Exp Med.182(5):1281-1290(1995))。ゲノムワイド関連研究は、IL-23 R及びIL-12Bを含む、UCに対する感受性の増加と関連しているIL-12/23経路におけるヒトのいくつかの遺伝子座に関係している(Anderson et al.,Nat Genet.43(3):246-252(2011);Brant et al.,Clin Gastroenterol Hepatol.11(1):22-26(2013))。活動期のUCを有する対象は、非活動期のUCを有する対象及び正常対照よりも有意に多くのIL-23、IL-22、IL-22R1及びp-STAT3陽性細胞を有することが示された(Yu et al.,World J Gastroenterol.19(17):2638-2649(2013))。
【0005】
UCの治療に現在承認されている生物学的療法は、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)又はインテグリン阻害剤のいずれかである(Colombel et al.,Gastroenterology.132:52-65 (2007);Hanauer et al.,Lancet.359:1541-1549 (2002);Sandborn et al.,N Engl J Med.369:711-721 (2013);Sandborn et al.,Gastroenterology.142:257-265 (2012))。しかしながら、全ての現在承認されている治療薬のうちの1つの療法、ベドリズマブ(vedolizumab)だけが、抗TNFに対する不十分な応答(すなわち、一次非応答性若しくは二次不応答性)を有したことがあるか又は抗TNFに不忍容である対象における有効性を示したことがある(Feagan et al.,N Engl J Med.369:699710(2013))。抗TNFは、免疫抑制に関連した安全リスクを有し、全ての対象がこのような治療に適切に応答するわけではない。更に、抗TNFで観察されたように、不十分な応答、及び不忍容性が、それらのUCの治療のためのベドリズマブを受容している対象において特定されている。したがって、代替的な作用機序を有する新規な療法に対する未だ満たされていないニーズが残っている。
【0006】
調べてみると、UCの治療に現在承認されている生物学的療法もまた、クローン病における有効性を示している(Sandborn et al.,Gastroenterology.135(4):1130-1141(2008))。多数の証拠は、炎症性腸疾患(UC及びクローン病)が、炎症性サイトカイン、IL-12、及びIL-23から強い寄与を有するTh1又はTh17細胞によって媒介されることを示唆している。ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))は、ヒトIL-12/23p40に対する完全ヒト免疫グロブリンG1 mAbであり、これは、IL-12及びIL-23の生物活性を、それらがその細胞表面IL-12Rβ1受容体タンパク質と相互作用することを阻害することによって防止する(Investigator’s Brochure:STELARA(登録商標)(ustekinumab),edition 18.Janssen Research & Development,LLC(2017))。この作用機序により、ウステキヌマブは、IL-12(Th1)-及びIL-23(Th17)-媒介細胞応答を効果的に中和する。ウステキヌマブは、中等度から重度の活動性クローン病を有する成人対象の治療(クローン病の最初の承認は、2016年11月11に受けた)、中等度から重度の尋常性乾癬、又は活動性乾癬性関節炎を有する成人対象の治療、並びに中等度から重度の尋常性乾癬を有する小児対象(12~17歳)の治療に、北米、ヨーロッパ、南米、及びアジア太平洋地域の国々を含む、世界中で販売承認を受けている。
【0007】
クローン病における導入療法としての静脈内(IV)ウステキヌマブの有効性及び安全性は、臨床試験CRD3001及びCRD3002において評価されている。試験CRD3001では、1つ以上のTNF拮抗薬に対する以前の失敗又は不忍容性を示した対象を評価し、CRD3002では、コルチコステロイド又は免疫調節物質に対する不十分な応答又は不忍容性の履歴を有するが、TNF拮抗薬に対する不十分な応答又は不忍容性の履歴を有さない対象を評価した。これらの試験では、2つのIV用量を評価した:130mgのIV固定用量(mg/kg単位で約2mg/kg))を低用量群に選択し、一方、体重範囲に基づく用量約6mg/kg IV(体重≦55kg:ウステキヌマブ260mg、体重>55かつ≦85kg:ウステキヌマブ390mg、体重>85kg:ウステキヌマブ:520mg)を、高用量群として選択した。両方の試験において、ウステキヌマブは、プラセボと比べて臨床的に有意な有効性を示し、良好な安全性プロファイルで十分に忍容された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の以前には、UCのためのウステキヌマブを用いた研究は行われておらず、生物学的療法若しくは他の従来の療法が以前に失敗したことがあるか又はこれらに不忍容であったか、又はコルチコステロイド依存性を示したことがある対象において、UCを治療する、特に中等度から重度の活動性UCを治療する改善された方法が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、抗IL-12/IL-23p40抗体の対象への投与によって、特に従来若しくは既存の療法に対して不十分な応答を有したことがあるか、又はこれらに不忍容である対象における中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療のための臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法及び組成物に関し、それにより、この対象集団において、明らかに満たされていない医療ニーズに対処する。
【0010】
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む抗体と、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装とを含む。
【0011】
1つの一般的態様では、本出願は、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法に関し、この方法は、対象に、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を投与すること(ここで、抗体が、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む。)と、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験のデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装とを含む。ある特定の実施形態では、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、対象に静脈内で、好ましくは0週目に、対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの投与量で投与される。
【0012】
ある特定の実施形態では、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、対象に静脈内又は皮下で、好ましくは8週目に、それぞれ対象の体重1kgあたり約6.0mg又は投与あたり90mgの投与量で投与される。
【0013】
好ましくは、本出願の実施形態による方法によって治療される対象は、従来又は既存の療法に対して不十分な応答を有したことがあるか、又はこれらに不忍容である。いくつかの実施形態では、対象は、抗TNF及び/又はベドリズマブなどの生物学的療法に以前に失敗したことがあるか、又はこれらに不忍容であった。いくつかの実施形態では、対象は、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び/又は6メルカプトプリン(6MP)による治療などの非生物学的療法に以前に失敗したことがあるか、又はこれらに不忍容であった。いくつかの実施形態では、対象は、コルチコステロイド依存性を示したことがある。
【0014】
別の一般的態様では、本願は、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法に関し、この方法は、
対象に、治療の0週目に対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの抗体の投与量で、抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を静脈内投与することと、
対象に、治療の8週目に投与あたり90mgの抗体の投与量で、抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を皮下投与することとを含み、
抗体が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、
対象が、抗TNF、ベドリズマブ(vedolizumab)、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に以前に失敗したことがあるか若しくはこれらに不忍容であったか、又は対象が、コルチコステロイド依存性を示したことがある。
【0015】
ある特定の実施形態では、本出願の方法は、対象に、(i)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体若しくは抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、本出願の方法は、対象に、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/23p40抗体のウステキヌマブを含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、0週目におけるIV用量は、約6.0mg/kgである。例えば、IV用量は、体重が35kg以上~55kg以下の対象に対しては260mgであり、体重が55kg超~85kg以下の対象に対しては390mgであり、体重が85kg超の対象に対しては520mgである。
【0018】
ある特定の実施形態では、対象は、本出願の一実施形態による方法の治療に対するレスポンダーであり、下記のうちの少なくとも1つを有するものとして特定される:
(1)世界申請書及び米国申請書のうちの少なくとも1つに基づく臨床的寛解、(2)内視鏡的治癒、(3)臨床応答、(4)炎症性腸疾患質問票(Inflammatory Bowel Disease Questionnaire、IBDQ)スコアにおけるベースラインからの変化、(5)粘膜治癒、(6)Mayoスコアにおけるベースラインからの減少、並びに(7)C反応性タンパク質、糞便ラクトフェリン及び糞便カルプロテクチンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常化。好ましくは、上記の(1)~(7)のうちの少なくとも1つは、治療の16週目までに、より好ましくは8週目又は4週目までに、最も好ましくは2週目までに対象から特定される。
【0019】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象において中等度から重度の活動性UCを治療する、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0又は1のMayo内視鏡サブスコアを有する内視鏡的治癒によって決定されるような疾患活動性における統計的に有意な改善を、抗体による治療の8週目までに有するものとして特定される。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、対象において中等度から重度の活動性UCを治療する、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、≦4の潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度評価指標(Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity、UCEIS)スコアによって決定されるような疾患活動性における統計的に有意な改善を、抗体による治療の8週目までに有するものとして特定される。
【0021】
ある特定の実施形態では、対象は、Mayoスコアにおけるベースラインから≧30%かつ≧3点の減少及び直腸出血サブスコアにおけるベースラインから≧1点の減少、又は0若しくは1の直腸出血サブスコアによって決定される臨床応答を、抗体による治療の8週目までに示す。
【0022】
他の実施形態では、抗IL-12/IL-23p40抗体の維持用量が、8週目における治療後に8週間毎に、又は8週目における治療後に12週間毎に投与され、臨床応答は、少なくとも44週間にわたって対象によって維持される。
【0023】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象において中等度から重度の活動性UCを治療する、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、初期治療に対するノンレスポンダーとして特定された対象に、好ましくは初期治療とは異なる投与経路で第2の治療が施される。例えば、抗体又は抗体結合フラグメントのIV投与による初期治療に対するノンレスポンダーとして特定された対象は、本発明の実施形態による抗体又は抗体結合フラグメントの後続の皮下投与で治療することができる。
【0024】
ある特定の実施形態では、本出願は、対象における中等度から重度の活動期のUCを治療する方法を提供し、IV投与で使用するための抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0025】
ある特定の実施形態では、本出願は、対象における中等度から重度の活動性UCを治療する、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、皮下投与で使用するための抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0026】
ある特定の実施形態では、本出願は、UCを治療するために使用される1つ以上の追加の薬物を対象に投与することを更に含む方法を提供する。好ましい実施形態では、追加の薬物は、経口5-アミノサリチレート(5-ASA)化合物、経口コルチコステロイド、免疫調節剤、6-メルカプトプリン(6-MP)、アザチオプリン(AZA)、又はメトトレキサート(MTX)からなる群から選択される。
【0027】
本出願の他の態様は、対象における中等度から重度の活動性UCを治療する、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物、並びに組成物の調製方法及び医薬組成物を含むキットを含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、本発明の方法に有用なキットは、本発明の静脈内投与用の医薬組成物、及び本発明の皮下投与用の医薬組成物のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、キットは、本発明の静脈内投与用医薬組成物及び皮下投与用医薬組成物の両方を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されない点が理解される必要がある。
【
図1】試験設計の図式表現を示す。略語、W8=8週目W16=16週目LTE=長期継続投与。
【発明を実施するための形態】
【0030】
「背景技術」において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載し、これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0031】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているように組み込まれる。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意する必要がある。
【0033】
別途記載のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対して多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。かかる均等物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0034】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」又は「含む(including)」という用語に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、「有する(having)」という用語に置き換えることもできる。
【0035】
本明細書で使用するとき、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程は除外しない。本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用するとき、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の「及び/又は」という接続的な用語は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用するとき、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。
【0037】
本明細書で使用するとき、「対象」とは、本発明の実施形態による方法によって治療される、又は治療された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、「哺乳動物」という用語は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(non-human primate、NHP)、ヒト等、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用するとき、「併用される」という用語は、対象への2つ以上の治療薬の投与との関連において、複数の治療薬の使用を指す。「併用」という用語の使用は、治療薬を対象に投与する順序について限定しない。例えば、第1治療薬(例えば、本明細書に記載される組成物)を、対象への第2治療薬の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
【0039】
本明細書で使用するとき、「抗IL-12抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗IL-12/23p40抗体」、又は「IL-12/23p40抗体」は、サイトカインのインターロイキン-12及びインターロイキン-23(IL-12/23p40)によって共有される40kDa(p40)サブユニットに結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメントを指す。この抗体は、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-12/23放出、IL-12/23受容体シグナル伝達、膜IL-12/23切断、IL-12/23活性、IL-12/23産生及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL-12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことができる。
【0040】
「抗体」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びそのフラグメントなどといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定されたフラグメント若しくは一部分を含む、抗体、その消化フラグメント、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能フラグメントとしては、哺乳類のIL-12/23に結合する抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)フラグメントが挙げられるがこれらに限定されない、IL-12/23又はその部分に結合することができる抗体フラグメントが、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照)。
【0041】
かかる断片は、当該技術分野において既知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の様々な部分を従来技術により化学的に結合することができ、又は遺伝子工学技術を使用して隣接タンパク質(contiguous protein)として調製することができる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「ヒト抗体」という用語は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))が軽微な配列の変化又は変異だけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型の免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又は厳密に一致する抗体でもあり得る。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコード化されていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含み得る。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいたグループに分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)及び他の哺乳類を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科の特異的抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含み得る。かかる変化又は変異は、場合によりかつ好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0043】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体では見られないリンカペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカペプチドを含み得る。かかるリンカペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0044】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-12/23p40抗体(IL-12/23p40抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、任意選択的に、IL-12/23p40への高親和性結合、任意選択的にかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定された断片、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、任意選択的に、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性を備えて、長期間対象を治療する能力を特徴とする。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される対象の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は、治療される対象において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定して約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。「低い免疫原性」はまた、治療期間中の推奨療法経過の間、推奨投与量で治療される対象の25%未満、好ましくは治療される対象の10%未満で発生するとき、抗IL-12抗体で治療される対象における抗IL-12抗体に対する滴定レベルの抗体の発生率としても定義することができる。
【0045】
「臨床的に証明された有効性」及び「臨床的に証明された有効な」という用語は、用量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の用量、投与、治療レジメンの有効性を意味する。有効性は、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明の抗IL12/23p40(例えば、ウステキヌマブ)は、治療されている障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、対象に投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、対象の病気、疾患又は病状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。かかる指標には例えば、疾患重篤度、症状、又は問題の障害の兆候についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により判定され、医師はこの判定を、兆候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また対象に対して行うアンケート、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関する質問票などを採用することもできる。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体は、潰瘍性大腸炎に関連する対象の状態の改善を達成するために投与され得る。
【0046】
この改善は、疾患活動性指数の改善、臨床症状の寛解、又は疾患活動性の任意の他の測定によって示すことができる。このような疾患の指標は、潰瘍性大腸炎Mayoスコアである。Mayoスコアは、排便回数、直腸出血、内視鏡所見、及び医師による包括的評価(PGA)の4つのサブスコアの合計として計算される、軽度、中等度、及び重度の潰瘍性大腸炎(UC)について、確立され、妥当性が検証された疾患活動性指数であり、0~12の範囲である。3~5点のスコアは、軽度の活動性疾患を示し、6~10点のスコアは中等度の活動性疾患を示し、11~12点のスコアは重度の疾患を示す。内視鏡サブスコアなしのMayoスコアである部分的Mayoスコアは、排便回数、直腸出血、及び医師による包括的評価サブスコアの合計として計算され、0~9の範囲である。PGAサブスコアなしのMayoスコアである修正Mayoスコアは、排便回数、直腸出血、及び内視鏡サブスコアの合計として計算され、0~9の範囲である。UCについての他の疾患活動性指標としては、例えば、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度評価指標(Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity、UCEIS)スコア及びブリストル便性状スケール(Bristol stoolformscale、BSFS)スコアが挙げられる。UCEISスコアは、粘膜血管パターン、出血、及び潰瘍化に基づいて、UCの内視鏡的重症度の総合評価を提供する(Travis et al.,Gut.61:535-542 (2012))。スコアは3~11の範囲であり、より高いスコアは、内視鏡検査によるより重度の疾患を示す。BSFSスコアは、ヒト糞便の性状(又は粘稠性)を7つのカテゴリに分類するために使用される(Lewis and Heaton,Scand J Gastroenterol.32(9):920:924-1997)。
【0047】
本明細書で使用するとき、「臨床応答」という用語は、薬物投与に対する対象の応答に関連する場合、≧1の直腸出血サブスコアにおけるベースラインからの減少又は0若しくは1の直腸出血サブスコアのいずれかを伴う、≧30%かつ≧3点のMayoスコアにおける導入期ベースラインからの減少を指す。
【0048】
「臨床的に証明された安全性」という用語は、本発明の抗IL-12/IL-23p40抗体(例えば、ウステキヌマブ)による用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合、標準治療又は別の比較薬と比べて、治療下で発現した有害事象(adverse event、AE又はtreatment-emergent adverse event、TEAEと称される)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を伴う、良好なリスク:利益比を指す。本明細書で使用するとき、「有害事象」、「治療中に発生した有害事象」、及び「有害反応」は、医薬組成物又は治療薬の投与に関連するか、若しくはこれらによって引き起こされた、任意の有害な、好ましくない、意図しない若しくは望ましくない兆候又は結果を意味する。これは、医薬品を投与された対象における厄介な医療上の出来事である。しかしながら、異常な値又は観察結果は、治験責任医師によって臨床的に有意であると見なされない限り、有害事象として報告されない。本明細書で使用するとき、有害事象を指す場合、「臨床的に明らかな」とは、当業者に許容される基準を使用して、医師又は治験責任医師によって決定されるように臨床的に有意であることを意味する。有害事象の有害又は望ましくない結果がこのような重症度に達すると、規制当局は、医薬組成物又は治療薬を、提案される使用には許容できないと見なし得る。具体的には、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体による投与量、投与レジメン又は治療に関連する場合、「安全」とは、有害事象が抗IL12/23p40又は抗IL23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0049】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「臨床的に証明された」という用語(独立して、又は「安全(性)」及び/又は「有効(性)」という用語を修飾するために使用される)は、米国食品医薬品局、EMEA、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たしている臨床試験によって証明されていることを意味するものとする。例えば、臨床試験は、薬剤の効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズの無作為化、二重盲検試験であってもよい。
【0050】
本明細書で使用するとき、「mg/kg」での抗IL-12/IL-23p40抗体の投与量は、抗体を投与される対象の体重1キログラム当たりの抗IL-12/IL-23p40抗体のミリグラムの量を指す。
【0051】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)は、任意選択的に、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow及びLane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,ed.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994~2001)、Colligan,et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997~2001)を参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
ヒトIL-12/23p40若しくはIL-23タンパク質又はそのフラグメントに特異的なヒト抗体は、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に生じ得る。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、本開示を考慮して、任意の好適な技術を用いて実施することができる。
【0053】
1つのアプローチでは、適切な不死細胞株(例えば、限定されないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.comなどを参照されたい)を、限定されないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はこれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞と融合することによりハイブリドーマを産生する。例えば、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。なお両文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定された断片又はその変異体をコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0055】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する方法が挙げられるがこれらに限定されない、必要とされる特異性を有する抗体を産生又は単離するのに好適なその他の方法を使用することができる(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるがこれらに限定されず、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys.から入手可能である)。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願PCT/GB91/01134号、国際出願PCT/GB92/01755号、国際出願PCT/GB92/002240号、国際出願PCT/GB92/00883号、国際出願PCT/GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願PCT/GB94/01422号、国際出願PCT/GB94/02662号、国際出願PCT/GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願PCT/US94/1234号、国際公開第92/18619号国際公開第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願PCT/US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願PCT/US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590 689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution)(AME)前身、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、あるいは当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907 (1997);Sandhuet al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996)、Erenet al.,Immunol.93:154-161(1998)、各々は、参照により全体が組み込まれる)。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Haneset al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(Can 1997)、Haneset al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(1998年11月))、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenet al.,J.Immunol.17:887-892 (1987);Babcooket al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 937843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリ(Powellet al.,Biotechnol.8:333-337(1990)、One Cell Systems(Cambridge、MA)、Grayet al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kennyet al.,Bio/Technol.13:787-790(1995)、B細胞選択物(Steenbakkerset al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonaket al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化する方法も使用することができ、技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体又は改変抗体は、ヒト以外、例えば、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、又は他の哺乳動物の供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられる。かかる「インポート」残基は、典型的には、既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0057】
既知のヒトIg配列が、以下に開示されている:例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、www.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/phage/hdb.html、www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php、www.kabatdatabase.com/top.html、ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、www.sciquest.com、www.abcam.com、www.antibodyresource.com/onlinecomp.html、www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html、www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm、www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html、www.immunologylink.com、pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html、www.appliedbiosystems.com、www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html、www.biodesign.com、www.cancerresearchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac-net.org、baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html、www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu、www.mrc-cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、http://www.bioinf.org.uk/abs、antibody.bath.ac.uk、www.unizh.ch、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html、www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html、www.jerini.de、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)であり、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
かかるインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、技術分野において既知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意の他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、ヒト以外のCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域のヒト以外の配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0059】
抗体は、任意選択的に、ヒト化されてもよく、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま改変され得る。この目的を達成するためには、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムを利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0060】
加えて、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、この軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0061】
他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、この重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0062】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0063】
本発明の抗体のヒト化又は工学的処理は、Winter(Joneset al.,Nature 321:522(1986)、Riechmannet al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyenet al.,Science 2391534(1988))、Simset al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia及びLesk,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carteret al.,Proc.Natl.Acad.SCi.U.S.A.89:4285(1992)、Prestaet al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、英国特許第89/01334号、同第91/01134号、同第92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々、参照により全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0064】
ある特定の実施形態において、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクタ機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞毒性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特定の目的の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであることができ、補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity、CDC)を示す。既存のC1q結合活性を有し、任意選択的に更にCDCを介在する能力を有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように修飾され得る。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、国際公開第0042072号に記載されており、参照により本明細書に組み入れる。
【0065】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクタ機能を有する本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクタ機能」は、(例えば、対象における)生物活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクタ機能の例としては、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かかるエフェクタ機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、また多種多様なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0066】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクタ機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう改変することができる。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択的に、同時に他の活性が低減され得る(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域バリアント、及びこの逆のFc領域バリアントを生成するため)。
【0067】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集が記述されている(Shields et al.,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0068】
別の種類のアミノ酸置換は、ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを変更するのに役立つ。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O結合型グリコシル化とは、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得るが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付加のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0069】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。例示的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この変更は、元々のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によっても行われ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0070】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公開第20030003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0071】
ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体はまた、任意選択的に、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成することもできる。ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を産生する細胞を、かかる動物から単離し、本明細書に記載される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0072】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法によって作製することができる(例えば、これらに限定されないが、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463 151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許第0710 719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438 474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814 259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2 272 440(A)号、LonbergらのNature 368 856-859(1994)、TaylorらのInt.Immunol.6(4)579-591(1994)、GreenらのNature Genetics 7:13-21(1994)、Mendezら,Nature Genetics 15:146-156(1997)、TaylorらのNucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tuaillonら,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、LonbergらのInt Rev Immunol 13(1):65-93(1995)及びFishwaldら,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、これらは、参照により各全体が本明細書に組み込まれる)。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体を産生する動物の能力を除去することができる。
【0073】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際出願公開第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0074】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、インビトロでの化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願公開第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクタ、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたく、上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明の方法に使用される抗体は、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して調製することもできる。かかる動物は、既知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されないが、米国特許第5,827,690号、同第5849992号、同第4873316号、同第5849992号、同第5994616号、同第5565362号、同第5,304,489号などを参照されたい(それらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0076】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定された部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモータを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hoodet al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも大量に産生されてきた。例えば、Conradr,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischeret al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(1999年10月)、Maet al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Maet al.,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelamet al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びこれらの中で引用される文献も参照されたい。上記文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0077】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択的に、高い親和性でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)X 10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0078】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書に記載される緩衝剤などの標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0079】
ベクタ及び宿主細胞
本発明は、単離された核酸分子を含むベクタ、組換えベクタで遺伝子工学処理される宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40抗体の産生にも関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0080】
ポリヌクレオチドは、任意選択的に、宿主の増殖についての選択マーカを含有するベクタに結合することができる。一般に、プラスミドベクタは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクタがウイルスである場合は、適切な包装細胞株を用いてインビトロでこれを包装し、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0081】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。構築により発現する成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳類又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0082】
発現ベクタは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカを含むが、これは任意選択的である。かかるマーカは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸又はグルタミンシンセターゼ(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びに大腸菌(E.coli)及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、当該技術分野において既知である。好適なベクタは、当事者にとって容易に明白となるであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランを介在させたトランスフェクション、カチオン性脂質を介在させたトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の既知の方法により達成され得る。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章など、当該技術分野において記載されている。
【0083】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17及び18章など、多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0084】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中で発現させることができる。かかる方法は、例えば、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、技術分野において周知であり、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
抗体、その特定された部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の実例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞の単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクタも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ないくつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手可能である。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC登録番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC登録番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0086】
これらの細胞の発現ベクタは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1αプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用なその他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collectionの細胞株及びハイブリドーマのカタログ(www.atcc.org)又はその他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0087】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクタ内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクタ内に組み込むことができる。
【0088】
抗体の精製
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィが挙げられるがこれらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィ(「high performance liquid chromatography、HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成による手法の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え法により産生された産物が含まれる。組換え産物の手順に利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全て参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体
本発明による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらのフラグメント、更に任意選択的に、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖若しくは軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つのCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらのフラグメント、更に任意選択的に、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来し得る。
【0091】
好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又はフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変異体は、タンパク質又はフラグメントに結合し、それによりIL-12/IL-23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又は他のIL-12/IL-23p40若しくはIL-23依存性若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上、IL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体がIL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態において、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態において、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0092】
抗体は、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分、又はこれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープに結合する。この少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成されている。
【0093】
概して、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでよく、又は生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元のヒト以外のCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元のヒト以外の配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0094】
かかる抗体は、組換えDNA技術の従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製することができる。
【0095】
一実施形態では、本発明に有用な抗IL-12/23p40抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、それぞれ配列番号4、5、及び6の軽鎖CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、モノクローナル抗体、好ましくはヒトmAbである。
【0096】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号7に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及びも好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。
【0097】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号10に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。
【0098】
好ましくは、抗IL-12/23p40抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含むウステキヌマブ(Stelara(登録商標))である。本発明に有用な抗IL12/23p40抗体の他の例としては、ブリアキヌマブ(Briakinumab)(ABT-874、Abbott)、及び米国特許第6,914,128号、同第7,247,711号、同第7700739号(これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている他の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明は、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合フラグメント及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されないが、あるアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置換することを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0100】
ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、画定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-12/IL-23p40若しくはIL-23又はそのフラグメントで免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は技術分野において既知であるように、ハイブリドーマ又は他の不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定された部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0101】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0102】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、任意の所与の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、フラグメント又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0103】
機能上不可欠である抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特定することができる(例えば、上記のAusubel、Chapters 8,15;Cunningham及びWells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の残基毎に単個のアラニンによる変異を導入する。得られた突然変異分子は、次いで、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23中和活性などの生物活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smith,.et al.,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vos,et al.,Science 255:306-312(1992))。
【0104】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個~全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0105】
IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は特定の部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0106】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号の5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖、又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号の配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知であるように、好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0107】
当該技術分野において既知のように、「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、かかる線状の配列間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0108】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラム包装(Devereux,J.et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0109】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であり得る。
【0110】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性抗体が含まれている。生物活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~100%以上(限定されないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0111】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合フラグメントに関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、増大した、インビボでの血清半減期)をもつ抗体又は抗原結合フラグメントを産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖の親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、約800~約120,000ダルトンの分子量を有し得、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40個の炭素原子を含み得る。
【0112】
修飾された抗体及び抗原結合フラグメントは、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合フラグメントに結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含む。本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾する好適な親水性ポリマーは、直線状又は分枝状であり得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができる。下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0113】
本発明の抗体を改変するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を改変するために好適な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸(C12、ラウリン酸)、n-テトラデカン酸(C14、ミリスチン酸)、n-オクタデカン酸(C18、ステアリン酸)、n-エイコサン酸(C20、アラキジン酸)、n-ドコサン酸(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸(C30)、n-テトラコンタン酸(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸(C18、オレイン酸)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(C20、アラキドン酸)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含んでもよい。
【0114】
修飾ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、「修飾剤」という用語は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、それにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することができる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオールと反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子と連結することができ、及び、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性基を導入するための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分(例えば、二価のC1~C12基、ここで1つ以上の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子に置換できる)を介して、結合することができる。適切なリンカー部分としては例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が挙げられる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間のアミド結合を形成することによって産生可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例えば、国際公開第92/16221号(Thompsonら)を参照されたく、参照によりこの教示の全体が本明細書に組み込まれる)。
【0115】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを修飾剤と反応させることによって産生することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合フラグメントを調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、逆タンパク質分解など(Fisch et al.,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlenet al.,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994)、Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233-2241 (1997);Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1):59-68(1996)、Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))の適切な方法、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法を使用して調製することができる。
【0116】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ以上のその抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物も使用する。かかる組成物は、上記配列番号の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定されるフラグメント、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメント、又は特定された変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、例えば、上記配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体配列、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、フラグメント、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0117】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択的に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうちの少なくとも1つから選択される、少なくとも1つの化合物又はタンパク質を有効量を更に含むことができる。かかる薬品は、本明細書に示されるそれぞれの製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野ではよく知られている(例えば、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton&Lange,Stamford,CTを参照されたく、各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0118】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬品の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であり得る。
【0119】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であり得る。
【0120】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0121】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の疥癬殺虫剤又は殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0122】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、かかる調節、処置、又は治療を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は対象に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-12/23p40又はIL-23抗体を含み、任意選択的に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又はフラグメント、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を更に含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非制限的な例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2等)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000年)を参照されたく、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを更に含み得る。薬学的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する方法及びその非限定例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA),1990が挙げられるが、これに限定されない。当該技術分野において周知である、又は本明細書に記載されるように、抗IL-12/IL-23p40、フラグメント、又は変異体組成物の投与方法、溶解度、及び/又は安定性に好適な薬学的に許容される担体を、日常的に選択することができる。
【0124】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0125】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類、及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0126】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0127】
加えて、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0128】
本発明にかかる抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams&Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は賦形剤材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0129】
製剤
上述のとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤を含む安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに薬学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む薬学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの既知の保存剤、すなわち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択的に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又は0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれらに限定されない、その中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物が使用され得る。非限定的な例としては、保存剤無添加、0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0130】
上述のとおり、本発明の方法は、包装材と、任意選択的に水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルとを含む製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルとを含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤でもどして、24時間以上にわたって保持することができる溶液を形成するように対象に指示するラベルを含む。
【0131】
本発明に従って使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知のように、哺乳類細胞又はトランスジェニック製剤からといった組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0132】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成するときに約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0133】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに充分な濃度である。かかる濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0134】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、好ましくは約pH5~約pH9の範囲、最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を対象にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0135】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、薬学的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリル(polyl)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、任意選択的に、製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0136】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0137】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として対象に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の対象治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0138】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、対象に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択的に、約2℃~約40℃の温度で安全に保管し、長期間タンパク質の生物学的活性を保持することができ、したがって包装ラベルには、溶液が6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上にわたって保存及び/又は使用可能であることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルに最高1~12か月、半年、1年半及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0139】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0140】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、対象に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の対象治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0141】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルを、薬局、診療所、又は他のかかる機関及び施設に提供することによって、対象に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれを超える容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は対象に提供することができる。
【0142】
単一バイアルシステムを含む認識されているデバイスとしては、溶液を送達するためのペン型インジェクター装置、例えば、BD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(登録商標)(例えば、Becton Dickensen(Franklin Lakes、NJ、www.bectondickenson.com)、Disetronic (Burgdorf、Switzerland、www.disetronic.com、Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)によって製造又は開発されている)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。併用バイアルシステムを含む認識されているデバイスとしては、HumatroPen(登録商標)などの、溶解した溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬品を溶解させるためのペン型注射器システムが挙げられる。好適な他のデバイスの例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0143】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を対象に提供する。単一バイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、かかる溶液を2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0144】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-12/IL-23p40及び選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL-12/IL-23p40抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに充分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0145】
本発明の方法は、ヒト又は動物の対象に投与するのに有用かつ許容できる様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用する「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識するであろう。
【0146】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であり得る。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する、単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一部、温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物が他の温度及び圧力で製造され得ることを認識するであろう。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0147】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)の構成要素質量を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に、単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能であるときの、「約」所与の数値である。
【0148】
競合結合解析を行って、IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbが競合mAb(「自己競合」)として使用され得る。IL-12/IL-23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-12/IL-23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0149】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0150】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40のバイアルを含む併用バイアルとして、対象に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の対象治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0151】
抗IL-12/IL-23p40を安定化するその他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものをもたらす場合がある。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む製剤があり、このような微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の大きさの構造内に、抗IL-12/IL-23p40抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示されるとおり、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次いで非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示されるとおり、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに上記の第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0152】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、若しくは蒸発による溶媒抽出法、又は水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得ることができる。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択的に、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒には、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられ得る。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて対象の肺に投与することができる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0153】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液のいずれかの抗IL-12/IL-23p40は、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当該技術分野において周知であり当業者により理解される他の手段などの様々な送達方法を介して、本発明により対象に投与することができる。
【0154】
治療適用
本発明はまた、当該技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は対象に、治療有効量のIL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は対象における潰瘍性大腸炎を調節又は治療するための方法をも提供する。
【0155】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、臓器、動物、又は対象に、IL-12/IL-23p40を含む組成物又は医薬組成物を有効量で投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択的に、このような疾病又は疾患の処置のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、その少なくとも1つのIL-12/IL-23p40、特定部分又はその変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、以下に限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくはフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70又はp85)若しくはフラグメント、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、5-アミノサリチレート)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類縁体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に、投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献の各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0156】
治療処置
潰瘍性大腸炎の治療は、抗IL-12/23p40組成物の有効量又は投与量を、それを必要とする対象に投与することによって影響を受ける。投与される投与量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、レシピエントの年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。場合によっては、望ましい治療量に達するために、反復投与、すなわち特定の監視された量又は計量された量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0157】
重度の活動性UCの安全かつ有効な治療を、それを必要とする対象において提供する1つの例示的なレジメンでは、約130mgの抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量が、投与毎に対象に静脈内投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg又は180mgで抗体の目標とする投与量を対象に提供するように適切に調節される。
【0158】
重度の活動性UCの安全かつ有効な治療を、それを必要とする対象において提供する1つの例示的なレジメンでは、約6.0±1.5mg/kgの抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量が、投与毎に対象に静脈内投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり3.0mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、5.5mg/kg、6.0mg/kg、6.5mg/kg、7.0mg/kg、7.5mg/kg、8.0mg/kg、8.5mg/kg、又は9.0mg/対象の体重1kgで、抗体の目標とする投与量を対象に提供するように適切に調節される。
【0159】
投与あたりの対象に投与される抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量は、約30分~180分、好ましくは60分~120分の期間にわたって、例えば、30分、60分、90分、120分、150分、又は180分、静脈内注入によって投与することができる。
【0160】
重度の活動性UCの安全かつ有効な治療を、それを必要とする対象において提供する別の例示的なレジメンでは、約90mgの抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量が、投与毎に対象に皮下投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与あたり40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、又は140mgで抗体の目標とする投与量を対象に提供するように適切に調節される。投与あたりの目標とする投与量は、単回の皮下注射又は複数回の皮下注射、例えば、1、2、3、4、5回又はそれ以上の皮下注射で投与することができる。
【0161】
抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量は、1日1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、6ヶ月毎に1回など、1日間、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間又はそれ以上の期間にわたって投与することができる。それぞれ本明細書に記載される総投与量での抗IL-12/IL-23p40抗体の複数回の投与は、それを必要とする対象に投与することができる。
【0162】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、概して、ユニット又は容器あたり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。
【0163】
非経口投与には、抗体は、薬学的に許容される非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、製剤化され得る。かかるビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0164】
好適な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載されている。
【0165】
IL-12/IL-23p40抗体の薬学的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。本発明のIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される方式若しくは当該技術分野において既知である他の方式による投与に好適な様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0166】
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってもよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが可能であり、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザ穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されず、これらは参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0167】
代替的送達
本発明は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の投与に更に関する。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されない形態で、鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Junginger,et al.In 「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994、参照により全体が本明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーションなどの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されない形態で、経皮的に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0168】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
1. 中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0169】
2. 抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含む、実施形態1に記載の方法。
【0170】
3. 抗体が、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖とを含む、実施形態1に記載の方法。
【0171】
4. 抗体が、対象の体重1kgあたり約6.0mg、又は投与あたり130mgの投与量で、好ましくは治療の0週目に対象に静脈内投与される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
5. 抗体が、投与あたり約90mgの投与量で、好ましくは治療の8週目に対象に更に皮下投与される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
6. 対象が、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に以前に失敗したことがあるか若しくはこれらに不忍容であったか、又は対象が、コルチコステロイド依存性を示したことがある、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
7. 抗体が、8週目における治療後に維持用量で8週間毎に投与されるか、又は8週目における治療後に維持用量で12週間毎に投与される、実施形態5に記載の方法。
【0175】
8. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、世界定義及び米国定義のうちの少なくとも1つに基づく臨床的寛解を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定され、臨床的寛解が、0週目以降少なくとも44週間継続する、実施形態7に記載の方法。
【0176】
9. 対象が、0週目以降少なくとも44週間、コルチコステロイド非投与の臨床的寛解にある、実施形態8に記載の方法。
【0177】
10. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する内視鏡的治癒を有するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0178】
11. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayo内視鏡サブスコアに基づく臨床応答を達成するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0179】
12. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアにおけるベースラインからの変化を有するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0180】
13. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する粘膜治癒を有するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0181】
14. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少を有するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0182】
15. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、0週目以降少なくとも44週間継続する、C反応性タンパク質、糞便ラクトフェリン及び糞便カルプロテクチンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常化を有するものとして特定される、実施形態7に記載の方法。
【0183】
16. 対象が、0週目以降少なくとも44週間継続する、Mayoスコアにおけるベースラインから≧30%かつ≧3点の減少及び直腸出血サブスコアにおけるベースラインから≧1点の減少、又は0若しくは1の直腸出血サブスコアによって決定される臨床応答を示す、実施形態7に記載の方法。
【0184】
17. 中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.治療の0週目に、対象に、対象の体重1kgあたり約6.0mg又は投与あたり130mgの投与量で第1の医薬組成物中の抗IL-12/IL-23p40抗体を静脈内投与することと、
b.対象に、投与当たり90mgの投与量で、好ましくは、治療の8週目に第2の医薬組成物中の抗IL-12/IL-23p40抗体を皮下投与することとを含み、
抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、
対象が、抗TNF、ベドリズマブ、コルチコステロイド、アザチオプリン(AZA)、及び6メルカプトプリン(6MP)からなる群から選択される少なくとも1つの療法に以前に失敗したことがあるか、若しくはこれらに不忍容であったか、又は対象が、コルチコステロイド依存性を示したことがある、方法。
【0185】
18. 抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含む、実施形態17に記載の方法。
【0186】
19. 抗体が、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖とを含む、実施形態17に記載の方法。
【0187】
20. 静脈内投与のための医薬組成物が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を更に含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
21. 皮下投与のための医薬組成物が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を更に含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
22. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、世界定義及び米国定義のうちの少なくとも1つに基づく臨床的寛解を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
23. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、内視鏡的治癒を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
24. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、Mayo内視鏡サブスコアに基づく臨床応答を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに達成するものとして特定される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
25. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、炎症性腸疾患質問票(Infla(IBDQ)スコアにおけるベースラインからの変化を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
26. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、粘膜治癒を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
27. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
28. 対象が、抗体による治療に対するレスポンダーであり、C反応性タンパク質、糞便ラクトフェリン及び糞便カルプロテクチンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常化を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに有するものとして特定される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
29. 対象が、Mayoスコアにおけるベースラインから≧30%かつ≧3点の減少及び直腸出血サブスコアにおけるベースラインから≧1点の減少、又は0若しくは1の直腸出血サブスコアによって決定される臨床応答を、治療の16週目までに、好ましくは8週目までに、より好ましくは2週目までに示す、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
30. 対象が、治療の8週目までに抗体による治療に対するレスポンダーではなく、治療の16週目までにレスポンダーである、実施形態17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
31. 中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a.治療の0週目に、対象に、対象の体重1kgあたり約6.0mg又は投与あたり130mgの投与量で第1の医薬組成物中の抗IL-12/IL-23p40抗体を静脈内投与することと、
b.対象に、投与当たり90mgの投与量で、好ましくは、治療の8週目に第2の医薬組成物中の抗IL-12/IL-23p40抗体を皮下投与することとを含み、
抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、その後に維持療法が続き、
維持療法が、対象に、8週間毎に1回又は12週間毎に1回、投与あたり90mgの投与量で抗IL-12/IL-23p40抗体を皮下投与することを含み、維持療法が、44週間提供される、方法。
【0199】
32. 抗IL-12/IL-23p40抗体の医薬組成物であって、抗体と、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験からのデータを含む付録Iに開示される1つ以上の製剤ラベル要素を含む包装とを含み、抗体が、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む、医薬組成物。
【0200】
33. ウステキヌマブを含む製剤を販売する方法であって、ウステキヌマブを製造することと、ウステキヌマブを含む療法が、潰瘍性大腸炎を有する対象の治療に安全かつ有効であることを促進することであって、工程a)及びb)を実施することにより、医療専門家(HCP)が製剤を購入することをもたらす、促進することと、これにより、製剤を販売することとを含む、方法。
【0201】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0202】
実施例1:ヒトにおける潰瘍性大腸炎の治療におけるウステキヌマブの導入研究
以下の中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人男性及び女性における多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験を実施した:中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する対象において、ウステキヌマブ導入及び維持療法の安全性並びに有効性を評価するための、第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、多施設試験。
【0203】
全体的な理論的根拠
従来療法(コルチコステロイド若しくは6-メルカプトプリン/アザチオプリン[6-MP/AZA])又は生物学的療法(TNF拮抗薬及び/又はインテグリン拮抗薬、ベドリズマブ)に対する不十分な応答又は忍容性不良を示した、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する対象において、ウステキヌマブの静脈内(IV)投与の有効性を評価するために、試験を実施した。対象に、0週目に、単回の130mg、単回の6mg/kgのIV用量、又はプラセボを投与した。8週目に臨床応答が示されていない対象には、8週目に追加のIV又は皮下(SC)用量を投与した。
【0204】
目的
この試験の主要目的には、(1)中等度から重度の活動性UCを有する対象における臨床的寛解の導入におけるウステキヌマブ有効性を評価することと、(2)中等度から重度の活動性UCを有する対象におけるIVウステキヌマブ安全性を評価することとが含まれた。
【0205】
この試験の副次的目的には、(1)中等度から重度の活動性UCを有する対象において、内視鏡的治癒(すなわち、粘膜の内視鏡観察での改善)の誘発におけるIVウステキヌマブの有効性を評価することと、(2)中等度から重度の活動性UCを有する対象における臨床応答の誘導におけるIVウステキヌマブの有効性を評価することと、(3)疾患に特異的な健康関連の生活の質に対するIVウステキヌマブの影響を評価することと、(4)粘膜治癒(すなわち、内視鏡的治癒及び組織学的治癒)に対するウステキヌマブ治療の有効性を評価することと、(5)生物学的不全状態に対するIVウステキヌマブによる導入療法の有効性を評価することと、(6)C反応性タンパク質(CRP)、糞便カルプロテクチン、糞便ラクトフェリン、及び他のPDバイオマーカーにおける変化を含む、中等度から重度の活動性UCを有する対象におけるウステキヌマブの導入療法の薬物動態(PK)、免疫原性、及び薬力学(PD)を評価することとが含まれた。
【0206】
研究の探索目的には、(1)医師による包括的評価(PGA)サブスコアなしでMayoスコアを使用して応答を評価することと、(2)ブリストル便性状スケール(BSFS)スコアの性能を評価することとが含まれた。
【0207】
実験計画
ウステキヌマブについての第3相開発プログラムは、2つの別個の試験、すなわち、導入試験及び維持試験を含んだ。導入試験では、対象を0週目に3つの治療群:プラセボ、低用量のウステキヌマブ、及び高用量のウステキヌマブのうちの1つに無作為化した。8週目に、全ての対象を臨床的寛解及び臨床応答の主要エンドポイントについて評価した。8週目に臨床応答を達成した対象は、維持試験に入るのに適格であった。8週目に臨床応答を達成しなかった対象には、治療の8週目に、ウステキヌマブの第2の用量を投与した。
【0208】
16週目に、8週目に臨床応答を達成しなかった対象を、臨床応答について再評価した。16週目に臨床応答を達成した対象は、維持試験に入るのに適格であった。16週目に臨床応答を達成しなかった対象は、維持研究に入るのに適格ではなく、試験薬剤の最後の投与(8週目)の約20週間後に安全性の経過観察のために来院した。
【0209】
導入中にIVウステキヌマブに臨床的に応答した対象は、維持試験における主要な集団を構成した。維持試験は、SCウステキヌマブを使用して維持療法を評価するように設計された無作為化治療中止試験であり、現在進行中である。
【0210】
投与量及び投与
対象には、試験の0週目に、ウステキヌマブの単回のIV用量又はプラセボを投与した。投与された用量による導入試験抗体は、以下のとおりである。
● 130mgの低い固定用量のウステキヌマブ
● 約6mg/kgの高い重量範囲に基づく用量のウステキヌマブ:
○ ウステキヌマブ260mg(体重≦55kg)
○ ウスタキヌマブ390mg(体重>55kgであるが、≦85kg)
○ ウステキヌマブ520mg(体重>85kg)。
【0211】
臨床応答を示さなかった対象には、8週目に、ウステキヌマブの第2の用量を投与した。投与された第2の用量による試験抗体は、以下のとおりである。
● 0週目にプラセボに無作為化された対象には、8週目に、ウステキヌマブ約6mg/kgのIVの1用量+プラセボSC(盲検を維持するために)を投与した。
● 0週目にウステキヌマブに無作為化された対象には、8週目に、ウステキヌマブの90mgSCの1用量+プラセボIV(盲検を維持するために)を投与した。
【0212】
安全性の評価
AE及び臨床検査室試験結果(すなわち、血液学及び血清化学)に基づいて安全性を評価した。有害事象は、対象によって自発的に報告されたものであったか、又は試験来院時に、非誘導的方法で、対象の面接を行うことによって得られたものであった。安全性評価は、以下の臨床検査室試験を含んだ。
● 血液学:ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット、赤血球数、白血球(WBC)数、及び血小板。
● 血清化学:ナトリウム、カリウム、クロリド、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン及び直接ビリルビン、アルカリホスファターゼ、カルシウム、リン酸塩、アルブミン、総タンパク質。
● スクリーニング:ヒト免疫不全ウイルス抗体の血清学検査、C型肝炎ウイルス(HCV)抗体の血清学検査、B型肝炎ウイルス(HBV)抗体、B型肝炎表面抗原、HBV表面抗体(抗HB)、及びHBVコア(抗HB)抗体の合計の血清学検査、クォンティフェロンTBゴールド(QuantiFERON-TB Gold)検査、妊娠検査(βヒト絨毛性ゴナドトロピン[β-HCG])。
【0213】
薬物動態
血清ウステキヌマブ濃度の測定のための血液サンプルを、0週目(注入前並びに注入後)及び2、4、及び8週目に採取した。血清ウステキヌマブ濃度の解析は、メソスケールディスカバリー(MSD(登録商標))プラットフォーム(Gaithersburg,MD,USA)上で、有効性が確認された電気化学発光免疫アッセイ(ECLIA)法を使用して実施した。MSDプラットフォームを使用したECLIA法のサンプル中の最低定量化可能濃度は、0.1688μg/mLであった。
【0214】
免疫原性
全ての対象から採取した血清サンプルを使用して、ウステキヌマブに対する抗体を評価した。ウステキヌマブに対する抗体の解析を、有効性が確認された、薬物耐性、電気化学発光免疫アッセイ(ECLIA)を使用して実施し、この解析では、ウステキヌマブを使用して、ウステキヌマブに対して誘発された免疫応答を捕捉及び検出した。ウステキヌマブに対する抗体を有する全ての対象について抗体力価を決定し、抗薬物抗体陽性サンプルの中和抗体(Nab)状態を決定した。
【0215】
有効性の評価
試験全体を通して有効性の評価を収集した。Mayoスコア並びに部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度評価指標(UCEIS)、ブリストル便性状スケール(BSFS))スコア、C反応性タンパク質(CRP)、糞便ラクトフェリン、糞便カルプロテクチン、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)、36項目のショートフォーム健康調査(SF-36)、及びEuroQoL-5D健康質問票が、全て評価され、有効性を決定した。有効性基準は、以下のように定義された。
● 臨床的寛解(世界申請書)は、>1の個々のサブスコアがない、≦2点のMayoスコア。
● 臨床的寛解(米国申請書):≦3の絶対排便回数、0の直腸出血スコア、及び0又は1のMayo内視鏡サブスコア。
● 臨床応答:≧1の直腸出血サブスコアにおけるベースラインからの減少又は0若しくは1の直腸出血サブスコアのいずれかを伴う、≧30%かつ≧3点のMayoスコアにおける導入期ベースラインからの減少。
● 内視鏡的治癒(すなわち、粘膜の内視鏡観察での改善):0又は1のMayo内視鏡サブスコア。
● 組織学的治癒:Geboesスコアに基づき、上皮中の0~<5%の好中球、及び陰窩破壊、びらん、潰瘍、又は肉芽を伴わないとして定義される。
● 粘膜治癒:内視鏡治癒及び組織学的治癒の両方。
● 正常又は不活動性粘膜疾患:0のMayo内視鏡サブスコア。
● 症候性寛解:0又は1のMayo排便回数サブスコア及び0の直腸出血サブスコア。
● CRP濃度の正常化:CRP濃度≦3mg/L。
● 糞便ラクトフェリン濃度の正常化:糞便ラクトフェリン濃度≦7.24μg/g。
● 糞便カルプロテクチン濃度の正常化:糞便カルプロテクチン濃度≦250mg/kg。
● 改変Mayoスコア応答:
○ 定義1:≧2点かつ≧35%の改変Mayoスコアにおける減少及び≧1の直腸出血サブスコアにおける減少又は0若しくは1の直腸出血サブスコアのいずれか。
○ 定義2:≧2点かつ≧30%の改変Mayoスコアにおける減少及び≧1の直腸出血における減少又は0若しくは1の直腸出血スコアのいずれか。
【0216】
安全性の結果
約6mg/kg及び130mgの両方の静脈内ウステキヌマブ用量は、8週を通して概ねプラセボに匹敵する安全性プロファイルを伴い、概ね良好な忍容性を示した。安全性解析対象集団(safety analysis set)における960人の対象のうち、8週を通して、1つ以上の治療下で発現したAEを、約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群における対象の、それぞれ50.0%、41.4%、及び48.0%について報告した。8週を通して、重篤な有害作用(SAE)を、約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群における対象の、それぞれ3.1%、3.7%、及び6.6%で報告した。
【0217】
注入の1時間以内のAEは、約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群において、それぞれ0.9%、2.2%、及び1.9%であった。
【0218】
1つ以上の感染症を有する対象の割合は、約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群における対象で、それぞれ15.3%、15.9%、及び15.0%であった。重篤な感染症は、約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群における対象の、それぞれ0.3%、0.6%、及び1.3%について報告した。
【0219】
薬物動態の結果
血清サンプルを、0週目(投与前)、0週目(投与後1時間)、2週目、4週目、及び8週目に採取した。ウステキヌマブ治療に無作為化された対象について、ウステキヌマブの単回IV注入は、約6mg/kgの体重に基づく調整用量として(すなわち、≦55kgの体重の対象には260mg、>55kgかつ≦85kgの体重の対象には390mg、若しくは>85kgの体重の対象には520mg)、又は130mgの固定用量として与えた。130mg群の対象の体重中央値が72kgであったことを考慮すると、ウステキヌマブの130mg用量は、1kgあたり約2mg/kgに相当した。したがって、平均して、約6mg/kg群のウステキヌマブ曝露は、130mg群の約3倍であった。この予想と一致して、ウステキヌマブ約6mg/kg又は130mgの単回IV投与の後、血清ウステキヌマブ濃度の中央値は、8週を通して全てのサンプリング時点でおよそ用量比例した。0週目の注入終了1時間後に観察された血清ウステキヌマブ濃度の中央値ピークは、約6mg/kg群及び130mg群について、それぞれ、127.0μg/mL及び43.16μg/mLであった。8週目の、主要有効性エンドポイントの評価時点で、血清ウステキヌマブ濃度中央値は、約6mg/kg群及び130mg群について、それぞれ、8.59μg/mL及び2.51μg/mLであった。
【0220】
0週目にプラセボIVの投与を受けた後、8週目に臨床応答ではなかった対象には、8週目にウステキヌマブ約6mg/kgをIV投与したが、一方で、0週目にウステキヌマブIVの投与を受けた後に、8週目に臨床応答ではなかった対象には、8週目にウステキヌマブ90mgをSC投与した。第0週にプラセボIVを投与し、続いて、8週目にウステキヌマブ約6mg/kgをIV投与した対象の中で、16週目(ウステキヌマブIV投与後8週間)の血清ウステキヌマブ濃度中央値は、8週目で観察されたものよりもわずかに高かった(0週目にウステキヌマブ約6mg/kgをIV投与した対象の中では、[それぞれ10.51μg/mL対8.59μg/mL])。(0週目での初回IVウステキヌマブ投与後の)8週目にウステキヌマブ90mgをSC投与した対象の中で、16週目の血清ウステキヌマブ濃度中央値は、0週目にウステキヌマブ130mgを投与した対象と比べて、0週目にウステキヌマブ約6mg/kgをIV投与した対象においてわずかに高かった(それぞれ、1.92μg/mL対1.59μg/mL)。
【0221】
免疫原性の結果
ウステキヌマブに対する抗体の評価に適切なサンプルを有するウステキヌマブ群における635人の対象のうち、4人(0.6%)の対象は、8週を通して、ウステキヌマブに対する抗体に陽性であった。これら4人の対象のうち、2人(50%)は、NAbに対して陽性であった。
【0222】
16週を通して任意の時点にウステキヌマブを投与し、抗薬物抗体(ADA)の評価に適切なサンプルを有した822人の対象のうち、18人(2.2%)の対象が、最終的な安全性評価の来院まで、ウステキヌマブに対する抗体に陽性であった。これらの対象のうち、15人の対象のうち、4人(26.7%)が、最終的な安全性評価の来院まで、NAbとして評価可能なものの中のNAbに陽性であった。8週目にウステキヌマブ90mgをSC投与した対象の中で、16週を通してのウステキヌマブに対する抗体の発生率は、約6mg/kgIV→90mgSC群と比べて、130mgIV→90mgSC群で数値的に高かった(4.5%[132人の対象のうち6人]対1.0%[101人の対象のうち1人]。
【0223】
有効性の結果
8週目での臨床的寛解-世界定義
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、15.5%及び15.6%)が、臨床的寛解を、プラセボ群の対象と比べて達成した(5.3%;両方の比較についてp<0.001;表1)。
【0224】
【0225】
8週目での臨床的寛解-米国定義
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、18.9%及び16.6%)が、臨床的寛解を、プラセボ群の対象と比べて達成した(6.3%;両方の比較についてp<0.001;表2)。
【0226】
【0227】
8週目での内視鏡的治癒
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、27.0%及び26.3%)が、内視鏡的治癒を、プラセボ群の対象と比べて達成した(13.8%;両方の比較についてp<0.001;表3)。
【0228】
【0229】
8週目での臨床応答
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、61.8%及び51.3%)が、臨床応答を、プラセボ群の対象と比べて達成した(31.3%;両方の比較についてp<0.001;表4)。
【0230】
【0231】
8週目での総IBDQスコアにおけるベースラインからの変化
ベースラインでは、IBDQスコア中央値は、全ての治療群にわたって類似していた。8週目では、IBDQスコアにおけるベースラインからの中央値の改善は、約6mg/kg及び130mgの群において(それぞれ、31.0及び31.5)、プラセボ群と比べて、有意に大きかった(10.0;両方の比較についてp<0.001)。
【0232】
8週目での臨床的寛解
寛解が、8週目での0の直腸出血スコアにより臨床的寛解(世界定義)として評価された場合、このエンドポイントを達成した対象の割合は、主要有効性解析(世界定義)に基づいて観察された割合とほぼ同一であった。約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、15.2%及び15.3%)が、このエンドポイントを、プラセボ群の対象と比べて達成した(5.3%;両方の比較についてp<0.001)。
【0233】
8週目での症候性寛解
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、44.7%及び41.3%)が、症候性寛解を、プラセボ群の対象と比べて達成した(22.6%;両方の比較についてp<0.001)。
【0234】
8週目での組織学的治癒
組織学的治癒は、上皮中の0~<5%の好中球、及び陰窩破壊、びらん、潰瘍、又は肉芽を伴わないと定義された。8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、35.6%及び37.9%)が、組織学的治癒を、プラセボ群の対象と比べて達成した(21.9%;両方の比較についてp<0.001)。
【0235】
8週目でのMayoスコアにおけるベースラインからの変化。
ベースラインでは、平均Mayoスコアは、全ての治療群にわたって同じであった(全ての群について8.9)。8週目では、Mayoスコアにおけるベースラインからの平均値の減少は、約6mg/kg及び130mgの群において(それぞれ、3.5及び3.2)、プラセボ群の1.8と比べて、有意に大きかった(両方の比較についてp<0.001)。
【0236】
8週を通じての部分的Mayoスコアにおけるベースラインからの変化
ベースラインでは、平均部分的Mayoスコアは、全ての治療群にわたって同じであった(全ての群について6.2)。早くも2週目に、及び8週を通して来院まで継続して、部分的Mayoスコアの平均値の減少は、プラセボ群と比べて、約6mg/kg及び130mgの群において有意に大きかった。2週目では、部分的Mayoスコアの平均値のベースラインからの減少は、プラセボ群の1.0と比べて、約6mg/kg及び130mgの群において、それぞれ1.6及び1.5であった(両方の比較についてp<0.001)。8週目では、部分的Mayoスコアの平均値のベースラインからの減少は、プラセボ群の1.5と比べて、約6mg/kg及び130mgの群において、それぞれ2.9及び2.6であった(両方の比較についてp<0.001)。
【0237】
8週目でのUCEISスコア
UCEISスコアは、粘膜血管パターン、出血、及び潰瘍化に基づいて、UCの内視鏡的重症度の総合評価を提供する。スコアは3~11の範囲であり、より高いスコアは、内視鏡検査によるより重度の疾患を示す。UCEISスコアは、内視鏡検査のビデオの中央読み取りの間にのみ評価された。
【0238】
ベースラインでは、平均UCEISスコアは、全ての治療群にわたって類似していた(約6mg/kg、130mg、及びプラセボ群で、それぞれで、7.6、7.5、7.5)。8週目では、UCEISスコアにおけるベースラインからの平均値の減少は、約6mg/kg及び130mgの群において(それぞれ、1.3及び1.1)、プラセボ群の0.5と比べて、有意に大きかった(両方の比較についてp<0.001)。
【0239】
8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合(それぞれ、20.2%及び19.1%)が、プラセボ群の対象11.0%と比べて、≦4のUCEISスコアを有していた(それぞれ、p<0.001及びp=0.004)。≦4のUCEISスコアが、本試験において定義された内視鏡的治癒を定義した0又は1のMayo内視鏡サブスコアと関連付けられると仮定される。
【0240】
ブリストル便性状スケールスコア
来院時のBSFSスコアは、来院前のBSFSスコアの3日間の1日平均の平均であった。Mayoスコアの排便回数及び直腸出血スコアを計算するために使用された同じ3日間を使用して、来院時の平均BSFSスコアを算出した。
【0241】
無作為化された対象の約40%(370/961人)は、ベースラインで収集されたBSFSスコアを有していた。ベースラインでは、対象の99.2%(367/370人)は、≧3の平均BSFSスコアを有し、対象の大部分(54.3%)は、下痢を示す≧6の平均BSFSスコアを有していた。早くも2週目に、及び8週を通して来院まで継続して、下痢の対象の割合(≧6の平均BSFSスコア)は、プラセボ群と比べて、約6mg/kg及び130mgの群において小さかった。8週目では、約6mg/kg、130mg及びプラセボの群において、それぞれ、対象の22.8%、21.1%、及び32.0%が、下痢(≧6の平均BSFSスコア)を有していた。更に、8週目では、正常な糞便(≧3かつ<5)を有する対象の割合は、プラセボと比べて、約6mg/kg及び130mgの群で大きかった(それぞれ、48.3%、48.9%、及び29.3%)。
【0242】
C反応性タンパク質の正常化
C反応性タンパク質(CRP)は、IBDを有する対象における炎症のマーカとして使用される。UCにおいて、高いCRPは、重度の臨床活動性、高い沈降率、及び大腸内視鏡検査で検出される活動性疾患に関連している。C反応性タンパク質は、検証済みの高感度CRPアッセイを使用して検定された。
【0243】
ベースラインでは、異常なCRP(>3mg/L)を有した対象の割合は、全ての治療群にわたって類似しており、全体として、無作為化された対象の59.2%は、ベースラインにおいて異常なCRP濃度を有していた。早くも2週目に、及び8週を通して来院まで継続して、ベースラインで異常な値を有した対象の中で、プラセボ群と比べて、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合が、CRPの正常化(≦3mg/L)を達成した。8週目に、約6mg/kg及び130mgの群において、それぞれ対象の38.7%及び34.1%が、プラセボ群における対象の21.1%と比べて、CRPの正常化を達成した(両方の比較についてp<0.001)。
【0244】
糞便ラクトフェリンの正常化
ベースラインでは、異常な糞便ラクトフェリン(>7.24μg/g)を有する対象の割合は、全ての治療群にわたって類似しており、全体として、無作為化された対象の90.0%は、ベースラインにおいて異常な糞便ラクトフェリン濃度を有していた。4週目及び8週目において、ベースラインで異常な値を有した対象の中で、プラセボ群と比べて、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合が、糞便ラクトフェリンの正常化(≦7.24μg/g)を達成した。8週目では、約6mg/kg及び130mgの群の対象の、それぞれ14.6%及び17.2%が、プラセボ群の対象の9.3%と比べて、糞便ラクトフェリンの正常化を達成した(ウステキヌマブ群について、それぞれp=0.042、p=0.006)。
【0245】
糞便カルプロテクチンの正常化
ベースラインでは、異常な糞便カルプロテクチン(>250mg/kg)を有する対象の割合は、プラセボ群(78.4%)と比べて、約6mg/kgの群(85.1%)においてわずかに大きく、130mgの群の対象の82.5%は、ベースラインにおいて異常な糞便カルプロテクチンを有していた。2週目及び4週目において、ベースラインで異常な値を有した対象の中で、約6mg/kg及び130mgの群の対象の有意に大きい割合が、糞便カプロテクチンの正常化(≦250mg/kg)を達成した。8週目では、ベースラインでの異常な糞便カルプロテクチンを有する対象のうち、正常化された糞便カルプロテクチンを有する対象の割合は、プラセボ群の対象(20.4%)と比べて、有意ではないが、ウステキヌマブ約6mg/kg及び130mgの群において(それぞれ、25.5%及び24.2%)数字的に大きかった(それぞれ、両方の比較についてp=0.148、p=0.301)。
【0246】
実施例2:ヒトの潰瘍性大腸炎の治療におけるウステキヌマブの維持試験
方法論
この無作為化治療中止維持試験では、全ての登録された対象は、導入試験で投与された試験薬剤に対するレスポンダーであった。主要(無作為化)集団:導入後のIVウステキヌマブに対して臨床応答を示した対象は、維持試験における主要な集団を構成した。この集団は、以下を含んだ:導入試験の0週目に、ウステキヌマブ(すなわち、130mgIV又は約6mg/kgIV)を投与するために無作為化され、導入期8週目に臨床応答を示した対象、及び導入試験の0週目にプラセボを投与するために無作為化され、導入期8週目に臨床応答ではなかったが、導入期8週目にIVウステキヌマブの用量(約6mg/kg)を投与後、導入期16週目に臨床応答を示した(プラセボ→ウステキヌマブ約6mg/kgIV)対象。これらの対象を、維持期の0週目に、ウステキヌマブ90mgSCを8週間毎に(q8w)、ウステキヌマブ90mgSCを12週間毎に(q12w)、又はプラセボSCを投与するために、1:1:1の比で無作為化した。非無作為化集団:維持試験に入る追加の対象は、主要集団において無作為化されず、本試験では以下のように維持治療を受けた:ウステキヌマブ導入遅延レスポンダー(すなわち、導入期8週目でIVウステキヌマブに対して臨床応答ではなかったが、導入期の8週目でウステキヌマブ90mgのSC投与後の導入期の16週目で臨床応答を示した対象)には、ウステキヌマブ90mgをq8wでSC投与し、プラセボ導入レスポンダー(すなわち、プラセボIV導入に臨床応答を示した対象)には、プラセボをSC投与した。非無作為化対象は、有効性及び安全性の両方について追跡したが、重要な有効性解析には含まれなかった。
【0247】
全ての対象には、その割り当てられた用量のSC試験薬剤を、維持期0週目の来院時に投与した。その後、盲検を維持するために、全ての対象には、全ての予定された試験薬剤投与の来院時に、試験薬剤を投与した。対象には、毎来院時に臨床的フレアについて評価し、臨床応答の減弱が確認された場合、救助薬の対象になった。維持試験の主要部分は、44週目まで行われ、長期試験の延長は、220週目まで継続する。
【0248】
対象の数(計画及び解析された):
導入試験を完了し、導入試験薬剤に対する臨床応答を示した783人の対象を、この維持試験において登録した。維持期0週目における各治療群における対象数は、以下のとおりであった。
● 無作為化された(一次)母集団(523人の対象[327人の対象が計画された]):
- 176人の対象を、ウステキヌマブ90mg、SC、q8wに無作為化した。
- 172人の対象を、ウステキヌマブ90mg、SC、q12wに無作為化した。
- 175人の対象をプラセボSCに無作為化した。
● 非無作為化母集団(260人の対象):
- ウステキヌマブ導入遅延応答者であった157人の対象(すなわち、導入期8週目で、ウステキヌマブ対して臨床応答ではなかったが、導入期16週目で臨床応答した)には、ウステキヌマブ90mgをq8wでSC投与した。
- プラセボのIV導入に臨床応答した(プラセボ導入応答者)103人の対象には、プラセボをSC投与した。
【0249】
組み入れのための診断及び主な基準
この無作為化治療中止維持試験に登録された全ての対象は、従来の療法(すなわち、コルチコステロイド若しくは免疫調節剤)又は生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬及び/若しくはベドリズマブ)に対して不十分な応答を有したか、又は不忍容であり、導入試験中に試験薬剤に対する臨床応答を示した、中等度から重度の活動期のUCを有するものであった。これには、IVウステキヌマブに対する臨床応答にあり、IVプラセボに対する臨床応答にあり、又はウステキヌマブに対して遅延臨床応答にある対象であり、導入試験中にプロトコルに禁止された薬剤変更を受けなかった対象が含まれた。
【0250】
評価基準:
● 薬物動態(PK):血清ウステキヌマブ濃度
● 免疫原性:ウステキヌマブに対する抗体
● 薬力学(PD)/バイオマーカー:血清バイオマーカー;糞便マイクロビオーム;粘膜生検における疾患活動性及び治癒のRNA発現及び組織学的評価
● 遺伝学及びエピジェネティクス:全血デオキシリボ核酸(DNA)
● 有効性:Mayoスコア及び部分Mayoスコア、UC Endoscopic Index of Severity(UCEIS)(内視鏡所見による分類)、CRP、糞便ラクトフェリン、及び糞便カルプロテクチン
● 健康関連生活の品質:炎症性腸疾患質問票(IBDQ)、36項目のショートフォーム健康調査(SF-36)、EuroQoL-5D健康質問票(EQ-5D)
● 医療経済学:UC疾患に関連する入院及び手術;生産性の視覚的アナログスケール(Visual Analog Scale、VAS)、並びに仕事の生産性及び活動障害に関する質問票-健康全般(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire-General Health、WPAI-GH)
● 安全性:有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、感染症、注射部位反応、アレルギー反応、血液学並びに化学パラメータ、バイタルサイン、身体検査、及び結核の早期検出
【0251】
エンドポイント
● 主要エンドポイントは、44週目での臨床的寛解とした。臨床的寛解の定義(並びに試験手順)は、臨床的寛解の世界及び米国の好ましい定義に適応するために、米国内の申請書及び米国外の申請書で異なる。臨床的寛解の各定義は、主要有効性解析対象集団において全ての対象に適用された。
- 臨床的寛解の主要エンドポイントの世界定義は、>1の個々のサブスコアを有さない、≦2点のMayoスコアとして定義された。
- 臨床的寛解の米国定義は、≦3の絶対糞便数、0のMayo直腸出血サブスコア、及び0若しくは1のMayo内視鏡サブスコアとして定義された。
● それらが試験された順序で列挙された主要な副次的エンドポイントは、以下のとおりであった:
- 44週目までの臨床応答の維持
- 44週目での内視鏡的治癒
- 44週目での併用コルチコステロイドを投与していない臨床的寛解(コルチコステロイド非投与での臨床寛解)
- 維持期ベースラインにおいて臨床的寛解を達成した対象の中での、44週目までの臨床的寛解の維持
第3及び第4の主要な副次的エンドポイントについて、臨床的寛解の世界定義を使用して、米国外の国々の申請書をサポートし、臨床的寛解の米国定義を使用して、米国における申請書をサポートした。
【0252】
人口統計学及びベースライン疾患特性を、主要有効性解析対象集団における961人の対象に基づいてまとめた。
【0253】
臨床的寛解の維持に関連する第4の主要な副次的エンドポイントを除いて、多重性制御されたエンドポイントの解析を、維持期ベースラインでの臨床的寛解(世界定義)状態(IWRSによって決定されるようなはい/いいえ)及び導入治療(プラセボIV[I-0]→ウステキヌマブ約6mg/kgIV[I-8]、ウステキヌマブ130mgIV[I-0]、又はウステキヌマブ約6mg/kgIV[I-0])によって層別化されたコクラン-マンテル-ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel(CMH)カイ二乗検定を使用して実施した。第4の主要な副次的エンドポイント(臨床的寛解の維持)については、導入治療によって層別化されたCMHカイ二乗検定を使用した。
【0254】
世界及び米国特有の複数の試験手順は、この試験における多重性制御されたエンドポイントにわたる0.05レベルでの全体的な第1種の過誤(Type 1 error)率を制御するために事前に指定された(セクション3.11.2.7.3)。全ての統計的検定を、両側0.05有意水準で行った。公称p値が提示される。
【0255】
安全性は、治療下で発現した有害事象(AE)、実験室パラメータ(血液学及び化学)、及びバイタルサインパラメータの頻度及びタイプをまとめて評価した。安全性概要書は、無作為化された対象、非無作為化対象、及び全ての治療された対象に対して別々に提供される。安全データの提示は、無作為化された集団に焦点を合わせる。
【0256】
結果:
試験母集団
導入試験を完了し、導入試験薬剤に対して臨床応答にあった合計で783人の対象を、この維持試験において登録した。これらのうち、523人の対象は、維持試験のために標的化された主要集団に属しており、維持期の0週目にウステキヌマブ又はプラセボのSC投与を受けるように無作為化された(ウステキヌマブ90mgSC q8w群、ウステキヌマブ90mgSC q12w、及びプラセボ群に、それぞれ176人、172人、及び175人の対象)。残りの250人の対象は、157人のウステキヌマブ導入遅延レスポンダー(ウステキヌマブ90mgをq8wでSC投与した)及び103人のプラセボ導入レスポンダー(プラセボを投与した)を含む、非無作為化集団に属していた。維持期ベースラインで治療を割り当てた全ての登録された対象には、その時点でそれらの試験薬剤を投与した。
【0257】
40週(維持試験の最後の投与のための来院)の前に、主要集団において85人(16.3%)の対象が、試験薬剤を中断した。試験薬剤を中断した対象の割合は、プラセボ群(24.6%)において、ウステキヌマブのq8w及びq12Wの群(それぞれ、10.2%及び14.0%)の割合よりも大きかった。中断の最も一般的な理由は、UCの悪化に起因する有効性の欠如及び有害事象であった。44週の前に、主要集団の29人の対象(5.5%)は、試験の参加を終了し、試験の参加の終了の最も一般的な理由は、同意の撤回であった。
【0258】
ベースライン臨床疾患特性は、利用可能な療法に難治性である、中等度から重度の活動性UCを有する対象の集団を代表し、3つの治療群にわたって一般的にバランスがとれていた。疾患の持続時間の中央値は6.05年であり、ベースラインMayoスコアの中央値は9.0であり、86.9%及び13.1%が、それぞれ中等度及び重度のUCを有していた。導入期ベースラインでは、維持試験の主要集団における対象の52.2%はコルチコステロイドを摂取しており、26.6%は免疫調節薬を摂取しており、70.7%はアミノサリチレートを摂取していた。対象の大部分(93.5%)は、導入期ベースラインにおいて、コルチコステロイド及び/又は6-MP/AZAに対する不十分な応答を有したか、若しくは不忍容であったか、又はコルチコステロイド依存性を示した。全体的に主要集団では、対象の47.6%は、文書化された生物学的療法の不成功の履歴を有し、対象の52.4%はそうでなかった。また、47.2%は、少なくとも1つの抗TNFに不成功であったが、13.4%は、抗TNF及びベドリズマブの両方に不成功であり、49.3%は、生物学的療法に対して未経験であり、2人の対象は、ベドリズマブのみに対して生物学的不全であった。
【0259】
有効性の結果
ウステキヌマブ維持療法は、TNF拮抗薬及び/又はベドリズマブを含む従来の治療又は生物学的治療に以前に失敗したことがあるか、又はこれらに不忍容であり、ウステキヌマブIVの単回投与の導入療法を受けた後に、8週目で臨床応答にあった、中等度から重度の活動期のUCを有する対象の集団において有効性を示した。
【0260】
予め指定された世界及び米国に限定の複数の試験手順に基づいて、統計的有意性は、44週目での臨床的寛解の主要エンドポイント及び44週を通じての臨床応答の維持、44週目での内視鏡的治癒、並びに44週目でのコルチコステロイド非投与の臨床的寛解の3つの主要な副次的エンドポイントに対して、ウステキヌマブ投与レジメン(90mgをq8wで、及び90mgをq12wで)の両方を主張することができる。加えて、米国に限定の試験手順に基づくウステキヌマブ用量、及び世界試験手順に基づくウステキヌマブq12wレジメンの両方に対して、44週を通じた臨床的寛解の維持(維持期ベースラインで臨床的寛解を達成した対象の中で)に統計的有意性を主張することができる。
●主要集団における臨床的有効性(すなわち、ウステキヌマブのIV導入療法を受けた後、8週間、臨床応答にある対象)
- 主要エンドポイント:臨床的寛解
○ 44週目で臨床寛解(世界定義に基づく)にある対象の割合は、プラセボ群の対象(24.0%)と比べて、ウステキヌマブのq8w群及びウステキヌマブのq12w群(それぞれ、43.8%及び38.4%)で有意に大きかった(それぞれ、p<0.001及びp=0.002)。
○ 44週目で臨床寛解(米国に限定の定義に基づく)にある対象の割合は、プラセボ群の対象(24.6%)と比べて、ウステキヌマブのq8w群及びウステキヌマブのq12w群(それぞれ、42.6%及び39.5%)で有意に大きかった(それぞれ、p<0.001及びp=0.002)。
○ 臨床的寛解(世界定義及び米国の限定の定義の両方に基づく)の達成に対するウステキヌマブの効果は、(生物学的治療に不成功であった対象及び生物学的治療に不成功ではなかった対象並びに導入期ベースラインにおいて併用免疫調節薬若しくはコルチコステロイドを投与されていた対象及び投与されなかった対象を含む)サブグループ全体にわたって概ね一貫しており、データ処理規則の予め規定された変化に対してロバストであった。
- 主要な副次的エンドポイント:臨床応答の維持、内視鏡的治癒、コルチコステロイドを含まない臨床的寛解、及び臨床的寛解の維持
○ 44週を通じて臨床応答を維持し、内視鏡的治癒を達成し、コルチコステロイド非投与の寛解(臨床的寛解の世界定義及び米国に限定の定義の両方を適用)を達成した対象の割合は、プラセボ群のものと比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12wの群で有意に大きかった(p<0.01)。
○ 維持期ベースラインで臨床的寛解を達成した対象の中で臨床的寛解を維持した対象の割合は、プラセボ群におけるものと比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12wの群の両方について、数値的に大きかった(臨床的寛解の世界定義及び米国に限定の定義の両方を適用)。統計的有意性(p<0.01)は、臨床的寛解の米国に限定の定義を使用すると、プラセボに対するq8w群及びq12w群の両方の比較について達成したが、統計的有意性は、臨床的寛解の世界定義を使用すると、プラセボと比べて、q12w群についてのみ達成された(p<0.01)。
- 他の組織学的、粘膜、臨床的、及び内視鏡的エンドポイント
以下に要約される解析は、多重性に対して制御されなかった。統計的有意性の記述は、公称p値に基づく。
○ 44週目に組織学的治癒を達成した(すなわち、<5%の陰窩における好中球浸潤、陰窩破壊はなく、浸食、潰瘍、又は肉芽組織がない)対象の割合は、プラセボ群と比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において有意に大きかった(p<0.001)。
○ 44週目に粘膜治癒(内視鏡治癒と組織学的治癒との組み合わせ)を達成した対象の割合は、プラセボ群と比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において有意に大きかった(p<0.01)。
○ 臨床的寛解の世界定義及び米国限定の定義の両方を適用すると、44週前に少なくとも90日間、コルチコステロイド非投与の寛解を達成する対象の割合は、プラセボ群のものと比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において有意に大きかった(p<0.01)。更に、維持期ベースラインでコルチコステロイドを投与されている対象の中でも、プラセボ群のものと比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において、有意に大きな割合の対象(p<0.05)が、臨床的寛解であり、かつ、44週前の少なくとも90日間、併用のコルチコステロイドを投与されていなかった。
○ ウステキヌマブ維持治療の有効性は、部分的Mayoスコアの維持された改善、症候性寛解の維持、並びに内視鏡的治癒の維持によって測定された臨床転帰においても実証された。ウステキヌマブ維持療法の有効性の更なる証拠は、経時的な部分的Mayo寛解及び症候性寛解、並びに症状制御(排便回数及び直腸出血)において観察された。
- 炎症性バイオマーカー
○ 44週目まで経時的に、ウステキヌマブ治療群は、維持期ベースラインで観察されたCRP、糞便ラクトフェリン、及び糞便カルプロテクチン濃度レベルを維持したが、一方、プラセボ群では、CRP中央値、糞便ラクトフェリン、及び糞便カルプロテクチン濃度は、悪化(増加)した。
○ 44週目では、正常化されたCRP、糞便カルプロテクチン及び糞便ラクトフェリンを有する対象の割合は、プラセボ群と比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において概して有意に大きかった。
- 生物学的治療に対する不成功状態による臨床エンドポイント
○ 生物学的治療の不成功の履歴を有する対象及びそれを有さない対象については、主要エンドポイント並びに主要な副次的エンドポイント及び粘膜治癒のそれぞれを達成した対象の割合は、一般に、プラセボ群の対象と比べて、ウステキヌマブのq8w及びq12w群において大きかった。
○ 場合によっては、治療効果が生物学的治療に不成功ではなかった集団及び不成功集団において類似していた場合、ウステキヌマブのq8w群に対する治療効果が、ウステキヌマブのq12w群に対するものよりも大きいという、エンドポイントにわたる一貫した傾向が、生物学的治療に不成功であった対象においてあった。この傾向は、生物学的治療に不成功ではなかった集団においては観察されなかった。
- 炎症性バイオマーカーサブグループに基づく有効性
○ 導入期又は維持期ベースラインのいずれかにおいて、より高い炎症負荷(CRPの上昇及び/又は糞便炎症マーカの上昇)を有する対象の中で、両方の投与量が、一般に、プラセボと比べて有効性を示したが、ウステキヌマブのq8wの有効性が、ウステキヌマブのq12w群よりも、臨床エンドポイントの範囲にわたって良好であると思われた。しかしながら、ベースラインでの炎症負荷が低い対象では、ウステキヌマブのq8w群及びq12w群は、エンドポイントに対する同様の有効性を示した。
- 健康関連の生活の質
○ 44週目までに、ウステキヌマブのq8w群及びq12w群の対象は、一般に、プラセボ群の対象と比べて、IBDQ、SF36及びEQ5D評価法を使用して評価されるとき、健康関連の生活の質の改善を維持することができた。
- ウステキヌマブ90mg、q8w用量及びウステキヌマブ90mg、q12w用量の予後
○ ウステキヌマブのq8w群及びq12w群の両方が、一般に、主要エンドポイント及び主要な副次的エンドポイントについての同様の有効性を示したが、q8wは、以下のより客観的かつ厳格な有効性の尺度に基づいて、q12wよりもわずかに良好であった。
◆ 44週目での内視鏡的及び粘膜治癒
◆ 44週目での持続的部分Mayo寛解
◆ 維持期ベースラインにおいてコルチコステロイドを投与されている対象の中で、44週の前の少なくとも90日間、コルチコステロイドフリーの臨床的寛解及びコルチコステロイドの排除
○ 更に、有効性が経時的に(以下のエンドポイントについて)試験された場合、q8w群は、q12w群よりも大きな有効性を示した。
◆ 非活動性又は軽度の疾患を示す(すなわち、0又は1のサブスコア)Mayo排便回数及び直腸出血サブスコア、並びに44週目までの経時的な≦3の絶対糞便数。
◆ 44週目までの経時的な部分Mayo寛解及び症候性寛解
◆ 44週目までの経時的な糞便ラクトフェリン及びカルプロテクチン濃度におけるベースラインからの変化の中央値。
● ウステキヌマブ導入療法に対する遅延レスポンダーにおける有効性
ウステキヌマブ導入療法に対する遅延レスポンダーであった対象は、ウステキヌマブ90mgをq8wで投与される間に、臨床応答を維持し、臨床的寛解、内視鏡的治癒、組織学的治癒、及び粘膜治癒(内視鏡的治癒と組織学的治癒との組み合わせ)を達成することができた。
● 有効性及び薬物動態/免疫原性
- 一般に、維持中に、血清ウステキヌマブ濃度と臨床的寛解及び内視鏡的治癒の臨床的有効性の成果との間に明らかな関連性が観察された。加えて、CRPにより測定した場合、より低いレベルの炎症が、血清ウステキヌマブ濃度が高い対象において観察された。
- 維持ウステキヌマブを投与されている対象の中で、ウステキヌマブに対する抗体の発生は、臨床的寛解、内視鏡的治癒、臨床応答、及びMayoスコアにおける維持期ベースラインからの変化などの複数のエンドポイントによって測定される臨床的有効性に影響を及ぼすようには見えなかったが、データの解釈は、小さいサンプルサイズによって制限される。
【0261】
薬物動態及び免疫原性結果
● ウステキヌマブ90mgのq8w又はq12wのSC投与による維持治療に続いて、対象がウステキヌマブ90mgをq8wでSC投与するか、又はウステキヌマブ90mgをq12wでSC投与する維持投与レジメンをそれぞれ開始した後、約8週目又は12週目に、定常状態に達した。経時的なトラフ血清ウステキヌマブ濃度の定常状態の中央値は、q12w群(0.92μg/mL~1.19μg/mL)におけるよりも、ウステキヌマブq8w群(2.69μg/mL~3.09μg/mL)において濃度が約3倍上回った。
● ウステキヌマブの90mgをq8w又はq12wでSC投与する維持投与レジメン後に、血清ウステキヌマブ濃度は、ほとんど全ての対象で44週目まで持続され、検出不能な経時的トラフ濃度を有する対象の割合は、90mgのq12wの群のもの(4.9%~7.1%)よりも90mgのq8wの群(0.7%~2.4%)で少なかった。プラセボ群の対象におけるウステキヌマブ濃度の中央値は、16週目までに検出可能なレベルを下回った。
● 維持中の血清ウステキヌマブ濃度に対する異なるウステキヌマブIV導入用量の影響は、予想どおりに経時的に減少し続けた。
● トラフ血清ウステキヌマブ濃度の中央値は、高体重の対象において低くなる傾向があった。
● ウステキヌマブ導入遅延レスポンダー群における非無作為化された対象は、90mgでq8wの同じウステキヌマブ投与レジメンのSC投与後に、ウステキヌマブのq8w 群の無作為化された対象と比べて、経時的に、より低い血清ウステキヌマブ濃度を有する傾向があった。
● ウステキヌマブに対する抗体を評価するための適切なサンプルを有する680人の治療対象の中で、39人(5.7%)は、52週間の治療を通じて、ウステキヌマブの抗体に対して陽性であり、大部分は、≦1:800の抗体力価を有した。この維持試験において、ウステキヌマブの抗体に対して陽性であった39人の治療対象のうち、11人(28.2%)は、中和抗体に対して陽性であった。
● 全ての無作為化された治療群では、血清ウステキヌマブ濃度の中央値は、ウステキヌマブの抗体に対して陰性であった対象のレベルと比べて、ウステキヌマブの抗体に対して陽性であった対象において、経時的により低くなった。
【0262】
安全性の結果
44週目までq12W又はq8wで投与されたウステキヌマブ90mgの皮下維持レジメンは、概ね良好な忍容性を示し、ウステキヌマブの既知の安全性プロファイルと一致した。
● AEは、ウステキヌマブq8wの群、ウステキヌマブq12wの群、及びプラセボ群の対象の77.3%、69.2%、及び78.9%でそれぞれ報告された。
- 合理的に因果関係があるAEは、ウステキヌマブq8wの群、ウステキヌマブq12wの群、及びプラセボ群の対象の26.1%、17.4%、及び28.6%でそれぞれ報告された。
●感染症(治験担当医によって特定される)は、ウステキヌマブq8wの群、ウステキヌマブq12wの群、及びプラセボ群の対象の48.9%、33.7%、及び46.3%でそれぞれ報告された。
- 経口又は非経口抗生物質治療を必要とする感染は、ウステキヌマブq8wの群、ウステキヌマブq12wの群、及びプラセボ群の対象の22.7%、15.7%、及び19.4%でそれぞれ報告された。
● 重篤な感染症は、無作為化された対象の間で頻度が低く、ウステキヌマブq8wの群、ウステキヌマブq12wの群、及びプラセボ群で、それぞれ、1.7%、3.5%、及び2.3%で報告された。日和見的感染症は、3人の対象(全て無作為化された集団で)で特定された。サイトメガロウイルス大腸炎は、ウステキヌマブq12w群の2人の対象について診断され、1人の対象は、眼及び口唇ヘルペスの同時中程度のAEと診断された。活動性TBの症例は、44週を通じて、ウステキヌマブ治療対象の中では報告されなかった。
● 試験薬剤の中断をもたらすAEを有する無作為化された対象の割合は、プラセボ群において、q12w群及びq8w群よりも高く、プラセボ群における中断をもたらす最も頻繁なAEは、UCを悪化させた。
● ウステキヌマブ導入遅延レスポンダーを含む全ての治療対象の中で、全体的な安全性プロファイルは、無作為化された集団で観察されたものと一致した。
● ウステキヌマブ導入遅延レスポンダーであり、ウステキヌマブをq8wで投与されていた1人の対象について死亡が報告された。死因は、多結節性甲状腺腫のための甲状腺手術中に発生した急性呼吸不全に起因していた。
● 全ての治療対象のうち、2人の対象(1人の対象は、ウステキヌマブ導入遅延応答患者群[ウステキヌマブをq8wで投与]に属し、1人の対象は、導入中にウステキヌマブIをIV投与されたプラセボ群に無作為化された)は、重篤な主要有害心血管事象を報告し、両者の事象は、周術期合併症と関連付けられた。
● 全ての治療対象の中で、悪性疾患が報告された6人の対象がいた(5人のウステキヌマブ治療対象及び1人のプラセボのみの対象)。
- 3人のウステキヌマブ治療対象は、非黒色腫皮膚癌(NMSC)を報告し、3人全員が、アザチオプリン又は6-MP治療の以前の履歴のいずれかを有し、2人は、診断時に併用免疫調節療法を受けていた。
- 2人のウステキヌマブ治療対象は、固形腫瘍を有することを報告し、1人の対象は乳頭状腎細胞癌(q12w)を有し、1人の対象は結腸癌を有しており(q8w)、この維持試験における対象の参加中に、両者の腫瘍が早期に検出された。
● ウステキヌマブ治療対象で特定されたアナフィラキシー又は遅延過敏反応の症例はなかった。
● ≧1のベースライン後の最大毒性グレードの化学的及び血液学的実験室値を有する対象の割合は、プラセボ群とそれぞれのウステキヌマブ群との間に顕著な差はなかった。グレード3及びグレード4の化学的及び血液学的実験室値は、頻度が低い。
【0263】
医療経済性及び医学的資源利用の結果
● 44週目までに、併用されたウステキヌマブ群の対象は、プラセボ群と比べて、UC疾患関連での入院又は手術はほとんどなかった。
● 44週目に、生産性の視覚的アナログスコア(VAS)における維持期ベースラインからの変化は、ウステキヌマブ治療群における対象の改善、及びプラセボ群の対象における悪化を実証した。
● 44週目に、4つのWPAI-GHドメインのそれぞれの中のパーセンテージは、ウステキヌマブ治療群について維持期ベースラインから維持され、ウステキヌマブのq8w群の対象において、健康に起因する労働中の減損率、健康に起因する総合的な労働減損率、及び健康に起因する活動減損率についての追加の改善が観察された。プラセボ群の対象については、全ての4つのWPAI-GHドメインについてのパーセンテージは悪化した(すなわち、増加した)。
【0264】
結論
● ウステキヌマブ維持試験は、ウステキヌマブ90mgをq12w及びq8wでSC投与する投与レジメンが、単回のIVウステキヌマブ導入用量に応答した中等度から重度の活動性UCを有する成人対象において、両方とも有効であったという一貫して決定的な証拠を示した。
- ウステキヌマブの有効性は、生物学的療法に不成功であった対象、並びに従来の療法に不成功であったが生物学的療法に不成功ではなかった対象(すなわち、生物学的療法未経験)で観察された。
- 注目すべきことに、ウステキヌマブの両方の用量は有効であったが、q8w投与レジメンは、いくつかの客観的及び/又はより厳格なエンドポイント(例えば、内視鏡的治癒及び長期の部分的Mayo寛解)、並びに症候性及び部分的Mayo寛解の経時的な解析に対して、わずかにより良好な有効性を示した。
● ウステキヌマブの90mgでq12w及び90mgでq8wのSC投与レジメンによる維持投与量は、中等度から重度の潰瘍性大腸炎を有する成人対象の集団において、44週間にわたって、概ね良好な忍容性を示した。
● この試験からの安全性及び有効性データは、ウステキヌマブSC維持療法のための良好な利益/リスクプロファイルを支援する。
【0265】
米国食品医薬品局は、2019年10月18日時点で米国における潰瘍性大腸炎(UC)の治療用のSTELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)を承認している。承認されたラベルを下記付録Iに示す。
【0266】
本発明は更に、抗IL-12/IL-23p40抗体の医薬組成物と、付録I、II、及びIIIに開示される1つ以上のラベル要素を含む包装とを含み、抗体は、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖、を含む。
【0267】
付録I
処方情報の主要部
これらの主要部分は、STELARA(登録商標)を安全かつ有効に使用するのに必要な全ての情報を含むものではない。STELARA(登録商標)の全処方情報を参照されたい。
【0268】
皮下又は静脈内使用のSTELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)注射
最初の米国内承認:2009年
【0269】
---------------最近の主要な変更点---------------
適応症及び用法、潰瘍性大腸炎(1.4) 2019年10月
投与量及び投与(2.3) 2019年10月
警告及び使用上の注意(5.1) 2019年10月
【0270】
----------------適応症及び用法----------------
STELARA(登録商標)は、以下の治療に適応されるヒトインターロイキン-12-及び-23のアンタゴニストである。
以下を有する成人患者:
● 光線療法又は全身療法の候補である中等度から重度の尋常性乾癬(Ps)。(1.1)
● 単独で、又はメトトレキサートと併用して、活動性乾癬性関節炎(PsA)。(1.2)
● 中等度から重度の活動性クローン病(CD)。(1.3)
● 中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎。(1.4)
以下を有する青年期患者(12歳以上):
● 光線療法又は全身療法の候補である中等度から重度の尋常性乾癬(Ps)。(1.1)
【0271】
----------------用量及び投与----------------
乾癬成人の皮下推奨投与量(2.1):
【0272】
【0273】
乾癬若年成人患者(12歳以上)の皮下推奨投与量(2.1):重量ベースの投与が、最初の用量、4週後、その後12週間毎に推奨される。
【0274】
【0275】
乾癬性関節炎成人の皮下推奨投与量(2.2):
● 推奨投与量は、最初及び4週間後に45mgを皮下投与し、その後、12週毎に45mgを皮下投与する。
● 共存する中等度から中度の尋常性乾癬を有する100kgを超える患者の場合、推奨投与量は、最初及び4週間後に90mgを皮下投与し、その後、12週毎に90mgを皮下投与する。
【0276】
クローン病及び潰瘍性大腸炎初期成人の静脈内推奨投与量(2.3):重量ベースの投与量を用いた単回静脈内注入:
【0277】
【0278】
クローン病及び潰瘍性大腸炎維持成人の皮下推奨投与量(2.3):最初の静脈内投与の8週間後、更にその後、8週間毎に皮下90mg用量。
【0279】
----------------剤形及び強度----------------
皮下注射(3)
● 注射:単回投与プレフィルドシリンジ中、45mg/0.5mL又は90mg/mL
● 注射:単回用量バイアル中、45mg/0.5mL
----------------------------------------
静脈内注入(3)
● 注射:単回用量バイアル(3)中、130mg/26mL(5mg/mL)
【0280】
------------------禁忌------------------
ウステキヌマブ又は賦形剤のいずれかに対する臨床的に有意な過敏症。(4)
【0281】
--------------警告及び使用上の注意--------------
● 感染症:重篤な感染症が発生した。あらゆる臨床的に重要な活動性感染症の間にはSTELARA(登録商標)を開始しない。深刻な感染症又は臨床的に重大な感染症が発生した場合、感染症が消失するまでSTELARA(登録商標)の中止を検討する。(5.1)
● 特定の感染症の理論上のリスク:マイコバクテリア、サルモネラ、及びバチルス・カルメットゲラン(BCG)ワクチン接種による重篤な感染症が、IL-12/IL-23が遺伝的に欠損している患者で報告されている。これらの感染症の診断検査は、臨床状況によって決定されると考えられるべきである。(5.2)
● 結核(TB):STELARA(登録商標)による治療を開始する前にTBについて患者を評価する。STELARA(登録商標)を投与する前に潜在性TBの治療を開始する。(5.3)
● 悪性腫瘍:STELARA(登録商標)は悪性腫瘍のリスクを高める恐れがある。既知の悪性腫瘍又はその病歴を有する患者におけるSTELARAの安全性は評価されていない。(5.4)
● 高感度反応:アナフィラキシー又は他の臨床的に重要な過敏症反応が生じる恐れがある。(5.5)
● 可逆性後部白質脳症(RPLS):1症例が報告されている。疑わしい場合、迅速に治療し、STELARA(登録商標)を中止する。(5.6)
● 非感染性肺炎:STELARA(登録商標)の承認後の使用時における間質性肺炎、好酸球性肺炎、及び潜在性組織化肺炎の症例が報告されている。診断が確認された場合、STELARAを中止し、適切な治療を開始する。(5.9)
【0282】
-----------------有害反応-----------------
最も一般的な有害反応としては以下がある。
● 乾癬(≧3%):鼻咽頭炎、上気道感染症、頭痛、及び倦怠感。(6.1)
● クローン病、導入(≧3%):嘔吐。(6.1)
● クローン病、維持(≧3%):鼻咽頭炎、注射部位紅斑、外陰膣カンジダ症/菌性感染症、気管支炎、掻痒、尿路感染症、及び副鼻腔炎。(6.1)
● 潰瘍性大腸炎、導入(≧3%):鼻咽頭炎(6.1)
● 潰瘍性大腸炎、維持(≧3%):鼻咽頭炎、頭痛、腹痛、インフルエンザ、発熱、下痢、副鼻腔炎、倦怠感、及び悪心(6.1)
【0283】
疑わしい有害反応を報告するには、Janssen Biotech,Inc.1-800-JANSSEN(1-800-526-7736)、又はFDA(1-800-FDA-1088若しくはwww.fda.gov/medwatch.)に連絡。
【0284】
患者のカウンセリング情報及び投薬ガイドについては17を参照されたい。
改訂:2019年10月
【0285】
全処方情報:内容*
1 適応症及び用法
1.1 乾癬(Ps)
1.2 乾癬性関節炎(PsA)
1.3 クローン病(CD)
1.4 潰瘍性大腸炎
2 投与量及び投与
2.1 乾癬
2.2 乾癬性関節炎
2.3 クローン病及び潰瘍性大腸炎
2.4 投与における一般的な考慮事項
2.5 STELARA(登録商標)の投与のための説明書針安全ガードを備えたプレフィルドシリンジ
2.6 STELARA(登録商標)の調製及び投与静脈内注入用130mg/26mL(5mg/mL)バイアル(クローン病及び潰瘍性大腸炎)
3 剤形及び強度
4 禁忌
5 警告及び使用上の注意
5.1 感染症
5.2 特定の感染症に対する脆弱性の理論上のリスク
5.3 結核の治療前評価
5.4 悪性腫瘍
5.5 過敏症反応
5.6 可逆性後頭葉白質脳症
5.7 免疫化
5.8 併用療法
5.9 非感染性肺炎
6 有害反応
6.1 臨床試験の経験
6.2 免疫原性
6.3 市販後の経験
7 薬物相互作用
7.1 生ワクチン
7.2 併用療法
7.3 CYP450の基質
7.4 アレルゲン免疫療法
8 特定の母集団における使用
8.1 妊娠
8.2 授乳
8.4 小児への使用
8.5 高齢者への使用
10 過剰投与
11 性状
12 臨床薬理学
12.1 作用機序
12.2 薬力学
12.3 薬物動態
13 非臨床毒性
13.1 発がん、変異誘発、生殖機能障害
13.2 動物毒性及び/又は薬理学
14 臨床試験
14.1 乾癬
14.2 尋常性乾癬を有する若年成人対象
14.3 乾癬性関節炎
14.4 クローン病
14.5 潰瘍性大腸炎
15 参考文献
16 供給/保管/取扱いの方法
17 患者相談情報
*全処方情報から省略されたセクション又はサブセクションは掲載されていない。
【0286】
全処方情報
1 適応症及び用法
1.1 乾癬(P)
STELARA(登録商標)は、光線療法又は全身療法の候補である中等度から重度の尋常性乾癬を有する12歳以上の患者の治療に適応される。
【0287】
1.2 乾癬性関節炎(PsA)
STELARA(登録商標)は、活動性乾癬性関節炎を有する成人患者の治療に適応される。STELARA(登録商標)は、単独で使用するか又はメトトレキサート(MTX)と併用することができる。
【0288】
1.3 クローン病(CD)
STELARA(登録商標)は、中等度から重度の活動性クローン病を有する成人患者の治療に適応される。
【0289】
1.4 潰瘍性大腸炎
STELARA(登録商標)は、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者の治療に適応される。
【0290】
2. 用量及び投与
2.1 乾癬
皮下投与による成人投与量レジメン
● 体重100kg以下の患者では、推奨される用量は最初と4週間後に45mg、その後、12週間毎に45mgである。
● 体重100kg超の患者では、推奨される用量は最初と4週間後に90mg、その後、12週間毎に90mgである。
【0291】
体重100kg超の対象では、45mgも有効であることが示されている。しかしながら、これらの対象では90mgが高い有効性をもたらした[臨床試験(14)を参照]。
【0292】
皮下投与による若年成人投与量レジメン
STELARA(登録商標)を、0週目及び4週目、その後12週間毎に皮下投与すること。
【0293】
STELARA(登録商標)の若年成人(12~17歳)に対する、体重に基づく推奨用量を以下に示す(ラベルの表1)。
【0294】
【0295】
若年成人患者が体重60kg未満である場合の推奨用量(0.75mg/kg)の投与体積をラベルの表2に示す。単回用量バイアルから適切な体積を抜き取る。
【0296】
【0297】
2.2 乾癬性関節炎
皮下投与による成人投与量レジメン
● 推奨投与量は、最初及び4週間後に45mg、その後、12週間毎に45mgである。
● 共存する中等度から重度の尋常性乾癬を有する体重100kg超の患者の場合、推奨投与量は、最初及び4週間後に90mg、その後、12週間毎に90mgである。
【0298】
2.3 クローン病及び潰瘍性大腸炎
静脈内投与による導入療法の成人投与量レジメン
ラベルの表3に指定された体重に基づく投与レジメンを用いたSTELARA(登録商標)の単回静脈内注入用量[静脈内注入用STELARA(登録商標)130mgバイアルの希釈に関する指示(2.6)を参照]。
【0299】
【0300】
皮下投与による維持療法の成人投与量レジメン
維持療法の推奨投与量は、皮下用量90mgを初回静脈内投与の8週間後、更にその後8週間毎に投与する。
【0301】
2.4 投与における一般的な考慮事項
● STELARA(登録商標)は、医師のガイダンス及び監督の下での使用を意図している。STELARA(登録商標)は、綿密に観察され、定期的な医師による経過観察来院を行う患者にのみ投与されなければならない。適切な用量は、投与時の患者の現在の体重を用いて医療提供者によって決定されなければならない。若年成人患者では、STELARA(登録商標)は、医療提供者によって投与されることが推奨される。皮下注射の方法について適切な訓練を行った後、医師が適切であると判断した場合に、患者がSTELARA(登録商標)を自己注射するか又は介護者が注射することができる。患者は、医薬品ガイドに記載の指示に従うように指示されなければならない[医薬品ガイドを参照]。
● プレフィルドシリンジ上の針カバーは、乾燥天然ゴム(ラテックスの誘導体)を含有している。ラテックスに過敏な者は針カバーを扱わないこと。
● 各注射は、前回の注射とは異なる解剖学的位置(上腕部、臀部、大腿部、又は腹部のいずれかの四半部など)に投与し、皮膚が柔らかい、打撲している、紅斑、又は硬結がみられる領域には投与しないことが推奨される。単回用量バイアルを使用する場合、27ゲージ、1/2インチの針を有する1mLのシリンジが推奨される。
● 投与に先立って、粒子状物質及び変色についてSTELARA(登録商標)を目視検査する。STELARA(登録商標)は、無色~淡黄色の溶液であり、少数の半透明又は白色の粒子を含む場合がある。STELARA(登録商標)が変色しているか又は濁っている場合、あるいは他の粒子状物質が存在する場合、STELARA(登録商標)を使用しないこと。STELARA(登録商標)は防腐剤を含有していないため、バイアル及び/又は注射器に残っている未使用の製品は廃棄すること。
【0302】
2.5 針安全ガードを備えたSTELARA(登録商標)プレフィルドシリンジの投与のための取扱書
以下の取扱書を参考とすること。
【0303】
針安全ガードの誤作動を防止するため、使用中のいかなる時点でも針ガード作動クリップに触れないこと。
【0304】
● 本体を持って針カバーを取り外す。針カバーを外す際にプランジャ又はプランジャヘッドを持たないこと。プランジャが動く恐れがあります。針カバーが外れた状態で落とした場合にはプレフィルドシリンジを使用しないでください。
● 推奨に従ってSTELARA(登録商標)を皮下注射すること[投与量及び投与(2.1、2.2、2.3)を参照]。
● プランジャヘッドが針ガードウィングの間に完全に収まるまでプランジャを押すことによって薬液をすべて注入すること。針ガードを作動させるにはプレフィルドシリンジの内容物をすべて注入することが必要です。
【0305】
● 注射後、プランジャヘッドを押し続けたまま、針を皮膚から抜くこと。下図に示すように、プランジャヘッドから親指をゆっくりと離すと、針全体が針ガードによって覆われるまで空のシリンジが上に移動します。
【0306】
● 使用済みのシリンジは貫通しない容器に入れること。
【0307】
2.6 静脈内注入(クローン病及び潰瘍性大腸炎)用STELARA(登録商標)130mg/26mL(5mg/mL)バイアルの調製及び投与
静脈内注入用のSTELARA(登録商標)濃縮物は、無菌的技術を使用して医療従事者によって希釈、調製及び注入されなければならない。
1. 患者の体重に基づいて、必要とされるSTELARA(登録商標)の用量及びバイアルの数を計算する(ラベル表3)。STELARA(登録商標)の各26mLバイアルは、130mgのウステキヌマブを含む。
2. 250mLの注入バッグから、加えるSTELARA(登録商標)の体積に等しい体積の0.9%塩化ナトリウム注入液USP標準品を抜き取って捨てる(必要とされるSTELARA(登録商標)の各バイアルについて26mLの塩化ナトリウム、2本のバイアルでは52mL、3本のバイアルでは78mL、4本のバイアルでは104mLを捨てる)。
3. 必要とされる各バイアルから26mLのSTELARA(登録商標)を抜き取り、250mLの注入バッグに加える。輸液バッグ内の最終容積は、250mLでなければならない。穏やかに混合する。
4. 注入前に希釈溶液を目視検査する。視覚的に不透明な粒子、変色、又は異物が観察される場合には使用しない。
5. 希釈溶液を少なくとも1時間にわたって注入する。希釈後、注入溶液は注入前に最大4時間保存することができる。
6. インライン、無菌、非発熱性、低タンパク質結合性のフィルター(孔径0.2マイクロメートル)を有する注入セットのみを使用する。
7. 他の薬剤と同じ静脈ラインでSTELARA(登録商標)を同時に注入しない。
8. STELARA(登録商標)は防腐剤を含有していない。各バイアルは、1回使用のみを目的としたものである。残りの溶液はすべて廃棄する。現地の要件に従って未使用の医薬品を廃棄すること。
【0308】
保存
必要に応じて、希釈された注入溶液は、室温で最大4時間、25℃(77°F)まで貯蔵することができる。凍結させないこと。注入溶液の未使用部分を廃棄する。
【0309】
3 剤形及び強度
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、無色~淡黄色の溶液であり、少数の半透明又は白色の粒子を含む場合がある。
【0310】
皮下注射
● 注射:単回投与プレフィルドシリンジ中、45mg/0.5mL又は90mg/mLの溶液
● 注射:単回用量バイアル中、45mg/0.5mL溶液
【0311】
静脈内注入
● 注射:単回用量バイアル中、130mg/26mL(5mg/mL)溶液
【0312】
4 禁忌
STELARA(登録商標)は、ウステキヌマブ又は賦形剤のいずれかに対する臨床的に有意な過敏症を有する患者において禁忌である[警告及び使用上の注意(5.5)を参照]。
【0313】
5 警告及び使用上の注意
5.1 感染症
STELARA(登録商標)は、感染症のリスク及び潜在性感染症の再活性化を増加させる恐れがある。STELARA(登録商標)を投与した対象において、重篤な細菌、真菌、及びウイルス感染が観察されている[有害反応(6.1)を参照)。
【0314】
臨床試験で報告された入院を必要とする重篤な感染症、又は他の臨床的に重要な感染症には、以下のものが含まれる。
● 乾癬:憩室炎、蜂窩織炎、肺炎、虫垂炎、胆嚢炎、敗血症、骨髄炎、ウイルス感染症、胃腸炎、及び尿路感染症。
● 乾癬性関節炎:胆嚢炎。
● クローン病:肛門膿瘍、胃腸炎、眼部帯状疱疹、肺炎、及びリステリア髄膜炎。
● 潰瘍性大腸炎:胃腸炎、眼部帯状疱疹、肺炎、及びリステリア症。
【0315】
STELARA(登録商標)による治療は、感染症が消失又は適切に治療されるまで、臨床的に重要な活動性感染症を有する患者において開始されるべきではない。慢性感染症又は再発性感染症の病歴を有する患者では、STELARA(登録商標)の使用を開始する前に治療のリスク及び利益を考慮する。
【0316】
STELARA(登録商標)での治療中に感染症を示唆する兆候又は症状が生じた場合、医師の助言を求め、重篤又は臨床的に有意な感染症の場合、感染症が消失又は適切に治療されるまでSTELARA(登録商標)の中止を検討するよう、患者に指示する。
【0317】
5.2 特定の感染症に対する脆弱性の理論上のリスク
IL-12/IL-23が遺伝子欠損している個人は、マイコバクテリア(非結核性、環境性マイコバクテリアを含む)、サルモネラ(非チフス株を含む)、及びバチルスカルメット・ゲラン(BCG)ワクチン接種による播種性感染に対して特に脆弱である。そのような患者では、重篤な感染症及び致命的な予後が報告されている。
【0318】
STELARA(登録商標)による治療からのIL-12/IL-23の薬理学的遮断を有する患者がこれらのタイプの感染症に罹患しやすい可能性があるか否かについては判明していない。臨床状況によって決定される、例えば、組織培養、便培養などの適切な診断検査が考慮されるべきである。
【0319】
5.3 結核の治療前評価
STELARA(登録商標)による治療を開始する前に結核感染症について患者を評価する。
【0320】
活動性結核感染症を有する患者にはSTELARA(登録商標)を投与しない。STELARA(登録商標)を投与する前に潜在性結核の治療を開始する。適切な治療過程が確認できない潜在性又は活動性結核症の既往歴を有する患者では、STELARA(登録商標)の開始前に抗結核治療を検討する。STELARA(登録商標)を投与した患者は、治療中及び治療後の活動性結核の徴候及び症状に関して密接に観察する。
【0321】
5.4 悪性腫瘍
STELARA(登録商標)は免疫抑制剤であり、悪性腫瘍のリスクを高める恐れがある。臨床試験において、STELARA(登録商標)を投与した対象間で悪性腫瘍を報告が報告されている[有害反応(6.1)を参照]。げっ歯類モデルでは、IL-12/IL-23p40の阻害によって悪性腫瘍のリスクが増加した[非臨床毒性(13)を参照)。
【0322】
悪性腫瘍の病歴を有する患者、又は既知の悪性腫瘍を有する患者におけるSTELARA(登録商標)の安全性は評価されていない。
【0323】
非黒色腫皮膚癌を発症する既存のリスク因子を有する、STELARA(登録商標)を投与した患者における複数の皮膚扁平上皮癌の急速な出現の販売後報告がある。STELARA(登録商標)を投与した全ての患者は、非黒色腫皮膚癌の出現について観察しなければならない。60歳よりも高齢の患者、長期免疫抑制療法の履歴及びPUVA治療の履歴を有する患者は注意深くフォローされなければならない[有害反応(6.1)を参照]。
【0324】
5.5 過敏症反応
STELARA(登録商標)では、アナフィラキシー及び血管浮腫を含む過敏症反応が報告されている[有害反応(6.1、6.3)を参照]。アナフィラキシー又は他の臨床的に有意な過敏症反応が発生する場合、適切な療法を開始し、STELARA(登録商標)を中止する。
【0325】
5.6 可逆性後頭葉白質脳症
乾癬及び乾癬性関節炎の臨床試験において、可逆性後頭葉白質脳症(RPLS)の1症例が観察されている。この対象は、約2年にわたって12回用量のSTELARA(登録商標)を投与しており、頭痛、発作、及び混乱を生じた。追加のSTELARA(登録商標)注射は投与されず、対象は適切な治療で完全に回復した。クローン病又は潰瘍性大腸炎の臨床試験において、RPLSの症例は観察されなかった。
【0326】
RPLSは、脱髄又は既知の感染因子によって引き起こされない神経障害である。RPLSは、頭痛、発作、混乱、及び視覚障害と共に発症し得る。RPLSが関連する病態としては、子癇前症、子癇、急性高血圧症、細胞傷害性薬剤、及び免疫抑制療法が挙げられる。致命的な予後が報告されている。
【0327】
RPLSが疑われる場合、適切な治療薬を投与し、STELARA(登録商標)を中止する。
【0328】
5.7 免疫化
患者は、STELARA(登録商標)による治療を開始する前に、現在の免疫化ガイドラインによって推奨される全ての年齢に応じた免疫化を行わなければならない。STELARA(登録商標)で治療されている患者は生ワクチンを投与してはならない。STELARA(登録商標)による治療中、又は治療開始前の1年間、又は治療中止後の1年間、BCGワクチンを投与してはならない。STELARA(登録商標)を投与した患者の家庭内接触者に生ワクチンを投与する場合、家庭内接触者から放出されて患者に感染する潜在的なリスクがあるため、注意を払う。
【0329】
STELARA(登録商標)の投与中に投与される非生ワクチン接種は、疾患を予防するのに十分な免疫応答を誘発しない場合がある。
【0330】
5.8 併用療法
乾癬の臨床試験では、他の免疫抑制剤又は光線療法との併用におけるSTELARA(登録商標)の安全性は評価されていない。紫外線誘発性皮膚癌が、IL-12及びIL-23の両方又はIL-12単独を欠損するように遺伝子操作されたマウスにおいてより早期かつより頻繁に発症している[非臨床毒性(13.1)を参照]。
【0331】
5.9 非感染性肺炎
STELARA(登録商標)の承認後の使用時における間質性肺炎、好酸球性肺炎、及び潜在性組織化肺炎の症例が報告されている。臨床症状には、1~3回投与後の咳、嚥下、及び間質性浸潤が含まれた。重篤な予後は、呼吸不全及び長期入院を含んでいた。患者は治療の中止により改善し、特定の症例ではコルチコステロイドの投与により改善した。診断が確認された場合、STELARA(登録商標)を中止し、適切な治療を開始する[6.3市販後の経験を参照]。
【0332】
6 有害反応
以下の重篤な有害反応について、ラベルの他の場所で考察されている。
● 感染症[警告及び使用上の注意(5.1)を参照)
● 悪性腫瘍[警告及び使用上の注意(5.4)を参照)
● 過敏症反応[警告及び使用上の注意(5.5)を参照)
● 可逆性後頭葉白質脳症[警告及び使用上の注意(5.6)を参照)
【0333】
6.1 臨床試験の経験
臨床試験は、広範に変化する条件下で実施されるので、薬物の臨床試験において観察される有害反応率は、別の薬物の臨床試験における率と直接比較することができず、実際に観察された率を反映していない場合がある。
【0334】
尋常性乾癬を有する成人対象
安全性データは、少なくとも6ヶ月間曝露された2414人、少なくとも1年間曝露された1855人、少なくとも2年間曝露された1653人、少なくとも3年間曝露された1569人、少なくとも4年間曝露された1482人、及び少なくとも5年間曝露された838人を含む、3117人の成人乾癬対象におけるSTELARA(登録商標)への曝露を反映したものである。
【0335】
ラベル表4に、STELARA(登録商標)群において少なくとも1%の割合で発生し、かつPs試験1及びPs試験2のプラセボ対照期間中のプラセボ群よりも高い割合で発生した有害反応をまとめる[臨床試験(14)を参照]。
【0336】
【0337】
Ps試験1及び2の12週目までの対照期間中に1%未満の割合で発生した有害反応としては、蜂窩織炎、帯状疱疹、憩室炎、及び特定の注射部位反応(疼痛、腫脹、掻痒、硬結、出血、皮下出血、及び刺激)があった。
【0338】
臨床試験中にRPLSの1症例が発生した[警告及び使用上の注意(5.6)を参照)。
【0339】
● 感染症
乾癬対象の臨床試験のプラセボ対照期間(プラセボ治療対象で12.6週間及びSTELARA(登録商標)治療対象で13.4週間の平均追跡調査)において、プラセボ治療対象の24%(追跡調査1対象・年あたり1.21)と比較してSTELARA(登録商標)治療対象の27%(追跡調査1対象・年あたり1.39)で感染症が報告された。重篤な感染症が、STELARA(登録商標)治療対象の0.3%(追跡調査1対象・年あたり0.01)及びプラセボ治療対象の0.4%(追跡調査1対象・年あたり0.02)で生じた[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]。
【0340】
8998対象・曝露年となる、乾癬臨床試験の対照期間及び非対照期間(追跡調査の中央値3.2年)では、STELARA(登録商標)治療対象の72.3%で感染症が報告された(追跡調査1対象・年あたり0.87)。重篤な感染症が対象の2.8%で報告された(追跡調査1対象・年あたり0.01)。
【0341】
● 悪性腫瘍
乾癬臨床試験の対照部分及び非対照部分では(8998対象・曝露年を表す、追跡調査の中央値3.2年)では、STELARA(登録商標)治療対象の1.7%で、非黒色腫皮膚癌を除く感染症が報告された(追跡調査1対象・年あたり0.60)。非黒色腫皮膚癌が、STELARA(登録商標)治療対象の1.5%で報告された(追跡調査1対象・年あたり0.52)[警告及び使用上の注意(5.4)を参照]。臨床試験中の非黒色腫皮膚癌以外の最も高頻度で観察された悪性腫瘍は、前立腺癌、黒色腫、結腸直腸癌、及び乳癌であった。試験の対照及び非対照部分においてSTELARA(登録商標)治療患者に生じた非黒色腫皮膚癌以外の悪性腫瘍は、SEERデータベース(年齢、性別及び人種について調整した)に基づいて、一般的な米国人集団で予想される悪性腫瘍と種類及び数において同様であった1。
【0342】
尋常性乾癬を有する若年成人対象
STELARA(登録商標)の安全性を、中等度から重度の尋常性乾癬を有する12~17歳の110人の対象における試験で評価した。60週目までのこれらの対象における安全性プロファイルは、尋常性乾癬を有する成人における試験からの安全性プロファイルと同様であった。
【0343】
乾癬性関節炎
STELARA(登録商標)の安全性を、活動性乾癬性関節炎(PsA)を有する成人患者における無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(2試験)において927人の患者で評価した。PsAを有する患者におけるSTELARA(登録商標)の全体的な安全性プロファイルは、成人乾癬の臨床試験において認められた安全性プロファイルと一致していた。PsAに関する臨床試験のプラセボ対照部分において、プラセボ治療患者と比較して高い関節痛、悪心、及び歯科感染症の発生率がSTELARA(登録商標)治療患者で認められた(関節痛では1%に対して3%、悪心では1%に対して3%、歯牙乾癬では0.6%に対して1%)。
【0344】
クローン病
STELARA(登録商標)の安全性を、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並列群間、多施設試験(3試験)において、中等度から重度の活動性クローン病(クローン病活動性指数[CDAI]が220以上かつ450以下)を有する1407人の患者において評価した。これらの1407人の患者には、治験用静脈内ウステキヌマブ製剤が過去に投与されているが、有効性分析には含まれなかった40人の患者が含まれた。CD-1及びCD-2試験では、470人の患者に、体重に基づく単回静脈内導入用量として6mg/kgのSTELARA(登録商標)を投与し、466人にプラセボを投与した[投与量及び投与(2.3)を参照]。CD-1又はCD-2試験のいずれかでレスポンダーであった患者を、CD-3試験において、44週間にわたって8週間毎に90mgのSTELARA(登録商標)を投与する皮下維持レジメン又はプラセボを投与する群のいずれかに無作為化した。これらの3試験の患者には、クローン病に対するアミノサリチル酸、免疫調節薬[アザチオプリン(AZA)、6-メルカプトプリン(6-MP)、MTX]、経口コルチコステロイド(プレドニゾン又はブデソニド)、及び/Vは抗生物質を含む他の併用療法が投与されていてもよい[臨床試験(14.4)を参照]。
【0345】
STELARA(登録商標)の全体的な安全性プロファイルは、成人乾癬及び乾癬性関節炎の臨床試験で認められた安全性プロファイルと一致した。CD-1及びCD-2試験並びにCD-3試験における一般的な有害反応を、それぞれラベル表5及び6に一覧にしている。
【0346】
【0347】
CD-1及びCD-2試験の患者で報告された他の低頻度で認められた有害反応としては、無力症(1%対0.4%)、ざ瘡(1%対0.4%)、及び掻痒(2%対0.4%)であった。
【0348】
【0349】
● 感染症
クローン病を有する患者では、重篤又は他の臨床的に重要な感染症として、肛門膿瘍、胃腸炎、及び肺炎があった。更に、リステリア菌性髄膜炎及びヘルペス眼感染が、それぞれ1人の患者で報告された。[警告及び使用上の注意(5.1)を参照)。
【0350】
● 悪性腫瘍
クローン病に関する臨床試験における最大1年の治療で、STELARA(登録商標)治療患者の0.2%(100患者・年あたり0.36件)及びプラセボ治療患者の0.2%(100患者・年あたり0.58件)が非黒色腫皮膚癌を発現した。非黒色腫皮膚癌以外の悪性腫瘍は、STELARA(登録商標)治療患者の0.2%(100患者・年あたり0.27件)に発現したが、プラセボ治療患者では認められなかった。
【0351】
● アナフィラキシーを含む過敏症反応
CD試験では、2人の患者でSTELARA(登録商標)後に過敏反応が報告された。1人の患者で、単回皮下投与後のアナフィラキシーに一致する兆候及び症状(咽喉絞扼感、息切れ、及び潮紅)が発現した(皮下STELARA(登録商標)を投与された患者の0.1%)。更に、1人の患者(静脈内STELARA(登録商標)を投与された患者の0.08%)で、STELARA(登録商標)の初回静脈内投与後に過敏反応(胸部不快感、潮紅、蕁麻疹、及び体温上昇)に一致するか又は関連する兆候及び症状が発現した。これらの患者は、経口抗ヒスタミン剤又はコルチコステロイドで治療され、いずれの場合も症状は1時間以内に消失した。
【0352】
潰瘍性大腸炎
STELARA(登録商標)の安全性を、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する960人の成人患者における無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験(2試験)(UC-1[IV導入]及びUC-2[SC維持])で評価した[臨床試験(14.5)を参照]。潰瘍性大腸炎を有する患者におけるSTELARA(登録商標)の全体的な安全性プロファイルは、全ての承認された適応症で認められた安全性プロファイルと一致していた。STELARA(登録商標)治療患者の少なくとも3%において、かつプラセボよりも高い割合で報告された有害反応として、以下が認められた。
● 導入(UC-1):鼻咽頭炎(7%対4%)。
● 維持(UC-2):鼻咽頭炎(24%対20%)、頭痛(10%対4%)、腹痛(7%対3%)、インフルエンザ(6%対5%)、発熱(5%対4%)、下痢(4%対1%)、副鼻腔炎(4%対1%)、疲労(4%対2%)、及び悪心(3%対2%)。
【0353】
● 感染症
潰瘍性大腸炎を有する患者では、重篤又は他の臨床的に重要な感染症として、胃腸炎、及び肺炎があった。更に、リステリア症及び眼部帯状疱疹が、それぞれ1人の患者で報告されている[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]。
【0354】
● 悪性腫瘍
潰瘍性大腸炎に関する臨床試験における最大1年の治療で、STELARA(登録商標)治療患者の0.4%(100患者・年あたり0.48件)及びプラセボ治療患者の0.0%(100患者・年あたり0.00件)が非黒色腫皮膚癌を発現した。非黒色腫皮膚癌以外の悪性腫瘍が、STELARA(登録商標)治療患者の0.5%(100患者・年あたり0.64件)及びプラセボ治療患者の0.2%(100患者・年あたり0.40件)で発現した。
【0355】
6.2 免疫原性
すべての治療用タンパク質と同様、免疫原性の可能性がある。抗体生成の検出は、アッセイの感度及び特異性に大きく依存する。更に、アッセイにおける抗体(中和抗体を含む)陽性の観察された発生率は、アッセイ法、試料の取り扱い、試料採取のタイミング、併用薬及び基礎疾患を含むいくつかの因子によって影響される可能性がある。これらの理由から、以下に記載される試験におけるウステキヌマブに対する抗体の発生率を、他の製剤に対する抗体の発生率と比較すると、誤解を招く恐れがある。
【0356】
乾癬及び乾癬性関節炎の臨床試験においてSTELARA(登録商標)で治療した対象の約6~12.4%がウステキヌマブに対する抗体を発現したが、一般に低い力価であった。乾癬に関する臨床試験では、ウステキヌマブに対する抗体は、低い又は検出不能な血清ウステキヌマブ濃度及び低い有効性と関連していた。乾癬に関する試験では、ウステキヌマブに対する抗体について陽性であった患者の大多数に中和抗体が認められた。
【0357】
クローン病及び潰瘍性大腸炎に関する臨床試験では、それぞれ、患者の2.9%及び4.6%が、STELARA(登録商標)で約1年間治療された場合にウステキヌマブに対する抗体を発現した。ウステキヌマブに対する抗体の発現と注射部位反応の発現との間に明らかな相関は認められなかった。
【0358】
6.3 市販後の経験
以下の有害反応がSTELARA(登録商標)の承認後に報告されている。これらの反応は不確定サイズの集団から自発的に報告されるため、それらの頻度を確実に推定したり、STELARA(登録商標)曝露量に対する因果関係を確立したりすることは必ずしも可能であるとは限らない。
【0359】
免疫系疾患:重篤な過敏症反応(アナフィラキシー及び血管浮腫を含む)、他の過敏症反応(発疹及び蕁麻疹を含む)[警告及び使用上の注意(5.5)を参照]。
【0360】
呼吸器、胸部及び縦隔疾患:間質性肺炎、好酸球性肺炎、及び潜在性組織化肺炎[警告及び使用上の注意(5.9)を参照]。
【0361】
皮膚反応:膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症。
【0362】
7 薬物相互作用
7.1 生ワクチン
STELARA(登録商標)と生ワクチンの併用は避けること[警告及び使用上の注意(5.7)を参照]。
【0363】
7.2 併用療法
乾癬に関する試験では、STELARA(登録商標)を免疫抑制剤又は光線療法と併用した場合の安全性については評価されていない[警告及び使用上の注意(5.8)を参照]。乾癬性関節炎に関する試験では、併用MTXの使用は、STELARA(登録商標)の安全性又は有効性に影響を認めなかった。クローン病及び潰瘍性大腸炎の導入試験では、免疫調節剤(6-MP、AZA、MTX)を患者の約30%で併用し、コルチコステロイドをクローン病及び潰瘍性大腸炎患者のそれぞれ約40%及び50%で併用した。これらの併用療法の使用は、STELARA(登録商標)の全体的な安全性又は有効性に影響を認めなかった。
【0364】
7.3 CYP450の基質
慢性炎症時の特定のサイトカイン(例えば、IL-1、IL-6、IL-10、TNFα、IFN)のレベルの増加によってCYP450酵素の生成に変化が生じる可能性がある。したがって、IL-12及びIL-23のアンタゴニストであるSTELARA(登録商標)は、CYP450酵素の生成を正常化すると考えられる。CYP450の基質、特に治療指数が狭いものを併用している患者においてSTELARA(登録商標)を開始する際には、治療効果(ワルファリンなど)又は薬物濃度(シクロスポリンなど)の観察を検討し、必要に応じて薬剤の個々の用量を調整する[臨床薬理学(12.3)を参照]。
【0365】
7.4 アレルゲン免疫療法
STELARA(登録商標)は、アレルギー免疫療法を受けた患者において評価されていない。STELARA(登録商標)は、アレルゲン免疫療法の防御効果を低下させる(忍容性を低下させる)恐れがあり、それにより一定用量のアレルゲン免疫療法に対するアレルギー反応のリスクが高まる可能性がある。したがって、特にアナフィラキシーに対するアレルゲン免疫療法を受けている、又は受けたことがある患者には注意を払う必要がある。
【0366】
8 特定の母集団での使用
8.1 妊娠
妊娠曝露レジストリ
妊娠中にSTELARA(登録商標)に曝露された女性の妊娠転帰を観察する妊娠曝露レジストリが存在する。患者に登録が奨励されなければならない(電話番号1-877-311-8972)。
【0367】
リスクの概要
妊婦におけるSTELARA(登録商標)の使用に関する限定的なデータは、薬剤関連リスクについて知らせるには不十分である[データを参照]。動物の生殖及び発生毒性試験では、最大推奨ヒト皮下用量(MRHD)におけるヒト曝露量の100倍を超える曝露量での妊娠サルへのウステキヌマブの投与後に、発生に対する有害な作用は認められなかった。
【0368】
すべての妊婦は、出生異常、流産、又は他の有害転帰のバックグラウンドリスクを有する。適応された集団における主要な出生異常及び流産の推定されるバックグラウンドリスクは不明である。米国の一般集団では、臨床的に確認された妊婦における主要な出生異常及び流産の推定バックグラウンドリスクは、それぞれ2~4%及び15~20%である。
【0369】
データ
● ヒトにおけるデータ
観察試験、既報の症例報告、及び製造販売後調査から得られている、妊婦におけるSTELARA(登録商標)の使用に関する限定的なデータは、薬物関連リスクを知らせるには不十分である。
【0370】
● 動物のデータ
ウステキヌマブを、カニクイザルにおける胚胎児発達毒性試験(2試験)で試験した。器官形成期にウステキヌマブを週2回皮下投与、又は週1回静脈内投与した妊娠サルの胎児において催奇形性又は発生に関する他の有害な作用は認められなかった。妊娠サルにおけるウステキヌマブの血清濃度は、週1回90mgのウステキヌマブの皮下投与により4週間にわたって治療を行った患者の血清濃度に比べ、100倍以上高かった。
【0371】
胚胎児の発生と出生前及び出生後の発生に対する毒性の組み合わせ試験において、妊娠カニクイザルに、器官形成開始から分娩後33日目まで、ヒトの皮下曝露量の100倍を上回る曝露量となるようにウステキヌマブを週2回皮下投与した。新生児死が、22.5mg/kgのウステキヌマブを投与した1匹のサル及び45mg/kgを投与した1匹のサルの子供でみられた。出生から6ヶ月齢までの新生児において、機能的発達、形態学的発達、又は免疫学的発達に対するウステキヌマブ関連の影響は認められなかった。
【0372】
8.2 授乳
リスクの概要
ヒト母乳中のウステキヌマブの存在、母乳栄養児に対する影響、又は母乳分泌量に対する影響に関するデータは得られていない。ウステキヌマブを投与した授乳中のサル乳汁中にウステキヌマブの存在が認められている。授乳生理学における種差のため、動物データからヒト母乳中の薬物レベルを確実に予測することはできない。ヒト母乳中には母体のIgGが存在することが知られている。公開されているデータからは、ウステキヌマブが大きな分子であり、消化管で分解されることから、母乳授乳児の全身曝露量は低いと予想されることが示唆されている。しかしながら、ウステキヌマブがヒトの乳に移行する場合の消化管における局所曝露の影響は不明である。
【0373】
母乳授乳の発達上及び健康上の利益は、STELARA(登録商標)に対する母親の臨床的必要性、及びSTELARA(登録商標)による、又は母親の基礎疾患による母乳授乳児に対するあらゆる潜在的な有害作用と併せて考慮する必要がある。
【0374】
8.4 小児への使用
STELARA(登録商標)の安全性及び有効性は、中等度から重度の尋常性乾癬を有する12~17歳の小児患者において確立されている。この年齢群におけるSTELARA(登録商標)の使用は、110人の12歳以上の小児対象における12週間の二重盲検、プラセボ対照、平行群間比較部分を含む60週間の多施設共同無作為化試験からの証拠によって支持されている[有害反応(6.1)、臨床試験(14.2)を参照]。乾癬を有する12歳未満の小児患者におけるSTELARA(登録商標)の安全性及び有効性は確立されていない。
【0375】
乾癬性関節炎、クローン病、又は潰瘍性大腸炎を有する小児患者におけるSTELARA(登録商標)の安全性及び有効性は確立されていない。
【0376】
8.5 高齢者への使用
STELARA(登録商標)に曝露された6709人の患者のうち、合計340人が65歳以上(乾癬患者183人、乾癬性関節炎患者65人、クローン病患者58人、及び潰瘍性大腸炎患者34人)であり、40人の患者が75歳以上であった。高齢患者と若年患者との間で安全性又は有効性の全体的な差は認められなかったが、65歳以上の患者数は、若年患者と異なる反応を示すかどうかを決定するうえで十分ではない。
【0377】
10 過剰投与
臨床試験において最大6mg/kgまでの単回用量が用量制限毒性を伴なうことなく静脈内投与されている。過量投与の場合、患者は、有害反応又は有害作用のあらゆる徴候又は症状について観察され、適切な対症療法が直ちに開始されることが推奨される。
【0378】
11 性状
ウステキヌマブは、IL-12及びIL-23サイトカインのp40サブユニットに対するヒトIgG1κモノクローナル抗体である。ウステキヌマブは、DNA組換え技術を使用し、特性が十分に調べられた組換え細胞株で産生され、標準的なバイオプロセス技術を使用して精製される。製造工程には、ウイルス除去の工程が含まれる。ウステキヌマブは、1326個のアミノ酸で構成され、148,079~149,690ダルトンの範囲の推定分子量を有する。
【0379】
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)注射液は、無菌で、防腐剤を含まない、無色~淡黄色の溶液であり、少数の半透明又は白色の粒子を含む場合があり、pHは5.7~6.3である。
【0380】
STELARA(登録商標)(皮下投与用)
ウステキヌマブ45mg(0.5mL)及びウステキヌマブ90mg(1mL)は、27ゲージx1/2インチの固定式注射針付単回投与用プレフィルドシリンジ入りの無菌溶液として供給され、ウステキヌマブ45mg(0.5mL)はコーティングされたストッパー付きの2mLの単回投与用タイプIガラスバイアルとして供給される。シリンジには、受動的針ガード及び乾燥天然ゴム(ラテックス誘導体)を含む針カバーが装着されている。
【0381】
0.5mLのプレフィルドシリンジ又はバイアル1本あたり、ウステキヌマブ45mg、L-ヒスチジン、及びL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(0.5mg)、ポリソルベート80(0.02mg)、及びスクロース(38mg)を投与する。
【0382】
1mLのプレフィルドシリンジ1本あたり、ウステキヌマブ90mg、L-ヒスチジン、及びL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(1mg)、ポリソルベート80(0.04mg)、及びスクロース(76mg)を投与する。
【0383】
STELARA(登録商標)(静脈内注入用)
ウステキヌマブ130mg(26mL)は、コーティングされたストッパーを有する30mLの単回投与用タイプIガラスバイアルとして供給される。
【0384】
26mLバイアル1本あたり、ウステキヌマブ130mg、EDTA二ナトリウム塩二水和物(0.52mg)、L-ヒスチジン(20mg)、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物(27mg)、L-メチオニン(10.4mg)、ポリソルベート80(10.4mg)、及びスクロース(2210mg)を投与する。
【0385】
12 臨床薬理学
12.1 作用機序
ウステキヌマブは、サイトカインIL-12及びIL-23の両方に用いられているp40タンパク質サブユニットに特異的に結合するヒトIgG1κモノクローナル抗体である。IL-12及びIL-23は、ナチュラルキラー細胞活性化並びにCD4+T細胞の分化及び活性化などの炎症反応及び免疫応答に関与する天然に存在するサイトカインである。インビトロモデルにおいて、ウステキヌマブは、IL-12及びIL-23と、共有された細胞表面受容体鎖であるIL-12Rβ1との相互作用を妨げることにより、これらのサイトカインが媒介するシグナル伝達及びサイトカインカスケードを阻害することが示されている。サイトカインIL-12及びIL-23は、クローン病及び潰瘍性大腸炎の特徴である慢性炎症に対する重要な寄与因子であることが示唆されている。大腸炎の動物モデルにおいて、ウステキヌマブの標的であるIL-12及びIL-23のp40サブユニットが遺伝的に欠損しているか又は抗体で遮断した場合に保護的に作用することが示されている。
【0386】
12.2 薬力学
乾癬
小規模の探索試験において、乾癬を有する対象でベースライン時及び治療2週間後までに測定された、病変皮膚生検中の分子標的であるIL-12及びIL-23のmRNAの発現の減少が認められた。
【0387】
潰瘍性大腸炎
UC-1試験(導入)及びUC-2試験(維持)の両方で、曝露量と、臨床的寛解の割合、臨床応答、及び内視鏡的改善との間に正の関係性が認められた。奏功率は、維持治療の推奨投与レジメンに関連するウステキヌマブ曝露量でプラトーに近づいた[臨床試験(14.5)を参照]。
【0388】
12.3 薬物動態
吸収
乾癬を有する成人対象では、45mg(N=22)及び90mg(N=24)のウステキヌマブの単回皮下投与後に最大血清濃度(Tmax)に到達するまでの時間の中央値はそれぞれ13.5日及び7日であった。健康な対象(N=30)において、90mgのウステキヌマブの単回皮下投与後のTmaxの中央値(8.5日)は、乾癬を有する対象で認められたものと同等であった。
【0389】
乾癬を有する成人対象でのSTELARA(登録商標)の反復皮下投与後、ウステキヌマブの血清濃度は28週目までに定常状態達した。定常状態のトラフ血清ウステキヌマブ濃度の平均(±SD)は、45mg用量を投与した100kg以下の患者では0.69±0.69mcg/mL、90mg用量を投与した100kg超の患者では0.74±0.78mcg/mLであった。12週間毎に皮下投与したとき、血清ウステキヌマブ濃度に経時的な蓄積は見られなかった。
【0390】
推奨される静脈内導入用量の投与後、ピーク血清ウステキヌマブ濃度の平均値±SDは、クローン病患者では125.2±33.6mcg/mL、潰瘍性大腸炎患者では129.1±27.6mcg/mLであった。ウステキヌマブの90mgの推奨皮下維持投与量を8週目に開始して8週間毎に投与した。定常状態のウステキヌマブ濃度は、第2の維持用量の開始によって達成された。8週間毎に皮下投与したとき、ウステキヌマブ濃度に経時的な蓄積は見られなかった。8週間毎に90mgのウステキヌマブを投与した場合の定常状態トラフ濃度の平均値±SDは、クローン病患者では2.5±2.1mcg/mL、潰瘍性大腸炎患者では3.3±2.3mcg/mLであった。
【0391】
分布
母集団薬物動態分析において、中心コンパートメントのウステキヌマブの分布容積は、クローン病患者では2.7L(95%CI:2.69,2.78)、潰瘍性大腸炎患者では3.0L(95%CI:2.96,3.07)であった。定常状態の総分布容積は、クローン病患者で4.6L、潰瘍性大腸炎患者で4.4Lであった。
【0392】
消失
皮下投与後の半減期の平均値(±SD)は、乾癬に関する試験全体で14.9±4.6~45.6±80.2日の範囲であった。集団薬物動態分析において、ウステキヌマブのクリアランスは、クローン病患者では0.19L/日(95%CI:0.185,0.197)、潰瘍性大腸炎患者では0.19L/日(95%CI:0.179,0.192)であり、推定終末相半減期の中央値は両方のIBD(クローン病及び潰瘍性大腸炎)集団で、約19日間であった。
【0393】
これらの結果は、クローン病患者と潰瘍性大腸炎患者の間で、ウステキヌマブの薬物動態が類似していることを示すものである。
【0394】
代謝
ウステキヌマブの代謝経路は解明されていない。ウステキヌマブはヒトIgG1κモノクローナル抗体であることから、内因性IgGと同様にして異化経路で小さなペプチド及びアミノ酸に分解されると考えられる。
【0395】
特定の母集団
● 体重
乾癬又は乾癬性関節炎を有する対象に同じ用量を投与した場合、血清ウステキヌマブ濃度の中央値は体重が100kg以下の対象と比較して体重が100kgを超える対象の方が低かった。90mg群のより体重の重い(100kg超)の対象におけるウステキヌマブのトラフ血清濃度の中央値は、45mg群のより体重の低い(100kg以下)対象と同等であった。
【0396】
● 年齢:高齢者集団
ウステキヌマブの薬物動態に対する年齢の影響を評価するため、母集団薬物動態分析(65歳以上の乾癬患者N=106/1937例)を実施した。65歳よりも高齢の対象における薬物動態パラメータ(クリアランス及び分布容積)に明らかな変化はなかった。
【0397】
● 年齢:小児集団
乾癬を有する12~17歳の若年成人対象におけるSTELARA(登録商標)の反復推奨量投与後、28週目にウステキヌマブの定常状態の血清濃度に達した。28週目に、定常状態のトラフ血清ウステキヌマブ濃度の平均値±SDは、0.54±0.43mcg/mLであった。
【0398】
● 薬物相互作用試験
CYP450酵素の調節に対するIL-12又はIL-23の効果を、ヒト肝細胞を用いたインビトロ試験で評価したところ、10ng/mLのレベルのIL-12及び/又はIL-23はヒトCYP450酵素活性(CYP1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、又は3A4I)を変化させないことを示した。しかしながら、インビトロデータの臨床的関連性は確立されていない[薬物相互作用(7.3)を参照]。
【0399】
STELARA(登録商標)を用いたインビボの薬物相互作用試験は実施されていない。
【0400】
母集団薬物動態分析から、乾癬性関節炎患者におけるウステキヌマブのクリアランスは、MTX、NSAID、及び経口コルチコステロイドの併用又はTNF遮断薬への過去の曝露による影響を受けなかったことが示された。
【0401】
クローン病及び潰瘍性大腸炎の患者では、母集団薬物動態分析は、コルチコステロイド又は免疫調節剤(AZA、6-MP、又はMTX)の併用によるウステキヌマブのクリアランスの変化を示さなかった。また、血清ウステキヌマブ濃度は、これらの薬剤の併用による影響を受けなかった。
【0402】
13 非臨床毒性
13.1 発がん、変異誘発、生殖機能障害
STELARA(登録商標)の発がん性又は変異原性の可能性を評価するための動物実験は実施されていない。公開文献において、マウスIL-12の投与が、腫瘍を移植したマウスに抗腫瘍効果をもたらし、IL-12/IL-23p40ノックアウトマウス又は抗IL-12/IL-23p40抗体で処置されたマウスでは腫瘍に対する宿主の防御力が低下することが示されている。IL-12及びIL-23の両方又はIL-12単独を欠損するように遺伝子操作したマウスは、野生型マウスと比較してより早期かつより高頻度でUV誘発性皮膚癌を発症した。悪性腫瘍リスクに関するマウスモデルでみられたこれらの実験所見のヒトにおける関連性は不明である。
【0403】
雄カニクイザルに、交尾期の前及びその間に最大45mg/kgの用量のウステキヌマブを週2回(mg/kgに基づいてMRHDの45倍)皮下投与したところ、生殖能力に対する効果は認められなかった。ただし、交尾後の雌における生殖機能及び妊娠の予後については評価しなかった。
【0404】
妊娠初期前及び妊娠初期中に同様のIL-12/IL-23p40抗体を最大50mg/kgの用量で週2回皮下投与した雌マウスでは、生殖機能に対する影響は認められなかった。
【0405】
13.2 動物毒性及び/又は薬理学
26週間の毒物学試験において、45mg/kgのウステキヌマブを週2回、26週間にわたって皮下投与した10頭のサルのうちの1頭で細菌感染症が認められた。
【0406】
14 臨床試験
14.1 乾癬
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(2試験、Ps試験1及びPs試験2)に、病変が最小でも体表面積の10%を占め、乾癬面積及び重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index(PASI))スコアが12以上の、光線療法又は全身療法の候補となる、18歳以上の合計1996人の対象を組み入れた。滴状乾癬、乾癬性紅皮症、又は膿疱性乾癬を有する対象は、これらの試験から除外した。
【0407】
Ps試験1には766人の対象を組み入れ、Ps試験2には1230人の対象を組み入れた。各試験で28週目まで同様のデザインを用いた。両試験で対象を、プラセボ群、STELARA(登録商標)45mg群又はSTELARA(登録商標)90mg群に均等な割合で無作為化した。STELARA(登録商標)に無作為化された対象には、0、4、及び16週目に体重と関係なく、45mg又は90mgの用量を投与した。プラセボに無作為化した対象には、0及び4週目にプラセボを投与し、12及び16週目にクロスオーバーしてSTELARA(登録商標)(45mg又は90mgのいずれか)を投与した。
【0408】
両方の試験で、エンドポイントは、ベースラインから12週目までにPASIスコア(PASI75)の少なくとも75%の減少が認められた対象の割合及び医師による包括的評価(PGA)に基づく治療効果(消失又は最小)が認められた対象の割合とした。PGAは、局面の厚さ/硬結、紅斑、及び鱗屑に主眼を置いた、医師による乾癬の包括的な評価を示す、0(消失)~5(重度)の範囲の6つのカテゴリーからなる尺度である。
【0409】
いずれの試験でも、全治療群の対象のベースラインPASIスコアの中央値は約17~18の範囲であった。ベースラインPGAスコアは、Ps試験1の対象の44%、及びPs試験2の対象の40%で顕著又は重度であった。全対象の約3分の2が乾癬の治療として過去に光線療法を受けたことがあり、69%が過去に従来の全身療法又は生物学的療法のいずれかを受けたことがあった(このうち、56%が過去に従来の全身療法を受けており、43%が過去に生物学的療法を受けていた)。対象の合計28%は乾癬性関節炎の病歴を有していた。
【0410】
臨床反応
Ps試験1及びPs試験2の結果を、下記のラベルの表7に示す。
【0411】
【0412】
年齢、性別、及び人種のサブグループについての検討では、これらのサブグループ間でSTELARA(登録商標)に対する応答に差はみられなかった。
【0413】
体重が100kg以下の対象では、応答率は、45mg及び90mg用量群の両方で同様であったが、体重が100kgを超える対象では、45mgの用量と比較して90mgの用量でより高い応答率が認められた(下記ラベルの表8)。
【0414】
【表15】
*患者に0週目及び4週目に試験薬を投与した。
【0415】
28週目及び40週目の両方でPASI75レスポンダーであったPs試験1の対象を、40週目にSTELARA(登録商標)(40週目にSTELARA(登録商標))の継続投与又は治療の中止(40週目にプラセボ)のいずれかに再び無作為化した。52週目に、プラセボに再無作為化した対象(28週目の投与後に治療中止)の63%(100/159)と比較してSTELARA(登録商標)治療に再無作為化した対象の89%(144/162)がPASI75レスポンダーであった。治療中止に無作為化された対象間のPASI75応答消失までの時間の中央値は16週であった。
【0416】
14.2 尋常性乾癬を有する若年成人対象
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(Ps試験3)に、体表面積(BSA)の最小で10%を病変が占め、PASIスコアが12以上、かつPGAスコアが3以上で、光線療法又は全身療法の候補であり、疾患の局所療法による効果が不適切であるような12~17歳の110人の若年成人対象を組み入れた。
【0417】
対象を、0週目及び4週目での皮下注射、その後の12週間毎(q12w)の投与によるプラセボ(n=37)、STELARA(登録商標)の推奨用量(n=36)、又はSTELARA(登録商標)の推奨用量の1/2(n=37)の投与に無作為化した。STELARA(登録商標)の推奨用量は、体重60kg未満の対象では0.75mg/kg、体重60kg~100kgの対象の対象では45mg、体重100kgを超える対象では90mgとした。12週目に、プラセボを投与した対象を推奨用量又は推奨用量の1/2のSTELARA(登録商標)の投与にクロスオーバーさせた。
【0418】
若年成人対象のうち、約63%が光線療法又は従来の全身療法を過去に行ったことがあり、約11%が過去に生物製剤に曝露された経験があった。
【0419】
エンドポイントは、12週目に、PGAスコアが消失(0)又は最小(1)、PASI75、及びPASI90を達成した患者の割合とした。対象は試験薬の最初の投与後、最長60週間にわたって経過観察した。
【0420】
臨床応答
Ps試験3の12週目における有効性の結果をラベルの表9に示す。
【0421】
【表16】
*ラベルの表1及びラベルの表2に指定された体重に基づいた投与レジメンを用いる。
【0422】
14.3 乾癬性関節炎
非ステロイド性抗炎症(NSAID)又は疾患修飾性リウマチ薬(DMARD)の投与にもかかわらず、活動性のPsA(5つ以上の腫脹関節及び5つ以上の圧痛関節)を有する18歳以上の成人患者における無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(2試験)で927人の患者(PsA試験1、n=615;PsA試験2、n=312)でSTELARA(登録商標)の安全性及び有効性を評価した。≧これらの試験における患者は、少なくとも6ヶ月間のPsAの診断を有していた。リウマチ結節を伴わない多関節型関節炎(39%)、末梢関節炎を伴う脊椎炎(28%)、非対称性末梢関節炎(21%)、遠位指節間関節の病変(12%)及び破壊性関節炎(0.5%)を含む、PsAのそれぞれのサブタイプを有する患者を組み入れた。70%及び40%を超える患者がそれぞれ、ベースライン時に付着部炎及び指炎を有していた。
【0423】
患者を、0週目及び4週目、その後、12週間毎(q12w)にSTELARA(登録商標)45mg、90mg、又はプラセボの皮下投与による治療を受ける群に無作為化した。患者の約50%は、MTXの安定した用量(≦25mg/週)を継続した。主要エンドポイントは、24週目にACR20応答率を達成する患者の割合とした。
【0424】
PsA試験1及びPsA試験2では、患者の80%及び86%がそれぞれ、過去にDMARDによる治療を受けたことがあった。PsA試験1では、抗腫瘍壊死因子(TNF)-α剤による過去の治療は許可しなかった。PsA試験2では、患者の58%(n=180)がTNF遮断薬による治療を過去に受けたことがあり、そのうち70%を超える患者がいずれかの時点で有効性の欠如又は不耐容のためにTNF遮断薬による治療を中止していた。
【0425】
臨床反応
いずれの試験でも、24週目にACR20、ACR50、及びPASI75応答を達成した患者の割合は、プラセボと比較してSTELARA(登録商標)45mg及び90mg群の方が高かった(ラベル表10を参照)。ACR70応答もSTELARA(登録商標)45mg及び90mg群でより高かったが、その差は試験2では数値上のみであった(p=NS)。応答は、過去のTNFα曝露に関係なく、患者間で同程度であった。
【0426】
【表17】
aベースライン時にBSAの3%以上の乾癬皮膚病変を有する患者数
【0427】
来院によるACR20応答を達成した患者の割合を、ラベルの
図1に示す。
【0428】
【0429】
ACR応答基準の構成要素の結果を、ラベルの表11に示す。
【0430】
【表18】
a 計数された腫脹関節の数(0~66)
b 計数された圧痛関節の数(0~68)
c 視覚的アナログ尺度0=最も良い、10=最も悪い。
d 健康評価質問表の機能障害指標0=最良、3=最悪(以下を行う患者の能力を測定する。着衣/身繕い、起立、食事、歩行、物に手を伸ばす、握力、衛生状態の維持、及び日常活動の維持。
e CRP:(正常範囲0.0~1.0mg/dL)
【0431】
24週目にプラセボと比較して付着部炎及び指炎スコアの改善が各STELARA(登録商標)群で認められた。
【0432】
身体的機能
STELARA(登録商標)治療患者は、24週目にHAQ-DIによって評価した場合に、プラセボ治療患者と比較して身体機能の改善を示した。いずれの試験でも、24週目のHAQ-DIレスポンダー(HAQ-DIスコア≧0.3の改善)の割合は、プラセボと比較してSTELARA(登録商標)45mg及び90mg群でより大きかった。
【0433】
14.4 クローン病
中等度から重度の活動性クローン病の成人患者(クローン病活動性指数[CDAI]スコアが220~450)における無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(3試験)でSTELARA(登録商標)の評価を行った。8週間の静脈内導入試験(CD-1及びCD-2の2試験)、それに続く、44週間の皮下無作為化脱落維持試験(CD-3)の計52週間の治療を行った。CD-1の患者が1つ以上のTNF遮断薬による治療に失敗したか又は不忍容であったのに対して、CD-2の患者は免疫調節剤若しくはコルチコステロイドによる治療に失敗したか又は不忍容であったが、TNF遮断薬での治療には失敗しなかった。
【0434】
CD-1及びCD-2試験
CD-1及びCD-2試験では、1409人の患者を無作為化し、そのうち、1368人(CD-1、n=741;CD-2、n=627)を最終的な有効性分析に含めた。6週目における臨床応答の導入(CDAIスコアの100点以上の減少又は150点未満のCDAIスコアとして定義される)及び8週目における臨床的寛解(150未満のCDAIスコアとして定義される)を評価した。いずれの試験でも、患者を、STELARA(登録商標)約6mg/kg、プラセボ(ラベルの表3を参照)、又は130mg(推奨用量を下回る用量)の単回静脈内投与の投与に無作為化した。
【0435】
CD-1試験では、患者はTNF遮断薬による治療に失敗したことがあるか又は不忍容であり、そのうち、29%の患者がTNF遮断薬に不適切な初期応答を示し(一次ノンレスポンダー)、69%が応答を示したがその後応答が消失し(二次レスポンダー)、36%が不忍容であった。これらの患者のうち、48%で1つのTNF遮断薬による治療が失敗又は不忍容であり、52%で2又は3種類の過去のTNF遮断薬が失敗した。ベースライン時及び試験全体を通じて、患者の約46%にコルチコステロイドが投与され、患者の31%に免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)が投与された。ベースラインCDAIスコアの中央値は、STELARA(登録商標)約6mg/kg群で319、プラセボ群で313であった。
【0436】
CD-2試験では、患者は、コルチコステロイド(患者の81%)、少なくとも1つの免疫調節剤(6-MP、AZA、MTX;患者の68%)、又はその両方(患者の49%)による過去の治療に失敗したか又は不忍容であった。更に、69%でTNF遮断薬が投与されたことがなく、31%でTNF遮断薬が過去に投与されたが、失敗はなかった。ベースライン時及び試験全体を通じて、患者の約39%にコルチコステロイドが投与され、患者の35%に免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)が投与された。ベースラインCDAIスコアの中央値は、STELARA(登録商標)群で286、プラセボ群で290であった。
【0437】
これらの導入試験では、プラセボと比較してSTELARA(登録商標)(約6mg/kg用量の推奨用量)治療患者のより大きな割合が6週目に臨床的応答を、8週目に臨床的寛解を達成した(臨床応答及び寛解率についてはラベルの表12を参照)。STELARA(登録商標)治療患者では臨床応答及び寛解は早くも3週目に有意であり、8週目まで継続的に改善した。
【0438】
【表19】
臨床的寛解は、150未満のCDAIスコアとして定義される。臨床応答は、CDAIスコアの少なくとも100点の減少、又は臨床的寛解にある状態として定義され、70点の応答は、CDAIスコアの少なくとも70ポイントの減少として定義される
* 患者集団は、TNF遮断薬療法に失敗したか又は不忍容の患者で構成された
** 患者集団は、コルチコステロイド若しくは免疫調節剤(例えば、6-MP、AZA、MTX)が失敗したか又は不忍容であり、TNF遮断薬が過去に投与されて失敗がなかったか若しくはTNF遮断薬による治療を受けたことがない患者で構成された。
† 体重に基づく投与量レジメンを用いたSTELARA(登録商標)の注入用量をラベルの表3に示す。
a 0.001≦p<0.01
b p<0.001
【0439】
CD-3試験
維持試験(CD-3)では、CD-1又はCD-2試験におけるSTELARA(登録商標)の導入用量のいずれかで、8週目に臨床応答(CDAIスコアの100点以上の減少)を達成した388人の患者を評価した。患者を、44週間にわたって8週間毎に90mgのSTELARA(登録商標)を投与する皮下維持レジメン又はプラセボを投与する群のいずれかに無作為化した(ラベルの表13を参照)。
【0440】
【表20】
臨床的寛解は、150未満のCDAIスコアとして定義される。臨床応答は、少なくとも100点のCDAIの減少であるか、又は臨床的寛解にあるとして定義される。
* プラセボ群は、STELARA(登録商標)に応答し、かつ維持療法の開始時にプラセボの投与に無作為化した患者で構成された。
** 維持療法の開始時に寛解していた患者で、維持療法の終了時に寛解した患者。これは維持療法中の他の時点を考慮したものではない。
† 導入試験の終了時にSTELARA(登録商標)に対する臨床応答が達成された患者。
a p<0.01
b 0.01≦p<0.05
【0441】
44週目に、STELARA(登録商標)を投与した患者の47%が、プラセボ群の患者の30%と比較して、コルチコステロイド非投与で臨床的寛解にあった。
【0442】
試験CD-3の0週目に、TNF遮断薬療法に過去に失敗したか又は不忍容であったSTELARA(登録商標)治療患者56人中、34人(61%)が臨床的寛解状態にあり、これらの患者56人中の23人(41%)は44週目に臨床的寛解状態にあった。プラセボ群では、61人中27人(44%)の患者は0週目に臨床的寛解状態にあり、これらの患者61人中16人(26%)は44週目に寛解状態にあった。
【0443】
試験CD-3の0週目に、免疫調節療法又はコルチコステロイドに過去に失敗した(ただしTNF遮断薬では失敗がなかった)STELARA(登録商標)治療患者72人中46人(64%)が臨床的寛解状態にあり、これらの患者72人中45人(63%)が44週目に臨床的寛解状態にあった。プラセボ群では、これらの患者70人中50人(71%)が0週目に臨床的寛解状態にあったのに対して、70人中31人(44%)が44週目に寛解状態にあった。TNF遮断薬に対してもナイーブであったこれらの患者のサブセットでは、44週目にプラセボ群の51人中25人(49 %)と比較してSTELARA(登録商標)治療患者の52人中34人(65%)が臨床的寛解にあった。
【0444】
STELARA(登録商標)導入の8週間後に臨床応答が得られなかった患者は、CD-3試験の主要有効性分析には含めなかった。しかしながら、これらの患者は、CD-3試験への組み入れ時にSTELARA(登録商標)の90mgの皮下注射による投与に適格であった。これらの患者219人中102人(47%)は8週間後に臨床応答を達成し、試験期間を通じて追跡した。
【0445】
14.5 潰瘍性大腸炎
生物学的製剤(すなわち、TNF遮断薬及び/又はベドリズマブ)、コルチコステロイド、及び/又は6-MP若しくはAZA療法に対して不十分な応答を示すか又は不忍容であった、中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者を対象とした無作為化、二重盲検、プラセボ対象臨床試験[UC-1及びUC-2の2試験(NCT02407236)]でSTELARA(登録商標)を評価した。8週間の静脈内導入試験(UC-1)、それに続く、44週間の皮下無作為化脱落維持試験(UC-2)の計52週間の治療を行った。
【0446】
疾患評価は、0~12の範囲であり、それぞれが0(正常)~3(最も重度)のスコア付けがされる排便回数、直腸出血、中央判定内視鏡所見、及び医師による包括的評価の4つのサブスコアを有するMayoスコアに基づいて行った。中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎は、ベースライン(0週目)時にMayo内視鏡所見サブスコア≧2を含むMayoスコア6~12として定義した。内視鏡所見スコア2は、発赤、血管透見像の消失、易出血性、びらんにより定義され、スコア3は、自然出血、潰瘍によって定義された。ベースラインでは、患者のMayoスコアの中央値は9であり、84%の患者が中等度の疾患(Mayoスコア6~10)を有し、15%が重度の疾患(Mayoスコア11~12)を有していた。
【0447】
これらの試験の患者は、アミノサリチル酸塩、免疫調節剤(AZA、6-MP、又はMTX)、及び経口コルチコステロイド(プレドニゾン)を含む他の併用療法を受けていてもよい。
【0448】
UC-1試験
UC-1では、961人の患者を0週目に、約6mg/kg、130mg(推奨量よりも低い用量)のSTELARA(登録商標)の単回静脈内投与、又はプラセボに無作為化した。UC-1に組み入れた患者は、コルチコステロイド、免疫調節剤、又は少なくとも1つの生物学的製剤による療法に失敗したことがある者とした。合計51%が少なくとも1つの生物学的製剤に失敗したことがあり、17%がTNF遮断薬及びインテグリン受容体遮断薬の両方に失敗したことがあった。母集団全体のうち、46%がコルチコステロイド又は免疫調節剤に失敗したことがあったが生物学的製剤にナイーブであり、更に3%が過去に生物学的製剤を投与したことがあるが失敗したことはなかった。導入期ベースライン及び試験全体を通じて、約52%の患者に経口コルチコステロイドが投与され、28%の患者に免疫調節剤(AZA、6-MP、又はMTX)が投与され、69%の患者にアミノサリチル酸塩が投与された。
【0449】
主要エンドポイントは、8週目での臨床的寛解とした。Mayo排便回数サブスコア0又は1、Mayo直腸出血サブスコア0(直腸出血なし)、及びMayo内視鏡所見サブスコア0又は1(正常若しくは不活動性疾患として定義されるMayo内視鏡スコア0、及び発赤の存在、血管透見像の減少、及び易出血性なしとして定義されるMayoサブスコア1)の定義を有する臨床的寛解状態をラベルの表14に示す。
【0450】
二次エンドポイントは、臨床応答、内視鏡所見の改善、及び組織学的内視鏡的な粘膜所見の改善とした。(直腸出血サブスコアのベースラインからの減少が1以下又は直腸出血サブスコア0又は1である、医師による包括的評価を除いた3成分Mayoスコアとして定義される改変Mayoスコアの減少が2点以上及び30%以上として)定義される臨床応答、Mayo内視鏡所見サブスコア0又は1として定義される内視鏡所見の改善、及び、結腸組織の内視鏡所見の改善と組織学的所見の改善の組み合わせ(陰窩の5%未満の好中球浸潤、陰窩の破壊がない、かつびらん、潰瘍、又は肉芽組織がない)として定義される組織学的内視鏡的粘膜所見の改善をラベルの表14に示す。
【0451】
UC-1では、プラセボと比較してSTELARA(登録商標)(約6mg/kg用量の推奨用量)により治療された患者の有意に大きな割合が臨床的寛解及び応答を示し、内視鏡所見の改善及び組織学的内視鏡的粘膜所見の改善を達成した(ラベル表14を参照)。
【0452】
【0453】
8週目におけるUC-1で定義した組織学的内視鏡的粘膜所見の改善と疾患進行及び長期的予後との関係は、UC-1において評価されなかった。
【0454】
直腸出血サブスコア及び排便回数サブスコア
直腸出血サブスコア及び便頻度サブスコアの減少が、STELARA(登録商標)治療患者で早くも2週目に認められた。
【0455】
UC-2試験
維持試験(UC-2)では、UC-1におけるいずれかのSTELARA(登録商標)の導入用量の皮下投与の8週後に臨床応答を達成した523人の患者を評価した。これらの患者を、44週間にわたって8週間毎又は12週間毎に90mgのSTELARA(登録商標)を投与する皮下維持レジメン、又はプラセボを投与する群のいずれかに無作為化した。
【0456】
主要エンドポイントは、44週目に臨床的寛解状態にある患者の割合とした。二次エンドポイントには、44週目に臨床応答を維持した患者の割合、44週目に内視鏡所見の改善を有する患者の割合、44週目にコルチコステロイド非投与の臨床的寛解にある患者の割合、及び導入の8週間後に臨床的寛解を達成した患者の中で44週目に臨床的寛解を維持した患者の割合が含まれた。
【0457】
プラセボと比較した、推奨投与量(8週間毎に90mg)のSTELARA(登録商標)で治療した患者における44週目の主要エンドポイント及び副次エンドポイントの結果をラベルの表15に示す。
【0458】
【0459】
他のエンドポイント
ウステキヌマブ導入に対する16週目のレスポンダー
UC-1においてSTELARA(登録商標)による導入の8週間後に臨床応答が得られなかった患者は、UC-2試験の主要有効性分析には含めなかった。しかしながら、これらの患者は、8週目にSTELARA(登録商標)の90mgの皮下注射による投与に適格であった。これらの患者のうち、101人中55人(54%)が、8週間後(16週目に臨床応答を達成し、UC-2試験中、8週間毎に90mgのSTELARA(登録商標)を皮下投与された。44週目に157人中97人(62%)の患者が臨床応答を維持し、157人中51人(32%)が臨床的寛解を達成した。
【0460】
44週目における組織学的内視鏡的な粘膜所見の改善
UC-2における維持治療中に組織学的内視鏡的な粘膜所見の改善を達成した患者の割合は、44週目にSTELARA(登録商標)投与患者172人中75人(44%)であり、プラセボ投与患者172人中40人(23%)であった。44週目におけるUC-2で定義した組織学的内視鏡的粘膜所見の改善と疾患進行又は長期的予後との関係は、UC-2において評価されなかった。
【0461】
内視鏡所見の正常化
粘膜の内視鏡所見の正常化を、Mayo内視鏡サブスコア0として定義した。UC-1の8週目に、STELARA(登録商標)治療患者322人中25人(8%)、プラセボ群の患者319人中12人(4%)で内視鏡所見の正常化が達成された。UC-2の44週目に、STELARA(登録商標)治療患者176人中51人(29%)、プラセボ群の患者175人中32人(18%)で内視鏡所見の正常化が達成された。
【0462】
15 参考文献
1 Surveillance,Epidemiology,and End Results (SEER) Program (www.seer.cancer.gov) SEER*Stat Database:Incidence - SEER 6.6.2 Regs Research Data,Nov 2009 Sub (1973-2007) - Linked To County Attributes - Total U.S.,1969-2007 Counties,National Cancer Institute,DCCPS,Surveillance Research Program,Surveillance Systems Branch,released April 2010,based on the November 2009 submission.
【0463】
16 供給/保管/取扱いの方法
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)注射液は、無菌で、防腐剤を含まない、無色~淡黄色の溶液であり、少数の半透明又は白色の粒子を含む場合がある。注射液は、個別に包装された単回投与のプレフィルドシリンジ又は単回投与バイアルとして供給される。
【0464】
皮下使用の場合
●プレフィルドシリンジ
● 45mg/0.5mL (NDC 57894-060-03)
● 90mg/mL (NDC 57894-061-03)
【0465】
各プレフィルドシリンジは、27ゲージx1/2インチの固定式注射針、針安全ガード、及び乾燥天然ゴムを含有する針カバーを備えている。
● 単回用量バイアル
● 45mg/0.5mL (NDC 57894-060-02)
【0466】
静脈内注入の場合
● 単回用量バイアル
● 130mg/26mL (5mg/mL) (NDC 57894-054-27)
【0467】
保管及び安定性
STELARA(登録商標)のバイアル及びプレフィルドシリンジは、2℃~8℃(36°F~46°F)で冷蔵しなければならない。STELARA(登録商標)バイアルは立てて保管すること。製品は使用時まで光から保護するために元の箱で保管すること。凍結させないこと。振盪しないこと。
【0468】
17 患者相談情報
患者及び/又は介護者に、FDA承認の患者ラベル(医薬品ガイド及び使用説明書)を読むよう助言する。
【0469】
感染症
STELARA(登録商標)は免疫系が感染症に対抗する能力を低下させる恐れがあり、感染症の兆候又は症状を発現した場合には医療提供者に連絡するように患者に通知する[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]。
【0470】
悪性腫瘍
STELARA(登録商標)投与中に悪性腫瘍を発症するリスクについて患者に通知する[警告及び使用上の注意(5.4)を参照]。
【0471】
過敏症反応
● あらゆる深刻な過敏症反応の兆候(登録商標)は症状があった場合には直ちに医師の診断を仰ぎ、STELARA(登録商標)を中止するように患者に助言する[警告及び使用上の注意(5.5)を参照]。
● プレフィルドシリンジの針カバーは乾燥天然ゴム(ラテックス誘導体)を含み、ラテックスに敏感な個人にアレルギー反応を引き起こす可能性があることを患者に通知する[投与量及び投与(2.4)を参照]。
【0472】
免疫化
STELARA(登録商標)は免疫化に対する通常の応答を妨げる恐れがあり、生ワクチンは避けるべきであることを患者に通知する[警告及び使用上の注意(5.7)を参照]。
【0473】
妊娠レジストリ
STELARA(登録商標)に曝露された妊婦の胎児予後を観察する妊娠レジストリの存在について患者に通知する[特定の母集団における使用(8.1)を参照]。
【0474】
投与
患者に、使用説明書に記載された鋭利な器具の推奨される処分法に従うように指示する。
【0475】
プレフィルドシリンジの製造元:Janssen Biotech,Inc.,Horsham,PA 19044,US License No.1864 at Baxter Pharmaceutical Solutions,Bloomington,IN 47403 and at Cilag AG,Schaffhausen,Switzerland
バイアルの製造元:Janssen Biotech,Inc.,Horsham,PA 19044,US License No.1864 at Cilag AG,Schaffhausen,Switzerland
(著作権)2012,2016,2019 Janssen Pharmaceutical Companies
【配列表】
【国際調査報告】