(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】フィルタエレメント、フィルタエレメント用のフィルタエレメントホルダ、フィルタ装置及びフィルタエレメントを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20221209BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20221209BHJP
B01D 29/07 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B01D46/52 A
B01D39/16 H
B01D29/06 510A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022522959
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020078762
(87)【国際公開番号】W WO2021074139
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019127739.6
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506195893
【氏名又は名称】ヘルディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング フィルターテヒニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘルディング ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ヘルディング ウルス
(72)【発明者】
【氏名】コラー エーギット
(72)【発明者】
【氏名】シュタウバー アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D019BA13
4D019BB06
4D019CA02
4D019CB01
4D019CB06
4D058JA14
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4D116RR01
4D116RR05
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4D116ZZ01
(57)【要約】
本発明は、ヘッド端部と長手方向反対側にあるフット端部の間に延在する貫流多孔性のフィルタボディ(4)を有するフィルタエレメント(2)に関する。ヘッド構造(6)がフィルタエレメント(2)のヘッド端部に形成され、ヘッド構造(6)は、フィルタエレメント(2)をフィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するように構成された少なくとも1つの支持面シール(10)を有し、ヘッド構造(6)は、基本的に長手方向に延在する側壁(8)を有し、支持面シール(10)は、フィルタエレメント(2)のヘッド構造(6)の当該基本的に長手方向に延在する側壁(8)に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド端部と長手方向に反対側のフット端部の間に延在する貫流多孔性のフィルタボディ(4)を有するフィルタエレメント(2)であって、
ヘッド構造(6)が前記フィルタエレメント(2)の前記ヘッド端部に形成され、当該ヘッド構造(6)は、フィルタエレメント(2)をフィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するように構成された少なくとも1つのシール(10)を有し、
前記ヘッド構造(6)は、基本的に長手方向に延在する側壁(8)を有し、前記シール(10)は、フィルタエレメント(2)の前記ヘッド構造(6)の当該基本的に長手方向に延在する側壁(8)に形成されている、フィルタエレメント(2)。
【請求項2】
前記シール(10)は、前記ヘッド構造(6)に形成された清浄流体出口開口部(16)の周りに、少なくとも部分的に周囲に、特に完全に周囲に延在するように、前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項3】
前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するために、前記シール(10)は、前記長手方向に対して交差して延在する密封要素(12)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項4】
前記側壁(8)は前記密封要素(12)を収容する凹所(11)を有し、当該凹所(11)は特に基本的に前記長手方向に直交して延在する、ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項5】
前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するために、前記長手方向に対して交差して延在し、且つ、前記側壁(8)と協働する、特に前記凹所(11)と協働する密封要素(12)をさらに有する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項6】
前記密封要素(12)は、Oリング、デルタリング、Xリング、Tリング、発泡シール又はファイバーシールを有する、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項7】
前記側壁(8)は複数の凹所(11)を有する、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項8】
前記清浄流体出口開口部(16)は、前記フィルタエレメント(2)の前記ヘッド端部に配置された端壁に形成されている、ことを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項9】
前記フィルタエレメント(2)は、少なくとも3つの側壁(22,24)、特に少なくとも4つの側壁(22,24)、及び前記フット端部で前記側壁(22,24)を互いに接続する少なくとも1つのフット端壁を有する、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項10】
前記フィルタエレメント(2)は、2つの広い側壁(22)と、当該広い側壁(22)を互いに接続する2つの狭い側壁(24)を有し、
特に前記側壁(22,24)の領域が前記フィルタボディを形成する、ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項11】
清浄流体スペースが前記側壁(22,24)の間に形成され、当該清浄流体スペース内を前記側壁を通過後の原流体から形成される清浄流体が流れる、ことを特徴とする請求項9又は10に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項12】
前記2つの広い側壁(22)の少なくとも1つがジグザグ状に又は波形に形成され、前記少なくとも1つの側壁の山及び谷は、基本的に前記フィルタエレメント(6)の長手方向に延びる伸長を有する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項13】
前記ヘッド構造(6)内の前記山及び谷は前記ヘッド端部に向かって平らになっており、それで前記ヘッド構造(6)内に形成される清浄流体出口(16)は基本的に、清浄流体流れのために長方形断面を有する、ことを特徴とする請求項12に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項14】
前記ヘッド構造(6)は前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に固定するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項15】
前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタエレメントホルダ(26)に構成された保持構造(32)と協働するように構成された少なくとも1つの外側に突出する突起(36)を形成する、ことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項16】
前記ヘッド構造(6)は、少なくともその一部において前記側壁(8)の領域で外側に突出し、それにより前記フィルタエレメント(2)を前記長手方向の移動に対して固定するために、前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタボディの前記フット端部に向いた端面であって、前記フィルタエレメントホルダ(26)に構成された対端面(34)と協働する端面(38)を構成する突起を形成する、ことを特徴とする請求項14又は15に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項17】
前記ヘッド構造(6)は前記フィルタボディ(4)と一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項18】
前記フィルタボディ(4)は焼結された粒状物質から成り、前記ヘッド構造(6)は前記フィルタボディと一体に共に焼結されている、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項19】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は共に焼結されたプラスチック粒子から構成されている、ことを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項20】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は赤外線焼結により製造されている、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項21】
フィルタエレメント(2)は積層造形法によって製造可能である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)を収容するように構成されたフィルタエレメントホルダ(26;70)であって、
前記フィルタエレメント(2)がそのヘッド構造(6)によってフィルタエレメント受容部(30;78)に着座するように前記フィルタエレメント(2)が挿入可能である少なくとも1つのフィルタエレメント受容部(30;78)を有する支持プレート(28;72)を有する、フィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項23】
前記支持プレート(28;72)は型打ちした又は深絞りされたシートメタル部品を有する、ことを特徴とする請求項22に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項24】
前記フィルタエレメント受容部(30;78)は、前記フィルタエレメントの前記ヘッド構造(6)に形成された前記シール(10)と協働するシール構造(44;74)を有する、ことを特徴とする請求項22又は23に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項25】
前記フィルタエレメント受容部(30)が、前記支持プレート(28;72)から前記長手方向に延在するカラー(40;76)を有する、ことを特徴とする請求項22~24のいずれか一項に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項26】
前記カラー(40;76)は、原流体スペースを清浄流体スペースから密封するために前記フィルタエレメント(2)の前記シール(10)と協働するように構成されたカラー支承面(44;80)を有する、ことを特徴とする請求項25に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項27】
シール保持構造、特に凹所が、前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)に設置される前記シール(10)を受容するように構成された前記カラー支承面(44;80)に形成されており、
前記シール保持構造が、特に前記カラー支承面(44;80)の周囲全体にわたって延在するように形成されている、ことを特徴とする請求項26に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項28】
前記フィルタエレメント(2)が挿入状態においてフィルタ装置の原流体スペースと清浄流体スペースを分離するように、前記フィルタエレメント(2)が挿入可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)と請求項22~27のいずれか一項に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)の組み合わせであって、
前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)と前記フィルタエレメント受容部(30;78)が、特に前記長手方向に対して交差して延在する密封要素(10)と協働して、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に対して密封するように協働する、組み合わせ。
【請求項29】
原流体スペース(108)、
清浄流体スペース(110)、を有するフィルタ装置(100)であって、
フィルタ装置(100)は、請求項28に記載の少なくとも1つのフィルタエレメント(2)と1つのフィルタエレメントホルダ(26;70)の少なくとも1つの組み合わせを有し、
挿入状態における前記フィルタエレメント(2)が前記原流体スペースと前記清浄流体スペースを分離するように、前記フィルタエレメント(2)は、前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に形成されたフィルタエレメント受容部(30;78)に挿入されている、フィルタ装置(100)。
【請求項30】
フィルタエレメント(2)を製造する方法であって、
貫流多孔性の固有に安定したフィルタボディ(4)を製造し、及び
前記フィルタボディ(4)にヘッド構造(6)を形成し、ここでフィルタ装置(100)の清浄流体スペースと原流体スペースを分離するために、前記ヘッド構造(6)に、フィルタ装置(100)のフィルタエレメントホルダ(26;70)と協働するように構成された少なくとも1つのシール(10)を具備し、
ここで前記フィルタエレメント(2)の製造がオートメーション化される、方法。
【請求項31】
前記シール(10)が、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に対して密封するために、長手方向に対して交差して延在する密封要素(12)を有する、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ヘッド構造(6)は、基本的に長手方向に延在する側壁(8)を具備され、前記シール(10)は、当該基本的に長手方向に延在する側壁(8)に形成される、ことを特徴とする請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に固定するために、前記フィルタ装置(100)の前記フィルタエレメントホルダ(26;70)と協働するように形成される、ことを特徴とする請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は焼結法によって、特に共に焼結されるプラスチック粒子から製造される、ことを特徴とする請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は赤外線焼結によって製造される、ことを特徴とする請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は一体に製造される、ことを特徴とする請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント、フィルタエレメント用のフィルタエレメントホルダ、フィルタ装置及びフィルタエレメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフィルタエレメントは、例えば、自動車産業、化学産業、食品産業において又は建築材料の製造において、広範囲の工業分野における工場及びプラントで産業界で使用されている。
【0003】
貫流可能なように多孔質であって固有の安定性を有するフィルタエレメント、すなわち本発明に従うタイプの貫流多孔性の固有に安定したフィルタエレメントは、共に焼結されたポリエチレン粒子から作られた又はより高い温度での使用のためにポリフェニレンサルファイドなどのより耐熱性のプラスチックから作られたフィルタ本体(フィルタボディ)を有し得る。
【0004】
フィルタエレメントは、フィルタヘッドが形成されたフィルタボディを有する。フィルタヘッドは、フィルタエレメントをフィルタ装置に固定するために使用される。フィルタヘッドは、フィルタ装置での密封と保持の両方を保証しなければならない。この理由のため、公知のフィルタエレメントでは、フィルタヘッドは別個の構成部品として製造され、例えばフィルタヘッドをフィルタボディに(射出)成型することにより、フィルタボディに接続される。加えて、フィルタヘッドは金属インサートによってさらに補強される。その結果生じるフィルタヘッドの複雑な構造のために、公知のフィルタエレメントのための製造方法は今までのところオートメーション化するのが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゆえに、本発明の目的は、特により適切にオートメーション化可能な製造方法において、より簡単に製造できるフィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従うフィルタエレメントは、ヘッド端部と長手方向に反対側に位置するフット端部の間に延在する貫流多孔性のフィルタボディを有する。フィルタボディのヘッド端部には、フィルタ装置のフィルタエレメントホルダと協働するヘッド構造が形成されており、当該ヘッド構造は、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに対して密封するように構成された少なくとも1つのシールを有する。ヘッド構造は基本的に長手方向に延在する側壁を有し、シールは、フィルタエレメントのヘッド構造の当該基本的に長手方向に延在する側壁上に形成されている。
【0007】
さらに、本発明は、支持プレートを有する本発明に従うフィルタエレメントを収容するフィルタエレメントホルダに関し、支持プレートは少なくとも1つのフィルタエレメント受容部を有し、フィルタエレメント受容部には本発明に従うフィルタエレメントが挿入可能であり、しかもフィルタエレメントがフィルタエレメント受容部内にそのヘッド構造によって着座する。
【0008】
本発明の別な観点は、本発明に従うフィルタエレメントと本発明に従うフィルタエレメントホルダの組み合わせに関する。この点について、フィルタエレメントはフィルタエレメントホルダに挿入可能であり、挿入状態では、フィルタエレメントはフィルタ装置の原流体スペース(raw fluid space)と清浄流体スペース(clean fluid space)を分離する。ヘッド構造の側壁は、特に長手方向に対して交差して延びる密封要素(シール要素)と協働して、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに対して密封するためにフィルタエレメント受容部と協働するシールを有する。
【0009】
本発明はさらに、原流体スペース、清浄流体スペース、及び、フィルタエレメント及びフィルタエレメントホルダの本発明に従う組み合わせを有するフィルタ装置に関する。フィルタエレメントが挿入状態において原流体スペースと清浄流体スペースを分離するように、フィルタエレメントは、フィルタエレメントホルダに形成されたフィルタエレメント受容部に挿入されている。
【0010】
本発明の付加的な観点は、本発明に従うフィルタエレメントを製造する方法に関する。本方法は、貫流多孔性の固有に安定したフィルタボディを製造し、及びフィルタボディにヘッド構造を形成するステップを有し、ここでヘッド構造は、フィルタ装置の清浄流体スペースを原流体スペースから密封するために、フィルタ装置のフィルタエレメントホルダと協働するように構成された少なくとも1つのシールを具備している。特に、シールはヘッド構造の長手方向に延在する側壁に形成されている。フィルタエレメントの製造がオートメーション化され得る。
【0011】
本発明に従うフィルタエレメントは、公知のフィルタエレメントよりも製造が容易である。特に、ヘッド構造が特別な補強を何ら必要としないので、フィルタエレメントの完全にオートメーション化された製造が実現可能である。特に、同じ製造方法で望ましい場合、ヘッド構造はフィルタボディと同じ材料で作られ得る。
【0012】
フィルタエレメントは、特にフィルタ装置のフィルタエレメントホルダに設置されるように意図されている。フィルタエレメントホルダは、そこに取り付けられるフィルタエレメントと共に、フィルタ装置の清浄流体側と原流体側を分離する。取り付け状態において、フィルタエレメントはフィルタエレメントホルダに固定され、フィルタエレメントホルダによって支持される。本発明に従うヘッド構造の長手方向に延在する側壁へのシールの配置は、取り付け状態のシールがフィルタエレメントホルダ上の対シール構造(counter-sealing structure)と協働して十分液密なシールの形成のみを生じさせる構造を可能とする。しかしながら、シールと対シール構造の相互作用がフィルタエレメントのフィルタエレメントホルダへの保持又は取り付けをももたらし、又は実質的にこのような保持又は取り付けを支持することは、もはや必要でない。むしろ、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに確実に固定し、支持する機能がシールとは別のヘッド構造上の部品又は構造によってもたらされるように、本発明に従うフィルタエレメントは構造化され得る。この設計により、ヘッド構造は完全にたった1つの材料、特にプラスチック材料で作ることができる。特に、ヘッド構造はフィルタボディと同じプラスチック材料で作ることができる。フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに密封し及び保持/固定する機能はヘッド構造の様々な部品によって実行されるので、追加の補強要素や強化構造をヘッド構造に設ける必要はもはやない。
【0013】
例えば、ヘッド構造を含むフィルタエレメントは、フィルタボディが製造されるのと同じ焼結法で完全に製造され得る。長手方向に延在するヘッド構造の側壁が焼結法の間に形成されて、側壁がシールを具備することを保証する必要があるだけである。これは、(例えば、密封支承面を形成することになる側壁の領域をほぼ構造化することで)フィルタボディの焼結中に行うことができ、又はそれは(例えば、側壁と協働する別個の密封要素を設置することで)焼結の次に行うことができる。
【0014】
フィルタエレメントは固有に安定しており、すなわちフィルタボディ自体は、フィルタエレメントを立てるために既に十分な剛性・硬さを有している。ゆえに、原則として、フィルタエレメントをフィルタ装置に据え付けるために更なる支持構造は必要無い。フィルタエレメントのフィルタボディは貫流多孔性であり、フィルタエレメントを通過する際、外来物質及び/又は異物を担持する原流体のろ過を(場合によっては付加的な表面コーティングの援助により)可能にする。外来物質は、原流体側で貫流多孔性のフィルタボディに残る。外来物質をフィルタボディから除去するために洗浄装置が使用できる。例えば、圧縮空気パルス原理に従って作動する洗浄装置がこの目的のために提供され得る。それは、圧縮空気パルスを、特に逆流原理に従ってその清浄流体側でフィルタエレメントから流れ出る清浄流体の流れ方向と反対方向にフィルタエレメントに加える。
【0015】
フィルタエレメントのフィルタ装置への取り付け状態においてフィルタエレメントホルダの近くに位置するフィルタエレメントのその端部を特にフィルタエレメントのヘッド端部と言う。ヘッド構造は一方でフィルタエレメントのフィルタエレメントへの確実な固定を可能とし、他方でフィルタエレメントの取り付け状態においてフィルタ装置の清浄流体側と原流体側の間の良好な密封効果をも可能にする。
【0016】
フィルタエレメントの長手方向に延在する表面/壁は、フィルタエレメントがフィルタエレメントホルダに挿入される又はそこから取り外される方向と平行に延伸する。表現「長手方向に延在する表面/壁」は、表面/壁が長手方向と正確に平行である必要はなく、長手方向に対して傾斜した鋭角で、例えば長手方向に対して15°までの角度で延在し得ることを表すことを意図している。例えば、長手方向は角錐台や円錐台の軸であってもよく、ヘッド構造に形成される側面はこの角錐台や円錐台の側面上にある。
【0017】
フィルタエレメントがフィルタエレメントホルダに挿入されると、シールはまさにフィルタエレメントホルダの対シール構造と摩擦係合し及び/又は確動係合し、それで原流体の清浄流体側への通過に対する又はその逆に対する十分なシール性能がもたらされる。これは、フィルタエレメントのヘッド構造上のシールとそれと協働するフィルタエレメントホルダ上の対シール構造の間のタイトフィットを創出するために、或る予負荷がシールを介して伝わることを意味する。対照的に、シールと対シール構造の協働によって、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに保持し、固定し及び/又は支持するために、特にフィルタエレメントを長手方向移動に対して固定するために、力が、-少なくとも顕著な力が特に、-伝えられる必要が無い。シールと対シール構造は、このような力の伝達を取り除かれるべきである。フィルタエレメントを長手方向の移動に対して固定するために、ヘッド構造の他の領域が設けられてもよく又はヘッド構造は他の保持装置を有してもよい。
【0018】
最も簡単な場合、ヘッド構造に設けられるシールは、取り付け状態においてフィルタエレメントホルダの対応する対支承面(mating abutment surface)と密封接触する側壁の外側表面に形成された支承面(abutment surface)の構造を有し得る。より良好なシール効果を実現するために、支承面及び対支承面は例えばラビリンスシールのようなより複雑な構造又は幾何学形状を有し得る。しかしながら、フィルタエレメントのヘッド構造の側壁とフィルタエレメントホルダ上のそれと協働する対支承面の間のシールを形成すると有利であり、それはこれら要素の間に配置される密封要素、例えばシールリング又はシーリング剤を有し得る。シール効果は側壁及び/又は対シール構造の特別な幾何学形状によって改善され、例えば或る予負荷が取り付け状態において密封要素に加えられる。
【0019】
シールは、少なくとも部分的に周囲を取り囲むように、特に完全に周囲を取り囲むようにヘッド構造に形成された清浄流体出口開口の周りに延びるように、ヘッド構造の側壁に形成され得る。特に、シールは清浄流体出口開口を環状に取り囲んでもよい。既に指摘したように、フィルタエレメントの取り付け状態においてシールは保持力を受容せず又はほんのわずかな保持力を受容し、ゆえに特に固い又は安定した設計を有する必要がない。
【0020】
特に、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに対して密封するために、シールは長手方向に対して交差して延在する密封要素を有し得る。このような密封要素は、原流体がある原流体スペースと清浄流体がある清浄流体スペースを分離するのに特に効果的である。
【0021】
密封要素を収容する凹所、例えば溝として形成される凹所が側壁に形成され得る。特に、凹所は長手方向と基本的に直交して延在してもよく、例えば側壁に形成される溝は清浄流体出口開口をリング状に取り囲む。たとえフィルタエレメントのフィルタエレメントホルダへの取り付けの際に予負荷がフィルタエレメントに加わるときでも、このような凹所は密封要素の側壁への確実な位置決めを保証する。
【0022】
例えば、フィルタエレメントは長手方向に対して交差して延在する密封要素を有してもよく、それは側壁と、特に凹所と協働して、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに対して密封する。密封要素はシールのために一般的に使用されるエラストマー特性を有する材料、例えば合成ゴム(エチレン-プロピレンージエンゴム EPDM、フッ素ゴム FKM/FPM、アクリロニトリル・ブタジエンゴム NBR)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、シリコーンで作られてもよい。密封要素は、密封要素の断面に対して、例えばOリング、デルタリング、Xリング又はTリングである。しかしながら、密封要素はファイバーシールや発泡シールを有してもよい。密封要素がヘッド構造の周りで周方向に変化する断面を有することも考えられる。例えば、操作温度でフィルタエレメントの特に大きな熱膨張が予期されるヘッド構造の領域では、密封要素は他の領域よりも大きな断面を有してもよい。このようにして、フィルタエレメントの大きめの熱膨張が予期される領域では、この熱膨張を受容するために密封要素のより弾性的な塊・まとまりが利用できる。
【0023】
原則として、単一の密封要素が十分であるが、少なくとも密封要素が清浄流体出口開口を完全に取り囲むとき、或る実施形態では、複数の密封要素がヘッド構造に取り付けられるように側壁は複数の凹所を有してもよい。これは、フィルタエレメントとフィルタエレメント受容部の間の密封性能を増加させ得る。複数の密封要素を配置し、その各々は清浄流体出口開口を完全には取り囲まず、清浄流体出口開口の周囲の方向に互いにずれることも可能である。
【0024】
清浄流体出口開口は、フィルタボディのヘッド端部に配置された端壁に形成され得る。フィルタエレメントから流れ出る清浄流体の流れ損失を防ぐために、清浄流体出口開口は端壁の大部分、特に80パーセント以上を占めてもよい。清浄流体出口開口が端壁の一部のみ、例えば端壁の訳70~80パーセントを占めても十分である。
【0025】
フィルタエレメントは、少なくとも3つの側壁、特に少なくとも4つの側壁と、ヘッド端部の反対側にあるフット端部で側壁を互いに接続する少なくとも1つのフット端壁を有するポケット形状の構造を有してもよい。ポケット形状の構造は、角ばった又は丸みを帯びた断面を有してもよい。特に、ポケット形状の構造は、楕円又は円断面を有してもよく、それによりフィルタエレメントはフィルタカートリッジにあるようなよりチューブ状の形状を有する。フィルタエレメントのヘッド端部では、清浄流体出口開口がヘッド端壁に形成されている。側壁は、フィルタエレメントがフィルタエレメントホルダに挿入されたときに移動する挿入方向と実質的に平行に延びる。通常、フィルタエレメントから流れ出る清浄流体の流れ方向は、それが清浄流体出口開口に達するまで挿入方向と平行である。端壁は、長手方向と基本的に交差して、特に長手方向と垂直に、及びフィルタエレメントから流れ出る清浄流体の流れ方向と交差して延びる。特に、少なくとも1つのフット端壁はフィルタポケットのフット(足)又はベース(基部)を形成する。
【0026】
フィルタエレメントが4つの側壁を有するとき、フィルタエレメントは、2つの広い側壁及び当該2つの広い側壁を接続する2つの狭い側壁を有する1つの狭い及び広い箱の形状を有してもよい。狭い側壁は広い側壁と直交して延在し得る。広い側壁はフィルタエレメントの長手方向及び幅方向に延在する。狭い側壁はフィルタエレメントの長手方向及び奥行方向に延在する。
【0027】
ヘッド構造の支承面と協働する密封要素が設置される実施形態では、密封要素は、広い側壁の領域よりも狭い側壁の領域においてより広い断面を有してもよい。狭い側壁の領域における密封要素のこの肉厚部分は、高めの温度での、例えば50℃以上でのフィルタエレメントの増大した熱膨張を受け入れられる。肉厚部分の領域では、密封要素は、長さ補償を得るために、フィルタエレメントが膨張するときに圧縮され得るより弾性のある塊を提供する。フィルタエレメントの熱膨張は主に広い側壁の方向に生じるので、狭い側壁の領域で大きめの断面を有する密封要素を設計すれば十分である。
【0028】
側壁の領域がフィルタボディを形成し得る。オプションで、フット端部もまたフィルタボディの一部を形成し得る。フット端部はまたフィルタエレメントのための強化又は設置ガイドを提供し得る。
【0029】
清浄流体スペースが側壁の間に形成され得、そこに側壁の通過後の原流体から形成される清浄流体が流出する。したがって、フット端壁を有する側壁はフィルタポケット又はバッグを形成する。側壁は基本的に長手方向に、すなわち長手方向を平行に延在する。それに代えて、側壁は長手方向に対して鋭角で、特に15°以下の角度で、及び特にフット端部からヘッド端部に分岐して延びてもよく、ヘッド端部に形成される端壁はフット端壁より大きい面積を有する。
【0030】
清浄流体は清浄流体出口開口を通ってフィルタエレメントを出る。清浄流体出口開口を通して、洗浄装置により生成される圧縮空気パルスが、清浄流体の流れに抗して、特にフィルタエレメントのフィルタ面を形成する側壁及び/又は端壁に向かってフィルタエレメントに導入されてもよい。
【0031】
2つの広い側壁の少なくとも1つが、ジグザグ形状の又は波形の構造を有してもよく、山と谷は全体としてフィルタエレメントの長手方向に延在するコース・延伸を有する。山と谷は全体的にフィルタエレメントのヘッド端部からフィルタエレメントのフット端部まで延びる。
【0032】
清浄流体出口開口が基本的に清浄流体流れのために長方形断面を有するように、ヘッド構造の山と谷は清浄流体出口開口に向かって平らになっていてもよい。この点について、清浄流体流れのための断面は、断面が殆ど長方形である出口開口(すなわち、清浄流体出口)で最大であってもよい。
【0033】
ヘッド構造は、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに固定、保持するために形成され得る。よって、フィルタエレメントの付加的な保持構造は強制的に必要でない。
【0034】
保持構造を形成するために、ヘッド構造は、フィルタエレメントホルダに構成された対保持構造(噛み合い保持構造)と協働するように構成された少なくとも1つの外側に突出する突起を形成してもよく、フィルタエレメントを長手方向の移動に対して、特に挿入方向の移動に対して固定する。この点に関して方向指示「外側に」は、長手方向に関し、特に長手方向と直交する、すなわち幅方向及び/又は奥行方向に関する。取り付け状態では、突起はしたがって、特に長手方向の移動に抗して、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに保持又は固定するための力を受容する。
【0035】
ヘッド構造は、少なくともその一部において側壁(広い側壁及び/又は狭い側壁)の少なくとも1つを越えて外側に突出し得、それによりヘッド構造自体は、フィルタエレメントのフット端部に向いた端面であって、フィルタエレメントホルダに構成された対端面(mating end face)と協働する端面を構成する突起を形成し、フィルタエレメントを長手方向の移動に対して、特に挿入方向の移動に対して固定する。
【0036】
フィルタエレメントは、フィルタエレメントのフット端部に向いた端面の、フィルタエレメントホルダの対端面との係合によりフィルタ装置のフィルタエレメントホルダに吊り下げられ得る。
【0037】
ヘッド構造に形成される空洞であって、清浄流体出口開口と、フィルタエレメントの側壁の間の空洞又は清浄流体スペースを接続する空洞が、基本的に長手方向に延在する少なくとも1つの隔壁によって分けられ得る。これはヘッド構造の安定性を増大させ、ゆえに高い耐性を保証する。
【0038】
隔壁は2つの対向する広い側壁を接続できる。側壁の間の清浄流体スペースは、フット端部における第1端壁からヘッド端部における第2端壁まで増大する断面を有してもよい。
【0039】
清浄流体スペース及びヘッド構造の1又は複数の空洞は清浄流体のための出口漏斗を形成し得、その漏斗断面(漏斗開口)はフィルタエレメントのフット端部から増大する距離と共に増加する。
【0040】
フィルタエレメントは一体設計を有し得、特にヘッド構造はフィルタボディと一体に形成され得る。これにより、フィルタエレメントは完全にオートメーション化で製造でき、したがって大量生産が可能になる。一体は、フィルタエレメント(フィルタボディ、ヘッド構造及びフット構造を含む)が1つの単一のピースとして製造されることを意味する。例えば、フィルタボディ及びヘッド構造を含むフィルタエレメントは、単一のピースで焼結され又は他の方法で形成され得る。この製造方法は、各々が別個に焼結され又は成型される多数の構成部品が一緒に結合されなければならなかった、又はヘッド構造が別個のステップでフィルタボディに射出成形され又は接着されなければなかった、及び金属補強部品がさらに取り付けられなければならなかった、これまでに使用されたものよりも簡単である。対照的に、一緒に結合されなければならない本発明に従うフィルタエレメントのための中間の又は予備の構成部品は無い。加えて、機械的な後処理ステップが大部分は不要である。
【0041】
例えば、フィルタボディは焼結された粒状物質から焼結構造として製造され得、ヘッド構造はフィルタボディと一体に共に焼結され得る。フィルタボディ及びヘッド構造は共に焼結されたプラスチック粒子、特に共に焼結されたポリエチレン粒子又は共に焼結されたポリフェニレンサルファイド粒子から構成され得る。
【0042】
フィルタボディ及びヘッド構造は赤外線焼結により製造され得る。赤外線焼結に必要な熱エネルギーは、ガスによって又は電気によって提供され得る。赤外線焼結は、特に熱エネルギーが電気により提供されるとき、特に異なる温度又はエネルギー量でフィルタエレメントの様々な領域で焼結を行うことを可能とする。これは、ある領域で具体的に望ましい機械的特性、例えば多孔性及び機械的強度の観点を実現することが可能になることを意味する。これは、フィルタボディ(側壁多孔性)及びヘッド構造(強度、流れに好ましい構造)のための異なる特性の生成を可能にする。
【0043】
フィルタエレメントはさらに、積層造形法によって製造可能である。
【0044】
フィルタエレメントホルダは、フィルタエレメントをフィルタエレメントホルダに対して密封するために、フィルタエレメントのヘッド構造の側壁上のシールと協働する少なくとも1つの対支承面を含んでもよい。当該シールは長手方向に対して交差して延在する。
【0045】
フィルタエレメントは基本的に長手方向に延在する側壁を有してもよく、対支承面は当該基本的に長手方向に延在する側壁上に、少なくとも部分的に周囲に、特に完全に周囲に形成されてもよい。
【0046】
特に、フィルタエレメントとフィルタエレメントホルダの両方ともそれぞれ、互いに関連する側壁を有し、それでシールがフィルタエレメントの取り付け状態において2つの側壁の間に形成される。ヘッド構造の側壁の可能な構造に関する先の説明の全てが同様にフィルタエレメントホルダの側壁にも当てはまり、2つの側壁が互いに補完的な構造を有し又は側壁の各々が密封要素に対応する構造を有すると理解される。
【0047】
フィルタエレメントホルダの支持プレートは型打ちした及び/又は深絞りされたシートメタル部品として形成され得る。このようなシートメタル部品は素早く製造でき、容易に交換できる。
【0048】
フィルタエレメントホルダは複数のフィルタエレメント受容部を具備してもよく、特にフィルタエレメントがそのヘッド構造によりフィルタエレメント受容部に保持されるように、その各々に別個のフィルタエレメントが挿入できる。
【0049】
フィルタエレメント受容部はフィルタエレメントのヘッド構造に形成された支承面と協働するシール構造を有し得る。
【0050】
フィルタエレメント受容部は支持プレートに開口として形成され得、開口は、支持プレートから突出して開口を少なくとも部分的に取り囲むカラーで囲まれている。カラーは、清浄流体スペースを原流体スペースから密封するためにフィルタエレメントのヘッド構造上に形成されたシールと協働するように構成されたカラー支承面を有してもよい。
【0051】
カラーは、支持プレートから離れてほぼ長手方向に、特に長手方向と平行に延在してもよい。
【0052】
カラー支承面は特に凹所又は溝として形成され得るシール保持構造を含んでもよい。シール保持構造は、カラー支承面の周囲全体にわたって形成され得る。
【0053】
フィルタエレメントが清浄流体スペースから支持プレートの開口に挿入でき(清浄流体側設置)、又はフィルタエレメントが原流体スペースから支持プレートの開口に取り付けられるように(原流体側設置)、フィルタエレメント受容部は設計され得る。
【0054】
フィルタ装置はさらに、フィルタエレメントとフィルタエレメントホルダの間、特にヘッド構造に形成されたフィルタエレメントの側面とフィルタエレメントホルダの対応する対支承面の間に配置された密封要素を有し得る。
【0055】
好ましくは、フィルタエレメントホルダは、フィルタ装置内で原流体スペースと清浄流体スペースの間のパーティションを形成し得、それで本発明に従う1又は複数のフィルタエレメントと共に、原流体スペースは清浄流体スペースから密封される。
【0056】
フィルタボディ及びヘッド構造は、焼結法により、特に赤外線焼結により製造され得る。好ましくは、プラスチック粒子がこの目的のために使用でき、それらはそのとき共に焼結された状態でフィルタエレメントを形成する。
【0057】
ヘッド構造及びフィルタボディは一体に製造され得る。これは、フィルタエレメントの迅速な製造を生じさせ、それはまた完全にオートメーション化され得る。
【0058】
フィルタエレメント及びフィルタエレメントホルダに関連して上で説明した利点及び実施形態の全てが、フィルタ装置にも及び本発明に従うフィルタエレメントの製造にも当てはまり、反復を避けるために再び説明しない。
【0059】
本発明を、添付の図面に示される例示の実施形態に関して以下により詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明に従うフィルタエレメントを示す図である。
【
図2】フィルタエレメントがフィルタエレメントホルダに挿入された状態で、本発明に従うフィルタエレメントホルダと共に清浄流体側に取り付けるための本発明に従うフィルタエレメントを示す図である。
【
図3】本発明に従うフィルタエレメントホルダに取り付けられた本発明に従うフィルタエレメントを示す図である。
【
図4】ヘッド構造を通る
図3の拡大部分断面図である。
【
図5】フィルタエレメントの狭い側に丸みを帯びた領域に肉厚部分を有する密封要素を備えた本発明に従うフィルタエレメントの変形例を示す図である。
【
図6】原流体側に取り付けるための本発明に従うフィルタエレメントの変形例の詳細なイラストレーションを示す図である。
【
図7】本発明に従うフィルタエレメントと本発明に従うフィルタエレメントホルダを有するフィルタ装置を示す図である。
【
図8】
図1に示すフィルタエレメントを製造するための工程順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
全ての図において、同じ参照番号はそれらの機能に関して同一又は同様である構成部品を示す。これら構成部品の各々は、対応する参照番号が初めて使用される実施形態に関してのみ詳細に説明される。一致する説明がそれぞれの参照番号が使用される他の実施形態にも当てはまると理解される。反復を避けるために、別な風に明示的に述べない限り、それぞれの参照番号が最初に使用される対応する記載を直行で参照されたい。
【0062】
図1は、ヘッド端部と長手方向に反対側に位置するフット端部の間に延在する貫流多孔性のフィルタボディ4を有するフィルタエレメント2を示す。
【0063】
フィルタエレメント2は、2つの広い側壁22と、広い側壁22を接続する2つの狭い側壁24を有する。
図1では、1つの側壁22と1つの側壁24だけがそれぞれ示されている。側壁22,24の全てが基本的に長手方向に延びている。広い側壁22はフィルタエレメント2の長手方向及び幅方向に延びている。狭い側壁24は、フィルタエレメント2の長手方向及び奥行方向に広い側壁22に対して直交して延びている。側壁22及び24は、フィルタエレメント2のフット端部に配置されたフット端壁(不図示)と共に、フィルタポケット(フィルタバッグ)を形成し、フィルタボディ空洞を取り囲む。
【0064】
側壁22及び24の外側に向いたサイド表面は、取り付け状態において原流体スペースに向いている。原流体スペースは、外来物質及び異物と混合された原流体を含む。原流体がフィルタエレメント2を通過したとき、外来物質及び異物が濾過され、それで外来物質及び異物を除去された清浄流体がフィルタボディ空洞に入る。フィルタエレメント2の操作中に、外来物質及び異物を除去された清浄流体は、このフィルタボディ空洞からフィルタエレメントを通過後に清浄流体出口開口16を通って流れ出る。したがって、フィルタボディ空洞はフィルタエレメントの清浄流体側に位置する清浄流体スペースの一部を形成する。
【0065】
広い側壁22はジグザグ状の又は波形の形状を有し、それでフィルタポケットはラメラ構造(層状構造)を有する。この点について、側壁22の山と谷は、基本的にフィルタボディ4の長手方向に延びる伸長を有する。清浄流体出口開口16が全体的に基本的に長方形断面を有するように、山と谷はフィルタエレメント2のヘッド端部に向かってヘッド構造6内で平らになっている。この断面は清浄流体の、フィルタエレメント2のフィルタ空洞からの流出を改善する(高める)。図示のラメラ構造に代えて、側壁22はまた平板として形成されてもよい。不図示の形状では、フィルタポケットはまた、たった3つの側壁で又は4より多い側壁で形成されてもよい。側壁22,24が互いに傾斜して配置され、側壁22,24により取り囲まれるフィルタ空洞の断面が清浄流体出口開口16に向かって増大することも可能である。そのとき、フィルタポケットは僅かに漏斗形の又はピラミッド型の構造をとる。加えて、丸みを帯びた又は楕円形の又は円形の断面を有するフィルタポケットを形成することも可能であり、フィルタポケットは管状の(筒状の)円錐台形状又は円錐形状をとる。側壁22,24はフィルタエレメントのフット端部で互いに接触してもよく、それによりフット端壁が不必要となる。
【0066】
ヘッド構造6がフィルタエレメント2のヘッド端部に形成されている。ヘッド構造6は、清浄流体出口開口16の周囲に形成された長手方向に延在する側壁8を有する。側壁8は、互いに反対側に位置してフィルタエレメント2の幅方向に延在する2つの長めの/広い部分と、互いに反対側に位置してフィルタエレメント2の奥行方向に延在し及び2つの長めの/広い部分をフィルタエレメント2のそれぞれの端部で互いに接続する2つの短めの/狭い部分を有する。これら短めの/狭い部分はそれらの外側で丸みを帯びている。
図1に示されていないフィルタエレメントホルダ(
図2及び3参照)に対してフィルタエレメント2を密封するように構成されたシール10が、側壁8の長手方向に延在する外側に配置されている。シール10は、側壁8に形成された凹所11とこの凹所11に配置された密封要素12を有し得る。密封要素12は、Oリング、デルタリング、Xリング、Tリング、発泡シール又はファイバーシールの形態の別個のシールとして設計され得る。図示の実施形態では、凹所11は側壁8に形成された溝の構造を有し、側壁8全体の周りに長手方向に対して直交して延び、したがって清浄流体出口開口16を完全に取り囲んでいる。よって、シール10は、側壁8に沿って清浄流体出口開口16を取り囲むヘッド構造6の周囲に沿って延びている。側壁8の外側に別なシール構造を形成することも可能であり、それと密封要素12が協働し(例えば、ビード)、むしろ密封要素12がさらに構造化されていない側壁8の外側と協働する。
【0067】
図1の実施形態では、シール10は、フィルタエレメントホルダと協働する密封要素12により形成されている。密封要素12が必要でない実施形態もまた考えられる。例えば、シール10は、例えば側壁8に形成された溝に又は側壁8から突出したビード若しくは材料延伸部に形成され得る支承面を有し得る。このような実施形態では、フィルタエレメント2が挿入されたフィルタエレメントホルダは、対応的に補完的に構造化された対支承面(噛み合い支承面)を具備し、それでフィルタエレメントが挿入されると、一種のラビリンスシールが得られる。さらに別な実施形態では、側壁8は、フィルタエレメントホルダに当接したときに、側壁8とフィルタエレメントホルダの間に密封作用を与える材料構造を或る領域に有し得る。これは、側壁8の残りの部分より粗い表面を有するなど、側壁8の残りの部分とは密封のために設けられる領域において異なって側壁8を加工することでもたらされる。
【0068】
シール10は、フィルタエレメント2のヘッド端部の近くにある側壁8の領域に形成されている。側壁8上のシール10の異なる位置も可能である。ヘッド構造6はさらに、複数の流体隔膜を形成するために長手方向に次々に配置された複数のシール10を有してもよい。これは、清浄流体スペースと原流体スペースを分離する際より高い安全性をもたらす。
【0069】
ヘッド構造6はさらに、フィルタエレメント2のヘッド端部に配置されたヘッド側端壁14を有し、そこに清浄流体出口開口16が形成されている。ヘッド構造6の側壁8は、周囲外側境界として清浄流体出口開口16を取り囲む。側壁8の2つの短めのセクションに加えて、側壁8の2つの対向する長めのセクションは全部で7つのウェブ18によって互いに接続されており、それにより清浄流体出口開口16は8つの部分清浄流体出口開口に分割されている。より少ない又は多い部分清浄流体出口開口もまた可能であると理解できる。ウェブ18が全くなく、それでヘッド構造6が側壁8によって取り囲まれた連続的な清浄流体出口開口16を有することでさえ可能である。側壁8の2つの狭いセクションは奥行方向に延在し、幅方向にヘッド構造6を画定する。
図1に示される実施形態では、外側が凸状になるように、側壁8の狭いセクションは外側で丸みを帯びている。したがって、側壁8は狭いセクションの領域で外側に湾曲する外側表面を有する。それに代えて、側壁8の狭いセクションはそれらの外側で直線的に又は凹状に形成されてもよい。側壁8の狭いセクションの凸状に丸みを帯びた設計は、特に温度変動の結果としてヘッド構造6における応力の減少を可能にし、よってフィルタエレメント2の耐久性を増加させる。これは、フィルタエレメントが高めの操作温度に晒されるときに際立った効果を有する。加えて、側壁8の狭いセクションの凸状に丸みを帯びた形状は、フィルタエレメント2の取り付け及び取り外しを容易化する。
【0070】
ヘッド構造6は、フィルタエレメント2を
図2~4に示されるフィルタエレメントホルダ26に挿入するように構成されており、そこで操作のためにフィルタ装置に保持される。
図2は、清浄流体側の取り付け用の構造においてフィルタエレメント2を示し、その際フィルタエレメント2は清浄流体スペースからフィルタエレメントホルダ26に挿入される。
図2は、取り付け中の位置におけるフィルタエレメント2を示し、フィルタエレメント2は最終位置にまだ到達していないが、その最終位置への途中の中間位置にある。
図3は、フィルタエレメントホルダ26においてその最終位置にあるフィルタエレメント2を示す。
【0071】
フィルタエレメントホルダ26は、少なくとも1つのフィルタエレメント受容部30が形成された支持プレート28を有する。支持プレート28は、例えば型打ちした又は深絞りされたシートメタル部品・薄板として形成されてもよく、フィルタエレメント受容部30はシートメタル部品から打ち抜かれた開口31と、開口31の縁に取り付けられたカラー40を有している。
図4の断面図にみられるように、ヘッド構造6の側壁8は少なくとも1つの外側に突出する突起36を形成してもよく、そこにフィルタエレメント2のフット端部に向いた端面38が形成されている。それに代えて、この突起はヘッド構造6にて側壁8の領域において外側に突出してもよい。フィルタエレメント2がフィルタエレメントホルダ26に挿入されると、最終位置にてヘッド構造6に形成された端面38が、フィルタエレメントホルダ26の対支承面34に当接する。それは、挿入方向へのフィルタエレメントホルダ26に対するフィルタエレメント2のさらなる移動を防ぐ。
【0072】
図3に示されるその取り付け位置では、フィルタエレメント2はそのヘッド構造6によってフィルタエレメント受容部30に挿入され、そこで保持される。取り付けのために、フィルタエレメント2のフィルタボディ4はそのフット端部によりまず清浄流体側からフィルタエレメント受容部30の開口31を通って通され、その後、保持構造を形成する、ヘッド構造6に形成された突起36が、フィルタエレメント2のフット端部に向いた端面38により、フィルタエレメント受容部30に形成された突起32の対支承面34に当接し、よって挿入方向のフィルタエレメント2のさらなる移動を阻止する。
【0073】
取り付け状態では、フィルタボディ4は、図示しないフィルタ装置の原流体スペース内に突出し、ヘッド構造6は清浄流体スペースに部分的に配置される。以下でより詳細に説明するように、ヘッド構造6はこうして、密封要素12のカラー40への当接により清浄流体スペースを原流体スペースに対して密封し、さらにフィルタエレメント2が端面38の対支承面34への当接によって支持プレート28に支持されることを保証する。
【0074】
開口31を取り囲むフィルタエレメント受容部30のカラー40は、支持プレート28から離れてほぼ直交して長手方向に延在する。支持プレート28から離れて指向したカラー40の端部42が、半径方向外側に曲がっており、フィルタエレメント2が挿入されるときにカラー40により形成される収容スペース41へのヘッド構造6の挿入を容易化するために、挿入補助部を形成している。カラーは好ましくは開口31の縁から僅かに凹んで配置されており、ヘッド構造6の突起36に正確にフィットするように形成されている。このようにして、開口31の縁に向かって突出する支持プレート28の部分は、対支承面34を有する突起32を形成し、対支承面に対して、フィルタエレメント2のヘッド構造6の突起36に形成された端面38が当接する。
【0075】
カラー40は、フィルタエレメント2が取り付けられるときにヘッド構造6のシール10に対向して位置するカラー支承面44を備えた内面42を有する。カラー支承面44は、密封要素12を用いて示された例では、シール10と共に原流体スペースを清浄流体スペースから密封するように構成されている。カラー支承面44は、取り付け状態においてシール10のぴったりフィットをもたらすように構成された凹所又は溝を含んでもよい。密封要素12が使用される場合、凹所又は溝は特に密封要素12を収容するように構成され得る。カラー支承面44は好ましくは、カラー40の内面42の周りに完全に周囲に配置される。
【0076】
本発明に従うフィルタエレメント及びフィルタエレメントホルダの設計により、その機能が原流体スペースと清浄流体スペースを分離することであるシール構造、特に側壁8、カラー支承面42及び場合により密封要素12に加えて、フィルタエレメント2をフィルタエレメントホルダ26に保持するさらなる構造、特に突起32及び36が設けられる。シール構造がフィルタエレメント2をフィルタエレメントホルダ26に保持し又はしっかり支持するために必要な力を受容する必要のないこの設計は、フィルタエレメント2及びフィルタエレメントホルダ26の相当容易でより良好な自動化製造を可能にすることが示された。
【0077】
例示の実施形態では、フィルタエレメント2は一体に形成される。これは、フィルタボディ4とヘッド構造6が同じ材料から作られることを意味する。材料は焼結された粒状物質、特に共に焼結された(sintered together)プラスチック粒子であってもよい。それにもかかわらず、フィルタボディ4及びヘッド構造6は異なる構造を有してもよく、又はフィルタボディ4とヘッド構造6の間に異なる構造差があってもよい。特に、フィルタボディ4のために、充分に多孔性の構造を有し、且つ受け入れ可能な圧力損失でろ過すべき流体の通過を可能とすることが望まれる。他方で、ヘッド構造6に対して、フィルタエレメント2をフィルタエレメントホルダ26に確実に受容し、支持するために、充分な剛性が第一に求められる。この点に関して、フィルタエレメント2は、特に赤外線焼結によって製造されてもよい。これは、フィルタボディ4及びヘッド構造6を形成する複数の領域におけるフィルタエレメントの多孔性の容易な制御を可能とし、ここでフィルタボディ4のための領域は、ヘッド構造6が形成される領域とは異なる多孔性を有する。特に、フィルタボディ4はヘッド構造6より高い多孔性を有する。対照的に、ヘッド構造はフィルタボディより硬く形成され、すなわちより強く共に焼結される(固められる)。
【0078】
図5は、フィルタエレメント2の狭い側に2つの丸みを帯びた領域に肉厚部分(厚盛)12Aを有する密封要素12を有する本発明に従うフィルタエレメント2の変形例を示す。それらの機能に関して同じ構成部品又は類似の構成部品がそれぞれ指定される限り、
図5において
図1~4と同じ参照番号が使用されることにもう一度留意されたい。以下では、
図5に従う実施形態における差異のみより詳細に説明し、他の構成部品の説明のために、
図5に従う実施形態にも同様に当てはまる
図1~4の記載を参照されたい。
【0079】
図5に従う実施形態においても、ヘッド構造6は、清浄流体出口開口16の周りに周囲に形成された長手方向に延在する側壁8を有する。側壁8は、互いに対向して位置しフィルタエレメント2の幅方向に延在する2つの長めの部分と、互いに対向して位置しフィルタエレメント2の奥行方向に延在し及び2つの長めの部分をフィルタエレメント2のそれぞれの端部で互いに接続する2つの長めの部分を有する。これら短めの部分はそれらの外側で丸みを帯びている。溝11が側壁8の外側に形成され、清浄流体出口開口16の周りに延在しており、そこにシールリングとして形成された密封要素12が収容される。図示の例示の実施形態では、密封要素12は基本的に丸い断面を有する。
【0080】
操作時に50℃以上の高めの温度を受けるフィルタエレメント2の場合、フィルタエレメント2は顕著な熱膨張を示し得ることが判明した。この熱膨張は、フィルタエレメント2の長めの側面22と平行な方向に比べて、特にフィルタエレメント2の幅方向に顕著に現れる。この理由のため、
図5に従う実施形態では、密封要素12は、奥行方向に延在し2つの長めの部分を接続する側壁8の短めの丸みを帯びた部分において、密封要素12の他の部分におけるよりも、大きめの断面を備えて形成されている。よって、密封要素12はこれら部分に、参照番号12Aで
図5において示された肉厚部分を有する。
図5において、密封要素12は肉厚部分12Aの領域により楕円形の断面を採用し、肉厚部分12Aの最大伸長部がフィルタエレメント2の幅方向を指し示していることが分かる。しかしながら、或る方向におけるフィルタエレメント2の強い熱膨張を補償するために、異なる断面形状(例えば、長方形や台形)を有する密封要素を用いる場合でも、肉厚部分12Aを有する密封要素12の図示の設計が可能であることを強調しておく。
【0081】
肉厚部分12Aの領域における密封要素12の大きめの断面のために、密封要素は、肉厚部分12Aの領域においてその最大断面の方向に、密封要素12の他の領域におけるよりも強く圧縮され得る。ある意味では、圧縮経路が延ばされ、それだけ密封要素12が圧縮され得る。肉厚部分12Aの領域における最大断面の方向がフィルタエレメント2の幅方向を、すなわちフィルタエレメント2の最大熱膨張が操作時に生じる方向を指し示すように、肉厚部分12Aは形成される。こうして、密封要素12の肉厚部分12Aは、フィルタエレメント2の熱膨張が主に幅方向に生じるときに圧縮され得る、追加の量の弾性材料又は圧縮性材料を与える。このようにして、密封要素12は、幅方向におけるフィルタエレメント2の追加の熱膨張を補償する。
【0082】
図6は、原流体側からフィルタエレメントホルダ70に取り付けるための、本発明に従うフィルタエレメント2の変形例の詳細図を示す。それらの機能に関して同じ構成部品又は類似の構成部品がそれぞれ指定される限り、
図6において
図1~5と同じ参照番号がやはり使用される。以下では、
図6に従う実施形態における差異のみより詳細に説明し、追加の構成部品の説明のために、
図6に従う実施形態にも同様に当てはまる
図1~5の記載を参照されたい。
【0083】
フィルタエレメントホルダ70は開口74を有する支持プレート72を有する。開口74を取り囲んでいるのは、支持プレート72から離れて長手方向に延在し、支持プレート72と共にフィルタエレメント受容部78を取り囲むカラー76である。取り付け状態において、カラー76はフィルタ装置の原流体スペースに突出する。フィルタエレメントホルダ70及びカラー76は、フィルタエレメントホルダ26及びカラー40と同様に形成されている。フィルタエレメント2が取り付けられるとき、フィルタエレメント2はそのヘッド構造6によって原流体スペースからカラー76と支持プレート72の間に形成された、フィルタエレメント受容部78を形成するスペースに挿入され、それでフィルタエレメント2のヘッド構造6の側壁8はカラー76の内側に形成されたカラー支承面80に対向して位置し、ヘッド構造6は主に原流体スペース内に位置する。側壁8とカラー支承面80の間に、密封要素12が側壁8とカラー支承面80に密封当接して位置する。取り付け状態において、フィルタエレメント2は不図示のファスナーによって、例えば原流体側からカラー76又は支持プレート72に取り付けられ及びフィルタエレメント2のヘッド構造6に形成された突起36の上に係合するクランプ又はシートメタル部品によって支持プレート72に固定され、それでヘッド構造6は支持プレート72とクランプ又はシートメタル部品の間に締め付けられる。それに代えて、ヘッド構造は、清浄流体側から支持プレート72を貫通してヘッド構造6内のねじ山にねじ留めされるビスなどによっても固定され得る。別な可能性は、1又は複数のビス又はボルトがカラー76を通してヘッド構造6にねじ込まれることである。
【0084】
図7は、原流体入口104及び清浄流体出口106を有するハウジング102を有するフィルタ装置100を概略的に示す。ハウジング102において、挿入されたフィルタエレメント2を有するフィルタエレメントホルダ26は、フィルタエレメントホルダ26及びフィルタエレメント2が、原流体入口104が開口している原流体スペース108と、清浄流体出口106に接続した清浄流体スペース110を分離するように、配置されている。フィルタ装置100では、フィルタエレメントホルダ26は水平に配置され、フィルタエレメント2はそれと直交して原流体スペース108に突出している。
図7では、フィルタエレメントホルダ26におけるフィルタエレメント2の清浄流体側取り付けタイプが示されている。これは、フィルタエレメント2が清浄流体スペース110からフィルタエレメントホルダ26に取り付けられ、フィルタエレメントホルダ26を通って原流体スペース108に突出することを意味する。清浄流体側への取り付けに適したフィルタエレメント2は
図1~5に示されている。
図7に示される清浄流体側への設置の代替として、フィルタエレメント2は原流体側でフィルタエレメントホルダ26に設置されてもよい。この目的のために、フィルタエレメント2は、そのヘッド構造によって原流体スペース108からフィルタエレメントホルダ26に載置される。清浄流体側への取り付けに適したフィルタエレメント2は
図6に示されている。
【0085】
フィルタエレメントホルダ26の水平配向の代替として、フィルタエレメントホルダを垂直に又はハウジング102に対して異なる角度で配置することも可能である。これは、代替の実施形態におけるフィルタエレメント2もハウジング102に対して異なる配向・向きを有し得ることを意味する。
【0086】
図8はフィルタエレメント2を製造するための工程を示し、フィルタエレメント2の製造はオートメーション化される。本方法は、貫流多孔性で固有に安定したフィルタボディ4を製造すること、ヘッド構造6をフィルタボディ4に形成することを有する。そうする際、ヘッド構造6は、清浄流体スペース110を原流体スペース88に対して密封するために、フィルタ装置80のフィルタエレメントホルダ26と協働するように構成された少なくとも1つのシール10を具備される。
【0087】
第1ステップ200では、好ましくは、粒状プラスチック材料が焼結型に充填される。ステップ102では、粒状プラスチック材料が貫流多孔性で固有に安定したフィルタボディ4を形成するように、焼結型が加熱される。焼結型は、フィルタエレメント2のヘッド構造6がフィルタエレメント2上に又はフィルタエレメント2と一緒に形成される領域で異なって又はより強く加熱され、それでより硬くて殆ど流体不浸透性の材料構造がヘッド構造6のその領域に形成される。フィルタボディ4とヘッド構造6の間の移行部は、フィルタボディ4より低い多孔性及びヘッド構造6より高い多孔性を有する。焼結型は、シール10を形成するために又はとにかく密封要素12を受容する凹所又は溝11などのシール10に属する構造を形成するために使用される構造を有し得る。それに代えて、シール10は焼結プロセスに後続するステップで形成されてもよく、それもオートメーション化され得る。焼結型に詰められたプラスチック材料がフィルタボディ4を形成することになる焼結型の複数の領域、及び焼結型に詰められたプラスチック材料がヘッド構造6を形成することになる複数の領域への異なる熱供給を有するゾーンを実現するために、焼結は特に赤外線焼結によって実行され得る。これにより、様々な領域でフィルタエレメント2のそれぞれの望ましい多孔性や剛性を制御することが特に容易になる。本方法は、フィルタボディ4がヘッド構造6と一体に又はワンピースで形成されるように実行され得る。この理由のため、付加的なファスナーをフィルタボディ4とヘッド構造6を接続するために使用する必要はない。フィルタエレメント2が焼結型内で冷却した後、それはステップ204において焼結型から取り外される。これは好ましくは、焼結型を開け、フィルタエレメントを焼結型の外側に持ち上げることで行われる。
【符号の説明】
【0088】
2 フィルタエレメント
4 フィルタボディ
6 ヘッド構造
8 側壁
10 シール
12 密封要素
【手続補正書】
【提出日】2021-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド端部と長手方向に反対側のフット端部の間に延在する貫流多孔性のフィルタボディ(4)を有するフィルタエレメント(2)であって、
ヘッド構造(6)が前記フィルタエレメント(2)の前記ヘッド端部に形成され、当該ヘッド構造(6)は、フィルタエレメント(2)をフィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するように構成された少なくとも1つのシール(10)を有
するフィルタエレメント(2)において、
前記ヘッド構造(6)は、基本的に長手方向に延在する側壁(8)を有し、前記シール(10)は、フィルタエレメント(2)の前記ヘッド構造(6)の当該基本的に長手方向に延在する側壁(8)に形成されている、
ことを特徴とするフィルタエレメント(2)。
【請求項2】
前記シール(10)は、前記ヘッド構造(6)に形成された清浄流体出口開口部(16)の周りに、少なくとも部分的に周囲に、特に完全に周囲に延在するように、前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項3】
前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するために、前記シール(10)は、前記長手方向に対して交差して延在する密封要素(12)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項4】
前記側壁(8)は前記密封要素(12)を収容する凹所(11)を有し、当該凹所(11)は特に基本的に前記長手方向に直交して延在する、ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項5】
前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に対して密封するために、前記長手方向に対して交差して延在し、且つ、前記側壁(8)と協働する、特に前記凹所(11)と協働する密封要素(12)をさらに有する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項6】
前記密封要素(12)は、Oリング、デルタリング、Xリング、Tリング、発泡シール又はファイバーシールを有する、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項7】
前記側壁(8)は複数の凹所(11)を有する、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項8】
前記清浄流体出口開口部(16)は、前記フィルタエレメント(2)の前記ヘッド端部に配置された端壁に形成されている、ことを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項9】
前記フィルタエレメント(2)は、少なくとも3つの側壁(22,24)、特に少なくとも4つの側壁(22,24)、及び前記フット端部で前記側壁(22,24)を互いに接続する少なくとも1つのフット端壁を有する、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項10】
前記フィルタエレメント(2)は、2つの広い側壁(22)と、当該広い側壁(22)を互いに接続する2つの狭い側壁(24)を有し、
特に前記側壁(22,24)の領域が前記フィルタボディを形成する、ことを特徴とする請求項9に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項11】
清浄流体スペースが前記側壁(22,24)の間に形成され、当該清浄流体スペース内を前記側壁を通過後の原流体から形成される清浄流体が流れる、ことを特徴とする請求項9又は10に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項12】
前記2つの広い側壁(22)の少なくとも1つがジグザグ状に又は波形に形成され、前記少なくとも1つの側壁の山及び谷は、基本的に前記フィルタエレメント(6)の長手方向に延びる伸長を有する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項13】
前記ヘッド構造(6)内の前記山及び谷は前記ヘッド端部に向かって平らになっており、それで前記ヘッド構造(6)内に形成される清浄流体出口(16)は基本的に、清浄流体流れのために長方形断面を有する、ことを特徴とする請求項12に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項14】
前記ヘッド構造(6)は前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26)に固定するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項15】
前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタエレメントホルダ(26)に構成された保持構造(32)と協働するように構成された少なくとも1つの外側に突出する突起(36)を形成する、ことを特徴とする請求項14に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項16】
前記ヘッド構造(6)は、少なくともその一部において前記側壁(8)の領域で外側に突出し、それにより前記フィルタエレメント(2)を前記長手方向の移動に対して固定するために、前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタボディの前記フット端部に向いた端面であって、前記フィルタエレメントホルダ(26)に構成された対端面(34)と協働する端面(38)を構成する突起を形成する、ことを特徴とする請求項14又は15に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項17】
前記ヘッド構造(6)は前記フィルタボディ(4)と一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項18】
前記フィルタボディ(4)は焼結された粒状物質から成り、前記ヘッド構造(6)は前記フィルタボディと一体に共に焼結されている、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項19】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は共に焼結されたプラスチック粒子から構成されている、ことを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項20】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は赤外線焼結により製造されている、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項21】
フィルタエレメント(2)は積層造形法によって製造可能である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)を収容するように構成されたフィルタエレメントホルダ(26;70)であって、
前記フィルタエレメント(2)がそのヘッド構造(6)によってフィルタエレメント受容部(30;78)に着座するように前記フィルタエレメント(2)が挿入可能である少なくとも1つのフィルタエレメント受容部(30;78)を有する支持プレート(28;72)を有する
フィルタエレメントホルダ(26;70)において、
前記フィルタエレメント受容部(30;78)は、前記フィルタエレメントの前記ヘッド構造(6)に形成された前記シール(10)と協働するシール構造(44;74)を有する、ことを特徴とするフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項23】
前記支持プレート(28;72)は型打ちした又は深絞りされたシートメタル部品を有する、ことを特徴とする請求項22に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項24】
前記フィルタエレメント受容部(30)が、前記支持プレート(28;72)から前記長手方向に延在するカラー(40;76)を有する、ことを特徴とする請求項22
又は23に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項25】
前記カラー(40;76)は、原流体スペースを清浄流体スペースから密封するために前記フィルタエレメント(2)の前記シール(10)と協働するように構成されたカラー支承面(44;80)を有する、ことを特徴とする請求項
24に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項26】
シール保持構造、特に凹所が、前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)に設置される前記シール(10)を受容するように構成された前記カラー支承面(44;80)に形成されており、
前記シール保持構造が、特に前記カラー支承面(44;80)の周囲全体にわたって延在するように形成されている、ことを特徴とする請求項
25に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)。
【請求項27】
前記フィルタエレメント(2)が挿入状態においてフィルタ装置の原流体スペースと清浄流体スペースを分離するように、前記フィルタエレメント(2)が挿入可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(2)と請求項22~
26のいずれか一項に記載のフィルタエレメントホルダ(26;70)の組み合わせであって、
前記ヘッド構造(6)の前記側壁(8)と前記フィルタエレメント受容部(30;78)が、特に前記長手方向に対して交差して延在する密封要素(10)と協働して、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に対して密封するように協働する、組み合わせ。
【請求項28】
原流体スペース(108)、
清浄流体スペース(110)、を有するフィルタ装置(100)であって、
フィルタ装置(100)は、請求項
27に記載の少なくとも1つのフィルタエレメント(2)と1つのフィルタエレメントホルダ(26;70)の少なくとも1つの組み合わせを有し、
挿入状態における前記フィルタエレメント(2)が前記原流体スペースと前記清浄流体スペースを分離するように、前記フィルタエレメント(2)は、前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に形成されたフィルタエレメント受容部(30;78)に挿入されている、フィルタ装置(100)。
【請求項29】
フィルタエレメント(2)を製造する方法であって、
貫流多孔性の固有に安定したフィルタボディ(4)を製造し、及び
前記フィルタボディ(4)にヘッド構造(6)を形成し、ここでフィルタ装置(100)の清浄流体スペースと原流体スペースを分離するために、前記ヘッド構造(6)に、フィルタ装置(100)のフィルタエレメントホルダ(26;70)と協働するように構成された少なくとも1つのシール(10)を具備
する方法において、
前記フィルタエレメント(2)の製造がオートメーション化される、
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記シール(10)が、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に対して密封するために、長手方向に対して交差して延在する密封要素(12)を有する、ことを特徴とする請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記ヘッド構造(6)は、基本的に長手方向に延在する側壁(8)を具備され、前記シール(10)は、当該基本的に長手方向に延在する側壁(8)に形成される、ことを特徴とする請求項
29又は
30に記載の方法。
【請求項32】
前記ヘッド構造(6)は、前記フィルタエレメント(2)を前記フィルタエレメントホルダ(26;70)に固定するために、前記フィルタ装置(100)の前記フィルタエレメントホルダ(26;70)と協働するように形成される、ことを特徴とする請求項
29~
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は焼結法によって、特に共に焼結されるプラスチック粒子から製造される、ことを特徴とする請求項
29~
32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は赤外線焼結によって製造される、ことを特徴とする請求項
29~
33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記フィルタボディ(4)及び前記ヘッド構造(6)は一体に製造される、ことを特徴とする請求項
29~
34のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】