(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】圧縮成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 69/02 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
B29C69/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523049
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2020059774
(87)【国際公開番号】W WO2021074887
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019000018965
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルカ アルディジェリ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR07
4F213WA04
4F213WA06
4F213WA63
4F213WB01
4F213WC05
4F213WF01
4F213WF36
(57)【要約】
圧縮成形によってポリマー材料製の物体を得るための成形装置は:
・ポリマー材料のドーズ(10)から物体(11)を形成する少なくとも1つの金型(6)と;
・第1の軸線(Z1)の周りを回転可能な中央支持体(13)を有し、第1の閉路(P1)に沿って移動可能な少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)を備え、搬送要素(9;109;209)はドーズ(10)を収集し、その後ドーズ(10)を金型(6)内に放出する、搬送手段(8)と;
・第2の軸線(Z2)の周りを回転可能な中央本体(14)を有し、第2の閉路(P2)に沿って移動可能な少なくとも1つの移送要素(17)を備え、移送要素(17)は金型(6)から物体(11)を運び去る、移送手段(12)と;
を備える。第1の軸線(Z1)は第2の軸線(Z2)とは別個であり、第1の閉路(P1)と第2の閉路(P2)から選択される1つの経路が、少なくとも1つの点(O1、O2)で、第2の閉路(P2)と第1の閉路(P1)から選択される別の経路と重なるような少なくとも1つの点(O1、O2)が存在する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ポリマー材料のドーズ(10)から物体(11)を成形するための少なくとも1つの金型(6)と、
・第1の軸線(Z1)の周りを回転可能な中央支持体(13)を有し、第1の閉路(P1)に沿って移動可能な少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)を備え、前記搬送要素(9;109;209)は、ドーズ(10)を収集し、その後前記ドーズ(10)を前記金型(6)内に放出するためのものである、搬送手段(8)と、
・第2の軸線(Z2)の周りを回転可能な中央本体(14)を有し、第2の閉路(P2)に沿って移動可能な少なくとも1つの移送要素(17)を備え、前記移送要素(17)は、前記物体(11)を前記金型(6)から送出コンベア(18)に向けて搬送するように構成される、移送手段(12)と、
を備える装置であって、
前記第1の軸線(Z1)は前記第2の軸線(Z2)とは別個であり、前記第1の閉路(P1)と前記第2の閉路(P2)から選択されるある経路が、少なくとも1つの点(O1、O2)で、前記第2の閉路(P2)と前記第1の閉路(P1)から選択される別の経路と重なるような前記少なくとも1つの点(O1、O2)が存在する、装置。
【請求項2】
前記金型(6)が雄型部(28)及び雌型部(29)を有し、前記移送要素(17)が移送位置(RP)で前記物体(11)を受け取るように構成され、前記移送位置(RP)は、前記移送要素(17)が前記雄型部(28)と前記雌型部(29)の間に挟まれる位置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポリマー材料を分配するための分配手段(2)を更に備え、前記分配手段(2)は、ポリマー材料の連続押出物を送出方向(E)に分配するための下向きの送出開口部(3)を有し、前記移送要素(17)が、前記送出開口部(3)の下を通って前記ドーズ(10)を収集するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記移送要素(17)が前記送出開口部(3)と前記第2の閉路(P2)に沿って垂直方向に整列することを防ぎ、かつ、前記移送要素(17)と前記連続押出物の間で干渉が起こらないように、前記送出開口部(4)の付近で、前記第2の閉路(P2)が前記第1の閉路(P1)に対して横方向に変位する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記金型(6)が雄型部(28)及び雌型部(29)を有し、前記雄型部(28)は前記雌型部(29)の下方に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の閉路(P1)が少なくとも第1の円形部分を含み、前記第2の閉路(P2)が少なくとも第2の円形部分(P2C)を含み、前記第1の円形部分の半径(D1)が、前記第2の円形部分(P2C)の半径(D2)よりも小さい、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記金型(6)が移動方向(RS)に移動可能であり、前記搬送要素(9)が、前記移動方向(RS)とは反対方向である第1の前進方向(R1)に前記第1の閉路(P1)に沿って移動可能であり、前記移送要素(17)が、前記移動方向(RS)とは反対方向である第2の前進方向に前記第2の閉路(P2)に沿って移動可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の閉路(P1)と前記第2の閉路(P2)から選択される前記ある経路が、別個かつ互いに離れている2つの点(O1、O2)で、前記第2の閉路(P2)と前記第1の閉路(P1)から選択される前記別の経路と重なり、前記第1の閉路(P1)及び前記第2の閉路(P2)は、各前記2つの点(O1、O2)の上流及び下流に位置する各領域では互いに重ならない、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
・前記金型(6)が軌道(PS)に沿って移動可能であり、
・前記軌道(PS)に沿って引き渡し位置(DP)が規定され、前記金型(6)は、前記引き渡し位置(DP)において前記搬送要素(9;109;209)の付近にあり、その結果、前記搬送要素(9;109;209)が前記金型(6)内に前記ドーズ(10)を放出し、
・前記軌道(PS)に沿って移送位置(RP)が規定され、前記金型(6)は、前記移送位置(RP)において前記移送要素(17)の付近にあり、その結果、前記移送要素(17)が、前記物体(11)を前記金型(6)から離間移動させるために、前記金型(6)から前記物体(11)を受け取り、
・前記引き渡し位置(DP)は前記移送位置(RP)とは別個である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記引き渡し位置(DP)が、前記軌道(PS)に沿った前記金型(6)の移動方向(RS)で見て前記移送位置(RP)の上流の軌道(PS)に沿って規定される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記軌道(PS)が中心軸(A)の周りに延在し、前記引き渡し位置(DP)及び前記移送位置(RP)は、前記中心軸(A)の周りで算出すると、互いに対して20°以下の角距離(Q)で配置される、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の閉路(P2)が前記第1の閉路(P1)よりも高い位置に配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の閉路(P1)が円形経路である、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記送出コンベア(18)が前記移送手段(12)の下流に配置され、前記第2の閉路(P2)は非円形部分(P2E)を有し、前記非円形部分(P2E)は、前記移送要素(17)が前記物体(11)を前記第2の軸線(Z2)から徐々に離間移動させて、前記物体(11)を前記送出コンベア(18)に送出するように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の軸線(Z1)が前記第2の軸線(Z2)に対して平行である、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記中央支持体(13)及び前記中央本体(14)は、共通のモータ(30)によって、それぞれ前記第1の軸線(Z1)の周り及び前記第2の軸線(Z2)の周りを回転するように駆動することができる、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記共通のモータ(30)が、前記中央支持体(13)及び前記中央本体(14)を回転させることができる歯車伝達装置(32)を更に備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記搬送要素(9;109;209)は、前記ドーズ(10)が前記搬送要素(9;109;209)によって受け取られる第1の向きから、前記ドーズ(10)が前記搬送要素(9;109;209)によって前記金型(6)内に放出される第2の向きにドーズ(10)を回転させるように、前記第1の軸線(Z1)に対して横方向に配置される回転軸線(R)の周りで更に回転可能である、請求項1~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の向きと前記第2の向きの間で前記搬送要素(9;109;209)を運動させるための運動装置(39)を更に備え、前記運動装置(39)は2つのカム(40、45)を備え、前記2つのカム(40、45)は、互いに連動して作動して、前記搬送要素(9;109;209)が前記第1の閉路(P1)に沿って移動する間、前記搬送要素(9;109;209)を前記回転軸線(R)の周りで回転させる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記運動装置(39)が前記搬送要素(9;109;209)に関連付けられるキャリッジ(42)を更に備え、前記キャリッジ(42)は前記中央支持部(13)によって摺動可能に支持され、前記2つのカム(40, 45)が、前記キャリッジ(42)を前記第1の軸線(Z1)から離間移動させるため又は前記第1の軸線(Z1)に接近移動させるための第1のカム(40)を含み、前記第1のカム(40)は、固定位置に配置される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記2つのカム(40、45)が、前記キャリッジ(42)によって前記回転軸線(R)の周りで振動することができる更なるカム(45)を含み、前記更なるカム(45)は、前記搬送要素(9;109;209)に固定される、請求項20に記載の器具。
【請求項22】
キャリッジ(42)が、前記第1のカム(40)のカムプロファイル(41)と係合可能な第1のカム従動子(44)と、前記更なるカム(45)のガイドプロファイル(47)と係合可能な第2のカム従動子(48)を支持する、請求項21に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料のドーズを圧縮成形して物体を製造するための装置に関する。
【0002】
本発明による装置は、例えば、飲料又は他の食品流体を調製するために、コーヒー等の粉末状又は顆粒状の物質を収めるように構成されるカプセルを製造するために使用することができる。あるいは、本発明による装置は、ボトル等の容器を形成するためにブロー成形工程又は延伸ブロー成形工程に供されるように構成されるプリフォームを製造するために使用することができる。より一般的に言えば、本発明による装置は、例えばカップ、ジャー若しくはボウル、又は他の物体、特にキャップのような凹状幾何学的形状を有するがそれに限定されない他の物体等の、任意の種類の容器を製造するために使用することができる。
【0003】
本発明による装置により、圧縮成形に供することができる任意のポリマー材料から出発して、単一の材料で作られる物体を製造することができる。あるいは、本発明による装置により、多層構造を有する、すなわち、互いに異なるポリマー材料でできた2種以上の層を並べて配置することによって形成される壁を有する凹状物体を製造することができる。
【背景技術】
【0004】
ポリマー材料のドーズを圧縮成形して物体を製造する装置が公知である。この公知の装置は、ポリマー材料を分配するための押出機と複数の金型を備え、各金型は、パンチを有する雄型部と、キャビティを有する雌型部を有し、雌型部は雄型部の下に配置される。金型は、垂直軸線の周りを回転可能な成形カルーセルの周囲領域に配置される。この公知の装置は、更なる垂直軸線の周りを回転移動可能な複数の搬送要素を備える搬送カルーセルを更に備える。回転中、各搬送要素は押出機の付近を通って、押出機からポリマー材料のドーズを収集する。その後、当該搬送要素は、金型の雌型部の上方を通過し、各キャビティ内にドーズを放出して、その結果、金型の雌型部と雄型部の間でドーズを成形して所望の物体を得ることができる。移送カルーセルが更に設けられており、移送カルーセルは複数の移送要素を有する。各移送要素は、成形カルーセルから離れている場所に物体を搬送するために、形成され金型から取り出されたばかりの物体を受け取るのに適している。
【0005】
移送カルーセルは搬送カルーセルと同軸である、すなわち、移送カルーセルは、搬送カルーセルも回転する同一の垂直軸線の周りを回転可能である。各移送要素は、搬送要素と軸方向に整列し、対応する搬送要素の上方にある。このように、金型が開放位置にあるとき、搬送要素及び移送要素が、雄型部と雌型部の間に同時に導入される。搬送要素が雌型部のキャビティ内にドーズを堆積させる間、移送要素は同じ金型の雄型部から物体を受け取る。この物体は、成形カルーセルからすぐに離間移動することができる。
【0006】
上記の種類の圧縮成形装置の欠点は、金型の開放位置において、雄型部と雌型部の間に搬送要素と移送要素の両方を挿入できるようにするために、雄型部と雌型部がかなり離れている必要があることである。
【0007】
この状況は、ある種の搬送要素、例えば、搬送カルーセルの軸線の周りを回転可能であることに加えて、搬送カルーセルの中央本体に対して例えば半径方向に位置決めされた軸線の周りを回転可能なアームによって支持される搬送要素では悪化する。これらの搬送要素は、ドーズと接触するように構成される平坦な搬送面によって画定される。搬送面は、搬送要素が押出機からドーズを収集するとき(収集構成)は、実質的に垂直な構成であり、ドーズが金型のキャビティ内に放出されるとき(放出構成)は、実質的に水平な構成である。搬送要素が金型の雌型部と雄型部の間に挟まれ始めるとき、搬送面はまだ水平に配置されていないが、傾斜姿勢であり、したがって搬送面が雌型部と雄型部の間に挿入されるには、軸方向においてかなりの空間を必要とする可能性がある。
【0008】
ある種のドーズ、例えば細長い円筒状ドーズでさえも、軸方向の寸法がかなり大きい搬送要素を必要とする。この搬送要素は、金型が開放位置において互いに十分な距離を置いて配置される場合にのみ、金型の雌型部と雄型部の間に挿入することができる。
【0009】
開放位置において雌型部と雄型部を互いにかなりの距離を離して配置すると、金型を開閉するために、成形カルーセルの寸法及び各金型に関連するアクチュエータのストロークの寸法が増大する。
【0010】
上記の種類の搬送要素は、対応する軸線の周りで搬送カルーセルを回転させる従来のモータ装置に加えて、搬送要素の各アームを回転させて回収構成と放出構成の間で搬送面を動かす駆動装置を必要とする。
【0011】
既知の圧縮成形装置のいくつかの実施例は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/096515号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第3150355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、圧縮成形によってポリマー材料製の物体を得るための公知の装置を改良することである。
【0014】
更なる目的は、開放位置において、金型の雌型部と雄型部の間の距離が過剰でない圧縮成形装置を提供することである。
【0015】
更なる目的は、放出位置において、形成される物体の冷却に対して過度に悪影響を及ぼすことなく、金型の雌型部と雄型部の間の距離を制限しておくことである。
【0016】
別の目的は、ポリマー材料のドーズを圧縮成形装置の金型に向けて搬送するための搬送手段を改良することである。
【0017】
別の目的は、2回の別個の運動を行うように構成される搬送要素を有する搬送手段を提供することである。この搬送要素は、搬送要素によってドーズが受け取られる第1の向きと、搬送要素によって金型内にドーズが放出される第2の向きの間で、高精度かつ正確に動くことができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様では、
・ポリマー材料のドーズから物体を形成するための少なくとも1つの金型と、
・第1の軸線の周りを回転可能な中央支持体を有し、第1の閉路に沿って移動可能な少なくとも1つの搬送要素を更に備え、当該搬送要素は、ドーズを収集するためあるいはドーズを金型内に放出するためのものである、搬送手段と、
・第2の軸線の周りを回転可能な中央本体を有し、第2の閉路に沿って移動可能な少なくとも1つの移送要素を更に備え、当該移送要素は、形成された物体を金型から運び去るためのものである、移送手段と、
を備える装置が提供される。第1の軸線は第2の軸線とは別個であり、第1の閉路と第2の閉路から選択されるある経路が、少なくとも1つの点で、第2の閉路と第1の閉路から選択される別の経路と重なるような少なくとも1つの点が存在する。
【0019】
より具体的には、金型から送出コンベアに向けて物体を搬送するための少なくとも1つの移送要素が第2の閉路に沿って移動可能である。
【0020】
特に、少なくとも1つの移送要素は、移送要素が金型の雌型部と雄型部の間に挟まれる移送位置で物体を受け取るように構成される。
【0021】
本発明の第1の態様によれば、第1の閉路、すなわち搬送要素の経路が、第2の閉路、すなわち移送要素の経路に対して平面視でずれている装置を得ることができる。
【0022】
このように、搬送要素は、移送要素が形成された物体を金型から取り出す位置とは異なる位置に配置された金型内に、ドーズを放出することができる。言い換えれば、搬送要素は、移送要素が形成された物体を金型から取り出すのと同時には金型内にドーズを放出しないが、搬送要素及び移送要素は、異なる瞬間に同じ金型と相互作用する。したがって、搬送要素及び移送要素が金型の雄型部と雌型部の間に同時に挟まれる必要はない。これにより、金型の最大開度位置、すなわち、雄型部と雌型部が互いに最も離れた位置における金型の雄型部と雌型部の間の距離を減少させることができる。その結果、特に雄型部と雌型部を互いに離間移動又は接近移動するように配置されるアクチュエータのストロークに関して、金型の寸法が減少し、本装置の構造が単純化する。
【0023】
同時に、第1の閉路、すなわち搬送要素の経路と、第2の閉路、すなわち移送要素の経路は、少なくとも1つの点で重なる。このことは、第1の閉路と第2の閉路が互いに近接したままであり、そのため、金型内に形成された物体を効果的に冷却できることを意味する。
【0024】
実際、形成された物体は、金型の雌型部と雄型部の両方に接触しているとき、すなわち金型が閉鎖位置に配置されているときに、効果的に冷却される。この位置では、形成された物体が、金型の雌型部によって行われる冷却作用と、雄型部によって行われる冷却作用の両方から利益を得ることができる。実際には通常、雌型部と雄型部の両方ともそれぞれ冷却回路を備える。形成された物体がまだ金型の内部にあるが、雌型部及び雄型部が互いに離れている場合、形成された物体は、金型の一部、すなわち物体が接触している部分によってのみ行われる冷却作用の利益を受ける可能性がある。その結果、冷却効率が低下する。
【0025】
本発明の第1の態様による装置では、第1の閉路及び第2の閉路が別個の軸の周りに延在しており、したがって完全には重なり合わない。しかしながら、第1の閉路及び第2の閉路は、少なくとも一点で重なる。このことは、これらの経路が互いに比較的近接していることを意味する。これにより、雌型部を雄型部から離れたままにでき、その結果、形成された物体が金型の一部と接触したままである時間をあまり長くしないようにすることができる。したがって、金型の雄型部及び雌型部は、形成された物体を効果的に冷却することができる。
【0026】
一実施形態では、少なくとも1つの金型が雄型部及び雌型部を有する。
【0027】
雄型部は雌型部の下に配置することができる。
【0028】
雄型部及び雌型部のこの配置は、コーヒー用又は他の食品用のカプセル等のある種の製品を得るのに特に適している。
【0029】
一実施形態では、本装置が、少なくともポリマー材料を分配するための分配手段を備える。
【0030】
分配手段は、下向きの送出開口部を備えてもよい。
【0031】
こうすることで、連続押出物を、例えば垂直又は実質的に垂直な送出方向に沿って、下方に分配することができる。
【0032】
頂部から底部まで連続的な押出物を分配する分配手段を提供することにより、ポリマー材料のドーズを、金型の雌型部の下に配置された雄型部上に配置することができる。
【0033】
分配手段の配置、並びに上記で開示した金型の雄型部及び雌型部の配置は、分配手段が下向きの送出開口部を有し、金型の雄型部が雌型部の下方に配置されるものであり、第1の閉路(すなわち、搬送要素の経路)が第2の閉路(すなわち、移送要素の経路)に対して平面視でずれているため、これらの配置を容易に採用することができる。
【0034】
移送要素の経路に対して搬送要素の経路を平面視でずらすことによって、分配手段と移送要素の間で干渉が起こらないようにすることができる。これらの干渉があると、連続押出物を正確に分配し、ドーズを搬送要素に送達することが困難になり、又は不可能にさえなる。これらの干渉が起こらないのは、第2の閉路、すなわち移送要素の経路が、分配手段の送出開口部から離れている、すなわち送出開口部に対して横方向に変位しており、そのため移送要素が送出開口部の下を通らないからである。
【0035】
一実施形態では、第1の閉路が少なくとも第1の円形部分を含み、第2の閉路が少なくとも第2の円形部分を含む。
【0036】
第1の円形部分の半径の大きさは、第2の円形部分の半径未満である。
【0037】
したがって、第2の閉路(すなわち、移送要素の経路)は、平面視において、第1の閉路(すなわち、搬送要素の経路)に対して送出コンベアに向かって突出することができる。これにより、送出コンベアの配置方法を最適化し、本装置の寸法を縮小することができる。
【0038】
更に、移送要素によって第2の経路に沿って搬送される物体に作用する遠心力が低下する。
【0039】
本発明の第2の態様では、分配手段によって分配されるポリマー材料のドーズを金型に向けて搬送するための少なくとも1つの搬送要素を備える装置が提供される。搬送要素は、分配手段から金型に向かう経路に沿って移動する第1の運動を実行して、ドーズを金型に運ぶように構成される。搬送要素は、第1の運動に加えて、軸線の周りを回転する第2の運動を実行して、搬送要素によってドーズが受け取られる第1の向きから、搬送要素によってドーズが金型内に放出される第2の向きにドーズを回転させるように構成される。本装置は、少なくとも1つの搬送要素を運動させるための運動装置を更に備える。運動装置は2つのカムを備え、この2つのカムは、互いに連動して作動して、少なくとも1つの搬送要素が当該経路に沿って変位している間、当該少なくとも1つの搬送要素を軸線の周りで回転させるように配置される。
【0040】
本発明の第2の態様による装置によって、搬送要素を、第1の運動及び第2の運動の両方に関して、単純かつ正確に運動させることができる。
【0041】
本発明は、本発明の非限定的かつ例示的な実施形態を示す添付の図面を参照することで、より良く理解し、実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】圧縮成形によって物体を製造する装置の斜視図である。
【
図2】
図1の装置における搬送要素、金型及び移送要素の経路の概略平面図である。
【
図3】
図1の装置を鉛直平面で切断した断面図である。
【
図4】
図3の詳細を示す拡大図であり、
図1の装置における搬送要素を駆動するための運動装置を強調している。
【
図6】
図1の装置における搬送手段の斜視図であり、分かりやすくするために幾つかの部分が取り除かれている。
【
図7】
図6の搬送手段の上面図であり、
図6の移送手段及び搬送手段を駆動する駆動システムを示す。
【
図8】代替実施形態による搬送要素の斜視図である。
【
図9】別の代替実施形態による搬送要素の斜視図である。
【
図10】
図1の装置における移送手段の上面図であり、分かりやすくするするために幾つかの部分が取り除かれている。
【0043】
図1は、圧縮成形によってポリマー材料製の物体を製造するための装置1を示す。装置1が製造できる物体は凹状物体であり、特に容器、例えば、液体によって抽出することができる原料を含むコーヒー又は他の物質用のカプセル、あるいは、ジャー、カップ又はボウル等である。あるいは、装置1は、ブロー成形によって容器又はキャップを形成するためのプリフォームを製造するために使用することもできる。しかしながら、装置1は、凹部状でない物体を製造することもできる。
【0044】
装置1は、少なくともポリマー材料を分配するための分配手段2を備える。分配手段2は、
図3、
図4及び
図10に示されており、
図6にも概略的に示されている。
【0045】
分配手段2は、互いに異なるポリマー材料でできた複数の層を含む連続押出物を分配するための共押出装置を備えることができる。
【0046】
あるいは、分配手段2は、単一の材料でできた、すなわち、互いに異なる複数のポリマー材料ではなく単一のポリマー材料でできた連続押出物を押し出すように配置される押出装置を備えてもよい。
【0047】
図2及び
図10に示すように、分配手段2は長方形状又は正方形状の送出開口部3を有し、そのため長方形又は正方形の断面を有する帯状の連続押出物を分配する。帯の断面が長方形である場合、長方形の底辺がその高さよりはるかに大きくてもよいが、この条件は必須ではない。
【0048】
図示の例では、
図6から分かるように、送出開口部3が下向きである。分配手段2は、垂直又は実質的に垂直な送出方向Eに沿って、連続押出物4を下方に分配するように構成される。しかしながら、この条件は必須ではない。
【0049】
装置1は成形装置を更に備え、この成形装置は、図示の例において、
図1に概略的に示す成形カルーセル5のような形状である。成形カルーセル5は、図示の例で垂直に配置されている各軸線Aの周りを回転可能である。成形カルーセル5は、成形カルーセル5の周囲領域に複数の金型6を備え、各金型6は、ポリマー材料のドーズを成形するように構成され、このドーズは、連続押出物4を切断して得られ、その結果、圧縮成形によって物体11が得られる。
【0050】
図1の表示では金型6を示していないが、対応する金型6を収容するように構成されるいくつかの収容孔7a、7bのみを示している。収容孔7a、7b、したがって金型6は、成形カルーセル5の全周に沿って、例えば角度方向に等間隔で分布していることが理解される。いくつかの金型6については、
図6に示す。
【0051】
図2に示すように、金型6は軌道PSに沿って移動し、図示の例においてこの軌道は閉路状、例えば、軸線Aを中心とする円形路状である。
【0052】
図6に示すように、各金型6は、成形軸線Sに沿って互いに整列する雄型部28及び雌型部29を有する。図示の例では、成形軸線Sが垂直である。図示の例では、雄型部28が雌型部29の下方に位置するが、この条件は必ずしも必須ではない。実際には、雄型部28と雌型部29の他の相互配置も可能である。
【0053】
各金型6の雄型部28と雌型部29は、
図6に示す最大開度位置PAと、図示しない形成位置の間で相対移動可能である。最大開度位置PAでは、雄型部28と雌型部29が互いに離れており、相互間距離が最大である。形成位置では、雄型部28と雌型部29が互いに近接しており、雄型部28と雌型部29の間に、形成される物体の形状に対応する形状を有する成形チャンバを画定することが可能である。
【0054】
装置1は、雄型部28と雌型部29を最大開度位置PAと形成位置の間で移動させるための作動装置を備える。図示の例では、作動装置が雄型部28に関連付けられ、雄型部28が対応する成形軸線Sに沿って移動する一方、雌型部29は成形軸線Sに沿った固定位置に留まっている。しかしながら、代替実施形態では、雌型部29のみを成形軸線Sに沿って移動させ、又は雌型部29と雄型部28の両方を成形軸線Sに沿って移動させることも可能である。
【0055】
作動装置は、例えば液圧式でもよく、カムのような機械式でもよい。
【0056】
分配手段2と成形カルーセル5の間には、搬送手段8が介在する。図示の例では、搬送手段8が搬送カルーセルのような形状である。搬送手段8は複数の搬送要素9を備え、搬送要素9は
図6でより明瞭に見ることができる。各搬送要素9は、分配手段2から出てくるポリマー材料から分離するポリマー材料のドーズ10を成形カルーセル5に向けて搬送するように配置される。
【0057】
図6でより明確に分かるように、搬送手段8は、図示の例において実質的に円筒形状のドラムのような形状の中央支持体13を備える。中央支持体13は、以下でより詳細に説明する駆動システムのおかげで、第1の軸線Z1の周りを回転可能である。第1の軸線Z1は、実質的に垂直であってもよい。
【0058】
搬送要素9は、中央本体13の周囲領域で中央本体13によって支持される。
【0059】
中央支持体13が第1の軸線Z1の周りを回転するとき、搬送要素9は、
図2に示す第1の経路P1に沿って分配手段2から金型6に向けて移動し、ドーズ10を金型6に運ぶ。この移動は、搬送要素2の第1の運動を規定する。
図2に示すように、第1の経路P1の、金型6の軌道PSからの距離、より具体的には、金型6の一部(図示の例では雄型部28)の軌道PSからの距離は、少なくとも引き渡し位置DPに対応する位置で最小になる(例えば、重なる)。引き渡し位置DPでは、搬送要素9によって対応する金型6にドーズ10を引き渡すことができる。
【0060】
第1の経路P1は閉路、特に第1の軸線Z1を中心とする円形経路である。図示の例において、第1の経路P1は、平面視で、引き渡し位置DPにおいて金型6の軌道PSに接している。
【0061】
図示しない代替実施形態では、第1の経路P1が非円形閉路であってもよい。非円形閉路は、第1の経路P1、すなわち搬送要素9の経路が一点だけでなくより長い部分において金型6の軌道PSと重なることが望ましい場合に、特に適している。これにより、搬送要素9は十分に長い時間、金型6の一部の上(例えば、以下により詳細に記載するように、金型6の雄型部の上)に重ねられたままとなり、ドーズ10が位置決め不良なしに金型6内に放出されるようにすることができる。
【0062】
更に各搬送要素9は、第1の運動の間に、第1の運動に加えて、搬送要素9の回転軸線の周りを回転する第2の運動を行うように構成されており、この軸線は、
図6においてRで表示され、単一の搬送要素9について示されている。この第2の運動により、以下でより詳細に説明するように、ドーズ10の向きを変更することができる。
【0063】
装置1は移送手段12を更に備える。移送手段12は、ドーズ10を圧縮成形して形成された物体11を金型6から離間移動させるように構成される。
【0064】
図3に示すように、移送手段12は、図示の例では垂直である第2の軸線Z2の周りを回転可能な中央本体14を備える。第1の軸線Z1の周りで搬送手段8の中央支持体13が回転可能であり、第2の軸線Z2は第1の軸線Z1とは異なる、すなわち、第1の軸線Z1とは一致しない。特に、第2の軸線Z2は、第1の軸線Z1と平行であってもよく、これらの軸はいずれも、成形カルーセル5の軸線Aと平行であってもよい。
【0065】
移送手段12は、中央本体14に固定される支持円盤15を更に備る。したがって、支持円盤15は、中央本体14と共に第2の軸線Z2の周りを回転可能である。支持円盤15は、上面16によって画定され、成形カルーセル5から離間移動させなければならない物体11を静止状態で受け取るのに適している。
【0066】
移送手段12は、複数の移送要素17を更に備え、各移送要素17は、対応する金型6から取り出された物体11を収集し、この物体11を成形カルーセル5から運び去る。移送要素17は、金型6から物体11を取り外す取り出し要素の助けを借りて、あるいは、図示しない実施形態では、例えばシュート等の別の部品の助けを借りて、金型6から物体11を受け取ることができる。いずれの場合でも、移送要素17は、金型6から送出コンベア18に向けて物体11を搬送するように配置される。送出コンベア18は、例えば、移送要素17から対応する物体11を受け取り、物体11を装置1から離間移動させるために、移送手段12の下流に配置されるベルトコンベアのような形状にすることができる。
図10に概略的に示す送出コンベア18は、各送出軸線Uに沿って延在してもよい。
【0067】
移送手段12と送出コンベア18の間には中間支持体19が設けられており、中間支持体19は
図10に概略的に示されている。中間支持体19は、支持円盤15上にあらかじめ載置された物体11を移送要素17が送出コンベア18に向けて移動させている間、物体11を一時的に支持するのに適している。
【0068】
各移送要素17は、金型6から送出コンベア18に向けて物体を搬送するために、物体11と係合するのに適した搬送部20を備える。搬送部20はC字状であってもよく、物体11を受け取ることができる台座21を有する。図示の例では、搬送部20が物体11の側壁と相互作用して、物体11を送出コンベア18に向けて移動させる押し込み作用を側壁に及ぼす。図示の例では、各物体11が逆さまの構成で、すなわち、物体11の凹部が支持円盤15に面した状態で、支持円盤15上に配置される。しかしながら、この条件は必須ではない。
【0069】
各移送要素17は、搬送部20から軸線Z2に向かって突出する長尺状部分22を更に備える。長尺状部22は、軸線Z2に対して略放射状に配置することができる。
【0070】
移送要素17は、各搬送部20の支持円盤15からの距離が短くなるように、支持円盤15の上方に配置される。このように、物体11が物体11の縁部から延びるフランジを有する場合、フランジは、支持円盤15上に載置され、支持円盤15と対応する移送要素17との間に介在し、一方、物体対象物11は移送要素17によって搬送される。
【0071】
各移送要素17には、例えばローラ状のカム従動子23が設けられている。カム従動子23は、支持円盤15に対向する移送要素17の表面、すなわち移送要素17の上面に設けられてもよい。
【0072】
移送要素17のカム従動子23は、装置1における固定位置に位置するカム要素24と係合するのに適している。図示の例では、カム要素24が支持円盤15の上方及び移送要素17の上方に配置されている。特に、カム要素24はカムトラック25を有することができる。カムトラック25は、例えば溝のような形状であり、カムトラック25では、カム従動子23が移動できる。
【0073】
図10に示すように、カムトラック25の位置は、第2の軸線Z2から非一様な距離にある。移送要素17は、支持円盤15に対して半径方向に摺動可能なように、支持円盤15によって支持される。このため、支持円盤15上には、例えば溝状の半径方向ガイド26があってもよく、半径方向ガイド26では、移送要素17の対応する突出部が係合する。
【0074】
装置1は、物体11、例えば物体11の側壁と相互作用して、物体11がコンベア18に向けて搬送されている間に物体11を誘導するガイド要素27を更に備える。ガイド要素27は円弧状であってもよく、搬送部20の外側に配置される、すなわち、搬送部20に対して軸線Z2から離れた位置に配置される。
【0075】
ガイド要素27は、装置1における固定位置に取り付けられる。
【0076】
作動中、中央本体14が第2の軸線Z2の周りを連続的に回転し、中央本体14に伴って支持円盤15も回転する。また、支持円盤15によって支持される移送要素17も、第2の軸線Z2の周りを回転する。移送要素17に関連付けられるカム従動子23は、カム要素24のカムトラック25に沿って移動する。カム従動子23がカムトラック25に沿って移動すると、各カム従動子23の第2の軸線Z2からの距離が変化する。その結果、移送要素17は半径方向ガイド26によって誘導され、支持円盤15に対して半径方向に移動する。
【0077】
より詳細には、各移送要素17は、
図2に概略的に示す第2の閉路P2に沿って移動可能である。より具体的には、
図2に示す第2の閉路P2は、各移送要素17の台座21の中心点の経路である。
【0078】
第2の閉路P2は、少なくとも移送位置RPに対応するある位置で、金型6(より正確には金型6の一部であり、図示の例では雄型部28)の軌道PSからの距離が最小になり、例えば金型6の軌道PSと重なる。移送位置RPでは、移送要素17が、物体11を送出コンベアに運ぶために、金型6から物体11を受け取る。図示の例において平面視では、第2の閉路P2が移送位置RPで金型6の軌道PSに接している。
【0079】
図示の例では、第2の閉路P2が略円形延伸部P2Cを有する。延伸部P2Cでは、移送要素17が円弧に沿って物体11を搬送し、それにより、物体11と第2の軸線Z2の間の距離が実質的に一定に保たれる。略円形延伸部P2Cは、移送位置RPの付近、特に移送位置RPのすぐ下流に位置する。
【0080】
また、第2の閉路P2は拡張延伸部P2Eを有し、拡張延伸部P2Eでは、物体11と第2の軸線Z2の間の距離が徐々に増加する。拡張延伸部P2Eは、略円形延伸部P2Cの下流に位置する。カム要素24は、拡張延伸部P2Eに沿って、支持円盤15の外側に向けて、例えば支持円盤15に対して半径方向に移送要素17を移動させ、一方、支持円盤15は第2の軸線Z2の周りを回転する。したがって、物体11は、支持円盤15の周囲に向けて移動し、次いで中間支持体19上を通過する。物体11は、中間支持体19から送出コンベア18上に移送される。したがって、第2の経路P2の拡張延伸部P2Eにより、送出コンベア18の中心線に沿って物体11を配置することができる。
【0081】
第2の閉路P2は、拡張延伸部P2Eの下流に戻り延伸部P2Rを有する。移送要素17は、戻り延伸部P2Rに沿って、支持円盤15に対して半径方向に移動し、第2の軸線Z2に向けて移動する。これにより、各移送要素17が移送位置RPに戻るとき、移送要素17は金型6と軸方向に又はほぼ軸方向に整列する。
【0082】
金型6は、軌道PSに沿って、図示の例で時計回りの回転方向、すなわち移動方向RSに移動する。
【0083】
搬送要素9は、閉路P1に沿って、金型6の回転方向RSと反対方向、したがって図示の例で反時計回りである第1の回転方向、すなわち第1の前進方向R1に移動する。
【0084】
移送要素17は、第2の閉路P2に沿って、金型6の回転方向RSと反対方向、したがって図示の例で反時計回りである第2の回転方向、すなわち第2の前進方向R2に移動する。
【0085】
搬送要素9と成形カルーセル5をそれぞれ反対方向に回転させることで、搬送要素9が対応する雄型部28上に重なっている時間を最大にすることができ、これにより、製造速度が高い状態で装置1が作動するときでも、ドーズ10を金型部28に容易に移送することができる。
【0086】
同様に、移送要素17と成形カルーセル5をそれぞれ反対方向に回転させることで、対応する金型6から物体11を受け取るために各移送要素17が利用できる時間を最大にすることができ、これにより、製造速度が高い状態で装置1が作動するときでも、移送要素17は物体11と容易に係合することができる。
【0087】
図示の例では、第1の閉路P1が第2の閉路P2よりも低い位置に配置されている。搬送要素9は、移送要素17が移動する高さよりも低い高さで移動する。特に、第1の閉路P1及び第2の閉路P2は、それぞれ互いに平行な平面内に存在してもよい。第1の閉路P1が存在する平面は、図示の例では、第2の閉路P2が存在する平面よりも低い位置にある。
【0088】
図2に示すように、第2の閉路P2は、2つの重複点O1及びO2で第1の閉路P1と重なる。重複点O1、O2は別個であり、互いに離れている。より具体的には、第1の重複点O1は、移送位置RP及び引き渡し位置DPに近く、例えば、移送位置RPのすぐ上流又は移送位置RPのすぐ下流に位置してもよい。他方、第2の重複点O2は、分配手段2の上流、例えば、第2の閉路P2の拡張延伸部P2Eと戻り延伸部P2Rの間に挟まれた領域に配置される。したがって、第1の閉路P1及び第2の閉路P2は、2つの各重複点O1、O2の上流及び下流に位置する各部分では重ならない。
【0089】
作動中、搬送要素9は第1の閉路P1に沿って移動する。この移動の間、各搬送要素9は分配手段2の付近、特に分配手段2の下方を通過し、分配手段2の送出開口部3から出てくるポリマー材料のドーズ10を収集する。搬送要素9は、引き渡し位置DPに到達するまで第1の閉路P1に沿って移動し続ける。搬送要素9は、引き渡し位置DPで金型6内にドーズ10を放出することによって、ドーズ10を金型6に引き渡す
【0090】
引き渡し位置DPでは、金型6が開放位置にあり、各搬送要素9は雄型部28と雌型部29の間に軸方向に挟まれている。図示の例では、引き渡し位置DPにおいて、各搬送要素9は雄型部28の上方にあり、ドーズ10が雄型部28の上面に載るようにドーズ10を放出する。その後、搬送要素9は金型6から係合解除され、もはや雄型部28と雌型部29の間に挟まれなくなる。搬送要素9は、第1の閉路P1に沿って移動し続け、分配手段2の付近に戻り、分配手段2から新しいドーズ10を収集する。
【0091】
同時に、移送要素17は、第2の閉路P2に沿って移動する。ある時点で、各移送要素17が移送位置RPに到達する。移送位置RPでは、移送要素17が、開放位置にある金型6の雄型部28と雌型部29の間に挟まれる。移送位置RPでは、各移送要素17が対応する金型6から物体11を収集する。より詳細には、図示の例で金型6が開いたとき、物体11は雌型部分29に関連付けられたままである。物体11は、雌型部29から取り外されて支持円盤15上に放出され、その結果、移送要素17によって物体11を搬送することができる。移送要素17は、第2の閉路P2に沿って移動することにより、物体11を送出コンベア18に引き渡し、新しい物体11を受け取るために移送位置RPに戻る。
【0092】
図2に示すように、引き渡し位置DPは移送位置RPと軸方向に整列していない。引き渡し位置DPと移送位置RPは、金型6の軌道PSに沿って規定され、成形カルーセル5の軸線Aの周りで角度方向に離れている。より具体的には、引き渡し位置DPと移送位置RPは、成形カルーセル5の軸線Aの周りで角度Qだけ離れている。
【0093】
図示の例では、移送位置RPが、成形カルーセル5の回転方向RSについて引き渡し位置DPの下流に配置されている。
【0094】
このことは、移送要素17が物体11を金型6から、特に雌型部29から受け取るとき、搬送要素9がドーズ10を金型6内に、特に雄型部28上に既に配置していることを意味する。したがって、移送要素17が金型6と相互作用するとき、搬送要素9は、金型6から少なくとも部分的に既に係合解除されている。
【0095】
こうすることで、金型の最大開度位置、すなわち雌型部28と雄型部29のお互いからの距離が最大となる位置における雌型部28と雄型部29の間の距離を小さくすることができる。実際には、搬送要素9及び移送要素17を雌型部28と雄型部29の間に同時に挟む必要はない。
【0096】
図2に示すように、第1の軸線Z1及び第2の軸線Z2は一致せず、そのため、第1の閉路P1及び第2の閉路P2は互いにずれているが、いずれにしても第1の軸線Z1及び第2の軸線Z2は互いに近接している。引き渡し位置DP及び移送位置RPはあまり離れていない。実際、角度Qは比較的小さく、特に20°未満、好ましくは10°未満である。
【0097】
角度Qは、金型6の軌道PSのうち物体11が最大効率で冷却されない部分に対応するため、角度Qの範囲をこうすることで、物体11の効果的な冷却が悪影響を受けなくなる。実際、軌道PSのうち角度Qに対応する部分では、物体11は依然として雌型部29と接触しているが、既に雄型部28から分離しており、雄型部28上には既に新たなドーズ10が堆積されている。したがって、軌道PSのこの部分において、物体11は、冷却回路がある雌型部29によって行われる冷却作用からのみ利益を得ることができ、雄型部30によって行われる冷却作用からは利益を得られない。角度Qは小さく、物体11が雄型部28から早期に分離しても物体11の温度には著しい影響がないので、いずれにしても物体11は効果的に冷却される。
【0098】
図2、
図3及び
図10に示すように、第1の閉路P1は、搬送要素9が分配手段2から対応するドーズ10を順次収集できるように、送出開口部3の下を通る。第2の閉路P2は送出開口部3に対して横方向に変位しているので、移送要素17は送出開口部3の下を通らない、すなわち、移送要素17は決して送出方向Eに沿って送出開口部3と整列しない。したがって、移送要素17は、送出開口部3から流出する連続押出物4と相互作用しない。
【0099】
上記のように、第1の閉路P1は円形であり、より一般的には少なくとも1つの円形部分を有する。
【0100】
また、第2の閉路P2は少なくとも1つの第2の円形部分を有し、これは図示の例で略円形延伸部P2Cと一致する。
【0101】
図2から分かるように、第2の閉路P2の略円形延伸部P2Cの半径D2は、第1の閉路P1の半径R1よりも大きい。
【0102】
より一般的に言えば、第2の閉路P2の第2の円形部分の半径D2は、第1の閉路P1の第1の円形部分の半径D1よりも大きい。
【0103】
この特徴と、第2の軸線Z2の位置が第1の軸線Z1と一致しないことによって、第2の閉路P2は、平面視で第1の閉路P1から送出コンベア18が設けられている領域に突出することができる。
【0104】
これにより、送出コンベア18の位置の選択の際、特に装置1の寸法を最小にできるような送出軸線Uの方位の選択の際に、自由度が大きくなる。
【0105】
更に、第1の閉路P1及び第2の閉路P2が少なくとも1つの点で、具体的には2つの重複点O1、O2で重なるので、中央支持体13及び中央本体14は互いに比較的近接して配置されてもよい。こうすることで、単一のモータを使用して、搬送手段8の中央支持体13と移送手段12の中央本体14を両方とも、それぞれ軸線Z1、Z2の周りで回転させることができる。
【0106】
図1及び
図3に示すように、装置1は、中央支持体13と中央本体14を両方とも回転駆動するように配置されるモータ30を備える。モータ30は駆動シャフト31を有し、この駆動シャフト31は、第1の軸線Z1に一致する軸線に沿って、又は第2の軸線Z2に一致する軸線に沿って延びてもよい。図示の例では、駆動シャフト31が第1の軸線Z1に沿って延びており、そのため、モータ30を第1の軸線Z1の周りで回転させることにより、モータ30が中央支持体13を直接駆動する。中央支持体13から中央本体14へ、すなわち搬送手段8から移送手段12へ動きを伝達するために、
図7に示す伝達装置32が更に設けられる。
【0107】
図示の例では、伝達装置32が歯車伝達装置である。特に、伝達装置32は、第1の回転軸線Z1の周りを回転可能な第1の歯車33を備える。第1の歯車33は、駆動シャフト31と搬送手段8の中央支持体13とに固定される。
【0108】
伝達装置32は、第2の回転軸線Z2の周りを回転可能であり、かつ移送手段12の中央本体14に固定される第2の歯車34を更に備える。
【0109】
伝達装置32は、第1の歯車33と第2の歯車34の間に挟まれ、かつ駆動シャフト31からの回転運動を移送手段12の中央本体14に伝達するように設計される中間歯車35を更に備える。
【0110】
作動中、モータ30は、駆動シャフト31を介して、搬送手段8の中央支持体13を第1の回転方向R1に回転させる。したがって、搬送要素9は第1の閉路P1に沿って移動する。第1の歯車33は、駆動シャフト31と同軸であり、駆動シャフトと共に回転し、第1の回転方向R1とは反対方向に中間歯車35を回転させる。中間歯車35は、第2の歯車34を第2の回転方向R2に回転させる。第2の回転方向R2は第1の回転方向R1と一致する。したがって、移送手段12の中央本体14は第2の軸線Z2の周りを回転し、その結果、移送要素17は第2の閉路P2に沿って移動する。
【0111】
したがって、伝達装置32により、中央支持体13からの動きを正しい伝達比で中央本体14に伝達することと、中央支持体13及び中央本体14を同じ回転方向に回転させることの両方が可能になる。
【0112】
図示していない代替実施形態では、図示している実施形態とは異なる種類の伝送装置32、例えば伝達ベルトを備える伝送装置32を使用することが可能である。
【0113】
既に述べたように、各搬送要素9は、第1の運動(中央支持体13の第1の軸線Z1の周りの回転運動)に加えて、第2の運動を行う。第2の運動は、考慮される搬送要素9による回転軸線Rの周りの回転運動である。
【0114】
図6に示すように、第2の運動を行うために、図示の例では各搬送要素9が部品36によって支持されている。複数の部品36が設けられ、部品36は、中央支持体13の周囲領域、例えば中央支持体13に対する固定位置に配置される。各部品36は「L」字状であってもよい。
【0115】
各部品36は搬送要素9を支持し、搬送要素9はピン37によって部品36に回転可能に接続される。各ピン37は、対応する搬送要素9の回転軸線Rに沿って延びている。
【0116】
各回転軸線Rは、第1の軸線Z1に対して横方向に、特に垂直方向に配置されている。回転軸線Rは単一平面内に存在してもよく、例えば第1の軸線Z1に対して半径方向に配置されてもよい。
【0117】
各搬送要素9は搬送面38によって画定される。搬送面38は、ドーズを金型6に向けて搬送するために、ドーズ10と接触するように構成される。
【0118】
図示の例では搬送面38が平坦である。搬送面38のこの形状は、
図6に示すように、直方体状のドーズ10を搬送するのに特に適している。しかしながら、搬送面38は平坦でない形状であってもよく、特にドーズ10が直方体状でない場合、例えば円筒状部のようであってもよい。
【0119】
装置1は、各回転軸線Rの周りで搬送要素9を回転させるための運動装置39を更に備え、これにより、搬送要素9は第2の運動を行うことができる。
【0120】
図示の例で搬送要素9は、搬送面38が下向きになるように、特に水平面上に横たわるように、第1の閉路P1の大部分に対して配置される。
【0121】
第1の閉路P1におけるある領域では、搬送要素9が分配手段2の付近、特に連続押出物4が出てくる送出開口部3の下方を通る。
【0122】
分配手段2の上流では、搬送要素9が各回転軸線Rの周りを回転し、それにより、搬送要素9自体を
図4、6、及び7に示す収集構成CPに位置決めする。収集構成CPでは、収集要素8が連続押出物4から分離したドーズ10を収集する。収集構成CPでは、搬送面38が垂直方向に向いてもよいし、垂直方向に対してわずかに後ろに向いてもよい。
【0123】
このように、ドーズ10は、分配手段2から実質的に垂直な送出方向Eに沿って出て、やはり実質的に垂直方向に配置された搬送面38上に載り、その結果、ポリマー材料の粘性のおかげで搬送面38に接着する。
【0124】
ドーズ10は、収集構成CPで搬送要素9から受け取られ、同時に、ドーズ10の向きは、図示の例で実質的に垂直である第1の向きである。代替実施形態では、例えば送出方向Eが垂直ではないため、ドーズ10の向きは収集構成CPで非垂直な可能性がある。
【0125】
収集構成CPでドーズ10を受け取った後、搬送要素9が中央支持体13によって第1の軸Z1の周りを移動する間(第1の運動)、搬送要素9は、対応する回転軸線Rの周りを回転し続ける(第2の運動)。搬送要素9は、
図6及び
図7に示す放出構成CRに到達するまで、回転軸線Rの周りを回転する。放出構成CRでは、例えばドーズ10を雄型部28の上面に配置することによって、ドーズ10が金型6内に放出される。放出構成CRでは、搬送面38が下向きであり、特に、実質的に水平であってもよい。
【0126】
放出構成Rでは、ドーズ10の向きが、金型6内に放出されるのに適した第2の向きである。
【0127】
金型要素6内にドーズ10を放出した後、搬送要素9が分配手段2の送出開口部3の付近に戻り、分配手段2の上流に戻るまで、搬送要素9は放出構成CRのままであってもよい、すなわち、搬送面38は下向きのままであってもよい。
【0128】
運動装置39は、
図3及び
図4に示す第1のカム40を備える。第1のカム40は、装置1における固定位置に位置する。第1のカム40は板状であってもよい。第1のカム40は、例えば第1のカム40の上面に形成される溝状のカムプロファイル41を有する。この溝は、第1の軸線Z1の周りを閉ループ状に延びてもよい。カムプロファイル41は、第1の軸線Z1に対して垂直に延びてもよい。
【0129】
運動装置39は、搬送要素9毎に、摺動方向S1に沿う少なくとも1つの摺動ガイド43に沿って移動可能なキャリッジ42を更に備え、摺動方向S1は、第1の軸線Z1に対して半径方向に配置されてもよい。図示の例では2つの摺動ガイド43が設けられ、互いに異なる高さに配置されている。摺動ガイド43は直線ロッド状であってもよい。摺動ガイド43は中央支持体13に固定される。
【0130】
第1のカム従動子44が各キャリッジ42に固定され、特にキャリッジ42の下面に取り付けられる。第1のカム従動子44は、回転自在なホイールであってもよく、例えば第1の回転軸線Z1に対して平行な軸を有するホイールであってもよい。
【0131】
運動装置39は、搬送要素9毎に更なるカム45を更に備える。更なるカム45は、
図4で概略的に図示され、
図5でより正確に図示される。
【0132】
更なるカム45は、対応する回転要素8の回転軸線Rに沿って延びる長尺体のような形状である。より正確には、更なるカム45は、内部にピン37を受け入れることができる穴46を有する。更なるカム45は、ピン37及びピン37が関連付けられている搬送要素9に固定されるように取り付けられる。
【0133】
更なるカム45上には、第2のカム従動子48が係合できるガイドプロファイル47があり、第2のカム従動子48はキャリッジ42によって支持されている。
【0134】
ガイドプロファイル47は、回転軸線Rの周りに延びる螺旋状のプロファイルであってもよい。ガイドプロファイル47は、更なるカム45の外面に形成される溝のような形状であってもよい。
【0135】
図示の例では、更なるカム45の円筒面49の一部にガイドプロファイル47が形成される。また、更なるカム45は、円筒面49の一部に隣接して配置され、かつ回転軸線Rに対して平行に延びる平坦面によっても画定される。
【0136】
更なるカム45は、ピン37及びピン37が固定されている搬送要素9と共に対応する回転軸線Rの周りを回転できるように取り付けられる。しかしながら、更なるカム45は、対応する回転軸線Rに沿って摺動することはできない。
【0137】
第2のカム従動子48は、キャリッジ42において、第1のカム従動子44が取り付けられる面とは反対側の面に設けられる。したがって、図示の例において、第2のカム従動子48は、ガイドプロファイル47と係合するように、キャリッジ42の上面に取り付けられ、上面から突出する。第2のカム従動子48は、第1の軸線Z1に対して平行な軸線の周りを自由に回転することができるローラのような形状にすることができる。
【0138】
作動中、モータ30は、第1の軸線Z1の周りで中央支持体13を連続的に回転させ、第1の閉路P1に沿って搬送要素9を移動させる。また、中央支持体13によって支持されるキャリッジ42も、第1の軸線Z1の周りを回転移動する。キャリッジ42が第1の軸線Z1の周りを移動する間、対応する第1のカム従動子44は第1のカム40のカムプロファイル41に沿って移動し、他方、カムプロファイル41は装置1における固定位置にある。カムプロファイル41の固定位置は、第1の軸線Z1から距離を置いて配置され、この距離はカムプロファイル41に沿って一定でないため、第1のカム40は、対応する摺動ガイド43に沿って各キャリッジ42を前後に動かす。このようにして、第2のカム従動子48はそれぞれ、対応する更なるカム45のガイドプロファイル47に沿って移動する。ガイドプロファイル47が螺旋状であり、より一般的には、対応する回転軸線Rに対して平行ではなく、一方、第2のカム従動子48がガイドプロファイル47に沿って移動するので、対応する更なるカム45は回転軸線Rの周りを回転し、これにより、収集構成CPと放出構成CRの間で各搬送要素9が回転し、より具体的には振動する(搬送要素9の第2の運動)。これにより、搬送要素9は、ドーズ10が第1の向きに配置されている間、分配手段2から出てくるドーズ10を収集し、ドーズ10が第2の向きに配置されている間、ドーズ10を金型6内に配置することができる。
【0139】
各搬送要素9が更なるカム45に関連付けられているので、全ての搬送要素9に作用する第1のカム40と、搬送要素9の数と等しい数だけ設けられている更なるカム45を組み合わせることで、搬送要素9を集合構成CPと放出構成CRの間で確実かつ簡単に運動させることができる。特に、運動装置39を作動させるために、とりわけ複雑な調整動作は必要とされない。更に、運動装置39は比較的堅牢であり、容易には破損しない。
【0140】
図3~
図5を参照して上述した種類の運動装置39は、搬送手段8の中央支持体13と移送手段12の中央部材14が同軸である装置1、すなわち、第1の軸線Z1と第2の軸線Z2が一致する従来の装置1に使用してもよい。
【0141】
装置1は、連続押出物4からドーズ10を分離するために、少なくとも1つの分離要素50を更に含む。
【0142】
図示の例では複数の分離要素50が設けられており、各分離要素50は搬送要素9に関連付けられ、特に搬送要素9によって支持される。例えば、
図6に示すように、各分離要素50は、搬送面38を画定する刃先のような形状にすることができる。
【0143】
分離要素50が分配手段2の送出開口部3の下を通るとき、分離要素50は、特に送出開口部3からドーズ10を削り取ることによって、ドーズ10を切断する。ドーズ10は、金型6に向けて運ばれるように、搬送要素9に、特に搬送面38に接着したままである。
【0144】
分離要素50は、図示のものとは異なる形状であってもよい。例えば、各分離要素50は、搬送要素9に固定されるブレードを備えてもよい。
【0145】
また、搬送要素9から独立した分離要素50を設けることも可能であり、特に、搬送要素9の上流に配置され、搬送要素9とは別個である分離要素、例えば、分配手段2と搬送要素9の間に挟まれた位置で回転するブレード、あるいはレーザビームを設けることも可能である。
【0146】
送出開口部3が長方形状又は正方形状ならば、連続押出物4から分離するドーズ10は直方体状である。この場合、直方体におけるある面、例えば他の面に対して最大の面積を有する面は、ドーズ10を金型6に向けて搬送している間に、搬送面38に付着する。
【0147】
搬送要素9には吸引手段が設けられてもよく、この吸引手段を選択的に作動させて、搬送中にドーズ10を搬送面38と接触させて保持することができる。
【0148】
搬送要素9には送風手段が更に設けられてもよく、送風手段を選択的に作動させて、搬送面38からのドーズ10の取り外しを容易にし、それによりドーズ10を金型6に送出することができる。
【0149】
図8は代替実施形態による搬送要素109を示しており、この実施形態では、吸引手段及び/又は送風手段が設けられている。この場合、搬送要素9の搬送面38上に複数の通気孔51が開口し、孔51は、搬送面38と相互作用するドーズ10と、真空源(吸引手段に含まれる)あるいは圧縮空気源(送風手段に含まれる)との間で流体連通を確立するように構成されている。搬送要素109が分配手段2からドーズ10を収集しようとしているとき、又は収集したばかりであるとき、孔51は、ドーズ10が望ましくない変形を受けずに搬送面38に取り付けられたままとなるように、真空源に接続される。また、ドーズ10が金型6に向けて搬送されている間、特に、ドーズ10が実質的に水平な構成で配置された搬送面38によって搬送される場合、孔51は真空源に接続されたままであってもよい。このように、搬送面38が下向きであっても、ドーズ10は搬送面38に付着したままである。
【0150】
ドーズ10を金型6内に放出する必要があるときは、孔51を圧縮空気源に接続し、それにより圧縮空気を供給することができる。この圧縮空気によって、ドーズ10を搬送面38から容易に取り外すことができる。更に、圧縮空気によって、搬送面38を清潔に、すなわち、ポリマー材料の残留物がない状態に保ち、ドーズ10から放出される熱によって搬送面38が過度に加熱されることを回避することができる。
【0151】
孔51は円形であってもよく、直径が0.2mm以下であってもよい。孔51の横方向の寸法が非常に小さければ、これらの孔がドーズ10に跡を残すことが防止される。
【0152】
孔51は、搬送要素9上に作られた対応する台座に収容されるインサート52上に形成されてもよい。インサート52は、少なくとも部分的に搬送面38を画定する。インサート52は、ドーズ10と接触するように構成される面によって画定され、この面は、搬送要素9の周辺面と同一平面上にある。
【0153】
インサート52はアルミニウム製であってもよい。分離要素50、より一般的に言えば、インサート52を収容する台座を有する搬送要素9の本体全体は、スチール製であってもよい。材料をこのように組合せることで、搬送面38に付着し、適切な瞬間に搬送面38から分離するドーズ10の容量に関して、搬送要素9の良好な挙動が得られることが実験的に判明している。更に、上述の材料の組み合わせは、搬送中にドーズ10の温度を正確に維持するのに役立つことがある。
【0154】
図9に示す代替実施形態では、押出要素53、すなわち、適切な瞬間にドーズ10を下方に押し、それによってドーズ10が搬送面から離れて金型6内に放出されるのに役立つ機械的要素を備える搬送要素209が設けられている。
【0155】
搬送要素59は、ドーズ10が金型6に向けて搬送される間にドーズ10と接触するように構成される搬送面238を有し、搬送面238は、押出要素53を区切る接触面54によって部分的に画定され、押出要素53を囲む搬送要素9の周辺面55によって部分的に画定される。
【0156】
押出要素53は、
図9に示す後退位置と、図示しない突出位置の間で移動可能である。後退位置では、接触面54が周辺面55と同一平面上に配置され、搬送面238を画定する。突出位置では、接触面54が周辺面55に対して突出し、その結果、ドーズを金型6の下部により落としやすくすることができるように、押出要素53がドーズ10に作用し、それによりドーズ10を周辺面55から分離する。
【0157】
押出要素53は、搬送要素9が金型6の雄型部と雌型部の間に挟まれるときに突出位置に移動し、その結果、ドーズ10は押出要素53によって搬送要素9から分離し、金型6内に直接堆積する。
【0158】
押出要素53は、ドーズ10を搬送面238に接触させて保持し、及び/又はドーズ10を搬送面238から容易に分離できるようにするために、図示しない吸引手段及び/又は送風手段を備えてもよい。
【0159】
図8及び
図9を参照して上述した搬送要素の実施形態は、搬送手段8の中央支持体13及び移送手段17の中央本体14が同軸である装置、すなわち、第1の軸線Z1が第2の軸線Z2と一致する装置にも使用することができる。
【0160】
上述のように、連続押出物4は、単一の材料から作られてもよいし、多層、すなわち、互いに異なるポリマー材料の複数の層で作られてもよい。連続押出物4が多層であれば、連続押出物4から分離したドーズ10も多層構造を有する。図示の例においてドーズ10は、
図6に示すように、図面において黒色で示す中間層56を有し、中間層56は、図面において白色で示す2つの外層57の間に挟まれる。中間層56は、例えば酸素、気体、及び/又は光に対するバリア特性を有する材料によって形成することができる。
【0161】
図示の例では中間層56が平坦状である。ドーズ10が搬送要素9によって搬送される間、中間層56は搬送面38に対して平行である。
【0162】
上述の装置1は特に汎用性の高い装置であり、単一の材料で作られる物体、又は異なる幾何学的形状による多層構造を有する物体を、圧縮成形によって製造するために使用されてもよい。
【0163】
装置1では、搬送手段8と移送手段12を共通の支持体に取り付けてもよい。
【0164】
装置1は、共通の支持体に接続され、共通の支持体を第1の作動位置と第2の作動位置の間で移動させる(したがって、搬送手段8及び移送手段12を同時に移動させる)ように構成される移動手段を更に備えてもよい。
【0165】
第1の作動位置では、共通の支持体が搬送手段8及び移送手段12を成形カルーセル5の付近に配置し、その結果、装置1は物体11を規則的に製造することができる。第2の作動位置では、移動手段が共通支持体を成形カルーセル5から離間移動させ、その結果、例えば金型6等の装置1の部品の維持又は修理作業を行うことができる。
【0166】
移動手段は、国際公開第2011/010294号に開示された種類のものにすることができる。
【0167】
搬送手段8及び移送手段12を支持する共通の支持体のおかげで、移動手段により、非常時に又は必要があるときはいつでも、搬送手段8と移送手段12の両方を成形カルーセル5から迅速に離間移動させることができる。
【0168】
結論として、本発明の第2の態様によれば、分配手段(2)によって分配されるポリマー材料のドーズ(10)を金型(6)に向けて搬送するための少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)を備える装置が提供される。搬送要素(9;109;209)は、分配手段(2)から金型(6)に向けて経路(P1)に沿って移動する第1の運動を実行して、ドーズ(2)を金型(6)に運ぶように構成される。搬送要素(9;109;209)は、第1の運動に加え、軸線(H)の周りを回転する第2の運動を実行して、搬送要素(9;109;209)によってドーズ(10)が受け取られる第1の向きから、搬送要素(9;109;209)によってドーズ(10)が金型(6)内に放出される第2の向きにドーズ(10)を回転させるように構成される。装置(1)は、第2の運動中に少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)を運動させるための運動装置(39)を更に備える。運動装置(39)は2つのカム(40、45)を備え、この2つのカム(40、45)は、互いに連動して作動して、少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)が前記経路(P1)に沿って移動する間、当該少なくとも1つの搬送要素(9;109;209)を前記軸線(R)の周りで回転させる。
【0169】
一実施形態では、運動装置(39)が、搬送要素(9;109;209)に関連付けられたキャリッジ(42)を更に備える。
【0170】
キャリッジ(42)は、搬送要素(9;109;209)を支持する中央支持体(13)によって摺動可能に支持されてもよい。
【0171】
2つのカム(40、45)は、キャリッジ(42)を第1の軸線(Z1)から離間移動させるため又は第1の軸線(Z1)に接近移動させるための第1のカム(40)を含み、第1のカム(40)は、固定位置に配置される。第1の軸線(Z1)の周りでは、中心支持体(13)が回転可能である。
【0172】
一実施形態では、2つのカム(40、45)が、キャリッジ(42)によって回転軸線(R)の周りで振動することができる更なるカム(45)を含み、更なるカム(45)は、搬送要素(9;109;209)に固定される。
【0173】
一実施形態では、キャリッジ(42)が、第1のカム(40)のカムプロファイル(41)と係合可能な第1のカム従動子(44)と、更なるカム(45)のガイドプロファイル(47)と係合可能な第2のカム従動子(48)を支持する。ガイドプロファイル(47)は螺旋状であってもよい。
【国際調査報告】