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▶ オムニシエント・ニューロテクノロジー・ピーティーワイ・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(54)【発明の名称】脳画像処理
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20221209BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221209BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20221209BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
G06V10/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523138
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 AU2020051093
(87)【国際公開番号】W WO2021072485
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】2019903932
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522154799
【氏名又は名称】オムニシエント・ニューロテクノロジー・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エドワード・シュグルー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ドイェン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・テオ
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AA03
4C096AA17
4C096AC01
4C096AD14
4C096AD24
4C096DB06
4C096DC33
4C096DC36
5L096AA09
5L096BA06
5L096EA37
5L096FA69
5L096FA76
5L096GA34
5L096KA04
(57)【要約】
方法(400)は、座標空間において特定の脳に対する位置合わせ関数[705, Niirf(T1)]を決定するステップ(702)と、位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいるHCP-MMP1アトラス(102)から、位置合わせされたアトラス[708, Ard(T1)]を決定するステップ(706)と、位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションのボクセルに対して、特定の脳の脳トラクトグラフィ画像のセット[621, DTIp(DTI)]を決定するために拡散トラクトグラフィを行うステップ(310、619)と、ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとの結合性を示すボクセルレベルトラクトグラフィベクトル[1123, Vje、Vjn]を決定するステップ(1105、1120)と、ボクセルが特定のパーセレーションの一部である確率に基づいてボクセルを分類するステップ(1124)と、特定の脳(Bbp)を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラス[1131. PBs Atlas]を形成するためにHCP-MMP1アトラスのパーセレーションに対してボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの決定およびボクセルの分類を繰り返すステップ(413)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリおよびプロセッサを有するサーバコンピュータモジュールと、
コンピュータ通信ネットワークを通じて前記サーバコンピュータモジュールと通信するように構成され、メモリおよびプロセッサを有する、リモート端末と
を含み、
サーバコンピュータモジュールメモリおよびリモート端末モジュールメモリが、サーバコンピュータモジュールプロセッサおよびリモート端末プロセッサに、分画化される特定の脳の脳画像データを処理する方法を一緒に行うように指示するためのコンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを集合的に記憶し、前記方法が、
指定された空間における前記特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップと、
前記位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいる標準的なアトラスから位置合わせされたアトラスを決定するステップと、
前記特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するために、前記脳画像データに拡散トラクトグラフィを行うステップと、
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの少なくとも1つのボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示すエンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定し、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
前記特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスを形成するために、前記エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの前記決定、および前記位置合わせされたアトラスの複数のパーセレーションに対して前記ボクセルの前記分類を繰り返すステップと
を含む、コンピュータ実装システム。
【請求項2】
1つまたは複数のコンピュータプログラムをその中に記録したコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ装置に、分画化される特定の脳の脳画像データを処理する方法を行わせるために、前記1つまたは複数のプログラムが、前記コンピュータ装置によって実行可能であり、前記方法が、
3次元座標系空間における前記特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップと、
前記位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいる標準的なアトラスから位置合わせされたアトラスを決定するステップと、
前記特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するために、前記脳画像データの拡散トラクトグラフィを行うステップと、
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの少なくとも1つのボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示すエンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定し、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
前記特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスを形成するために、前記エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの前記決定、および前記位置合わせされたアトラスの複数のパーセレーションに対して前記ボクセルの前記分類を繰り返すステップと
を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項3】
分画化される特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスであって、前記個別脳アトラスが、分画化される前記特定の脳の脳画像データを処理する方法によって形成され、前記方法が、
3次元座標系空間における前記特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップと、
前記位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいる標準的なアトラスから位置合わせされたアトラスを決定するステップと、
前記特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するために、前記脳画像データに拡散トラクトグラフィを行うステップと、
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの少なくとも1つのボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示すエンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定し、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
前記特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる前記個別脳アトラスを形成するために、前記エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの前記決定、および前記位置合わせされたアトラスの複数のパーセレーションに対して前記ボクセルの前記分類を繰り返すステップと
を含む、個別脳アトラス。
【請求項4】
3次元座標系空間における特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップと、
前記位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいる標準的なアトラスから位置合わせされたアトラスを決定するステップと、
前記特定の脳の脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するために、脳画像データに拡散トラクトグラフィを行うステップと、
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの少なくとも1つのボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示すエンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定し、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
前記特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスを形成するために、前記エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの前記決定、および前記位置合わせされたアトラスの複数のパーセレーションに対して前記ボクセルの前記分類を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項5】
前記繰り返すステップより前に、ボクセル間のギャップを埋めるためにエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する前記ボクセルグリッドを挿入するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの各ボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドおよびパススルーの結合性をそれぞれ示す、エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定するステップと、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である前記確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
ボクセル間のギャップを埋めるために、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する前記ボクセルグリッドを挿入するステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記3次元座標系空間において前記特定の脳に対する前記位置合わせ関数を決定する前記ステップが、
マスクされた頭蓋骨および顔面除去T1画像を取得するために、前記脳画像データのT1画像のNIfTIバージョンの顔面除去、頭蓋骨除去、およびマスキングを行うステップと、
前記位置合わせ関数を生成するために、前記マスクされた、頭蓋骨および顔面除去T1画像と標準的脳データ画像セットのあるセットとの関係を決定するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記位置合わせされたアトラスを決定する前記ステップが、前記位置合わせされたアトラスを生成するために、前記位置合わせ関数を前記標準的なアトラスに適用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記脳画像データに拡散トラクトグラフィを行う前記ステップが、DICOM画像セットのDTI画像の顔面除去マスクされたNIfTIバージョンに関係して行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記ボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを前記決定するステップが、
前記位置合わせされたアトラスおよび前記脳トラクトグラフィ画像のセットを位置合わせするステップと、
エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成するステップと、
エンドツーエンドおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記ボクセルを分類するステップが、前記ボクセルグリッドを形成するために、前記エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよび前記パススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを、エンドツーエンド分類器およびパスバイ分類器で処理するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のパーセレーションが、前記位置合わせされたアトラス内のすべてのパーセレーションを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記3次元座標系空間が、標準的脳データ画像セットのあるセット(HCP-SDB)によって記述される、モントリオール神経学研究所空間である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記標準的なアトラスが、HCP-MMP1アトラスである、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記特定の脳の前記脳トラクトグラフィ画像が、前記特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数のコンピュータと、前記1つまたは複数のコンピュータによって実行されると、前記1つまたは複数のコンピュータに動作を行わせるように動作可能な命令を記憶する1つまたは複数のストレージデバイスとを備え、前記動作が、
指定された空間における特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップと
前記位置合わせ関数および標準的なパーセレーション方式を含んでいる標準的なアトラスから位置合わせされたアトラスを決定するステップと、
前記特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するために、脳画像データに拡散トラクトグラフィを行うステップと、
前記位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの少なくとも1つのボクセルに対して、
前記ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示すエンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定し、
前記ボクセルが前記特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルおよびボクセルグリッドを決定するために前記ボクセルを分類するステップと、
前記特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスを形成するために、前記エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの前記決定、および前記位置合わせされたアトラスの複数のパーセレーションに対して前記ボクセルの前記分類を繰り返すステップと
を含む、システム。
【請求項17】
前記繰り返すステップより前に、ボクセル間のギャップを埋めるためにエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する前記ボクセルグリッドを挿入するステップをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記位置合わせされたアトラスを決定する前記ステップが、前記位置合わせされたアトラスを生成するために、前記位置合わせ関数を前記標準的なアトラスに適用するステップを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
脳画像データに拡散トラクトグラフィを行う前記ステップが、DICOM画像セットのDTI画像の顔面除去されマスクされたNIfTIバージョンに関係して行われる、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数のパーセレーションが、前記位置合わせされたアトラス内のすべてのパーセレーションを含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に画像処理に関し、詳細には、磁気共鳴画像法システムによって生成された被検者の脳の画像の処理に関する。本発明はまた、画像を処理するための方法および装置、ならびに画像を処理するためのコンピュータプログラムをその上に記録されたコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使用する医療画像法および拡散テンソル画像法(DTI)は、それぞれ脳の機能的活動および構造的結合の洞察を与える。しかしながら、現在の画像法システムは、使用および操作が厄介であり、一般的に臨床有用性に欠ける出力を生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】https://dipy.org/documentation/0.16.0./examples_built/introduction_to_basic_tracking/
【非特許文献2】https://pypi.org/project/deepdefacer/
【非特許文献3】https://github.com/sameerd/DiffusionTensorImaging
【非特許文献4】https://dipy.org/documentation/1.0.0./examples_built/reconst_csd/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の構成の1つまたは複数の欠点を実質的に克服する、または少なくとも改善することが、本発明の目的である。
【0005】
脳外科手術は、しばしば脳に切り込みを入れることを含む。脳外科手術を行うために、検討される特定の脳の詳細にかかわらず、標準的なパーセレーション(parcellation)方式を含んでいる標準的なアトラスを使用することができる。「パーセレーション」という用語は、機能的活動、細胞構築、および構造的結合性(structural connectivity)など、個人間で同様の特性を有する脳の領域を描くプロセスを指す。この名称では、「パーセレーション」は、厳密な境界は異なる可能性があるとしても、個人を越えて同様の特性を有することを示すことができる脳の領域(たとえば、大脳皮質)である。脳を分画化することは、脳の活動の複雑さを、ある程度一様な機能を行うと仮定され得る有限個のドメインに軽減するので、脳を分画化することは、神経画像(neuroimaging)データを分析するための有用な機構である。外科手術が行われるとき、対象の特定の脳に関係する正確なパーセレーション情報がないと、巻き添え被害をもたらす可能性がある。モントリオール神経学研究所(Montreal Neurologic Institute:MNI)空間などの標準的な座標空間に脳をワープした後に、アトラス(標準的な座標空間のボクセルアイデンティティを様々なパーセレーションに割り当てる3次元ポイントまたはボクセルのセット)を脳に整合させることができる。アトラシング(atlasing)の純粋に解剖学に基づく技法は、脳腫瘍、脳卒中、脳水腫、外傷性脳損傷、および萎縮がある脳など、構造的に異常な脳をもつ患者に適用されるとき失敗する可能性がある。これらおよび他の理由のために、個人における、たとえば様々な脳をもつ個人における機能エリアを、これらの問題に対処するように、マップ可能である必要があり、いくつかの有益な分析が結果を改善することができる。
【0006】
以下の段落において説明するように上記の問題に対処しようとする、パーセレーション調整(Parcellation Adjustment)(PAA)構成と呼ばれる構成を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、分画化される特定の脳の医療におけるデジタル画像と通信(Digital Imaging and Communications in Medicine:DICOM)の画像のセットを処理する方法を提供する。DICOMは、医療画像情報を送信、記憶、検索、処理、および/または表示するための国際規格である。この方法は、標準的脳データ画像セットのあるセットによって描かれたモントリオール神経学研究所(MNI)空間(一般的な座標空間)において特定の脳に対する位置合わせ関数(registration function)を決定するステップと、標準的なパーセレーション方式を含んでいるヒューマンコネクトームプロジェクト-マルチモーダルパーセレーションアトラス(すなわち、HCP-MMP1アトラス)および位置合わせ関数から位置合わせされたアトラスを決定するステップと、特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットを決定するためにDICOM画像の拡散トラクトグラフィを行うステップ(神経科学では、トラクトグラフィは白質路を視覚的に表すために使用される3Dモデリング技法と考えることができる)と、位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの各ボクセルに対して、他のパーセレーションのボクセルとのボクセルの結合性を示すボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを決定するステップと、ボクセルが特定のパーセレーションの一部である確率に基づいてボクセルを分類するステップと、特定の脳を反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラス(PBs Atlas)を形成するために、HCP-MMP1アトラスのすべてのパーセレーションに対してボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの決定およびボクセルの分類を繰り返すステップとを含む。
【0008】
段落[0006]の方法は、場合によっては、以下の段落[0008]~[0014]で述べる特徴のいずれか1つ、またはそれらの任意の組合せと組み合わせられることがある。
【0009】
場合によっては、段落[0006]の方法では、方法は、繰り返すステップより前に、ボクセル間のギャップを埋めるために、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対するボクセルグリッドを挿入するステップをさらに含む。
【0010】
場合によっては、段落[0006]の方法では、方法は、位置合わせされたアトラスにおける特定のパーセレーションの各ボクセルに対して、ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドおよびパススルーの結合性をそれぞれ示す、エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトル[1108、Vje]およびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル[1123、Vjn]を決定するステップ(1120)と、ボクセルが特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、ラベル(1006、LBjejn)ならびにエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対するボクセルグリッド(Vgridptpn)を決定するために、ボクセルを分類するステップ(1124)と、ボクセル間のギャップを埋めるために、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対するボクセルグリッド(Vgridptpn)を挿入するステップとをさらに含む。AからCへ進み、Bを通過するトラクトでは、AまたはCから見ると、トラクトは「エンドツーエンドの」トラクトであり、Bから見ると、トラクトは「パススルーの」トラクトである。
【0011】
場合によっては、段落[0006]の方法において、MNI空間における特定の脳に対する位置合わせ関数を決定するステップは、マスクされた、頭蓋骨および顔面除去T1画像を得るために、DICOM画像セットのT1画像の神経画像情報科学技術イニシアティブ(Neuroimaging Informatics Technology Initiative:NIfTI)バージョンの、顔面除去、頭蓋骨除去、およびマスキングを行うステップと、位置合わせ関数を生成するために、マスクされた、頭蓋骨および顔面除去T1画像と、標準的脳データ画像セットのそのセットとの関係を決定するステップとを含む。述べたように、顔面除去は選択的であり、頭蓋骨除去が、副次的影響として顔面除去を実現することがある。
【0012】
場合によっては、段落[0006]の方法では、位置合わせされたアトラスを決定するステップは、位置合わせされたアトラスを生成するために、位置合わせ関数をHCP-MMP1アトラスに適用するステップを含む。
【0013】
場合によっては、段落[0006]の方法では、DICOM画像の拡散トラクトグラフィを行うステップは、DICOM画像セットのDTI画像の頭蓋骨除去されたおよび顔面除去されマスクされたNIfTIバージョンに関係して行われる。
【0014】
場合によっては、段落[0006]の方法では、ボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの決定は、位置合わせされたアトラスおよび全脳トラクトグラフィ画像セットを位置合わせするステップと、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成するステップと、エンドツーエンドおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成するステップとを含む。
【0015】
場合によっては、段落[0006]の方法では、ボクセルを分類するステップは、ボクセルをパーセレーションに分類するおよび/またはボクセルグリッドを形成するために、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを、エンドツーエンド分類器およびパスバイ分類器で処理するステップを含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、前述の方法のいずれか1つを実施するための装置が提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上述の方法のいずれか1つを実施するためのコンピュータプログラムをその上に記録したコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0018】
他の態様もまた開示する。
【0019】
次に、図面を参照して本発明の少なくとも1つの実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】PAA構成の一例の機能ブロックおよびデータフロー図である。
図2A】説明するPAA構成を実践することができるコンピュータシステムの概略ブロック図である。
図2B】説明するPAA構成を実践することができるコンピュータシステムの概略ブロック図である。
図3】PAA構成を実施可能な方法のプロセスフローチャート例である。
図4】PAA構成を実施可能な方法の詳細について詳述するプロセスフローチャート例である。
図5A図3の顔面除去および頭蓋骨除去ステップ307を実施可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメントである。
図5B図3の顔面除去および頭蓋骨除去ステップ307を実施可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメントである。
図5C図3の顔面除去および頭蓋骨除去ステップ307を実施可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメントである。
図6図3の全脳拡散トラクトグラフィステップ310を実施可能な方法のプロセスフローチャート例である。
図7図3のアトラス位置合わせステップ309を実施可能な方法のプロセスフローチャート例である。
図8A図3のパーセレーション調整トレーニングモジュール313を実行可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメントである。
図8B図3のパーセレーション調整トレーニングモジュール313を実行可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメントである。
図9】T1画像に重ね合わせられたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル(「トラクト」とも呼ばれる)の実際の画像である。
図10A】ボクセルの結合性を示すボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの図である。
図10B】ボクセルの結合性を示すボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの図である。
図10C】パーセレーション、ボクセルパーセレーションアイデンティティ、およびボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの間の関係を示す図である。
図11A図3のパーセレーション調整ステップ312を実行可能な方法を示すフローチャートフラグメントである。
図11B図3のパーセレーション調整ステップ312を実行可能な方法を示すフローチャートフラグメントである。
図12】分画化される脳を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面のいずれか1つまたは複数において、同じ参照番号を有するステップおよび/または特徴に言及する場合、それらのステップおよび/または特徴は、別段の意図が示されている場合を除いて、この説明の目的で、同じ(1つまたは複数の)機能または(1つまたは複数の)動作を有する。
【0022】
用語集
【0023】
【表1A】
【0024】
【表1B】
【0025】
【表1C】
【0026】
【表1D】
【0027】
【表1E】
【0028】
【表1F】
【0029】
図1は、DICOM画像のセットを処理するためのPAA構成の一例100の機能ブロックおよびデータフロー図を示す。MRIスキャナ101が、矢印103で示すように、分画化される脳BbpのDICOM画像セット125を生成する。DICOM画像セット125は、BbpのDTI画像の4次元(以下では4Dと呼ぶ)セット104(図9を参照しながら以下でより詳細に説明する)、BbpのfMRI画像の4Dセット105、およびBbpのT1画像の3Dセット106(図12を参照しながら以下でより詳細に説明する。これらの画像セットのさらなる詳細については用語集参照)。画像のこれらのセットは、矢印107で示すように、図2A図2B図3図4図5A図5B図5C図6図7図8A図8B図10A図10B図10C図11A、および図11Bを参照しながら以下でより詳細に説明する、PAA処理モジュール117に提供される。
【0030】
PAA処理モジュール117はまた、矢印109で示すように、HCP標準的脳データ(HCP SDB)(すなわち110)の4Dセットを受け取る。PAA処理モジュール117はまた、矢印108で示すように、標準的なパーセレーション方式を含んでいる3D HCP-MMP1アトラス102を受け取る。PAA処理モジュール117はまた、破線矢印118で示すように、正常脳データ(Normal Brain Data)の「p」セット(NBDi)の集合111を受け取る。ただし1<i<pである。破線矢印118は、NBDセット111が、以下で図8Aおよび図8Bを参照しながらより詳細に説明する、トレーニングのためにPAAモジュール117によって使用されることを示す。
【0031】
PAA処理モジュール117は、一例では、3つのパイプラインセグメント112、113、および114として実装され得る。パイプラインセグメント112は、矢印119で示すように、参照番号621を有する4D全脳トラクトグラフィ画像セットDTIp(DTI)(図6図9、および図10Aを参照しながら以下でより詳細に説明する)を出力する。パイプラインセグメント113は、矢印120で示すように、参照番号1131を有する3D個別脳アトラス(PBs Atlas)(図11A、および図11Bを参照しながら以下でより詳細に説明する)を出力する。パイプラインセグメント114は、矢印121で示すように、個別脳アトラスPBs Atlas(すなわち1131)に基づいて生成されるfMRI画像105の分析を出力する。開示するPAA構成および詳細には個別のPBs Atlasは、現在利用可能なものよりも、対象の特定の脳に対するより正確なパーセレーション情報を提供し、それに応じて臨床有用性がさらに大きくなる。ワープされたHCPをグランドトゥルースとして使用すると、モデルは、96%よりも優れた精度および再現率を達成することができる。モデルはまた、専門家の精査を受け、現在まで異常が見つけられない(たとえば、空洞または壊死組織にパーセレーションが見つけられない)。
【0032】
図2Aおよび図2Bは、説明するPAA構成を実践することができるコンピュータシステムの概略ブロック図を形成する。以下の説明は、主にコンピュータサーバモジュール201に向けられている。しかしながら、説明は、1つまたは複数のリモート端末268に等しくまたは同等に当てはまる。
【0033】
図2Aに見られるように、コンピュータシステム200は、サーバコンピュータモジュール201と、キーボード202、マウスポインターデバイス203、スキャナ226、カメラ227、およびマイクロフォン280などの入力デバイスと、プリンタ215、ディスプレイデバイス214、およびラウドスピーカー217などの出力デバイスとを含む。接続221および接続270を介してコンピュータ通信ネットワーク220を通じてリモート端末268と送受信通信を行うために、コンピュータサーバモジュール201によって、外部変調復調器(モデム)トランシーバデバイス216が使用されてもよい。前述の通信は、リモート端末268と本明細書では少なくとも1つのサーバモジュール201を含む「クラウド」との間で行われていると見なされてもよい。リモート端末268は、一般に、サーバモジュール201に関して説明するものと同様の入力および出力デバイス(図示せず)を有する。通信ネットワーク220は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラー電気通信ネットワーク、またはプライベートWANであってもよい。接続221が電話回線である場合、モデム216は、旧来の「ダイアルアップ」モデムであってもよい。代替的に、接続221が高容量(たとえば、ケーブル)接続である場合、モデム216は、ブロードバンドモデムであってもよい。またワイヤレスモデムが、通信ネットワーク220へのワイヤレス通信に使用されてもよい。
【0034】
コンピュータサーバモジュール201は、一般に少なくとも1つのプロセッサユニット205と、メモリユニット206とを含む。たとえば、メモリユニット206は、半導体ランダムアクセスメモリ(RAM)と、半導体読取り専用メモリ(ROM)とを有することがある。リモート端末268は、一般に少なくとも1つのプロセッサ269と、メモリ272とを含む。コンピュータサーバモジュール201はまた、ビデオディスプレイ214、ラウドスピーカー217、およびマイクロフォン280につながるオーディオ-ビデオインターフェース207、キーボード202、マウス203、スキャナ226、カメラ227、および場合によってはジョイスティックまたは他のヒューマンインターフェースデバイス(図示せず)につながるI/Oインターフェース213、ならびに外部モデム216およびプリンタ215用のインターフェース208などの、いくつかの入力/出力(I/O)インターフェースを含む。いくつかの実装形態では、モデム216は、コンピュータモジュール201内に、たとえばインターフェース208内に、組み込まれてもよい。コンピュータモジュール201はまた、コンピュータシステム200が接続223を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)として知られるローカルエリア通信ネットワーク222につながるのを可能にするローカルネットワークインターフェース211を有する。図2Aに示すように、ローカル通信ネットワーク222はまた、接続224を介して、一般にいわゆる「ファイアウォール」デバイスまたは同様の機能のデバイスを含むワイドエリアネットワーク220につながってもよい。ローカルネットワークインターフェース211は、イーサネット回路カード、Bluetooth(登録商標)ワイヤレス構成またはIEEE802.11ワイヤレス構成を含んでもよいが、多数の他のタイプのインターフェースがインターフェース211に実践されてもよい。
【0035】
I/Oインターフェース208および213は、シリアルとパラレルの一方または両方の接続性を提供してもよく、前者は一般に、ユニバーサルシリアルバス(USB)規格に従って実装され、対応するUSBコネクタ(図示せず)を有する。ストレージメモリデバイス209が設けられ、一般にハードディスクドライブ(HDD)210を含む。フロッピーディスクドライブおよび磁気テープドライブ(図示せず)などの他のストレージデバイスが使用される場合もある。光ディスクドライブ212が、一般にデータの不揮発性ソースとして働くように設けられる。たとえば、光ディスク(たとえば、CD-ROM、DVD、Blu ray(登録商標) ディスク、USB-RAM、ポータブル外部ハードドライブ、およびフロッピーディスクなどのポータブルメモリデバイスが、システム200へのデータの適切なソースとして使用されてもよい。
【0036】
コンピュータモジュール201の構成要素205~213は、一般に、相互接続されたバスを介して、当業者には知られているコンピュータシステム200の従来の動作モードをもたらす方法で、通信する。たとえば、プロセッサ205は、接続218を使用してシステムバス204に結合される。同様に、メモリ206および光ディスクドライブ212は、接続219によってシステムバス204に結合される。説明する構成を実践することができるコンピュータの例は、IBM-PCおよび互換機、Sun Sparcstation、Apple Mac(商標)、または同様のコンピュータシステムを含む。
【0037】
PAA方法は、コンピュータシステム200を使用して実装されてもよく、説明する図1図3図4図5A図5B図5C図6図7図8A図8B図11A、および図11Bのプロセスは、コンピュータシステム200内で実行可能な1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションプログラム233として実装されてもよい。1つのPAA構成では、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションプログラム233は、コンピュータサーバモジュール201で実行され(リモート端末268もまたコンピュータサーバモジュール201と一緒に処理を行ってもよい)、ブラウザ271が、リモート端末のプロセッサ269で実行され、それによってリモート端末268のユーザが、ブラウザ271を使用してサーバ201(「クラウド」と呼ばれることが多い)上で実行しているソフトウェアアプリケーションプログラム233にアクセスすることを可能にする。1つのPAA構成では、図1図3図4図5A図5B図5C図6図7図8A図8B図11A、および図11Bのプロセスは、サーバモジュール201およびリモート端末268の一方または両方にインストールされたPYTHONまたは同等の言語モジュールを使用して行われる。詳細には、PAA方法のステップは、コンピュータシステム200内で実行されるソフトウェア233の命令231(図2B参照)によって達成される。ソフトウェア命令231は、各々が1つまたは複数の特定のタスクを行うための、1つまたは複数のコードモジュールとして形成されてもよい。ソフトウェアモジュールはまた、2つの別個の部分に分けられてもよく、別個の部分では、第1の部分および対応するコードモジュールは、PAA方法を行い、第2の部分および対応するコードモジュールは、第1の部分との間のユーザとの間のユーザインターフェースを管理する。
【0038】
ソフトウェアは、たとえば以下で説明するストレージデバイスなどの、コンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされ、次いでコンピュータシステム200によって実行される。そのようなソフトウェアまたはコンピュータプログラムをコンピュータ可読媒体に記録されたコンピュータ可読媒体が、コンピュータプログラム製品である。コンピュータシステム200でコンピュータプログラム製品を使用すると、好ましくは有利なPAA装置がもたらされる。PAAソフトウェアもまた、ウェブブラウザを使用して配布されてもよい。
【0039】
ソフトウェア233は、一般にHDD210またはメモリ206に(および場合によっては少なくともある程度はリモート端末268のメモリ272に)記憶される。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされ、コンピュータシステム200によって実行される。したがって、たとえば、ソフトウェア233(1つまたは複数のプログラムを含む)は、光ディスクドライブ212によって読み取られる光可読ディスク記憶媒体(たとえば、CD-ROM)225に記憶されてもよい。そのようなソフトウェアまたはコンピュータプログラムをそれに記録されたコンピュータ可読媒体が、コンピュータプログラム製品である。コンピュータシステム200でコンピュータプログラム製品を使用すると、PAA装置がもたらされる。
【0040】
いくつかの事例では、アプリケーションプログラム233は、1つまたは複数のCD-ROM225上にエンコードされ、対応するドライブ212によって読み出されてユーザに供給される場合があり、代替的にはネットワーク220または222からユーザによって読み出される場合がある。またさらに、ソフトウェアは、他のコンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされることもある。コンピュータ可読記憶媒体は、記録された命令および/またはデータを実行および/または処理のためにコンピュータシステム200に提供する任意の非一時的有形記憶媒体を指す。そのような記憶媒体の例には、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、ROMもしくは集積回路、USBメモリ、光磁気ディスク、またはPCMCIAカードなどのコンピュータ可読カードなどが、そのようなデバイスがコンピュータモジュール201の内部または外部であるか否かにかかわらず含まれる。コンピュータモジュール201へのソフトウェア、アプリケーションプログラム、命令、および/またはデータの供給に関与する場合もある一時的または非有形コンピュータ可読伝送媒体の例には、別のコンピュータまたはネットワークデバイスへの無線または赤外線伝送チャネルならびにネットワーク接続、ならびに電子メール伝送およびウェブサイトに記録された情報などを含むインターネットまたはイントラネットが含まれる。
【0041】
アプリケーションプログラム233の第2の部分および上述の対応するコードモジュールは、ディスプレイ214上に描画されるまたは場合によっては表現される1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実装するために実行されてもよい。一般にキーボード202およびマウス203の操作によって、コンピュータシステム200およびアプリケーションのユーザは、(1つまたは複数の)GUIと関連するアプリケーションに制御コマンドおよび/または入力を提供するために、機能的に適応できる方法でインターフェースを操作してもよい。ラウドスピーカー217による音声プロンプト出力およびマイクロフォン280によるユーザボイスコマンド入力を利用するオーディオインターフェースなど、他の形態の機能的に適応できるユーザインターフェースもまた、実装されてもよい。
【0042】
図2Bは、プロセッサ205および「メモリ」234の詳細な概略ブロック図である。メモリ234は、図2Aのコンピュータモジュール201によってアクセスできるすべてのメモリモジュール(HDD209および半導体メモリ206を含む)の論理アグリゲーションを表す。
【0043】
コンピュータモジュール201が最初に電源を入れられるとき、パワーオンセルフテスト(POST)プログラム250が実行される。POSTプログラム250は、一般に、図2Aの半導体メモリ206のROM249に記憶される。ソフトウェアを記憶するROM249などのハードウェアデバイスは、ファームウェアと呼ばれることがある。POSTプログラム250は、適切な機能を保証するためにコンピュータモジュール201内のハードウェアを調べ、一般的には正しい動作のために、プロセッサ205、メモリ234(209、206)、および一般的に同じくROM249に記憶されている基本入出力システムソフトウェア(BIOS)モジュール251をチェックする。POSTプログラム250が正常に動作すると、BIOS251は、図2Aのハードディスクドライブ210を起動させる。ハードディスクドライブ210の起動により、ハードディスクドライブ210に常駐するブートストラップローダプログラム252がプロセッサ205によって実行される。これは、オペレーティングシステム253をRAMメモリ206にロードし、するとオペレーティングシステム253が動作を開始する。オペレーティングシステム253は、プロセッサ管理、メモリ管理、デバイス管理、ストレージ管理、ソフトウェアアプリケーションインターフェース、および一般的なユーザインターフェースを含む、様々なハイレベル機能を果たすための、プロセッサ205によって実行可能な、システムレベルアプリケーションである。
【0044】
オペレーティングシステム253は、コンピュータモジュール201上で動作している各プロセスまたはアプリケーションが、別のプロセスに割り振られているメモリと衝突することなく実行するのに十分なメモリを有することを保証するように、メモリ234(209、206)を管理する。さらに、図2Aのシステム200で利用可能な異なるタイプのメモリは、各プロセスが効果的に動作できるように適切に使用されなければならない。したがって、集められたメモリ234は、(別段に明記されていない限り)メモリの特定のセグメントがどのように割り振られるかを示すことを目的としておらず、コンピュータシステム200によってアクセス可能なメモリの全体図およびどのように使用されるかを提供することを目的とする。
【0045】
図2Bに示すように、プロセッサ205は、制御ユニット239、算術論理ユニット(ALU)240、およびキャッシュメモリと呼ばれることがある、ローカルまたは内部メモリ248を含む、いくつかの機能モジュールを含む。キャッシュメモリ248は、一般的にはレジスタセクションにいくつかのストレージレジスタ244~246を含む。1つまたは複数の内部バス241は、これらの機能モジュールを機能的に相互結合する。プロセッサ205は一般的に、接続218を使用してシステムバス204を介して外部デバイスと通信するための1つまたは複数のインターフェース242もまた有する。メモリ234は、接続219を使用してバス204に結合される。
【0046】
アプリケーションプログラム233は、条件付き分岐およびループ命令を含み得る命令のシーケンス231を含む。プログラム233は、プログラム233の実行に使用されるデータ232もまた含み得る。命令231およびデータ232は、それぞれメモリロケーション228、229、230および235、236、237に記憶される。命令231およびメモリロケーション228~230の相対サイズに応じて、特定の命令は、メモリロケーション230に示される命令によって示される単一のメモリロケーションに記憶され得る。代替的には、命令は、いくつかの部分にセグメント化されてもよく、それらの各々が、メモリロケーション228および229に示される命令セグメントによって示される別個のメモリロケーションに記憶される。
【0047】
一般に、プロセッサ205は、そこで実行される命令のセットを与えられる。プロセッサ205は、その後の入力を待ち、プロセッサ205は命令の別のセットを実行することによってそれに反応する。各入力は、入力デバイス202、203の1つまたは複数によって生成されるデータ、ネットワーク220、202を越えてMRIスキャナ101などの外部ソースから受け取られるデータ、ストレージデバイス206、209の1つから検索されるデータ、または対応するリーダー212に挿入された記憶媒体225から検索されるデータを含む、いくつかのソースのうちの1つまたは複数から与えられてもよく、すべて図2Aに示している。命令のセットの実行は、いくつかの場合ではデータの出力をもたらすことがある。実行は、データまたは変数をメモリ234に記憶することを含む場合もある。
【0048】
開示するPAA構成は、入力変数254を使用し、(たとえば、DICOM画像セット125、HCP-MMP1アトラス102、HCP標準的脳データSDB(すなわち110)、および正常脳データ(NBD)セット111)、これらはメモリ234の対応するメモリロケーション255、256、257に記憶される。PAA構成は、出力変数261を生成し、(たとえば、DTIp全脳トラクトグラフィ画像セット621、PBs Atlas(個別脳アトラス)1131、およびFMRI画像105の分析(すなわち124))、これらはメモリ234の対応するメモリロケーション262、263、264に記憶される。中間変数258は、メモリロケーション259、260、266、および267に記憶され得る。
【0049】
図2Bのプロセッサ205を参照すると、レジスタ244、245、246、算術論理ユニット(ALU)240、および制御ユニット239は、プログラム233を構成する命令セットにおいて命令ごとに「フェッチ、デコード、および実行」サイクルを行うために必要とされるマイクロオペレーションのシーケンスを行うために一緒に作動する。各フェッチ、デコード、および実行サイクルは、
・ メモリロケーション228、229、230から命令231をフェッチするまたは読み出す、フェッチ動作と、
・ どの命令がフェッチされたかを制御ユニット239が決定するデコード動作と、
・ 制御ユニット239および/またはALU240が命令を実行する実行動作と
を含む。
【0050】
その後、次の命令に対するさらなるフェッチ、デコード、および実行サイクルが実行され得る。同様に、ストアサイクルが行われる場合があり、それによって制御ユニット239は、メモリロケーション232に値を記憶するまたは書き込む。
【0051】
図1図3図4図5A図5B図5C図6図7図8A図8B図11A、および図11Bの各ステップまたはサブプロセスは、プログラム233の1つまたは複数のセグメントと関連付けられ、プログラム233の言及したセグメントに対する命令セットの命令ごとにフェッチ、デコード、および実行サイクルを行うために一緒に作動するプロセッサ205内のレジスタセクション244、245、247、ALU240、および制御ユニット239によって行われる。開示するPAA構成を実践するためにクラウドベースのプラットフォームについて説明したが、他のプラットフォーム構成もまた使用されることがある。さらに、他のハードウェア/ソフトウェア構成および配布もまた、開示するPAA構成を実践するために使用されることがある。
【0052】
図3は、PYTHONまたは同等の言語およびライブラリルーチンを使用してPAA構成を実施可能な方法のプロセスフローチャート例300である。図2および図3を参照すると、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ303は、矢印107で示すように、DICOMデータセット125を受け取る。ステップ303は、たとえばPythonのDICOMからNIfTIへの変換ルーチンを使用して、DTI画像104(拡散テンソル画像セット)およびT1画像106(T1強調画像(weighted image)セット-302参照)を処理する(NIfTIは、神経画像情報科学技術イニシアティブである)。ステップ303は、T1のNIfTIバージョンである3D画像セットNii(T1)、DTIのNIfTIバージョンである4D画像セットDWi(DTI)、DTIの拡散テンソル値(大きさ)である拡散テンソル値Bval(DTI)、およびDTIの拡散テンソル勾配(方向)である拡散テンソル勾配Bvec(DTI)を出力する(306参照)。PAA構成は、Bval(DTI)およびBvec(DTI)がDICOMデータ125に組み込まれていない場合、これらにデフォルト値を使用してもよい。
【0053】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図5A図5Cを参照しながらより詳細に説明する次のステップ307は、単一の3D画像Niiwfs(T1)(顔面および頭蓋骨を取り除かれてマスクされたNii(T1)である-563参照)を出力するために、マスキング、顔面除去、および頭蓋骨除去(以下で図12を参照しながらより詳細に説明する)を行う。したがって、ステップ307は、マスクされた、頭蓋骨および顔面除去T1画像Niiwfs(T1)を取得するために、DICOM画像セットのT1画像のNIfTIバージョンの顔面除去、頭蓋骨除去、およびマスキングを行う。マスキングでは、システムまたは方法は、マスクを導出するために1つの画像、すなわち、別の画像上で使用される座標の3dセットを使用し、それらの座標に表示されるべき、または表示されるべきではないデータをフィルタリングする。
【0054】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる、以下で図7を参照しながらより詳細に説明する次のステップ309は、HCP標準的脳データSDB(110参照)を使用して、標準的なパーセレーション方式を含んでいるHCP-MMP1アトラス102に、分画化される特定の脳Bbpの画像データを位置合わせし、それによって3D単一画像が位置合わせされたアトラスArd(T1)(Niiwfs(T1)にワープされた、位置合わせされたアトラスHCP-MMP1アトラス102である-708参照)を出力する。位置合わせされたアトラスArd(T1)については、以下で図7を参照しながらより詳細に説明する。ステップ309および310は、図3では並行して示されているが、これらのステップは並行して行われる必要はない。本明細書で説明する方法およびシステムは、位置合わせを実現するために、剛体および非剛体変換を積み重ねることができる。剛体変換では、オブジェクトは、ターゲットと整合させるために空間で単に移動される。非剛体変換/位置合わせでは、オブジェクトは、ターゲットにマッチするようにワープ/変形もされる。
【0055】
本PAA例のステップ309と並行して行われるように示され、以下で図6図9、および図10Aを参照しながらより詳細に説明するPAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ310は、3D全脳トラクトグラフィ画像セットDTIp(DTI)(621参照)を出力するために、マスキングおよび全脳拡散トラクトグラフィを行う。したがって、ステップ310は、特定の脳の全脳トラクトグラフィ画像のセットDTIp(DTI)を決定するために、DICOM画像の拡散トラクトグラフィを行う。
【0056】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図11Aおよび図11Bを参照しながらより詳細に説明する次のステップ312は、パーセレーション分類を行い、それによってPAA構成に従って3D個別脳アトラス(PBs Atlas)(1131参照)を出力する。
【0057】
パーセレーション分類を行うために、ステップ312は、以下で図8Bを参照してより詳細に説明する、エンドツーエンドパーセレーション分類器MODpt(821参照)、およびパススルーパーセレーション分類器MODpn(825参照)を受け取る。パーセレーション分類器MODpt(エンドツーエンドパーセレーション分類器である-821参照)およびMODpn(パススルーパーセレーション分類器である-825参照)は、以下で図8Aおよび図8Bを参照しながらより詳細に説明する、機械学習パーセレーショントレーニングプロセス313によって生成される。機械学習パーセレーショントレーニングプロセス313は、入力として、関連する画像セットT1i、DTIi、ならびにパラメータBvaliおよびBveciを各々含む正常脳データセットNBDiを受け取る。ただし1<i<pである。本明細書で説明する方法およびシステムは、第1のパーセレーションを生成するためにワープされたHCP脳を使用し、次いでパーセレーションからパーセレーションへの行列を生成するためにそれらのパーセレーションの座標を使用することができ、行列の各要素の値は、行列の列および行によって指定され、最初のワーピングによって与えられる、2つのパーセレーション間のトラクトの正規化された数である。この行列データは、次いで、トレーニングのために上述の他のデータの少なくともいくつかと一緒に分類器にフィードされる。
【0058】
図2および図4を参照すると、図4は、PAA構成を実施可能な方法について詳述するプロセスフローチャート例400である。開始ステップ401後に、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図7を参照しながらより詳細に説明するステップ403は、脳Bbpを標準的MNI空間にワープさせ、それによって、BbpのDICOM画像の3D標準的MNI空間への変換を表す位置合わせ関数Niirf(T1)(705参照)を出力する。ステップ403は、入力として3D単一画像Niiwfs(T1)(顔面(随意)および頭蓋骨を取り除かれてマスクされたNii(T1)である-563参照)ならびにHCP標準的脳データSBD(すなわち110)を受け取る。図3の306に示すように、DWi(DTI)は、Niiwfs(T1)を生成するために頭蓋骨除去を行うために使用され得る。
【0059】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図3を参照しながらより詳細に説明する次のステップ405(図3の309参照)は、標準的なMNI空間のHCP-MMP1アトラス(102)の標準的なパーセレーション方式を含んでいるマスクを脳Bbpに重ね、それによってNiiwfs(T1)にワープされた位置合わせされたアトラスArd(T1)(すなわち708)を出力する。ステップ309は、HCP-MMP1アトラス(102参照)を出力として受け取る。
【0060】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図3および図6を参照しながらより詳細に説明する次のステップ407は、拡散トラクトグラフィを行い、それによって全脳トラクトグラフィ画像セットDTIp(DTI)(621参照)を出力する。ステップ407は、DWi(DTI)すなわちDTIのNIfTI、Bval(DTI)すなわちDTIの拡散テンソル値(大きさ)、およびBvec(DTI)すなわちDTIの拡散テンソル勾配(方向)を、入力として受け取る(601参照)。制約付き球形デコンボリューション(Constrained spherical deconvolution:CSD)トラクト生成が、DIPYパイソンパッケージ(たとえば、https://dipy.org/documentation/0.16.0./examples_built/introduction_to_basic_tracking/参照)で達成され得る。
【0061】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図11Bを参照しながらより詳細に説明する次のステップ409は、事前確率(prior)としてArd(T1)の各パーセレーションに対して(たとえば、特徴/パーセレーションについては図10Cの1007参照)、ボクセルレベルトラクトグラフィベクトル(たとえば、図10Cの1008参照)を生成する。ボクセルレベルトラクトグラフィベクトルは、各ボクセルとBbpの他のすべてのパーセレーションにおけるボクセルとの結合性を示し(ベクトルは図9図10A図10B、および図10Cに示されている)、それによってエンドツーエンドのベクトルVje(すなわち、HCP-MMP1アトラスを使用して生成されるエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル)およびパススルーのベクトルVjn(すなわち、HCP-MMP1アトラスを使用して生成されるパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル-1123参照)を出力する。エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルは、結合性の最初の近似値を提供し、パススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルは、結合性のより正確な推定を提供するために、最初の近似値をリファインする。HCPアトラスは、最初に事前確率として脳にワープされる。ワープされたアトラスは、特徴ベクトルを生成するために使用され、すなわちターゲットパーセレーションのために、それが結合する他のすべてのパーセレーションおよびそれに結合するトラクトの正規化された数を生成するために使用される。したがって、事前確率が、上記の2つの方法:1.機械学習予測が1エリア内に制約されることを確認すること、および2.特徴ベクトルを生成することにおいて使用される。ボクセルは、ボリュームの範囲、たとえば0.5立方ミリメートル(mm)から5立方mmの範囲、または1立方mmから3立方mmの範囲を表すことができ、パーセレーションは、様々な数のボクセル、たとえば2ボクセルから30ボクセルの範囲、または5から15ボクセルの範囲で作ることができる。
【0062】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図11Bを参照しながらより詳細に説明する次のステップ411が、ボクセルがそれのトラクトグラフィベクトルに基づいてパーセレーションの一部である確率に基づいて各ボクセルを分類し、それによってボクセルグリッドVgridptpn(すなわちMODptおよびMODpnでVje、Vjnを処理することによって生成されたボクセルグリッド)を出力する。このプロセスは、2回行われ、1回はMODptを使用し、1回はMODpnを使用する。したがって、ボクセルグリッドを決定し、パーセレーションを予測するプロセスは、2つのパスを使用して行われる。第1のパスでは、MODptを使用して予測が行われる。第2のパスでは、MODpnを使用して予測が行われる。この2つのパスは、同じ予測を提供しない場合がある2セットの予測を出力する(すなわち第1のパスの予測は第2のパスの予測と相反する場合がある)。そのような不一致は解決される必要があり、1つのPAA例では、不一致は、次のように解決される。第1のパスが値A(すなわち、ボクセルの1つのパーセレーションへの割当て)を予測し、第2のパスが値Bを予測する(すなわち、同じボクセルの異なるパーセレーションへの割当て)場合、第1のパスの結果は維持され、第2のパスの結果は廃棄される。代替的に、AとBとの間の強調図(weighted view)を使用することができる。
【0063】
次のステップ413は、矢印414で示すように、ステップ409に戻るプロセス400を示し、ステップ409およびステップ411は、関連するボクセルに繰り返すことができる。したがって、ステップ413は、特定の脳Bbpを反映している調整されたパーセレーション方式を含んでいる個別脳アトラスPBs Atlasを形成するために、エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの決定およびHCP-MMP1アトラスのすべてのパーセレーションに対してボクセルの分類を繰り返す。
【0064】
位置合わせされたアトラスArd(T1)のすべてのパーセレーションがステップ409およびステップ411によって処理されると、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、以下で図11Bを参照しながらより詳細に説明する次のステップ416が、各パーセレーションにおいて、そのパーセレーションの一部としてある可能性が高いボクセルを分類し、それによって個別脳アトラス(PBs Atlas)(1131参照)を出力する。ステップ416は、ステップ409およびステップ411の結果を取り入れ、最終的な分類に到達するために、前述のように生じる場合がある不一致を解決する。
【0065】
図5A図5B、および図5Cは、図3の顔面除去および頭蓋骨除去ステップ307を実施可能な方法を示すプロセスフローチャートフラグメント307、307'、および307''である。
【0066】
図5Aのプロセス307では、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ503が、矢印304で示すように、図3の303からNii(T1)およびDWi(DTI)を受け取り、たとえばPYTHON顔面除去ライブラリルーチン「deep defacer」(たとえば、https://pypi.org/project/deepdefacer/参照)を使用して、Bbpから顔面を取り除き、それによって3D画像セットNiiwf(T1)(すなわち顔面を取り除かれたNii(T1)-506参照)を出力する。これは、顔面除去フェーズ564である。
【0067】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ509が、DWi(DTI)の平均を決定し、それによって3D画像DWiav(DTI)(すなわちDWi(DTI)の平均-512参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ513が、DWiav(DTI)を2値化し、それによって3D画像DWiav(DTI)(すなわちDWiav(DTI)の2値マスク-516参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ517が、(必要ならば)DWiavb(DTI)の「脳部分」を決定し、それによって3D画像DWiavbbr(DTI)(すなわちDWiavb(DTI)の脳部分-520参照)を出力することができる。(必要ならば)次のステップ521が、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われ、DWiavbbr(DTI)の穴を埋め、それによって3D画像DWiavbbrnh(DTI)すなわち穴のないDWiavbbr(DTI)を出力することができる。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ525が、3D画像DWim(DTI)(すなわちDWiavbbrnh(DTI)でマスクされたDWi(DTI)-528参照)を形成するために、DWi(DTI)にDWiavbbrnh(DTI)を適用する。これは、頭蓋骨除去フェーズ565である。一連(まとめて4Dデータ)の各フレームは、別個に処理される。各3Dセットは、まず過度の動きを精査し、その後3Dセットを位置合わせおよびマスクすることができる。
【0068】
図5Bのプロセス307'では、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ529が、DWim(DTI)をNii(T1)と緻密に整合させ、それによって3D画像DWialt(DTI)(すなわち、Nii(T1)と緻密に整合されたDWim(DTI)-532参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ533が、DWialt(DTI)をNiiwf(T1)と整合させ、それによって3D画像DWimpt(DTI)(すなわち、緻密にマップされたDWi(DTI))および緻密な整合関数(alignment function)Fat(536参照)を出力する。これは、緻密な整合フェーズ566である。
【0069】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ537は、DWim(DTI)をNii(T1)と粗く整合させ、それによって3D画像DWiall(DTI)(すなわち、Nii(T1)と粗く整合されたDWim(DTI)-540参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ541が、DWiall(DTI)をNiiwf(T1)と整合させ、それによって3D画像DWimpl(DTI)(すなわち、粗くマップされたDWi(DTI)および粗い整合関数Fal(544参照)を出力する。これは、粗い整合フェーズ567である。
【0070】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ545が、DWim(DTI)をFatに適用し、それによって3D2値画像Mt(T1)(すなわち、Nii(T1)に対する緻密なマスク-548参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ549が、DWim(DTI)をFalに適用し、それによって3D2値画像Ml(T1)(すなわち、Nii(T1)に対する粗いマスク-552参照)を出力する。
【0071】
図5Cのプロセス307''では、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ553は、Ml(T1)をNii(T1)に適用し、それによって3D画像Niilm(T1)(すなわち、粗くマスクされたNii(T1)-556参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ557は、Mt(T1)をNii(T1)に適用し、それによって3D画像Niitm(T1)(すなわち、緻密にマスクされたNii(T1)-560参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ561は、Niilm(T1)およびNiitm(T1)を結合し、それによって3D画像Niiwfs(T1)(すなわち、顔面および頭蓋骨を取り除かれマスクされたNii(T1)-563参照)を出力する。代替のPAA構成では、ステップ509~561は、ハイデルベルク大学病院の神経放射線科とドイツ癌研究センター(DKFZ)の医用画像コンピューティングの部門との合同プロジェクトの結果である単一ステップオープンソースライブラリツールHD-BET(脳抽出ツール)を使用して行われてもよい。
【0072】
図6は、全脳拡散トラクトグラフィステップ310を実施可能な方法のプロセスフローチャート例である。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ603は、矢印308で示すようにDWi(DTI)、Bval(DTI)、およびBvec(DTI)を受け取り、たとえばPYTHON顔面除去ライブラリルーチン「deep defacer」を適用し、それによって4D画像セットDWi(DTI)(すなわち、DTIのNIfTI-606参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ607は、Ml(T1)をDWiwf(DTI)に適用し、それによって3D画像DWiwflm(DTI)(すなわち、粗くマスクされたDWi(DTI)-610参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ611は、Mt(T1)をDWiwf(DTI)に適用し、それによって3D画像DWiwftm(DTI)(すなわち、緻密にマスクされたDWi(DTI)-614参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ615は、DWiwftm(DTI)およびDWwiwflm(DTI)を結合し、それによって3D画像DWiwfs(DTI)(すなわち、顔面および頭蓋骨を取り除かれてマスクされたDWi(DTI)-618参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ619は、たとえば、BIPI Pythonライブラリモジュールを使用してDWiwfs(DTI)、Bval(DTI)、およびBvec(DTI)を処理し、それによって全脳トラクトグラフィ画像セットDTIp(DTI)(621参照)を出力する。したがって、DICOM画像の拡散トラクトグラフィを行うステップ619は、DICOM画像セットのDTI画像の顔面除去されマスクされたNIfTIバージョンに関係して行われる。場合によっては、ステップ619は、ステップ312においてトラクトグラフィ(すなわち、パーセレーション分類)を行う前に、DWi(DTI)から自由水と関連する画像コンポーネントをさらに取り除く。これは、頭蓋骨除去されたDWI Nifti(すなわち、DWiwfs(DTI))を入力として取ることによって行われ、https://github.com/sameerd/DiffusionTensorImagingから入手可能な、シングルシェル自由水削除拡散テンソルモデル(Single Shell Free Water Elimination Diffusion Tensor Model)「Free Runner」を適用する。このステップの結果は、自由水が取り除かれた、頭蓋骨除去DWI Niftiであり、DWiwfswr(DTI)と呼ばれる。場合によっては、ステップ619は、https://dipy.org/documentation/1.0.0./examples_built/reconst_csd/から入手可能な、制約付き球状デコンボリューション(Constrained Spherical Deconvolution:CSD)方法を使用して、DWiwfswr(DTI)から白質路DWiwmt(DTI)をさらに生成する。このステップの出力DWiwmt(DTI)は、分画化される特定の脳Bbpのすべての白質路を含んでいるファイルである。
【0073】
図7は、図3のアトラス位置合わせステップ309を実施可能な方法のプロセスフローチャート例309である。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ702は、Niiwfs(T1)(すなわち、位置合わせ関数-563参照)、HCP-MMP1アトラス(102参照)、およびHCP標準的脳データSBD(110参照)を受け取り、Niiwfs(T1)とHCB-SDBとの関係を決定し、それによって、標準的脳データ画像セット(110)のあるセットによって記述されるモントリオール神経学研究所(MNI)空間の特定の脳に対する位置合わせ関数Niirf(T1)(すなわち、705参照)を出力する。したがって、ステップ702は、位置合わせ関数を生成するために、マスクされた、頭蓋骨および顔面除去T1画像Niiwfs(T1)と、標準的脳データ画像セットのそのセットとの関係を決定する。言い方を変えれば、一般的に位置合わせ関数が、同様のオブジェクトに適用される。標準的脳HCPは、頭蓋骨がないが、患者の脳には頭蓋骨がある。したがって、一方を他方と位置合わせすることは難しい。1つの手法は、患者の脳を標準的脳にマップすることができるように、患者の脳から頭蓋骨を取り除くことである。しかしながら、一般的には、頭蓋骨のある患者の脳を表示することを希望する。頭蓋骨を除去された脳は、頭蓋骨のない患者の脳であるので、頭蓋骨除去-標準的脳を学習されたマッピング(位置合わせ関数と呼ばれる)を使用し、それを頭蓋骨のある脳に適用することができる。その結果、標準的脳および頭蓋骨のある患者の脳は、ここで位置合わせされる。
【0074】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ706は、Niirf(T1)をHCP-MMP1アトラスに適用し、それによって位置合わせされたアトラスArd(T1)(708参照)を出力する。したがって、ステップ706は、標準的なパーセレーション方式を含んでいるHCP-MMP1アトラス120および位置合わせ関数から位置合わせされたアトラスArd(T1)を決定する。ステップ706は、位置合わせされたアトラスを生成するために、位置合わせ関数をHCP-MMP1アトラスに適用することによって位置合わせされたアトラスを決定する。言い方を変えれば、終わりの出力T1は、頭蓋骨データを含む。HCP脳ならびにDTIスキャンは、頭蓋骨データがなく、したがって位置合わせは単に、頭蓋骨のない入力に行うことができる。入力T1は、したがって、DTIおよびT1を一緒に位置合わせするために、頭蓋骨除去される必要がある。しかしながら、終わりの出力として、そのT1は、頭蓋骨データを含むべきであり、したがって1つの手法は、1)T1データを頭蓋骨除去する、2)HCPによってT1およびDTIを位置合わせする、3)元のT1に戻り、元のT1データを取得するためにそれの頭蓋骨のないバージョンで見つけられた関数を使用する。いくつかの実装形態では、NIFTIなどの容積測定フォーマット(volumetric format)に変換後の、標準的HCP-MMPアトラスがロードされ、曲線適合法(curve fitting technique)、最小二乗適合法(least squares fitting technique)、容積フィッティング(volumetric fitting)などのフィッティング機構を使用して対象の脳のT1データにフィットされ得る。
【0075】
図8Aおよび図8Bは、図3のパーセレーション調整トレーニングモジュール313を実装可能である方法を示すプロセスフローチャートフラグメント313および313'である。
【0076】
図8Aでは、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ303は、T1i、DTIi、Bvali、およびBveciをそれぞれ含む、p個の正常脳データセットNBDiを受け取る。ただし1<i<pである(111参照)。(図8Aの)処理ステップ111、303、307、309、および310ならびに(図8Bの)処理ステップ810および812は、p個の正常脳データセットNBDiのそれぞれに対して行われる。111の正常脳データセットNBDiのp個のセットすべてが処理された後に、図8Bの処理ステップ818および822は一度行われる。
【0077】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ303が、DICOMからNIfTIへの変換を行う(詳細については図3のステップ303参照)。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ307が、顔面除去および頭蓋骨除去を行う(詳細については図3のステップ307参照)。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ309が、アトラス位置合わせを行い(詳細については図3のステップ309参照)、それによって位置合わせされたアトラスArdi(T1)(802参照)を出力する。この例ではステップ309と並行して行われるように示す、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ310は、全脳拡散トラクトグラフィを行い(詳細については図3のステップ310参照)、それによって対応する全脳トラクトグラフィ画像セットDTIPi(DTI)(803参照)を出力する。これは、前処理フェーズ827である。
【0078】
図8Bでは、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ810が、位置合わせされたアトラスArdi(T1)(802参照)および全脳トラクトグラフィ画像セットDTIPi(DTI)(803参照)を受け取り、Ardi(T1)およびDTIPi(DTI)を位置合わせし、それによって位置合わせされたデータDRi(すなわち、Ardi(T1)とDTIpi(DTI)との間の位置合わせされたデータ-823参照)を出力する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ812が、分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVimi(すなわち、i番目のNBDセットの脳についてのトラクトグラフィベクトル画像セットへのボクセルレベルパーセレーション-815参照)、およびボクセルレベル隣接行列Ami(すなわち、i番目のNBDセットの脳についてのボクセルレベル隣接行列-817参照)を生成する。これは、機械学習データ生成フェーズ828である。言い換えれば、各ボクセルは分類され、パーセレーションアイデンティティがもたらされる。識別されたボクセルの集合は、パーセレーションと関連付けることができる。さらに、各ボクセルは、アイデンティティを与えられる。各ボクセルに対して、システムは、その特定のボクセルにおいてどのトラクトが始動するか、およびそれらはどこで終わるかを決定することもできる。その情報に基づいて、システムは、行ラベルがターゲットボクセルアイデンティティに等しく、対応する列の各列ラベルが、行ボクセルが結合するそれぞれのボクセルである、隣接テーブル/特徴ベクトルを作成することができる。セルを埋める値は、ボクセルのそれぞれのペア間のトラクトの正規化された数である。
【0079】
PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ818は、たとえば、PYTHONライブラリXG BOOSTモジュールなどの機械学習モデルを使用して、エンドツーエンドパーセレーション分類器MODpt(821参照)を決定する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ822は、たとえば、前述のαG BOOSTモジュールを使用して、パススルーパーセレーション分類器MODpn(825参照)を決定する。これは、トレーニングフェーズ829である。
【0080】
図9は、ボクセルレベルトラクトグラフィベクトル(たとえば、図4の1123参照)の実際のT1画像を示す。
【0081】
図10Aおよび図10Bは、ボクセルの結合性を示す例示的なボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを示す。たとえば、図10Aでは、ベクトル「ab」(すなわち1005)は、ボクセル「a」(すなわち1004)とボクセル「b」(すなわち1003)を結合し、ベクトル「ac」(すなわち1002)は、ボクセル「a」(すなわち1004)とボクセル「c」(すなわち1001)を結合する。
【0082】
図10Cは、パーセレーション、ボクセルパーセレーションアイデンティティ、およびボクセルレベルトラクトグラフィベクトルの間の関係を、表形式で示す。図10Cでは、各行は、ボクセルを表す。行ラベルは、ボクセルが属するパーセレーションを表す。列は、ボクセルが結合するパーセレーションを表す。テーブルセル値は、ボクセルとパーセレーションとの間のトラクトの数を表す。
【0083】
図11Aおよび図11Bは、図3のパーセレーション調整ステップ312をどのように実装することができるかを示すプロセスフローチャートフラグメント312および312'である。
【0084】
図11Aでは、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ1101が、Ard(T1)およびDTIp(DTI)を位置合わせし、それによって位置合わせされたデータDR(すなわち、Ard(T1)とDTIp(DTI)との間の位置合わせされたデータ-1104参照)を出力する。ステップ1101は、位置合わせされたアトラスArd(T1)およびトラクトグラフィ画像セットDTIp(DTI)(708および621参照)を入力として受け取る。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1105が、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成し、それによって、1007などの特徴/パーセレーションを有するがラベルのない、1008などのベクトルVje(すなわち、HCP-MMP1アトラスを使用して生成されたエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル)を出力する。したがって、位置合わせされたアトラスArd(T1)における特定のパーセレーションの各ボクセルに対して、ステップ1105は、ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドの結合性を示す、エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVjeを決定する。より詳細には、ステップ1105は、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVjeを生成し、エンドツーエンドおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVjnを生成する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1109が、MODptでVjeを処理し、それによって、1006などのラベルLBje(すなわち、トラクトグラフィベクトルVjeと関連付けられたラベル)およびボクセルグリッドVgridpt(すなわち、MODptでVjeを処理することによって生成されたボクセルグリッド-1112参照)を出力する。したがって、ステップ1109は、ボクセルが特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対する、ラベルLBjeおよびボクセルグリッドVgridptを決定するために、各ボクセルに対して、ボクセルを分類する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1113が、ボクセル間のギャップを埋めるためにボクセルグリッドVgridptの挿入を行う。
【0085】
図11Bでは、PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われるステップ1120が、エンドツーエンドおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルを生成し、それによって、特徴を有するがラベルのない(1123参照)、ベクトルVje(すなわち、HCP-MMP1アトラスを使用して生成されたエンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル)およびベクトルVjn(すなわち、HCP-MMP1アトラスを使用して生成されたパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトル)を出力する。したがって、ステップ1120は、ボクセルと他のパーセレーションのボクセルとのエンドツーエンドおよびパススルーの結合性をそれぞれ示す、エンドツーエンドのボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVjeおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルVjnを決定する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1124が、MODptおよびMODpnでVjeおよびVjnを処理し、それによってラベルLBjejn(すなわち、トラクトグラフィベクトルVjeおよびVjnと関連付けられたラベル)およびボクセルグリッドVgridptpn(すなわち、MODptおよびMODpnでVje、Vjnを処理することによって生成されたボクセルグリッド-1127参照)を出力する。したがって、ステップ1124は、ボクセルが特定のパーセレーションの一部である確率に基づいて、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対するラベルLBjejnおよびボクセルグリッドVgridptpnを決定するためにボクセルを分類する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1128が、ボクセル間のギャップを埋めるためにボクセルグリッドVgridptpnの挿入を行う。したがって、ステップ1128は、ボクセル間のギャップを埋めるために、エンドツーエンドの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルおよびパススルーの分画化されたボクセルレベルトラクトグラフィベクトルに対するボクセルグリッドVgridptpnを挿入する。PAAソフトウェアプログラム233を実行するプロセッサ205によって行われる次のステップ1130が、ボクセルグリッドVgridptpnを個別脳アトラス(PBs Atlas)(1131参照)に変換する。この変換は単に、個々のパーセレーションをすべて取得し、それらを単一のテンソルに置くということである。そのテンソルは、様々な形式で保存することができ、そのうちの1つは、閲覧のために利用可能なオブジェクトである。前に説明したように、ボクセルグリッドを決定し、パーセレーションを予測するプロセスは、2つのパスを使用して行うことができる。第1のパスでは、MODptを使用して予測が行われる。第2のパスでは、MODpnを使用して予測が行われる。この2つのパスは、同じ予測を提供しない場合がある2セットの予測を出力する(すなわち第1のパスの予測は第2のパスの予測と相反する場合がある)。そのような不一致は解決される必要があり、1つのPAA例では、不一致は、次のように解決される。第1のパスが値Aを予測し、第2のパスが同じパーセレーションに対して値Bを予測する場合、第1のパスの結果は維持され、第2のパスの結果は廃棄される。
【0086】
図12は、分画化される脳を示す。PAA構成は、脳1201が、顔面1202および頭蓋骨1203に関係する画像情報を除去した後に、処理されることを必要とする。
【産業上の利用可能性】
【0087】
説明した構成は、コンピュータおよびデータ処理産業に、特に医療画像産業に利用可能である。
【0088】
本明細書で説明したシステムおよび方法は、新規の機械学習ベースの手法を使用して、様々な脳構造を有する患者におけるパーセレーションの境界の再マッピングを提供することができる。健康な患者では、この手法は、純粋なアフィンベースの位置合わせで取得されるアトラスと同様の、ただし個人間のばらつきを有するアトラスを作成する。脳腫瘍、萎縮、または脳水腫など、潜在的に不健康なまたは断定的に不健康な脳を有する患者では、これは、解剖学的ゆがみおよび潜在的には機能的再編成を構成するアトラスを作成する。これは、脳外科手術を受け、脳腫瘍、外傷性脳損傷、脳卒中、または他の脳がゆがむ疾患を有する患者が、より正式なコネクトームを基盤とした方法で研究され得る可能性を高める。それはまた、損傷についての洞察を得て、研究の場と非研究の場の両方において患者を修復するために、患者にわたって意味のある方法でデータを比較する可能性をもたらす。さらに、これらの技法は、時間がかからず、自動化されるので、臨床診療において使用することができる。
【0089】
言い換えれば、本明細書で説明する、構造的結合性に基づくアトラシング技法は、病理状態に見られる構造および形状変化に強い。これは、概説した方法が、接続の特定のセットが、それが物理的に他の場所に配置される場合、同様の機能を行うという合理的なその後の仮説で、特定の脳回路が位置している場所を知らせることにおいて優れているからである。
【0090】
臨床ケアに影響を及ぼし、これを改善するために、神経画像処理および分析は、高速で、自動化され、堅牢かつ生物学的に正確な方法で病理脳解剖学に対処できる必要がある。本明細書で説明する手法の1つの利点は、それらが速く、人の入力を必要とせず、異常な脳に対処できることである。臨床的に現実的なタイムラインで、専門家の入力なしに、処理を完遂できない方法は、より大きい臨床神経科学界に拡大しない。
【0091】
本明細書で説明する方法は、球面形状または皮質トポロジーについて仮説を立てず、灰白質構造およびパーセレーション場所を定義するために結合性データを使用する。したがって、これらの方法は、より汎用性があり、より高速であって、複雑な患者に対してより臨床的に現実的かつ堅牢になる。
【0092】
最も普及しているプラットフォームのいくつかを用いるDTおよびfMRI画像のための画像処理は、特に異常な脳では使用できる結果を生成するのに少なくとも数時間かかることがある。本明細書で説明する方法およびシステムは、一部の患者が直ちに外科手術を必要とするために、データが直ちに必要とされる臨床的神経腫瘍学の実践に利点を有する。本明細書で説明する方法およびシステムは、詳細には脳腫瘍の場合、迅速かつ正確な画像解析を必要とする患者がいる臨床の場と、研究の場の両方において有利である処理静止状態のfMRIを含む、1時間未満ですぐに使用可能な結果を生み出すことができ、データをより効率的に収集し、分析することができる。
【0093】
さらに、DTおよびfMRI画像を処理し、分析するために利用可能な以前のプラットフォームおよびツールは、自動化および統合が不十分である。現在、大部分のツールは、いくらかのコーディングおよび/またはシェルスクリプティングが必要である。患者ケアを担当している大部分の人々が医者であり、コンピュータ科学者ではないと仮定すると、これは構内の専門知識を必要とし、労働人口、コスト、および/または臨床診療のタイムラインに対処することの観点からスケーラブルではない。さらに、研究の場においては、処理および分析が自動化されることは、より費用効果および時間効果が高い。本明細書で説明する方法およびシステムは、以前の技法と比較すると、より効率的かつ実践的である。
【0094】
上記は、本発明のいくつかの実施形態のみを説明しており、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなくそれに修正および/または変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0095】
100 一例
101 MRIスキャナ
102 HCP-MMP1アトラス
104 DTI画像
105 MRI画像
110 HCP標準的脳データ
111 正常脳データ(NBD)セット
112 パイプラインセグメント
113 パイプラインセグメント
114 パイプラインセグメント
117 PAA処理モジュール
125 DICOM画像セット
200 コンピュータシステム
201 コンピュータサーバモジュール
202 キーボード
203 マウスポインターデバイス
204 システムバス
205 プロセッサ
206 半導体メモリ
207 オーディオ-ビデオインターフェース
208 入力/出力(I/O)インターフェース
209 ストレージメモリデバイス
210 ハードディスクドライブ(HDD)
212 光ディスクドライブ
213 I/Oインターフェース
214 ディスプレイデバイス
215 プリンタ
216 モデム
217 ラウドスピーカー
218 接続
219 接続
220 通信ネットワーク
221 接続
222 ローカルエリア通信ネットワーク
223 接続
224 接続
225 光可読ディスク記憶媒体
226 スキャナ
227 カメラ
228 メモリロケーション
229 メモリロケーション
230 メモリロケーション
231 命令
233 ソフトウェアアプリケーションプログラム
234 メモリ
235 メモリロケーション
236 メモリロケーション
237 メモリロケーション
239 制御ユニット
240 算術論理ユニット(ALU)
241 内部バス
242 インターフェース
244 ストレージレジスタ
245 ストレージレジスタ
246 ストレージレジスタ
248 キャッシュメモリ
249 ROM
250 パワーオンセルフテスト(POST)プログラム
251 基本入出力システムソフトウェア(BIOS)モジュール
254 入力変数
258 中間変数
259 メモリロケーション
260 メモリロケーション
261 出力変数
262 メモリロケーション
263 メモリロケーション
264 メモリロケーション
266 メモリロケーション
267 メモリロケーション
268 リモート端末
269 プロセッサ
270 接続
271 ブラウザ
272 メモリ
280 マイクロフォン
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】