(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】屋根葺き用屋根板を設置するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
E04D 3/363 20060101AFI20221212BHJP
E04D 3/362 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
E04D3/363 E
E04D3/362 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022506917
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020050894
(87)【国際公開番号】W WO2021055362
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046151
【氏名又は名称】ハンフリーズ,ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンフリーズ,ジョン
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AS03
2E108AS04
2E108AZ01
2E108BB01
2E108BN02
2E108CC01
2E108CC07
2E108CC11
2E108CC15
2E108CC20
2E108DD01
2E108DF01
2E108DF03
2E108DF04
2E108ER04
2E108ER11
2E108FF01
2E108FF11
2E108FG01
2E108GG06
2E108GG15
2E108GG20
(57)【要約】
屋根葺き用の屋根板を屋根デッキに上から下へ設置する方法及び装置が開示されている。特別設計の帯状薄板が屋根デッキ上に下から上へ配置され、設置される。各帯状薄板は、帯状薄板の嵌合領域に屋根板の対応する嵌合部分をスライドさせることにより、相補的に屋根板を帯状薄板に確実に取り付けることを可能にする雌型嵌合領域を有し、この結果、屋根板を釘なしで屋根デッキに固定するスナップ嵌め係合がもたらされる。この方法及び装置には、周囲温度が変動しても屋根板が座屈及び/又は引裂きなしに伸縮(「呼吸」)することを可能にするなど、いくつかの独自の利点がある。さらに、この方法は上から下へ設置するため、屋根職人は釘打ちされた帯状薄板の列を安全な足場として使用することができ、これにより屋根職人の滑り防止力が改善され、この本質的に危険な作業を実行する間、屋根職人の安全性が著しく向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根板を上から下に向かう方法で屋根に設置するための装置であって、
前記屋根に取り付けられた細長い帯状薄板であって、
前記帯状薄板は屋根板嵌合領域を有し、前記屋根板嵌合領域は帯状薄板フック及びフランジを有し、前記帯状薄板フック及び前記フランジは帯状薄板開口部を形成する帯状薄板と、
前記帯状薄板開口部内に位置付けられるための屋根板フックを有する屋根板であって、前記屋根板フックは前記屋根板を釘なしにスナップ嵌めにおいて前記帯状薄板に固定するための前記帯状薄板フックと連結する、屋根板と
を備える装置。
【請求項2】
前記帯状薄板が複数の釘を使用して前記屋根に固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記帯状薄板が上面及び後面を含み、前記帯状薄板フックは前記帯状薄板の前記後面から延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フランジが前記帯状薄板の前記後面の頂部から延びる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記帯状薄板フックが前記フランジの向かい側に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記帯状薄板フックが前記フランジの一端に形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記屋根板が上面及び底面を含み、前記屋根板フックが前記屋根板の前記底面から下方に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記帯状薄板フックが帯状薄板フックの角度のある表面を含み、前記屋根板フックが屋根板フックの角度のある表面を含み、それにより、前記角度のある表面は前記屋根板を前記帯状薄板に設置する間、互いに接触するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記屋根板フックが前記帯状薄板開口部に挿入されるときに前記フランジが上方に撓む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
複数の帯状薄板及び屋根板を、上縁及び下縁を有する屋根に設置する方法であって、
(a)前記帯状薄板が前記屋根の前記下縁に実質的に平行になるように複数の帯状薄板を前記屋根に固定するステップであって、前記帯状薄板のそれぞれは雌型屋根板嵌合領域を有し、前記屋根板のそれぞれはその底面に屋根板フックを有するステップと、
(b)前記屋根板の1つを前記帯状薄板の1つの上に配置するステップと、
(c)前記屋根板フックがスナップ嵌め式に前記雌型屋根板嵌合領域と係合するまで、前記1つの屋根板を前記屋根の前記上縁に向かって上方に移動するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記1つの屋根板を上方に移動するときに、前記1つの屋根板の前縁を、その上の列の前記屋根板の別の屋根板の後縁の下に挿入するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記屋根板を前記屋根の上縁からその下縁まで設置するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記屋根板を上方に移動する前記ステップが、前記屋根板フックが前記雌型屋根板嵌合領域に挿入されるときに前記雌型屋根板嵌合領域のフランジを撓ませるステップを含み、それにより、前記屋根板が前記雌型屋根板嵌合領域にさらに挿入されるときに前記フランジは下げられる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
設置後に各屋根板が呼吸することを可能にするような方法で屋根板を上から下に向けて屋根に取り付けるためのシステムであって、
実質的に互いに平行であるような方法で前記屋根に留められた複数の帯状薄板を備え、
前記帯状薄板のそれぞれは上面、前面、後面及び前記後面上の屋根板嵌合領域を有し、
前記帯状薄板は、前記上面を貫いて前記屋根まで延びる釘によって前記屋根に固定され、
前記帯状薄板のそれぞれは、前記屋根板嵌合領域に帯状薄板フックを有し、
前記システムは、
前記帯状薄板に取り付けられた複数の屋根板を備え、
前記屋根板のそれぞれは、上面、底面、及び前記底面上の屋根板フックを有し、
前記帯状薄板フックは、釘を用いずに前記屋根板を前記帯状薄板に固定するために、前記屋根板フックとスナップ嵌め係合下に連結する、
システム。
【請求項15】
前記屋根板は、前記屋根板のそれぞれが設置後に呼吸することを可能にするために、前記スナップ嵌め係合においてのみ前記帯状薄板に固定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記屋根板のそれぞれが前縁及び後縁を含み、前記屋根板の1つの前縁がその設置の間、隣接する屋根板の後縁の下に挿入される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記屋根板嵌合領域が、自由端を有するフランジを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記屋根板フックが前記屋根板嵌合領域に挿入されるときに、前記フランジが持ち上げられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記帯状薄板フックが上方に延び、前記フランジに対向する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記帯状薄板フックが前記フランジの前記自由端から下方に延びる、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
屋根板を屋根に設置するために使用される帯状薄板であって、前記屋根板がその底面に嵌合突起を有し、前記屋根が下縁及び上縁を有し、
前記屋根の前記下縁と前記上縁との間で前記屋根に水平方向に配置された細長い帯状薄板を構成し、
前記帯状薄板が、前記下縁よりも前記屋根の前記上縁に近い前面と、前記上縁よりも前記屋根の前記下縁に近い後面とを有し、
前記帯状薄板の前記後面が、一体的に形成された雌型嵌合領域を有し、それにより前記帯状薄板の前記雌型嵌合領域は、前記屋根板の前記嵌合突起を受け入れ、それとスナップ嵌めにおいて連結するように適合される、
帯状薄板。
【請求項22】
前記雌型嵌合領域が帯状薄板フックを含む、請求項18に記載の帯状薄板。
【請求項23】
前記帯状薄板フックが前記帯状薄板の前記後面から後方に延びる、請求項22に記載の帯状薄板。
【請求項24】
前記帯状薄板フックが前記後面の下部に配置される、請求項23に記載の帯状薄板。
【請求項25】
前記帯状薄板フックが前記後面の上部に配置される、請求項22に記載の帯状薄板。
【請求項26】
前記帯状薄板の前記雌型嵌合領域が、その前記後面から後方に延びる可撓性フランジを含む、請求項22に記載の帯状薄板。
【請求項27】
前記フランジが前記帯状薄板フックの向かい側に位置する、請求項26に記載の帯状薄板。
【請求項28】
前記帯状薄板フックが前記フランジの端部に位置付けられる、請求項26に記載の帯状薄板。
【請求項29】
屋根に接続された帯状薄板に設置されるように適合された屋根板であって、前記帯状薄板が正面、後面、及び前記後面上の嵌合領域を含み、前記屋根板は、
上面、前縁、後縁、及び底面を有する屋根板を構成し、
前記底面が嵌合突起を有し、
前記嵌合突起が、前記帯状薄板の雌型嵌合領域と嵌合するように適合され、それにより前記屋根板はスナップ嵌めにおいて前記帯状薄板と連結することができ、釘を使用することなく前記屋根に固定することができる、
屋根板。
【請求項30】
前記嵌合突起が、前記屋根板の前記底面から下方に延びる屋根板フックを含む、請求項29に記載の屋根板。
【請求項31】
前記雌型嵌合領域が、前記屋根板フックと連結するための帯状薄板フックを含む、請求項30に記載の屋根板。
【請求項32】
前記屋根板フックが、前記雌型嵌合領域に入るときに撓むように適合される、請求項31に記載の屋根板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月16日に提出された係属中の米国仮特許出願第62/900,690号に付与された優先権を主張するものであり、前記仮特許出願は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、住宅の屋根葺き用の屋根板と、それを設置するためのトップダウン式、すなわち上から下へ向かう方法とに関連する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載及び本開示の概要
以前から、いくつかのトップダウン式の住宅の屋根葺き用の屋根板及び設置方法が設計されているが、商業的な成功はあまり得られていない。その結果、トップダウン式の屋根葺きの実践はあまり知られていない。典型的に、屋根板の設置に使用される手法はボトムアップ式、すなわち下から上へ向かう手法であり、すなわち、屋根職人は屋根面の下縁、すなわち「軒」を横切って屋根板の第1の列を釘打ちし、次いで第1の列のすぐ上に屋根板の第2の列を釘打ちし、この際、前の列にわずかに重なることを確実にし、雨水が屋根から自然に流れ落ちるようにする。その後、屋根職人は、その屋根面の一番下の軒から一番上の縁、すなわち「棟」まで、屋根板の新しい列を前の列の直ぐ上に釘打ちする。屋根葺き用屋根板のほとんどすべての様式(例えば、アスファルト、木製屋根葺き板、金属、粘土、及びスレート)がこの方式に対応しているため、ボトムアップ方式は屋根板設置の標準方式として広く受け入れられている。
【0004】
対照的に、上から下へ向かう屋根葺きとは、屋根職人が棟から軒まで屋根板を設置する方法を指し、すなわち、屋根の天辺で屋根板の設置を開始し、屋根面が完全に屋根板で覆われるまで、下方へ1列ずつ軒まで移動する。他の上から下へ向かう屋根葺き用屋根板及び関連する設置方法が試みられてきたにもかかわらず、それらは業界において広く受け入れられていない。それらとは対照的に、本開示は、使用される製品の設計と、その設置の容易さの両方を劇的に単純化する。この独自の方法において、屋根職人及び住宅所有者も同様に、以下に記載するように、上から下へ向かう屋根板システムに固有の多くの利点を享受し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、典型的な住宅の屋根を完成させるために、屋根板と帯状薄板(batten)の使用を組み合わせる。単純な木製の帯状薄板が、多くの重い屋根板の設置において、特に粘土及びコンクリートタイル向けに、一般的に使用される。一般的な帯状薄板は、単純な長方形(大抵1インチ×2インチ)の中実の木材で作られており、長さは48インチ~96インチであることが多い。これらの帯状薄板は通常、非常に重い粘土又はコンクリートタイルを追加する前に屋根デッキに釘打ちされ、それにより、1)屋根板を屋根の軒先に対して平行に均等に配置するのに一役買うようにし、また、2)これらの重いタイルが従来の住宅屋根の典型的な傾斜部分から滑り落ちるのを防止するのに一役買うようにする。
【0006】
対照的に、本開示によって企図される特別設計の帯状薄板(中実又は中空であってよい)は、1)相補的な軽量の特別設計の屋根板を屋根の軒先と平行に均等に配置するのに役立つように、2)前述の相補的な屋根板を屋根デッキに取り付けるためのスナップ嵌め式安全係合機構を提供するように、さらに3)屋根職人が本質的に危険な作業をより高い安全性で行うことを可能にする、屋根職人用のより安全な基盤(屋根デッキの足場によく似ている)を最初に提供するように、設計されている。
【0007】
本明細書で使用する「スナップ嵌め」は、可撓性部分(通常はプラスチック)を、その部分の連結(インターロック)構成要素を相互に押し付け合うことによって取り付けるために使用される標準的な組立方法を指す。一般に、スナップ嵌めは、一方の構成要素の突出した雄型部分、例えばフック、スタッド又はビードを備え、この雄型部分は接合作業中に一時的に撓み、相手方構成要素の相補的な雌型のくぼみに、しばしばスナップ音を発生させながら捕捉される。接合動作の後、スナップ嵌め特徴部は、2つの相補的な部品を定位置に保持しながら、応力のない状態に戻る。
【0008】
本開示の帯状薄板は、目の前の設置のために規則的で、平行で、垂直方向に間隔を空けたガイドを確立する能力を屋根職人に提供するだけでなく、屋根職人が屋根から滑り落ちる及び/又は落下するリスクを大幅に低減する方法でそれを行う。本開示によって企図されるいずれかの屋根面の最初の準備において、屋根職人は、下縁を起点にして水平方向に屋根を横切って帯状薄板を釘打ちし、次に、その縁の上に規則的な垂直間隔で追加の帯状薄板を配置し、これは屋根面が帯状薄板の平行な列を完全に備えるまで続き、こうして前記帯状薄板と正しく整列され、確実に取り付けられる屋根板を受け取る準備が整う。
【0009】
本開示の特別設計のプラスチック屋根板は、釘を使用せずに帯状薄板に容易且つ確実にスナップ嵌めされるように独自に設計されている。
【0010】
予備整列された平行な帯状薄板は、帯状薄板に取り付けられた屋根板が、1)屋根面の軒に確実に平行であり、2)その列内の他の全ての屋根板と確実に水平方向に整列され、3)釘で屋根デッキに留められた帯状薄板を介して屋根デッキに確実に取り付けられるので、屋根職人が設置の質を保証する上で助けとなる。
【0011】
帯状薄板の釘は帯状薄板を屋根デッキに固定し、帯状薄板は屋根板と連結される。したがって、帯状薄板の釘は、間接的に(屋根板を個々に屋根に釘打ちすることなく)屋根デッキに個々の屋根板をしっかりと保持する。さらに、上から下へ向かう設置において、帯状薄板は、傾斜のある屋根デッキ上の足掛かりとなる足場として効果的に機能するというさらなる利点もある。このように、帯状薄板は屋根デッキ上で新しい、より信頼性の高い滑り防止力を提供し、屋根職人の安全性、そしておそらくより重要なことに、彼らの安心感を著しく向上させる。その結果、本開示は、上から下へ向かう屋根葺きの従来技術バージョンと比較して、以下の利点を提供する:
1)屋根葺き用屋根板の設置を単純化する、
2)屋根の上に屋根板を正しく配置することの容易さを向上させる、
3)屋根板と帯状薄板を屋根に固定するために使用する釘の数を減らす、
4)屋根に新しい屋根板を正確に取り付ける時間を短縮する、
5)垂直方向に隣接する屋根板が座屈する可能性を排除する、
6)屋根の耐用年数の間に破損した屋根板を交換する際の容易性を向上させる、
7)屋根職人が屋根から滑り落ちる及び/又は落下する危険性を、
a.屋根職人が傾斜のある屋根の上で、潜在的に滑りやすい屋根板の上に立ってバランスをとる必要性を排除することによって、及び
b.屋根職人が自分のスタンスの上で屋根板を設置する際に、(特に急な傾斜部分の上で)足掛かりとしての帯状薄板のはるかにより要求される追加の安全性を提供することによって、減らす。
【0012】
これらの帯状薄板は、屋根傾斜部分の表面に組み込まれた足場の形態として機能し、屋根からの滑り落ちや落下に対する追加の安全性を提供する。上から下へ向かう屋根葺きのこの方法を用いると、足場のような帯状薄板が、屋根デッキの全傾斜面で利用可能であり得、上から下へ向かって屋根板を設置する間の屋根職人の安全性を高める(屋根職人がはしご又は地上の足場から最下段の屋根板の設置を完了するまで)。
【0013】
本開示は、特別に設計された帯状薄板が最初に位置付けられ、定位置に釘打ちされた後、屋根板が上から下へ向かって設置され得るシステムを提供する。このシステムでは、各屋根板は、帯状薄板の開いている部分又は雌型部分に単純且つ容易にスライドさせることによって屋根デッキに取り付けられ、個々の屋根板を釘打ちする必要性を排除する。次に、各屋根板を直前に設置されたものと連結させ、同時に、前記屋根板の前縁を、そのすぐ上の列の先に設置された屋根板の後縁の下にスライドさせることによって、屋根板-帯状薄板の本開示は、屋根職人が単一の屋根板を釘打ちすることなく典型的な屋根の全表面を完全に屋根板で葺くことができる屋根葺きシステムを提供する。
【0014】
最後には、本発明による屋根の設置が完了した後、取り付けられたすべての屋根板は、(帯状薄板を介して)屋根にしっかりと取り付けられているが釘打ちされていないため、座屈や歪みの危険性なしに、自由に呼吸すること、すなわち、周囲温度が変動したときにいずれの方向にも自然に伸縮することが可能である。屋根板は帯状薄板の釘の力によって間接的に屋根デッキに対して維持されているが、これらの屋根板は周囲温度の変動により自然な伸縮の力が命じる際に、わずかに前後に、又はわずかに左右に伸びることを制限されない。最後に、万が一、屋根の個々の屋根板が時間の経過とともに損傷した場合(例えば、散発的な風雨で倒れた木の枝によって)、その個々の屋根板を取り外して新しいものと容易に交換することができる。
【0015】
図面の簡単な説明
本開示は、添付の図面を参照して最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の屋根板システムの、矢印で示されるようなボトムアップ、すなわち下から上へ向かう方法における帯状薄板の一般的な設置を示す、建物の概略図である。
【
図2】本開示の屋根板システムの、矢印で示されるようなボトムアップ、すなわち下から上へ向かう方法における帯状薄板の一般的な設置を示す、建物の概略図である。
【
図3】本開示の屋根板システムの、矢印によって示されるような、トップダウン、すなわち上から下へ向かう方法における屋根板の一般的な設置を示す、建物の概略図である。
【
図4】本開示の屋根板システムの、矢印によって示されるような、トップダウン、すなわち上から下へ向かう方法における屋根板の一般的な設置を示す、建物の概略図である。
【
図5】屋根板の設置前の帯状薄板を示す、
図1~4の屋根の一部の拡大斜視図である。
【
図7】設置された屋根板を示す
図5と同様の図である。
【
図10】
図8の線10-10に沿って取られた断面図である。
【
図15】第2の屋根板の設置を示す
図7と同様の図である。
【
図16】第2の屋根板の設置を示す
図7と同様の図である。
【
図17】2つの隣接する屋根板の間の水平方向の連結を示す
図16の線17-17に沿って取られた断面図である。
【
図19】先に上に設置されたものの下の、第2の列の屋根板の設置を示す、
図11~14と同様の図である。
【
図20】先に上に設置されたものの下の、第2の列の屋根板の設置を示す、
図11~14と同様の図である。
【
図21】先に上に設置されたものの下の、第2の列の屋根板の設置を示す、
図11~14と同様の図である。
【
図23】追加の屋根板の設置を示す、
図22と同様の図である。
【
図28】設置された屋根板を有する第2の例を示す、
図7と同様の図である。
【
図32】
図22と同様の図であるが、第2の例を示し、説明を容易にするために、いくつかの屋根板は取り外されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、屋根用の屋根板システムを提供するために一緒に機能する複数の屋根板及び帯状薄板を含む。具体的には、本開示は、屋根の設置のための上から下へ向かう、連結式(インターロック式)の屋根板及び帯状薄板システムを含む。このシステムの2つの例が開示される。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、参照数字10は、屋根デッキ12上に設置された複数の帯状薄板を有する建築構造物を全体的に示す。建築構造物10は、特定の構造サイズにもタイプにも限定されない。屋根デッキ12は、屋根の棟22から屋根の軒20まで延び、特定の正勾配に限定されるものではない。すなわち、屋根デッキ12は、様々な正勾配又は斜度の傾斜度で屋根の棟22から屋根の軒20まで延び得る。最初、帯状薄板は、屋根デッキ12上に下から上に向かって設置されるが、屋根の軒20に隣接して始まり、屋根の棟22に向かって概ね上方向に一定の間隔で連続する。最下段の帯状薄板14が設置され、次いで帯状薄板16、帯状薄板18と続き、帯状薄板間は一定の垂直間隔、例えば12インチ間隔である。屋根職人は、最上段の帯状薄板が屋根の棟22に達する前の一間隔以下の距離に配置されるまで、このように帯状薄板が互いに平行に設置されることを保証する。帯状薄板の材料は限定されず、プラスチック、金属、木材等など、任意の材料を含み得る。
【0019】
図3及び
図4を参照すると、すべての帯状薄板が屋根デッキ12上に設置されると、個々のフィールド屋根板が、最上段の帯状薄板の上にそれを横たえ、次に、以下でより詳細に記載されるように、帯状薄板にぴったりと嵌まるまで、屋根の棟22に向かって概ね上向きにその帯状薄板を横切ってスライドすることによって、設置される。屋根デッキの平面を横切って典型的に設置されるものであるフィールド屋根板は、一般に「屋根板」と称される。トリム屋根板(図示せず)が、慣例的であるように、また当業者により理解され得るように、軒、棟、隅棟、切妻、及び屋根の他の非平面部分を覆うために使用されてもよい。
【0020】
屋根の棟22に隣接する最上段の屋根板列24の帯状薄板の全体に、屋根板は好ましくは左から右へ設置される。列24の屋根板の次には、第2の列26に設置された屋根板、第3の列28に設置された屋根板と、最下段の帯状薄板14に達するまで続く。この上から下へ向かう屋根板の設置方法は、屋根職人の安全性と作業性を高め、作業の質とプロセスにおける屋根職人の生産性とをともに改善するため、典型的な下から上へ向かう屋根板の設置方法よりも好ましい。また、この方法では、屋根板を設置する前に平行な帯状薄板を設置するため、高い美観を確保することができる。帯状薄板の設置により平行度が確立されると、隣接する屋根板列の間の一定の垂直方向の間隔、及び同じ列の隣接する(及びインターロックされた)屋根板の一定の水平方向の整列が保証される。このシステムにより、屋根職人が列間の平行度や1列内の整列について個々の屋根板の位置を繰り返し評価する時間の大部分が短縮される。屋根板の材料は限定されず、プラスチック、金属、木材、粘土、セメント、アスファルト、複合材、コンクリート、シリコンパネル等など、屋根材として適した任意の材料を含んでよい。
【0021】
再び
図4を参照すると、下部屋根板列26及び上部屋根板列24は、屋根デッキ12上に垂直方向に隣接する列に設置された屋根板間の空間的関係を示している。
【0022】
図5は、屋根板の設置前に屋根デッキ12上に設置された2つの帯状薄板16及び18の第1の例の一部を示す。帯状薄板16及び18は、概して細長い長方形の形状を有する。この第1の例では、帯状薄板16及び18は中実として示されているが、後述する第2の例のように中空であってもよい。帯状薄板は、それが亜鉛メッキ屋根釘、銅屋根釘、標準屋根ネジ又はそれらに類するものであろうと何であろうと、通常の技術を有する屋根職人によってよく知られているように、屋根業界で使用されている標準的な留め具34で屋根デッキ12に固定することができる。これらの留め具は、屋根材の予想される寿命に一致するように、及び/又は、地域の建築基準法に準拠するように選択することができる。説明を容易にするために、本明細書及び特許請求の範囲において、様々な種類の留め具をまとめて「釘」と呼び、留め具を屋根に固定する工程を「釘打ち」と呼ぶ。
【0023】
図6は
図5の断面側面図である。この例では、各帯状薄板は、前面36、後面37、上面38、底面40、及び全体的に参照数字42で示される雌型嵌合領域を有し得る。後述する第2の例では、帯状薄板は中空であり、したがって、底面を有していない場合がある。嵌合領域42は、例えば、上向きに尖った帯状薄板フック44と、後面37から後方に延びる帯状薄板フランジ45と、帯状薄板フック44及び帯状薄板フランジ45の間に位置する帯状薄板開口部46とを含み得る。帯状薄板フック44は、後面37から後方に延び、帯状薄板フック44は、フランジ45と対向する位置にある。
【0024】
図7は
図5と同様であり、帯状薄板18に設置された屋根板30を示している。屋根板の列は、屋根デッキ12の左側縁を起点にして設置されてもよい。
【0025】
図8は、屋根板30の拡大上面図を示す。各屋根板は、概ね長方形の形状を有し、上面51、前縁50、後縁54、右側縁52、及び左側縁53を含む。各屋根板はまた、右側縁52に取り付けられた樋55を有し得る。樋55は、隆起した外縁56と、開放した下縁57と、樋堰58とを有する。樋55の構造により、水は水平方向に隣接する屋根板の隙間に落ちることなく、屋根から流れ出る。各屋根板のサイズは限定されず、例えば、長さ、幅、プロファイル高さ及び/又はプロファイル形状(例えば、平面形状対曲線形状)が異なってもよい。
【0026】
図9は、屋根板30の拡大底面図を示す。各屋根板の底面31は、屋根板の底面全体に間隔を置いて配置される垂直、水平、又は斜めの補強リブ59を含み得る。補強リブ59の配置は、等間隔であることに限定されず、隣接するリブ間の間隔は異なっていてもよい。嵌合縁61が底面上に位置し、左縁53に垂直である。屋根板の底面から突出する嵌合突起60が、これから記載するように、帯状薄板16のスナップ嵌め設計と係合するように設計されている。
【0027】
図10は、屋根板30の樋55、補強リブ59、嵌合突起60及び嵌合縁61を示す
図8の断面図である。
【0028】
図11~
図14は連続しており、屋根デッキ12に屋根板30が設置される様子を示している。設置方法は、以下のように記載することができる。
【0029】
図11を参照すると、嵌合突起60は、屋根板フック62及び後面64を含み得る。屋根板30は、その嵌合突起60を帯状薄板18の嵌合領域42に挿入することによって設置することができる。屋根板30の設置は、以下により詳細に記載されるように、屋根板を帯状薄板を横切って屋根棟22に向かって概ね上方にスライドさせることによって完了することができる。
【0030】
図12は、帯状薄板フック44と屋根板フック62が接触するまで概ね上方向に延在する屋根板30を示す。
【0031】
図13を参照すると、帯状薄板フック44と屋根板フック62が接触すると、帯状薄板フック44は屋根板フック62を持ち上げ、その結果、屋根板フック62が帯状薄板開口部46に入るにつれて、帯状薄板フランジ45は撓み、持ち上げられる。
【0032】
図13に連続する
図14を参照すると、屋根板フック62が帯状薄板開口部46内に位置すると、帯状薄板フランジ45は下ろされ、後面64はスナップ嵌め係合下に、帯状薄板フック44にもたれ掛かる。こうして、屋根板の嵌合突起60は、嵌合領域42の帯状薄板開口部46内に連結され、固定される。嵌合突起60及び帯状薄板嵌合領域42の前述の詳細は例示であり、同じ結果を得るために他の多くの構成及び構造を採用することができ、その第2の例を以下に記載する。
【0033】
上記のようなスナップ嵌め係合により、屋根職人による個々の屋根板の追加の釘打ちを必要とせずに、屋根板を帯状薄板によって屋根に確実に捕捉し保持することができる。このような帯状薄板への屋根板の連結方法は、屋根の施工に必要な時間、労力、無駄、再作業、及び釘の本数を大幅に削減し、従来方法と比較して屋根職人の生産性を高めるはずである。加えて、釘打ちをせずに帯状薄板に連結された屋根板は、質の高い屋根の施工に有利である。屋根板を帯状薄板に連結連結することで、周囲の温度状況の変化に応じて屋根板が自然に伸縮することができる。対照的に、従来技術では、屋根板がその最上段/最も左側で釘によって定位置に固定され、その最下段/最も右側で別の釘付けされた屋根板によって定位置に固定されている場合、その屋根板は「呼吸」、すなわちその固有の熱膨張係数が要求するように自然に伸縮することが許されないことになる。伸張及び/又は収縮を抑制された屋根板は、その材料と、住宅上での寿命を通じて耐える温度変化とに応じて、凍結融解サイクルの間に座屈及び/又は引裂きのより大きなリスクにさらされることになる。
【0034】
図15は、第2の屋根板66の設置を示す。屋根板30の樋55は、隣接する屋根板66の嵌合縁61(
図9参照)と連結し、屋根板30の樋堰58に達するまで上方にスライドする。この時点で、屋根板66の嵌合突起60と屋根板66の帯状薄板嵌合領域42が連結し(
図11~
図14参照)、それによって垂直及び水平方向の連結が形成される。
【0035】
図16は、
図7と同様であり、第2の屋根板66が屋根板30の右側に完全に設置された状態を示している。
【0036】
図17は、
図16の部分断面図であり、屋根板30の樋55と屋根板66の嵌合縁61との間の水平方向の連結を示している。
【0037】
図18は、
図16と同様であり、屋根12の帯状薄板18に設置された第1の屋根板列における第3の屋根板68の設置を示す。第2の屋根板66が第1の屋根板30の隣に設置された後、第3の屋根板68が続き、屋根板の完全な列が取り付けられるまで、屋根板は水平方向に右方向に並んで続く。屋根板の設置は、屋根デッキ12の左側から屋根デッキ12の右側への設置に限定されるものではないが、屋根板樋55が右側にある場合、設置はこの構成が好ましい。しかしながら、樋55が屋根板の左側に位置する場合、設置は、代替的に、右から左へ達成されてもよい。
【0038】
【0039】
図19を参照すると、下側帯状薄板16に屋根板32が設置される様子が示されている。屋根板32は、屋根板30と同じ対応部分、すなわち、屋根板嵌合突起73、上面71、底面77、前縁70、後縁74、左側縁76(
図22に示す)、右側縁72、樋75及び下側のリブ補強面を有する。同様に、帯状薄板16も帯状薄板18と同様である。したがって、帯状薄板16は、フランジ85を有する嵌合領域82を含む、帯状薄板18と同じ対応部分を有する。
【0040】
図19は、下側屋根板32の前縁70が上側屋根板30の後縁54の真下にあるように、下側屋根板32の嵌合突起73が帯状薄板16の参照数字82で全体的に示される嵌合領域に概ね上方向に挿入される様子を示す。その結果、下側屋根板32の上面71は、上側屋根板30と屋根デッキ12との間の開口部79に挿入される。
【0041】
図20は、帯状薄板16と係合する過程にある下側屋根板32を示す点で
図13と同様である。
【0042】
図21は、下側屋根板32の嵌合突起73が帯状薄板16の嵌合領域82内にスナップ嵌めされ、完全に連結されていることを示す点で
図14と同様である。
図21はまた、本開示の屋根板32が、設置後にどのように「呼吸」(伸張及び収縮)することを許されるかを説明するのに役立つ。すなわち、屋根板32は、スナップ嵌めの場所、すなわち、屋根板嵌合突起73が帯状薄板嵌合領域82と完全に連結される場所という1つの場所においてのみ拘束される。したがって、屋根板32は、スナップ嵌め領域から前縁70まで、又はスナップ嵌め領域から後縁74まで伸張することができる。
【0043】
図22は
図18に連続しており、下側屋根板32は、屋根板30と屋根板66との間の下側で横方向に第2の列において帯状薄板16に設置される。
【0044】
図23は
図22に連続しており、第2の下側屋根板90が、帯状薄板16上に屋根板32に隣接して設置される。追加の屋根板は、列が完成するまで、横方向に並んで設置される。このような屋根板の設置方法は、屋根12が屋根板で完全に覆われるまで続けられる。
【0045】
図24~27は、第1の例と実質的に同じ結果を達成する帯状薄板及び屋根板の構成及び構造の第2の例を示す
図11~14と同様の図である。
【0046】
具体的には、
図24~
図27は、屋根デッキ12’に設置される屋根板30’を示している。この例では、屋根板30’は、同様の対応部分を含む屋根板30と実質的に同様である。帯状薄板18’は、参照数字42’で全体的に示される嵌合領域を含む。帯状薄板18’は、第1の例で示したように中実ではなく、中空であり得る。嵌合領域42’は、帯状薄板フランジ45’と屋根デッキ12’の上面との間に位置する帯状薄板開口部46’を含み得る。この例では、帯状薄板フック44’は、下向きに尖っており、フランジ45’の端部に形成されている。嵌合突起60’は、屋根板フック62’と後面64’を含み得る。屋根板の設置方法は、以下のように記載することができる。
【0047】
図24を参照すると、屋根板30’は、嵌合突起60’が帯状薄板18’と屋根12’の上面との間の嵌合領域42’に移動するように矢印の方向に上方に移動することによって設置され得る。
【0048】
図25は、
図24に連続するものであり、帯状薄板フック44’と屋根板フック62’が接触するまで、屋根板30’がさらに上方に延在する様子を示している。
【0049】
図26を参照すると、帯状薄板フック44’と屋根板フック62’が接触すると、帯状薄板フランジ45’は撓んで持ち上げられ、屋根板フック62’は撓んで下ろされる。
【0050】
図26に連続する
図27を参照すると、一旦、屋根板フック62’が帯状薄板開口部46’に完全に入ると、帯状薄板フランジ45’は下ろされ、屋根板フック62’はスナップ嵌め係合の下で上昇する。したがって、屋根板の嵌合突起60’は、嵌合領域42’の帯状薄板開口部46’内に連結され、固定される。
【0051】
図28は、屋根デッキ12’上の帯状薄板18’に設置された屋根板30’を示している。
【0052】
【0053】
より特に
図29を参照すると、屋根板32’は、屋根板30’よりも低い帯状薄板16’に設置されている。屋根板32’は、屋根板30’と同じ対応部分、すなわち、嵌合突起73’、上面71’、下面77’、前縁70’、後縁74’、右側縁72’、及び樋75’を有している。同様に、帯状薄板16’は、帯状薄板18’と同じ対応部分を有し、帯状薄板フック84’で終端するフランジ85’を有する嵌合領域82’を含んでいる。
【0054】
図29は、下側屋根板32’の嵌合突起73’が、帯状薄板16’の参照数字82’で全体的に示される嵌合領域に挿入されている様子を示している。下側屋根板32’は、下側屋根板32’の前縁70’が上側屋根板30’の後縁54’の下に位置するように、概ね上方向に移動される。言い換えれば、下側屋根板32’の上面71’は、上側屋根板30’と屋根デッキ12’との間の開口部79’に挿入される。
【0055】
図30は、帯状薄板16’と嵌合する過程の下側屋根板32’を示す点で
図26と同様である。
【0056】
図31は
図27と同様であり、ここでは下側屋根板32’の嵌合突起73’が帯状薄板16’の嵌合領域82’と完全に連結されている。第1の例と同様に、屋根板32’は、1つの場所でのみ拘束される、すなわち、単一の嵌合突起73’が帯状薄板嵌合領域82’と完全に連結されるスナップ嵌め接合部の位置でのみ拘束され、それにより屋根板32’が設置後に「呼吸」、すなわち伸縮することを許容している。
【0057】
図32は、屋根板30’の下方の第2の列において帯状薄板16’に設置された下側屋根板32’を示す。説明を単純且つ容易にするために、屋根板30’に横方向に隣接して設置され得る屋根板は、この図から省略されている。第1の例と同様に、追加の屋根板は、1つの列が完了して次の列に移るまで、横方向に並んで設置されることが理解される。このような屋根板の設置方法は、屋根12’が屋根板で覆われるまで続けられる。
【0058】
これまでの記述により、屋根に屋根板を設置するための簡単で効率的な方法及び装置が提供されることが理解されよう。複数の帯状薄板の列がまず下から上へと設置され、各帯状薄板には連結部分が一体的に形成されている。次いで、棟に最も近い屋根デッキの最上段の列を起点にして、複数の屋根板を上から下へ向かって1枚ずつ設置する。各屋根板は、一体的に形成された連結部分を有し、この連結部分は帯状薄板の連結部分と単純な上方への移動下に嵌合する。
【0059】
したがって、屋根用のスナップ嵌め係合式屋根板-帯状薄板システムが提供され、ここで屋根板は、屋根板を帯状薄板の屋根板嵌合部分にロックすることによって定位置に保持する上から下へ向かう方法において設置することができ、屋根に屋根板を釘打ちする必要性は排除される。これにより、屋根職人にとってより安全、簡単、そして生産的な設置体験が提供されると同時に、完成した屋根の整列品質とその結果としての美観が向上する。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棟及び軒を有する屋根に屋根板を設置するための装置であって、
前記棟及び前記軒と実質的に平行に前記屋根に取り付けられた複数の細長い帯状薄板であって、
前記帯状薄板のそれぞれは帯状薄板上面及び帯状薄板底面を有し、前記帯状薄板底面は前記屋根に取り付けられ、
前記帯状薄板のそれぞれは、一体的に形成された帯状薄板フック及び一体的に形成されたフランジを有し、前記フランジは可撓性であり、前記帯状薄板フック及び前記フランジは帯状薄板開口部を形成し、前記帯状薄板フック及び前記フランジは実質的に前記帯状薄板の幅全体に沿って延在し、前記帯状薄板フックは帯状薄板の角度のある表面を含む、
複数の細長い帯状薄板と、
複数の屋根板であって、
前記屋根板のそれぞれは、
屋根板上面及び屋根板底面と、
前記屋根板底面に配置され、且つ、前記帯状薄板開口部内に位置するために実質的に前記屋根板の幅全体に沿って延在する一体的に形成された屋根板突起とを有し、
前記屋根板突起は屋根板突起の角度のある表面を含み、前記帯状薄板フックの前記角度のある表面及び前記屋根板突起は、前記屋根板が前記帯状薄板開口部に挿入されるときに前記帯状薄板フックを持ち上げるように適合され、前記屋根板突起は前記屋根板を前記帯状薄板にスナップ嵌めにおいて固定するために前記帯状薄板フックと連結する、複数の屋根板と
を備え、
それにより前記屋根板は釘を使用することなく前記帯状薄板に取り付けることができる、
装置。
【請求項2】
前記帯状薄板が複数の釘を使用して前記屋根に固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記帯状薄板が後面を含み、前記帯状薄板フックは前記帯状薄板の前記後面から延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フランジが前記帯状薄板の前記後面の頂部から前記屋根の軒に向かって延びる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記帯状薄板フックが前記フランジの向かい側に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記帯状薄板フックが前記フランジの一端に形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記屋根板突起が前記屋根板底面から下方に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記屋根板突起が前記帯状薄板開口部に挿入されるときに前記フランジが上方に撓む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
複数の帯状薄板及び屋根板を、棟及び軒を有する屋根に設置する方法であって、
(a)前記帯状薄板が前記屋根の前記軒に実質的に平行になるように複数の帯状薄板を前記屋根に固定するステップであって、前記帯状薄板のそれぞれは屋根板嵌合領域と、一体的に形成された可撓性フランジとを有し、前記屋根板のそれぞれは、その底面に、実質的に前記屋根板の幅全体に延在し、且つ前記屋根の前記棟に向かって延在する、一体的に形成された屋根板突起を有するステップと、
(b)前記屋根板の1つを前記帯状薄板の1つの上に配置するステップと、
(c)前記屋根板突起が前記帯状薄板の前記可撓性フランジに係合しそれを持ち上げ、次いでスナップ嵌め式に前記屋根板嵌合領域に挿入されるまで、前記1つの屋根板を前記屋根の前記棟に向かって上方に移動するステップと、
(d)前記屋根板を前記屋根の棟から前記屋根の軒まで釘なしに前記帯状薄板に固定するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記1つの屋根板を上方に移動するときに、前記1つの屋根板の前縁を、その上の列の前記屋根板の別の屋根板の後縁の下に挿入するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
棟及び軒を有する屋根に屋根板を取り付けるためのシステムであって、
実質的に互いに平行に前記屋根に留められた複数の帯状薄板を備え、
前記帯状薄板のそれぞれは一体的に形成され、上面、前面、後面及び前記後面から延びる屋根板嵌合領域を有し、
前記帯状薄板は、前記上面を貫いて前記屋根まで延びる釘によって前記屋根に固定され、
前記帯状薄板のそれぞれは、実質的に前記帯状薄板の幅全体に延びる前記屋根板嵌合領域内の帯状薄板フック及び可撓性のある帯状薄板フランジを有し、
前記システムは、
前記帯状薄板の上に配置された複数の屋根板を備え、
前記屋根板のそれぞれは一体的に形成され、上面、底面、及び実質的に前記屋根板の幅全体に延びる前記底面上の屋根板突起を有し、前記屋根板突起は前記屋根板嵌合領域に挿入されるときに前記帯状薄板フランジを上方に撓ませるように適合され、
前記帯状薄板フックは、釘を使用することなく前記屋根板を前記帯状薄板に固定するために、前記屋根板突起とスナップ嵌め係合下に連結し、それにより前記屋根板は釘を使用することなく前記屋根に固定される、
システム。
【請求項12】
前記屋根板は、前記屋根板のそれぞれが設置後に呼吸することを可能にするために、前記スナップ嵌め係合においてのみ前記帯状薄板に固定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記屋根板のそれぞれが前縁及び後縁を含み、前記屋根板の1つの前縁がその設置の間、垂直方向に隣接する屋根板の後縁の下に挿入される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記フランジが自由端を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記帯状薄板フックが、前記フランジに対向する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
屋根板を屋根に設置するために使用される帯状薄板であって、
前記屋根板は一体的に形成された可撓性のある嵌合突起をその底面に有し、前記屋根は軒及び棟を有し、前記一体的に形成された嵌合突起は実質的に前記屋根板の幅全体に延在し、
前記帯状薄板は一体的に形成された可撓性のある帯状薄板フックを有し、前記帯状薄板は前記屋根の前記軒と前記棟との間で前記屋根に水平に配置され、
前記帯状薄板フックは、実質的に前記帯状薄板の幅全体に延在し、それにより前記可撓性のある帯状薄板フックは、前記屋根板の前記可撓性嵌合突起を受け入れ、スナップ嵌めにおいてそれと連結するように適合される、
帯状薄板。
【請求項17】
前記帯状薄板フックが前記屋根の前記軒に向かって延びる、請求項16に記載の帯状薄板。
【請求項18】
前記帯状薄板が、一体的に形成された可撓性フランジを含む、請求項16に記載の帯状薄板。
【請求項19】
前記フランジが前記帯状薄板フックの向かい側に位置する、請求項18に記載の帯状薄板。
【請求項20】
前記帯状薄板フックが前記フランジの端部に配置される、請求項18に記載の帯状薄板。
【請求項21】
棟及び軒を有する屋根に接続された帯状薄板に設置されるように適合された屋根板であって、
前記帯状薄板は正面を含み、実質的に前記帯状薄板の幅全体に延在する一体的に形成された可撓性のある帯状薄板フランジと帯状薄板フックとを含み、
前記屋根板は一体的に形成され、上面、前縁、後縁及び底面を含み、
前記底面は、実質的に前記屋根板の幅全体に延在する一体的に形成された嵌合突起を有し、
前記嵌合突起は前記帯状薄板の前記帯状薄板フランジを撓ませるように適合され、それにより前記屋根板はスナップ嵌めにおいて前記帯状薄板と連結することができ、釘を使用することなく前記屋根に固定することができる、
屋根板。
【請求項22】
前記帯状薄板フックが前記嵌合突起と連結するために前記屋根の前記軒に向かって延びる、請求項21に記載の屋根板。
【請求項23】
前記嵌合突起が前記屋根の前記棟に向かって延びる、請求項21に記載の屋根板。
【請求項24】
棟及び軒を有する屋根に屋根板を設置するための装置であって、
前記棟及び前記軒と実質的に平行に前記屋根に取り付けられた複数の一体的に形成された細長い帯状薄板を備え、前記帯状薄板のそれぞれは帯状薄板上面及び帯状薄板底面を有し、前記帯状薄板底面は前記屋根に取り付けられ、
前記帯状薄板のそれぞれは、一体的に形成された帯状薄板フック及び一体的に形成された可撓性フランジを有し、前記帯状薄板フック及び前記フランジは帯状薄板開口部を形成し、前記帯状薄板フック及び前記フランジは実質的に前記帯状薄板の幅全体に延在し、前記装置は、
複数の一体的に形成された屋根板を備え、前記屋根板のそれぞれは屋根板上面及び屋根板底面と、前記帯状薄板開口部内に位置するために前記屋根板底面に配置された、実質的に前記屋根板の幅全体に延在する可撓性のある屋根板突起とを有し、
前記可撓性のある帯状薄板フランジ及び前記可撓性のある屋根板突起は、前記屋根板突起が前記帯状薄板開口部に挿入されるときに互いに係合し、
前記屋根板突起は前記屋根板をスナップ嵌めにおいて前記帯状薄板に固定するために前記帯状薄板フックと連結し、
それにより前記屋根板は釘を使用することなく前記帯状薄板及び前記屋根に取り付けることができる、
装置。
【請求項25】
前記屋根板突起が前記屋根板底面から前記屋根の棟に向かって延在する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記帯状薄板フックが前記帯状薄板底面から前記屋根の軒に向かって延在し、前記帯状薄板フランジが前記帯状薄板上面から前記屋根の軒に向かって延在する、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記帯状薄板フック及び前記帯状薄板フランジの両方が、前記帯状薄板上面から前記屋根の軒に向かって延在する、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記帯状薄板フック及び前記帯状薄板フランジが、前記屋根の軒に向かって延在する、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
屋根板を、棟及び軒を有する屋根に、上から下へ向かう方法において設置するための装置であって、
前記棟及び前記軒と実質的に平行に前記屋根に取り付けられた複数の一体的に形成された細長い帯状薄板を備え、
前記帯状薄板のそれぞれは帯状薄板上面及び帯状薄板底面を有し、前記帯状薄板底面は前記屋根に取り付けられ、
前記帯状薄板のそれぞれは、帯状薄板フック及び可撓性のある帯状薄板フランジを有し、前記帯状薄板フック及び前記帯状薄板フランジは帯状薄板開口部を形成し、前記帯状薄板開口部は実質的に前記帯状薄板の幅全体に延在し、
前記装置は、
複数の一体的に形成された屋根板を備え、前記屋根板のそれぞれは屋根板上面及び屋根板底面と、前記帯状薄板開口部内に位置するために前記屋根板底面に配置された、実質的に前記屋根板の幅全体に延在する一体的に形成された可撓性のある屋根板突起とを有し、前記屋根板突起は前記屋根板から前記屋根の棟に向かって延在し、前記屋根板突起及び前記帯状薄板フックは前記屋根板を前記帯状薄板にスナップ嵌めにおいて固定するために前記屋根板突起を前記帯状薄板開口部に挿入する際に互いに係合し、且つ互いに撓み、
それにより前記屋根板は釘を使用することなく前記屋根の上で上から下へ向かう方法で前記帯状薄板に取り付けることができる、
装置。
【請求項30】
前記帯状薄板フック及び前記帯状薄板フランジの両方が前記屋根の軒に向かって延在する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記帯状薄板フックが前記帯状薄板底面から前記屋根の軒に向かって延在し、前記帯状薄板フランジが前記帯状薄板上面から前記屋根の軒に向かって延在する、請求項29に記載の装置。
【国際調査報告】