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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】風壁
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/04 20060101AFI20221212BHJP
   F03D 1/02 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F03D1/04 Z
F03D1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511358
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 PE2019050001
(87)【国際公開番号】W WO2021034203
(87)【国際公開日】2021-02-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066403
【氏名又は名称】カル マドリード、アルフレド ラウル
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】カル マドリード、アルフレド ラウル
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA40
3H178AA53
3H178BB31
3H178CC21
3H178DD28X
(57)【要約】
風壁は、1つ以上の風セルからなる固体構造物であり、該1つ以上の風セルは、整頓され、かつ、対称的な方式で、全体としてそれらが風セルの連続的な構造物を形成するような方式で、互いに隣接して隣同士に配置され、該連続的な構造物は、それ自体自立可能であり、かつ、3つの物理的寸法に沿ってモジュラー式であり、各風セルは、入口開口部および出口開口部を有し、入口開口部から出口開口部まで含まれる内面は、旋回する外側面(上面)ブレードプロファイルの形状を有し、かつ、入口開口部および出口開口部は、等しい寸法のものであるか、実質的に等しい寸法のものである。風壁の構成コンポーネントである風セルは、臨界空間内で風速を増大させるために、したがって、風力タービンのローターによって用いられる利用可能な風力動力を増大させるために特別に設計された空気力学的構造物である。風速の増大は、高い圧力差を有する環境、および同時に、風の層流の維持および乱流の軽減専用の環境の意図的な作成を通して達成される。風壁はそれ自体、新世代の風力システムであり、該風力システムは、風力タービンの空気力学的効率に基づくだけでなく、風力タービンの周囲の構造および環境の空気力学的効率にも基づく。この意味で、新世代の風力システムは、風壁の適用に基づいて、風速を増大させ、したがって、自然界で利用可能な同じ風力源を考慮して根底にある動力の密度を増大させ、この方式で電気動力の一般的な増大を可能にするあろう。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の風セル(104)を有することによって特徴付けられる風壁であって、前記風セルは互いに隣接して配置され、全体して連続的な構造体を作り出し;前記風セルはモジュラー式であり、各風セルは、当該風壁が完全に設定可能な寸法を有するような方式で、等しく、かつ、対称的な構成を有し、または、互いに異なり、かつ、独立しており;
各風セルは個別の構造体であり、それ自体機能的であり、該風セルを通して、風が前記風セルの一方の側に配置された風入口開口部(406)から前記風セルの反対側に配置された風出口開口部(407)へとその経路において進み;
前記風入口開口部(406)および前記風出口開口部(407)は連通しており、かつ、全く同じ寸法を有し;
各風セルはその内部に、革新的な外側面(上面)ブレードプロファイルの形状である内部空気力学的チャンバー(501)を有し;
各風セルは、前記風セルの外壁によって形成された隣接外側セクション(404)を有し;
各風セルは、前記風入口開口部(406)と前記風出口開口部(407)との間に前記風セルに沿って配置された鏡面対称面または左右対称面を維持し、該対称面は、任意の点およびその像から前記対称面への垂直距離が同じであるような方式で前記風セルを半分に分割し;
各風セルは対称または軸方向平面の軸を維持し、該軸は前記鏡面対称面を2つの部分に分割し、該2つの部分の対称点は前記軸から等距離である、
前記風壁。
【請求項2】
2つの隣接する風セルの間の接合部が、両方の風セルの軸対称の軸を通って平行に進む断面から見ると、完全なブレードプロファイルの形状を有し、かつ、両方の風セルが、同じストリングを共有して配置され、このコードは、両方の風セルの前記隣接外側セクション(404)によって含有され、かつ、共有閉コードの名称を有するので特徴付けられる、請求項1に記載の風壁。
【請求項3】
前記隣接外部セクション(404)および前記風セルが、同じ鏡面対称面および対称面または対称の軸方向軸を共有し;
前記風セルの前記軸方向軸に垂直な断面が、その対称の軸全体に沿って同じ幾何学的図形を有する隣接外部セクション(404)を示し;
前記幾何学的図形が、多角形形状、円錐断面形状、波形または涙滴形状を有し得る前記隣接外部セクション(404)の円筒形基部に相当することで特徴付けられる、
請求項1に記載の風壁。
【請求項4】
前記内部空気力学的チャンバー(501)および前記風セルが、同じ鏡面対称面および対称面または対称の軸方向軸を共有するので特徴付けられる、請求項1に記載の風壁。
【請求項5】
前記内部空気力学的チャンバー(501)が、風と同じ方向に位置する、圧力生成空間(503)、臨界空間(504)、前記風セルのネック(405)および乱流抑制器空間(505)を有し;
前記圧力生成空間(503)が、前記風入口開口部(406)の領域と前記臨界空間(504)との間に配置され、前記圧力生成空間(503)が、最も大きい牽引力を支持し、かつ、最も高いレベルの圧力を提示する空間であり;
前記臨界空間(504)が、前記圧力生成空間(503)と前記乱流抑制器空間(505)との間に配置され、前記臨界空間(504)が、最も低い圧力レベルおよび風速の最も高い記録を有し、かつ、前記の風セルのネック(405)が配置される空間であり;さらに、前記臨界空間(504)が、風力タービンのローターを配置するのに適した領域であり;
前記乱流抑制空間(505)が、前記臨界空間(504)と前記風出口開口部(407)の領域との間に配置され、前記乱流抑制空間(505)が、風圧および風速が周囲の環境に対して標準化され始める空間であるので特徴付けられる、
請求項4に記載の風壁。
【請求項6】
前記内部空気力学的チャンバー(501)の前記の革新的な外側面(上面)ブレードプロファイルが、二重双曲面プロファイルの形状を含み、前記二重双曲面プロファイルが、入力双曲面(506)および出口双曲面(507)を有することを考慮し、前記入力双曲面(506)が、風の方向を向き、前記風入口開口部(406)に隣接し、かつ、前記風入口開口部(406)に垂直に配置され、前記出口双曲面(507)が、風の方向を向いておらず、前記風出口開口部(407)に隣接し、かつ、前記風出口開口部(407)に垂直に配置され;
同じ風セルの前記入力双曲面(506)および前記出力双曲面(507)の幾何学的形状が互いに異なり、前記入力双曲面(506)の大きさ、または、内部容量が、前記出力双曲面(507)の大きさ、または、内部容量より小さく;
前記入力双曲面(506)および前記出力双曲面(507)が、両方の幾何学的図形の接続が連続的であるような方式、すなわち、前記入力双曲面(506)および前記出力双曲面(507)が一緒になって連続的な軸方向旋回対称を有する幾何学的図形を形成するような方式で未完成の葉のものであり、かつ、同一の円によって原点で接合しているので特徴付けられる、
請求項1および5に記載の風壁。
【請求項7】
前記外側面(上面)ブレードプロファイルが、前縁および後縁を有し、前記前縁は、前記風入口開口部(406)に近接して、かつ、前記風入口開口部(406)に垂直に配置され、前記後縁は、前記風出口開口部(407)に近接して、かつ、前記風出口開口部(407)に垂直に配置され;
前記風セルの前記ネック(405)が、円形の幾何学的形状を有するか、または、円形以外の任意の幾何学的形状を有し、前記の円形以外の任意の幾何学的形状を有するのは、前記形状が、その幾何学的角度において丸く、かつ、前記内部空気力学的チャンバー(501)の軸対称の軸が、対称の平面軸と交換され得る場合に限られ;
前記風セルの前記風出口開口部(407)および前記風入口開口部(406)が、次の形状のうちのいずれかを有し、該形状が(i)円形形状、(ii)円とは異なるときには前記風セルの前記ネック(405)と同じ幾何学的図形、または(iii)その幾何学的角度において丸い前記隣接外部セクション(404)の円筒形基部と同じ幾何学的図形であることで特徴付けられる、
請求項5および6に記載の風壁。
【請求項8】
前記隣接外部セクション(404)と前記空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルとの間の距離が、最も長い距離が前記風セルの前記ネック(405)の高さに配置されることを考慮して、前記風セルの全範囲を通して可変であるので特徴付けられる、請求項1に記載の風壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この新機軸に対応する技術分野は、風力エネルギーに属し、その主たる特質は、風の運動エネルギーを、その後に続く使用および電気エネルギーへの転換のために、機械的エネルギーへと転換するプロセスの向上および改善に関する。
【0002】
本発明(我々は、以下「風壁」と呼ぶであろう)は、それ自体、新しい風力システムに言及し、自然界で利用可能な運動風力エネルギーの使用について従来の風力システム(風力発電施設)より非常に高い生産効率を示す。この意味で、風壁の適用は、性能、効率、動力および結果的に風力エネルギーから電気動力を生成する能力の改善に有意な潜在性を有する。
【背景技術】
【0003】
技術水準
風力システムの基本
A)風の運動エネルギー:風は、高圧領域から低圧領域に向かって水平方向に規則的に流れる、移動する空気の塊である。移動中の塊の各要素は、特定の量の運動エネルギー(Ec)を有し、これはその速度(V)の二乗、および、その質量(m)に各々比例する。
【0004】
【数1】
【0005】
B)風力:風力は、風に存在する運動エネルギーによって測定されるだけでなく、風の移動に直面し、かつ、対応して運動エネルギーを減じる、身体または要素の投影空気力学的面積によっても測定される。風力を決定する方程式は、次の通りである:
F=(動的圧力).(投影面積).(空気力学的係数)
【0006】
【数2】
【0007】
式中:
F=風力
p=空気密度
V=風速
A=風に直面する物体の基準面積または投影面積
Cd=牽引空気力学的係数(抵抗)
【0008】
風力は、キログラムメートル/毎秒毎秒またはニュートンとして物理的に表される。
【0009】
C)風から抽出可能な最大動力:単位時間に基準表面(A)を通過する運動エネルギーが、動力(P)である。風が運動エネルギーを有する流体であることを考慮すると、風の真ん中に要素が介在すると、それを渡った後の風は、それが元々有していたV1より低い速度V2を有するであろう(運動エネルギーの減少)。流速の変化は、介在物にかかる力が存在したこと、換言すれば介在物を通してシステムからエネルギーが引き出されたことを示唆する。
【0010】
円筒体を通過する風の流れを考慮すると、前記流れの移動に介在する不確定要素は、速度V1を有する、入ってくる風の方向に対して垂直に位置するローターまたはプロペラディスクからなる。円筒体を通って移動する空気はローターを通過し、それにその運動エネルギーの一部を与え、その速度をV2へと落とし、かつ、円筒体の両側で対応する圧力差を確立する。
【0011】
風からの最大抽出可能動力は次のように表わされ、その物理的表現は、ニュートンメートル毎秒またはワットで行われ:
【0012】
【数3】
【0013】
式中:
P=風からの最大抽出可能動力
p=空気密度
V=風速
A=風に直面する物体の投影面積
【0014】
したがって、平方メートルまたは投影面積(A)当たりの最大抽出可能動力は、次のように表される:
【0015】
【数4】
【0016】
従来の風力システム:
現在、従来の風力システムは、風力エネルギーの収集に適した風況で地面に分配され、かつ、互いから分離された、開放風力タービンのセットからなる(風力発電施設)。従来の風車(風力タービン)は、自然界に見られる風の運動エネルギーを活用し、前記運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように設計されており、該変換は、技術要素の中でもとりわけ、空気力学的プロペラ、ローター、低速シャフトおよび高速シャフト、旋回乗算器、液圧ブレーキおよび機械ブレーキ、発電機、電圧変成器、冷却設備、電子センサーおよび電子コントローラー、風案内システム、速度調節システムならびにパワー調節システムからなる複雑な工学技術を通して達成される。
【0017】
A)風力システムのエネルギー変換:従来の風力システムでは、捕捉要素は、風の運動エネルギーを機械エネルギーへと変換するローターからなり、該機械エネルギーは、その電気動力への変換のために発電機へと送られる。ローター(またはプロペラ)の主たる要素は、ブレードである。
【0018】
風力システムの設計は、風の運動エネルギーを空気力学的推力へと、かつ、残留空気エネルギーができるだけ少ない後に続く回転モーメントへと転換するために異なる規律の知識の統合を要する、複雑なタスクである。空気力学に加えて、とりわけ効率、有効性、性能、騒音、振動、耐用年数に関する構造的態様(静的および動的)が考慮されなければならない。第一近似として、ローターがどれだけ多くの動力を生成し得るか、開始速度、最大許容速度、風の方向の配向システム、速度および動力調節システムなどを知る必要がある。
【0019】
B)風力システムの使用のレベルおよび風の有効に抽出可能な動力:物理法則は、風の運動エネルギーの大部分が用いられることを許容しない。最大抽出可能風力動力はベッツ限界によって定められ、該ベッツ限界は、風力ダービンがそれに衝突する風の運動エネルギーの最大59.26%を機械エネルギーへと転換し得ることを示す。
【0020】
風力システムのローターによって捕捉される風力エネルギーは、利用された風力エネルギーとして知られている。転換効率は、利用された風力エネルギーと利用可能な運動エネルギーとの比として定められた、転換係数(Cc)として説明される。すなわち、風の運動エネルギーのごく少量のみが、電気動力へと転換される。
【0021】
転換係数に影響を与える変数はベッツ限界のみに限定されず、とりわけ空気力学的損失、風のワイブル分布、機械的転換損失、発電機の損失、動作パラメーターにも限定される。しかしながら、風の運動エネルギーの利用および風力システム自体の損失の限定に関連付けて得られる進歩は、約40%の最新技術によって利用可能な運動エネルギーを産出する。
【0022】
この方式では、風の有効に抽出可能な動力または風力システムの有効動力(PE)はごく少量であり、風の最大抽出可能動力に関するごく少量の転換係数と同等であり、風の有効動力の式は次の通りであり:
【0023】
【数5】
【0024】
式中:
PE=風の有効に抽出可能な動力または風力システムの有効動力
p=空気密度
V=風速
A=風に直面する物体の投影面積
Cc=転換係数
【0025】
C)風力システムの技術的課題
・ 速度調節システム:現行の風力タービンのほとんどは、定速を有する。それらのローターの回転速度は、風速の変化に関わらずほぼ一定のままでなければならない。さらに、強風の場合、デバイスは、動力を制限し、かつ、過剰な労力から風力タービンを保護しなければならない。これらの機能は、速度調節システムによって引き受けられる。
【0026】
従来の風力システムは操縦可能な速度調節システムを有し、該操縦可能な速度調節システムによってピッチ角度が絶えず変化し;ほとんどのシステムは、広範囲の風において固定されたブレードを考慮する。これらの方法は多数の利点を有する:それらはローターの起動を補助し、ブレードの迎角をそれが最適な動作ポイントにあるように位置決めし、発電機が過負荷とならないように回旋を制御し、かつ、高い風速に起因する損傷に対してシステム全体を保護する。
【0027】
・ 動力調節:動力の観点から、2つのセクションが存在する:一方は、発電機の回旋が同期速度であるときのグリッドへの接続である。この状況は、過大なトルクが存在せず、かつ、生成される動力が一定であるときに発生する。他方は、発電機の過負荷および風力システムへの損傷の発生を回避する、ローター速度制御である。
【0028】
拡散風力デバイスと増幅風力デバイスとの相違点:
・ 拡散器は、風出口開口部より小さい風入口開口部を有する、物理的要素である。圧力の点では、拡散器は、その構造の周りに高圧領域を生成し、かつ、風の出口に低圧領域を生成することによって特徴付けられる。流体力学の点では、拡散器は、空気を吸い込む低圧環境を作り出し、したがって、その構造を通して風速を上昇させる。乱流の点では、拡散器は、それが生成する低圧環境と同等の高度な乱流環境を作り出す。
【0029】
・ 他方、増幅器は、風出口開口部より大きい風入口開口部を有する、物理的要素である。圧力の点では、増幅器は、風の入口に高圧の領域を生成し、かつ、風の出口、そして、とりわけ増幅器の構造の周りに低圧の領域を生成することによって特徴付けられる。 流体力学の点では、増幅器は、空気を押す環境を生成し、したがって、その構造を通して風速を上昇させる。乱流の点では、増幅器は、それが生成する低圧環境と同等の高乱流環境を作り出す(拡散器のように)。
【0030】
本発明の風壁の各風セルの場合については、拡散器または増幅器のカテゴリー内で定められ得ない。なぜなら、それは、風入口開口部および風出口開口部の両方のサイズが等しいという前提条件を有するからである。別の実質的な相違点は、本発明の風セルの構成が、それ自体の構造内に非常に低い圧力領域を生成し、さらに乱流が非常に低いことである。
【0031】
非従来型風力システムの背景:
この考えを発展させる目的で、我々は、風力動力増幅システムに関連付けられた非従来型の風力システムに関連する最新技術のそれらの先例に議論を集中させるであろう。
【0032】
米国特許出願公開第2012/0261925号公報、「風力タービンシステムおよびシールドを用いた風力タービンシステム」。それは、風力タービンのローターを包囲する円形を有する円筒体の拡散器を用いる、風力動力システムである。拡散器の作用は、気流の出口における静圧の低下を生成し、このことは風速の増大を生成するであろう。性能の点では、この発明は、それが円形拡散器の円筒体の壁部に最も近いセクションで約30~35%風速を増大させ得ることを仮定する。この発明は、風力タービンの投影面積全体の至る所で得られる風力エネルギーの増幅に関する結果を開示していない。
【0033】
米国特許出願公開第2010/0187828号公報、「風力エネルギーの使用のための設備、システム、方法および改善」。それは、ベンチュリトンネルを使用を通した追加的な電気エネルギーの生成のために補助風力タービン(風力発電施設内の特定の位置に配置される)を組み込むことによる、風力発電施設の改善を提案するシステムであり、該ベンチュリトンネルは各補助風力タービンを包囲する。非常に特殊な幾何学的形状(5次多項式曲線)を有して構築されたベンチュリトンネルの作用は、補助風力タービン(水平タイプまたはサボニウスタイプ)上で風速を増大させる効果を有するであろう。収率の点では、該発明は、それが、主たる風力タービンの後ろであるがいっそう低い高度に補助風力タービンを配置することによって、新しい、または、既存の風力発電施設の設備容量を増大させ得ることを仮定する。該発明は、ベンチュリトンネルの特殊な幾何学的な線によって生成される速度または圧力差の増大に関する結果を開示しておらず、補助風力タービン上で主たる風力タービンによって生成される痕跡および乱流の効果に関する結果も開示していない。
【0034】
国際公開第2010/005289号公報、「拡散器を有する風力タービン」。それは、特殊な特徴の拡散器によって包囲された水平軸風力ローターからなる風力タービンであり、該拡散器の機能は、風力タービンの性能を増大させることと、ローターの動作によって引き起こされる騒音を低減させることである。拡散器の出口(風)開口部の直径は、入口(風)開口部の直径より8%大きくなければならない。任意選択的には、拡散器は、ブレードの先端の高さに配置された騒音低減デバイスに統合される。性能の点では、該発明は、拡散器の特定の構成が、なんとかその他の既存の拡散器より良好に騒音公害を低減させることを仮定する。追加的には、該発明は、費用および生産効率の点で最も大きい利点が、小さい大きさの拡散器(直径15mm未満)を用いて達成され、したがって、該発明は、設備容量が100kW未満(好ましくは5kW)である風力タービンに適用可能であろうことを仮定する。この先例は、拡散器の幾何学的な線によって生成される速度または圧力差の増大に関する結果を開示していない。
【0035】
米国特許出願公開第2013/0266446号公報、「混合要素を有するリング状プロファイル」、それは、リング状拡散器によって包まれた風力タービンであり、該リング状拡散器は、気流の混合物を形成する目的でその構造に沿って散在する開口部を有する:拡散器の外部に隣接し、その後で拡散器の内部に向かって中に入る空気の流れ、および、拡散器の入口を通って風の方向にローターを通過する気流。性能の点では、該発明は、それが拡散器および拡散器のプロファイルを横切る開口部によって生成される流体の混合物によって生成される圧力差によって風からエネルギーを抽出する手段を改善することを仮定する。両方の効果が、タービンシステムのいっそう高いエネルギー生産を生産する。この発明は、拡散器の幾何学的な線によって生成される速度または圧力差の増大に関する結果を開示していない。
【0036】
国際公開第2018/117875号公報、「一葉双曲面状の風力動力増幅器」。それは、一葉の双曲面の形状を有する風力増幅器であり、該風力増幅器は、風力増幅器の構造を通る流れの継続的な偏流により周囲の風の圧力および速度を増大させることによって、風力システムのブレード上で風の速度を増幅させる。性能の点では、この先例は、0.3倍だけ風速を増大させることを可能にし、結果的に風力および風の運動エネルギーを増大させる。この発明に関連する潜在的な利益は、電気の生成に限られることなく、任意の目的のために風力エネルギーを利用することを意図する任意のシステムに関連する。しかしながら、0.3倍の増大は、風速が3.5倍増大することを可能にするその他の配置構成および幾何学的形状と比べて非常に小さいものとして見られてきた。先例である国際公開第2018/117875号公報の幾何学的形状が、原点において未完成の双曲面に基づく一方で、この提案される発明の風壁は、原点において2つの未完成の双曲面を有する完全な幾何学的形状を扱い、該2つの未完成の双曲面のそれぞれは、各々風の入口および出口のためのものであり;同様に、この先例がいかなる構造の下にも包囲されていない一方で、当該風壁は、内部空気力学的チャンバーの幾何学図形を包囲する構造を有する。上記に加えて、国際公開第2018/117875号公報が、比較的有効でない乱流抑制器を提示する一方で、本発明は、なんとか、提案される乱流抑制器空間によって有効な方式で層流を制御し、かつ、風出口から乱流を取り除く。したがって、この先例は、増幅器の幾何学的な線によって生成される速度または圧力差の増大に関する結果を開示しておらず、乱流の点で本発明によって生成される効果も開示していない。他方、先例の一葉状増幅器の双曲面は、それ自体の空気力学に起因して、ブレードのプロファイルによって生成されるタイプの揚力と相互作用する能力を有しない。すなわち、一葉の双曲面の形態の風力増幅器と当該風壁との間で共通する唯一のことは、それらの抵抗係数における類似性である。しかしながら、当該風壁が、空気力学的プロファイルを有するその風セルのおかげで有意な揚力係数を提示する一方で、一葉の双曲面の形状の風力増幅器は、無視できるほどの揚力係数を提示する。
【発明の概要】
【0037】
発明の簡単な説明
いっそう効率よく風の運動エネルギーを増幅させることに注目した限られた進歩に対する解決策として、本発明は、物理的であり、モジュール式であり、かつ、空気力学的な構造(以下、「風壁」と呼ぶ)に基づく新しい風力システムを通して最新技術のこの欠点を解決し、当該風壁は、自然界において利用可能な風力エネルギーを効率よく増幅させるという特徴を有し、安定的な高い圧力差および安定的な層流を有する環境の思慮のある作成を通して、臨界空間(504)内の風速を上昇させる。この意味で、自然界に見られる特定の風力エネルギーを考慮すると、風壁(101)は、風の運動エネルギーの強度の駆動された増大を得ることを可能にし、結果的に風力動力密度の使用可能な増大を得ることを可能にする。
【0038】
さらに、風壁(101)は、全体が有限数の個別的かつ空気力学的ユニット(以下、「風セル」という)からなるその固体構造として理解されるべきであり、該風セルは、規則正しく、かつ、対称的なスキームで、かつ、全体としてそれらが、それ自体によって支持可能であり、かつ、高さ、長さ、および、幅の点で3つの物理的寸法に沿ってモジュール式である風セル(104)の連続的構造を形成するような方式で、互いに隣接して隣り合って配置される。すなわち、風セル(104)を用いることによって、結果として生じる空気力学的構造が、特定の環境的、技術的および経済的な状況のために最適化された構造であるような方式で、完全にモジュール式の寸法の風壁(101)を構築することが可能である。
【0039】
相補的に、風セルは、空気力学的かつ個別的構造として理解されるべきであり、それ自体により機能的であり、隣接外部セクション(404)によりなり、かつ、他方では、順に、前部、中間部および前部からなる内部空気力学的チャンバー(501)からなる。
【0040】
隣接外部セクションまたは共有閉コード(404)は、各風セル(104)が近くに配置されたその他の風セルと共有する隣接または近接部分である。換言すれば、各隣接外部セクション(404)は、風壁(101)を構成する各風セル(104)によって共有された物理的境界である。
【0041】
内部空気力学的チャンバー(501)は、旋回する上面ブレードプロファイルによって作り出される圧力差ならびに揚力および牽引力が生成される内部空間に対応する風セル(104)の内部部分である。
【0042】
内部空気力学的チャンバーのブレードプロファイルは、対称軸に平行な断面から見ると、対称的な空気力学的プロファイルの翼の上面プロファイルに部分的に基づいている。該プロファイルは、ブレードプロファイルの外側面(上面)を内部空気力学的チャンバー(501)の内面として用いる。
【0043】
好ましく、かつ、いっそう具体的な実施形態では、旋回するブレードプロファイルは、二重双曲面プロファイルの形状を有し、そのことによって、二重双曲面プロファイルは、風の方向に直面し、風入口開口部(406)に隣接し、かつ、風入口開口部(406)に垂直に配置された入口双曲面(506)と、風の方向に直面しておらず、風出口開口部(407)に隣接し、かつ、風出口開口部(407)に垂直に位置する出口双曲面(507)を含み;同一の風セルの入力双曲面(506)および出力双曲面507の幾何学的形状は互いに異なり、入力双曲面(506)の大きさ、または、内部容量は、出力双曲面(507)の大きさ、または、内部容量より小さく;入力双曲面(506)および出力双曲面(507)は、一枚の不完全な葉のものであり、かつ、両方の幾何学的図形の間の接続が連続的であるような方式(すなわち、入力双曲面(506)および出力双曲面(507)が一緒になって、連続的な軸旋回対称を有する幾何学的図形を形成する方式)で同一の円によって原点において結合する。
【0044】
用いられるプロファイルの仕様レベルに関わらずそのコンポーネントを有する完全体である内部空気力学的チャンバー(501)は、非常に異なる観察可能な物理的大きさを示す3つの弁別可能領域を構成する。前記弁別可能領域は、風の方向の順番に、i)前部または圧力生成空間(503)、ii)中間部または臨界空間(504)、および、(iii)前部または乱流抑制空間(505)である。圧力生成空間(503)は、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされており、かつ、その基準面が風の方向に直面しているその空間であり、風の最も大きい抵抗力を支持すること、および、最も大きい圧力レベルを提示することによって特徴付けられる空間である。臨界空間(504)は、圧力生成空間(503)と乱流抑制空間(505)との間に配置されたその空間であり、システムの風速および動的圧力の最も高い記録を提示することによって特徴付けられる。この意味で、臨界空間(504)は、風力タービンローターが配置されなければならないその空間を構成する。乱流抑制器空間(505)は、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされているが、その基準面が風の方向に直面していないその空間であり、層流の維持ならびに周囲環境に対する風速および圧力の平坦化に資する空間を提示することによって特徴付けられる。
【0045】
内部空気力学的チャンバー(501)の圧力生成空間(503)に配置された風入口開口部(406)の平面によって覆われた領域は、同じ内部空気力学的チャンバー(501)の乱流抑制器空間(505)に配置された風出口開口部(407)の平面の領域と同じ寸法のものであるか、または、好ましくは実質的に等しい寸法を有していなければならないことを指摘することが重要である。上記は、我々が我々自身を拡散器または増幅器風力デバイスの不利益と区別することを可能にする重要な差である。
【0046】
前記は、最新技術の改善を表す。なぜなら、風壁(101)は、なんとか、従来の風力システムの性能を超えるからであり、このことは、風速の有意な増大、したがって、風セル(104)の内部空気力学的チャンバー(501)の臨界空間(504)内の運動エネルギーの強度の増大(風力システムの動力密度の増大に変わる)を通して達成される。
【0047】
我々が実行した計算流体力学(CFD)シミュレーションによれば、投影面積の各々の構成および全体としての当該風壁の空気力学的係数に基づくので達成可能な風速の最大増幅が確定できない(が、無限ではない)ことを考慮すると、当該風壁は、臨界空間(504)内で約3.5倍風速を増大させることを可能にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1:風壁の中実図 101 風セルからなる風壁の正面図 102 風セルからなる風壁の正面図-上面に焦点 103 風セルからなる風壁の正面図-底面に焦点 104 風壁の風セルコンポーネント 105 風セルからなる風壁の斜視図 106 風セルからなる風壁の上面図 107 風セルからなる風壁の底面図
図2図2:風壁の透明図 201 透明な風壁の正面図 202 側面からの透明な風壁の斜視図 203 透明な風壁の上面図 204 上からの透明な風壁の斜視図
図3図3:風セル 301 風セルの正面図 302 後ろからの風セルの斜視図 303 対称面を有する風セルの正面図 304 対称面を有する風セルの斜視図 305 風セルの斜視透明図 306 風セルの横断透明図
図4図4:風セルセクション 401 風セルの正面図 402 風セルの透明側面図 403 風セルの透明であり、ハイライトされた側面図 404 隣接外側セクションまたは共通閉ストリング 405 風セルネック(405) 501 内部空気力学的チャンバー 502 二重双曲面プロファイルまたは上面(外側面)ブレードプロファイル 406 風入口開口部 407 風出口開口部
図5図5:内部空気力学的チャンバーの部分 501 内部空気力学的チャンバー 502 二重双曲面プロファイルまたは上面(外側面)ブレードプロファイル 503 圧力生成空間 504 臨界空間 505 乱流抑制器空間 506 入力双曲面 507 出力双曲面 405 風セルネック 406 風入口開口部 407 風出口開口部
図6図6:CFD(計算流体力学)シミュレーション 601 風セルの断面図 602 気流の境界層 603 周囲の風速より上の風速を示す茶色の凡例ゾーン 604 入力または周囲の風速を示す凡例の白の領域 605 周囲の風速より下の風速を示す凡例の水色ゾーン 606 CFDシミュレーションで表された最小速度および最大速度のインジケーター 502 二重双曲面プロファイルまたは上面(外側面)ブレードプロファイル 503 圧力生成空間 504 臨界空間 505 乱流抑制器空間 406 風入口開口部 407 風出口開口部
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の詳細な説明および好ましい実施形態
移動する空気の塊の要素である風は、その質量に比例し、かつ、その速度に指数関数的に比例する特定の量の運動エネルギーを有する。したがって、本革新の説明のために、風力および利用可能な動力を各々決定する以下の方程式を考慮されたい:
【0050】
【数6】
【0051】
式中:
F=風力
P=利用可能な動力
PE=風力システムの有効動力
ρ=空気密度
u=風速
ref=研究中の物体の基準面
=風に直面する物体の空気力学的係数
Cc=転換係数
【0052】
上記の方程式は、風速が変動する場合に、利用可能な動力の変化が3乗の指数を含んでいるであろうことを示している。換言すれば、風速が高くなるほど、風力システムのために利用可能な動力が大きくなる。
【0053】
風力は、キログラムメートル/毎秒毎秒またはニュートンとして物理的に表される。風の利用可能な動力は、ニュートンメートル毎秒またはワットとして物理的に表される。他方、空気力学的係数は、研究中の力に基づいて、抗力係数、揚力係数または横力係数として表され得る。追加的には、基準面は、研究中の力に基づいて、投影面積、ブレード表面または外側面として表され得る。
【0054】
風速と利用可能な動力との間の指数関数的関係に起因して、風速の小さい増大が、利用可能な動力の大きい増大を生成する。換言すれば、当該風壁は、動的圧力および風速の増大を通して風力タービンによって生成される有効動力に対して有意な影響を有する。
【0055】
風速と風の利用可能な動力との間の指数関数的関係が確立されると、風速に対する風壁(101)の及ぶ範囲もまた確立される。
【0056】
風壁(101)は、風力システムのローターに投影された風速に対する好影響を有する空気力学的機構であり、該好影響は、圧力差の増大、結果的に自然界に存在する風速の増大を通して達成され、本革新の説明のために、風壁(101)の大きさ、および、空気力学的係数を決定する以下の方程式を考慮されたい:
【0057】
【数7】
【0058】
式中:
AMP=風壁に奏される合力の無次元合計
=風セルの牽引力または抵抗
=内側から外側に測定された風セルにかかる揚力(上下)
=内側から外側に測定された風セルにかかる横力(左右)
P=利用可能な動力
ρ=空気密度
u=風速
A=風の方向に垂直な風セル投影面積
Lref=揚力に対応するブレード表面投影
Sref=横力に対応するブレード表面投影
=風に直面する物体の抵抗または牽引の空気力学的係数。風の方向とは反対方向の風力システムの空気力学的性能を決定する。
=持続性の空気力学的係数。重力とは反対方向の風力システムの空気力学的性能を決定する。
=横空気力学的係数。風および重力の方向に垂直な方向の風力システムの空気力学的性能を決定する。
【0059】
風壁(101)の構造的幾何学的形状に関して、それは、風セル(104)と呼ばれる有限数の個別的かつ空気力学的ユニットからなるその固体構造として理解されなければならず、該風セル(104)は、規則正しく、かつ、対称的な様式で隣接し、隣り合って配置され、それは全体として風セル(104)の連続構造を形成することによって特徴付けられ、その重量は風セル(104)の構造によってそれ自体において支持され、かつ、その構成は、高さ、長さ、および、幅の点で3つの物理的な寸法に沿って構成可能な構造を構築することを可能にする。すなわち、風セル(104)を用いることによって、結果として生じる空気力学的構造が特定の環境的、技術的および経済的状況のために最適化された構造であるような方式で、完全にモジュラー式の寸法の風壁(101)を構築することが可能である。
【0060】
本書では、我々は有限数の風セル(104)によって構築された風壁(101)について話しているにも関わらず、前記は、風壁(101)が、風壁(101)の全寸法を包含する単一の大きい風セル(図3)に基づいて形成され得る可能性を除外しないことを示すことが重要である。この意味で、風壁(101)は、大きい風セルに等しいであろう。
【0061】
追加的には、風セル(図3)は、風セルの軸方向軸に沿って配置されなければならない、鏡面対称面または左右対称面を維持しなければならず、軸方向軸は、風の流れに平行であり、かつ、風セルが対称面によって切断されたときに、対称面に対するある点とその像の垂直距離が同じであるような方式で風入口開口部(406)を風出口開口部(407)と接続する/連絡させる。
【0062】
風セル(104)は、それ自体によって機能的であり、隣接外部セクション(404)および内部空気力学的チャンバー(501)からなる、空気力学的かつ個別的構造として理解されなければならない。風セルと、隣接外部セクション(404)と、内部空気力学的チャンバー(501)は全体の一部であり、したがって、それらは、同一の鏡面対称面、および、事情次第で対称面または対称の軸方向軸を共有することを特定することが重要である。これらのセクションはそれぞれ、以下で説明されるであろう(図4):
【0063】
a)隣接外部セクションまたは共有閉ロープ(404):それは、気流境界層(602)が形成される、風セル(104)の外部セクションである。追加的には、隣接外部セクション(404)は、近くに配置された風セル(104)に関する隣接境界として役立つ、風セル(104)の外壁に相当する。隣接外部セクション(404)の構造は、軸方向軸に沿う幾何学的図形の投影を有していなければならない。すなわち、風セル(104)の軸方向軸に垂直な断面は、その全軸方向軸に沿って同一の幾何学的図形を有する隣接外部セクション(404)を示さなければならない。前記幾何学的図形は、多角形、断面が円錐形または涙滴様であってもよいが、それらに限定されない。この意味で、隣接外部セクション(404)は、幾何学的図形の基部を有する円筒形状を有し、これは、円錐曲線(楕円、放物線、双曲線、外周のような、円錐と平面との間の異なる交点から生じる曲線)、起伏のある図形(涙滴もしくは波のような)または多角形(規則正しい、もしくは、不規則)であろう。
【0064】
図3は、正方形である、軸方向軸に垂直な平面から見た、隣接外部セクション(404)を有する風セルを示している。しかしながら、風セル(104)の外形は正方形に限定されず、先行する段落に示されているように、かかる目的のために、とりわけ円形、三角形、六角形、八角形のような任意の幾何学的図形を用い得ることが理解されるべきである。
【0065】
隣接外側セクション(404)の断面は、任意の幾何学的図形の形状に適合し得る(前記幾何学的図形が、内部に虚円を含有し得る限り)。この条件の理由は、角度を可能な限り抑制する必要性にある。なぜなら、それらは、内部空気力学的チャンバー(501)内の空気力学的損失を生成し得るからである。しかしながら、他方、角度のある幾何学的図形(多角形のような)は、空間の使用を最適化し、かつ、風壁(101)の構成を容易にする。
【0066】
隣接外部セクション(404)が共有閉コードとも呼ばれる理由は、風セル(104)の外部の壁が、内部空気力学的チャンバー(501)のブレードプロファイルのコードと一致するからである。すなわち、理論的には、各風セル(104)は、風セル(104)が円形シリンダーではなく、かつ、隣接する風セル(104)が存在しないであろう風壁(101)の端部に配置されない限り、その断面の多角形の辺の数だけそのブレードプロファイルのコードのセクションを共有する。したがって、隣接する風セル(104)は、隣接外部セクションまたは共有閉コード(404)を通して、隣接境界が共有されるセクション部分において同じコードを共有する。
【0067】
隣接外部セクション(404)の重要性は、それ自体の幾何学的構造が、有限数の風セル(104)によって構成可能な寸法の風壁(101)が構築され得るような方式で、各風セル(104)がモジュラー式の構築用ブロックとして機能することを可能にするという事実にある。風壁(101)の構成は、隣接外部セクション(404)と同じサイズかつ同じ幾何学的形状の風セル(104)に限定されず、異なる寸法かつ異なる幾何学的形状の風セル(104)または両方の組み合わせが限定なく用いられ得ることを示すことが重要である。
【0068】
要すれば、隣接外部セクション(404)または共有閉コードは、風壁(101)を構成する各風セル(104)によって共有される物理的境界である。このようであるので、隣接外部セクション(404)は、断面の観点からは多角形、波形または円錐セクションである幾何学的形状の基部を有する円筒形を有することによって特徴付けられ、その構造的投影は2つの重要な属性を構成する:(i)それは、それぞれの隣接する風セル(104)のブレードプロファイルの共有コードを構成するそのセクションであり、かつ、同時に、(ii)風セル(104)が、全体として風壁(101)の構成においてモジュラー式の構築用ブロックとして個別に機能することを可能にする、風セルのそのセクションである。
【0069】
b)内部空気力学的チャンバー(図5):それは、圧力差が生成され、したがって、風速差が形成される、風セルの内部セクションである。追加的には、内部空気力学的チャンバー(501)は、革新的な空気力学的プロファイルによって作り出される揚力が生成される、風セルの空間に相当する。
【0070】
内部空気力学的チャンバーは、外側面ブレードプロファイルのような形状である。このプロファイルは、部分的には翼プロファイルに基づく。該プロファイルは、ブレードプロファイルの外側面(上面)を内部空気力学的チャンバー(501)の内面として用いる。換言すれば、ブレードプロファイルの上面のみを用い、かつ、ブレードプロファイル自体の内側面を脇にどけておくことによって、それは、まるで内部空気力学的チャンバー(501)が問題のブレードプロファイルのコードに沿って区分されたようになり、したがって、内部空気力学的チャンバー(501)が外側面のプロファイルにのみ適合したままにする。したがって、内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルは、風セルの軸方向軸の周りの外側面の旋回によって達成され、その対称面に沿って連続的な空気力学的プロファイルがもたらされる。内部空気力学的チャンバー(501)のプロファイルは隣接外部セクション(404)の形状に集中かつ調整されなければならないので、外側面ブレードプロファイル(502)の厚さ(プロファイルの縁部とロープとの間の距離)は風セルの各セクションにおいて異なるであろうことを特定することが重要である。
【0071】
追加的には、内部空気力学的チャンバー(501)の最も狭い領域は円形であり得るが、それはこの円形形状のみに限定されないであろうし、前記形状がその端部において丸みを帯びている限り、それは異なる形状(内部に1つより多い風力タービンが適合し得る矩形のような)のものでもあり得る。これらの代替的かつ特殊な構成については、軸方向軸の周りの外側面の旋回によって完全な図形を作り出すという概念は、もはや適応可能ではないであろう;しかしながら、外側面ブレードプロファイルは、断面から見ると、未だに維持されているであろう。
【0072】
風セルの風入口開口部(406)および風出口開口部(407)の両方が、等しくなければならず、かつ、同一の寸法または少なくとも実質的に同一の寸法を有していなければならないことを指摘することが重要であり、ここで、外側面(上面)ブレードプロファイル(502)の前縁は、風入口開口部(406)に近接して、かつ、風入口開口部(406)に垂直に配置されており、かつ、ここで、外側面(上面)ブレードプロファイル(502)の後縁は、風出口開口部(407)に近接して、かつ、風出口開口部(407)に垂直に配置される;
【0073】
追加的には、風セルの風出口開口部(407)および風入口開口部(406)の幾何学的形状に関し、以下の代替案のうちのいずれかを選択してもよい:(i)隣接外側セクションの円筒形基部と同じ幾何学的形状を保持する;(ii)風セルのネック(405)と同じ幾何学的図形を保存する;(iii)風セルのネック(405)の幾何学的図形の辺縁上に円形図形を保存する。
【0074】
好ましい実施形態では、内部空気力学的チャンバーの外側面ブレードプロファイルは、二重双曲面プロファイルの特有の形状を有していてもよい。このプロファイルは、原点において結合した2つの未完成の単葉双曲面を用い、各双曲面の幾何学的図形は互いに異なっている。内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルは、風の方向に垂直な方を向いた原点において未完成の葉の第1双曲面(以下、入力双曲面)が、風の方向とは反対側の原点において未完成の葉の第2双曲面(以下、出口双曲面)の風出口アパーチャ(407)に等しい風入口アパーチャ(406)を有する限り、種々の双曲面に調整され得る。
【0075】
追加的には、前提条件として、原点において未完成の葉の各双曲面の対称の原点(カルテシアン空間における原点)における円の寸法は、両方の幾何学的図形の間の接合が完全である(すなわち、入口双曲面(506)および出口双曲面(507)が一緒になって、連続的な軸方向旋回対称を有する幾何学的図形を形成する)ような方式で、同一でなければならない。換言すれば、二重双曲面プロファイル(502)は、互いに異なり、原点において接合する入力双曲面(506)および出力双曲面(507)からなり、ここで、好ましくは、入力双曲面(506)の大きさ(または内部容量)は、出口双曲面(507)の大きさ(または内部容量)より小さくなければならず、両方の双曲面は原点においてそれらの円によって結合されていなければならず、かつ、必須条件として、入力双曲面(506)および出力双曲面(507)の両方の原点における円は、二重双曲面プロファイル(502)がその軸方向軸に沿って連続的かつ対称な構造であるような方式で、一致し、かつ、等しい寸法のものである。風セルの入口双曲面(506)に配置された風入口開口部(406)および出口双曲面(507)に配置された風出口開口部(407)は、同一寸法または実質的に同一寸法の円形形状を有さなければならないことを示すことが重要である。
【0076】
内部空気力学的チャンバー(501)を包囲する隣接外側セクション(404)が異なる幾何学的図形を有し得るので、共有閉コード(404)と内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルとの間の距離は風セル(104)の全長にわたって可変であり、最大距離は風セルのネック(405)の高さになければならないことが予測されるべきである。
【0077】
内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルは、同様の特徴を有し、該特徴は、(i)内部空気力学的チャンバー(501)の風入口開口部(406)および風出口開口部(407)の両方が同じ幾何学的形状を保持していなければならないこと;ならびに、(ii)風セルの内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルが風セルの同じ対称面を維持していなければならないことに相当する。
【0078】
風セル(別の風セルと隣接しているか、または、別の風セルと一直線上にある)は、横断面から見ると、両方のセルの軸対称の軸を通って平行に進み、一緒になってそれらは完全なブレードプロファイル(そのコードが各風セル(104)の間で共有される外部セクション隣接(404)に対応する)を構築し、かつ、その部分については、各風セルの内部空気力学的チャンバー(501)は、各々、ブレードプロファイルの外側面(または内側面)に対応することに注目することが重要である。このことは、それが完全なブロードプロファイルを利用して、2つの隣接セルの両方の開口部を通して風を空気力学的にそらし、用いられる空間を利用しながら風速を増大させる相乗効果を作り出し、かつ、製造時に用いられる材料の量を減少させるという技術的利点を有する。
【0079】
用いられるプロファイルの仕様レベルに関わらずそのコンポーネントを有する完全体である内部空気力学的チャンバー(501)は、非常に異なる観察可能な物理的大きさを示す3つの弁別可能領域を構成する。前記弁別可能領域は、風の方向の順番に、(i)前部または圧力生成器空間、(ii)中間部または臨界空間、および、(iii)後部または乱流抑制空間である。
【0080】
i)圧力生成空間(503);それは、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされており、かつ、その表面が直接的に風の方向を向いているその空間である。圧力生成空間(503)は、風入口開口部(406)の領域と高速臨界空間(504)との間に配置された空間に相当し、圧力生成空間(503)は、風の最も大きい牽引力を支持すること、および、最も高い圧力レベルを提示することによって特徴付けられる空間である。物理的用語では、圧力生成空間(503)は、周囲の圧力より上の静圧のスカラーの大きさを有する空間的容量に相当しなければならない。
【0081】
ii)臨界空間(504);それは、圧力生成空間(503)と乱流抑制空間(505)との間に配置されたその空間である。臨界空間(504)は、静圧の最も低いレベルならびに風速および動的圧力の最も高い記録の両方を提示することによって特徴付けられる。この空間に存在する物理的大きさの特徴に起因して、臨界空間(504)は、空間であって、前記空間に集中した風の高濃度の運動エネルギーを利用するために風力タービンローターが配置されなければならないその空間を構成する。物理的用語では、臨界空間(504)は、風速のベクターの大きさの正差を含有する空間的容量に相当すべきである。同時に、我々が内部空気力学的チャンバー(501)をその軸方向軸全体に沿って横断平面で区分すれば、我々は、内部空気力学的チャンバー(501)の最も小さい区切られた領域を有する平面が臨界空間(504)内にあることを見い出すであろう。すなわち、風セルのネック(405)は、臨界空間(504)内にあることが予測されなければならない。
【0082】
iii)乱流抑制器空間(505);それは、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされているが、その表面が直接的には風の方向を向いていないその空間である。乱流抑制器空間(505)は、臨界空間(504)と風出口開口部(407)の領域との間に配置された空間に相当し、風の最も小さい抵抗力を支持すること、ならびに、周囲環境に対する風速および圧力の大きさの平坦化のプロセスを提示することによって特徴付けられる空間である。物理的用語では、乱流抑制器空間(505)は、臨界空間(504)の後の風速のベクトルの大きさの負差を記録する空間的容量に相当すべきである。
【0083】
上記に示した空気力学的チャンバー(501)の弁別可能領域は、予め確立された物理的制限を有さず、むしろ、優勢な物理的大きさのスカラーの限界を有する。すなわち、内部空気力学的チャンバー(501)の弁別可能領域は、各空間が風セル内に存在する物理的大きさの特定の挙動によって特徴付けられるので、互いから弁別可能である。
【0084】
要すれば、内部空気力学的チャンバー(501)は、圧力および風速差が生成される風セルの内部空間であり、非常に異なる観察可能な物理的大きさを提示する3つの弁別可能領域によって構成された空間であることによって特徴付けられる。前記弁別可能領域は、風の方向の順に、(i)圧力生成空間(503)、(ii)臨界空間(504)および(iii)乱流抑制器空間(505)である。
【0085】
次に、風壁の原理を説明することが重要である。
【0086】
風壁(101)の構成部分を確立し、この分析の目的のために、中心に円形の穴を有する平面であって、風セル(104)と同じ投影表面を有し、かつ、風セルのネック(405)の領域と同じ中央の円形の穴を有する前記平面(以下、「中空フラットディスク」)を想像されたい。たとえ風セル(104)および「中空フラットディスク」が同じ投影面積を共有し、したがって風から同じ量の運動エネルギーを受け取っても、両方の物体の空気力学的係数の既存の差は、問題の各空気力学的物体によって生成される圧力勾配および風速の差を説明することを示すことが重要である。
【0087】
両方の物体が各々風力と相互作用するという事実に関わらず、風セル(104)にかかる牽引力は、空気力学的効果に起因して、「中空フラットディスク」に対して風によって奏される牽引力より小さく、このことは、風セル(104)が、特定の様式で、「中空フラットディスク」と比べて風からの運動エネルギーをあまり吸収せず、前記運動エネルギー間の差が空気自体の移動によって保存されることを可能にすることを示唆する。
【0088】
風セル(104)はまた、牽引係数と向き合うことに加えて、内部空気力学的チャンバー(501)のそのブレード表面に沿って揚力を生成するその固有の空気力学的幾何学的形状によって作り出される揚力係数とも相互作用する。この意味で、内部空気力学的チャンバー(501)のブレード表面は円形であり、したがって生成される揚力のベクトルは内部空気力学的チャンバー(501)の内部に向かうように同心円状に方向付けられることを示すことが重要である。これらの揚力は、臨界空間(504)に集中するときには、風速および結果として動的圧力のいっそう大きい増幅の一時的な状態を生成する。
【0089】
上記は、風セル(104)の空気力学的形状の結果として保存および増幅される風の運動エネルギーの量が、臨界空間(504)内に集中した揚力の結果であり、圧力の差および空気の塊が風セルの風出口開口部(407)に向かうその移動中に曝される風速の増大の要因であることを示唆する。
【0090】
風の運動エネルギーの増幅における風壁(101)の出現は、2つの要素のお陰で可能である:風壁(101)の投影面積のサイズおよび風壁(101)を構成する風セル(104)の空気力学的係数。換言すれば、風壁(101)によって達成される利用可能な動力の増加は、投影面積および適用される風セル(104)の空気力学的係数の最適化ならびに所定の風力システムを包囲する優勢な風力源の特定の特徴の関数であろう。
【0091】
CFDシミュレーション(図6)によれば、投影面積の各々の構成および全体としての風壁(101)の空気力学的係数に基づくため、達成可能な風速の最大増幅が不確定である(が、無限ではない)ことを考慮すると、風壁(101)は、約3.5倍だけ臨界空間(504)内で風速の増大を可能にするであろう。図6は、白色ゾーン(604)が10m/sに等しい周囲の風速に対応し、水色ゾーン(605)が風速が周囲の風の速度より低い空間に対応し、かつ、茶色ゾーン(603)が風速が周囲の風速より上に上昇する空間に対応する凡例を示している。見られ得るように、茶色ゾーンは、主に2つの領域に配置される:風セルの外側(とりわけ、気流の境界層(602))および臨界領域(504)。同様に、図6の凡例は、CFDシミュレーションによって計算される最低速度および最高速度(606)を示している。
【0092】
風壁(101)の適用の産物である風速の増幅の限界は、風壁(101)の牽引係数および揚力係数の依存関数として定められ、各々、牽引係数は逆相関を有し、かつ、揚力係数は直接関係を運ぶことを特定することが重要である。この意味で、風壁(101)のいっそう大きい投影面積がいっそう大きい基準走査表面の点で有益であるが、特定のポイントからは、風壁(101)の投影面積のいっそう大きい寸法は、いっそう高い牽引係数の結果として風壁(101)のいくつかの領域で収穫逓減を提示し得ることを考慮することが重要である。しかしながら、他方、牽引および揚力係数は、正の偏導関数を有する曲線を提示し、このことは、いっそう高い牽引係数のマイナス効果が、いっそう高い揚力係数によって、したがって存在する揚力のいっそう高い動的圧力産物において伴われる(関連しない)であろうことを示す。この意味で、風壁(101)の理想の寸法の選択のためには、特定の環境条件を考慮して、牽引係数および揚力係数が風壁(101)を構成する風セル(104)の臨界空間(504)内に風の最も高い動的圧力を生成する、最適ポイントを研究および発見することが重要である。
【0093】
要すれば、上記の風壁(101)は、風速、したがって風セル(104)内の臨界空間(504)に制限された運動エネルギーの強度を増大させる新世代の風力システムであり、結果的にそれは、一定であれ不定であれ、風の特定の運動エネルギーを考慮して、利用可能な動力を上昇させ、したがって電気エネルギーの生成におけるいっそう高い性能を可能にする。したがって、風壁(101)は、同じ風力源について、風壁(101)の適用が自然界で利用可能な風のいっそう良好な使用を可能にし、かつ、問題の同じ風力源を考慮して動力の生成を増大させるであろうような方式で、使用頻度の低い風の潜在的な運動エネルギーに関する技術的課題を解決する。
【0094】
風壁(101)の構成に関し、それが有限数の風セル(104)で構成されるという事実に起因して、単一の風セルに基づく風壁(101)の形成の場合さえあるであろう;風壁(101)の総合的構成はしたがって、各風セルの個別の構成の合計に基づくであろう。
【0095】
他方、風セルは個別に、均質な構成を有する必要はない。すなわち、風壁は、均質かつ対称な風セル(104)に基づいて構築され得るが、それらはまた、隣接外部セクション(404)および/または内部空気力学的チャンバー(501)の空気力学的プロファイルの異なるサイズ、寸法ならびに幾何学的形状に関して、異なる構成の風セル(104)に基づいて構築され得る。換言すれば、風壁(101)の構成のための選択肢は、無数にある。
【0096】
風壁(101)を構成するであろう異なる風セル(104)の最も適切な構成の選択は、風壁(101)の設置場所における主な風力源の研究に基づき、かつ、とりわけ、特定のプロジェクトについての技術的パラメーター、経済的制約、期待される収量、利用可能な技術、必要とされる環境規制および期待される操作限界に基づくべきである。すなわち、風力システムが作成される数だけ、風壁(101)の最適な形態が存在するであろう。
【0097】
クランプ(締結)および支持要素に関し、各風セルの隣接外部セクション(404)が、それ自体によって構造的支持体を構成することを示すことが重要である。風セル(104)は、相当な揚力および抵抗力に曝されるであろうから、風セルの内部(すなわち、包囲され、環境に直接曝されないその部分)は、必要に応じて適切に補強されなければならない。同様に、風壁(101)を構成する風セル(104)は全体として動くであろうから、全体としての風壁(101)の統合性を維持するために固定構造の構築を考慮することが重要である。この意味で、風壁(101)は、クランプおよび支持の点で、それを構成する同じ風セル(104)に基づく自立構造であり、従来の風力タービンの場合のように高架の鉛直方向支持体を必要としない。それにも関わらず、固定および支持構造の決定は、全体としての風壁(101)の統合性を維持するために必要である。風壁(101)によって必要とされるクランプおよび構造的支持要素の構築のために用いられる技術に関し、我々は、それがこの説明とは調和せず、かつ、問題を専門に扱う工学の分野の研究および技術的推奨に排他的に基づくであろうことを示す。
【0098】
他方、風壁(101)の適用は、それ自体、新世代の風力システムを提供し、該風力システムは、風力タービンの機械的および空気力学的効率に基づくだけでなく、風速および根本となる動力密度を増幅させるための要素としての風壁(101)の構造的および空気力学的効率にも基づく。この意味で、風壁(101)によって提供される利益は、次の通りである:
【0099】
・ 風力動力密度の増大。自然界における風の特定の運動エネルギーを考慮して、本発明によって達成される風速の駆動された増大に起因して、風壁(101)は、従来の風力システム(風の速度を増大させるためのいかなる物理的構造も用いず、自然界で発生する風の運動エネルギーのみを採用する)が送達し得るより大きい動力密度を生成する。
【0100】
・ 特定の動力要因の増大。システムの同じ投影表面を考慮すると、風壁(101)は、実質的にいっそう高いレベルの1平方当たりの動力(特定の動力要因または動力係数)を提供する。先行して実行された分析およびシミュレーションによれば、特定の動力要因は、従来の風力システムと比べて価値が二倍になるであろう。
【0101】
・ 風力タービンローターのいっそう小さい直径。いかなる修正も伴わない自然界で利用可能な風で動く従来の風力タービンと比べて、臨界空間(504)(そこに風力タービンのローターが配置される)内の風速を増大させることを可能にする風セルの空気力学的構造の適用を通して、いっそう多くの量の動力が、風力タービンのローターのいっそう小さい直径サイズを用いて生成され得る。
【0102】
・ 動力を生成する単位当たりのいっそう低い費用。風壁(101)が提供する風力タービンローターのいっそう高い動力係数、および、いっそう小さいサイズの結果として、キロワット当たりのドル(US $/kW)で測定される動力の単位当たりの投資のレベルは、従来の風力システムの動力の単位当たりの投資レベルより低いことが予想される。
【0103】
要すれば、風壁(101)は、自然界で利用可能な同じ風力源を考慮して、風力動力密度および特定の動力の増大、結果としての電気動力生成能力の増大、ならびに、重要な追加点として発生費用の減少に特別な関係性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
相補的に、風セルは、空気力学的かつ個別的構造として理解されるべきであり、それ自体により機能的であり、隣接外部セクション(404)によりなり、かつ、他方では、順に、前部、中間部および部からなる内部空気力学的チャンバー(501)からなる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
用いられるプロファイルの仕様レベルに関わらずそのコンポーネントを有する完全体である内部空気力学的チャンバー(501)は、非常に異なる観察可能な物理的大きさを示す3つの弁別可能領域を構成する。前記弁別可能領域は、風の方向の順番に、i)前部または圧力生成空間(503)、ii)中間部または臨界空間(504)、および、(iii)部または乱流抑制空間(505)である。圧力生成空間(503)は、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされており、かつ、その基準面が風の方向に直面しているその空間であり、風の最も大きい抵抗力を支持すること、および、最も大きい圧力レベルを提示することによって特徴付けられる空間である。臨界空間(504)は、圧力生成空間(503)と乱流抑制空間(505)との間に配置されたその空間であり、システムの風速および動的圧力の最も高い記録を提示することによって特徴付けられる。この意味で、臨界空間(504)は、風力タービンローターが配置されなければならないその空間を構成する。乱流抑制器空間(505)は、その軸方向軸が風の方向と位置合わせされているが、その基準面が風の方向に直面していないその空間であり、層流の維持ならびに周囲環境に対する風速および圧力の平坦化に資する空間を提示することによって特徴付けられる。
【国際調査報告】