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特表2022-552600光信号減衰器及び光信号伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】光信号減衰器及び光信号伝送システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/02 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
G02B26/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513482
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020135493
(87)【国際公開番号】W WO2021196720
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202020444531.0
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074040
【氏名又は名称】アクセリンク テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ジュンホン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジェチャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,シャオポン
(72)【発明者】
【氏名】サン,ミンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ビ,ヒュイガン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
【テーマコード(参考)】
2H141
【Fターム(参考)】
2H141MA02
2H141MB07
2H141MC08
2H141MD03
2H141ME04
2H141ME07
2H141MG01
(57)【要約】
光通信分野に関する光信号減衰器及び光信号伝送システムを提供する。光信号減衰器は、収容空間(11)が設けられた光信号通路(10)と、少なくとも一部が収容空間(11)に位置し、光信号通路(10)における光信号の一部を吸収する減衰素子(20)と、減衰素子(20)に接続され、減衰素子(20)を変位させるように温度に応じて変形可能な変形素子(30)と、を含み、減衰素子(20)の変位方向と光信号通路(10)の延在方向とは、所定の角度をなす。外部エネルギーを消費することなく、温度に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整することができる。光信号伝送システムは、システムに故障があるか否かを確認し、或いは環境の温度を測定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間が設けられた光信号通路と、
少なくとも一部が前記収容空間に位置し、前記光信号通路における光信号の一部を吸収する減衰素子と、
前記減衰素子に接続され、前記減衰素子を変位させるように温度に応じて変形可能な変形素子と、を含み、
前記減衰素子の変位方向と前記光信号通路の延在方向とは、所定の角度をなす、光信号減衰器。
【請求項2】
前記光信号減衰器は、固定部材をさらに含み、
前記変形素子の延在方向に沿って、前記変形素子の一端が前記固定部材に固定的に接続され、前記変形素子の他端が前記減衰素子に接続され、
前記変形素子の延在方向と前記光信号通路の延在方向とは、前記所定の角度をなす、請求項1に記載の光信号減衰器。
【請求項3】
前記光信号減衰器は、
固定部材と、
前記固定部材に接続され、且つ前記変形素子に接続された第1の接続部材と、
前記固定部材に接続され、且つ前記変形素子に接続された第2の接続部材と、さらに含み、
前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記変形素子の延在方向に沿って設けられ、
前記変形素子と前記減衰素子とが接続されている位置は、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との間に位置する、請求項1に記載の光信号減衰器。
【請求項4】
前記変形素子の延在方向に沿って、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材とは、所定の距離だけ離れている、請求項3に記載の光信号減衰器。
【請求項5】
前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との距離は、最小間隔以上であり、
前記最小間隔は、
【数1】
であり、
ここで、Lminは前記最小間隔であり、Eは前記変形素子の弾性率であり、Iは前記変形素子の慣性モーメントであり、Pminは最小圧縮応力であり、前記最小圧縮応力は、前記変形素子を湾曲させることができる圧縮応力の最小値である、請求項4に記載の光信号減衰器。
【請求項6】
前記変形素子は、
前記減衰素子に接続され、且つ前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材を介して前記固定部材に接続された第1の金属シートと、
前記第1の金属シートに接続され、且つ熱膨張係数が前記第1の金属シートの熱膨張係数とは異なる第2の金属シートと、を含む、請求項3に記載の光信号減衰器。
【請求項7】
前記光信号減衰器は、係止素子をさらに含み、
前記第1の接続部材は、前記固定部材とスライド可能に接続され、且つ前記変形素子とスライド可能に接続され、前記第1の接続部材は、前記第1の接続部材と前記変形素子との相対移動及び前記第1の接続部材と前記固定部材との相対移動を制限するように、前記係止素子と取り外し可能に接続され、且つ/或いは、
前記第2の接続部材は、前記固定部材とスライド可能に接続され、且つ前記変形素子とスライド可能に接続され、前記第1の接続部材は、前記第1の接続部材と前記変形素子との相対移動及び前記第1の接続部材と前記固定部材との相対移動を制限するように、前記係止素子と取り外し可能に接続されている、請求項3に記載の光信号減衰器。
【請求項8】
前記光信号減衰器は、前記変形素子及び前記減衰素子に接続された取り付け基台、をさらに含む、請求項1に記載の光信号減衰器。
【請求項9】
前記光信号通路は、
前記減衰素子の一方側に位置する第1のコリメータと、
前記減衰素子の他方側に位置する第2のコリメータと、を含み、
前記第1のコリメータと前記第2のコリメータとの間には、前記収容空間が形成される、請求項1に記載の光信号減衰器。
【請求項10】
前記第1のコリメータの端部及び前記第2のコリメータの端部には、反射防止膜が設けれている、請求項9に記載の光信号減衰器。
【請求項11】
第1の信号出力端及び第2の信号出力端が設けられた光スプリッタと、
前記第1の信号出力端に接続された第1の光ファイバと、
前記第2の信号出力端に接続された第2の光ファイバと、
前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに設けられた、請求項1乃至9の何れかに記載の光信号減衰器と、を含む、光信号伝送システム。
【請求項12】
請求項11に記載の光信号伝送システムに適用される、光信号伝送システムの故障検出方法であって、
前記光信号減衰器を測定し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係を取得するステップと、
環境温度を取得し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係に基づいて理論減衰強度を取得するステップと、
前記第1の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰されていない光信号の強度と前記第2の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰された光信号の強度とを減算し、前記光信号減衰器の実際減衰強度を取得するステップと、
前記理論減衰強度と前記実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも小さい場合、前記光信号伝送システムに故障がないと決定し、前記理論減衰強度と前記実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも大きい場合、前記光信号伝送システムに故障があると決定するステップと、を含む、故障検出方法。
【請求項13】
請求項11に記載の光信号伝送システムに適用される、環境温度の検出方法であって、
前記光信号減衰器を測定し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係を取得するステップと、
前記第1の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰されていない光信号の強度と前記第2の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰された光信号の強度とを減算し、前記光信号減衰器の減衰強度を取得するステップと、
前記減衰強度及び前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係に基づいて、環境温度を取得するステップと、を含む、環境温度の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出願番号が202020444531.0号であり、出願日が2020年3月31日である中国実用新案出願に基づく優先権を主張するものであり、ここで該中国実用新案出願の全内容を本願に参照により援用する。
【0002】
本開示は、光通信の分野に関し、特に光信号減衰器及び光信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
光信号減衰器は、光ファイバ通信システムの重要なコンポーネントの1つであり、主に光信号を低減又は制御し、異なる通信チャネル間の電力バランスを実現するために使用される。光信号伝送システムでは、各光デバイスの光学特性が温度の変化に応じて変化するため、温度の変化に応じて光信号減衰器の減衰強度を調整する必要がある。ここで、光信号減衰器の減衰強度とは、光信号減衰器を通過する前の信号と光信号減衰器を通過した後の光信号の強度との差を意味する。
【0004】
関連する光信号減衰器は温度センサー及びアクチュエータにより光信号減衰器の減衰強度の調整を実現し、このような光信号減衰器は外部エネルギーを消費する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、外部エネルギーを消費することなく、温度の変化に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整することができる、光信号減衰器及び光信号伝送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例は、収容空間が設けられた光信号通路と、少なくとも一部が前記収容空間に位置し、前記光信号通路における光信号の一部を吸収する減衰素子と、前記減衰素子に接続され、前記減衰素子を変位させるように温度に応じて変形可能な変形素子と、を含み、前記減衰素子の変位方向と前記光信号通路の延在方向とは、所定の角度をなす、光信号減衰器を提供する。
【0007】
また、前記光信号減衰器は、固定部材をさらに含み、前記変形素子の延在方向に沿って、前記変形素子の一端が前記固定部材に固定的に接続され、前記変形素子の他端が前記減衰素子に接続され、前記変形素子の延在方向と前記光信号通路の延在方向とは、前記所定の角度をなす。
【0008】
また、前記光信号減衰器は、固定部材と、前記固定部材に接続され、且つ前記変形素子に接続された第1の接続部材と、前記固定部材に接続され、且つ前記変形素子に接続された第2の接続部材と、さらに含み、前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材は、前記変形素子の延在方向に沿って設けられ、前記変形素子と前記減衰素子とが接続されている位置は、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との間に位置する。
【0009】
また、前記変形素子の延在方向に沿って、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材とは、所定の距離だけ離れている。
【0010】
また、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との距離は、最小間隔以上であり、前記最小間隔は、
【0011】
【数1】
であり、ここで、Lminは前記最小間隔であり、Eは前記変形素子の弾性率であり、Iは前記変形素子の慣性モーメントであり、Pminは最小圧縮応力であり、前記最小圧縮応力は、前記変形素子を湾曲させることができる圧縮応力の最小値である。
【0012】
また、前記変形素子は、前記減衰素子に接続され、且つ前記第1の接続部材及び前記第2の接続部材を介して前記固定部材に接続された第1の金属シートと、前記第1の金属シートに接続され、且つ熱膨張係数が前記第1の金属シートの熱膨張係数とは異なる第2の金属シートと、を含む。
【0013】
また、前記光信号減衰器は、係止素子をさらに含み、前記第1の接続部材は、前記固定部材とスライド可能に接続され、且つ前記変形素子とスライド可能に接続され、前記第1の接続部材は、前記第1の接続部材と前記変形素子との相対移動及び前記第1の接続部材と前記固定部材との相対移動を制限するように、前記係止素子と取り外し可能に接続され、且つ/或いは、前記第2の接続部材は、前記固定部材とスライド可能に接続され、且つ前記変形素子とスライド可能に接続され、前記第1の接続部材は、前記第1の接続部材と前記変形素子との相対移動及び前記第1の接続部材と前記固定部材との相対移動を制限するように、前記係止素子と取り外し可能に接続されている。
【0014】
また、前記光信号減衰器は、前記変形素子及び前記減衰素子に接続された取り付け基台、をさらに含む。
【0015】
また、前記光信号通路は、前記減衰素子の一方側に位置する第1のコリメータと、前記減衰素子の他方側に位置する第2のコリメータと、を含み、前記第1のコリメータと前記第2のコリメータとの間には、前記収容空間が形成される。
【0016】
また、前記第1のコリメータの端部及び前記第2のコリメータの端部には、反射防止膜が設けれている。
【0017】
本開示の実施例は、第1の信号出力端及び第2の信号出力端が設けられた光スプリッタと、前記第1の信号出力端に接続された第1の光ファイバと、前記第2の信号出力端に接続された第2の光ファイバと、前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに設けられた、上記の光信号減衰器と、を含む、光信号伝送システムをさらに提供する。
【0018】
本開示の実施例は、上記の実施例に記載の光信号伝送システムに適用される、光信号伝送システムの故障検出方法であって、前記光信号減衰器を測定し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係を取得するステップと、環境温度を取得し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係に基づいて理論減衰強度を取得するステップと、前記第1の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰されていない光信号の強度と前記第2の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰された光信号の強度とを減算し、前記光信号減衰器の実際減衰強度を取得するステップと、前記理論減衰強度と前記実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも小さい場合、前記光信号伝送システムに故障がないと決定し、前記理論減衰強度と前記実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも大きい場合、前記光信号伝送システムに故障があると決定するステップと、を含む、故障検出方法をさらに提供する。
【0019】
本開示の実施例は、上記の実施例に記載の光信号伝送システムに適用される、環境温度の検出方法であって、前記光信号減衰器を測定し、前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係を取得するステップと、前記第1の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰されていない光信号の強度と前記第2の光ファイバにおける前記光信号減衰器により減衰された光信号の強度とを減算し、前記光信号減衰器の減衰強度を取得するステップと、前記減衰強度及び前記光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係に基づいて、環境温度を取得するステップと、を含む、環境温度の検出方法をさらに提供する。
【0020】
本開示の実施例に係る光信号減衰器は、収容空間が設けられた光信号通路と、一部が光信号通路に位置する減衰素子と、減衰素子に接続された変形素子と、を含み、温度が変化する際に変形素子が減衰素子を変位させ、光信号通路の横断面に占める減衰素子の面積を変更することで、光信号全体に占める減衰光信号の割合を変更し、光信号減衰器の減衰強度を調整する。即ち、本開示の実施例は、温度が変化する際に光信号減衰器の変形素子により生成された運動エネルギーを利用することで、外部エネルギーを消費することなく、温度の変化に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施例に係る光信号減衰器の構成の概略図である。
図2】本開示の実施例に係る他の光信号減衰器の構成の概略図である。
図3】本開示の実施例に係る他の光信号減衰器の構成の概略図である。
図4】本開示の実施例に係る他の光信号減衰器の構成の概略図である。
図5】本開示の実施例に係る光信号減衰器における第1のタイプの係止素子の構成の概略図である。
図6】本開示の実施例に係る光信号減衰器における第2のタイプの係止素子の構成の概略図である。
図7】本開示の実施例に係る光信号減衰器における取り付け基台、変形素子及び減衰素子の組み立ての概略図である。
図8】本開示の実施例に係る光信号減衰器における第1のコリメータ、第2のコリメータ及び減衰素子の組み立ての概略図である。
図9】本開示の実施例に係る光信号伝送システムの構成の概略図である。
図10】本開示の実施例に係る光信号伝送システムにおける光信号減衰器の減衰強度と温度との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
具体的な実施形態で説明される各実施例における各具体的な技術的特徴は、矛盾がない限り、様々な方法で組み合わせてもよく、例えば、様々な具体的な技術的特徴を組み合わせて様々な実施形態を形成してもよい。不要な繰り返しを避けるために、本開示では、各具体的な技術的特徴の様々な組み合わせ方法の説明を省略する。
【0023】
以下の具体的な実施形態では、光信号減衰器は、任意の光ファイバ伝送システムに適用されてもよい。例えば、該光信号減衰器は、ネットワーク光信号伝送システムに適用されてもよいし、短距離の制御システムの光信号伝送に適用されてもよい。
【0024】
図1に示すように、該光信号減衰器は、光信号通路10、減衰素子20及び変形素子30を含む。光信号通路10は、光信号を伝送するために使用され、光信号通路10は、光信号を伝送可能な任意の素子であってもよい。例えば光ファイバであってもよく、光信号は光ファイバで伝送されてもよい。光信号通路10は、例えば光信号送信機及び光信号受信機を含む光信号通路であってもよく、光信号は光信号送信機から送信され、光信号受信機により受信されてもよい。光信号通路10には、収容空間11が設けられ、収容空間11は、減衰素子20を収容するために使用され、即ち、減衰素子20は、収容空間11を通って光信号通路内に入る。光信号通路10の形態によっては、収容空間11の形態も異なる。例えば、光信号通路10は伝送光ファイバであり、該伝送光ファイバにはスロットが設けられ、これによって、収容空間11は伝送光ファイバ内に形成される。例えば、光信号通路が光信号送信機と光信号受信機を含む光信号通路である場合、光信号送信機と光信号受信機とは、所定の距離だけ離れており、光信号送信機と光信号受信機との間に収容空間11が形成されている。
【0025】
減衰素子20は光信号を吸収可能な素子であってもよく、減衰素子20の少なくとも一部は収容空間11に位置し、即ち、減衰素子20の少なくとも一部は、光信号通路10に位置する。これによって、光信号通路10内の光信号を吸収し、その結果、光信号を減衰させる。具体的には、減衰素子20は、収容空間11の少なくとも一部を占める。光信号が収容空間11を通過する際に、光信号の少なくとも一部は、減衰素子20を通過する。この部分の光信号が減衰素子20を通過する際に、この部分の光信号の一部が減衰素子20により吸収されることによって、この部分の光信号の強度を低減させるため、減衰素子20を通過した後の光信号の強度を低減させる。好ましくは、減衰素子20は、光学的に研磨された中性吸収ガラスである。
【0026】
変形素子30は、温度に応じて変形可能な素子であり、即ち、変形素子30は、温度に敏感な素子である。変形素子30の所在する環境の温度が変化する状態では、変形素子30内で内部応力発生し、該内部応力の作用により変形する。変形素子30は、減衰素子20に接続されているため、変形素子30の所在する環境の温度が変化する状態では、変形素子30は、減衰素子20を変位させる。ここで、減衰素子20の変位方向と光信号通路10の延在方向とは、所定の角度をなす。なお、所定の角度は0度よりも大きく、即ち、減衰素子20の変位方向は、光信号通路10の延在方向と平行ではない。以下は、光信号減衰器の減衰強度を調整する原理を例示的に説明する。
【0027】
説明の便宜上、光信号通路10の延在方向に垂直な断面を横断面と称する。減衰素子20は該横断面の少なくとも一部を占め、光信号が該横断面を通過する際に、光信号の少なくとも一部は減衰素子20を通過する。説明の便宜上、以下は、この部分の光信号を減衰光信号と称する。減衰光信号が減衰素子20を通過する際に、減衰素子20は、減衰光信号の一部を吸収し、その結果、減衰光信号の強度を低減させるため、光信号減衰器を通過する光信号の強度を低減させる。ここで、減衰素子20の該横断面に占める面積が大きいほど、光信号全体に対する減衰光信号の比率が大きくなり、光信号減衰器の減衰強度が強くなる。光信号減衰器の所在する環境の温度が変化する状態では、変形素子30が変形し、その結果、減衰素子20は、光信号通路10の延在方向に対して非平行に変位する。これによって、減衰素子20が横断面に占める面積が変化し、光信号全体に対する減衰光信号の比率を変更し、光信号減衰器の減衰強度を変更する、即ち、温度に応じて光信号減衰器の減衰強度を調整する。
【0028】
本開示の実施例に係る光信号減衰器は、収容空間が設けられた光信号通路と、一部が光信号通路に位置する減衰素子と、減衰素子に接続された変形素子と、を含み、温度が変化する際に変形素子が減衰素子を変位させ、光信号通路の横断面に占める減衰素子の面積を変更することで、光信号全体に占める減衰光信号の割合を変更し、光信号減衰器の減衰強度を調整する。即ち、温度が変化する際に光信号減衰器の変形素子により生成された運動エネルギーを利用することで、外部エネルギーを消費することなく、温度の変化に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整する。
【0029】
幾つかの実施例では、図2に示すように、光信号減衰器は、固定部材40をさらに含む。変形素子30の延在方向(即ち、変形素子30の長手方向)に沿って、変形素子30の一端が固定部材40に固定的に接続され、変形素子30の他端が減衰素子20に接続されている。温度が変化する際に、変形素子30により、減衰素子20が変形素子30の延在方向に沿って移動する。ここで、変形素子30の延在方向と光信号通路10の延在方向とは、所定の角度をなし、即ち、変形素子30の延在方向は、光信号通路10の延在方向と垂直ではない。これによって、減衰素子20は、光信号通路10の延在方向と垂直ではない方向に沿って変位し、減衰素子20が光信号通路10の横断面に占める面積を変更するため、光信号減衰器の減衰強度を変更する。即ち、温度に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整することができる。
【0030】
他の幾つかの実施例では、図3に示すように、光信号減衰器は、固定部材40、第1の接続部材50及び第2の接続部材60をさらに含む。第1の接続部材50は、固定部材40に接続され、且つ変形素子30に接続され、即ち、変形素子30は、第1の接続部材50を介して固定部材40に接続されている。第2の接続部材60は、固定部材40に接続され、変形素子30は接続され、即ち、変形素子30は、さらに第2の接続部材60を介して固定部材40に接続されている。第1の接続部材50及び第2の接続部材60は、変形素子30の延在方向に沿って設けられ、変形素子30と減衰素子20とが接続されている位置は、第1の接続部材50と第2の接続部材60との間に位置する。即ち、変形素子30の延在方向に沿って、減衰素子20は、第1の接続部材50と第2の接続部材60との間に位置する。温度が変化する際に、第1の接続部材50と第2の接続部材60との間に位置する変形素子30が湾曲し、減衰素子20が変位する。ここで、変形素子30が湾曲する際に、変形素子30と減衰素子20が接続されている位置の変位は、光信号通路10の延在方向に平行ではないため、減衰素子20は、光信号通路10の延在方向に非平行に変位し、減衰素子が光信号通路の横断面に示す面積を変化させ、光信号全体に占める減衰光信号の割合を変更し、光信号減衰器の減衰強度を調整する。
【0031】
幾つかの実施例では、図3に示すように、変形素子30の延在方向に沿って、第1の接続部材50と第2の接続部材60とは、所定の距離だけ離れている。これによって、変形素子30は圧縮応力の作用により不安定な湾曲を生成することができるため、変形素子の湾曲により減衰素子20が変位し、光信号減衰器の減衰強度を調整する。第1の接続部材50と第2の接続部材60との間の最小間隔は、光信号減衰器の減衰強度の調整精度に基づいて決定される。具体的には、光信号減衰器の減衰強度の調整精度に基づいて、最小圧縮応力Pmin、即ち、変形素子30を湾曲させることができる圧縮応力の最小値を決定する。次に、以下の式に従って臨界圧縮応力を計算する。
【0032】
【数2】
式(1)において、Pcrは臨界圧縮応力であり、Eは変形素子30の弾性率であり、Iは変形素子30の慣性モーメントであり、Lは第1の接続部材50と第2の接続部材60との間の変形素子の長さ、即ち、変形素子30の延在方向の第1の接続部材50と第2の接続部材60との間隔である。臨界圧縮応力Pcrを最小圧縮応力Pinよりも小さくすることにより、変形素子30は、最小圧縮応力Pminの作用により湾曲することができる。
【0033】
cr<Pmin (2)
式(1)を式(2)に代入すると、以下の式を得る。
【0034】
【数3】
式(3)によると、第1の接続部材50と第2の接続部材との間の最小間隔Lminを得ることができる。
【0035】
【数4】
幾つかの実施例では、図4に示すように、変形素子30は、第1の金属シート31及び第2の金属シート32を含む。第1の金属シート31は、減衰素子20に接続され、且つ第1の接続部材50及び第2の接続部材60を介して固定部材40に接続されている。第2の金属シート32は、第1の金属シート31に接続され、第2の金属シート32の熱膨張係数は第1の金属シート31の熱膨張係数とは異なる。温度が変化する際に、第1の金属シート31による変形量と第2の金属シート32による変形量とが異なるため、変形素子30が湾曲する。具体的には、第1の金属シート31の熱膨張係数が第2の金属シート32の熱膨張係数よりも大きいことを一例にして、変形素子30と温度変化との関係を例示的に説明する。温度が上昇する状態では、第1の金属シート31の伸長量が第2の金属シート32の伸長量よりも大きく、変形素子30が第1の金属シート31側に湾曲する。温度が低下する状態では、第1の金属シート31の短縮量が第2の金属シート32の短縮量よりも大きく、変形素子30が第2の金属シート32側に湾曲する。
【0036】
幾つかの実施例では、光信号減衰器は、係止素子をさらに含み、第1の接続部材50及び第2の接続部材60のうちの少なくとも1つは、可動部材、即ち、変形素子の延在方向に沿ってスライド可能な接続部材である。係止素子70は、可動部材と変形素子との相対移動を制限し、可動部材と固定部材との相対移動を制限するように、可動部材に取り外し可能に接続されている。以下は、第1の接続部材50を一例にして説明する。
【0037】
図4に示すように、第1の接続部材50は、固定部材40とスライド可能に接続され、且つ変形素子30とスライド可能に接続されている。第1の接続部材50は、係止素子70と第1の接続部材50とが接続されている状態において、係止素子70により、第1の接続部材50と変形素子30との相対移動を制限し、第1の接続部材50と固定部材40との相対移動を制限するように、係止素子70と取り外し可能に接続されている。係止素子70を第1の接続部材50から取り外し、第1の接続部材50は、変形素子30の延在方向に沿ってスライドして、第1の接続部材50と第2の接続部材60との間隔を調整することができる。これによって、第1の接続部材50と第2の接続部材60との間の変形素子30の長さを調整して、変形素子30の変形量を調整し、光信号減衰器の減衰度を調整することができる。第1の接続部材50を変形素子30の延在方向に沿って所定位置にスライドさせた後、係止素子70と第1の接続部材50とを接続することによって、第1の接続部材50と変形素子30との間の相対移動を制限し、第1の接続部材50と固定部材40との間の相対移動を制限する。これによって、変形素子30を第1の接続部材50を介して固定部材40に固定して、変形素子30を湾曲させるように変形させることができる。係止素子70は、第1の接続部材50に取り外し可能に接続され、第1の接続部材50と変形素子との相対移動を制限し、第1の接続部材50と固定部材40との相対移動を制限することができる任意の構造である。以下は、図5及び図6を参照しながら係止素子70の構造を例示的に説明する。なお、係止素子70の構造は、以下に説明する2つの構造に限定されない。
【0038】
図5に示すように、第1のタイプの係止素子70Aは、スリーブ71A、及びスリーブ71Aの外面に取り付けられた基部72Aを含む。スリーブ71Aには変形溝73Aが設けられ、変形溝73Aの両側にはクランププレート74Aが設けられ、クランププレート74Aには係止穴75Aが設けられている。スリーブ71Aは変形素子の外側に設けられ、基部72Aの底面は固定部材40と接触する。スリーブ71Aの内縁のサイズが変形素子30の外縁のサイズよりも大きいため、第1のタイプの係止素子70Aは、変形素子の延在方向に沿ってスライドすることができる。係止素子を所望の位置に移動させた後、ボルトをクランププレートの係止穴を貫通し、ボルトの他方側にナットを取り付ける。ナットを締めてクランププレート74Aに押し付け力を付勢することで、変形溝73Aを変形させ、スリーブ71Aの内縁のサイズを小さくする。この際に、スリーブ71Aと変形素子30との間に摩擦力が発生する。該摩擦力は、第1のタイプの係止素子70Aと変形素子30との相対移動を制限することができる。それと共に、スリーブ71Aの変形により、基部72Aが固定部材40に押し付けられ、基部72Aと固定部材40との間にも摩擦力が発生する。該摩擦力は、第1のタイプの係止素子70Aと固定部材40との相対移動を制限することができる。
【0039】
図6に示すように、第2のタイプの係止素子70Bは、取り付けスリーブ71B及びベースプレート72Bを含み、取り付けスリーブ71Bは、ベースプレート72Bの外面に接続されている。取り付けスリーブ71Bには、ネジ穴73Bが設けられている。ベースプレート72Bの底面が固定部材40と接触しており、取り付けスリーブ71Bの内縁サイズが変形素子30の外縁サイズよりも大きいため、係止素子70Bは、変形素子の延在方向に沿ってスライドすることができる。係止素子を所望の位置に移動させた後、ボルトがネジ穴73Bを通過し、ボルトの他端が変形素子30に当接することによって、ボルトと変形素子30との間に摩擦力が発生し、該摩擦力は第2のタイプの係止素子70Bと変形素子30との相対移動を制限することができる。それと共に、ボルトと変形素子との間の正圧力の作用により、ベースプレート72Bが固定部材40に押し付けられ、ベースプレート72Bと固定部材40との間にも摩擦力が発生し、該摩擦力は、第2のタイプの係止素子70Bと固定部材40との相対移動を制限することができる。
【0040】
幾つかの実施例では、図7に示すように、光信号減衰器は、変形素子30及び減衰素子20に接続された取り付け基台80をさらに含み、即ち、減衰素子20は取り付け基台80を介して変形素子30に接続されている。変形素子30は細長い素子であるため、減衰素子20と直接接続することは不便である。サイズがより大きな取り付け基台80を提供し、減衰素子20と変形素子30を取り付け基台80を介して接続することによって、減衰素子20と変形素子30とを確実に接続することができ、変形素子30の取り付けの難しさを軽減することができる。
【0041】
幾つかの実施例では、図8に示すように、光信号通路10は、第1のコリメータ12及び第2のコリメータ13を含む。第1のコリメータ12は、減衰素子20の一方側に位置し、第2のコリメータ13は、減衰素子20の他方側に位置し、第1のコリメータ12と第2のコリメータ13との間には、減衰素子を収容するための収容空間11が形成されている。第1のコリメータ12及び第2のコリメータ13を設けることによって、非平行な入力光信号を平行な入力光信号に変換することができるため、光ファイバを設ける必要がなく、光信号の漏れを防止し、光信号通路10の光信号損失を低減させることができる。好ましくは、第1のコリメータ12の端部及び第2のコリメータ13の端部には、反射防止膜が設けれている。これによって、第1のコリメータ12及び第2のコリメータ13の光透過率を向上させ、光信号通路10の光信号損失をさらに低減させることができる。
【0042】
図9に示すように、本開示の実施例は、光信号伝送システムをさらに提供する。該光信号伝送システムは、光スプリッタ1、第1の光ファイバ2、第2の光ファイバ3、及び上述した光信号減衰器4を含む。
【0043】
光スプリッタ1には、第1の信号出力端1a及び第2の信号出力端1bが設けられており、入力された光信号を第1の信号出力端1a及び第2の信号出力端1bからそれぞれ出力することができる。第1の信号出力端1aにより出力された光信号の強度は、第2の信号出力端1bにより出力された光信号の強度に等しい。
【0044】
第1の光ファイバ2は第1の信号出力端1aに接続され、第2の光ファイバ3は第2の信号出力端1bに接続され、光信号減衰器4は第1の光ファイバ2又は第2の光ファイバ3に設けられている。説明の便宜上、以下は、光信号減衰器4が第1の光ファイバに設けられることを一例にして説明する。
【0045】
光信号減衰器4を測定することによって、光信号減衰器4の減衰強度と温度との対応関係を得ることができる。例えば、光信号減衰器4の減衰強度と温度との対応関係は図10に示されており、減衰強度と温度とは、実質的に正比例関係がある。
【0046】
幾つかの実施例では、環境温度が既知である場合、光信号減衰器4の理論減衰強度を取得し、第1の光ファイバ2における光信号減衰器4により減衰されていない光信号の強度と第2の光ファイバ3における光信号減衰器4により減衰された光信号の強度とを減算し、光信号減衰器4の実際減衰強度を取得してもよい。理論減衰強度と実際減衰強度とを比較することによって、光信号伝送システムに故障があるか否かを決定することができる。具体的には、理論減衰強度と実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも小さい場合、光信号伝送システムに故障がないと決定し、理論減衰強度と実際減衰強度との差の絶対値が予定閾値よりも大きい場合、光信号伝送システムに故障があると決定する。
【0047】
幾つかの実施例では、光信号伝送システムに故障がないと決定された場合、光信号減衰器4に基づいて環境の温度をさらに測定してもよい。具体的には、第1の光ファイバ2における光信号減衰器4により減衰されていない光信号の強度と第2の光ファイバ3における光信号減衰器4により減衰された光信号の強度とを減算し、光信号減衰器4の減衰強度を取得し、光信号減衰器4の減衰強度と温度との対応関係に基づいて、環境の温度を取得する。
【0048】
上記の説明は、単なる本開示の好ましい実施例であり、本開示の保護範囲を限定するものではない。
(産業上の利用可能性)
本開示の実施例に係る光信号減衰器は、収容空間が設けられた光信号通路と、一部が光信号通路に位置する減衰素子と、減衰素子に接続された変形素子と、を含み、温度が変化する際に変形素子が減衰素子を変位させ、光信号通路の横断面に占める減衰素子の面積を変更することで、光信号全体に占める減衰光信号の割合を変更し、光信号減衰器の減衰強度を調整する。即ち、本開示の実施例は、温度が変化する際に光信号減衰器の変形素子により生成された運動エネルギーを利用することで、外部エネルギーを消費することなく、温度の変化に応じて光信号減衰器の減衰強度を自動的に調整する。
【符号の説明】
【0049】
10-光信号通路、11-収容空間、12-第1のコリメータ、13-第2のコリメータ、20-減衰素子、30-変形素子、31-第1の金属シート、32-第2の金属シート、40-固定部材、50-第1の接続部材、60-第2の接続部材、70係止素子、70A-第1のタイプの係止素子、71A-スリーブ、72A-基部、73A-変形溝、74A-クランププレート、75A-係止穴、70B-第2のタイプの係止素子、71B-取り付けスリーブ、72B-ベースプレート、73B-ネジ穴、80-取り付け基台、1-光スプリッタ、1a-第1の信号出力端、1b-第2の信号出力端、2-第1のファイバ、3-第2のファイバ、4-光信号減衰器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】