(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】消費者用物品を製造又は包装するための自動機械の可動操作部材を設定するための方法
(51)【国際特許分類】
B65B 57/02 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B65B57/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515758
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2020058411
(87)【国際公開番号】W WO2021048780
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019000015950
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ デリ エスポスティ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ カルボーニ
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ ザノッティ
(57)【要約】
消費者用物品3を製造するための自動機械1の少なくとも1つの可動操作部材5、7を設定する方法は、可動操作部材5、7の第1の動作プロファイルFPを規定し、第1の動作プロファイルFPを有する可動操作部材5、7を移動させる、電気アクチュエータシステム8、9の対応する第2の動作プロファイルSPを規定するステップ16、17を備える。この方法は、可動操作部材5、7によって生じる消費者用物品3の処理における起こりうる不備を判定するステップ18と、インターフェイス装置15によって、そして起こり得る不備に基づいて、第1の動作プロファイルFPを変更し、可動操作部材5、7の第1の変更されたプロファイルMFPを得るステップ19と、第1の変更されたプロファイルMFPの逆運動学を制御部14によって計算し、電気アクチュエータシステム8、9に命令される対応する第2の変更されたプロファイルMSPを得るステップ20とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者用物品(3)を製造するための自動機械(1)の少なくとも1つの可動操作部材(5、7)を設定する方法であって、
前記方法は、
可動操作部材(5,7)の第1の動作プロファイル(FP)を規定し、前記第1の動作プロファイル(FP)を通して、消費者用物品(3)の少なくとも1つの処理が実施される、ステップ(16)と、
電気アクチュエータシステム(8、9)の対応する第2の動作プロファイル(SP)を規定し、前記電気アクチュエータシステム(8、9)は運動伝達システム(12)を介して前記可動操作部材(5、7)に機械的に接続され、前記第1の動作プロファイル(FP)を有する前記可動操作部材(5、7)を移動させる、ステップ(17)と、
前記可動操作部材(5,7)に起因する前記消費者用物品(3)の処理の起こりうる不備を判定するステップと、
前記自動機械(1)のインターフェイス装置(15)によって、前記消費者用物品(3)の処理の不備に基づいて、前記第1の動作プロファイル(FP)を変更し、前記可動操作部材(5,7)の第1の変更プロファイル(MFP)を得る、ステップと、
前記電気アクチュエータシステム(8,9)に指令すべき第2の変更された第2のプロファイル(MSP)を得るように、前記可動操作部材(5,7)の第1の変更プロファイル(MFP)の逆運動学を前記運動伝達システム(12)を介して制御部(14)によって計算するステップとを備える、方法において、
前記方法は、
前記インターフェイス装置(15)によって変更可能である、前記第1の動作プロファイル(FP)の1つ又は複数の節(K)を識別するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法は、対応する変更された第2のプロファイル(MSP)を実施するように、前記電気アクチュエータシステム(8、9)を制御するために、制御を変更するさらなるステップ(21)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記起こりうる不備を判定するステップ(18)、及び/又は、前記第1の動作プロファイル(FP)を変更するステップ(19)が、前記自動機械(1)の前記インターフェイス装置(15)を使用する機械操作者(O)によって実施され、特に、前記第1の動作プロファイル(FP)を変更するステップ(19)に続いて、前記起りうる不備を判定するステップ(18)が繰り返される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の動作プロファイル(FP)及び対応する第2の動作プロファイル(SP)は、少なくとも1つの作業段階(WP)及び少なくとも1つの回復段階(RP)を備え、前記作業段階(WP)及び前記回復段階(RP)の間、制御を変更するステップ(21)が行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の動作プロファイル(FP)は、少なくとも1つの線形関数セグメント(LF)、及び/又は、少なくとも1つの多項式関数セグメント(PF)を備え、前記節(K)は、前記少なくとも1つの線形関数セグメント(LF)及び前記少なくとも1つの多項式関数セグメント(PF)の変曲点又は接続点である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、各前記節(K)の変化を制限するために、許容間隔(I)を規定するステップ(23)を備え、特に、前記許容間隔(I)は、上限(UL)及び下限(IL)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記逆運動学を計算する前に、前記制御部(14)は、前記可動操作部材(5,7)の前記第1の動作プロファイル(FP)の全ての前記節(K)がそれぞれの前記許容間隔(I)内にあるか否かをチェックする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記第1の動作プロファイル(FP)を変更するステップに関する複数のデータ項目を収集するステップ(25)を備え、特に、前記複数のデータ項目は、前記自動機械(1)の設計中に前記第1の動作プロファイル(FP)の変更を行うため、及び/又は、起りうる計算誤差を理解するために使用され、特に、収集された前記複数のデータ項目は、人工知能システムを訓練するために使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記制御を変更するステップ(21)は、前記自動機械(1)が静止している間に行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記制御を変更するステップ(21)は、前記自動機械(1)が動作中に行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の動作プロファイル(FP)及び前記第2の動作プロファイル(SP)は、マスタープロファイル(MP)とカム関係を有し、特に、前記マスタープロファイル(MP)は、物理軸線又は仮想軸線のプロファイルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記マスタープロファイル(MP)は線形であり、特に、前記マスタープロファイル(MP)は時間フローである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
消費者用物品(3)を製造するための自動機械(1)であって、
前記自動機械(1)は、
少なくとも1つの電気アクチュエータシステム(8、9)と、
運動伝達システム(12)と、
可動操作部材(5、7)と、
前記電気アクチュエータシステム(8、9)を制御するように構成された制御部(14)を備える、自動機械(1)において、
前記自動機械(1)は、機械操作者(O)が前記可動操作部材(5、7)の運動を変更できるように構成されたインターフェイス装置(15)を備え、
前記自動機械(1)は、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された、自動機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年9月10日付けで出願された伊国特許出願第102019000015950号の優先権を主張し、その開示内容の全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、消費者用物品を製造又は包装するための自動機械の可動操作部材を設定する方法に関する。
【0003】
本発明の適用分野は、有利的には、煙草パックを製造する自動包装機及びこれを制御する方法であるが、これに限定されるものではない。以下の開示により、その結果としての一般性を損なうことなく、明示的に説明される。
【0004】
自動包装機は、消費者用物品(例えば、煙草パック、食品、衛生吸収物品等)の形状、構造又は位置を変更するために消費者用物品に作用する複数の可動操作部材を備える。可動操作部材は、一般に、消費者物品を処理するように適合されており、ほとんどの場合、電気モータ又は空気圧シリンダによって作動させられる、異なる形状及びサイズの機械部品である。
【0005】
自動機械の初期起動中に、機械部品の異なる組立方法及び通常の公差に起因して、高い処理精度を達成するために、可動操作部材の設定を行うことがしばしば必要である。即ち、自動機械の適切な機能のために必要な、較正、やすりがけ、シミング又は同期の操作を行う必要がある。この設定がない場合、可動操作部材の動作プロファイルは、自動機械の設計段階で展開されたプロファイルに正確に対応しないので、製品が顧客と合意した品質仕様を満足しないため、ほとんどの場合、製品は望ましい精度の仕様を満足しないであろう。
【0006】
これらの作業は、現在、直接現場の技術専門家によって行われている。これらの技術者は、可動操作部材(又は自動機械の最後のリンク)が所望の精度で必要な処理を行うことができるように、(やすりがけ、ミリング、切断によって)シムを挿入するかつ/又は部品を変更する。
【0007】
これらの動作の反復性が乏しいことにより(各自動機械は、利用可能な部品の組立及び/又は構造上の欠陥に従ってその場しのぎで変更されるので)、同一であるべき、自動機械同士の間に又は自動機械の部品同士の間に、計算不可能な多様性が作り出される。
【0008】
更に、自動機械に属する異なるモータの調整の主要な形態が、最近まで純粋に機械的であったので、技術者が作用する機械部品は、通常、(特に、運動学的セクションを有する)機械部品である。
【0009】
最後に、処理された部品の機械的性質に起因して、この設定動作は、記録かつ/又は共有されることは稀であり、その後の不具合を問題解決するとき及び上記自動機械を得た顧客にアフターセールスサポートを提供するときに、かなりの無駄時間をもたらす。
【0010】
また、特許文献1(特開平11-79117号公報)には、押し込み部を前方に移動させる駆動源と、切断された包装シートを供給面に沿って搬送する駆動源とを別々に制御する方法によって、包装材を多様なサイズで調節しつつ包装材が破損することを回避するための装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、消費者用物品を製造又は包装する自動機械の可動操作部材を設定する方法であって、少なくとも部分的に前述の欠点を克服し、かつ同時に、実施が容易かつ経済的である方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、消費者用物品を製造又は包装するための自動機械の可動操作部材を設定する方法が、添付の請求項に記載されているように提供される。また、前記方法を実施するように構成された装置も提供される。
【0014】
請求項は、本発明の好ましい実施形態を記載し、本明細書の不可欠な部分を構成する。
【0015】
次に、本発明を、非限定的な実施形態を図示する添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、パックを製造するための自動包装機の斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す自動機械の概略的な部分側面図であり、2つの可動操作部材が第1の構成で示されている。
【
図3】
図3は、第2の構成における
図2に示す部分の概略側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す装置の部品の構造及び接続部を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、本方法の概略的なステップ及びこれらステップがどのように互いに関連づけられるかに関する可能なフローチャートを示す図である。
【
図6】
図6は、
図2及び
図3に示す部分に関連する自動機械のインターフェイスの可能なスクリーンを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、煙草産業の物品を製造するための自動機械1、特に煙草パックに透明な上包を適用するための自動包装機1を図示している。
【0018】
自動機械1は、複数の可動操作部材(例えば、グリッパー、ドラム、押し込み部など)が取り付けられたフレーム2を備え、これらは、消費者用物品(
図1に例示された非限定的な実施形態では、煙草のパック3)の製造及び/又は包装のための操作を行う。
【0019】
特に、自動機械1は、複数の可動操作部材を設けた包装ユニット4を備え、複数の可動操作部材の各々は対応する電気モータ(又は任意の種類の作動装置)によって移動させられる。
【0020】
図2及び
図3に示す非限定的な実施形態では、包装ユニット4は、2つの可動操作部材を備え、即ち、中心回転軸線RAを中心として回転可能な方法で取り付けられかつ煙草のパック3を受け入れるように構成された、チャンバ6(特にポケット)を備えた可動ホイール5と、煙草のパック3を可動ホイール5のチャンバ6内に押し込むように構成された押し込み部7とを備えている。可動ホイール5及び押し込み部7は、パック3上で処理動作(移動)を行うので、結果的に移動可能な操作部材である。
【0021】
図2及び
図3に示される非限定的な実施形態では、自動機械1の包装ユニット4は、また、2つの電気アクチュエータシステム8及び9を備える。特に、2つの電気アクチュエータシステム8及び9は、2つの電気モータMである。電気アクチュエータシステム8は、回転軸線RAを中心としてホイール5の回転を生じさせるようにホイール5に連結されており、かつ、ホイール5を(図示しない減速機の介在を介して)回転させるようにする電気アクチュエータシステム8を制御する、静的電力変換器(公知で図示しない)に接続されている。電気アクチュエータシステム9は、方向Dに沿ってかつ予め定めたストロークS(
図2及び
図3)だけ押し込み部7を直線的に移動させるように押し込み部7に連結されており、電気アクチュエータシステム9を制御するさらなる静的電力変換器(公知であり、図示されていない)に接続される。特に、電気アクチュエータシステム8及び9は、可動操作部材、即ち、ホイール5及び押し込み部7に運動伝達システム12(例えば、押し込み部7の場合では、スクリューに接続された減速機13、又は、円形運動を直線運動に変換する多関節四辺形リンク機構、又は、ホイール5の場合では、減速機、例えば、遊星ギアであって、モータMと全く同じ速度で移動するホイール5を係合解除する遊星ギア)の介在を介して接続されている。
【0022】
図示されていない他の非限定的な場合において、運動伝達システム12は、電気アクチュエータシステム8及び9から、例えば、機械カム、ラック、クランク機構、運動学的チェーン、平行リンク機構などの、対応する可動操作部材(
図2及び3に示された実施形態では、ホイール5及び押し込み部7)に運動を伝達することができる任意の装置である。
【0023】
好ましい非限定的な実施形態によれば、電気アクチュエータシステム8及び9はブラシレスである。特に、静的電力変換器は、所望の方法に基づいて、それぞれの電気アクチュエータシステム8及び9に供給される電流の量を制御し、従って前記電気モータMを制御する駆動装置である。
【0024】
自動機械1は、電気アクチュエータシステム8及び9を制御するように構成された制御部14(
図1)を更に備える。
【0025】
自動機械1は、有利的には、操作者Oが可動操作部材(例えば、ホイール5及び押し込み部7)の運動を変更できるように構成されたインターフェイス装置15(
図1に図示)を備える。特に、インターフェイス装置15はスクリーン10を備え、より正確には、スクリーン10はタッチスクリーンである。
【0026】
図2に示される非限定的な場合には、押し込み部7のストロークSは、パック3をチャンバ6の内部に完全に挿入するのに十分ではない(
図2において、ストロークSは、例示の目的のために大差では不十分であり、このような不足は、10分の1ミリメートルのオーダーであり得ることに留意されたい)。使用時には、この状況は、ホイール5の回転中にパック3が失われる可能性、及び/又は、パック3自体が損傷する可能性を伴う。制限されたストロークSは、包装ユニット4の複数の部品(押し込み部7、ホイール5、モータM、押し込み部のロッド又はピストンなど)の内の1つの誤った組み立て、又は、前記複数の部品の誤った処理などの複数の要因に起因しうる。このとき、操作者Oは、押し込み部7の設定を高速化するために、パック3を完全にポケット6内に搬入するためにシムを挿入(固定及び/又は溶接)する代わりに、また、設計者に押し込み部7の運動法則を変更するように呼びかける代わりに、押し込み部7を移動させるモータMの動作プロファイルを変更するようにインターフェイス装置15と相互作用する。このようにして、一旦、動作プロファイルがインターフェイス装置15によって変更されると、ストロークSは、
図3に例示されているように、パック3がポケット6内へ完全に入ることを可能にする。特に、操作者Oは、運動伝達システム12にかかわらず、どれくらい押し込み部7のストロークSを大きくすることを望むかを入力することによって、電気アクチュエータシステム9のモータMの動作プロファイルを変更するであろう。
【0027】
明らかに、この説明は、可動操作部材の運動がインターフェイス装置15を用いて操作者Oによって変更される(可動操作部材のレベルで動作し、アクチュエータシステムのレベルではない)前述の事例とは異なった場合にも当てはまる。例として、他の事例は、チャンバ6内のパック3を圧縮する過剰なストロークS、ホイールの不正確な回転等が考えられる。
【0028】
図4に示される非限定的な実施形態によれば、制御部14は、インターフェイス装置15に接続されており、操作者Oが前記制御部14と相互作用できるようになっている。特に、制御部14は、記憶装置11を備え(又は記憶装置11に接続されており)、この記憶装置には、使用時に自動機械1の可動操作部材が行う動作プロファイルが保存される。
【0029】
有利的には、必ずしも必須ではないが、自動機械1は、計算ユニット26を備え、この計算ユニットは、制御部14に接続されており、操作者Oがインターフェイス装置15を介して提供する変更に基づいて、変更された動作プロファイルを計算するように構成されている。特に、このような変更されたプロファイルは、その後、制御部14によって自動機械のモータMに指令されることになる。
【0030】
図5は、本発明による非限定的な実施形態の方法を表すフローチャートを示す。
【0031】
図5に示すフローチャートでは、楕円ブロックはチャートの始まり又は終わりを示し、長方形ブロックは包括的命令を示し、分岐点で置かれた菱形ブロックはフローが取る方向を決定する論理条件を備える決定ブロックであり、これらブロックが慣例的に使用されてきた。特に、決定ブロックでは、論理条件が成立していればチェックマーク記号「レ」の方向にフローを分岐し、論理条件が成立していなければ、チャートのフローを記号「X」の方向に分岐する。
【0032】
この方法は、可動操作部材(例えば、押し込み部7の)の動作プロファイルFP(
図6に図示)を決定するステップ16を備え、それによって、物品(即ち、パック3)に対して少なくとも1つの処理動作を実施する。特に、ステップ16は、自動機械1の設計中に実施され、最後のリンク上(即ち、移動させたい可動操作部材上)で実施された動作プロファイルFPの計算のための仕様を規定する。
【0033】
所望の動作プロファイルで押し込み部を移動させるために、本方法は、動作プロファイルFPに対応する電気アクチュエータシステム9の動作プロファイルSPを規定する、後のステップ17を備える。特に、電気アクチュエータシステム9は、運動伝達システム12を介して、可動操作部材(即ち、押し込み部7)に機械的に接続され、動作プロファイルFPで可動操作部材を移動させる。換言すると、ステップ17の間、動作プロファイルSPは、電気アクチュエータシステム9、即ち電気モータMが、押し込み部7(即ち、この非限定的な場合には、可動操作部材、即ち、運動学的チェーンの最後のリンク)をプロファイルFPで移動させるようにしなければならないと定義される。
【0034】
図6に示される非限定的な例によれば、動作プロファイルFPは、基準(横座標軸線)に関して
図2に示されるストロークS(縦軸線)に沿った押し込み部7の位置の変動に対応し、動作プロファイルSPは、押し込み部をプロファイルFPで移動させるために、電気アクチュエータシステム9のモータMが行わなければならない位置の変動に対応する。
【0035】
図6に示した例などの非限定的な例によれば、動作プロファイルFPは、
図2に示した包装ユニットの押し込み部7の移動を記載している。特に、このプロファイルは、前進する初期ステップと、一定の位置にある中央ステップと、後退する最終ステップとを必要とする。
【0036】
この方法は、また、有利的には、可動操作部材(例えば、押し込み部7)によって引き起こされる、物品(パック3)の処理における起こりうる不備を判定するステップ18を備える。換言すると、このステップ中に、可動操作部材の正しい機能がチェックされる。このステップ中に不完全に遭遇することがない場合には、この方法はステップ30で終了し、パック3の製造がスムーズに進行する。
【0037】
有利的には、ステップ18において、物品の処理に不備があると判定された場合には、この方法は、可動操作部材(即ち、押し込み部7)のを変更したプロファイルMFP(
図6)を得るように、自動機械1のインターフェイス装置15によって、パック3の処理において起こりうる不備に基づいて、動作プロファイルFPを変更する、後のステップ19を備える。このようにして、可動操作部材の動作プロファイルに焦点を合わせることが可能であり、その結果、タスクが運動伝達システム12の機構から係合解除される。
【0038】
図5に示される非限定的な実施形態によれば、この方法は、電気アクチュエータシステム9に指令される対応する変更されたプロファイルMSPを得るために、可動操作部材(例えば、押し込み部7)の変更されたプロファイルMFPの逆運動学を制御部14によって計算するステップ20を備える。特に、逆運動学は、運動伝達システム12(例えば、減速機13)の介在を計算する間に評価される。このようにして、操作者は、(例えば、
図2に示す場合のように、押し込み部7のストロークを増加させることによって)押し込み部7の動作プロファイルFPの変更を実施し、実際に、(使用中に、押し込み部7を能動的に移動させる)電気アクチュエータシステム9の動作プロファイルSPの変更を実施する。
【0039】
有利的には、必ずしも必須ではないが、この方法は、対応する変更されたプロファイルMSPを実施するように電気アクチュエータシステム9を制御するために制御を変更する、後のステップ21を備える。このようにして、電気アクチュエータシステム9は、運動伝達システム12の介在を通して、所望の正しい変更されたプロファイルMFPで押し込み部7を移動させる。
【0040】
有利的には、必ずしも必須ではないが、起こりうる不備を判定するステップ18及び/又はそのような不備を変更するステップは、自動機械1のインターフェイス装置15を使用する自動機械1の操作者Oによって実施される。このようにして、可動操作部材の設定は、操作者が自動機械1の構成要素を機械的に処理しなければならないか、又は、特に計算部門の設計者に課題を提出しなければならない従来技術の状況に関して、はるかに高速である。
【0041】
有利的には、必ずしも必須ではないが、起こりうる不備を判定するステップ18は、動作プロファイルFPを変更するステップ19に続いて(より正確には、電気アクチュエータシステム9の制御を変更するステップ21に続いて)繰り返される。特に、一旦、プロファイルFPを変更するステップ19が実施された後、分析ステップ27が実施され、この後、可動操作部材(例えば、押し込み部7)が実施する動作プロファイルMFPが満足できる場合(
図3に示すようにパック3がその全体でチャンバ6内にある)、一方がステップ30(パック3の製造が進行する)に進み、一方、プロファイルMFPが満足できない場合(押し込み部7がパック3を正確にチャンバ6内に押し込まない場合)、ステップ18,19,27が設定される可動操作部材によって所望の性能が達成されるまで繰り返し実施される。
【0042】
有利的には、必ずしも必須ではないが、動作プロファイルFP及び対応する動作プロファイルSPは、(可動操作部材が動作している)少なくとも1つの作業段階WPと、(可動操作部材が静止している)少なくとも1つの回復段階RPとを備え、その間、制御を変更するステップ21が行われる。このようにして、プロファイルFPをプロファイルMFPに変更する制御の変更により、電気アクチュエータシステム9(即ち、モータM)の運動を妨害することを回避する。
【0043】
有利的には、必ずしも必須ではないが、この方法は、動作プロファイルFPの1つ又は複数の節Kを識別するステップ22を備える。これらの節の少なくともいくつかは、インターフェイス装置15によって、より正確には操作者Oによって、変更することができる。
【0044】
特に、プロファイルFPを変更するステップ19は、節点Kにおける可動操作部材の位置の値を変更して行う。
【0045】
図6に示される実施形態などの非限定的な実施形態によれば、動作プロファイルFPは、少なくとも1つの線形関数セグメントLFを備える。
【0046】
代替的又は付加的に、動作プロファイルFPは、少なくとも1つの多項式関数セグメントPF(例えば、第5度以上の多項式、第3度以上のBスプラインなど)を備える。特に、節Kは、これらの関数セグメントLF及びPFの変曲点又は接続点である。
【0047】
有利的には、必ずしも必須ではないが、この方法は、各節Kの変化を制限するために許容間隔Iを規定するステップ23を備える。
【0048】
図6に図示される実施形態などの非限定的な実施形態によれば、許容間隔Iは、線形であり、縦軸線(最後リンクの操作部材)における上限UL及び下限LLを備える。許容間隔I(従って、限界UL及びLL)は、自動機械1及び/又は操作者Oに対する機械的衝突又はリスクを回避するために、システムによって指示される境界条件を考慮して選択される。
【0049】
図示されていない他の非限定的な実施形態によれば、許容間隔Iは線形であり、横座標軸線(基準)における上限UL及び下限LLを備える。間隔I(従って、限界UL及びLL)は、自動機械1及び/又は操作者Oに対する機械的衝突又はリスクを回避するために、システムによって指示される境界条件を考慮して選択される。
【0050】
図示されていないさらなる非限定的な実施形態によれば、許容間隔Iは円形を有し、その中心は節Kである。
【0051】
有利的には、必ずしも必須ではないが、逆運動学が計算されるステップ20の前に、制御部14は、(
図6に示すステップ24で)可動操作部材の動作プロファイルFPの全ての節Kがそれぞれ対応する許容間隔I内にあることをチェックする。節Kが許容間隔Iの外にある場合には、許容間隔Iによって構成される値の挿入を可能にするように、ステップ24からステップ19に再び移動する。
【0052】
有利的には、必ずしも必須ではないが、本方法は、動作プロファイルFPを変更するステップ19に関する(例えば、どの変数が変更されたか、及び変更の程度などの)複数のデータ項目を収集するステップ25を備える。特に、複数のデータ項目が、自動機械1を設計する段階で動作プロファイルFPの変更を行うため、及び/又は、起りうる計算誤差を理解するために使用される。このようにして、機械部品の獲得による起こりうる誤り、又は、動作プロファイルFPの設計又は計算に関する誤りを識別することが可能である。
【0053】
いくつかの有利な、非限定的な状況では、収集された複数のデータ項目は、人工知能システムの訓練のために使用される。特に、収集された複数のデータ項目は、デシジョンツリーアルゴリズム(decision tree algorithm)によって分析され、同様の部品を有する複数の自動機械1の同様な変更がある場合には、設計段階において直ちに実施されるべき可能な改善を識別する。
【0054】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、制御を変更するステップ21は、自動機械1が静止している間に行われる。このようにすれば、各変更後の操作者Oが同等の有効性を制御するために、より一層の安全性を確保することができる。
【0055】
さらなる非限定的な実施形態によれば、制御を変更するステップ21は、自動機械1が動作している間に行われる。このようにして、可動操作部材(例えば押し込み部7)の設定を早めることができる。
【0056】
有利的には、必ずしも必須ではないが、動作プロファイルFP及び動作プロファイルSPは、マスタープロファイルMPとカム関係を有する。「カム関係を有する(have a cam relation)」という表現によって、動作プロファイルFP及びSPは、瞬時に変更可能な関係で、基準プロファイル(マスタープロファイルMP)につながれることが理解される。換言すれば、この語は、例えば、マスタープロファイルMPの各位置について、可動操作部材(押し込み部7)の対応する位置(ひいては、間接的に、電気アクチュエータシステム9の対応する位置)が規定されていることを示すものである。このようにして、プロファイルMPマスタは、節による、可動操作部材の動作プロファイルFPに関する。このような関係は、直接的又は間接的に前記主軸線に接続されている、自動機械の全ての可動操作部材を同期させておくのに有用であり、標準動作中だけでなく、自動機械1の加速段階及び減速段階、特に物品の生産開始時及び生産終了時においても同様に行われる。
【0057】
いくつかの非限定的な場合において、マスタープロファイルMPは、例えば、駆動プーリ又はホイールなどの物理軸線のプロファイルである。他の非限定的な状況では、マスタープロファイルMPは仮想軸線のプロファイルである。
【0058】
図6において、横座標軸線は、マスタープロファイルMPの位置に対応し、縦座標軸線は、最後のリンクの位置、即ち、例えば、押し込み部7などの可動操作部材に対応する。特に、横座標軸線は度で表される値を有し、ここで一回転(360°)は機械サイクルに対応し、縦座標軸線はmm単位で表される。したがって、
図6に示される非限定的な実施形態では、プロファイルFP及びMFPは、ストロークSに沿った押し込み部7の位置をmm単位で示す。
【0059】
使用時に、操作者Oは、一旦、物品の処理の不備が判定されると(例えば、短すぎるストロークSが判定されるとすぐに)、節Kの位置、ひいては動作プロファイルFPの形状を変えるように、インターフェイス装置15によって制御部14と相互作用する。
図6に示される非限定的な実施形態では、操作者Oは、マスタープロファイルの位置に対応する押し込み部の位置を180°~220°上方に3mm移動させるように規定することによって、節Kの位置を変更する(ひいては、押し込み部の位置は、動作プロファイルFPのために与えられた59mmから動作プロファイルMFPの62mmまで通過する)。このようにして、操作者Oは、変更されたプロファイルMFPを特定することにより、動作プロファイルFPを変更する。一旦、このステップが完了すると、計算ユニット26は、電気アクチュエータシステム9のモータMの対応する変更されたプロファイルMSP(
図6では例として図示されており、プロファイルFPと同じスケールではない)を作動させる。特に、
図6に示す非限定的な実施形態では、操作者は、空のボックスに書き込まれた特定のパラメータのみを変更することができ、一方で、保護されたボックスに含まれる他のパラメータは、(例えば、起こりうる機械的衝突に起因して)自動機械1又は操作者Oの安全性を損なう可能性があるので変更することができないことに留意されたい。
【0060】
有利的には、必ずしも必須ではないが、インターフェイス装置15は、操作者Oが節Kの一部分(即ち、自動機械1の適切な機能を保証しながらその順序を変更することができるブロック34に含まれるもの)を変更することのみを可能にし、そして、物品の正しい処理のための必要な制約を表すブロック35に含まれる値の変更が可能ではない。
【0061】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、マスタープロファイルMPは、線形プロファイルである。特に、標準動作中、マスタープロファイルMPは、一定速度を有する動作プロファイルである。
【0062】
図6に示される実施形態などの非限定的な実施形態によれば、動作プロファイルFP及び動作プロファイルSPは、位置プロファイルである。
【0063】
図示されていないさらなる非限定的な実施形態によれば、動作プロファイルFP及び動作プロファイルSPは、速度プロファイルである。
【0064】
代替的又は追加的に、動作プロファイルFP及び動作プロファイルSPは、トルクプロファイルを特定する。
【0065】
他の非限定的な場合には、マスタープロファイルMPは時間フローである。例えば、このような場合、動作プロファイルFP、SP、MFP、MSPは速度プロファイルである。
【0066】
有利的には、必ずしも必須ではないが、自動機械1は、前述の方法を実施するように構成されている。
【0067】
上述した発明は、正確な実施形態を特に参照しているが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、さらなるアクチュエータの付加、煙草産業の包装機以外のタイプの自動機械、動作プロファイルの異なる形状、方法のステップの異なる順序、異なる数のモータなどの、当業者には明らかであろう全ての変形、変更又は簡略化は上述した発明の範囲内に入る。
【0068】
本発明は、複数の利点を有する。
【0069】
まず、シムなどの材料費やドリル、フライス盤、やすりなどの工具の消費を伴わずに、現場で直接的にかつ短時間で可動操作部材の設定の実施を可能にする。
【0070】
さらに、上述した方法により、本質的に類似しているが、利用可能な部品の組立及び/又は構造上の欠陥に起因して異なる設定を受ける、異なる自動機械間の差の同定及び計算が可能となる。
【0071】
最後に、本発明により、可動操作部材の設定に関する複数のデータ項目の記録及び共有を可能にし、その結果、装置の設計中に誤りが犯されたか否か、及び、潜在的にこの誤りを解決する方法について、遠隔で、及び/又は、デジタルシステムの助けを借りて理解することができる。
【0072】
本発明による手段に由来する更なる利点は、販売後のサポートの改善に関する。例えば、機械操作者は、可動操作部材が徐々に消耗していく場合、自分が見ているものあるいは特定しているものに基づいて、自律的に可動操作部材の動作プロファイルを変えることができ、その結果、本発明により、自動機械の部品の即時交換、及び/又は、顧客に技術担当者を派遣する必要性を回避することができる。
【国際調査報告】