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特表2022-552616スマートバッテリ、充電器及びバッテリ充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】スマートバッテリ、充電器及びバッテリ充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221212BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J1/00 309V
H02J7/00 303A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516279
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2019105973
(87)【国際公開番号】W WO2021051238
(87)【国際公開日】2021-03-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519445152
【氏名又は名称】テクトロニック コードレス ジーピー
【氏名又は名称原語表記】Techtronic Cordless GP
【住所又は居所原語表記】100 Innovation Way Anderson SC 29621 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【弁理士】
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヘイマン
(72)【発明者】
【氏名】リエン、ハイ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ティエンウー
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165EA01
5G165HA17
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CC02
5G503FA14
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】

バッテリ充電システム(100)において、充電器(110)及びスマートバッテリ(160)が、充電器(110)の電力供給(130)によってスマートバッテリ(160)内の電池(180)を再充電する際の安全性を高める。スマートバッテリ(160)は、充電器(110)と通信可能である。通信障害が発生した場合、充電器(110)は電力供給(130)をスマートバッテリ(160)から切断する。スマートバッテリ(160)及び充電器(110)は、メッセージデータを暗号化及び解読するために同じ対称暗号鍵を共有し、一方が、相手方が真正なものであるかどうかを判定することができるようにする。充電器(110)が真正でないことをスマートバッテリ(160)が発見したとき、又はその逆のとき、電力供給(130)と電池(180)は切断される。スマートバッテリ(160)が、電池(180)の異常に起因して非充電条件が発生していることを発見したとき、スマートバッテリ(160)は、充電器(110)に充電を停止するよう要求し、同様に、充電器(110)がスマートバッテリ(160)の充電を停止できない場合でも、電池(180)を充電器(110)から切断する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートバッテリを充電するための充電器であって、
電力供給と、
前記電力供給によって供給される電力が、充電のために前記スマートバッテリによって制御可能に受け取り可能であるように、前記電力供給を前記スマートバッテリから電気的に接続又は切断するための充電器側オン-オフスイッチと、
前記充電器側オン-オフスイッチを制御するための充電器側プロセッサであって、前記スマートバッテリと通信可能であり、充電制御プロセスを実行するように構成される、充電器側プロセッサと、
を備え、
前記充電制御プロセスは、
前記スマートバッテリに前記充電器に応答するように定期的に要求することと、
前記充電器が前記スマートバッテリに応答するように要求した後、前記スマートバッテリが前記充電器に応答しないと判定したことに応答して、通信障害が発生していると判定することと、
前記通信障害が発生していることを発見したことに応答して、前記電力供給及び前記スマートバッテリを保護するために前記電力供給を前記スマートバッテリから切断するように、前記充電器側オン-オフスイッチをオフにすることと、
を含む、スマートバッテリを充電するための充電器。
【請求項2】
前記充電制御プロセスは、
対称暗号鍵で複数のメッセージデータを暗号化して、暗号化された複数のメッセージデータを形成することであって、前記対称暗号鍵は、前記スマートバッテリが真正である場合に前記暗号化された複数のメッセージデータが前記スマートバッテリによって復号可能であるように、個々の真正バッテリに知られており、前記スマートバッテリが前記暗号化された複数のメッセージデータに正しく応答することができるかどうかを検出することによって、前記スマートバッテリが真正であるかどうかを前記充電器側プロセッサが判定できるようにすることと、
前記暗号化された複数のメッセージデータを前記スマートバッテリに送信することであって、前記複数のメッセージデータは、前記スマートバッテリに応答を求める要求を含むことと、
前記スマートバッテリからの任意の応答を監視して、前記スマートバッテリが真正であるかどうかを判定することと、
前記スマートバッテリが真正でないことを発見したことに応答して、前記充電器側オン-オフスイッチをオフにし、それによって、前記スマートバッテリが前記電力供給への接続を禁止されることと、
をさらに含む、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
所定の不真正条件の1つが満たされるとき、前記スマートバッテリが真正でないことが発見され、前記所定の不真正条件は、
前記暗号化された複数のメッセージデータが前記スマートバッテリに送信された後、第2の所定のタイムアウト期間内に前記スマートバッテリから応答を受信しないことと、
前記スマートバッテリから応答を受信し、前記応答が前記暗号化された複数のメッセージデータに誤って応答していることと、
を含む、請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記暗号化された複数のメッセージデータは、少なくとも前記充電器が前記スマートバッテリに最初に取り付けられたときに、前記スマートバッテリに送信される、請求項2に記載の充電器。
【請求項5】
所定の通信障害条件の1つが満たされるとき、前記通信障害が発生していることが発見され、前記所定の通信障害条件は、
前記充電器が前記スマートバッテリに応答するように要求した後、第1の所定のタイムアウト期間内に前記スマートバッテリから応答を受信しないこと
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項6】
前記充電器側プロセッサは、汎用非同期送受信機(UART)プロトコルに基づいて前記スマートバッテリと通信するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項7】
前記充電器側オン-オフスイッチは、金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(MOSFET)スイッチである、請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項8】
前記充電制御プロセスは、
充電を停止する要求を前記スマートバッテリから受信することに応じて、前記スマートバッテリを前記電力供給から切断するために、前記充電器側オン-オフスイッチをオフにすること
をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項9】
バッテリ充電システムであって、
スマートバッテリと、
請求項1~8のいずれか一項に記載の充電器と、
を備え、
前記スマートバッテリは、
再充電可能な電池と、
前記電力供給によって供給される前記電力が、充電のために前記電池によって制御可能に受け取り可能であるように、前記充電器を前記電池から電気的に接続又は切断するためのバッテリ側オン-オフスイッチと、
前記電池の充電及び放電を管理するため、並びに前記バッテリ側オン-オフスイッチを制御するためのバッテリ側プロセッサであって、バッテリ管理プロセスを実行するように構成される、バッテリ側プロセッサと、
を備え、
前記バッテリ管理プロセスは、
所定の非充電条件の少なくとも1つが発生したとき、充電を停止する前記要求を前記充電器に送信して、前記充電器に前記電力供給を前記スマートバッテリから切断するように依頼するとともに、前記充電器が前記電力供給を前記スマートバッテリから切断できない場合でも、前記電池が前記電力供給から確実に切断されるように、前記バッテリ側オン-オフスイッチをオフにすること
を含む、バッテリ充電システム。
【請求項10】
前記所定の非充電条件は、
前記電池が満杯であることと、
前記電池で固定障害が発生していることと、
前記電池が放電していることと、
を含む、請求項9に記載のバッテリ充電システム。
【請求項11】
前記バッテリ管理プロセスは、
前記充電器が前記スマートバッテリに最初に取り付けられた後、前記充電器から複数のメッセージデータを受信することと、
前記充電器が前記スマートバッテリに最初に取り付けられる前に、前記充電器が真正であることを確認するより前に前記電池を前記充電器から隔離するように、前記バッテリ側オン-オフスイッチをオフにすることと、
対称暗号鍵で前記複数のメッセージデータを解読して、解読された複数のメッセージデータを形成することであって、前記対称暗号鍵は、個々の真正充電器に知られており、前記充電器が真正である場合に前記解読された複数のメッセージデータが正しく復号されるように、前記複数のメッセージデータの生成に使用されることになっていることと、
前記充電器が真正であるかどうかを判定するように、前記解読された複数のメッセージデータが正しく復号されているかどうかを判定することと、
前記充電器が真正であることと、前記解読された複数のメッセージデータに前記電池を充電する要求が含まれていることとを発見したことに応答して、前記所定の非充電条件の少なくとも1つが発生しない限り、前記充電器が前記電池を充電できるようにするために前記バッテリ側オン-オフスイッチをオンにすることと、
をさらに含む、請求項9に記載のバッテリ充電システム。
【請求項12】
前記バッテリ側プロセッサは、汎用非同期送受信機(UART)プロトコルに基づいて前記充電器と通信するように構成される、請求項9~11のいずれか一項に記載のバッテリ充電システム。
【請求項13】
前記バッテリ側オン-オフスイッチは、金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(MOSFET)スイッチである、請求項9~11のいずれか一項に記載のバッテリ充電システム。
【請求項14】
前記電池は、直列に接続された複数の構成電池によって形成される、請求項9~11のいずれか一項に記載のバッテリ充電システム。
【請求項15】
前記電池がリチウムイオン電池である、請求項9~11のいずれか一項に記載のバッテリ充電システム。
【請求項16】
スマートバッテリであって、
外部充電器によって再充電可能な電池と、
前記充電器によって供給される電力が、充電のために前記電池によって制御可能に受け取り可能であるように、前記充電器を前記電池から電気的に接続又は切断するためのバッテリ側オン-オフスイッチと、
前記電池の充電及び放電を管理するため、並びに前記バッテリ側オン-オフスイッチを制御するためのバッテリ側プロセッサであって、前記充電器と通信可能であり、バッテリ管理プロセスを実行するように構成される、バッテリ側プロセッサと、
を備え、
前記バッテリ管理プロセスは、
前記充電器が真正であることが発見された後、前記所定の非充電条件の少なくとも1つが発生したとき、充電を停止する要求を前記充電器に送信するとともに、前記充電器が前記スマートバッテリの充電を停止できない場合でも、前記電池が前記充電器から確実に切断されるように、前記バッテリ側オン-オフスイッチをオフにすること
を含む、スマートバッテリ。
【請求項17】
前記所定の非充電条件は、
前記電池が満杯であることと、
前記電池で固定障害が発生していることと、
前記電池が放電していることと、
を含む、請求項16に記載のスマートバッテリ。
【請求項18】
前記バッテリ管理プロセスは、
前記充電器が前記スマートバッテリに最初に取り付けられた後、前記充電器から複数のメッセージデータを受信することと、
前記充電器が前記スマートバッテリに最初に取り付けられる前に、前記充電器が真正であることを確認するより前に前記電池を前記充電器から隔離するように、前記バッテリ側オン-オフスイッチをオフにすることと、
対称暗号鍵で前記複数のメッセージデータを解読して、解読された複数のメッセージデータを形成することであって、前記対称暗号鍵は、個々の真正充電器に知られており、前記充電器が真正である場合に前記解読された複数のメッセージデータが正しく復号されるように、前記複数のメッセージデータの生成に使用されることになっていることと、
前記充電器が真正であるかどうかを判定するように、前記解読された複数のメッセージデータが正しく復号されているかどうかを判定することと、
前記充電器が真正であることと、前記解読された複数のメッセージデータに前記電池を充電する要求が含まれていることとを発見したことに応答して、前記所定の非充電条件の少なくとも1つが発生しない限り、前記充電器が前記電池を充電できるようにするために前記バッテリ側オン-オフスイッチをオンにすることと、
をさらに含む、請求項16に記載のスマートバッテリ。
【請求項19】
前記バッテリ側プロセッサは、汎用非同期送受信機(UART)プロトコルに基づいて前記充電器と通信するように構成される、請求項16~18のいずれか一項に記載のスマートバッテリ。
【請求項20】
前記バッテリ側オン-オフスイッチは、金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(MOSFET)スイッチである、請求項16~18のいずれか一項に記載のスマートバッテリ。
【請求項21】
前記電池は、直列に接続された複数の構成電池によって形成される、請求項16~18のいずれか一項に記載のスマートバッテリ。
【請求項22】
前記電池がリチウムイオン電池である、請求項16~18のいずれか一項に記載のスマートバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
略語
AC 交流。
AES 高度暗号化標準。
AFE アナログフロントエンド。
BMS バッテリ管理システム。
DC 直流。
IC 集積回路。
MOSFET 金属酸化物半導体電界効果トランジスタ。
UART 汎用非同期送受信機(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)。
【0002】
本開示は、スマートバッテリ及びスマートバッテリを充電するための充電器に関し、スマートバッテリ及び充電器は、バッテリ充電システムを形成する。
【背景技術】
【0003】
トリマ、芝刈り機、チェーンソー、電気掃除機及び電気ドリルなどの電動工具に電力を供給する際に、高出力充電式バッテリが欠かせない。幾つかの高出力バッテリは、高電圧で高電流、例えば40Vの電圧で送出される10Aの電流で電動工具を駆動する能力がある。これらのバッテリはエネルギー容量が大きいため、これらのバッテリを再充電する際の安全性が最重要である。通常、これらのバッテリは、スマートバッテリである。スマートバッテリに、スマートバッテリに設置された電池の充電及び放電を監視するためにBMSが設置される。典型的には、スマートバッテリは、バッテリ充電器などの外部デバイスと通信するためのUARTインタフェースなどの通信インタフェースを同様に装備している。
【0004】
スマートバッテリを充電するための充電器を有することが望ましく、その充電器は、スマートバッテリを充電する際の動作安全性を確保するように追加として構成される。同様に、スマートバッテリは、動作安全性を高める際に充電器と協力するように追加として構成されることが望ましい。スマートバッテリ及び充電器は、バッテリ充電システムをともに形成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、スマートバッテリを充電するための充電器を提供することである。
【0006】
充電器は、電力供給と、充電器側オン-オフスイッチと、充電器側プロセッサとを備える。充電器側オン-オフスイッチは、電力供給によって供給される電力が、充電のためにスマートバッテリによって制御可能に受け取り可能であるように、電力供給をスマートバッテリから電気的に接続又は切断するために使用される。充電器側プロセッサは、充電器側オン-オフスイッチを制御するために使用される。充電器側プロセッサは、スマートバッテリと通信可能であり、充電制御プロセスを実行するように構成される。
【0007】
充電制御プロセスのある特定の実施形態では、スマートバッテリは、充電器に応答するように定期的に要求される。充電器がスマートバッテリに応答するように要求した後、スマートバッテリが充電器に応答しないと判定したことに応答して、充電器側プロセッサは、通信障害が発生していると判定する。通信障害が発生していることを発見したことに応答して、電力供給及びスマートバッテリを保護するために、電力供給をスマートバッテリから切断するように、充電器側オン-オフスイッチがオフにされる。
【0008】
1つのオプションでは、所定の通信障害条件の1つが満たされるとき、通信障害が発生していることが発見される。所定の通信障害条件は、充電器がスマートバッテリに応答するように要求した後、第1の所定のタイムアウト期間内にスマートバッテリから応答を受信しないことを含む。
【0009】
充電制御プロセスのある特定の実施形態では、複数のメッセージデータが対称暗号鍵で暗号化されて、暗号化された複数のメッセージデータを形成する。対称暗号鍵は、スマートバッテリが真正である場合に暗号化された複数のメッセージデータがスマートバッテリによって復号可能であるように、個々の真正バッテリに知られている。それにより、充電器側プロセッサは、スマートバッテリが暗号化された複数のメッセージデータに正しく応答することができるかどうかを検出することによって、スマートバッテリが真正であるかどうかを判定することができるようになる。暗号化された複数のメッセージデータは、スマートバッテリに送信される。複数のメッセージデータは、スマートバッテリに応答を求める要求を含む。暗号化された複数のメッセージデータがスマートバッテリに送信された後、充電器側プロセッサは、スマートバッテリからの任意の応答を監視して、スマートバッテリが真正であるかどうかを判定する。スマートバッテリが真正でないことを発見したことに応答して、充電器側プロセッサは、充電器側オン-オフスイッチをオフにし、それによって、スマートバッテリは電力供給への接続を禁止される。
【0010】
1つのオプションでは、所定の不真正条件の1つが満たされるとき、スマートバッテリが真正でないことが発見される。所定の不真正条件は、暗号化された複数のメッセージデータがスマートバッテリに送信された後、第2の所定のタイムアウト期間内にスマートバッテリから応答を受信しないことと、スマートバッテリから応答を受信し、応答が、暗号化された複数のメッセージデータに誤って応答していることとを含む。
【0011】
好ましくは、暗号化された複数のメッセージデータは、少なくとも充電器がスマートバッテリに最初に取り付けられたときに、スマートバッテリに送信される。
【0012】
充電制御プロセスのある特定の実施形態では、充電器側プロセッサは、充電を停止する要求をスマートバッテリから受信することに応じて、スマートバッテリを電力供給から切断するために、充電器側オン-オフスイッチをオフにする。
【0013】
充電器側プロセッサは、UARTプロトコルに基づいてスマートバッテリと通信するように構成されてもよい。充電器側オン-オフスイッチは、MOSFETスイッチであってもよい。
【0014】
本開示の第2の態様は、外部充電器によって再充電可能なスマートバッテリを提供することである。
【0015】
スマートバッテリは、電池と、バッテリ側オン-オフスイッチと、バッテリ側プロセッサとを備える。電池は、外部充電器によって再充電可能である。バッテリ側オン-オフスイッチは、充電器によって供給される電力が、充電のために電池によって制御可能に受け取り可能であるように、充電器を電池から電気的に接続又は切断するために使用される。バッテリ側プロセッサは、電池の充電及び放電を管理するため、並びにバッテリ側オン-オフスイッチを制御するために使用される。バッテリ側プロセッサは、充電器と通信可能であり、バッテリ管理プロセスを実行するように構成される。
【0016】
バッテリ管理プロセスのある特定の実施形態では、充電器がスマートバッテリに最初に取り付けられた後、充電器から複数のメッセージデータを受信する。充電器がスマートバッテリに最初に取り付けられる前に、バッテリ側プロセッサは、充電器が真正であることを確認するより前に電池を充電器から隔離するように、バッテリ側オン-オフスイッチをオフにする。複数のメッセージデータを受信した後、バッテリ側プロセッサは、対称暗号鍵で複数のメッセージデータを解読して、解読された複数のメッセージデータを形成する。対称暗号鍵は、個々の真正充電器に知られており、充電器が真正である場合に解読された複数のメッセージデータが正しく復号されるように、複数のメッセージデータの生成に使用されることになっている。バッテリ側プロセッサは、充電器が真正であるかどうかを判定するように、解読された複数のメッセージデータが正しく復号されているかどうかを判定する。充電器が真正であることと、解読された複数のメッセージデータに電池を充電する要求が含まれていることとを発見したことに応答して、バッテリ側プロセッサは、所定の非充電条件の少なくとも1つが発生しない限り、充電器が電池を充電できるようにするためにバッテリ側オン-オフスイッチをオンにする。
【0017】
所定の非充電条件は、電池が満杯であることと、電池で固定障害が発生していることと、電池が放電していることとを含み得る。
【0018】
バッテリ管理プロセスのある特定の実施形態では、充電器が真正であることが発見された後、所定の非充電条件の少なくとも1つが発生したとき、バッテリ側プロセッサは、充電を停止する要求を充電器に送信するとともに、充電器がスマートバッテリの充電を停止できない場合でも、電池が充電器から確実に切断されるように、バッテリ側オン-オフスイッチをオフにする。
【0019】
バッテリ側プロセッサは、UARTプロトコルに基づいて充電器と通信するように構成されてもよい。バッテリ側オン-オフスイッチは、MOSFETスイッチであってもよい。
【0020】
電池は、直列に接続された複数の構成電池によって形成されてもよい。さらにまた、電池は、リチウムイオン電池であってもよい。
【0021】
本開示の第3の態様は、充電器と、充電器によって再充電可能なスマートバッテリとを備えた、バッテリ充電システムを提供することである。
【0022】
充電器は、電力供給と、充電器側オン-オフスイッチと、充電器側プロセッサとを備える。充電器側オン-オフスイッチは、電力供給によって供給される電力が、充電のためにスマートバッテリによって制御可能に受け取り可能であるように、電力供給をスマートバッテリから電気的に接続又は切断するために使用される。充電器側プロセッサは、充電器側オン-オフスイッチを制御するために使用される。充電器側プロセッサは、スマートバッテリと通信可能であり、充電制御プロセスを実行するように構成される。
【0023】
スマートバッテリは、電池と、バッテリ側オン-オフスイッチと、バッテリ側プロセッサとを備える。電池は、外部充電器によって再充電可能である。バッテリ側オン-オフスイッチは、充電器によって供給される電力が、充電のために電池によって制御可能に受け取り可能であるように、充電器を電池から電気的に接続又は切断するために使用される。バッテリ側プロセッサは、電池の充電及び放電を管理するため、並びにバッテリ側オン-オフスイッチを制御するために使用される。バッテリ側プロセッサは、充電器と通信可能であり、バッテリ管理プロセスを実行するように構成される。
【0024】
充電制御プロセスは、充電を停止する要求をスマートバッテリから受信することに応じて、スマートバッテリを電力供給から切断するために、充電器側オン-オフスイッチをオフにすることを含む。バッテリ管理プロセスは、所定の非充電条件の少なくとも1つが発生したとき、充電を停止する要求を充電器に送信して、充電器に電力供給をスマートバッテリから切断するように依頼するとともに、充電器が電力供給をスマートバッテリから切断できない場合でも、電池が電力供給から確実に切断されるように、バッテリ側オン-オフスイッチをオフにすることを含む。
【0025】
充電器及びスマートバッテリは、本開示の第1及び第2の態様で開示されたそれぞれの実施形態のいずれかに従って実装されてもよい。
【0026】
この「発明の概要」は、以下に「発明を実施するための形態」でさらに説明される概念の抜粋を簡略化された形で紹介するために提供される。この「発明の概要」は、特許請求された主題の重要な特徴又は不可欠な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。本発明の他の態様は、以下に実施形態によって例示されるように開示される。
【0027】
同様な参照符号が別個の図全体を通して同一又は機能上類似の要素を意味し、以下の詳細な説明とともに本明細書に組み込まれその一部を形成する添付図は、さまざまな実施形態を例示し、本実施形態によるさまざまな原理及び利点を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示のある特定の実施形態に従って、スマートバッテリ及びスマートバッテリ内の電池を充電するために使用される充電器を描写し、ここで、スマートバッテリ及び充電器は、バッテリ充電システムを形成する。
図2】本開示のある特定の実施形態に従って、充電制御プロセスに含まれる例示的なステップの第1のセットを示すためのフローチャートを描写し、ここで、充電制御プロセスは、充電器の充電器側プロセッサによって実行され、例示的なステップの第1のセットは、通信障害が発生したかどうかを検出するために使用される。
図3】本開示のある特定の実施形態に従って、充電制御プロセスに含まれる例示的なステップの第2のセットを示すためのフローチャートを描写し、ここで、例示的なステップの第2のセットは、充電器が偽造バッテリに接続しているかどうかを検出するために使用される。
図4】本開示のある特定の実施形態に従って、バッテリ管理プロセスに含まれる例示的なステップの第1のセットを示すためのフローチャートを描写し、ここで、バッテリ管理プロセスは、スマートバッテリのバッテリ側プロセッサによって実行され、例示的なステップの第1のセットは、スマートバッテリが真正充電器に接続しているかどうかを検出するために使用される。
図5】本開示のある特定の実施形態に従って、異常状態が発見された後に電池の充電を停止するためにスマートバッテリ及び充電器によって取られる動作を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
当業者は、図中の要素が簡単且つ明快にするために例示されており、必ずしも原寸に比例して描写されていないことを認識するであろう。
【0030】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的であり、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図したものではない。さらにまた、本発明の前述の背景技術又は以下の詳細な説明で提示されるいかなる理論によっても拘束される意図はない。
【0031】
本開示は、スマートバッテリ及びスマートバッテリを充電するための充電器を提供する。バッテリ充電システムが、スマートバッテリ及び充電器を含むことによって形成される。充電器及びスマートバッテリは、スマートバッテリを充電する際の安全性を高めることを目標として個々に構成される。充電器及びスマートバッテリは、同様に、結果として生じるバッテリ充電システムがスマートバッテリ充電の安全性を高めることを可能にするために、協力するように構成される。
【0032】
本開示は、図1を活用して例示的に示される。図1は、本開示のある特定の実施形態による、充電器110及びスマートバッテリ160を備えるバッテリ充電システム100を描写する。
【0033】
一般に、充電器110及びスマートバッテリ160は、取り外し可能に取り付け可能な物理的に別個の実体として形成される。充電器110及びスマートバッテリ160のそれぞれは、充電器110及びスマートバッテリ160がともに取り付けられるとき、充電器110及びスマートバッテリ160のそれぞれの電気端子が互いに接触して電気接続を確立するように、電気端子を用いて設置される。互いに接触した結果として、第1の電気接続155及び第2の電気接続152が確立される。充電器110は、スマートバッテリ160を充電するために第1の電気接続155を通してスマートバッテリ160に電力を提供することが可能になる。加えて、充電器110及びスマートバッテリ160は、充電に関連したデータを交換するために互いに通信可能である。第2の電気接続152は、充電器110とスマートバッテリ160との間の通信を可能にするために使用される。
【0034】
本開示では、スマートバッテリ160を充電することに対する安全性が、以下の手段によって高められる。
【0035】
充電中の安全性を達成するために、第1の電気接続155を安全に確立する必要がある。第1の電気接続155の確立は、第2の電気接続152の確立と相互に関係づけられる。第2の電気接続152が故障した場合、第1の電気接続155は、同様に故障するか、又は不安定な状態である可能性が高い。充電器110とスマートバッテリ160との間に通信障害が発生した場合には、充電器110からスマートバッテリ160への電力の提供が停止されるべきである。
【0036】
スマートバッテリ160を充電するために偽造充電器が使用される場合、安全性が損なわれる。同じく、充電器110が偽造バッテリを充電するために使用される場合、安全性の問題がある。したがって、スマートバッテリ160は、充電器110が真正なものであることを確実にする必要がある。逆に、充電器110は、同様にスマートバッテリ160が真正なものであることを確実にする必要がある。
【0037】
スマートバッテリ160が、その中の電池180の故障を示唆する異常が発生していることを検出したとき、スマートバッテリ160は、充電器110にスマートバッテリ160の充電を停止するように命令又は要求する。偶発的に、充電器110が充電を停止する命令に応答しない可能性がある。スマートバッテリ160自体が充電器110と電池180との間の接続を無効にすることができる場合、安全性を高めることができる。
【0038】
充電器110及びスマートバッテリ160の詳細は、次のように詳述される。
【0039】
充電器110は、電力供給130と、充電器側オン-オフスイッチ125と、充電器側プロセッサ120と、充電器側通信デバイス122とを備える。
【0040】
電力供給130は、スマートバッテリ160内の電池180を充電するためのDC電圧を提供するために使用される。充電器側オン-オフスイッチ125は、電力供給130によって供給される電力が、電池180を充電するためにスマートバッテリ160によって制御可能に受け取り可能であるように、電力供給130をスマートバッテリ160から電気的に接続又は切断するために使用される。充電器側プロセッサ120は、充電器側オン-オフスイッチ125を制御するために使用されるコンピューティングプロセッサである。充電器側プロセッサ120は、スマートバッテリ160とデータを交換するために、充電器側通信デバイス122を介してスマートバッテリ160と通信可能である。さらにまた、充電器側プロセッサ120は、充電制御プロセスを実行するように構成される。
【0041】
図2は、本開示のある特定の実施形態による、充電制御プロセスに有利に且つ好ましく含まれる例示的なステップの第1のセットを示すためのフローチャートを描写する。例示的なステップの第1のセットの目的は、第2の電気接続152の故障を示唆する通信障害が発生した場合、電力供給130をスマートバッテリ160から切断する安全動作が取られるように、第2の電気接続152を監視することである。
【0042】
ステップ210では、充電器110は、スマートバッテリ160に充電器110に応答するように要求する。充電器側プロセッサ120は、それから、スマートバッテリ160から何らかの応答を受信したかどうかを監視する。
【0043】
ステップ220では、充電器側プロセッサ120は、何らかの応答を受信しているかどうかを検査する。応答を受信したことが発見された場合、それは、第2の電気接続152が依然として完全であることを示唆する。ステップ210は、それから、現実的な状況に従って当業者によって適切であると判定されるように、即座に、又はしばらくの後に繰り返される。それゆえ、スマートバッテリ160は、第2の電気接続152を継続的に監視するために、充電器110に応答するように定期的に要求される。充電器110がスマートバッテリ160に応答するように要求した後、スマートバッテリ160が充電器110に応答しないことが発見された場合、充電器側プロセッサ120は、通信障害が発生していると判定する。
【0044】
ステップ220を遂行する際に、通常、第1の所定のタイムアウト期間が、例えば、3秒に設定される。充電器側プロセッサ120は、第1の所定のタイムアウト期間内に受信した何らかの応答があるかどうかを検査する。ステップ220は、所定の通信障害条件の1つが満たされるとき、通信障害の発生を識別することによって拡張されてもよい。所定の通信障害条件は、充電器110がスマートバッテリ160に応答するように要求した後(ステップ210)、第1の所定のタイムアウト期間内にスマートバッテリ160から応答を受信しないことを含む。他の所定の通信障害条件は、第1の所定のタイムアウト期間内に復号不可能な応答を受信することを含み得る。
【0045】
ステップ220で通信障害が発生していることが発見された後、充電器側プロセッサ120は、充電器側オン-オフスイッチ125をオフにする(ステップ230)。その結果、電力供給130は、電力供給130及びスマートバッテリ160(又は電池180)を保護するためにスマートバッテリ160から切断される。
【0046】
図3は、本開示のある特定の実施形態による、充電制御プロセスに有利に且つ好ましく含まれる例示的なステップの第2のセットを示すためのフローチャートを描写する。例示的なステップの第2のセットの目的は、スマートバッテリ160が偽造品(すなわち、非真正バッテリ)であるかどうかを検出することである。充電器110は、それから、電力供給130を非真正バッテリから切断する対策を取ることができる。
【0047】
充電器110がそれに接続されたバッテリが真正か否かを区別することができるように、充電器110及び個々の真正バッテリが従う2つの事前合意された条件がある。事前合意された条件は、例えば、充電器110及び個々の真正バッテリを製造する製造業者によって、実質的に課されてもよい。2つの事前合意された条件は、次のようにリストされる。
【0048】
第1に、充電器110は、同じ事前合意された通信プロトコルの下でデータを交換するために、個々の真正バッテリと通信可能である。通信プロトコルは、例えば、パケットフォーマット、ペイロードデータフォーマット、ヘッダフォーマット、チェックサムを計算する方法、ボーレートなどを規定することができる。
【0049】
第2に、充電器110は、データを暗号化するための対称暗号鍵を有する。対称暗号鍵は、個々の真正バッテリに同様に知られている。充電器110及び個々の真正バッテリで、対称暗号鍵は、秘密として取り扱われ、充電器110及び個々の真正バッテリ以外の誰か又は任意のデバイスによって読まれるか又は取得されることから十分に保護される。対称暗号とは、ある鍵がデータ列を暗号化するために使用される場合、同じ鍵を使用することによって暗号化されたデータ列を解読して元のデータ列を復元することができることを意味する。対称暗号化技術の一例は、AESである。他の対称暗号化技術は、当技術分野で、例えば、M.U.BOKHARI and Q.M.SHALLAL,“A Review on Symmetric Key Encription Techniques in Cryptography,”International Journal of Computer Applications,vol.147,no.10,pp.43-48,August 2016に見出すことができ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
充電制御プロセスのために使用される例示的なステップの第2のセットを解説する際に、充電器110がスマートバッテリ160の真正性を確認していない特定の場合を考慮されたい。
【0051】
ステップ310では、充電器側プロセッサ120は、対称暗号鍵に基づいて複数のメッセージデータを暗号化して、暗号化された複数のメッセージデータを形成する。複数のメッセージデータは、事前合意された通信プロトコルに従って生成され、スマートバッテリ160にとって意味があり、理解可能なメッセージを含んでいる。
【0052】
ステップ320では、暗号化された複数のメッセージデータは、事前合意された通信プロトコルに従って、(通信チャネルとして機能した)第2の電気接続152を通してスマートバッテリ160に送信される。特に、複数のメッセージデータは、スマートバッテリ160に応答を求める要求を含む。考慮中のバッテリが真正である場合、暗号化された複数のメッセージデータは、このバッテリによって復号可能であり、それによって、考慮中のバッテリが正しく応答することを可能にする。それにより、充電器側プロセッサ120は、スマートバッテリ160が暗号化された複数のメッセージデータに正しく応答することができるかどうかを検出することによって、スマートバッテリ160が真正であるかどうかを判定することができるようになる。
【0053】
ステップ330では、充電器側プロセッサ120は、スマートバッテリ160からの任意の応答を監視して、このバッテリが真正であるかどうかを判定する。正しい応答が受信されたことを発見した場合、スマートバッテリ160は、真正であるとみなされる(ステップ340)。第1のオプションでは、ステップ310は、現実的な状況に従って当業者によって適切であると判定されるように、即座に、又はしばらくの後に繰り返される。それゆえ、スマートバッテリ160は、充電器110に応答するように定期的に要求される。第2のオプションでは、スマートバッテリ160が真正であることがすでに発見されているので、ステップ310は、なされない。しかしながら、第1のオプションは、充電器110とスマートバッテリ160との間の通信が暗号化されるので、データセキュリティに利点を有する。それは、敵対者が充電器110又はスマートバッテリ160をリバースエンジニアリングし、それからその偽造版を開発するのを妨げる。ステップ340で、スマートバッテリ160が充電器110に応答しないか、又は誤った応答を提供することが発見された場合、スマートバッテリ160は、真正でないとみなされる。
【0054】
ステップ340を遂行する際に、通常、第2の所定のタイムアウト期間が、例えば、5秒に設定される。充電器側プロセッサ120は、第2の所定のタイムアウト期間内に受信した何らかの正しい応答があるかどうかを検査する。ステップ340は、所定の不真正条件の1つが満たされるとき、スマートバッテリ160が真正でないことを識別することによって拡張されてもよい。所定の不真正条件は、暗号化された複数のメッセージデータがスマートバッテリ160に送信された後、第2の所定のタイムアウト期間内にスマートバッテリ160から応答を受信しないことを含む。他の所定の不真正条件は、スマートバッテリ160から応答を受信するが、応答が、暗号化された複数のメッセージデータに誤って応答していることを含み得る。
【0055】
ステップ340でスマートバッテリ160が真正でないことを発見した後、充電器側プロセッサ120は、ステップ350で充電器側オン-オフスイッチ125をオフにする。スマートバッテリ160は、電力供給130への接続を禁止される。
【0056】
充電器110がスマートバッテリ160に最初に取り付けられたとき、充電器110は、スマートバッテリ160が真正であるか否か不確かであることに留意されたい。少なくとも、充電器110がスマートバッテリ160に最初に取り付けられたときに、暗号化された複数のメッセージデータがスマートバッテリ160に送信されることは、大いに好ましい。
【0057】
図1を参照されたい。スマートバッテリ160は、再充電可能な電池180と、バッテリ側オン-オフスイッチ175と、バッテリ側プロセッサ170と、バッテリ側通信デバイス172とを備える。スマートバッテリ160は、AFE182と、1つ又は複数のセンサ184とをさらに備えてもよい。
【0058】
バッテリ側オン-オフスイッチ175は、充電器110の電力供給130によって供給される電力が、充電のために電池180によって制御可能に受け取り可能であるように、充電器110を電池180から電気的に接続又は切断するために使用される。バッテリ側プロセッサ170は、電池180の充電及び放電を管理するため、並びにバッテリ側オン-オフスイッチ175を制御するために使用されるコンピューティングプロセッサである。バッテリ側プロセッサ170は、充電器110とデータを交換するために、バッテリ側通信デバイス172を介して充電器110と通信可能である。具体的には、バッテリ側プロセッサ170は、スマートバッテリ160と充電器110との間に通信チャネルを形成する第2の電気接続152を通して、バッテリ側通信デバイス172及び充電器側通信デバイス122を介して充電器側プロセッサ120と通信するように構成される。バッテリ側プロセッサ170は、バッテリ管理プロセスを実行するように構成される。
【0059】
AFE182は、スマートバッテリ160に設置された場合、バッテリ側オン-オフスイッチ175を駆動して速やかにオン又はオフにするのに十分な電力を有するアナログ信号を提供するために有利に使用される。1つ又は複数のセンサ184は、バッテリ側プロセッサ170がスマートバッテリ160及び特に電池180の健全性を監視することを可能にするように、スマートバッテリ160の動作パラメータを測定するために使用される。これらのパラメータは、放電中に電池180から電力負荷に送出される電流の量、電池180の電圧出力、電池180の瞬間温度、及び充電中に電池180が受け取る電流の量を含み得る。他の動作パラメータが同様に測定されてもよい。バッテリ側プロセッサ170、バッテリ側通信デバイス172、及び1つ又は複数のセンサ184は、BMSを形成することことに留意されたい。
【0060】
図4は、本開示のある特定の実施形態による、バッテリ管理プロセスに有利に且つ好ましく含まれる例示的なステップの第1のセットを示すためのフローチャートを描写する。例示的なステップの第1のセットの目的は、充電器110が偽造品(すなわち、非真正充電器)であるかどうかを検出することである。スマートバッテリ160は、それから、電池180を非真正充電器から切断する対策を取ることができる。
【0061】
バッテリ管理プロセスのために使用される例示的なステップの第1のセットを解説する際に、スマートバッテリ160が充電器110の真正性を確認していない特定の場合を考慮されたい。
【0062】
充電器110がスマートバッテリ160に最初に取り付けられる、例えば、差し込まれる前に、バッテリ側プロセッサ170は、ステップ410でバッテリ側オン-オフスイッチ175をオフにする。結果として、電池180は、充電器110が真正であることを確認するより前に充電器110から隔離される。
【0063】
充電器110がスマートバッテリ160に取り付けられた後、充電器110がスマートバッテリ160にバッテリ状態を求めることが可能である。充電器110がスマートバッテリ160に電池180の充電を許可するように要求することが同様に可能である。他の可能性があり得る。一般的に、充電器110は、複数のメッセージデータをスマートバッテリ160に送信する。充電器110が真正である場合、複数のメッセージデータは、対称暗号鍵で元の複数のメッセージデータを暗号化することによって生成される。対称暗号鍵は、個々の真正充電器に知られており、複数のメッセージデータの生成に使用されることになっている。対称暗号鍵は、スマートバッテリ160に同様に知られている。上述されているものと同様に、対称暗号鍵は、秘密として取り扱われ、スマートバッテリ160及び個々の真正充電器以外の誰か又は任意のデバイスによって読まれるか又は取得されることから十分に保護される。したがって、スマートバッテリ160が、対称暗号鍵でこの複数のメッセージデータを解読することによって複数のメッセージデータを正しく復号することができる場合、充電器110は、真正であるとみなされる。そうでなければ、充電器110は、真正でないとみなされる。解読後の複数のメッセージデータが元の複数のメッセージデータであるかどうかを検査することは、例えば、元の複数のメッセージデータにチェックサム値を含めることによって、実質的に実現可能である。解読後の複数のメッセージデータのメッセージ本体とチェックサム値が一致しない場合、解読後の複数のメッセージデータは、誤って復号されているとみなされる。
【0064】
ステップ420では、スマートバッテリ160、又は実際にはバッテリ側プロセッサ170は、充電器110から複数のメッセージデータを受信する。受信された複数のメッセージデータは、それから、ステップ430で、対称暗号鍵で解読されて、解読された複数のメッセージデータを形成する。ステップ440では、バッテリ側プロセッサ170は、充電器が真正であるかどうかを判定するように、解読された複数のメッセージデータが正しく復号されているかどうかを判定する。
【0065】
ステップ420で、充電器110が真正であることと、解読された複数のメッセージデータに電池180を充電する要求が含まれていることとが発見された場合、ステップ450が行われる。ステップ450で、バッテリ側プロセッサ170は、所定の非充電条件の少なくとも1つが発生しない限り、充電器110が電池180を充電できるようにするために、場合によってはAFE182を介して、バッテリ側オン-オフスイッチ175をオンにする。
【0066】
所定の非充電条件は、電池180の充電が禁じられるべき条件である。所定の非充電条件の例は、電池180が満杯であることと、電池180で固定障害が発生していることと、例えば、電動工具に電流を提供する際に、電池180が放電していることとを含む。
【0067】
ステップ420で、充電器110が真正でないことが発見された場合、バッテリ側オン-オフスイッチ175は、オフ状態であり続ける。さらにまた、他の手段460が行われてもよい。例えば、バッテリ側プロセッサ170は、充電器110との通信を切断する。
【0068】
充電器110がスマートバッテリ160に取り付けられる状況を再び考慮されたい。特に、スマートバッテリ160及び充電器110が相互に認証される特定の場合を考慮されたい。すなわち、スマートバッテリ160は、充電器110が真正充電器であることを発見しており、充電器110は、同様に、スマートバッテリ160が真正バッテリであることを発見している。スマートバッテリ160及び充電器110は、バッテリ充電システム100を形成し、電池180を充電する際に互いに連携する。
【0069】
1つ又は複数のセンサ184の中の温度センサによって測定された電池180の温度が所定の安全性限界を超えるなどの、電池180の異常状態が発生したとき、電池180への充電を確かに停止できることを確実にするために、充電器110とスマートバッテリ160の両方が協力することは有利である。充電器110とスマートバッテリ160との間の連携は、図5を活用して次のように例示される。図5は、本開示のある特定の実施形態に従って、異常状態の発生後に電池180の充電を停止するためにスマートバッテリ160及び充電器110によって取られる動作を描写する。
【0070】
動作は、それぞれ、バッテリ管理プロセス及び充電制御プロセスを実行することを通じて、スマートバッテリ160及び充電器110によって行われる。所定の非充電条件の少なくとも1つが発生したとき、バッテリ側プロセッサ170は、充電器110に電力供給130をスマートバッテリ160から切断するように依頼するように、充電を停止する要求を充電器110の充電器側プロセッサ120に送信する(通信経路510で指示されるように)。充電を停止する要求をスマートバッテリ160から受信することに応じて、充電器側プロセッサ120は、スマートバッテリ160を電力供給130から切断するために充電器側オン-オフスイッチ125をオフにする(通信経路520で指示されるように)。加えて、有利には、バッテリ側プロセッサ170は、充電器110が電力供給130をスマートバッテリ160から切断できない場合でも、電池180が電力供給130から確実に切断されるように、バッテリ側オン-オフスイッチ175をオフにする(通信経路530で指示されるように)。それによって、二重の保護が達成される。
【0071】
充電器110及びスマートバッテリ160の他の実装詳細は、次のように提供される。
【0072】
電力供給130に関して、それは通常、幹線からAC電力を引き出し、スマートバッテリ160に送出するためにAC電力をDC電力に変換する。通常、電力供給130を実現するためにスイッチングモード電力供給が使用される。
【0073】
実質的に、充電器側オン-オフスイッチ125及びバッテリ側オン-オフスイッチ175は、MOSFETスイッチとして実現される固体スイッチである。通常、高電流を充電器側オン-オフスイッチ125及びバッテリ側オン-オフスイッチ175で処理する必要があるので、電力MOSFETは、これらのスイッチ125、175の実現に最もよく使用される。代替として、電気機械式スイッチは、多くの現実的な状況でMOSFETスイッチほど好ましくないが、電気機械式スイッチが使用されてもよい。
【0074】
充電器側プロセッサ120は、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラとして実装されてもよい。充電器側プロセッサ120は、データ及びプログラム命令を記憶するために、ソリッドステートメモリ又はフラッシュメモリなどの1つ又は複数のデータ記憶装置とともに使用されてもよい。充電器側通信デバイス122は、ある特定の通信プロトコル、例えば、UARTプロトコルに基づいて外部デバイスと通信するように構成される。充電器側プロセッサ120及び充電器側通信デバイス122は、2つの別個のICとして実現され得る。充電器側プロセッサ120及び充電器側通信デバイス122を1つのICに統合することが同様に可能である。
【0075】
バッテリ側プロセッサ170及びバッテリ側通信デバイス172の実装詳細は、それぞれ、充電器側プロセッサ120及び充電器側通信デバイス122の実装詳細と同様である。
【0076】
電池180は、電池180が単独の構成電池によって提供可能でない出力電圧、例えば、40Vを提供するように、直列に接続された複数の構成電池によって形成されてもよい。さらにまた、電池180は、リチウムイオン電池であってもよい。
【0077】
発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ」及び類似の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。用語「少なくとも1つ」とその後に続く1つ又は複数の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、リストされた項目から選択された1つの項目(A又はB)、又はリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含んでいる(containing)」は、別段の記載がない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書にある値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個々に参照する省略表現法として機能することを単に意図したものであり、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に説明されたすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適当な順序で行うことができる。本明細書で提供された、ありとあらゆる実施例、又は例示的な言葉(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図したものであり、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書の言葉は、いかなる非請求要素も本発明の実践に不可欠であるように示唆するものと解釈されるべきではない。
【0078】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を遂行するために本発明者らに知られている最良の形態を含めて、本明細書に説明されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読むと当業者に明らかになる可能性がある。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適切に使うことを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に説明された以外の方法で本発明が実践されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正形態及び均等物を含む。そのうえ、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、そのすべての可能な変形形態における上述の要素の任意の組み合わせが本発明によって包含される。
【0079】
例示的な実施形態が本発明の前述の詳細な説明で提示されてきたが、莫大な数の変形形態が存在することを認識するべきである。例示的な実施形態は、単に実施例にすぎず、いかなる形でも本発明の範囲、適用性、動作、又は構成を限定することを意図したものでないことをさらに認識するべきである。逆に、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実装するための便利なロードマップを当業者に提供することになり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明されたステップの機能及び配置並びに動作方法にさまざまな変更がなされ得ることが理解される。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】