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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】マイクロニードルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/135 20170101AFI20221212BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B29C64/135
G02B3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518016
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 TH2020000065
(87)【国際公開番号】W WO2021054903
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】1901005857
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519112531
【氏名又は名称】ナショナル サイエンス アンド テクノロジー デヴェロップメント エージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】カンチャイティット、パイサン
(72)【発明者】
【氏名】タンチサンチソム、キッティポン
(72)【発明者】
【氏名】トンマ、サットラ
(72)【発明者】
【氏名】ブーンクーム、ティティコーン
(72)【発明者】
【氏名】ジラミットモンコン、カンピッチャ
(72)【発明者】
【氏名】ラヤナスカ、ヨッサワト
(72)【発明者】
【氏名】マナカセッターン、スポネ
(72)【発明者】
【氏名】ピンプラッドゥプ、プリーディー
(72)【発明者】
【氏名】ジエムサクル、タナコーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャトゥスリピタク、ナチャト
(72)【発明者】
【氏名】スティサムパット、ナランプラパイ
(72)【発明者】
【氏名】クルントン、スパポーン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AC05
4F213AR07
4F213AR11
4F213AR12
4F213AR20
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL08
4F213WL12
4F213WL43
4F213WL76
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
本発明は、製造時間、プロセス、およびコストを削減することにつながるマイクロレンズ技術によるマイクロニードル製作のための装置を表す。本発明はまた、成形技術における離型工程に起因し得るマイクロニードルの損傷を低減する。本発明は、マイクロレンズ容器、透明球、媒体、基材シート、フォトポリマーおよび容器からなる。さらに、本発明は、マイクロレンズの焦点距離を調整することによって、異なる高さを有するマイクロニードルを製造することができるマイクロニードル製作プロセスを示す。本発明によれば、焦点距離は、1)マイクロレンズと基材シートとの間の間隔を変更すること、および2)1.0と1.5との間の透明球の該媒体に対する屈折率比をもたらす、異なる屈折率を有する媒体を選択することによって調整することができる。さらに、マイクロニードルの種々のパターンおよび形状を、フォトマスクを使用する代わりに透明球の配置を変更することにより得ることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルを製造する方法であって、当該方法は、以下の工程;
フォトポリマー(500)を有する容器(600)を提供する工程と、
ベース面から上がる高い境界を有するマイクロレンズ容器(100)内に配置された光収集および/または散乱透明球(200)を含むマイクロレンズ(105)を提供する工程と、
媒体(300)を前記マイクロレンズ容器(100)中に装填し、前記フォトポリマー(500)上に投射される特定の波長の入射光ビームの焦点距離を調整する工程と、
基材シート(400)を前記容器(600)の上部上に置く工程であって、前記基材シート(400)が、前記基材シート(400)の上部上に前記マイクロレンズ(105)を有する工程と、
前記光収集および/または散乱透明球(200)を密充填配置する工程を含み、該光収集および/または散乱透明球(200)の屈折率が前記媒体(300)のものよりも高く、前記光収集および/または散乱透明球(200)の前記媒体(300)に対する屈折率比が1.0と1.5との間である、マイクロレンズ(105)を通して導かれる光によって誘導される光重合によってマイクロニードル(700)を製作する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記光収集および/または散乱透明球(200)が、1よりも多い層で密充填配置されており、上の前記層における前記光収集および/または散乱透明球(200)のサイズが、下の前記層におけるそのサイズよりも大きくない、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項3】
前記光収集および/または散乱透明球(200)のセットが、前記高い境界において第1の層として、前記第1の層の前記密充填した球(200)の間のいくらかのまたは全ての空隙中に位置する前記光収集および/または散乱透明球(200)の別のセットと密充填集合する、請求項2のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項4】
前記光収集および/または散乱透明球(200)の屈折率が1より大きく、前記光収集および/または散乱透明球(200)の直径が100から5000μmの範囲内にある、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項5】
前記媒体(300)が透明な液体および固体から選択される、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項6】
前記媒体(300)がエチレングリコールおよびポリジメチルシロキサンから選択される、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項7】
前記基材シート(400)を置く前記工程が、前記マイクロニードル(700)の高さを制御するために、前記マイクロレンズ(105)と前記基材シート(400)との間の間隔を変化させることを行った、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項8】
マイクロレンズ(micorlens)(105)を提供する前記工程が、前記マイクロニードル(700)の構造、パターン、および形状を制御するために、前記光収集および/または散乱透明球(200)の配置形態を設定することを行った、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項9】
光重合によってマイクロニードル(700)を製作する前記工程が、前記マイクロニードル(700)の高さ、前記マイクロニードル(700)の構造、パターン、および形状を制御するために、露光時間を行った、請求項1のマイクロニードルを製造する方法。
【請求項10】
前記露光時間が0.5秒である、請求項9のマイクロニードルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、マイクロニードル製作プロセスの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
針は通常、尖った端に小さな開口の鋭い先端を有する、細い中空のチューブである。それは、一般的に体内に物質を注入するために(例えば、抽出液、薬用化粧品、薬液またはワクチン)、注射器とともに使用される。それらはまた、体から液体サンプルを採取する、例えば静脈から血液を採取するためにも使用される。針は、通常、皮膚を通して突き刺すための固体金属でできている。通常、針は、皮膚を突き刺し、神経系に奥深く進むとき、針の長さおよびサイズのため痛みを引き起こす。J Farm Pract,1995.41(2):169-175の雑誌において、Hamiltonおよび彼のグループは「USAにおける針恐怖症(Needle phobia in USA)」について研究した。針恐怖症は、人口の少なくとも10%に影響を与える最近定義された医学的状態である。針恐怖症の症状は、じっとりした発汗、蒼白、吐き気、呼吸障害、およびさまざまなレベルの無反応である。針恐怖症は、おそらくは遺伝に関連し得、それはさらに医療を回避することのために死を引き起こす。一方で、医療関係者は、この問題にあまり注意を払っていない。
【0003】
皮下注射針の不利益を克服するために、マイクロスケールの針が、開発された。マイクロスケールの針は、神経線維との接触を回避し、そのため、引き起こす痛みがより少なく、使用するための医療スキルを何も必要とせず、薬物含有量および薬物送達の速度を正確に制御し得る。現在、マイクロスケールの針は、容易に分解し得る天然素材から製作することができ、感染性廃棄物の量を大幅な低下をもたらす。
【0004】
この文書における「マイクロスケールの針」またはいわゆる「マイクロニードル」を得るためには、マイクロニードルの材料、製作プロセス、およびパフォーマンスなどのいくつかの側面を開発する必要がある。米国特許No.2008/0200883A1によると、マイクロニードルは、キチン/キトサン、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチドグリコシド(PLGA)、マグネシウム、チタン、およびSU 8304を含む生体適合性および生分解性材料でできており、ヤング率、引張強度、および自然崩壊率が試験された。結果は、キチン/キトサンから作製したマイクロニードルが2週間で最も短い崩壊時間を有することを示唆した。さらに、製作の側面を考慮するとき、成形方法は、米国特許No.2016/0129164 A1中に見られるような、型からマイクロニードルをキャストする前にマイクロニードルの型を作製することによる、一般的に使用される技術の1つである。
【0005】
成形方法は、時間の消費および高コストが前記方法の主な制約であるが、その再現性のためにマイクロニードル製作の一般的な方法の1つである。
【0006】
成形方法のプロセスは、以下のとおりである。
(a)以下から構成される、型製作:
a-1 「マスター」マイクロニードルの作製。このマスターは、所望の寸法で、通常、金属ミリングまたは3D印刷技術によって硬い材料から作製する。
a-2 「型」の作製。型は、マスター上にポリジメチルシロキサン(PDMS)などの粘性液体をキャストすることによって作製する。引き続き、重合を、紫外線照射によって、または硬化剤によって誘導し、形状模倣に至る。次いでマスターを材料から取り去り、型を得る。
(b)以下から構成される、マイクロニードル製作:
b-1 マイクロニードルを形成するために使用する粘性液体を型中に注ぐこと。一般に、液体は、UV照射によって誘導される重合を通して硬化し、安定し得る。
b-2 粘性液体を型中に注ぐとき、材料が硬く安定するまで、前記液体をUV照射で重合させる。
b-3 型からマイクロニードルを取り外すこと。次いで、所望のマイクロニードルを得る。
【0007】
成形方法の制約を克服するために、本発明は、成形を含まないマイクロニードル製作を開発する。これは、時間の消費および型生成の高コストのための製造コストを低下させるのを助ける。開発した技術は、光重合およびマイクロレンズを利用する単一工程プロセスである。
【0008】
マイクロレンズは、所望の位置上に入射光線を集束させるために使用され、通常写真撮影において使用される。Procedia Engineering 47(2012) 1133-1136の発行された雑誌によると、小さなガラスビーズが、画像をスキャンするためのレンズとして使用されていた。しかしながら、小さなガラスビーズの焦点距離は比較的短いため、著者は、2つのガラスビーズを垂直配置で積み重ねてデバイスの焦点距離を延ばすことによって問題を解決する。しかしながら、焦点調整の複雑さのために、それは技術の再現性を制限する。
【0009】
マイクロレンズを本発明に適合させることによって、本発明者はマイクロニードル製作技術を開発し、該マイクロニードル製作技術は
1.型を使用せず、製造時間を低下させること、プロセス工程を低下させること、および製造コストを低下させることにつながり、
2.一般的に入手可能である小さな透明球であるマイクロレンズを使用し、適切な屈折率のためにその焦点距離を調整することができる媒体を使用し、
3.フォトマスクを適用することにより、マイクロニードルの形状および幾何学的配置(geometries)を調整することができ、フォトマスクおよび透明球を通して光が散乱する/回折することを容認する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、能動的/薬物送達適用(active/drug delivery applications)を目的としたマイクロニードルの製作プロセスを開発する。本プロセスは、マイクロレンズおよび光重合反応を利用してマイクロニードルを形成し、プロセスの複雑さ、製造コストを低下させることおよび離型工程のためのマイクロニードル上のあり得る損傷を回避することをもたらす。
【0011】
本発明は、フォトポリマーを有する容器を提供する工程と、ベース面から上がる高い境界を有するマイクロレンズ容器内に配置された光収集および/または散乱透明球(light gathering and/or scattering transparent spheres)を含むマイクロレンズを提供する工程と、媒体を前記マイクロレンズ容器中に装填し、前記フォトポリマー上に投射される特定の波長の入射光ビームの焦点距離を調整する工程と、基材シートを前記容器の上部上に置く工程であって、前記基材シートが、前記基材シートの上部上に前記マイクロレンズを有する工程と、前記光収集および/または散乱透明球を密充填配置する(close-packed arranging)工程を含み、該光収集および/または散乱透明球の屈折率が前記媒体のものよりも高く、前記光収集および/または散乱透明球の前記媒体に対する屈折率比が1.0および1.5の間である、マイクロレンズを通して導かれる光によって誘導される光重合(photopolymerization induced light guided through microlens)によってマイクロニードルを製作する工程と、を含む。
【0012】
別の実施態様においては、光収集および散乱球(light gathering and scattering spheres)は、1よりも多い層中に配置され、ここで、上層中の球は、下層中のものよりも小さい。
【0013】
別の実施態様においては、光収集および散乱球は、第1の層として密充填配置され(arranged close-packing)、光収集および散乱球の別のセットが、第1の層中の球の間の空隙の位置で第1の層上にわたって部分的または全体的に置かれる。
【0014】
別の実施態様においては、光収集および散乱球は、少なくとも1.0の屈折率を有し、100μmから5000μmの範囲内の直径を有する。
【0015】
別の実施態様においては、光収集および散乱球の屈折率の透明媒体の屈折率に対する比は、1.0と1.5との間である。球がガラスビーズである場合においては、ガラスビーズの媒体に対する屈折率比は1.30から1.49の範囲内にある。
【0016】
別の実施態様においては、透明媒体は、エチレングリコールまたはポリジメチルシロキサンである。
【0017】
別の実施態様においては、マイクロニードルの高さを制御する工程は、マイクロレンズと基材との間の距離、露光時間、および透明媒体の種類を設定することによって達成される。
【0018】
別の実施態様においては、マイクロニードルの製作方法は、本発明であり、光収集および散乱球の配置、光収集および散乱球のサイズ、露光時間、並びに透明媒体の種類の設定を通して、マイクロニードルの構造、パターン、および形状を制御する工程を含む。本特許出願による本発明は、マイクロレンズ容器、透明球、透明媒体、基材シート、フォトポリマー、および容器を含むマイクロニードル製作のための装置を提示する。マイクロレンズを収容するために使用されるマイクロレンズ容器は、高い境界を有する透明で滑らかな平板であり、耐溶剤性である。光収集および散乱球は、100~5000μmの範囲内の直径を有する透明な球形の球である。透明媒体は液体または固体材料であり得、その屈折率により、透明媒体に対する透明球の屈折率間の比が1.0と1.5との間となる。基材シートは、マイクロニードルがその表面に付着することを可能にする布、紙などの一般的な材料であり得る。フォトポリマーは、その重合反応を265~400nmの紫外線範囲および400~700nmの可視範囲内の電磁放射によって誘導し得る、モノマー、オリゴマー、または短鎖ポリマーである。容器は、フォトポリマーを収容するために使用される耐溶剤性の容器である。
【0019】
さらに、本特許出願による本発明は、マイクロレンズ調製の工程を含むマイクロニードル製作を説明し、該マイクロレンズ調製は、その高さが透明球の高さに等しい高い境界を有するマイクロレンズ容器中に透明球を単に加えることによるものであり、次いで透明媒体を高い境界によって囲まれた空間中に注ぐ前に、透明球を領域全体にわたって広げ、次いでその全体積が覆われ、透明球の損失を回避する。このマイクロレンズは、マイクロニードル製作において使用され、紫外線、高エネルギー可視光(紫、青)などの入射電磁放射をフォトポリマー上に集束させて、ポリマー間の架橋に至る重合反応を誘導する。このマイクロレンズ支援光重合法は、従来のマイクロニードル製作技術の制約を克服するように設計されており、製造時間、プロセスおよびコストを大幅に低下させる。さらに、この製作技術は、成形技術における離型の工程によるマイクロニードル上の損傷を回避するのを助ける。
【0020】
本発明の特徴および利点のより完全な理解は、添付の図および以下における本発明の最良の詳述とともに本発明の詳細な説明を考慮することによって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、マイクロニードル製作のための装置を示す。
図2図2は、透明球の密充填配置の単層を示す。
図3図3は、透明球の密充填配置の単層から得られたマイクロニードル幾何学的配置のSEM画像を示す。
図4図4は、第1の層における球の間の全ての空隙が満たされた透明球の二重層配置から得られたマイクロニードル幾何学的配置のSEM画像を示す。
図5図5は、第1の層における球の間の空隙のいくらかが満たされた透明球の二重層配置から得られたマイクロニードル幾何学的配置のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下に定義し得る。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」および「the」などの用語は、単数の物のみを指すことを意図していないことがあり得るが、一般的なクラスを含み、その特定の例が説明のために使用され得る。本明細書における専門用語は、本発明の特定の実施態様を説明するために使用されるが、それらの使用法は、特許請求の範囲中に概説される場合を除いて、本発明の範囲を定めない。
【0023】
本発明は、マイクロニードルを製造する方法に関し、当該方法は、以下の工程;
フォトポリマー(500)を有する容器(600)を提供する工程と、
ベース面から上がる高い境界を有するマイクロレンズ容器(100)内に配置された光収集および/または散乱透明球(200)を含むマイクロレンズ(105)を提供する工程と、
媒体(300)を前記マイクロレンズ容器(100)中に装填し、前記フォトポリマー(500)上に投射される特定の波長の入射光ビームの焦点距離を調整する工程と、
基材シート(400)を前記容器(600)の上部上に置く工程であって、前記基材シート(400)が、前記基材シート(400)の上部上に前記マイクロレンズ(105)を有する工程と、
前記光収集および/または散乱透明球(200)を密充填配置する工程を含み、該光収集および/または散乱透明球(200)の屈折率が前記媒体(300)のものよりも高く、前記透明球(200)の前記媒体(300)に対する屈折率比が1.0と1.5との間である、マイクロレンズを通して導かれる光によって誘導される光重合によってマイクロニードル(700)を製作する工程と、
を含む。
【0024】
別の実施態様においては、光収集および/または散乱透明球(200)が、1よりも多い層で密充填配置されており、上の前記層における前記光収集および/または散乱透明球(200)のサイズが、下の前記層におけるそのサイズよりも大きくない。
【0025】
別の実施態様においては、光収集および/または散乱透明球(200)のセットが、前記高い境界において第1の層として、前記第1の層の前記密充填した球(200)(the close-packing spheres(200))の間のいくらかのまたは全ての空隙中に位置する前記光収集および/または散乱透明球(200)の別のセットと密充填集合する(close-packing assemble)。
【0026】
別の実施態様においては、光収集および/または散乱透明球(200)の屈折率は、1より大きく、前記光収集および/または散乱透明球(200)の直径は、100から5000μmの間の範囲内にある。
【0027】
別の実施態様においては、媒体(300)は、透明な液体および固体から選択される。
【0028】
別の実施態様においては、媒体(300)は、エチレングリコールおよびポリジメチルシロキサンから選択される。
【0029】
別の実施態様においては、基材シート(400)を置く工程は、マイクロニードル(700)の高さを制御するために、マイクロレンズと基材シート(400)との間の間隔を変化させることを行った。
【0030】
別の実施態様においては、マイクロレンズ(micorlens)(105)を提供する工程は、マイクロニードル(700)の構造、パターン、および形状を制御するために、光収集および/または散乱透明球(200)の配置形態(arrangement formation)を設定することを行った。
【0031】
別の実施態様においては、光重合によってマイクロニードル(700)を製作する工程は、前記マイクロニードル(700)の高さ、前記マイクロニードル(700)の構造、パターン、および形状を制御するために、露光時間を行った。
【0032】
別の実施態様においては、露光時間は0.5秒である。
【0033】
別の実施態様においては、本発明は、マイクロニードル(700)の製作を可能にする方法である。フォトポリマーを有する容器(600)を提供する工程と、ベースプレートおよび前記ベースプレート面から上がる高い境界から構成されるマイクロレンズ容器(100)を提供する工程と、前記マイクロレンズ容器(100)の前記高い境界内に配置した、光収集および散乱球(200)を提供する工程と、透明な液体を媒体として前記マイクロレンズ容器(100)の高い境界中に満たし、特定の波長での電磁放射の焦点距離を調整して、フォトポリマー上に投射するのを助ける工程と、マイクロニードル(700)が前記容器(600)の上部上に配置されて付着する基材シート(400)を提供する工程と、前記容器(600)の上部上に位置する前記基材シート(400)の上部上に置くマイクロレンズ(105)を提供する工程と、光収集および散乱透明球(200)の密充填配置を提供し、該光収集および散乱透明球(200)の屈折率が前記媒体(300)のものよりも大きく、前記球の前記媒体に対する屈折率比が1.0と1.5との間である、マイクロレンズ(105)を通して露光することによるマイクロニードル(700)製作の工程と、を含む。
【0034】
さらに、本発明は、透明球のサイズ、露光時間および媒体の種類を選択することによって、マイクロニードルの構造、パターン、および形状を制御する工程を含む。
【0035】
図1によると、本発明におけるマイクロニードル製作のための装置は、以下から構成されている:
【0036】
-マイクロレンズ容器(100)は、プレートの上部サイズ(the top size)上に高い境界を有する、平らで透明なベースプレートである。この境界は、透明球が置かれているベースプレート上の領域を囲み、透明球の高さと同じ高さである。マイクロレンズ容器(100)は、耐酸/塩基性および耐溶剤(アセトン、トルエンなど)性でなければならない。マイクロレンズ容器(100)は、透明球をしっかりと固定し、光がそれを通過するのを可能にする。
【0037】
-光収集および/または散乱透明球(200)は、光収集および散乱球として使用される。それは、100~5000μmの範囲内の直径を有する球形である。
【0038】
-媒体(300)は、透明球とは別に、光を収集および屈折することができる物質である。媒体は、透明球よりも低い屈折率を有し、前記球の前記媒体に対する屈折率1.0と1.5との間であり、焦点距離を調整するのを助ける、透明な液体または固体であり得る。
【0039】
-基材シート(400)は、マイクロニードルが付着する基材として使用される。それは、耐溶剤性であり、フォトポリマーと接触するとき透明または半透明である。基材シートは、柔軟なまたは硬いのいずれか、例えば紙、プラスチック、またはアクリルであり得る。
【0040】
-フォトポリマー(500)は、マイクロニードルを形成するための主成分である。それは、特定の波長の電磁放射、例えば、紫外線、紫または青の可視光に曝されるとき重合する、モノマー、オリゴマーまたは短鎖ポリマーである。フォトポリマーは、生体適合性、生分解性であるべきであり、人体における代謝によって分解され得る。
【0041】
-容器(600)は、特定の波長の電磁放射に曝されるとき光架橋/光重合反応を受けるフォトポリマー(500)を保持するために使用される。容器(600)は、マイクロニードル製作プロセスにおける望ましくない光の干渉を防ぐために不透明でなければならない。さらに、容器(600)は、アセトンまたは酸/塩基などの化学物質/溶剤に対して耐性であるべきである。
【0042】
-マイクロニードル(700)は、フォトポリマー(500)を特定の波長の光に曝すことによって形成されるマイクロスケールの針であり、該光の経路は、マイクロレンズ(105)によって先に導かれ、フォトポリマーは、その構造が硬く、基材シート(400)に付着するまで重合反応を受ける。
【0043】
-マイクロレンズ(105)を調製する工程は、透明球(200)をマイクロレンズ容器(100)の高い境界内の領域全体にわたって広げることによって実施される。光収集および/または散乱透明球(200)の配置は、マイクロニードルの必要とされる構造、パターン、および形状に依存してさまざまであり、例えば、透明球の単層密充填、または第2層の球が第1層のものよりも小さい二重層配置である。透明球の異なる配置を、得られるマイクロニードルの特性を制御するために使用する。透明球の配置の完了後、次いで液体または固体であり得る媒体(300)をマイクロレンズ容器(100)の高い境界中に装填して/浸透させて、マイクロレンズ(105)のフォトポリマー(500)上への集光特性を調整するのを助ける。
【0044】
-マイクロニードル製作の工程は、マイクロレンズ(105)を使用して光を集束させることによって実施される。マイクロレンズ(105)は、容器(600)の上部上に位置する基材シート(400)の上部上に置かれる。容器(600)の内部に、特定の波長の光に曝すことによって重合することができるフォトポリマー(500)を、充分に満たす。引き続き装置のセット全体を電磁気光線に曝して、マイクロニードルを製作する。
【0045】
マイクロニードルの特性およびパターンは、マイクロレンズを作製するための光収集および/または散乱透明球(200)の配置に依存し、媒体(300)にも依存する。球の異なる配置は、マイクロニードルの異なる構造、パターン、および形状につながり、一方で異なる屈折率を有する媒体の種類は、マイクロニードルの高さおよび形状の変化につながる。
【0046】
マイクロレンズ(105)技術を介したマイクロニードル(700)の製作は、このマイクロレンズ(105)技術が製作プロセスにおいて型を必要としないので、成形方法における離型工程からの得られるマイクロニードル(700)の損傷を回避することができる。さらに、この技術は、選択された基材を基材シート(400)として使用することによって製作されたマイクロニードル(700)が付着する基材を選択し、容器(600)の上部上に置く能力を提供する。
【0047】
本発明は、以下の実施例によってさらに理解されるであろう。
【実施例
【0048】
実施例1
透明球の単層配置を使用したマイクロニードルの製作
【0049】
1.以下を含む、マイクロレンズの調製:
マイクロレンズ容器(100)のベース面から上がる高い境界によって囲まれた空間中に、光収集および/または散乱透明球(200)を配置すること。これらの透明球は、積み重なることなく密充填配置で、高い境界によって囲まれた領域全体にわたって広がる。引き続きエチレングリコールまたはポリジメチルシロキサンを、媒体(300)として透明球の間の空間中に装填して、全ての透明球を覆い、図2によるマイクロレンズ(105)を得る。
【0050】
2.以下を含む、マイクロニードルの製作:
特定の波長帯をカバーする光に曝されると光重合することができるフォトポリマー(500)で、容器(600)を充分に満たした。引き続き基材シート(400)としての透明なプラスチックシートを、マイクロレンズ層の前に、容器(600)の上端上に置く。マイクロニードルの高さは、マイクロレンズ(105)とプラスチック基材シートとの間の間隔を変更することにより、この工程中に調整することができる。次いで装置のセット全体を、特定の波長の光に曝す。この工程においては、線量(すなわち強度および露光時間)を変えることは、ニードルの特性(例えば高さ 形状 モジュラスおよび硬度)を変更するための重要なパラメーターである。次いでプラスチック基材シートを、容器(600)の上部から取り外し、洗浄して、残留フォトポリマーを除去する。図3に示すプラスチックシート上に付着したマイクロニードルを得る。
【0051】
実施例2
第1の層の空隙の全てが満たされた透明球の二重層配置を使用したマイクロニードルの製作
1.以下を含む、マイクロレンズの調製:
マイクロレンズ容器(100)のベース面から上がる高い境界によって囲まれた空間中に、光収集および/または散乱透明球(200)を配置すること。これらの透明球は、第1の層として積み重なることなく密充填配置で、高い境界に囲まれた領域全体にわたって広がる。引き続き、より小さなサイズの透明球の別のセットを、第2の層として第1の層における透明球によって囲まれた全ての空隙空間を満たすことによって、第1の球の層上に積み重ねる。次いでエチレングリコールまたはポリジメチルシロキサンを、媒体(300)として透明球の間の空間中に装填して、全ての透明球を覆い、マイクロレンズ(105)を得る。
【0052】
2.以下を含む、マイクロニードルの製作:
特定の波長の光に曝されるときに光重合することができるフォトポリマー(500)で容器(600)を充分に満たすこと。引き続き基材シート(400)としての透明なプラスチックシートを、マイクロレンズ(105)をプラスチックシート上に置く前に、容器(600)の上端上に置く。マイクロニードルの高さは、マイクロレンズ(105)とプラスチック基材シートとの間の間隔を変更することにより、この工程中に調整することができる。次いで装置のセット全体を、特定の波長の光に0.5秒間曝す。次いでプラスチック基材シートを、容器(600)の上部から取り外し、洗浄して、残留フォトポリマーを除去する。図4に示すプラスチックシート上に付着したマイクロニードルを得る。
【0053】
実施例3
第1の層の空隙の一部が満たされた透明球の二重層配置を使用したマイクロニードルの製作
1.以下を含む、マイクロレンズの製作:
マイクロレンズ容器(100)のベース面から上がる高い境界によって囲まれた空間中に、光収集および/または散乱透明球(200)を配置すること。これらの透明球は、第1の層として積み重なることなく密充填配置で、高い境界に囲まれた領域全体にわたって広がる。引き続き、より小さなサイズの透明球の別のセットを、第2の層として第1の層における透明球によって囲まれた空隙空間の一部(part the void space)を満たすことによって、第1の球の層上に積み重ねる。7つの球の六角形の密充填のユニットを考慮することによって、用語「空隙空間の一部を満たす」は、第2の層としてのより小さな透明球を第1の層の球によって囲まれた6つの空隙上に交互に満たすおよび満たさないを意味する。これは、より小さな透明球で3つの空隙が満たされ、3つの空隙が満たされないことをもたらす。次いでエチレングリコールまたはポリジメチルシロキサンを、媒体(300)として透明球の間の空間中に装填して、全ての透明球を覆い、マイクロレンズ(105)を得る。
【0054】
2.以下を含む、マイクロニードルの製作:
特定の波長の光に曝されるときに光重合することができるフォトポリマー(500)で容器(600)を充分に満たすこと。引き続き基材シート(400)としての透明なプラスチックシートを、マイクロレンズ(105)をプラスチックシート上に置く前に、容器(600)の上端上に置く。マイクロニードルの高さは、マイクロレンズ(105)とプラスチック基材シートとの間の間隔を変更することにより、この工程中に調整することができる。次いで装置のセット全体を、特定の波長の光に0.5秒間曝す。次いでプラスチック基材シートを、容器(600)の上部から取り外し、洗浄して、残留フォトポリマーを除去する。図5に示すプラスチックシート上に付着したマイクロニードルを得る。
【0055】
マイクロレンズ(105)法によるマイクロニードル製作の研究によると、マイクロレンズ(105)は、光を集束させるために効率的に使用することができる。しかしながら、マイクロレンズ(105)の焦点距離はかなり短いため、マイクロニードルの製作のためには使用することができないこともあり得る。マイクロレンズ(105)の焦点距離を増加させるまたは調整するために、透明球の周りの媒体の存在は、レンズの焦点距離を増加させ得る。これは、より高い高さおよびより急なアスペクト比を有するマイクロニードルを製作する技術能力を提供する。マイクロレンズの焦点距離は、適切な屈折率を有する媒体を選択することによって調整し得る。さらに、マイクロニードルのパターンまたは形状は、二重層形成における透明球の配置を変更することによって達成することができ、これは、異なる光パターン並びにそれに応じて異なるマイクロニードルパターンおよび形状につながる。
【0056】
本発明は、上記の本明細書において特に示され、説明されたものに限定されないことが、当業者によって認識されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の本明細書において記載されるさまざまな特徴のコンビネーションおよびサブコンビネーションの両方、並びに前述の説明を読んだときに当業者に起こるであろう、先行技術には無いその変形および修正を含む。
【0057】
発明の最良の態様
「発明の完全な開示」セクションにおいて述べたとおり。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】