(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】周期的なアンモニアの生成
(51)【国際特許分類】
C01C 1/04 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
C01C1/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519155
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 NL2020050593
(87)【国際公開番号】W WO2021060985
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511086559
【氏名又は名称】テクニシュ ユニベルシテイト デルフト
【氏名又は名称原語表記】TECHNISCHE UNIVERSITEIT DELFT
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ムルダー フォッコ マルテン
(57)【要約】
本発明はアンモニアの生成のための方法(10)を提供し、この方法(10)は、二水素と二窒素(115)を反応させて反応器(120)内でアンモニアを形成するステップと、反応器(120)から再循環ループ(130)へ反応器ガス混合物(125)を提供するステップであって、再循環ループ(130)が分離器(140)を含む、又はこれに機能的に接続されている、ステップと、反応器ガス混合物(125)の少なくとも一部を再循環ループ(130)から反応器(120)へ提供するステップと、第1の動作モード(20)と第2の動作モード(30)との間を切り替えるステップであって、第1の動作モード(20)において二水素と二窒素(115)が反応器(120)に提供され、分離器(140)がアンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物(125)から生成物出口(150)へ提供し、第2の動作モード(30)において分離器(140)がアンモニアの第2の画分F2を反応器ガス混合物(125)から生成物出口(140)へ提供し、第1の画分F1が第2の画分F2より大きい、ステップと、を含み、この方法(10)は、反応器(120)への二水素の利用可能性に応じて第1の動作モード(20)と第2の動作モード(30)との間を切り替えるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの生成のための方法(10)であって、
二水素と二窒素(115)を反応させて反応器(120)内でアンモニアを形成するステップと、前記反応器(120)から再循環ループ(130)へ反応器ガス混合物(125)を提供するステップであって、前記再循環ループ(130)が分離器(140)を含む、又はこれに機能的に接続されている、ステップと、前記反応器ガス混合物(125)の少なくとも一部を前記再循環ループ(130)から前記反応器(120)へ提供するステップと、
第1の動作モード(20)と第2の動作モード(30)との間を切り替えるステップであって、前記第1の動作モード(20)において二水素と二窒素(115)が前記反応器(120)に提供され、前記分離器(140)が前記アンモニアの第1の画分F
1を前記反応器ガス混合物(125)から生成物出口(150)へ提供し、前記第1の動作モード(20)が、前記反応器(120)から及び/又は前記再循環ループから温度貯蔵媒体(160)へ熱を提供することを含み、前記第2の動作モード(30)において前記分離器(140)が前記アンモニアの第2の画分F
2を前記反応器ガス混合物(125)から前記生成物出口(150)へ提供し、前記第2の動作モード(30)が、前記温度貯蔵媒体(160)から前記反応器(120)へ及び/又は前記再循環ループ(130)へ熱を提供することを含み、前記第1の画分F
1が前記第2の画分F
2より大きく、前記方法(10)が、前記反応器(120)への二水素の利用可能性に応じて前記第1の動作モード(20)と前記第2の動作モード(30)との間を切り替えるステップを含む、ステップと、
を含む、前記方法(10)。
【請求項2】
二水素と二窒素(115)を能力供給速度S
cで供給する全能力で反応器(120)を動作させるステップであって、動作中、二水素と二窒素(115)の前記供給が達成可能な供給速度S
aでなされる、ステップと、
S
a>0.5S
cであれば第1の動作モード(20)で、0.3S
c≦S
a≦0.5S
cであれば第1の動作モード(20)で又は第2の動作モード(30)で、そしてS
a<0.3S
cであれば第2の動作モード(30)で、前記反応器(120)を動作させるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法(10)。
【請求項3】
第1の画分F
1≧5%であり、第2の画分F
2≦3%である、請求項1又は2に記載の方法(10)。
【請求項4】
第2の動作モード(30)中、再循環ループ(130)が反応器ガス混合物(125)の≧97%を反応器(120)に提供する、請求項1~3のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項5】
反応器(120)が、二水素と二窒素(115)のアンモニアへの変換を触媒するように構成されたアンモニア合成触媒(121)を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項6】
1年の動作時間の少なくとも50%の間、第2の動作モード(30)で反応器(120)を動作させることを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項7】
第2の動作モード(30)が、温度貯蔵媒体(160)から反応器(120)へ及び/又は再循環ループ(130)へ熱を提供することによって前記反応器(120)内の反応器温度T
Rを制御することを含み、前記反応器温度T
R≧150℃である、請求項1~6のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項8】
温度貯蔵媒体(160)が溶融塩を含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項9】
二水素の利用可能性が第1の所定の閾値を上回れば第1の動作モード(20)に切り替えるステップと、二水素の利用可能性が第2の所定の閾値を下回れば第2の動作モード(30)に切り替えるステップと、を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項10】
再生可能エネルギー源の利用可能性に応じて電解槽(111)を用いて二水素を生じさせるステップと、前記生じさせた二水素を反応器(120)に提供するステップと、をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項11】
反応器(120)が少なくとも4つの順次配置された反応器床(122)を含み、方法(10)が、前記順次配置された反応器床(122)に沿って温度勾配を提供するステップであって、前記順次配置された反応器床(122)の第1の反応器床(122
1)が第1の床温度T
B1を有し、前記順次配置された反応器床(122)の最後の反応器床(122
n)が最後の床温度T
Bnを有し、T
B1>T
Bnである、請求項1~10のいずれかに記載の方法(10)。
【請求項12】
二窒素と二水素の供給部(110)と、二窒素と二水素(115)からのアンモニアの生成のために構成された反応器(120)と、再循環ループ(130)と、分離器(140)と、生成物出口(150)と、コントローラ(170)とを含む、アンモニアの生成のためのシステム(100)であって、前記供給部(110)が前記反応器(120)に機能的に接続され、前記システム(100)が、動作中に前記反応器(120)から前記再循環ループ(130)へ反応器ガス混合物(125)を提供するように構成され、前記再循環ループ(130)が、前記分離器(140)を含む、又はこれに機能的に接続され、前記反応器ガス混合物(125)の少なくとも一部が前記再循環ループ(130)から前記反応器(120)へ提供され、前記コントローラ(170)が、第1の動作モード(20)と第2の動作モード(30)との間を切り替えるように構成され、
前記第1の動作モード(20)において二水素と二窒素(115)が前記反応器(120)に提供され、前記分離器(140)が、前記アンモニアの第1の画分F
1を前記反応器ガス混合物(125)から前記生成物出口(150)へ提供するように構成され、
前記第2の動作モード(30)において前記分離器(140)が、前記アンモニアの第2の画分F
2を前記反応器ガス混合物(125)から前記生成物出口(150)へ提供するように構成され、
前記第1の画分F
1が前記第2の画分F
2より大きく、前記コントローラ(170)が、前記システム(100)への二水素の利用可能性に応じて前記第1の動作モード(20)と前記第2の動作モード(30)との間を切り替えるように構成され、
前記第1の動作モード(20)が、前記反応器(120)から及び/又は前記再循環ループから温度貯蔵媒体(160)へ熱を提供することを含み、前記第2の動作モード(30)が、前記温度貯蔵媒体(160)から前記反応器(120)へ及び/又は前記再循環ループ(130)へ熱を提供することを含む、
前記システム(100)。
【請求項13】
反応器(120)が、二水素と二窒素(115)のアンモニアへの変換を触媒するように構成されたアンモニア合成触媒(121)を含む、請求項12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
反応器(120)が少なくとも4つの順次配置された反応器床(122)を含み、前記順次配置された反応器床(122)が温度勾配に沿って配置され、前記順次配置された反応器床(122)の第1の反応器床(122
1)が第1の床温度T
B1を有し、前記順次配置された反応器床(122)の最後の反応器床(122
n)が最後の床温度T
Bnを有し、T
B1>T
Bnである、請求項12又は13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
(i)供給部(110)から反応器(120)への供給ガス流(181)、(ii)再循環ループ(130)から分離器(140)への分離ガス流(182)、(iii)前記分離器(140)から前記反応器(120)への再循環ガス流(183)、(iv)前記再循環ループ(130)から前記反応器(120)へのバイパス(132)を介したバイパスガス流(184)、及び(v)前記反応器(120)から前記再循環ループ(130)への反応器出口ガス流(185)、の1又は2以上を提供するように構成されたガス流装置(180)を含む、請求項12~14のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項16】
分離器(140)が、液体アンモニアが凝縮される冷却器及びアンモニア収集キャッチポットを含む群から選択される、請求項12~15のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項17】
ハーバーボッシュプラントを含む、請求項12~16のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項18】
複数の反応器(120)を含み、熱損失を最小にして、第2の動作モード(30)中に反応器状態を目標温度の近くに維持するように構成されている、請求項12~17のいずれかに記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンモニアの生成のための方法に関する。本発明はさらにアンモニアの生成のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアの生成のための方法が当該技術において知られている。例えば、欧州特許公開第2589574号は、不活性物質を含むパージガスがアンモニア合成ループから抽出され、アンモニア合成ループを公称高圧に保ち、アンモニア合成ループ内の不活性物質の濃度を高めてアンモニア反応器の過熱を回避するためにパージ速度を下げることによってアンモニアプラントが部分負荷で動作し、好ましくは水電解セクションが水素供給を生成して空気分離器が窒素供給を生成し、水素と窒素が混合されて補給ガスを形成し、これが前記アンモニア合成ループ内で高圧で反応する、アンモニアプラントの調節のための方法を記載している。
【0003】
国際公開第2017153304号パンフレットは、第1の反応物ガス及び第2の反応物ガスから生成物ガスを合成するための方法及びシステムを記載している。生成物ガスは分離され、未変換反応物ガスは回路内で伝導される。第1の反応物ガス、第2の反応物ガス、及び/又は分離される生成物ガスの体積流量はこの方法中に変化する。このように、エネルギー又は反応物ガスが利用可能なとき、一時的な狭い通路を埋めることができる。2つの反応物ガスは例えば水素及び窒素であり得、生成物ガスはアンモニアであり得る。
【0004】
米国特許出願公開第2012100062号公報は、水素及び窒素からアンモニアを連続的に合成するアンモニア合成施設に水素及び窒素を連続的に供給する複合プラントを記載し、この複合プラントは、太陽エネルギーを取得して取得された太陽エネルギーの一部を利用することによって水素を生成するための水素生成施設と、空気から窒素を生成してこの窒素をアンモニア合成施設に供給するための窒素生成施設と、水素生成施設によって生成された水素を貯蔵して生成された水素をアンモニア合成施設に供給するための水素貯蔵施設と、を含む。
【0005】
米国特許第4668494号明細書は、炭化水素を蒸気改質するステップ又は炭素質燃料をガス化するステップと、炭化水素の蒸気改質又は炭素質燃料のガス化の生成物をアンモニア合成ガスに変換するステップと、アンモニア合成ガスをアンモニアに変換するステップと、炭化水素の蒸気改質又は炭素質燃料のガス化に必要とされる熱を熱伝達流体によって供給するステップと、太陽エネルギーが利用可能なときにソーラーレシーバにおいて熱伝達流体を加熱するステップと、熱伝達流体に必要な熱を供給するのに十分な太陽エネルギーが利用可能でないときにアンモニアの一部を燃焼させることによって熱伝達流体を加熱するステップと、を含む化学合成プロセスで太陽エネルギーを用いる方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許公開第2589574号
【特許文献2】国際公開第2017153304号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2012100062号公報
【特許文献4】米国特許第4668494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、風車及びソーラーパネルからの再生可能エネルギーは、気象条件によって固有の変動性を有し得る。さらに、消費者によるエネルギー需要も時間とともに変動し得る可能性があり、ユーザは通常、夜間より日中に多くのエネルギーを消費する。再生可能エネルギーの生成は、消費者の需要をカバーするには不十分であることと消費者の需要を超過することとの間で交互に起こる可能性がある。したがって、再生可能エネルギーの長期貯蔵の必要性があり得る。
【0008】
再生可能エネルギーの超過の期間中、そのエネルギーは、例えば、電気分解を介して二水素(H2)を生じさせるために用いることができる。H2は(長期の)エネルギー貯蔵ガスとして機能することができる。加えて、H2はさらにハーバーボッシュプロセスにかけて(N2)との反応によってアンモニア(NH3)を生じさせることができる。生じさせたNH3は(長期の)エネルギー貯蔵液体として機能することができ、これは、液体エネルギー貯蔵の密度が高いため、気体のH2より好ましいことがある。
【0009】
しかしながら、従来のハーバーボッシュアンモニアプラントは、本質的に全能力で時間の本質的に100%稼働するように設計されていることがあり、このプラントは、よく知られている高温及び高圧のハーバーボッシュプロセスを用いてH2とN2を反応させてアンモニア(NH3)を形成する。前述の、そして潜在的に他の、再生可能エネルギー生成の変動性のため、再生可能エネルギー源に由来するH2及びN2は連続的に利用可能でないことがある。
【0010】
しかしながら、従来のハーバーボッシュアンモニアプラントの不連続運転には問題がある可能性がある。特に、不連続運転の結果、温度及び/又は圧力の変動がもたらされる可能性があり、これは触媒に有害である可能性があり、その結果、上昇した温度及び圧力で動作する反応器の疲労破壊がもたらされる可能性がある。
【0011】
したがって、再生可能エネルギー源からのNH3生成のための生成プロセスには、再生可能エネルギーの利用可能性の変動を吸収するビルトインバッファが必要とされることがある。
【0012】
先行技術は、H2が再生可能エネルギーの利用可能性の関数として生じさせられ、H2貯蔵がバッファとして用いられる、生成プロセスを説明することができる。NH3生成は次いでH2貯蔵バッファからH2を引き出すことによって連続的にすることができる。しかしながら、H2の中間貯蔵には、(液体)NH3の直接貯蔵に必要とされるであろうより大貯蔵容量コストに関してかなり多くのスペース及びコストが必要とされることがある。
【0013】
従来技術は、再生可能エネルギー超過の間に電解槽を用いて再生可能エネルギー源からH2が生成されてハーバーボッシュ反応器に提供され、再生可能エネルギーの利用可能性が不十分な間に不活性ガスが反応器に提供されて反応器の圧力及び温度を維持する、生成プロセスをさらに説明することができる。これによって、反応器は公称能力未満で動作することができる。しかしながら、不活性ガスの反応器への周期的な追加及び除去には、挿入のための不活性ガスの追加の分離、必要とされる挿入条件への加熱及び加圧、並びに生成物流からの分離が必要とされることがある。このような追加の不活性ガスの追加によりしたがって、エネルギー効率が低下してコストが増加する可能性がある。
【0014】
したがって、本発明の一態様は、アンモニア生成のための代替の方法を提供することであり、これは好ましくは上述の欠点の1又は2以上をさらに少なくとも部分的に取り除く。本発明は、先行技術の不利点の少なくとも1つを克服若しくは改善すること、又は有用な代替例を提供することを目的として有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、第1の態様において、本発明は(断続的な)アンモニア生成のための方法を提供することができる。この方法は、二水素と二窒素を反応させて反応器(を含むシステム)内でアンモニアを形成することを含むことができる。この方法は、反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を提供することをさらに含むことができる。実施形態において、再循環ループは分離器を含む、又はこれに機能的に接続することができる。さらなる実施形態において、再循環ループは(分離器)バイパスを含むことができる。分離器は、反応器ガス混合物からアンモニアを抽出するように構成することができる。この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから反応器へ提供することをさらに含むことができる。特に、この方法は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができる。第1の動作モードにおいて二水素及び二窒素を、特に第1の供給速度Sa1で反応器に供給することができる。さらに、第1の動作モードにおいて分離器はアンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供することができる。第2の動作モードにおいて二水素及び二窒素を第2の供給速度Sa2で反応器に供給することができ、特にSa1>Sa2である。第2の動作モードにおいて分離器はアンモニアの第2の画分F2を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供することができる。特に、第1の画分F1は第2の画分F2より大きい。実施形態において、この方法は、システムへの、特に反応器への二水素の利用可能性に応じた、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができる。
【0016】
本発明は、完全生成時、すなわち、再生可能エネルギーが豊富であるとき、反応器がNH3を生じさせることができ、そして冷却トラップのような分離器を用いて未反応のH2、N2からNH3を分離することができ、NH3をシステムから除去することができ、未反応のH2及びN2が反応器内へ再循環することができるという利点を提供することができる。(再生可能)エネルギーの利用可能性が完全生成に不十分であるとき、NH3は本質的に未反応のH2及びN2と一緒に反応器内へ再循環することができる。これによって、反応器、特に反応器内のアンモニア反応触媒を、還元環境で動作可能に保つとともに適切な温度及び圧力に保つことができる。再生可能エネルギー源が再び利用可能になると、反応器が適切な温度及び圧力で維持されたため、通常動作を本質的に直接開始することができる。この方法は、二水素と二窒素を反応させて反応器内でアンモニアを形成することを含むことができる。H2とN2を反応させてアンモニア(「NH3」ともいう)を形成することは、例えばハーバーボッシュプロセスを介して当業者によく知られている可能性がある。実施形態において、反応器はハーバーボッシュ反応器を含むことができる。実施形態において、アンモニア反応触媒はハーバーボッシュ触媒、すなわちハーバーボッシュプロセスで(通常)用いられる触媒を含むことができる。
【0017】
この方法は、反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を提供することをさらに含むことができる。本質的に、動作中、この方法は、反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を連続的に提供することを含むことができる。この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから反応器へ提供する(戻す)ことを含むことができる。したがって、実施形態において、反応器は、再循環ループに機能的に接続された反応器出口を含むことができ、すなわち、この方法は、反応器から反応器出口を介して再循環ループへ反応器ガス混合物を提供することを含むことができる。さらなる実施形態において、反応器は、再循環ループに機能的に接続された反応器再循環入口を含むことができ、すなわち、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから反応器再循環入口を介して反応器へ提供することを含むことができる。特に、反応器出口及び再循環入口は、(反応器での)異なる場所、特に反応器の本質的に両側に配置されている。
【0018】
実施形態において、再循環ループは分離器を含む、又はこれに機能的に接続することができる。この方法は、特にこの方法の一部の間、より具体的には第1の動作モードにおいて、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから分離器へ提供することを含むことができる。さらなる実施形態において、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから(直接)反応器へ提供し、反応器ガス混合物の少なくとも一部を分離器に提供することを含むことができる。さらなる実施形態において、この方法は、特に第1の動作モードにおいて、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから分離器を介して反応器へ提供することを含むことができる。
【0019】
分離器は、反応器ガス混合物からアンモニアを抽出するように構成することができる。したがって、この方法は、特にこの方法の一部の間、より具体的には第1の動作モードにおいて、特に分離器で、反応器ガス混合物からアンモニアを分離することを含むことができる。分離器、特に冷却器を含む分離器は、NH3が液体になるように反応器ガス混合物を冷却するように構成することができ、すなわち、この方法は、反応器ガス混合物を(分離器で)冷却することによって反応器ガス混合物からアンモニアを分離することを含むことができる。分離器は生成物出口を含む、又はこれに機能的に接続することができ、特に分離器は、(分離された)(液体)アンモニアを生成物出口に提供するように構成され、すなわち、この方法は、(分離された)(液体)アンモニアを分離器から生成物出口へ提供することを含むことができる。
【0020】
実施形態において、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから反応器へ提供することを含むことができる。さらなる実施形態において、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから分離器を介して反応器へ提供することを含むことができる。特に、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから分離器へ提供することを含むことができ、この方法は、アンモニア(の少なくとも一部)を分離器で反応ガス混合物から分離することを含み、この方法は、(残りの)反応器ガス混合物を分離器から反応器へ提供することを含む。
【0021】
さらなる実施形態において、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから直接反応器へ、すなわち、最初に反応器ガス混合物を分離器に提供することなく提供することを含むことができる。したがって、実施形態において、再循環ループは(分離器)バイパスを含むことができ、特に分離器バイパスは、分離器を通過することなく反応器ガス混合物を再循環ループから反応器へ提供することができるように構成されている。
【0022】
実施形態において、この方法は、反応器ガス混合物の少なくとも一部をコネクタに提供することを含むことができ、これはバイパスと分離器との間で反応器ガス混合物を分配するように構成されている。さらなる実施形態において、コネクタは三方弁を含むことができる。実際には、この方法は、(受け取った)反応器ガス混合物の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべてを、第1の動作モード中にコネクタから分離器へ提供し、(受け取った)反応器ガス混合物の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべてを、第2の動作モード中にコネクタからバイパスへ提供することを含むことができる。
【0023】
この方法は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができる。この方法は、(二水素及び/又は二窒素)供給速度Sa、又は二水素の利用可能性、特に再生可能エネルギー源の利用可能性のような、所定の基準に応じた、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができる。
【0024】
実施形態において、この方法は、二水素の利用可能性が第1の所定の閾値を上回れば第1の動作モードに切り替え、二水素の利用可能性が第2の所定の閾値を下回れば第2の動作モードに切り替えることを含むことができる。例えば、この方法は、反応器を第1の動作モードで(全能力で)少なくとも所定の期間、例えば1時間、動作させるのに十分な二水素が利用可能であれば、第1の動作モードに切り替えることを含むことができ、この方法は、反応器がもはや第1の動作モードで動作することができないときに第2の動作モードに切り替えることを含むことができる。
【0025】
第1の動作モードにおいて二水素及び二窒素を(供給部から)反応器へ提供する、特に第1の供給速度Sa1で提供することができる。第1の供給速度Sa1は特に供給部から反応器へ提供される二水素及び二窒素を指し、すなわち、再循環ループから反応器へ提供されるいかなる二水素及び二窒素も除く。二水素及び二窒素は(供給部から)別個に提供することができる。特に、二水素及び二窒素は事前に混合して提供することができる。第1の供給速度Sa1は時間とともに変化する可能性があり、特に二水素の利用可能性、より具体的には再生可能エネルギー源の利用可能性に依存する可能性がある。したがって、十分な二水素が利用可能であれば、第1の供給速度Sa1は、反応器が全能力で動作する能力供給速度Scに本質的に等しくなり得る。二水素の利用可能性が低下すれば、第1の供給速度Sa1はそれに応じて低下し、第1の供給速度Sa1は、0.8Scのように、能力供給速度より低くなる可能性がある。特に、第1の供給速度Sa1は、0.15*Sc≦Sa1≦Scの範囲、特に0.25*Sc≦Sa1≦Scの範囲とすることができる。
【0026】
「全能力」という用語は本明細書では(公称)最大能力を指すことができ、すなわち反応器はアンモニア合成のために本質的に最適化された条件で動作することができる。
【0027】
この方法は、達成可能な供給速度Saに基づく第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができ、これは二水素の利用可能性に基づく切り替えに本質的に対応し得る。実施形態において、この方法は、システムへの、特に反応器への二水素の利用可能性に応じた、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含むことができる。例えば、この方法は、供給速度Sa<0.5Sc、例えば、Sa<0.4Sc、特にSa<0.3Sc、例えば、<0.25Sc、特に<0.2Scであれば第2の動作モードに切り替えることを含むことができる。
【0028】
したがって、第2の動作モードにおいて二水素及び二窒素を(供給部から)反応器へ第2の供給速度Sa2で提供することができ、特に第2の供給速度Sa2<第1の供給速度Sa1である。したがって、実施形態において、第2の供給速度Sa2<0.5Sc、例えば、Sa2<0.4Sc、特にSa2<0.3Sc、例えばSa2<0.2Sc、特にSa2<0.1Scであり、0を含む。第1の供給速度Sa1と同様に、第2の供給速度Sa2は具体的には、供給部から反応器へ提供される二水素及び二窒素を指すことができ、すなわち、再循環ループから反応器へ提供されるいかなる二水素及び二窒素も除く。
【0029】
さらなる実施形態において、この方法は、供給速度Saを、閾値を超えて、例えば少なくとも0.3Sc、又は少なくとも0.4Sc、例えば少なくとも0.5Scで維持することができる場合には本質的に二水素を提供することのみを含むことができる。
【0030】
さらなる実施形態において、第2の供給速度Sa2は本質的に0とすることができる。
【0031】
第2の動作モード中、反応器内の圧力は、N2、H2、及びNH3を再循環させることによって維持することができる。したがって、Sa2は、本質的に0のように小さくすることができる。第2の動作モード中、N2、H2、及びNH3間の(温度依存の)平衡を確立することができ、その結果、順方向又は逆方向の反応が実質的になくなる。したがって、圧力及び温度及び圧力は比較的安定した状態に到達することができる。このような安定した状態において、N2、H2及びNH3の平衡生成物混合物は不活性と見なすことができる(正味の反応が起こらないため)。さらなる実施形態において、第2の供給速度Sa2を第2の動作モードの少なくとも一部の間0より大きくして反応器内の圧力を維持及び/又は増加することができる。
【0032】
第1の動作モードにおいて分離器はアンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供することができ、すなわち、この方法は、分離器でアンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物から分離し、第1の画分F1を分離器から生成物出口へ提供することを含むことができる。したがって、反応器ガス混合物はX量のアンモニアを含むことができ、分離器はX量の第1の画分F1を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供することができ、(1-F1)*Xのアンモニアを含む反応器ガス混合物の残りは(再循環ループを介して)反応器に供給される。第1の画分F1は特に本質的に分離器によって最大に分離可能な画分とすることができる。例えば、実施形態において分離器は、冷却及び凝縮を通して反応器ガス混合物からアンモニアを分離するように構成された冷却器を含むことができる。例えば、X量のアンモニアを含む体積の反応器ガス混合物が分離器を通過すれば、分離器は反応器ガス混合物の体積から0.8Xのアンモニアを分離することができる。残りの0.2Xのアンモニア、並びに反応器ガス混合物の残りは(再循環ループを介して)反応器に戻すことができ、後で再び分離器に提供することができる。通常、アンモニアの約80~99%を反応器ガス混合物から分離するように分離器を構成することができる。反応器ガス混合物は通常4~35%の範囲のアンモニアを含むことができ、すなわち、反応器内でNH3へと反応したN2及びH2の量は4~35%であり得る(「単回通過率」ともいう)。特に、反応器ガス混合物は、反応器の動作が開始するときに比較的低いNH3濃度を含むことができ、これは比較的低い反応器温度のためであり得、反応器ガス混合物中のNH3濃度は、例えば約35%まで、動作活動とともに増加し得る。
【0033】
第1の画分F1及び第2の画分F2は特に体積%を指すことができる。
【0034】
第2の動作モードにおいて分離器はアンモニアの第2の画分F2を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供することができる。第2の画分F2は特に本質的に分離器によって最小に分離可能な画分とすることができる。したがって、実施形態において、分離器は特に第2の動作モードにおいて低能力で動作することができる。特に、分離器を第2の動作モードで「オフ」とすることができ、又は迂回することができる。さらなる実施形態において、再循環ループはバイパスを含むことができ、第2の動作モードは、バイパスを介して、すなわち、反応器ガス混合物を分離器に通すことなく、再循環ループから反応器へ直接反応器ガス混合物を提供することを含むことができる。したがって、実施形態において、分離器は第2の動作モードでオフとすることができる。さらなる実施形態において、分離器を第2の動作モードにおいて迂回することができる。
【0035】
したがって、実施形態において、第1の画分F1は第2の画分F2より大きい。
【0036】
さらなる実施形態において、第1の画分F1≧5%、特に≧10%、例えば≧30%、特に≧60、例えば≧95%、特に≧98%、例えば≧99%である。第1の画分F1は本質的に分離器によって可能になるのと同じくらい高くすることができる。一般に、第1の画分F1のより高い値が好まれ得る。実際には、アンモニア生成プロセスで用いられる分離器は通常、動作中90~99%までの第1の画分F1を可能にすることができる。
【0037】
さらなる実施形態において、第2の画分F2≦5%、特に≦4%、例えば≦3%、特に≦2%、例えば≦1%であり、0%を含む。特に、第2の画分F2は本質的にゼロとすることができる。
【0038】
第2の動作モード中、分離器内の凝縮などによって、反応器ガス混合物からアンモニアを失うことは、(反応器)ガス圧力の付随する低下のために望ましくないことがある。したがって、第2の画分F2は可能な限り低く保つことができる。
【0039】
したがって、実施形態において、第2の動作モード中、再循環ループは、反応器ガス混合物の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべてを反応器に提供する(戻す)ことができる。特に、分離器を迂回することができ、その結果、反応器ガス混合物は(完全に)再循環する。
【0040】
したがって、実施形態において、この方法は、二水素及び二窒素を反応させて反応器内でアンモニアを形成するステップと、反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を提供するステップであって、再循環ループが分離器を含む、又はこれに機能的に接続されている、ステップと、反応器ガス混合物の少なくとも一部を再循環ループから反応器へ提供するステップと、を含むことができ、この方法は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含み、第1の動作モードにおいて二水素及び二窒素が反応器に提供され、分離器は反応器ガス混合物から生成物出口へアンモニアの第1の画分F1を提供し、第2の動作モードにおいて分離器は反応器ガス混合物から生成物出口へアンモニアの第2の画分F2を提供し、第1の画分F1は第2の画分F2より大きく、この方法は、反応器への二水素の利用可能性に応じた、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えを含む。
【0041】
実施形態において、反応器に提供される二水素及び二窒素は、特に少なくとも100バール、例えば少なくとも200バール、特に少なくとも250バールの圧力で加圧することができる。特に、反応器は圧縮機給送部に機能的に接続することができる。圧縮機給送部は、二窒素及び/又は二水素を加圧するように構成することができる。加圧により熱を提供することができ、これによって二窒素及び/又は二水素が加圧されて熱せられ、これは、特に供給部を介して反応器に提供することができる。
【0042】
実施形態において、この方法は、能力供給速度Scで二水素及び二窒素を供給して全能力で反応器を動作させることを含むことができ、すなわち、反応器は最大動作能力(「全能力」)を有することができ、これは能力供給速度Scに等しい二水素及び二窒素の供給で得ることができる。しかしながら、動作中、二水素及び二窒素の供給は特にH2の利用可能性に応じて達成可能な供給速度Saになる可能性があり、これは特に時間とともに変化する可能性がある。特に、Sa≦Scである。達成可能な供給速度Saは具体的には、供給部から反応器へ提供される二水素及び二窒素を指すことができ、すなわち、再循環ループから反応器へ提供されるいかなる二水素及び二窒素も除く。
【0043】
「達成可能な供給速度」という用語は本明細書では、供給部が反応器に二水素及び二窒素を提供することができる速度を指すことができる。達成可能な供給速度はしたがって中間水素貯蔵及び中間二窒素貯蔵における二水素及び二窒素の量に依存する可能性があり、再生可能エネルギー源からの二水素の利用可能性にさらに依存する可能性がある。
【0044】
さらなる実施形態において、この方法は、Sa>0.15Scで、例えばSa>0.25Scで、特にSa>0.5Scで、例えばSa>0.6Scで、特にSa>0.7Scで、例えばSa>0.8Scで、特にSa>0.9Scで、第1の動作モードで反応器を動作させることを含むことができる。
【0045】
さらなる実施形態において、この方法は、Sa<0.5Scで、特にSa<0.4Scで、例えばSa<0.3Scで、特にSa<0.2Scで、例えばSa<0.1Scで、第2の動作モードで反応器を動作させることを含むことができる。
【0046】
実施形態において、1又は2以上の外部要因に応じて反応器を動作させることが有益である可能性があり、すなわち、電気代及び/又はアンモニア需要のような、1又は2以上の外部要因に応じて反応器が第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかで動作することができる値Saの範囲があり得る。したがって、さらなる実施形態において、この方法は、(i)第1の閾値を上回るSaで第1の動作モードで反応器を動作させること、(ii)第2の閾値を下回るSaで第2の動作モードで反応器を動作させること、及び(iii)特に1又は2以上の外部要因に応じて、第1の閾値と第2の閾値との間のSaで第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかで反応器を動作させること、を含むことができる。特に、第1の閾値は第2の閾値より大きい。さらなる実施形態において、第1の閾値は、≧0.15Sc、例えば≧0.25Sc、特に≧0.5Sc、例えば≧0.6Sc、特に≧0.7Sc、例えば≧0.8Sc、特に≧0.9Scとすることができる。さらなる実施形態において、第2の閾値は、≦0.5Sc、特に≦0.4Sc、例えば≦0.3Sc、特に≦0.2Sc、例えば≦0.1Scとすることができる。さらなる実施形態において、この方法は、0.1Sc≦Sa≦0.9Sc、特に0.2Sc≦Sa≦0.8Sc、特に0.3Sc≦Sa≦0.7Sc、特に0.4Sc≦Sa≦0.6Scで第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかで反応器を動作させることを含むことができる。第2の動作モード中、反応器は、分離器を通過することなくバイパスを通して反応器ガス混合物を再循環させることによって適切な温度で維持することができる。
【0047】
さらなる実施形態において、この方法は、二水素の利用可能性及び/又は、例えば、温度のような、他の所定の基準に基づいて動作モードを決定することを含むことができる。反応速度が低く、高温のH2及びN2の供給が低いため、反応温度が低くなっていれば、再循環の前にNH3を冷却及び分離する代わりに高温の反応ガスのより多くを再循環させることを決定することができる。
【0048】
さらなる実施形態において、この方法は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えのために複数の閾値を用いることを含むことができる。特に、第1の動作モードから第2の動作モードへ切り替えるSaの閾値は、第2の動作モードから第1の動作モードへ切り替える閾値とは異なり得る。例えば、この方法は、Sa<0.3Scのときに第1の動作モードから第2の動作モードへ切り替えることを含むことができ、Sa>0.25Scのときに第2の動作モードから第1の動作モードへ切り替えることを含むことができる。このような実施形態において、第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかを、先に交差した閾値に応じてSa=0.28Scで有効にすることができる。したがって、実施形態において、この方法はヒステリシスを示す可能性がある。
【0049】
実施形態において、反応器はアンモニア合成触媒(「触媒」ともいう)を含むことができる。アンモニア合成触媒は、二水素及び二窒素のアンモニアへの変換を触媒するように構成することができる。
【0050】
さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒は、Feベースの触媒及びRuベースの触媒を含む群から選択することができる。Feベースの触媒は促進剤としてKを含むことができ、及び/又は酸化アルミニウムを含むことができる。さらに、当該技術において知られ、例えば参照により本明細書に組み込まれる“Catalytic Ammonia Synthesis: Fundamentals and Practice”、J.R. Jennings編、ISBM 0-306-43628-0、1991 Plenum Press New Yorkに記載されているように、K、Al、Ca、Si及びMgが鉄ベースの触媒に存在することができる。したがって、Feベースの触媒は、Al、Ca、Si、及びMgの1又は2以上を含むことができる。(活性化された)アンモニア合成触媒はその還元形態の鉄を高表面積で含むことができ、酸化物又は三元酸化鉄、又はアンモニア合成触媒の文献に記載された形態のいずれかとして1又は2以上の他の元素を含むことができる。事前に還元された触媒材料においてK2O、Al2O3、CaO、SiO2の量が2~15wt.%で存在することができ、残りは還元されたFe、Fe3O4、及びFeOとすることができる。ハーバーボッシュ反応器での動作中、高T及びPでのH2の存在は触媒を還元状態に保つことができ、又は触媒をさらに還元することさえでき、これは触媒活性にとって重要である可能性があり、すなわち、より還元された状態において触媒はより活性になる可能性がある。H2、N2、及びNH3の反応混合物は触媒にこのような還元及び活性化環境を提供することができる。この環境は、触媒を活性に保つため、特に第2の動作モード中、断続的な動作において維持する必要があり得る。
【0051】
さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒はRuベースの触媒を含むことができる。Ruベースの触媒は比較的低い温度及び圧力で、例えばFeベースの触媒より低い温度及び圧力で作用することができるので、Ruベースの触媒は有益であり得る。Ruベースの触媒は、K、Cs、Baのようなアルカリ金属の存在、及びアルミナ、マグネシア、及び/又はCa-Al-O化合物のようなCa、Ba二元若しくは三元酸化物の存在によって促進することができる。したがって、実施形態において、Ruベースの触媒は、K、Cs、Ba、Al、Mg、Ca、Baの1又は2以上を含むことができる。特に、Ruベースの触媒は、K、Cs、Ba、Al、Mg、Ca、又はBaの1又は2以上の二元又は三元酸化物を含むことができる。これらの促進剤及び支持元素は、K2O、Cs2O、BaO、MgO、及びAl2O3として存在することができる。したがって、実施形態において、Ruベースの触媒は、K2O、Cs2O、BaO、MgO、及びAl2O3の1又は2以上を含むことができる。ナノ構造の触媒材料は、当該技術において知られているように、ガス反応混合物によってアクセス可能な高い比表面積を有することができる。
【0052】
さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒はFeベースの触媒を含むことができる。Feは比較的安価であるためコストの観点からFeベースの触媒が好まれることがあり、例えば貴金属Ruは実質的により高価である可能性がある。
【0053】
具体的な実施形態において、触媒はSm2O3及び/又はCeOを含むことができる。
【0054】
第1の動作モード中、特に発熱性アンモニア合成反応並びに高温の二水素及び/又は二窒素の追加のため、反応器内で過剰な熱生成があり得る一方、第2の動作モード中、前述のプロセスの欠如のため、反応器の冷却があり得る。冷却は、反応器の活性に、特にアンモニア合成触媒の活性に、そして第1の動作モード又はH2の利用可能性が高くなる第2の動作モード中のような、しばらく後に反応器に供給されるH2及びN2の量が増加するときに達成される反応速度に有害である可能性がある。加えて、冷却により、反応器内の圧力の低下、すなわち機械的力の変化が引き起こされる可能性がある。したがって、触媒を適切な温度及び活性レベルに、そして適切なガス混合物中で維持するため、そして時間の経過とともに反応器の機械的疲労につながる可能性のある圧力の変化を限定するためにも、第1の動作モード中に熱を貯蔵し、貯蔵した熱を第2の動作モード中に(反応器及び/又は再循環ガス混合物に)供給することが有益である可能性がある。
【0055】
アンモニア生成プロセスは発熱性であり得るため、生成された熱は反応器から輸送され、溶融NaNO3及びKNO3混合物に基づく液体塩熱貯蔵庫のような温度貯蔵媒体に貯蔵することができる。後続の二水素及び再生可能エネルギーの低生産中、未反応の二窒素、二水素及び生成されたアンモニアの再循環は高温再循環ループを通じて起こり得る。長期にわたる低再生可能及びH2供給中の熱損失は、温度貯蔵媒体から熱を回収することによって(少なくとも部分的に)補償することができる。このような蓄熱及び再循環システムの次に反応器の断熱及び蓄熱及び交換システムも適用することができる。
【0056】
したがって、実施形態において、第1の動作モードは、反応器から及び/若しくは再循環ループから、特にコネクタ若しくは熱交換器(以下を参照)から、並びに/又は圧縮機給送部から温度貯蔵媒体へ熱を提供することを含むことができる。このような実施形態において、第2の動作モードは、温度貯蔵媒体から反応器へ及び/又は再循環ループへ、特にバイパスへ熱を提供することによって、反応器内の反応器温度TR、特に触媒温度TCを制御することを含むことができる。さらなる実施形態において、反応器温度TR≧150℃であり、すなわち、反応器温度TRは、≧150℃、例えば≧200℃、例えば≧250℃、特に≧300℃、例えば≧350℃の温度で制御することができる。さらなる実施形態において、触媒温度TC≧150℃であり、すなわち、触媒温度TCは、≧150℃、例えば≧200℃、例えば≧250℃、特に≧300℃、例えば≧350℃の温度で制御することができる。それより高温で反応器温度TR、特に触媒温度TCが制御される温度は、アンモニア反応触媒の選択に依存する可能性があり、アンモニア反応触媒は、最も効率的な動作をもたらす温度並びにこれらに有害な温度において異なる可能性がある。例えば、実施形態において、この方法は、反応器温度TR、特に触媒温度TCを、Ruベースの触媒について≧150℃の温度に制御することを含むことができる一方、さらなる実施形態においてこの方法は、反応器温度TR、特に触媒温度TCを、Feベースの触媒について≧300℃の温度に制御することを含むことができる。
【0057】
さらなる実施形態において、温度貯蔵媒体は、コンクリート、シリコン、及び溶融塩を含む群から選択される媒体を含むことができる。特に、温度貯蔵媒体は溶融塩を含むことができる。溶融塩は汲み上げることができ、したがって溶融塩が加熱される及び/又は加熱するためにガス流に近づけることができるため、溶融塩は温度貯蔵媒体として特に適している可能性がある。特に、溶融塩とガス流、特に複数のガス流との間に熱交換器を配置することができ、熱交換器は、第1の動作モード中に(反応器)ガス流から溶融塩へ熱を提供するように、及び/又は第2の動作モード中に溶融塩から(供給及び/又はバイパス)ガス流へ熱を供給するように構成することができる。
【0058】
さらなる実施形態において、熱交換器は3流熱交換器を含むことができ、第1の流れが供給ガス流を含み、第2の流れが反応器ガス流を含み、第3の流れが溶融塩(流)を含む。
【0059】
実施形態において、この方法は、(再生可能)エネルギー源の利用可能性に応じて、電解槽、特にバトライザとしても示される一体型バッテリ及び電解槽を用いて二水素を生じさせることを含むことができる。この方法は、生じさせた二水素を反応器に、特に二窒素と事前に混合して提供することをさらに含むことができる。したがって、実施形態において、この方法は、(再生可能)エネルギーが利用可能であるときに(電解槽で)二水素を生じさせることと、生じさせた二水素を反応器に提供することとを含むことができる。これによって、反応器の動作を再生可能エネルギー源の利用可能性に本質的に直接関連させることができ、これにより、大きな二水素貯蔵の必要性なく、比較的安価で環境に優しいアンモニア生成を提供することができる。
【0060】
「電解槽」という用語は本明細書では特に、電気エネルギーを用いて水を二水素と二酸素に分解するように、特に二水素を生じさせるように構成された装置を指すことができる。
【0061】
本発明の方法は、再生可能エネルギー源の利用可能性に応じて反応器を動作させるのに特に適している可能性がある。したがって、この方法は、再生可能エネルギーが豊富に利用可能であるときにのみ反応器を動作させることを含むことができる。実際には、1日及び/又は1年の大部分の間、再生可能エネルギーの超過がないことがある。したがって、実施形態において、この方法は、1年の動作時間の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、特に少なくとも70%、例えば少なくとも75%、第2の動作モードで反応器を動作させることを含むことができる。
【0062】
例えば、第2の動作モードは一般に、電気分解からの水素の利用可能性が低くなる再生可能発電時間が少ない間に動作可能になり得る。同様に、場所にもよるが、第2の動作モードは一般に夜に行うことができる一方、第1の動作モードは一般に、特に太陽光が豊富であり、風力も平均してより豊富である日中の約6時間に行うことができる。
【0063】
原則として、この方法は、二水素(及び/又は二窒素)の利用可能性に応じた、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の動的切り替えを含むことができる。したがって、この方法は、1時間に、又はさらには1分に複数回の動作モード間の切り替えを含むことができる。しかしながら、実際には、二水素(及び/又は二窒素)の利用可能性は通常、毎日のパターンに従うことができ、数時間の再生可能エネルギーの余剰に続いて数時間の再生可能エネルギーの不足が発生する。したがって、実施形態において、第2の動作モードは1日に少なくとも2時間、例えば少なくとも3時間、特に少なくとも4時間、又は一晩中続くことができる。数日又はさらには数週間、電気が不足する可能性もあり、このとき第2の動作モードはこれくらい長くかかる可能性があり、蓄熱能力を十分に大きくし、断熱を良好にして環境への熱損失を低減する必要がある。
【0064】
したがって、実施形態において、このシステム、特に反応器は断熱を含むことができる。
【0065】
したがって、この方法は、比較的短い期間、例えば1年の動作時間の≦50%、例えば≦40%、特に≦30%、例えば≦25%の間のみ、第1の動作モードで反応器を動作させることを含むことができる。しかしながら、総アンモニア生成要件は同様のままにすることができ、将来的には増加することさえできる。したがって、第1の動作モード中、現在の反応器で得られるより高いアンモニア生成率が動作時間中に必要とされることがある。
【0066】
実施形態において、このシステムは(したがって)複数の反応器を含むことができる。複数の反応器は、中間H2利用可能時間中、(すべて)全力で運転しないことがある。したがって、1つの反応器を全力で動作させてより高い温度に到達すること、そして第2の反応器、特に第1の反応器と連続して配置された第2の反応器がより低い出力で動作し、加熱は少ないがより高い割合の二水素をアンモニアに変換することが有益である可能性がある。さらなる実施形態において、第2の反応器(及び任意のさらなる反応器)はそれぞれのバイパスに及び/又はそれぞれの熱交換器に機能的に接続することができる。
【0067】
したがって、実施形態において、このシステムは、複数の(順次配置された)反応器、特に少なくとも3つの反応器、特に少なくとも4つの反応器、例えば少なくとも5つの反応器、特に少なくとも6つの反応器を含むことができる。特に、この方法は、(順次配置された)反応器に沿って(この方法の少なくとも一部の間、特に第1の動作モードの少なくとも一部の間)温度勾配を提供することを含むことができ、(順次配置された)反応器の第1の反応器が第1の反応器温度TR1を有し、(順次配置された)反応器の最後の反応器が最後の反応器温度TRnを有し、TR1>TRnであり、より具体的には第1の反応器は分離器に対して最後の反応器の上流に配置されている。
【0068】
本明細書における「反応器に沿った温度勾配」という句は特に、反応器のそれぞれが異なる反応器温度で動作することを指し、第1の反応器から開始して、連続する各反応器が前の反応器より高い又は低い反応器温度を有し、すなわち、すべてのnについてTRn<TRn+1又はすべてのnについてTRn<TRn+1である。各反応器の反応器温度は特に同じ(それぞれの)位置で測定することができる。
【0069】
反応器が温度勾配に沿って動作する複数の反応器を含む実施形態において、異なる反応器は、それぞれの特定の温度で動作するように構成されたそれぞれの温度貯蔵媒体に有益に接続することもできる。これらのそれぞれの温度貯蔵媒体は、異なる温度範囲内で動作するように構成することができる。
【0070】
実施形態において、反応器、特に各反応器は、複数の反応器(触媒)床(「反応器サブユニット」ともいう)を含むことができる。複数の反応器床は、中間H2利用可能時間中、(すべて)全力で動作しないことがある。したがって、1つの反応器床を全力で動作させてより高い温度に到達すること、そして第2の反応器床、特に第1の反応器床と連続して配置された第2の反応器床がより低い出力で動作し、加熱は少ないがより高い割合の二水素をアンモニアに変換することが有益である可能性がある。さらなる実施形態において、第2の反応器床(及び任意のさらなる反応器床)はそれぞれのバイパスに及び/又はそれぞれの熱交換器に機能的に接続することができる。
【0071】
したがって、実施形態において、反応器は、複数の(順次配置された)反応器床、特に少なくとも3つの反応器床、特に少なくとも4つの反応器床、例えば少なくとも5つの反応器床、特に少なくとも6つの反応器床を含むことができる。特に、この方法は、(順次配置された)反応器床に沿って(この方法の少なくとも一部の間、特に第1の動作モードの少なくとも一部の間)温度勾配を提供することを含むことができ、(順次配置された)反応器床の第1の反応器床が第1の床温度TB1を有し、(順次配置された)反応器床の最後の反応器床が最後の床温度TBnを有し、TB1>TBnであり、より具体的には第1の反応器床は分離器に対して最後の反応器床の上流に配置されている。
【0072】
反応器が温度勾配に沿って動作する複数の反応器床を含む実施形態において、異なる反応器床は、それぞれの特定の温度で動作するように構成されたそれぞれの温度貯蔵媒体に有益に接続することもできる。これらのそれぞれの温度貯蔵媒体は、異なる温度範囲内で動作するように構成することができる。
【0073】
特に、第1の反応器床(より高い温度で動作する)は速く反応する、すなわち、アンモニアへの高い変換速度を有することができるが、高い変換(パーセンテージ)に到達しない可能性がある。少し低い温度の第2の反応器床はもはやそれほど速く反応しないかもしれないが、より高い変換(パーセンテージ)に変換することができる。第3の反応器も第2の反応器より低い反応速度を提供する可能性があるが、より高いNH3濃度などに変換することなどができる。
【0074】
実施形態において、温度貯蔵媒体は溶融塩を含むことができ、溶融塩は、NaKO3-KNO3混合物又はCa(NO3)2-NaKO3-KNO3の混合物を含むことができ、特にこれらの混合物、特に溶融塩は、125℃と590℃との間で液体である。
【0075】
複数の反応器及び/又は反応器床は異なる温度プロファイルで動作することができるため、異なる反応器及び/又は反応器床について異なるアンモニア反応触媒を有益に選択することができる。したがって、実施形態において、反応器の少なくとも2つが異なるアンモニア反応器触媒を含むことができる。さらなる実施形態において、(同じ反応器内の)反応器床の少なくとも2つが異なるアンモニア反応触媒を含むことができる。特に、第1の反応器(床)は、Feベースの触媒のような、好ましくは(比較的)高温で動作するアンモニア反応触媒を含むことができ、最後の反応器(床)は、Ruベースの触媒のような、(比較的)低温で動作可能なアンモニア反応触媒を含むことができる。
【0076】
さらなる実施形態において、複数の反応器床は分離器を共有することができる。特に、複数の反応器床は順次配置することができ、共有分離器に機能的に接続することができる。
【0077】
さらなる実施形態において、複数の反応器床は独立して配置することができ、それぞれの分離器に機能的に接続することができる。
【0078】
さらなる実施形態において、このシステムは複数の反応器を含むことができる。複数の反応器は、同じ分離器、再循環ループ、熱交換器などに機能的に接続することができ、又は反応器固有の分離器、再循環ループ及び熱交換器に接続することができる。特に、再循環ループは、反応器のそれぞれと機能的に接続された共有部分を含むことができるが、固有の反応器に機能的に接続された反応器固有部分をさらに含むことができる。
【0079】
したがって、実施形態において、複数の反応器は単一の温度貯蔵媒体に機能的に接続することができる。さらなる実施形態において、複数の反応器のそれぞれをそれぞれの温度貯蔵媒体に機能的に接続することができる。
【0080】
実施形態において、複数の反応器は単一の分離器に機能的に接続することができる。さらなる実施形態において、複数の反応器のそれぞれをそれぞれの分離器に機能的に接続することができる。
【0081】
実施形態において、複数の反応器は単一の熱交換器に機能的に接続することができる。さらなる実施形態において、複数の反応器のそれぞれをそれぞれの熱交換器に機能的に接続することができる。
【0082】
複数の反応器を有することの利点は(システムの)より高い能力であり得る。
【0083】
第2の態様において、本発明は、(断続的な)アンモニア生成のためのシステムを提供することができる。このシステムは、二窒素及び二水素の供給部、二窒素及び二水素からアンモニアを生成するように構成された反応器、再循環ループ、分離器、生成物出口、及びコントローラの1又は2以上を含むことができる。実施形態において、供給部は、特に供給入口を介して、反応器に機能的に接続することができる。このシステムは、動作中に反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を提供するように構成することができる。再循環ループは分離器を含む、又はこれに機能的に接続することができる。分離器は、反応器ガス混合物からアンモニアを抽出するように構成することができる。実施形態において、反応器ガス混合物の少なくとも一部が再循環ループから反応器へ提供され(戻され)る。さらなる実施形態において、コントローラは、(反応器の動作を)第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えるように構成することができる。特に、第1の動作モードにおいて二水素及び二窒素を、特に第1の供給速度Sa1で反応器に提供することができ、分離器はアンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供するように構成することができる。さらに、第2の動作モードにおいて分離器はアンモニアの第2の画分F2を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供するように構成することができる。特に、第1の画分F1は第2の画分F2より大きい。さらなる実施形態において、コントローラは、システムへの、特に反応器への二水素の利用可能性に応じて、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えを行うように構成することができる。
【0084】
本発明は、(断続的な)アンモニア生成のためのシステム、特に、特に再生可能エネルギー源の利用可能性に基づいて、二水素及び二窒素から(断続的に)アンモニアを生成するように構成されたシステムを提供することができる。
【0085】
このシステムは、二窒素及び二水素の供給部、二窒素及び二水素からアンモニアを生成するように構成された反応器、再循環ループ、分離器、生成物出口、及びコントローラの1又は2以上を含むことができる。実施形態において、このシステムは、二窒素及び二水素の供給部、二窒素及び二水素からアンモニアを生成するように構成された反応器、再循環ループ、分離器、生成物出口、及びコントローラを含むことができる。
【0086】
実施形態において、このシステムは、二窒素及び二水素の供給部(「供給部」ともいう)、すなわち、二窒素及び二水素を(反応器に)供給するように構成された供給部を含むことができる。供給部は、特に供給入口を介して、反応器に機能的に接続することができる。供給部は、二窒素及び二水素を反応器に供給するように構成することができる。特に、供給部は、二窒素と二水素の(1:3)の混合物を反応器に提供するように構成することができる。提供される二窒素及び二水素は特に、少なくとも100バール、例えば少なくとも200バール、特に少なくとも250バールで加圧するように、加圧することができる。
【0087】
さらなる実施形態において、供給部は、特に供給源から来る、二窒素及び/又は二水素を加圧するように構成された圧縮機給送部を含む、又はこれに機能的に接続することができる。圧縮機給送部は、二窒素及び/又は二水素を提供する供給源に機能的に接続する、特に二窒素源に及び二水素源に機能的に接続することができる。圧縮機給送部は、少なくとも100バール、例えば少なくとも200バール、特に少なくとも250バールに二窒素及び二水素を加圧するように構成することができる。
【0088】
加圧により熱を提供することができ、これによって加圧された高温の二窒素及び/又は二水素が生じ、これが供給部から反応器へ提供される。圧縮及び反応熱が例えばシステムの起動時に不十分であれば、入口に追加の電気ヒータも存在することができる。この電気ヒータはあるいは、貯蔵システムから来る溶融塩熱供給にも存在することができる。
【0089】
動作中、反応器を出る反応器ガス混合物は、未反応の二窒素と二水素の組み合わせ並びに生成されたアンモニアを含むことができる。したがって、このシステムは、動作中に反応器から再循環ループへ反応器ガス混合物を提供するように構成することができる。再循環ループは分離器を含む、又はこれに機能的に接続することができる。再循環ループは(分離器)バイパスをさらに含む、又はこれに機能的に接続することができる。再循環ループは、分離器を介して及び/又はバイパスを介して、反応器ガス混合物の少なくとも一部を反応器に提供するように構成することができる。これによって、未反応の二窒素及び二水素は反応器に戻すことができ、まだアンモニアへと反応する可能性がある。
【0090】
実施形態において、再循環ループは分離器に機能的に接続することができ、特に分離器は、反応器ガス混合物からアンモニアを抽出するように構成されている。特に、分離器は、反応器ガス混合物からアンモニアの一部を抽出することができ、あらゆる未抽出のアンモニアを含む、反応器ガス混合物の残りを再循環ループ及び/又は反応器に提供することができる。
【0091】
実施形態において、このシステムはコントローラを含むことができる。コントローラは、供給部、反応器、再循環ループ、及び/又は分離器の1又は2以上を制御するように構成することができる。さらなる実施形態において、コントローラは、(反応器の動作を)第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えるように構成することができる。
【0092】
第1の動作モードにおいて二水素及び二窒素を、特に第1の供給速度Sa1で反応器に提供することができる。実施形態において、第2の動作モードにおいて二水素及び二窒素を、特に第2の供給速度Sa2で、より具体的にはSa1>Sa2で反応器に提供することができる。
【0093】
実施形態において、第1の動作モードにおいて、分離器は、アンモニアの第1の画分F1を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供するように、特に分離するように構成することができる。第2の動作モードにおいて分離器は、アンモニアの第2の画分F2を反応器ガス混合物から生成物出口へ提供するように構成することができる。特に、第1の画分F1は第2の画分F2より大きい。
【0094】
さらなる実施形態において、分離器は、第2の動作モード中、より低い能力で動作することができ、特に分離器は、第2の動作モード中、本質的に「オフ」とすることができ、これによってF2<F1という結果になる。
【0095】
さらなる実施形態において、再循環ループは(分離器)バイパスを含むことができ、第2の動作モードは、反応器ガス混合物(の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべて)を再循環ループからバイパスを介して反応器へ、すなわち、反応器ガス混合物を分離器に通すことなく提供することを含み、これによってF2<F1という結果になる。さらなる実施形態において、F2は本質的にゼロとする(に減少する)ことができる。
【0096】
実施形態において、第2の動作モードにおいて反応器ガス混合物は、分離器を迂回して(バイパスを介して)反応器に直接再循環することができる。しかしながら、いくらかの反応器ガス混合物を分離器に提供して分離器内の圧力を維持することができる。再循環する反応器ガス混合物は熱交換器及び/又は温度貯蔵媒体を介して温度制御することができる。第1の動作モードを再開すると、いくらかの液体アンモニアを分離器及び/又は生成物出口から収集することができる。
【0097】
さらなる実施形態において、コントローラは、システムへの、特に反応器への二水素の利用可能性に応じて、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えを行うように構成することができる。したがって、十分な二水素が利用可能であれば、コントローラは第1の動作モードを維持する、又はこれに切り替えることができる。二水素の利用可能性が低ければ、コントローラは第2の動作モードを維持する、又はこれに切り替えることができる。特に、コントローラは、二水素の利用可能性が第1の所定の閾値を上回れば第1の動作モードに切り替えるように、そして二水素の利用可能性が第2の所定の閾値を下回れば第2の動作モードに切り替えるように構成することができる。さらなる実施形態において、第1の所定の閾値は第2の所定の閾値に等しくすることができる。
【0098】
実施形態において、分離器は、液体アンモニアを除去することができるアンモニアキャッチポットを備えた冷却器又は冷凍機を含む分離器を含むことができる。実施形態において、アンモニアキャッチポットは、屈曲部を含むガス経路を含むことができ、特にこのため、アンモニアキャッチポットを通過する、反応器ガス混合物のようなガスがアンモニアキャッチポット内で方向を変えねばならず、これにより液体アンモニアの除去を容易にすることができる。アンモニアキャッチポットは特に冷却器を含むことができる。
【0099】
したがって、さらなる実施形態において、分離器は冷却器を含むことができる。冷却器は、(分離器に提供される)反応器ガス混合物を冷却するように構成することができ、これによりアンモニアを液体にすることができる。したがって、(液体)アンモニアは特に分離器の底側から抽出することができる。特に、生成物出口は分離器の底側に配置することができる。
【0100】
第2の動作モード中、いくらかの液体アンモニアを分離器に形成することができる。特に、分離器に提供された反応器ガス混合物中のアンモニアの画分F2を生成物出口に提供することができる。しかしながら、実施形態において、生成物出口は、第2の動作モード中、本質的に閉鎖することができる。したがって、液体アンモニアは分離器の底側に、特に出口に蓄積することができ、(次の)第1の動作モード中に抽出することができる。
【0101】
実施形態において、反応器は、二水素及び二窒素の供給部が二窒素及び二水素を能力供給速度Scで反応器に提供するとき、(その)全能力で動作するように構成することができ、動作中、二水素及び二窒素の供給部は達成可能な供給速度Saで二水素及び二窒素を提供する。達成可能な供給速度Saは特に反応器の動作中に変化することがあり、動作時間の一部の間ではScに等しく、動作時間の他の一部ではSc未満になり得る。第1の動作モード中も、SaはScより低く(又はこれに等しく)なり得る。このような実施形態において、コントローラは、Sa>0.5Scであれば第1の動作モードで、0.3Sc≦Sa≦0.5Scであれば第1の動作モードで又は第2の動作モードで、Sa<0.3Scであれば第2の動作で、反応器を動作させるように構成することができる。したがって、コントローラは、二水素の利用可能性に応じて、特に達成可能な供給速度Saに、及び/又は1又は2以上の他の基準に応じて、反応器を動作させるように構成することができる。例えば、アンモニア需要が高ければ、0.3Scのような、比較的低い達成可能な供給速度での第1の動作モードでの動作が、第2の動作モードでの動作より(経済的に)好ましいことがある。
【0102】
さらなる実施形態において、第1の画分F1≧5%、特に≧20%、例えば≧50%、特に≧80、例えば≧98%、特に≧99%である。第1の画分F1は本質的に、分離器によって可能になるのと同じくらい高くすることができる。さらなる実施形態において、第2の画分F2≦50%、特に≦10%、例えば≦3%、特に≦2%、例えば≦1%であり、0%を含む。特に、第2の画分F2は本質的にゼロとすることができる。
【0103】
したがって、実施形態において、再循環ループは、第2の動作モード中、反応器ガス混合物(の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべて)を反応器に提供する(戻す)ように構成することができる。特に、再循環ループは、第2の動作モード中、反応器ガス混合物(の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべて)を反応器にバイパスを介して提供するように構成することができる。このような実施形態において、分離器は活動中のままとすることができ、特に冷却器は冷たく保つことができるが、反応器ガス混合物の流入がなければ、分離器に多くの電力が必要とされることがなく、特に冷却器に高い冷却電力が必要とされることはなく、これが生成物流のためにNH3を生成することもない。分離器は、H2及びN2圧力及び潜在的にいくらかの不活性圧力の次に、平衡NH3蒸気圧を有することができる(不完全な空気分離からのいくらかのArのような、いくらかの不活性ガスが通常N2給送部に存在することができる)。
【0104】
実施形態において、反応器は、二水素及び二窒素のアンモニアへの変換を触媒するように構成されたアンモニア合成触媒を含むことができる。さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒は、Feベースの触媒及びRuベースの触媒を含む群から選択することができる。さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒はRuベースの触媒を含むことができる。さらなる実施形態において、アンモニア合成触媒はFeベースの触媒を含むことができる。
【0105】
さらなる実施形態において、第1の動作モードにおいてこのシステムは、反応器(触媒床)から、及び/又は再循環ループから、特に反応器とバイパスとの間に配置されたコネクタ(再循環ループに含まれる)から、及び/又は圧縮機給送部から温度貯蔵媒体へ熱を提供するように構成することができる。このような実施形態において、第2の動作モードにおいてコントローラは、温度貯蔵媒体から反応器へ、及び/又は再循環ループへ、特に反応器とバイパスとの間に配置されたコネクタへ熱を提供することによって、反応器内の反応器温度TR、特に触媒温度TCを制御することができる。コントローラは特に、反応器温度TR≧150℃に制御するように構成することができ、すなわち、反応器温度TRは、≧150℃、例えば≧200℃、例えば≧250℃、特に≧300℃、例えば≧350℃の温度に制御することができる。さらなる実施形態において、触媒温度TC≧150℃であり、すなわち、触媒温度TCは、≧150℃、例えば≧200℃、例えば≧250℃、特に≧300℃、例えば≧350℃の温度に制御することができる。
【0106】
さらなる実施形態において、このシステムは、第1の動作モード中に再循環ループから温度貯蔵媒体へ熱を提供するように構成することができる。再循環ループは、例えば向流構成で、温度貯蔵媒体、特に溶融塩と熱を交換するように配置することができる。特に、再循環ループは、反応器(触媒床)と接触して、又は反応器(触媒床)とバイパスとの間及び/又は反応器と分離器との間に配置されたコネクタを含むことができ、このシステムは、コネクタから、特に熱交換器を介して、温度貯蔵媒体へ熱を提供するように構成することができる。コネクタで温度貯蔵媒体に熱を提供することによって、反応器ガス混合物を冷却して液体アンモニアを提供するように配置することができる分離器に入る前に、反応器ガス混合物をすでに部分的に冷却することができる。
【0107】
さらなる実施形態において、再循環ループは、反応器(触媒床)と接触して、又は反応器(触媒床)とバイパスとの間及び/又は反応器と分離器との間に配置された熱交換器を含む、又はこれに機能的に接続することができ、このシステムは、熱交換器から温度貯蔵媒体へ熱を提供するように構成することができる。熱交換器で温度貯蔵媒体に熱を提供することによって、反応器ガス混合物を冷却して液体アンモニアを提供するように配置することができる分離器に入る前に、反応器ガス混合物をすでに部分的に冷却することができる。
【0108】
実施形態において、熱交換器はコネクタに配置することができる。
【0109】
熱交換器は、第2の動作モード中、特にバイパス動作中の加熱のため、及び/又は第1の動作モード中、特に反応器ガス混合物を分離器に供給する前の冷却のために構成することができる。
【0110】
さらなる実施形態において、このシステムは、第1の動作モード中、圧縮機給送部によって生じさせた熱の少なくとも一部を温度貯蔵媒体に提供するように構成することができる。特に、加圧により、反応器の動作に必要な及び/又は所望されるより高い温度を提供することができ、したがって反応器内の温度及び温度貯蔵の両方にとって、圧縮機給送部から温度貯蔵媒体へ熱を転換することが有益である可能性がある。
【0111】
実施形態において、圧縮機給送部は高圧蒸気発生器を含むことができる。
【0112】
さらなる実施形態において、このシステムは、特に第2の動作モード中、温度貯蔵媒体から圧縮機給送部へ熱を提供するように構成することができる。特に、温度貯蔵媒体からの熱は、特に圧縮機給送部が高圧蒸気発生器を含む実施形態において、圧縮機給送部に蒸気を提供するために第2の動作モードで適用することができる。
【0113】
さらなる実施形態において、このシステムは、特に第2の動作モードから第1の動作モードへの切り替え中、すなわち、第2の動作モードの終わり及び第1の動作モードの始まりの1又は2以上で、温度貯蔵媒体から圧縮機給送部へ熱を提供するように構成することができる。これによって、温度貯蔵媒体からの熱を用いて、H2が再び利用可能になったときにH2及びN2の圧縮を容易にすることができる。さらなる実施形態において、このシステム、特に供給部は、再生可能エネルギー源の利用可能性に応じて二水素を生じさせるように構成された電解槽、特にバトライザを含む、又はこれに機能的に接続することができる。電解槽は、生じさせた二水素を供給部に、及び/又は反応器に、及び/又は中間水素貯蔵庫に、特に供給部に提供するように構成することができる。
【0114】
システムがバトライザを含む、又はこれに機能的に接続されている実施形態において、バトライザは、第2の動作モード中にシステムに電気を提供するように構成することができる。特に、再生可能電力の利用可能性が低いとき、バトライザは、制御システム、ガス循環、特にバイパス反応器ガス混合物のガス循環、及び分離器、特に冷却システムに関して、低電力消費の第2の動作モードでアンモニア合成動作条件を維持するために電気を提供することができる。あるいは、例えば、この目的のためにバッテリを適用することもできる。
【0115】
さらなる実施形態において、このシステム、特に供給部は中間水素貯蔵庫を含むことができる。中間水素貯蔵庫は電解槽に機能的に接続することができ、電解槽は生成された二水素を中間水素貯蔵庫に提供する。中間水素貯蔵庫はさらに供給部に機能的に接続することができ、供給部が中間水素貯蔵庫から反応器へ二水素を提供することができるようになっている。中間二水素貯蔵庫は特に、反応器を全能力で少なくとも1時間動作させるのに十分な量の二水素を貯蔵するように構成することができる。このような実施形態の利点は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の切り替えが起こる頻度を少なくすることができるということであり得る。
【0116】
実施形態において、反応器は複数の反応器触媒床(「反応器床」ともいう)、特に複数の順次配置された反応器床を含むことができる。さらなる実施形態において、反応器は、少なくとも3つの反応器床、例えば少なくとも4つの反応器床、特に少なくとも5つの反応器床、例えば少なくとも6つの反応器床を含むことができる。(順次配置された)反応器床は温度勾配に沿って配置することができ、特に順次配置された反応器床の第1の反応器床が第1の床温度TB1を有し、順次配置された反応器床の最後の反応器床が最後の床温度TBnを有し、特にTB1>TBnである。
【0117】
実施形態において、反応器床のそれぞれをそれぞれの熱交換器に機能的に接続することができる。
【0118】
さらなる実施形態において、反応器床のそれぞれをそれぞれの温度貯蔵媒体に機能的に接続することができる。
【0119】
反応器床が順次配置される実施形態において、第1の反応器床は分離器に対して最後の反応器床の上流に配置することができる。
【0120】
さらなる実施形態において、このシステムは、(i)供給部から反応器への、特に(供給)入口を介した供給ガス流、(ii)再循環ループから、特にコネクタから分離器への分離ガス流、及び(iii)分離器から反応器への、特に再循環ループ(の少なくとも一部)を介した再循環ガス流、(iv)特に本質的に分離器を回避する、再循環ループから反応器へのバイパスを介したバイパスガス流、及び(v)反応器から再循環ループへの、特にコネクタへの反応器出口ガス流、の1又は2以上を提供するように構成されたガス流装置を含むことができる。
【0121】
供給ガス流は二水素及び二窒素を供給部から反応器へ提供することができる。このシステムは、供給ガス流が温度貯蔵媒体に熱を提供し、及び/又はこれから熱を受け入れるように構成することができ、特に、供給ガス流は温度貯蔵媒体に熱を提供することができ、又は特に供給ガス流は温度貯蔵媒体から熱を受け入れることができる。特に、動作の開始中、供給ガス流には(温度貯蔵媒体からの)加熱がよく必要とされることがある。完全動作中、反応器ガス混合物も(向流)熱交換器において供給ガス流を加熱することができる。したがって、さらなる実施形態において、供給ガス流は、熱交換器、特に反応器ガス混合物及び供給ガス流を逆流させるように構成された向流熱交換器を(又はこれに沿って)通過することができる。さらなる実施形態において、供給ガス流は、温度貯蔵媒体と機能的に接続された熱交換器を(又はこれに沿って)通過することができる。
【0122】
分離ガス流は、再循環ループから、特にコネクタから、分離器へ反応器ガス混合物を提供することができる。
【0123】
再循環ガス流は、特に供給部を介して、より具体的には圧縮機給送部を介して、分離器から反応器へ(残りの)反応器ガス混合物を提供することができる。したがって、実施形態において、再循環ガス流は、分離器から圧縮機給送部へ残りの反応器ガス混合物を提供することができ、残りの反応器ガス混合物は供給部からの二水素及び二窒素と混合され、供給部は、(残りの)反応器ガス混合物を含む、二水素及び二窒素を反応器へ提供する。したがって、実施形態において、再循環ガス流は供給ガス流を含むことができ、すなわち、再循環ガス流の経路は供給ガス流の経路を含むことができる。
【0124】
バイパスガス流は、再循環ループから、特にコネクタから、反応器へ反応器ガス混合物を提供する。実施形態において、バイパスガス流は、特にバイパス入口を介して、直接反応器に反応器ガス混合物を提供することができる。さらなる実施形態において、バイパスガス流は、供給入口を介して反応器に反応器ガス混合物を提供することができる。したがって、バイパスガス流と供給ガス流が部分的に重なることがある。
【0125】
反応器出口ガス流は、反応器から再循環ループへ、特にコネクタへ反応器ガス混合物を提供する。
【0126】
さらなる実施形態において、ガス流装置は、換気装置、特にバイパスに配置されたバイパス換気装置を含むことができる。
【0127】
さらなる実施形態において、コントローラは、ガス流装置を制御するように構成することができる。
【0128】
さらなる実施形態において、ガス流装置は、第1の動作モードにおいて、少なくとも供給ガス流、反応器出口ガス流、分離ガス流、及び再循環ガス流を提供するように構成することができる(又はコントローラは、ガス流装置をこのように制御するように構成することができる)。さらなる実施形態において、ガス流装置は、第2の動作モードにおいて、少なくとも反応器出口ガス流及びバイパスガス流を提供するように構成することができる(又はコントローラは、ガス流装置をこのように制御するように構成することができる)。
【0129】
バイパスガス流は第2の動作モード中の温度の有益な均質化を提供することができる。特に、特に熱交換器及びその高温貯蔵媒体と組み合わせて、このとき熱分布を能動的に制御することができるので、(例えば簡素な種類の換気装置によって)生成物ガスを再循環させる方がよいことがある。あるいは、供給ガス流及び分離ガス流のみをオフに切り替えることもできるが、この結果、第2の動作モード中に温度が不均一になる可能性がある。熱交換器によって温度が制御される(低エネルギーコストの)バイパスガス流が好ましいことがある。
【0130】
実施形態において、このシステムはハーバーボッシュプラントを含むことができる。特に、本発明は、次の特徴の1又は2以上を有することができる修正されたハーバーボッシュプラントを提供することができる。(i)グリッド状に接続された1又は2以上のハーバーボッシュ反応器床。(ii)すべての反応器を合わせた総能力を、最高の再生可能エネルギー生成で必要とされるピークアンモニア生成と同じくらい高くすることができる。これは、例えば、平均生成能力の約8倍になることがある。(iii)反応がNH3側にシフトすることになり、これによりいくらかの追加の熱を放出することができるため、反応器床の1又は2以上が温度をいくらか下げることが許容され得る。(iv)ポンプ又は換気装置、特にガス流装置を稼働させる電気は、近くのバッテリ、又はH2生成とバッテリ貯蔵とを組み合わせたバトライザから利用可能であり得る。再循環ポンプには多くのエネルギーが必要とされないことがある。電気は、特に供給部に、例えば入口ガス流に配置されたコイルを加熱することによって、温度を高く保つのを助けることもできる。主にエネルギーを消費するH2及びN2圧縮機給送部は、H2生成がなく、反応器ガス混合物の再循環だけがあるとき、第2の動作モード中に稼働することが必要とされないことがあり、すなわち、達成可能な供給速度Saが本質的にゼロであれば、圧縮機給送部を活動中にする必要性がない。反応器ガス混合物からアンモニアを分離するための冷却トラップは、第2の動作モード中、(本質的に)負荷を有することがないことがある。
【0131】
実施形態において、このシステムは中間二水素貯蔵庫を含むことができる。少量のH2生成が利用可能であれば、中間二水素貯蔵庫をまず充填することができ、次いで第2の動作モードで中間貯蔵庫から(バッチ式又は連続的に)反応器を充填することができる。したがって、このシステムは、第2の動作モード中にバッチ式で二窒素及び二水素を提供するように構成することができる。
【0132】
特に、このシステムはこれらの利点の1又は2以上を提供することができる。すなわち、オフピーク時間中(本質的に第2の動作モード中)にアンモニア反応触媒を動作可能に保つことができる。エネルギーを消費する圧縮機給送部はオフピーク時間中にオフに切り替えることができる。オフピーク時間中には、低エネルギーガス循環ポンプ、特にガス流装置のみが反応器ガス混合物を圧送するために必要とされることがある。実施形態において、低エネルギー液体循環ポンプも、温度貯蔵媒体、特に溶融塩を圧送するために必要とされることがある。
【0133】
実施形態において、このシステム、特にコントローラは、本明細書に記載のような方法を実行するように構成することができる。
【0134】
実施形態において、このシステムは複数の反応器を含むことができ、特に各反応器はそれぞれの熱交換器に機能的に接続され、特に各反応器はそれぞれの温度貯蔵媒体に機能的に接続され、特に各反応器はそれぞれのバイパスに機能的に接続され、特に各反応器はそれぞれの分離器に機能的に接続されている。
【0135】
さらなる実施形態において、このシステムは、特に第2の動作モード中に反応器状態を目標温度の近くに保つため、熱損失を最小にするように構成することができる。さらなる実施形態において、このシステムは断熱材を含むことができる。
【0136】
したがって、実施形態において、このシステムは複数の反応器を含むことができ、このシステムは、熱損失を最小にして、第2の動作モード中に反応器状態を目標温度の近くに維持するように構成されている。
【0137】
本明細書に記載の実施形態は本発明の単一の態様に限定されない。例えば、第1及び/又は第2の動作モードに関する方法を記載している一実施形態は、例えば、システムの第1及び/又は第2の動作モードにも適用することができる。同様に、冷却器及び/又は抽出のような、分離器を記載しているシステムの一実施形態は、例えば、この方法にさらに適用することができる。
【0138】
「上流」及び「下流」という用語は、基準位置からのガス流の伝播に対する品目又は特徴の配置に関し、ガス流内の第1の位置に対して、基準位置により近いガス流の第2の位置が「上流」であり、基準位置からより遠いガス流内の第3の位置が「下流」である。
【0139】
このシステムは、例えば発電所、風力発電所、太陽光発電所、ハーバーボッシュプラント、アンモニアプラント、及び輸送施設の一部とすることができ、又はこれらにおいて適用することができる。実施形態において、このシステムは電力網に接続することができる。さらなる実施形態において、このシステムは、電力網から独立して動作するように構成することができる。
【0140】
実施形態において分離器ガス混合物から不活性物質を一掃するパージガス流があることになり、すなわちこのシステムは、再循環ガス流から不活性物質を一掃するように構成されたパージユニットを含むことができる。パージユニットによって一掃される不活性物質は、これらの不活性物質の痕跡を含有する可能性がある分離器から来るN2供給から生じるAr及びCH4を含むことがある。実施形態において、パージユニットは、システムの動作中、システムに連続的に入る不活性物質の量に等しい量の不活性物質を除去するように構成することができ、すなわち、パージユニットは、事前定義された(最大)濃度に不活性物質を維持するように構成することができる。例えば、動作中、特に第1の動作モードにおいて、再循環ガス流183の1~10%をパージユニット190に向けることができ、これによって不活性物質の(およそ)1~10%を再循環ガス流183から連続的に除去する。パージ流を介して放出された水素は、水素回収システムを用いて回収して水素入口流に追加することができ、すなわち、パージユニットは、パージガス流から二水素を回収するように、そして供給部に、特に中間二水素貯蔵庫に、又は特に圧縮機給送部に二水素を供給するように構成された水素回収システムを含むことができる。特に、動作中、再循環ガス流をパージユニットに向けて送ることができ、パージユニットは(パージガス流において)システムから不活性物質を一掃し、パージユニットは、二水素を含む回収ガス流を供給部に提供する。実施形態において、パージユニットは特に圧力スイング吸着システムを含むことができ、これは特に、二水素を回収するように構成することができる。パージ及び水素回収は当該技術において知られており、例えばM. Appl, Ammonia, 2. Production processes, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, Germany, 2006 DOI: 10.1002/14356007.o02_o11を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0141】
添付の概略図を参照して、単に例として、本発明の実施形態を次に説明するが、対応する参照記号が対応する部分を示す。
【
図1C】動作中の本発明の方法及びシステムの実施形態を概略的に示す。
【
図2B】複数の反応器床を含むシステムの実施形態を概略的に示す。 概略図は必ずしも一定の縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0142】
図1A~Bは本発明による方法10及びシステム100の実施形態を概略的に示す。具体的には、
図1Aは第1の動作モード20での方法10及びシステム100の実施形態を示す一方、
図1Bは第2の動作モード30での方法10及びシステム100の実施形態を示す。
図1A~Cはアンモニア生成のための方法10及びシステム100の実施形態を概略的に示す。システム100は、二窒素及び二水素の供給部110、反応器120、再循環ループ130、分離器140、生成物出口150、及びコントローラ170を含むことができる。方法10は、二水素と二窒素115、特に二水素と二窒素の混合物を反応させて、反応器120にアンモニアを形成することを含むことができる。図示の実施形態において、(多段)圧縮機給送部114は二水素及び二窒素を圧縮する。方法10は、反応器120から再循環ループ130へ反応器ガス混合物125を提供することをさらに含むことができる。再循環ループ130は分離器140を含む、又はこれに機能的に接続することができる。再循環ループは、特に圧縮機給送部114を介して、反応器ガス混合物125の少なくとも一部を再循環ループ130から反応器120へ提供する(戻す)ことができる。方法10は第1の動作モード20と第2の動作モード30との間の切り替えを含むことができる。したがって、実施形態において、再循環ループ130は圧縮機給送部114に機能的に接続することができ、特に再循環ループ130は、再循環ガス流183を介して圧縮機給送部114に(残りの)反応器ガス混合物125を提供するように構成されている。特に、再循環ループ130は、(残りの)反応器ガス混合物125を適切な段階で多段圧縮機給送部114に提供するように構成することができ、すなわち、圧縮機給送部は、N
2とH
2の混合物のガス圧を複数の段階に沿って連続的に増加させることができ、残りの反応器ガス混合物は、それぞれの中間貯蔵庫によって提供されるN
2及びH
2より高いガス圧であるが、供給ガス流のガス圧より低いガス圧を有することができ、したがって残りの反応器ガス混合物を適切な段階で多段圧縮機給送部114に提供してこれをさらに加圧することができる。
図1Aは第1の動作モード20を概略的に示す。第1の動作モード20において二水素及び二窒素115が、特に供給ガス流181を介して反応器120に供給される。反応器ガス混合物125は、再循環ループ130を介して、特に反応器出口ガス流185及び分離ガス流182を介して、反応器120から分離器140へ提供することができる。分離器140は、アンモニアの第1の部分F
1を反応器ガス混合物125から生成物出口150へ提供することができる。特に、分離器140は反応器ガス混合物125を冷却して生成物出口150に液体アンモニア141を提供することができ、これは特に分離器140の底部から抽出することができる。残りの反応器ガス混合物145は、特に再循環ガス流183を介して、反応器120の入口流のために分離器140から圧縮機給送部114へ提供する(戻す)ことができる。
【0143】
図1Bは第2の動作モード30を概略的に示す。第2の動作モード30において分離器140はアンモニアの第2の画分F
2を反応器ガス混合物125から生成物出口150へ提供することができる。特に、第2の動作モード中、分離器140は生成物出口150にアンモニアを本質的に提供することがなく、すなわち、F
2は本質的に0である可能性がある。図示の実施形態において、分離器140は再循環ループ130及び生成物出口150に対して部分的に閉鎖される可能性がある。いくらかの液体アンモニア141が第2の動作モード中にまだ形成され得るため、いくらかの液体アンモニア141が分離器140の底部に集まる可能性がある。第2の動作モードにおいて、反応器ガス混合物125は特に、(分離器)バイパス132を介して、特にバイパスガス流184を介して、特にバイパス換気装置を用いて、再循環ループ130から反応器120へ提供することができる。したがって、図示の実施形態において再循環ループ130は、反応器ガス混合物125の、例えば≧97%、特に≧98%、例えば≧99%、100%を含む、本質的にすべてを、特にバイパス132を介して、第2の動作モード30中、反応器120に提供する。
【0144】
したがって、実施形態においてこのシステム100は、(分離器)バイパス132に配置されたバイパス換気装置を含むことができる。バイパス換気装置は、ガス流、特に反応器ガス流及びバイパスガス流を含むガス流を提供するように配置することができる。このようなガス流は、特に第2の動作モード中、停滞ガス混合物を防止するのに有益である可能性があり、これはさもなければ温度制御に有害である可能性がある。
【0145】
したがって、実施形態において、第1の画分F1は第2の画分F2より大きく、特に第1の画分F1≧5%であり、第2の画分F2≦3%である。
【0146】
方法10は、反応器120への二水素の利用可能性に応じた、第1の動作モード20と第2の動作モード30との間の切り替えをさらに含むことができる。図示の実施形態は、再生可能エネルギー源40、具体的には風車をさらに示す。さらなる実施形態において、再生可能エネルギー源40は、例えば、ソーラーパネルを含むこともできる。さらなる実施形態において、システム100は全体的電力網に接続することができる。視覚化の目的のため、再生可能エネルギー源40は
図1Aにおいて風力エネルギーを収集しており、方法10及びシステム100は第1の動作モード20で動作する。対照的に、再生可能エネルギー源40は
図1Bにおいて静止しており(出力が無視でき)、方法10及びシステム100は第2の動作モード30で動作する。さらなる実施形態において、再生可能エネルギー源40は、例えば、ソーラーパネルを含むことができる。再生可能エネルギーは、例えば、太陽光及び/又は風力を含む、様々な可変源が接続されている電力網を介して到着することもできる。
【0147】
再生可能エネルギー源40は断続的にエネルギーを供給することができ、すなわち、再生可能エネルギーの利用可能性は気象条件に応じて変化し得る。さらに、再生可能エネルギーの利用可能性は消費者のエネルギーニーズによって変化し得る。実施形態において、方法10は、例えば、(したがって)年間の動作時間の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、特に少なくとも70%、例えば少なくとも80%、反応器120を第2の動作モード30で動作させることを含むことができる。
【0148】
実施形態において、反応器100は、二水素及び二窒素のアンモニアへの変換を触媒するように構成されたアンモニア合成触媒121を含むことができる。
【0149】
実施形態において、再循環ループ130は、反応器120とバイパス132との間及び/又は反応器120と分離器140との間に配置されたコネクタ131を含むことができる。コネクタ131は特に再循環ループ130の一部分とすることができる。コネクタ131は、分離器140とバイパス132との間で反応器ガス混合物125を分配するように構成することができる。再循環ループ130、特にコネクタ131は、反応器ガス混合物の流れがバイパス132へ向かうか及び/又は分離器140へ向かうかを制御するように構成された弁を含むことができる。図示の実施形態において、再循環ループ、特にコネクタは三方弁を含む。
【0150】
実施形態において、反応器入口に、特に供給ガス流181に沿って、熱交換器133を配置することができる。
【0151】
さらなる実施形態において、再循環ループに、特に反応器出口ガス流185に沿って、熱交換器133を配置することができる。
【0152】
図示の実施形態において、熱交換器133は供給ガス流181と反応器出口ガス流185の交点に配置されている。
【0153】
実施形態において、第1の動作モード20は、反応器120から、及び/又は再循環ループ130から、特にこれを介して、及び/又は圧縮機給送部114から温度貯蔵媒体160へ熱を提供することを含むことができる。さらなる実施形態において、第1の動作モード20は、反応器120から、及び/又は再循環ループ130から、特にこれを介して、及び/又は熱交換器133から供給ガス流へ熱を提供することを含むことができる。図示の実施形態において、圧縮機給送部114、反応器120、及び再循環ループ130から、具体的には反応器出口ガス流185から、温度貯蔵媒体160及び供給ガス流181へ熱が提供される。特に、供給ガス流181、温度貯蔵媒体160及び反応器出口ガス流185の間で熱交換器133を介して熱が交換される。
【0154】
さらなる実施形態において、熱交換器は3流熱交換器を含むことができ、第1の流れが供給ガス流を含み、第2の流れが反応器ガス流を含み、第3の流れが溶融塩(流)を含む。
【0155】
さらなる実施形態において、第2の動作モード30は、温度貯蔵媒体160から反応器120へ及び/又は再循環ループ130へ熱を提供することを含むことができる。図示の実施形態において、第2の動作モード30は、温度貯蔵媒体160から再循環ループ130へ、特に反応器出口ガス流185へ、及び供給ガス流181へ熱を提供することを含む。第2の動作モード30での熱の提供は受動的プロセスである可能性があり、すなわち、温度貯蔵媒体160はバッファとして作用することができる。さらなる実施形態において、方法10は、温度貯蔵媒体160から反応器120へ及び/又は再循環ループ130へ熱を提供することによって反応器120内の反応器温度TRを制御することを含むことができ、特に反応器温度TR≧150℃である(に制御される)。
【0156】
実施形態において、コントローラ170は、温度貯蔵媒体160から再循環ループ130へ及び/又は反応器120へ熱を提供することによって、特にこの熱の提供を制御することによって、反応器内の反応器温度TRを制御するように構成することができる。
【0157】
さらなる実施形態において、温度貯蔵媒体160は溶融塩を含むことができる。溶融塩は熱交換器133の周りでこれを通して圧送することができるため、溶融塩の使用は有益である可能性がある。例えば、
図1Aにおいて温度貯蔵媒体160に機能的に接続された熱交換器133は供給ガス流181に沿って配置され、これによって加熱することができる。しかしながら、
図1Bに示す第2の動作モードにおいて、熱交換器133は特に再循環ループ130で加熱するために使用することができる。熱交換器はしたがって、3つのシステム要素、特に流れ、すなわち供給ガス流181、反応器出口ガス流185、及び温度貯蔵媒体160の間で熱を交換するように構成することができる。
【0158】
図示の実施形態において、方法10は、特に再生可能エネルギー源40からの、再生可能エネルギーの利用可能性に応じて、電解槽111を用いて二水素を生じさせることを含む。図示の実施形態において、電解槽111は、二水素を(一時的に)貯蔵するように構成された中間二水素貯蔵庫112に、生じさせた二水素を提供する。さらなる実施形態において、電解槽111と中間二水素貯蔵庫112との間に空気浄化システムを配置することができ、空気浄化システムは、中間二水素貯蔵庫112に提供される二水素を浄化するように構成されている。
【0159】
中間二水素貯蔵庫112は圧縮機給送部114に機能的に接続することができる。圧縮機給送部114は二窒素貯蔵庫113にさらに機能的に接続することができる。特に、圧縮機給送部114は加圧二窒素及び二水素115を反応器120に提供することができる。
【0160】
さらなる実施形態において、電解槽111は、圧縮機給送部114に及び/又は反応器120に、特に圧縮機給送部114に二水素を提供することができる。
【0161】
図示の実施形態において、圧縮機給送部114は多段圧縮機給送部を含み、各連続段は、圧力をさらに上昇させるように構成することができる。したがって、再循環ガス流183は依然としていくらか加圧されることになるため、再循環ガス流183は後の段階(図において第2/最後の段階)に提供することができる。
【0162】
図示の実施形態において、このシステムは、再循環ガス流183から不活性物質を一掃するように構成されたパージユニット190をさらに含む。具体的には、再循環ガス流183(の一部)を、パージガス流186を介して、特に(三方)弁(図示せず)を介してパージユニット190に向けることができる。不活性物質が反応しないときに蓄積することがあるため、パージユニットは特に、システムから不活性物質を除去するように構成することができる。特に、パージユニットは、システムからアルゴン及びメタンを除去するように構成することができる。さらなる実施形態において、パージユニット190は、パージガス流186から二水素を回収するように、そして供給部に、特に中間二水素貯蔵庫112に、より具体的には空気浄化システムに、又は特に圧縮機給送部114に、回収された水素ガス流187を介して二水素を提供するように構成された水素回収システムを含むことができる。図示の実施形態において、回収された水素ガス流187は回収された二水素をパージユニット190から中間二水素貯蔵庫112へ提供する。代替の実施形態において、回収された水素ガス流187は回収された二水素をパージユニット190から圧縮機給送部114へ提供することができる。回収された二水素ガス流187のガス圧は中間二水素貯蔵庫112のガス圧とは異なる可能性があり、これは回収された二水素を圧縮機給送部114に直接提供するときに考慮しなければならないので、動作を容易にするため、回収された二水素を中間二水素貯蔵庫112に提供することが好ましいことがある。
【0163】
さらなる実施形態において、システム100は、(i)供給部110から反応器120への供給ガス流181、(ii)再循環ループ130から、特にコネクタ131から、分離器140への分離ガス流182、(iii)特に図示の実施形態のように供給部110を介した、分離器140から反応器120への再循環ガス流183、(iv)特に本質的に分離器140を回避する、再循環ループ130から反応器120へのバイパス132を介したバイパスガス流184、(v)反応器120から再循環ループ130への、特にコネクタ131への反応器出口ガス流185、(vi)再循環ループ130からパージユニット190へのパージガス流186、及び(vii)パージユニット190から中間二水素貯蔵庫112への回収された二水素ガス流187、の1又は2以上を提供するように構成されたガス流装置180を含むことができる。
【0164】
したがって、
図1Aに示す、第1の動作モードにおいて、ガス流装置180は、供給部110から反応器120への供給ガス流181であって、特に熱交換器133を通過し、これによって温度貯蔵媒体160に熱を提供する、供給ガス流181と、反応器からコネクタへの反応器出口ガス流185であって、特に熱交換器133を通過し、これによって温度貯蔵媒体160に熱を提供する、反応器出口ガス流185と、コネクタ131から分離器への分離ガス流182と、分離器140から反応器120への、特に供給部110を介した、より具体的には圧縮機給送部114を介した再循環ガス流183と、を提供するように構成することができ、再循環ガス流183と供給ガス流181は合流/部分的に重複する。さらなる実施形態において、動作の(少なくとも一部の)間、ガス流装置180は、再循環ループ130からパージユニット190へパージガス流186を提供するように構成することができる。加えて、ガス流装置180は、動作の(少なくとも一部の)間、パージユニット190から中間二水素貯蔵庫112へ、回収された二水素ガス流187を提供するように構成することができる。
【0165】
対照的に、
図1Bに示す、第2の動作において、ガス流装置180は、反応器からコネクタへの反応器出口ガス流185であって、特に熱交換器133を通過し、これによって温度貯蔵媒体160から熱を回収する、反応器出口ガス流185と、コネクタ131から反応器120へのバイパスガス流184であって、特に熱交換器133を通過し、これによって温度貯蔵媒体160から熱を回収する、バイパスガス流184と、を提供するように構成することができる。
【0166】
さらなる実施形態において、圧縮機給送部114はガス流装置180とすることができ、すなわち、圧縮機給送部114は加圧ガスを提供し、これによってこれらのガス流の1又は2以上をシステム100に提供することができる。さらなる実施形態において、このシステムは圧縮機給送部114及び追加のガス流装置180を含むことができる。
【0167】
実施形態において、コントローラ170は、本明細書に記載のような方法10を実行するように構成することができ、すなわち、コントローラ170は、本明細書に記載のような方法10を実行するようにシステム100を制御することができる。
【0168】
図示の実施形態において、反応器120は複数の反応器床122を含む。具体的には、図示の実施形態において反応器は複数の順次配置された反応器床122を含む。
【0169】
実施形態において、方法10は、順次配置された反応器床122に沿って温度勾配を提供することを含むことができ、順次配置された反応器床122の第1の反応器床122、1221が第1の床温度TB1を有し、順次配置された反応器床122の最後の反応器床122、122nが最後の床温度TBnを有し、TB1>TBnである。図示の実施形態において、各反応器床122を弁と機能的に接続することにより、二水素及び二窒素115が熱交換器133を通過することなく二水素及び二窒素115を提供することが可能になり、これにより、反応器120内の温度制御のためのより多くの選択肢、並びに圧力を制御するより多くの選択肢を提供することができる。例えば、弁は、上流の床におけるNH3形成からの圧力損失を補償するためのものとすることができる。したがって、実施形態において、各反応器床122をそれぞれの床供給入口と機能的に接続することができ、特にそれぞれの床供給入口は(二方)弁を含む。
【0170】
図1Cは本発明による方法10及びシステム100の一実施形態を概略的に示す。特に、供給部、特に圧縮機給送部114は、N
2及びH
2を受け取り、これらを圧縮して供給ガス混合物181を反応器120に提供する。反応器120において、N
2及びH
2が反応してNH
3を形成する。反応器は、反応器ガス混合物を含む反応器出口ガス流185を提供する。反応器出口ガス流185は、分離器140への分離ガス流182に向けることができ、及び/又はバイパスガス流184に向けて(分離器)バイパス132に沿って進むことができる。
【0171】
分離器140は反応器ガス混合物からNH3を分離して生成物出口150に(液体)NH3を提供することができる。分離器は、残りの反応器ガス混合物145を含む再循環ガス流183を圧縮機給送部114にさらに提供することができる。特に、圧縮機給送部114は、再循環ガス流183を適切な(後の)圧縮機段で受け取るように構成された多段圧縮機給送部を含むことができる。さらに、再循環ガス流はパージユニット190(図示せず)に向けることができる。
【0172】
バイパスガス流184は、バイパス132を介して反応器120に反応器ガス混合物125を戻すことができる。さらに、図示の実施形態において、バイパスガス流184は、バイパスガス流184と温度貯蔵媒体160との間で熱を交換するように構成された熱交換器133を通過することができる。
【0173】
図2A~Bは、システムが複数の反応器120を含むシステム10の実施形態を概略的に示す。複数の反応器の利点は、二水素の供給レベルに応じて、1又は2以上の反応器を動作モード1で、そして残りを動作モード2で動作させることができるということであり得る。この結果、ゼロと一定の最大値との間の水素の変化する利用可能性を扱う動作上の柔軟性が大きくなる。
【0174】
図2Aに示す実施形態において、各反応器120はそれぞれの熱交換器133及び対応する温度貯蔵媒体に機能的に接続されている。しかしながら、3つの反応器120は、同じ分離器140及び生成物出口150に機能的に接続されている。再循環ループ130は反応器120間で部分的に共有され、反応器固有の部分に部分的に分離されている。
【0175】
さらなる実施形態において、複数の反応器120は単一の温度貯蔵媒体160に機能的に接続することができる。
【0176】
さらなる実施形態において、複数の反応器120のそれぞれをそれぞれの分離器140に機能的に接続することができる。
【0177】
さらなる実施形態において、複数の反応器120は、異なる圧力及び/又は温度、特に温度で動作するように構成することができる。
【0178】
したがって、実施形態において、複数の(順次配置された)反応器を異なる温度で動作するように構成することができ、少なくとも1つの反応器内で複数の(順次配置された)反応器床を異なる温度で動作するように構成することができる。
【0179】
図2Bは、複数の反応器120を一緒に詰めて熱損失を最小にする一実施形態を概略的に示す。加えて、反応器120を温度貯蔵媒体160によって全方向に囲んで反応器内の熱損失をさらに最小にしている。
【0180】
したがって、実施形態において、このシステムは複数の反応器を含むことができ、複数の反応器を一緒に詰め、すなわち、近接して配置して、これらの環境への熱損失を最小にしている。
【0181】
「複数」という用語は2又は3以上を指す。さらに、「複数の」及び「いくつかの」という用語は交換可能に用いることができる。
【0182】
本明細書における「実質的に」又は「本質的に」という用語、及び同様の用語は、当業者によって理解されよう。「実質的に」又は「本質的に」という用語は、「全体的に」、「完全に」、「すべて」などを伴う実施形態も含むことができる。したがって、実施形態において形容詞的な実質的に又は本質的には除去することができる。該当する場合、「実質的に」という用語又は「本質的に」という用語は、90%以上、例えば95%以上、特に99%以上、さらに具体的には99.5%以上に関し、100%を含むことができる。また、「約」及び「ほぼ」という用語は、90%以上、例えば95%以上、特に99%以上、さらに具体的には99.5%以上に関し、100%を含むことができる。数値について「実質的に」、「本質的に」、「約」、及び「ほぼ」という用語は、指す値の90%~110%、例えば95%~105%、特に99%~101%の範囲に関し得るということが理解されるべきである。
【0183】
「含む」という用語は、「含む」という用語が「からなる」を意味する実施形態も含む。
【0184】
「及び/又は」という用語は特に、「及び/又は」の前後に言及された項目の1又は2以上に関する。例えば、「項目1及び/又は項目2」という句及び同様の句は項目1及び項目2の1又は2以上に関し得る。「含む」という用語は一実施形態において「からなる」を指すことがあるが、他の一実施形態において「少なくとも定義された種及び任意選択で1又は2以上の他の種を含む」を指すこともある。
【0185】
さらに、説明における及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素間を区別するために用いられ、必ずしも連続的又は時系列の順序を説明するために用いられるわけではない。このように用いられる用語は適切な状況下で交換可能であるということ、そして本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示された以外の順序で動作することができるということが理解されるべきである。
【0186】
デバイス、装置、又はシステムは本明細書でとりわけ動作中を説明することができる。当業者に明らかとなるように、本発明は、動作の方法、又は動作中のデバイス、装置、若しくはシステムに限定されない。
【0187】
「さらなる実施形態」という用語及び同様の用語は、先に議論した実施形態の特徴を含む一実施形態を指すことがあるが、代替の一実施形態を指すこともある。
【0188】
上記の実施形態は本発明を限定するのではなく例示するということ、そして当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態を設計することが可能になるということが留意されるべきである。
【0189】
特許請求の範囲において、括弧の間に配置されたいかなる参照記号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【0190】
「含む」という動詞及びその活用形の使用により、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素又はステップの存在が排除されることはない。文脈により明確に別段必要とされない限り、説明及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(contain)」、「含む(containing)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的意味で、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0191】
要素に先行する「a」又は「an」という冠詞は、複数のこのような要素の存在を排除するものではない。
【0192】
本発明は、いくつかの個別の要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装することができる。いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項、又は装置の請求項、又はシステムの請求項において、これらの手段のいくつかをハードウェアの1つの同じ項目によって具現化することができる。いくつかの尺度が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの尺度の組み合わせを有利に用いることができないということを示すものではない。
【0193】
本発明は、このデバイス、装置、若しくはシステムを制御することができる、又は本明細書に記載の方法若しくはプロセスを実行することができる制御システム(「コントローラ」ともいう)も提供する。さらにまた、本発明は、このデバイス、装置、又はシステムに機能的に接続されている、又はこれに含まれるコンピュータ上で実行されると、このようなデバイス、装置、又はシステムの1又は2以上の制御可能な要素を制御するコンピュータプログラム製品も提供する。
【0194】
本発明はさらに、説明に記載した及び/又は添付の図面に示した特徴的な特徴の1又は2以上を含むデバイス、装置、又はシステムに適用される。本発明はさらに、説明に記載した及び/又は添付の図面に示した特徴的な特徴の1又は2以上を含む方法又はプロセスに関する。また、方法又はその方法の一実施形態が、デバイス、装置、又はシステムにおいて実行されて説明されていれば、そのデバイス、装置、又はシステムは、それぞれその方法又はその方法の実施形態(を実行すること)に適している、又はそのために構成されているということが理解されよう。
【0195】
「制御する」という用語及び同様の用語は特に、少なくとも要素の振る舞いを判定又は稼働を監督することを指す。したがって、本明細書では「制御する」及び同様の用語は例えば、例えば測定する、表示する、作動させる、開放する、シフトする、温度を変化させるなどのように、その要素に振る舞いを課すこと(要素の振る舞いを判定又は稼働を監督すること)などを指すことができる。それ以外に、「制御する」という用語及び同様の用語は監視することを追加で含むことができる。したがって、「制御する」という用語及び同様の用語は、要素に振る舞いを課すことと、要素に振る舞いを課してその要素を監視することも含むことができる。要素の制御は制御システムで行うことができ、これは「コントローラ」として示すこともできる。制御システム及びその要素はしたがって少なくとも一時的に、又は恒久的に、機能的に接続することができる。その要素は制御システムを含むことができる。実施形態において、制御システム及び要素は物理的に接続されていなくてもよい。制御は有線及び/又は無線制御を介して行うことができる。「制御システム」という用語は複数の異なる制御システムを指すこともでき、これらは特に機能的に接続され、その中の例えば1つの制御システムをマスター制御システムとすることができ、1又は2以上の他のものをスレーブ制御システムとすることができる。制御システムはユーザインターフェースを含む、又はこれに機能的に接続することができる。
【0196】
このシステム、又は装置、又はデバイスは、「モード」又は「動作モード」又は「動作のモード」で行為を実行することができる。同様に、方法において行為又は段階、又はステップを「モード」又は「動作モード」又は「動作のモード」又は「動作可能モード」で実行することができる。「モード」という用語は「制御モード」として示すこともできる。これは、このシステム、又は装置、又はデバイスを、他の制御モード、又は複数の他の制御モードを提供するように適合させることもできるということを排除するものではない。同様に、これは、そのモードを実行する前及び/又はそのモードを実行した後に1又は2以上の他のモードを実行することができるということを排除するものではない。
【0197】
しかしながら、実施形態において、少なくとも制御モードを提供するように適合された制御システムが利用可能であり得る。他のモードが利用可能であれば、このようなモードの選択は特にユーザインターフェースを介して実行することができるが、センサ信号又は(時間)スキームに応じてモードを実行するなどの他の選択肢も可能であり得る。動作モードは実施形態において、単一の動作モード(すなわち、さらなる調整可能性なく「オン」)でのみ動作することができるシステム、又は装置、又はデバイスを指すこともできる。
【0198】
追加の利点を提供するため、この特許において議論した様々な態様を組み合わせることができる。さらに、実施形態を組み合わせることができるということ、そして2より多くの実施形態を組み合わせることもできるということを、当業者は理解するであろう。さらに、特徴のいくつかは1又は2以上の分割出願のための基礎を形成することができる。
【国際調査報告】