(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】自立型の折り畳み可能なキックボード
(51)【国際特許分類】
A63C 17/01 20060101AFI20221212BHJP
B62K 17/00 20060101ALI20221212BHJP
B62K 15/00 20060101ALI20221212BHJP
B62K 5/05 20130101ALI20221212BHJP
【FI】
A63C17/01
B62K17/00
B62K15/00
B62K5/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520602
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 DE2020000232
(87)【国際公開番号】W WO2021063433
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】102019006930.7
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596179058
【氏名又は名称】ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】Mubea-Platz 1, D-57439 Attendorn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーマド オマリ
【テーマコード(参考)】
3D011
3D212
【Fターム(参考)】
3D011AA02
3D011AC01
3D212BA07
3D212BB03
3D212BB07
3D212BB10
3D212BB13
3D212BB26
3D212BB44
3D212BB53
3D212BB62
(57)【要約】
本発明は、折り畳み可能な自立型のキックボードに関する。本発明によるキックボードは、少なくとも3つの車輪(1)と、ステアリングコラム(2)と、踏み板(3)と、操作レバー(10)の短い操作後にキックボードを自立的にかつ完全に折り畳む、ばね負荷された折り畳み機構とを有しており、同期ロッド(9)によって、キックボードの重心点が少なくとも3つの車輪(1)の間に常に留まること、およびキックボードが自立的な折り畳みの間に転倒しないことが保証されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な自立型のキックボードであって、少なくとも3つの車輪(1)、ステアリングコラム(2)、踏み板(3)、少なくとも1つの前輪を取り付けるための前軸(4)、少なくとも1つの後輪を取り付けるための後輪懸架装置(5)、折り畳み機構であって、前記ステアリングコラム(2)を取り付けるための、および前記前軸(4)を取り付けるための装置を提供する前軸懸架装置(6)と、前記後輪懸架装置(5)が取り付けられている下底面(7)と、主底面(8)と、同期ロッド(9)と、折り畳み工程を開始させるための操作レバー(10)と、展開状態および/または折り畳み状態の維持を確保するための係止プレート(11)とから成る折り畳み機構を有しており、前記主底面(8)は、ヒンジ軸によって前記前軸懸架装置(6)に接続されており、前記下底面(7)は、ヒンジ軸によって前記主底面(8)に接続されていて、前記同期ロッド(9)は各端部で、ヒンジ軸またはジョイント接続部によって、前記前軸懸架装置(6)および前記下底面(7)に接続されている、キックボードにおいて、
前記同期ロッド(9)は、前記キックボードの重心点が、折り畳み工程中、常に、前記前輪と前記後輪との間に留まることを保証しており、前記下底面(7)および/または前記主底面(8)は、少なくとも1つのばねによって前記前軸懸架装置(6)に接続されていて、前記ばねはガススプリング(12)または機械的ばねであって、前記キックボードの折り畳みを完全に成し遂げるために機能することを特徴とする、キックボード。
【請求項2】
前記操作レバー(10)の操作によって、前記折り畳み機構はロック解除され、1つもしくは複数の前記ガススプリング(12)または1つもしくは複数の前記機械的ばねによって、前記キックボードの折り畳み工程が支援される、または完全に成し遂げられる、請求項1記載のキックボード。
【請求項3】
前記踏み板(3)は、前記下底面(7)または前記主底面(8)のいずれかに堅固に接続されていて、したがってそれぞれの構成において1つのユニットを形成する、請求項1または2記載のキックボード。
【請求項4】
前記キックボードは、前記踏み板(3)が折り畳まれることなくまたは分割されることなく、折り畳み可能であり、前記ステアリングコラム(2)は、15°の円錐の内側で垂直に留まり、すべての車輪(1)が常に接地していることが保証され、そして最後に折り畳み状態では、前記キックボードのホイールベースが50%以上減じられる、請求項1から3までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項5】
前記折り畳み機構のロック解除後、前記キックボードは、展開状態から折り畳み状態へと自立的に移行し、この際に、使用者は前記キックボードを保持する必要はなく、この際にキックボードが転倒することはない、請求項1から4までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項6】
前記主底面(8)と前記下底面(7)とは、前記キックボードが制御されずに折り畳まれることを阻止するために、ヒンジ接続の他に、係止機構によっても互いに堅固に接続可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項7】
前記前輪は、揺動軸によって、および/または前記車輪を操縦するための装置によって、前記前軸懸架装置(6)に取り付けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項8】
折り畳み状態および/または展開状態の維持を確保する固定機構を有しており、前記固定機構は、使用者が前記固定機構を操作した場合にのみ前記状態の変化を可能とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項9】
少なくとも1つの車輪が電動式である、請求項1から8までのいずれか1項記載のキックボード。
【請求項10】
前記係止プレート(11)は、ヒンジ軸によって前記下底面(7)に取り付けられていて、ばね負荷されており、前記操作レバー(10)によって、前記係止プレートのばね負荷に抗して回動可能であり、前記係止プレート(11)は、折り畳み状態では、折り畳み状態の維持を確保するために前記同期ロッド(9)に係合するように、かつ/または展開状態では、展開状態の維持を確保するために前記主底面(8)に係合するように、形成されており、前記操作レバー(10)を押すことによって、前記確保された状態のそれぞれを解除することができる、請求項1から9までのいずれか1項記載のキックボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能な自立型のキックボードに関する。折り畳み可能なキックボードは、2輪であれ、3輪であれ、移動手段の転換における重要な要素としてますますみなされている。多くのキックボードは、キックボードの搬送および収納を容易にする折り畳み機構を有している。
【0002】
従来技術では、折り畳み状態でのキックボードが自立的に立つことを保証できない単純な折り畳み機構が使用されている。したがって、従来の折り畳み可能なキックボードでは、折り畳み状態で、地面に横置きしなければならない、または物体に立て掛けなければならない。従来の折り畳み機構のさらなる欠点は、折り畳み状態で、台車機能が使用される場合、後輪が、路面の汚れと共に、直接、ハンドルレバーの領域もしくはハンドグリップの領域に入り込んでくることにある(例えば、独国特許発明第102011106561号明細書または欧州特許出願公開第2174860号明細書参照)。例えば、国際公開第002016176124号、国際公開第002018008869号、または仏国特許出願公開第2821331号明細書のような他の開示によれば、その実質的な構成部品がスライドエレメントである折り畳み機構によって、上述した問題が解決される。このような従来技術には、スライドエレメントが、ヒンジ軸よりも汚染に対して敏感であり、したがってより大きな摩耗を伴うという欠点がある。さらに、従来の折り畳み機構は、キックボードを完全に折り畳まれた状態へと移行させるために、しばしば多くの手動操作を要するという欠点を含んでいる。国際公開第2003/55747号および中国特許出願公開第108082372号明細書は、別の折り畳み可能なキックボードを開示しているが、その折り畳み機構は複雑に構成されている。
【0003】
本発明の課題は、上述した欠点を少なくとも部分的に解消するまたは少なくとも減じる、改善された折り畳み可能なキックボードを提供することである。この課題は請求項1に記載の特徴を備えた対象物により解決される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】キックボードの展開状態ないし折り畳み状態を示す図である。
【
図2】キックボードの個々の構成部品を示す図である。
【0005】
革新的な折り畳み機構の特徴を備えた、電動アシスト付きまたは電動アシストなしの少なくとも3輪のキックボードについて説明する。
図1に示したように、この折り畳み機構によって、展開状態および折り畳み状態の両方で、すべての車輪が常に地面に接することができ、この場合、キックボードの重心点は、常に車輪の間に位置している。したがって、キックボードは、各状態およびすべての中間状態で自立的に立つことができる。これにより、キックボードの収納性に関して大きな利点が得られ、例えば台車として、快適に搬送することができる。
【0006】
本明細書で説明する折り畳み機構のさらに特別な点は、足で操作することができる1つだけのレバーの操作を介して折り畳み機構を作動させることができることにある。レバーの操作により、ガススプリング(12)または機械的ばねが解放されて、このばねによって折り畳み機構が駆動され、ばね力に応じて、キックボードの完全な折り畳み状態が生成される。したがって、使用者は、キックボードを折り畳むために、地面にかがみ込む必要はなく、複数回の手動操作をする必要もない。
【0007】
特許請求されるキックボードは、
図2に示したように、以下の構成部品を含む:3つの車輪(1)、キックボードの前方領域におけるステアリングコラム(2)、踏み板(3)、前輪を取り付けるための前軸(4)、後輪を取り付けるための後輪懸架装置(5)、折り畳み機構であって、ステアリングコラム(2)を取り付けるための、および前軸(4)を取り付けるための装置を提供する前軸懸架装置(6)と、後輪懸架装置(5)が取り付けられている下底面(7)と、主底面(8)と、同期ロッド(9)と、折り畳み工程を開始させるための操作レバー(10)と、展開状態および/または折り畳み状態の維持を保証するためのばね負荷された係止プレート(11)とから成る折り畳み機構。
【0008】
主底面(8)は、ヒンジ軸によって前軸懸架装置(6)に接続されている。下底面(7)は、ヒンジ軸によって主底面(8)に接続されていて、同期ロッド(9)は各端部で、ヒンジ軸またはジョイント接続部によって、前軸懸架装置(6)および下底面(7)に接続されている。同期ロッド(9)は、キックボードの重心点が、折り畳み工程中、常に、前輪と後輪との間に留まることを保証している。
【0009】
付加的に、上記折り畳み機構は、主底面(8)と前軸懸架装置(6)との間に張設された1つまたは複数のガススプリング(12)を有している。代替的に、ガススプリング(12)は、前軸懸架装置(6)と下底面(7)との間に張設されていてもよい。ガススプリング(12)は、折り畳み機構を駆動するために機能する。この場合、使用者がキックボードを保持する必要なく、かつこの場合、キックボードが転倒することなく、同期ロッド(9)と共に、キックボードの自立的な折り畳みが可能となる。
【0010】
踏み板(3)は、使用者が走行中に立つ面である。この例では、踏み板(3)は主底面(8)に堅固に接続されていて、したがって1つの構成部分をなしている。これに対して代替的には、踏み板(3)は下底面(7)のみに接続される。
【0011】
展開状態では、主底面(8)と下底面(7)とは係止プレート(11)によって互いにロックされている。ロックとヒンジ接続とによって、主底面(8)と下底面(7)との間の堅固な接続が保証されている。これは、展開状態での走行中に、例えば、障害物を乗り越える際に、または道路の凹凸によって、折り畳み機構が制御されずに折り畳まれることがないようにするために必要である。
【0012】
操作レバー(10)が、例えば足で押されると、係止プレート(11)は主底面(8)から解除される。これに続いて、ガススプリングが主底面(8)を上方に押すことによって、ガススプリング(12)は折り畳み機構を折り畳むことができる。この場合、同期ロッド(9)は、後輪懸架装置(5)および後輪を含む下底面(7)を、前軸懸架装置(6)の方向に引っ張る、または代替的に、前軸懸架装置(6)を後輪懸架装置(5)の方向に引っ張る。したがって、キックボードは自立的に展開状態から折り畳み状態へと移行し、この場合、キックボードの重心点は常に、車輪の間に留まり、折り畳みの際にキックボードが転倒することは阻止される。
【0013】
さらに、ばね負荷された係止プレート(11)は、展開状態および折り畳み状態の両方で固定機構として機能し、使用者が操作レバー(10)を押したときにだけ折り畳み機構がその状態を変化させることができることを保証する。係止プレート(11)は、ヒンジ軸によって下底面(7)に取り付けられていて、操作レバー(10)を押すことにより係止プレート(11)が回動させられるようにばね負荷されている。折り畳み状態の固定は、係止プレート(11)をばね負荷された状態で同期ロッド(9)に係合させることにより実現される(
図3参照)。展開状態の固定は、係止プレート(11)をばね負荷された状態で主底面(8)に係合させることにより実現される。各状態のロック解除は、操作レバー(10)を介して行われ、操作レバーは、係止プレート(11)をそのばね負荷に抗して回動させ、したがって係止プレート(11)の係合を、主底面(8)からおよび/または同期ロッド(9)から解放する。
【0014】
例として、本明細書では、2つの前輪および1つの後輪を備えたキックボードについて説明した。しかしながら、折り畳み機構は、このような構造に限定されるものではなく、1つの前輪および2つの後輪を備えたキックボードおよび/または車両、または2つの前輪および2つの後輪を備えたキックボードおよび/または車両でも使用することができる。
【国際調査報告】