(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】呼吸インタフェースアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522374
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 NZ2020050126
(87)【国際公開番号】W WO2021075982
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン,マシュー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リン,イ-ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘファーナン,ステファン フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ウォールズ,ブルース マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ヘイミッシュ ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ,プリヤンカー フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】スピアー,トニー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フィンドレー,ケーン ローガン
(57)【要約】
呼吸インタフェースアセンブリは、患者インタフェース及びヘッドギア装置を含む。インタフェースアセンブリのシール又はクッションが、封止及び/又は使用者の快適性を改善するように位置決め及び配置された肉厚化部分を含むことができる。ヘッドギア装置は、前頭部支持体が不要であるように鼻マスクに安定性を提供するように構成された接続装置により鼻マスクに接続可能であり得る。接続装置は、不適切な接続を阻止又は防止することができる。ヘッドギア装置は、外側布地及びプラスチックコアの複合構造を有する1つ又は複数の弾性ストラップを有することができる。外側布地は、編物であり得る。ヘッドギア装置の後部部分が、編みパネル又はスペーサファブリックパネルを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸インタフェースアセンブリであって、
使用者の気道と連通するように構成されたインタフェースであって、フレームを備え、前記フレームがポストを備え、前記フレームが開口部を画定し、前記ポストが前記開口部の一部を画定し、前記フレーム開口部が、対向する上部面及び下部面によって画定された幅狭部分を含み、前記幅狭部分が前記ポストに隣接して位置している、インタフェースと、
前記使用者の頭部において動作可能位置に前記インタフェースを固定するように構成されたヘッドギアであって、ベースと前記ベースから延在するフック部分とを有するクリップを備え、前記フック部分が前記フレームの前記ポストと係合するように構成されている、ヘッドギアと、
を備え、
前記フック部分が、前記幅狭部分のそれぞれの上部面及び下部面の形状に実質的に一致する上部面及び下部面を含み、それにより、前記フック部分が前記ポストと係合したとき、前記フック部分の前記上部面及び下部面が、前記幅狭部分の対向する前記上部面及び前記下部面のそれぞれと係合して、前記ポストの長手方向軸に垂直な軸を中心とする前記フレームに対する前記クリップの回転に抵抗する、呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項2】
前記フック部分の前記上部面と前記下部面との間の前記フック部分のセクションが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに空間にわたるような形状である、請求項1に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項3】
前記ポストと前記対向する上部面及び下部面とが、協働して空間を画定し、前記上部面と前記下部面との間の前記フック部分のセクションが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに前記空間の実質的に全体を占有する、請求項1に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項4】
前記対向する上部面及び下部面が互いに平行である、請求項1~3のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項5】
前記フック部分が、前記ポストに面する内面と、外面と、前記内面と前記外面との間の厚さとを画定し、前記厚さが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに前記対向する上部面と下部面との間に位置する部分において最大である、請求項1~4のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項6】
前記クリップの前記ベースが、前記幅狭部分の前記対向する上部面及び下部面に隣接する前記フレームの部分と接触して、前記ポストの長手方向軸を中心とする前記クリップの回転を制限するように構成されるように、前記フック部分の高さよりも大きい高さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項7】
前記ヘッドギアが、前記呼吸インタフェースから使用者の顔面の各側に沿って前記使用者の耳に向かって延在するように構成された少なくとも1つの半剛性側部ストラップと、前記使用者の顔面の第1側における前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップから前記使用者の第2側における前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップまで延在する少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップが、各側に分岐部分を含み、前記分岐部分の各々が、上部ストラップ部分及び下部ストラップ部分を有する、請求項7に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項9】
前記ヘッドギアが後部部分をさらに含み、前記後部ストラップ部分が、前記使用者の耳の高さよりも上方で前記後部部分に接続し、前記下部ストラップ部分が、前記使用者の耳の高さよりも下方で且つ前記耳の前方で前記後部に接続している、請求項8に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項10】
前記後部部分がスペーサファブリックパネルを備える、請求項9に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項11】
前記後部部分が、上部ストラップ及び下部ストラップをさらに備え、前記上部ストラップが前記下部ストラップよりも伸縮性が低い、請求項10に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項12】
前記後部部分が編みパネルを備える、請求項9に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項13】
前記編みパネルが、水平方向よりも垂直方向の方が伸縮性が低い、請求項12に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップと前記少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとのうちの一方又は両方が、布地内層と、布地外層と、内側プラスチック層とを含み、それらが、前記内側プラスチック層が前記布地内層と前記布地外層との間に溶融状態で導入され硬化することによって接合されている、請求項7~13のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項15】
前記布地内層及び前記布地外層が編物である、請求項14に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップが、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、前記第1半剛性側部ストラップ及び前記第2半剛性側部ストラップの各々が、前記クリップのうちの1つによって前記フレームに接続可能である、請求項7~15のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの半剛性頂部ストラップが、第1半剛性頂部ストラップ及び第2半剛性頂部ストラップを含み、前記第1半剛性頂部ストラップ及び前記第2半剛性頂部ストラップが、複数の利用可能な調整位置のうちの1つで互いに選択的に接続可能である、請求項7~16のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項18】
前記インタフェースが、前記使用者の一方又は両方の鼻孔の周囲を封止するように構成された鼻マスクシールを備え、前記鼻マスクシールが、開口部を画定する封止面を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項19】
前記鼻マスクシールの前記封止面によって画定された前記開口部が、約1.3~1.6の幅対高さ比を画定している、請求項18に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項20】
すべての利用可能なサイズにわたる前記鼻マスクシールの高さ範囲が、約47.8mm~57.8mmである、請求項18又は19に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項21】
前記鼻マスクシールがローリングブリッジ部分を備える、請求項18~20のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項22】
前記鼻マスクシールが、前記鼻マスクシールが剛性クリップ又はハウジングに固定されるリムを備え、前記ローリングブリッジ部分が、前記リムの後方縁部につながっている、請求項21に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項23】
前記鼻マスクシールが、前記鼻マスクシールが剛性クリップ又はハウジングに固定されるリムを備え、前記ローリングブリッジ部分が、前記リムの前方縁部につながっている、請求項21に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項24】
前記鼻マスクシールが、前記封止面と前記ローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドと、前記肉厚化バンドから前記鼻マスクシールの各側で前記開口部に向かって延在する一対の肉厚化バンドとをさらに備える、請求項21~23のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項25】
前記鼻マスクシールが、前記封止面と前記ローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドと、前記肉厚化バンドと前記開口部との中間であり且つ前記肉厚化バンドから間隔を空けて配置された一対の肉厚化パッドと、前記肉厚化バンドの一部と前記一対の肉厚化パッドのそれぞれの一部との間に延在する一対の接合パッドとをさらに備える、請求項21~23のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項26】
前記肉厚化バンドが、前記一対の肉厚化パッドよりも厚く、前記一対の肉厚化パッドが、前記一対の接合パッドよりも厚い、請求項25に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項27】
前記一対の肉厚化パッド及び前記一対の接合パッドが、各々、前記鼻マスクシールの内側の周囲を周縁方向に延在する長さを有し、前記一対の接合パッドの各々の長さが、前記一対の肉厚化パッドの各々の長さの約15%~50%、好ましくは約20%~45%、より好ましくは約25%~33%である、請求項25又は26に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項28】
前記一対の接合パッドの各々が、前記肉厚化バンドの一部と前記一対の肉厚化パッドのそれぞれの上部部分との間に延在している、請求項25~27のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項29】
前記一対の接合パッドが、前記鼻マスクシールの両側の前記鼻マスクシールの側壁に設けられ、前記一対の肉厚化パッドの少なくとも一部が、前記鼻マスクシールの前記封止面を画定する端壁に設けられている、請求項25~28のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項30】
前記鼻マスクシールが、一対の長尺状肉厚化部分を備え、前記一対の肉厚化部分が、各々、リムに又はリムに隣接する又はリムの近くの前記鼻マスクシールの側壁のそれぞれの下角部に又はそれぞれの下角部に隣接する又はそれぞれの下角部の近くの第1端部から、前記鼻マスクシールの前記封止面を画定する端壁の又は端壁に隣接する又は端壁の近くの第2端部まで延在している、請求項18~29のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項31】
前記一対の肉厚化部分が、前記第1端部から前記一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分に向かって互いに離れる方向に延びている、請求項30に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項32】
前記一対の肉厚化部分が、前記一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分から前記第2端部に向かって互いに近づく方向に延びている、請求項30又は31に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項33】
前記一対の長尺状肉厚化部分の各々が、それらのそれぞれの主面に実質的に垂直な方向に湾曲している、請求項30~32のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項34】
呼吸インタフェース用のヘッドギアであって、
前記呼吸インタフェースから使用者の顔面の各側に沿って前記使用者の耳に向かって延在するように構成された少なくとも1つの半剛性側部ストラップと、
前記使用者の顔面の第1側における前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップから前記使用者の顔面の第2側における前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップまで延在する少なくとも1つの半剛性頂部ストラップと、
を備える、ヘッドギア。
【請求項35】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップが、各側に分岐部分を含み、前記分岐部分の各々が、上部ストラップ部分及び下部ストラップ部分を有する、請求項34に記載のヘッドギア。
【請求項36】
前記ヘッドギアが後部部分をさらに含み、前記後部ストラップ部分が、前記使用者の耳の高さよりも上方で前記後部部分に接続し、前記下部ストラップ部分が、前記使用者の耳の高さよりも下方で且つ前記耳の前方で前記後部に接続している、請求項35に記載のヘッドギア。
【請求項37】
前記後部部分がスペーサファブリックパネルを備える、請求項36に記載のヘッドギア。
【請求項38】
前記後部部分が、上部ストラップ及び下部ストラップをさらに備え、前記上部ストラップが前記下部ストラップよりも伸縮性が低い、請求項37に記載のヘッドギア。
【請求項39】
前記後部部分が編みパネルを備える、請求項36に記載のヘッドギア。
【請求項40】
前記編みパネルが、水平方向よりも垂直方向の方が伸縮性が低い、請求項39に記載のヘッドギア。
【請求項41】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップと前記少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとのうちの一方又は両方が、布地内層と、布地外層と、内側プラスチック層とを含み、それらが、前記内側プラスチック層が前記布地内層と前記布地外層との間に溶融状態で導入され硬化することによって接合されている、請求項34~40のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項42】
前記布地内層及び前記布地外層が編物である、請求項41に記載のヘッドギア。
【請求項43】
前記少なくとも1つの半剛性ストラップが、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、前記第1半剛性側部ストラップ及び前記第2半剛性側部ストラップが、複数の利用可能な調整位置のうちの1つで互いに選択的に接続可能である、請求項34~42のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項44】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップが、半剛性プラスチックコアと射出成形された少なくとも1つの管状編み構造体から形成されている、請求項34~42のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項45】
前記頂部ストラップ、前記少なくとも1つの側部ストラップの前記上部ストラップ部分及び前記下部ストラップ部分のうちの少なくとも1つが、プラスチックコアと射出成形され、オーバーモールドされた接合部分によって前記少なくとも1つの側部ストラップに接合された、別個の管状編み構造体を含む、請求項35に直接又は間接的に従属する場合の請求項44に記載のヘッドギア。
【請求項46】
請求項34~43のいずれか一項に記載のヘッドギアと、
使用者の気道と連通するように構成されたインタフェースと、
を備える、呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項47】
前記インタフェースが、ポストを有するフレームを備え、前記フレームが開口部を画定し、前記ポストが前記開口部の一部を画定し、前記フレーム開口部が、対向する上部面及び下部面によって画定された幅狭部分を含み、前記幅狭部分が前記ポストに隣接して位置しており、前記ヘッドギアが、ベースと前記ベースから延在するフック部分とを有するクリップを備え、前記フック部分が前記フレームの前記ポストと係合するように構成されており、前記フック部分が、前記幅狭部分のそれぞれの上部面及び下部面の形状に実質的に一致する上部面及び下部面を含み、それにより、前記フック部分が前記ポストと係合したとき、前記フック部分の前記上部面及び下部面が、前記幅狭部分の前記上部面及び前記下部面のそれぞれと係合して、前記ポストの長手方向軸に垂直な軸を中心とする前記フレームに対する前記クリップの回転に抵抗する、請求項46に記載の呼吸インタフェース。
【請求項48】
前記フック部分の前記上部面と前記下部面との間の前記フック部分のセクションが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに空間にわたるような形状である、請求項47に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項49】
前記ポストと前記対向する上部面及び下部面とが、協働して空間を画定し、前記上部面と前記下部面との間の前記フック部分のセクションが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに前記空間の実質的に全体を占有する、請求項47に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項50】
前記対向する上部面及び下部面が互いに平行である、請求項47~49のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項51】
前記フック部分が、前記ポストに面する内面と、外面と、前記内面と前記外面との間の厚さとを画定し、前記厚さが、前記フック部分が前記ポストと係合したときに前記対向する上部面と下部面との間に位置する部分において最大である、請求項47~50のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項52】
前記クリップの前記ベースが、前記幅狭部分の前記対向する上部面及び下部面に隣接する前記フレームの部分と接触して、前記ポストの長手方向軸を中心とする前記クリップの回転を制限するように構成されるように、前記フック部分の高さよりも大きい高さを有する、請求項47~51のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項53】
前記少なくとも1つの半剛性側部ストラップが、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、前記第1半剛性側部ストラップ及び前記第2半剛性側部ストラップの各々が、前記クリップのうちの1つによって前記フレームに接続可能であるように構成されている、請求項47~52のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項54】
前記インタフェースが、前記使用者の一方又は両方の鼻孔の周囲を封止するように構成された鼻マスクシールを備え、前記鼻マスクシールが、開口部を画定する封止面を有する、請求項46~53のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項55】
前記鼻マスクシールの前記封止面によって画定された前記開口部が、約1.3~1.6の幅対高さ比を画定している、請求項54に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項56】
すべての利用可能なサイズにわたる前記鼻マスクシールの高さ範囲が、約47.8mm~57.8mmである、請求項54又は55に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項57】
前記鼻マスクシールがローリングブリッジ部分を備える、請求項54~56のいずれか一項に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項58】
前記鼻マスクシールが、前記鼻マスクシールが剛性クリップ又はハウジングに固定されるリムを備え、前記ローリングブリッジ部分が、前記リムの後方縁部につながっている、請求項57に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項59】
前記鼻マスクシールが、前記封止面と前記ローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドをさらに備え、前記肉厚化バンドから前記鼻マスクシールの各側で前記開口部に向かって延在する一対の肉厚化バンドをさらに備える、請求項57又は58に記載の呼吸インタフェースアセンブリ。
【請求項60】
呼吸インタフェースアセンブリ用のクッションであって、
前記呼吸インタフェースアセンブリのハウジングに取り付けられるか又は取り付けられるように構成されたリムと、
前記リムから延在する弾性側壁と、
前記弾性側壁から内側に延在する弾性端壁であって、使用時に、使用者の顔面と封止する封止面と、前記使用者の鼻及び/又は口を受け入れる開口部とを画定する弾性端壁と、
前記側壁内の肉厚化バンドと、
前記肉厚化バンドと前記開口部の中間であり、前記肉厚化バンドから間隔を空けて配置された一対の肉厚化パッドと、
前記肉厚化バンドのそれぞれの部分と前記一対の肉厚化パッドのそれぞれの一部との中間の一対の接合パッドと、
を備える、クッション。
【請求項61】
前記肉厚化バンドが、前記一対の肉厚化パッドよりも厚く、且つ/又は、前記一対の肉厚化パッドが、前記一対の接合パッドよりも厚い、請求項60に記載のクッション。
【請求項62】
前記一対の肉厚化パッド及び前記一対の接合パッドが、各々、前記クッションの内側の周囲を周縁方向に延在する長さを有し、前記一対の接合パッドの各々の長さが、前記一対の肉厚化パッドの各々の長さの約15%~50%、好ましくは約20%~45%、より好ましくは約25%~33%である、請求項60又は61に記載のクッション。
【請求項63】
前記一対の接合パッドの各々が、前記肉厚化バンドの一部と前記一対の肉厚化パッドのそれぞれの上部部分との間に延在している、請求項60~62のいずれか一項に記載のクッション。
【請求項64】
前記一対の接合パッドが、前記鼻マスクシールの両側の前記鼻マスクシールの側壁に設けられ、前記一対の肉厚化パッドの少なくとも一部が、前記鼻マスクシールの顔面接触面に設けられている、請求項60~63のいずれか一項に記載のクッション。
【請求項65】
呼吸インタフェースアセンブリ用のクッションであって、
前記呼吸インタフェースアセンブリのハウジングに取り付けられるように構成されたリムと、
前記リムから延在する弾性側壁と、
前記弾性側壁から内側に延在する弾性端壁であって、使用時に、使用者の顔面と封止する封止面と、前記使用者の鼻及び/又は口を受け入れる開口部とを画定する弾性端壁と、
一対の長尺状肉厚化部分であって、各々が、リムに又はリムに隣接する又はリムの近くの前記側壁のそれぞれの下角部に又はそれぞれの下角部に隣接する又はそれぞれの下角部の近くの第1端部から、前記開口部のそれぞれの反対側の前記端壁の又は端壁に隣接する又は端壁の近くの第2端部まで延在している、一対の長尺状肉厚化部分と、
を備える、クッション。
【請求項66】
前記一対の肉厚化部分が、前記第1端部から前記一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分に向かって互いに離れる方向に延びている、請求項65に記載のクッション。
【請求項67】
前記一対の肉厚化部分が、前記一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分から前記第2端部に向かって互いに近づく方向に延びている、請求項65又は66に記載のクッション。
【請求項68】
前記一対の長尺状肉厚化部分の各々が、それらのそれぞれの主面に実質的に垂直な方向に湾曲している、請求項65~67のいずれか一項に記載のクッション。
【請求項69】
患者インタフェースアセンブリのインタフェースにヘッドギアストラップを接続する接続装置であって、
前記ヘッドギアストラップ又は前記患者インタフェースアセンブリのうちの一方に設けられるか又は設けられるように構成されたポストと、
前記ヘッドギアストラップ又は前記患者インタフェースアセンブリのうちの他方に設けられたクリップであって、前記ポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備えるクリップと、
前記ポスト又は前記クリップのうちの一方に設けられた間隙と、
前記ポスト又は前記クリップのうちの他方に設けられたリブと、
を備え、
前記リブ及び前記間隙が、前記クリップが前記ポストに接続されたときに前記リブが前記間隙によって受け入れられるように、各々非対称に配置され、前記リブが、代替的な接続を阻止又は防止するように構成されている、接続装置。
【請求項70】
前記間隙が、前記ポストに設けられるとともに、同軸上に配置された第1ポスト部分と第2ポスト部分との間に画定されており、
前記リブが、前記クリップに設けられるとともに前記空間内に突出し、
前記リブが、前記ポストが前記空間によって受け入れられたときに前記間隙によって受け入れられるように構成され、
前記リブが、前記クリップの代替的なポストへの接続を阻止又は防止するように構成されている、請求項69に記載の接続装置。
【請求項71】
前記リブが前記ポストに設けられ、
前記間隙が前記クリップに設けられ、
前記リブが、前記ポストが前記空間によって受け入れられたときに前記間隙によって受け入れられるように構成され、
前記リブが、前記ポストへの代替的なクリップの接続を阻止又は防止するように構成されている、請求項69に記載の接続装置。
【請求項72】
患者の頭部に患者インタフェースを固定するヘッドギアアセンブリであって、
2つ以上のストラップと、
前記2つ以上のストラップに設けられるか又は設けられるように構成された2つ以上のヘッドギアクリップであって、前記2つ以上のヘッドギアクリップのうちの少なくとも第1クリップが、前記患者インタフェースのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備え、前記空間内に突出するリブをさらに備え、前記リブが、前記患者インタフェースの少なくとも第1ポスト内に画定された間隙によって、前記第1クリップが前記第1ポストと結合されたときに受け入れられるとともに、前記患者インタフェースの第2ポストとの前記第1クリップの結合を妨げるか又は防止するように、前記空間の長さに沿って非対称に配置されている、2つ以上のヘッドギアクリップと、
を備える、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項73】
前記2つ以上のヘッドギアクリップのうちの第2クリップが、前記患者インタフェースのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備え、前記空間内に突出するリブをさらに備え、前記リブが、前記患者インタフェースの少なくとも第2ポスト内に画定された間隙によって、前記第2クリップが前記第2ポストと結合されたときに受け入れられるとともに、前記第1ポストとの前記第2クリップの結合を妨げるか又は防止するように、前記空間の長さに沿って非対称に配置されている、請求項72に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項74】
前記第1クリップ及び前記第2クリップが、互いの鏡像である、請求項73に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項75】
患者インタフェースアセンブリにヘッドギアを取り付けるヘッドギアクリップであって、
第1端部において前記ヘッドギアのストラップに取り付けられるか又は取り付けられるように構成されたベース部分と、
前記ベース部分の第2端部から突出するとともに、前記患者インタフェースアセンブリのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を画定するフック部分と、
前記ベース部分の外側から外向きに延在する突起と、
を備える、ヘッドギアクリップ。
【請求項76】
前記突起が、前記ベース部分の前記第1端部に又はそれに隣接して又はそれの近くに配置されている、請求項75に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項77】
前記第2端部と前記突起との中間に、前記ベース部分の前記外側の凹部をさらに備える、請求項75又は76に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項78】
少なくとも前記フック部分と前記ベース部分の第1部とが、弾力性があり且つ比較的剛性のある第1材料を含み、前記ベース部分の少なくとも第2部が、前記第1材料にオーバーモールドされたエラストマーの第2材料を含む、請求項75~77のいずれか一項に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項79】
前記第2材料もまた前記ストラップにオーバーモールドされている、請求項78に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項80】
前記ベース部分の第1部が前記突起の内側部分を含み、前記ベース部分の前記第2部が前記突起の外側部分を含む、請求項78又は79に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項81】
前記突起が、前記ベース部分の幅にわたっている、請求項75~80のいずれか一項に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項82】
前記突起が、前記フック部分及び前記ポストと係合又は係合解除するために必要な力の方向において実質的に直交している少なくとも1つの面を提供する、請求項75~81のいずれか一項に記載のヘッドギアクリップ。
【請求項83】
患者インタフェースアセンブリ用のフレームであって、患者の顔面と封止係合するクッションを備えるか又は前記クッションと結合されるように構成され、前記フレームが、前記患者インタフェースアセンブリのヘッドギアアセンブリの第1ヘッドギアクリップ及び第2ヘッドギアクリップと結合されるように構成された第1ポスト及び第2ポストを備え、前記第1ポストが、同軸上に配置されるとともに間に間隙を画定する第1部分及び第2部分を備え、前記間隙が軸方向に非対称に配置されている、フレーム。
【請求項84】
前記第2ポストが前記第1ポストの鏡像である、請求項83に記載のフレーム。
【請求項85】
前記第1ポストが、前記第1ヘッドギアクリップと結合するように構成され、前記第2ヘッドギアクリップとの結合が妨げられるか又は防止される、請求項83又は84に記載のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月14日に出願された米国仮特許出願第62/914,923号の優先権の利益を主張し、その出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、呼吸インタフェースアセンブリに関する。特に、本開示は、鼻マスク、ヘッドギア、及びマスクとヘッドギアとの接続部を有する鼻マスクアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
補助呼吸において、呼吸ガスは、1つ又は複数の可撓性呼吸チューブを介して患者インタフェースを通して患者に供給される。患者インタフェースは、鼻カニューレ、鼻マスク、フルフェイス若しくは口鼻マスク、気管内チューブ、又は他の既知のタイプのインタフェースであり得る。患者インタフェースは、ヘッドギア装置によって使用者の頭部において適所に保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された操作、封止、快適性及び調整機能を有する患者インタフェースシステムを提供することが有利である。こうしたシステムは、鼻マスクアセンブリであり得る。こうした改善されたシステムは、ガス送達治療のコンプライアンスの向上をさらに支援することができる。
【0005】
本明細書において、特許明細書、他の外部文献又は他の情報源を参照した場合、これは、概して、本開示の特徴を考察するための状況を提供することを目的とするものである。別段の断りのない限り、こうした外部文献への参照は、いかなる法域においても、こうした文献又はこうした情報源が先行技術であるか又は本技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0006】
本開示のさらなる態様及び利点は、単に例として与える次の説明から明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載するシステム、方法及び装置は、革新的な態様を有し、それらのうちの単一の態様が、それらの望ましい属性に不可欠であるか又は単独で責任を負うことはない。請求項の範囲を限定することなく、有利な特徴のうちのいくつかについてここで概説する。
【0008】
本開示の一態様は、使用者の気道と連通するように構成されたインタフェースを含む呼吸インタフェースアセンブリを含む。インタフェースは、ポストを有するフレームを備える。フレームは開口部を画定し、ポストは開口部の一部を画定している。フレーム開口部は、対向する上部面及び下部面によって画定された幅狭部分を含み、幅狭部分はポストに隣接して位置している。ヘッドギアが、使用者の頭部において動作可能位置にインタフェースを固定するように構成されている。ヘッドギアは、ベースとベースから延在するフック部分とを有するクリップを含む。フック部分は、フレームのポストと係合するように構成されている。フック部分は、幅狭部分のそれぞれの上部面及び下部面の形状に実質的に一致する上部面及び下部面を含み、それにより、フック部分がポストと係合したとき、フック部分の上部面及び下部面が、幅狭部分の対向する上部面及び下部面のそれぞれと係合して、ポストの長手方向軸に垂直な軸を中心とするフレームに対するクリップの回転に抵抗する。
【0009】
いくつかの構成において、フック部分の上部面と下部面との間のフック部分のセクションは、フック部分がポストと係合したときに空間にわたるような形状である。
【0010】
いくつかの構成において、ポストと対向する上部面及び下部面とは、協働して空間を画定している。上部面と下部面との間のフック部分のセクションは、フック部分がポストと係合したときに上記空間の実質的に全体を占有する。
【0011】
いくつかの構成において、対向する上部面及び下部面は、互いに平行である。
【0012】
いくつかの構成において、フック部分は、ポストに面する内面と、外面と、内面と外面との間の厚さとを画定している。厚さは、フック部分がポストと係合したときに対向する上部面と下部面との間に位置する部分において最大である。
【0013】
いくつかの構成において、クリップのベースは、幅狭部分の対向する上部面及び下部面に隣接するフレームの部分と接触して、ポストの長手方向軸を中心とするクリップの回転を制限するように構成されるように、フック部分の高さよりも大きい高さを有する。
【0014】
いくつかの構成において、ヘッドギアは、呼吸インタフェースから使用者の顔面の各側に沿って使用者の耳に向かって延在するように構成された少なくとも1つの半剛性側部ストラップと、使用者の顔面の第1側における少なくとも1つの半剛性側部ストラップから使用者の第2側における少なくとも1つの半剛性側部ストラップまで延在する少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとを備える。
【0015】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップは、各側に分岐部分を含み、分岐部分の各々は、上部ストラップ部分及び下部ストラップ部分を有する。
【0016】
いくつかの構成において、ヘッドギアは後部部分をさらに含み、後部ストラップ部分は、使用者の耳の高さよりも上方で後部部分に接続し、下部ストラップ部分は、使用者の耳の高さよりも下方で且つ耳の前方で後部に接続している。
【0017】
いくつかの構成において、後部部分は、スペーサファブリックパネルを備える。
【0018】
いくつかの構成において、後部部分は、上部ストラップ及び下部ストラップをさらに備え、上部ストラップは下部ストラップよりも伸縮性が低い。
【0019】
いくつかの構成において、後部部分は編みパネルを備える。
【0020】
いくつかの構成において、編みパネルは、水平方向よりも垂直方向の方が伸縮性が低い。
【0021】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップと少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとのうちの一方又は両方は、布地内層と、布地外層と、内側プラスチック層とを含み、それらは、内側プラスチック層が布地内層と布地外層との間に溶融状態で導入され硬化することによって接合されている。
【0022】
いくつかの構成において、布地内層及び布地外層は編物である。
【0023】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップは、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップの各々は、クリップのうちの1つによってフレームに接続可能である。
【0024】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性頂部ストラップは、第1半剛性頂部ストラップ及び第2半剛性頂部ストラップを含み、第1半剛性頂部ストラップ及び第2半剛性頂部ストラップは、複数の利用可能な調整位置のうちの1つで互いに選択的に接続可能である。
【0025】
いくつかの構成において、インタフェースは、使用者の一方又は両方の鼻孔の周囲を封止するように構成された鼻マスクシールを備え、鼻マスクシールは、開口部を画定する封止面を有する。
【0026】
いくつかの構成において、鼻マスクシールの封止面によって画定された開口部は、約1.3~1.6の幅対高さ比を画定している。
【0027】
いくつかの構成において、すべての利用可能なサイズにわたる鼻マスクシールの高さ範囲は、約47.8mm~57.8mmである。
【0028】
いくつかの構成において、鼻マスクシールはローリングブリッジ(rolling bridge)部分を備える。
【0029】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、鼻マスクシールが剛性クリップ又はハウジングに固定されるリムを備え、ローリングブリッジ部分は、リムの後方縁部につながっている。他の構成では、ローリングブリッジ部分は、リムの前方縁部につながっている。
【0030】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、封止面とローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドをさらに備え、肉厚化バンドから鼻マスクシールの各側で開口部に向かって延在する一対の肉厚化バンドとをさらに備える。
【0031】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、封止面とローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドと、肉厚化バンドと開口部との中間であり且つ肉厚化バンドから間隔を空けて配置された一対の肉厚化パッドと、肉厚化バンドの一部と一対の肉厚化パッドのそれぞれの一部との間に延在する一対の接合パッドとをさらに備える。
【0032】
いくつかの構成において、肉厚化バンドは、一対の肉厚化パッドよりも厚く、一対の肉厚化パッドは、一対の接合パッドよりも厚い。
【0033】
いくつかの構成において、一対の肉厚化パッド及び一対の接合パッドは、各々、鼻マスクシールの内側の周囲を周縁方向に延在する長さを有し、一対の接合パッドの各々の長さは、一対の肉厚化パッドの各々の長さの約15%~50%、好ましくは約20%~45%、より好ましくは約25%~33%である。
【0034】
いくつかの構成において、一対の接合パッドの各々は、肉厚化バンドの一部と一対の肉厚化パッドのそれぞれの上部部分との間に延在している。
【0035】
いくつかの構成において、一対の接合パッドは、鼻マスクシールの両側の鼻マスクシールの側壁に設けられ、一対の肉厚化パッドの少なくとも一部は、鼻マスクシールの封止面を画定する端壁に設けられている。
【0036】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、一対の長尺状肉厚化部分を備え、一対の肉厚化部分は、各々、リムに又はリムに隣接する又はリムの近くの鼻マスクシールの側壁のそれぞれの下角部に又はそれぞれの下角部に隣接する又はそれぞれの下角部の近くの第1端部から、鼻マスクシールの封止面を画定する端壁の又は端壁に隣接する又は端壁の近くの第2端部まで延在している。
【0037】
いくつかの構成において、一対の肉厚化部分は、第1端部から一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分に向かって互いに離れる方向に延びている(diverge)。
【0038】
いくつかの構成において、一対の肉厚化部分は、一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分から第2端部に向かって互いに近づく方向に延びている(converge)。
【0039】
いくつかの構成において、一対の長尺状肉厚化部分の各々は、それらのそれぞれの主面に実質的に垂直な方向に湾曲している。
【0040】
本開示の一態様は、呼吸インタフェース用のヘッドギアであって、呼吸インタフェースから使用者の顔面の各側に沿って使用者の耳に向かって延在するように構成された少なくとも1つの弾性側部ストラップと、使用者の顔面の第1側における少なくとも1つの弾性側部ストラップから使用者の顔面の第2側における少なくとも1つの弾性側部ストラップまで延在する少なくとも1つの弾性頂部ストラップとを含む、ヘッドギアを含む。
【0041】
本開示の一態様は、呼吸インタフェース用のヘッドギアであって、呼吸インタフェースから使用者の顔面の各側に沿って使用者の耳に向かって延在するように構成された少なくとも1つの半剛性側部ストラップと、使用者の顔面の第1側における少なくとも1つの半剛性側部ストラップから使用者の顔面の第2側における少なくとも1つの半剛性側部ストラップまで延在する少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとを含む、ヘッドギアを含む。
【0042】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップは、各側に分岐部分を含み、分岐部分の各々は、上部ストラップ部分及び下部ストラップ部分を有する。
【0043】
いくつかの構成において、ヘッドギアは後部部分をさらに含み、後部ストラップ部分は、使用者の耳の高さよりも上方で後部部分に接続し、下部ストラップ部分は、使用者の耳の高さよりも下方で且つ耳の前方で後部に接続している。
【0044】
いくつかの構成において、後部部分は、スペーサファブリックパネルを備える。
【0045】
いくつかの構成において、後部部分は、上部ストラップ及び下部ストラップをさらに備え、上部ストラップは下部ストラップよりも伸縮性が低い。
【0046】
いくつかの構成において、後部部分は編みパネルを備える。
【0047】
いくつかの構成において、編みパネルは、水平方向よりも垂直方向の方が伸縮性が低い。
【0048】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップと少なくとも1つの半剛性頂部ストラップとのうちの一方又は両方は、布地内層と、布地外層と、内側プラスチック層とを含み、それらは、内側プラスチック層が布地内層と布地外層との間に溶融状態で導入され硬化することによって接合されている。
【0049】
いくつかの構成において、布地内層及び布地外層は編物である。
【0050】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性ストラップは、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップは、複数の利用可能な調整位置のうちの1つで互いに選択的に接続可能である。
【0051】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップは、半剛性プラスチックコアと射出成形された少なくとも1つの管状編み構造体から形成されている。
【0052】
いくつかの構成において、頂部ストラップ、少なくとも1つの側部ストラップの上部ストラップ部分及び下部ストラップ部分のうちの少なくとも1つは、プラスチックコアと射出成形され、オーバーモールドされた接合部分によって少なくとも1つの側部ストラップに接合された、別個の管状編み構造体を含む。
【0053】
本開示の一態様は、上述したヘッドギアのうちの任意ものと、使用者の気道と連通するように構成されたインタフェースとを含む、呼吸インタフェースアセンブリを含む。
【0054】
いくつかの構成において、インタフェースは、ポストを有するフレームを備え、フレームは開口部を画定し、ポストは開口部の一部を画定している。フレーム開口部は、対向する上部面及び下部面によって画定された幅狭部分を含む。幅狭部分は、ポストに隣接して位置している。ヘッドギアは、ベースとベースから延在するフック部分とを有するクリップを備える。フック部分は、フレームのポストと係合するように構成されている。フック部分は、幅狭部分のそれぞれの上部面及び下部面の形状に実質的に一致する上部面及び下部面を含み、それにより、フック部分がポストと係合したとき、フック部分の上部面及び下部面は、幅狭部分の上部面及び下部面のそれぞれと係合して、ポストの長手方向軸に垂直な軸を中心とするフレームに対するクリップの垂直回転に抵抗する。
【0055】
いくつかの構成において、フック部分の上部面と下部面との間のフック部分のセクションは、フック部分がポストと係合したときに空間にわたるような形状である。
【0056】
いくつかの構成において、ポストと対向する上部面及び下部面とは、協働して空間を画定し、上部面と下部面との間のフック部分のセクションは、フック部分がポストと係合したときに上記空間の実質的に全体を占有する。
【0057】
いくつかの構成において、対向する上部面及び下部面は互いに平行である。
【0058】
いくつかの構成において、フック部分は、ポストに面する内面と、外面と、内面と外面との間の厚さとを画定し、厚さは、フック部分がポストと係合したときに対向する上部面と下部面との間に位置する部分において最大である。
【0059】
いくつかの構成において、クリップのベースは、幅狭部分の対向する上部面及び下部面に隣接するフレームの部分と接触して、ポストの長手方向軸を中心とするクリップの回転を制限するように構成されるように、フック部分の高さよりも大きい高さを有する。
【0060】
いくつかの構成において、少なくとも1つの半剛性側部ストラップは、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップを含み、第1半剛性側部ストラップ及び第2半剛性側部ストラップの各々は、クリップのうちの1つによってフレームに接続可能であるように構成されている。
【0061】
いくつかの構成において、インタフェースは、使用者の一方又は両方の鼻孔の周囲を封止するように構成された鼻マスクシールを備え、鼻マスクシールは、開口部を画定する封止面を有する。
【0062】
いくつかの構成において、鼻マスクシールの封止面によって画定された開口部は、約1.3~1.6の幅対高さ比を画定している。
【0063】
いくつかの構成において、すべての利用可能なサイズにわたる鼻マスクシールの高さ範囲は、約47.8mm~57.8mmである。
【0064】
いくつかの構成において、鼻マスクシールはローリングブリッジ部分を備える。
【0065】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、鼻マスクシールが剛性クリップ又はハウジングに固定されるリムを備え、ローリングブリッジ部分は、リムの後方縁部につながっている。
【0066】
いくつかの構成において、鼻マスクシールは、封止面とローリングブリッジとの間に位置する肉厚化バンドをさらに備え、肉厚化バンドから鼻マスクシールの各側で開口部に向かって延在する一対の肉厚化バンドをさらに備える。
【0067】
本開示の一態様は、呼吸インタフェースアセンブリ用のクッションを含み、クッションは、呼吸インタフェースアセンブリのハウジングに取り付けられるか又は取り付けられるように構成されたリムと、リムから延在する弾性側壁と、弾性側壁から内側に延在する弾性端壁であって、使用時に、使用者の顔面と封止する封止面と、使用者の鼻及び/又は口を受け入れる開口部とを画定する弾性端壁と、側壁内の肉厚化バンドと、肉厚化バンドと開口部の中間であり、肉厚化バンドから間隔を空けて配置された一対の肉厚化パッドと、肉厚化バンドのそれぞれの部分と一対の肉厚化パッドのそれぞれの一部との中間の一対の肉厚化パッドとを備える。
【0068】
いくつかの構成において、肉厚化バンドは、一対の肉厚化パッドよりも厚く、且つ/又は、一対の肉厚化パッドは、一対の接合パッドよりも厚い。
【0069】
いくつかの構成において、一対の肉厚化パッド及び一対の接合パッドは、各々、クッションの内側の周囲を周縁方向に延在する長さを有し、一対の接合パッドの各々の長さは、一対の肉厚化パッドの各々の長さの約15%~50%、好ましくは約20%~45%、より好ましくは約25%~33%である。
【0070】
いくつかの構成において、一対の接合パッドの各々は、肉厚化バンドの一部と一対の肉厚化パッドのそれぞれの上部部分との間に延在している。
【0071】
いくつかの構成において、一対の接合パッドは、鼻マスクシールの両側の鼻マスクシールの側壁に設けられ、一対の肉厚化パッドの少なくとも一部は、鼻マスクシールの顔面接触面に設けられている。
【0072】
本開示の一態様は、呼吸インタフェースアセンブリ用のクッションを含み、クッションは、呼吸インタフェースアセンブリのハウジングに取り付けられるように構成されたリムと、リムから延在する弾性側壁と、弾性側壁から内側に延在する弾性端壁であって、使用時に、使用者の顔面と封止する封止面と、使用者の鼻及び/又は口を受け入れる開口部とを画定する弾性端壁と、一対の長尺状肉厚化部分であって、各々が、リムに又はリムに隣接する又はリムの近くの側壁のそれぞれの下角部に又はそれぞれの下角部に隣接する又はそれぞれの下角部の近くの第1端部から、開口部のそれぞれの反対側の端壁の又は端壁に隣接する又は端壁の近くの第2端部まで延在している、一対の長尺状肉厚化部分とを備える。
【0073】
いくつかの構成において、一対の肉厚化部分は、第1端部から一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分に向かって互いに離れる方向に延びている。
【0074】
いくつかの構成において、一対の肉厚化部分は、一対の肉厚化部分のそれぞれの中間部分から第2端部に向かって互いに近づく方向に延びている。
【0075】
いくつかの構成において、一対の長尺状肉厚化部分の各々は、それらのそれぞれの主面に実質的に垂直な方向に湾曲している。
【0076】
本開示の一態様は、患者インタフェースアセンブリのインタフェースにヘッドギアストラップを接続する接続装置を含み、接続装置は、ヘッドギアストラップ又は患者インタフェースアセンブリのうちの一方に設けられるか又は設けられるように構成されたポストと、ヘッドギアストラップ又は患者インタフェースアセンブリのうちの他方に設けられたクリップであって、ポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備えるクリップと、ポスト又はクリップのうちの一方に設けられた間隙と、ポスト又はクリップのうちの他方に設けられたリブとを備え、リブ及び間隙は、クリップがポストに接続されたときにリブが間隙によって受け入れられるように、各々非対称に配置され、リブは、代替的な接続を阻止又は防止するように構成されている。
【0077】
いくつかの構成において、間隙は、ポストに設けられるとともに、同軸上に配置された第1ポスト部分と第2ポスト部分との間に画定されており、リブは、クリップに設けられるとともに上記空間内に突出し、リブは、ポストが空間によって受け入れられたときに間隙によって受け入れられるように構成され、リブは、クリップの代替的なポストへの接続を阻止又は防止するように構成されている。
【0078】
いくつかの構成において、リブはポストに設けられ、間隙はクリップに設けられ、リブは、ポストが上記空間によって受け入れられたときに間隙によって受け入れられるように構成され、リブは、ポストへの代替的なクリップの接続を阻止又は防止するように構成されている。
【0079】
本開示の一態様は、患者の頭部に患者インタフェースを固定するヘッドギアアセンブリを含み、ヘッドギアアセンブリは、2つ以上のストラップと、2つ以上のストラップに設けられるか又は設けられるように構成された2つ以上のヘッドギアクリップであって、2つ以上のヘッドギアクリップのうちの少なくとも第1クリップは、患者インタフェースのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備え、上記空間内に突出するリブをさらに備え、リブは、患者インタフェースの少なくとも第1ポスト内に画定された間隙によって、第1クリップが第1ポストと結合されたときに受け入れられるとともに、患者インタフェースの第2ポストとの第1クリップの結合を妨げるか又は防止するように、上記空間の長さに沿って非対称に配置されている、2つ以上のヘッドギアクリップとを備える。
【0080】
いくつかの構成において、2つ以上のヘッドギアクリップのうちの第2クリップは、患者インタフェースのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を間に画定するベース部分及びフック部分を備え、上記空間内に突出するリブをさらに備え、リブは、患者インタフェースの少なくとも第2ポスト内に画定された間隙によって、第2クリップが第2ポストと結合されたときに受け入れられるとともに、第1ポストとの第2クリップの結合を妨げるか又は防止するように、空間の長さに沿って非対称に配置されている。
【0081】
いくつかの構成において、第1クリップ及び第2クリップは、互いの鏡像である。
【0082】
本開示の一態様は、患者インタフェースアセンブリにヘッドギアを取り付けるヘッドギアクリップを含み、ヘッドギアクリップは、第1端部においてヘッドギアのストラップに取り付けられるか又は取り付けられるように構成されたベース部分と、ベース部分の第2端部から突出するとともに、患者インタフェースアセンブリのポストを選択的に受け入れるように構成された空間を画定するフック部分と、ベース部分の外側から外向きに延在する突起とを備える。
【0083】
いくつかの構成において、突起は、ベース部分の第1端部に又は第1端部に隣接して又は第1端部の近くに配置されている。
【0084】
いくつかの構成において、ヘッドギアクリップは、第2端部と突起との中間に、ベース部分の外側の凹部をさらに備える。
【0085】
いくつかの構成において、少なくともフック部分とベース部分の第1部とは、弾力性があり且つ比較的剛性のある第1材料を含み、ベース部分の少なくとも第2部は、第1材料にオーバーモールドされたエラストマーの第2材料を含む。
【0086】
いくつかの構成において、第2材料もまたストラップにオーバーモールドされている。
【0087】
いくつかの構成において、ベース部分の第1部は、突起の内側部分を含み、ベース部分の第2部は、突起の外側部分を含む。
【0088】
いくつかの構成において、突起は、ベース部分の幅にわたっている。
【0089】
いくつかの構成において、突起は、フック部分及びポストと係合又は係合解除するために必要な力の方向において実質的に直交している少なくとも1つの面を提供する。
【0090】
いくつかの構成において、フレームでは、患者の顔面と封止係合するクッションを備えるか又はクッションと結合されるように構成され、フレームは、患者インタフェースアセンブリのヘッドギアアセンブリの第1ヘッドギアクリップ及び第2ヘッドギアクリップと結合されるように構成された第1ポスト及び第2ポストを備え、第1ポストは、同軸上に配置されるとともに間に間隙を画定する第1部分及び第2部分を備え、間隙は軸方向に非対称に配置されている。
【0091】
いくつかの構成において、第2ポストは第1ポストの鏡像である。
【0092】
いくつかの構成において、第1ポストは、第1ヘッドギアクリップと結合するように構成され、第2ヘッドギアクリップとの結合が妨げられるか又は防止される。
【0093】
本開示のさらなる態様は、以下の説明及び添付図面から明らかとなろう。
【0094】
本開示の上述した特徴及び他の特徴は、添付図面とともに考慮される、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなろう。これらの図面が、本開示によるいくつかの実施形態のみを示し、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解して、本開示について、添付図面を使用してさらに具体的に且つ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】患者インタフェースを介して使用者に加圧及び加湿された呼吸ガスを供給するように構成された呼吸システムの概略図である。
【
図2】使用者の上に位置決めされた患者インタフェースアセンブリの斜視図である。患者インタフェースアセンブリは、鼻マスク及びヘッドギア装置の形態のインタフェースを含む。
【
図3】
図2の鼻マスクのシール又はクッションの、クッションを右側と左側とに二分する中心垂直面に沿った断面図である。
【
図4】中心垂直面に沿った、ローリングブリッジ機能によって可能になる運動を示す、
図2の鼻マスクのクッションの断面図である。
【
図5】顔面接触面を示す
図2の鼻マスクのクッションの背面図である。
【
図6-1】従来技術によるEson2クッションが本発明のクッションの上に重ね合わされている、
図3及び
図4のクッションの断面図である。
【
図6-2】従来技術によるEson2クッションが本発明のクッションの上に重ね合わされている、
図5のクッションの背面図である。
【
図7】
図5のクッションの一部の、クッションの内面の特徴を示す斜視図である。
【
図8】
図2の鼻マスクとヘッドギアとの接続装置の斜視図である。
【
図9】
図8の接続装置のクリップ及びヘッドギアの一部の斜視図である。
【
図10】開口部と
図9のクリップを接続することができるポストとを示す、
図2の鼻マスクのフレームの斜視図である。
【
図12-1】寸法例が示されている、
図12の接続装置の断面図である。
【
図13】鼻マスクの回転が接続装置によって制限される方向を示す、
図2の鼻マスクアセンブリの正面図である。
【
図14】ヘッドギア装置の前部ストラップの代替的な角度を示す、
図2の鼻マスクアセンブリの斜視図である。
【
図15】ヘッドギアの前部ストラップの回転が接続装置によって制限される方向を示す、
図2の鼻マスクアセンブリの正面図である。
【
図16】接続装置によって可能になる前部ストラップの回転のあり得る機能的範囲と動作範囲例とを示す、
図2の鼻マスクアセンブリの斜視図である。
【
図17A-D】鼻マスクアセンブリを使用者に装着する方法を示す。
【
図18】クリップと、クリップに対して斜めに向けられたヘッドギア装置の前部ストラップとを示す。
【
図19】マスクフレームに接続された、拡大後部を有する代替的なクリップを示す。
【
図20】拡大後部が接続されているクリップを含む鼻マスクアセンブリの正面図である。
【
図21】拡大後部が接続されているクリップを含むマスクフレームの正面図である。
【
図22】
図2のヘッドギア装置の背面斜視図である。
【
図23】
図2のヘッドギア装置の後部部分の背面図である。
【
図24】弛緩した又は平たく広げられた形態にある
図23のヘッドギアの後部部分の平面図である。
【
図25】
図23のヘッドギアの後部部分のパネルの断面図である。
【
図26】
図24のヘッドギアの後部部分の、後部部分のいくつかの寸法を示す平面図である。
【
図27A-E】
図23のヘッドギアのパネル及び後部部分の製造方法と結果として得られる構造とを示す。
【
図28】ヘッドギアの代替的な後部部分の背面図である。
【
図29】編みパネルを有するヘッドギアの代替的な後部部分の平面図である。
【
図30】編みパネルを示す
図29の後部部分の一部の平面図である。
【
図32-1-2】
図30の編みパネルを編成する方法例を示す。
【
図33a-l】編みパネルを有するヘッドギアのさまざまな代替的な後部部分を示す。
【
図35】内部プラスチックコアに恒久的に接続された編み管状カバーの複合物として構成された前部ストラップ配置を有する代替的なヘッドギア装置の側面図である。
【
図37】別の構成のシール又はクッションの、クッションを右側と左側とに二分する中心垂直面に沿った断面図である。
【
図39】
図37及び
図38のクッションの、クッションの横断面又は水平面に沿った断面図である。
【
図40】
図37~
図39のクッションの、クッションの冠状面又は前頭面に沿った正面断面図である。
【
図41】
図9のヘッドギアクリップの変更版の斜視図である。
【
図42】
図9のヘッドギアクリップの別の変更版の斜視図である。
【
図43】
図9のヘッドギアクリップのさらに別の変更版の、ヘッドギアの一部及び患者インタフェースも示す斜視図である。
【
図44】
図9のヘッドギアクリップの別の変更版の斜視図である。
【
図45】
図9のヘッドギアクリップの別の変更版の斜視図である。
【
図46】
図9のヘッドギアクリップの別の変更版の斜視図である。
【
図47】
図9のヘッドギアクリップのさらに別の変更版の、ヘッドギアの一部及び患者インタフェースも示す斜視図である。
【
図48】
図2の患者インタフェースアセンブリの変更版の斜視図である。
【
図49】
図48の患者インタフェースアセンブリのフレームの正面図である。
【
図50】
図49の患者インタフェースアセンブリのフレームの背面図である。
【
図51】
図49の患者インタフェースアセンブリの接続装置の詳細な平面図である。
【
図53】
図35に示す前部ストラップ配置の変更版の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
ここで、全体を通して同様の数字が同様の又は類似する要素を示す、添付の図を参照して、システム、構成要素、並びに組立て及び製造の方法の実施形態について説明する。以下に、いくつかの実施形態、例及び例示について開示するが、当業者であれば、本明細書に記載する発明が、具体的に開示する実施形態、例及び例示を越えて広がり、発明の他の使用並びにその明白な変更形態及び均等物を含むことができることが理解されよう。本明細書に提示する説明で使用する用語法は、本発明のいくつかの具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて使用されているという理由のみで、いかなる限定的又は制限的な様式で解釈されるようにも意図されていない。加えて、本発明の実施形態は、いくつかの新規な特徴を含むことができ、単一の特徴が、その望ましい属性に単独で責任を負うことはなく、本明細書に記載する発明を実施するのに必須ではない。
【0097】
以下の説明では、いくつかの用語法は、参照の目的にのみ使用される場合があり、したがって、限定的であるようには意図されていない。例えば、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」等の用語は、参照される図面における方向を指す。「前」、「後」、「左」、「右」、「後部」、「側部」、「前方」及び「後方」等の用語は、考察されている構成要素又は要素について記載する本文及び関連する図面を参照することによって明らかとなる、一貫するが任意の基準系内の構成要素又は要素の一部の向き及び/又は場所について記載するものである。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、別個の構成要素について記載するために使用される場合がある。こうした用語法は、具体的に上述した語、その派生語、及び同様の意味の語を含む場合がある。
【0098】
システム概要図
図1は、気道陽圧(PAP)療法(例えば、持続気道陽圧(CPAP)療法)又は非侵襲的換気(NIV)療法のために使用者に呼吸ガスを供給するのに好適な、呼吸療法システム例を示す。呼吸療法システム例100は、ガス源102と、加湿器104と、患者インタフェースアセンブリ150と、加湿器104(又はガス源102)を患者インタフェースアセンブリ150に接続する呼吸ガス回路106とを含むことができる。ガス源102は、加湿器104への呼吸ガスの供給を提供することができる。ガス源102は、呼吸ガス、例えば周囲空気が、インペラ112によってガス源ケーシング内の入口110を通してガス源102内に引き込まれる、ブロワを備えることができる。インペラ112の回転速度は、ガス源102に引き込まれる空気の量と、呼吸療法システム100に送達される呼吸ガスの供給とを調節するように調整することができる。呼吸ガスは、システム100の使用者が呼吸可能である任意の単一ガス又は複数のガスを含むことができる。
【0099】
ガス源102から出る呼吸ガスの圧力及び/又は流量は、コントローラ114によって調節することができる。コントローラ114は、1つ又は複数の所定のアルゴリズムに従って、且つユーザ入力部116を介して提供することができる1つ又は複数のユーザ入力に従って、インペラ112の回転速度を調整することができる。
【0100】
ガス源102は、能動的に制御される流れ発生器を表す。好適な圧力又は流量調節を伴う圧縮空気シリンダ等、他のガス源もまた、呼吸ガスを供給するために使用することができる。ガス源102の出口は、別個の加湿器104に結合することができる。加湿器104は、送達、例えば使用者への送達の前に、呼吸ガスを加熱及び/又は加湿するように構成することができる。いくつかの実施形態では、加湿器は、ガス供給部と一体化されている。加湿器104は、ベース120と加湿器チャンバ122とを含むことができる。チャンバ122は、水等の加湿流体124を保持するように構成することができ、加湿器ベース120から係合解除、例えば、一時的に係合解除又は恒久的に係合解除されて、充填又は交換できるようにすることができる。加湿器104は、チャンバ入口126を介してガス源102からガスを受け取る。加湿器ベース120は、ヒータプレート130等のヒータを含むことができる。チャンバ122は、加湿器ベース120と係合したときにヒータプレート130の上に載る。ヒータプレート130は、熱、例えば、電気抵抗によって発生する熱を、チャンバ122に放散する。チャンバ122は、好ましくは、ヒータプレート130によって発生する熱が加湿流体124まで効率的に進むのを可能にする、熱伝導性ベースを有する。コントローラ114は、加湿器104、特にヒータプレート130への電気エネルギーの供給も制御して、加湿器104の任意の機能、例えば、使用者に供給される呼吸ガスの温度及び湿度を調節することができる。
【0101】
チャンバ出口132と、患者インタフェースアセンブリ150への輸送中の呼吸ガスを加熱又は加温する(例えば、高温で保つか又は保温する)、加熱又は加温要素、例えばヒータ線を組み込むことができる導管の形態の呼吸ガス回路106とを介して、使用者に呼吸ガスを供給することができる。ヒータ線に供給される電気エネルギーは、コントローラ114によって制御することができる。コントローラ114は、呼吸療法システムを通して制御ネットワークに組み込まれた1つ又は複数のセンサからフィードバックを受け取って、限定されないが圧力、流量、温度及び/又は湿度等、呼吸ガスの特性をモニタリングすることができる。
【0102】
患者インタフェースアセンブリ150は、ガス、例えば加湿器104からの加熱及び加湿されたガスが使用者の呼吸器系に送達され得るように、使用者を呼吸療法システム100と結合する。呼吸ガスは、使用者の鼻孔及び/又は口に送達される際に最適な温度及び湿度で又はそれに近い温度及び湿度で(例えば、27~37℃の温度の水蒸気で加温されるとともに完全に飽和した状態で)使用者に送達することができる。健康な成人の肺の状態(37℃、44mg/Lの湿度)を模倣することは、分泌に影響を与える呼吸器疾患のある使用者の粘膜機能を健康に維持するのに役立つことができ、すべての患者にとって、ガスの加湿は、快適性及びコンプライアンスを維持するのに役立つ。システム例100又は同様のシステムにおいて、本明細書に開示するもの等、複数の異なる様式の患者インタフェースアセンブリ150を使用することができる。
【0103】
インタフェースアセンブリ概要
図2は、
図1のシステム100で使用することができる患者インタフェースアセンブリ例150を示す。患者インタフェースアセンブリ150は、概して、インタフェース(例えば、マスク)152と、ヘッドギア装置(「ヘッドギア」)154とを含む。インタフェース152は、使用者の気道に呼吸ガスの流れを送達するように構成されている。ヘッドギア154は、使用者の適所にインタフェース152を固定するように構成されている。
【0104】
図示するインタフェース152は、呼吸チャンバを画定することができるマスクである。特に、図示するインタフェース152は、使用者の顔面で一方又は両方の鼻孔を包囲するシールを形成する鼻マスクである。しかしながら、ヘッドギア154とともに、他の好適なインタフェースも使用することができ、且つ/又は、ヘッドギア154は、異なるタイプのインタフェースと使用されるように変更することができる。例えば、インタフェースは、呼吸ガスの流れを使用者の鼻孔に直接送達するように構成された鼻要素(例えば、鼻ピロー)を有する直接鼻マスクであり得る。鼻マスク152の文脈で説明しているが、例えば限定なしに、使用者の鼻及び口の周囲を封止する口鼻マスク及びフルフェイスマスク、使用者の口の周囲を封止する口マスク、使用者の鼻の下で封止する鼻ピロー又は他のタイプのマスクを含む、他の任意のインタフェース構成を有する、患者インタフェースアセンブリ150のさまざまな特徴、態様及び利点を使用することができることも理解されよう。
【0105】
マスク152は、フレーム156とクッション又はシール158とを含むことができる。クッション又はシール158は、フレーム156に直接結合することができ、又は、フレーム156に接続可能であるクッションモジュール160の一部を形成することができる。こうしたクッションモジュール160は、クッション158の材料よりも硬質である材料から構成される相対的に剛性の高いハウジング162を含むことができる。相対的に剛性の高いハウジング162は、フレーム156とインタフェースすることができる。相対的に剛性の高いハウジング162は、フレーム156に取外し可能に接続することができる。相対的に剛性の高いハウジング162は、フレーム156の一部と係合してクッションモジュール160をフレーム156に接続する、クリップ部分を組み込むことができる。
【0106】
マスク152は、マスク152を呼吸導管(例えば、呼吸ガス回路106)に接続するように構成された接続チューブ164も含むことができる。接続チューブ164は、フレーム156又はクッションモジュール160(例えば、ハウジング162)等、マスク152の任意の好適な部分によって担持することができる。図示する構成では、接続チューブ164は、マスク152の協働部分(例えば、フレーム156又はクッションモジュール160)に直接接続される。接続チューブ164は、マスク152の協働部分に恒久的に又は取外し可能に接続することができる。他の構成では、マスク152は、エルボであり得るか又はエルボを備えるコネクタにより、呼吸導管に接続することができる。
【0107】
マスク152は、吐出された呼吸ガス及び過剰な呼吸ガスがマスク152の呼吸チャンバから出るのを可能にする排気装置又は通気口も含むことができる。いくつかの構成では、通気口は、複数の通気孔を備えるバイアス流通気口166であり得る(
図10)。図示する配置では、バイアス流通気口166は、マスクフレーム156に位置している。他の構成では、バイアス流通気口166は、クッションモジュール160又は接続チューブ164等、マスク152の他の部分に位置することができる。いくつかの構成では、
図2に示すように、バイアス流通気口166は、複数の通気孔を覆うディフューザ168を含むことができる。ディフューザ168は、清掃又は交換のためにマスク152から取外し可能であり得る。いくつかの構成では、ディフューザ168は、ディフューザ材料を金型内に位置決めし、その後、金型内に好適なプラスチック材料(例えば、ポリカーボネート)を射出して一体構造をもたらすオーバーモールドプロセスにより、マスク152の一部に恒久的に取り付けられる。ディフューザ材料は、フレーム156と直接オーバーモールドしてもよい。他の実施形態では、ディフューザ材料は、クリップとオーバーモールドしてもよい。クリップは、マスク152の別の部分の相補的係合特徴部と係合して、マスク152のその部分にクリップ(及び関連するディフューザ材料)を取り付ける、係合部分を有する。
【0108】
図48~
図50に示す患者インタフェースアセンブリの変更版に、代替的なバイアス流通気口166及びディフューザ168を示す。ディフューザ材料は、例示の目的で
図48のディフューザ168からは省略されている。バイアス流通気口166は、複数の通気孔167を含む。通気孔167は、フレーム156の凹状部分157内に設けられている。凹状部分157は、開口部256よりも幅が広い。凹状部分157のすぐ上のフレーム156の壁の窪みが、フレーム156からのディフューザクリップ168の取外しに役立つ開口部を提供する。使用時、凹状部分157は、ディフューザ168によって隠される可能性がある。ディフューザ168は、開口部256よりも幅が広い。通気孔167は、開口部256の上方に3つの弓形の列で配置されている。通気孔167は、開口部256の幅におよそ等しい幅にわたっている。開口部256に最も近い第1列の曲率半径は、第2列及び第3列よりも短い。開口部256から最も遠い第3列の曲率半径は、第1列及び第2列よりも長い。第1列における通気孔167の数は、第2列及び第3列における通気孔167の数よりも少ない。第3列における通気孔167の数は、第1列及び第2列における通気孔167の数よりも多い。3つの列における最端部の通気孔167は、垂直方向におよそ位置合せされている。通気孔167は、それらの長さに沿って直径が変化してもよい。特に、通気孔167は、バイアス流の方向に(すなわち、患者インタフェースアセンブリ150の内部から外部に)先細りになっている。先細りの通気孔167により、排出ガスからのノイズを低減させることができる。
【0109】
再び
図2を参照すると、ヘッドギア154は、マスク152に結合されている。ヘッドギア154は、マスク152のフレーム156に結合することができる。フレーム156又はマスク152は、好ましくは、フレーム156又はマスク152の各側に単一のヘッドギア取付具を含む。図示する配置では、ヘッドギア154は、使用者の頭部の各側に設けられたヘッドギアストラップを含み、ヘッドギアストラップは、マスク152と使用者の耳との間の使用者の顔面(例えば、頬)に沿った場所で二又に分岐している。各側のストラップは、互いに分離したものとすることができ、又は、使用者の頭部の一方の側から他方の側まで延在し、フレーム156又はマスク152に接続する中間部分を有する、一体型ストラップを形成することができる。ヘッドギア154は、後部部分及び任意選択的な頂部部分も含むことができ、それらについてはさらに詳細にさらに後述する。
【0110】
インタフェース
続けて
図2を参照し、さらに
図10を参照すると、クッションモジュール160は、選択的にマスク152のフレーム156に接続するとともにフレーム156から分離することができる。フレーム156及びクッションモジュール160は、好ましくは、実質的に気密の又は封止された関係で互いに接続する。例えば、フレーム156は、フレーム156から使用者又はクッションモジュール160に向かって後方方向に延在する取付ボス、接続リング又はカラーの形態のコネクタ170を備えることができる。フレームコネクタ170は、クッションモジュール160のハウジング162を支持する。フレームコネクタ170は、内面及び外面を有する。ハウジング162は、図示する配置ではカラー170の外面と係合する。しかしながら、代替的な配置では、ハウジング162は、フレームコネクタ170の内面と係合することができる。コネクタ170は、開口部256及びバイアス流通気口166を取り囲む。
【0111】
マスク152は、フレーム156及びクッションモジュール160の意図的でない又は望ましくない分離の可能性を低減させる配置を組み込むことができる。例えば、マスク152は、フレーム156とクッションモジュール160との接続を維持するのに役立ち、且つ/又はフレーム156とクッションモジュール160とを分離するために必要な力を増大させる、締り嵌め又は噛合い(例えば、スナップフィット)配置320を含むことができる。1つのこうした配置は、フレーム156及びクッションモジュール160のうちの一方における少なくとも1つの突起と、フレーム156及びクッションモジュール160のうちの他方における、突起を収容するようなサイズ及び形状である少なくとも1つの凹部とを含む。摩擦部材及び協働面等、他の好適な配置も使用することができる。
【0112】
フレームコネクタ170及びハウジング162の協働開口部は、フレームコネクタ170の軸を中心にフレームコネクタ170及びハウジング162を回転しないように固定する、非円形又は非円筒状の形状を有することができる。別法として又は加えて、フレーム156とクッションモジュール160との間の回転を防止する他の配置を使用することができる。例えば、
図45~
図47において患者インタフェースアセンブリの変更版に示すように、円筒状のカラーを、カラーの円筒形状によって本来は可能となる回転又は位置ずれを阻止又は防止する締り嵌め構造とともに使用することができる。フレーム156及びクッションモジュール160は、好ましくは、互いに単一の向きにのみ取り付けることができる。しかしながら、いくつかの構成では、フレーム156及びクッションモジュール160は、2つ以上の所定の向きで互いに選択的に取り付けられるように構成してもよい。例えば、使用者が、取付け前に、ハウジング162の開口部の上方又は下方のいずれかにバイアス流通気口を選択的に方向付けるように、クッションモジュールに対して180°、フレーム156を回転させることができる。締り嵌め構造は、フレーム及びクッションモジュールが一緒にされる際に小さい位置ずれを修正するようにテーパ状とすることができる。
【0113】
クッションモジュール
上述したように、図示するクッションモジュール160は、クッション158の材料よりも硬質である材料から構成される相対的に剛性の高いハウジング162を含む。いくつかの構成では、ハウジング162は、ポリカーボネート又は同様の材料から一部又は全体的に構成される。したがって、クッション158は、シリコーン又は同様の材料等、相対的に剛性の高いハウジング162の材料よりも軟質である材料から構成することができる。別段の指示がない限り、本明細書における材料の相対的な剛性又はスチフネスの記載は、材料間の弾性率の差、又は比較されている材料から構成された同じサイズ及び形状の固形体の剛性又はスチフネスの差を指す。特定の構造体の相対的な剛性又はスチフネスの記載は、それら構造体の材料特性及び物理的特性(例えば、サイズ、形状、壁厚さ)の両方を考慮した、それらの構造体の変形に対する抵抗を指すことができる。
【0114】
いくつかの構成では、クッション158は、ハウジング162に(又はフレーム156に直接)取外し可能に接続することができる。しかしながら、図示する配置では、クッション158は、ハウジング162に恒久的に接続されている。クッション158をハウジング162に恒久的に取り付けるために、一体成形又はオーバーモールド等の成形プロセスを使用することができる。加えて、メカニカルインタロック等の保持構造を使用して、クッション158のシリコーン材料とハウジング162のポリカーボネート材料とを確実にロックし、それによりそれらの接続を強化することができる。保持構造は、クッション158の材料によって占有されるハウジング162によって画定された複数の開口部を含むことができる。保持構造は、別法として又はさらに、クッション158の材料によって包囲されるとともにクッションの材料158と鍵状の係合をもたらす、ハウジング162の縁部に沿って又は隣接して位置決めされた環状リップを含むことができる。
【0115】
マスククッション
クッション158は、マスク152の内部が加圧されると膨張して特定の使用者の顔面に対して十分なシール及びより良好な適合を提供する内凹型湾曲壁を有する、膨張型シールであり得る。したがって、クッション158内に含まれる圧力は、顔面接触部分を使用者の顔面に対して付勢することができる。しかしながら、望ましい場合、他のタイプのシールを使用することができる。
【0116】
図3~
図7を参照すると、図示するクッション158は、開口部182を画定するリム180を含み、呼吸ガスは、開口部182を通ってクッション158の内部に導入される。ハウジング162は、リム158においてクッション158に接続することができる。リム180は、クッション158の他の部分よりも大きい厚さを有することができる。
【0117】
クッション158は、使用時に使用者の顔面と接触するように構成された顔面接触面186を画定する端壁184を含む。端壁184は、リム180の反対側に位置している。リム180と端壁184との間に側壁188が延在している。端壁184は、側壁188から内側に延在している。すなわち、クッション158の両側における端壁184の部分は、側壁188から互いに向かって延在している。端壁184は、少なくとも部分的に開口部192を画定する縁部190を含む。図示する構成では、縁部190は、開口部192を包囲している。いくつかの構成では、クッション158は、縁部190に向かう方向に又は縁部190まで、テーパ状になり又は厚さが低減している。すなわち、好ましくは、クッション158は、縁部190に又は縁部190に隣接して肉厚化リム又はビードを含まない。いくつかの構成では、
図37及び
図40においてクッション158の変更版に示すように、端壁184は、縁部190に又は縁部190に隣接して肉厚化リム又はビード191を含んでもよい。肉厚化リム又はビード191は、漏れの場合に端壁158のばたつきによって発生する騒音を改善することができ、且つ/又は開口部192からクッション158が引き裂かれるリスクを低減させることができる。肉厚化リム又はビード191は、約0.1~0.4mm、好ましくは約0.2~0.3mmの、好ましくは約0.26mmの半径を有することができる。開口部192は、少なくとも使用者の鼻の下方部分及び先端を収容するように設計されている。好ましくは、開口部192は、逆T字形であっても、概してT字形である。
【0118】
図5を参照すると、顔面接触面186は、概して、赤唇縁の上方且つ鼻孔の下方の場所で使用者の顔面と接触するように適合されている下部面又は唇面194を含む。顔面接触面186は、2つの別個の頬面196も含み、それらは、顔面接触面186の各側で顔面接触面186の唇面194と上部面198との間に延在している。頬面196は、使用者の内側頬面及び/又は使用者の外側鼻面に接触することができる。上部面198は、使用者の鼻の上に延在して2つの頬面196を接続することができる。
【0119】
端壁184は、シールクッション158の最も薄い部分であるか又は最も薄い部分のうちの1つであり得る。有利には、端壁184は、上唇、内側頬、外側鼻及び鼻梁のうちの1つ又は複数を含む、使用者の顔の輪郭に対して少なくとも実質的に封止するように、容易に変形することができる。有利には、唇面194内の端壁184の壁厚が小さいことにより、伸縮性を向上させることができ、使用者の唇の上方の領域に加えられる圧力が最小限になる。
【0120】
図3及び
図4を参照すると、少なくとも1つの肉厚化バンド200の形態の補強材が、クッション158の内面から内側に延在している。
図3及び
図4には単一の肉厚化バンド200を示すが、いくつかの構成では、肉厚化バンド200によって提供される特性を達成する要求を念頭に置いて、2つ以上の肉厚化バンド又は肉厚化領域を設けることができる。
【0121】
図示する肉厚化バンド200は、クッション158の側壁188に沿って位置決めされている。バンド200は、好ましくは、クッション158の各側面における相対的に大きい下部領域202と、クッション158の内側の上部部分の周囲に延在することにより下部領域202の間に延在する相対的に薄い連結部分204とを含む。クッション158がガス源102(
図1)から圧力を受けるとき、肉厚化バンド200は、側壁188が外側に膨らむ可能性及び/又は程度を低減させるのに役立つ。側壁188が外側に膨らむことにより、クッション158の形状の望ましくない変化がもたらされる可能性があり、それは、性能に悪影響を与えるとともに、クッション158からの望ましくない漏れに繋がる可能性がある。
【0122】
クッション158は、肉厚化バンド200とリム180との間のスチフネス低下領域210を画定することができる。スチフネス低下領域210により、クッション158が広範囲の使用者の鼻の特徴及びサイズに適応するのを可能にするように、クッション158の上部部分が優先的に前方に動くのを可能にすることができる。クッション158の上部部分は、ヒンジ軸又はヒンジ領域を中心にクッション158の下部部分に対して枢動するか又はヒンジ式に動くように構成されて、クッション158の上部部分の前方方向(使用者の顔面から離れる方向又はハウジング162に向かう方向)における枢動運動を可能にすることができる。ヒンジ軸又はヒンジ領域は、一部、肉厚化バンド200によって画定することができ、好ましくは、下部領域202のすぐ下に位置決めされる。ヒンジ軸は、側壁188のそれぞれの下角部に又はそれに隣接して下部肉厚化角部189によって一部画定されてもよい。側壁188は、下部肉厚化角部189からバンド200の下部領域202に向かって上方に比較的短い距離にわたってテーパ状になっている。側壁188は、下部肉厚化角部189から下方に比較的長い距離にわたってもテーパ状になっている。
【0123】
図示する配置では、スチフネス低下領域210は、上部部分154の枢動運動に応答してロールするように構成されている。
図4において破線により概略的に示すように、スチフネス低下領域210は、マスク152の正面に向かって(すなわち、使用者から離れる方向に)ロールするように設計されている。したがって、スチフネス低下領域210は、本明細書では、ローリング部分又はローリングブリッジと称することができる。ローリングブリッジ210において、ローリングブリッジ210の第1又は上部部分と第2又は下部部分との間の変曲点は、ローリングブリッジ210に沿って移動し、上部部分及び下部部分の長さは、ローリング運動中に変化する。いくつかの構成では、ローリングブリッジ210は、クッション158及び/又はハウジング162の一部であり得るマスク152の外面にわたり且つ/又は外面の上にロールする。ローリングブリッジ210は、座屈又は事前定義されたコンサーティーナ型の折り目の必要がないクッション158の予測可能な変形、クッション158の広範囲の顔及び鼻の寸法への適応、患者の鼻に対する封止力の制限、及び/又は患者の鼻に対する封止力をヘッドギア張力及び/又はチューブ抗力から少なくとも部分的に分離することという利点のうちの1つ又は複数を提供することができる。
【0124】
図3、
図4及び
図7を参照すると、図示するクッション158は、2つの肉厚化パネル220も備える。肉厚化パネル220は、クッション158の頬面196の上部部分に沿って、頬面196から上部面198への遷移部の近くに位置決めされている。パネル220は、クッション158の内面に形成することができる。図示するパネル220は、クッション158の封止能力を向上させることが分かっている局所的肉厚化領域を表す。パネル220は、使用者の鼻の側面に対して横方向の圧力を上昇させ、それにより、クッション158からの圧力がより適切に使用者の鼻の形状の輪郭に沿うことができる。図示する配置では、パネル220の厚さは、肉厚化バンド200の厚さのよりも小さい。いくつかの構成では、パネル220の厚さは、肉厚化バンド200の厚さの約1/2未満又は約1/4未満である。いくつかの構成では、パネル220は、1.0mm~1.5mm厚さであり得る。いくつかの構成では、パネル220は、約1.2mm~1.3mm厚さである。いくつかの構成では、パネル220は、約1.25mm厚さである。いくつかの構成では、パネル220を含む側壁188の部分は、側壁188の隣接部分よりも約0.8mm~1.2mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、パネル220を含む側壁188の部分は、約0.9mm~1.1mmだけ厚い。いくつかの構成では、パネル220を含む側壁188の部分は、約1mmだけ厚い。
【0125】
図示する配置では、パネル220の各々は、肉厚化バンド200から延在するか、又は肉厚化バンド200にすぐ隣接している側面又は境界部分を有する。図示するパネル220は、各々、形状が概して矩形である。肉厚化パネル220の各々は、肉厚化バンド200から側壁188及び端壁184に沿って延在している。矩形パネル220の各々の一端(例えば、前方端部222)は、肉厚化バンド200に接続されているか、又はすぐ隣接している。図示する配置では、肉厚化パネル220の各々は、端壁184の上に延在している。パネル220の各々は、開口部192の縁部190よりも前で終端する後方端部224を有する。言い換えれば、肉厚化パネル220の各々の後方端部224は、縁部190から間隔を空けて配置されている。
【0126】
いくつかの構成では、例えば
図37に示すように、肉厚化パネル220は、肉厚化バンド220から間隔を空けて配置されてもよく、クッション158は、肉厚化バンド200の一部と肉厚化パネル220の少なくとも一部との中間に接合パッド221を含むことができる。図示する構成における接合パッド221は、肉厚化パネル220の上部部分を肉厚化バンド200に接合する、側壁188の略矩形肉厚化領域を含む。肉厚化パネル220の下部部分は、肉厚化バンド200から間隔が空けられたままである。接合パッド221は、好ましくは、呼吸制限を引き起こすことなく、クッション158の選択された領域において、特に患者の目の周囲で、変形を低減させるとともに漏れを緩和するように、クッション158の側壁188に対する支持を提供する。接合パッド221は、肉厚化パネル220の厚さよりも小さいが、側壁188の他の隣接部分の厚さよりも大きい厚さを有する。いくつかの構成では、接合パッド221を含む側壁の部分は、側壁188の隣接部分よりも約0.5~0.9mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、接合パッド221を含む側壁の部分は、約0.65~0.75mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、接合パッド221を含む側壁の部分は、隣接する肉厚化パネル220よりも約0.2~0.4mmだけ薄くてもよい。いくつかの構成では、接合パッド221を含む側壁の部分は、約0.25~0.35mmだけ薄くてもよい。接合パッド221は、肉厚化バンド200から肉厚化パネル220の少なくとも一部を対応する距離だけ間隔を空ける、肉厚化パネル220から肉厚化バンド200まで前方方向に測定された幅を有する。いくつかの構成では、接合パッド221の少なくとも一部の幅は、約3~4mmである。いくつかの構成では、幅は、約3.2~3.6mmであり得る。いくつかの構成では、幅は、約3.4mmであり得る。接合パッド221は、好ましくは、肉厚化パネル220の上端部のみ向かって設けられ、これにより、患者の顔面のより敏感な領域に対する圧力がより低くなるように、肉厚化パネル220の下端部に向かって側壁188が比較的より変形するのを可能にすることができる。接合パッド221は、クッション158の内側を周方向に延在する長さを有する。いくつかの構成では、接合パッド221の長さは、隣接する肉厚化パネル220の長さの約15%~50%である。いくつかの構成では、その長さは、隣接する肉厚化パネル220の長さの約20%~45%である。いくつかの構成では、長さは、隣接する肉厚化パネル220の長さの約25%~33%である。
【0127】
図7を参照すると、クッション158は、肉厚化パネル220に加えて又はその代わりに1つ又は複数の肉厚化パネル226を含むことができる。便宜上、肉厚化パネル226は、本明細書では、「二次」肉厚化パネル226と称する。図示する配置では、一対の二次肉厚化パネル226が設けられている。一対の二次肉厚化パネル226の両方が、クッション158の上部部分に向かって又はクッション158の上部部分内で肉厚化パネル220の間に位置している。図示する二次肉厚化パネル226の各々は、肉厚化パネル220よりも実質的に小さい。二次肉厚化パネル226は、形状を概して矩形とすることができ、肉厚化バンド200に接続されるか又は肉厚化バンド200にすぐ隣接している前方端部228を有することができる。二次肉厚化パネル226の各々は、開口部192の縁部190から間隔を空けて配置されている後方端部230を有することができる。いくつかの構成では、二次肉厚化パネル226は、肉厚化パネル220の表面積の約1/10~1/20である表面積を有する。
【0128】
いくつかの構成では、顔面接触面186は非平面である。例えば、クッション158の上部部分における顔面接触面186は、クッション158の中間部分及び/又は下部部分に対して前方方向に延在することができる。顔面接触面186の上部面198の一部又は全体が、頬面196及び/又は唇面194の一部又は全体よりも前方に位置することができる。いくつかの構成では、上部面198は、クッション158の中間部分又はクッション158の頬面196に対して角度θを画定することができる。いくつかの構成では、上部面198の最後方縁部が、クッション158の中間部分の最後方縁部に対して角度θを画定することができる。クッション158の中間部分は、上唇接触部分の上方に位置している。いくつかの構成では、クッション158が直立した向きにある状態で側面から見た場合、
図3に示すように、上部面198の最後方縁部は、頬面196及び/又は垂直方向に対して角度θを画定することができる。直立向きでは、頬面196は、概して又は実質的に垂直方向に位置することができる。直立向きは、使用者の頭部が直立向きにある状態で使用者の上に適切に位置決めされるようなクッション158の向きである、クッション158の使用中の向きに一致することができる。角度θは55度未満であり得る。いくつかの構成では、角度θは、約40~50度又は約42~48度である。いくつかの構成では、角度θは約45度である。
【0129】
図4を参照すると、クッション158の顔面接触面186は、開口部192の最後方点と最前方点との間の開口部192の奥行232を画定することができる。最後方点は、頬面196に位置することができる。最前方点は、上部面198に位置することができる。特に、最前方点は、開口部192の縁部190に位置することができる。顔面接触面186の奥行232は、15mmよりも大きくすることができる。いくつかの構成では、奥行232は、約16~25mm又は約18~22mmである。いくつかの構成では、奥行232は20mm又は20.5mmである。
【0130】
図5を参照すると、クッション158は、高さ234及び幅236を画定することができる。高さ234及び/又は幅236は、クッション158及びマスク152の使用者に対する目障りさを低減させるか又は最小限にしながら、望ましい封止特性を達成するように選択することができる。特に高さ234は、上部面198が使用者の鼻の背隆起と接触するように選択することができる。いくつかの構成では、高さ234は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ範囲全体にわたって、約45mm~60mm又は約47.8mm~57.8mmであり得る。例えば、クッション158は、約47mm~48mm(例えば、47.8mm)の高さ234を有する小サイズと、約52mm~53mm(例えば、52.8mm)の高さ234を有する中サイズと、約57mm~58mm(例えば、57.8mm)の高さ234を有する大サイズとを含む、少なくとも3つのサイズで提供することができる。いくつかの構成では、幅236は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ範囲全体にわたって、約55mm~64mm又は約56.5mm~63.9mmであり得る。例えば、小サイズは、約56mm~57mm(約56.5mm)の幅236を有することができ、中サイズは、約58mm~59mm(例えば58.3mm)の幅236を有することができ、大サイズは、約63mm~64mm(例えば、63.9mm)の幅236を有することができる。
【0131】
高さ234に対する幅236の比は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ範囲全体にわたって、約1.1~1.2であり得る。例えば、小サイズのクッション158の高さ234に対する幅236の比は、約1.2(例えば、1.18)であり得る。中サイズのクッション158の高さ234に対する幅236の比は、約1.1であり得る。大サイズのクッション158の高さ234に対する幅236の比は、約1.1(例えば、1.12)であり得る。
【0132】
クッション158の開口部192は、高さ240及び幅242を画定することができる。高さ240及び/又は幅242は、クッション158の望ましい封止特性を達成するように選択することができる。いくつかの構成では、高さ240は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ範囲全体にわたって、約20mm~35mm又は約22.8mm~32.5mmであり得る。例えば、小サイズは、約22mm~23mm(例えば、22.8mm)の高さ240を有することができ、中サイズは、約23mm~24mm(例えば、23.3mm)の高さ240を有することができ、大サイズは、約32mm~33mm(例えば、32.5mm)の高さ240を有することができる。いくつかの構成では、幅242は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ全体にわたって、約34mm~45mm又は約34.2mm~43.1mmであり得る。例えば、小サイズは、約34mm~35mm(例えば、34.2mm)の幅242を有することができ、中サイズは、約37mm~38mm(例えば、37.4mm)の幅242を有することができ、大サイズは、約43mm~44mm(例えば、43.1mm)の幅242を有することができる。
【0133】
高さ240に対する幅242の比は、1.25より大きくすることができる。いくつかの構成では、高さ240に対する幅242の比は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ全体にわたって、約1.25~1.7又は約1.3~1.65(例えば、1.33~1.61)であり得る。例えば、小サイズのクッション158の高さ240に対する幅242の比は、約1.5であり得る。中サイズのクッション158の高さ240に対する幅242の比は、約1.6(例えば、1.61)であり得る。大サイズのクッション158の高さ240に対する幅242の比は、約1.3(例えば、1.33)であり得る。
【0134】
図6を参照すると、クッション158は、クッション158の断面に沿って最前方点と最後方点との間の奥行244を画定することができる。例えば、奥行244は、クッション158を右側と左側とに二分する垂直中心面に沿って測定することができる。いくつかの構成では、奥行244は、クッション158の下部部分で測定される。例えば、奥行244は、垂直中心面内に位置する、リム180の最前方点と唇面194の最後方点との間で測定することができる。いくつかの構成では、奥行244は、単一のクッション158について又はクッション158のサイズ範囲全体にわたって、約20~30mm、約23~28mm又は約25~26mmであり得る。いくつかの構成では、奥行244は、約25.35mmであり得る。
【0135】
図6-1及び
図6-2は、本発明のクッション158と、Eson2鼻マスクの構成要素として、本出願人であるFisher&Paykel Healthcare Ltd.によって販売されている従来技術によるクッション158Pとのいくつかの相違を示す。
図6-1に示すように、本発明のクッション158の高さ234は、Eson2クッション158Pの高さ234Pよりも小さい。その結果、本発明のクッション158の上部部分は、Eson2クッション158Pと比較して使用者の鼻の下方に位置する。したがって、Eson2クッション158Pと比較して、クッション158のより大きい割合が使用者の視野の外に位置することができ、且つ/又はクッション158の上部部分が使用者の視野の端のより近くに位置することができる。したがって、本発明のクッション158は、Eson2クッションよりも使用者にとって目障りにならない。
【0136】
同様に
図6-1に示すように、本発明のクッション158の開口部192の奥行232は、Eson2クッション158Pの開口部192Pの奥行232Pよりも大きい。こうした配置により、使用者の鼻の上での本発明のクッション158のより低い位置を容易にするか又はそれに適応することができる。
【0137】
いくつかの構成では、本発明のクッション158のローリングブリッジ210は、リム180の前方端部から間隔を空けて配置された場所でリム180につながることができる。言い換えれば、リム180の一部は、ローリングブリッジ210から前方方向に突出することができる。いくつかの構成では、ローリングブリッジ210は、リム180の内面がリム180とローリングブリッジ210との遷移部においてローリングブリッジ210の内面と位置合せされるように、リム180の後方端部から延在することができる。対照的に、Eson2クッション158Pのローリングブリッジ210Pは、リム180Pの前方端部につながっている。本発明のクッション158の配置により、Eson2クッション158Pの配置と比較して、金型ツーリングを簡単に且つ安価にすることができる。しかしながら、他の構成では、ローリングブリッジ210は、
図38に示すクッション158の変形形態に示すように、リム180の前方端部につながることができる。
【0138】
上述し且つ
図6-1及び
図7に示すように、本発明のクッション158の肉厚化パネル220は、肉厚化バンド200内に延在するか又は肉厚化バンド200に接続する。対照的に、Eson2クッション158Pの肉厚化パネル(図示せず)の前方端部は、肉厚化バンド200Pのかなり手前で終端する。いくつかの構成では、本発明のクッション158の肉厚化パネル220の後方端部及びEson2クッション158Pは、クッション158、158P上の同じか又は同様の相対位置にある。本発明のクッション158の肉厚化パネル220の方が長いことにより、漏れを低減させるためのより良好なシールのためにクッション158の局所化した強度又はスチフネスが向上する。
【0139】
図6-2を参照すると、本発明のクッション158の開口部192は、Eson2クッション158Pの開口部192Pよりも短く且つ/又は幅が広い。すなわち、本発明のクッション158の開口部192の高さ240は、Eson2クッション158Pの開口部192Pの高さ240Pよりも小さい。図示する配置では、本発明のクッション158の開口部192の幅242は、Eson2クッション158Pの開口部192Pの幅242Pよりも大きい。上述したように、少なくともEson2クッション158P及びマスクと比較して、本発明のクッション158のより短い開口部192は、使用者の鼻の上のより下方の位置に適応して、クッション158及び関連するマスク152が使用者にとってより目障りに感じさせないようにする。本発明のクッション158のより広い開口部192により、クッション158が使用者の鼻の上に位置決めされるときに使用者の鼻の周囲でのシール158の撓みが容易になる。本発明のクッション158の一実施形態とEson2クッション158Pとのいくつかの相違を、以下の表に要約する。
【0140】
【0141】
クッション158の別の構成とEsonクッション158Pの別の構成との相違を、以下の表に要約する。
【0142】
【0143】
再び
図37を参照するとともに、
図39及び
図40も参照すると、いくつかの構成では、クッション158は、一対の下部肉厚化部分225を含む(
図37にはそのうちの一方のみを示す)。図示する配置では、下部部分225の各々は、クッション158の内部に延在するクッション158の長尺状肉厚化部分である。いくつかの構成では、下部肉厚化部分225を含む側壁の部分は、側壁188及び/又は端壁184の隣接部分よりも、約0.1~0.6mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、下部肉厚化部分225を含む側壁の部分は、約0.1~0.3mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、下部肉厚化部分225を含む側壁の部分は、約0.2mmだけ厚くてもよい。いくつかの構成では、下部肉厚化部分225は、約1.2mm厚であり得る。いくつかの構成では、下部肉厚化部分の絶対厚さ及び/又は相対厚さは、それらの長さに沿って実質的に均一であり得る。
【0144】
図37、
図39及び
図40に示すように、下部肉厚化部分225は、少なくとも部分的に湾曲している。
図37に示すように、クッション158の側面から見た場合、下部肉厚化部分225は、特に、側壁188から端壁184のクッション158の遷移部における下部肉厚化部分225の中間部分において、上方方向に湾曲しているように見える。各下部肉厚化部分225は、それらのそれぞれの主面に対して実質的に垂直な方向に湾曲しているか又は丸くなっている。言い換えれば、肉厚化部分225は、実質的な平面曲線を、その曲線の平面に実質的に垂直な方向に広がる幅を有するにも関わらず、形成している。特定の角度から見た場合、
図38に示すように、下部肉厚化部分225は、実質的に線状に見える場合がある。しかしながら、クッション158を別の角度から見た場合、下部肉厚化部分225は、
図37において最もよく示すように、横向きの曲線を有するように見える。下部肉厚化部分225と側壁188及び端壁184の隣接部分とが平坦化されている場合、下部肉厚化部分225は平面曲線を形成する。下部肉厚化部分225は、それらの長さの少なくとも一部に沿ってねじれを有してもよい。
【0145】
下部肉厚化部分225は、リム180に又はリム180に隣接して又はリム180の近くに、クッション158の実質的に三角形の側壁188のそれぞれの下角部に又は下角部に隣接して又は下角部の近くに設けられた第1端部225aを有する。この第1端部から、下部肉厚化部分225は、実質的に後方に(すなわち、使用時に使用者に向かって)延在した後、上方に湾曲し、開口部192の両側において、顔面接触面186の頬面196に隣接する端壁184の第2端部で終端している。
図39に示すようにクッション158の頂部、又は底部から見ると、下部肉厚化部分225は、互いに対して外側に広がり、第1端部225aから中間部分に向かって後方に互いに離れる方向に延びている。
図40に示すようにクッションの正面、又は背面から見ると、下部肉厚化部分225は、中間部分から第2端部225bに向かって上方に互いに近づく方向に延びている。この離れる-近づく配置は、使用者の顔面の比較的敏感な領域との接触を回避するのに役立つことが分かっている。下部肉厚化部分225は、
図37に示すように、肉厚化バンド200の下部領域202の垂直方向上方の、且つ下部領域202から水平方向に間隔を空けて配置された第2端部で終端している。下部肉厚化部分225は、肉厚化部分220のそれぞれの最下部分よりも垂直方向に下方の、且つそれぞれの最下部から垂直方向に間隔が空けられた第2端部で終端している。下部肉厚化部分225は、側壁188のそれぞれの下部肉厚化角部189の下に延在するとともに、それぞれの下部肉厚化角部189の垂直方向下方の、且つそれぞれの下部肉厚化角部189から間隔が空けて配置された第1端部225aで終端している。
【0146】
いくつかの構成では、下部肉厚化部分225の第1端部225aと第2端部225bとの間の直線距離(すなわち、3次元空間を通る最も直接的な経路)は、約30~35mmである。いくつかの構成では、直線距離は、約32.9mmである。下部肉厚化部分225の第2端部225bは、患者の鼻の敏感な領域に接触しないように、開口部192から間隔を空けて配置されている。いくつかの構成では、下部肉厚化部分225と開口部192との間の最小間隔は、少なくとも4mmである。いくつかの構成では、最小間隔は、約5~6mmである。いくつかの構成では、最小間隔は約5.2~5.5mmであり得る。
【0147】
下部肉厚化部分225の下部第1端部225aは、上部第2端部225bよりも幅が狭い場合がある。肉厚化部分225は、第2端部225bから第1端部225aまでテーパ状となっており、これは、患者の上唇の敏感な領域との接触を回避するか又は低減させるのに役立つことができる。いくつかの構成では、第1端部の幅は、約4~6mmである。いくつかの構成では、第1端部の幅は、約4.7mm、4.8mm又は5.0mmである。いくつかの構成では、第2端部の幅は、約7~8mmである。いくつかの構成では、第2端部の幅は、約7.4又は7.8mmである。いくつかの構成では、第2端部225bは、第1端部225aよりも少なくとも50%だけ幅が広い。いくつかの構成では、第2端部225bは、第1端部225aよりも約50%~60%だけ幅が広い。いくつかの構成では、第2端部225bは、第1端部225aよりも約54%だけ幅が広い。
【0148】
肉厚化部分225は、力を使用者ではなくハウジング162に向かって伝達し、クッションのつぶれを低減させ、且つ/又は、封止力を上唇及び鼻の下部領域等のより敏感な領域ではなく使用者の頬に伝達する追加の支持を提供することが分かっている。
【0149】
再び
図37を参照すると、いくつかの構成では、側壁188の厚さは、クッション158の底部部分において、リム180から顔面接触面186の下部面194に向かって後方に、徐々にテーパ状となり得る。テーパは、非線形であってもよく、特に、実質的に急激なテーパであってもよい。対照的に、クッション158の他の領域では、比較的厚いリム180から側壁188のすぐ隣接する部分まで側壁188の厚さに段状変化があり、側壁188の厚さは、リム180と端壁184との間で、肉厚化バンド200、肉厚化パネル220及び接合パッド221を除き、実質的に均一なままである。
【0150】
クッション158の底部部分における側壁188のテーパは、
図6-1に示す、従来のEson2クッションのテーパよりも緩やかである。いくつかの構成では、側壁188は、リム180から少なくとも約3mmでリム180の厚さの半分(50%)までテーパ状となり得る。いくつかの構成では、側壁は、リム180から少なくとも約4mmでリム180の厚さの半分までテーパ状となる。いくつかの構成では、側壁は、リム180から少なくとも約5.5mmでリム180の厚さの半分までテーパ状となる。いくつかの構成では、側壁188は、リム180から少なくとも約7mmでリム180の厚さの1/4(25%)までテーパ状となり得る。いくつかの構成では、側壁は、リム180の少なくとも約8mmでリム180の厚さの1/4までテーパ状となる。いくつかの構成では、側壁は、リム180から少なくとも約9.4mmでリム180の厚さの1/4までテーパ状となる。
【0151】
ヘッドギア-インタフェース接続
図8~
図16を参照すると、マスク152とヘッドギア154との間の図示する接続装置248は、使用者の顔面の動作可能位置にマスク152を固定するように構成されている。いくつかの構成では、接続装置248は、マスクの各側におけるヘッドギア154とマスク152との単一接続により、マスク152に好適なレベルの安定性を提供するように構成されている。したがって、図示するマスクアセンブリ150は、前頭支持体又は対応する上部ヘッドギア部分を含まない。その結果、図示するマスクアセンブリ150は、マスクフレーム156のいかなる部分もクッションモジュール160の上方に延在することを回避し、そのため、少なくとも前頭支持体を有するマスクと比較して、使用者にとってそれほど目障りではない。
【0152】
図示するマスクアセンブリ150において、マスク152の各側に接続装置248が設けられている。接続装置248は、接続装置248が互いに鏡像であり得ることを除き、マスク152の各側において同一又は実質的に同じであり得る。したがって、本明細書では、一方の接続装置248のみについて説明する。しかしながら、その説明は、他方の接続装置248に等しく適用することができる。別法として、マスク152の各側における接続装置248は、さらに詳細に後述するように、互いにわずかに異なっていてもよい。図示する接続装置248は、取外し可能な接続である。代替配置では、ヘッドギア154は、一方の側においてマスク152に恒久的に接続され、他方の側で取外し可能な接続(例えば、接続装置248)を採用してもよい。
【0153】
図8を参照すると、接続装置248は、フレーム156に取外し可能に接続可能であるヘッドギアクリップ250を含む。
図8は、フレーム156に取り付けられたヘッドギアクリップ250を示す。
図10をさらに参照すると、フレーム156の各側は、概して、各ヘッドギアクリップ250と関連付けられる耳部252を備える。耳部252は、好ましくは、フレーム156の中心部分254から横方向外側に延在しており、フレーム156は、コネクタ部分170と、コネクタ部分170の内部と連通するとともに接続チューブ164を受け入れる開口部256とを含む。耳部252は、クリップ250を従来の4点ヘッドギア配置に対してさらに前方及び/又は上方に位置付けて、クリップ250を使用者の周辺視野の中に又はさらにその中に位置決めするように構成することができる。これにより、少なくとも一部の患者が、クリップ250を耳部252に係合し且つ/又は耳部252から係合解除するのをより容易にすることができる。
【0154】
図示する配置では、接続装置248は、フック-ポストコネクタである。しかしながら、他のコネクタタイプも使用することができる。図示する配置では、フレーム156の耳部252の各々がポスト260を含む。しかしながら、他の配置では、ポスト260は、クリップ250上に位置することができる。図示する配置では、クリップ250の各々は、フック構造体266を含む。しかしながら、他の配置では、フック構造体266は、フレーム156上に位置することができる。フック構造体262及びポスト260は、容易に接続可能且つ分離可能な構成を提供する。いくつかの構成では、クリップ250は、フレーム156の左側及び右側の両方で単一クリップを使用することができるように、対称的である。他の構成では、マスク152の各側のポスト260及び/又はクリップ250は、ヘッドギア154とフレーム156との間の不適切な接続の可能性を低減させるように異なっていてもよい。
【0155】
図示するクリップ250は、ベース部分又はベース264とフック部分又はフック266を含む。ベース264及びフック266は、協働してフック構造体262を形成している。フック266は、ベース264の前方端部の側面からから延在している。いくつかの構成では、ベース264の前方端部は、フック266の前方端部と位置合せされる。ベース264は、クリップ250がポスト260に接続されたときにポスト260の長手方向軸Aに平行な方向に高さ270を画定する。同様に、フック266は、同じ方向に高さ272を画定する。いくつかの構成では、ベース264の高さ270は、フック266の高さ272よりも大きい。加えて、ベース264の一部が、高さ270、272の方向にフック266の上端部及び下端部の両方を越えて延在することができる。いくつかの構成では、フック266は、垂直方向又は高さ270、272の方向において、ベース264に対して中心に置くことができる。
【0156】
図11を参照すると、ベース264及びフック266は、協働して、ポスト160を収容するようなサイズ及び形状である空間274を画定している。ポスト160は、概して後方に面する開口部276を通して空間274内に挿入することができる。空間274は、クリップ250がポスト260に接続されたときにポスト260の長手方向軸Aに垂直な方向、又は高さ270、272の方向に垂直な方向において、最大幅278を画定することができる。開口部276は、空間274の最大幅278に平行な方向に最小幅280を画定することができる。
図12を参照すると、ポスト160は、図示するポスト160が円筒状であるため本明細書では直径282と称することができる、最大幅を画定することができる。空間274の幅278は、クリップ250がポスト160に接続されたときにポスト160とクリップ250との間に密な嵌合をもたらすように、直径282に等しいか又は直径282よりもわずかに大きくすることができる。こうした配置により、さらに後述するように、接続装置248の安定性を向上させることができる。1つの構成例では、直径282は2.47mmとすることができ、幅278は2.52mmとすることができる。いくつかの構成では、幅278は、直径282よりも約2%大きい。他の構成では、空間274の幅278は、ポスト160の直径よりも小さくすることができ、それにより、フック266は、ポスト160が挿入されたときに完全には弾性的に回復しない。
【0157】
図12-1を参照すると、1つの構成例では、クリップ250は、フック266の先端部において約1.5mmの厚さ402を有する。別の構成例では、厚さ402は、約1.3mmであってもよい。フック開口部の直径404は、約3.0mmの直径を有するポスト260の場合は約3.1mmであり、ポスト260の各側に約0.05mmの隙間を提供することができる。この構成におけるポスト260と突起284との間の干渉の量406は、約0.25mmである。
【0158】
開口部276の幅280は、使用中にクリップ250が不注意で外れる可能性が低いように、フック構造体262とポスト260との間に締り嵌めを提供するために、空間274の最大幅278及び/又はポスト260の直径よりも小さくすることができる。1つの特定の構成では、0.25mmを超え0.30mm未満の干渉が好適であり、0.28mmの干渉が好ましいことが分かった。図示する配置では、クリップ250の開口部276は、ベース264と、フック266の突出部分、干渉突起、又は単に突起284との間に画定されている。図示する配置では、空間274は、円筒状ポスト260の対応する表面と接触することができる、半円筒形状等、部分円筒形状を画定する。突起284は、
図12に示すように、ポスト260が空間274内に挿入されたとき、ポスト260とフック266との間に空間が存在するように、部分円筒形状を画定するフック266の部分から間隔を空けて配置することができる。
【0159】
クリップ250とポスト160との間の締り嵌めは、所望の分離力に対して構成することができ、この分離力は、意図しない係合解除を阻止するのには十分高いが、使用者による好都合な意図的な係合解除を可能にするのに十分低いものであり得る。図示する配置では、0.25mmを超え0.3mm未満である干渉、すなわち、開口部276の幅280と空間274の幅及び/又はポスト260の直径282との差が望ましい、と決定された。例えば、干渉は、約0.26mm~0.29mm、約0.27mm~0.29mmとすることができ、又は約0.28mmであり得る。こうした干渉は、本明細書に開示するポスト260及び/又は空間274の寸法に基づき、それらの寸法のパーセンテージ又は割合として表すことができる。さらに、干渉は、フック266の形状若しくはサイズ及び/又はクリップ250の材料に基づいて変更することができる。いくつかの構成では、接続を不必要に困難にすることなく不注意による分離を防止するために、必要な接続力が必要な分離力よりも小さくなるように、突起284の引込角及び引出角を構成することができる。
【0160】
いくつかの構成では、クリップ250とポスト160との締り嵌めは、構成要素間の適切な接続を確認する触覚及び/又は可聴フィードバックを提供するように構成することができる。
【0161】
主に
図10を参照すると、各耳部252は、ポスト260に隣接して位置する開口部290を画定している。すなわち、ポスト260は、開口部290の境界の一部を画定している。開口部290は、クリップ250がポスト260に接続されるのを可能にするために、クリップ250の少なくともフック266を受け入れて収容するように構成されている。図示する構成では、耳部252及び開口部290は、フレーム156に対するクリップ250の移動を制限するように構成されている。いくつかのの構成では、耳部252及び開口部290は、ポスト260の長手方向軸Aに垂直な軸を中心とするクリップ250の回転運動を制限するように構成されている。こうした配置により、さらに後述するように、使用者の顔面におけるマスク152の安定性を向上させることができる。いくつかの構成では、耳部252及び開口部290は、ポスト260の長手方向軸Aを中心とするクリップ250の回転運動を制限するように構成されている。こうした配置により、マスク152からのクリップ250の望ましくない分離を阻止することができる。
【0162】
図示する開口部290は、概して形状が台形であり、ポスト260とは反対側の端部は、ポスト260の長さよりも大きい長さを有する。こうした配置により、使用者がマスク150を着用しているときにしばしばあり得る、マスク152を見ることができない、ということなしに、フック266を開口部290に通す使用者の能力が向上する。しかしながら、他の配置では、開口部290は任意の所望の形状を有することができる。各々がポスト260とポスト260の反対側の開口部290の端部との間に延在する、開口部290の各両側の少なくとも一部が、ポスト260に向かって互いに近づいている。こうした配置は、クリップ250をポスト260に向かって誘導するのに役立つことができる。
【0163】
図示する開口部290は、開口部290の隣接部分に対する幅狭部分292を含む。幅狭部分292は、ポスト260に隣接して位置している。幅狭部分292は、ポスト260とともに、クリップ250のフック266を受け入れる空間を画定している。幅狭部分292は、第1面又は上部面294と対向する第2面又は下部面296とによって画定することができる。上部面294及び下部面296の各々は、ポスト260を起点とし、ポスト260から離れて終端部まで延在している。幅狭部分292の空間は、水平方向においてポスト260と上部面294及び下部面296の終端部を結ぶ想像線との間、及び垂直方向において上部面294と下部面296との間に画定することができる。いくつかの構成では、ポスト260に向かって互いに近づいている開口部290の両側の部分は、幅狭部分292のそれぞれの上部面294及び下部面296に隣接して設けられ、それらに向かって互いに近づいている。
【0164】
幅狭部分292の空間のサイズ及び/又は形状は、クリップ250がポスト260に接続されたときに幅狭部分292を占有するフック266のベース又は接続部分のサイズ及び/又は形状、特に断面サイズ及び/又は形状と一致するか又は実質的に同じであり得る。いくつかの構成では、幅狭部分292の空間のサイズ及び/又は形状は、クリップ250がポスト260に接続されたときに幅狭部分292を占有するフック266のベース又は接続部分よりもわずかに大きくすることができる。好ましくは、相対的なサイズは、幅狭部分292へのフック266の好都合な挿入を可能にするが、上述したように、ポスト260の長手方向軸Aに垂直な方向におけるクリップ250のいかなる実質的な回転も制限するのに十分密な嵌合を可能にするように選択される。こうした回転は、幅狭部分292を占有するフック266のベース又は接続部分と、幅狭部分292の上部面294及び下部面296との接触によって少なくとも一部制限することができる。
【0165】
いくつかの構成では、フック266は、フック266がポスト260と係合したときに幅狭部分292の空間にわたるような形状である。いくつかの構成では、フック266は、幅狭部分292の空間の全体又は実質的に全体を占有することができる。したがって、ポスト260の長手方向軸Aに平行な方向における上部面294と下部面296との間の距離は、フック266の高さ272に等しいか、又はそれよりもわずかにのみ大きい。こうした配置により、使用時にポスト260の長手方向軸Aに沿ったクリップ250の軸方向運動が制限又は防止される。いくつかの構成では、クリップ250のベース264から延在するフック266のベース部分は、フック266の最も厚い部分であるか、又は、フック266の最大壁厚さを画定することができる。フック266のベース部分の一部又は全体の厚さは、フック266が、幅狭部分292の上部面294及び下部面296の一方又は両方の全体に沿って延在するように選択することができる。いくつかの構成では、フック266は、上部面294及び下部面296の一方又は両方の終端部を越えて延在してもよい。
【0166】
上部面294の形状及び/又は向きは、フック266の対応する上部面の形状及び/又は向きに対応することができる。同様に、下部面296の形状及び/又は向きは、フック266の対応する下部面の形状及び/又は向きに対応することができる。図示する配置では、上部面294は、下部面296に平行であるか又は実質的に平行である。加えて、フック266の上部面及び下部面は、平行であるか又は実質的に平行である。したがって、フック266と幅狭部分292との嵌合が密である場合、フック266は、上部面294及び下部面296の全体又は実質的に全体と接触している。フック266と幅狭部分292との間に幾分かの隙間が設けられる場合であっても、フック266が幅狭部分292の上部面294及び下部面296とサイズ及び/又は向きが対応しない配置と比較して小さい角運動で接触が発生する。
【0167】
いくつかの構成では、クリップ250は、ポスト260の長手方向軸Aを中心とするポスト260及び/又はフレーム156に対する枢動運動を可能にするように構成することができる。こうした配置により、フレーム156に対するクリップ250の角度向きを、頭部の異なる形状に容易に適応することができるように変更することができる。しかしながら、いくつかの構成では、クリップ250の枢動運動を制限することができる。例えば、クリップ250のベース264が、フック266の高さ272よりも大きい高さ270を有するため、ベース264は、フレーム156と接触することができる。いくつかの構成では、ベース264は、ポスト260及び/又は幅狭部分292の上方及び/又は下方のフレーム156の部分と接触して、フレーム156に向かい且つ/又はフレーム156から離れるクリップ250の枢動運動を制限することができる。
【0168】
図13~
図16は、接続装置248のクリップ250及びポスト160の係合からもたらされるか又はそうした係合によって促進される、マスク152とヘッドギア154との相互作用を示す。
図13は、回転が、接続装置248により、限定、制限又は防止される方向、特にクリップ250がポスト260に接続されたときの開口部290の幅狭部分292内のフック266の位置決めを示す。上述したように、接続装置248は、ポスト260の長手方向軸Aに垂直である軸を中心とするクリップ250の運動を限定、制限又は防止することができる。マスクアセンブリ150の文脈では、垂直面内の又は水平軸を中心とするクリップ250の運動は、限定、制限又は防止される。さらに後述するように、ヘッドギア154がクリップ250に十分な支持を提供する場合、ヘッドギア154は、接続装置248と組み合わせて、使用者の顔面におけるマスク152の過度な揺動を、限定、制限又は防止する。
図14は、ヘッドギア154が特定の用途又はヘッドギアタイプに対して所望の角度でマスク152から延在するように、接続装置248を構成することができることを示す。すなわち、シールの底部の頂部をより係合させる目的で、マスクフレームに対して異なる角度でコネクタを固定することができる。
【0169】
図15及び
図16は、マスクアセンブリ150が異なる頭部の幅又はサイズを有する使用者に適合するのを可能にするために、ポスト260の長手方向軸Aを中心とするクリップ250の回転がマスク152に対して制限される、方向及び範囲を示す。
図15は、ポスト260の長手方向軸Aを中心とするクリップ250の幾分かの回転が可能となることを示す。マスクアセンブリ150全体の文脈では、この回転は、水平面内であるか又は垂直軸を中心とする。
図16は、可能にすることができる運動の範囲例を示す。例えば、いくつかの構成では、機能的な範囲は、0~90度とすることができる。しかしながら、いくつかの構成では、許容可能又は作動範囲は、さらに制限される。例えば、図示する配置では、約15度の作動範囲αが提供される。約15度の作動範囲αは、マスクアセンブリ150を横方向右側部分と左側部分とに二分する中心垂直面に対して約45~約60度の角度で可能とされる。こうした範囲により、過度の回転運動で発生する可能性がある接続装置248の望ましくない分離を低減させるか又は最小限にしながら、許容可能な範囲の使用者の頭部サイズの適合を可能にすることができる。他の構成では、作動範囲は、約10度~約30度であり、中心垂直面に対して約20度~80度の範囲内の任意の角度の間で可能とされてもよい。
【0170】
図17A~
図17Dは、使用者にマスクアセンブリ150を装着する方法を示す。いくつかの構成では、マスクアセンブリ150及び接続装置248は、ヘッドギア154とマスク152との接続を行うために使用者が片手を用いて実質的に単一の動作でマスクアセンブリ150の装着(適用又は着用)を可能にするように構成することができる。使用者の他方の手は、マスク152を支持するために用いることができる。
図17Aは、ヘッドギア154をマスク152から分離するための運動の方向を示す。すなわち、使用者から離れて前方方向にヘッドギア154(及びクリップ250)を移動させて、フック266の弾性によって生じる分離力に抗してクリップ250の開口部276を通るようにポスト260を強制的に移動させることにより、ポスト260からクリップ250を分離することができる。
図17Aに示すヘッドギア154の取外しは、マスクアセンブリ150の使用者からの取外しを可能にするため、又はマスクアセンブリ150が使用者に適用される前に開ループを形成するために、行うことができる。
【0171】
図17B及び
図17Cは、マスク152が使用者の鼻の近くに又は鼻の上に位置することができ、ヘッドギア154の分離された端部が、使用者の頭部の周囲で又は頭部の上で、マスク152の協働側に向かって振り動かすことができることを示す。
図17Dに示すように、クリップ250を操作して、マスク152のフレーム156の開口部290にフック266を通すことができる。ヘッドギア154及びクリップ250を後方方向に移動させて、ポスト260を、クリップ250の開口部276を通して空間274内に押し込んで、クリップ250をフレーム156に且つヘッドギア154をマスク152に接続することができる。マスクアセンブリ150の各側に単一のヘッドギアクリップ250のみが設けられるため、マスク152へのヘッドギア154の接続は、片手で1回の動作で達成することができる。マスクアセンブリ150を取り外すために、使用者は、
図17Aに関連して示し記載したように、マスク152からクリップ250を係合解除することができる。
【0172】
図18は、クリップ250に接続されているヘッドギア154のストラップ又は一部を、クリップ250に対して斜めに向けることができることを示す。言い換えれば、ヘッドギア154の長手方向軸又は中心線が、クリップ250の長手方向軸又は中心線に対する角度を画定することができる。本明細書に用いる場合の、斜めに向ける又は角度を画定するとは、軸又は中心線が直線を形成しないことを意味する。言い換えれば、斜めに向けられている2本の線又は軸は、0度又は180度の角度を画定しない。こうした配置により、ヘッドギア154を使用者の頭部に対して要求通りに向けることができる一方で、フレーム156の向きに関係なくクリップ250がフレーム156に対して要求通りに向けられるのを可能にすることができる。
【0173】
図19~
図21は、マスク152のフレーム156との接続部の後方に位置するクリップ250の後方部分298を、フレーム156に接続された部分に対して拡大することができることを示す。拡大後方部分298は、クリップ250の使用者のグリップを改善するために提供することができる。いくつかの構成では、拡大後方部分298は、
図19に示すように、フレーム156の端部と接触することによりクリップ250の回転を制限するように構成することができる。
【0174】
いくつかの構成では、ヘッドギアクリップ250は、接続装置248を改善するための追加の構造を含むことができる。
図41~
図45は、ベース264が、ベース264の外側に面する主面から外側に、好ましくはその主面に実質的に垂直な方向に少なくとも部分的に延在する突起265を含む、クリップ250の変更版を示す。図示するクリップ250では、突起265は、ヘッドギアクリップ250の幅にわたる。しかしながら、いくつかの構成では、突起265は、ベース264の幅の一部のみにわたってもよい。いくつかの構成では、突起265は、前部ストラップ部分306の近くで、クリップ250の後方部分298に、それに隣接して、又はそれに向かって位置し、これは、クリップ250の接続及び/又は分離が妨げられないように使用者の手をフック266から離れたままにするのに役立つことができる。
【0175】
いくつかの構成では、突起265は、ベース264の隣接部分から約2~5mmだけ突出していてもよい。いくつかの構成では、突起265は、ベース264から約3.5mmだけ突出してもよい。いくつかの構成では、突起265は、ベース264から、ベース264の厚さの約50%~150%に等しい高さだけ突出してもよい。いくつかの構成では、突起265は、ベース264の厚さに略等しい高さを有していてもよい。
【0176】
突起265は、着用及び/又は脱着中にヘッドギアクリップ250をフレーム156に向かって押すときに使用者に役立つことができる。突起265は、別法として又はさらに、クリップ250をマスクフレームから離れる方向に引っ張って(すなわち、フック233をフレームに向かって引っ張って)、クリップ250とフレーム156のポスト260との干渉接続を固定するときに、使用者に役立つことができる。
【0177】
図41~
図44におけるヘッドギアクリップ250の各々は、ベース264の外側に面する部分に窪み267も含む。窪み267は、使用者の指、特に人差し指を収容する触覚特徴部として作用する。突起265の前方に且つ突起265に実質的に隣接して窪み267が存在することにより、ベース264に対して突起265の有効高さを増大させることができる。窪みは、使用者に視覚的手がかりを提供することができる。触覚及び/又は視覚的手がかりの提供は、使用者が、クリップ250をフレーム156に接続し且つ/又はフレーム156から分離するためにクリップ250の上に指を位置付けるのに役立つことができる。
図41~
図44の各々に示すように、窪み267の少なくとも一部は、傾斜した又は実質的に垂直な隆起部又は壁268も提供することができ、それに対して、使用者は、着用中にクリップ250をフレーム156に向かって誘導するために、且つ/又は患者インタフェースアセンブリ150を脱着しているときにフレーム156からクリップ250を取り外すために、力を加えることができる。
【0178】
図42に示すように、ベース264に、1つ又は複数の隆起部269を設けることができる。隆起部269は、クリップ250のベース264とのさらなる摩擦を提供し、使用者がクリップ250を把持するのに役立つことができる。隆起部269は、窪み267よりも規模が小さく、図示するように窪み267内に設けることができる。隆起部269は、使用者に視覚的手がかりを提供することができる。例えば、
図40において、隆起部269は、クリップ269がある一定の方向に動かされるように構成されていることを示す矢印として配置されている。
【0179】
いくつかの構成では、ヘッドギアクリップ250は、ヘッドギア154の前部ストラップ部分306の前方部分に沿って後方に延在することができる。
図44に示すように、ヘッドギアクリップ250は、前部ストラップ部分306の互いに対向する縁部313に沿って突起265から後方に延在し、前部ストラップ部分306の外面を露出させる、起伏のあるC字型の凹部263を画定している。窪み267と同様に、凹部263は、傾斜した又は垂直な隆起部又は壁268を画定することができる。C字型凹部263は、窪み267と同様に、ヘッドギアクリップ250を接続及び分離するときに使用者の指を収容する触覚特徴部として作用することができる。
【0180】
いくつかの構成では、さらに詳細に後述する前部ストラップ部分306内のプラスチックコアは、前部ストラップ部分306に沿って、特にクリップ250に隣接して、幅を変化させることができる。
図43の構成に示すように、前部ストラップ部分306のプラスチックコアは、ヘッドギアクリップ250に隣接する幅315の増大した領域を有する。領域315は、実質的に平面であり得る。領域315は、前部ストラップ部分306の縁部313を越えて外側に延在することができる。ヘッドギアクリップ650に隣接して相対的に幅の広いプラスチックコアがあることにより、ヘッドギアクリップ250をフレーム156と接続するときに使用者の指を収容するより広い領域が提供される。同様に、前部ストラップ部分306のプラスチックコアは、前部ストラップ部分306に沿って、特にクリップ250に隣接して厚さが変化してもよい。同様に
図43に示すように、前部ストラップ部分のプラスチックコアは、ヘッドギアクリップ250に向かって厚さが増大している。厚さが増大した部分は、一体的な棚状突起317を画定することができる。棚状突起317は、使用者が前部ストラップ部分306及びヘッドギアクリップ250を把持しているときに役立つ触覚特徴部を提供する。図示するように、棚状突起317は、例えば、人差し指を直感的に収容するように起伏が付けられ得る。ヘッドギアクリップ250は、前部ストラップ部分306にすぐ隣接する場所で増大した厚さを有することができる。これは、上述したように、突起265を提供することができる。他の構成では、クリップ250の後方部分298及び前部ストラップ部分306の前方部分は、互いに実質的に同一平面であり得る。
【0181】
いくつかの構成では、クリップ250に、別法として又はさらに、
図45に示すように、ベース264の内側に面する側(すなわち、使用者の方に面する側)から突起265を設けることができる。
【0182】
図41、
図42及び
図44~
図48の構成に示すように、いくつかの構成では、クリップ250は、2つの異なる材料から形成することができる。フック266を含むクリップ250の前方端部は、第1材料から形成され、後方部分298は、第2材料から形成される。第1材料は、(アセタールとしても知られる)ポリオキシメチレン等、ポスト260との繰り返される係合及び係合解除に好適な、弾力性があり比較的硬質の熱可塑性材料であり得る。第2材料は、Arkema Group of Colombes,Franceによって商品名PEBAX(登録商標)で販売されているポリエーテルブロックアミド(PEBA)等、弾力性があり比較的軟質の熱可塑性エラストマー材料であり得る。第2材料は、クリップ250をヘッドギア154の前部部分300に固定するために、第1材料、任意選択的にヘッドギア154の前部ストラップ部分306にオーバーモールドすることができる。第2材料は、第1材料と比較して所望の触感及び/又は改善されたグリップを提供するように選択することができ、一方で、第1材料は、フック266のフレーム156との確実な且つ/又は安定した接続を提供するように選択することができる。第1材料は、後述するように、ヘッドギア154のプラスチックコアにおいて使用されるものと同じ材料であり得る。突起265は、安定性のために、
図42、
図45及び
図48に示すように、第1の比較的硬質の材料から少なくとも一部形成することができる。別法として又はさらに、突起267の少なくとも外側部分は、改善されたグリップ又は触感のために、
図41、
図44及び
図46に示すように、第2の比較的軟質の材料から形成することができる。特に
図46を参照すると、第1材料及び第2材料を含むクリップ250の構成例の断面が示されており、そこでは、第2材料は、第1材料及び前部ストラップ部分306の両方にオーバーモールドされるとともに機械的に噛み合っている。
【0183】
図47のさらなる構成例を参照すると、別法として又はさらに、前部ストラップ306の上に突起265を設けることができる。これにより、フック266及びポスト260からの使用者の手の十分な隙間を確保し、突起265に対してより別個の且つ/又は魅力的な美観を提供し、且つ/又は突起265に対して改善された触感及び/又はグリップを提供することができる。突起265は、さらに詳細に後述するように、管状編み構造体の内部にプラスチックコアを射出成形する際に形成することができる。
【0184】
上述したように、マスク152の各側のポスト260及び/又はクリップ250は、ヘッドギア154とフレーム156との不適切な接続の可能性を低減させるか又はなくすように、互いに異なり得る。ここで、
図48~
図52に示すような患者インタフェースアセンブリ150及びその構成要素の別の構成例を参照して、一例について説明する。本明細書に記載すること及び/又は添付図面から明らかなことを除き、
図45~
図48の患者インタフェースアセンブリ150は、
図2のものと同様であり得る。特に、患者インタフェースアセンブリ150は、フレーム156、クッションモジュール160及びヘッドギア154を含む。フレーム156の各側は、ヘッドギアクリップ250に関連付けられた耳部252を有する。耳部252は、フレーム156の中心部分254から横方向外側に延在しており、フレーム156は、フレームコネクタ170と、コネクタ部分170の内部と連通するとともに接続チューブ164を受け入れる開口部256とを含む。フレーム156は、円筒状フレームコネクタ170と、楕円形開口部256とを含む。ハウジング162の協働開口部(図示せず)は円形である。
【0185】
図48~
図52に示す構成では、接続装置248は、クリップ250のポスト260への誤った接続を防止又は阻止するように変更されている。すなわち、接続装置248は、クリップ250の誤った向きでの且つ/又はフレーム156の誤った側への接続を防止又は阻止することができる。いくつかの構成では、接続装置248は、クリップ250とポスト260との接続を単一の所望の配置に制限することができる。
【0186】
フレーム156の正面図及び背面図をそれぞれ示す
図49及び
図50を参照すると、この構成のポスト260が、各々、それらのそれぞれの長手方向軸Aに沿って間隙261を画定することが分かる。図示するポスト260は、軸方向に位置合せされた第1ポスト部分260a及び第2ポスト部分260bを含む分割ポスト構成と称することができる。間隙261は、ポスト260の長手方向軸Aに沿って偏心している。フレーム156の両側の分割ポスト260は、互いに同一である。すなわち、それぞれの間隙261は、ポスト260の中心から同じ距離だけ、且つ同じ方向にオフセットすることができる。
【0187】
図51及び
図52を参照すると、この構成のクリップ250は、ポスト260を受け入れるように意図された空間274内に延在するリブ275を含む。リブ275もまた、偏心して位置決めされ、特に、クリップ250がポスト260のうちの一方に接続されたときに間隙261によって受け入れられるようなサイズであり、形状であり、そのように位置決めされている。リブ275の幅は、軸方向Aにおいて間隙261の長さよりも小さい。間隙261及びリブ275は、クリップがフレーム156に正しく取り付けられたときにポスト260の軸Aを中心とするクリップ250の回転を阻止しない。長手方向軸Aの方向におけるクリップ250の運動は、上述したように、幅狭部分292とフック266のベース又は接続部分とのサイズ及び/又は形状によって制限される。しかしながら、いくつかの構成では、リブ275及び間隙261は、別法として又はさらに、クリップ250がフレーム156に接続されたときに、長手方向軸Aの方向におけるクリップ250の運動を制限することができる。いくつかの構成では、リブ275は、第1ポスト部分260a及び第2ポスト部分260bのうちのいずれか又は両方とともに、クリップ250とフレーム156とのスナップフィット接続を提供するように構成することができ、そこでは、第1ポスト部分260a及び第2ポスト部分260bは、フック266がフレーム156と係合する際に、弾性的に変形し、リブ275と係合すると部分的に又は完全に回復することができる。
【0188】
図48~
図52のインタフェースアセンブリ150をさらに参照すると、一対のクリップ250は、一方がフレーム156の一方の側でポスト260に接続するように構成され、他方のクリップ250がフレーム156の他方の側でポスト260に接続するように構成されるように、互いに異なる。一対のクリップ250は、互いに鏡像であり得る。フレーム156の誤った側にクリップ250を接続しようとした場合、リブ275及び間隙261は整列せず、リブ275は、ポスト260を干渉して、ポスト260が空間274に入るのを妨げるか又は阻止する。ポスト250へのクリップ250の上下反対の接続は、幅狭部分292とベース264の高さ270との干渉により防止又は阻止される。
【0189】
他の構成では、ポスト260に環状又は部分環状リブ275を設けることができ、クリップ250に対応する間隙261又はチャネルを設けることができる。いくつかの構成では、患者インタフェースアセンブリ150の一方の側においてのみ、ポスト260及びクリップ250に間隙261及びリブ275を設けることができ(又はその逆もあり得る)、クリップ250のうちの少なくとも1つ、したがって全体としてヘッドギア154が、フレーム156に誤って接続され得ないことが確実になる。いくつかの構成では、クリップ250は互いに同一であってもよく、フレーム156の各側のポスト260は異なっていてもよい。
【0190】
ヘッドギア
図2、
図13~
図16及び
図22~
図27は、上述したヘッドギア154の一例を示す。ヘッドギア154について、以下、
図2、
図13~
図16及び
図22~
図27を参照して説明する。図示する配置では、ヘッドギア154は、前部部分300及び後部部分302を有する。前部部分300は、マスク152に接続するように構成されるとともに、マスク152と後部部分302との間に延在している。後部部分302は、使用者の頭部の側部及び/又は後方部分と係合するように構成されている。図示する前部部分300は、インタフェースアセンブリ150又は使用者の頭部の各側でクリップ250を介してマスク152に接続する、前部ストラップ又はストラップ配置304を含む。図示する配置では、インタフェースアセンブリ150の各側における前部ストラップ配置304は、互いに別個であるとともに、マスク152に別個に接続する。前部ストラップ配置304は、互いに鏡像であり得る。
【0191】
代替構成では、一方の側の前部ストラップ配置304は、マスク152に恒久的に接続することができ、又は、マスクアセンブリ150がクリップ250を使用して取り外されるように、マスク152の反対側に位置するクリップ250よりも複雑で且つ取外しが困難であるように接続することができる。代替配置では、ヘッドギア154の一方の側の前部ストラップ配置304は、マスク152に結合することができ、ヘッドギア154の他方の側の前部ストラップ配置304は、第1側の前部ストラップ配置304に結合することができる。
【0192】
図示する前部ストラップ配置304の各々は、クリップ250を介してマスク152に接続する単一の前部ストラップ部分306を含む。前部ストラップ配置304は、二又に分岐して、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310を画定し、それらは、それぞれ、使用者の耳の高さの上方及び下方に向かって延在するか、又は耳の高さの上方及び下方に少なくとも部分的に位置する。前部ストラップ部分306は、マスク152から使用者の頬を横切って分岐点まで延在する。図示する配置では、前部ストラップ部分306は、マスク端部から分岐端部までわずかに上方の方向に延在する。上部ストラップ部分308は、前部ストラップ部分306の湾曲を継続し、使用者の耳の上方の場所に向かって又はその場所まで延在する。いくつかの構成では、上部ストラップ部分308の端部は、使用者の耳の真上に、又は耳の線の上方に且つ耳のわずかに前方に、位置することができる。上部ストラップ部分308の端部部分は、ヘッドギア154の後部部分302と接続するために下方方向に湾曲することができる。下部ストラップ部分310は、前部ストラップ部分306の分岐端部から、使用者の耳の下方の高さの使用者の顎上の場所まで下方方向に延在する。下部ストラップ部分310の端部は、使用者の耳の下方及び前方に位置することができる。下部ストラップ部分310の端部部分は、ヘッドギア154の後部部分302と接続するために上方方向に湾曲することができる。
【0193】
いくつかの構成では、前部ストラップ配置304の前部ストラップ部分306、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310は、一体構造として構成することができる。いくつかの構成では、前部ストラップ配置304は、互いに恒久的に接続された少なくとも1つの布地層と少なくとも1つのプラスチック層とを有する、成形された複合構造体として構成することができる。図示する配置では、前部ストラップ配置304は、2つの布地層を有し、それらの布地層の間にプラスチックコアが位置している、成形された複合構造体である。前部ストラップ配置304は、金型内の布地層の間の空間内に溶融プラスチックを施し、溶融プラスチックが硬化して金型キャビティの形状にプラスチックコアを形成するようにすることにより、一体構造として形成することができる。布地層は、互いに別個であって、プラスチックコアを介して接合することができ、又は結合することができる(例えば、プラスチックコアを包囲する管状構造体)。
【0194】
前部ストラップ配置304の一部又は全体は、半剛性であり得る。この文脈での「半剛性」という用語は、関連する構造が、可撓性があり且つ少なくとも幾分か弾力性があるが、伸張性がほとんど又はまったくないことを意味するように意図されている。図示する配置では、前部ストラップ部分306、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310のうちの任意の1つ、任意の組合せ又はすべてが、半剛性であり得る。本明細書で用いる場合の半剛性とは、ヘッドギア154の半剛性部分が、それ自体の重量下では概してその形状を保持することができるが、半剛性部分が使用者の頭部の周囲で曲がるのを可能にする幾分かの可撓性を有することを意味する。いくつかの構成では、ヘッドギア154の半剛性部分は、1つの方向において剛性が高く、第2方向において剛性が低い。例えば、ヘッドギア154の半剛性部分は、垂直方向において又は使用者の顔面に沿って実質的に剛性があるようにすることができ、水平方向において又は使用者に向かい且つ使用者から離れる方向では比較的可撓性があるようにすることができる。
【0195】
前部ストラップ配置304は、ヘッドギア154の後部部分302に接続されるように構成することができる。いくつかの構成では、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310の端部は、ヘッドギア154の後部部分302のストラップ部分を受け入れるように構成されたループ312を含むことができる。図示する配置では、ループ312は、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310の端部の上にオーバーモールドされるプラスチックループであり得る。他の配置では、ループ312は、前部ストラップ配置304のプラスチックコア材料によって形成することができ、又は、ループ312は、前部ストラップ配置304とは別個に形成してそれに取り付けることができる。
【0196】
いくつかの構成では、ヘッドギア154は、ヘッドギア154の一方の側から他方の側まで使用者の頭部の上を通過する頂部ストラップ配置314を含む。図示する配置では、頂部ストラップ配置314は、ヘッドギア154の各側において前部ストラップ配置304の上部ストラップ部分308の後方端部部分に接続する。特に、頂部ストラップ配置314は、上部ストラップ部分308がヘッドギア154の後部部分302に向かって下方に湾曲し始める前に、上部ストラップ部分308の最上部分に接続することができる。図示する配置では、頂部ストラップ配置314の各端部は、オーバーモールドされたコネクタ316によって上部ストラップ部分308に接続される。オーバーモールドされたコネクタ316は、頂部ストラップ配置314及び上部ストラップ部分308の各々の一部の上に、2つの構成要素を接合するように成形することができる。別法として、オーバーモールドされたコネクタ316は、オーバーモールディングによって構成要素のうちの一方に接合することができ、他方の構成要素を接続することができる接続構造体(例えば、ループ)を画定することができる。例えば、オーバーモールドされたコネクタ316は、上部ストラップ部分308の上にオーバーモールドすることができ、頂部ストラップ配置314を結合することができるループを画定することができる。
【0197】
いくつかの構成では、頂部ストラップ配置314は、互いに接続することができる、第1ストラップ部分320及び第2ストラップ部分322(
図13)を含む。第1ストラップ部分320及び第2ストラップ部分322は、バックル、ポスト-孔構造体324、又は、使用者の頭頂部に概して位置する同様のコネクタ等、調整可能な方法で互いに接続可能であり得る。図示する配置では、第2ストラップ部分322の自由端は、第1ストラップ部分320が通過することができるガイドループを含む。第1ストラップ部分320は、ストラップ320、322がポスト-孔構造体324によって接続されていないときに、第1ストラップ部分320と第2ストラップ部分322との緩い接続を維持するように、ガイドループとの比較的密に嵌合するようなサイズとすることができる。こうした配置により、使用者が調整プロセス中に使いやすいように頂部ストラップ配置314を調整しているときにストラップ320、322の意図されない分離が回避される。いくつかの構成では、第2ストラップ部分322の端部を、ガイドループの開口部よりもわずかに(例えば、幅及び/又は厚さを)大きくして、ストラップ部分322とガイドループとの間の締り嵌めをもたらし、意図されない分離の可能性をさらに低減させることができる。
【0198】
ヘッドギア154の図示する後部部分302は、第1又は上部ストラップ330と第2又は下部ストラップ332とを含む。上部ストラップ330及び下部ストラップ332は、パネル334によって互いから間隔を空けて配置されている。上部ストラップ330及び下部ストラップ332の各々は、使用者の後頭部の周囲に延在し、ヘッドギア154の前部部分300の前部ストラップ配置304に接続するように構成されている。特に、上部ストラップ330の両端部は、使用者の顔面の両側において前部ストラップ配置304のそれぞれの上部ストラップ部分308に接続する。同様に、下部ストラップ332の両端部は、前部ストラップ配置304のそれぞれの下部ストラップ部分310に接続する。例えば
図22に示すように、上部ストラップ330は、各端部からパネル334又は後部部分302の垂直中心線に向かって又はそこまで下方方向に延在している。言い換えれば、上部ストラップ部分308の端部又はループ312は、パネル334の一部又は全体の上縁部よりも上方の高さに位置する。いくつかの構成では、下部ストラップ332は、各端部からパネル334又は後部部分302の垂直中心線に向かって又はそこまで上方方向に延在することができる。
【0199】
上部ストラップ330及び下部ストラップ332の各々は、発泡体層の両側に一対の布地層を含む複合材料から構成することができる。特に、ストラップ330、332は、Lycra、発泡体及びUBL(unbroken loop(切れ目のないループ))材料から形成された層を含む、3層構造を含むことができる。UBL材料は、ストラップ330、332の各々の外層を形成することができる。上部ストラップ330及び下部ストラップ332の各々の各端部は、面ファスナのフック部分を形成することができるタブ336で終端する。タブ336は、ストラップ330、332の端部に超音波溶接するか、又は別の好適な様式で接続することができる。UBL材料は、フックタブ336が接続することができるループ面を提供する。ストラップ330、332の端部は、ヘッドギア154の前部部分300のループ312を通過し、元の場所に戻って二重になることができる。フックタブ336は、ヘッドギア154のサイズ調整を可能にするように、ストラップ330、332の長さに沿った任意の箇所で接続することができる。
【0200】
いくつかの構成では、パネル334は、カバー層の間に位置決めされたフィラメントで接続された2つの間隔を空けて配置されたカバー布地を含む複合材料である、スペーサファブリックから、全体的に又は一部構成することができる。
図25を参照すると、パネル334のスペーサファブリックが断面で示されている。スペーサファブリックは、第1布地層340と、第2布地層342と、中央スペーサ又は接続層344とを含むことができる。いくつかの構成では、第1布地層340は、Lycra又は同様の材料であり、第2布地層342はUBL又は同様の材料である。スペーサ層344は、ポリエステル等、任意の好適な糸又はフィラメント材料から構成することができる。
図25に示すように、パネル334の外縁部において、第1布地層340と第2布地層342との間に間隙を形成することができる。1つの構成では、第1布地層340と第2布地層342との間の間隙は、少なくとも0.1mmである。
【0201】
図示する配置では、上部ストラップ330及び下部ストラップ332は、一端から他端まで連続的であり、パネル334は、上部ストラップ330の底縁部と下部ストラップ332の頂縁部との間に延在している。こうした配置により、ストラップ330、332の端部を、パネル334と重なるストラップ330、332の部分に接続することができるため、後部部分302に対してより広範囲の調整が提供される。しかしながら、他の配置では、上部ストラップ330及び/又は下部ストラップ332を2セグメントで設けることができ、それらの各々がパネル334の側縁部から延在する。言い換えれば、パネル334は、ストラップ330、332の一部を中断することができる。こうした配置により、ストラップ330、332の端部をパネル334の縁部までしかストラップ330、332に接続することができないため、後部部分302の調整可能性を制限することができる。
【0202】
図示する配置では、弛緩した又は平たく広げられた向きにおいて、上部ストラップ330は線状又は直線状であり、下部ストラップ332は、端部が中心部分よりも下方であるように曲線状である。具体的には、下部ストラップ332は、曲線状中心セクションと、中心セクションの両側に延在する線状セクションとを有する。他の配置では、上部ストラップ330を曲線状とすることができ、下部ストラップ332を直線状とすることができる。さらに他の配置では、両ストラップ330、332が直線状又は曲線状であり得る。
【0203】
いくつかの構成では、ストラップ330、332は、異なるレベルの伸縮性を有する。言い換えれば、所与の加えられる力に対する伸び率は、ストラップ330、332間で異なる。いくつかの構成では、底部ストラップ332は、頂部ストラップ330よりも高い伸縮性又は伸び率を有する。底部ストラップ332の方が伸縮性が高いことにより、使用者が自身の下顎をより容易に又は快適に動かすことができ、且つ/又は使用者の皮膚に対するストラップ332の圧力を低減させることができる。しかしながら、他の配置では、ストラップ330、332は、同じ伸縮特性を有することができ、又は、上部ストラップ330の方が下部ストラップ332よりも伸縮性を高くすることができる。
【0204】
いくつかの構成では、ストラップ330、332の縁部は、無線周波、誘電体又は高周波溶接(RF溶接)され、プレス加工され、切断されて、ストラップ330、332に、使用者にとって快適性が向上する丸みのある縁部が形成される。RF溶接プロセスはまた、複合布地の材料を合わせて固定して、剥離を阻止又は防止する。
【0205】
図26を参照すると、ヘッドギア154の後部部分302は、複数のサイズで提供することができる。いくつかの構成では、ヘッドギア154の後部部分302は、ヘッドギア154の周方向調整の全体を提供することができる(ただし、頂部ストラップ配置314は、ヘッドギア154の幾分かの奥行調整を提供することができる)。したがって、ヘッドギア154の前部部分300は、単一サイズで提供することができる。いくつかの構成では、後部部分302は、2つのサイズ、すなわち、小サイズ及び大サイズで提供される。いくつかのそうした構成では、サイズ間の相違は、ストラップ330、332の一方又は両方の長さのみである。図示する配置では、サイズ小である上部ストラップ330の長さ350は、約340~400mm又は約370mmである。サイズ大では、長さ350は、約400~460mm又は約430mmであり得る。サイズ小である(下部ストラップ332がその弛緩した又は自然な湾曲状態にあって端部間の直線距離として測定された)下部ストラップ332の長さ352は、約300mm~400mm、約325mm~375mm又は約350mm(例えば、348mm又は348.14mm)である。サイズ大では、長さ352は、約400mm~500mm、約450mm~475mm又は約470mm(例えば、470.30mm)である。ストラップ330、332は、約10~20mm、約12~16mm又は約14mm又は15mmの幅354を有することができる。
【0206】
いくつかの構成では、パネル334は、後部部分302の複数のサイズにおいて同じサイズであり得る。例えば、パネル334は、約30~50mm、約35~40mm又は約38mm(例えば、38.32mm)の最大高さ356を有することができる。パネル334は、約50mm~150mm、約75mm~125mm又は約90mm若しくは100mmの最大幅358を有することができる。いくつかの構成では、パネル334は、上端部及び/又は下端部において最大幅358からテーパ状となることができる。図示する配置では、パネル334は、下端部において、最大幅358の約10~15パーセントだけテーパ状となる。
【0207】
いくつかの構成では、ストラップ330、332は、それらの間の角度360を画定することができる。上述したように、いくつかの構成では、上部ストラップ330は直線状とすることができ、下部ストラップ332は曲線状とすることができる。したがって、角度360は、下部ストラップ332によって画定することができる。他の配置では、上部ストラップ330を曲線状とし、角度360は上部ストラップ330によって画定することができ、又は、両ストラップ330、332を曲線状とし、角度360はストラップ330、332の両方によって画定することができる。いくつかの構成では、角度360は、約30度未満である。いくつかの構成では、角度360は、約10~30度、約15~25度又は約20度である。
【0208】
図27A~
図27Eを参照すると、ヘッドギア154のパネル334及び後部部分302を構成するプロセス又は方法例が示されている。
図27Aを参照すると、スペーサファブリック(又は他の好適な布地)の2つの別個の層が、パネル334の全体的な形状に切断されるか又は他の方法で形成される。
図27Bを参照すると、スペーサファブリックの2つの層は、側縁部に沿って互いに固定される。図示する配置では、これらの層は、縫製して縫合接合部又は縫合接続部370を作成することにより互いに固定される。しかしながら、他の好適な接続配置又は方法も使用することができる。
図27Cを参照すると、このとき接合されているスペーサファブリックの層は、縫合接続部370を隠すとともに外力からの引掛り又はほつれから縫合接続部370を保護するために、反転され、すなわち裏返しにされる。
図27Dを参照すると、パネル334の上縁部及び下縁部は、上部ストラップ330及び下部ストラップ332のそれぞれに接続されている。図示する配置では、パネル334の上縁部及び下縁部は、縫製して縫合接続部372を作成することにより接続される。しかしながら、他の好適な接続配置又は方法を使用することができる。このプロセスにおいて、2つのスペーサファブリック層の以前は開いていた上縁部及び下縁部は閉じられる。縫製又は縫合接続部372により、有利に、接続部372における張力が低減するか又は防止され、使用中にパネル334及び/又はストラップ330、332が伸縮することができる。
図27Eは、
図27Cに関して上述したように、縫製されたスペーサファブリックパネルが反転されたときに露出する清潔な接合部を示す。
【0209】
有利には、スペーサファブリックパネル334、特に多層スペーサファブリックパネル334により、発泡複合材(例えば、Breath-o-Prene(登録商標))等、従来の材料から構成されたパネルと比較して、より軽量且つ/又はより通気性の高いパネル334が提供される。加えて、本発明のスペーサファブリックパネル334は、使用者の後頭部にクッション性及び支持を提供し、従来の材料から構成されたパネルと比較して使用者にとってかさばらず且つ/又は邪魔にならないものであり得る。スペーサファブリックの通気性により、使用者が暖かくなりすぎる可能性を低減させることができ、発汗を低減させるか又は防止することができる。スペーサファブリックパネル334は、同等の発泡複合材料パネルよりも圧縮性を高くすることができ、それにより、スペーサファブリックパネル334は、使用者の頭部の重量に応じてより小さいか又は最小の厚さまで圧縮することができる。こうした配置により、使用者は、発泡複合材料パネルと比較して、圧縮性及び荷重下での厚さの低減により、パネルの上に横たわるとき、特に横向きに横たわるときにパネル334を感じる可能性が低くなり得る。
【0210】
図28は、ヘッドギア154の後部部分302の変更形態を示し、これは、以下に記載することを除き、本明細書に記載する他の後部部分302と同じか又は同様であり得る。
図28の後部部分302は、スペーサファブリックパネル334を省略しており、代わりに、ストラップ330、332の一方又は両方の一体構造を利用するパネル部分380を形成している。図示する配置では、下部ストラップ332はパネル部分380を画定し、パネル部分380は、本明細書に記載する他の実施形態のパネル334と同様に上部ストラップ330と下部ストラップ332とを間隔を空けて配置するように、下部ストラップ332のストラップ部分から上方に延在している。パネル部分380は、縫合接続部382等、好適な接続部により上部ストラップ330の底縁部に結合することができる。他の配置では、パネル部分380は、上部ストラップ330によって画定することができ、又は、パネル部分380は、ストラップ330、332の各々の突出部分の組合せによって画定することができる。いくつかの構成では、上部ストラップ330及び下部ストラップ332は同じか又は同様のレベルの伸縮性を有することができ、それは、上述した下部ストラップ332の伸縮性と同様であり得る。
【0211】
編み後部パネル
図29~
図32は、後述することを除き本明細書に記載する他の後部部分302と同じか又は同様であり得る、ヘッドギア154の後部部分302の別の例を示す。
図29~
図32の配置では、パネル334は、全体的に又は一部、編み材料によって構成されている。加えて、上部ストラップ330は、単一の連続片であるが、下部ストラップ332は、パネル334によって中断されている。こうした配置により、パネル334の編み材料は、ヘッドギア154の後部部分302の中央部分の下縁部を画定することができる。しかしながら、他の配置では、下部ストラップ332は、単一の連続片であり得る。他の配置では、上部ストラップ330は、パネル334によって中断され得る。
【0212】
いくつかの構成では、パネル334は、ストラップ330、332とは別個に、編みプロセスによって形成され、その後、別個のプロセスステップにおいて、スペーサファブリックパネル334に関して本明細書に記載したものと同様の方法でストラップ330、332に接続される。編みパネル334が形成されると、好適な接続配置又はプロセスにより、上部ストラップ330及び下部ストラップ部分332にパネル334を接合することができる。例えば、図示する配置では、編みパネル334は、縫合接続部372を作成する縫製プロセスにより、上部ストラップ330及び下部ストラップ部分332に接続される。特に、編みパネル334は、編みパネル334の上縁部の全体に沿って縫合接続部372により上部ストラップ330に接続される。下部ストラップ部分332は、各々、縫合接続部372により、編みパネル334の両側の側縁部に接続される。下部ストラップ部分332の下縁部が編みパネル334の下縁部とそれらの間の接合部において位置合せされるように、下部ストラップ部分332は、編みパネル334の底角部において接続される。上述した配置と同様に、下部ストラップ部分332は、編みパネル334から下向きの角度で延在する。
【0213】
いくつかの構成では、編みパネル334は、図面において向けられているように、患者の頭部が直立位置にある状態で使用されるように、垂直方向にパネル334を構成する編成プロセスによって作製される。こうした配置により、編みパネル334の伸縮性は、垂直方向よりも水平方向の方が高い。すなわち、所与の加えられる力に対して、編みパネル334の水平方向における伸び率は、垂直方向における伸び率よりも高い。その結果、水平方向の伸縮性の方が高いことにより、後部部分302及び関連するヘッドギア154がより広範囲の頭部サイズに適合することができる。いくつかの構成では、編成プロセスは、パネル334の底部で開始するか又は最初にパネル334の底部を作製し、パネル334の頂部に向かって進行する。しかしながら、他の構成では、この方向を逆にすることができる。
【0214】
図32を参照すると、パネル334の異なる部分は、異なる材料又は材料の異なる組合せで構成することができる。例えば、図示する配置では、編みパネル334の最底部分390は、第1糸又はフィラメントタイプ502等、第1材料のみを使用して作製される。いくつかの構成では、第1材料は、エラスタン材料(例えば、Lycra)を含む。いくつかの構成では、第1材料はナイロン被覆エラスタンである。編みプロセスが上方に進行するか、又は最底部分390よりも上方に編みパネル334の相対的上部部分392を作製すると、第2糸又はフィラメントタイプ504等の第2材料が導入される。いくつかの構成では、第2材料は、ナイロン(例えば、テクスチャードナイロン)であるか又はそれを含む。第2材料は、上部部分392において排他的に使用することができ、又は、第1材料及び/又は他の材料と組み合わせることができる。パネル334において2種以上の材料を使用することにより、さらに後述するように、有利な又は望ましい特性が提供される。しかしながら、最底部分390に単一材料を使用することにより、複数の材料を組み込んだ最底部分390と比較して、それほどかさばらない構造となり、それにより使用者にとっての快適性を向上させることができる。
【0215】
上述したエラスタン及びナイロンを含む材料等、第1材料及び第2材料の組合せにより、望ましい特性を有する全体的な編みパネル334が提供される。例えば、エラスタン材料は、ナイロン材料よりもかさばらず、優れた回復性を提供する。ナイロン材料は、非弾性であり、エラスタン材料よりもかさばり、厚く且つ奥行がある。
【0216】
いくつかの構成では、編みパネル334は、複数の層を有するように編成される。例えば、
図31を参照すると、編みパネル334は、第1層400及び第2層402を含むことができる。第1層400は、使用者の方に面するか又は使用者に隣接して位置決めされる内部層であり得る。第2層402は、使用者から離れる方向に面する外部層であり得る。第1層400は、第2層402と使用者との間に位置決めすることができる。第1層400及び第2層402は、それらの側縁部に沿って接合することができる。いくつかの構成では、第1層400及び第2層402は、編みプロセス中に一体構造として作製される。いくつかの構成では、第1層400及び第2層402は、管状構造体を画定することができる。しかしながら、図示する配置では、第1層400及び第2層402は、編みプロセス中に作製することができる両面編み部(interlock stitch)404によって接続される。別法として、両面編み部404は、編成プロセスとは別個のプロセスにより(例えば、後続する縫製により)作製することができる。さらに、第1層400及び第2層402は、別個に編んで、縫製等、好適な接続配置又はプロセスによって接続することができる。
【0217】
図32-1及び
図32-2は、編みパネル334を作製するプロセスと編みパネル334の結果として得られる構造とを示す。パネル334は、エラスタン(例えば、Lycra)材料502とナイロン(例えば、テクスチャードナイロン)材料504とを含む。図示するように、パネル334の最底部分390は、全ての針に編成されるエラスタン材料502から完全に構成されている。同様に図示するように、ナイロン材料504は、編みパネル334の上部部分392に導入される。図示する配置では、上部部分392において、エラスタン材料502はタックされ(例えば、1つおきで針を飛ばして、ハーフゲージタックされ)、ナイロン材料504はすべての針に編成される。エラスタン材料502のタックステッチにより、編みステッチよりもかさが大きくなる。しかしながら、他の構成では、両材料を編成することができる。エラスタン材料502及びナイロン材料504は、例えば、4コースごと等のタイミングで絡み合うことができる。
【0218】
図33A~
図33Iは、上部ストラップ330と、下部ストラップと、パネル334又は対応する構造体とを概して含む、後部部分302の代替構成を示す。図示するパネル334は、部分的に又は完全に編物とすることができる。代替配置では、パネル334は、スペーサファブリック又は他の複合材料若しくは好適な材料等、シート状の材料から構成することができる。
図33aは、
図29~
図32の後部部分302と同じか又は同様である後部部分302を示し、そこでは、単一の上部ストラップ330が提供され、一対の下部ストラップ332が提供されている。パネル334は、下部ストラップ332を中断している。上部ストラップ330は曲線状とすることができ、下部ストラップ332は、パネル334を通過する水平線に対して上部ストラップ330の湾曲よりも大きい湾曲を形成することができる。
【0219】
図33Bは、上部ストラップ330及び下部ストラップ332の両方が中断されていない後部部分302を示す。後部パネル334は、頂部から底部までテーパ状になっている。上部ストラップ330及び下部ストラップ332は、図示するように直線状であるが、一方又は両方を曲線状にすることができる。
図33Cの後部部分302は、
図33Bのものと同様であるが、底部ストラップ332がパネル334によって中断され、パネル334が中央テーパ状部分を含むことが異なる。パネル334の上部部分及び下部部分は、平行な側縁部を有する。
図33Dの後部部分302は、
図33B及び
図33Cのものと同様であるが、後部パネル334がテーパ状ではなく、形状が矩形であることが異なる。
図33Eの後部部分302は、矩形パネル334を含む。しかしながら、上部ストラップ330及び下部ストラップ332の両方が、パネル334によって中断されている。加えて、ストラップ330、332は、パネル334の側部に沿ってストラップ330、332の間に延在する接続部分410を含む。したがって、ストラップ330、332は2つの部分によって形成することができ、それらの部分の各々が、上部ストラップ330の一部と、下部ストラップ332の一部と、それらの間の接続部分410とを画定する。
【0220】
図33Fは、
図33Aのものと同様の後部部分302を示す。しかしながら、
図33Fの後部部分は、編みパネル334に加えて編み下部ストラップ332を含む。
図33Gは、
図33Aのものと同様の後部部分302を示すが、編みパネル334が、パネル334の主本体部分414から延出する下部ストラップ部分412を形成していることが異なる。下部ストラップ332は、編みパネル334のストラップ延長部又はストラップ部分412に接続している。
図33Hは、
図33Fの後部部分と同様である後部部分302を示すが、編みパネル334/下部ストラップ332部分が上部ストラップ330を中断していることが異なる。
【0221】
図33Iは、
図33Cの後部部分302と同様である後部部分302を示すが、パネル334が、
図33Gの後部部分302のものと同様の下部ストラップ部分412を形成していることが異なる。パネル334の主本体部分414は、下部ストラップ部分412及び主本体部分414が逆T字形を形成するように、概して矩形である。
【0222】
図33Jは、
図33Aの後部部分302と同様である後部部分302を示すが、パネル334が異なる伸縮性及び/又は多孔率の領域を含むことが異なる。例えば、パネル334の上部セクション420は、パネル334の下部セクション422よりも高い多孔率及び/又は低い伸縮性を有することができる。他の構成では、パネル334の上部セクション420は、下部セクション422よりも高い伸縮性を有することができる。しかしながら、こうした配置では、下部セクション422が幾分かの量の伸縮性を提供することが好ましい。いくつかの構成では、多孔率及び/又は伸縮性(又は他の特性)の相違は、編成プロセス、材料選択、又は両方によって達成することができる。
【0223】
図33Kは、
図33Aの後部部分302と同様の後部部分302を示すが、パネル334の底縁部が、パネル334の側部部分とパネル334の中心部分との間に高さの大きい差をもたらすようにより顕著な湾曲を有することが異なる。下部ストラップ332は水平であるものとして示されているが、
図33Aの下部ストラップ332と同様の方法で下向きに角度を付けることができる。
【0224】
図33Lは、
図33Jの後部部分302と同様の後部部分302を示すが、上部セクション420及び下部セクション422が
図33Jに対して形状が異なることが異なる。例えば、
図33Lの後部部分302では、上部セクション420は、パネル334の側縁部を画定しない。むしろ、側縁部の全体が、下部セクション422によって画定される。いくつかの構成では、パネル334の上部セクション420は、パネル334の下部セクション422よりも高い多孔率及び/又は低い伸縮性を有することができる。他の構成では、パネル334の上部セクション420は、下部セクション422よりも高い伸縮性を有することができる。しかしながら、こうした配置では、下部セクション422が幾分かの量の伸縮性を提供することが好ましい。
【0225】
図34は、後部パネル334等、ヘッドギア154の編み部分を全体として又は一部作製するために使用することができる、編み構造体例を示す。図示する配置では、編み構造体は、ナイロンを含む材料等、第1材料430によって作製される。編成された第1材料に、第2材料432をインレイ(挿入)することができる。第2材料は、第1材料よりも高い伸縮性を有することができる。いくつかの構成では、第2材料は、エラスタン(例えば、Lycra)を含むことができる。インレイ材料は、編み材料の編みループによって捕捉される。こうした配置は、パネル334又は他の編み部分の伸縮性を高くすることができるが、手触りが粗い可能性がある。
【0226】
編みカバー
図35~
図36Bは、ヘッドギア154の変更版を示す。特に、
図35~
図36Bのヘッドギア154は、
図22~
図27を主に参照して記載した前部ストラップ配置304の変更版を含む。前部ストラップ配置304は、一体構造として構成された、前部ストラップ部分306、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310を含むことができる。上述したように、前部ストラップ配置304は、互いに恒久的に接続された少なくとも1つの布地層と少なくとも1つのプラスチック層とを有する成形された複合構造体として構成することができる。図示する配置では、前部ストラップ配置304は、プラスチックコアの各側(内側及び外側、又は使用者に向かう側及び使用者から離れる側)に内部布地層及び外部布地層を画定する管状編み構造体440を有する、成形された複合構造体である。
【0227】
いくつかの構成では、管状編み構造体440は、本明細書に記載するプロセス及び材料等、好適な材料を使用する好適な編成プロセスによって形成することができる。編み構造体440は、前部ストラップ部分306、上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310のうちの1つ又は複数を含む単一片として形成することができる。言い換えれば、編み構造体440は、前部ストラップ部分306から上部ストラップ部分308及び下部ストラップ部分310への分岐を含む単一片を編成することによって形成することができる。前部ストラップ配置304は、金型内で布地層の間の空間内に溶融プラスチックを施し、溶融プラスチックが硬化して成形キャビティの形状にプラスチックコアを形成するようにすることにより、一体構造として形成することができる。特に、編み構造体440を金型内に配置することができ、溶融プラスチックを、中空編み構造体440の内部空間内に導入し、冷めて硬化するようにすることができる。
【0228】
編み構造体440は、金型ツールのキャビティによって画定されるような前部ストラップ配置304の最終形状に近似するか又は実質的に一致する形状に編成することができる。こうした配置により、ステッチ構造及び編み方向は、金型ツールのキャビティによって画定されるようなプラスチックコア又は前部ストラップ配置304の形状に、概して又は実質的に一致する。結果として得られる前部ストラップ配置304は、プラスチックコアの曲率と一致する編み縁部を有し、平坦なシート材料から作製された布地カバーと比較して、材料の蓄積及び/又はこぶ化を低減させることができる。前部ストラップ配置304の文脈で開示したが、ヘッドギアの他の部分、ストラップ又はパネルを同様に構成することができる。
【0229】
いくつかの構成では、編み構造体440は、編み構造体440の布目が、プラスチックコアが成形される形状に従うように、編成することができる。こうした配置では、ウェール間のステッチの分離が阻止され、ストラップの形状が維持される。加えて、布目をプラスチックコアの方向に従うように配置することにより、編み構造体を作製するために必要な伏目ステッチの数が最小限になる。こうした構造は、迅速且つ効率的な構成を可能にするために有利である。
【0230】
図53は、主に
図35~
図36Bを参照して上述した変更された前部ストラップ配置304の一部を示す。以下に記載すること及び/又は図面から明らかであることを除き、2つの版は他の点では同様であり得る。特に、
図50の前部ストラップ配置304は、前部ストラップ部分306と、上部ストラップ部分308と、下部ストラップ部分310と、頂部ストラップ配置314の第1ストラップ部分320又は第2ストラップ部分322のうちの一方とを含む。前部ストラップ配置304は、互いに恒久的に接続された少なくとも1つの布地層と少なくとも1つのプラスチック層とを有する成形された複合構造体として構成することができる。
【0231】
前部ストラップ配置304のこの変更版では、前部ストラップ部分306及び上部ストラップ部分308は、単一の連続的な管状編み構造体440から形成され、下部ストラップ部分310及び第1ストラップ部分320は、各々、別個の管状編み構造体440から形成されている。この構成により、二又に分岐した管状構造体を編成する必要がなくなり、製造を簡略化することができる。いくつかの構成では、前部ストラップ部分306及び上部ストラップ部分308は、別個の管状編み構造体440から形成してもよく、且つ/又は前部ストラップ部分306及び下部ストラップ部分310は、別法として、単一の連続的な管状編み構造体440として形成してもよい。いくつかの構成では、管状編み構造体440のうちの1つ又は複数は、上述したように、それぞれのストラップ部分の最終形状に近似するか又は実質的に一致する形状に編成することができる。いくつかの構成では、管状編み構造体440のうちの1つ又は複数は、上述したように、布目方向が管状編み構造体440の長さに沿って変化するように、編成することができる。編み構造体440のうちの1つ又は複数は、別の編み構造体440と異なっていてもよい。例えば、下部ストラップ部分310及び第1ストラップ部分320の管状編み構造体440は、結合された前部ストラップ部分306及び上部ストラップ部分308の管状編み構造体440と異なる色である。異なる色を使用することにより、使用者がヘッドギア154を方向付けるのに役立つ視覚的手がかりを提供することができる。いくつかの構成では、管状編み構造体440のうちの2つ以上は、恐らくは長さ以外、互いに同一であってもよく、各々、管状編み材料の同じストックから適切な長さに切断され得る。
【0232】
管状編み構造体440の各々を、金型内部で縁部313によって締め付けることができ、管状編み構造体440内側に溶融プラスチックを注入することができる。溶融プラスチックは、上述したように、冷めて硬化して、金型キャビティの形状のプラスチックコアを形成する。プラスチックコアは、不快感又は顔面のマーキングをもたらす可能性がある鋭利な角部のない凸状の側縁部を有する、実質的に平面の対向する主面を有することができる。金型から取り外されると、新たに部分的に平坦化した管状編み構造体440の外縁部313には、実質的にプラスチック材料がない。これにより、使用者の快適性を向上させ且つ/又は顔面のマーキングを低減させることができる軟質な外縁部313を有する、結果としてのストラップ部分を残すことができる。次いで、下部ストラップ部分310及び第1ストラップ部分320の各々を、結合された前部ストラップ部分306及び上部ストラップ部分308とともに別の管型に所望の配置で、同時に又は連続的に配置し、図示するように接合部分311とともにそれぞれのストラップ部分306、308、310をオーバーモールドすることによって接合することができる。いくつかの構成では、プラスチックコア及び接合部分311は、同じ材料から形成することができる。いくつかの構成では、プラスチックコア及び/又は接合部分311は、PEBAX(登録商標)等、弾力性があり且つ比較的軟質の熱可塑性エラストマー材料から形成することができる。
図50に示すように、上部ストラップ部分308のループ312は、最上接合部分311の一体部分を形成することができる。
【0233】
結論
本明細書に記載した実施形態に対して、多くの変形及び変更を行うことができ、それらの要素は、他の許容可能な例の一部であるものとして理解されるべきであることが強調されるべきである。こうした変更形態及び変形形態のすべてが、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。さらに、本明細書に記載するステップのいずれも、同時に、又は本明細書で順序付けたステップとは異なる順序で実施することができる。さらに、明らかなはずであるように、本明細書に開示した具体的な実施形態の特徴及び属性は、異なる方法で組み合わせて追加の実施形態を形成することができ、それらのすべてが、本開示の範囲内にある。
【0234】
「できる(can、could)」、「あり得る、可能性がある、あり得る、場合がある(might、may)」、「例えば」等、本明細書で用いる条件付きの文言は、別段具体的な定めのない限り、又は使用されている文脈内で他の意味に理解されない限り、概して、いくつかの特徴、要素及び/又は状態を、いくつかの実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを示唆するように意図されている。したがって、こうした条件付きの文言は、概して、特徴、要素及び/又は状態が何らかの方法で1つ又は複数の実施形態に必須であること、又は、1つ又は複数の実施形態が、著者の入力又は指示の有無に関わらず、これらの特徴、要素及び/又は状態が任意の特定の実施形態に含まれるか否か、若しくは任意の特定の実施形態で実施されるべきであるか否かを判断する論理を必然的に含むことを、示唆するようには意図されていない。
【0235】
さらに、本明細書では以下の用語法を使用している場合がある。単数形「1つの、ある(a、an)」及び「その(the)」は、文脈において別段明確な指示がない限り、複数の対象物を含む。したがって、例えば、1つの項目に対する言及は、1つ又は複数の項目に対する言及を含む。「いくつか(ones)」という用語は、1つ、2つ又はそれより多くを指し、概して、ある量の一部又はすべての選択に適用される。「複数」という用語は、項目が2つ以上であることを指す。「約」又は「およそ」という用語は、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴が、正確である必要はなく、必要に応じて許容可能な公差、変換係数、四捨五入、測定誤差等、及び当業者に既知である他の要素を反映して、近似され且つ/又はより大きいか若しくは小さい可能性があることを意味する。「実質的に」という用語は、列挙される特徴、パラメータ又は値が正確に達成される必要はなく、例えば、公差、測定誤差、測定精度限界及び当業者に既知である他の要素を含む偏差又は変動が、その特徴が提供するように意図された効果を排除しない量で発生する可能性があることを意味する。
【0236】
本明細書では、数値データを範囲形式で表現又は提示している場合がある。こうした範囲形式は、単に便宜上及び簡潔にするために使用されており、したがって、範囲の上下限として明示的に列挙される数値を含むように柔軟に解釈されるだけでなく、その範囲内に包含される個々の数値又は下位範囲のすべてを、各数値及び下位範囲が明示的に列挙されているかのように含むように解釈されるべきであることが理解されるべきである。例示として、「約1~5」という数値範囲は、約1~約5の明示的に列挙した値のみを含むように解釈されるべきではなく、示された範囲内の個々の値及び下位範囲も含むように解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3及び4等の個々の値と、「約1~約3」、「約2~約4」及び「約3~約5」、「1~3」、「2~4」、「3~5」等の下位範囲とである。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲(例えば、「1よりも大きい」)に適用され、範囲の広さ又は記載されている特徴に関わらず適用されるべきである。便宜上、複数の項目を共通のリストに提示している場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の且つ一意の要素として個々に特定されるかのように解釈されるべきである。したがって、こうしたリストのいかなる個々の要素も、別段の指示がなければ、共通のグループに提示されているということのみに基づいて、同じリストの他のあらゆる要素の事実上の均等物であるものとして解釈されるべきではない。さらに、「及び」及び「又は」という用語は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの任意の1つ又は複数を単独で又は他の列挙された項目と組み合わせて使用することができるという点で、広く解釈されるべきである。「別法として」という用語は、2つ以上の選択肢のうちの1つの選択を指し、別段文脈において明確な指示がない限り、一度に列挙された選択肢のみに又は列挙された選択肢のうちの1つのみに選択を限定するようには意図されていない。
【国際調査報告】