(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】独立冷却回路を有するガスタービンエンジン構成要素
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20221212BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20221212BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20221212BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221212BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221212BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/18 A
F02C7/18 C
F02C7/18 E
B33Y10/00
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522633
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020047574
(87)【国際公開番号】W WO2021080680
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ハフナー、マシュー トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンタッセル、ブラッド ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、クリストファー ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】コッティリンガム、スリカンス チャンドルドゥ
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202CA07
3G202CB01
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ02
3G202JJ14
3G202JJ33
(57)【要約】
冷却流体をガスタービンシステムの構成要素に選択的に送達するための独立冷却回路の実施形態は、構成要素の外壁内に埋め込まれた冷却チャネルの複数の独立した冷却チャネル回路であって、複数の冷却チャネル回路が互いに織り合わされている、複数の冷却チャネル回路と、インピンジメントプレートと、インピンジメントプレートを構成要素の外壁に接続し、複数の冷却チャネル回路の各々を少なくとも1つの冷却流体の供給に流体結合する複数の供給管とを備え、複数の冷却チャネル回路の各々において、冷却流体が、冷却チャネル回路の冷却チャネルのうちの少なくとも1つを露出させる構成要素の外壁の破損の形成に応答してのみ、複数の供給管を通って冷却チャネル回路に流入する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却流体(210、212)をガスタービンシステム(10)の構成要素(102)に選択的に送達するための独立冷却回路(200)であって、
前記構成要素(102)の外壁(106)内に埋め込まれた冷却チャネル(206、208)の複数の独立した冷却チャネル回路(202、204)であって、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)が互いに織り合わされている、複数の冷却チャネル回路(202、204)と、
インピンジメントプレート(114)と、
前記インピンジメントプレート(114)を前記構成要素(102)の前記外壁(106)に接続し、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々を少なくとも1つの冷却流体(210、212)の供給に流体結合する複数の供給管(218、222)と
を備え、
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々において、前記冷却流体(210、212)が、前記冷却チャネル回路(202、204)の前記冷却チャネル(206、208)のうちの少なくとも1つを露出させる前記構成要素(102)の前記外壁(106)の破損の形成に応答してのみ、前記複数の供給管(218、222)を通って前記冷却チャネル回路(202、204)に流入する、独立冷却回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却流体(210、212)の供給が、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つに冷却流体(210、212)をそれぞれ供給する、冷却流体の複数の独立した供給を含む、請求項1に記載の独立冷却回路。
【請求項3】
前記冷却流体(210、212)の複数の独立した供給が、再利用された冷却流体の供給を含む、請求項2に記載の独立冷却回路。
【請求項4】
前記再利用された冷却流体が、インピンジメント後の冷却流体を含み、前記独立冷却回路(200)が、前記構成要素(102)内のインピンジメントキャビティ(118)から前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つに前記インピンジメント後の冷却流体を導くための、前記外壁(106)の内表面(116)の複数の開口部(121)をさらに含む、請求項3に記載の独立冷却回路。
【請求項5】
前記複数の冷却チャネル回路の第1および第2の冷却チャネル回路(202、204)の前記冷却チャネル(206、208)が互いに対して直角に織り交ぜられている、請求項1に記載の独立冷却回路。
【請求項6】
前記複数の冷却チャネル回路のうちの第3の冷却チャネル回路(306)の前記冷却チャネル(312)が、前記複数の冷却チャネル回路のうちの第1および第2の冷却チャネル回路(302、304)の前記冷却チャネル(308、310)に対して鋭角に織り交ぜられている、請求項5に記載の独立冷却回路。
【請求項7】
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々において、各冷却チャネル(206、208)が複数の前記供給管(218、222)の間に延在し流体結合する、請求項1に記載の独立冷却回路。
【請求項8】
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の少なくとも1つの冷却チャネル(206、208)の少なくとも1つは、前記冷却チャネル(206、208)の少なくとも1つと前記構成要素(102)の前記外壁(106)の外表面(132)との間の距離が変化するように複数の前記供給管(218、222)の間に非直線的に延在する、請求項7に記載の独立冷却回路。
【請求項9】
前記複数の冷却チャネル回路の第1の冷却チャネル回路(202)の前記冷却チャネル(206)が第1の方向において複数の前記供給管(218)の間に延在し、前記複数の冷却チャネル回路の第2の冷却チャネル回路(204)の前記冷却チャネル(208)が第2の異なる方向において複数の前記供給管(222)の間に延在する、請求項1に記載の独立冷却回路。
【請求項10】
付加製造プロセスを使用して形成された壁クーポン(500)をさらに備え、前記壁クーポン(500)が前記構成要素(102)の前記外壁(106)のセクション(502)および前記複数の供給管(218、222)を含み、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)が前記外壁(106)の前記セクション(502)内に埋め込まれる、請求項1に記載の独立冷却回路。
【請求項11】
前記壁クーポン(500)が、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つから前記外壁(106)の前記セクション(502)の外表面(132)まで延在する複数の粉末除去開口部(600)を含む、請求項10に記載の独立冷却回路。
【請求項12】
ガスタービンシステム(10)の構成要素(102)と、
冷却流体(210、212)をガスタービンシステム(10)の前記構成要素(102)に選択的に送達するための独立冷却回路(200)と
を備える冷却システムであって、前記独立冷却回路(200)が、
前記構成要素(102)の外壁(106)内に埋め込まれた冷却チャネル(206、208)の複数の独立した冷却チャネル回路(202、204)であって、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)が互いに織り合わされている、複数の冷却チャネル回路(202、204)と、
インピンジメントプレート(114)と、
前記インピンジメントプレート(114)を前記構成要素(102)の前記外壁(106)に接続し、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々を冷却流体(210、212)の少なくとも1つの供給に流体結合する複数の供給管(218、222)と
を備え、
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々において、前記冷却流体(210、212)が、前記冷却チャネル回路(202、204)の前記冷却チャネル(206、208)のうちの少なくとも1つを露出させる前記構成要素(102)の前記外壁(106)の破損の形成に応答してのみ、前記複数の供給管(218、222)を通って前記冷却チャネル回路(202、204)に流入する、冷却システム。
【請求項13】
冷却流体(210、212)の前記少なくとも1つの供給が、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つに冷却流体(210、212)をそれぞれ供給する、冷却流体の複数の独立した供給を含む、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項14】
冷却流体(210、212)の前記複数の独立した供給が、再利用された冷却流体の供給を含む、請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記複数の冷却チャネル回路の第1および第2の冷却チャネル回路(202、204)の前記冷却チャネル(206、208)が互いに対して直角に織り交ぜられている、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記複数の冷却チャネル回路のうちの第3の冷却チャネル回路(306)の前記冷却チャネル(312)が、前記複数の冷却チャネル回路のうちの第1および第2の冷却チャネル回路(302、304)の前記冷却チャネル(308、310)に対して鋭角に織り交ぜられている、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の少なくとも1つの冷却チャネル(206、208)の少なくとも1つは、前記冷却チャネル(206、208)の少なくとも1つと前記構成要素(102)の前記外壁(106)の外表面(132)との間の距離が変化するように複数の前記供給管(218、222)の間に非直線的に延在する、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項18】
付加製造プロセスを使用して形成された壁クーポン(500)をさらに備え、前記壁クーポン(500)が前記構成要素(102)の前記外壁(106)のセクション(502)および前記複数の供給管(218、222)を含み、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)が前記外壁(106)の前記セクション(502)内に埋め込まれ、前記壁クーポン(500)が、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つから前記外壁(106)の前記セクション(502)の外表面(132)まで延在する複数の粉末除去開口部(600)をさらに含む、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項19】
ガスタービンシステム(10)の構成要素(102)への破砕関連損傷を低減する方法であって、
前記構成要素(102)の外壁(106)のセクション(502)内に複数の独立した冷却チャネル回路(202、204)を埋め込むことであって、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)が互いに織り合わされている、埋め込むことと、
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの少なくとも1つの一部を露出させる壁の破損に応答してのみ、前記複数の冷却チャネル回路(202、204)のうちの前記少なくとも1つに冷却流体(210、212)の流れを導くことと
を含む方法。
【請求項20】
前記複数の冷却チャネル回路(202、204)の各々に冷却流体(210、212)の独立した供給を行うことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にタービンシステムに関し、より詳細には、独立冷却回路を介したガスタービンシステムの構成要素への冷却流体の送達に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、発電などの分野で広く利用されているターボ機械の一例である。従来のガスタービンシステムは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼器セクションと、タービンセクションとを含む。ガスタービンシステムの動作中、タービンブレード、ノズル翼形部、およびシュラウドセグメントなどのシステム内の様々な構成要素が高温のガス流に曝され、構成要素を故障させる可能性がある。より高温のガス流は、一般に、ガスタービンシステムの性能、効率、および出力の向上をもたらすため、高温のガス流に曝される構成要素を冷却し、ガスタービンシステムをより高い温度で動作させ、かつガスタービンシステムの構成要素の寿命を延ばすことが有益である。
【0003】
冷却(例えば、対流冷却、インピンジメント冷却など)は、ガスタービンシステムの構成要素に形成された内部通路を通して冷却流体の流れを導くことによって提供されることが多い。多くの場合、冷却流体は、ガスタービンシステムの圧縮機セクションによって放出された空気の一部を抽気することによって提供される。
【0004】
遮熱コーティング(TBC)が、保護熱シールドを提供し、高温による損傷を防止し、酸化および熱疲労を低減することによって構成要素寿命を延ばすために、ガスタービンシステムの構成要素に適用されることが多い。TBCの破砕は、ガスタービンシステムにおける共通の問題である。TBCが破砕すると、TBCの一部が割れて構成要素を破壊し、下にある表面を高温に曝し、損傷(例えば、壁破損部)を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/309634(A1)号明細書
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、冷却流体をガスタービンシステムの構成要素に選択的に送達するための独立冷却回路に関し、独立冷却回路は、構成要素の外壁内に埋め込まれた複数の独立した冷却チャネル回路であって、複数の冷却チャネル回路が互いに織り合わされている、複数の冷却チャネル回路と、インピンジメントプレートと、インピンジメントプレートを構成要素の外壁に接続し、複数の冷却チャネル回路の各々を少なくとも1つの冷却流体の供給に流体結合する複数の供給管とを含み、複数の冷却チャネル回路の各々において、冷却流体が、冷却チャネル回路の冷却チャネルのうちの少なくとも1つを露出させる構成要素の外壁の破損の形成に応答してのみ、複数の供給管を通って冷却チャネル回路に流入する。
【0007】
本開示の別の態様は、ガスタービンシステムの構成要素と、冷却流体をガスタービンシステムの構成要素に選択的に送達するための独立冷却回路とを備える冷却システムに関し、独立冷却回路が、構成要素の外壁内に埋め込まれた複数の独立した冷却チャネル回路であって、複数の冷却チャネル回路が互いに織り合わされている、複数の冷却チャネル回路と、インピンジメントプレートと、インピンジメントプレートを構成要素の外壁に接続し、複数の冷却チャネル回路の各々を少なくとも1つの冷却流体の供給に流体結合する複数の供給管とを備え、複数の冷却チャネル回路の各々において、冷却流体が、冷却チャネル回路の冷却チャネルのうちの少なくとも1つを露出させる構成要素の外壁の破損の形成に応答してのみ、複数の供給管を通って冷却チャネル回路に流入する。
【0008】
本開示のさらなる態様は、ガスタービンシステムの構成要素への破砕関連損傷を低減する方法に関し、本方法は、構成要素の外壁のセクション内に複数の独立した冷却チャネル回路を埋め込むことであって、複数の冷却チャネル回路が互いに織り合わされている、埋め込むことと、複数の冷却チャネル回路のうちの少なくとも1つの一部を露出させる壁の破損に応答してのみ、複数の冷却チャネル回路のうちの少なくとも1つに冷却流体の流れを導くこととを含む。
【0009】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または議論されていない他の問題を解決する。
【0010】
本開示のこれらの特徴および他の特徴は、本開示の様々の態様の以下の詳細な説明を本開示の種々の実施形態を示す添付の図面と併せて検討することで、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態によるガスタービンシステムの概略図である。
【
図2】実施形態によるガスタービンシステムのタービンセクションの一部の側面図である。
【
図3】実施形態によるタービンブレードの斜視図である。
【
図4A】壁破損の形成前のインピンジメント冷却の例を示す。
【
図4B】壁破損の形成後のインピンジメント冷却の例を示す。
【
図5】実施形態による構成要素の内部から外向きに見た、ガスタービンシステムの構成要素の独立冷却回路を示す図である。
【
図6】実施形態による構成要素の外部から内向きに見た、
図5の独立冷却回路を示す図である。
【
図7】実施形態による冷却チャネルの相互接続された回路を示すために外壁の一部が除去された、
図6の独立冷却回路を示す図である。
【
図8】実施形態による構成要素の外壁の一部が除去された、
図5の独立冷却回路の別の図である。
【
図9】実施形態による
図5の独立冷却回路の断面図である。
【
図10】実施形態による部分的または完全な外壁破損後の
図5の独立冷却回路の動作を示す図である。
【
図11】追加的な実施形態によるガスタービンシステムの構成要素の独立冷却回路を示す図である。
【
図12】追加的な実施形態による
図11の独立冷却回路の断面図である。
【
図13】追加的な実施形態による
図11の独立冷却回路の別の図である。
【
図14】さらなる実施形態によるガスタービンシステムの構成要素の独立冷却回路を示す図である。
【
図15】さらなる実施形態による
図14の独立冷却回路の断面図である。
【
図16】さらなる実施形態による
図14の独立冷却回路の別の図である。
【
図17】さらに別の実施形態による独立冷却回路を示す図である。
【
図18】実施形態による物体を表すコードを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む付加製造プロセスのブロック図である。
【
図19】実施形態によるガスタービンシステムの構成要素用の付加製造された壁クーポンを示す図である。
【
図20】実施形態によるガスタービンシステムの構成要素用の付加製造された壁クーポンを示す図である。
【
図21】実施形態による粉末除去開口部を有する付加製造された壁クーポンを示す図である。
【
図22】実施形態による粉末除去開口部を有する付加製造された壁クーポンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の図面は、必ずしも原寸に比例しないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0013】
ここで、添付の図面に示される代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、実施形態を1つの好ましい実施形態に限定するものではないことを理解されたい。むしろ反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される、記載している実施形態の趣旨および範囲内に含まれ得る代替形態、修正形態、および均等形態も包含し得ることが意図される。
【0014】
始めに、本開示について明確に説明するために、本開示の範囲内にある、関連する機械構成要素を参照して述べる際に、特定の専門用語を選択することが必要になる。その際、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられている意味と同じ意味で使用され、かつ利用される。別途記載のない限り、このような専門用語には、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と矛盾しない広範な解釈が付与されるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものを、単一の部品として他の場所で参照してもよい。
【0015】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語をしばしば使用することがあり、このセクションの最初にこれらの用語を定義することが有用であることが分かるはずである。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」とは、タービンエンジンを通る作動流体、または例えば、燃焼器を通る空気の流れ、もしくはタービンの構成要素システムの1つを通る冷却剤などの流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れの反対の方向を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前部または圧縮機端を指し、「後方」はエンジンの後部またはタービン端を指す。さらに、「先導する」および「後続する」という用語は、それぞれ、「前方」および「後方」という用語と同様の記述で使用され、および/または理解され得る。多くの場合、異なる半径方向、軸方向および/または周方向の位置にある部品を説明することが要求される。「A」軸線は、軸方向を表す。本明細書で使用する場合、「軸方向の」および/または「軸方向に」という用語は、ガスタービンシステム(特に、ロータセクション)の回転軸と実質的に平行な軸線Aに沿った物体の相対的な位置/方向を指す。さらに本明細書で使用する場合、「半径方向の」および/または「半径方向に」という用語は、軸線Aと実質的に垂直でありかつただ1つの場所において軸線Aと交差する方向「R」(
図1参照)に沿った物体の相対的な位置/方向を指す。最後に、「周方向の」という用語は、軸線Aの周囲の移動または位置を指す(例えば、方向「C」)。
【0016】
様々な実施形態において、互いに「流体結合された」または「流体連通する」と記載された構成要素は、1つまたは複数の界面に沿って接合することができる。いくつかの実施形態では、これらの界面は、別個の構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらの界面は途切れなく、および/または一体的に形成された相互接続を含むことができる。すなわち、いくつかの場合には、互いに「連結された」構成要素は、単一の連続部材を画定するように同時に形成され得る。ただし、他の実施形態では、これらの連結された構成要素を別々の部材として形成することができ、その後これらを公知のプロセス(例えば、固定、超音波溶接、接着)によって接合することができる。
【0017】
ある要素または層が、別の要素に対して「上に位置し」、「係合し」、「接続され」または「結合され」ていると称される場合、他の要素に対して直接的に上に位置し、係合し、接続され、あるいは結合されても、介在の要素が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素に対して「直接上に位置し」、「直接係合し」、「直接接続され」または「直接結合され」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0018】
図1は、様々な実施形態による、ガスタービンシステム10の概略図を示す。図示のように、ガスタービンシステム10は、流入する空気14の流れを圧縮し、次いで圧縮空気16の流れを燃焼器セクション18に送達するための圧縮機セクション12を含む。燃焼器セクション18は、圧縮空気16の流れを燃料20の加圧された供給物と混合し、混合物に点火して燃焼ガス22の流れを生成する。単一の燃焼器セクション18のみが図示されているが、ガスタービンシステム10は、任意の数の燃焼器セクション18を含んでいてもよい。燃焼ガス22の流れは、次いでタービンセクション24に送達される。燃焼ガス22の流れは、タービンセクション24を駆動して機械的仕事を生成する。タービンセクション24で生成された機械的仕事は、シャフト26を介して圧縮機セクション12を駆動し、さらに発電機などの外部負荷28を駆動するために使用されてもよい。
【0019】
図2は、タービンブレード32の少なくとも1つの段30(1つを示す)およびタービンセクション24のケーシング38内に位置決めされたノズル36の少なくとも1つの段34(1つを示す)を含む、ガスタービンシステムのタービンセクション24の一部の側面図を示す。タービンブレード32の各段30は、ロータ26に結合され、ロータ26の周りに周方向に位置決めされており、燃焼ガス22によって駆動される複数のタービンブレード32を含む。ノズル36の各段34は、タービンセクション24のケーシング38に結合され、その周りに周方向に位置決めされた複数のノズル36を含む。
図2に示す実施形態では、各ノズル36は、外側プラットフォーム42と内側プラットフォーム44との間に位置決めされた翼形部40を含む。
【0020】
ノズル36と同様に、タービンセクション24の各タービンブレード32は、ロータ26から半径方向に延在する翼形部46を含む。各翼形部46は、先端部分48と、先端部分48の反対側に位置決めされたプラットフォーム50とを含む。
【0021】
タービンブレード32およびノズル36は、ケーシング38内で互いに隣接して軸方向に位置決めすることができる。
図2では、例えば、軸方向においてタービンブレード32に隣接し、その下流に位置決めされたノズル36が示されている。タービンセクション24は、ケーシング38全体にわたって軸方向に位置決めされたタービンブレード32の複数の段30およびノズル36の複数の段34を含むことができる。
【0022】
ガスタービンシステム10のタービンセクション24は、ケーシング38全体にわたって軸方向に位置決めされたシュラウド54の複数の段52(
図2に示す1つの段)を含むことができる。
図2では、例えば、シュラウド54の段52が、タービンブレード32の段30に隣接して半径方向に位置決めされ、これを実質的に囲むかまたは包囲するように示されている。シュラウド54の段52はまた、軸方向においてノズル36の段34に隣接して、および/またはその上流に位置決めされてもよい。さらに、シュラウド54の段52は、タービンブレード32の段30の対向する両側に位置するノズル36の2つの隣接する段34の間に位置決めされることができる。シュラウド54の段52は、各々がシュラウド54の対応するセクションを受け入れるように構成された開口部58を含む延長部56のセットを使用して、タービンセクション24のケーシング38の周りに結合され得る。
【0023】
図3を参照すると、タービンブレード32の斜視図が示されている。タービンブレード32は、シャンク60と、プラットフォーム50の半径方向上方に配置されたプラットフォーム50と、プラットフォーム50に結合され、プラットフォーム50から半径方向外側に延在する翼形部46とを含む。翼形部46は、圧縮側面62と、対向する吸引側面64と、先端部分48とを含む。翼形部46は、圧縮側面62と吸引側面64との間の前縁68と、前縁68の反対側の圧縮側面62と吸引側面64との間の後縁70とをさらに含む。
【0024】
ガスタービンシステムの多くの構成要素(例えば、タービンブレード、ノズル、シュラウドなど)は、構成要素に形成された内部通路を通して冷却流体の固定供給を導くことによって、動作中に冷却されることができる。多くの場合、冷却流体は、ガスタービンシステムの圧縮機セクションによって放出された固定供給を抽気することによって供給される。
【0025】
例えば、対流冷却、フィルム冷却、およびインピンジメント冷却を含む多くの異なる内部冷却方法を使用して、ガスタービンシステムの構成要素を冷却することができる。対流冷却は、冷却流体の流れを構成要素の内部の通路に通過させることによって機能する。熱は、構成要素を通じての伝導によって伝達され、次いで構成要素を流れる冷却流体に伝達される。フィルム冷却により、冷却流体は、構成要素の外壁を貫通して形成された小孔を介して構成要素の外面に放出される。冷却流体は、構成要素の外面に沿って薄く冷たい絶縁ブランケットを提供する。対流冷却の変形であるインピンジメント冷却は、冷却流体のより高速の流れを構成要素の内面に向けることによって機能する。これにより、通常の対流冷却よりも多くの熱を対流によって伝達することができる。インピンジメント冷却は、高い熱負荷に曝される構成要素の領域(例えば、タービンブレードの前縁)で使用されることが多い。
【0026】
破損がガスタービンシステムの構成要素の一部に(例えば、TBC破砕または他の損傷の結果として)形成され、内部冷却通路を露出させる場合、冷却流体の固定供給の一部は、露出した内部冷却通路から破損を通って構成要素から流出し得る。これは、構成要素に利用可能な冷却流体の固定供給の残りの量を減少させ、冷却効果を低下させ、潜在的に構成要素の故障をもたらす。そのような壁の破損の例が、
図4Aおよび
図4Bに示されている。
【0027】
図4Aは、ガスタービンシステム(例えば、
図1のガスタービンシステム10)の構成要素80におけるインピンジメント冷却の例を示す。図示のように、冷却流体82の供給は、インピンジメントプレート90に形成された複数の開口部88を通って構成要素80の外壁86の内表面84に向けられる。構成要素80の外壁86の外表面92は、高温ガス流94に曝される。
図4Bは、外壁86を通って延在する破損部96を有する構成要素80を示す。図示のように、冷却流体82の一部が、破損部96を通って構成要素80の外壁86を通って漏れ、構成要素80への利用可能な冷却を減少させ、損傷を広げ、構成要素の故障を引き起こす可能性がある。
【0028】
実施形態によれば、部分的または完全な壁の破損に応答して、冷却流体の追加的な独立した供給をガスタービンシステムの構成要素に送達するための独立冷却回路が提供される。構成要素は、例えば、タービンブレード、ノズル翼形部、シュラウドセグメント、燃焼ライナ、またはガスタービンシステムの動作中に冷却を必要とし得る他の構成要素を含むことができる。冷却チャネルの少なくとも1つの相互接続された回路が、構成要素の外壁内に埋め込まれてもよい。複数の冷却剤供給チャネルが、構成要素(例えば、インピンジメントプレートまたはインサートの内部/上、内壁の内部/上など)に設けられる。複数の供給管が、冷却剤供給チャネルと、構成要素の外壁内に埋め込まれた冷却チャネルの各相互接続回路とを流体結合する。通常動作中(例えば、構成要素の外壁に部分的または完全な破損がない)、冷却流体のための出口がないため、冷却流体は独立冷却回路を通って流れない。しかしながら、部分的または完全な壁の破損が発生し、構成要素の外壁内に埋め込まれた冷却チャネルの相互接続された回路の少なくとも一部を露出させると、流路が形成され、冷却流体の供給が独立した冷却システムを通って影響領域に向かって流れることを可能にする。この追加的な独立した冷却流体の流れによって提供される冷却は、構成要素内のベースライン冷却効果(例えば、インピンジメント冷却)に影響を及ぼすことなく、表面損傷が発生した後に構成要素の寿命を延ばす(例えば、破損の領域における追加的な破砕を低減/防止する)ことができる。
【0029】
実施形態によるガスタービンシステム10(
図1)の構成要素102用の独立冷却回路100の第1の実施形態を
図5~
図10に示す。構成要素102は、限定はしないが、タービンブレード、ノズル翼形部、シュラウドセグメント、燃焼ライナなどを含む、冷却を必要とし得るガスタービンシステム10の任意の構成要素を含むことができる。この例では、構成要素102の外壁106を冷却するためにインピンジメント冷却装置104が使用される。例えば、インピンジメント冷却を提供するために、冷却流体108の供給は、ガスタービンシステム10の動作中に構成要素102の内部キャビティ110内に導かれてもよい。冷却流体108の供給は、例えば、ガスタービンシステム10の圧縮機セクション12(
図1)によって放出された空気の供給を抽気することによって提供することができる。冷却流体108は、内部キャビティ110から、インピンジメントプレート114に形成された複数のインピンジメント孔112を通って、インピンジメントキャビティ118に流入し、構成要素102の外壁106の内表面116に対して流れる。外壁106の内表面116に衝突した後、冷却流体108は、インピンジメントキャビティ118から構成要素102の1つまたは複数の内部/外部領域に(例えば、フィルム冷却のために)導かれることができる。インピンジメント冷却に関連してこの実施形態および他の実施形態で説明したが、独立冷却回路100は、他の冷却装置(例えば、対流冷却など)とともに使用することができる。
【0030】
図5~
図10(同時に参照される)に示す独立冷却回路100は、複数の冷却剤供給チャネル120(用途に応じて必ずしも必要ではないが)、複数の供給管122、および構成要素102の外壁106内に埋め込まれた冷却チャネル126の相互接続回路124(
図7~
図10)を含む。冷却チャネル126の相互接続回路124は、構成要素102の外壁106内に完全に囲まれており、冷却チャネル126のいずれも外壁106の外表面132(例えば、高温ガス表面)まで延在していないか、または外表面132に露出していない。冷却剤供給チャネル120は、インピンジメントプレート114に取り付けられてもよく、インピンジメントプレート114の一部として形成されても、もしくはインピンジメントプレート114の内部に形成されてもよく、または任意の他の適切な方法で設けられてもよい。実施形態によれば、供給管122の公称位置は、交差部130で発生する可能性が最も高い破損で冷却剤の供給を確実にするために、交差部130どうしの中間にあってもよい。他の実施形態では、供給管122は、交差部130またはその近くに配置されてもよい。
【0031】
冷却剤供給チャネル120の各々は、インピンジメントプレート114の複数の開口部121および複数の供給管122を介して、冷却チャネル126の相互接続回路124に流体結合される。冷却剤供給チャネル120はそれぞれ、インピンジメント冷却装置104に供給される冷却流体108の供給とは無関係の冷却流体128の加圧供給に流体結合される。冷却流体128の供給は、ガスタービンシステム10の圧縮機セクション12によって放出された空気の供給を抽気することによって、または任意の他の適切な方法(例えば、ガスタービンシステム10の圧縮機セクション12以外の供給源によって供給される圧縮空気の供給源)で提供することができる。冷却チャネル126の相互接続回路124は、冷却流体128のための出口を含まない。冷却剤供給チャネル120は、必要に応じて、各供給管122に供給する個々の流路も含むことができる。他の実施形態では、冷却剤供給チャネル120は、外壁106と一体であってもよい。
【0032】
図5~
図10に示す実施形態では、相互接続回路124の冷却チャネル126は、(例えば、平面構成で)外壁106の外表面132からほぼ同じ距離で構成要素102の外壁106内に埋め込まれてもよい。さらに、供給管122は、相互接続回路124の冷却チャネル126まで外壁106内にほぼ同じ距離だけ延在することができる。相互接続回路124の冷却チャネル126のすべてを流体的に相互接続するために、複数の交差部130を設けることができる。冷却チャネル126は、外壁106内に格子状パターン(例えば、長方形の格子)で配置されてもよく、供給管122間および/または交差部130間に直線的に延在してもよい。
【0033】
他の実施形態では、相互接続回路124の冷却チャネル126(またはその一部)は、外壁106の外表面132から異なる距離で外壁106内に埋め込まれてもよい。これは、供給管122が、相互接続回路124の冷却チャネル126まで外壁106内に異なる距離だけ延在することを必要とする場合がある。さらに、他の実施形態では、冷却流体の単一の加圧供給および冷却チャネルの単一の相互接続回路を使用する代わりに、冷却チャネルの複数の独立した回路を使用することができる。冷却流体の単一の加圧供給は、冷却チャネルの回路のすべてに流体結合されてもよく、または冷却流体の複数の別個の加圧供給が使用されてもよく、それぞれが冷却チャネルの回路の1つまたは複数に流体結合される。冷却剤供給チャネル120が使用されない実施形態では、インピンジメント前の冷却流体108は、複数の供給管122を通って冷却チャネル126の相互接続回路124に供給されてもよい。
【0034】
再び
図5~
図10を参照すると、通常動作中(例えば、構成要素102の外壁106に部分的または完全な破損がない)、冷却チャネル126の相互接続回路124は外壁106内に埋め込まれ完全に囲まれており、冷却流体128の出口を含まないため、独立冷却回路100を通る冷却流体128の流れはない。しかしながら、
図10に示すように、構成要素102の外壁106に部分的または完全な壁破損部96が形成されたことに応答して、構成要素102の外壁106の冷却チャネル126の少なくとも一部が露出し、冷却流体128の出口を提供し得る。この限りにおいて、冷却流体128は、壁破損部96によって露出された冷却チャネル126を通って流れることができる。特に、冷却流体128は、冷却剤供給チャネル120、複数の供給管122、および相互接続回路124の冷却チャネル126を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル126に向かって、およびその外に流れることができる。冷却流体128は、最終的に、破損部96の露出した冷却チャネル126から構成要素102の外部に流出する。一般に、冷却流体128の流量は、破損部96に最も近いチャネルで増加する。冷却流体128の流れは、インピンジメント冷却装置104によって提供される冷却とは無関係に、壁破損部96に隣接する領域において構成要素102に追加的な冷却を提供する。冷却流体128によって提供される追加的な冷却は、例えば、追加的な破砕を低減するか、または破損部96の領域に追加的な破砕が生じるのを防ぐことができる。これにより、破損部96のサイズが増大するのを防止することができ、構成要素102の動作寿命を延ばすことができる。
【0035】
独立冷却システム100は、冷却流体128の単一の加圧供給部と、複数の冷却剤供給チャネル120と、冷却チャネル126の相互接続回路124を接続する複数の交差部130と、複数の供給管122とを含む。独立冷却回路200の別の実施形態が、
図11~
図13に示されており、同時に参照される。独立冷却回路200は、ガスタービンシステム10(
図1)の構成要素102の外壁106内にそれぞれ埋め込まれた冷却チャネル206、208の複数(例えば、この例では2つ)の独立した回路202、204と、冷却流体210、212の複数(例えば、この例では2つ)の加圧供給部とを含む。実施形態によれば、冷却流体210、212の供給部は、互いに独立していてもよく、冷却流体の1つまたは複数の供給源によって(例えば、ガスタービンシステム10の圧縮機セクション12によって放出された空気の異なる部分を抽気することによって、冷却流体108を再利用することによってなど)提供されてもよい。
【0036】
図示のように、冷却チャネル206、208の回路202、204は、冷却チャネル206、208が直角に織り交ぜられて冷却チャネル206、208のファブリック214を形成するように織り合わされてもよい。冷却流体210、212の供給部の各々は、冷却チャネル206、208のそれぞれの回路202、204に流体結合されてもよい。冷却チャネル206、208の回路202、204の各々は、構成要素102の外壁106内に完全に囲まれており、冷却チャネル206、208のいずれも構成要素102の外壁106の外表面132まで延在していないか、または外表面132に露出していない。
【0037】
冷却チャネル206の回路202は、複数の供給管218を介して第1のセットの冷却剤供給チャネル216(用途に応じて必ずしも必要ではないが)に流体結合されている。冷却流体210の供給は、第1のセットの冷却チャネル216内に導かれる。同様に、冷却チャネル208の回路204は、複数の供給管222を介して第2のセットの冷却剤供給チャネル220に流体結合される。冷却流体212の供給は、第2のセットの冷却チャネル220内に導かれる。冷却剤供給チャネル216、220のセットは、構成要素102内のインピンジメントプレート114に取り付けられてもよく、インピンジメントプレート114の一部として形成されても、もしくはインピンジメントプレート114の内部に形成されてもよく、または任意の他の適切な方法で設けられてもよい。冷却チャネル206、208の回路202、204のいずれも、冷却流体210、212の供給のための出口を含まない。
【0038】
図5~
図10に示す実施形態のように、インピンジメント冷却システム104を設けて、構成要素102の外壁106を冷却することができる。インピンジメント冷却を提供するために、冷却流体108の供給は、ガスタービンシステム10の動作中に構成要素102の内部キャビティ110(例えば、
図5を参照)に導かれる。冷却流体108は、内部キャビティ110から、複数のインピンジメント孔112(例えば、インピンジメントプレート114に形成される)を通って、インピンジメントキャビティ118に流入し、構成要素102の外壁106の内表面116に対して流れる。
【0039】
供給管122間および/または交差部130間で直線的に延在する、
図5~
図10に関して上述した相互接続回路124の冷却チャネル126とは異なり、独立冷却回路200の回路202、204内の冷却チャネル206、208の一部またはすべては、非直線構成(例えば、図示のジグザグ構成、正弦波構成など)を有することができる。例えば、
図11~
図13に示すように、冷却チャネル206は、供給管218の間の外壁106内で第1の方向にジグザグになっていてもよく、冷却チャネル208は、冷却チャネル206に垂直な第2の方向に供給管222の間の外壁106内でジグザグになっていてもよく、冷却チャネル206、208は直角に織り交ぜられている。その結果、冷却チャネル206、208と外壁106の外表面132との間の距離は変化し得る。
【0040】
冷却チャネル206、208の回路202、204は外壁106内に埋め込まれて完全に囲まれており、冷却流体210、212のための出口を含まないため、通常動作中(例えば、構成要素102の外壁106に部分的または完全な破損がない)、独立冷却回路200の冷却チャネル206、208の回路202、204のいずれかを通る冷却流体210、212の流れはない。
【0041】
部分的または完全な壁破損部96(例えば、
図10を参照)が外壁106に発生すると、構成要素102の外壁106内の冷却チャネル206、208のうちの1つまたは複数の少なくとも一部が露出し得る。回路202内の冷却チャネル206のうちの1つまたは複数の露出は、冷却流体210のための出口を形成する。その結果、冷却流体210は、ここで、冷却剤供給チャネル216、供給管218、および冷却チャネル206を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル206に向かって(およびその外に)流れることができる。同様に、回路204内の冷却チャネル208のうちの1つまたは複数の露出は、冷却流体212のための出口を形成する。冷却流体212は、ここで、冷却剤供給チャネル220、供給管222、および冷却チャネル208を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル208に向かって(およびその外に)流れることができる。冷却流体210は、冷却チャネル206のうちの1つまたは複数の露出に応答してのみ、冷却チャネル206の回路202を通って流れる。同様に、冷却流体212は、冷却チャネル208のうちの1つまたは複数の露出に応答してのみ、冷却チャネル208の回路204を通って流れる。この限りにおいて、冷却チャネル206、208の回路202、204の一方または両方は、どの冷却チャネル206、208が壁破損部96によって露出しているかに応じて作動することができる。
【0042】
独立冷却回路200を介した冷却流体210および/または212の流れは、インピンジメント冷却装置104によって提供される冷却とは無関係に、壁破損部96に隣接する領域内の構成要素102に追加的な冷却を提供する。冷却流体210および/または212によって提供される追加的な冷却は、例えば、追加的な破砕を低減するか、または破損部96の領域に追加的な破砕が生じるのを防止することができる。これにより、破損部96のサイズが増大するのを防止することができ、構成要素102の動作寿命を延ばすことができる。
【0043】
冷却チャネル206、208の非直線構成は、構成要素102の外壁106内のより長い流路を提供し、冷却流体210、212への熱伝達を促進し、独立冷却回路200の冷却効果を高めることができる。さらに、構成要素102の外壁106の外表面132のより近くに位置する冷却チャネル206、208の部分は、より浅い/より小さい破損部96の形成に応答して露出し得る。結果として、独立冷却回路200は、平面構成を有する独立冷却回路100よりも早く破砕事象に応答して作動することができる。
【0044】
独立冷却回路300の別の実施形態が、
図14~
図17に示されており、同時に参照される。独立冷却回路200と同様に、独立冷却回路300は、ガスタービンシステム10(
図1)の構成要素102の外壁106内に埋め込まれた冷却チャネル308、310、312の複数(例えば、この例では3つ)の独立した回路302、304、306と、冷却流体314、316、318の複数(例えば、この例では3つ)の加圧供給源とをそれぞれ含む。実施形態によれば、冷却流体314、316、318の供給は、互いに独立していてもよく、冷却流体の1つまたは複数の供給源(例えば、ガスタービンシステム10の圧縮機セクション12によって放出された空気の異なる部分を抽気することによって、冷却流体108を再利用することによってなど)によって提供されてもよい。
【0045】
図示のように、冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306の各々は、格子状のパターンで配置されてもよく、構成要素102の外壁106内に冷却チャネル308、310、312のファブリック320を形成するために互いに織り合わされてもよい。実施形態によれば、冷却チャネル308、310の回路302、304は、互いに直角に織り交ぜられ、冷却チャネル312の回路306は、冷却チャネル308、310の回路302、304の両方に対して鋭角(例えば、約45度)に織り交ぜられる。したがって、冷却チャネル312の回路306は、冷却チャネル308、310の回路302、304に対して斜めにずらされている。
【0046】
冷却流体314、316、318の供給の各々は、冷却チャネル308、310、312のそれぞれの回路302、304、306に流体結合されてもよい。冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306の各々は、構成要素102の外壁106内に完全に囲まれており、冷却チャネル308、310、312のいずれも構成要素102の外壁106の外表面132まで延在していないか、または外表面132に露出していない。
【0047】
冷却チャネル308の回路302は、複数の供給管324を介して第1のセットの冷却剤供給チャネル322(明確にするために冷却剤供給チャネル322の一部のみを破線で示す)に流体結合されている。冷却流体314の供給は、第1のセットの冷却剤供給チャネル322内に導かれる。同様に、冷却チャネル310、312の回路304、306は、複数の供給管330、332を介してそれぞれ第2および第3のセットの冷却剤供給チャネル326、328(明確にするために冷却剤供給チャネル326、328の一部のみを破線で示す)に流体結合されている。冷却流体316、318の供給は、それぞれ第2および第3のセットの冷却チャネル326、328内に導かれる。冷却剤供給チャネル322、326、328のセットは、構成要素102内のインピンジメントプレート114に取り付けられてもよく、インピンジメントプレート114の一部として、もしくはインピンジメントプレート114の内部に形成されてもよく、または任意の他の適切な方法で設けられてもよい。冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306のいずれも、冷却流体314、316、318の供給のための出口を含まない。
【0048】
前述の実施形態のように、インピンジメント冷却システム104を設けて、構成要素102の外壁106を冷却することができる。インピンジメント冷却を提供するために、冷却流体108の供給は、ガスタービンシステム10の動作中に構成要素102の内部キャビティ110(例えば、
図5を参照)に導かれる。冷却流体108は、内部キャビティ110から、複数のインピンジメント孔112(例えば、インピンジメントプレート114に形成される)を通って、インピンジメントキャビティ118に流入し、構成要素102の外壁106の内表面116に対して流れる。
【0049】
実施形態によれば、独立冷却回路300の回路302、304、306内の冷却チャネル308、310、312の一部またはすべては、非直線構成(例えば、図示のジグザグ構成、正弦波構成など)を有することができる。その結果、冷却チャネル308、310、312と外壁106の外表面132との間の距離は変化し得る。
【0050】
冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306は外壁106内に埋め込まれて完全に囲まれており、冷却流体314、316、318のための出口を含まないため、通常動作中(例えば、構成要素102の外壁106に部分的または完全な破損がない)、独立冷却回路300の冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306のいずれを通る冷却流体314、316、318の流れもない。
【0051】
構成要素102の外壁106に部分的または完全な壁破損部96(例えば、
図10を参照)が生じると、外壁106内の冷却チャネル308、310、312のうちの少なくとも一部が露出し得る。回路302内の冷却チャネル308のうちの1つまたは複数の露出は、冷却流体314のための出口を形成する。その結果、冷却流体314は、ここで、冷却剤供給チャネル322、供給管324、および冷却チャネル308を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル308に向かって(およびその外に)流れることができる。冷却流体314は、冷却チャネル308のうちの1つまたは複数の露出に応答してのみ、冷却チャネル308の回路302を通って流れる。回路304内の冷却チャネル310のうちの1つまたは複数の露出は、冷却流体316のための出口を形成する。冷却流体316は、ここで、冷却剤供給チャネル326、供給管330、および冷却チャネル310を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル310に向かって(およびその外に)流れることができる。冷却流体316は、冷却チャネル310のうちの1つまたは複数の露出に応答してのみ、冷却チャネル310の回路304を通って流れる。回路306内の冷却チャネル312のうちの1つまたは複数の露出は、冷却流体318のための出口を形成する。冷却流体318は、ここで、冷却剤供給チャネル328、供給管332、および冷却チャネル312を通って、壁破損部96によって露出した冷却チャネル312に向かって(およびその外に)流れることができる。冷却流体318は、冷却チャネル312のうちの1つまたは複数の露出に応答してのみ、冷却チャネル312の回路306を通って流れる。この限りにおいて、冷却チャネル308、310、312の回路302、304、306のうちの1つ、2つ、または3つすべてを、どの冷却チャネル308、310、312が壁破損部96によって露出しているかに応じて作動させることができる。
【0052】
独立冷却回路300を介した冷却流体314、316および/または318の流れは、インピンジメント冷却装置104によって提供される冷却とは無関係に、壁破損部96に隣接する領域内の構成要素102に追加的な冷却を提供する。冷却流体314、316および/または318によって提供される追加的な冷却は、例えば、追加的な破砕を低減するか、または破損部96の領域に追加的な破砕が生じるのを防止することができる。これにより、破損部96のサイズが増大するのを防止することができ、構成要素102の動作寿命を延ばすことができる。
【0053】
冷却チャネル308、310、312の非直線構成は、構成要素102の外壁106内のより長い流路を提供し、冷却流体314、316、318への熱伝達を促進し、独立冷却回路300の冷却効果を高めることができる。さらに、構成要素102の外壁106の外表面132のより近くに位置する冷却チャネル308、310、312の部分は、より浅い/より小さい破損部96の形成に応答して露出し得る。結果として、独立冷却回路300は、平面構成を有する独立冷却回路100よりも早く破砕事象に応答して作動することができる。
【0054】
図16を
図8および
図11と比較すると、独立冷却回路300は、独立冷却回路100、200のいずれよりも、(例えば、冷却チャネル312の回路306の斜めのずれに起因して)構成要素102の外壁106に高密度の冷却チャネルを提供することができることが分かる。より高い密度は、独立冷却回路300の冷却効果を高めることができる。
【0055】
独立冷却回路100、200、300において、冷却流体の供給は、破砕事象に起因して冷却チャネルの大面積が露出する場合にバックフローマージン(BFM:back flow margin)のいかなる減少も制限するために、冷却流体の主供給(例えば、インピンジメント冷却に使用される冷却流体108の供給)とは独立して提供されてもよい。BFMは、ガスタービンシステム10の構成要素102の内部の冷却流体の圧力と、構成要素102の外部の燃焼ガス22(
図1)の局所圧力との差として定義される。有利には、冷却チャネルの回路が互いに独立している独立冷却回路200、300に冷却チャネルの複数の織り合わされた回路を設けることによって、用途に応じて冷却流体源の組合せが利用可能である。例えば、独立冷却回路200、300の冷却チャネルの回路のすべては、ガスタービン10の圧縮機セクション12によって生成された圧縮空気から供給されてもよく、独立冷却回路200、300の冷却チャネルの回路のすべては、構成要素102の主冷却回路、またはそのような供給源の何らかの組合せからの冷却流体(例えば、インピンジメント冷却装置104のインピンジメント冷却に使用される冷却流体108)を再利用してもよい。組合せの場合、破砕事象は、内部圧力の低下を制限しながら、主冷却回路内の余分な冷却を可能にすることができる。
【0056】
冷却流体源の組合せを利用する、
図14~
図16に示す独立冷却回路300の変形例を
図17に示す。
図17の独立冷却回路300’は、前述の独立冷却回路300と同様に動作する。特に、冷却チャネル308、312の回路302、306は、供給管324、332を介して冷却流体314、318の供給源に流体結合され、上述のように動作する。しかしながら、独立冷却回路300とは異なり、独立冷却回路300’の冷却チャネル310の回路304は、構成要素102の外壁106に形成された複数の開口部334を介してインピンジメントキャビティ118および冷却流体108の供給部に流体結合される。外壁106の壁破損部96が冷却チャネル310のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を露出させると、冷却流体108は、インピンジメントキャビティ118から開口部334を通って冷却チャネル310の回路304内に、壁破損部96によって露出した冷却チャネル310に向かって(およびその外に)流れることができる。このようにして、インピンジメント冷却に使用される冷却流体108は、独立冷却回路300’によって再利用される。
【0057】
本開示の独立冷却回路100、200、300、300’の様々な構成要素および特徴は、付加製造プロセスを使用して形成することができる。有利には、付加製造は、よりカスタマイズ可能で複雑な特徴の設計および製造を可能にする。
【0058】
本明細書で使用される場合、付加製造は、従来のプロセスの場合である材料の除去ではなく、材料の連続的な層形成によって物体を製造する任意のプロセスを含むことができる。付加製造では、あらゆる種類の成形用具、金型、または固定具を使用することなく、かつ廃棄材料をほとんどまたは全く発生させることなく、複雑な幾何学的形状を形成することができる。その多くが切り落とされて廃棄されることになるプラスチック製または金属製の固体ビレットから構成要素を機械加工するのとは異なり、付加製造に使用される材料は、当該部品を成形するために必要となる材料のみである。付加製造プロセスは、三次元印刷、ラピッドプロトタイピング(RP:rapid prototyping)、ダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM:direct digital manufacturing)、バインダージェッティング、選択的レーザ溶融(SLM:selective laser melting)、および直接金属レーザ溶融(DMLM:direct metal laser melting)を含んでもよいが、それらに限定されない。現行の設定では、DMLMまたはSLMが好適であることが分かっている。
【0059】
付加製造プロセスの例を説明するために、
図18は、物体402を生成するための例示的なコンピュータ化された付加製造システム400の概略/ブロック図を示す。この例では、システム400はDMLM用に構成されているが、本開示の一般的な教示は他の形態の付加製造にも等しく適用可能であることを理解されたい。AMシステム400は、一般に、コンピュータ化された付加製造(AM:additive manufacturing)制御システム404およびAMプリンタ406を含む。AMシステム400は、AMプリンタ406を使用して物体402を物理的に生成するために物体402を定義するコンピュータ実行可能命令のセットを含むコード420を実行する。各AMプロセスは、例えば、細粒粉末、液体(例えば、ポリマー)、シートなどの形態の異なる原材料を使用することができ、そのストックは、AMプリンタ406のチャンバ410に保持することができる。実施形態によれば、物体402は、ガスタービンシステム10(
図1)の環境に耐えることができる金属または金属化合物で作ることができる。図示のように、アプリケータ412が、AMプリンタ406の構築プレート444上にブランクキャンバスとして広げられた原材料414の薄層を作成することができ、そこから最終物体の各連続スライスが作成される。他の場合には、アプリケータ412は、コード420によって定義されるように、前の層上に次の層を直接適用または印刷することができる。図示されている例では、レーザまたは電子ビームは、コード420によって定義されるように、各スライスの粒子を融合する。AMプリンタ406の様々な部分は、各新しい層の追加に対応するように移動することができ、例えば、各層の後に構築プラットフォーム418が下降することができ、および/またはチャンバ410および/またはアプリケータ412が上昇することができる。
【0060】
AM制御システム404は、コンピュータプログラムコードとしてコンピュータ430上に実装されて示されている。この点に関して、コンピュータ430は、メモリ432、プロセッサ434、入出力(I/O)インターフェース436、およびバス438を含むものとして示されている。さらに、コンピュータ430は、外部I/Oデバイス/リソース440および記憶システム442と通信するように示されている。一般に、プロセッサ434は、物体402を表すコード420からの命令の下で、メモリ432および/または記憶システム442に記憶されたAM制御システム404などのコンピュータプログラムコードを実行する。
【0061】
付加製造プロセスは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ432、記憶システム442など)が物体402を表すコード420を記憶することから始まる。例えば、コード420は、物体402の正確に定義された3Dモデルを含むことができ、多種多様な周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムのいずれかから生成することができる。AM制御システム404は、コード420を実行し、物体402を一連の薄いスライスに分割し、AMプリンタ406を使用して液体、粉末、シートまたは他の材料の連続層で組み立てる。
【0062】
ガスタービンシステム10の様々な構成要素(
図1)、またはそのような構成要素の一部は、(例えば、
図18のAMシステム400を用いて)付加製造(AM)プロセスを使用して製造することができる。例えば、冷却チャネルの相互接続回路を含む構成要素の外壁の少なくとも一部は、AMプロセスによって製造することができる。
【0063】
図19では、例えば、
図5~
図10に示す構成要素102用の壁クーポン500が、AMプロセスによって製造(例えば、印刷)されている。壁クーポン500は、構成要素102の外壁106のセクション502を含む。冷却チャネル126の相互接続回路124の少なくとも一部は、壁セクション502内に埋め込まれている。壁クーポン500は、冷却チャネル126に流体結合された複数の供給管122をさらに含む。この点に関して、壁クーポン500は、上述した独立冷却回路100の一部を形成する。
【0064】
実施形態によれば、壁クーポン500は、AMプロセスを介して任意のサイズに製造することができ、構成要素102の別のセクション504に取り付けられて、独立冷却回路100の少なくとも一部(例えば、
図20を参照)を形成することができる。構成要素102のセクション504は、従来の方法(例えば、機械加工、鋳造など)で形成されてもよく、またはAMプロセスを使用して形成されてもよい。壁クーポン500は、本明細書に記載の独立冷却回路100、200、300、300’のいずれかで使用するように構成することができることに留意されたい。取り付けは、例えば、ろう付け、溶接、または他の適切な金属接合プロセスを使用して達成することができる。
図20は、独立冷却回路100の少なくとも一部を形成するために構成要素102のインピンジメントプレート114に(例えば、ろう付け/溶接を介して)取り付けられた壁クーポン500を示す。他の実施形態では、
図20に示す冷却構造全体は、AMプロセスを使用して形成することができ、ガスタービンシステム10の構成要素102の一部に取り付けることができる。
【0065】
AMプリントされた壁クーポン500を使用して形成された独立冷却回路100は、破砕を受ける可能性があるガスタービンシステム10の構成要素102の領域に戦略的に設けられてもよい。これは、例えば、AMプロセスを使用して構成要素102全体を製造する必要なく行うことができる。さらに、AMプリントされた壁クーポン500を使用して形成された独立冷却回路100は、ガスタービンシステム10の既存の構成要素102に後付け可能であり、破砕によって以前に損傷した領域を修復し、および/または上述したように破砕を受ける構成要素102の領域に強化された冷却を選択的に提供することができる。
【0066】
AMプロセスを使用して独立冷却回路100、200、300、300’(またはその一部)を製造する場合、過剰な粉末除去が懸念される場合がある。独立冷却回路100、200、300、300’は冷却流体128のための出口を有さない(例えば、回路は意図的に行き止まりにされる)ため、過剰な粉末を除去しようとするために強制空気を使用する容易な方法はない。
【0067】
実施形態によれば、
図21および
図22に示され、AMプロセス(
図19および
図20)を使用して生成された壁クーポン500を参照して説明されるように、粉末除去のための複数の小さな開口部600を壁クーポン500の外壁セクション502に設けることができる(例えば、AMプロセス中に形成される)。例えば、
図19および
図20では、開口部600は、独立冷却回路100の冷却チャネル126の相互接続回路124から外壁セクション502を通って壁クーポン500の外表面132まで延在するように示されている。
【0068】
開口部600は、過剰な粉末を除去するために使用することができる出口を提供する。粉末は、例えば、振動を使用して、または空気を冷却チャネル126の相互接続回路124に押し込み、開口部600を通って押し出すことによって除去することができる。粉末除去後、開口部600は、独立冷却回路100を閉じるために任意の適切な方法(例えば、金属、シーラントなどで充填される)で充填/封止されてもよい。開口部600は、後に壁クーポン500の外表面132にTBCコーティングを施す前に充填/封止されてもよく、または単にTBCコーティング自体によって封止されてもよい。場合によっては、破砕事象は、冷却チャネル126の相互接続回路124のいずれかが破損の形成により露出する前に、封止された開口部600のいくつかの閉塞を解除することができる。次いで、冷却流体128は、独立冷却回路100を介して閉塞されていない開口部600に向かって流れ、そこから流出することができ、即時の冷却効果を提供する。
【0069】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。
【0070】
本明細書は、最良の形態を含んだ本発明の開示のために、また、任意のデバイスまたはシステムの製作および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含んだ本発明の実施がいかなる当業者にも可能になるように、実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含んでいてもよい。このような他の例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0071】
10 ガスタービンシステム、ガスタービン
12 圧縮機セクション
14 空気
16 圧縮空気
18 燃焼器セクション
20 燃料
22 燃焼ガス
24 タービンセクション
26 シャフト、ロータ
28 外部負荷
30 段
32 タービンブレード
34 段
36 ノズル
38 ケーシング
40 翼形部
42 外側プラットフォーム
44 内側プラットフォーム
46 翼形部
48 先端部分
50 プラットフォーム
52 段
54 シュラウド
56 延長部
58 開口部
60 シャンク
62 圧縮側面
64 吸引側面
68 前縁
70 後縁
80 構成要素
82 冷却流体
84 内表面
86 外壁
88 開口部
90 インピンジメントプレート
92 外表面
94 高温ガス流
96 壁破損部
100 独立冷却回路、独立冷却システム
102 構成要素
104 インピンジメント冷却装置、インピンジメント冷却装置
106 外壁
108 冷却流体
110 内部キャビティ
112 インピンジメント孔
114 インピンジメントプレート
116 内表面
118 インピンジメントキャビティ
120 冷却剤供給チャネル
121 開口部
122 供給管
124 相互接続回路
126 冷却チャネル
128 冷却流体
130 交差部
132 外表面
200 独立冷却回路
202 回路
204 回路
206 冷却チャネル
208 冷却チャネル
210 冷却流体
212 冷却流体
214 ファブリック
216 第1のセットの冷却剤供給チャネル
218 供給管
220 第2のセットの冷却剤供給チャネル
222 供給管
300 独立冷却回路
300’ 独立冷却回路
302 回路
304 回路
306 回路
308 冷却チャネル
310 冷却チャネル
312 冷却チャネル
314 冷却流体
316 冷却流体
318 冷却流体
320 ファブリック
322 第1のセットの冷却剤供給チャネル
324 供給管
326 第2のセットの冷却剤供給チャネル
328 第3のセットの冷却剤供給チャネル
330 供給管
332 供給管
334 開口部
400 付加製造(AM)システム
402 物体
404 付加製造(AM)制御システム
406 AMプリンタ
410 チャンバ
412 アプリケータ
414 原材料
418 構築プラットフォーム
420 コード
430 コンピュータ
432 メモリ
434 プロセッサ
436 入出力(I/O)インターフェース
438 バス
440 外部I/Oデバイス/リソース
442 記憶システム
444 構築プレート
500 壁クーポン
502 外壁セクション
504 セクション
600 開口部
【国際調査報告】