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特表2022-552691ペネム系化合物の連続後処理方法及び装置
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  • 特表-ペネム系化合物の連続後処理方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ペネム系化合物の連続後処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 477/02 20060101AFI20221212BHJP
   C07D 477/20 20060101ALI20221212BHJP
   B01D 9/02 20060101ALI20221212BHJP
   B01D 11/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C07D477/02
C07D477/20
B01D9/02 601K
B01D9/02 602E
B01D9/02 603Z
B01D9/02 609B
B01D9/02 619Z
B01D11/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522846
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2019111198
(87)【国際公開番号】W WO2021072622
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522152821
【氏名又は名称】アシムケム ラボラトリーズ (ターンジン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ジンハイ
(72)【発明者】
【氏名】チュヨン,シエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,イエン
【テーマコード(参考)】
4C050
4D056
【Fターム(参考)】
4C050KC01
4D056AB19
4D056AC22
4D056BA06
4D056CA13
4D056CA17
4D056CA26
4D056CA31
4D056CA33
4D056CA39
4D056CA40
4D056DA01
4D056DA05
4D056DA06
(57)【要約】
ペネム系化合物の連続後処理方法及び装置を提供する。この方法は、ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出し、抽出重相と抽出軽相を得るステップS1と、抽出重相に対して連続的固液分離を行い、液相分離物を得るステップS2と、液相分離物のpHが6.1~6.3になるように連続的にpH調節し、pH調節液を得るステップS3と、第1の晶析溶媒を用いてpH調節液に対して連続的晶析処理を行い、ペネム系化合物の製品を得るステップS4とを含む。この方法でペネム系化合物の反応粗生成物を後処理すると、処理速度が速く、効率が高いという利点があり、処理中に材料の性質が安定しており、変質率が低く、目的生成物の収率及び純度に対してより良い制御力を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペネム系化合物の連続後処理方法であって、
前記ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出し、抽出重相と抽出軽相を得るステップS1と、
前記抽出重相に対して連続固液分離を行い、液相分離物を得るステップS2と、
前記液相分離物のpHが6.1~6.3となるように前記液相分離物を連続的にpH調節し、pH調節液を得るステップS3と、
第1の晶析溶媒を用いて前記pH調節液に対して連続晶析処理を行い、前記ペネム系化合物の製品を得るステップS4とを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップS2は、前記抽出重相に対して前記連続固液分離を行う前に、前記抽出重相に第2の晶析溶媒を添加し、両者をPFR反応器内で混合するステップをさらに含み、
前記第2の晶析溶媒の添加量を前記抽出重相の重量の50%~80%とし、PFR反応器内の温度を-7℃~3℃に制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PFR反応器における前記抽出重相の滞留時間が2min~8minである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップS1において、連続抽出工程は順次行われるN回(N≧2)の連続抽出工程を含み、M回目の連続抽出工程で分離された重相がM(1≦M≦(N-1)+1回目の前記連続抽出工程に入り、N回目の連続抽出工程で分離された重相を前記ステップS2における前記抽出重相とし、好ましくは、N=2である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記連続抽出工程において、前記ペネム系化合物の反応粗生成物の滞留時間が1min~7min、処理温度が-7℃~3℃である、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記連続固液分離の工程において、前記抽出重相を複数の画分に分割し、複数の画分の前記抽出重相はそれぞれ異なる加圧ろ過装置に1対1で対応して導入して処理し、且つ各前記加圧ろ過装置の処理流速は1L/min~2L/minとし、前記抽出重相の滞留時間は2min~11minとする、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方。
【請求項7】
前記第1の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールであり、前記第2の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記連続晶析処理の工程において、前記pH調節液の滞留時間が2min~11minであり、処理温度が-22℃~-12℃である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップS3において、前記液相分離物のpH値を調節する試薬がメタノールと酢酸との混合液であり、好ましくはpH値が3~4である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記液相分離物のpH値調節工程において、前記液相分離物の滞留時間が2min~11minであり、処理温度が-7℃~3℃である、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ペネム系化合物の連続後処理装置であって、
ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出するための連続抽出分液ユニット(10)であって、ペネム系化合物の粗生成物入口、抽出剤入口、抽出重相出口及び抽出軽相出口が設けられている連続抽出分液ユニット(10)と、
前記抽出重相出口から排出された抽出重相を連続的に固液分離するための連続加圧ろ過ユニット(20)であって、加圧ろ過液入口、固相出口及び液相出口が設けられ、前記加圧ろ過液入口は前記抽出重相出口に接続される連続加圧ろ過ユニット(20)と、
前記液相出口から排出された液体を連続的にpH調節するための連続pH調節ユニット(30)であって、液相入口、pH調節剤入口及び調節液出口が設けられ、前記液相入口は前記液相出口に接続される連続pH調節ユニット(30)と、
前記調節液出口から排出されたものを連続的に晶析するための連続晶析ユニット(40)であって、調節液入口、第1の晶析溶媒入口、及び晶析スラリー出口が設けられ、前記調節液入口は前記調節液出口に接続される連続晶析ユニット(40)とを含む、ことを特徴とするペネム系化合物の連続後処理装置。
【請求項12】
前記加圧ろ過液入口と前記抽出重相出口とを接続する管路に設けられ、第2の晶析溶媒入口がさらに設けられているPFR反応器(50)をさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記PFR反応器(50)は、コイル反応器と、前記コイル反応器の外側に設けられた第1の温度制御ジャケットとを含むジャケットコイル反応器である、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記連続pH調節ユニット(30)は管状pH調節装置であり、前記連続晶析ユニット(40)は管状晶析装置である、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記調節液入口と前記調節液出口とを接続する管路に設けられ、前記pH調節液のpH値を検出するpH値検出装置(60)をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記連続抽出分液ユニット(10)は、順次直列に設けられる多段連続抽出分液装置(11)を含み、各連続抽出分液装置(11)は、給液口、前記抽出剤入口、前記抽出軽相出口及び前記抽出重相出口を有し、最上流に位置する前記連続抽出分液装置(11)の前記給液口は、前記ペネム系化合物の粗生成物入口であり、最下流に位置する前記連続抽出分液装置(11)の抽出重相出口は、前記加圧ろ過液入口に接続され、隣接する2つの前記連続抽出分液装置(11)のうち、上流側に位置する1段の前記抽出重相出口と下流側に位置する1段の前記給液口とが接続されている、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記連続加圧ろ過ユニット(20)は、並列に設けられた多段加圧ろ過装置(21)を含み、各前記多段加圧ろ過装置(21)には、前記加圧ろ過液入口、前記固相出口及び前記液相出口が設けられている、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記抽出軽相出口に接続された抽出軽相受入装置(70)と、
前記抽出重相出口と前記PFR反応器(50)とを接続する管路に設けられる抽出重相受入装置(80)と、
前記液相入口と前記液相出口とを接続する管路に設けられる液相受入装置(90)と、
前記晶析スラリー出口に接続された晶析スラリー受入装置(100)とをさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記抽出重相受入装置(80)と前記PFR反応器(50)とを接続する管路に設けられる第1の質量流量計(110)と、
前記液相受入装置(90)と前記液相入口とを接続する管路に設けられる第2の質量流量計(120)とをさらに含み、
前記pH値検出装置(60)、前記第1の質量流量計(110)及び前記第2の質量流量計(120)の全てに電気的に接続された制御ユニットをさらに含む、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ペネム系化合物の粗生成物入口、前記抽出剤入口、前記pH調節剤入口、前記液相入口、前記第1の晶析溶媒入口、前記調節液入口、前記第2の晶析溶媒入口、及び前記PFR反応器(50)の前記抽出重相を導入するための入口が位置する管路のいずれにも、材料輸送ポンプ(130)が設けられている、ことを特徴とする請求項12~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記連続抽出分液ユニット(10)、前記連続加圧ろ過ユニット(20)、前記連続pH調節ユニット(30)及び前記連続晶析ユニット(40)のいずれにも温度制御ユニットが設けられ、且つ、前記抽出重相受入装置(80)には第2の温度制御ジャケットが設けられ、前記液相受入装置(90)には第3の温度制御ジャケットが設けられ、前記晶析スラリー受入装置(100)には第4の温度制御ジャケットが設けられ、前記制御ユニットはさらに、前記温度制御ユニット、前記第2の温度制御ジャケット、前記第3の温度制御ジャケット及び前記第4の温度制御ジャケットに電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成技術の分野に関し、具体的には、ペネム系化合物の連続後処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医薬化学工業分野において、反応済み系の後処理は永遠に避けられない研究の一つである。通常の後処理のユニット操作は、主に抽出分液、加圧ろ過、乾燥、pH調節、晶析、遠心分離を含む。現在、中国国内の化学工業・医薬業界では、主にバッチ後処理を主とし、つまり単一項の後処理操作ユニットによって間欠的に行われており、単一バッチの処理量が大きいという利点がある。欠点は時間と手前がかかり、自動化のレベルが低く、もし後処理対象である系が経時的に変質すると、バッチ後処理で多くの製品を失うことになることであり、よく使用されているペネム系抗生物質はこのような変質しやすいタイプのものに属する(例えば、特許CN207845524Uに提供された後処理方法にはこれらの問題が存在する)。
【0003】
具体的には、現在の業界では、ペネム系の大量反応系に対する後処理技術は比較的単一である。抽出分液については、作業場での生産においては大釜を用いてバッチ処理して分液するのが一般的であり、単一項の操作ユニットが消費する時間は6時間であり、抽出分離処理を経た製品含有水相中、溶媒残留(NEP、TMG、イソアミルアルコール)はいずれも多い。有機相に溶解した製品が0.3%残留し、二回目の抽出分液操作が必要とされる場合が多い。従来のバッチ抽出分液操作は時間と手前がかかり、分離効果もあまり良くないと言える。且つ、ペネム類の後処理過程におけるpH調節段階では、pHバッチ調節の欠点は、酢酸を繰り返して添加して撹拌し静置することであり、それにより、時間がかかる。1バッチ400Lの処理量ではpHバッチ調節段階の時間は5~6時間に達し、一度過度に調節すると、損失は非常に大きい。これは、また、pH調節中にペネム系製品の変質率が増えたことを意味し(通常、pH調節段階の前に、製品の1時間当たりの変質率は約0.2%であり、酸調節後の製品の変質率は1時間当たり約1.3%になる。現在、業界では、エルタペネムに対する後処理はすべてバッチプロセスであり、処理時間が長いため、製品の変質率が高く、収率が低い。)、損失が増加し、製品の収率、製品の純度が大きな影響を受け、これはすべて処理方式自体の制限性による結果である。また、大量の処理反応系によるリスクも非常に多い。例えば、発熱、ガス排出、材料漏洩、例えばペネム系製品は混合加圧ろ過段、晶析段のいずれでも、程度が異なるが、発熱することがある。バッチの処理量が多いほど、潜在的な危険性が高くなり、例え処理される材料の性質が悪い場合に、保守コストが大幅に高くなる。バッチの後処理の占用面積が大きく、人的資源とエネルギー消費コストが非常に高くなる。
【0004】
このような状況に対して、後処理速度が速く、処理効率が高く、材料の性質が安定している後処理技術の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ペネム系化合物の粗生成物のバッチ処理中に、処理速度が低く、効率が低く、材料の変質率が高いという従来技術の問題を解決するために、ペネム系化合物の連続後処理方法、及び装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、
ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出し、抽出重相と抽出軽相を得るステップS1と、
抽出重相に対して連続固液分離を行い、液相分離物を得るステップS2と、
液相分離物のpHが6.1~6.3となるように液相分離物を連続的にpH調節し、pH調節液を得るステップS3と、
第1の晶析溶媒を用いてpH調節液に対して連続晶析処理を行い、ペネム系化合物の製品を得るステップS4とを含むペネム系化合物の連続後処理方法を提供する。
【0007】
さらに、ステップS2は、抽出重相に対して連続固液分離を行う前に、抽出重相に第2の晶析溶媒を添加し、両者をPFR反応器内で混合するステップをさらに含み、
第2の晶析溶媒の添加量を抽出重相の重量の50~80%とし、PFR反応器内の温度を-7~3℃に制御する。
【0008】
さらに、PFR反応器における抽出重相の滞留時間が2~8minである。
【0009】
さらに、ステップS1において、連続抽出工程は順次行われるN回(N≧2)の連続抽出工程を含み、M回目の連続抽出工程で分離された重相がM(1≦M≦(N-1)+1回目の連続抽出工程に入り、N回目の連続抽出工程で分離された重相をステップS2における抽出重相とし、好ましくは、N=2である。
【0010】
さらに、連続抽出工程において、ペネム系化合物の反応粗生成物の滞留時間が1~7min、処理温度が-7~3℃である。
【0011】
さらに、連続固液分離工程において、抽出重相を複数の画分に分割し、複数の画分の抽出重相はそれぞれ異なる加圧ろ過装置に1対1で対応して導入して処理し、各加圧ろ過装置の処理流速は1~2L/minとし、抽出重相の滞留時間は2~11minとする。
【0012】
さらに、第1の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールであり、第2の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールである。
【0013】
さらに、連続化晶析処理工程において、pH調節液の滞留時間が2~11minであり、処理温度が-22~-12℃である。
【0014】
さらに、ステップS3において、液相分離物のpH値を調節する試薬がメタノールと酢酸との混合液であり、好ましくはpH値が3~4である。
【0015】
さらに、液相分離物のpH調節工程において、液相分離物の滞留時間が2~11minであり、処理温度が-7~3℃である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、
ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出するための連続抽出分液ユニットであって、ペネム系化合物の粗生成物入口、抽出剤入口、抽出重相出口及び抽出軽相出口が設けられている連続抽出分液ユニットと、
抽出重相出口から排出された抽出重相を連続的に固液分離するための連続加圧ろ過ユニットであって、加圧ろ過液入口、固相出口及び液相出口が設けられ、加圧ろ過液入口は抽出重相出口に接続される連続加圧ろ過ユニットと、
液相出口から排出された液体を連続的にpH調節するための連続pH調節ユニットであって、液相入口、pH調節剤入口及び調節液出口が設けられ、液相入口は液相出口に接続される連続pH調節ユニットと、
調節液出口から排出されたpH調節液を連続的に晶析するための連続晶析ユニットであって、調節液入口、第1の晶析溶媒入口、及び晶析スラリー出口が設けられ、調節液入口は調節液出口に接続される連続晶析ユニットとを含むペネム系化合物の連続後処理装置を提供する。
【0017】
さらに、装置は、加圧ろ過液入口と抽出重相出口とを接続する管路に設けられ、第2の晶析溶媒入口がさらに設けられているPFR反応器をさらに含む。
【0018】
さらに、PFR反応器は、コイル反応器と、コイル反応器の外側に設けられた第1の温度制御ジャケットとを含むジャケットコイル反応器である。
【0019】
さらに、連続pH調節ユニットは管状pH調節装置であり、連続晶析ユニットは管状晶析装置である。
【0020】
さらに、装置は、調節液入口と調節液出口とを接続する管路に設けられ、pH調節液のpH値を検出するpH値検出装置をさらに含む。
【0021】
さらに、連続抽出分液ユニットは、順次直列に設けられる多段連続抽出分液装置を含み、各連続抽出分液装置は、給液口、抽出剤入口、抽出軽相出口及び抽出重相出口を有し、最上流に位置する連続抽出分液装置の給液口は、ペネム系化合物の粗生成物入口であり、最下流に位置する連続抽出分液装置の抽出重相出口は、加圧ろ過液入口に接続され、隣接する2つの連続抽出分液装置のうち、上流側に位置する1段の抽出重相出口と下流側に位置する1段の給液口とが接続されている。
【0022】
さらに、連続加圧ろ過ユニットは、並列に設けられた多段加圧ろ過装置を含み、各加圧ろ過装置には、加圧ろ過液入口、固相出口及び液相出口が設けられている。
【0023】
さらに、装置は、
抽出軽相出口に接続された抽出軽相受入装置と、
抽出重相出口とPFR反応器とを接続する管路に設けられる抽出重相受入装置と、
液相入口と液相出口とを接続する管路に設けられる液相受入装置と、
晶析スラリー出口に接続された晶析スラリー受入装置とをさらに含む。
【0024】
さらに、装置は、
抽出重相受入装置とPFR反応器とを接続する管路に設けられる第1の質量流量計と、
液相受入装置と液相入口とを接続する管路に設けられる第2の質量流量計とをさらに含み、
pH値検出装置、第1の質量流量計及び第2の質量流量計の全てに電気的に接続された制御ユニットをさらに含む。
【0025】
さらに、ペネム系化合物の粗生成物入口、抽出剤入口、pH調節剤入口、液相入口、第1の晶析溶媒入口、調節液入口、第2の晶析溶媒入口、及びPFR反応器の抽出重相を導入するための入口が位置する管路のいずれにも、材料輸送ポンプが設けられている。
【0026】
さらに、連続抽出分液ユニット、連続加圧ろ過ユニット、連続pH調節ユニット及び連続晶析ユニットのいずれにも温度制御ユニットが設けられ、且つ、抽出重相受入装置には第2の温度制御ジャケットが設けられ、液相受入装置には第3の温度制御ジャケットが設けられ、晶析スラリー受入装置には第4の温度制御ジャケットが設けられ、制御ユニットはさらに、温度制御ユニット、第2の温度制御ジャケット、第3の温度制御ジャケット及び第4の温度制御ジャケットに電気的に接続されている。
【0027】
さらに、ペネム系化合物の連続後処理装置は、ペネム系化合物の合成後処理装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ペネム系化合物の連続後処理方法を提供し、これは連続集積後処理方法であり、この方法を用いてペネム系化合物の反応粗生成物を後処理すると、処理速度が速く、効率が高いという優位性があり、しかも処理中に材料の性質が安定しており、変質率が低く、目的生成物の収率と純度に対してより良い制御力を有する。特に、この方法は、ペネム系化合物の性質によく適合し、製品の変質率の低下、処理効果の向上、製品の収率の向上の面についてより強い標的性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本発明の更なる理解を提供するために使用され、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を説明するために使用され、本発明の不当な限定を構成するものではない。
図1】本発明の実施例に係るペネム系化合物の連続後処理装置の構造模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
なお、本明細書の実施例及び実施例の特徴は、矛盾することなく互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して実施例と合わせて本発明を詳細に説明する。
【0031】
背景技術の部分で説明したように、従来技術ではペネム系化合物の粗生成物をバッチ処理する場合に、処理速度が低く、効率が低く、材料の変質率が高いなどの問題が存在する。
【0032】
上記問題を解決するために、本発明は、ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出し、抽出重相と抽出軽相を得るステップS1と、抽出重相に対して連続固液分離を行い、液相分離物を得るステップS2と、液相分離物のpHが6.1~6.3となるように液相分離物を連続的にpH調節し、pH調節液を得るステップS3と、第1の晶析溶媒を用いてpH調節液に対して連続晶析処理を行い、ペネム系化合物の製品を得るステップS4とを含むペネム系化合物の連続後処理方法を提供する。
【0033】
本発明は、ペネム系化合物の連続集積後処理方法を提供し、この方法を用いてペネム系化合物の反応粗生成物を後処理すると、処理速度が速く、効率が高いという優位性があり、しかも処理中に材料の性質が安定しており、変質率が低く、目的生成物の収率及び純度に対してより良い制御力を有する。特に、この方法はペネム系化合物の性質によく適合し、製品の変質率の低下、処理効果の向上、製品の収率の向上の面についてより強い標的性を有する。
【0034】
具体的には、抽出分液段階において、本発明で使用される連続抽出分液は、間欠式バッチ後処理に比べて50%以上の時間短縮が可能であり、処理効果がバッチ処理よりもはるかに優れている。加圧ろ過段階において、単位時間当たりの発熱量はバッチ後処理よりもはるかに少なく、これは、より多くのエネルギーを節約し、製品の安定性を確保したことを意味する。pH調節段階において、すでに処理を終えた系は直ちに晶析段階に入り、滞留時間が大幅に短縮され、これにより、製品の変質率が大幅に低下する。晶析段階において、連続処理はバッチ後処理の効率が低いという問題を解決するだけではない。また、晶析系はバッチ処理系より後期の結晶形のスクリーニングにおいてより良い優位性がある。
【0035】
好ましい一実施形態では、ステップS2は、抽出重相に対して連続固液分離を行う前に、抽出重相に第2の晶析溶媒を添加し、両者をPFR反応器内で混合するステップをさらに含み、且つ第2の晶析溶媒の添加量を抽出重相重量の50~80%とし、PFR反応器の温度を-7~3℃に制御する。このようにして、抽出重相は加圧ろ過段階に入る前に、一部の晶析溶媒と予め混合し、それにより、粗生成物系中の触媒の固相成長に有利であり、これにより加圧ろ過段階における固液分離に有利である一方、少量の晶析溶媒の添加は、また、溶液系での製品の安定化にも有利である(少量の晶析溶媒は製品の析出を引き起こさないが、晶析段階では多量の晶析溶液を添加すると、溶解度により生成物が晶析される。)、生成物の液相系に緩衝安定の役割を果たすため、後続のpH調節工程での目詰まりを防止し、連続処理過程をより安定させることができる。
【0036】
実際の操作では、PFR反応器を用いて混合するため、抽出重相はPFR反応器内で連続的に流れ、流れながら第2の晶析溶媒と混合するので、滞留時間が短い。混合効果をさらに向上させるために、好ましい一実施形態では、PFR反応器における抽出重相の滞留時間は2~8minである。
【0037】
好ましい一実施形態では、ステップS1において、連続抽出工程は順次行われるN回(N≧2)の連続抽出工程を含み、M回目の連続抽出工程で分離された重相がM(1≦M≦(N-1)+1回目の連続抽出工程に入り、N回目の連続抽出工程で分離された重相をステップS2における抽出重相とし、好ましくは、N=2である。このようにして、処理対象のペネン系化合物の反応粗生成物が第1の連続抽出分離を経ると、2相が連続的に分離され、軽相は溶媒を回収され、重相は次の連続抽出工程に進めることができる。実際の処理では、粗生成物の処理量と製品の濃度によって処理回数を具体的に選択することができ、また、抽出分離の難易度によって分離段数を決定することができ、処理時間、処理量、分離効果はバッチプロセスより大きな優位性がある。より好ましくは、連続抽出工程において、ペネム系化合物の反応粗生成物の滞留時間を1~7minとし、処理温度を-7~3℃とする。
【0038】
好ましい一実施形態では、連続固液分離工程において、抽出重相を複数の画分に分割し、複数の画分の抽出重相はそれぞれ異なる加圧ろ過装置に1対1で対応して導入して処理し、各加圧ろ過装置の処理流速は1~2L/minとし、抽出重相の滞留時間は2~11minとする。加圧ろ過工程は高圧処理工程であるので、多段加圧ろ過装置を用いて加圧ろ過液を処理すれば、各加圧ろ過装置の処理状況を緩和するのにより有利である。
【0039】
好ましい一実施形態では、第1の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールであり、第2の晶析溶媒はメタノール及び/又はn-プロパノールである。より好ましくは、連続化晶析処理工程において、pH調節液の滞留時間を2~11min、処理温度を-22~-12℃とする。
【0040】
pH調節の更なる効率化とpH調節時の析出防止のために、好ましい一実施形態では、上記ステップS3において、液相分離物のpHを調節する試薬はメタノールと酢酸の混合液であり、好ましくはpHが3~4である。より好ましくは、液相分離物のpH調節工程において、液相分離物の滞留時間を2~11min、処理温度を-7~3℃とする。
【0041】
本発明の別の態様によれば、ペネム系化合物の連続後処理装置をさらに提供し、図1に示すように、この装置は、連続抽出分液ユニット10と、連続加圧ろ過ユニット20と、連続pH調節ユニット30と、連続晶析ユニット40と、を含み、連続抽出分液ユニット10は、ペネム系化合物の粗生成物入口と、抽出剤入口と、抽出重相出口と、抽出軽相出口とが設けられ、ペネム系化合物の反応粗生成物を連続的に抽出するためのものであり、連続加圧ろ過ユニット20は、加圧ろ過液入口と、固相出口と、液相出口とが設けられ、加圧ろ過液入口は抽出重相出口に接続され、連続加圧ろ過ユニット20は抽出重相出口から排出された抽出重相を連続的に固液分離するためのものであり、連続pH調節ユニット30は、液相入口と、pH調節剤入口と、調節液出口とが設けられ、液相入口は液相出口に接続され、連続pH調節ユニット30は、液相出口から排出された液体を連続的にpH調節するためのものであり、連続晶析ユニット40は、調節液入口と、第1の晶析溶媒入口と、晶析スラリー出口とが設けられ、調節液入口は調節液出口に接続され、連続晶析ユニット40は、調節液出口から排出されたpH調節液を連続的に晶析するためのものである。
【0042】
上記のペネム系化合物の連続後処理装置は、連続集積後処理装置であり、これを用いてペネム系化合物の反応粗生成物を後処理すると、処理速度が速く、効率が高いという優位性があり、しかも処理中に材料の性質が安定しており、変質率が低く、目的生成物の収率及び純度に対してより良い制御力を有する。特に、この装置は、ペネム系化合物の性質によく適合し、製品の変質率の低下、処理効果の向上、製品の収率の向上の面についてより強い標的性を有する。
【0043】
具体的には、ペネム系製品の後処理について、抽出分液段階において、本発明で使用される連続抽出分液は、間欠式バッチ後処理に比べて50%以上の時間短縮が可能であり、処理効果がバッチ処理よりはるかに優れている。加圧ろ過段階において、単位時間当たりの発熱量はバッチ後処理よりもはるかに少なく、これは、より多くのエネルギーを節約し、製品の安定性を確保したことを意味する。pH調節段階において、すでに処理を終えた系は直ちに晶析段階に入り、滞留時間が大幅に短縮され、これは、製品の変質率が大幅に低下したことを意味する。晶析段階において、連続処理はバッチ後処理の効率が低いという問題を解決するだけではない。また、晶析系はバッチ処理系より後期の結晶形のスクリーニングにおいてより良い優位性がある。
【0044】
好ましい一実施形態では、図1に示すように、上記装置は、加圧ろ過液入口と抽出重相出口とを接続する管路に設けられるPFR反応器50(プラグフロー反応器)をさらに含み、PFR反応器50には、第2の晶析溶媒入口がさらに設けられている。このようにして、抽出重相は加圧ろ過段階に入る前に、一部の晶析溶媒と予め混合し、それにより、粗生成物系中の触媒の固相成長に有利であり、これにより加圧ろ過段階における固液分離に有利である一方、少量の晶析溶媒の添加は、また、溶液系での製品の安定化にも有利であり(少量の晶析溶媒は製品の析出を引き起こさないが、晶析段階では多量の晶析溶液を添加すると、溶解度により生成物が晶析される。)、生成物の液相系に緩衝安定の役割を果たすため、後続の管状pH調節過程での目詰まりを防止し、連続処理過程をより安定させることができる。
【0045】
好ましい一実施形態では、PFR反応器50は、コイル反応器と、コイル反応器の外側に設けられる第1の温度制御ジャケットとを含むジャケットコイル反応器である。温度制御可能なジャケットコイル反応器を利用することにより、抽出重相と少量の晶析溶媒の混合により有利であり、触媒を更に十分に析出させ、しかも温度制御を通じて系の安定性をさらに保証し、変質を防止することができる。また、ジャケットコイル反応器を採用することは、局所が大量発熱することにより製品が破壊されるというリスクを回避するのにも有利である。
【0046】
処理工程の連続性をさらに向上させるために、好ましい一実施形態では、連続pH調節ユニット30は管状pH調節装置であり、連続晶析ユニット40は管状晶析装置である。管状設備を使用すると、材料が管状設備内で進むにつれて、材料の混合がより均一になり、処理効率と効果からより有利になる。より好ましくは、連続pH調節ユニット30はプラグフロー方式又は完全混合フロー方式であり、連続晶析ユニット40はプラグフロー方式である。
【0047】
好ましい一実施形態では、上記装置は、調節液入口と調節液出口とを接続する管路に設けられ、pH調節液のpH値を検出するpH値検出装置60をさらに含む。本発明は、該前置き式pHフィードバック方式を採用することで、調節液のpH状態をリアルタイムで監視することにより、pH調節剤の相対的な添加量の調整(pH調節剤の添加量及び/又は製品相の添加量を調整することにより調節可能である。)を容易にする。
【0048】
好ましい一実施形態では、連続抽出分液ユニット10は、順次直列に設けられる多段連続抽出分液装置11を含み、各連続抽出分液装置11は、給液口と、抽出剤導入口と、抽出軽相出口と、抽出重相出口とを有し、最上流に位置する連続抽出分液装置11の給液口はペネム系化合物の粗生成物入口であり、最下流に位置する連続抽出分液装置11の抽出重相出口は、加圧ろ過液入口に接続され、隣接する2つの連続抽出分液装置11のうち、上流側に位置する1段の抽出重相出口と下流側に位置する1段の給液口とが接続されている。このようにして、処理対象のペネン系化合物の反応粗生成物を第1段連続抽出分液装置11で抽出分離した後に、2相が連続的に分液され、軽相は溶媒を回収され、重相は次段の連続抽出分液装置11に入ってさらに抽出分離する。実際の処理過程において、粗生成物の処理量と製品の濃度に応じて、特定の連続抽出分液装置11の段数を選択したり、抽出分離の難易度に応じて分離段数を決定したりすることができ、処理時間、処理量、分離効果はバッチプロセスより大きな優位性がある。
【0049】
同様に、連続加圧ろ過ユニット20の規模は、処理量の大きさに応じて選択することができ、好ましい一実施形態では、連続加圧ろ過ユニット20は、並列に設けられる多段加圧ろ過装置21を含み、各多段加圧ろ過装置21には、加圧ろ過液入口、固相出口及び液相出口が設けられる。加圧ろ過工程は高圧処理工程であるので、並列に設けられた多段加圧ろ過装置21で加圧ろ過液を処理すれば、各加圧ろ過装置の処理状況を緩和するのにより有利である。
【0050】
好ましい一実施形態では、上記装置は、抽出軽相出口に接続された抽出軽相受入装置70と、抽出重相出口とPFR反応器50とを接続する管路に設けられる抽出重相受入装置80と、液相入口と液相出口とを接続する管路に設けられる液相受入装置90と、晶析スラリー出口に接続された晶析スラリー受入装置100とをさらに含む。各受入装置を利用すると、各段階の供給に緩衝装置を提供することができ、それにより、各段階の供給流量の調整を便利にさせることができる。より好ましくは、上記装置は、抽出重相受入装置80とPFR反応器50とを接続する管路に設けられる第1の質量流量計110と、液相受入装置90と液相入口とを接続する管路に設けられる第2の質量流量計120とをさらに含み、且つ装置は、pH値検出装置60、第1の質量流量計110及び第2の質量流量計120の全てに電気的に接続された制御ユニットをさらに含む。このようにして、制御ユニットを通じて各段階の供給状況をより手軽で素早く調整することができ、また、各段階の運行状況をリアルタイムで監視することができ、処理過程をより安定させ、製品の変質確率をさらに減少させ、処理効率を高めることができる。
【0051】
好ましい一実施形態では、図1に示すように、ペネム系化合物の粗生成物入口、抽出剤入口、pH調節剤入口、液相入口、第1の晶析溶媒入口、調節液入口、第2の晶析溶媒入口、及びPFR反応器50の抽出重相を導入するための入口が位置する管路のいずれにも、材料輸送ポンプ130が設けられている。なお、晶析段階では、調節液と大量の晶析溶媒が管状晶析装置内で混合されるに連れて、目的生成物が晶析により析出され、晶析スラリーは固液二相の混合系である。材料輸送ポンプ130を用いて材料を駆動して輸送することにより、調節液と晶析溶媒が非常に良好に混合して流れ、その晶析効果と効率はバッチ処理方式より優れている。より好ましくは、上記連続晶析ユニット40は、管状プラグフロー晶析装置であり、それは晶析効果を高めるのにより有利である。さらに、この装置では、pH調節後、単一系の質点の滞留時間が極めて短いため、晶析効果の向上により有利である。
【0052】
実際の操作では、調節液が入る前に材料輸送ポンプ130により予め連続的に定量供給して管状晶析装置内を晶析溶媒で満たした後に、材料輸送ポンプ130により調節液を通液して晶析処理を行うことができる。材料輸送ポンプ130の高流量高耐圧振動装置は、管状晶析装置にエネルギーを連続的に輸送し、これにより、晶析後の固液混合スラリーが管状晶析装置内でも目詰まりすることがなく、スラリー状の系が晶析スラリー受入装置100内に入って低温で一時的に保管され、この時では系は経時的に変質することなく非常に安定していたので、一定時間放置した後に固液分離装置に入って良品を得ることができる。
【0053】
好ましい一実施形態では、連続抽出分液ユニット10、連続加圧ろ過ユニット20、連続pH調節ユニット30及び連続晶析ユニット40のいずれにも、温度制御ユニットが設けられ、抽出重相受入装置80には第2の温度制御ジャケットが設けられ、液相受入装置90には第3の温度制御ジャケットが設けられ、晶析スラリー受入装置100には第4の温度制御ジャケットが設けられ、制御ユニットはさらに、温度制御ユニット、第2の温度制御ジャケット、第3の温度制御ジャケット及び第4の温度制御ジャケットに電気的に接続されている。このようにして、段階毎により正確な温度制御を行うことができ、後処理の各段階の安定性を一層向上させることができる。より好ましくは、上記連続抽出分液ユニット10、連続加圧ろ過ユニット20、連続pH調節ユニット30、連続晶析ユニット40、第1の温度制御ジャケット、第2の温度制御ジャケット、第3の温度制御ジャケット、及び第4の温度制御ジャケットのいずれもに温度プラチナ抵抗が設けられており、測定された温度を制御ユニットにフィードバックするために使用され、且つ、上記装置は、制御ユニットが電気的に接続された警報ユニットをさらに含む。このようにして、測定された温度を温度プラチナ抵抗により直ちに制御ユニットにフィードバックすることができ、各温度プラチナ抵抗に対して標準範囲を設定することができ、標準範囲を超えて異常範囲を10s超維持すると警報を出して連動して停止することができる。これにより、後処理の各段階の安定性を維持し、各段階の温度状態を適時に調整することにより有利である。
【0054】
ペネム系製品は温度に敏感であり、温度が高いほど製品の変質速度が速くなる。そのため、連続後処理装置は全体として厳格な温度制御対策を持っており、製品を含むすべての受入装置には温度制御ジャケットが設けられ、すべての操作ユニット装置にも温度制御ジャケットが設けられている。重要な輸送管路、例えばpH調節後の調節液の輸送段にも温度制御ジャケットが取り付けられて、かつ保温される。
【0055】
好ましい一実施形態では、上記装置は、連続加圧ろ過ユニット20、連続pH調節ユニット30、連続晶析ユニット40、PFR反応器50、各受入装置内の圧力を検出する圧力検出ユニットをさらに含み、この圧力検出ユニットは、制御ユニットに電気的に接続されている。このようにして、各段階の運行圧力をリアルタイムで検出し、各圧力ユニットに詰まりなどの現象が発生しているか否かを適時にフィードバックし、系の運行を安定に維持することができる。圧力検出ユニットの圧力検出点は、上記装置の入口に設けられていてもよい。より好ましくは、上記連続加圧ろ過ユニット20、連続pH調節ユニット30、連続晶析ユニット40、PFR反応器50のいずれにも排ガス管路が設けられている。これにより、作動圧力を超えることを防止するとともに、排気ガスの蓄積を回避することができる。
【0056】
より好ましくは、上記装置は、圧力検出ユニットに電気的に接続された圧力警報システムをさらに含む。このようにして、連続後処理装置のすべての圧力測定点に圧力標準範囲を設定することができ、過圧や負圧が発生すると直ちに警報を出して連動して停止する。
【0057】
上記の各装置やユニット、管路などの材質は、処理する材料の性質に応じて設計することができ、例えばチタン製、テトラフルオロ、304、316、ハステロイなどの化学的性質、耐温、耐圧の材料を使用することができる。プロセス全体の管路と設備間の接続方式は主にフランジによるものであり、その他の多くの接続方式としては、溶接、クイックジョイント、フェルール接続部品などが併用されるモードを含む。
【0058】
好ましくは、連続抽出分液装置11の直列形態は、オーバーフロー式直列であり、すなわち、前段の抽出重相がオーバーフローを通じて次段に入ってさらに抽出される。連続抽出分液装置11の具体的なタイプとしては、遠心抽出機を用いることが好ましく、もちろん、ロータリーテーブル抽出塔や膜分離抽出装置等を用いることもできる。
【0059】
好ましくは、前記加圧ろ過装置21の内部に膜モジュールや充填材を用いる。
【0060】
本発明により提供される上記後処理装置は、製品の性質が悪く、変質しやすい製品の後処理にさらに適しており、好ましい一実施形態では、上記ペネム系化合物の連続後処理装置は、ペネム系化合物の合成後処理装置である。具体的なペネム系化合物としては、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、パニペネムなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明は、これらのペネム系粗生成物の連続後処理のラボスケールからパイロットスケールまでの生産への応用に成功した。
【0061】
さらに、本発明により提供される上記処理装置は、高度に自動化された処理装置であり、装置の処理量に応じて供給速度や温度等を随時調整することができ、全体の処理時間を正確に制御することができる。各単一項の操作ユニットは自動化制御プログラムによって一体に接続され、各ユニットの操作間はフィードバック式質量流量計を通じて正確に接続され、このように、本来間欠的な操作フローを連続化し、処理系によって操作ユニットの増減が可能である。安全性の点について、圧力、温度、危険ガス警報などの装置を取り付け、過圧、過温、危険ガス過量の警報に連動して設置することによりコントロールを行うことで、事故の潜在的なリスクを大幅に引き下げる。突発的な状况に直面した場合に、すべての供給口を切断して製品の損失やリスクのレベルを最低に抑えることができる。本発明は、また、設備の占有面積、人的資源、及び生産エネルギー消費を大幅に低減することができる。従来のバッチ後処理技術に比べて投資コストも大幅に削減される。
【0062】
以下、特定の実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本出願によって請求される範囲を限定するものとは理解できない。
【0063】
実施例1
ラボスケール試験:図1に示す装置を用いて4Lエルタペネム粗生成物系を後処理し、エルタペネム粗生成物はエルタペネム、TMG(テトラメチルグアニジン)、NEP(N-エチルピロリドン)、イソアミルアルコール、パラジウム炭素触媒、水を含む。
【0064】
連続抽出分液段
エルタペネム粗産物系に二段抽出分液を行い、系を自動的、連続的かつ定量的に供給しながら、一次抽出剤(イソアミルアルコール、水、NaHCOジフェニルホスフェート混合溶液)を自動的、連続的かつ定量的に供給した。第1段遠心抽出機で第1段自動抽出分液を行い、軽相廃棄系を受入装置に回収し、重相を第2段遠心抽出機に直接オーバーフローさせるとともに、第2段抽出剤(イソアミルアルコール)を第2段遠心抽出機に連続的且つ定量的に輸送し、同様に廃棄された軽相を分離して受入装置に入れた。重相を抽出重相受入装置に連続的に入れて、一時的に受け入れて次の操作ユニットに再輸送した。ここで、抽出分液段階の温度を-5~0℃に制御した。
【0065】
連続混合加圧ろ過段階
質量流量計と材料輸送ポンプを用いてフィードバック調節を行い、抽出重相をジャケットコイル反応器に連続的且つ定量的に輸送すると同時に、コイル反応器内で抽出重相と混合して希釈する希釈溶媒(後続の晶析溶媒と同じである。)として少量のメタノールを自動的、連続的且つ定量的に輸送し、並列された加圧ろ過装置に希釈後の系を直接導入し、その中の少量の固体不純物をろ過除去した。清澄化した系は受入装置に入り、次に次の操作ユニットに入った。ここで、連続混合加圧ろ過段階の温度を-5~0℃に制御した。
【0066】
連続pH調節段階
加圧ろ過後の系を質量流量計と材料輸送ポンプでフィードバック調節し、管状プラグフローpH調節装置に連続的且つ定量的に輸送すると同時に、pH調節剤(酢酸/メタノール)を輸送する材料輸送ポンプでpH値検出装置の測定結果をオンラインで受け取り、このフィードバックに基づいてpH調節剤の供給量を調節することにより、正確な供給を実現した。2つの材料はpH調節装置で十分に混合され、pH値検出装置を経る時に再びpH監視点が設置され、pH値検出装置は一定の体積緩衝能力を有しており、酸調節に合格した系は次の処理段階に直接連続的かつ定量的に進む。ここで、連続pH調節段階の温度を-10~-5℃に制御した。
【0067】
連続晶析段階
被晶析系が晶析装置に入る前に、材料輸送ポンプにより予め連続的且つ定量的に供給することにより、管状プラグフロー晶析装置を晶析溶媒で満たした。材料輸送ポンプの高流量高耐圧振働装置は管状晶析装置にエネルギーを連続的に輸送し、これにより、晶析後の固液混合の二相がここで目詰まることがなく、スラリー状の系が受入装置内に入って低温で一時保管され、この時では系は経時的に変質することなく非常に安定していたので、一定期間静置した後に固液分離装置に入って良品を得た。ここで、連続晶析段階の温度を-20~-15℃に制御した。
【0068】
結果を表1に示す。
【0069】
比較例1
バッチ処理方式を用いて4Lエルタペネム粗生成物系に対して後処理を行い、結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
実施例2
実施例1における4Lラボスケール試験を400Lパイロット試験に拡大し、採用した設備及び試薬は実施例1と同じであるが、異なる点は次の通りである。
【0071】
連続抽出分液段:エルタペネム粗生成物系を総保持体積5Lの二段遠心抽出機に連続的に供給し、連続抽出分離を行い、系の滞留時間を3~5minだけとした。
【0072】
連続混合加圧ろ過段
抽出重相と少量のメタノール(メタノールは抽出重相重量の60%である。)を3~8Lジャケットコイル反応器を用いて連続的に混合し、安定かつ迅速に連続的に供給し、系混合段での滞留時間はわずか3~5minであった。次に、並列された二段ろ過装置の膜モジュールに入って急速ろ過され、膜モジュールの処理流速は1L~2L/minであり、上流の混合の供給速度に合わせた。
【0073】
連続pH調節段階
連続pH調節にはオンラインpH計を採用し、それにより自動フィードバック調節を実現し、20L連続撹拌反応装置を採用し、調節に合格した系は8Lオーバーフロー管路を経て迅速に下流操作に移送した。調節時の系の滞留時間はわずか5~8minであり、このため、製品の変質率を大きく短縮することができる。
【0074】
連続晶析段階
振動流管状晶析装置を用い、体積6Lを保持し、この装置中で系と晶析溶媒を均一に混合して晶析させ、析出した結晶の結晶形は比較的安定しており、系の保持時間は5~8minであった。
【0075】
結果を表2に示す。
【0076】
比較例2
バッチ処理方式を用いて4Lエルタペネム粗生成物系を次のように後処理した。
【0077】
抽出分液段:3000L釜を用いてバッチ抽出分液操作を行い、この段階での系の滞留時間は6.5hであり、抽出効果は比較的劣った。
【0078】
混合ろ過段:バッチ操作では、3000L釜を用いて系とメタノールを混合し、混合中に発熱するので、バッチ操作は局所が大量発熱することにより製品が破壊されるというリスクがある。
【0079】
pH調節段階:バッチ操作では、3000L釜を用いて操作を行い、上流系のpHは7.2~9.5であり、調節時に釜にpHが3~4のメタノール/酢酸系を逐次添加し、系のpHがプロセスの要求に達するまで1回添加するごとに撹拌静置でサンプリングして検査した。この段階では、製品の変質率が速いので迅速に行う必要があり、バッチ操作系の滞留時間が長いので変質率が高かった。
【0080】
晶析段階:バッチ操作では、3000L釜を用いて行い、操作する時に数回に分けて釜にメタノール/n-プロパノールを加え、数回に分けるのは結晶核の析出を徐々に誘導することを目的とし、このような操作には、2つの潜在的な危険があり、その1つは局所の晶析溶媒の濃度が高すぎて、析出した結晶の結晶形が不安定になり、また釜内の他の晶析溶媒に接触していない領域では製品が急速に変質する状態にあることである。この段階では、操作系の滞留時間は同様に長く、製品の変質率は依然として高かった。
【0081】
結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
その結果、エルタペネムの後処理系400Lのパイロット規模に対して、連続集積後処理方式では、総処理時間はバッチ後処理より76.25%短縮された。製品の純度は4~6%向上し、製品の収率は約5%向上した。設備の占用面積は60%削減し、操作のための人的資源は80%削減された。
【0083】
以上のデータから、次のことがわかった。
【0084】
1、ペネム系製品の連続集積後処理装置は、ペネム系製品の従来の後処理方式を改善した。処理対象のペネム系製品の系は非常に変質しやすいことが知られており、エルタペネムの場合に、pH調節前の系の1時間当たりの変質率は0.3%で、pH調節後の1時間当たりの変質率は1.2%(これは固有損失であり、変更できない)であり、従って、処理時間を短縮することでこの損失量を減少させるしかない。
【0085】
2、従来のバッチ後処理では、ペネム系製品の変質による損失量は6~10%である。主に、各操作ユニットの処理にかかる時間が長いためである。連続集積後処理により、全ての操作ユニットの処理時間を短縮させる。pH調節前の抽出分液、混合加圧ろ過の操作時間を調節した。同じ400Lの処理量では、バッチの場合に、12時間がかかり、製品の損失は4%であり、連続の場合に、4時間がかかり、製品の損失は1%しかない。
【0086】
3、連続した集積ペネム系後処理装置の優位性は、pH調節段に大幅に現れた。連続後処理の場合に、PH調節済みの系の単一の質点の滞留時間は8minであり、一方、バッチの場合、単一の質点の滞留時間は4hであった。直接約5%の損失を削減している。
【0087】
4、ペネム系製品の処理後に、有機廃気、廃水や固体廃棄物の量は非常に多く(製品系:廃気、廃水や固体廃棄=1:5;体積比)、バッチ処理は短時間内で大量の有機廃気、廃水や固体廃棄物を蓄積し、潜在的なリスクファクターが高い。一方、連続集積後処理モードでは、単位時間内の廃気、廃水や固体廃棄物の発生量を効果的に抑え、潜在的なリスクファクターを低下させる。
【0088】
以上は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとっては、本発明に種々の変更や変化を加えることができる。発明の精神及び原理の範囲内で行われた修正、均等置換、改良などであれば、本発明の保護の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0089】
ここで、上記の図面は以下の符号を含む。
【0090】
10、連続抽出分液ユニット
11、連続抽出分液装置
20、連続加圧ろ過ユニット
21、加圧ろ過装置
30、連続pH調節ユニット
40、連続晶析ユニット
50、PFR反応器
60、pH値検出装置
70、抽出軽相受入装置
80、抽出重相受入装置
90、液相受入装置
100、晶析スラリー受入装置
110、第1の質量流量計
120、第2の質量流量計
130、材料輸送ポンプ
図1
【国際調査報告】