(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の走行機構、ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の支持手段、ゴンドラリフトシステム用のゴンドラ、ゴンドラリフトシステム、および走行機構を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B61B 3/02 20060101AFI20221212BHJP
E01B 25/22 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B61B3/02 Z
E01B25/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522900
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078913
(87)【国際公開番号】W WO2021074230
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019215937.0
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オラフ オールハーファー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント シュテューケ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス イェークレ
【テーマコード(参考)】
2D056
【Fターム(参考)】
2D056FA03
(57)【要約】
ゴンドラリフトシステム(100)のゴンドラ(110)用の走行機構(120)が提案される。走行機構(120)は、ゴンドラリフトシステム(100)の支持手段(140)と共に使用するために設けられている。走行機構(120)は、支持アーム(124)を介してゴンドラ(110)のキャビン(115)に連結された、または連結可能な走行機構フレーム(122)を有している。走行機構(120)は、また、支持手段(140)の走行装置(142)に対して走行させるための、走行機構フレーム(122)に回転可能に支持された、または支持可能な少なくとも1つの走行ホイール(126)を有している。走行機構(120)は、さらに、旋回可能なアーム(134)を介して走行機構フレーム(122)に連結された、または連結可能なガイドユニット(128)を有している。ガイドユニット(128)は、支持手段(140)の2つのガイド装置(144)のうちの1つのガイド装置に形状接続するためのガイド要素(130)と、支持手段(140)の、走行装置(142)を変位させるために走行装置(142)に不動に連結された2つのアクチュエータ装置(146)のうちの1つのアクチュエータ装置に形状接続するためのアクチュエータ要素(132)とを有している。さらに走行機構(120)は、支持手段(140)の分岐箇所においてゴンドラ(110)の走路選択の目的で選択的にガイド装置(144)のうちの1つのガイド装置およびアクチュエータ装置(146)のうちの1つのアクチュエータ装置との形状接続部を形成するように、ガイドユニット(128)を備えたアーム(134)を旋回させる少なくとも1つの作動要素(136)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴンドラリフトシステム(100)のゴンドラ(110)用の走行機構(120)であって、
前記走行機構(120)は、前記ゴンドラリフトシステム(100)の支持手段(140)と共に使用するように設けられており、
前記走行機構(120)は、
支持アーム(124)を介して前記ゴンドラ(110)のキャビン(115)に連結された、または連結可能な走行機構フレーム(122)と、
前記支持手段(140)の走行装置(142)に対して走行させるための、前記走行機構フレーム(122)に回転可能に支持された、または支持可能な少なくとも1つの走行ホイール(126)と、
旋回可能なアーム(134)を介して前記走行機構フレーム(122)に連結された、または連結可能なガイドユニット(128)であって、前記支持手段(140)の2つのガイド装置(144)のうちの1つのガイド装置に形状接続するためのガイド要素(130)と、前記支持手段(140)の、前記走行装置(142)を変位させるために前記走行装置(142)に不動に連結された2つのアクチュエータ装置(146)のうちの1つのアクチュエータ装置に形状接続するためのアクチュエータ要素(132)とを有する、ガイドユニット(128)と、
前記支持手段(140)の分岐箇所において前記ゴンドラ(110)の走路選択の目的で選択的に前記ガイド装置(144)のうちの1つのガイド装置および前記アクチュエータ装置(146)のうちの1つのアクチュエータ装置との形状接続部を形成するように、前記ガイドユニット(128)を備える前記アーム(134)を旋回させる少なくとも1つの作動要素(136)と、
という特徴を有する、走行機構(120)。
【請求項2】
前記ガイドユニット(128)は、少なくとも1つのローラ対を有し、前記ローラ対は、ガイド要素(130)としてガイドローラを有し、アクチュエータ要素(132)としてアクチュエータローラを有し、前記ガイドローラと前記アクチュエータローラとは、1つの共通の回転軸を有する、請求項1記載の走行機構(120)。
【請求項3】
前記ガイド要素(130)と前記アクチュエータ要素(132)とは、互いに相対的に定位置で前記アーム(134)に配置されており、かつ/または前記ガイドユニット(128)を備える前記アーム(134)は、前記走行機構(120)の走行方向で、前記少なくとも1つの走行ホイール(126)に先行するように配置されている、請求項1または2記載の走行機構(120)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの走行ホイール(126)および/または前記ガイドユニット(128)を駆動するための駆動ユニットを備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の走行機構(120)。
【請求項5】
ゴンドラリフトシステム(100)のゴンドラ(110)用の支持手段(140)であって、
前記支持手段(140)は、請求項1から4までのいずれか1項記載の走行機構(120)と共に使用するように設けられており、
前記支持手段(140)は、
前記走行機構(120)の前記少なくとも1つの走行ホイール(126)が走行可能である走行装置(142)と、
前記走行機構(120)の前記ガイドユニット(128)に形状接続するための2つのガイド装置(144)および2つのアクチュエータ装置(146)であって、前記アクチュエータ装置(146)の各々は、前記走行装置(142)を変位させるために前記走行装置(142)に不動に連結されている、ガイド装置(144)およびアクチュエータ装置(146)と、
という特徴を有する、支持手段(140)。
【請求項6】
前記走行装置(142)は、前記支持手段(140)の少なくとも1つの分岐箇所の領域で、それぞれ1つのガイド装置(144)と1つのアクチュエータ装置(146)とから成る2つの対の間に配置されている、請求項5記載の支持手段(140)。
【請求項7】
各々の対は、前記ゴンドラ(110)の各々の走行方向に対して、前記対の前記ガイド装置(144)および前記アクチュエータ装置(146)内に前記走行機構(120)の前記ガイドユニット(128)を挿通させるための挿通部(248)を有する、請求項6記載の支持手段(140)。
【請求項8】
少なくとも1つの分岐箇所を備え、前記走行装置(142)は、前記少なくとも1つの分岐箇所の領域に、切り離された変位可能な部分(242)を有し、前記部分(242)は、前記アクチュエータ装置(146)に連結されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の支持手段(140)。
【請求項9】
前記部分(242)は、選択的に、前記アクチュエータ装置(146)のうちの、前記走行機構(120)の前記ガイドユニット(128)に形状接続しているアクチュエータ装置(146)によって変位可能である、請求項8記載の支持手段(140)。
【請求項10】
ゴンドラリフトシステム(100)用のゴンドラ(110)であって、
前記ゴンドラ(110)は、
請求項1から4までのいずれか1項記載の走行機構(120)と、
前記走行機構(120)が前記支持アーム(124)を介して連結されているキャビン(115)と、
という特徴を有する、ゴンドラ(110)。
【請求項11】
ゴンドラリフトシステム(100)であって、
前記ゴンドラリフトシステム(100)は、
請求項10記載の少なくとも1つのゴンドラ(110)と、
請求項5から9までのいずれか1項記載の支持手段(140)であって、前記少なくとも1つのゴンドラ(110)を支持するように形成された支持手段(140)と、
という特徴を有する、ゴンドラリフトシステム(100)。
【請求項12】
請求項1から4までのいずれか1項記載の走行機構(120)を制御するための方法(1200)であって、
前記方法(1200)は、
衛星ナビゲーション信号(1006)、および/またはゴンドラ(110)にかつ/または支持手段(140)に配置された少なくとも1つの環境センサ(1000)を使用して生成されるセンサ信号(1005)、および/または中央のサーバ装置(1008)および/または携帯型の端末機器(1010)を使用して生成される制御信号(1014)を読み込むステップ(1210)と、
前記衛星ナビゲーション信号(1006)および/または前記センサ信号(1005)および/または前記制御信号(1014)を使用して前記少なくとも1つの作動要素(136)を制御するための制御信号(1122)を生成するステップ(1220)と、
を含む、方法(1200)。
【請求項13】
請求項12記載の方法(1200)の前記ステップを適合するユニット(1110,1120)で実施しかつ/または制御するように構成された制御装置。
【請求項14】
請求項12記載の方法(1200)を実施しかつ/または制御するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に記載の装置または方法から出発する。本発明の対象は、また、コンピュータプログラムである。
【0002】
例えば都会的な環境で使用するためのキャビンリフトは、典型的には、牽引ロープまたはこれに類するものの形態のキャビン外部の駆動装置を有することができる。このようなキャビンリフトでは、従来、走路の分岐を、それ用に固有に設けられた中間ステーションで行うことができる。キャビン内部の駆動装置を備えたキャビンリフトでは、通常、走路変更を、インフラ構造側で操作される能動型のポイントによって行うことができる。
【0003】
発明の開示
このような背景から出発して、本明細書における開示によって、独立請求項に記載した、ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の走行機構、ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の支持手段、ゴンドラリフトシステム用のゴンドラ、ゴンドラリフトシステム、および走行機構を制御するための方法、さらにこの方法を使用する制御装置、ならびに最後に適合するコンピュータプログラムが開示される。従属請求項に記載した構成によって、独立請求項に記載した装置の有利な発展形態および改善形態が可能である。
【0004】
実施形態によれば、特に、レール軌道コンセプトもしくはロープウェイコンセプトのための走路選択もしくは走路選びを受動型のポイントによって実現することができる。このことは、例えば、個別に電気的に駆動される自律運転式のキャビンをベースにした近距離交通システムのために、固定の支持ロープまたは不動の走路を備えたロープウェイのインフラ構造において利用することができる。このとき、特に、連結可能なキャビンを備えた循環式ロープウェイのような従来の都市型のロープウェイに比べて、ルートのフレキシビリティを高めることができる。従来のポイントコンセプトとは異なり、特に受動型のポイントを提供することができる。このとき、走路の選択は、ゴンドラ、より正確に言えば、ゴンドラの走行機構に設けられた適切なアクチュエータ装置によってのみ行うことができる。したがって、このようなポイントは、固有のアクチュエータ装置なしで実現することができる。したがって、能動型のポイントのためのトポロジー、つまり、始動しているゴンドラとの適切な通信によって所望の走路状態をゴンドラ側の適切なアクチュエータ装置によって調整することができるポイントのためのトポロジーを実現することができる。任意選択的には、ゴンドラに切換え命令を引き渡すことができる中央の作動機構を省くこともできる。例えば、ゴンドラに走行目標および場合によっては一般的な走路ポイントを割り当てることが設定されていてもよい。これによって、特に、現在位置と、ゴンドラ制御装置に格納された走路網の構造とによって、ゴンドラ側で切換え過程におけるシーケンスを求めることができる。切換えは、例えばその都度ポイントもしくは分岐箇所への接近時に、衛星ナビゲーション信号または信号発信器によって、例えば磁気的に走路においてトリガすることができる。この走路は、前方に位置するポイントをマーキングし、任意選択的には付加的に一意にも同定することができる。
【0005】
したがって、有利には、特に、走路側でポイントのために、給電部、アクチュエータ装置、通信ユニット、および例えば半分開放された状態における故障したポイントに対する走行を排除する安全システム、例えばソフトウエア、または機械式、電気式、またはこれに類する形式の安全システム、またはその他の要素を省くことができる。このような要素は、要求に応じて完全に省くことができるか、またはフォールバックレベルもしくは冗長性を節約することができる。付加的に、受動型のポイントによって、区間キャパシティを高めることできる。なぜならば、切換えは、原理に起因して、ポイントの制動されていない通過時にじかに行うことができるからである。したがって、原理に起因して、切換え中の故障の認識時に、切換え時間もしくは危険制動のためにゴンドラ間に更なる安全間隔を維持することが不要となる。特に、ゴンドラ毎に駆動されるロープウェイの区間ガイドひいては分岐部およびステーションに単純に影響を及ぼすことを簡単に達成することができる。予め設定されたライン経過なしの個々に駆動されるゴンドラと、鉄塔およびロープに対する安価なインフラ構造とを組み合わせて、例えば、従来のロープウェイの直線的なガイドならびに市街電車または近距離列車の直線的なガイドとは異なる、さらに多く分岐された区間網を実現することができる。これによって、都市領域の開発を改善することができる。従来の都市型のロープウェイとは異なり、フレキシブルな区間ガイドを達成することができる。可動のロープもしくは牽引ロープは不要であるので、区間ガイドを直線的なラインに沿って延ばすことが不要となる。方向転換は、中間ステーションだけでなく、すべてのポイントで可能となる。これによって、付加的な駆動装置ひいてはコストを節約することができる。ゴンドラ毎に駆動されるユニットを備えたこのようなシステムによって、各々の鉄塔での方向転換または不動の走路では区間経過の各々のポイントでの方向転換が可能となる。
【0006】
ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の走行機構であって、
走行機構は、ゴンドラリフトシステムの支持手段と共に使用するために設けられており、走行機構は、以下の特徴、つまり、
支持アームを介してゴンドラのキャビンに連結された、または連結可能な走行機構フレームと、
支持手段の走行装置に対して走行させるための、走行機構フレームに回転可能に支持された、または支持可能な少なくとも1つの走行ホイールと、
旋回可能なアームを介して走行機構フレームに連結された、または連結可能なガイドユニットであって、支持手段の2つのガイド装置のうちの1つのガイド装置に形状接続するためのガイド要素と、支持手段の、走行装置を変位させるために走行装置に不動に連結された2つのアクチュエータ装置のうちの1つのアクチュエータに形状接続するためのアクチュエータ要素とを有する、ガイドユニットと、
支持手段の分岐箇所においてゴンドラの走路選択の目的で選択的にガイド装置のうちの1つのガイド装置およびアクチュエータ装置のうちの1つのアクチュエータ装置との形状接続部を形成するように、ガイドユニットを備えるアームを旋回させる少なくとも1つの作動要素と
を有する、走行機構が提案されている。
【0007】
キャビンは、開放されたキャビンであってもよいし、閉鎖されたキャビンであってもよい。キャビンは、凹状体、ケージまたはこれに類するものとして構成されていてもよい。キャビンは、人および付加的にまたは代替的に物品を運搬するように構成されていてもよい。走行機構フレームというのは、ゴンドラを支持するための支持可能なフレーム構造体であると理解することができる。支持アームというのは、走行機構フレームまたはキャビンに枢動式に結合された棒状または管状の部材であると理解することができる。支持手段は、少なくとも1つの懸吊レールと、付加的にまたは代替的に少なくとも1つの支持ロープとを有することができる。懸吊レールというのは、ゴンドラを懸吊するためのレールであって、それに沿ってゴンドラが懸吊状態で運動することができるレールであると理解することができる。支持ロープというのは、循環する搬送ロープとは異なり、位置固定のロープであると理解することができ、このロープは、1つまたは複数の鉄塔にわたって張設されているか、または建造物、二次的な支持ロープまたはブリッジのような他の構造要素に固定されていてもよい。少なくとも1つの走行装置は、懸吊レールまたは支持ロープとして、または懸吊レールまたは支持ロープの一部として構成されていてもよい。ガイド装置の各々は、懸吊レールまたはレールとして構成されていてもよい。アクチュエータ装置の各々は、懸吊レールまたはレールとして構成されていてもよい。作動要素は、少なくとも1つの電気モータまたは他のアクチュエータとして構成されていてもよい。作動要素は、アームに直接または伝動装置を介して連結されている、または連結可能である。走行機構は、複数の走行ホイールを有することができる。
【0008】
1つの実施形態によれば、ガイドユニットは、少なくとも1つのローラ対を有してもよい。ローラ対は、ガイド要素としてガイドローラを有してもよく、アクチュエータ要素としてアクチュエータローラを有してもよい。ガイドローラとアクチュエータローラとは、1つの共通の回転軸を有してもよい。ガイドローラおよびアクチュエータローラは、それぞれ例えば鉛直、水平または斜めに方向付けられたガイドローラとして構成されていてもよい。このような実施形態は、走行装置を、選択された走路に相応して簡単かつ確実に変位させることができるという利点を提供する。
【0009】
また、ガイド要素とアクチュエータ要素とは、互いに相対的に定位置でアームに配置されていてもよい。付加的にまたは代替的に、ガイドユニットを備えるアームは、走行機構の走行方向で、少なくとも1つの走行ホイールに先行するように配置されていてもよい。このような実施形態は、選択された走路に応じて、必要な場合に、走行装置を支持手段の分岐箇所の領域で確実にかつ強制案内して変位させることができるという利点を提供する。また、このことは、分岐箇所に達する前に適正時機に走行機構によって行うことができる。
【0010】
さらに、走行機構は、少なくとも1つの走行ホイールおよび付加的にまたは代替的にガイドユニットを駆動するための駆動ユニットを有してもよい。駆動ユニットというのは、少なくとも1つの電気モータであると理解することができる。駆動ユニットは、任意選択的に伝動装置を含んでいてもよい。走行機構は、さらに、支持手段のガイド部を電気的に接触接続させるための、走行機構フレームに配置された、または配置可能な集電器を有していてもよい。集電器は、例えば旋回可能なアームとして構成されていてもよい。駆動ユニットは、集電器に電気的に接続されている、または接続可能であってもよい。このような実施形態は、ゴンドラ毎の駆動装置を簡単かつ確実に実現することができるという利点を提供する。
【0011】
ゴンドラリフトシステムのゴンドラ用の支持手段であって、
支持手段は、上述した走行機構と共に使用するように設けられており、
支持手段は、以下の特徴、つまり、
走行機構の少なくとも1つの走行ホイールが走行可能である走行装置と、
走行機構のガイドユニットに形状接続するための2つのガイド装置および2つのアクチュエータ装置であって、アクチュエータ装置の各々は、走行装置を変位させるために走行装置に不動に連結されている、ガイド装置およびアクチュエータ装置と
を有する、支持手段も提案されている。
【0012】
支持手段は、上述した走行機構の1つの実施形態を有する各々のゴンドラに確実な走路を提供するように形成されていてもよい。支持手段は、さらに、走行装置およびガイド装置ならびにアクチュエータ装置を固定するための鉄塔、支持体またはこれに類するものを有していてもよい。
【0013】
1つの実施形態によれば、走行装置は、支持手段の少なくとも1つの分岐箇所の領域で、それぞれ1つのガイド装置と1つのアクチュエータ装置とから成る2つの対の間に配置されていてもよい。このように構成されていると、第1のガイド装置と第1のアクチュエータ装置とから成る第1の対と、第2のガイド装置と第2のアクチュエータ装置とから成る第2の対とを設けることができる。これらの対の各々は、支持手段の分岐部に割り当てられていてもよい。分岐箇所外では、支持手段は単に走行装置だけを有することができる。このような実施形態は、走路選択を、単に分岐箇所の領域でガイド装置およびアクチュエータ装置を使用して確実かつ簡単に達成することができるという利点を提供する。
【0014】
このとき、各々の対は、ゴンドラの各々の走行方向に対して、対のガイド装置およびアクチュエータ装置内に走行機構のガイドユニットを挿通させるための挿通部を有してもよい。各々の挿通部は、ホッパ状にまたは他の形式で先細に構成されていてもよい。このような実施形態は、分岐箇所の通過時におけるエラーを回避することができ、確実な走路選択を必然的に行うことができるという利点を提供する。
【0015】
また、支持手段は、少なくとも1つの分岐箇所を有してもよい。このとき、走行装置は、少なくとも1つの分岐箇所の領域に、切り離された変位可能な部分を有してもよく、この部分は、アクチュエータ装置に連結されている。部分は、それぞれ1つのガイド装置と1つのアクチュエータ装置とから成る2つの対の間に配置されていてもよい。切り離されたというのは、部分が走行装置の別の部分から分岐箇所外で分離されていることを意味することができる。このような実施形態は、分岐箇所における走路選択を、単に可動に配置されたコンポーネント、つまり、部分によってのみインフラ構造側で実現することができるという利点を提供する。
【0016】
このとき、部分は、選択的に、アクチュエータ装置のうちの、走行機構のガイドユニットに形状接続しているアクチュエータ装置によって変位可能であってもよい。このような構成では、部分は、変位させられていない休止位置で第1の走路を開放することができ、変位させられた位置で第2の走路を開放することができる。このようになっていると、部分は、第1の走路に割り当てられた第1のアクチュエータ装置によって、ガイドユニットと第1のアクチュエータ装置との間の形状接続時に、変位させられずに休止位置に留まることができる。さらに、部分は、第2の走路に割り当てられた第2のアクチュエータ装置によって、ガイドユニットと第2のアクチュエータ装置との間の形状接続時に、変位させられた位置へと変位させることができる。このような
【0017】
さらに、ゴンドラリフトシステム用のゴンドラであって、
ゴンドラは、以下の特徴、つまり、
上述した走行機構の1つの実施形態と、
走行機構が支持アームを介して連結されているキャビンと
を有する、ゴンドラが提案されている。
【0018】
ゴンドラは、上述した走行機構の1つの実施形態を使用して、安全かつ確実にゴンドラリフトシステムの支持手段に沿って運動することができる。
【0019】
さらに、ゴンドラリフトシステムであって、
ゴンドラリフトシステムは、以下の特徴、つまり、
上述したゴンドラの1つの実施形態の少なくとも1つの例と、
上述した支持手段であって、少なくとも1つのゴンドラを支持するように形成された支持手段の1つの実施形態と
を有する、ゴンドラリフトシステムが提案されている。
【0020】
ゴンドラリフトシステムでは、支持手段と少なくとも1つのゴンドラとが、ゴンドラリフトシステムにおける支持手段に沿った少なくとも1つのゴンドラの確実な搬送を実施するように、有利に協働することができる。
【0021】
また、上述した走行機構の1つの実施形態を制御するための方法であって、
この方法は、以下のステップ、つまり、
衛星ナビゲーション信号、および/またはゴンドラにかつ/または支持手段に配置された少なくとも1つの環境センサを使用して生成されるセンサ信号、および/または中央のサーバ装置および/または携帯型の端末機器を使用して生成される制御信号を読み込むステップと、
衛星ナビゲーション信号および/またはセンサ信号および/または制御信号を使用して少なくとも1つの作動要素を制御するための制御信号を生成するステップと
を含む、方法も提案されている。
【0022】
この方法は、例えばソフトウエアまたはハードウエアで、またはソフトウエアとハードウエアとから成る混合形態で、例えば制御装置において実施することができる。衛星ナビゲーション信号というのは、例えばGPS、GLONASS、ガリレオ、またはBeiDouのような衛星システムによって提供された位置特定のための信号であると理解することができる。1つまたは複数の環境センサは、例えば1つまたは複数のレーダセンサ、Lidarセンサ、または超音波センサ、1つまたは複数のカメラ、またはこれらのセンサの組合せであってもよい。中央のサーバ装置は、特にクラウドサーバであってもよい。携帯型の端末機器は、例えばスマートフォン、タブレット、またはラップトップであると理解することができる。少なくとも1つの作動要素は、制御信号を使用して、ガイドユニットを備えたアームを旋回させるように形成されていてもよく、これによって、支持手段の分岐箇所でゴンドラの走路選択のために、選択的に、ガイド装置のうちの1つのガイド装置およびアクチュエータ装置のうちの1つのアクチュエータ装置との形状接続部を形成することができる。
【0023】
本明細書で提案された発明はさらに、本明細書で提案された方法の1つの変化形態のステップを適合する装置において実施するため、制御するため、もしくは実現するように構成された制御装置を提供する。制御装置の形態における本発明のこの変化形態によっても、本発明の根底を成す課題を迅速かつ効果的に解決することができる。制御装置は、走行機構またはゴンドラの一部として構成されていてもよい。したがって、走行機構またはゴンドラは、制御装置を有することができる。
【0024】
そのために、制御装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つの記憶ユニット、センサからのセンサ信号を読み込む、または制御信号をアクチュエータに出力するための、センサまたはアクチュエータへの少なくとも1つのインタフェース、および/または通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み込むまたは出力するための少なくとも1つの通信インタフェースを有していてもよい。計算ユニットは、例えば信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはこれに類するものであってもよく、記憶ユニットは、フラッシュメモリ、EPROM、または磁気式の記憶ユニットであってもよい。通信インタフェースは、データを無線でかつ/または線路接続されて読み込む、または出力するように構成されていてもよく、線路接続されたデータを読み込む、または出力することができる通信インタフェースは、これらのデータを、例えば電気式にまたは光学式に適合するデータ伝送線路から読み込む、または適合するデータ伝送線路に出力することができる。
【0025】
制御装置というのは、本発明では電気式の装置であると理解することができ、センサ信号を処理し、センサ信号に関連して制御信号および/またはデータ信号を出力する。制御装置は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアに応じて構成されていてもよいインタフェースを有することができる。ハードウエアに応じた構成では、インタフェースは例えば、制御装置の様々な機能を内蔵する、いわゆるシステム・ASICの一部であってもよい。しかしながら、また、インタフェースが、固有の集積回路であるか、または少なくとも部分的に不連続の素子から成っていることも可能である。ソフトウエアに応じた構成では、インタフェースは、例えばマイクロコントローラに他のソフトウエアモジュールと共に設けられているソフトウエアモジュールであってもよい。
【0026】
特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置に構成される場合には、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学式のメモリのような機械式に読取り可能な担体または記憶媒体に記憶されていてもよく、上述した実施形態のうちの1つの実施形態に応じて方法のステップを実施し、実現し、かつ/または制御するように使用される、プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0027】
次に、図面に記載された本発明の実施例について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】1つの実施例によるゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図2】1つの実施例によるゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示したゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図4】
図2もしくは
図3に示したゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図5】
図2、
図3もしくは
図4に示したゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図10】1つの実施例によるゴンドラリフトシステムを概略的に示す図である。
【
図11】1つの実施例による制御装置を概略的に示す図である。
【
図12】1つの実施例による方法を示すフローチャートである。
【0029】
本発明の好適な実施例の以下の記載において、異なる図面に示しかつ類似に作用する要素に対しては同じまたは類似の符号を使用し、これらの要素について繰返し記載することは省く。
【0030】
図1には1つの実施例によるゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。ゴンドラリフトシステム100は、少なくとも1つのゴンドラ110と、少なくとも1つのゴンドラ110を支持するための支持手段140とを有している。ここに示した実施例によれば支持手段140は、少なくとも1つのゴンドラ110を懸吊しかつ/または支持するためのレールとして構成されている。
図1の記載では、例として単に1つのゴンドラ110が示してある。
【0031】
ゴンドラ110はキャビン115を有している。このキャビン115は、閉鎖されたキャビンであってもよく、開放したキャビン、例えば槽状体または凹状体であってもよい。キャビン115は、人、動物および/または物品を運搬するように働くことができる。さらにゴンドラ110は走行機構120を有している。走行機構120は、ゴンドラリフトシステム100の支持手段140と共に使用するように設けられている。言い換えれば、ゴンドラ110の走行機構120は、支持手段140に対して走行するように働く。
【0032】
走行機構120は、走行機構フレーム122もしくは走行架台と、支持アーム124と、少なくとも1つの走行ホイール126と、ガイド要素130およびアクチュエータ要素132を備えたガイドユニット128と、アーム134と、少なくとも1つの作動要素136とを有している。
図1の記載では、4つの走行ホイール126が示してある。支持アーム124は、1つの実施例によればキャビン115の一部として構成されていてもよい。走行機構フレーム122は、支持アーム124を介してキャビン115に連結されている。これによって走行機構120は、支持アーム124を介してキャビン115に連結されている。走行ホイール126およびアーム134は、走行機構フレーム122に支持されている。ガイド要素130およびアクチュエータ要素132は、アーム134に支持されている。
【0033】
支持手段140は、少なくとも1つのゴンドラ110の走行機構120と共に使用するように構成されている。言い換えれば、支持手段140に対して走行機構120が走行可能となる。支持手段140は、1つの走行装置142と、2つのガイド装置144と、2つのアクチュエータ装置146とを有している。
図1では、図示の都合上、単に1つのガイド装置144と1つのアクチュエータ装置146とだけが示してある。走行装置142に対して、走行機構120の少なくとも1つの走行ホイール126が走行可能である。言い換えれば、走行装置142は、走行機構120のための走路を成している。
図1の記載では、走行装置142の可動のもしくは変位可能な部分が示してある。走行装置142のここに示した部分の可能な運動もしくは変位は、双方向矢印によって象徴的に示してある。アクチュエータ装置146の各々は、走行装置142を変位させるために走行装置142に不動に連結されている。ガイド装置144およびアクチュエータ装置146は、走行機構120のガイドユニット128との形状接続のために構成されている。より正確に言うと、各々のガイド装置144はガイドレールとして構成されていて、各々のアクチュエータ装置146はアクチュエータレールとして構成されている。
【0034】
走行機構120の走行ホイール126は、走行機構フレーム122もしくは走行架台に回転可能に支持されている。さらに走行ホイール126の各々は、支持手段140の走行装置142に対して走行するように構成もしくは形成されている。ガイドユニット128は、旋回可能なアーム134を介して走行機構フレーム122に連結されている。ガイドユニット128は、ガイド要素130およびアクチュエータ要素132を有している。ガイド要素130は、支持手段140のガイド装置144のうちの選択的に1つのガイド装置144との形状接続のために構成されている。アクチュエータ要素132は、支持手段140のアクチュエータ装置146のうちの選択的に1つのアクチュエータ装置146との形状接続のために構成されている。
【0035】
ここに示した実施例によれば、ガイドユニット128は少なくとも1つのローラ対を有しているか、もしくは少なくとも1つのローラ対として構成されている。ガイドユニット128のローラ対は、ガイド要素130としてガイドローラを有していて、アクチュエータ要素132としてアクチュエータローラを有している。ガイドローラもしくはガイド要素130およびアクチュエータローラもしくはアクチュエータ要素132は、1つの共通の回転軸を有している。さらにガイド要素130とアクチュエータ要素132とは、互いに相対的に定位置でアーム134に配置されている。
図1には明示的に示すことができないが、ガイドユニット128を備えたアーム134は、走行機構120の走行方向で少なくとも1つの走行ホイール126に先行するように配置されている。言い換えれば、ガイドユニット128はゴンドラ110の走行方向で、走行ホイール126よりも前に支持手段140の分岐箇所に達する。
【0036】
ガイドユニット128を備えたアーム134を旋回させるために、走行機構120はさらに少なくとも1つの作動要素136を有している。支持手段140の分岐箇所におけるゴンドラ110の走路選択のために、ガイドユニット128を備えたアーム134の旋回によって、選択的に、ガイドユニット128と、ガイド装置144のうちの1つガイド装置144およびアクチュエータ装置146のうちの1つのアクチュエータ装置146との形状接続部が形成可能である。支持手段140の分岐箇所で、ガイド装置144のうちの1つのガイド装置144とアクチュエータ装置146のうちの1つのアクチュエータ装置146とから成るそれぞれ1つの対が、少なくとも1つのゴンドラ110のための2つの走路のうちの1つの走路に割り当てられている。このとき、分岐箇所で走行装置142は、選択的にアクチュエータ装置146のうちの、ガイドユニット128、より正確に言えばアクチュエータ要素132に形状接続しているアクチュエータ装置146によって変位可能である。
【0037】
ゴンドラリフトシステム100の各々のゴンドラ110は、さらに少なくとも1つの走行ホイール126および/またはガイドユニット128を駆動するための駆動ユニットを有している。駆動ユニットは、例えば走行機構120の一部である。
図1には駆動ユニットは、図示の都合上、明示的に示していない。
【0038】
図1には、ゴンドラリフトシステム100が、可動の走路部分の領域における支持手段140の長手方向軸線に対して横方向の部分断面図で示してある。長手方向軸線は、支持手段140に沿った少なくとも1つのゴンドラ110の運動軸線を成している。
図1の記載では、ガイドユニット128と、ガイド装置144のうちの1つのガイド装置144およびアクチュエータ装置146のうちの1つアクチュエータ装置146との形状接続部、より正確に言えば、ガイド要素130と、ガイド装置144のうちの1つのうちの1つのガイド装置144との間およびアクチュエータ要素132と、アクチュエータ装置146のうちの1つアクチュエータ装置146との間に形状接続部が存在している。
【0039】
図2には、1つの実施例によるゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。ゴンドラリフトシステム100は、
図1に示したゴンドラリフトシステム100に相当している、または類似している。
図2の記載ではゴンドラリフトシステム100のうち、ゴンドラの走行機構120、アーム134およびガイドユニット128と、支持手段の走行装置142、ガイド装置144およびアクチュエータ装置146とが示してある。さらに走行装置142の変位可能な部分242と、支持手段の挿通部248とが示してある。
図2には、ポイント終端から真っ直ぐな方向もしくは通過方向の走行状況における、支持手段の分岐箇所もしくはポイントが平面図で示してある。ゴンドラの走行方向は、走行機構120に矢印で象徴的に示してある。
【0040】
走行装置142は、分岐箇所の領域に、変位可能な切り離された部分242を有しており、この部分242は、両アクチュエータ装置146に連結されている。言い換えれば、走行装置142は分岐箇所の領域では、アクチュエータ装置146のうちのそれぞれ1つのアクチュエータ装置146によって変位可能に構成されている。部分242は選択的に、アクチュエータ装置146のうちの、走行機構120のガイドユニット128に形状接続しているアクチュエータ装置146によって変位可能である。
【0041】
部分242を含む走行装置142は、分岐箇所の領域で、それぞれ1つのガイド装置144と1つのアクチュエータ装置146とから成る2つの対の間に配置されている。それぞれ1つのガイド装置144と1つのアクチュエータ装置146とから成る各々の対は、ゴンドラの各々の走行方向に対して、対を成すガイド装置144およびアクチュエータ装置146内に走行機構120のガイドユニット128を挿通するための挿通部248もしくは導入ジオメトリを有している。
【0042】
図2の記載では、ガイドユニット128と、図面で左に示した、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とから成る対との間に形状接続部が存在している。
【0043】
図3には、
図2に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図3における記載は、ポイント終端から分岐方向への走行状況における支持手段の分岐箇所もしくはポイントが平面図で示してあることを除いて、
図2における記載に相当している。ここではガイドユニット128と、図面で右に示した、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とから成る対との間に形状接続部が存在しており、また走行架台を通過させるためのコンスタントに変位させられたポイントを備えた領域350も示してある。
【0044】
図4には、
図2もしくは
図3に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図4における記載は、ポイント始端からの走行状況が示してあることを除いて、
図2に示した記載に相当している。
【0045】
図5には、
図2、
図3もしくは
図4に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図5における記載は、ポイント始端からの走行状況が示してあることを除いて、
図3に示した記載に相当している。
【0046】
図6には、
図2、
図3、
図4もしくは
図5に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図6における記載は、ポイント始端からのゴンドラの始動時における、
図4の記載における走行状況よりも時間的に前である走行状況を表している。ここでは単に支持手段の分岐箇所の走入側だけが示してある。ガイドユニット128を備えたアーム134は、直線走行のための、図面で左に示した挿通部248の方向に旋回させられている。
【0047】
図7には、
図2、
図3、
図4、
図5もしくは
図6に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図7における記載は、ポイント始端からのゴンドラの始動時における、
図5の記載における走行状況よりも時間的に前である走行状況を表している。
図7における記載は、ガイドユニット128を備えたアーム134が、分岐方向への走行のための、図面で右に示した挿通部248の方向に旋回させられていることを除いて、
図6に示した記載に相当している。
【0048】
したがって
図6および
図7には、ポイント始端からの始動の例におけるゴンドラ側の走行方向選択が示してある。
図6では、左に向かって外方旋回させられたアーム134は、真っ直ぐな走行のための導入ジオメトリもしくは挿通部248内に挿通される。
図7では、右に向かって外方旋回させられたアーム134は、分岐方向における走行のための導入ジオメトリもしくは挿通部248内に挿通される。
【0049】
図8には、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6もしくは
図7に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図8における記載は、ガイドユニット128と、右に示したガイド装置144およびアクチュエータ装置146の対との間のクランプ、ならびにこれによって生じたゴンドラの強制制動の瞬間における欠陥事例が示してあることを除いて、
図3に示した記載に相当している。言い換えれば、
図8には、ポイント終端から分岐方向に向かってくる場合に、変位または部分変位させられた位置でブロックされたポイントに対して走行する瞬間における欠陥事例が示してある。
【0050】
図9には、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7もしくは
図8に示したゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。
図9における記載は、ガイドユニット128と、左に示したガイド装置144およびアクチュエータ装置146の対のための導入ジオメトリもしくは挿通部248との間のクランプ、ならびにこれによって生じるゴンドラの強制制動の瞬間における欠陥事例が示してあることを除いて、
図2に示した記載に相当している。言い換えれば、
図9には、ポイント終端から真っ直ぐな方向に向かってくる場合に、変位または部分変位させられた位置でブロックされたポイントに対して走行する瞬間における欠陥事例が示してある。
【0051】
図10には、1つの実施例によるゴンドラリフトシステム100が概略的に示してある。ゴンドラリフトシステム100は、上に記載した図面のうちの1つの図面に示したゴンドラリフトシステムに相当している、または類似している。
【0052】
図10の記載には、複数のゴンドラ110と、支持手段140を支持するための鉄塔1048とが示してある。センサ装置と、固有のキャビンセンサ1000を備えた自律運転式のゴンドラ110の間の無線式のデータ交換との原理が示してあり、キャビンセンサ1000は例えば、移動無線基地1002、または鉄塔1048に取り付けられた通信機器1004と無線で通信するように構成されている。例えばキャビンセンサ1000は、各々のゴンドラ110の環境を表すそれぞれ1つのセンサ信号1005を、移動無線基地1002または他のゴンドラ110に伝送する。付加的に、例えば適合する衛星ナビゲーション信号1006を使用した衛星通信によって、ゴンドラ110の位置特定が行われる。
【0053】
通信機器1004は、例えば、キャビンルーティングのためのクラウドベースのコントロールセンターの形態のサーバ装置1008と、携帯型の端末機器1011との通信のためのユーザインタフェースとに接続されている。サーバ装置1008は、例えば、ユーザインタフェースを介して受信されたユーザデータ1012を使用して制御信号1014を生成し、通信機器1004を介して該当するゴンドラ110の制御装置1016に伝送するように構成されており、制御装置1016は、該当するゴンドラ110の走行機構の少なくとも1つの作動要素を制御するように制御信号1014を使用する。付加的にまたは代替的に、制御装置1016は、ゴンドラ110の走行機構の少なくとも1つの作動要素を制御するように、衛星ナビゲーション信号1006および/またはセンサ信号1005を使用する。付加的に、制御装置1016は、上述した信号のうちの少なくとも1つの制御用の信号を、該当するゴンドラ110の駆動ユニットを制御するように使用する。
【0054】
1つの実施例によれば、切換え命令をゴンドラ110に伝送することができる中央の作動機構を省くことができる。ゴンドラ110に走行目標および場合によっては一般的なウェーポイントを割り当てることが設定されていてもよい。特にこのことから、現在位置と、制御装置1016に格納された走路網の構造とに基づき、ゴンドラ側で切換え過程におけるシーケンスが求められる。切換えは、例えばその都度ポイントもしくは分岐箇所への接近時に、衛星ナビゲーション信号1006または信号発信器のその他のセンサ信号によって、例えば磁気的に走路においてトリガされる。この走路は、前方に位置するポイントをマーキングし、任意選択的には付加的に一意にも同定する。
【0055】
図11には、1つの実施例による制御装置1016が概略的に示してある。制御装置1016は、
図10に基づき記載した制御装置または類似の制御装置である。ゴンドラの走行機構を制御するための制御装置1016は、センサ信号1005、衛星ナビゲーション信号1006、および/または制御信号1014を読み込むための読込み装置1110を含んでいる。制御装置1016の生成装置1120は、読込み装置1110から、3つの信号1005,1006,1014のうちの少なくとも1つの信号を使用して出力された信号1112を受信して、ゴンドラの走行機構の少なくとも1つの作動要素を制御するための制御信号1122を生成する目的で使用するように構成されている。
【0056】
図12には、1つの実施例による方法1200のフローチャートが示してある。方法1200は、上に記載した図面のうちの1つの図面に記載した走行機構、または類似の走行機構を制御するように実施可能である。方法1200は、上で
図11に基づき記載した制御装置、または類似の制御装置によって実施可能である。また方法1200は、上に記載した図面のうちの1つの図面に記載したゴンドラリフトシステムのようなゴンドラリフトシステム、または類似のゴンドラリフトシステムに関連しても実施可能である。この方法1200では、読込みのステップ1210において、衛星ナビゲーション信号、センサ信号、または制御信号、または上述した信号のうちの少なくとも2つの信号が読み込まれる。次いで、生成のステップ1220では、3つの信号のうちの少なくとも1つの信号を使用して、ゴンドラの走行機構の少なくとも1つの作動要素を制御するための制御信号が生成される。
【0057】
次に実施例を再度まとめ、別の言葉で短く説明する。
【0058】
本出願では、レールベースまたはロープベースのモビリティコンセプト、つまりゴンドラリフトシステム100における分岐部および交差点を実現する可能性が記載されている。以下において、実施例を、少なくとも部分的にレールに沿って走行するゴンドラリフト、ロープウェイ、または懸吊式軌道を用いて説明する。方向を変えるもしくは方向を規定する構造群が、走行するゴンドラ110もしくはゴンドラの懸吊部に、より正確に言えば走行機構120に位置している分岐部が実現される。
【0059】
基本原理は、
図1、
図2、および
図3に概略的に示してある。支持手段140のポイントもしくは分岐箇所は、走行区間の、部分242においてフレキシブルな部分を備えた従来の配置形態を有しており、走行区間のこの部分は、例えば分岐方向に変位させることができ、こうして、真っ直ぐな走路を休止位置で開放し、曲がっている走路を閉鎖する。例えば、この走路は、下方に向かって開放された異形材であり、この異形材には、走行ホイール126およびガイドユニット128として形成された、走行機構120の支持ローラおよびガイドローラが係合する。ポイントは、任意の他の走路構成と組み合わせることもできる。ここに記載した受動型のポイントでは、先行するアーム134に取り付けられたローラアセンブリもしくはガイドユニット128を使用するという中心的な観点があり、このローラアセンブリもしくはガイドユニット128は、補助レール、ガイド装置144、およびアクチュエータ装置146と相互作用して、通過中におけるゴンドラ110の前進運動によってポイントの切換えを生じさせる。
【0060】
補助レール、つまりガイド装置144およびアクチュエータ装置146は、それぞれ、走行装置142によって規定された走路の両側に類似の対を成すアセンブリの形態で配置されている。対を成す両アセンブリは、ポイント始点から見てそれぞれ1つの走行方向に相当している。
図6および
図7には、ポイント始点への始動時における走行機構120が2つの異なった走行方向調整で示してある。真っ直ぐな方向でポイントに従うことが望ましい場合には、少なくとも1つの作動要素136は、走行方向に走行機構120から突出しているアーム134を、左に向かって変向させており、これによってガイドローラアセンブリもしくはガイドユニット128は、導入ジオメトリもしくは挿通部248を介して、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とから成る左のガイドレールアセンブリ内に挿通される。
図1に示したように、ガイド要素130とアクチュエータ要素132とを備えたガイドユニット128は、互いに上下に配置された2つのローラを有しており、両ローラは、同時に、ガイド装置144の、上側に位置しているガイドレールにおける下方に向かって開放された溝内と、アクチュエータ装置146の、下側に位置しているアクチュエータレールにおける上方に向かって開放された溝内とで走行する。両ローラは、1つの共通の軸に固く取り付けられているので、両溝、ひいてはガイド装置144およびアクチュエータ装置146、もしくはガイドレールおよびアクチュエータレールは、ガイドローラ係合部もしくはガイドユニット128の係合部の箇所で同一の位置へと強制的にもたらされる。
【0061】
図4および
図5には、
図6および
図7に示した両シナリオの別の経過が示してある。
図4に示した真っ直ぐな走行方向では、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とは既にポイントの基本位置で互いに整合している。したがって、ポイントの運動は行われず、第1の目的は、基本位置におけるポイントの遮断である。
図5に示した曲がっている走行方向では、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とは互いに異なった軌道を走行している。これによって、ガイドユニット128の係合時に、枢動式に支持されていて、走路の部分242もしくはフレキシブルな部分に結合されたアクチュエータ装置146が、右に向かって移動させられることになる。
【0062】
特殊な形状付与によって、主として3つのゾーンが、ガイド装置144とアクチュエータ装置146との協働において生じる。つまり、枢支点を越える走入時には、走行ホイール126の接線方向の走行ひいてはスムーズで摩耗のない走行が得られる。真ん中の領域では、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とは、規定された部分に沿って互いに整合している。この部分は、この部分が曲がっている位置における走路の完全な変向に相当するように選択されている。設計は、走行機構120が走路における分離箇所を通過する限り、ガイドユニット128がこの領域にあるように行われる。外方旋回するアクチュエータ装置146の分離箇所を越えた走行時には、再び接線方向の移行部が実現される。ガイド装置144およびアクチュエータ装置146の位置決めは、走路もしくは走行装置142から側方間隔を置いていることが望ましく、これによって、如何なる位置でも走路の妨害を阻止することができる。鉛直方向では、ガイド装置144およびアクチュエータ装置146は、走路もしくは走行装置142とは別の平面に配置されていて、例えば
図1に示したように走路もしくは走行装置142の下に配置されており、これによって、例えば
図3に示したガイド装置144とアクチュエータ装置146との左の対のような走路の剛性部分との衝突を阻止することができる。
【0063】
実施例は、欠陥機能に対する防止手段をも有している。従来のポイントとは異なり、走路が切換え過程中に短時間空になる、もしくは分岐部の方向からの誤って設定されたポイントに対する走行が問題を生じさせ得るような状況を回避することができる。支持手段140の分岐箇所が受動型のポイントとして構成されている場合、欠陥機能は、基本的に、ガイドユニット128の引っ掛かりまたはその他の妨害を生じさせ、ひいては危険な状況が発生し得る前に、いわば走路におけるゴンドラ110の強制制動を生じさせる。これに関連して
図8および
図9には2つの例が示してある。
図8および
図9には、拡大された導入ジオメトリもしくは挿通部248も使用されており、この導入ジオメトリもしくは挿通部248は、誤って変位させられたアームをも、ガイド装置144とアクチュエータ装置146とから成るガイドレールアセンブリ内へと強制的にもたらす。これによって、ガイド装置144およびアクチュエータ装置146への同時の係合によって生じる走路の閉鎖なしに、ポイント内へのゴンドラ110の走入が決して行われ得ないことが達成される。
図2では、例として、挿通がアーム134の旋回位置とは無関係に行われている。アーム134の付加機能は、組み込まれた緩衝要素またはクラッシュ要素であってもよく、この緩衝要素またはクラッシュ要素は、ガイドユニット128の完全な妨害時に、その際に行われる強制制動を和らげることができる。
【0064】
1つの実施例が、第1の特徴と第2の特徴との間に「および/または」という接続詞を含んでいる場合には、このことは、実施例が1つの実施形態によれば第1の特徴と第2の特徴とを有していて、別の実施形態では第1の特徴だけまたは第2の特徴だけを有していると理解することができる。
【国際調査報告】