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特表2022-552715対象のハドロン療法処置中のハドロンビームのモニタリング方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】対象のハドロン療法処置中のハドロンビームのモニタリング方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A61N5/10 Q
A61N5/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523133
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 FR2020051863
(87)【国際公開番号】W WO2021074551
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】1911704
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516086358
【氏名又は名称】サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】516324939
【氏名又は名称】インスティテュート マインズ‐テレコム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】タース,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥッツマン,ジャン‐セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC05
4C082AE01
4C082AG13
4C082AJ13
4C082AJ20
4C082AN02
4C082AP01
(57)【要約】
本発明は、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞を含む対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングするための方法に関し、ハドロンビームは、複数の離散形ハドロンバーストを含み、該方法は:バーストが対象に影響を与える場合には、バーストのハドロンと対象の組織との相互作用により生成された即発ガンマをコンプトン望遠鏡により検出するステップ(111)、および相互作用体積のイメージを再構築するステップ(112);バーストが対象に影響を与えない場合には、放射性医薬品で標識した腫瘍細胞の位置をコンプトン望遠鏡により抽出するステップ(121)、および腫瘍の総体積のイメージを再構築するステップ(122)を含み;ならびに測定された相互作用体積を測定された腫瘍の総体積に対して位置づけるために、相互作用体積のイメージと腫瘍の総体積のイメージとを比較するステップ(131)を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を有する放射性医薬品で標識された腫瘍細胞を含む対象(1)のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングする方法であって、前記ハドロン療法処置が、ハドロン療法処置中の前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われ、前記ハドロンビームが、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロンバーストを含み、
前記方法は、
-「バースト」が前記対象(10)に影響を与える場合:
・前記「バースト」のハドロンと前記対象の組織との相互作用により生成された即発ガンマを液体キセノンコンプトン望遠鏡(TC)により検出するステップ(111);
・前記検出された即発ガンマを用いて、内部で前記バーストのハドロンが前記対象の組織と相互作用する相互作用体積のイメージを再構築するステップ(112);
-「バースト」が前記対象(11)に影響を与えない場合:
・前記ポジトロンにより生成された前記脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線を前記コンプトン望遠鏡を用いて同時検出することにより、前記放射性医薬品で標識された前記腫瘍細胞の位置を抽出するステップ(121);
・前記ハドロン療法処置中の前記ハドロンビームにより治療される前記腫瘍の総体積のイメージを再構築するステップ(122);
-前記測定された腫瘍の総体積に対して、前記測定された相互作用体積を位置づけるために、前記相互作用体積のイメージと前記腫瘍の総体積のイメージとを比較するステップ(131);
-前記測定された相互作用体積が、前記測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、前記測定された腫瘍の総体積中の前記測定された相互作用体積の位置と、他方の、前記治療計画で定義された前記腫瘍の総体積中の相互作用体積の予め定義された位置との間のズレを計算するステップ(132);
を含む、
方法。
【請求項2】
前記相互作用体積のイメージが、前記対象に影響を与えるそれぞれのバーストに対し得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相互作用体積の予め定義された位置と前記測定された腫瘍の総体積に対し測定された前記相互作用体積の位置との間の前記ズレが予め定義された閾値と比較されるステップ(133)をさらに含む、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記ズレが前記予め定義された閾値より大きくなるたびに、前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、前記ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するステップ(134)を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、前記ハドロン療法処置中に前記ビームに対して前記対象を動かすように構成された電動機械的支持体上に配置され、前記治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つが、前記電動機械的支持体の空間位置に対応する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ズレが前記予め定義された閾値より大きくなるたびに、前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、前記電動機械的支持体の新規空間位置に対応する前記治療計画のパラメーターを計算するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ハドロンビームの新規パラメーターが、前記測定された腫瘍の総体積に対する前記相互作用体積の位置を修正するために、前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する前記加速装置に送信されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ズレが前記予め定義された閾値より大きくなるたびに、前記ハドロンビームを停止することを含むことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモニタリング方法。
【請求項9】
同じコンプトンカメラ基準での前記相互作用体積の三次元イメージと、前記腫瘍の総体積の三次元イメージとのマージから生じる三次元イメージシーケンスの再構築ステップをさらに含む、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のモニタリング方法。
【請求項10】
前記コンプトン望遠鏡が、液体キセノンコンプトン望遠鏡であることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のモニタリング方法。
【請求項11】
ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を有する放射性医薬品で標識された腫瘍細胞を含む対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングするシステムであって、前記ハドロン療法処置が、前記ハドロン療法処置中の前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われ、前記ハドロンビームが、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロンバーストを含み、
前記システムは、
-バーストが前記対象に影響を与える場合には、液体キセノンコンプトン望遠鏡から取得したデータを受信し、内部で前記バーストのハドロンが前記組織と相互作用する前記相互作用体積のイメージが再構築される、前記バーストの前記対象の組織との相互作用により生成された前記即発ガンマの放出点を決定するために、これらのデータを分析するように構成されたビームイメージングモジュール;
-バーストが前記対象に影響を与えない場合には、前記コンプトン望遠鏡、特に、液体キセノンコンプトン望遠鏡により取得した前記データを受信し、ポジトロンにより生成された脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線を同時検出することにより、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞の位置を抽出し、前記腫瘍細胞の位置を使用して、前記ハドロン療法処置中に前記ハドロンビームにより治療される前記腫瘍の総体積のイメージを再構築するために、これらのデータを分析するように構成された腫瘍イメージングモジュール;
-前記測定された腫瘍の総体積に対して、前記測定された相互作用体積を位置づけるために、および前記測定された相互作用体積が、前記測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、前記測定された腫瘍の総体積に対する前記測定された相互作用体積の前記位置と、他方の、前記治療計画で定義された前記腫瘍の総体積中の前記相互作用体積の予め定義された位置との間の前記ズレを計算するために、前記相互作用体積のイメージと前記腫瘍の総体積のイメージとを比較するように構成された評価モジュール;
を含む、
システム。
【請求項12】
前記評価モジュールが、前記相互作用体積の予め定義された位置と、前記測定された腫瘍の総体積に対し前記測定された相互作用体積の位置との間の前記ズレを予め定義された閾値に対し比較するように、さらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ズレが、前記予め定義された閾値より大きくなるたびに、前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、前記ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するように構成された修正モジュールをさらに含む、請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記修正モジュールが、前記測定された腫瘍の総体積に対する前記相互作用体積の位置を修正するために、前記ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する前記加速装置に前記ハドロンビームの新規パラメーターを送信するようにさらに構成される、請求項11~請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ズレが、前記予め定義された閾値より大きくなるたびに、前記ハドロンビームを停止する指示を前記加速装置に送るように構成された安全モジュールをさらに含む、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、癌を罹患している対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングする方法およびシステムに関する。特に、ハドロンビームと対象の組織との間の相互作用域、従って、ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を含む放射性医薬品で標識された治療予定の腫瘍塊に対する送達された線量を間接的にモニタリングするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
ハドロン療法は、陽子線粒子または炭素イオン線ビームを使用する極めて有効な癌治療法である。この革新的技術は、放射線抵抗性、または深い位置にある、もしくは重要臓器の近くにあるという理由で、従来の放射線治療を用いては治療が困難な腫瘍の症例で効果的であることが立証された。ハドロンビームの使用は、線量の付与において、縦、横の両方向で高い精度を可能とする。実際に、エネルギー付与が、患者への侵入時に最初の数センチメートルから最大となり、深さと共に弱くなる光子ビームとは異なり、荷電イオンは、最小入力付与線量を維持しながら、その飛程の終わりにその最大エネルギー(ブラッグピーク)を付与する。さらに、陽子線のラテラルペナンブラ(lateral penumbra)は、光子ビームで得られたものより弱い。しかし、ハドロン療法の高い弾道精度により、この技術は、治療計画に対するあらゆる逸脱の原因(不十分な患者の位置決め、臓器の動きまたはフラクション間の解剖学的変化または腫瘍退縮、体重減少、治療セッション間の解剖学的空洞充填)に敏感である。
【0003】
高い弾道精度の利点を活用するために、放射線により送達される線量の位置の徹底的な検査が必要である。一次ビームが患者の体内で停止する場合、二次放射線、特に体内のハドロンの核反応によるガンマ線により、ハドロンの飛程をリアルタイムでモニタリングできる。
【0004】
イオン誘導超音波、二次電子制動放射測定、またはリアルタイムMRIの場合には磁界中のハドロンビーム偏向に関連する特異的問題を有する磁気共鳴画像法(MRI)などのいくつかのイメージングレジメンは、ハドロンビームのプロファイルに関する情報を得るために有望であるように見える。しかし、これらの技術は、実施が困難な場合がある。現在では、「インビーム」陽電子放出断層撮影(PET)システムが提案されており、これは、組織中のハドロン相互作用により生成された放射性同位元素のベータ崩壊時に放出されたポジトロンの消滅による511keVの同時発生ガンマ線を使用する。しかし、ベータ崩壊する同位体数が少ないために、およびベータ崩壊が、放射性同位元素の寿命の持続時間により、その崩壊に対して遅延することが認められることを考慮すると、比較的長いデータ取得時間が必要になる。その結果として、インビームPETによるリアルタイムビームイメージングは、治療後に送達される線量の位置に関連する情報のみを提供する。さらに、従来のPETシステムと異なり、インビームPETシステムは、「ガントリー」アイソセントリックロータリーヘッドの位置決めを可能とする角度のカバー範囲が減少し、これは、システムの有効容積を減らす。
【0005】
これに関して、Frandesら(Frandes,Mirela,et al.,”A tracking Compton-scattering imaging system for hadron therapy monitoring.” IEEE Transactions on Nuclear Science 57.1(2010):144-150)は、デジタルシミュレーションにより、コンプトン望遠鏡と対生成カメラとの組み合わせをベースにした医療撮像システムの実現可能性を実証した。ハドロン療法に特有の異なるビームエネルギーのためのシステムのシミュレーションは、Frandesらが、送達線量の位置を再構築するために、コンプトン相互作用に特徴的なエネルギー領域におけるこのイメージングシステムのガンマ線検出能力を実証することを可能にした。しかし、消滅からのガンマ線の検出を標的にするこのシステムは、インビームPETと同じ欠点を有する。
【0006】
さらに、患者の内部構造は、1つのセッションと次のセッションの間で、または同じセッションの間で変わる場合がある。従って、患者体積に対し付与された照射の位置と量をリアルタイムでモニタリングできても、確実に標的腫瘍体積全体に照射されると同時に周囲の正常な組織には可能な限り最小限の線量が送達されるようにするには不十分である。実際に、ビームを患者に位置合わせするために使用される外部解剖学的マーカーに対する腫瘍体積の変化は、線量が治療計画に従って送達されず、従って、正常な組織が照射されることになるという点で、重大な結果を招く場合がある。
【0007】
本発明は特に、ハドロン療法処置中に、腫瘍塊の位置およびビームによって患者に送達される線量の位置の両方をリアルタイムでモニタリングできるシステムを提案することで、治療計画に従った線量付与が可能となり、これらの欠点を改善することを意図している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を有する放射性医薬品で標識された腫瘍細胞を含む対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングする方法に関し、ハドロン療法処置は、ハドロン療法処置中のハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われ、ハドロンビームは、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロン「バースト」を含み、該方法は、下記のステップを含む:
-「バースト」が対象に影響を与える場合:
・「バースト」のハドロンと対象の組織との相互作用により生成された「即発ガンマ」を液体キセノンコンプトン望遠鏡により検出するステップ;
・検出された「即発ガンマ」を用いて、内部で「バースト」のハドロンが対象の組織と相互作用する相互作用体積のイメージを再構築するステップ;
-「バースト」が対象に影響を与えない場合:
・ポジトロンにより生成された脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線を液体キセノンコンプトン望遠鏡により同時検出することにより、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞位置を抽出するステップ;
・ハドロン療法処置中のハドロンビームにより治療される腫瘍の総体積のイメージを再構築するステップ;
-測定された腫瘍の総体積に対して、測定された相互作用体積を位置づけるために、相互作用体積のイメージと腫瘍の総体積のイメージとを比較するステップ;
-測定された相互作用体積が、測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、測定された腫瘍の総体積中の測定された相互作用体積の位置と、他方の、治療計画で定義された腫瘍の総体積中の相互作用体積の予め定義された位置との間のズレを計算するステップ。
【0009】
本発明により、ハドロン療法処置セッションをリアルタイムでモニタリングし、相互作用体積のイメージおよび腫瘍の総体積のイメージの再構築ならびに比較により、治療計画に従って治療が行われたかどうかを効果的に評価することが可能である。
【0010】
一実施形態では、相互作用体積のイメージは、対象に影響を与える「バースト」のたびに得られる。これは、対象中のビーム位置をリアルタイムでモニタリング可能にする。
【0011】
一実施形態では、方法は、相互作用体積の予め定義された位置と測定された腫瘍の総体積に対し測定された相互作用体積の位置との間のズレが予め定義された閾値に比較されるステップをさらに含む。好都合にも、この実施形態は、対象内のビームにより送達された線量の分布が、臨床的観点から許容誤差内で、治療計画と一致することを、リアルタイムで確認することを可能にする。
【0012】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するステップを含む。放射線療法処置計画は、通常、ハウンスフィールド単位(HU)を線量分布を計算できる陽子線阻止能に変換することにより「CTスキャン」コンピュータ横断断層撮影法より得られた対象の三次元イメージを基準にして定義される。しかし、CTスキャンは、治療前の所与の位置および所与の時間における対象の静止イメージにすぎない。しかし、ハドロン療法では、排便、呼吸、心拍動などの臓器の動き、または膀胱充満または体重変動に起因する内部構造の変化も密度の変化を生じ、従って、ビーム軌道に沿った放射線飛程の長さが変化する。陽子線治療におけるその影響は、標的臨床体積への著しい過小線量投与、およびリスク臓器および標的から遠位の正常な組織への過大線量投与を生じる可能性がある。この実施形態は、任意の幾何学的変化を考慮に入れ、ハドロンビームのパラメーターをリアルタイムで修正することを可能にし、治療計画の標的腫瘍体積内に線量を送達することを可能にする。
【0013】
一実施形態では、対象は、ハドロン療法処置中にビームに対して対象を動かすように構成された電動機械的支持体上に配置される。この実施形態では、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、電動機械的支持体の空間位置に対応する。
【0014】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、電動機械的支持体の新規空間位置に対応する治療計画のパラメーターを計算するステップを含む。これにより、固定位置にビーム源を据え、「ガントリー」の使用を回避することができる。
【0015】
一実施形態では、ハドロンビームの新規パラメーターは、測定された腫瘍の総体積に対する相互作用体積の位置を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する加速装置に送信される。これにより、ビームの治療計画に対するリアルタイム調整が可能になるフィードバックループが生じる。
【0016】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームを停止する。好都合にも、この実施形態は、リスク臓器への過大線量を防ぐために治療を停止することを可能にする。
【0017】
一実施形態では、方法は、同じコンプトンカメラ基準での相互作用体積の三次元イメージと、腫瘍の総体積の三次元イメージとのマージから生じる三次元イメージシーケンスの再構築ステップをさらに含む。
【0018】
本発明はまた、ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を有する放射性医薬品で標識された腫瘍細胞を含む対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングするシステムに関し、ハドロン療法処置は、ハドロン療法処置中のハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われ、ハドロンビームは、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロン「バースト」を含み、該システムは:
-「バースト」が対象に影響を与える場合には、液体キセノンコンプトン望遠鏡から取得したデータを受信し、「バースト」の対象の組織との相互作用により生成された「即発ガンマ」の放出点(これから、内部で「バースト」のハドロンが組織と相互作用する相互作用体積のイメージが再構築される)を決定するために、これらのデータを分析するように構成されたビームイメージングモジュール;
-「バースト」が対象に影響を与えない場合には、液体キセノンコンプトン望遠鏡により取得したデータを受信し、ポジトロンにより生成された脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線を同時検出することにより、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞の位置を抽出し、腫瘍細胞の位置を使用して、ハドロン療法処置中にハドロンビームにより治療される腫瘍の総体積のイメージを再構築するために、これらのデータを分析するように構成された腫瘍イメージングモジュール;
-測定された腫瘍の総体積に対して、測定された相互作用体積を位置づけるために、および測定された相互作用体積が、測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、測定された腫瘍の総体積に対する測定された相互作用体積の位置と、他方の、治療計画で定義された腫瘍の総体積中の相互作用体積の予め定義された位置との間のズレを計算するために、相互作用体積のイメージと腫瘍の総体積のイメージとを比較するように構成された評価モジュール;
を含む。
【0019】
本発明による方法を実施するシステムは、相互作用体積のイメージおよび腫瘍の総体積のイメージの再構築の結果、好都合にも、対象に送達された線量をリアルタイムでモニタリングすること、および治療計画で提供された線量分布に適合することを確認することを可能にする。
【0020】
一実施形態では、評価モジュールでは、相互作用体積のイメージは、対象に影響を与えるバースト毎に得られる。
【0021】
一実施形態では、評価モジュールは、相互作用体積の予め定義された位置と、測定された腫瘍の総体積に対し測定された相互作用体積の位置との間のズレを予め定義された閾値に対し比較するように、さらに構成される。
【0022】
一実施形態では、対象は、ハドロン療法処置中にビームに対して対象を動かすように構成された電動機械的支持体上に配置され、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、電動機械的支持体の空間位置に対応する。
【0023】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、システムは、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するように構成された修正モジュールをさらに含む。
【0024】
1つの好都合な特徴では、修正モジュールは、測定された腫瘍の総体積に対する相互作用体積の位置を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する加速装置にハドロンビームの新規パラメーターを送信するようにさらに構成される。
【0025】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、システムは、ハドロンビームを停止する指示を加速装置に送るように構成された安全モジュールをさらに含む。
【0026】
一実施形態では、システムは、同じコンプトンカメラ基準に従って、相互作用体積の三次元イメージと、腫瘍の総体積の三次元イメージとのマージから生じる三次元イメージシーケンスを再構築するように構成されたイメージ再構築モジュールをさらに含む。
【0027】
一実施形態では、システムは、液体キセノンコンプトン望遠鏡であるコンプトン望遠鏡を含む。
【0028】
一実施形態では、システムは、加速装置および/または電動機械的支持体を含む。
【0029】
一実施形態では、ハドロンビームのモニタリングのための方法は、コンピュータ実装法である。
【0030】
本発明はまた、コンピュータにより実行される場合、コンピュータが上記ハドロンビームのモニタリング方法を実行する命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0031】
本発明はまた、コンピュータにより実行される場合、コンピュータが上記ハドロンビームのモニタリング方法を実行する命令を含むコンピュータ可読記録媒体に関する。
【0032】
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照して、単なる非限定的例として提示される以下の本発明によるシステムおよび方法のいくつかの実施形態の説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による、治療台および開放型磁気配位(open-configuration)コンプトン望遠鏡の概略的斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態による方法のステップを示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第2の実施形態による、治療台および開放型磁気配位コンプトン望遠鏡の概略的斜視図である。
図4図4は、本発明の第3の実施形態による、治療台および閉鎖型磁気配位(closed-configuration)コンプトン望遠鏡の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本発明では、下記用語は、次のように定義される:
-「バースト」は、同じ加速位相を有するハドロンのバンチを意味する。
-「即発ガンマ」は、ハドロンの対象の組織との核反応後に自然に放出される高速および高エネルギーガンマ線を意味する。
-「リスク臓器(Organs At Risk(OAR))」は、照射関連副作用を可能な限り防ぐために、超えてはならない線量制約値を医師が設定する臓器を意味する。
-「PTV(または計画標的体積(Planning Target Volume))」は、イメージング検査で目視可能な腫瘍の体積(GTVまたは「肉眼的腫瘍体積(Gross Tumor Volume)」)に、治療疾患のタイプに従って、医師により定義される治療マージン分を拡大した体積(CTVまたは「臨床標的体積(Clinical Target Volume)」)に対して、治療プロセスに起因する不正確性(飛程、位置決め、治療機械の固有の不確実性に関する不確定要素、など)により定義されるマージンを加えた体積を意味する。
-「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。本発明では、対象は患者、すなわち、医師の管理下にある人、治療を受けているもしくは受けたことがある人、または疾患の進行の追跡調査を受けている人であり得る。
【0035】
詳細な説明
本発明は、腫瘍を罹患している対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングする方法に関する。
【0036】
典型的には、ハドロン治療センターでは、ハドロンは、通常、サイクロトロンまたはシンクロトロンで、70~250MeVの治療エネルギーで加速されて治療室に送られ、そこで治療ノズルに入る。細い初期ハドロンビームは、横方向および縦方向に分配され、治療可能なように適切にフォーマットされる。使用されるハドロンは、通常、陽子線または炭素イオン線である。ビームの散乱およびフォーマッティングは、受動散乱ハドロン療法(passively-scattered hadron-therapy(PSHT))による患者の治療のための電気機械的手段を用いて実施できる。この技術では特に、陽子線が用いられる。均一走査とも呼ばれる第2のモードは、広視野にわたる粗ビームの走査からなり、その後、患者の解剖学的構造にカスタマイズされたアクセサリーにより、平行化および深さの補償が行われる。これにより、より深い飛程を有するより広い照射野を治療することが可能になる。別の手法は、初期エネルギーシーケンスでのハドロンのミニビームの磁場走査からなる。ハドロンは、カスタマイズされたアクセサリーを使用することなく腫瘍を照射するために、腫瘍中を3つの方向(x,y,z)に、精密、正確に走査される。この技術は、強度変調ハドロン療法で患者を治療するために使用できる。
【0037】
該ハドロン療法は、ハドロン療法処置中のハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われる。
【0038】
ある実施形態では、ビームの少なくとも1つの特性を定義する予め定義されたパラメーターは、使用されるハドロン療法技術に応じて変化する。
【0039】
受動散乱法の場合、飛程変調ホイール(path modulation wheel)および1個または2個の高Z材料で作られた散乱体の使用によりビームの横方向および縦方向散乱が得られ、目的の領域中に平坦で幅広いビームが生成される。変調ホイールは、その回転中にハドロンの飛程上に異なる材料厚さのブレードを挿入してブラッグピークを広げ、標的体積の深さに合わせるように構成される。従って、ブラッグピークの変調は、離散的である。ブレードの厚さと幅は、得られる個別のブラッグピークの合計が均一で均質な深さの線量分布、SOBPまたは「拡大ブラッグピーク(spread-out Bragg peak)」になるように設計される。線量分布を標的体積(+好適なマージン)に横方向で適合させるために、最高エネルギーの入射ハドロンを吸収するために、通常、十分な厚み(2cm~8cm)の真鍮ブロックからなるアパーチャが使用される。最終的に、標的の遠位形状に従って線量分布を生成するために、受動散乱ビームのブラッグピークが距離補償器を用いてさらに広げられる。
【0040】
一実施形態では、ハドロン療法処置は、受動散乱技術を使用する。この実施形態では、予め定義されたパラメーターは、少なくともビームエネルギーおよびハドロン飛程変調(すなわち、SOBP)を含む。実際に、吸収体および補償器は、患者のためにカスタマイズされたアクセサリーであり、その位置は、治療中変化しない。
【0041】
均一走査の場合、能動スキャンシステムが使用され、これは、複数のミニ照射を用いて、腫瘍中で変調されるブラッグピークを構築する。標的体積は、次々と続く層の横方向走査により照射される。専用の変調ホイールを使用して、ブラッグピークを段階的に並進させる。変調ブラッグピークのより良好な明確さを得るために、散乱体の吸収板と変調ホイールのブレードの組み合わせにより、中間的深さの層が照射される。変調されると、陽子線ビームは、第1の位置の垂直磁石により、次に水平磁石により、それぞれYおよびX方向に広範囲に走査される。
【0042】
一実施形態では、ハドロン療法処置は、均一走査技術を使用する。この実施形態では、予め定義されたパラメーターは、少なくともビームエネルギーおよびハドロン飛程変調ならびにビームのYおよびX位置を含む。
【0043】
能動ミニビーム走査は、患者にカスタマイズされたアクセサリーを使用せずに層毎に腫瘍体積全体を走査するために、陽子線の初期エネルギーを変化させながら磁石で正確に水平方向および垂直方向へ元素イオンビームを走査することからなる。深さ(Z)は、エネルギー選択システムによる陽子線ビームエネルギー変調により管理される。微細ビームの面(X,Y)中での位置は、以降で記載するように同じ走査磁石により制御される。一連のスポットはこのように生成され、標的体積全体にわたり分布される。アイソセンターのスポットのサイズは、走査磁石の前に配置された四重極により適合される。その主な利点は、受動ビームフォーマッティングアクセサリーに起因する、生成される中性子の量および出力損失を減らすことの両方である。
【0044】
一実施形態では、ハドロン療法処置は、能動ミニビーム走査技術を使用する。この実施形態では、予め定義されたパラメーターは、少なくともX、YおよびZ座標(すなわち、ビームエネルギー)および各スポットの強度を含む。
【0045】
磁気ビーム走査を実施する技術は、ビーム偏向が30cmx40cmを達成できる治療照射野をカバーすることを可能にする。
【0046】
ハドロン療法処置室では、対象は通常、椅子に座るか、または治療ノズルに対する治療台の予め定義された位置に横たわっており、そのノズルから対象に影響を与えるビームが発生する。
【0047】
一実施形態では、治療ノズルは、対象から予め定義された距離の定位置に配置される。治療ノズルは、ビームFの入射方向が対象の矢状面に垂直に対象に侵入するように対象に対し配置できる。好ましい実施形態では、治療ノズルは、ビームが対象の前部にその入射点を有するように、対象に面して配置される。これにより、正常な組織および/またはリスク臓器への通過は可能な限り少なく、対象内で標的体積までビームを透過させて、正常な組織および/またはリスク臓器が受ける線量を減らすことを可能にする。
【0048】
定位置で治療ノズルを用いることにより、ビームFの入射方向、従って、組織中の入射点も、磁場走査を使用するだけで変更することができ、これにより、ビームを小量ずらすことが可能になる。
【0049】
180°超の円弧状部分にわたりビームの入射角を変えることを可能とするために、ある実施形態では、治療台Tは、特に、ハドロン療法処置中に、ビームの入射点に対して対象を動かすように構成される。図1に示されるこの第1の実施形態では、治療台Tは、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。
【0050】
この第1の実施形態では、コンプトン望遠鏡TCは、対象の上部に到達したビームFの通過を可能とするように、軸A1に対し対称で、A2の方向に沿って相互から分離した2つの中空半円筒の形態の2つのコンプトン半検出器を含む。2つの半円筒は、相補的であり、連結すると、完全な中空円筒を形成できる。特に、各半検出器は、角度180°を有する円弧を形成する。この実施形態では、コンプトン半検出器は、軸A1、A2およびA3の軸に沿って両方向に並進でき、および軸A3の周りに回転できる。
【0051】
図3に示される第2の実施形態では、治療台Tは同様に、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。コンプトン望遠鏡TCは、対象の側面に到達したビームFの通過を可能とするように、軸A1に対し対称で、A3の方向に沿って相互から分離した2つの中空半円筒の形態の2つのコンプトン半検出器を含む。
【0052】
第1および第2の実施形態のコンプトン望遠鏡の配置は、本記述では、「開放型磁気配位コンプトン望遠鏡」と呼ばれる。第1および第2の実施形態では、各コンプトン半検出器は、ビームFの対象への入射位置および方向にさらに適合するように互いに独立して移動でき、同時に、対象に対するコンプトン望遠鏡TCの可能な最も近接した配置を保持する。実際に、コンプトン望遠鏡は、2つの半検出器が対象に最も近接している場合に、より高い空間分解能を有し、より多くの数のイベント(すなわち、即発ガンマ、脱励起ガンマ線または消滅ガンマ)の検出を可能とする。
【0053】
図4に示す第3の実施形態では、コンプトン望遠鏡は、中空円筒の形態を有し、対象の側面に到達するビームFの通過を可能にできる寸法を有する側面スリットを含む単一検出体積を含む。この配置のコンプトン望遠鏡は、本記述では、「閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡」と呼ばれる。治療台Tは、軸A1に沿って位置合わせされ、中空円筒の長手方向軸も同様である。治療台Tは、閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡内で移動でき、特に、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。この実施形態では、コンプトン望遠鏡は、機械的支持体上に取り付けられ、軸A1、A2およびA3に沿って並進し、軸A3の周りに旋回できるように電動化される。
【0054】
第1、第2および第3の実施形態では、その上に対象が配置される治療台Tは、本明細書の以降で記載の自由度で移動可能な電動機械的支持体(図示せず)上に強固に取り付けられている。電動機械的支持体は、特に、2~15°で変化する間隔で治療台Tの回転運動を可能にでき、0.5cm~5cmで変化する間隔で並進運動を可能にできる。
【0055】
ある実施形態では、電動支持体は、0.1cm~1cmの感度を有するように構成されたロボット位置決めアームである。
【0056】
電動機械的支持体上に治療台Tを含むいくつかの実施形態では、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、治療台T、従って、電動機械的支持体の空間位置に対応する。この特に有利な実施形態は、180°を超える可変角度を有するビームを送達するように構成された巨大なアイソセントリックロータリーヘッド(「ガントリー」)の使用を回避可能にする。治療ノズルが組み込まれた「ガントリー」は、電動治療ベッドに比べて、製造コストが極めて高い。その結果、「ガントリー」の使用の回避は、ハドロン療法インフラの構築コストの低減が可能となり、この技術をより利用し易くする。
【0057】
コンプトン望遠鏡が移動できるいくつかの実施形態では、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡の空間位置または開放型磁気配位コンプトン望遠鏡の各コンプトン半検出器の空間位置に対応する。
【0058】
本発明による方法で使用される加速装置は、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロン「バースト」を含むハドロンビームを生成する。
【0059】
一実施形態では、使用されるハドロンビームを生成する加速装置は、シンクロトロンまたは線形加速器である。シンクロトロンは、所望のエネルギーでハドロンをバンチ(パルス)として加速する。バンチが必要なエネルギーに達すると、それは抽出され、「ビームライン」を経由して治療室に送られる。しかし、加速器のタイプに関係なく、抽出されたナロー単色ビームがビームラインを経由して治療ノズルに磁気的に誘導される。
【0060】
一実施形態では、加速装置は、誘導セルを含む「デジタル」シンクロトロンであり、磁石は、外側ビーム制御手段およびそれらを制御できるオンボードコンピュータ(スイッチおよびFPGA)によりその操作の急速変化を受ける。
【0061】
「バースト」の相互作用は、材料中で、自己活性化および荷電粒子の放出に加えて、「即発ガンマ」と呼ばれる高エネルギーガンマ線の急速放出を生じる。「即発ガンマ」生成プロファイルは、ハドロン飛程と十分に相互関係がある。従って、「即発ガンマ」の検出は、ビームと、対象における線量付与の相互作用点を効果的にモニタリングするために使用できる。
【0062】
図2は、いくつかのデータ取得および計算ステップを含む方法の実施形態を示す。
【0063】
本発明による方法は、その内部で「バースト」のハドロンが対象組織と相互作用する相互作用体積および腫瘍の総体積の一連のイメージを得ることにより、ハドロン療法処置のリアルタイムモニタリングを可能とするように構成される。相互作用体積のイメージは、「バースト」が対象に影響を与える間のみに得ることができる。
【0064】
従って、方法は、「バースト」が対象10に影響を与える場合、第1フェーズを含み、この第1フェーズは、以下のステップを含む:
-「バースト」のハドロンと対象の組織との相互作用により生成された「即発ガンマ」をコンプトン望遠鏡により検出するステップ111;
-検出された「即発ガンマ」を用いて、内部で「バースト」のハドロンが対象組織と相互作用する相互作用体積のイメージを再構築するステップ112。
【0065】
好ましい実施形態では、コンプトン望遠鏡は液体キセノンコンプトン望遠鏡である。その高密度および高原子番号などの液体キセノンの基本的な物理学的性質は、電離放射線に高い阻止能を付与し、これにより、液体キセノンは、数十KeV~数十MeVの範囲のエネルギーのガンマ線検出器として理想的材料になっている。液体キセノンは、電離放射線を検出するための優れた活性媒体および優れたシンチレーターの両方の性質があり、均質高感度媒体を含む大きな寸法の検出器の構築を可能にする。コンプトン望遠鏡は、相互作用体積中の入射光子の連続的相互作用(2回以上)を使用する。相互作用点および各相互作用で付与されたエネルギーに基づいて、入射光子の方向は、コンプトン動力学の適用によりコーンに変換できる。光子源の位置は、同じ光源の光子からのその後の相互作用から推測される異なるコンプトンコーンの交点により決定できる。従って、このタイプの検出器は、コンプトン散乱が主要なプロセスである場合の対応する数MeVのエネルギーの範囲の「即発ガンマ」の検出に十分に適合される。
【0066】
測定された相互作用体積のイメージは、三次元イメージであり得る。
【0067】
一実施形態では、相互作用体積のイメージは、対象に影響を与えるそれぞれの「バースト」に対し得られる。この実施形態では、イメージ取得頻度は、加速装置中での「バースト」生成頻度に依存する。1秒当たりに取得されるイメージ数は、従って、5~30の間で変動し得る。
【0068】
一実施形態では、コンプトン望遠鏡は、「バースト」の各イメージに対し約1mmの空間分解能を有するように構成される。
【0069】
本発明では、対象の腫瘍細胞は、ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を含む放射性医薬品で標識される。これは、三光子イメージング原理の使用により、放射性マーカーの位置の特定を可能にする。実際に、ポジトロンは、逆方向に動く511keVの二光子(「連続的ガンマ(back-to-back gamma)」)に消滅する前に、組織中の(1mmのオーダーの)短い飛程に沿って移動する。
【0070】
三光子イメージングは、コンプトン望遠鏡と、ポジトロンおよび脱励起ガンマ線をほぼ同時に放出する放射性同位元素を有する放射性医薬品の併用使用に基づいている。
【0071】
2つの消滅光子の同時検出は、応答線(LOR)、すなわち、コンプトン望遠鏡中の、および組織中のポジトロンの消滅点を通過する消滅光子の2つの相互作用点を結ぶ線をプロットすることを可能にする。放射性同位元素の位置は、従って、LORと、コンプトン望遠鏡による脱励起ガンマの相互作用に基づいて定義されるコンプトンコーンとの間の交点として得ることができる。コンプトンコーンの表面は、脱励起ガンマの入射方向を含み、コンプトン動力学から直接推測できる。コンプトンコーンのアパーチャ角度、θは、コンプトン散乱式により定義され、コンプトンコーンの軸は、望遠鏡に入る脱励起ガンマの2つの相互作用点の最初の点を用いて決定される。
【0072】
この技術は好都合にも、イメージを得るために必要な崩壊の数を減らすことができ、従って、収集時間および/または患者当りに接種する物質の量を減らすことができる。
【0073】
方法の第1フェーズは、「バースト」が対象11に影響を与えない場合には、下記のステップを含む:
-上述のように、ポジトロンにより生成された脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線をコンプトン望遠鏡を用いて同時検出することにより、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞の位置を抽出するステップ121;
-腫瘍細胞の位置に基づいて、ハドロン療法処置中のハドロンビームにより治療される腫瘍の総体積のイメージを再構築するステップ122。
【0074】
好ましい一実施形態では、放射性医薬品で使用される放射性同位元素は、44Scであり、これは、1.157MeVのエネルギーのポジトロンおよび光子を空間的および時間的にほぼ同時に放出する。
【0075】
腫瘍の総体積のイメージは、「即発ガンマ」によって生成された信号によるイメージの汚染を防ぐために、2つの連続する「バースト」間で取得される
【0076】
一例では、コンプトン望遠鏡の構造は、10秒の取得の場合、腫瘍の総体積のイメージの空間分解能は約1mmであるようなものである。得られた解像度は、検出器の物理的制限および対象中に注入された同位体の活性による。
【0077】
一実施形態では、腫瘍の総体積のイメージは、三次元イメージである。
【0078】
方法は、次のステップを含む第2フェーズをさらに含む:
-測定された腫瘍の総体積に対して、測定された相互作用体積を位置づけるために、相互作用体積のイメージと腫瘍の総体積のイメージとを比較するステップ131;
-測定された相互作用体積が、測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、測定された腫瘍の総体積中の測定された相互作用体積の位置と、他方の、治療計画で定義された腫瘍の総体積中の相互作用体積の予め定義された位置との間のズレを計算するステップ132。
【0079】
ズレは、イメージを重ねあわせることにより計算できる。測定された相互作用体積のイメージおよび測定された腫瘍の総体積のイメージが同じ検出器により取得され、従って、同じ基準に対して再構築されると、ズレを得ることは容易である。
【0080】
比較フェーズは、治療計画を生成するために計算ソフトウェアで計算された位置に対して、ブラッグピークの実際の位置を比較することを可能にする。
【0081】
一実施形態では、方法は、相互作用体積の予め定義された位置と測定された腫瘍の総体積に対し測定された相互作用体積の位置との間のズレが予め定義された閾値と比較されるステップ133をさらに含む。予め定義された閾値は、標的体積の周りの1mm~5mmのマージン(PTV)に対応し得る。閾値はまた、標的体積を取り囲むリスク臓器の放射線感受性を基準にしても定義できる。例えば、予め定義された閾値は、放射線感受性の高いリンパ節側への0.5mmのマージンおよび放射線感受性の低い肺の方向への1mmのマージンに対応する。
【0082】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するステップ134を含む。
【0083】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、電動機械的支持体の新規空間位置に対応する治療計画のパラメーターを計算するステップを含む。
【0084】
一実施形態では、ハドロンビームの新規パラメーターは、測定された腫瘍の総体積に対する相互作用体積の位置を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する加速装置に送信される。
【0085】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、方法は、ハドロンビームを停止することを含む。これは、治療計画に従わないいずれの照射をも回避する安全対策を有することを可能にする。
【0086】
一実施形態では、方法は、同じコンプトンカメラ基準での相互作用体積の三次元イメージと、腫瘍の総体積の三次元イメージとのマージから生じる三次元イメージシーケンスの再構築ステップをさらに含む。このようなイメージシーケンスは、視覚情報を医療専門家に提供するスクリーンにより、リアルタイムで見ることができる。
【0087】
本発明は、対象のハドロン療法処置中のハドロンビームをモニタリングするシステムにも関する。システムは、ハドロン療法処置中のハドロンビームの少なくとも1つの特性を経時的に定義するために、予め定義された時間の関数としてのパラメーターを含む治療計画に従って行われるハドロン療法処置中に、加速装置により予め定義された周波数で放出される複数の離散形ハドロン「バースト」を含むハドロンビームをモニタリングするように構成される。
【0088】
ハドロンビームをモニタリングするシステムがこれから詳述される。以降では、モジュールは、物理的に別々のハードウェア構成要素としてではなく、機能的実体として理解されたい。従って、それらは、同じ具体的ハードウェア構成要素にグループ分けするか、またはいくつかのこれらの構成要素に分類できる。さらに、これらのモジュールのそれぞれは、任意選択で、少なくとも2つの物理的構成要素間で順番に共有される。さらに、モジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、マイクロプログラムまたは任意のそれらの組み合わせた他の形態に実装される。
【0089】
システムは、「バースト」が対象に影響を与える場合、コンプトン望遠鏡から取得したデータを受信するように構成されたビームイメージングモジュールを含む。ある実施形態では、データ取得は、オンラインおよび連続的に実施される。対象への「バースト」の発送に対応する時間枠中に取得されたデータは、ビームイメージングモジュールに送信される。このモジュールは、「バースト」の対象の組織との相互作用により生成された「即発ガンマ」の放出点を決定するために、これらのデータを分析するようにさらに構成される。従って、このモジュールは、「即発ガンマ」の放出点を用いて、内部で「バースト」のハドロンが組織と相互作用する相互作用体積のイメージを再構築する。
【0090】
一実施形態では、ビームイメージングモジュールは、コンプトン望遠鏡の有効容積中の「即発ガンマ」の相互作用に基づかないイベントに対応する全てのデータを特定し、拒絶するようにさらに構成される。
【0091】
システムはまた、「バースト」が対象に影響を与えない場合、コンプトン望遠鏡により取得したデータを受信するように構成された腫瘍イメージングモジュールを含む。ある実施形態では、データ取得はオンラインおよび連続的に実施され、2つの引き続いて起こる対象の「バースト」間で取得されたデータのみが、腫瘍イメージングモジュールに送信される。これは、腫瘍細胞により捕捉された放射性同位元素のベータ崩壊からのデータのみを選択することを可能にする。このモジュールは、ポジトロンにより生成された脱励起ガンマ線および2つの消滅ガンマ線を同時検出することにより、放射性医薬品で標識された腫瘍細胞の位置を抽出し、腫瘍細胞の位置を使用して、ハドロン療法処置中にハドロンビームにより治療される腫瘍の総体積のイメージを再構築するために、これらのデータを分析するようにさらに構成される。
【0092】
一実施形態では、コンプトン望遠鏡は液体キセノンコンプトン望遠鏡である。
【0093】
システムは、測定された腫瘍の総体積に対して、測定された相互作用体積を位置づけるために、および測定された相互作用体積が、測定された腫瘍の総体積中に少なくとも部分的に含まれるたびに、一方の、測定された腫瘍の総体積に対する測定された相互作用体積の位置と、他方の、治療計画で定義された腫瘍の総体積中の相互作用体積の予め定義された位置との間のズレを計算するために、相互作用体積のイメージと腫瘍の総体積のイメージとを比較するように構成された評価モジュールをさらに含む。
【0094】
一実施形態では、方法の評価モジュールは、相互作用体積の予め定義された位置と、測定された腫瘍の総体積に対し測定された相互作用体積の位置との間のズレを予め定義された閾値に対し比較するように、さらに構成される。
【0095】
一実施形態では、ズレが予め定義された閾値より大きくなるたびに、システムは、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの新規パラメーターを計算するように構成された修正モジュールをさらに含む。
【0096】
この記述の最初の部分で説明したように、ハドロンビームの特性を定義する予め定義されたパラメーターは、ハドロン療法処置のタイプにより変化する。治療ノズルで行える治療の種類に基づいて、セッション中に動的に影響を受け得る予め定義されたパラメーターには、ビームエネルギー、ハドロン飛程変調(すなわち、SOBP)、ハドロン飛程変調および/またはビームのXおよびY位置が含まれる。
【0097】
一実施形態では、修正モジュールは、測定された腫瘍の総体積に対する相互作用体積の位置を修正するために、ハドロンビームの少なくとも1つの特性を修正する加速装置にハドロンビームの新規パラメーターを送信するようにさらに構成される。
【0098】
ある実施形態では、加速装置は、治療室内で、治療台に対し定位置で配置された治療ノズルを含む。
【0099】
ある実施形態では、治療台Tは、特に、ハドロン療法処置中に、ビームの入射点に対して対象を動かすように構成される。図1に示されるこの第1の実施形態では、治療台Tは、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。
【0100】
この第1の実施形態では、コンプトン望遠鏡TCは、対象の上部に到達したビームFの通過を可能とするように、軸A1に対し対称で、A2の方向に沿って相互から分離した2つの中空半円筒の形態の2つのコンプトン半検出器を含む。2つの半円筒は、相補的であり、連結すると、完全な中空円筒を形成できる。特に、各半検出器は、角度180°を有する円弧を形成する。この実施形態では、コンプトン半検出器は、軸A1、A2およびA3の軸に沿って両方向に並進でき、および軸A3の周りに回転できる。
【0101】
図3に示される第2の実施形態では、治療台Tは同様に、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。コンプトン望遠鏡TCは、対象の側面に到達したビームFの通過を可能とするように、軸A1に対し対称で、A3の方向に沿って相互から分離した2つの中空半円筒の形態の2つのコンプトン半検出器を含む。
【0102】
第1および第2の実施形態のコンプトン望遠鏡の配置は、本記述では、「開放型磁気配位コンプトン望遠鏡」と呼ばれる。第1および第2の実施形態では、各コンプトン半検出器は、ビームFの対象への入射位置および方向にさらに適合するように互いに独立して移動でき、同時に、対象に対するコンプトン望遠鏡TCの可能な最も近接した配置を保持する。実際に、コンプトン望遠鏡は、2つの半検出器が対象に最も近接している場合に、より高い空間分解能を有し、より多くの数のイベント(すなわち、即発ガンマ、脱励起ガンマ線または消滅ガンマ)の検出を可能とする。
【0103】
図4に示す第3の実施形態では、コンプトン望遠鏡は、中空円筒の形態を有し、対象の側面に到達するビームFの通過を可能にできる寸法を有する側面スリットを含む単一検出体積を含む。この配置のコンプトン望遠鏡は、本記述では、「閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡」と呼ばれる。治療台Tは、軸A1に沿って位置合わせされ、中空円筒の長手方向軸も同様である。治療台Tは、閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡内で移動でき、特に、3軸A1、A2およびA3の周りに両回転方向に回転でき、および軸A1、A2およびA3に沿って各軸の両反対方向に並進できる。この実施形態では、コンプトン望遠鏡は、機械的支持体上に取り付けられ、軸A1、A2およびA3に沿って並進し、軸A3の周りに旋回できるように電動化される。
【0104】
第1、第2および第3の実施形態では、その上に対象が配置される治療台Tは、本明細書の以降で記載の自由度で移動可能な電動機械的支持体(図示せず)上に強固に取り付けられ、ている。電動機械的支持体は、特に、2~15°で変化する間隔で治療台Tの回転運動を可能にでき、0.5cm~5cmで変化する間隔で並進運動を可能にできる。
【0105】
一実施形態では、電動支持体は、0.1cm~1cmの感度を有するように構成されたロボット位置決めアームである。
【0106】
電動機械的支持体上に治療台Tを含むいくつかの実施形態では、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、電動機械的支持体、特に、治療台Tの空間位置に対応する。修正モジュールは、ハドロンビームの少なくとも1つの特性、特にビームの方向および入射点に対応する特性を修正するために、電動機械的支持体の新規空間位置に対応する治療計画の新規パラメーターを計算するようにさらに構成される。
【0107】
コンプトン望遠鏡が移動できるいくつかの実施形態では、治療計画の予め定義されたパラメーターの少なくとも1つは、閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡の空間位置または開放型磁気配位コンプトン望遠鏡の各コンプトン半検出器の空間位置に対応する。修正モジュールは、閉鎖型磁気配位コンプトン望遠鏡または開放型磁気配位コンプトン望遠鏡の各コンプトン半検出器の新規空間位置に対応する治療計画の新規パラメーターを計算するようにさらに構成される。
【0108】
一実施形態では、修正モジュールは、ビームの入射方向および/または入射点、従って、測定された腫瘍の総体積に対する相互作用体積の位置を修正するために、電動機械的支持体の新規位置に関連するハドロンビームの新規パラメーターを電動機械的支持体に送信するようにさらに構成される。
【0109】
一実施形態では、システムは、同じコンプトンカメラ基準に従って、相互作用体積の三次元イメージと、腫瘍の総体積の三次元イメージとのマージから生じる三次元イメージシーケンスを再構築するように構成されたイメージ再構築モジュールを含む。これは、治療セッションのフィルムを得ることを可能にする。
【0110】
一実施形態では、システムのモジュールは、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのプロセッサ可読記録媒体を含む。
【0111】
用語「プロセッサ」は、ソフトウェアを実行することができる「ハードウェア」に限定されると解釈されるべきではなく、一般に、処理装置を意味し、これは、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラマブルロジックコントローラ(PLD)を含み得る。プロセッサはまた、インフォグラフィックおよびイメージ処理または他の機能のために使用されるかどうかにかかわらず、1つまたは複数のグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含むことができる。さらに、関連および/または得られた機能を実行するための命令および/またはデータは、プロセッサにより読み取り可能な任意の媒体、例えば、集積回路、ハードドライブ、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多目的ディスク)などの光学的ディスク、RAM(ランダムアクセスメモリ)またはROM(読出し専用メモリ)などに保存できる。命令は、特に、ハードウェア、ソフトウェア、マイクロプログラムまたはこれらの任意の組み合わせに保存できる。
【0112】
本発明はまた、コンピュータにより実行される場合、コンピュータが上記ハドロンビームのモニタリング方法を実行する命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0113】
本発明はまた、コンピュータにより実行される場合、コンピュータが上記ハドロンビームのモニタリング方法を実行する命令を含むコンピュータ可読記録媒体に関する。
【0114】
ある実施形態では、コンピュータ可読記録媒体は、非一時的である。

図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】