(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(54)【発明の名称】燃料電池の逆電圧耐久性を向上させることができる膜-電極アセンブリー、その製造方法、及びそれを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1004 20160101AFI20221212BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20221212BHJP
【FI】
H01M8/1004
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523369
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2020019002
(87)【国際公開番号】W WO2021137517
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179673
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】コン ナクウォン
(72)【発明者】
【氏名】ナム キョンシク
(72)【発明者】
【氏名】ソン カヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンヨン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126BB06
5H126FF05
(57)【要約】
燃料電池の出力性能の低下なしにも、水素ガスの供給減少及び/又は供給中断による炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を防止することによって燃料電池の逆電圧耐久性を向上させることができる膜-電極アセンブリー、その製造方法、及びそれを含む燃料電池が開示される。本発明の膜-電極アセンブリーは、第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜;前記第1面上のアノード;前記第1面上のOER触媒層;及び、前記第2面上のカソードを含み、前記OER触媒層は、酸素生成反応触媒を含み、前記OER触媒層の少なくとも一部は、前記アノードと同一層に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜;
前記第1面上のアノード;
前記第1面上のOER触媒層;及び
前記第2面上のカソード
を含み、
前記OER触媒層は、酸素生成反応触媒を含み、
前記OER触媒層は、前記アノードと接触し、
前記OER触媒層の少なくとも一部は、前記OER触媒層の厚さ方向に前記アノードと重ならない、膜-電極アセンブリー。
【請求項2】
前記酸素生成反応触媒は、IrO
2、RuO
2、TiO
2、Ir
xSn
1-xO
2(xは0超過1未満の実数)、PtIr、IrRu、PtRuIr、又はこれらの2以上の混合物を含む、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項3】
前記酸素生成反応触媒は、炭素系担体に担持されている、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項4】
前記アノードは、前記酸素生成反応触媒を含まない、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項5】
前記アノードは、前記カソードに対応する大きさ及び形態を有する、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項6】
前記OER触媒層の全体がその厚さ方向に前記アノードと重ならない、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項7】
前記OER触媒層は、前記第1面上で前記アノードと並んで配置されている、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項8】
前記OER触媒層は、前記第1面上で前記アノードを取り囲む、請求項1に記載の膜-電極アセンブリー。
【請求項9】
第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜を準備する段階;
前記第1面上にアノードを形成する段階;
前記第1面上にOER触媒層を形成する段階;及び
前記第2面上にカソードを形成する段階を含み、
前記OER触媒層は、酸素生成反応触媒を含み、
前記OER触媒層は、前記アノードと接触し、
前記OER触媒層の少なくとも一部は、前記OER触媒層の厚さ方向に前記アノードと重ならない、膜-電極アセンブリー製造方法。
【請求項10】
前記第1面上に前記アノードを形成する段階は、第1離型フィルム上に前記アノードを形成する段階;及び、前記第1離型フィルム上に形成された前記アノードを、前記第1面の第1領域上に転写する段階を含み、
前記第1面上に前記OER触媒層を形成する段階は、第2離型フィルム上に前記OER触媒層を形成する段階;及び、前記第2離型フィルム上に形成された前記OER触媒層を、前記第1面の第2領域上に転写する段階を含み、
前記第2面上に前記カソードを形成する段階は、第3離型フィルム上に前記カソードを形成する段階;及び、前記第3離型フィルム上に形成された前記カソードを、前記第2面上に転写する段階を含む、請求項9に記載の膜-電極アセンブリー製造方法。
【請求項11】
前記アノードの転写、前記OER触媒層の転写、及び前記カソードの転写は、同時に行われる、請求項10に記載の膜-電極アセンブリー製造方法。
【請求項12】
請求項1の膜-電極アセンブリー;及び
前記アノードと前記OER触媒層上に配置されるセパレーターを含み、
前記セパレーターは、燃料流入口(fuel inlet)、燃料排出口(fuel outlet)、及び前記燃料流入口と前記燃料排出口との間の流動チャネル(flow channel)を有し、前記OER触媒層は、前記燃料流入口及び前記燃料排出口の少なくとも一方と重なる、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用膜-電極アセンブリー、その製造方法、及びそれを含む燃料電池に関し、より具体的には、燃料電池の出力性能の低下なしにも、水素ガスの供給減少及び/又は供給中断による炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を防止することによって燃料電池の逆電圧耐久性(reversal tolerance)を向上させることができる膜-電極アセンブリー、その製造方法、及びそれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
膜-電極アセンブリー(Membrane-Electrode Assembly: MEA)とセパレーター(separator)[‘バイポーラプレート(bipolar plate)’ともいう。]とからなる単位セル(unit cell)の積層構造を用いて電気を発生させる高分子電解質膜燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)は、高いエネルギー効率性と環境にやさしい特徴から、化石エネルギーを代替できる次世代エネルギー源として注目されている。
【0003】
前記膜-電極アセンブリーは、一般に、アノード(anode)(‘燃料極’ともいう。)、カソード(cathode)(‘空気極’ともいう。)、及びそれらの間における高分子電解質膜(polymer electrolyte membrane)を含む。
【0004】
水素ガスのような燃料がアノードに供給されると、アノードでは水素の酸化反応によって水素イオン(H+)と電子(e-)が生成される。生成された水素イオンは、高分子電解質膜を通じてカソードに伝達され、生成された電子は、外部回路を通じてカソードに伝達される。カソードに供給される酸素が前記水素イオン及び前記電子と結合して還元されることによって水が生成される。
【0005】
炭素系担体上に多数の金属粒子(metal particles)(例えば、白金系ナノ粒子)が分散されている触媒が、アノードとカソードの製造に最も一般的に用いられている。
【0006】
前記アノードで発生する反応には、(i)水素ガスの正常供給中に起きる下記の反応式1の水素酸化反応(Hydrogen Oxidation Reaction:HOR)と、(ii)燃料不足などに起因して水素ガスの供給が減少又は中断する際に起きる下記の反応式2及び/又は反応式3の炭素酸化反応(Carbon Oxidation Reaction:COR)がある。
【0007】
[反応式1]
【0008】
2H2→4H++4e-
【0009】
[反応式2]
【0010】
C+2H2O→CO2+4H++4e-
【0011】
[反応式3]
【0012】
C+H2O→CO+2H++2e-
【0013】
前記炭素酸化反応(COR)は前記炭素系担体を腐食させてしまい、前記水素酸化反応(HOR)のための触媒(以下、‘HOR触媒’)における金属の消失及びそれによるアノードの劣化を招く。
【0014】
炭素酸化反応(COR)を抑えるための一方案として、下記の反応式4の酸素生成反応(Oxygen Evolution Reaction:OER)を誘導することによって前記炭素酸化反応(COR)を抑えることができる触媒(以下、‘OER触媒’)を用いることが提案された。OER触媒は、アノードの電圧を低く維持することにより、炭素系担体の腐食及びそれによる触媒金属の消失を防止することができる。
【0015】
[反応式4]
【0016】
2H2O→O2+4H++4e-
【0017】
OER触媒の導入を提案した従来技術によれば、(i)前記OER触媒がアノード内でHOR触媒と共に存在する、(ii)前記OER触媒がアノードと高分子電解質膜との間に配置される別個の層内に存在する、或いは(iii)前記OER触媒がアノードとガス拡散層(Gas Diffusion Layer:GDL)との間に配置される別個の層内に存在する。
【0018】
しかしながら、前記OER触媒がアノード内でHOR触媒と共に存在する場合には、前記HOR触媒の金属(例えば、Pt)の周辺にOER触媒の金属(例えば、Ir、Ruなど)が位置し、前記HOR触媒の金属の触媒活性に悪影響を及ぼしてしまう。結果的に、アノードにおける水素酸化反応(HOR)が弱化するため、アノードで水素が酸化する際にアノードに過電圧がかかり、燃料電池の出力性能が低下する。特に、前記OER触媒が酸化物である場合には、電気伝導度の低下を引き起こし、燃料電池の出力性能がさらに低下する。
【0019】
アノードと高分子電解質膜との間又はアノードとGDLとの間に別個のOER触媒層を配置することも、OER触媒層のため、陽子伝達抵抗(proton transport resistance)が増加するか(OER触媒層がアノードと高分子電解質膜との間に配置される場合)或いは電子伝達抵抗が増加してしまい(OER触媒層がアノードとGDLとの間に配置される場合)、燃料電池の出力が低下せざるをえないという点で好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、上述のような関連技術の制限及び欠点に起因する問題点を防止できる膜-電極アセンブリー、その製造方法、及びそれを含む燃料電池に関する。
【0021】
本発明の一観点は、燃料電池の出力性能の低下なしにも、水素ガスの供給減少及び/又は供給中断による炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を防止することによって燃料電池の逆電圧耐久性を向上させることができる膜-電極アセンブリーを提供することである。
【0022】
本発明の他の観点は、燃料電池の出力性能の低下なしにも、水素ガスの供給減少及び/又は供給中断による炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を防止することによって燃料電池の逆電圧耐久性を向上させることができる膜-電極アセンブリーを製造する方法を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の観点は、高い出力性能及び優れた逆電圧耐久性を有する燃料電池を提供することである。
【0024】
上に言及された本発明の観点の他にも、本発明の別の特徴及び利点が以下に説明されるか、それらの説明から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上のような本発明の一観点によって、第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜;前記第1面上のアノード;前記第1面上のOER触媒層;及び、前記第2面上のカソードを含み、前記OER触媒層は、酸素生成反応触媒を含み、前記OER触媒層は、前記アノードと接触し、前記OER触媒層の少なくとも一部は、前記OER触媒層の厚さ方向に前記アノードと重ならない、膜-電極アセンブリーが提供される。
【0026】
前記酸素生成反応触媒は、IrO2、RuO2、TiO2、IrxSn1-xO2(xは0超過1未満の実数)、PtIr、IrRu、PtRuIr、又はこれらの2以上の混合物を含むことができる。
【0027】
前記酸素生成反応触媒は、炭素系担体に担持されていてよい。
【0028】
前記アノードは、前記酸素生成反応触媒を含まなくてよい。
【0029】
前記アノードは、前記カソードに対応する大きさ及び形態を有してよい。
【0030】
前記OER触媒層の全体がその厚さ方向に前記アノードと重ならなくてよい。
【0031】
前記OER触媒層は、前記第1面上で前記アノードと並んで配置されてよい。
【0032】
前記OER触媒層は、前記第1面上で前記アノードを取り囲むことができる。
【0033】
本発明の他の観点によって、第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜を準備する段階;前記第1面上にアノードを形成する段階;前記第1面上にOER触媒層を形成する段階;及び、前記第2面上にカソードを形成する段階を含み、前記OER触媒層は、酸素生成反応触媒を含み、前記OER触媒層は、前記アノードと接触し、前記OER触媒層の少なくとも一部は、前記OER触媒層の厚さ方向に前記アノードと重ならない、膜-電極アセンブリー製造方法が提供される。
【0034】
前記第1面上に前記アノードを形成する段階は、第1離型フィルム上に前記アノードを形成する段階;及び、前記第1離型フィルム上に形成された前記アノードを、前記第1面の第1領域上に転写する段階を含むことができ、前記第1面上に前記OER触媒層を形成する段階は、第2離型フィルム上に前記OER触媒層を形成する段階;及び、前記第2離型フィルム上に形成された前記OER触媒層を、前記第1面の第2領域上に転写する段階を含んでよく、前記第2面上に前記カソードを形成する段階は、第3離型フィルム上に前記カソードを形成する段階;及び、前記第3離型フィルム上に形成された前記カソードを前記第2面上に転写する段階を含むことができる。
【0035】
前記アノードの転写、前記OER触媒層の転写、及び前記カソードの転写は、同時に行われてよい。
【0036】
本発明のさらに他の観点によって、上述した膜-電極アセンブリー;及び、前記アノードと前記OER触媒層上に配置されるセパレーターを含み、前記セパレーターは、燃料流入口(fuel inlet)、燃料排出口(fuel outlet)、及び前記燃料流入口と前記燃料排出口との間の流動チャネル(flow channel)を有し、前記OER触媒層は、前記燃料流入口及び前記燃料排出口の少なくとも一方と重なる、燃料電池が提供される。
【0037】
上のような本発明に関する一般的な叙述は、本発明を例示又は説明するためのもので、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、酸素生成反応(OER)を誘導することによってアノードにおける炭素酸化反応(COR)を抑えることができるOER触媒層を、前記アノードと接触する一方で、前記OER触媒層の大部分が前記アノードと重ならないようにして形成することにより、燃料電池の出力性能の低下なしにも、水素ガスの供給減少及び/又は供給中断による炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を防止し、燃料電池の逆電圧耐久性を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
添付の図面は、本発明の理解を助け、本明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施例を例示し、発明の詳細な説明と一緒に本発明の原理を説明する。
【0040】
【
図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施例に係る膜-電極アセンブリーの平面図及び断面図である。
【0041】
【
図2】本発明の一実施例に係る燃料電池の製造工程を示す断面図である。
【0042】
【
図3】(a)及び(b)は、本発明の他の実施例に係る膜-電極アセンブリーの平面図及び断面図である。
【0043】
【
図4】本発明の他の実施例に係る燃料電池の製造工程を示す断面図である。
【0044】
【
図5】本発明のさらに他の実施例に係る膜-電極アセンブリーの平面図である。
【0045】
【
図6】本発明のさらに他の実施例に係る膜-電極アセンブリーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下では添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、下に説明される実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的で提示されるだけで、本発明の範囲を制限しない。
【0047】
図1の(a)及び(b)は、本発明の一実施例に係る膜-電極アセンブリー100の平面図及び断面図である。
【0048】
図1に例示するように、本発明の膜-電極アセンブリー100は、第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜110、前記第1面上のアノード120、前記第1面上のOER触媒層130、及び前記第2面上のカソード140を含む。
【0049】
前記電解質膜110は、イオノマーで形成された単一膜タイプ(single membrane type)、又はイオノマーで含浸された多孔性支持体を含む強化複合膜タイプ(reinforced composite membrane type)であってよい。
【0050】
両タイプの電解質膜110とも、前記イオノマーはフッ素系イオノマー又は炭化水素系イオノマーであってよく、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、及びスルホン酸フルオリド基からなる群から選ばれる一つ以上のイオン伝導性基を有することができる。
【0051】
例えば、前記イオノマーは、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)、ポリ(ペルフルオロカルボン酸)などのようなフッ素系イオノマーでよい。
【0052】
代案として、前記イオノマーは、スルホン化したポリイミド(sulfonated polyimide:S-PI)、スルホン化したポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone:S-PAES)、スルホン化したポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone:SPEEK)、スルホン化したポリベンズイミダゾール(sulfonated polybenzimidazole:SPBI)、スルホン化したポリスルホン(sulfonated polysulfone:S-PSU)、スルホン化したポリスチレン(sulfonated polystyrene:S-PS)、スルホン化したポリホスファゼン(sulfonated polyphosphazene)、スルホン化したポリキノキサリン(sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化したポリケトン(sulfonated polyketone)、スルホン化したポリフェニレンオキシド(sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化したポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone)、スルホン化したポリエーテルケトン(sulfonated polyether ketone)、スルホン化したポリフェニレンスルホン(sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化したポリフェニレンスルフィド(sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化したポリフェニレンスルフィドスルホン(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化したポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化したポリアリーレンエーテル(sulfonated polyarylene ether)、スルホン化したポリアリーレンエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化したポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、ポリアリーレンエーテルスルホンケトン(sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)などのような炭化水素系イオノマーであってよい。
【0053】
強化複合膜タイプの電解質膜110に使用可能な多孔性支持体は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成されてもよく、テトラフルオロエチレンとCF2=CFCnF2n+1(nは1~5の実数)又はCF2=CFO-(CF2CF(CF3)O)mCnF2n+1(mは0~15の実数、nは1~15の実数)の共重合体で形成されてもよい。例えば、PTFEを潤滑剤の存在下でテープ上に圧出成形後に延伸工程及び熱処理工程を行うことによって延伸フィルム(expanded film)形態のe-PTFE多孔性支持体を形成することができる。前記熱処理工程後に追加の延伸工程及び熱処理工程をさらに行うこともできる。前記延伸及び熱処理工程を制御することによって様々な微細構造のe-PTFE多孔性支持体を形成することができる。例えば、前記e-PTFE多孔性支持体は、フィブリル(fibrils)によってノード(nodes)が互いに連結された微細構造、又はフィブリルのみからなる微細構造を有してよい。
【0054】
代案として、前記多孔性支持体は、不織ウェブ(nonwoven web)であってよい。前記不織ウェブは、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなど)、ポリエステル(例えば、PET、PBTなど)、ポリアミド(例えば、ナイロン-6、ナイロン-6,6、アラミドなど)、ポリアミド酸(ウェブに成形された後にイミド化工程を経てポリイミドに変換される。)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン、流体結晶質重合体、ポリエチレン-コ-ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、及びポリオレフィン系熱可塑性弾性重合体からなる群から選ばれる一つ以上の炭化水素系高分子を含む支持体形成液で形成されてよい。
【0055】
前記不織ウェブは、抄紙法(wet-laying)、電解紡糸法(electrospinning)、カーディング(carding)、ガーネッティング(garneting)、エアレイング(air-laying)、メルトブローイング(melt blowing)、スパンボンディング(spunbonding)、及びステッチボンディング(stitch bonding)からなる群から選ばれるいずれか一つの方法によって製造されてよい。
【0056】
前記アノード120は、水素酸化反応(HOR)のための触媒(すなわち、HOR触媒)をイオノマーと共に分散媒に分散させることによって製造された電極形成用分散液(electrode-forming dispersion)を用いて形成されてよい。
【0057】
前記HOR触媒は、担体、及び該担体上に分散されている多数の金属粒子を含むことができる。
【0058】
前記担体は、(i)炭素系担体、(ii)ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びセリアのような多孔性無機酸化物担体、又は(iii)ゼオライト担体であってよい。
【0059】
前記炭素系担体は、黒鉛、スーパーP(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、デンカブラック(Denka black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nano tube,CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素(active carbon)、カーボンナノファイバー(carbon nanofiber)、カーボンナノワイヤー(carbon nanowire)、カーボンナノボール(carbon nanoball)、カーボンナノホーン(carbon nanohorn)、カーボンナノケージ(carbon nanocage)、カーボンナノリング(carbon nanoring)、規則性ナノ多孔性炭素(ordered nano-/meso-porous carbon)、カーボンエアロゲル(carbon aerogel)、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)、グラフェン(graphene)、安定化カーボン(stabilized carbon)、活性化カーボン(activated carbon)、又はそれらの2以上の組合せであってよい。
【0060】
前記金属粒子は、白金(Pt)粒子又は白金系合金粒子であってよい。
【0061】
前記白金系合金は、Pt-Pd、Pt-Mn、Pt-Sn、Pt-Mo、Pt-W、Pt-Ru、Pt-Ru-W、Pt-Ru-Ni、Pt-Ru-Mo、Pt-Ru-Rh-Ni、Pt-Ru-Sn-W、Pt-Ru-Ir-Ni、Pt-Co、Pt-Co-Mn、Pt-Co-Ni、Pt-Co-Fe、Pt-Co-Ir、Pt-Co-S、Pt-Co-P、Pt-Fe、Pt-Fe-Ir、Pt-Fe-S、Pt-Fe-P、Pt-Au-Co、Pt-Au-Fe、Pt-Au-Ni、Pt-Ni、Pt-Ni-Ir、Pt-Cr、又はPt-Cr-Irであってよい。
【0062】
前記HOR触媒と共に前記分散媒に分散されるイオノマーは、陽イオン伝達のためのものであり、アノード120と電解質膜110との接着力の向上のためのバインダーとしての機能も有する。
【0063】
前記電解質膜110の形成に使用可能な上述したイオノマーが前記アノード120の形成にも使用されてよい。前記電解質膜110のイオノマーと前記アノード120のイオノマーとが同じ種類のイオノマーであることが好ましいが、本発明はこれで制限されず、異なる種類のイオノマーが前記電解質膜110及びアノード120の製造にそれぞれ使用されてもよい。
【0064】
前記電極形成用分散液の分散媒は、エタノール、蒸留水、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、又はそれらの2以上の混合物であってよい。
【0065】
上述したHOR触媒は、酸素還元反応(oxygen reduction reaction)のための触媒としても使用されてよいので、前記アノード120の形成に使用可能な電極形成用分散液が前記カソード140の形成にも使用されてよい。
【0066】
前記アノード120及び前記カソード140は、デカル転写(decal transfer)又は直接コーティングによって前記電解質膜110の第1及び第2面の上にそれぞれ形成されてよい。
【0067】
本発明の一実施例によれば、前記アノード120と前記カソード140のそれぞれが全体的に電気発生に活用され得るように、前記アノード120は前記カソード140に対応する大きさ及び形態を有してよく、好ましくは、前記アノード120と前記カソード140とが実質的に完全に重なり合うとよい。
【0068】
本発明の前記OER触媒層130は、酸素生成反応触媒(すなわち、OER触媒)を含む。前記酸素生成反応触媒は、IrO2、RuO2、TiO2、IrxSn1-xO2(xは0超過1未満の実数)、PtIr、IrRu、PtRuIr、又はそれらの2以上の混合物を含むことができる。
【0069】
前記酸素生成反応触媒は粒子形態を有し、炭素系担体に担持されていてよい。前記炭素系担体は、黒鉛、スーパーP(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、デンカブラック(Denka black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nano tube,CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素(active carbon)、カーボンナノファイバー(carbon nanofiber)、カーボンナノワイヤー(carbon nanowire)、カーボンナノボール(carbon nanoball)、カーボンナノホーン(carbon nanohorn)、カーボンナノケージ(carbon nanocage)、カーボンナノリング(carbon nanoring)、規則性ナノ多孔性炭素(ordered nano-/meso-porous carbon)、カーボンエアロゲル(carbon aerogel)、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)、グラフェン(graphene)、安定化カーボン(stabilized carbon)、活性化カーボン(activated carbon)、又はそれらの2以上の組合せであってよい。
【0070】
前記OER触媒層130は、前記酸素生成反応触媒をイオノマーと共に分散媒に分散させることによって製造されたOER触媒層形成用分散液を用いて形成されてよい。
【0071】
前記酸素生成反応触媒と共に前記分散媒に分散されるイオノマーは、陽イオン伝達のためのものであり、OER触媒層130と電解質膜110との接着力の向上のためのバインダーとしての機能も有する。
【0072】
電解質膜110の形成に使用可能な上述したイオノマーが前記OER触媒層130の形成にも使用されてよい。前記電解質膜110のイオノマーと前記OER触媒層130のイオノマーとが同じ種類のイオノマーであることが好ましいが、本発明はこれで制限されず、異なる種類のイオノマーが前記電解質膜110及びOER触媒層130の製造にそれぞれ使用されてもよい。
【0073】
前記OER触媒層形成用分散液の分散媒は、エタノール、蒸留水、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、又はそれらの2以上の混合物であってよい。
【0074】
前記OER触媒層130は、デカル転写又は直接コーティングによって前記電解質膜110の第1面上に形成されてよい。
【0075】
図1に例示するように、本発明のOER触媒層130は、前記アノード120と接触するが、その少なくとも一部は、その厚さ方向に前記アノード120と重ならないように前記電解質膜110の前記第1面上に配列される。
【0076】
本発明によれば、酸素生成反応(OER)を誘導することによってアノードにおける炭素酸化反応(COR)を抑制できる前記OER触媒層130を前記アノード120と接触するように形成することにより、燃料不足などに起因して水素ガスの供給が減少又は中断する場合にも、炭素系担体の腐食及びそれによる白金消失を引き起こす炭素酸化反応(COR)が前記アノード120で発生することを防止することができる。
【0077】
また、本発明によれば、前記OER触媒層130の全体がその厚さ方向に前記アノードと実質的に重ならないように前記電解質膜110の前記第1面上に配列されることにより、前記アノード120に前記酸素生成反応触媒が含まれることを防止し、前記酸素生成反応触媒による前記アノード120のHOR触媒の活性低下を防止又は最小化でき、前記OER触媒層130による前記膜-電極アセンブリー100の陽子/電子伝達抵抗の増加を防止することができる。結果的に、本発明によれば、出力性能の低下なしにも燃料電池の逆電圧耐久性を顕著に向上させることができる。
【0078】
前記OER触媒層130の全体が前記アノードと実質的に重ならないということは、前記OER触媒層130がその厚さ方向に前記アノード120と一切重ならないことはもとより、工程誤差によって前記OER触媒層130が意図せずに前記アノード120とやや(slightly)重なることも含む概念である。
【0079】
例えば、
図1、
図3及び
図5にそれぞれ例示するように、単一のOER触媒層130又は互いに離隔形成された第1及び第2OER触媒層130a,130bは、前記電解質膜110の前記第1面上で前記アノード120と並んで配置されてよい。
【0080】
代案として、
図6に例示するように、本発明のOER触媒層130は、前記電解質膜110の前記第1面上で前記アノード120を取り囲むように配置されてよい。
【0081】
以下、本発明の実施例に係る膜-電極アセンブリー100の製造方法を具体的に説明する。
【0082】
本発明の方法は、第1面及び該第1面の反対側の第2面を有する電解質膜110を準備する段階、前記第1面上にアノード120を形成する段階、前記第1面上にOER触媒層130を形成する段階、及び前記第2面上にカソード140を形成する段階を含む。
【0083】
前記OER触媒層130は、上述した酸素生成反応触媒を含み、前記アノード120と接触しながらも少なくとも一部は前記アノード120と重ならないように前記電解質膜110の前記第1面上に形成される。
【0084】
前述したように、前記アノード120、前記OER触媒層130、及び前記カソード140のそれぞれは、デカル転写又は直接コーティングによって前記電解質膜110の第1又は第2面の上に形成されてよい。
【0085】
本発明の一実施例によれば、前記アノード120は、デカル転写によって前記電解質膜110の第1面上に形成される。例えば、上述した電極形成用分散液を第1離型フィルム上に塗布及び乾燥させ、前記アノード120を形成する。この際、開口(opening)を有するマスクフィルムが用いられてよく、前記アノード120の大きさ及び形態は、前記マスクフィルムの開口の大きさ及び形態によって決定される。次に、前記第1離型フィルム上に形成された前記アノード120を、前記電解質膜110の第1面の第1領域上に転写できる。
【0086】
本発明の一実施例によれば、前記OER触媒層130もデカル転写によって前記電解質膜110の第1面上に形成される。例えば、上述したOER触媒層形成用の分散液を第2離型フィルム上に塗布及び乾燥させ、前記OER触媒層130を形成する。同様に、前記OER触媒層形成用の分散液を第2離型フィルム上に塗布する際にマスクフィルムが用いられてよく、前記OER触媒層130の大きさ及び形態は、前記マスクフィルムの開口の大きさ及び形態によって決定される。次に、前記第2離型フィルム上に形成された前記OER触媒層130を、前記電解質膜110の第1面の第2領域上に転写できる。
【0087】
本発明の一実施例によれば、前記カソード140もデカル転写によって前記電解質膜110の第2面上に形成される。例えば、上述した電極形成用の分散液を第3離型フィルム上に塗布及び乾燥させ、前記カソード140を形成する。同様に、マスクフィルムが用いられてよい。次に、前記第3離型フィルム上に形成された前記カソード140を、前記電解質膜110の第2面上に転写できる。
【0088】
本発明の一実施例によれば、前記アノード120の転写、前記OER触媒層130の転写、及び前記カソード140の転写は同時に行われてよい。
【0089】
本発明の他の実施例によれば、前記アノード120の転写及び前記カソード140の転写を同時に行った後、前記OER触媒層130の転写を行うことができる。
【0090】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記OER触媒層130の転写をまず行った後、前記アノード120の転写及び前記カソード140の転写を同時に行うことができる。
【0091】
以下では、本発明の実施例に係る燃料電池を具体的に説明する。
【0092】
図2に例示するように、本発明の燃料電池は、
図1の膜-電極アセンブリー100と、前記アノード120及び前記OER触媒層130上に配置される第1セパレーター410とを含む。
【0093】
前記第1セパレーター410は、燃料流入口(fuel inlet)411、燃料排出口(fuel outlet)412、及び前記燃料流入口411と前記燃料排出口412との間における流動チャネル(flow channel)413を有する。
【0094】
本発明によれば、前記膜-電極アセンブリー100のOER触媒層130が前記燃料流入口411及び前記燃料排出口412の少なくとも一つと重なることにより、前記OER触媒層130に供給される水分量を極大化でき、結果的に前記OER触媒層130による逆電圧耐久性を極大化できる。
【0095】
例えば、(i)
図2に例示しているように、前記OER触媒層130が前記燃料流入口411と重なるように配列され、(ii)
図4に例示しているように、前記OER触媒層130が前記燃料排出口412と重なるように配列され、(iii)
図5に例示しているように、互いに離隔形成された第1OER触媒層130a及び第2OER触媒層130bが前記燃料流入口411及び前記燃料排出口412とそれぞれ重なるように配列され、或いは(iv)
図6に例示するように、アノード120を取り囲むように形成されたOER触媒層130が前記燃料流入口411及び前記燃料排出口412の両方とも重なるように配列され、てよい。
【0096】
図2及び
図4にそれぞれ例示するように、本発明の燃料電池は、前記アノード120とOER触媒層130を取り囲むように前記電解質膜110の第1面上に形成された第1サブガスケット210、前記カソード140を取り囲むように前記電解質膜110の第2面上に形成された第2サブガスケット220、前記アノード120の全体及び前記OER触媒層130の少なくとも一部を覆う第1ガス拡散層310、前記カソード140の全体を覆う第2ガス拡散層320、前記第1ガス拡散層310上の第1セパレーター410、及び前記第2ガス拡散層320上の第2セパレーター420をさらに含むことができる。前記第2セパレーター420は、空気流入口421、空気排出口422、及び前記空気流入口421と前記空気排出口422との間における流動チャネル423を有する。
【0097】
以下、具体的実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、これらに本発明の権利範囲が制限されてはならない。
【0098】
実施例1
【0099】
Pt/C触媒を用いて一般の方法で電極形成用の分散液を準備し、IrO2 OER触媒を用いてOER触媒層形成用の分散液を準備した。
【0100】
前記電極形成用の分散液を第1離型フィルム上に9cm2の面積で塗布(0.1mgPt/cm2)した後、60℃オーブンで8時間乾燥させることによって正方形のアノードを形成し、前記OER触媒層形成用の分散液を第2離型フィルム上に2cm2の面積で塗布(0.15mgIr/cm2)した後、60℃オーブンで8時間乾燥させることによって長方形のOER触媒層を形成し、前記電極形成用の分散液を第3離型フィルム上に9cm2の面積で塗布(0.4mgPt/cm2)した後、60℃オーブンで8時間乾燥させることによって正方形のカソードを形成した。
【0101】
次に、前記アノード、OER触媒層、及びカソードを、ペルフルオロスルホン酸で形成された電解質膜の第1又は第2面に
図1に例示のように積層後に熱圧着することで、膜-電極アセンブリーを完成した。この際、前記OER触媒層が燃料流入口に位置するように配置された。
【0102】
実施例2
【0103】
前記OER触媒層が燃料排出口に位置するように配置された以外は、前記実施例1と同じ方法で膜-電極アセンブリーを製造した。
【0104】
比較例1
【0105】
前記OER触媒層を形成していない以外は、前記実施例1と同じ方法で膜-電極アセンブリーを製造した。
【0106】
比較例2
【0107】
Pt/C触媒とIrO2 OER触媒を“Pt:Ir=3:1”の重量比で含有する電極形成用の分散液を第1離型フィルム上に9cm2の面積で塗布(0.12mg(Pt+Ir)/cm2)後に60℃オーブンで8時間乾燥させることによって正方形のアノードを形成したし、OER触媒層を形成していない以外は、前記実施例1と同じ方法で膜-電極アセンブリーを製造した。
【0108】
比較例3
【0109】
前記OER触媒層形成用の分散液を第2離型フィルム上に9cm2の面積で塗布(0.03mgIr/cm2)した後に60℃オーブンで8時間乾燥させることによって正方形のOER触媒層を形成したし、前記OER触媒層を前記電解質膜の第1面上に転写した後に前記アノードを前記OER触媒層上に、そして前記カソードを前記電解質膜の第2面上にそれぞれ転写することによって前記OER触媒層を前記アノードと前記電解質膜との間に位置させている以外は、前記実施例1と同じ方法で膜-電極アセンブリーを製造した。
【0110】
前記実施例及び比較例によって得られた膜-電極アセンブリーの逆電圧耐久性及び電圧損失を次のような方法によってそれぞれ評価し、その結果を表1に示した。
【0111】
*逆電圧耐久性評価
【0112】
逆電圧発生実験(cell reversal test)によって膜-電極アセンブリーの逆電圧耐久性を評価した。具体的に、カソードに空気(50%RH)を供給し、アノードに窒素(50%RH)を供給し、0.2A/cm2の電流を印加しながら-2.0Vまで到達するのにかかる時間である逆電位時間(cell reversal time:TCR、-2.0V)を測定した。逆電位時間が長いほど高い逆電位耐久性を有することを意味する。
【0113】
*電圧損失評価
【0114】
実際の燃料電池運転条件で出力性能を確認するために、膜-電極アセンブリーを燃料電池単位セル評価装置に結び付け、温度を65℃に保たせた。アノードとカソードに水素(50%RH)と空気(50%RH)をStoichiometry 1.2/2.0に応じた量でそれぞれ供給した。0.1A/cm2及び1A/cm2の陰極電流密度がそれぞれ印加された時の電圧をそれぞれ測定した。測定された電圧が高いほど優れた性能を示す。
【0115】
【0116】
表1に示すように、比較例1の膜-電極アセンブリーはOER触媒を含んでいないため、非常に短い逆電位時間を示しているのに対し、OER触媒が含まれている実施例1、実施例2、比較例2、及び比較例3の膜-電極アセンブリーは、3時間以上の逆電位時間を示す程度に優れた逆電位耐久性を有することが分かる。
【0117】
また、比較例2及び比較例3の膜-電極アセンブリーは、OER触媒によって相当な電圧損失が引き起こされているのに対し、実施例1及び実施例2の膜-電極アセンブリーはOER触媒を含んでいるにもかかわらず、それによる電圧損失がほとんど誘発されていないことが分かる。
【国際調査報告】