(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】深くエンボス加工された高透過性紙巻たばこ用巻紙
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20221213BHJP
A24C 5/00 20200101ALI20221213BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
D21H27/00 D
A24C5/00
A24D1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576730
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2020079862
(87)【国際公開番号】W WO2021078928
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北岡 龍
(72)【発明者】
【氏名】小野 広善
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4L055
【Fターム(参考)】
4B045AA36
4B045AA37
4B045AB11
4B045BD38
4B144CB00
4B144CL07
4L055AH01
4L055AJ07
4L055BE15
4L055EA12
4L055EA32
(57)【要約】
本発明は、1kPaの印加圧力差で原紙の1cm2の試料を通過する40~80cm3/minの空気の自然に高い多孔度を有する非穿孔通気性原紙を備える喫煙物品ラッパー(1)に関し、喫煙物品ラッパー(1)は、少なくとも1つのエンボス加工表面領域(11)及び少なくとも1つの非エンボス加工表面領域(12)を有する。本発明は、喫煙物品ラッパー(1)の通気性が、1kPaの印加圧力差でこの喫煙物品ラッパー(1)の1cm2の試料を通過する≧40cm3/minの空気の平均体積流量を提供するものであり、エンボス加工領域(11)が、≧16μmの深さを有するエンボス加工を備えることを特徴とする。本発明は更に、喫煙物品ラッパー(1)を備える喫煙物品と、かかる喫煙物品ラッパー(1)及び喫煙物品を製造するそれぞれの方法とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1kPaの印加圧力差で原紙の1cm
2の試料を通過する40~80cm
3/minの自然に高い多孔度を有する非穿孔通気性原紙を備える喫煙物品ラッパー(1)であって、少なくとも1つのエンボス加工表面領域(11)及び少なくとも1つの非エンボス加工表面領域(12)を有し、
前記喫煙物品ラッパー(1)の通気性は、1kPaの印加圧力差でこの喫煙物品ラッパー(1)の1cm
2の試料を通過する≧40cm
3/minの空気の平均体積流量を提供するものであり、前記エンボス加工領域(11)は、≧16μmの深さを有するエンボス加工を有する、ことを特徴とする喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項2】
前記喫煙物品ラッパーは、1kPaの印加圧力差でこの喫煙物品ラッパーの1cm
2の試料を通過する40~60cm
3min
-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項3】
前記エンボス加工は、16~30μmの範囲、好ましくは18~28μmの範囲、最も好ましくは19~25μmの範囲の深さを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項4】
前記原紙は、25~60g/m
2、好ましくは30~50g/m
2、より好ましくは35~45g/m
2の坪量を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項5】
前記原紙の前記非エンボス加工表面領域(12)は、1kPaの印加圧力差でこの原紙の1cm
2の試料を通過する42~75cm
3min
-1、好ましくは45~70cm
3min
-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項6】
前記原紙はフィラーを有し、好ましくは、前記フィラーの含有量は30~60%(w/w)、好ましくは35~55%(w/w)、より好ましくは40~50%(w/w)、最も好ましくは40~47%(w/w)である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項7】
前記エンボス加工表面領域(11)のパーセンテージは、前記喫煙物品ラッパーの全表面領域の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは5%~35%の範囲である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)を備える喫煙物品。
【請求項9】
マウスピースと、エアロゾル発生基材とを備え、前記エアロゾル発生基材は、請求項1から7のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)に被包される、ことを特徴とする請求項8に記載の喫煙物品。
【請求項10】
そのCO/タール値は1~1.43の間である、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の喫煙物品。
【請求項11】
DIN ISO4387:2018-09によるそのタールレベルは、1mg~10mgの間である、ことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項12】
通気性であり、1kPaの印加圧力差で喫煙物品ラッパー(1)の1cm
2の試料を通過する≧40cm
3min
-1の空気の平均体積流量を提供する、喫煙物品ラッパー(1)を製造する方法であって、
1kPaの印加圧力差でこの原紙の1cm
2の試料を通過する40~80cm
3min
-1の空気の自然に高い多孔度を有する非穿孔通気性原紙を提供する工程と、
前記原紙の表面領域(11)の一部への圧力の印加により、≧16μmの深さを有するエンボスを生成する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
1kPaの印加圧力差で、この原紙の1cm
2の試料を通過する42~75cm
3min
-1、好ましくは45~70cm
3min
-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供する、及び/又は、25~60g/m
2、好ましくは30~50g/m
2、より好ましくは35~45g/m
2の坪量を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記原紙の全表面領域の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは5%~35%の間をエンボス加工する、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記原紙を少なくとも4MPa、好ましくは5~15MPa、より好ましくは6~12MPaの圧力でエンボス加工する、ことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から7のいずれか一項に記載の喫煙物品ラッパー(1)を備える喫煙物品を製造する方法であって、
請求項12から15のいずれか一項に記載の方法により喫煙物品ラッパー(1)を製造する工程と、マウスピース及びエアロゾル発生基材を提供する工程と、前記喫煙物品ラッパー(1)に前記エアロゾル発生基材を被包する工程と、を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本特許請求項1及び13のプリアンブルに従う、喫煙物品ラッパー及びかかる喫煙物品ラッパーを製造する方法に関する。更に、本発明は、本特許請求項1のプリアンブルに従う喫煙物品ラッパーを備える喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこ等の喫煙物品は、大量に製造される消費財である。それらは通常、長手方向に延在する略円筒形のロッド内に紙ベースのラッパーによりタバコ刻みフィラーを被包することによって形成されるたばこロッドを備えている。それらの主なタバコを被包する機能以外に、紙ベースの喫煙物品ラッパーはまた、多くの場合、製造業者のためのコミュニケーション支援も形成し、様々な印刷されたデザイン、色、及び/又はマーキング(透かし、エンボス加工等)を有し、これらは、とりわけ、消費者が製品を認識することを可能にするブランディング機能の一部を形成しうる。従って、紙巻たばこ用巻紙に視覚的効果を施して、他のブランドからの紙巻たばこに関する区切りを可能にすること、又は、紙巻たばこ及び/又は紙巻たばこ用巻紙の上質な外観を施すことが高く認識されている。特にエンボス加工は、触覚効果のみならず視覚効果の施工を可能にするために要求される。更に、深いエンボス加工は、消費者によって価値のある製品を連想させる。
【0003】
以下において、用語「喫煙物品」及び「紙巻たばこ」は同義的に用いられている。本発明の幾つかの実施形態は、紙巻たばこ又は紙巻たばこ用巻紙についてのみ説明される。しかし、これらの実施形態は、任意の他の喫煙物品及び/又は喫煙物品ラッパーにも適用可能であり、開示されていると考えるべきである。
【0004】
文献、中国特許出願公開第101 581 062A号明細書から、エンボス加工された紙巻たばこ包装材料及びかかる材料を製造する方法は公知である。エンボス加工の深さは5~50μmの範囲にある。更に、紙巻たばこ包装材料の通気性は、静電穿孔又はレーザ穴開け加工によって制御できることが開示されている。
【0005】
エンボス加工処置中の原紙の局所的な圧縮に起因して、紙の繊維は互いに近付く。エンボス加工のためには、圧力の印加後であっても、繊維がこの圧縮状態のままであることが重要である。紙の繊維間の減少した距離に起因して、エンボス加工は紙内に形成される孔の有効直径を減少させる。従って、エンボス加工は紙の多孔性を低下させ、それに応じてその通気性も低下させる。しかし、規定された通気性は紙巻たばこ用巻紙に対して保証されなければならない。紙巻たばこ用巻紙の透過性は、所定の単位時間内に紙巻たばこ用巻紙の特定の領域を通って流れる空気の体積の測定として定義される。透過性は、通常、コレスタ単位(C.U.)で与えられる。コレスタ単位は、「1kPaの加圧差で基質の1cm2試料を通過する空気の体積流量(cm3min-1)」として定義される。多くの紙巻たばこ用巻紙では、1kPaの加圧差で、この紙巻たばこ用巻紙の1cm2の試料を通過する少なくとも20cm3min-1の空気の平均体積流量(又は20C.U.)を提供することが望ましい。
【0006】
火災のリスクを低減する要件を満たすため、幾つかの国では、紙巻たばこが自己消火性であることが要求されている。紙巻たばこの自己消火性を確保する主な機能は、紙巻たばこ用巻紙の制御された低い通気性である。紙巻たばこ用巻紙の通気性が少なくとも幾つかの部分において低い場合、ユーザが吸入によって炎を周期的に強めない限り、巻紙を通過する空気の量は、それを燃焼させ続けるのに十分な程高くはない。
【0007】
しかし、喫煙物品ラッパーのより高い多孔性が、紙巻たばこのニコチン、タール、及び一酸化炭素の量を低減することに有利であることが見出されている。更に、喫煙物品ラッパーのより高い多孔性は、結果として紙巻たばこのより遅い燃焼をもたらす。
【0008】
比較として、本出願人の実験によれば、穿孔された紙巻たばこ用巻紙は、同様のCU値を有する穿孔されていない多孔質紙巻たばこ用巻紙とは対照的に、紙巻たばこの消費中に生成されるニコチン、タール、及び一酸化炭素の量を増加させることが明らかとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、穿孔せずとも高い平均通気度を提供するエンボス加工された喫煙物品ラッパー及びかかる喫煙物品ラッパーを製造する方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、かかる喫煙物品ラッパーを備える喫煙物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、1kPaの圧力差で原紙の1cm2の試料を通過する40~80cm3min-1の空気の自然に高い多孔度を有する非穿孔通気性原紙を備える喫煙物品ラッパーであって、喫煙物品ラッパーは、少なくとも1つのエンボス加工表面領域及び少なくとも1つの非エンボス加工表面領域を有し、喫煙物品ラッパーの通気性は、1kPaの印加圧力差でこの喫煙物品ラッパーの1cm2の試料を通過する≧40cm3min-1の空気の平均体積流量を提供するものであり、エンボス加工領域は、≧16μmの深さを有するエンボス加工を備える喫煙物品ラッパーによって解決される。
【0011】
平均体積流量を40CU未満に低下させることなく、≧16μmの深さを有するエンボス加工でさえも原紙に局所的に施工できることが見出された。従って、穿孔は、紙巻たばこの消費中に生成されるニコチン、タール、及び一酸化炭素の量がより少ない高い範囲内に平均体積流量を維持するためには必要とされない。更に、高い平均体積流量を維持するよう喫煙物品ラッパーを穿孔するための追加の装置は必要ない。外表面としてかかるラッパーを有する喫煙物品の更なる利点は、これらの喫煙物品が向上した視覚的外観を提供し、消費者によって容易に認識され得ることである。
【0012】
喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、喫煙物品ラッパーは、1kPの印加圧力差でこの喫煙物品ラッパーの1cm2の試料を通過する40~60cm3min-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供する。この範囲の流量は、深いエンボス加工と組み合わせて提供することができ、遅い燃焼速度と組み合わせて喫煙物品の自己消火を可能にし、これにより消費者にとってより長い喫煙時間を可能にすることが見出されている。
【0013】
喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、エンボス加工は、16~30μmの範囲、好ましくは18~28μmの範囲、最も好ましくは19~25μmの範囲の深さを有する。この深さを有するエンボス加工は、上述の範囲内の深さが消費者によって視覚的及び触覚的に容易に認識され得るため、有利である。
【0014】
上述の深さ範囲のエンボス加工は、高級感のある外観を提供し、取扱特性が悪化することもない。
【0015】
多くの場合、増加した原紙坪量は、より低いCU値と相関する。これとは対照的に、軽量原紙は、多くの場合、エンボス加工プロセス中に損傷を受ける可能性があるか、又はこれらの紙の全体的な高さが基本的に、上で定義したような深さの深いエンボス加工を施工するには低すぎるため、低下したエンボス加工特性を有する。25~60g/m2の坪量を有する原紙が、上で定義したような喫煙物品ラッパーを製造するために特に適していることが見出された。従って、喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、原紙は、25~60g/m2、好ましくは30~50g/m2、より好ましくは35~45g/m2の坪量を有している。この坪量の原紙は、エンボス加工に特に適しているだけでなく、通常、十分な不透明度のような他の有利な特徴も提供し、それによって、茶色がかったタバコが紙巻たばこ用巻紙を通して局所的に輝くことを回避することができる。従って、好ましくない汚れた又は非衛生的な外観さえも回避することができる。
【0016】
茶色がかったタバコが紙巻たばこ用巻紙を通して局所的に輝くことを回避するために、原紙はフィラーを備えることが好ましい。喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、原紙のフィラー含有量は、30~60%(w/w)、好ましくは35~55%(w/w)、より好ましくは40~50%(w/w)、最も好ましくは40~47%(w/w)である。
【0017】
喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、エンボス加工表面領域のパーセンテージは、喫煙物品ラッパーの全表面領域の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは5%~35%の範囲である。この寸法のエンボス加工は、これらのパーセンテージが紙巻たばこ用巻紙上の文字表記及び/又はイラストを可能にするため好ましい。更に、紙巻たばこ用巻紙の必要な通気性が維持される。エンボス加工領域の高いパーセンテージは、結果として、少なくとも場合によっては、紙巻たばこ用巻紙の通気性が低下し、その結果、紙巻たばこの望ましくない発火を生じる可能性がある。
【0018】
喫煙物品ラッパーの好ましい実施形態において、原紙の非エンボス加工表面領域は、1kPaの印加圧力差でこの原紙の1cm2の試料を通過する42~75cm3min-1、好ましくは45~70cm3min-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供する。この通気性はエンボス加工の施工後であっても十分に高く、この喫煙物品ラッパーを通過する空気の平均体積流量は十分に高く、燃焼時間はより長いことが見出された。
【0019】
上述の問題の更なるものは、上で説明したような喫煙物品ラッパーを備える喫煙物品によって解決される。かかる喫煙物品ラッパーを備える喫煙物品は、向上した視覚的外観を提供し、消費者によって容易に認識され得る。それは、高い価値及び/又はプレミアム品質の外観を提供し、消費者によって容易に認識され得る。エンボス加工により、施工された構造、記号、及び/又は文字は、視覚的にだけではなく触覚的にも認識され得る。
【0020】
原紙は25~60g/m2、好ましくは30~50g/m2、より好ましくは35~45g/m2の坪量を有し、及び/又はフィラーを備え、好ましくはフィラー含有量は30~60%(w/w)、好ましくは35~55%(w/w)、より好ましくは40~50%(w/w)、最も好ましくは40~47%(w/w)であるため、かかる巻紙は透明又は半透明セグメントを有していない。従って、かかる喫煙物品は、喫煙物品ラッパーを通して茶色がかったタバコの色が見えてしまうという欠点を有していない。従って、汚れている又は非衛生的であると考えられる茶色がかった領域が取り除かれる。これは、更に、高い価値及び/又はプレミアム品質の外観を向上させる。
【0021】
喫煙物品は、マウスピースと、エアロゾル発生基材とを備えることが好ましく、エアロゾル発生基材は、上で説明したような喫煙物品ラッパーに被包される。エアロゾル発生基材はタバコであるか、又はタバコを備えることが好ましい。エアロゾル発生基材は加熱又は燃焼され、それによってエアロゾルを発生させる。上で説明したようにエアロゾル発生基材を紙巻たばこ用巻紙に被包することは、製品の光学的外観を向上させるか、及び/又は消費者に情報を提供する可能性を提供する。
【0022】
上で説明したような喫煙物品は、1~1.43のCO/タール値を有することが好ましい。喫煙物品ラッパーの平均通気性が高いため、エンボス加工手順による局所的な圧力印加後であっても、CO/タール値をこの範囲に維持することができた。
【0023】
上で説明したようなエンボス加工されたラッパーを備えるかかる喫煙物品についてのDIN ISO4387:2018-09によるタールレベルは、1mg~10mgであることが好ましい。
【0024】
上述の問題の別のものは、通気性であり、1kPaの印加圧力差で喫煙物品ラッパーの1cm2の試料を通過する≧40cm3min-1の空気の平均体積流量を提供する、喫煙物品ラッパーを製造する方法によって解決される。この方法は、1kPaの印加圧力差でこの原紙の1cm2の試料を通過する40~80cm3min-1の空気の自然に高い多孔度を有する非穿孔通気性原紙を提供する工程と、原紙の表面領域の一部への圧力の印加により、≧16μmの深さを有するエンボスを生成する工程と、を含む。この方法は、高い価値及び/又はプレミアム品質の外観を有する喫煙物品を低コストで製造することを可能にする。この方法は、40~80CUの高い多孔度を維持するために原紙の穿孔を必要としないことが好ましい。消費者のための情報をエンボス加工によって施工することができるため、顔料のような追加物質を必要としない。しかし、更なる物質の適用が可能であり、例えば、記号及び/又は文字の印刷、又は高い価値及び/又はプレミアム品質の外観を更に向上させるための物質の適用が可能である。
【0025】
好ましい実施形態において、方法は、適切な原紙を選択する工程を含む。原紙は、1kPaの印加圧力差で、この原紙の1cm2の試料を通過する42~75cm3min-1、好ましくは45~70cm3min-1の空気の平均体積流量の範囲の通気性を提供するか、及び/又は25~60g/m2、好ましくは30~50g/m2、より好ましくは35~45g/m2の坪量を有することが好ましい。これらの原紙は、局所的エンボス加工の施工後であっても高い通気性を維持するために特に適していることが見出された。
【0026】
原紙の全表面領域の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは5%~35%の間をエンボス加工することが好ましい。従って、高い平均通気度を維持することができた。
【0027】
方法の好ましい実施形態において、原紙は、少なくとも4MPa、好ましくは5~15MPa、より好ましくは6~12MPaの圧力でエンボス加工される。この圧力は、≧16μmの深さを有する深いエンボス加工を原紙に施工するのに十分であることが見出された。しかし、この圧力は、原紙の全ての気孔の閉鎖をもたらすことはない。従って、エンボス加工されたセグメントにおいても、十分に高い通気性を維持することができた。
【0028】
本方法に関する全ての開示する特徴は、必要な変更を加えて喫煙物品ラッパー及び/又は喫煙物品に適用されるものとし、喫煙物品ラッパー及び/又は喫煙物品に関する全ての開示する特徴は、必要な変更を加えて本方法に適用されるものとする。
【0029】
上述の課題の別のものは、前述の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品ラッパーを備える喫煙物品を製造する方法によって解決される。方法は、
-前述の方法のうちの少なくとも1つによって喫煙物品ラッパーを製造する工程と、
-マウスピース及びエアロゾル発生基材を提供する工程と、
-喫煙物品ラッパーにエアロゾル発生基材を被包する工程と、を特徴とする。
【0030】
本発明の更なる利点、目的、及び特徴を、添付の図面を参照して以下の説明において、単なる一例として説明する。図面において、異なる実施形態における類似の構成要素は、同一の参照記号を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1a】本発明による喫煙物品ラッパーの例示的な実施形態の図。
【
図1b】
図1aの喫煙物品ラッパーと類似するが、より浅いエンボス加工パターンを有する例示的な喫煙物品ラッパーの図。
【
図2a】本発明による喫煙物品ラッパーの更なる例示的な実施形態の図。
【
図2b】
図2aの喫煙物品ラッパーと類似するが、より浅いエンボス加工パターンを有する更なる例示的な喫煙物品ラッパーの図。
【
図3a】
図1aに示したようなエンボス加工の詳細図。
【
図3b】指示された経路13に沿った
図3aに示したような喫煙物品ラッパーの高さプロファイルを示す図。
【
図4a】
図2bに示したようなエンボス加工の詳細図。
【
図4b】指示された経路13に沿った
図4aに示したような喫煙物品ラッパーの高さプロファイルを示す図。
【
図5】喫煙物品ラッパーの多孔性と、エンボス加工された特徴によって覆われるその表面領域との間の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1aは、本発明による喫煙物品ラッパー1の例示的な実施形態の図を示している。
図1aの写真を得るため、喫煙物品ラッパー1を裏側から照明した。従って、
図1aは、喫煙物品ラッパー1の異なる領域の不透明度についてのヒントを与えることができる。
図1aには、喫煙物品ラッパー1の小さな試料のみを示している。かかる喫煙物品ラッパー1は、喫煙物品の一部であってもよい。通常、かかる喫煙物品ラッパー1は、ボビン又は同等のリール状に巻回される紙ベースの材料の連続バンドとして作製される。紙巻たばこ等の喫煙物品の製造中、バンドは喫煙物品機内で繰り出されて、エアロゾル発生材料、例えばタバコ材料の連続ストランドを被包し、これは次いでロッドに切断されて複数の喫煙物品を形成する。
【0033】
図示した喫煙物品ラッパー1はエンボス加工を有している。エンボス加工のパターン10は、複数の平行線11から構成されている。エンボス加工手順中に印加される圧力により、原紙材料はこれらの領域において高度に圧縮される。エンボス加工領域11では、光は喫煙物品ラッパー1を通してあまり輝かない。従って、これらの領域は非エンボス加工領域12よりも暗い。エンボス加工の深さ及びこれらの領域における原紙材料の高い圧縮により、エンボス加工された線11は均一に黒く現れる。これとは対照的に、非エンボス加工領域12は、原紙の基材繊維の無秩序な配置により、均質性が低い。原紙材料の繊維は、ある領域では他の領域よりも高く積み重ねられるため、これらの領域ではより少ない光が透過される。これらの領域に配置される光吸収材料の量が多いため、これらの領域は他の領域よりも暗く現れる。
【0034】
図1bは、
図1aに示す喫煙物品ラッパーと同様又は更には同じエンボス加工のパターン10を有する例示的な喫煙物品ラッパー1の画像を示している。しかし、エンボス加工11の深さはより浅い。エンボス加工10を施工するための圧力は、
図1aに示すようなエンボス加工10を施工するために用いられるものよりも低かった。減圧の結果として、エンボス加工領域11と非エンボス加工領域12との間の光透過のコントラストは低い。
図1aに示す喫煙物品ラッパーとは対照的に、エンボス加工された線11はより明るく現れ、それらはしばしば分断される。
【0035】
より深いエンボス加工のより高いコントラスト及び改善された触覚特性により、かかるエンボス加工を有するラッパーを備える喫煙物品は、喫煙物品の消費者にとってより価値があるように見える可能性がある。高級感のある外観を確立することができる。
【0036】
図2a及び2bは、本発明による喫煙物品ラッパー1の更なる例示的な実施形態を示している。
図1aに示す実施形態と同様に、喫煙物品ラッパー1は裏側から照明され、喫煙物品ラッパー1の異なる領域11、12の不透明度を認識することができる。エンボス加工のパターン10は、
図1a及び1bに示したパターンとは異なっている。それは、文字「W」を形成する複数の線11からなっている。
【0037】
図1a及び1bと同様に、
図2aに示すエンボス加工もまた、
図2bに示すものよりも高い圧力で施工されている。
図2aに示すエンボス加工10の施工のためのより高い圧力により、文字「W」は、
図2aにおいて十分に識別可能である。
図2bにおいて、文字「W」は、幾つかの領域においてのみ特定することができる。コントラストは、特に各線の端部及び線が互いに接近する領域において低い。
【0038】
本発明による喫煙物品ラッパー1の高さプロファイルの詳細な分析を
図3a~4bに示す。
図3aは、
図1aに示すような喫煙物品ラッパー1の切り抜きをより詳細に示している。
図4aは、
図2bに示すような喫煙物品ラッパー1の切り抜きをより詳細に示している。このより高い倍率において、エンボス加工のパターン10は、両方の実施例について明確に認識することができる。線11は、非エンボス加工領域12とは対照的に暗く見える。非エンボス加工領域において、原紙の単一の繊維でさえも認識することができる。これらの繊維の無秩序な配置のため、非エンボス加工領域12における透過光は不規則であり、これらの領域12は不規則に見える。
【0039】
図3bは、指示された経路13に沿った
図3aに示したような喫煙物品ラッパー1の高さプロファイルを示す図を示している。横座標は(
図3aの)経路13に沿った距離(mm単位)を示し、縦座標はそれぞれの点における喫煙物品ラッパー1の高さ(μm単位)を示す。不均一な不透明度のために既に想定することができるように、喫煙物品ラッパー1の非エンボス加工領域12の高さは、経路13に沿って異なる。しかし、高さは、ほとんどが約25μm~35μmの間の範囲内にある。エンボス加工領域11の高さはもっと低い。また、高さのばらつきはこの領域においてより小さい。従って、エンボス加工領域12の高さは、主に、約12~14μmの間の範囲内にある。これはまた、
図1aに示すようなエンボス加工の極めて均一な不透明度も説明している。
【0040】
図4bは、指示された経路13に沿った
図4aに示したような喫煙物品ラッパー1の高さプロファイルを示す図を示している。
図3bと同様に、横座標は(
図4aの)経路13に沿った距離(mm単位)を示し、縦座標はそれぞれの点における喫煙物品ラッパー1の高さ(μm単位)を示す。
図3aの図と比較すると、非エンボス加工領域12の高さは更にいっそう不規則である。また、エンボス加工領域11の高さはもっと低い。エンボス加工領域の高さプロファイルを近似すると、結果として、それぞれのエンボス加工構造の中央又は中央付近に最大高さを有する曲線プロファイルが得られる。非エンボス加工領域12の高さは、2つのエンボス加工領域11が互いに近接する領域において低下している。これは、非エンボス加工領域12の両側の圧力印加による原紙の圧縮によって生じる可能性がある。しかし、非エンボス加工領域12は、その不均一な高さのために依然として目に見える。これに対して、エンボス加工領域11の平滑度はより高く、平均高さはより低い。しかし、
図4aに示すような喫煙物品ラッパー1に対して、エンボス加工領域11並びに非エンボス加工領域12の高さの範囲は、
図3aに示すような喫煙物品ラッパー1のものよりも広い。非エンボス加工領域の範囲は、約17μm~38μmの間に延在し、エンボス加工領域の範囲は、約10μm~22μmの間に延在している。これらのより広い範囲及びそれらの部分的な重なりは、結果として、喫煙物品ラッパー1の表面上のエンボス加工10の視覚的及び触覚的な知覚性を低下させる。従って、かかる喫煙物品ラッパー1を備える製品は、通常、消費者によって価値が低いものと見なされ、高級感のある外観を確立することができなかった。
【0041】
図5は、喫煙物品ラッパーの多孔性と、
図1又は2によるエンボス加工パターンによって覆われるその表面領域との間の関係を示している。原紙の繊維は、エンボス加工の施工中及び施工後に圧縮されるため、繊維間の気孔は閉鎖される。閉気孔部分は、印加された圧力に強く依存する。更に、エンボス加工のパターンは、閉気孔部分に影響を及ぼす。しかし、
図5から導き出すことができるように、パターンの影響は、印加された圧力に強く依存する。
【0042】
任意のエンボス加工されていない原紙は、約62CUの多孔度を有する。上で説明したように、この多孔度は、エンボス加工の施工後に低下する。多孔度の低下は、印加された圧力に依存する。120バール(円)の圧力でエンボス加工した後、多孔度は大幅に低下する。この多孔度の低下は、施工されたパターン(塗りつぶされていない円(平行線)対塗りつぶされたドット(「W」パターン))からほぼ独立している。測定点に基づいて、多項式近似により、それぞれの曲線(点線(平行線)対実線(「W」パターン))が得られる。両曲線は極めて類似しており、多孔度の差はほんの僅かである。これは、高圧では原紙の全ての孔がパターンとは無関係に閉鎖されているという仮定により容易に説明することができる。
【0043】
これとは対照的に、エンボス加工のパターンは、中高圧で施工された場合、多孔度に影響を及ぼす。60バールでのエンボス加工の施工後の喫煙物品ラッパー1の多孔度の測定点(灰色の塗りつぶされていない正方形(平行線)対灰色の塗りつぶされた正方形(「W」パターン)として示す)に基づいて、多項式近似曲線を計算した(---(平行線)対-・-・-(「W」パターン))。両曲線の形状は互いに異なる。両曲線(60バール)に対して、多孔度は両曲線よりも常に高く、120バールでのエンボス加工後の多孔度の傾向を示している。
【0044】
更に、図では、個別に有利であり得る特徴が記載されていることに留意されたい。当業者であれば、図に開示された特定の特徴は、この図の更なる特徴を取り入れなくても有利であり得ることを直ぐに認識するであろう。更に、当業者であれば、1つ又は様々の図に開示された多様な特徴の組み合わせから利点が発展し得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0045】
1 喫煙物品ラッパー
10 パターン
11 エンボス加工表面領域
12 非エンボス加工表面領域
13 通路
【国際調査報告】