(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品用フィルタコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20221213BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20221213BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20221213BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D1/02
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502590
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2020080172
(87)【国際公開番号】W WO2021083891
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーサン, アフマド
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB11
4B045AB16
4B045BC03
4B045BC16
4B045BC24
4B045BD38
(57)【要約】
エアロゾル発生物品用フィルタが、第1のラッパー(201)が巻き付けられた濾過材料を含む芯を有する第1のフィルタコンポーネント(106)であって、第1のラッパーは空気不透過性であり、少なくとも第1のフィルタコンポーネントの長手方向端部から及び/又は長手方向端部まで、曲がりくねった空気流路(204)に沿って長手方向に延びる正弦波形の複数のひだを含む、第1のフィルタコンポーネントと、第2のフィルタコンポーネントであって、第1のフィルタコンポーネントの端部から長手方向に、軸方向に配置されていて、第1及び第2のフィルタコンポーネントの両方に巻き付けられている外側ラッパーによって第1のフィルタコンポーネントとともに保持されている第2のフィルタコンポーネントと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品用フィルタであって、
第1のラッパーが巻き付けられた濾過材料を含む芯を有する第1のフィルタコンポーネントであって、前記第1のラッパーは空気不透過性であり、少なくとも前記第1のフィルタコンポーネントの長手方向端部から及び/又は前記長手方向端部まで、曲がりくねった空気流路に沿って長手方向に延びる正弦波形の複数のひだを含む、前記第1のフィルタコンポーネントと、
第2のフィルタコンポーネントであって、前記第1のフィルタコンポーネントの端部から長手方向に、軸方向に配置されていて、前記第1及び第2のフィルタコンポーネントの両方に巻き付けられている外側ラッパーによって前記第1のフィルタコンポーネントとともに保持されている、前記第2のフィルタコンポーネントと、
を含む、フィルタ。
【請求項2】
前記第1のフィルタコンポーネントは更に、前記第1のラッパーに巻き付けられるように構成された第2のラッパーを含み、前記ひだは前記第1のラッパーと前記第2のラッパーとの間にチャネルを画定する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記第2のラッパーは、前記チャネルと流体連通しているパーフォレーションを含み、これにより前記フィルタコンポーネントを吸うことによって前記チャネルを通る空気流が生成される、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記正弦波形の波長は1~3mmの範囲にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記正弦波形の振幅は0.5~2mmの範囲にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第1のラッパーはプラスチック材料を含み、好ましくはポリ乳酸を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記第1のラッパーは弾性係数が1.09~2.28GPaの範囲にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第1のラッパーは破断伸びが2.5~24%の範囲にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第2のフィルタコンポーネントは、前記第2のフィルタコンポーネントの長手方向軸に沿って少なくとも一部が中空である、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項10】
1回分のエアロゾル発生基材と、前記1回分のエアロゾル発生基材の端部に取り付けられた、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルタと、を含むエアロゾル発生物品であって、前記第1のフィルタコンポーネントは前記1回分のエアロゾル発生基材に当接している、エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記第1のフィルタコンポーネントと前記第2のフィルタコンポーネントとの間に配置された紙管を更に含む、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生基材と前記第2のフィルタコンポーネントとの間に配置された紙管を更に含む、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生物品用フィルタを形成する方法であって、
第1のフィルタコンポーネントを形成することであって、前記第1のフィルタコンポーネントは、前記第1のフィルタコンポーネントの端部から空気不透過性の第1のラッパー上の曲がりくねった空気流路に少なくとも部分的に沿って長手方向に延びる、正弦波形の複数のひだを有する、前記第1のフィルタコンポーネントを形成する前記ことと、
前記第1のフィルタコンポーネント内に濾過材料の芯を設けることと、
前記芯に前記第1のラッパーを巻き付けることと、
前記第1のフィルタコンポーネントの端部から長手方向に、軸方向に配置される第2のフィルタコンポーネントを形成することと、
前記第1及び第2のフィルタコンポーネントの両方に外側ラッパーを巻き付けて前記第1及び第2のフィルタコンポーネントを一緒に保持することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記ひだは、前記内側ラッパーを2つのエンボスローラで挟んでプレス及び加熱することによって形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のラッパーに第2のラッパーが巻き付けられて、前記ひだは前記第1のラッパーと前記第2のラッパーとの間に空気チャネルを画定する、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品(一般に、シガレット、非燃焼加熱式物品、及びベーピング製品等)用のフィルタコンポーネントに関する。特に、本発明は、より快適なベーピング体験を提供するフィルタコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
e-シガレットや非燃焼加熱式ベーピング装置の使用がこのところ普及しつつある。これらの製品は、風味あり又は風味なしの吸入可能エアロゾルをユーザに送達する。典型的には、エアロゾル発生源、例えば、エアロゾル発生物質を含有する液体又は固体の加熱可能な基材が加熱されるか蒸発して、燃焼がない状態でエアロゾルが生成される。これらの装置、特に非燃焼加熱式物品は、従来式のシガレットと同様に、エアロゾルが吸入の為にユーザに送達される前にエアロゾル中の特定の化合物及び粒子をフィルタで取り除く為に、1つ以上のフィルタエレメントを空気チャネルに含んでよい。
【0003】
一方、従来式のシガレットの使用は今でも広く普及している。従って、そのような物品の使用中に発生する主流煙の濾過を改善すること、並びに様々な風味の体験を消費者に提供することには一定の需要がある。
【0004】
現時点で知られている、そのようなベーピング製品向けの既存のフィルタは、従来式シガレットで使用されているフィルタをほとんど模倣したものである。しかしながら、常用ユーザからは、吸入時のエアロゾルの温度を下げるべきという報告がされている。これは、ユーザが多くの場合、エアロゾル、及び/又は吸入に使用している物品のマウスピースが使用時に熱すぎると感じており、従来式シガレットのマウスピースより間違いなく熱いと感じている為である。その原因のほとんどは、ベーピング物品内のエアロゾル発生材料の、エアロゾルが発生する加熱箇所からマウスピースまでのエアロゾルの移動距離が、少なくともそれらを消費している時間の大半にわたって、例えば従来式シガレットに比べて、短い為である。
【0005】
例えば、フィルタの通気をよくしたり、フィルタ材料の組成を変更したりしてエアロゾルの熱を減らす試みが行われてきた。しかしながら、これらの解決法は、エアロゾルの風味を望ましくない方向に変えてしまいがちである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、エアロゾル発生物品(例えば、喫煙物品、e-シガレット、及び非燃焼加熱式製品等)用の新規なフィルタを提供することであり、このフィルタは、そのような物品から発生するエアロゾルを十分に冷却することと、より楽しいベーピング体験をユーザに提供することと、を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、エアロゾル発生物品用フィルタコンポーネントが提供され、このフィルタコンポーネントは、第1のラッパーが巻き付けられた濾過材料を含む芯を含み、第1のラッパーは空気不透過性であり、少なくとも第1のフィルタコンポーネントの長手方向端部から及び/又は長手方向端部まで、曲がりくねった空気流路に沿って長手方向に延びる正弦波形の複数のひだを含む。
【0008】
有利なことに、そのようなフィルタコンポーネントは、エアロゾルと外気とが混ざらないようにして、ユーザ体験を強化する。また、曲がりくねった空気流路に沿ったひだによって冷却効果が得られる。
【0009】
好ましくは、フィルタコンポーネントは更に、第1のラッパーに巻き付けられるように構成された第2のラッパーを含み、ひだは第1のラッパーと第2のラッパーとの間にチャネルを画定する。
【0010】
好ましくは、第2のラッパーは、チャネルと流体連通しているパーフォレーションを含み、これにより、フィルタコンポーネントを吸うことによってチャネルを通る空気流が生成される。
【0011】
有利なことに、第1のラッパーと第2のラッパーとの間のチャネルは通気を提供し、フィルタコンポーネントを通過するエアロゾルを冷却する。
【0012】
好ましくは、正弦波形の波長は1~3mmの範囲にある。
【0013】
好ましくは、正弦波形の振幅は0.5~2mmの範囲にある。
【0014】
好ましくは、第1のラッパーはプラスチック材料を含み、好ましくはポリ乳酸を含む。
【0015】
有利なことに、そのような材料で形成されたラッパーは空気不透過性であり、製造中に曲がったり裂けたりしないだけの強度を有する。また、所望の形状及びサイズのひだを形成することに適する。
【0016】
好ましくは、第1のラッパーは弾性係数が1.09~2.28GPaの範囲にある。
【0017】
好ましくは、第1のラッパーは破断伸びが2.5~24%の範囲にある。
【0018】
本発明の別の態様によれば、上述の特徴を有する第1のフィルタコンポーネントを少なくとも含むエアロゾル発生物品用フィルタが提供される。
【0019】
好ましくは、フィルタは少なくとも1つの第2のフィルタコンポーネントを含み、第2のフィルタコンポーネントは第1のフィルタコンポーネントと異なり、第1のフィルタコンポーネントの端部から長手方向に、軸方向に配置されていて、第1及び第2のフィルタコンポーネントの両方に巻き付けられている外側ラッパーによって第1のフィルタコンポーネントとともに保持されている。
【0020】
有利なことに、第2のフィルタコンポーネントを使用して追加の濾過層が設けられてよく、それらのフィルタコンポーネントは、外側ラッパーの支援により一緒に保持されることが可能である。
【0021】
好ましくは、第2のフィルタコンポーネントは、第2のフィルタコンポーネントの長手方向軸に沿って少なくとも一部が中空である。
【0022】
有利なことに、これによってエアロゾルに対する追加の冷却効果が得られる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、1回分のエアロゾル発生基材と、その1回分のエアロゾル発生基材の端部に取り付けられた、上述のフィルタと、を含むエアロゾル発生物品が提供され、第1のフィルタコンポーネントはその1回分のエアロゾル発生基材に当接している。
【0024】
本発明の更に別の態様によれば、エアロゾル発生物品用フィルタコンポーネントを形成する方法が提供され、この方法は、空気不透過性の第1のラッパーの端部から第1のラッパー上の曲がりくねった空気流路に少なくとも部分的に沿って長手方向に延びる、正弦波形の複数のひだを形成することと、濾過材料の芯を設けることと、芯に第1のラッパーを巻き付けることと、を含む。
【0025】
好ましくは、ひだは、内側ラッパーを2つのエンボスローラで挟んでプレス及び加熱することによって形成される。
【0026】
好ましくは、第1のラッパーに第2のラッパーが巻き付けられて、ひだは第1のラッパーと第2のラッパーとの間に空気チャネルを画定する。
ここからは、以下の添付図面を参照しながら本発明を例示的に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一態様によるフィルタコンポーネントを有するエアロゾル発生装置を示す。
【
図2】
図1のフィルタコンポーネントの断面図を示す。
【
図3A】部分的に外側ラッパーが巻き付けられたフィルタコンポーネントの第1の例の側面図を示す。
【
図3B】部分的に外側ラッパーが巻き付けられたフィルタコンポーネントの第2の例の側面図を示す。
【
図4A】フィルタコンポーネントを有するエアロゾル発生装置の異なる2つの例を示す。
【
図4B】フィルタコンポーネントを有するエアロゾル発生装置の異なる2つの例を示す。
【
図5】フィルタコンポーネント内で形成される波パターンの2つの例を示す。
【
図6】フィルタコンポーネントを有するエアロゾル発生装置を製造する生産ラインを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の様々な実施形態の説明を、特に
図1、4A、及び4Bに示すような非燃焼加熱式スティックの形態のエアロゾル発生物品100に関して行う。前述の各例は非燃焼加熱式物品に関して示したが、本発明は、非燃焼加熱式物品に限定されるものとして解釈されるべきではなく、シガレット、シガリロ等にも普通に適用可能である。なお、以下では図面の説明において、同一又は同様の部分を同一又は同様の参照符号で示している。また、図面は概略的であり、各サイズの比率は実際のものと異なることに注意されたい。従って、具体的なサイズ等については以下の説明を考慮して判断されたい。言うまでもなく、図面には相互の図面間で相互のサイズの関係性や比率が異なる部分も含まれる。
【0029】
図1に示すように、エアロゾル発生物品100は、マウスピース部101及びエアロゾル発生部102を含む棒状構造を含む。マウスピース部101は、エアロゾル発生部102の内側端部102aと口側端部103aとの間に画定される空気チャネルを有する。マウスピース部101は、好ましくは2つのコンポーネントで形成されており、それらは、
図1に示した例では、紙管フィルタセグメント105及び口側端部フィルタコンポーネント106で構成されている。エアロゾル発生部102はエアロゾル源104及び非口側端部103bを含み、エアロゾル源104は、風味及び/又は興奮剤(ニコチン等)を含む任意の適切な物質で形成されてよい。好ましくは、エアロゾル源104(タバコであってよく、又は少なくともタバコを含む)は、燃焼を伴わずに熱源(図示せず)によって加熱されたときにエアロゾルを放出する。紙管105は、好ましくは、紙又は紙状材料で作られた中空コンポーネントであって、エアロゾルを冷却する為に設けられている。フィルタコンポーネント106は、発生したエアロゾル中のあらゆる不要な化合物をフィルタで取り除く為に、従来式のシガレットフィルタと同様に、捲縮セルロースアセテート繊維等の濾過材料を含有する芯を含む。芯には構造化された内側ラッパーが巻き付けられ、内側ラッパーは、口側端部フィルタコンポーネント106の少なくとも一方の端部から好ましくはフィルタコンポーネント106の長さ全体に沿って長手方向に延びるジグザグ又は正弦波状のパターンのチャネルを含む。
【0030】
当然のことながら、物品100は、任意の適切な形状及びサイズであってよく、図示していない他のコンポーネントを含んでよい。
【0031】
図2は、フィルタコンポーネント106の断面端図を示す。上述のように、フィルタコンポーネント106は、内側ラッパー201が芯202を取り巻いており、芯202はセルロースアセテートのフィラメント等の濾過材料を含む。好ましくは、内側ラッパー201は、ポリ乳酸(PLA)プラスチック、セルロースアセテート、又は他の適切な材料から作られ、それらの弾性係数は1.09~2.28GPaの範囲にあり、破断伸びは2.5~24%の範囲にある。更に、内側ラッパー201の多孔率は、好ましくは10CUを下回り、それによって、内側ラッパー201は実質的に空気不透過性である。
【0032】
内側ラッパー201には外側ラッパー203が巻き付けられており、外側ラッパー203は空気透過性材料で作られていることが好ましい。外側ラッパー203の表面はひだになっておらず、その為、正弦波形パターンを有する内側ラッパー201に外側ラッパー203が巻き付けられると、それらの間に空気チャネル204が形成される。
【0033】
使用時には、ユーザは、エアロゾル発生源104が加熱されている間、マウスピース端部103aから空気を吸い込む。熱によって発生したエアロゾルは、エアロゾル発生部102から紙管105で形成された中間チャネルを通って吸引され、フィルタコンポーネント106を通過する際に芯202の中に入る。エアロゾルは、芯202中にある濾過材料と接触することによってフィルタリングされる。この例では、外側ラッパー203が空気透過性である為、冷却用空気が外側からチャネル204内に吸い込まれる。一方、内側ラッパー201の芯202を通過するエアロゾルは、内側ラッパー201が空気不透過性である為に冷却用空気と混ざらない。一方、チャネル204内の冷却用空気はユーザの口に入り、そこでエアロゾルと混ざってエアロゾルを冷却する。従って、ユーザは、吸入しやすい温度のエアロゾルを提供される。更に、内側ラッパー201の存在によってエアロゾルが外気と混ざっていない為に、エアロゾル内の風味の強さ又は物質が減じられておらず、それによってユーザ体験は更に強化される。
【0034】
図2に示すように、内側ラッパー201は、フィルタコンポーネント106の芯202に満たされた濾過材料に巻き付けられている。濾過材料は、エアロゾル中のあらゆる不要な化合物をフィルタで取り除く為に、セルロースアセテート、ポリプロピレン、又は他の繊維性材料のトウ布又は不織布であってよい。具体的には、濾過材料は、エアロゾルに含まれるタバコ等の物質の粒状成分及びガス状蒸気成分を取り除く為に使用される。エアロゾルが風味だけを含むのであれば、濾過は不要であってよく、従って、芯は中空であってよい。
【0035】
外側ラッパー203は、剛性と快適さとをユーザに提供する為に内側ラッパー201に巻き付けられる。外側ラッパー203は、内側ラッパー201と外側ラッパー203との間に形成されたチャネル204の内側に外気が浸透することを可能にする紙又は空気透過性材料で作られてよい。外側ラッパー203はまた、空気チャネル204内への適切な空気取り入れを可能にする為にパーフォレートされてよい。チャネル204は、内側ラッパー201内の正弦波形パターンによって形成されており、フィルタコンポーネント106を通過するエアロゾルの冷却を支援する。上述のように、チャネル内の空気は内側ラッパー201を通り抜けて浸透することができないので、エアロゾルはフィルタコンポーネント106内で外気と混ざらない。
【0036】
なお、チャネル204は、フィルタコンポーネント106の一端又は両端において円周方向に形成され、フィルタコンポーネント106の長さの少なくとも一部に沿って形成された正弦波のひだに沿って長手方向に形成される。内側ラッパー201内にこのように形成されたチャネル204は、既存のフィルタに比べて強化された冷却効果を実現する。
【0037】
図3Aは、本発明の一態様によるフィルタコンポーネント106を示す。この場合、内側ラッパー201内の正弦波形パターンは、内側ラッパー全体にわたる曲がりくねった空気流路に沿って、口側端部103aから非口側端部103bまで長手方向に延びきっている。エアロゾルがフィルタコンポーネント106の波状経路内を移動するにつれて、その移動速度は低下し、経路もまた、圧力低下を形成する。従って、これにより、エアロゾルは、口側端部103aに達する前に冷却される。
【0038】
図3Bは、本発明の別の態様によるフィルタコンポーネント106を示す。この場合、内側ラッパー201内の正弦波形パターンは、曲がりくねった経路に沿って長手方向に、口側端部103aから内側ラッパー201内のある程度のところまで延びているが、非口側端部103bまでは延びていない。この例では、波形パターンは、内側ラッパー201の中程まで延びている。内側ラッパー201の残り部分はエンボスされず、プレーンな表面を有していればよい。使用時には、フィルタコンポーネント106の非口側端部103bに取り付けられたエアロゾル発生部102から来る主流煙が、濾過材料の芯202の中だけを通って進み、内側ラッパー201内に形成されたチャネル204を通らない。更に、空気チャネル204は、ユーザの唇が外側ラッパー203の表面に触れる、フィルタコンポーネント106の外側に向かって芯202内を循環する高温の煙に対する冷却バリアとして働く。更に、チャネル204と流体連通している通気穴が外側ラッパー203に設けられている場合には、新鮮な空気が口側端部103aに向かってチャネル204に吸い込まれる。この空気は、その後、芯202を通過してきたエアロゾルと一緒にユーザの口に吸い込まれて、ユーザの口中に冷却感をもたらし、これによって心地よいベーピング体験が得られる。
【0039】
図3A及び3Bの両方の例では、好ましくは、フィルタコンポーネント106の長さは約15mmであり、円周は21.7mmであり、形成されるチャネルの数は5~10の範囲にある。
【0040】
図4A及び4Bは、管状フィルタコンポーネント401を有する物品100を示す。管状フィルタコンポーネント401は、フィルタを更に延長する為に物品100に含まれてよい。管状フィルタコンポーネント401は、エアロゾルがユーザの口に届くまでの経路を延長することが可能である。これにより、更なる冷却効果が得られる。
【0041】
図4Aに示した装置では、管状フィルタコンポーネント401は、紙管105に隣接して口側端部103aに設けられている。正弦波形パターンを有するフィルタコンポーネント106は、紙管105とエアロゾル源104とに挟まれている。この構成では、エアロゾルはまず、エアロゾル源104から出ると直ちにフィルタコンポーネント106内で冷却される。そして冷却されたエアロゾルは、紙管105内及び管状フィルタコンポーネント401内を移動して、ユーザの口に届くまでに更に少し冷却されることが可能である。
【0042】
図4Bに示した装置では、管状フィルタコンポーネント401は、口側端部103aから離れて配置されて、フィルタコンポーネント106と紙管105とに挟まれている。フィルタコンポーネント106は口側端部103aに配置されている。この構成では、エアロゾルは、紙管105及び管状フィルタコンポーネント401を通過した時点ではあまり冷却されていなくてよい。しかしながら、フィルタコンポーネント106を通過すると、エアロゾルは、空気チャネル204の存在によって快適な温度まで冷却されてユーザに届く。更に、フィルタコンポーネント106が外側ラッパー203だけでなく内側ラッパー201の層を有する為に、装置100の先端での温度が更に下がることになる。
【0043】
当然のことながら、管状フィルタコンポーネント401、紙管105、及びフィルタコンポーネント106は、プラグラップ(図示せず)により一緒に巻かれることが好ましい。更に、紙管105及び管状フィルタコンポーネント401は任意選択のコンポーネントであり、これらの一方又は両方が省略可能である。
【0044】
図5は、内側ラッパー201上に形成される波形パターンの例を示す。パターン501は、ピークと谷とを繰り返す単純な正弦波形である。隣接する2つのピークの間隔を波長(a)と称しており、これは1~3mmの範囲にあることが好ましい。各波の高さを振幅(b)と称しており、これは0.5~2mmの範囲にあることが好ましい。パターン502は、平らにされた面を有する修正された正弦波形である。パターン502の波形の振幅(b)も0.5~2mmの範囲にあることが好ましい。
【0045】
図6は、装置100のフィルタ製造工程を示す。製造装置600は、3つの主要セクション、即ち、トウ処理装置601、チャネル形成装置602、及びロッド形成装置603を含む。トウ処理装置601は、ガイドローラ、プリテンションローラ、フィードローラ、エアスプレッダ等のコンポーネントを含み、これらは当該技術分野においてよく知られている。内側ラッパー201内の波形パターン又はチャネルは、トウ処理装置601とロッド形成装置603との間に置かれたチャネル形成装置602において形成される。内側ラッパー201は、一対のエンボスローラ603の間でプレスされ、エンボスローラ603は加熱されて内側ラッパー201上のパターンを作成することが可能である。作成されたパターンは連続的又は断続的又はジグザグであってよい。
【0046】
内側ラッパー201は、エンボスされた後、任意選択で、ロッド形成装置603において濾過材料を充填され、外側ラッパー203を巻き付けられる。このようにして、フィルタコンポーネント106が装置100で使用されるように製造される。
【0047】
上述の発明によれば、エアロゾルが外気と直接混ざることなくエアロゾルを快適な温度まで冷却することによって心地よいユーザ体験を提供するフィルタコンポーネントを含むエアロゾル発生装置を提供することが可能である。更に、内側ラッパー201はより高剛性の材料で作られる為、製造工程中に曲がったり裂けたりしにくい。更に、そのような内側ラッパーの上に所望のパターンを形成することがより容易である。
【0048】
当然のことながら、フィルタコンポーネント106の形状、サイズ、及びデザインは、装置100の他のコンポーネントに合わせて修正されてよい。更に、装置100内でのフィルタコンポーネントの位置付けも要件に応じて調節されてよい。フィルタコンポーネント、外側ラッパー、紙管、濾過材料等を形成する為の材料の選択も、上述の例に限定されるものではない。更に別のコンポーネントが装置に存在してよい。例えば、風味を含有する風味カプセルが、フィルタコンポーネント106内、又は装置の他の部品のいずれかの中に設けられてもよい。この構成により、ユーザは、風味カプセルをつぶして中に含まれる風味をより強くすることも可能であってよい。
【0049】
本発明の説明を主に非燃焼加熱式eシガレットに関して行ったが、フィルタコンポーネント106は、他のタイプのeシガレットや従来式のシガレットでの使用にも適用可能である。
【0050】
上述の例示的実施形態の説明は、例示及び説明を目的として行った。上述の例示的実施形態の説明は、包括的であること、又は開示した厳密な形態に限定することを意図しておらず、修正形態及び変形形態が上述の教示に照らして可能であり、又は開示の実施形態を実施することから得ることが可能である。
【国際調査報告】