(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221213BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/08 A
H01L23/08 B
H01L23/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506371
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2020107866
(87)【国際公開番号】W WO2021023306
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910730417.6
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522040012
【氏名又は名称】厦門雲天半導体科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】于大全
(57)【要約】
接合壁ファンアウトデバイス(10)の3次元パッケージング構造及び方法は、デバイス(10)の第1の面が、機能領域(12)及びいくつかのパッド(11)を有し、デバイス(10)の第1の面以外が封止材料(20)を有している。デバイス(10)の第1の面には、壁構造(30)が作製されて封止材料(20)の第1の面まで延在している。当該壁構造(30)は、少なくとも1つのパッド(11)を部分的に覆うとともに、パッド(11)部分に第1開口(31)が設けられている。また、壁構造(30)に接着されて、デバイス(10)の機能領域(12)に空洞(13)構造を形成するカバープレート(40)が設けられている。カバープレート(40)は、第1開口(31)と連通する少なくとも1つの第2開口(41)を有している。カバープレート(40)の表面には、第1開口(31)、第2開口(41)を通じてパッド(11)に電気的に接続される金属接続構造が設置されている。これにより、構造全体の信頼性の向上、リスクの低下、コスト低減が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造であって、
デバイスの第1の面は、機能領域及びいくつかのパッドを有し、一体成型された封止材料で前記デバイスの第1の面以外が覆われており、デバイスの第1の面に水平に接続される封止材料の第1の面にファンアウト面が形成されており、
前記デバイスの第1の面には、壁構造が作製されてファンアウト面まで延在しており、前記壁構造は、少なくとも1つのパッドを部分的に覆うとともに、前記パッド部分に第1開口が設けられており、
前記壁構造に接着されて、前記デバイスの機能領域に空洞構造を形成するカバープレートが設けられており、前記カバープレートは、前記第1開口と連通する少なくとも1つの第2開口を有し、
前記カバープレートの表面には、前記第1開口、前記第2開口を通じてパッドに電気的に接続される金属接続構造が設置されていることを特徴とする構造。
【請求項2】
前記カバープレートは、ポリマーフィルム、ガラス、シリコン又はセラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項3】
前記壁構造の材料は、ポリマー、ガラス、セラミックス又は絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項4】
前記壁構造の材料はフォトレジスト又はドライフィルムであり、材料をレジスト塗布又はフィルム圧着によってデバイスの第1の面及びファンアウト面に配置し、フォトリソグラフィにより露光、現像することで壁を形成することを特徴とする請求項1又は3に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項5】
前記デバイスの材質は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ガラス又はシリコンであることを特徴とする請求項1に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項6】
前記封止材料は、ポリマー、プラスチック封止材料、エポキシ樹脂又はガラスペーストであることを特徴とする請求項1に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項7】
前記金属接続構造は、導電回路、パッシベーション層及び信号ポートを含み、前記導電回路とカバープレートとは絶縁されており、前記導電回路は、前記カバープレートの表面に配設されるとともに、前記第2開口、前記第1開口まで延伸してパッドに電気的に接続され、前記パッシベーション層は、前記導電回路及び前記カバープレートの露出表面を覆うとともに、第3開口が設けられており、前記信号ポートは、前記第3開口に位置して前記導電回路に電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項8】
前記信号ポートは、BGAはんだボール、ニッケル-パラジウム-金、ニッケル-金、又はチタン-銅パッドであることを特徴とする請求項7に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項9】
前記デバイスは、第1の面にいくつかのパッドを有するフィルタチップであり、前記壁構造はフレーム構造であり、内部が然るべく延伸して各パッドを覆うとともに、各パッド部分に第1開口が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造。
【請求項10】
接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法であって、
1)デバイスウエハをダイシングし、
2)ピックアップ及び載置によって、デバイスを仮基板に載置し、
3)デバイスを封止して、前記デバイスの第1の面に水平に接続される封止材料の第1の面にファンアウト面を形成し、
4)封止したデバイスを基板から分離して、封止材料を有する再構成ウエハ又は方形ウエハを取得し、
5)デバイスの第1の面の辺縁及びファンアウト面に壁構造を作製し、少なくとも1つのパッドを覆うまで部分的に延伸させるとともに、前記パッド部分を開口し、
6)壁構造の表面にカバープレートを付加することで、機能領域に空洞を形成するとともに、パッド部分を開口し、
7)金属接続構造を作製してパッドに電気的に接続する、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
ステップ3)では、プラスチック封止、フィルム圧着又は接着剤塗布により封止することを特徴とする請求項10に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法。
【請求項12】
ステップ5)において、前記壁の材料としてフォトレジスト又はドライフィルムを選択し、材料をレジスト塗布又はフィルム圧着によってデバイスの第1の面及びファンアウト面に配置し、フォトリソグラフィにより露光、現像することで壁を形成することを特徴とする請求項10に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法。
【請求項13】
前記壁は、フォトリソグラフィ時に、チップの一部のパッド面積を覆って開口を保持しておき、カバープレートの接合後に、フォトリソグラフィ又はレーザ光で開口することで、パッド位置に対応するカバープレートを開孔し、その後、PVD、電気めっきによってバンプ又はリード線を作製し、パッドを導線によりカバープレートの表面に引き出すことを特徴とする請求項12に記載の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージングの分野に関し、特に、接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのMEMS(例えば、加速度計、RFスイッチ、ジャイロスコープ)や、様々なセンサ(例えば、濾波器、CMOSイメージセンサ)には、デバイスを保護するための保護空洞を形成して、真空又は気密動作環境をデバイスに提供する必要がある。技術の進歩に伴って、チップサイズは小型化が進んでいるが、例えばSAWフィルタやCMOSイメージセンサといった多くのデバイスでは、密封壁をデバイス領域以外の位置に設置するしかない。しかし、コスト低減のために、壁形成に用いられる面積は縮小傾向にあり、壁の幅は狭くなる一方である。壁とカバープレートとの接合面積の減少は、接合界面の接合力低下をもたらし、デバイスの信頼性に極めて大きな影響を及ぼす。そのため、低コストで信頼性の高い新たな解決策を模索する必要がある。
【0003】
ファンアウトパッケージング技術は、現在主流の先進的パッケージング技術である。チップ集積度の更なる向上及びI/O数の更なる増加に伴って、従来のウエハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)では製品要求を満たすことが難しくなっており、WLCSPにおけるI/O数の過多とチップ面積の過小という矛盾を解決する必要が生じている。インフィニオン社は、2004年にウエハレベルファンアウトeWLB(Embedded Wafer Level BGA)技術(特許文献1)を提案している。当該技術の主な特徴は、成形コンパウンドとチップ表面を利用してチップの周囲に新たなファンアウト平面を形成し、金属配線をチップからファンアウト表面に引き出す点にある。ファンアウトパッケージング技術では、原則的にチップサイズの制限を受けることがなく、I/O数及びはんだボールピッチについてもチップサイズに制限されることがない。また、基板を使用しないためパッケージの厚みが低下し、優れたコスト及び電気的優位性を有している。しかし、従来技術のファンアウトパッケージング技術では、ファンアウト部分が平面構造となっており、多くが電気回路のレイアウトに用いられている。また、技術も複雑である。
【0004】
FOWLPは、プロセス技術の漸次成熟に伴って、コストが低下し続けている。且つ、チップ技術の持続的な向上もあいまって、FOWLPは爆発的な成長が見込まれている。また、従来のAPプロセッサにおけるPoPパッケージの厚みを縮小し、電気性能を向上させるために、FOWLP技術をベースとして、成形コンパウンド上に貫通孔を作製して連通させる3次元FOWLP積層技術が更に開発されている。代表的なものとしては、TSMC社が研究開発したInFO技術があり、Apple A10、A11、A12プロセッサにパッケージングサービスを提供している。これにより、業界全体に3次元FOWLP積層技術の研究開発熱が到来している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、従来技術における上記の欠点を解消するために、信頼性を向上させ、リスク及びコストを低減させた接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の技術方案を採用する。
【0008】
接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造は、デバイスの第1の面が、機能領域及びいくつかのパッドを有しており、一体成型された封止材料で前記デバイスの第1の面以外が覆われている。また、デバイスの第1の面に水平に接続される封止材料の第1の面にファンアウト面が形成されている。
【0009】
前記デバイスの第1の面には、壁構造が作製されてファンアウト面まで延在している。当該壁構造は、少なくとも1つのパッドを部分的に覆うとともに、パッド部分に第1開口が設けられている。
【0010】
壁構造に接着されて、デバイスの機能領域に空洞構造を形成するカバープレートが設けられている。カバープレートは、第1開口と連通する少なくとも1つの第2開口を有する。
【0011】
前記カバープレートの表面には、第1開口、第2開口を通じてパッドに電気的に接続される金属接続構造が設置されている。
【0012】
好ましくは、前記カバープレートは、ポリマーフィルム、ガラス、シリコン又はセラミックスである。
【0013】
好ましくは、前記壁構造の材料は、ポリマー、ガラス、セラミックス又は絶縁体である。
【0014】
好ましくは、前記壁構造の材料はフォトレジスト又はドライフィルムであり、材料をレジスト塗布又はフィルム圧着によってデバイスの第1の面及びファンアウト面に配置し、フォトリソグラフィにより露光、現像することで壁を形成する。
【0015】
好ましくは、前記デバイスの材質は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ガラス又はシリコンである。
【0016】
好ましくは、前記封止材料は、ポリマー、プラスチック封止材料、エポキシ樹脂又はガラスペーストである。
【0017】
好ましくは、前記金属接続構造は、導電回路、パッシベーション層及び信号ポートを含む。当該導電回路とカバープレートは絶縁されている。当該導電回路は、カバープレートの表面に配設されるとともに、第2開口、第1開口まで延伸してパッドに電気的に接続される。当該パッシベーション層は、導電回路及びカバープレートの露出表面を覆うとともに、第3開口が設けられている。信号ポートは、第3開口に位置して導電回路に電気的に接続される。
【0018】
好ましくは、前記信号ポートは、BGAはんだボール、ニッケル-パラジウム-金、ニッケル-金、又はチタン-銅パッドである。
【0019】
好ましくは、前記デバイスは、第1の面にいくつかのパッドを有するフィルタチップである。前記壁構造はフレーム構造であり、内部が然るべく延伸して各パッドを覆うとともに、各パッド部分に第1開口が設けられている。
【0020】
本発明は、接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法を提供する。当該方法は、以下を含む。
1)デバイスウエハをダイシングする。
2)ピックアップ及び載置によって、デバイスを仮基板に載置する。
3)デバイスを封止して、前記デバイスの第1の面に水平に接続される封止材料の第1の面にファンアウト面を形成する。
4)封止したデバイスを基板から分離して、封止材料を有する再構成ウエハ又は方形ウエハを取得する。
5)デバイスの第1の面の辺縁及びファンアウト面に壁構造を作製し、少なくとも1つのパッドを覆うまで部分的に延伸させるとともに、当該パッド部分を開口する。
6)壁構造の表面にカバープレートを付加することで、機能領域に空洞を形成するとともに、パッド部分を開口する。
7)金属接続構造を作製してパッドに電気的に接続する。
【0021】
好ましくは、ステップ3)では、プラスチック封止、フィルム圧着又は接着剤塗布により封止する。
【0022】
好ましくは、ステップ5)において、前記壁構造の材料としてフォトレジスト又はドライフィルムを選択し、材料をレジスト塗布又はフィルム圧着によってデバイスの第1の面及びファンアウト面に配置し、フォトリソグラフィにより露光、現像することで壁を形成する。
【0023】
好ましくは、前記壁は、フォトリソグラフィ時に、チップの一部のパッド面積を覆って開口を保持しておく。そして、カバープレートの接合後に、フォトリソグラフィ又はレーザ光で開口することで、パッド位置に対応するカバープレートを開孔する。その後、PVD、電気めっきによってバンプ又はリード線を作製し、パッドを導線によりカバープレートの表面に引き出す。
【発明の効果】
【0024】
本発明についての上記の記載から明らかなように、従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0025】
1.本発明では、封止材料を用いてデバイスの第1の面以外を封止することでファンアウト面を形成する。そして、デバイス及び封止材料のファンアウト面に壁構造を設置してカバープレートを支持するとともに、大きな空洞を形成する。ファンアウト面積を利用して壁構造を作製することで、壁構造を広げるための十分な位置が備わる。これにより、構造全体の信頼性の向上、リスクの低下、コスト低減がなされる。
【0026】
2.本発明の構造及び方法は、再構成ウエハによって属性の脆弱性をなくしているため、製品の製造プロセスにおける歩留まりの向上に有利であり、加工しやすく、破損リスクが低下する。
【0027】
3.本発明の構造及び方法によれば、デバイスの面積が増大し、デバイスが存在しない領域の面積は減少するため、同様の原材料であっても、デバイス数が増加し、コストが低減する。
【0028】
4.本発明の構造及び方法では、ウエハレベルチップスケールパッケージを採用可能であり、大規模・大量生産に適しているとともに、生産コストが低減する。また、デバイス性能の同一性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図5】
図5は、チップを仮基板に載置する場合の概略図である。
【
図11】
図11は、カバープレートの作製を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、具体的実施形態によって、本発明につき更に記載する。
【0031】
実施例において、接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造は、
図1~14を参照して、デバイス10、封止材料20、壁構造30、カバープレート40及び金属接続構造等を含む。当該デバイス10の第1の面には、パッド11及び機能領域12が設けられている。当該機能領域12にはIDTが設けられている。当該パッド11は、アルミパッド、アルミニウム-ニッケル-金パッド、アルミニウム-ニッケル-パラジウム-金パッド等とすることができる。本実施例におけるデバイスのチップタイプは、SAWフィルタ、BAWフィルタ、又はその他の類似機能のフィルタデバイスとする。また、デバイス10は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ガラス、シリコン等のウエハ材料をダイシングしたデバイス10である。
【0032】
前記封止材料20は、デバイス10の第1の面以外を封止する。
図1を参照して、封止材料20は、デバイス10の4つの側辺と1つの底辺を封止する。デバイスの上辺は第1の面となり、封止されない。これにより、デバイス10の第1の面に水平に接続される封止材料20の第1の面にファンアウト面21が形成される。当該封止材料20は、プラスチック封止、フィルム圧着又は接着剤塗布により実現可能であり、封止の厚みは必要に応じて設定すればよい。封止材料20は、ポリマー、プラスチック封止材料、エポキシ樹脂又はガラスペースト等とすることができる。
【0033】
前記壁構造30は、デバイス10の第1の面の辺縁と、封止材料20のファンアウト面21に設置される。当該封止材料20のファンアウト面21とデバイス10の第1の面は同一平面上に位置している。つまり、壁構造30は、デバイス10と封止材料20のファンアウト面21との境界面を覆う。壁構造30は、封止材料20のファンアウト面21を完全に覆ってもよいし、部分的に覆ってもよい。
【0034】
壁構造30は、更に、部分的に延伸してパッド11を少なくとも覆うとともに、当該パッド11部分に第1開口31が設けられている。当該第1開口31はパッド11の上面に位置している。当該第1開口31の面積は、パッド11の面積よりもやや小さい。壁構造30に覆われるパッドの数は、1つ、2つ、3つ、ひいては全てのパッドとしてもよく、ここでは限定しない。壁構造30は、ポリマー、ガラス、セラミックス又は絶縁体等とすることができる。
【0035】
カバープレート40は、壁構造30の表面を覆うことで機能領域12に空洞13を形成するとともに、パッド11部分に第2開口41が設けられている。当該空洞13の高さは壁構造30の厚みによって決定される。当該第2開口41と第1開口31は連通している。また、第2開口41の面積は、第1開口31の面積よりもやや大きいか等しければよく、好ましくは大きい。当該カバープレート40は、ポリマーフィルム、ガラス、シリコン又はセラミックス等の材料とすることができる。
【0036】
実施例において、金属接続構造は、導電回路50、パッシベーション層60及び信号ポート70等を含み、カバープレート40の表面に配設されて、第2開口41、第1開口31まで延伸し、パッド11に電気的に接続される。前記導電回路50とカバープレート40は絶縁されている。導電回路50は、カバープレート40の表面に配設されるとともに、第2開口41、第1開口31まで延伸してパッド11に電気的に接続される。当該導電回路50には金属材料を採用する。前記パッシベーション層60は、導電回路50及びカバープレート40の露出表面を覆うとともに、外部接続領域に第3開口61が設けられている。信号ポート70は、第3開口61に位置して導電回路50に電気的に接続される。
【0037】
当該パッシベーション層60は、導電回路50を保護するために用いられ、ポリマー材料を使用可能である。これにより、製品の絶縁性能が向上するとともに、導電回路50に対し酸化防止作用が奏される。また、前記信号ポート70は、BGAはんだボール、ニッケル-パラジウム-金、ニッケル-金、又はチタン-銅パッドである。本発明の金属接続+-構造の実現方式はこれに限らず、その他の一般的な金属外部接続構造を用いて実現してもよい。
【0038】
前記デバイス10は、第1の面にいくつかのパッド11を有するフィルタチップとすることができる。前記壁構造30はフレーム構造であり、内部が然るべく延伸して各パッドを覆うとともに、各パッド部分に第1開口31が設けられている。
【0039】
接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング方法は、
図2~14を参照して、上記の接合壁ファンアウトデバイスの3次元パッケージング構造を製造するために用いられる。当該方法は、以下のステップを含む。
【0040】
1)
図2を参照して、フィルタデバイスのウエハを選択し、デバイスウエハをダイシングして単一のデバイス10を取得する。当該デバイスウエハは、ニオブ酸リチウム又は炭酸リチウム等のウエハである。ダイシング後の構造図については、
図3、
図4を参照する。
【0041】
2)
図5を参照して、アライメントマークを使用し、ピックアップ及び載置により、デバイス10を仮基板80上に載置する。
【0042】
3)
図6を参照して、プラスチック封止、フィルム圧着又は接着剤塗布により、デバイス10の第1の面以外を封止することで、デバイス10の第1の面に水平に接続される封止材料20の第1の面にファンアウト面21を形成する。封止材料は、ポリマー、プラスチック封止材料、エポキシ樹脂又はガラスペースト等とする。
【0043】
4)
図7、
図8を参照して、封止したデバイスを仮基板80から分離する。即ち、仮基板80を除去することで、封止材料20を有する再構成ウエハ又は方形ウエハを取得する。
【0044】
5)
図9、
図10を参照して、デバイス10の第1の面の辺縁及び封止材料20のファンアウト面21に壁構造30を作製し、少なくとも1つのパッド11を覆うまで部分的に延伸させるとともに、当該パッド11部分に第1開口31を開設する。当該壁構造30は、ポリマー、ガラス、セラミックス又は絶縁体とすることができる。
【0045】
6)壁構造30の表面をカバープレート40で覆うことで、デバイス10の機能領域12に空洞13を形成するとともに、パッド11部分に第2開口41を開設する。
図11、
図13を参照して、当該カバープレート40は、ドライフィルム、ガラス、シリコン又はセラミックス等の材料とすることができ、フォトリソグラフィ又はレーザ光により開孔可能である。
【0046】
7)金属接続構造を作製し、パッド11に電気的に接続する。具体的には、
図12を参照して、まず、カバープレート40の表面に導電回路50を作製し、第2開口41及び第1開口31まで延伸させてパッド11に電気的に接続する。次に、パッシベーション層60を作製して、導電回路50及びカバープレート40の露出表面を覆うとともに、外部接続領域にフォトリソグラフィを実施して第3開口61を開設する。また、外部接続領域の第3開口61部分に信号ポート70を作製して、導電回路50に電気的に接続する。当該信号ポート70は、BGAはんだボール、ニッケル-パラジウム-金、ニッケル-金、又はチタン-銅パッド等の一般的な信号ポートとすることができる。
【0047】
8)
図14を参照して、再構成ウエハ又は方形ウエハをダイシングすることで、最終的なパッケージ体を取得する。
【0048】
本発明の実施例では、壁構造の材料としてフォトレジスト又はドライフィルムを選択可能である。材料をレジスト塗布又はフィルム圧着によってデバイスの第1の面及びファンアウト面に配置し、フォトリソグラフィにより露光、現像することで壁を形成する。そして、材料自体(粘着機能を有する場合)を利用するか、表面に接着剤を塗布して、ガラス、シリコン、ドライフィルム等の材料を接合する。
【0049】
チップ面積の縮小は発展の趨勢となっており、チップの製造コストを低減すべく、デバイス以外のチップの表面積が大変小さく圧縮されている。これに伴い、空洞構造を作製する接合壁は薄くなり、カバープレートとの接合面が減少することで、接合力が低下してデバイスの信頼性に影響を及ぼしている。パッケージングの標準外形寸法を満たすために、本発明では、密閉空洞を有するウエハレベルチップスケールパッケージにおけるチップの小型化に伴う信頼性の難題を、接合壁のファンアウトによって解決することを提案する。金属配線の電気信号をファンアウトする標準的なファンアウトパッケージングとは異なり、本発明では、予めデバイスをダイシングしてからほかの材料に埋め込み、ファンアウト面積を利用して壁構造を作製する。これにより、壁構造を広げるための十分な位置が備わるため、大きな空洞、高い信頼性、コスト低減が実現される。
【0050】
上記は本発明の具体的実施形態にすぎず、本発明の設計思想はこれに限らない。本思想を利用して本発明につき実施される実質的でない変更は、いずれも本発明の保護の範囲を侵害する行為に属する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明では、封止材料を用いてデバイスの第1の面以外を封止することでファンアウト面を形成する。そして、デバイス及び封止材料のファンアウト面に壁構造を設置してカバープレートを支持するとともに、大きな空洞を形成する。ファンアウト面積を利用して壁構造を作製することで、壁構造を広げるための十分な位置が備わる。これにより、構造全体の信頼性の向上、リスクの低下、コスト低減がなされるため、良好な産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0052】
10 デバイス
11 パッド
12 機能領域
13 空洞
20 封止材料
30 壁構造
31 第1開口
40 カバープレート
41 第2開口
50 導電回路
60 パッシベーション層
61 第3開口
70 信号ポート
80 仮基板
【国際調査報告】