(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】遺伝子改変自己T細胞免疫療法を使用する治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/15 20150101AFI20221213BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221213BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20221213BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20221213BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221213BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221213BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221213BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221213BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20221213BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20221213BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221213BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20221213BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20221213BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221213BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20221213BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20221213BHJP
【FI】
A61K35/15 Z
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/12
A61P35/00
A61P37/04
A61K47/42
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/20
A61K45/00
A61K38/19
A61K38/20
A61K39/395 U
C07K14/725
C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520963
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020054732
(87)【国際公開番号】W WO2021072044
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520032608
【氏名又は名称】パクト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PACT PHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】センニノ, バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】プランダレ, バーミニ
(72)【発明者】
【氏名】マンデル-キャッシュマン, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ファイン, グレッグ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, アラティ ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】スタリングス-シュミット, トッド
(72)【発明者】
【氏名】フローリヒ, マーク ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】フランズソフ, アレックス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C076CC27
4C076DD21
4C076DD41
4C076DD55
4C076EE41
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084DA01
4C084DA13
4C084DA14
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
精密ゲノム改変NeoTCR生成物を用いてがんを治療する方法がここに記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団;
b. 第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、及び第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団;又は
c. 第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団、及び第三のネオ抗原に結合する第三のNeoTCRを含む第三のNeoTCR細胞集団
を含み;
各NeoTCRが互いに異なり、かつ
各NeoTCRが患者に由来する、組成物。
【請求項2】
第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、単一の遺伝子によって発現される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、異なる遺伝子によって発現される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原のうちの二つが、単一の遺伝子によって発現される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRが、異なる主要組織適合遺伝子複合体に結合する、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRのうちの二つが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、薬学的に許容される担体を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が凍結保存剤を含む、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が血清アルブミンを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が晶質液を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法において、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
組成物が、約4×10
8細胞、1.33×10
9細胞、又は約4×10
9細胞の量のNeoTCR細胞を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、約4×10
8細胞より多くかつ約1.33×10
9細胞より少なく、約1.33×10
9細胞より多くかつ約4×10
9細胞より少なく、又は約4×10
9細胞より多い量のNeoTCR細胞を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物が、表4による量のNeoTCR細胞を含む、請求項13から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物が、表5による量のNeoTCR細胞を含む、請求項13から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
組成物が単回投与で投与される、請求項13から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
組成物が複数回投与で投与される、請求項13から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
組み合わせ薬剤を投与することを更に含む、請求項13から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
組み合わせ薬剤が、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
サイトカインが、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サイトカインがIL-2剤である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
サイトカインがIL-15剤である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項25】
PD軸結合剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む、請求項21から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
がんが液性がん又は固形がんである、請求項13から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
組成物が、フルダラビン及びシクロホスファミドの前処置レジメンの後に投与される、請求項13から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1から12の何れか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項29】
請求項1から12の何れか一項に記載の組成物の投与のためのキット。
【請求項30】
a. 第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;
b. 第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞;
c. 第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞;又は
d. それらの組み合わせ
を含む複数の細胞であって、ここで、第一、第二及び第三のNeoTCRが患者由来であり、第一、第二及び第三の改変細胞が患者由来の初代細胞である、複数の細胞。
【請求項31】
第一、第二、及び第三の抗原が、がん抗原である、請求項30に記載の複数の細胞。
【請求項32】
がん抗原がネオ抗原である、請求項31に記載の複数の細胞。
【請求項33】
初代細胞がリンパ球である、請求項30から32の何れか一項に記載の複数の細胞。
【請求項34】
初代細胞がT細胞であり、場合によっては、T細胞が、
a. CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+;
b. CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+;又は
c. CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+
である、請求項30から33の何れか一項に記載の複数の細胞。
【請求項35】
請求項30から34の何れか一項に記載の複数の細胞を含む組成物。
【請求項36】
薬学的に許容される添加物を更に含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
組成物が、がんの治療のためにそれを必要とする患者に投与される、請求項35又は36に記載の組成物。
【請求項38】
組成物が凍結保存剤を含む、請求項35から37の何れか一項に記載の組成物。
【請求項39】
組成物が血清アルブミンを含む、請求項35から38の何れか一項に記載の組成物。
【請求項40】
組成物が晶質液を含む、請求項35から39の何れか一項に記載の組成物。
【請求項41】
組成物が、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む、請求項35から40の何れか一項に記載の組成物。
【請求項42】
治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、
a.i)第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;
ii)第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞;
iii)第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞;又は
iv)それらの組み合わせ
を含み、ここで、第一、第二及び第三のNeoTCRが患者由来であり、第一、第二及び第三の改変細胞が患者由来の初代細胞である、複数の細胞を投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含む、方法。
【請求項43】
第一、第二、及び第三の抗原が、がん抗原である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
がん抗原がネオ抗原である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
初代細胞がリンパ球である、請求項42から44の何れか一項に記載の方法。
【請求項46】
初代細胞がT細胞であり、場合によっては、T細胞が、
a. CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+;
b. CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+;又は
c. CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+
である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
組み合わせ薬剤を投与することを更に含む、請求項42から46の何れか一項に記載の方法。
【請求項48】
組み合わせ薬剤が、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
サイトカインが、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
サイトカインがIL-2剤である、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項51】
サイトカインがIL-15剤である、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項52】
PD軸結合剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む、請求項47から51の何れか一項に記載の方法。
【請求項53】
がんが液性がん又は固形がんである、請求項42から52の何れか一項に記載の方法。
【請求項54】
治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、
a. 腫瘍抗原に結合するNeoTCRをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む有効量の改変細胞を投与することであって、外因性ポリヌクレオチドが改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、改変細胞を投与すること;並びに
b. 有効量の組み合わせ薬剤を投与すること;
を含み、それにより、対象におけるがんを治療する、方法。
【請求項55】
組み合わせ薬剤が、化学療法剤、抗ホルモン剤、内分泌治療剤、細胞傷害性剤、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
サイトカインが、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
サイトカインがIL-2剤である、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
サイトカインがIL-15剤である、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項59】
PD軸結合剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む、請求項54から58の何れか一項に記載の方法。
【請求項60】
がんが液性がん又は固形がんである、請求項54から60の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
この出願は、その内容がその全体について出典明示により援用され、且つ優先権が主張される、2019年10月8日に出願された米国仮特許出願第62/912545号に基づく優先権を主張する。
【0002】
[配列表]
本明細書では、(2020年10月8日に「0875200153SL.txt」との名称のtxtファイルとして電子的に提出された)配列表が参照される。txtファイルは2020年10月8日に作成され、サイズは1030バイトである。配列表の全内容が出典明示によりここに援用される。
【背景技術】
【0003】
多様なヒトがんの制御におけるT細胞免疫の臨床的関連性が確立されている。免疫腫瘍学治験及び承認薬で観察される臨床活動は、多くの場合、各がん患者における既存の内因性T細胞免疫応答の解放に依存している。抗PD1/抗PD-L1抗体薬による治療後の内因性T細胞免疫応答の解放は、治療開始後の速く持続性のある腫瘍の減少として常套的に観察されている。これらの免疫チェックポイント阻害療法による患者の治療は、様々な腫瘍型の進行悪性腫瘍の患者の全生存期間に改善をもたらした(Robert等,2015)(Herbst等,2014)(Wolchok等,2013)(Hamid等,2013)(Brahmer等,2012)(Topalian等,2012)。しかし、免疫療法のこれらの成功にもかかわらず、固形腫瘍の治療を受けた患者の相当な割合が反応しておらず、免疫療法への新規アプローチからの臨床的利益を達成する患者の高い満たされていないニーズを表している。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、a)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団;b)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、及び第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団;又はc)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団、及び第三のネオ抗原に結合する第三のNeoTCRを含む第三のNeoTCR細胞集団を含み;各NeoTCRが互いに異なり、かつ各NeoTCRが患者に由来する、組成物を提供する。
【0005】
所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、単一の遺伝子によって発現される。所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、異なる遺伝子によって発現される。所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原のうちの二つが、単一の遺伝子によって発現される。所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する。所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRが、異なる主要組織適合遺伝子複合体に結合する。所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRのうちの二つが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する。
【0006】
所定の実施態様では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む。所定の実施態様では、組成物は凍結保存剤を含む。所定の実施態様では、組成物は血清アルブミンを含む。所定の実施態様では、組成物は晶質液を含む。所定の実施態様では、組成物は、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブミン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む。
【0007】
本開示は、ここに開示される組成物を投与することを含む、治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法を提供する。
【0008】
所定の実施態様では、組成物は、約4×108細胞、1.33×109細胞、又は約4×109細胞の量のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、組成物は、約4×108細胞より多くかつ約1.33×109細胞より少なく、約1.33×109細胞より多くかつ約4×109細胞より少なく、又は約4×109細胞より多い量のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、組成物は、表4による量のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、組成物は、表5による量のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、組成物は、単回投与で投与される。所定の実施態様では、組成物は、複数回投与で投与される。
【0009】
所定の実施態様では、本方法は、組み合わせ薬剤を投与することを更に含む。所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む。
【0010】
所定の実施態様では、がんは、液性がん又は固形がんである。所定の実施態様では、組成物が、フルダラビン及びシクロホスファミドの前処置レジメンの後に投与される。
【0011】
本開示は、ここに開示される組成物を製造する方法を提供する。本開示はまたここに開示される組成物の投与のためのキットを提供する。
【0012】
本開示は、第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞;第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞;又はそれらの組み合わせを含む複数の細胞を提供し;ここで、第一、第二及び第三のNeoTCRは患者由来であり、第一、第二及び第三の改変細胞は患者由来の初代細胞である。
【0013】
所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の抗原は、がん抗原である。所定の実施態様では、がん抗原はネオ抗原である。所定の実施態様では、初代細胞はリンパ球である。所定の実施態様では、初代細胞はT細胞であり、場合によっては、T細胞は、a)CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+;b)CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+;又はc)CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+である。
【0014】
本開示は、ここに開示される複数の細胞を含む組成物を提供する。所定の実施態様では、組成物は、薬学的に許容される添加物を更に含む。所定の実施態様では、組成物は、がんの治療のためにそれを必要とする患者に投与される。
【0015】
所定の実施態様では、組成物は凍結保存剤を含む。所定の実施態様では、組成物は、血清アルブミンを含む。所定の実施態様では、組成物は晶質液を含む。所定の実施態様では、組成物は、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む。
【0016】
本開示は、治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、i)第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;ii)第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞;iii)第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞;又はiv)それらの組み合わせを含み、ここで、第一、第二及び第三のNeoTCRが患者由来であり、第一、第二及び第三の改変細胞が患者由来の初代細胞である、複数の細胞を投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含む、方法を提供する。
【0017】
所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の抗原は、がん抗原である。所定の実施態様では、がん抗原はネオ抗原である。所定の実施態様では、初代細胞はリンパ球である。所定の実施態様では、初代細胞はT細胞であり、場合によっては、T細胞は、a)CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+;b)CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+;又はc)CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+である。
【0018】
所定の実施態様では、本方法は、組み合わせ薬剤を投与することを更に含む。所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む。所定の実施態様では、がんは、液性がん又は固形がんである。
【0019】
本開示は、治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、a)腫瘍抗原に結合するNeoTCRをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む有効量の改変細胞であって、外因性ポリヌクレオチドが改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている改変細胞を投与すること;並びにb)有効量の組み合わせ薬剤を投与することを含み;それにより、対象におけるがんを治療する、方法を提供する。
【0020】
所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、化学療法剤、抗ホルモン剤、内分泌治療剤、細胞傷害性剤、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせを含む。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む。所定の実施態様では、がんは、液性がん又は固形がんである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、タイムラプスライブ顕微鏡(0、1、及び2日目)で得られた代表的な画像を示し、同族neo12ペプチド-HLA(右の列)を発現する標的T細胞と共培養したneo12-TCR T細胞(代表的なNeoTCR生成物)による抗原特異的細胞傷害活性及び増殖を示すが、無関係なペプチド(左の列)を発現する標的T細胞と共培養した場合はそうではない。Neo12は、腫瘍及び血液スクリーニングによって同定され、後にT細胞に精密ゲノム改変され、NeoTCR生成物に作製されたNeoTCRである。これらの実験において使用した腫瘍細胞は、安定した均一な形で緑色蛍光タンパク質(GFP又はZsGreen)のバリアントを発現した。これらの細胞は、蛍光顕微鏡による細胞の同定を可能にする均一な緑色の高蛍光を示す。リアルタイムのアポトーシスを検出するために、高選択性のホスファチジルセリンシアニン蛍光色素(赤色のIncuCyteアネキシンV)を共培養物に加えた。適切な抗原を提示しない腫瘍細胞は、neo12-TCR T細胞の存在下で増殖し続ける(左の列)。対照的に、腫瘍細胞を提示するneo12抗原の大部分は、2日以内にアポトーシスになり又は死滅する(右の列)。この実験ではT細胞は標識されていないが、2日の過程でT細胞の数が増加することで、抗原特異的増殖を視覚的に確認できる(右の列)。(単一細胞バーコードチップにロードした)細胞サンプルの生の顕微鏡及びマイクロアレイスキャン、並びにタンパク質分泌データを、Isoplexis画像処理ソフトウェアを使用して解析し、単一細胞を含むチャンバーの位置を決定し、続いてそれらの分泌読み出し情報を抽出した。空の細胞チャンバーからのデータを使用して、分析した各タンパク質のバックグラウンド強度レベルを測定した。次に、バックグラウンドの読み出し情報を使用して単一細胞の読み出し情報を正規化し、有意な分泌を決定し、アッセイにわたってプロファイルを比較した。Isoplexis独自のソフトウェアとR統計パッケージを統計データ解析に使用した。この研究で使用したT細胞は健康なドナーから作製された。編集されたT細胞を、エフェクタータンパク質分泌プロファイル分析のためにIsoPlexisプラットフォームにロードする前に、2:1の比率で標的腫瘍細胞と共にインキュベートした。
【
図2】
図2は、同族抗原に遭遇したときに2、3、4又は5以上のサイトカイン(灰色の陰影)を分泌するneo12又はF5 TCRを発現するように改変されたCD4及びCD8 T細胞の割合を示しているグラフを示す。細胞を、ペプチドなし、10nM若しくは100nMの特異的ペプチドをパルスした標的T細胞、又はそれらの表面にpHLAを構成的に発現する標的T細胞と共培養した(N:neo12ペプチド-HLA-A2受容体発現腫瘍細胞;M:MART1ペプチド-HLA-A2受容体発現腫瘍細胞)。分泌されたサイトカインレベルを、24時間の共培養後に評価した。刺激時に二以上のエフェクター分子を発現するT細胞集団全体からの個々のT細胞の割合を、各バーに異なる色の陰影として示す。二以上のエフェクタータンパク質を分泌する細胞は多機能性と考えられる。
【
図3】
図3は、がんワクチンで治療されたメラノーマの患者におけるNeoE T細胞応答の代表的な長期縦断的分析を示す。
【
図4A】
図4A及び4Bは、抗PD-1抗体による処置に応答してPBMCから得られた異なるTCRの長期縦断的モニタリングを示す。
図4Aは、10×10
6のCD8
+T細胞当たりのネオ抗原特異的(neoE特異的)T細胞の数を示している。
【
図5】
図5は、自己腫瘍細胞上のNeoTCR細胞候補の機能的特徴付けの代表的モデルを示す。この機能的特徴付けアプローチを使用して実施した実験では、neoTCR T細胞を、10:1の生成物対標的比(P:T)で自己腫瘍細胞株と共培養した。NeoTCR細胞を、単一のNeoTCR生成物、二つのNeoTCR生成物のそれぞれの1/2(つまり、等量の各NeoTCR細胞)から構成される2のNeoTCR生成物、又は三のTCRの各一の1/3(つまり、等量の各NeoTCR細胞)から構成される3のNeoTCR生成物として試験した。NeoTCR生成物において使用されるNeoTCRは、異なるネオエピトープ及び/又はHLAを標的とした組み合わせで試験した。自己腫瘍細胞を形質導入して赤色蛍光タンパク質を発現させた後、IncuCyteシステムで赤色コンフルエンシーの量を経時的に測定した。赤色蛍光タンパク質陽性細胞の割合の減少を、NeoTCR生成物の細胞傷害活性の尺度として使用した。この実験の陰性対照は、(1)培地のみでの腫瘍細胞;(2)異なる患者の腫瘍細胞株と共培養したNeoTCR細胞;(3)無関係のNeoTCR(neo12)生成物と自己腫瘍細胞株との共培養物であった。
【
図6】
図6A及び6Bは、単一のNeoTCR生成物による自己腫瘍細胞の殺傷が30:1の試験したP:T比では効率的ではないことを示している。
図6Aは、1のNeoTCR生成物の何れも100時間以上の持続的な殺傷を示さないことを示している。対照的に、
図6Bは、3のNeoTCR生成物の全てが100時間以上の持続的な殺傷を示すことを示している。
図6A及び6Bの両方でRPMI M490細胞を対照として使用した。全てのデータが示されているわけではないが、23の異なるNeoTCRの全てを、1のNeoTCR生成物、2のNeoTCR生成物、及び3のNeoTCR生成物を作製するために使用した。
図6Bに示されているボックス化した3のNeoTCR生成物は、
図7及び
図8で実施例として使用した3のNeoTCR生成物である。
【
図7】
図7A-7Dは、
図6Bに示すように、NeoTCR408、NeoTCR409、及びNeoTCR429を含む3のNeoTCR生成物を示している。
図7Aは、対照(RPMI M490及びNeo12)と比較し、三つ全てのNeoTCRを含む3のNeoTCR生成物(それぞれ等量のNeoTCR408細胞、NeoTCR409細胞、及びNeoTCR429細胞)と比較した、各NeoTCRの単一のNeoTCR生成物を示している。
図7B-7Dは、対照(RPMI M490及びNeo12)と比較し、二のNeoTCRを含む2のNeoTCR生成物(それぞれ等量の二つのNeoTCR細胞)と比較した、1のNeoTCR生成物の比較を示す三つのグラフを示している。
図7A及び7B-7Dに示されるように、2のNeoTCR生成物は殺傷性を示したが、2のNeoTCRの組み合わせは何れも3のNeoTCR生成物と同じ程度の殺傷性を示さなかった。
図7Cは、NeoTCRのそれぞれが異なるネオエピトープを持ち、HLAの多様性があり、NeoTCRの生理学的特性に違いがあることを示している。
【
図8A-8D】
図8A-8Dは、
図6Bに示されるように、NeoTCR409、NeoTCR429、及びNeoTCR421を含む3のNeoTCR生成物を示している。
図8Aは、対照(RPMI M490及びNeo12)と比較し、三つ全てのNeoTCRを含む3のNeoTCR生成物(それぞれ等量のNeoTCR409細胞、NeoTCR429細胞、及びNeoTCR421細胞)と比較した、各NeoTCRの単一のNeoTCR生成物を示している。
図8B-8Dは、対照(RPMI M490及びNeo12)と比較し、二つのNeoTCRを含む2のNeoTCR生成物(それぞれ等量の二のNeoTCR細胞)と比較した、1のNeoTCR生成物の比較を示している。示されているように、2のNeoTCR生成物は殺傷性を示したが、左上のグラフに示されているように、2のNeoTCRの組み合わせの何れも3のNeoTCR生成物と同じ程度の殺傷性を示さなかった。
【
図8E】
図8Eは2つの図表を示している:最初の図表は、NeoTCR生成物で使用された3のNeoTCRが
図7A-7Dにおいて、異なるネオエピトープを持ち、HLAの多様性があり、NeoTCRの生理学的特性に差異があることを示しており;2番目の図表は、
図8A-8Dに示されたNeoTCR生成物で使用される各NeoTCRが、異なるネオエピトープ、異なるHLA、及びNeoTCRの生理学的特性の違いを有していることを示している。
【
図9A-9B】
図9A-9Cは、IFNγで前処理することによりM490細胞株のHLA発現レベルを高めて、腫瘍細胞のHLA発現をよりよく模倣できることを示している。
図9Aは、IFNγ前処理なしの場合のM490細胞での内因性HLA発現を示している。
図9Bは、IFNγ前処理がHLA発現をアップレギュレートすることを示している(FMOは染色なしの対照である)。
【
図9C】
図9Cは、M486細胞及びM490細胞の両方でIFNγ前処理を行った後のHLAクラスIのアップレギュレーションのヒートマッププロットを示すRNAseqデータを提示する。これらの実験では、M490細胞株を、NeoTCRを発現するように改変した。従って、
図9B及び9Cは、IFNγ前処理を使用して、HLAクラス1及びネオ抗原提示をアップレギュレートすることにより、がん細胞のより自然な表現型を誘導できることを示している。
【
図10】
図10A及び10Bは、IFNγ前処理がM490細胞株に細胞増殖抑制効果を及ぼすが(
図10A)、細胞生存率には影響を与えないことを示している(
図10B)。
【
図11】
図11A及び11Bは、NeoTCR生成物がIFNγで前処理した場合に高度の細胞傷害性を示すことを示している。
図11Aは、1のNeoTCR生成物(及び対照としてNeoTCRでトランスフェクトされていないM490細胞株)を使用した腫瘍殺傷アッセイを示している。示されているように、1のNeoTCR生成物の一部は殺傷性を示さない(NeoTCR423、NeoTCR418、及びNeoTCR433は、殺傷性をまた示さない対照M490細胞と一致して殺傷性を示さない)。
図11Bは、
図11Aに示したものと同じ腫瘍殺傷アッセイを示すが、IFNγ前処理を伴う。これは、IFNγ前処理がNeoTCR生成物の殺傷能力を増加させることを示している。
【
図12】
図12は、ペプチドパルス実験の実験セットアップを示している。示されているように、腫瘍細胞(患者の生検から培養されたメラノーマ細胞)に、NeoTCR生成物で発現されるネオエピトープに特異的なネオペプチド(すなわち、NeoTCRに対する同族ネオペプチド)がパルスされる。殺傷アッセイを、IFNγ前処理を伴って、また伴わないで実施し、殺傷をIncuCyteアッセイによって測定した。これらの実験では、P:T比(NeoTCR細胞:腫瘍細胞比)は10:1であった。
【
図13A】
図13A及び13Bは、NeoTCRがHLA-A02制限である、NeoTCR409を含むNeoTCR生成物(
図13A)及びNeoTCR422を含むNeoTCR生成物(
図13B)が、同族ネオペプチドでのペプチドパルス後に自己腫瘍細胞の優れた細胞傷害性を示すことを示している。
【
図14A】
図14A-14Cは、それぞれのNeoTCRがHLA-B15制限である、NeoTCR418を含むNeoTCR生成物(
図14A)、NeoTCR433を含むNeoTCR生成物(
図14B)、及びNeoTCR423を含むNeoTCR生成物(
図14C)が、IFNγ前処理と同族ネオペプチドによるペプチドパルスで自己腫瘍細胞の殺傷性を示すことを示している。
図13A及び13Bに示されたHLA-A02制限NeoTCR生成物とは対照的に、
図14A-14Cに示されたHLA-B15制限NeoTCR生成物は、IFNγで前処理した場合に有意な腫瘍細胞殺傷性の増加を示し、HLA提示がHLAに依存することを証明している。
【
図15】
図15は、NeoTCRプライミング実験の実験デザインを示している。具体的には、二のNeoTCRが相乗的に一緒に作用して腫瘍細胞の殺傷を促進できるという仮説を試験するために実験をデザインした。この実験では、各生成物が、腫瘍細胞(患者の生検から培養されたメラノーマ細胞)に発現される二種のネオ抗原の一つに特異的な二のNeoTCR生成物を作製した。腫瘍細胞を、最初に第一のNeoTCR生成物と共に20時間培養し、ついで第二のNeoTCR生成物を含めるか又は含めないで培養した。
【
図16】
図16は、プライミング実験の結果を示している。使用した二のNeoTCR生成物は、1)NeoTCR422を含むNeoTCR生成物(生成物1)、及び2)NeoTCR421を含むNeoTCR生成物(生成物2)であった。仮説は、腫瘍細胞に第一のNeoTCR生成物をプライミングした場合、それがアポトーシスシグナルを誘導し、腫瘍細胞を第二のNeoTCR生成物によるその後の殺傷に対してより感受性にするというものであった。腫瘍細胞に、生成物1又は生成物2の何れかを20時間プライミングした。生成物1又は生成物2を含むプライミング培地を除去した後、細胞をRPMI培地のみ又は他の生成物で処理した。この実験において使用されたP:T比は30:1であった。示されているように、両方のNeoTCR生成物が、他のNeoTCR生成物による前処理後に増強された殺傷性を示した。
【
図17】
図17A及び17Bは、第一のNeoTCR生成物での腫瘍細胞のプライミングが、第二のNeoTCR生成物の殺傷性を増強することを示している。
図17Aは、NeoTCR429を発現するNeoTCR生成物が、NeoTCR422を発現するNeoTCR生成物による腫瘍細胞のプライミング後に増強された殺傷性を示すことを示している。
図17Aは、NeoTCR429を発現するNeoTCR生成物が、NeoTCR421を発現するNeoTCR生成物による腫瘍細胞のプライミング後に増強された殺傷性を示すことを示している。両方の実験において、プライミング培地が腫瘍細胞の幾らかの殺傷を誘導するが、プライミングと第二のNeoTCR生成物が有意により多くの殺傷を誘導する。
【
図18A-18B】
図18A-18Dは、異なるNeoTCR細胞間の予想されない相乗効果を示している。
図18Aは、NeoTCR422を発現するNeoTCR生成物(NeoTCR生成物1)、NeoTCR429を発現するNeoTCR生成物(NeoTCR生成物2)、及びNeoTCR421を発現するNeoTCR生成物(NeoTCR生成物3)のそれぞれが腫瘍細胞のある程度の殺傷を示す一方、(NeoTCR422、NeoTCR429、又はNeoTCR421の何れかを発現するNeoTCR細胞を含み;各NeoTCR細胞が
図5に記載されているNeoTCR生成物4の全NeoTCR細胞の1/3を含む)NeoTCR生成物4が有意により多くの腫瘍細胞殺傷を示すことを示しており、NeoTCR生成物における3のNeoTCRの相乗効果を証明している。3のNeoTCR生成物が2のNeoTCR生成物よりも優れていたかどうかを理解するために、2のNeoTCR生成物を、NeoTCR422、NeoTCR429、又はNeoTCR421の各組み合わせを使用して作製した(
図18B-18D)。これらの実験は、
図6Bに提示された3のNeoTCRの組み合わせのそれぞれを使用して実施し、3のNeoTCR対1又は2のNeoTCRの予想されない相乗効果が各実験において示された。
【
図19】
図19は、1のNeoTCR生成物が、限られた10:1のP:T比で自己腫瘍細胞を効果的に殺傷しないことを示しており、またCD8非依存性対CD8依存性NeoTCRの有効性を示している。
【
図20-1】
図20は、自己腫瘍細胞株に対して患者から単離されたNeoTCRで構成される3のNeoTCR生成物の細胞傷害性の相乗効果を示している。3のNeoTCRの組み合わせは、異なるネオエピトープと異なるHLAを標的とした。単一のNeoTCRとして試験された場合のNeoTCRは、腫瘍細胞株を制御することができない。組み合わせで試験した場合、NeoTCRは相乗効果を示し、赤色蛍光細胞の割合の減少によって示されるように、腫瘍細胞株を制御することができた。RPMI又はNeo12TCR発現T細胞(対照)では、腫瘍細胞増殖に対する効果は観察されなかった。右側のフロープロットは、CD4及びCD8細胞のデキストラマー及び2A染色を示している。試験した3のNeoTCR、TCR406、TCR418、及びTCR429は、CD8依存性NeoTCRである。これらのNeoTCRでは、CD4細胞でのデキストラマー結合の割合はCD8細胞でのデキストラマー結合の50%未満である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、免疫療法のための増強された活性及び有効性を有する組成物を提供する。本開示は、腫瘍抗原(例えば、ネオ抗原)を標的とし、単独では細胞傷害活性が示されないか若しくは無視できる改変細胞が、組み合わされた場合に増加した活性(例えば、細胞傷害性、細胞増殖性、及び/又は細胞持続性)を有することを示す驚くべき結果に部分的に基づく。本開示はまたここに開示される複数の細胞及び組成物を産生するための方法、並びにがんを治療し及び/又は予防するためにそのような細胞を使用する方法を提供する。
【0023】
本開示の非限定的な実施態様は、本説明と実施例によって記述される。限定ではなく、開示を明確化する目的で、詳細な説明を次のサブセクションに分ける:
1. 定義;
2. NeoTCR細胞及びNeoTCR生成物;
3. 治療組成物及び製造方法;
4. 治療方法;
5. 薬学的製剤;
6. 製造品;
7. ゲノム編集方法;
8. 相同組換え鋳型;及び
9. キット。
【0024】
1. 定義
別段の定義がない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。次の参考文献は、本開示の主題で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する:Singleton等,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2版 1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker編,1988);The Glossary of Genetics,5版,R.Rieger等(編),Springer Verlag(1991);並びにHale及びMarham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。ここで使用される場合、次の用語は、特に明記しない限り、以下の定義に帰する意味を有している。
【0025】
ここに記載の発明の態様及び実施態様は、態様及び実施態様を「含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」ことを含むことが理解される。「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、米国特許法においてそれらに帰する広い意味を有することを意図しており、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味しうる。
【0026】
ここで使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、値がどのように測定され又は決定されるかに、すなわち、測定系の制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、技術分野の慣行に従って、3又は3を超える標準偏差内を意味しうる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、例えば、最大10%、最大5%、又は最大1%の範囲を意味しうる。あるいは、特に生物システム又はプロセスに関して、この用語は、値の一桁分以内、例えば、値の5倍以内又は2倍以内を意味しうる。
【0027】
ここで使用される「アセトアミノフェン」は、アセトアミノフェンと、パラセタモールなどの同じ及び/又は治療的に類似した薬剤の任意の他のブランド化された又はタイムリリース代替物を意味する。
【0028】
ここで使用される「投与する」は、ある投薬量の化合物(例えば、NeoTCR生成物、組み合わせ薬剤、又はここに記載の他の薬剤)又は組成物(例えば、NeoTCR生成物、組み合わせ薬剤、又はここに記載の他の薬剤の薬学的形成物)を対象に与える方法を意味する。ここに記載の方法で利用される組成物は、例えば、静脈内、腹腔内、小胞内、腫瘍内及び皮下に投与されうる。追加の投与態様には、限定されないが、くも膜下腔内、リンパ節注射、筋肉内、皮内、動脈内、病巣内、頭蓋内、胸膜内、気管内、硝子体内、腹膜、及び臍内が含まれる。ここに開示される任意の投与は、注射、注入、連続注入、標的細胞を直接ベイジングさせる局所灌流、カテーテル、又は洗浄によって実施することができる。投与方法は、様々な要因(例えば、治療されている状態、疾患、又は障害の重症度、及び治療されているがん又は増殖性障害のタイプ)に応じて変わりうる。
【0029】
ここで使用される「抗体」は、最も広い意味で使用され、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性及び三重特異性抗体)、及びそれらが所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片(例えば、ビス-Fab)を含む、様々な抗体構造を包含する。ここで使用される「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、ビス-Fab;Fv;Fab;Fab,Fab’-SH;F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0030】
「がん」及び「腫瘍」という用語は、ここでは交換可能に使用される。ここで使用される場合、「がん」又は「腫瘍」という用語は、悪性か良性かを問わず、全ての新生物細胞の成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性細胞及び組織を指す。該用語は、更に、典型的には未制御の細胞成長/増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指し又は記述するために使用される。がんの例には、限定されないが、ここに記載されるものが含まれる。「がん」又は「腫瘍」及び「増殖性障害」という用語は、ここで使用される場合、相互に排他的ではない。
【0031】
ここで使用される「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化合物を指す。化学療法剤の例には、チオテパ、シクロスホスファミド(CYTOXAN(登録商標))、テモゾロミド(Methazolastone(登録商標)、Temodar(登録商標))、トレオスルタン(treosultan)、及びベンダムスチン塩酸塩(Treanda(登録商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標);ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、イリノテカンリポソーム注射剤(Onivyde(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン、及び9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン(ranimnustine)等のニトロソウレア;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1(例えば、Nicolaou等,Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照)、経口アルファ-4インテグリン阻害剤のCDP323;ダイネミシン(dynemicin)Aを含むダイネミシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発光団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発光団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤(DOXIL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D-99(MYOCET(登録商標))、ペグ化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、クラドリビン(Leustat(登録商標))及びネララビン(Arranon(登録商標))などのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANETM)、カバジタキセル(Jevtana(登録商標))、及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))、及びカルボプラチンなどの白金剤;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、硫酸ビンクリスチンリポソーム(Marqibo(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、ビンフルニン(Javlor(登録商標))及びビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含む、チューブリン重合による微小管の形成を防ぐビンカ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含む、レチノイン酸などのレチノイド;クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(ACTONEL(登録商標))などのビスホスホネート;トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC-アルファ、Raf、H-Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF-R)などの異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));ソラフェニブ(例えば、Nexavar(登録商標));SU-11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341)、例えばカルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標))及びイキサゾミブクエン酸エステル(Ninlaro(登録商標));ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI-779;ティピファニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))及びベネトクラクス(Venclexta(登録商標))などのBcl-2阻害剤;ピキサントロン;ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))などのEGFR阻害剤(以下の定義を参照);ボスチニブ(Bosulif(登録商標))、カボザンチニブ-s-マレート(Cabometyx(登録商標)、Cometriq(登録商標))、二マレイン酸アファチニブ(Gilotrif(登録商標))、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ポナチニブ塩酸塩(Iclusig(登録商標))などのチロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照);アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標))、ソラフェニブトシル酸塩(Nexavar(登録商標))、ダサチニブ(Sprycel(登録商標))、オシメルチニブ(Tagrisso(登録商標))、エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))、ニロチニブ(Tasigna(登録商標))、ラパチニブ二トシル酸塩(Tykerb(登録商標))、クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))及びパゾパニブ塩酸塩(Votrient(登録商標));ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、及びテムシロリムス(Torisel(登録商標))などのセリン-スレオニンキナーゼ阻害剤;ロナファルニブ(SCH6636、SARASARTM)などのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;ネツピタント、及びロラピタント塩酸塩(Varubi(登録商標))などのNK1受容体遮断薬;イミキモド(Aldara(登録商標));アレクチニブ(Alecensa(登録商標))及びセリチニブ(Zykadia(登録商標))などの未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤;ベリノスタット(Beleodaq(登録商標))及びボリノスタット(Zolinza(登録商標))などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤;クロファラビンなどのプリンヌクレオシド代謝拮抗剤;コビメチニブ(Cotellic(登録商標))及びトラメチニブ(Mekinist(登録商標))などのマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤;デシタビン(Dacogen(登録商標))などの核酸合成阻害剤;ビスモデギブ(Erivedge(登録商標))及びソニデギブ(Odomzo(登録商標))などのヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤;パノビノスタット(Farydak(登録商標))などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤;プララトレキサート(Folotyn(登録商標))、ラルチトレキセド、及びペメトレキセド二ナトリウム
(Alimta(登録商標))などの葉酸代謝拮抗薬;メシル酸エリブリン(Halaven(登録商標))などの有糸分裂阻害剤;パルボシクリブ(Ibrance(登録商標))などのサイクリン依存性キナーゼの阻害剤;ロミデプシン(Istodax(登録商標))などのデプシペプチド;イクサベピロン(Ixempra(登録商標))などのエポチロンB類似体;ルキソリチニブリン酸塩(Jakafi(登録商標))などのヤヌスキナーゼ阻害剤;レンバチニブメシル酸塩(Lenvima(登録商標))、バンデタニブ(Caprelsa(登録商標))、レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標))、ニンテダニブ(Vargatef(登録商標))などのマルチプルキナーゼ阻害剤;トリフルリジンなどのヌクレオシド類似体;チピラシル塩酸塩などのチミジンホスホリラーゼ阻害剤;オラパリブ(Lynparza(登録商標))などのPARP阻害剤;サリドマイド(Stivarga(登録商標)、Thalomid(登録商標))とその誘導体、例えばポマリドミド(Pomalyst(登録商標))及びレナリドミド(Revlimid(登録商標));プレドニゾンなどの合成コルチコステロイド;ランレオチド酢酸塩(Somatuline(登録商標))などのソマトスタチンの類似体;オマセタキシンメペサクシネート(Synribo(登録商標))などのタンパク質翻訳阻害剤;ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))及びベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標))などの関連酵素B-Rafの阻害剤;三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));ウリジントリアセテート(Vistogard(登録商標));塩化ラジウム223(Xofigo(登録商標));トラベクテジン(Yondelis)、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))などのホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤;ミルファムルチド(Mepact(登録商標));及び上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体;並びに上記のうちの二以上の組合せ、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP;及び5-FU及びロイコボリンと併用されたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いる治療レジメンの略語であるFOLFOXが含まれる。
【0032】
ここで定義される化学療法剤には、がんの増殖を促進しうるホルモンの効果を調節し、低下させ、遮断し、又は阻害するように作用する「抗ホルモン剤」又は「内分泌治療薬」が含まれる。これらは、それ自体ホルモンであり得、限定されないが、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4-ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えば、SERM3を含む、混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを持つ抗エストロゲン;デガレリクス、リュープロプレリン(leuproprelin)、及びトリプトレリンなどの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬;アゴニスト特性を有さない純粋な抗エストロゲン、例えば、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、及びEM800(そのような薬剤は、エストロゲン受容体(ER)二量化を遮断し、DNA結合を阻害し、ER代謝回転を増加させ、及び/又はERレベルを抑制しうる);ステロイド性アロマターゼ阻害剤、例えば、ホルメスタン及びエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、及び非ステロイド系アロマターゼ阻害剤、例えば、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))及びアミノグルテチミドを含む、アロマターゼ阻害剤、並びにボロゾール(RIVISOR(登録商標))、メゲストロール酢酸エステル(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、及び4(5)-イミダゾールを含む、その他のアロマターゼ阻害剤;リュープロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、ヒストレリン、及びトリプテレリンを含む、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;メゲストロール酢酸エステル及びメドロキシプロゲステロン酢酸エステルなどのプロゲスチン、ジエチルスチルベストロール及びプレマリンなどのエストロゲン、並びにフルオキシメステロン、全トランス型レチノイン酸及びフェンレチニドなどのアンドロゲン/レチノイドを含む、性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD);フルタミド、ニルタミド(例えば、Nilandron(登録商標))、アビラテロン酢酸エステル(Zytiga(登録商標))、シプロテロン酢酸エステル(Cyprostat(登録商標))、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))及びビカルタミドなどの抗アンドロゲン;及び上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体;並びに上記の二以上の組み合わせを含む。
【0033】
ここで使用される「組み合わせ薬剤」は、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて同時に又は逐次的に投与することができる任意の他の活性剤を意味する。
【0034】
ここで使用される「完全奏効」は、治療に応答してがんの全ての兆候が消失することを意味する。
【0035】
ここで使用される「細胞傷害性剤」は、細胞機能を阻害又は防止し、及び/又は細胞死若しくは破壊を引き起こす物質を意味する。細胞傷害性剤には、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);増殖抑制剤;核酸分解酵素などの酵素とその断片;抗生物質;小分子毒素あるいはその断片及び/又はバリアントを含む細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素などの毒素;並びに大分子(例えば、抗体、ペプチド、及びサイトカインなどのタンパク質)、細胞療法剤、及びがんワクチンなどの様々な抗腫瘍若しくは抗がん剤が含まれる。
【0036】
ここで使用される「進行を遅らせる」又は「進行の遅延」は、がんなどの細胞増殖性障害の発生を延期し、妨害し、遅くし、遅延させ、安定化し、及び/又は延ばすことを意味する。この遅延は、病歴及び/又は治療されている個体に応じて、様々な長さの時間になりうる。当業者には明らかなように、十分な又は有意な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で予防を包含しうる。例えば、転移の発生などの後期がんは遅延させられうる。
【0037】
ここに開示されるNeoTCR生成物(又はそのようなNeoTCR生成物を含む組み合わせ)の「有効量」又は「治療有効量」は、具体的に述べられた目的を実行するのに十分な量である。「有効量」又は「治療有効量」は、哺乳動物(例えば、ヒト患者)における疾患又は障害を「治療」するのに有効な、ここに開示されるNeoTCR生成物又はそのようなNeoTCR生成物を含む組み合わせの量を指す。がん又は他の増殖性障害(限定されないが、ここに記載のがん型の一つを含む)の場合、NeoTCR生成物又はそのようなNeoTCR生成物を含む組み合わせの治療有効量は、1)そのようながんの広がりを減少させ、停止させ又は防ぐために必要な量、2)そのようながんの一又は複数の症状を軽減し、停止させ又は防ぐために必要な量、及び/又は3)がんの全て又は相当量を根絶するために必要な量を指す。所定の実施態様では、有効量のNeoTCR生成物は、部分奏功をもたらすであろう。所定の実施態様では、有効量のNeoTCR生成物は、完全奏功をもたらすであろう。
【0038】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物の「有効量」は、特定の障害(例えば、増殖性障害、例えばがん)の測定可能な改善又は予防などの所望の治療又は予防結果を達成するために必要とされるNeoTCR生成物の少なくとも最小量である。ここにおける有効量は、患者の病状、年齢、性別、及び体重、並びに患者において所望の応答を誘発するNeoTCR生成物の能力などの要因に応じて変わりうる。有効量はまた治療的に有益な効果が治療の毒性又は有害作用を上回る量である。予防用途の場合、有益な若しくは望ましい結果には、疾患の生化学的、組織学的及び/又は行動的症状、その合併症、及び疾患の進行中に呈する中間の病理学的表現型を含む、疾患のリスクの排除又は低下、重症度の軽減、又は発症の遅延などの結果が含まれる。治療用途の場合、有益な若しくは望ましい結果には、疾患に起因する一又は複数の症状の減少、疾患に罹患した人の生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の医薬の用量の減少、ターゲティングを介するなどの別の薬物療法の効果の向上、疾患の進行の遅延化、及び/又は生存期間の延長などの臨床結果が含まれる。がん又は腫瘍の場合、有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを縮小させ;末梢器官へのがん細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くするか、又は望ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、望ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度阻害し;及び/又は障害に関連する症状の一又は複数をある程度緩和する効果を有しうる。有効量は一又は複数回の投与で投与されうる。NeoTCR生成物の有効量は、予防的又は治療的処置を直接的又は間接的に達成するのに十分な量である。臨床状況で理解されるように、有効量のNeoTCR生成物は、別の薬物、化合物、又は薬学的組成物と併せて達成される場合と達成されない場合がある。従って、「有効量」は、一又は複数の治療薬を投与するという状況において考慮され得、単一の薬剤は、一又は複数の他の薬剤と併せて、望ましい結果があり得、又は達成されるならば、有効量で与えられると考えられうる。
【0039】
ここで使用される「ELISA」は、酵素結合免疫吸着アッセイを意味する。
ここで使用される「FISH」は、蛍光インサイツハイブリダイゼーションを意味する。
【0040】
ここで使用される「遺伝子回路」は、相互作用してユーザー定義の生物学的プログラムを実行する遺伝子コンストラクトを意味する。所定の実施態様では、遺伝子回路は、細胞内の生物学的部分が機能を遂行する(すなわち、電子回路で観察されるものを模倣する)ようにデザインされている合成生物学の適用である。遺伝子回路の適用には、限定されないが、1)細胞によって天然には産生されないか、又は細胞によって天然に産生される化合物又は分子の産生を増加させる化合物又は分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、サイトカイン、抗体、又は細胞が天然に産生し若しくは産生するように改変されうる任意の他の化合物若しくは分子)の産生を誘導すること、2)細胞に新しいエレメント(例えば、タンパク質、ポリペプチド、サイトカイン、抗体、又は細胞が天然に産生し若しくは産生するように改変されうる任意の他の化合物若しくは分子)を加えること、並びに3)細胞内に新しいシステムを実装することが含まれる。
【0041】
ここで使用される「IL-2剤」は、任意のIL-2サイトカイン、IL-2サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-2サイトカインの誘導体、改変されたIL-2サイトカイン、ペグ化IL-2サイトカイン、IL-2サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-2サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-2サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0042】
ここで使用される「IL-7剤」は、任意のIL-7サイトカイン、IL-7サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-7サイトカインの誘導体、改変されたIL-7サイトカイン、ペグ化IL-7サイトカイン、IL-7サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-7サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-7サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0043】
ここで使用される「IL-10剤」は、任意のIL-10サイトカイン、IL-10サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-10サイトカインの誘導体、改変されたIL-10サイトカイン、ペグ化IL-10サイトカイン、IL-10サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-10サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-10サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0044】
ここで使用される「IL-12剤」は、任意のIL-12サイトカイン、IL-12サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-12サイトカインの誘導体、改変されたIL-12サイトカイン、ペグ化IL-12サイトカイン、IL-12サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-12サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-12サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0045】
ここで使用される「IL-15剤」は、任意のIL-15サイトカイン、IL-15サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-15サイトカインの誘導体、改変されたIL-15サイトカイン、ペグ化IL-15サイトカイン、IL-15サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-15サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-15サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0046】
ここで使用される「IL-18剤」は、任意のIL-18サイトカイン、IL-18サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-18サイトカインの誘導体、改変されたIL-18サイトカイン、ペグ化IL-18サイトカイン、IL-18サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-18サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-18サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0047】
ここで使用される「IL-21剤」は、任意のIL-21サイトカイン、IL-21サイトカイン若しくはその機能的断片を含む分子、IL-21サイトカインの誘導体、改変されたIL-21サイトカイン、ペグ化IL-21サイトカイン、IL-21サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された抗体、IL-21サイトカイン若しくはその機能的断片に融合されたFc、又はIL-21サイトカイン若しくはその機能的断片に融合された別の抗体断片を意味する。
【0048】
「ラベル」又は「添付文書」は、治療薬の市販パッケージに通例含まれており、適応症、使用法、投与量、投与、併用療法、そのような治療薬の使用に関する禁忌及び/又は警告に関する情報を含んでいる説明書を指すために使用される。ここで特定されていない限り、「ラベル」又は「添付文書」とは、NeoTCR生成物のラベル又は添付文書を指す。
【0049】
ここで使用される場合、「ネオ抗原」、「ネオエピトープ」又は「neoE」という用語は、例えば、体細胞変異から生じ、「非自己」として認識される、新しく形成された抗原決定基を指す。「ネオ抗原」、「ネオエピトープ」又は「neoE」を生じさせる変異には、フレームシフト又は非フレームシフトインデル、ミスセンス又はナンセンス置換、スプライス部位変化(例えば、選択的スプライシングされた転写物)、ゲノム再編成又は遺伝子融合、何らかのゲノム又は発現変化、又は何らかの翻訳後修飾が含まれうる。
【0050】
「NeoTCR」及び「TCR」は交換可能に使用され、ここで使用される場合はネオエピトープ特異的T細胞受容体を意味する。
【0051】
ここで使用される「NeoTCR細胞(NeoTCR cells)」又は「NeoTCR細胞(NeoTCR Cells)」は、一又は複数のNeoTCRを発現するように精密改変された一又は複数の細胞を意味する。所定の実施態様では、細胞はT細胞である。所定の実施態様では、T細胞はCD8+及びCD4+T細胞である。所定の実施態様では、CD8+及びCD4+T細胞(つまり、NeoTCR細胞)は、NeoTCR生成物が投与される患者の自己細胞である。
【0052】
ここで使用される「NeoTCR細胞集団」は、集団内の細胞の各々が同じNeoTCRを発現するように精密改変されたNeoTCR細胞の集団を意味する。
【0053】
ここで使用される「NeoTCR生成物」又は「TCR生成物」は、一又は複数のNeoTCRを含む薬学的製剤を意味する。NeoTCR生成物は、自己の精密ゲノム改変されたCD8+及びCD4+T細胞を含む。例えば、標的DNAを介した非ウイルス精密ゲノム改変アプローチを使用して、内因性TCRの発現が排除され、腫瘍排他的ネオエピトープを標的とする末梢CD8+T細胞から単離された患者特異的NeoTCRによって置換される。所定の実施態様では、得られた改変CD8+及びCD4+T細胞は、天然配列、天然発現レベル、及び天然TCR機能のNeoTCRをその表面に発現する。NeoTCR外部結合ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインの配列は、天然CD8+T細胞から単離されたTCRから未修飾である。NeoTCR遺伝子発現の調節は、NeoTCR遺伝子カセットがゲノムに組み込まれている場所の上流に位置する天然の内因性TCRプロモーターによって駆動される。このアプローチにより、NeoTCR発現の天然レベルが、未刺激の抗原活性化T細胞状態で観察される。
【0054】
各患者向けに製造されたNeoTCR生成物は、その同じ患者の末梢血から個別に単離されたneoE特異的CD8+T細胞からクローン化された単一のneoE特異的TCRを発現するように精密ゲノム改変された自己CD8+及びCD4+T細胞の定まった用量を表す。
【0055】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の複数の異なる集団を含み、各集団は異なるネオ抗原を標的とする。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の一集団を含む(すなわち、集団のNeoTCR細胞の全てが同じネオ抗原を標的とする)。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の二集団を含む(すなわち、第一のNeoTCR細胞集団の全てのNeoTCR細胞が一つのネオ抗原を標的とし、第二のNeoTCR細胞集団の全てのNeoTCR細胞が第二のネオ抗原を標的とする)。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の三集団を含む(すなわち、第一のNeoTCR細胞集団の全てのNeoTCR細胞が一つのネオ抗原を標的とし、第二のNeoTCR細胞集団の全てのNeoTCR細胞が第二のネオ抗原を標的とし、第三のNeoTCR細胞集団の全てのNeoTCR細胞が第三のネオ抗原を標的とする)。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、二以上のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、三以上のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、五以上のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR細胞の二以上の集団を含むNeoTCR生成物中の各NeoTCR細胞集団の各NeoTCR細胞の数は、互いにほぼ等しい(すなわち、三のNeoTCR細胞集団を含むNeoTCR生成物は、1/3の第一のNeoTCR細胞集団、1/3の第二のNeoTCR集団、及び1/3の第三のNeoTCR集団を含む)。
【0056】
NeoTCR生成物とは、限定されないが、以下に定義される一のNeoTCR生成物、二のNeoTCR生成物、及び三のNeoTCR生成物を含む全てのNeoTCR生成物を指す。
【0057】
ここで使用される「一のNeoTCR生成物」又は「1のNeoTCR生成物」は、単一のNeoTCRのみを発現する細胞を含むNeoTCR生成物を指す。
【0058】
ここで使用される「二のNeoTCR生成物」又は「2のNeoTCR生成物」は、二つの細胞集団、すなわち第一のNeoTCRを発現する一つの集団と第二のNeoTCRを発現する第二集団を含むNeoTCR生成物を指す。所定の実施態様では、2のNeoTCR生成物は、それぞれがほぼ等しい数の二つの細胞集団を有する。所定の実施態様では、2のNeoTCR生成物は、二つの細胞集団のそれぞれはほぼ等しい数を有さない。所定の実施態様では、細胞の各集団は、NeoTCR生成物と考えることができ、二つの細胞集団のそれぞれの組み合わせもまたNeoTCR生成物と考えられる。
【0059】
ここで使用される「三のNeoTCR生成物」又は「3のNeoTCR生成物」は、三つの細胞集団、すなわち第一のNeoTCRを発現する一つの集団、第二のNeoTCRを発現する第二集団、及び第三のNeoTCRを発現する第三集団を含むNeoTCR生成物を指す。所定の実施態様では、3のNeoTCR生成物は、それぞれがほぼ等しい数の三つの細胞集団を有する。所定の実施態様では、3のNeoTCR生成物は、三つの細胞集団のそれぞれはほぼ等しい数を有さない。所定の実施態様では、細胞の各集団は、NeoTCR生成物と考えることができ、三つの細胞集団のそれぞれの組み合わせもまたNeoTCR生成物と考えられる。
【0060】
「2A」及び「2Aペプチド」は、ここでは交換可能に使用され、真核細胞での翻訳中にペプチドの切断を媒介することができる18~22アミノ酸長のウイルスの自己切断型ペプチドのクラスを意味する。2Aペプチドクラスの四種のよく知られたメンバーは、T2A、P2A、E2A、及びF2Aである。T2Aペプチドは、Thosea asignaウイルス2Aにおいて最初に同定された。P2Aペプチドは、ブタのテッショウウイルス-1 2Aで最初に同定された。E2Aペプチドは、ウマ鼻炎Aウイルスで最初に同定された。F2Aペプチドは、口蹄疫ウイルスで最初に同定された。
【0061】
ここで使用される「と組み合わせて」とは、ここに開示される複数の細胞と、一又は複数の薬剤、例えば、PD-1軸結合剤が、治療レジメン又は計画の一部として対象に投与されることを意味する。
ここで使用される「部分奏功」とは、治療に応答した、腫瘍のサイズ、又は体内のがんの程度の減少を意味する。
【0062】
ここで使用される「PD」は、薬力学を意味する。
【0063】
「PD-1軸結合剤」という用語は、PD-1シグナル伝達軸でのシグナル伝達から生じるT細胞機能障害を除去するように、PD-1軸結合パートナーとその結合パートナーの一又は複数との相互作用を阻害し、その結果、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)を回復し又は増強する分子を指す。ここで使用される場合、PD-1軸結合剤は、PD-1結合剤、PD-L1結合剤及びPD-L2結合剤を含む。
【0064】
「PD-1結合剤」という用語は、PD-1とその結合パートナーの一又は複数、例えばPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する分子を指す。幾つかの実施態様では、PD-1結合剤は、PD-1の一又は複数のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施態様では、PD-1結合剤は、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合剤には、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-1のPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する他の分子が含まれる。一実施態様では、PD-1結合剤は、機能障害性T細胞をより機能障害にしないようにする(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ようにPD-1を介したシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して負の共刺激シグナルを低減する。所定の実施態様では、PD-1結合剤は抗PD-1抗体である。所定の実施態様では、PD-1結合剤は、MDX-1106(ニボルマブ)である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はMK-3475(ペムブロリズマブ)である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はセミプリマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はJTX-4014である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はスパルタリズマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はシンチリマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はチスレリズマブ(tislelizumab)である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はトリパリマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はドスタルリマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はMGA012である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はAMP-514である。所定の実施態様では、PD-1結合剤は、CT-011(ピジリズマブ)である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はAMP-224である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はMED1-0680である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はPDR001である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はREGN2810である。所定の実施態様では、PD-1結合剤はBGB-108である。
【0065】
「PD-L1結合剤」という用語は、PD-L1とその結合パートナーの何れか一又は複数、例えば、PD-1、B7-1との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する分子を指す。幾つかの実施態様では、PD-L1結合剤は、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施態様では、PD-L1結合剤は、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。幾つかの実施態様では、PD-L1結合剤には、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-1、B7-1などの一又は複数の結合パートナーとのPD-L1の相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する他の分子が含まれる。一実施態様では、PD-L1結合剤は、機能障害性T細胞をより機能障害にしないようにする(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ようにPD-L1を介したシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して負の共刺激シグナルを低減する。幾つかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。更に別の特定の実施態様では、抗PD-L1抗体はMPDL3280A(アテゾリズマブ、WHO医薬品情報(医薬品の国際一般名)でTECENTRIQTMとして市販)、推奨INN:List74、Vol.29,No.3,2015(387ページ参照))である。特定の実施態様では、抗PD-L1抗体はYW243.55.S70である。別の特定の実施態様では、抗PD-L1抗体はMDX-1105である。別の特定の実施態様では、抗PD-L1抗体はMSB0015718Cである。更に別の特定の実施態様では、抗PD-L1抗体はMED14736である。
【0066】
「PD-L2結合剤」という用語は、PD-L2とその結合パートナーの何れか一又は複数、例えば、PD-1との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する分子を指す。幾つかの実施態様では、PD-L2結合剤は、PD-L2のその結合パートナーの一又は複数への結合を阻害する分子である。特定の実施態様では、PD-L2結合剤は、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。幾つかの実施態様では、PD-L2結合剤には、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-1などの何れか一又は複数の結合パートナーとのPD-L2の相互作用から生じるシグナル伝達を減少させ、遮断し、阻害し、抑止し又は妨害する他の分子が含まれる。一実施態様では、PD-L2結合剤は、機能障害性T細胞をより機能障害にしないようにする(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ようにPD-L2を介したシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して負の共刺激シグナルを低減する。幾つかの実施態様では、PD-L2結合剤はイムノアドヘシンである。
【0067】
「薬学的製剤」は、そこに含まれる活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にする形態であり、製剤が投与される対象に許容できないほど毒性がある追加の成分を含まない調製物を指す。明確にするために、NeoTCR生成物において使用される量のDMSOは許容できないほど毒性があるとは考えられない。
【0068】
ここで使用される「増殖性障害」は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を意味する。所定の実施態様では、増殖性障害はがんである。
【0069】
治療の目的での「対象」、「患者」、又は「個体」とは、ヒト、家畜及び農場動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等々を含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0070】
ここで使用される「TCR」は、T細胞受容体を意味する。
ここで使用される「TLA」は、標的遺伝子座増幅を意味する。
【0071】
「治療する(Treat)」、「治療(Treatment)」、及び「治療すること(treating)」は互換的に使用され、ここで使用される場合、臨床結果を含む有益な又は望ましい結果を得ることを意味する。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発症又は再発の予防、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理的帰結の減少、転移の予防、疾患の進行速度の低下、病状の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。幾つかの実施態様では、本発明のNeoTCR生成物は、増殖性障害(例えば、がん)の発症を遅らせるために、又はそのような疾患の進行を遅らせるために使用される。
【0072】
ここで使用される「トランカル」又は「トランカル変異」は、腫瘍の全てのクローンによって共有される系統樹の幹における祖先変異を意味し、対照的に「サブクローン」は、幹から分岐した系統における変異を指す。あらゆる患者の腫瘍には、共通の進化的起源を示す固有の共有変異セットがある。従って、ここで使用される場合、患者のトランカル変異は、患者の同じ系統の全ての腫瘍にわたる共有変異を指す。
【0073】
ここで使用される「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」という用語は、各ヌクレオチドの3’及び5’末端がホスホジエステル結合によって結合されているヌクレオチドの一本鎖又は二本鎖共有結合配列を指す。核酸分子は、デオキシリボヌクレオチド塩基又はリボヌクレオチド塩基を含み得、インビトロで合成的に製造することができ、又は天然源から単離されうる。
【0074】
ここで交換可能に使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、「アミノ酸配列」及び「タンパク質」という用語は、少なくとも二つのアミノ酸の連結から形成される分子を指す。あるアミノ酸残基と次のアミノ酸残基の間の結合はアミド結合であり、ペプチド結合と呼ばれることもある。ポリペプチドは、天然源からの単離、組換え発現系での発現、化学合成又は酵素合成を含む、当該技術分野で知られている適切な方法によって得ることができる。該用語は、一又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に生じるアミノ酸の人工的な化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマー、並びに天然に生じるアミノ酸ポリマー及び天然には生じないアミノ酸ポリマーに適用することができる。
【0075】
ここで使用される「内因性」という用語は、通常は、細胞又は組織において発現される核酸分子又はポリペプチドを指す。
【0076】
ここで使用される「外因性」という用語は、細胞内に内因的には存在しない核酸分子又はポリペプチドを指す。従って、「外因性」という用語は、外来、異種、及び過剰発現された核酸分子及びポリペプチドなど、細胞内で発現される任意の組換え核酸分子又はポリペプチドを包含するであろう。「外因性」核酸とは、天然の野生型細胞に存在しない核酸を意味する;例えば、外因性核酸は、配列、位置(position)/位置(location)、又はその両方によって内因性の対応物とは異なりうる。明確にするために、外因性核酸は、その天然の内因性対応物と比較して同じ又は異なる配列を有しうる;それは、遺伝子工学によって細胞自体又はその前駆細胞に導入され得、任意選択的に、非天然プロモーター又は分泌配列などのオルタナティブ制御配列に連結されうる。
【0077】
ここで使用される「液性がん」という用語は、血液、リンパ液及び骨髄などの体液中に存在するがん細胞を指す。所定の非限定的な実施態様では、例えば、液性がんは、濾胞性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、及び急性骨髄性白血病(AML)を含む。
【0078】
ここで使用される場合、「固形がん」という用語は、体液領域を含まない組織から生じるがん細胞を指す。所定の非限定的な実施態様では、例えば、固形がんには、メラノーマ、胸部がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、婦人科がん、中枢神経系がん、皮膚がん、HPV+がん、食道がん、甲状腺がん、胃がん、肝細胞がん、胆管がん、腎細胞がん、膀胱がん、精巣がん、肉腫、及び結腸直腸がんが含まれる。
【0079】
T細胞に関連する場合、「幼若」又は「より幼若の」又は「幼若T細胞」は、メモリー幹細胞(TMSC)及びセントラルメモリー細胞(TCM)を意味する。これらの細胞は、特異的活性化時にT細胞増殖を示し、複数の細胞分裂に対してコンピテントである。それらはまた、再注入後に生着し、それらの同族抗原への曝露時にエフェクターT細胞に迅速に分化し、腫瘍細胞を標的にして殺すだけでなく、進行中のがんの監視及び制御のために持続する能力を有する。
【0080】
2. NeoTCR細胞及びNeoTCR生成物
本開示は、各細胞が腫瘍抗原(例えば、ネオ抗原)を標的とする、複数のゲノム改変細胞を提供する。所定の実施態様では、ゲノム改変細胞は、異なる腫瘍抗原を標的とする他のゲノム改変細胞と組み合わされた場合、改善された活性(例えば、細胞傷害性)を示す。所定の実施態様では、複数のゲノム改変細胞は、相乗効果を示す。相乗効果は、一緒に使用された活性成分(例えば、二以上のNeoTCR細胞)が、活性成分を別々に使用した場合の効果の合計よりも大きい生物学的応答を示す場合に達成される。
【0081】
所定の実施態様では、その全体が出典明示によりここに援用される国際特許出願第PCT/US2020/017887号及び国際特許出願第PCT/US2019/025415号に記載されている遺伝子編集技術及びneoTCR単離技術を使用して、NeoTCRは、同じがん患者からの自己CD8+及びCD4+T細胞に、自己CD8+及びCD4+T細胞がneoTCRを発現するように精密ゲノム改変によってクローン化される。所定の実施態様では、NeoTCRは腫瘍特異的である。所定の実施態様では、NeoTCRは、がん患者において同定される。所定の実施態様では、NeoTCRをコードするポリヌクレオチドは、クローン化され、免疫細胞において発現される。所定の実施態様では、細胞はT細胞である。所定の実施態様では、T細胞は幼若T細胞である。
【0082】
所定の実施態様では、複数の細胞は、がん患者のT細胞から出発して製造される。所定の実施態様では、複数の細胞の各細胞は、同等の遺伝子編集効率を有する。所定の実施態様では、複数の細胞の各細胞は、同等の活性(例えば、抗原依存性細胞傷害性、増殖、サイトカイン産生)を有する。所定の実施態様では、複数の細胞は、安全な忍容性プロファイルを示す。
【0083】
所定の実施態様では、複数の細胞の遺伝子編集は、リボ核タンパク質(RNP)複合体を用いた細胞のエレクトロポレーションを含む。所定の実施態様では、RNP複合体は、ガイドRNAを含む。所定の実施態様では、RNP複合体は、ヌクレアーゼを含む。所定の実施態様では、ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼである。所定の実施態様では、RNP複合体は、内因性遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TCR遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRAC遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRBC遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRAC及びTRBC遺伝子座を標的とする。
【0084】
所定の実施態様では、本開示は、ここに開示される複数の細胞の安全性プロファイルを決定するための方法を含む。所定の非限定的な実施態様では、例えば、安全性プロファイルは、ゲノム不安定性を検出することによって(例えば、標的遺伝子座増幅(TLA)若しくは標準的FISH細胞遺伝学分析を実施することによって)、又はオフターゲット組込みを検出することによって(例えば、Guide-Seq分析によって)評価されうる。
【0085】
所定の非限定的な実施態様では、本開示は、NeoTCR生成物中に異なる腫瘍抗原を標的とする複数のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の第一のNeoTCR細胞は、第一腫瘍抗原を標的とし、第二腫瘍抗原を標的とする第二のNeoTCR細胞と組み合わせると、改善された活性(例えば、細胞傷害性)を示す。所定の実施態様では、複数のNeoTCR細胞は相乗効果を示す。
【0086】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、がん患者のT細胞から出発して製造される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の複数のNeoTCR細胞は、同等の遺伝子編集効率を有する。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の複数のNeoTCR細胞は、同等の活性(例えば、抗原依存性細胞傷害性、増殖、サイトカイン産生)を有する。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、安全な忍容性プロファイルを示す。
【0087】
所定の実施態様では、NeoTCR細胞の遺伝子編集は、リボ核タンパク質(RNP)複合体を用いた細胞のエレクトロポレーションを含む。所定の実施態様では、RNP複合体は、ガイドRNAを含む。所定の実施態様では、RNP複合体は、ヌクレアーゼを含む。所定の実施態様では、ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼである。所定の実施態様では、RNP複合体は、内因性遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TCR遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRAC遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRBC遺伝子座を標的とする。所定の実施態様では、RNP複合体は、TRAC及びTRBC遺伝子座を標的とする。
【0088】
所定の実施態様では、本開示は、ここに開示されるNeoTCR生成物の安全性プロファイルを決定するための方法を含む。所定の非限定的な実施態様では、例えば、安全性プロファイルは、ゲノム不安定性を検出することによって(例えば、標的遺伝子座増幅(TLA)若しくは標準的FISH細胞遺伝学分析を実施することによって)、又はオフターゲット組込みを検出することによって(例えば、Guide-Seq分析によって)評価されうる。
【0089】
ここに記載のゲノム改変アプローチは、固形及び液性腫瘍を有する患者のための個別化された養子細胞治療法のための特注のNeoTCR T細胞(すなわち、NeoTCR生成物)の非常に効率的な作製を可能にする。更に、改変手法はT細胞での使用に限定されず、ナチュラルキラー細胞及び造血幹細胞を含む他の初代細胞型にも適用されうる。
【0090】
3. 治療組成物及び製造方法
[成分]
ここに記載されるように、NeoTCR生成物の優良製造規範(GMP)製造のためのプラスミドDNA媒介(非ウイルス)精密ゲノム改変法を開発した。例えば、限定ではないが、患者特異的neoTCRの標的組込みを、プラスミドDNAによってコードされた、個別化されたneoTCR遺伝子カセットと共にCRISPRエンドヌクレアーゼリボヌクレオタンパク質(RNP)を電気穿孔することによって、達成することができる。
【0091】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、ここに記載の臨床製造方法を使用して医薬品に製剤化される。これらの方法では、NeoTCR生成物はCryoMACS凍結バッグで凍結保存される。患者の必要性に応じて、一又は複数のバッグが各患者のために現場に出荷されうる。所定の実施態様では、この生成物は、その患者の腫瘍細胞の表面に例えば主に又は排他的に提示される内因性HLA受容体の一つと複合体を形成したネオエピトープを標的とする一又は複数の自己NeoTCRを発現するように精密ゲノム改変されている、アフェレーシス由来の患者自己CD8及びCD4 T細胞で構成されている。
【0092】
所定の実施態様では、最終NeoTCR生成物は、5%のジメチルスルホキシド(DMSO)、ヒト血清アルブミン及びPlasma-Lyteを含む。所定の実施態様では、最終NeoTCR生成物は、表1に提供されるリストの成分を含む。
【0093】
[製品包装]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物の最終医薬品は、30~70mLの推奨充填量内にNeoTCR生成物が充填された一又は複数のCryoMACS250凍結バッグで各臨床部位に提供される。
【0094】
CryoMACS凍結バッグは、エチレン酢酸ビニル管状フィルム製である。バッグは、注入ポートとオスメスのルアーロックアセンブリを含む統合チューブセットを介して充填され、これにより、様々な使い捨てトランスファーセット、シリンジ又は無菌処理のための滅菌連結機器を使用する柔軟性がもたらされる。バッグアセンブリの一部として、滅菌輸注アセンブリの取り付けによって、生成物の治療的使用のためにバッグ内容物にアクセスできるようにする二つのスパイクポートが利用可能である。これらのスパイクポートには、二次汚染を防ぐために密封されたネジ切り保護キャップが固定され、解凍された細胞生成物の除去中に凍結バッグの穿孔を防ぐ内部保護チューブが含まれている。
【0095】
所定の実施態様では、生成物ラベルがバッグに取り付けられ、特定の患者への生成物のトレーサビリティを確保するために凍結前に、保管カセットに取り付けられた複製ラベルと共にバッグの表面に直接貼付される。加えて、所定の実施態様では、重要な情報(すなわち、患者に指定されたID)を含む切り詰めラベルが凍結バッグのラベルポケットに挿入され、基本ラベルが何らかの理由でなくなり又は判読できない場合の識別が可能になる。
【0096】
所定の実施態様では、制御された速度の凍結プロセスが、NeoTCR生成物のために開発された。このプロセスの重要な要素は、CryoMACS凍結バッグに設けられたオーバーラップを使用しないことである。従って、NeoTCR生成物を凍結保存する例示的な方法は、CryoMACS凍結バッグにNeoTCR生成物を充填し、CryoMACS凍結バッグオーバーラップを使用せずに制御された速度の凍結プロファイルを使用してNeoTCR生成物を凍結保存することを含む。これは、クリニックでのCryoMACSバッグの使用方法には影響しない。所定の実施態様では、金属の保管カセットが、凍結保存及び輸送中に凍結バッグを保護する。
【0097】
[非臨床薬理学]
NeoTCR生成物を評価するために実施された薬力学研究のリストを表2に提示する。安全性薬理学研究を表3に記載する。
【0098】
[薬力学]
ここに記載の薬力学研究は、精密ゲノム改変されたヒトNeoTCR-T細胞(すなわち、NeoTCR生成物)のエクスビボアッセイを使用して、抗原特異的T細胞増殖、サイトカイン産生、及び標的T細胞殺傷活性を再現する。
【0099】
PACT NeoTCR生成物の作用機序を裏付ける薬力学的研究を、NeoTCR細胞を用いて実施した。試薬には、T細胞の選択に使用される抗体、精密ゲノム改変のための試薬、培地、及びサイトカインが含まれる。出発物質は、ロイコパック(leukopak)又は採血の何れかから選択されうる。T細胞の増殖は、G-Rex容器又はCentriCult容器などの容器で行った。細胞増殖の追加の方法は、Tフラスコ、培養バッグ、閉鎖系バイオリアクター(非限定的な例には、Xuriシステム(General Electric)、Ambrシステム(Sartorius)、Quantumシステム(Terumo CVT)、及びCocoonシステム(Lonza)が含まれる)、場合によっては非付着性細胞用に最適化された細胞スタック、及び場合によっては非付着性細胞用に最適化された細胞工場で行うことができる。
【0100】
実験室規模の製造と臨床規模の製造の間で、それらが最終生成物の表現型と機能に及ぼす影響の直接的な比較を実施した。最終生成物の表現型と機能は、二つの製造プロセス間で同等である。実験室規模の生産と臨床規模の生産の間で観察された一つの違いは、実験室規模のプロセスを使用して製造されたNeoTCR細胞は、臨床規模の製造プロセスを使用して産生された細胞と比較してCD8T細胞の割合が高いことである。CD8対CD4 T細胞比のこの違いは、同族HLA抗原に遭遇すると、NeoTCR-T細胞の数が増殖するため、インビボでの生成物の機能に影響を与えるとは予想されない。これらの研究に基づいて、実験室規模で産生されたNeoTCR-T細胞を使用して作成されたデータは、臨床用途のために患者のロイコパックから製造されたNeoTCR生成物の薬力学的効果を表すと結論付けられる。
【0101】
4. 治療方法
[NeoTCR生成物の投与]
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり4×108である。所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たりおよそ約4×108である。
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり1.3×109である。所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たりおよそ約1.3×109である。
【0102】
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり4×109である。所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たりおよそ約4×109である。
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり4×108と注入当たり1.3×109の間である。所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たりおよそ約4×108と注入当たりおよそ約1.3×109の間である。
【0103】
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり1.3×109と注入当たり4×109の間である。所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たりおよそ約1.3×109と注入当たりおよそ約4×109の間である。
所定の実施態様では、患者に投与される細胞の全用量は、NeoTCR生成物の注入当たり4×109より多い。
【0104】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、細胞の一集団を含む(すなわち、NeoTCR生成物は、全てが同じNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含む)。
【0105】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、細胞の二集団を含む(すなわち、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の二集団を含む:第一のNeoTCRを発現する一の集団と第二のNeoTCRを発現する第二の集団)。所定の実施態様では、NeoTCRの二集団のそれぞれは、同じ遺伝子に特異的なNeoTCRを発現する(例えば、同じ遺伝子に対する異なるNeoTCRの実施例については
図4A及び8Eを参照し、同じ遺伝子に対するNeoTCR細胞の2集団を含むNeoTCR生成物の実施例については
図7Bを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの二集団のそれぞれは、二つの異なる遺伝子に特異的なNeoTCRを発現する(例えば、
図7C、7D、及び8Eを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの二集団のそれぞれは、同じHLAに特異的なNeoTCRを発現する(例えば、同じHLAに対する異なるNeoTCRの実施例については
図4A及び8Eを参照し、同じHLAに対するNeoTCR細胞の2集団を含むNeoTCR生成物の実施例については
図7Bを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの二集団のそれぞれは、二つの異なるHLAに特異的なNeoTCRを発現する(例えば、
図7C、7D、及び8Eを参照のこと)。
【0106】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、細胞の三集団を含む(すなわち、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の三集団を含む:第一のNeoTCRを発現する一の集団、第二のNeoTCRを発現する第二の集団、及び第三のNeoTCRを発現する第三の集団)。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、同じ遺伝子に特異的なNeoTCRを発現する(例えば、同じ遺伝子に対する異なるNeoTCRの実施例については、
図4Aを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、二つの異なる遺伝子に特異的なNeoTCRを発現する(例えば、一の遺伝子に特異的な2のNeoTCR及び第二遺伝子に特異的な1のNeoTCRの実施例については、
図7A及び8Eを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、三つの異なる遺伝子に特異的なNeoTCRを発現する(例えば、それぞれが異なる遺伝子に特異的な3のNeoTCRの実施例については、
図8A及び8Eを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、同じHLAに特異的なNeoTCRを発現する。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、二つの異なるHLAに特異的なNeoTCRを発現する(例えば、一つのHLAに特異的な2のNeoTCR及び第二のHLAに特異的な1のNeoTCRの実施例については、
図7A及び8Eを参照のこと)。所定の実施態様では、NeoTCRの三集団のそれぞれは、三つの異なるHLAに特異的なNeoTCRを発現する(例えば、それぞれが異なるHLAに特異的な3のNeoTCRの実施例については、
図8A及び8Eを参照のこと)。
【0107】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、表4又は表5に記載されている概略の細胞数を含む。
表4と表5の両方において、「4×10
9超」は、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少ない。
【0108】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、細胞の四集団を含む(すなわち、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の三集団を含む:第一のNeoTCRを発現する一の集団、第二のNeoTCRを発現する第二の集団、第三のNeoTCRを発現する第三の集団、及び第四のNeoTCRを発現する第四の集団)。所定の実施態様では、細胞の四集団を含むNeoTCR生成物は、1)それぞれが同じ遺伝子に対してNeoTCRを発現する細胞の四集団、2)それぞれが異なる遺伝子に対してNeoTCRを発現する細胞の四集団、3)一つが第一遺伝子に対してNeoTCRを発現し、三つが第二遺伝子に対してNeoTCRを発現する、細胞の四集団)、又は4)その二つが第一遺伝子に対してNeoTCRを発現し、その二つが第二遺伝子に対してNeoTCRを発現する、細胞の四集団を含む。所定の実施態様では、細胞の四集団を含むNeoTCR生成物は、1)それぞれが同じHLAに対してNeoTCRを発現する細胞の四集団、2)それぞれが異なるHLAに対してNeoTCRを発現する細胞の四集団、3)その一つが第一HLAに対してNeoTCRを発現し、その三つが第二HLAに対してNeoTCRを発現する、細胞の四集団、又は4)その二つが第一HLAに対してNeoTCRを発現し、その二つが第二HLAに対してNeoTCRを発現する細胞の四集団を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のそれぞれは、ほぼ等しい数の細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの一つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の1/4未満を含み、NeoTCR細胞の他の三集団は、およそ4×108、1.33×109、4×109に等しく、>4×108かつ<1.33×109、>1.33×109かつ<4×109、又は<4×109であるが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの二つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の1/2未満(それぞれ、1/4未満)を含み、NeoTCR細胞の他の二集団は、およそ4×108、1.33×109、4×109に等しく、>4×108かつ<1.33×109、>1.33×109かつ<4×109、又は<4×109であるが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの三つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の3/4未満(それぞれ1/4未満)を含み、NeoTCR細胞の他の一集団は、およそ4×108、1.33×109、4×109に等しく、>4×108かつ<1.33×109、>1.33×109かつ<4×109、又は<4×109であるが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの一つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の1/4未満を含み、NeoTCR細胞の他の三集団は、およそ約4×108、約1.33×109、約4×109に等しく、約4×108より多くかつ約1.33×109より少なく、約1.33×109より多くかつ約4×109より少なく、又は約4×109より少ないが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの二つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の1/2未満(それぞれ1/4未満)を含み、NeoTCR細胞の他の二集団は、およそ約4×108、約1.33×109、約4×109に等しく、約4×108より多くかつ約1.33×109より少なく、約1.33×109より多くかつ約4×109より少なく、又は約4×109より少ないが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のNeoTCR細胞の四集団のうちの三つは、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数の3/4未満(それぞれ1/4未満)を含み、NeoTCR細胞の他の一集団は、およそ約4×108、約1.33×109、約4×109に等しく、約4×108より多くかつ約1.33×109より少なく、約1.33×109より多くかつ約4×109より少なく、又は約4×109より少ないが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるようにNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の全数を提供するように調整される。
【0109】
所定の実施態様では、当業者は、NeoTCR細胞の全用量をおよそ4×108、1.33×109、4×109に等しく、>4×108かつ<1.33×109、>1.33×109かつ<4×109、又は<4×109であるが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるように維持しながら、NeoTCR生成物中の異なるNeoTCR細胞集団の数を増加させ続けることができる。所定の実施態様では、当業者は、NeoTCR細胞の全用量を約4×108、約1.33×109、約4×109に等しく、約4×108より多くかつ約1.33×109より少なく、約1.33×109より多くかつ約4×109より少なく、又は約4×109より少ないが、患者への用量制限毒性を生じるNeoTCR細胞の全数よりも少なくなるように維持しながら、NeoTCR生成物中の異なるNeoTCR細胞集団の数を増加させ続けることができる。しかしながら、当業者はまた臨床効果をもたらすために必要とされる各NeoTCR細胞集団の最小数を考慮しなければならない。従って、NeoTCR生成物当たりのNeoTCR細胞集団の数は、NeoTCR細胞の各集団の最小数を提供する必要性によって制限されなければならない。
【0110】
所定の実施態様では、三つの異なるNeoTCR細胞集団を含むNeoTCR生成物において発現される三つの異なるNeoTCRは、三つのNeoTCR間の相乗効果をもたらす。所定の実施態様では、この相乗効果は、一のNeoTCR又は二のNeoTCR集団NeoTCR生成物と比較しての相乗的な腫瘍細胞殺傷効果である。例えば、
図15、18A-18D、及び20を参照のこと。
【0111】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、コンディショニング化学療法の後に投与される。所定の実施態様では、コンディショニングNeoTCR生成物は、フルダラビンとシクロホスファミド(Cycophosphamide)(Flu-Cy)の組み合わせである。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物注入の前の-5から-3日目に投与される。
【0112】
所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物注入の前の-5日目及び-4日目に投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物注入の前の-4日目及び-3日目に投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の一又は複数日前に三日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の二日以上前に三日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の三日以上前に三日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の三日前に三日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の一又は複数日前に二日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の二日以上前に二日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の三日以上前に二日間連続して投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物の投与の三日前に二日間連続して投与される。
【0113】
所定の実施態様では、Flu-Cyは、NeoTCR生成物が投与される日の二日前に、三日間連続して一日一回投与される。
【0114】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは30mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミド(cytophosphamide)は300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の10%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の20%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の30%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の40%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の50%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の60%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約10%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約20%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約30%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約40%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約50%が減少させられる。所定の実施態様では、フルダラビンは、注入される全量の約60%が減少させられる。所定の実施態様では、シトホスファミドは、フルダラビンの減少に関係なく、300mg/m2体表面積で投与される。
【0115】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは27mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは体表面積の24mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは体表面積の21mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは体表面積の18mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは体表面積の15mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは12mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。
【0116】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約27mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約24mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約21mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約18mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約15mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、約12mg/m2体表面積で静脈内投与され、シトホスファミドは300mg/m2又は約300mg/m2体表面積で投与される。
【0117】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の4日間連続して、30mg/m2又は約30mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、600mg/m2又は約600mg/m2体表面積で毎日静脈内投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の4日間連続して、30mg/m2又は約30mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、約300mg/m2から約600mg/m2体表面積の間の用量で毎日静脈内投与される。
【0118】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の4日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の4日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。
【0119】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の5日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の2日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の5日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。
【0120】
所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の6日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の2日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。所定の実施態様では、Flu-Cyが患者に投与される毎日について、フルダラビンは、NeoTCR生成物の投与前の6日間連続して、25mg/m2又は約25mg/m2体表面積で毎日静脈内投与され、シトホスファミドは、NeoTCR生成物の投与前の3日間連続して、60mg/kg又は約60mg/kgで毎日静脈内投与される。
【0121】
所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与と同時的に投与される。
所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与される。
【0122】
所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)7日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)7日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)5日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)6日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)8又は9日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)10又は11日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)12又は3日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)14日間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で、毎日二回(BID)15日から20日の間の任意の期間皮下投与される。所定の実施態様では、皮下IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、500000IU/m2又は約500000IU/m2の用量で毎日二回(BID)20日間皮下投与される。
【0123】
所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、600000IU/kg又は約600,IU/kgの用量で毎日一回7日間静脈内投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、許容範囲まで8時間毎に600000IU/kg又は約600000IU/kgの用量で静脈内投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、NeoTCR生成物の注入後5日間の過程にわたって14回までの逐次用量で許容範囲まで8時間毎に720000IU/kg又は約720000IU/kgの用量で静脈内投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、許容範囲まで8時間毎に720000IU/kg又は約720000IU/kgの用量で静脈内投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、NeoTCR生成物の注入後5日間の過程にわたって14回までの逐次用量で許容範囲まで8時間毎に720000IU/kg又は約720000IU/kgの用量で静脈内投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与され、NeoTCR生成物の注入後5日間の過程(サイクル)にわたって14回までの逐次用量で許容範囲まで8時間毎に約600000IU/kg又は約720000IU/kgの用量で静脈内投与され、第一のサイクルの完了後の約8~10日間の休止期間後にIL-2剤の任意選択的な第二のサイクルが続く。
所定の実施態様では、IL-2剤は、アルデスロイキン又はその生物学的同等物である。
所定の実施態様では、IL-2剤は、ペグ化されたIL-2剤である。
【0124】
[NeoTCR生成物の利点と他の治療法の制限]
チェックポイント療法に応答性の固形腫瘍は、より高い体細胞変異負荷を抱える可能性が高く(腫瘍排他的ネオ抗原の発現をもたらし)、腫瘍はより高いCD8 T細胞浸潤を示し、及び/又は既存の高PD-L1腫瘍発現を示すことを示唆する証拠が増加している(Schumacher及びSchreiber,2015)。これらの特徴のそれぞれは、これらの腫瘍の内因性免疫原性の可能性が高いこと、つまり、その患者の免疫系は、免疫療法の開始前に有意なT細胞免疫応答を開始した可能性があることを表している(Lawrence等,2013);(Tumeh等,2014);(Wargo等,2017)。腫瘍の次世代ディープシークエンシングと内因性腫瘍標的T細胞応答の免疫学的分析の適用は、がん免疫療法の利益、腫瘍変異負荷、及びネオ抗原特異的T細胞の既存の集団の間の関係についての説得力のある証拠を提供した。これらの腫瘍排他的変異(ネオ抗原)を抱える腫瘍細胞を特異的に認識して殺傷するT細胞のネオ抗原特異的集団は、臨床的利益を引き起こす効果的ながん免疫療法の主要なメディエーターであると提案されている(Tran等,2017)(Schumacher及びSchreiber,2015)。
【0125】
最近、がん患者における腫瘍標的T細胞の大きさを有意に増大させるために幾つかのアプローチが開発された。キメラ抗原受容体(CAR)改変自己T細胞による治療は、化学療法抵抗性のリンパ腫及び白血病の患者において、臨床的有用性の驚くべき完全奏効率をもたらした。腫瘍浸潤T細胞(TIL)から増殖させた自己T細胞の投与は、メラノーマに罹患しチェックポイント阻害剤薬物療法に伝統的には応答性ではない腫瘍型の患者において臨床反応を誘導することが示されている(例えば、胆管細胞がん、マイクロサテライト安定性[MSS]結腸直腸がん[CRC]、及びホルモン受容体陽性[HR+]乳がん(Paulson等,2018);(Tran等,2016)(Tran等,2014)。更に、発現される共有腫瘍又はウイルス抗原(すなわち、各個々の患者の腫瘍に固有のネオ抗原又はネオエピトープとは対照的に、多くの患者で発現される同じ抗原)に対する改変された自己TCR-T細胞の投与は、患者における持続的な応答の証拠を示している。
【0126】
がんネオ抗原を標的とするRNAベース又はペプチドベースのワクチンなどの個別化されたがん変異標的療法は、既存の変異標的T細胞応答の大きさを増加させ、腫瘍ネオ抗原に対してデノボ免疫応答を生み出す可能性のある有望な新しい治療手法である(Sahin及びTuereci,2018)(Ott等,2017)。ネオ抗原がんワクチンは、不十分な数のT細胞クローンが腫瘍抗原に内因的にプライミングされる、前立腺、MSS CRC、又は他の転座駆動腫瘍などの低変異負荷腫瘍型で特に有益でありうる。それにもかかわらず、ネオ抗原がんワクチンの潜在的な利点は、ワクチン投与前に予測される抗原標的を認証できないこと、ヒト集団におけるT細胞ワクチンへの変わりやすい応答性、及び抗腫瘍T細胞免疫応答が徐々に(よって余りにゆっくりと)増える、大きな又は急速に増殖する腫瘍を根絶するという挑戦によって制限されうる。
【0127】
ネオエピトープを標的とする養子TCR-T細胞療法は、上述の制限を克服する可能性がある。ここに記載のNeoTCR生成物は、患者の個人的な内因性T細胞がん免疫応答から同定され単離された天然配列の自己NeoTCRで改変された新規の養子TCR-T細胞療法である。がん病理の「ドライバー」変異を含む、各患者の創始者(トランカル)変異を最初に表す腫瘍特異的ゲノム変化は、数が増え、後期悪性腫瘍の「ブランチ」又は「パッセンジャー」変異として時間と共に多様化する。これらの蓄積された腫瘍特異的変異スペクトラムは、各がん患者(個人ネオ抗原)における免疫認識のための標的の特有の個人シグネチャーを表している。これらの個人及び腫瘍排他的ネオ抗原(ネオエピトープ又はneoE特異的T細胞)を標的とするT細胞は、これらの腫瘍特異的変異を発現しない健康な細胞を無視しながら、腫瘍細胞を排他的に標的にして殺傷する可能性がある。このように、各患者の免疫系は腫瘍に関与し、適切に活用される場合、適切に調整された内因性免疫応答が腫瘍を根絶することが示されている。
【0128】
全てのがんは根底にある創始者又はトランカル変異によって引き起こされるため、トランカルネオエピトープを標的とする養子NeoTCR T細胞療法は、あらゆるがん患者の治療の可能性がある。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の養子個別化細胞療法は、腫瘍排他的ネオ抗原を既に認識する天然に生じるNeoTCRを発現するように、個体自身のCD8及びCD4 T細胞を改変することを含む。従って、所定の実施態様では、これらのNeoTCRは、既存の変異標的化CD8 T細胞に由来する天然配列であり、各患者における腫瘍排他的neoE標的を認証する独自の単離技術によって末梢血からキャプチャーされる。製造プロセスでは、同じ患者のロイコパックから新たに得られたCD4及びCD8 T細胞が、「天然」自己T細胞機能を再構成し、選択プロセスを通して自己患者の予測される抗原との相互作用が検証されている形で一つのNeoTCRを発現するように精密ゲノム改変される。従って、がんの参加者への臨床的利益は、エクスビボで改変された、腫瘍変異を標的とした自己NeoTCR細胞の単回投与から生じ、よって、一部は根治的治療の選択肢がない患者に迅速で持続性のある反応を引き起こす可能性を提供する。
【0129】
有意な既存のT細胞免疫を有する患者は、PD-1軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、又はPD-L2結合剤の何れか一の投与で恩恵を受ける可能性が高くなりうる。NeoTCR生成物の投与は、がんを患う各研究参加者にとって有意で包括的な腫瘍標的T細胞免疫応答を示すため、PD-1軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、又はPD-L2結合剤の包含は、NeoTCR生成物の投与前に腫瘍が既にPD-L1/PD-1/PD-L2免疫耐性を抱えていた患者、又はNeoTCR生成物投与後にPD-L1/PD-1/PD-L2免疫耐性を迅速に獲得する患者に意味のある臨床的利益をもたらしうる。従って、本開示は、PD-1軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、又はPD-L2結合剤とNeoTCR生成物の投与との併用療法を提供する。所定の実施態様では、併用療法は、抗PD-1抗体とここに開示されるNeoTCR生成物を含む。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、MK-3475(ペムブロリズマブ)である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体はセミプリマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、JTX-4014である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、スパルタリズマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、シンチリマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、チスレリズマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、トリパリマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、ドスタルマブである。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、MGA012である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、AMP-514である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、CT-011(ピジリズマブ)である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、AMP-224である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体はMED1-0680である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、PDR001である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、REGN2810である。所定の実施態様では、抗PD-1抗体は、BGB-108である。
【0130】
この併用療法は、有意な既存の抗腫瘍T細胞免疫応答と、より高い腫瘍PD-1軸発現レベルによる免疫耐性が患者において確認されている場合、免疫チェックポイント療法による臨床的利益の最良の状況下では、免疫耐性を克服すると予測される。
【0131】
所定の非限定的な実施態様では、本開示は、IL-2剤とここに開示されるNeoTCR生成物との併用療法を提供する。所定の実施態様では、IL-2剤は、組換えIL-2である。所定の実施態様では、IL-2剤は、改変されたIL-2である。所定の実施態様では、IL-2剤は、ペグ化されたIL-2である。所定の実施態様では、IL-2剤は、IL-2に融合された抗体である。所定の実施態様では、IL-2剤は、長時間作用性IL-2である。所定の実施態様では、IL-2剤は、短時間作用性IL-2である。所定の実施態様では、IL-2剤はアルデスロイキンである。所定の実施態様では、IL-2剤は、Proleukin(登録商標)である。所定の実施態様では、IL-2剤は、ベンペガルデスロイキン(bempegaldesleukin)である。
【0132】
所定の非限定的な実施態様では、本開示は、IL-15剤とここに開示されるNeoTCR生成物との併用療法を提供する。所定の実施態様では、IL-15剤は、組換えIL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、改変されたIL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、ペグ化されたIL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、IL-15に融合された抗体である。所定の実施態様では、IL-15剤は、長時間作用性IL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、短時間作用性IL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、ALT-803である。所定の実施態様では、IL-15剤は、NKTR-255である。所定の実施態様では、IL-15剤はNL-201である。所定の実施態様では、IL-15剤はSOC101である。
【0133】
所定の実施態様では、本開示は、NeoTCR生成物の投与の前に投与される化学療法プレコンディショニングレジメンを含む。
【0134】
所定の実施態様では、ここに記載されるNeoTCR生成物は、強力な抗原特異的殺傷、エフェクターサイトカイン分泌、及び同族ネオ抗原を発現する腫瘍細胞との接触時の増殖活性を有するNeoTCR細胞を含む。更に、所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、(例えば、バルクT細胞及び単一細胞セクレトーム分析によって示されるような)強力な多機能エフェクタータンパク質分泌応答を伴って標的腫瘍細胞に応答する。多機能T細胞エフェクター表現型は、血液悪性腫瘍の患者に注入された多機能CAR-T細胞で観察されるものと同様の形で、がん患者にNeoTCR生成物を注入した際の臨床的利益の可能性に寄与すると予測される。
【0135】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、ここに記載のエクスビボ製造プロセスの結果として、メモリー幹細胞(TMSC)及びセントラルメモリー(TCM)T細胞表現型を含む。これらの「より幼若の」又は低分化T細胞表現型は、マウスモデルにおいて並びに血液悪性腫瘍の患者における改変CAR-T細胞の臨床試験において、改善された生着可能性及び延長された注入後の持続性をもたらすと記述されている。従って、「より幼若の」T細胞表現型を含むNeoTCR生成物の投与は、改善された生着可能性、延長された注入後の持続性、及びエフェクターT細胞への迅速な分化によって、体全体の腫瘍細胞を根絶することにより、がん患者に利益をもたらす可能性がある。
【0136】
所定の実施態様では、本開示は、ガイドRNA配列に結合したCRISPR-Cas9ヌクレアーゼの二重リボヌクレオタンパク質種のエレクトロポレーションを含み、各種がゲノムTCRα及びゲノムTCRβ遺伝子座を標的とする、NeoTCR生成物製造方法を含む。Cas9ヌクレアーゼを各ゲノム遺伝子座にターゲティングする特異性は、以前に文献において高度に特異的であると記載されている。所定の実施態様では、本開示は、可能性のあるオフターゲットゲノム切断部位を調査するNeoTCR生成物の包括的な試験を含む。例えば、限定しないが、オフターゲット部位は、COSMID及びGUIDE-seqを使用することによって検出できる。
【0137】
精密ゲノム改変法の更なる態様は、安全性について評価されている。所定の実施態様では、ここに開示される組成物は、精密ゲノム改変後のゲノム不安定性の証拠は示さない。所定の非限定的な実施態様では、例えば、ゲノム不安定性は、標的遺伝子座増幅(TLA)又は標準的FISH細胞遺伝学分析によって評価されうる。
【0138】
NeoTCR生成物と精密ゲノム改変法の包括的な評価は、NeoTCR生成物が患者への注入後に十分に許容されることを示している。
【0139】
5. 薬学的製剤
NeoTCR生成物の薬学的製剤は、凍結保存された状態で細胞の「幼若」表現型を保存できる溶液中でNeoTCR細胞を組み合わせることによって調製される。表1は、そのような一薬学的製剤の例を提供する。あるいは、NeoTCR生成物の薬学的製剤は、生成物を凍結し又は凍結保存する必要なしに、細胞の「幼若」表現型を保存できる溶液中でNeoTCR細胞を組み合わせることによって調製されうる(つまり、NeoTCR生成物は水溶液中に又は非凍結/凍結保存細胞ペレットとして維持される)。
【0140】
追加の薬学的に許容される担体、緩衝液、安定剤、及び/又は保存料もまた、凍結保存溶液又は水性貯蔵溶液(NeoTCR生成物が凍結保存されていない場合)に加えることができる。限定されないが、CryoStor、CryoStor CS5、CELLBANKER、及び場合によってはDMSOを含む特注の凍結保存培地を含む、任意の凍結保存剤及び/又は培地を使用して、NeoTCR生成物を凍結保存することができる。
【0141】
所定の実施態様では、本開示の薬学的製剤は、改変された細胞の第一及び第二の集団を含む複数の細胞集団を含む。所定の実施態様では、第一の改変された細胞は、第一抗原に結合する第一のNeoTCRを含む。所定の実施態様では、第二の改変された細胞は、第二抗原に結合する第二のNeoTCRを含む。所定の実施態様では、複数の細胞は、第一及び第二抗原を含む細胞に対して細胞傷害活性を示す。所定の実施態様では、複数の細胞は、第三の改変細胞を含む。所定の実施態様では、第三の改変細胞は、第三抗原に結合する第三のNeoTCRを含む。所定の実施態様では、複数の細胞は、第一、第二、及び第三抗原を含む細胞に対して細胞傷害活性を示す。所定の非限定的な実施態様では、複数の細胞は、四以上の改変された細胞、五以上の改変された細胞、十以上の改変された細胞を含む。
【0142】
所定の実施態様では、本開示のNeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の第一及び第二の集団を含む。所定の実施態様では、第一のNeoTCR細胞は、第一抗原を標的とする。所定の実施態様では、第二のNeoTCR細胞は、第二抗原を標的とする。所定の実施態様では、NeoTCR細胞は、第一及び第二抗原を含む細胞に対して細胞傷害活性を示す。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、第三のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、第三のNeoTCR細胞は、第三抗原を標的とする。所定の実施態様では、第一、第二、及び第三のNeoTCR細胞を含むNeoTCR生成物は、第一、第二、及び第三抗原を含む細胞に対して細胞傷害活性を示す。所定の非限定的な実施態様では、NeoTCR生成物は、四以上のNeoTCR細胞、五以上のNeoTCR細胞、十以上のNeoTCR細胞を含む。
【0143】
6. 製造品
NeoTCR生成物は、製造品と組み合わせて使用されうる。そのような製造品は、増殖性障害(例えば、がん)の予防又は治療に有用でありうる。製造品の例には、限定されないが、容器(例えば、注入バッグ、ボトル、貯蔵容器、フラスコ、バイアル、注射器、チューブ、及びIV溶液バッグ)、及び容器上の又は容器に付随したラベル又は添付文書が含まれる。所定の実施態様では、容器は、NeoTCR生成物内のNeoTCR細胞の「幼若」状態での貯蔵及び保存に受け入れられる任意の材料で作製されうる。所定の実施態様では、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有するバイアルである。所定の実施態様では、容器は、CryoMACS凍結バッグである。所定の実施態様では、ラベル又は添付文書は、NeoTCR生成物が、選択された状態及び端緒の患者を治療するために使用されることを示している。NeoTCR生成物は自己細胞から作製され、患者特異的な個別化された治療剤として設計されているため、患者はNeoTCR生成物の容器上で特定される。
【0144】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器を含む。
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;及び2)第一の容器と同じNeoTCR生成物がその中に含まれる第二の容器を含む。場合によっては、所定の実施態様では、第一の容器及び第二の容器と同じNeoTCR生成物を含む追加の容器が準備され作製される。場合によっては、所定の実施態様では、異なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む組成物を含む追加の容器がまた、上述の容器と組み合わせられる。
【0145】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;及び2)組成物がその中に含まれる第二の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第二の容器を含む。
【0146】
所定の実施態様では、製造品は、1)二種のNeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器(すなわち、NeoTCR細胞の各集団が異なるNeoTCRを発現するNeoTCR細胞の二集団を含むNeoTCR生成物(例えば、表4を参照));及び2)組成物がその中に含まれる第二の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第二の容器を含む。明確にするために、NeoTCR細胞の二集団を含む生成物の場合、各集団をそれぞれNeoTCR生成物と呼ぶことができ、又は組み合わせたNeoTCR細胞の二集団(単一の容器に組み合わされるか、又は別々の容器にパッケージ化される)をNeoTCR生成物と呼ぶことができる。
【0147】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR細胞の第一集団を含むNeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;2)NeoTCR細胞の第二集団を含む第二のNeoTCR生成物がその中に含まれる第二の容器;及び3)場合によっては、組成物がその中に含まれる第三の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第三の容器を含む。所定の実施態様では、第一及び第二のNeoTCR生成物は異なるNeoTCR生成物であり、第一のNeoTCR生成物は第一のNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含み、第二のNeoTCR生成物はNeoTCR細胞の第一集団とは異なるNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、第一及び第二のNeoTCR生成物は同じNeoTCR生成物である。
【0148】
所定の実施態様では、製造品は、1)三種のNeoTCR生成物(すなわち、NeoTCR細胞の三集団を含み、NeoTCR細胞の各集団が異なるNeoTCRを発現するNeoTCR生成物(例えば、表5を参照))がその中に含まれる第一の容器;及び2)場合によっては、組成物がその中に含まれる第二の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第二の容器を含む。
【0149】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR細胞の第一集団を含むNeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;2)NeoTCR細胞の第二集団を含む第二のNeoTCR生成物がその中に含まれる第二の容器;3)NeoTCR細胞の第三集団を含む第三のNeoTCR生成物がその中に含まれる第三の容器;及び4)場合によっては、組成物がその中に含まれる第四の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第四の容器を含む。所定の実施態様では、第一、第二、第三のNeoTCR生成物は、異なるNeoTCR生成物であり、第一のNeoTCR生成物は第一のNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含み、第二のNeoTCR生成物はNeoTCR細胞の第一集団とは異なるNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含み、かつ第三のNeoTCR生成物はNeoTCR細胞の第一及び第二集団とは異なるNeoTCRを発現するNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、第一、第二、及び第三のNeoTCR生成物は、同じNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、第一、第二、及び第三のNeoTCR生成物のうち二種は同じNeoTCR生成物である。明確にするために、NeoTCR細胞の三集団を含む生成物の場合、各集団をそれぞれNeoTCR生成物と呼ぶことができ、又は組み合わせたNeoTCR細胞の三集団(単一の容器に組み合わされるか、又は別々の容器にパッケージ化される)をNeoTCR生成物と呼ぶことができる。
【0150】
所定の実施態様では、製造品は、1)四種のNeoTCR生成物(すなわち、四NeoTCR細胞集団)がその中に含まれる第一の容器;及び2)場合によっては、組成物がその中に含まれる第二の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第二の容器を含む。
【0151】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;2)第二のNeoTCR生成物がその中に含まれる第二の容器;3)第三のNeoTCR生成物がその中に含まれる第三の容器;4)第四のNeoTCR生成物がその中に含まれる第四の容器;及び5)場合によっては、組成物がその中に含まれる第五の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第五の容器を含む。所定の実施態様では、第一、第二、第三、第四のNeoTCR生成物は、異なるNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、第一、第二、第三、第四のNeoTCR生成物は、同じNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、第一、第二、第三、第四のNeoTCR生成物のうち二種は同じNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、第一、第二、第三、第四のNeoTCR生成物のうち三種は同じNeoTCR生成物である。明確にするために、NeoTCR細胞の四集団を含む生成物の場合、各集団をそれぞれNeoTCR生成物と呼ぶことができ、又は組み合わせたNeoTCR細胞の四集団(単一の容器に組み合わされるか、又は別々の容器にパッケージ化される)をNeoTCR生成物と呼ぶことができる。
【0152】
所定の実施態様では、製造品は、1)五種以上のNeoTCR生成物(すなわち、五NeoTCR細胞集団)がその中に含まれる第一の容器;及び2)場合によっては、組成物がその中に含まれる第二の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、第二の容器を含む。
【0153】
所定の実施態様では、製造品は、1)NeoTCR生成物がその中に含まれる第一の容器;2)第二のNeoTCR生成物がその中に含まれる第二の容器;3)第三のNeoTCR生成物がその中に含まれる第三の容器;4)第四のNeoTCR生成物がその中に含まれる第四の容器;5)第五のNeoTCR生成物がその中に含まれる第五の容器;6)場合によっては、第六以上のNeoTCR生成物がその中に含まれる第六以上の追加の容器;及び7)場合によっては、組成物がその中に含まれる追加の容器であって、組成物が更なる細胞傷害性又は他の治療剤を含む、追加の容器を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の容器の全てが、異なるNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、NeoTCR生成物の容器の全てが、同じNeoTCR生成物である。所定の実施態様では、患者の腫瘍サンプル中の検出可能なNeoTCRの利用可能性、患者のための複数のNeoTCR生成物の必要性及び/又は要望、及び一又は複数の容器を必要とするかそれから利益をうる何れか一種のNeoTCR生成物の利用可能性に基づいて、五以上の容器内に同じ又は異なるNeoTCR生成物の任意の組み合わせが存在しうる。明確にするために、NeoTCR細胞の五集団を含む生成物の場合、各集団をそれぞれNeoTCR生成物と呼ぶことができ、又は組み合わせたNeoTCR細胞の五集団(単一の容器に組み合わされるか、又は別々の容器にパッケージ化される)をNeoTCR生成物と呼ぶことができる。
【0154】
更に、所定の実施態様では、ここに記載のNeoTCR生成物の任意の容器は、複数の投与時点のために、及び/又は患者のための適切な用量に基づいて、二、三、又は四の別個の容器に分割できる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物はキットで提供される。キットには、非限定的な例として、添付文書、ラベル、NeoTCR生成物の使用説明書、注射器、廃棄説明書、投与説明書、チューブ、針、及びNeoTCR生成物を適切に管理するために臨床医が必要とするその他のものを含めることができる。
【0155】
7. ゲノム編集方法
所定の実施態様では、本開示は、部分的に、ヒト細胞を改変する方法、例えば、改変されたT細胞又は改変されたヒト幹細胞を含む。所定の実施態様では、本開示は、部分的に、ヒト細胞、例えば、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、造血幹細胞(HSC)、HSCに由来する細胞、又は樹状/抗原提示細胞を改変する方法を含む。所定の実施態様では、そのような改変はゲノム編集を含む。例えば、限定ではないが、そのようなゲノム編集は、一又は複数の内因性遺伝子座、例えば、TCRアルファ(TCRα)遺伝子座及びTCRベータ(TCRβ)遺伝子座を標的とするヌクレアーゼを用いて達成することができる。所定の実施態様では、ヌクレアーゼは、内因性標的配列に一本鎖DNAニック又は二本鎖DNA切断を生成しうる。所定の実施態様では、ヌクレアーゼは、ゲノムのコーディング部分又は非コーディング部分、例えば、エクソン、イントロンを標的としうる。所定の実施態様では、ここで考えられるヌクレアーゼは、ホーミングエンドヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、メガTALヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及びClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)(CRISPR)/Casヌクレアーゼを含む。所定の実施態様では、ヌクレアーゼは、切断活性の効率を高めるために、例えば、アミノ酸置換及び/又は欠失の導入により、それ自体が改変されうる。
【0156】
所定の実施態様では、ゲノム編集は、非ウイルス送達系を使用して実施される。例えば、リポフェクションの存在下での核酸の投与(Feigner等,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:7413,1987;Ono等,Neuroscience Letters 17:259,1990;Brigham等,Am.J.Med.Sci.298:278,1989;Staubinger等,Methods in Enzymology 101:512,1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリジンコンジュゲーション(Wu等,Journal of Biological Chemistry 263:14621,1988;Wu等,Journal of Biological Chemistry 264:16985,1989)、又は手術条件下でのマイクロインジェクション(Wolff等,Science 247:1465,1990)により、核酸分子を細胞に導入することができる。遺伝子導入のための他の非ウイルス手段には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、及びプロトプラスト融合を使用したインビトロでのトランスフェクションが含まれる。リポソームはまた、細胞へのDNAの送達に潜在的に有益でありうる。対象の罹患組織への正常遺伝子の移植はまた、正常核酸をエクスビボで培養可能な細胞型(例えば、自己又は異種の初代細胞又はその子孫)に導入することによって達成することができ、その後、細胞(又はその子孫)は標的組織に注入されるか、又は全身的に注入される。
【0157】
所定の実施態様では、ゲノム編集は、ウイルス送達系を使用して実施される。所定の実施態様では、ウイルス法には、標的組込み(限定されないが、AAVを含む)とランダム組込み(限定されないが、レンチウイルスアプローチを含む)が含まれる。所定の実施態様では、ウイルス送達は、ヌクレアーゼの組込みなしに達成されるであろう。そのような実施態様では、ウイルス送達系は、Lentiflash又は別の同様の送達系でありうる。
【0158】
本開示の文脈において有用なゲノム編集方法に関する追加の情報は、その内容があらゆる目的のために出典明示によりここに援用される国際特許出願第PCT/US2018/058230号の例えば段落[00219]~[00226]に見出すことができる。
【0159】
8. 相同組換え鋳型
所定の実施態様では、本開示は、相同組換え(HR)鋳型核酸配列を細胞の内因性遺伝子座に導入して組換えることによる、細胞のゲノム編集方法を提供する。所定の実施態様では、HR鋳型核酸配列は直鎖状である。所定の実施態様では、HR鋳型核酸配列は環状である。所定の実施態様では、環状HR鋳型は、プラスミド、ミニサークル、又はナノプラスミドでありうる。所定の実施態様では、HR鋳型核酸配列は、第一の相同性アーム及び第二の相同性アームを含む。所定の実施態様では、相同性アームは、約300塩基から約2000塩基でありうる。例えば、各相同性アームは1000塩基でありうる。所定の実施態様では、相同性アームは、細胞の第一の内因性配列及び第二の内因性配列に相同でありうる。所定の実施態様では、内因性遺伝子座はTCR遺伝子座である。例えば、第一の内因性配列及び第二の内因性配列は、TCRアルファ遺伝子座又はTCRベータ遺伝子座内にある。所定の実施態様では、HR鋳型はTCR遺伝子配列を含む。非限定的な実施態様では、TCR遺伝子配列は、患者特異的なTCR遺伝子配列である。非限定的な実施態様では、TCR遺伝子配列は腫瘍特異的である。非限定的な実施態様では、TCR遺伝子配列は、その内容が出典明示によりここに援用されるPCT/US2020/017887に記載された方法を使用して同定され取得されうる。所定の実施態様では、HR鋳型は、TCRアルファ遺伝子配列とTCRベータ遺伝子配列を含む。
【0160】
所定の実施態様では、HR鋳型はポリシストロニックポリヌクレオチドである。所定の実施態様では、HR鋳型は、可動性ポリペプチド配列(例えば、Gly-Ser-Gly配列)をコードする配列を含む。所定の実施態様では、HR鋳型は、配列内リボソーム侵入部位(IRES)をコードする配列を含む。所定の実施態様では、HR鋳型は2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A、及びF2A)をコードする配列含む。所定の実施態様では、HR鋳型は、同じアミノ酸配列をコードするがコドンが相違する配列を含む。例えば、限定しないが、HR鋳型は、例えばP2Aなど、同じアミノ酸配列を有する第一及び第二の2Aペプチドをコードする第一及び第二のコドンが相違する配列を含む。HR鋳型核酸及びその細胞を改変する方法に関する追加の情報は、その内容が出典明示によりここに援用される国際特許出願第PCT/US2018/058230号に見出すことができる。
【0161】
9. キット
本開示は、それを必要とする対象における免疫応答を誘導し、及び/又は増強し、及び/又はがんを治療し、及び/又は予防するためのキットを提供する。所定の実施態様では、キットは、有効量の本開示の複数の細胞又はそれを含む薬学的組成物を含む。所定の実施態様では、キットは滅菌容器を含み;そのような容器は、ボックス、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で知られている他の適切な容器形態でありうる。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は医薬を保持するのに適した他の材料で作製されうる。所定の非限定的な実施態様では、キットは、本開示のHR鋳型をコードする単離された核酸分子を含む。
【0162】
所定の実施態様では、キットは、限定されないが、1)ルアーロックコネクター、ローラークランプ、PVCチューブ、及び注入ポートを含む充填アセンブリ、及び2)場合によってはオーバーラップバッグに更に含まれ、NeoTCR生成物が個人的にデザインされ製造された患者に確実に注入されるようにするための患者識別情報がラベル付けされている、NeoTCR生成物が充填されたCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)を含む、NeoTCR生成物の注入に必要とされる消耗品を含む。所定の実施態様では、キットは、温水浴中でNeoTCR生成物を如何に解凍するか、及びCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)内の解凍されたNeoTCR生成物にNeoTCR細胞を如何に均一に懸濁させるかについての説明書を更に含む。
【0163】
所望されるならば、複数の細胞は、がんの治療及び/又は予防のための使用に関する情報を含む説明書と共に提供される。所定の実施態様では、説明書は、次のうちの少なくとも一を含む:治療剤の説明;新生物、病原体感染、又は免疫障害若しくはその症状の治療又は予防のための投与スケジュール及び投与;注意;警告;適応症;禁忌;過剰投与情報;有害反応;動物薬理;臨床試験;及び/又は参考文献。説明書は、容器(存在する場合)に直接に印刷され、又は容器に貼付されるラベルとして、又は容器内に若しくは容器と共に提供される別のシート、パンフレット、カード、又はフォルダーとして印刷されうる。
【0164】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、10-100×104細胞/mLの全生細胞濃度でCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)に充填され、保存される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、10-100×104細胞/mLの全生細胞濃度、35mLの全量でCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)に充填され、保存される。所定の実施態様では、一つのバッグが充填され保存される。所定の実施態様では、二つのバッグが充填され保存される。
【0165】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、10-100×104細胞/mLの全生細胞濃度でCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)で出荷される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、10-100×104細胞/mLの全生細胞濃度、35mLの全量でCryoMACSバッグ(又は同等のバッグ)で出荷される。所定の実施態様では、一つのバッグが充填され出荷される。所定の実施態様では、二つのバッグが充填され出荷される。
【0166】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物のラベルには「全生細胞濃度10-100×104細胞/mL」と記載される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のラベルには、「全生細胞濃度10-100×104細胞/mL、35mL」と記載される。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、表4及び5に示される細胞数及び用量を注入するために患者に注入する生成物の正しいミリリットルを如何に計算するかについての説明書を含むキットで提供される。
【0167】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、凍結保存された生成物を如何に解凍するかに関する説明書を含むキットで提供される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物を如何に解凍するかについての説明は、一又は複数の次の工程を含む(同じ意味の別の表現が許容される):
1)カセット付きの液体窒素冷凍庫から1バッグのNeoTCR生成物を取り出し、ドライアイス上に置いて水浴まで輸送する。
2)NeoTCR生成物を含んでいるクライオバッグ(例えば、CryoMACSバッグ)をカセットから取り出す。
3)NeoTCR生成物のクライオバッグを新しい再封可能な(例えば、ジップロックスタイルの)プラスチックバッグに入れる。NeoTCR生成物を含んでいる再封可能なバッグを密封する。
4)NeoTCR生成物のクライオバッグ(再封可能なバッグ内に密封されている)を37℃±2℃の温度の水浴に沈める。水浴に浸した後は、バッグを動かさない。
5)NeoTCR生成物クライオバッグの解凍の進行状況を観察し、小さな氷が残ったら水浴から取り出す。NeoTCR生成物が完全に解凍されるまで、バッグを穏やかに揺動させる。
6)NeoTCR生成物のクライオバッグを再封可能なバッグから取り出す。
7)吸収性の使い捨てワイプでバッグの外側を穏やかに乾かし、凝縮物を取り除く。クライオバッグに漏れがないか観察し、クライオバッグの完全性が視覚的に検証されていることを確認する。完全性が損なわれている場合は、注入を続行しないこと。
8)必要に応じて、NeoTCR生成物の追加のクライオバッグに対して解凍手順を繰り返し、規定の用量を達成する。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物には、解凍から4時間以内に生成物を使用する説明書が提供される。
【0168】
10. 例示的な実施態様
所定の実施態様では、本開示は、a)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団;b)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、及び第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団;又はc)第一のネオ抗原に結合する第一のNeoTCRを含む第一のNeoTCR細胞集団、第二のネオ抗原に結合する第二のNeoTCRを含む第二のNeoTCR細胞集団、及び第三のネオ抗原に結合する第三のNeoTCRを含む第三のNeoTCR細胞集団を含み;各NeoTCRが互いに異なり、かつ各NeoTCRが患者に由来する、組成物を提供する。
【0169】
ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、単一の遺伝子によって発現される。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、異なる遺伝子によって発現される。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のネオ抗原が、単一の遺伝子によって発現される。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRは、異なる主要組織適合遺伝子複合体に結合する。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、第一、第二、及び/又は第三のNeoTCRのうちの二つが、単一の主要組織適合遺伝子複合体に結合する。
【0170】
ここに記載された組成物の所定の実施態様では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、組成物は凍結保存剤を含む。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、組成物は血清アルブミンを含む。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、組成物は晶質液を含む。ここに記載された組成物の所定の実施態様では、組成物は、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブミン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む。
【0171】
所定の実施態様では、本開示は、ここに開示される組成物の何れかを投与することを含む、治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法を提供する。
【0172】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、約4×108細胞、1.33×109細胞、又は約4×109細胞の量のNeoTCR細胞を含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、約4×108細胞より多くかつ約1.33×109細胞より少なく、約1.33×109細胞より多くかつ約4×109細胞より少なく、又は約4×109細胞より多い量のNeoTCR細胞を含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、表4による量のNeoTCR細胞を含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、表5による量のNeoTCR細胞を含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、単回投与で投与される。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組成物は、複数回投与で投与される。
【0173】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、本方法は、組み合わせ薬剤を投与することを更に含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む。
【0174】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、がんは、液性がん又は固形がんである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、患者にはここに記載のFlu-Cyコンディショニング治療が提供される。
【0175】
所定の実施態様では、本開示は、ここに記載される組成物の何れかを製造する方法を提供する。所定の実施態様では、本開示はここに記載される組成物の何れかの投与のためのキットを提供する。
【0176】
所定の実施態様では、本開示は、a)第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;及びb)第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞を含む複数の細胞を提供する。
【0177】
ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、本組成物は、第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞を更に含む。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二及び第三のNeoTCRは患者由来である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二及び第三の抗原はがん抗原である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、がん抗原はネオ抗原である。
【0178】
ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、がん抗原は患者特異的抗原である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の改変細胞は初代細胞である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、初代細胞は患者由来の細胞である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、初代細胞はリンパ球である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、初代細胞はT細胞である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+である。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+である。
【0179】
ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは、シグナル配列、第一及び第二の2Aコード配列、及びTCR遺伝子配列を含む。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドのTCR遺伝子配列は、第一及び第二の2Aコード配列の間に位置される。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一及び第二の2Aコード配列は、同じアミノ酸配列をコードし、互いにコドンが相違している。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一及び第二の2Aコード配列は、P2Aコード配列である。
【0180】
ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、外因性ポリヌクレオチドは、第一及び/又は第二の2Aコード配列の直ぐ上流に位置するアミノ酸配列Gly Ser Glyをコードする配列を更に含む。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、外因性ポリヌクレオチドは、第二の2Aコード配列の上流に位置するフューリン切断部位をコードする配列を更に含む。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは、第二のTCR遺伝子を更に含む。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドの第二のTCR遺伝子は、第二の2Aコード配列の下流に位置する。ここに記載の複数の細胞の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは環状ポリヌクレオチドである。
【0181】
所定の実施態様では、本開示は、ここに開示される複数の細胞を含む組成物を提供する。ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は、薬学的に許容される添加物を更に含む。ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は、がんの治療のためにそれを必要とする患者に投与される。
【0182】
ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は凍結保存剤を含む。ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は、血清アルブミンを含む。ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は晶質液を含む。ここに記載の組成物の所定の実施態様では、組成物は、Plasma-Lyte A、ヒト血清アルブン(HAS)、及びCryoStor(登録商標)CS10を含む。
【0183】
所定の実施態様では、本開示は、治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、第一の抗原に結合する第一のNeoTCRをコードする第一の外因性ポリヌクレオチドを含む第一の改変細胞であって、第一の外因性ポリヌクレオチドが、第一の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第一の改変細胞;及び第二の抗原に結合する第二のNeoTCRをコードする第二の外因性ポリヌクレオチドを含む第二の改変細胞であって、第二の外因性ポリヌクレオチドが、第二の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第二の改変細胞を含む、複数の細胞を投与し;それによって対象におけるがんを治療することを含む、方法を提供する。
【0184】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、複数の細胞は、第三の抗原に結合する第三のNeoTCRをコードする第三の外因性ポリヌクレオチドを含む第三の改変細胞であって、第三の外因性ポリヌクレオチドが、第三の改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている、第三の改変細胞を更に含む。
【0185】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二及び第三のNeoTCRは患者由来である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二及び第三の抗原はがん抗原である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、がん抗原はネオ抗原である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、がん抗原は患者特異的抗原である。
【0186】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二及び第三の改変細胞は初代細胞である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、初代細胞は患者由来の細胞である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、初代細胞はリンパ球である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、初代細胞はT細胞である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95-、CCR7+、及びCD27+である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RA+、CD62L+、CD28+、CD95+、CD27+、CCR7+である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、T細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD28+、CD95+、CCR7+、CD27+、CD127+である。
【0187】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは、シグナル配列、第一及び第二の2Aコード配列、及びTCR遺伝子配列を含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドのTCR遺伝子配列は、第一及び第二の2Aコード配列の間に位置される。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一及び第二の2Aコード配列は、同じアミノ酸配列をコードし、互いにコドンが相違している。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一及び第二の2Aコード配列は、P2Aコード配列である。
【0188】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、外因性ポリヌクレオチドは、第一及び/又は第二の2Aコード配列の直ぐ上流に位置するアミノ酸配列Gly Ser Glyをコードする配列を更に含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、外因性ポリヌクレオチドは、第二の2Aコード配列の上流に位置するフューリン切断部位をコードする配列を更に含む。
【0189】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは、第二のTCR遺伝子を更に含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドの第二のTCR遺伝子は、第二の2Aコード配列の下流に位置する。ここに記載の方法の所定の実施態様では、第一、第二、及び第三の外因性ポリヌクレオチドは環状ポリヌクレオチドである。
【0190】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、本方法は、組み合わせ薬剤を投与することを更に含む。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、又はそれらの組み合わせである。
【0191】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、がんは液性がんである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、液性がんは、濾胞性リンパ腫、白血病、及び多発性骨髄腫からなる群から選択される。ここに記載の方法の所定の実施態様では、がんは固形がんである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、固形がんは、メラノーマ、胸部がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、婦人科がん、中枢神経系がん、皮膚がん、HPV+がん、食道がん、甲状腺がん、胃がん、肝細胞がん、胆管がん、腎細胞がん、膀胱がん、精巣がん、肉腫、及び結腸直腸がんからなる群から選択される。
【0192】
所定の実施態様では、本開示は、治療を必要とする対象においてがんを治療する方法において、腫瘍抗原に結合するNeoTCRをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む有効量の改変細胞であって、外因性ポリヌクレオチドが改変細胞の内因性TRAC及び/又はTRBC遺伝子座に組み込まれている改変細胞を投与すること;並びに有効量の組み合わせ薬剤を投与することを含み;それにより、対象におけるがんを治療する、方法を提供する。ここに記載の方法の所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、化学療法剤、抗ホルモン剤、内分泌治療剤、細胞傷害性剤、サイトカイン、PD軸結合剤、PD-1結合剤、PD-L1結合剤、PD-L2結合剤、又はそれらの組み合わせを含む。
【0193】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤、IL-7剤、IL-10剤、IL-12剤、IL-15剤、IL-18剤、IL-21剤、又はそれらの組み合わせである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-2剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、サイトカインは、IL-15剤である。ここに記載の方法の所定の実施態様では、PD軸結合剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又はアテゾリズマブを含む。
【0194】
ここに記載の方法の所定の実施態様では、がんは、液性がんである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、液性がんは、濾胞性リンパ腫、白血病、及び多発性骨髄腫からなる群から選択される。ここに記載の方法の所定の実施態様では、がんは固形がんである。ここに記載の方法の所定の実施態様では、固形がんは、メラノーマ、胸部がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、婦人科がん、中枢神経系がん、皮膚がん、HPV+がん、食道がん、甲状腺がん、胃がん、肝細胞がん、胆管がん、腎細胞がん、膀胱がん、精巣がん、肉腫、及び結腸直腸がんからなる群から選択される。
【実施例】
【0195】
次は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上に提供した一般的な説明を前提として、様々な他の実施態様を実施できることが理解される。
【0196】
実施例1 NeoTCR生成物
抗原特異的標的T細胞の殺傷。 変異を標的とした、個別化された養子T細胞受容体(NeoTCR生成物)療法は、腫瘍排他的変異標的を提示する細胞を特異的に認識し殺傷する免疫系の能力を解放するようにデザインされた免疫療法モダリティである。NeoTCR細胞を、メラノーマ患者の血液から単離されたneo12特異的CD8 T細胞から作製されたneo12TCR(代表的なネオエピトープ)を発現するように改変し、同族又は非対応の腫瘍細胞と数日間共培養し、タイムラプスライブ顕微鏡検査画像を収集した。タイムラプスライブ顕微鏡で得られた代表的な画像(0、1、2日目;
図1を参照)は、同族neo12ペプチド-HLAを発現する標的T細胞と共培養したNeoTCR-T細胞による強力な抗原特異的細胞傷害活性と増殖を示しているが(右の列)、無関係なペプチドを発現する標的T細胞と共培養した場合はこれを示していない(左の列)。適切なneoE-HLA標的抗原を示さない腫瘍細胞は、NeoTCR T細胞の存在下で増殖し続けた(左の列、緑色)。対照的に、腫瘍細胞を提示するneo12ペプチドの大部分は、neo12-TCR T細胞との共培養から2日以内にアポトーシスし又は死滅した(右の列、赤色)。
【0197】
健康なドナー及びがん患者のT細胞におけるエフェクター機能。 NeoTCR製造プロセスで、健康なドナーからだけでなく、がん患者のT細胞からでも生成物の作製が成功するようにするために、がん患者から得られた血液に由来するNeoTCR細胞を作製することにより、エクスビボ作用機序(MOA)研究を実施し、同じNeoTCRを発現する健康なドナーから得られた血液から作製されたT細胞の活性と直接比較した。抗原特異的活性を、NeoTCR-T細胞を同族又は無関係なHLA-ペプチド複合体を発現する代替腫瘍標的T細胞と混合することによって特徴付けた。T細胞殺傷活性、増殖、及びサイトカイン産生の抗原特異性によって測定された、同等の遺伝子編集効率及び機能的活性を、がん患者及び健康なドナーからのNeoTCR発現CD8+及びCD4+T細胞を用いた研究で観察した。HLA結合変異標的ペプチドの提示を欠く標的T細胞との接触時に標的T細胞の殺傷又はNeoTCR-T細胞の増殖は観察されなかったため、応答の特異性が実証された。
【0198】
NeoTCR-T細胞の多機能性。 機能的エフェクターT細胞表現型に迅速に変換することに加えて、T細胞多機能性(複数のエフェクタータンパク質を分泌する単一細胞の能力)は、臨床試験において投与される改変T細胞のなかで非常に望ましい特性である重要な生成物特質である。注入前に多機能性を示すCD19 CAR-T細胞を投与された非ホジキンリンパ腫の患者は、多機能性を示さなかった改変CAR-T細胞を投与された患者よりも客観的臨床反応を経験する可能性が有意に高かった(Rossi等,2018)。活性化CD8+NeoTCR細胞からのサイトカインの用量依存的な多機能分泌を、単一細胞セクレトーム分析によって実証した(
図2)。異なるサイトカイン産生画分の比率もまた刺激用量反応全体で一貫しているように見える。これらのデータは、HLAクラスI制限TCRを発現するように改変されたCD4 T細胞が、同族neoE-HLA標的への曝露後に成功裏にエフェクター機能を示すこともまた明らかにしている。しかしながら、CD4+T細胞の場合、標的T細胞のパルスに使用されるペプチド濃度では用量反応効果は観察されなかった。総合すれば、これらのデータは、同族neoE-HLA標的をその表面に提示する腫瘍細胞で刺激すると、多機能サイトカイン応答が、NeoTCRを発現するCD8及びCD4 T細胞によってもたらされることを明らかにしている。
【0199】
より幼若のT細胞表現型。 T細胞分化の線形モデルによると、ナイーブ細胞は、抗原提示細胞からの適切なシグナルで最初に活性化されると、メモリー幹細胞(T
MSC)及びセントラルメモリー(T
CM)細胞表現型に分化する。これらの「より幼若の」又は低分化のT細胞集団は、リンパ球が枯渇した動物によく生着し、加えて、持続性のためにメモリー細胞プールを維持しながら更なる刺激で活発に増殖することが示されている(Klebanoff,Gattinoni及びRestifo,2012)。T細胞サブセットの線形分化のモデルを表6に示す。
【0200】
しかしながら、これらの「より幼若の」集団は、同族neoE-HLA発現標的に遭遇したときに、より分化した又は「より高齢の」エフェクターメモリー(TEM)及びエフェクターT細胞(TE)から観察される完全なサイトカイン及びエフェクタータンパク質カスケードを分泌しない。しかしながら、「より高齢の」細胞は標的腫瘍細胞の殺傷に非常に効果的であるが、それらは増殖して持続する能力が欠落している。このようにして、それらは、活性化時に標的T細胞を殺傷する目的で高分化した。
【0201】
動物モデル及び臨床研究からの公表された報告書では、「より幼若の」又は低分化のメモリー幹細胞表現型を有するT細胞を含む養子細胞療法が、「より高齢の」又はより分化したTエフェクター細胞を投与した研究よりも改善された全奏効及び臨床転帰を達成することが示唆されている。マウスモデル及びCD19を標的としたCAR-T細胞の臨床試験のデータは、より幼若の表現型と細胞持続性及び全奏効率との相関関係を証明した(Busch等,2018);(Sabatino等,2016)。従って、「より幼若の」T細胞表現型の投与は、がん患者に潜在的に高い利益をもたらし、これは、生着可能性の改善、注入後の持続性の延長、及びその同族抗原への曝露時のエフェクターT細胞への迅速な分化に関連している。これらの特性は、Tメモリー幹細胞(TMSC)及びTセントラルメモリー(TCM)表現型を含むNeoTCR発現T細胞を注入することの価値を強調している。
【0202】
ここに記載の製造プロセスは、低分化表現型のT細胞集団の作製を促進するために意図的に開発した。NeoTCR生成物の細胞製造プロセスから生じるT細胞表現型の組成を、フローサイトメトリー分析によって調べた。所望される通り、メモリー幹細胞及びセントラルメモリー表現型のNeoTCR細胞は、NeoTCR生成物プロファイルにおいて有意なT細胞表現型を表す。
【0203】
総合して、これらのエクスビボMOA研究では、NeoTCR生成物に処方された健康なドナー又はがん患者から生成されたNeoTCR細胞が、所望のより幼若の表現型サブセット(TMSC及びTCM)のCD8+及びCD4+T細胞を含むことが証明される。同族ペプチド-HLAに遭遇すると、これらの細胞は、強力なサイトカイン産生、腫瘍殺傷活性、及び増殖能を示す多機能エフェクター細胞に迅速に移行し、身体全体の腫瘍細胞を根絶する可能性がある。
【0204】
実施例2 単一及び複数TCR NeoTCR生成物
所定の実施態様では、各NeoTCR生成物は、CD4+及びCD8+ T細胞に精密ゲノム改変される単一のNeoTCRを含む。トランカル変異を持つNeoTCRを含むNeoTCR生成物のデザインが与えられると、一(1)のNeoTCRのみを含むNeoTCR生成物が、増殖性障害(例えば、がん)の治療に十分かつ効果的でありうる。
NeoTCR生成物に含めることができるNeoTCRの数に遂行上の制限はない。むしろ、NeoTCR生成物に含めることができるNeoTCRの数は、1)患者の腫瘍及び血液サンプルにおいて同定されたNeoTCRの数に基づいて、又は2)与えられる生成物に複数のNeoTCRを含めることが望まれる場合に、選択されうる。
【0205】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、単一のNeoTCRを含む。単一(1)のNeoTCRを含むNeoTCR生成物は、NeoTCRについて患者の腫瘍と血液サンプルをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる単一(1)のNeoTCRを選択することによって作製された。所定の実施態様では、1-NeoTCR生成物のために選択される単一(1)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。任意の単一(1)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載の方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0206】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物はポリクローナルであり、二(2)以上のNeoTCRを含む。所定の実施態様では、ポリクローナルNeoTCR生成物は、単一の容器内に二(2)以上のNeoTCRを含む。所定の実施態様では、ポリクローナルNeoTCR生成物は、二(2)以上のNeoTCRを含み、ここで、NeoTCRのそれぞれは、それら自身の別個の容器内にある。所定の実施態様では、NeoTCR生成物に含まれるNeoTCRは、がんの治療のために患者に逐次的に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物に含まれるNeoTCRは、がんの治療のために患者に同時に投与される。
【0207】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、二(2)又は三(3)のNeoTCRを含む。二(2)又は三(3)のNeoTCRを含むNeoTCR生成物は、NeoTCRについて患者の腫瘍及び血液サンプルをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる二(2)又は三(3)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される二(2)又は三(3)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、二(2)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、二(2)のNeoTCRの両方が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、三(3)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、三(3)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、三(3)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、三(3)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。任意の二(2)又は三(3)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0208】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、四(4)のNeoTCRを含む。四(4)のNeoTCRを含むNeoTCR生成物は、NeoTCRについて患者の腫瘍と血液サンプルをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる四(4)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される四(4)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、四(4)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、四(4)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、四(4)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、四(4)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、四(4)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、四(4)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。任意の四(4)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0209】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、五(5)のNeoTCRを含む。五(5)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる五(5)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される五(5)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、五(5)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、五(5)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、五(5)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、五(5)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、五(5)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、五(5)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、五(5)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、五(5)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。任意の五(5)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0210】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、六(6)のNeoTCRを含む。六(6)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込む六(6)のNeoTCRを選択することにより作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される六(6)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、六(6)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、六(6)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、六(6)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、六(6)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、六(6)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、六(6)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、六(6)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、六(6)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、六(6)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、六(6)のNeoTCRのうちの五(5)が、トランカル変異を含む。任意の六(6)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0211】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、七(7)のNeoTCRを含む。七(7)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる七(7)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される七(7)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCRのうちの五(5)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、七(7)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、七(7)のNeoTCRのうちの六(6)が、トランカル変異を含む。任意の七(7)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0212】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、八(8)のNeoTCRを含む。八(8)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる八(8)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される八(8)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの五(5)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの六(6)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、八(8)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、八(8)のNeoTCRのうちの七(7)が、トランカル変異を含む。任意の八(8)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0213】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、九(9)のNeoTCRを含む。九(9)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる九(9)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される九(9)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの五(5)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの六(6)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの七(7)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、九(9)のNeoTCRのうちの八(8)が、トランカル変異を含む。任意の九(9)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0214】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十(10)のNeoTCRを含む。十(10)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十(10)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十(10)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCR全てが、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの二(2)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの三(3)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの四(4)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの五(5)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの六(6)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、九(9)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの七(7)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの八(8)が、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十(10)のNeoTCRがNeoTCR生成物のために選択される場合、十(10)のNeoTCRのうちの九(9)が、トランカル変異を含む。任意の十(10)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0215】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十一(11)のNeoTCRを含む。十一(11)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十一(11)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十一(11)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十一(11)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十一(11)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0216】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十二(12)のNeoTCRを含む。十二(12)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十二(12)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十二(12)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十二(12)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十二(12)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0217】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十三(13)のNeoTCRを含む。十三(13)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十三(13)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十三(13)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十三(13)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十三(13)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0218】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十四(14)のNeoTCRを含む。十四(14)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十四(14)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十四(14)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十四(14)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十四(14)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0219】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十五(15)のNeoTCRを含む。十五(15)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十五(15)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十五(15)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十五(15)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十五(15)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0220】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十六(16)のNeoTCRを含む。十六(16)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十六(16)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十六(16)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十六(16)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十六(16)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0221】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十七(17)のNeoTCRを含む。十七(17)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十七(17)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十七(17)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十七(17)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十七(17)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0222】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十八(18)のNeoTCRを含む。十八(18)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十八(18)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十八(18)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十八(18)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十八(18)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0223】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、十九(19)のNeoTCRを含む。十九(19)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる十九(19)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される十九(19)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、十九(19)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の十九(19)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0224】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、二十(20)のNeoTCRを含む。二十(20)を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる二十(20)のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される二十(20)のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、二十(20)のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の二十(20)のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0225】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、二十一(21)以上のNeoTCRを含む。二十一(21)以上を含むNeoTCR生成物は、患者の腫瘍と血液サンプルのNeoTCRをスクリーニングし、NeoTCR生成物に組み込まれる二十一(21)以上のNeoTCRを選択することによって作製できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物のために選択される二十一(21)以上のNeoTCRは、トランカル変異を含む。所定の実施態様では、二十一(21)以上のNeoTCRの一又は複数が、トランカル変異を含む。任意の二十一(21)以上のNeoTCR生成物を使用して、ここに記載されている方法の何れかを使用してがんを治療することができる。
【0226】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物に含まれるNeoTCRの数は、患者の腫瘍及び血液サンプルをスクリーニングすることによって検出されたNeoTCRの数によってのみ制限される。所定の実施態様では、患者の腫瘍及び血液サンプルをスクリーニングすることによって検出された全てのNeoTCRが、NeoTCR生成物に含められる。
【0227】
実施例3 NeoTCR生成物併用療法
[概要]
NeoTCR生成物は、単独で投与することができ、あるいはそれらは併用療法で使用することができる。併用療法には、NeoTCR生成物の投与と、1、2、3、4、5、6、又は7以上の追加の治療薬の投与が含まれうる。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも一種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも二種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも三種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも四種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも五種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも六種の追加の治療薬の投与を含む。所定の実施態様では、併用療法は、NeoTCR生成物の投与と、少なくとも七種の追加の治療薬の投与を含む。
【0228】
上に提供された実施態様の何れにおいても、NeoTCR生成物は、単一のNeoTCR生成物、あるいは場合によっては同時に又は互いに逐次的に投与される二以上のNeoTCR生成物でありうる。
【0229】
上に提供された実施態様の何れにおいても、NeoTCR生成物は、単一のNeoTCR又は二以上のNeoTCRを含みうる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、一又は複数の併用療法剤と同時に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物と一又は複数の併用療法剤は、逐次的に投与される。
所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、化学療法剤である。所定の実施態様では、併用剤は二(2)種の化学療法剤である。所定の実施態様では、併用剤は、三(3)種の化学療法剤である。所定の実施態様では、併用剤は、四(4)種以上の化学療法剤である。
【0230】
所定の実施態様では、併用剤は放射線療法である。
所定の実施態様では、化学療法剤は、ホルモン療法である。
所定の実施態様では、化学療法剤は免疫療法である。
所定の実施態様では、化学療法剤は、白金ベースの抗腫瘍剤である。所定の実施態様では、化学療法剤は、アルキル化剤である。所定の実施態様では、化学療法剤は、白金ベースの薬剤である。所定の実施態様では、白金ベースの薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンからなるものから選択される。所定の実施態様では、化学療法剤は、微小管阻害剤である。所定の実施態様では、化学療法剤は、プリン類似体である。
【0231】
[PD-1軸結合剤]
免疫チェックポイント遮断による免疫抑制性腫瘍微小環境の調節は、養子移入T細胞の効力を増強するための有望な戦略である。多くのマウスモデルでの前臨床研究の結果では、養子T細胞療法をPD1経路遮断と組み合わせることで、腫瘍量の制御を改善でき、生存期間中央値を延長できることが示されている(Cherkassky等,2016)(Moon等,2015)(Kodumudi等,2016)(Rupp等,2017)。PD-1/PD-L1シグナル伝達の遮断は、PD-L1に遭遇するPD-1発現T細胞の機能を回復させ、よって腫瘍性機能不全に対するT細胞感受性を低下させる(Gerner等,2013)。移入されたT細胞の増殖を増強することにより、PD1阻害は腫瘍微小環境におけるIFNγレベルをまた増加させることができ、CXCL10産生の増加と、より腫瘍反応性のT細胞の動員につながる(Peng等,2012)。重要なことに、PD1/PD-L1遮断と養子移入腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を組み合わせる利点は、前臨床腫瘍モデルと臨床の場で観察されている(Goff等,2016)。総合すると、文献研究では、PD1/PD-L1阻害がNeoTCR生成物の養子移入後の抗腫瘍免疫応答を増強し、クリニックでこの併用療法を探求するための強い理論的根拠を提供するという前提が支持される。
【0232】
所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、PD-1結合剤である。所定の実施態様では、PD-1結合剤は、ペムブロリズマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤はニボルマブである。所定の実施態様では、PD-1結合剤は、ここに記載される任意の他のPD-1結合剤である。
所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、PD-L1結合剤である。所定の実施態様では、PD-L1結合剤は、アテゾリズマブである。所定の実施態様では、PD-L1結合剤は、ここに記載される任意の他のPD-L1結合剤である。
所定の実施態様では、組み合わせ薬剤は、PD-L2結合剤である。
【0233】
所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物の投与の前に投与される。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与される。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物と同時に投与される。
【0234】
所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物と同じ日に投与される。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物と連続した日に投与される(例えば、PD-1軸結合剤が月曜日に投与されると、NeoTCR生成物は、1日後の火曜日に投与され;NeoTCR生成物は月曜日に投与されると、PD-1軸結合剤は1日後の火曜日に投与される)。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物の投与から、二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、PD-1軸結合剤の投与から二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、PD-1軸結合剤の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、PD-1軸結合剤は、NeoTCR生成物の投与から一(1)月後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、PD-1軸結合剤の投与から一(1)月後に投与される。
【0235】
[サイトカイン]
所定の実施態様では、がんの治療のための治療上の利益を有するサイトカイン(及びその誘導体/修飾体)を、NeoTCR生成物と組み合わせることができる。
IL-2は、がん細胞を直接殺傷しないサイトカインである。IL-2剤には、1)IL-2と、天然のIL-2と同様にがん細胞を殺傷しないその修飾体及び誘導体、及び2)がん細胞を直接殺傷するように改変され修飾されたIL-2分子が含まれる。IL-2剤の天然IL-2及び天然IL-2成分は、患者の免疫系の所定の細胞を刺激してがん細胞を殺傷することによって機能する。がん細胞は免疫系を逃れることができる(つまり、免疫系はがん細胞を異常又は危険であると認識しない)ので、IL-2剤を、それを必要とする患者に投与して、免疫系を強化してがん細胞を殺傷し、その増殖を減少させ、又はその増殖を停止させることができる。
【0236】
所定の実施態様では、IL-2剤は、IL-2又はその薬学的に許容される製剤である。所定の実施態様では、IL-2の薬学的に許容される製剤は、アルデスロイキンである。
所定の実施態様では、IL-2剤は、CD122優先的IL-2経路アゴニストである。
所定の実施態様では、IL-2剤は、ペグ化されたIL-2である。所定の実施態様では、ペグ化されたIL-2は、NKTR-214(ベンペガルデスロイキン)である。
所定の実施態様では、IL-2剤は、改変されたIL-2バリアント(IL2v)である。所定の実施態様では、IL2vは、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する抗体で改変される。所定の実施態様では、IL2vはRG7461である。
【0237】
所定の実施態様では、IL-2剤は、IL2v部分を含む改変された抗CEA抗体である。所定の実施態様では、IL2v部分を含む抗CEA抗体は、セルグツズマブアムナロイキンである。
所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与前に投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物と同時に投与される。
【0238】
所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物と同じ日に投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物と連続した日に投与される(例えば、IL-2剤が月曜日に投与されると、NeoTCR生成物は、1日後の火曜日に投与され;NeoTCR生成物は月曜日に投与されると、IL-2剤は1日後の火曜日に投与される)。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与から、二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-2剤の投与から二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-2剤の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、IL-2剤は、NeoTCR生成物の投与から一(1)月後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-2剤の投与から一(1)月後に投与される。
【0239】
所定の実施態様では、IL-10剤又はその薬学的に許容される製剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、IL-10剤はペギロデカキンである。
所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物の投与前に投与される。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与される。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物と同時に投与される。
【0240】
所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物と同じ日に投与される。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物と連続した日に投与される(例えば、IL-10剤が月曜日に投与されると、NeoTCR生成物は、1日後の火曜日に投与され;NeoTCR生成物は月曜日に投与されると、IL-10剤は1日後の火曜日に投与される)。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物の投与から、二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-10剤の投与から二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-10剤の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、IL-10剤は、NeoTCR生成物の投与から一(1)月後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-10剤の投与から一(1)月後に投与される。
【0241】
所定の実施態様では、IL-15剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、持続的な抗腫瘍免疫応答をもたらす長期免疫記憶の形成を増強するIL-15剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、IL-15剤は、IL-15α/IL-2Rγ受容体複合体を標的とする。所定の実施態様では、IL-15剤は、NKTR-255である。
【0242】
所定の実施態様では、IL-15剤は、天然のIL-15である。所定の実施態様では、IL-15剤は、スシドメインを含む。所定の実施態様では、IL-15剤は、効力が低下したIL15-IL15Rαヘテロ二量体Fc融合物である。所定の実施態様では、IL-15剤はP22339である。所定の実施態様では、IL-15剤はXmAb24306である。
所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物の投与前に投与される。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物の投与後に投与される。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物と同時に投与される。
【0243】
所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物と同じ日に投与される。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物と連続した日に投与される(例えば、IL-15剤が月曜日に投与されると、NeoTCR生成物は、1日後の火曜日に投与され;NeoTCR生成物は月曜日に投与されると、IL-15剤は1日後の火曜日に投与される)。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物の投与から、二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-15剤の投与から二(2)日、三(3)日、四(4)日、五(5)日、六(6)日又は七(7)日後に投与される。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-15剤の投与から二(2)週間後に投与される。所定の実施態様では、IL-15剤は、NeoTCR生成物の投与から一(1)月後に投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、IL-15剤の投与から一(1)月後に投与される。
【0244】
所定の実施態様では、IL-7剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、IL-12剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、IL-18剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、IL-21剤を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0245】
[サイトカイン及びPD-1軸結合剤]
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、1)がんの治療のための治療的利益を有するサイトカイン(及びその修飾体/誘導体)、及び2)PD-1軸結合剤と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びPD-1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びPD-L1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びPD-L2結合剤と組み合わせることができる。
【0246】
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-2剤及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、アルデスロイキン及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、アルデスロイキン及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、アルデスロイキン及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
【0247】
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、セルグツズマブアムナロイキン及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、セルグツズマブアムナロイキン及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、セルグツズマブアムナロイキン及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
【0248】
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ベンペガルデスロイキン及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ベンペガルデスロイキン及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ベンペガルデスロイキン及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL2v及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL2v及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL2v及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、IL2vは、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に対する抗体で改変される。所定の実施態様では、IL2vはRG7461である。
【0249】
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びPD-1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びPD-L1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びPD-L2結合剤と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-10剤及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
【0250】
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ペギロデカキン及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ペギロデカキン及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、ペギロデカキン及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びPD-1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びPD-L1結合剤と組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びPD-L2結合剤と組み合わせることができる。
【0251】
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、IL-15剤及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、NKTR-255及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、NKTR-255及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、NKTR-255及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
非限定的な実施例によって、所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、XmAb24306及びペムブロリズマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、XmAb24306及びニボルマブと組み合わせることができる。所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、XmAb24306及びアテゾリズマブと組み合わせることができる。
【0252】
[VEGF剤]
所定の実施態様では、VEGFを標的とする薬剤及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、VEGFを標的とする薬剤は、抗VEGF抗体である。所定の実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。所定の実施態様では、抗VEGF抗体は、ラニビズマブである。所定の実施態様では、抗VEGF抗体はラムシルマブである。
所定の実施態様では、VEGFを標的とする薬剤は、抗VEGF小分子である。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はペガプタニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はソラフェニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はスニチニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はパゾパニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子は、ジフ-アフリベルセプト(zif-aflibercept)である。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はバンデタニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はアパチニブである。所定の実施態様では、抗VEGF小分子はカボザンチニブである。
【0253】
所定の実施態様では、VEGF(ここに開示される抗VEGF剤の何れかを含む)を標的とする薬剤及びその薬学的に許容される形成物を、1)一又は複数のNeoTCR生成物、及び2)サイトカイン(及びその修飾体/誘導体)と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、VEGF(ここに開示される抗VEGF剤の何れかを含む)を標的とする薬剤及びその薬学的に許容される形成物を、1)一又は複数のNeoTCR生成物、及び2)PD-1軸結合剤と組み合わせることができる。
【0254】
所定の実施態様では、VEGF(ここに開示される抗VEGF剤の何れかを含む)を標的とする薬剤及びその薬学的に許容される形成物を、1)一又は複数のNeoTCR生成物、2)サイトカイン(及びその修飾体/誘導体)、及び3)PD-1軸結合剤と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、VEGF(ここに開示される抗VEGF剤の何れかを含む)を標的とする薬剤及びその薬学的に許容される形成物を、1)一又は複数のNeoTCR生成物、2)場合によってはサイトカイン(及びその修飾体/誘導体)、3)場合によってはPD-1軸結合剤、及び4)別の化学療法剤と組み合わせることができる。
【0255】
[CTLA-4剤]
所定の実施態様では、CTLA-4を標的とする薬剤(限定されないが、抗CTLA-4抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブである。所定の実施態様では、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4-Fc融合タンパク質である。所定の実施態様では、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4及びPD-1を標的とする二重特異性抗体である。所定の実施態様では、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4及びPD-L1を標的とする二重特異性抗体である。
【0256】
[TIGIT剤]
所定の実施態様では、TIGITを標的とする薬剤(限定されないが、抗TIGIT抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0257】
[4-1BB剤]
所定の実施態様では、4-1BBを標的とする薬剤(限定されないが、抗4-1BB抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
所定の実施態様では、4-1BB剤は、FAP-4-1BB二重特異性抗体でありうる。所定の実施態様では、4-1BB剤は、4-1BB及び腫瘍表面抗原を標的とする任意の二重特異性抗体でありうる。所定の実施態様では、4-1BB剤は、4-1BB、NK細胞メーカー、及び場合によっては腫瘍表面抗原を標的とする任意の多重特異性抗体でありうる。多重特異性4-1BB抗体の非限定的な例は、CD19及び4-1BBに結合する二重特異性抗体である。
所定の実施態様では、4-1BB剤は、CAR T細胞療法でありうる。所定の実施態様では、CAR T細胞療法は、4-1BB共刺激ドメインを有するCD19標的化CAR T細胞を含む。
【0258】
[がん胎児抗原(CEA)剤]
所定の実施態様では、CEAを標的とする薬剤(限定されないが、抗CEA抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、CEA剤は、IL2v部分に融合された抗CEA抗体(限定されないが、セルグツズマブアムナロイキンを含む)である。所定の実施態様では、CEA剤は、二重特異性抗体がCD3及びCEAに結合する二重特異性抗体である。
【0259】
[CEACAM剤]
所定の実施態様では、CEACAMを標的とする薬剤(限定されないが、抗CEACAM抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0260】
[GPC3剤]
所定の実施態様では、GPC3を標的とする薬剤(限定されないが、抗GPC3抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0261】
[TIM3剤]
所定の実施態様では、TIM3を標的とする薬剤(限定されないが、抗TIM3抗体及び二重特異性抗TIM3+抗PD-1抗体を含む)及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0262】
[PI3K阻害剤]
所定の実施態様では、PI3K阻害剤及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0263】
[BET阻害剤]
所定の実施態様では、BET阻害剤及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0264】
[選択的エストロゲン受容体分解薬]
所定の実施態様では、選択的エストロゲン受容体分解薬及びその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0265】
[個別化ネオ抗原ワクチン]
所定の実施態様では、個別化されたネオ抗原ワクチンを、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、ワクチンは、DNAワクチンである。所定の実施態様では、ワクチンは、RNAワクチンである。
【0266】
[HER2剤]
所定の実施態様では、HER2剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、HER2剤は、抗HER2抗体である。所定の実施態様では、抗HER2剤は、抗HER2+抗CD3二重特異性抗体である。所定の実施態様では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。所定の実施態様では、抗HER2抗体は、アドトラスツズマブエムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)である。所定の実施態様では、抗HER2抗体は、ペルツズマブである。
【0267】
[CD20剤]
所定の実施態様では、CD20剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、CD20剤は、抗CD20抗体である。所定の実施態様では、抗CD20抗体は、リツクスマブ(rituxumab)である。所定の実施態様では、抗CD20抗体は、オビヌツズマブである。所定の実施態様では、抗CD20抗体は、抗CD20+抗CD3二重特異性抗体である。
【0268】
[MEK阻害剤]
所定の実施態様では、MEK阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、MEK阻害剤はコビメチニブである。
【0269】
[BRAF阻害剤]
所定の実施態様では、BRAF阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、BRAF阻害剤はベムラフェニブである。
【0270】
[MEK阻害剤及びBRAF阻害剤]
所定の実施態様では、BRAF阻害剤とその薬学的に許容される形成物、並びにMEK阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、BRAF阻害剤はベムラフェニブであり、MEK阻害剤はコビメチニブである。
【0271】
[AKT阻害剤]
所定の実施態様では、AKT阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、AKT阻害剤は、イパタセルチブである。
【0272】
[ALK阻害剤]
所定の実施態様では、ALK阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、ALK阻害剤は、アレクタニブである。
【0273】
[EGFR阻害剤]
所定の実施態様では、EGFR阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、EGFR阻害剤は、エルロチニブである。
【0274】
[Bcl2阻害剤]
所定の実施態様では、AKT阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、AKT阻害剤はベネトクラクスである。
【0275】
[MDM2阻害剤]
所定の実施態様では、AKT阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、AKT阻害剤は、イダサヌトリンである。
【0276】
[NTRK/ROS1阻害剤]
所定の実施態様では、NTRK/ROS1阻害剤とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。所定の実施態様では、NTRK/ROS1阻害剤は、エントレクタニブである。
【0277】
[抗CD40抗体]
所定の実施態様では、抗CD40抗体とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0278】
[抗CD79b抗体]
所定の実施態様では、抗CD40抗体とその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0279】
[カペシタビン]
所定の実施態様では、カペシタビンとその薬学的に許容される形成物を、一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせることができる。
【0280】
実施例4 固形腫瘍の適応症
NeoTCR生成物は、一又は複数のNeoTCRを検出することができるあらゆるがんの治療に使用できる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、固形腫瘍の治療に使用することができる。
所定の実施態様では、一又は複数のNeoTCR生成物を、固形腫瘍の治療のために、一又は複数の化学療法剤又は放射線療法と組み合わせることができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、固形腫瘍の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ剤を、固形腫瘍の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0281】
[乳がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体(ER+及び/又はPR+)陽性乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、Her2陰性(Her2-)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体陽性(ER+及び/又はPR+)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、Her2陽性(Her2+)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体陰性(ER-)乳がんを治療するために使用することができる。
【0282】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体陰性(ER-)及びHer2陰性(Her2-)(すなわち、トリプルネガティブ)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体(ER+及び/又はPR+)陽性及びHer2陰性(Her2-)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体陽性(ER+及び/又はPR+)及びHer2陽性(Her2+)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、ホルモン受容体陰性(ER-)及びHer2陽性(Her2+)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、BRCA陽性(BRCA+)乳がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、乳がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、乳がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0283】
[胸部がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、肺がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは腺がんである。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは、大細胞がんである。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは腺扁平上皮がんである。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは未分化がんである。所定の実施態様では、非小細胞肺がんは、一を超えるタイプのNSCLCの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、NSCLCの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、NSCLCの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0284】
所定の実施態様では、肺がんは、小細胞肺がん(SCLC)である。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、SCLCの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、SCLCの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
所定の実施態様では、肺がんは中皮腫である。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、中皮腫の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、中皮腫の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0285】
[前立腺がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、前立腺がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、前立腺がんは腺房腺がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは、導管腺がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは、移行上皮(又は尿路上皮)がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは、小細胞前立腺がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは神経内分泌がんである。所定の実施態様では、前立腺がんは肉腫である。所定の実施態様では、前立腺がんは、一を超えるタイプの前立腺がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、前立腺がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、前立腺がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0286】
[結腸直腸がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、結腸直腸がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、結腸直腸がんは、マイクロサテライト安定である。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、マイクロサテライト不安定性である。
所定の実施態様では、結腸直腸がんは、結腸直腸腺がんである。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、消化管カルチノイド腫瘍である。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、原発性結腸直腸リンパ腫である。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、消化管間質腫瘍である。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、平滑筋肉腫である。所定の実施態様では、結腸直腸がんは、一を超えるタイプの結腸直腸がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、結腸直腸がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、結腸直腸がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0287】
[婦人科がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、卵巣がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、卵巣がんは、腺房上皮性卵巣がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは、生殖細胞卵巣がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは、間質細胞卵巣がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは小細胞がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは、白金感受性の卵巣がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは、白金耐性がんである。所定の実施態様では、卵巣がんは、一を超えるタイプの卵巣がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、卵巣がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、卵巣がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0288】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、子宮がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、子宮がんは子宮内膜がんである。所定の実施態様では、子宮がんは子宮肉腫である。所定の実施態様では、子宮内膜がんは、漿液性腺がんである。所定の実施態様では、子宮内膜がんは腺扁平上皮がんである。所定の実施態様では、子宮内膜がんは、子宮癌である。所定の実施態様では、子宮肉腫は子宮平滑筋肉腫である。所定の実施態様では、子宮肉腫は子宮内膜間質肉腫である。所定の実施態様では、子宮肉腫は未分化肉腫である。所定の実施態様では、子宮がんは、一を超えるタイプの卵巣がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、子宮がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、子宮がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0289】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、子宮頸がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、子宮頸がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、子宮頸がんは腺がんである。所定の実施態様では、子宮頸がんは、一を超えるタイプの子宮頸がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、子宮がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、子宮がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0290】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、膣がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、膣がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、膣がんは腺がんである。所定の実施態様では、膣がんは、明細胞腺がんである。所定の実施態様では、膣がんはメラノーマである。所定の実施態様では、膣がんは、一を超えるタイプの膣がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膣がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膣がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0291】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、外陰がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、外陰がんは、外陰扁平上皮がんである。所定の実施態様では、外陰がんはメラノーマである。所定の実施態様では、外陰がんは、一を超えるタイプの外陰がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、外陰がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、外陰がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0292】
[膵臓がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、膵臓がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、膵臓がんは外分泌腫瘍である。所定の実施態様では、膵臓がんは内分泌腫瘍である。所定の実施態様では、内分泌腫瘍は、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ(gastinoma)、ソマトスタチノーマ、VIP産生腫瘍、又はPP産生腫瘍でありうる。所定の実施態様では、膵臓がんは、一を超えるタイプの膵臓がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膵臓がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。 所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膵臓がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0293】
[メラノーマを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、メラノーマを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、メラノーマは、表在拡大型メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは結節型メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは悪性黒子型メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは末端性黒子型メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは、線維形成性メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは、眼メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは直腸肛門部メラノーマである。所定の実施態様では、メラノーマは、一を超えるタイプのメラノーマの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、メラノーマの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、メラノーマの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0294】
[中枢神経系がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、中枢神経系がん(CNSがん)を治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、CNSがんは脳腫瘍である。所定の実施態様では、CNSがんは、CNS転移である。所定の実施態様では、CNSがんは、CNS腫瘍である。所定の実施態様では、CNSがんは多形性神経膠芽腫である。所定の実施態様では、CNSがんは髄膜腫である。所定の実施態様では、CNSがんは頭蓋底がんである。所定の実施態様では、CNSがんは脊髄腫瘍である。所定の実施態様では、CNSがんは神経膠腫である。所定の実施態様では、CNSがんは星状細胞腫である。所定の実施態様では、CNSがんは、脳幹神経膠腫である。所定の実施態様では、CNSがんは上衣腫である。所定の実施態様では、CNSがんは胚細胞腫瘍である。所定の実施態様では、CNSがんは髄芽腫である。所定の実施態様では、CNSがんは、一を超えるタイプのCNSがんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、CNSがんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、CNSがんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0295】
[皮膚がんを治療する方法]
上記のメラノーマの治療に加えて、所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、他の皮膚がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、皮膚がんは皮膚メラノーマである。所定の実施態様では、皮膚がんは粘膜メラノーマである。所定の実施態様では、皮膚がんは末端性メラノーマである。所定の実施態様では、皮膚がんは基底細胞がんである。所定の実施態様では、皮膚がんはメルケル細胞がんである。所定の実施態様では、皮膚がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、皮膚がんは、一を超えるタイプの皮膚がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、皮膚がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、皮膚がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0296】
[頭頸部がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、頭頸部がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、頭頸部がんは唾液腺腫瘍である。所定の実施態様では、頭頸部がんは、頭頸部扁平上皮がんである。所定の実施態様では、頭頸部がんは上咽頭がんである。所定の実施態様では、頭頸部がんは、一を超えるタイプの頭頸部がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、頭頸部がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、頭頸部がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0297】
[HPV+がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、HPV+がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、HPV+がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、HPV+がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0298】
[食道がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、食道がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、食道がんは腺がんである。所定の実施態様では、食道がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、食道がんは、一を超えるタイプの食道がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、食道がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、食道がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0299】
[甲状腺がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、甲状腺がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、甲状腺がんは乳頭がんである。所定の実施態様では、甲状腺がんは濾胞性である。所定の実施態様では、甲状腺がんは未分化がんである。所定の実施態様では、甲状腺がんは髄質性である。所定の実施態様では、甲状腺がんは、一を超えるタイプの甲状腺がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、甲状腺がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、甲状腺がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0300】
[胃がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、胃がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、胃がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、胃がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0301】
[肝細胞がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、肝細胞がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、肝細胞がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、肝細胞がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0302】
[胆管細胞がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、胆管細胞がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、胆管細胞がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、胆管細胞がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0303】
[腎細胞がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、腎細胞がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、腎細胞がんは、明細胞腎がんである。所定の実施態様では、腎細胞がんは、非明細胞腎がんである。所定の実施態様では、腎細胞がんは、一を超えるタイプの腎細胞がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、腎細胞がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、腎細胞がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0304】
[膀胱がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、膀胱がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、膀胱がんは尿路上皮がんである。所定の実施態様では、膀胱がんは扁平上皮がんである。所定の実施態様では、膀胱がんは腺がんである。所定の実施態様では、膀胱がんは、一を超えるタイプの膀胱がんの組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膀胱がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、膀胱がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0305】
[精巣がんを治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、精巣がんを治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、精巣がんの治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、精巣がんの治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0306】
[肉腫を治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、肉腫を治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、肉腫の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、肉腫の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0307】
実施例5 液性腫瘍の適応症
NeoTCR生成物を、一又は複数のNeoTCRが検出されうるあらゆるがんの治療に使用することができる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、液性又は血液腫瘍の治療に使用することができる。
【0308】
[濾胞性リンパ腫を治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、濾胞性リンパ腫を治療するために使用することができる。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、濾胞性リンパ腫の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、濾胞性リンパ腫の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0309】
[白血病を治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、白血病に使用することができる。
所定の実施態様では、白血病は、急性リンパ性白血病(ALL)である。所定の実施態様では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。所定の実施態様では、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。所定の実施態様では、白血病は慢性骨髄性白血病(CML)である。所定の実施態様では、白血病は、有毛細胞白血病(HCL)である。所定の実施態様では、白血病は、骨髄異形成症候群白血病(MDS)である。所定の実施態様では、白血病は、一を超えるタイプの白血病の組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、白血病の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、白血病の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0310】
[多発性骨髄腫を治療する方法]
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、多発性骨髄腫に使用することができる。
所定の実施態様では、多発性骨髄腫はくすぶり型インドレント多発性骨髄腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は、高二倍体多発性骨髄腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は、非高二倍体(低二倍体)多発性骨髄腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は軽鎖骨髄腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は非分泌性骨髄腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は孤立性形質細胞腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は髄外形質細胞腫である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は、意義不明の単クローン性γグロブリン血症である。所定の実施態様では、多発性骨髄腫は、一を超えるタイプの多発性骨髄腫の組み合わせである。
所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、白血病の治療のために一又は複数のNeoTCR生成物と組み合わせて使用することができる。所定の実施態様では、実施例3に記載される一又は複数の組み合わせ薬剤を、白血病の治療のために、一又は複数のNeoTCR生成物及び放射線と組み合わせて使用することができる。
【0311】
実施例6 NeoTCR生成物を投与する方法
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、患者に静脈内投与することができる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、動脈内、腹腔内、頭蓋内、関節内、胸膜内、硝子体内、又は血管内で患者に投与することができる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、注射、注入、持続注入、標的細胞を直接ベイジングさせる局所灌流、カテーテル、又は洗浄によって患者に投与することができる。
NeoTCR生成物は「幼若」細胞表現型を含むため、NeoTCR細胞は、それを必要とする患者に投与された場合、患者においてメモリーT細胞として残り、同族ネオ抗原に応答して増殖できるはずである。従って、所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、患者に一(1)回だけ投与される。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、必要に応じて、患者に二(2)回以上投与されうる。
【0312】
所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、約100000のNeoTCR細胞である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、100000のNeoTCR細胞と500000のNeoTCR細胞との間である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、500000のNeoTCR細胞と1000000のNeoTCR細胞との間である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1,00,000のNeoTCR細胞と2000000のNeoTCR細胞との間である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、2,00,000のNeoTCR細胞と5000000のNeoTCR細胞との間である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、5,00,000のNeoTCR細胞と10000000のNeoTCR細胞との間である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、10000000を超えるNeoTCR細胞である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、50000000から150000000のNeoTCR細胞である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、150000000から300000000のNeoTCR細胞である。所定の実施態様では、それを必要とする患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、300000000から500000000のNeoTCR細胞である。
【0313】
所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、患者に対して10000000の細胞の一律用量でありうる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、患者に対して1000000の細胞の一律用量でありうる。所定の実施態様では、そのような固定用量に対する患者のおおよその体重は50kgである。
所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、患者に対して400000000の細胞の一律用量でありうる。所定の実施態様では、そのような固定用量に対する患者のおおよその体重は50kgである。
【0314】
所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり1000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり2000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり3000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり4000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり5000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり6000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり7000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり8000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり9000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり10000000細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり10000000を超える細胞で投与することができる。所定の実施態様では、患者に投与されるNeoTCR生成物中のNeoTCR細胞の数は、1kg当たり1000000未満の細胞で投与することができる。
【0315】
所定の実施態様では、ここに記載の患者に投与される細胞の全数の何れかを、単回投与として投与するか、二回の投与に分割(すなわち、二の異なる時点で投与)するか、又は三回以上の投与に分割(すなわち、三以上の異なる時点で投与)できる。
【0316】
実施例7 NeoTCR生成物の安全性薬理
NeoTCR単離技術を使用して、neoE特異的T細胞を、対象の腫瘍排他的変異タンパク質(ネオ抗原)に由来し、対象のHLA受容体の一つと複合体を形成したネオエピトープペプチドに特異的に結合するその能力によって、対象の末梢血からキャプチャーする。更に、同族neoEペプチド-HLAとの遭遇に応答して候補のneoE特異的T細胞が活性化されたという前提に基づいて、抗原を経験したT細胞に由来するNeoTCRのみをNeoTCR生成物開発のために選択する。neoE-HLA標的の腫瘍排他的提示は、neoE特異的T細胞の活性化と増殖をもたらしたが、患者において自己免疫応答を引き起こさなかった。個別化のこれらの要素は、養子移入NeoTCR細胞の注入後の潜在的な安全性/忍容性プロファイルのリスクを取り除く。
【0317】
精密ゲノム改変プロセスには、二種の非天然タンパク質が関与している:一過性に送達され、その後、分裂中の細胞で分解されるCas9リボ核タンパク質と、NeoTCR遺伝子カセットの一部として導入されるP2Aペプチドである。Cas9は、改変プロセス中に一過性に送達される非天然タンパク質であるが、最終生成物中にCas9タンパク質が残っているという証拠はなく、よってNeoTCR生成物投与後の抗Cas9免疫原性の可能性のリスクが取り除かれる。P2A配列は、NeoTCR遺伝子カセット内の唯一の非ヒト配列であるが、改変されたT細胞表面に成熟NeoTCRポリペプチドの一部として発現されないため、抗体依存性T細胞媒介性細胞傷害性の機会を表すものではない。
【0318】
COSMID及びGUIDE-seqをそれぞれ使用して、CRISPR/Cas9媒介性ゲノム編集の潜在的なオフターゲット部位を調査するために、包括的なインビトロ及びインシリコ分析が実施された。現在までに、複数の実験室規模又は臨床規模で製造されたNeoTCR生成物が、ディープシークエンシングによって候補ゲノムオフターゲット部位の切断について評価されており、精密ゲノム改変製造プロセスにおいて使用された選択されたCRISPR/Cas9リボ核タンパク質が高度に特異的であるという公表された証拠を肯定している。
【0319】
ゲノム不安定性などの精密ゲノム改変プロセスの追加の態様は、安全性について評価されている。標的遺伝子座増幅(TLA)又は標準蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)細胞遺伝学分析の何れかによる複数のNeoTCR生成物の評価では、ゲノム不安定性の証拠は見出されなかった。
【0320】
総合すると、精密ゲノム改変プロセスによるCRISPR/Cas9リボ核タンパク質改変の分析は、オンターゲット編集のための絶妙な特異性を示している。従って、精密ゲノム改変プロセスによって製造された自己NeoTCR生成物は、患者への再注入後に十分に許容されるはずである。
【0321】
実施例8 薬物動態と生成物代謝
NeoTCR生成物は、自己患者生T細胞を含む。移入された細胞のインビボ分布及び細胞運命は、注入時の適合性及び細胞表現型、注入後の抗原遭遇、及び腫瘍微小環境で受け取られるシグナルなどの複数のパラメーターに依存する。従って、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞は、それが長期間投与される患者に記憶と増殖を介して残るはずである。
【0322】
所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、一(1)年未満の間、患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、一(1)年から二(2)年未満の間、患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、二(2)年から五(5)年未満の間隔で患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、五(5)年から七(7)年未満の間隔で患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、七(7)年から十(10)年未満の間隔で患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、十(10)年から十五(15)年未満の間隔で患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、十五(15)年から二十(20)年未満の間隔で患者内に存続するであろう。所定の実施態様では、患者に投与されたNeoTCR細胞は、患者の寿命の間、患者内に存続するであろう。
【0323】
実施例9 腫瘍形成性
NeoTCR生成物は、一又は複数のNeoTCRが人工プロモーターなしでT細胞のゲノムの天然TCRゲノム部位に組み込まれている精密ゲノム改変T細胞を含む。その結果、NeoTCRがT細胞において人工プロモーターなしで発現される。
人工配列(例えば、特異的T細胞に内因的に存在しないプロモーター)が腫瘍形成性を引き起こすことが知られている。従って、NeoTCR生成物には人工プロモーターが含まれていないため、腫瘍形成の可能性の危険性が取り除かれる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物に関連する腫瘍形成性はない。
【0324】
実施例10 プレコンディショニングレジメン
NeoTCR生成物は、例えば、単回投与として又は一若しくは複数の医薬品と組み合わせて、静脈内注入によって投与されうる。NeoTCR生成物は、骨髄非破壊的(NMA)コンディショニング(前処置)レジメンの後、又はNMAコンディショニングレジメンなしで患者に投与されうる。
【0325】
実施例11 NeoTCR生成物で治療された患者における発熱反応又は発熱性好中球減少症のリスク低減及び/又は治療法
所定の実施態様では、NeoTCRに対する発熱反応を防止するために、NeoTCR生成物の投与前に、患者にアセトアミノフェン及びジフェンヒドラミンを投与することができる。所定の実施態様では、そのようなアセトアミノフェン及びジフェンヒドラミンの用量は、各それぞれの薬物の標準治療に基づくべきである。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を投与された患者が発熱した場合、前記患者は、患者の年齢、体重、及び任意の他の関連要因に基づくアセトアミノフェンの標準治療投薬に基づいて、アセトアミノフェンの一又は複数の用量を更に投与することができる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物を投与された患者が発熱した場合、アセトアミノフェンに加えて、追加の標準治療対症手段を施すことができる。
【0326】
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を投与される患者は、コルチコステロイド又は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を投与されるべきではない。従って、一実施態様では、コルチコステロイド又はNSAIDが投与されていない患者にNeoTCR生成物を投与することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を投与される患者は、敗血性輸注反応及び細菌感染の兆候が観察される。NeoTCR生成物を投与された患者が、そのような投与中又は投与直後に1℃を超える発熱を示した場合、その患者は敗血性輸注反応及び細菌感染について監視されうる。所定の実施態様では、敗血性輸注反応又は細菌感染が疑われる場合、患者を、標準治療法に基づいて感染源について評価することができる。
所定の実施態様では、NeoTCR生成物が投与され、好中球減少及び発熱がある患者には、標準治療に基づいて、広域スペクトル抗生物質及び任意選択的な静脈内輸液を投与することができる。
【0327】
実施例12 NeoTCR生成物で治療された患者における急性輸注反応及び過敏反応のリスク低減及び/又は治療法
所定の実施態様では、輸注反応は、NeoTCR生成物の投与に対して起こりうる反応であり得、一過性の発熱、寒気、悪寒、及び悪心を伴う急性輸注反応からより重度の過敏症反応として現れる場合がある。加えて、過敏症反応と重複する場合がある。
NeoTCR生成物はDMSO中で凍結保存される。DMSOの毒性は、凍結保存された生成物の投与のよく見られる合併症である。DMSOの毒性に関連する副作用は、一般的にヒスタミン放出に関連している。兆候と症状には、咳、紅潮、発疹、胸部圧迫感と喘鳴、吐き気と嘔吐、より極端な場合には心血管系の不安定性が含まれる。
アセトアミノフェン/パラセタモール及びジフェンヒドラミン/H1抗ヒスタミン薬を、注入前に投与することができ、必要に応じて6時間毎に繰り返すことができる。患者が輸注反応を発症した場合、注入速度を遅くしたり停止したりすることができる。コルチコステロイドは、NeoTCR細胞に有害作用を与える可能性があるため、既に生理的補充療法を受けている患者、又は生命を脅かす緊急事態の場合にのみ投与されるべきである。
【0328】
実施例13 NeoTCR生成物で治療された患者における神経毒性のリスク低減及び/又は治療法
神経毒性は、CAR-T細胞療法を受けている患者において観察されており、頭痛、錯乱、意識水準変化、喚語困難、構音障害、脳症、そして稀に発作にまで及ぶ場合がある。神経学的変化のタイミングは、解消後のサイトカイン放出症候群(CRS)と同時であり得、又は一部の患者ではCRSの症状なしに単独で発症する場合がある。
NeoTCR生成物の患者への投与でCRSの兆候及び症状が現れた場合、ガイドラインに従って患者に抗IL6標的療法又はステロイドを施すことができる。
【0329】
実施例14 NeoTCR生成物で治療された患者における腫瘍崩壊症候群のリスク低減及び/又は治療法
腫瘍崩壊症候群(TLS)は、殆どの固形腫瘍では比較的稀であるため、固形腫瘍の患者ではリスクが低い。
TLSは、多量のカリウム、リン酸塩、及び核酸が体循環中に放出される大量の腫瘍細胞溶解によって引き起こされ、CAR-T細胞療法で治療された血液悪性腫瘍の患者で記述されている。
臨床検査TLSは、NeoTCR生成物の注入後数日以内に次の値の2つ以上として定義される:1)尿酸≧8mg/dL又はベースラインから25%増加、2)カリウム≧6mEq/L又はベースラインから25%増加、3)リン≧4.5mg/dL又はベースラインから25%増加、及び4)カルシウム≦7mg/dL又はベースラインから25%減少。
【0330】
予防は、腎機能障害及び/又は腎障害、又は正常上限(ULN)を超える尿酸、カリウム、又はリン酸塩レベルを有する巨大固形腫瘍の患者に施すことができる。禁忌のない患者には、NeoTCR生成物の注入前に施設ガイドラインに従って予防投与(例えば、アロプリノール)を開始することができる。腫瘍崩壊リスクがなくなれば、予防は中止されるべきである。
上記の臨床検査値のゼロ又は一つが異常である場合、患者はアロプリノール又は非アロプリノールの代替品と水分補給を継続して施す必要がある。アロプリノール又は非アロプリノールの代替品に加えて、IV水分補給を施すことができる。更に、尿酸値が上昇したままの場合、患者にラスブリカーゼを投与することができる。
【0331】
実施例15 NeoTCR生成物で治療された患者における移植片対宿主病及び自己免疫のリスク低減及び/又は治療法
移植片対宿主病のような毒性は、二重TCR種、すなわちNeoTCRα及びβ鎖ポリペプチドの発現に加えて内因性TCR鎖の一つを持ちうる非常に少ない数の改変NeoTCR-T細胞から起因するかもしれないNeoTCR生成物の潜在的な毒性である。内因性TCRとNeoTCRからのポリペプチド鎖の異種性対形成が、予期しない細胞ターゲティング能をもたらしうる。これらのイベントの可能性は非常に稀であると予想されるが、これらのT細胞は胸腺選択プロセスを受けておらず、健康な細胞への自己反応を引き起こす可能性があるため、その影響は予測できない。
自己免疫の証拠が現れた場合、コルチコステロイド、シクロスポリン-A、ミコフェノール酸、モフェチル、抗TNFα抗体、又は抗胸腺細胞グロブリンなどの医薬を使用して、症状の重症度に基づいて臨床的に必要な免疫抑制療法で患者を治療できる。
【0332】
実施例16 野生型T細胞を含むNeoTCR生成物
所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、一又は複数のNeoTCRを発現するように精密改変されていない野生型(WT)T細胞及びNeoTCR細胞の組み合わせを含む。このようなNeoTCR生成物では、WT T細胞と組み合わせての精密改変NeoTCR細胞の混合により、エピトープが広がりうる。所定の実施態様では、NeoTCR細胞とWT T細胞のそのような組み合わせは、腫瘍殺傷及びNeoTCR生成物の有効性の増加をもたらしうる。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、少なくとも5%のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約5%から10%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約10%から15%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約15%から20%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約20%から25%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約25%から30%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約30%から40%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、約40%から50%の間のNeoTCR細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、50%を超えるNeoTCR細胞を含む。
【0333】
実施例17 遺伝子回路と組み合わせたNeoTCR生成物
所定の実施態様では、NeoTCR生成物を、遺伝子回路と組み合わせることができる。遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数の組み合わせ薬剤又は化学療法剤の標的化され局在化された発現をもたらすために使用されうる。所定の実施態様では、遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数のサイトカイン(又はその修飾体若しくは誘導体)の標的化され局在化された発現をもたらすために使用されうる。遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数のペプチド又はタンパク質の標的化され局在化された発現をもたらすために使用されうる。遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数の抗体の標的化され局在化された発現をもたらすために使用されうる。所定の実施態様では、遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数の組み合わせ薬剤又は化学療法剤の制御された発現をもたらすために使用されうる。所定の実施態様では、遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数サイトカイン(又はその修飾体若しくは誘導体)の制御された発現をもたらすために使用されうる。所定の実施態様では、遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数のペプチド又はタンパク質の制御された発現をもたらすために使用されうる。遺伝子回路は、例えば、ここに記載の一又は複数の抗体の制御された発現をもたらすために使用されうる。所定の実施態様では、遺伝子回路は、例えば、細胞に複数の作用機序をもたらすために使用されうる。
【0334】
実施例18 NeoTCR生成物の概要
NeoTCR生成物の薬理学的評価により、人工プロモーターなしのエクスビボ製造プロセスを使用して産生されたNeoTCR生成物は、同族ネオ抗原発現腫瘍細胞との接触で、強力な抗原特異的殺傷性、エフェクターサイトカイン分泌、及び増殖活性を有していることが実証された。更に、NeoTCR生成物は、バルクT細胞及び単一細胞セクレトーム分析によって示されるように、強力な多機能エフェクタータンパク質分泌応答で標的腫瘍細胞に応答することが示されている。観察された多機能T細胞エフェクター表現型は、血液悪性腫瘍患者に再注入された改変された多機能の自己CAR-T細胞で観察されるものと同様の形で、NeoTCR生成物をがん患者に注入した際の臨床的利益の可能性に寄与することが予測される。
【0335】
NeoTCR生成物は、人工プロモーターなしのエクスビボ製造プロセスを使用して達成された有意なT細胞表現型を表すTメモリー幹細胞(TMSC)及びセントラルメモリー(TCM)表現型を含む。TMSC及びTCMは「より幼若の」細胞と考えられる。これらの「より幼若の」又は低分化のT細胞表現型は、患者の改変CAR-T細胞と比較して、改善された生着能と注入後の長期持続性をもたらす。従って、「より幼若の」T細胞表現型を含むNeoTCR生成物の投与は、生着能の改善、注入後の持続性の延長、及びエフェクターT細胞への迅速な分化により、全身の腫瘍細胞を根絶することにより、がん患者に利益をもたらすことができる。
【0336】
がん患者からのT細胞で産生されたNeoTCR生成物を用いてエクスビボでの作用機序研究をまた実施した。T細胞殺傷活性、増殖、及びサイトカイン産生の抗原特異性によって測定される、同等の遺伝子編集効率及び機能的活性が観察され、人工プロモーターなしのエクスビボ製造プロセスが、出発物質としてがん患者由来のT細胞を用いて生成物を作製することに成功していることを証明している。
【0337】
エクスビボ製造プロセス(人工プロモーターなし)で使用されるCas9リボ核タンパク質ヌクレアーゼのゲノム切断特異性プロファイルを調べることは重要であった。人工プロモーターを用いないNeoTCR生成物製造プロセスは、それぞれがゲノムTCRα及びゲノムTCRβ遺伝子座を標的とする、ガイドRNA配列に結合したCRISPR-Cas9ヌクレアーゼの二重リボ核タンパク質種のエレクトロポレーションを含む。Cas9ヌクレアーゼを各ゲノム遺伝子座にターゲティングする特異性は、以前に文献に高度に特異的であると記載されている。NeoTCR生成物を使用して包括的インビトロ及びインシリコ分析を実施し、COSMID及びGUIDE-seqをそれぞれ使用して、可能性のあるオフターゲットゲノム切断部位を調査した。複数のNeoTCR生成物と健康なドナーからの同等の細胞生成物を、ディープシークエンシングによって候補オフターゲット部位の切断について評価したが、選択されたヌクレアーゼが高度に特異的であるという公表された証拠を裏付けている。結果は、がん患者に投与されたNeoTCR生成物の安全性、忍容性、又は有効性を損なうとは予想されないCas9オフターゲット活性の可能性が非常に低いことを示した。
【0338】
精密ゲノム改変プロセスの更なる態様を安全性について評価した。標的遺伝子座増幅(TLA)又は標準的FISH細胞遺伝学による複数のNeoTCR生成物の評価では、精密ゲノム改変後のゲノム不安定性の証拠は見出されなかった。NeoTCR配列のゲノムへのオフターゲット組込みはどこにも検出されなかった。細胞生成物に残留Cas9の証拠は見出されなかった。
【0339】
従って、所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、ゲノム的に安定である一又は複数のNeoTCRを発現するように改変されたT細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR配列のゲノムへのオフターゲット組込みがない一又は複数のNeoTCRを発現するように改変されたT細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、残留Cas9を含まない。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR配列のゲノムへのオフターゲット組込みがなく、残留Cas9を含まない一又は複数のNeoTCRを発現するように改変されたT細胞を含む。所定の実施態様では、NeoTCR生成物は、NeoTCR配列のゲノムへのオフターゲット組込みがなく、残留Cas9を含まない一又は複数のNeoTCRを発現するように改変されたT細胞を含み、NeoTCR生成物中のNeoTCR細胞はゲノム的に安定である。
【0340】
ここに記載の方法及び/又は組成物の何れかを使用して、NeoTCR生成物の投与は、NeoTCR生成物がデザインされ作製された患者の腫瘍細胞を根絶することができるため、がん患者に意味のある臨床的利益をもたらす。更に、現在利用可能な細胞療法とは異なり、NeoTCR生成物は、NeoTCR生成物がデザインされ作製された患者の腫瘍細胞を根絶することができるため、固形腫瘍の患者に意味のある臨床的利益をもたらす。
【0341】
実施例19 NeoTCR生成物における二以上のNeoTCRの相乗効果
本実施例は、がんの治療のためにNeoTCR生成物を使用する効率を例証している。
ここに記載されるように、NeoTCR生成物は、患者のNeoTCRを同定し、同じ患者自身のT細胞を改変して、がんを治療するためにNeoTCRを発現するようにデザインされる。
図4A及び4Bは、その全体がここに援用されるPCT/US2020/17887に記載されているように実施されるimPACT単離技術分析を示している。
図3に記載されるように、imPACT単離技術を使用して、患者から収集したメラノーマ腫瘍細胞からNeoTCRを同定した。
図4A及び4Bに示されるように、同じ遺伝子の異なるネオエピトープに特異的な複数のNeoTCRを同定した。具体的には、NAT10遺伝子に特異的であった9つの異なるNeoTCRを同定し、PRPSAP2遺伝子に特異的であった2つの異なるNeoTCRを同定し、ATP11A遺伝子に特異的であった4つの異なるNeoTCRを同定し、かつHP1BP3遺伝子に特異的であった5つの異なるNeoTCRを同定した(
図4A)。UVSSA遺伝子に特異的であったNeoTCRも一つ同定した(
図4A)。
【0342】
異なるNeoTCRの同定に基づいて、
図5に示されるようにNeoTCR生成物を作製した。示されているように、NeoTCR細胞を、10:1の生成物対標的比(P:T)で自己腫瘍細胞株と共培養した。NeoTCR細胞を、単一のNeoTCR生成物として、又は3のNeoTCRの各一の1/3で構成される3のNeoTCR生成物として試験した。組み合わせて試験したNeoTCRは、異なるネオエピトープ及び/又はHLAを標的とした(例えば、
図6A、6B、7A-7D、8A-8E、11A、及び11Bを参照)。自己腫瘍細胞を形質導入して赤色蛍光タンパク質を発現させた後、IncuCyteシステムで赤色コンフルエンシーの量を経時的に測定した。赤色蛍光タンパク質陽性細胞の割合の減少を、NeoTCR生成物の細胞傷害活性の尺度として使用した。この実験の陰性対照は次の通りであった:(1)培地のみを伴う腫瘍細胞;(2)異なる患者からの腫瘍細胞株と共培養されたNeoTCR細胞(すなわち、非同族抗原を発現する細胞と共に培養されたNeoTCR細胞);(3)無関係のNeoTCR(neo12)と自己腫瘍細胞株の共培養(すなわち、非同族抗原を発現する細胞と共に培養されたNeoTCR細胞)。この実験の目的は、異なる集団が同じ遺伝子に対して異なるNeoTCRを発現し、異なる遺伝子に対して異なるNeoTCRを発現するNeoTCR細胞の一を超える集団と、異なるHLAに特異的なNeoTCRを含むNeoTCR生成物に相乗効果があるかどうかを決定することであった。
【0343】
最初に、NeoTCR細胞の単一集団を含む(すなわち、NeoTCR生成物が単一のNeoTCRのみを含む)異なるNeoTCR生成物の殺傷能力を試験した。
図6Aに示されるように、NeoTCR細胞の単一集団を含むNeoTCR生成物は、腫瘍細胞の増殖を制御する様々な能力を有している。しかし、NeoTCR細胞の三集団を含むNeoTCR生成物(すなわち、NeoTCR生成物がNeoTCR細胞の三種の別個の集団を含み、各集団が異なるNeoTCRを発現する)が、腫瘍細胞の増殖を制御する増強された能力を有しているだけでなく、三種の異なるNeoTCR細胞集団が実際に協働して相乗効果を引き出し、腫瘍細胞の増殖を制御する(
図6B;この図に見られる唯一の細胞増殖は、NeoTCR生成物を含まない培地のみの存在下での腫瘍細胞の増殖である)ことが見出されたことは驚きであった。
【0344】
NeoTCR細胞の三集団の組み合わせ(すなわち、NeoTCR生成物は、NeoTCR細胞の別個の三集団を含み、各集団が異なるNeoTCRを発現する)がNeoTCR細胞の二集団よりも高い有効性をもたらすことを証明するために、NeoTCR408、409、及び429のあらゆる組み合わせについて実験を実施した(
図7A-7D)。
図7Aは、三のNeoTCR生成物と比較した各単一のNeoTCR生成物の比較を示している。
図7B-7Dは、二のNeoTCR生成物と比較した単一のNeoTCR生成物を示している。示されているように、二のNeoTCR生成物は腫瘍細胞増殖を制御できたが、制御は限られており、時間の経過と共に幾らかの細胞増殖が生じ得た。対照的に、
図7Aに蒔かれた三のNeoTCR生成物は、腫瘍増殖の有意に優れた制御を示した。
【0345】
図7A-7Dに記載されたものと同じ実験を、
図6Bに示された三のNeoTCR生成物のそれぞれに対して実施した。この実験の別の実施例を、NeoTCR409、429、及び421を用いて
図8A-8Dに示す。
【0346】
更に、
図6Bに示される三のNeoTCR生成物のそれぞれを試験する別の理由は、三のNeoTCR生成物における各NeoTCRの特異性の関連性を探求することであった。NeoTCR408、409、及び429の組み合わせ(
図7A-7D)は、NAT10遺伝子及びHLA-A01:01に特異的な二のNeoTCRと、UVSSA遺伝子及びHLA-B57:01に特異的な一のNeoTCRから構成された(
図8E)。NeoTCR409、429、及び421の組み合わせ(
図8A-8D)は、NAT10遺伝子及びHLA-A01:01に特異的な一のNeoTCR、UVSSA遺伝子及びHLA-B57:01に特異的な一のNeoTCR、及びPRPSAP2遺伝子及びHLA-C03:04に特異的な一のNeoTCRから構成された(
図8E)。実証されているように、腫瘍細胞の増殖を制御するNeoTCR生成物の能力は、遺伝子及びHLAの多様性に依存しなかった。むしろ、三のNeoTCR生成物での腫瘍細胞増殖を制御する相乗効果を生み出したのは、ネオエピトープの多様性であったことが示された。
【0347】
NeoTCR生成物が腫瘍細胞の増殖を制御する能力の唯一の理由としてHLA発現レベルを除外するために、HLA発現をM490腫瘍細胞(NeoTCRが同定され単離された腫瘍細胞株)において測定した(
図9A)。M490腫瘍細胞のHLAのクラス間で発現レベルの差が存在するため、細胞をIFNγで24時間前処理して、HLAクラスの発現を増加させることが可能かどうかを決定した(
図9B)。
図9Cに示されるように、IFNγによる前処理は、HLAのアップレギュレーションをもたらすだけでなく、M490細胞でのネオ抗原提示のアップレギュレーションもまたもたらした。発現の増加がM490細胞に限定されていなかったことを確認するために、M486細胞をまた使用し、同様のアップレギュレーションを観察した(
図9C)。
【0348】
IFNγは、M490細胞の増殖を遅らせるように見えたことが観察された。IFNγが細胞を死滅させたか又は単に細胞増殖抑制効果を有していたかをよりよく理解するために、細胞コンフルエンスをIFNγでの前処理後に測定し(
図10A)、細胞生存率を同時に測定した(
図10B)。実証されるように、IFNγ前処理はM490細胞に対して増殖抑制効果を有していたのみで、それは細胞生存率に影響を与えなかった。
【0349】
IFNγ前処理は、細胞生存率に影響を与えることなく、HLA及びネオ抗原提示を増加させたことが実証されたので、M490細胞上のHLA及びネオ抗原発現をアップレギュレートすることが、腫瘍細胞増殖を制御するNeoTCR生成物の能力を高めることができたかどうかを決定する実験をデザインした。
図11A及び
図11Bに示されるように、腫瘍細胞上のHLA及びネオ抗原の発現を増加させることで、腫瘍細胞増殖の一のNeoTCR生成物の制御能を高めることができた。このデータは、二及び三のNeoTCR生成物が、IFNγを添加することなく、腫瘍細胞増殖を如何により良く制御することができるかという疑問につながる。
【0350】
この疑問を探求するために、IFNγ前処理の結果を、その結果をペプチドパルス実験と比較することによって確認した。ペプチドパルス実験を
図12に記載する。示されるように、単一のNeoTCRを発現するNeoTCR生成物にネオペプチドをパルスして、IFNγ前処理の存在下又は非存在下で腫瘍細胞によって提示されるネオ抗原の量を増加させた。これらの実験の結果を、両方ともNAT10遺伝子に対するものであるNeoTCR409(
図13A)及びNeoTCR422(
図13B)について示す。様々な量のNAT10ペプチドをNeoTCR細胞中にパルスしてNAT10ネオエピトープの発現を増加させると、単一のNeoTCR生成物は、IFNγ前処理の有無にかかわらず腫瘍細胞増殖を制御するその能力を高めることができた。NeoTCRの説明を以下の表7に提供する。
【0351】
注目すべきは、HLA-Aが、
図9Aに示されるように、M490腫瘍細胞で最も高発現を示すHLAであることである。従って、HLA-Aに特異的なNeoTCRは、M490腫瘍細胞においてHLA-B及びHLA-Cよりも優れていると予想される。従って、上記と同じ実験を、HLA-B制限NeoTCR生成物で実施した。
図14A-14Cに示されるように、IFNγ前処理は、
図13A及び13Bに示されるHLA-A制限NeoTCR生成物よりもHLA-B制限NeoTCR生成物に大きな効果を有していた。
図14A=NeoTCR418を発現するNeoTCR生成物;
図14B=NeoTCR433を発現するNeoTCR生成物;
図14C=NeoTCR423を発現するNeoTCR生成物。NeoTCRの説明は以下の表8に提供する。
【0352】
NeoTCR生成物における二以上のNeoTCRの発現が、ペプチドパルス及びIFNγ前処理と同じ効果をなぜ誘発したかを理解するために、プライミング実験をデザインした(
図15)。プライミング実験は、第一のNeoTCR生成物(単一のNeoTCRを発現)の存在下でM490腫瘍細胞を20時間培養した後、その第一のNeoTCR生成物を除去し、それを単純培地又は培地と第二のNeoTCR生成物(単一のNeoTCRを発現)の何れかで置き換えることで構成された。答えるべき疑問は、一のNeoTCRでプライミングされた腫瘍細胞が、NeoTCR生成物によるその後のそれらの殺傷を受けやすくするアポトーシスシグナルを誘導するかどうかであった。
図16に示される実験では、腫瘍細胞を、NeoTCR422又はNeoTCR421を発現するNeoTCR生成物で20時間プライミングした。20時間後、プライミングNeoTCR生成物を除去し、単純培地又は他のNeoTCRを発現するNeoTCR生成物で交換した(例えば、NeoTCR422がプライミングに使用された場合、NeoTCR421をプライミング後の置換生成物として使用した)。示されているように、両方の場合において、プライミングは、より良い細胞殺傷性及びM490腫瘍細胞増殖の増加した制御をもたらした。NeoTCRの説明を、以下の表9に提供する。
【0353】
同様の実験を実施し、データを
図17A(プライマーとしてのNeoTCR422及び治療のためのNeoTCR生成物のNeoTCR429)及び17B(プライマーとしてのNeoTCR421及び治療のためのNeoTCR生成物のNeoTCR429)に示す。この実験で使用したNeoTCRの説明を、以下の表10に提供する。
【0354】
最後に、NeoTCR生成物中の三の異なるNeoTCRの組み合わせによって相乗効果が生じたかどうかを決定するために、
図17A及び17Bに示される実験のNeoTCRを使用して、組み合わせ研究を実施した(
図17A-18D)。
図17Aは、腫瘍細胞増殖を制御するその能力において、三のNeoTCR生成物と比較した単一のNeoTCR生成物を示している。
図18B-18Dは、NeoTCR生成物中の三のNeoTCRのうちの二種の組み合わせの腫瘍細胞増殖を制御する能力を示している。示されているように、単一のNeoTCR生成物中の二種以上のNeoTCRの組み合わせは、NeoTCRが相乗的に作用して、腫瘍細胞増殖を制御するNeoTCR生成物の有効性を増加させることができることを証明するプライミング実験の同じ結果を導き出す。
【0355】
実施例20 NeoTCR生成物の例示的な作製
ここに記載のNeoTCR生成物は、この実施例に記載された方法に従って作製することができる。
(出典明示によりその全体がここに援用される)PCT/US2020/17887に記載されたimPACT単離技術によって同定されたネオエピトープ特異的TCRを使用して、相同組換え(HR)DNA鋳型を作製した。これらのHR鋳型を、部位特異的ヌクレアーゼを用いてタンデムで初代ヒトT細胞にトランスフェクトした。単一ステップの非ウイルス精密ゲノム改変により、内因性プロモーターによって発現される患者のネオエピトープ特異的TCRで内因性TCRがシームレスに置換された。表面に発現されたTCRは配列が完全に天然である。
【0356】
neoTCR-T細胞ゲノム改変の精度を、オフターゲット組込みホットスポット又は転座の標的遺伝子座増幅(TLA)と、次世代シークエンシングベースのオフターゲット切断アッセイによって評価し、意図しない結果の証拠がないことが見出された。
目的の遺伝子を含むコンストラクトを内因性遺伝子座に挿入した。これは、左右のHRアームに隣接して目的の遺伝子のコード配列を含む相同修復鋳型を使用して達成された。HRアームに加えて、目的の遺伝子を、2Aペプチド、目的の上流の翻訳遺伝子から2Aペプチドを除去するための2Aペプチドの上流にあるプロテアーゼ切断部位、及びシグナル配列の間に挟んだ。ゲノムに組み込まれると、目的の発現遺伝子カセットの遺伝子は、単一メッセンジャーRNAとして転写された。メッセンジャーRNAにおけるこの目的の遺伝子の翻訳中に、隣接領域は、自己切断2Aペプチドによって目的の遺伝子から切り離され、プロテアーゼ切断部位は、翻訳された目的の遺伝子の上流の2Aペプチドの除去のために切断された。2Aペプチド及びプロテアーゼ切断部位に加えて、gly-ser-gly(GSG)リンカーを各2Aペプチドの前に挿入して、発現カセット内の他のエレメントからの目的の遺伝子の分離を更に高めた。
【0357】
P2Aペプチドは、その効率的な切断のために、細胞生成物の他の2Aペプチドよりも優れていると判断された。従って、二つ(2)のP2Aペプチド及びコドン分岐を使用して、P2Aペプチドからの目的の遺伝子の何れかの末端にある残りのアミノ酸からの如何なる外因性エピトープも導入することなく、目的の遺伝子を発現させた。外因性エピトープを持たない(すなわち、目的の遺伝子の両側に隣接するP2Aペプチドアミノ酸がない)遺伝子編集細胞の利点は、免疫原性が強烈に低下し、遺伝子編集細胞に対して免疫反応を起こす遺伝子編集細胞を含む細胞生成物が患者に注入される可能性が低くなることである。
【0358】
PCT/US/2018/058230に記載されているように、NeoTCRをT細胞のTCRα遺伝子座に組み込んだ。具体的には、左右のHRアームに隣接するNeoTCRコード配列を含む相同修復鋳型を使用した。加えて、内因性TCRβ遺伝子座を破壊し、NeoTCRコンストラクトによってコードされるTCR配列のみを発現させた。一般的な戦略を、環状HR鋳型並びに直鎖鋳型を使用して適用した。
【0359】
ゲノムに組み込まれると、NeoTCR発現遺伝子カセットは、その個々のT細胞からの内因性TCRαポリペプチドの一部をなおも含む、内因性TCRαプロモーターから単一メッセンジャーRNAとして転写される。この単一のNeoTCRメッセンジャーRNAのリボソームポリペプチド翻訳中に、NeoTCR配列は、P2Aペプチドでの自己切断によって内因性のCRISPR破壊されたTCRαポリペプチドから分離される。コードされたNeoTCRα及びNeoTCRβポリペプチドは内因性細胞性ヒトフューリンプロテアーゼによる切断及びNeoTCR発現遺伝子カセットに含まれる第二の自己切断P2A配列モチーフを通して互いにまた分離される。NeoTCRα及びNeoTCRβポリペプチドは、多量体構築及びT細胞表面へのNeoTCRタンパク質複合体の輸送のために、シグナルリーダー配列(ヒト成長ホルモン、HGHに由来)によって別々に小胞体に標的化される。フューリンプロテアーゼ切断部位を含めることにより、上流のTCRβ鎖からの2A配列の除去が容易になり、TCRβ機能との潜在的な干渉が減少する。各2Aの前にgly-ser-glyリンカーを含めると、三つのポリペプチドの分離が更に増強される。
【0360】
加えて、三つの反復タンパク質配列は、ゲノム安定性を促進するためにHR鋳型内でコドン分岐される。二つのP2Aは、エクスビボ改変T細胞のゲノム内に導入されたNeoTCRカセット配列の安定性を促進するためにTCR遺伝子カセット内で、二つのHGHシグナル配列も互いに同様に、互いにコドン分岐される。同様に、TRACエクソン1の再導入された5’末端は、二つの直接反復の介在配列を除去することにより、カセット全体が経時的に失われる可能性を低減させる。
【0361】
In-Out PCRを使用して、NeoE TCRカセットの精密な標的組込みを確認した。アガロースゲルは、組込みカセットに特異的なプライマーを使用し、部位がヌクレアーゼ及びDNA鋳型(KOKI及びKOKIKO)の両方で処理された細胞に対してのみ予想されるサイズの生成物を生成するPCRの結果を示しており、部位特異的で精密な組込みを証明している。
【0362】
更に、標的遺伝子座増幅(TLA)を使用して、標的組込みの特異性を確認した。架橋、ライゲーション、及びNeoTCR挿入断片に特異的なプライマーの使用によって、組込み部位周辺の配列を取得した。ゲノムにマッピングされたリードを、10kb間隔でビニングする。有意なリードデプスが、14番染色体上の組込み部位の目的の部位周囲でのみ得られており、一般的なオフターゲット挿入部位の証拠がないことが示される。
【0363】
内因性TCRの抗体染色及びneoTCRのペプチド-HLA染色は、改変がNeoTCRの高頻度のノックインをもたらし、幾らかのTCR細胞と少しのWT T細胞が残っていることを明らかにした。ノックインは、外因性プロモーターの非存在下でのneoTCR発現によって証明される。同じneoTCRを使用して改変を複数回実施したところ、同様の結果になった。従って、改変されたT細胞におけるNeoTCRの効率的且つ一貫した発現と内因性TCRのノックアウトが達成された。
【0364】
本発明は、ある程度の長さで、幾つかの記載された実施態様に関してある程度の特殊性をもって記載されたが、何らかのそのような詳細又は実施態様又は何らかの特定の実施態様に限定されるべきとは意図されておらず、先行技術に照らしてそのような特許請求の範囲の可能な限り広い解釈を提供し、よって、本発明の意図された範囲を効果的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照して、解釈されるべきである。
【0365】
ここで言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が出典明示により援用される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。加えて、セクションの見出し、材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【配列表】
【国際調査報告】