(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】タイル状の可撓性スタンプ
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20221213BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B29C59/02 B
B29C33/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520998
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020076243
(87)【国際公開番号】W WO2021069195
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517278185
【氏名又は名称】モーフォトニクス ホールディング ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Morphotonics Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】De Run 4281, 5503 LM Veldhoven, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マテイス テア ミューレン
(72)【発明者】
【氏名】レオン ウィレム フェルトヒュイゼン
(72)【発明者】
【氏名】ブラム ヨハネス ティテュレーア
(72)【発明者】
【氏名】アドリアニュス ファン エルフェン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F209
【Fターム(参考)】
4F202AF01
4F202AG05
4F202CA19
4F202CB01
4F202CD05
4F202CD23
4F209AF01
4F209AG05
4F209PA02
4F209PB01
4F209PC05
4F209PQ11
(57)【要約】
本発明は、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の拡張されたマスタであって、マスタは、複数のタイル状のマスタユニットから構成されており、マスタを構成する複数のタイル状のマスタユニットは、六角形と異なる形状を有するタイル状のマスタユニットを備えており、隣り合うマスタユニットの隣接する縁部同士は、互いに平行であり、マスタを形成するマスタユニットは、マスタユニット同士の間の継合線が、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように配置されている、拡張されたマスタに関する。本発明は、さらに、このような拡張されたマスタから複写される、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の可撓性スタンプに関する。また、可撓性スタンプから複写されたインプリントされた製品が請求される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の拡張されたマスタであって、該マスタは、複数のタイル状のマスタユニットから構成されており、前記マスタを構成する前記複数のタイル状のマスタユニットは、六角形と異なる形状を有するタイル状のマスタユニットを備えており、隣り合うマスタユニットの隣接する縁部同士は、互いに平行であり、前記マスタを形成する前記マスタユニットは、該マスタユニット同士の間の継合線が、前記マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように配置されている、拡張されたマスタ。
【請求項2】
前記マスタは、六角形と異なる形状を有するタイル状のマスタユニットから構成されている、請求項1記載の拡張されたマスタ。
【請求項3】
六角形と異なる形状を有する前記マスタユニットは、
正方形の形状、長方形の形状もしくは三角形の形状を有するか、または
台形の形状、直角の底角を有する軸線対称の五角形の形状もしくは内角が90°でない平行四辺形の形状を有するか、または
振動曲線の形状を有する湾曲した縁部を有する
ことを特徴とする、請求項1または2記載の拡張されたマスタ。
【請求項4】
各マスタユニットは、レリーフ構造を備えた活性領域を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項または複数項記載の拡張されたマスタ。
【請求項5】
前記マスタユニットの前記活性領域は、前記拡張されたマスタ全体にわたって延在しており、これによって、拡張された活性領域が形成されていることを特徴とする、請求項4記載の拡張されたマスタ。
【請求項6】
前記拡張されたマスタは長さ方向を有しており、前記マスタユニットは、前記長さ方向に行で配置されており、1つの行の前記マスタユニットは、隣り合う行の前記マスタユニットからのオフセットを示すことを特徴とする、請求項1記載の拡張されたマスタ。
【請求項7】
前記マスタは長さ方向を有しており、前記マスタユニットは、前記長さ方向に対して垂直な行で配置されており、1つの行の前記マスタユニットは、隣り合う行の前記マスタユニットからのオフセットを示すことを特徴とする、請求項1記載の拡張されたマスタ。
【請求項8】
前記マスタユニットは、正方形または長方形の形状と、直線状の縁部とを有しており、前記接合点は、T字の形状を有することを特徴とする、請求項2記載の拡張されたマスタ。
【請求項9】
行内の前記マスタユニットのサイズが等しいことを特徴とする、請求項8記載の拡張されたマスタ。
【請求項10】
各マスタユニットは、レリーフ構造を備えた活性領域を有しており、該活性領域は、対応する前記マスタユニットの前記縁部に対して平行な縁部を有しており、前記活性領域は、隣り合うマスタユニットの前記活性領域が±1mm未満の位置合わせ精度で位置合わせされるような、隣り合う行の前記マスタユニット同士の間の前記オフセットの範囲内で、対応する前記マスタユニット内に配置されていることを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項または複数項記載の拡張されたマスタ。
【請求項11】
前記拡張されたマスタは、三角形の形状を有するマスタユニット、または直角の底角を有する台形もしくは軸線対称の五角形の形状を有するマスタユニットから構成されており、前記拡張されたマスタは、マスタユニット同士の間にY字の形状を有する接合点を有することを特徴とする、請求項1または2記載の拡張されたマスタ。
【請求項12】
三角形の形状を有するマスタユニットと、台形の形状を有するマスタユニットとから構成されていることを特徴とする、請求項11記載の拡張されたマスタ。
【請求項13】
前記マスタユニットは、振動曲線の形状を有する湾曲した縁部を有することを特徴とする、請求項1記載の拡張されたマスタ。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項または複数項記載の拡張されたマスタから複写された可撓性スタンプ。
【請求項15】
請求項13記載の可撓性スタンプから複写されたインプリントされた製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の拡張されたマスタであって、タイル状のマスタユニットから構成されている拡張されたマスタに関する。本発明は、さらに、拡張されたマスタを製造するためのスタンプタイルのアセンブリと、拡張されたマスタから複写された可撓性スタンプとに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ構造およびナノ構造は、製品の性能を向上させるために使用される。これは、反射防止構造を使用したソーラーパネルの効率の改善であってもよいし、マイクロレンズまたはナノ格子を使用したディスプレイ用の光学3D効果の生成であってもよい。
【0003】
インプリント技術を使用して、構造を製品に付加することができる。様々なインプリント技術が存在し、例えば、ウェーハスケールのUV-NIL、ロールツーロールインプリント、ロールツープレートインプリントなどである。いずれの場合にも、製品に必要な逆の構造を有するマスタ構造が、UV硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を間に挟んで製品に押圧される。硬化後、樹脂が固化し、マスタが製品から除去される。
【0004】
インプリント技術については、大きな面積のインプリントに移行する必要がある。これは2つの理由による。
1)大型製品(すなわち、ソーラーパネルまたは大型ディスプレイ)にテクスチャをインプリントする機会を有しているためである。
2)1回の複製サイクルで複数の製品を複製するためである。これにより、スループットが大幅に向上する。
【0005】
大きな面積の複製には、大きな面積のマスタが必要である。マスタの価格は製造時間ひいてはマスタのサイズに左右される。大きな面積のマスタは高価である。ロールツーロールインプリント技術では、この課題は、例えば国際公開第2017/032758号に開示されているように、シームのないドラムを使用することによって解決されている。この場合、ドラムの直径は、ステッチラインのない連続した領域が存在することを確保するために慎重に選択される。しかしながら、すべてのテクスチャをこの方法にて手頃な価格で作製することができるわけではない。
【0006】
別の解決手段は、小さなベースマスタから大きな拡張されたマスタを作製することである。ステップアンドリピート方式を使用して、マスタ構造がマトリックス構造に複数回複写される。複製された領域同士の間にステッチラインまたは継合線が存在する。プロセスを最適化することにより、ステッチの幅または継合の幅を可能な限り小さくすることが試みられる。ステップアンドリピート方式の例は、例えば、ウェーハステッパを使用する米国特許出願公開第2004/0124566号明細書、米国特許第7077992号明細書、およびローラを使用する韓国特許第1017807289号公報に記載されている。韓国特許第1017807289号公報は、ディスプレイ製品の境界線に見える可能性のあるステッチラインを回避することも目的としている。同公報によると、複製された領域同士がそれらの隣接する縁部で重畳するように複製された領域が配置されるようなタイル配置手法が適用されている(非特許文献Jong G. Ok et al, “A step toward next-generation nanoimprint lithography: extending productivity and applicability”; Appl. Phys. A (2015) 121:343-356も参照)。
【0007】
マスタを拡大するためのより安価な方法は、複数のマスタユニットを物理的に共に並べることである。これは、例えば、米国特許第8027086号明細書で行われている。これにより、プラスチック製の可撓性マスタタイルが、ステンレス鋼のローラの直径に巻き付けられて固定される。この場合、ステップアンドリピート方式に比べてステッチ面積が大きくなる。異なるマスタユニットのタイルを共に押圧することにより、マスタユニット同士の間のステッチ領域またはシームが可能な限り小さく維持される。特定のテクスチャでは、得られたより大きなステッチもしくは継合の幅またはシームの幅を許容することができる。さらに、2つ目の可能性として、1つの拡張されたマスタで複数の製品を共にタイル配置することができる。中国特許出願公開第105911815号明細書は、複数のマスタタイルまたはテンプレートユニットを共につなぎ合わせてタイルパターンを形成することを開示している。テンプレートユニットは、位置合わせマークに沿って基板上に配置される。
【0008】
インプリントプロセスでの、複数のマスタをタイル配置することによって作製されたかまたは複数のナノインプリントテンプレートユニットから作製された拡張されたマスタの使用は、ステッチの品質が適切に制御される場合にのみうまく機能する。大きなシームは、インプリントプロセスを妨害し、インプリントの外観を劣化させる可能性がある。また、共にタイル配置するときには、位置の精度を適切に制御する必要がある。十分に制御された位置精度でのみ、拡張されたマスタから作製されたインプリントされたサンプル上の複数の活性領域を直線状に切り出すことができる。タイル状のマスタユニット同士の間のシームの外観およびタイル状のマスタユニット同士の間のシームの幅は、幅が過度に大きく、かつ/またはタイル状のマスタユニットが位置ずれしかつ/または回転してしまうという点で不十分な品質となってしまうことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、高い位置精度ひいては改善されたシーム外観を有しかつコスト効率よく作成することができる複数のマスタユニットから容易に拡張することができる、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の拡張されたマスタを利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の拡張されたマスタであって、マスタは、複数のタイル状のマスタユニットから構成されており、マスタを形成する複数のタイル状のマスタユニットは、六角形と異なる形状を有するタイル状のマスタユニットを備えており、隣り合うマスタユニットの隣接する縁部同士は、互いに平行であり、マスタを形成するマスタユニットは、マスタユニット同士の間の継合線が、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように配置されている、拡張されたマスタによって解決される。
【0011】
大きな面積の本発明の拡張されたマスタの製造プロセスでは、マスタユニットのテンプレートとして機能する複数のスタンプタイルが配置され、マスタユニットのテンプレートとして機能する複数のスタンプタイルは、六角形と異なる形状を有するスタンプタイルを備えている。これらのスタンプタイルから、拡張されたマスタを構成するマスタユニットがインプリント技術によって形成される。同時に、拡張されたマスタが、インプリント技術によって複数のスタンプタイルから形成される。次いで、大きな面積の本発明の拡張されたマスタは、ウェーハスケールのUV-NIL、ロールツーロールインプリントまたはロールツープレートインプリントとして、インプリント技術によってマスタの構造を複数回複製するためのマスタとして使用される。
【0012】
本発明によれば、複数のマスタユニットは、六角形と異なる形状を有するマスタユニットを備えることが必要である。拡張されたマスタの一実施形態では、複数のマスタユニットは、六角形と異なる形状を有するマスタユニットに加えて、六角形の形状を有するマスタユニットを備えていてもよい。いずれにせよ、後でさらに説明するように、マスタユニットの形状およびマスタユニットの構成は、隣り合うマスタユニットの隣接する縁部同士が、互いに平行であり、マスタを形成するマスタユニットは、マスタユニット同士の間の継合線が、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように配置されている必要がある。
【0013】
拡張されたマスタの有利な実施形態では、マスタは、六角形と異なる形状を有するタイル状のマスタユニットから構成されている、すなわち、拡張されたマスタは、六角形の形状を有するマスタユニットを備えていない。
【0014】
六角形と異なる形状を有するマスタユニットは、マスタユニットの構成が本発明による要件を満たす限り、様々な形状を有することができ、異なる形状を有するマスタユニットを組み合わせて、拡張されたマスタを構成することができる。好ましくは、六角形と異なる形状を有するマスタユニットは、正方形、長方形もしくは三角形の形状を有するか、または、直角の底角を有する台形もしくは軸線対称の五角形または内角が90°でない平行四辺形の形状を有するか、または、振動曲線の形状を有する湾曲した縁部を有している。
【0015】
マスタユニットに関して行われたこれらの記述は、マスタユニット用のテンプレートとして機能するスタンプタイルに類似して適用される。更なる好ましい実施形態では、スタンプタイルは、平形の平坦な形状を有している。すなわち、それらは、例えば円筒形の形状に湾曲していない。同様に好ましい実施形態では、拡張されたマスタのマスタユニットと、拡張されたマスタとは、平形の平坦な形状を有している。すなわち、それらは、例えば円筒形の形状に湾曲していない。
【0016】
スタンプタイルからマスタを形成するプロセスは一般に公知であるが、従来技術のプロセスでは、上記のように、従来技術の拡張されたマスタのタイル状のマスタユニット同士の間のシーム外観およびタイル状のマスタユニット同士の間のシーム幅は品質が不十分であることが多い。拡張されたマスタを作製するための正方形または長方形の形状を有する4つのマスタユニットまたはマスタタイルを用いて、中心点でそれらの角隅を交わらせて交差接合箇所を形成する従来技術のスタンプタイルのタイル配置では、位置精度の制御を実現することが困難であることがわかった。従来技術によるスタンプタイルが、拡張されたマスタを作製する目的で多数のスタンプタイルのパターンを転写する、つまりインプリントするためにインプリントステーションに搬送される際に一緒に押されるか移動される場合、最後のスタンプタイルが他のスタンプタイルを押し退けて、位置ずれして回転したタイル配置が生じてしまう可能性があることが観察された。さらに、脆弱な角隅に位置合わせ力が加わるため、角隅が容易に損傷してしまう可能性がある。これは、特に脆弱で壊れやすいタイルを使用する場合、チップまたは角隅が壊れてはならないため、課題となる。言うまでもなく、位置ずれして回転したタイル配置はまた、それぞれ、拡張されたマスタと、拡張されたマスタのタイル状のマスタユニットとに転写されてしまう。
【0017】
この拡張されたマスタの発明者らは、六角形と異なるスタンプタイルを備える複数のスタンプタイルを、組み立てられたスタンプタイル同士の間の継合線が、スタンプタイル同士の間に、隣り合うスタンプタイルの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有する、すなわち、多くとも3つのスタンプタイルの頂点が交わる接合点のみを有するように組み立てた場合、スタンプタイルの位置ずれおよび回転したタイル配置を低減させるかまたは回避することさえできることを見いだした。このようなタイル配置を有するスタンプタイルを搬送する場合、接合点において、スタンプタイルの角隅または頂点に発生する歪みが少なくなり、スタンプタイルの押退けが発生せず、高い位置合わせ精度が得られる。同時に、これらの利点は、本発明によるタイル状のマスタユニットから構成される拡張されたマスタであって、隣り合うマスタユニットの隣接する縁部同士が、互いに平行であり、マスタを形成するマスタユニットは、マスタユニット同士の間の継合線が、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように、すなわち、多くとも3つのマスタユニットの頂点が交わる接合点のみを有するように配置されている、拡張されたマスタに転用される。結果として、拡張されたマスタユニットでは、マスタユニットは、高い位置精度を有しており、その結果、シーム外観が改善される。
【0018】
したがって、本発明によれば、拡張されたマスタおよび拡張されたマスタを形成するスタンプタイルのアセンブリにとって、組み立てられたマスタユニット同士および組み立てられたスタンプタイル同士の間のそれぞれの継合線が、それぞれ隣り合うマスタユニットおよび組み立てられたスタンプタイルの、多くとも3つの角隅が集まる、すなわち、互いに合致する接合点のみを有することが必須とされる。さらに、マスタユニットおよびスタンプタイルは、隣り合うマスタユニットと、隣り合うスタンプタイルとの隣接する縁部同士が、それぞれ互いに平行である必要がある。
【0019】
マスタユニットの縁部は、直線状であってもよいし、突起またはノッチなどを有していてもよいし、湾曲していてもよい。いずれの場合にも、隣り合うマスタユニットおよび隣り合うスタンプタイルの隣接する縁部同士が、それぞれ互いに平行であることが重要である。六角形と異なる形状を有しており、かつ振動曲線の形状を有する湾曲した縁部を有さないマスタユニットは、好ましくは、突起またはノッチなどのない直線状の縁部を有している。
【0020】
湾曲した縁部の場合、好ましい実施形態では、縁部は振動曲線の形状を有することができ、より好ましい実施形態では、正弦波の形状を有することができる。この場合、マスタユニットは4つの縁部を有することができ、互いに対向する縁部は、好ましい例として、正弦波の形状の振動形状を有することができる。また、それぞれの対向する側にある一対の縁部のみが正弦波の形状を有する一方、他の2つの縁部は直線状であってよい。湾曲した縁部を有するマスタユニットは、拡張されたマスタの長さの延在部方向に列でまたは長さ方向に対して垂直な方向に行で配置することができ、1つの列または1つの行のマスタユニットは、それぞれ隣り合う列および隣り合う行のマスタユニットからのオフセットを示す。これにより、本発明に従って必要とされるように、交差接合が回避され、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみが得られることが実現される。
【0021】
好ましい実施形態では、マスタユニットと、マスタユニットを形成するスタンプタイルとは、正方形または長方形の形状と、直線状の縁部とを有することができる。この場合、隣り合うマスタユニットおよび組み立てられたスタンプタイルの多くとも3つの角隅がそれぞれ交わる接合点は、T字の形状を有している。好ましい場合、マスタユニットは正方形または長方形の形状を有しており、拡張されたマスタは長さの延在部を有することができ、マスタユニットは、好ましくは行内に等しいサイズのマスタユニットを備える長さの延在部において、好ましくは行で配置することができ、1つの行のマスタユニットは、隣り合う行のマスタユニットからのオフセットを示す。
【0022】
同様に好ましい実施形態では、拡張されたマスタは長さの延在部を有しており、マスタユニットは、好ましくは行内に等しいサイズのマスタユニットを備える行で配置することができ、この行は長さの延在部に対して垂直に延在し、1つの行のマスタユニットは、隣り合う行のマスタユニットからのオフセットを示す。
【0023】
拡張されたマスタの長さの延在部の列または長さの延在部に対して垂直な方向の行のいずれかにマスタユニットが配置されている好ましい実施形態では、1つの行のマスタユニットは、隣り合う行のマスタユニットからのオフセットを示し、さらに好ましくは、オフセットは、継合線に沿って接合点が互いに少なくとも10mmの距離を有するようなオフセットである。
【0024】
マスタユニットは、好ましくは、レリーフ構造を備えた活性領域を有することができる。好ましい実施形態では、活性領域は、各マスタユニットの表面全体に延在することができ、その結果、拡張されたマスタユニットの領域全体を覆うことができ、したがって、拡張された活性領域または大規模な活性領域を形成することができる。結果として、可撓性スタンプについてもまた、好ましい実施形態では、可撓性スタンプの領域全体は、レリーフ構造を有する活性領域で覆われている。この場合、活性領域全体から大規模なセグメントを切り出すことにより、可撓性スタンプを必要なサイズにすることができる。代替的に、マイクロ構造および/またはナノ構造を有するインプリントされた製品を製造するために可撓性スタンプ全体を使用する場合、大規模な活性領域で覆われた大規模なセグメントをインプリントされた製品から切り出すことができる。
【0025】
更なる好ましい実施形態では、活性領域は、各マスタユニットの表面の一部にのみわたって延在することができる。この場合、活性領域は様々な形状を有することができる。それは、例えば、正方形または長方形の形状を有していてもよいし、円形または楕円形であってもよい。好ましい実施形態では、マスタユニットは、拡張されたマスタの長さの延在部の列または長さの延在部に対して垂直な方向の行のいずれかで配置されており、各マスタユニットは、各マスタユニットの表面の一部にのみわたって延在するレリーフ構造を備えた活性領域を有しており、最終的な大規模なインプリントされた製品から複数のタイル状の製品を簡単に切り出すことができるようにするために、活性領域は、拡張されたマスタ内で直線状の行および/または直線状の列として配置する必要がある。この場合、活性領域は、好ましくは、隣り合うマスタユニットの活性領域が±1mm未満の位置合わせ精度で直線状の行および/または直線状の列として位置合わせされるような、隣り合う行および/または隣り合う列のマスタユニット同士の間のオフセットの範囲内で、対応するマスタユニット内に配置されている。より好ましくは、活性領域は、隣り合うマスタユニットの活性領域が±100μm未満の位置合わせ精度、最も好ましくは±20μm未満の位置合わせ精度で位置合わせされるような、隣り合う行のマスタユニット同士の間のオフセットの範囲内で、対応するマスタユニット内に配置されている。
【0026】
更なる好ましい実施形態では、マスタユニットは、三角形または台形の形状を有することができ、拡張されたマスタは、マスタユニット同士の間にY字の形状を有する接合点を有している。同様に、更なる好ましい実施形態では、スタンプタイルは、三角形または台形の形状を有することができ、スタンプタイルのアセンブリは、タイル状のスタンプ同士の間にY字の形状を有する接合点を有している。
【0027】
本発明の拡張されたマスタは、マスタユニット同士の間の継合線が、マスタユニット同士の間に、隣り合うマスタユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有する限り、別の、六角形と異なる形状を有するマスタユニットを備えてよい。さらに、本発明の拡張されたマスタは、好ましくは、三角形の形状を有するマスタユニットと、台形の形状を有するマスタユニットとから構成することができる。この場合、好ましい実施形態では、拡張されたマスタは、二等辺三角形の形状を有するマスタユニットと、等脚台形の形状を有するマスタユニットとを備えることができ、二等辺三角形と等脚台形とは、同一の底角を有しており、マスタユニットは、拡張されたマスタの長さの延在部の方向またはこの長さの延在部に対して垂直な方向のいずれかに行で配置されており、二等辺三角形および等脚台形は交互に行内に配置されている。
【0028】
更なる好ましい実施形態では、拡張されたマスタは、三角形の形状を有するマスタユニットと、台形の形状を有するマスタユニットとから構成することができ、スタンプタイルのアセンブリは、それぞれ、三角形の形状を有するスタンプタイルと、台形の形状を有するスタンプタイルとから構成することができる。この場合、好ましくは、拡張されたマスタおよびスタンプタイルのアセンブリは、それぞれ、好ましくは、2つの等しいサイズの直角台形と、1つの二等辺三角形とから形成された少なくとも1つの正方形の要素または長方形の要素から構成することができ、二等辺三角形の底角と、二等辺三角形の底角に隣接する直角台形の底角とは、共に直角を形成する。
【0029】
更なる実施形態では、拡張されたマスタは、正六角形の形状または1つの対称方向に沿って引き伸ばされた六角形の形状のマスタユニットと、直角の底角を有する軸線対称の五角形の形状のマスタユニットと、直角台形との組み合わせから構成される。六角形、五角形および直角台形は、好ましくは、それらのサイズとそれらの輪郭とに関して一致し、それらが長方形の形状を有する拡張されたマスタをもたらすように配置される。
【0030】
本発明の拡張されたマスタは、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用に使用される可撓性スタンプの製造に特に良好に適している。したがって、本発明はまた、本発明による拡張されたマスタから複写された可撓性スタンプに関する。可撓性スタンプは、拡張されたマスタのマスタユニットと同一のタイルパターンのタイル状のサブユニットを有している。したがって、本発明はまた、マイクロ構造およびナノ構造のインプリント用の可撓性スタンプであって、可撓性スタンプが、複数のタイル状のサブユニットから構成されており、複数のタイル状のサブユニットが、六角形と異なる形状を有するタイル状のサブユニットを備えており、隣り合うサブユニットの隣接する縁部同士が、互いに平行であり、サブユニット同士の間の継合線が、サブユニット同士の間に、隣り合うサブユニットの多くとも3つの角隅が集まる接合点のみを有するように、サブユニットが可撓性スタンプ内に配置される、可撓性スタンプに関する。本発明の可撓性スタンプの好ましい実施形態に関しては、本発明の拡張されたマスタの場合と同一のことが適用され、対応して、前述の可撓性スタンプのサブユニットは、基本的に、拡張されたマスタのマスタユニットに対応する。
【0031】
本発明はさらに、本発明による可撓性スタンプから複製されたインプリントされた製品に関する。言うまでもなく、インプリントされた製品は、それを複写または複製する可撓性スタンプと同一のタイル配置の表面構造を有することができる。したがって、本発明によるインプリントされた製品に対する本発明のインプリントされた製品の好ましい実施形態に関して、本発明の可撓性スタンプおよび本発明の拡張されたマスタに関して同一のことが、それぞれ適用される。これは、拡張されたマスタのマスタユニットに対応する可撓性スタンプのサブユニットが、可撓性スタンプのサブユニットと同一の形状および同一の構成を有するインプリントされた製品内にセグメントを生成するためである。
【0032】
本発明の可撓性スタンプの設計およびその構造に関して、従来技術に開示された実施形態を使用することができる。この点に関して、例えば、米国特許第7824519号明細書、国際公開第2016/128494号または未公開の欧州特許出願第18200147.9号に例示されているような可撓性スタンプが参照される。
【0033】
ここで、本発明は、以下の図を参照してより詳細に説明されるが、本発明の範囲は、図によって限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】四隅の接合点を備えたスタンプタイルのアセンブリ(従来技術)の図である。
【
図2】インプリントステーションに搬送されるときに共に移動させられた後の四隅の接合点を備えたスタンプタイルのアセンブリ(従来技術)の図である。
【
図3】長方形の形状と直線状の縁部とを有する4つのマスタユニットから構成された、本発明による拡張されたマスタの図である。
【
図4】長方形の形状と直線状の縁部と位置合わせされた活性領域とを有する4つのマスタユニットから構成された、本発明による拡張されたマスタの図である。
【
図5】二等辺三角形の形態を有する3つの同一のサイズのマスタユニットから構成された、本発明による拡張されたマスタの図である。
【
図6】2つの同一のサイズの直角台形と1つの二等辺三角形とから形成された拡張されたマスタの図である。
【
図7】1つの対称方向に沿って引き伸ばされた正六角形の形状を有するマスタユニットと、軸線対称の五角形の形状を有するマスタユニットと、直角台形の形状を有するマスタユニットと、等脚台形の形状を有するマスタユニットとの組み合わせから形成された拡張されたマスタの図である。
【
図8】
図7に示す拡張されたマスタから製造される可撓性スタンプから得ることができるインプリントされた製品であって、このインプリントされた製品から大規模なインプリントされた構造が切り出される、インプリントされた製品の図である。
【
図9】
図7に示す拡張されたマスタから製造される可撓性スタンプから得ることができるインプリントされた製品であって、このインプリントされた製品から、多数の小さなインプリントされた構造が切り出される、インプリントされた製品の図である。
【
図10】
図7に示したものと同様の拡張されたマスタから製造される可撓性スタンプから得ることができるインプリントされた製品であって、このインプリントされた製品から、セグメント化された活性領域と共に多数の小さなインプリントされた構造が切り出される、インプリントされた製品の図である。
【
図11】湾曲した上縁部と湾曲した下縁部とを有する拡張されたマスタであって、行として配置されたタイル状のマスタユニットから構成され、マスタユニットが、2つの対向する側同士に正弦波形態の縁部を有する、拡張されたマスタの図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、拡張されたマスタを作製することができるスタンプタイル1の従来技術のアセンブリを示している。この例では、長方形の形状を有する4つのスタンプタイル2,3,4,5が、それらの角隅でもって中心点で合致するように配置され、したがって、交差接合箇所または交差接合点6を形成する。スタンプタイル2,3,4,5は、レリーフ構造を備えた活性領域7を有することができ、この場合、活性領域7は、スタンプタイル2,3,4,5の表面の一部を覆い、スタンプタイル2,3,4,5の縁部8Aに対して平行な縁部を有している。最初、4つのスタンプタイル2,3,4,5は、隣り合うスタンプタイルの隣接する縁部8Aが互いに平行であるように配置され、スタンプタイルの隣接する縁部8A同士の間に形成される継合線8B(ステッチラインまたはシームとも呼ばれる)は均一であり、良好に制御される。
【0036】
図1のスタンプタイル1の従来技術のアセンブリのスタンプタイル2,3,4,5は、拡張されたマスタを作製する目的で多数のスタンプタイルのパターンを転写する、つまり、インプリントするためにインプリントステーションに搬送される際に一緒に押されるかまたは移動される場合、最後のスタンプタイル4および5が、他のスタンプタイル2,3を押し退けて、位置ずれして回転したタイル配置が生じてしまう可能性がある。
図1に示すようなスタンプタイルのアセンブリの場合、タイル配置プロセス自体の間、すなわち、スタンプタイルが互いに隣り合って配置されるときに、位置ずれして回転したタイル配置がすでに発生している可能性があることに留意されたい。これにより、
図2に示すように、スタンプタイル2,3,4,5の間に不均一な隙間9,10が発生し、交差接合点6の角隅で高い歪みレベルが発生する。位置ずれして回転したタイル配置と不均一な隙間とを有するスタンプタイル1のこのアセンブリから、大きな面積の拡張されたマスタを製造する場合、拡張されたマスタも同一の欠陥を示すことになる。
【0037】
図3は、本発明による拡張されたマスタ11を示しており、これは、長方形の形状と直線状の縁部とを有する4つのマスタユニット12,13,14,15から構成されている。マスタユニット12,13,14,15は、隣り合うマスタユニット12,13,14,15の隣接する縁部同士が互いに平行になるように列で配置されている。拡張されたマスタ11を形成するマスタユニット12,13,14,15は、マスタユニット12,13,14,15の間の継合線18Bが、マスタユニット12,13,14,15の間に接合点16,17のみを有するように配置されている。そこでは、隣り合うマスタユニットの3つの角隅が集まり、これにより、接合点16および17がT字の形状を有している。これは、
図3の拡張されたマスタ11について、1つの行のマスタユニット12,14が、隣り合う行のマスタユニット13,15からのオフセットを示すようにマスタユニット12,13,14,15を配置することによって実現される。このオフセットによって、継合線18Bに沿って、接合点16および17が互いに距離Aを有することがさらに実現される。
【0038】
図3の拡張されたマスタを製造するプロセスでは、拡張されたマスタ11のマスタユニットと同一の構成またはテクスチャのネガを有する逆の構成を有するスタンプタイルから構成されたスタンプタイルのアセンブリが使用される。これは、
図3の拡張されたマスタ11を作製するスタンプタイルのアセンブリもまた長方形の形状を有しており、長さの延在で行をなして配置されていることを意味する。1つの行の組み立てられたスタンプタイルは、隣り合う行の組み立てられたスタンプタイルからのオフセットを示し、その結果、隣り合うスタンプタイルの3つの角隅のみが合致する接合点が生じ、その結果、T字の形状を有する接合点が生じる。そのようなアセンブリのスタンプタイルが、拡張されたマスタを作製する目的で多数のスタンプタイルのパターンを転写する、つまり、インプリントするためにインプリントステーションに搬送される際に一緒に押されるか移動される場合、接合点では、スタンプタイルの角隅または頂点に発生する歪みが少なく、スタンプタイルの押退けが発生せず、高い位置合わせ精度が得られる。
【0039】
同時に、これらの利点は拡張されたマスタ11に転用される。したがって、
図3の拡張されたマスタの4つのマスタユニット12,13,14,15は、隣り合うスタンプタイルの隣接する縁部18A同士が互いに平行になるように配置され、ひいてはマスタユニット12,13,14,15の間に形成される継合線18B(ステッチラインまたはシームとも呼ばれる)が均一であり、良好に制御される。
【0040】
図1および
図2のスタンプタイル2,3,4,5について示したように、
図3の拡張されたマスタ11のマスタユニット12,13,14,15も、レリーフ構造を備えた活性領域20を有することができ、この場合、活性領域20は、マスタユニット12,13,14,15の表面の一部を覆い、マスタユニット12,13,14,15の縁部に対して平行な縁部を有している。
【0041】
図4は、本発明の別の拡張されたマスタ11’を示している。
図3の拡張されたマスタ11として、
図4の拡張されたマスタ11’は、長方形の形状と直線状の縁部とを有する4つのマスタユニット12’,13’,14’,15’から構成される。マスタユニット12’,13’,14’,15’もまた、レリーフ構造を備えた活性領域20’,20’’,20’’’,20’’’’を有しており、活性領域20’,20’’,20’’’,20’’’’は、マスタユニット12’,13’,14’,15’の表面の一部を覆い、マスタユニット12’,13’,14’,15’の縁部に対して平行な縁部を有している。マスタユニット12’,13’,14’,15’は、隣り合うマスタユニット12’,13’,14’,15’の隣接する縁部18A’同士が互いに平行になるように列で配置されている。拡張されたマスタ11’を形成するマスタユニット12’,13’,14’,15’は、マスタユニット12’,13’,14’,15’の間の継合線18B’が、16’,17’のみを有するように配置されている。そこでは、隣り合うマスタユニットの3つの角隅が集まり、これにより、接合点16’,17’がT字の形状を有している。
【0042】
図11の拡張されたマスタを形成するマスタユニットとは異なり、
図4の拡張されたマスタ11’のマスタユニット12’,13’,14’,15’は、サイズが異なるが、マスタユニット12’,13’,14’,15’における活性領域のサイズはすべてのマスタユニットにおいて同一である。最終的な大規模なインプリント製品から複数のタイル状の製品を容易に切り出すことを保証するために、活性領域20’,20’’,20’’’,20’’’’は、拡張されたマスタ11’内の直線状の行および/または直線状の列で配置され、活性領域20’,20’’,20’’’,20’’’’は、
図4に距離Bおよび距離Cとして示される隣り合うマスタユニットの活性領域が、必要な位置合わせ精度で直線状の行および/または直線状の列で位置合わせされるような、隣り合う行および/または隣り合う列のマスタユニット同士の間のオフセットの範囲内で、対応するマスタユニット内に配置されている。本発明によれば、位置合わせ精度は、好ましくは、±1mm未満である。
【0043】
図5は、二等辺三角形の形状を有する3つの等しいサイズのマスタユニット101,102,103から構成された、本発明による拡張されたマスタ100の実施形態を示しており、拡張されたマスタ100は、マスタユニット101,102,103の間にY字の形状の接合点104を有している。拡張されたマスタ100のマスタユニット101,102,103は、二等辺三角形の辺が互いに接し合うように、拡張されたマスタ100を形成するように配置されている。
【0044】
図5の拡張されたマスタ100は、拡張されたマスタ100の表面全体を覆う活性領域を有している。
【0045】
図6には、長方形の形状を有しており、2つの等しいサイズの直角台形201,202と1つの二等辺三角形203とから形成される、本発明による拡張されたマスタ200が示されており、二等辺三角形203の底角α
1,α
2と、二等辺三角形203の底角α
1,α
2に隣接する直角台形201,202の底角β
1,β
2とは、共に直角を形成する。
図6の拡張されたマスタ200もまた、拡張されたマスタ200の表面全体を覆う活性領域を有している。
【0046】
図7には、正六角形の形状を1つの対称方向に沿って引き伸ばしたマスタユニット301と、直角の底角を有する軸線対称の五角形の形状を有するマスタユニット302と、直角台形の形状を有するマスタユニット303と、最後に等脚台形の形態を有するマスタユニット304との組み合わせから形成されている拡張されたマスタ300が示されている。六角形、五角形、直角台形、等脚台形は、サイズと輪郭とに関して一致し、それらが長方形になるように配置されている。
図7の拡張されたマスタユニットの場合、マスタユニット301,302,303,304の間の継合線305は、隣り合うマスタユニットの3つの角隅が集まり、Y字の形状を有する接合点306のみを有している。
【0047】
また、
図7の拡張されたマスタ300は、点線のマーキングによって示されるように、拡張されたマスタ300の表面全体を覆う活性領域を有している。
【0048】
図8には、
図7に示される拡張されたマスタから製造される可撓性スタンプから得ることができる、インプリントされた製品400が概略的に示されている。インプリントされた製品400は、その表面全体にわたって活性領域を有している。
図7の拡張されたマスタに存在するマスタユニット同士の間の継合線305はまた、最終的なインプリントされた製品400上のシーム、ボーダーまたはステッチライン401として認めることができる。
【0049】
図8の点線402によって示されるように、インプリントされた大規模な構造402は、点線403に沿ってインプリントされた製品400から切り出すことができる。
【0050】
図9に示される更なる実施形態では、
図8に示されるインプリントされた製品400に対応するインプリントされた製品500から、多数のより小さなインプリントされた構造502を得ることができる。この場合にも、
図9の点線503,504で示されているように、セグメント502を、インプリントされた製品500から切り出すことができ、これは、拡張されたマスタのマスタユニットに由来するタイルよりもサイズが小さく、最終的にインプリントされた構造を生じさせ、ステッチライン501に囲まれたタイルとして認められる。インプリントされた構造502は、まず、インプリントされた製品500をライン503に沿って切断し、その後、ライン504に沿って切断することによって得ることができる。したがって、
図9に示すように、
図7に示すような拡張されたマスタは、1回の複製サイクルで、複数の製品を、すなわち複数のより小さなインプリントされた構造を複製することができる製造プロセスに使用することができる。
【0051】
図10は、
図7に示されるものと同様の拡張されたマスタから生じるインプリントされた製品600の実施形態を示す。
図7に示される拡張されたマスタとは対照的に、
図10のインプリントされた製品600の基礎を成す拡張されたマスタのマスタユニットはそれぞれ、マスタユニットの表面の一部のみを覆う長方形の活性領域を有している。結果として、
図10に示されるインプリントされた製品600はまた、ステッチライン602によって囲まれたタイル内の活性領域の長方形のセグメント601を有している。インプリントされた構造603は、まず、インプリントされた製品600をライン604に沿って切断し、その後、ライン605に沿って切断することによって得ることができる。したがって、
図10にも示されているように、
図7に示されているのと同様の拡張されたマスタを、1回の複製サイクルで、複数の製品を、すなわち複数のより小さなインプリントされた構造を複製することができる製造プロセスに使用することができる。
【0052】
図11は、湾曲した上縁部701と湾曲した下縁部702とを有する拡張されたマスタ700の例を示しており、拡張されたマスタ700は、列をなして配置されたタイル状のマスタユニット703から構成されている。マスタユニット703は、2つの対向する側に、振動形状または正弦波形状の縁部704,705を有している。マスタユニット703の他の2つの縁部706,707および拡張されたマスタ700の他の2つの縁部708,709は、直線状である。1つの行のマスタユニットの正弦波状の縁部704,705から形成される正弦波線は、隣り合う行のマスタユニットの正弦波状の縁部704,705から形成される正弦波線に対して、平行に延在している。1つの行のマスタユニット703の直線状の縁部706,707は、隣り合う行のマスタユニット703の直線状の縁部706,707に対して、オフセットを有している。これにより、マスタユニット703同士の間の正弦波状の継合線に沿って、隣り合うマスタユニット703の2つの角隅が集まり、第3のマスタユニットの連続正弦波状の縁部704,705と交わる、マスタユニット703同士の間の接合点710のみが存在する。
図11の拡張されたマスタ703では、マスタユニット703は、活性領域711の長方形のセクションを有している。
【国際調査報告】