(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】在庫及び製品ライフサイクル遠隔監視するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20221213BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20221213BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20221213BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20221213BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G06Q50/04
B65D25/20 K
B65D25/20 P
G08C15/06 F
G08C15/00 E
G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521168
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 US2020054998
(87)【国際公開番号】W WO2021072202
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522139453
【氏名又は名称】ロス リバー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュランド、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】セスニック、ジェフリー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プリッツ、トッド
【テーマコード(参考)】
2F073
3E062
5L049
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA03
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD07
2F073EE11
2F073FF01
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG07
2F073GG09
3E062AA08
3E062AB02
3E062AC04
3E062BA07
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB09
3E062BB10
5L049CC04
(57)【要約】
在庫、プロセス、及び、製品ライフサイクルのデータを監視するための遠隔監視システムが開示される。データは、遠隔監視システムから収集され得る。データとしては、原材料成分、情報源、生産若しくは保管の場所及び移動、生産若しくは保管の温度、生産若しくは保管の気圧、梱包、流通、販売、又は、それらの組み合わせに関する情報を挙げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のセンサデバイスであって、該1つ又は複数のセンサデバイスのそれぞれが、バレルに結合されるとともに、低エネルギー無線通信を使用してバレルデータを収集し且つ該バレルデータを送信するように構成され、前記バレルデータが、気温、気圧、湿度、及び、前記バレルの動きを含む、1つ又は複数のセンサデバイスと、
リックハウス(貯蔵庫)内又は倉庫内に位置される1つ又は複数のノードであって、各ノードが前記1つ又は複数のセンサデバイスのうちの少なくとも1つと通信する、1つ又は複数のノードと、
前記1つ又は複数のノード及びローカルネットワークと通信するゲートウェイと
を備え、
前記1つ又は複数のセンサデバイスのそれぞれは、前記バレルデータを前記1つ又は複数のノードのそれぞれに送信するように構成され、前記1つ又は複数のノードは、前記バレルデータを前記ゲートウェイに送信するように構成される
遠隔監視システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のノードは、ノードの気温、ノードの気圧、及び、ノードの湿度を含むノード環境データを収集するように構成され、前記1つ又は複数のノードは、前記ノード環境データを前記ゲートウェイに送信するように構成される、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のセンサデバイスは、前記バレル内の液体の量を決定するために量データを収集するように構成される、請求項1に記載の遠隔監視システム
【請求項4】
前記1つ又は複数のセンサデバイスは、前記バレルの外側に位置される電極アレイを備え、前記電極アレイが少なくとも2つの静電容量電極を備える、請求項3に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の遠隔監視システムを使用する方法であって、
前記バレルデータを収集するために前記1つ又は複数のセンサデバイスを定期的に作動させるステップと、
前記バレルデータを前記1つ又は複数のセンサデバイスから前記1つ又は複数のノードに定期的に送信するステップと、
前記1つ又は複数のノードから前記ゲートウェイに前記バレルデータを送信するステップと、
コンシューマアプリケーションで前記バレルデータを表示するステップと
を含む方法。
【請求項6】
他のデータを収集するステップであって、前記他のデータが、前記バレル内の製品に関する原材料情報、前記バレルに関する情報源、梱包データ、流通データ、販売データ、又は、それらの組み合わせを含む、ステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コンシューマアプリケーションで前記他のデータを表示するステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
量データを収集するために前記1つ又は複数のセンサデバイスを定期的に作動させるステップを更に含む、請求項5から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
量データを収集するステップは、前記バレルにおける2つ以上のレベルで一対の静電容量電極間の静電容量を測定して、前記2つ以上のレベルのそれぞれに液体又は空気が存在するかどうかを決定するステップを含む、請求項5から8までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/912,934号の優先権を主張し、参照によりこの米国仮特許出願の全体を組み入れる。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の液体は、製造中、加工中、輸送中、分配中、販売中、又は、消費中であろうとなかろうと、容器内に貯蔵され得る。例えば、ワイン、ビール、又は、他の種類のアルコール及び/又はスピリッツの製造中、液体は、数ヶ月から数年にまで及び得る長期間にわたって、バレルに貯蔵され得る。在庫、プロセス、及び、製品ライフサイクルのデータを監視する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、在庫、プロセス、及び、製品ライフサイクルのデータを監視するための遠隔監視システムが開示される。データは、遠隔監視システムから収集され得る。データとしては、原材料成分、情報源、生産又は保管の場所及び移動、生産又は保管の温度、生産又は保管の気圧、梱包、流通、販売、又は、それらの組み合わせに関する情報を挙げることができる。
【0004】
一実施形態では、遠隔監視システムが1つ又は複数のセンサデバイスを含み、1つ又は複数のセンサデバイスのそれぞれは、バレルに結合されるとともに、低エネルギー無線通信を使用してバレルデータを収集し且つバレルデータを送信するように構成され、バレルデータが、気温、気圧、湿度、及び、バレルの動きを含む。また、システムは、リックハウス(貯蔵庫)内又は倉庫内に位置される1つ又は複数のノードであって、各ノードが1つ又は複数のセンサデバイスのうちの少なくとも1つと通信する、1つ又は複数のノードと、1つ又は複数のノード及びローカルネットワークと通信するゲートウェイとを含んでもよい。1つ又は複数のセンサデバイスのそれぞれは、バレルデータを1つ又は複数のノードのそれぞれに送信するように構成され、1つ又は複数のノードは、バレルデータをゲートウェイに送信するように構成される。
【0005】
特定の実施形態は、添付図面と併せて解釈される以下の説明からより良く理解されると考えられ、図面中、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】非限定的な実施形態に係るサプライチェーンを概略的に示す図である。
【
図2】非限定的な実施形態に従って遠隔監視され得る製品のライフサイクルの非限定的な実例を概略的に示す図である。
【
図3】遠隔監視システムの非限定的な実例を概略的に示す図である。
【
図4】非限定的な実施形態に係るセンサデバイスの背面斜視図である。
【
図5】幾つかの透明部を示す
図4のセンサデバイスの背面斜視図である。
【
図6】幾つかの透明部を示す
図4のセンサデバイスの正面斜視図である。
【
図8】非限定的な実施形態に係る分解されたセンサデバイスの非限定的な実例の写真である。
【
図9】非限定的な実施形態に係るセンサデバイスの正面斜視図である。
【
図10】容器の壁に設置されるセンサデバイスの非限定的な実例の写真である。
【
図11】非限定的な実施形態に係るゲートウェイを示す図である。
【
図12】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図13】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図14】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図15】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図16】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図17】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図18】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図19】非限定的な実施形態に係るノードの写真である。
【
図20】非限定的な実施形態に係るノードを示す図である。
【
図21】様々な非限定的な実施形態に係る中継ノードの電子ブロック図を概略的に示す図である。
【
図22】様々な非限定的な実施形態に係る中継ノードの電子ブロック図を概略的に示す図である。
【
図23】様々な非限定的な実施形態に係る中継ノードの電子ブロック図を概略的に示す図である。
【
図24】様々な非限定的な実施形態に係る中継ノードの電子ブロック図を概略的に示す図である。
【
図25】様々な非限定的な実施形態に係る量センサを含むバレルを概略的に示す図である。
【
図26】様々な非限定的な実施形態に係る量センサを含むバレルを概略的に示す図である。
【
図27】様々な非限定的な実施形態に係る量センサを含むバレルを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、開示されたシステム、装置、デバイス、及び、方法の使用、構造、及び、機能の原理の全体的な理解を与えるべく本開示の様々な非限定的な実施形態について説明する。これらの非限定的な実施形態の1つ又は複数の実例が、添付図面の
図1~
図39を参照して詳細に開示及び説明される選択された実例に示される。当業者であれば分かるように、本明細書中に具体的に記載されて添付図面に示されるシステム、装置、デバイス、及び、方法は非限定的な実施形態である。1つの非限定的な実施形態に関連して図示又は説明される特徴は、他の非限定的な実施形態の特徴と組み合わされてもよい。その修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれるべく意図される。
【0008】
本明細書中に開示されるシステム、装置、デバイス、及び、方法は、実例として及び図に関連して詳細に説明される。本明細書中で論じられる実例は、単なる実例であり、本明細書中に記載される装置、デバイス、システム、及び、方法の説明を支援するために与えられる。図面に示される又は以下で説明される特徴又は構成要素は、特に必須として定められなければ、これらの装置、デバイス、システム、又は、方法のいずれかの特定の実施に関して必須と解釈されるべきでない。読み易く明確にするために、特定の構成要素、モジュール、又は、方法は、特定の図に関してのみ記載される場合がある。この開示において、特定の技術、配置などの任意の識別表示は、提示された特定の実例に関連する又はその技術、配置などの単なる一般的な記述である。特定の詳細又は実例の識別表示は、特にそのように定められなければ、必須又は限定的であると解釈されるべく意図されない又は解釈されるべきでない。構成要素の組み合わせ又は部分的組み合わせを具体的に説明しなかった場合でも、任意の組み合わせ又は部分的組み合わせが不可能であることを示すものとして理解されるべきでない。開示及び記載された実例、配置、形態、構成要素、要素、装置、デバイス、システム、方法などに対する変更を行うことができるとともに、そのような変更が特定の用途にとって望ましい場合があることが理解される。また、記載される任意の方法に関しては、その方法がフロー図と関連して説明されるかどうかに関係なく、文脈によって別段定められる又は要求されなければ、方法の実行において行われるステップの任意の明示的又は暗黙的な順序付けは、これらのステップが提示された順序で実行されなければならないが代わりに異なる順序で又は並行して実行されてもよいことを示唆しないことが理解されるべきである。
【0009】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「幾つかの実施形態」、「1つの実施形態」、「幾つかの例示的な実施形態」、「1つの例示的な実施形態」、又は、「実施形態」への言及は、任意の実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は、特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる場所における「様々な実施形態において」、「幾つかの実施形態において」、「一実施形態において」、「幾つかの例示的な実施形態において」、「1つの例示的な実施形態において」、又は、「実施形態において」という句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指しているとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は、特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わされてもよい。
【0010】
この開示の全体にわたって、構成要素又はモジュールへの言及は、一般に、機能又は関連する機能群を果たすために論理的に一緒にグループ化され得る項目を指す。同様の参照番号は、一般に、同じ又は類似の構成要素を指すことを意図している。構成要素及びモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装され得る。「ソフトウェア」という用語は、実行可能コード、例えば機械実行可能又は機械解釈可能な命令だけでなく、ファームウェア及び組み込みソフトウェアを含む、任意の適切な電子形式で記憶されたデータ構造、データストア、及び、コンピューティング命令を含むべく広範に使用される。「情報」及び「データ」という用語は、広範に使用されるとともに、実行可能コード、とりわけ、テキスト、ビデオデータ、及び、オーディオデータなどのコンテンツ、並びに、様々なコード又はフラグを含めて、多種多様な電子情報を含む。「情報」、「データ」、及び、「コンテンツ」という用語は、文脈によって許容される場合、同じ意味で使用されることがある。明確にするため、及び、理解するのを助けるために、本明細書で論じられる幾つかの実例は、特定の特徴又は機能を特定の構成要素若しくはモジュールの一部として又はコンピュータデバイスの特定の層(例えば、ハードウェア層、オペレーティングシステム層、又は、アプリケーション層)で発生するものとして記載する場合があるが、これらの特徴又は機能が異なる構成要素若しくはモジュールの一部として実装され又は通信プロトコルスタックの異なる層で動作されてもよいことに留意すべきである。当業者であれば分かるように、本明細書に記載されるシステム、装置、デバイス、及び、方法は、他の種類の機器に適用され得、又は他の種類の機器と共に使用するために容易に修正され得、コンピュータシステムの他の構成を使用でき、他のプロトコルを使用でき、又は、通信プロトコルスタックの他の層で動作でき、その後、記載される。
【0011】
以下でより詳細に説明されるように、本開示は、一般に、在庫及び製品ライフサイクルの遠隔監視に関する。以下の実例は、説明の目的でバーボン生産との関連で説明されるが、この開示はそのように限定されない。代わりに、本明細書に記載されるシステム、装置、デバイス、及び、方法は、ワイン又は工業用液体の生産中など、液体が容器内に貯蔵される様々な場合に適用可能となり得る。更に、液体以外に、本明細書に記載されるシステム、装置、デバイス、及び、方法は、非液体在庫及び製品の在庫及び製品ライフサイクルの遠隔監視にも適用可能である。したがって、本明細書に記載される実例の多くはバーボンバレルに関連するが、システム、装置、デバイス、及び、方法が様々な異なるタイプの貯蔵タンク、容器、生産プロセスなどの全体にわたって適用可能性を有し得ることが容易に分かる。
【0012】
図1は、1つの非限定的な実施形態に係るサプライチェーン10を概略的に示し、また、
図2は、バーボン製品のライフサイクル20の一実例を示す。ステーブ(おけ板)が木から作られ、これらの木はバレルを形成するために使用される。特定の材料は、生産及び蒸留プロセスで使用される。留出物は、バレル内、通常はリックハウス(貯蔵庫)内で熟成される。熟成したバーボンは、バレルから直接サンプリングされ又は瓶詰めされ得る。その後、バーボンは流通されて最終的に販売される。本開示に係るシステムの一実例は、バーボン製品のライフサイクルに関する情報を与えるように構成されるコンシューマアプリケーション(例えば、携帯電話「アプリ」)を含み得る。一実施形態において、消費者は、バーボンボトルのUPCコードをスキャンすることができる。コンシューマアプリケーションは、多種多様な異なるタイプのデータを提供し得る。制限なく、コンシューマアプリケーションは、バレル構成要素の材料及び供給源、材料源、バーボンが蒸留及び熟成された場所、熟成プロセスの詳細(例えば、温度、気圧、湿度、場所、リックハウス内のバレルの動き)、バーボンが瓶詰めされた場所、流通及び販売プロセスの詳細、並びに、これらの組み合わせに関する情報を提供できる。
【0013】
図3は、一実施形態に係る、例えば、製品製造業者、販売チーム、又は、クライアントによる遠隔監視を可能にするシステム30の一実例を概略的に示す。システムは、バックエンドデータベース、データレイク、及び、グラフデータベースのうちの1つ又は複数を含み得る。バックエンドデータベースは、アプリケーション、クライアント側サービス、及び、APIデータ取り込みの主要なバックエンドコンポーネントであるサーバーレスで拡張性の高いNoSQLデータベースであってもよい。バックエンドデータベースサービスの一実例は、Amazon DynamoDBである。一実施形態において、各アプリケーション又はクライアントは、それ自体のバックエンドデータベースクラウドインスタンスを有してもよい。各クライアントが独自のデータベースクラウドインスタンスを有する場合、各クライアントからのデータはパーティション化される。データベースクラウドインスタンスは、セキュリティ目的でスタンドアロン型の仮想プライベートクラウド/EC2セキュリティグループに包括(wrapped)されてもよい。
【0014】
データレイクは、以下で更に説明するように、バックエンドデータベースから出てくるデータの送信先バケット、並びに、グラフデータベース及び視覚化ツールに入るデータにおける後処理バケットから構成されてもよい。データレイクサービスの一実例は、Amazon Web Services(AWS)S3である。データレイクにより、費用効果の高い態様でビッグデータを記憶できる。フラット形式で複製されたデータのレイクを有することにより、システムは、科学者が収集された様々なデータセットにアクセスしてこれを解析できるようにし得る。
【0015】
データセットの高度に相互関連する性質を考えると、グラフデータベースを利用することにより、機械学習の目的で深層学習ライブラリを抽出することが可能になり得る。更に、データ間の関係を設計するためにグラフ構造を使用すると、ノード構造を設計できる粒度が向上する。例えば、ノードがフレーバープロファイルになることができ、また、システムは、フレーバーから市場価格ノードへの関係を描画して、グラフデータベース全体のスケールにわたってこれらの2つのデータポイント間の相対的な相関関係を見ることができる。グラフデータベースサービスの一実例はAWS Neptuneである。グラフデータベースは、データと相互作用するための関連するGUIを有し得る。GUIによって、ユーザは、データレイクバケットからデータを照会して取り込み、グラフデータベースを視覚化してトラバースするとともに、提示目的でデータの外観をカスタマイズし、組み込みクラスタリング分析を用いて主要な関係及び洞察を見つけることができる。GUIの一実例はTom Sawyer Softwareによって提供される。
【0016】
一実施形態では、データがバックエンドデータベース、データレイク、及び、グラフデータベースのいずれかの間で転送されるとき、データを処理できる。例えば、データレイクはバックエンドデータベースから複製されたデータを受ける。この複製されたデータは、データレイクに記憶される前に処理され得る。処理は、処理サービスによって扱われ得る。処理サービスの実例としては、Kinesis Data Firehose、AWS Glue、及び、AWS Lambdaが挙げられるが、これらに限定されない。前処理サービスは、バックエンドデータベースインスタンスからデータレイクにデータを移動させることからスケジュールされたレプリケーションジョブ又はオンデマンドジョブを設定するように構成され得る。処理サービスは、大規模なバッチ処理を必要とせずに、高スループットと最小の遅延でデータ変換を実行するように構成することができ、システムがデータレイクからのリアルタイム又はほぼリアルタイムの情報を使用している場合に有益である。一実施形態において、処理サービスは、スキーマクローリング機能を含んでもよい。データはバックエンドデータベースから供給されるため、サービスは、フィードをクロールし、データを変換するための推奨スキーマ設計を自動的に作成する。
【0017】
一実施形態において、システムは、データレイクからグラフデータベースにデータを転送するときの処理ステップを含み得る。処理は、例えば、データフォーマットをCSVフォーマットに変更することを含み得る。グラフデータベースがリアルタイムデータセットとして利用されない一実施形態において、データは、バルクで処理され、離散的な間隔で転送され得る。 HTTP要求を開始する前に、新しいデータが、データレイクバケットから引き出されて変換され、その後、グラフデータベースがいつでも照会できるように、VPCラッパーなどのラッパーにより新しいデータレイクバケットに取り込まれる。この方法は、グラフデータベースがデータにアクセスして該データを取り出すために、定められたバケットにS3VPCエンドポイントなどのデータレイクエンドポイントを作成することを伴う。EC2インスタンスは、バケット化されたデータを大量に取り込むためにカール要求を介して照会され得る。一実施形態において、システムは、後処理データレイクバケットで新しいデータが利用可能になるたびにカール要求をトリガーするように構成され得る。
【0018】
システムは、外部システムと、バックエンドデータベース、データレイク、及び、グラフデータベースのいずれかとの間でデータ又はファイルを転送するためのプロトコルを含んでもよい。転送プロトコルは、例えばデータレイクバケットに入れられるファイルを、ファイルがくるときに受信するように構成される。データ転送の実例としては、サンプルPOデータファイル、顧客ファイル(例えばDrizlyからの)、UPC一致ファイル(例えばAperity又はVT Infoからの)などが挙げられる。転送プロトコルは、新しいデータを自動的にデータレイクに持ち込むように構成される。転送プロトコルの実例がSSHファイル転送プロトコル(SFTP:SSH File Transfer Protocol)であってもよい。
【0019】
一実施形態において、システムは、大量のデータを取り込み、解析し、分析するための機械学習ツールを含んでもよい。システムには、データリポジトリ全体にわたってパターン及び洞察を発見するためのヒューリスティックツールを含んでもよい。ツールの実例としては、SageMaker、クラウドで元々提供されるAWS Machine Learningライブラリ、TensorFlow、Jupyter Notebooksが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
一実施形態において、システムは、販売目的及び資金調達目的などのマクロ分析のためにバックエンドデータベースから来るデータを視覚化するためのツールを含んでもよい。視覚化ツールの実例はAWS QuickSightである。視覚化ツールは、データレイクバケットから直接照会してもよい。このツールは自然言語処理を含んでもよく、つまり、データの視覚化からテキスト要約を直接構成できる。
【0021】
一実施形態において、システムは、様々なデータソースを照会するためのエンジンとしてAPI言語を利用するツールを含んでもよい。そのようなデータクエリー及び操作言語は、例えば、APIスタイル設定、プロトコル、及び、言語を組み合わせたGraphQLである。照会ツールは例えばAWS AppSyncである。このツールは、数分で新たなAPIを作成するように構成されてもよく、ユーザプロビジョニング及び認証のためにAmazon Cognitoなどのユーザディレクトリを使用できる。この初期アーキテクチャ設計の一部として、様々な認証特権レベルでユーザプールを設定できる。照会ツールとAPIレイヤーを介して、収集されたデータを1つ又は複数のアプリケーション(例えばモバイルデバイス「アプリ」)で表示できる。これらのアプリケーションは、例えば、消費者が製品のライフサイクルデータを見直すことができるようにする、又は、従業員(例えば、オペレーション、倉庫、IT)が生産、保管、在庫情報を見直すことができるようにする。
【0022】
一実施形態において、システムは、照会ツールとグラフデータベースとの間の仲介体を含んでもよい。この仲介体は、照会ツール及びグラフデータベースが直接相互作用するように構成されない場合に有用となり得る。仲介体は、例えば、照会ツールからのデータソースとして作用し、続いてNeptuneエンドポイントからデータを要求するLambda関数であってもよい。
【0023】
ここで、
図4~
図10を参照すると、様々な実施形態において、システムは、バーボンバレルなどの容器50に取り付けられる又はそうでなければ関連付けられるように構成されるセンサデバイス40を含むことができる。センサデバイス40のハウジング及び構成要素は、本質安全性、N1D1、N1D2、及び/又は、防爆性規格に適合する材料から形成されてもよい。
図10は、木製の貯蔵容器の端壁に結合されたセンサデバイスの実施形態の実例を示す。センサデバイスを容器に結合することに関し、センサデバイスは、ネジ、磁石、接着剤、又は、他の接続技術を使用して、端壁(例えば、バレルのヘッド)の外表面に固定され得る。例えば、長さが3.81cm(1.5インチ)未満のステンレス鋼のネジを使用して、センサデバイスをバレルに固定することができる。一実施形態では、ブラケット又はブレースをバレルに取り付けることができ、センサデバイスをブラケット又はブレースに取り外し可能に結合することができる。他の実例において、成分エポキシ接着剤又は米国食品医薬品局の食品安全ガイドラインを満たす任意の接着剤などのような、工業用及び食品に安全な接着剤を使用することができる。他の実施形態において、センサデバイスは、バレルにスナップ嵌合するように構成されてもよく、例えば、バレルの一部分がセンサデバイスを受けるように切削されてもよい。更に、例えば、磁石がバレルに(例えば、金属フープで)結合されてもよく、また、センサデバイスをバレルに取り外し可能に結合できるように、対応する磁石がセンサデバイス上に配置されてもよい。他の実施形態では、センサデバイスを例えば側壁などの容器の他の部分に結合することができる。
【0024】
センサデバイスは、例えば、リックハウス(貯蔵庫)内に貯蔵されているバレルの温度、気圧、湿度、位置、及び、動きを監視することができる。測定は、例えば、±約5%の精度、±約1%~5%の精度、又は、±約1%の精度であってもよい。センサデバイスは、離散的な間隔で測定を行うように構成され得る。例えば、センサ測定は、十分なデータの粒度をもたらす適切な間隔の中でもとりわけ、1日1回、12時間ごとに1回、6時間ごとに1回、2時間ごとに1回、1時間ごとに1回、又は、10分ごとに1回行うことができる。一実施形態において、センサデバイスは、内部RAMなどに測定値を記憶するように構成される。
【0025】
一実施形態において、センサデバイスは、少なくとも1つのセンサを有するセンサレイを含むことができる。幾つかの実施形態において、センサアレイをハウジングの内側に位置させることができるが、この開示はそれに限定されない。少なくとも1つのセンサを使用して、他の特性の中でもとりわけ、容器の位置及び関連する温度、気圧、及び/又は、湿度を決定することができる。様々な実施形態によれば、センサデバイスは外部ハウジングを含むことができる。外部ハウジングには、感知構成部品及び通信構成部品などの様々な構成部品を収容できる。感知構成部品は環境センサを含み得る。環境センサは、例えば、Bosch BME280圧力/温度/湿度センサとなり得る。幾つかの実施形態において、感知構成部品は、例えば、Bosch BMA253 3軸加速度計などの重力ベクトルセンサを含む。加速度計は真北を測定し、バレルのクロッキングを決定するとともに、バレルの動きを測定する。更に、センサデバイスは、NFCチップを含み得ることで、近距離無線通信を可能にし、かつセンサデバイスの位置に基づいてバレルのマッピングを可能にする。
【0026】
様々な実施形態において、センサデバイスは、無線接続を介して遠隔コンピュータデバイスにデータを通信することができる。例えば、センサデバイスによって収集されたセンサ情報を無線で送信することができる。接続方法は、BlueTooth Low Energy(BLE)技術、LoraWAN、ANT、ZigBee、及び/又は、RF4CEなどの低エネルギー無線通信ラジオであってもよい。一実施形態において、センサデバイスは、接続を繰り返し通知する(例えば、5分ごとに)。接続されたデバイスは、記憶された測定データを照会及び取得できる(例えば、GATTサービスを使用して)。更に、最新のセンサデータが20分ごと又は他の適切な間隔で通知データに含まれてもよい。手法のこの実例は、BLE接続を必要とせずにセンサデータを取得するための1時間あたり3つの機会を提供する。通知に更新されたセンサデータを追加することで、電力使用量の増加を最小限に抑えることもできる。したがって、通知を介してセンサデータを取得すると、データを接続して引き込むために必要な電力が節約される。
【0027】
一実施例では、センサデバイスがバッテリ給電される。センサデバイスは、10年以上のバッテリ寿命を持つように構成され得る。例えば、バッテリは、Li-SOCl2バッテリなどのリチウムバッテリであってもよい。適切なLi-SOCl2バッテリの実例は、Tadiran TL-5934バッテリである。以下の実例1は、非制限的な電力測定セットアップと、異なる動作段階中における電流を測定することによって得られる経験的データとについて記載する。
【0028】
ここで、
図11を参照すると、一実施例において、システムは、ローカルネットワークが遠隔監視システムにアクセスできるようにするゲートウェイ60を含み得る。ゲートウェイは、以下で説明するように、1つ又は複数のノード、及び、クラウドデータベースなどのデータベースと通信していてもよい。ゲートウェイは、センサデバイスからのデータを、耐雷性のサージ保護バリアを介して、例えばリックハウス(貯蔵庫)又は倉庫などの危険ゾーンの外側に収容される通信ギアに送信できるようにする。以下で更に説明するように、筐体が、システム内のノードのためのシリアルポートにおけるゲートウェイ及び任意のエンドポイントを収容できる。ゲートウェイは、Wi-Fi、セルラーネットワーク、衛星、又は、有線接続(例えば、ローカルネットワークに配線される)を含む様々な接続技術を利用できる。ゲートウェイは、カスタムゲートウェイ又は市販のゲートウェイであってもよい。ゲートウェイの適切な実例としては、Dell Edge Gateway 5000が挙げられる。
【0029】
図12~
図20に関して、一実施形態では、システムが、センサデバイスからセンサデータを受信してそのデータを遠隔デバイス(例えば、ゲートウェイ)に通信する1つ又は複数のノード70を含むことができる。各ノードは、1つ又は複数のセンサデバイスと無線通信していてもよい。一実施形態では、ノードが固定された位置を有する。例えば、各ノードは、ステンレス鋼のネジ(例えば、7.62cm(3インチ)未満)などの締結具を使用して又は固定ブラケットに取り外し可能に装着されることによって、建造物(例えば、倉庫又はリックハウス内)に結合されてもよい。ノードは、無線接続(例えば、RF、BLE、LoraWAN、Wi-Fi、セルラーネットワーク、衛星など)又は有線接続(例えば、RS482、RS485、銅などの低電圧ケーブル又は光ファイバ、半二重通信若しくは全二重通信など)を含む様々な接続技術を利用できる。有線接続を使用する一実施形態では、各ノードが外部通信ボックスに接続されてもよい(例えば、前述のシリアルポートを介して)。更に、ノードが有線接続を介して給電されてもよい。例えば、ノードがパワーオーバーイーサネット(POE:Power Over Ethernet)技術(例えば、最大24V)を使用して給電されてもよく、また、複数のノードが同じケーブルによって給電されてもよい。一実施形態において、ノードは、6時間ごと、12時間ごと、又は、6~12時間ごとに、センサデバイスからセンサデータをダウンロードすることができる。ノードは、1つ又は複数のセンサデバイスからデータを送信するとともに任意選択的にノード周辺の環境データをゲートウェイに又はデータベース(例えばクラウドデータベース)に直接送信するように構成される。
【0030】
図21~
図24は、様々な描写の中継ノードの電子ブロック図を示す。一実施形態において、ノードは、例えば、1つ又は複数のセンサデバイスからの環境データと共に組み込まれ得る、その場所における環境データ(例えば、気温、気圧、及び/又は、湿度)を監視することができてもよい。
図21に描かれる中継ノードは、BLEトランシーバ、NFC受信機、及び、例えば、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、及び、他のセンサを含むセンサアレイに給電するために、リレーに電力及びデータ接続を与えるPOE接続を含む。
図22に示される中継ノードは、
図21に示される中継ノードの全ての特徴を含み、また、無線信号の受信及び/又は送信を支援するためのアンテナアレイを更に含む。
図23に描かれる中継ノードは、
図22に示される中継ノードの全ての特徴を含み、また、低電力Wi-Fiトランシーバを更に含む。
図24に描かれる中継ノードは、
図23に示される中継ノードの全ての特徴を含み、また、中継ノードに他のデータ及び電力通信を与えるためのよりロバスト性が高いPOE接続を更に含む。
【0031】
図25~
図27を参照すると、様々な実施形態において、システムは、容器内の量を測定するように構成されるセンサデバイスを含み得る。幾つかの実施例において、測定は、容器の外側から行われてもよい。センサデバイスは、例えば、電極アレイ80に結合されてもよく、電極アレイ内の電極のセット間の相対静電容量を測定できてもよい。電極アレイは低電圧駆動の静電容量センサを含んでもよい。静電容量センサはセンサデバイスから給電されてもよい。様々な実施形態において、量測定は、十分なデータの粒度になる適切な間隔の中でもとりわけ、1日1回、12時間ごとに1回、6時間ごとに1回、2時間ごとに1回、1時間ごとに1回、又は、10分ごとに1回行われてもよい。量データは、前述のセンサデータと同じ態様で通信されてもよい。
【0032】
一実施形態では、
図25に示されるように、電極アレイは、バレルのヘッド上の容器の外側に位置されてもよい。電極アレイが円形のパターンを有してもよい。バレルが水平に貯蔵される場合、同じ水平面上の電極のセット間の相対静電容量が測定されてもよい。電極対間に空気を有するレベルと比較して電極対間に液体を有するレベルでは電極対間の静電容量の差が顕著となるはずであり、それにより、容器内の液体レベルを決定できる。容器がバレルのように不規則な形状である場合、バレルのヘッドの電極アレイは、液体がバレルのヘッドより上方にある場合(つまり、全ての電極対が液体で覆われるため)又は液体がヘッドより下方にある場合(つまり、全ての電極対が空気に晒されるため)に液体のレベルを決定できない場合がある。電極アレイ内の電極の数は変化する場合がある。電極の数が多いほど精度が高くなるが、電極の数は、電極及びセンサデバイスへの接続(例えば配線)を利用できる空間に基づいて決定され得る。電極アレイが中心から外れている場合(例えば、電極対が均等に整列されない場合)、センサデバイスは静電容量の信号を較正できる場合がある。一実例において、アレイは、アレイに沿って等間隔で(例えば、1.27cm(0.5インチ)の間隔を伴って)配置された48個の電極を含んでもよく、これらの電極は、容量の約5%~約95%となる量を±約3%の精度で測定することができる。表1は、一連の電極をバレルのヘッドに沿って間隔をあけて配置できる方法、及び、それぞれの高さごとに対応する量の実例を示す。表1の実例は、ヘッド上の電極では測定できないレベル(例えば、ヘッドの上方及び下方)を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【0033】
図26を参照すると、一実施形態において、電極アレイは、容器の側面に沿って容器の外側に位置されてもよい。電極アレイは線形パターンを有してもよい。バレルが垂直に貯蔵される場合、同じ水平面上にある電極のセット間の相対静電容量が測定されてもよい。その形態は、約0%~約100%の量を測定可能にし得る。一実例において、60個の電極をアレイに沿って等間隔に(例えば、1.27cm(0.5インチ)の間隔で)配置させることができ、これらの電極は、容量の約0%~約100%となる量を±約2%の精度で測定できるようにする。容器の材料が高さに沿って変化する場合(例えば、フープが位置される場合)、読み取り値が影響を受ける場合がある。したがって、容器内にデータ分解能の低いスポットが存在する場合がある。
【0034】
図27を参照すると、一実施形態では、センサデバイスが精密量センサに結合されてもよい。精密量センサは、空気及び液体を介して信号を送信して反射信号を測定することにより液体レベルを正確に読み取り可能にし得る(例えばレーダー技術を使用して)場合には容器に磁気的に取り付けられ得る(例えば、栓穴とほぼ一致するバレルのビルジ・フープ(樽を止める鉄の輪))。その形態は、約0%~約100%の量を(例えば、±約1%の精度で)測定可能にし得る。精密量センサは、バレルが貯蔵された後(例えば、置き棚にセットされた後)に手動で取り付けられてもよい。バレルを移動させる場合には、精密量センサを手動で取り外して収納することができ、その後、バレルが置き棚に戻されてセットされるときに精密量センサを手動で再度取り付けることができる。
【0035】
図4~
図10及び
図26~
図27に示されるような開示されたセンサデバイスの幾つかの実施は、他の機能を含むことができる。一実例として、幾つかのセンサデバイスは、加速度計及び/又はプロセッサ若しくはコントローラの一部を除く全ての電力消費構成要素が無効にされる又は低電力モードに置かれるスリープ状態に入るように構成されてもよい。このようにして、センサデバイスは、電力を節約できるとともに、特定の状況でのみスリープ状態を終了することができる。これは、例えば、バレル状態をチェックしてデータを送信するために断続的に(例えば、静的又は動的なスケジュール(予定)に基づいて)起動することを含み得る。これは、例えば、センサデバイスが動いていること又はその位置及び/若しくは向きが変化することを示す加速度計からの信号に応じて起動することも含み得る。このようにして、センサデバイスの動きが検出されると、デバイスは、バレル状態をチェックし、構成された任意のスケジュール(予定)外でデータを送信するべく起動できる。スケジュール(予定)されていない起動に関連する通知が、ダッシュボード又はインタフェースに表示されてもよく、又は、緊急通知の形式で1つ又は複数のデバイスに提供されてもよい(例えば、モバイルデバイスのアプリケーションソフトウェア又は他のデバイスを介して提供される永続的な可聴警報又は視覚的警報)。
【0036】
また、その通知は、検出された動きの範囲及び種類並びにバレル状態の任意の関連する変化も示し得る。例えば、センサデバイスの動きが検出されるがバレル状態を読み取ることができない場合、通知は、センサデバイスがバレルから取り外されたことを示し得る。動きが検出された後にバレル内の液体の量が変化する場合、通知は、バレルが漏れている又はバレルの向きが大幅に変化したことを示し得る(置き棚又は支持構造の不具合に起因する変位など)。通知は、近くにあるセンサデバイスからの通知との関連で与えられる場合もある。例えば、これは、置き棚若しくは支持構造の局所的な不具合、第三者による改ざん及び/若しくは盗難、又は、他の状況を示す場合がある同様の予期しない動きを隣接するバレルに位置される幾つかのセンサデバイスが全て報告したことを示す通知を含み得る。
【0037】
また、センサデバイスの幾つかの実装は、デバイス間(例えば、センサデバイスとリレー、ゲートウェイ、又は、他のデバイスとの間)での基本的な2地点間以上の無線通信をもたらすように構成され得る。例えば、幾つかの実施では、センサデバイス及び/若しくはリレー又は他のデバイスは、知覚信号強度、センサデバイスからの気圧信号、及び、センサデバイスからの温度信号、又は、他のセンサデバイス情報を使用して、環境内のセンサデバイスの場所(例えば、位置及び高さ)を決定するように構成されてもよい。これは、無線三角測量技術の代替又は拡張として使用できるため、一方又は両方の精度を検証及び/又は改善するために使用できる。また、センサデバイスの幾つかの実施は、一方向の非トランザクション通信で動作するように構成されてもよく、それにより、信号は、それらの受信が確認されるかどうかに関係なくブロードキャストされる。このようにして、確認された接続を確立しようとしたり応答信号を待ったりすることなく、無線ブロードキャストの構成要素に非常に短時間で給電して信号を送信することができる。これにより、センサデバイスが起動している時間と、関連するエネルギー消費とが大幅に削減される。
【0038】
開示されたセンサデバイスの幾つかの重要な利点は、感知構成要素の複雑な較正、微調整、又は、再較正の必要性を回避することである。例えば、本開示に照らして当業者であれば分かるように、静電容量技術を使用する量センサは、液体の有無を検出するように静的に構成され得るため、バレルへの配置時の較正又は経時的な様々な環境要因に起因する定期的な再較正を必要としない。
【0039】
例えば
図26及び
図27に示されるセンサデバイスなどのセンサデバイスの幾つかの実施において、機能に組み込まれたセンサデバイスは、センサをバレルに配置する最中に使用可能であるように構成され得る。例えば、
図26のセンサデバイスを参照すると、センサデバイスは、バレルの長さに沿って配置されるセンサアレイの位置合わせをガイドするために加速度計が能動的に使用される設置モード状態に置かれ得る。このようにして、センサデバイスは、もしセンサアレイを再配置する必要があれば、どのセンサアレイかを示す聴覚的又は視覚的フィードバックを与えることができる。
【0040】
開示されたシステムの幾つかの実施において、デバイス間のネットワーク通信は、送信されるデータフットプリントを最小化するように構成され得る。これにより、接続性の低い状態で送信されるデータの精度が向上するとともに、データ送信に関連する消費電力も削減され得る。その形態は、例えば、センサデバイスが、不要なデータ(例えば、以前に報告された値と実質的に一致するセンサデータ、センサによって生成されるがシステムのユーザ構成に起因して使用されないセンサデータ)を省略する、又は、データをエンコードしてサイズを縮小する(例えば、パラメーター名又は識別子との関連付けによってではなく値のシーケンスに基づいてデータを構造化する)ように構成されることを含み得る。その形態は、REST APIを使用して通信を処理する、Lambda関数を使用して通信サイズを縮小する、又は、MQTTプロトコルを使用して影響を軽減することも含み得る。
【0041】
以下の実例は、本開示の特定の態様及び実施形態を説明するために含まれる。これらの実例は、説明のために与えられ、限定しようとするものではない。
【0042】
「実例1」
以下は、動作の異なる段階における電流を測定することから得られる電力測定装置及び経験的データの実例について説明する。電流測定は、Nordic Semiconductorが提供しているNRF6707 Power Profiler Kitを使用して行われた。妥当な時間内に電力データを取得するために、通常の動作サイクルを進めて、接続とセンサ読み取りの間のアイドル時間を短縮した。表2に示すように動作サイクルが進んだ。
【表2】
【0043】
センサデバイスのバッテリ端子は、Nordic nRF6707 Power Profiler Kitの「外部DUT」ピンに接続されて、Keysight E3643A DC電源によって給電された。電源は、全てのデバイスに給電するためにPower Profiler Kitの「外部電源」ピンに接続された。Power Profile Kitは、USB経由でPCに接続されたNordic nRF52832 Development Kitに接続された。Power Profiler Kitのスイッチも以下のように設定された。SW2及びSW4を「外部」に設定し、SW3を「DK」に設定された。
【0044】
図28は、試験目的のために10秒ごとに発生する、12個の通知間隔にわたる通常の動作中のセンサデバイスの電流プロファイルを示す。通地間隔は、通知開始から進行中のアイドル状態の終了から成る。センサデバイスは3秒間通知し、7秒間アイドル状態のままになる。4番目ごとの通知はセンサデータを含む。最初の小さなスパイクは、システムの初期化によるものである。ランダムな短いブリップは、加速度計によって引き起こされたものと決定された。表3は、起動からの12個の通知間隔の測定値を示し、表4は、定常状態の間隔で消費される電力の測定値を示す。
【表3】
【表4】
【0045】
表3の太字の値は、センサデータが通知に存在した場合の値である。表4の太字の値は、加速度計によって消費されるエネルギーを含む値である。
【0046】
通知間隔1及び起動。
図29は、パワーアップ、第1の通知間隔、及び、それに続く定常状態の時間を示す。
図30は、通知を強調し、センサデータ及び通知を読み取ることによる消費を示す。センサ初期化は、通知の開始時の大きな波形である。大きな繰り返しのスパイクは通知である。加速度計は、通知間に見られる小さなスパイクを引き起こす。
図31は、強調表示された加速度計の電流使用量を示す。
図32は、最初の通知後の定常電流を強調する。強調表示された電流スパイクは、加速度計によって生成されると決定された。より大きなスパイクも加速度計に起因する。
【0047】
通知間隔。
図33は通知トレインのセクションを強調する。先行するスパイクは、ラジオの電源投入によるものである。これに続いて、3つの別個のチャネルで通知データが送信される。
図34は、通知の開始時における大きな波形としてのセンサ読み取り値を示す。
図35は定常状態を示す。
図36は、定常状態を強調し、加速度計の電流スパイクの詳細を与える。
【0048】
加速度計オフ。余分な電力消費が加速度計によって引き起こされたことを検証するために、加速度計の初期化を無効にした。
図37は、加速度計をオフにした場合の消費電力を示す。
図38は、加速度計がオフにされた状態での通知間隔を示す。
図38は、頻繁な電流スパイクが消えたことを示す。表5は、定常状態の間隔中の様々なセンサの組み合わせによる平均消費電流を示す。
【表5】
【0049】
センサデータ通知。センサデータ特性の通知を有効にすることにより、センサデータをセンサデバイスから引き出すことができる。データを引き出すプロセスは以下のとおりである。(1)センサデバイスに接続する;(2)Handle 0x0Eで通知を有効にする(既知のハンドル、発見は不要);(3)通知が完了するのを待つ(これは通知される読み取り値の数に応じて異なる);(4)0x0Dを処理するために0x1097を書き込むことにより読み取り値をクリアにする、及び、(5)切断する。このプロセスは24時間に1回発生することが提案されるため、24個のセンサの読み取り値が通知される。
【0050】
試験のために、センサデバイスには、6つの読み取り値をバッファリングする時間を与えられた。データを引き出してデータをクリアにするために必要なステップを実行するために、カスタムアプリケーションが作成された。
図39は、このプロセスの電力使用量を示す。強調表示されているセクションは、接続、データの引き出し、データのクリア、そして切断を網羅する。赤の幅の広い帯は、通常の通知間隔である。センサデバイスは1時間で36秒間通知を行ったため、99%の時間、センサデバイスは静止状態であった。この期間中に使用される電力の削減は、電力使用量とバッテリ寿命とに最も大きな影響を与える。
【0051】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に明記されていない限り、その各寸法は、記載されている値と、その値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。
【0052】
本明細書全体で与えられる全ての最大数値制限は、あたかもそのより低い数値制限が本明細書に明示的に書かれているかのように、全てのより低い数値制限を含むことが理解されるべきである。本明細書全体で与えられる全ての最小数値制限には、あたかもそのより高い数値制限が本明細書に明示的に書かれているかのように、全てのより高い数値制限が含まれる。本明細書全体で与えられる全ての数値範囲は、あたかもそのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に書かれているかのように、そのより広い数値範囲内にある全てのより狭い数値範囲を含む。
【0053】
相互参照又は関連する特許又は出願を含む、本明細書で引用される全ての文書は、明示的に除外又は他の方法で制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。文書の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求の範囲に記載された発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で、若しくは他の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、この文書の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、文書のその用語に割り当てられた意味又は定義が優先するものとする。
【0054】
実施形態及び実例に関する前述の説明は、説明の目的で提示されてきた。説明されている形式を網羅したり、限定したりすることを意図したものではない。上記の教示に照らして、多くの修正が可能である。それらの修正の幾つかは議論されており、他のものは当業者によって理解される。実施形態は、様々な実施形態を説明するために選択され、説明された。もちろん、その範囲は、本明細書に記載の実例又は実施形態に限定されるものではなく、当業者による任意の数の用途及び同等の物品に使用することができる。むしろ、範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
【国際調査報告】