(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】関節の検知
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523257
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2020059720
(87)【国際公開番号】W WO2021074855
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516254902
【氏名又は名称】マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MCLAREN APPLIED TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】レッドウォール,ニコラス・ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーストレート,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ソクラ,トニ
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB03
4C117XD11
4C117XD28
4C117XD31
4C117XE58
4C117XH11
4C117XJ16
(57)【要約】
一対の身体取付けセンサを較正する方法であって、(a)測定されることになる関節のベースライン位置において、測定される関節角度と、測定されることになる関節の各側面に1つが取り付けられている一対のセンサ間の角度との間の第1のオフセットを判定するステップであって、それにより、センサを較正する、判定するステップと、(b)センサの少なくとも1つが取り外され、再び付けられた後に、関節をベースライン位置に戻すようにセットするステップであって、それにより、センサが互いに対する第2のコンフィギュレーションにある、セットするステップと、(c)センサを再較正するために、測定された膝の角度と、第2のコンフィギュレーションにある一対のセンサ間の角度との間の第2のオフセットを判定するステップであって、それにより、第1のコンフィギュレーションと第2のコンフィギュレーションとの各々において、ベースライン位置に関する同じ関節角度が報告されるようになっている、判定するステップとを含む方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)測定されることになる関節のベースライン位置において、測定されることになる前記関節の各側面に1つが取り付けられている一対のセンサ間の角度と、測定される関節角度との間の第1のオフセットを、それによりセンサを較正するために判定するステップと、
(b)前記センサの少なくとも1つが取り外され、再び付けられた後に、前記関節を前記ベースライン位置に戻すようにセットするステップであって、それにより、前記センサが互いに相対的な第2のコンフィギュレーションにある、セットするステップと、
(c)前記センサを再較正するために、測定された膝の角度と、前記第2のコンフィギュレーションにある前記一対のセンサ間の角度との間の第2のオフセットを判定するステップであって、それにより、第1のコンフィギュレーションと前記第2のコンフィギュレーションとの各々において、前記ベースライン位置に関する同じ関節角度が報告される、判定するステップと
を含む一対の身体取付けセンサを較正する方法。
【請求項2】
前記センサ間の前記角度が前記センサの1つによって判定されるように、前記一対のセンサが通信する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)の前に、ゴニオメータを使用することによって前記関節角度を測定するステップをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記再較正がセンサ始動プロセスの一部として実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ベースライン位置を測定することが、前記関節のそれぞれの部分の間の関節角度を測定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定された関節角度がピッチ角度またはロール角度あるいはそれらの両方である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記関節を、好ましくは関節が完全に伸びた位置である前記ベースライン位置に移動するステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記取り外されたセンサを再び付けることが、実質的に同じ位置において実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記関節の移動の軸を識別するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
センサを、関節の各側面上に1つ付けるステップをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記センサを付ける前に、前記関節の各側面にセンサ位置をマークするステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
一対のセンサであって、各センサが、使用時に、関節のそれぞれの側面に配置され、各センサが、前記センサの向きに関するデータを提供するために、データ送信デバイスを含んでいる、一対のセンサと、
前記センサの1つまたは複数からデータを受信するためのデータ格納デバイスであって、前記データは、一方または両方のセンサの前記向きに関する、データ格納デバイスと、
前記関節からセンサが取り外されたときに認識し、後続する一組のデータの記録の前に、前記センサのアラインメントの再較正をすることを要求するように構成されている制御システムと
を備える関節の角度位置の変化を記録するシステム。
【請求項13】
ある期間の間、動物の身体に取外し可能なセンサを取り付けるためのシステムであって、
前記ある期間の第1のサブセットの間、前記動物の身体の表面に付けるために、1つの面上に接着剤層を有する第1のマウントと、
前記ある期間の第2のサブセットの間、前記第1のマウントにセンサを取外し可能に固定するように作用する第2のマウントであって、前記第2のサブセットが前記第1のサブセットよりもより短い、第2のマウントと
を備えるシステム。
【請求項14】
前記第2のマウントが二方向の固定である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のマウントが、
(i)前記第2のマウントが、前記ある期間の前記第2のサブセットの間、前記第1のマウントに固定されることを可能にするための第1の一時的な固定システムと、
(ii)センサが前記第2のマウントに固定されることを可能にするための第2の一時的な固定システムと
を備える、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ある期間の前記第1のサブセットのうちに、前記第1のマウントに、前記センサを繰り返し取り付けることを可能にするのに十分な複数の第2のマウントをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ある期間の前記第1のサブセットの後に、前記第1のマウントを置き換えることを可能にするように、複数の第1のマウントをさらに備える、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のマウントが、接着剤、ハードクリップ、ソフトポケット、圧入フィッティング、指向性のフックとループの締結具(Velcro(登録商標))、または磁石の1つまたは複数を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のマウントが、少なくとも1つの視覚インジケータセクションを含み、前記少なくとも1つの視覚インジケータセクションを通して、前記動物の身体上のそれぞれのマークを見ることができ、交換用の第1のマウントのアラインメントを補助することができる、請求項13~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
2つ以上の視覚インジケータセクションをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1のマウントが、複数層構造を含み、好ましくは、MED 2171 H、ポリウレタンフィルム、及びMED 5062 Aを含む層を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2のマウントが、両面に接着剤を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2のマウントが、MED 6361Uで形成された層を含む、請求項13~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2のマウントが2つのパーツを備え、第1のパーツが第1のマウントへの取付けのためのものであり、第2のパーツが前記センサへの取付けのためのものであり、それにより、固定する際には、前記第1のパーツと前記第2のパーツとをともに結合するようになっている、請求項13~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記センサの1つまたは複数が、請求項13~24のいずれか一項に記載のシステムを使用して、前記身体に取り付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年10月18に出願された英国特許出願第1915135.6号の優先権の利益を主張する。この特許出願の開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本発明は、通常は身体に対するセンサについて、ミスアラインメント(misalignment:並びの誤り)を補償するようにセンサを較正(calibrate)するための方法、及び、ミスアラインメントを低減させるように身体にセンサを取り付けるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
動作を測定するデバイスがますます流行している。これら検知デバイス(sensing device)は、ユーザの動作を測定するウェアラブルデバイス(wearable device)、ユーザの動作を測定するために、ユーザによって保持されるスマートフォン、または、たとえばビデオゲームコントローラもしくは産業用設備に取り付けられたセンサである、動作を概略的に検知することができるムーバブルデバイス(movable device)の形態をとることができる。具体的には、ウェアラブルデバイスは、人間または他の動物のモーションを追跡するために利用することができる。具体的には、特定の関節のモーションを監視するために使用することができる。
【0004】
これら移動可能な検知デバイスは、デバイスの位置を検知することができる衛星測位センサと、デバイスのモーション(motion:動き)及び/または向き(つまり、モーション又は向きあるいはそれらの両方)を検知する1つまたは複数のモーションセンサとを含むことができる。これらモーションセンサは、加速度計、ジャイロスコープ、磁気計、コンパス、及び気圧計の1つまたは複数を含むことができる。
【0005】
ウェアラブルデバイスを使用する場合、経時的にゆっくりとだけ変化するデータを蓄積するように、1ヶ月以上などの長期間、そのデバイスを使用することが必要である場合がある。このことは、使用される任意の検知デバイスが、限定ではないが、デバイス上の電力供給源の充電の必要性、センサ上のゴミの蓄積及び、ほこりもしくはこぼれたものを除去するようにセンサをクリーン(clean)にすること、または、センサを取り付けられる人もしくは動物の部位を洗浄(wash)することの要望を含む、任意の数の理由のために取り外す必要があると考えられることを意味している。
【0006】
ウェアラブルデバイスを取り付けるシンプルな方法が、1つまたは複数のタイ、ストラップ、もしくはベルト、または、シンプルかつ容易な取外しを可能にする他のアタッチメントシステムを含むことができるが、そのようなデバイスは、デバイスが取り付けられるユーザにとって不快であり得る。
【0007】
さらに、ユーザからセンサを取り外し、次いで、センサを置き換えまたは再度取り付けることにより、前のセンサの取付けに対して異なる位置において、センサを置き換えるための顕著な機会を提供する。また、このことは、潜在的にいくつかまたはすべてのデータを使用不可能にする、記録されたデータの問題及び不一致に繋がりうる。このことは、2つ以上のセンサがセンサの相対移動に関するデータを提供するようにともに動作するときに、特に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、ウェアラブルセンサがどのように取り付けられ、操作されうるかについての改善があることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、一対のボディマウント(body mounted:身体取付け)センサを較正する方法であって、(a)測定されることになる関節のベースライン位置において、測定されることになる関節の各側面(each side)に1つが取り付けられている一対のセンサ間の角度と、測定される関節角度との間の第1のオフセットを、それによりセンサを較正するために判定するステップと、(b)センサの少なくとも1つが取り外され、再び付けられた後に、関節をベースライン位置に戻すようにセットするステップであって、それにより、センサが互いに相対的な第2のコンフィギュレーションにある、セットするステップと、(c)センサを再較正(recalibrate)するために、測定された膝の角度と、第2のコンフィギュレーションにある一対のセンサ間の角度との間の第2のオフセットを判定するステップであって、それにより、第1のコンフィギュレーションと第2のコンフィギュレーションとの各々において、ベースライン位置に関する同じ関節角度が報告されるようになっている、判定するステップとを含む方法が提供される。
【0010】
一対のセンサは、センサ間の角度が、センサの1つによって判定されるように通信することができる。
【0011】
本方法は、(a)の前に、ゴニオメータ(goniometer)を使用することによって関節角度を測定するステップをさらに含むことができる。
【0012】
再較正は、センサ始動プロセスの一部として実施される場合がある。
【0013】
ベースライン位置を測定するステップは、関節のそれぞれの部分の間の関節角度を測定することを含むことができ、このために、ゴニオメータを使用することができる。測定された関節角度は、ピッチ角度及び/またはロール角度である場合がある。
【0014】
本方法は、関節を、好ましくは関節が完全に伸びた位置であるベースライン位置に移動するステップをさらに含むことができる。
【0015】
好ましくは、取り外されたセンサを再び付けることが、前にセットされたものと実質的に同じ位置において実施される。
【0016】
本方法は、関節の移動の軸を識別するステップをさらに含む場合がある。
【0017】
本方法は、センサを、1つが関節の各側面にあるように付けるステップをさらに含む場合ことができる。本方法は、センサを付ける前に、関節の各側面にセンサ位置をマークするステップをさらに含む場合がある。
【0018】
本発明は、関節の角度位置の変化を記録するためのシステムであって、一対のセンサであって、各センサが、使用時に、関節のそれぞれの側面に配置され、各センサが、センサの向きに関するデータを提供するために、データ送信デバイスを含んでいる、一対のセンサと、センサの1つまたは複数からデータを受領するためのデータ格納デバイス(data storage device)であって、データが、一方または両方のセンサの向きに関する、データ格納デバイスと、関節からセンサが取り外されたときに認識し、後続のデータセットの記録に先立って、センサのアラインメント(alignment:並び)の再較正をすることを要求するように構成されている制御システムとを備えたシステムをも提供する。
【0019】
本発明は、ある期間、動物の身体に取外し可能なセンサを取り付けるためのシステムであって、期間の第1のサブセットの間、動物の身体の表面に付けるために、1つの面上に接着剤層を有する第1のマウントと、期間の第2のサブセットの間、第1のマウントにセンサを取外し可能に固定するように作動する第2のマウントであって、第2のサブセットが第1のサブセットより短い、第2のマウントとを備えているシステムをさらに提供する。
【0020】
第2のマウントは、二方向で固定するものである場合がある。
【0021】
第2のマウントは、
(i)第2のマウントが、期間の第2のサブセットの間、第1のマウントに固定されることを可能にするための第1の一時的な固定システムと、
(ii)センサが第2のマウントに固定されることを可能にするための第2の一時的な固定システムと
を備えることができる。
【0022】
複数の第2のマウントが提供することができ、通常は、期間の第1のサブセットの内に、第1のマウントに、センサを繰り返し取り付けることを可能にするのに十分な、複数の第2のマウントを提供することができる。
【0023】
期間の第1のサブセットの後に、第1のマウントを置き換えることを可能にするように、複数の第1のマウントを提供することができる。
【0024】
第2のマウントは、接着剤、ハードクリップ、ソフトポケット、圧入フィッティング(press fit fitting)、指向性のフック及びループの締結具(Velcro(登録商標))、または磁石のうちの1つまたは複数を含んでいる場合がある。
【0025】
第1のマウントは、少なくとも1つの視覚インジケータセクションを含むことができ、少なくとも1つの視覚インジケータセクションを通して、動物の身体上のそれぞれのマークが見られて、交換用の第1のマウントのアラインメントを補助することができる。2つ以上の視覚インジケータセクションが提供される場合がある。
【0026】
第1のマウントは、複数層構造を含む場合があり、好ましくは、MED 2171 H、ポリウレタンフィルム、及びMED 5062 Aを含む層を有している。
【0027】
第2のマウントは、両面に接着材を有することができる。第2のマウントは、MED 6361Uで形成された層を含んでいる場合がある。
【0028】
第2のマウントが2つのパーツにあるようにすることができ、第1のパーツが第1のマウントへの取付けのためのものであり、第2のパーツがセンサへの取付けのためのものであり、それにより、固定が、第1のパーツと第2のパーツとをともに結合するようになっている。
【0029】
本発明は、上述の特徴の任意の組合せに従って記載された方法であって、センサの1つまたは複数が、上述の特徴の任意の組合せに従って記載されたシステムを使用して、身体に取り付けられる方法をも提供する。
【0030】
本発明は、ここで、実施例として、添付図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】関節に関する方向参照フレームを示す図である。
【
図3】いくつかの実施態様に係る、関節のいずれかの側面にフィットされた一対のセンサを示す図である。
【
図4A】
図4(a)は、センサ取付けシステムを示す図である。
【
図4B】
図4(b)は、センサ取付けシステムを示す図である。
【
図4C】
図4(c)は、センサ取付けシステムを示す図である。
【
図5】センサを動作させる、及び/またはセンサを較正するための概略的な方法を示す図である。
【
図6A】
図6(a)は、センサを較正する方法を示す図である。
【
図6B】
図6(b)は、センサを較正する方法を示す図である。
【
図6C】
図6(c)は、センサを較正する方法を示す図である。
【
図6D】
図6(d)は、センサを較正する方法を示す図である。
【
図6E】
図6(e)は、センサを較正する方法を示す図である。
【
図7A】
図7(a)は、センサ取付けシステムを使用する方法を示す図である。
【
図7B】
図7(b)は、センサ取付けシステムを使用する方法を示す図である。
【
図7C】
図7(c)は、センサ取付けシステムを使用する方法を示す図である。
【
図7D】
図7(d)は、センサ取付けシステムを使用する方法を示す図である。
【
図7E】
図7(e)は、センサ取付けシステムを使用する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書が、人の膝関節に関するセンサの使用の特定の実施例を記載しているが、基礎となる原理は、尻、肩、足首、肘、または手首などの多くの異なる関節に適用可能であり、また、他の動物に関連する関節に適用することもできる。
【0033】
図1及び
図2は、本明細書で使用される特定の用語のシンプルな説明を可能にするために提供されている。
図1は、大腿骨1、頸骨2、及び腓骨3を有する標準的な脚部を図示している。これらは膝関節4で結合されている。大腿骨は、膝から、人の尻の一部を形成するボール関節6まで延びる大腿部の機械軸5を規定している。脛骨の機械軸7は、膝4から、頸骨自体の下端8まで延びている。大腿骨と下腿(頸骨2及び腓骨3で形成されている)とは、膝の関節軸9周りに互いに対して旋回することができる。このため、大腿骨と下腿とは、それぞれの機械軸が互いに対して旋回する平面を規定する。このため、各機械軸は、脚のそれぞれの部位と実質的にアラインメントされることになり、それにより、膝関節軸9が、軸が旋回する平面に対して垂直であるようになっている。このため、膝の角度は、こうして通常は2つの機械軸の間の角度である。このことは、本発明によって考慮される基本的な幾何学形状を形成する、理想化された状況である。軸と、脚のそれぞれの部位との間のあらゆる位置合わせの不良に対処するために、1つまたは複数の補正スキームを適用することが可能である。
【0034】
図2は、膝関節に関連する座標系、ならびに、用語ピッチ及びロールがどのように膝に適用されるかを規定することの助けになる。膝関節を論じる際の取り決めは、人がまっすぐに立っている場合に、x軸は地面とは平行に前方を向く、すなわち、膝から離れる向きであり、y軸は人の右方向を向いており、z軸は地面に向かって下方に向いている。この取り決めは、左脚と右脚との両方に適用される。すなわち、y軸の正側は、常に、脚とは無関係に、膝の右手側である。したがって、正常な膝の並びでは、y軸は膝関節の軸9に類似している。
【0035】
膝に関連するあらゆるセンサの向きは、通常は、2つの構成要素を有している。x軸周りのセンサの回転は、ロールモーションであり、矢印18によって識別されており、ロール角度を規定する。y軸周りのセンサの回転は、ピッチモーションであり、矢印19によって識別されており、ピッチ角度を規定する。
【0036】
図3は、脚11に貼り付けられた一対のセンサ10を示している。各センサは、1つまたは複数のモーション検知デバイスを包含している。これらモーション検知デバイスは、(i)個別のセンサのピッチ及び/またはロール及び/またはヨーを判定すること、または、(ii)センサ間の相対的なピッチ及び/またはロール及び/またはヨーを判定することの、いずれかを可能にする。これらモーション検知デバイスは、限定ではないが、加速度計、ジャイロスコープ、または一対のひずみゲージなどの、任意の適切なデバイスとすることができる。他の変形形態では、3つ以上のセンサを使用することができる。たとえば、監視下の関節が、動きの3つの自由度を有するボール及びソケットの関節である場合、3つのセンサを使用することが望ましい場合がある。いくつかの場合では、膝関節などの関節に追加のセンサを使用して、大腿部及びふくらはぎの向きの判定を補助することが望ましい場合がある。たとえば、2つのセンサは、ユーザの肢の1つに配置することができる。そのような第3のセンサからの測定値は、2つのセンサに関して上述した処理と同様の方式で処理することができる。1つの可能性が、一方の肢に配置された2つのセンサからのデータを処理して、その肢に関する一組のデータを取得し、次いで、上述のような他方の肢からのデータと関連して処理することである。
【0037】
上側センサ10aは大腿部12に配置されており、下側センサ10bはふくらはぎ13に配置されている。センサの目的は、膝関節における膝の収縮、すなわち、y軸/膝関節軸9周りのピッチ角度を監視することである。センサのz軸が脚のそれぞれの機械軸に対して平行であり、かつ、センサのy軸が膝関節軸9に対して平行であるように、2つのセンサ10a、10bを並べることができる場合、膝の角度の計算は、大腿部のピッチ角度からの、ふくらはぎのピッチ角度の単純な減算となる。
【0038】
しかし、理解されるように、人間の脚の形状及び形態は、そのような並びを概して可能にせず、そのため、センサ10a、10bが
図3に示すような位置にあるとき、大腿部及び脛骨の機械軸との位置合わせの不良が生じており、この位置合わせの不良は、膝の角度の正確な測定値を得るために、修正する必要がある。
【0039】
膝の全体的な代替を受けているか、むしろ、膝の動作を限定することに繋がるあらゆる他の膝の外科手術または膝の病気を患者が有している実施例では、健康管理の専門家、または患者自身にとってさえも、数週間または数ヶ月でさえある、長い期間にわたって膝の角度を監視することが有用であり得る。このため、限定ではないが、センサの洗浄、センサの再充電、夜に患者の快適性を向上させること、またはセンサの位置で患者をクリーニングすることを含む、多くの理由のために、センサを定期的に取り外すことが必要になることから、さらなる課題が生じうる。センサが取り外され、再び付ける(reapply)とき、このことは注意深く行われるが、センサの前の位置に対する、置き換えられたセンサの多少の配置の不整合が存在すると考えられる。このことが発生するとき、置き換えの後にピッチ角度またはロール角度の絶対値は、取り外す前のピッチ角度またはロール角度の絶対値に必ずしも相関しない。したがって、センサの置き換えの正確さを増大させる、及び/または、あらゆる誤った配置に関する補正のいくらかの形態を可能にする、方法及び/またはデバイスが有益である。
【0040】
図4は、センサ取付けシステムを図示している。このセンサ取付けシステムにより、センサを取り外した後のセンサの置き換えの正確さを向上させるやり方で、センサ10a、10bの1つを脚11のそれぞれの部分に付けることができる。
【0041】
本システムは、2つの主要なパーツ、すなわち、
図4a及び
図4cに示される第1のマウント20と、
図4bに示される第2のマウント30とに分けられる。第1のマウント20は、患者に直接配置されることが意図されており、より長続きするパーツである。これにより、1週間など、第2のマウントよりも長い期間の間、第1のマウント20がもとの位置にあることが意図されていることを意味する。第2のマウント30は、センサを第1のマウントに結合するために使用され、また、1日など、より短い期間の間、使用されることになることが意図されている。それにより、膝の移動が最小である、及び/または、睡眠が患者にとってより快適であるときに、センサを、たとえば夜に取り外して、夜間に再充電することを可能にしうる。第1のパーツ及び第2のパーツは、センサを患者に付ける(apply)ことを可能にするように、ともに取外し可能に結合することができる。
【0042】
第1のマウント20は、
図4aに示すように、一連の4つの層で形成されているようなパッチ(patch)である。他の数の層とすることが可能である。
図4aでは、第1の最下層21が、パッチの最外層であり、MED 5062Aなどの材料で形成されている場合があり、また、曲げやすく、透明であり、通気性であり、アクリル接着剤を伴うポリエチレンフィルムである場合がある。透明であることは、場所を視認することを可能にすることから、有益である。最外層の接着剤側は、層22を向いている。層22は、マウント20に強度及び耐久性を与えるためのポリウレタンフィルムである場合がある。ポリウレタンフィルムは、再び付ける間にセンサのアラインメントを補助するように、患者の肌に対して高いコントラストを有するような色である場合がある。第3の層23は、通常、MED 2171Hなど、両側面に接着剤があるフィルムであり、好ましくは、浸透された際に破損しないように設計されており、かつ、低いプロファイルを提供し、最適な肌及び創傷治療の条件を形成することを補助し、高い流体処理能力を有し、かつ通気性である、吸収性親水コロイド接着材を含んでいる。第4の層24は、パッチを患者の肌に付けることができるように、取り外されるように設計されたリリース層である。第4の層は、好ましくは、第3の層からの第4の層の取外しを補助するためのリリースタブ25または他の突出した特徴を含む場合がある。
【0043】
第1の層から第3の層の各々には、アラインメントされている、または少なくとも重なっている切欠き部分26が設けられており、それにより、リリース層が取り除かれると、第1の最外層21から、パッチが付けられている患者の肌を通して見ることができるようになっている。切欠きの目的は、後に記載するように、マーク(複数可)がパッチを通して視認可能であるように、患者の肌にマークすることができることから、交換用の第1のパッチ20を、最初のパッチと実質的に同じ位置にアラインメントさせることを補助することである。
【0044】
切欠き26は、それぞれの層を通る穴とすることができる(このケースでは、穴を通してマーキングすることにより、マーキングを容易に補給することができる)か、各層内の透過性のセクションとすることができる。これら2つの組合せが使用される場合がある。切欠き26は、細長いスタジアム形状として示されているが、他の形状を使用することができる。2つの切欠きが図面に図示されているが、任意の数を使用することができる。切欠き(複数可)の数及び/または形状は、最初のパッチと実質的に同じ位置に交換用の第1のパッチ20をアラインメントさせることを補助する必要がある。一例として、切欠きが、ある向きを判定することを可能にするような形状である場合、単一の切欠き26を使用することができる。たとえば、対応した形状のマークが患者の肌上にある場合、単一の不規則的な十字または三角形を、第1のマウント20の位置のみならず、向きをも判定するために、十分とすることができる。切欠きは、層の平面内では、向きに関して満足のいく許容誤差を提供することを補助するように、他の寸法よりもかなりより大きい1つの寸法を有している。
【0045】
図4cに見ることができるように、第2の層22及び第3の層23は、通常は、第1の層及び第4の層よりも小さく、それにより、リリース層24が取り外されると、第1の層21を、第2の層及び第3の層の周りで患者の肌上にシールすることができる、すなわち、これら第2の層及び第3の層を全体的に包むようになっている。
【0046】
第1のマウントは実質的に平滑とすることができ、その中で、厚さは、他の2つの寸法よりもかなり小さくなっている。第1のマウント20内の様々な層の1つまたは複数は、2つのより大きい寸法の1つにおいて、層が狭くなっている部分である、くびれ部分27を含むことができる。くびれは、通常は、マウントが曲がる場合がある点に配置されており、くびれの低減されたサイズは、この曲げを発生させることを補助する。さらに、くびれを設けることにより、マウントを平坦な表面からピックアップ(pick up:取り上げる)するための動作を可能にする助けになる。第1のマウントは細長い場合があり、その中で、2つのより長い寸法のうち、一方の寸法が他方の寸法の2倍以上である。
【0047】
第2のマウント30またはパッチは、
図4bに示されており、二方向に固定されている。これにより、このことが、2つの結合表面を有し、これら2つの結合表面の各々が、結合されることになる2つの対象の1つに向いている、単一の構造を使用すること、または、2つのパーツの構造であり、各パーツが、結合されることになる対象の1つに接続されており、かつ、2つのパーツをともに結合するように協同する相補的な特徴を有している、2つのパーツの構造を使用することのいずれかによって、2つのアイテムをともに結合することができることを意味している。各ケースでは、第2のマウントは、第1のマウントとセンサとの両方に第2のマウントが結合しなければならないことから、2つの反対の方向における固定を提供する。第2のマウント30は、通常は、センサの設置面積よりもわずかに小さく、そのため、以下に記載のように使用される場合、任意の接着剤は、両面パッチが非常に良好にアラインメントされていない場合であっても、露出されないようになっている。このことは、センサが、脚から剥がすことを容易にするために、固着されていないフリーエッジを有することをも意味している。
【0048】
図4bの実施例では、第2のマウントは3つの層を備えている。主要な中心層31は、一対の外側のリリース層32、33を有する、両面の接着剤層である。中心層31は、好ましくは、両面であり、適合した、ポリエステルフィルムであり、通常は、両側面に溶剤のないアクリル接着剤を有している。この中心層31は透過性又は透明とすることができる。中心層31は、好ましくは、適合し、耐蒸気性であり、通気性があるとともにヒートシール可能である。外側のリリース層32、33の各々は、中心層からのこれら層の取外しを補助するために、リリースタブ34または他の突出した特徴を設けることができる。
【0049】
後に説明するように、第2のマウントまたはパッチの、両側面の接着剤の特性は、センサを第1のパッチに取り付けるために使用され、そのため、センサを、
図3に示すように、患者の上に固定できるようになっている。
【0050】
第2のマウントは実質的に平面的である場合があり、その中で、厚さは、他の2つの寸法よりもかなり、より小さくなっている。第2のマウント30の様々な層の1つまたは複数は、2つのより大である寸法の1つにおいて、層が狭くなっている部分である、くびれ部分37を含む場合がある。第2のマウントのくびれ37は、第1のマウントに関して提供された利益と同様な利益を提供することができる。第2のマウントは細長い場合があり、その中で、2つのより長い寸法のうち、一方の寸法が他方の寸法の2倍以上である。
【0051】
第2のマウント30のさらなる特徴は、除去用タブ35である。除去用タブ35は、少なくとも中心層に設けられており、層の外に突出しているが、実質的に層と同じ平面内にある。タブは、通常は、中心層の残りの部分と一体である。リリース層32、33の一方または両方は、対応するタブをも有している。中心層のタブ35には、カバー部分38が設けられている。カバー部分は、リリースタブ32、33が除去された際に、中心層上の接着材のカバーを維持するためのものであり、それにより、タブ35を、中心層が適用されるセンサから、または、第1のパッチ20からの、中心層の取外しを補助するために使用することができるようになっている。
【0052】
代替形態では、第2のマウントは、フック(hook)とループ(loop)の締結具などの2つのパーツの構造、または、ポッパー(popper)などの圧入締結具(press fit fastener)から形成され得、この中で、一方のパーツが第1のマウントに、一体に、または接着材などによって固定され、また、別のパーツが、やはり一体に、または接着材などによってセンサに固定される。また、フックとループ、または圧入ポッパーなどの協同する特徴は、2つのパーツをともに保持し、それにより、センサを患者に取り付けるものである。Velcro(登録商標)は、「指向性(directional)」である場合があり、これにより、フックとループのフックがすべて同じ向きにあり、それにより、締結システムが、1つの方向において、反対の方向よりも良好に、または、潜在的に、反対の方向ではなく1つの方向においてのみ、グリップ及びホールドするようになっている。
【0053】
さらなる代替形態では、第1のマウントまたはセンサ上のクリップ、または第1のマウント上のポケットは、第2のマウントとして利用することができる。
【0054】
さらなる代替形態では、1つまたは複数の磁石を第2のマウントとして利用することができる。
【0055】
各実施例のいずれにおいても、センサ及び/または第1のマウント(つまり、センサ又は第1のマウントあるいはそれらの両方)は、センサ及び第1のマウントの他方と協同して、センサを第1のマウント上でアラインメントさせることを補助する、1つまたは複数の突起などを包含することができる。
【0056】
図5~
図7は、
図4に関する議論に則して第1のマウント及び第2のマウントを使用することを図示しており、したがって、センサの配置の正確さを向上させることができる方法をも図示している。これらの図は、センサあらゆる誤った配置が、センサを再較正することによって補正されうる方法をも図示している。補正方法は、本明細書に記載のように、第1のマウント及び第2のマウントを利用する場合があるか、記載された特定のマウントまたは配置方法を伴わずに実施され得る。
【0057】
図5は、補正方法の単純化されたバージョンを図示しており、
図6及び
図7を参照して、より詳細な方法が説明されると、より容易に理解されることになる。
【0058】
図6a~
図6cは、センサ10a、10bがどのように患者の脚に付けられるかを示している。脚は、
図6aに示すように、ベースライン位置にセットされる。この位置は、この位置が、患者が医療設備から離れて、すなわち家で繰り返すことが可能でなければならない位置であることから、具体的には測定装置などを使用せずに、容易に繰り返すことができる位置であることが好ましい。半永久的なマーキング51が、意図されるセンサ位置において、脚に付けられる。このことは、脚が図示のベースライン位置にあるときに行われる場合があるか、より早い段階で行われる場合がある。好ましくは、ベースライン位置にある膝の角度を記録できるように、ゴニオメータ50の形態が使用される。ゴニオメータは、半永久的なマーキングが切欠きにマッチするように、好ましくは、第1のマウントの切欠きの1つまたは複数のテンプレート52を含んでいる。マーキングの後に、
図6bでは、第1のマウントまたはパッチ20を、リリース層を除去することによって付けることができ、次いで、切欠き26をマーキング51にアラインメントさせることにより、第1のマウントを患者に付ける。
【0059】
次いで、第2のマウントが使用されうる。通常は、最初にセンサに付けられ、次いで第1のマウントに付けられる(
図6cを参照されたい)。第1のマウントのパーツの形状及び/またはカラーリングは、第1のマウント上でのセンサのアラインメントを補助することができる。
【0060】
次いで、患者は、自身の脚を、必要であれば、ゴニオメータによってチェックすることができるベースライン位置、及び、たとえば電話などのモバイルデバイス55にデータを入力することによって、記録された(
図6e)膝の角度に戻す。しかし、この第1の位置/向きにあるセンサは、必然的に、機械軸(大腿部及び脛骨)にミスアラインメントされることになり、また、このことは、修正する必要がある。この修正は、ピッチのオフセットを計算/記録することを可能にするようにこの第1の位置を較正し、次いで、センサからのピッチの読取り値の間の差異を、通常はゴニオメータ(または他の適切なデバイス)を使用して、ヘルスケアの専門家によって以前に測定された膝の角度(ピッチ)に調整するように、このオフセットを適用することによって行われ得る。したがって、第1のピッチのオフセットは、ゴニオメータの読取り値(膝の角度)と、センサの読取り値との間の差異である。このことは、患者またはヘルスケアの専門家に報告された角度を、膝の後のモーションにおいて判定することを可能にする。この理由は、報告された角度が、センサの読取り値(可変である)にオフセット(ここでは固定されている)をプラスしたものとなるためである。ピッチ/ロール(つまり、ピッチ又はロール)、または向きの情報、オフセットの読取り値、測定されたか報告された膝の角度を含むデータのいずれかは、センサの1つまたは複数に格納される場合があり、及び/または、デスクトップコンピュータ、移動電話、タブレット、またはラップトップなどの任意の形態のコンピュータタイプのデバイス内に入力される場合(つまり、センサの1つ又は複数に格納される、又は、デスクトップコンピュータ、移動電話、タブレット、またはラップトップなどの任意の形態のコンピュータタイプのデバイス内に入力される、あるいは、センサの1つ又は複数に格納され、かつ、デスクトップコンピュータ、移動電話、タブレット、またはラップトップなどの任意の形態のコンピュータタイプのデバイス内に入力もされる場合)がある。この入力は、センサの1つからデータを自動的に送信することによって実施される場合があり、また、同時に発生する、すなわち、リアルタイムでの使用のためにストリーミングされる場合があるか、定期的にのみ送信される場合がある。
【0061】
通常は、第1のマウントまたはパッチは、第1のマウントまたはパッチが、センサの場所の洗浄を可能にするために、取外しが必要になる前は、一週間その場所にあることになる。しかし、より短い時間の範囲、たとえば一日の終わりでは、センサは、前に説明した理由のいずれかのために、第2のマウント(または、2つのパーツのマウントが使用される場合、第2のマウントのパーツ)とともに取り外すことが必要になる。置き換えられるとき、センサ10a、10bは、前と明確に同じ位置で置き換えられる場合があるか、置き換えられない場合があり、そのため、センサは第2の位置を有している。したがって、さらなる有用な読取り値が取られ得る前に、患者は、自身の脚をベースライン位置に戻してセットしなければならないが、ゴニオメータなどの助けを借りない(この理由は、繰り返しが容易な位置が好ましいためである)。次いで、センサを、上と同じやり方で再較正して、第2のピッチのオフセット(最初のセットアップからの膝の角度と、第2の位置において取られたセンサの読取り値との間の差異)を提供しなければならない。置き換えの後の膝のモーションに関し、報告された角度は、センサの読取り値に第2のピッチのオフセットをプラスしたものである。患者の動作に関するデータを記録するためのシステムが、オフセットがアップデートされるまで新たなデータを記録しないことが、好ましい。
【0062】
図7は、第1のマウントまたはパッチがどのように置き換えられ得るかを示している。最初に
図7aにおいて、脚11上のマーキング51が、これらマーキングを明確に見ることができることを確実にするように補充される。次いで、第1のマウント20を取り外して(
図7b)、マーキング51の周りのエリアの洗浄及び毛の除去を可能にする(
図7c)。次いで、新たな第1のマウント20を、第1のマウントの切欠き26及び視覚的マーキング51をガイドとして使用して付けることができる(
図7d)。次いで、圧力をかけて(
図7e)、第1のマウント20がしっかりと定位置に固定されていることを確実にすることができる。
【0063】
図5は、センサの補正または較正に関連する幅広い方法論を説明している。ステップ51では、監視されることになる関節、そしてひいては、2つのセンサが、1つが関節のいずれかの側面にあるように、周りに置かれる関節が、ベースライン位置にセットされる。このベースライン位置は、
図6dに示す位置である。
【0064】
前述のように、全体的な膝置換の後に移動を監視することが有益であり、この状況では、患者は、通常は、自身の脚をまっすぐにすることはできるが、脚を曲げることには苦労する。それにより、センサが、数週間または数ヶ月などの長期間にわたって、患者の動き、及び、動きの有望な向上を追跡するためには有益であるようになっている。このため、好ましい位置は、「動作の限界の位置」であり、膝関節に関しては、この位置は、受動的な完全な延長位置(passive full extension position)である。この位置は、事実上、水平な表面に沿って延ばされた際に脚が取る位置である。
【0065】
ステップ52は、膝がどのような角度の場合であっても、センサをベースライン位置に較正することである。この較正により、センサが、これらセンサがベースライン位置に対応するとしてセットされる第1の向き(ピッチ及び/またはロール(つまり、ピッチ又はロール、あるいはそれらの両方))をセットすることを可能にする。このため、その較正された最初の向きに対する、脚、そしてひいてはセンサの任意のモーションを理解することができる。
【0066】
記載したように、センサは、多くの理由により取外し可能である。
図6及び
図7に関して記載した方法が、誤った配置を低減することを助けるが、この方法は、誤った配置が発生することを必ずしも防止するものではなく、そのため、センサは、異なる第2の向きに置き換えられる場合がある。センサの置き換えの後にセンサによって生成されたデータを、置き換えの前のデータと類似であるようにするために、向きにおけるあらゆる差異を理解する必要がある。このため、ステップ53においてセンサが取り外され、置き換えられた後に、監視されている関節は、ステップ54のように、ベースライン位置に戻してセットする必要がある。このことは、再較正が行われた後にさらなるデータを記録及び/または格納する(つまり、記録又は格納、あるいはそれらの両方をする)ことを可能にするのみである制御システムの使用を含む場合がある。制御システムは、1つまたは複数のセンサ自体の上にある場合があるか、センサから離れて位置している場合がある。センサは、このため、ステップ55において再較正することができ、それにより、最初の読取り値に対するセンサのピッチ及び/またはロール角度(つまり、ピッチ角度又はロール角度、あるいはそれらの両方)のあらゆるオフセットを調整することができる。ベースライン位置の最初の読取り値は、ベースライン位置が経時的に変化する可能性があることから、たとえばヘルスケアの専門家により、アップデートされる場合もある。このことは、外科手術の直後の期間において、患者がより定期的にヘルスケアの専門家に会っているときに、特に当てはまる。外科手術の直後は、患者は、膝を完全に伸ばすことが不可能である場合があるが、一週間または数週間後は、患者がそのように延ばすことができることがわかる場合がある。したがって、ベースライン位置は変化することになり、そのため、最初の読取り値は、アップデートが必要になる。
【0067】
本出願人は、これにより、分離しての本明細書に記載の個別の特徴の各々、及び、2つ以上のそのような特徴の任意の組合せを、そのような特徴または組合せが、当業者の通常の一般的な知識に鑑みて、全体として本明細書に基づいて実行することが可能である範囲まで、そのような特徴または特徴の組合せが本明細書に開示の任意の問題を解決するかに関わらず、かつ、特許請求の範囲の範囲を限定することなく、開示している。本出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個別の特徴または特徴の組合せで構成される場合があることを示している。前述の記載の観点から、様々な変更が本発明の範囲内で行われ得ることが、当業者には明らかとなるであろう。
【国際調査報告】