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特表2022-552873がんの治療におけるKRAS G12C及びKRAS G12D阻害剤として有用なピリドピリミジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】がんの治療におけるKRAS G12C及びKRAS G12D阻害剤として有用なピリドピリミジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20221213BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20221213BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C07D471/04 118Z
C07D471/04 CSP
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P37/04
A61K39/395 U
A61K31/519
A61K31/497
C07D519/00 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523451
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020056874
(87)【国際公開番号】W WO2021081212
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/925,657
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フイ-リン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ビクター・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH03
4C065JJ02
4C065KK05
4C065LL04
4C065LL08
4C065PP07
4C065PP12
4C065PP13
4C065PP15
4C072MM02
4C072UU01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC01
4C084ZC20
4C084ZC41
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC01
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書では、KRAS G12C及びKRAS G12D阻害剤、同一物の組成物及び同一物を使用する方法が提供される。これらの阻害剤は、膵がん、結腸直腸がん及び肺がんを含む多くの障害を治療するのに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
は、H、ハロ若しくは-Cであり;
は、H、ハロ若しくは-Cであり;
は、
【化2】
であり、
bは、任意選択的に、単結合若しくは二重結合であり;
環Aは、単環式の4~7員環又は二環式の、架橋した、縮合した、若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合若しくはNRであり;
は、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-N=N、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり;
は、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C0~6アルキレン-O-C1~6アルキル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり;
5aは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールから選択され;
5bは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールから選択され;
又はR5a及びR5bは一緒に、=O若しくは=N=Nを表し得;
は、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6-14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり;
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得;又は
5a及びR6aは、bが二重結合である場合は存在せず;
6aは、H若しくは-C1~6アルキルであり;
6bは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6-14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり;
又はR6a及びR6bは一緒に、=Oを表し得;
は、H若しくはC1~8アルキルであり;
はH、OH、NRであり、
ここでR及びRは、各々独立して、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニルであり;
ここで、前記環A、又は、前記R、R、R5a、R5b、R、R6a、R6b、R及びRの何れかのC1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6-14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール基は、許容されれば、非置換であっても、又はハロ、-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-OH若しくは-C1~6アルキル-CNから独立して選択される1、2、3若しくは4個の置換基で置換されてよい)の構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記構造:
【化3】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aは、単環式4~7員環である、請求項1~2の何れか一項に記載の化合物。
【請求項4】
環Aは、単環式環若しくは二環式環である、請求項1~2の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
環Aは、スピロ6~11員環である、請求項1~2の何れか一項に記載の化合物。
【請求項6】
は、Fである、請求項1~5の何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
は、Clである、請求項1~6の何れか一項に記載の化合物。
【請求項8】
は、H、ハロ、-C1~6アルキル若しくは-C0~6アルキレン-C6~14アリールである、請求項1~7の何れか一項に記載の化合物。
【請求項9】
は、Hである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
は、ハロである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
は、Cl若しくはFである、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
は、-C1~6アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
は、-C0~3アルキレン-C6~14アリールである、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
5aは、bが二重結合ではない限り、H、-C1~6アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル及び-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルから選択される、請求項1~13の何れか一項に記載の化合物。
【請求項15】
5aは、Hである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
5aは、-C1~6アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
5aは、-C1~6アルキレン-OHである、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
5aは、-C(O)OHである、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
5aは、-C(O)OC1~4アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
5aは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
は、Rが次の構造:
【化4】
を有していない限り、H、ハロ又は-C1~6アルキルである、請求項1~20の何れか一項に記載の化合物。
【請求項22】
は、Hである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
は、ハロである、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
は、-C1~6アルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
6bは、Rが次の構造:
【化5】
を有していない限り、H、-C1~6アルキル、C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル又は-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、請求項1~20の何れか一項に記載の化合物。
【請求項26】
6bは、Hである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
6bは、-C1~6アルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
6bは、C1~6アルキレン-OHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
6bは、-C(O)OHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項30】
6bは、-C(O)OC1~4アルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項31】
6bは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項32】
6a及びR6bは、Rが次の構造:
【化6】
を有していない限り、=0を形成する、請求項1~24の何れか一項に記載の化合物。
【請求項33】
6aは、Rが次の構造:
【化7】
を有していない限り、及びbが二重結合ではない限り、H若しくは-C1~6アルキルである、請求項1~31の何れか一項に記載の化合物。
【請求項34】
6aは、Hである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
6aは、-C1~6アルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
Lは、結合である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項37】
Lは、NRである、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項38】
は、H若しくは-C1~6アルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
は、Hである、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
は、-C1~6アルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
bは、単結合である、請求項1~40の何れか一項に記載の化合物。
【請求項42】
bは、他に特に記載されない限り、二重結合である、請求項1~40の何れか一項に記載の化合物。
【請求項43】
は、
【化8】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項44】
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
は、
【化9】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項46】
は、
【化10】
である、請求項1~20の何れか一項に記載の化合物。
【請求項47】
5bは、H、-C1~6アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル若しくはC0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルから選択される、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
5bは、Hである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
5bは、-C1~6アルキルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
5bは、-C1~6アルキレン-OHである、請求項47に記載の化合物。
【請求項51】
5bは、-C(O)OHである、請求項47に記載の化合物。
【請求項52】
5bは、-C(O)OC1~4アルキルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項53】
5bは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項54】
5a及びR5bは一緒に、=Oを表し得る、請求項46に記載の化合物。
【請求項55】
5a及びR5bは一緒に、=N=Nを表し得る、請求項46に記載の化合物。
【請求項56】
は、
【化11】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項57】
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
は、
【化12】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項59】
は、
【化13】
である、請求項1~40の何れか一項に記載の化合物。
【請求項60】
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
は、
【化14】
である、請求項1~40の何れか一項に記載の化合物。
【請求項62】
は、
【化15】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項63】
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
は、
【化16】
である、請求項1~35の何れか一項に記載の化合物。
【請求項65】
は、H若しくはC1~8アルキルである、請求項62~64の何れか一項に記載の化合物。
【請求項66】
は、Hである、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
は、C1~8アルキルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項68】
は、
【化17】
【化18】
から選択される、請求項1~2の何れか一項に記載の化合物。
【請求項69】
は、Fである、請求項68に記載の化合物。
【請求項70】
は、Clである、請求項68又は69に記載の化合物。
【請求項71】
は、Hである、請求項1~70の何れか一項に記載の化合物。
【請求項72】
は、OHである、請求項1~70の何れか一項に記載の化合物。
【請求項73】
は、NRである、請求項1~70の何れか一項に記載の化合物。
【請求項74】
NRは、NHである、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
下記:
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項76】
下記:
【化25】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項77】
下記:
【化26】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩、その前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項78】
下記:
【化27】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩、その前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項79】
下記:
【化28】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項80】
下記:
【化29】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項81】
下記:
【化30】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項82】
下記:
【化31】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その前記立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはその前記アトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項83】
薬学的に許容される塩の形態にある、請求項1~80の何れか一項に記載の化合物。
【請求項84】
請求項1~83の何れか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項85】
がんを治療するためのキットであって、請求項1~84の何れか一項に記載の化合物及び追加の薬学的に活性な化合物を含むキット。
【請求項86】
前記がんは、固形腫瘍である、請求項85に記載のキット。
【請求項87】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項85に記載のキット。
【請求項88】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項85に記載のキット。
【請求項89】
前記がんは、膵臓がんである、請求項85に記載のキット。
【請求項90】
前記がんは、KRAS G12C突然変異がんである、請求項85に記載のキット。
【請求項91】
前記がんは、KRAS G12D突然変異がんである、請求項85に記載のキット。
【請求項92】
細胞内のKRAS G12Cを阻害する方法であって、前記細胞を請求項1~91の何れか一項に記載の前記化合物と接触させる工程を含む方法。
【請求項93】
細胞内のKRAS G12Dを阻害する方法であって、前記細胞を請求項1~91の何れか一項に記載の前記化合物と接触させる工程を含む方法。
【請求項94】
対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~84の何れか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項95】
前記がんは、固形腫瘍がんである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記がんは、肺がん、膵臓がん、子宮内膜がん、虫垂がん、小腸がん又は結腸直腸がんである、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記がんは、肺がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記肺がんは、非小細胞肺がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記がんは、膵臓がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
前記がんは、子宮内膜がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項102】
前記がんは、虫垂がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項103】
前記がんは、小腸がんである、請求項96に記載の方法。
【請求項104】
必要とする患者に治療有効量の追加の薬学的に活性な化合物を投与する工程をさらに含む、請求項94に記載の方法。
【請求項105】
請求項1~84の何れか一項に記載の前記化合物は、追加の薬学的に活性な化合物の前に投与される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
請求項1~84の何れか一項に記載の前記化合物は、前記追加の薬学的に活性な化合物と同時に投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項107】
請求項1~84の何れか一項に記載の前記化合物は、前記追加の薬学的に活性な化合物の後に投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項108】
前記追加の薬学的に活性な化合物は、抗PD-1アンタゴニストである、請求項104に記載の方法。
【請求項109】
前記抗PD-1阻害剤は、ニボルマブである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記抗PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブである、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記抗PD-1阻害剤は、AMG404である、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記追加の薬学的に活性な化合物は、MEK阻害剤である、請求項104に記載の方法。
【請求項113】
前記MEK阻害剤は、トラメチニブである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記追加の薬学的に活性な化合物は、SHP2阻害剤である、請求項104に記載の方法。
【請求項115】
前記SHP2阻害剤は、RMC-4630である、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
対象におけるがんを処置するための、請求項1~84の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項117】
がんを治療するための医薬品の調製物中における、請求項1~84の何れか一項に記載の化合物。
【請求項118】
前記がんは、固形腫瘍である、請求項116に記載の化合物。
【請求項119】
請求項1~83の何れか一項に記載の化合物又は医薬品として使用するための請求項84に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KRAS G12C及びKRAS G12Dタンパク質を阻害する化合物;その化合物を使用してがん等の疾患又は状態を治療する方法;及びその化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
KRAS遺伝子突然変異は、膵臓がん、肺腺がん、結腸直腸がん、胆のうがん、甲状腺がん及び胆管がんにおいて一般的である。KRAS突然変異は、NSCLC患者の約13%でも観察され、幾つかの研究は、KRAS突然変異がNSCLC患者の負の予後因子であることを示している。最近、V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスの癌遺伝子相同体(KRAS)突然変異は、結腸直腸がんにおける上皮成長因子受容体(EGFR)標的化療法に対する耐性を付与することが見出されている;従って、KRASの突然変異状態は、TKI療法を処方する前に、重要な情報を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
総合すると、膵臓がん、肺腺がん又は結腸直腸がんを有する患者、特に、KRAS突然変異を特徴とするこのようながんを有すると診断された患者及び化学療法後に進行した患者を含む患者のための新しい医学的処置の必要性が存在する。
【0004】
本明細書に開示した化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。提供される化合物は、本明細書に開示した化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に製剤化され得る。
【0005】
さらに、細胞内でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞と本明細書に開示した化合物又は組成物とを接触させる工程を含む方法も提供される。さらに、細胞内でKRAS G12Dを阻害する方法であって、細胞と本明細書に開示した化合物又は組成物とを接触させる工程を含む方法も提供される。KRAS G12D突然変異は、単一ヌクレオチド変化(c.35G>A)から発生し、アスパラギン酸(D)による12位でのグリシン(G)のアミノ酸置換を生じさせる。KRAS G12Dは、最大有病率を有する結腸直腸腺癌、膵臓外分泌新生物、非小細胞肺がん、子宮体部新生物及び卵巣新生物を含むAACR GENIE症例の3.99%において存在する。さらに、対象におけるがんを治療する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に開示した化合物又は組成物を投与する工程を含む方法が提供される。幾つかの実施形態では、がんは、肺がん、膵臓がん又は結腸直腸がんである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、下記の実施形態において記載した様々な化合物、立体異性体、アトロプ異性体、薬学的に許容される塩、立体異性体の薬学的に許容される塩及びアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、実施形態の何れかの化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、がんを治療する方法を提供する。そのような方法は:それを必要とする患者に、治療有効量の何れかの実施形態の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。幾つかのそのような方法では、がんは、血液悪性腫瘍である。幾つかのそのような方法では、がんは、乳がん、結腸直腸がん、皮膚がん、黒色腫、卵巣がん、腎臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、白血病及び急性骨髄性白血病から成る群から選択される。幾つかの他のそのような方法では、がんは、多発性骨髄腫である。幾つかの他のそのような方法では、がんは、急性骨髄性白血病である。幾つかの他のそのような方法では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。別の態様では、本方法は、それを必要とする患者に治療有効量の追加の薬学的に活性な化合物を投与する工程をさらに含む。例えば、幾つかのそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、ペムブロリズマブである。他の場合では、追加の薬学的に活性な化合物は、ニボルマブである。さらに他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、トラメチニブである。さらに他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、RMC-4630である。さらに他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、AMG 404である。
【0009】
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示での使用のために本明細書に記載されており;当該技術分野で公知の、他の好適な方法及び材料も使用することができる。材料、方法及び実施例は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースへの登録及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先されるであろう。
【0010】
本開示のその他の特徴及び長所は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲から明白であろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
略語:
本明細書では、下記の略語を使用することができる。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び類似の指示対象の使用は、別段の指示がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に入る別個の各値に個別に言及する簡潔な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、別個の各値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的表現(例えば、「等」)の使用は、本発明をよりよく説明することを意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する限定ではない。本明細書の如何なる表現も、特許請求されていない要素を本発明の実施に不可欠のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルを含むが、これらに限定されない直鎖状及び分枝状C~C炭化水素基を指す。Cm~nという用語は、アルキル基が「m」~「n」個の炭素原子を有することを意味する。用語「アルキレン」は、置換基を有するアルキル基を指す。アルキル(例えば、メチル)基若しくはアルキレン(例えば、-CH-)基は、例えば、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アルキルアミノ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-NC、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールから独立して選択されるうちの1つ以上、典型的には1~3つで置換され得る。用語「ハロアルキル」は、詳細には、アルキル基を指すが、ここでアルキル基の少なくとも1つの、例えば1~6つの、又は全ての水素基は、ハロ原子で置換されている。
【0016】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ二重結合又は三重結合をさらに含むアルキル基を示す。
【0017】
本明細書で使用する用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。用語「アルコキシ」は、-ORと定義されるが、ここでRは、アルキルである。
【0018】
本明細書で使用する用語「アミノ」若しくは「アミン」は、互換的に-NR基を指し、ここで、各Rは、例えば、H若しくは置換基である。幾つかの実施形態では、アミノ基は、さらに置換されてアンモニウムイオン、例えばNR3+を形成する。アンモニウム部分は、詳細には「アミノ」若しくは「アミン」の定義に含まれる。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミド又はカルボキシレートであり得る。R基は、例えば、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、尿素、カルボニル、カルボキシレート、アミン及びアミドから選択される1つ以上、例えば1~4つの基でさらに置換され得る。「アミド(amide)」基若しくは「アミド(amido)」基は、アミン基若しくはアミノ基に類似の基を互換的に指すが、C(O)、例えば-C(O)NRをさらに含む。幾つかの考えられるアミノ基若しくはアミド基(幾つかは、任意選択のアルキレン基を有し、例えばアルキレン-アミノ又はアルキレン-アミドである)は、CHNH、CH(CH)NH、CH(CHNH、CHCHNH、CHCHN(CH、CHNHCH、C(O)NHCH、C(O)N(CH、CHC(O)NHフェニル、CHNHC(O)CH、CHNHCHCHOH、CHNHCHCOH、CHNH(CH)CHCOCH、CHNHCHCHOCH、CHNH(CH)CHCHOCH、CHNH(CH)CHC(O)N(CH、CHNH(CH)CHC(O)NHCH、CHCHCCH、CHNMe、CHNH(CH)CHCHOH、CHNH(CH)CHCHF、CH(CH、CHNHCHCHF、CHNHCHCH
【化1】
を含む。
【0019】
本明細書で使用する用語「アリール」は、C6~14単環式若しくは多環式の芳香族基、好ましくはC6~10単環式若しくは二環式の芳香族基若しくはC10~14多環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルが挙げられる。アリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和若しくは芳香族である、C10~14二環式及び三環式の炭素環、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)も指す。他に指示されない限り、アリール基は、非置換であっても、又は1つ以上、及び特に、例えば、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-CF、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールから独立して選択される1~4つの基で置換されていてもよい。
【0020】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、単環式若しくは多環式の非芳香族炭素環式環を指し、多環式環は、縮合環、架橋環又はスピロ環であり得る。炭素環式環は、3~10個の炭素環原子を有することができる。考えられる炭素環式環としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びシクロノニルが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクロアルキル」は、合計で3個以上(例えば、3~12個、4~10個、4~8個若しくは5~7個)の原子を含有し、そのうちの1~5個(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個)の原子が、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される、単環式又は多環式(例えば、二環式)の飽和又は部分不飽和の環系を意味する。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピロリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロピリジニル、オキサシクロヘプチル、ジオキサシクロヘプチル、チアシクロヘプチル及びジアザシクロヘプチルが挙げられる。
【0022】
他に指示されない限り、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル基は、非置換であっても、又は1つ以上、特に1~4つの基で置換されていてもよい。幾つかの考えられる置換基としては、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、1~3つの芳香環を含有し、芳香環内に窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個(例えば、1個、2個、3個若しくは4個)のヘテロ原子を含有する、単環式若しくは多環式の環系(例えば、二環式)を指す。所定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20個、5~15個、5~10個若しくは5~7個の原子を有する。ヘテロアリールは、さらに、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和若しくは芳香族である、C10~14の二環式及び三環式の環も指す。ヘテロアリール基の例としては、以下に限定されないが、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キアゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられる。他に指示されない限り、ヘテロアリール基は、非置換であっても、又は1個以上、特に1~4個又は1個若しくは2個の置換基で置換されていてもよい。考えられる置換基としては、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する用語Bocは、構造
【化2】
を指す。
【0025】
本明細書で使用する用語Cbzは、構造
【化3】
を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語Bnは、構造
【化4】
を指す。
【0027】
本明細書で使用する用語トリフルオロアセトアミドは、構造
【化5】
を指す。
【0028】
本明細書で使用する用語トリチルは、構造
【化6】
を指す。
【0029】
本明細書で使用する用語トシルは、構造
【化7】
を指す。
【0030】
本明細書で使用する用語Trocは、構造
【化8】
を指す。
【0031】
本明細書で使用する用語Teocは、構造
【化9】
を指す。
【0032】
本明細書で使用する用語Allocは、構造
【化10】
を指す。
【0033】
本明細書で使用する用語Fmocは、構造
【化11】
を指す。
【0034】
本開示の化合物
本明細書に開示された化合物は、本明細書に開示された化合物の1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが、通常、天然に見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子によって置換された、全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。本明細書に開示した化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125I等の水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体が挙げられる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位若しくは作用様式又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を同定することにより、化合物の有効性の決定又は測定を促進するのに有用であろう。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質の組織内分布の試験に有用である。放射性同位体のトリチウム、即ちH及び炭素14、即ち14Cは、取り込みの容易さ及び検知の迅速な手段の観点から、この目的ために特に有用である。
【0035】
重水素、即ちH等のより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大又は必要用量の減少から生じる特定の治療上の利点をもたらし得、従って幾つかの状況で好ましい。
【0036】
11C、18F、15O及び13N等の陽電子放出同位体による置換は、基質の受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮像法(PET)研究において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、下記の調製及び実施例に記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0037】
本明細書に開示した同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、添付の実施例及びスキームに記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0038】
本明細書に開示した所定の化合物は、光学異性体及び配座異性体(又はコンフォーマー)を含む立体異性体(即ち原子の空間的配置のみが異なる異性体)として存在し得る。本明細書に開示した化合物は、両方が純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれの濃縮調製物、並びに両方がそのような立体異性体のラセミ混合物、並びに当業者に公知の方法に従って分離され得る個々のジアステレオマー及びエナンチオマーとして、全ての立体異性体を含む。さらに、本明細書に開示した化合物は、それらの化合物の全ての互変異性型を含む。
【0039】
本明細書に開示した所定の化合物は、分子の他の部分との立体相互作用の結果として、分子中の単結合の周りの回転が妨げられるか、又は非常に遅くされる場合に生じる、配座立体異性体であるアトロプ異性体として存在し得る。本明細書に開示した化合物は、両方が純粋な個々のアトロプ異性体調製物として、それぞれの濃縮調製物として又はそれぞれの不特定混合物として全てのアトロプ異性体を含む。単結合の周りの回転障壁が十分に高く、且つ立体配座間の相互変換が十分に遅い場合、異性体種の分離及び単離が可能であり得る。例えば、次のR10
【化12】
等を含むがそれらに限定されない基は、制限された回転を示す場合がある。
【0040】
実施形態
実施形態1
本発明の一実施形態では、本発明は、式(I)
【化13】
(式中、
は、H、ハロ若しくは-CHであり;
は、H、ハロ若しくは-CHであり;
は、
【化14】
であり;
bは、任意選択的に、単結合若しくは二重結合であり;
環Aは、単環式の4~7員環若しくは二環式の、架橋した、縮合した、若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合若しくはNRであり;
は、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-N=N、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり;
は、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6-14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり;
5aは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールから選択され;
5bは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールから選択され;
又はR5a及びR5bは一緒に、=O若しくは=N=Nを表し得;
は、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C0~6アルキレン-O-C6-14アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり;
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得;又は
5a及びR6aは、bが二重結合である場合は存在せず;
6aは、H若しくは-C1~6アルキルであり;
6bは、H、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシクロであり;
又はR6a及びR6bは一緒に、=Oを表し得;
は、H若しくはC1~8アルキルであり;
はH、OH、NRであり、
ここでR及びRは、各々独立して、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニルであり;
ここで、環A、又は、R、R、R5a、R5b、R、R6a、R6b、R及びRの何れかのC1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6-14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール基は、許容されれば、非置換であっても、又はハロ、-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-OH若しくは-C1~6アルキル-CNから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個の置換基で置換されてもよい)
の構造を有する化合物
又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0041】
実施形態2
第2の実施形態では、本発明は、構造:
【化15】
を有する実施形態1の化合物を含む。
【0042】
実施形態3
環Aは、単環式の4~7員環である、実施形態1~2の何れか1つの化合物。
【0043】
実施形態4
環Aは、単環式環若しくは二環式環である、実施形態1~2の何れか1つの化合物。
【0044】
実施形態5
環Aは、スピロ6~11員環である、実施形態1~2の何れか1つの化合物。
【0045】
実施形態6
は、Fである、実施形態1~5の何れか1つの化合物。
【0046】
実施形態7
は、Clである、実施形態1~6の何れか1つの化合物。
【0047】
実施形態8
は、H、ハロ、-C1~6アルキル若しくは-C0~3アルキレン-C6~14アリールである、実施形態1~7の何れか1つの化合物。
【0048】
実施形態9
は、Hである、実施形態8の化合物。
【0049】
実施形態10
は、ハロである、実施形態8の化合物。
【0050】
実施形態11
は、Cl若しくはFである、実施形態8の化合物。
【0051】
実施形態12
は、-C1~6アルキルである、実施形態8の化合物。
【0052】
実施形態13
は、-C0~3アルキレンC6~14アリールである、実施形態8の化合物。
【0053】
実施形態14
5aは、bが二重結合ではない限り、H、-C1~6アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル及び-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルから選択される、実施形態1~13の何れか1つの化合物。
【0054】
実施形態15
5aは、Hである、実施形態14の化合物。
【0055】
実施形態16
5aは、-C1~6アルキルである、実施形態14の化合物。
【0056】
実施形態17
5aは、-C1~6アルキレン-OHである、実施形態14の化合物。
【0057】
実施形態18
5aは、-C(O)OHである、実施形態14の化合物。
【0058】
実施形態19
5aは、-C(O)OC1~4アルキルである、実施形態14の化合物。
【0059】
実施形態20
5aは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、実施形態14の化合物。
【0060】
実施形態21
は、Rが次の構造
【化16】
を有していない限り、H、ハロ若しくは-C1~6アルキルである、実施形態1~20の何れか1つの化合物。
【0061】
実施形態22
は、Hである、実施形態21の化合物。
【0062】
実施形態23
は、ハロである、実施形態21の化合物。
【0063】
実施形態24
は、-C1~6アルキルである、実施形態21の化合物。
【0064】
実施形態25
6bは、Rが次の構造
【化17】
を有していない限り、H、-C1~6アルキル、C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、実施形態1~24の何れか1つの化合物。
【0065】
実施形態26
6bは、Hである、実施形態25の化合物。
【0066】
実施形態27
6bは、-C1~6アルキルである、実施形態25の化合物。
【0067】
実施形態28
6bは、C1~6アルキレン-OHである、実施形態25の化合物。
【0068】
実施形態29
6bは、-C(O)OHである、実施形態25の化合物。
【0069】
実施形態30
6bは、-C(O)OC1~4アルキルである、実施形態25の化合物。
【0070】
実施形態31
6bは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、実施形態25の化合物。
【0071】
実施形態32
6a及びR6bは、Rが次の構造
【化18】
を有していない限り、=Oを形成する、実施形態1~24の何れか1つの化合物。
【0072】
実施形態33
6aは、R
次の構造
【化19】
を有していない限り、及びbが二重結合ではない限り、H若しくは-C1~6アルキルである、実施形態1~31の何れか1つの化合物。
【0073】
実施形態34
6aは、Hである、実施形態33の化合物。
【0074】
実施形態35
6aは、-C1~6アルキルである、実施形態33の化合物。
【0075】
実施形態36
Lは、結合である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0076】
実施形態37
Lは、NRである、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0077】
実施形態38
は、H若しくは-C1~6アルキルである、実施形態37の化合物。
【0078】
実施形態39
は、Hである、実施形態37の化合物。
【0079】
実施形態40
は、-C1~6アルキルである、実施形態37の化合物。
【0080】
実施形態41
bは、単結合である、実施形態1~40の何れか1つの化合物。
【0081】
実施形態42
bは、他に特に記載されない限り、二重結合である、実施形態1~40の何れか1つの化合物。
【0082】
実施形態43
は、
【化20】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0083】
実施形態44
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的にO、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、実施形態43の化合物。
【0084】
実施形態45
は、
【化21】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0085】
実施形態46
は、
【化22】
である、実施形態1~20の何れか1つの化合物。
【0086】
実施形態47
5bは、H、-C1~6アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C(O)OH、-C(O)OC1~4アルキル若しくはC0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルから選択される、実施形態46の化合物。
【0087】
実施形態48
5bは、Hである、実施形態47の化合物。
【0088】
実施形態49
5bは、-C1~6アルキルである、実施形態47の化合物。
【0089】
実施形態50
5bは、-C1~6アルキレン-OHである、実施形態47の化合物。
【0090】
実施形態51
5bは、-C(O)OHである、実施形態47の化合物。
【0091】
実施形態52
5bは、-C(O)OC1~4アルキルである、実施形態47の化合物。
【0092】
実施形態53
5bは、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキルである、実施形態47の化合物。
【0093】
実施形態54
5a及びR5bは一緒に、=Oを表し得る、実施形態46の化合物。
【0094】
実施形態55
5a及びR5bは一緒に、=N=Nを表し得る、実施形態46の化合物。
【0095】
実施形態56
は、
【化23】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0096】
実施形態57
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的に、O、S若しくはNから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、実施形態56の化合物。
【0097】
実施形態58
は、
【化24】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0098】
実施形態59
は、
【化25】
である、実施形態1~40の何れか1つの化合物。
【0099】
実施形態60
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的に、O、S若しくはNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、実施形態59の化合物。
【0100】
実施形態61
は、
【化26】
である、実施形態1~40の何れか1つの化合物。
【0101】
実施形態62
は、
【化27】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0102】
実施形態63
5a及びR6aは、それらが結合している原子と一緒に、任意選択的に、O、S若しくはNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む3~6員環を形成し得る、実施形態62の化合物。
【0103】
実施形態64
は、
【化28】
である、実施形態1~35の何れか1つの化合物。
【0104】
実施形態65
は、H若しくはC1~8アルキルである、実施形態62~64の何れか1つの化合物。
【0105】
実施形態66
は、Hである、実施形態65の化合物。
【0106】
実施形態67
は、-C1~8アルキルである、実施形態65の化合物。
【0107】
実施形態68
は、
【化29】
【化30】
から選択される、実施形態1~2の何れか1つの化合物。
【0108】
実施形態69
は、Fである、実施形態68の化合物。
【0109】
実施形態70
は、Clである、実施形態68又は69の化合物。
【0110】
実施形態71
は、Hである、実施形態1~70の何れか1つの化合物。
【0111】
実施形態72
は、OHである、実施形態1~70の何れか1つの化合物。
【0112】
実施形態73
は、NRである、実施形態1~70の何れか1つの化合物。
【0113】
実施形態74
NRは、NHである、実施形態73の化合物。
【0114】
実施形態75
下記:
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0115】
実施形態76
下記:
【化37】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0116】
実施形態77
下記:
【化38】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩、そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0117】
実施形態78
下記:
【化39】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩、そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0118】
実施形態79
下記:
【化40】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0119】
実施形態80
下記:
【化41】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0120】
実施形態81
下記:
【化42】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0121】
実施形態82
下記:
【化43】
から選択される構造を有する化合物、又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0122】
実施形態83
薬学的に許容される塩の形態にある、実施形態1~80の何れか1つの化合物。
【0123】
実施形態84
実施形態1~83の何れか1つの化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0124】
実施形態85
がんを治療するためのキットであって、実施形態1~84の何れか1つの化合物及び追加の薬学的に活性な化合物を含むキット。
【0125】
実施形態86
がんは、固形腫瘍である、実施形態85のキット。
【0126】
実施形態87
がんは、非小細胞肺がんである、実施形態85のキット。
【0127】
実施形態88
がんは、結腸直腸がんである、実施形態85のキット。
【0128】
実施形態89
がんは、膵臓がんである、実施形態85のキット。
【0129】
実施形態90
がんは、KRAS G12C突然変異がんである、実施形態85のキット。
【0130】
実施形態91
がんは、KRAS G12D突然変異がんである、実施形態85のキット。
【0131】
実施形態92
細胞内でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞を実施形態1~91の何れか1つの化合物と接触させる工程を含む方法。
【0132】
実施形態93
細胞内でKRAS G12Dを阻害する方法であって、細胞を実施形態1~91の何れか1つの化合物と接触させる工程を含む方法。
【0133】
実施形態94
対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、治療有効量の実施形態1~84の何れか1つの化合物を投与する工程を含む方法。
【0134】
実施形態95
がんは、固形腫瘍がんである、実施形態94の方法。
【0135】
実施形態96
がんは、肺がん、膵臓がん、子宮内膜がん、虫垂がん、小腸がん又は結腸直腸がんである、実施形態94の方法。
【0136】
実施形態97
がんは、肺がんである、実施形態96の方法。
【0137】
実施形態98
肺がんは、非小細胞肺がんである、実施形態96の方法。
【0138】
実施形態99
がんは、膵臓がんである、実施形態96の方法。
【0139】
実施形態100
がんは、結腸直腸がんである、実施形態96の方法。
【0140】
実施形態101
がんは、子宮内膜がんである、実施形態96の方法。
【0141】
実施形態102
がんは、虫垂がんである、実施形態96の方法。
【0142】
実施形態103
がんは、小腸がんである、実施形態96の方法。
【0143】
実施形態104
それを必要とする患者に治療有効量の追加の薬学的に活性な化合物を投与する工程をさらに含む、実施形態94の方法。
【0144】
実施形態105
実施形態1~84の何れか1つの化合物は、追加の薬学的に活性な化合物の前に投与される、実施形態104の方法。
【0145】
実施形態106
実施形態1~84の何れか1つの化合物は、追加の薬学的に活性な化合物と同時に投与される、実施形態96の方法。
【0146】
実施形態107
実施形態1~84の何れか1つの化合物は、追加の薬学的に活性な化合物の後に投与される、実施形態96の方法。
【0147】
実施形態108
追加の薬学的に活性な化合物は、抗PD-1アンタゴニストである、実施形態104の方法。
【0148】
実施形態109
抗PD-1アンタゴニストは、ニボルマブである、実施形態108の方法。
【0149】
実施形態110
抗PD-1アンタゴニストは、ペムブロリズマブである、実施形態108の方法。
【0150】
実施形態111
抗PD-1アンタゴニストは、AMG 404である、実施形態108の方法。
【0151】
実施形態112
追加の薬学的に活性な化合物は、MEK阻害剤である、実施形態104の方法。
【0152】
実施形態113
MEK阻害剤は、トラメチニブである、実施形態112の方法。
【0153】
実施形態114
追加の薬学的に活性な化合物は、SHP2阻害剤である、実施形態104の方法。
【0154】
実施形態115
SHP2阻害剤は、RMC-4630である、実施形態114の方法。
【0155】
実施形態116
対象におけるがんを治療するための、実施形態1~84の何れか1つの化合物の使用。
【0156】
実施形態117
がんを治療するための医薬品の調製における、実施形態1~84の何れか1つの化合物。
【0157】
実施形態118
がんは、固形腫瘍である、実施形態116の化合物。
【0158】
実施形態119
実施形態1~83の何れか1つの化合物又は医薬品として使用するための実施形態84の医薬組成物。
【0159】
考えられるハロゲン化剤としては、任意選択的に、触媒、例えば、鉄若しくはアルミニウムの存在下における塩素、臭素、N-クロロスクシンイミド及びN-ブロモスクシンイミドが挙げられるが、これらに限定されない。通常の熟練した合成化学者は、他のハロゲン化剤及び触媒が使用できることを容易に理解するであろう。
【0160】
考えられるアミド化剤としては、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N、N、N’、N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、塩化チオニル、クロロギ酸イソブチル、シアノホスホン酸ジエチル、カルボニルジイミダゾール及びポリホスホン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他のアミド化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0161】
考えられる硫化剤としては、硫黄、五硫化リン及びローソン試薬が挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の硫化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0162】
考えられる酸化剤としては、過酸化水素、ヨードベンゼンジアセテート、t-ブチルヒドロペルオキシド、N-ブロモスクシンイミド及びアンモニウムペルオキソジサルフェートが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の酸化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0163】
考えられる金属化剤としては、ビス(ピナコラト)ジボロン、マグネシウム、亜鉛、ヘキサメチルジスタナン及びn-ブチルリチウムが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の金属化剤及び触媒が使用できることを容易に理解するであろう。
【0164】
考えられる活性化剤としては、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸t-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する合成化学者は、他の活性化剤が使用できることを容易に理解するであろう。
【0165】
考えられるクロスカップリング反応としては、鈴木カップリング、根岸カップリング、檜山カップリング、熊田カップリング及びスティルカップリングが挙げられるが、これらに限定されない。通常の能力を有する化学者は、以下の方法に示されるカップリングが多くの条件下で実施できることを容易に理解するであろう。
【0166】
医薬組成物、投与及び投与経路
本明細書ではまた、例えば、希釈剤又は担体等の薬学的に許容される賦形剤と共に、本明細書に開示した化合物を含む医薬組成物も提供する。本発明での使用に好適な化合物及び医薬組成物としては、化合物がその意図された目的を達成するのに有効な量で投与できるものが挙げられる。化合物の投与について、以下でより詳細に説明する。
【0167】
好適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に応じて当業者が決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1435-712(18th ed.,Mack Publishing Co,Easton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。製剤は、投与される薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボ排出速度に影響を及ぼし得る。投与経路に依存して、好適な用量は、体重、体表面積又は器官サイズに応じて算出され得る。適切な治療用量を決定するために必要である計算の更なる微調整は、特に、本明細書に開示した投与量情報及びアッセイ、並びに動物又はヒトの臨床試験で得られた薬物動態データに照らして、必要以上の実験を行わずに当業者によって日常的に行われる。
【0168】
語句「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与される場合の有害なアレルギー性の又は他の不利な反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用する「薬学的に許容される賦形剤」は、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質に対するこのような賦形剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が治療用組成物と適合しない場合を除いて、治療用組成物中でのその使用が検討される。補助的な活性成分もまた組成物に組み込むことができる。例示的な実施形態では、製剤は、コーンシロップ固形分、高オレイン酸ベニバナ油、ココナッツ油、大豆油、L-ロイシン、第三リン酸カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リシンアセテート、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、第二リン酸カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-トレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L-カルニチン、α-トコフェリルアセテート、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、チアミン塩化物塩酸塩、パルミチン酸ビタミンA、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、β-カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含み得る。
【0169】
化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在することができる。本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」としては、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩が挙げられる。
【0170】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミン等の金属又はアミンと共に形成され得る。化合物の薬学的に許容される塩はまた、薬学的に許容される陽イオンと共に調製され得る。好適な薬学的に許容される陽イオンは、当業者には周知であり、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び第四級アンモニウム陽イオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄等である。好適なアミンの例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
【0171】
薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。好適な酸塩の例としては、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が挙げられる。他の好適な薬学的に許容される塩は、当業者には周知であり、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸若しくはリン酸;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸との;及び天然のタンパク質の合成に関与する20個のαアミノ酸、例えばグルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ酸との、及びまたフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-ジスルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)との又はアスコルビン酸等の他の酸有機化合物との塩が挙げられる。
【0172】
本明細書で開示した化合物を含有する医薬組成物は、従来法において、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0173】
経口投与のために、好適な組成物は、本明細書で開示した化合物と、当該技術分野で周知の担体等の薬学的に許容される賦形剤とを組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような賦形剤及び担体は、治療される患者による経口摂取のために、本発明の化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、本明細書で開示した化合物を固体賦形剤と共に添加する工程、任意選択により、得られた混合物を粉砕する工程、及び錠剤又は糖衣錠コアを得るために、必要に応じて好適な補助剤を加えた後、顆粒混合物を処理する工程により得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、充填剤及びセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて崩壊剤を加えることができる。薬学的に許容される成分は、様々なタイプの製剤について周知されており、例えば結合剤(例えば、天然又は合成ポリマー)、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び香味剤、コーティング剤、保存剤、染料、増粘剤、アジュバント、抗菌剤、抗酸化剤並びに様々な製剤タイプのための担体であり得る。
【0174】
治療有効量の本明細書で開示した化合物が経口投与される場合、組成物は、典型的には、固体(例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末若しくはトローチ)又は液体製剤(例えば、水性懸濁剤、溶液、エリキシル若しくはシロップ)の形態にある。
【0175】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン若しくはアジュバント等の機能性固体及び/又は機能性固体担体をさらに含有することができる。錠剤、カプセル及び粉末は、約1~約95%の化合物、及び好ましくは約15~約90%の化合物を含有することができる。
【0176】
液剤又は懸濁剤の形態で投与される場合、水、石油又は動物若しくは植物起源の油等の機能性液体及び/又は機能性液体担体を加えることができる。組成物の液剤形態は、生理食塩水溶液、糖アルコール溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールをさらに含むことができる。液剤又は懸濁剤の形態で投与する場合、組成物は、約0.5~約90重量%の本明細書に開示した化合物、好ましくは約1~約50%の本明細書に開示した化合物を含有することができる。考えられる一実施形態では、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与では、組成物は、投与の直前に溶解又は懸濁する迅速溶解性固体製剤として供給され得る。
【0177】
治療有効量の本明細書で開示した化合物を静脈、皮膚又は皮下注射によって投与する場合、組成物は、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性、安定性等を十分に考慮した、このような非経口的に許容される溶液の調製は、当該技術分野の範囲内である。静脈、皮膚又は皮下注射用の好ましい組成物は、典型的には、本明細書で開示した化合物に加えて等張性ビヒクルを含有する。そのような組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された水中の遊離塩基又は薬理学的に許容される塩の溶液として投与するために調製され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中並びに油中で分散液を調製することもできる。保存及び使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために任意選択により保存剤を含有することができる。
【0178】
注射用組成物は、無菌の注射用の液剤、懸濁剤又は分散剤を即時に調製するための無菌の水溶液、懸濁液又は分散液及び無菌の粉末を含むことができる。全ての実施形態において、この形態は、無菌でなければならず、且つ容易な注射針通過性が存在する程度まで流体でなければならない。それは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、任意選択により保存剤を含めることにより、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に耐えねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。考えられる一実施形態では、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用、分散液の実施形態において必要とされる化合物の粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。多くの実施形態では、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。
【0179】
無菌の注射用の液剤は、上で列記した種々の必要な他の成分と共に、必要量の活性化合物を適当な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、塩基性分散媒体及び上で列挙した成分からの所望の他の成分を含有する無菌のビヒクルに、滅菌された様々な活性成分を組み込むことによって調製される。無菌の注射用の液剤を調製するための滅菌の粉末の実施形態では、好ましい調製方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を加えた粉末が、予め滅菌濾過したその溶液から得られる、真空乾燥技術及び凍結乾燥技術である。
【0180】
徐放性若しくは持続放出性製剤は、消化管内の体液と接触している活性化合物の制御された放出を行い、且つ血漿中の活性化合物に関して実質的に一定且つ有効なレベルを提供するためにも調製され得る。例えば、放出は、溶解、拡散及びイオン交換の1つ以上によって制御することができる。さらに、徐放性アプローチは、消化管内の可飽和経路又は制限経路を介した吸収を増強し得る。例えば、化合物は、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物と、任意選択により好適な界面活性剤とのポリマーマトリックスに包埋され得る。包埋とは、これに関連して、ポリマーのマトリックス中に微粒子を組み込むことを意味することができる。制御放出製剤は、既知の分散又はエマルジョンコーティング技術を介する分散微粒子又は乳化微小液滴のカプセル化によっても得られる。
【0181】
吸入による投与では、本発明の化合物は、好適な噴射剤を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提供の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの実施形態では、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプン等の好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0182】
本明細書で開示した化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続注入による)非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤を添加した単位剤形(例えば、アンプル又は多用量容器)で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又は乳剤等の形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の製剤化剤を含有することができる。
【0183】
非経口投与のための医薬製剤には、水溶性形態の化合物の水溶液が含まれる。さらに、化合物の懸濁剤は、適切な油性注射懸濁剤として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油又は合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意選択的に、懸濁剤は、化合物の溶解度を増加させ、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする好適な安定剤又は薬剤も含有し得る。代わりに、本発明の組成物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態であり得る。
【0184】
本明細書で開示した化合物は、坐薬又は停留浣腸(例えば、従来の坐薬基剤を含有する)等の直腸用組成物に製剤化することもできる。先述した製剤に加えて、化合物は、デポ剤として製剤化することもできる。このような長時間作用の製剤は、(例えば、皮下又は筋肉内)注入によって、又は筋肉内注射によって投与することができる。従って、例えば、化合物は、好適なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)又はイオン交換樹脂で製剤化することができる、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性の塩として製剤化することができる。
【0185】
特に、本明細書で開示した化合物は、デンプン若しくはラクトース等の賦形剤を含有する錠剤の形態において、又は単独で若しくは賦形剤との混合物のカプセル若しくはオビュール剤において、又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁液の形態において経口、口腔内又は舌下投与され得る。そのような液体製剤は、懸濁化剤等の薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。化合物は、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下又は冠動脈内に注射することもできる。非経口投与のために、化合物は、溶液を血液と等張にするために、他の物質、例えば塩又はマンニトール若しくはグルコース等の糖アルコールを含有することができる無菌水溶液の形態で最もよく使用される。
【0186】
獣医学的使用のために、本明細書で開示した化合物は、通常の獣医学的な実践に従い、適切に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物に最も適切な投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。
【0187】
幾つかの実施形態では、KRAS関連障害の治療において、本明細書で開示した化合物を単独で、又はそのような疾患の治療のために従来使用される別の薬剤若しくは介入と組み合わせて使用する、そのような治療に必要な全ての成分は、キットにパッケージ化することができる。具体的には、本発明は、疾患の治療介入で使用するための、パッケージ化された医薬品のセットを含むキットであって、本明細書で開示した化合物、並びに前記医薬品の送達可能な形態を調製するための緩衝液及び他の構成要素、及び/又はそうした医薬品を送達するためのデバイス、及び/又は組み合わせ療法において本明細書で開示した化合物と共に使用される任意の作用剤、及び/又は医薬品と共にパッケージ化された疾患治療のための説明書、を含むキットを提供する。説明書は、印刷された紙又はコンピュータ可読の磁気若しくは光学媒体等の任意の有形媒体に固定されるか、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブのページ等のリモートコンピュータのデータソースを参照する説明書であり得る。
【0188】
「治療有効量」は、治療される対象の現存する症状を治療するか、又は進行を防止するか、又は軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に照らせば、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、「治療有効用量」は、所望の効果をもたらす化合物の量を指す。例えば、好ましい一実施形態では、本明細書に開示した化合物の治療有効量は、KRAS活性を、対照と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。
【0189】
投与される化合物の量は、治療される対象、対象の年齢、健康、性別及び体重、組み合わせ治療(存在する場合)の種類、苦痛の重症度、所望の効果の性質、治療の様式及び頻度並びに処方医師の判断に依存し得る。投与の頻度は、動脈の酸素圧力に対する薬力学的効果にも依存し得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、必要以上の実験を行うことなく当業者によって理解され、決定できるように、個々の対象に合わせて調整することができる。これは、通常、標準用量の調節(例えば、患者が軽量体重である場合の用量の低減)を含む。
【0190】
個々のニーズは、様々であるが、化合物の有効量の最適範囲の決定は、当該技術分野の技術の範囲内である。本明細書で特定される病態及び障害の根治的又は予防的処置におけるヒトへの投与では、例えば、本発明の化合物の典型的な投与量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.08mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg又は少なくとも0.5mg/kg、及び好ましくは50mg/kg以下、40mg/kg以下、30mg/kg以下、20mg/kg以下又は10mg/kg以下であり得、これは、例えば、約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であり得る。例えば、化合物の投与量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、約3mg/日~約1000mg/日、約5mg/日~約500mg/日、約10mg/日~約200mg/日、約3mg/日~約100mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であり得る。このような用量は、単回用量で投与され得るか、又は複数回用量に分割され得る。
【0191】
KRAS G12C阻害剤を使用する方法
本開示は、RAS媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞を、有効量の本明細書に開示した1つ以上の化合物と接触させることを含む方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、当該技術分野において公知の多様な方法によって評価し、実証することができる。非限定的な例としては、(a)RASのGTPアーゼ活性の減少;(b)GTP結合親和性の減少若しくはGDP結合親和性の増加;(c)GTPのKoffの増加若しくはGDPのKoffの減少;(d)pMEK、pERK若しくはpAKTのレベルの減少等、RAS経路下流のシグナル伝達分子のレベルの減少;及び/又は(e)Rafを含むが、これに限定されない下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の減少を示すことが挙げられる。上記の1つ以上を決定するために、キット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0192】
本開示は、G12C KRAS、G12D KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異の影響で生じる病態(例えば、がん)を含むが、これに限定されない疾患状態を治療するために本開示の化合物又は医薬組成物を使用する方法も提供する。
【0193】
幾つかの実施形態では、がんを治療する方法が提供され、この方法は、有効量の本明細書に開示した化合物を含む前述の医薬組成物の何れかを、それを必要とする対象に投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、がんは、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異によって媒介される。様々な実施形態において、がんは、膵臓がん、結腸直腸がん又は肺がんである。幾つかの実施形態では、がんは、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんである。
【0194】
幾つかの実施形態では、本開示は、障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、前記方法は、対象がKRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異を有しているかどうかを決定することを含み、対象がKRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異を有していると決定された場合、対象に、本明細書に開示した少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効用量を投与する工程を含む。
【0195】
本明細書に開示した化合物は、足場非依存性の細胞増殖を阻害し、従って腫瘍転移を阻害する可能性を有する。従って、別の実施形態では、本開示は、腫瘍転移を阻害する方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に開示した化合物を投与する工程を含む。
【0196】
KRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異は、血液悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒すがん)でも確認されている。従って、特定の実施形態は、血液悪性腫瘍の治療を必要とする患者への、本明細書に開示した化合物(例えば、医薬組成物の形態で)の投与を対象とする。そのような悪性腫瘍には、白血病及びリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に開示した化合物は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病等の疾患の治療に使用することができる。他の実施形態では、化合物は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の全てのサブタイプ等のリンパ腫の治療に有用である。様々な実施形態では、化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症等の形質細胞悪性腫瘍の治療に有用である。
【0197】
腫瘍又はがんがG12C KRAS、HRAS若しくはNRAS突然変異又はG12D KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異を含むかどうかの決定は、KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異体タンパク質の特性を評価することにより行うことができる。野生型のヒトKRAS、HRAS若しくはNRASの配列は、当該技術分野で知られている(例えば、アクセッション番号NP203524)。
【0198】
KRAS、HRAS若しくはNRASのヌクレオチド配列の突然変異を検出する方法は、当業者に周知である。これらの方法としては、以下に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、直接シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型判定アッセイ、高解像度融解アッセイ及びマイクロアレイ分析が挙げられる。幾つかの実施形態では、試料は、リアルタイムPCRにより、G12C若しくはG12D KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。幾つかの実施形態では、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの突然変異は、KRAS、HRAS若しくはNRASの遺伝子中の特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)の直接シークエンシング法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る突然変異を全て同定する。
【0199】
KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質における突然変異を検出する方法は、当業者には公知である。これらの方法は、突然変異体タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロット並びにペプチドの直接シークエンシングを使用する、KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異体の検出を含むが、これらに限定されない。
【0200】
腫瘍又はがんがG12C若しくはG12D KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異を含むかどうかを決定する方法には、様々な試料を使用することができる。幾つかの実施形態では、試料は、腫瘍又はがんを有する対象から採取される。幾つかの実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/がん試料である。幾つかの実施形態では、試料は、冷凍された腫瘍/がん試料である。幾つかの実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である。幾つかの実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)試料である。幾つかの実施形態では、試料を処理して細胞溶解物にされる。幾つかの実施形態では、試料を処理してDNA又はRNAにされる。
【0201】
本開示は、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の本明細書に開示した化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む方法にも関する。幾つかの実施形態では、前記方法は、固形腫瘍がん、急性骨髄性白血病、青年期のがん、小児副腎皮質癌、AIDS関連がん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、CNSがん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓がん、肝がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、喉頭がん、口唇及び口腔がん、肝臓がん、上皮内小葉癌(LCIS)、肺がん、リンパ腫、再発した原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、正中線癌、口腔がん(mouth cnacer)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、口腔がん(oral cancer)、口唇及び口腔がん、中咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(pharyngeal cancer)、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃(stomach)(胃(gastric))がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん(throat cancer)、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行上皮がん、絨毛性腫瘍、小児の異常がん、尿膜管がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、又はウイルス誘発がん等のがんに罹患した対象の治療に関する。幾つかの実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))等の非がん性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0202】
幾つかの実施形態では、治療するための方法は、肺がんを治療することに向けられ、この方法は、それを必要とする対象に、有効量の上記で説明した化合物(又はこの化合物を含む医薬組成物)の何れかを投与する工程を含む。所定の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺癌(NSCLC)であり、例えば腺癌、扁平上皮細胞肺癌又は大細胞肺癌である。幾つかの実施形態では、肺がんは、小細胞肺癌である。本明細書に開示した化合物により治療可能な他の肺がんとしては、腺管腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
本開示は、G12C及び/又はG12D突然変異型KRAS、HRAS若しくはNRASのタンパク質活性を調節する方法であって、有効量の本開示の化合物とそのタンパク質を接触させることにより調節する方法をさらに提供する。調節により、タンパク質の活性を阻害又は活性化することができる。幾つかの実施形態では、本開示は、G12C及び/又はG12D突然変異型KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質を有効量の溶液中の本開示の化合物と接触させることにより、タンパク質の活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、目的のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させることにより、G12C若しくはG12D突然変異型KRAS、HRAS若しくはNRASのタンパク質活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、齧歯動物及び哺乳動物(例えば、ヒト)を含むが、これらに限定されない対象に、有効量の本開示の化合物を投与することにより、対象のタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態では、調節のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。幾つかの実施形態では、阻害のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。
【0204】
幾つかの実施形態では、本開示は、細胞内でのKRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性を前記細胞内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記細胞とを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、組織内でのKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性を前記組織内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記組織とを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、器官内でのKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性を前記器官内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記器官とを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、動物内でのKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性を前記動物内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記動物とを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、哺乳動物内でのKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性を前記哺乳動物内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記哺乳動物とを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。幾つかの実施形態では、本開示は、ヒトの体内におけるKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性の阻害方法であって、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12C若しくはG12Dの活性を前記ヒトの体内で阻害するのに十分な量の本開示の化合物と、前記ヒトとを接触させることによる活性の阻害方法を提供する。本開示は、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの活性によって媒介される疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象の疾患を治療する方法を提供する。本開示は、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Dの活性によって媒介される疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象の疾患を治療する方法を提供する。
【0205】
組み合わせ療法:
本開示はまた、他の経路、若しくは同じ経路の他の成分を調節することが知られている薬剤、又は標的酵素の重複するセットさえも、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される、組み合わせ療法の方法を提供する。一態様では、そのような治療には、相乗的又は相加的な治療効果をもたらすための、本開示の1つ以上の化合物と、化学療法剤、治療抗体及び放射線治療との組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、方法はさらに、それを必要とする患者に治療有効量の追加の薬学的に活性な化合物を投与する工程を含む。別の態様では、本方法は、少なくとも1種の追加の薬学的に活性な化合物の投与の前に本発明の化合物を投与する工程を含む。別の態様では、本方法は、少なくとも1種の追加の薬学的に活性な化合物の投与と同時に本発明の化合物を投与する工程を含む。別の態様では、本方法は、少なくとも1種の追加の薬学的に活性な化合物の投与の後に本発明の化合物を投与する工程を含む。
【0206】
現在、多くの化学療法剤が当該技術分野で知られており、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。幾つかの実施形態では、化学療法剤は、分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤、及び抗アンドロゲン剤から成る群から選択される。非限定的な例は、化学療法剤、細胞毒性剤及び非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシレート)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、ベネトクラクス、及びアドリアマイシン並びに化学療法剤のホストである。化学療法剤の非限定的な例としては、チオテパ及びシクロスホスファミド(CYTOXAN(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメルアミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、酸化メクロルエタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等の抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクシウリジン等のピリミジン類似体、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎;フロリン酸等の葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0207】
また、好適な化学療法細胞調節剤として含まれているのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するために作用する、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲン等の抗ホルモン剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ルプロリド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等のプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポサイド(VP-16);イホスファミド;ミトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。
【0208】
所望であれば、本開示の化合物若しくは医薬組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異的抗腫瘍剤、ジクロロ酢酸、ジスコデルモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エクサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダール、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントーン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタキセル、PAC-1、ポーポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126又はゾスキダル等の一般に処方されている抗がん剤と組み合わせて使用することができる。
【0209】
本開示はさらに、哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害するために、又は過剰増殖性障害を治療するために、放射線療法と組み合わせて、本明細書で提供する化合物又は医薬組成物を使用する方法に関する。放射線療法を施すための手法は、当該技術分野で公知であり、それらの手法は、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用することができる。この組み合わせ療法における本開示の化合物の投与は、本明細書に記載したように決定することができる。
【0210】
放射線療法は、外部ビーム療法、内部放射線療法、移植片照射、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的若しくは一時的組織内小線源療法を含む、数種の方法のうちの1つ、又はこれらの方法の組み合わせによって施すことができるが、これらに限定されない。本明細書で使用する用語「小線源療法」は、腫瘍若しくは他の増殖性組織疾患部位の、又はその付近で身体に挿入された、空間的に制限された放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32及びLuの放射性同位体)への曝露を含むことが意図されているが、これらに限定されない。本開示の細胞調節剤として使用するための好適な放射線源は、固体及び液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125等の放射性核種、又は光子、β粒子、γ線若しくは他の治療線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えばI-125若しくはI-131の溶液から作製される流体であり得るか、又は放射性流体は、Au-198、Y-90等の固体放射性核種の微小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のミクロスフェアとして具体化することができる。
【0211】
本開示の化合物又は医薬組成物は、抗血管形成剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、解糖阻止剤又はオートファジー阻害剤から選択されるある量の1つ以上の物質と組み合わせて使用することができる。
【0212】
MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤等の抗血管形成剤は、本開示の化合物及び本明細書に記載した医薬組成物と共に使用することができる。抗血管形成剤としては、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブが含まれる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、アレコキシブ、バルデコキシブ及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット、同第96/27583号パンフレット、欧州特許第0818442号明細書、同第1004578号明細書、国際公開第98/07697号パンフレット、同第98/03516号パンフレット、同第98/34918号パンフレット、同第98/34915号パンフレット、同第98/33768号パンフレット、同第98/30566号パンフレット、欧州特許第606046号明細書、同第931788号明細書、国際公開第90/05719号パンフレット、同第99/52910号パンフレット、同第99/52889号パンフレット、同第99/29667号パンフレット、同第99/007675号パンフレット、欧州特許第1786785号明細書、同第1181017号明細書、米国特許出願公開第20090012085号明細書、米国特許第5,863,949号明細書、同第5,861,510号明細書及び欧州特許第0780386号明細書に記載されており、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性をほとんど又は全く有しないものである。より好ましいのは、他のマトリックス-メタロプロテイナーゼ(即ちMAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)に比して、MMP-2及び/又はAMP-9を選択的に阻害するものである。本開示において有用なMMP阻害剤の幾つかの特定の例は、AG-3340、RO32-3555及びRS13-0830である。
【0213】
本化合物はまた、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、ARGLABIN、亜ヒ酸、BAM 002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼップ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンα、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンβ、エトポシドリン酸塩、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、フドラビンリン酸塩、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガミシン、ジメラシル/オテラシル/テガフルの組み合わせ、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児αフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン(イミキモド、インターフェロンα、インターフェロンα、天然インターフェロンα-2、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-N1、インターフェロンα-n3、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンα、天然インターフェロンβ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、天然インターフェロンγ-1a、天然インターフェロンγ-1b、インターロイキン-1β、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC 9018(ヤクルト)、レフルノミド、レノグラスティム、レンチナン硫酸塩、レトロゾール、ロイコサイトαインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスティム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスティム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成促進タンパク質、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパーガゼ、ペグインターフェロンα-2b、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギアンチチモサイトポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンα-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント、レニウムRe 186エチドロネート、RIIレチナミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、サルグラモチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化ストロンチウム-89、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンα、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、腫瘍壊死因子α、天然ウベニメックス、膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、メラノーマ溶解液ワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスティマラマー若しくはゾレドロン酸;アバレリクス;AE 941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC 8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デクスアミノグルテチミド、ジアジコン、EL 532(Elan)、EM 800(Endorecherche)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17イムノゲン、HLA-B7遺伝子治療(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM 862(Cytran)、インターロイキン-2、イプロキシフェン、LDI 200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA 125 MAb(Biomira)、がんMAb(日本薬品開発株式会社)、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イディオティピック105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオティピックCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techniclone)、多型性上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX 6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P 30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、がんワクチン(Biomira)、メラノーマワクチン(New York University)、メラノーマワクチン(Sloan Kettering Institute)、メラノーマ腫瘍崩壊物ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性メラノーマ細胞溶解液ワクチン(Royal Newcastle Hospital)又はバルスポダール等の他の抗がん薬との組み合わせ療法でも使用され得る。
【0214】
本発明の化合物は、VEGFR阻害剤と共にさらに使用され得る。以下の特許及び特許出願:米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、同第6,515,004号明細書、同第6,713,485号明細書、同第5,521,184号明細書、同第5,770,599号明細書、同第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、同第02/66470号パンフレット、同第02/55501号パンフレット、同第04/05279号パンフレット、同第04/07481号パンフレット、同第04/07458号パンフレット、同第04/09784号パンフレット、同第02/59110号パンフレット、同第99/45009号パンフレット、同第00/59509号パンフレット、同第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレット及び同第00/02871号パンフレットに記載の他の化合物は、組み合わせ療法において使用することができる。
【0215】
幾つかの実施形態では、組み合わせは、少なくとも1種の抗血管形成剤と組み合わせた本発明の組成物を含む。薬剤は、インビトロで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種並びにそれらの組合わせ及び抱合体を含むが、これらに限定されない。薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的を阻害又は刺激(例えば、受容体若しくは酵素の活性化又は阻害)するように作用し得、それにより細胞死を促進するか又は細胞増殖を停止し得る。
【0216】
例示的な抗血管形成剤には、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)、AVASTIN(商標)若しくはVEGF-TRAP(商標)等の抗VEGF剤(例えば、VEGF又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗VEGF受容体薬(例えば、それに特異的に結合する、抗体又は抗原結合領域)、Vectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)等のEGFR阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Ang1及び抗Ang2剤(例えば、それらに又はそれらの受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する、抗体又は抗原結合領域)及び抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。本発明の医薬組成物はまた、特異的に結合し、増殖因子の活性を阻害する1つ以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えば、受容体「c-met」に特異的に結合する肝細胞増殖因子(HGF、散乱因子としても知られる)のアンタゴニスト及び抗体又は抗原結合領域等を含むことができる。
【0217】
他の抗血管形成剤には、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(Cerettiら、米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域又は可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMジスインテグリンドメイン(Fanslowら、米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的に結合する抗eph受容体及び/若しくは抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;同第5,728,813号明細書;同第5,969,110号明細書;同第6,596,852号明細書;同第6,232,447号明細書;同第6,057,124号明細書及びそれらの特許ファミリーのメンバー)及び抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域及びPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0218】
さらなる抗血管形成/抗腫瘍剤には、以下の:SD-7784(Pfizer、USA);シレンギチド(Merck KGaA、Germany、EPO 770622);ペガプタニブ八ナトリウム(Gilead Sciences、USA);アルファスタチン(Alphastatin)(BioActa、UK);M-PGA(Celgene、USA、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット(Arriva、USA、米国特許第5892112号明細書);エマキサニブ(emaxanib)(Pfizer、USA、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ(Novartis、Switzerland);2-メトキシエストラジオール(EntreMed、USA);TLC ELL-12(Elan、Ireland);酢酸アネコルタブ(Alcon、USA);α-D148 Mab(Amgen、USA);CEP-7055(Cephalon、USA);抗Vn Mab(Crucell、Netherlands)DAC:抗血管新生剤(ConjuChem、Canada);アンギオシジン(Angiocidin)(InKine Pharmaceutical、USA);KM-2550(協和発酵バイオ、日本);SU-0879(Pfizer、USA);CGP-79787(Novartis、Switzerland、欧州特許第970070号明細書);ARGENT technology(Ariad、USA);YIGSR-Stealth(Johnson&Johnson、USA);フィブリノゲンE断片(BioActa、UK);血管新生阻害薬(Trigen、UK);TBC-1635(Encysive Pharmaceuticals、USA);SC-236(Pfizer、USA);ABT-567(Abbott、USA);メタスタチン(EntreMed、USA);血管新生阻害薬(Tripep、Sweden);マスピン(そーせいグループ、日本);2-メトキシエストラジオール(Oncology Sciences Corporation、USA);ER-68203-00(IVAX、USA);ベネフィン(Lane Labs、USA);Tz-93(ツムラ、日本);TAN-1120(武田薬品工業、日本);FR-111142(藤沢薬品工業、日本、日本特許第02233610号公報);血小板因子4(RepliGen、USA、欧州特許第407122号明細書);血管内皮増殖因子アンタゴニスト(Borean、Denmark);ベバシズマブ(pINN)(Genentech、USA);血管新生阻害薬(SUGEN、USA);XL 784(Exelixis、USA);XL 647(Exelixis、USA);第2世代MAb、α5β3インテグリン(Applied Molecular Evolution、USA及びMedImmune、USA);網膜症の遺伝子療法(Oxford BioMedica、UK);エンザスタウリン塩酸塩(USAN)(Lilly、USA);CEP7055(Cephalon、USA及びSanofi-Synthelabo、France);BC 1(Genoa Institute of Cancer Research、Italy);血管新生阻害薬(Alchemia、Australia);VEGFアンタゴニスト(Regeneron、USA);rBPI 21及びBPI由来抗血管新生剤(XOMA、USA);PI 88(Progen、Australia);シレンギチド(pINN)(Merck KGaA、German;Munich Technical University、Germany、Scripps Clinic and Research Foundation、USA);セツキシマブ(INN)(Aventis、France);AVE 8062(味の素、日本);AS 1404(Cancer Research Laboratory、New Zealand);SG 292(Telios、USA);エンドスタチン(Boston Childrens Hospital、USA);ATN 161(Attenuon、USA);アンジオスタチン(Boston Childrens Hospital、USA);2-メトキシエストラジオール(Boston Childrens Hospital、USA);ZD 6474(AstraZeneca、UK);ZD 6126(Angiogene Pharmaceuticals、UK);PPI 2458(Praecis、USA);AZD 9935(AstraZeneca、UK);AZD 2171(AstraZeneca、UK);バタラニブ(pINN)(Novartis、Switzerland及びSchering AG、Germany);組織因子経路阻害剤(EntreMed、USA);ペガプタニブ(Pinn)(Gilead Sciences、USA);キサントリゾール(Yonsei University、South Korea);遺伝子に基づくワクチン、VEGF-2(Scripps Clinic and Research Foundation、USA);SPV5.2(Supratek、Canada);SDX 103(University of California at San Diego、USA);PX 478(ProlX、USA);メタスタチン(EntreMed、USA);トロポニンI(Harvard University、USA);SU 6668(SUGEN、USA);OXI 4503(OXiGENE、USA);o-グアニジン(Dimensional Pharmaceuticals、USA);モツポラミンC(British Columbia University、Canada);CDP 791(Celltech Group、UK);アチプリモド(pINN)、(GlaxoSmithKline、UK);E 7820(エーザイ、日本);CYC 381(Harvard University、USA);AE 941(Aeterna、Canada);ワクチン、血管新生(EntreMed、USA);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤阻害薬(Dendreon、USA);オグルファニド(pINN)(Melmotte、USA);HIF-1α阻害薬(Xenova、UK);CEP 5214(Cephalon、USA);BAY RES 2622(Bayer、Germany);アンギオシジン(Angiocidin)(InKine、USA);A6(Angstrom、USA);KR 31372(Korea Research Institute of Chemical Technology、South Korea);GW 2286(GlaxoSmithKline、UK);EHT 0101(ExonHit、France);CP 868596(Pfizer、USA);CP 564959(OSI、USA);CP 547632(Pfizer、USA);786034(GlaxoSmithKline、UK);KRN 633(キリンビール、日本);薬物送達系、眼内、2-メトキシエストラジオール(EntreMed、USA);アンジネックス(Maastricht University、Netherlands及びMinnesota University、USA);ABT 510(Abbott、USA);AAL 993(Novartis、Switzerland);VEGI(ProteomTech、USA);腫瘍壊死因子α阻害薬(National Institute on Aging、USA);SU 11248(Pfizer、USA及びSUGEN USA);ABT 518(Abbott、USA);YH16(Yantai Rongchang、China);S-3APG(Boston Childrens Hospital、USA及びEntreMed、USA);MAb、KDR(ImClone Systems、USA);MAb、α5β1(Protein Design、USA);KDRキナーゼ阻害薬(Celltech Group、UK及びJohnson&Johnson、USA);GFB 116(South Florida University、USA及びYale University、USA);CS 706(三共、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ(Arizona State University、USA);コンドロイチナーゼAC(IBEX、Canada);BAY RES 2690(Bayer、Germany);AGM 1470(Harvard University、USA、武田薬品工業、日本、及びTAP、USA);AG 13925(Agouron、USA);テトラチオモリブデン酸塩(University of Michigan、USA);GCS 100(Wayne State University、USA)CV 247(Ivy Medical、UK);CKD 732(Chong Kun Dang、South Korea);MAb、血管内皮増殖因子(Xenova、UK);イルソグラジン(INN)(日本新薬、日本);RG 13577(Aventis、France);WX 360(Wilex、Germany);スクアラミン(pINN)(Genaera、USA);RPI 4610(Sirna、USA);がん療法(Marinova、Australia);ヘパラナーゼ阻害薬(InSight、Israel);KL 3106(Kolon、South Korea);ホノキオール(Emory University、USA);ZK CDK(Schering AG、Germany);ZK Angio(Schering AG、Germany);ZK 229561(Novartis、Switzerland、及びSchering AG、Germany);XMP 300(XOMA、USA);VGA 1102(大正製薬、日本);VEGF受容体調節剤(Pharmacopeia、USA);VE-カドヘリン-2アンタゴニスト(ImClone Systems、USA);バソスタチン(National Institutes of Health、USA);ワクチン、Flk-1(ImClone Systems、USA);TZ 93(ツムラ、日本);タムスタチン(Beth Israel Hospital、USA);切断可溶性FLT1(血管内皮増殖因子受容体1)(Merck&Co、USA);Tie-2リガンド(Regeneron、USA);及びトロンボスポンジン1阻害薬(Allegheny Health,Education and Research Foundation、USA)が含まれる。
【0219】
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4イミダゾール-カルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPの類似体、並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチン等のcAMPレベルを上昇させる薬物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ATG5(オートファジーに関与する)を含むが、これに限定されない、タンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも使用され得る。
【0220】
がんの治療に用いることができ、且つ本発明の1つ以上の化合物と組み合わせて使用することのできる追加の薬学的に活性な化合物/薬剤としては、エポエチンα;ダルベポエチンα;パニツムマブ;ペグフィルグラスチム;パリフェルミン;フィルグラスチム;デノスマブ;アンセスチム;AMG 102;AMG 386;AMG 479;AMG 655;AMG 745;AMG 951;及びAMG 706又はこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0221】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、化学療法剤と組み合わせて投与される。好適な化学療法剤は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンオレルビン)等の天然産物、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン並びにクロラムブシル)等の抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、CDK阻害剤(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638及びSCH727965)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及び類似体、並びにストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジン(DTIC)、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)等の抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン及びレトロゾール)、及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸アピシダン、ボリノスタット、LBH 589、ロミデプシン、ACY-1215及びパノビノスタット)、mTor阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えば、Array 520)、DNA結合剤(例えば、ザリプシス)、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kデルタ及びガンマ阻害剤(例えば、CAL-130)、マルチキナーゼ阻害剤(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)、及び黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)等のホルモンアゴニスト、BAFF中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害剤(例えば、GRN 163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38))、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば、17 AAG及びKOS 953)、P13K/Akt阻害剤(例えば、ペリフォシン)、Akt阻害剤(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害薬(例えば、エンザスタウリン)、FTI(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異的キナーゼ阻害剤(例えば、INK128)、キナーゼ阻害剤(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的剤(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害剤(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えば、CYT387)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ及びベリパリブ(ABT-888))、BCL-2アンタゴニストを含み得る。他の化学療法剤は、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ又は上記の任意の類似体若しくは誘導変異体を含み得る。
【0222】
本発明の化合物は、当業者によく知られている放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と組み合わせても使用され得る。
【0223】
所定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、ステロイドと組み合わせて投与される。好適なステロイドは、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド並びにそれらの塩及び/又は誘導体を含み得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明の化合物は、悪心を治療する追加の薬学的に活性な薬剤と組み合わせても使用され得る。悪心を治療するために使用され得る薬剤の例としては、次の:ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0224】
本発明の化合物はまた、RAS-RAF-ERK若しくはPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断させるか又は阻害する追加の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用され得る。他のそのような組合せにおいて、追加の薬学的に活性な化合物は、PD-1及びPD-L1アンタゴニストである。本開示の化合物又は医薬組成物はまた、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、(RMC-4630)等のSHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤、並びにモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1、及び抗OX40剤を含む免疫療法、GITRアゴニスト、CAR-T細胞、並びにBiTEから選択されるある量の1つ以上の物質と組み合わせて使用され得る。
【0225】
EGFR阻害剤には、小分子アンタゴニスト、抗体阻害剤又は特異的アンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNAが含まれるが、これらに限定されない。EGFRの有用な抗体阻害剤には、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブが含まれる。EGFRの小分子アンタゴニストには、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)及び最近ではラパチニブ(TykerB)が含まれる。例えば、Yan L,et.al.,Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development,BioTechniques 2005;39(4):565-8及びPaez J G,et.al.,EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy,Science 2004;304(5676):1497-500を参照されたい。
【0226】
小分子EGFR阻害剤の非限定的な例としては、以下の:1992年12月30日に公開された欧州特許出願公開第520722号明細書;1993年10月20日に公開された欧州特許出願公開第566226号明細書;1996年10月31日に公開された国際公開第96/33980号パンフレット;1998年5月5日発行の米国特許第5,747,498号明細書;1996年10月3日公開の国際公開第96/30347号パンフレット;1997年8月6日公開の欧州特許出願公開第787772号明細書;1997年8月21日公開の国際公開第97/30034号パンフレット;1997年8月21日公開の同第97/30044号パンフレット;1997年10月23日公開の同第97/38994号パンフレット;1997年12月31日公開の同第97/49688号パンフレット;1998年4月22日公開の欧州特許出願公開第837063号明細書;1998年1月22日公開の国際公開第98/02434号パンフレット;1997年10月23日公開の同第97/38983号パンフレット;1995年7月27日公開の同第95/19774号パンフレット;1995年7月27日公開の同第95/19970号パンフレット;1997年4月17日公開の同第97/13771号パンフレット;1998年1月22日公開の同第98/02437号パンフレット;1998年1月22日公開の同第98/02438号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32881号パンフレット;1998年1月29日公開の独国特許出願公開第19629652号明細書;1998年8月6日公開の国際公開第98/33798号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32880号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32880号パンフレット;1995年11月15日公開の欧州特許出願公開第682027号明細書;197年1月23日公開の国際公開第97/02266号パンフレット;1997年7月31日公開の同第97/27199号パンフレット;1998年2月26日公開の同第98/07726号パンフレット;1997年9月25日公開の同第97/34895号パンフレット;1996年10月10日公開の同第96/31510号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14449号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14450号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14451号パンフレット;1995年4月13日公開の同第95/09847号パンフレット;1997年5月29日公開の同第97/19065号パンフレット;1998年4月30日公開の同第98/17662号パンフレット;1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,427号明細書;1997年7月22日に発行された同第5,650,415号明細書;1997年8月12日に発行された同第5,656,643号明細書;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35146号パンフレット;1999年7月15日に公開された同第99/35132号パンフレット;1999年2月18日に公開された同第99/07701号パンフレット;及び1992年11月26日に公開された同第92/20642号パンフレットに記載されているEGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の薬学的に許容される全ての塩及び溶媒和物の何れかが挙げられる。小分子EGFR阻害剤の追加の非限定的な例としては、Traxler,P.,1998,Exp.Opin.Ther.Patents 8(12):1599-1625に記載されたEGFR阻害剤の何れかが挙げられる。
【0227】
抗体系EGFR阻害剤には、その天然のリガンドによりEGFR活性化を部分的に又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体若しくは抗体断片が含まれる。抗体系EGFR阻害剤の非限定的な例としては、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang,S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang,X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されているものが挙げられる。従って、EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang,1999、上記)、又はMab C225(ATCCアクセッション番号HB-8508)、又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体断片であり得る。
【0228】
MEK阻害剤としては、トラメチニブ(Mekinist(登録商標))、CI1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886、ARRY438162及びPD325901が挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
PI3K阻害剤としては、ワートマニン、国際公開第06/044453号パンフレットに記載された17-ヒドロキシワートマニン類似体、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られており、国際公開第09/036,082号パンフレット及び同第09/055,730号パンフレットに記載されている)、2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(BEZ 235又はNVP-BEZ 235としても知られており、国際公開第06/122806号パンフレットに記載されている)、(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(国際公開第2008/070740号パンフレットに記載されている)、LY294002(Axon Medchemから入手可能である2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オン)、PI 103塩酸塩(Axon Medchemから入手可能である3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール塩酸塩)、PIK 75(Axon Medchemから入手可能であるN’-[(1E)-(6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-N,2-ジメチル-5-ニトロベンゼンスルホノ-ヒドラジド塩酸塩)、PIK 90(Axon Medchemから入手可能であるN-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド)、GDC-0941ビスメシル酸塩(Axon Medchemから入手可能である2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジンビスメシル酸塩)、AS-252424(Axon Medchemから入手可能である5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メト-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)、及びTGX-221(Axon Medchemから入手可能である7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン)、XL-765及びXL-147が挙げられるが、これらに限定されない。他のPI3K阻害剤としては、デメトキシビリジン、ペリフォシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、パロミド529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TG100-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907及びAEZS-136が挙げられる。
【0230】
AKT阻害剤としては、Akt-1-1(Akt1を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2),399-408);Akt-1-1,2(Ak1及び2を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2),399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号パンフレット);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号明細書;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 Suppl),3493S-3498S);ペリフォシン(例えば、Aktの膜局在化を妨げる;Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15),5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);及びトリシリビン(TCN若しくはAPI-2又はNCI識別子:NSC 154020;Yang et al.(2004)Cancer Res.64,4394-9)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
TOR阻害剤としては、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合型TORC1/TORC2阻害剤(PI-103、PP242、PP30及びトリン1を含む)を含む阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。FKBP12エンハンサー中の他のTOR阻害剤;以下の:CCI-779(テムシロリムス)、RAD001(エベロリムス;国際公開第9409010号パンフレット)及びAP23573;ラパログ、例えば国際公開第98/02441号パンフレット及び同第01/14387号パンフレットで開示されているもの、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(CC1779とも呼ばれる)、40-エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる)、32-デオキソラパマイシン、16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパニシン(dihydrorapanycin)及び国際公開第05005434号パンフレットで開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号明細書、国際公開第94/090101号パンフレット、同第92/05179号パンフレット、米国特許第5,118,677号明細書、同第5,118,678号明細書、同第5,100,883号明細書、同第5,151,413号明細書、同第5,120,842号明細書、国際公開第93/111130号パンフレット、同第94/02136号パンフレット、同第94/02485号パンフレット、同第95/14023号パンフレット、同第94/02136号パンフレット、同第95/16691号パンフレット、同第96/41807号パンフレット、同第96/41807号パンフレット及び米国特許第5,256,790号明細書で開示されている誘導体;リン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05016252号パンフレット);4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体(例えば、米国仮特許出願第60/528,340号明細書)を含むラパマイシン及びその誘導体。
【0232】
MCl-1阻害剤としては、AMG-176、MIK665及びS63845が挙げられるが、これらに限定されない。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍進行に密接に関係し、且つ従来の化学療法に対する耐性のみならず、ABT-263等のBCL-2阻害剤を含む標的治療に対する耐性にも密接に関係している。
【0233】
SHP阻害剤としては、SHP099が挙げられるが、これに限定されない。
【0234】
プロテアソーム阻害剤としては、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)及びオプロゾミブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0235】
免疫療法としては、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA-4剤、抗LAG1剤、及び抗OX40剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0236】
モノクローナル抗体としては、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)及びEylea(登録商標)(アフリベルセプト)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0237】
免疫調節イミド薬(IMiD)は、イミド基を含有する1クラスの免疫調節薬(免疫応答を調整する薬物)である。IMiDクラスは、サリドマイド及びその類似体(レナリドミド、ポマリドミド及びアプレミラスト)を含む。
【0238】
例示的な抗PD-1抗体及びそれらの使用方法は、Goldberg et al.,Blood 110(1):186-192(2007)、Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)及びKormanら、国際出願第PCT/JP2006/309606号明細書(国際公開第2006/121168A1号パンフレット)に記載されて、これらのそれぞれは、参照により本明細書に明示的に組み込まれており、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、Yervoy(商標)(イピリムマブ)若しくはトレメリムマブ(CTLA-4に対する)、ガリキシマブ(B7.1に対する)、BMS-936558(PD-1に対する)、MK-3475(PD-1に対する)、AMP224(B7DCに対する)、BMS-936559(B7-H1に対する)、MPDL3280A(B7-H1に対する)、MEDI-570(ICOSに対する)、AMG 404、AMG557(B7H2に対する)、MGA271(B7H3に対する)、IMP321(LAG-3に対する)、BMS-663513(CD137に対する)、PF-05082566(CD137に対する)、CDX-1127(CD27に対する)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに対する)、アタシセプト(TACIに対する)、CP-870893(CD40に対する)、ルカツムマブ(CD40に対する)、デカツズマブ(CD40に対する)、ムロモナブ-CD3(CD3に対する)、イピルムマブ(CTLA-4に対する)が挙げられる。免疫療法はまた、遺伝子操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)及び二重特異性抗体(例えば、BiTE)を含む。
【0239】
GITRアゴニストとしては、米国特許第6,111,090box.c号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同第2011/090754号パンフレットに記載されたGITR融合タンパク質、又は、例えば、米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、同第8,388,967号明細書、同第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、同第2013/039954号パンフレット、同第2005/007190号パンフレット、同第2007/133822号パンフレット、同第2005/055808号パンフレット、同第99/40196号パンフレット、同第2001/03720号パンフレット、同第99/20758号パンフレット、同第2006/083289号パンフレット、同第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書、及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載された抗GITR抗体等のGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価の抗GITR抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
本明細書に記載した化合物は、治療される状態に応じて、本明細書で開示した薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用され得る。従って、幾つかの実施形態では、本開示の1つ以上の化合物は、上記の他の薬剤と同時投与されることになる。組み合わせ療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は別個に投与される。この組み合わせ投与は、同じ投与形態の2種の薬剤の同時投与、個別の投与形態の同時投与及び個別の投与を含み得る。即ち、本明細書に記載した化合物及び上記薬剤の何れかを同じ投与形態で一緒に製剤化し、同時投与することができる。又は、本開示の化合物及び上記の任意の薬剤を同時に投与することができ、ここで、両方の薬剤は、個別の製剤中に存在している。他の代替実施形態では、本開示の化合物に引き続いて、上記の薬剤の何れかを投与し得るか又はそれとは逆の順序で投与し得る。別個の投与プロトコルの幾つかの実施形態では、本開示の化合物及び上記の任意の薬剤は、数分間の間隔、又は数時間の間隔、又は数日間の間隔で投与される。
【0241】
本発明の一態様として、個別に投与され得る薬学的に活性な化合物の組み合わせにより、疾患/状態を治療することが検討されているため、本発明は、個別の医薬組成物をキットの形態に組み合わせることにさらに関する。本キットは、2種の個別の医薬組成物:本発明の化合物及び第2の医薬化合物を含む。キットは、別々の組成物を含有するための、分けられたボトル又は分けられた金属箔の包み等の容器を含む。容器の別の例としては、注射器、箱、及びバッグが挙げられる。幾つかの実施形態では、キットは、個別の成分を使用するための説明書を含む。キット形態は、これらの別々の成分が好ましくは異なる投与形態(例えば、経口及び非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合、又は処方医がこの組み合わせの個々の成分の用量設定を望む場合に特に有利である。
【0242】
本明細書に開示した化合物の合成
本明細書に開示した化合物は、多くの特定の方法を通して合成することができる。特定の合成経路及び下記の包括的スキームの概要を示す実施例は、通常の能力を有する合成化学者に指針を提供することが意図されており、その合成化学者は、溶媒、濃度、試薬、保護基、合成工程の順序、時間及び温度等が、十分に当業者の技能及び判断の範囲内において必要に応じて変更できることを容易に理解するであろう。国際公開第2018/119183号パンフレット、同第2018/217651号パンフレット(国際出願PCT/US/2018/033714号明細書及び米国特許出願公開第2019/051291号明細書とも呼ばれる対応する出願)並びに国際公開第2019/051291号パンフレットは、本発明で使用することができ、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0243】
国際公開第2018/217651号パンフレット及びその対応する米国特許第2018/0334454号明細書に記載された下記の方法は、中間体(S)-tert-ブチル-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートを製造するために本明細書に明示的に列挙されている。次に本発明の新規な実施例を作成するために(S)-tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの溶液に使用される。
【化44】
【0244】
工程1:2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-アミン(中間体R)。THF(4mL)中の3-アミノ-2-ブロモ-4-ピコリン(360mg、1.9mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA、USA)のスラリーに、ジクロロメタンとの錯体である[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(79mg、0.10mmol)を加えた。得られたスラリーをアルゴンで2分間脱酸素化し、次いで2-プロピル亜鉛ブロミド(THF中の0.5M溶液、5.40mL、2.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。得られた溶液を60℃で17時間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を室温まで冷却させた。反応混合物を水(10mL)及び1NのNaOH溶液(20mL)でクエンチし、次いでEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~15%のMeOH/DCM)により精製して、2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミンを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 7.66(d,J=4.6Hz,1H),6.78(d,J=4.8Hz,1H),4.72(br s,2H),3.14-3.25(m,1H),2.08(s,3H),1.14(d,J=6.8Hz,6H).m/z(ESI,+ve イオン):151.1(M+H)
【0245】
工程2:2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド。THF(46mL)中の2,5,6-トリクロロニコチンアミド(中間体P、3.10g、13.8mmol)の-78℃のスラリーに塩化オキサリル(DCM中の2M溶液、7.4mL、14.7mmol)をシリンジで緩徐に加えた。得られたスラリーを60℃で3.5時間加熱し、続いて加熱を止め、反応物を-78℃に冷却した。トリエチルアミン(6.0mL、42.6mmol)に続いて2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体R、2.12g、14.1mmol)の溶液をカニューレで加えた。得られたスラリーを室温まで加温し、1時間撹拌し、続いて水(120mL)とEtOAc(175mL)との間で分配した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮した。残渣を9:1のヘプタン/EtOAc中で懸濁させて濾過した。濾過した固体を収集して、2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミドを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 11.31(s,1H),9.54(s,1H),8.66(s,1H),8.34(d,J=4.8Hz,1H),7.16(d,J=5.0Hz,1H),3.24-3.33(m,1H),2.22(s,3H),1.17(d,J=6.6Hz,6H).m/z(ESI,+ve ion):400.9(M+H)
【0246】
工程3:6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン。THF(55mL)中の2,5,6-トリクロロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(4.71g、11.7mmol)の氷冷溶液にKHMDS(THF中の1M溶液、23.5mL、23.5mmol)をシリンジで緩徐に加えた。10分後、氷浴を取り除き、得られた溶液を室温でさらに30分間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(125mL)でクエンチし、EtOAc(250mL)で抽出した。有機層を塩水で洗浄し(1×)、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~11%のMeOH/DCM)により精製すると、6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンが得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 12.27(br s,1H),8.59(s,1H),8.52(d,J=5.0Hz,1H),7.28(d,J=5.0Hz,1H),2.82-2.92(m,1H),2.04(s,3H),1.08(d,J=6.6Hz,3H),1.01(d,J= 6.8Hz,3H).m/z(ESI,+ve ion):365.0(M+H)
【0247】
工程4:4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。アセトニトリル(45mL)中の6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-3-メチルピリジン-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(2.52g、6.9mmol)のスラリーに、DIPEA(1.80mL、10.3mmol)を加えた後、オキシ塩化リン(1.58mL、10.3mmol)をシリンジで緩徐に加えた。得られた混合物を80℃で1.75時間加熱し、その後、室温に冷却して濃縮すると、4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。この物質は、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0248】
工程5:(S)-tert-ブチル-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート。THF(40mL)中の4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(2.64g、6.9mmol)の溶液に、DIPEA(3.61mL、20.7mmol)、続いて(S)-4-N-Boc-2-メチルピペラジン(2.07g、10.3mmol、Combi-Blocks,Inc.、San Diego、CA、USA)を加えた。得られた溶液を室温で1.5時間撹拌し、その後、氷水(60mL)を加えた。混合物をさらに5分間撹拌し、次にEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~11%のMeOH/DCM)により精製すると、(S)-tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートが得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.46(dd,J=11.6,5.2Hz,2H),7.25(d,J=4.8Hz,1H),4.79-4.93(m,1H),4.10-4.24(m,1H),3.87-4.05(m,1H),3.77-3.87(m,1H),3.62-3.76(m,1H),2.99-3.25(m,2H),2.55-2.69(m,1H),1.94(d,J=2.5Hz,3H),1.45(s,9H),1.32(br t,J=5.7Hz,3H),1.06(d,J=6.8Hz,3H),1.00(d,J=6.6Hz,3H).m/z(ESI,+ve イオン):547.2(M+H)
【0249】
工程6:(S)-tert-ブチル-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート。1,4-ジオキサン(17mL)中の(S)-tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピペラジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(1.02g、1.8mmol)の溶液に酢酸カリウム(914mg、9.3mmol)及び(2-フルオロフェニル)ボロン酸(313mg、2.2mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO、USA)を加えた。この混合物をアルゴンでスパージし、次にジクロロメタン(76mg、0.093mmol)との錯体である[1,1‘-ビス(ジフェニルホスフィロ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を加えた。この混合物をアルゴンを用いて再度スパージし、90℃で加熱した。30秒後、3滴の水を反応混合物に加えた。90℃で40分間加熱を継続し、次に反応物を室温に冷却するに任せた。水(50mL)及び塩水(4mL)を加え、得られた混合物をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し(1×)、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~9%のMeOH/DCM)により精製すると、(S)-tert-ブチル4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートが得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.43(d,J=2.5Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.47-7.55(m,1H),7.16-7.33(m,4H),4.86-4.97(m,1H),4.21-4.30(m,1H),3.90-4.06(m,2H),3.80-3.89(m,1H),3.67-3.78(m,1H),3.04-3.16(m,1H),2.65-2.75(m,1H),1.93(s,3H),1.48(s,9H),1.36(br d,J=6.6Hz,3H),1.06(d,J=6.6Hz,3H),0.94(dd,J=6.6,2.1Hz,3H).m/z(ESI,+ve イオン):607.0(M+H)
【0250】
実施例1
(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化45】
ジクロロメタン(3mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン1-カルボキシレート(米国特許第20180334454A1号明細書)(500mg、0.84mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1.5mL、20.1mmol)により処理し、15分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られたm/z(ESI,+ve)507.0(M+H)
【0251】
0℃でDMF(3mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びクロロ酢酸(156mg、1.65mmol)の混合物にDIPEA(0.7mL、4.12mmol)、次いでTBTU(529mg、1.65mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(15mL)を加え、EtOAc(15mL×2)で抽出した。有機抽出物を飽和NHCl(30mL)及び塩水(30mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~60%のEtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(439mg、0.75mmol、収率91%、純度95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.46(brd,J=10.8Hz,1H),8.40(d,J=4.8Hz,1H),7.44-7.59(m,1H),7.25-7.36(m,2H),7.17-7.24(m,2H),4.87-5.00(m,1H),4.38-4.61(m,2H),4.16-4.36(m,2H),3.63-4.01(m,2H),3.39-3.53(m,1H),3.10-3.27(m,1H),2.64-2.78(m,1H),1.95(s,3H),1.30-1.47(m,3H),1.08(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.03(d,J=6.1Hz,1 F).m/z(ESI,+ve)582.2(M+H)
【0252】
実施例2
(S)-6-クロロ-4-(4-(2-フルオロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化46】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(米国特許第20180334454A1号明細書)(104mg、0.17mmol)の溶液をトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)で室温で処置し、30分間撹拌した。この反応混合液を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.0(M+H)
【0253】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びトリフルオロ酢酸(1.0mL、13.42mmol)の混合物に0℃でDIPEA(0.2mL、0.86mmol)、次いでTBTU(83mg、0.26mmol)を加えた。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。得られた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)で抽出した。有機抽出物を飽和NHCl(15mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~60%のEtOAc-EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-フルオロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(43.4mg、0.08mmol、収率44.7%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.30-8.52(m,2H),7.46-7.59(m,1H),7.14-7.37(m,4H),5.07-5.44(m,2H),4.91(brs,1H),4.13-4.39(m,2H),3.49-3.86(m,2H),3.05-3.24(m,1H),2.89(s,2H),1.94(s,3H),1.38(brdd,J=13.8,6.5Hz,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.94(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.02(s,1 F),-228.53(brd,J=248.0Hz,1 F).m/z(ESI,+ve)567.0(M+H)
【0254】
実施例3
(S)-1-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1,2-ジオン
【化47】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(96mg、0.16mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、10分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0255】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの混合物にDMF(1mL)中のピルビン酸(13.9mg、0.01mL、0.16mmol、Sigma-Aldrich Corporation)及びTBTU(102mg、0.32mmol、Advanced ChemTech)の混合物を0℃で加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)で抽出した。有機抽出物をNaSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として(S)-1-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1,2-ジオン(42.5mg、0.07mmol、収率46.6%、純度97%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.44(d,J=4.98Hz,1H),8.39(d,J=4.77Hz,1H),7.46-7.57(m,1H),7.24-7.35(m,2H),7.14-7.23(m,2H),4.81-5.12(m,1H),4.11-4.42(m,2H),3.39-3.85(m,3H),2.69(s,2H),2.43(d,J=14.51Hz,3H),1.94(s,3H),1.37(dd,J=6.84,10.16Hz,3H),1.06(dJ=6.84Hz,3H),0.94(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.06(s,1F).m/z(ESI):577.2.0(M+H)
【0256】
実施例4
(S)-2-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソアセトアルデヒド
【化48】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(207mg、0.34mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、10分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0257】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びdl-グリセリン酸(181mg、0.68mmol、TCI America)の混合物にDIPEA(220mg、0.3mL、1.71mmol)、次いでTBTU(219mg、0.68mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で16時間撹拌した。追加のdl-グリセリン酸(181mg、0.68mmol)及びTBTU(219mg、0.68mmol)を加え、反応混合物をさらに2時間撹拌した。得られた混合物に1MのHCl水溶液(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)で抽出した。有機抽出物を廃棄した。水溶液を2NのNaOH水溶液によりpH=9へ塩基性化し、EtOAc(20mL×2)により抽出した。有機抽出物をNaSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、黄色の固体として6-クロロ-4-((2S)-4-(2,3-ジヒドロキシプロパノイル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(78mg、0.13mmol、収率38.4%、純度92%)が得られた。m/z(ESI):595.2.0(M+H)
【0258】
THF(1.0mL)/水(0.1mL)中の6-クロロ-4-((2S)-4-(2,3-ジヒドロプロパノイル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(36mg、0.06mmol)の溶液を室温で(メタ)ペリオドン酸ナトリウム(25.9mg、0.12mmol、Sigma-Aldrich Corporation)により処理し、2.5時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、DCM(10mL×2)により抽出した。有機抽出物を合わせ、NaSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:DCM中の0~100%のEtOAc/EtOH(3:1))により精製すると、淡黄色の固体として(S)-2-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソアセトアルデヒド(26.8mg、0.05mmol、収率79%、純度99%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.46(d,J=12.23Hz,1H),8.42-8.51(m,1H),8.39(d,J=4.77Hz,1H),7.45-7.57(m,1H),7.13-7.37(m,4H),6.39-6.59(m,1H),4.76-5.31(m,2H),4.27-4.39(m,1H),4.16-4.25(m,1H),3.56-3.82(m,2H),2.64-2.79(m,1H),1.94(s,3H),1.26-1.46(m,3H),1.07(d,J=6.63Hz,3H),0.94(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ -114.13--113.92(m,1F).m/z(ESI):581.2.0(M+HO)
【0259】
実施例5
メチル(S,E)-4-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)-4-オキソブト-2-エノエート
【化49】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(108mg、0.18mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、10分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0260】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンの混合物にフマル酸モノメチル(34.7mg、0.27mmol、TCI America)及びTBTU(114mg、0.36mmol)の混合物を0℃で加えた。この反応混合物を0℃で15分間撹拌した。この反応混合物に水(2mL)を加えた。得られた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、黄色の固体としてメチル(S,E)-4-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)-4-オキソブト-2-エノエート(29.3mg、0.05mmol、収率26.6%、純度94%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.44(d,J=17.4Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.47-7.62(m,2H),7.24-7.36(m,2H),7.16-7.23(m,2H),6.67(dd,J=11.1,15.5Hz,1H),4.96(ddd,J=3.1,6.9,14.9Hz,1H),4.24-4.46(m,2H),3.97-4.18(m,1H),3.79-3.88(m,1H),3.76(s,3H),3.43-3.60(m,1H),3.11-3.25(m,1H),2.62-2.75(m,1H),1.94(d,J=2.90Hz,3H),1.35(brd,J=5.18Hz,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.94(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1F).m/z(ESI):619.2(M+H)
【0261】
実施例6
(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-フェノキシアセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化50】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(114mg、0.19mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、10分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0262】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミjン-2(1H)-オンの混合物に0℃でDIPEA(0.16mL、0.94mmol)、次いでTBTU(90mg、0.28mmol)を加えた。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。得られた混合物に水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、淡黄色の固体が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc/ヘプタン)によって精製すると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-フェノキシアセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(92.4mg、0.14mmol、収率77%、純度99%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.44(brd,J=15.3Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.46-7.58(m,1H),7.24-7.35(m,4H),7.17-7.23(m,2H),6.92-7.04(m,3H),4.79-5.07(m,3H),4.16-4.38(m,2H),3.40-4.05(m,3H),3.16-3.25(m,1H),2.64-2.78(m,1H),1.94(s,3H),1.26-1.50(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.02(s,1 F).m/z(ESI,+ve)641.1(M+H)
【0263】
実施例7
(S)-6-クロロ-4-(4-(2-(2,6-ジクロロフェノキシ)アセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化51】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(実施例1)(88mg、0.15mmol)、99%の2,6-ジクロロフェノール(49.2mg、0.30mmol)及び無水炭酸カリウム(41.7mg、0.30mmol)の混合物を撹拌し、30分間に渡り50℃で加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過により収集し、水で洗浄して乾燥させると淡黄色の固体が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中の0~100%のEtOAc/MeOH(9:1))により精製すると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-(2,6-ジクロロフェノキシ)アセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(6.2mg、8.73μmol、収率5.79%、純度97%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.46(d,J=11.0Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.53(d,J=8.1Hz,3H),7.17-7.34(m,5H),4.89-5.02(m,1H),4.84(s,1H),4.70-4.81(m,1H),4.19-4.37(m,2H),3.42-3.94(m,3H),3.08-3.25(m,1H),2.64-2.75(m,1H),1.94(s,3H),1.40(brdd,J=13.7,6.6Hz,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.04(s,1 F).m/z(ESI,+ve)709.0/711.0(1:1)(M+H)
【0264】
実施例8
(S)-6-クロロ-4-(4-(2-(2,6-ジフルオロフェノキシ)アセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化52】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(実施例1)(50mg、0.09mmol)、2,6-ジフルオロフェノール(22.3mg、0.17mmol)及び無水炭酸カリウム(23.7mg、0.17mmol)の混合物を撹拌し、50℃で45分間加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-(2,6-ジフルオロフェノキシ)アセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(51.4mg、0.08mmol、収率89%、純度95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(brd,J=14.5Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.44-7.58(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.06-7.23(m,5H),4.97-5.17(m,2H),4.92(brs,1H),4.11-4.35(m,2H),3.37-3.99(m,3H),3.07-3.24(m,1H),2.64-2.76(m,1H),1.94(s,3H),1.32-1.46(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1 F),-128.21(d,J=17.3Hz,2 F).m/z(ESI,+ve)677.8(M+H)
【0265】
実施例9
(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化53】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(50mg、0.09mmol)、2,3,5,6-テトラフルオロフェノール(28.5mg、0.17mmol)及び無水炭酸カリウム(47.4mg、0.34mmol)の混合物を撹拌し、50℃で45分間加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、白色の固体として(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(39.8mg、0.06mmol、収率65.1%、純度95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.45(brd,J=14.9Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.47-7.64(m,2H),7.24-7.35(m,2H),7.13-7.23(m,2H),5.12-5.41(m,2H),4.87-4.99(m,1H),4.07-4.38(m,2H),3.35-3.91(m,3H),3.02-3.26(m,1H),2.64-2.77(m,1H),1.94(s,3H),1.31-1.47(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.02(d,J=2.6Hz,1 F),-140.82(dt,J=21.0,7.3Hz,2F),-157.29(td,J=21.2,8.7Hz,2F).m/z(ESI,+ve)713.2(M+H)
【0266】
実施例10
(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,3,6-トリフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化54】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(50mg、0.09mmol)、2,3,6-トリフルオロフェノール(38.1mg、0.26mmol)及び無水炭酸カリウム(47.4mg、0.34mmol)の混合物を撹拌し、50℃で45分間加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、白色の固体として(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,3,6-トリフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(47.3mg、0.068mmol、収率79%、純度95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.45(brd,J=14.7Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.47-7.57(m,1H),7.24-7.36(m,2H),7.12-7.23(m,4H),5.03-5.34(m,2H),4.92(brd,J=1.2Hz,1H),4.14-4.36(m,2H),3.38-3.95(m,3H),3.04-3.25(m,1H),2.65-2.76(m,1H),1.94(s,3H),1.31-1.45(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.03(s,1 F),-132.56(ddd,J=26.9,13.0,5.2Hz,1 F),-141.58(dd,J=21.7,13.0Hz,1 F),-151.42(brd,J=21.7Hz,1 F).m/z(ESI,+ve695.2(M+H)
【0267】
実施例11
(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,4,6-トリフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化55】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(54mg、0.09mmol)、2,4,6-トリフルオロフェノール(41.1mg、0.28mmol)及び無水炭酸カリウム(64.0mg、0.46mmol)の混合物を撹拌し、50℃で60分間加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、白色の固体として(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,4,6-トリフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(51.3mg、0.07mmol、収率80%、純度94%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.44(brd,J=15.1Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.45-7.56(m,1H),7.23-7.35(m,4H),7.17-7.22(m,2H),4.94-5.11(m,2H),4.92(brs,1H),4.13-4.33(m,2H),3.37-3.96(m,3H),3.04-3.25(m,1H),2.64-2.77(m,1H),1.94(s,3H),1.31-1.46(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.94(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1 F),-115.33(brd,J=13.0Hz,1 F),-125.45--124.18(m,2 F).m/z(ESI,+ve)695.2(M+H)
【0268】
実施例12
(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチル-4-(2-(2,3-ジフルオロフェノキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化56】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-4-(4-(2-クロロアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(51mg、0.09mmol)、2,3-ジフルオロフェノール(34.1mg、0.26mmol)及び無水炭酸カリウム(60.4.0mg、0.44mmol)の混合物を撹拌し、50℃で4時間加熱した。生じた混合物を0℃に冷却し、水(2mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、白色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-(2,3-ジフルオロフェノキシ)アセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(38.2mg、0.06mmol、収率64.5%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.31-8.54(m,2H),7.41-7.58(m,1H),7.08-7.36(m,5H),6.88-7.06(m,2H),5.00-5.31(m,2H),4.93(brs,1H),4.10-4.38(m,2H),3.41-4.01(m,3H),3.06-3.26(m,1H),2.64-2.74(m,1H),1.94(brs,3H),1.28-1.51(m,3H),1.07(brd,J=6.2Hz,3H),0.95(brd,J=6.4Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -114.01(brs,1 F),-138.60(brdd,J=20.8,10.4Hz,1 F),-160.51(brdd,J=53.8,20.8Hz,1 F).m/z(ESI,+ve)677.2(M+H)
【0269】
実施例13
(S)-6-クロロ-4-(4-(2-ジアゾアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化57】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(210mg、0.35mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、30分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0270】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び2-アジド酢酸(52.4mg、0.05mL、0.52mmol、Sigma-Aldrich Corporation)の混合物にDIPEA(224mg、0.30mL、1.73mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次いでTBTU(167mg、0.52mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中の0~80%のEtOAc/EtOH(3:1))により精製すると、白色の固体として(S)-4-(4-(2-アジドアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(198mg、0.34mmol、収率97%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.32-8.53(m,2H),7.46-7.59(m,1H),7.12-7.35(m,4H),4.82-5.03(m,1H),4.09-4.48(m,4H),3.51-3.89(m,3H),3.06-3.25(m,1H),2.65-2.76(m,1H),1.94(s,3H),1.38(brdd,J=6.74,11.92Hz,3H),1.07(d,J=6.63Hz,3H),0.95(d,J=6.84Hz,3H).m/z(ESI,+ve)590.2(M+H)
【0271】
アセトニトリル(2.0mL)/水(0.2mL)中の(S)-4-(4-(2-アジドアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(94mg、0.16mmol)の溶液を0℃でN-スクシンイミジル3-(ジフェニルホスフィノ)プロパノエート(67.9mg、0.19mmol、Aurum Pharmatech LLC)により処理し、室温で4時間撹拌した。m/z(ESI):848.2(M+H)が観察された。1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU、29.1mg、0.03mL、0.19mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を加え、生じた混合物を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaCl溶液(10mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:DCM中の0~10%のMeOH)により精製すると、淡黄色の固体として(S)-6-クロロ-4-(4-(2-ジアゾアセチル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(32mg、0.06mmol、収率34.9%、純度>95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.44(s,1H),8.39(d,J= 4.8Hz,1H),7.55-7.47(m,1H),7.34-7.24(m,2H),7.23-7.16(m,2H),6.13(s,1H),4.98-4.84(m,1H),4.27(brd,J= 13.6Hz,1H),4.08(q,J= 5.2Hz,1H),3.74(brt,J= 10.9Hz,1H),3.49-3.35(m,1H),3.26-3.08(m,2H),2.76-2.67(m,1H),1.94(s,3H),1.36(d,J= 6.7Hz,3H),1.07(d,J= 6.7Hz,3H),0.94(d,J= 6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(s,1F).m/z(ESI):575.0(M+H)
【0272】
実施例14
4-((S)-4-((R)アジリジン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化58】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(106.8mg、0.18mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、15分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0273】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び(R)-1-トリチルアジリジン-2-カルボン酸(87mg、0.26mmol)の混合物にDIPEA(0.15mL、0.90mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次にTBTU(85mg、0.26mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で20分間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加えた。生じた沈降物を濾過によって収集し、水で洗浄して乾燥させると、淡黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((R)-1-トリチルアジリジン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)817.4(M+H)
【0274】
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((R)-1-トリチルアジリジン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(144mg、0.18mmol)の溶液を0℃でトリエチルシラン(0.08mL、0.70mmol)、次にトリフルオロ酢酸(0.11mL、1.41mmol)により処理し、5分間撹拌した。反応を完了させた。反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、塩水(15mL)で洗浄した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として4-((S)-4-((R)-アジリジン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(15mg、0.03mmol、収率14.8%、純度97%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.47(s,1H),8.40(d,J=5.0Hz,1H),7.48-7.58(m,1H),7.16-7.37(m,5H),4.89-5.06(m,1H),4.01-4.43(m,4H),3.45-4.00(m,4H),2.65-2.78(m,2H),1.95(s,3H),1.38(brd,J=6.4Hz,3H),1.08(d,J=6.6Hz,3H),0.96(brd,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1 F).m/z(ESI,+ve)575.2(M+H)
【0275】
実施例15
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((S)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化59】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(100mg、0.17mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、30分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0276】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びカリウム(S)-オキシラン-2-カルボキシレート(31.2mg、0.25mmol)の混合物にDIPEA(0.14mL、0.78mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次にTBTU(79mg、0.25mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物を飽和NHCl溶液(15mL)で洗浄し、MgSOの上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((S)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(48.8mg、0.09mmol、収率51.3%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(d,J=12.0Hz,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.45-7.58(m,1H),7.24-7.36(m,2H),7.15-7.23(m,2H),4.96(brdJ=1.9Hz,1H),4.10-4.38(m,3H),3.93(dt,J=16.6,3.2Hz,1H),3.48-3.86(m,2H),3.04-3.26(m,1H),2.80-3.03(m,2H),2.63-2.75(m,1H),1.94(s,3H),1.29-1.48(m,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(s,1 F).m/z(ESI,+ve)577.3(M+H)
【0277】
実施例16
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化60】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(94mg、0.16mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、30分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0278】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びカリウム(R)-オキシラン-2-カルボキシレート(29.3mg、0.23mmol)の混合物にDIPEA(0.14mL、0.78mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次にTBTU(75mg、0.23mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物を飽和NHCl(15mL)溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(31.2mg、0.05mmol、収率34.9%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.46(d,J=6.0Hz,1H),8.40(d,J=4.8Hz,1H),7.48-7.58(m,1H),7.26-7.34(m,2H),7.16-7.25(m,2H),4.97(brd,J=3.7Hz,1H),4.15-4.37(m,2H),3.83-4.13(m,2H),3.45-3.78(m,1H),3.05-3.28(m,2H),2.94-3.02(m,1H),2.79-2.88(m,1H),2.63-2.76(m,1H),1.95(s,3H),1.38(dd,J=9.1,6.8Hz,3H),1.08(d,J=6.8Hz,3H),0.96(d,J=6.8Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(d,J=3.5Hz,1 F).m/z(ESI,+ve)577.3(M+H)
【0279】
実施例17
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2R,3S)-3-メチルオキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2S,3R)-3-メチルオキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化61】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(100mg、0.17mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、30分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0280】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びRac-(2R,3S)-3-メチル-2-オトランスキシランカルボン酸(33.6mg、0.33mmol、Enamine)の混合物にDIPEA(0.14mL、0.78mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次にTBTU(106mg、0.33mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加え、0℃で30分間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物を飽和NHCl(15mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(7:3)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2R,3S)-3-メチルオキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2S,3R)-3-メチルオキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(1:1の比率、78.5mg、0.13mmol、収率81%、純度98%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.43-8.48(m,1H),8.40(d,J=5.02Hz,1H),7.48-7.58(m,1H),7.25-7.36(m,2H),7.18-7.24(m,2H),4.96(brs,1H),3.97-4.40(m,3H),3.66-3.90(m,3H),3.00-3.26(m,2H),2.64-2.74(m,1H),1.95(s,3H),1.29-1.49(m,6H),1.08(d,J=6.69Hz,3H),0.95(d,J=6.69Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1F).m/z(ESI,+ve)591.2(M+H)
【0281】
実施例18
エチル(2S,3S)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボキシレート
【化62】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(95mg、0.16mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、15分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0282】
DMF(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及び(2S,3S)-3-(エトキシカルボニル)オキシラン-2-カルボン酸(50.1mg、0.31mmol、Carbosynth Ltd.)の混合物にDIPEA(0.14mL、0.78mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、次にTBTU(100mg、0.31mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体としてエチル(2S,3S)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボキシレート(12.2mg、0.02mmol、収率12%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(d,J=13.1Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.45-7.57(m,1H),7.16-7.35(m,4H),4.95(brd,J=5.6Hz,1H),4.04-4.37(m,6H),3.49-3.88(m,3H),3.06-3.27(m,1H),2.65-2.75(m,1H),1.94(d,J=2.5Hz,3H),1.33-1.46(m,3H),1.21-1.30(m,3H),1.07(d,J=6.4Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.03(d,J=1.73Hz,1F).m/z(ESI,+ve)649.2(M+H)
【0283】
実施例19及び20
エチル(2R,3R)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボキシレート(19)及び(2R,3R)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボン酸(20)
【化63】
エタノール(3mL)中の(2R,3R)-ジエチル2,3-エポキシスクシネート(250mg、1.33mmol、Sigma-Aldrich Corporation)の氷冷溶液にエタノール(2.0mL)中の水酸化カリウム(89mg、1.594mmol、VWR International,LLC)の溶液を2分間かけて滴下した。この添加後、反応混合物を0℃で3時間撹拌させた。生じた反応混合物はジェル様混合物になった。次に冷却浴を取り除き、反応混合物をさらに室温で16時間撹拌した。その後、エタノールを真空中で除去するとオフホワイトの固体が残った。この塩を次に10mLの水に取り上げ、二塩化メタンにより3回洗浄した。2MのHClの添加により水相をpH3へ酸性化し、酢酸エチル(10mL×3)により抽出した。合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。純粋生成物を乾燥させた後、無色の油として(2R,3R)-3-(エトキシカルボニル)オキシラン-2-カルボン酸(170mg、1.06mmol、収率80%)が得られた。H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.41-9.03(brs,1H),4.29(ttd,J=3.6,7.1,10.7Hz,2H),3.72-3.73(m,1H),3.70-3.72(m,1H),1.33(t,J=7.2Hz,3H).[参照:ACS Chemical Biology,5(3),279-285;2010].
【0284】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(105mg、0.17mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、15分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0285】
DMF(1mL)中のTBTU(111mg、0.35mmol、Advanced ChemTech)及び(2R,3R)-3-(エトキシカルボニル)オキシラン-2-カルボン酸(55.4mg、0.35mmol)の混合物にDIPEA(0.09mL、0.52mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を0℃で加え、5分間撹拌した。生じた混合物を0℃でDMF(1mL)中の上記の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(0.09mL、0.52mmol)の混合物に加え、室温で16時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、白色の固体としてエチル(2R,3R)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボキシレート(39.5mg、0.06mmol、収率35.2%、純度90%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(d,J=8.1Hz,1H),8.39(d,J=5.0Hz,1H),7.46-7.56(m,1H),7.18-7.35(m,4H),4.95(brd,J=2.5Hz,1H),4.13-4.37(m,6H),3.42-3.80(m,3H),3.05-3.21(m,1H),2.63-2.78(m,1H),1.94(d,J=1.9Hz,3H),1.37(dd,J=6.8,9.7Hz,3H),1.26(dt,J=3.5,7.1Hz,3H),1.07(d,J=6.6Hz,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(377MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1F).m/z(ESI,+ve)649.0(M+H)
【0286】
水層は、2NのHClによりpH=1~2へ酸性化し、DCM(10mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~15%のMeOH(2%のAcOHを含む)/DCM)により精製すると、白色の固体として(2R,3R)-3-((S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボニル)オキシラン-2-カルボン酸(6.5mg、10.5μmol、収率6%、純度93%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 11.92(s,1H),8.45(d,J=3.94Hz,1H),8.39(d,J=4.98Hz,1H),7.47-7.54(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.16-7.23(m,2H),4.92-5.00(m,1H),4.27-4.35(m,2H),4.14-4.20(m,1H),3.86-4.08(m,3H),3.69-3.78(m,1H),3.51(brs,1H),2.69-2.77(m,1H),1.91(s,3H),1.37(brdd,J=6.74,14.82Hz,3H),1.07(d,J=6.63Hz,3H),0.95(d,J=6.63Hz,3H).19F NMR(377MHz,DMSO-d)δ -114.03(s,1F).m/z(ESI,+ve)621.2(M+H)
【0287】
実施例21
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2R,3S)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化64】
エタノール(3mL)中の(2R,3R)-ジエチル2,3-エポキシスクシネート(900mg、4.78mmol、Sigma-Aldrich Corporation)の氷冷溶液に水素化ホウ素ナトリウム(145mg、3.83mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を加えた。この添加後、反応混合物を2時間氷浴中で撹拌するに任せた。この反応混合物を水(1.0mL)で緩徐にクエンチし、次に2MのHCl水溶液の添加によりpH6~7へ酸性化した。その後、減圧下でエタノールを除去すると、オフホワイトの固体が残った。この塩を次に15mLの水に取り上げ、二塩化メタンにより3回洗浄した。濃塩酸の添加により水相をpH3に酸性化し、DCMを用いて4回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、黄色の油としてエチル(2R,3S)-3-(ヒドロキシメチル)オキシラン-2-カルボキシレート(413.8mg、2.83mmol、収率59.2%)が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.18-4.33(m,2H),4.01(ddd,J=2.18,5.08,13.06Hz,1H),3.72-3.81(m,1H),3.54(d,J=2.07Hz,1H),3.39(td,J=2.10,3.27Hz,1H),1.64(dd,J=5.18,8.09Hz,1H),1.31(t,J=7.15Hz,3H).(参照:J.Org.Chem.2005,70,5643-5654).
【0288】
ジクロロメタン(12mL)中のエチル(2R,3S)-3-(ヒドロキシメチル)オキシラン-2-カルボキシレート(410mg、2.81mmol)の氷冷溶液にトリエチルアミン(0.59mL、4.21mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を加えた。5分後、反応混合物を塩化メタンスルホニル(0.33mL、4.21mmol、Sigma-Aldrich Corporation)により処理して0℃で10分間及び室温で2時間撹拌した。次に溶媒を蒸発させた。生じた黄色のペーストをN,N-ジメチルホルムアミド(12.00mL)中に溶解させ、さらにヨウ化カリウム(23.3mg、0.14mmol、Fisher Scientific UK)を加えた。黄色溶液を0℃に冷却し、その後にピペリジン(0.83mL、8.42mmol、Spectrum Chemicals & Laboratory Products)を滴下した。生じた懸濁溶液を緩徐に室温に加温し、24時間撹拌した。生じた反応混合物を飽和NaHCO水溶液(10mL)で希釈し、DCM(20mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~4%のMeOH/DCM)によって精製すると、褐色の油としてエチル(2R,3S)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)オキシラン-2-カルボキシレート(90.2mg、0.423mmol、収率15.07%)が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.19-4.33(m,2H),3.35-3.44(m,1H),3.24(d,J=1.87Hz,1H),2.82(brs,1H),2.43-2.68(m,4H),2.38(dd,J=6.63,13.68Hz,1H),1.64(brs,4H),1.46(brs,2H),1.30(t,J=7.15Hz,3H).m/z(ESI):214.2(M+H).(参照:J.Med.Chem.2010,53,2038-2050).
【0289】
エタノール(1.5mL)中のエチル(2R,3S)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)オキシラン-2-カルボキシレート(90mg、0.422mmol)の氷冷溶液にエタノール(1.5mL)中の水酸化カリウム(28.4mg、0.506mmol、VWR International,LLC)の溶液を2分間かけて滴下した。この添加後、反応混合物を氷内で2時間、及び室温で17時間撹拌し続けた。生じた反応混合物は、褐色の溶液になった。その後、エタノールを減圧下で除去すると褐色の油が残されたので、これを次の工程で精製せずに使用した。m/z(ESI):186.2 (M+H)
【0290】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(93mg、0.15mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL、13.4mmol)により処理し、15分間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0291】
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中のTBTU(98mg、0.31mmol、Advanced ChemTech)及び(2R,3S)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)オキシラン-2-カルボン酸(78mg、0.42mmol)の混合物に0℃でDIPEA(0.13mL、0.77mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を加え、5分間撹拌した。上記の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(0.13mL、0.77mmol)の混合物に0℃で加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(20mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10%のMeOH/DCM)によって精製すると、淡黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((S)-2-メチル-4-((2R,3S)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(56.3mg、0.08mmol、収率54.5%、純度>99%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(d,J=7.11Hz,1H),8.39(d,J=4.81Hz,1H),7.47-7.55(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.17-7.24(m,2H),4.90-5.02(m,1H),3.96-4.36(m,3H),3.36-3.94(m,4H),3.02-3.24(m,2H),2.68-2.80(m,2H),2.36-2.46(m,3H),2.23-2.32(m,1H),1.94(s,3H),1.52(brd,J=2.30Hz,4H),1.30-1.42(m,5H),1.07(d,J=6.69Hz,3H),0.95(d,J=6.69Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(d,J=4.34Hz,1F).m/z(ESI,+ve)674.2(M+H)
【0292】
実施例22
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-4-((S)-4-((2R,3S)-3-(ヒドロキシメチル)オキシラン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化65】
テトラヒドロフラン(4mL)中のエチル(2R,3S)-3-(ヒドロキシメチル)オキシラン-2-カルボキシレート(300mg、2.05mmol)及びイミダゾール(280mg、4.11mmol、Sigma-Aldrich Corporation)の混合物に(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリルクロリド(309mg、2.053mmol、Combi-Blocks Inc.)を加えた。この添加後、反応混合物を1時間室温で撹拌するに任せた。反応混合物を水(5mL)でクエンチし、DCM(10mL×4)により抽出した。合わせた有機相をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10%のEtOAc/ヘプタン)によって精製すると、無色の油としてエチル(2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボキシレート(415.1mg、1.59mmol、収率78%)が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.09-4.25(m,2H),3.80-3.89(m,1H),3.68-3.75(m,1H),3.36(d,J=1.87Hz,1H),3.25(td,J=2.33,3.42Hz,1H),1.24(t,J=7.15Hz,3H),0.83(s,9H),0.00(d,J=3.32Hz,6H).m/z(ESI):261.2(M+H)
【0293】
エタノール(1.5mL)中のエチル(2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボキシレート(410mg、1.57mmol)の氷冷溶液にエタノール(1.5mL)中の水酸化カリウム(106mg、1.89mmol、VWR International,LLC)の溶液を2分間かけて滴下した。この添加後、反応混合物を氷浴中で5分間及び室温で24時間撹拌し続けた。生じた反応混合物は、褐色の溶液になった。その後エタノールを減圧下で除去すると、淡黄色の固体としてカリウム(2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボキシレートが得られたので、これを次の工程で精製せずに使用した。m/z(ESI):186.2(M+H)
【0294】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(103mg、0.17mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1.0mL、13.4mmol)により処理し、15分間撹拌した。この反応を完了させて濃縮すると、(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)507.2(M+H)
【0295】
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中のTBTU(109mg、0.34mmol、Advanced ChemTech)及びカリウム(2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボキシレート(138mg、0.51mmol)の混合物に0℃でDIPEA(0.15mL、0.85mmol)を加えて5分間撹拌した。上記の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の(S)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(0.15mL、0.85mmol)の混合物に0℃で加えた。この反応混合物を室温で30分間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(20mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10%のMeOH/DCM)により精製すると、淡黄色の固体として4-((S)-4-((2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(101mg、0.14mmol、収率83%)が得られた。m/z(ESI):721.2(M+H)
【0296】
4-((S)-4-((2R,3S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)オキシラン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(101mg、0.14mmol)をTHF(1.0mL)中に溶解させ、0℃でTBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム溶液、テトラヒドロフラン中で1.0M、0.34mL、0.34mmol、Sigma-Aldrich Corporation)により処理し、室温で5時間撹拌した。この反応混合物を水(10mL)で希釈し、DCM(3×10mL)により抽出した。有機抽出物を洗浄し、MgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10%のMeOH/DCM)により精製すると、淡黄色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-4-((S)-4-((2R,3S)-3-(ヒドロキシメチル)オキシラン-2-カルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(8.1mg、0.01mmol、収率7.9%、純度99%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.45(d,J=6.06Hz,1H),8.39(d,J=5.02Hz,1H),7.47-7.57(m,1H),7.24-7.35(m,2H),7.17-7.24(m,2H),4.97-5.07(m,1H),4.89-4.97(m,1H),4.24-4.38(m,2H),4.18(brd,J=13.17Hz,1H),3.90-4.04(m,1H),3.80(d,J=2.09Hz,1H),3.65-3.76(m,2H),3.49-3.58(m,1H),3.03-3.26(m,2H),2.68-2.77(m,1H),1.94(s,3H),1.37(t,J=7.11Hz,3H),1.07(d,J=6.69Hz,3H),0.95(d,J=6.69Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(s,1F).m/z(ESI):607.2(M+H)
【0297】
実施例23
2-((2S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1-(オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-2-イル)アセトニトリル
【化66】
アセトニトリル(10mL)中の6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(国際公開第2019051291A1号パンフレット)(200mg、0.47mmol)及びDIPEA(0.12mL、0.71mmol)の混合液にオキシ塩化リン(0.07mL、0.71mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を室温で加え、80℃で30分間撹拌した。この反応混合物を濃縮すると、褐色の固体として4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI):443.0(M+H)
【0298】
アセトニトリル(10mL)中の4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(0.24mL、1.42mmol)の混合物に(S)-2-(ピペラジン-2-イル)アセトニトリル塩酸塩(152mg、0.94mmol、AstaTech Inc.)を加え、室温で1.5時間撹拌した。粗反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~10%のMeOH(2NのNHを含む)/DCM)により精製すると、黄色の泡として(S)-2-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-2-イル)アセトニトリル(250mg、純度96%)が得られた。m/z(ESI,+ve)532.1(M+H).
【0299】
DMF(2mL)中の(S)-2-(4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-2-イル)アセトニトリル(250mg、0.470mmol)及びカリウム2-オキシランカルボキシレート(89mg、0.71mmol、Enamine)の混合物にDIPEA(121mg、0.16mL、0.94mmol)、次にTBTU(226mg、0.71mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50%のEtOAc/EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の固体として2-((2S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1-(オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-2-イル)アセトニトリル(77.6mg、0.13mmol、収率27.4%、純度95%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d,)δ 8.63(s,1H),8.40(d,1H,J=5.0Hz),7.5-7.6(m,1H),7.3-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),4.8-5.1(m,1H),4.1-4.5(m,3H),3.9-4.0(m,1H),3.7-3.9(m,1H),3.5-3.7(m,1H),3.4-3.4(m,1H),3.0-3.2(m,3H),2.7-2.9(m,2H),1.92(s,3H),1.07(d,3H,J=6.8Hz),0.93(d,3H,J=6.6Hz).19F NMR(DMSO-d,376MHz)δ -114.4--114.1(m,1F).m/z(ESI):602.2(M+H)
【0300】
実施例24
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(6-(オキシラン-2-カルボニル)-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化67】
アセトニトリル(3mL)中の6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(国際公開第2019051291A1号パンフレット)(272mg、0.64mmol)及びDIPEA(0.12mL、0.96mmol)の混合物にオキシ塩化リン(0.09mL、0.96mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を室温で加え、次に80℃で1時間撹拌した。この反応混合物を濃縮すると、褐色の固体として4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI):443.0(M+H)
【0301】
アセトニトリル(3mL)中の4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びDIPEA(0.17mL、0.96mmol)の混合物に2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン(210mg、1.06mmol、AstaTech,Inc)を加え、室温で10分間撹拌した。粗反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~60%のEtOAc/EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製すると、淡黄色の泡としてtert-ブチル6-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(141mg、収率36.4%、純度88%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d,)δ 8.36(d,J=4.8Hz,1H),8.27(s,1H),7.4-7.6(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.1-7.2(m,2H),5.09(brs,2H),4.48(brs,2H),4.12(brs,4H),2.6-2.7(m,1H),1.91(s,3H),1.40(s,9H),1.05(d,J=6.7Hz,3H),0.91(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.56(s,1F).m/z(ESI,+ve)605.2(M+H)
【0302】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル6-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(140mg、0.23mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1.0mL)により処理し、30分間撹拌した。この反応を完了させて濃縮すると、6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)505.2(M+H)
【0303】
DMF(1mL)中の上記の6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びカリウム2-オキシランカルボキシレート(58.4mg、0.46mmol、Enamine)の混合物にDIPEA(0.20mL、1.16mmol)、次にTBTU(149mg、0.46mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。生じた混合物に水(5mL)を加え、EtOAc(10mL×2)を用いて抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50%のEtOAc/EtOH(3:1)/ヘプタン)により精製すると、白色の固体として6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(6-(オキシラン-2-カルボニル)-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(6mg、10.4μmol、収率4.51%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.37(d,J=4.8Hz,1H),8.28(s,1H),7.5-7.5(m,1H),7.3-7.3(m,2H),7.2-7.3(m,1H),7.17(dd,J=0.7,4.9Hz,1H),5.12(brd,J=2.3Hz,2H),4.59(brs,2H),4.52(brs,2H),4.20(brd,J=1.7Hz,2H),3.48(dd,J=2.6,4.3Hz,1H),2.91(dd,J=4.4,6.5Hz,1H),2.82(dd,J=2.5,6.5Hz,1H),2.6-2.7(m,1H),1.91(s,3H),1.05(d,J=6.7Hz,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(DMSO-d,376MHz)δ -114.57(s,1F).m/z(ESI):575.0(M+H)
【0304】
実施例25
(R)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(2-(オキシラン-2-カルボニル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化68】
標題化合物(67.3mg、0.11mmol、収率47%、純度97%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを2-(tert-ブトキシカルボニル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン(Combi-Blocks Inc.)で置換し、工程4においてカリウム2-オキシランカルボキシレートをカリウム(R)-オキシラン-2-カルボキシレート(Aurum Pharmatech LLC)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.42(s,1H),8.39(d,J=5.02Hz,1H),7.47-7.57(m,1H),7.25-7.35(m,2H),7.18-7.25(m,2H),4.11-4.21(m,2H),3.87(brs,4H),3.77(s,2H),3.49(dd,J=2.51,4.18Hz,1H),2.89-2.94(m,1H),2.84(dd,J=2.51,6.27Hz,1H),2.67-2.75(m,1H),1.96-2.00(m,4H),1.93(s,3H),1.07(d,J=6.90Hz,3H),0.95(d,J=6.69Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.02(d,J=4.34Hz,1F).m/z(ESI):603.2(M+H)
【0305】
実施例26
N-((R)-1-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)オキシラン-2-カルボキサミド
【化69】
標題化合物(122.7mg、0.22mmol、収率59.6%、純度96%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを(R)-3-(boc-アミノ)ピロリジン(Ontario Chemical,Inc.)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.64(brs,1H),8.50(brd,J=6.3Hz,1H),8.37(d,J=4.8Hz,1H),7.5-7.5(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),4.46(brs,1H),3.8-4.2(m,3H),3.4-3.5(m,1H),3.39(dd,J=2.5,4.2Hz,1H),2.91(dd,J=4.4,6.3Hz,1H),2.83(dd,J=2.5,6.3Hz,1H),2.7-2.8(m,1H),2.21(brd,J=3.3Hz,1H),2.06(brd,J=5.4Hz,1H),1.91(s,3H),1.07(dd,J=0.7,6.8Hz,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.8--114.6(m,1F).m/z(ESI):563.0(M+H)
【0306】
実施例27
N-((R)-1-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)オキシラン-2-カルボキサミド
【化70】
標題化合物(88.4mg、0.16mmol、収率42.8%、純度96%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを3-N-boc-アミノ-アゼチジン(AstaTech,Inc)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.85(brd,J=6.5Hz,1H),8.37(d,J=4.8Hz,1H),8.30(s,1H),7.5-7.6(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),5.19(brdd,J=2.0,7.8Hz,1H),4.7-4.8(m,2H),4.59(brdd,J=2.7,6.1Hz,1H),4.2-4.4(m,1H),3.44(dd,J=2.5,4.4Hz,1H),2.97(dd,J=4.5,6.2Hz,1H),2.85(dd,J=2.5,6.1Hz,1H),2.6-2.7(m,1H),1.92(s,3H),1.06(d,J=6.7Hz,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-114.55(s,1F).m/z(ESI):549.2(M+H)
【0307】
実施例28
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(6-(オキシラン-2-カルボニル)-2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化71】
標題化合物(12.4mg、0.02mmol、収率16.1%、純度93%、白色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを6-boc-2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン(Aurum Pharmatech LLC)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.55(brs,1H),8.38(d,J=4.8Hz,1H),7.5-7.6(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),5.38(brs,1H),5.29(brd,J=2.7Hz,1H),5.0-5.1(m,1H),4.5-4.8(m,2H),4.2-4.4(m,2H),3.6-3.7(m,1H),3.4-3.5(m,1H),2.8-3.0(m,2H),2.7-2.7(m,1H),1.93(d,J=8.2Hz,3H),1.0-1.1(m,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.7--114.0(m,1F)m/z(ESI):575.1(M+H)
【0308】
実施例29
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(メチル(1-(オキシラン-
【化72】
標題化合物(12.4mg、0.02mmol、収率16.1%、純度93%、白色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンをtert-ブチル3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-カルボキシレート(AstaTech,Inc)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.55(brd,J=2.3Hz,1H),8.40(brd,J=4.2Hz,1H),7.4-7.5(m,1H),7.2-7.3(m,4H),4.6-4.8(m,1H),3.9-4.5(m,1H),3.6-3.9(m,4H),3.11(brs,2H),2.8-3.0(m,3H),2.8-2.8(m,1H),2.0-2.1(m,3H),1.0-1.1(m,3H),0.9-1.0(m,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-114.9--114.5(m,1F).m/z(ESI):563.0(M+H)
【0309】
実施例30
(R)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(メチル(1-(オキシラン-2-カルボニル)アゼチジン-3-イル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化73】
標題化合物(12.4mg、0.02mmol、収率16.1%、純度93%、白色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンをtert-ブチル3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-カルボキシレート(AstaTech,Inc)で、及び工程4においてカリウム2-オキシランカルボキシレートをカリウム(R)-オキシラン-2-カルボキシレート(Aurum Pharmatech LLC)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.55(s,1H),8.40(d,J=4.8Hz,1H),7.4-7.5(m,1H),7.1-7.3(m,4H),4.5-4.8(m,1H),4.0-4.3(m,1H),3.6-4.0(m,4H),3.11(d,J=4.0Hz,2H),2.8-3.0(m,3H),2.80(brdd,J=3.3,6.1Hz,1H),2.0-2.1(m,3H),1.1-1.1(m,3H),0.9-1.0(m,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-114.03(d,J=1.73Hz,1F).m/z(ESI):563.2(M+H)
【0310】
実施例31
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-((1-(オキシラン-2-カルボニル)アゼチジン-3-イル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化74】
標題化合物(30.5mg、0.06mmol、収率24.7%、純度97%、白色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンをtert-ブチル3-アミノアゼチジン-1-カルボキシレート(Enamine)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.31(brs,1H),8.99(d,J=3.6Hz,1H),8.37(d,J=4.8Hz,1H),7.4-7.6(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,1H),7.2-7.2(m,1H),4.9-5.1(m,1H),4.7-4.8(m,1H),4.3-4.4(m,2H),4.0-4.2(m,1H),3.5-3.6(m,1H),2.9-3.0(m,1H),2.8-2.9(m,1H),2.7-2.7(m,1H),1.92(s,3H),1.0-1.1(m,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.68(s,1F).m/z(ESI):549.2(M+H)
【0311】
実施例32
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(((3R)-1-(オキシラン-2-カルボニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化75】
標題化合物(82.7mg、0.15mmol、収率30%、純度96%、白色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを(R)-(+)-N-boc-3-アミノピロリジン(CNH Technologies,Inc.)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 9.0-9.1(m,1H),8.7-8.9(m,1H),8.37(d,J=4.8Hz,1H),7.5-7.5(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.1-7.2(m,2H),4.7-5.0(m,1H),3.8-4.2(m,2H),3.5-3.8(m,3H),2.9-3.0(m,1H),2.8-2.9(m,1H),2.7-2.8(m,1H),2.0-2.4(m,2H),1.93(s,3H),1.06(d,J=6.7Hz,3H),0.92(dd,J=2.5,6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -114.8--114.6(m,1F).m/z(ESI):563.2(M+H)
【0312】
実施例33
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-(7-(オキシラン-2-カルボニル)-2,7-ジアザビシクロ[4.2.0]オクタン-2-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化76】
標題化合物(91.8mg、0.16mmol、収率77%、純度96%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを7-boc-2,7-ジアザビシクロ[4.2.0]オクタン(Aurum Pharmatech LLC)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.56(brs,1H),8.40(d,J=4.8Hz,1H),7.4-7.6(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),4.86(ddd,J=2.5,7.8,10.3Hz,1H),3.6-4.5(m,6H),2.9-3.0(m,2H),2.8-2.9(m,1H),2.1-2.2(m,1H),2.04(d,J=8.1Hz,3H),1.82(brd,J=1.9Hz,1H),1.4-1.7(m,2H),1.1-1.1(m,3H),0.9-1.0(m,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-115.0--114.5(m,1F).m/z(ESI):589.1(M+H)
【0313】
実施例34
N-((S)-1-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)オキシラン-2-カルボキサミド
【化77】
標題化合物(168mg、0.29mmol、収率70.8%、純度95%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを(S)-3-boc-アミノピペリジン(Aurum Pharmatech LLC)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.53(d,J=2.1Hz,1H),8.38(d,J=4.8Hz,1H),8.24-8.37(m,1H),7.46-7.55(m,1H),7.24-7.34(m,2H),7.16-7.23(m,2H),4.13-4.34(m,2H),3.95-4.02(m,1H),3.33-3.52(m,3H),2.88(ddd,J=13.1,6.3,4.4Hz,1H),2.72-2.83(m,1H),2.59-2.69(m,1H),1.97-2.02(m,2H),1.94(s,3H),1.61-1.86(m,2H),1.06(d,J=6.7Hz,3H),0.94(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-114.09(d,J=12.1Hz,1 F).m/z(ESI):577.2(M+H)
【0314】
実施例35
N-((S)-1-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)オキシラン-2-カルボキサミド
【化78】
標題化合物(117mg、0.21mmol、収率48.4%、純度95%、淡黄色の固体)は、化合物24に類似する方法で、工程2において、2-boc-2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを(S)-(-)-3-(boc-アミノ)ピロリジン(CNH Technologies,Inc.)で置換することで調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.64(brs,1H),8.48(brd,J=6.7Hz,1H),8.37(d,J=4.8Hz,1H),7.5-7.5(m,1H),7.2-7.3(m,2H),7.2-7.2(m,2H),4.46(brd,J=4.2Hz,1H),3.7-4.1(m,3H),3.4-3.5(m,1H),3.39(dd,J=2.4,4.3Hz,1H),2.91(dd,J=4.4,6.3Hz,1H),2.83(ddd,J=1.1,2.4,6.3Hz,1H),2.6-2.7(m,1H),2.1-2.3(m,1H),2.04(brd,J=5.2Hz,1H),1.94(s,3H),1.0-1.1(m,3H),0.92(d,J=6.7Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-114.30(s,1F).m/z(ESI):563.2(M+H)
【0315】
実施例36
6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化79】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシレート(国際公開第2019051291A1号パンフレット)(140mg、0.22mmol)の溶液を室温でTFA(1.0mL)により処理し、10分間撹拌した。反応を完了させて濃縮すると、6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)537.2(M+H)
【0316】
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びカリウム(R)-オキシラン-2-カルボキシレート(41.6mg、0.33mmol、Aurum Pharmatech LLC)の混合物にDIPEA(0.19mL、1.10mmol)、次にTBTU(106mg、0.33mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた混合物に水(10mL)を加え、EtOAc(20mL×2)により抽出した。有機抽出物は、MgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、黄色の固体として6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(39.5mg、0.07mmol、収率29.6%、純度96%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 10.01-10.24(m,1H),8.43(brs,1H),8.38(d,J=4.77Hz,1H),7.20-7.28(m,1H),7.18(d,J=4.77Hz,1H),6.62-6.74(m,2H),4.86(brd,J=1.24Hz,1H),4.57-4.74(m,1H),4.04-4.32(m,2H),3.79-3.95(m,3H),2.93-3.01(m,1H),2.83(dd,J=2.38,6.32Hz,1H),2.65-2.76(m,1H),1.91(brs,3H),1.29-1.39(m,4H),1.19-1.29(m,2H),1.07(d,J=6.84Hz,3H),0.94(brd,J=6.43Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -115.83(brd,J=267.89Hz,1F).m/z(ESI,+ve)607.2(M+H)
【0317】
実施例37
7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
【化80】
ジクロロメタン(1mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-4-(7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシレート(国際公開第2019051291A1号パンフレット)(260mg、0.41mmol)の溶液を室温でトリフルオロ酢酸(1mL)により処理し、10分間撹拌した。反応を完了させて濃縮すると、7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンが得られた。m/z(ESI,+ve)536.2(M+H)
【0318】
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン及びカリウム(R)-オキシラン-2-カルボキシレート(77mg、0.613mmol、Aurum Pharmatech LLC)の混合物にDIPEA(0.36mL、2.04mmol)、次にTBTU(197mg、0.61mmol、Advanced ChemTech)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。生じた反応混合物に水(10mL)を加え、EtOAc(20mL×2)により抽出した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100%のEtOAc-MeOH(9:1)/ヘプタン)により精製すると、黄色の固体として7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-4-((2S,5R)-2,5-ジメチル-4-((R)-オキシラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(173mg、0.29mmol、収率69.9%、純度99%)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 8.44(s,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),7.19(d,J=4.8Hz,1H),7.05(q,J=7.5Hz,1H),6.45(d,J=8.3Hz,1H),6.26-6.38(m,1H),5.06-5.16(m,2H),4.80-4.92(m,1H),4.56-4.77(m,1H),4.01-4.22(m,2H),3.86-3.99(m,2H),2.97(dd,J=6.0,4.6Hz,1H),2.79-2.88(m,1H),2.57-2.73(m,1H),1.81-2.03(m,3H),1.23-1.41(m,5H),1.14 -1.21(m,2H),0.87-1.10(m,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -115.83--115.48(m,1 F).m/z(ESI,+ve)606.2(M+H)
【0319】
表1:化合物の生化学的活性及び細胞活性
表1の化合物に対しては、以下のアッセイ条件を使用した。
【0320】
結合ヌクレオチド交換アッセイ:G12C若しくはG12Dの何れか並びにC118Aアミノ酸置換及びN末端Hisタグを含有する精製GDP結合KRASタンパク質(アミノ酸1~169)は、5分間又は20時間の何れかに渡り、化合物用量反応滴定を用いるアッセイ緩衝液(25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl及び0.01%のTriton X-100)中でプレインキュベートした(表15を参照されたい)。化合物のプレインキュベーション後に、精製SOSタンパク質(アミノ酸564~1049)及びGTP(Roche 10106399001)をアッセイウェルに加え、さらに30分間インキュベートした。SOS媒介性ヌクレオチド交換の阻害の程度を決定するために、精製GST-標識化cRAF(アミノ酸1~149)、ニッケルキレートであるAlphaLISAアクセプタービーズ(PerkinElmer AL108R)及びAlphaScreenグルタチオンドナービーズ(PerkinElmer 6765302)をアッセイウェルに加え、10分間インキュベートした。次いで、アッセイプレートを、PerkinElmer EnVision Multilabel Reader上でAlphaScreen(登録商標)技術を使用して読み取り、4-パラメーターロジスティックモデルを使用してデータを解析し、IC50値を算出した。
【0321】
ホスホ-ERK1/2 MSDアッセイ:MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CRL-1420(商標))細胞は、10%のウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific 16000044)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(ThermoFisher Scientific 10378016)を含有するRPMI 1640培地(ThermoFisher Scientific 11875093)中で培養した。化合物処理の16時間前、MIA PaCa-2細胞を25,000細胞/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃、5%のCOでインキュベートした。用量-反応滴定量の化合物を増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの適当なウェルに加え、続いて37℃、5%のCOで2時間又は4時間インキュベートした(表15を参照されたい)。化合物の処理後、細胞は氷冷ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca2+又はMg2+不含)(ThermoFisher Scientific 14190144)で洗浄し、続いてプロテアーゼ阻害剤(Roche 4693132001)及びホスファターゼ阻害剤(Roche 4906837001)を含有するRIPA緩衝液(50mMのTris-HCl(pH7.5)、1%のIgepal、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、150mMのNaCl及び0.5%のドデシル硫酸ナトリウム)中に溶解させた。化合物処理溶解物中のERK1/2のリン酸化について、ホスホ-ERK1/2全細胞溶解物キット(Meso Scale Discovery K151DWD)を使用し、製造業者のプロトコルに従ってアッセイした。アッセイプレートをMeso Scale Discovery Sector Imager 6000で読み取り、4-パラメーターロジスティックモデルを使用してデータを解析し、IC50値を算出した。
【0322】
GDP-KRAS G12D RF-MSアッセイ:MSアッセイは、下記の緩衝液:新しく作製してアッセイ緩衝液に加えた100μMのGDPを含む、25mMのHEPES(pH7.4)、20mMのMgCl、10mMのNaCl、3%のDMSO、0.0005%のCHAPS中で実施した。KRAS G12Dの最終濃度は、2μMであった。アッセイのインキュベーション時間は20時間であり、阻害剤濃度は100μMであった。質量分析アッセイのためには、Greinerのポリプロピレン製の透明なV字底プレートを使用した。典型的には、反応は阻害剤を含有するウェルにKRAS G12Dの添加によって開始させ、その後にRapidfire MS分析を実施した。様々なインキュベーション時間での相対結合値(%)を使用して、100μMの阻害剤でのkobs値を推定した。
【0323】
機器
RapidFire試料液ハンドリング装置:使用したRapidFire液体ハンドリング装置は、RF 360型であった。溶媒は、Agilent 1260 Infinityポンプによって送達された。機器制御ソフトウエアは、Agilent RapidFireハイスループットMSシステムソフトウエア(v4.0.12333.14274)であった。これらの実験のためにはシングルC4タイプA(Agilent technologies、G9203)SPE-カートリッジが使用された。300msの吸引時間を使用することによって、10μLの容量(決定された試料ループ)を384ウェルプレートの各ウェルから取り出した。試料負荷/洗浄時間は、1.25mL/分の流量で6000ミリ秒(ms)(HO、0.1容積/容積%のギ酸、0.05容積/容積%のトリフルオロ酢酸)であった;溶出時間は、7000ミリ秒(アセトニトリル、0.1容積/容積%のギ酸、0.05容積/容積%のトリフルオロ酢酸)であった;再平衡化時間は、1.25mL/分の流量で700ミリ秒(HO、0.1容積/容積%のギ酸、0.05容積/容積%のトリフルオロ酢酸)であった。
【0324】
質量分析法:質量分析法データは、正イオン化モードにあるデュアルAgilent Jet Spray(AJS)イオン源を用いて作動させたAgilent 6530四重極飛行時間型(ToF)MSシステム上で収集した。機器のパラメーターは、次の通りであった:ガス温度350℃;乾燥ガス5L/分;ネブライザー60psi;シースガス350℃;シースガス流量11L/分;キャピラリー3.5kV(0.037μA);ノズル1.75kV;フラグメンテーター200V;スキマー75V;八重極RF 800V波高値(peak-to-peak)。データは、5スペクトル/秒の速度で収集した。質量スケールは、300~3200のm/z範囲に渡ってAgilent正イオンチューンミックスを用いて較正した。機器制御ソフトウエアは、Agilent MassHunter Workstation Data Acquisition(vB.05.01)であった。
【0325】
質量分析法データのデータ処理及び情報科学:全てのデータ処理は、Agilent MassHunter Qualitative Analysis(B.05.00)Agilent RapidFire制御ソフトウエア(v4.0.12333.14070)及びAgilent DA Reprocessor Offline Utilities B.05.00、Build 162の組み合わせを用いて、HP Z620、64ビット、12-プロセッサー、Windows 7のPCを使用して実施した。RapidFire-MSシステムから収集したSPE-MSデータは、典型的には複数のインジェクション事象から構成される単独SPE-MSデータファイルである。有効な電荷状態抽出、SPE-ピーク積分及びその後のMS-スペクトルデコンボリューションのためには、単一SPE-MSデータファイルを単一インジェクション事象に分割する。これは、典型的にはオフラインで実施され、Convert MSデータオプションを使用するAgilent RapidFire制御ソフトウエア(v4.0.12333.14070)を使用して、RapidFireユーザーインターフェースソフトウエアを通して達成した。個々のインジェクション事象MS-データファイルが生成されると、それらはDA Reprocessor Offline Utilities(B.05.00、Build 162、Agilent)を使用して全てがバッチプロセシングされる。バッチプロセシングのためには、Agilent MassHunter Qualitative Analysis B.05.00を使用して方法ファイルが作製された。この方法ファイルの詳細は、BioConfirm Workflow内に含有され、下記の通りである:Integrate(MS)、インテグレーターの選択:概して、平滑なオプションを選択した;検出器ポイントサンプリング1;開始閾値5.0;停止閾値0.0;フィルタリング5ポイント;ピーク場所、最上部。抽出物(MS):m/z 800~1400内のピークスペクトル抽出(MS)。デコンボリュート(MS)最大エントロピー:質量範囲19,000~21,000Da(ダルトン);質量工程1.0Da;S/N閾値20.0;使用限界m/z範囲800~1400;付加プロトン;自動同位体ピーク幅;最小連続電荷状態5。
【0326】
個々のインジェクション事象MS-ファイルが上述した方法ファイルを用いてプロセシングされると、単一レポートファイルが、Excelスプレッドシートの形態で、各インジェクション事象MSファイルのために生成される。スプレッドシート内の特定のセル内に含有される関連するタンパク質分子量及び強度値は、Excel報告書/結果ファイルからPipeline Pilot(BIOVIA)内のカスタムのルーチン文書を使用して抽出され、連結アウトプットファイル(本文、フォーマット内で区切られたタブ;図S4a)の形態にある制御率(POC)及び結合率(結合%)値を計算するために使用される。POC=(未修正タンパク質ピーク強度/制御タンパク質ピーク強度)×100及び結合%=(予測タンパク質付加ピーク強度/制御タンパク質ピーク強度)×100。相対結合%=結合%/(POC+結合%)×100は、イオン化又は検出効率に試料変動性又は化合物が及ぼす作用を説明する共有結合の正規化尺度である。これらの数値は、次に詳細なデータ分析のためにAmgen社のデータ分析スイート(Genedata)にインプットされ、次に最終的にAmgen社の中央データベースにロードされる。Pipeline Pilotスクリプトのための特定のインプットファイルは、Excel報告書/結果ファイルディレクトリである;RapidFire-MS収集中に生成され、インジェクションシーケンス、インジェクション位置及びプレートバーコード(Amgen Sample Bankによって分注される384ウェルプレートマップと一致する)を含有する、化合物分子量ファイル(Amgen登録化合物番号及び予想共有結合修飾)及びインジェクションシーケンスファイル(RFTIMEファイル;図示していない)。Pipeline Pilotルーチンにユーザーインターフェースを介して手動でインプットされる追加の情報は、タンパク質の分子量(平均分子量(Da))及び典型的には0.01%(19.5kDaのタンパク質については±2Da)である分子量変動率である。
【0327】
【表3】
【0328】
【表4】
【0329】
【表5】
【0330】
本発明は、好ましい実施形態に関連して説明される。しかしながら、本発明は、本明細書に開示した実施形態に限定されないことを理解すべきである。本発明の実施形態の説明が本明細書に記載されれば、当業者によって様々な変更形態がなされ得ると理解されている。そのような変更形態は、以下の特許請求の範囲に包含される。
【国際調査報告】