(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】EMIシールド工程及び通信モジュール製品
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20221213BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20221213BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20221213BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20221213BHJP
【FI】
H05K9/00 W
H01L23/30 D
H01L23/00 C
H04B1/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523920
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020114836
(87)【国際公開番号】W WO2021077937
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】201911014276.4
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521441434
【氏名又は名称】湖州▲見▼▲聞▼▲録▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUZHOU JIANWENLU TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 2, No. 55, Dachuanwan Road, Longxi Sub-District Huzhou, Zhejiang 313000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 林萍
(72)【発明者】
【氏名】盛 ▲荊▼浩
(72)【発明者】
【氏名】江 舟
【テーマコード(参考)】
4M109
5E321
5K011
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109EE07
5E321AA21
5E321AA22
5E321BB53
5E321BB60
5E321CC16
5E321GG05
5K011AA01
5K011AA15
5K011DA01
5K011JA01
5K011KA04
5K011KA18
(57)【要約】
本出願は、EMIシールド材料、EMIシールド工程及び通信モジュール製品を開示している。
本出願は、EMIシールド材料を開示している。当該EMIシールド材料は互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含み、前記金属粒子の表面は絶縁保護層を有する。本出願は、基板に設けられたモジュール素子を含む通信モジュール製品をさらに開示し、EMIシールドを必要とする前記モジュール素子の周辺には上記のシールド材料が充填されている。本出願はEMIシールド工程をさらに開示し、前記EMIシールド工程は、a:モジュール素子が設けられた通信モジュールを製造するステップと、b:前記通信モジュールの、EMIシールドを必要とするモジュール素子領域に上記のシールド材料を付与するステップと、を含む。当該シールド材料は、シールドを必要とするチップ領域に対する被覆シールドを実現でき、即ち、チップの6つの表面又は6つの方向に対していずれも被覆シールドを行うとともに、チップ同士の間に対してシールドを行うことができ、従来のシールド工程を結合して、低周波から高周波へのよいシールドを実現でき、その同時、低い工程コストを具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含むEMIシールド材料であって、前記金属粒子の表面は絶縁保護層を有することを特徴とするシールド材料。
【請求項2】
前記シールド材料には、一定割合の二酸化ケイ素粒子がさらに混合されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項3】
前記シールド材料には、一定割合のアルミナ粒子がさらに混合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド材料。
【請求項4】
前記シールド材料において、前記金属粒子の重量比率は1~95%であることを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項5】
前記シールド材料において、前記二酸化ケイ素粒子の重量比率は1~40%であることを特徴とする請求項2に記載のシールド材料。
【請求項6】
前記シールド材料において、前記アルミナの重量比率は1~40%であることを特徴とする請求項3に記載のシールド材料。
【請求項7】
前記シールド材料は、重量比率が0.1~0.2%である硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項8】
前記シールド材料において、前記樹脂材料の重量比率は1%~30%であることを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項9】
前記金属粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項10】
前記二酸化ケイ素粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項2に記載のシールド材料。
【請求項11】
前記アルミナ粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項3に記載のシールド材料。
【請求項12】
前記金属粒子の材質は、銀、金、銅、クロム、ニッケル、フェロニッケル、上記2つ以上の金属からなる合金、又は上記金属或いは合金からなる傾斜機能材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項13】
前記金属粒子は、異なる材質が混在する金属粒子を含むことを特徴とする請求項12に記載のシールド材料。
【請求項14】
前記金属粒子上の前記絶縁保護層は、樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素コーティングであり、その厚さが1nm~5000nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載のシールド材料。
【請求項15】
基板に設けられたモジュール素子を含む通信モジュール製品であって、EMIシールドを必要とする前記モジュール素子の周辺には、請求項1~14の何れか1項に記載のシールド材料が充填されていることを特徴とする通信モジュール製品。
【請求項16】
前記モジュール素子と前記基板との間、及び前記モジュール素子の天井部には前記シールド材料が充填されていることを特徴とする請求項15に記載の通信モジュール製品。
【請求項17】
前記モジュール素子の天井部での前記シールド材料は、30umを超える厚さを有することを特徴とする請求項15に記載の通信モジュール製品。
【請求項18】
前記通信モジュール製品の外部は、金属シールド層で被覆されていることを特徴とする請求項15に記載の通信モジュール製品。
【請求項19】
EMIシールド工程であって、
a:モジュール素子が設けられた通信モジュールを製造するステップと、
b:前記通信モジュールの、EMIシールドを必要とするモジュール素子領域に、請求項1~14の何れか1項に記載のシールド材料を付与するステップと、を含むEMIシールド工程。
【請求項20】
前記付与ステップは、印刷工程及び/又はディスペンシング工程を利用することを特徴とする請求項19に記載のEMIシールド工程。
【請求項21】
前記印刷工程は、具体的に、前記通信モジュールの被覆を必要とする領域にカスタマイズのスクリーンを使用して、前記シールド材料を印刷するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載のEMIシールド工程。
【請求項22】
前記印刷工程は、真空印刷であることを特徴とする請求項21に記載のEMIシールド工程。
【請求項23】
前記ディスペンシング工程は、具体的に、ディスペンシングの方式で、前記モジュール素子の底部及び天井部に対する前記シールド材料の充填又は被覆を実現するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載のEMIシールド工程。
【請求項24】
c:前記シールド材料が付与された通信モジュールで射出成形を行うステップをさらに含むことを特徴とする請求項19~23の何れか1項に記載のEMIシールド工程。
【請求項25】
d:射出成形後の通信モジュールの外層でスパッタリング又は塗装を行うことで、金属シールド層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のEMIシールド工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、電磁分野に関して、具体的にEMIシールド材料、通信モジュール製品及びEMIシールド工程に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のEMIシールド技術は、主に携帯電話などのセルラー端末に適用され、周波数帯が複雑になり、キャリアアグリゲーションが隣接周波数帯の同時使用を必要とすることに連れて、端末の内部空間がより小さくなり、集積度がますます高くなり、モジュールの間の干渉が課題になり、通信効果及び機械全体の消費電力を保証しなければならないため、モジュールの間のEMIシールド、特に、低周波周波数帯のシールドに対する要求がますます高くなる。通信技術の継続的な拡張に連れて、通信モジュールの性能を保証するために、インテリジェントターミナル、ドローン、無人車両、自動車通信モジュール、IOTなどを含む各類の端末に対して高水準のEMIシールド工程を幅広く応用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のEMIシールド技術は、主にコンフォーマルEMIシールド構成及び分割式EMIシールド構成を含む。コンフォーマルEMIシールド構成は、スパッタリング又は塗装の方式で、金属シールド層を付与するが、このような方式は分割式シールドを実現できない。分割式EMIシールド構成は、一般的に、各チップ部品に対して独立のシールド領域を作り出し、具体的に、トレンチ掘り及び充填又は接着剤塗布などの方式を利用して、部品の間で分割式シールド構成を形成する。ただし、このような分割式工程の製造コストは高く、工程制御が困難である。また、従来技術のシールド構成は、チップ底部にEMIシールドを形成していないとともに、高いコストを有するため、大量生産に不利になる。
【0004】
従来技術の上記問題に対して、本出願は、改良されたEMIシールド材料、EMIシールド工程、及び上記シールド材料、シールド工程が付与された通信モジュール製品を提出する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含むEMIシールド材料を提出し、前記金属粒子の表面は絶縁保護層を有する。当該EMIシールド材料は優れたシールド性及び絶縁性を同時に具備するため、直接的に無線周波モジュールに付与でき、且つ、非常に低い製造コスト及び施工コストを具備し、大量生産に適する。
【0006】
好適な実施例において、前記シールド材料には、一定割合の二酸化ケイ素粒子がさらに混合されている。二酸化ケイ素粒子を添加することで、前記シールド材料の膨張係数を低下させる。
【0007】
好適な実施例において、前記シールド材料には、一定割合のアルミナ粒子がさらに混合されている。アルミナ粒子を添加することで、シールド材料の放熱係数を低下させる。
【0008】
好適な実施例において、前記シールド材料において、前記金属粒子の重量比率は1~95%であり、前記金属粒子の直径は0.1~30μmの間にある。必要なEMIシールド効果に基づいて、当該比率を選択すればよく、比率が高いほど、優れたシールド効果を有し、金属粒子自体が絶縁保護層を具備するため、高比率の金属粒子はシールド材料の絶縁性に影響することない。
【0009】
好適な実施例において、前記シールド材料において、前記二酸化ケイ素粒子の重量比率は1~40%であり、前記二酸化ケイ素粒子の大きさは0.1um~30umの間にある。実際の必要に応じて、その比率及び大きさを決定すればよい。
【0010】
好適な実施例において、前記シールド材料において、前記アルミナの重量比率は1~40%であり、前記アルミナ粒子の大きさは0.1um~30umの間にある。実際の必要に応じて、その比率及び大きさを決定すればよい。
【0011】
好適な実施例において、前記シールド材料は、重量比率が0.1~0.2%である硬化剤をさらに含む。硬化剤を添加することで、シールド材料を便利に凝固させる。
【0012】
好適な実施例において、前記シールド材料において、前記樹脂材料の重量比率は1%~30%である。好適な実施例において、前記金属粒子の材質は銀、金、銅、クロム、ニッケル、フェロニッケル、上記2つ以上の金属からなる合金、又は上記金属或いは合金からなる傾斜機能材料を含む。異なるシールドニーズ(例えば、低周波干渉又は高周波干渉)に対して、異なる材質の金属粒子を選択できる。
【0013】
好適な実施例において、前記金属粒子は、異なる材質が混在する金属粒子を含む。無論、フル周波数のシールドニーズに応じて、異なる材質の金属粒子を同時に選択してもよい。
【0014】
好適な実施例において、前記金属粒子上の前記絶縁保護層は樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素コーティングであり、その厚さが1nm~5000nmの間にある。絶縁保護層の存在は、金属粒子の絶縁性を保証して、シールド材料の全体的な絶縁性を実現する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、基板に設けられたモジュール素子を含む通信モジュール製品を提出し、EMIシールドを必要とする前記モジュール素子の周辺には、上記に記載のシールド材料が充填されている。モジュール素子の周辺に本出願が保護を請求するシールド材料を簡単に充填することで、よいシールド効果を実現するとともに、モジュール素子に対する別の絶縁保護材料を付与する必要がない。当該モジュール素子は抵抗、コンデンサー又はコンバイナなどの任意の部品であってもよい。
【0016】
好適な実施例において、前記モジュール素子と前記基板との間、及び前記モジュール素子の天井部には前記シールド材料が充填されている。モジュール素子の天井部及び底部にいずれもシールド材料を充填することで、モジュール素子本体の6つの方向に対してシールドを行って、2つのモジュール素子の間のシールドを含み、従来技術の分割式シールド及びコンフォーマルシールドの効果を同時に実現する。
【0017】
好適な実施例において、前記モジュール素子の天井部での前記シールド材料は30umを超える厚さを有する。発明者は、当該厚さが必要なシールド効果をよく実現できることを見つけた。
【0018】
好適な実施例において、前記通信モジュール製品の外部は金属シールド層で被覆される。別途の金属シールド層の付与は、2層シールドの効果を達成し、通信モジュール製品に対するよりよいシールドを実現できる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、EMIシールド工程を提出し、a:モジュール素子が設けられた通信モジュールを製造するステップと、b:前記通信モジュールの、EMIシールドを必要とするモジュール素子領域に上記のシールド材料を付与するステップと、を含む。当該シールド工程の施工が簡単であり、コストが低く、大量生産に適し、また、従来工程に対してよりよいシールド効果を達成する。
【0020】
好適な実施例において、前記付与ステップは、印刷工程及び/又はディスペンシング工程を利用する。
【0021】
好適な実施例において、前記印刷工程は具体的に、前記通信モジュールの、被覆を必要とする領域にカスタマイズのスクリーンを使用して、前記シールド材料を印刷するステップを含む。
【0022】
好適な実施例において、好ましくは、前記印刷工程は真空印刷である。発明者の実験により、真空印刷はよりよい付与効果を実現できることを証明した。
【0023】
好適な実施例において、ディスペンシング工程は具体的に、ディスペンシングの方式で、モジュール素子の底部及び天井部に対するシールド材料の充填又は被覆を実現するステップを含む。
【0024】
好適な実施例において、前記方法は、c:前記シールド材料が付与された通信モジュールで射出成形を行うステップをさらに含む。射出成形によって、通信モジュールの外部に均一な表面を形成し、後続工程を便利にする。
【0025】
好適な実施例において、前記方法は、d:射出成形後の通信モジュールの外層でスパッタリング又は塗装を行うことで、金属シールド層を形成するステップをさらに含む。これによって、2層シールド層の形成を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面を結合して、実施例に対するさらなる理解を提供し、図面は本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。図面は実施例を示し、明細書とともに本発明の原理を解釈する。他の実施例及び実施例の多くの予想利点を容易に認識でき、なぜならば、以下の詳しい記載を引用することで、分かりやすくなるからである。図面の素子は必ずしも互いに縮尺に従うとは限らない。同じ符号は、対応する類似部件を指す。
【0027】
【
図1】従来技術におけるコンフォーマルEMIシールド構成の模式図を示す。
【
図2】従来技術における分割式EMIシールド構成の模式図を示す。
【
図3】本発明の実施例による、シールド材料における金属粒子の構成模式図を示す。
【
図4】本発明の実施例によるEMIシールド構成の模式図を示す。
【
図5】本発明の別の実施例によるEMIシールド構成の模式図を示す。
【
図6a】本発明の実施例によるEMIシールド工程のフローチャートを示す。
【
図6b】本発明の実施例によるEMIシールド工程のフローチャートを示す。
【
図6c】本発明の実施例によるEMIシールド工程のフローチャートを示す。
【
図6d】本発明の実施例によるEMIシールド工程のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下は、図面及び実施例を結合して、本出願をさらに詳しく説明する。ここで、記載の具体的な実施例は、ただ関連発明を解釈するためのものであり、当該発明を限定しない。また、記載の便宜上、図面は、関連発明に関する部分のみを示す。
【0029】
ここで、衝突しない場合、本出願の実施例及び実施例の特徴に対して互いに組み合わせてもよい。以下は図面を参照し、実施例を結合して本出願を詳しく説明する。
【0030】
図1は、従来技術のコンフォーマルEMIシールド構成の模式図を示す。
図1に示すように、無線周波通信モジュール製品101には、フィルタ、低雑音増幅器(LNA)、ローパスフィルタ(LPF)、コンバイナ、スイッチ、オペアンプ(PA)などのチップ102が設けられる。EMIシールドを必要とする無線周波通信モジュール製品101には金属シールド層103が設けられる。当該金属シールド層103は一般的に、製品で銅ターゲット材をスパッタリングするか、又は銀ペースト材料を塗装することで付与される。当該金属シールド層103の付与工程は簡単であるが、高周波に対するシールド効果が劣って、分割式シールドを実現できない。
【0031】
図2は、従来技術の分割式EMIシールド構成の模式図を示す。
図2に示すように、無線周波通信モジュール製品201にはチップ202が設けられる。チップ202の間には分割式シールド構成203が設けられ、当該分割式シールド構成203は、各チップの間にいずれも独立のシールド領域を具備させ、シールド効果を大幅に向上させる。当該分割式シールド構成は、一般的に、分割シールドを必要とするチップの周囲で、トレンチ掘りを行ってから導電性材料(又はwirebondingの方法を利用してチップの間でシールドを形成する)スパッタリング、塗装又は充填し、最後、モジュールの外面の金属シールド層204を形成し、必要がある任意の領域に対して分離型シールド効果を形成する。ただし、従来技術における分割式シールドの工程が複雑であり、コストが高く、特に、低周波干渉に対するシールド効果はよくない。当該低周波は主に、500~800MHzの通信周波数帯を指す。
【0032】
本出願が開示するシールド技術は、特殊なシールド材料を採用することを核心とする。当該シールド材料は互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含み、当該金属粒子の表面は絶縁保護層を有する。当該金属粒子は
図3の金属球301である。金属粒子の形状は球状又は円形に限定されず、扁平又は楕円形などの他の形状であってもよく、又は、異なるサイズ或いは形状の粒子を混合し調合してもよい。
【0033】
当該金属球の表面には、絶縁保護層302を形成するためのナノスケールの樹脂コーティングが設けられ、また、当該金属球は単一金属球(
図3の左側図に示すように)、又は複合金属球(
図3の右側図に示すように)であってもよい。無論、金属粒子は、球状以外の形状を有しもよい。また、異なるシールド効果に基づいて、金属粒子の材質を決定してもよく、例えば、金、銀、銅、クロム、ニッケル又はフェロニッケル、或いは2種以上の金属からなる合金、若しくは上記金属又は合金からなる傾斜機能材料、例えば、多層金属又は合金からなる多層金属を複合して形成された金属粒子であってもよい。銀のシールド効果が最もよく、フェロニッケルの低周波信号に対するシールド効果はよりよい。実際の操作で、必要に応じて、異なる種類の金属粒子を選択して、最終のシールド材料に混合し、結果として、例えば、より全面的なシールド効果を実現する。樹脂材料はエポキシ樹脂又はシリコーンゴムなどを採用してもよく、異なるニーズに応じて選択すればよい。金属粒子のサイズは0.1um~30umであり、シールド材料での重量比率は1~95%であってもよい。当該サイズ及び比率について、シールドの必要に応じて柔軟に選択すればよい。異なる金属成分割合に対応するEMIシールド効果に応じて決定してもよい。
【0034】
好適な技術案において、絶縁保護層の厚さは1nm~5000nmの間にある。絶縁保護層の配置によって、当該シールド材料は絶縁であることを確保できるため、チップモジュールを絶縁材料で被覆しておく必要がなく、直接的にチップモジュールに付与されることで、シールド干渉効果を実現できる。具体的な厚さに対する選択について、確実性及び熱伝導性の要求に応じて決定すればよい。好ましくは、絶縁保護層はナノスケールであり、具体的に、樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素などのような材料を採用してもよい。
【0035】
好適な技術案において、シールド材料に二酸化ケイ素粒子を添加することで、シールド材料の膨張係数を低下させ、アルミナ粒子を添加することで、放熱係数を高める。二酸化ケイ素粒子のサイズは0.1um~30umの間にあり、アルミナ粒子のサイズは0.1um~30umの間にある。前記シールド材料において、二酸化ケイ素とアルミナ粒子という両者の重量比率は1~40%であってもよい。二酸化ケイ素粒子又はアルミナ粒子の形状は球状又は円形に限定されず、扁平又は楕円形などの他の形状であってもよく、或いは異なるサイズ又は形状の二酸化ケイ素粒子若しくはアルミナ粒子を混合し調合してもよい。
【0036】
図4は、本発明の実施例によるシールド材料における金属粒子の構成模式図であり、本出願に記載のEMIシールド材料が付与された後、即ち、パッケージングされた後の通信モジュール製品を示す。
図4から分かるように、当該通信モジュール製品は、基板401に設けられたモジュール素子402を含み、EMIシールドを必要とする前記モジュール素子402の周辺には上記のシールド材料403が充填されている。これによって、モジュール素子402の間に分割式シールドを形成し、当該シールドは領域及びモジュール素子402に対する制限がなく、コンデンサー、抵抗、インダクターなどの他の任意の素子の間、又は局所で、このようなシールド構成を形成してもよい。特に、モジュール素子402の天井部及び底部(即ち、モジュール素子402と基板401との間)にはいずれもシールド材料が充填されているため、モジュール素子402に対する独特な被覆シールドを実現できる。モジュール素子底部のEMIシールド領域の形成はモジュール素子402底部のシールド効果を大幅に向上させ、業界の重要な問題を解决する。本出願が開示するシールド材料自体は金属粒子を含有するとともに、非導電性であるため、モジュール素子402の動作に影響しない。モジュール素子402の上方領域でよりよいシールド効果を取得するために、好ましくは、モジュール素子402の天井部のシールド材料の厚さを30umを超える厚さにするため、結果として、モジュール素子402の6つの方向でシールドを行うことができ、複数のモジュール素子402の間でもシールドを行うことができる。
【0037】
当該通信モジュール製品は、無線セルラー端末で使用される無線周波モジュール製品であってもよく、当該無線セルラー端末は2G/3G/4G/5Gの携帯電話、WiFi機器、Pad、スマートウォッチ、IOT機器及び車載端末などであってもよい。通信モジュール製品でのモジュール素子402、例えば、フィルタ、スイッチ、低雑音増幅器、オペアンプ、チューナ又は前者の組み合わせであってもよい。
【0038】
図5は、本発明の実施例によるEMIシールド構成の模式図を示す。
図5の実施例と
図4との相違点は以下の通りであり、即ち、通信モジュール製品の外部には外層金属シールド層504が設けられることで、2層シールドを実現し、よりよい低周波シールド効果を達成する。
【0039】
図6a~dは、本発明の実施例によるEMIシールド工程のフローチャートを示す。まず、
図6aに示すように、モジュール素子402SMTを基板に貼着して、溶接及び洗浄を完成させる。当該モジュール素子402はフィルタチップ、低雑音増幅器(LNA)、スイッチ及びオペアンプ(PA)などのチップを含んでもよいし、抵抗、コンデンサー、インダクターまたはコンバイナ、LPFなどの任意の素子であってもよい。無論、SMTは1つの例示に過ぎず、他の工程でモジュール素子を取り付けてもよい。
【0040】
図6bに示すように、本出願が開示するシールド材料を利用して、印刷又はディスペンシング工程で基板401に付与し、シールドを必要とするチップ領域を被覆し充填する。ディスペンシング工程は具体的に、ディスペンシングの方式で、モジュール素子の底部及び天井部に対するシールド材料の充填又は被覆を実現するステップを含む。当該シールド材料の独特な性質のため、印刷工程でEMIシールド材料の付与を実現でき、具体的に、被覆を必要とする領域でカスタマイズのスクリーン601を使用して、シールド材料を印刷して、被覆を完成する。当該スクリーン601は金属又はプラスチック材質であってもよい。印刷後、スクレーパー602を利用して余計なシールド材料603を除去する。好適な技術案において、真空印刷の方式でシールド材料を付与し、当該方式によって、シールド材料はモジュール素子402の底部、及びその間の領域によりよく入り込み、より十分な充填を実現する。無論、モジュール素子402の底部に接着剤を充填して、モジュール素子402領域の底部及び上方に対する被覆を完成してもよく、これによって、モジュール素子402の間(モジュール素子402内部を含む)の無線周波信号の干渉をよく低減させる。これから分かるように、当該シールド材料の付与は、別途の溝切り及びフレーム製造を必要としないため、低い工程の困難さ及びコストを有する。
【0041】
図6cに示すように、シールド材料が付与された通信モジュール製品で射出成形を行うことで、製品外部を射出材料604で被覆する。そして、
図6dのステップにおいて、スパッタリング又は塗装の方式で、製品の最外層に金属シールド層605を形成する。これから分かるように、当該ステップは選択可能である。結果として、パッケージング後の製品に、分割式シールド及び2層シールドの効果を同時に具備させる。発明者の実際テストによって、このようなシールド工程は、500MHz~6GHzの範囲内で40dBのシールド効果を実現できる。
【0042】
以上は本出願の具体的な実施形態を記載したが、本出願の保護範囲はこれらに限定されず、当業者であれば、本出願が開示した技術範囲内で、変更及び差し替えを容易に想到し得て、これらの変更及び差し替えも本出願の保護範囲内に該当すべきである。従って、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲を基準とする。
【0043】
ここで、本出願の記載において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語が指示する方位又は位置関係は、図面による方位又は位置関係であり、係る装置又は素子が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作されなければならないことを指示又は暗示するのではなく、本出願を便利に記載し、及び記載を簡略化するためのものであるので、本出願に対する限定ではない。語句「含む」は、請求項に挙げられていない素子又はステップの存在を排除しない。素子の前の語句「1」又は「1つ」は複数のこのような素子の存在を排除しない。互いに異なる従属請求項に記載したいくつかの措置の簡単な事実は、これらの措置の組み合わせが改良できないことを意味するのではない。請求項における任意の符号は、範囲に対する限定として解釈されるわけではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられたモジュール素子を含む通信モジュール製品であって、EMIシールドを必要とする前記モジュール素子本体の周辺にはシールド材料が充填されていることで、前記モジュール素子の間に分割式シールドを形成し、前記EMIシールド材料は互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含
み、前記金属粒子の表面は絶縁保護層を有
し、前記金属粒子上の前記絶縁保護層は樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素コーティングであることを特徴とする
通信モジュール製品。
【請求項2】
前記モジュール素子と前記基板との間、及び前記モジュール素子の天井部には前記シールド材料が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項3】
前記モジュール素子の天井部での前記シールド材料は、30umを超える厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項4】
前記通信モジュール製品の外部は、金属シールド層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項5】
前記シールド材料には、一定割合の二酸化ケイ素粒子がさらに混合されていることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項6】
前記シールド材料には、一定割合のアルミナ粒子がさらに混合されていることを特徴とする請求項1又は5に記載の通信モジュール製品。
【請求項7】
前記シールド材料において、前記金属粒子の重量比率は1~95%であることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項8】
前記シールド材料において、前記二酸化ケイ素粒子の重量比率は1~40%であることを特徴とする請求項5に記載の通信モジュール製品。
【請求項9】
前記シールド材料において、前記アルミナの重量比率は1~40%であることを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載の通信モジュール製品。
【請求項10】
前記シールド材料は、重量比率が0.1~0.2%である硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項11】
前記シールド材料において、前記樹脂材料の重量比率は1%~30%であることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項12】
前記金属粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項13】
前記二酸化ケイ素粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項5に記載の通信モジュール製品。
【請求項14】
前記アルミナ粒子のサイズは、0.1um~30umの間にあることを特徴とする請求項6に記載の通信モジュール製品。
【請求項15】
前記金属粒子の材質は、銀、金、銅、クロム、ニッケル、フェロニッケル、上記2つ以上の金属からなる合金、又は上記金属或いは合金からなる傾斜機能材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項16】
前記金属粒子は、異なる材質が混在する金属粒子を含むことを特徴とする請求項15に記載の通信モジュール製品。
【請求項17】
前記金属粒子上の前記絶縁保護層は、樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素コーティングであり、その厚さが1nm~5000nmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール製品。
【請求項18】
EMIシールド工程であって、
a:モジュール素子が設けられた通信モジュールを製造するステップと、
b:前記通信モジュールの、EMIシールドを必要とするモジュール素子領域に、印刷工程及び/又はディスペンシング工程を利用して、EMIシールド材料を付与することで、前記モジュール素子の間に分割式シールドを形成するステップであって、前記EMIシールド材料は互いに混合する樹脂材料と金属粒子とを含み、前記金属粒子の表面は絶縁保護層を有し、前記金属粒子上の前記絶縁保護層は樹脂、テフロン、窒化ケイ素又は酸化ケイ素コーティングであるステップと、を含むEMIシールド工程。
【請求項19】
前記印刷工程は、具体的に、前記通信モジュールの被覆を必要とする領域にカスタマイズのスクリーンを使用して、前記シールド材料を印刷するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載のEMIシールド工程。
【請求項20】
前記印刷工程は、真空印刷を含むことを特徴とする請求項19に記載のEMIシールド工程。
【請求項21】
前記ディスペンシング工程は、具体的に、ディスペンシングの方式で、前記モジュール素子の底部及び天井部に対する前記シールド材料の充填又は被覆を実現するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載のEMIシールド工程。
【請求項22】
c:前記シールド材料が付与された通信モジュールで射出成形を行うステップをさらに含むことを特徴とする請求項18~21の何れか1項に記載のEMIシールド工程。
【請求項23】
d:射出成形後の通信モジュールの外層でスパッタリング又は塗装を行うことで、金属シールド層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のEMIシールド工程。
【国際調査報告】