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特表2022-552919再生可能な供給源由来のアルファ、アルファ分岐酸のグリシジルエステル及びその配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】再生可能な供給源由来のアルファ、アルファ分岐酸のグリシジルエステル及びその配合物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20221213BHJP
   C09D 193/04 20060101ALI20221213BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20221213BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20221213BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20221213BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20221213BHJP
   C08F 8/14 20060101ALN20221213BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D193/04
C09D175/04
C08L101/00
C08L93/04
C08G18/62 016
C08G65/28
C08L71/00 Z
C08L33/00
C08L63/00 Z
C08L67/00
C08F8/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547806
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2020000168
(87)【国際公開番号】W WO2021073765
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19075015.8
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596174400
【氏名又は名称】ヘキシオン・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】180 East Broad Street,Columbus,Ohio 43215,United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】522149359
【氏名又は名称】ハイマンス,デニス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル・フェブール・ドゥ・タン・オーブ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】シュタインブレアー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ファント・サンド,ロバート
【テーマコード(参考)】
4J002
4J005
4J034
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AA002
4J002AF021
4J002BG072
4J002CD002
4J002CD052
4J002CD062
4J002CF002
4J002CH002
4J002GF00
4J002GH00
4J002GH01
4J002GL00
4J005AA12
4J005BA00
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB07
4J034DP03
4J034DP06
4J034DP18
4J034EA14
4J034HA01
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4J034HC03
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034RA07
4J034RA08
4J038BA231
4J038CG141
4J038CH031
4J038CH121
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4J038DD231
4J038DG111
4J038DG131
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4J038DG262
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4J038NA01
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4J038PB05
4J100AJ02P
4J100CA03
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA30
4J100HA11
4J100HC39
4J100JA01
4J100JA03
(57)【要約】
本発明は、エピハロヒドリンと反応した、ロジン及び又は水素添加ロジン由来のα,α-分岐アルカンカルボン酸グリシジルエステルの組成物に関する。上記グリシジルエステル組成物は、例えば、塗料用、接着剤用のバインダー組成物中のモノマーとして、反応性希釈剤として又は酸捕捉剤として使用可能である。本発明は、ポリエステルポリオール、又はアクリルポリオール、又はポリエーテルポリオールと組み合わせた、ロジン及び又は水素添加ロジングリシジルエステルの使用についてでもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン及び/又は水素添加ロジンのグリシジルエステルの使用であって、塗料用、接着剤用のバインダー組成物中のモノマーとしての、反応性希釈剤としての、及び酸捕捉剤としての、使用。
【請求項2】
請求項1に記載のロジン及び/又は水素添加ロジンのグリシジルエステルを含む、ポリエステルポリオール樹脂又はアクリルポリオール樹脂又はポリエーテルポリオール樹脂、又はポリエーテル-エステルポリオール樹脂、又はエポキシ樹脂の配合物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物を調製する方法であって、前記ポリエステルポリオール樹脂が、ポリカルボン酸化合物とロジン及び/又は水素添加ロジングリシジルエステルの混合物との反応により得られ、前記ポリカルボン酸化合物が、1種以上の無水物又は酸無水物との1種以上の多官能性ポリオールの反応により得られることを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記ポリエステルポリオール樹脂の酸価が、固体樹脂について20mgKOH/g未満であり、好ましくは固体樹脂について10mgKOH/g未満であり、最も好ましくは6未満であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
数平均分子量(Mn)が、ポリスチレン標準に従って300~7000ダルトンで構成され、かつ/又は、ヒドロキシル価が、固体について40~320mgKOH/g固体で構成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
コーティング組成物に有用なバインダー組成物であって、請求項3~5に記載のいずれかのポリエステルポリオール樹脂を少なくとも含む、バインダー組成物。
【請求項7】
請求項2に記載の組成物を調製する方法であって、ヒドロキシル官能性アクリル樹脂が、ヒドロキシルエチレンカルボン酸エステルモノマー由来のエチレンカルボン酸化合物のカルボン酸基とのエポキシ基の反応による、ヒドロキシル官能性アクリル樹脂へのロジン及び/又は水素添加ロジングリシジルエステルの混合物の組み込みにより得られ、ヒドロキシルエチレンカルボン酸エステルモノマーが、1つ以上のステップにおいて、ラジカル重合反応により1つ以上の不飽和モノマーと反応することを特徴とする、方法。
【請求項8】
算出されたヒドロキシル価が、固体について50~180mgKOH/gであり、かつ/又は、数平均分子量(Mn)が、ポリスチレン標準に従って1500~50000ダルトンであることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
コーティング組成物に有用なバインダー組成物であって、請求項7~8に記載のいずれかのヒドロキシル官能性アクリル樹脂を少なくとも含む、バインダー組成物。
【請求項10】
透明コーティング組成物であって、10~40重量%の脂肪族イソシアネート、0~25重量%の請求項5~8に記載のポリエステルポリオール、40~70重量%の請求項7~8のいずれかに記載のアクリルポリオールを含み、全ての重量%が溶媒の蒸発後の固体に基づく、透明コーティング組成物。
【請求項11】
反応器内でポリエステルポリオールの存在下で調製される、請求項7又は8に記載のアクリルポリオール。
【請求項12】
請求項2に記載の組成物を調製する方法であって、ポリエーテルポリオール樹脂が、少なくとも3つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリオールと、ロジン及び/又は水素添加ロジングリシジルエステルの混合物との反応により得られることを特徴とする、方法。
【請求項13】
数平均分子量(Mn)が、ポリスチレン標準に従って4500ダルトン未満であり、かつ/又は、ヒドロキシル価が、固体について120mgKOH/g固体超であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
コーティング組成物に有用なバインダー組成物であって、請求項12又は13に記載のいずれかのポリエーテルポリオール樹脂を少なくとも含む、バインダー組成物。
【請求項15】
請求項6、9及び14に記載のバインダー組成物でコーティングされた、金属、木又はプラスチック基材。
【請求項16】
請求項3に記載の組成物を調製する方法であって、ロジン及び/又は水素添加ロジングリシジルエステルの混合物が、反応性希釈剤として使用されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピハロヒドリンと反応させた、ロジン(様々な起源由来:例えばガム、トール油)又は水素添加ロジン由来のα,α-分岐アルカンカルボン酸グリシジルエステルの組成物に関する。本発明において使用されるロジンは、一般式C1929COOHを有するジテルペンモノカルボン酸から構成される。カルボン酸はトリアルキル酢酸誘導体であり、さらに三環炭素骨格を有する。粗製ロジンは2つ又は3つの不飽和を有する数種の異性体の混和物であり、共役していても共役してなくてもよい。粗製ロジンは暗褐色を有する固体の脆い生成物であり、より色の薄い生成物が、不飽和の部分又は完全水素添加後に得られる。三級カルボン酸はエピハロヒドリンと反応して、例えば、ネオノナン酸又はネオデカン酸グリシジルエステルなどのネオアルカン酸グリシジルエステルと同等のグリシジルエステルを生成する。本発明は、例えばポリエステルポリオールなどのいくつかのポリマーと組み合わせて、例えばそれら由来のコーティングの改善された硬度、より高いガラス転移温度(Tg)、より迅速な乾燥などの様々な予期されなかった性能をもたらす。
【発明の概要】
【0002】
ロジン誘導体のグリシジルエステルは、JPS5560575、JPS6469680、JPH03115480、JPH09143430又は当技術分野で既知の他のグリシジル化方法に従って得られる。
【0003】
上記グリシジルエステル組成物は、例えば、塗料用若しくは接着剤用のバインダー組成物中のモノマーとして、反応性希釈剤として又は酸捕捉剤として使用可能である。
【0004】
グリシジルエステルの他の使用は、ポリエステルポリオール、又はアクリルポリオール、又はポリエーテルポリオール、又はポリエーテル-エステルポリオール又はアルキド樹脂との組み合わせである。自動車産業でのコーティングにおいて使用されるものなどの、アクリルポリオールのポリエステルポリオールとの組み合わせは、魅力的なコーティング特性を有する速乾性コーティング系をもたらす。コーティング組成物は、有機溶媒中であってもよく、水ベースであってもよく、粉末コーティングの施用において使用される固体であってもよい。コーティングは、適切な技術を用いて金属、プラスチック又は木に対して施用可能である。
【0005】
上記グリシジルエステル組成物は、例えば、EPIKOTE828などのエポキシ樹脂を含む配合物中の反応性希釈剤として使用可能である。硬化剤は、それぞれジエチレントリアミン、無水メチルナジン酸又はシクロヘキサンジカルボン酸などの、アミン、無水物又は酸であってよい。
【0006】
本発明は、エポキシ樹脂硬化性組成物を調製する方法に関する。そして、これは、上記のようにグリシジルエステルの混合物をエポキシ樹脂及び硬化剤を含む混合物への組み込みにより得られる。
【0007】
上記の樹脂は、例えば芳香族又は脂肪族のハロゲン化又は非ハロゲン化グリシジルエーテル樹脂であってよい。市販のハロゲン化樹脂は、例えばEPON1163、EPIKOTE5123、EPIKOTE5119及びEPIKOTE5112(HexionのEPON/EPIKOTE)又は樹脂性物質中に10重量%超の臭素を含有するテトラ-ブロモ-ビス-フェノール誘導体の任意の他のグリシジルエーテルである。非ハロゲン化エポキシ樹脂の例は、ビスフェノールA及び/若しくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、並びに/又はフェノール/クレゾール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテルなどである。そのような樹脂の市販の例は、EPIKOTE828、EPIKOTE834、EPIKOTE1001、EPIKOTE1002、EPIKOTE154、EPIKOTE164である。
【0008】
アミン、無水物及び酸が、硬化剤硬化物質として使用可能である。
【0009】
上記のアミンは、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、イソホロンジアミン(IPD)、パラ-アミノシクロヘキサンメチレン(PACM)、ジアミノシクロヘキサン(DCH)、メタ-キシレンジアミン(mXDA),4,4’-ジアミノ3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン(DDCM)及びDETA、TETA、TEPA、IPD、PACM、DCH、mXDA、DDCMなどベースのものなどの脂肪族アミンの付加物などの脂肪族アミン、又はMDAなどの芳香族アミンであってよい。
【0010】
硬化物質として使用可能な上記の無水物は、例えば脂環式無水物であってよい。本明細書で開示された硬化性組成物は、1種以上の脂環式無水物硬化物質を含んでいてよい。脂環式無水物硬化物質は、例えばとりわけ、無水メチルナジン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリト酸、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸を含んでいてよい。無水物硬化剤は、US6,613,839において記載された、スチレン及び無水マレイン酸及び他の無水物のコポリマーも含んでいてよい。本明細書で開示された硬化性組成物に使用可能な硬化物質は、例えば任意の上記の無水物由来の酸も含む。
【0011】
本発明は、少なくとも先に記載されたグリシジルエステルの混合物を含む複合構造、積層物、コーティング、床材及びパテ施用の製造に応用可能な繊維の含浸に有用なエポキシ樹脂硬化性組成物にも関する。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、前文で明記された組成物は、高い耐薬品性が求められる床材の施用において使用可能である。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、上記組成物は、当技術分野において既知の技術により、ガラス、炭素又は天然繊維との複合物質を作製するのに使用可能である。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、上記グリシジルエステルは、押出し中及びその後の使用中の加水分解への安定性を改善するため、(酸捕捉剤として)ポリエステル繊維と組み合わせて使用可能である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ロジン」(様々な起源由来:例えばガム、トール油)又は「ロジン部分」は、ロジンを包含し、ロジン酸を包含し、さらに処理された、例えば不均化された又は水素添加されたロジンであるロジン誘導体を包含することを意図される。当技術分野において既知であるように、ロジンは少なくとも8種のモノカルボン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、ピマル酸、サンダラコピマル酸及びイソピマル酸)の混和物である。アビエチン酸は主要な種でありえ、他の7種の酸はその異性体である。ロジンの組成ゆえに、しばしば同義語「ロジン酸」が、各種ロジン由来の生成物について記載するのに使用される。ロジン部分は、当技術分野において既知であるように、部分若しくは完全水素添加ロジン酸、部分若しくは完全二量体化ロジン酸、官能基化ロジン酸、不均化ロジン酸、異性体化ロジン酸又はそれらの組み合わせなどの化学的に改変されたロジンを含む。ロジンは複数の形態、例えば、ロジン酸、ロジンエステル及び二量体化ロジンとして市販されており、水素添加ロジンは、例えばEastman Chemicalsから製品系列Poly-Pale(商標)Dymerex(商標)、Staybelite-E(商標)、Foral(商標)Ax-E、Lewisol(商標)及びPentalyn(商標)として、Arizona Chemicalsから製品系列Sylvalite(商標)及びSylvatac(商標)として、Arakawa-USAから製品系列Pensel及びHypalとして入手可能である。
【0016】
本発明の別の態様は、ロジンのグリシジルエステル(ロジンGE)又は水素添加ロジンのグリシジルエステル(H-ロジンGE)の合成によりさらに例示される。ロジン又は水素添加ロジンの酸官能基のグリシジル化は、請求項1に記載の方法に従って実施され、実施例においてさらに例示される。
【0017】
そのようなグリシジルエステルは、カルボン酸のアルカリ塩を、エピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリン(1~20モル過剰)などのハロ置換モノエポキシドと反応させることにより作製可能である。混合物は、グリシジルエステル及びアルカリ塩及び水を形成する触媒の存在下で加熱される(50~150℃)。水及び過剰のエピハロヒドリンは共沸蒸留により除去され、塩副生成物、例えばNaClは、ろ過及び/又は洗浄により除去される。グリシジルエステルは、同様の工程条件下で、カルボン酸をエピクロロヒドリンと直接反応させることによっても作製可能である。この反応中に形成されたクロロヒドリンエステル中間体は、続いてアルカリ物質、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムにより処理され、所望のグリシジルエステルを生じる。副生成物塩は洗浄及び/又はろ過により除去され、水は乾燥により除去される。
【0018】
「ロジン」又は水素添加ロジングリシジルエステルの製造のための方法であって、
(a)0.5~2.5時間の範囲の期間、30~110℃の範囲の温度での、水及び水混和性溶媒の存在下、触媒存在下での、「ロジン」酸のモル量最大45mol%量での、2~20モル過剰のエピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)などのハロ置換モノエポキシドとのロジン酸の反応、
(b)モノカルボン酸基に対して0.9:1~1.2:1、好ましくは0.95:1~1.10:1の範囲の最大モル比での、追加のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルカノラートの添加、及び0~80℃の温度での反応、
(c)過剰ハロ置換モノエポキシド及び溶媒及び生じた水を除去するための、得られた反応混合物の蒸留、及び
(d)デヒドロハロゲン化(好ましくはデヒドロ塩素化)を完了するための、濃縮されたアルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ金属アルコラート水溶液で残余生成物を任意選択的に処理した後の、例えば得られたグリシジルエステルを水で洗浄することによる、アルカリ金属ハロゲン化物塩の除去
を含む、方法。
【0019】
「ロジン」グリシジルエステルの別の調製は、触媒の存在下で、「ロジン」と、3~13個の炭素原子を含有するエポキシアルキルハロゲン化物とを反応させることであり、
・化学量論量超のエポキシアルキルハロゲン化物の総量は、(例えば、好ましくは1.02:1~1.50:1の範囲のエポキシアルキルハロゲン化物対酸のモル比で)酸とのカップリング反応において反応して、ハロヒドリンを含む中間体反応生成物を形成し、
・エポキシアルキルハロゲン化物は、反応混合物の温度を80℃未満に保つため、反応物及び/又は反応混合物を適切に冷却しながら酸に添加されると、エポキシアルキルハロゲン化物及び酸は、酸の総量を完全に変換するのに十分な時間、温度80℃未満で(好ましくは55~75℃の範囲で)反応し、
・閉環反応の前に、反応生成物から過剰のエポキシアルキルハロゲン化物を任意選択的に除去し、
・反応生成物に閉環反応(DHC)を行い、残ったハロ官能性の除去のために、任意選択的に1つ以上の後処理(ADHC)を行い、
・塩を除去するための水洗浄後に、粘度を低下させ相分離を促進するために、DHCの前又は後に溶媒を任意選択的に添加し、
・温度制御のため、任意選択的に、反応器の減圧を使用し、過剰のエポキシアルキルハロゲン化物を反応器に還流させる。
【0020】
本発明の方法において使用される触媒は、好ましくは溶媒を必要としない均一系触媒である。触媒は、先行技術において既知の触媒から選択されてよい。したがって触媒は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属アルコラート、又はアンモニウム塩、特に式R’R’’R’’’R””Nの水酸化物又はハロゲン化物から選択されてよく、ここで、R’、R’’及びR’”は、互いに独立して、1~16個の炭素原子を有するアルキル基を表し得る。そして、これは、任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてよい。ここで、R””は、1~16個の炭素原子を有するアルキル基を表し、フェニルを表し又はベンジルを表し、Yは、ヒドロキシル、又は塩素、臭素若しくはヨウ素などのハロゲンを表す。また、エチルトリフェニルホスホニウムヨージドなどの、それらの対応するホスホニウム塩及び芳香族型も使用可能である。
【0021】
カップリング反応中の好ましい触媒は、アンモニウム塩、特に式R’R’’R’’’R’’’’Nの水酸化物又はハロゲン化物であり、R1、R2及びR3は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基を互いに独立に表していてよく、Yは塩素又は臭素を表す。
【0022】
上記のように、方法は、2つのステップを含む;カップリング反応、及び中間体ハロヒドリンを所望のグリシジルエステルに変換するための閉環反応である。
【0023】
当技術分野で既知の閉環反応において、好ましくは、比較的強い、水溶性の金属水酸化物又は金属アルコラートが使用される。このいわゆるDHC反応は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルカノラートの添加により実施可能である。反応は、好ましくは温度50~90℃、より好ましくは60~80℃で実施される。閉環反応中に形成された塩水は、完全に又は部分的に除去されてよく、その結果、生成物に任意選択的な後処理を行ってよい。
【0024】
DHC及びADHCのための上記ステップにおいて使用可能なアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルカノラートは、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択され、イソプロパン酸ナトリウムなどの1~6個の炭素原子を有するアルカン酸ナトリウムから選択され、又はカリウムアルコラートから選択される。最も好ましくは水酸化ナトリウムが使用され、又は1~6個の炭素原子を有するアルカン酸ナトリウムが使用される。
【0025】
これらのステップにおいて、水酸化ナトリウムは、好ましくは濃度15~60重量%、より好ましくは20~50重量%の水溶液として使用される。
【0026】
反応生成物からの溶媒及び水の除去は、ストリッピング又は蒸留により行われてよい。乾燥ステップが、必要に応じて最終洗浄ステップ後に行われてよいことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
使用された方法
樹脂の特性評価のための試験方法
樹脂の分子量は、ポリスチレン標準を使用して、THF溶液中でのゲル浸透クロマトグラフィー(Perkin Elmer/Water)を用いて測定される。樹脂の粘度は、示された温度においてBrookfield粘度計(LVDV-I)を用いて測定される。固体含有量は、関数(Ww-Wd)/Ww×100%を用いて算出される。ここでWwは、湿潤試料の重量であり、Wdは、温度110℃のオーブン内で1時間乾燥させた後の試料の重量である。
【0028】
Tg(ガラス転移温度)は、Perkin ElmerのDSC7を用いて、又はTA Instruments Thermal Analysisの装置を用いて決定された。走査速度はそれぞれ20及び10℃/分であった。同じ実験条件において得られたデータのみが比較された。そうでなければ、異なる走査速度から生じた温度差は、比較された結果について有意でないと実証された。
【0029】
黄色度値
Hach LangeのLico500を使用して、白金-コバルトスケールについて得られた測定値
コーティングの特性評価のための方法
ポットライフ
ポットライフが、室温、通常24.0±0.5℃での、開始時の粘度が倍加するための経過時間を観察することにより決定される。
【0030】
クリアコートの施用
Q-パネルが下地として使用される。次いでパネルは、速やかに蒸発する溶媒メチルエチルケトン又はアセトンにより浄化される。
【0031】
指触乾燥時間
クリアコートの指触乾燥時間(DFT)が、規定の距離から平坦な基材に精製綿ボールを垂直に落下させることにより評価される。綿ボールが基材と接触すると、基材は直ちにひっくり返される。指触乾燥時間は、精製綿ボールが基材に付着しなくなった時間間隔として規定される。
【0032】
硬度進展
硬度進展が、Koenig法による振子硬度試験機を使用して追跡される。
【0033】
使用された化学物質
・ロジン:Sigma-Aldrichから入手可能
・水素添加ロジン:Foreverestから入手可能
・ロジンのグリシジルエステル:実施例1の方法に従って合成
・水素添加ロジンのグリシジルエステル:実施例1の方法に従って合成
・Cardura(商標)E10P:Hexionから入手可能
・Cardura(商標)9:Hexionから入手可能
・エチレングリコール:Aldrichから
・モノペンタエリスリトール:Sigma-Aldrichから入手可能
・メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:Sigma-Aldrichから入手可能
・アクリル酸:Sigma-Aldrichから入手可能
・メタクリル酸:Sigma-Aldrichから入手可能
・メタクリル酸ヒドロキシエチル:Sigma-Aldrichから入手可能
・スチレン:Sigma-Aldrichから入手可能
・アクリル酸2-エチルヘキシル:Sigma-Aldrichから入手可能
・メタクリル酸メチル:Sigma-Aldrichから入手可能
・アクリル酸ブチル:Sigma-Aldrichから入手可能
・メタクリル酸イソボルニル:Sigma-Aldrichから入手可能
・キシレン
・Di-t-アミルペルオキシドは、ArkemaのLuperox DTAである
・tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート:Akzo Nobelから入手可能
・Aldrichの酢酸n-ブチル
・Biosolveのジクロロメタン
・シンナーAは、キシレン50wt%、トルエン30wt%、ShellsolA10wt%、酢酸2-エトキシエチル10wt%の混合物である。
・シンナーBは酢酸ブチルである。
・硬化剤、HDI:Bayer Material ScienceつまりCovestroの1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー、Desmodur N3390BA、又はPerstorpのTolonate HDT LV2
・レベリング剤:酢酸ブチルで10%に希釈されたBYK-331である「BYK10wt%」
・触媒:酢酸ブチルで1wt%に希釈されたジラウリン酸ジブチルスズである「DBTDL1wt%」
・色素分散剤:BYKのDisperbyk110
・塗料用の表面レベリング:BYKのBYK358N
・消泡剤:BYKのBYK077
・沈殿制御:LubrizolのSolthix250
・酸化チタン色素:The Chemours CompanyのTi-Pure TS6200
・塗料配合物用のシンナー:Sigma-Aldrichのエトキシプロピオン酸エチル、Sigma-Aldrichのメチルアミルケトン
・HALS添加剤:BASFのTinuvin123
・UVA添加剤:BASFのTinuvin1130
・塗料用の硬化剤:CovestroのDesmodur N3300
ロジン及び水素添加ロジンのグリシジルエステルの合成例
【実施例
【0034】
[実施例1]
水素添加ガムロジン750グラム、トルエン321グラム及び塩化テトラメチルアンモニウム(50%水溶液として)21.8グラム(0.04mol/mol水素添加ガムロジン)を反応器に充填し、70℃に加熱した。
【0035】
反応媒体を約70℃に冷却しながらエピクロロヒドリンを反応器に加え、適切な冷却を可能にするため添加速度を小さく保った。エピクロロヒドリン合計253グラムを約90分の期間をかけて添加した(1.1mol/mol水素添加ガムロジン)。したがって添加時間は、冷却効率の関数である。反応をモニタリングし、本条件では反応は約7時間を要した。
【0036】
閉環反応を、腐食剤存在下で70℃で実施した。NaOH50%合計246g(1.24mol/mol水素添加ガムロジン)を使用した。線形プロファイルを使用して、90分かけてNaOHを加えた。210分の反応後時間の後、閉環反応を完了させた。さらにトルエン1375グラム及び水653グラムを添加して、塩を洗い流した。相分離後に塩水相を除去し、それに続いて最終水洗浄した。減圧下でのストリッピングにより、トルエンを生成物から除去した。
【0037】
生成物のEGCが分析され、2567mmol/kgであると判明した。Gardner色(トルエン中50%)は1であった。
【0038】
バインダー調製及び配合物の例
【0039】
[実施例1] 比較
以下の構成成分を、スターラー、凝縮器及び温度計を備えた反応容器に充填した:Cardura(商標)E10P92.4グラム、酢酸ブチル24.0グラム。この開始時の反応器充填物を最大135℃に加熱した。次いで、以下の混合物を、温度を一定に保ちながら1時間20分の期間をかけて添加した:アクリル酸27.5グラム、Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム、酢酸n-ブチル12.0グラム。Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム及び酢酸n-ブチル20.4グラムをさらに添加した後、加熱処理後を135℃で1時間続けた。
【0040】
[実施例2a]
以下の構成成分を、スターラー、凝縮器及び温度計を備えた反応容器に充填した:ロジンGE92.4グラム、酢酸ブチル24.0グラム。この開始時の反応器充填物を最大135℃に加熱した。次いで、以下の混合物を、温度を一定に保ちながら1時間18分の期間をかけて添加した:アクリル酸16.7グラム、Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム、酢酸n-ブチル12.0グラム。Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム及び酢酸n-ブチル20.4グラムをさらに添加した後、加熱処理後を135℃で1時間続けた。
【0041】
[実施例2b]
以下の構成成分を、スターラー、凝縮器及び温度計を備えた反応容器に充填した:H-ロジンGE92.4グラム、酢酸ブチル24.0グラム。この開始時の反応器充填物を最大135℃に加熱した。次いで、以下の混合物を、温度を一定に保ちながら1時間18分の期間をかけて添加した:アクリル酸16.8グラム、Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム、酢酸n-ブチル12.0グラム。Di-t-アミルペルオキシド1.2グラム及び酢酸n-ブチル20.4グラムをさらに添加した後、加熱処理後を135℃で1時間続けた。
【0042】
観察結果:アクリルポリオールのTgは、グリシジルエステルの選択に影響される。
【0043】
[実施例3]
ロジンGE又はH-ロジンGEの、アクリル酸との(ACE-付加物)及びメタクリル酸との(MACE-付加物)付加物(表3を参照のこと)は、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリルポリマーを配合するのに使用可能なアクリルモノマーである。
【0044】
【表1】
【0045】
・DABCO T9及び4-メトキシフェノール(グリシジルエステル重量に対して算出された185ppm)が、反応器に充填される。
・反応は気流下で実施される(ラジカル阻害剤を再利用するため)。
・反応器充填物は、一定の撹拌下で、発熱反応が始まる約80℃にゆっくりと加熱され、温度が約100℃に上昇する。
・エポキシ基含有量30meq未満/kgが達成されるまで、温度100℃が維持される。反応混合物が室温に冷却される。
【0046】
[実施例4]
アクリル樹脂
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表4を参照のこと)を140℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約75%に希釈する。
【0047】
【表2】
【0048】
次いでクリアコートを以下の成分を用いて配合し(表5)、塗膜形成80μmウェットにより施用した。
【0049】
【表3】
【0050】
比較特性が表6に示される。
【0051】
【表4】
【0052】
アクリル樹脂
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表7を参照のこと)を150℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、150℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約70%に希釈する。
【0053】
【表5】
【0054】
次いでクリアコートを以下の成分を用いて配合し(表8)、塗膜形成80μmウェットにより施用した。
【0055】
【表6】
【0056】
比較特性が表9に示される。
【0057】
【表7】
【0058】
アクリル樹脂
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表10を参照のこと)を140℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約75%に希釈する。
【0059】
【表8】
【0060】
次いでクリアコートを以下の成分を用いて配合し(表11)、塗膜形成80μmウェットにより施用した。
【0061】
【表9】
【0062】
比較特性が表12に示される。
【0063】
【表10】
【0064】
[実施例5]
自動車の再仕上げ用のクリアコート
溶媒を混和し、以下の組成のシンナー混合物を生じさせた(表13)。
【0065】
【表11】
【0066】
次いでクリアコートを以下の成分を用いて配合した(表14)(重量部)。
【0067】
【表12】
【0068】
これらのクリアコートは噴霧により施用可能である。
【0069】
有色素2Kポリウレタン
同種の樹脂は、産業用途のための有色素の系においても使用可能である。白色塗料配合物の例を以下に示す。
【0070】
【表13】
【0071】
[実施例6]
中程度の固体第1仕上げクリアコート用の、ロジンGE又はH-ロジンGEベースのアクリルポリマー
【0072】
アクリルポリオール用の反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表16を参照のこと)を140℃に加熱する。この温度で、開始剤を含むモノマー混合物を、5時間かけてポンプを介して反応器に添加する。追加の開始剤を1時間かけて反応器に供給し、次いで混合物を140℃に保ち、反応後における変換を完了させる。最後にポリマーを冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約60%に希釈する。
【0073】
【表14】
【0074】
クリアラッカー配合物
クリアラッカーを、Cymel1158(CYTECの硬化剤)、及び噴霧粘度に希釈するための溶媒の添加によりアクリルポリマーから配合する(表17を参照のこと)。ポリマーの酸度は硬化工程を触媒するのに十分であり、したがって追加の酸触媒は添加されない。ラッカーを十分に撹拌して均一な組成物を得る。
【0075】
【表15】
【0076】
施用及び硬化
バーコーターを用いてコーティングをQ-パネルに施用して、乾燥膜厚約40μmを実現する。系を室温で15分間フラッシュオフさせ、次いで140℃で30分間焼成する。硬化された系に対する試験を1日後に23℃で実施する。
【0077】
[実施例7]
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表18を参照のこと)を140℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約75%に希釈する。
【0078】
【表16】
【0079】
[実施例8]
重付加によるポリエステル
トリメチロールプロパン、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸又は無水コハク酸及び酢酸n-ブチルを反応容器に充填し、完全な変換まで酢酸ブチルの沸点で加熱した。次いで、Cardura E10P又はロジンGE又はH-ロジンGEを液滴添加し、反応を許容可能な酸価が達成されるまで150℃で続けた。ポリエステルは固体含有量約80.0wt%を有する。製法及び特性が表19において規定される。
【0080】
【表17】
【0081】
実施例8の樹脂は、低VOC(揮発性有機化合物)レベルを有する2K(ポリウレタン)などのコーティング組成物に配合可能であり、高い乾燥速度と組み合わされた優れた外観をもたらしうる。
【0082】
重縮合によるポリエステル
表20において記載されたポリエステルの同種は、無水物の代わりに多官能性の酸を使用することによっても調製可能である。酸性官能基のヒドロキシルとの反応は、工程の間に発生した水を除去するためのキシレンなどの共沸溶媒の存在下で、十分な変換まで温度約200~240℃で実施される。
【0083】
[実施例9]
実施例8の樹脂は、例えば自動車のコーティングに好適な樹脂を得るために、アクリルポリオールと混和可能である。アクリル樹脂の例を表19に示す。
【0084】
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表20を参照のこと)を140℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約75%に希釈する。
【0085】
【表18】
【0086】
次いで、アクリルポリオールを、実施例8のポリエステルポリオールと、75wt%のアクリルポリオールに対して25wt%のポリエステルポリオールのレベルで混和させる。混和物を、クリアコートを配合するのに使用し(表21)、塗膜形成80μmウェットにより施用する。
【0087】
【表19】
【0088】
比較特性が表22に示される。
【0089】
【表20】
【0090】
[実施例10]
実施例8及び実施例9のアクリルポリオール及びポリエステルポリオールは、ハイブリッド法において同じ反応器内で調製可能である。ポリエステルポリオールをまず合成し、開始時の反応器充填物として使用して、同じ反応中に同時進行でアクリルポリオールを調製する。そのような方法の例は、Cardura E10Pがポリエステルポリオールに使用された表23に記載されているが、ロジンGE又はH-ロジンGEも調製に使用可能である。
【0091】
トリメチロールプロパン、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び酢酸n-ブチルを反応容器に充填し、完全な変換まで酢酸ブチルの沸点で加熱した。次いで、Cardura E10P又はロジンGE又はH-ロジンGEを液滴添加し、反応を150℃でさらに1時間続けて、酸変換を完了させる。次いで、反応器内部の温度を140℃に降下させ、次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。最後に、ポリマーを135℃に冷却し、酢酸ブチルで固体含有量約75%に希釈する。
【0092】
【表21】
【0093】
コーティングに応用される場合、ロジンGE又はH-ロジンGEをそのようなハイブリッド法と組み合わせると、VOC(揮発性有機化合物)及び早期の乾燥進展の両方が顕著に改善されることが観察された。
【0094】
[実施例11]
ポリエーテルを、以下の構成成分を反応容器に充填することにより得た:ロジンGE2.5500グラム、ジクロロメタン1.1571グラム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート0.0137グラム。反応は室温で3日間行い、次いで溶媒を蒸発により完全に除去した。
【0095】
[実施例12]
ポリエーテルを、以下の構成成分を反応容器に充填することにより得た:H-ロジンGE2.5500グラム、ジクロロメタン1.1571グラム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート0.0137グラム。反応は室温で3日間行い、次いで溶媒を蒸発により完全に除去した。
【0096】
[実施例13] 比較
ポリエーテルを、以下の構成成分を反応容器に充填することにより得た:Cardura E10P2.5500グラム、ジクロロメタン1.1571グラム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート0.0137グラム。反応は室温で3日間行い、次いで溶媒を蒸発により完全に除去した。
【0097】
観察結果:改変ポリエーテル樹脂のTgは、グリシジルエステルの種類の組成に影響され、ロジンベースのグリシジルエステルがより高いTgをもたらす。
【0098】
[実施例14]
ポリエーテル樹脂
以下の構成成分を、スターラー、温度計及び凝縮器を備えた反応容器に充填した:ジ-トリメチロールプロパン(DTMP)138グラム、ロジンGE862グラム、酢酸n-ブチル(BAC)135.5グラム及び2オクタン酸スズ2.5グラム。混合物をその還流温度約180℃に約4時間、ロジンGEがエポキシ基含有量0.12mg未満/gになるまで変換されるまで加熱した。冷却後、ポリエーテルは固体含有量約88%を有していた。
【0099】
[実施例15]
ポリエーテル樹脂
以下の構成成分を、スターラー、温度計及び凝縮器を備えた反応容器に充填した:ジ-トリメチロールプロパン(DTMP)139グラム、H-ロジンGE861グラム、酢酸n-ブチル(BAC)135.5グラム及び2オクタン酸スズ2.5グラム。混合物をその還流温度約180℃に約4時間、H-ロジンGEがエポキシ基含有量0.12mg未満/gになるまで変換されるまで加熱した。冷却後、ポリエーテルは固体含有量約88%を有していた。
【0100】
[実施例16] 比較
ポリエーテル樹脂
以下の構成成分を、スターラー、温度計及び凝縮器を備えた反応容器に充填した:モノペンタエリスリトール123グラム、Cardura E10P877グラム、酢酸n-ブチル194グラム及び2-エチルヘキサン酸スズ(II)3.552グラム。混合物を温度約180℃に約6時間、Cardura E10Pがエポキシ基含有量約25mmol/kgになるまで変換されるまで加熱した。冷却後、ポリエーテルは固体含有量約95%を有していた。
【0101】
[実施例17]
ポリエーテル樹脂
以下の構成成分を、スターラー、温度計及び凝縮器を備えた反応容器に充填した:モノペンタエリスリトール79グラム、ロジンGE921グラム、酢酸n-ブチル183グラム及び2-エチルヘキサン酸スズ(II)0.3550グラム。混合物を温度約180℃に約6時間、ロジンGEがエポキシ基含有量約25mmol/kgになるまで変換されるまで加熱した。冷却後、ポリエーテルは固体含有量約95%を有していた。
【0102】
[実施例18]
ポリエーテル樹脂
以下の構成成分を、スターラー、温度計及び凝縮器を備えた反応容器に充填した:モノペンタエリスリトール79グラム、H-ロジンGE921グラム、酢酸n-ブチル185グラム及び2-エチルヘキサン酸スズ(II)3.572グラム。混合物を温度約180℃に約6時間、H-ロジンGEがエポキシ基含有量約25mmol/kgになるまで変換されるまで加熱した。冷却後、ポリエーテルは固体含有量約95%を有していた。
【0103】
観察結果:ポリエーテル加熱処理においてCardura E10PをロジンGe又はH-ロジンGEに置き換えると、顕著な改善(より迅速な硬度進展)が観察される。
【0104】
[実施例19]
複合構造の真空注入用の調製
ヨット及び風力タービンなどの大きな構造物の真空注入用の樹脂を、27.7重量部の硬化剤混和物及び100部の本明細書において記載されたエポキシ樹脂の混和物を混合することにより調製した。
【0105】
エポキシ樹脂の混和物:850重量部Epikote828及び150部のロジンGE又はH-ロジンGE。
【0106】
硬化剤の混和物:650重量部のJeffamine D230及び350重量部のイソホロンジアミン(IPDA)。
【0107】
Jeffamine D230は、Huntsman Corporationから入手可能なポリオキシアルキレンアミンである。Epikote828は、Hexion Chemicalsから入手可能なエポキシ樹脂である。
【0108】
[実施例20]
こてで塗布可能な床及びパッチング化合物の例
以下の表24に提示された成分を、こてで塗布可能な床材化合物の調製用に混合した。
【0109】
【表22】
【0110】
[実施例21]
水ベースのセルフレベリング床材用の配合物
以下の表25に提示された成分を、水ベースのセルフレベリング床材系の調製用に混合した。
【0111】
【表23】
【0112】
[実施例22]
二次分散を介して得られる水ベースのアクリルポリオールの調製。
【0113】
スターラーを備えたガラス反応器に窒素を流し込み、開始時の反応器充填物(表26を参照のこと)を140℃に加熱した。次いで開始剤を含むモノマー混合物を、この温度で5時間かけてポンプを介して反応器に徐々に添加した。次いで追加の開始剤を、140℃でさらに1時間反応器に供給した。次いで、ポリマーを80℃に冷却し、n,n-ジメチルエタノールアミンを添加して、激しい撹拌下で15分間反応させる。80℃で予熱された水を、温度が80℃で維持された反応器に2時間かけて徐々に添加する。次いで水性樹脂を室温に冷却し、排出する。
【0114】
【表24】
【0115】
実施例22の樹脂は、ほぼゼロのVOC(揮発性有機化合物)レベルを有する2K水性(ポリウレタン)などのコーティング組成物に配合可能であり、高い乾燥速度を維持しつつ優れた外観をもたらしうる。ロジンGE又はH-ロジンGEを含有するアクリルポリオールが、より迅速な指触乾燥時間及び早期の硬度進展を誘導することが観察された。
【国際調査報告】