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特表2022-552923複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置
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  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図1
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図2A
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図2B
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図3
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図4
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図5
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図6
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図7
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図8
  • 特表-複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】複数の一次コイルおよび隣接コイルミューティングを備えたワイヤレス送電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20221214BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20221214BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20221214BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568983
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-03
(86)【国際出願番号】 US2020033782
(87)【国際公開番号】W WO2020236922
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201911020202
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】バサク, ルパム
(72)【発明者】
【氏名】ガネーシュ, ジャヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバイ, ヴィスワナタン
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナ ブハット, スマ, メマナ
(72)【発明者】
【氏名】タティコンダ, スバラオ
(57)【要約】
本開示は、1つまたは複数のワイヤレス受電装置の充電をサポートするワイヤレス送電装置のための、記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラムを含めて、システム、デバイス、装置および方法を提供する。ワイヤレス送電装置は、(ゾーンと呼ばれる)グループに編成された複数の一次コイルを含むことができる。各ゾーンは、一度にゾーン内の1つの一次コイルの動作を管理するためのローカルコントローラを有することができる。マスタコントローラは、一次コイルをローカルコントローラに選択的に結合することができる。第1の一次コイルが、あるゾーンのローカルコントローラに結合されると、そのゾーン内の他の一次コイルは無効にすることができる。マスタコントローラは、隣接するゾーンからのどの一次コイルがそれぞれのローカルコントローラに結合されるかを管理することができる。したがって、第1の一次コイルに電圧がかかると、望ましくない干渉を軽減するために、隣接する(第1の一次コイルの近くにある)一次コイルをミュートまたは無効にすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス送電装置であって、
少なくとも、第1の一次コイルグループと第2の一次コイルグループとに編成された複数の一次コイルと、
少なくとも、前記第1の一次コイルグループに関連付けられた第1のローカルコントローラと前記第2の一次コイルグループに関連付けられた第2のローカルコントローラと、
前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合し、前記第2のローカルコントローラを前記第2の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合することができる複数のスイッチと、
前記第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルが前記第1のローカルコントローラに結合され、前記第2の一次コイルグループのうちのどの一次コイルが前記第2のローカルコントローラに結合されるかを制御するために、前記複数のスイッチを動作させるように構成されたマスタコントローラと
を備える、ワイヤレス送電装置。
【請求項2】
前記マスタコントローラは、
前記複数の一次コイルのうちの第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定し、
前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置に前記ワイヤレス電力を供給している間、前記第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルがそれぞれのローカルコントローラから切り離されたままになるように、前記複数のスイッチを動作させるように更に構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項3】
前記マスタコントローラは、
前記第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを前記第1のローカルコントローラに結合するかを制御するために、複数のスイッチの状態を変更する前に前記第1のローカルコントローラを無効にし、前記第1のローカルコントローラを無効にすることで、前記複数のスイッチの状態が変更される間、前記複数のスイッチを介して前記第1のローカルコントローラから電流が流れるのを防ぎ、
前記複数のスイッチの状態を変更した後、前記第1のローカルコントローラを有効にして、前記第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを前記第1のローカルコントローラに結合するかを制御するように更に構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項4】
前記複数のスイッチは、
前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合するように構成された第1のスイッチセットと、
前記第2のローカルコントローラを前記第2の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合するように構成された第2のスイッチセットと
を含む、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項5】
少なくとも、前記第1のローカルコントローラと前記第2のローカルコントローラとを含む複数のローカルコントローラを更に備え、少なくとも前記第1のローカルコントローラは、
第1のワイヤレス受電装置が前記第1の一次コイルに近接しており、かつ前記第1のローカルコントローラが前記第1の一次コイルに接続されている場合に、前記第1の一次コイルを介して前記第1のワイヤレス受電装置からの通信を受信可能な通信部と、
前記第1のワイヤレス受電装置からの前記通信を受信したことに応じてドライバの動作を管理するように構成された制御部と
を含み、
前記ドライバは、前記第1の一次コイルが前記複数のスイッチを介して前記第1のローカルコントローラに結合されたとき、前記第1の一次コイルへの電気出力を生成するように構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項6】
前記第1のローカルコントローラは、
前記マスタコントローラに送信する状態信号を判定し、前記状態信号は、少なくとも部分的に、前記第1のワイヤレス受電装置からの前記通信、ワイヤレス電力伝送状態、前記第1の一次コイルに生成された前記電気出力、前記第1のワイヤレス受電装置の充電に関連する障害状態、またはそれらの任意の組合せに基づき、
前記状態信号を前記マスタコントローラに送信するように構成されている、請求項5に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項7】
前記マスタコントローラは、
少なくとも部分的に前記状態信号に基づいて、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していないことを判定し、
前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルグループのうちの1つまたは複数の他の一次コイルに結合するように前記複数のスイッチを動作させるように更に構成されている、請求項6に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項8】
前記マスタコントローラは、
少なくとも部分的に前記状態信号に基づいて、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定し、
前記状態信号が、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを示している間、前記複数のスイッチが前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルから切り離すことを防ぐように更に構成されている、請求項6に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項9】
前記マスタコントローラは、
前記状態信号が前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置に前記ワイヤレス電力を供給していることを示している間、前記複数のスイッチが、前記第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに結合することを防ぐように更に構成されている、請求項8に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項10】
前記マスタコントローラは、
前記複数のスイッチに、前記第1の一次コイルグループのうちの一次コイルを前記第1のローカルコントローラに順次結合させ、
前記第1の一次コイルグループの各一次コイルについて、前記第1のローカルコントローラが前記結合された一次コイルにおいて第1のワイヤレス受電装置を検出したかどうかを示す状態信号を前記第1のローカルコントローラから受信するように更に構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項11】
前記マスタコントローラは、
前記複数のスイッチに、前記第1の一次コイルグループのうちの第1の一次コイルを前記第1のローカルコントローラに、かつ前記第2の一次コイルグループの第2の一次コイルを前記第2のローカルコントローラに同時に結合させるように更に構成されており、前記第1の一次コイルと前記第2の一次コイルとは互いに隣接していない、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項12】
前記マスタコントローラは、
隣接する一次コイルが同時に結合されるのを防ぐパターンに従って、複数の一次コイルの各々がそれぞれのローカルコントローラに結合されるように、複数のスイッチを動作させるように更に構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項13】
各一次コイルグループは、ローカルコントローラに選択的に結合することができる少なくとも2つの一次コイルを含み、各一次コイルグループは、少なくとも1つのスイッチを介して前記グループの前記ローカルコントローラに結合される、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項14】
前記第1の一次コイルグループは、2つのリレーを介して前記第1のローカルコントローラに選択的に結合できる3つの一次コイルを含む、請求項13に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項15】
前記複数のワイヤレス受電装置を置くことができる充電パッドを更に備え、前記複数の一次コイルが、前記充電パッドの複数の層に分散された重なり合うパターンで配置されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項16】
前記複数の一次コイルの少なくとも1つのサブセットがグラフェンから構成されている、請求項15に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項17】
第1のワイヤレス受電装置が前記第1の一次コイルに近接しており、かつ前記第1のローカルコントローラが前記第1の一次コイルに結合されているとき、前記第1のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルを介した前記第1のワイヤレス受電装置からの通信に応答して、前記第1の一次コイルグループのうちの少なくとも第1の一次コイルに、ワイヤレス電力を前記第1のワイヤレス受電装置に伝送させるように構成されており、
第2のワイヤレス受電装置が前記第2の一次コイルに近接しており、かつ前記第2のローカルコントローラが前記第2の一次コイルに結合されているとき、前記第2のローカルコントローラは、前記第2の一次コイルを介した前記第2のワイヤレス受電装置からの通信に応答して、前記第2の一次コイルグループのうちの少なくとも第2の一次コイルに、ワイヤレス電力を前記第2のワイヤレス受電装置に伝送させるように構成されている、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項18】
前記第1の一次コイルと前記第2の一次コイルは互いに隣接しておらず、前記第1の一次コイルと前記第2の一次コイルは、前記第1のワイヤレス受電装置と前記第2のワイヤレス受電装置にそれぞれワイヤレス電力を同時に伝送するように構成されている、請求項16に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項19】
前記複数のスイッチは、前記マスタコントローラによって管理される遠隔制御スイッチであるリレーを備える、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
【請求項20】
ワイヤレス送電装置によるワイヤレス送電のための方法であって、
複数のスイッチを介して、複数の一次コイルとそれぞれのローカルコントローラとの間の接続を管理するステップと、
前記複数の一次コイルのうちの第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定するステップと、
前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置に前記ワイヤレス電力を供給している間、前記第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルが、それぞれのローカルコントローラから切り離されたままであるように、マスタコントローラによって前記複数のスイッチの状態を動作させるステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記複数の一次コイルは、少なくとも、前記複数のスイッチの第1のサブセットを介して第1のローカルコントローラに個別に結合することができる第1の一次コイルグループと、前記複数のスイッチの第2のサブセットを介して第2のローカルコントローラに個別に結合することができる第2の一次コイルグループとに編成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルが前記第1のローカルコントローラに結合されるかを制御するために、複数のスイッチの状態を変更する前に前記第1のローカルコントローラを無効にするステップであって、前記第1のローカルコントローラを無効にすることで、前記複数のスイッチの状態が変更される間、前記複数のスイッチを介して前記第1のローカルコントローラから電流が流れることを防ぐステップと、
前記複数のスイッチの状態を変更した後、前記第1のローカルコントローラを有効にして、前記第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを前記第1のローカルコントローラに結合するかを制御するステップと
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のワイヤレス受電装置が前記第1の一次コイルに近接しており、かつ前記第1のローカルコントローラが前記第1の一次コイルに結合されているとき、前記第1のローカルコントローラによって、前記第1の一次コイルを介して前記第1のワイヤレス受電装置からの通信を受信するステップと、
前記第1のローカルコントローラによって、前記マスタコントローラに送信する状態信号を判定するステップであって、前記状態信号は、少なくとも部分的に、前記第1のワイヤレス受電装置からの前記通信、ワイヤレス電力伝送状態、前記第1の一次コイルに生成された前記電気出力、前記第1のワイヤレス受電装置の充電に関連する障害状態、またはこれらの任意の組合せに基づくステップと、
前記状態信号を前記第1のローカルコントローラから前記マスタコントローラへ送信するステップと
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも部分的に前記状態信号に基づいて、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していないと判定するステップと、
前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルグループのうちの1つまたは複数の他の一次コイルに結合するように前記複数のスイッチを動作させるステップと
を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも部分的に前記状態信号に基づいて、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していると前記マスタコントローラによって判断するステップと、
前記状態信号が前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを示している間、前記マスタコントローラによって前記複数のスイッチが前記第1のローカルコントローラを前記第1の一次コイルから切り離すことを防ぐステップと
を更に含む、請求項23に記載の方法。。
【請求項26】
前記状態信号が、前記第1の一次コイルが前記第1のワイヤレス受電装置に前記ワイヤレス電力を供給していることを示している間、前記複数のスイッチが前記第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに結合することを防ぐステップを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記複数のスイッチに、第1の一次コイルグループのうちの一次コイルを第1のローカルコントローラに順次結合させるステップと、
前記第1の一次コイルグループの各一次コイルについて、前記第1のローカルコントローラが前記結合された一次コイルにおいて前記第1のワイヤレス受電装置を検出したかどうかを示す状態信号を前記第1のローカルコントローラから受信するステップと
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のスイッチに、第1の一次コイルグループのうちの前記第1の一次コイルを第1のローカルコントローラに、かつ第2の一次コイルグループのうちの第2の一次コイルを第2のローカルコントローラに同時に結合させるステップであって、前記第1の一次コイルと前記第2の一次コイルとは互いに隣接していないステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の一次コイルの各々が、隣接する一次コイルが同時に結合されるのを防ぐパターンに従って、それぞれのローカルコントローラに結合されるように、前記複数のスイッチを動作させるステップを更に含む、請求項20に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ワイヤレス電力に関し、より具体的には、ワイヤレス送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤレス電力システムは、モバイルデバイス、小型電子デバイス、ガジェットなどのワイヤレス受電装置内のバッテリを充電することを主目的として開発されてきた。従来のワイヤレス電力システムでは、ワイヤレス送電装置は、電磁界を生成する一次コイルを含むことができる。電磁界は、二次コイルを一次コイルに近接して置いたとき、ワイヤレス受電装置の二次コイルに電圧を誘起することができる。この構成では、電磁界は、ワイヤレスで二次コイルに電力を伝送することができる。一次コイルと二次コイルとの間の共振結合または非共振誘導結合を使用して電力を伝送してもよい。ワイヤレス受電装置は、受電電力を使用して動作してもよく、または受信エネルギーをバッテリに貯蔵して後で使用してもよい。電力伝送能力は、一次コイルと二次コイルとが互いにどれだけ近接して配置されるかに関連し得る。したがって、いくつかの従来のワイヤレス電力システムでは、ワイヤレス送電装置の構造は、ワイヤレス受電装置の位置決めを制限し、一次コイルと二次コイルとの間の期待される位置合わせを課すように設計される場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示のシステム、方法、および装置は、それぞれいくつかの革新的な態様を有しており、そのうちの1つだけが、本明細書で開示された望ましい属性に対して単独で責任を負うものではない。
【0004】
本開示で説明される主題の1つの革新的な態様は、ワイヤレス送電装置において実装され得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス送電装置は、少なくとも第1の一次コイルグループと第2の一次コイルグループとに編成された複数の一次コイルを含んでもよい。ワイヤレス送電装置は、少なくとも、第1の一次コイルグループに関連付けられた第1のローカルコントローラと第2の一次コイルグループに関連付けられた第2のローカルコントローラとを含んでもよい。ワイヤレス送電装置内の複数のスイッチは、第1のローカルコントローラを第1の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合し、第2のローカルコントローラを第2の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合することができる。ワイヤレス送電装置は、第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第1のローカルコントローラに結合し、第2の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第2のローカルコントローラに結合するかを制御する複数のスイッチを動作させるように構成されたマスタコントローラを含んでもよい。
【0005】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、複数の一次コイルのうちの第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定するように構成されていてもよい。マスタコントローラは、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給している間、第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラから切り離したままにするように、複数のスイッチを動作させることができる。
【0006】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第1のローカルコントローラに結合するかを制御するために、複数のスイッチの状態を変更する前に第1のローカルコントローラを無効にするように構成されていてもよい。第1のローカルコントローラを無効にすると、複数のスイッチの状態が変更される間、電流が複数のスイッチを介して第1のローカルコントローラから流れるのを防ぐことができる。マスタコントローラは、複数のスイッチの状態を変更した後、第1のローカルコントローラを有効にして、第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第1のローカルコントローラに結合するかを制御してもよい。
【0007】
いくつかの実装形態では、複数のスイッチは、第1のローカルコントローラを第1の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合するように構成された第1のスイッチセットと、第2のローカルコントローラを第2の一次コイルグループのうちの1つの一次コイルに個別に結合するように構成された第2のスイッチセットとを含む。
【0008】
いくつかの実装形態では、ワイヤレス送電装置は、少なくとも第1のローカルコントローラと、第2のローカルコントローラとを含む複数のローカルコントローラを含んでもよい。少なくとも第1のローカルコントローラは、第1のワイヤレス受電装置が第1の一次コイルに近接しており、かつ第1のローカルコントローラが第1の一次コイルに結合されているとき、第1の一次コイルを介して第1のワイヤレス受電装置からの通信を受信することができる通信部を含んでもよい。第1のローカルコントローラは、第1のワイヤレス受電装置からの通信を受信したことに応じて、ドライバの動作を管理するように構成された制御部を含んでもよい。第1のローカルコントローラは、第1の一次コイルが複数のスイッチを介して第1のローカルコントローラに結合されたとき、第1の一次コイルへの電気出力を生成するように構成されたドライバを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実装形態では、第1のローカルコントローラは、マスタコントローラに送信する状態信号を判定するように構成されていてもよく、該状態信号は、少なくとも部分的に、第1のワイヤレス受電装置からの通信、ワイヤレス電力伝送状態、第1の一次コイルに生成される電気出力、第1のワイヤレス受電装置の充電に関連する障害状態、またはこれらの任意の組合せに基づく。第1のローカルコントローラは、状態信号をマスタコントローラに送信するように構成されていてもよい。
【0010】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、少なくとも部分的に状態信号に基づいて、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していないことを判定するように構成することができる。マスタコントローラは、複数のスイッチを動作させて、第1のローカルコントローラを第1の一次コイルグループのうちの1つまたは複数の他の一次コイルに結合することができる。
【0011】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、少なくとも部分的に状態信号に基づいて、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定するように構成することができる。第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを状態信号が示している間、マスタコントローラは、複数のスイッチが第1のローカルコントローラを第1の一次コイルから切り離すのを防ぐことができる。
【0012】
いくつかの実装形態では、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを状態信号が示している間、マスタコントローラは、複数のスイッチが第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに結合するのを防ぐように構成されていてもよい。
【0013】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、複数のスイッチに第1の一次コイルグループのうちの一次コイルを第1のローカルコントローラに順次結合させるように構成されていてもよい。マスタコントローラは、第1の一次コイルグループのうちの各一次コイルについて、第1のローカルコントローラから状態信号を受信してもよい。状態信号は、第1のローカルコントローラが、結合された一次コイルにおいて第1のワイヤレス受電装置を検出するかどうかを示してもよい。
【0014】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、複数のスイッチに、第1の一次コイルグループのうちの第1の一次コイルを第1のローカルコントローラに、かつ第2の一次コイルグループのうちの第2の一次コイルを第2のローカルコントローラに同時に結合させるように構成されていてもよい。第1の一次コイルと第2の一次コイルとは隣接していなくてもよい。
【0015】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、複数の一次コイルの各々が、隣接する一次コイルが同時に結合されるのを防止するパターンに従って、それぞれのローカルコントローラに結合されるように、複数のスイッチを動作させるように構成されていてもよい。
【0016】
いくつかの実装形態では、各一次コイルグループは、ローカルコントローラに選択的に結合することができる少なくとも2つの一次コイルを含んでもよい。少なくとも1つのスイッチを介して各一次コイルグループを当該グループのローカルコントローラに結合してもよい。
【0017】
いくつかの実装形態では、第1の一次コイルグループは、2つのスイッチを介して第1のローカルコントローラに選択的に結合される3つの一次コイルを含んでもよい。
【0018】
いくつかの実装形態では、ワイヤレス送電装置は、複数のワイヤレス受電装置を置くことができる充電パッドを含んでもよい。複数の一次コイルは、充電パッドの複数の層に分散されて重なり合うパターンで配置されていてもよい。
【0019】
いくつかの実装形態では、複数の一次コイルの少なくとも1つのサブセットは、グラフェンで構成されていてもよい。
【0020】
いくつかの実装形態では、第1のローカルコントローラは、第1のワイヤレス受電装置が第1の一次コイルに近接しており、かつ第1のローカルコントローラが第1の一次コイルに結合されているとき、第1の一次コイルグループのうちの少なくとも第1の一次コイルは、第1の一次コイルを介した第1のワイヤレス受電装置からの通信に応答して、第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を伝送するように構成されていてもよい。第2のローカルコントローラは、第2のワイヤレス受電装置が第2の一次コイルに近接しており、かつ第2のローカルコントローラが第2の一次コイルに結合されているとき、第2の一次コイルグループのうちの少なくとも第2の一次コイルは、第2の一次コイルを介した第2のワイヤレス受電装置からの通信に応答して、第2のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を伝送するように構成されていてもよい。
【0021】
いくつかの実装形態では、第1の一次コイルと第2の一次コイルとは互いに隣接していなくてもよい。第1の一次コイルと第2の一次コイルは、それぞれ第1のワイヤレス受電装置と第2のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を同時に伝送するように構成されていてもよい。
【0022】
いくつかの実装形態では、複数のスイッチは、通常閉(NC)端子と通常開(NO)端子を有する制御スイッチである機械式またはソリッドステート式リレーを備えてもよい。NC端子とNO端子との間での状態の切り替えは、マスタコントローラによって管理される。
【0023】
本開示で説明された主題の別の革新的な態様を、ワイヤレス送電装置によって実施される方法として実装することができる。いくつかの実装形態では、本方法は、複数のスイッチを介して、複数の一次コイルとそれぞれのローカルコントローラとの間の接続を管理するステップを含んでもよい。本方法は、複数の一次コイルのうちの第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定するステップを含んでもよい。本方法は、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給している間、第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルがそれぞれのローカルコントローラから切り離されたままになるように、マスタコントローラが複数のスイッチを動作させるステップを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実装形態では、複数の一次コイルを、少なくとも、複数のスイッチの第1のサブセットを介して第1のローカルコントローラに個別に結合することができる第1の一次コイルグループと、複数のスイッチの第2のサブセットを介して第2のローカルコントローラに個別に結合することができる第2の一次コイルグループとに編成してもよい。
【0025】
いくつかの実装形態では、本方法は、第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第1のローカルコントローラに結合するかを制御するために、複数のスイッチの状態を変更する前に第1のローカルコントローラを無効にするステップを含んでもよい。第1のローカルコントローラを無効にすると、複数のスイッチの状態が変更される間、電流が複数のスイッチを介して第1のローカルコントローラから流れるのを防ぐ。本方法は、複数のスイッチの状態を変更した後、第1のローカルコントローラを有効にして、第1の一次コイルグループのうちのどの一次コイルを第1のローカルコントローラに結合するかを制御するステップを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実装形態では、本方法は、第1のワイヤレス受電装置が第1の一次コイルに近接しており、かつ第1のローカルコントローラが第1の一次コイルに結合されているとき、第1のローカルコントローラによって、第1の一次コイルを介して第1のワイヤレス受電装置からの通信を受信するステップを含んでもよい。本方法は、第1のローカルコントローラによって、マスタコントローラに送信する状態信号を判定するステップを含んでもよく、該状態信号は、少なくとも部分的に、第1のワイヤレス受電装置からの通信、ワイヤレス電力伝送状態、第1の一次コイルに生成された電気出力、第1のワイヤレス受電装置の充電に関連する障害状態、またはこれらの任意の組合せに基づく。本方法は、第1のローカルコントローラからマスタコントローラに状態信号を送信するステップを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実装形態では、本方法は、少なくとも部分的に状態信号に基づいて、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していないことを判定するステップを含んでもよい。本方法は、第1のローカルコントローラを第1の一次コイルグループのうちの1つまたは複数の他の一次コイルに結合するように複数のスイッチを動作させるステップを含んでもよい。
【0028】
いくつかの実装形態では、本方法は、少なくとも部分的に状態信号に基づいて、マスタコントローラによって、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定するステップを含んでもよい。本方法は、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを状態信号が示している間、マスタコントローラによって、複数のスイッチが第1のローカルコントローラを第1の一次コイルから切り離すのを防ぐステップを含んでもよい。
【0029】
いくつかの実装形態では、本方法は、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを状態信号が示している間、複数のスイッチが第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに結合するのを防ぐステップを含んでもよい。
【0030】
いくつかの実装形態では、本方法は、複数のスイッチに、第1の一次コイルグループのうちの一次コイルを第1のローカルコントローラに順次結合させるステップを含んでもよい。本方法は、一次コイルの第1のグループの各一次コイルについて、結合された一次コイルにおいて第1のローカルコントローラが第1のワイヤレス受電装置を検出したかどうかを示す状態信号を、第1のローカルコントローラから受信するステップを含んでもよい。
【0031】
いくつかの実装形態では、本方法は、複数のスイッチに、第1の一次コイルグループのうちの第1の一次コイルを第1のローカルコントローラに、かつ第2の一次コイルグループのうちの第2の一次コイルを第2のローカルコントローラに同時に結合させるステップを含んでもよい。第1の一次コイルと第2の一次コイルとは隣接していなくてもよい。
【0032】
いくつかの実装形態では、本方法は、隣接する一次コイルが同時に結合されるのを防ぐパターンに従って、複数の一次コイルの各々をそれぞれのローカルコントローラに結合するように、複数のスイッチを動作させるステップを含んでもよい。
【0033】
本開示で説明される主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになる。以下の図の相対寸法は、縮尺通りに描かれていない場合があることに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】いくつかの実装形態による例示的なワイヤレス電力システムに関連する構成要素の概要を示す。
図2A】いくつかの実装形態による重なり合うパターンで配置された複数の一次コイルの層を有する例示的なワイヤレス送電装置を示す。
図2B】いくつかの実装形態による複数のワイヤレス受電装置が同時に充電されている図2aの例示的なワイヤレス送電装置を示す。
図3】いくつかの実装形態によるローカルコントローラに個別に結合することができる例示的な一次コイルグループを示す。
図4】いくつかの実装形態による例示的な一次コイルグループと、マスタコントローラによって管理され得るローカルコントローラとを示す。
図5】いくつかの実装形態による複数の一次コイルを使用する例示的な配置を示す。
図6】いくつかの実装形態による隣接する一次コイルをミュートする例を示す。
図7】いくつかの実装形態によるマスタコントローラによって管理されるデジタルピング(ping)の例示的なパターンを示す。
図8】いくつかの実装形態によるワイヤレス送電のための例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。
図9】いくつかの実装形態によるワイヤレス電力システムで使用するための例示的な電子デバイスのブロック図を示す。 様々な図面における同様の参照番号および符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明は、本開示の革新的な態様を説明する目的のための特定の実装形態を対象とする。しかしながら、当業者は、本明細書の教示が多数の異なる方法で適用され得ることを容易に認識することになる。説明される実装形態は、ワイヤレス電力を送電または受電するための任意の手段、装置、システムまたは方法で実装することができる。
【0036】
従来のワイヤレス電力システムは、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを含むことができる。ワイヤレス送電装置は、ワイヤレス受電装置内の対応する二次コイルに(ワイヤレス電力信号として)ワイヤレスエネルギーを伝送する一次コイルを含むことができる。一次コイルとは、ワイヤレス送電装置のワイヤレスエネルギー源(誘導エネルギーまたは磁気共鳴エネルギーなど)のことである。ワイヤレス受電装置の二次コイルが、ワイヤレスエネルギーを受け取る。ワイヤレス送電は、一次コイルと二次コイルが近接して配置されている場合に、より効率的である。逆に、一次コイルと二次コイルが位置ずれしている場合、効率が低下する(または電力伝送が停止する)可能性がある。従来のワイヤレス送電装置は、ワイヤレス受電装置がワイヤレス送電装置に対してどの程度近接して配置されているかに基づいて、ワイヤレスエネルギーの伝送を可能にまたは不可能にするコントローラを含む場合がある。例えば、ワイヤレスエネルギーの伝送は、送電コイルと受電コイルとの間の位置合わせの程度に依存する場合がある。本開示では、位置合わせとは、ワイヤレス受電装置の二次コイルとワイヤレス送電装置の一次コイルとの間の空間的関係のことである。
【0037】
位置ずれの懸念に対処し位置決めの柔軟性を大きくするために、いくつかのワイヤレス送電装置では、複数の一次コイルが含まれる場合がある。例えば、ワイヤレス送電装置の充電面には、一次コイルが配置されていてもよい。一次コイルは、重なり合う配置、または重なり合わない配置で構成されていてもよい。デッドゾーンを最小化、低減、または排除するように一次コイルの配置(重なり合いまたは非重なり合い)を設計してもよい。充電面上のワイヤレス受電装置の向きおよび位置に応じて、異なる一次コイルに電圧をかけて、ワイヤレス受電装置の対応する二次コイルに電力を供給してもよい。したがって、ワイヤレス送電装置は、充電面に対するワイヤレス受電装置の位置や向きに関係なく、ワイヤレス受電装置を充電することができるような位置の自由度をサポートすることができる。更に、複数のワイヤレス受電装置を、ワイヤレス送電装置の異なる一次コイルを使用して同時に充電してもよい。しかしながら、ワイヤレス送電装置が複数の一次コイルを有する場合、使用されていない一次コイルが、ワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給している近くにある一次コイルに望ましくない電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性がある。
【0038】
本開示によれば、ワイヤレス送電装置は、ローカルコントローラに選択的かつ個別に結合することができる複数の一次コイルを有してもよい。ローカルコントローラは、通信機能、制御機能、ドライバ、または他の電力信号生成回路を含んでもよい。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラ(一次コイルのうちの1つに接続されている場合)は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)によって提供されるQi(登録商標)仕様などの標準化されたワイヤレス電力仕様に従ってワイヤレス電力伝送を実装することができる。例えば、ワイヤレス送電装置は、複数の一次コイルを含んでもよく、各一次コイルは、Qi仕様に適合するようにローカルコントローラに接続することができる。
【0039】
いくつかの実装形態では、一次コイルは、別々に管理することができる一次コイルのグループに編成してもよい。一次コイルのグループは、本開示のいくつかの態様ではゾーンと呼ばれることがある。ワイヤレス送電装置の各ゾーンは、各一次コイルに独立して通電できるように、ゾーン内の一次コイルに接続可能な別個のゾーン回路を有してもよい。例えば、ゾーン回路は、ゾーンに関連する全ての一次コイルに共通のローカルコントローラ、ドライバ、電圧調整器、タンク回路コンデンサなどを含んでもよい。ゾーン回路は、1つまたは複数のリレーまたはスイッチを使用して、異なる一次コイルに接続することができる。リレーはスイッチの一種である。例えば、リレーは、制御信号によって制御することができる電気機械式スイッチまたはソリッドステート式スイッチであり得る。いくつかの実装形態では、リレーは、共通端子、通常閉(NC)端子、および通常開(NO)端子を有してもよい。制御信号が機能していない(通電していない)場合、リレーの内部スイッチング機構により共通端子とNC端子とが接続される場合がある。制御信号が機能している(通電している)場合、内部スイッチング機構により共通端子とNO端子とが接続される場合がある。いくつかの実装形態では、リレーは、制御信号によって動作または停止されるスイッチを含むパッケージ化された電気部品であってもよい。したがって、リレー、制御可能スイッチ、またはスイッチという用語は、本明細書では交換可能に使用され得る。本開示の例は、簡潔にするためにリレーを参照しているが、ゾーン回路を一次コイルに接続するために、他のタイプのスイッチを使用してもよいことを理解すべきである。
【0040】
リレー(または他のタイプのスイッチ)を介して、一次コイルとローカルコントローラとの間の接続を行ってもよい。1つまたは複数のリレーの状態によって、ゾーン内のどの一次コイルがゾーン回路に接続されているかが判定されることがある。ゾーン回路はゾーン内の全ての一次コイルに共通であるが、一回に1つの一次コイルのみがゾーン回路を使用することができる。ローカルコントローラは、デジタルピングまたは他の電流感知技術を使用して、ローカルコントローラが現在接続されている一次コイルの近くにワイヤレス受電装置が位置しているかどうかを、判定することができる。例えば、ローカルコントローラが、ピング動作に応答してワイヤレス受電装置からの通信を受信すると、ローカルコントローラは、ローカルコントローラに現在接続されている一次コイルにワイヤレス受電装置が近接していることを判定することができる。ローカルコントローラは、一次コイルにワイヤレス受電装置の二次コイルにワイヤレスエネルギーを供給させることができる。例えば、ローカルコントローラはドライバを動作させ、接続された一次コイルはワイヤレス電力を伝送することができる。ゾーンの第1の一次コイルがワイヤレス受電装置に電力を供給している間、他の一次コイルは、リレーの状態に基づいて切断されたままになる。
【0041】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、ゾーン内のリレーの状態を管理して、異なる一次コイルを効果的に有効または無効にすることができる。更に、ワイヤレス送電装置は、それぞれのゾーン回路に接続または切断することができる複数の一次コイルグループ(ゾーン)を含んでもよい。マスタコントローラは、複数のゾーン内のリレーを管理して、第1の一次コイルがワイヤレス受電装置に電力を供給している間、隣接する一次コイルが動作したり、またはピングを送信したりするのを防ぐことができる。例えば、隣接する一次コイルに電圧がかけられると、隣接する一次コイルは望ましくないEMIを生成し、第1の一次コイルのワイヤレス電力セッションを中断したり、またはワイヤレス電力セッションの効率に影響を及ぼしたりする可能性がある。したがって、いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、隣接する(第1の一次コイルの近くにある)一次コイルがエネルギーを伝送するのを、またはピングを送信するのを防ぐために、隣接する一次コイルを無効にする、または切断(「ミュート」とも呼ばれる)することができる。隣接する一次コイルをミュートすることは、隣接する一次コイルがリレーを介してローカルコントローラに接続されるのを防ぐこと、または隣接するゾーン内のローカルコントローラを無効にすることのいずれかによって実施することができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、ゾーンのリレーの状態を変更する前にゾーン回路を無効にすることができる。リレーを介して接続された電力により、リレーの切替え時に電流が流れると、リレーの損傷、リレーの寿命の低下、またはその両方を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、あるゾーン内のリレー接続に変更を加える前に、そのゾーン内のローカルコントローラを無効にする、または停止させることができる。リレーの状態の変更に続く短い時間の後、マスタコントローラは、ローカルコントローラを再度有効にしたり、動作させたりすることができる。これにより、リレーをゼロ電流環境下で完全に変更することができるため、リレーの寿命を延ばすことができ、ワイヤレス受電装置を検出する際のローカルコントローラの信頼性を向上させることができる。
【0043】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、様々なゾーンのどの一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに接続するかを判定する際に、パターンを使用してもよい。例えば、第1の一次コイルを第1のローカルコントローラに接続して、デジタルピングまたは検出手順を実施する場合、マスタコントローラは、隣接する一次コイルをそれぞれのローカルコントローラに接続しないようにすることができる。このパターンを使用して、一次コイルのどのセットがピング送信するかを交互に切り替えて、隣接するまたは近くにある一次コイルが同時にピングを送信しないようにすることができる。
【0044】
いくつかの実装形態では、一次コイルは、ワイヤレス送電装置の信頼性および効率を改善する材料で作られる。例えば、一次コイルの一部または全部を、(銅線など)従来の材料よりも導電率が高く、サイズが小さいグラフェン材料で作ってもよい。サイズが小さいほど、重なり合う一次コイルの層が薄くなり、異なる層の一次コイルの電力伝送がより均一になる可能性がある。
【0045】
本開示に説明された主題の特定の実装は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実施することができる。いくつかの実装形態では、説明された技術を使用して、様々な位置や向きで1つまたは複数のワイヤレス受電装置の充電を可能にすることができる。ワイヤレス送電装置の効率は、ゾーンごとに別々の一次コイルをローカルコントローラに選択的に接続することによって改善することができる。ワイヤレス送電装置内の電子機器は、異なるゾーンを形成する一次コイルのグループに対して共通の構成要素を使用したモジュール設計を使用してもよい。各一次コイルに対して1つのローカルコントローラを使用するシステムと比較して、より少ないローカルコントローラを使用することで、ワイヤレス電力システムのコストおよび複雑さを低減することができる。更に、隣接する一次コイルをミュートする能力により、ワイヤレス受電装置に電力を供給する効率、速度、および信頼性が向上する可能性がある。例えば、隣接する一次コイルをミュートすることで、そうでなければワイヤレス受電装置を充電するための充電時間に影響を与えることになる外乱を防ぐことができる。
【0046】
図1は、いくつかの実装形態による例示的なワイヤレス電力システムに関連する構成要素の概要を示す。ワイヤレス送電装置110は、ワイヤレス送電装置110内の様々なゾーンに電力を供給するように構成された電源180を含むことができる。電源180は、交流(AC)を直流(DC)に変換することができる。ワイヤレス電力システム100は、複数の一次コイル120(一次コイル121、122、123、124、125、126として示す)を有するワイヤレス送電装置110を含む。一次コイル120の各々は、異なるゾーン回路に関連付けられてもよい。例えば、一次コイル121、122、および123の第1のグループは、第1のゾーン130に関連付けられてもよい。一次コイル123、125、および126の第2のグループは、第2のゾーン150に関連付けられてもよい。第1のゾーン130は、共通ゾーン回路(第1のローカルコントローラ131を含む)を含んでもよい。本開示では、ゾーン回路およびローカルコントローラという用語は交換可能に使用され得る。しかしながら、ゾーン回路は、ローカルコントローラならびに(抵抗、コンデンサ、ドライバなどを含めて)他の回路構成要素を含んでもよいことが理解される。各一次コイルは、ワイヤレス電力信号(ワイヤレスエネルギーと呼ばれることがある)を送信するワイヤコイルであってもよい。各一次コイルは、(リレーを介してローカルコントローラに接続されたときに)誘導場または磁気共鳴場を使用してワイヤレスエネルギーを伝送することができる。ゾーン回路は、ワイヤレス電力信号を準備するための構成要素(図示せず)を含んでもよい。例えば、ゾーン回路は、1つまたは複数のスイッチ、ドライバ、コンデンサ、または他の構成要素を含んでもよい。ゾーン回路の一例が図3に含まれている。いくつかの実装形態では、ゾーン回路の一部または全ては、本開示の特徴を実装するICとして具現化される。第1のゾーン130と同様に、第2のゾーン150は、第2のローカルコントローラ132を有してもよい。
【0047】
第1のゾーン130内の1つまたは複数のリレー141は、一次コイル121、122、および123のうちどのコイルを第1のローカルコントローラ131に接続するかを制御することができる。同様に、リレー142は、一次コイル124、125、および126のうちどのコイルを第2のローカルコントローラ132に接続するかを制御することができる。リレー141の一例が図3に含まれている。マスタコントローラ170は、リレー141、142を管理して、各ゾーン130、150のどの一次コイルをローカルコントローラに結合するかを制御することができる。例えば、図1では、マスタコントローラ170は、第1の一次コイル121を第1のローカルコントローラ131に接続するようにリレー141を構成している。第1の一次コイル121が第1のローカルコントローラ131に接続されている間、第1のゾーン130内の他の一次コイル122および123は切断される。マスタコントローラ170は、第2の一次コイル125を第2のローカルコントローラ132に接続しており、第2のゾーン150内の他の一次コイル124と126は切断されている。
【0048】
マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含む、マスタコントローラ170を実装するための様々な方法が存在し得る。いくつかの実装形態では、マスタコントローラは、ローカルコントローラのうちの1つ(第1のローカルコントローラ131または第2のローカルコントローラ132など)と並置または統合されてもよい。例えば、集積回路(IC)は、マスタコントローラと1つまたは複数のローカルコントローラとの両方の機能を実装してもよい。更に、いくつかの実装形態では、ローカルコントローラは、(ローカルコントローラの機能に加えて)マスタコントローラとして説明された機能であって、他のローカルコントローラのポーリング(polling)、隣接する一次コイルのミュート、他のローカルコントローラの有効化/無効化、離れている一次コイルと別のローカルコントローラとの間の接続の切り替え、またはこれらの任意の組合せを含む機能のいくつかを実施することができる。
【0049】
第1のローカルコントローラ131は、第1のゾーン内の一次コイル121、122、123のうちの1つに接続される場合、ワイヤレス受電装置の存在または近接性を検出するように構成されていてもよい。例えば、第1のローカルコントローラ131は、接続された一次コイルに検出信号を定期的に送信させ、一次コイルの近くに物体があることを示すコイル電流または負荷変化を測定してもよい。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラは、ワイヤレス受電装置がワイヤレス送電装置上に置かれていることを判定するために、ピング、ワイヤレス通信、負荷変調などを検出してもよい。いくつかの実装形態では、送信回路は、不定期に検出を実施してもよいし、ワイヤレス受電装置を検出するために独立して動作してもよい。いくつかの実装形態では、隣接する一次コイルが隣接コイルの干渉を低減するために決定論的な時間に検出段階を実施するようなパターンで、送信回路が検出段階を実施するように構成してもよい。
【0050】
図1の例では、第1のワイヤレス受電装置210は、第1の一次コイル121で検出されてもよい。第1のワイヤレス受電装置210は、二次コイル220を有する。ワイヤレス受電装置は、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、周辺機器、ガジェット、ロボット、車両などを含めて、ワイヤレス電力を受け取ることができる任意のタイプのデバイスであってもよい。ワイヤレス受電装置(第1のワイヤレス受電装置210など)が第1の一次コイル121の近傍にあるワイヤレス送電装置110上に置かれ、第1のローカルコントローラ131がリレー141を介して第1の一次コイル121に接続されている場合、第1のローカルコントローラ131は、その存在を検出することができる。例えば、検出段階の間、第1の一次コイル121は検出信号(ピングと呼ばれる場合がある)を送信してもよい。第1の一次コイル121におけるコイル電流を測定して、第1の一次コイル121の電磁界内に物体があることを示す閾値を超えたかどうかを判定してもよい。物体が検出された場合、第1のローカルコントローラ131は、第1のワイヤレス受電装置210からのハンドシェイク信号(識別信号、セットアップ信号など)を待って、物体がワイヤレス受電装置か異物かを判定してもよい。第1のワイヤレス受電装置210が、一連の負荷変化(負荷変調など)を用いてハンドシェイク信号を通信してもよい。負荷変化は、コイルの電圧または電流の感知回路によって検出可能であり、第1のプライマリコントローラ131が捉えてもよい。第1のコントローラ131は、負荷の変動を捉えて第1のワイヤレス受電装置210からの通信を回復してもよい。通信には、充電レベル、要求電圧、受電電力、受信機電力能力、ワイヤレス充電規格のサポートなどの情報が含まれてもよい。
【0051】
第1のワイヤレス受電装置210は、二次コイル220と、整流器230と、受信(RX)コントローラ240と、任意選択のバッテリモジュール250とを含んでもよい。いくつかの実装形態では、バッテリモジュール250は、一体型充電器(図示せず)を有することができる。二次コイル220は、第1の一次コイル121から受信したワイヤレス電力信号に基づいて誘起電圧を生成することができる。コンデンサ(図示せず)は、二次コイル220と整流器230との間に直列となってもよい。整流器230は、誘起電圧を整流し、整流電圧をバッテリモジュール250に供給することができる。バッテリモジュール250は、ワイヤレス受電装置210内にあってもよいし、電気的インタフェースによって結合された外部デバイスであってもよい。バッテリモジュール250は、充電段と、温度検出回路、過電圧保護回路および過電流保護回路等の保護回路とを備えていてもよい。代替的に、受信コントローラ240は、バッテリモジュール250の充電状態に関する情報を収集して処理するためのバッテリ充電管理モジュールを含んでもよい。いくつかの実装形態では、受信コントローラ240は、二次コイル220を介した負荷変調を用いて第1のローカルコントローラ131と通信するように構成されていてもよい。
【0052】
図1の例では、第1のワイヤレス受電装置210は、第1の一次コイル121で検出されるので、マスタコントローラ170は、第1の一次コイル121と第1のローカルコントローラ131との間のリレー141を介した接続を維持することができる。したがって、第1のゾーン130内の他の一次コイル122と123は切断されたままであり、ピングを送信しない、または干渉も生じない。しかしながら、隣接する一次コイル126が第1の一次コイル121と干渉する可能性があり得る。したがって、マスタコントローラは、リレー142が一次コイル126を第2のローカルコントローラ132に接続することを防ぐことができる。言い換えると、マスタコントローラは、隣接する一次コイルが別のゾーンの一部であっても、隣接する一次コイルがそれぞれのローカルコントローラに接続されるのを防ぐように構成されていてもよい。
【0053】
図1の例では、第2のワイヤレス受電装置260は、第2の一次コイル125の近くにある。上述の通り、第2のローカルコントローラ132は、他のゾーンとは別に第2の一次コイル125を制御することができる。このように、第2のローカルコントローラ132が第2の一次コイル125に第2のワイヤレス受電装置260へワイヤレス電力を伝送させ、第1のローカルコントローラ131が第1の一次コイル121に第1のワイヤレス受電装置210へワイヤレス電力を伝送させてもよい。更に、第1のローカルコントローラ131および第2のローカルコントローラ132は、それぞれの一次コイルでのワイヤレス充電に関連するパラメータを個別に管理してもよい。例えば、第1の一次コイル121および第2の一次コイル125のそれぞれについて、ワイヤレス受電装置のタイプまたはそれぞれのバッテリの充電レベルに基づいて、電圧レベル、共振周波数、電力レベル、またはその他のパラメータは、異なっていてもよい。
【0054】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラ170は、複数のローカルコントローラの動作を調整することができる。例えば、マスタコントローラ170は、一次コイルの隣接性の認識に基づいて、ゾーン毎に検出段階のパターンを管理してもよい。
【0055】
図1の例は、2つのゾーン130と150に編成された6つの一次コイル121、122、123、124、125および126のみを示しているが、一次コイルとゾーンの数は異なっていてもよい。例えば、各ゾーンに関連付けられた一次コイルの数は、3つより少なくても、多くてもよい。更に、一次コイルを、重なり合う配置または層状配置で置いてもよく、配置の間には異なるゾーンが画定される。いくつかの実装形態では、ゾーンは、どの一次コイルが互いに近接しているかに基づいていてもよいので、ゾーンが共通のゾーン回路を共有する場合、あるゾーン用のリレーはゾーンの関係性に基づいて隣接する一次コイルを効果的に無効にすることになる。あるいは、ゾーンは、ワイヤレス送電装置全体に分散された一次コイルを含んでもよい。
【0056】
図2Aは、いくつかの実装形態による重なり合うパターンで配置された複数層の一次コイルを有する例示的なワイヤレス送電装置を示す。例示的なワイヤレス送電装置200は、2つの重なり合う層に配置された18個の一次コイルを含む。ここでも、一次コイルの数および配置を例として示している。他の数の一次コイル、層の数、または配置であってもよい。更に、図2に示す一次コイルは、部分的に重なり合うパターンを示すのに役立つように円形に見えるが、他の設計では、円形でない一次コイルを使用してもよい。例えば、一次コイルは、図5図7に示すものと同様の正方形(または丸みを帯びた正方形)であってもよい。多層システムがワイヤレス送電装置内の一次コイルの部分的に重なり合う配置をどのように提供できるかを、図2の設計を使用して示すことができる。本開示では、部分的に重なり合う配置は、側面部分が重なる(または一致する)設計を含んでもよい。
【0057】
図2Aに示すように、複数の一次コイルは、第1の層152と第2の層153との間に分散されている。例えば、第1の一次コイル121は、いくつかの他の一次コイルと共に第1の層152上に示されている。第2の一次コイル125は、他の一次コイルと共に第2の層153上に示されている。
【0058】
図2Bは、いくつかの実装形態による複数のワイヤレス受電装置が同時に充電されている状態の図2Aの例示的なワイヤレス送電装置を示す。図2Bは、コイルが重なり合う状態を示す組合せ図154として、上述の層152、153を含む。いくつかの実装形態では、コイルと重なりの数は、複数の一次コイルが充電面155の実質的に全てをカバーするようなものであってもよい。
【0059】
ワイヤレス送電装置200に加えて、図2Bは、充電面155上に置かれた第1のワイヤレス受電装置210と第2のワイヤレス受電装置260を示す。第1のワイヤレス受電装置210は、その送信回路上の位置に基づいて、第1の一次コイル121からワイヤレス電力をラッチして受け取ることができる。同様に、第2のワイヤレス受電装置260は、第2の一次コイル125からワイヤレス電力をラッチして受け取ることができる。様々な任意選択の特徴をワイヤレス送電装置の設計に組み込んでもよい。例えば、いくつかの実装形態では、一貫した電磁界を維持するために、フェライト材料をワイヤレス送電装置の一部分に使用してもよい。フェライト材料は、電磁界を均一に分布させるために使用してもよい。
【0060】
図3は、いくつかの実装形態によるローカルコントローラに個別に結合することができる例示的な一次コイルグループを示す。図3の例示的な第1のゾーン130は、本開示で使用可能な多数の設計のうちの1つである。図3の設計では、第1のゾーン130は、一次コイル121、122、および123の第1のグループ、ならびにゾーン回路310を含む。ゾーン回路310は、電源180に電気的に結合されたDC入力ライン350を使用してDC電力を受け取る第1のローカルコントローラ131を含む。DC電力は、特定の電圧(5Vまたは12Vなど)であってもよい。代替的に、ローカルコントローラは、ローカルコントローラ内のサブモジュールの電圧要件を満たすための電力調整段を含んでもよい。同じDC電圧は、スイッチ330などのゾーン回路310内のいくつかのスイッチに電気的に結合されてもよい。スイッチ330は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの半導体スイッチを含んでもよい。代替的に、スイッチ330は、機械的スイッチを含んでもよい。図3の例では、各スイッチはダイオード320と対になっていてもよい。他の構成要素(ドライバなど)は、図には示されていないが、経路に含まれてもよい。
【0061】
また、第1のローカルコントローラ131は、ブリッジの2つの脚部の中心点を挟んで電源180をDC出力からAC出力に変換するように、デバイスを切り替えてもよい。コイル電圧VACは、リンク340を用いてローカルコントローラに供給される。スイッチは、コンデンサと一次コイルのペアへの印加電圧を制御するために使用することができる。例えば、第1のローカルコントローラ131は、各スイッチレッグのデューティ比、スイッチレッグ間の印加電圧の位相角、印加電圧の周波数、またはこれらの組合せを変更することができる。第1のローカルコントローラ131、スイッチ、ドライバ、ダイオードなどは、ゾーン回路310と見なしてもよい。いくつかの実装形態では、ドライバは、第1のローカルコントローラ131に組み込まれてもよい。更に、第1のローカルコントローラ131は、各スイッチへの制御ライン(印1、2、3、4)を用いてゾーン回路310の出力を制御してもよい。第1のローカルコントローラ131およびスイッチは、回路を完成させるために接地線360に電気的に結合されてもよい。コンデンサおよび一次コイルは共振回路を形成する。
【0062】
いくつかの実装形態では、ゾーン回路310は、コイル電流感知回路(図示せず)を含んでもよい。ゾーン回路310は、第1の一次コイル121の負荷変化を検出する機能を有していてもよい。コイル電流感知回路は、第1の一次コイル121と直列に接続された電流センサであってもよい。第1のローカルコントローラ131は、コイル電流感知回路によって測定された負荷変化に基づいて、物体の有無を判定してもよい。ローカルコントローラは、負荷変化を判定するために、感知電流、感知電圧VAC340、またはこれらの組合せを使用してもよい。また、通信部(図示せず)が存在してもよいし、または第1のローカルコントローラ131に組み込まれてもよい。通信部は、コイル電流感知回路および/またはVAC340によって測定された負荷変化を監視して、負荷変調データを復号することができる。通信部は、ワイヤレス受電装置によって報告された識別情報(ID)、充電状態情報、電圧制御情報、またはその他の情報を受信することができる。
【0063】
図3には、リレー141も示されている。リレー141は、第1のリレー311と第2のリレー312を含む。図3の例では、2つのリレーを使用して、3つの一次コイル121、122、123のゾーン回路310との結合を切り替えることができる。リレー311、312は、それぞれ、通常開(NO)、通常閉(NC)の2つの状態を有してもよい。DC電圧180は、マスタコントローラ(図示せず)からの制御信号に基づいて、接続をNCからNOに切り替えるためにリレー311と312のコイル(図示せず)に電力供給するために使用してもよい。リレー311、312の状態を変更することにより、ゾーン回路310を一次コイルの特定のコイルに接続することが可能である。表1は、異なる一次コイルがゾーン回路310に接続されることになるリレー311および312の状態を示す。表1および図3の例は、例としてのみ提供されており、当業者は、他の組合せ、リレー回路、または状態を実装することができる。
【表1】
【0064】
図4は、いくつかの実装形態による例示的な一次コイルグループと、マスタコントローラが管理できるローカルコントローラとを示す。図3の説明に基づいて、図4は、マスタコントローラ170がスイッチ311と312および第1のローカルコントローラ131を含む第1のゾーン130の動作をどのように管理することができるかを示す。ゾーン回路の他の部分は、簡潔にするために図4からは省略されている。
【0065】
マスタコントローラ170は、第1のリレー311への第1の制御リンク411と、第2のリレー312への第2の制御ライン412とを制御してもよい。第1および第2の制御ラインは、リレー311、312の状態を切り替えるためのオン/オフ信号であってもよい。しかしながら、上述の通り、第1のローカルコントローラ131から一次コイルの一方に電流が流れている間にリレー311と312の状態が切り替わると、リレーの寿命を低下させる原因となる可能性がある。したがって、いくつかの実装形態では、マスタコントローラ170は、第1のローカルコントローラ131への制御ライン431を有してもよい。制御ライン431は、第1のローカルコントローラ131を有効または無効にするために使用されてもよい。例えば、制御ライン431は、リレー311と312に電流が流れないように、ローカルコントローラ(またはローカルコントローラによって制御される任意の他のゾーン回路)の電子機器を無効にするように第1のローカルコントローラ131に信号を送ってもよい。第1のローカルコントローラ131を無効にした後、マスタコントローラ170は、リレー311と312の状態を変更してもよい。マスタコントローラ170は、制御ライン431を介して第1のローカルコントローラ131にイネーブル信号を送信する前に、ある時間帯(例えば、100ミリ秒)遅延させてもよい。
【0066】
いくつかの実装形態では、マスタコントローラ170はまた、第1のローカルコントローラ131からマスタコントローラ170への制御ライン441を介して、状態信号を受信してもよい。例えば、状態信号は、第1のローカルコントローラ131が現在ラッチされている(給電している)か否かをワイヤレス受電装置に示してもよい。他の例では、状態信号は、動作状態、充電状態、または第1のローカルコントローラ131から利用可能な他の情報を示してもよい。いくつかの実装形態では、第1のローカルコントローラは、第1のワイヤレス受電装置からの通信、ワイヤレス電力伝送状態、第1の一次コイルへの生成された電気出力、第1のワイヤレス受電装置の充電に関連する障害状態、またはこれらの任意の組合せなどの状態に基づいて状態信号を判定してもよい。いくつかの実装形態では、状態信号は、第1のローカルコントローラがワイヤレス受電装置を正常に充電しているかどうかを示す「オン」信号または「オフ」信号であってもよい。いくつかの他の実装形態では、状態信号は、フォーマットされたメッセージ(例えば、タグ・長さ・値(TLV)、情報要素、または追加の状態情報を伝達するための何らかの他のフォーマット)を含んでもよい。更に他の実装形態では、状態信号は、制御ライン441を介してデジタルパルス信号として送信されてもよい。マスタコントローラは、デジタルパルス信号を捉えて、第1のローカルコントローラ131の状態を判定するように構成されていてもよい。
【0067】
いくつかの実装形態では、状態信号(または第1のローカルコントローラとマスタコントローラとの間の別のインタフェース)は、故障状態(過電流、異物検出、低品質要因、不整合などによるものなど)を示してもよい。障害状態の場合、マスタコントローラは、制御ライン431を使用して第1のローカルコントローラ131を無効にしてもよい。例えば、状態信号が、第1のローカルコントローラ131がワイヤレス受電装置への接続不良を有するか、または異物が検出されたことを示す場合、マスタコントローラ170は、第1のローカルコントローラ131を無効にし、リレー311と312の状態を変更し、第1のローカルコントローラ131を再度有効にして、別の一次コイルがワイヤレス受電装置へのより良好な接続を達成できるか否かを確認することができる。
【0068】
図5は、いくつかの実装形態による複数の一次コイルを使用する例示的な配置を示す。図5の充電面は、5つのゾーンにグループ化された13個の一次コイル(番号1~13)の配置を示す。各ゾーンの一次コイルは、参照しやすいように同様のグレースケールの陰影が付けられている。(第1のゾーンに関連する)第1のローカルコントローラ131 は、リレーを介して一次コイル1、2、および6のいずれかに結合することができる。(第2のゾーンに関連する)第2のローカルコントローラ132は、リレーを介して一次コイル3、4、および8のいずれかに結合することができる。(第3のゾーンに関連する)第3のローカルコントローラ133は、リレーを介して一次コイル5および10のいずれかに結合することができる。第1および第2のゾーンは(図3に説明されているように)2つのリレーを有してもよいが、第3のゾーンには2つの一次コイルしかないので、第3のゾーンには1つのリレーしかない場合があることに注意すべきである。(第4のゾーンに関連する)第4のローカルコントローラ134は、リレーを介して一次コイル7、11、および12のいずれかに結合することができる。(第5のゾーンに関連する)第5のローカルコントローラ135は、リレーを介して一次コイル9および13のいずれかに結合することができる。この配置は、図6および図7の例示的なシナリオを説明するために使用される。図5図7の図は、コイルを重なり合わないものとして示しているが、いくつかの実装形態では、コイルは部分的に重なり合っていてもよい。
【0069】
図5は、マスタコントローラ170が複数のゾーンを管理することができることを示している。特に、マスタコントローラ170は、(図4で説明した制御ライン411、412、431、441と同様に、)図5の5つのゾーンの各々への制御ラインを有してもよい。マスタコントローラ170は、各ゾーンのリレーへの制御ラインを使用して、ワイヤレス送電装置全体のどの一次コイルをそれぞれのローカルコントローラ131、132、133、134、および135に接続するかを制御することができる。
【0070】
図6は、いくつかの実装形態による隣接する一次コイルをミュートする例を示す。図6では、一次コイル番号6は、ワイヤレス受電装置(図示せず)を充電中である。第1のゾーンのゾーンとリレーの機器構成のために、第1のゾーン内の他の一次コイル1と2は、第1のローカルコントローラ131に接続されない。一次コイル6への干渉を防ぐために、マスタコントローラ170は、他の隣接する一次コイル5、7、10、および11をミュートしてもよい。例えば、マスタコントローラ170は、第3のローカルコントローラ133を完全に無効にしてもよいし、または第3のゾーン内のリレーを制御して、一次コイル5と10が第3のローカルコントローラ133に接続しないようにしてもよい。同様に、マスタコントローラ170は、一次コイル7と11が第4のローカルコントローラ134に接続されないように、第4のゾーンのリレーを制御してもよい。なお、第4のゾーンの一次コイル12は、機能している一次コイル6に隣接していないため、依然として使用することができる。したがって、マスタコントローラ170は、第4のゾーンのリレーを制御して、一次コイル12を第4のローカルコントローラ134に接続してもよい。第4のローカルコントローラ134は、一次コイル12を使用して定期的にピングを送信して、充電パッドのある部分に第2のワイヤレス受電装置を置いてもよいかどうかを判定してもよい。同様に、一次コイル6に隣接していない他の一次コイル3、4、8、9、および13は、それぞれのローカルコントローラによって充電可能な別のワイヤレス受電装置を検出するためにピングを送信できるように、それぞれのローカルコントローラに結合されてもよい。
【0071】
図7は、いくつかの実装形態による、マスタコントローラによって管理されるデジタルピングの例示的なパターンを示す。マスタコントローラ170は、一次コイルのそれぞれのローカルコントローラへの接続を制御して、同時にピングを送信する隣接する一次コイルの数を低減または排除することができる。図7の例では、異なる時間にピングを送信する(ゾーン全体に分散された)4組のコイルが存在することがある。コイルのセットは、参照のために異なるハッチマークを用いて示されている。図7の例示的なパターンは例示のみを目的としており、実際のパターンは異なる実装形態によって異なる可能性があることに注意すべきである。更に、簡単にするために、図7は、現在、ワイヤレス受電装置が充電パッド上に置かれていないため、全ての一次コイルがピング送信パターンに関与している可能性がある時点での図である。
【0072】
図7に示す例示的なパターンでは、第1の時間帯には、一次コイル1、3、10、および12は、残りの一次コイルがそれぞれのローカルコントローラから切断されている間、ワイヤレス受電装置の存在を検出するためにピングを送信することができる。第1の時間帯の後、マスタコントローラ170は、1)ローカルコントローラ131、132、133、134、および135を無効にし、2)一次コイル1、3、10、および12を切断し、3)ローカルコントローラ131、132、133、134、および135を異なる一次コイルのセット(一次コイル2、4、11、13)に接続し、4)ローカルコントローラ131、132、133、134、および135を再び有効にすることができる。したがって、第1の時間帯には、一次コイル1、3、10、および12がピングを送信し、第2の時間帯には、一次コイル2、4、11、および13)がピングを送信する。本パターンは、各時間帯において、隣接する一次コイルが有効化されたローカルコントローラに接続されないようになっている。このパターンを続けると、第3の時間帯には、一次コイル6と7が含まれる場合がある。第4の時間帯には、一次コイル5、7、および9が含まれる場合がある。
【0073】
図8は、いくつかの実装形態によるワイヤレス送電のための例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。フローチャート800はブロック810で始まる。ブロック810で、ワイヤレス送電装置は、複数のリレーを介して、複数の一次コイルとそれぞれのローカルコントローラとの間の接続を管理することができる。例えば、マスタコントローラは、選択された一次コイルと同じゾーンのローカルコントローラとの間の電気的接続を変更するためにリレーを有効または無効にすることができる。ブロック820で、ワイヤレス送電装置は、複数の一次コイルのうちの第1の一次コイルが、第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給していることを判定することができる。例えば、ワイヤレス送電装置は、第1の一次コイルに接続された第1のローカルコントローラから状態信号を受信することができる。ブロック830で、ワイヤレス送電装置は、マスタコントローラによって、第1の一次コイルが第1のワイヤレス受電装置にワイヤレス電力を供給している間、第1の一次コイルの近くにある1つまたは複数の隣接する一次コイルがそれぞれのローカルコントローラから切り離されたままであるように、複数のリレーを動作させることができる。例えば、マスタコントローラは、プログラム的に隣接する一次コイルを判定した後、それらの隣接する一次コイルがゾーン内のローカルコントローラとの結合を確実に切り離すように、そのゾーン内のリレーに制御信号を送信することができる。
【0074】
図9は、いくつかの実装形態によるワイヤレス電力システムで使用するための例示的な電子デバイスのブロック図を示す。いくつかの実装形態では、電子デバイス900は(ワイヤレス送電装置190など)ワイヤレス送電装置であってもよい。電子デバイス900は、(場合によっては、複数のプロセッサ、複数のコア、複数のノード、またはマルチスレッディングなどを含む)プロセッサ902を含むことができる。電子デバイス900はまた、メモリ906を含むことができる。メモリ906は、システムメモリであってもよいし、または本明細書に説明されているコンピュータ可読媒体の実現可能なもののうちいずれか1つまたは複数であってもよい。また、電子デバイス900は、バス990(PCI、ISA、PCI-Express、HyperTransport(登録商標)、InfiniBand(登録商標)、NuBus(登録商標)、AHB、AXIなど)を含むことができる。
【0075】
電子デバイス900は、リレー964を介して複数の一次コイル966に結合するように構成された複数のローカルコントローラ962を含んでもよい。マスタコントローラ970(本明細書で説明したマスタコントローラ170と同様)は、ローカルコントローラ962の有効化/無効化を制御するとともに、リレー964の状態を制御してもよい。更に、マスタコントローラ970は、現在の充電状態またはワイヤレス受電装置検出に関する状態信号をローカルコントローラ962から受信してもよい。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラ962は、プロセッサ902、メモリ906、およびバス990内に分散させることができる。ローカルコントローラ962は、ローカルコントローラ131、132、133、134、および135の動作を含めて、本明細書に説明した動作の一部または全てを実施してもよい。メモリ906は、図1図7に説明された実装形態の機能を実装するためにプロセッサ902によって実行可能なコンピュータ命令を含むことができる。これらの機能のいずれか1つは、ハードウェアまたはプロセッサ902に部分的に(または全体的に)実装されてもよい。例えば、機能は、特定用途向け集積回路で、プロセッサ902に実装された論理に、周辺機器やカードなどのコプロセッサに実装されてもよい。更に、実現には、図9に図示されていない構成要素が少なくなるか、または追加される場合がある。プロセッサ902、メモリ906、およびローカルコントローラ962は、バス990に結合されていてもよい。バス990に結合されているものとして示されているが、メモリ906はプロセッサ902に結合されていてもよい。
【0076】
図1図9および本明細書で説明した動作は、例示的な実装形態の理解を助けることを意図した例であり、潜在的な実装形態を限定したり、特許請求の範囲を限定したりするために使用されるべきではない。いくつかの実装形態は、追加の動作、より少ない動作、並列でのまたは異なる順序での動作、およびいくつかの異なる動作を実施してもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、品目のリスト「のうちの少なくとも1つの」または「のうちの1つまたは複数の」を指す語句は、単一のメンバーを含めて、これらの品目の任意の組合せを指す。例えば、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、aのみ、bのみ、cのみ、aとbの組合せ、aとcの組合せ、bとcの組合せ、およびaとbとcの組合せの可能性を網羅することを意図している。
【0078】
本明細書に開示された実装形態に関連して説明された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、回路、動作およびアルゴリズムプロセスは、本明細書に開示された構造およびその構造的均等物を含めて、電子ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはハードウェア、ファームウェアもしくはソフトウェアの組合せとして実装され得る。ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの互換性は、機能に関して一般的に説明されており、上述の様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスに示されている。そのような機能がハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアのいずれで実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0079】
本明細書に開示された態様に関連して説明された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルチップまたはマルチチッププロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、または本明細書に説明された機能を実施するように設計されたこれら任意の組合せを用いて実装または実施されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、または任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されてもよい。いくつかの実装形態では、特定のプロセス、動作、および方法は、所与の機能に特化した回路によって実施されてもよい。
【0080】
上述の通り、いくつかの態様では、本明細書に説明した主題の実装形態は、ソフトウェアとして実装することができる。例えば、本明細書に開示された構成要素の様々な機能、または本明細書に開示された方法、動作、プロセスもしくはアルゴリズムの様々なブロックもしくはステップは、1つまたは複数のコンピュータプログラムの1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。このようなコンピュータプログラムは、本明細書に説明したデバイスの構成要素を含むデータ処理装置によって実行するために、またはその動作を制御するために、1つまたは複数の有形のプロセッサまたはコンピュータ可読記憶媒体上に符号化された非一時的なプロセッサまたはコンピュータ実行可能命令を含むことができる。限定ではなく例として、このような記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または命令もしくはデータ構造の形態でプログラムコードを記憶するために使用することができる任意の他の媒体を含むことができる。上述の組合せも記憶媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0081】
本開示に記載された実装形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された実装形態に限定されることを意図したものではなく、本明細書に開示された本開示、原理、および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0082】
更に、別個の実装形態の文脈で本明細書に説明されている様々な特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実装形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実装形態において別々に、または任意の適切な部分的な組合せで実施することもできる。このように、特徴は、特定の組合せで機能するものとして上述され、最初はそのように特許請求されていてもよいが、特許請求された組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組合せから削除することができ、特許請求された組合せは、部分的な組合せを、または部分的な組合せの変形を対象とすることができる。
【0083】
同様に、図面では動作が特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を得るために、そのような動作を示された特定の順序で若しくは連続した順序で実施することが、または示された全ての動作を実施することが必要であると理解すべきではない。更に、図面は、フローチャートまたは流れ図の形で、1つまたは複数の例示的なプロセスを模式的に描くことができる。しかしながら、図示されていない他の動作は、模式的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示の動作のいずれかの前、後、同時に、またはその間に実施することができる。状況によっては、マルチタスキングおよび並列処理が有利な場合がある。上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実装形態においてこのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解すべきである。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】