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特表2022-552925真菌感染症の治療のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】真菌感染症の治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/52 20060101AFI20221214BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20221214BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20221214BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20221214BHJP
   C07K 14/81 20060101ALN20221214BHJP
【FI】
C07K7/52
A61K38/12
A61P31/10
C12N9/99
C07K14/81 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577399
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020039865
(87)【国際公開番号】W WO2020264328
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/867,000
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521149024
【氏名又は名称】セルステッド、マイケル イー.
【氏名又は名称原語表記】SELSTED,Michael E.
(71)【出願人】
【識別番号】521148991
【氏名又は名称】トラン、ダット
【氏名又は名称原語表記】TRAN,Dat
(71)【出願人】
【識別番号】521149002
【氏名又は名称】シャール、ジャスティン ビー.
【氏名又は名称原語表記】SCHAAL,Justin B.
(71)【出願人】
【識別番号】521565279
【氏名又は名称】バッソ、ヴィルジニア
【氏名又は名称原語表記】BASSO,Virginia
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(71)【出願人】
【識別番号】522188026
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA
(72)【発明者】
【氏名】セルステッド、マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ダット
(72)【発明者】
【氏名】シャール、ジャスティン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】バッソ、ヴィルジニア
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA24
4C084BA26
4C084CA59
4C084DA43
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB351
4C084ZB352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA30
4H045BA32
4H045DA55
4H045EA22
4H045EA29
4H045FA20
(57)【要約】
播種性真菌症及び/又は関連する敗血症性ショックの治療において二相性効果を提供するθ-ディフェンシンの新規ペプチドアナログが開発された。これらのアナログは、殺菌効果を提供するために必要な濃度よりも低い濃度で活性であり、最初に免疫系のエフェクター細胞を動員して感染性生物に対処し、続いて免疫系を調節して炎症反応をダウンレギュレートすることによって機能する。これらの新規θ-ディフェンシンアナログは、天然に存在するθ-ディフェンシンが明らかな効果を持たない濃度で保護作用を有し、天然θ-ディフェンシンには見られない構造的及び配列的特徴のコアセットを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14個のアミノ酸からなり、以下の構造:
【化1】

を有する環状ペプチドであって、AA3及びAA12はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA5及びAA10はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA4はセリン又は第1の疎水性アミノ酸であり、AA11はセリン又は第2の疎水性酸であり、AA6はアルギニンであり、AA7はアルギニンであり、AA8はアルギニンであり、生理学的pHで少なくとも約36%の正の電荷量を提供する5つのアルギニン残基を含む、環状ペプチド。
【請求項2】
第1の疎水性アミノ酸及び第2の疎水性アミノ酸は、ロイシン及びイソロイシンからなる群から選択される、請求項1に記載の環状ペプチド。
【請求項3】
AA1がグリシンである、請求項1又は2に記載の環状ペプチド。
【請求項4】
AA2が第3の疎水性アミノ酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項5】
第3の疎水性アミノ酸がバリン又はロイシンである、請求項4に記載の環状ペプチド。
【請求項6】
AA9が第4の疎水性アミノ酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項7】
第4の疎水性アミノ酸がバリン又はフェニルアラニンである、請求項6に記載の環状ペプチド。
【請求項8】
AA13がアルギニンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項9】
AA14がアルギニンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項10】
AA4がアラニンではない、請求項1~9のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項11】
AA11がアラニンではない、請求項1~10のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項12】
前記環状ペプチドはθ-ディフェンシンのアナログであり、前記環状ペプチドは、マウス播種性カンジダ症モデルに全身的に適用されると、θ-ディフェンシンと比較して改善された生存率を提供する、請求項1~12のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項13】
前記環状ペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに適用すると二相性応答を提供し、前記二相性応答は、抗真菌活性を有する宿主エフェクター細胞の動員の第1相及び宿主炎症性応答の緩和の第2相を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項14】
TACE阻害活性を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項15】
TNFの発現、プロセシング、及び放出のうちの少なくとも1つを抑制する、請求項1~14のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項16】
極端な温度、低pH、凍結及び/又は解凍、及び生物学的マトリックスへの溶解にさらされた後も活性を保持する、請求項1~15のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項17】
前記生物学的マトリックスは、血液、血漿、及び血清からなる群から選択される、請求項16に記載の環状ペプチド。
【請求項18】
播種性真菌感染症を治療するのに有効な用量で非免疫原性である、請求項1~17のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項19】
宿主免疫系を活性化して宿主の病原体クリアランスを促進する、請求項1~18のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項20】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療するのに有効な用量で、炎症を調節し、疾患の解消及び生存を増強する活性によって特徴づけられる、請求項1~19のいずれか一項に記載の環状ペプチド。
【請求項21】
播種性真菌感染症及び関連する敗血症性ショックを治療又は予防する方法であって、
播種性真菌感染症の治療を必要とする個人を特定すること;及び
敗血症性ショックのリスクのある動物に環状ペプチドを投与することを含み、前記環状ペプチドは以下の構造:
【化2】

を有し、AA3及びAA12はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA5及びAA10はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA4はセリン又は第1の疎水性アミノ酸であり、AA11はセリン又は第2の疎水性酸であり、AA6はアルギニンであり、AA7はアルギニンであり、AA8はアルギニンであり、生理学的pHで少なくとも約36%の正の電荷量を提供する5つのアルギニン残基を含む、方法。
【請求項22】
ロイシン及びイソロイシンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
AA1がグリシンである、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
AA2が第3の疎水性アミノ酸である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
第3の疎水性アミノ酸がロイシン、イソロイシン、又はセリンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
AA9が第4の疎水性アミノ酸である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
第4の疎水性アミノ酸がバリン又はフェニルアラニンである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
AA13がアルギニンである、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
AA14がアルギニンである、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
AA4がアラニンではない、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
AA11がアラニンではない、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記環状ペプチドはθ-ディフェンシンのアナログであり、前記環状ペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに全身的に適用されると、θ-ディフェンシンと比較して改善された生存率を提供する、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、播種性カンジダ症のマウスモデルへの適用時に二相性応答を提供し、前記二相性応答は、抗真菌活性を有する宿主エフェクター細胞の動員の第1相及び宿主炎症性応答の緩和の第2相を含む、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
TACE活性を阻害する、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
炎症誘発性サイトカインの発現、プロセシング、及び放出のうちの少なくとも1つを抑制する、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記環状ペプチドは、極端な温度、低pH、凍結及び/又は解凍、及び生物学的マトリックスへの溶解にさらされた後も活性を保持する、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的マトリックスは、血液、血漿、及び血清からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療するのに有効な用量で非免疫原性である、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記環状ペプチドは、宿主免疫系を活性化して宿主の病原体クリアランスを促進する、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
播種性真菌感染症及び関連する敗血症性ショックの治療又は予防における環状ペプチドの使用であって、前記環状ペプチドは以下の構造:
【化3】

を有し、AA3及びAA12はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA5及びAA10はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA4はセリン又は第1の疎水性アミノ酸であり、AA11はセリン又は第2の疎水性酸であり、AA6はアルギニンであり、AA7はアルギニンであり、AA8はアルギニンであり、前記環状ペプチドは生理学的pHで少なくとも約36%の正の電荷量を提供する5つのアルギニン残基を含む、使用。
【請求項41】
第1の疎水性アミノ酸及び第2の疎水性アミノ酸は、ロイシン及びイソロイシンからなる群から選択される、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
AA1がグリシンである、請求項40又は41に記載の使用。
【請求項43】
AA2が第3の疎水性アミノ酸である、請求項40~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
第3の疎水性アミノ酸がロイシン、イソロイシン、又はセリンである、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
AA9が第4の疎水性アミノ酸である、請求項40~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
第4の疎水性アミノ酸がバリン又はフェニルアラニンである、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
AA13がアルギニンである、請求項40~46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
AA14がアルギニンである、請求項40~47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
AA4がアラニンではない、請求項40~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
AA11がアラニンではない、請求項40~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記環状ペプチドはθ-ディフェンシンのアナログであり、前記環状ペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに全身的に適用されると、θ-ディフェンシンと比較して改善された生存率を提供する、請求項40~50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記環状ペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに適用すると二相性応答を提供し、前記二相性応答は、抗真菌活性を有する宿主エフェクター細胞の動員の第1相及び宿主炎症性応答の緩和の第2相を含む、請求項40~51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記環状ペプチドはTACE阻害活性を有する、請求項40~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記環状ペプチドは炎症誘発性サイトカインの発現、プロセシング、及び放出のうちの少なくとも1つを抑制する、請求項40~53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記環状ペプチドは、極端な温度、低pH、凍結及び/又は解凍、及び生物学的マトリックスへの溶解にさらされた後も活性を保持する、請求項40~54のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記生物学的マトリックスは、血液、血漿、及び血清からなる群から選択される、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療又は予防するのに有効な用量で非免疫原性である、請求項40~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記環状ペプチドは、宿主免疫系を活性化して宿主の病原体クリアランスを促進する、請求項40~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療又は予防するのに有効な用量で、炎症を調節し、疾患の解消及び生存を増強する活性によって特徴づけられる、請求項40~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
播種性真菌感染症及び関連する敗血症性ショックの治療又は予防のための医薬の調製における環状ペプチドの使用であって、前記環状ペプチドは以下の構造:
【化4】

を有し、AA3及びAA12はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA5及びAA10はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA4はセリン又は第1の疎水性アミノ酸であり、AA11はセリン又は第2の疎水性酸であり、AA6はアルギニンであり、AA7はアルギニンであり、AA8はアルギニンであり、前記環状ペプチドは生理学的pHで少なくとも約36%の正の電荷量を提供する4つのアルギニン残基を含む、使用。
【請求項61】
第1の疎水性アミノ酸及び第2の疎水性アミノ酸は、ロイシン及びイソロイシンからなる群から選択される、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
AA1がグリシンである、請求項60又は61に記載の使用。
【請求項63】
AA2が第3の疎水性アミノ酸である、請求項60~62のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
第3の疎水性アミノ酸がバリン又はロイシンである、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
AA9が第4の疎水性アミノ酸である、請求項60~64のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
第4の疎水性アミノ酸がバリン又はフェニルアラニンである、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
AA13がアルギニンである、請求項60~66のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
AA14がアルギニンである、請求項60~67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
AA4がアラニンではない、請求項60~68のいずれか一項に記載の使用。
【請求項70】
AA11がアラニンではない、請求項60~69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
前記環状ペプチドはθ-ディフェンシンのアナログであり、前記環状ペプチドは、マウス敗血症モデルに全身的に適用されると、θ-ディフェンシンと比較して改善された生存率を提供する、請求項60~70のいずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
前記環状ペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに適用すると二相性応答を提供し、前記二相性応答は、抗真菌活性を有する宿主エフェクター細胞の動員の第1相及び宿主炎症性応答の緩和の第2相を含む、請求項60~71のいずれか一項に記載の使用。
【請求項73】
前記環状ペプチドはTACE阻害活性を有する、請求項60~72のいずれか一項に記載の使用。
【請求項74】
前記環状ペプチドは炎症誘発性サイトカインの発現、プロセシング、及び放出のうちの少なくとも1つを抑制する、請求項60~73のいずれか一項に記載の使用。
【請求項75】
前記環状ペプチドは、極端な温度、低pH、凍結及び/又は解凍、及び生物学的マトリックスへの溶解にさらされた後も活性を保持する、請求項60~74のいずれか一項に記載の使用。
【請求項76】
前記生物学的マトリックスは、血液、血漿、及び血清からなる群から選択される、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療又は予防するのに有効な用量で非免疫原性である、請求項60~76のいずれか一項に記載の使用。
【請求項78】
前記環状ペプチドは、宿主免疫系を活性化して宿主の病原体クリアランスを促進する、請求項60~77のいずれか一項に記載の使用。
【請求項79】
前記環状ペプチドは、播種性真菌感染症を治療又は予防するのに有効な用量で、炎症を調節し、疾患の解消及び生存を増強する活性によって特徴づけられる、請求項60~78のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月26日に出願された米国仮特許出願第62/867,000号の利益を主張する。この、及び他のすべての参照された外部の資料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる参考文献における用語の定義又は使用が、本明細書で提供されるその用語の定義と矛盾するか又は反対である場合、本明細書で提供されるその用語の定義が優先されるものとする。
【0002】
発明の分野
本発明の分野は、生物学的製剤、特にペプチド薬である。
【背景技術】
【0003】
背景の説明には、本発明を理解するのに役立ち得る情報が含まれている。これは、本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であるか、又は現在請求されている発明に関連していること、あるいは具体的又は暗黙的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
口や生殖器の粘膜などの表在性真菌感染症は比較的一般的であり、生命を脅かすことはめったにない。しかし、全身性又は播種性真菌感染症は、30%~50%の範囲の死亡率を有し得る。真菌病原体は、特に外科患者やカテーテルを留置している患者の間で、院内感染の主な原因である。全身性真菌感染症のリスクの増加は、免疫機能の低下、好中球減少症、及び糖尿病にも関連している。全身性又は播種性真菌感染症のリスクの増加は、炎症性又は自己免疫疾患の治療のための、免疫応答の構成要素を選択的に抑制する生物学的療法の使用にも関連している。
【0005】
全身性真菌感染症は、通常、カンジダ属菌(C.アルビカンス(C.albicans)など)によって引き起こされる。この菌は本質的に遍在しているため、簡単に回避することはできない。抗真菌薬が利用可能である一方で、耐性又は多剤耐性株がますます普及しつつある。残念ながら、多剤耐性菌によって引き起こされる全身感染症が、世界的な健康問題として広がっている。播種性真菌症の約150万例が毎年発生し、高い死亡率と関連している。
【0006】
多剤耐性カンジダ属感染症の発生率の増加は、全身性カンジダ症による死亡率の増加をもたらしている。全身性カンジダ症の主な危険因子は、静脈カテーテルなどの植え込まれた医療機器で頻繁に発生するバイオフィルムの存在である。このようなバイオフィルムは、抗真菌療法に耐性があることが知られており、真菌病原体の血液感染性播種の一般的な原因である。
【0007】
効果的で比較的毒性のない抗真菌薬の開発は困難であることが実証されている。現在、侵襲性真菌感染症の治療に使用される抗真菌薬のクラスは、ポリエン、アゾール、及びエキノカンジンの3つだけである。これらのうち、エキノカンジンは最も最近承認されたクラスの抗真菌剤であり、20年近く前に最初に導入された。現在利用可能な抗真菌薬の使用に関する制限には、限られた範囲の活性、深刻な有害な副作用、及びバイオフィルムに対する活性の欠如が含まれる。多剤耐性真菌病原体の出現は、真菌感染症の治療への新しいアプローチの開発が緊急に必要であることを強調している。
【0008】
ディフェンシンは、感染に対する体の非特異的防御の一部である小さな抗菌タンパク質の多様なファミリーである。ディフェンシンタンパク質には、アルファ、ベータ、及びシータディフェンシンの3つの異なる、構造的に別個のクラスがある。α及びβディフェンシンは、それぞれ約2.6kDa又は4.5kDaの分子量を有する線状のトリジスルフィド含有ペプチドである。対照的に、θ-ディフェンシンは、18個のアミノ酸から構成される環状ペプチド(すなわち、骨格が遊離アミノ末端も遊離カルボキシル末端も持たない連続的なペプチド結合によって形成される環状ペプチド)である。
【0009】
θ-ディフェンシンは、アカゲザル、ヒヒ、その他の旧世界ザルの組織で発現している。それらはヒトや他の類人猿には存在しない。天然に存在するθ-ディフェンシンは、3つのジスルフィド結合によって安定化された18アミノ酸の骨格環化(すなわち、側鎖部分ではなくアルファアミン基を介して)ペプチドで構成されている。これらの3つのジスルフィド結合は、すべての既知のθ-ディフェンシン間で保存されている。θ-ディフェンシンは最初に発見され、ペプチドの抗菌特性に基づいてディフェンシンとして分類された。最近になって、θ-ディフェンシンが強力な免疫調節効果を有する可能性があることが発見された。
【0010】
特許文献1(Lehrerら)は、構造/活性関係を導き出す試みにおいて、様々な程度のエナンチオマー含有量を含むレトロサイクリンペプチド及びそのようなペプチドアナログの構造と生物学的活性との関係を記載している。ただし、これらのアナログは、天然のレトロサイクリンの長さと構造を保持している。さらに、この文献は抗菌作用についての参考にしかならない。
【0011】
様々なディフェンシンのペプチドアナログが調査されてきた。例えば、特許文献2(Colavitaら)は、親タンパク質と比較して抗生物質効果が向上しているβ-ディフェンシンの環状アナログについて説明している。しかし、そのようなβ-ディフェンシンは炎症誘発性サイトカインの放出を刺激することが示されており、これは安全性の懸念を引き起こし、それらの有用性を制限する。
【0012】
特許文献3(Mauryら)は、キメラθ-ディフェンシンの合成と生物学的活性を説明し、保存的アミノ酸置換を行う可能性について推測しているが、これらは天然θ-ディフェンシンの長さ及び構造を保持しているようである。特許文献4(Selstedら)は、RTD-1から誘導されたいくつかのテトラデカペプチドθ-ディフェンシンアナログとそれらの生物学的特性について説明している。
【0013】
したがって、真菌感染症、特に播種性真菌感染症の管理及び/又は治療のための安全で効果的な化合物の必要性が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2007/044998号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2990415号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0022829号明細書
【特許文献4】米国特許第10,512,669号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の主題は、天然θ-ディフェンシンと比較して、真菌感染症(特に、播種性又は全身性真菌感染症)を治療する際に改善された活性を有するθ-ディフェンシンの合成アナログを提供する。これらのペプチドは、宿主に向けられたメカニズムを介して作用し、同アナログがin vitroで同じ病原体に対して直接的な殺菌及び/又は静真菌効果を有する濃度よりも低い濃度で有効である。
【0016】
本発明の概念の一実施形態は、14個のアミノ酸からなり、図7Aに示されるように、2対のシステイン間の2つのジスルフィド結合を含む構造を有する環状ペプチドである。ここで、AA3及びAA12はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA5及びAA10はジスルフィド結合によって結合されたシステインであり、AA4は第1の疎水性アミノ酸であり、AA11は第2の疎水性酸であり、AA6はアルギニンであり、AA7はアルギニンであり、AA8はアルギニンであり、環状ペプチドは、生理学的pHで少なくとも約36%の正の電荷量を提供する5つのアルギニン残基を含む。いくつかの実施形態において、第1の疎水性アミノ酸及び第2の疎水性アミノ酸は、ロイシン又はイソロイシンである。いくつかの実施形態において、AA1はグリシンである。いくつかの実施形態において、AA2は、バリン又はロイシンなどの第3の疎水性アミノ酸である。いくつかの実施形態において、AA9は、バリン又はフェニルアラニンなどの第4の疎水性アミノ酸である。いくつかの実施形態において、AA13及びAA14はアルギニンである。いくつかの実施形態において、AA4はアラニンであってはならないが、セリンであり得る。いくつかの実施形態において、AAl1はアラニンであってはならない。
【0017】
このような環状ペプチドは、θ-ディフェンシン自体と比較して、播種性真菌感染症のマウスモデルに全身的に適用された際に生存率を改善するθ-ディフェンシンのアナログであり得る。いくつかの実施形態において、環状ペプチドは、敗血症のマウスモデルに適用すると二相性応答を提供する。そのような二相性応答は、抗真菌活性を有する宿主エフェクター細胞の動員の第1相及び宿主炎症性応答の緩和の第2相を含む。いくつかの実施形態において、環状ペプチドは、TACE阻害活性を有し、及び/又は、TNF及び/又は他の炎症誘発性サイトカインの発現、プロセシング、及び放出のうちの少なくとも1つを抑制する。
【0018】
このような環状ペプチドは、極端な温度、低pH、凍結及び/又は解凍、及び生物学的マトリックス(血液、血漿、血清など)への溶解にさらされた後も活性を保持する。いくつかの実施形態において、そのような環状ペプチドは、播種性真菌症及び関連する敗血症性ショックを治療又は予防するのに有効な用量で非免疫原性である。このような環状ペプチドは、宿主免疫系を活性化して宿主の病原体クリアランスを促進することができ、また、重度の敗血症及び/又は敗血症性ショックを治療又は予防するのに有効な用量で、炎症を調節し、疾患の解消及び生存を増強する活性を有することができる。
【0019】
本発明の概念の別の実施形態は、播種性真菌性疾患のリスクのある動物に上記のような環状ペプチドを投与することにより、重度の敗血症及び/又は敗血症性ショックを治療又は予防する方法である。
【0020】
本発明の概念の別の実施形態は、播種性真菌症及び/又は関連する敗血症性ショックの治療又は予防における上記のような環状ペプチドの使用、又は、播種性真菌症及び/又は敗血症性ショックの治療又は予防に有効な医薬の調製におけるそのような環状ペプチドの使用である。
【0021】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明及び添付の図面からより明らかになるであろう。図面中、同様の数字は同様の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、天然に存在するθ-ディフェンシンRTD-1(配列番号1)の概略図を示す。
図2図2は、合成θ-ディフェンシンアナログMTD12810(配列番号2)の概略図を示す。
図3図3は、合成θ-ディフェンシンアナログMTD12811(配列番号3)の概略図を示す。
図4図4は、合成θ-ディフェンシンアナログMTD1283(配列番号4)の概略図を示す。
図5図5は、合成θ-ディフェンシンアナログMTD1288(配列番号5)の概略図を示す。
図6図6は、合成θ-ディフェンシンアナログMTD1280(配列番号6)の概略図を示す。
図7A図7Aは、従来の線状ペプチドに見られる別個のアミン末端及びカルボキシ末端がない場合に、本明細書に記載の環状テトラデカペプチド内の特定のアミノ酸を指定するために利用される番号付けシステムを示す。
図7B図7Bは、MTD128(配列番号6)に適用されるこの番号付けシステムを示す。
図8図8は、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおけるRTD-1、合成環状テトラデカペプチドMTD1280及び2つの抗真菌剤の効果の研究からの典型的な結果を示す。マウスを、T=0に3×105のC.アルビカンスSC5314の芽胞子にi.v.で感染させた。T=24hに、マウスを生理食塩水、5g/kgカスポファンギン(Caspo)、5mg/kgフルコナゾール(Fluco)、5mg/kgRTD-1、又は0.25mg/kgMTD1280で7日間毎日i.p.処理した。マウスをp.iで26日間観察し、ログランク分析により、処理したマウスの生存率を生理食塩水対照と比較した。RTD-1、Caspo、及びFlucoの場合、P=3.4×10-6;0.25mg/kgのMTD1280、P=2.3×10-7
図9図9は、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおける0.25mg/kg及び0.1mg/kgの合成環状テトラデカペプチドMTD1280、及び5mg/kgのフルコナゾール(Fluco)の効果の研究からの典型的な結果を示す。マウスを、T=0に3×10のC.アルビカンスSC5314の芽胞子にi.v.で感染させた。T=24hに、マウスを7日間毎日i.p.処理した。マウスをp.iで30日間観察し、生存率の向上をログランク分析によって分析した。
図10図10は、図9に示される研究と同様に、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおける0.25mg/kgの合成環状テトラデカペプチドMTD1280及び0.1mg/kgのMTD1283及び5mg/kgのフルコナゾール(Fluco)の効果の研究からの典型的な結果を示す。
図11図11は、図9に示される研究と同様に、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおける0.25mg/kgの合成環状テトラデカペプチドMTD1280及び0.1mg/kgのMTD1288及び5mg/kgのフルコナゾール(Fluco)の効果の研究からの典型的な結果を示す。
図12図12は、図9に示される研究と同様に、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおける0.25mg/kgの合成環状テトラデカペプチドMTD1280及び0.1mg/kgのMTD12810及び5mg/kgのフルコナゾール(Fluco)の効果の研究からの典型的な結果を示す。
図13図13は、図9に示される研究と同様に、播種性カンジダ症のin vivoモデルにおける、0.25mg/kgの合成環状テトラデカペプチドMTD1280及び0.1mg/kgのMTD12811及び5mg/kgのフルコナゾール(Fluco)の効果の研究からの典型的な結果を示す。
図14図14は、播種性カンジダ症のマウスモデルにおけるフルコナゾール(Fluco)、及び本発明の概念の合成環状テトラデカペプチドでの処理による真菌クリアランスの研究の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本発明の主題は、宿主媒介プロセスを使用して真菌感染症(播種性真菌感染症など)を治療する際に二相性効果を誘導する新規ペプチドを提供する。そのようなペプチドは、最初に免疫系のエフェクター細胞を動員して感染性真菌生物に対処し、続いて免疫系を調節して炎症反応を調節することにより、作用することができる。新規ペプチドは、宿主免疫系のエフェクター細胞の動員を介して間接的な抗真菌効果を提供し、敗血症/敗血症性ショックを予防及び/又は治療するように改変された配列を有する天然に存在するθ-ディフェンシンのアナログである。これらの新規θ-ディフェンシンアナログは、宿主自然免疫エフェクターの非存在下で直接的な抗真菌効果を提供しない(すなわち、in vitroでそのような濃度で適用された場合に殺菌効果又は静真菌効果を生じない)抗真菌未満の血漿濃度で有効である。このようなθ-ディフェンシンアナログは、天然θ-ディフェンシンが明らかな効果を持たない濃度で保護作用を有することができ、天然θ-ディフェンシンには見られない構造的及び配列的特徴のコアセットを含む。
【0024】
本願の文脈において、真菌病原体に関する「抗真菌未満の濃度」は、そのように記載された化合物がin vitroで(例えば、液体培地中で)、例えば宿主免疫エフェクターがない場合に、真菌病原体に適用されたときに抗真菌効果を有しない濃度であると理解されるべきである。例えば、C.アルビカンスに関する化合物の抗真菌未満の濃度は、in vitro設定(例えば、宿主免疫エフェクターの非存在下)において生物に対して抗真菌効果を示す濃度よりも低い濃度であり得る。
【0025】
Bassoら(Basso et al,“Rhesus theta defensin 1 promotes long term survival in systemic candidiasis by host directed mechanisms”Nature Scientific Reports(2019)9:16905)は、カンジダ・アルビカンスの様々な菌株に関して、天然θ-ディフェンシンRTD-1の抗真菌未満の濃度の測定例を提示している。C.アルビカンスの様々な菌株の培養物が、RPMI培地又は50%血清を含むRPMI培地で確立された。様々な量のフルコナゾール(Fluco)、カスポファンギン(Caspo)、又はRTD-1を適用し、真菌の増殖をモニタリングした。MFCは、加えた接種物に対して99%の殺菌をもたらす最低濃度として決定された。MICは、増殖を阻害する最低濃度として決定された。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
このようなデータに基づくと、C.アルビカンスの場合、血清存在下でのRTD-1の抗真菌未満の濃度は100μg/mL未満になる。そのような抗真菌未満の濃度は、実験によって(例えば、患者サンプルからの培養によって)、又は好ましくは、履歴データから決定することができる。
【0028】
以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。これは、本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であるか、又は現在請求されている発明に関連していること、あるいは具体的又は暗黙的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態を説明及び請求するために使用される、成分の量、濃度、反応条件などの特性を表す数字は、場合によっては「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態において、明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用して解釈する必要がある。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示されている数値は、実行可能な限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態で提示された数値は、それぞれの試験測定で見出された標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を含み得る。
【0030】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体で使用されるように、「1つ」、及び「その」の意味は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、複数形の参照を含む。また、本明細書の説明で使用されるように、「内(in)」の意味は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「内(in)」及び「上(on)」を含む。
【0031】
本明細書に開示される本発明の代替要素又は実施形態のグループ化は、制限として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に、又はグループの他のメンバー又は本明細書に見られる他の要素との任意の組み合わせで参照及び請求することができる。グループの1つ以上のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由から、グループに含めるか、グループから削除することができる。そのような包含又は削除が発生した場合、本明細書は、そのように変更されたグループを含み、したがって、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループは、発明の詳細な説明に記載されていると見なされる。
【0032】
ここでの値の範囲の列挙は、範囲内にある個々の値を個別に参照する簡単な方法として機能することを目的としているにすぎない。本明細書に別段の記載がない限り、個々の値は、本明細書に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書の特定の実施形態に関して提供される任意のすべての例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく照らすことを意図しており、他の方法で特許請求される本発明の範囲を制限するものではない。本明細書のいかなる文言も、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施に必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0033】
以下の記述は、本発明の主題の多くの例示的な実施形態を提供する。各実施形態は、本発明の要素の単一の組み合わせを表すが、本発明の主題は、開示された要素のすべての可能な組み合わせを含むと見なされる。したがって、1つの実施形態が要素A、B、及びCを含み、第2の実施形態が要素B及びDを含む場合、本発明の主題はまた、明示的に開示されていなくとも、A、B、C、又はDの他の残りの組み合わせを含むと見なされる。
【0034】
開示されたペプチドは、少量の抗真菌未満の量で投与した場合に播種性又は全身性真菌感染及び関連する敗血症又はショックによる死亡率を減少させるのに有効な二相性応答の提供を含む、多くの有利な技術的効果を提供することを理解すべきである。
【0035】
最近、Bassoら(Basso et al,“Rhesus theta defensin 1 promotes long term survival in systemic candidiasis by host directed mechanisms”Nature Research(2019)9:16905)は、天然に存在するθ-ディフェンシンRTD-1(配列番号1)が、C.アルビカンスの感受性株と多剤耐性株の両方に対し、全身性カンジダ症の動物モデルで有効であることを示した。この論文は、参照により本明細書に組み込まれる。RTD-1はin vitro研究で有効であるが、抗真菌活性は血清の存在によって無効になり、in vivoのマウス動物モデル研究では、有効であることがわかった濃度の50倍以上の高い濃度が必要であった。そのようなin vivo研究は、RTD-1での処理において抗真菌活性及び炎症誘発性サイトカインの長期産生の減少の両方を示し、これらは両方とも、播種性真菌感染からの回復及びそのような感染からの潜在的に有害な後遺症の減少に寄与する。以下に示すように、θ-ディフェンシンの新規合成アナログは、同様の又は改善された活性を提供することができる。
【0036】
本発明者らは、θ-ディフェンシンRTD-1の合成環状テトラデカペプチドアナログを開発した。これは、サイズが小さく、ジスルフィド結合の数が少ないにもかかわらず、親ペプチドの少なくともいくつかの抗真菌活性を示した。RTD-1の構造を図1に示す。示されているように、RTD-1(アカゲザルで自然に発現される)は、ペプチドの環状一次構造に架け渡されたジスルフィド結合によって結合された3対のシステインを含む環状オクタデカペプチドである。
【0037】
RTD-1の合成(すなわち、天然に存在しない)アナログのいくつかの例が図2~5に示されている。図2は、θ-ディフェンシンアナログMTD12810(配列番号2)の環状構造を示す。図2は、θ-ディフェンシンアナログMTD12811(配列番号3)の環状構造を示す。図4は、θ-ディフェンシンアナログMTD1283(配列番号4)の環状構造を示す。図5は、θ-ディフェンシンアナログMTD1288(配列番号5)の環状構造を示す。例示的な合成アナログのそれぞれは、ジスルフィド結合によって結合された2対のシステインを含むテトラデカペプチドである。これらのジスルフィド結合は、合成ペプチドの環状一次構造に架け渡されて、追加のアミノ酸を組み込んだ「ボックス」サブ構造を形成する。これらの例示的なアナログは、RTD-1と様々な程度の配列同一性を示し、場合によっては、合成ペプチドアナログのシステインによって画定される「ボックス」の近く及びその間の保存的アミノ酸置換を示すことを理解されたい。
【0038】
本発明者らは、実質的なin vivo抗真菌活性を有し、播種性カンジダ症のモデルにおいてマウスの長期生存を提供する一連のθ-ディフェンシンアナログを調製及びスクリーニングした。これらの効果は、in vitroでモデル病原体に対して直接的な抗真菌活性が見られる濃度をはるかに下回る驚くほど低濃度で得られる。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、観察された抗真菌効果は、宿主の免疫エフェクターの調節によるものであると考える。播種性真菌感染症の長期生存には、感染生物の管理と、感染に対する宿主の反応によって誘発されるショックの両方の管理が必要であり、どちらも死をもたらす可能性があることを理解されたい。
【0039】
播種性真菌感染症に対する活性の例が提供されているが、本明細書に記載のθ-ディフェンシンアナログは、局所真菌感染症(例えば、鵞口瘡)などの他の真菌感染症の治療にも有効であり得ると本発明者らは考える。さらに、本発明者らは、本明細書に記載のθ-ディフェンシンアナログは、慢性状態を含む、免疫又は炎症反応の調節不全から生じる様々な状態の治療に利用できると考える。このような慢性疾患の例には、関節リウマチや炎症性腸疾患が含まれる。
【0040】
θ-ディフェンシンが抗ウイルス活性を有することが見出されているため、本発明者らは、本発明の概念のθ-ディフェンシンアナログが同様に抗ウイルス活性を提供でき、ウイルス性疾患及びウイルス感染の炎症性後遺症の治療に有用であることが証明できると考える。そのような治療には、予防法及び/又は活動性疾患が含まれる。いくつかの実施形態において、そのように治療された活動性疾患は症候性である。他の実施形態において、そのように治療される活動性疾患は無症候性である。
【0041】
驚くべきことに、全身性真菌感染に応答して免疫系を調節する際に二相性応答を提供するθ-ディフェンシンアナログが同定された。最初の効果は好中球の動員であり、真菌病原体の除去をもたらす。これは感染と戦うのに役立ち、驚くべきことに、in vitroでモデル病原体に対する抗真菌効果を実証できなかったθ-ディフェンシンアナログの濃度で生じることがわかった。この最初の動員効果に続いて、これらの合成θ-ディフェンシンアナログは、長期生存に寄与し、播種性真菌感染に起因する重症/急性敗血症及び/又は敗血症性ショックの予防に寄与する長期免疫調節効果(例えば、TNF、IL-6及び他の炎症性サイトカインの減少)を示す。
【0042】
上記のように、天然に存在するθ-ディフェンシン及び例示的なθ-ディフェンシンアナログの例が図1~5に示されている。これらの環状ペプチドはペプチド骨格を介して環化されているため、従来のアミノ末端及びカルボキシル末端を欠いていることを理解されたい。そのため、付随するアミノ酸配列リストに記載されているようなアミノ酸配列情報は、これらのθ-ディフェンシンアナログの個別のN末端やC末端を説明するものとして解釈されるべきではない。本願の文脈において、アミノ酸位置は、図7Aに示されるようなθ-ディフェンシンアナログの共通する構造的特徴に基づく数値指定を使用して識別される。示されているように、環状テトラデカペプチド鎖に沿った各位置には数値指定がある。モデル合成環状テトラデカペプチドMTD1280(図6に示されている)へのこの番号付けスキームの適用が、図7Bに示されている。環状θ-ディフェンシン及びそれらのアナログに使用するように適合された、図7A及び7Bに示されるような番号付けシステムを使用して指定されるように、このような14アミノ酸アナログの場合、それらの三次元構造には、アミノ酸6位~9位によって形成される第1のβ-ターン及びアミノ酸13位、14位、1位、及び2位によって形成される第2のβ-ターンが含まれることを理解されたい。
【0043】
適切な環状テトラデカペプチドは、播種性カンジダ症のマウスモデルに対してスクリーニングすることによって特定することができる。American Type Culture Collectionから入手したC.アルビカンスSC5314を、適切な参照株として使用できる。好ましい実施形態において、耐性C.アルビカンス及び/又は2つ以上の抗真菌薬に対する耐性を示すC.アルビカンスの1つ以上の株を使用することができる。典型的な抗真菌薬には、カスポファンギン及びフルコナゾールが含まれる。試験される環状テトラデカペプチド及び抗真菌薬は、水又は等張食塩水に懸濁又は溶解され、静脈内、皮下、筋肉内、及び/又は腹腔内注射の1つ以上によって投与され得る。
【0044】
合成環状テトラデカペプチド及び抗真菌化合物のin vitro活性は、RTD-1に関して上述したように当技術分野で知られている従来の培養技術を使用して決定することができ、抗真菌未満の濃度を決定するために使用することができる。全身性又は播種性カンジダ症は、例えば、約2×10~約2×10CFU/mLのC.アルビカンス(参照株又は耐性株)0.15~2mLでBALB/c雌マウスを攻撃することによってin vivoでモデル化できる。動物は、病原体での攻撃の前、病原体攻撃の時、又は病原体での攻撃の後に、候補合成環状テトラデカペプチドで処理され得る。抗真菌薬及び/又は候補合成環状テトラデカペプチドは、全身性又は播種性カンジダ症のそのようなin vivoモデルにおいて、静脈内、皮下、筋肉内、及び/又は腹腔内注射によって投与することができる。
【0045】
本発明者らは、in vivoでの有意な抗真菌活性を示す多くの新規θ-ディフェンシンアナログを特定した。例示的な環状ペプチドのアミノ酸配列を表2に示す。アミノ酸の同一性は、図7Aで確立された環状構造内の対応する位置の数値指定を使用して示されることを理解されたい。
【0046】
【表2】
【0047】
活性の研究では、最初に有意な抗真菌活性を有すると同定された合成環状テトラデカペプチドMTD1280(配列番号6)をモデルペプチドとして使用した。簡潔に述べると、7~8週齢の免疫能力のある雌のBALB/cマウスを、T=0に3×10CPUのC.アルビカンスSC5314でi.v.攻撃した。感染の24時間後、マウスを生理食塩水、フルコナゾール(Fluco)、カスポファンギン(Caspo)、又は合成環状テトラデカペプチドで1日1回、7日間i.p.処理した。本発明者らは、0.25mg/kgのMTD1280が5mg/kgのRTD-1よりも効果的であったため、モデルペプチドMTD1280がこのin vivoモデルにおいて天然のθ-ディフェンシンRTD-1よりも実質的に強力であると以前に決定した。両方のペプチドは、5mg/kgのフルコナゾールよりも効果的であった(図8を参照)。示されているように、カスポファンギン(Caspo)は、このC.アルビカンス株に対して効果的ではない。MTD1280ペプチド投与量を0.1mg/kgに減らしても、生存の利益は提供されなかった(図9)。
【0048】
候補合成環状テトラデカペプチドは、>5mg/kgで投与された場合の毒性の欠如を決定することにより、耐性について事前にスクリーニングされた。上記のカンジダ症モデルで、感染後24時間から開始して各ペプチド(0.1及び0.5mg/kg)を7日間毎日投与し、各候補をMTD1280参照ペプチド及びフルコナゾールと比較することで、候補合成環状テトラデカペプチドを有効性についてスクリーニングした。
【0049】
これらの試験プロトコルの下で、生理食塩水で処理されたC.アルビカンス感染マウスは、毛並みの乱れと有意な体重減少を示し、5~10日以内に瀕死状態になり、この時までに体重減少は30%を超えていた。対照的に、MTD1280で処理された長期生存のカンジダ血症マウスは、10日目までにプラトーに達した一時的な平均15%の体重減少を示し、このコホートの90%が3)日目までに初期体重に回復した。
【0050】
カンジダ血症モデルを利用し、有効性の指標として生存率を利用して、MTD1280と同等又はそれよりも優れるいくつかの合成環状テトラデカペプチドを特定した。これらの中には、MTD1283、MTD1288、MTD12810、及びMTD12811があった。これらのin vivo播種性カンジダ症モデルの結果を図10~13に示す。いずれの場合も、特定された合成環状テトラデカペプチドは生存率を高め、その効果は極めて有意であった(P<1×10-5、ログランク分析)。MTD1283、MTD1288、及びMTD12810は、エンドポイント分析(30日目p.i.のx分析)による生存率の向上において、フルコナゾールよりも効果的であった。同定されたすべての合成環状テトラデカペプチドは、このin vivoモデルにおける有意な体重減少を抑制した。
【0051】
腎臓真菌負荷を、瀕死の生理食塩水で処理された対照(5~10日目p.i.)、及び、合成環状テトラデカペプチド又はフルコナゾールで処理した長期生存動物(30日p.i.)からの腎臓ホモジネートで決定した。図14に示すように、合成環状テトラデカペプチド(0.1又は0.25mg/kg)及び5mg/kgフルコナゾールは真菌負荷を低下させた。MTD1280、MTD1283、MTD1288、及びMTD12810は真菌負荷をフルコナゾールよりも大幅に低下させた(図14のアスタリスク;フィッシャーのLSD法で分析:MTD1280(P=3×10-3)、MTD1283(P=7.4×10-3)、MTD1288(P=0.02)、及びMTD12810(P=3.5×10-5)。
【0052】
これらの参照ペプチドと比較して、RTD-1及びMTD1280由来のアナログに優れた活性を与える多くの配列の特徴が特定された。すべての活性なθ-ディフェンシンアナログは、少なくとも以下を有し得る:
・Cys3とCys12の間、及びCys5とCys10の間の2つのジスルフィド結合。
【0053】
・θ-ディフェンシンアナログの一次構造におけるCys3とCys5の間に位置する疎水性アミノ酸又はセリン及びCys10とCysl2の間に位置する疎水性アミノ酸又はセリン(すなわち、4位及び11位)。ここで、疎水性アミノ酸は、好ましくはロイシン又はイソロイシンである。上記のジスルフィド結合と組み合わせて、これはペプチドの環状一次構造内に「C-X-Cボックス」と呼ばれる特徴を画定する。ここで「C」はシステインであり、「X」はロイシン、イソロイシン、又はセリンである。
【0054】
・生理的pHでペプチドに+5の電荷を与える合計5つのアルギニン残基。
・6位、7位、及び8位、すなわち第1のβ-ターン内の隣接するアルギニンのトリプレット。
【0055】
いくつかの実施形態において、活性なθ-ディフェンシンアナログはまた、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る:
・1位のグリシン。
【0056】
・2位及び9位の疎水性アミノ酸、好ましくはバリン又はロイシン。
・第2のβ-ターン内のアルギニンペア(例えば、13位と14位)。
候補ペプチドの毒性は、活性なθ-ディフェンシンアナログが以下のうちの1つ以上を含むべきではないことを示唆している:
・4位のアラニン。
【0057】
・11位のアラニン。
したがって、本発明者らは、上記の「C-X-Cボックス」構造、6位、7位、及び8位の隣接するアルギニン残基のトリプレット、9位の疎水性アミノ酸(例えば、バリン又はフェニルアラニン)を含み、かつアルギニン含有量に起因する+5(総アミノ酸含有量の約36%)の正味の正電荷を有する合成環状テトラデカペプチドθ-ディフェンシンアナログは、播種性真菌感染症における死亡率の低下及び/又は長期生存の改善に効果的であり、さらに、炎症反応又は免疫反応の調節不全を特徴とする他の状態の治療に効果的であると考える。
【0058】
本明細書に記載のθ-ディフェンシンの合成環状テトラデカペプチドアナログは、任意の適切な方法を使用して適用することができる。例えば、そのようなアナログは、注射又は注入によって提供することができる。いくつかのθ-ディフェンシンアナログで観察された高度の有効性は、治療を必要とする個人に、これらが単純な皮下、皮内、真皮下、及び/又は筋肉内注射によって有効量で提供できることを示している。
【0059】
あるいは、環状構造及びジスルフィド結合の存在によって与えられる低分子量及び高度の安定性は、本発明の概念のθ-ディフェンシンアナログの経口投与を可能にすることができる。そのような経口投与は、経口投与に適した液体医薬担体中のθ-ディフェンシンアナログの溶液又は懸濁液の投与を含み得る。いくつかの実施形態において、θ-ディフェンシンアナログは、経口投与の前に液体培体で再構成される乾燥又は凍結乾燥形態で提供され得る。そのような乾燥又は凍結乾燥製剤は、安定剤を含むことができる。適切な安定剤には、炭水化物(例えば、マンニトール、スクロース、トレハロース)及び/又はタンパク質(例えば、アルブミン)が含まれる。
【0060】
あるいは、θ-ディフェンシンのアナログは、錠剤、カプセル、ピル、又は経口投与に適した他の適切な固体状かつコンパクトな形態で提供することができる。そのような製剤は、θ-ディフェンシンアナログの遅延放出を提供する(例えば、小腸に到達するまで放出を遅らせる)コーティング、シェル、又は同様の構成要素を含むことができる。そのような製剤は、エンクロージャー又はコーティング内に液体形態のθ-ディフェンシンを含むことができる。あるいは、そのような製剤は、乾燥又は凍結乾燥形態のθ-ディフェンシンアナログを含むことができる。適切な乾燥又は凍結乾燥形態には、粉末、顆粒、及び圧縮固体が含まれる。そのような乾燥又は凍結乾燥製剤は、安定剤を含むことができる。適切な安定剤には、炭水化物(例えば、マンニトール、スクロース、トレハロース)及び/又はタンパク質(例えば、アルブミン)が含まれる。
【0061】
上記のように、本発明の概念のθ-ディフェンシンアナログは、播種性真菌感染症及び関連する敗血症及び/又は敗血症性ショックを効果的に治療することができる。いくつかの実施形態において、そのような治療は、進行中の急性状態に応答する。他の実施形態において、そのような治療は予防的であり、例えば、個体がこの状態を発症する疑いがあるか、又は発症する可能性が高い場合に、播種性真菌感染症の発症を予防するために使用される。治療は、任意の適切なスケジュールで本発明の概念のθ-ディフェンシンアナログを投与することによって提供され得る。例えば、θ-ディフェンシンアナログは、単回投与、定期的投与、又は連続注入として提供することができる。定期的投与は、任意の適切な間隔で投与することができる。適切な間隔は、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、2日ごと、3日ごと、週2回、毎週、2週間ごと、4週間ごと、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、1年に3回、1年に2回、又は毎年であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、θ-ディフェンシンアナログの投与様式は、治療の過程で変更することができる。例えば、本発明の概念のθ-ディフェンシンアナログは、最初に静脈内注射又は注入(例えば、急性播種性真菌感染において有効濃度を迅速に提供するため)、続いて、残りの治療期間にわたって有効な濃度を維持するため、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、注入、及び/又は経口投与によって投与することができる。
【0063】
予防的使用のために、観察可能な症状の発症前にθ-ディフェンシンアナログを投与することができる。活動性の疾患又は状態の治療のために、θ-ディフェンシンアナログを、その疾患又は状態を効果的に治療するのに適切な期間投与することができる。そのような期間は、制御された期間にわたることができ、又は長期間であってもよい(例えば、慢性状態の治療のために)。
【0064】
本発明の概念のいくつかの実施形態において、θ-ディフェンシンアナログは、他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用され得る。適切な化合物には、θ-ディフェンシン、異なるθ-ディフェンシンアナログ、抗真菌性抗生物質、抗細菌性抗生物質、抗ウイルス薬、抗炎症性薬物(例えば、ステロイド、非ステロイド性抗炎症性薬物)、昇圧剤、及び/又は生物学的製剤(例えば、抗体又は抗体フラグメント)が含まれる。このような追加の医薬化合物は、θ-ディフェンシンアナログと同じスケジュールで、又は独立したスケジュールで提供することができる。いくつかの実施形態において、そのような追加の薬学的に活性な化合物を1つ以上組み込んだθ-ディフェンシンアナログ含有製剤を提供することができる。本発明者らは、そのような併用療法は、追加の薬学的に活性な化合物と組み合わせたθ-ディフェンシンアナログの投与の累積効果が、θ-ディフェンシンアナログ及び追加の薬学的に活性な化合物を併用療法に使用される量に相当する量で用いた処理で見られる個々の効果の合計を超える相乗効果を提供することができると考える。
【0065】
本明細書の本発明の概念から逸脱することなく、すでに説明したもの以外のさらに多くの変更が可能であることは、当業者には明らかである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨を除いて制限されるべきではない。さらに、明細書と特許請求の範囲の両方を解釈する際には、すべての用語は文脈と一致する限り最も広く解釈される。特に、「含む」という用語は、要素、コンポーネント、又はステップを非排他的に指すものとして解釈されるべきであり、参照される要素、コンポーネント、又はステップは、存在するか、利用されるか、又は明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、又はステップと組み合わされ得ることを示す。明細書及び特許請求の範囲がA、B、C....及びNからなる群から選択される少なくとも1つに言及している場合、その文脈は、A+NやB+Nなどではなく、その群からの1つの要素のみが必須であると解釈されるべきである。
図1
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図3
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図7A
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【配列表】
2022552925000001.app
【国際調査報告】