(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】炭酸プロピレンを含む殺虫剤の製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/04 20060101AFI20221214BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20221214BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A01N25/04 102
A01N43/90 102
A01P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521369
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020078342
(87)【国際公開番号】W WO2021069627
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ペリス・ウルキージョ,ゴルカ
(72)【発明者】
【氏名】ハース,ピエール・フィリップ
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011BA01
4H011BB10
4H011BC12
4H011DA15
(57)【要約】
本発明は、高温及び低温での貯蔵安定性及び高い有効成分浸透性を有する固体形態での少なくとも一つの有効成分又は有効成分の組み合わせを含む殺虫性有効成分製剤、それの製造方法、及び存在する有効成分の施用のためのそれの使用に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)室温で固体の少なくとも一つの有効成分、
b)少なくとも一つのアンモニウム塩、
c)アルキルプロポキシレートエトキシレートの種類からの少なくとも一つの分散剤、
d)任意に1以上の界面活性剤、
e)少なくとも一つの水不溶性充填剤、
f)炭酸エステルの群からの少なくとも一つの溶媒、及び
g)任意にさらなるアジュバント
を含む組成物であって、
有効成分a)が、選択された溶媒f)に不溶であるか若干可溶であるに過ぎない組成物。
【請求項2】
成分d)が必須である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)が5g/L以下、さらに好ましくは4g/L以下、よりさらに好ましくは2.5g/L以下、特に好ましくは1g/L以下の選択溶媒f)中の溶解度を有する殺虫剤性有効成分の群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
a)が、ジアミド殺虫剤、スピノシン類(IRAC群5)、メクチン類(IRAC群6)、エチプロール、トリフルムロン、デルタメトリン及びテトロン酸又はテトラミン酸誘導体(IRAC群23)、例えば下記で記載の式I及びIIの化合物を含む群から選択される、請求項1~3の1以上に記載の組成物。
【請求項5】
a)が、テトロン酸又はテトラミン酸誘導体(IRAC群23)、例えば下記で記載の式I及びIIの化合物の群から選択される、請求項1~4の1以上に記載の組成物。
【請求項6】
a)が、下記式(I)のテトラミン酸誘導体である、請求項1~5の1以上に記載の組成物。
【化1】
[式中、
W及びYは独立に、水素、C1-C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素であり、
Xは、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、塩素、臭素又はヨウ素であり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子が、C1-C4-アルキル-又はC
1-C
4-アルコキシ-C
1-C
2-アルキル-置換されていても良いそれが結合している炭素原子とともに5員又は6員ケタールを形成しているアルキレンジオキシ基によって置換されたC3-C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)であるか、下記の基の一つであり、
【化2】
式中、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Mは酸素又は硫黄であり、
R1は、直鎖若しくは分岐のC1-C6-アルキルであり、
R2は、直鎖若しくは分岐のC1-C6-アルキルである。]
【請求項7】
成分a)が式(I-2)の化合物である、請求項1~6の1以上に記載の組成物。
【化3】
【請求項8】
b)が炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される、請求項1~7の1以上に記載の組成物。
【請求項9】
c)が一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化4】
[式中、
RはC1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40プロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35PO単位からなる、より好ましくは20~30PO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、0~10プロピレングリコール(PO)単位とともに10~50エチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8PO単位とともに20~40EO単位からなる、より好ましくは0~5PO単位とともに30~40EO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片:
【化5】
である。]
及び、一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化6】
[式中、
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基又は分岐C
3-若しくはC
4-アルキル基であり;
mは2又は3であり;
nは2又は3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基のn又はmは2を意味し、他方の基のn又はmは3を意味する。]
を含む群から選択される、請求項1~8の1以上に記載の組成物。
【請求項10】
d)が、ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、並びにリグノスルホネート及びそれの塩を含む群から選択される界面活性剤である、請求項1~9の1以上に記載の組成物。
【請求項11】
e)が、変性天然ケイ酸塩、ケイ酸塩鉱物、合成ケイ酸塩及びヒュームドシリカ、アタパルジャイト、及び合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択される、請求項1~10の1以上に記載の組成物。
【請求項12】
e)が、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル及びそれの異性体、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ペンチレン、炭酸ヘキシレン及び炭酸オクチレンを含む群から選択される、請求項1~11の1以上に記載の組成物。
【請求項13】
前記成分が、
a)1~30重量%
b)1~40重量%
c)1~40重量%
d)0~10重量%
e)0.1~15重量%
g)0~10重量%
f)1リットルまで
で存在する、請求項1~12の1以上に記載の組成物。
【請求項14】
前記成分が、
a)2~15重量%
b)15~30重量%
c)10~30重量%
d)0.5~2.5重量%
e)1~10重量%
g)0.05~6重量%
f)1リットルまで
で存在する、請求項1~13の1以上に記載の組成物。
【請求項15】
a)下記構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化7】
b)硫酸アンモニウム(AMS)及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも一つのアンモニウム塩、
c)一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化8】
[式中、
RはC1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40個のプロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、10~50個のエチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のEO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化9】
]及び一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化10】
[式中、
個々の基及び指数は以下の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基又は分岐C
3-若しくはC
4-アルキル基であり;
mは2又は3であり;
nは2又は3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり;
一方の基のn又はmは2を意味し、他方の基のn又はmは3を意味する。]
を含む群から選択される少なくとも一つの分散剤、
d)ポリカルボキシレート型を含む群から選択される少なくとも一つの界面活性剤、
e)ヒュームドシリカ及びアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも一つの充填剤、
f)炭酸プロピレンを含む群から選択される少なくとも一つの溶媒、
g)任意にさらなるアジュバント
を含む、請求項1~14の1以上に記載の組成物。
【請求項16】
昆虫を防除するための請求項1~15の1以上に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温及び低温での良好な貯蔵安定性及び高い有効成分浸透性を有する固体形態の有効成分又は有効成分の組み合わせを含む殺虫性有効成分製剤、それの製造方法及び存在する有効成分の施用のためのそれの使用に関するものである。本発明はさらに、有効成分又は有効成分の組み合わせの浸透性を向上させるための、固体形態の有効成分又は有効成分の組み合わせを有する殺虫性有効成分製剤用のアジュバント組み合わせに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物学的効力を示すためには、全身性農薬有効成分、特に全身性殺虫剤は、植物/標的生物への有効成分の取り込みを可能にする製剤を必要とする。相当する有効成分を、使用のための水溶液で希釈する、及び/又は、いつでも高い有効成分濃度が利用できるように、好ましくはすでに濃縮液中溶解した状態で存在する場合に、最良の効果を達成可能である。
【0003】
これは、有効成分又は有効成分の組み合わせが乳剤(EC)又は可溶性液剤(SL)として製剤する場合は常にそうであるが、溶解及び懸濁した有効成分の利用性は、溶解平衡によって制限される。
【0004】
さらに、生理活性は、任意に、好適なアジュバント/浸透剤を添加することによってさらに高めることができる。
【0005】
上述のように、懸濁剤(SC)及び/又は油性懸濁剤(OD)などの製剤では、有効成分又は有効成分の組み合わせは溶解形態ではなく、固体、微粒子形態であり、したがって製剤中のこれらの有効成分は、代表的には良好な生物学的利用能を有しない。ここでは、好適なアジュバント/浸透剤を加えることによってのみ、本質的に生理活性を高めることが可能であるが、それにもかかわらず、これは、上述のEC又はSL製剤と比較して、生理活性の低下をもたらすものである。
【0006】
農薬有効成分は、その物理化学特性、例えば、水、溶媒及び/又は油への溶解度、融点及び沸点、極性、モル質量などの側面において互いに異なることが知られている。これらの特性は、有効成分の製剤性に影響を与える。例えば、多くの既知の農薬有効成分は高い融点を有することから、例えば懸濁剤の製造において発生するような熱応力に耐えることができる。これに対し、低融点の農薬有効成分は、このような製造条件に耐えることは困難であり、比較的高温では農薬有効成分の軟化や溶融が予想されるため、非常に限られた程度までしか貯蔵安定な懸濁液として製造することができない。しかし、有効成分が結晶形でなくなると、製剤された製造物の物理的及び場合によっては化学的安定性が著しく低下し、もはや実用的でなくなることが多い。
【0007】
さらに、有機物質は異なる水溶解度を有することが知られており、これらの水溶解度は、化学的特性に従って、例えば塩形成により、pH依存性であり得る。
【0008】
安定な懸濁液の特徴は、長期間(12~24ヶ月)にわたり、広い温度範囲(0~54℃)で、物理的にも化学的にも貯蔵安定であることである。この広い温度範囲は、有利なことに、同一の有効成分又は有効成分組み合わせを有する単一の製剤を異なる気候地域で使用することができるようにするために必要である。
【0009】
懸濁剤の貯蔵安定性は、特に、これらの懸濁剤の容器が、貯蔵期間中、もしあったとしても低い相分離しか起こさないという点で特徴付けられる。懸濁剤の安定性に関する更なるパラメータは、例えば、濃縮物中の凝集物の存在下又は非存在下で現れる濃縮物中の分散液の安定性である。
【0010】
先行技術では、農薬有効成分用の溶媒としての炭酸プロピレンも開示している。例えば、WO2006/089661(US2008/0255204 A1、Davies et al.)には、農薬有効成分が溶解形態である炭酸プロピレン含有農薬製剤が記載されている。そこからは、本発明に記載のような複雑な懸濁剤の物理的安定性について、何の結論も導き出せない。段落[0015]には、特に作物保護組成物用の浸透補助剤としての炭酸プロピレンの使用が記載されており、それは[0041]~[0050]にも記載されている。しかしながら、浸透性付与効果は、一つの有効成分(イミダクロプリド)のみを例として論じられており、さらに、WO2006/089661に示された炭酸プロピレンの浸透性付与効果は、炭酸プロピレンを含まない製剤と比較して、製剤において比較的軽微な製剤とみなされるはずである。作物保護組成物は構造的に多様であり、結果的に生じる物理化学特性が異なるものであるために、この浸透性付与効果が他の有効成分にも適用されると専門家が直接結論づけることは不可能である。
【0011】
WO2011/029552には、アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(例えば、Antarox B/848)含有農薬製剤が記載されており、この界面活性剤類は、農薬有効成分用の乳化剤及び/又は浸透剤として使用される。
【0012】
さらに、WO2003/000053には、油中の有機作物保護製品用の分散剤として、特定のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAtlas G5000が記載されている。
【0013】
農薬有効成分の作用を増強するためのアンモニウム塩の使用が、文献で知られており、例えば、WO2011/131623(US2011/0281727A1、Fischerら)には、アンモニウム塩存在下で改善された効力を有する複素環系テトラミン酸に基づく殺虫剤及び/又は除草剤製剤が記載されている。さらに、WO2007/068428には、アンモニウム塩存在下でのフェニル置換環状ケト-エノールの活性増強効果が記載されている。WO2011/131623は、式[I]の物質の群から選択される単一の有効成分と、有機若しくは無機アンモニウム若しくはホスホニウム塩との組み合わせ、及び好適な浸透剤の存在下又は非存在下での水系噴霧液でのそれの使用に関するものである。WO2011/131623の教示から進むと、専門家は、さらなる有効成分の組み合わせによる製剤、又はこれらの混合物製剤の物理的及び化学的安定性に関して、いかなる結論も導き出すことができない。好適な浸透剤は、段落[0111]~[0171]で広義の言葉で記載され、[0178]で一般的に特許請求されているが、植物油誘導体の1例として菜種油メチルエステルのみが引用されており、アニオン系アルコールエーテル硫酸塩の例としてGenapol LROだけが引用されている。炭酸プロピレンは、それの化学的特性を有しており、引用例や浸透剤として記載された主な物質と一致するものではない。したがって、式[I]の物質の群から選択される化合物、又は式[I]による記載で網羅されない化合物に対する炭酸プロピレンの浸透性付与効果間で直接的相関関係を確立することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2006/089661(US2008/0255204A1、Davies et al.)
【特許文献2】WO2011/029552
【特許文献3】WO2003/000053
【特許文献4】WO2011/131623(US2011/0281727A1、Fischerら)
【特許文献5】WO2007/068428
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明による不溶有効成分の良好な浸透を有する製剤は、WO2011/131623では記載も示唆もされていない。
【0016】
アンモニウム塩を含む油系製剤も、同様に文献で知られている。例えば、WO2008/151725には、アンモニウム塩が分散した形態である油をベースとするアジュバント組成物を記載されている。さらに、EP2193712A1には、アンモニウム塩が分散形態である、油系農薬製剤が記載されている。しかしながら、水混和性溶媒中のアンモニウム塩の懸濁液については全く記載がない。
【0017】
しかしながら、要約すると、上記に引用された文献のいずれも、個別に見ても、総合的に見ても、アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAntarox B/848が、特に懸濁した有効成分と共に炭酸プロピレンなどの極性水溶性溶媒中に高負荷量で無機アンモニウム塩の効果的な分散剤として使用できることを指摘していない。
【0018】
テトラミック酸誘導体の可溶性水系濃縮物は、先行技術、例えばWO2009/115262から公知である。溶解性の問題のために、これらは特定の作物保護製品及び製剤成分と組み合わせることができない。さらに、これらの水系SL製剤は一般に高いpH値を有し、それは同様に特定の塩基感受性作物保護製品及び製剤成分との不適合につながる。
【0019】
従って、取り組んだ課題は、懸濁した有効成分又は懸濁した有効成分の組み合わせからなり、懸濁した有効成分又は懸濁した有効成分の組み合わせの良好な生物学的利用能及び浸透能力を有し、高温及び低温の両方で良好な貯蔵安定性を有する安定な製剤を開発するというものである。有効成分は、好ましくは殺虫剤である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は、有効成分又は有効成分の組合せとアンモニウム塩と溶媒としての炭酸エステルを含有する後述の製剤によって解決された。
【0021】
したがって本発明は、
a.室温で固体の少なくとも一つの有効成分であって、好ましくは選択される溶媒f)に不溶若しくは若干可溶であるもの、
b.少なくとも一つのアンモニウム塩、
c.アルキルプロポキシレートエトキシレートの種類からの少なくとも一つの分散剤、
d.任意に、1以上の界面活性剤、
e.少なくとも一つの水不溶性充填剤、
f.炭酸エステルの群からの少なくとも一つの溶媒、及び
g.任意に、さらなるアジュバント
を含む殺虫性組成物を提供する。
【0022】
好ましい実施形態において、成分d)は必須である。
【0023】
別の好ましい実施形態において、成分g)は必須である。
【0024】
別の実施形態では、成分d)及びg)は必須である。
【0025】
さらに、好ましい実施形態における組成物は、水を含まないか本質的に水を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、I-2(変態A)のX線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に従って、相当する組成物が高い安定性を有することが見出されている。
【0028】
本発明では、式、例えば式(I)において、置換されていても良い基は、別断の断りがない限り、モノ置換又は多置換されていても良く、多置換の場合の置換基は、同一であっても異なっていても良い。
【0029】
さらに、本発明に記載の嗜好性の範囲において、異なる嗜好性のレベルは、順列で互いに組み合わせることができるように理解されるべきであるが、いずれにしても同一レベルの嗜好性、特に各場合において最も好ましい実施形態/嗜好性のレベルを互いに組み合わせるべきであり、実際にそのように組み合わせて開示されるものである。
【0030】
必須成分のみ(任意成分ではない)からなる本願に記載の組成物も、同様に開示されていると考えるべきである。
【0031】
本発明での文脈における室温とは、別断の断りがない限り、20℃~25℃の温度を意味する。
【0032】
成分a~gを、以下でさらに定義する。
【0033】
a.室温で固体の有効成分
室温で固体の有効成分は好ましくは、殺虫剤、除草剤及び殺菌剤からなる群から選択される。さらに好ましくは、選択される有効成分は、選択される溶媒f)に不溶若しくは若干可溶である。さらに好ましいものは、室温で固体であり、選択される溶媒f)に不溶又は若干可溶である殺虫有効成分である。
【0034】
本発明の文脈における若干可溶若しくは不溶の有効成分は、室温で固体であり、選択される溶媒f)中20℃での溶解度が、好ましくは5g/L以下、さらに好ましくは4g/L以下、さらに好ましくは2.5g/L以下、特に好ましくは1g/L以下である有効成分である。
【0035】
さらに好ましくは、有効成分は、ジアミド殺虫剤(ブロフラニリド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シクラニリプロール、シハロジアミド、フルベンジアミド、テトラクロラントラニリプロール及びテトラニリプロール)、スピノシン類(IRAC群5)、「メクチン類」と称されるもの(例えばアバメクチン、エマメクチンベンゾエート、ミルベメクチン;IRAC群6)、エチプロール、トリフルムロン、デルタメトリン及びテトロン酸及びテトラミン酸誘導体(IRAC群23、例えば下記で記載の式I及びIIの化合物)を含む群から選択される。
【0036】
好ましい実施形態において、本発明による組成物中の成分a)は、テトラミン酸に基づくケト-エノールであり、好ましくは式(I)の化合物である。
【化1】
式中、
W及びYは独立に、水素、C
1-C
4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素であり、
Xは、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-アルコキシ、塩素、臭素又はヨウ素であり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子は、C
1-C
4-アルキル-又はC
1-C
4-アルコキシ-C
1-C
2-アルキル置換されていても良いそれが結合している炭素原子とともに5員又は6員ケタールを形成しているアルキレンジオキシ基によって置換されたC
3-C
6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)であるか、下記の基の一つであり、
【化2】
式中、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Mは酸素又は硫黄であり、
R
1は、直鎖若しくは分岐のC
1-C
6-アルキルであり、
R
2は、直鎖若しくは分岐のC
1-C
6-アルキルである。
特に好ましく使用可能なものは、基が次のように定義される上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【0037】
Wは、より好ましくはメチルであり、
Xは、より好ましくは塩素又はメチル(より好ましくはメチル)であり、
Yは、より好ましくは塩素、臭素又はメチルであり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子が、より好ましくは、それが結合している炭素原子とともに5員又は6員ケタールを形成しているアルキレンジオキシ基によって置換されている飽和C
6-シクロアルキルであり、
Gは、より好ましくは、水素(a)又は下記の基の一つであり、
【化3】
式中、
Mは酸素であり、
Eは、一つの金属イオン等価物又はアンモニウムイオン(具体的にはナトリウム又はカリウム)であり、
R
1はより好ましくは、直鎖若しくは分岐のC
1-C
4-アルキルであり、
R
2はより好ましくは、直鎖若しくは分岐のC
1-C
4-アルキルである。
具体的に有用なものは、G=水素(a)である上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
同様に具体的に有用なものは、G=E(d)である上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【0038】
特別に好ましく有用なものは、基が下記のように定義される上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【化4】
【0039】
【0040】
特に好ましい実施形態では、成分a)は下記式の化合物である。
【化5】
【0041】
化合物I-2は好ましくは、それの最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。この結晶構造及びさらなる物理データを、次のように測定した。
【0042】
サンプル調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84g/mol)をメタノールから結晶化させ、室温で乾燥させて、変態Aを得た。
【0043】
I-2の変態Aは、25℃でCu-Kα1放射線(1.5406Å)を用いて記録された相当する回折図形に基づくX線粉末回折法によって特性決定することができる(
図1)。
【0044】
本発明による変態Aは、
図1に示すように、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも7、さらに好ましくは少なくとも10、そして最も好ましくはすべての反射を示す。
【0045】
本発明による変態Aは、
図Iに示すX線回折図形によっても特性決定される。
【0046】
変態Aの単結晶についての結晶学的研究により、その結晶構造が単斜晶系であることが明らかになった。その単位格子は、P21/c空間群を有する。
【0047】
表2:変態Aの結晶学的特性
【表2】
a、b、c=単位格子の辺の長さ
α、β、γ=単位格子の角度
Z=単位格子中の分子数
【0048】
表2a/b:変態Aの結晶学的データ/反射[゜2θ]
【表3】
【0049】
I-1の変態Aの多形態は、分解能4cm
-1でダイヤモンドATR装置を用いて25℃で記録された相当するスペクトルを用いて、IR分光法によって決定することができる(
図2)。本発明の変態Aは、
図2に示され、表2cに記載されているように、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも7、より好ましくは全てのバンドを示す。
【0050】
【0051】
別の実施形態において、成分a)は、下記式(II)のテトラミン酸を含む。
【化6】
式中、
W及びYは独立に、水素、C
1-C
4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素であり、
Xは、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-アルコキシ、塩素、臭素又はヨウ素であり、
V
1は、水素、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-アルキルチオ、C
1-C
6-アルキルスルフィニル、C
1-C
6-アルキルスルホニル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-ハロアルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
V
2は、水素、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル又はC
1-C
6-アルコキシであり、
V
3は、水素又はハロゲンであり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子は、一つの環員が酸素によって置き換わっており、C
1-C
8-アルキル、C
1-C
8-アルコキシ又はC
1-C
6-アルキルオキシ-C
1-C
6-アルキルによってモノ置換されていても良い飽和C
5-C
6-シクロアルキルであり、
Gは、水素(a)であるか、下記の基の一つであり、
【化7】
式中、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Lは、酸素又は硫黄であり、
Mは、酸素又は硫黄であり、
R
1は、直鎖若しくは分岐のC
1-C
6-アルキルであり、
R
2は、直鎖若しくは分岐のC
1-C
6-アルキルである。
【0052】
特に好ましく有用なものは、基が下記のように定義される、上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【0053】
Wは、より好ましくは水素又はメチルであり、
Xは、より好ましくは塩素又はメチルであり、
Yは、より好ましくは水素であり、
V
1は、より好ましくはフッ素又は塩素(具体的には、4位のフッ素又は塩素)であり、
V
2は、より好ましくは水素又はフッ素(具体的には、3位のフッ素)であり、
V
3は、より好ましくは水素又はフッ素(具体的には、5位のフッ素)であり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子は、より好ましくは、一つの環員が酸素によって置き換わっている飽和C
6-シクロアルキルであり、
Gは、より好ましくは水素(a)であるか、下記の基の一つであり、
【化8】
式中、
Eは、より好ましくは、一つの金属イオン等価物又はアンモニウムイオン(具体的にはナトリウム又はカリウム)であり、
R
1は、より好ましくは直鎖若しくは分岐のC
1-C
4-アルキルであり、
R
2は、より好ましくは直鎖若しくは分岐のC
1-C
4-アルキルである。
【0054】
具体的に有用なものは、G=水素(a)である上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【0055】
同様に具体的に有用なものは、G=E(d)である上記式(I)のテトラミン酸誘導体である。
【0056】
特別に好ましく有用なものは、基が下記のように定義される上記式(II)のテトラミン酸誘導体である。
【0057】
【0058】
特に好ましい別の実施形態では、a)は下記のものである。
【化9】
【0059】
b.アンモニウム塩
アンモニウム塩は、好ましくは水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0060】
さらに好ましくは、b)は、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)からなる群から選択される。
【0061】
より好ましくは、b)はDAHP及びAMSである。
【0062】
c.分散剤
成分c)は、好ましくは一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物を含む群から選択される。
【0063】
【化10】
式中、
Rは、C1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40プロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35PO単位からなる、より好ましくは20~30PO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、0~10プロピレングリコール(PO)単位とともに10~50エチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8PO単位とともに20~40EO単位からなる、より好ましくは0~5PO単位とともに30~40EO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化11】
【0064】
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は、次のもの:
【表6】
及び一般式(IIId)の化合物である。
【化12】
式中、個々の基及び指数は下記の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基又は分岐C
3-又はC
4-アルキル基であり;
mは2又は3であり;
nは2又は3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一つの基のn及びmは2を意味し、他の基のn又はmは3を意味する。
【0065】
本発明の文脈において、直鎖C1-~C5-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基又はn-ペンチル基を意味するものと理解される。
【0066】
本発明の文脈において、分岐C3-~C4-アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基又はtert-ブチル基を意味するものと理解される。
【0067】
好ましい実施形態において、R及びR′基は独立に、メチル基、n-ブチル基及び水素からなる群から選択される。
【0068】
さらにより好ましい実施形態において、R及びR′基は独立に、n-ブチル基及び水素からなる群から選択される。
【0069】
ポリエチレン及びポリプロピレン単位の配列に関して、
(a)mを値2に仮定し、nを値3に仮定することができるか;
(b)mを値3に仮定し、nを値2に仮定することができる。
【0070】
非常に特に好ましいものは、
mが3であり、
nが2であり、
xが5~80であり、
yが5~80であり、
Rがn-ブチル又は水素であり、
R′が水素である
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物である。
【0071】
d.本発明の文脈で好適な界面活性剤d)は、下記のものを含む群から選択される。
d1)ポリカルボキシレート型の界面活性剤、例えば、疎水性修飾櫛形ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸又は無水マレイン酸とオレフィン(イソブチレン又はジイソブチレンなど)のコポリマー、アクリル酸とイタコン酸のコポリマー、メタクリル酸とイタコン酸のコポリマー、マレイン酸又は無水マレイン酸とスチレンのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸とメタクリレートのコポリマー、アクリル酸と酢酸ビニルのコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸の変性コポリマー、マレイン酸又は無水マレイン酸とアクリル酸のコポリマー、N-メチル脂肪酸(例えば、C8-C18)サルコシネート、カルボン酸、例えば樹脂酸又は脂肪酸(例えば、C8-C18)又はこのようなカルボン酸の塩などの界面活性剤。上記のコポリマーは、それらの塩、例えばアルカリ金属塩(好ましくはLi、Na、K)、アルカリ土類金属塩(好ましくはCa、Mg)、アンモニウム又は各種アミンの形態であってもよい。上記のものの例としては、Geropon T/36、Geropon TA/72、Tersperse 2700、Atlox Metasperse 550 S、Geropon Ultrasperse、Narlex D-72、Versa TL3及びAgrilan 789 Dryなどがあり、
d2)アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、例えばMORWET D-425(Akzo Nobel製);OPARYL DT 120、OPARYL DT 201、OPARYL DT 530(Bozzetto製);TERSPERSE 2020(Huntsman製)及びジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、BAYKANOL SL、Levaco製)及びシクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、LUCRAMUL DAC 210、Levaco製)からなる群から選択される界面活性剤、及び
d3)リグノスルホネート及びそれの塩の群から選択される、好ましくは、B orregaard製のBorresperse NA、Borresperse 3A、Ultrazine NA、Ufoxane 3A、Vanisperse CB、Marasperse AG、MARASPERSE N 22、MARASPERSE C 21、MARASPERSE CBOS-4、WAFEX CA122及びBorresperse CA;Ingevity製のKRAFTSPERSE EDF-350、KRAFTSPERSE 25M、KRAFTSPERSE EDF-450、REAX 100M、REAX 83A、REAX 85A、REAX 88A、REAX 88B、REAX 907、REAX 910、POLYFON H、POLYFON O及びPOLYFON T;Tembec製のAGRINOL DN 19及びAgrinol C12からなるリグノスルホネート及びそれの塩の群から選択される界面活性剤、及び
d4)硫酸化アルキルアリールスルホネート及びそれの塩、例えば、AEROSOL OS(Solvay製);AGNIQUE ANS 3DNP-U、AGNIQUE ANS 4DNP、AGNIQUE NSC 2NP-U、NEKAL BX DRY(BASF製);MORWET B、MORWET DB、MORWET EFW、MORWET IP(Akzo Nobel製);OPARYL MT 704、OPARYL MT 800、OPARYL MT 804(Bozzetto製);RHODACAL BX 78、SUPRAGIL WP(Solvay製);SURFOM HRB(Oxiteno製)などのアルキルアリールスルホネート及びそれの塩からなる群から選択される界面活性剤、及び
d5)ジ-/トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェート及びそれの塩、DISPERSOGEN LFH、DISPERSOGEN TP 160(Clariant製);LUCRAMUL PPS 16、LUCRAMUL PPS K 16(Levaco製);PHOSPHOLAN PHB 14(Akzo Nobel製);SOPROPHOR 3 D 33、SOPROPHOR TS 20-F、SOPROPHOR FL、SOPROPHOR FLK(Solvay製);STEPFAC TSP-PE、STEPFAC TSP PE-K(Stepan製);SURFOM 1323 SC、SURFOM 1325 SC(Oxiteno製);TERSPERSE 2222(Huntsman製)の群;並びにアルコールエトキシレートホスフェート、例えばEMPIPHOS 03 D(Akzo Nobel製);MULTITROPE 1214、Crodafosシリーズ、Atphos 3226(Croda製);PHOSPHOLAN PE 169(Akzo Nobel製);RHODAFAC RS-410、RHODAFAC RS-710、RHODAFAC TD 20 F(Solvay製);SERVOXYL VPDZ 20/100(Elementis製);STEPFAC 8180(Stepan製);CRAFOL AP261(BASF製);GERONOL CF/AR(Clariant製)の群の界面活性剤。
【0072】
さらに好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤d1)、d2)、d3)及びd4)を含む群から選択される。
【0073】
さらに好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤d1)、d2)及びd3)を含む群から選択される。
【0074】
なおさらに好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤d1)及びd2)を含む群から選択される。
【0075】
より好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤d1)を含む群から選択される。
【0076】
非常に特に好ましいものは、マレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36/Solvay;Duramax D-305/Dow);及びメタクリル酸とスチレンのコポリマーのナトリウム塩(Tersperse 2700/Huntsman;Atlox Metasperse 500S/Croda);特にマレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36)を含む群d1)の界面活性剤である。
【0077】
Tersperse 2700などの好適な界面活性剤は、WO2008036865A2にも記載されている。
【0078】
上記の界面活性剤は、個別に又は組み合わせて使用することができ、好ましいものは、マレイン酸及びオレフィンのコポリマーのナトリウム塩の群から選択される界面活性剤とアルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、並びにリグノスルホネート及びそれの塩との組み合わせである。
【0079】
e.水不溶性充填剤
好適な充填剤は、好ましくは、以下を含む群から選択される。
【0080】
e1)化学的に修飾されたベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、スメクタイトなどの改質天然ケイ酸塩、又はBentone(登録商標)(Elementis)、Attagel(登録商標)(BASF)、Agsorb(登録商標)(Oil-Dri Corporation)、Pangel B(Tolsa)又はHectorite(登録商標)(Akzo Nobel)などの他のケイ酸塩鉱物。
【0081】
e2)合成ケイ酸塩及びヒュームドシリカ、例えばSipernat(登録商標)、Aerosil(登録商標)、又はDurosil(登録商標)シリーズ(Degussa)、CAB-O-SIL(登録商標)シリーズ(Cabot)、又はVan Gelシリーズ(R.T.Vanderbilt)、及び
【0082】
e3)合成ポリマーに基づく充填剤、例えばThixin(登録商標)又はThixatrol(登録商標)シリーズ(Elementis)の増粘剤。
【0083】
さらに好ましいものは、群e2の充填剤である。
【0084】
特に好ましいものは、単独又は混合物でのAerosil製品、Aerosil R製品及びCab-O-Sil製品などの充填剤e)としてのヒュームドシリカ、並びにアタパルジャイトである。
【0085】
f.溶媒
溶媒f)は、好ましくは炭酸エステルの群から選択され、さらに好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル及びそれの異性体、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、炭酸プロピレン、炭酸グリセロール、炭酸ブチレン、炭酸ペンチレン、炭酸ヘキシレン及び炭酸オクチレンを含む群から選択される。
【0086】
さらに好ましくは、f)は、環状炭酸エステル、すなわち、例えば、炭酸と炭酸トリメチレンを形成するプロパン-1,3-ジオール、又は炭酸と炭酸プロピレンを形成するプロパン-1,2-ジオールの場合のようにジオールが架橋される炭酸エステルの群から選択される。
【0087】
より好ましくは、f)は炭酸プロピレンである。
【0088】
g.さらなるアジュバント
本発明の組成物は、任意にさらなるアジュバントg)、例えば任意に、乳化剤、保湿剤、発泡防止剤、保存剤、色素、安定剤及び抗酸化剤の群からの物質を含む。
【0089】
有用な乳化剤には、農薬製品で代表的に使用される表面活性特性を有する、全ての慣例的な非イオノゲン性(nonionogenic)、アニオン性、カチオン性及び両性イオン性物質などがある。これらの物質には、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール又はアルキルアリールフェノールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド及び/又はブチレンオキサイドの反応生成物並びにその硫酸エステル、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステル、並びにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの反応生成物、並びにさらにアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化トリアルキルアリールアンモニウム、アルキルアミンスルホン酸塩、末端基キャップ化及び非末端基キャップ化のアルコキシル化直鎖及び分岐、飽和及び不飽和アルコール(例えば、ブトキシポリエチレン-プロピレングリコール)、並びにポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどがある。
【0090】
乳化剤は、個別に、又は混合物で使用され得る。好ましい例には、ヒマシ油とエチレンオキサイドのモル比1:20~1:60の反応生成物、C6-C20アルコールとエチレンオキサイドのモル比1:5~1:50の反応生成物、C6-C20アルコールとプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドのモル比1:1:1~1:5:10の反応生成物、脂肪アミンとエチレンオキサイドのモル比1:2~1:25の反応生成物、1molのフェノールと2~3molのスチレン及び10~50molのエチレンオキサイドの反応生成物、C8-C12-アルキルフェノールとエチレンオキサイドのモル比1:5~1:30の反応生成物、アルキルグリコシド、C8-C16-アルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばカルシウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム及びトリエタノールアンモニウム塩などがある。
【0091】
有用な保湿剤は、農薬組成物においてこの目的のために代表的に使用可能な全ての物質である。水溶性液体が好ましく、例としてはグリセロールが挙げられる。
【0092】
有用な発泡防止剤は、農薬組成物においてこの目的のために代表的に使用可能な全ての物質である。シリコーン油、例えばSAG1572、及びステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0093】
有用な抗酸化剤は、農薬組成物においてこの目的のために代表的に使用可能な全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0094】
有用な色素は、農薬組成物においてこの目的のために代表的に使用可能な全ての物質である。例としては、二酸化チタン、黒色顔料、酸化亜鉛及び青色顔料などがあり、及びPermanent Red FGRも挙げられる。
【0095】
使用される可能性のある安定剤は、例えば、酸又は塩基であり得る。酸の例としては、クエン酸、ギ酸、酢酸又はホウ酸などがある。塩基の例としては、カルボン酸のナトリウム塩及びモノ-又はポリ-アルキル置換アミンなどがある。
【0096】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する。
a.式(I)の化合物
【化13】
【0097】
式(I)の化合物は以下の定義を有する。
Wはメチルであり、
Xは塩素又はメチルであり、
Yは塩素、臭素又はメチルであり、
A、B及びそれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子とともに、5員又は6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)であり、又は下記の基の一つであり、
【化14】
式中、
Mは酸素であり、
Eは、一つの金属イオン等価物又はアンモニウムイオンであり、
R
1は直鎖又は分岐C
1-C
4-アルキルであり、
R
2は直鎖又は分岐C
1-C
4-アルキルである。
【0098】
b.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも一つのアンモニウム塩。
【0099】
c.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化15】
[式中、
RはC1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40個のプロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、10~50個のエチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のEO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化16】
]及び一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化17】
[式中、
個々の基及び指数は以下の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-C
5-アルキル基又は分岐C
3-若しくはC
4-アルキル基であり、
mは2又は3であり、
nは2又は3であり、
xは5~150であり、
yは5~150であり、
一方の基のn又はmは2の意味を有し、他方の基のn又はmは3の意味を有する。]
を含む群から選択される少なくとも一つの分散剤。
【0100】
d.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、リグノスルホネート及びそれの塩、及び硫酸化アルキルアリールスルホン酸塩及びそれの塩を含む群から選択される少なくとも一つの界面活性剤。
【0101】
e.変性天然ケイ酸塩、ケイ酸塩鉱物、合成ケイ酸塩及びヒュームドシリカ、アタパルジャイト、及び合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択される少なくとも一つの充填剤。
【0102】
f.炭酸エステルの群から選択される少なくとも一つの溶媒。
【0103】
g.任意にさらなるアジュバント。
【0104】
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する。
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物。
【化18】
【0105】
【0106】
b.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも一つのアンモニウム塩。
【0107】
c.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化19】
[式中、
RはC1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40個のプロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、10~50個のエチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のEO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化20】
]及び一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化21】
[式中、
個々の基及び指数は以下の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-C
5-アルキル基又は分岐C
3-若しくはC
4-アルキル基であり、
mは2又は3であり、
nは2又は3であり、
xは5~150であり、
yは5~150であり、
一方の基のn又はmは2の意味を有し、他方の基のn又はmは3の意味を有する。]
を含む群から選択される少なくとも一つの分散剤。
【0108】
d.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、及びリグノスルホネート及びそれの塩を含む群から選択される少なくとも一つの界面活性剤。
【0109】
e.変性天然ケイ酸塩、ケイ酸塩鉱物、合成ケイ酸塩及びヒュームドシリカ、アタパルジャイト、及び合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択される少なくとも一つの充填剤。
【0110】
f.炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル及びそれの異性体、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ペンチレン、炭酸ヘキシレン及び炭酸オクチレンを含む群から選択される少なくとも一つの溶媒。
【0111】
g.任意にさらなるアジュバント。
【0112】
特に好ましい実施形態において、本発明は、下記のものを含む殺虫剤組成物を提供する。
a.下記構造を有する式(I-2)を有する化合物。
【化22】
【0113】
b.硫酸アンモニウム(AMS)及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも一つのアンモニウム塩。
【0114】
c.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化23】
[式中、
RはC1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40個のプロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、10~50個のエチレンオキサイド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のEO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化24】
]及び一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物:
【化25】
[式中、
個々の基及び指数は以下の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基又は分岐C
3-若しくはC
4-アルキル基であり、
mは2又は3であり、
nは2又は3であり、
xは5~150であり、
yは5~150であり、
一方の基のn又はmは2を意味し、他方の基のn又はmは3を意味する。]
を含む群から選択される少なくとも一つの分散剤。
【0115】
d.少なくとも二つの界面活性剤であって、一つはポリカーボキシレート型を含む群から選択されるもの、及び一つはアルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩を含む群から選択されるもの。
【0116】
e.ヒュームドシリカ及びアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも一つの充填剤。
【0117】
f.炭酸プロピレンを含む群から選択される少なくとも一つの溶媒。
【0118】
g.任意にさらなるアジュバント。
【0119】
化合物I-2は、好ましくはそれの最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。
【0120】
パーセントは、別断の断りがない限り、重量パーセンテージと見なされるべきであり、組成物の重量%は合計が100になる。
【0121】
以下の個々の成分の割合は、それぞれ組成物の総重量に基づいており、組成物全体の最大1リットルまでの割合が、成分f)(溶媒)で構成されている。したがって、成分f)の割合は、好ましくは1重量%~80重量%、さらに好ましくは20~60重量%である。
【0122】
本発明による組成物中の固体有効成分(成分a)の割合は、
好ましくは0.5~30重量%、
さらに好ましくは1~20重量%、
より好ましくは1~15重量%、
である。
【0123】
本発明による組成物中の溶解有効成分(成分b)の割合は、
好ましくは1~40重量%、
さらに好ましくは5~35重量%、
より好ましくは15~30重量%
である。
【0124】
本発明による組成物中の分散剤(成分c)の割合は、
好ましくは0.5~40重量%、
さらに好ましくは2.5~35重量%、
より好ましくは5~30重量%
である。
【0125】
本発明による組成物中の界面活性剤(成分d)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.3~8重量%、
より好ましくは0.5~2.5重量%
である。
【0126】
本発明による組成物中の充填剤(成分e)の割合は、
好ましくは0.1~10重量%、
さらに好ましくは0.5~10重量%、
より好ましくは2~10重量%
である。
【0127】
存在する場合、本発明による組成物中のアジュバント(成分g)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.01~8重量%、
より好ましくは0.05~6重量%
である。
【0128】
本発明の好ましい実施形態は、成分:
a)1~30重量%
b)1~40重量%
c)1~40重量%
d)0~10重量%
e)0.1~15重量%
g)0~10重量%
f)1リットルまで
を含む組成物である。
【0129】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、成分:
a)2~20重量%
b)5~35重量%
c)5~35重量%
d)0.3~8重量%
e)0.5~12.5重量%
g)0.01~8重量%
f)1リットルまで
を含む組成物である。
【0130】
本発明のさらに好ましい実施形態は、成分:
a)2~15重量%
b)15~30重量%
c)10~30重量%
d)0.5~2.5重量%
e)1~10重量%
g)0.05~6重量%
f)1リットルまで
を含む組成物である。
【0131】
本発明はさらに、両方の有効成分の浸透を改善するための固体形態での少なくとも一つの有効成分を有する殺虫性有効成分製剤のためのアジュバント組み合わせであって、
b.少なくとも一つのアンモニウム塩、及び
c.アルキルプロポキシル化エトキシレートの種類からの少なくとも一つの分散剤
を含む組み合わせに関するものである。
【0132】
好ましい実施形態において、前記アジュバント組み合わせはさらに、
f.炭酸エステルの群からの少なくとも一つの溶媒
を含む。
【0133】
アジュバント組み合わせからのアンモニウム塩は、好ましくは、水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0134】
さらに好ましくは、b)は、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0135】
より好ましくは、b)はDAHP及びAMSである。
【0136】
アジュバント組み合わせの成分c)(分散剤)は、好ましくは、一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物を含む群から選択される。
【化26】
式中、Rは、C1-C4断片、好ましくはC3-C4断片、より好ましくはC4断片であり、
Aは、10~40個のプロピレンオキサイド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコール断片であり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO-)単位とともに10~50個のエチレンオキサイド(EO-)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、より好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール断片である。
【化27】
【0137】
式III-b式III-c
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は、下記のもの:
【0138】
【表8】
並びに
一般式(IIId)の化合物:
【化28】
であり、
式中、
個々の基及び指数は下記の定義を有する。
R及びR′は独立に、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基又は分岐C
3-又はC
4-アルキル基であり;
mは2又は3であり;
nは2又は3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一つの基のn又はmは2を意味し、他の基のn又はmは3を意味する。
【0139】
本発明の文脈において、直鎖C1-~C5-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基又はn-ペンチル基を意味すると理解される。
【0140】
本発明の文脈において、分岐C3-又はC4-アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基又はtert-ブチル基を意味すると理解される。
【0141】
好ましい実施形態において、R及びR′基は独立に、メチル基、n-ブチル基及び水素からなる群から選択される。
【0142】
さらにより好ましい実施形態において、R及びR′基は独立に、n-ブチル基及び水素からなる群から選択される。
【0143】
ポリエチレン及びポリプロピレン単位の配列に関して、
(a)mを値2に仮定し、nを値3に仮定することができるか;
(b)mを値3に仮定し、nを値2に仮定することができる。
好ましいものは、m=3及びn=2である構成(b)が好ましい。
【0144】
非常に特に好ましいものは、
mが3であり、
nが2であり、
xが5~80であり、
yが5~80であり、
Rがn-ブチル又は水素であり、
R′が水素である
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物である。
【0145】
アジュバント組み合わせとともに用いられる溶媒f)は好ましくは、炭酸エステルの群から、さらに好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル及びそれの異性体、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ペンチレン、炭酸ヘキシレン及び炭酸オクチレンを含む群から選択される。
【0146】
さらに好ましくは、f)は、環状炭酸エステル、すなわち例えば、炭酸と炭酸トリメチレンを形成するプロパン-1,3-ジオールの場合のように、ジオールが架橋された炭酸エステルから選択される。
【0147】
より好ましくは、f)は炭酸プロピレンである。
【0148】
本発明の好ましい実施形態は、b):c)の比(各場合で、質量基準)が3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2及びより好ましくは1.3:1~1:1.3であるアジュバント組み合わせである。
製剤全体の重量を基準とするアジュバント組み合わせの割合は、好ましくは
b)1~40重量%
c)1~40重量%
であり、
さらに好ましくは
b)5~35重量%
c)5~35重量%
であり、
よりさらに好ましくは
b)15~30重量%
c)10~30重量%
である。
【0149】
本発明による製剤の施用量は、比較的広範囲内で変えることができる。それは、それぞれの有効成分及び組成物中のそれらの含有量によって決まる。
【0150】
本発明による組成物を用いることで、殺虫性有効成分混合物を、植物及び/又はそれの生息地に特に有利な方法で散布することができる。
【0151】
本発明による組成物を使用して、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。本文脈における植物は、所望の及び望ましくない野生植物又は作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などの全ての植物及び植物集団を含むと理解される。作物植物は、従来の育種及び最適化方法によって、又はトランスジェニック植物を含む並びに植物育種家の権利によって保護可能又は保護不可能な植物栽培品種を含むバイオテクノロジー及び遺伝子工学方法又はこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物であることができる。植物の部分は、苗条、葉、花及び根などの地上及び地下の植物の全ての部分及び器官を意味すると理解されるべきであり、例として、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実及び種子、並びに塊茎、根及び根茎も挙げられる。植物部分はまた、収穫物並びに栄養性及び生殖性の繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、若枝及び種子を含む。
【0152】
好ましくは、本発明による製剤は、以下の病害生物科の動物病害生物に対する噴霧施用によって使用される。
【0153】
ワタムシ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))科からのもの:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、葉野菜、根菜及び塊茎野菜並びに観賞植物などの作物での、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp)が好ましい。
【0154】
ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))科からのもの:ブドウ、堅果類、柑橘類でのフィロキセラ属種(Phylloxera spp.)が好ましい。
【0155】
キジラミ(キジラミ(Psyllidae))科からのもの:例えば、仁果類、核果類、柑橘類、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物でのサイラ属種(Psylla spp.)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、テナラファラ属種(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ属種(Diaphorina spp.)、トリオザ属種(Trioza spp.)が好ましい。
【0156】
カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))科からのもの:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物でのセロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、プルビナリア属種(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア属種(Protopulminaria spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、コッカス属種(Coccus spp.)が好ましい。
【0157】
マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))科からのもの:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、アーモンド、ピスタチオ、堅果類、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物でのクアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アスピス属種(Aspis spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、シューダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ピナスピス属種(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス属種(Selenaspidus spp.)が好ましい。
【0158】
ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))科からのもの:柑橘類、仁果類、核果類でのオルテジア属種(Orthezia spp.)が好ましい。
【0159】
コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))科からのもの:例えば柑橘類、核果類及び仁果類、茶、ブドウ、野菜、観賞植物及び熱帯作物などの作物でのペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス属種(Pseudococcus spp)、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)、ジスミコッカス属種(Dysmicoccus spp.)が好ましい。
【0160】
コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))科から:例えば野菜、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類、観賞植物、綿、大豆及び熱帯作物などの作物でのタバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)がさらに好ましい。
【0161】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphididae))科からのもの:
タバコ、核果類、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎及び根菜類、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料でのミズス属種(Myzus spp.)、
野菜でのエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類、仁果類、核果類、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎、茎及び根菜類、鑑賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料でのアフィス属種(Aphis spp.)、
イチゴでのバラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜類でのレタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜類及び果菜類、イチゴでのマクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、
ホップでのホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜類でのダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類、核果類、アーモンド、堅果類、香辛料でのトキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、
柑橘類、ジャガイモ、果菜類及び葉菜類で「のアウラコルツム属種(Aulacorthum spp.)、
野菜でのアヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリでのブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜でのエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)
が好ましい。
【0162】
同様に、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))科からのもの:例えば、果実、綿、ブドウ、茶、堅果類、熱帯作物、観賞植物、針葉樹、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類及びジャガイモなどの作物でのアナホスリップス属種(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス属種(Baliothrips spp.)、カリオスリップス属種(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス属種(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス属種(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス属種(Scirtothrips spp.)、カコスリップス属種(Kakothrips spp.)、セレノスリップス属種(Selenothrips spp.)及びスリップス属種(Thrips spp.)が好ましい。
【0163】
さらに、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))及びルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))科からのもの:例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果類、観賞植物などの作物でのアグロミザ属種(Agromyza spp.)、アマウロミザ属種(Amauromyza spp.)、クキイエバエ属種(Atherigona spp.)、クロロプス属種(Chlorops spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、オシネラ属種(Oscinella spp.)、ペゴミイア属種(Pegomyia spp.)が好ましい。
【0164】
ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))及びウンカ(ウンカ(Delphacidae))科からのもの:例えば、柑橘類、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、鑑賞植物、針葉樹、メロン、柔らかい果実、茶、堅果類、イネ及び熱帯作物などの作物でのキルクリフェラ属種(Circulifer spp.)、ダルブス属種(Dalbus spp.)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ属種(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス属種(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス属種(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ属種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ属種(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、ソガテラ属種(Sogatella spp.)が好ましい。
【0165】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))科からのもの:
仁果類、核果類、ブドウ、堅果類、柑橘類、針葉樹、ジャガイモ、コーヒーなどの作物でのカロプティリア属種(Caloptilia spp.)、グラシラリア属種(Gracillaria spp.)、リトコレチス属種(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ属種(Leucoptera spp.)、フトリマエア属種(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス属種(Phyllocnistis spp.)が好ましい。
【0166】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))科からのもの:
柑橘類、仁果類、核果類、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、針葉樹、ホップなどの作物でのコンタリニア属種(Contarinia spp.)、ダシネウラ属種(Dasineura spp.)、ディプロシス属種(Diplosis spp.)、プロディプロシス属種(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス属種(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス属種(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス属種(Haplodiplosis spp.)が好ましい。
【0167】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))科からのもの:
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類及び核果類、鑑賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類、オリーブなどの作物でのアナストレファ属種(Anastrepha spp.)、ケラチチス属種(Ceratitis spp.)、ダクス属種(Dacus spp.)、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)が好ましい。
【0168】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))及びフシダニ(フシダニ(Eriophydae))科からのもの:
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類、ブドウ、針葉樹などの作物でのナミハダニ属種(Tetranychus spp.)、マルハダニ属種(Panonychus spp.)、アクロプス属種(Aculops spp.)が好ましい。
【0169】
本発明による組成物による植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1以上のコーティングを塗布することによって、直接又は組成物が周囲、環境若しくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0170】
好ましくは、処理される植物は、綿、大豆、タバコ、野菜、香辛料、鑑賞植物、針葉樹、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果類及びブドウからなる群から選択される。
【0171】
好ましくは、本発明による組成物は、ワタムシ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科からの病害生物に対して作用する。
【0172】
また、本発明による組成物を、以下の段階を有する方法によって製造することができることも分かった。
1)成分(a)~(g)を混合し、その後均質化及びビーズ粉砕を行う。均質化及びビーズ粉砕に関連する装置は、当業者には知られている。
【0173】
この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0174】
最後に、本発明による組成物は、存在する農薬有効成分の植物及び/又はその生息地への施用に非常に良好な好適性を有することが見出された。
【0175】
実施例で使用した材料:
【0176】
【0177】
実施例I
表Ia~cに記載の実験によるすべての製剤構成要素を、25mLPEネジ口瓶中で合わせ、ガラスビーズ(サイズ1~1.25mm)10gを加える。瓶を閉じ、攪拌装置(Retsch MM301)にクランプ留めし、30Hzで40分間処理する;この過程で、サンプルは加熱される。時間経過後、サンプルを室温まで冷却し、製剤の稠度を評価する。その後、顕微鏡(Zeiss透過光顕微鏡、倍率40倍)を用いて、凝集体の存在を評価し、レーザー分散によって粒径を測定する。粒子径が非常に小さい場合は粉砕性が良いことを示しており、凝集物が存在する場合は分散特性が悪いことを示している。
【0178】
【0179】
実験の評価:
異なる量の界面活性剤を含むI-2、アンモニウム塩及び炭酸プロピレンに基づく製剤(実験1-1、1-2)は、指定した実験条件下でそれぞれのアンモニウム塩及びI-2の基本的な粉砕性を示すが、製剤中に十分な界面活性剤(>1%)が存在しないと、顕微鏡下で濃縮液中の塩結晶の著しい凝集が認められ、これは個々の粒子が、液相中で全くないとしても、分散性が非常に不十分であることを意味している。特定の界面活性剤のみがアンモニウム塩及びI-2を適切に分散させることができ(例えば1-3、1-6、1-7)、アルキルプロポキシレートエトキシレートは、Antarox B/848でのみ粉砕したサンプル(1-9)の荒いサイズと、凝集体の存在から分かるように、単独でこれを行うことができない。
【0180】
最も効果的で驚くべきものは、2種類の異なる界面活性剤の少量ずつでの組み合わせである(実験1-10~1-14)。この組み合わせ(Geropon T-36とMorwet D-425)は、1.00%の各界面活性剤が、5.00%の各界面活性剤単独の場合より、DAHP又はAMSの粉砕及び安定化においてはるかに効果的であることから、特に驚くべきものである。
【0181】
実施例II
好適な分散助剤の存在下で好適な増粘剤を試験する目的で、表2に記載の全ての製剤構成要素を組み合わせ、コロイドミルで均質化する。その後、ビーズミル(Dispermat SL50、80%2mmビーズ、4000rpm、40分間の循環粉砕)を用いて粉砕し、得られた製剤を分析する。
その後、高温での保存試験を行い、外観、相分離、レオロジー特性や保存後の分散安定性(例えば粘度)の定性/定量評価を行う。
【0182】
外観の評価を、DIN 10964「Sonsory analysis-Simple descriptive test(官能分析-簡単な記述的試験)」と同様にして行う。この目的のために、被験サンプルを、形状、物質の状態及び色並びにさらなる特性(特に、例えば、塊、固化、沈殿物の形成、その後の増粘、沈殿物のマーブリング)について、肉眼検査及び必要に応じて、振盪及び傾斜により調べる。
【0183】
貯蔵直後の相分離は、堆積物含有量として報告し、H1[堆積相と上清の界面層レベル]をH0[サンプルの全充填高さ]で割った商から計算するか、この場合でのように、上清含有量として報告する。
堆積物含有量=(H1/H0)×100[%]、又は
上清含有量=100-堆積物含有量[%]
粘度の評価は、CIPAC MT192;″Viscosity of Liquids by rotational viscometry″の方法に従って行う。
2%水系希釈液の分散安定性を、CIPAC MT 180法「サスポエマルジョンの分散安定性(Dispersion stability of suso-emulsions)」に従って、一定時間後に沈殿する残留物の量を分析することにより決定する。
【0184】
【0185】
実験の評価:
追加の分散助剤を使用せずに、Aerosil 200、Aerosil 380又はAerosil R812Sのような特定の不溶性充填剤を使用することで、異なる粘度を有する安定な製剤を製造することが可能である(処方2-1、2-3、2-4、2-5)。特に重要な点は、充填剤と溶剤の正しい組み合わせを選択することで、製剤が極端に粘稠になったり、加工できなくなる事態が避けられるということである(処方2-2、2-6)。
【0186】
室温で4週間保存した後、すべての加工可能な製剤(処方2-1、2-3、2-4、2-5)は、わずかな相分離と、いくつかのケースでは中程度ないし良好な再分散性を有している。54℃で4週間貯蔵した後、ほとんどすべての加工可能な製剤(処方2-1、2-3、2-4、2-5)が、小さな相分離と、ほとんどの場合、中程度ないし良好な再分散性を有している。
【0187】
製剤の安定性を確認するためのさらなる要因は、水性希釈における製剤の分散安定性である。全ての加工可能な製剤(処方2-1、2-3、2-4、2-5)が水に分散可能であり、室温又は場合によっては54℃での貯蔵後、相分離は比較的小さい(≦5mL)ことが認められる。
【国際調査報告】