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特表2022-552959アモルファスポリαオレフィン含有ポリオレフィン配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】アモルファスポリαオレフィン含有ポリオレフィン配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
C08L23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522247
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020078736
(87)【国際公開番号】W WO2021074125
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19203594.7
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン バビク
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン セパ
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ヘッセナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン キルシュバウム
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03W
4J002BB12X
4J002BB153
4J002FD010
4J002GG01
4J002GG02
4J002GK00
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、
少なくとも2種の異なるポリオレフィンを含み、追加成分として、モノマーであるエテン、プロペン、1-ブテンをベースとし、かつ190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィンをさらなる成分として含み、少なくとも2種の異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含む配合物であり、ポリエチレンは、明細書記載のISO 1133の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@190℃]が、10g/10分未満、好ましくは0.01~2g/10分であり、ポリプロピレンは、明細書記載の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@230℃]が、50g/10分、好ましくは0.01~25g/10分である配合物と、
そのような配合物の製造方法と、
その使用と、
に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の異なるポリオレフィンを含み、
モノマーであるエテン、プロペン、1-ブテンをベースとし、かつ明細書記載の方法に従って測定された190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィンをさらなる成分として含み、
前記少なくとも2種の異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含む配合物であり、
前記ポリエチレンは、明細書記載のISO 1133の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@190℃]が、10g/10分未満、好ましくは0.01~2g/10分であり、
前記ポリプロピレンは、明細書記載の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@230℃]が、50g/10分、好ましくは0.01~25g/10分である配合物。
【請求項2】
前記少なくとも2種の異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含む、請求項1記載の配合物。
【請求項3】
前記2種の異なるポリオレフィンのうちの少なくとも1つが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に再生物である、請求項1または請求項2記載の配合物。
【請求項4】
前記アモルファスポリ-α-オレフィンの割合が、前記配合物の総質量に対し、1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~15重量%、特に好ましくは3重量%~10重量%、非常に特に好ましくは5重量%~7.5重量%である、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の配合物。
【請求項5】
前記少なくとも2種のポリオレフィンの総質量に対し、前記配合物中の少数ポリオレフィンの割合が、1重量%~45重量%、好ましくは2重量%~30重量%、特に好ましくは5重量%~20重量%であり、前記配合物中の多数ポリオレフィンの割合が、55重量%~99重量%、好ましくは70重量%~98重量%、特に好ましくは80重量%~95重量%である、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の配合物。
【請求項6】
前記アモルファスポリ-α-オレフィンは、多分散度が5~10であり、および/または、好ましくはおよび、ガラス転移温度が-45℃~-25℃であり、いずれの場合も明細書記載の測定方法に従って測定されている、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の配合物。
【請求項7】
前記アモルファスポリ-α-オレフィンは、明細書記載の測定方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@140℃]が40~10,000である、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の配合物。
【請求項8】
前記アモルファスポリ-α-オレフィンは、モノマーであるエチレン、プロピレン、および1-ブテンをベースとし、
モノマーであるプロピレンまたは1-ブテンの割合が50重量%を超え、
残りのモノマーであるエチレンと1-ブテン、またはエチレンとプロピレンの合計割合が、いずれの場合も50重量%未満であり、
いずれの場合も、エチレン、プロピレン、および1-ブテンのモル比の合計に対する割合である、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の配合物。
【請求項9】
前記アモルファスポリ-α-オレフィンは、前記1-ブテンまたはプロペンブロックのアイソタクチック性が、明細書記載の測定方法に従って測定されたmmmm-ペンタッド分率で80%未満である、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の配合物。
【請求項10】
前記成分を混合する、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の配合物の製造方法。
【請求項11】
前記成分が粉末またはペレットとして使用および混合される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ペレット混合物を押出成形して、混合ペレット材料を得る、請求項11記載の方法。
【請求項13】
包装、フィルム、射出成形部品、パイプ、ホース、繊維、織物、ボトル、プラスチックハウジング、顔料分散を改善するためのマスターバッチ化合物、自動車または輸送部門におけるプラスチック製品を製造する工程を有する、請求項10~請求項12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
包装、フィルム、射出成形部品、パイプ、ホース、繊維、織物、ボトル、プラスチックハウジング、顔料分散を改善するためのマスターバッチ化合物、自動車または輸送部門におけるプラスチック製品としての、またはそれらを製造するための請求項1~請求項9のいずれか一項記載の配合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
少なくとも2種の異なるポリオレフィンを含み、モノマーであるエテン、プロペン、1-ブテンをベースとし、かつ明細書記載の方法に従って測定された190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィンをさらなる成分として含み、少なくとも2種の異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含む配合物であり、ポリエチレンは、明細書記載のISO 1133の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@190℃]が、10g/10分未満、好ましくは0.01~2g/10分であり、ポリプロピレンは、明細書記載の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@230℃]が、50g/10分、好ましくは0.01~25g/10分である配合物と、
そのような配合物の製造方法と、
その使用と、
に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンの群のホモポリマーおよびコポリマーは、一般的に使用されるプラスチックにおいて最大の群を形成しており、世界で最大の生産量を記録している。これらの材料の実質的な適用分野は、フィルム、包装、そして自動車製造用などの非常に多種多様な射出成形部品である。特に自動車製造では、日常での最高の使いやすさを確保するために、強度と耐衝撃性のバランスが適切に調整されたこれらの射出成形部品を製造することが重要である。
【0003】
このバランスを確保するためには、強度の確保を目的とした成分(通常、結晶性ポリプロピレン)と、耐衝撃性の確保を目的とした別の成分(多くの場合、ポリエチレンに富む成分)と、からなる混合物を使用するのが一般的である。後者の成分は、ゴム状で粘着性があることが多い。したがって、設備の一部がベトベトになり、混合物をもはや処理できなくなるので、製造工程中のこの成分の割合を希望のままに増やすことはできない。
【0004】
異相ポリマー混合物、特にポリエチレンとポリプロピレンからなる異相ポリマー混合物の品質を向上するために、しばしば添加剤を使用して、強度の原因となる結晶構造を有するポリプロピレンマトリックスを、柔らかい衝撃吸収性ポリエチレンに富む画分と相溶化する。
【0005】
特許文献1は、ランダムエチレン/プロピレンコポリマーと、低密度~超低密度のランダムエチレン/α-オレフィンコポリマーと、を含む相乗的複合組成物であり、当該α-オレフィンが少なくとも4個の炭素原子を有する組成物を記載している。それはさらに、当該複合組成物を含むポリオレフィン組成物、特にポリプロピレン組成物に関する。ランダムエチレン/α-オレフィンコポリマーのMFIは、0.1~30dg/分である。
【0006】
特許文献2は、MFIが30dg/分以下のC-C-ブロックコポリマーおよびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ゴム成分の使用を記載している。
【0007】
特許文献3は、エチレンと3~10個の炭素原子を有するα-オレフィンとの反応によって得られるコポリマーを1~30重量%を含むポリマー組成物を記載している。コポリマーのMFIは、100~2000dg/分であり、分子量分布(MWD)は1~5である。
【0008】
特許文献4は、MWDが5をはるかに下回るエチレン-α-オレフィンコポリマーを使用した、ポリオレフィン(PPまたはHDPE)系「耐衝撃性改質」混合物の製造を記載している。
【0009】
特許文献5は、最大MFIが500であるC-Cコポリマーを製造するための気相法を記載しており、気相反応器の下流で材料が「非粘着」状態で得られるという事実に言及している。さらに、方法中のゴム含有量の高さが課題であると記載している。
【0010】
最近では、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレン含有再生物を、処理後にバージン・ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを使用して得られるものと同様の材料特性を有する混合物に、処理できることがさらに必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許公開番号第0884353A1号
【特許文献2】米国特許公開番号第2018134884A1号
【特許文献3】米国特許公開番号第2019218383A1号
【特許文献4】国際公開番号第2011/119486A1号
【特許文献5】カナダ特許公開番号第2102542A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記の課題のうちの1つまたは複数を解決するポリオレフィンの配合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、少なくとも2種の異なるポリオレフィンを含み、追加成分として、モノマーであるエテン、プロペン、および1-ブテンをベースとし、かつ190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィンをさらなる成分として含む配合物によって、上記の課題のうちの1つまたは複数を解決できることがわかった。
【0014】
したがって、本発明は、
少なくとも2種の異なるポリオレフィンを含み、
モノマーであるエテン、プロペン、1-ブテンをベースとし、かつ測定方法のセクションで以下に記載される方法に従って測定された190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィン(APAO)をさらなる成分として含み、
少なくとも2種の異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含む配合物であり、
ポリエチレンは、明細書記載のISO 1133の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@190℃]が、10g/10分未満、好ましくは0.01~2g/10分であり、
ポリプロピレンは、明細書記載の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@230℃]が、50g/10分、好ましくは0.01~25g/10分である配合物
を提供するものである。
【0015】
本発明はさらに、特許請求の範囲で定義され、より具体的には以下に記載されているような、本発明に係る配合物の製造方法、およびその使用を提供するものである。
【0016】
本発明に係る配合物には、改善された材料特性を有するという利点がある。本発明に係る配合物は、特に、引張強度を適度に低減した場合に、良好な/改善された耐衝撃性および良好な/改善された膨張挙動を示す。
本発明に係る配合物のさらなる利点は、ポリエチレンとポリプロピレンが異なるポリオレフィンとして存在する場合に、当該配合物がポリエチレンとポリプロピレンの良好な相適合性を示す点である。
【0017】
APAOの使用により、本発明に係る配合物は、材料を意図された目的にもはや使用できない程度まで材料特性を悪化させることなく、より多量の再生物、特にポリエチレンおよび/またはプロピレン再生物を含むこともできる。
【0018】
ポリマー廃棄物の分離は、現在、単一の種類の方法ではまだ実施できないことが多いので、たとえば、PE再生物にはまだ少量のPPポリマーが含まれ、PP再生物にはまだ少量のPEポリマーが含まれている。特に、そのような非単一品種の再生物を含む配合物に対し、APAOの発明に係る使用が特に有利である。
【0019】
本発明に係る配合物、本発明に係る方法、および当該配合物の本発明に係る使用は、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定されることを意図することなく、以下の例を用いて説明される。範囲、一般式、または化合物群が以下に規定されている場合、これらは、明示的に言及されている対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除くことによって得られる化合物のすべての部分範囲および部分群も含むことを意図している。本明細書の文脈で文献が引用される場合、それらの内容は、特に言及された事項に関して、本発明の開示内容の一部を完全に形成するものとする。以下に数値が百分率で報告されている場合、これらの数値は、特に明記しない限り、重量%である。平均、例えばモル質量平均が以下に報告されている場合、これらは、特に明記しない限り、数値平均である。例えば粘度などの材料特性が以下に報告されている場合、これらは、特に明記しない限り、25℃での材料特性である。本発明で化学(実験)式を使用する場合、報告されている指数は、絶対数または平均値のいずれかであってよい。高分子化合物の場合、指数は好ましくは平均値を表す。
【0020】
少なくとも2つの異なるポリオレフィンを含む本発明に係る配合物は、さらなる構成成分として、モノマーであるエテン、プロペン、および1-ブテンをベースとし、かつ以下の測定方法の段落において報告される方法に従って測定された190℃での粘度が200mPa・s~200000mPa・s、好ましくは1000~150000mPa・s、より好ましくは2000~100 000mPa・s、特に好ましくは3000~50000mPa・sであるアモルファスポリ-α-オレフィンを含むことを特徴とする。当該アモルファスポリ-α-オレフィンは、少なくとも2つの異なるポリオレフィンとして、ポリエチレンとポリプロピレンを含んでおり、ポリエチレンは、本明細書で報告されているISO 1133の方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@190℃]が10g/10分未満、好ましくは0.01~2g/10分であり、ポリプロピレンは、本明細書で報告されている方法に従って測定されたメルトフローインデックス[MFI2.16kg@230℃]が50g/10分未満、好ましくは0.01~25g/10分である。
【0021】
少なくとも2つの異なるポリオレフィンとして、本発明に係る配合物は、好ましくは、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む。配合物中の少数ポリオレフィンの割合は、配合物中に存在する少なくとも2つの異なるポリオレフィンの総質量に対し、好ましくは1重量%~45重量%、より好ましくは2重量%~30重量%、特に好ましくは5重量%~20重量%であり、配合物中の多数ポリオレフィンの割合は、好ましくは55重量%~99重量%、より好ましくは70重量%~98重量%、特に好ましくは80重量%~95重量%である。上記の割合は、特に、少なくとも2つの異なるポリオレフィンの一部または全部が再生物である場合に好ましい。
【0022】
2つの異なるポリオレフィンのうちの少なくとも1つが、少なくとも部分的に、好ましくは50重量%を超える程度に、より好ましくは全て、再生物である場合が有利であってよい。少なくとも2つの異なるポリオレフィンのうち両方のポリオレフィンが、少なくとも部分的に、好ましくは50重量%を超える程度に、より好ましくは全て、再生物である場合が好ましい。
【0023】
本発明に係る配合物中のアモルファスポリ-α-オレフィンの割合は、当該配合物の総質量に対し、好ましくは1重量%~25重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、特に好ましくは3重量%~10重量%、非常に特に好ましくは5重量%~7.5重量%である。
【0024】
アモルファスポリ-α-オレフィンは、好ましくは、多分散度(Mw/Mn)が5~10であり、および/またはガラス転移温度が-45℃~-25℃であり、いずれの場合も以下の測定方法の段落で報告されている測定方法に従って測定されている。
【0025】
アモルファスポリ-α-オレフィンは、好ましくは、メルトフローインデックス[MFI2.16kg@140℃]が40~10000、好ましくは50~5000、より好ましくは100~2000であり、以下の測定方法の段落に報告される測定方法に従って測定されている。
【0026】
モノマーであるエチレン、プロピレン、および1-ブテンをベースとするアモルファスポリ-α-オレフィンにおいて、モノマーであるプロピレンまたは1-ブテンの割合は、50重量%を超え、好ましくは51重量%~98重量%であり、残りのモノマーであるエチレンおよび1-ブテン、またはエチレンおおびプロペンの合計割合は、50重量%未満であり、いずれの場合も、エチレン、プロピレン、および1-ブテンの割合の合計に対する値である。エチレンの割合は、好ましくは、モノマーであるエチレン、プロピレン、および1-ブテンの合計に対し、1重量%~15重量%である。
【0027】
アモルファスポリ-α-オレフィンが、1-ブテンまたはプロペンブロックのアイソタクチック性に関し、本明細書で報告される測定方法に従って測定されたmmmm-ペンタッド分率で80%未満である場合が有利であってよい。
【0028】
配合物は、好ましくは記載された成分の混合物であり、より好ましくは記載された成分のペレットのペレット混合物である。配合物が、各ペレットがすべての成分を含む混合ペレット材料の形である場合が有利であってよい。そのような混合ペレット材料には、以下の利点がある:例えば射出成形によって当該材料を処理することにより、構成成分がより均一に分布した成分を提供し、その結果、より良好な材料特性をもたらすことができる。
【0029】
本発明に係る配合物は、例えば、添加剤、充填剤、および/または顔料(有機または無機)などの追加成分を含んでもよい。本発明に係る配合物は、好ましくは繊維、より好ましくはガラス繊維、鉱物繊維、木質繊維、または他の繊維成分を充填剤として含んでいる。これにより、本発明に係る配合物の強度を高めることができる。その結果、配合物は、例えば、化合物または複合材料として、またはそれらを製造するために、使用される場合など、使用される材料に対し高い機械的要求を課す用途で採用または使用されることができる。配合物は、好ましくは、APAOおよび抗酸化剤の合計に対し、0.01重量%~3重量%の少なくとも1つの抗酸化剤を含んでいる。使用可能な抗酸化剤には、抗酸化剤および/または阻害剤として知られているすべての物質、すなわちフリーラジカル反応の伝播を止める物質が含まれる。本発明に係る配合物は、立体障害アミン(例:ピペリジン誘導体)、より好ましくは立体障害フェノール(例:Irganox 1010、Naugard XL1、Songnox 1035)を含むことが好ましい。これにより、APAOの分解および/またはAPAOの黄変を防止または軽減することができる。
【0030】
配合物は、好ましくは、APAOとフリーラジカル形成剤分解生成物との合計に対し、少なくとも1つのフリーラジカル形成剤分解生成物を0.01重量%~3重量%含んでもよい。本発明に係る配合物は、好ましくは、安息香酸、メタノール、ブタノール、tert-ブタノール、プロピオン酸、および/または、好ましくはまたは、2,5-ジメチルヘキサノールを、フリーラジカル形成剤分解生成物として含んでいる。
【0031】
本発明に係る配合物は、既知の配合物製造方法によって製造されてよい。本発明に係る配合物は、好ましくは、以下に記載される配合物製造方法によって製造され、それは、当該配合物の構成成分を混合することを特徴とする。
【0032】
本発明に係る方法において、構成成分は、好ましくは、粉末またはペレットとして使用および混合される。このようにして得られたペレット混合物を、例えばペレット混合物を押し出すことにより、混合ペレット材料に加工する場合が有利であってよい。したがって、この添加ペレット材料をさらなる処理操作に供する前に、ペレット混合物を、例えば混合ドラムによって、またはホッパーを使用して適用し、ペレットを、混合漏斗を用いて投入し、混合押出機でのさらなるペレット化処理に均一に送ってよい。あるいは、一連の押出機を用いて、成形処理に通じる押出機への溶融ストリームとして、成分を計量することもできる。さらに、これらの処理のうちの1つを使用して、当該粒状物を介することなく、押出成形または射出成形処理によって最終的な加工対象物(ワークピース)を直接製造してもよい。
【0033】
本発明に係る方法が、包装、フィルム、射出成形部品、パイプ、ホース、繊維、繊維、ボトル、プラスチックハウジング、顔料分散を改善するためのマスターバッチ化合物、自動車または輸送部門におけるプラスチック製品を製造する工程を有する場合が有利であってよい。
【0034】
本発明に係る配合物/本発明に従って製造された配合物は、ポリオレフィン配合物が通常使用されるすべての用途に使用されてよい。本発明に係る配合物/本発明に従って製造された配合物が、包装、フィルム、射出成形部品、パイプ、ホース、織物、繊維、ボトル、プラスチックハウジング、顔料分散を改善するためのマスターバッチ化合物、自動車または輸送部門におけるプラスチック製品として、またはそれらを製造するために、採用または使用される場合が好ましい。
【0035】
さらなる詳細がなくても、当業者であれば、上記の説明を可能な限り最大限に利用することができると想定される。したがって、好ましい実施形態および実施例は、単に説明的な開示として解釈されるべきであり、決してどのようにしても限定するものではない。
【0036】
本発明の主題事項は、図1および図2によってより具体的に説明されるが、本発明の主題事項がそれらに限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、実施例2に記載されているようにして調製および記録された、実施例1.11に係る試験片の破断エッジの走査型電子顕微鏡写真を示す。
図2図2は、実施例2に記載されているようにして調製および記録された、実施例1.12に係る試験片の破断エッジの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【実施例
【0038】
本発明の主題事項は、以下の実施例においてより具体的に説明されるが、本発明の主題事項がこれらに限定されることを意図するものではない。
【0039】
測定方法
耐ノッチ衝撃性:Zwick 5102.100/00試験装置を使用してIZOD ISO 180/1Aに従って耐ノッチ衝撃性を測定した。
【0040】
引張試験:EN ISO 527-1に従って引張試験を作製および実施した。Zwick BT1-FB010TH.D30試験装置を使用した。
【0041】
領域の光学的決定:使用した分析機器は、Epson V850 プロスキャナーとJEOL SM IT300走査型電子顕微鏡(SEM)であった。
【0042】
ガラス転移温度[Tg]:DIN EN ISO 11357に従って熱分析を行った。Mettler Toledo DSC1機器を使用し、評価については、Stare 10.0ソフトウェアを使用して行った。半結晶性ポリマーサンプルの場合、熱履歴の影響は、サンプル全体が溶融したときにのみ除いた。したがって、Tgの測定では、規定加熱および冷却速度で再現性のある結果を得るために、別の加熱工程を行う必要がある。10K/分からTg+50℃までの均一な加熱速度および20K/分からTg-50℃までの均一な冷却速度が好ましくは使用されるべきである。ガラス転移温度は、比熱容量変化の半分[0.5ΔcP]が達成されるサンプル温度である。これは、ガラス転移前後の外挿ベースライン間の中央線と、測定曲線との交点の温度である。
【0043】
分子量測定:Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。分子量MwおよびMnは、DIN 55 672に記載されているHT-GPC[高温ゲル浸透クロマトグラフィー]によって測定する。具体的には、分析用HT-GPCを、一体型イソクラティックポンプを有するPL220オーブン(Agilent社、ヴァルトブロン)を使用して、150℃で実施する。約1g/Lのブチルヒドロキシトルエン(BHT)をスパイク(添加)した1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)(Merck社、ダルムシュタット)を、1mL/分の流量を有する移動相として使用し、1つのAgilent PLgel Olexis Guard(50×7.5mm、プレカラム)と3つのAgilent PLgel Olexis(300×7.5mm)カラムとを固定相として使用した。IR検出器(モデルIR4、PolymerChar社、スペイン バレンシア)を使用して、検出を行った。WinGPCソフトウェア(Polymer Standards Service社、マインツ)を使用するポリスチレンキャリブレーション(EasiCal PS-1、Agilent社)を用いて、データセットを評価した。分子量分布としても知られる多分散度(Mw/Mn)は、重量平均分子量を数平均分子量で割ることによって得られる。
【0044】
190℃での粘度:粘度は、DIN 53 019に従って回転粘度計で測定することにより、190℃で測定する。測定は、以下の表aに従う粘度依存せん断速度を有するBrookfield CAP 2000+コーンプレート粘度計を使用して行う。
【0045】
【表a】
【0046】
500,000BWのニュートン標準サンプルを使用して、ブルックフィールド粘度計のキャリブレーションを行った。これは、Zentrum fur Messen und Kalibrieren&Analytik GmbH社から入手され、付属のキャリブレーション証明書とともに発行されている。機器のキャリブレーションは、ZMK&ANALYTIK GmbH社のDKDオイルを用いてDKDオイルを交換した場合にのみ行う。これは、コーン7を用いて行われる。新しいDKDオイルの初期測定を最初に行う。その後、機器のキャリブレーションを行う。ニュートン標準サンプルは、スピンドルに直接計量する。この操作は、100mL三角フラスコに当該サンプルを逆さまに置き、適切な量で計量することを含む。その後、スピンドルを粘度計に取り付け、下げる。予熱を少なくとも3分間維持した後、コントロールパネルの「スピンドル(Spindle)」を押し、「入力(Enter)」で確認する。プロンプト「キャリブレーションする はい/いいえ(Calibrate YES/NO)」が表示される。「はい」を選択すると、キャリブレーションモードが開始される。続いて、流体の望ましい温度と動的粘度(最新のキャリブレーション証明書を参照)を入力し、確認する。粘度の数値は、cP(cP=mPa・s)で入力しなければならない。プロンプト「速度(SPEED)」に対し、10s-1を入力し、「入力(Enter)」で確認する。次いで、「実行(Run)」でキャリブレーションを開始する。キャリブレーション後、キャリブレーション値を「入力(Enter)」で保存する。
【0047】
メルトフローインデックス(MFI):Zwick MFlow機器を使用して、ISO 1133-1:2011に準拠してMFI2.16kg@230℃および2.16kg@190℃を測定した。メルトマスフローレート(MFR)とメルトボリュームフローレート(MVR)は、特定の温度および負荷条件下で、特定の長さおよび特定の直径を有する押出ダイを通して、可塑度計のシリンダから溶融材料を押し出すことによって、測定する。温度190℃、負荷2.16kgでMFI値が1000を超える場合は、信頼できる測定値を得るために測定温度を140℃に下げる必要がある(MFI2.16@140℃)。
【0048】
MFRを測定するには(方法A)、規定時間から押し出された領域を計量し、押し出し速度(g/10分)を計算するのに使用する。
MVRを測定するには(方法B)、規定時間内にピストンが及ぶパスの長さ、またはピストンが規定されたパス長さに及ぶのに必要な時間をプロットし、押し出し速度(cm/10分)を計算するのに使用する。
【0049】
試験温度での材料溶融物の密度がわかっている場合は、MVRをMFRに変換するか、あるいはその逆にしてもよい。
【0050】
アイソタクチック性
ポリマーの組成とアイソタクチック性[mmmm-ペンタッド分率(%)]を、次の出版物に記載されているように、高温の13C-NMRによって測定する。
A.Zambelliら:Macomolecules、8、687(1975年)およびA.Filho、G.Galland:J.Appl.Polym.Sci.、80、1880(2001年)。
【0051】
実験例
【0052】
【表0】
【0053】
【表b】
【0054】
【表c】
【0055】
実験例1
表1に報告されている原材料と量を使用してペレット混合物を作製した。混合は、全成分をPEバッグに添加することにより、手動で行い、その後、その内容物を重量分析系の漏斗に投入した。続いて、押出機(Leistritz ZSE 27 MAXXX 44LD)で、210℃かつ速度300rpmで、ペレット混合物を混合ペレット材料に加工した。
【0056】
【表1】
【0057】
その後、この混合ペレット材料を使用して、射出成形機(Engel ES200/50HL)で、射出温度:230℃、射出圧力:600バール、サイクル時間:45秒で、DIN EN ISO 527-2に準拠して引張試験片(引張試験ダンベル)を作製した。
【0058】
引張試験ダンベルの半分は、IZOD ISO 180/1Aに準拠して耐ノッチ衝撃性を測定するために使用し、残りの半分は、EN ISO 527-1に準拠する引張試験に使用した。試験結果を表2に示す。表中、E=引張弾性率、σ=引張強度、σ=降伏応力、ε=降伏伸び、εtB=ノミナル破断伸び、ε=破断伸びである。
【0059】
【表2】
【0060】
表1および2から明らかなように、添加剤としてAPAOをPE/PPペレット混合物に添加すると、わずかに低下した引張強度でも著しく良好な(より高い)伸び挙動とより良好な(より高い)耐衝撃性を備え、かつ成形品を射出成形できる混合ペレット材料を得ることができる。これは特に、APAOに加えて少なくとも1つの別のアモルファスなあるいは少なくとも半結晶性のポリオレフィン成分を含む配合物に当てはまる。
【0061】
実験例2
実験例1.11および1.12の試験片を液体窒素中で冷却し、いずれの場合も縦方向および横方向に破砕し、パラジウムでスパッタし、その後SEMで分析した。顕微鏡写真を図1図2に示す。
【0062】
実験例1.11および1.12の試験片に関し、画像は、図2においてより均質に見える多数の小領域を示している。したがって、実験例1.12のより良好な機械的特性によっても示されるように、結合が向上していると思われる(表2)。
図1
図2
【国際調査報告】