(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】異物除去装置
(51)【国際特許分類】
B21B 45/04 20060101AFI20221214BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B21B45/04 Z
B08B5/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522297
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2020010500
(87)【国際公開番号】W WO2021075682
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0129029
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、 ソン-ヨン
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB13
3B116BB72
3B116BB75
3B116BB77
(57)【要約】
本発明は、一定の吸入力でも十分に異物を捕集し除去して、その除去効率を増加させる異物除去装置に関するものであって、これは、異物を受けるコンベアベルトと、上記コンベアベルトの一側に配置されて吸入口を介して異物を吸入する吸入部と、上記コンベアベルトを選択的に移動させる移動部とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物を受けるコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの一側に配置されて吸入口を介して異物を吸入する吸入部と、
前記コンベアベルトを選択的に移動させる移動部と
を含む、異物除去装置。
【請求項2】
前記コンベアベルトは、
支持フレームと、
前記支持フレームの両側に配置された一対のローラと、
前記一対のローラを巻回するベルト部材と
を含む、請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記一対のローラのうち少なくとも一つは、一端にモータが連結または内蔵される、請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記吸入口は、前記ベルト部材の幅方向長さと同一またはより大きい幅方向長さを有する、請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記移動部はベース部の上部に設置され、
前記移動部の作動ロッドが前記支持フレームに連結される、請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記ベース部と前記支持フレームとの間にレール部材が介在される、請求項5に記載の異物除去装置。
【請求項7】
前記ベルト部材の外周面上に直立して形成され、互いに離隔して配置され、前記ベルト部材の幅方向に延長した複数のブレードをさらに含む、請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項8】
前記ブレードが前記吸入部の吸入口に接触または嵌合されて前記吸入口の開放面を閉鎖し、次いで弾性変形して吸入部を通る、請求項7に記載の異物除去装置。
【請求項9】
前記吸入部の上部に覆い被さって、前記異物を傾斜した表面に沿って前記コンベアベルトに向かって摺動させる傾斜板をさらに含む、請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項10】
前記傾斜板に振動を付与する振動部材が備えられる、請求項9に記載の異物除去装置。
【請求項11】
前記吸入口の反対側において、前記吸入部は吸入管に連結され、
前記吸入管は吸入手段に連結される、請求項1から10のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の吸入力でも異物の除去効率を増加させることができる異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱延鋼板の表面から脱落するスケール等の異物を除去するか、飛散を防止するために、異物が集中的に発生する箇所にカバーを被せ、フードを設置する。フードとしては、包囲式フードを設置して集塵機の容量を増大させて異物を吸入する構造が一般的である。
【0003】
また、例えば、ローラの間に空気噴射ノズルを設置し、強い空気を鋼板に噴射して飛散するスケール等の異物をカバーで取り囲んで下部フード側に誘導することにより、脱落した異物を捕集して除去する方式も取っている。このようなフードは、鋼板が移動するため鋼板から一定の距離を置いて設置されており、近くに配置することができない。このため異物の除去効率が極めて低い。
【0004】
さらに、特定の箇所では、鋼板の下部表面から落ちる異物を除去するためのフードを設置することに構造的な無理がある。このような箇所には単にキャノピー(canopy)形態のフード吸入口を設置したが、異物の飛散と累積、吸入力の不足などにより除去効率が低下する。
【0005】
関連する先行技術としては、韓国登録特許公報794746B1に開示された発明がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一定の吸入力でも十分に異物を捕集し除去して、その除去効率を増加させる異物除去装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例による異物除去装置は、異物を受けるコンベアベルトと、上記コンベアベルトの一側に配置されて吸入口を介して異物を吸入する吸入部と、上記コンベアベルトを選択的に移動させる移動部と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、自由落下して積もる様々な大きさのスケールや表面処理用パウダー、汚染物等の異物を吸入部の吸入口まで誘導することにより、既存の集塵機性能においても除去効率を高めることができる。
【0009】
これにより、本発明によると、頻繁な周期で清掃をしたり、設備老化を起こしたり、誤作動を起こしたりすることを防止することができ、生産性の向上はもちろん、設備周辺の環境改善及び作業者の呼吸系疾患予防にも大きく寄与できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例による異物除去装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す異物除去装置のうち、コンベアベルトの移動状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例による異物除去装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、例示的な図面を通して本発明を詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素については、他の図面上に示されても可能な限り同一の符号を付していることに留意する必要がある。
【0012】
図1は、本発明の一実施例による異物除去装置を示す斜視図であり、
図2は、
図1の裏面斜視図である。本発明の一実施例による異物除去装置は、異物を受けるコンベアベルト10と、このコンベアベルトの一側に配置されて吸入口21を介して異物を吸入する吸入部20と、コンベアベルトを選択的に移動させる移動部30と、を含んでいる。
【0013】
例えば、本発明の一実施例による異物除去装置は、熱延または冷延鋼板をアンコイリング(uncoiling)するときにアンコイリングが開始されるペイオフリール(pay off reel)の下に配置されることができる。
【0014】
これにより、本発明の一実施例による異物除去装置は、炭素鋼などの鋼板に生じる酸化スケール、特殊鋼に使用され、未反応のパウダー、またはその他の汚染物などのように鋼板の下部表面から脱落して設備の底に積もる異物を除去及び処理することが可能となる。しかし、本発明の一実施例による異物除去装置の適用例は必ずしもこれに限定されない。
【0015】
コンベアベルト10は支持フレーム11と、この支持フレームの両側に配置された一対のローラ12と、これらのローラを巻回するベルト部材13とを含むことができる。一対のローラ12のうち少なくとも一つには、その一端にモータ(図示せず)が連結または内蔵されて、ベルト部材13に駆動力を提供することができる。図面には、管状のローラ本体内にモータとギアが内蔵されたモータローラがローラとして採用されてベルト部材を駆動する例が示されている。
【0016】
ベルト部材13は、例えば、ゴムやウレタン樹脂、シリコンなどのような弾性材質で作製されることができる。このベルト部材は、支持フレーム11よりもやや小さいサイズを有する。このようなコンベアベルト10は、自由落下して落ちるスケール等の異物を受けて集める役割を果たす。ベルト部材13は、撓むことなくその上部表面が均一に平坦な表面を形成することが好ましい。
【0017】
吸入部20は、略ダクト状の部材であって、コンベアベルト10の一側に配置されるが、その吸入口21は、コンベアベルトのサイズと同一またはより大きいサイズを有することがよい。より具体的に、コンベアベルトのベルト部材13の移動方向に直角である方向を幅方向とするとき、吸入口は少なくともベルト部材の幅方向長さに対応する幅方向長さを有する。
【0018】
吸入部20は、上方に向かうほど、その幅方向長さまたは厚み方向長さが減少するように形成されてもよい。また、吸入部20は、所定の角度で傾斜して位置することが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されず、空間的な余裕があれば吸入部が水平に位置してもよい。
【0019】
さらに、本発明の一実施例による異物除去装置は、
図1に示すように、吸入部20の上部を覆い被さって、吸入部とともに又は別個に傾斜して位置し、自由落下して落ちる異物が傾斜した表面に沿ってコンベアベルト10に向かって円滑に摺動できるようにする傾斜板40を含むことができる。
【0020】
傾斜板40の傾斜角は、水平面に対して約30度~90度の間であることが好ましいが、これに限定されず、傾斜板の表面粗さまたは異物の粘度等に応じて傾斜角が決定されてもよい。また、傾斜板40の傾斜角が水平面に対して約30度未満である場合には、この傾斜板に振動を付与する振動部材50(
図4参照)が備えられることがよい。このような振動部材としては、電気駆動方式、電子駆動方式、エア駆動方式のバイブレータ(vibrator)等が採用されてもよい。このような振動部材は傾斜板の裏面に配置されてもよい。
【0021】
吸入口21の反対側において吸入部20は、図示しない吸入管に連結されることができ、この吸入管は、例えば、吸引ファンまたは真空ポンプ、集塵機などのような吸入手段に連結されることができる。
【0022】
このように構成された本発明の一実施例による異物除去装置では、コンベアベルト10がそのベルト部材13上に積もる異物を持続的に移送することができる。異物はベルト部材の移動を介して吸入部20の吸入口21まで移送されて吸入される。
【0023】
図2にさらに詳細に示されるように、移動部30は、ベース部31に設置され、コンベアベルト10の支持フレーム11に連結されてコンベアベルト全体を線形移動させることができる。
【0024】
ベース部31は、例えば、略フレーム状に形成された部材であって、移動部30を支持してその移動を案内する役割を果たす。ベース部はフレーム状に形成されることに必ずしも限定されない。
【0025】
移動部30は、ベース部31の上部に設置され、移動部の作動ロッド32(
図4参照)が支持フレーム11の下部に連結されることができる。このような移動部30としては、作動ロッド32を備えた流体圧シリンダや電気式アクチュエータなどを採択することができる。
【0026】
ベース部31とコンベアベルト10との間の相対移動を案内し、円滑な移動を保障するために、ベース部とコンベアベルトの支持フレーム11との間にレール部材33が介在されてもよい。例えば、支持フレームに滑走部が設置され、ベース部にレール部材が設置されて滑走部がレール部材に沿って摺動することにより、支持フレーム及びコンベアベルトが移動部30の駆動によって円滑に線形移動することができる。
【0027】
図3は、
図1に示す異物除去装置のうち、コンベアベルトの移動状態を示す斜視図である。ここに示すように、ベース部31は、異物を受けるコンベアベルト10を支持することができる。例えば、本発明の一実施例による異物除去装置がアンコイリングに適用されるとき、新たに装着されるコイルとの干渉をなくすように移動部30の作動下でコンベアベルトが吸入部20の下とベース部31の上部表面との間の空間に摺動することができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施例による異物除去装置の変形例を示す図である。ここに示すように、本発明の一実施例による異物除去装置において、コンベアベルト10のベルト部材13は、その外周面上に略直立して形成され、互いに所定の間隔で離隔して配置され、ベルト部材の全幅にわたって延長した複数のブレード14をさらに含むことができる。
【0029】
これらのブレード14は、ベルト部材13と一体的に形成されてもよく、少なくともベルト部材と類似の弾性材質で形成された後に接合されてもよい。このような各々のブレード14は、ローラ12の駆動によりベルト部材13が吸入部20の吸入口21に向かって移動する際に、吸入部の吸入口に接触または嵌合されて吸入口の開放面を閉鎖するようになる。これにより、吸入部内に一時的に真空を形成するようになり、このような真空によって、例えば、既存の集塵機の一定の吸入力でも、吸入部は十分に異物を吸入して捕集し、吸入管を経て異物を除去することができるようになる。
【0030】
各ブレード14は、吸入部20の吸入口21と接触した後、ベルト部材13の駆動によって前進しながら弾性変形、すなわち反ることにより、吸入部の下を通ることができる。これにより、ベルト部材は大きな無理なく持続的に循環移動することができる。
【0031】
以下では、本発明の一実施例による異物除去装置の作動について簡略に説明する。便宜上、本発明の一実施例による異物除去装置が、熱延または冷延鋼板1(
図4参照)のアンコイリングが開始されるペイオフリール2(
図4参照)の下に配置された場合を例に挙げて説明する。
【0032】
上述のように鋼板が移動しているため、フードを鋼板に接触または近接配置させることができない。これにより、鋼板の下部表面においてスケール、パウダー、汚染物等の異物が落ちて設備周辺の環境を汚染させているにも関わらず、従来のフードは単に集塵機の吸入力にのみ依存することで、異物の除去効率が低くなっていた。
【0033】
本発明の一実施例による異物除去装置では、鋼板1のアンコイリングのための準備が完了すると、移動部30が作動してベース部31に重なっているコンベアベルト10を前進位置に移動させる。アンコイリングの開始とともに、鋼板1の下部表面から脱落して自由落下する異物は、コンベアベルト10のベルト部材13に徐々に蓄積する。一部の異物は傾斜板40を経由してベルト部材上に載置される。
【0034】
コンベアベルト10の一対のローラ12のうち少なくとも一つがベルト部材13を駆動させることにより、ベルト部材は、持続的に吸入部20の吸入口21を通ってローラを巻回しながら循環移動することができる。ベルト部材13が吸入部20の吸入口21に向かって移動することによって、ベルト部材の上部表面に積もる異物を吸入口まで移送することができる。
【0035】
このように、異物が吸入部20の吸入口21に近接して移送されることによって、吸入部は一定の吸入力でも十分に異物を吸入して捕集し、吸入管を経て異物を除去することができる。
【0036】
一方、コンベアベルト10のベルト部材13の外周面上に複数のブレード14が形成された場合に、各々のブレードは、吸入部20の吸入口21に接触または嵌合されて吸入口の開放面を閉鎖するようになり、これにより、吸入部内に一時的に生じる真空によって吸入部は一定の吸入力でも十分に異物を吸入して捕集し、吸入管を経て異物を除去することができる。
【0037】
各ブレード14は、吸入部20の吸入口21と接触した後、ベルト部材13の駆動により弾性変形、すなわち反ることにより、吸入部の下を通るようになる。鋼板1のアンコイリングが完了して新たなコイルを装着しようとするときには、新たなコイルと干渉しないように、移動部30が作動してコンベアベルト10の支持フレーム11がレール部材33の案内に沿って吸入部20の下とベース部31の上部表面との間の空間に摺動して後進位置に到達可能となる。
【0038】
以上のように本発明によると、自由落下して積もる様々な大きさのスケールや表面処理用パウダー、汚染物等の異物を吸入部の吸入口まで誘導することにより、既存の集塵機性能において除去効率を高めることができる。
【0039】
これにより、本発明によると、頻繁な周期で清掃をしたり、設備老化を起こしたり、誤作動を起こしたりすることを防止することができ、生産性の向上はもちろん、設備周辺の環境改善及び作業者の呼吸系疾患予防にも大きく寄与できる効果が得られる。
【0040】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明は、例えば、熱延鋼板の表面から脱落するスケール等の異物を除去するか、飛散を防止するのに有用である。
【国際調査報告】